幻想竜域キングアーサー奪還戦　第5ターン結果

（→開始時の状況）

●⑬アーサー・ペンドラゴン
　円卓の騎士の死と共に、その配下達も倒れていく。
　グレートブリテン島は戦争の決着を待たずして、ドラゴン勢力の手から解放されたも同然の状態となりつつあった。
　だが、まだ断片の王は健在だ。
　断片の王がいる限り、大地は取り戻せず、ディヴィジョンが真の意味で解放されることはない。

「ディアボロスよ。今やお前達は、その能力も含め、確かに精強なる勢力となった」

　自身の直属軍との戦いに入るディアボロス達の姿を見つめるアーサー・ペンドラゴン。
　天を衝くように伸び行く、その『聖剣エクスカリバー』から、幾つかの剣が分離する。
　巨大なエクスカリバーは、アーサー王が所持していたとされる幾つもの聖剣、宝剣の集合体たるクロノ・オブジェクトだ。
　その一部をパラドクスとして振るうのが、アーサー王の戦闘形式である。

「お前達でも構わぬのかも知れぬと、余も一度は考えた。だが……」

　惜しむように呟くと、アーサー王はその剣をディアボロス達に向け、彼らを迎え撃ちにかかるのだった。

●⑥パーシヴァル
　グレートブリテン島東方海上では、凄まじい高速戦闘が展開されていた。
　片方はディアボロス、もう片方は円卓の騎士『パーシヴァル』率いる部隊だ。
　パーシヴァルは遊撃部隊を率い、幾度となくディアボロスへの攻撃を仕掛けて来ていた。
　その恐るべき『速度』を生かし、傷ついたディアボロスを狙っては短期間で復帰できないようにし、一時的にでも戦力を落とす……。その部隊を相手どったディアボロスとの戦いは、既に長時間に及んでいた。
「一体どれくらい戦っているのでしょうね、ボク達！」
　飛行ユニット『アクロヴァレリア』の出力を最大に、レイ・シャルダン(g00999)はパーシヴァル率いる軍勢への空中戦に挑んでいった。遊撃部隊のドラゴン達が、その飛翔を遮らんとパラドクスを弾幕のように放っていく。
「遊撃は見事だった。でも、俺たちだって仲間を守りたいんでな！」
　荒田・誠司(g00115)の放った火花蝶が、ドラゴン達へと鱗粉を振りまいた。浴びた敵にのみ強烈な麻痺作用をもたらす鱗粉の前に、パーシヴァル配下達が動きを鈍らせ、ディアボロスに討ち取られていく。
「パーシヴァル卿、どうかご武運を……！」
「うむ、よくぞやった！！　お前達の献身、王もお喜びになるだろう！！」
　随伴していた最後の一体が葬り去られ、孤立した状態となったパーシヴァルの速度が、これまでよりさらに上がった。
「絶対に振り切られないで！！」
　宇佐美・アリス(g01948)が【パラドクス通信】の通信機に叩きつけるように叫ぶ。
　強化された通信機の通信距離は90km半径内。
　この『円卓の騎士最速』のドラゴンとの戦闘は、それでも足りぬような距離を移動しながら行われていた。この速度では【防衛ライン】など一瞬で振り切られてしまう。
　包囲したディアボロス達を振り切るべく、パーシヴァルは低空飛行で急加速。猛烈な水柱が上がり、一瞬パーシヴァルの姿を隠す。一切速度を落とさず突っ切ったディアボロスが見たのは、全身に雷光を宿し、急旋回しながらの上昇を図るパーシヴァルの姿だ。
　思わず幾人かのディアボロスが罵声を吐き出した瞬間、撒き散らされる電撃が、ディアボロス達を打ちのめす。
　だが、ここまでパーシヴァルに追随して来たディアボロス達の中に、それで速度を落とす者はいない。
「前哨戦で巴の受けた傷、倍返し、いえ３倍返しにさせていただきます！」
「逃さないわ！　どーん！」
　白水・蛍(g01398)の技が、ネリリ・ラヴラン(g04086)が矢継ぎ早に繰り出す魔法が、確実にパーシヴァルの速度を落としていく。
「やるな、ディアボロス……！」
「逃げんな、硬化バフマシマシチートか？！　いい加減、止まっとけ……！！」
　戦場外へ脱出し、仕切り直しを図ろうとしたパーシヴァルへと、恵野・日和(g07095）が喰らいつく。
　すかさず放射されるブレスと、日和の繰り出した斬撃が互いの体へと激突した。
「いい加減、死んどけ」
「もはや、これまでか……無念」
　相討ちの形で墜落していくパーシヴァルと日和。
　ブリテン島に残った最後の円卓の騎士は、ついに息絶えたのであった。

●⑨聖守護天使エイワス
「あのUFOも気にはなるが…エゼキエルの残党貴様が先だ 限定解除、形状変換…《RE》Incarnation:Extend顕現！」
　洋上を飛んだ、ラキア・ムーン(g00195)が、一気に最大速度で吶喊すると、それに続きディアボロスの軍勢が一気呵成に、聖守護天使エイワスの陣に殺到する。
　その勢いは凄まじく、大天使を主力とするエイワスの陣容では、耐えきる事は不可能であった。

　だが、聖守護天使エイワスは、自らの戦場に切り裂かんとするディアボロス達の軍勢を見やり、うっすらとほほ笑んでいた。
「これまでのディアボロスの戦場での動き、楽しく確認させて貰いましたよ、ディアボロス」
　そう宣うエイワスに、ラキアに引き続いて戦場を飛んできた園田・詠美（社畜(元)系魔法少女・g05827）が、魔法発動デバイスを向けた。
「そういうあなたは、どうやら異文化交流には苦労されているようで！　意志疎通ができないお仲間を守護する気持ちってどうなのかしら？」
　だが、その詠美の挑発にも、エイワスは笑みを崩さない。
「フフフ、そうですね。私にも、『あの方達』の事はさっぱり理解できません」
　そして、少しだけ嬉しそうに、詠美の言葉に同意して見せる。
「それでも、わかる事はあるのです。意思の疎通が出来ないという事は、認識の次元が異なっているという事。そして、認識の次元が異なっている程に差があるのであれば……。私が悟った知識は、なんらかの方法で『あの方達』によって回収される筈なのです」
　エイワスの言葉は、なんの根拠も無かったが、だからといって、否定する事もできないものであった。

「さて、皆さんのおかげで、私の仮説は証明されました。あなた達ディアボロスは、平時においては『一般人の被害』か『クロノヴェーダの作戦』を察知し、列車型クロノ・オブジェクトによって、少人数で機動し、ゲリラ戦を挑む」
「そして、戦争時には、戦場の全ての敵の概略を読み取り、移動拠点『新宿島』と共に大群で現れ、戦場を俯瞰するように最善手の策を実行する……ミカエル如きでは勝利できなかったのも当然です」
「が、種が割れれば対抗は不可能ではありません」

　エイワスの核心をもった言葉に、詠美が惑乱されるが、だが、そこに強力な助っ人が飛んできた。

「航空宇宙同好会（会員数1名）会長のお通りだー！ いくよー」
　ロケットのように空を飛んできた、航空宇宙同会の、小沢・真理（夢の続き💫・g10299）が、空気を読まずにエイワスと詠美の間に割り込んだのだ。

「目指せ大宇宙！」
　真理は、エイワスなど眼中に無く、その先にあるＵＦＯだけを見て、エイワスに、スパークする右手を振り分けると、
『全てを焼き尽くす焔から母なる大地を……以下省略！』
　簡略化した詠唱によって風邪を巻きレーザー光として放ち、エイワスの体を蒸発させてみせたのだ。
　蒸発するエイワスは、
「私が望むのは、お前達ディアボロスへの復讐と、TOKYOエゼキエル戦争の奪還。その礎になるのであれば、我が命を失う事など、なんの痛痒も感じはしません」
「ディアボロスが戦場の情報を知る力を持つと判っていれば、打てる手もあります。いつまでも、この優位が続くと思わない事ですね」
　などと、最後まで言い募るが、真理はそれを理解できずに首をかしげる。
　詠美が真理に、エイワスの言葉の意味を掻い摘んで教えたようだが、真理は、

「よくわかんないけど、あのＵＦＯも落とせばＯＫってことだよね！」
　と、明るく言いきるのだった。
　その真理の明るい言葉に、詠美も思わず笑って同意した。

「たしかに、その通り。倒してしまえば、どうということはありません」

　そして、真理と詠美は、戦場の先にあるＵＦＯを見据えながら戦場を後にしたのだった。

●⑲深淵求師フォルカス
「お味方劣勢、このままでは、全滅してしまいます！」
　前線からの悲鳴のような報告に、深淵求師フォルカスは、動揺する事無く指示を出す。

「少しでも時間を稼ぐのです。そうすれば、かならず敵は退いていきます」
　と。
　勿論、フォルカスに、ディアボロスが退くという確信はない。
　だが、いつ退いてもおかしく無いという事は理解していた。

「ディアボロスの主敵は、アーサー王陛下なのは間違いありません。陛下を討たねば、本拠地が失われるのです」
「そのうえで、完全勝利を狙って、グィネヴィア様を狙う事も予測できています」
「ですが、優先順位がアーサー王陛下である以上、そちらの戦場が劣勢になれば、グィネヴィア王妃を狙う者達も、アーサー王の戦場にまわされるはずです」
「この、ディアボロスの攻勢限界点まで、グィネヴィア王妃を護り切ることが出来れば、我らの勝利です」
　フォルカスは、そう信じて、グィネヴィア王妃を護る盾として戦い続ける。
　だが、その盾は、残念ながら脆く弱かった。

「新しいキングアーサー作られたら困るので通してくださいですー。もしも倒せなくても王妃さんの味方は減らしておいて損は無いのですー。というわけで悪魔のおじさん覚悟ですー」
　アークデーモンの雑魚兵を鎧袖一触に振り払って、クゥ・チコット(g02239)らディアボロスがフォルカスの防衛陣を突破して来る。
　このディアボロスの鋭鋒の前に、フォルカスの残存戦力では対抗する事は不可能だった。

「勝つ必要はありません！　耐え凌ぎなさい！」
　そう命じるフォルカスの声も、壊滅しつつある軍勢には届かない。
　もはや敗勢は覆せず、フォルカス自身も、襲い掛かるディアボロスに十重二十重に取り囲まれる事となった。

「忠誠心からの行為ではなくても ある種の高潔さを覚える相手だね」
　取り囲んだディアボロスの一人、アンゼリカ・レンブラント(g02672)がそう皮肉ると、フォルカスは眉間にしわを寄せて渋面を作る。
「確かに、私に忠誠心などありませんよ。あるのは、復讐心です。あなた達ディアボロスに復讐する為ならば、どんな苦難であっても耐えて見せるでしょう」
　王妃を護る盾となって戦う騎士ならば誉とすべきだろう戦いを『苦難』と称する、フォルカス。
「つまり、竜の花嫁を作る王妃竜グィネヴィアはディアボロスを滅ぼす為に必要って事だね。それなら、見逃す事はできない！」
　アンゼリカがそう断ずると、フォルカスを包囲したディアボロスによる一斉攻撃が開始された。

「他の天使悪魔より一回り強い力を持つだけはあるか？」
　そのディアボロスの攻撃を裁くのに精いっぱいのフォルカスを見やり、光道・翔一(g01646)は、戦場の高所を取ると、目標たるフォルカスとの距離を測る……。
　フォルカスのディアボロスへの敵意は本物。
　そして、それを成し遂げる為に、どんな事でもしてみせるという意志があり、そして何より、全体を俯瞰して策を考える知性がある。
「そんなお前だから、見過ごせないな。お前にとっては、本意では無かろうが、王妃を護る盾として、ここで力尽きてもらおうか」
　そして、高所から速度をつけて落下した翔一の大剣がフォルカスを狙う。
　フォルカスは魔力障壁で反撃を試みるが、それまでに蓄積されたダメージによって、その重量級の一撃に耐える事は出来なかった。

「私の負けですね、ディアボロス。だが、お前達が滅ぼしたクロノヴェーダの恨みと復讐の念が、いつか、お前達ディアボロスを滅ぼすでしょう。それを、地獄で待って……」
　体を両断されて致命傷を受けたフォルカスは、翔一にそう言い残して塵と化す。

「ディヴィジョンを失い領地を失っても続く妄執……。なんとも、厄介な事だ」
　フォルカスを撃破した翔一は、フォルカスの最後を見届けると、戦場を後にした。

---

→有力敵一覧
→⑤光剣のナハシュバト（有力敵HP1637993→1592770 / 敵残存率85%→81%）
→⑥パーシヴァル（有力敵HP1235787→0 / 制圧完了！）
→⑨聖守護天使エイワス（有力敵HP349170→0 / 制圧完了！）
→⑬断片の王『アーサー・ペンドラゴン』（有力敵HP12000000→10991536 / 敵残存率100%→32%）
→⑮奏吟鯨レヴィアドン（有力敵HP2689406→195954 / 敵残存率59%→17%）
→⑰聖泉竜『ニニアン』（有力敵HP526210→113367 / 敵残存率18%→16%）
→⑲深淵求師フォルカス（有力敵HP788952→0 / 制圧完了！）
→重傷復活者一覧