機械化ドイツ帝国奪還戦　第6ターン結果

（→開始時の状況）

⑪堕淫の宮廷楽長サリエリ

「撤退です。撤退！　今すぐ、撤退です！　ロンメルさんの事は残念ですけど諦めました！　いますぐ、撤退を始めてくださーい！」
　堕淫の宮廷楽長サリエリの戦場では、サリエリの余裕の無い声が、配下に撤退を告げていた。
『聖槍』オイゲン大公の部隊が壊滅し、ディアボロスの軍勢が迫ってきている状況では、他に方法などありはしない。

　エルヴィン・ロンメルからの空気を読まない攻撃によって、パルマ公から支援して貰った軍勢は既に崩壊している状態だ。
　東欧地域の強奪どころか、ロンメルの勧誘すら達成は無理だろう。

「でも今なら、まだ間に合います。私だけでも撤退させなさい！」
　叫ぶようにそう命ずる堕淫の宮廷楽長サリエリに、ただ、配下のクロノヴェーダ達は困惑するばかりであった。

「サリエリ様、撤退とはどのようにすれば宜しいのでしょうか」
「我々の背後は海が広がっており、グランダルメの大地への道は失われているのです」
　配下達の言う通り、ディヴィジョンを越えてきたサリエリの軍勢に退路など存在していない。
　彼らがグランダルメの大地に戻る為には、予定通り東欧を強奪するか、ロンメルが死ぬかする必要があるだろう。

「ならば、ロンメルさんを殺してしまいましょう。今すぐに！　さぁ、さぁ、今すぐ殺しておしまいなさい！」
　サリエリは、そう命ずるが、その命令も遂行不可能だ。
　既にディアボロスの手により、本陣近くのクロノヴェーダは次々と撃破されつつあった
「ギャァァ」
「タ、タスけて……」
「サリエリ様、どうぞ出陣を……」
　サリエリを守る親衛隊のクロノヴェーダを、大雑把に掃討し悲鳴を上げさせていたのは、水月・瑠音（魔銃の奏者・g02254）だった。
「ここを抑えれば一旦、火事場泥棒共は全員追い出せるな」
　と、ほっと安堵の息をつく。
　サリエリ軍は程よく疲弊しているし、他の戦場の敵に比べて覇気が足りていない。
　ロンメル軍との談合や、ディアボロスからの壁となるオイゲン大公の存在により、ぬるま湯状態であったのが原因であろうか。
「でも、だからといって、見逃してあげる理由にはならないよね」
　瑠音は、そういって、粛々と残敵を掃討していった。

　敵の数が減れば、サリエリの本陣への道が開かれる。
　真っ先にサリエリに相対した、御門・風花（静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985）は、悪魔の紋章を解放すると、二刀流の斬撃を叩き込む。
　サリエリは転がりながら致命傷を避け、魔力の籠もった楽曲を奏でて反撃するが、更に駆けつけてくるディアボロスの数に、一瞬表情を曇らせた。
　それでも、虚勢をはるように胸を逸らしたサリエリは、憎まれ口を叩き始める。
「ロンメルさんから話は聞いていましたが、あなた達は、グランダルメで悪さをしているディアボロスで間違いないようですね。
　礼儀がなっていない所がそっくりです。
　どうやって、マリー様がいた時代のパリに現れたり、グランダルメとは関係ない、この機械化ドイツ帝国にやってこれたかは知らないですが……」
　この憎まれ口に、風花達が反応しないので、更に、言葉を続ける。
　それは、風花では無く、後続の男性ディアボロスたちに向けての誘惑の言葉だった。

「なるほど、そうね。
　あなた達、ここからグランダルメに戻る方法を知らないかしら。
　もし、教えてくれたなら、私はもう貴方達に敵対しないし、すぐに撤退してあげるわよ。
　望むなら、私の身体を好きにしても良いんだから。
　勿論、貴方だけじゃないわよ。この戦場中の男達全員の相手をしてあげても構わないわ」

　そんな命乞いをしたサリエリを、エレオノーラ・アーベントロート（Strasen Fraulein・g05259）が張り倒す。
「ごきげんよう。そんなザマでは目的は果たせそうにはありませんわね。さぁ、どうやってブチ殺した方が楽しそうなもので。うふふ。」
　エレオノーラは、そう言うと、魔弾をサリエリの顔面に叩きつけた。
　サリエリは、その攻撃に反撃を合わせつつ、周りを見わたすが、自分の提案に従うディアボロスがいない事に、信じられないという表情を作る。

「こんな良い女に興味が無いなんて、ディアボロスは童貞糞野郎なんですね。幻滅しました」
　サリエリは、それでも、なんとか逃げ出す隙が無いかと周囲を伺うが、勿論、そのような隙をディアボロスが造るわけも無い。
　エレオノーラらの攻撃により、あっという間に追い込まれていった。

「サキュバスミスト！」
「スコルピオンスティング！」
「障壁展開！」
「管狐影縛法！」
　次々と放たれるパラドクスの雨あられ。

「くっ、こんな筈では無かったのに。不滅の加護さえあれば、私だって生き延びられたはずなのに……」
　満身創痍のサリエリに、最後の止めとばかりにパライバ・エルバイト（価値を奪われし人形師・g04382）が、相棒のシベルを繰る。
「ナポレオン皇帝から、不滅のネイに与えられた加護のことか」
　シベルが踊るように、サリエリへと迫っていく。
　冷淡にも思える口調で、パライバは告げた。
「つまりナポレオンは、今回の戦いでは、不滅のネイですら命を失う危険があると考えたわけだ。
　そして、その戦場に君は加護も無しに放り出された。
　端的に言って、君はナポレオンに軽視されているのでは？」

　パライバの口撃は、正鵠を得ていたのだろう、サリエリは、口を噤む。

「さえずるのは終わりか？　ならば、……いくよ、シベル。舞踏会の始まりだ！」
　パライバは、口を噤んだサリエリへと、円舞曲を舞い踊るような華麗な攻撃を解き放つ。
　堕淫の宮廷楽長サリエリに、サリエリが最後の意地で繰り出してくる反撃をいなし、その攻防は加速していく。
　やがて、サリエリが血塗れの姿で末期の舞いを終え、人形に見惚れるように命を落としたのだった。

「安心するといい。ナポレオンも、いずれ私達が倒すからね」
　最後の反撃で膝をつきつつもそう告げたパライバは、仲間に支えられるようにして東欧の戦場を後にするのだった。

⑯空中要塞ビスマルク

　機械化ドイツ帝国の遥か上空を、複雑な軌道を描きながらの加速飛翔を続ける巨大な空中要塞。
　唯一無二の要塞型ゾルダート『空中要塞ビスマルク』。
　その存在は、このディヴィジョンが最終人類史の技術とは明確に異なる『パラドクスを前提に異形の進化を遂げた技術体型』に支えられた改竄世界史であることを明確に示すものであった。
　ビスマルクが地面に激突する時、機械化ドイツ帝国は歴史の藻屑となり、誰の手にも渡らなくなる。
　この要塞は皇帝ヴィルヘルム2世が最期に残した、改竄世界史を滅びに導く徒花だった。

「また、こんな大きいものが落ちてくるなんてね……。でも、そんなのを見過ごすことはできないからっ！　全力で行くよっ！」
　ネメシス形態になったシル・ウィンディア(g01415)が、扉を開けたパラドクストレインから飛び出す。
　ビスマルクの落下を阻止せんとするディアボロスは、高度を下げ始めたビスマルクの上での戦いに挑んでいた。
　空中要塞の広い滑走路上に出現したパラドクストレインから、ディアボロス達が一斉に飛び降りる。

『またしても、転移しての出現。
　感知不能。いかなるパラドクスによるものなのですか？』

　空中要塞ビスマルクの、困惑したような声が高空に響く。
　次の瞬間、彼らの後方でパラドクストレインが盛大に爆発し、跡形もなく消し飛んだ。
　空中要塞ビスマルクの各所に設置された、対空機銃によるものだ。
　攻略可能になってからというもの、ディアボロス達を運んで来るパラドクストレインは到着のたびに要塞の各所に設置された機銃に蜂の巣にされ続けている。

「まあ、歴史の奪還戦の間なら、パラドクストレインは無尽蔵に出現するみたいですし、幾ら撃墜しても無駄なんだけどね……」
　それに気付くような時間を、空中要塞ビスマルクに与える必要もない。

　パラドクストレインから飛翔したディアボロス達は、空中要塞ビスマルクの広い滑走路上に着地すると、高速の飛翔が生む凄まじい風に煽られながらも、空中要塞を本格的に破壊していくのだった。

※⑪の制圧により、東欧地域の強奪を阻止しました！

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→有力敵一覧
→⑧オットー・ヴェディゲン大尉（有力敵HP823581→479986 / 敵残存率10%→10%）
→⑩エルヴィン・ロンメル（有力敵HP1700000→1359919 / 敵残存率45%→31%）
→⑪堕淫の宮廷楽長サリエリ（有力敵HP1200000→0 / 制圧完了！）
→⑯空中要塞ビスマルク（有力敵HP2714709→1320780 / 敵残存率80%→10%）
→重傷復活者一覧