《七曜の戦》聖女と教皇　第3ターン結果

（→開始時の状況）

　ピウス7世を撃破したことで、断頭革命グランダルメと火刑戦旗ラ・ピュセルの協力関係樹立は阻止できた。
　だが、まだ新宿島は東京に帰還する気配を見せていない。
　それは、この『歴史の奪還戦』により、精強なるキマイラウィッチを叩いておくべきであるという、復讐者達の本能的直感がもたらしたものであるのかもしれない。

　怒りによって戦うディアボロスと、仕組まれた『復讐心』によって力を増したキマイラウィッチ。
　質の異なる『復讐』を胸に戦う者達は、オルレアンを舞台に激突していく。

⑥キメリエス

　ソル・スクルド(g02818)は目の前にかざした指を開き、その隙間から敵を見据えた。
　煌陽杖ソルヴァテインの太陽の形をた先端を敵に向け、ソルは高笑いをあげた。
「クハハ、妾は、暗黒太陽神の末裔にして魔法少女ソル・クロノレジェンディア！　此度の戦いにて、ソウルメイトたちと共に、いざ威光を示さん！！」
　力強く名乗りを上げるソル。
　色々と疑問の残る内容ではあるが、とりあえず、ディアボロスは【エイティーン】を使えるため、外見的には問題なく十代の若さを保てる。
「ナインテイルマジック！」
　ソル（20）の九尾式魔術に貫かれ、悪魔の名を名乗る魔女『キメリエス』は狂ったように哄笑を上げる。
「痛みが走る、血が溢れる！　だが、この痛みがお前達への復讐心をさらに高めてくれる……！！　我が魔力の高まりを感じるぞ！！」
「復讐心って、簡単に抱ける感情じゃないと思うケド、そうでもないのカナ？」
　ラウム・マルファス(g00862)の広げる漆黒の凍気が、キマイラウィッチのもたらす炎とぶつかりあった。
　死を超克し、それでもなお果たさねばならないクロノヴェーダ達への復讐のためにディアボロス達は新宿島に集い、あるいは辿り着くことすら出来なかった者達の無念思いを受けて覚醒している。
　そうしたディアボロス達を数多く見てきたラウムにしてみれば、キマイラウィッチの『作り物』感は、
「現状だけ見ればディアボロス達が侵略者だシ、当然だケド」
　怪訝な顔をするラウム。対して、河津・或人(g00444)は憮然としながらキメリエスへとパラドクスを向けた。
「あいつらの『復讐心』って完全に逆恨みだろ。変に復讐こじらせられても面倒だし、今度こそ灰も残さず消えてもらおうぜ」
「……彼女達にも応援してくれる誰かは居るのカナ」
《七曜の戦》の間、ずっとディアボロス達に同行してくれた新宿島の人々を通じ、最終人類史の人々の『応援』の意思が、重傷を負ったディアボロス達に立ち上がる力を与えてくれている。
　だがキマイラウィッチに、応援してくれる存在は、同族の他にいるようにも思えなかった。

　先刻の交戦時、ディアボロス達はキマイラウィッチの軍勢を突破するには至らなかった。
　その事実を見れば、アルタン・ウルクほどではないにせよ、キマイラウィッチは極めて個体戦力が高い種族であると言えただろう。
「だから、ここでとどめをさしておかないとね……♪」
　レイラ・ドヴォルザーク(g05226)は躊躇することなく、そのソプラノヴォイスを響かせる。
『お捨てなさいな、その祈りの本は岩よりも重たい。お捨てなさいな、僕について行きたいなら。本を捨てて身軽になるのです♫』
　誘惑の魔力が秘められた声が、キマイラウィッチの精神を撹乱。復讐の意思が薄れた隙をついて、ディアボロス達の攻撃が集中する。
「復讐戦の中で、『復讐』を忘れるとは！！」
　苦渋の声を漏らしながら、キマイラウィッチの姿は消滅していった。

⑦糸紡ぎ姫

　製糸業を行う女性を捕らえ、自分に相応しい織物を織らせようとする『魔女』として悪行を繰り返した末、ディアボロスにより「火刑」に処された『糸紡ぎ姫』。
　その来歴に対する、ディアボロス達の感想は共通していた。
「……外道に立派な飾り（首）は要らん……腐り落ちろ……」
　赦蜘・九朗(g03801)の指示の元、ミニドラゴン『うろ』がその糸紡ぎ姫の張り巡らせた糸を断ち切っていく。
　目の前にいる、非道を為す者を逃がすべきでない。
　程度の差こそあれ、その意思はディアボロス達に共通するところだ。

　だが、糸紡ぎ姫の力は決して侮れるものではない。
　キマイラウィッチの中には、ジャンヌ・ダルクをはじめ百年戦争に関わった人物の名を持つ者もいれば、伝承に伝わる怪物の姿や名を持つ者もいる。
　この糸紡ぎ姫などはアラクネに類似するが、『ディヴィジョン内で伝承となった』個体が、力を得たような例なのだろう。
　獣神王朝エジプトにも、最終人類史の伝承に存在しないエンネアドが存在していたが、それらと同様だと思われた。

「女神アテーナー様に代わって、御身にお仕えする神官が傲慢なるアラクネーの行いを罰します」
　エイレーネ・エピケフィシア(g08936)はそう誓いの言葉を捧げると、槍を手に地を蹴った。
　クロエ・アルニティコス(g08917)の魔術が、周囲に残存するキマイラウィッチを退ける。
「人々を苦しめる怪物よ――覚悟なさい！」
「力のために人間を苦しめて、何が悪いというのです！！」
　黄金の鎧を身にまとい、ネメシス形態となったエイレーネが糸紡ぎ姫へと突撃する。張り巡らされた粘性の糸が、エイレーネの勢いを弱めようとするも、その穂先はキマイラウィッチを貫いた。
「実在しない神への祈りなど無意味！　新たな『復讐』への引き金に過ぎませんわ！」
「あなた方キマイラウィッチの恨みは、終わりのない連鎖……今それを断ち切って差し上げましょう！」
　怒りの中に、新たな力の発芽を求めるキマイラウィッチへと、赤上・イズル(g04960)は九字切流剣技の極意を以て斬り抜いた。対する糸紡ぎ姫は、槍を振るってその体を貫くと、さらなる糸を戦場へ広げていく。
「強く、美しく着飾る……そのためなら、職人ぐらい何千位だって苦しめてあげる！　糸車のように、復讐の輪を回し続けるの！」
「職人を……ねえ？」
　茜來・雪璃(g00793)に、怒りが宿る。
『刻を喰らい、華喰らう。廻り還り、此処に咲く』
　彼女の周囲に浮かんだ紫焔の華、彼女が秘めた霊力の欠片は、触れると共に藍結晶の華へと変じる。
　輝く花弁がもたらす焔は、雪璃の手にした刃に点った。
　振り抜いた刃が、キマイラウィッチの糸を燃やし尽くす。
　狼狽する糸紡ぎ姫へと、音もなく踏み込んだ雪璃。その一刀が、キマイラウィッチを両断した。
「木っ端微塵になりなさい」
　奪うことしかしないキマイラウィッチが、創造する者を己の欲望のために殺める。その悪行への応報は、復讐等とは関係なく為されるべきものだ。
　怒りの焔は、驚愕の表情を浮かべるキマイラウィッチを一瞬のうちに焼き滅ぼしていった。

《七曜の戦》の終幕へ

　２体のジェネラル級を撃破した段階で、新宿島は東京への転移に入った。
　帰還したディアボロス達は、《七曜の戦》最終日、世界樹戦争の準備を開始する。
　３勢力を同時に相手取る戦場で、ディアボロス達は７日間でも最大の激戦に挑むこととなる。

ここまでの『歴史の奪還戦』による奪還地域

荒川区、墨田区、葛飾区（TOKYOエゼキエル戦争）

パリ周辺（断頭革命グランダルメ）

コンゴ民主共和国の一部（巨獣大陸ゴンドワナ）

ブリテン島中部・南部（幻想竜域キングアーサー）

バベルの塔およびバビロン周辺地域（蹂躙戦記イスカンダル）

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→有力敵一覧
→⑥キメリエス（有力敵HP2166294→0 / 制圧完了！）
→⑦糸紡ぎ姫（有力敵HP2551640→0 / 制圧完了！）
→重傷復活者一覧