クロノス級の事件に挑め

 クロノス級クロノヴェーダが行っている悪辣な事件を阻止する為、特別なパラドクストレインで過去に遡り、クロノス級と決着をつけます。
 宿敵が引き起こしている事件の一つに介入し、事件を引き起こしているクロノス級クロノヴェーダを撃破して、因縁に決着をつけます。

 クロノス級は、宿敵の性質に沿った事件を引き起こします。
 この事件を完遂させる事で、クロノス級クロノヴェーダは、新たな『アヴァタール級』を生み出し、戦力として基準時間軸に送り届けているようです。

月は(i)のメッセンジャー(作者 baron
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#宿縁邂逅  #クロノス級の事件に挑め 


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#クロノス級の事件に挑め


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 新しい施設が完成した。
 元はプラネタリウムであった場所だが、天使や悪魔の抗争で破壊されていた。
 それをこのご時世に、なんとか再建したのだ。ただし……天使を祀る聖堂であった。
「サ……ル様」
「……ラ……エル様」
 人々が中央の間に向かって祈りを捧げている。
 熱心に、熱心に、その熱意は非常に高い。
「サラカエル様!」
 中央の間に居ることを許された信者に至っては平伏……。
 どころか土下座して、頭の前に両手を広げる独特の祈りを捧げていたのだ。
『磐雄く……ん?』
「琴莉! おおお、琴莉! 君なのかい!? 本当に? 本当に!?」
 中央に居る男は振り返った。
 そこには椅子に座ったまま、動かない筈の妻の死体が……いや、体だけは蘇生してもらった存在が居たのだ。
 ずっとボンヤリとしたまま、促さなければ動きもしなかった妻が椅子に座っていたはずだった。
『どうしたの? そんな変な格好して? もしかして燐寧ちゃんの為にお祈りしてるの? 八歳の時も九歳の時も十歳の時も、十二歳や十三歳の時も何かに祈ってたわよね。健やかに育ってほしいって、色んな神様の絵馬や御利益のある人形を買って来て。でも、猫ちゃんはともかくカバやワニはないと思うの』
「君なんだね!? うお、おぉぉ……」
 妻は体だけを蘇らせてもらい、心はボンヤリと機能して居ない筈であった。
 しかし、この神殿が完成してから最初の儀式で、心までも蘇ったのよう見える。
 まさしく魂そのものが蘇って居るように『見えた』のだ。桃色の髪を振り乱し、男泣きで啼いたとしても仕方はあるまい。
「サラカエル様! ありがとうございます、ありがとうございます!」
『教主、一里塚磐雄よ。我を直接に見るのは止めなさい。私の瞳には力があると言っただろう? せっかくの幸福が夢に呑まれてしまう。お前はお前の意思のまま仕えなさい。私は夢幻に浸った人形など要らないからね』
 中央の間にある空席の座、その脇に佇む天使が居た。
 顔にフードを掛けてなお、力が溢れた視線を放つ。
 そう、その天使……サラカエルは強力な魔眼の類を持っているのだ。ゆえに信者たちは決して彼女の貌を見ない。少なくとも、それで魔眼は効かないのだと『説明』されていたのだ。だから信仰の証として平伏し、上位の信者は土下座を行い顔の前を掌で覆って視線を遮っていたのである。
 ……もっとも、パラドクスはそんな姿勢で防げたりはしないのだが。
『先に言っておくが、私の力は滅びた魂を完全に呼び戻すには力が足りない。あくまで、この聖堂の中だけと心得なさい。もっと広いエリアで動きたいのであれば、あるいはもっと多くの家族を救いたいのであれば、信仰を捧げるのです』
 サラカエルの言葉には嘘も真実も含まれていた。
 その方が都合が良いし、力が強化されれば永遠に夢を見ることができるだろう。
 自分が思い描く理想の家族を投影し、あるいは精神が壊れた状態でも元の通りだと信じて行くことができる。どうせ本人を知っているのは、妻ならば夫、子供ならば親くらいなのだから。少しずつ伝播する幻術を完成させれば良いだけのこと。
「はい! 私も、いえ! 妻も娘も、そしてその姿を見た多くの信者が信仰を捧げるでしょう。聖堂の中だけというならばどこまでも聖堂を広げましょう。あるいはあちこちに建てましょう! 我らが月の天使よ!」
 教主と呼ばれた男は、ゴンゴンと頭を床に打ち付けて叩頭した。
 それ以外に感謝を示す事ができない。
 そして、他の信者たちもまた、家族を蘇らせてもらおうと必死で祈りを捧げ始めたのである。
『では次の聖堂を立てるための力を授けよう。コレを設置しなさい。悪魔とその信者を効率よく駆逐するだろう』
「「ははあ!」」
 サラカエルは殆ど爆弾と言って差し支えないトループス級のクロノヴェーダを信者に用意した。
 そいつを運ぶ過程で何人も死ぬだろう。
 送り届けた先で、悪魔が囲った信者が何人も死ぬだろう。
 しかし己の大切な人を蘇らせるため、体だけは蘇らせてもらった家族に心を戻してもらうために……。信者たちは命を懸けるだろう。


「新宿駅グランドターミナルに特別なパラドクストレインが現れました。このパラドクストレインで、クロノス級が活動していた過去の時代に向かい、クロノス級と決着をつける事が出来ます」
 南河・緋奈子(人間の陰陽師・g03255)が説明を始める。
 クロノス級を撃破すれば、新たなアヴァタール級の出現を抑えられるだけでなく、敵ディヴィジョンを弱体化させることも期待できるという。他のディヴジョンはともかく東京各地は特殊で、亡命のような要素で他の地域にクロノヴェーダが移動し易いと言える。クロノス級を此処で倒せるのは重要だろう。
「それで、どんな事件がおきるの?」
「とある場所に建てられた施設より、爆弾のようなトループス級が別の施設の破壊に運び出されます。これを止めなければ、その場所で被害が出るでしょう。問題なのは一般人がソレを運んでいる事ですね」
 元はプラネタリウムがあった場所なのだが、破壊された後で改修されたらしい。
 天使に祈りを捧げるための聖堂となっており、多くの人々が祈りを捧げているという。
「そこはもしかして……前に行った場所じゃないです?」
「それならば僕たちならば土地勘もあろう。可能であれば手分けして動くのも良いかと」
 途中で渋谷を通るので、ディアボロス達の中で周辺で行動した仲間は多い。
 もし施設で戦うのではなく、道中で戦うとしたら心強いだろう。

「えと、詳細を教えてくれるかな?」
「作戦は二段階で考えられます。第一段階は輸送される爆弾のようなトループス級の排除と信者たちを説得ないし気絶させて対処する事。第二段階は施設へ乗り込んで、敵クロノス級を倒す事です。しかしクロノス級はどうやら強化されているようなので、信仰をくじかせる成り、象徴である神像を探し出して破壊する必要があるでしょう。もちろん施設に居るトループス級も何とかせねばなりません。ただ、良くも悪くも場所は広いので問題なく戦えるでしょう」
 質問に対して緋奈子は順次説明した。
 渋谷区を通って別の場所への襲撃を食い止める事。
 これは信者が分散することや、計画がとん挫したことを相手が分からない事もあり、施設の前で食い止めるよりは楽に戦える。もちろん移送前に止めるのもアリだが、この場合は信者たちに気が付かれてしまうだろう。
「これが地図かな? 随分とひろいねー。探すのたいへんそ」
「まあそこは手分けだな。施設前の噴水付きの庭園に、真っ暗な第一層、最後に黄色い床の第二層か。像も沢山あるな」
「トループス級はそれほど強くないみたいですが……覚醒直後ですか。考えさせられますね」
 敵を倒すだけならば問題ないだろう。
 覚醒直後のトループス級は弱く、数も少ない。ただし元に戻せる可能性があるので本当に倒して良いかは疑問が残る。
 その上で、クロノス級を倒す前に神像を見つけて破壊するか、さもなければ信仰を打ち砕く必要があるのだ。
「でもさぁ~そのトループス級って蘇った奇跡の象徴扱いじゃん? 倒しちゃうのも手として……」
「ん……燐さん。無理するとしたら別のとこ」
 どうやら宿敵主らしい一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の言葉を仲間が止めた。
 無理して外道働きをするよりも、その気合を宿敵に対して使うべきだと告げたのだ。

「クロノス級を倒すことは、わたしたちにとっても重要な事だからな。任せとけ!」
「このチャンスを生かす為にも、是非、協力させて欲しい」
「協力でよければ幾らでもしよう。だがクロノス級を撃破すると、クロノス級の支配する歴史が崩壊するので、すぐに脱出する必要があるからな。別れとか再会とかに関しては協力できない」
 仲間たちはそれぞれの言葉でエールを送った。
 宿敵と向かいあい、絡み合った事件に首を突っ込むのは気力が必要だからだ。
「も~判ったってばぁ! みんなでドドンと行って、ズバンと解決しちゃおっかねぇ!」
「「おー!!」」
 こうしてディアボロス達は相談を始めたのである。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
2
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【水源】
3
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
12
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
5
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【現の夢】
1
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【腐食】
1
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【罪縛りの鎖】
2
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
3
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
2
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
3
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【隔離眼】
3
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【冷気の支配者】
2
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【過去視の道案内】
2
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
4
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
9
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
2
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【ハウスキーパー】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
6
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
5
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【コウモリ変身】
1
周囲が、ディアボロスが小型のコウモリに変身できる世界に変わる。変身したコウモリは最高時速「効果LV×50km」で飛行できるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【猫変身】
1
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV10(最大) / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV5 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV3(最大) / 【先行率アップ】LV5 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV5 / 【ダブル】LV4 / 【ロストエナジー】LV6 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回は一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)さんの宿縁邂逅になります。

●流れ。
②④第一段階。
爆弾のようなトループス級を信者がトラックで運ぶ予定。
渋谷区の十番街を抜け、別の地域にある悪魔のエリアに向かいます。
なお、隔離された歴史の中の過去の事件なので、無理にクリアする必要はありません。

③⑤→⑥第二段階。(①は任意のタイミング)
元プラネタリウムになった聖堂で戦います。
聖堂は噴水付きの庭園が手前にあり、中は真っ暗な第一層、黄色い床の第二層になって居ます。
どの場所も広いですし、信者はあちこちに分散しているので、気絶させることも誘導することも難しくはありません。
教主の趣味なのか神像を隠すためなのか、ワニやザリガニのような水棲生物・隼や鷹のような鳥、猫科やイヌ科の像があちこちにあります。蛇の像もありますがザウルスはありません。

●詳細。
②事件の解決。
トラックを止め、輸送している一般人の信者を何とかします。

④トループス級の撃破。
爆弾のようなトループス級ですが、戦って倒す分には普通の敵です。
(時間になって臨界したら爆発する程度)

③神像の破壊。
施設の何処かに隠された象徴である神像を破壊します。
また、何らかの方法で信仰を失わせる方法でも意味は無くなります。

⑤トループス級への対策。
覚醒直後のトループス級で死体に取り付いた存在です。
説得次第で元に戻るかもしれませんが、サクっと倒してしまっても問題ありません。
もちろん倒し方を、良い意味でも悪い意味でも工夫しても構いません。

①宿敵との会話。
クロノス級、ついでに近くに居る教祖を排除してない場合、会話または力づくでの説得が可能です。

⑥宿敵との戦い。
月光の慈眼、天使サラカエルとの決戦になります。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


一里塚・燐寧
【防衛部】

父さん達は今も過去の中にいる
過去から呼び戻された娘が先に進んでるのに
……あーあ、皮肉な話だねぇ

悪魔の巣になってそうな商業施設等の位置関係から進路を予測して待ち伏せ
≪テンペスト・レイザー≫を突き付け停車させるよぉ

やぁ、あたしに見覚えない?
父さんが写真持ってると思うんだけどさぁ
わかるぅ?教主サマの娘だよぉ

言っとくけど、あのクソ天使の復活って嘘っぱちだよぉ
蘇らされた子に心なんかなくてさ
家族と過ごす時もそれっぽく見せかけてるだけ
やること全部言いなりで、人殺しだってさせられちゃうワケ
きみ達の大切な人も良いように使われるだろーけど、ほんとにいいのぉ?

聞く耳持たないなら【罪縛りの鎖】で黙らせるよぉ


シル・ウィンディア
ん-、大切な人たちによみがえってもらいたいって気持ちは…。
わからないでもないけど、でも、それはきっと歪だから。
最後に悲しさが残るだけ。
だから、夢は終わらせないとね。

事前に地図を見て通るルートをみんなと情報共有。
どういう風にするかだね…
トラックが出てきたら、パラドクス通信でみんなに伝えるね。

ボールを路上に転がして、ボールを追いかけてきた風を装ってトラックの前に飛び出すよ。
怒られたらごめんなさいって言うね。

そうだね。轢かれて死んじゃったら困るもんね。
そう、本人の意思を無視してよみがえらせられるとか、そんなのはまっぴらだからね。

それに…。
その荷物、きっと人が殺められるものなんだろうねってこともね。



「ねえ、本当にやっちゃっていいの?」
「いーよーぉ」
 難しい顔をするシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)に一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はへらっとした笑顔を向けた。
 張り付けた様な笑みであり、同時に何かを決意した目だ。
 シルはその表情ではなく、その瞳を見て自分もまた決意を固めた。
「父さん達は今も過去の中にいる。過去から呼び戻された娘が先に進んでるのに……あーあ、皮肉な話だねぇ」
 自分の決意を語るとか、聞かれるのはみっともないとは燐寧は思わない。
 本当に必要ならば誇りなんて犬に食わせてしまえば良いし、誇りはプライドと同義語であり、プライドは七つの悪徳なのだから無くてもOKだ。
「それよりもさ、しなくちゃいけない事ってやつがあるんだよねぇ。最近知ったんだけどさ」
 燐寧が守りたいのはシル達友人が居る未来であり心である。
 誇りなんて守れたらラッキーな代物だし、誰よりも早く決断すればみんなが楽なのだから決断してしまおう。悩むべき時間を二束三文で売り飛ばし、さっさとやってしまおうよと皆を誘う。
「ん-、大切な人たちによみがえってもらいたいって気持ちは……。わからないでもないけど、でも、それはきっと歪だから」
 今回の主催者と言うか、一番思いが深い仲間に言われてシルも動き出す。
 ここで悩むよりは、さっさと行動してゴーサインを送った方がみんな楽なのだから。
「最後に悲しさが残るだけ。だから、夢は終わらせないとね」
 そう言ってシルはもう一度だけ、仲間たちと共有した地図を眺める。
 そして頷くと、用意して来た大き目のボールをコロンコロンと道路に蹴り出した。

 どういう風にするか? その結論がこれだ。
 真っ先に潰すのは到着時間が早く、そして分岐ルートが多い場所。
 トラックを見かけた時点でみんなにパラドクス通信を送っている。
「まってえ~」
「ばっ、馬鹿野郎!」
 キキキー! と音を立ててトラックが止まった。
 ボールがポンと跳ねて何処かに行ってしまう。
「死にたいのか!」
「ごめんなさい~」
 歳相応な少女のフリをしてシルが頭を下げる。
 誰も無関係な子供を殺したいとは思わないのだ。
 天使に言われて悪魔の信者ならば仕方ないという言葉を信じているだけなのだから。
「そうだね。轢かれて死んじゃったら困るもんね。そう、本人の意思を無視してよみがえらせられるとか、そんなのはまっぴらだからね」
「何か言ったか? さっさとどけ!」
「お嬢ちゃん、速く退いてね。危ないわよ」
 シルの呟きをトラックの運転手も助手席の女も聞いてない。
 人は見たい物を見ると言うが、ボールを追い掛けて飛び出してきた少女が難しい事を言うだなんて思っても居ないのだ。
「それに……。その荷物、きっと人が殺められるものなんだろうねってこともね」
「なに?」
 逆に言えば、これからするべきことを、思いつめたことを喋ったら流石に反応するだろう。
 怪訝な顔がドキっとした顔に変わり、もしかしたら悪魔の手先なのかと疑い始めるだろう。
 だが、その前に……。
「はーい、そこまで~」
 ここで燐寧がチェンソー剣を突き付け、にこやかな笑顔で歩いてくる。
 ダウナーな笑顔からクラスチェンジした、アイドル染みた笑顔であった。
 え? 可愛い顔なんてしない? 必要に成ったらするんだよね。三秒くらい。
「やぁ、あたしに見覚えない? 父さんが写真持ってると思うんだけどさぁ」
「なん……だと」
 燐寧の無茶振りに信者は応えた。
 何故ならば彼女が無理して笑顔を浮かべたのはこの為だ。
 まだ燐寧が生きていた頃の、頑張って親の為に『パパ、誕生日には帰って来てね』なんて心配させまいと、貧血気味なのに無理して写メった笑顔である。
「一里塚先生のお嬢さん?!」
「確か死んだって。いや、違うのか?! 本当に生き返って……」
 どうやらトラックの一番手は忠誠心の高い連中らしい。
 有象無象の信者と違って燐寧の顔を特徴的な桃色の髪の色を知って居た模様。
「わかるぅ? 教主サマの娘だよぉ。でも、言っとくけど、あのクソ天使の復活って嘘っぱちだよぉ」
「うそ、でしょ……。そんな筈はないわ!}
 燐寧の言葉に助手席の女は即座に否定した。
 その目には確信があり、自分が信じたい物を信じている目である。
「蘇らされた子に心なんかなくてさ。家族と過ごす時もそれっぽく見せかけてるだけ。だってさ、ホラ、自分が望む以外の光景って見たことある? ないでしょ? そんな都合の良い光景何てナイナイ」
 やること全部言いなりで、人殺しだってさせられちゃうワケ。
 きみ達の大切な人も良いように使われるだろーけど、ほんとにいいのぉ?
 そう続けようとした燐寧であるが、思っても見ないほどの強烈な反発が帰って来る。
「そんなはずないわよ! あの子はちゃんと笑ってくれたんだから!」
「そっかー。聞いてくんないか。まあ、そんな気はしたんだよねぇ」
 燐寧はため息ついて、元のダウナー気味の笑顔を浮かべた。
 演技も必要ないし、こうなる事は知って居たので、容赦なく望みをへし折る事にする。
 彼女の周囲から、鎖がワラワラと植物の様に湧き上がるではないか。
「いいんだね?」
「もちだよー。みんな、やっちゃって~」
 誰よりも先に無茶をする事で、仲間たちの心に先駆ける。
 宿縁を持つ自分が動けば、みんな動き易いよねと笑顔に見えない笑顔を浮かべるのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

黄下・泉
【防衛部】
アドリブ、連携は歓迎
符で自己強化し、四肢に術式を付与しての蹴り主体の格闘スタイル

年代も近いし、あたしもリターナーだ。ホントは信者の説得とか行く方が良いんだろうけど……
カルトな新興宗教の狂信者って視点で見るとどうにも身構えちゃうんだよなぁ。
良くはないんだろうけど、反射的に。

まあ、こっちはこっちで役割を果たすさ。
信者が止まったらトループス級が暴れ出すかもしれない。
なるべく迅速に行こう。不意討ち上等!
トラックの外壁ごとその硬そうな殻を、纏めて蹴り抜いて分解して。
コアも同じように跡形もなく解いてやるよ。
接近戦仕掛けりゃ、注意もこっちに向くだろ。
なら仲間が攻撃しやすい場所まで誘導できるかもだ。


クィト・メリトモナカアイス
【防衛部】
他の人と一緒に渋谷区のいい感じのところで待ち伏せ。
もし予測ルートが複数あるならいい感じに分担して、【パラドクス通信】で運ぶ人たちが来たら伝え合う。

んむ、どどーんとやるのだ。どどーん。
とはいえ。敵もどどんといったら大変。

たぶんどどんといかないモナカ突撃型。ゆくぞー。
モナカ突撃型を操作し、多数のレーザーを避けて突進、敵中に突っ込んでから放つ「突撃のキンカロー」。
電撃で巨翼機雷スクルドを感電させて地に落とす。
我に飛んでくるレーザーは黄金猫拳打棒でガード。

この後こころおきなく暴れるためにも。
ふっとべー。


不知火・紘希
【防衛部】
アドリブ連携歓迎だよ

僕は新宿島でも他の世界でも、大切なひとをなくしたひとを見てきたよ。また会いたいって……。
でもどんな方法があってもその人の人生も想いも蘇らない。
心を黒い靄に変えることは魂をぐちゃぐちゃにしてしまう行為なんだ
そんなの、ぜったいだめ。

仲間のパラドクス通信をかりて、
経路や敵の場所を見つけてこまめに情報共有しよう
見つけたら一般人を巻き込まないようにそっと近づいて、巻き込まれないよう結界を展開。
みんなの攻撃と連携してZitronengelbから光球をはなち、敵だけを包み込んで浄化。被害を抑えよう

残って紛れ込んだ羽の爆発物があるといけないし【クリーニング】で視界を見やすくするよ



「じゅんび良い?」
「いつでも。むしろこの環境の方が微妙」
 ボール遊びをする少年少女のフリをディアボロス達がしていた。
 不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)が確認するとクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は頷いた。
 なぜ自分がこんなことをせねばならぬのか、まあ品薄の盛り過ぎモナカアイスで手を売ったので問題ないのだが。
「年代も近いし、あたしもリターナーだ。ホントは信者の説得とか行く方が良いんだろうけど……」
 二人の保護者という態で付き添う黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)は少し難しい顔をした。
 リターナとして説得しようかと思ったのだが、どんな言葉をかけても通じない気がしたのだ。
「カルトな新興宗教の狂信者って視点で見るとどうにも身構えちゃうんだよなぁ。良くはないんだろうけど、反射的に」
「僕は新宿島でも他の世界でも、大切なひとをなくしたひとを見てきたよ。また会いたいって……」
 泉の言葉に紘希はポツリポツリと呟いた。
 カルト信者に言葉が通じないというのも、だから声を掛けたくない気持ちもわかるのだ。
 そこには悲痛がある、嘆きがある、涙がある。それをどうして声を掛けたい物か。
「でもどんな方法があってもその人の人生も想いも蘇らない。心を黒い靄に変えることは魂をぐちゃぐちゃにしてしまう行為なんだ。そんなの、ぜったいだめ」
 だからね、僕らが頑張るんだ……と紘希はこれからの未来のために行く。
 例えそれが誰かの望みを踏みにじるものだとしても。
「んむ、どどーんとやるのだ。どどーん」
 クィトは顔色を変えていないが、微笑ましい気分に成った。
 小さな少年が未来を見据え、明日を掴もうとするのは良い事だ。
 とはいえ。敵もどどんといったら大変。ここで倒してしまわねばなと思うのであった。
「まあ、こっちはこっちで役割を果たすさ。さて、動きが止まったな」
 泉は仲間の言葉に頷きつつ、止まったトラックを見つける。
 仲間が上手く誘導したのだろう。みれば他の二人も動き出していた。
「みんなーやっちゃって~」
「おっけ! 不意打ち上等!」
 仲間の声が聞こえたところで、泉は即座に飛び出していた。
 足に符を張り、神足で駆けだすとトラックの荷台に向けて蹴りを放つ!
『ピ? ゴゴゴ……』
「遅い! コアも同じように跡形もなく解いてやるよ。崩れちまえばこっちのもんだ!」
 敵はそのまま爆発を始める。
 正確には未来が分岐し、一瞬先のミリアが爆発したのだが……。
 泉はその運命を蹴り砕き、符へ宿す力へと織り込んでいったのだ。もちろん衝撃の全てを消せはしないが、仲間たちのために囮いなろうとしたのである。
「んむ。狙い易くなったのだな。この後こころおきなく暴れるためにも。ふっとべー」
 たぶんどどんといかないモナカ突撃型。ゆくぞー。
 クィトの号令一下、猫耳猫尻尾を付けた浮遊するボールが飛んで行く。
『クイ? ギュールルル』
 これに対して敵は中央のコアから光を放った。
 ビーンビュンとレーザーが飛んで来て、ボールと入れ違って相打ちになりそうになる。
「それは予測済み。モナカスパーク、はじめー」
 クィトは猫パンチ……ではなく黄金の棍棒でレーザーをガードした。
 多数のレーザーが飛んでくるならば避けるよりも受ける方が妥当。
 そう言う事でガードに専念して、突撃させたボールたちに電撃を放たせたのである。
「お願い、みんなを照らす光の神さま。――僕に力を貸して」
『パワワワ~』
 紘希は幸運を描くナイフに光を集め、ネットランチャー付きの光球を放つ。
 それは途中で領域を展開し、敵が放つ羽を飲み込み始めた。
 羽を包んだ光の珠が、やがて球体の敵をも呑み込んでいく。
 そして紘希たちは思うのだ。信者たちが悪夢から目覚め、本当の光に気づいて欲しいと……。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

吉音・宮美
アドリブ連携歓迎
【防衛部】

これは理屈での説得は難しいものですね……なら、言葉を使わずに語りかけます!

『憑神戦衣装』の勝手に戦場に連れてく能力を利用してトラックを【追跡】し、私自身は説得と選択PDの発動に集中

弾くのは二胡の代表曲の一つ、病中吟
人の悩みを表現したこの曲で信者の皆さんに自分がやっていることが正しいのか今一度悩む感情を想起させます

もう一度、よく考えて見てください
どれだけ大切なものでも人を殺めて取り戻したら呪いとなります
貴方達は自分の大切なものの価値を自分で貶めようとしているんです

そう【演奏】で語りかけ他の皆さんの行動の【時間稼ぎ】をします
これで説得の土台はできたはず、後は任せました!


野本・裕樹
【防衛部】

死者の考えは本人にしか分からない…結局は自分の望みを押し付けてるだけ、止めます。

渋谷区の地図からルートを予測。
良い行動ではないですが道路に立ち塞がって止めます。
一般人が怪我しないように気を付けないと。

【友達催眠】で説得。
他人の命を奪い得られた命で生き返らされて、貴方の大切な人は喜ぶ人ですか?
真実を隠せばその心配も無いかもしれませんね。
けれど貴方の中に負い目は残る。
相手の笑顔を…正面から見れますか?
その資格があると自分を納得させられますか?
自分はどうなっても良いとか蔑ろにするのは論外ですよ、相手に同じ哀しみを味わわせる事になります。

絆を、思い出を穢すような真似は止めるべきです。


ミルル・ドラゴノーツ
【防衛部】

一般人がいるのがとても厄介じゃな。ここで騒ぎを起こして敵に感知されるのも厄介じゃし、ここは信者達を騙して別の安全な場所に場所に運ばせようかの。


長内・ゆうき
【防衛部】

▽心情
わたしは長内ゆうき、燐寧ちゃんとは友達……うん、ちょっと複雑だけど仲のいい友達であることは変わらない

今回の事件、見て、聞いて、それだけで心が辛くなるような呪いのような物語だね

わたしにどれだけ出来るかわからない……けど巻き込まれた一般人、大事な友達とその家族の為、力の限り頑張るわ

▽行動
味方の妨害に合わせ《ワイファイスパーク》の電撃によって電子機器の利用を妨げる


言葉での説得は難しいと考えているが、それでも人の心は弱さを覆す強さもあると信じている

▽セリフ例
「本当に耳を傾けるべき存在は誰か、少しでも考えてみて欲しい」
「悲しみに、絶望に押しつぶされないで……奇跡は希うものじゃないの」



 ディアボロス達は説得と足止めを行うチームと、トループス級戦を想定したチームが組んでいた。
 本来であれば一つのチームで片付く戦力だが、騙されて居るだけの一般人も保護しなければならない。
 そして何より、相手も作戦を考えているのだ。物語の様に都合良く知能指数が下がったりしないのである。
「あのトラック怪しくない? 道が外れてそうだけど」
「このご時世に不自然ですね。今からだと少し遠い場所になってしまうのが難点ですが……」
 偽装までされると流石に初見では気付かないが、天使と悪魔が戦うご時世である。
 長内・ゆうき(名も無き王妃・g01491)の指摘に野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)も気が付いた。
 クロノヴェーダ探知機が無いので最初は気が付かなかったが、教団所有に見えずともトラックが移動して居れば類推するのは難しくない。少なくとも、トラックでトループス級を運ぶと予見された時間帯なのだから。
「問題なのは間に合うかどうかと、勘違いだった場合に戻って来る時間ですね。何人か残ります?」
「任せよ。我がおるからには造作もない」
 裕樹が地図を見て睨むと、ミルル・ドラゴノーツ(魔王軍四天王「知将のミルル」・g08848)が胸を叩いた。
 これでも魔王軍では知将と呼ばれた女、自信満々である。
 大丈夫、『私に良い考えがある!』とミステイクするロボット軍団のリーダーとは違うのだ。
「一般人が居る上、知恵だけならばクロノヴェーダに劣らぬのがとても厄介じゃな。さて、参るぞ!」
「なるほど。飛んでけば大丈夫ですね」
 ミルルが空に舞うと、吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)がポムっと手を叩いた。
 地上を行けば道なりに時間を食うが、空には邪魔する物はない。
 時速50kmでも十分に間に合うし、違ったら戻って来るのも簡単だ。今回は戦わなくて良いらしいし憑神戦衣装は勝手にまとわりついて来ないので、宮美の尻尾はフリフリである。

 そんな訳で足止めチームが先行し、トループス対策チームは少し遅れて追随。
 同じような回路や裏道対策にも別チームが動いているらしい。
「しかし、ここで騒ぎを起こして敵に感知されるのも厄介じゃし、ここは信者達を騙して別の安全な場所に場所に運ばせようかの」
(「今回の事件、見て、聞いて、それだけで心が辛くなるような呪いのような物語だね」)
 ミルルの呟きを拾って、ゆうきは言葉には出さずに考える。
 既に死んでいる人がいて、その人を蘇らせようと足掻いている人がいる。
 その思いを踏み躙る必要があるのだ。なんと苦しい先行きではないか。
「死者の考えは本人にしか分からない……結局は自分の望みを押し付けてるだけ。いえ……止めておきましょう」
 裕樹は語られない胸の内は知らずとも、その思いは理解できる。
 誰もが苦悩し、心に棘が刺さったような気持ちになるのだ。
 アンニュイな気持ちになるのも仕方があるまい。
 先に言っておくとミルルが一人平然としているのは元魔王軍の知将だからであり(元って言うな!)、苦悩と胸のサイズは関係ないので注意しよう。エイティーンを覚えようとしないミルルだが、年頃に成ったら胸は育つはずである。
「わたしにどれだけ出来るかわからない……けど巻き込まれた一般人、大事な友達とその家族の為、力の限り頑張るわ」
「これは理屈での説得は難しいものですね……なら、言葉を使わずに語りかけます!」
 ゆうきが誰かを、自分を励ますように言葉に力を入れると……宮美は新たに決意を固めた。
 決してお話が得意ではない彼女は、つらさを共感できても思い留めることはできない。
 だから宮美は共感した悲しみを、音楽で表現しようとしたのである。どのみち同時に言葉を掛けられるのは一人か二人、ならば自分に出来ることをしようと、ゆうきだけでなく宮美も決意したのである。
「何だから分からんが、とにかくよろしい!」
 ミルルも知将なので勿論判っている。筈だ。
 なので心の底から応援したのである。

 そして作戦の実行段階がやって来る。
「うわっ!? 危ないな!」
(「良い行動ではないですが、ここは仕方ありませんね」)
 裕樹は道路に飛び出すと立ち塞がってトラックの動きを止めた。
 道なりになったところで直線では無かったこともあり、トラックにぶつからずに済んだ。
 おかげで一般人が怪我することもない。
「他人の命を奪い得られた命で生き返らされて、貴方の大切な人は喜ぶ人ですか?」
「は? 今更何を言ってるんだ? そんな事が出来る筈もないだろう!」
 裕樹は友達催眠を掛けながら説得を始めた。
 しかしこの段階では全く反応はない。
 当然であるが、友人よりも大切な人を助けるための行為である。友人の言葉で変わる事はない。あえていうならば、友人だからこそ今回の陰謀を相談したとでも思って違和感を覚えないくらいだろう。
「真実を隠せばその心配も無いかもしれませんね。けれど貴方の中に負い目は残る。相手の笑顔を……正面から見れますか? その資格があると自分を納得させられますか?」
「うっ……」
 この言葉は効いた、むしろ返す言葉が無い。
 なぜならば友人同士の段階ではなく、大切な人と自分との間への楔だからだ。
 友人の言葉では止まれずとも、大切な人への思いと、何より自分の思いは裏切れない。この辺りは話術の問題よりも、対象の問題だろう。
「わたしは長内ゆうき、燐寧ちゃん……教祖の娘さんとは友達……うん、ちょっと複雑だけど仲のいい友達であることは変わらない。天使の嘘で困ってた彼女と友達になったの」
「え?」
 ゆうきはこっそり電子機器を破壊するパラドクスを掛けつつ接近した。
 友人の名前を出して……それでは通じないことを悟って言い直す。
 パラドクス通信でこの方が効くことは確認していたので、手早く言い直したのだ。
(「今じゃ!」)
(「ここが勝負の掛け時です」)
 ミルルが号令をかけると、宮美は意を決して静かに二胡を弾き始めた。
 静かでどこか物憂げなBGM、人は音楽で心を動かされる存在である。
 もちろん普通ならばそんな心理状況ではないだろう。しかし今は友達催眠が機能しており、落ち着く為に友達がBGMを掛けてくれるかのような状態であるのだ。
「燐寧ちゃんが言ってたよ。あの天使の言葉は嘘だったって。大切な人に助けられて、ようやく正気を取り戻せたって。本当に耳を傾けるべき存在は誰か、少しでも考えてみて欲しい」
 半分本当で、半分嘘である。
 ゆうきは既に終わった運命と、晴らされた宿縁を聞いて苦悶を浮かべた。
 他人の過去を喋るというのは、それだけ苦痛なのだ。肉体ではない、心が申し訳なさで一杯になるほどであった。
「悲しみに、絶望に押しつぶされないで……奇跡は希うものじゃないの」
「自分はどうなっても良いとか蔑ろにするのは論外ですよ、相手に同じ哀しみを味わわせる事になります。絆を、思い出を穢すような真似は止めるべきです」
 ゆうきに裕樹が言葉を重ねる。
 軌跡は行動を積み重ねて起こす物であり、決して誰かに希って叶える物ではないのだ。
 言葉での説得は難しいと理解しているが、それでも人の心は弱さを覆す強さもあると信じている。
(「この曲は二胡の代表曲の一つ、病中吟。人の悩みを表現したこの曲で、信者の皆さんに自分がやっていることが正しいのか……今一度!」)
 そんな中で宮美は静かに曲を弾き続けた。
 曲で説得できるのか? そんな事は眼中にない。
 自らを信じれない者が他者を信じれるはずもなく……。
(「判っておる。イザと言う時は我に任せておけ」)
 ミルルは判って居ないなりに、宮美のやることをフォローするつもりでいた。
 同じ魔王軍に所属する仲間である。決して見放しなどはしない。
 なお『こうなりゃやれるだけの事はやってやりますよ!!!』とは宮美側の思いであったそうな。
「もう一度、よく考えて見てください」
「どれだけ大切なものでも人を殺めて取り戻したら呪いとなります」
「貴方達は自分の大切なものの価値を自分で貶めようとしているんです」
 そんな思いを載せて宮美は曲を弾き続けた。
 仲間たちが説得を続ける中も、終わった後も。
 ずっとずっと。この思いが届けば良いなと思いながら……。

 彼女たちヴィラ民の説得が届いたかは野暮なので置いておこう。
 イザとなったら電子機器は壊してあるし、一般人に効く残留効果は他にもあるのだから……。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【アクティベイト】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!

アンゼリカ・レンブラント
【防衛部】
大切な人を蘇らせる、か
私もそう願ったし、実際失ったはずの
彼女と同じ時を歩んでいる

信者と私で何が違うと問われれば
私も大切な人も復讐者だった
それ以上の言葉を、自分では言えないさ
けれど――止めさせてもらうッ

事前に地図等現地の情報を共有
トラックが出てきたら仲間とタイミングを合わせ飛び出す
私は後ろから近づき、前から接触する仲間に
気を取られているところに
タイヤを武器で潰してしまおう

怪力無双で車体を持ち上げ横に転がすことも辞さないが
一般人の命を奪わないよう注意

この行為で失った命は喜ばない
喜ぶのは後ろで笑っている輩だけだよ

喪失の悲しみは私達も知っている
容易に癒されないことも
だからこそ、止めたいんだ!


文月・雪人
【防衛部】

仲間と連携してトラックを止めに行き
作戦中止の説得をする
説得した上で、どうしても必要なら【現の夢】使用
一般人を極力傷つけずに捕縛・保護したい

■説得
積み荷を俺達に渡してほしい
それを運べば何人もの人が死ぬ
誰かの大切な誰かが死ぬ
貴方もきっと死ぬだろう
それぐらい危険な事だ
今の悲しみに比べたら、身を捧げる事など惜しくはないと?
そうかもしれないね
大切な人を失う悲しみは、俺達もまたよく知っている
でも、だからこそ止めたいんだ

悲しみを知るその手で、同じ悲しみを生み出さないでほしい
誰かの命を奪わないでほしい
貴方の命を捨てないでほしい
貴方の大切な人に、貴方を失う悲しみを背負わせないでほしい
声よどうか、届いて


神田川・憐音
【防衛部】

とりあえず皆が想定してるルートと待ち伏せポイントから大きく外れないよう
迂回路とか裏道的なルートに通行止めとか工事中の立て札立てて
トラックが通れないよう細工しとこうかな

警察や工事関係者が来たらかえって好都合
【プラチナチケット】で関係者の振りしとくね。バイトで頼まれてまーす的な
年度末だし道路工事とか一杯やってると思えば不自然じゃないでしょ、たぶん

説得自体は任せるけど
罪悪感を刺激する方向ならあたしもギターで他人の曲に合わせて弾いたり
こう悩みや悲しみを想起させる曲を演奏してサポートするわ

あたしも燐寧もリターナーだし
生き返らないとは言わないけど、あんた達の望む通りに戻ってこないよ。知らんけど


薬袋・明莉
【防衛部】
道路にパラドクスで即興の壁を描きトラックの足止めを
降りてきたところを説得に

大事な人を蘇らせるために、己の全てを犠牲にする、他人などどうなっても構わない……それが何故駄目だと思う?
命のありがたみが薄れるからだ
生き返ると思うと死への忌避感がなくなる
己自身もその人も大事にできない
そいつの体も、そいつと過ごす時間もな
実際俺自身この体になってからそういう風な無茶するようになったし

誰かを殺しさえすれば叶うと覚えたら殺しに躊躇いがなくなる
そうなりゃ待ち受けるのは無秩序

そもそもお前ら、大切な人に先立たれる苦しみは知ってるはずだ、それを大切な人に押し付けるつもりか?



 トラックは偽装したり、色々な道を使ったり、タイミングを変えて移動しているらしい。
 信者たちが一般人なりに頭を働かせていると聞いて、ディアボロスたちは溜息吐いて対処を始めた。
「とりあえず皆が想定してるルートと待ち伏せポイントから大きく外れないようやっとくか。万全じゃねえのがなんだが」
 神田川・憐音(天地を揺さぶる情動・g02680)は通行止めの看板を使う事にした。
 幾つかの道をそうやって封鎖し、予め通れないようにしておく。
 特に重要なのは、ギリギリ通れるからこそ見落とし易い場所である。あのくらいだと思って抜けてしまうのが一番困るのだから。
「絞れたら後は何とかするよ。足さえ止めりゃあなんとかなるだろ」
 薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)は何もない場所に即興で壁を描き始めた。
 リアライズペインターの真骨頂であり、遠目には何かがあるように見える筈だ。
 それは広い場所には立て看板などが意味ない状態を補正する。
 もちろんクロノヴェーダには見抜かれるどころか体当たりで破壊されかねない代物。しかし今回は相手が一般人だから問題ないのだ。
「一台こっちに来るって。準備は良い?」
「ああ。タイミングを計って無力化したら、トループス担当班を呼ぼう。私たちには他にも役目があるしね」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の言葉にアンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は意図してスケジュールを詰め込んでいった。
 トラックを止めたら今度は一般人の誘導、速く終わればトループスが逃げないように包囲網。
 そして次のトラックを探しに行かねば……。とても忙しいが、その方が憂鬱な事を考えずに済む。いや、先延ばしにしてはいけないのは判っているので、その憂鬱な気持ちを乗り越えるには忙しい方が丁度良いのである。
「これで一応は何とかなるかな。他の住民の人たちには迷惑かもだけど」
「警察や工事関係者が来たらかえって好都合。バイトに雇われた関係者のフリしとくさ」
 雪人が地図と睨めっこしながら呟くと、憐音がぶっきらぼうに切り返す。
 努力なんか汗が出ていくだけで、満足いく結果になることなどない。
 割り切ってさっさと片付け、その次の問題に挑めばよいだけだと告げたのだ。
「年度末だし道路工事とか一杯やってると思えば不自然じゃないでしょ、たぶん。まあそれに、天使や悪魔が出て来るご時世だしね」
 憐音はそう言って肩をすくめ、後はあんたらの役目だよと丸投げすることにした。
 努力で済む範囲ならば汗をかきに行こう、だが説得に関してはリターナーである彼女には難しいと思ったのだ。
 そして彼女の友人の様に、必要ならば手を汚しても構わないという方向では割り切れないのもあった。
「そうだね。必要なら現の夢を使うよ。強引に押し切るのはあんまり好きではないけど、犠牲が出るよりは良いもんね」
「そうしてくれるならありがてえな。んじゃ出番が来たようだし、行くとするか」
 雪人が決意を固める頃には、明莉は既に動き出していた。
 どうやら目に見える範囲にトラックが来たらしい。
 パラドクス通信では情報が即座に届くが、移動速度は人それぞれの認識差があるのでこんなものだろう。

 四人はそれぞれの立ち位置で動き出した。
 即席の壁を維持するのと説得のために明莉が、その補佐と正論で攻めるために雪人が。
 後ろからアンゼリカが近づいて、憐音は…tねギターでも弾いておくさと割り切った。音楽が悲しみを伝えてくれれば良いのだけど。
「こんな所に壁があったか? 工事するなんざ聞いてねえぞ」
「そこまでだ。検閲みたいな物だけど、積み荷を俺達に渡してほしい」
 年かさの男に対し、まずは雪人が話を切り出した。
 余計なことを言わずに話しかけ、動きを止めると同時に残留効果を使用するタイミング測る。
 説得が利くなら問題ないが、ダメな場合はそちらに頼ろう。
「は? あんた何言ってんだ。俺は魚を運んで……」
「それを運べば何人もの人が死ぬ。誰かの大切な誰かが死ぬ、貴方もきっと死ぬだろう。それぐらい危険な事だ」
 話を聞かずに誤魔化そうとする相手に、雪人はストレートに言葉を連ねた。
 今の悲しみに比べたら、身を捧げる事など惜しくはない?
 そうかもしれない。大切な人を失う悲しみは、彼らもまたよく知っている。しかし、いや、だからこそ止めたいのだろう。
「だからどうしたつーんだよ! 俺の孫はなあ! 生まれたばっかりで死んじまったんだぞ! 娘もだ!」
「大事な人を蘇らせるために、己の全てを犠牲にする、他人などどうなっても構わない……それが何故駄目だと思う? 命のありがたみが薄れるからだ」
 明莉もまた正論で押すことにした。
 心情的には思う事もあるが、ここで歩み寄ってもお互いに辛いだけ。
 だから正論で攻めるが、議論する気はない。仲間が説得し、あるいは耕作するための時間を稼ぐためだ。
「生き返ると思うと死への忌避感がなくなる。己自身もその人も大事にできない、そいつの体も、そいつと過ごす時間もな。……こんな風に成っちまう」
「ウルセエ! 俺は……なんだその腕」
 明莉の正論に年かさの男は怒鳴ってトラックを動かそうとした。
 だが二重の意味で動けない。
 一つは明莉が機械の腕の異様さを見せたからで、同時に仲間がトラックの後ろからタイヤをパンクさせたからである。
「なんだ!? タイヤがいっちまった? 動いてねえのにパンクなんざ……」
(「大切な人を蘇らせる、か。私もそう願ったし、実際失ったはずの彼女と同じ時を歩んでいる。信者と私で何が違うと問われれば……」)
 それはアンゼリカが後ろからトラックのタイヤを武器で切り裂いたからである。
 分厚いはずのゴムが容易く切裂かれた、アンゼリカにそれを誇る気はない。
 むしろ俯いて、どこか悲しそうであった。
「この行為で失った命は喜ばない。喜ぶのは後ろで笑っている輩だけだよ」
 血を吐くようにアンゼリカは声を上げた。
 喉から吐く息が、まるで血かマグマのようだ。血の涙ではなく、血の吐息と言うべきか。
 喪うことの悲しみは彼女達も知っている。容易に癒されないことも……だからこそ、止めたいのだ。明日を夢見て、それでも届かず手を伸ばし続ける悲しみと怒りはディアボロス全ての共通する思いであろう。
(「上手く……いってんのかね? あたしも燐寧もリターナーだし、生き返らないとは言わないけど、あんた達の望む通りに戻ってこないよ。知らんけど」)
 憐音はその様子を眺めながらギターを爪弾いた。
 罪悪感を刺激し、悲しみを想起させる曲を奏でる。
 効くか効かないかにあまり意味はない。他ならぬ彼女自身がそうしたいのだ。効果が必要ならば、残留効果でも併用すれば良いじゃない。だからこれは彼女なりの心の表れなのである。
「誰かを殺しさえすれば叶うと覚えたら殺しに躊躇いがなくなる。そうなりゃ待ち受けるのは無秩序、そもそもお前ら、大切な人に先立たれる苦しみは知ってるはずだ、それを大切な人に押し付けるつもりか?」
 明莉は努めて冷静に振舞おうとした。
 努力はしたのだ、しかしこの男が無茶をして死んでしまった後。
 蘇った娘さんと孫がどんな顔をするのか? それを想像すると思わず機械の腕で胸ぐらをつかんでしまった。天使の言う事は嘘な筈なのに……仮に本当だとしても、その先に悲劇しかない様に思えてくるのだ。
「悲しみを知るその手で、同じ悲しみを生み出さないでほしい」
 誰かの命を奪わないでほしい。
 貴方の命を捨てないでほしい。
 貴方の大切な人に、貴方を失う悲しみを背負わせないでほしい。

 その言葉は雪人だけのものだろうか? いいや違う。
 声よどうか、届いてとディアボロス達の心は、まるでハーモニーの様に揺れていた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

ネリリ・ラヴラン
なにをしてでも、手を汚してでも、大事な人と逢いたい
その気持ちだけは、わたしも否定はしないよ
ただ皆は、そんな大切な人へ背負わせる覚悟はあるのかな…

貴方の大切な人は
自分一人の為に、大勢の命が失われた事を知って
平気な顔をしていられるような人なのかしら…
胸を張って「アナタのために、たくさん殺しました」って言ってあげられるのなら、わたしはそれ以上何も言わないよ

迷いを見せるだけの気持ちがありそうなら一言

一度奇跡を見て来たのなら
誰も傷つけずに、幸せを取り戻す奇跡も、願えるんじゃないかな

その結果、サラカエル様を深く祈るようになっても構わない気持ち
彼等の心がそれで救われるのなら、そのくらいの困難は越えてみせるよ


百鬼・運命
【防衛部】
大天使信者かあ…いろいろと文句の一つでも言ってやりたい所ではあるけど、まあとりあえず人命救助が優先だな

渋谷区某大学で神主目指していたので土地勘は十分
味方と連携して信者たちが通りそうな道で待ち伏せ
トラックで迂回されない様になるべく狭い道がいいかな?

トラックで強行突破を図るようならば、ヒトガタ符を一枚取り出し、運転者を【傀儡】してブレーキを踏ませよう

しかし死人を生き返らせたいか…まあ何を言った所で、生き返ったリターナーや死なずに生き返る復讐者が言った所で説得力が乏しいからなあ…

説得には加わらず、決裂した時に気絶させるため、スタングレネードを用意しておこう
使わずに済めばそれでいいんだけどな


ミシェル・ラークリーズ
【防衛部】で参加

復讐者になって間もない頃、故郷から出てきたばかりで家族以外に慣れてない僕はほぼ初対面の燐寧さんに話しかけて見た。ほぼ新顔なのに親しげに接
っしてくれたのを良く覚えてる。

【パラドクス通信】で連絡を取り合いながら、【怪力無双】で力任せにトラックを止めるよ。驚かせたら、ごめんね、と一言。

届かないかもしれないけど、僕からも一言。【勇気】と【情熱】と【祈り】を込めて。

大勢の人を殺して。救われて喜ぶ人は誰もいないよ。誰も犯した罪の重荷を背負う。後ろで企む悪党が思うようになって喜ぶだけなんだよ。いつまでも貴方達は悪党の思うがまま。それでいいのかな?


瀧夜盛・五月姫
【防衛部】
古き城の沼地を召喚。
足、とられて、立ち往生を狙う。
それが無理、だとしても、この沼は、【泥濘の地】。信者さんたちが思っているほど、速度では走れない。足止め、する、よ。

もう会えない家族を、何としてでも取り戻したい、気持ち。姫はわかるよ。
伝説に語られる滝夜叉姫は、死人を操る妖術を得た、だろうし。姫だって――。
ごほんっ。過ちを知るから、姫、知っている。黄泉戸喫をした者、神すらも現し世へ、只では戻れない。
他人の死と、他人の悲しみを発く、者は、須く不届き者だ。

仮にできたとして、幾万の死の上に立った生。彼や彼女は、耐えられる、かな?
耐えられたら、ソレはもう、貴方の知る“普通のヒト”じゃ、ない、よ?



「大天使信者かあ……いろいろと文句の一つでも言ってやりたい所ではあるけど、まあとりあえず人命救助が優先だな」
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は地図にサインペンで色々と書き込んでいた。
 渋谷区某大学で神主目指していたので土地勘は十分。
 味方と連携して信者たちが通りそうな道で待ち伏せようと、ルート設定してみんなで共有していたのだ。
「それもそうなんだろうけどね……」
 ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は途中まで口にして、そこから先は止めておいた。
 なんだか気恥ずかしいというか、口に出すべきではないと思ったのだ。
(「復讐者になって間もない頃、故郷から出てきたばかりで家族以外に慣れてない僕は……」)
 ある程度親しい者は知っているだろう。
 口にした時に一緒に居た者、その事を思い返して誰かが口にした時。
 ミシェルが何をして、どう思ったのかを聞いた者は多い。しかし、今は違う気がするのだ。
(「ほぼ初対面の燐寧さんに話しかけて見た。ほぼ新顔なのに親しげに接っしてくれたのを良く覚えてる。だから今回は、僕が協力したいから協力するんだ」)
 それは自分だけの理由であり、その人に押し付ける者ではない。
 それであの人の苦悩が解けるならば、ミシェルもそうしただろう。
 しかし今はそんな場合じゃない。言うとしたら目の前で『だから問題ないですよ』と苦難に笑って立ち向かって行くときだろう。
「ところで……あれ、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。迂回されないように……あれ、爆走してるね」
 ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)が尋ねた時、思わず運命は二度見した。
 なんでトラックが爆走してんの? まあ爆装もしてるけどね。
「もしかして……」
「ん。他のチーム。みんな成功した。後は姫たちだけ」
 ネリリが最後まで推論を口にする前に瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)が結論を告げた。
 他のトラックがみんな捕まってしまったので、最後に残った一台が危険を承知で爆走してるのである。
「流石にあれは止めたら危険じゃないかな? 僕らはディアボロスだから大丈夫だけど」
「運転手さん……一般人だもんね」
 ミシェルとネリリは顔を見合わせる。
 ディアボロスはたいていの苦難に打ち勝てる。
 クロノヴェーダだって連携すれば大丈夫。しかし……爆走する一般車両を殺さないように止めるのは難しいのだ。
「問題ない。足、とられて、立ち往生を狙う。それが無理、だとしても、この沼は【泥濘の地。今やってる、ほどの、速度では走れない。足止め、する、よ」
 五月姫は憮然とした表情で踵を鳴らした。
 すると足元から赤い花が広がり、その下には沼地が広がっている。
 沼地が広がっているのか、それとも赤い花が繁殖しているのか。それが分からないほどのペースで道路一面を覆い始めた。
「そういう事なら後は俺が何とかしよう……止マレ」
 運命は呪符を一枚取り出して、トラックの運転手を操る事にした。
 形代呪術とか傀儡というやつで、他人の意識や行動を縛る術である。
 一般人にしか効かないし、いまは一人にしか意味が無いがそれで充分である。
「なら後は僕が止めますね。説得はお任せします」
 ミシェルは驚かせたら、ごめんね、と一言つびゃきながら飛び出していった。
 トラックは泥濘の地で減速しており、さらにブレーキをかけることで止まりかけていた。
 もしかしたら助手席の者が何か言ってるかもしれないが、いきなり運転を変われなどとは言えないだろう。ここで飛び出したミシェルが怪力で止めることに成功する。
「なんだ、何が起こった!?」
「もう会えない家族を、何としてでも取り戻したい、気持ち。姫はわかるよ」
 五月姫は静かに語り掛け始めた。
 いきなりトラックを止められたことでパニックを起こす運転手たちに声を掛ける。
(「伝説に語られる滝夜叉姫は、死人を操る妖術を得た、だろうし。姫だって――」)
 五月姫はその言葉を飲み込んだ。
 一般人にとって、伝説など通じまい。
 それになにより、既に五月姫とは別の存在なのである。
「過ちを知るから、姫、知っている。黄泉戸喫をした者、神すらも現し世へ、只では戻れない。他人の死と、他人の悲しみを発く、者は、須く不届き者だ」
「なんだ? 何を言ってる! 何の話だ!」
 半狂乱でアクセルを踏んでも意味はない。
 沼地に呑まれ、怪力で止められては意味をなさない。
 話の半分も通じていないようだが、復活が罪だと言われた事は判るのだろう。その目的がけがれていると言われて激昂する。
「お前らに何が判る!」
「なにをしてでも、手を汚してでも、大事な人と逢いたい。その気持ちだけは、わたしも否定はしないよ」
 相手の気持ちは否定しない。
 説得のイロハであるが、それ以上にネリリは気持ちに共感していた。
 だけれども、許せない事、認められないからこそ今こうやって止めている。
「ただ皆は、そんな大切な人へ背負わせる覚悟はあるのかな……。貴方の大切な人は自分一人の為に、大勢の命が失われた事を知って、平気な顔をしていられるような人なのかしら……」
「う……」
 他の地でも論破された事のない言葉である。
 意図してネリリが口にしたわけではない。
 それは真理であり、誰もが思う疑問、誰もが思う罪だからこそ通じるし、他人の言葉ではなく自分の思いに回帰するからこそ通じるのだ。
「胸を張って『アナタのために、たくさん殺しました』って言ってあげられるのなら、わたしはそれ以上何も言わないよ」
「そう。天使の言う事が本当で、仮にできたとして、幾万の死の上に立った生。彼や彼女は、耐えられる、かな? 耐えられたら、ソレはもう、貴方の知る"普通のヒト"じゃ、ない、よ?」
 ネリリの言葉に五月姫が言葉を重ねる。
 業が無ければ人ではないと言うが、業を押し付けられて心が歪まぬ人も居ない。
「もし天使のやったことが本当に奇跡だとして……一度奇跡を見て来たのなら、誰も傷つけずに、幸せを取り戻す奇跡も、願えるんじゃないかな」
 ネリリは五月姫の方った、天使の奇跡で本当に蘇生したという仮定で話してみた。
 本当の奇跡を起こせて、そんな事が出来る存在が、他者の殺害を命じるのか?
 それは怪しいのではないかと思うのだ。もっとも……本当に奇跡であるとか、そう思い込みたくてサラカエルに祈るならそれはそれで良いと思う。そこを強制したいとも思えないから。それで心が救われるならそうすると良い、その上で何とかしようとネリリは思う。そのくらいの苦労は背負っても良いよね。
「そうじゃないなら、大勢の人を殺して。救われて喜ぶ人は誰もいないよ。誰も犯した罪の重荷を背負う。後ろで企む悪党が思うようになって喜ぶだけなんだよ。いつまでも貴方達は悪党の思うがまま。それでいいのかな?」
 最後にミシェルがそう告げに来た。
 既にトラックは止まっており、アクセルを踏んでいる様子も無い。
 ここに事件は解決されたのだろう。
(「ふう、上手くいったな。しかし死人を生き返らせたいか……まあ何を言った所で、生き返ったリターナーや死なずに生き返る復讐者が言った所で説得力が乏しいからなあ……。とりあえず余計な物をつかないで良かった」)
 その光景を見ていた運命は、溜息を吐いて閃光弾をポケットにしまった。
 なんというか自分が理論先行で、心の機微に疎いのは理解している。
 だからこそ、仲間たちの説得が上手くいったことに安堵を覚えるのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【友達催眠】がLV2になった!
【傀儡】LV1が発生!
【怪力無双】がLV2になった!
【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

ナディア・ベズヴィルド
【防衛部】
アドリブ・連携可

大切な家族や恋人を亡くして、今一度と縋る気持ちは分からなくもないですが…
人の心の隙間に上手く入り込みいい様に使う天使は許せませんね
あとでボコボコにするとして今は爆弾を処理することを優先に。

爆弾で人を傷つける。傷ついた人が悲しみまた同じ連鎖を繰り返す
そんなことはさせないわ。

事前に渋谷区の地図で散り、地形を確認。
【パラドクス通信】で仲間と連絡を取りながら敵の場所を把握し各自分担して爆弾を手早く処理していきましょう

敵を発見したら《高速詠唱》《連続魔法》を用いて《不意打ち》をしかけよう
先手必勝よ
反撃には魔力障壁を展開し防御を


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【防衛部】
連携アドリブ歓迎

大天使という連中は、実に…
人の弱味に付け入るのだな……

燐寧さんの力になれるなら
俺にできる事をしよう

こちらは物騒な爆発物処理に専念しよう
時間経過と周囲への被害には細心の注意を

渋谷区の地図を頭に入れ、詳しい者から話を聞き共有
現場を偵察しつつ
パラドクス通信で連携し、情報共有に努める
離れた場所なら飛翔借り急行
周囲に一般人の姿あれば避難勧告しつつ逃がそう

戦況を観察し把握
逃がさぬよう包囲の位置取り
クロスボウから矢を放ちPD攻撃
上から矢を降らせ身動きを封じつつ
敵が飛べば飛翔を借り空中戦
味方と連携し着実に仕留ていこう

反撃は魔力障壁を展開し防御
羽根の軌道を観察し、フェイントかけつつ回避


雅諒院・基経
【防衛部】
…なるほど、外道も外道か。人の大切な記憶につけこむとは…天使が聞いて呆れる。

しかも一般人に爆弾を持たせ、突っ込ませるだと…?唾棄すべき存在よ。到底流すことなど出来るものか…。それに、一里塚さんの宿縁であるならば、奮戦せねばなるまいよ。

一先ず、一般人によって運び出される爆弾型の敵を倒さねばなるまい。

トラックの荷台から出てきた敵に風の刃をぶつける。

火を使えば爆発の危険もあるからな、これで無力化をさせて頂こう。
火薬なども風で【クリーニング】を行い、まき散らされないように注意を払う。

…大切な人にもう一度…か。それでも…とは酷なのかもしれないがな…


レイ・シャルダン
【防衛部】
連携・アドリブ歓迎です。

天使達の行い…酷いものだ。
人の悲しみを、人の喜びを、人の愛を利用したその行いの末路がどういう物になるか。
我ら復讐者達の怒りを天使達はすぐに知る事になる。

蒼き魔力の灯火を掌に集め、機械魔導弓『ACRO』に番え魔術の矢を形成
『Boeotia』の超視覚効果で【観察】を行い敵の【弱点】を看破
パラドクスを使用して敵の急所となる部分を打ち抜きます。

敵の攻撃は『アルヴァーレ』の【結界術】での緩和と
『アクロヴァレリア』による【一撃離脱】で回避

燐寧さんは既に前を向いている。
それでも、思う所はあるでしょう。
彼女がしっかりと過去に向き合える様、ボク達は全力でサポートしましょう!



 ルートやタイミングを変えた信者たち。
 その対策として、足止め班が先行。対トループス班は少し遅れて追随する。
「大切な家族や恋人を亡くして、今一度と縋る気持ちは分からなくもないですが……」
「天使達の行い……酷いものです」
 ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)の言葉にレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)は吐き捨てた。
 戦えないなりに工夫する信者たちは、自らが愛する者たちを救おうと必死である。
 それゆえに、そうなる様に導いた天使の悪辣さがひときわ目立つと言えるだろう。
「人の悲しみを、人の喜びを、人の愛を利用したその行いの末路がどういう物になるかっ! 我ら復讐者達の怒りを天使達はすぐに知る事になるでしょう」
「大天使という連中は、実に……人の弱味に付け入るのだな……」
 レイという少女を同じ傭兵会社でエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は良く知っている。
 だからこそ、普段は空を気持ちよく飛んで居る快活な少女が、これほどまでに憤慨し、復讐の念を露わにしているのをあまり見たことはない。
「……なるほど、外道も外道か。人の大切な記憶につけこむとは……天使が聞いて呆れる」
 それらの言葉を聞いて雅諒院・基経(天狗道からの使者・g00191)は人面獣心と言う言葉を思い出す。
 まだ出逢ってはいないが、少女たちに深い業を背負わせ、身の丈よりも大きな武器を持たせて突っ込ませているような奴なのだろう。そう、ありありと想像できる。
「しかも一般人に爆弾を持たせ、突っ込ませるだと……? 唾棄すべき存在よ。到底流すことなど出来るものか……。それに、一里塚さんの宿縁であるならば、奮戦せねばなるまいよ」
 基経は初めて平安鬼妖の大妖怪たちを尊敬しそうになった。
 彼らは武力はパワー戦いとはお祭りという脳筋系ばかりだが、少なくとも自分の手を汚す潔さがある。
 青行燈や立て烏帽子など一部に悪辣な奴らはいたが、これほどの外道はそう居るまい。
「人の心の隙間に上手く入り込みいい様に使う天使は許せませんね。あとでボコボコにするとして今は爆弾を処理することを優先に」
「そうさな。一先ず、一般人によって運び出される爆弾型の敵を倒さねばなるまい」
 ナディアが締めくくって促すと基経たちは敵の元に向かった。
 そろそろ仲間たちがトラックを止めて居る頃であり、まずは爆発するトループス級を倒さねばならない。

 そして一同が向かう頃には、仲間たちは信者たちを避難させていた。
「あれか。こちらは物騒な爆発物処理に専念しよう。こちらフェーデル、攻略を開始する」
 エトヴァは傭兵会社でのコールサインを発し、仲間に状況をパラドクス通信で送った。
 予め周囲の地形は頭に入れてあったし、先行して現場を偵察して居たのだ。
 宿縁を持つ仲間を運命へと進ませ、その力になれるならばと自分にできる事をしようと決意を固め位置を変え始める。
「スカイレイダー、確認しました。仕掛けます!」
 駆けつけたレイは機械式の魔導弓を構えて魔術の矢を番える。
 青き灯が輝き、空を染め始めた。
 傭兵会社のコールサインで返したのは、エトヴァがあえてタイミングを譲って裏を取る位置取りを始めたことに対する合図のようなものである。エトヴァもまたその意味を含ませて発したのだ。
『キュイ? ギュルルル』
「対空レーザー? そんなものでボクは止められない!」
 敵もまた盛んに光を放った。
 無数の光が空へ飛ぶが、レイは加速しながらそれらを潜り抜ける。
 ゴーグルに映し出される閃光を避けるのは、彼女だけではない、放った矢もまた複雑な軌道を描いて敵に着弾する。双方の攻撃は一部が相殺されたりその身を穿ったりしながら、暫くの間だ続いた。
「思惑通り動いてくれたな。流石はスカイレイダー。ではこちらも行くか、フェーデル、敵を拘束する!」
 エトヴァは敵の後方、やや上空に回って攻撃を掛けた。
 もちろん逆連鎖戦ではあまり意味がない。幾つも重ねて命中回避が変わる程度。
 しかし敵を逃がさないという点に関しては、十分に意味があるのだ。また飛翔そのものに意味はなくとも、上方を占有し撃ち下ろす事には意味がある。
『パワワワ……』
「あの羽もまた爆発物だったか。風情はあるのだがな、まとめて撃ち落とさせてもらおう」
 敵は周辺に羽をばらまき始めた。
 エトヴァは既に情報に居るがゆえに、その動きが手に取るように判る。
 例えマッハで飛翔しようと意味がないとしても、それならば飛翔る事自体に意味を持たせるのが傭兵と言う物だ。クロスボウを天頂方向に向けて放ち、まるで雨のような矢を降り注がせていく。それらは敵の放つ羽を射貫き爆発を乗り越え、やがて敵へとに突き刺さるだろう。
「巻き込まれた……大丈夫かしら? 爆弾で人を傷つける。傷ついた人が悲しみまた同じ連鎖を繰り返す。そんなことはさせないわ」
 連鎖戦で無傷で済ませるのは難しく、仲間が羽の爆発に巻き込まれた。
 ナディアはそれを見て心配するも、そんな余裕はないと自身も攻撃に参加。
 敵は後ろにいる仲間に夢中でこちらに気が付いていないようだが、先手必勝。不意打ちに意味がないのだから容赦もまた無用である。
「天光の満ところに我はあり 黄泉の門開く所に汝あり 雷竜の雄叫び 轟け咆哮! 我が敵を貫き滅せよ!」
 雷霆が轟き天の怒りを伝える。
 ナディアが指を空へと掲げると、晴天の霹靂が鳴り響いた。
 見よ黄金色の雄叫びを、光劈くなる槌(いかづち)なりて空を引き裂くは我が腕成り。落ちよ怒槌、神鳴る雷が敵を穿つ。
『パワワワ……』
「やれやれ派手な事だ。火を使えば爆発の危険もあるからな、無力化させて頂こう」
 敵は羽を一層振りまき、周辺を次々に爆破している。
 基経は溜息を吐き、その息を拡大して大いなる烈風へと変えた。
「これぞ天狗の神通力……風の方角、我が道を塞ぐ、たわけものを吹き飛ばす!! 風牙烈破!!」
 基経が大団扇を振えば大天狗より授けられた力が唸る。
 神通力は主に六つとされるがそれは人の話。天狗には天狗独自の術があるのだ。
 分けても風は破壊力の高い神通力である。
「ひとまず討ち取ったな。……大切な人にもう一度……か。それでも……とは酷なのかもしれないがな……。さて、心配を掛けぬようにしておこう」
 基経は今一度、ふうと息を吹いて爆発の影響を吹き飛ばした。
 負傷の身ならず汚れた服の影響をこそ消し去り、元の姿に戻したのである。
 自分だけではなく仲間の汚れも落としたのは、心配を掛けさせないためであろう。
「燐寧さんは既に前を向いている。それでも、思う所はあるでしょう。彼女がしっかりと過去に向き合える様、ボク達は全力でサポートしましょう!」
「問題ない気もするが、疵というものは思わぬところに隠れているものだ。そのフォローでもしようか」
 レイの言葉にエトヴァが頷く。
 心に抱えた問題というものは不思議なものだ。
 簡単に乗り超える事が出来たり、思わぬところで躓いたり。だから人は支え合うのだろう。
「素直じゃない所もあるようですが……。まあそういうのも貫けば格好良いのかもしれませんね」
 ナディアはそう言って肩をすくめる。
 人の心はその人にしか分からないし、どこまで見せるかも良く分からない。
 だからこそ、それを見守ろうと思う。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【クリーニング】がLV3になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

月見里・千隼
【防衛部】
※連携、アドリブ歓迎


亡き大切な人達を蘇らせてまた共に生きたい願いと
急逝と言う世の不条理さへの嘆きは分からなくもない
だが早かれ遅かれ命ある者は全て死を迎えるのは避けられん

しかし誰かを蘇らせる為に手を汚してでもその他大勢を犠牲にするのはな…

夫婦共々、燐寧さんには世話になってるのでな協力するぞ

まずは爆弾型の敵を処理せねばな
【パラドクス通信】で仲間と連絡を密に
時間経過での爆発と信者達を巻き込まないように細心の注意をしながらも
挑発からの陽動をして敵どもの注目を集めてから『幻月』で猛吹雪を発生させ敵を一気に纏めて凍てつかせて確実に敵を駆逐していく


月見山・伊吹
【防衛部】
※連携、アドリブOKだよ!


いつもお世話になってる燐寧さんの力になれるように頑張らなきゃだねぇ!

燐寧さんを改造してしかも大切な大切な誰かを亡くした人達の弱みにつけ込んだり
挙句の果てには自爆特攻の捨て駒にするなんて…外道だよ
サラカエル、絶対に許せない

さーてシフォン、まずは爆弾処理だよ!
あのシュークリームみたいな爆弾型の敵を冷え冷えにしてやっつけよっか!

信者達を巻き込まないようにかなり気を付けながらも
『幻日』で長毛種スフィンクスのシフォンが吐き出す氷雪のブレスで凍らせたり氷の塊をぶつけて攻撃するよ!

反撃は咄嗟に回避するかシフォンが氷雪ブレスで吐き出した沢山の氷の塊で防ぎ対処するねぇ


有栖川宮・永久
【防衛部】で参加

ミシェルが頑張って燐寧さんに話しかけたら誠意ある対応をして貰えてから他人へ接するのが怖くなくなったって言ってたね。

さて、まずは物騒な爆弾の処理だね。【飛翔】の効果をお借りして、【観察】で攻撃の軌道を見て、【残像】での急所はずしで墜落しないように注意。

爆弾だから爆発で信者の皆さんを巻き込まないように物陰から飛び出して【不意打ち】気味に【高速詠唱】で魔弾砲からフリージングミサイル発射!!凍らせちゃおう!!

信者に近づく敵がいたら真っ先に【ダッシュ】で近づき、【グラップル】【強打】で蹴り飛ばして【吹き飛ばし】。信者から離します。



 ディアボロスたちは飛翔して各地のトラックへと駆けつけていく。
 足止め班が信者たちを連れ出していく頃に到着していた。
「ミシェルが頑張って燐寧さんに話しかけたら、誠意ある対応をして貰えて。他人へ接するのが怖くなくなったって言ってたね」
 有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)は弟分の話していた事を思い出した。
 それはマイナスからプラスへ転じる契機と言っても良い。他人はともかく本人には重要な事だ。
 その時にまったく別の対応であったり、あるいは別の人だったら変わった未来もあっただろう。ディアボロスといえど人当たりの良い人ばかりではなく、中には成長のために試練が必要だという人だっているのだから。
「直接の、って訳じゃないけどお返ししないとね。それに燐寧さんって良い人だしさ」
 永久は弟分の借りを、我が物として返そうとした。
 本人たちに言えば恐縮するのかもしれないが、思わず行動したくなる年頃である。
 それに自分自身、何とかしてあげたいと思える人だから協力したいのもあるだろう。こういう時は我慢せずに行動すべきだと判断したのだ。
「夫婦共々、燐寧さんには世話になってるのでな協力するぞ」
「いつもお世話になってる燐寧さんの力になれるように頑張らなきゃだねぇ!」
 月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)は月見山・伊吹(太陽の恵み、日蝕の災禍・g04125)の言葉に頷いた。
 もし愛妻である彼女に何かあったら、自分もそうでないとは言い切れない。
 だが、それでもと思うのだ。
(「亡き大切な人達を蘇らせてまた共に生きたい願いと、急逝と言う世の不条理さへの嘆きは分からなくもない。だが早かれ遅かれ命ある者は全て死を迎えるのは避けられん」)
 その為に、誰かを蘇らせる為に……。
 第三者を、その他大勢だからと犠牲にするのか?
 千隼はその点において大いに首を傾げざるを得なかった。少なくとも伊吹もティダも喜ばないだろ言う事は判る。
「燐寧さんを改造してしかも大切な大切な誰かを亡くした人達の弱みにつけ込んだり、挙句の果てには自爆特攻の捨て駒にするなんて……外道だよ。サラカエル、絶対に許せない」
 そんな中で伊吹は激情のままに空を駆け下りた。
 敵もまた動き抱いており、トラックの荷台を破壊して現れていたのだ。
「あれが大きなゼリーなら良いのに。さて、まずは物騒な爆弾の処理だね」
「そうだねえ。シフォン、まずは爆弾処理だよ! あのシュークリームみたいな爆弾型の敵を冷え冷えにしてやっつけよっか!」
 永久が気合を引き締めて攻撃態勢を取ると、伊吹はスフィンクスのシフォンに指示を出した。
 シフォンは口を開けてケッケと息を出し始め、何かを口から出そうとする。
「確認したが誰も残って居ない。遠慮なく行っていいぞ。赤い信玄餅なんか凍らせてしまえ」
「そーれ! 毛繕いしたシフォンが吐くのは毛玉じゃないのさ!」
 千隼が念のために周囲を確認して声をかけると、伊吹はゴーサインを出した。
 今日は朝からたくさん毛づくろいしていたシフォンは、毛玉ではなく氷の吐息を吐き出していく。
『きゅー~。ぐるるる』
「おっと! そいつは勘弁!」
 これに対して敵はレーザーを無数にはなって来た。
 伊吹は咄嗟にシャベルを振り回し、シフォンが凍らせた周辺の物を氷の塊として撃ち出していく。
 流石に全ては相殺できないが、ある程度は防御できるかもしれない。
「ここは援護するか。凍てつけ……」
 千隼は伊吹を守る為もあって、横入りすることにした。
 この時のために妻が弾丸へ込めた魔力を利用し、吹雪を呼び起こす魔弾を放ったのだ。
 それは氷の塊だけでは防ぎきれないレーザーを軽減しようと、戦場を白く染め上げて行った。パラドクスは科学とは関係ないので吹雪でレーザーが阻害されたりはしないが、パラドクスだからこそガードアップも仕事するというモノだ。
「なんだか氷の力が舞ってるのに熱い気がするなあ~。まあいまは先にアレを倒さないとね」
 永久が知ってる仲の良い男女というのは、静に思い合う……というイメージだ。
 ラブラブしている夫婦を見ると、妙に口の中が甘くなる。
「でも信者がいないのは助かるよね。凍らせちゃおう!! ミサイルはっしゃ~!」
 ラブラブはともかく、この流れに乗って永久も氷の力で攻めることにした。
 冷気を封じたミサイルを発射し、周辺一帯を凍らせていく。
『きゅー! ぐるるるる』
「あーもう! 追加で発射! ガードアップ借りるね!」
「「どうぞどうぞ」」
 永久はミサイルでレーザーを迎撃するという暴挙に出た。
 冷気の幕がレーザーを減衰し、彼女を貫く頃にはやや軽減されている。

 こうして三人は協力して冷気着けにして、まん丸で物騒な爆弾型トル-プスを倒したのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【冷気の支配者】LV2が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!

エレナ・バークリー
【防衛部】
燐寧さんの宿縁ならば、出向かないわけにはいきません。
サラカエルだかサリエルだか知りませんが、きっちり討滅しましょう。

まずは出荷される自爆型トループス級の殲滅から。
一般人が運転する車両の制止は他の方に任せ、私は機雷トループス級を片付けにかかります。
トラックの荷台から降りてきたら、天地逆しまなれば岩礫降り注ぎを行使して、降り注ぐ岩で「撹乱」「蹂躙」します。

精霊剣に「砂使い」で土属性を宿して「突撃」し、「観察」でパラドクスで出来た傷を「看破」して「貫通撃」を重ねます。
パラドクスで出来た傷を抉れば、ダメージを重ねられませんか。
一度に多数を相手取るのは避け、「薙ぎ払い」で他の個体を牽制します。


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
※【防衛部】同行

人々の願いを利用しての鉄砲玉ですか?
信者達に悪意や罪悪感を持たせない分、意地悪さが窺い知れます。
まぁ、そう都合良く事は運ばせませんが。

まず飛翔して機動力確保。それから信者達と敵の間に割り込みます。

基本方針は『極光の波動』で射撃戦ですが、割り込んだ状態では接射に近いですかね。信者達を戦闘に巻き込まぬ事を最優先です。
優先すべきは信者達に近い敵、次いで弱った敵への止め。
味方に誤射せぬよう注意しつつ、波動を飛ばして敵を信者達から引き離します。
敵が飛ばす羽根は、信者達を巻き込みそうな物を優先して迎撃です。

また、味方が孤立せぬよう注意し、すぐフォロー出来るよう動きます。


白水・蛍
アドリブ歓迎
連携積極的に
【防衛部】で参加

さてと。燐寧さんの……宿敵ですわね。
サポートさせていただきますわよ。

爆弾型の敵を倒していきましょう。
遠距離から魔力の弾丸のパラドクスをぶつけます。
一般人は巻き込まぬようにしてと。
この弾丸は速度と操作性に長けた弾丸。
一般人との距離が離れた瞬間にぶつけて差し上げますわよ。

反撃は飛翔で致命傷の回避と、装備による魔力障壁にて防御を。


月下部・小雪
【防衛部】
燐寧さんのお父さん、だ、騙されちゃっているのでしょうか。
け、けど、クロノヴェーダなんかに大切な人を蘇らせることなんてできません!

ば、爆弾トループスをやっつけます。ま、丸っこいトループスになんて負けません。
【光剣二刀流型モーラット・コミュ】になったコダマが踊るように防衛レーザーを避けながら、
爆弾トループスに連続で光剣の連続攻撃を叩き込んで、いきます!
そのまま爆発する前に華麗によけて次々と攻撃してしまいますね。

※アドリブ連携大歓迎



「さてと。燐寧さんの……宿敵ですわね。手助けさせていただきますわよ」
「燐寧さんの宿縁ならば、出向かないわけにはいきません。サラカエルだかサリエルだか知りませんが、きっちり討滅しましょう」
 白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)の言葉にエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)が頷いた。
 現在、トループス級を倒すために急行中である。
 信者たちが複数のルートと、タイミングを切り替えたために右往左往の苦労をしていたのだ。
「人々の願いを利用しての鉄砲玉ですか? 信者達に悪意や罪悪感を持たせない分、意地悪さが窺い知れます」
 フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)はそう言いつつも溜息を吐いた。
 先行した足止め班が信者たちを連れ出し、その場を離れているという。
「燐寧さんのお父さん、だ、騙されちゃっているのでしょうか。け、けど、クロノヴェーダなんかに大切な人を蘇らせることなんてできません!」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は涙目になりながら拳を固めた。
 どうしてこんなことをするのか理解できない。
 誰かのために誰かを殺す。しかも本当の意味で蘇って居る確証などないのに。
 それでもなお可能性に縋りつこうとうする愛の重さに、小さな胸を痛めるのであった。
「どちらにせよ……まぁ、そう都合良く事は運ばせません。ここは速やかに無力化を測りましょうか」
「は、はい! ……い、居ました。まんまる、です」
 慰めてくれるフィーナの言葉に頷きつつ、小雪は思わずモーラットのコダマと見比べた。
 何というかアイデンティティのピンチである。
 しかも丸いと爆弾と言う濡れ衣を着せられそうな瞬間であった。
「まずは出荷される自爆型トループス級の殲滅からですね」
「ば、爆弾トループスをやっつけます。ま、丸っこいトループスになんて負けません」
 エレナは気合を入れ直す小雪に微笑ましいような思いを描いた。
 こんな小さな子供が、仲間のために、人々のために頑張ろうという。
 巡る因果と言うのは面白いものだ。こんな世界を守るために、悪しき運命は打ち砕き、元の歴史を取り戻すとしよう。
「周辺の確認は終わりましたわ。誰も居ないように見えますし、通信では確実に連れ出した……と」
 蛍は自分で視認して確認したほか、念のためにパラドクス通信を使った。

 おかげでみんな、全力を振う事が出来るだろう。
 ならば後は、倒すのみである。
「我が弓を避ける事、能わず。我が矢は言霊。我が音に応えて来たれ。これ即ち応じて変ずる魔力の砲撃!」
 蛍は音に魔力を載せて、塊を作り上げた。
 無形の筈だが、周囲を揺らがすことで存在が感知できるものも居るだろう。
 彼女はそれを圧縮してぶつけることで、まさに音よりも早く飛ばしていく。
『キューン。ぐるるる!』
「そう来るのは判ってましてよ。この攻撃には速度差があるのです」
 蛍の攻撃は奇襲染みていたが、敵は即座にレーザーで反撃して来た。
 だが凄まじい速度であるのも間違いはなく、蛍はその間に目の前に障壁を張っておいたのだ。
 奇襲や方に意味は薄かろうとも、予想して積み重ねておけば何とでもなる物だ。完全回避を狙うなら別だが、こうして防御すれば軽傷に抑えることは難しくもないし、運が良ければカスリ傷である。
「いま、です! コダマ、毛玉二刀流免許皆伝の実力、見せつけちゃって、ください!」
 びゅーんとコダマがすっ飛んでいった。
 小雪が指示を出した瞬間に、恐ろしい踏み込みで斬撃を放つ。
『くるるるる』
「回避です、コダマ! そのまま攻撃、です!」
 ひょいひょいとコダマはレーザーを回避しつつ光の剣を振う。
 二刀流で繰り出す斬撃は、クルクル回転するたびに傷をつけていく。
 もちろん巻き込まれる小雪は大変だが、それでも彼女自身は防御に専念しているので問題はない。
「大丈夫でしょうか?」
「はい! そのまま爆発する前に華麗によけて次々と攻撃してしまいますね」
 フィーナが声をかけると、小雪は元気な顔で答えてくれた。
 その様子を見てフィーナもそっと一息を吐く。
 こんな小さな子が怪我をするのは見ておれまい。なお、コダマがものすごい勢いで動いたとか、ヴォンヴォンと輝く剣で切りつけている姿は見ない物とする。
「この様子ならば割り込む必要も無さそうですし、予定を変えて遠距離攻撃と行きましょうか」
 信者がいないこともあり、フィーナは飛び込まずに攻撃することにした。
 場合によっては接近し、至近距離から放つこともあっただろう。
 その必要が無い事もあり、落ち着いて唄いながら魔力と光を紡ぎあげる。
「火の狐よ。空を埋める光よ、極光となりてこの地に顕現してください。どうか、明日への架け橋を!」
 フィーナは精霊たちの力を借りて、オーロラを作り上げた。
 それはまるで翼の様に輝き、そして敵の周囲に降り注いでいく。
『パワワワ……』
「来ましたね! 光よ! 我が敵を討ち果たせ……!」
 敵が羽根型爆弾を飛ばしてきたところで、フィーナは光の翼を羽ばたかせた。
 オーロラは光の障壁となり、彼女の歌と共に強く輝いていく。
 周囲に誰かいれば躊躇ったかもしれないが、誰も居ないがゆえに全力で力を振えた。
「パラドクスで出来た傷を抉れば、ダメージを重ねられませんかね? さて……清気は天に昇り濁気は地に沈む」
 エレナはこの間、天に手を翳して術を使用していた。
 敵の上空に岩塊が出現し、それは徐々に巨大化していった。
 岩が結合した岩盤は、重力に惹かれて落ちる間にバラバラになって敵を押しつぶしていく。
「我、この理を覆し、天の上に地を生みださん。歪みし理は綻ぶが運命。天の岩、地に正しく降り注ぐべし。……まあ面倒なので、このまま押し潰してしまいましょうか」
『ピ? ゴゴゴ……』
 敵は爆発してそれを跳ね除けようとするが、その全てを弾ける筈もない。
 そして土煙を乗り越えてやって来たエレナの斬撃に対し、爆発の衝撃でダメージを与えるのが精々であった。

 こうしてひとまずトラックから現れたトループス級を倒したと思ったのだが……。
 残念ながら、まだまだ動く影があったのである。
「おや。このトラックにはもう少し居るようですね。どうしたものでしょう」
「いま増援を呼んでいますわ。それまで逃がさないように足止めしておきましょう」
 フィーナが敵を見つけると、蛍はオアラドクス通信で援護を呼んだという。
「ではそうするとしましょうか。ですが、倒してしまっても良いんじゃないでしょうか?」
「こ、コダマもそう言ってます!」
 エレナと小雪はそう言いつつ、出て来る敵を足止めしようと二本の光剣を構えるコダマの背中(?)を頼もしそうに見つめるのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
【壁歩き】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV6になった!
【命中アップ】がLV3になった!

嵐魔・京史郎
【防衛部】
【アドリブ連携歓迎】

クハハ…人を蘇らせる為に人を殺すか…全くもって馬鹿馬鹿しいが、人の情とはそれで良いのかも知れん…
故に、それを弄び殺戮を扇動する外道は討たねばなるまい…!

兎も角、先にサラカエルとやらの策を潰さねばな!
幸いにも対象は交戦記録のあるスクルドである、隙間から覗くコアが弱い事は知っておる!

【炸裂追尾ミサイル「カトンボ17号」】でコアを射抜くぞ!
【フライトドローン】によって隙間を通すよう、的確にダメージを与える!一撃で駄目なら二撃三撃、何度でも同じ箇所を執拗に狙うとしよう!

燐寧殿がサラカエルを討つ為、そしてこれ以上の惨劇を止める為に、行けカトンボよ!


ニア・マシュマリー
【防衛部】
りんねを改造した悪い子……。ニアは許せない気持ちがある……。
だけどそれ以上に……。ニアを助けてくれたりんねの力に今度はニアがなりたいから……。
だからニアは……。りんねが悪い子との戦いまでに少しでも力を残しておけるようにあのトループスの相手をまずはがんばる……。

あの子……。光線みたいなのもだせるんだね……。
それならニアも……。

ニアの髪に闇の力を浸して……。ぱたぱたするおともだちに沢山きてもらうの……。
一撃の威力は負けるかもだけど……。それならニア達は数で勝負……。ニアが倒されない限り……。ぱたぱたするおともだちを呼び続けて四方八方から攻撃し続けることでみんなのお手伝いするね……。


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎
【防衛部】

つくづく、虫唾が走るやり方……。
到底見過ごせるものではありませんね。
その不埒な企み、全て叩き潰すとしましょう。

時間は掛けられませんね、爆発する前に手早く片付けましょうか
まずは信者たちとの間へ盾になる形で割って入り、槍刃を撃ち込み牽制を行い
狙いがこちらへ向くように仕向けます
その後は信者たちを巻き込まない位置へ攻撃を誘導しながら移動しましょう
レーザーは回避、あるいは剣刃で打ち払い被害を最小限に食い止めつつ立ち回ります

討ち漏らしを避け、なるべく多くの敵を仕留めるため
味方の包囲網が強まった所で《湧き出づる大輪》を発動
一網打尽にしてしまいましょう


ソラ・フルーリア
【防衛部】の皆と!
燐寧の宿敵邂逅も二回目ね!今度は燐寧の体を改造した天使ですって?!
今回もバッチリサポートするわよ、燐寧!

それじゃ、まずは爆弾処理ね!
突然爆発して信者の皆が怪我しちゃいけないから、攻撃の仕方は気をつけないと!
レゾネイト(杖兼マイク)で声を出して、敵を信者の人たちがいない所まで誘導しようかしら!
ほらほら、こっちよ!

敵の攻撃は曲がり角の壁や魔力障壁で防御しつつ、こっちは「高速詠唱」からの【アイスエイジブリザード】!
顕れなさい、太古の氷精!
あの丸っこいのを遠くまで「吹き飛ばし」ちゃって!



 戦いは二番底だった。
 トラックの数だけ対策チームが動いたところで、時間差の不意打ち。
 この悪辣な罠に、ディアボロス達の一部が急遽戻って来た。
「りんねを改造した悪い子……。ニアは許せない気持ちがある……」
「燐寧の宿敵邂逅も二回目ね! しかも今度は燐寧の体を改造した天使ですって?! それは許せないわね」
 ニア・マシュマリー(温かな光に包まれて・g07451)の言葉にソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)が反応する。
 そう言えば前回の事件に割りと近い場所である。
 黒幕の指示が違い、運命が違えば別の場所で事件が起きていた可能性だってあるのだろう。
「だけどそれ以上に……。ニアを助けてくれたりんねの力に今度はニアがなりたいから……」
「そうね。みんなでばっちりサポートしましょ」
 二人は顔を見合わせて力強く頷いた。
 例え一人一人は小さな力でクロノス級には叶わずとも、力を合わせて連携すればきっと叶うだろう。
「つくづく、虫唾が走るやり方……。到底見過ごせるものではありませんね」
 アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)はそう吐き捨てるが、油断なく周囲を見渡した。
 トループス級が隠れていたのだ、もしかしたら信者も捕まって居るかもしれない。
「クハハ……人を蘇らせる為に人を殺すか……全くもって馬鹿馬鹿しいが、人の情とはそれで良いのかも知れん……」
 そんな様子を嵐魔・京史郎(虹色眼鏡サイエンティスト・g04327)はゆっくり眺めていた。
 揺蕩う物憂げな気持ちを、破天荒な怒りが動かしてくれる。
 仲間たちの感情は理論的ではないが、だからこそ心を動かすモノがあった。
「故に、それを弄び殺戮を扇動する外道は討たねばなるまい……! 兎も角、先にサラカエルとやらの策を潰さねばな!」
 京史郎は狂乱の中でこそ正気で居られる。
 激情に揺り動かされることで、平坦で残酷なナニカより主導権を奪い取れるのだ。
 だからこそ、仲間たちの怒りを心地よく思い……人々が騙されているかもしれないのに、突き動かされる悲しみを良しとした。業那かりせば人に非ずと言うではないか。
「どうやら……居ないようですね。その不埒な企み、全て叩き潰すとしましょう」
「りんねが悪い子との戦いまでに少しでも力を残しておけるようにあのトループスの相手をまずはがんばる……」
 アイネリスが改めて周囲を確認し終えると、ニアは気合を入れて戦うための準備を始めた。
 ギュっと人形を抱きしめ、祈る様に呟いていく。
「それじゃ、まずは爆弾処理ね! 誰も居ないなら好都合! 顕れなさい、太古の氷精! あの丸っこいのを遠くまで吹き飛ばしちゃって!」
 先制するのはソラが放つ吹雪である。
 歌声が響いたかと思うと、戦場を埋め尽くす白い色が空間を染めていく。
『パワワワワ……』
「やっぱりそう来るわよね。でもまあ、信者を巻き込まなかった分だけ防御はし易いかしらね」
 敵は吹雪を跳ね爆弾で吹き飛ばしながら攻撃して来た。
 ソラは苦笑しつつも落ち着いてこれに対処する。
 爆発ゆえに回避は難しいが、魔力障壁で守りを固めてしまえば問題あるまい。
「時間は掛けられませんね、爆発する前に手早く片付けましょうか」
「幸いにも対象は交戦記録のあるスクルドである、隙間から覗くコアが弱い事は知っておる! いまだ、コアだ、コアを狙えい!」
 アイネリスが剣刃を振るって戦い始めると、京史郎は自分が知っている限りの情報を開示した。
 どうやら敵のデータを解析しており、どう戦えば効率的なのかを考案しているようだ。
『ギュルルル』
「なるほど、了解したわ。……咲いて、乱れろ」
 放たれる光を剣刃で弾いていたアイネリスだが、その動きを引きつけながら途中でヒールを鳴らした。
 カカトで音がした瞬間、地面から無数の剣刃が現れ始める。
 今までの動きはあくまで注意を引き付けるためなのだろう。準備が整えば、後は切り刻み、あるいは貫くだけであった。
「あの子……。光線みたいなのもだせるんだね……。それならニアも……」
 ニアは軽く頭を振って、髪を揺り動かした。
 その仕草と共に、闇の力が周囲を浸し始める。
 広がるのは髪なのか、それとも闇なのか。
『ルルルルル』
「ちからは、負ける、かもだけど……。それならニア達は数で勝負……。ニアが倒されない限り……どんどん来る、もの」
 周囲に溢れた闇は、少しずつ形を変える。
 それは闇の色をしたコウモリであり、周囲を浸食した闇は数えきれない群体だ。
 目が、口が、そこらかしこに現われて、周囲に光を放ってレーザーを押し返していく。
「やったか? ……いや、いかんいかん。不確かなのはよろしくないな。では、我輩が確定させることにしよう」
 京史郎は考えを途中で打ち消すと、ニタリと笑ってミサイルを出現させた。
 これらは全て追尾性を備えたミサイルなのだ。
 相手の動きを見切って逆行し、そしてドカンと吹き飛ばす!
「一撃で駄目なら二撃三撃、何度でも同じ箇所を執拗に狙うとしよう! 燐寧殿がサラカエルを討つ為、そしてこれ以上の惨劇を止める為に、行けカトンボよ!」
 京史郎はオーケストラを指揮するマエストロの様に両手を広げた。
 その仕草に意味などない。だが、そうしたいからするのだ。
 中二病も高二病も関係あるまい、我輩が思う所以に我輩が居るのだ。爆発させるなあばコア狙いは不要? 何言ってるんだ、そうしたいからこそのミサイルである!

「何も……居なく、なった?」
「それではまるで事件の様ではないか。こういう時はな、こういうのだ。一件落着! と。ああ、いや、まだ続くな! 第一部完!」
 ニアが尋ねると京史郎は笑って答えた。
 ひとまず倒すべき敵を倒し、障害を乗り越えたという事だろう。
「それじゃあ次の目的地に行きましょうか。って何処だったかしら?」
「信者の人に効けば詳細が判るでしょう。神像の謎はともかく、所在地は隠していないようですしね」
 ソラが首を傾げるとアイネリスがパラドクス通信で確認を取る。
 そして四人のみならず、仲間たちはプラネタリウムの跡地に作られた聖堂に向かうのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【コウモリ変身】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV4になった!


 その施設は一見して図書館や美術館の様だった。
 敷地の殆どは緑なす庭園であり、三叉路に立つ建物の前には噴水がある。
 一風変わったオブジェとしては、幾つかの像が敷地や建物のあちこちに配されている事だ。
 ワニ・カバ・ザリガニと言った水棲系の像は噴水の周囲に、猫科やイヌ科とついでに蛇の像は庭園に、隼や鷹と言った鳥系は建物のあちこちに設置されている。
 そして建物の中は聖堂となっており、基本的に暗く第二層のみが黄色い床であった。
 暗がりの中には蘇ったとされる人々が休んでおり、逢おうと思えば信者ならあってその救済を聞くことができる。
 黄色い床の第二層は教祖を始めとした幹部たちのみが入って良い場所であり、その中央には空白の玉座と……そこに侍る様に大天使が居るのだという。
「大丈夫でしょうか? 悪魔が復讐に来たり……」
『この聖堂がある限り問題はない。聖堂と対になる神像は、将来への脅威に備えたものだ』
 教主の不安に大天使は静かに答えた。
 その表情は笑っているかのようであり、嘆いているかのようであり、怒っているかのようでもある。
 だが、まるで変りはしない。その顔に投影するのは人の心、そのすべてに対応する力がこの聖堂にはあるのだ。
 正しくは……対処する力を別の側面にて映しているだけであるが。
 不安や脅威に対する神像が、形を変えて、その力をサラカエルに与えているのだろう。
薬袋・明莉
全部壊せば良くね?……ってのは効率悪いよなぁ
ない頭振り絞って謎解き頑張るか

プラネタリウム…天体…月…
月は満ち欠けすることから死と再生の象徴とされている
置いてある像の中で同じように死と再生の象徴といえば蛇
つまり神像は蛇の姿と予測

んで、肝心の在処だが、多分金庫のような鍵のかかった場所に隠してあるんじゃないか?

力を増すための大事な神像を簡単に壊せるような場所に晒すとも思えないしな
ちょうどサラカエルの象徴も『鍵』だし

【無鍵空間】で鍵開け

【怪力無双】で持ち上げ叩きつけて破壊しよう

アドリブ絡み歓迎


月下部・小雪
サラカエルの像の捜索、です。

神像の隠し場所、タロットカードが関係しているかもってみなさんが言ってました。
ボ、ボクも【書物解読】で持ってきたタロット占いのご本を読んで、探してみます。

お月さま関連はみんなも調べてるので、ボクはシルさんみたいに太陽を探して、みましょう。
えと、太陽のタロットは「庭園」が描かれているの、ですね。
そ、それなら庭園の中を手当たり次第に調査、です。
ここからは足で調査、です。コダマも一緒に怪しげな像がないか探しましょう!

※アドリブ連携大歓迎


白水・蛍
アドリブ歓迎

んとこれどうすればいいんでしょうね……?
月と関係する石像探せばいいんですかねえと。
脳筋なので全部壊せばよくないとか思ってたりしますが。

隠れてそうな石像まで全部隅々まで探します。
大事なものは隠してそうですし。
後は隠すなら森の中とも言いますから石像にまぎれこませてありそうな。
それにこう、石像の中とかに隠してあったりとか?

……クロノ・オブジェクトとそれ以外ですわよね?
【腐食】で壊れないのが本物では?
全部壊せば問題ないですわよ(最終的に脳筋思考)



 ディアボロス達はサラカエルの本拠地にやって来た。
 そこは庭園と噴水を備える元プラネタリウムである。
 緑なす庭園の真ん中に聖堂として聳え、その南側に噴水が存在して居る。
「サラカエルの像の捜索、です」
「んと、これどうすればいいんでしょうね……?」
 月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)と白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)はベンチに座ってまったり。
 途方に暮れているという程に困ってはいないが、それで良いのかと悩み中。
「全部壊せば良くね? ……ってのは効率悪いよなぁ」
「少し絞って、月と関係する石像探せばいいんですかねえ」
 薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)や蛍が悩んでいるのは、一番簡単な全破壊で良いのかと言う事だ。
 庭園やら聖堂には無数の像が置いていある。明莉の迷いを示すかのように座ることなく周囲を右往左往した。
 これらを全部壊すのも面倒であるし時間が掛かる上に、相手に気が付かれてしまうだろう。最低でも対象を絞って何とかする必要があるのではないかと思うのだ。
「プラネタリウム……天体……月……。月は満ち欠けすることから死と再生の象徴とされている、か」
 明莉は少し歩いて停止し、しゅうをんをキョロキョロ。
 声に出す必要はないが、思わず思考が漏れてしまう。
「神像の隠し場所、タロットカードが関係しているかもってみなさんが言ってました。ボ、ボクも書物解読で持ってきたタロット占いのご本を読んで、探してみます」
 そして小雪は足をプランプランさせて本を取り出した。
 モーラットのコダマと二人で名探偵と助手である。
「サラカエルは月の天使。でも、お月さま関連はみんなも調べてるので、ボクはシルさんみたいに太陽を探して、みましょう。えと、太陽のタロットは庭園が描かれているの、ですね」
 小雪はみんなが調べている月関連ではなく、太陽に逆張りした。
 月と太陽は相互に補完するモノであり、上下が簡単に入れ替わるモノでもある。
 ゆえにみんなが調べないことを、自分が埋めれば良いだろうと判断したのである。
「そ、それなら庭園の中を手当たり次第に調査、です。どうでしょうか?」
「そうですね。隠れてそうな石像まで全部隅々まで探してみるとしましょうか。隠すとなれば森の中とも言いますしね」
 小雪が拳を握って力説すると、蛍も頷いて調査に協力する事にした。
 ここからは足で調査、です。コダマも一緒に怪しげな像がないか探しましょう!
「良いんじゃねえか? こっちは月関連だが、庭園に在りそうなのは確かなんだ。協力して損はねえからな。……置いてある像の中で同じように死と再生の象徴といえば蛇。つまり神像は蛇の姿と予測したわけさ」
 明莉が予想したのは蛇の像である。
 蛇は色々な神話を通して登場する生命力にあふれた生物だ。
 もちろん古代エジプトでも色々と象徴されており、ピラミッドの階段は蛇の動きを真似て再生エネルギーを取り込むために到着するまでに上下運動するそうな。
「そういえば蛇の像は特に何処と言われて無かったよな。庭園の中だとは思うんだが……あった」
「ふえ?」
 キョロキョロと探していた明莉の呟きを拾って、まずはベンチの下を覗き込んでいた小雪が顔を上げる。
 葉っぱがほっぺについているのを取ってあげながら、その木に向けて歩きだした。
「んで、肝心の在処だが、多分金庫のような鍵のかかった場所に隠してあるんじゃないか? 力を増すための大事な神像を簡単に壊せるような場所に晒すとも思えないしな」
「木を隠すならば森の中。それにこう、石像の中とかに隠してあったりとか?」
 明莉は近くまで寄って考えを披露するが特に鍵は見当たらず、蛍ともども像は箱みたいな物ではないかと推測した。
「無鍵空間でも使ってみるか。位置が高いから少し飛ぶか幹を歩いて……」
「……クロノ・オブジェクトとそれ以外ですわよね? アレならこれで良いのではないかと」
 明莉が無鍵空間を飛翔か壁歩きを使おうとすると、蛍はサッサと腐食させてみた。
 本物だったら腐らないしね! と脳筋思考である。
 ちなみに腐食したのだが、中からナニカが出てきたのだ。
「ソーラーパネルとライト? です!」
「なんでこんな物が……一応はクロノオブジェクトのようですわね」
 小雪がピョコピョコジャンプしながら見つけた物を指摘すると、蛍はもう一度、ソレに腐食を掛けてみる。
「とりあえずぶっ壊しとくか」
 しかし腐りはしなかったので、飛翔していた明莉は怪力を発揮して地面にブン投げて破壊することにした。
 握り潰さないかって? 芸術家にとって指は命だからね。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!

野本・裕樹
タロットカードの「月」に見立てれば…
噴水は泉、庭園は大地になるでしょうか。
降り注ぐ月光は見方を変えればエネルギーを吸い上げているようにも見えます。
そして第二層は月、そしてそこにいるサラカエル本人、と。

サラカエルの姿を象った神像…像ならあちこちにありますが木を隠すなら森、という事でしょうか。
予知で教えていただいた大天使の姿を思い出して…三日月に大鎌、顔を覆う布。
天使の羽は…鳥ではなく蝶の羽でしたか?

まさか蝶?確かに生と死、復活のシンボルではあります。
蝶の像など見つけられるでしょうか、何より問題は大きさ。
【完全視界】でザリガニ、犬の像の配置も参考に見えにくい場所まで探索。
発見できたなら破壊します。


百鬼・運命
鳥を使い魔使役して敵拠点を偵察
パラドクス通信で味方と像や信者位置を共有しつつ思考する

…サラカエル。原典では月を支配し、神の玉座近くにはべる権利をもつ
聖堂の黄色は月をモチーフにしている為なら「聖堂と対となる神像」は月と対となる太陽をモチーフにした像だろうか?
月=黄なら太陽=赤だが…問題は古今東西、太陽を象徴する動物が多数…日本の八咫烏、エジプトのラーにバステト…ああ、それで「猫はともかく」という事か
サラカエルが一里塚さんの母親を操っているなら信仰を向けなくさせるようなことは言うまい。
神像は赤いネコの可能性が高そうだ

使い魔が見つけたら【隔離眼】出来るかでクロノオブジェクトか確認し、破壊してしまおう


ミルル・ドラゴノーツ
・我は今回裏側に回るのじゃ。故に神像の破壊がメインでいこうかの。
・狙うのはザリガニの像じゃ!
タロットの月のカードに描いておるからの。月をサラカエルと考えるなら、聖堂から一本道を辿り、犬の像2つが設置されている先にあるザリガニが怪しいから、それを壊すのじゃ
ダメじゃったら、その周りのザリガニの像も壊してみようかの、力を与えている像は一つとは限らんからの。

……さて、我が行うのはこれで精一杯……皆の者無事に帰ってくるのじゃよ!

【心情】
こういう裏方に回るのも大事なのじゃ。
魔王軍四天王、知将のミルルは知略にも長けてるでな。
友人の燐寧殿や魔王軍部下の宮美殿が頑張っているのじゃ、我もここは頑張り所じゃ!


ノイン・クリーガー
タロットカードねぇ…。
ウチの婆様が得意だったな。
あまり信じてなかったが、こんなことならちゃんと話しを聞いとけばよかったよ。

話によるとザリガニやら犬が怪しいみたいだな。
俺は犬の方を破壊するとしよう。
犬にどんな意味があるかは知らんが、
どうせ神像は破壊せねばならん。
それらしいのは全て壊せばいい。

犬の神像にプラスチック爆薬を仕掛け、【爆破】する。



「……サラカエル。原典では月を支配し、神の玉座近くにはべる権利を持つ」
「タロットカードの『月』に見立てれば……噴水は泉、庭園は大地になるでしょうか」
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)の呟きに野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は両手の指を三本ずつ立てた。
 右手のそれは月と泉と庭園であり、左手のそれは同じ図案だが別の時代のタロットである。
 時代によって色々と異なるのだが、基本的にこの三つは根本だ。解釈を変えた場合でも、似たような何かを代用するのが定番であった。
「降り注ぐ月光は見方を変えればエネルギーを吸い上げているようにも見えます。そして第二層は月、そしてそこにいるサラカエル本人、と」
 裕樹は言いながらチラリと噴水に隠れたザリガニの像を見る。
 それを計上するか、計上しないかはタロットのバリエーションによる。
 ゆえに今はおいて置き、あくまで泉こそを象徴として説明したのであった。
「タロットカードねぇ……ウチの婆様が得意だったな」
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は思い出の中を泳いでいく。
 自分が若き頃、まだまだ小僧の時代に祖母に話してもらった事だ。
 もちろん集落の生活は共同生活なので、誰が誰の祖母なのか不明になるのではないかと、幼心に思った物だ。
「あまり信じてなかったが、こんなことならちゃんと話しを聞いとけばよかったよ」
 それが魔女のルーツであり、森に住む賢者の生活なのだろうと今では思う。
 共同体であり智者の知恵、それらを覆い隠すと同時に、共有財産として保つ方法。
 誰かの言葉を共同体の誰かが伝え、その子々孫々の誰かが……今ではノインが戦の手段として利用することもあった。
「……話によるとザリガニやら犬が怪しいみたいだな」
「タロットの月のカードに描いておるからの」
 ノインの指摘にミルル・ドラゴノーツ(魔王軍四天王「知将のミルル」・g08848)が応じた。
 現時点で怪しいのは月のタロットをモチーフにしているという案である。
「月をサラカエルと考えるなら、聖堂から一本道を辿り、犬の像2つが設置されている先にあるザリガニが怪しいから、それを壊すのじゃ」
「それなんだが……、もしかしてソレ、コンパスなんじゃないか?」
 ミルルの言葉に運命が補足した。

 片目を閉じて、使い魔と共有していた情報を口にする。
 そして懐から符を取り出し、白紙の部分に犬とザリガニを描く。
「みんなが挙げている有望な像は、基本的に犬の像を中心に位置しているんだ。多少歪な円ではあるけどね」
 運命は描いた符を胸元にくっつけ、コンパスを利用するための態勢を取った。
 そして仲間たちが向かっている、『これが怪しいのではないか』という像を順次指さして言った。
「サラカエルの姿を象った神像……像ならあちこちにありますが木を隠すなら森、という事でしょうか」
「それもあるけど、誰かも言っていたように、場合によって必要なモノが変わるのだとしたら、重要な場所も変わっていくんだと思う」
 裕樹が首を傾げると、運命は別の符に別の像の絵を描いてみた。
 例えば先ほど破壊されたという蛇の像だ。
 するとその反対側に、別の像があるのが見える。円形または楕円形に配置されているというならば、それらの全てが重要である可能性はあった。
「なるほど。全部が一応正解であり、逃げ道であるということじゃな。まあ重要なのは先の三つであろうが」
「コンパスか。俺から見ればその方が判り易いな。そして根幹は犬とザリガニとあと一つ」
 ミルルがそれなりに納得を示し、ノインは肩をすくめた。
 なんというかミルルは魔王軍であり神秘は重要だが束ねて使うものだ、そしてノインに取っては軍事技術という意味で銃・ナイフ・爆薬など良く使う存在というのは重要視している。
「俺は犬の方を破壊するとしよう。犬にどんな意味があるかは知らんが、どうせ神像は破壊せねばならん」
 ノインは肩をすくめると、相談は終わったとばかりに犬の像へ向かった。
 そこには二匹の犬が、ある程度の距離を開けて鎮座している。
 彼はそこに腰を下ろすと、持って来た荷物で何やらし始めた。それらしい像は全て壊すというならば、悩むよりも先に有望な候補を壊すという事だろう。
「ならば我が狙うのはザリガニの像じゃ! ダメじゃったら、その周りのザリガニの像も壊してみようかの、力を与えている像は一つとは限らんからの」
 ミルルはそう言うと、噴水に向かってそこに幾つの像が隠れているのかを確認。
 ワニやらカバの像の下とかにもないか、噴水のガワに張り付いていないかを良く見て行った。
「ならば我々は別の可能性を埋めましょうか。予知で教えていただいたサラカエルは……三日月に大鎌、顔を覆う布。天使の羽は……鳥ではなく蝶の羽でしたか?」
 裕樹はここで別の解釈を考え、犬とザリガニ以外の可能性を考え始めた。
 像はパラドクスやクロノオブジェクトの武器などで簡単に壊せるからこそ、隠されている。
 ならば一か所に一人いれば十分なので、むしろ別の像を探そうとしたのだ。
「まさか蝶? 確かに生と死、復活のシンボルではあります。ですが蝶の像など見つけられるでしょうか、何より問題は大きさなのですよね」
 裕樹は草木……特に花に詳しい事もあり、蝶を疑った。
 古代でもその神秘性から蝶は特別な存在である。
 ミルルがそうしている様に、あちこちを調べ始めた。単純に蝶の像を探すと苦労しそうだが、円形の配列ならば手掛かりはあるだろう。
「別の案を埋める……か。聖堂の黄色は月をモチーフにしている為なら『聖堂と対となる神像』は月と対となる太陽をモチーフにした像かな?」
 ここで運命は、月に属する存在ではなく太陽の方を選ぶことにした。
 月と太陽は対であり、相反するモノであり、上下が容易く逆転する。
 ゆえにみなが月を重視するならば、太陽の方を探そうという案だ。
「月=黄なら太陽=赤だが…問題は古今東西、太陽を象徴する動物が多数…日本の八咫烏、エジプトのラーにバステト……ああ、それで『猫はともかく』という事か」
 サラカエルは教主の妻であり、友人の母親を操ったならば信仰を向けなくさせるようなことは言うまい。
 つまり猫の像もまた、その可能性があるという事だ。
 本命であるかはともかくとして、少なくともハズレではないだろう。先ほど動物を操る時と同じように、今度は別の意味もあってもう一度目を閉じる。
「やはり中にクロノオブジェクトがあったか。ん、向こうも破壊したようだな」
 運命が円状に配置された中にあった猫の像を破壊した。
 その時に小さな音がして、二つある犬の像が崩れ去ったのを見る。
 おそらくはノインが破壊したのだろう。犬の像がアヌビス由来ならば、秤でもあったのだろうか?
「……さて、我が行うのはこれで精一杯……皆の者無事に帰ってくるのじゃよ!」
 ミルルは魔王軍を差配した者の一人であり、この程度は容易い。
 友人や魔王軍部下の宮美殿が頑張っているのだ、自分もここは頑張り所だとザリガニの像を破壊したのであった。
 こうしてミルルは裏方での作業を終え、この場には居ない仲間の無事と活躍を祈るのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【完全視界】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【反撃アップ】がLV4になった!

エレナ・バークリー
大天使サラカエルと言えば邪眼の天使であり、優れた視力を持ち翼羽ばたかせる鷲や鷹などの猛禽類と親和性があります。
そして、神学で『第二層』といえば月と星の世界で、大天使サラカエルは月の運行を司る。神像は第二層に置かざるをえない可能性が高いのです。
ある意味分かりやすいですが、クロノ・オブジェクトは原典の性質を踏襲しなければ、信仰を集める依代には使えないのかもしれません。不便ですね。

神像は猛禽類だと仮定して、第二層に多数ある像の中から猛禽類の像を選んで、しっかり壊していきますよ。
大天使サラカエルを象徴するアイテムは『鍵』。鍵穴の側の像や鍵を首にかけた像がないかも、よく「観察」して「看破」しましょう。


シル・ウィンディア
サラカエルが月をイメージ。となると、聖堂は月のイメージなのかな?サラカエルがいるってことだし。

対になる神像…。
つまり、月と逆なんだろうか…。
月といえば、太陽なら、太陽をモチーフにしたものかな?
そーいえば、鷹って太陽のモチーフっていうお話もあったよね。

…悩むなら行動しようっ!
太陽ってことなら、一番空の高いところに設置するのかな?
見守るってことで。

飛翔で上空に舞い上がって、一番高いところにある鷹の像を見つけるよ
試しに創世の光剣で像を斬りつけてみるよ。
傷つかないならパラドクスで一気に破壊!

正解かどうかはわからないけど
自分を信じてみないとね

さて、みんなの様子はどうだろ?うまくいっているといいんだけど…


文月・雪人
ザリガニのいる水場、犬のいる庭園
成程タロットカードみたいな構図だね
正位置の意味するものは
見えないものへの不安や恐怖
正体を冷静に見極める事が大切であると

玉座には座らず隣に侍る大天使
第二層の黄色い床が黄道を、太陽の道を表すなら
空白の玉座は太陽のもの、月のものではないのかもしれないね
月は黄道にあるとは限らない
では対となる月の道、白道は何処にあるのだろうか

サラカエルは人々に
自分の姿を直接見てはいけないと説いている
神像もまた信仰の対象であるのなら
目に付く多くの像の他にも隠された像があるのでは?

平伏した人々が決して見る事のない場所
黄色い床の第二層の頭上、中央の間の天井に
隠された像を探し、もしあれば破壊する


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

トループス救出に間に合うよう神像を捜索
仲間と場所や役割を手分け

有力な見方が出ているようなので……積極的に手伝いを
偵察、観察し情報収集
飛翔しつつ、建物や像の配置を俯瞰で確認

プラネタリウムにちなんで、外の像が一つずつ星座を表しているパターンはあり?
エジプトの星座になりそうなのもあるな……
星図とみるには謎な像もあるのだが
星図と見比べ

サラカエルは黄道十二宮の天使でもない……月か…
サラカエルを治療者とするならばへびつかい座の位置、鍵とするならばカシオペヤ座の位置……
その辺りに隠された仕掛けや部屋はないかな

端的に、似姿ならば翼のある像かもしれない

信者の説得や避難勧告で逃がすのも臨機応変に


瀧夜盛・五月姫
ん、なるほど。タロットカード。確かによく、似てる。
『月』にはザリガニ、2匹の犬、そして大きな月、描かれる。

ザリガニは月、目指すヒト。犬はその試練、象徴する。
犬と言えばアヌビス、死者のエジプト神。
姫たち、立塞がる死人たち、そしてサラカエル。
月の正位置は、欺瞞、洗脳、潜在する危険。とっても皮肉。

タロットは、星座にも対応、してる。
月は蟹座、魚座。そして水瓶座。水瓶座は水瓶を持つ少年、その側には鷲座がいる。
だからザリガニ像から見て、2匹並ぶ犬像の向こうに居る、鷲像の側。
そこにあるんじゃない、かな。サラカエル像。

逆位置は過去からの脱却、そして未来への希望。
姫としては、サラカエルと反対に在って欲しい、な。



「トループスにされた人々の救出に間に合うよう神像を捜索しないとな」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は捜索を急いでいた。
 説得というモノは簡単ではない。そういう意味で、像を全て破壊すれば良い捜索の方を急ごうとしたのだ。
「プラネタリウムにちなんで、外の像が一つずつ星座を表しているパターンはあるのか? 円形の配置と聞いたが……寡聞にしてエジプトの星座は知らないのだが」
「タロットは、星座にも対応、してる。ある、ね。可能性」
 エトヴァの言葉に瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は頷いた。
 そして難しく考えるエトヴァに一定の方向を示す。
「メソポタミアからエジプトが、星座のルーツだと燐さんに聞いた。配置だけ、ならあんまり関係ないと思う。あと、信仰を持たせるのは、現代人」
 基本的に当時から星の配列の読み方と、当てはめる神性以外はあまり変わって居ない。
 ゆえに配置図であり、あるいはその方程式自体え重要なら問題ないのではないだろうか。
 それにそもそも、その説明を受けて神秘性を感じるのは現代人なのだと五月姫は言う。
「サラカエルが月をイメージ。となると、聖堂は月のイメージなのかな? サラカエルがいるってことだし」
「そうですね。聖堂とは満たされる神秘のことです。最近流行りの聖杯より前の考えですね」
 シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)やエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)も翔けつけて来た。
 幾つかの考えをまとめると、こちらの方向が怪しく成って来たからだ。
「ザリガニのいる水場、犬のいる庭園。そしてその中央にそびえる聖堂と、その中心のサラカエル」
「ん、なるほど。タロットカード。確かによく、似てる」
 最後に集った文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)の指摘に五月姫が頷いた。
 五人はみんな空を飛び、最終的にこの場所へとやって来たのである。
 タロットの『月』にはザリガニ、2匹の犬、そして大きな月、描かれる。基本形としては、この構図で正しいのだろう。
「ザリガニは月、目指すヒト。犬はその試練、象徴する。犬と言えばアヌビス、死者のエジプト神。……先ほど、犬の位置に『測り』があったって。アヌビス、確定だね」
 ディアボロスたち、立塞がる死人たち、そしてサラカエル。
 月の正位置は、欺瞞、洗脳、潜在する危険。なんとも皮肉であろう。
「星図とみるには謎な像もあるのだが、確かに当時の差や神秘の差か。そしてコンパスと見立てて、必要であれば切り替えると。サラカエルを治療者とするならば蛇遣い座の位置、鍵とするならばカシオペヤ座の位置という風に」
「犬の像を破壊したら、もう他の意味に切り替えられないんだよね? じゃあ今の考えのまま続行してOKなんだ。えーとえーと、対になる神像……。つまり、月と逆なのかな……」
 エトヴァの解説にシルは白目をむきそうになった。
 頭から湯気がプシューっと出そうな感じで脳味噌をフル回転させる。
 彼女の頭は魔砲の演算を処理するのに、容量をいっぱい使って居て大変なのかもしれない。
「月といえば、太陽なら、太陽をモチーフにしたものかな?」
「可能性はあるね。と言うか……それと結界やら何やら、法則を重ね掛けする時の鉄則があるんだ。ルールは全て守らねばならない、どうしても無理になる場合は、それを覆い隠すことが重要に居なる」
 シルの言葉を雪人が肯定した。
 例えば歌や色などを取り込む場合、とても頭を捻る必要があるのだという。
 和歌などで呪詛や祝福を持ち込もうとすると、たった一首の為に何か月も頭を抱えるのだとか。
「そーいえば、鷹って太陽のモチーフっていうお話もあったよね。太陽ってことなら、一番空の高いところに設置するのかな?」
「ええ。大天使サラカエルと言えば邪眼の天使であり、優れた視力を持ち翼羽ばたかせる鷲や鷹などの猛禽類と親和性があります」
 シルが首を傾げるとエレナが再び口を開いた。
 先ほどまで引っ掛かりがあったのだが、この段階で疑問が溶けた模様。
 見守ると見張るでは意味が違うが、力の方向性が逆なだけでやる事は同じだろう。
「そして、神学で『第二層』といえば月と星の世界で、大天使サラカエルは月の運行を司る。神像は第二層に置かざるを得ない可能性が高いのです。そこが引っかかって居たのですが、方式を重ねる場合に覆い隠せる場所はこの上層だけですね」
 エレナはそう言って、聖堂である建物の屋根を指さした。
 プラネタリウムの天蓋を、この屋根が覆っているのだ。
 つまり太陽の位置へ鳥の像があると同時に、そこは月のすぐ傍でありながら覆い隠された場所だ。天井が開くなら直ぐそこと言えるし、ドームの様に回転して下に移動させることも可能だろう。その場合はトート版の月に近い感じになる。
「なるほど。端的に、似姿と考えても翼のある像かもしれない。鳥の像が一番可能性が近いというべきか……ああいや、確か太陽には翼のある子供が付随して居たな」
「うん。ええと……聞いた話だろトート版だと蝶の翅みたいだよ」
 エトヴァがその案を肯定すると、雪人は友人と一緒に調べたトート版タロットの図案を説明した。
 蝶の翅をもつ男女であり、仮に女性をサラカエルとするならばピッタリだろう。
 月であり、太陽の一部を借り受ける存在と言う訳だ。
「屋上にある鳥の像のどれかが一番怪しいけれど……違うとしたら……。サラカエルは人々に自分の姿を直接見てはいけないと説いている。平伏した人々が決して見る事のない場所。黄色い床の第二層の頭上、中央の間の天井にありそうだね」
 雪人は可能性として鳥の像、次にその下であると告げた。
 今までの情報を色々と総合すると、その辺りがもっとも怪しくなるのだという。
「ある意味分かりやすいですが、クロノ・オブジェクトは原典の性質を踏襲しなければ、信仰を集める依代には使えないのかもしれません。不便ですね。神像は猛禽類だと仮定して、第二層に多数ある像の中から壊していきましょう」
「月は蟹座、魚座。そして水瓶座。水瓶座は水瓶を持つ少年、その側には鷲座がいる。その傍にあるんじゃないかな。サラカエル像」
 エレナが行動を促すと、五月姫は第一候補を絞った。
 複数の鳥の像があるが、有力候補は隼と鷹である。
 その中で星座にも関係するのは、鷹の可能性が高いという。
「プラネタリウムが星座として、下にある水棲と陸棲の像は何の配置なんだろ」
「月の運行か……太陰暦かな? 第二層の黄色い床が黄道を、太陽の道を表すなら空白の玉座は太陽のもの、月のものではないのかもしれないね。だけど月は黄道にあるとは限らない。では対となる月の道、白道は何処にあるのだろうかって思ってたんだ」
 シルの言葉に陰陽師である雪人が簡単に答える。
 月のタロットをコンパスとして、ザリガニを基点ないし始点と考えた場合だ。
 太陰暦にしても月の運行にしても円ではない。また月の模様や象徴する存在は無数にある。逆に太陽の象徴である鳥はプラネタリウムよりも上にあるという訳だ。
「話はそこまでです。トループス級との戦いが始まったそうですよ」
「むー。正解かどうかはわからないけど、もうこっこまで来たらやるしかないね。自分たちを信じてみないとね」
 エレナがパラドクス通信での連絡を伝えると、シルは小剣を抜いた。
 輝きを帯びて鷹の像を切断する。
 すると中からレンズが出て来て、砕け散る。

 像の中に設置された幻灯機が破壊されたことで、神像の出現が不可能になった。
 犬の像が存在しない以上は、予備回路も機能すまい。
「さて、みんなの様子はどうだろ? うまくいっているといいんだけど……」
(「逆位置は過去からの脱却、そして未来への希望。姫としては、サラカエルと反対に在って欲しい、な」)
 シルが仲間たちの活躍を祈ると、五月姫は口には出さず願望を抱く。
 それは祈りであり、これから仲間達と共に行うという宣言であった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV7になった!
【避難勧告】がLV2になった!
【水源】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】がLV2になった!

一里塚・燐寧
新宿島に来た頃、自分の存在は全部間違いだと思ってた
父さんの願いもあたしがここにいることも、何もかも

だけど、二度目の命があったから皆と出会えて、あたしは変わって
蘇りを願う想いがどれほど重いかも知ったんだ
ここは死者の書の間じゃない……まだ救えるものは救いたいよ
先生の想いを継ぐためにもね

クソ天使の力は偽物でも、祈りが本物ならさ
──マジの奇跡が起きたっていいじゃんかぁ!

≪テンペスト・レイザー≫で『屠竜技:散華乱刃斬』だよぉ!
命中箇所を慎重に見極め、憑依した悪魔部分だけ解体するねぇ

元に戻った彼らが再度の死を免れないなら見送り、苦痛が激しければ介錯
でも出来れば生きててほしい
【活性治癒】も使い様子を見るねぇ



 元はプラネタリウムであった場所へとディアボロス達は侵入する。
 そこは薄暗く、何も知らない者ならば聖堂だと言っても誰も信じまい。
 むしろ月と三叉路の魔女、ヘカテーの集会所であると思うかもしれない。
「新宿島に来た頃、自分の存在は全部間違いだと思ってた」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は父親が作り上げた教団施設に踏み入る。
 どこか空々しく、あちこちに置かれた像も親しみよりは違和感の方が強い。
「父さんの願いもあたしがここにいることも、何もかも。だけど……」
 燐寧は波打つのを感じた。
 何が? 何に? 何の為に?
 トクン。ややあって……失礼。大分たってトクンと何かが音を立てるのを感じる。
「だけど、二度目の命があったから皆と出会えて、あたしは変わって。蘇りを願う想いがどれほど重いかも知ったんだ」
 ふうと呼吸する音が、随分と久しぶりに感じられる。
 溜息ならば仕草で真似できるが、リターナーの中でも不全な部分が多い燐寧。
 常には喋らないほどに一杯喋り、それだけ喋ったら息を吸い込むのだと、思い出し深呼吸をする。
「ここは死者の書の間じゃない……まだ救えるものは救いたいよ。先生の想いを継ぐためにもね」
 燐寧の視線が真横に動く。
 流し目をするつもりはないが、呼吸器や心臓と違って目は口よりも物を言う事を覚えている。
「クソ天使の力は偽物でも、祈りが本物ならさ。──マジの奇跡が起きたっていいじゃんかぁ!」
 そこに天使が居た。

 静かに佇む光と影を抱いて、蝶の翼の大天使がそこに居た。
 そして傍らにはもう一人。
『そんな都合の良い話があるはずないでしょ、燐寧ちゃん。奇跡は何時だって自分の手で掴むのよ』
「ママ……」
 大天使の脇には、燐寧が良く見知った顔が居た。
 大天使は語りもしないのに、一方的に言葉の剣で攻め立てて来る。
『酷いな。我の力がこの東京に完全に満ちれば、叶うのに』
『言いたいことは言う。そういう家庭方針ですので』
 それは今の燐寧が思う、母親の反応であった。
 元からこんなにキッパリ言う人だったかと言うと、まあそんな気はする。
「……そっか。やっぱあんたが、あたしの心を読んで投影してんだね。少しばかり期待しちゃったけど、ここで確実に倒していくとするよぉ」
 しかし恩人というか主である大天使の傍で言い切る辺りは……。
 明らかに現時点での燐寧が想像する、精神状況が影響しているのだろう。
 チェンソー剣を握り締め、呪詛を喉の奥に、体いっぱいに、そして全身から放出し始めた。
『嘘ではないぞ。我が力を持つたびに活動できる範囲は広がり、そして最後には心を読む必要は無くなる。お前たちの期待……と、おり……の』
 大天使の姿と、その言葉が急に揺らいでいく。
 代わりにそこにあったのは、先ほど見たジャッカルの像があった。
「期待通りなんか誰が望むもんか。あたしが欲しいのは本物の、本物? なんで?」
 今度は燐寧の言葉が途切れた。
 何故だろう、言葉が続いて出ない。
 もしかしたら母親が本当に生き返ると期待していたのだろうか?
 それとも……。
『侵入者は殺します。相手が誰であろうとも』
「一つだけ質問良い? なんで目から水が出てんのさ」
 それは誰に向けての事か?
 燐寧の目から流れる水の事か、それとも、幻術が途切れた筈の敵に向けてのモノか?
 まだ幻術に掛かっているから涙のように見えたのか、それとも幻術が途切れたからか?
「あはっ! 取りついた悪魔どもはぶっ殺してあげるよぉ! 元の体は、できるだけ綺麗に殺してあげるからね!」
 まるでカーリーの様だと思った。
 鋸刃を持ち首を掲げる母親に似たナニカ。
 回転鋸の剣を振い、踊る様に戦う自分。そこにあるのは憤怒か悲しみか、それとも淡い期待なのか。
(「でもさ、本当は……出来れば生きててほしい」)
 燐寧は普段あけすけに物を語る。
 怒りも喜びも隠しはしない。
 だけど、今宵だけは……本当の望みだけを語りはしなかった。

 だってしょうがないじゃない?
 望みを吸い上げる大天使の邪な詐術。
 自分を見守る仲間達の悲しそうな瞳。
 それを前に、誰が弱音を吐けようか。
(「偶には良いんじゃない、かな。普段は無し、でも稀に良くある、かも?」)
(「そうだね。そうだね。そうだね!」)
 ナニカを思い出した時、燐寧の振るう刃に真空の刃がまき散らされた。
 周囲に、この残酷な現実を拒絶して、未来を掴もうと呪いを力へと変えて走り出したのだ。
 先行して放った真空の刃に追いついて、鋸の刃を母親の形をしたナニカに突き立てた。
 引き抜く時に自分ではなく……目の前のナニカの傷が、表面だけでもなって欲しいと思いながら。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV4になった!

吉音・宮美
アドリブ連携歓迎
蘇った死者ですか…全力で腕を振るうとしましょう、元の人に戻すために!

選択PDを発動
メインは相手の行動を止めて味方が行動するまでの【時間稼ぎ】
可能なら望郷や回想と言った過去を思い起こす【演奏】を行う事で人間だった頃の感情を強く想起させ皆さんの精神を【浄化】し人に戻しましょう
それが無理でも暖かな想い出と共におくる事はできるはず

この騒ぎなら蘇った人が無事か確認する人は出る
結果はどちらでも『吉音家のお仕置き用革グローブ』を装備してその場で【情報収集】し信者の方を見つけたら張り倒します
その痛みと私達の顔を忘れないように、今後自他問わず命を軽んじる事をすれば…それだけじゃすみませんよ



「真っ暗な建物で周囲には色んな像。ちょっとホラーですね」
 吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)は最初、ガタガタと震えていた。
 無理もあるまい、一般人と変わらぬ精神強度を自負している彼女だ。
 仲間のためとはいえ、尻尾を丸めてビクビクしていたのだ。だがしかし!
「蘇った死者ですか……全力で腕を振るうとしましょう、元の人に戻すために!」
 予期せぬ母親との対面。
 失われた肉親の姿を持つ敵に対し、仲間は笑顔に涙を浮かべて戦っている。
 ならば自分にも何かできることをしようと宮美は決意を固めた。
「やってみますよ、やりたいことを……全力で!」
 お祈りはとうに済ませた、ガタガタと暗闇でづる得るのはもう沢山だ。
 トイレだって出撃前に済ませて来たものね! だから、ここからは勇気あるディアボロスで居たいと宮美は願いを込める。
(「私の役目はみんなが万全で動けるようになるまでの時間稼ぎ! そして、精一杯の援護を! それが無理でも暖かな想い出と共におくる事はできるはず」)
 歯が震えてガチガチと鳴りそうなのを、唇を嚙みしめて演奏する。
 祈りは今も捧げている。だが、それは自分が強くなるための祈りではない。
 いつしか、仲間の思いが届けば良いのに……そう思って二胡をかき鳴らしたのだ。弓を持つ手だけはしゃんとして、弾いた弦が奏でるリズムを届けようと思う。
『うるさい音ね。なんで景気の悪い曲を弾くの?』
(「来た! でも、こんな所で負けてはいられない! せめて、信者の人が様子を見に来るまでは保たせないと」)
 この騒ぎなら蘇った人が無事か確認する人は出る。
 そうすれば、ありえない光景に目を見張り、偽りの蘇生であると信じる人も出るだろう。
 信仰が砕け散り、説得に応じる人がいればと、宮美は小さな虫の魔物に食いつかれながらもずっと祈るのであった。
「な、なんだ。何が起きたんだ!?」
「歯を食いしばってください!」
 そして信者が現れた時、宮美は皮グローブを付けて引っぱたいた。
 指は芸術家にとって大切だから殴って骨折できない。
 でも、この場に居たら一緒に食い殺されちゃいますからね。
「その痛みと私達の顔を忘れないように、今後自他問わず命を軽んじる事をすれば……それだけじゃすみませんよ」
 そう言いながら虫を払う彼女は……一周回って格好良く思えたのだ。
 そして彼女の演奏を聞きき、仲間が母親と戦う姿を見て……。
 ディアボロスたちは一人、また一人と言葉を連ねていくのであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【ハウスキーパー】がLV2になった!
効果2【アクティベイト】がLV3(最大)になった!

有栖川宮・永久
黒幕の大天使の悪意の犠牲になった犠牲者の方々か。

でも私は家族はお姉ちゃんと悠しか残らなかったから失った辛さも家族を取り戻したい気持ちも痛い程良く分かるんだ。出来る限りの事しよう。



皆、こうして蘇ってここに立ってる訳だけと、その為に必死で危険な事して来た方がいるんだ。貴方はどうする?これからどうする?大事な人にそのまま危険な事をしていて欲しい?本心を聞かせて。手助けするよ。

説得が通じたら輝く燦爛の風でその方の邪な穢れを吹き飛ばそう。

これで滅びるか残るか賭けだけど、これはその方意志次第だね。荒っぽいやり方でごめん。

私の亡くなった家族がそういう形で目の前に立ったら、私はどんな気持ちになるのかな。


ミシェル・ラークリーズ
これが大天使を信じた結果、か。

僕に取っては歪な姿にしか見えないけど、僕も家族を皆失ってるから、喪った心の痛みも、取り戻したい気持ちも良く分かる。話をしてみるか。

皆は蘇ってここにいる訳だけど、これからどうしたい?このままの姿で大事な人と一緒にいるか、大事な人とこれからどうしたいか。良く考えてみて。考えた末に大事な人と一緒に歩むなら僕はその選択を尊重するよ。

説得できたら【祈り】と【情熱】を込めて蛍雪の火。その方の邪な部分だけを【浄化】する事を試みる。

攻撃で滅びるか生きるかは賭けだけど、それはその方次第かな。ごめんね、こういう事しかできなくて。

考えちゃう。僕の前に家族が現れたら、どう思うのかな。



 中央で戦っているのは母娘だ。
 ディアボロスの娘と、その母親を模したナニカ。
 その姿は痛ましいが、それはそれで物語の様。しかし、その他は更に酷かった。
「これが大天使を信じた結果、か」
 ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は目の前の敵を見て苦い思いを抱いた。
 小さな少女が大きな武器を構えている。
 それは誰かの首を元にしたモーニングスターか何かで、鋸の刃も抱えていた。なんと歪なのだろう。
「向こうにも……黒幕の大天使の悪意の犠牲になった犠牲者の方々か」
「僕に取っては歪な姿にしか見えないけど、僕も家族を皆失ってるから、喪った心の痛みも、取り戻したい気持ちも良く分かる。話をしてみるかな」
 有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)の視線の先にミシェルは別の敵を見た。
 燕尾服をホストみたいな姿だが、優しげな顔立ちをしている。
 彼……いや男装の麗人だろうか? 男装したその女性も、顔を掴み鋸で武装していた。
「本当は倒した方が早いんだろうけどね。……でも私は家族はお姉ちゃんと悠しか残らなかったから、失った辛さも家族を取り戻したい気持ちも、痛い程良く分かるんだ。出来る限りの事しようか」
 永久は家族が一気に減ったあの日を思い出した。
 今では姉が一人、幼馴染であり従者が一人だけ。そして二人はその役目ゆえに、少しだけ壁が出来たように思う。
 もし、やり直せたら。祈るだけで良いのならば、ちょっとした努力で届くのであれば……。つい、期待するのは身に染みて判るのだ。
「皆は蘇ってここにいる訳だけど、これからどうしたい?」
『なに?』
 そんな中でミシェルは一足早く行動した。
 近くで同じような事を言った女の子がいるのだ。
 男の子である自分が先に言い出す方が自然だと思ったのである。
「このままの姿で大事な人と一緒にいるか、大事な人とこれからどうしたいか。良く考えてみて。考えた末に大事な人と一緒に歩むなら僕はその選択を尊重するよ」
『は? 何を行ってるの? そんな幸せあるわけ無いじゃない』
 ミシェルの言葉に、男装の麗人は一言で言い切った。
 辛そうな顔であり、物悲しさで埋まっている。
 そして鋸を構えて少しずつ歩いてくるのだ。
「ちょっと、私たちの話を聞いてってば! その為に必死で危険な事して来た方がいるんだ。貴方はどうする? これからどうする?」
 その攻撃的な姿勢に、永久の方が思わず割って入った。
 意気なり斬り掛かって来ない事や、その表情から本意ではないとは思うのだが……。
『あはは。面白い事を言うね。私はさ、ずっと誰かの期待通りに生きて死んだんだ。お客を助けて死にそうになった時、綺麗に終われると思ったんだ』
『そうなの? わたしは、死にたくないよ。おじいちゃんと一緒に、お母ちゃんを生き返らせてもらうの』
 男装の麗人は楽にして欲しいと言い、小さな少女は生きていたいという。
 思えば当然ながら、蘇らされたという事実は同じでも、事情は異なるのだ。
 ある者は生きていたいと言い、ある者は楽になりたいという。そして別の誰かを蘇らせて、幸せになりたいのだと口にする。おそらくは、他の個体も同じだろう。それぞれに事情はあるのだから。
「そう……なんだ。ねえ、大事な人にそのまま危険な事をしていて欲しい? 本心を聞かせて。手助けするよ」
『おかあちゃんも? それはやだな。だって、くるしいもん』
 永久の言葉に、生きていたいという少女が言葉を濁した。
 おそらく偽りの蘇生では体調は良くないのだろう。あるいはナニカ、大切な物を失っているのかもしれない。
「少なくとも、このままじゃ駄目そうだね」
「そうだね。滅びるか生き残るかは賭けだけど、その方の意思次第だね」
 荒っぽいやり方でごめんねと、ミシェルと永久は心で謝罪した。
 本当にきれいに終わって死にたいのか、それとも生きていたいのかは分からない。
 家族に重荷を背負わせてまで、生きていないのかは分からない。だが、一つはっきりしているのは、あの大天使の紐付きは絶対に良くないという事だ。
「ごめんね、こういう事しかできなくて」
 ミシェルは指先に蛍のような光を灯しながら思うのだ。
 もし、家族がこうやって自分の元に訪れたならば。
 もしかしたら『このまま死なせてくれ』と言うかもしれないし、『一緒に生きていたい』というかもしれない。
『ああああ!』
「痛っ。でも、苦しいのは僕だけじゃないから!」
 何かを堪えるような顔で鋸を振う男装の麗人。
 その姿を見て、救ってあげたいと思うのだ。今の苦しみからか、あるいはその悩み多き人生からか。
『どうしよう。どうしようお姉ちゃん。わたし、わかんないよ』
「せめて、悪いところは払ってあげるからね。痛くしないからね……ごめん」
 永久は小さな少女の姿に唇を噛む。
 こんな小さな子に痛みを与えるのは自分も辛い。
 そしてこんなことをさせる大天使は許せない。そして同時に……失われた家族がこうだったら……そう思うと涙で前が見えなくなりそうだった。
「風よ吹け!! 悪いものを浄化しちゃえ!!」
『いいにおい……』
 永久は涙を払うかのように、風を吹かせた。
 良い香りが周囲に満ち、花薫るかのように少女が操る虫を包むのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【クリーニング】がLV4になった!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】がLV5になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!

ネリリ・ラヴラン
彼等が蘇る事を願う人がいて
彼等も生きていたいと願った結果がこれなのだったら
それを人として言葉を交わしたいわ

貴方と、貴方を想う人が望んだのは
誰かを傷つけ、傷つけられ、誰かが願っているかもしれない命を奪うような世界だったのかな

小さな日常に笑い、時に悩み
それを一緒に語り合うような、何気ない時間が取り戻したかったのではないかしら…

生きていられるってことはとても大事なことだけれど
願うなら妥協をしては欲しくないよ
だって、願えば届くって貴方達は知ったのだもの

こんなのは望みの形ではないと気づいて貰えたら
PDを奏でて取り付いた敵の動きを封じるよ
人である彼等自身には、本当の奇跡を願う勇気を届けよう

アドリブ歓迎ね


不知火・紘希
表情がよく視えるように【完全視界】を。
【パラドクス通信】で仲間とも連携するよ

こんにちは。君たちが蘇った人たちかな。
僕たちは君たちの蘇りを望む人からお話を聞いて来たんだ。
少しだけ僕たちとお話をさせてくれない?

君たちが急にいなくなってしまったこと。
心の底から悲しんでる人がいるから、君たちはここにいる。
その人たちはね、一生懸命に心を捧げすぎて、なんだっていいから、君たち以外は何もいらないって言ってるんだ。
離れ離れになった君たちに戻ってきてほしいって。

覚醒する前の君は完全には蘇ってこないかもしれないけど、
君が、君の再生を望む人とまた会いたいと思うなら。
「新しい君」で戻ってきて。僕たちが、導くよ!



 苦しい、もう嫌だ。
 だから滅びたい。
 だから本当に蘇りたい。
「つらそうだね。とても大変そう」
 不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)はその顔を見てしまった。
 完全視界は確実に少年へと、傷んだ顔と身をよじる姿を届けている。
「でも、生き返って欲しいという人も本当なんだよね。生きていたいという人も」
「彼等が蘇る事を願う人がいて、彼等も生きていたいと願った結果がこれなのだったら。それを人として言葉を交わしたいわ」
 紘希の言葉にネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)が拳を握り締めた。
 ギュっと我が身を抱きしめて、体の痛み、心の痛みを共有しそうになる。
 だが、ここで泣いて良いわけではない。そんなのは安い涙だと、我慢して言葉を綴った。
「貴方と、貴方を想う人が望んだのは誰かを傷つけ、傷つけられ、誰かが願っているかもしれない命を奪うような世界だったのかな。小さな日常に笑い、時に悩み。それを一緒に語り合うような、何気ない時間が取り戻したかったのではないかしら……」
『そうだね。特別じゃなくとも。それは素敵な時間なのかもしれない』
 ネリリの言葉に男装の麗人が泣き笑いのような顔を浮かべた。
 誰かに望まれて生き続けた苦労多き人生だと、先ほど語っていた。
 しかし、本当にそれだけだったのか? 中にはもう一度会いたい人はいないのだろうか? 喜びはなかったのか? そして、これから新しい出会いや楽しい時間が待っているのではないかという希望が伺えた。
「こんにちは。君たちが蘇った人たちかな。僕たちは君たちの蘇りを望む人からお話を聞いて来たんだ」
 紘希はパラドクス通信で聞いた仲間の言葉を思い出しながら語っていく。
 少しだけ自分たちと話をさせてくれないかと祈る様に言葉を紡いだ。
「君たちが急にいなくなってしまったこと。心の底から悲しんでる人がいるから、君たちはここにいる。その人たちはね、一生懸命に心を捧げすぎて、なんだっていいから、君たち以外は何もいらないって言ってるんだ」
 離れ離れになった君たちに戻ってきてほしいのだと代理で言葉を届ける。
 それが自然の摂理として正しいのかは、おいて置いて、その望みは確かだ。
 その願いを否定しても仕方がない。純粋な願いには共感できるのだ。だからその願いを伝えた上で、新たな角度に切り替えていった。
「覚醒する前の君は完全には蘇ってこないかもしれないけど、君が、君の再生を望む人とまた会いたいと思うなら。『新しい君』で戻ってきて。僕たちが、導くよ!」
『新しい……人生? いいのか?』
 紘希は相手に合わせて未来を示した。
 蘇って家族といたいという少女に、また会う事を。
 苦しい人生を送っていたという女に、新しい未来を。その先は選択によって、無限にあるのだと告げた。
「あの天使の言葉は嘘。それだけは確実。生きていられるってことはとても大事なことだけれど願うなら妥協をしては欲しくないよ」
 ネリリはひとまず、敵の影響を取り払うことにした。
 ディアボロスたちの言葉が届くかは分からない。
 説得して倒したからと言って、蘇るとも、そうならないとも分からない。ただ確実なのは、大天使の影響下にあっても不幸しか呼ばない事だけは判っているのだから。
『おねえちゃん。わたし、死にたくない。おかあちゃんと一緒にいたいの……』
「大丈夫。だって、願えば届くって貴女達は知ったのだもの。未来はいつだって貴女と共にあるのよ」
 死者の少女が別の死者である母親との面会を望む光景。
 何とも痛ましい姿に心を痛めながら、ネリリは涙をこらえるのではなく曲を紡ぎ始めた。
「俯いたまま浮かべていたら、輝く明日は掴めない。 だから今夜を彩りましょう?」
 ネリリはそう言って、心躍らせる曲を奏でた。
 彼女たちの未来を阻む敵を圧迫する風を呼び起こし、やって来る虫を追い払う。例えそれらがネリリの肉を食らおうとも、微動だにせず曲を奏でて風を吹かせ続けた。
「君に幸せの緑でいっぱいの世界を見せてあげる」
 そして紘希も緑のクレヨンで世界を彩っていく。
 薄暗い第一層に、色々な植物を描き出していく。
 獣たちの像に相応しい、緑なす光景だ。蔦が絡みついて虫をはたき落とし、花は夢見るように彼女たちの痛みを忘れさせていく。

「人であるあの人たち自身には、本当の奇跡を願う勇気を届けようね」
「うん。未来が幸せいっぱいだと良いよね」
 全ては一時の光景、春の日の夢の様に。
 束の間の幸せな光景が彼女たちを包み、そのまま未来に誘いますように。
 二人はそう願いながら色彩を、香りを、音を操るのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV6になった!

クィト・メリトモナカアイス
ここは獣神王朝だった……?
んむ、違った。
けどそういうことなら。
またお話をしよう。

生への執着。死への恐怖。離別の悲嘆。
それは場所が離れても時間が離れても変わらぬもの。
そこに救いを求めることも。
故に、汝らの存在を我は肯定する。

その上で。
汝らが蘇るよう祈りを捧げた人がいる。
彼らが汝らとの離別を悲しみ祈りを捧げたように。
汝らも彼ら……親かもしれぬし、兄弟かもしれぬし、子供かもしれぬ。彼らを大事に思うのなら、自分がどうしたいのか、彼らとどうありたいか。彼らにどうあって欲しいか。今一度見つめるべし。
我はその選択を尊重する。

説得できたら攻撃して元に戻す。その後今一度生きるか滅びるかは彼らの意志を尊重。



「ここは獣神王朝だった……?」
 クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は思わず首を傾げた。
 獣の像が無数にあり、暗黒の第一層を抜ければ光り輝く第二層が見える。
 これでもし、途中の階段が蛇のような蠕動をしていればピラミッドに思えるだろう。
「んむ、違った。けどそういうことなら……またお話をしよう」
 クィトは目を閉じて、棒を錫杖の様に打ち立てた。
 黄金色の肉球が、神官が持つ錫杖の様に輝く。
「生への執着。死への恐怖。離別の悲嘆」
「それは場所が離れても時間が離れても変わらぬもの」
「そこに救いを求めることも」
「故に、汝らの存在を我は肯定する」
 クィトは静かに語り掛けた。
 そこに感傷はなく、ただ事実を述べるかのように。
 そして厳かに、神秘をもって口にしたのだ。こればかりは余人には醸し出せない空気である。
「その上で」
「汝らが蘇るよう祈りを捧げた人がいる」
「彼らが汝らとの離別を悲しみ祈りを捧げたように」
 クィトはまるで祝詞か何かの様に言葉を紡いでいく。
 静かに、厳かに、リズムよく。
 そしてその対象は、目の前にいる敵であり、この第一層に居る誰かであった。
「汝らも彼ら……親かもしれぬし、兄弟かもしれぬし、子供かもしれぬ。彼らを大事に思うのなら、自分がどうしたいのか、彼らとどうありたいか。彼らにどうあって欲しいか。今一度見つめるべし。我はその選択を尊重する」
 クィトはただ、己の心を思い出せと告げたに過ぎない。
 滅びたい者には滅びを、生を望む者には生を。
 クィトが生きた文化圏には無かったが、転生を信じるならば転生するが良いと。
 全ては偽りの生に呼び戻された者たちの、望むがままなのだと『事実を受け止めよ』そして『本当の望みとは何か?』を問うたのである。
『ああ……』
『おお……』
 その言葉に対し、彼ら、彼女らはヒタヒタと歩いて来た。
 その姿は戦いを求めるようであり、あるいは、救いを求めるようであった。
「今一度生きるか滅びるかは好きにするが良い』
 クィトはまるで神官が榊や錫杖を振う様に、棍棒を右に左に振るっていく。
 こちらにやって来る死者たちを、まるで参拝に訪れる信徒の様に迎え入れていた。
『ああ……』
『おお……』
 死者たちの絶叫が、首から放たれる声が……。
 まるで解放を喜ぶように、蘇りを喜ぶように……。
 例え絶叫が己の体を蝕もうとも、クィトは不動で受け止めるのであった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!

ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!

死体に取り付いた存在ね、結局大天使に出来るのはそれくらいって事かしら。
……けど、どんな形であれ此処に存在してるのなら希望はあるわよね!
ファンに希望を見せるのも、アイドルの使命の一つなんだから!

レゾネイトで彼らに話しかけるわ!
アナタ達が此処に居るって事は、アナタを大切に思ってただひたすら祈り続けた人が居るって事!
その思いにアナタ達はどう報いるのかしら!
アナタ達「自身の」声が聴きたいわ!

そしたら【奪還と勝報の一点突破!】!
アタシの1stシングル「BREAKTHROUGH!!」で彼らに取り付いた悪魔を「浄化」よ!
救えるなら申し分ないけど、彼らの意思を尊重するわ!


ユエト・ミナヅキ
連携アドリブ◎

燐寧さんの因縁の相手との戦い…ぜひ加勢させてもらおう
死者を弄ぶ――何処に行っても悪趣味な輩は要るものだな

大切な物を救いたい
その純粋な願いを嘲り笑うことは許せん

オレの故郷では力なき者は命を落とすのが当たり前だった
だが、それは精一杯足掻いて懸命に生きた末でのこと
一縷でも救う手立てがあるのなら、試してみる価値はある!

[雪牙花]にカートリッジ『雪風』を装填
氷魔法を纏った剣の峰を使い骸達を傷つけず≪残務空裂刀≫を振るう
足や腕を凍らせ足止めし、仲間達の浄化を援護することに徹する
生憎、浄化や回復の魔術は苦手なんでな

もし、救う手立てがないのなら
彼らを氷の華に変え、死者への手向けとして粉砕する



 ヒタヒタと死人が歩いてい来る。
 姿だけは生前であるが、手には鋸や死者の首を携えて。
 それはトループス級としての本質を露わにしたのだろう。
『ああ……』
『おお……』
 だがその表情は不思議なことに苦悶に満ちていない。
 まるで救いを求めるように、ディアボロス達に向かって来るのだ。
「死体に取り付いた存在ね、結局大天使に出来るのはそれくらいって事かしら」
「人々の願いと死者を弄ぶ存在か……何処に行っても悪趣味な輩は要るものだな。燐寧さんの因縁の相手との戦い……ぜひ加勢させてもらおう」
 ソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)の言葉にユエト・ミナヅキ(兎印の何でも屋・g05751)は奥歯を噛みしめた。
 なんと悪辣な相手なのだろう、なんと救われない人々なのだろう。
 クロノヴェーダを討ち果たし、救われぬ魂に手を差し伸べようと自然とその身に力が籠る。奥歯だけではなく、拳だけでなく、その全身に怒りが満ちていた。
「大切な物を救いたい。その純粋な願いを嘲り笑うことは許せん」
 ユエトの故郷では力無き者は命を落とすのが当たり前だった。
 だが、それは精一杯足掻いて懸命に生きた末でのこと。
「偽りの蘇生。……けど、どんな形であれ此処に存在してるのなら希望はあるわよね!」
「そうだな。一縷でも救う手立てがあるのなら、試してみる価値はある!」
 ソラは悪辣な敵の手段にすがるのではなく希望を見出した。
 ユエトはそんな彼女の前向きな姿を見て、怒るだけではなく、全身に満ちた力を明日を掴むために使おうと誓った。我は求めて訴えりと言うのであれば、それはきっと未来であろう。
(「そうよね。ファンに希望を見せるのも、アイドルの使命の一つなんだから!」)
 ソラは弱気になる自分を押さえつけ、あくまで素敵で可憐なアイドルで居た。
 だって、その姿を見る人々にとって、どう映るかは重要なのだ。

 弱気な自分に今はさようなら、この瞬間だけは、偽りの生に生きる人々の光り輝く希望であろうと声を高らかに叫ぶ!
「アナタ達が此処に居るって事は、アナタを大切に思ってただひたすら祈り続けた人が居るって事! その思いにアナタ達はどう報いるのかしら!
 ソラは限界まで高めた己のボルテージで訴えかける。
 アナタ達『自身の』声が聴きたいわ! そう告げながら、曲を奏でて自分と相手のリズムを高める。
『おお……』
「アナタにももう見えるはず! すぐ先にある未来へ突き進め! BREAKTHROUGH!!」
 曲に載せたのはディアボロスとしての決意と信念だ。
 マイクを兼ねた杖を使い、歌声に魔力を載せる。
 操られたままの死者には支配に抗い心揺さぶる声を、生き足掻こうとする偽りの生者には未来へと歩く力を奮い起こさせるために。そして邪魔する虫たちを叩き落とすために唄い続ける。
「明日に向かいたい者のみ通るがいい。争い合う者は通さんぞ」
 ユエトは愛刀に挿すカートリッジを氷と風に切り替えた。
 その斬撃は冴え凍る吹雪にも似て、剣の峰で叩きながら足止めする。
 進んで良いのは本体であるその心。偽りの体であるクロノヴェーダは許さぬと打ち据えたのだ。
「生憎、浄化や回復の魔術は苦手なんでな。もし、救う手立てがないのなら……」
「救えるなら申し分ないけど、彼らの意思を尊重するわ! だから殺す……壊すのは後にしてよね!」
 ユエトはソラのウインクを見て、言葉の続きを飲み込んだ。
 もし無理なのならば……彼らを氷の華に変え、死者への手向けとして粉砕する。
 それは己一人が知って居れば良い事だ。
 そして、それはみんなの言葉が届かぬ時で良いだろう。その時の苦労は自分が追えば良いのだと頷いた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ダブル】がLV2になった!

雅諒院・基経
…あの外道の犠牲者…というわけか。…まだ、戻れるのならば…手を引いて戻してやりたいものよ。

家族や恋人…大切な人との離別というのは、身を裂かれるような痛みだろう。だからこそ、蘇るならどんな事でも…となってしまうのは、理解するとも。

独鈷杵を取り出して構える。今回は投げるのではなく、地面に突き立てる。

それによって彼らの悪魔の部分を浄化しようとする。
【活性治癒】を用いて彼らが生きれるのであればそのようにする。

もし彼らが死を免れることが出来ないのであれば、念仏を唱え、送り出す。

…鞍馬僧正の様にはいかないが、せめて見送ろう。


黄下・泉
最初は守りに徹しつつ声掛け。
邪魔に来る一般人が居たら傀儡か罪縛りの鎖で対処。

なあ、声は届いてるかな。周りは見えてるかな。
信者達が何しに行ったか知ってるだろ?
今回は戻って来れる。あたし達がそうした。
でも、すぐ次がある。その次も。何度でも君達の為に喜んで使われる。
それで死んだら、別の誰かを動かす為に君と同じ様になる。

自分の言葉は出せるかな。出せなくても絞り出してよ。
どうしていたい?大事な人にはどうしていてほしい?

あたしも黄泉還りだ、復活自体は否定しないさ。
でも使われんな。ぼんやりした夢に逃げんな。
本気で願え、出来る限り手助けはしてやる!

最期まで届かなかったら介錯しかないけど、マシな結果を願うよ。


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok

死者蘇生ですか。同じ力を求めるために、手段も似るのでしょうかね?
それはさておき。
これ以上、人々の想いを悪用させる訳にはいきません。

死者に宿る『心』が本物かどうかは、私達からは窺い知る事は出来ません。
ですが、もし貴方達の『心』が真に大切な人達を想うものならば、貴方達を縛る悪意を振り払いましょう。

基本は『聖槍』で射撃戦、敵の足止めと前衛の援護に努めます。射撃時は味方や一般人への誤射はせぬよう注意、また、ユリウスにも足止めを手伝って貰います。

悪意を払った後、貴方達が本当に生き返れたのなら、大切な人達の元に帰りなさい。
死が避けられぬのなら、せめて最後は安らかに眠れるよう介錯します。



 ディアボロスたちは取りつかれた死者たちを迎え入れた。
 ある者はその姿を取り戻し、元あった死者へと立ち戻る。
 別のある者は安らかな顔で眠りについているかのようだ。
「どうして! どうしてそんなことをするの?」
「せっかく帰って来たんじゃない。もう別れるのはイヤよ!」
 だが、そこに闖入者が現れた。
 いや、闖入者という言葉は違うだろう。
 謝罪しよう。彼女らこそが、真に死者の蘇生を望み、元の生活を求めた者たちである。
「ちょいとあんたらは黙っててくれ。あたし達が用があるのは君たちじゃない」
 黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)は溜息を吐くと、駆け寄ろうとする信者たちを拘束した。
 何処からともなく鎖が現れ、枷を閉じて拘束していく。
「気分だけは、まあ判るんだけどさ」
「あの者たちもまた……あの外道の犠牲者…というわけか。……まだ、戻れるのならば……どちらも手を引いて戻してやりたいものよ」
 泉は雅諒院・基経(天狗道からの使者・g00191)の表情を見て頷いた。
 お疲れ様とかご苦労様と言う所だが、その心情が判るだけに一言では言い切れない。
 あえて言うならば憎まれ役をやったという所なのだが……泉としては、あのまま嘆きを聞く方がキツイので仕方がない。中には狂信者もいるだろうし、まだトループスの方が声が書け易いくらいだった。
「死者蘇生ですか。同じ力を求めるために、手段も似るのでしょうかね?」
「家族や恋人……大切な人との離別というのは、身を裂かれるような痛みだろう。だからこそ、蘇るならどんな事でも……となってしまうのは、理解するとも」
 フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)の言葉に基経は二重に苦い物を感じる。
 正直な話、山で暮らしていた頃ならばここまで思わなかったかもしれない。
 だが、とある一件から里に下りて感じるようになった苦みだ。つまりは己が見知った心が、そのまま痛むからこその苦みであった。もし記憶そのままに過去に戻れるとしても……あの時の判断を変えられないのではないかと思うのだ。
「それはさておき。これ以上、人々の想いを悪用させる訳にはいきません。死者に宿る『心』が本物かどうかは、私達からは窺い知る事は出来ませんから」
 そんな彼の心を知ってか知らずか、フィーナは前に出た。
 解決の力を振い、快刀乱麻するのは己なのだと言わんばかりに。
「ですが、もし貴方達の『心』が真に大切な人達を想うものならば、貴方達を縛る悪意を振り払いましょう」
「あ、ちょっとたんま。ちょっちだっけ時間くれな」
 フィーナが決意を固めて手に光の槍を取り出した時、信者たちを連れて行った泉が戻って来た。
 そして心残りは先に片付けておこうぜと、あまり得意ではないのだが語り掛ける事にしたのだ。
「なあ、声は届いてるかな。周りは見えてるかな。信者達が何しに行ったか知ってるだろ?」
 泉は軽く拳を握り、死者たちの前でパっと開いた。
 その様子に爆発するはずだった未来を想像して、少しだけ嫌な気分になる。
「今回は戻って来れる。あたし達がそうした。でも、すぐ次がある。その次も。何度でも君達の為に喜んで使われる。それで死んだら、別の誰かを動かす為に君と同じ様になる」
 今度は人差し指を、グルリと回転させる。
 黒電話を知らない世代なので、電話を掛ける仕草と言う訳ではない。
 それはくだらない未来が回転し、何度でも同じころを繰り返す、使い走りの人生の縮図だ。
「自分の言葉は出せるかな。出せなくても絞り出してよ」
「どうしていたい?」
「大事な人にはどうしていてほしい?」
 泉は目の前の死者たちだけではなく、端っこに連れて行った信者たちにも告げる。
 自分もも黄泉還りだ、復活自体は否定しないさ。と、どこか疲れたような笑顔で。
「でも使われんな。ぼんやりした夢に逃げんな。本気で願え、出来る限り手助けはしてやる!」
 そう言うと重心を下げて戦闘態勢を整えると、仲間達に向き直ったのだ。

 その姿を見て仲間達も戦闘を開始した。
 ただし痛みを与えるためではなく、浄化して大天使の支配より解放するためである。
「悪意を払った後、貴方達が本当に生き返れたのなら、大切な人達の元に帰りなさい」
 フィーナは光の槍を構え、やって来る死者たちを迎え討った。
 その力は癒しであり、苦痛にさいなまれる人々を癒すための者だ。
 肉体を操るクロノヴェーダを打倒して浄化し、その魂を清めるためにこそ戦う。
『ああああ!』
「ユリウス! 万が一の時は信者の人たちを! ……この程度の痛み、あなた方の心の苦しみに比べれば!」
 フィーナはダンジョンペンギンのユリウスに指示を出しながら光の槍で虫を斬り払った。
 実際には死者を突き刺しているわけだが、できれば虫を通して操るクロノヴェーダをこそ討ちたいと思う。
「常とは違うのだがな。だが、浄化と有ればこうするべきだろう」
 基経は見知った魔王を思い出した。
 その魔王は大僧正とも呼ばれており、誑かす存在と思われているのだ。
 だが彼にとっては道を示し、自然もその一環としての人々も見守る大僧正であった。
「我、魔の縁を払うなり! ……ヴァジュラ・フィダナ」
 基経は己の魔ではなく、死者たちに宿る魔を払う。
 独鈷杵を安全な距離から投げるのではなく、自らも焼くほどの位置から突き立てる。
 そして魔王という風聞ではなく、自らが良く知る大僧正を思い浮かべながら、雷でななく体を活性化させるための電流として放ったのだ。溢れ出る虫たちを諸共に焼きながら、神鳴る稲妻が溢れ出た。
「最期まで届かなかったら介錯しかないけど、マシな結果を願うよ」
 泉は敵が振りかざす刃を自分の体で受け止め、その鋸を符へと変換した。
 ガッチリとホールドして、浄化しきるまで傷みに耐え、そのまま当て身になれば良いなと思いつつ鉄拳を繰り出した。
 解き、崩すのはクロノヴェーダ。そして誰かを傷つけようとする手段そのものだ。
「死が避けられぬのなら、せめて最後は安らかに眠れるよう介錯します。ですが、そうならないと良いですね」
「その時は鞍馬僧正の様にはいかないが、せめて見送ろう。しかし、人々の絆を信じたいものだな」
 フィーナの言葉に基経は頷いた。
 誰かがやらねばならぬのならば、我らの手を下そう。
 だが今は、豊かな未来が来ることを信じたいと思ったのだ。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】がLV5になった!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!

ニア・マシュマリー
死んだ家族に会いたい……。その気持ちはニアにも分かる……。
ニアもそうだから……。
それにニアもディアボロスとして生き返って……。家族には会えなかったけど素敵な出会いをいっぱいできて生き返れてよかった……。そう思うこと沢山経験してきたから……。だから……。

暗闇で包み込むのは取りついた悪い子を弱らせるためだけ……。
追撃の桃色の風の刃は悪い子だけ吹き飛ばせたらいいなって願いながら……。優しい風で攻撃するの……。

これで元に戻れるのかニアにはわからない……。
だけど……。もし元に戻って生きることも出来るならその時は大切なみんなと生きていたいって思うような第二の人生を歩んでね……。

(アドリブ・連携大歓迎です)


アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

そもそも我々自身が不条理の塊のようなものですし、綺麗事だけを言う必要も無いでしょう。
救えるのなら手を尽くす。それのみです。

大切な人を想う心に嘘偽りなど無く
それが蘇りという奇跡を齎したのなら、奇跡のままで終わるべきです
悪意によって歪められる事などあってはなりません

不要な攻撃を当てないように足止めを行いつつ
元に戻れることを祈り、憑依した悪魔の部分のみを《逆巻く流星》で撃ち貫く
救えるならば良し、そうでないのであれば
せめて安らかに逝けるように介錯を


アンゼリカ・レンブラント
死んだ人は絶対蘇らないとか
恰好いいキャラがそう言ったんだ

だけどそんなの知るか!
私の光は、罪のみを穿つ憧れの英雄には遠く及ばない
でも今は、今だけは彼らの救いになって!

貴方達と、貴方達を想う人が本当に望んだこと
その純粋な願いを、どうか良い形に叶えたい

放つは《裁きの聖光》
悪魔部分を浄化し人の部分を癒そうと試みる
憑依した悪魔の部分が見える姿
私の大切な人もその姿になったよね

死んだ人は絶対蘇らない?
そんな理屈蹴とばして私はあの日
最上を、最幸を
それ以上を強欲に願い叶えられた
今一度奇跡を見られたっていいじゃないか!

【活性治癒】を用い彼らの様子を見
再度の死を彼らが免れないなら、痛みを和らげるよう
光を暖かく注ぐよ



 ディアボロスたちはやって来る一般人を拘束し、遠ざけながら戦いを続けた。
 彼らは強くはない、だが、その祈るような姿が心に突き刺さるのだ。
「死んだ家族に会いたい……。その気持ちはニアにも分かる……。ニアもそうだから……」
 ニア・マシュマリー(温かな光に包まれて・g07451)の表情は揺らいでいた。
 その言葉はいつも通りに聞こえたが、やはり揺らいでいた。
「ニアには何が正しいのか分からない。でもニアもディアボロスとして生き返って……。家族には会えなかったけど素敵な出会いをいっぱいできて生き返れてよかった……。そう思うこと沢山経験してきたから……。だから……」
「そもそも我々自身が不条理の塊のようなものですし、綺麗事だけを言う必要も無いでしょう。心のままに」
 ニアの肩を抱くように、アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)が後ろに立った。
 実際には触れてはいないが、それだけで、その存在感だけで見守られているのだと判る。
 森の魔女とは、本来、優しい人々なのだ。宗教がらみがなければ、今もずっとそうだったろう。
「死んだ人は絶対蘇らないとか、恰好いいキャラがそう言ったんだ」
 だけど!
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)はいつもと違う事を口にした。
 いつもならば、そうありたいと願う様な真っ直ぐさのままに突っ走る。
「だけどそんなの知るか!」
「私の光は、罪のみを穿つ憧れの英雄には遠く及ばない」
「でも今は、今だけは彼らの救いになって! なりたいって!」
 喉が割けそうなほどに絶叫する。
 我儘な子供のような姿は、いつものアンゼリカではない。
 だが、それもまた彼女なのだ。激情のままに叫ぶ。
「救えるのなら手を尽くす。それのみです。大切な人を想う心に嘘偽りなど無く……それが蘇りという奇跡を齎したのなら、奇跡のままで終わるべきです。さあ、参りましょうか」
 アイネリスは平然とそう口にした。
 心に訴えかけるようなトーンではない。
 だが静かに、事実を述べるその視線だけが優しい。
「貴方達と、貴方達を想う人が本当に望んだこと。その純粋な願いを、どうか良い形に叶えたい」
 そう言ってアンゼリカは、拳に宿る光を全身へと広げていった。
 それは戦いの為の準備であり、クロノヴェーダを倒すための準備。
 だが、今日ばかりは苦しみから解放し、未来を掴むための一歩だった。
「うん……暗闇で包み込むのは取りついた悪い子を弱らせるためだけ……。そのために、少しだけ借りるね……」
 ニアは世界を闇で埋め尽くしそうなのを、必死で留めた。
 溢れ来る闇の力は、今日ばかりは方向性が違う。
 悪い子を弱らせる闇であり、同時に闇は……眠りの為の夜の色でもあるのだ。強すぎる戦いの為のエネルギーを吸い込み、優しく眠らせるとしよう。倒すのは虫たちだけで良い。
「悪意によって歪められる事などあってはなりません。救えるならば良し、そうでないのであればせめて安らかに逝けるように介錯を。その役目は私が」
 アイネリスは槍刃を無数に生成する。
 だが同時には飛ばさない、死者たちの動きを止め、そして憑依した悪魔だけを撃ち抜く為に。
 だが、言葉では解釈すると言いながら、元に戻れることを誰よりも祈って居たのだ。
「死んだ人は絶対蘇らない? そんな理屈蹴とばして私はあの日、最上を、最幸を。それ以上を強欲に願い叶えられた。今一度奇跡を見られたっていいじゃないか!」
 悪魔を見つけ打ち砕く、正道を行くその姿。
 アンゼリカもまたその姿になった。
 しかし、その思いは今日ばかりは違う。誰かのために流す涙を背負い、間を払って人々を癒そうと振るうのだ。この力が痛みではなく、癒しを与えて欲しいと自分の為ではない我儘を心に描きながら。虫たちを追い祓い、魔を払い、人々の未来に手を伸ばす。
「これで元に戻れるのかニアにはわからない……。だけど……。もし元に戻って生きることも出来るならその時は大切なみんなと生きていたいって思うような第二の人生を歩んでね……」
 ニアは普段ならば心に思い描くようなことを口にした。
 口にすれば叶うのだと、痛みも苦しみだけを心に留めて。
 この言葉が真実に成れば良いのにと思い描きながら、口にしたのだ。
「どの道、この世界は砕けて元の流れに飲み込まれます。新宿と少し違うようですからね。ですが、思うのは良い事でしょう。それと……どうせならばハッピーエンドを取り返しに行くのも良いかもしれませんね」
「そうだね。みんなと一緒に大天使をぶっ飛ばしに行こうか!」
「うん。ニアたちで、りんねを助けるんだね」
 こうして最後の死者が払われた。
 信者たちの祈りの分だけタフな人も居た。
 そうではなく、救われるために向かって来る人もいた。
 あっけなく巻き込まれて成仏する者も居た。

 それらの涙と希望を背負い、ディアボロスたちは未来ある明日へと歩きだしたのだ。
 その前に立ち塞がる永遠の様のような、月の大天使を倒すために!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【傀儡】がLV2になった!
【飛翔】がLV8になった!
【植物活性】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【ガードアップ】がLV5になった!

瀧夜盛・五月姫
乾いた音、構内を響く。
燐さん。その人はクロノヴェーダじゃない。これ以上、叩くのは――ダメ。腰を抱いて、引き離さなきゃ。

1つだけ、姫が言えるのは、将来、このままじゃ大きな悲劇、たくさん起こる。
貴方が迂闊なお陰で。貴方が真に“命知らず”なお陰で。
千人どころじゃ、ない。みんなみんな、奪われる。貴方が虜、なったから。
そしてそれは、貴方の遺産は燐さんが、継がされている。
姫は連帯保証人、だから、ね。燐さんの分は姫が一緒に、返して、あげるよ。
だけど貴方の分は、ダメ。貴方はホントに或るべきだった千と五百人に償うべき、なんだ。

さて冒涜の天使。
貴女、姫の燐さんを、傷つけた。
タダで赦すなんて、自惚れないで。


一里塚・燐寧
父さんに駆け寄り殴り倒すよぉ
バカ!恥知らず!
馬乗りになり更に殴ろうとするけど五月姫ちゃんの手で止まる

父さんがクソ天使を信じなきゃ、あたしは化け物にならなかった!
友達を殺さずに済んだ!
……先生も、あんな死に方はしなかったよ
挙句の果てにママの偽者まで作ってさ!

ほんとならブッ殺したいぐらいキレてるし、赦すつもりもないけど
昔の大好きだった父さんに免じて生かしたげる
消えない罪と向き合って、何とか乗り越えてみなよ

へい、待たせたねぇクソ天使
失くした筈の玩具が、沢山の友達とサイコーのカノジョを連れて来た気分はどぉ?
因果ってのは輪を描いて廻ってくるもんでねぇ
自分で作った化け物の真価、身をもって味わうといいよぉ!



 そこに見てはならない物を見た。
 喜びの顔を浮かべて、自分を迎え入れる父。
 階下で妻の姿をしたナニカが娘との間に、本物であればありえない戦いをしたことを知らない夫。
「燐寧! 本当の意味で蘇ったんだね。こんなにも元気に成って! ああ、サラカ……」
「バカ!」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はそれ以上、言葉を続けさせなかった。
 怒りの鉄拳が父を襲い、あろうことか大天使に感謝の言葉を送ろうとした父親を強打した。
「りん……!? 何を!?」
「恥知らず! 父さんが……!?」
 燐寧は普段格闘なんかしないので、父である磐雄はふっ飛ばされるだけで済んだ。
 そのまま馬乗りになって殴ろうとしたところで、拳が後ろから止められた。
 周囲に大天使は居ても、信者もクロノヴェーダも居ない。ゆえに後ろからやって来た仲間以外にはありえなかった。
「燐さん。その人はクロノヴェーダじゃない。これ以上、叩くのは――ダメ。腰を抱いて、引き離さなきゃ」
 それは天井を突き破って来た瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)である。
 この第二層で合流しようと言っていたのだ。
 静止していたのは一瞬、手を離しても大丈夫だと信じて拳を握る指から力を抜いた。

 息の詰まる一瞬、その間の変化は上から砕かれた鳥の像の欠片が落ちてくるくらいだ。
 鳥は小さい頃の燐寧が好きだったモノの一つであり、その自由さに憧れた物である。
「父さんがクソ天使を信じなきゃ、あたしは化け物にならなかった! 友達を殺さずに済んだ!」
「それは……仕方のない……」
 燐寧はその言葉を止めようともう一度なるるべきか悩んだ。
 だが恋人が止めてくれたのに、そうするべきか悩んだ。
 心の葛藤に整理がつかないうちに、父親が言葉を止めたのは他愛のない理由である。
「涙……泣いているのかい?」
「こんなの、ただの水! 父さんがクソ天使を信じなきゃ……父さんがクソ天使を信じなきゃ先生も、あんな死に方はしなかったよ。挙句の果てにママの偽者まで作ってさ!」
 燐寧の体はリターナーの中でも死体に近い部類だ。
 だから涙は滅多に出ないのだが、いや、だからこそ油断していた。
 ずっと抱えていた想いが強いからこそ、心も体も揺れ動くし、その状態が続くからこそ反応が累積してしまったのだ。
「それが違うよ。ママは、琴莉は生き返らせてもらったんだ」
「本当なら」
 ここで五月姫が短く口を挟んだ。
 必要な用件だけを告げ、同時に喋ろうとした内容を遮るに足る言葉である。

「何を言って……」
 その冷厳で、残酷な言葉は第二層に空しく響く。
 その怜悧な言葉の前に全ての前提が狂ってしまうからだ。
「1つだけ、姫が言えるのは、将来、このままじゃ大きな悲劇、たくさん起こる」
「貴方が迂闊なお陰で。貴方が真に"命知らず"なお陰で」
「千人どころじゃ、ない。みんなみんな、奪われる。貴方が虜、なったから」
 五月姫は真顔で事実だけを伝えた。
 どことなくブスっとした、憮然とした表情なのだがそれを知るのは恋人のみだ。
 自分が告げるべき言葉ではなく、本来はこの男……恋人の父親である一里塚磐雄が気が付かねばならない事であった。
「嘘だ。そんなことはない! だって……」
「そしてそれは、貴方の遺産は燐さんが、継がされている」
 五月姫はもう磐雄にはしゃべらなかった。
 一言の期限は終了、もう彼に感心はない。
 ただ恋人が陥っているマイナスに触れ、その状況を許容できないと事実を語っているだけだ。
「姫は連帯保証人、だから、ね。燐さんの分は姫が一緒に、返して、あげるよ。だけど貴方の分は、ダメ。貴方はホントに或るべきだった千と五百人に償うべき、なんだ」
「何を言ってるんだ。訳が分からないよ……」
 五月姫の言葉に対し、磐雄は奇妙な言葉を口にした。
 五月姫は最初に嘘だと言い、次にそのせいで今の現状が引き起こされたと告げただけなのだ。
 五月姫の言葉に対し、嘘だと否定しようとしたではないか。

 訳が分からない筈はないのに……。
 操られたのか? そう思って少しだけ視線を戻したがそうではない。
 おそらくは信じたくなかったのだろう。
「五月姫ちゃんが言った事は本当。そこのクソ天使がやってることが嘘。あたしが父さんに言えるのはここまで。もうこれ以上言う事はないよ」
 燐寧もここで切り捨てることにした。
 父は決して愚かではない。事業主として成功した才覚もある。
 いや、こんなにも巨大な教団を作り上げる時点で、相当な才能が有ったはずだ。二人が告げた事実を受け入れられない事はあっても、推測できない筈もない。それ以上想像したくない、それ以上信じたくないだけなのだろう。
「ほんとならブッ殺したいぐらいキレてるし、赦すつもりもないけど、昔の大好きだった父さんに免じて生かしたげる。消えない罪と向き合って、何とか乗り越えてみなよ」
 燐寧は目から溢れた水を指で拭って立ち上がった。
 これ以上はもう言うつもりはない。
 自分が生きていた過去に戻ったディアボロスはいるし、家族とつかの間の再開をした者も居る。
 なのにどうして、自分だけがこうなのか……などとは燐寧は考えもしなかった。
 変に意固地で、変な所で頭が回転して、それなのに暴走したままなのは血筋だと判っているからだ。
 そして何より、付けるべき決着と、叩きつける挑戦状はまだ待機状態である。

「へい、待たせたねぇクソ天使。失くした筈の玩具が、沢山の友達とサイコーのカノジョを連れて来た気分はどぉ?」
 チェンソー剣をアイドルしながら、憎っくき敵に刃と挑戦状を向けた。
 ここからはディアボロスとして、初恋の人を殺さねばならなかった者として、決着をつける時間なのだ。
『形而上的には本当に本人なのか、それとも演じているのか質問したいところだが、まあおいて置いておこう』
 サラカエルは直ぐそこに居ながら、何の感慨も抱いて居なかった。
 父と娘の会話を聞きながら、別にBGMにしていたわけではない。
 別の理由で黙っており、何かを計算していたからに過ぎない。
『ようこそ、我が獲物たち。……他の施設に天球を作り、陣を繋ぐ必要がなくなった。七つの銀河を再現するつもりだったのだがな、お前たちを贄にすれば必要な力が集まるだろう』
「あー。他の地区を攻略ってそーいう事だったんだねぇ」
 サラカエルは月と死を司る天使である。
 この渋谷区の近隣には幾つかのプラネタリウムがあった。
 幾つもの銀河系を演出し、抑えた拠点にある此処を様々な季節に相応させて、更なる力を得て、更なる死を操るつもりだったのであろう。そこまで力を拡大すれば、仮想現実の中くらいならば死者が生活できるようになるかもしれない。そこまで行けば、きっと蘇生も嘘ではないのだろう。仮想現実の中だけの生命を、蘇生と呼んで良いのであれば。
「そんな事はさせないよぉ! 因果ってのは輪を描いて廻ってくるもんでねぇ。自分で作った化け物の真価、身をもって味わうといいよぉ!」
 これ以上、不幸な死者を増やさない……などと言うつもりはなかった。
 ただ恨みを晴らし、ディアボロスとしてクロノヴェーダを倒す。
 たかが路傍の石コロとして蹴り飛ばしてやろうと告げたのだ。
 因果は往訪し、たかが石コロとして利用した人間が、その計画を台無しにしてやろうと嘯く。
「さて冒涜の天使。貴女、姫の燐さんを、傷つけた。タダで赦すなんて、自惚れないで」
 対して五月姫は一途だ。
 恋人を傷つけたことを許さない、利用したことを許さない。
 ただそれだけの理由があれば戦い抜けると宣言する。

 そして一人、蚊帳の外に立たされた哀れな男が呟く。
「嘘だ……嘘だ、嘘だ! ……最初から、何もかも嘘だったのか……!?」
 呆然とその姿を見つめる一里塚磐雄。
 傲慢な大天使は、彼を騙すために演技すら続けようとしない。
 その姿に彼も全てが嘘であったのだと信じざるを得なかったのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【隔離眼】がLV2になった!
【飛翔】がLV9になった!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!

エレナ・バークリー
さあ、悪趣味な屍体遊びはお仕舞いですよ、大天使サラカエル!
月は満ち、そして欠けるもの。無明なる新月の夜へと葬り去ってあげましょう。

相手が浮遊しているなら、こちらは【飛翔】で対抗します。突き抜ける共鳴で「空中戦」!
その三日月、クロノオブジェクトですか? ですが、パラドクスなら打ち毀せますよ。

誘導レーザーはバックラーで目を守りながら、自身の前面に展開する魔力障壁で防ぎます。
誘導弾なら、当然盾を迂回して突き刺さってきますよね。身体を灼く傷みは「忍耐力」でこらえて。

両手剣にパラドクスの威力を乗せて「突撃」。大鎌を「薙ぎ払い」、天使の身体に「貫通撃」を突き刺します。

燐寧さん、姫! 始末を付けてください!


野本・裕樹
死を司る天使が死を捻じ曲げてどうするんですか、アナタにその天使の名を名乗る資格はありません。

取り回しの難しい武器でよくやりますね、内側にしか刃が無い大鎌には雷光刀『雷花』で挑み武器を振る速度で負けないようにしましょう。
荒れ狂う雷光の刃でレーザーを斬り払い、大鎌で斬りつけようとする大天使を思考と時間差無い一太刀でより疾く引き裂こうとします。

これぞ剣技《迸雷爪》です。
蓬莱蕉の示す花言葉は「うれしい便り」…大天使にうれしいお知らせをしてあげましょう、「月」という不安を乗り越えた先にあるのは「太陽」。
希望はもうすぐそこまで来ています。
間も無くアナタに「太陽」みたいな希望の光が降り注ぎますよ。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
残留効果を活用

天使面をしてくれるな、詐欺師よ
それは、貴く、限りなく深いもの……弄ぶことは許されない
決して
……決して

敵味方の動きを偵察、観察し戦況を把握
PD通信で声を掛け合い連携
飛翔を交えつつ立体的包囲の位置取り
好機を看破し、過たず銃で狙い撃つ
敵の身を削り、止めへ至るまでの一つを繋げよう

死者の書の間で……燐寧さんが戦う姿をみて、感じてた
一人で背負うなよ、と
改めて口にしよう
今は、共に負う者がいる

反撃には魔力障壁を展開し防御し忍耐
過去の過ちを責めるなら……抱え続ける事が俺の償い
言われるまでもないさ

今はただ、友の一片の支えとなれるなら
燐寧さんへ
――ぶった斬ってやれ!

親子の会話は見守ろう


●朔の次に来るモノ
「天使面をしてくれるな、詐欺師よ」
「死を司る天使が死を捻じ曲げてどうするんですか、アナタにその天使の名を名乗る資格はありません」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)の言葉に野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が相乗りした。
 サラカエルという大天使は月と死者の魂を司っている。
 しかし彼女のありようと、その策謀は到底許せるものではなかった。
「それは、貴く、限りなく深いもの……弄ぶことは許されない」
「決して」
「……決して」
 エトヴァは静かに繰り返した。
 普段の彼は号令を掛けたり励ますことはあっても、荒ぶるような男ではない。
 だが、この時ばかりは心から漏れそうになった。だからこそ、繰り返して静かに吐き出したのだ。
『なるほどなるほど。だがそこまで言うなら言わせてもらおう。ではどうすれば良かった? 彼らの嘆きを託されてどうせよと? はははは……全てを解決する方法などありはしない。あるならば今すぐ彼らすべてに救いを与えて見せよ』
 嘲弄する。嘲笑う。
 月光の慈眼と呼ばれた天使、サラカエルは出来もしないことをやって見せろと平然と口にした。
「詭弁ですね。先ほどエトヴァさんがおっしゃいましたが、まさしく詐欺師です」
 エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)はその問いを切り捨てた。
 出来ないことを託されたから偽りで返したのだ。
 確かに表面上は解決するだろう。しかし、まったく物事は進展して居ないし……そもそも理論のすげ替えに過ぎない。
「さあ、悪趣味な屍体遊びはお仕舞いですよ、大天使サラカエル! 月は満ち、そして欠けるもの。無明なる新月の夜へと葬り去ってあげましょう」
 エレナは大剣を大上段に掲げ、その一方で逆手のバックラーで視線を覆い隠した。
 邪眼に対するものか、燦然と輝く光から目を守るためのものだろうか?
『新月か……。良い事を教えよう。月の暦に置いて、新月は始まりの事を指すのだよ。つまりここが、私の新しい計画の第一歩だ』
 どこかでゴーンと鐘が鳴り響いたような気がする。
 まるで時計台の鐘が鳴り響いたような音。
 サラカエルが大鎌の石突きで床を叩くと、僅かに空間が歪んでその姿が屈折する。
『月の運行である太陰暦は二つある。閏を数えるものと、数えないもの。そして朔を第一歩とするかによって』
『異なる私たちが、我らがお相手しよう。本来であればもっと多くの姿があったのに、残念だ』
 三日月の玉座に座ったサラカエルと、月を持たずに黄色い床の上に立つもう一人。
 まるで鏡合わせのような姿でありながら、その細部が違っていたのだ。
「十五夜、もしかしたら十六夜も含む変化があったのでしょうか? 苦労して神像を破壊した甲斐があったようですね」
 裕樹はふうと溜息を吐いた。
 完全な状態で出逢えば危険だったかもしれない。
 閉じた世界でクロノス級と出逢うのは危険だと言われるが、その理由が判った気がする。エネルギーさえあればアヴァタール級を無制限に作れる存在、それがクロノス級なのだろう。
「敵の身を削り、止めへ至るまでの一つを繋げよう。まずは奴の能力を引き出して解析する」
「「了解!!」」
 エトヴァの言葉に二人も飛翔しながらフォーメーションを築く。

 これに対して敵は一体が玉座に乗って空を飛び、もう一人が地上で迎え撃った。
『さて、我に抗し得るのかな?』
「取り回しの難しい武器でよくやりますね。
 サラカエルの放つ閃光の中を飛び込んで裕樹は稲光を放つ。
 刀を振るうたびに雷鳴が乱舞し、ホーミングレーザーを叩き落としていく。
 そして本身である刃は、サラカエルが持つ大鎌を受け止めていた。
「蓬莱蕉の示す花言葉は『うれしい便り』、……大天使にうれしいお知らせをしてあげましょう、『月』という不安を乗り越えた先にあるのは『太陽』。希望はもうすぐそこまで来ています。間も無くアナタに『太陽』みたいな希望の光が降り注ぎますよ」
 刀を振るうだけで迸る稲妻を操り、その動きは考えるのと同じ速度。
 これぞ裕樹の剣技《迸雷爪》である。
 雷速で振るう超高速の剣技であり、サラカエルの振るう三日月の刃を弾いていく。
「死者の書の間で……燐寧さんが戦う姿をみて、感じてた。一人で背負うなよ、と」
 エトヴァはパラドクス通信で仲間たちに合図を送りながら静かに戦いを見守っていた。
 いや、せいかくには隙を伺いチャンスを伺っていたというべきだろう。
「改めて口にしよう。今は、共に負う者がいる」
 エトヴァは黒き銃身を構えて狙い撃った。
 見守るだけで邪眼によって汚染され、あるいは後悔にさいなまれそうな己を乗り越えて。
『不遜な。己の所業を思い知るが良い』
「過去の過ちを責めるなら……抱え続ける事が俺の償い。言われるまでもないさ、今はただ、友の一片の支えとなれるなら」
 後悔があったとしても受け入れられない訳でもない。
 後悔はあるとしても乗り越えられない訳ではない。
 邪眼による精神汚染に対抗し、ただ一言呟いた。
「燐寧さんへ言葉を送ろう。――ぶった斬ってやれ!」
 舞飛ぶように、踊る様に両手の銃を連射する。
 多角的な存在であるならば、多角的に攻めるだけだとあちこちから銃撃を加えた。
 それは誰の為か? 自らの為ではない。今は友のために後悔と向かい合い、今は友のために戦うとしよう。
「その三日月、クロノオブジェクトですか? ですが、パラドクスなら打ち毀せますよ」
『お前の見たままだよ』
 エレナは自らを追うホーミングレーザーを避け、あるいは受け止めていた。
 バックラーで目を守り、直撃しそうな攻撃は障壁で耐える。
 そして肌を灼く痛みに耐えながら、サラカエルの元に向かって行ったのだ。
「駆け抜けよ衝撃、全て合わさり敵を崩せ」
 大剣を精一杯に振り切って、敵が構えた大鎌ごしに攻撃する。
 この一撃は防がれることを前提にした物。
 発生した衝撃波を用いて、敵の内部にダメージを与えるものであった。
「燐寧さん、姫! 始末を付けてください!」
 エレナはそう吠えながら戦いの行く末を見守ることになる。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV11になった!
【パラドクス通信】がLV4になった!
効果2【能力値アップ】がLV7になった!
【グロリアス】がLV2になった!

ミシェル・ラークリーズ
月は夜にだけ出るものだよ。やがては欠けて沈み、夜明けが来て、希望の太陽が出る。

剣を構えると僕自身の幻影が。僕の幻影は言う。

「ここまで心痛めて戦う意味がどこにある。お前も多くの命を奪ってきただろう。いっそあの時家族と一緒に死んだ方が楽だったんじゃないか。」


確かに戦いを始めたばかりの僕ならそう思っただろうね。でも僕は家族当然の人がいる。戦いを共にした心強い人たちとの思い出がある。その人たちの背中を見て誓ったんだ、共に世界を守ると。その人たちを守る為に強くなると。

さよなら、弱い時の僕。光明の一撃を全力で振り抜く。

さあ、決着をつけるんだ。燐寧さん。辛いことを多く乗り越えた先への未来の為に!!


アンゼリカ・レンブラント
結末は燐寧のものだ
彼女は今日をさらに己を強くする源とするだろう
ならば友は行く道の助けとなろう

ネメシス―戦乙女の姿へと
飛翔の効果を受けつつのダッシュ――
障壁とオーラで敵のレーザーを凌ぎつつ突き抜け、
近接戦を挑むよ!

惑わし、心に入り込む
それがお前達のやり方だね
けれどこの距離でそれは出来ない!
勇気を全開に、殴る、蹴る、どつくッ
泣くまでやめないし泣いたってやめたりしない

少しでも痛みってのを分かれってんだよ!
心は沸騰しそうに熱けれど頭は冷静
仲間と挟みこむ位置をキープ、効果的に打ち込み
遠距離の仲間の大きい一撃はぶち当てやすいよう隙を作る

全力の《光獅子闘拳》を強く減り込ませ
さぁフィニッシュ、決めてやれーっ!


●希望こそが我が太陽
「結末は燐寧のものだ。彼女は今日をさらに己を強くする源とするだろう」
 アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は確信している。
 友がその苦難を乗り越えることを。
 彼女自身が夢見るのは正義、あるいはヒーロー。だが……!
「ならば友は行く道の助けとなろう。今だけは友のための牙であろう!」
 アンゼリカはネメシスモードを解放した。
 現代に蘇った戦乙女が空を舞う。
「月は夜にだけ出るものだよ。やがては欠けて沈み、夜明けが来て、希望の太陽が出る」
 ミシェル・ラークリーズ(彩光のグレイス・g03431)は出来得る限りの笑顔を浮かべた。
 敵を見つめるだけで心を苛む邪眼が影響しているような気がする。
 剣を握って向かう会おうとすれば……。
『ここまで心痛めて戦う意味がどこにある。お前も多くの命を奪ってきただろう。いっそあの時家族と一緒に死んだ方が楽だったんじゃないか』
 と己の姿をした幻影が、語り掛けて来るような気がするのだ。
 だがミシェルは閉じたくなる瞼をこじ開けた。
 塞ぎたくなる耳を澄まし、歩みを止めたくなる足を奮い立たせる!
「確かに戦いを始めたばかりの僕ならそう思っただろうね。でも僕は家族当然の人がいる。戦いを共にした心強い人たちとの思い出がある」
 そう言って剣を持つ手に力を込めた。
 先行して空を飛ぶ仲間に追いつくために足へ力を込めた。
「その人たちの背中を見て誓ったんだ、共に世界を守ると。その人たちを守る為に強くなると」
 そんな自分の夢は、彼女らと共にあり共に戦う事だ。
 歩き出そう、戦おう、力を込めて振り下ろそうと叩く剣を掲げた!
「良く行った! 何を言ったか知らないけれど……惑わし、心に入り込む。それがお前達のやり方だね」
 けれどこの距離でそれは出来ない!
 アンゼリカは迸るオーラと障壁でレーザーに耐えながら突撃していた。
 勇気を全開に、殴る、蹴る、どつくッ!
「泣くまでやめないし泣いたってやめたりしない。少しでも痛みってのを分かれってんだよ!」
『判るとも! それにそもそも月は常に啼いている!』
 アンゼリカが黄金の獅子が如きオーラに身を包んで鉄拳のラッシュを浴びせる。
 サラカエルはそれを大鎌を回転させて防ぎ、ホーミングレーザーを連射している。
 この大天使の攻撃は大鎌が主体だが、相手に合わせて切り替えることは可能だ。ラッシュをガードしながら反撃していった。
「今だ!」
「さよなら、弱い時の僕! 僕は諦めない!! どんな闇でも光はある!! どんな絶望にだって希望はあるんだ!」
 アンゼリカの頭は沸騰思想で行って冷静であった。
 この時、ミシェルはフリーに成って居て地上に居るサラカエルに攻勢を掛ける。
 邪眼による幻影を打ち砕き、その奥に居るサラカエルを斬る為に振り上げた剣を今まさに振り下ろしたのだ!
「さぁフィニッシュ、決めてやれーっ!」
「さあ、決着をつけるんだ。燐寧さん。辛いことを多く乗り越えた先への未来の為に!!」
 たとえ絶望の闇が深くても、信じれば必ず光は見出せる。
 希望こそが我が太陽、この世界の希望とは宿縁を結んだ仲間の事だろう。
 その道行がどんな世界であろうとも、二人は、ディアボロスたちは仲間を信じて共に歩むのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】がLV6になった!
【怪力無双】がLV3になった!

ネリリ・ラヴラン
娘が自分より世界を知っていて
自分の意志で歩いてゆくのは、嘆いたり悩んだりすることなのかな
わたしはたぶん…喜ばしいことなんだと思うよ

死者も、過ちも、終わったことはやり直せないのだから
大事なのはこれからどう歩むかなんじゃないかな
…親として

結末に口を挟むのは本意でもないからね
それ以上は何も言わないよ

サラカエルと向き合って魔力の矢を構えれば
現れるのは自身の幻影かな(過ちとかはそも覚えていないしね)
きっと興味の無い瞳を向けてくるのだろうけれど
此方は確りと見つめ返して、射抜いてあげるわ

どんな過去を持っていても、それを背負ってゆく
燐寧ちゃんが頑張っているのに
怖気づいたりしていたら、情けないものね!


ノイン・クリーガー
一里塚磐雄と言ったかあの男。どうやら弱味につけ込まれたようだな。
いつの世にも宗教を悪用する輩は絶えん。
それだけ人心を操るには適しているということか。
死と月を司る天使……詐欺師らしく大仰だな。

何にせよここで死んでもらうぞ。
右手にP218、左手にカランビットを持ち、近寄れば【斬撃】、離れたら銃弾の【貫通撃】で【臨機応変】に戦う。

死者の軍勢に対しては、発煙弾で煙幕を張りつつ、囲まれないように離脱する。


●過去ではなく、明日を掴むために駆け出そう
「一里塚磐雄と言ったかあの男。どうやら弱味につけ込まれたようだな」
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)は仲間たちが引きずっていく教祖を眺めた。
 その苦悩は理解できるが、だからと言って行い全てを納得できるわけではない。
「いつの世にも宗教を悪用する輩は絶えん。それだけ人心を操るには適しているということか」
「……娘が自分より世界を知っていて、自分の意志で歩いてゆくのは、嘆いたり悩んだりすることなのかな」
 ノインの言葉ではなく、仲間の父親に対してネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は首を傾げた。
 納得できない事は納得できないが、それはそれとして別の疑問も浮かぶのだ。
 話に出た親子の撃ち、娘である仲間にではなく、もう一人の父親の方に目は向いていた。
「わたしはたぶん……喜ばしいことなんだと思うよ。死者も、過ちも、終わったことはやり直せないのだから」
 そして視線は未来へと向いていた。
 過去に口出す理由はないし、そもそも他人が理解できるとも思えない。
「大事なのはこれからどう歩むかなんじゃないかな……親として。結末に口を挟むのは本意でもないからね、それ以上は何も言わないよ」
 ネリリはそう言うと、魔力の矢を構えてサラカエルの方へ向かった。
 そこでは既に、ノインが両手に得物を構えて相対している。
「死と月を司る天使……フェーデルの言う通り詐欺師らしく大仰だな。何にせよここで死んでもらうぞ」
『死か……惜しいな。私の計画が全て叶えば、無縁でいられた物を。例えばこのように』
 ノインは銃と湾曲ナイフを構えてジリジリと近寄った。
 地上に居るサラカエルは、中には浮かばず腰を据えて彼を待ち構えている。
 そして大鎌の刃で地面を切裂くと、時間が割けて先ほどの死人が倒せなかった未来へと、まるで列車の道を決める遮断機の様に分岐した。
「死人の軍勢? 援護す……あ。わたし? 幻影……のはず」
 ネリリは後方から援護射撃を放とうとして、その視線の先に自分を見た。
 邪眼によって露わにされた不安の要素、あるいは恐怖を問い詰める姿の多くは自分であったという。

 それは言葉を持って復讐の無意味さを解くというのだが……。
「どんな過去を持っていても、それを背負ってゆく。燐寧ちゃんが頑張っているのに怖気づいたりしていたら、情けないものね!」
 ネリリは問われる前に、説得されるよりも前に結論を言い切った。
 視線は決して自身の幻影より目を反らさず、黒き弓を引いて矢を引き絞る。
『それは過去を覚えていないからじゃない? もっと別の……』
「だとしても! わたしは……私たちは未来へと進むもの! よーく狙って……絶対にっ、外さないんだから!」
 肉体と生命力の結びつきを緩める魔術をネリリは自分の姿へと向けた。
 着弾と同時に大爆発し、解ける生命力を吸収して再構築する。
 問答によってゴッソリと抉られたような魂を、その生命力で補填するかのようだ。
「よくぞ言った……と言うと、爺むさいと言われるんだろうな。だが、その気持ちに偽りはない。詐欺師の時間はそろそろ閉店だ」
 フォルクスバーゲン、国民的安売りでもしてくれとノインは珍しく冗談混じりに口にする。
 現れる死人の群れに対し、ナイフを振い銃を放った。
 隠密任務ならばサプレッサーを付けているこの銃も、今は彼の闘士を代弁するべく方向を挙げる。
「奮起! 適応! 貫徹! そして未来を!」
 ノインは人に許された、戦術と言う最大の武器を活かした。
 遠ければ銃を放ち、近ければナイフを振う。必要ならば発煙弾で煙幕も張ろう。
 そこには強さや速さではない。例えどのような状況下においても、勇気を持ち続け、その場での最善を尽くし、戦い抜く。 未来を掴み取るというその意思があった。速度の話を言うならば、その戦術判断力こそが高機動であった。

 二人は未来を掴む仲間達を信じた。
 敵を倒したいからではなく、未来を取り戻し体から戦う。
 ディアボロス達が信じる希望、それは未来を掴む物語であろう。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】がLV7になった!
【託されし願い】がLV2になった!

雅諒院・基経
…一里塚さん達の事には僕(やつがれ)達が口を挟む事は何もない。…どうなるかは、彼女ら次第という奴だ。

さぁ、死者を冒涜する外道よ、汝の罪を悔いる時だ。まぁ、この場ではなく地獄にて悔いて貰うわけだが。

独鈷杵に手を当てると形が変化し、金剛鈴の形になる。

目の前に着物を着た少女が現れ、基経を責める。なぜ、と

基経は目を細め、鈴を鳴らす。【水源】は魂を運ぶ川となろう。

…楓、汝は僕(やつがれ)をいくら恨んでも構わない。それでも僕(やつがれ)は、皆と共に前へと進む。

その音はサラカエルをもむしばんでいく、そのまま経を唱え、サラカエルを縛る

…あの世へと渡れ、外道。汝の救いはそれだけだ。

さ、後は二人に任せようぞ


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

あれも家族の在り方なのかな。
余りに境遇が違い過ぎてよくわかんないな。
せめて燐寧さんに後悔が残らぬ様。

それはそれとして、
お前のやり方は嫌いだよサラカエル、…覚悟して欲しい。

『アクロヴァレリア』を起動して【飛翔】

掌に蒼き魔力の灯火を産み、機械魔導弓『ACRO』に番えて魔術の矢と化す。
敵と自身の間には3つの魔法陣、3重の加護の矢を持って敵を仕留める。

eins-それは雷霆の如く
zwei-それは軍神の槍の如く
drei-それは流星の如く

敵を貫く魔弾と化せ。


ニア・マシュマリー
りんねの親子のこと……。ニアからは口を挟まない……。
ニアはただ……。ニアのできることでりんねを支えるだけ……。
だから……。

両親と飼ってた黒猫……。
今はもう居ないってニアはもう知ってるから……。
幻影の言葉に惑わされることなくサラカエルごと撃ち抜く……。
これはニアが進んで行くために教えてもらった力だから……。

本音でいうと……。サラカエルをもっと紅く染めたいくらい怒ってる……。
だけど……。それはりんねと恋人さんがするべきことだからニアはここまで……。
あとはりんね達が選ぶ結末をTOKYO防衛部の一員として……。
なにより……。りんねの友達の1人としてしっかり見届けたいな……。

(アドリブ・連携大歓迎です)



「あれも家族の在り方なのかな。余りに境遇が違い過ぎてよくわかんないな」
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)は何時になく不思議な顔で空を見つめた。
 その柔らかなシルエットに関わらず、まるで少年の様に。
「りんねの親子のこと……。ニア達からは口を挟まない……」
「うむ。……一里塚さん達の事には僕(やつがれ)達が口を挟む事は何もない。……どうなるかは、彼女ら次第という奴だ」
 判らぬならば、無理に判る必要はない。
 ニア・マシュマリー(温かな光に包まれて・g07451)と雅諒院・基経(天狗道からの使者・g00191)はそう言い切った。
 重要なのは納得でも、説得でもないのだ。
「ニアはただ……。ニアのできることでりんねを支えるだけ……。だから……」
「そうですね。せめて燐寧さんに後悔が残らぬ様」
 必要なのは理解ではなく、寄り添う心と翳す手である。
 ニアの言葉をレイは引継ぎ、空に浮かぶを見据えた。
 その嘲弄を、嘲笑を浮かべた邪悪な笑みこそを撃墜してやろう。
「さぁ、死者を冒涜する外道よ、汝の罪を悔いる時だ。まぁ、この場ではなく地獄にて悔いて貰うわけだが」
『ははは。この世こそ地獄ではないか。ならば何でもでも舞い戻ろうほどに』
 基経は静かな怒りと共に独鈷杵を抜いた。
 すると何時の間にか、まるで鈴の様に変化する。
 金剛鈴を振り鳴らし、せめて菩薩の慈悲があればと思うのだ。ただし慈悲が降りる相手はサラカエルなどではない。
「二人の様子が変だな……死者の幻影を見せているのか。お前のやり方は嫌いだよサラカエル、…覚悟して欲しい」
 レイは足元で敵と相対する仲間の変化を見た。
 見れば基経だけではなく、ニアの方も呆然としている。
 しかもその視点は、サラカエルよりも僅かに前だ。そこに何かが居るのだろうが……レイの周囲に死者が浮かび上がってきたことで、その正体を悟る。
『なぜ?』
『にゃー♪』
 まさしく死者の幻影が現れていた。
 黒猫が走って来て、それを抱き上げるように少女が現れる。
 そうかと思うと少女を見ているのは一人だけ、もう一人は黒猫を抱えた大人の男女を見ていた。全ては幻影、幻影だからこそあり得る邂逅である。
「今はもう居ないってニアはもう知ってるから……」
 両親と飼ってた黒猫……。
 その姿にニアは少しだけ顔をゆがめた。
「これはニアが進んで行くために教えてもらった力だから……。宵の刻を告げる闇……」
 軽く目を閉じて唱え出す。
 その時に思い出すのは、目の前の人々ではない。
 この呪文を教えてくれた、力の使い方を指導してくれた仲間だ。そして今回の宿縁を結んだ仲間であり、友人である彼女がその縁を斬る為の戦いなのだと思い出す。
「紅に染まりてすべてを撃ち抜く力となれ……」
 それは闇属性に特化した単体砲撃魔法である。
 紅色をしているが、その力はそのもの。闇の魔力が幻影を侵食する霧となり、その陰に潜むサラカエルを蝕んでいくのだ。
「……楓、汝は僕(やつがれ)をいくら恨んでも構わない。それでも僕(やつがれ)は、皆と共に前へと進む」
 基経はサラカエルなどの為には祈らない。
 基経は己の為にも祈らない。
 その少女のためにこそ……いや、これ以上語るのは野暮であろう。慈悲を菩薩に祈り、その魂を運ばんとする。
「その御霊に救いがあらんことを……」
 基経が鳴らす鈴の音は、水のように波紋を呼んだ。
 黒と水は死を指し示すが、どうじに流れは穢れを払う。
 穢れを払う川とは、死後にあらゆる苦しみすらも払って、次なる世に送り届けてくれるのだ。
「東に三途の川、西にレテの河。その呼び名に意味などあるまい。渡れ、すべからく渡れ、サラカエル。……あの世へと渡れ、外道。汝の救いはそれだけだ」
 基経は経を唱えながら、幻影の死者に祈りを捧げる。
 そして呼び起こされた死者の軍勢に関しても、優しく届けば良いと思うのだ。
 サラカエルに関しては、経を介して縛り付け、あの世での裁判に掛けるために送りたいとは思うのだけれど。
『さあ、行け。その果てに再度の生を授けよう』
「なんて悪辣な。ゴーストが呼んだ仲間達とはまるで違う……。eins-それは雷霆の如く」
 その頃、空中で戦うレイは群がる死者を突き離していた。
 傭兵結社の仲間が呼ぶ死者の軍勢とは違うとしても倒す気にはならなかった。
 高速で飛んで距離を開け、できれば倒したくないな……と思いつつ機械式の魔導弓に魔力で矢を番える。
『無駄だ。兵など幾らでも呼び寄せられる。このようにな』
「zwei-それは軍神の槍の如く」
 レイはギリリと唇を噛みながら、群がる死者の中を飛び抜けた。
 蒼い魔力を灯し、呪文を詠唱していく。
 貫く為に。敵を貫く抜く為に。死者をではなく、サラカエルを貫く為に!
「drei-それは流星の如く。敵を貫く魔弾と化せ」
 レイが潜り抜けた場所には、三つの魔法陣が並んだ。
 三重の加護を受け、死者の軍勢を潜り抜けてサラカエルへと逆行する。
 放たれた一矢が魔法陣を通過する度にその威力は増大し、必殺の魔弾へと変貌を遂げるのだ。死者の軍勢を無視するその過程が、どれだけ難しいとしてもレイならばやり遂げるだろう。
「ロボットとか獣タイプの敵の方が気分良く戦えます。戦いが好きな訳でもないのですが」
「そうだな。だが奴を裁判に掛けるのは、僕(やつがれ)ではない。さ、後は二人に任せようぞ」
「うん……。それはりんねと恋人さんがするべきことだからニアはここまで……」
 本音でいうとサラカエルをもっと紅く染めたいくらい怒ってる。
 しかし自分たちの役目では無いとディアボロス達は知っていた。
 だからこの東京を守る者として、友達の一人として見届けようと思う。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【水源】がLV3になった!
【怪力無双】がLV4になった!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!

月見里・千隼
※連携、アドリブ歓迎


大切な人を喪いたくないと言う想いは分からなくもないが
遺族の弱みにつけ込み利用して踏み躙るような輩による死体蹴りより下劣な死者への冒涜は2度とさせない
(紺碧色の外骨格装甲・月詠を身に纏いネメシス形態に)

敢えて【飛翔】を使い敵の注目を俺に向けるように陽動して味方が攻撃する隙を作りながらも『神楽月』を発動して
ホーミングレーザーの時は銃撃し
急接近されれば大鎌をいなしながらも右腕を変形させた銃で殴ったりサバイバルナイフで切り裂いたりと一撃離脱を交えて臨機応変に

反撃は【ガードアップ】を使いながらも腕の銃と武器の銃で受け流しダメージを抑え大痛手にならないように


月見山・伊吹
※連携、アドリブ歓迎だよ!
燐寧さんと五月姫さんをディフェンス


燐寧さんがお父さんとの問題にお互い後悔の残らないように
サラカエルとの因縁を断ち切り
それぞれが過去を受け入れて前を向いて歩めるように…
燐寧さん、今のあなたには五月姫さんが側にいるし私ら友達がフォローするから大丈夫だよ

後は頼んだよ、ティダ
(ネメシス形態になりティダと言う女悪魔の要素と人格が出る)

死者を弄び冒涜するようなくだらねぇグランギニョールはもう追加公演させねぇぜ

『照日の峰』で薔薇の花が咲く刺々しい木属性の魔力の荊の鞭で
死者の軍勢を薙ぎ払うようにびしばし打ったり
巻き付け捕縛から他の死者にぶつけたりと
燐寧が包囲されねーようにするぞ



(「燐寧さんがお父さんとの問題にお互い後悔の残らないように。それぞれが過去を受け入れて前を向いて歩めるように……」)
 言葉には出さず月見山・伊吹(太陽の恵み、日蝕の災禍・g04125)は決意を固めた。
 それは願いであり、祈りである。
「燐寧さん、今のあなたには五月姫さんが側にいるし私ら友達がフォローするから大丈夫だよ。後は頼んだよ、ティダ」
 伊吹はその事だけを言葉に出すと、目を閉じて意識を手放した。
 すると姿に変化が起き、色彩と共に意識の主導権が書き換わる。
「死者を弄び冒涜するようなくだらねぇグランギニョールはもう追加公演させねぇぜ」
 伊吹の姿をベースとしながら、ティダという女悪魔に主導権が移った。
 言葉は荒くなり、その詳細は切り替わって居る。それはネメシスモードと呼ばれる全力解放の一種だった。
(「大切な人を喪いたくないと言う想いは分からなくもないが……」)
 その変遷を見ながら月見里・千隼(硝煙と魔弾の騎手/現代ラストジョッキー・g03438)は同じように言葉を秘めた。
 歴史が変わり存在が変わったというならば、愛する妻もまた変化している。
 それは元の姿ではないが、変化した新たな姿であろう。大元の妻は失われたが、ティダと二人三脚で生きてくれているとも言えた。
「遺族の弱みにつけ込み利用して踏み躙るような輩による、死体蹴りより下劣な死者への冒涜は2度とさせない」
 千隼もまたネメシスモードに移項し、紺碧色の外骨格装甲を身に纏う。
 誰かが失われるという恐怖や、まったく変わりのない過去よりも、未来を掴もうと決意を固めたのだ。その先は妻と、ティダと、そして今回宿縁を晴らす友人と!

 その先に立ち塞がるのは死者の魂と月を司る大天使。
 サラカエルは大鎌で世界を分岐し、死せう軍勢を呼び寄せる。
「俺が先に行く。社長たちばかりに良い格好はさせられん」
「任せたぜ!」
 千隼は無双馬のチャンディラムに跨ると、空を飛翔して高速で駆け抜けた。
 そして敵の放つレーザーと銃撃戦を行いつつ、接近戦で注意を引き付ける。
 その銃は右腕の外骨格を変形させたものであり、強固なフレームでぶん殴り、あるいはナイフで切り裂いていくのだ。
『邪魔だ。新しい手勢を呼ぶのに邪魔だろう』
「そのためにやって居る。接近戦はそう得意では無いが……誰かを守る為ならやるしか無いからな」
 千隼はあらゆるものを利用しながら戦い抜いた。
 大鎌を防ぐために変形させた銃で格闘し、ナイフで白兵し、魔弾でレーザーと撃ち合う。
 所狭しと動くさまは、まるで回転して姿を大きく見せる神楽の様ではないか。
「オラオラ。俺様たちの邪魔すんじゃねー! 当たると痛いぜ!」
 ティダは薄紅色の薔薇を割かせ、まるで鞭のように振るった。
 その茨で打ちすえ引き裂き、あるいは薔薇の花弁で切り裂いていく。
 五行思想で言えば木属性、その全てを利用して敵を倒すのだ。
「おい! こいつらを倒したいわけじゃねえ。道をこじ開けんぞ!」
「了解した!」
 ティダは薔薇の鞭で死者をその位置から引きはがし、千隼はその間サラカエルを食い止める。
 せめて新たな死者が利用されないように、仲間たちがサラカエルに迎えるように。
 二人はお互いの姿を見ずとも、何をしたいかくらいは判る。合図が必要だったら? そんなの眼でも耳でも、それこそバラの香りでも良いだろう。ずっと一緒に戦い抜いた仲なのだから。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV8になった!

フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
※ネメシス形態使用

燐寧さんと父親のことは、後はお二人の問題ですね。
願わくば、お互い後悔の残らぬ道を歩めますよう……。

それはそれとして、これ以上の死者への冒涜は見過ごす訳にいきません。
貴方はここで、消えていきなさい。

まず『輪舞曲』で精霊と憑依し機動力確保。
また、細剣にも魔力を宿らせてパラドクスの一撃とします。

敵が死者の軍勢を操るというのなら、まずはそれを掻い潜る必要がありそうですね。
包囲される前に軍勢の隙間を抜けるか飛び越えるかして敵に接近、そのまま細剣で刺突し、突撃の余勢を利用して敵を軍勢から引き離します。

軍勢からの攻撃は、ユリウスと共に魔力障壁を張って防ぐか受け流しです。


大和・恭弥
話は聞かせてもらったよ。
どんな理由があっても、死せる魂を捻じ曲げることは赦されない。
けれど、喪いたくない存在や感情があるのはわかる。
その心は大切なものだ。それを利己のために使った、真に赦されざる者。
お前だけは見過ごすわけにはいかない。

残留効果は適宜使用、仲間とは密接な連携を行う
燐寧さんの行動・方針を優先、燐寧さんと五月姫さんはディフェンス

妖刀「藍雪花染」を抜刀し、悲哀の呪詛を解放
飛翔で出来る限り速やかに攻撃範囲内に接近、秘技「秘技「虚無剣・花染雪ノ抹消」を発動し、真横に一閃する。
敵の攻撃は斬り拓いた虚無に呑み込み、敵を両断する勢いで振りぬく
足止めはこちらが請け負う。結末は燐寧さん次第だ。


白水・蛍
アドリブ・連携歓迎
ネメシス発動。(モーラットのエタンセライトとの合体ネメシス。少し子供っぽくなっている振る舞いになる)

よし、これで最後。
おとーさんの事は燐寧さんの間との問題だからね。
後悔だけはして欲しくないなあ。

タスティエーラを両手に計6本構えてとつげーき!!
そのままパラドクス発動!
タスティエーラ全部に電気を通して、バチバチっと全部薙ぎ払うよ!!
そのまま痺れて動けなくなっちゃえ!

相手の攻撃はタスティエーラで両断して切り払ってダメージを抑えるよ。
大丈夫大丈夫。

因果は巡り集う。
そして、その先にあるのはお前の死。この一撃が死への誘い。月は沈むもの。死は地の底へ!だよ!(難しい事を言いたいだけである)



「決戦ですか……よし、これで最後」
 白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)はモーラットのエタセンライトを呼んでフードを被った。
 すると声色が若干高くなり、どこか幼く見える。
 少しだけ猫背で膝も曲がっているくらいだが、それだけで頭一つくらい低く見えるから不思議だ。
「おとーさんの事は燐寧さんの間との問題だからね」
 蛍はエタセンライトとの合体によってネメシスモードとなった。
 黒白の柄を持ち魔力を通せば長剣サイズのブレードが現れる。
 両手合わせて六本の柄を握り込み、それぞれに刃を構築した。
「後はお二人の問題ですからね。願わくば、お互い後悔の残らぬ道を歩めますよう……」
「うん。後悔だけはして欲しくないなあ」
 フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)も白い翼を広げネメシスモードへ。
 相槌を打った蛍の様子に思わず笑みを浮かべる。
 いつもは凛とした蛍が、柔らかい笑みを浮かべて幼げに見えるのは不思議であった。フィーナも精霊を憑依させ始めたが、こんなに様相が変わる事はないから猶更だ。
「話は聞かせてもらったよ。どんな理由があっても、死せる魂を捻じ曲げることは赦されない」
 そんな中で大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)は呪われし刀の柄をギュっと握った。
 感情を凝らうこの刀が、迂闊に同情しそうになる自分の心を食らい、そして仲間たちの悲しみを優しく癒してくれれば良いのにと無い物ねだりをしそうになる。
「けれど、喪いたくない存在や感情があるのはわかる。その心は大切なものだ。それを利己のために使った、真に赦されざる者。お前だけは見過ごすわけにはいかない」
 そして抜刀しながら刀を構え、仲間たちに先んじて前衛となった。
 安い同情心や嫌悪感ではなく、ディアボロスとして仲間達を助けようと気合を入れ直す。
 悲哀を食らって育った呪詛を解放し、この力を敵に向ける事こそが決意の証しであると敵に向かったのだ。

 これに対してまずは敵の周囲に居る軍勢が邪魔である。
 仲間達の進路を妨害するという意味でも、その無残な姿から言っても許せまい。
「サラカエルに思う所はあります。それはそれとして、これ以上の死者への冒涜は見過ごす訳にいきません」
 フィーナは憑依した精霊の魔力を用い、ヤマネコのような身のこなしや時すらゆがめる思考力を得た。接近戦能力が向上するのは当然ながら、有り余る魔力を魔弾として放つ力を得る。
「貴方はここで、消えていきなさい。精霊達よ、我ろ共に舞い踊り、その大いなる力をここに示せ……!」
 フィーナはダンジョンペンギンのユリウスに背中を任せると突撃を掛けた。
 死者たちの群れを細剣で切り裂き、高速で敵陣を掻い潜る。
 包囲される前に上昇して飛び抜け、あえて敵よりも多少速い程度の速度で誘導していくのだ。
「―死してなお、存在まで滅された者たちの感情を思い知れ……!」
『死者は死者だ。ただの情報に過ぎぬものを有意義に利用して何が悪かろうか』
 恭弥は高速で飛翔し、絶望や公開の感情を呪詛の変えて解き放った。
 呪われた刀が喰らいし無念千万の思いだが、サラカエルはそれをただの情報だという。
 強大な力を持つ大天使でありながら、ジェネラル級ではない……蘇生も偽りである理由が透けて見える程の割り切りであった。だがそこにある傲慢へ怒りを想起する。
「その存在を利用された者たちの怒りを知れ!」
 恭弥は三日月の玉座から放たれるレーザーに貫かれながらも、決して目は敵から離さずに大鎌を押し切った。呪われし刃に力を込めて、俺の悲しみでよければくれてやろうとより一層に力を注ぎ込む。そして横一文字に一閃するや、レーザーの輝きが残らず中空に消えた。
「今だ!」
「ちゃんすだー。とつげきー」
 恭弥がボタン雪のような光の粉を舞い散らせる中、蛍は六本の刃と共に突撃。
 バチバチっと火花を飛ばしてみるか!?
 サラカエルが振り向いた時、既に間合いの中だ。薙ぎ払いながら雷電が刃より迸る!!
「そのまま痺れて動けなくなっちゃえ!」
『そうはいかん。これでも忙しい身でな』
 回転する刃が六本の剣を弾いていく。
 雷電がレーザーを押し切り、六本のうちのいくつかが守りを突破した。
 だがサラカエルは涼しい顔である。まだまだこんな物ではないかと言っているかのようだ。
「流石に一筋縄ではいきませんね」
「大丈夫大丈夫。因果は巡り集う。そして、その先にあるのはお前の死。この一撃が死への誘い。月は沈むもの。死は地の底へ! だよ!」
 フィーナと蛍は肩を並べて敵を抑えにかかった。
 たまに蛍の言う事が判らなくなるが、あんまり気にしてはいけない。
 エタセンライトと合体した影響で普段いわない事を言っているだけだ。……ユリウスとフィーナが合体してもこうはならないと思うのだが。
「足止めはこちらが請け負う。結末は燐寧さん次第だ」
 そんなことはともかく、恭弥は呪われた刃を振りかざし、サラカエルや死者の軍勢の足止めに向かったのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【猫変身】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV5になった!
効果2【ダブル】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV9になった!

不知火・紘希
燐寧さんの方向性をサポート
残留効果は優先的に使って連携

僕は「世界の彼方から望む」を発動して、風車を描き出して敵の動きを足止めするよ。
反撃にはサンライトブレイザーで受け流して、風に背中を押してもらいながら仲間が攻撃を入りやすくなるように時間稼ぎするね。

戦う燐寧さんの背中を見ながら思う
復讐者になってからの燐寧さんを、戦場でたくさん見てきた。
お話もしたし。……お父さんのこともね、少しだけど聞いたことある。

燐寧さんは人生も、過去も未来も受け入れて生きようとしてるよ。人は、輪廻の中で前に進むものなんだ。

サラカエル、君は燐寧さんやたくさんの人の魂を傷つけたね。
君が生み出した黒い靄は、この世界には必要ないよ


神田川・憐音
いやあたし過去の事あんま覚えてないんですけど
でも見据えられると心が軋む音がする
クソ親……家族……過去の過ちがきっとあたしにもある
これよりずっとハッキリ心の痛みを燐寧に押し付けてきたクソ天使を改めて赦さねーし?

失ったものと得られたものを単純に比較できる訳ないけど
それでも燐寧と出逢って貰ったものだっていっぱいあるし
返したい曲は一杯あるけど、今は―――来い、ギターザウルス!
ってコトで冗談(スケルツォ)みたいな発想を本気で具現化する曲
重厚だけどハイテンポな曲に乗せて雷霆と共にザウルスが暴れ回るよ
激しく変調し、でも最後は明るく軽快な曲調で〆るよ
2人の未来が月じゃなく太陽の明るさで満ちていますように的なね



「復讐者になってからの燐寧さんを、戦場でたくさん見てきた」
 不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は小さな体に決意を秘めていた。
 小さくて可愛らしくても、紘希は男の子なのだ。
 邪悪な敵に決して負けはしないし、そんな邪悪に立ち向かう仲間の思いを助けたいと思う。
「お話もしたし。……お父さんのこともね、少しだけど聞いたことある。燐寧さんは人生も、過去も未来も受け入れて生きようとしてるよ。人は、輪廻の中で前に進むものなんだ」
 紘希はペンと光の剣で二刀流。
 震える手で手で絵を描きながら、もう片方の剣は身を守る。
 その剣は自分を守るものか? いいや、仲間とその道を守る剣である。
(「なんだよ……負けてられねえじゃねえか」)
 神田川・憐音(天地を揺さぶる情動・g02680)はその小さな姿を見てズキンと胸が痛くなった。
 少年が恐れを隠さずに、それでも敵に向かっていく姿。
 それを見て、自分が負けてなる物かと勇気を奮い立たせる。
(「いやあたし過去の事あんま覚えてないんですけど。でも……見据えられると心が軋む音がする。だけど!」)
 憐音は先ほどから見てはならぬモノを見ていた気がするのだ。
 それは過去からの使者。失われた記憶による家族の再現。
 覚えていないからこそ、心が軋むその姿。だが、あんな小さな少年すら立ち上がるのに……とギリリと唇を噛んで勇気を奮い立たせる。
「クソ親……家族……過去の過ちがきっとあたしにもある。これよりずっとハッキリ心の痛みを燐寧に押し付けてきたクソ天使を改めて赦さねーし?」
 憐音は声に出す。
 言葉に出すことで、先に行こうと声を出す。
 声こそは彼女の力だ。だから勇気の証しに声を出す。痛みに強いリターナーに採っての痛みは心の痛み。だからそんな痛みに負けないと声を出した。
「失ったものと得られたものを単純に比較できる訳ないけど、それでも燐寧と出逢って貰ったものだっていっぱいあるし。返したい曲は一杯あるけど、今は―――来い、ギターザウルス!」
 憐音は刀の鯉口を切る様に、ギターをかき鳴らして身構えた。
 音こそは彼女の力。声と共に並ぶ彼女の力。
 痛みを乗り越える勇気は此処に! ならばこの力は共に戦う仲間の為に、苦難を越えて進もうとする友のために!

 憐音は暴君竜を音と植物で形造る!
 ギターをかき鳴らしてギターザウルスを操るのだ!
「少し飛ばしていくぜ。ついて来れるかい?」
「大丈夫! 僕の絵はもう完成する。さあ、行こう!」
 憐音がギターザウルスを突進させる頃には、紘希は風車の家を描いていた。
 レーザーを光の剣で受け止めながら、風に背を押されて少年が走る。
 ならば自分もマックスボルテージでハイに行こうじゃないか。暴君竜は雷霆と風と共に走り抜けるのだ!
『童しいことだ。無茶を子供の特権と言うならば、その報いを受けよ』
 サラカエルは大鎌で受け止めて、周囲にレーザーの閃光を散らした。
 閃光が貫くたびに少年は足を止めそうになり、邪眼が輝くたびにギターザウルスは足を止めそうになる。
「サラカエル、君は燐寧さんやたくさんの人の魂を傷つけたね。君が生み出した黒い靄は、この世界には必要ないよ」
「あの2人の未来にゃ雲なんざ要らない! 月じゃなく太陽の明るさで満ちていますようにってね!」
 だがディアボロスたちは止まらない。
 明日を掴む為、仲間達と共にあるために走り続けた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV3になった!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV5になった!

アイネリス・レナリィ
アドリブ絡み歓迎

魂とは巡り廻るもの。
それを妨げるお前の所業は、到底許せるものではないわ。
ここで報いを受けて貰う。

《吠え猛る日輪》を発動
常に動き回ってレーザーを回避、直接では無く移動先や隙を狙って来るものはその軌道を読み、先んじて大斧を振るい斬り払ってしまいましょう
レーザーをいなしながら接近を試みます

接近戦に至ればその大鎌へ斧を叩き付け、重量で抑え込みます
傷を負わせるよりは妨害を重視して間断無く攻撃を仕掛けていきましょう
こちらはサラカエルの妨害に徹し、後は燐寧さんたちにお任せします


ユエト・ミナヅキ
アドリブ連携◎

残すは宿敵の相手、サラカエルのみ
外野のオレが死に対してあれこれ言える立場じゃないが
一時でも蘇ることが出来たなら分かれの挨拶くらいで十分じゃないか
それ以上は強欲…ましてや自らの為だけに死者を利用するのはもってのほか
因縁に決着をつけるため、ここは援護に徹するとしよう

七八式汎用魔導ガントレット[黒揚羽]にカートリッジ『雪風』を装填
氷結弾を使った≪路地裏の掃除屋≫で死者たちの軍勢もろとも氷漬けにしてやる
完全に氷結できないまでも動きを鈍らせることはできるだろう

露払いは任せろ
さぁ、存分に戦ってくれ!


黄下・泉
アドリブ、連携は歓迎
符で自己強化して付与した術式で足技主体の格闘戦

あたしは、燐寧とは幾らかの縁はあったけど深い絆ってほどじゃない。
だから何を言える立場でもない。
けど、あたしも時代も近けりゃ歳も近い黄泉還りだ、他人事じゃない。
……エゼキエルの頃にあたしが死んでたら、うちもこうなってたのかな。
親が「仕方なかったんだ」って言う姿なんて、想像したくもないけど。
親にはさ、ちゃんとしててほしいものなんだよ。

レーザー、一条一条は致命的じゃないだろ。
僅かずつでも分解で相殺して、一気に突っ切る。
大天使の命には届かないのは百も承知だ。
玉座か大鎌。どっちでもいい、僅かでもいい。
この胸クソ悪い大天使の力を削いでやる。



「残すはサラカエルのみ。外野のオレが死に対してあれこれ言える立場じゃないが……」
 ユエト・ミナヅキ(兎印の何でも屋・g05751)は拳を握ったり、開いたり。
 そのたびにガントレットが乾いた音を立てる。
「一時でも蘇ることが出来たなら分かれの挨拶くらいで十分じゃないか。それ以上は強欲……ましてや自らの為だけに死者を利用するのはもってのほか」
「そうね。魂とは巡り廻るもの。それを妨げる奴の所業は、到底許せるものではないわ。
 ユエトの言葉にアイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)が頷いた。
 何かの偶然で蘇ったのであれば、良かったねで済ませることもあったろう。
 偶然の瞬間に挨拶だけでも躱せたら御の字だし、それ以上望むのは余程の奇跡しかあるまい。それなのに死者を操り、蘇ったと思わせるなど悪辣に過ぎる。
「あたしは、燐寧とは幾らかの縁はあったけど深い絆ってほどじゃない」
 そんな言葉を聞いて黄下・泉(リターナーの符術士・g08097)はしみじみと思う。
 そして我が身を省みて、肩を抱くようにして感触を確かめた。
「だから何を言える立場でもない。けど、あたしも時代も近けりゃ歳も近い黄泉還りだ、他人事じゃない」
 泉も思うのだ。
 もしエゼキエルの頃に彼女が死んだら、親が必死で何とかしようとしたのだろうかと。
 そしてその親がテロを計画して、『仕方なかったんだ』って言う姿なんて、想像したくもない。仲間が言ったように、親にはちゃんとして欲しいと思う。
「さあ、いこうか。だが因縁に決着をつけるため、ここは援護に徹するとしよう」
「OK! 邪魔者は蹴散らして、燐寧には本懐を遂げてもらわないとね!」
 ユエトは死者の群れに向けて走り出し、泉はサラカエルへと向かった。
 死人もレーザーも何のその、敵を倒すというよりは、その勢いを削がんと立ち向かっている。
「そうね。ここで報いを受けて貰う」
 アイネリスは泉の言葉に少しだけ疑問を思った。
 あの二人ならば、サラカエルなどもはや倒すべき存在としか思って居ないだろう。
 本懐と言うならば、恋人同士でラブラブするみらいではないかと思うのだ。まあそれはともかく、死者を操った報いは与えるべきだろうとも思う。
「くっ。中々痛いな。クロノス級は強いって知ってるけどさ」
「そういう事なら協力しましょうか」
 泉がレーザーを少しずつ分解しながら進んでいると、アイネリスが黄金の大斧を操って並び立った。
 無数の光の中から自分たちに当たるものだけを選別し、斬り払いながら少しずつ接近する。
 数が多いレーザーだが、ホーミングも合わせて機能優先である。突破して辿り着けないほどのダメージがあるとは思えなかったのだ。
「……向こうは何とかなりそうだな。さぁて――お掃除の時間だ」
 仲間を見守っていたユエトはバリアを展開していた手甲に、氷と風のカートリッジを装填。
 その力を宿す魔力弾の弾幕を張る事で、周辺一帯の制圧を始めた。
 死者の軍勢を凍り漬けにして、雑魚を倒すとともにサラカエルの動きを足止めしようとしたのだ。
「露払いは任せろ。さぁ、存分に戦ってくれ!」
「「了解!!」
 ユエトの援護を活かして、二人も一気に前に出た。
 レーザーに焼かれながらも、大鎌を振う敵に対して攻撃を掛ける。
『ちっ! 邪魔をする!』
「傷を負わせるよりはこの方が良いでしょう。間断無く攻撃を仕掛けて妨害に徹します」
 サラカエルの大鎌をアイネリスは大斧の重量で抑え込んだ。
 元より鎌は扱い易い武器ではない。
 アイネリスが蹴りの動きに連動させる大斧は、回転しながら押さえつけていくのだ。
「大天使の命には届かないのは百も承知だ。どっちでもいい、僅かでもいい。この胸クソ悪い大天使の力を削いでやる」
 ここで泉は反対側から蹴りを放つ。
 蹴りと蹴りの衝撃で挟み込みつつ、符を使って力を分解しようとする。
 奴が手に持つ大鎌か、あるいは玉座を分解しようとしたのであった。

 果たして……消え失せていくのは、地上に居る分身の方だ。
 サラカエルは序盤にその身を二つに分けてた。
 気が付けばその姿は少しずつ薄れているように見えた。まるで白昼に浮かぶ残月の様に……。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【罪縛りの鎖】がLV2になった!
【完全視界】がLV4になった!
【活性治癒】がLV8になった!
効果2【能力値アップ】がLV10(最大)になった!

シル・ウィンディア
獲物に贄、ねぇ…。
そんな余裕ぶれるのも今の内だよ?

人は弱いもの。
すがりたい、取り戻したいって気持ちはどこかにあるから。
でも、それを利用するのは…

ネメシスモード開放
白と黒1対ずつの翼を持った青銀の天使モード!

ここからは復讐の天使がお付き合いしてあげるから。
泣いても許さないよ?

敵パラドクスは
村が滅ぼされたあの時、わたしに力があれば、もしかしたら幸せに過ごしていたかもしれない。
でも、それは乗り越えた。
そして、だからこそ、ここでこうして大切な人達に出会えたんだ。
だから、歩んできた道に無駄なことなんかないんだっ!!

叫びと同時に高速詠唱で隙を減らし、全力魔法の七芒星精霊収束砲!
これが過去を乗り越えた力だよ


吉音・宮美
アドリブ歓迎
過去の自分が攻め立ててくるとすればそれは戦わずに音楽を奏でていることでしょう
どうせ居なくなる相手に演奏をしても無駄だと、今までもそうだったと……
だからこそ私は奏でるのを止めないんですやってきたことを本当に無駄にしないために

選択PDを発動
呼び出すは冥府下りの英雄オルフェウス、森の端から端までその音色を響かせたという彼と共に【演奏】を行うことでまだ施設に残っている信者の方々の心を癒すように【浄化】しつつ眠りに誘う音楽で敵を【精神攻撃】し隙を作ります

ここには燐寧さんに皆さんが居ます、だから戦いはきっと大丈夫
私は最後まで音を奏でましょう、裏切られてしまった人達に寄り添えるように



『いかんな。集めた力が霧散する。再び贄でも集めねば』
「獲物に贄、ねぇ……。そんな余裕ぶれるのも今の内だよ?」
 分身が消えつつあるのを見て、溜息を吐くサラカエル。
 何処までも他人事のようなその言いようにシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は不快感を覚えた。
 きっとこの天使にとって、仲間もその父である教主もどうでも良いのだろう。その傲慢さに報いを与えてやりたいが、その役目が自分ではない事も知っていた。
「人は弱いもの。すがりたい、取り戻したいって気持ちはどこかにあるから。でも、それを利用するのは……」
 シルは溢れる思いの代わりにネメシスモードを解放した。
 白と黒、一対ずつの翼を持つ青銀の天使となる。
「ここからは復讐の天使がお付き合いしてあげるから。泣いても許さないよ?」
『ははは。復讐とは神を信じぬものに対する罰を指す。貴様らの指導者は神だとでもいうのか?』
 シルは思わず厳めしいシメオン老人を思い出した。
 そして思わず頭から打ち消すほどに、ナイナイと苦笑して白銀の杖を構える。
「敵はこちらの話を煙に巻こうとしているだけです。話を合わせて疑わせ、迷わせるだけの詭弁。聞いてはいけません」
「そういえばさっき、詐欺師って言ってたね。うん、判ってる」
 吉音・宮美(限界ギリギリ狐娘・g06261)の言葉にシルは傭兵たちの言葉を思い出す。
 CCTSのメンバーたちは、サラカエルの事を詐欺師だと言っていたのだ。
 確かにその言葉に意味はなく、それらしいことを述べてこちらを混乱させようとしているのかもしれない。占い師だって、それらしい言葉で誘導する偽者が多いというではないか。
『不信な奴らめ。後悔することになるぞ』
「それは貴女が言うべき事ではありませんね……」
 宮美はサラカエルの言葉を無視した。
 代わりに二胡をぎゅっと握って、弦に弓を添えて弾き始める。
『どうせ居なくなるのに? みんな私を置いて行く……。そんな相手に演奏をしても無駄だと、今までもそうだったじゃない……』
「だからこそ私は奏でるのを止めないんです。やってきたことを本当に無駄にしないために」
 問いかける己の幻影に対して、宮美は言葉ではなく曲で返した。
 サラカエルの幻術は、己の心の傷を啓くものだ。
 だから誰も知りもしない言葉を投げ、その言葉が突き刺さる様に聞こえるのだ。だから偽りの言葉に言葉で応じるのではなく、曲で応じる。
『そんな力があるなら、もっと前に目覚めていれば……誰も死ななかったのに』
「……村が滅ぼされたあの時、わたしに力があれば、もしかしたら幸せに過ごしていたかもしれない。でも、それは乗り越えた」
 その時、シルもまた戦っていた。
 言葉のナイフが付く刺さり、萎える足を奮い立たせる。
「そして、だからこそ、ここでこうして大切な人達に出会えたんだ。だから、歩んできた道に無駄なことなんかないんだっ!!」
 シルは高速詠唱で呪文を唱えると、記憶の過去から力を取り出した。
 既に乗り越えた壁、既に乗り越えた別れ!
 あの時の思いを胸に、時間のエネルギーを中心に、六つの精霊の力を集約させたのである。
「これが過去を乗り越えた力だよ!」
『おの……れ……。時を戻し、この崩壊を無かったことに……』
 シルが放った父劇で、幻影のサラカエルが打ち砕かれた。
 その残滓を揺り戻そうとした時、音の調べが変化した。
「英雄の歌を。呼び出すは冥府下りの英雄オルフェウス、森の隅々へと歌を届けた彼の英雄を」
 宮美は曲を奏でて英雄の歌を唄いあげた。
 オルフェウスの物語は恋や愛、あるいは冒険もあるだろう。
 しかし、最も有名な話は悲しいものだ。
「神を説得し地獄の番犬すら眠らせるオルフェウス。しかし、その物語で誰も蘇らなかったのです。黄泉がえりの許可を受けていながら……」
 それは静めの歌。
 魔物を眠らせ、心を静め、涙無くしては語れぬ物語を紡ぐ力。
 宮美は悲しき物語を、次なる物語へと組み替える。知っているだろうか、その後に死んだオルフェウスの竪琴は……その偉大さと思い出を写したかのように星座へと置き換わるのである。
「ここには燐寧さんに皆さんが居ます、だから戦いはきっと大丈夫。私は最後まで音を奏でましょう、裏切られてしまった人達に寄り添えるように」
「そうだね。……騙された信者たちに罪が無いとは言わないよ。でも、優しく届くといいね」
 事実は変わらない。
 大切な人が死んだという事実は変わらない。
 騙されたという事も、そのためにやってはならないことに手を染めたことも。

 しかしサラカエルを倒せば、彼らも嘘に気が付いて前に進めるだろう。
 その事がせめて、優しく彼らに伝わると良いのだけれど。
 悲しい心に届けと、二胡の音が静かに奏でられる。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】がLV6になった!
【プラチナチケット】がLV2になった!

有栖川宮・永久
さあ、やりたい放題の悪行は終わりだよ、大天使。個人の勝手な欲望で多くの他人の人生を狂わせた、私は貴方を許さない。月は夜にだけでる。いずれは沈むものだよ。そして希望の朝が来るんだ。

敵は飛んで攻撃してくるか。じゃあ、私も【飛翔】するね。小細工なしに上から二振りの剣で力任せの一撃!!手加減無し、全力でぶった斬る!!

鎌の攻撃は範囲広いし、大天使なので、【ガードアップ】【残像】での防御は常に意識しておくね。

燐寧さんと五月姫さんが狙われるようなら【撹乱】【ダンス】で囮になる!!

燐寧さん、さあ、決着を!!貴方の選んだ道を、私は後押しするよ。


クィト・メリトモナカアイス
……あっ。なんか聞き覚えあるかもと思ってたら。
前に……どこだっけ、文京区?で見かけた天使。

あの時も言ったけれど。我はそういうのは好きくない。
汝死者の安寧を妨げ冒涜する者。
汝の名は語られず、刻まれず。
その身とともに、その霊魂もこの地で滅ぶべし。
守護者の姿であるネメシス形態に変身。

黄金猫拳打棒を手に「震わすは鬣なき獣」。モナカたちはお休みさせて死者の軍勢に向かう。
黄金猫拳打棒でぼかんぼかんと死者の軍勢を殴り飛ばして、燐寧が包囲を逃れるための隙を作る。
んむ、そっちは任せた。邪魔は入らないようにしておく。
その後も決着が着くまでは足止め。


ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!

さぁ、偽りの奇跡はもう終わり!
ここからはライブの時間よ!
(四肢のみ赤く染まる、第1ネメシス発動!)

敵の攻撃で現れるのは自身の幻影。
アナタが弱くなければ、事務所の皆は死なないで済んだのに。
サラカエルを倒しても、皆が戻ってくるわけじゃないのに。

確かに、この大天使を倒しても皆が戻ってくるわけじゃない。
……だからこそ!
過去を受け入れて前に一歩踏み出すために、倒さなきゃいけないの!
そうすれば、未来は必ず明るいわ!
燐寧に五月姫っていう大事な人が出来たようにね!

「高速詠唱」からの「全力魔法」の【飛入と渦動の五元光芒!】!
此処がアナタのラストステージ!
最後は派手に決めちゃって!燐寧!



 写し身の姿が消え去り、クリアな声が木霊する。
 どうなったのか状況を確認するため、ディアボロスたちも思わず戦いの手を止めた。
『おのれ。映し出されし貌の一端とはいえ我が身の一つを砕くとは』
 これまで浮かんで居なかった焦燥が見え隠れし始めた。
 何処までも他人行儀であったのが、自らの危機であると自覚したかのようだ。
「……あっ。なんか聞き覚えあるかもと思ってたら。前に……どこだっけ、文京区? で見かけた天使」
 クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は周囲が静かに成ったことで過去を思い出した。
 二重写しの姿が砕け散り、状況を確認しようと皆が手を止めたことで、おおもとの声に気が付いたのだ。
「あの時も言ったけれど。我はそういうのは好きくない。汝、死者の安寧を妨げ冒涜する者」
 クィトは思い出すかのように、裁きの告知であるかのように呟く。
 呟きは宣誓となり、周囲へと響き渡った。
「汝の名は語られず、刻まれず。その身とともに、その霊魂もこの地で滅ぶべし」
 その言葉にあまり意味はない。
 クィトにとっては『ブチのめすぞクロノヴェーダ!』くらいの意味合いだ。
 だが決意を示し、全力を解放する合図くらいにはなっただろう。ネメシスモードに移行することで、猫の尻尾と耳が生えたかのような姿になり、光背を背負って悪の始末を執行する。
「やりたい放題の悪行は終わりだよ、大天使!」
「さぁ、偽りの奇跡はもう終わり! ここからはライブの時間よ!」
 有栖川宮・永久(燦爛のアンフィニ・g01120)とソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)もまた仲間の雄姿に続いた。
 ソラは四肢を赤く染め上げ、手足の動きだけで周囲の光や音を放つ。
 声を拡大する杖を振えば、戦場全体に声を届けることも可能だろう。
「個人の勝手な欲望で多くの他人の人生を狂わせた、私は貴方を許さない。月は夜にだけでる。いずれは沈むものだよ。そして希望の朝が来るんだ!」
 永久は黄金に輝く剣と、エメラルドの輝きを放つ剣を握った。
 二刀を構えて走り出し、大天使を倒すために飛んで行く。
「いくぞー。我に続けー」
 クィトは浮遊するガジェットにお休みを出して黄金の棍棒を振るって死者の軍勢を殴り倒す。
 仲間達を大天使に送り届けるために奮戦し始めた。
「うん! ぶん殴ってやるんだから!」
(「この子たち……土台は良いのに、なんでこんな力任せなのにかしら」)
 永久が二刀を振り回してレーザーぶった切りながら突き進むのを見てソラは首を傾げた。
 アイドルを育成する銀プロの社長としては、美少女たちが脳筋なブル・ファイトに染まっている事が不思議なのだろう。
「まあ良いわ。何だかよく分からない力だけど、使える物は全て使って勝ち進むの、が、アイドル……」
 それはそれとして戦おうと決めたソラはパラドクスを使用しようとした。
 だが目の前に現れた姿に、暫し呆然となる。
『アナタが弱くなければ、事務所の皆は死なないで済んだのに』
 自分自身の罪を告発しているような気がした。
 そんな筈はない、だってそれは無理筋というモノだ。
 その前から都合よく能力に覚醒し、新宿に渡る前の段階から今と同じ強さなんか身に付けられない。
『サラカエルを倒しても、皆が戻ってくるわけじゃないのに』
 それは、そう。
 確かに、この大天使を倒しても皆が戻ってくるわけじゃない。
 でも……だからこそ!
「過去を受け入れて前に一歩踏み出すために、倒さなきゃいけないの! そうすれば、未来は必ず明るいわ! 燐寧に五月姫っていう大事な人が出来たようにね!」
 ソラは過去を振り切る様に杖を振った。
 悪魔の黒を中心に、四属性を示す四色の色彩を陣に込める。
 赤雷を放ち、自らの幻影と後悔と、悲しみを乗り越えながら……敵を討つのだ。
「お遊びはお終い。みんな本気になった、これは全て汝が行い。我が何にもしなくとも、汝は自らの罪が重さに苛まれる」
 クィトは死者を相手にしており、サラカエルと戦っているわけではない。
 だが周囲に溢れる軍勢を蹴散らすことが、仲間たちを敵の元に届ける事だと知っていた。
 ぼかんばかんと黄金の棍棒で打撃を浴びせ、その輝きと質量で死人の軍勢とサラカエルの勝機を追い落としていく。
「私は難しい事よくわかんない。だけど、あなたを許したらいけない事だけは判る。だから、とりあえず全力で殴る!!」
 永久は考える事が自分の役目では無い事を知っていた。
 考えるのは姉の役目、自分は危険を承知で進んでいき、困っている人を助ける役目だ。
 それが良い事か悪い事かは別にして、ハッピーエンドを取り戻すためにこの剣を振おう!

 そしてサラカエルもまた追い詰められたことを自認する。
『仕方あるまい。これだけはしたくなかったが……聖堂を使い潰すとしよう。お前たちを倒すことで、1から作るのではなく……0からやり直すことにしよう!』
 その時、天が割れた。
 地も割れて、普段は使わない季節の分までプラネタリウムが露わに成った。
 そして星々があるべき部分は全て、月の様に輝いている。サラカエルの翼に眼のような模様が浮かび、三日月のような玉座もまた怪しく輝き始めた。
「悪あがき。往生際が悪い……んむ、そっちは任せた。邪魔は入らないようにしておく」
「此処がアナタのラストステージ! 最後は派手に決めちゃって! 燐寧!」
「燐寧さん、さあ、決着を!! 貴方の選んだ道を、私は後押しするよ」
 クィトが、ソラが、永久が!
 それぞれの力で死者の軍勢を退け、サラカエルを足止めしている。
 足止めでは何も進まない。
 だが、この事態を打開し、明日へと進む人たちを知っていた。
 彼女たち二人がその先に進めば、この閉じた世界も終わりを告げて、明日を掴めるのだと知っていたのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】がLV5になった!
【託されし願い】がLV3になった!
【活性治癒】がLV9になった!

百鬼・運命
さて残りはサラカエルのみ
俺が奴の立場なら…数の差を埋める為に手駒を増やすか…信者を殺して操り人形にされても面倒だ

まず【避難勧告】で神殿内の信者を追い払おう
残された遺体も…操られる前に緋揚羽の爆発の炎で火葬して弔う方がいいかもな

しかし一里塚さんに父親の事は静観してほしいと言われたものの、傍から見れば父親も騙された口だからなあ…出来れば仲直りしてほしいものだ

父親だけでなく自分自身を許す気もないのだから、今の友達としては心配の一つもしたくなる

まあいつか許される気になった時の重荷にならない様、父親にも生きていてもらわないとな
戦う娘を助けにいかない様に【傀儡】で捕まえておこう


文月・雪人
プラネタリウム
偽りの空に映す偽りの月と星
成程、偽りの生で死を振りまくお前らしい祭壇だ
許せるものか、サラカエル

現れるのは『復讐』の意味を問う自分
クロノヴェーダは許せない
でもやられたからとやり返しても
奴らと何が違うのか

そうだね同じなのかもしれない
それでも止まる気はないよ
人々の生きた証を希望を未来へと繋ぎたい

有明月の笛で奏でるのはレクイエム
死者を悼み、生者の心を癒す曲
『共鳴結界』の浄化の力で悪しき者の動きを縛る

■磐雄さんへ
燐寧さんの事が心配ですか?
貴方にとても似てるから
そりゃあ友としても、危なっかしく思う事はあるけども
でもそれこそが彼女であり
彼女の意思で『生きている』証なのだと思います
だから、大丈夫



 プラネタリウムが崩壊し、その様相が変化する。
 機械の様であり、生命の様であり、またシルクスクリーンや幻燈のようであった。
「そうか。敷地や方位に妙な固執していると思ったら……」
「己の力を白道、月の運行そのものに置き換えていたんだね」
 魔法陣そのものと化すことで、魔法陣を整える行為そのものが自身を強化する。
 百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)と文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)はその絡繰りにいち早く気が付いた。
 そして窮地に陥ったサラカエルは、日月の精気を吸収した神像を一斉に廃棄。自らが作り上げた聖堂から、死に勝るエネルギーを取り出したのだろう。
「プラネタリウム……偽りの空に映す偽りの月と星」
「成程、偽りの生で死を振りまくお前らしい祭壇だ」
「許せるものか、サラカエル」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は敵の用意周到さとその邪悪さに吐き気を覚えた。
 一つ一つ文節を区切り、怒りと憎しみではなく、復讐者としての心意気を探し始める。
 暴虐の力で暴れ回りたいという気持ちを抑えて……周囲に満ちる、死の気配に目を向けた。
「さて残りはサラカエルのみの筈なんだが……。この様子だと、そうも行かないだろうな」
 運命はプラネタリウムの床に、壁に塗りこめられた死体を眺める。
 ミイラのようになっており、自ら犠牲となって即身仏にでもなったのだろう。
 もしかしたら、死に際して自分ではなく家族を生き返らせてくれと、祈る様に死んだ可能性すらあった。
「俺が奴の立場なら……数の差を埋める為に手駒を増やすか……。信者を殺して操り人形にされても面倒だし……残された遺体も……操られる前に炎で火葬して弔う方がいいかもな」
 運命は溜息を吐きながら呪符を二本の指に挟んだ。
 ソレをやるのは、可能性に行きついた自分の役目だろうと思う。
 そして崩壊していくプラネタリウムを見て、避難勧告を発令。目的の無い信者たちが去るようにしつつ、この状況でも残りそうな仲間の家族を探し始めた。
「しかし一里塚さんに父親の事は静観してほしいと言われたものの、傍から見れば父親も騙された口だからなあ……出来れば仲直りしてほしいものだ」
 運命は理論的に教主の責任について判断したが、そこまで同情したわけでもない。
 むしろ仲間の方が、『全ての問題を起こしたのはパパだから、自分も許せない!』という状態なのを気にしている。友人としては心配の一つもあるが、仲間から見れば同情して欲しくないのも判るから、説得しようとは思わないだけだ。

 運命は階下に向かいながらサラカエルであるプラネタリウムを爆破始めた。
 そして同時期の雪人もまた、その場にいないサラカエル……プラネタリウムの機能と戦っていたのである。
『復讐の意味とは何だろう。そこまでするものかな? まあ許せないのは判るんだけどさ』
『でもやられたからとやり返してもクロノヴェーダと何が違うの?』
『それなら面白おかしく暮らした方が良いじゃない。きっと誰かがやってくれるよ』
 プラネタリウムの星が変化した月。
 それら全てがサラカエルの目でもある。
 月の紋様を目に入れた瞬間に発動する幻術は、雪人と同じ顔でニコヤカに笑っていた。
「そうだね同じなのかもしれない。それでも止まる気はないよ。ただ……」
 雪人は目を閉じて愛用の竜笛を取り出した。
 死者を悼み、生者の心を癒す曲を奏でながら幻影の干渉へと抗っていく。
「人々の生きた証を希望を未来へと繋ぎたいんだ」
 パラドクスによる音の結界を張、その中を浄化。
 そして仲間が向かった方向へ移動し、残って居る信者や関係者への対策に協力しようとする。
「なんだ……何が起きて……」
「やっぱりか。緋揚羽ノ舞イテ焔如セ」
 階下では運命によって埋め込まれた死体が破壊され、戦いに動員された死者を炎で弔っている。
 避難勧告が明滅する中で、意志を持って抗おうとする者へ声を掛けようとした。
「まあいつか許される気になった時の重荷にならない様、父親にも生きていてもらわないと……」
「そこからは俺が引きつごう。燐寧さんの事が心配ですか? 貴方にとても似てるからそりゃあ友としても、危なっかしく思う事はあるけども」
 運命が傀儡の呪を使おうとしたところで、雪人が担当を交代した。
 あくまでも娘を助けようと元の場所へ戻ろうとする男へ声をかける。
「娘の友達なら邪魔しないでくれ! あの子を助けに行かなくちゃ……あの子は昔から無理してばかりなんだ! 生きていたいとか、死にたくないなんてずっと言わなかった!」
「でもそれこそが彼女であり、彼女の意思で『生きている』証なのだと思います。だから、大丈夫」
 無茶をする娘を助けようと、同じように無茶をする父親。
 雪人は親子だなと思いつつ、優しく話しかけたのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】がLV3になった!
【クリーニング】がLV5になった!

薬袋・明莉
【防衛部】
ネメシス解放、全力でぶっ潰す
!人の心を弄んだ報い、受けて貰うぞ

パラドクス発動、地形を利用したアートと罠使いのトラップに大天使を誘い込み引きずり落として時間稼ぎ
【泥濘の地】【罪縛りの鎖】で確実に足止め

相手パラドクスの過去の俺が無駄とかしゃしゃるなとか言うのは耳栓付けて全無視してダッシュ、奴の顔面めがけてグラップルでパンチ
義手から放つ逆噴射で威力ブースト

効くだろ?燐寧サンのはこんなもんじゃねえぞ!

戦後に磐雄さんのフォロー
これからどうすりゃ良いかって?知るかよてめぇで考えろ
ま、今まで殺した以上の人を助けていけばいつか誰かに赦される日はくるだろうな
アンタの娘みたいにさ
アドリブ絡み歓迎


月下部・小雪
うぅぅ、お母さん……お父さん……。
あの時、サラカエルがいたら……ボクも燐寧さんのお父さんみたいに騙されたかも、しれません。
で、でも、クロノヴェーダの力になんて頼りません。
ボ、ボク自身の力で悲劇は止めて、みせます。

ホーミングレーザーを「魔力障壁」で受け止めて、近寄って大鎌で攻撃してきたところを反撃、です。
コダマが「コダマVキャリバー」で攻撃を受け止めて、そのまま【コダマ・回転斬り】をお見舞いです。
す、隙は作りました。燐寧さん、五月姫さん、トドメの一撃をお願い、します!

※アドリブ連携大歓迎



 プラネタリウムが崩壊し、周囲がサラカエルの力に染まっていく。
 その光景を誰もが冷静に眺められたわけではない。
「うぅぅ、お母さん……お父さん……」
 その時、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は涙目であった。
 モーラットのコダマが裾を引いて大丈夫なのかと聞いているほどだ。
「あの時、サラカエルがいたら……ボクも燐寧さんのお父さんみたいに騙されたかも、しれません。で、でも、クロノヴェーダの力になんて頼りません」
 小雪は思わず幻影を見そうになって、慌てて視線を反らした。
 自分でも自覚があるからこそ、幻影の言葉を聞かないようにしている。
 もしかしたらコダマもその事に気が付いて、巧みに自分へ視線を誘導したのかもしれない。
「ボ、ボク自身の力で悲劇は止めて、みせます」
 そう言って小雪は立ち上がった。
 勇気を奮って立ち上がった。
 正直言って、まだガクガクブルブルしているけれど、勇気奮って立ち向かう事にしたのだ。
「その意気だ!! 人の心を弄んだ報い、受けて貰うぞ」
 薬袋・明莉(情熱のアーティスト・g02002)は髪をかき上げ巨大なインクローラーを振り回した。
 全力を解放してネメシスモードと成り、サラカエルを倒すぞと勢い込んだのである。
「しっかし、階下におっことされるたあやってくれるじゃねえか。あいつも同じように引きずり落としてやらねえとな」
 そう言って明莉は周囲を見渡した。
 敵地であろうとも地形は地形だ。
 自分が戦い易く、相手には戦い難い場所へと引きずり込むのが戦術の鉄則である。

 そして崩落する第二層と共に戦場が移り変わる。
『そんなことをしても無駄だぜ。どうせ……』
「聞こえても聞こえねーよ!」
 明莉は耳栓をする事で、一種のコンセントレーションを掛けた。
 実際には幻覚なので、聞こえたと思うのは自分自身だ。
 だが、『耳栓があるから聞こえない筈!』と気合を掛けることで、なんとか耐えようとしたのである。
「おら! いくぞ」
「はっはい!」
 明莉が地面を泥濘化して義手からのブーストで飛ぶと、小雪も追随してレーザーを魔力障壁で受け止めて行った。
 そしてなおも何か言おうとする自分の幻影に対し……。
「しゃしゃり出んな。てめーの出番はねえよ」
 罪縛りの鎖はディアボロスやクロノヴェーダには効かない。
 だが、精神的な幻覚である自分の姿に対して、攻撃代わりに鎖で縛ろうとするくらいはできる。
 そして泥濘化した床は、何処かに隠れている筈のサラカエルの動きを止めるためだ。
「そっか。プラネタリウムとどうかしてるって事なら。そこだ! はっ! 効くだろ? 燐寧サンのはこんなもんじゃねえぞ!」
 明莉は周囲にある月の紋様であり、サラカエルの目に対して殴りつけた。
 壁を叩いているのとは違う、不思議な感覚が帰って来る。
「コダマの回転斬り、です!」
 そして壁の中から出て来る三日月の刃を、コダマが大剣で受け止めたまま回転を始める。
 グルグルと回転して壁を疾走し、周囲にある月の紋様を次々に切り裂いていくのだ。
「す、隙は作りました。燐寧さん、五月姫さん、トドメの一撃をお願い、します!」
 そして小雪は仲間に声をかける。
 彼女は崩れていくプラネタリウムの一角で、父親に最後の声を掛けようとして……。
 意固地な事に、後回しにしていたのだ。ずっと声を掛けたそうなのに決してしゃべらないぞと、我慢しているかのよう。
「これからどうすりゃ良いかって? 知るかよてめぇで考えろ。ま、今まで殺した以上の人を助けていけばいつか誰かに赦される日は来るだろうな。アンタの娘みたいにさ」
 明莉も宣告なのか、それともフォローともつかない声をかけて落下して来る残骸の対処に向かった。
 このままでは仲間も安心して戦えまい。だから小雪たちと一緒に残骸を跳ね除ける作業である。
 何とか自分たちが時間を稼げば、仲間も声をかけることもできるだろう。
 サラカエルを倒せるか? そんな事は当然だと思い、声をかける時間を稼ぐためにこそ向かうのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【過去視の道案内】がLV2になった!
【神速反応】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV6になった!

一里塚・燐寧
大天使の光輪を戴くネメシスに変貌
色んな力がある中で、あんたをブッ殺すならこれって決めてたよ

全速力【飛翔】で包囲を逃れて敵の頭上を取り
≪テンペスト・レイザー≫で『屠竜技:神滅落月斬』を放ち真っ二つに両断
落ちろクソ天使、月はもう沈む時間だよぉ!

戦後、ママの姿の何かが居た所に一房の髪を見る
ねぇ父さん
流石に目が覚めたでしょ

なんやかんや言ったけど、父さんが本気出したらスゴイのは覚えてるの
一代でお金持ちになったんだもん
そんな人だから……乗り越えられるって信じてる
娘のあたしだって、罪に負けずにどっこいやってるんだよ

過去に踏み止まることは誰にもできないから
お互い、それぞれの場所で……先に進んでいこうよ、父さん


瀧夜盛・五月姫
逃さない、よ。冒涜者。
数多の死を、汚した、不届者。
醜い醜い、黄泉醜女。
姫、言った、よね。姫の燐さん、傷つけた貴女、タダでは、赦さないって。
復讐という、炎(かぎろい)を前に、奈落へ墜ちて、もらう、よ。

夜叉(鬼)の姿に、ネメシス化。
逃げ“道”は【防衛ライン】で塞ぐ、よ。
この先は、通行止め。たとえ、抑えられる時間、一瞬、だとしても、その鎌が姫に振り下ろされようとも、構わない。
燐さんと貴女、死者たちと貴女、そしてディヴィジョンと貴女との“縁”、断つ。これはそのための、【捨て身の一撃】。
今日で幻月を、見上げる夜はもう、お終い。
新たなる、日の出へ繋ぐ。そのために、貴女を水神様の【呪詛】で……【薙ぎ払う】!



 月の紋様が、プラネタリウムに描かれていた。
 だが、それらはディアボロスたちが削り取っていく。
 外壁や床に埋められた死体も、それぞれ浄化されていった。
「逃さない、よ。冒涜者」
「数多の死を、汚した、不届者」
「醜い醜い、黄泉醜女」
 瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は崩れ落ちていく外壁を雪のように見ていた。
 そんな物は感傷と同じで、雪だろうが雨だろうが、建物であろうが同じことだ。
「姫、言った、よね。姫の燐さん、傷つけた貴女、タダでは、赦さないって。復讐という、炎(かぎろい)を前に、奈落へ墜ちて、もらう、よ」
 月の紋様が減り、光の照射が減っていく中で……。
 サラカエルの居場所が特定されていった。
 仲間のディアボロスたちの活躍で、本体の居場所が見つかったのだ。五月姫はその場所を睨んだ。
「あはっ。光があんたの正体って訳だ。きっとジェネラル級に至れるであろう裏技知ってるけど、話してあげないよぉ」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は揺らめく邪な光に笑いかけた。
 サラカエルは幾多の名前を持つ。それは表記ゆれとも言われるが……。
 この敵に関して言えば、光の揺らぎのような物なのかもしれない。ジェネラル級の中に語源が同じ存在が居たので、運命によっては逆だったかもしれないなあ……と思うのだ。
「まあいいた。色んな力がある中で、あんたをブッ殺すならこれって決めてたよ」
 燐寧は大天使の光輪を戴くネメシスモードを取った。
 全力を発揮する形態の中で、目の前の天使に対する皮肉の姿である。
『ダマレ! だまれ。黙りおろう! 来たれ、キタレ、きたれ!』
 サラカエルは死者の怨念を兵士へと変えた。
 既に埋め込んだ死体は存在しない。仮想現実と違って材料なくして無限には呼び寄せるのは難しいだろう。
 そして先ほどまでトループス級として使っていた……母親たちの再現体もまた、火葬されたり浄化されていたのだ。
「この先は、通行止め。たとえ、抑えられる時間、一瞬、だとしても、その鎌が姫に振り下ろされようとも、構わない」
 五月姫もまたネメシス形態に移行し、角を生やした夜叉の姿になる。
 鬼にして四天王の使いとされる夜叉の姿だ。
 彼女は恋人に決着をつけてもらうため、絶対に敵を逃がさない覚悟を決めていた。
「五月姫ちゃーん。それは駄目だよぉ。五月姫ちゃんに……何でもない」
「姫に色々するのは誰? うん。それは燐さん。予約があるから、傷ついてあげられないね」
 恋人たちはそんな風に笑って向かい合った。
 一人はサラカエルの後ろに、もう一人は正面から。
 君を、君を愛している。例え姿を直接見えずとも、心の目で見つめていると微笑み合った。

 例え今は使われない筈の幻影を受け、弱い自分が淘汰としても。
 君がくれた大切な強さがあるから、問題なんかないよと笑って力を振う。
「燐さんと貴女、死者たちと貴女、そしてディヴィジョンと貴女との"縁"、断つ。これはそのための一撃。捨て身の一撃にして、必ず生き残ると決めた渇望の一撃! 我が一撃は……」
 五月姫は一足早く走った。
 揺らぐ光で構成されたサラカエルから放たれた、極太のレーザーを跳ね除けながら。
「今日で幻月を、見上げる夜はもう、お終い。……これは! 新たなる、日の出へ繋ぐ一撃!」
 月の向こうに、サーチライトが浮かぶ。
 それは違うと五月姫は自分に告げた。
 それは気まぐれなエンジェル。君は誰? そう、決まっている! 目と目が合わなくとも、その先が希望の明日だと知っている!
「あたしは、ここであんたと縁を切る!」
 燐寧は薙刀の斬撃が光を切裂く姿を見た。
 合わせて自分も駆け出している。死霊たちを切裂き、死者として操られる運命を切裂く。
 止まった心臓の代わりに心に竜の鼓動が騒めき、鎧が走って武装する。戦え、守れ、戦えと。
『おおおおおお!!』
「落ちろクソ天使、月はもう沈む時間だよぉ!」
 思えば、光だけの存在となったことでサラカエルもまた死霊のような物だ。
 既に本体も無くし、ディアボロスを抹殺して作り替えようとした体も無い。
 燐寧と五月姫に挟まれた時点で、まるで虚数に消えた駆逐艦の様に……サラカエルは爆散して消え失せたのである。

 そして刻限が迫る。
 父親が避難の途中で、ずっと動かなかった場所を見て……そこにあるナニカを見て娘はようやく口を開いた。
「燐寧……」
「ねぇ父さん。流石に目が覚めたでしょ」
 父親の言葉に娘は苦笑しながら応じた。
 この期に及んで答えない等という気はない。
「なんやかんや言ったけど、父さんが本気出したらスゴイのは覚えてるの。一代でお金持ちになったんだもん」
 そんな人だから……乗り越えられるって信じてる。
 燐寧はそう告げたのだろうか?
 後で聞いたら、五月姫はそう言ったと信じるだろう。
「娘のあたしだって、罪に負けずにどっこいやってるんだよ。過去に踏み止まることは誰にもできないから」
「燐寧……」
 ずっとそればっかりじゃない……。
 などとは言わなかった。親子だもの、そのくらいは通じ合う。
 申し訳なくて言い出せない事、この機に言いたい事。山ほどあって……それでも溢れる思いを口に出来ないことがわかるのだ。
「お互い、それぞれの場所で……先に進んでいこうよ、父さん」
「そうだな。そうだな……」
 娘の言葉に父親はようやく言うべき言葉を見つけたようだ。
 最後まで意地っ張りで、そして娘に対しては口下手な父親は……。
「娘をお願いします。不器用な子ですが、優しい子ですから」
「知ってる。うん、姫は知ってるよ。……はい、よろしくお願いします」
「父さんったら……もう!」
 父親は娘には何も言わずに、恋人に娘を頼むことにした。
 そして苦労を掛けると伝えて、頭を下げるのだ。
 そして最後に一つだけ。
「幸せにな」
「違うよぉ。もう幸せなの」
 不器用な親子はそんな風にして別れた。
 そして娘は思うのだ……先ほぞからずっと風が吹いている。
 なのに、どすいて母親の姿をした何かが居た場所に……一房の髪がそのまま残っていたのだろうか?

 きっと一緒に何かを告げたかった誰かが居たのではないか……。
 そして、言うべきことを父親が言ったから、母親もまた去ると同時に……髪が吹き流されていったのではないかと思うのだ。
「燐さん。かえろ」
「うん」
 こうして恋人たちは宿縁を断ち切り、仲間たちと共に新宿へ帰還した。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】がLV12になった!
【隔離眼】がLV3になった!
効果2【アヴォイド】がLV5になった!

最終結果:成功

完成日2023年03月23日
宿敵 『月光の慈眼・サラカエル』を撃破!