獣神王朝エジプト奪還戦　第7ターン結果

（→開始時の状況）

●⑥統一王ナルメル
　統一王ナルメル。
　エジプト第一王朝の創始者と考えられている、紀元前31世紀の古代エジプトのファラオである。
　その名を持つマミー、統一王ナルメルは、ディアボロスの攻撃を繰り返し凌ぎ続けていた。
「クフ王の力が弱まっている。このままでは、ならば、このナルメルが新たなディヴィジョンを創世し、『断片の王』としてエジプトの栄華を引き継ぐ他あるまい」
　彼は、自分の領土に設置された唯一のオベリスクに目をやる。
「クフ王が息絶え、『断片の王』としての束縛がなくなれば、我を含めたファラオは自由に動けよう。このオベリスク、そのために使わせてもらうとしよう」

　既に自分も力を使い果たそうとしているにも関わらず、諦めることのないナルメル。
　だが、ここまで生き延びることができたのが、ディアボロスが本腰を入れて攻略にかかっていないという、ただそれだけのことであると、彼は理解していただろうか。

　だが、彼の望みは叶うことは無かった。
「ナルメル様！　ディアボロスです！」
「くっ……いまだ発動がならぬうちにか！」

　100人にも満たぬ少人数だが、今のナルメルの領土を突破するには充分だ。
｢この気勢、止められると思うな！いざ太刀打ち願おう！｣
　無双馬を駆り、敵を切り払いながら突き進んだ瀬鍔・頼門（あかときの影ぼうし・g07120）が、炎の剣をかざしたナルメルと切り結ぶ。
　夜の砂漠を、ナルメルの炎が赤々と照らし出す。
　その光の向こうに、自身を取り囲むディアボロス達の姿を認め、ナルメルは瞑目した。
「我が命運、ここに尽き果てたか」
　だが、その言葉とは裏腹に、見開かれたファラオの瞳には輝きが戻っている。
「ならば、最期まで戦に興じるとしようか！！　我が旅路の伴となってもらおうか、ディアボロス！！」
「ここで殺されるわけにはいかないな！」
　これまでの生き延びねばならないという様子から打って変わって、己の身を省みぬように炎を操り、ディアボロス達を薙ぎ払うナルメル。
　その勢いは、誇り高き王（ファラオ）の名に相応しいと言えたかも知れない。

　だが、それも一時のこと。
　やがて勢いは落ち、彼の抵抗にも終わりは訪れる。
　その終わりは、空から訪れた。
　空中、玖珂・駿斗（人間の一般学生・g02136）と連携しながら、飛翔するエーリャ・アジーモヴァ（冬の天使・g01931）。
　2人はナルメルの動きを把握すると、一気に急降下を仕掛ける。駿斗の爆撃弾がナルメルや残存する敵を爆炎で炙り、しかし反撃に繰り出された炎剣が彼の体を断つ。
「先輩！」
「いいから、行け！」
　砂漠を覆う闇の中へ見えなくなった駿斗の無事を願いつつ、エーリャは急降下。
「後の心配は、これで断つよ！！」
　急降下するエーリャの体が、煌々と輝きを放つナルメルに負けじと黄金のオーラに覆われていく。
「これがわたしの、鉛の心臓だ！」
「この輝きを、破ってみせよ！！」
　ファラオの閃光が砂漠を照らす。その光を突き破り、ナルメルを貫いたエーリャは再び急上昇。
　反転し、地を見下ろしたエーリャの眼下で、統一王ナルメルは纏う炎と共に、その存在を消していった。

●⑦セケンエンラー・タア
「あ宛ア嗚呼あ亜あ！？　
　断片の王たる『クフ王』への熱烈な忠誠心を抱くファラオ、セケンエンラー・タア。
　ディアボロス達の攻撃を受ける彼は、いままさに混乱の絶頂にあった。
　もっとも、その原因は、自身の生命が脅かされていることなどではない。

「ファラオは偉大ナル存在！　クフ王は不滅ノ存在！　なのニ！　ナぜ！　どウシて！　その大イナル存在が汚サレ滅ビンとしテイるノか！？」

　信仰の領域にまで達した断片の王への忠誠心は、揺らごうとしていた。
　絶対なる存在として信頼、あるいは崇拝を寄せていたクフ王が、その力を剥ぎ取られ、今にも滅びようとしている。
　その事実こそ、セケンエンラー・タアにとって、何よりも耐え難いことにほかならない。

　八百陣・葵漆（勝利こそが正義・g01007） は、その狂態を見せるファラオに冷たい目を向ける。
「調子を崩しているようだな。ならば、後顧の憂いを断つまでだ」
　葵漆をはじめ、ディアボロスの攻撃が、セケンエンラー・タアを、そして配下のクロノヴェーダ達を蹴散らしていく。

「コノ滅びも全てディアボロスのモラタシタものなのか！？　許セヌ、いや許さレテはならぬ！！」
「それはこっちのセリフだよぉ！」
　一里塚・燐寧（粉骨砕神チェーンソー・g04979）はふん、と強くチェーンソーを握りしめると、
「マミーを使い潰すきみの戦い方、ほんとにムカついたよぉ！　今、全ての怨念を叩きつけたげるっ！」
　宣言と共に、燐寧の姿がチェーンソーの尾を持つ巨大恐竜型ネメシスへと変貌する。
「正体を現したか！　巨獣か？　ドラゴンか？　いや何でも構わぬ！　聖なる王朝を侵す者に、逃れ得ぬ裁きを！！」
　セケンエンラー・タアの振り上げた無骨な戦鎚が、残像を曳くほどの速度で疾駆した恐竜の回転刃尾と激突。
　激しい火花が砂漠の砂の上に散る。

　繰り返し振り回される尾を戦槌が変形していくが、その刃はファラオの肉体を少しずつ解体していく。

「！？　オノれ、ディアボロス！　おのレ、忌まワシき天空の島！
　呪わレヨ！　貴様ラガ蘇リを奪った全テノ民カラ！　全てのファラオカラ！　全ての神カラ！　呪われよ！！」

　死体そのものの姿で、ディアボロスへの呪いの念をぶつけてくるセケンエンラー・タア。
　その怒りに、藤永・えみり（ヴンダー・カンマー・g01322）は姿以上の恐ろしさを覚えていた。

「貴方を残すわけにはいかない……！！　『戦術機動パッケージ・コード０３１』！」
「貴様の血、その一滴スラモ、我が王に捧げよ！」
　セケンエンラー・タアの全身から放出された粉塵が爆発的に広がり、えみりを呑み込まんとする。
　だが、彼女の展開したガジェット・ドローン群は、えみりの動きをサポートし、被害を最小限に留め、セケンエンラー・タアの元へと至らせていた。
「“貫く者”よ、この妄執に、終わりを！！」
　対装甲電磁加速式貫通破砕ガジェット……最終人類史のアニメ等においてパイルバンカーと呼ばれるそれが、名前の通りにファラオを、その呪いの念ごと貫き、滅びを与える。
　杭が元の位置に戻った時、ファラオの姿は己の身を粉塵としたかのように完全に消滅しているのだった。

●⑳赤き砂塵のファラオ
　赤き砂塵のファラオの戦場は、砂が血で赤く染まる。
　その伝承のとおり、赤き砂塵のファラオの戦場は、数多の血に塗れ凄惨な姿を晒していた。
　だが、その内実は、赤き砂塵のファラオの意に沿うものでは無かった。
　何故なら、その血の多くをなしたのが、レイラ・イグラーナ（メイドの針仕事・g07156）であったのだから。

「赤き砂塵のファラオが、この地を人民の血で染めるというならば……。私は、革命家レイラ・イグラーナの名において、クロノヴェーダの血でこの地を赤く染め返しましょう」
　その言葉通り、レイラはファラオの配下たるクロノヴェーダを次々と屠っていく。
　クロノヴェーダには血を流さないものも多いが、元が人間であるマミーの多くは、人間らしい機能を残している為、赤い血を流す者も多い。
　そういったクロノヴェーダの死が積み重なり、砂塵を赤く染めていったのだ。

「恐れるな迎え撃て！　ディアボロスの血で、この砂漠を赤く染め返すのだっ！」
　赤き砂塵のファラオは、そう叫んで配下を鼓舞するが、敗勢を巻き返す事など出来ようはずもない。
　戦闘で多くの配下を失った赤き砂塵のファラオは、ディアボロスによって、次第に追い詰められていった。

「お前達は、グランダルメの侵略者を潰した後、テーベの『太陽の船』に向かったのでは無かったのか？　どうやって、この距離を往復しているというのだ？　たとえスフィンクスを使ったとて、軍勢の移動が間に合うはずが無い距離であるぞ！」
　非常識な行動をするなとばかりに、赤き砂塵のファラオは、迫りくる西院鬼・織久(g04529)を叱責するように怒鳴りつける。
　勿論、それに畏まるような織久では無い。
「怨敵犇めく戦場は我等が狩り場も同じ。俺達ディアボロスは、あらゆる敵の戦場を渡り、如何なる大軍、強者であろうとも容赦はしない」
　冷徹にそう言い放った織久は、黒い刃に怨念の炎を集中させると、赤き砂塵のファラオに突き入れた。
「この程度、我を守れ紅き砂よ」
　赤き砂塵のファラオは、身にまとう紅の砂を使って、その攻撃を避けようとするが、完全には避けきれず傷を負う。しかし、
「我が紅き砂は貴様らの血を欲しているぞ！」
　その体から赤い雫を垂らしながらも、反撃の一手を繰り出した。
　数多の矢に姿を変えた紅い砂達が、織久を刺し貫き、その地を啜った。

「死ね死ね死ねぇぇぇ！」
　更に、狂気の表情で織久を追撃しようとする赤き砂塵のファラオ。だが、その前には、新城・橙花(g01637)が立ちふさがっていた。
　橙花は織久を庇うように立つと、赤き砂塵のファラオに身の丈ほどもある呪剣で牽制する。

「恰好はファラオっぽいですけどね、その言動が雑魚っぽすぎるんだよね☆」
　赤き砂塵のファラオは、自分の邪魔をした挙句雑魚っぽいとまで言いきった橙花を睨みつけると、今度は橙花に矛先を変える。

「その男よりも先に死にたいというのならば、願いを叶えてやるぞ。それが、ファラオの慈悲だ」
　橙花が繰り出す呪法【妖葉乱舞】に、赤き砂塵のファラオの紅き砂の斬撃が重なる。
　呪法で造られた大量の葉が竜巻となり赤き砂塵のファラオを深く切り裂いていく、それと同時に、赤き砂塵のファラオが紅い砂より生み出した刃が、ディアボロスを切る……。
　両者の血が砂漠を更に赤く染めていくが、その量には大きな偏りがあった。

「何故、ファラオである我が、ディアボロス如きにこのような傷を……」
　マミーでありながら、生者の様に血を流す傷口を抑えて、赤き砂塵のファラオが信じられないという表情で橙花を見る。
「所詮あなたは、田舎のファラオだったって事だね♪　橙花たちディアボロスと戦うのならば、ファッションセンスが磨いてきなよ☆」
　斬られた傷から血を流しながらも橙花は、赤き砂塵のファラオの問いにそう応え、介錯するように呪剣【譲葉】を振るう。

　先ほどの攻防で命が尽きていた赤き砂塵のファラオの首は、【譲葉】の一薙ぎで刈り取られ、砂漠に更なる赤い花を咲かせたのだった。

「これで、北アフリカ方面の敵は完全に駆逐したね☆　解放したオアシス都市の人々も、きっと喜んでくれるでしょう」
　赤き砂塵のファラオを撃破した橙花は、救う事が出来た人々に思いを馳せながら、そう言葉を遺し血に染まった戦場を後にしたのだった。


●㉖陸塞龍バルギュラス
『バルギュラァァァス！！』
　戦場に陸塞龍バルギュラスの咆哮が木霊する。
　まるで岩山のような強固な体を持つバルギュラスは圧倒的な威圧感でディアボロスの前に立ち塞がっていた。
　巨獣相手の戦いであれば、尻尾からよじ登って無防備な背中を攻撃したり、注意が及ばない足元に滑り込んで、下っ腹を殴り飛ばしたり、或いは、敵の口内に入り込んで、内部から攻撃するといった手段もあるが、全身を強固な鎧で覆ったバルギュラスには、その攻撃は難しい。
　唯一口内への突入は可能かもしれないが、ジュラ紀のブロントサウルスのように首が高い位置にある為、それも難しい。

「つまり、この巨大神像が無かったら、かなり苦戦してたってことだねっ！」
　安藤・優（名も無き誰かの代表者・g00472）は、ふはははは！　と高らかに笑いながら、巨大神像を巧みに操縦して、バルギュラスへと吶喊していく。
　バルギュラスは長大な尾を鞭のように振るって、優を追い払おうとするが、優は身軽な動きでそれを避けると、体を回転するようにしてバルギュラスの前に飛び込んだ。
「この巨大神像は既に僕の体の一部なのさっ！」
　優はそう豪語しつつ、パラドクスを発動。神像の手元に優が持つものを模したかのような朽ちた聖剣が出現。目の前に迫るバルギュラスの体に向けて、極光の斬撃を突きだすと広範囲を薙ぎ払った。
「全力の一撃、受けてみろー！」
　バルギュラスに一番槍をつけた優は、ノリノリでそう叫ぶと、後方へと離脱していった。
「これで、連続稼働できれば完璧だけど……。さすがに疲れた」
　優はそう言うと、操縦席から外に這い出て次のディアボロスへと巨大神像を引き継いだ。

『ギュララァ……バルギュラァァァス！！』
　戦場に陸塞龍バルギュラスの咆哮が木霊する。
　だが、戦いの最初に聞いた威圧的な力は大きく薄れている。
　巨大神像を使用したディアボロスの波状攻撃により、バルギュラスは大きく傷つき、その咆哮は、苦痛と苛立ちを綯い交ぜた苦悶の咆哮となっているのだ。

「そろそろ決着をつけようぜ！」
　巨大神像の操縦席で、南雲・葵（お気楽姉弟の弟の方。・g03227）は、そう叫ぶ。
　残念ながら、この神像には喋った言葉を神像レベルに増幅して話す機能まではついていない為、バルギュラスには届かなかったが、葵の意志を感じたのか、バルギュラスが葵が乗る神像に向けて足を踏み鳴らした。

『バルギュラァァァス！！』
　凄まじい轟音の咆哮がバルギュラスから発せられる。
　咆哮だけで森の木々がなぎ倒され大地が抉り吹き飛ばされ、もうもうとした砂煙が周囲を舞う。
　だが、この程度の咆哮で、どうにかなる神像や葵では無かった。

「ロボで戦うとか、全男の子の夢じゃんね！　お前は草食巨獣らしいけど、このまま放置したらこのあたり一帯の森を食い散らかしてゴンドワナ化してしまう。だから、ここで死んでもらうぜ」
　葵が操縦する神像は、バールのようなものを振りかぶって、バルギュラスに向けて駆けだすと、その長い首を狙って、大きく振りかぶって……投げつけた。

「第1球、投げましたーーー!!」
　空飛ぶバールのようなもの（※神像サイズ）は、狙い通りバルギュラスの首の中心に衝突すると、そのままその首を圧し折ってしまう。
　バルギュラスの巨大な頭部が首の半ばから折れ、不自然な方向へと曲がっていく。
『バル……ギュラ……ス』
　バルギュラスは、最後に力の無い咆哮を残すと地に倒れ、物言わぬ骸に変わったのだった。
「しかし……草食獣の首が長いのって、高い場所にある植物を食べるためとかじゃないのか？」
　だとすると、巨獣大陸ゴンドワナの植物は、巨獣程に巨大なのだろうか。
　神像の操縦席から出た葵は、バルギュラスの屍を見下ろしつつ、まだ見ぬ巨獣大陸ゴンドワナの姿に思いを馳せたのだった。

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→有力敵一覧
→④断片の王『クフ王』（有力敵HP2908858→489104 / 敵残存率91%→10%）
→⑥統一王ナルメル（有力敵HP86463→0 / 制圧完了！）
→⑦セケンエンラー・タア（有力敵HP674121→0 / 制圧完了！）
→⑬筋獣のゼグマアト（有力敵HP884545→809860 / 敵残存率73%→71%）
→⑳赤き砂塵のファラオ（有力敵HP266618→0 / 制圧完了！）
→㉖陸塞龍バルギュラス（有力敵HP837176→0 / 制圧完了！）
→重傷復活者一覧