天魔、日向国に咲く(作者 秋月きり)
#天正大戦国
#日向国、耳川の戦い
#日向国
#耳川の戦い
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改竄世界史天正大戦国、日向国。
豊後国より南下したトループス級天魔武者『くのいち天魔武者』達は口々に会話しながらも、一糸乱れぬ隊列で行軍を進めている。
曰く――。
「兵力差は此方が圧倒的。この兵力差があれば、島津軍も不利を悟って撤退するだろう」
そう。彼女達は信じている。如何に無法者の島津であっても、九州で大軍を抱える旗頭、大友軍とことを起こすことは無いだろう、と。
「でも、小競り合いくらいはあるかもしれない。警戒は緩めないで」
「御屋形様からの命令は『前進せよ』とのことだ。小競り合いはあれど、国獲りは実際の戦闘より、陣地の取り合いで勝敗が決まるもの。それを心し、歩を進めろ」
「……まあ、歩兵は歩くのが仕事だし」
その考えが甘いのか、それとも正鵠を射られたのか。今はまだ、彼女達に知る由も無かった。
「島津軍の苛政から、大隅国の住人を救援することに成功しました」
そして、場面は変わって最終人類史新宿島新宿駅ターミナル。到着したパラドクストレインの前に、時先案内人、シルシュ・エヌマエリシュ(ドラゴニアンのガジェッティア・g03182)がすすっと歩み出る。
「さて、皆様もご承知の通りですが、その作戦中、大隅国の住人から、大隅国の北の日向国――現在で言う宮崎県で、大友軍と島津軍が小競り合いを行っているという情報を得られました」
そして、それを受けた攻略旅団からは大隅国から北に向かう提案が出ている、との事だ。
即ち、このパラドクストレインの行く先は、大友軍と島津軍がにらみ合っている日向国『耳川』となる。
「大友軍と島津軍の小競り合いに横槍を入れられれば、両勢力に大きな打撃を与えられる筈です」
だが、それも一案だ。もしくは、と言った選択肢もある。曰く――。
「逆に片方の軍勢を叩くことで、叩かなかった精力に日向国を制圧させる、と言う手段も取れます」
大友軍が日向国を制すれば、島津軍に対する牽制となり、島津の本領である『薩摩国』の攻略を行いやすくなるかもしれない。
逆に島津軍が日向国を制すれば、天正大戦国内の九州の勢力図が大きく変わり、九州地域の混乱が加速するだろう。
「その混乱を上手く利用出来れば、ディアボロスが美味しいところを総取りする、つまり、最短で九州全土を制圧することも可能でしょう」
上手く利用出来れば、と言う前提もあるが、そのような道の存在も念頭に置いて欲しい、と言うのが時先案内人の言だった。
「耳川に到着した後、皆様にお願いしたいことは大友軍と島津軍を誘導し、戦端を開かせることです」
島津にせよ、大友にせよ、復讐者が姿を見せれば襲ってくる筈だ。そこで応対する陣営まで誘導すれば、戦端を開かせることは可能だろう。
無論、その他にも手はあるだろう。わざわざ復讐者達が姿を見せずとも、パラドクスや残留効果で誘導する、と言う手段も取れるかもしれない。
「ちなみに大友軍はトループス級天魔武者『くのいち天魔武者』、アヴァタール級妖怪『化け犬』とトループス級天魔武者『天魔武者・ジゲン流剣士』が島津軍の陣営のようですね」
島津と犬の組み合わせに思うところがあるのか、シルシュが浮かべたそれは微妙な表情であった。
「こほん。ともあれ、皆様には三つの選択肢があります。一つ、両陣営を撃退する方法。一つ、大友軍を攻撃せずに残し、島津軍を全滅させる方法。一つ、大友軍を潰し、島津の化け犬のみを撃破する方法」
敢えてどちらかのトループス級を残すことで、戦後の状況をコントロールすることが可能、と言う事だ。
今後の戦況も踏まえ、戦い方を考えて欲しいとシルシュは告げる。
「日向国の耳川は、少数の島津軍が大軍の大友軍を打ち破った歴史的戦いの舞台になった……と言われています」
実際は大友軍4万に対して島津軍3万だったようだが、幻想竜域キングアーサー出身の彼女が知る謂れも無かった。多分。
「まあ、当時の豊後藩は大友宗麟では無くその嫡男の大友義統が当主だったとか、色々差異は出ていますが、皆様が手を出さなければ史実同様、島津軍が勝利し、日向国を制圧するでしょう」
そうなれば、大隅での苛政が今度は日向国で繰り広げられることになる。それは流石に看過しがたい。
「それと、大友軍のジェネラル級である『大友宗麟』は、皆様――即ち、ディアボロスの対策の為に、九州に居ない事が多いようです。その隙を突き、島津軍は北上を始めた……とも推測出来ます」
ともあれ、天正大戦国の九州がどうなるかは復讐者達の心積もり次第だ。
皆様の御武運をお祈りしています、と短い言葉を告げ、シルシュは復讐者達をパラドクストレインへと送り出すのであった。
そして、舞台は改竄世界史天正大戦国の耳川へと移る。
島津軍がアヴァタール級妖怪『化け犬』がぐるると唸れば、はぁと嘆息するのはトループス級天魔武者『天魔武者・ジゲン流剣士』達であった。表情を歪める彼らは、一様に同じ文句を零しそうな程、ウンザリとしていた。
「面倒だが、相手が手を出す前にこちらから攻撃するのは御法度だ」
頭を振って化け犬が呟く。
「先に敵から手を出させてから逆襲。そんで、撃破するんだ。っと、とどめは刺すんじゃねーぞ? 奴らにゃ敗走して貰わなければならん」
今はまだ小競り合いの段階。そして、大友軍もそれは承知しているだろう。死ぬまで戦う覚悟なんぞ、生ぬるい彼奴らにある筈も無いと、化け犬は笑う。――その覚悟はおそらく、島津だけだ、と。
「まあ、運悪く死んじまう奴がいるかもしれんがな」
そうだとしても、追い打ちは不要だ。そんな下卑た笑いに、ジゲン流剣士達の乾いた笑いが重なっていた。
リプレイ
エレオノーラ・アーベントロート
上手く混乱を利用できればいいことがあるというお話でしたわね。
ま、それも後のことですし、考えたい方が考えるでしょう。
とりあえずは――大友も島津も、どちらもブチ殺してわたくしが最強と示しておきましょうか。
まずは【光学迷彩】で樹や山、丘の陰に隠れつつ島津軍を偵察しましょう。
誘き出す本命は大友の方ですけれど、誘き出すかルートや最後に隠れる場所の下見は大事ですもの。
下見を完了したら大友の方へ。
堂々と道の真ん中に立って待ち構え、声の届くところで声をかけましょう。
うふふ、ごきげんよう。
待っていても来ないので遊びに来ましたわ。
いつまでもノロノロと歩いて……これならそこらの農民でも連れてきた方がまだきびきびと歩きますわね。群れて歩くだけなら畜生でもできますしわ。
あら、わたくしは今回はおしゃべりしに来ただけですのに。
襲い掛かってくるなんて畜生未満の礼儀しかありませんの?
挑発しながら後退し、島津の陣近くまで誘導した後に【光学迷彩】も併用して身を隠しましょう。
さて、これでどうなるか――愉しみですわね?
改竄世界史天正大戦国、日向国耳川。
行軍を続ける大友陣営――トループス級天魔武者『くのいち天魔武者』達の前に響き渡ったのは、豪快な高笑いであった。
「うふふ、ごきげんよう。待っていても来ないので遊びに来ましたわ」
声の質、そして口調は、女性の物。しかし、そこに籠もる豪胆さと戦意の高さは、まさしく女傑と言うほどのものであった。
「何奴?!」
先頭を進んでいたくのいち天魔武者の一体が、誰何の声を上げる。だが、彼女は知っている。こんな存在、当然、彼女達が目指す場所にしか存在しない。
即ち、彼奴こそ、この圧を放つ彼奴こそ、島津なのだ。
「いつまでもノロノロと歩いて……これならそこらの農民でも連れてきた方がまだきびきびと歩きますわね。群れて歩くだけなら畜生でも出来ますしわ」
「島津だ! 此処であったが百年目! 我らが国獲りの礎にしてあげるわ!」
「敵は寡兵。逃がすな。捕まえろ! 殺しても構わん!」
敵が島津ならば遠慮無しと、くのいち天魔武者達は叫び、次々にビーム苦無を構える。其処に浮かぶ殺気は本物。この場で討つとの決意に満ちあふれる物であった。
「あら、わたくしは今回はおしゃべりしに来ただけですのに。襲い掛かってくるなんて畜生未満の礼儀しかありませんの?」
クスリと笑った人影は、そして、そのまま踵を返す。
まるで「追えるものなら追って来なさいな」と言わんばかりの挑発に、くのいち天魔武者達は頭に血を上らせて追跡を開始する。
――この瞬間、復讐者達の狙いは叶ったも同然であった。
さて。
声の主、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は残留効果【光学迷彩】を纏うと、そのまま大木の上へと逃れていく。
遙か眼下では島津陣営に向け、くのいち天魔武者達が走り去っていく。――それが、エレオノーラの誘導とは知らずに。
(「上手く混乱を利用できればいいことがあるとのお話でしたわね」)
ならば、現状は彼女の狙い通りだ。大友軍は混乱を来し、島津軍へと突っ込んでいる。もはや衝突は時間の問題だろう。
(「ま、それも後のことですし、考えたい方が考えるでしょう」)
今現在、エレオノーラの狙いは一つしか無い。それはつまり――。
「とりあえずは――大友も島津も、どちらもブチ殺してわたくしが最強と示しておきましょうか」
眼下のくのいち天魔武者達に気付かれぬよう、口の中だけで独白する。
にぃっと浮かんだ笑みは、とても好戦的で、そして、剛毅な物であった。
「……はて?」
そして気付く。騒ぎの音は大友軍のみではなかった。
その行く先である島津軍もまた、何か動きがあったのだろうか。鬨の声と見紛うばかりの怒号が響き、エレオノーラの耳朶を打っていた。
「成る程、ですわ。誰かが何かしましたのね」
果たしてそれは誰の手に寄る物か。
事態はもっと面白くなりそうだ、とエレオノーラは更に笑みを深い物へと転じていく――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
一里塚・燐寧
えーっと、日向国ってぇのは……宮崎県かぁ
いやー、ただでさえ覚えづらい日本の地名なのに、今の県の名前と全然違うとか勘弁してほしいよぉ
古代エジプトの地名ならだいたい覚えてるんだけどなぁ~
大友側の誘導にもう仲間が行ってるから、あたしは島津にちょっかいを出すよぉ
自分は茂みや物陰に身を隠しながら、【フライトドローン】を使用
飛んできた方向が分かるように、敢えてこれ見よがしに布陣してる天魔武者たちの所に向かわせるよぉ
あ、自分は見つかりたくないから、【光学迷彩】は借りられるなら使っとくねぇ
空からの偵察は七曜の戦以降、殊更に警戒されるようになっちゃった
……逆に言えば、「警戒させること」自体が目的なら使えるってことだよねぇ?
ドローンが始末されたら、新しい機体を敵の前に飛び出させるのを繰り返す
こうして敵が復讐者の影を探ってドローンの出所を追っているうちに
仲間に誘い出された大友勢と直面するように誘導するよぉ
で、島津と大友、どっちを残した方がいいか……情勢に疎くてわかんないよぉ
もう両方ブッ殺しちゃっていいかなぁ?
時刻にしてエレオノーラが大友軍で騒ぎを起こす直前になるだろうか。
残留効果【光学迷彩】で自身を覆い、身を隠した一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は一人、独白していた。
(「えーっと、日向国ってぇのは……宮崎県かぁ。いやー、ただでさえ憶え辛い日本の地名なのに、今の県の名前と全然違うとか勘弁して欲しいよぉ。古代エジプトの地名ならだいたい覚えてるんだけどなぁ~」)
しかし、残念なことに、古代エジプトの地名はこの天正大戦国では役立ちそうに無い。それはもう、改竄世界史の特性上、致し方なかった。
代わりに役立つこともある。それは、様々な戦場で身につけた戦略戦術――即ち、陽動策であった。
(「《七曜の戦》以降、空からの偵察は殊更に警戒されるようになっちゃった。それは仕方ない」)
それ以前もそんな傾向にあったが、ともあれ、それが強く露見したのは、去年の8月に行われた《七曜の戦》以降だ。それは歴とした事実であり、致し方ないと燐寧は考える。
(「つまり、逆に言えば、『警戒させること』自体が目的なら使えるってことだよねぇ?」)
既に腹積もりは決まっていた。思考の終了と同時に召喚した【フライトドローン】の群れはそのまま、彼女の意のままに空を舞うと、人影集まる陣営へと突っ込んでいく。それこそ、島津陣営であった。
(「大友側の誘導にもう仲間が行ってるから、あたしは島津にちょっかいを出すよぉ」)
果たして彼女の作戦は上手く行くのか。
それはお天道様のみが知る所であった。今は、未だ。
「敵襲だ! なんか飛んできたぞ、撃ち落とせ! チェストー」
物凄く効果的だった。
「おのれ大友! 金に物を言わせてドローンなんぞ飛ばしてきやがった! 国崩しの様に爆破する奴かもしれん! 気をつけろ!」
陣営内部から聞こえる一際大きな叫びは、アヴァタール級妖怪『化け犬』によるものか。
ちなみに『ドローン』と言う単語が天正大戦国内で一般的かどうかは判らなかった。これも復讐者の持つ自動翻訳が為せる業だ。もしも無ければ『飛翔物』ぐらいは言っていただろうか。まあ、自動翻訳能力が無ければ薩摩弁な化け犬の言葉を聞き取れなかった可能性もある。自動翻訳様々だと思うようにしよう。
(「うわー。引くぐらいに簡単に連れちゃったよぅ。わー」)
高台から一部始終を見守っていた燐寧は、再度ドローン群を召喚。まるで北から飛来したかの様に装うと、幾度と無く島津軍へ吶喊。その都度、『天魔武者・ジゲン流剣士』達の手によってずんばらりんと切り落とされていく。
「おのれ大友! 小賢しい!」
その叫びは、彼女の狙いが当を得ていた何よりの証左だった。
(「さて……大友でも騒ぎが起きたみたいだし、このまま衝突してくれると思うけど……うーん」)
ならばと内心の悩みを思考にのみ吐露する。
曰く――。
「で、島津と大友、どっちを残した方がいいか……情勢に疎くてわかんないよぉ。もう両方ブッ殺しちゃっていいかなぁ?」
割と物騒な台詞を口にし、頭を抱える燐寧。だが、生憎、その悩みに応えてくれるものはいなかった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
更木・有斗
ジゲン流
・・・・・・示現流と同じようでちょっと違うのかな。
とにかく、初太刀に全てをかけた戦い方は脅威だ。今の俺にできることを全力でやって対抗し、撃破しよう。
防御ごと粉砕しにかかってくるなら下手な防御はしないに限る。
相手の気合いに負けないよう勇気を奮い立たせて正面から挑む。
幸か不幸か、俺はかなり小柄だからな。敵の刀が体に届くには普通より少し猶予がある。
それを活かし、PDを用いて相手の足元に潜り込むように切り込み、刀が振り下ろし切られる前に敵の足を切り飛ばし、返す刀でトドメを刺す。
というのを理想型にして地面を低く走り回ろう。暴風は時に足を思いっきり打ち払うこともあるんだぜ。
式神の「ブル」「ゴリ」「ヤタ」は敵の注意を逸らすためにあちこち動き回ってもらおう。追っても追わなくても目の端にちらちらされるのはそれなりに気が散るだろうしな。
そして俺は駆け出しディアボロスだから無理はしない。
俺の動きが読まれるようになったら即座に転進してしまおう。
逃げるのも勇気ってね。
エレオノーラ・アーベントロート
うぅん、こうなると迷いますわね。
島津と大友、果たしてどちらからブチ殺すべきか――。
ここは島津にしておきましょうか。護衛の他にちょっとした大物も来ているようですし。
島津と大友が争っているところに横やりを入れるように、側面から電磁レールガン「フェアレーター」から「第六十八の魔弾【轢過】」を投射。巨大化する弾丸でジゲン流剣士をすりつぶしますわ。
ごきげんよう。つまらない小競り合いなんかで破損するのも面白くないでしょう?きっちりと――戦争で死ねるよう、来て差し上げましたわ。
大友の忍を避けて島津の剣士だけを狙い、大友には好機とでも思わせて攻撃を継続させ島津にはそちらの対応も強いりつつ砲撃。
防御を捨てた剣術。ならこちらが先んじてブチ壊して数を減らすのが最大の防御ですわ。
うふふ、沖縄で戦った島津豊久とその配下は愉しい戦いをさせてくれましたの。
もちろん、あなたたちも愉しませてくれますのよね?
一里塚・燐寧
三州統一って、上エジプトと下エジプトを統一するみたいなカンジ?
でも九州の1/3って考えると、びみょーにスケールがちっちゃいよーな?
ぶっちゃけよくわかってないけど、島津にとって儀式っぽい意味はありそーかな
よっし、決めた。今回はこっちをブッ殺しちゃお~
【光学迷彩】で身を潜めた隠れ場所で《DCブラスター》を構え、敵に狙いをつける
そしたら不意打ちの『闇雷収束咆・殲尽波』をブッ放すよぉ!
ホーミングレーザーで混戦の中でも確実に敵を撃ち抜き、頭部や胴体を貫いて機能停止させちゃおう
二の太刀要らずって言うんなら、一太刀も使わせずに沈めるまでだよぉ
一発撃ったら流石に居場所がバレて、相手からも技が飛んでくる
得物のダブル鋸刃部分で刀と打ち合い、刃の回転で弾き飛ばそう
そうして見当違いの場所に当てさせることで、出来るだけ威力を抑えるよぉ
相手の剣を凌いだら、またパラドクスを放ってどんどん数を減らしていこっか
きみ達の圧政のやり方は、こっちの界隈じゃ評判が悪いらしくてねぇ
ま、ここで死ぬのも、身から出た錆だと受け入れなよぉ
斯くして、戦闘は始まる。
局所とは言え、それは、耳川の戦いの開始を意味していた――。
「ところでさ、三州統一って、上エジプトと下エジプトを統一するみたいなカンジ? でも九州の1/3って考えると、びみょーにスケールがちっちゃいよーな?」
戦の怒号を背景に、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はむむむと唸る。南九州は三州――大隅・薩摩・日向の統一は島津の悲願との言葉を聞いて、その規模の小ささに眉根を顰めていた。
ちなみに彼女を含めた復讐者一同は、今現在、岩陰を陣取り、大友と島津の衝突から身を隠していた。戦渦の広がりを考えれば、皆が姿を隠すこの場所も直ぐに戦場と化すだろうが、今後の方針を決める刹那だけ時間が稼げれば、とりあえずそれで充分だろう。
「人には相手に譲れない何かがあるからな。彼奴らに取ってのそれが、三州なんだろう」
「ふーむ」
更木・有斗(陰陽騎士・g10845)の注釈に、納得感湧かないなーと、再び唸る燐寧。そんな二人に、「ともかく、ですわ」と可憐な声が掛かった。
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)であった。
「戦は始まりました。こうなると迷いますわね。島津と大友、果たしてどちらからブチ殺すべきか――」
新宿駅で時先案内人が提示した作戦は三つか。一つは大友軍を、もう一つは島津軍を倒すと言う物。第三の選択肢として、その双方とも倒してしまう、と言うのもある。所詮、敵は歴史侵略者。復讐者であるエレオノーラ達にとっては不倶戴天の敵だ。
「島津かな」
「ぶっちゃけ、良く判らないけど、三州統一に儀式っぽい意味がありそうかなーって。あたしも島津に一票だよぅ」
有斗は即断を。燐寧はその狙いの裏を読み、それぞれの思惑を口にする。
成る程、とエレオノーラも頷く。自身も票を入れるならば。
「島津にしておきましょう。護衛の他にちょっとした大物も来ているようですし」
強い方と戦う。今、この場で起きている戦いはトループス級同士の小競り合いでは無い。島津にはアヴァタール級妖怪『化け犬』の姿もあるのだ。ならば、どちらが歯応えのある敵かは明白であろう。
「よし、行くか」
有斗の短い言葉に、燐寧とエレオノーラは是と頷いた。
「【群像】解放――」
放つ魔弾は第九。己が得物、電磁レールガン『フェアレーター』に装填された魔弾は、射出と同時に200もの数に分裂。雨霰となって戦場へと降り注ぐ。
エレオノーラの放つそれが貫くのは、島津軍がトループス級、『天魔武者・ジゲン流剣士』のみだ。大友軍のトループス級天魔武者『くのいち天魔武者』には一切の被害を出さず、己が認めた敵のみを穿ち、破壊していく。
「ごきげんよう。つまらない小競り合いなんかで破損するのも面白くないでしょう? きっちりと――戦争で死ねるよう、来て差し上げましたわ」
「ぐがぁ! おのれっ。貴様ら、ディアボロスか!」
魔弾を受けて唸る一体は、しかし、次の瞬間、くのいち天魔武者達の手裏剣を受け、敢え無く没してしまう。今や、戦場は三つ巴状態だ。他方に気を取られれば、もう一方によって蹂躙されてしまう。一連の流れはそれを如実に示していた。
「ジゲン流か。――示現流と同じようでちょっと違うのかな」
向けられた一太刀を裂け、ふむと有斗が頷く。反撃と紡ぐのは、暴風の如き一撃だ。限界以上の力を引き出された一撃はジゲン流剣士達を捉えると、その躯体を上下へと泣き別れさせていく。
「ブル! ゴリ! ヤタ!」
そして、呼び掛けるのは己が式神達だ。戦場に出現したブルドッグ、ゴリラ、そして八咫烏の姿をした式神達は、主の意のまま方々を駆け巡る。撹乱のみを目的とした彼らの走破が有斗の狙い通りに作用しているのかは判らなかった。しかし――。
「ぐぬぅぅ」
「気を散らせたら、戦場では負けだよ」
式神達を視界の端に捉え、唸るジゲン流剣士の素首を叩き落とす。式神達の撹乱は、有斗の思惑通り、ジゲン流剣士達を幻惑させているようだ。この隙に、と数体のジゲン流剣士達を纏めて屠っていく。
「怨み募りし魂よ、群がり集いて荒れ狂え。汝ら、只滅びる定めにはあらず。仇を滅し冥府へ下らん……な~んてね、デデーンっていくよぉ!」
そして、戦場に響くのは、燐寧の詠唱だった。
それが途切れた刹那、放たれたのは「デデーン」との裂帛の気合い。そして、無数のホーミングレーザーであった。それらはジゲン流剣士達を撃ち抜き、抉り、躯体の機能を停止へと追いやっていく。そこに一切の慈悲などありもしない。むしろ、苦しまずに消去することこそ、燐寧なりの慈悲と言わんばかりの掃射であった。
「二の太刀要らずって言うんなら、一太刀も使わせずに沈めるまでだよぉ」
倒すのであれば、きっちり倒す。その宣言に、しかし、怖れを成すジゲン流剣士達ではない。
「くっ! 島津を舐めるな! 大友だろうがディアボロスだろうが構わん! 叩き切ってしまえ!」
ジゲン流剣士達の浮かべる戦慄と咆哮が、戦場内へと広がっていった。
(「どういうこと――?」)
突如沸き上がった第三勢力、復讐者達による攻撃に沸き立つのは、島津のジゲン流剣士達のみではない。大友軍『くのいち天魔武者』達も困惑を浮かべていた。
そう。彼女達は知らない。知る由も無い。そもそも、今現在の大友と島津の交戦が、復讐者達によって引き起こされた事態であると言う事を。
「だが、好機。この隙に島津を敗走させろ!」
彼女達は知らない。裏を読まない。故に、裏の裏まで思考が回らない。
だからこそ、今はそう捉えるしかなかった。
それこそが、復讐者達の思惑通りである事に、最後まで気付くことはないだろう――。
二枚の回転鋸刃が日本刀を弾き、刹那に放ったエネルギー弾がジゲン流剣士を貫く。
其処に悲鳴の零れる暇はなかった。燐寧の放つエネルギーはジゲン流剣士の肉体を焼き尽くし、魂を即座に昇天させていく。其処に、魂があれば、であるが。
「きみ達の圧政のやり方は、こっちの界隈じゃ評判が悪いらしくてねぇ。ま、ここで死ぬのも、身から出た錆だと受け入れなよぉ」
琉球と大隅。改竄世界史は違えど、その双方で住民は死に瀕するほどの圧政に苦しめられていた。他の令制国では考えられないほどの苦制に対する怒りをレーザーに込め、燐寧はジゲン流剣士達を穿っていく。
「暴風は時に足を思いっきり打ち払うこともあるんだぜ」
低く低く、獣よりも低く。
有斗が有する小柄なヒルコの体躯は、しかし、戦法と噛み合えば、それは恐ろしき猟犬の牙と化していた。
ジゲン流剣士達の脛を、膝を、そして腿を斬り裂いては、地へと落としていく。上段からの攻撃を主とする彼らの剣術にとって、低さを武器にする有斗の太刀筋は、相性が悪いのだろう。振り下ろした刃は彼の体を掠める物が数太刀、それ以外は地面へ叩き付けられる結果となっていた。
「助力、感謝する!」
そこに飛び込む苦無の投擲は、幾分かの感謝が込められていた。戦場で相対すれば敵で、しかし、礼儀を忘れない。どうやら、大友軍はそれなりに躾が出来ているらしい。
――と、其処まで思考したエレオノーラはふふりと微笑する。勿論、それは嘲笑であった。
(「ともあれ、大友に攻撃させていれば、島津に対する大きな牽制になりますわ」)
最終的に双方ブチ殺せばそれでいい。この戦場で無くとも、豊後国に北上して、大友のジェネラル級共々倒してしまうのもそれはそれで有りだ。
しかし、今現在、彼女達の敵はそれと共に相対する敵――島津軍の軍勢である。
「うふふ、沖縄で戦った島津豊久とその配下は愉しい戦いをさせてくれましたの。もちろん、あなたたちも愉しませてくれますのよね?」
「貴様らぁぁぁ!」
戦場に響き渡る怒号は、ジゲン流剣士達の物のみでは無い。
トループス級壊滅に響く雄叫びは、まさしくアヴァタール級妖怪『化け犬』の咆哮であった。
「畜生! もはや策なんぞ関係無ぇ! 大友軍共々ぶっ潰してやる!!」
それが負け犬の遠吠えになるのか、それとも反撃の狼煙になるのか。
怒号を向けられた復讐者達は、笑みを一つ形成し、彼のアヴァタール級妖怪へと得物を向けていった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
エレオノーラ・アーベントロート
うふふ、そう感謝されると、ちょっと気が変わりたくなりますわ。
この砲口をそちらに向ければ先ほどまで感謝していた口がどう変わるのか――気になりますわね。
なんて、今日は辞めておきましょう。
戦略も仁義も関係ありませんわ、ただそんな気分じゃありませんの。
電磁レールガン「フェアレーター」を構え「第二十五の魔弾【惨劇】」を投射。破壊力の高い魔弾で化け犬をブチ抜きますわ。
アヴァタール級相手ですと大友軍はあてにならなそうですし頼りにせず。他の復讐者の攻撃に合わせてわたくしも攻撃し、連続攻撃を仕掛けましょう。
どうしてワンちゃんが島津武者になっているかは知りませんけれど――愉しませてくださいませ?
素早く接近しての一撃に対しては回避や防御ではなく反撃を選択、接近して攻撃を繰り出す化け犬に攻撃を当てることで一撃の威力を相殺しますわ。
それではご機嫌よう。
次もわたくしが獣狩りの気分なことを祈っておくのをおすすめしておきますわね。うふふ。
藤菱・由紗
(トレインチケット)
播磨・仁絵
(トレインチケット)
沙羅葉・落日
(トレインチケット)
(「ふふ。『助力、感謝する!』、ですのね」)
先のくのいち天魔武者の言葉を反芻し、エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)は内心でにふりと笑う。
(「うふふ、そう感謝されると、ちょっと気が変わりたくなりますわ」)
たとえば己の電磁レールガン――フェアレーターの銃口をくのいち天魔武者達に向ければ、その感謝がどう変わるのか。それを見届けるのはそれはそれで面白いように感じる。
だが、それをそ実行に移すよりも早く。
(「なんて、今日は辞めておきましょう」)
嘆息だけを零し、視線をくのいち天魔武者達から島津のアヴァタール級妖怪『化け犬』へと視線を向けた。
エレオノーラは自他共に認める傲岸不遜、自信家、そしてナルシストだ。ここで大友・島津両軍纏めて制してしまっても、問題無いと考える。その場合、大友と島津が組んでエレオノーラ達復讐者を討とうとするだろうが、まあ、大丈夫だ。相手取って負ける筈も無い。
実際の処、何の策略も為しに殴りかかれば大苦戦は必至なのは火を見るより明らかだが、その事実を悲観的と即座に切り捨てるのは、エレオノーラの美徳でもあった。
(「戦略も仁義も関係ありませんわ、ただそんな気分じゃありませんの」)
彼女の気まぐれが救ったのはくのいち天魔武者達か、それとも復讐者達か。
その答えをエレオノーラは有していない。時先案内人ならぬ彼女に、それを見通す力はなかった。
「死にさらせ! ディアボロス!!」
化け犬の放つ怒号は多大な涎と共に放たれていた。
雄叫びに込められた叫びは怒り。怒り。怒り。咆哮と共に放たれた妖気は無数の犬の群れを形成。藤菱・由紗(刀術士・g01827)へと襲撃する。
「この一撃を以て、阻む全てを撃ち貫かん。躱すこと能わず、阻むこと叶わず、ただ虚ろの穿痕を晒すのみ」
刹那、由紗は詠唱を口にし、得物たる妖刀を化け犬へと突き付けた。
それは後の先。由紗の得意とする戦術である。そして、剣先から放たれる力は勿論――。
「――一穿!!」
生み出された光衝撃波は犬の群れを蹴散らし、化け犬の頬を斬り裂く。一歩化け犬の動きが遅ければ、その顔面には巨大な穴が穿たれていただろう。
「流石は島津の妖怪と申しましょうか。中々素早い」
悔悟か賞賛か。或いはその双方か。由紗の言葉に、「そう言えば……」とエレオノーラが疑問を口にする。
「どうしてワンちゃんが島津武者なのでしょう?」
破壊の魔弾を放ちながら浮かぶそれに、「それはですね」と静かな声が返ってきた。
「薩摩地方には『えのころ飯』と言う郷土料理があった様ですね」
エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)であった。ふふりと静かな笑みを湛えた彼女は、しかし、その後、コホンと空咳を打つ。同時に放つ翼の魔術は、舞い落ちる羽根を刃へと変換。化け犬を斬り裂き、或いは穿ち梳って行く。
「文言だけは聞きますが、実物を見たことはありません」
「……つまり、アレは食事にならなかったもの、と」
何処か親近感を覚えますね、と播磨・仁絵(捧げられしもの・g08502)が柔らかな微笑を湛えた。
だが、敵は歴史侵略者。仁絵達復讐者にとっては不倶戴天の敵だ。境遇に同情することはあっても、この邂逅が彼の救いにならないことは、仁絵自身がよく知っていた。或いは、ある意味浄化という救いを与える事が出来るのかもしれない。
「制限解除、自動戦闘モードに移行……。一寸の虫にも五分の魂、でございますよ」
虫の矛先が自身なのか、化け犬に対してなのかは特に語られず、手にした妖刀でグサグサと化け犬を突き刺していく。度重なり発せられる悲鳴が、化け犬に襲う苦痛を表していた。
「くそがっ。痛ぇんだよ!!」
吶喊には吶喊。機動力には機動力。それが化け犬の導き出した答えだったようだ。
獣の反応力そのままに仁絵を捉えた化け犬は、その勢いのままヒルコの小柄な体躯を斬り裂こうと、遮二無二獣爪を振るう。強化外骨格が、白いまでの銀髪が、そして肌が斬り裂かれ、血の雫が周囲に舞った。
「まずは一匹――」
だが、二の刃は紡げない。
振りかぶった爪が落とされたその先に、それを弾く二対の刃があったからだ。
一つは破邪の聖剣。そしてもう一つは銀光放つ刃。
双方とも、ドラウ・スオーロ(攻防一体・g07947)の双手が繰り出す得物、即ち、対の刃であった。
「薩摩と言うからには相応の剣術と思ったが、うむ。徒手空拳が得意のようだな」
納得と独り言ちた彼は、そのまま対の刃を開閉。双手が弾かれた化け犬に向かい、ふむと、再度首肯を向ける。
「ぐがががっ!」
その胸元に咲いたのは、二振りの魔剣、そして、一抱えもある大剣であった。如何なる原理か。闇に紛れたドラウの刃――総計五つのそれは化け犬の急所を貫き、大量の血肉を耳川の地へとぶちまけた。そこへ、ドラウの言葉が追随する。
「これぞまさに攻防一体。所持している剣は五つ。影から放たれた刃の味は格別だろう?」
些か天然な台詞に、しかし、化け犬は咆哮するのみだ。
このままでは終われない。その叫びは日向の地全てを覆い尽くさんばかりに発せられ、復讐者達の耳朶を打つ。
だが――。
「それがキミの限界だ。化け犬くん」
それを因果と思うならば因果なのだろう。
身体を縛るかの如く化け犬に絡みついたクダギツネ達は、主たる沙羅葉・落日(ああ、キミはもういないのか。・g04517)の指示の元、化け犬の身体に牙を突き立てる。化け犬の体躯から見れば針で刺された程度の痛みに、しかし、彼の歴史侵略者は動きを失ってしまう。
クダギツネが牙を突き立てたのは、化け犬の身体のみでは無い。その身体が落とす影すら、その牙の餌食となっていた。
「もう少し頑張れれば、何かが変わったかも知れないけれども」
化け犬の影を縛った落日は僅かな微笑を形成する。それは酷く寂しくも、或いは虚無のようにも感じる笑いだった。
それが、最後だった。
くのいち天魔武者達から放たれた刃が、化け犬を貫く。くのいち天魔武者達が投げる手裏剣が、化け犬を切り刻む。そこに由紗の光が、エヴァと仁絵、ドラウの斬撃が降り注いでいった。それらは化け犬の血肉を破砕し、妖怪の体力を全て奪い去って行く。
「【惨劇】解放――」
葬送の言葉は、エレオノーラから紡がれた。
電磁レールガン『フェアレーター』を構えた彼女は、再度、第二十五の魔弾を解き放つ。放たれた弾頭はそのまま化け犬に着弾。激しい破砕の音を、周囲へと響き渡らせた。
「多少は愉しませて頂きましたわ。それでは、ごきげんよう」
淑女宜しく紡がれたエレオノーラの言葉を、しかし、化け犬は聞く事は無い。
ただ、胸から上を失った半人半狗の身体がどうと倒れ、乾いた土の音を響かせるのみであった。
「――ッ!」
化け犬が滅びを迎えた刹那、次なる行動は、即座に取られていた。
復讐者達は己が得物を構え、周囲へと向ける。その肚は勿論、一つしか無かった。
「逃がすつもりはないよ」
落日の言葉は、しかし、それよりも疾く動いた影達に寄って尻すぼみに消えていく。
そう。大友軍もまた、愚鈍でも愚者でも無かった。化け犬の死を確信するや否や、耳川の地で散開。なりふり構わない離脱を開始し始めた。
「礼ぐらいは言っておこう!」
その言葉のみを残して。
「――足速いな。流石はくのいちと言った処か」
「いえ。間違っていないのですが……些か、腑に落ちませんね」
見失ったと冷静に呟くドラウに、仁絵のツッコミが重なる。だが、くのいち天魔武者達の使命を考えれば、ここで彼女達が復讐者と争う理由は無い。即座に離脱する判断力は、流石と賞賛しておこう、とは思ってしまう。
「そうですね。もしも大友軍、島津軍の両名を相手するなら、もう少し準備が必要でしたか」
「それを目的とするならば、ですけどね」
此度、それを為していないのだから、結果として致し方ないとエヴァが苦笑すれば、同意と由紗が頷く。案外忘れられがちだが、今現在でも、復讐者達個々の能力は歴史侵略者達に劣る。トループス級と侮り、策も無しにぶつかったばかりに苦戦や重傷と言った事象に陥ったことは一度や二度では無い。その事を彼女達は認識していた。
「ふふ。ともあれ、ですわ」
大友軍が逃げるならば北だろうと目星を付けたエレオノーラは淑女宜しく、ふふりと笑う。
傍若無人を絵に描いたような笑みは、しかし、それはそれで、仲間達の眼には魅力的に映るのだから、困りものと言えばそうであった。
「次もわたくしが獣狩りの気分なことを祈っておくのをおすすめしておきますわね。うふふ」
その宣言が果たしてくのいち天魔武者達へ、そして大友軍へ届くのだろうか。
(「ま、祈りは得意ですわよね。大友なんですし」)
意味ありげな笑みだけが、耳川の地に湛えられ、そして消えていった。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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