浦賀水道海上決戦

 最終人類史の東京湾に攻め寄せて来た冥海機の軍勢の撃退は成功しました。
 この攻撃を指揮していた、ジェネラル級冥海機『信濃』を撃破するチャンスです!

 信濃は境界の霧を越えて最終人類史側には踏み入ることはせず、横須賀の東、『浦賀水道』にあたる海域で、東京湾海戦の指揮をとっていました。
 ですが、作戦の失敗を悟り、東京湾方面からの撤退を開始しています。

 信濃は撤退時のディアボロスによる追撃を意識してか、東京湾方面に多くの冥海機を配置しつつ、自分は少数の精鋭と共に一足先に後退しています。
 精鋭と共に信濃を撃破し、冥海機ヤ・ウマトからの、最終人類史への侵攻の意志を挫いてください。
 ジェネラル級である『信濃』に何の成果もあげさせずに撃破できれば、冥海機側も、不用意に最終人類史へ侵攻する事はなくなるでしょう。

信濃

冥海機『信濃』、浦賀水道を南下し撤退す(作者 朝下万理
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#冥海機ヤ・ウマト  #浦賀水道海上決戦  #信濃  #東京湾海戦 


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 冥海機ヤ・ウマトの浦賀水道にて。
 境界の霧の向こうを睨むかのように碧い瞳を光らせていた冥海機『信濃』が、厳しい表情をそのままに小さく息を吐いた。
「……ディアボロスのディヴィジョンに攻め寄せた艦艇は、壊滅しましたか……」
 《七曜の戦》で奪われたばかりの横須賀ぐらいなら、つけ入る隙もあるかと思っていたが、結果はご覧の有り様。
 戦況は『思わしくない』なんていう表現では生ぬるいほど最悪だ。
 それは冥海機『信濃』が一番よく解っているのだろう。
「このまま戦況が推移すれば次はこのディヴィジョンが、ディアボロスのディヴィジョンからの逆侵攻を受けるでしょう。その前に私は離脱するよう大本営から指示を受けました」
 冥海機『信濃』は自身が引き連れていた大量の冥海機にそう告げると、東京湾を覆い隠すように湧き立つ深い霧に背を向けた。
 そして引き連れていた冥海機に、こう続ける。
「ディアボロスは《七曜の戦》で東洋艦隊を壊滅させた強敵。まともに戦って勝てる相手ではありません。艦隊は残していく。お前たちはディアボロスの逆侵攻に対する防衛戦を行った上で、可能な限り離脱・撤退を成功させるのです」
 上官の命令は絶対。
『信濃』の命令に配下の冥海機たちは各々短く返事をし、境界の霧の向こうから進撃してくるであろう敵を迎え撃つ用意を実行していく。
 そんな配下たちを背に、限られた数の精鋭を護衛に太平洋へと進み出る冥海機『信濃』。
 彼女から海戦を始める前の威勢の良さは、もう完全に失われていた。


「このたびはお集まりいただき、ありがとうございます」
 新宿駅のプラットホームに停車しているパラドクストレインの傍。潮矢・鋼四郎(零式英霊機のボトムマリナー・g09813)は、集うディアボロスたちに恭しく頭を下げた。
「『東京湾海戦』に於いては皆様にご尽力いただきましたおかげで、『冥海機ヤ・ウマト』による最終人類史への侵攻は無事に阻止されました」
 感謝の意として再びディアボロスたちに頭を下げた鋼四郎だったが、精悍な面持ちで彼らに告げるのは、『東京湾海戦』指揮官の現在の状況。
「ジェネラル級冥海機『信濃』ですが、作戦の失敗を悟ったのでしょう。皆さんとの決戦を挑む事無く、東京湾方面に多くの冥海機を配備しつつ、自分は少数の精鋭と共に一足先に後退……東京湾海域からの撤退を行おうとしているようです」
 『冥海機ヤ・ウマト』側の東京湾にあたる海域に艦隊を残したまま。故に、ディアボロスがこの艦隊に対して海戦を挑み勝利したとしても、自分の撃破は不可能……という目論見なのだろう。
 しかし。
 考えようによってはこの少数による離脱、ジェネラル級冥海機『信濃』撃破の大チャンスでもある。
 そう説明した鋼四郎は、ディアボロスたちを見回して。
「皆さんにはジェネラル級冥海機『信濃』の退路を予測しつつ、撤退する冥海機『信濃』を捕捉、撃破を目指していただきたく思います」
 と作戦の概要と伝えた。

 詳細ですが。と鋼四郎は、資料のデータが入ったタブレット端末に目を落とす。
「ジェネラル級冥海機『信濃』は、浦賀水道海域から東方に進路をとって撤退を行う模様です」
 と説明するが、『冥海機ヤ・ウマト』には千葉県の房総半島も神奈川県の三浦半島も存在しておらず、もちろん浦賀水道と呼ばれる海峡も存在しない。
 その一帯は、一面の海である。
 故に、冥海機『信濃』の退路を特定することは、現時点では出来ていない。
「ですので皆さんにはまず、退路を予測しながら捜索範囲を広げて哨戒活動を行い、冥海機『信濃』の居場所を特定してください。冥海機『信濃』発見後は救援機動力を利用して合流し、戦闘を仕掛けていただきたいと思います」
 今回の撃破対象であるジェネラル級冥海機『信濃』は、横須賀鎮守府のトップ。そしてジェネラル級冥海機の中でも、重要な役割を任されている強敵。
 一筋縄で行く相手ではないし、簡単に撃破できる相手でも無いだろう。
「ですが、東洋艦隊を壊滅させた皆様ディアボロスならば、きっと勝利を掴むことが出来るでしょう」

 鋼四郎は今一度、集まったディアボロスを見回して告げる。
「冥海機『信濃』は重要な地位にあった為、多くの情報を持っているはずです」
 しかしそれ故に情報のガードも固く、普通に会話するだけでは、虚実を混ぜた会話で惑わされるだけとなるだろう。
 だが、攻略旅団の提案に合った情報であれば、有効な情報を得られる可能性もあるという。
「冥海機『信濃』と会話を行う場合には、どうか細心の注意を払っていただければと思います」
 そう説明した鋼四郎が次に説明するのは、戦闘のこと。
「海戦の技量や経験は、皆さんよりも冥海機の方が上であるのは間違いないでしょう」
 海という地形を利用した奇襲なども考えたいところ。だがそれは、相手の土俵で戦うようなもの。
「敵の『海戦の経験を生かす事が出来ない、【水面走行】を利用した地上戦のような戦い方』が、海上の冥海機相手には、最も有効かと思われます」
 鋼四郎はそう思案すると、改めてディアボロスたちを見据えた。
「ジェネラル級である『信濃』に何の成果もあげさせずに撃破できれば、冥海機側もこの最終人類史へ不用意に侵攻しようなどと考えることはなくなるでしょう」
 最終人類史に住まう人々のためにも、そしてその先の我々の目標や未来のためにも。
「この機会に、ぜひ皆さんのお力をお貸しください」
 よろしくお願いいたします。そう告げて鋼四郎はディアボロスたちに頭を下げた。


 冥海機『信濃』と護衛の精鋭冥海機『クレータージョー』は、最大速度を保って太平洋へと進んでいた。
「北、異常なし」
「東も異常なしであります」
「上空、敵機確認できません」
「海底も平常であります」
『クレータージョー』は、時折海面に顔を出したり上空を見上げたりして、現在の周囲の状況を『信濃』に伝えている。
 それを『信濃』は「逐一の報告は不要」と窘めた。
「少数の敵ならば見逃しても問題無い。索敵部隊が本隊を呼び寄せている間に、我らは海域を離脱すればよいのだから。……警戒すべきは、敵のまとまった戦闘部隊との遭遇戦だ」
 こんな少数の冥海機のみを従えての航行の最中にディアボロスの大軍に囲まれたりでもしたら。このジェネラル級冥海機『信濃』とて大破は免れないだろう。
 いや、大破で済めばまだいい方だ。
「この広い海上で偶然にして敵の戦闘部隊と遭遇するような事は無い筈だが……万が一があってはならないのだ」
 息せきを切りながら波を掻き分け掻き分け。
 白い長髪を振り乱しながら冥海機『信濃』は眉間にぐっと皺を寄せると、『クレータージョー』に発破をかける。
「各機厳重に警戒しつつ、先を急ぐのだ!」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
2
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【水面走行】
2
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
2
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV2 / 【ガードアップ】LV4 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV2 / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【アヴォイド】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

朝下万理
 朝下万理です。
 冥海機ヤ・ウマト、ジェネラル級冥海機『信濃』との決戦シナリオです。
 よろしくお願いいたします。

 東京湾海戦の指揮艦、ジェネラル級冥海機『信濃』撃破のチャンスが巡ってまいりました。

 パラドクストレインは、浦賀水道のさらに南側まで皆様をお連れします。
 現場は浦賀水道以南、最終人類史の外となりますので諸々ご注意ください。

選択肢①:敵部隊哨戒任務
 浦賀水道から撤退していく冥海機『信濃』を探し出す任務です。
 有効な【残留効果1】を駆使して『信濃』を見つけ出してください。

選択肢②:冥海機『信濃』との会話
 冥海機『信濃』はディアボロスを『有力な敵』として慎重に対応を行いますので、皆さんを煙に巻くような物言いをしてきます。
 ですが、重要な情報を隠し持っている可能性は大いにありますので、何かあれば尋ねてみてください。

選択肢③:冥海機『信濃』を護衛する精鋭冥海機『クレータージョー』との戦い
選択肢④:冥海機『信濃』との決戦
 言わずもがな、冥海機『信濃』はジェネラル級なので、一筋縄ではいきません。
 戦闘時でも使えそうな【残留効果1】をうまく使いこなすことも、鍵となります。
 また、『クレータージョー』撃破前に『信濃』に手を出すと、攻撃を妨害される可能性がありますので、ご注意ください。

 その他の状況についてはオープニングや『情報』をご覧ください。
 皆様のアツいプレイングをお待ちしております。
31

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ



 多くのディアボロスを乗せて最終人類史・新宿駅を出発したパラドクストレインは、時と空間を超えて真っ青な世界へと姿を現した。
 青い秋空が目前に広がり、眼下の海はどこまでも遠く、地球の丸みを明らかにしている。
 史実では浦賀水道がある場所から南に停車したパラドクストレイン。そのドアが開くと、次々と下車していくディアボロスたちは、海上を飛び、海面へと降り、海中へと沈む。
 哨戒方法は十人十色なら、目指す方向も、西から東北と、さまざまだった。
 冥海機『信濃』がどこへ向かうかがわからない以上、人海戦術は有効な手段。
 だが、思いは皆一緒だった。

 自分じゃなくてもいい。
 確実に誰かが『信濃』の尻尾を掴んでくれたら、それでいい。
 
 だが、不用意に最終人類史の東京湾に侵攻した落とし前は、必ずつけさせてもらう――。
ラキア・ムーン
浦賀水道……か
大地がそのままであれば、補足は簡単なのだが……
天正大戦国に大地がある以上、どの方向へも逃走は可能か
だが、此処から逃走する以上目的地となる拠点がある筈だ
近場の鎮守府なら、直線距離なら舞鶴か……だが東方に進路を取っている以上、其方に行くよりは南下して小笠原諸島に移動した方が効率的な気はするな
その東方移動すらフェイクの可能性も捨てきれんが……急いでいるのなら、そんな非効率的な事はすまい
恐らく……現在の千葉東方沖東経142度付近まで東進してから南下
小笠原諸島を目指す……か?

ま、当たりを付けて探してみるしかないんだヒットすれば良し
外れればそこを潰した……という事となる
1人で探す訳じゃあないんだ、何とでもなるさ

水面走行で浦賀水道辺りから東に、東経142度線辺りで網を張ろう
小笠原諸島を目指すならこの辺りで南下を始めるはずだ
海上から望遠鏡で西方を中心に周囲を監視し此方の方向へ来る艦隊が無いか捜索して行こう
さて、当たりか外れか
読み合いがあるからこそ、面白い

アドリブ連携等歓迎


「大地が『そのまま』であれば、補足は簡単なのだが……」
 ピンクシルバーの髪を靡かせながら、【水面走行】で凪いだ海面に降り立ったラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は浦賀水道を少し恨めしく見据えていた。
 そのままとは、史実通りという意味。そうすれば山の形や岬の出っ張り、浜や川の有無で現在位置がわかるのに。
 だが、西の三浦半島の先端と東の房総半島は、天正大戦国の大地。結果、冥海機『信濃』は、地形に影響されることなく撤退することができたと言える。
「……だが、此処から逃走する以上、目的地となる拠点がある筈だ」
 腕を組んで呟いたラキアが見やったのは、西の方角。つまり、最寄りの鎮守府がある舞鶴の方向だ。
 しかし舞鶴に向かうなら、わざわざ逆方向に進路を取るだろうか。
「……東方に進路を取っている以上、其方に行くよりは南下して小笠原諸島に移動した方が効率的な気はするが……、急いでいるのならそんな非効率的な事はすまい」
 呟きながら東を見やり、目線を南の方へとずらしていく。
「恐らく……現在の千葉東方沖まで東進してから南下、小笠原諸島を目指す……か?」
 もう全てがフェイクのような気がしてならないが、疑いすぎて動けなくなってしまったら本末転倒。
 ラキアは一度、深呼吸をして左目のモノクルの位置を直すと、
「ま、当たりを付けて探してみるしかないんだ。ヒットすれば良し。外れればそこを潰した……という事となる」
 ……さて、当たりか外れか…… 読み合いがあるからこそ、索敵は面白い。
 と呟いて腹を括り、東へと走り出した。
 目指すは、東経142度線周辺。
 東へ進むことが小笠原諸島へのフェイクだとしても、そのくらいの距離まで進んだらさすがに南下するはずだと読んだのだ。
 ポイントにたどり着いたら、持参した双眼鏡で西方を伺おう。自分の読みが合っていれば、小笠原諸島方面へ南下するために舵を切る冥海機『信濃』見えるはずだ。
 ――だがラキアの予測は、東経142度線に辿り着く前に 『いい意味で』外れることとなる。
 冥海機『信濃』は浦賀水道を抜けたところで東へと舵を切った後、南へと旋回することがなかったからだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
ここで逃してしまうと、東京湾の戦いで僕達を信じてくれた市民の皆さんに顔向けできません。
しっかり終わらせましょう。

残留効果は必要に応じて適宜活用。
移動はあれば【水面走行】、【スーパーGPS】と小型の地図帳を使い位置を確認し【パラドクス通信】で味方と小まめに連絡を取ります。

撤退を急いでいるなら海に何か痕跡を残しているかな…?
一旦浦賀水道海域から東側、ディヴィジョン化し消失した千葉の海域周辺を調べてみます。
単眼望遠鏡を使い水面や平坦となった海底に不自然な痕跡、残留物等が無いか〈観察〉。
異変があれば情報共有、なければ臨機応変に切り替えます。

広範囲の捜査では味方同士の通信の効果範囲を保つように、小笠原諸島とミッドウェー方面の中間の経路を進行してみます。
味方の間を移動する中で敵を警戒範囲の外から発見できれば幸いです。
連絡時や足並みを揃える為に【飛翔】を使う際は目立たないよう海面近くでの低空飛行を。
引き続き慎重な観察も怠りません。

敵影を認めた際は一定の距離を保ち味方に連絡します。


 肩にかけた大きめの士官服を海風に靡かせながら、凪いだ太平洋上に降り立った三間・勲(船無し提督・g10186)は、境界の霧が発生している東京湾の方角を見やった。
 霧は今も海域に湧き立っていて、あの手前では今でも冥海機たちが最終人類史からの逆侵攻を警戒している。
 最終人類史側への脅威は、一先ず収まった。
 だけど。
「ここで逃してしまうと、東京湾の戦いで僕達を信じてくれた市民の皆さんに顔向けできません。しっかり終わらせましょう」
 そう意気込んだ勲が【水面走行】で向かった先は浦賀水道海域の東側――天正大戦国のディヴィジョンとなって消失している、房総半島周辺だ。
 この海域まで来ると警戒中の冥海機たちは目と鼻の先。皆、教会の霧を警戒しているとはいえ、一機でもこちらを振り返ったら厄介なことになる。
 ここでの確認はなるべく早く終わらせてしまおう。
 海面にしゃがみ込んだ勲は、単眼望遠鏡で海中や海底を覗き込んだ。
「……『信濃』は撤退を急いでいる。……なら海に何か痕跡を残しているかな……?」
 平坦な海底に痕跡や残留物がないか観察してみるが、それらしきものは見当たらない。
 『信濃』は何も残さず移動したか。或いは、この海域を航行していないのか……。
「……考えてもしょうがない」
 勲は早々に残留物探査を切り上げると、【パラドクス通信】の小型無線機を手に南東方向へと向けて走り出した。
 南東と定めたのは、多くのディアボロスたちが『小笠原諸島』の南と、『ミッドウェー島からハワイ』の東を、冥海機『信濃』の退避拠点と見定めていたからだ。
 ならば自分はその中間を埋めるように南東へ向かう。そうしたら自分が南と東の中継地点となって【パラドクス通信】の効果を確実に広げることができると考えたのだ。
 この勲の機転の効いた行動が、後に冥海機『信濃』発見時に大きく功をなすことになるのだが。
 今の彼はまだそのことを知る由もなく、南東の方角へと走り出した。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

冰室・冷桜
さーて、失敗に熱くならず、退けと言われたらしっかりと準備して退く……
東京は勝ち戦で終わったてー話だけど、こーゆー判断力のある奴は戦闘力云々抜いても厄介だと相場が決まってるわよね
首尾よく足取りを掴みたいところね

東京は勿論、沖縄や舞鶴でもドンパチしてる日本付近は基地があるにしても基本は撤退先にはならなそう
それなら、まだ未判明の基地か東方面にあったミッドウェー島かしらね

素直に考えれば直進コースが最短だけど敵に見つかりやすく、かといってコースを複雑にすると余計に時間がかかる
うーん、奴さんはどっちを取るか、もしくはどれくらい合いの子にするか
考えてもしゃーなし、当たって流れって感じで

【水中適応】を発動して海中を進んでいきましょう
最短ルート狙いでってことで、現地からミッドウェー島までの直線コースを撤退ルートと想定していきましょ
単独で追ってるだけなら向こうも下手にルート変更や攻撃も仕掛けてこないだろうからこっちも一直線に追っかけていきますか


「さーて……」
 【水中適応】を纏った冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は、海中に入るなり周囲を見回してみたが、辺りは一面の青。小魚も大型の魚も自由に泳ぎ回っている。
 当然ながら、今のところ冥海機『信濃』らしき影は見当たらない。しかし冷桜は、『信濃』の冷静さと判断力は侮れないと感じていた。
「……失敗に熱くならず、退けと言われたらしっかりと準備して退く……こーゆー判断力のある奴は、戦闘力云々抜いても厄介だと相場が決まってるわよね」
 だからこそ、好機を逃すことなく、冥海機『信濃』を叩いておく必要がある。
「まぁ、東京は私たちの勝ち戦で終わったてー話だけど、首尾よく足取りを掴みたいところね」
 と、冷桜は腕組みをして、今一度、海中からぐるりと周囲を望んだ。
 ここから西方には舞鶴があり、少し南を向けば呉に佐世保の鎮守府がある。もっと南には沖縄があるが。
「東京はもちろん、沖縄や舞鶴でもドンパチしてる日本付近は、基地があるにしても基本は撤退先にはならなそう」
 そう考察しながら、冷桜はふと東を向いた。
「……それなら、まだ未判明の基地か……東方面にあったミッドウェー島かしらね」
 自分が冥海機『信濃』だったら、この場合どう動くか。
「……素直に考えれば直進コースが最短だけど、敵に見つかりやすい。かといってコースを複雑にすると余計に時間がかかる……」
 東に向かうと見せかけて、別方向に舵を切ることも十分考えられる。
 だが、ディアボロスの逆侵攻を懸念している相手が、そんな冷静なフェイクをかませるだろうか?
 冷桜は腕組みのまま「うーん」と唸ったが、やはり『信濃』の思考は『信濃』にしかわからない。
「……奴さんはどっちを取るか、もしくはどれくらい合いの子にするか……考えてもしゃーなし、当たって流れって感じで……。それに、単独で追ってるだけなら、向こうも下手にルート変更や攻撃も仕掛けてこないだろうから。こっちも一直線に追っかけていきますか」
 そう呟くと冷桜は、冥海機『信濃』の目的地が、ミッドウェー島だと目星をつけて海中を東へと駆け出した。
 いつの間にか手に現れたパラドクス通信の小型無線機からは、仲間たちの声が続々と届いてくる。
 伊豆諸島や小笠原、相模湾、千葉北東、未だ発見に至らずという声が聞こえる中。
 冷桜の真正面、目線の先に飛び込んできたのは、大型の魚の群れ。
 なんだ魚かと呟きかけたその時。
 大型の魚の中央に、白いナニカが見えた。
「え、あれって……」
 冷桜はメガネを直すと走る速度を上げて、目の前の魚群に近づいてみる。すると、大型の魚の口からはみ出しているのは二対の白い腕。
 隊の中央に視線を移すと、白く長い尾とフィッシュテールのパレオと白髪を靡かせている個体がいる。
 あれは冥海機『信濃』。
 まさか奇を衒うことなく真っ直ぐに東へと向かっていたとは――。
「……っ、見つけたわ」
 冷桜は【パラドクス通信】用の小型無線機の通話ボタンを口元に持って行くなり通話ボタンを押した。 
「『信濃』発見したわよ。目的地は『ミッドウェー島』で間違いないわ!」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!

 ミッドウェー島を目指して航行していた冥海機『信濃』の一団は、順調に日本を離れるかに思えた。
 が、殿を進んでいた『クレータージョー』は、ふと後ろを振り返ってはっと声を上げた。
「西方、異常ありであります! 後方海中より何者かが接近してくるであります! その数1」
「何?」
 驚いた『信濃』は自分も後ろを振り返った。
 目線の先にいたのは、金色の短髪を靡かせた少女。
 だが少女は、明確に自分を捕捉し迫ってくる。
 冥海機に迫ろうと考える人間など、この世に存在し得ない。
 まさか、ディアボロスか?
 そう『信濃』が声を上げようとした呼吸を、別の『クレータージョー』が遮った。
「北方向の海上にも異常確認であります! その数1」
「は?」
 頭を上げて覗き見ると、桃色がかった銀髪の女性が走っている姿が確認できた。だがこちらは、少し驚いた様子。
 だが、北方向の人物もディアボロスだ。
 どう言うことだ。
 そう思う間もなく、また別の『クレータージョー』が声を上げた。
「後方、海面にも接近する影があります! その数1」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
光学迷彩、平穏結界、完全視界、P通信があれば積極活用
哨戒する海域は味方と手分け、有力な手掛かりあれば合わせて行動

東京の人々の想い背負う

俺は斥候役に徹しよう
迷彩コートを纏い、東の太平洋方面へ
索敵部隊が近い時は隠密優先で水面歩行か海面飛翔でやり過ごす

大洋に【飛翔】し
やや低めに、角度をつけて広範に見渡せる高度を保ち
発見されても見逃される単独か少数で行動
他の部隊と一定距離を置く

バイザーと双眼鏡で、上空から広く偵察
異変があればズームで観察
方位磁石で方角とおよその位置を確認
敵の航跡や波立ち、海上に顔出す様子を発見したら高度下げ、海面ぎりぎりから追跡する

敵は最大船速での離脱……こちらも速度を出さねば振り切られそうだ
全速力の追跡を

方角は東はミッドウェー方面を目安にし
もし南へ逸れていたら小笠原方面へ切替を

敵に発見され攻撃が飛んできたら、一旦撃ち落とされた演技で水飛沫あげ、反撃は行わず
海面の高さで再追跡
ガードアップと魔力障壁で防御

敵の有無情報は、味方に通信で伝達
通信外なら洋上に発光ブイを残す


 パラドクストレインのドアを飛び出してすぐに、青空色の翼を広げて【飛翔】したのは、ブルー系の迷彩コートに身を包んだエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
 だったが、即座に急降下。海面をスレスレで飛翔する作戦に切り替えた。
 境界の霧付近の冥海機が、意外と近くに感じられたからだ。
 予知での『信濃』は「少数の敵ならば見逃しても問題無い」と言っていた。が、やはり過去の報告書を思い起こすと、【飛翔】のリスクは拭いされない。
 東京湾岸に住まう人々、ひいては東京、最終人類史で自分たちを応援してくれている人々を思えば、ここで確実に『信濃』を探し出さねばならない。
 そのためのリスクは最小限に留めるのも必要だと考えた。
 だが、超低空飛行……浮遊するサーヴァント程度の低さなら見つかりにくいのではないか。
 羽撃く際に大きな翼の先が海面を叩いてしまいそうだけど、高度を上げすぎて東京湾に配備されている冥海機に見つかったら本末転倒。 
 エトヴァは自分と同じくミッドウェー方向を目安に東へと走る冷桜を見かけると、彼女の南側をを低空飛行で進んでいく。
 しばらく海面飛行で東へと進んでいくと、エトヴァの元へと現れている小型無線機がピッと音を立てた。
 それは、同じく東へと哨戒していた冷桜からの『信濃』発見の知らせ。
 この電波が受信できたということは、冥海機『信濃』は自分の半径1キロメートル以内にいるということ。
 エトヴァは今一度双眼鏡を覗き込んで前方の海域を伺ったみた。すると斜め左方、方位磁針で言うところの東北東の方角に見えたのは、黒い影に守られるように東へと進む白い影。
 双眼鏡のズーム機能を使ってしっかり確認したいところだが、仲間がその姿を捉え、自分も同じモノを捕捉している。
 と言うことは、あれは冥海機『信濃』の軍隊と見て、ほぼ間違い無いだろう。
 エトヴァは小型無線機を口元に持っていくと、通話ボタンを押して応答する。
「俺も斜め左にそれらしき機体を発見した。行き先もミッドウェー島で間違いないだろう。おそらく先の一報は皆には届いていないだろうから、俺から、南にいる仲間に伝えよう――」
 と、通話ボタンを押したまま、自分より南にいる仲間たちに告げる。
「『信濃』部隊は東――ミッドウェー島に向けて航行中。小笠原方向や相模湾を哨戒中の仲間にも伝えてほしい」
 すると、自分よりも南を哨戒していた勲が自ら中継役を買ってくれた。
「ありがとう、よろしく頼むよ」
 エトヴァは勲に礼を伝えると低空飛行のまま、ぐんと左に舵を切って翼を羽搏かせた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

 三人のディアボロスに捕捉された冥海機『信濃』は、息も荒く歯を軋ませた。
「くっ、後方から……!? そちらの方向に、ディヴィジョン境界の霧は出ていない筈……!」
 境界の霧が発生しているのは、ここから見て西の東京湾内。それに、霧の手前には無数の冥海機を配備して、ディアボロスによる逆侵攻に備えていた。
 対策は万全だったはず。
 ではなぜ、こ奴らは『信濃』の後ろにいる!?
 思考を巡らせ巡らせた『信濃』の脳裏に、一つの可能性が浮かび上がる。
 ディアボロスが持つ『時空間移動用・列車型パラドクス』――パラドクストレインの存在だ。
 パラドクストレインでディヴィジョンを超えれば、わざわざ境界の霧を越えて来ずとも冥海機『信濃』を追うことは可能だ。
「この『信濃』としたことが……例の列車による転移を侮りましたか……!」
 悔しげに呟いた『信濃』だったが、三人のディアボロスを見据えるなり、ふと鼻で笑う。 
 ここでディアボロスとの戦闘を回避し離脱しようとしても、ミッドウェーまでは約4,000km。到底逃げ切れる距離ではない。
 ならばディアボロスを早々に撃破してしまった方が利があると、『信濃』は考えたのだ。
「敵は少数です。速やかに撃破し、ミッドウェー拠点に向かいます。総員、戦闘体制に入りなさい!」
 配下の『クレータージョー』に命ずれば、彼女たちは「了解であります!」と敬礼し、ディアボロスを見据える。
『信濃』もその青い瞳でディアボロスを補足すると、彼女の艤装もディアボロスを喰らわんとばかりに不気味に牙を向いた。

 蒼い穹と碧い海だけが、この戦いの行く末を見つめていた。
荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
奴らを見つけてくれて感謝するよ。おかげで間に合った
そこを退いてもらうぞ。スクラップ
俺たちは信濃に用があるんだ!
信濃には以前、横須賀鎮守府を強襲した時にとんでもない土産を貰って重症になったんだ。絶対に借りを返してやる!

【行動】
頓珍漢な方に行ってたから教えてくれた仲間達には改めて感謝する
パラドクス通信などで仲間と声を掛け合い積極弟に連携していく

戦闘前だとちょっと遅いかもしれないが
通信障害を使って連絡を取れないようにしておこう

水面走行を使用して行動
攻撃は電光警棒の電流制限を解除し
鞭状の電撃を伸ばし打ち据えるように攻撃する

敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ
電光警棒の鞭状の電撃は長さは決まっているが
その範囲内ならば軌道を自由に操作できる
防ぎ切った後に攻撃に転じるのもありだろう

必要なら臨機応変に対処する


夏候・錬晏
※連携アドリブ歓迎

ついに『信濃』を見つけたか
仲間からの吉報に偃月刀を持つ手に力が入れば
救援機動力を活用して先行している仲間の元へ駆けつける

『信濃』と会話をする仲間を援護するため、俺は周りの護衛たちを相手取り<時間稼ぎ>を
戦意の昂りに呼応するように朱殷の闘気で形成した怒龍を偃月刀にまとって臨戦態勢になる

【水面走行】で水面に構え、腰を据え、<精神集中>
クレータージョーの初動を<看破>すれば、逆にこちらから近接し、咆哮の<衝撃波>を至近距離で叩き込む
水中で怒龍が牙をむき敵陣を<撹乱>することで『信濃』への道を切り拓く立ち回りを

反撃の牙を右腕の大籠手で受け止めれば、それは避けようもないほどの距離
偃月刀の<薙ぎ払い>を深く穿ち、確実に討ち取っていく

海上で【泥濘の地】の効力がどうなるかはわからないが
通常の水とは異なる状態であれば、クレータージョーらにひっかけ、一瞬でも隙を作り出した仲間の攻撃へ繋げ、どんどんと敵陣を崩していく

トウキョウの民たちの安寧を脅かしたんだ
無傷で逃げられると思うなよ


エレノラ・ブルーノ
「信濃が見つかったか……」
(七曜の戦いの前哨戦、横須賀鎮守府攻撃の際に鎮守府から放たれた双頭の艤装と静かな青い双眸、そしてやられた痛みが思い出され)
……横須賀鎮守府では手酷くやられたものだ……だが、恨みはない。己の未熟の結果だ。
私はただ、主の命に従い、クロノヴェーダはそのことごとくを滅するのみ。
まずは雑兵からだな。

クレータージョー、相手取るのは初めてではない。
パラドクス『聖罰の光剣』。主より賜りし聖なる光を束ねた十二の光剣にて相手どろう。
相手の念動冷気は脅威ではあるが、【水上歩行】と【水中適応】を駆使して回避につとめ、さらには周囲に浮かべた《守護の十光剣》をもって切り払う。仮に受けたとしても、私には主より賜りし《神気》の加護と、この《特化戦闘服》の守りがある。

隙を見て《守護の十光剣》を飛ばして攻め立て、動きを封じ、両手の《聖罰の双光剣》をもってその身を刻み、心の臓に刃を突き立て確実に止めを刺す。

「灰は灰に、塵は塵に、土は土に……海の藻屑たる冥海機は再び藻屑へと還れ」


 救援機動力で、ディアボロスたちが続々と『千葉沖』に集ってくる。
「ついに『信濃』を見つけたか」
 仲間からの吉報を聞いた夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)が凪いだ海面を駆けて、現場にたどり着いた。
  荒田・誠司(雑草・g00115)は、『信濃』の尻尾を掴んでくれたであろう仲間たちに礼を伝える。
「奴らを見つけてくれて感謝するよ。おかげで間に合った」
 少し上がった息を深呼吸で整えると、今度は【パラドクス通信】の無線機を口元にあて、まだこちらへと向かっている仲間へと伝えるためだ。
「『信濃』一軍は、境界の霧から見てやや南東の方にいる。この通信が聞こえたら、以南または以東にいる皆にも伝言してほしい」
 そう告げて通話ボタンから指を離した誠司が見据えるのは、『クレータージョー』に守られるようにそこに御座す、冥海機『信濃』。
 横須賀鎮守府強襲時に重傷を負わされた、憎き敵だ。
 エレノラ・ブルーノ(“光輝の乙女”・g09980)もまた、横須は鎮守府強襲の際に『信濃』に癒し難い傷を付けられた一人だ。
 鮮やかな緑の瞳で見据えるあの双頭の艤装と静かな青い双眸は今でも忘れない。そして刻まれた傷がしくしくと疼く。
「……横須賀鎮守府では手酷くやられたものだ。……だが、恨みはない。己の未熟の結果だ」
 私はただ、主の命に従い、クロノヴェーダはそのことごとくを滅するのみ。
 そう呟いてエレノラが視線を送った先には、冥海機『クレータージョー』
「まずは雑兵からだな」
 錬晏も哨戒を担ったディアボロスに対し短く礼を告げると、目の前にいる冥海機『信濃』を見据える。
「……トウキョウの民の安寧を脅かしたんだ。無傷で逃げられると思うなよ?」
 愛刀『偃月刀』の柄を握る左手をキュッと鳴らし、その鋒を『信濃』と『クレータージョー』に向ける。
「我らは雑兵ではないであります!」
 と、まず先手を取ったのは『クレータージョー』。
 ディアボロスたちはそれぞれのやり方で防御し反撃を繰り出すと、次は自分たちの番だと各々の獲物を構えた。 
 哨戒活動ではアテが外れてしまったから、せめて戦闘では仲間に貢献したい。
 誠司は電光警棒を振って伸ばし電流制限を解除すると、警棒にまとわりつく電流が大気中の塵をバチバチと焼いてスパークを放ち始めた。
「そこを退いてもらうぞ。スクラップ。俺たちは、そいつ――冥海機『信濃』に用があるんだ!」
 警棒を振るえば、鞭状の電撃が『クレータージョー』のを打ち据えて薙ぎ払う。
 すると薙ぎ払われた『クレータージョー』は悲鳴をあげて吹き飛ばされ、電撃をモロに食らった海戦装内部からバチバチとショートし始める音が漏れた。
 だが、『クレータージョー』たちは体制を立て直すなり赤い瞳で誠司をキッと見据え、
「ビリビリしたでありますが……」
「我々はスクラップでは無いであります!」
「『信濃』様付き、精鋭冥海機であります!」
「突撃であります!!」
 口々に宣言すると誠司目掛けて高速で泳ぎ始める。
 深海魚型海戦装の牙によって誠司を噛みちぎるためだ。
 少し油断すれば、『クレータージョー』の海戦装から生える牙は目と鼻の先。
「……お前らスクラップ如きにやられる俺じゃない!」
 気合い一閃。
 吠えた誠司はラウンドシールド『フェイク・プリドゥエン』を構えると、『クレータージョー』たちの猛攻と圧力に耐える。
 シールドにガツガツと当たる牙の重圧と猛攻に耐えながら、誠司が憎しみを持って見据えるのは、冥海機『信濃』。
 歯を軋ませた彼の脳裏に蘇るのは、横須賀鎮守府強襲の際に対峙したあの日に受けた屈辱だ。
「俺は『信濃』にとんでもない土産を貰って重症になったんだ……! 絶対に借りを返してやる!!」
 誠司がシールドを押し返せば、後ろへと跳ぶ『クレータージョー』。
 手負いとはいえ、護衛の冥海機がいては、『信濃』との会話もままならない。
「仲間のためにもここで仕留めよう」
 錬晏は海面にて腰を据えると、感じるのは戦意の昂り。それに呼応させるように『朱殷の闘気』を怒龍の姿に変えて愛刀『黒龍偃月刀』に纏わせると、黒龍の刃と赤い怒龍が敵を睨む。
 戦意の昂りの中においても、確実に精神を集中させる。そして、こちらを向いた個体が動き始めるその前に、緩く結った黒髪を靡かせながら海面を蹴った。
「咆えろ」
 振り上げた偃月刀の柄を『クレータージョー』の目前の地面に叩きつける。すると、衝撃波とともに一帯を揺るがすのは、黒龍の咆哮。
 衝撃波に吹き飛ばされた『クレータージョー』たちは悲鳴を上げながら吹き飛ばされていく。それを牙を向く怒龍で撹乱すれば、精鋭冥海機たちを『信濃』から完全に引き剥がした。
 だが、攻撃には反撃が待っている。
 錬晏は『信濃』へと向かう仲間たちから距離を取るため、後方へ飛んだ。そして向かってくる『クレータージョー』を琥珀色の瞳で見据えると、高速で迫り来る牙の猛攻を右腕の大籠手で次々と受け止めながら、左手で愛刀の柄をぐっと握った。
 やがて錬晏の薙ぎ払いにより、彼の大籠手から離れた『クレータージョー』。
 エレノラはその動きを見据えながら、両手に構える愛刀『守護の十光剣』を輝かせ始めた。
「クレータージョー、相手取るのは初めてではない」
 ただ、この個体は精鋭。侮ることなく確実に仕留めていきたい。
「――光の剣よあれ――」
 唱えればエレノラの周りに十本の光の剣が現れ、それぞれが煌々と輝き出す。
 と思ったが刹那。十本の光の剣はまるで自由意志を持つかのように動き始めると、その鋒を攻撃を回避しようと走り回る『クレータージョー』へと突き立てていく。
 光の剣に串刺された『クレータージョー』の断末魔の悲鳴が海域に響きわたる。
 だがエレノラ自身も負けていない。金色の髪を靡かせながら水面を駆け回ると、自分の一番近くにいた個体に急接近。
 深海魚型海戦装の上に乗ると『守護の十光剣』を掲げ、冷徹な視線をその黒い背に落とすと。
「灰は灰に、塵は塵に、土は土に……海の藻屑たる冥海機は再び藻屑へと還れ」
 その頭部の奥にある『クレータージョー』の少女部分の心臓目掛けて、光の剣を突き立てた。
 激痛に叫び声を上げた『クレータージョー』。だがまだ息はある。
 けれど、自在に動く十の光剣も、致命傷は与えたはずだ。
 エレノラはすぐさま後ろへと跳ぶと、少女部分が殺意を収束させることで出現した『念動冷気』
の放出に備えて愛刀を構え。
「私には主より賜りし『神気』の加護と『特化戦闘服』の守り、そしてこの剣がある」
 と、次々と放出される輝ける冷気を凌いでいく。
 そして冷気が全て消え去った頃。
「……『信濃』様……、申し訳ない……で、あります……」
「『信濃』様、に、栄光あれ……!」
 口々にそう呟きながら『クレータージョー』と呼ばれた精鋭冥海機は全て絶命し、太平洋の深く暗い海の底へと沈んでいった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV3になった!


「……ディアボロス……まさかここまでの力とは……」
 配下である精鋭冥海機『クレータージョー』を失ったジェネラル級冥海機『信濃』は、青い瞳を鋭く光らせて砂を噛むような表情を浮かべていたが。自分に向けて進みくるディアボロスを見るなり動揺を隠すように普段通りのポーカーフェイスをみせる。
 今の彼らに戦意は感じられない。
 だがこ奴らはいつ牙を向くかわからない。
 今もこの『信濃』を大破沈没させんと続々と集まってくる者の目は皆鋭い。
 いつしか大本営への通信も阻害され、救援すら願えなくなっている。
 万事休すとは、まさにこの事だろう。

 一方のディアボロスは、史実において山深い信濃国へと辿り着くため、山を越え谷を越え、峠道を切り拓いた先人たちの如く仲間たちが切り開いた道――冥海機『信濃』への道を進んでいく。
ワシリーサ・ヴォレシア
アレンジ連携歓迎

心情
ミッドウェー、大日本帝国が大敗した場所かあ
其処に向かう所を補足出来たのはゲン担ぎ的にも良かったかも?

襲撃を指揮してるジェネラル級が島津がしたみたいに縁を辿ってやってきたとするなら……島津と違って冥海機は一度侵攻しているし島津よりは容易になるだろうし

やりあった過去がある、或いは所属していた艦艇の冥海機とか?

会話
聞きたい事は色々あるけど流石に三笠とか出雲がロマノフに侵攻を目論んでないかなんて聞いても答えないだろうし……聞く事は一つ
オーストラリアを攻めてるのは……オーストラリア海軍のパース?
其れとも加賀や飛龍、蒼龍と言ったオーストラリア空襲組かな?
縁深い赤城がオーストラリアで果ててるし加賀は最有力候補なんだけどどうかな?

〇水面走行で接触
オーストラリア侵攻を行うジェネラルをオーストラリアと縁ある加賀や飛龍、蒼龍、パース辺りでないかと予測をつけ質問
当たっていれば言い当てられて動揺するだろうし違っていても何らかの反応が出て其れで色々判断できるだろうから情報を得る為しっかり観察


 救援機動力で冥海機『信濃』の元へと進んでいくワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は、時折吹く海風に長く白い髪を靡かせながら、目の前の冥海機を見つめた。
 この冥海機『信濃』が目指した先はミッドウェー島。史実において、大日本帝国が大敗を喫した因縁の島だ。
「……其処に向かう所を補足出来たのは、ゲン担ぎ的にも良かったかも?」
 そう呟いて、『信濃』の目前まで歩を進めた。
「あなたに聞きたい事は色々あるけど、流石に『三笠』とか『出雲』がロマノフに侵攻を目論んでないか……なんて聞いても、あなたは答えないでしょ?」
 ワシリーサが問いかけると、『信濃』は目の前の小さなディアボロスを横目で伺って。
「さて、どうであろう。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。真実は自分の目で確かめるがいい」
 と、煙に巻いて言い捨てるように告げた。
 ワシリーサは息をひとつ突いて「そう言うと思った」と呟き、続ける。
「……ならば、聞く事は一つ。オーストラリアを攻めてるのは……オーストラリア海軍の『パース』? 其れとも『加賀』や『飛龍』、『蒼龍』と言ったオーストラリア空襲組かな?」
 何体か、有力冥海機の名を挙げてみる。当たれば『信濃』の表情や態度に変化が現れると思ったのだ。
 しかし、それを聞いた『信濃』の表情は変わらない。
 ならばもう少し押してみよう。
「わたしとしては、縁深い『赤城』がオーストラリアで果ててるし、『加賀』は最有力候補なんだけど、どうかな?」
 当たってる? と微笑みながら小首を傾げてみる。
 オーストラリア襲撃を指揮してるジェネラル級が、沖縄を襲撃した島津軍のジェネラル級天魔武者、薩摩隼人『島津豊久』がしたみたいに『縁』を辿ってやってきたとするなら……。
 そんな島津と違って冥海機は一度侵攻しているし、島津よりは容易になるだろうし。
 やりあった過去がある、或いは所属していた艦艇の冥海機が怪しいと、ワシリーサは読んだのだ。
 けど、『信濃』は気持ちをおくびにも出さない。ただ静かに自分を見下ろしているだけ。
 何の反応も示してくれなきゃ、自分の予想が当たってるか当たっていないかわからない。
 ワシリーサは、思わず不満げに顔を崩してしまいそうになったけど。もう少し粘ってみる。
 これは自分と『信濃』の我慢比べだと思ったのだ。
 すると『信濃』は、
「……冥海機の名前をそれだけご存知だということは、たくさん勉強されたのですね」
 と、口角の端を上げたけど。
「……『プリンス・オブ・ウェールズ』の後を継いだのは……『コロラド』だったでしょうかね?」
 独り言のように話し始めると頬に手を当て、ふと斜め上に目線を飛ばした。
 一見、ワシリーサの問いを無視したような回答。
 だけど、これも大事な情報になり得るかもしれない。皆、『信濃』の次の言葉を静かに待った。
「……まぁ、敵拠点の襲撃であれば、私のような空母が相応しいでしょう。その見地から言えば、『神鷹』こそ相応しいはず……いえ、戦艦と空母の能力を併せ持つ、『伊勢』や『日向』も捨てがたいですが。勿論、奇襲作戦である事を鑑みれば、潜水艦や駆逐艦という事もあるかもしれません……駆逐艦ならば、史実でイギリス海軍からオーストラリア海軍所属となった、『HMASヴァンパイア』は、出自としては最もふさわしいかもしれませんねぇ?」
 手振りを添えて饒舌に冥海機の名を上げていくが、何か閃いたように空を見て、ワシリーサに視線を移した。 
「……実はこの私、『信濃』が、東京湾攻略の片手間にオーストラリアを攻めていた……というのはどうでしょう?」
 と、目を細めた。
 人を煙に巻くような物言いに、カチンと来なかったといえば嘘になる。だけど、ワシリーサはにっこりと微笑んで『信濃』に言葉を返す。
「……それは面白い話だね。東京湾とオーストラリアの往復は、さぞ大変だったでしょ?」
 そう労ってみせ、続ける。
「それに私、船のことが好きなの。だからたとえ建前だとしても、あなたに褒めてもらえて光栄だったよ」
 ありがとう。
 そう礼を告げて、ワシリーサは海面を数歩下がった。
 下がりながら考察するのは、『信濃』の言葉の信憑性だ。
 冥海機『信濃』の言葉の大半は、当然だけど嘘偽りに過ぎない。
 だが、イギリス海軍とオーストラリア海軍に所属したという『HMASヴァンパイア』についての話は信憑性がありそうな感じはした。
 オーストラリアを数撃したのが駆逐艦の冥海機であるのか、それともイギリスか海軍からオーストラリア海軍所属になった駆逐艦以外の冥海機であるのか。或いは、そのものずばり『HMASヴァンパイア』であるのかまでは判らない。
「……全てが真実ではないにしろ、あの言葉には何か真実が含まれているはず……。『信濃』が名を並べた冥海機に関しては、調査する必要がありそうだね」
 腕を組んで呟いたワシリーサの言葉に、ディアボロスたちは頷いて答えた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!

月鏡・サヨコ
……ん、私は読みを外してしまったか
翔鶴が待つ小笠原諸島やその手前の伊豆諸島でなく、遠路はるばるミッドウェーまで向かおうとするとは、大胆な行動
……あの海域の方面に大規模な拠点が存在する可能性が、少し高まったか

会話が傍受されぬよう【通信障害】を発動
攻略旅団の方針に従い、「太平洋中央にあったとされる伝説上の大陸」について訊く
大陸の存在には正直懐疑的だけど、何らかの拠点の識別名に用いられていないかは確かめておきたい

南方に向かえば、より早く友軍と合流できるだろうに……信濃、あなたは敢えて東に向かった
実際、虚を突かれそうになった
見事な舵取りだったと言っておく

しかし、単に予想を裏切ろうとしただけではないだろう
ミッドウェー方面には、日本近海のものとは比べ物にならない重要な拠点が待っているはず

黄金海賊船エルドラードと対峙するための、大規模拠点
以前「ムー」や「パシフィス」などの暗号名で呼ばれていたそれが、島なのか巨大な軍艦なのかは兎も角……確かに存在する
あなたの挙動はそれを証明した

……さて、どう反応する?


 ワシリーサと入れ替わる等に冥海機『信濃』への道を征くのは、顎先までの前髪と風に靡かせた月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)だった。
 哨戒作戦では『信濃』の行き先を読み間違えてしまったが、『翔鶴』が待つ小笠原諸島やその手前の伊豆諸島ではなく、遠路はるばるミッドウェーまで向かおうとする大胆な行動に着目する。
「……あの海域の方面に大規模な拠点が存在する可能性が、少し高まったか……」
 サヨコはさらに【通信障害】の効果を広げながら、その目前へと辿り着いた。
 皆が情報を求めている『太平洋中央にあったとされる伝説上の大陸』の存在には、サヨコ自身は正直懐疑的である。だがしかし、その大陸が、何らかの拠点の識別名に用意られていないかは確かめておきたかった。
「……南方に向かえば、より早く友軍と合流できるだろうに……『信濃』、あなたは敢えて東に向かった。実際、私は虚を突かれそうになった」
 実際、東への航行は南方向へのフェイクだと予想し、小笠原に向かうと予測して南へと包囲網を張ったディアボロスは多かった。
「……見事な舵取りだったと言っておく」
 悔しいが、そう言わざるを得ない。
「しかし、単に予想を裏切ろうとしただけではないだろう。ミッドウェー方面には、日本近海のものとは比べ物にならない重要な拠点が待っているはず。黄金海賊船エルドラードと対峙するための、大規模拠点……以前「ムー」や「パシフィス」などの暗号名で呼ばれていたそれが『島』なのか『巨大な軍艦』なのかは兎も角……確かに存在する。あなたの挙動はそれを証明した」
 語気を強めて言い切ったサヨコは、『信濃』をぐっと見据えた。
 ……さて、どう反応する?
 サヨコをはじめ、数多くのディアボロスが見守る中、『信濃』はただ黙ってサヨコを見下ろしていたが。
 しばらくして、しんとする海洋上に微かに聞こえたのは、冥海機『信濃』の苦笑。
「随分と想像力が豊かですね。楽しいお話をありがとうございます。……ですが」
 そう語気を強めた『信濃』の表情に、苦笑の色はない。
「視野は狭いようですね」
 と告げるなり『信濃』は口を噤んでしまった。
 これ以上の尋問は不可能だと誰もが思い、サヨコも軍帽を深く被り直すと冥海機『信濃』も見上げることなく。
「……忠告いただき感謝する」
 と告げて、『信濃』に背を向けた。
 冥海機『信濃』の一連の反応から、ディアボロスは悟っただろう。
 実際に自分たちの力で太平洋上に出てその海域を調査しなければ、太平洋上に『伝説上の大陸』があるのか『巨大艦隊』があるのかは判明しないだろう、と。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【通信障害】がLV2になった!
効果2【グロリアス】がLV2になった!


 冥海機『信濃』から聞き出せる情報は、もうないだろう。
 時折吹き渡る海風がディアボロスと冥海機『信濃』の髪や服を揺らす中、ディアボロスたちはそう悟るなり各々の得物を構えて臨戦体制に入った。
 冥海機『信濃』もまた、自分を囲んで敵意や殺意をむき出しにしているディアボロスをぐるり見回しながら、
「……で、話は終わりか?」
 と、静かで冷たい海のような青い瞳を光らせた。
 だが、『信濃』の心中は穏やかではない。
 何が原因なのか定かではないが、通信を阻害されてしまっている。そのため大本営との通信も不能であれば、救援もない。東京湾に配備している冥海機を呼び寄せようにも、『信濃』の声は届かない。
 まさに四面楚歌。
 だが、今更ディアボロスを振り切って、ここから4,000キロメートル先のミッドウェー島まで逃げようなどという考えは微塵もない。おめおめと逃走を図るなど、ジェネラル級冥海機の矜持に反するからだ。
 ならばこのポイントを、冥海機『信濃』の墓場として華々しく散るとしよう。
 そう腹を括る。
 だが簡単にこの命をくれてやるわけにはいかない。
「――全身全霊でこの『信濃』に挑んで来い、ディアボロス!!」
 冥海機『信濃』は高らかに吠えるなり、艦載機型の使い魔を召喚して広範囲に爆撃を仕掛けた。
 その爆発音が戦闘開始の合図。
 今、浦賀水道海上決戦の火蓋が切って落とされた。
荒田・誠司
【奴崎組】
アドリブなど歓迎
仲間を呼ぶ時は名前の左側を呼び捨て

【心情】
やあ、覚えていないだろうが横須賀で直々にお土産を貰ったディアボロスだ
あれは自分の落ち度とはいえ重症を負ったんでな。せっかくだしお土産のお礼をしに来た

【行動】
仲間とはパラドクス通信で連絡を取り合いながら積極的に連携していく

接敵する前にパラドクスを使用して発動すると影や気配も隠蔽するバッチ型のステルス装置を起動せずに装着しておく

初めは水面走行を使い接敵

敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ

先手を譲り盾で攻撃を受けつつ水面走行から水中適応に切り替えて潜りながら
バッチ型の装置を起動し身を隠す
そのまま水中から敵の死角に回り込み暗殺の技能を使いつつ
再び水面走行に切り替え浮上電光警棒で一撃を加える
一撃で倒したもしくは大ダメージを与えたと思わせて姿を隠して不意打ちしてやる

必要なら臨機応変に対処する


 荒田・誠司(雑草・g00115)は海面を走り出すなり、発動させたのは『姿無き攻撃』。
 自分の気配や影、装備品に至るまでの全てを敵に感知されるのを防ぐステルス装置を即席で製作・装備していた誠司も、シールド『フェイク・プリドゥエン』で冥海機『信濃』の流式爆撃戦術の爆撃を防ごうとした。。
 だが、到底無傷で走り抜けられるわけではない。爆発による炎と熱風は凄まじく、容赦なく誠司の体を焚いていく。
「……ぐっ……!」
 流石はジェネラル級冥海機『信濃』の攻撃。
 使い魔の攻撃としてもその火力は重く、思わず呻き声をあげてしまった誠司の脳裏に蘇るのは、あの日の悪夢の光景。
 だが、ここで黙って焚かれる誠司ではない。
 前のめりに倒れ込みながら足元の凪いだ海面をたんと踏み鳴らし、【水中適応】の効いた海中へと沈み込むと、ステルス装置を起動させた。
 そして『信濃』の背中側に回り込むなり水面へと飛び上がると、『電光警棒』を振り上げた。
 が。
 『信濃』が自分を振り返った。
 なぜ『信濃』が振り返ったのかはわからない。気配が漏れ出たか、それとも――。
 だが、動揺している場合ではない。
 一瞬一瞬の迷いが命取りになる。
 冷徹に揺らぎ光る瞳の中に煤けた自分の姿が見えたが、誠司は迷いなく『電光警棒』を振り下ろした。
「っ!」
 電撃は『信濃』の呻き声を誘い、その白く整った顔を焼き、長く降ろしていた前髪も焼き切る。
 海風にさらわれ彼方へと飛ばされていく『信濃』の長い髪に目もくれず、凪いだ水面に着地した誠司は精悍な表情で『信濃』を睨みながら告げる。
「……覚えていないだろうが横須賀で直々にお土産を貰ったディアボロスだ。あれは自分の落ち度とはいえ重症を負ったんでな。せっかくだしお土産のお礼をしに来たぜ」
 やっと憎き冥海機『信濃』に一矢報いることができた。
 喜びに震えそうになる手に力を込めて。誠司が『電光警棒』を振るい空を切ると、電撃の弾ける音とともにビュンと海風が甲高く鳴いた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

月鏡・サヨコ
横須賀、そこは私の魂が生まれた場所だった
今となっては、ヤ・ウマトで過ごした全てが虚しいけれど……
それでも、忘れたわけじゃない
あの街を支配し命を弄んできた者を、赦しはしない
全ての死者と、今を生きる人々のため……これより、敵戦隊旗艦を撃滅する

集中爆撃で一網打尽にされないよう注意しつつ、艦載機の対応能力を超えた攻撃を浴びせるべきだ
仲間と【パラドクス通信】で連携し敵を取り囲むように動いていく

【水面走行】で接近戦の間合いまで近づいたなら、相棒の桂と共に仕掛けよう
まず【水中適応】で海中に身を潜めていた桂が、≪怪力光線砲『狗號』≫による牽制砲撃を実行
砲口に渦巻くエネルギーの発光と音を敵に印象付けた上で、逆方向から私が斬りかかる
――『月鏡流抜刀術・迅雷風烈』
電磁加速された神速の居合斬撃を、敵の胴を海戦装ごと両断せんばかりの勢いで振るう

反撃の艦載機は≪巡洋戦艦海戦装『黒姫』≫による弾幕で撃墜し
討ち漏らしの攻撃は≪海戦装用増設防盾≫で耐える

戦争の亡霊が、今の東京にあるべきではない
……波に抱かれて、静かに眠れ


 月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)にとっての横須賀鎮守府は、サヨコの『魂』の生まれ故郷だった。
「……今となっては、ヤ・ウマトで過ごした全てが虚しいけれど……それでも、忘れたわけじゃない。私はあの街を支配し命を弄んできた者を、赦しはしない」
 キッと目の前の冥海機『信濃』を見据えると、凪いだ海面を駆け出した。
「全ての死者と、今を生きる人々のため……これより、敵戦隊旗艦を撃滅する」
 宣言し、『信濃』の目前まで迫ったサヨコの微かな合図とともに水中より姿を現したのは、パンツァーハウンドの『桂』。
 桂の登場と同時に彼の砲台から放たれる牽制砲撃は、エネルギーが渦巻き放つ光と共に、激しい音を放った。
 だが、流石ジェネラル級冥海機。『信濃』は一切の動揺を見せない。
 けれどサヨコは構わず『対艦軍刀『銀鉤』』の柄を握り込んだ。
「──屍を戦野に曝すは、固より軍人の覚悟なり」
 ――『月鏡流抜刀術・迅雷風烈』。
 唱えれば鞘から電磁誘導加速機構によって愛刀が超高速で射出。その勢いを借りて『信濃』の胴を海戦装ごと両断せんばかりの勢いで振るい、斬り割いた。
 全ては、あの場所で命を散らした全てのため。
 そして、今日を生き、明日へ希望を見出そうとしている人々と、自分のため。
 刀の残像と共にビュンと風が鳴き、宙に飛んだ鮮血は『信濃』の物。
『信濃』は一瞬、何が起こったのかわからずにいたけど。自身の腹が裂かれている様を見るなりサヨコを睨み見据えると、後方に跳んだサヨコに向けて飛行甲板に止まっていた無数の艦載機型エネルギー塊を発射した。
「先ほどの雷撃で額のみならず、この『信濃』の腹を割くとは! これでこそ戦争だ!」
 『信濃』の言葉に呼応してた艦載機型エネルギー塊は、容赦なくサヨコを焚いていく。『巡洋戦艦海戦装『黒姫』』での弾幕も用意できない。
『海戦装用増設防盾』でも、パラドクスの反撃を防ぐことは難しい。
 それでも盾を構え爆炎の向こうの『信濃』を見据えて、サヨコは思う。
 ―― 戦争の亡霊が、『今』の東京にあるべきではない。
 ……波に抱かれて静かに眠るべきだ――。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

呉守・晶
アドリブ歓迎

信濃、史実だと艤装が完了しないまま撃沈された未完の空母にして大和型戦艦3番艦になるはずだった軍艦だったな
長女にあたる大和は断片の王か?と聞いたところで答えがかってくるはずもねぇわな
まぁなんだ、防いだとはいえ最終人類史への襲撃を企ててくれた礼はたっぷりとしてやらねぇとなぁ!

残留効果の【水面歩行】を使って、海面を走って突っ込むぞ!
艦載機型エネルギー塊は避けられるものは可能な限り避けて、どうやっても避けられないものは魔晶剣アークイーターを持つ右手と急所だけ庇って左腕や両脚は最悪、盾にするぞ
足がやられた場合は移動方を【飛翔】に切り替えて、海面をホバー移動するように超低空飛行するぜ
剣の間合いまで踏み込んだら、魔晶剣アークイーターの封印を一部解除して巨大な牙と口のような異形の大剣に変異させて叩き斬るぞ!

よぉ、横須賀鎮守府のトップだったなら直接じゃないにしろマスターテリオンとやり合ってたのはお前か?
マスターテリオンにトドメを刺した一撃をテメェにも喰らわしてやるよ!
喰い破れ、アークイーター!


 史実で『信濃』といえば、艤装が完了しないまま撃沈された未完の空母『信濃』。
 そして、大和型戦艦3番艦になるはずだった軍艦。
 だったら、長女にあたる『大和』は断片の王か?
「――なんて聞いたところで、答えが返ってくるはずもねぇわな」
 魔晶剣『アークイーター』の柄をぎゅっと鳴らしながら、呉守・晶(TSデーモン・g04119)がため息混じりに呟いた。
 死を覚悟した戦闘中に自らの王の正体をバラすジェネラル級クロノヴェーダなど、どこを探しても存在するはずがない。
「……まぁなんだ。防いだとはいえ、最終人類史への襲撃を企ててくれた礼はたっぷりとしてやらねぇとなぁ!」
 そう自分に発破をかけた晶は、愛刀を手に凪いだ水面を駆け出した。
 だが、冥海機『信濃』は抱えた飛行甲板から無数の艦載機型エネルギー塊を発射し、晶をチラと見た。
 標的は自分だ。
 本能で悟った晶は、艦載機型エネルギー塊の回避を試みる。が、一撃かわしても次の一撃を喰らってしまう。
「……くそっ!」
 焼かれて走る激痛に歯を軋ませた晶はその場で足を止め、右半身を引き愛刀を握る右手を体の後ろに庇うと、左半身――左腕を盾にした。
 愛刀を握る右腕と急所さえ守れていたら、いっそ左腕と脚は焼かれても構わない。
 だが、好機は決して逃さない。
 砲撃が止んだと同時に傷ついた脚で一気に間合いを詰めて剣の間合まで踏み込むと、魔晶剣『アークイーター』に掛けていた封印の一部するべく――。
「――コード捕食剣「貪リ喰ラウモノ」っ!」
 と唱えた。
 すると剣は巨大な口から巨大な牙を生やした異形となる。
 晶はそれを振りかぶると『信濃』目掛けて叩き落とした。
 『信濃』は咄嗟に腕を盾にしたのだろう。袖が大きく食い千切られるように敗れ、信濃の腕も噛み斬られたように抉れる。
 こんな近接で元横須賀鎮守府の支配者にお目にかかるのも、これが最後だろう。晶は『アークイーター』を振り下ろしたまま、顔だけ上げて『信濃』を見据えた。
 晶には冥海機『信濃』に聞いておかねばならないと思っていたことがあったのだ。
「……横須賀鎮守府のトップだったなら、直接じゃないにしろ『マスターテリオン』とやり合ってたのは、お前か?」
 すると冥海機『信濃』は肉が抉れた腕を振るうなり、嗤うでもなく睨むでもなく無表情のまま、こう答えた。
「アレを撃破したのはお前たち、ディアボロスだろう?」
 それは晶にとっても他のディアボロスにとっても、思ってもみない言葉だった。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

 だが今は、TOKYOエゼキエル戦争のジェネラル級アークデーモン『黙示録の大悪魔マスターテリオン』の最期を考察している場合ではない。
 ディアボロスたちは一旦逸れかけた意識を、再び冥海機『信濃』に向ける。
ワシリーサ・ヴォレシア
アレンジ連携歓迎

漸く戦いだね
貴方達の様な海を悲しみに染める人達は絶対に止めてみせるから
絶対の絶対に!

私は力はない
けど、力がないからないなりに出来る事はあるからね
使える手段全部使って貴方を倒す力になるよ!

◯水面走行◯水中適応使用

水面を走りながら陸上でするように戦闘
基本攻撃は◯オーラ操作で威力を増した〇フックセイバーで

兎に角、味方との連携や味方への援護優先
味方と攻撃のタイミングを合わせる事で僅かであれ此方の攻撃に意識を向かせる事で味方の攻撃が当たりやすくなるように援護したり味方に攻撃を仕掛けてきたタイミングで攻撃し敵の手元が僅かであれ狂ったり攻撃を放つタイミングが遅れるのを狙ったりする

又、そう言うチャンスがない時は味方が自分の攻撃に続ける様に迅速果断に攻め立てていく

艦載機型エネルギー塊に対しては自身の周囲に釣り竿を振り回し釣り針と釣り糸で破壊狙う
それでも凌ぎきれない時は◯オーラ操作で護りを固めつつ水面走行を解除し海中に一旦落下
緊急回避し再び浮上し水面走行
後一撃喰らったら倒れそうなら味方の盾に


ワシリーサ・ヴォレシア(船好き少女・g09690)は、海が好きで、船が好き。
 だから、冥海機ヤ・ウマトの海を超えて、最終人類史の東京湾も『悲しみの海』へと変えようとした冥海機が、作戦の指揮官である『信濃』が赦せなかった。
 ワシリーサは思う。
 私はみんなほどの力はない。
「――けど、力がないならないなりに、出来る事はあるからね。使える手段全部使って貴方を倒す力になるよ!」
 自分の心を強く気高くさせるため、気持ちを言葉にして海風に乗せれば、彼女の赤い瞳に光が満ちる。
 そして、晶が『マスターテリオン』のことを『信濃』に尋ねて『信濃』が止まったタイミングを好機と捉え、ワシリーサがピッと伸ばしたのは透き通る釣り糸だ。
 自分の攻撃が、仲間の攻撃に繋がればいい。
 その一念だけで迅速果敢に海面上を飛び跳ねると、『信濃』の首に釣り糸を巻きつけた。
 突然首に何かが絡みつき、首が締まったことで「ぐっ……!」と『信濃』が声を漏らす。そして首に絡みついた何かを引き裂こうと踠き始めた。
 だけど、ワシリーサの手は緩まない。
 自分の手だって糸が食い込んで痛み始める。
 もう糸も切れてしまいそうな手応えも感じる。
 だけど、これだけは伝えなくては――!
「……貴方達の様な海を悲しみに染める人達は、私が絶対に止めてみせるから……絶対の、絶対に!」
 そしていずれ、すべての海を取り戻す。
 さらに力を込めたその時、プチンと音を立てて釣り糸が切れたのだ。
 すると『信濃』がゆっくりと振り返る。
 その白い首を覆っていたマリンドレスは破れ、切り傷からは血がだらりと垂れ流れているけど、その瞳に宿る殺気は、ジェネラルのそれ。
「……この『信濃』を一艘沈没させたところで、何が変わる? 何も変わらん!」
 一喝して放出するのは、飛行甲板に止まっていた無数の艦載機型エネルギー塊。
 ワシリーサは、はっと息を呑むなり白い髪を靡かせて後ろへ飛んだ。そして釣竿を振るいエネルギー塊の破壊を試みようとする間もなく、その反撃の餌食となる。
「……っ!」
 咄嗟に守りを固めて水中に逃げるけど、エネルギー塊は容赦なくワシリーサに襲いかかり続けた。
 防御しながら水中を急浮上するワシリーサの頭にリフレインするのは、『信濃』の一喝。
 この『信濃』を沈没させたところで何が変わる? 何も変わらん。
 再び水面へと浮上したワシリーサは、反撃を受け痛む体を押さえながら『信濃』に叫んだ。
「……変わらないんじゃない。……変えてみせる!」
 私たちディアボロスが、全ての大地と海を取り戻す――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!

笛島・他助
仲間たちも居るからな、間違いなく乱戦になるワケだ。
俺ぁ遠くからのすげぇ射撃も、ずっと近接戦を繰り広げるような真似も得意じゃねぇ。
極限まで隙を見極め、確実な一撃を叩き込むのみ

皆との信濃の戦いの中で【モブオーラ】込みで気配を殺して手を出さず主に死角に移動し続けて観察し、敵の動きの情報収集をし続ける。どう攻撃し、回避し、戦場を立ち回り、そして隙は何処か。
そうして生まれた隙を見極めたら水面を素早くダッシュ且つ忍び足で接近し、死角から仕込み杖によるアサシネイトキリングを発動し、早業にて貫いてやるぜ。
この一撃が駄目なら即座に身を翻し、信濃の意識がまた別に向いたら隙を見て不意打ちをしてやるよ。一度でいけるだなんて慢心はしねぇさ。
反撃の爆撃も使い魔の攻撃方向見つつ銃で迎撃や仕込み杖での逸らし等、手は尽くして撃沈は防いで継戦できるように努力だ

これだけ皆が攻撃を叩き込んでも生まれる隙がこうも少ねぇとか大したもんだよ。だが、こっちも放置すりゃ最終人類史に積極的に手を出してくる悪い美女には容赦できねぇってワケ。


 乱戦の最中。
 笛島・他助(アレがアレでそれな感じの奴・g03086)は、常に冥海機『信濃』の死角を取るように立ち回っていた。
 自分は、遠くからの一発必中を狙える射撃も、ずっと相手に張り付いての肉弾戦を繰り広げるような真似も得意じゃない。
 だから、極限まで『信濃』の隙を見極め的確な一撃を叩き込むための情報は、全て見落とさない意気でいた。
 冥海機『信濃』の攻撃のモーション、回避のステップ、戦場での立ち回り。その上で隙はどこなのか……。全てサングラス越しの灰色の瞳で見つめ、アタマで分析をする。
 だが、さすがはジェネラル級冥海機。隙という隙が滅多に見つからない。一つ一つの動きは軍人らしく荒々しいが無駄がなく、下手に踏み込んだら返り討ちにされかねない。
「……さぁて、どうしたもんかね……」
 凪いだ水面を駆け回りながら、他助は溜め息を吐いて顎の髭を親指でザリザリと撫でた。――その時だった。
 ワシリーサが反撃を受けた後に『信濃』に言葉を投げかけた瞬間。敵の一瞬モーションが止まり、自分の本能が叫ぶ。
 ここだ!
 水飛沫をあげて駆け出した他助は『仕込み杖』を構えると抜刀。冥海機『信濃』の背中目掛けてその鋒をずぶりと突き立てた。
「……ぁっ!」
 思わぬところから思わぬタイミングで背を刺されたことにより、『信濃』が息を呑んだ声が漏れる。
「……ったく、これだけ皆が攻撃を叩き込んでも生まれる隙がこうも少ねぇとか、大したもんだよ」
 言葉を紡ぎながら他助が得物のグリップを握る手に力を込めて押し込めば、刃から伝わる。
 繊維が断ち切れる感触が――。
「だが、こっちも『放置すりゃ最終人類史に積極的に手を出してくる悪い美女』には容赦できねぇってワケ」
 口端を上げながら言い切り刃を抜けば。綺麗な背からだらだらと流れ、白髪を汚していくのは血液か。
 だがそれに見惚れている場合ではない。現に『信濃』は頭から後ろを振り返り、自分に思いもよらぬ一撃を喰らわせたディアボロスを青白く光る目を見開いてを捕捉した。
 そして表情を変えることなく放出するのは、艦載機型の使い魔。
 他助は再び得物を構えたが、ジェネラル級の反撃は普段相手取っているクロノヴェーダのそれとは全く違う。迎撃することも逸らすことも儘ならない。
「くそっ……!」
 この状況でなるべく戦場に立ち続けるための選択。それは、今はこの反撃をガードを固めて凌ぐこと。
 ここで堪えれば、帰還後に最終人類史で嗜むコーヒーは、絶対に格別なはず……!
 他助は艦載機型使い魔の爆撃を、身を屈めてひたすらに耐えた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
現場の仲間達や、錬晏さん(g05657)と連携を

やあ、信濃。遥々追ってきたよ
横須賀では世話になったな。まあ覚えてないだろうけど
礼をしたいのはお互い様かもしれないな
(七曜直前に重傷と戦果の応酬あり)

通信障害は常に展開
気づきを外へ伝達させない

PD通信で仲間と密に連携
水面走行で駆け、水面を蹴り、ふわりと浮く程度の飛翔を交え
着地までの間合いと速度変え、変則ステップと軌道で翻弄を
両手二挺で銃撃し、常に戦況を観察、味方との攻防の隙を埋めるように射撃
信濃の死角を抑え息をつかせず、仲間と包囲・挟撃に持ち込み
味方が攻撃を決めた直後の背、牽制射撃で振り向かせ

信濃の双頭の艤装を観察、噛みつきの紙一重の間まで耐え、飛び下がり
半身にわずか噛みつかせて、逆の手でPDの銃弾を穿つ
魔力障壁で軽減し反攻優先

二度も同じ手は食わないよ
反撃アップ、効果2をのせ
東京湾で出会った人たちの託されし願い受け
青き焔纏う弾丸に、守護の祈り込め一撃を穿つ

約束したんだ。この手の届くかぎり、守ると
人々の暮らしを脅かすのは許さない


夏候・錬晏
※エトヴァ殿(g05705)を中心に連携・ディフェンス。アドリブ歓迎

大勢の復讐者に囲まれながら、白を切る胆力
流石ジェネラル級か

先の戦闘で身体も温まった。戦意は十分
朱殷の怒龍は更に猛り、感覚が研ぎ澄まされていくのを自覚する

二つ頭に甲板型の砲。それに信濃自身

更なる<精神集中>で初動を<看破>
【トラップ生成】で水中爆弾を破裂させて水柱を散発させ一瞬の死角を得れば朱殷の怒龍は水中へ忍ばせる

水柱ごと偃月刀で<薙ぎ払い>を叩き込む
【水面走行】で地面と同じ立ち回りができるが、ここは海。それ以上もできる
見ずともわかる仲間と呼吸を合わせて挟撃で信濃の視線を<撹乱>
エネルギー塊の発射を妨害するように怒龍が水中より昇り
偃月刀は袈裟懸けで振り下ろし<グラップル>
攻撃を叩き込む確実な隙を作り出す立ち回りを

仲間との連携、残留効果の積み上げ
何よりも護るべき民たちが、共に戦ってくれる民たちが、俺達にはある
彼らが俺達を信じてくれている限り、負けることはあり得ん

トウキョウの安寧を脅かした罪、償ってもらう
ここで沈め


 他助へと反撃を続ける冥海機『信濃』の背後へと迫るのは、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)と夏候・錬晏(隻腕武人・g05657)の二人。
 今だ。とエトヴァが両手に携えていた銃を構えて牽制射撃を――とトリガーに手をかけたところで『信濃』の双頭の艤装が突如こちらを振り向き、エトヴァに向けて巨大な牙を向けたのだ。
「エトヴァ殿……!」
「っ!」
 錬晏が呼ぶ声が響く中。エトヴァはその牙が自分に喰らいつく紙一重の間を計ると、穹色の翼を一度だけ羽撃かせて飛び下がった。そしてわざと、利き腕ではない方の腕に喰らい付かせる。
「……っ!」
 腕の皮膚が破けて血が弾け、痺れるような鋭い痛みが腕を駆け上がる。
 だが、怯むことはない。
「……大丈夫……」
 仲間にそう告げるなり利き腕を前に突き出すなり携えていた銃の引き金に指をかけると、振り返った『信濃』の背に銃口を向けた。
「……やあ、『信濃』。遥々追ってきたよ。横須賀では世話になったな。……まあ、覚えてないだろうけど」
 艤装に腕を噛まれ続ける痛みに耐えながら、エトヴァは冥海機『信濃』に対して再会の挨拶をする。だが、対する『信濃』は海のような瞳でエトヴァを一瞥するだけだった。
 無理もない。
 この広い海の上、何人ものディアボロス相手に孤軍奮闘し、徐々にその傷を深くしているのだから。
 その美しく整った横顔に、怒りの表情は全くない。だが、心中は穏やかではないはずだ。
「……礼をしたいのはお互い様かもしれないな」
 だけどね、二度も同じ手は食わないよ。
 エトヴァは狙い違わず銃のトリガーを引き、放つのは、東京湾で出会った人々の希望と期待、そして彼らを守護する覚悟と祈りを込めた、青き炎を纏った弾丸。
 弾丸は至近距離の『信濃』の背を貫き、艤装の牙も腕からやっと離れ。エトヴァは穹色の髪を靡かせながらまた一度、翼を羽撃かせて一歩下がった。
 そして自身の傷を厭うことなく、目の前で髪を鮮血で染めるジェネラル級冥海機に告げる。
「……約束したんだ。この手の届くかぎり、守ると。……人々の暮らしを脅かすのは許さない」
 静かに、だが力強く宣言した友の隣で錬晏は、己の愛刀の柄を握る左掌に力を込めた。すると、朱殷の怒龍は更に猛り、感覚が研ぎ澄まされていくのを自覚する。
 先の戦いで身体も温まった。戦意は十分。
 仲間やエトヴァが築き上げた『信濃』へのダメージを深めていくため、まず【トラップ生成】によって作り出した水中爆弾を炸裂させた。すると激しい爆音とともに『信濃』を囲むように吹き上がるのは、無数の水柱。
 さぁ『信濃』。この技が見切れるか?
 錬晏は『黒龍偃月刀』を振り上げると、飛行甲板を盾にして回避行動を図る『信濃』を見やった。
 そして思い起こすのは、先の冥海機『信濃』との会話。
 救援機動力の恩恵を受けたディアボロスが次々と集ってくる中で、目の前で精鋭冥海機を倒された。それなのに『信濃』が見せたのは、大勢の復讐者に囲まれながら、白を切る胆力。
 流石ジェネラル級か。
 ならば自分もこの左腕を大いに振るい、あの空母をこの海に沈めようではないか。
 錬晏は【水面走行】で海面を駆けながら『黒龍偃月刀』を大きく振るう。
 そして、上がり続ける水柱の向こうにいる『信濃』の後ろに回り込むなり、狙いを定めた。
 二つ頭に甲板型の砲。それに『信濃』自身。
 勢いに任せて偃月刀をふれば、黒い残像はその白い冥海機を水柱ごと豪快に薙ぎ払う。
 上がる水柱の音にかき消された『信濃』の苦痛。だが、錬晏の目には見えていた。
 水柱の向こう、自分を見据える揺らめく瞳と、飛行甲板より発射された艦載機型のエネルギー塊の光が。
 錬晏は『黒龍偃月刀』袈裟懸けで構えて反撃を迎え撃とうと考えたが、さすがジェネラル級の反撃。容易に叩き落とせる物ではない。
「錬晏さん……!」
 先ほど自分が声をあげたように、エトヴァが自分を呼ぶ中。咄嗟に右腕を守る『黒橡の大籠手』を盾にして防御に徹する。
 一撃一撃を喰らうたび、海面を捉える足が後ろへと押される。
 だが、ここで屈することはない。
 錬晏は考える。
 なぜ自分たちが、ジェネラル級冥海機相手に、ここまで強くなれるのか。
 それは自身の胸に燃える復讐心や、新宿島の人々が自分たちに預けてくれる復讐心だけではない。
 東京湾海戦の際に人々の心に触れたディアボロスなら、皆が皆、感じただろう。
 自分たちを信頼し応援してくれる存在がいることの、素晴らしさ、力強さを――。
「――何よりも護るべき民たちが、共に戦ってくれる民たちが、俺達にはある。彼らが俺達を信じてくれている限り、負けることはあり得ん……!」
 エネルギー塊を偃月刀の広い刀身で弾き返し、錬晏は大きく息を吸って呼吸を整えると、海水と血に塗れた『信濃』に偃月刀の鋒と鋭い目線を向けた。
「トウキョウの安寧を脅かした罪、償ってもらう。――ここで沈め
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV4になった!

ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

やあ、司令官どの
歩む度、水面を小さく跳ねさせて
サムライパンク姿での【水面走行】、心地を確かめるように
最終人類史まで皆さん観光に来てくれるものだから、
退屈しなかったよ。その節はどーも
鞘に納まった《失黒刀》を手に泰然と
ロキシア・グロスビーク。お陰様で英雄をやることができました
ついでに貴女と一戦交えたく存じます
……互いに正念場さ。覚悟を決めなよ

【パラドクス通信】で味方と情報を共有し、
攻撃を行いやすく位置関係を整えて
あれを斬る。一つの刃として、疾駆する

ここに来るまで、多くのディアボロスに重傷を負わせた相手
進めばそれだけ威容が近付く

恐ろしいと言えば、そうだね。じゃあ挑まないかって?絶対にノー
戦闘の波、或いは爆撃の水柱を蹴って三次元機動に移行

「僕たち、大人も子供も天下無敵ですから」
信じてくれる人々が居る限り。【勇気】はこの胸にある

伝承、開放!
振るう刃が断つのは速度ベクトル
爆撃の雨、衝撃すら断って断って潜り抜け
この身を焼かれようとも、突き進み
渾身の居合い切りにて【両断】せしめる!


 サムライパンク衣装に身を包んだロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は鞘に納刀されている愛刀『失黒刀』の柄に掌を乗せながら悠然と、下駄で凪いだ海面を進んでいけばそのたび水滴が跳ねる。
「やあ、司令官どの。最終人類史まで皆さん観光に来てくれるものだから、退屈しなかったよ。そ
の節はどーも」
 見据える先は、横須賀鎮守府強襲作戦では多くのディアボロスに深傷を負わせた強敵、ジェネラル級冥海機『信濃』。
 進めばそれだけ威容が近づく。
 今は仲間たちの攻撃で深傷を負っているが、未だ自身の両の足でしっかりと立つ様は、流石と言っていい。
 ロキシアは『信濃』に僅かに首を垂れた。
「ロキシア・グロスビーク。お陰様で英雄をやることができました。ついでに貴女と一戦交えたく存じます」
 そう告げて顔を上げれば自然と口端が上がる。掌を乗せていた哀悼の柄をぐっと握ると、時折吹く海風に時折吹く海風に黒髪を靡かせた。
 ジェネラル級を前にして、恐ろしいかと問われれば素直にイエスと答えよう。
 じゃぁ挑まないかって問われたら、答えは絶対にノーだ。
「……互いに正念場さ。覚悟を決めなよ――僕たち、大人も子供も天下無敵ですから」
 自分たちディアボロスを信じてくれる人々が一人でも居る限り、勇気はこの胸にある。
 その勇気を原動力に変えて駆け出したロキシア。
 狙うはただ一人。
 冥海機『信濃』――!
「伝承、開放!」
 駆けながら左手で鍔と栗形の間の鞘を握り親指で鍔を押し上げると、鯉口から鎺が外れる。
 しかし、突如降りくるのは爆撃の雨。『信濃』が召喚した艦載機型の使い魔がロキシア目掛けて爆撃を仕掛けてきたのだ。
 ロキシアはこの雨の衝撃すら断って断って潜り抜けようと思った。だがジェネラル級の攻撃はそれを許してはくれない。
 爆発の影響で水柱が上がり、爆撃の衝撃で小さな体が焼かれ吹き飛ばされそうになる。
 だが、その度に体制を立て直し走り出すロキシアの胸に燃えるのは、最終人類史の人々から賜った勇気。
 こんな爆撃よりも熱い思いだ。
 ロキシアは水面をひと蹴りすればその懐は目と鼻の先。この冥海機が一歩後ろに下がる前に――。
 愛刀の柄をぐっと握って一気に抜刀すれば、その白い胴に深く深く黒い一閃を引いた。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

ラキア・ムーン
【NSS】で同行

やはり賽は自分で振るに限る
東京を狙う貴様等と、マスターテリオンの小競り合い
マスターテリオンを討伐し、我等は横須賀への道を開き七曜の戦を経て其処を取り戻した
そして今、貴様を倒す為に此処に居る
全ては繋がって……チェインしている
奇縁、偶縁、宿縁……これだから人生は面白い
そうは思わないか、信濃?

限定解除、形状変換……再誕の槍よその先へ
《RE》Incarnation:Extend、我が槍をもって貴様を貫く!

同行者をPOWで庇う
水面走行で水上を駆けつつ、水を蹴ると同時に飛翔し加速
踏み出す一歩の距離を大きくし、距離感の誤差を出して『フェイント』を掛けながら『突撃』
【call:0_0_0】起動
槍に魔力を纏わせ、最大加速の『貫通撃』で穿ち貫く!

攻撃後は即座に離脱
敵の攻撃に備える
未来予測で敵の攻撃が命中した未来を見る
倒れていないなら、それで良い
最低限、頭部や急所への攻撃をジャケットや腕で受け後はその未来のまま受ける

例えどれだけ攻撃を受けようとも、私も槍も折れはせん
無限光に焼かれて沈め!


クロム・エリアル
【NSS】
……出遅れ、遅刻
けれども、決戦には間に合ったから良し
逃がせば再度最終人類史が狙われる可能性大
任務了解、此処で仕留める

双銃『Libra』を構えて戦闘態勢
水面走行で水上を駆ける
姿勢を低く、光学迷彩も使用し波に隠れるよう走り抜ける
零距離、クロムの距離まで接近
戦術選択……Ex.Skill.S&S
ブレード展開、近距離で敵を引き付ける
「斬撃」と銃撃を織り交ぜた「連撃」
信濃の周囲を廻るように駆けて削る
元より敵との地力の差は歴然
なら、得意な距離で少しでも継戦力を高める

敵の爆撃を警戒
艦載機型のエネルギーが接近してきたら要注意
未来予測で爆撃を予測
逆説連鎖戦……避ける事は不可
けれども、余計なダメージまでは貰うお人好しでは無し
予測で見た爆撃の命中タイミングに合わせて水面走行を解除
水中適応に切り替え、海へ落下
海上での炎上よりも、水中での衝撃ダメージの方がマシ
装備も燃えずに済む
それに意表も突ける
後は、戦えるまで継戦

【NSS】の同行者をディフェンス

アドリブ連携等歓迎


 冥海機『信濃』は更なる深傷を負い、前屈みになるや口から大量の血を吐き出した。
 凪いだ海面には血の色が混じり、ゆらゆらゆらめいてやがて赤い色との境界線を薄めていく。
 だが、身体中の傷から次から次へと流れ出る鮮血は、さらに海水に色を落としていく。
「……そう、こうでなくては……」
 呟いた『信濃』は手の甲で口をぐいっと拭うと、体を起こして再びディアボロスに向き直った。
「……『信濃』はもうどこにも逃げぬ。戦って命を散らせるなら本望だ!」
 もう彼女自身もわかっているのだろう。
 自分の命の灯が、もう幾許も無いことを。
 ならば――。
「――任務了解、此処で仕留める」
 冥海機『信濃』を目視で確認して、クロム・エリアル(近接銃士・g10214)は双銃『Libra』を構えて戦闘態勢に入った。
 ――やはり賽は自分で振るに限る。
 冥海機『信濃』を翠の瞳で見据えて、ラキア・ムーン(月夜の残滓・g00195)は自分の賽の出目のよさに、心の中で口角を上げた。
 だが『信濃』に向ける表情は固く厳しい。
「……東京を狙う貴様等と、マスターテリオンの小競り合い。……マスターテリオンを討伐し、我等は横須賀への道を開き《七曜の戦》を経て其処を取り戻した。そして今、貴様を倒す為に此処に居る。――全ては繋がって……『チェイン』している。――奇縁、偶縁、宿縁……これだから人生は面白い」
 告げてラキアは挑発するように笑んでみせる。
「そうは思わないか、『信濃』?」
 だけど、問いかけても『信濃』は無表情で自分を見つめるだけ。
 答えないつもりか。
 それとも応える気力すらないか。
 ならばそれでもいい。
 ラキアは得物の『《RE》Incarnation:Extend』の柄をぐっと握り込んで唱える。
「限定解除、形状変換……再誕の槍よその先へ―― 《RE》Incarnation:Extend、我が槍をもって貴様を貫く!」
 するとランスはその名の如き進化と遂げ、ラキアはその穂先を『信濃』へと向けた。
 まず先陣を切ったのはクロム。姿勢を低く保ちながら凪いだ海面上に時折波飛沫を上げながら走り抜けると、至近距離に『信濃』を捉えた。
「情けをかけて逃がせば再度最終人類史が狙われる可能性大――戦術選択……Ex.Skill.S&S――適正戦術検索……出力開始」
 銀の髪を靡かせたクロムが呟くと、双銃『Libra』内の液体金属が硬化して近接用ブレードが展開する。それを振り上げれば、咄嗟に防御体制に入り斬撃を堪えた『信濃』。
 だが、この攻撃は斬撃だけではない。
 クロムは足の裏でたんと水面を叩いて後ろへ飛ぶと、今度は連続での銃撃をお見舞いしていく。
 振り返っても、もう遅い。
 激しい発砲音と薬莢の焼ける匂いが『信濃』を包み込んだ。
 元より、ジェネラル級冥海機『信濃』との地力の差は歴然。ならば自分の得意な戦術で少しでも継戦力を高めていく作戦だ。
「……くっ!」
 連続射撃をモロに受ける『信濃』は暫し防御体制であったが、クロムの砲撃が止むや否や砲撃により赤く染まりボロボロになったマリンドレスの袖や裾を海風に靡かせながら腕を広げた。
 すると召喚されたのは艦載機型の使い魔。
 艦載機型使い魔は『信濃』の号令を合図にクロムに対し爆撃を仕掛け始めた。
 爆撃のたび、ドォンと爆音が立つたびに、海面が叩かれれ水柱が上がる。
 【未来予測】で爆撃の瞬間の予測を試みるクロムだったが、逆説連鎖戦の世界においては未来は常に書き換わる。この爆撃を逃れる未来など存在しない。
「……避ける事は不可」
 けれども、余計なダメージまでは貰うお人好しでは無い。
 会場で爆撃をモロに喰らって炎上するより、水中での衝撃ダメージに耐える方を選んだクロムは、防御体制をとりながら海中へ沈むと、追いかけてきた艦載機型使い魔の爆撃にひたすら耐える。
 ラキアはその間に凪いだ海面を駆けたが、水を蹴るなり【飛翔】の加速力を得る。踏み出せば大きく進み、距離感の誤差を出してのフェイントを狙う。
 そしてついに、防御体勢を取ろうとしている『信濃』を捉えた。
「再誕の槍の名の下に……我は世界を穿つ者也!」
 唱えるなり輝きを放つ『《RE》Incarnation:Extend』の穂先を『信濃』に向けた。
 腕や飛行甲板や艤装で隠される前に、狙うはただ一箇所。
 ――心臓だ。
 ランスが放つ輝きに『信濃』が思わず目を瞑ったその一瞬。
「無限光に焼かれて沈め!」
 ラキアは狙い通りに『信濃』の胸を穿った。
 だがこれで終わりではない。
 桃色がかった銀髪を靡かせて後ろへと飛んだラキアが『信濃』からの反撃に備えて未来を覗き見ようとしたけど、そんな時間は皆無。無数の艦載機型のエネルギー塊がラキアの目前まで迫っていた。
 咄嗟に頭部や胸などの急所を腕や得物でガードしながらラキアは思う。
 倒れていないなら、それでいい。
 そして、気合一閃。
「……例えどれだけ反撃を受けようとも、私も槍も折れはせん!」
 その反撃が止むのをひたすら待った。
 
 やがて反撃も止み、ラキアが腕を下ろして真正面を見やると。
 ジェネラル級冥海機『信濃』は海面に膝をつくなり、ふと自分を囲むディアボロスを青くゆらめく瞳で見回し始めた。
 まるで、最期に自分を大破沈没させた者たちの姿を、目に焼き付けるようだと誰もが思っただろう。
 そして、誇り高き武人である冥海機『信濃』は、何の言葉も発するわけでもなく水滴を跳ね上げながら力無くその場に崩れ落ちた。
 クロムもラキアも、他のディアボロスも。誰も沈みゆく『信濃』に駆け寄ろうとしない。
 名実ともに横須賀を取り戻し、冥海機ヤ・ウマトから最終人類史を守り抜いた彼らは、海風に髪を靡かせながら、ただ静かに太平洋の海の底へと堕ちていく冥海機を見送っていた。
 それぞれの胸に去来する『想い』を、ただただ静かに味わいながら――。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年10月29日
宿敵 『信濃』を撃破!