《七曜の戦》聖女と教皇　第2ターン結果

（→開始時の状況）

④ピウス７世

　断頭革命グランダルメと火刑戦旗ラ・ピュセルの協力関係の大立者にならんとしていたピウス7世を、ディアボロス達は短時間のうちに滞在場所であろう建物周辺に追い詰めていた。
　自動人形の軍勢がディアボロスと交戦する中、微笑みをたたえたピウス7世は、玉座型クロノ・オブジェクトがもたらす俊足で戦場を駆け回りながら、ディアボロスの攻撃を耐え凌ぐ。

「ようやく会えましたね……フォンテーヌブローの森には、何度も足を運びましたよ」
　ピウス7世を追って飛ぶソレイユ・クラーヴィア(g06482)の周囲に、鍵盤が展開された。
　ディアボロス達はピウス7世が何らかの研究をしていることを突き止め、フォンテーヌブローの森を調査していた。だが、厳重に警備された宮殿には至ることができず、敵戦力を削りながら探索の機会を待つに留まっていた。
　攻略状況や作戦次第では、ピウス7世がこの時点で生存していなかった可能性もあるのだろうが、それこそ歴史のIFというものだろう。
「あなた達が、ですか。おかげで兵士達が消耗させられました」
　静かにいって、ピウス7世は杖を向ける。
『我が言は皇帝と共にある』
　歴史のIFですらありえないクロノヴェーダ、自動人形たるピウス7世の聖句は、ソレイユの心を貫かんとし、ソレイユの演奏が戦場に響き渡る。

　ピウス7世の前に現れたヒュー・ハルウェル(g04975)の前で、スフィンクス『お嬢様』が魅惑のポージングを決めた。
「『信仰』とは良いところに目をつけられましたな。それならば、お嬢様を奉じるのは如何でしょう？」
　撫でてもいいのよ？　というように、スフィンクス『お嬢様』が、ポーズを変えつつピウス7世に視線を向ける。
『皇帝に剣を向ける者は みな、剣で滅びる』
　ピウス７世は表情一つ変えることなく、その魅惑の力を展開した光壁で跳ね返した。
「生憎と、クロノヴェーダが『信仰』されなければいけないようですからね」
「お嬢様の魅力がお分かりにならないとは、哀れなお方ですな」
「敵の敵は味方。一時的にでも同盟を組むのは俺の時代でも行われてきた」
　黒龍偃月刀を構えた夏候・錬晏(g05657)は、祖国、そしてそれ以降の歴史を思い出す。
「だからこそ、この動きが俺達にとってどれだけの脅威か知っている。必ず阻止して、弟分の祖国でもあるグランダルメを取り戻す！」
「これは、私が幾ら交渉を申し出たところで、通じそうにありませんね。……ならば聖典の言葉に従い、貴方がたを退けるまで」
　ピウス７世は聖句を読み上げ、ディアボロス達を退けんとした。だが、西院鬼・織久（g04529）は彼に告げる。
「それこそ、笑い話にしかならないでしょう」
　織久が手にした黒き刃の先端に宿る怨念の炎が、ピウス7世を照らす。
「ほう？」
「あなたは聖句をなぞっているだけで、全く聖句を信じてなどいないでしょう」
「そういう機能はありませんね」
　ピウス7世の表情は、その指摘にも揺るがない。
　いや、戦闘開始時から、彼の表情は微笑みのままに変わっていなかった。ピウス7世は神に祈る存在などではなく、聖句も単にパラドクス発動の合図に過ぎない。
「だとすれば、どうします？」
「我ら、目の前の怨敵を悉く喰らうのみ……！」
　ピウス7世が聖句を唱えるよりも早く、織久の足が地を蹴った。虚ろな聖句がもたらす力が織久を傷つけるも、伸びる刃が炎を帯びて、教皇型自動人形の胸板を穿つ。
　手応えを感じつつも素早く離脱した織久は、ピウス7世が椅子の上で姿勢を崩すのを見た。
「交渉は中断ですか。『堕落』や『信仰』、『復讐』……なぜクロノヴェーダに、感情の力など必要なのでしょうね」
　そう呟き、ピウス7世は動きを止める。
　かくして、断頭革命グランダルメと火刑戦旗ラ・ピュセルの協力関係樹立は阻止されるのだった。

⑤ハーピー・インクイジター

　キマイラウィッチ達は、ディアボロス達が断頭革命グランダルメ側に仕掛けるのを静観していた。
「ディアボロスの攻勢を生き延びられないようでは、協力関係を結ぶ価値もありませんので……お互いに」
　ピウス7世との窓口を務めていたキマイラウィッチ『ハーピー・インクイジター』は、サンソンにそう告げるとジャンヌ・ダルクの守りを固める。
　断片の王であるジャンヌ・ダルクが討たれれば、ただちにディヴィジョンが消滅するのだ。
　実のところ新宿島のディアボロスが大挙して現れた以上、キマイラウィッチ達もあまり余裕を見せられる状況ではなかった。
　ディアボロス達が『歴史の奪還戦』を維持して攻略を仕掛けられる回数は多くないのだが、キマイラウィッチ達もそこまでは知らない。
　もし7日目でディアボロス達が攻撃をより多く仕掛けられる状況であれば、火刑戦旗ラ・ピュセルの運命はどうなっていたか分からない。

　ディアボロスの攻勢を受け、ハーピー・インクイジターは明確に追い込まれていた。
　だが、そんな中であっても、ディアボロスへの憎悪はキマイラウィッチのねじ曲がった『復讐心』を高めていく。
「憎い、憎いぞ……！」
「許すまじ、我らが怒りを受けろディアボロス！！」
　残存する、残るキマイラウィッチ達は、その目に憎悪を宿してディアボロス達を睨む。その敵意へと、クロエ・アルニティコス(g08917)は杖を突きつけて返した。
「仕組まれた逆恨みの復讐に、怪物のごとき振る舞い。復讐者としても、魔女としても。程度の低さに吐き気すら催しますね」
　クロエは、キマイラウィッチという種族のあり方に歪さを感じていた。
『復讐』の感情を糧とするがため、マッチポンプを仕掛け、一方で人間を犠牲にして顧みない。
　人ならざるクロノヴェーダであるキマイラウィッチ達の『復讐』は、クロノヴェーダ同士の大戦を生き抜くための作為に満ちている。
「復讐者の……そして魔女の戦い、見せてあげましょう」
「うおおおおーッッ！！」
　クロエが杖を構えた時、復讐者達から叫びが上がる。
　ハーピー・インクイジターを目にした瞬間、嵐柴・暁翔(g00931)が、脇目も振らず特攻したのだ。
　周囲から浴びせられるパラドクスを耐えきると、暁翔はハーピーの振りかざす大鎌の内側へと潜り込み、さらに懐と飛び込んだ。もつれ込むようにして羽毛に覆われた体を拘束せんと格闘戦を挑んでいく。
「な、なんですか、こいつは！！」
　逆説連鎖戦なので時空が歪んでいるため、ハーピーは普通に他のディアボロスへ反撃して来る。
　それでも己の中からこみ上げる衝動のまま、暁翔は肉弾戦を続けていた。
「シスターや巫女は大好物ですが何かーッ！！」
「……」
　クロエは一瞬頭痛をこらえるような表情を浮かべると、ハーピーに魔法を叩き込んだ。

　そんな攻防を経て、ハーピー・インクイジターは確実に追い込まれていく。
　それでも怖気づく気配が無いのは、『復讐』を旨とするキマイラウィッチの性質によるものか。
　ジョン・エルバ(g03373)はギターを携え、悠々とハーピーへ近付いていった。
「ようシスターさんよ！　ゴスペルもいいが、オレのロックを聴いて地獄観光なんて如何だ？　お人形とおしゃべりするより最高に楽しいぜ！」
　大鎌がジョンを斬り裂き、だがジョンの軽口も動きも止まらない。
　相棒のギターを力任せに振りかぶり、力任せに振り下ろす。
「……！？　演奏は！？」
「おっと、嫌だと言ってももう遅い、ロックでクールな地獄行きのライブショーは始まってるからな！」
　リズミカルに振るわれるギターで、ジョンはハーピーから派手な殴打音と苦痛の声を迸らせる。
「最終人類史……恐るべし……」
　恐るべきライブショーが終わった時、ハーピーは力なく地面に崩れ落ちるのだった。

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→有力敵一覧
→④ピウス7世（有力敵HP2450000→0 / 制圧完了！）
→⑤ハーピィ・インクイジター（有力敵HP806326→0 / 制圧完了！）
→⑥キメリエス（有力敵HP2750000→2166294 / 敵残存率100%→34%）
→⑦糸紡ぎ姫（有力敵HP2800000→2551640 / 敵残存率100%→62%）
→重傷復活者一覧