リプレイ
一里塚・燐寧
【燐五】
日本史に疎いあたしでも、チバラギ県に五月姫ちゃんの実家があったって話はちゃーんと覚えてたよぉ
急ぎで人手が必要になったみたいだし? 二人で来るならいい機会だよねぇ
さーさ。テツクズくんに本物の坂東武者って奴を見せてやろうじゃん!
へぇー、本田忠勝ってアヴァタール級にもいるんだ?
確か傷一つ付かないまま現役引退した戦闘ロボだっけ
ま、きみはこれから傷だらけになって死ぬんだけどねぇ
今回は≪DCブラスター≫を手に後衛に回り、五月姫ちゃんの背後を護りながら戦うよぉ
五月姫ちゃんが先手を取れる状況なら、敵に斬りこんだ後の隙を潰すようにあたしが即発砲
逆にあたしが先に動くようなら、射撃で怯んだ隙に本命の薙刀で斬りこんでもらおっか
狙いをつけたら、ブラスターの砲口から『呪式:凄射必誅』をブッ放す!
誘導弾の性質を付与された弾に敵の装甲を貫通させ、躯体の内側に入ったところで大爆発を引き起こすよぉ
反撃の光弾に対しては≪否定の呪力≫で威力を弱めながら、大数珠を撃ち落として対処
供養も何も!死んでから大分経つんだよねぇ!
瀧夜盛・五月姫
【燐五】
ん。ある意味、郷帰り
でも、あったのは今でいう平安時だ……あれ、そういえば戦国なら、まだうち(豊田館や向石毛城)、あったかな? まあいいや。
姫だって、武士の娘。
500年は遅れた、まねっこなんかには、まけない、よっ
【大薙刀無銘瀧夜叉一振・改】を手に、突入
この柄を擦れる、距離で、姫を無視できないくらいに、なるよに、がんばるよ
かの敵の突撃には、薙刀を以て応えて、射撃には【ウォール・オヴ・モウニング】を盾にして、しのぐ
姫がひきつけられて、いるなら、それは、燐さんが的に、しやすいって、ことだから
姫を無視して、燐さんに行こう、ものなら、それは許さない
【ウォール・オヴ・モウニング】を構えて、『ディフェンス』する
隙を見つけたら、薙刀で一閃
数珠はね、今はおしゃれアイテム、なんだよ
左手にいっぱい、巻いてれば、すこしは耐えられるんじゃない、かな?
腕ごと脇腹を狙い、“悪縁”を断つ、よ
●
「るんたった、るんたった」
「燐さん今日は楽しそうだね」
少女たちが武蔵から下総へと歩いていた。
正確にはパラドクストレインで移動し、嬉し恥ずかしデート中である(違うし)。
「日本史に疎いあたしでも、チバラギ県に五月姫ちゃんの実家があったって話はちゃーんと覚えてたよぉ」
ダウナーである一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)にしては珍しく朝からハイであった。
彼女の家の近くに行くとなればこうもなろう。
見て見ぬふフリをする情けが他のディアボロスにはあった。
「ん。ある意味、郷帰り」
瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)はその姿を見て微笑む。
そして我が故郷を思い出して首を傾げた。
「でも、あったのは今でいう平安時だ……あれ、そういえば戦国なら、まだうち、あったかな? まあいいや」
五月姫は豊田館や向石毛城に関して思い出そうとした。
歴史を軽く調べはしたが、天魔武者がナニカしそうなところを探したのでそれほど覚えてはいない。彼女が知る印象としては、焼き討ちにあったけれど再建されたという事だ。残っているかもしれないが、その時点で『彼女の家系のモノ』としてのイメージは断絶している。
「急ぎで人手が必要になったみたいだし? 二人で来るならいい機会だよねぇ」
「ん。お土産に何か買って帰ろっか? でも、その前にすることしないとね」
二人はそんな事を言いながら敵の元へと向かった。
そこには槍を地面に突き刺して、一歩も通さぬと身構えている男が居た。
「さーさ。テツクズくんに本物の坂東武者って奴を見せてやろうじゃん!」
「姫だって、武士の娘。500年は遅れた、まねっこなんかには、まけない、よっ」
燐寧と五月姫はそれぞれに得物を構えて相手取る。
銃剣(チェンソー)付きの大型砲と薙刀を持ち、ジリジリと近寄って行く。
『来たかディアボロス。ここは通さぬ』
それに対して待っている男は槍を引き抜き、同じ様に油断なく構え数珠を空に飛ばしてて向かい合った。槍は薙刀を持つ五月姫に、数珠は後ろで大型砲を構える燐寧を牽制して居るかのようだ。
「へぇー、本多忠勝ってアヴァタール級にもいるんだ?」
「確か傷一つ付かないまま現役引退した戦闘ロボだっけ」
「ま、きみはこれから傷だらけになって死ぬんだけどねぇ」
燐寧は軽口を叩きながら、イザとなれば大型砲の銃剣を使う気でいた。
そして自分を狙うと見せかけて、恋人である五月姫も狙える数珠を睨んでいる。
「行っちゃえ、五月姫ちゃん!」
「ん。この柄を擦れる、距離で、姫を無視できないくらいに、なるよに、がんばるよ」
燐寧が背中を守って声援を送ると、五月姫は薙刀を振りかざし、いつでも盾で守れるようにして飛び込んでいく。否、既に敵が進軍を開始しており、それに合わせた形かもしれない。
『参るぞ!』
「いやっ!」
豪槍による突撃を薙刀で払い、数珠による追撃を盾で防ごうとする。
だがしかし、その裏で精神を集中し、水の神気を集めて刃に載せていた。
「数珠はね、今はおしゃれアイテム、なんだよ。あなたの、“命”運、ここで、断つよ」
『では、その運命ごと切裂こうぞ!』
五月姫は数珠から放たれる光を盾で防ぎつつ、視界をソレで隠した。
そして刃に載せた神気を放つと、敵に向かって一閃する。
だが敵もさる者、剛槍を振るって弾いたのだ。
「燐さん、今!」
「はーいはいはーい!」
五月姫の斬撃と入れ替わる様に燐寧が大型砲をぶっ放した。
恋人の隙を守ると同時に、敵が大きく動いた隙を狙ったのだ。
互いに強力なパラドクスを放ちあっているからこそ、この連携が活かされる!
『死ねば供養してくれるぞ! なああ-むううう!』
「供養も何も! 死んでから大分経つんだよねぇ!」
敵はその場で数珠に指示を出し、回転させながらビームを放った。
防御壁の様に展開する数珠を貫き、怨念の呪詛が放たれる。
浄化と呪詛の対決が双方のはざまで巻き起こるが、やがて大爆発を起こすのだ。
「逃げても怖いのが長引くだけだよぉ? さっさと受け容れなよぉ」
『我が身既に空。この命はとうに捨てておる。だが、うぬらにくれてやるには惜しいと言うだけよ!』
呪詛と浄化の光が相打つ中、敵は槍を構えて歩き始めた。
それは突進の前フリ。危険だと思ったのかもう一人が判って入り始めた。
「流石に強いね。ここは確実に行く、よ」
「まっかせて。邪魔っけな数珠は叩き落としてあげるからね!」
盾でもう一人を守り、数珠を撃ち落としてもう一人を守ろうとする。
こうして二人は一組で、屈強なアヴァタール級である本多忠勝と相対したのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
葉古森・莱
【薄荷】
背中に守るべき存在を背負って、敵を待ち構える本田忠勝
大勢の敵を叩き返したって教えてもらった気がするよぉ…!
…あ、そうだね。麻緒さん、けだま
本物に負けないくらいの迫力だったとしても、ここで逃がしたら後が大変だもんね
…大丈夫、もうこわくないよ
麻緒さんや他の人たちと連携して攻撃していくよ
と言っても、主な攻撃役はけだま
ぼくは少し離れたところから忠勝の隙や行動の傾向を探っていくつもり
麻緒さんが作ってくれた機会を無駄にしないようにしないと…!
けだまには麻緒さんが忠勝の気を引き付けている間に忠勝の頭上まで飛んでもらうよ
忠勝の動きが一瞬でも止まったら、けだま、押しつぶして!
けだまはぼくたちと比べて小さいから、≪不意打ち≫になるといいなあ
警戒されたとしてもけだまには積極的に頭上からの一撃を狙い続けてもらうよ
地上からの攻撃と、頭上からの攻撃
意識しないといけない範囲が広がれば広がるほど、注意力は落ちていくもの
ぼくたち一人一人の力だけでは足りないのなら、届くような方法を考えればいい…だよね、麻緒さん?
三苫・麻緒
【薄荷】
莱くん、歴史のお勉強ばっちりなのはいいことだけど、怖気づくにはちょっと早いんじゃない?
私たちだって背中に守りたい人がいるのは同じ
これはまたとないチャンスだよ
大丈夫、だって私もけだまもいるんだから!
ってことで、心意気は立派な指揮官様の首を狙いにいくよ
莱くんとけだまの攻撃をきっちり当てるために、意識の引き付け狙いで前に出るね
莱くんたちとは勿論、他の人とも可能な限り連携していきたいかな
≪肉体改造≫で先端を硬く、鋭くして伸ばした魔力の翼で縫い留めて、可能な限り移動手段を奪いたいところ
補充されるようならやめるけど、ついでに飛翔体もパラドクスで破壊して反撃の光弾の弾幕を薄くしちゃいたいかな
けだまが忠勝の頭上を取ったら、次の一手は莱くんたちにお任せ
けだまの一撃をそのまま受けるなら引き続き継続
警戒して対策に出るなら、その間に死角に回り込んで改めて翼を穿ち直すよ
さあ、けだま!思い切りやっちゃって!
反撃の光弾は加護の力を展開して防御する方針
もうすぐ梅雨の時期だけど、この雨はあまり歓迎したくなーい!
●
そこではクロノヴェーダとディアボロスの激突が始まっていた。
緒戦だというのに、既に激戦である。
「背中に守るべき存在を背負って、敵を待ち構える本多忠勝」
葉古森・莱(迷わし鳥・g04625)は思わず息をのんだ。
歴史の中でもゲームの中でも、本多忠勝は屈強の強さであると知られている。
「大勢の敵を叩き返したって教えてもらった気がするよぉ……!」
「莱くん、歴史のお勉強ばっちりなのはいいことだけど、怖気づくにはちょっと早いんじゃない?」
少年がプルプル震えそうになるのを三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)は見守っていた。
優しく守りはしない。だって、仲間なのだから。仲間と言うのは一方的に守るものではなく、互いに認め合って戦うものである。
「私たちだって背中に守りたい人がいるのは同じ」
「これはまたとないチャンスだよ」
「大丈夫、だって私もけだまもいるんだから!」
麻緒はゆっくりとやるべきことを語る。
自分を守って欲しいなどとは言わない。
だってディアボロスが守るのは牙持たぬ人々なのだから。
そして、相手が格上のアヴァタール級だからと言って負けるとは限らないのだと告げた。
「……あ、そうだね。麻緒さん、けだま」
莱は顔を上げて麻緒を見つめ返した。
そしていつも一緒のけだまをギューっとしている。
「本物に負けないくらいの迫力だったとしても、ここで逃がしたら後が大変だもんね。……大丈夫、もうこわくないよ」
何も怖くない……だなんて言わない。
莱にだって怖いものはたくさんあるし、麻緒も確かそう言ってたはず。
饅頭が怖いとか本当かな? なんて思うけれど、秋口の体じゅ……なんでもありません!
「それでよろしい! ってことで、心意気は立派な指揮官様の首を狙いにいくよ」
「うん!」
麻緒の目が一瞬マジだった気がするが気にしてはいけない。
勇気を胸に秘めた莱と共にやっつけちゃうんだからね!
(「よしっ。やる気になってくれたね! それじゃ莱くんとけだまの攻撃をきっちり当てるために、目線を引き付ける為に前に出るかな」)
麻緒は少年に自信をつけさせてあげようと自らが前衛を務める事にした。
まあパラドクスを使った逆連鎖戦に前衛も後衛もないものだ。
連携と言うのは互いに状況と動きを利用し合って、有利になる為にするのである。この状況ならば自分が動く方が良いと思ったのだろう。
『増援か! 来るが良い!』
「……残りの数珠もいただいていくからね!」
麻緒は仲間が敵の数珠を撃ち落としているのを見た。
余力があれば補充されるのだろうが、連戦なのでやっていないようだ。
こういうと何だが、召喚物は本人へダメージがフィードバックされるので、無理には再補充しないのかもしれない。
「もうすぐ梅雨の時期だけど、この雨はあまり歓迎したくなーい! あめはあめでも、飴玉頂戴!」
麻緒は自らの翼を延ばして固めていった。
まるで槍のように尖らせて数珠を貫いていく。
傍目からは武器を壊しているだけにも見えるが、一部は本体にもダメージが行くので問題ない(本体に行かないのは、勢いを付けたりする分なので、翼には関係ないし)。
『邪魔だ! この程度で儂は怯まぬ』
「だよね! だからこうする!」
敵がビームで打ち返して来ると麻緒は加護を祈りつつ電撃を走らせた。
翼を伝ってビシバシ、ドカン! と衝撃波を伴う攻撃を周囲に展開したのである。
(「麻緒さんが作ってくれた機会を無駄にしないようにしないと……!」)
この時、莱は様子を伺って介入をする為にスタンバっていた。
彼自身はそれほど素早くないかもしれないが、けだまはもっと凄いんだ!
「さあ、けだま!思い切りやっちゃって!」
「っ! けだま、押しつぶして!」
麻緒から合図があった所で莱は攻撃支持を出す。
けだまは既に相手の上空に居り、巨大化をしていたのだ。
「きゅうぅーっ!!」
ボヨーン! と大きく成りながら空中から落下して、押しつぶそうとした!
これに対して敵は高速で突っ込むことでかわそうとする!
『間に合うか? ナムサン!』
その速度は凄まじいの一言に尽きる。
槍を構えて遮二無二に突っ込み、自らを省みずに攻撃をかけるのだ。
「ひゃっ?! けだま! そのまま攻撃! ぼくは、だいじょうぶだから!」
莱は目を瞑りそうになったが、頑張手目を見開いて防御することにした。
攻撃されて吹っ飛びかけるが、それは自分で飛んだのかもしれない。
直撃されるよりは良いかと言う所で、けだまがまたジャンプして大きくなったのが見える。
「ぼくたち一人一人の力だけでは足りないのなら、届くような方法を考えればいい……だよね、麻緒さん?」
「そう! それを連携と呼ぶのです。なーんてね? じゃ、ガンガンいっちゃおっか!」
莱が守っている間に、今度は麻緒が回り込んでいた。
横から翼を延ばしてトドメを狙い、同時にけだまが落下することで、どちらかが確実に倒そうとする作戦である。
『ここまでか! だが、少しでも時間を稼ぐ!』
だが、本多忠勝は諦めない!
既に体のあちこちガボロボロなのだが、最後の最後まで自分を信じて仲間の為に戦い抜いたのである。
「やった……ふう。やったね、麻緒さん」
「うん。みんなで頑張ったね。あともうちょっとだよ!」
莱が溜息をつくのを麻緒はホッコリと微笑んだ。
よくやったとかは言わない。だって仲間だからね。
そして次なる目標である、敵部隊を倒しに皆で向かったのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【浮遊】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
三苫・麻緒
【薄荷】
仲間のために最期まで戦い抜いたその生き様、天晴である!
…ちょっと莱くん、野暮なツッコミはしないのー
まあ、事実ちょっとかっこよかったと思うけど、この部隊が半蔵と合流するを許すわけにはいかないんだよねぇ
それじゃ莱くん、もうひと仕事よろしくぅ!
残りは混乱しているっぽい部隊相手だし、がっつり攻勢に出たいよね
特に次の一撃で撃破できそうな個体や逃走し始めている個体は優先的に攻撃したいかな
確実に戦力を削っていっちゃおう!
槍を受け止めたり受け流す用に事前にナイフを抜いておくよ
≪氷結使い≫で霰の粒を大きくして威力を上げつつ、≪高速詠唱≫で攻撃と攻撃の間を短縮
見た目も音もわりと目立つ気がするパラドクスで倒せそうな個体を撃破しつつ、可能な範囲である程度まとまった人数を莱くんが罠を張っている方へ追いこんでいきたいかな
莱くんの初撃は不意打ちの形で成功させたいところ
そのまま挟み撃ちに持ち込めれば完璧
…さて、一発目のインパクトが大事だよ莱くん
素早さ重視の忍者が足を止めちゃうくらいのトラップ、見せてほしいな!
葉古森・莱
【薄荷】
名前の通り強い相手だったね、けだま
って、麻緒さん、その口調はどうしちゃったの…?
指摘するのは野暮なことなの…?(困惑)
少しもやもやするものはあるけれど、一旦横に置いて今は今やるべきことに集中しなくちゃ
スピードが自慢の相手に逃走されると、たとえ混乱していたとしても追いつくのはきっと大変
だから、こっちに来てもらうよ
さっきはけだまにがんばってもらったから、今度はぼくの番
≪地形の利用≫で比較的待ち伏せと挟み撃ちができそうな場所を探しておいて、そこで待ち構えているね
けだま、敵が向かって来たら教えて
麻緒さんがうまく追い込んでくれたら、最初の攻撃は≪不意打ち≫狙いで先頭にいる上忍を狙って罠を発動させるよ
その後は弱った個体を狙って挟み撃ちだね
麻緒さんの攻撃に意識が集中している間が一番の好機
ここを逃したら、お父さんに笑われちゃう!
麻緒さんの期待に応えないと!
反撃の炎は…が、がんばって逃げなくちゃ…
さけきれなくても動けるのなら我慢するけど…待って、尻尾の先っぽ焦げてない!?ちりちりになってない!?
●
「名前の通り強い相手だったね、けだま」
葉古森・莱(迷わし鳥・g04625)は敵アヴァタール級である本多忠勝と戦った。
そして戦いの果てに打ち破ったのである。
頼れる仲間と、けだまの活躍は一口では語れぬほどであったという。
「仲間のために最期まで戦い抜いたその生き様、天晴である!」
その時の仲間が三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)であった。
莱にとっては実に頼もしいお姉さんだ。
「って、麻緒さん、その口調はどうしちゃったの……?」
「……ちょっと莱くん、野暮なツッコミはしないのー」
莱が物凄い驚いた顔をすると、麻緒は可愛らしい眉をひそめた。
ちょうど『その忠義、人間に生まれ変わっても失うこと無かれ!』という台詞を思いつい所だったのだが、ノリが台無しである。
「指摘するのは野暮なことなの……?」
莱は純真で幼いので、時代劇ゴッコとかはあまり縁が無い。
ゴッコ遊び自体はやったことがあるだろうが、敵と絡めてネタにするなどと思いもよらなかったのだ。
「まあ、事実ちょっとかっこよかったと思うけど、この部隊が半蔵と合流するを許すわけにはいかないんだよねぇ。それじゃ莱くん、もうひと仕事よろしくぅ!」
麻緒は目を点にしている菜へ無茶振りをした。
世の中、疑問を抱き続けていても解決しない。
その事を理解して、先に進むべきだと教える良い機会だと思っているのかもしれない。
(「……少しもやもやするものはあるけれど、一旦横に置いて今は今やるべきことに集中しなくちゃ」)
莱は妥協を覚えた!
大人の階段を一歩登った!
エッチな事でも、夜食にラーメンを食べることでも、帰りに買い食いをすることでもなく妥協によって大人へと一歩ぶん成長したのである。
(「足が速いのが自慢の相手に逃走されると、たとえ混乱していたとしても追いつくのはきっと大変……だから……」)
それはそれとして、やるべきことはやろう。
莱は事前に教えてもらった地図を見て、先回りすることで速度を補う事にした。
けだまを低い位置に隠して見張りにすると、自分は脇道に隠れたのである!
(「おっ。ちゃーんと作戦考えたんだね。凄いな~。残りは混乱しているっぽい部隊相手だし、がっつり攻勢に出たいよね」)
その様子を麻緒は後方師匠面で見ていた。
男子三日会わざれば刮目して見るべしだっけ? なんて思いながら成長を頼もしそうに見ている。実際、彼女は割りと勢いで流されるタイプなので、頼もしいと思っている感もなくはない。
(「それじゃ、私が先に行くね。流れはさっきと一緒だからね、確実に戦力を削っていっちゃおう!」)
(「はい!」)
麻緒と菜はできるだけ静かに言葉を交わし合った。
そして麻緒が先に出て、注意を引きつつ攻撃を掛ける。
「来たね! あられやこんこ。霰降りも乙女もかしましく! というわけで……いきなり、ぶちかますぞー!」
発射(ファイヤ)! アイスストーム、大打撃!!
と言う感じで麻緒は空に飛びあがって魔法陣を展開。
相手の頭上からいきなり大量の霰を魔法で召喚したのだ。
『くっ。追っ手か……』
『相手にするな。散!』
これに対して敵は槍を構えて挑む者と、気にせずに走り抜ける者に別れた。
こういう状態でどちらかに一致していれば対応が難しくなるのだが、バラバラの行動なので各個撃破できてしまうのだ。
『とー!』
「棒高跳び!? でも! こんなこともあろうかと!」
敵が槍を構ええて突進したり、杖にして高跳びを掛けた。
麻緒はそれに対してナイフでガードし、高速詠唱で追撃を掛ける!
(「さっきはけだまにがんばってもらったから、今度はぼくの番。いくよ!」)
(「こんなものかな? ……さて、一発目のインパクトが大事だよ莱くん。素早さ重視の忍者が足を止めちゃうくらいのトラップ、見せてほしいな!」)
その時、菜がけだまの合図で動き出すのを、麻緒は戦いながら見ていた。
敵がジャンプしていった先から、ナニカが蠢き始めたのだ。
(「ここを逃したら、お父さんに笑われちゃう! 麻緒さんの期待に応えないと!」9
莱はハエトリグサの様な罠を用意していた。
ジャンプして逃げようとした敵を、足元からパックンチョ!
『なんと!? しまった!』
『なんの! 忍!!』
これに対して、完全に巻き込まれてしまった個体と、そうでない敵がいる。
麻緒の攻撃にさらされた敵がそうで、バクリとやられてしまったのだ。
右と、一人を討ち取った! だが、それで済むわけではない。
『ただでは死なんぞ!』
「ざ、座して待ち構えるべし。口に飛びこんだ獲物は……逃がすべからず!」
敵がそのまま燃え始めると、菜は魔力を注いで急成長させた。
そして自身は逃げながら、けだまと合流して追撃だ!
「だだいじょうぶかな……尻尾の先とか焦げてない?」
「大丈夫大丈夫。問題ないし、それにちょっとくらい苦みがある方が格好良いと思うよ?」
菜は痛みに耐えながら追撃を掛け行くのだが思わずお尻を抑えてしまい、麻緒はくすりと笑って肩を叩いた。そして二人で追い掛けて、連続攻撃で更に数人を倒したのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
一里塚・燐寧
【燐五】
ふぃー、殺った殺ったぁ
で、アヴァタール級倒すと心が帰り支度しちゃうけど……今回はこれから雑魚掃除だねぇ
折角の地元デートだし、最後まできっちりやってこっか
縁もゆかりもない忍者服部くんからチバラギを取り戻そうじゃん!
≪DCブラスター≫を構えて、引き続き五月姫ちゃんを援護射撃
一緒に逃げる敵を追いかけながらパラドクスを放って集団を掃討していこう
あたしが射撃で空けた敵陣の空隙に五月姫ちゃんが突っ込んで、先頭集団まで倒しに行くといいカンジかな?
高速詠唱で素早くブラスターの銃身に怨念のエネルギーを蓄え、『闇雷収束咆・紅蓮散』を発動
逃げ去っていく敵を一斉に焼き払うように拡散レーザーをブッ放すよぉ!
広範囲を襲う攻撃で、敵が遮蔽物や地形に身を隠しても出てきた瞬間に潰せるように
そして五月姫ちゃんの死角から攻めようとする奴もきっちり排除してくよぉ
竜巻に対しては樹が壁になってくれる所に入り込んで威力を軽減し、足を止めずに敵を追いかけ続けよう
戦いが終わったら五月姫ちゃんと手を繋いで、トレインまで帰るよぉ
瀧夜盛・五月姫
【燐五】
だめだよ、燐さん。
しっかり全部、倒すまでが、逆説連鎖戦。だからまだちょっと、帰るのは少し、早い。
ん。どんなかたちにしろ、ここは、姫の生地。そして、父上との思い出の、地。
これ以上は、土足で踏み荒らさせは、しない。
厄払い、いくよ!
目には目を、歯には歯を。
焦熱の業火、纏いて、燐さんが開いてくれた道を、まっすぐにきりこむ。
残さないよう、焼き尽くさないと、ね。
炎蛇を操り、クロノヴェーダたちを、飲み込む、よ!
敵の炎には、火退(ほそけ)をすることで、対抗。
ヤマトタケルよろしく、“火を打ち出で向火著けて燒き退く”ってね。
炎をもって、押し返し、敵の姿を露呈、させていくよ。
忍者といえば遁術。これはきっと、火遁のパラドクス、なんだろう。
文字通り“煙に巻いて”、逃れようだなんて、許さない。
燐さんや仲間たちが、狙いやすいよう、しっかりと炙りだそう。
ん、戻ろうか。
全部おわったら、燐さんに思い出、話しながら、一緒に帰るよ。
●
その頃、もう一組のディアボロスはと言うと……。
「ふぃー、殺った殺ったぁ」
「だめだよ、燐さん。しっかり全部、倒すまでが、逆説連鎖戦。だからまだちょっと、帰るのは少し、早い」
デートを終えた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が帰宅気分でいるのを瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)が引きずって来た。危ない危ない、ザウルスだったら引きずられて今ごろ新宿にオモチカエリされてしまっていたところだ。
「今回はこれから雑魚掃除だねぇ。うんうん。思い出したよー。折角の地元デートだし、最後まできっちりやってこっか。縁もゆかりもない忍者服部くんからチバラギを取り戻そうじゃん!」
覚えているよーではなく、思い出したよー。
それがうっかりさっぱりモードの燐寧である。
相変わらず千葉と茨木の差を判っていない。もちろん埼玉も怪しい。でも練馬はロボット関連で覚えているし、新宿・九段南・大久保などは七人の英雄を絡めて覚えているよ。
「ん。どんなかたちにしろ、ここは、姫の生地。そして、父上との思い出の、地。これ以上は、土足で踏み荒らさせは、しない」
なお、五月姫は出来た人なので故郷をチバラギ扱いされても怒らない。
だって、姫の生きていた時代には千葉も茨木もないからね!
どっちも領国性では別の単語なので、庇う気も無いのだ。
「ん。来たみたい……厄払い、いくよ!」
「攪乱はむわっかせてー。あたしが穴を空けて、五月姫ちゃんが突っ込んでザクーっといっちゃうのがいいカンジかなー」
と言う訳で、二人も先回りして敵集団の逃げ道を塞ぎに掛かった。
さっさと倒して、新宿に戻ろうじゃないか。帰ったら惜しいご飯でも食べようねと味覚の薄い燐寧は微笑む。そんな姿に干していたタケノコとコンニャクと鶏で面白い触感の煮物(唐辛子入り)でも作ろうと思う五月姫であった。
「怨み募りし魂よ、我と共に在りて! 怨霊合体からのー弾幕射撃いっちゃうよー!」
燐寧は自らの体に怨念をチャージすると、大型砲を通して乱射して行った。
一発ごとに拡散し、乱射しているのでまさに猛射。
拡散レーザーはセブンウェイか、それとも怒れる蜂すら落す雨霰かもしれない。
『ぬうう! 伊賀忍法! ふうじん……』
「え? そこは、かーぜーかみの~ーじゃないの!?」
敵は対抗して烈風を引き越し、燐寧が放つレーザーと撃ち合っている。
竜巻を起こして逃げようとする奴、あるいはこちらへと向かって来る奴、そして隠れて何かしようとする奴に向けて燐寧は躊躇せずに攻撃し続けたのである。
(「燐さん敵を多く巻き込むと反撃も沢山来るのに……。でも、判っててやってるんだよね。なら、目には目を、歯には歯を!」)
その様子を五月姫は見ていたが、燐寧が自分の為に攻撃してくれているのが判った。ならば遠慮は不要だ。心配するよりも、手早く倒して様子を確認し、しれっと一緒に変えるべきだと判断したのである。自分を投げ捨てるような戦い方は相変わらずだが、恋人を信じる心も大切だと思う。
「地獄のような、怨火に、焦がされて」
五月姫が目を開けると、ポトリと炎が落ちた。
その周囲にボフリと炎が逆巻き、そのまま火炎の蛇となってトグロを巻いたのである。
『ぬ! いかん!』
『先んじられたか。ならば血路を切り拓くのみ!』
敵は大爆発を起こしながら周囲に猛火を呼んだ。
延べを焼き払う炎の波が五月姫に襲い掛からんとした。
「目覚めよ……落日」
「汝らの隆盛は斜陽した」
「ゆえにあなた達の人生はここで終わり」
トグロを撒いた炎の蛇は、五月姫の周囲で燃え上がっている。
炎の勢いを、別の方向から来る炎で押し返す火退(ほそけ)。
斬り落とした穂を火で焚き、逆向きの風を起こしたヤマトタケルの故事にならったものである。
「……火を打ち出で向火著けて燒き退くって知らないかな? もう答えられない? でも、形が残ってるなら残さないよう、焼き尽くさないと、ね」
火遁とは遁行術の火に対応する術という意味である。
遁行術とは、文字通り紛れて逃げる為のもの。
文字通り"煙に巻いて"、逃れようだなんて、許さない。五月姫はどれだけ生き延びようとも、その人生の分だけ炎が追い掛ける術を持って焼き払ったのである。
「いやーおわったねー。チバラギに何か残したことはある? そのくらいなら寄ってくよー」
「ん、戻ろうか。残してるのは、思い出。帰りの電車で話すね」
トドメを刺したことを確認し、二人はパラドクストレインへ手を握りながら戻った。
そこでどんな話があったかは……な・い・しょ!
と言う訳で、下総での追撃戦が、また一つ終了したという。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!