リプレイ
守都・幸児
民を動力にしなきゃ動かねえこんな城なんざ
永遠に動かなくしてやりゃいいんだ
てめえらもろとも壊してやるよ
こいつは本心だぞ
俺としちゃこの城、壊してでもとにかく無力化できりゃいいんだ
だが
動力炉制圧のために尽力してくれてる仲間がいるなら
その助けになるためにこっちも全力を尽くすまでだ
だから護衛との戦闘中も
於犬の方に動力炉の制圧を悟られねえように気をつける
俺はあくまでこの城をぶち壊すつもりだと敵が思ってくれるようにな
俺の使う技は「三明の剣」
俺自身は武器の鉄骨を振り回して敵兵の槍や刀を防ぎ
敵の動きが止まった一瞬を狙ってパラドクスの剣で貫いてやる
もう二度と、この城に民は食わせねえ
人の命ってのは燃料じゃねえんだよ
野本・裕樹
千早城は動かない、ならば燃料にされた人はいなかったと見て良いでしょうか。
ひとまずは安心ですね……ですがここからが本当の勝負です。
ここで千早城を攻略しなければまた燃料にしようとされる人が出てきてしまう、それを許す訳にはいきません。
城主の護衛となればトループス級とはいえ油断のできない相手、最初から全開で行きます。
武器は《雷光刀『雷花』》、雷光の一刀でここは一体ずつ確実に狙いたいと思います。
突撃は槍を刀で弾いて直撃を避けようとします。
動力炉の制圧に向かった方にも戦況が時間差無く伝わるように【パラドクス通信】を。
向こう側でも戦況が気になるでしょうし、制圧のタイミングを計りやすくもなるかと思います。
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
ついに千早城に攻め込める時が来たのね!
千早城を奪い取って戦力にするのも中々良さそうじゃない!
大戦国を勝ち抜くためにも、絶対成功させましょ!
まずは護衛から倒していきましょ!
【飛翔】で飛び上がってからの【鮮麗と天翔の輝光線刃!】を叩き込むわ!
飛翔は目立つけどアイドルはそれが仕事だし、その隙をついて皆が攻撃してくれれば大丈夫!
勿論攻撃をそのまま受けるつもりはないわ!
撹乱するように動いてなるべくダメージを抑えましょ!
魔力障壁も活用するわ!
アナタ達と同じように、いえ、それ以上に!
アタシ達は覚悟を持ってきているの!
此処は通してもらうわよ!
人の気配の無い、千早城の奥へと続く木作りの廊下。
左右に灯す蝋燭の揺らぐ光が映し出すその道を、奥から届く琵琶の音に導かれるようにディアボロス達は駆け抜ける。
「ついに千早城に攻め込める時が来たのね!」
はやる心に背を押されながらも、油断することなく周囲の気配を探り。
それでもできる限り足早に、ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)は先へと走り。
ソラと並び駆けながら、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は携える刀を静かに握りなおす。
「千早城は動かない、ならば燃料にされた人はいなかったと見て良いでしょうか。ひとまずは安心ですね……ですがここからが本当の勝負です」
城へと突入する際に間近に見た、千早城に備え付けられた鋼の複脚。
決戦の段階になってなお動くことのないその脚は、ディアボロスが人々を助けて相手の目的を完全に阻止することができている証でもある。
けれど――それは、まだ『現時点では』の話でしかない。
「ここで千早城を攻略しなければまた燃料にしようとされる人が出てきてしまう、それを許す訳にはいきません」
「……ああ」
そう呟く裕樹の声に、守都・幸児(祥雲・g03876)もまた深く頷きを返す。
今、千早城の起動を阻止できているのは、いくつもの綱渡りを乗り越えた上での薄氷の成果。
ここで止めることができなければ――いつか、人々の命を薪として、千早城は動き出す。
「許せるわけねえよな。そんなこと」
決意を込め、得物を握り、先を急ぎ。
そうして、一際大きな扉の前で幸児達は足を止める。
「ここか……」
その先から聞こえてくる琵琶の音色と、多数の気配。
事前に聞いていた情報も合わせれば、この先が天守閣であることは間違いなく。
「では……征きましょう!」
「うん! 千早城を奪い取って戦力にするのも中々良さそうじゃない! 大戦国を勝ち抜くためにも、絶対成功させましょ!」
間近に迫る決戦の空気に僅かに指先が振るえるけれど、その震えは拳を握って武者震いとして飲み込んで。
視線を交わして頷きあい、同時に扉を開け放ち――、
「『――っ!』」
瞬間、突き込まれる無数の刃を、裕樹の抜き放つ雷光刀『雷花』が閃き打ち払い。
続く槍をソラの魔力弾が退けた隙間を縫って、飛び込む幸児が縦横に振るう鉄骨が、押し寄せる兵士の刃と打ち合い無数の火花を散らして弾きあう。
「――おおっ!」
唸りをあげ、振るう鉄骨が槍を受け止め刃を弾き。
幾つもの斬撃を受け止めながらも、なおも勢いを鈍らせることのない一撃が受けた刃ごと兵士の体を跳ね飛ばし。
――しかし、
『通すと思うな、ディアボロス!』
「いいえ――押し通ります!」
跳ね飛ばされながらも踏みとどまり、槍を構える兵士が地を蹴り――同時に、地を蹴る裕樹が手にする刃を閃かせる。
突き込まれる槍を刀で弾くと共に身を沈め、穂先の下を潜り踏み込む裕樹の刃が飛び退く兵士の胴を掠めるも――、
(「流石。城主の護衛となればトループス級とはいえ油断のできない相手。なら、最初から――」)
「――全開で行きます!」
さらに一歩、強く踏み込み距離を詰め。
雷光と共に閃く『雷花』の一刀が、刀へと手をかける兵士を両断し。
続けて裕樹が横へと飛び退く直後、その空間を無数の槍が貫き走り抜ける。
千早城城主『於犬の方』直属の護衛兵。
数も、実力も、そして士気も。そのどれもが高水準。
けれど――
「さあ――ライブの開幕よ!」
くるりと舞わせる拡声杖『レゾネイト』からソラが撃ち出す魔力弾が、兵士へと続けざまに突き刺さり。
その弾幕を切り払い足元へと走る槍の穂先を飛び越えて、そのまま振り上げる槍を足場としてソラは大きく飛び上がる。
「まずは護衛から倒していきましょ!」
空中で身を捻ると共に、その背に魔力の翼を大きく広げ。
剣形態へと変形させた拡声杖『レゾネイト』を高く掲げれば、その刀身へと魔力の光が集束して鮮やかなの光の渦を作り出す。
「鮮麗と天翔の輝光線刃(ブリリアントステージ・スライスレーザー)!」
その光渦より放つのは輝光の線刃。
ライブのレーザー演出のごとく、拡声剣が指し示すその先へと空を貫き光刃が走り、振り抜く刃は複数の兵士を纏めて切り裂き退ける。
「レーザーはライブ演出の定番! ステージは華やかになるし敵は倒せるしで良い事ずくめね!」
長大な光の刃を手に戦場の空を翔けるソラの姿に、兵士達の意識が惹きつけられたのは一瞬の間。
けれど――この場においては致命的な隙。
「余所見してんじゃねえよ」
意識がそれた隙をついて、踏み込む幸児の握る鉄骨の一振りが、刀を、槍を、無数の刃をまとめて弾き上げ。
即座に兵士達も武器から手を放し、体勢を立て直して予備の武器を抜き放つも――しかし、
「来い――三明の剣」
流れるが如き動きで印を切り、呪力を操り、幸児が具現化させるのは通力自在の三振りの剣。
鉄骨を振り抜く勢いのままに、纏めて閃く三重の刃が構えた武器もろともに兵士を切り伏せて。
「もう二度と、この城に民は食わせねえ。人の命ってのは燃料じゃねえんだよ」
「相手は手強いですが、ここは一体ずつ確実に」
崩れ落ちる兵士の脇を抜けて、さらに前へと駆ける幸児の鉄骨と神剣が、その背を狙う兵を退ける裕樹の雷光の斬撃が。
そしてソラの放つ光刃が、押し寄せる兵士の刃を真正面から押し返し、剣戟と魔力の火花を散らしてぶつかり合う。
「ひとつ、ふたつ――みっつ!」
宙を足場に左右へと踏むステップで風刃をかわし、続く刺突を左手に展開する魔力障壁で受け流すと共に、拡声剣から反撃の光刃を放ち。
背負った魔力の翼をより強く羽ばたかせ、止まることなく速度を上げて戦場を飛翔するソラへと無数の斬撃が飛来する。
逆説連鎖戦において、基本的にこちらの攻撃が届く場所は相手の攻撃が届く場所。
そして、飛翔によって離れた相手からも見えやすい場所を翔けるソラは――戦場である天守閣、その室内全ての兵士達から狙われ集中攻撃を受けることになる。
――けれど、
「大丈夫っ、アイドルは目立つのが仕事だし!」
何十もの斬撃を踊るような身のこなしですり抜け、魔力障壁で受け流し。
同時に放つソラの光刃は――何十ものレーザーとなって部屋中の兵士へと突き刺さる。
逆説連鎖戦において、攻撃に対する反撃は何度であっても発生する。
故に――飛翔し目立つことで集中攻撃を受ければ、それに等しい数の反撃を返すこともまた可能となる。
無論、集中攻撃を凌ぐことになるソラの消耗は、兵士達よりも遥かに早いものとなるけれど――それもまた、覚悟の上。
(「相手の注意を引いて、体勢を崩して――その隙をついて皆が攻撃してくれれば大丈夫!」)
かわしきれない刺突と斬撃が続けざまに魔力障壁を貫きソラの体を跳ね飛ばし――けれど、そのまま身を翻して掌をかざして。
「アナタ達と同じように、いえ、それ以上に! アタシ達は覚悟を持ってきているの! 此処は通してもらうわよ!」
思いをこめて、心を燃やし、放つ光の乱舞が追撃の刃を呑み込み兵士達へと突き刺さり。
その勢いに押し込まれ、体勢を崩した隙を逃すことなく――、
「ええ――雷光刀覚醒・迸雷爪」
言葉と共に、裕樹の手にする『雷花』が纏う雷光が一際強く光を放ち、荒れ狂い。
意図的に暴走させた雷光を魔力と精神力で刀身へと固定して――作り出すのは、迸る雷光を束ねた一振りの剣。
「引き千切れ、『雷花』」
その言葉と爆ぜる雷の白光を後に残し。
雷光を従え、電撃を纏い、閃く刃がソラの光に押された兵士達の間を走り抜け――わずかに間をおいて、引き裂かれたことを思い出したかのように崩れ落ちる残骸を飛び越えて。
さらに切り込む裕樹の雷刃と兵士の突き込む無数の雷槍が交錯する。
「まだ――まだです!」
五合、十合、切り結ぶたび幾つもの雷光と火花が宙へと走り――弾ける光のその中で、雷光を宿す裕樹の瞳が相手の穂先を見据え。
思考との時間差無しに放つ裕樹の一閃が槍を跳ね上げた直後、幸児の投げ放つ三振りの剣が兵士を貫き縫い留め。
その身体を足場として、飛び込む兵士が振るう刀を、槍を、幸児のかざす鉄骨が受け止める。
「民を動力にしなきゃ動かねえこんな城なんざ、永遠に動かなくしてやりゃいいんだ」
『やらせはせんぞディアボロス。この千早城も、於犬の方様も、我らがある限り決して傷つけさせはせん!』
切り込む刃は鉄骨もろともに幸児を切り裂かんとする気迫に満ちているけれど――気迫においてはディアボロスとて劣るものではない。
「そうかよ、なら――」
鉄骨を握る幸児の腕に力が籠り、内から染み出す呪力が一瞬その腕を闇色に染めて。
「――てめえらもろとも壊してやるよ」
さらなる力と共に振り抜く一撃が纏めて跳ね飛ばした兵士へと、止まることなく刃を放ち。
その刃に体を貫かれながらも怯むことなく切り込む兵士の刃を、続けて振り抜く鉄骨が受け止め、弾き、叩き潰す。
「『お――ぉおおおっ!』」
鉄骨と神剣、刀と槍。
幾つもの武器が火花と轟音を散らしてぶつかり合い。
押し寄せる気迫を、より強い気迫で以って踏み砕き。
止まることなく、退くことなく、幸児は戦場を駆け抜け兵士達と相対し――その中で、一瞬、走らせる視線に裕樹は頷きを返す。
『兵士もろとも千早城を破壊する』
それは、確かに幸児の本心ではある。
人の命を喰らう城。その存在は、壊してでも無力化しなければならないものなのだから。
けれど――仲間達がそれ以上を狙うならば。
動力炉制圧のために尽力してくれている仲間がいるならば、その助けとなるためにこちらも全力を尽くすまで。
(「まあ、やることは変わらねえ。動力炉の制圧を悟られねえように……俺はあくまでこの城をぶち壊すつもりだと敵が思ってくれるように、な」)
わずかに苦笑し、小さく息をついて呼吸を整え。
「さあ――こんなもんじゃねえだろ。天魔武者!」
さらなる気迫と共に、幸児は得物を握りしめ。
それと共に刃を振るって切り込む兵士を押し返しつつ、裕樹はパラドクス通信で仲間達へと連絡を送る。
今回の作戦で重要になるのは、動力炉を制圧するタイミング。
於犬の方に気付かれないように、けれど天守閣の戦いが決着するよりも早く。
どちらの戦いも、決して簡単なものではないけれど――そこは仲間を信じるのみ。
(「ここの制圧は私達が。そちらは動力炉の制圧をお願いします」)
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
多脚城塞『千早城』の奪取、愈々作戦開始だね
サフィーナ・ミウの例もあるけど
移動拠点が有用なのは間違いない
何とか成功させたい所だよ
仲間と連携して作戦実行
可能な範囲で仲間の効果も活用する
別動隊が向かっている護衛部隊との戦いを陽動として
【光学迷彩】で密かに動力炉へ向かい潜入
於犬の方に悟られぬ様に【平穏結界】を仲間と重ねつつ
【防衛ライン】【通信障害】で伝令も阻止しながら
爆破担当の兵達を殲滅したい
素早く戦場の状況を確認
可能なら初手は不意打ちで『不動降魔印』
当然反撃も来るだろうが
クダ吉が攪乱に動いて狙いを妨害する事で水流の直撃を避けつつ
再び『不動降魔印』の【ダメージアップ】な攻撃で調伏する
獅子堂・崇
アドリブ連携歓迎
基地を爆破と言えばありがちな話だが、実際にやらせるわけにはいかないな。今後のためにもこの城の爆破は止めさせてもらうぞ。
ジャンプして工事された地面を飛び越して手刀の一撃で敵を叩き壊す。
岩石や瓦礫がぶつかろうとも足は止めない。
自分たちの城を作り替えてでも戦うとはな。
お前たちにも意地があるんだろう。だが、それは俺たちも同じこと。押し通らせてもらう。
可能であれば【防衛ライン】で伝令の動きを妨害する。
金刺・鞆
河内国のいくさもとうとう決戦、ですね。
いのちを薪の如く使うことなど言語道断ですが、われらでぃあぼろすの知恵を合わせれば異なるえねるぎーをもってこの城を使うこともできるでしょう。
それに、たとえそれが叶わずとも……そのときはわれらの手で破壊すればよいだけのこと。
移動城塞千早城、そっくりそのまま鹵獲させていただきます。むん!
【平穏結界】を発動し、動力炉の制圧が外部に悟られないようにするというのは妙案、かと。
なればともは【通信障害】もかさねてみましょう。
伝令の手段に通信のようなものが用いられているならば、そちらも封じさせていただきます。
仕掛け扇を剣に見立て、雷撃にはいぬの力も借りて。
薙ぎ払う、ですよ!
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
辿り着いたぜ、千早城
要塞堅固を誇ったと言われる名城を、よくもまぁこんな姿にしてくれたもんだ
それはそれとして天魔武者の手中に収めとくには勿体ねえシロモノだからな、シロだけに
在るべき場所へ還すためにも、まるっといただくぜ
というわけで、中枢制圧へ乗り込む作戦は賛成だ
平穏結界と通信障害、悪くねえな
更におまけだ、スムーズに目的地まで潜入出来るよう光学迷彩を使用する
俺自身はここで派手にやるつもりはねえからな
バイビークは背中にマウント、こっち(氷晶剣)で
仲間の陰に隠れつつ回り込み、不意打ちで仕掛けられねえかやってみる
大事な城を穴だらけにされるわけにはいかねえからな
虚無に呑まれて消えて貰うぜ
相原・相真
アドリブ・連携歓迎
千早城、実際に動くことになる前に何とかここまで来れましたね
ですがあちらもしっかり待ち受けているようです
油断せず、行くとしましょう
戦闘時は敵陣に飛び込んでの接近戦
魔力の刃を纏った手刀での[斬撃]により攻撃、
敵の攻撃は[残像・フェイント]を生かしての高速移動で躱していきます
出来るなら於犬の方にはこちらの動きに気づかれたくない
他の方が通信障害など行っていますが、
伝令やその他の手段で連絡されるかもしれません
敵のそうした動きに注意し可能なら妨害を行います
…そちらにも主への忠誠など様々あるのでしょう
けど、こちらにも譲れないものがある
この先へ進む力とするため、この城はもらい受けます!
月下部・小雪
ボク達のお城をゲットできるチャンス、です。
爆破なんて、させません。ボク達で有効活用してあげましょう。
【パラドクス通信】で於犬の方に向かってる組とタイミングを合わせて動力炉の制圧に動きます。
あまり早くに制圧しても於犬の方にバレてしまうかもしれません、からね。
【平穏結界】に【通信障害】、【防衛ライン】と使える残留効果は全て使います。
戦いになったら、コダマがぴょんぴょんと跳ねながら近づいて【ワイファイスパーク】、です!
コダマのもふもふまんまるボディ、防御は完璧、です!
※アドリブ連携大歓迎
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
まったく。メフィストといいロボな連中は、
こういう時士気が高まるのがお約束なのかな
河内国を荒らし回ったツケ、お城で払って貰おっか!
【平穏結界】でこっそり動力炉を制圧に向かうよ
【通信障害】も拝借できれば!
敵味方の攻防の間隙を突くように、
僕より殲滅に向いてる味方が居るなら先行して
はあい、お仕事お疲れ様?
ウインクひとつ、敵の股下をスライディングで潜り
Weapon Storageから“魔槍”を即座に取り出し一穿
さ、次々行こう
ディフェンスで味方のフォローも考えとこうかな
格好付けたいからね
反撃に際しては
ごぼぼぼぼぼー!(なりふり構わずすぎるでしょ……!)
“魔槍”を地面に突き刺し必死で抗う
「……於犬の方に向かった組は、戦闘に入ったみたいですね」
パラドクス通信を通して天守閣の様子を受け取り、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)はそっと仲間達に呼びかけて。
その声に頷きを返しながら、走る足を緩めることなくディアボロス達は先へと急ぐ。
平穏結界に通信障害、さらにおまけの光学迷彩。
幾重にも重ねた残留効果で身を隠し、目指すのは天守閣とは異なる城の中枢――多脚城塞の動力炉。
「河内国のいくさもとうとう決戦、ですね」
「ああ……」
廊下の先を見つめ、ふと金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)のこぼした呟きに眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)が頷きを返す。
村人達の命を薪として起動する、多脚城塞『千早城』。
その起動を防ぐために、彼らを救うために、幾度となくパラドクストレインでこの地へと降り立ち、天魔武者との戦いを乗り越えて――そうして今、人鳥達はここに居る。
「辿り着いたぜ、千早城。要塞堅固を誇ったと言われる名城を、よくもまぁこんな姿にしてくれたもんだ」
「実際に動くことになる前に何とかここまで来れましたね」
拳を握り笑みを浮かべる人鳥に、彼と並び先を急ぎながら文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)も頷いて。
そのまま止まることなく廊下を駆け抜け、幾つもの角を曲がり、階段を駆け上がり――その先にあるのは、厳重な作りをした一つの扉。
「ここが動力炉、か」
扉越しに壁や廊下を揺らし伝わる振動に、獅子堂・崇(破界拳・g06749)が表情を引き締める。
唸りを上げる魔力は、今はまだ何処にも向かうことなく渦巻くだけではあるけれど――暴走させれば、この城を吹き飛ばすに足るだけの力は十分に備えている。
とはいえ、
「基地を爆破と言えばありがちな話だが、実際にやらせるわけにはいかないな」
「天魔武者の手中に収めとくには勿体ねえシロモノだからな、シロだけに」
握った拳を打ち合わせる崇に、背中に背負った銃槍を軽く揺らして人鳥が笑みを返し。
腰に下げた氷晶剣に手をかけると、一瞬目を閉じて、
「在るべき場所へ還すためにも、まるっといただくぜ」
「ボク達のお城をゲットできるチャンス、です。爆破なんて、させません。ボク達で有効活用してあげましょう」
笑みの質を変えて扉を見据える人鳥に、小雪も深呼吸をしながら頷き返す。
人々の命をくべなければ、動かすことの叶わない千早城。
けれど――それは『今』『クロノヴェーダの目的に使うなら』という条件での話。
「いのちを薪の如く使うことなど言語道断ですが、われらでぃあぼろすの知恵を合わせれば異なるえねるぎーをもってこの城を使うこともできるでしょう」
「サフィーナ・ミウの例もあるけど移動拠点が有用なのは間違いない。何とか成功させたい所だよ」
「それに、たとえそれが叶わずとも……そのときはわれらの手で破壊すればよいだけのこと」
造られた経緯がどうであれ、人々の為に使うことができる可能性があるのなら、できる限りを狙うだけの価値はある。
むん! と拳を握る鞆に、頷く雪人も呼吸を整え、意識を臨戦態勢へと切り替える。
「移動城塞千早城、そっくりそのまま鹵獲させていただきます。むん!」
「では――」
鞆と、人鳥と、仲間達と、視線を交わして頷き合い。
扉にかけた相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)の手に伝わるのは、依然弱まることのない――否、むしろ天守閣での戦いに呼応するかのように勢いを増す動力炉の振動。
そして――無数の兵士が発する、動力炉の振動すらかき消すほどに強い闘気。
「ですがあちらもしっかり待ち受けているようです」
「まったく。メフィストといいロボな連中は、こういう時士気が高まるのがお約束なのかな」
振り返る相馬に、苦笑しつつロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)が手にした槍をくるりと回し。
呼吸と体勢を整え、タイミングを合わせ。
「油断せず、行くとしましょう」
「河内国を荒らし回ったツケ、お城で払って貰おっか!」
同時に叩き込む掌打と刺突が扉を跳ね開け。
『何っ!?』
「――いざ!」
その奥――動力炉を守る兵士達が反応するよりも早く、雪人の結ぶ印が放つ神気の光が相手の動きを縛り。
束縛を振り払う間を与えることなく、飛び込む人鳥の振るう氷晶剣の刃が。
さらに重ねて放つ、鞆の『いぬ』と小雪の『コダマ』――二人のモーラット・コミュの雷撃が兵士達を貫いて。
「「――そこっ!」」
奇襲の連撃に兵士が浮足立った機を逃さず、一息に飛び込む相真の手刀とロキシアの魔槍が同時に閃き。
重なる連携に胴を貫かれた相手の体が、ぐらりと崩れ――倒れ伏すよりも早く、その体を足場に飛び上がる崇が振るう手刀と、側面から回り込む雪人の白銀の刀。
二つの斬撃が十字を描き、さらに次の兵士を打ち倒す。
今回の作戦で大事になるのは、動力炉を制圧するタイミング。
於犬の方に気付かれないように、けれど天守閣の戦いが決着するよりも早く。
向こうの戦いが始まったならば――後はできうる限り速やかに制圧するのみ。
「今後のためにもこの城の爆破は止めさせてもらうぞ」
「多脚城塞『千早城』の奪取、愈々作戦開始だね」
●
『ディアボロスだと!? いや、ここに来たということは――狙いは千早城の奪取か!』
奇襲を受けて押し込まれ、しかし即座に体勢を立て直して踏みとどまり。
同時に展開するいくつものツールから兵士の繰り出す連撃が、雪人の刃と交錯して無数の火花を散らす。
ネイルガンをかわし、ハンマーを潜り抜け、続く鉄球を受け止めて――、
「流石に対応が速いね――だけどっ!」
後ろへと飛び退き威力を殺すと同時に、雪人の結ぶ不動降魔印の光が追撃をかける兵士を縛り。
その光を兵士が振り払う隙を突き、一息に距離を詰めるロキシアが笑いかける。
「はあい、お仕事お疲れ様?」
身構える兵士にウインクひとつを投げかけて。
拍子を崩された兵士が次の動きに移るよりも早く、身を沈めるロキシアが相手の股下をスライディングで潜り抜け。
その背後へと回り込むと同時、かざす掌の先に展開する電脳魔術『Weapon Storage』から“魔槍”を即座に取り出して一穿。
「蟻の一穴、見切ったり! さ、次々行こう」
背中から魔槍に貫かれ、崩れ落ちる兵士に一瞥を向けることなく、槍を引き抜くと共に続けて地を蹴り。
そのまま止まることなく、四方へと閃くロキシアの槍が押し寄せる兵士の波を押し返し――突き込む穂先に足並みを乱した兵士へと、人鳥が、相真が、同時に飛び込み刃を振るう。
「いくぜ、ソーマ!」
「ええ、いきましょう!」
蒼く煌めく光を散らす人鳥の氷晶剣。
魔力の光を手刀に纏わせる相真の機構腕。
二種二重の斬撃が、数多の兵士の繰り出す工具の連撃を打ち払い。
捌き、かわし、受け流し――さらに一歩、
「――そこだ!」
突き上げられるシャベルの一撃を、人鳥が氷晶剣で受け流すと共に。
踏み込み切り上げる人鳥の刃が、兵士の腕を打ち上げ体勢を崩し――直後、残像を残して連撃の雨をすり抜ける相真の手刀が、その胴を薙ぎ払い。
「まだっ!」
ぐらりと揺らいだ兵士の体を、続く回し蹴りで跳ね飛ばし。
一瞬、稼いだ時間で相真は構えた手刀へと魔力を収束させて。
相真と並び鞆もまた、剣に見立てた仕掛け扇へと霊力と『いぬ』の雷撃を収束させる。
「いぬ、雷撃を、ここに」
魔力を束ね、霊力と雷撃を束ね。
相真が、鞆が、形成する二つの光刃を共に大きく振りかぶり、
「薙ぎ払う――」
「――ですよ!」
重なり閃く二つの刃が兵士達を薙ぎ払い。
走り抜けたその後に残るのは、切り裂かれた兵士の姿と――不規則に明滅しながら部屋の中へと散ってゆく、魔力と雷撃の残光達。
「『通信障害』、にて。伝令の手段に通信のようなものが用いられているならば、そちらも封じさせていただきます」
「あとは、伝令やその他の手段で連絡されるかもしれません。そちらの動きにも注意しましょう」
ディアボロスの望まない通信を不可能とする残留効果『通信障害』。
その効果をもってすれば、動力炉の状況を天守閣へと通信で伝えることは不可能となる。
とはいえ――伝令や鳴子、それ以外にも事態を知らせる手段は無数にあり、その全てに対策を打つことは至難の技。
故に、
「できる限りの手は打って」
「後は速攻勝負です!」
再度刃を構える鞆に頷き返しつつ、相真は戦場に視線を走らせ手刀を閃かせ。
それ以上はさせぬとばかりに叩きつけられる瓦礫の嵐を、真正面から見据えると崇は一度大きく息を吸い込む。
呼吸を整え、精神を集中し、練り上げた気を全身へと巡らせて。
燃え上がるような赤まで高めた闘気をこめて、踏みしめる震脚が地面を揺らし。
それを起点として走り抜ける衝撃波が瓦礫を弾き、空間を歪ませ――展開するのは、動力室の出入口を塞ぐ防衛ライン。
一兵たりとも逃がしはしないと、伝令は送らせないと、言葉以上に強く雄弁にその身で示して。
「さあ――いくぜ!」
なおも押し寄せる瓦礫の雨の中を、止まらず、怯まず、足を止めることなく崇は駆ける。
闘気の守りと我流の体術と、後は気合と根性と。
防ぎきれない岩石や瓦礫がぶつかろうとも、それでも――、
「自分たちの城を作り替えてでも戦うとはな。お前たちにも意地があるんだろう」
打ち合う度に、拳を通して伝わる相手の意地と覚悟。
例え実力で勝っていようとも、わずかでも気圧されてしまえば、それだけで押し返されてしまいそうな程に相手の思いは強いけれど。
「だが、それは俺たちも同じこと。押し通らせてもらう」
幾つもの瓦礫に身を打たれながらも、怯むことなく崇は前を見据え。
繰り出す左右の拳が瓦礫を砕いて、その先へと踏み込んで。
続けて、ひときわ大きな瓦礫が崇へと迫るも、
「コダマのもふもふまんまるボディ、防御は完璧、です!」
その前へと飛び込むコダマが瓦礫を受け止め、続けて放つ放電が周囲の瓦礫を砕き。
同時に、小雪が放つ魔力の風が破片を吹き散らして。
切り開かれた道へと、瓦礫を足場に崇は身を躍らせる。
「我流破界拳・石火」
大きく飛び上がり、纏う闘気を振りかぶる手刀へと集束し。
強く鋭く、空を裂いて走る手刀を、兵士のかざす鉄杭が受け止めるも――、
「岩も断ち切る一撃だ。耐えられると思うな」
硬い金属を断ち切る硬質の音を一つ響かせて、振り抜く手刀は鉄杭もろともに兵士を両断し。
続け、横薙ぎに走らせる手刀が生み出す風刃が、側面から、背後から、飛び掛かろうとする兵士を牽制し。
それに合わせ、クダギツネ『クダ吉』と共に駆ける雪人が術を、刃を走らせる。
(「クダ吉、行くよ!」)
『――!』
呼びかける雪人に応え、敵陣の中を縦横に駆けるクダ吉が牙爪を振るい。
その動きに兵の意識が逸れた隙を逃さず、雪人の放つ術が兵の動きを縛りつけ――直後、閃くクダ吉の爪がその首を切り裂いて。
「まだだっ!」
「うん――まだまだ、ここからっ」
兵の動きをかき乱す一人と一匹の連携に続くように、さらに踏み込む崇が、ロキシアが、続けて切り込み敵陣を蹂躙する。
五体を武器に、崇が繰り出す手刀と拳と蹴撃と。
ロキシアが振るう槍型決戦兵器“魔槍”と、その周囲を守るように飛翔する量産型の“魔槍”と。
二人の繰り出す連携が防壁となって、撃ち込まれる瓦礫を、工具を、そのことごとくを打ち払い。
「「――ふっ!」」
崇の放つ回し蹴りが瓦礫を打ち砕くと同時に、その破片の中を一息に突っ切るロキシアの槍が兵士を貫き。
「この守りを抜きたいなら、これくらいじゃ足りないよ――って!?」
軽く笑って槍を引き抜き――それよりも早く、殺到する激流が、残骸となった兵士もろともにロキシアを押し包む。
『水流アタック』――背部の放水ツールより兵士の放つ、あらゆるものを押し流し拒絶するが如き水の激流。
『かくなる上は、全員まとめて押し流してくれるわ!』
「ごぼぼぼぼぼー! (なりふり構わずすぎるでしょ……!)」
幾人もの兵士がまとめて放つ圧倒的な水量が、それに混じって押し寄せる瓦礫と残骸が。
ロキシアを、さらにはその背後の崇も呑み込み部屋の外へと押し流そうと殺到する。
――けれど、
「……っ!」
槍を地面に着き刺すロキシアが必死で抗い踏みとどまり。
その背後で、わずかに勢いを弱めた水流の中で崇が闘気を手刀に収束し。
「クダ吉、合わせて!」
雪人の走らせる刃と共に駆けるクダ吉の牙が水流を切り裂き――流れが断ち切られた一瞬の間に身を跳ね起こし、縦横無尽に走るロキシアの槍が激流を砕き。
「今度は、こっちの番っ!」
「俺を、俺達を止めるには、水鉄砲じゃまだ足りんぞ!」
続けて、投げ放つ槍が、それに並走する程の踏み込みで駆ける崇の手刀が。
宙を舞う水飛沫を貫き、次弾を放とうとする放水ツールを断ち切り追撃を阻み。
「内縛にして二頭指を立て合わせ、二大指、二水の側を押す――不動降魔印」
連撃を受けた兵士が体勢を立て直すよりも早く、素早く印を結ぶ雪人の神気の光が相手を貫き――しかし、倒れながらも振り抜くドリルが地面を抉り、無数の瓦礫を弾いて飛ばす。
「大した執念だね。けれど……」
「ここは、ともが」
ふ、と。小さく息をつく雪人に頷いて、滑るような足取りで鞆が瓦礫の嵐へと歩み出る。
手にした仕掛け扇を開いてかざし、一度二度、地面を踏んで拍子を合わせ。
「いぬ、雷撃の準備を!」
呼びかけると共に、舞うが如き動きで宙を踊る扇が降りかかる瓦礫を受け流し。
続けてひらりと身を翻せば、瓦礫に紛れて飛び込む兵士のドリルが鞆をかすめて走り抜け。
そのまま、とん、と地面を蹴って。振り向きざまのハンマーをかわしつつ鞆が飛び退けば、それと入れ替わりに跳ねながら飛び込む、もふもふまんまる白い毛玉が一つ。
「コダマ、ワイファイスパーク、です!」
小雪の声に応え、兵士の至近距離でコダマの放つ電撃が火花を散らして周囲を白く染め上げて。
その光が兵士達の注意を引きつける間に、鞆は背中越しにいぬへと呼びかける。
「いきますよ、いぬ。準備はいいですね!」
手にした扇をくるりと回し、閉じた扇を剣の如く握りしめ。
横へと伸ばしたその先へと、いぬが放つのは渾身の雷撃。
同時に、
「コダマ、もう一回、です。がんばって!」
目くらましの電撃を放って、ぴょんぴょんと跳ねながら戻ってきたコダマを小雪が抱きしめて。
自身の魔力を必死で制御しながらも呼びかける小雪の声に応え、魔力を受け取るコダマの毛皮が再度電撃を纏って火花を散らし、
「薙ぎ払う、ですよ!」
「こ、これがボクとコダマの全力、です!」
霊力と魔力と雷撃と。
幾つもの力を束ねて荒れ狂う雷光が、刃となって敵陣を薙ぎ払い。
――その雷光をドリルで砕き、地面を抉り飛ばした瓦礫と共に兵士達が駆ける。
もはや残りは数えるほど――けれど、怯む者も逃げ出す者も、一人たりとも存在はしない。
『まだだ、この城を奪わせはせん!』
「いい気迫だが――それだけじゃ、負けてはやれねえな」
飛来する瓦礫を目くらましに、その影から人鳥の振るう刃が兵士の胴を薙ぎ。
そのままさらに地を蹴り、崩れ落ちる相手の体を盾として人鳥は別の相手の死角へと回り込む。
(「俺自身はここで派手にやるつもりはねえからな」)
影から影へ、視界の隙間から意識の隙間へ。
瓦礫と仲間と敵の体と、幾つもの影を跳び渡り。
――続け、地を這うが如き動きで兵士の足元をすり抜けざまに、閃く刃がその脚を裂いて動きを鈍らせて、
「ここだ、ソーマ!」
「――ええ!」
その機を逃さず、たたらを踏んだ兵士達へと踏み込む相真が連撃を走らせて。
それを押し返さんと、体勢を崩しながらも兵士達の放つ連撃が相真の拳と交錯する。
手刀、拳撃、蹴撃、肘打。
ドリルにショベルにパイルバンカー。
相真の繰り出す幾つもの技と、兵士達の繰り出す幾つもの破砕ツールと。
無数の攻撃がぶつかり合い、弾き合って火花を散らし――、
「お――ぉおおおっ!」
気合の声と共にさらに踏み込む相真の掌打が相手を退かせ――追撃をかけようと踏み込む直後、横へと飛び退く相真を掠めて瓦礫の嵐が走り抜ける。
(「…そちらにも主への忠誠など様々あるのでしょう」)
そのまま押し寄せる瓦礫の嵐を切り払いながら、相馬は小さく息をつく。
その視線の先にあるのは、いまだ唸りを上げ続ける千早城の動力炉。
戦いの中で、劣勢に追い込まれながらも――それでも、兵士達は決して動力炉へは攻撃を向けようとしなかった。
それは、彼らが主の勝利を心から信じているからこそ。
「けど、こちらにも譲れないものがある」
忠誠、敬愛、あるいは親愛。兵士達の抱く思いは間違いなく強大なもの。だけど――相真達の抱く思いもまた、それに劣るものではない。
故に、後は、
「この先へ進む力とするため、この城はもらい受けます!」
全力を尽くして踏み越え、その想いも背負って先へと進むのみ。
強く握り締めた機構腕を中心として、渦巻く魔力の光が相真の全身を包み込み。
「接続、起動。幻光閃撃……!」
揺らめく光の残像を背後に残して、相真は瓦礫の嵐を駆け抜ける。
早く――なお、早く。
速度を落とすことなく、残影を残して刻むステップで瓦礫をすり抜け。
続けて降りかかる大岩を、無数の軌跡を描いて閃く手刀が微塵に刻むと共に、その下を更なる速度で潜り抜け。
「魔装接続:幻光閃撃(マジックコネクト・ミラージュストライク)」
言葉すらも置き去りに、駆け抜けざまに走る手刀の斬撃が兵士の首を、胴を、断ち切って。
「これで――っ!」
そのまま身を翻し最後に残った兵士へと繰り出す蹴撃は、かざしたハンマーに受け止められるも――、
『まだ、まだだ! せめて――』
「――いいや」
突きあげるハンマーが相真を押し返すよりも早く。
その背後から飛び込む人鳥が氷晶剣へと魔力を巡らせる。
蒼く煌めく刃に宿すのは、虚無へと繋がる『無』の力。
その刃が切り裂くのは目の前の敵ではなく――、
「大事な城を穴だらけにされるわけにはいかねえからな。虚無に呑まれて消えて貰うぜ」
音も、風も、一切を生み出すことなく振り抜く虚無の剣が、兵士とハンマーを空間ごと切り裂いて。
「これで、終わりだ」
カツン、と。断ち切られたハンマーが地面に落ちて、金属音を響かせて。
一瞬の間を置いて、巻き起こる突風がその残骸をも空間の狭間へと運び込んで――後に残るのは、戦いの痕跡を残しながらも兵士の姿の消えた動力室。
「制圧完了、だな。後は――」
ふ、と息を吐いて安堵の笑みを浮かべて。
そうして、人鳥は視線を巡らせる。
動力炉の破壊は阻止できた。
後は天守閣での戦いを制するのみ。
「さて、向こうはどうなっているかね」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】がLV3になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV3が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
ラヴィデ・ローズ
美しい覚悟だな
いつの世も、願いを叶えられるのは勝者だけ
――譲らないよ
『レゼル』にて
弱った敵から攻撃、仲間を狙う敵の横っ面に一発、と
目的を同じにする仲間と冷静に共闘したいね
オレの技は複数対象だしその起点になるか
突撃を迎え撃つ、足並み乱す形で炎剣を降らせ
『ドラゴンオーラ』も込みの炎の残像に紛れ、斬る/射る
刺突には武具を噛ませ致命傷から逸らせればいい
足を止めたその一瞬に炎の豪雨を
さぁ、止めてごらんよ
③別動隊の狙いを悟らせぬよう
この勢いで親玉まで攻め込まんとばかり、荒々しく見せる
【平穏結界】は③側の皆の為
【パラドクス通信】等、発動済なら連携を密に
一手毎、願い砕く重みを踏み越える
安くないんだよ
誰の命も
六藤・鈴鹿
【ヨアケ】
へぇ…カラクリに主従の絆があるとはね
面白い、見せてごらんよ
挑発し、二方面作戦である事を悟らせない様
情報処理能力の強化と高速思考により瞬間ごとに最適解を思考して立ち回る剣を使い、トループスの突撃に対して逆説連鎖戦の事も含めての最適な体の動かし方で機械槍を回避
そのまま反撃で宙を自在に舞い剣の豪雨を降らせる無数の妖刀による弾幕を仕掛ける
しかし強いな
伊達に士気が上がっているわけでもなし、か
他者の心を見通す神通力により敵の行動を読み切る剣で士気含めてトループスの動きをさらに正確に読み取り、回避し室内の器具ごと剣の弾幕で反撃を叩き込む
派手にやるぞ
この城の破壊が我らの目的と錯誤する様に
黒城・廉也
【ヨアケ】
アドリブOK
【パラドクス通信】で仲間との連携を図ることを第一
相手の士気の高さ…この城の主はとても慕われているんですね
ちょっとだけ俺の中で既視感があるような
……でも、人々を動力として動くこの城を許せるはずないんです
城主にはここで終焉を迎えてもらいます
戦闘前から可能であれば【通信妨害】と【平穏結界】を使います
どちらも連携防止、平穏結界は動力炉との関わりを断つのが目的ッス
また、通信以外にも伝令が居ないかは注視し伝令が居たら対処を
それぞれ情報は共有させたくないです
俺は先鋒で出ます
相抜刀に備えつつ被弾は避けるように動き、狼とダブルで攻め込むッス
撹乱すれば硬い装甲でもきっとチャンスがあるはずです
アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】から!
また一か所人々を解放する為に!
ここで城主には往生してもらいましょう!
クロノヴェーダ同士の仲が良くても人々に対する非道に変わりなし!
あなた達の正義を私は認めません!
久々のデュアル装備!
【完全視界】や【パラドクス通信】で仲間と連携しますよ🎵
装甲が厚くとも、十重二十重に撃ち込めばガタが来るってもんですよ!
さぁ、跳ねて跳ねて跳ねまくれーっ!
刀の横から撃ち込んで刃を逸らしたりしつつダメージは最小限に
まとまって来るなら集団の中で声弾を暴れさせてやります!
相手の目辺りを狙って気を散らしたりもしちゃいますよ
気合で生身が機械に負けるわけにはいかんのだー!
「「さぁ――」」
「――跳ねて跳ねて跳ねまくれーっ!」
「――行くッスよ!」
アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)が手にする二丁拳銃から連射する声の弾丸が、幾度も反射を繰り返しながら切り込む兵士の動きを牽制し。
その弾丸に並走するように地を駆ける黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)の槍が、弾幕を突き抜ける兵士の槍と交錯する。
「『――っ!』」
風の魔力を纏う魔槍と、紫電を纏う鉄槍。
二つの槍が打ち合う度に、弾け飛ぶ魔力が火花となって宙に舞い、
「甘いっ!」
突き込む鋼の穂先を廉也の槍が絡めて払い落し、体勢を崩した兵士へと横合いからラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)の放つ呪炎の矢が突き刺さり。
燃え盛る紫黒の炎が兵士の身を焼き尽くし――しかし、その炎を突き抜ける兵士の鉄槍を、六藤・鈴鹿(第六天魔王・天女自在天ノ型・g08449)が閃かせる妖剣が打ち払う。
「へぇ……やるもんだ」
横薙ぎから切り上げ、袈裟懸けから刺突へ。
刻一刻と変化する戦況を読み取り、握る長刀を自在に操り即応し。
立ち止まることなく刃を操る鈴鹿が、兵士を見据えて笑みを浮かべる。
天守閣での戦いが始まってから少なくない時間が流れ、ディアボロスの消耗は相応のもの。
だがそれ以上に、激しく消耗し限界が見えてきているはずの兵士達は――その士気を衰えさせることなく、捨て身とも思えるほどの勢いで以ってディアボロスへと刃を振るう。
「美しい覚悟だな」
「ええ。相手の士気の高さ……この城の主はとても慕われているんですね」
その姿に、眩しいものを見るように目を細めるラヴィデに、廉也もそっと頷きを返し。
一度息を吐くと共に、わずかに感じた既視感を胸の中へとしまい込む。
「……でも、人々を動力として動くこの城を許せるはずないんです。城主にはここで終焉を迎えてもらいます」
「また一か所人々を解放する為に! ここで城主には往生してもらいましょう!」
『否、否! 我らの生がある限り、そのような真似をさせはしない!』
再度閃かせる廉也の槍が、それに合わせてアオイの放つ声の弾丸が。
重ねて繰り出す二人の連携が、鬼気迫る覚悟を纏う兵士の槍と真正面からぶつかり合う。
既に動力炉の制圧が叶ったことは、パラドクス通信を通して仲間達から伝えられている。
後はそれを気付かせることなく城主を討ち取るのみ。
「カラクリに主従の絆があるとはね……面白い、見せてごらんよ」
『ならばその身に刻むがいい、我らが覚悟を!』
挑発するように笑みを浮かべて手招きする鈴鹿へと、兵士の突き込む無数の槍が殺到し。
その穂先をかわし、逸らし、足場として飛び退きながら――同時に、鈴鹿が宙へと舞わせる妖刀が無数の分身を作り出し。
振るう腕の動きに従うように、殺到する剣の弾幕が兵士の体を貫きその背後の床もろともに粉砕する。
「派手にやるぞ、この城の破壊が我らの目的と錯誤する様に」
「了解っ! 久々のデュアル装備! いっくよー!!」
派手に、激しく、豪快に。
二方面作戦であることを悟らせないように、広域へと刃の雨を走らせる鈴鹿に頷きを返し。
アオイもまた両手に握る二丁の拳銃に魔力を巡らせ、思いを乗せた声を弾丸として二つの銃口から撃ち放つ。
「クロノヴェーダ同士の仲が良くても人々に対する非道に変わりなし! あなた達の正義を私は認めません!」
敵の動きの先を読み、選び取った最適解へと放つ鈴鹿の妖刀。
反射を繰り返しながら、相手の意識をかく乱するように乱れ打つアオイの声弾。
刃と弾、二種二重の弾幕を突き抜ける兵士を見据え、ラヴィデは長弓の姿をした『レゼル』へと呪力を巡らせる。
相手の願いと覚悟は確かに強くとも、自分達の願いと覚悟もまた劣るものではなく。
そして、両者の願いは共存できず、ともに天を戴くことは叶わない。
「なら……やることは一つ、だね」
紫黒の呪炎を集束し、弓より放つ一矢は長剣へと姿を変えて宙を走り。
走り抜ける炎刃に断ち切られた兵士の身体が地面に落ちるよりも早く――呪炎の残滓を散らし、弓から長剣へと姿を変えた『レゼル』を手にして、踏み込むラヴィデの刃がその背後から切り込む兵士の刀と切り結ぶ。
「いつの世も、願いを叶えられるのは勝者だけ――譲らないよ」
『ああ、譲りはしない。勝つのは我らだ!』
真正面から、受けた長剣もろともにラヴィデを両断せんと押し込まれる刃を横へと逸らし。
その動きのままに振り抜く刃が体勢を崩した兵士の胴を薙ぎ払い。
続けて『レゼル』を弓へと切り替え、振り向きざまに放つ矢が回り込もうとする兵士へと走るも――閃く白刃が炎矢を切り裂き、爆炎を突破する兵士が槍を振りかぶり。
「――お、ぉおおっ!」
同時に、風と共に地を駆ける廉也が魔槍を閃かせる。
駆ける勢いを穂先に乗せて、繰り出す渾身の一穿が兵士の鉄槍と交錯し。
弾ける衝撃が大気を揺らがせた直後。
廉也の肩から血がはしり、同時に風槍が捉える相手の左肩が砕け散り、しかし、
「『――まだだ!』」
なおも止まることなく、兵士の抜刀を槍で捌きながらも身を沈める廉也の槍が兵士の足を払い。
体勢を崩した兵士へと、アオイの声弾と鈴鹿の刃が続けざまに突き刺さり、跳ね飛ばして。
そうして生まれたわずかな間にラヴィデは纏う呪炎をより激しく燃え上がらせ、集束させた呪炎から作り出す炎矢を弓につがえ、空へと向けて射ち放つ。
放たれた呪炎の矢は幾本にも数を増し、その姿を揺らがせ模るのは無数の長剣。
「さぁ、止めてごらんよ」
一斉に、降り注ぐ炎剣の雨の中。
炎と共に駆けるラヴィデの長剣と、炎を突き抜ける兵士の刃がぶつかり合う。
交錯する二つの刃は幾重にも火花を散らして弾き合い、互いの体を後ろへと弾き返すも――しかし、弾かれ足を止めたその一瞬に、降り注ぐ炎の豪雨が兵士の身を焼き払い。
続けざまに周囲へと振らせる炎剣の刃が、駆ける兵士の脚を鈍らせ動きを縛り。
――だが、
『この、程度!』
止まることなく、怯むことなく、閃く兵士の白刃が炎剣を切り裂き、続く鉄槍は火の粉を散らしてラヴィデへと走り。
その切っ先を鈴鹿の妖剣が切り払うと共に、飛び退きざまに放つラヴィデの炎矢に重ねるようにアオイが両手の銃を撃ち放つ。
「陰に隠れても無駄ですよ。全てを暴く弾幕結界です!」
前後左右、頭上と足元。あらゆる方向から走る声の弾丸が兵士を打ち据え跳ね飛ばし。
止めとばかりに真正面から打ち込む特大の一発が、兵士の構えた刀もろともにその身体を破砕するも――その残骸を踏み越えて、更なる兵士が押し寄せる。
「しかし強いな……伊達に士気が上がっているわけでもなし、か」
刃に、銃弾に、貫かれながらも踏みとどまり、弾幕の中を駆ける兵士の姿に鈴鹿はわずかに感嘆の息を漏らす。
既に、並みのトループス級であれば、幾度となく押し切っているだけの攻勢はかけている。
それでもなお、残る兵士が数えるほどに劣勢に追い込まれてなお、その戦線を崩壊させることなく踏みとどまれている理由は――決して、側近としての性能によるものだけではない。
「だが――」
「ええ、負けてはやれないッス」
兵士を見据え、握る妖刀の力をより強く引き出す鈴鹿に頷きを返し。
廉也もまた、手にした槍の力を開放する。
兵士の体を支える思いは、自分達が抱く思いにも通じるもの。
だからこそ、その強さはよくわかる。
「俺が切り込みます。狼とダブルで攻め込んで攪乱すれば、どれだけ硬い守りでもきっとチャンスがあるはずです」
「ああ、先鋒は任せる」
「なら、後詰は私たち! 気合で生身が機械に負けるわけにはいかんのだー!」
鈴鹿と、アオイと、言葉を交わして頷きあい。
二人が同時に放つ刃と銃弾に並走するように、荒れ狂う風雷と共に廉也は駆ける。
「我と共に高らかに吠えろ、閃光の如く駆ける勇ましき雷狼よ。仇なす全てを喰らい尽くせ」
身を沈め、呼吸を鋭くし、さらなる速さで地を蹴り走り。
風へと呼びかける廉也の声に応え、渦巻く風が激しさを増し雷光を走らせ――現れるのは、魔力にて作り出す雷の狼。
「雷狼の旋牙(ディスチャージ・ヴォルフ)!」
駆け抜け放つ風槍の刺突と、共に駆ける狼の雷牙と。
素早く、激しく、旋風の如き速さで打ち込む廉也の連撃が兵士を切り裂き、断ち切り、退かせ――、
「――おおっ!」
さらに地を蹴り飛び退く兵士へと追随し、放たれる抜刀を風を纏う槍が巻き上げて――直後、すり抜けざまに放つ刺突と雷狼の爪牙が同時に閃き、相手の胴を貫いて。
そのまま、振り抜く風槍が解放す魔力が烈風となって吹き荒れ、周囲の兵士を押し返し。
その機を逃すことなく、
「はっ――第六天魔王として龍脈に命じる。創り上げよ、三名の妖刀を」
「バレットボイス:バウンドパーティー! 装甲が厚くとも、十重二十重に撃ち込めばガタが来るってもんですよ!」
鈴鹿が宙へと躍らせる妖刀が無数の分身を作り出し。
同時に、アオイが手にした二丁拳銃『バレットボイス・デュアル』の出力を最大まで高める。
「剣雨の大通連、思考の小通連、神通の顕明連、以て天魔を斬滅する!」
数多の妖刀の分身を、高速思考にて操り、敵の心を読み取りその先へと走らせる武装作成パラドクス『第六天魔・三明竜脈の妖刀は天魔を断つ(シックスデーヴァ・トリニティブレイド)』。
鈴鹿の操る剣の豪雨が兵士へと殺到し――その雨の中、アオイの放つ声弾が複雑な軌道を描いて兵士へと走る。
「さぁ、跳ねて跳ねて跳ねまくれーっ!」
スピーカー付きのハンドマイク『ハーモボイス・オルフェウス』、片耳タイプのインカム『エクシードボイス・インカム』、そして世界を改竄する謎のタブレット端末『ワールドカスタマイザー』にて実体化したステージ衣装『ビジュアルレイヤー・カジュアルファッション』。
纏う装備の力を最大限に発揮してアオイが全力の歌声を乗せた声弾の連射が、床や壁や天井や、さらには鈴鹿の振らせる妖刀すらも足場として幾重にも反射を繰り返して、兵士を包囲して弾幕の中に包み込み――、
「これで――」
加速した思考で声弾の起動を読み取り、妖刀を操る鈴鹿が反射角を調節し。
それに合わせて、アオイがさらに重ねて声弾を撃ち込み弾幕の密度を高め。
「――終わりだよ!」
止めとばかりに、一際強く紡いだ言葉をアオイが弾丸として放ち。
それを合図とするように、周囲を飛び交う声弾は一斉に内に捕らえた兵士へと殺到する。
室内の器具ごと兵を切り裂く剣の豪雨、反射を繰り返して縦横無尽に乱舞する声弾の乱撃。
さらに重ねて、ラヴィデの放つ炎剣の雨が兵士へと突き刺さり、巻き起こる爆炎がその姿を呑み込み覆い尽くす。
――けれど、
『――っ!』
腕を穿たれ、足を砕かれ、その身体の半ば以上を失いながらも炎の中を突き抜け。
声無き叫びと共に、兵士の突き出す白刃が何よりも速く閃きラヴィデを貫く。
それは、兵士の見せた最後の執念なのかもしれないけれど――、
(「……悪い、とは言わないよ」)
貫かれたラヴィデの姿が揺らぎ、炎の花弁となって崩れ去り。
揺らめき消えるドラゴンオーラが作り出した残像の下で、噛ませた長剣で刃を受け止めラヴィデは小さく息をつく。
既に天守閣の中に兵士の姿は無く、目の前に立つのが最後の一兵。
そして、相手が最後まで意地を見せたならば――自分もまた、それに見合う覚悟で応えるのみ。
「パラドクス『紅さざめ(カルディナル)』」
横へと伸ばす手の中に、空から降る一振りの炎剣を掴み取り。
突き出す刃は過つことなく兵士の体を貫いて、
『……』
「……」
崩れる兵士の言葉を、間近でラヴィデだけが聞き取って。
その言葉を、願い砕く重みを胸に刻み。
その重みを踏み越えて、振り抜く刃が兵士を両断する。
(「安くないんだよ、誰の命も」)
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】がLV5になった!
【パラドクス通信】がLV3になった!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【ダブル】がLV2になった!
そうして――千早城、天守閣を守る護衛兵との戦いは終わりを告げる。
だが、それは前哨戦でしかない。
『そうですか……皆、先に逝きましたか』
天守閣の最奥からディアボロス達の戦いを見つめ、呟くような言葉と共に女性型の天魔武者が立ち上がる。
その身に纏う気配も、一挙手一投足から見える技量も、確かに強大なものではあるけれど――決して隔絶した境地には至っていない。
――だが、
『ええ、事ここに至れば是非も無し。せめて彼らに恥じぬよう、全霊をもって応えましょう』
言葉と共に、溢れ出る魔力が突風となって室内を走り抜け。
なおも収まることのない魔力が部屋の各所で渦を巻き、幾つもの巨大な犬の影を作り出す。
それは、ただ、戦いに備えて身構える彼女からこぼれ出た魔力が引き起こした、術ですらないただの余波。
『生憎と、戦いを得手とはしておりませんが……これでもジェネラル級の端くれ。この首を容易くとれるとは思わないでくださいね?』
彼女こそ、この地を統べる支配者。
千早城の城主たるジェネラル級天魔武者『於犬の方』。
戦いを得意としていなくとも、技量を持ち合わせずとも――その身に秘める莫大な魔力、ただそれを振るうだけでもディアボロスを薙ぎ払うには十分に過ぎる。
それでも、退くわけにはいかない。
幾つもの戦いを乗り越え、ついにたどり着けた決戦の舞台。
ここで彼女を討ってこそ、河内国の解放に手が届くのだから。
『千早城城主『於犬の方』、参ります』
相原・相真
天守閣へ向かい於犬の方と会話
情報を引き出したいのもありますが、彼女とも少し話したい
自分が踏み越える相手ともちゃんと向き合いたいので
「貴女は逃げないんですか? 松永久秀はある程度戦って逃げようとしましたよ」
「信長の命令も高野山に逃げれば何とかなる、とのことのようでしたが」
『こっちは色々知っている』と匂わせつつ会話
そこに「豊臣秀吉は和泉国に戻って迎撃の準備ですか?」みたいにブラフを織り交ぜます
当たりでも外れでも反応で情報引き出せればよし、
『知られてるなら隠す意味もない』みたいに思いさらに口を滑らせてくれれば上々です
戦う理由は信長への忠義か、城主としてあるためか
きちんと知ったうえで戦いたいですね
文月・雪人
動力炉の制圧を悟らせないよう注意しつつ
於犬の方と話をしたい
輸送中の人々は皆解放させて頂きました
秀吉は気付いていたのでしょうね
攻め込まれたら城主は逃げられない
様子を見てくるとか何とか理由をつけて
体良く逃げたのでは?
だが貴女を倒せば『摂津国』へも攻め込める
大阪城はどんな城なのか
残る人々もきっとその地に
(秀吉は摂津国に逃げたと敢えて断定的に言い
(焦るか安堵するか反応を見て正誤を測る
貴女の配下は皆、貴女の事を慕っていた
鬼妖一夜城も、仲間となった鬼妖達の思いに寄り添って作られたのでしょうか
でも、人の命は燃料にしても構わないと?
戦いは避けられない、護りたいものが違うから
貴女を討たせて頂きます
どうぞ御覚悟を
野本・裕樹
住民を一度強制避難し、その後燃料にしようとした事がヒントになるかもしれません。
史実と同じ位置なら千早城は河内国のほぼ南端に位置します……南に行けばすぐ紀伊国。
河内国の外から燃料を手配するならば紀伊国が一番近い、千早城の多脚城塞化が計画的であったのならばここに河内国の住民が集められているのではないかと予想します。
これを踏まえ会話を。
『鬼妖一夜城』からの一連の時間稼ぎお見事でした、千早城が動けば大変な事になる所でしたがこれまでです。
参考までに聞きたいのですが千早城建築は河内国の住民を強制避難させる前からの計画的な事だったのですか?
だとするならばその先見の明、侮り難しですね。
これで反応を伺います。
魔力を宿して爪弾く琵琶の音色が大気を揺らし。
そこから生まれ出でる黒犬の咢がディアボロスへと走り――、
「「――っ!」」
瞬間、相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)の魔力を宿す手刀と、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)の振るう蛇腹刀が十字に閃き。
続けて文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の舞わせる護符が、断ち切られた魔犬から溢れる魔力の渦を清めて散らして。
なおも残る魔力の余波が吹き荒れる中で、刀印を構える雪人は、刀を構える裕樹は――『於犬の方』へと向き直る。
「輸送中の人々は皆解放させて頂きました」
「『鬼妖一夜城』からの一連の時間稼ぎお見事でした、千早城が動けば大変な事になる所でしたがこれまでです」
ジェネラル級天魔武者、千早城城主『於犬の方』。
この河内国を、そして天正大戦国のディヴィジョンを開放するために、乗り越えなければならない相手。
『なるほど……薄々そうだとは思っていましたが』
「ええ。そういうことです。ですが――その前に、聞かせてもらえますか?」
吹き荒れる『於犬の方』の魔力は、向き合うだけでも体力を削っていくけれど。
それでも、と。相真は『於犬の方』を見つめて問いかける。
「貴女は逃げないんですか? 松永久秀はある程度戦って逃げようとしましたよ」
「秀吉は気付いていたのでしょうね、攻め込まれたら城主は逃げられない。様子を見てくるとか何とか理由をつけて体良く逃げたのでは?」
『松永様が撤退することができたのは、『荒神岳城』を完成させず築城中としていたからこそ。秀吉様が完成させたこの千早城には、そのような裏道はありませんし……あったとしても、使うつもりはありません。貴方達とてそうでしょう?』
「ええ、それは確かに」
慎重に、だからと言って臆することなく。
相手から視線を逸らさぬままに、相真が、雪人が、かける言葉に『於犬の方』が答え。
また、相手からの問いかけにも答えを返し。
互いに得物を構えたまま、しかし刃を交えることなく。
相手の意図を図りながら、ディアボロスと『於犬の方』は言葉を交える。
『そもそも秀吉様の居城は千早城ではありませんし、負け戦に最期まで付き合って討たれでもすれば、そちらの方が問題でしょう』
「……なるほど、ね」
その中身を読み取り、雪人は小さく頷く。
『豊臣秀吉の居場所』、『強制避難させられた河内国の住民の所在』、知りたいことや聞き出したいことは無数にある。
自分達にわかっていることは、ともすれば『於犬の方』が思っているよりもずっと少ないけれど。
それでも、断片的な情報を繋ぎ合わせ、わかっている情報と重ね合わせれば見えてくるものもある。
そして、
「参考までに聞きたいのですが千早城建築は河内国の住民を強制避難させる前からの計画的な事だったのですか? だとするならばその先見の明、侮り難しですね」
『機密に関わる問いに答えるとでも? ……いずれにせよ、その問いも称賛も、受けるべきは私ではないですね』
(「踏み込み過ぎましたか……ですが、全体的な計画は秀吉主導、と言うことでしょうか?」)
(「もしくは、もっと大きな計画の一つの可能性もあるかな?」)
答えが得られなかったということもまた、一つの答えとして。
相手の反応も含めて裕樹は思考を巡らせ、パラドクス通信を介して雪人達と言葉を交わし。
(「そうすると、秀吉の居場所が重要になりますが……迎撃の準備のために、和泉国に戻っているのでしょうか?」)
(「そうですね……いや、秀吉の居城は千早城ではない――ということは、既に別の居城を持っている、と。そして歴史上で秀吉と縁が深い城があるのは……」)
相馬の言葉に頷きを返しながら、ふと雪人の脳裏に一つの可能性が浮かぶ。
紀伊国・摂津国・和泉国。その中で秀吉と最も関係が深いと言える国と城は……、
「だが貴女を倒せば『摂津国』へも攻め込める。大阪城はどんな城なのか、残る人々もきっとその地に」
『っ、そこまで、気付いていましたか』
確信、と言う程には至っていなかった。
けれど、あえて断定的に言った言葉に対する『於犬の方』の反応こそ、その推測の正しさの裏付け。
「半分は勘でしたが……その反応をするということは、そういうことですね」
警戒を強める相手の視線を受け止めながら、雪人は小さく笑みを浮かべ。
それに対し『於犬の方』は大きく溜息をついて……自嘲と苦笑の混じった笑みと共に空を仰ぐ。
『まったく……慣れない腹芸を真似ようとするものではないですね……まあ、隠す必要もありませんか。確かに、秀吉様は摂津の大阪城に居られます』
「さすがに、大阪城がどんな城なのかは……」
『それは、まあ秘密としておきましょう。とりあえずは……難攻不落の大阪城にいる秀吉様を討つ事は不可能である、とだけ』
苦笑交じりに問いかける雪人に、くすり、と笑いながら首を振り。
そうして――『於犬の方』は手にした琵琶へと指を走らせる。
『さて、そろそろ始めましょう。これ以上言葉を交わすと、覚悟が揺らいだり……またボロが出たりしそうですし』
「待ってください。もう一つだけ、聞かせてください」
『駄目です』
相真の呼びかけを視線を逸らして切り捨てて。
爪弾く旋律は魔力を乗せて、天守閣の中を風で満たし――、
「『貴女』は、何のために戦うのですか?」
吹き付ける魔風を気合と共に押し返し、相真は相手を見据えて言葉を放つ。
もとより、相容れることのない敵味方の間柄。
もう一歩、半歩、どちらかが踏み込めば、それだけで戦いの火蓋は切られることになるだろう。
(「けれど、その前に」)
聞き出したい情報は幾つもある。
そして、それと同じくらいに『於犬の方』のことを知りたいとも思う。
刃を交えない選択肢などない相手だからこそ――自分が踏み越える相手とも、ちゃんと向き合うために。
「貴女が戦う理由は信長への忠義か、城主としてあるためか」
「貴女の配下は皆、貴女の事を慕っていた。鬼妖一夜城も、仲間となった鬼妖達の思いに寄り添って作られたのでしょう――でも、人の命は燃料にしても構わないと?」
天魔武者としてではなく、個人としての『於犬の方』を見据え。
相真の言葉が、雪人の言葉が、風を貫き『於犬の方』の手を止め。
――そうして、
『構いませんよ。私は河内国を預かる天魔武者『於犬の方』。仲間である天魔武者の為であれば、人の命を片手間で使うことも厭いません』
「……そうですか」
静かな口調で返される答えに、雪人は視線を鋭くする。
配下に対してどれだけ慈悲深くとも、相手はあくまで天魔武者。人々に対しても同じような価値観で接するはずもない。
けれど、
『そして――貴方達を撃退した暁には、『和泉国』から帰還した住民たちも含めてこの地を守っていきましょう』
「……なんですって?」
続く言葉に、裕樹は目を丸くする。
相手は住民を一度強制避難し、その後燃料にしようとした作戦の実行者。それが、
「人々を守る、と?」
『最優先とするのは天魔武者ですが……無駄に人々を虐げるつもりもありません。あくまで優先順位は下ですし、必要があれば命を奪いますが』
「ふむ……ちなみに、『和泉国』に集めていた理由は聞いても? 地理的に紀伊国と読んでいたのですが」
『ええまあ。秀吉様としては、本拠地の摂津は距離的に面倒、紀伊国は少々扱いが特殊だとかで、消去法で和泉国に管理を押し付けたという話ですね』
「なるほど、ね」
その答えに、裕樹はそっと息をついて頷く。
実際に人々を運んでいるのが秀吉である以上、選んだ裏には別の理由があるかもしれないけれど。
それでも、移住させられた人々が和泉国にいることは、確かなのだろう。
ならば――この難敵を乗り越えて、その地へと向かうのみ。
『では……今度こそ、始めましょうか』
「ええ、時間を取らせてしまいすみません」
『お気になさらず。私も覚悟を改めることができましたから』
『於犬の方』と視線を交わして、微かに笑い合い。
吹き付ける――わずかに質の変わったように思える魔風の中で、相真は拳を握る。
聞くべき事は聞いた。
相手の在り方も、理解できた。
後は雌雄を決するのみ。
――故に、
「戦いは避けられない、護りたいものが違うから」
敬意と共に雪人は印を結ぶ。
自分達とは異なる価値観を持っていても、確かに相手はこの地を統べるだけの存在なのだから。
『千早城城主――いえ、河内国領主『於犬の方』。貴方達がこの国を手にしようというならば――見事私を討って見せよ』
「文月・雪人。貴女を討たせて頂きます――どうぞ御覚悟を」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV2が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
八百陣・葵漆
キミを倒して、河内国は解放させてもらうよ!
動力炉も仲間たちが制圧してくれたみたいだし
あとは『於犬の方』を倒すだけだね
もっとも相手はジェネラル級だ
あの膨大な魔力……気を引き締めていこうか
気休め程度だろうけど、耳栓をつけていくよ
これで少しでも吠音の効果が弱まればってところだね
攻撃は『戦刃爆裂鞠』で行うよ
自動で敵を感知するこの絡繰りに攻撃を任せて
僕自身は吠音の対応に集中するよ
攻撃に気を割かずに精神を落ち着けることに集中すれば
耳栓の効果も含めて被害はある程度抑えられるだろう
敵がまだ動力炉の制圧に気づいていないようなら
於犬の方撃破後に動力炉の制圧を目指しているような演技で
ばれない様にしておきたいかな
レオニード・パヴリチェンコ
ん。この国を解放するためにも必ず君を倒す、よ
例え相容れない敵同士だとしても、配下に慕われているのは於犬の方が城主に相応しいジェネラル級だったからこそ
追い詰めたのでなく、ここからが本番
気を引き締めていこう
音色に合わせて、猟犬が放出されるならその動きには流れがある筈
猟犬の足元に牽制で銃弾を撃ち込みながら逃げ回り、動きを観察
放出が途切れるタイミング、あるいは攻勢を仕掛けて隙ができるタイミングを見計らって前へ
見る限りではそう動き回るのが得意なタイプじゃない
不意を突いた瞬間なら最大の一撃を撃ち込める筈
狙いは抱えた琵琶……猟犬に喰い付かれるのも覚悟で狙いを付けて、魔弾を撃ち込むよ
守都・幸児
※アドリブ、連携歓迎
兵たちと戦ってみてよくわかった
お前が、兵に慕われるいい城主なんだってことがな
だが
俺たちとは大事なもんが違いすぎるみてえだ
俺は俺の大事なもんに恥じねえために、てめえと戦う
皆の会話の邪魔はしねえように
注意しながら戦うぞ
俺の使う技は「瞑」
武器の攻撃をパラドクスに変換する技だ
使う武器は式鳥符
投じた符を白い鳥の群れに変え
敵の放った猟犬型機械にぶつけてやる
式一羽一羽の威力は大して強くねえが
ぶつかった式は紙に戻り、機械の隙間に入り込む
機械ってのは噛み合わせが大事なんだろう?
これで少しは動きが鈍るだろうよ
あわよくば於犬の方まで式を届かせて
琵琶の音色を乱してやる
そうすりゃ
皆の助けになるはずだ
『では――参ります』
「ああ、始めようか!」
『於犬の方』の奏でる琵琶の旋律に合わせるように。
天守閣の各所から姿を現す機械仕掛けの猟犬が、渦巻く魔力から生まれ出る霊体の黒犬が。
数多の犬の軍勢がディアボロスへと殺到し――その群れへと、八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)が展開する絡繰り兵器の砲撃が突き刺さる。
手にした羽扇を振るい、指し示すその動きに応えるように足元に展開する無数の自走砲が一斉に火を噴き、爆炎を巻き起こし。
その炎をかいくぐって飛び掛かる猟犬の鋼牙をギリギリでかわすと同時に、その口へと押し込むのは絡繰り仕掛けの鞠。
「使役する犬達ですらこの動きってのは相当なものだけど、でも――キミを倒して、河内国は解放させてもらうよ!」
「ん。この国を解放するためにも必ず君を倒す、よ」
飛び退きざまに葵漆が扇を振るえば、押し込んだ鞠から突き出す刃が猟犬を貫き、続く爆発がその身体を爆ぜ飛ばし。
その背後から押し寄せる霊体の黒犬の爪牙を、すり抜けざまにレオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)が振るう儀礼用の短剣"фея"と"нимфа"の二つの刃が閃き切り裂いて。
止まることなく地を蹴り、横合いから飛び込む猟犬の牙をかわしざまに銃へと持ち替え、狙いを定め。
魔犬の群れのその先で、琵琶を奏でる相手を見据えて引き金を引く――瞬間、
「――っ!」
相手の視線がレオニードを捉えると同時に琵琶の旋律が変化し、動きを縛る魔曲へと変じた旋律がレオニードの手足へと絡みつき。
即座に飛び退き呪縛を振り払うも――その隙は、猟犬が飛び掛かるには十分な間。
けれど、
「やらせねえっ!」
「ん、まだだよ」
追撃をかける猟犬の牙がレオニードを捉えるよりも早く。
飛び込む守都・幸児(祥雲・g03876)の藍鬼拐が牙を跳ね上げ、続くレオニードの銃弾がその首を貫き。
続けて、幸児が取り出した紙符へと呪力を通して投げ放てば、空を裂く紙の矢が魔力の風を貫いて『於犬の方』へと走り――しかし、その切っ先は渦巻く魔力に逸らされて。
琵琶を持つ腕を掠めて走り抜ける紙符を、風から生まれる黒犬が噛みちぎり。
そのまま消えることなく地面に降り立ち、押し寄せる黒犬の群れを、鋼の猟犬の群れを。
殺到する魔犬の群れを、葵漆の絡繰り兵器の砲撃と、レオニードの回転式拳銃が放つ銃弾。二つの弾幕が押し返す。
千早城中枢である動力炉を制圧し、後は『於犬の方』を倒すだけ。
状況だけを見るならば、ディアボロスが『於犬の方』を追い込んでいると言えるけれど――、
「もっとも相手はジェネラル級だ、あの膨大な魔力……」
「ん。追い詰めたのでなく、ここからが本番。気を引き締めていこう」
扇を振るい戦場を俯瞰する葵漆にも、頷き返すレオニードにも、その表情に余裕の色はない。
相手の身のこなし自体は、これまで戦ってきたアヴァタール級と比較しても、決して上位と言えるほどのものではない。
だが、その身に宿す莫大な魔力と、それを用いて生み出し統率する無数の魔犬の軍勢。
何より――ディアボロス達を真正面から見据え、侮ることなく敵として相対する、その瞳。
これが、ジェネラル級天魔武者『於犬の方』。
千早城を、否――河内国を統べる天魔の『将』。
「例え相容れない敵同士だとしても、配下に慕われているのは於犬の方が城主に相応しいジェネラル級だったからこそ」
「兵たちと戦ってみてよくわかった。お前が、兵に慕われるいい城主なんだってことがな」
部下と、仲間と、国と。
幾つもの存在を背負う相手の気迫を受け止め、しかし怯むことなくレオニードの放つ銃弾が黒犬を貫き霧散させ。
わずかに残滓が残る風の中を突き抜けて、幸児は止まることなく前へと駆ける。
相手もまた、大切なものを守るために戦っている。
「だが、俺たちとは大事なもんが違いすぎるみてえだ。俺は俺の大事なもんに恥じねえために、てめえと戦う!」
飛び込む猟犬の牙を拐で受け流し、続く回し蹴りで跳ね飛ばし。
そのまま横跳びに飛び退く直後、殺到する黒犬の動きを葵漆の閃光弾が鈍らせて。
「纏めて、凍り付かせる」
動きが止まった魔剣の群れへと、レオニードの放つ霜の精を宿した魔弾が突き刺さり。
瞬時に広がる冷気に曝され凍結した仲間達を踏み台として、さらなる猟犬がディアボロスへと飛び掛かるも――、
「通さねえよ。式鳥符、行ってこい」
幸児が手挟む紙符へと呪力を通し、放つ符は白い鳥の群れへと姿を変えて。
空を翔ける紙鳥の群れが、殺到する猟犬の群れと交錯し。
閃く翼が猟犬を切り裂き、同時に振り抜く鋼牙が紙鳥を裂いて紙片と散らし――紙吹雪の中を突っ切る猟犬を見据え、幸児は広げた掌を敵へとかざす。
「まだだぜ、瞑(クライ)――くらいやがれ」
かざす掌は闇色の呪力を纏い、より暗く、深く、揺らめいて。
ぐっと、その手を握りしめた瞬間、舞い散る紙片が一瞬で闇色に染まり、渦を巻いて猟犬へと殺到する。
「機械ってのは噛み合わせが大事なんだろう? これで少しは動きが鈍るだろうよ」
「そういうこと、だね!」
呪力を帯びた紙片が猟犬の間接へと入り込み、さらにその上から葵漆の自走砲から放つトリモチが関節を固め。
動きを鈍らせた猟犬をレオニードの魔弾が貫き、その脇を駆け抜けながらも続けて次の敵へと銃を構え――即座に身を翻してレオニードが飛び退く直後、その空間を魔曲の旋律が走り抜ける。
「それは一度見た、いや、聴いた」
幾度となく形を変えながら襲い来る旋律の腕を潜り抜け、同時に抜き放つ拳銃の連射が猟犬の動きを牽制し。
わずかに動きを乱した猟犬の隙間を抜けるように駆けながら、レオニードが意識を向けるのは『於犬の方』が奏でる琵琶の調。
(「いち、に、の、さん……こう、かな?」)
音色に合わせて、猟犬が放出されるならその動きには流れがある筈。
目まぐるしく変化する琵琶の音に合わせるように、レオニード自身もステップを踏んでリズムを読みとり。
(「なら――ここ!」)
猟犬の動きを曲の変化から先読みして、相手と同時にレオニードもまた地を蹴って。
鋼の爪牙を潜り抜け、飛び越え――直後、変化を重ねる旋律がレオニードの動きの先へと回り込んでその身へと殺到するも、
「いいや、そいつはさせないよ!」
笑みを深め、飛び込む葵漆が魔曲の腕を受け止める。
魔曲に乗せて押し寄せるのは、精神を錯乱させ、混乱に陥れる魔力の波長。
「その技の事は聞いていし、対策も用意してあるとも」
意識を集中して精神を落ち着け、ついでに気休め程度の耳栓の助けも借りて、心をかき乱す旋律を受け流し。
同時に展開するのは、自律して敵を感知し攻撃を行う絡繰りの鞠。
「さあ、行っておいで。『戦刃爆裂鞠』」
地面を転がり、弾みながら展開する無数の鞠が葵漆を中心に陣を作り出し。
その陣へと踏み込む猟犬を――弾み寄る鞠から突き出す刃が、突き刺さったまま爆ぜ飛ぶ爆炎が。
幾つもの仕掛けでもって敵を退け、迎撃して。
爆炎の先に見える、『於犬の方』の影を見据えてレオニードが銃を構える。
(「見る限りではそう動き回るのが得意なタイプじゃない。不意を突いた瞬間なら最大の一撃を撃ち込める筈」)
炎と、仲間と、さらには押し寄せる猟犬と。
身を隠し、不意を突くための影は無数にある。
故に――、
(「狙いは抱えた琵琶……」)
呼吸を整え、精神を集中し。
霜の精を宿し、冷気を纏うライフルを構えてレオニードは視線を鋭くする。
(「まだ、まだ……」)
飛び掛かってくる猟犬の牙が迫る中で、さらに意識を集中して魔力を高め。
鋼の牙を最低限の動きでかわし、掠めた頬から血がしぶくも瞬きすることなく相手を見据え。
「霜の精よ、凍てつかせろ」
冷気を纏い、放つ魔弾は宙を裂いて『於犬の方』へと迫り――しかし、その寸前で密度を高めた魔風に飲み込まれる。
――だが、
「いや――まだだ!」
銃弾に一瞬遅れて、幸児の放つ無数の式鳥が風へと走り。
それらもまた、魔風と黒犬に阻まれ『於犬の方』へ届くことなく切り裂かれるも――裂かれながらも、紙符は吹雪となって風へと散り。
紙片の宿す呪力が風の魔力をかき乱し、圧を減じたその瞬間を逃すことなく、
「問題ないよ……ボクの魔弾は敵を逃さない。Дед Мороз(ジェド・マロース)」
風越しに放つ魔弾が『於犬の方』の手を弾き、凍てつかせ。
天守閣に響く曲がわずかに途切れ、魔犬の動きが乱れ――しかし、瞬きするほどの間も無く、即座に体勢を立て直す『於犬の方』が曲を紡ぎ直し、魔犬も統率を取り戻す。
『――っ、やるものです。ですが』
「ああ、だが――」
「ん、わかってる」
直後、殺到する猟犬の爪牙を飛び退き、回避して。
『於犬の方』の視線を受け止め、幸児は、レオニードは、そして葵漆は、小さく笑い――しかし、意識を緩めることなく得物を握る。
未だ相手の底は見えず、戦況を決定付けるには程遠い。
けれど、確かに届いた。
ならば、
『戦いは、まだ――』
「――ここから、と。そういうことだね」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
黒城・廉也
【ヨアケ】
アドリブ可
仲間との連携を常に図る
主は自分の仲間や庇護下の者を守る為に覚悟を決め決断する。そう……そうなんですよね
俺は、それをよく知っている気がします
於犬の方の覚悟、受け取りました。敬意を表して、ありのままの俺でお相手します
先程の部下の士気の高さ同様、彼女の覚悟がおそらく本来の力より数段強くさせているはず
敵の狗首は槍で受け流しつつ、未来予測を使用し、敵の動きを少しでも早く察知
集中出来る隙を見つけたら攻撃に移ります。神速反応でいち早く行動を開始し、飛翔のスピードで胸元へ
彼女にカウンター気味の一槍をぶつけます
どんな覚悟を持っていようと、俺も退けない…いや、退きません!
獄炎の焔よ、俺に力を!
御守・樹
アドリブ連携歓迎
いいな。そういう覚悟決まってるやつ、俺は嫌いじゃない。
だってさ、どんなに技量差があったって真剣勝負の最後は心構えが物をいうもんだろ?俺はそう思ってるよ。
光学迷彩・モブオーラを纏いなるべく自分の気配を隠すようにし、、物陰人影に隠れる紛れるように移動する。
完全に隠せるとは思わないが一瞬でも於犬の方の視野や思考外になればいい。その切れた一瞬の隙をついてダッシュで一気に近づき、アサシネイトキリングで攻撃をしかける。
攻撃後は一撃離脱で距離を取り向こうの攻撃に備える。
だってあれ(犬の頭部)は物理攻撃が効きそうにないし、受け流すとかも難しそう。なら避けるしかないだろ。
音羽・華楠
……私は、河内国に特に思い入れはありません。
それどころか、これまで天正大戦国自体にあまり関わっても無いです。
ですけど――
――私たちとは決して相容れませんが、ご立派な矜持です、於犬の方。
戦場に臨むあなたの覚悟には、敵として全力で応えたくなりました。
……音羽華楠です。
あなたの死出の旅に、我が『赫雷』でせめてもの花向けを!
《雷幻想・斬鉄》発動――
雷の剣で、於犬の方を斬り裂きます。
回避や防御を試みられても、《斬鉄》の雷刃は変幻自在!
避けた先へ追尾し、固めた守りを掻い潜って於犬の方を追い詰めてみせます。
反撃の魔力による巨犬の頭部も、それごと斬り裂いて於犬の方に《斬鉄》を届かせてやるくらいのつもりで。
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
於犬の方の揺らがぬ覚悟
成程これが、一国一城の主たる誇りと責任というものか
信雄や久秀とは対照的で
だからこそ敬意をもって全力で相対したい
目は赤く、額に赤い角が2本生え
ネメシスモードへ
攻撃が得手でなくとも相手はジェネラル級だ
【未来予測】で油断なく冷静に動きを観察し
仲間と情報共有し連携して挑む
吹き鳴らすのは、有明月の名を持つ竜笛
琵琶の音に竜笛の音を重ねて『共鳴結界』を結び
精神を乱す魔力の波長を
魂鎮める浄化の波長で押し返す
胸にあるのは、隠れ里へ保護した人々からの【託されし願い】
圧政からの解放は彼らの願いであり、俺の願いでもあり
強い思いを音に乗せて結界を強化
於犬の方を縛り滅する力としたい
ラヴィデ・ローズ
壮絶な覚悟を見せられた手前
逃げらんないなぁ、これは
『レゼル』と駆ける
負傷は覚悟済。あくまで反撃の機を稼ぐ為
武器の他
『Sweetie』結界(術)『ドラゴンオーラ』残像も併用
持てる全てで
犬を壊し、弾き、惑わしつ
一でも多く本体へ届かせる、仲間に繋げる
その際、壊す犬は急所狙いや敵の盾等
致命傷対策と障害減に絞り手数差カバー
本体攻撃で演奏を乱す攻撃的防御といく
仮に武器が握れずとも
意志の飛刃は届く
オレは口下手なもんでね
結局、こんな形での語らいが一番性に合う
皮肉な話だが
傷が重い者へのPOW攻撃は積極ディフェンス
消耗分散と反撃を狙う
意地を通した側として
この殺し合いに意義があったと
納得出来る明日にする。それだけだ
白水・蛍
連携積極的に
WIZで周囲ディフェンス
トールさんと一緒(g08963)
……覚悟を受け取りました。後は言葉ではなく。この武器で。
お互いの主張を通すのみ。通るのは最後に立つ者。勝者のみ。
息を吸い込み、ブレイドハープの切っ先を相手に向け名乗りを上げます。
――我が名は白水蛍。於犬の方。いざ勝負!
そして、そのまま琴部分に手を滑らせ音を鳴らしパラドクスを奏でましょう。
――我が音に応えて来たれ。全てを撃ち貫き、穿つ、魔力の一撃!!
相手の音をも飲み込んで、吹き飛ばして、巻き込んで。溶かしつくす魔砲の一撃を放ちます。
我々は負けません。最後に立つ者が私でなくとも。その後に続く誰かが立っていれば勝利なのですから。
鳴神・トール
同行者 白水さん(g01398)
連携重視。
守る者の優先順位…言いたい事はとてもわかる、俺もそうだから。
そうだからこそ…こちらの道理、通させてもらうぞっ。
俺ではあちらを仕留めきる火力がないのは重々承知、故に今回共に参加した白水さんの攻撃を確実に当てる為に我が身を囮として使おう。
飛翔による低空飛行で白水さんの攻撃準備が整うまで注意を引く為突撃、未来予測にて音を奏でる瞬間を察知し、敵にではなく敵が放つ機会の大群へこちらもパラドクスを発動。
我が雷光を以て、活路を開こう!ヴォルテクスザンバー!!
今です白水さんっ、道は開かせました!
野本・裕樹
河内国の領主としての覚悟、確かに受け取りました。
仲間である天魔武者の為というのも理解できます、しかし仲間の為に戦うのは貴女だけではありません。
武器は《廻刃刀『竜顎』》を使います。
相対しただけで分かる凄まじい魔力とは競わず接近して刀と力で対抗しましょう。
【未来予測】で猟犬の攻撃を回避、時に両断し『於犬の方』の至近距離を目指します。
演奏をしにくくなるくらいに接近するのが目的です、出来そうであれば琵琶と《『竜顎』》の鍔迫り合いで仲間の攻撃の機会作りも狙いましょう。
刀を振るえない距離でも《竜牙葬》ならば力で押し切り手傷を与える事が可能な筈です。
貴女を越えた先に向かうべき地がある、討たせてもらいます!
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
……いいね
領主としての姿勢は人外なりにあると見た
本質は他の天魔武者と変わらないにしてもね
律儀に話に付き合ってくれた以上、礼節は尽くすよ
ロキシア・グロスビーク。いざ、勝負
目を離さないでよね
“魔槍”の穂を地へ向けた特有の構えをとり
Moon-Childを両脚に集中・活性化し弾かれたように【ダッシュ】
5種、伝承開放ッ!
穂に剣呑なオーラを灯し
決戦兵器は、大物食いなんだから!
味方の攻防の間隙を突くように
禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)ッ!
必殺の槍撃を放つ!
反撃に際しては
まだだ!ゲイ・ボルグは止まらない!
量産型“魔槍”を宙に浮かべ犬へ放つ、
或いは“魔槍”を支えさせ喰らい付きに抗うなど
「「お――ぉおおおっ!」」
並び駆ける黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)の風槍とロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)の魔槍。
二つの槍の切先と殺到する魔犬の爪牙が幾つもの火花を散らして交錯し。
弾き、貫き、打ち倒し――閃く魔槍に後脚を砕かれながらも、飛び込む猟犬の爪牙が廉也に迫り、
「――ふっ!」
迫る鋼牙がその身を裂くよりも早く、割り込む槍の柄が狙いを逸らし。
受け流す勢いも載せて振り下ろす穂先が猟犬を砕くと同時に、ロキシアが背後へと突き出す石突が背中を狙う猟犬を迎撃して。
続け、相手が身を捻って着地するよりも早く、鋭い呼吸と共に踏み込むラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が刃を振るう。
呪炎を纏い閃く『レゼル』の刃が猟犬を切り伏せ、その動きのままに大きく振り抜く刃が周囲の魔犬を牽制し。
なおもその炎刃を潜り抜ける黒犬の爪がラヴィデを捉えるも――しかし、
「こっちだよ」
爪に引き裂かれるラヴィデの姿が揺らめき、炎の花弁を残して崩れ去り。
ドラゴンオーラの残像を身代わりに、黒犬の頭上へと飛び上がるラヴィデの手の中で『レゼル』が長剣から弓へと姿を変えて。
「舞い散れ」
「来たれ、音にて動く影の歌!」
放つ炎矢が黒犬を貫き散らし、その魔力の残滓を裂いて駆ける猟犬の爪を白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)の奏でる旋律が惑わせて。
生まれた隙を逃すことなく、飛び込む御守・樹(諦念の珪化木・g05753)の蹴撃が猟犬を砕き、続けて身を翻して放つ投げナイフが左右から襲い来る黒犬を霧散させる。
――けれど、
「ああ、そうなるよなあ……」
宙へと散った黒犬の残滓が、響く琵琶の音に導かれるように収束して再び黒犬の影を作り出し。
その光景に苦笑を浮かべつつも、樹は止まることなく地を蹴り。
相手が再度形をとるよりも早く、先へと駆け抜けようとする樹を捕えるように、響く琵琶の音に乗せてその周囲で魔力が渦を巻く。
『吠音』。精神を乱し動きを縛る魔曲の旋律が、駆ける樹の心へと腕を伸ばし――瞬間、
「させませんよ」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が打ち鳴らす、柏手の音に乗せた霊力が魔力を散らし。
その機を逃すことなく、さらに身を沈めて強く地を蹴り。
地上を滑るように距離を詰めると共に、樹が繰り出すナイフの刃は『於犬の方』が纏う魔力に弾かれる。けれど。
「「――おおっ!」」
唸りを上げる野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)の廻刃刀『竜顎』に、腰部メインスラスターの出力を引き出し駆ける鳴神・トール(蒼雷共鳴《ライオニクス》・g08963)のレーザーソード。
さらに重ねて切り込む二つの斬撃が魔力の壁を押し切って。
十字に走り抜ける刃は、飛び退く『於犬の方』を掠めるにとどまるも――、
「『まだっ!』」
飛び退く『於犬の方』に追随する音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)のフェアリーレイピアが閃き、その肩を捉え――同時に、弾く弦から走る黒犬の牙が華楠の体を弾き返し。
「さすが――けど、これくらいっ!」
弾かれながらも踏みとどまり、刃を握り、前へと走り。
雪人の陰陽術に、ラヴィデの魔弓に、トールの砲撃。
重ねて放つ支援の射撃と共に、地を蹴る華楠と裕樹の斬撃が殺到する魔犬の群れとぶつかり合い。
続く魔曲の旋律を蛍の調が鈍らせるその中を、樹が、廉也が、ロキシアが、止まることなく駆け抜ける。
「成程これが――」
印を結び、術を操り。手を止めることなく攻撃を放ち仲間を支援しながらも、雪人は小さく息を呑む。
止まることなく押し寄せる魔犬の群れをかいくぐり、放つ術が、閃く穂先が、ディアボロスの刃は幾度となく『於犬の方』を捉えている。
けれど――止まらない。怯まない。退かない。
手傷を受けようとも踏みとどまり、更なる力で以ってディアボロスと相対する。
「これが、一国一城の主たる誇りと責任というものか」
「主は自分の仲間や庇護下の者を守る為に覚悟を決め決断する。そう……そうなんですよね」
雪人がこぼした呟きに、知らず、廉也は『誰か』を思い返して頷きを返す。
先刻戦った部下が士気に支えられていたのと同様に。
城を背負い、部下を背負い、国を背負う。その自負と誇りこそが、『於犬の方』の力の根底。
ともすれば、小柄とも言えるはずの『於犬の方』の姿を、見上げる程の巨躯とすら錯覚してしまうほどの覚悟の源。
「逃げらんないなぁ、これは」
吹き付ける気迫を受け止め、ラヴィデは『於犬の方』の姿をどこかまぶしそうに見つめ――そして、より強く、鋭く、握る魔弓に呪炎を収束させる。
逃げることを考えてしまえば、それだけで押し切られそうなほどに相手の気迫は強い。
けれど、それ以上に――この壮絶な覚悟に背を向けてしまえば、自分の中の何かを裏切ってしまうような、そんな気がするから。
「いくよ、『レゼル』」
決意を込め、言葉と共に放つ呪炎の飛刃群が魔犬の群れへと突き刺さり。
爆ぜる呪炎の影に紛れるように、樹が重ねて放ったナイフが『於犬の方』の頬を裂き――しかし乱れることなく爪弾く弦が呼び出す黒犬を、ロキシアの槍が貫いて。
「いいな。そういう覚悟決まってるやつ、俺は嫌いじゃない」
「ああ……領主としての姿勢は人外なりにあると見た。本質は他の天魔武者と変わらないにしてもね」
襲い来る猟犬を打ち払いながらも、樹は、ロキシアは、静かに笑みを深める。
『戦いは得意ではない』そう語った相手の言葉は、体捌きを見る限り偽りではないのだろう。
けれど――相手の本領はそこではない。
それは、ディアボロスにも通じる、力よりも、技量よりも、勝負を分ける大切なもの。
「だってさ、どんなに技量差があったって真剣勝負の最後は心構えが物をいうもんだろ? 俺はそう思ってるよ」
(「ええ。俺は、それをよく知っている気がします」)
樹の言葉に小さく頷きを返し、微かに笑うと廉也は握る槍に更なる魔力を巡らせる。
目の前の相手は、きっと無くした記憶の中の『誰か』ではないけれど。
その『誰か』に恥じない自分であるために――この相手には負けられない。
「於犬の方の……河内国の領主としての覚悟、確かに受け取りました」
「仲間である天魔武者の為というのも理解できます、しかし仲間の為に戦うのは貴女だけではありません」
『於犬の方』の気迫を宿して押し寄せる魔犬の群れを真正面から見据え。
怯むことなく閃く廉也の槍と裕樹の刃が、迫る爪牙を押し返す。
相手の覚悟は相当なもの。だけど、自分達の覚悟だって負けはしない――劣りなどするものか。
「守る者の優先順位……言いたい事はとてもわかる、俺もそうだから」
穂先を飛び越える猟犬の鋼爪に腕を割かれながらも、出力を高めるトールの光刃が敵を切り裂き。
その背後から、側面から、更なる数の魔犬が群れを成して襲い来るも――、
「そうだからこそ……こちらの道理、通させてもらうぞっ!」
なおも止まることなく縦横に走り閃く斬撃が、猟犬の群れを突き崩し、穿ち、切り裂いて。
続けて翻る刃の一閃が魔剣を切り伏せると共に、その身体の影から樹が放つナイフが飛び掛かる猟犬を射抜き。
体勢を崩した相手が着地するよりも早く、十字に閃くラヴィデと雪人の刃がその首を断ち切って――そして、
「「――っ!」」
その動きのままに、雪人が、華楠が、渾身の魔力と共に放つ斬撃が殺到する魔曲の旋律を切り散らし。
魔力の残光を纏う剣を『於犬の方』へと突きつけて、華楠は静かに――しかし、強い思いと共に語り掛ける。
「……私は、河内国に特に思い入れはありません。それどころか、これまで天正大戦国自体にあまり関わっても無いです」
一夜城と、千早城と、それぞれの事件は報告書の形で知るのみ。
『於犬の方』についても、よく知っているとは言い難い。
「ですけど――私たちとは決して相容れませんが、ご立派な矜持です、於犬の方」
あるいは、この地への思いの絶対量であれば『於犬の方』の方が上回っているかもしれない。
けれど――否、だからこそ。
「戦場に臨むあなたの覚悟には、敵として全力で応えたくなりました」
国を背負う、一人の将としてのその姿に。
相対する敵として、本気で勝ちたいと、そう思ったから。
「臨む兵、闘う者、皆、陣烈れて前に在り! 雷震誅滅剣舞――撃!!」
十二天将・六合の神力を宿す陰陽符を宙へと放ち、印を結び、呪を唱え。
形成するのは、疑似的に物質化するほど集束・凝縮した雷を刀身とする一振りの剣。
「《雷幻想・斬鉄》発動」
雷剣を構える華楠と並び、ロキシアは、蛍は、得物を握る。
共に歩むことのできない相手。今日この場での邂逅が最後となる相手だからこそ、
「後は言葉ではなく。この武器で」
「律儀に話に付き合ってくれた以上、礼節は尽くすよ――目を離さないでよね」
一度息を吸い込むと、蛍は手にしたブレイドハープの切っ先を相手へと向け。
ロキシアは“魔槍”の穂を地へ向けた特有の構えをとる。
後は互いの主張を通すのみ。通るのは最後に立つ者。勝者のみ。
「――我が名は白水蛍」
「ロキシア・グロスビーク」
「……音羽華楠です。あなたの死出の旅に、我が『赫雷』でせめてもの花向けを!」
『ええ……存分に来なさい。ディアボロス、いえ――蛍、ロキシア、華楠。貴方達の刃も、思いも、全て踏み砕いて私はこの地を守り抜く!』
互いの敵を目に焼き付け。
言葉と共に覚悟と覚悟をぶつけ合う。
「「「『――いざ、勝負!』」」」
●
『犬姫、狗首――疾く来たりて、押し潰せ!』
天守閣に響き渡る琵琶の旋律に導かれるように。
鋼の猟犬が、魔力の黒犬が、尽きることなく密度を増して、十重に二十重に押し寄せて。
「5種、伝承開放ッ!」
迫る圧力にも臆することなく、魔槍と共に地を駆けるロキシアがその力を開放する。
ナノマシン流動体『Moon-Child』を両脚に集中・活性化し、膨張するその力も載せて弾かれたように地を蹴り、翔け抜けて。
「一接ぎのち咲き誇るは、紅い花」
必中、防御貫通、猛毒付与、不癒の呪い、内部破壊。
魔槍の備える伝承に因んだ五つの機能を開放し、穂に剣呑なオーラを灯し。
赤の軌跡を残して閃く穂先が魔犬の牙を砕き、爪を切り裂き。
払い、受け流し、叩き落して貫いて。
「決戦兵器は、大物食いなんだから! 禍えり裂く赤棘の槍(ゲイ・ボルグ)ッ!」
突き穿たれ、砕け散る猟犬の残骸を突き抜ける黒犬の牙を潜り抜け――即座に身を翻して放つ必殺の一穿が、黒犬を、さらにはその先の猟犬をも貫いて。
半身を砕かれながらも猟犬の振るう鋼爪を、踏み込むラヴィデが最小限の動きでかわすと共に振り抜く刃が相手を切り裂いて。
「届け――落花(フォイーユモルト)」
そのまま『レゼル』の姿を弓へと切り替え先を見据え、大きく弦を引き絞るラヴィデの腕に、込めた思いに応えるように激しさを増す呪炎が収束する。
(「オレは口下手なもんでね。結局、こんな形での語らいが一番性に合う……皮肉な話だが」)
相手の姿に、思いに、伝えたいことは無数にある。
けれど、それを言葉にしようとすれば、どんな言葉を探しても何かが違うものにしかならず。
交わす刃に乗せた思いは、どんな言葉よりも確かに互いの想いを伝えあう。
そして……どれだけ思いを伝えても、受け取っても、この語らいはどちらかが倒れることでしか終わらないし――倒れてやるつもりなど無いからこそ、相手に返せるものは一つだけ。
「意地を通した側として、この殺し合いに意義があったと納得出来る明日にする。それだけだ」
「「――ええ!」」
決意と思いを込めて、放つ呪炎の飛刃群は豪雨の如き勢いで魔犬の群れへと突き刺さり。
切り裂かれ、焼き払われ、足並みを乱す群れの中を。
雷光を伴う華楠の刃が縦横に閃き、風を纏い疾駆する廉也の槍が突き穿つ。
「《斬鉄》の雷刃は変幻自在! どんな相手だろうと逃がさない!」
幅も、長さも、形状も。あらゆる姿を自在に変化させる雷の剣が、猟犬を貫き、黒犬を切り裂き。
なおもその剣陣を潜り抜ける猟犬が牙を振るうよりも早く、閃く廉也の槍が鋼牙を受け流すと共に、返す一穿がその頭部を突き砕ち。
続け、大きく刀身を伸ばした華楠の雷刃の斬撃が周囲を薙ぎ払い魔犬を牽制すると共に、作り出した間隙に廉也は素早く呼吸を整え――ひたり、と。構える槍の先に『於犬の方』を見据えて、廉也は精神を集中する。
「貴女のその覚悟。敬意を表して、ありのままの俺でお相手します」
より深く、より鋭く――今ある己の力を研ぎ澄ませ。
友から受け取った獄炎の悪魔の魔力も重ねて引き出し、鳥を象った爆炎をその背に背負い。
「どんな覚悟を持っていようと、俺も退けない……いや、退きません!」
速く、もっと速く、相手よりも速く、
風を纏い、炎翼を羽ばたかせ、戦場を走り抜け。
繰り出す連撃が殺到する鋼牙を迎撃し、切り上げと共に巻き起こる烈風が猟犬を退け。
潜り抜けようと、回り込もうとする動きも先読みして振るう穂先が切り裂くと共に、続く熱波が迫る魔犬を薙ぎ払い。
「「――そこっ!」」
その魔力に体勢を崩した猟犬を、すり抜けざまに樹が放つ蹴撃が砕き、裕樹が閃かせる刃が切り裂き。
続けて、同時に放つナイフと刀。二つの剣閃が襲い来る黒犬を切り裂き霧散させて。
再生する間を縫ってその下を裕樹が潜り抜けるも、それよりも早く魔曲の旋律が周囲を満たす。
――けれど、
「蛍さん」
「ええ、合わせます!」
その旋律に重ねるように、二つの旋律が響き渡る。
雪人が吹き鳴らす、有明月の名を持つ竜笛。
蛍が奏でる、魔力をこめたブレイドハープ。
二人が奏でる音色に乗せるのは、魂鎮める浄化の波長。
相反する霊力をこめて、思いをこめて、精神を乱す魔力の波長を打ち消し押し返さんと奏でる音色は、『於犬の方』の圧倒的な魔力量に推し流されそうになるけれど――、
(「於犬の方の覚悟と姿。信雄や久秀とは対照的で……だからこそ敬意をもって全力で相対したい」)
そっと微笑む幸人の双眸が赤の光を灯し、額に赤の双角を宿し。
(「圧政からの解放は彼らの願いであり、俺の願いでもある」)
ネメシスモードの力と共に、隠れ里へ保護した人々から託された思いを笛の音に乗せ。
「まだだ、これくらい! その牙は絶対後ろには通さない!」
幾つもの爪牙を受け止めながらも怯むことなく踏みとどまり。
砲撃を放ち刃を振るい、一歩も退くことなくその身を盾として魔犬の群れを受け止め、押し返す仲間への思いも、奏でる弦の音にこめ。
この地に生きる人々と、彼らの未来を願う思いと。
共に戦う友と仲間と、そうして――自分達がいつか掴む未来への思いと。
幾つもの想いを乗せて紡ぐ調は『於犬の方』の旋律に負けることなく拮抗し――共鳴し合い、互いの力を打ち消し合いながらも一つの曲を作り出し。
「「――おおっ!」」
名も無き曲が響く中を、裕樹が、トールが駆け抜ける。
指揮する音が乱れ動きを鈍らせた猟犬を、裕樹が左右に閃かせる刃が切り伏せ。
続け、トールが腕部装着型複合武装『ブロンテス』から放つエネルギー砲が、姿を揺らがせる黒犬を打ち砕き。
「切り裂く!」
その残滓を突き抜けて裕樹が渾身の一刀を放つも――その刃は、魔力を纏う『於犬の方』の繊手に阻まれる。
「っ!」
想いを背負い、覚悟を宿し、連携を重ね。
それでもまだ、河内国を背負う将には届かない。
――ならば、届くまで積み重ねるのみ。
「まだだよ」
「まだ、まだだ! 『アルゲス』、『ステロペス』、『ブロンテス』最大出力!」
押し返され、飛び退く裕樹と入れ替わりに。
ラヴィデの放つ呪炎の飛刃に、樹の放つ投げナイフに、トールの放つマイクロミサイルと大砲の多重砲撃。
続けざまに放つ連撃が、止まることなく密度を増して『於犬の方』へと殺到する。
もとより、たやすく『於犬の方』を仕留め切れるなどとは思っていない。
あるいは、ひしめく配下の魔犬に阻まれ、届くことすら叶わないこともあるだろう。
けれど――ただの一射であっても届くなら、届かずとも仲間に繋げる道をつけることができるなら。
「ああ、それで十分」
「我が身を囮にだってして見せるさ」
呪炎を纏うラヴィデが、刃を振るい、矢を放ち。
続けて踏み出すトールが爪牙を受け止め、光刃を振るい、砲撃を放ち。
道を阻む犬を壊し、弾き、惑わしつ、持てる全てを出し尽くし。
「一つでも多く本体へ届かせる、仲間に繋げる道をつける――仮に武器が握れずとも、意志の飛刃は届く」
「我が雷光を以て、活路を開こう! ヴォルテクスザンバー!!」
ラヴィデが『レゼル』へと収束して放つ呪炎の飛刃群と、トールが心臓に埋め込まれた契約の宝石『蒼光の雷鳴《ライオニクス》』から引き出す膨大な電力を収束して放つ雷の刃。
戦場に路をつけるがごとく、重なり走る二つの刃が魔犬の群れを貫き、切り裂き、その先の『於犬の方』の姿をあらわにし。
それに続けて、
「今です白水さんっ、道は開かせました!」
「ええ! ――我が音に応えて来たれ。全てを撃ち貫き、穿つ、魔力の一撃!!」
道を開いてくれると、仲間を信じて魔力を練り上げ。
呼吸を合わせて蛍の放つ、万象を溶かし尽くす魔砲の一撃が、纏う魔力を貫いて『於犬の方』の体を弾き飛ばし――なおも手を止めることなく、切り開かれた道を渾身の踏み込みと共に裕樹が駆ける。
「一つ――二つ、三つ!」
放つ一刀は、身を逸らす『於犬の方』を掠めるにとどまるも――止まることなく続けて放つ二の太刀、三の太刀。
踏み込み放つ連撃が『於犬の方』を掠め、捉えて刀傷を刻み込み。
『っ、ですが!』
呼び出す黒犬を牽制に、続く斬撃から飛び退く『於犬の方』が裕樹から距離を取り。
――瞬間、
「ここだっ!」
『――っ!』
飛び退く先へと先回りした樹の渾身の蹴撃が『於犬の方』へと突き刺さる。
体術に立ち回りに、光学迷彩、モブオーラ。
一つ一つは小さな効果やそれ未満のものでしかないけれど――持てる手札の全部を重ねて、そのありったけをぶつければ、一瞬だけでも届かぬ相手にだって手が届く。
「「これで!」」
続けて身をひねり、さらに繰り出す追撃の回し蹴りが『於犬の方』を跳ね飛ばし。
体勢を崩した機を逃さず、切り込む裕樹の刃はかざした琵琶に受け止められるも――、
「この距離なら――圧し斬れ、『竜顎』!」
『廻刃刀覚醒・竜牙葬』。
鍔迫り合いの体勢から、握る廻刃刀『竜顎』のリミッターを解除し鎖鋸を超高速回転。
振るわずとも切断力と破壊力を発揮する刃は、刀を振るえない至近距離であろうとも押し当てるだけで相手を切り裂き両断する。
(「相対しただけで分かる凄まじい魔力とは競いません。接近しての刀と力で抑え込みます」)
受け止めた琵琶ごと両断せんと、唸りを上げる刃が火花を散らし。
力尽くで鍔迫り合いを逃れようとする『於犬の方』を、巧みに力を受け流す裕樹が押さえ込んで動きを封じ。
その機を逃すことなく、左右から飛び込むロキシアが、廉也が、魔槍を振るい追撃をかける。
――けれど、
『――っ、これくらいで!』
無理やりに身を捻り、指先で弦を弾き。響かせるのはただの一音。
しかし、そこから放たれる魔力の音が、裕樹を、ロキシアを、周囲の全てを薙ぎ払い。
「っ、それでも――貴女を越えた先に向かうべき地がある、討たせてもらいます!」
「まだだ! ゲイ・ボルグは止まらない!」
歯を食いしばり、刃を構える裕樹が身を縛る魔力を振り払って踏みとどまり。
ロキシアが宙に浮かべた量産型“魔槍”を周囲へと放ち、周囲から切り込もうとする魔犬を牽制してわずかな間を作り出し。
その間隙を縫って、飛び退こうとする『於犬の方』よりもなお速く、
「どんな覚悟を持っていようと、俺も退けない…いや、退きません! 獄炎の焔よ、俺に力を!」
弾かれながらも身を捻って体勢を立て直し、宙を蹴り、地を蹴り。
その身に纏った風と炎の魔力と共に、翔ける廉也の槍が迎撃の旋律を突き抜け琵琶に傷を刻み込み。
突き抜ける衝撃にたたらを踏んだ『於犬の方』へと、大きく飛び上がる華楠が刃を振りかぶる。
「や――ぁああっ!!」
赫き雷光を収束し、作り出すのは極光の刃。
振り抜く一閃は、咄嗟に放たれる黒犬の迎撃を切り裂き、その先の『於犬の方』をも捉えて走り抜け――そうして。
『まだ、です」
「ええ……まだ、です」
ふらつきながらも琵琶を構える『於犬の方』に、華楠もまた、足元をふらつかせながらも剣を構え。
その背を支えるように立ちながら、蛍は『於犬の方』を見据える。
互いに限界は近い。
誰もが、半ば以上気力で以って踏みとどまっている。
あるいは、誰もが最後まで立っていることは叶わないかもしれないけれど――それでも、と。決意と共に。
「我々は負けません。最後に立つ者が私でなくとも。その後に続く誰かが立っていれば勝利なのですから」
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【落下耐性】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【通信障害】がLV2になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV7になった!
【グロリアス】がLV2になった!
八百陣・葵漆
まだ倒れないとは……これで戦いを得意としていないのだから
ジェネラル級は本当に厄介だね
でも、残留効果も溜まってきたし、そろそろ決着をつける場面だね
僕自身が直接正面から攻撃すると見せかるために
暗器を構えて敵の注意を引くよ
『吠音』を使ってくるだろうけど……
もう準備はできているのさ
戦闘の合間にこっそり設置しておいた絡繰り兵器が
敵の背後から矢を放って貫くよ
これが僕の策『伏兵の一刺し』だ
痛み分けだろうと、敵にダメージが蓄積すれば十分だ
キミを倒して、この千早城はディアボロスが頂くよ!
相原・相真
【ヨアケ】の皆さんと合流して参加
個別採用、アドリブ・連携歓迎
言葉は交わし、相容れないと理解した
ならあとはぶつかるのみ
勝負です、於犬の方!
戦闘時は身体強化をを生かしての格闘戦
シンプルに接近して殴る、それだけ
敵の攻撃は身体強化を生かしての高速移動で回避
領主としての名乗りや在り方に敬意をこめて、
こちらが一番得意とするやり方で挑ませてもらいます
今は先へ進むためとかは考えない
目の前の彼女とぶつかり、そして勝つ
それが俺の示す敬意です……!
黒城・廉也
【ヨアケ】
アドリブ可
パラドクス通信で仲間との連携を図る
こちらもかなり消耗している…でも、それは於犬の方だって同じはず
ここからはもう、意地の張り合いなんです
まだ……俺は、飛べます
限界だって超えて、勝ちましょう
絶対に!
未来予測と飛翔を活用し周囲を飛び回ります
躱し続けていれば命中させる為攻撃と俺に意識が集中させるように
飛びまわる俺や、琵琶による攻撃に意識が集中しているのであれば、地盤が崩れた際意表をつけるし、バランスを保つための隙が出来る…
攻撃に集中or仲間が仕掛けて集中が切れた時に泥濘の地を発動し、飛翔のまま突貫します!
今まで紡いだ幾星霜の記憶の欠片よ!
刃と化し俺の手に集え――アムネジアッ!!
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
思ったより色々と喋ってくれたようだな
俺としても相手側のスタンスが知れて良かったと思うよ
聞いたところで、結局倒すべき敵である事には変わらねぇわけだが
改めて覚悟は決まった……ここから先は余計な事は考えねェ
仲間との連携は密に、遠慮無くいかせて貰おう
使えるもんは全部使う、バイビーク!
未来予測を使いつつ、敵の犬メカを捌くのと牽制を
足りなければ氷晶剣で両断する
更に踏み込むぞ、低空飛翔で懐へッ!
覚悟だけじゃねえ、今の俺の全てを込めてこの剣を振るおう
両手で持ったまま、渾身の力で斬り上げる
これが歪んだ歴史を断ち切り、その名と魂を解放する一刀
天ッ翔ッッ!断ッ刻ケェェェエエンッッッ!!!
月見里・千隼
【ヨアケ】
※連携、アドリブ、個別採用歓迎
む、中々しぶとい…流石はジェネラル級だが
於犬の方もかなり消耗してる筈
このまま追撃し一気に仕留めてしまおう
一国一城の主として慕う部下を仲間を想い
並ならぬ凄まじい誇りと覚悟と責任をお持ちのようだ
だが復讐者とクロノヴェーダは相容れぬ
それぞれ大切なものと秩序が違う
理解なぞ不可能…だからこそ誠意を込めて討ち倒す
飛翔をも活用し『神楽月』で臨機応変に接近格闘術を駆使し銃で殴りナイフで斬り
犬メカの大群を捌き牽制と撃墜しながらも
ダッシュ・不意打ち・一撃離脱を組み込み敵本体の懐か死角へと回り込み蹴り銃撃する
【未来予測】で反撃の動きをある程度は予測して大痛手にならぬように
アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】
その在り方は許容出来ませんが、その意志と想いは本物なんですかね
長い戦いです、今さら鉾を納めるなんてあり得ない
なら、人の夜明けの為にあなたを越えさせて貰います
水を呼び出し、水流の中に閉じ込めます
水の中では音の伝達は弱まり威力を減じるはず
そのまま磨り潰して楽器にもダメージを与えますよ
後は皆さんに攻撃して貰いましょう
これで詰みです
何か言いたい事はありますか?
強かったですよ、あなたの部下たちは
その慕われよう、同じ人であったならと思わずにはいられません
ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!
非戦闘型でこれ程粘られるとは思っていなかったわ!
ジェネラル級だからというより、あの覚悟の強さが彼女をジェネラル級たらしめているのかも!
それでも、アタシ達はアナタを倒すわ!絶対にね!
(四肢と翼が赤く染まる第1ネメシス発動!)
【飛翔】で飛び回って撹乱しつつ、レゾネイトから魔力弾を連射して牽制するわ!
コレで注意を引いて皆の攻撃の起点になれば幸い!
敵の攻撃は魔力の波長、魔力障壁で軽減するわ!
出来なくても【託されし願い】の映像や精神集中で耐えてみせるんだから!
そしたらこっちの番!
全力の【飛入と渦動の五元光芒!】を撃ち放ってトドメよ!
これがアタシたちの覚悟、そして執念ってやつよ!
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
まったく、なにが端くれなんだか……!
死地でこそ覚醒するタイプか、それとも食わせ者なだけか
気力でここまで保たせたら松永とかと変わらない将の器だよ
Weapon Storageで瞬時に武器を変え
だからこそ
《失黒刀》の鯉口を切る
勝ちたい、負けられない!
伝承開放!
Moon-Childを両脚に集中・活性化。強く地を蹴り、駆ける
同時。“比翼連理”の四振を宙に従え、
迫る攻撃を黒刀の効果で出来る限り五振すべてを以て断ち切る
堅固な迎撃武装の真価を発揮させ敵へ迫り
これで、最後ッ!
懇親の一文字斬りで【両断】にかかる!
そのほか味方への攻撃を都度ディフェンスしたり、
討伐がスムーズになるよう尽力するよ
文月・雪人
引き続きネメシスモードで
仲間と連携フォローし合って戦おう
『真理の矢』使用
冷静に状況を見極める
勿論、退く気など毛頭ない
それは相手も同じだろう
琵琶の音に込められた於犬の方の思いと覚悟
笛の音を重ね紡いだからこそ感じられたものもある
共に限界は近い
それでも踏み止まるは
何方にも譲れぬ思いと願いがあるから
動力炉の制圧は極力悟られたくはない
だが例え悟られたとしても
その変化をも好機に変えてみせよう
限界を超えゆく戦いの中で
感情の波は諸刃の剣だ
苛烈な攻撃は防御の隙にも繋がるだろう
攻守のバランスの綻びを突く!
雪月花の刀に炎のパラドクスの力を宿し
渾身の一撃を
もし最期を見届ける事が出来たなら
お見事でしたと、言葉を送りたい
千早城、天守閣。
この城を、そして河内国を巡る戦いが始まってから、どれだけの時間が経ったか。
床も、壁も、天井も。戦いの傷が刻まれていない場所などどこにもなく、戦場に立つ誰もがその身に浅くない消耗を背負っている。
――けれど、
「「――まだっ!!」」
高速飛翔から宙を踏み、狙いを絞らせぬように連続してステップを踏んで、立ち位置を入れ替えながら空を飛び回り。
ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)の手にする拡声杖『レゾネイト』に、アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)の『エフェクトボイス・サンライトスタッフ』――声を力とする二つの魔杖から放つ、魔力と水流の弾幕が魔犬の群れへと突き刺さり。
貫かれ、砕かれながらも弾幕を突き抜ける猟犬の爪牙と、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)が、黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)が、繰り出す槍の連撃が交錯し。
ぶつかり合う人鳥の銃槍『バイビーク』の切先と鋼爪が、火花を散らして互いに弾き合い――、
「っ、だがっ!」
弾かれながらも即座に射撃へと切り替え、放つ銃弾が追撃をかけようとする猟犬を牽制し。
一瞬、動きを鈍らせた猟犬を、飛び込む相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)の手刀が閃き両断すると共に、
「「そこっ!」」
続く回し蹴りで跳ね飛ばす残骸で、側面から飛び掛かろうとする猟犬を撃ち落とし。
空中で体勢を崩した猟犬が着地するよりも早く、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)が走らせる魔槍が相手を貫き。
その身体をも足場としてロキシアは跳躍する。
「――見えたっ!」
狙うは大将、『於犬の方』。
魔力を巡らせ、槍の機能を開放し、宙を蹴ると共に放つ一穿が空を裂き――その鉾先が相手を貫くよりも早く、響く魔曲の旋律がロキシアを捉え。
「これくらいっ!」
わずかに狙いを狂わされた穂先は『於犬の方』を掠めるに止まるも。
――しかし、続けて横薙ぎに振り抜く槍が相手を捉えて跳ね飛ばし。
弾かれながらも呼び出される黒犬の群れを、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の放つ神気の光が貫き消滅させると共に。
「まだ――」
「まだだっ」
八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)の展開する絡繰り兵器と、月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)の握る二丁の拳銃『逢魔刻』と『朧月夜』。
二人の放つ二重の銃撃が『於犬の方』の足元を貫き動きを鈍らせた隙をつき、駆ける廉也の風槍が魔犬を退け『於犬の方』と切り結ぶ。
「非戦闘型でこれ程粘られるとは思っていなかったわ!」
「まだ倒れないとは……これで戦いを得意としていないのだから、ジェネラル級は本当に厄介だね」
魔杖を、多数の暗器を、操る手を止めることなく射撃を続け。
『於犬の方』への道を切り開きながら、ソラは、葵漆は、感嘆混じりに息をつく。
自分達の攻撃が通じていないわけではない。
連撃を捌ききれるほどに相手の技量が隔絶しているわけでもない。
ディアボロスの刃は、幾度となく魔犬を越えて『於犬の方』を捉え、傷痕を刻み付けている。
それでも――倒れない。
「「――っ!」」
風を纏い閃く廉也の魔槍と人鳥の銃槍が十字に閃き魔犬を切り裂き。
それに合わせて千隼が続けざまに撃ち込む銃弾が『於犬の方』を捉え。
魔力を纏い銃弾を受け止める『於犬の方』を、さらに踏み込む相真の蹴撃が跳ね飛ばし――しかし、即座に身を起こす『於犬の方』が琵琶を爪弾き反撃の旋律を走らせる。
「む、中々しぶとい…流石はジェネラル級、だが」
「ええ。こちらもかなり消耗している……でも、それは於犬の方だって同じはず」
魔曲と共に襲い来る黒犬を切り払い、左右から飛び掛かる猟犬の鋼爪を受け流し。
迫る魔犬の追撃を凌ぎながら小さく呟く千隼に頷きを返し、廉也は視線を鋭くして呼吸を整え、気力と体力を呼び戻す。
互いに気力でもって体を支え、それでも限界は目の前に迫っている。
勝負が決するまで、あと僅か。
次の瞬間には倒れていてもおかしくない程に、どちらも消耗を重ねているけれど。
『まだです。このくらいで倒れては――』
思いを背負い、覚悟を抱き。
傷つくことも厭わない『於犬の方』の決死の気迫が、『僅か』の距離を万里とも思える壁としてディアボロス達を押し返す。
「ジェネラル級だからというより、あの覚悟の強さが彼女をジェネラル級たらしめているのかも!」
「まったく、なにが端くれなんだか……! 死地でこそ覚醒するタイプか、それとも食わせ者なだけか。気力でここまで保たせたら松永とかと変わらない将の器だよ」
弾幕を潜り抜ける猟犬の鋼爪を、ソラが手にした拡声杖で受け流すと共に至近距離からの魔弾で貫き。
同時に、ロキシアが周囲へと放つ魔槍の連撃が回り込もうとする黒犬の群れを退けて。
そうして――魔犬の群れのその先に垣間見えた『於犬の方』の姿を見据え、ロキシアは、ソラは、精神を集中する。
「――だからこそ」
電脳魔術『Weapon Storage』を通じ、握る得物を瞬時に切り替え。
新たに握る黒き日本刀《失黒刀》へと手をかけ、ロキシアは決意と共にその鯉口を切り。
「――それでも」
四肢と翼を赤く染め、ネメシスモードの魔力を纏いソラは魔杖を天へと掲げる。
「勝ちたい、負けられない!」
「アタシ達はアナタを倒すわ! 絶対にね!」
叩きつけられる『於犬の方』の気迫を押し返さんとばかりに、全霊の気迫を載せて。
重ねて走る剣閃と魔弾が、空を切り裂き魔犬を裂いて『於犬の方』の魔力と真正面からぶつかり合い。
「『――おおっ!!』」
拮抗し、荒れ狂う魔力の嵐を裂いて。
ネメシスモードの赤き霊力を纏う雪人の刃が、猟犬の鋼爪と火花を散らし――押し切ろうとする鋼爪をアオイの水刃が逸らすと共に、さらに深く踏み込み閃く刃が猟犬を両断し。
続けて背後へと翻る一閃が、背中を狙う黒犬を霧散させる。
「勿論、退く気など毛頭ない。それは相手も同じだろう」
琵琶の音に込められた於犬の方の思いと覚悟。
笛の音を重ね紡いだからこそ感じられたものもある。
共に限界は近い。それでも踏み止まるは、何方にも譲れぬ思いと願いがあるから。
「一国一城の主として慕う部下を仲間を想い、並ならぬ凄まじい誇りと覚悟と責任をお持ちのようだ」
「その在り方は許容出来ませんが、その意志と想いは本物なんですかね」
爪弾く琵琶の旋律が纏う意思を、音と共に響く想いを感じ取り。
『於犬の方』を見据える千隼の言葉に、アオイは静かに、そっと息をつく。
声を力と変える言霊使いとして戦ってきたからこそ、相手の抱く本気の想いは言葉以上に理解できる。
「長い戦いです、今さら鉾を納めるなんてあり得ない。なら、人の夜明けの為にあなたを越えさせて貰います」
「復讐者とクロノヴェーダは相容れぬ。それぞれ大切なものと秩序が違う。理解なぞ不可能……だからこそ誠意を込めて討ち倒す」
決意と覚悟と敬意と共に。
アオイが紡ぐ歌声が握る杖へと集束し、千隼は左右の拳銃へと銃弾と魔力を装填し。
「キミを倒して、この千早城はディアボロスが頂くよ!」
葵漆もまた、無数の暗器と絡繰り兵器を展開する。
河内国を背負った将が見せる、死力を尽くした全身全霊。
それと相対するならば、乗り越えたいと願うならば――こちらもまた全てを尽くして挑むのみ。
「「「――いざ!」」」
重ねて撃ち込む魔弾と銃弾、閃光弾。
全力を籠めた連射が作り出す弾幕の中を、人鳥は、相真は、廉也は、前だけを見据えて『於犬の方』へと駆ける。
言葉を交わし、相容れないと理解した。
どこまで相手の在り方を理解したとしても、結局倒すべき敵であることには変わらないとしても。
「改めて覚悟は決まった……ここから先は余計な事は考えねェ」
「なら、あとはぶつかるのみ!」
駆ける脚を緩めぬままに、人鳥が銃槍から乱れ打つ魔弾が猟犬の鼻先を掠めて動きを牽制し。
わずかに動きを鈍らせた瞬間――地を蹴り、一息に距離を詰めて相真の振るう手刀が猟犬を断ち切り。
残骸をすり抜けるように、なおも襲い来る二頭の黒犬の咢を縦横に閃く廉也の槍が切り払うも――その先へと駆ける廉也の手足へと、魔曲の旋律が絡みつき。
たたらを踏んだ機を逃すことなく、猟犬が、黒犬が、四方より廉也へと襲い掛かる。
――けれど、
「っ、ここからはもう、意地の張り合いなんです」
「眼をそらさないでね! アタシもちゃんと見てるから!」
心を燃やし、呪縛を振り払い。
揺らぎ、散りそうになる風の魔力を再度槍へと集束して、振るう槍が魔犬の群れを打ち払うと共に。
その圧に気おされ、わずかに退く魔犬へと続けざまにソラの放つ魔弾の連射が突き刺さり。
一瞬、魔犬の動きが鈍った隙に鋭く息を吐きだし、続けざまに宙を蹴り空を翔ける廉也の槍と猟犬の鋼牙がぶつかり合い――互いに弾かれながらもさらに踏み込み、繰り出す風槍が鋼爪を絡め捕って猟犬の体勢を崩し。
同時に、
「伝承開放! ソハヤ・大通連・小通連・顕明連!」
「80%、100%、……120%! 行きます……! 機構腕・超過駆動!」
ナノマシン流動体『Moon-Child』を両脚に集中・活性化し、駆け抜けざまにロキシアの閃かせる刀型決戦兵器“比翼連理”の四振の刀が四方から迫る黒犬を切り裂き。
機構腕の出力を限界以上に引き出したエネルギーを全身へと巡らせ、エネルギーの光を纏って相真が繰り出す渾身の正拳が猟犬を牙もろともに打ち砕く。
『於犬の方』の決死の覚悟を背負い、自壊を厭わないほどの力で振るう魔犬の爪牙は、強く、鋭い。
けれど。それでも――逃げない、負けない、退かない。
力と技と、技術と作戦と、思いと覚悟と信念と、相手への敬意も刃を握る力として。
できる限りのことを、できる限りの全力で。
廉也は、相真は、ディアボロス達は、気力を振り絞り前へと駆ける。
「まだ……俺は、飛べます。限界だって超えて――勝ちましょう。絶対に!」
「領主としての名乗りや在り方に敬意をこめて、こちらが一番得意とするやり方で挑ませてもらいます。勝負です、於犬の方!」
全身全霊の、限界を超えてさらに先へと踏み込んで。
駆ける相真の動きを支援するように、扇を振るう葵漆の指揮のもとで展開する絡繰り兵器が自走砲を撃ち放つ。
「その決死の気迫は大したものだ。けれど……」
「ええ。限界を超えゆく戦いの中で、感情の波は諸刃の剣だ」
霊刀を振るって魔犬を退ける雪人と頷きを交わし合い。
共に戦場へと視線を走らせ、その観察眼と洞察力で以って地形を、ぶつかり合う仲間達と『於犬の方』の動きを、戦いを構成するいくつもの要素を把握し。
流れを読み解くと共に、見据えるのは戦いの分岐点とその先で行き着く終着点。
「まずは、仕込みといこうか。ここからどう転がるかは、まだわからないけどね」
「例えどう動くとしても、その変化をも好機に変えてみせましょう」
葵漆が目立たぬように小型の兵器を周囲へと走らせて。
その動きを気取られないように、切り込む雪人の動きに合わせて、一際強く続けざまに砲火を放つ自走砲の砲撃が魔犬の群れへと突き刺さり。
一点へと集中して打ち込む砲弾が群れを穿った傷口へと、上空から千隼の放つ銃弾が追撃をかけてより深く切り開き。
「――っ!」
その隙間を貫くように、相真が、廉也が、駆け抜ける。
もっと速く、強く、鋭く――光を纏い閃く相真の手刀が、疾風と化して閃く風槍が群れを切り裂き。
襲い来る黒犬の牙よりもなお速く、残影を残してその背後へとすり抜ける相真が魔犬を形作る魔力を打ち砕き。
続け、身を沈める廉也が左右から襲い来る猟犬の爪牙をかわすと共に、
「千隼さん!」
「――ああ!」
解放する槍の魔力が烈風を生み出し猟犬を巻き上げ。
打ち上げられた猟犬達の中を、空を翔ける千隼がすり抜けざまに得物を躍らせる。
「接近戦はそう得意では無いが……やるしか無いな」
続けざまに放つ銃撃の反動を利用して身を翻し、その動きのままに放つナイフでの斬撃に銃把での叩き落し。
撃ち落とした猟犬に拳銃で追撃を打ち込むと同時に、振り返ることなく放つ蹴撃が背中を狙う鋼爪よりも早く猟犬を打ち砕く。
とどまることなく、流れるように。
臨機応変に、神楽舞の如く連撃を放つ戦技――『神楽月』。
「こいつは――」
「――おまけっ!」
叩き落した猟犬へ――そして、『於犬の方』へと。
追撃をかける千隼の二丁拳銃に、人鳥の銃槍、さらに重ねるソラの魔弾も合わせ。
撃ち下ろす銃撃の連射が、地面を穿ち、魔犬を貫き、『於犬の方』を捉えて火花を散らし――しかし、その弾幕を飲み込むように、魔力を宿す旋律が渦を巻く。
響く琵琶の音に乗せた魔力が銃弾を飲み込み、そこから生まれ出でる黒犬の牙と魔曲の旋律がディアボロスへと迫りゆき。
――それよりも早く、アオイの紡ぐ歌声が響き渡る。
「させません――エフェクトボイス・カリュブディス!」
かざすエフェクトボイス・サンライトスタッフに水禍・水害の言霊を重ね。
思いをこめた言霊と共に解き放つ水流は、障壁となって黒犬を呑み込み魔曲の旋律を受け止めて。
(「水の中では音の伝達は弱まり威力を減じるはず。全てを受け止めることはできなくとも――」)
「――後はアタシが!」
水壁を越えてなお響く魔曲を、真正面から見据えるソラが掲げる魔杖に魔力を収束させて受け止める。
威力を減衰させているとは言え、それでもなお『於犬の方』の気迫を込めた旋律の魔力はソラの精神を苛むけれど、
「まだまだっ、これくらいっ!」
その身に纏う幾つもの魔宝装と魔宝飾。
自身の魔力と衣装と装飾を共鳴させて、作り出す魔力の障壁が魔曲を相殺し。
それでも足りない分は、ここまで関わってきた人々から託された思いを糧に、より深く精神を集中して魔力を高めて打ち払い。
「今度はこっちの番!」
振り払った勢いも載せて、ソラが描き出す魔法陣から放つ四大元素のエネルギー砲が魔力の障壁を貫いて『於犬の方』を跳ね飛ばし――なおも止まることなく、空を翔ける人鳥が銃槍を振りかぶる。
「更に踏み込むぞッ!」
投げ放つ銃槍『バイビーク』が魔力の余波を貫き。
その切っ先は割り込む猟犬が身代わりとなって受け止めるも――動き止めることなく宙を蹴り、続けて閃く氷晶剣の刃が猟犬を両断し。
同時に、銃槍を引き抜き振り返りざまに放つ射撃が周囲の魔犬を牽制し。
――直後、
「ソハヤ!」
ロキシアの投げ放つ“比翼連理”の一刀が空を裂いて猟犬を貫き、続け、踏み込みから放つ《失黒刀》の一閃が猟犬を両断し。
「大通連・小通連!」
そのまま横へと伸ばす手でさらに一刀を掴み取り。
投げ放つ刃で鋼爪を弾き返し、なおも振るう牙を逆手に握ったもう一刀で受け流し――直後、上空から幾本にも分かれて降りかかる刀が貫いて。
その残骸を足場に跳躍すると共に、失黒刀を左右に閃かせて飛び掛かる魔犬を退け。
続けて、残る一刀を手に取り大きく振りかぶる。
魔犬の群れを見据え、『於犬の方』を見据え。その動きと、刃を届かせるための最適な動きを算出し。
「顕明連!」
投げ放つ一刀は狙い過つことなく『於犬の方』へと走り、その刃こそ魔力の障壁で弾かれるも――即座に宙を蹴り、刃に続けて切り込むロキシアが失黒刀を閃かせる。
「『――っ!』」
渾身の一刀が『於犬の方』の纏う魔力の障壁を切り裂き、その左腕へとわずかに刃を食い込ませ――しかし、それ以上を許すことなく、内より噴き出す魔力が刃を押し返し。
そのまま、振り抜く腕がロキシアを跳ね飛ばす、瞬間。
「ここだっ!」
さらに切り込む雪人が赤き炎が如き霊力を宿す刃を重ねて打ち込み。
魔力を押し切る黒と赤の斬撃が、『於犬の方』の守りを切り裂き腕へと切り込み。
半ば弾かれるようにして飛び退く『於犬の方』へと、刀を振り抜く動きのままに地を蹴る雪人が追いすがる。
相手の強みは莫大な魔力と、それによって操る魔犬の群れ。
距離を取らせず近接戦闘に持ち込めば、こちらに分があるのは先刻承知。
無論、それだけで攻略できるほど容易い相手ではなく、不用意に踏み込めば即座に足をすくわれることになるだろうけれど。
それでも、
「逃がしません」
止まることなく、しかし決して逸ることなく。
飛び退き距離を取ろうとする動きの先を読んで回り込み。
続けて放つ追撃の剣閃が幾度となく『於犬の方』を捉えて刀傷を刻み付け。
「このまま、詰めさせてもらいます」
なおも止まることなく切り込む雪人の動きに合わせるように、床に壁に天井に、そして空をも足場として縦横に駆け巡りながら。
魔弾に銃弾、刃に拳。ディアボロス達が全力をもって打ち込む連携攻撃が、『於犬の方』の気迫を切り裂きその身を押し込み――、
「「――まだっ!」」
連撃を押し返そうとする魔曲を貫き、翔ける廉也と人鳥が繰り出す二つの穂先が『於犬の方』の琵琶を捉え。
その衝撃に身を揺らがせながらも、踏みとどまる『於犬の方』が魔力を纏い琵琶を振るい――押し返されるよりも早く、その足元が泥濘と化してわずかに足場を狂わせ。
泥濘の地に足を取られた隙を逃さず、二人が同時に放つ蹴撃が『於犬の方』を蹴り飛ばし。
続けてロキシアが四刀を投げ放ち追撃をかけるも、その刃は跳ね飛ばされながらも呼び出す魔犬に受け止められる。
――しかし、
「いや――このまま!」
「ああ、追撃し一気に仕留めてしまおう」
肘打ち、掌打、回し蹴り――全身全てを武器として、止まることなく相真が繰り出す格闘術が。
銃撃、斬撃、打撃に体術。いくつもの技を切り替えながらも舞うように放つ千隼の戦技が。
共に駆ける二人の連撃が、流れを押し返そうとする魔犬の群れを切り開き。
続け、全てを飲み込まんとするほどの規模で響き渡る琵琶の旋律を真正面から見据えて、アオイは、ソラは、全霊の歌を響かせる。
「水、海、潮流。溢れ流れ渦巻け、波濤津波渦潮、水禍に沈め!」
『於犬の方』の覚悟に負けない程に、アオイが意思と想いを重ねて紡ぐ言霊が水禍の渦を作り出し。
天守の全てを飲み込む程の激流と化して、巻き起こる大渦が魔犬の群れももろともに『於犬の方』を水流の中に飲み込み閉じ込めて。
激流にもまれ擦り潰され――なおも諦めることなく水中で琵琶を爪弾き、内より水牢を砕かんとする『於犬の方』を見つめてソラは魔杖を天へと掲げる。
「これはアタシのとっておき! 飛入と渦動の五元光芒!」
杖より放つ魔力の光で上空に描き出すのは『火・水・風・地』の四大元素を象徴する魔法陣。
その中心にもう一つ、自身に宿った悪魔の力と思われる黒色の力を追加して。
完成するのは五属性の力を纏め合わせた砲撃魔法陣。
「何だかよく分からない力だけど、使える物は全て使って勝ち進むのがアイドルよ! これがアタシたちの覚悟、そして執念ってやつよ!」
黒色の力に赤雷と四大元素のエネルギーを巻き込みながら、空を貫く魔力砲が水牢を砕く『於犬の方』の魔力とぶつかり合い、拮抗し――貫いて弾き飛ばし。
二度三度と、地面に体を弾ませながら立ち上がる『於犬の方』へと、両手にナイフを握る葵漆が距離を詰める。
「さあ、そろそろ決着をつける場面だね」
無尽蔵とも思えていた魔犬の群れも、いつしか数を減らし。戦場を満たす残留効果の数も相応の物。
接近戦は本職ではないし、綱渡りではあるけれど――勝負をかけるには、良い頃合い。
「行くよ、『於犬の方』!」
『くっ、ですが――』
言葉と共に気迫を叩きつけ、切り込む葵漆がナイフをかざし。
それを迎撃せんと、いくつかの関節部から火花を散らしながらも『於犬の方』が琵琶を爪弾き。
展開する魔曲の旋律が葵漆を捉える――刹那、葵漆が大きく飛び退きタイミングを外す。
「ああ……そう動くだろうね、キミは」
『っ!?』
拍子をずらそうとも、力を籠めた旋律の魔力は十分すぎるほどの力で葵漆の精神を苛むけれど。
「痛み分けだろうと、ダメージが蓄積すれば十分だ」
それでもあえて、防御は最低限にとどめ。
残る余力の全てで以って、扇を振るい葵漆は絡繰り兵器へと指示を飛ばす。
「もう準備はできているのさ。これが僕の策『伏兵の一刺し』だ!
足元に、背中に、さらには柱や天井の物影や『於犬の方』の背後からも。
戦いの中で戦場に配置して回った無数の絡繰り兵器から、一斉に放つ矢の連射が『於犬の方』の背中や腕へと突き刺さり。
意識の外からの攻勢に体勢を崩した相手へと、距離を詰める千隼がナイフを閃かせる。
「――とった!」
繰り出すナイフの刃は魔力を纏う腕に受け止められるも――合わせたナイフを巧みに操り、共に舞うようにして押し返す力の流れを外へと逸らし。
続く蹴り上げが琵琶を持つ腕を弾き上げたその下を潜り抜けるようにして、飛び込む雪人の雪月花の刀が炎の霊力の光を灯す。
(「そう。限界を超えゆく戦いの中で、強い感情の波は諸刃の剣だ」)
死に物狂いの気迫は、本来以上の力を引き出す武器になり――その一方で、意識を固定し視界を狭める弱点にもなる。
苛烈な攻撃は、同時に防御の隙にもつながるもの。
故に――、
「攻守のバランスの綻び、その隙を突く!」
火の粉を散らして閃く刃が、『於犬の方』が盾とした腕を纏う魔力ごと深々と切り裂き。
続く千隼の蹴撃が相手を跳ね飛ばし、
『っ、まだ!』
追撃をかける銃弾を深手を負った腕を身代わりとして打ち払い。
無事な片手で反撃の曲を爪弾く『於犬の方』を見据え――失黒刀と共にロキシアは強く地を蹴り、駆ける。
「七天の黒は切断の極北。遍く現象、時空、概念、逆説も、我が手で斬れぬ理趣なし!」
パラドクス《黒刀》。
失黒刀に搭載された私立MM学園・生徒会騎士団団長と、嘗ての《失黒刀》の使い手の伝承開放。
あらゆるものを刃とするその機能を開放し、同時に閃く四振の刃が魔曲の旋律をも切り裂いて。
その余波を突き抜け、さらに一歩踏み込むと共に『於犬の方』を刀の間合いへと捉え――、
「これで、最後ッ!」
一閃。
音すらも置き去りにして、閃く渾身の一刀が琵琶を握る腕を切り飛ばし。
宙を舞う残骸が地面に落ちるよりも早く、駆ける相真が手刀を閃かせる。
「まだです、まだ終わらない!」
『あ――ァあああッ!』
正拳、肘打ち、続く蹴撃を踏み込む相手が打点をずらして受け止めるも――続けて叫びに乗せて襲い来る魔力を手刀の一閃で切り裂いて。
さらに踏み込む掌打で跳ね飛ばすと共に、なおも止まることなく相真は駆ける。
武器を失おうが、腕を失おうが、動ける限りこの相手が止まるはずがないとわかっているから。
「今は先へ進むためとかは考えない。最後まで全力でぶつかり、そして勝つ。それが俺の示す敬意です……! 機構腕・超過駆動!」
既に機構腕の出力は限界を突破しているけれど、それよりもなお先へと踏み込んで。
超過駆動の余波の魔力光を散らしながら、繰り出す連撃が『於犬の方』の体を打ち据え、砕き、跳ね飛ばし。
なおも立ち上がろうとする『於犬の方』へと、空を翔ける廉也が、地上を滑るように飛翔する人鳥が、共に剣を握りしめる。
相手は死に体――否、
『――っ!!!』
地に落ちた琵琶を踏み砕き。
弾け飛ぶ弦の響きと声無き叫びを合図とするように、琵琶が砕け、足が火を噴き――同時に、これまで以上の密度で渦巻く魔力から黒犬の群れが溢れ出し。
それでも怯むことなく、廉也は、人鳥は、魔力の嵐の中を翔け抜ける。
「今まで紡いだ幾星霜の記憶の欠片よ! 刃と化し俺の手に集え」
廉也の掌の中に収束する『記憶の欠片』。
幾つもの大切な思い出を、欠片として残る記憶を束ね、魔力として作り出すのは一振りの刃。
一歩間違えれば残る記憶すらも失いかねないリスクはあれども――今この瞬間においては、その力は何よりも頼りとなる。
(「お願い……俺に力を……」)
閃く刃が黒犬を切り裂き、魔力を断ち切り。
同時に、
「この一刀にて断ち切るッ!!」
襲い来る黒犬の群れをすり抜け地を翔ける人鳥の手の中で、迸る魔力が握る氷晶剣の刃を包み込み。
一回り以上巨大な刃を両手で構え、大きく振り抜く刃で黒犬の群れを薙ぎ払い。
「決めるぞ、廉也!」
「ああ、人鳥!」
さらに地を蹴り、宙を翔け。
嵐の先に『於犬の方』の姿を見据えて、人鳥は、廉也は、握る刃を振りかぶる。
その刃に込めるのは、それぞれが抱く覚悟と信念と――、
(「それだけじゃねえ、今の俺の全てを込めてこの剣を振るおう」)
「これが歪んだ歴史を断ち切り、その名と魂を解放する一刀! 天ッ翔ッッ! 断ッ刻ケェェェエエンッッッ!!!」
「――アムネジアッ!!」
天へと翔る程の勢いで、渾身の力で斬り上げる人鳥の斬撃が。
着地の事を考えず、翔ける勢いの全てを乗せて切り下す廉也の斬撃が。
天地を貫く二つの斬撃が魔力の嵐を、『於犬の方』の体を断ち切り走り抜け。
そうして――。
『ここまで、ですか……』
「ええ、ここまでです」
魔杖を突き付けるアオイに、『於犬の方』は倒れたまま静かに息をつく。
武器を失い、腕を失い、胴も半ばで断ち切られ。
端から崩れていく体は、程なくして形を失い消滅するだろうけれど。
「これで詰みです。何か言いたい事はありますか?」
『そうですね……ええ、恨み言を言うのもなんですし、折角ですので一つだけ』
アオイの言葉に、しばし『於犬の方』は考えて。
そうして、悪戯っぽく小さく笑みを浮かべ。
『……早く逃げないと危ないですよ?』
「それは……いえ……」
『……ああ、そちらも対処済みでしたか……お見事です』
一瞬、言い淀んだ雪人の反応から動力炉の制圧も察したのか。
そっと息をつき、苦笑と共に空を見上げ。
そうして――動きを止めた『於犬の方』に、アオイと雪人は静かに頭を下げる。
「強かったですよ、あなたの部下たちは。その慕われよう、同じ人であったならと思わずにはいられません」
「貴女こそ、お見事でした。『於犬の方』」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【修復加速】LV1が発生!
【託されし願い】がLV3になった!
【平穏結界】がLV6になった!
【一刀両断】がLV3になった!
【強運の加護】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV8になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ダブル】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
最終結果:成功 |
| 完成日 | 2023年05月16日 |
| 宿敵 |
『於犬の方』を撃破!
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