リプレイ
ニア・マシュマリー
【パラドクス通信】を使ってここでの会話をみんなに……。
みんなの声がニアに届くようにしておくね……。
ニア……。お姉さまに言いたいことがあるの……。
このぬいぐるみをくれた時……。その時だけはお姉さまからも優しさと愛情を少しだけ感じた気がした……。
だけど……。結局お姉さまはニアの家族を奪った時と同じ酷い時のままで……。
ねぇ……。お姉さまにとって自分以外の人はどういう存在なの……?
良いお返事はこないと思う……。だから……。
あなたをお姉さまって呼ぶのはもう終わり……。
ホールで決着をつけましょう……。アルカード。
アルカードを挑発してからお城の中央にあるホール位置をみんなに伝えつつニアもそこを目指すね……。
●愛情と真実
パラドクストレインが向かう先。
其処は冷たい氷雪に包まれた吸血鬼の城。
静謐に満ちた世界に満ちているのは恐怖だけ。絶対の君主として君臨するアルカードによる虐殺は留まらず、子供達は彼女の気まぐれによって連れ去られる。
それがいつ、自分達の番になるか。そのように皆が怯えて暮らすのが当たり前の世界が此処だ。
アルカードの趣向は幼い子供に自分を姉と呼ばせること。
彼女がどうしてそのような好みを持つようになったのかは誰も知らない。嘗てその理由を話された子供もいるのかもしれないが、彼や彼女達は皆、飽きたという理由で捨てられている。
アルカードは幾度も、何人も――もしかすれば何十、何百人もの犠牲者を出しているのだろう。
時空移動列車の中、ニア・マシュマリー(いつの間にか吸血鬼・g07451)は決着を付けることを強く誓っていた。
やがて、パラドクストレインが過去の世界に近付いた刹那。ニアの姿は其処から一瞬で消え去り、嘗ての彼女が殺された場所――アルカードの城の地下室に飛ばされた。
「痛っ!」
聞き覚えのある声が耳元で響き、『彼女』が後ろに下がる。
あの日、あのとき。そのままの光景がニアの目の前に広がっていた。
ニアは改めて、此処が過去なのだと実感する。今は過去のニアがアルカードに殺された日。しかし今、ニアはその死を覆すと同時に、未来への憂いと被害を消し去ろうとしていた。
本来ならば彼女はこのまま激昂してニアを死に至らしめるはずだ。
されど、そのアルカードは異変に気が付いていた。
「アタシの城に侵入者!? それにニア……アンタ、その姿は――」
アルカードからすれば、これまで可愛がっていた少女の姿が変わっているわけだ。それだけではなく自分の城に侵入者が現れている気配までしている。
ニアは棺から身を起こし、口許に付いた血を拭った。ニアが訪れたタイミングは過去のニアがアルカードの血を取り入れた瞬間だったのだろう。口の中に鉄の味が広がっていることを感じながら、ニアは真っ直ぐにアルカードを見据える。
「何よ、その視線。どうなっているのよ!」
「ニア……。お姉さまに言いたいことがあるの……」
混乱しながらも警戒を強めるアルカードに対し、ニアは語っていく。
その腕の中には黒い猫のぬいぐるみが抱えられていた。パラドクストレインに乗っているときも無意識に抱きしめていた人形だ。この子は記憶を失ってからもずっとニアの傍にいた。
記憶を取り戻したニアにとっては苦い思い出に繋がるぬいぐるみだが、大事だったことは変わらない。
何故なら、この子にはたくさんの思い出が宿っている。
何も覚えていないことに不安になり、黒猫を抱いて幾つもの夜を越えた。誰かがニアのためにくれたぬいぐるみだということだけは覚えていたので、不思議と愛着も湧いた。
それは父と母がニアの友達として連れてきてくれた黒猫のシャルルと、無意識に重ねていたからかもしれないが――。
「お姉さまは……。このぬいぐるみをくれた……」
「ええ、そうよ。このアタシが直々に探してきてあげたのよ」
「そのときだけは……。ニアね……。お姉さまからも優しさと愛情を少しだけ感じた気がしたの……」
「だから何だっていうの?」
アルカードはニアを睨み付けている。
ニアが噛みついたことで刻まれていた肩口の傷はいつの間にか塞がっていた。きっとクロノヴェーダとしての力を使い、己を修復したのだろう。
相手が鋭い敵意を向けていることを感じ取りつつ、ニアは首を横に振った。
「だけど……」
結局、アルカードはニアの家族を奪ったときと同じだった。残酷さをあらわにしたアルカードはお気に入りだったはずのニアまで殺してしまった。
ひとつでも気に入らないことがあれば切り捨てる。
そんなことを繰り返しているアルカードはどうしてか、とても哀れな存在に思えた。あの頃のニアはただ恐怖していただけだが、様々な経験を経た今のニアはアルカードを真正面から見つめられるようになった。
そして、ニアは問いかける。
「ねぇ……。お姉さまにとって自分以外の人はどういう存在なの……?」
「自分以外? そんなの、ただのモブよ」
「モブ……」
「アタシを輝かせるための装飾品、アタシの為に死んでいく道具! そういうものよ。この世界はアタシのためだけにあるの。だから歯向かうやつや裏切ったやつは八つ裂きにされるのが当然でしょ?」
アルカードはそれが当たり前だという言葉を返した。
そして、彼女はニアをじっと見つめる。その眼差しには強い執着のような感情が宿っていた。
「でもね、ニア。アンタは特別だったわ」
「ニアが……?」
「本当はアタシ、モブの名前なんて覚えないの。呼んですらやりたくないわ。だけどアンタはヴァンパアノーブルになって強大な力を発揮する可能性があった。本当の意味でアタシの妹になるはずだったのよ」
「ヴァンパアノーブルにニアが……?」
「そうよ、アタシは血を分けた姉妹が欲しかったの。ただ仲間にするだけじゃない、アタシだけの特別な妹。その素質がある子を探すのにどんなに苦労したか。ニアを見つけた時、絶対に欲しいと思ったわ。だから邪魔な両親も猫も殺してやった。変な未練があったらニアだって困るでしょう?」
アルカードは更に語る。
暫くは人間のままニアを自分好みの従順な妹に教育しようと思っていたらしい。それゆえに人形のようになっていたニアに彼女なりの愛情を注いだ。世話役のモブ達に任せずに自分でニアの世話をしたのだ、と。
ニアの身体が僅かに震えた。
このヴァンパアノーブルは何を言っているのだろう。
それだけ。たったそれだけのために、ニアの大切な家族を。みんなを。
自分の欲を満たすべく、ニアの未練を消すなどという道理の通らない身勝手な考えのために――。
「ニアの……。力……」
「予想通り、アンタはもうアタシの力の一部を手に入れているみたいね。すぐにわかったわ。それは別にいいのよ。だって姉妹になるはずの子だったもの」
だけどね、と付け加えたアルカードは身を翻す。
自分の肩に触れた彼女はそっと振り返り、冷たい眼差しをニアに向けた。肩に噛みついたことはアルカードにとって絶対に有り得ない裏切りと見做されたらしい。
「アタシに歯向かったアンタはもう終わり! 死を以て償わせてやるわ」
アルカードは挑発的な眼差しをニアに向けた。
ただ殺すだけではなく、処刑のようにじわじわとニアを甚振ってやるつもりらしい。
「来なさい、アンタが死ぬのに相応しいのはこんな地下室じゃないわ。どうせこの城からは出られないでしょうし、特別な場所でじっくりと痛みを味わわせてあげる。……アンタを助けに来たらしい、どこぞの奴らと一緒にね!」
そういって高笑いを響かせたアルカードは階段を登っていく。
おそらく自分の能力に絶対の自信を持っており、ニアが一人では手出ししてこないことが分かっていたのだろう。侵入者がいることも既に知っているアルカードは全員をまとめて相手する心算のようだ。
その背を見つめたニアは静かに頷く。
「わかった……。あなたをお姉さまって呼ぶのはもう終わり……。ホールで決着をつけましょう……」
ニアにはアルカードが語った特別な場所が分かっていた。
それは彼女がいつも見飽きたモブ達を痛めつけ、無惨な死を与えていた部屋――豪華絢爛な大広間だ。ヴァンパアノーブルの足音が遠ざかっていく中、ニアは仲間達が必ずホールに駆け付けてくれると信じた。
そして、少女は歩き出す。
「――アルカード」
言葉にした名に込められていたのは復讐を遂げるための決意。
過去を乗り越え、未来へと進むための一歩は、此処から確かに刻まれていく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
クリスティーナ・アストロイア
「…ニア様。無事でいてください。」
星杖と星剣を携えて参戦
「…悪魔、契約。その力を寄越しなさい。」
パラドクスを発動。梟型の悪魔を召喚し、契約することで能力向上。
様々な属性の魔術をパラドクスによって強化された状態で放つ。
星剣や星杖を用いて攻撃魔術を高速詠唱・及び連続魔法で繰り出してゆく。
主に援護等をメインに。
「…この子達も、ニア様と似たような境遇なのでしょうか。でも、運が…縁がありませんでしたね。さようなら。」
「…次があるのなら、平穏に生きられますように。」
情けをかけるような言葉を紡ぎつつ、戦闘は非常を行う。
共闘・アドリブ歓迎
使用可能なエフェクトは可能な限り使用
一里塚・燐寧
ここがニアちゃんの記憶のセカイ……
冷たくて寂しくて、声も届かない暗闇の中みたい
こんなとこにほっとけないや。1秒でも早く友達を助けに行くよぉ!
≪テンペスト・レイザー≫を携え城門前へ
前衛役として敵に突っ込んでいき、『呪式:爛離骨廃』を発動させて斬りかかるよぉ
相手もかわいそうな子たちだけど、容赦はナシ
全力の一閃を浴びせて、せめて一思いに解体したげるよぉ
反撃のオーラには分厚い刀身を横殴りに叩きつけ、吹き飛ばしによるダメージ軽減を試みるねぇ
敵を殲滅し終えたら、ネリリちゃんから【パラドクス通信】を借り
仲間と協力・情報共有して城を探索しつつ、ニアちゃんにも言葉を伝える
すぐ行くから、もう少しだけ持ちこたえてっ
シル・ウィンディア
※ニアさん→ニアにゃん
と呼びます。
わたしはわたしにできることを。
さぁ、道を切り開かせてもらうよっ!!
門の前ってことなら、多少は上に空間はあるかしら?
あるなら、少しだけ舞い上がってから…
世界樹の翼type.Bからの誘導弾を敵陣の足元に撃ち込んで牽制。
牽制しつつ、高速詠唱を行ってから、天翔残影砲っ!
まとめて撃ち抜かせてもらうからっ!!
敵の攻撃は、光の翼を体の全面に展開して防御して致命箇所を防ぐよ。
攻撃しながらも敵の動き見て、気づいたことはパラドクス通信で共有。
ディフェンス可能な人がいたらディフェンスを行うよ
後は、ニアにゃんを待つだけ…。
想いをしっかり伝えてきてね
声は聞こえなくても伝えたいな
白水・蛍
アドリブ/連携○
ニアさんも大事な仲間ですもの。
私にも手伝わせてください。
パラドクス発動。
この曲は未来への凱歌。
ニアさんと我々の未来への羨望を、未来へ進む為の勇気を。未来への希望を。その背を押す為の歌。
対して敵には閉ざされし幻滅を。留まる怯懦を。過去へ捕えられる絶望を。
我々の足は未来へと向き、汝らの足は過去に留まる。
さあ、参りましょう!
●少女の運命
パラドクストレインがアルカードの世界に到着した。
この世界に入った瞬間に宿敵の元へ転移されたニアの気配を追い、復讐者達は駆けていく。
「……ニア様。無事でいてください」
「ここがニアちゃんの記憶と過去のセカイ……。何だか冷たくて寂しくて、声も届かない暗闇の中みたい」
クリスティーナ・アストロイア(星視の魔女・g03092)は少女の無事を願い、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は静かに辺りを見渡した。
雪と氷に覆われたこの場所は孤城と表すに相応しい。
「わたしはわたしにできることを。さぁ、道を切り開かせてもらうよっ!!」
「ニアさんも大事な仲間ですもの。私にも手伝わせてください」
シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)が決意の言葉を口にすると、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)も仲間を救うための思いを抱く。
ニア以外の者がまず突破しなければならないのは城門だ。
既に侵入者の気配を察したアルカードの配下達が門の守備に集まってきている。シルは即座に飛翔の力を巡らせ、少しだけ舞い上がる。そして、先手必勝とばかり世界樹の翼からの誘導弾を敵陣の足元に撃ち込んで牽制した。
其処から高速詠唱を行っていき、解き放つのは天翔残影砲。
「まとめて撃ち抜かせてもらうからっ!!」
シルが撃ち出す魔力砲撃の連射が敵を貫いていく。
それに合わせてクリスティーナが星杖と星剣を構え直し、狙いを定めた。
「……悪魔、契約。その力を寄越しなさい」
――アルカナコード・ザ・デビル。
パラドクスを発動させたクリスティーナは梟型の悪魔を召喚し、契約を行使することで己の能力を向上させた。星剣と星杖を用い、攻撃魔術を高速で詠唱した彼女は容赦のない一撃を繰り出してゆく。
対するヴルダラクは鮮血の如きオーラを解放した。
「お姉様のために……」
「アルカード様に捨てられてしまう前に手柄を……」
虚ろな瞳をしたヴルダラク達はアルカードに盲目的に従っているようだ。しかし、その根底にあるのは恐怖らしい。どうやら主人に捨てられたくない一心で動いている者もいるらしい。
誰も彼もアルカードの支配下にあり、自由な意志を持てない。きっとニアもそのように扱われかけているに違いない。
「こんなとこにほっとけないや。一秒でも早く助けに行くよぉ!」
燐寧はテンペスト・レイザーを振り上げ、ひといきに城門へ切り込んでいく。
前衛として敵に突撃していく燐寧が巡らせたのは呪式。爛離骨廃の力を発動させた燐寧は、相手の存在そのものを脆化する一閃をヴルダラクに見舞った。
彼女達も可哀想な子達なのだろう。だが、此処で容赦はなしだ。
燐寧は全力の一閃を浴びせかけ、少女達を一気に切り裂いた。
「せめて一思いに解体したげるよぉ」
反撃が繰り出されようとも決して引かず、燐寧は分厚い刀身を横殴りに叩きつける。
其処に続いた蛍は未来への凱歌を響かせた。
「この曲はニアさんと我々の未来への羨望を、未来へ進む為の勇気を。未来への希望を。その背を押す為の歌」
そのために皆、此処にいる。
蛍は強く宣言した後、敵への攻撃に移っていく。
敵には閉ざされし幻滅を。そして、留まる怯懦を。過去へ捕えられる絶望を。
「我々の足は未来へと向き、汝らの足は過去に留まる」
凛と響かせた声と共に蛍は前を見据えた。
城門の奥、その奥深くではニアとアルカードが対峙しているのだろう。敵の攻撃を光の翼を体の全面に展開することで防御していったシルは大切な仲間を思う。
果敢に攻撃を続けながら敵の動きを見たシルは、仲間達に情報を共有していく。
ヴルダラクはアルカードの名前やお姉様という呼び名を呟きながら、城門から先に侵入者を通さぬよう立ち塞がった。だが、ヴルダラク達はひとり、またひとりと倒れていく。
「そんな……」
「アルカード様に捨てられ――」
断末魔までもがアルカードを思う言葉であったことで、クリスティーナは瞳を伏せた。
「……この子達も、ニア様と似たような境遇なのでしょうか。でも、運が……縁がありませんでしたね。さようなら」
冷たくも思えるが、救えない命があることもまた事実。
クリスティーナは倒れ伏した少女達をそっと見下ろし、密かに願う。
「次があるのなら、平穏に生きられますように」
情けをかけるような言葉を紡ぎつつも、クリスティーナが見せる戦闘への意思は強いものだった。やがて、城門にいたヴルダラクはすべて倒された。
されど復讐者達は、この先にも敵の配下が待ち受けていることを感じ取っている。
蛍は仲間達に視線を巡らせ、更に奥へ進むことを示した。
「さあ、参りましょう!」
「敵を倒しきったら、後はニアにゃんと合流するだけ……」
シルはたったひとりでアルカードと対峙している少女の姿を思い浮かべた。本人は此処に来るまでに気丈に振る舞っていたが、幼い少女にすべてを背負わせるには重すぎる事柄だ。
想いをしっかり伝えてきてね、と願ったシルに続き、テンペスト・レイザーを構え直した燐寧も急いで駆け出した。
「すぐ行くから、もう少しだけ持ちこたえてっ」
万が一だが、ニアの身に何かが起こっているならば全力で助け出す。
強い思いを抱いた仲間達は決戦の気配を感じ取りながら、孤城の奥へと進んでいった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV2が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
ヴィヴィアン・エッジ
囚われの姫君を救出しに、と嘯くには
姫君が少々頼もし過ぎるかもしれないね
けれど声で、音で、仲間がいると伝われば
ニアも益々奮い立ってくれるだろう
女性には優しく接したいところだが、
そう扱わせてくれる女性がいなくてね
勿論こちらのお嬢さん達のことじゃない
彼女達は美しく心強い素晴らしい淑女だよ
スモーカー、男は淑女の為の踏み台と心得ろ
『Shaken, not stirred.』
吸血鬼に鉛玉は効かないんだったかな
だが、こいつは特別製……復讐者謹製
某諜報員映画を気取るわけじゃないが、
──お前達を殺しに来たんだ
おやすみ、守られるべきだった子供達
悪夢の先には楽園が待っている
ところで、他助はいつ忍者に転職したんだい?
リノーカ・ヴィエルィリーニャ
連携重視
戦闘中口調、淡々と口数少なく無表情で機械的
悼みも哀れみも後で出来る
『ニア』を救うのは今しかない
だから、必ず
背に銃剣、腰に信号拳銃(焼夷弾装備)と曲刀、手にモシン・ナガンM1891
(敵数が少ない時)
銃撃での支援を意識
味方に気を取られた敵から狙撃する
(敵数が多い時)
パラドクス使用
曲刀を抜き斬り込み銃器を乱射しては捨てて行く
銃剣のみ保持
(見えた幻影)
帝政ロシア陸軍兵士服を着た茶色がかった赤髪の少女
自分では無い
故郷に関する記憶喪失なので誰かは分からない=故郷に関する人なのは分かる
(幻影への反応)
体が勝手に幻影に曲刀を投げ付け銃剣を突き刺す攻撃的な反応をする
それに無表情のままカクンと首を傾げ他へ
笛島・他助
ニアさん助けに三千里…って程でもないが、来てみりゃ可愛い女の子が沢山出迎えに来てくれてんじゃん。
でも残念、和解は出来ねぇと来たもんだ。つー事で諜報員俺、物理的交渉に移るぜ。
リノーカさんも兵モードだし、俺もやるか。
クイックアサルトを発動して取り出すは~~…ジャン!手裏剣と苦無!
説明しよう!ニアさんと同じ屋形船仲間の某忍者との会話で盛り上がり、パラドクスで使えるよう沢山用意したのだ!
てことで俺からのささやかなプレゼントだ、受け取ってくれ(高速で手裏剣と苦無を投擲する)
来世はもっと幸せにな
忍者と諜報員、似てっけど俺ぁ諜報員で間違ってねぇぜヴィヴィアンさん
パラドクス通信で連絡とってニアさんのとこ行くか
●救いの手
敵の配下が守っていた城門を突破した後。
仲間達はニアと合流すべく長い通路を走っていた。アルカードの城は予想以上に広い城内であったゆえ、まずは探索から始めるべきだろうか。そのように考えて周囲を警戒していた笛島・他助(アレがアレでそれな感じの奴・g03086)は、行く先に現れた人影に気付いた。
「ニアさん助けに三千里……って程でもないが、来てみりゃ可愛い女の子が沢山出迎えに来てくれてんじゃん」
「侵入者を排除しましょう」
「アルカード様の為に……」
ヴルダラクと呼ばれる従者の少女達は、この城の主の機嫌を損ねまいとして動いている節がある。リノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)は戦闘態勢を取り、立ち塞がる少女達を見据えた。
おそらくあの少女達もアルカードの支配の犠牲になったものなのだろう。しかし、今は敵として存在している。
悼みも哀れみも後で出来る。
「……『ニア』を救うのは今しかない。だから、必ず」
「和解は出来ねぇと来たもんだ。つー事で諜報員俺、物理的交渉に移るぜ」
リノーカの言葉に頷きを返した他助もまた、静かに身構えた。
ヴィヴィアン・エッジ(viperine・g06508)も其処で足を止め、他の仲間達に「此処は自分達に任せて欲しい」と告げる。現時点でニアがいる場所が掴めていない以上、この場で全員が止まっている状況は良くない。
「囚われの姫君を救出しに、と嘯くには姫君が少々頼もし過ぎるかもしれないね」
けれども様々な場所からの声や音で、仲間がいるとニアに伝わればいい。彼女も益々奮い立ってくれるだろうと予想したヴィヴィアンはヴルダラク達を見据えた。
「お姉様の邪魔はさせません」
「アルカードのことだね」
ヴィヴィアンはヴルダラク達の根底に、アルカードへの恐怖があることを感じていた。
「女性には優しく接したいところだが、そう扱わせてくれる女性がいなくてね。勿論こちらのお嬢さん達のことじゃない。彼女達は美しく心強い素晴らしい淑女だよ」
言葉で敵の気を引いている間に、他の仲間達は別の通路に駆けていく。
この場に残ったのはヴィヴィアン、リノーカ、他助の三人。
リノーカは背に銃剣、腰に信号拳銃と曲刀を構えており、その手にはモシン・ナガンM1891がある。
敵の数が少ないと判断したリノーカは銃撃での支援を意識していく。味方に気を取られた敵から狙撃するねらいだ。数が少なくなったリノーカの様子を確かめ、他助もクイックアサルトを発動していった。
「リノーカさんも兵モードだし、俺もやるか。ジャン! 手裏剣と苦無!」
説明しよう。これは他助が以前、ニアと同じ屋形船仲間の某忍者との会話で盛り上がり、パラドクスでも使えるように用意してきたものだ。
「てことで俺からのささやかなプレゼントだ、受け取ってくれ」
来世はもっと幸せにな、と送られた言葉の後、他助の目の前にいたヴルダラクがその場に倒れた。
しかし、残る敵が反撃を仕掛けてくる。
「――!」
リノーカに見せられた幻影は、兵士めいた服を着た茶色がかった赤髪の少女の姿だった。
しかし、それは自分ではない。
故郷に関する記憶は喪失されており、今のリノーカには誰かは分からなかった。だが、逆説的に故郷に関する人であることだけは分かった。幻影に驚くと思いきや、リノーカの身体は無意識に動いていく。
「――?」
幻影に向けて曲刀を投げ付けたリノーカは一気に銃剣を突き刺す。それによって掻き消えるような幻影だったが、何故に攻撃的な反応をしてしまったのか。
無表情のままカクンと首を傾げたリノーカだったが、すぐに本来の敵へと立ち向かっていった。
「スモーカー、男は淑女の為の踏み台と心得ろ」
――『Shaken, not stirred.』
映画や物語ならば、吸血鬼に鉛玉は効かないといわれる。されどこれは特別製――復讐者謹製の弾。諜報員の映画を気取るわけではないが、ヴィヴィアンには確かな意志がある。
「――お前達を殺しに来たんだ。おやすみ、守られるべきだった子供達」
きっと、悪夢の先には楽園が待っている。
その言葉と共にヴルダラク達は床に倒れ伏し、二度と動かなくなった。
これで辺りには敵の気配がなくなった。リノーカは先に行った仲間が戦闘に入っていることを知り、そちらに合流しようと提案した。同意を示した他助とヴィヴィアンは、先程に仲間が進んだ通路へと駆け出した。
「ところで、他助はいつ忍者に転職したんだい?」
「忍者と諜報員、似てっけど俺ぁ諜報員で間違ってねぇぜヴィヴィアンさん」
二人は言葉を交わしながらニアを探していく。
リノーカもその後に続き、次なる戦いへの心構えを抱いていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
秋月・穂高
俺のことをパパと呼び慕ってくれるニア。
前々から家族を求める様子はあったけれど、そこに至る過去を知った。
アルカードは絶対に許さん。これ以上奴の好きにはさせない。
ヴルダラク達は【復讐の刃】でスローイングダガーを投擲して迎撃。
彼女らも被害者、ニアもこうなるかもしれなかったんだ……
なるべく苦しませず速やかに終わらせよう。
パラドクス通信が有効になったら仲間と連絡を取り合い、
可能ならニアの様子と合流位置の確認。待ってろ…直ぐにそこへ行くから。
ヴルダラクとなった娘達を弔ってやりたかったが…城門突破後は
ニアが優先だ。一秒でも、一歩でも早く駆け抜けて合流を目指す。
アドリブ描写・仲間との連携歓迎です
●救出と解放
「ニア……」
アルカードの城を駆け抜ける中、秋月・穂高(裂空刃・g01798)は大切な少女のことを思う。
自分のことをパパと呼び、慕ってくれるニア。彼女は以前から家族を求めている様子があった。それゆにえ穂高は彼女の思いに応え、そのように接していた。
そして今、其処に至る過去を知る機会を得ている。家族を奪われ、無理矢理に家族にさせられようとしている。そのような状況と境遇に置かれたニアの心はきっと悲鳴を上げていた。おそらくそれが記憶喪失の原因なのだろう。
あまりにも強いショックを受けると心は自動的に防衛を取る。
その原因こそが――。
「アルカードは絶対に許さん。これ以上奴の好きにはさせない」
穂高は強い思いを抱き、行く手を邪魔する人影を見据えた。既に城門を突破しているが、内部にも敵がいることが分かった。襲い来るヴルダラク達に狙いを定めた穂高は、復讐の刃を発動させる。
スローイングダガーを投擲して迎撃した彼は、ひといきにヴルダラクを地に伏せさせていった。
「ああ、アルカード様……」
断末魔をあげながら倒れていく少女もアルカードの被害者だったのだろう。
縋るものはアルカードしか居らず、されど飽きられてモブという不名誉な呼び方をされ、こき使われる。或いは享楽のままに殺されてしまっていたのかもしれない。
(「ニアもこうなるかもしれなかったんだ……」)
それゆえになるべく苦しませず、速やかに。
確実に終わらせようと決めた穂高は倒れ伏した少女を一瞥する。すると、僅かに口を開いたヴルダラクの一人が穂高に何かを伝えようとしてきた。
「アルカード様は、地下室に……でも、場所を……」
「分かった、移動したんだな」
どうしてか少女は穂高に協力的だった。頷いた穂高が少女を再び見下ろすと、彼女は小さく呟く。
「解放……してくれて……ありがとう――」
「……」
そうして、ヴルダラクだった者は事切れた。
穂高は娘達を弔ってやりたかったが、それにかなりの時間を要してしまうのは拙いことも分かっていた。
「待ってろ、ニア……直ぐにそこへ行くから」
今は何より、ニアを優先すべきときだ。ただ一秒でも、一歩でも――早く駆け抜けたいと願い、穂高は駆け出してゆく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
ネリリ・ラヴラン
過去の自身の死は覆せても、大切な人達までは救えない
新たな犠牲を出さない為といっても
年端もいかない彼女には重い現実なんだと思う
人の事を言える年でもないけれど
どんな力を持っても心は人のまま、子供のまま
決意の痛みに負けないよう、少しでも支えてあげたいよ
出迎えてくれる敵さんには出会い頭に【高速詠唱】
蝙蝠爆弾を散開させておいて
皆の攻撃で残った敵に狙い定めてトドメを刺すよ
城に接近したら【パラドクス通信】を発動
皆の声を城内にいるニアちゃんへと届けて
状況把握と、合流の手筈を整える
皆で今すぐ駆けつけるよ、ニアちゃん!
お姉さまを、アルカードって呼び直す声に
心を決めたのだと感じて
背を押すべく努めて明るい声をあげるよ
クリシュナ・ヴォルフィード
▼「ニアさんを、吸血鬼にした…クロノヴェーダ。
ただやっつければいいわけじゃ、ないかもだけど…少しでも、力になりたい…な」
▼基本的な立ち回りはタンク。
ヴルダラクに対し、『風光る夜の聖譚詩曲』で複数を攻撃、『砲撃』と『弾幕』も駆使して多く敵の注意を引き付け、仲間が攻撃しやすいように立ち回る。
「可哀そうな、コたち…ごめんね。でも、私の大事な、お友達の為だから…もう、お休み…」
▼POWによる戦闘で見る幻影は守護者としての師でもあった父親。
▼戦闘が落ち着いたら、パラドクス通信を使わせてもらって皆と合流、急いでニアさんの元へ。
「ニアさん、頑張って…私達も…すぐ、行くからね」
※他PCとの連携、アドリブ歓迎。
雨宮・あずき
※アドリブ・絡み歓迎
敵は呼び捨て、仲間は男性は~くん、女性は~ちゃん
ニアちゃんの「お姉さま」。
こんなにも悲しい意味を持っていたんだね。
それでも、わたしをお姉さまって呼んでくれてありがとう!
ニアちゃんの為にも、ちょっとだけ、頑張っちゃおうかな!
ヴルダラク…アルカードと戦うのに、キミたちは邪魔だよ?
【アイシクル・パレード】…凍てつく氷にその血まで凍えさせてあげる。
わわ、いっぱいいるね。よもぎちゃん、周囲の警戒をよろしくね♪
道が開けたら【パラドクス通信】でニアちゃんに声をかけてあげよう。
大丈夫、今度はみんながついているから!
●彼女の元へ
過去の自身の死は覆せても、大切な人達までは救えない。
此度の戦いは哀しきものだ。
ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)はアルカードの城の中を駆け、ニアの気配を探す。
(「新たな犠牲を出さない為といっても、ニアちゃんにとっては――」)
重い現実なのだろう、とネリリは考えた。
どんな力を持っても心は人のまま。決意の痛みに負けないよう、少しでも支えてあげたい。それこそがネリリの思いだ。クリシュナ・ヴォルフィード(ふんわりがんらんさー・g03989)と雨宮・あずき(Twins to pray.・g01306)もニアを思い、先を目指している。
「ニアさんを、吸血鬼にした……クロノヴェーダ」
「ニアちゃんの『お姉さま』。こんなにも悲しい意味を持っていたんだね」
「ただやっつければいいわけじゃ、ないかもだけど……少しでも、力になりたい……な」
「うん……。それでも、わたしをお姉さまって呼んでくれたことにありがとうを伝えなきゃ!」
クリシュナもあずきも、これまでニアと過ごしてきた日々を思っていた。
行く先には数体のヴルダラクが立っており、この先に行かせまいとしている。仲間達が身構えた時、ネリリが巡らせていたパラドクス通信から声が聞こえてきていた。
『ニア……。お姉さまに言いたいことがあるの……』
おそらくそれは地下室でニアがアルカードと喋っている声だろう。仲間達はニアの声に耳を傾けながら、目の前のヴルダラクへと対抗していく。
クリシュナは早々に彼女達を片付けると決め、パラドクスを発動させる。
ヴルダラクに対して風光る夜の聖譚詩曲を巡らせたクリシュナは、出来る限り多く敵の注意を引き付けようと狙っていた。その目的は仲間が攻撃しやすいように立ち回ること。
「可哀そうな、コたち……ごめんね。でも、私の大事な、お友達の為だから……もう、お休み……」
それによってヴルダラクの一体が倒れた。
続けて別の個体が攻勢に入ってきた。浮かんだ幻影は守護者としての師でもあった父親だったが、クリシュナは特に反応することなく連綿と続く守護者たちの戦いの記憶に集中していった。
あれは幻でしかないとわかっているからだ。
ネリリも敵へと蝙蝠爆弾を散開させていき、自分達の邪魔をさせないように蹴散らしていく。その間もニアはアルカードと話しているらしく、その声が聞こえてきている。
『ねぇ……。お姉さまにとって自分以外の人はどういう存在なの……?』
(「――ニアちゃん」)
少女の言葉には悲痛な思いが宿っているように思えた。
ネリリは周囲の敵を蹴散らしながら、通信の力を広げていく。おそらくニアはアルカードと会話をしながら此方の声を聞いてくれるはずだ。ニアがネリリ達の言葉に応えられない状況であることはわかっているゆえ、あずきもクリシュナもまだ声はかけない。
ニアの為に頑張ろうと決めていたあずきは目の前の敵を排除するために動く。
「ヴルダラク……アルカードと戦うのに、キミたちは邪魔だよ?」
――アイシクル・パレード。
パラドクスを発動させたあずきは冷ややかな声を紡ぎ、ヴルダラクを容赦なく穿っていった。
「……凍てつく氷にその血まで凍えさせてあげる」
巨大な氷柱を幾つも生成したあずきは相手を串刺し続ける。列をなす氷柱は歓声と悲鳴を巻き起こすものとなり、哀しき少女達を地に伏せさせた。
其処へネリリが放つ蝙蝠爆弾が轟き、クリシュナと妖精が放つ燐光と翅の軌跡で描かれた魔法陣が輝く。守護者達の猛き想いは解き放たれ、耀く風が闇を撃ち払った。
あっという間にヴルダラク達は倒れ、周囲の気配がなくなった。
これで城内の配下はすべて倒せたようだ。
「もう敵はいないみたいだけど……よもぎちゃん、周囲の警戒をよろしくね♪」
あずきはオラトリオのよもぎにそっと願い、通信から聞こえてくる声に耳を澄ませた。他の敵を相手取るために一時的に離れていた仲間も集ってきており、あとはニアの動向次第だ。
そして――。
『わかった……。あなたをお姉さまって呼ぶのはもう終わり……。ホールで決着をつけましょう……』
アルカードとの会話を終えたニアが、はっきりと次の戦場を言葉にした。
それを合図に仲間達は視線を交わし合い、次の目的地を目指してゆく。ホールならばある程度の位置は絞れる。おそらく先にニアとアルカードが其処に辿り着くだろうが、仲間達もすぐに駆け付けられるだろう。
「ニアさん、頑張って……私達も……すぐ、行くからね」
「大丈夫、今度はみんながついているから!」
クリシュナとあずきは通信でニアに呼びかけ仲間達もそれぞれの言葉を掛けた。アルカードに怪しまれないようにニアは何も語っていなかったが、その声に応えるような息遣いが聞こえてくる。
その最中、ニアはお姉さまを、アルカードと呼び直す声がネリリの耳に届いた。
心を決めたのだと感じたネリリは強い思いを抱く。その背を押すべく、ネリリは努めて明るい声を告げた。
「皆で今すぐ駆けつけるよ、ニアちゃん!」
そして、皆で一緒に帰ろう。
過去を越えて、今を見つめて、それから――新たな未来へと歩き出すために。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
🩸 ⚔ 🩸 ⚔ 🩸 ⚔ 🩸
●血の大広間にて
アルカードの城の奥に位置する、大広間。
広い空間は豪華絢爛な装飾で満たされている。だが、その壁や床には黒く変色した血の跡が見えた。
何故なら、このホールは特別な場所だからだ。表向きの広間とは違って、アルカードが飽きたモブ達を痛めつけ、無惨な死を与えていた部屋らしい。
豪奢な調度品の中には拷問道具めいたものもあり、城の主が好き放題に人間を扱っていたことがわかる。
広間の中央にはアルカードが立っており、入口の扉から少し進んだ場所にはニアが立っていた。
「――アルカード」
「違うわ。お姉さま、でしょ?」
対峙したニアとアルカードの視線が交錯する。
ヴァンパアノーブルは苛立っている様子だが、極めて冷静な面も見えた。ニアをこの場で殺すと決めている反面、まだ姉妹関係に執着しているように見えるのは気の所為ではない。
ニアは敢えてアルカードに攻撃は行わず、仲間達を待っていた。
アルカードが仲間の侵入に気付いているならば、彼女もこの機会を待つと考えたからだ。
そして、通信を聞いて駆け付けた仲間達がホールに現れる。
ニア、ニアちゃん、と少女を呼ぶ声が広間に響いた。ニアはそっと振り返り、静かに微笑んでみせる。
「みんな……。来てくれた……」
「ふん。やっと来たわね、鈍間共!」
すると其処に割り込むようにアルカードが鋭い声をあげた。
「どうやらニアを助けに来たようだけど、アタシの許可なく城に入ったことを後悔させてあげるわ。ニア共々、無惨に惨たらしく血祭りにあげてやるわ!」
アルカードがニアの仲間を待っていたのは、ひとりずつ此方を殺してニアに見せつけるためだろう。
そうすることでニアに絶望を与え、その中で死に至らしめようとしている。
何処までも自分本位で、他人を道具や装飾品としてしか考えられない。そのような存在を此処で君臨させたままにはしておけない。復讐者達ならば力を合わせ、強大なヴァンパアノーブルに勝てるはずだ。
アルカードは自身の闇の力を凝縮していき、髪に闇を浸すことで力を巡らせる。復讐者の周囲には闇が広がっていき、これから容赦のない猛攻が放たれる雰囲気がした。
されどニアは怯まない。
己の中に宿ったアルカードの力の一部を、そしてこれまでに得た力を駆使して対抗するつもりでいる。
アルカードの周囲には全身が血で赤く染まった子供達が現れ、ニアの傍には赤い手の『おともだち』が出現していた。どちらも同じ能力を礎とするものであり、オリジナルのアルカードよりもニアの方が若干劣っている。
それでも、ニアは負ける気など少しもなかった。
「ニアは戦う……。アルカード……。あなたに闇に落とされたみんなを救うために……」
仲間達が倒してきたヴルダラク達も、それ以前にアルカードによって闇に沈められた哀しき子供達も、すべてを自分の中に力として招く。生き返らせることは出来ずとも、その魂の欠片を未来に連れていくこと。
それが出来るのはニアだけだ。
そのためにも、今――アルカードを倒す。
因縁と宿縁。決着を付けるための最後の戦いが此処から、始まっていく。
🩸 ⚔ 🩸 ⚔ 🩸 ⚔ 🩸
レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。
彼女と同じ境遇だった場合、ボクはどうするんだろう。
ニアちゃんは強いね…よく頑張りましたね。
帰ったら…また皆で一緒にご飯でも…。
ニアちゃんへの尊敬と同時に、もう一方には…
アルカード、1人の少女と、家族の未来を奪った行為ボク達が許さない。
掌に蒼き魔力の灯火を産み、機械魔導弓『ACRO』に番えてパラドクスを発動
避けて見せなよ。この世界は君の為にあるのだろ?
――まぁ、ボクが狙ったんだから…必ずあたるけど。
その手を、その足を、追い詰める様に矢で貫いていく。
反撃には『アルヴァーレ』による【結界術】で防ぎ
それと同時に『アクロヴァレリア』による【飛翔】で【一撃離脱】の回避を行います。
クリシュナ・ヴォルフィード
▼私から…アルカードに言うことは、ない。
ニアさんが戦うと決めたなら…隣に立って、戦うだけ。
「…ニアさん、行くよ…!」
▼やることは盾役と削り。
アルカードの正面に立ち、大盾を構えてニアさんを中心にディフェンスを。
動きが激しいようなら【飛翔】からの『空中戦』『一撃離脱』『弾幕』を駆使して体力を削っていく。
動きが止まったら【暁の光の剣】で上空から急襲。
「自分の事しか考えない人が…誰かの家族になんて、なれるわけ…ない」
▼ニアさんの家族は、奪われてしまったけど。
「これからは…私たちが、家族でいるから…ね」
全てが終わったら、ニアさんに手を差し出して。
みんなで…一緒に帰ろう。
※他PCとの連携、アドリブ歓迎。
シル・ウィンディア
そっか、あなたが…
ニアにゃんの大切な家族を奪ったクロノスなんだね。
…可愛い義妹の家族を奪ったんだ。
…自分勝手なことで幸せに過ごしていた家族を。
それは、許されることじゃない。
だから、ここで討たせてもらう。
WIZでディフェンス可能な味方にはディフェンスでカバーに入るよ
その代わり、大型砲撃の反撃をプレゼントだけどねっ!!
怒っているよ。
でも、冷静さは失わずに立ち回りは丁寧に…
敵の攻撃に対しては、左手の創世の光剣で致命箇所をガードして被弾を少なくするね。
味方の攻撃に合わせて、高速詠唱で隙を減らして全力魔法の七芒星精霊収束砲…。
これが、ニアにゃんの道を開く光になることを…
さぁ、遠慮せずにもってけーっ!
雨宮・あずき
※アドリブ歓迎
ニアちゃん、お待たせ!もう大丈夫だよ♪
アルカードは初めまして。
キミのお姉様としての役目は終わったから、おやすみなさい。
みんなのパラドクスに合わせてわたしも魔法を展開して【植物活性】。
モブって言われてる赤い子供たち…キミたちには手向けの花を捧げるよ。
白いネモフィラ。
次の人生は、何物にも侵されない真っ白な人生でありますように。
氷の中に一輪ずつ入れて、彼女たちの心臓を貫く。
アルカードには棘の蔦をプレゼントするよ。
ニアちゃんがこの悪夢を終わらせられるように、動きを止めれたらいいのだけれど。
あ、最後に。
ニアちゃんにシャルルちゃんをプレゼントしてくれてありがとう。
そこだけは感謝してるよ♪
●少女と吸血鬼
――彼女と同じ境遇だった場合、ボクはどうするんだろう。
レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)の裡に浮かんだのは、今は答えの出ない自問だ。レイは一瞬だけ巡った思考を沈め、しかと前を向く。その視線の先にはアルカードに真正面から挑むニアの姿があった。
「ニアちゃんは強いね……よく頑張りましたね」
帰ったらまた皆で一緒にご飯でも、と願ったレイは少女への尊敬を抱いている。
そして同時に、もう一方には――。
「アルカード、一人の少女と、家族の未来を奪った行為はボク達が許さない」
「私から……アルカード、あなたに言うことは、ない。ニアさんが戦うと決めたなら……隣に立って、戦うだけだから」
レイの宣言に続き、クリシュナ・ヴォルフィード(ふんわりがんらんさー・g03989)は頭を振った。
紡がれた言葉通り、彼女がアルカードに告げることはもうない。その代わりに声を向けたのは勇敢な少女の方。
「……ニアさん、行くよ……!」
「うん……」
ニアの声を聞き、シル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)もアルカードを見据える。
「そっか、あなたが……ニアにゃんの大切な家族を奪ったクロノス級なんだね」
「だから何?」
対するアルカードはこれまでの復讐者の言葉を一蹴した。
ニア以外には然程の興味も抱いていないらしい。アルカードからすればシル達もまたモブであり、ニアを苦しめるために殺すだけの存在なのだろう。だが、ディアボロス達がそう簡単にやられるはずがない。
「可愛い義妹の家族を奪ったんだ。自分勝手なことで幸せに過ごしていた家族を。それは、許されることじゃない」
だから、ここで討たせてもらう。
シルがそう語ると、アルカードは怒りを覚えた様子で声を荒らげた。
「何よ、ニアはアタシの妹になるはずだったの。アンタなんかに妹だなんて語らせない!」
その様子を見た雨宮・あずき(Twins to pray.・g01306)は、静かに首を横に振った。アルカードがニアを所有物のように扱っていることが感じられ、妙に胸が痛む。
「ニアちゃん、お待たせ! もう大丈夫だよ♪ それからアルカードは初めまして」
「……ふん。丁寧に挨拶したって無駄よ」
アルカードからの鋭い視線を受けたあずきは、敢えてそっと笑む。そして――凛と宣言した。
「キミのお姉様としての役目は終わったから、おやすみなさい」
「なんですって!?」
激昂するアルカードの髪が一気に広がる。
魔力が伝わり、其処から悪しき攻撃が繰り出されるのだと察した復讐者達は攻勢に入っていく。
レイは即座に掌へと蒼き魔力の灯火を産み、機械魔導弓に番えた。
強敵であるゆえに出し惜しみなどはしていけない。
パラドクスを発動させたレイは挑発を狙う言葉と共に魔術で編んだホーミングする矢が放たれた。
「避けて見せなよ。この世界は君の為にあるのだろ?」
レイの行動はそれだけではない。戦場解析にオートエイム。絶対に敵を逃さぬための力が見舞われていく。アルカードは舌打ちをしながら対抗していた。
「生意気ね!」
「――まぁ、ボクが狙ったんだから……必ずあたるけど」
その手を、その足を。
レイはアルカードを追い詰めていくように、次々と矢で貫いた。
相手からの反撃も激しいものだが、レイはアルヴァーレで出来る限りのコウモリの群れを防ぐ。それと同時にアクロヴァレリアによる飛翔で以て、一撃離脱の回避を狙って動いた。
その間、クリシュナはアルカードの正面に立ち、大盾を構えていた。
クリシュナが担おうとしているのはニアを中心にしたディフェンス。どれほどアルカードの攻撃や敵意が激しくとも、必ず仲間を護りきると決めている。
「動きが……激しい……でも――」
クリシュナは高く飛びあがり、レイと同じ空中戦と一撃離脱を狙っていった。更に弾幕を駆使した上で天地を貫く流星が如く急降下する。それは一条の朱金の光となって敵を貫き、体力を削っていく。
それによってアルカードの髪が切り裂かれた。
「自分の事しか考えない人が……誰かの家族になんて、なれるわけ……ない」
「黙りなさい!」
クリシュナが紡いだ言葉に対し、アルカードは怒りの声を響かせる。自分が一番指摘されたくないことだったのだろう。シルはアルカードの激昂具合を確かめつつ、自らも仲間のディフェンスに入っていた。
「守ってるだけだと思わないでね。その代わり、大型砲撃をプレゼントするよっ!!」
シルは怒っている。
他人を所有物のように扱うアルカードよりも、更に強く。されど冷静さは失わず、立ち回りは丁寧にするよう努めていた。アルカードからの攻撃に対して、シルは左手の創世の光剣で致命箇所をガードしていく。
そして、シルは仲間の攻撃に合わせて、高速詠唱を始める。隙を減らすことによって全力の魔法を紡ぎ――七芒星精霊収束砲をひといきに解放した。
「これが、ニアにゃんの道を開く光になることを……さぁ、遠慮せずにもってけーっ!」
激しい力の奔流が戦場に疾走る。
そして、あずきも皆のパラドクスが迸るタイミングに合わせて魔法を展開した。狙うのはアルカードが反撃として生み出した、全身が血で赤く染まった子供達。
「モブって言われてる赤い子供達……キミたちには手向けの花を捧げるよ」
あずきの中の大天使を、よもぎを通じて活性化させる。其処から咲き乱れるのはネモフィラ。
それは成功を約束する花だ。
「次の人生は、何物にも侵されない真っ白な人生でありますように」
血で赤く染まった子供に向け、花を氷の中に一輪ずつ入れたあずさ。彼女は相手の心臓を貫きながら、アルカードには棘の蔦を送ろうと決めた。
(「ニアちゃんがこの悪夢を終わらせられるように、動きを止めれたらいいのだけれど」)
あずきはアルカードを見据えながら、或ることを思い出す。
「あ、そうだ」
「?」
「ニアちゃんにシャルルちゃんのぬいぐるみをプレゼントしてくれてありがとう。そこだけは感謝してるよ♪」
疑問を抱くアルカードに対し、あずきは自分の考えを伝えた。
悔しげに唇を噛み締めたアルカードはその言葉に対してかなりの怒りを覚えたようだ。
だが、彼女が何かを話そうとした前にクリシュナとシルの攻撃が叩き込まれ、よろめいたところにレイの連撃が見舞われる。あずきも更に力を紡ぎ、アルカードを倒すための魔力を巡らせていった。
戦いは続く。理不尽に君臨するヴァンパイアノーブルへ、終わりを齎すために――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV3になった!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!
【ガードアップ】がLV2になった!
リノーカ・ヴィエルィリーニャ
仲間と連携重視
戦闘中口調(淡々と口数少なく)
アルカード
歪で、幼稚で、身勝手で
だがそうあるなりに、同胞を求めたのか
その寂寥感と、ニアの感じた愛情までは否定しない
ただ逝け
これまでのニアの、これからのために
仲間に合わせパラドクス使用
光学迷彩も併用し自我、魂を薄らがせ捕捉され難く
突撃する仲間を追跡or忍び足で接近
死角から不意打ちの銃剣刺突を
察知されるのを前提に回避を意識し攻撃
だが仲間の大技の際は囮として踏み込んだ銃剣突撃を行う
仲間の位置を意識し追従&護れるように
銃撃は隠密性を意識、普段は撃たず仲間の危機の際のみ牽制に
全て済んだら後回しにした哀悼を
歪んだ自己愛を持って生まれた者と、その犠牲になった人々に
ヴィヴィアン・エッジ
無事だね、ニア
良い眼をしている
覚悟は疾うに定まっているな
悪夢に幕を下ろすのは君だよ
他人の思想に口を出すほど野暮でも聖人でもないが
友人に累が及ぶなら、大いに手は出させてもらう
思い通りになる玩具が欲しいなら、人形遊びでもしていれば良い
麗しい見目に見合わぬ子供染みた精神性
それが君の秘密かな
『We all have our secrets.』
君はもう暴かれるばかり
我儘の域を逸した戯言は、聞く耳を持たないね
連携は可能な限り狙って行く
蝙蝠の相手はスモーカーに任せ
アルカードへ蛇刃の毒を贈ろう
ニアが本懐を果たす様、特等席で味わうと良いさ
事が終われば労いを
よくやったよ、ニア
巣立ちは確と見届けた
頑張ったね
笛島・他助
ヒュー、闇が似合う素敵な美女がわざわざ待ってくれたのか。いやー参ったなー。
叶う事なら彼女とティータイムでもと洒落込みたかったが、うん、やっぱこいつぁ駄目だな。美女だろうが未来ある子供達に。そしてニアさんに手を出すんなら殺すのみ。
完全視界があるとはいえ、まずはこの闇を照らすとしようか。近代的にな。
アルカードさん、プレゼントだ(テキトー閃光弾を投擲する)
無論近付く子供達にも余裕見て閃光弾を。
泥濘の地で槍持った子供が少しでも遅いと助かるが、そっちはおまけでいい。囲まれるのは避けつつ、近づかれて反撃来たら最低限致命傷は避けて防御できるよう動くか
(諸々皆が済んだ後)
さてと。帰ろうぜ、ニアさん
皆と一緒によ
白水・蛍
アドリブ・連携歓迎
ニアさん並びにWIZが苦手な方々をWIZにてディフェンス。
ご無事で何より。では、決着をつけましょう。
貴女の道行きは我々が護ります。
パラドクス発動。
その道行きをどれ程闇で覆い隠そうとも、この呼ばれし光が全てを照らす。
――我が音にて応えて来たれ。全てを照らしつくす閃光の弾丸!
全弾……もってきなさい!
相手の反撃は手持ちの装備で致命傷を避ける様にガードを。
回避出来るのであれば武器で薙ぎ払ったりとどうとでもなるでしょう。
●闇を照らす光
自己愛の化身、アルカード。
彼女は歪で、幼稚で、身勝手で――だが、そうあるなりに同胞を求めたのだろうか。
リノーカ・ヴィエルィリーニャ(赤錆びた樹の末裔・g04321)はアルカードを見据え、強く身構えた。リノーカとしてはその寂寥感と、ニアの感じた愛情までは否定しまいと思っている。それゆえに告げることはただひとつ。
「ただ逝け」
これまでのニアの、これからのために。
リノーカの思いと同じく、ヴィヴィアン・エッジ(viperine・g06508)と笛島・他助(アレがアレでそれな感じの奴・g03086)も戦いへの意思を抱いている。
「無事だね、ニア」
「大丈夫……」
「良い眼をしている。覚悟は疾うに定まっているな」
ニアに呼びかけたヴィヴィアンは、その瞳を見てそっと頷いた。
悪夢に幕を下ろすのは君だ、と告げたヴィヴィアンもまた、ニアを守るために此処に参じている。
他助もニアの言葉に首肯しながら、アルカードにも視線を向けた。
「ヒュー、闇が似合う素敵な美女がわざわざ待ってくれたのか。いやー参ったなー。叶う事なら彼女とティータイムでもと洒落込みたかったが、うん、やっぱこいつぁ駄目だな」
美女だろうが未来ある子供達に。そして――ニアに手を出す相手ならば問答無用で倒すのみ。
そして、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)もニアの無事を確かめた。
「ご無事で何より。では、決着をつけましょう」
「ありがとう……」
「ご心配なく、貴女の道行きは我々が護ります」
ニアからの答えを聞いた蛍は静かに双眸を細めた。アルカードはニアを守る者達を忌々しげに見渡す。
その様子を見据え返したリノーカは、皆の動きに合わせてパラドクスを発動させた。
樹は仄めく――ポロヴェッツ・ニヴィディム。
まずは肉体のみならず、自我や魂さえ薄らがせることで敵対者の捕捉を逃れる。リノーカが動いたことを察した他助は一気に閃光弾を解き放った。
「アルカードさん、プレゼントだ」
「っ!?」
味方には事前に注意するよう告げていたので、閃光に目を灼かれたのはアルカードのみ。
アルカードが放ってきた赤い血を纏った子供達の動きも同時に止まっている。
「まずはこの闇を照らそうと思ってな。それはそれは、近代的に」
口許を緩め、敢えて笑ってみせた他助はアルカードと子供達を見据えた。ヴァンパイアノーブルに命を奪われた子供は、すべてを失っても尚こうして使役させられている。
ニアの心を救うことも大事だが、あるべき形に魂を解放してやることも復讐者の役目かもしれない。
そのように考えた他助は決して手を抜くまいと考えた。
そう思っているのはヴィヴィアンも同じ。
「他人の思想に口を出すほど野暮でも聖人でもないが――友人に累が及ぶなら、大いに手は出させてもらう」
自分なりの思いを宣言したヴィヴィアンは他助の閃光弾に合わせ、アルカードに立ち向かってゆく。対するヴァンパイアノーブルはコウモリの群れを縦横無尽に飛び回らせ、復讐者を穿とうとしてきていた。
「邪魔よ、死に絶えなさい」
「思い通りになる玩具が欲しいなら、人形遊びでもしていれば良い」
アルカードの言葉に返事をしたヴィヴィアンは頭を振った。
麗しい見目に見合わぬ子供染みた精神性。おそらく、それこそがアルカードの秘密だ。パラドクスを発動させたヴィヴィアンは凛と宣言する。
「君はもう暴かれるばかり」
我儘の域を逸した戯言は、聞く耳を持たない。かのヴァンパイアノーブルは最早死に向かっていくだけ。
それに合わせて蛍も己のパラドクスを解放した。
「その道行きをどれ程闇で覆い隠そうとも、この呼ばれし光が全てを照らす」
――我が音にて応えて来たれ。
蛍が召喚したのは巨大結晶、クリスタルピラー。結晶の内部から放たれる超高熱の閃光は赤い子供達や周囲に飛び回るコウモリなど、敵群を穿っていく。
「全てを照らしつくす閃光の弾丸! 全弾……もってきなさい!」
光を弾として例えた蛍は果敢に戦う。
アルカードから反撃が来ても、己の装備を駆使して致命傷を避ける形で防御に入った。血の子供達の攻撃を避けきれると判断した蛍は時には回避にも移る。
得物で敵を薙ぎ払った蛍の眼差しは何処までも真剣だ。
その間、リノーカは仲間を追跡して隠れる形でアルカードに接近していた。リノーカが狙うのは、死角から振るう不意打ちの銃剣刺突。無論、完全に自分の動きが隠せるとは思っていない。
察知されるのを前提に回避を意識して攻撃を繰り出すリノーカもまた、鋭い真剣さを宿していた。
仲間の大技が来ると察したリノーカは無言のまま、敢えて囮として踏み込む。
「まだまだいくぜ!」
銃剣突撃を行う彼女が気を引いている間に他助が更なる閃光弾を放った。リノーカは仲間の位置を意識していき、追従を行っていくかつ護れるように立ち回る。
援護として放つ銃撃は隠密性を重視し、仲間に危機が訪れた際の牽制に使おうと決めていた。
その際、他助は泥濘の地を巡らせていく。
槍を持った子供が少しでも動き辛くなるよう考えてのことだ。他助は彼らに囲まれることを避けつつ、上手く防御できるよう動き続けていった。
更に次の瞬間、蛍が新たなクリスタルピラーを巡らせる。
蛍が再び巡らせた力は激しい。其処へ更に、他助とリノーカ、ヴィヴィアンが連携を重ねる。
ヴィヴィアンは迫る蝙蝠の相手はスモーカーに任せていき、自らはアルカードへ蛇刃の毒を贈ろうと決めた。幾度も、何度でも。この力が続く限り。
「さぁ、アルカード。ニアが本懐を果たす様、特等席で味わうと良いさ」
告げられた言葉と共に、アルカードに蛇舌の如き刃が突き刺さる。苦しげな声をあげたアルカードは或ることに気が付きかけている。復讐者達が抱く強き思いを。
そして――自分が此処で終わるかもしれない予感を。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!
秋月・穂高
※アドリブ、連携描写OKです。
ありがとうと言って消えたヴルダラク。
そして、この広間に残る悲惨な跡の数々。
今の俺は……自分でも珍しいと思うほどに、怒っている。
交わす言葉は無い。この感情、全て技に込めて叩き込む!
味方の遠距離攻撃を追うようにして接近、
「虎炎掌」で打撃を与えながら自分と同じ近接型の
仲間と場所をスイッチしながら戦う。
そして出来るなら結末はニアの手で。
敵が弱ってきたら足払いや受け流しなど
相手の体勢を崩すことに専念し、隙が出来たら
「決着を付けるんだニア」と合図を送る。
全てが終わったら犠牲になった子供たちと、
ニアの家族を弔って…ニアはもう大丈夫と伝えよう。
クリスティーナ・アストロイア
◆心情
…ニア様。ご無事で何よりです。
さぁ、決着をつけましょう。貴方の因縁に。
◆戦闘
パラドクスを使用し、魔力光球を生成することで周囲を照らす
迫ってくる子供たちに対しては躊躇いなく、星剣や魔術による攻撃で吹き飛ばして蹴散らす
「…助け? では、今ここで終わらせてあげます。生まれ変われるといいですね」
「…道行きは不安でしょう。灯りを頼りに逝きなさい」
「…自己愛の化身。確かに己の力を信頼するのは素晴らしいことですが、時にそれは傲慢です。その自惚れと共に倒れなさい」
トドメは味方に任せる
戦闘後はそっと遠巻きに見守り
使用可能技能・エフェクトは使用
アドリブ・絡み等歓迎
一里塚・燐寧
アルカードちゃんだっけぇ?
んまぁ、わかんないでもないよぉ。頭がイカれそーなぐらい寂しい気持ちはねぇ
この世に自分しかいないみたいで、胸が締め付けられる
あたしにもそんな時があったよぉ
それでも……きみのやったことは酷すぎるねぇ
せめて最後に、ニアちゃんに謝るぐらいしてみたら?
≪テンペスト・レイザー≫を手に駆ける
少し普通に走ってから、いきなり残像を曳く神速の踏み込みを披露
十歩分以上ある距離を一息で詰め、『屠竜技:急嵐の型』を放つ!
脇腹を裂くように振り抜いて傷を負わせつつ
勢い余った剣で蝙蝠の元になる髪を切り、反撃の威力を抑えるねぇ
さ、安心して逝きなよぉ
きみがいなくても、ニアちゃんはもうだいじょぶだからさ!
ネリリ・ラヴラン
とても悲しい子…だね
貴女の力の欠片を受け継いだだけの子は
こんなにもたくさんの大切な物を手に入れたのに
貴女は欲しいと願った一つさえ、手にできない
でも、不思議は無いよ
アナタが玩具箱を、自分の世界って呼んで
一人、お人形遊びをしている間も
あの子はずっと、歩み続けていたのだもの
癇癪をおこした子供を窘めるような気持ちで呟き
仲間の灯す光源を頼りに【高速詠唱】
漆黒の矢で射抜く
ニアちゃんや被害者さん達の人生を壊した罪は許せない
ただ、自由になるが故に溺れた末路なら
色濃い血の力を哀れに想うよ
さよならを済ませたら、よく頑張ったねって微笑みかけるね
彼女が怨嗟だけだったとも思えてなくて
寂しさを少しでも笑い飛ばしたい気持ち
●終わりに向かう道
「……ニア様。ご無事で何よりです」
「みんなも……。よかった……」
「さぁ、決着をつけましょう。貴方の因縁に」
クリスティーナ・アストロイア(星視の魔女・g03092)とニアは視線と言葉を交わし、アルカードに向き直る。
今、ニアの周囲には頼もしい仲間が集っている。一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)もアルカードとの決着を齎すため、ヴァンパイアノーブルを強く見つめた。
「アルカードちゃんだっけぇ?」
「気安く呼ばないでくれるかしら。呼ぶならお姉さまよ。ま、アンタに呼ばれても嬉しくもなんともないけれど」
「とても悲しい子……だね」
アルカードと燐寧のやりとりを聞いていたネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は瞳を伏せる。高慢な言葉からは、彼女がどれほど孤独に生きていたかが感じ取れる。
あの激情も振る舞いも、他者とまともに向き合ったことがないゆえに出来るものだからだ。
「同情? そんなもの要らないわ」
「貴女の力の欠片を受け継いだだけの子は、こんなにもたくさんの大切な物を手に入れたのに……貴女は欲しいと願った一つさえ、手にできない」
「……なんですって?」
ネリリの紡いだ言葉を耳にしたアルカードは怒りをあらわにした。
その姿を見つめ続けている燐寧は肩を竦める。
「んまぁ、わかんないでもないよぉ。頭がイカれそーなぐらい寂しい気持ちはねぇ。この世に自分しかいないみたいで、胸が締め付けられる。あたしにもそんな時があったよぉ」
気持ちは分かる。だが、妹にしたいと願ったはずのニアまで殺す心情は理解できない。
それゆえに倒すと心に決めた燐寧はテンペスト・レイザーに手を掛けた。同時にネリリも戦闘態勢を取り、アルカードに思うままの言葉を向けてゆく。
「でも、不思議は無いよ。アナタが玩具箱を、自分の世界って呼んで、たった一人でお人形遊びをしている間も……ニアちゃんはずっと、歩み続けていたのだもの」
「……!」
激昂するアルカードの髪が広がり、周囲に悪意の塊のような雰囲気が満ちる。
戦いが激しく巡っていく中、秋月・穂高(裂空刃・g01798)は自分の手を見下ろしていた。
――ありがとう。
そう言って消えゆくヴルダラクに自分が手を下したのは紛れもない事実だ。そして、この広間に残る悲惨な跡の数々は彼女達がそのように語るしかなかった凄惨さを示している。
「なぁ、アルカード。今の俺は……自分でも珍しいと思うほどに、怒っている」
たった一言だけ、ヴァンパイアノーブルを呼んだ穂高は拳を握り締めた。
これ以上、交わす言葉は無い。
この感情を、この思いを、全て――己の技に込めて叩き込むのみ。刹那、穂高はアルカードとの距離を一気に詰めた。共に戦うニアを思いながら、渾身の力を宿して。
それと同時に燐寧が鋭く駆ける。
それは残像を曳くほどの神速の踏み込みであり、披露された動きにアルカードが驚きを見せる。それまで十歩分以上もあった距離を一息で詰められれば、ヴァンパイアノーブルとて驚愕せざるを得ない。
穂高の虎炎掌、そして燐寧屠竜技、急嵐の型。
相手の腹と脇腹を穿ち、裂くように振るわれた一閃が大きなダメージを与える。そのまま燐寧は剣を振るう勢いに乗せ、コウモリの元になる髪を切り裂いた。
「やりたかったことも、その気持ちだって分かるんだけどさぁ。それでも……きみのやったことは酷すぎるねぇ。せめて最後に、ニアちゃんに謝るぐらいしてみたら?」
「謝る? 別に何も悪いことなんてしていないのに、どうして?」
「あー……これは駄目だねぇ、色々と」
その際にアルカードと言葉を交わした燐寧は落胆を覚えた。
自分の行いが悪だとすら認識できていないのならば、話は通じないだろう。クリスティーナも同様のことを感じ取り、宙に浮く六芒星の映る光球を呼び出した。
魔力の光球は周囲を照らし、アルカードが放った赤い血を纏う子供達を貫く。
迫ってくる子供達に対しても躊躇いなく、クリスティーナは星剣や魔術による攻撃を見舞った。
「今ここで終わらせてあげます。生まれ変われるといいですね。されど……ヴァンパイアノーブルであっても知らぬ道行きは不安でしょう。この灯りを頼りに逝きなさい」
相手を蹴散らして吹き飛ばす中、クリスティーナは力を揮い続ける。
すべてはニアの未来を明るく照らすため。
ネリリもまた、アルカードへの攻撃の手を緩めずにいた。まるで癇癪をおこした子供を窘めるような気持ちで戦うネリリは、仲間の灯す光源を頼りにしながら高速で詠唱を紡ぐ。
発動、黒の衝撃。
それは肉体と生命力の結びを緩める魔術を黒色一対の弓矢の形で発現させる技。一気に放たれた矢はアルカード突き刺さると同時に爆発四散する。漆黒の矢で射抜かれたアルカードが悲鳴をあげた。
其処へ穂高が迫る。味方の遠距離攻撃を追うようにして接近した穂高は虎炎掌による打撃を与え続けた。
クリスティーナもアルカードを見据え、思いを声にしていく。
「……自己愛の化身。確かに己の力を信頼するのは素晴らしいことですが、時にそれは傲慢です。あなたへ贈ることができる救いはここで倒すこと。その自惚れと共に倒れなさい」
「さ、安心して逝きなよぉ。きみがいなくても、ニアちゃんはもうだいじょぶだからさ!」
燐寧もまた、攻撃を止めぬまま宣言する。
「ニアちゃんやこの世界に行きていた人達の人生を壊した罪は許せない」
ただ、自由になるが故に溺れた末路がアルカードの生だとしたら――色濃い血の力を哀れに想う。だからこそ最後まで戦うと心に決め、ネリリは精一杯の力を巡らせる。
そうやって攻防が激しく繰り返される最中、ただ一点に狙いを向けた穂高はアルカードへと足払いを仕掛けた。
そのままアルカードの体勢を崩した穂高は凛とした眼差しを向け、ニアに合図を送った。
「――決着を付けるんだ、ニア」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【照明】がLV2になった!
【一刀両断】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】がLV2になった!
ニア・マシュマリー
1人だと……。アルカードって呼ぶこと……。
その前に……。こうしてまた出会えることすら出来なかったと思う……。
だけど……。全部を失ったニアの傍に居てくれて……。ずっと支えてくれたみんなのおかげで……。ニアはここまで来ることが出来た……。
それはニアが闇の中で見つけた大切な光……。
いつも温かさと勇気をくれる光の強さ……。そしてニアとみんなの怒り……。アルカードにしっかり届けるために……。
みんな……。全力でいくよ……。
ニアは……。大切なみんなと……。あなたがくれたぬいぐるみと一緒に……。これからも未来に向かって歩いていく……。
だから……。さようなら……。アルカードお姉様……。
(アレンジ大歓迎です)
●アルカードの生き様
「――ニア、アタシに直接殺されること光栄に思いなさい」
目の前から響いてくるのは、アルカードの声。
名を呼ばれたニア・マシュマリー(いつの間にか吸血鬼・g07451)は強い視線を彼女に向け、己の血を巡らせた。
周囲には自分を優しい声で呼んでくれる仲間や友達、大切な人が居る。冷ややかで高慢な声で呼ぶアルカードとは正反対に位置してくれている人達だ。先程からも皆とは言葉を交わしており、ニアの心を強く支えてくれている。
「ニアは……」
「何よ、はっきり喋ったらどう?」
「一人だと……。アルカードって呼ぶこともできなかった……」
激しい攻防が巡っていく中、ニアとアルカードの視線が重なった。ニアは闇の力を開放しながらアルカードに対抗していき、これまでの軌跡を思う。
「その前に……。こうしてまた出会えることすら出来なかったと思う……」
「それがどうしたっていうのかしら」
仲間を思うニアの言葉を聞いても、アルカードは理解できないといった様子だ。
「だけど……。全部を失ったニアの傍に居てくれて……。ずっと支えてくれたみんなのおかげで……。ニアはここまで来ることが出来た……。それはね……」
――ニアが闇の中で見つけた、大切な光だから。
そういって少女が宣言した刹那、槍を持った赤い手のおともだちがアルカードの周囲を取り囲んだ。
どの手もニアの意思に応えるようにしかと動いていく。
「ふん、薄々気付いていたけど……モブ達の一部を持っていかれたのね。だけど、そんなことどうだっていいわ!」
「アルカード……」
「さぁ、モブとして頑張りなさい。アタシの可愛かった子達!」
ニアの仲間を串刺しにさせるべく、アルカードは全身が血で赤く染まった子供達を呼ぶ。ニアがアルカードの血を口にしたときに、連れてこられなかった子、と呼ぶべきなのだろうか。
アルカードに操られるがままに復讐者に襲いかかっていく赤い子達は表情が見えない。
だが、今のニアには分かる。
――助けて。
――もう止めて。
――僕たちを、私たちを。
――殺して。解放して。
モブと呼ばれた子供達は苦しみながら戦わされている。ニアのおともだちもそのことを感じているらしく、正面から槍の手と子供達が衝突した。これはアルカードの犠牲になった子供達の弔い合戦でもある。
ニアの側についたおともだちは懸命に、すべてを救うという思いを示すように立ち向かっていく。
その間、アルカードはニアとの距離を詰めた。
他の復讐者達からも攻撃が向けられていたが、禍々しい闇の槍を作り上げたアルカードはそれらを受け止め、弾き返しながらニアに迫る。仲間達はニアを守る気でいたが、同時にアルカードとの戦いを邪魔しないという意思もあった。
ニアの命が危うい瞬間には手助けをするだろうが、一騎打ちにも似た交戦を止める気は誰にもない。
「死になさい、ニア!」
「いや……。ニアは生きる……」
鋏で腕を裂き、血の大鎌を作り出していたニアは刃を迎え撃つ。
刹那、闇の槍と血の鎌が真正面から衝突した。
響くのは鈍い音。鍔迫り合いのような間近での刃同士のぶつかりあい。その最中、ニアとアルカードの眼差しがすぐ近くで交錯した。これほどに近付くのは吸血され、血を奪ったあの瞬間以来だ。
アルカードにとっては先程のこと。
一度は死を迎え、未来に漂着したニアにとっては随分と前のこと。
こうして此処に訪れた今、ニアは己の死の過去を覆すことで未来に向かおうとしている。
「アルカード……。あなたはずっと闇の中……」
「よくわかっているじゃない。アタシはそう生きるように宿命付けられたの。こうしないと生きていけないの!」
「それは……。どうして……?」
「アタシがヴァンパイアノーブルだから! 普通の人間とは違う高貴な存在だからよ」
「いつから……?」
一度、斬り返された刃。しかし二人の刃が幾度も、何度も振るわれて交差した。
その度に相手の血が散り、腕や身体が切り裂かれる。どちらも退かない、斬り合いの中で少女達は言葉を交わす。その途中でアルカードは声を震わせた。
「知らない。いつからだったかなんて、もう覚えていないわ。アタシはあの御方に吸血されて、素晴らしい力を賜ったの。だけど……でも……」
アルカードもまた、何者かに吸血されたことでヴァンパイアノーブルとなったのだという。
その言葉が止まったことで、ニアは或る可能性に気付いた。
「…………。捨てられたの……?」
「……そうよ。あの御方はアタシを要らないって……自分が望むヴァンパイアノーブルとは反対の性質だったって……」
一瞬だけアルカードの表情が曇った。
しかし、すぐに笑みを作ったアルカードは激しい攻撃を仕掛けてくる。
「名前さえ付けられずアタシは捨てられたわ。だけどあの御方の誤算は、アタシの才能や力に気付かなかったことね。アタシが理想と『反対』だっていうのなら、その通りに名乗ってやろうと決めたわ。ふふ……」
「それが『アルカード』……」
「そう、かの有名な伯爵の反対の名前! 素敵でしょ?」
甲高い声をあげて笑ったアルカードは闇の槍をニアの腕に突き刺した。
「……!」
「どう? 痛いでしょう? 苦しいでしょう?」
アルカードは敢えてニアの痛みを増幅させるように槍で肉を刳り、舞い踊るかのような動きでニアを弄ぶ。おそらくこの戦いに飽きた瞬間に心臓を串刺しにするつもりなのだろう。
その際、ニアはアルカードが置かれた境遇を理解していた。
アルカードもまた、何者かにヴァンパイアノーブルに変えられたものだった。主となる者だった『あの御方』はアルカードを気に入らず、名前すら付けずに捨てた。
しかし、アルカードが秘めた能力は相当なものだった。彼女は自らに皮肉めいた名を付け、強大な能力のままにこの世界を作ったのだろう。そして――主が自分にそうしたように、アルカードも同じことを繰り返している。
とても皮肉で、酷く残酷な悪逆のループだ。
しかし、今のアルカードはきっとそのことへの同情など望んでいない。これまでにアルカード自身が行ってきた非道や残虐な行為が許されるわけでもない。
「アタシを裏切るものなんて要らない。アタシを必要としないなら、全て消えてしまえばいいの!」
アルカードはニアに止めを刺すべく闇の槍を振り上げた。
だが、そのとき。
「ニア!」
「……ニア様」
「ニアにゃん!」
「ニアちゃん!」
仲間達の声が響き、アルカードとニアの間に激しいパラドクスの奔流が叩き込まれる。
ニアはその声を聞いて身を翻し、アルカードからの槍を避けた。周囲で血の子供達を相手取っていたおともだちも奮闘している。ただ倒すだけではなく、赤い手は戦う力を失った子供達の手をしっかりと握ってやっていた。まるで、もう大丈夫だよ、と告げるような優しさで――。
「みんな……」
血の大鎌を強く握り直したニアは心に満ちている光を想う。
いつも温かさと勇気をくれる光の強さ。そして、ニアとみんなの怒り。
すべてをアルカードにしっかり届けるために、今こそ。その瞬間、アルカードが穂高の足払いによって体勢を崩した。
「――決着を付けるんだ、ニア」
穂高の声が耳に届いたとき、ニアは力いっぱい踏み込んだ。
アルカードは驚愕するような表情を浮かべている。相手も必死に体勢を立て直そうとしているが、仲間の支援と声を受けて駆けるニアの方が幾分か速い。
「みんな……。全力でいくよ……」
おともだちに。仲間達に、友人達に、そして――自分自身にも。
全てを宿した一閃でアルカードを葬るため、ニアは終わりの一閃を振り下ろした。
それはたった一瞬のこと。耳を劈くような悲鳴が響き、その場にアルカードが倒れる。それと同時に周囲に舞っていたコウモリや、赤い血を纏った子供達の動きが止まった。
「そんな……アタシの負け……? 嘘よ、このアタシが……?」
「ニアは……」
悔しげに床に伏したアルカードをニアが見下ろす。
視線を返した彼女は憎々しげに、唇を噛み締めていた。血の大鎌を解除したニアはは黒猫のぬいぐるみをぎゅっと抱き締め、死にゆくアルカードの傍に屈み込む。
「大切なみんなと……。あなたがくれたぬいぐるみと一緒に……。これからも未来に向かって歩いていく……」
「好きにしなさいよ……。でもね、ふふ……アタシ、不思議と後悔はしてないわ」
「……?」
凛とした表情で語ったニアに対し、アルカードは口許を歪めて笑った。
そして、彼女は最期の笑い声をあげる。
「アタシは思うままに生きたもの! そうよ、これがアタシ! あはははは、は――キャハハハハッ!!」
声はやがて止み、アルカードは己の血溜まりの中に沈んだ。
最期の最後まで彼女は邪悪に生き、その生き方を是として逝ったのだろう。アルカードらしい最期だと感じたニアはもう一度、ぬいぐるみを強く抱いた。
それから、ニアは少しの親愛を込めた呼び名で別れの言葉を紡ぐ。
「さようなら……。アルカードお姉さま……」
●壊れゆく世界と連れゆく記憶
こうして、過去の特別な世界を支配していたアルカードは死を迎えた。
彼女から生み出されるアヴァタール級のクロノヴェーダは二度と、どの時代にも現れることはない。
「よくやったよ、ニア。巣立ちは確と見届けた」
「さてと。帰ろうぜ、ニアさん。皆と一緒によ」
頑張ったね、と告げたヴィヴィアンに続き、他助がニアに声を掛けた。
ネリリもニアがお姉さまとさよならを済ませたのだと知り、よく頑張ったね、と微笑みかけた。一連の会話を聞いていた身として、アルカードとニアの間にあったのが怨嗟だけだったとも思えなかった。その寂しさを少しでも笑い飛ばしたい、と考えてネリリは笑っている。クリスティーナが敢えて遠巻きに見守る中、クリシュナはニアの肩を叩いた。
「これからは……私たちが、家族でいるから……ね。みんなで……一緒に帰ろう」
「うん……」
仲間達からの声を受け止めたニアは静かに頷く。誰もが今、ニアの胸の内に複雑な心境と思いが巡っていることがわかっているので、その気持ちを慮っている。
全てが終わったと察したリノーカは、後回しにしていた哀悼を捧げるべく両手を重ね合わせた。
(「歪んだ自己愛を持って生まれた者と、その犠牲になった人々に――」)
「伝えなきゃいけないな、ニアはもう大丈夫だって」
穂高も犠牲になった子供質や、ニアの家族を弔おうと考えている。
だが、そのとき。
はっとしたシルと蛍が仲間達に危険を告げた。
「みんな、急いで走って!」
「この城が……いえ、この世界自体が崩壊していきます!」
アルカードが倒れたことにより過去の世界が崩れ始めたのだ。これ以上、留まっている時間はない。そのように判断した燐寧も先陣を切って駆け出した。
「こんなこともあろうかと、出入り口への最短ルートは覚えておいたよぉ」
「ニアちゃん、行きましょう」
「皆もはやくはやく!」
レイも其処に続き、あずきも急いで仲間を追った。そして、仲間達は迎えのパラドクストレインへ向かっていく。
ニアは最後に一度だけ、アルカードの亡骸があった場所に振り返る。ぎゅ、と強く黒猫のぬいぐるみを抱き締めたニアはそのまま、二度と振り返らずに駆けていった。
城は轟音を立てながら崩れ落ちていき、柱や壁が瓦礫となっていく。
その最中、復讐者達は不思議なものを見た。
「これは……?」
「誰かの記憶でしょうか。この世界であった出来事――?」
世界が壊れている影響なのか、周囲には様々な光景の断片が浮かんでは消えている。
たとえばアルカードに拷問される誰かの痛み。苦しげな悲鳴や、痛々しい記憶。しかしそれだけではなく、楽しい記憶や喜ばしい思い出も混じっているようだ。
手を繋いで歩く兄妹、笑い合う友人達、寄り添い合って寒さを凌ぐ二人。食事を囲む家族や、誕生祝いをしているらしき数人の者。転んだ少女を助け起こす少年、誰かを庇って死を迎えた青年、彼をずっと思い続ける女性。
どれもアルカードの世界で確かに生きていた者達の軌跡なのだろう。
そして、その中には――。
小さな黒猫と戯れている幼いニア。その様子を優しく見守る両親、ロウワーとジェヘナの姿があった。
「お父さん、お母さん……。シャルル……」
その瞬間、ニアは理解した。
この記憶達は世界と共に消えゆくのではない。自分の中に宿して、連れていくことが出来るのだ、と。
自分達だけではなく、傍に浮かんでいる誰かの記憶や生きた証も一緒に。現にニアは、自分の中にアルカードに囚われていた子供達の意思と力が流れ込んできていることを感じている。
この世界で死を迎えた彼や彼女達を、本当の意味で生き返らせることはできない。ニアが死ななかった過去が出来たことで、現在のニアに点と点が繋がるだけだ。
本来なら、ニアが死ななければ過去は救われなかった。
つまり、ニアが生きている今はたとえるならば――本来の意味でのパラドックスの先にあるようなものだけれど。ニアが生きている、という事実だけは変わらない。
「……!」
そのとき、ニアは最後に目の前に現れた『或る記憶』に気付いて足を止めた。
その光景を少女が見つめたのは時間にしてたった僅か。それだけでも十分なほどに、ニアの心に響くものだった。
「うん……。ニアも――」
最後にひとつ、ニアはその返答としての言葉を紡ぐ。
そして、ニアはパラドクストレインに乗り込んでいく仲間を追って駆けていった。
悲しいこと、苦しいこと、楽しかったこと、嬉しいこと。
全ての記憶と思い出を。それから、仲間や大切な人との絆を抱いて。
さぁ、進もう。
新たなる可能性を秘めた、未来へ。
●或る家族の過去
赤ん坊が泣いている。
どうしたの、と優しく声を掛けた母親が赤子を抱き上げた。その傍には同じように駆け付けた父親が立っている。
「あらあら、泣かないでいいのよ」
「怖い夢でも見たのかい、よしよし」
二人が赤子に声を掛けると、泣き声は次第に小さくなっていった。安心したらしい幼子は母親の胸に頭を寄せ、純真な瞳を向けている。その顔を見つめた父親は静かに笑み、母親ごと娘を抱き締めた。
「いずれ、この子にもお友達が必要かしら」
「そうだな、猫を家族に迎え入れようか」
「ふふ、猫ちゃん以外にもたくさんのお友達を作って欲しいわ」
「ああ……きっと、この子にも大切な人ができるだろうな」
二人は娘の将来を思って視線を交わす。
赤子は両親を見上げながら楽しげに両手を伸ばし、無邪気な笑い声を響かせた。
「この子は、どんな子に成長していくかしら」
「きっと優しくて可愛らしい子になるさ。君のようにね」
「それなら、あなたのように立派で勇敢な子にも育つはずよ」
そして、笑いあった両親――ジェヘナとロウワーは、娘のニアにそっと語りかけていく。
もしもいつか、自分達から巣立つことや、離れることがあったとしても。この思いだけは変わらないと誓って。
「ニア。どうか、あなたに幸せな未来が訪れますように」
「――愛しているよ、ニア」
大成功🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV4になった!
最終結果:成功 |
完成日 | 2023年01月15日 |
宿敵 |
『自己愛の化身アルカード』を撃破!
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