機械化ドイツ帝国奪還戦　第1ターン結果

（→開始時の状況）

　2022年の日本から、1919年のドイツへ。
　新宿島は、ディアボロスと住民達を乗せ、二度目の大規模時間移動を果たした。
　ベルリン上空へと出現した新宿島に、ベルリン市民達が驚愕するのをよそに、ディアボロスはパラドクストレインに乗り、あるいは自ら新宿島から飛翔して、それぞれの戦場へと向かっていく。

　この機械化ドイツ帝国という改竄世界史に生きる人々には、サイボーグやゾルダートに改造された人、あるいはそれがもたらす戦火の中で命を落とした人も数多く存在する。
　ディアボロスの戦いにより、ディヴィジョンが元に戻ると共に、それらの人々もまた、元の歴史であるべき状態へと戻るのだ。
　だが、それを為すためには、ドイツ皇帝の遺志を受け、この大地を消滅させようとしている空中要塞ビルマルクの落下を止めねばならない。
　皇帝の妄執を消滅させるため、さらには大地の強奪を狙う多数の敵勢力を退けるため、ディアボロスは決戦へと赴いていく。

②アハト・アハト
　ドイツ南部地域では、機械化ドイツ帝国のゾルダートと、断頭革命グランダルメの自動人形の軍勢が激突していた。
　機械化ドイツ帝国側を率いるのは、機械化ドイツ帝国の『悪の組織』が開発した、兵器の名を持つ『アハト・アハト』。
　断頭革命グランダルメ側を率いるのは、大陸軍の将軍でも最強の一角とされる『勇者の中の勇者』、自動人形『不滅のネイ』。

　人間を機械に改造したゾルダートと、機械でできた人の似姿である自動人形。
　似ているようで、しかし全く異なる技術体系を持つ二種のクロノヴェーダは、南ドイツの山や丘を舞台に火花を散らしていた。

　シュトゥットガルトを中心とした地域を制圧したネイの軍勢に対し、アハト・アハトが率いる軍勢は果敢に攻撃を仕掛けていた。
　だが、その戦果はあがっているとは言い難い。
　ネイとその軍勢は、巧みにアハト・アハトの軍勢の勢いを逸らし、逆に反撃でアハト・アハトの軍勢に痛撃を与えていた。単純に、ネイ配下とアハト・アハトでの配下の質の差が大きいのだろう。
　だが、それでもアハト・アハトは止まらない。
「敵は全て蹂躙しろ！　突撃、突撃だ！！」
　召喚した高射砲群が轟音を響かせ、ゾルダートの軍勢が自動人形と激突していく。

　新宿島との融合による異変が戦場にもたらされたのは、その最中だった。
「なんだ？　またどこかでおかしな発明でもしたのか？」
　首を捻った瞬間、アハト・アハトは右腕の砲を空に向けた。
「総員、迎撃態勢！！　本命のお出ましだぜ！」
　右腕にエネルギーが収束、そこから放たれた見えないエネルギーが、空間を捻じ曲げ飛んだ。
　不運にもそのエネルギーの渦に飛び込んでしまったディアボロスが、いきなり撃ち落とされる。
「どういう兵器！？」
　即席の防御魔法で砲撃を凌いだ薬袋・透（無彩の魔女の系譜・g02087）が、思わず声を上げた。色々と規格外な兵器を持ち出してくる機械化ドイツ帝国には、科学技術の面でも本来の現代地球を超える部分がある。
「あのゾルダートも、その一端ってわけ……」
　改めて、改竄された歴史の異常性を感じさせられる相手だ。
「でも、ここで負けるわけにはいかない！　ましてやビスマルクを墜落なんて、絶対にさせない！！」
　自分を奮い立たせるように、月見山・伊吹(g04125)は声をあげた。
　多機能シャベルを構え、デーモンの翼を広げ、地を滑るように低空を飛翔。
　ゾルダートの軍勢の只中へと突入していく。
　ゾルダート達の構える無数の兵器が、伊吹をはじめディアボロスを迎撃せんと構えられる。
　戦場を、ディアボロスとゾルダート達の放つ、パラドクスの力が満たしていく。
　ジェネラル級ゾルダートであるアハト・アハトこそ強力だが、最終人類史にいる時と同等の残留効果を得ているディアボロスにとって、それ以外の雑兵は物の数ではない。
　短時間で護衛する敵集団を消し飛ばすと、ディアボロスはさらなる敵が集まってくる前に、ジェネラル級を倒すべく決戦へと突入していく。

「地上スレスレで随分とまあ速く動き回るもんだなァ」
　ぼやくアハト・アハト。とはいえ、連鎖戦を戦う者たちにとって、相対速度はそこまで重要でもないのだが。集中して来る攻撃に対し、彼女は兵器を召喚して応じた。
「放て！！」
　ジェネラル級の号令一下、高射砲達は自動的に砲撃を繰り出し、轟音が戦場を満たしていく。
　アハト・アハトへと攻撃が繰り返されるたびに召喚される兵器は増え、山麓の一角が鉄で染めあげられていく。
　咲き乱れるように増えていく高射砲をパラドクスで突き崩しながら、ディアボロスは彼女への攻撃を集中した。

「ハハッ……！！　いいぞ、もっと楽しませろよ！　アタシの最大の戦いだ！　国ごとぶっ壊すぐらい、もっと派手にやろうぜ！！」
　全身から火花を散らしながら、笑い声をあげるアハト・アハト。超重力砲を構え、ディアボロスへとさらなる砲撃を繰り出さんとし……その瞬間、彼女の背中から鈍い音が響いた。
「……この瞬間を待っていたであります」
　極限まで気配を殺し、アハト・アハトに迫ったアストリッド・ヴァルトシュタイン。
　彼女はアハト・アハトの装甲の隙間を貫いた短剣をねじりながら引き抜き、告げる。
「防衛部隊と言いますが……わたしにとっては貴女も不滅のネイも、故郷に居座る不届き者に違いなし」
　機械化ドイツ帝国のディアボロスたる彼女にとって、ゾルダート達は歴史改竄をもたらした侵略者にほかならない。
　瞳に宿る復讐の色に、アハト・アハトは思わず怯みながらも全身に仕込まれた粒子光線砲を解放する。
　アハト・アハトの全身から、細い光線が放たれアストリッドを貫く。
　だが、彼女はそれに構わず再び短剣を突き出した。
「……此処から、出て行けェェェェッッッ！！！」
　絶叫と共に、深々と突き刺した短剣がアハト・アハトの右腕に突き刺さり、小爆発を引き起こす。

　その瞬間、上空へと飛んだのは伊吹だった。
　戦うだけのための存在たるゾルダートへと、伊吹は眼前に魔法陣を顕現させる。
「日輪よ、日輪よ、忌む災禍を燐と照らし清めよ！」
　ディアボロス達が飛び退いた瞬間、高熱の光線がアハト・アハトへと立て続けに照射された。
「魔法かよ！　魔女狩りは専門外なんだがなァ！！」
　反撃と放たれる砲弾を受けつつも、伊吹はその光を止めることをしなかった。
　ジェネラル級ゾルダートの体が、光の中で溶けるように崩れていく。
「もうちっと長く粘りたかったが……やっぱ皇帝陛下を倒しただけのことはある！！」
　傷ついたゾルダートの全身が無数の火花を散らし、その体は光の中に浄化されるように消えていった。

　勝利を収めたディアボロス達は、アハト・アハトの拠点から飛行要塞ビスマルクのデータを回収する。
「暗号とか回収しておいて良かったねぇ……」
　機械化ドイツ帝国側も、この急場で暗号化に気を配っている余裕もなかったのか、以前に攻略旅団で回収した暗号解析法はそのまま使えるようだった。
　飛行要塞ビスマルクがこの大地に落ちれば、ドイツや周辺の国家が最終人類史に奪還されることは未来永劫なくなる。
「それだけは、防がないとね」
　伊吹の言葉に、ディアボロス達は同意を返すのだった。

⑫不滅のネイ
　自動人形と交戦していたゾルダート達は、アハト・アハトの死と時を同じくして消滅していた。
　即座に前進しようとする配下達を制し、不滅のネイはこう指示を下す。
「撤収だ。全軍に通達せよ」
「ですが閣下、敵がいなくなった今こそ、領土を奪う好機なのでは？」
　己の言葉の意図を理解できない参謀役のアヴァタール級に、ネイは重ねて告げる。
「感じぬか？　大地の気配が変わったことを。新たな支配者が、この地に己の武威を示したのだ。それを覆すことは容易ではない。急げ」
「はぁ……了解致しました」
　また勇者様が何か変なことを言い出した。
　などと参謀役の頭脳は思考しつつ、それに反論することはしなかった。
　自動人形にあるまじき、神がかり的な直感こそが、ネイを勇者の中の勇者たらしめているのだ。
「ダイムラー等からの戦利品は確実に持ち帰れ。ゾルダートの技術、新たな自動人形の礎とするのだ」
　忘れずにそう命じると、不滅のネイと彼の率いる自動人形達は、整然と機械化ドイツ帝国から去っていった。

※⑦アハト・アハトの制圧により、⑫が制圧済みになりました！
※各戦線でクロノヴェーダ同士が交戦し、敵残存率が低下しています！

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→有力敵一覧
→②ハーバー・ボッシュ（有力敵HP1400000→717942 / 敵残存率70%→17%）
→③怪僧ラスプーチン（有力敵HP3500000→3439944 / 敵残存率70%→53%）
→④『総力戦』ルーデンドルフ（有力敵HP1650000→1624270 / 敵残存率75%→68%）
→⑤『聖槍』オイゲン大公（有力敵HP1300000→1252943 / 敵残存率70%→63%）
→⑥マンフレート・フォン・リヒトホーフェン（有力敵HP1350000→413609 / 敵残存率75%→11%）
→⑦アハト・アハト（有力敵HP1250000→0 / 制圧完了！）
→重傷復活者一覧