リプレイ
八百陣・葵漆
【※青行燈宿敵主】
さて、ようやく出てきたね……
とはいえ、このタイミングというのはちょっと気になるね
地獄変の状況に比して首魁が出るには早計に見えるよ
青行燈以外に、まだまだ黒幕がいそうだね
伊尹殿は知識も含めてかなりの重要人物だ
確実に保護しないといけないね
場所は内裏の北東か
叫び声を聞きつけて急いで参上しよう
『平穏結界』で周りが不安にならないように隔離しつつ
伊尹殿に声を掛けるよ
我ら神仏ならずとも、この出会いは神仏のお導きでしょう
もう心配はありません
我らが必ず無事に護ります故、共に来て下され
●アドリブ連携歓迎
葛葉・狐狛
安眠妨害する輩を成敗してくる報告と、静かに眠っててもらえるようお願いをしに出立前に神田神社へお参りにいくさ。希望するご同道がいりゃご一緒に。
現地で連携に使えそうな小道具がありゃ仕入れていくよ。【パラドクス通信】がありゃそれに頼るけどね。
トレイン内で、【歴史知識】と経験から藤原伊尹の見分け方を連携しとくさ。
黄丹か紫、黒を身に纏うのが身分の高い人かね。
現着したら【九曜紋来寇】の【活性治癒】で生き残ってる護衛や雑色の治療をしつつ、見分けるために冠を下げて避難するよう触れて回るさ。
雑音を消してきゃ、追いかける面々も楽にはなるだろう。
発見の一報を聞きつけたら、すぐさま現場に駆けつけるようにするよ。
十野・樞
アドリブ・連携歓迎
伊尹卿に対して色々と思うところがないでもねえが
酒が不味くなるような話を潰す為に動くのは吝かでねえさ
捜索範囲・連絡方法・グループ・中継役等の役割分担諸々を事前に提案、
仲間と手分けし効率的に捜索
仲間の残留効果は有り難く使用
観察・看破・幸運駆使し情報収集
光使いで光屈折させ周囲に溶け込みつつ飛翔で上空より捜索
風使いで音を拾い
砂使いで逃走時に起きる砂埃等探す
簡単な双眼鏡での視認も
伊尹卿を発見すれば
光での偽装を解き
大声でお助け申す!と告げ
結界術で己達と伊尹卿に結界展開しつつ敵との間に割って入り庇う
仲間に連絡
賀茂の斎院…今は尊子内親王、
伊尹卿の孫かね
そちらの様子も無事も確認しておきてえ
瀧夜盛・五月姫
【姫親衛隊】、だよ。
……姫、報告書で、見た。
ち……将門公を『身の程知らず』、言った人の、父親、でしょ?
ま、今回は本人ではない、ましてや、排斥力で本人も言ったこと、忘れてるだろう、けど。
なんだか、ね。貴族……やっぱり、嫌い。
ん、大丈夫。
ここはどうか、わからないけど、“将門公がしたらしいことは変わらない”。
姫は姫の私情で、動かない。ちゃんと、わかってる。
【エアライド】、【壁歩き】、或いは自力で、屋根、上って、斎院方面へ、上から探す。
【悲劇感知】。よく耳、澄ますよ。
見つけたら、ハム通信機か【パラドクス通信】で、みんなに連絡。
急いで、確保する、よ。
あなたが伊尹殿?
しょうがない、から、護ってあげる、よ。
百鬼・運命
【姫親衛隊】
アドリブ絡み歓迎
「神主としてはこんな時だけでなく、普段から神社を崇敬してほしいものだが…まあ人とは得てしてそういうものなのだろうなあ」
すでに上空から捜索している味方も多いようだ。ならその手助けと行こうか。
周囲一帯数キロに【避難勧告】使用。ただし今回は一般人の避難はついで。本当の目的は避難せざるを得ない状況に追い込まれている人間がいる場所の目星を付けるのが目的だ。
時間は早朝、赤い光の明滅とサイレンは上空からもよく目立つ。【パラドクス通信】で上空から捜索をしている味方と連携すれば、スムーズに対象の発見へと至るはず。
「しかし…やはり瀧夜盛さん達も来ていたか。縁というのも厄介なものだ」
白水・蛍
【姫親衛隊】で参加。
アドリブ/連携○
逃げ惑う貴族の方がいっぱいいるのです?
助けに行きましょう。
念のため男装して下級貴族か位の衣装を着こみます。
今更だとは思いますけども、念のため。
時先案内人さんの予知を頼りにルート構築して移動。
【飛翔】や【エアライド】があれば使用。
【完全視界】もあればそれも使いましょう。
見つけましたら念のため声も低くし、<伝承知識>で当時の知識を補完します。
藤原の氏長者様。良かった。見つける事が出来ました。
私めは藤原の末席の者。こうして声をかける事お許しください。
此度は御身を護る為参りました。私めと我々のお仲間にお任せください。
と安心させるように声をかけます。
●第一訳。慰つ気、たり。青き行燈、王怒にて
『誰か来てたみたいだな。入れ違いか……』
『まあいいや。安眠妨害する輩を成敗してくる報告と、静かに眠っててもらえるようお願いに来ただけだし』
出立前のお参りを思い出し葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)は仲間たちを眺めた。
神田神社で御霊を慰め……というか、せめてものお願いに行ってから来た。その時に誰かの居た痕跡があったのだ。
きっと他にも参拝した仲間が居るのだろう。
「これから散開する前にだが、すり合わせしといていいか?」
「いいんじゃないの、その後の対処も含めて。他にも貴族の見分け方とか覚えといた方が楽だからね。ちなみに一番上の黄丹は皇族か何かの理由で特に許された人だけ、伊尹さんは紫衣の筈だよ。殿上出来る人は黒だったかな」
行動前に話を詰めようと十野・樞(division by zero・g03155)が提案した時、狐狛はノータイムで頷いた。
周囲の仲間たちも頷き、特に反対も無い様なのですり合わせを行う事になる。
「主にだが捜索範囲・連絡方法・グループ・中継役等の役割分担諸々を事前に提案する」
「後はパラドクス通信でかな」
「マ、その方が楽でいい」
樞は大雑把に打ち合わせ、誰が何をやっているかだけを周知して置いた。
振り分けして担当を決める程に時間がないし、みな仲が良いわけではない。
「逃げ惑う貴族の方がいっぱい居るのですよね? 私の準備も終わりました、助けに行きましょう」
「任務了解。目標の藤原伊尹を確保する」
「逃げ惑うおっさんを守れとか中々骨が折れそうだがな。まあ一度受けた依頼はキッチリこなす」
白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は普段から男装に近い衣装であるが、今朝ばかりは少し修正している。
略装の狩衣を着ているが、一応は下級貴族の着る色の衣袍(正式な衣装)も用意している。
見つけるだけなら時間を掛ければ可能だろうが、その後を考えて心象を整えるためであった。
「では僭越ながら。我が声に応えて来たれ……一言主よ。その糸(意図)を分け与え給え」
「都は碁盤の目状に区画整理されてる筈なので、集まった人手で可能性の高い区画から手分けして探索するといいかもしれません」
「わらわ達は表道ではない裏手に回るとしよう」
蛍はここで糸玉を千切り、仲間の元へ差し出した。
その糸には電流が流れ、千切り(契り)取って指に結ぶとパラドクス通信を略式ながら発動させる。
仲間たちは通信を結ぶと、それぞれに都の北東へと走り、あるいは空を飛んでいくのであった。
「どうした? 不景気な顔して。……俺としても伊尹卿に対して色々と思うところがないでもねえが、酒が不味くなるような話を潰す為に動くのは吝かでねえさ」
「ん。……姫、報告書で、見た」
樞は無表情ながら何処か陰鬱そうな少女を見かけた。
怒りと悩みで鬱屈しているせいか、どこか陰りが見えたのだ。
それゆえに酒の話を例に出して、自分もまた伊尹に文句はあるのだと今のうちにガス抜きに走った。
「伊尹なる人物、ひどく民草を苦しめたそうですからね。判ります」
「多くの人たちを苦しめた落とし前は付けてもらわないとね」
他の仲間たちもそう告げるが、少女はゆっくりと首を振る。
広義の意味でも許せないが、少女らしくもっと個人的な面もあるからだ。
「ち……将門公を『身の程知らず』、言った人の、父親、でしょ?」
瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼/大怨霊の愛し姫・g00544)はお察しの通り憮然としていた。
実のところ藤原氏の長者と将門、ひいては菅公は仲が良かった。途中から大事に成ったので仕方がないが、乱と呼ばれた事件の当初は、将門も反乱では無いと言い訳して居るくらいである。伊尹の息子が摂関家の裏話まで聞いて、同じ意見を保っていたかと言うと怪しい所であろう。おそらく長子や次子としての教育を施してはいなかったのだろう。
「ま、今回は本人ではない、ましてや、排斥力で本人も言ったこと、忘れてるだろう、けど。なんだか、ね。貴族……やっぱり、嫌い。それと……」
「……もしかして、やっぱり聞こえません?」
五月姫が憮然としているのには他にも理由があった。
正直な話、この改竄世界の『ここ』はどうか、わからないけど、"将門公がしたらしいことは変わらない"。のだ。今更文句を言っても仕方はない。問題なのは……。
「ううん。むしろ、あちこち、から、聞こえて来る、よ」
放っておけば数時間も保たない状態で護衛達が放置、あるいは引きずり回されていた。
「呪的逃走の逆だな。囮や金品を置いて逃げる……という防御の逆だ。悲劇の歌や遠目での確認には難しい」
「伊尹さんの護衛や雑色たちが、ワザと生かしてあるからですね。民衆を脅かす意味もあると思いますが」
百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)たちは相手の作戦をそう判断する。
話しながら運命は仲間を見つめる。
「しかし……やはり瀧夜盛さん達も来ていたか。縁というのも厄介なものだ」
「ん、大丈夫。姫は姫の私情で、動かない。ちゃんと、わかってる」
運命は姫が冷静さを取り戻し始めているのでフォローすることにした。
●第二訳。傅きたり、青き行燈追う気にて
敵がやってる妨害工作は考えられたものだが、判って居れば対処可能なのだ。
加えて一つの手段ならば難しいが、複数の手段があれば何とでもなる。
「少し協力しようか? 腕に十種の神宝。蛇避けの比礼、蜂蟲避けの比礼、悪鬼品々退ける比礼。……緋揚羽ノ舞イテ焔如セ」
運命は何枚かの符を取り出すと、右に左に布を振るような仕草をしてから放り出した。
地面に投げた筈の符は、たちまちのうちに緋色の蝶になって空に舞う。
「避難勧告? 確かコレは明確に追われている相手には……いや、そういう事か」
「そう。トループス級が追い回しているから、伊尹は避難できない。一番遠くなる相手が目標だし、まあそこまで上手く行かなくとも敵が居ない場所じゃ反応しないよ」
そのパラドクスを見て八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)は一瞬首を傾げそうになったが、運命の話を聞く前に気が付いた。
パラドクスの中には『Aという状況では反応しない』とか『Bという行動をしようとするが、駄目な場合には……』などと言う条件がある術があった。運命はまず内裏の北西部の中で、危険がない地域を排除したのだ。次に副次的なものだが、一般人やら逃げ回っている生き残りの護衛・雑色もまた排除したのである。後は簡単な算数の問題だろう。
「そういう事ならオレも協力させてもらおうかな。見つけた範囲からドンドン治療していくんでヨロシク。雑音を消してきゃ、追いかける面々も楽にはなるだろ……偉大なる御霊よ、星々よ。九曜の紋より来たりて己が理を示せ。西で恐れられるとも、東では慈しまれたり」
「あーその手があったか。伊尹さんを治療しようかと思ったけど、あたしもバリバリ治療にまわっちゃうよー。このまま将門公への疑いは、あたし達が晴らしちゃお。ね、五月姫ちゃん」
「俺も協力するよ。せっかく生存者がいるんだ。出来ればみんな助けたいからね」
その話をパラドクスで聞きつけて、狐狛たち治療可能な者たちが飛び回る。
悲劇感知は放置すれば死んでしまうからこそ、ダミー情報に引っかかってしまうのだ。
だがしかし、治療されていくことで次々にその偽情報が消えていくことに成った。
「聞こえなくなった? じゃなくて、本命が、聞こえる、かも? 急いで、確保する、よ」
「では急いで北東を目指そう。本命の悲鳴が聞こえるならばそう難しくは無いはずだ。一応あの辺りには騒ぎが起き難いように結界を張ってある。軍師たる者、そのくらいは出来ないとね」
五月姫の言葉に葵漆が羽扇子を掲げた。
彼女の掲げた扇からは一条の光が伸びて行き、周囲を覆い隠している筈の中を指し示す。パラドクスというものは味方には機能しないように出来るのだ。
仲間たちは建物の屋根を越え、あるいは空を飛んで天翔ける!
「このままいけば斎院だな。神主としてはこんな時だけでなく、普段から神社を崇敬してほしいものだが……まあ人とは得てしてそういうものなのだろうなあ」
「賀茂の斎院……今は尊子内親王、伊尹卿の孫かね。そちらの様子も無事も確認しておきてえ」
「紫野斎院ですね。出仕するなら逆方向だと思いますが……いえ、内裏の側から追い立てられたのでしょう」
運命や樞たちは現地の情報を仲間と交換し合った。
おそらくは内裏へ逃げ込む道を封鎖する手間の問題か何かで、北へ北へと追い込んでいるのだろう。
「そういえば、確かに賀茂の斎院について聞いてみたいですね」
「咄嗟に娘や孫を出しだすと聞いて賀茂の院とは呆れるが……。賀茂か」
逃げ惑わせるという仮定が必要な以上はあり得る話だが……。
無関係かもしれないし、単に青行燈の次なる目標かもしれない。ただ、場所が場所だけに気に成ってしまうのだ。
とある政争があった。
その政争が戦に成らぬように時の調停は全力を傾けた。
そこまでやって確実性を不安視したのか、その後の怨霊化を懸念したのかは判らない。修験僧に勝利を祈願させたのだがそれが空海。そして神に祈りを捧げ、姫を祭祀としたのが賀茂の斎院である。その斎院が関わって居るのか、単純に狙われるのか……。いずれにせよ王城鎮護の地が地で汚れれば、人々は不安を抱くであろう。
●第三訳。何時来たり、青き行燈逢う気にて
「さて、ようやく出てきたね……あの場に居るかは分からないが」
あともう少しで目標を確保し、青行燈の狙いをくじける。
葵漆はその状況に満足しつつも、別の懸念に思い至った
「とはいえ、このタイミングというのはちょっと気になるね。地獄変の状況に比して首魁が出るには早計に見えるよ……これは青行燈以外に、まだまだ黒幕がいそうだね」
「伊尹殿の失策と言うてもあくまで判を押しただけじゃろう。と成れば上司から見れば、青行燈の失策じゃからのう」
葵漆の言葉に仲間が応じる。
噂だけで人を殺すことができる能力は異様であり、かつ効率よく恐怖を集めて回る事が出来る。
仮に立て烏帽子の様な幹部連の一人だとしても、此処で使い切るのは惜しいのだ。ゆえに断片の王に睨まれたか、幹部の中で居場所でもなくなったのかもしれない。
「いずれにせよ伊尹殿は知識も含めてかなりの重要人物だ。確実に保護しないといけないね」
「大物でも何でもやる事は変わらんが……話の分かるお貴族さんだと助かるがなあ」
相手は藤氏の長者である。源平藤橘の四つしか苗字が無い時代の、その頂点である氏の長者なのだ。
葵漆たちはその知識がどれほどの価値があるのかを良く知って居た。
また日本では前任者に対し、前・先・元と様々な呼び名を付け貴ぶ風習がある。謀反人扱いでもされない限りは、『先のおおきの臣の命です』と付帯することもできるのだ。計り知れない価値があると言えよう。
「それだけ重要な人なんだね。でもそんなの関係ない。助けられるなら助けるだけっ!」
「じょ、情報も大事ですが、命の方が大切です。ぜ、絶対に助けてあげますね」
「例えどんな時でも私たちがやる事は変わりません。この戦いが重要でなくとも、いつもの戦いであろうとも……です」
優しい仲間たちの覚悟にみな微笑んだ。
見ればサーヴァント界隈の中でもジェネラル級ではないかと冗談で言われるモーラットも頷いている。
「そうだね。伊尹殿に声を掛けるよ。みんなでこの世界を救う第一歩を始めよう」
「私たちは貴方を助けるために来たよって、手を差し出しにね!」
やがて葵漆たちは休む男を見つけた。
一人一人と集まり……あるいは囮として別の場所へ赴いたり、トループス級を牽制を受け持って散っていく。
「発見したぜ! ……お助け申す!」
「藤原の氏長者様。良かった。見つける事が出来ました」
樞は双眼鏡で見つけると、仲間達に連絡を入れながら空中で大声を出した。
対して蛍は息を切って駆けつけ、唯人であると偽装しながら近づいていく。
共に周辺を警戒しながら、陰陽師や下級貴族であるかのように装った。
「……お、お主らは?」
「我ら神仏ならずとも、この出会いは神仏のお導きでしょう。もう心配はありません。我らが必ず無事に護ります故、共に来て下され」
ヒーコラ言って座りこけた男に葵漆は声を掛ける。
その間に時間稼ぎ以外で、駆けつけている仲間たちは警戒網を築いて護衛にあたった。
もちろん呪いの刃が飛んで来ればいつでも覆い被される態勢だ。
「あなたが伊尹殿? しょうがない、から、護ってあげる、よ」
「世に聞こえし藤原の長者と言えども儘ならない事はある様ですね」
姫たちも己の不満はさておき、ひとまず伊尹を守る事に異存はない。
例え陰謀の黒幕であり、表面上は優しく陰で人々を苦しめたとしても、クロノヴェーダに殺されてよいはずはないのだ。その陰謀の為に協力する様に言われている可能性もあるのだから。
「私めは藤原氏の末席の者。こうして声をかける事お許しください」
蛍が代表し、畏まって声を掛けた。
その折に性別だけでなく顔見知りではない事に気が付かれないように、顔を下げて膝を着く。
「御身を護る為参りました。私めと我々のお仲間にお任せください」
「もっと疾く麿を……。いや、何でもない。そなたらの褒章は必ず、重く用いよう。藤氏は蔦の如くかき抱き国を守る者。恩義は忘れぬぞ」
顔を上げない蛍に対し、伊尹は一瞬で我儘な貴族としての顔を覆い隠した。
この辺りは上流貴族の中でもトップクラスの人間だからこそだろう。
もし怨霊やら鬼に出逢えば直ぐに顔を青ざめさせるであろうが、妖怪ではない武士や陰陽師であれば笑って煙に負ける胆力はありそうだった。
「ただまあ、何処ぞで休ませておくれ。そうじゃ、斎院ならば既に明けて誰ぞ居よう。蘇蜜でも出してもらえば皆で食せようほどに」
伊尹は不安を覆い隠してカロリータップリで高価な菓子でも供そうと言い出した。
しかし視線は近くにある施設へと向けている。
サラリと誤魔化しているが、孫娘が気に成っているのだろう。彼に娘や孫は幾人も居るが、この期に及んで気になる相手などそう多くはないからだ。
もっとも、そんな暇があればの話である。
彼方で見守っていた敵集団の内、一部が迂回してこちらにやって来るのが見えた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【アクティベイト】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
●第五訳。逸鬼たり青き行燈。大(おう)切にて
『ハア!』
「チッ! 抜けられた!」
敵集団の一部が意図的に迂回進撃を掛けた。
恐るべきことにその集団は、更に分散して壁に成った味方を回避すると、また一つに成って進撃する。
トループス級でありながら、それぞれが弱いアヴァタールに匹敵するほどの実力。
「必ず止めないと! 抜けられたらおじさんくらい直ぐに殺されちゃいそう!」
『フフフハハハ!』
さらに言えば鬼馬を巧みに操り、たった一人が目標に辿り着けば良いと、己の実力と相手の無力さを理解して猪突する猛威があった。
八百陣・葵漆
呪詛の刃はてっきり青行燈のパラドクスだと思っていたけれど
この分だと違うのかな?
まあ、あちらは仲間に任せて
僕は追手を掃討しようか
青行燈は直接戦闘を得意とするタイプでないにしろジェネラル級だ
万全の状態で戦いたいからね
鬼馬突撃ね……
ただ突っ込んでくるだけならば、これほどやりやすいものも無し
馬防柵……そこまでいかずともちょっとした障害を用意して
敵の進路を進みやすい道へ誘導してあげよう
そして、そこに用意した落とし穴やら堀に嵌めてしまうよ
『足止めの軍略』……味わうといい
高速で突っ込めばそれだけでも大惨事
被害が少なくとも、動きを止めた騎兵を倒すのは簡単さ
(絡繰り兵器の爆弾を投擲)
無堂・理央
青行燈、理由が有って逃げれないっと。
こっちにとっては利のある事だけど、鬼妖の間でも争いがあるのかな?
無双馬『クロフサ』に騎乗して斬り込んでくよ。
今回のトループス級は普段のとは段違いに手強いみたいだし、出来れば他の人と協力して一騎ずつ確実に叩いていこう。
ランスを構えて【ダッシュ】で一気に間合いを詰めてのランスチャージ!
初撃は横合いから集団になってる敵のど真ん中に突っ込んで敵陣形を崩す!
陣形を崩したらそのまま駆け抜けた後に旋回して再びランスチャージを掛けてくよ。
敵は藤原伊尹狙いに注力してるし、突破してくる個体を優先的に叩かないと。
けど、敵も陽動や囮役とか駆使してくるだろうし、そこも見極めないとね。
一里塚・燐寧
【姫親衛隊】で参戦希望
アドリブ連携歓迎
鬼馬軍団……油断できる相手じゃない、むしろけっこーヤバいねぇ
でも馬の速さはあくまで「巡航速度」!
あたしの「最高速度」に勝てるかなぁ!
≪テンペスト・レイザー・バーストモード≫を手にして
『呪式:叛死犯生』を発動!
拒絶の【呪詛】の斥力で自分を超高速でブッ飛ばし
稲妻のようにジグザグな【残像】を生じる急速旋回を繰り返しながら
巧みに離合集散する鬼馬軍団に次々と【捨て身の一撃】を仕掛けるよぉ
唸りを上げる回転刃を振るい、目指すは人馬もろとも真っ二つ!
一匹も逃がしてなんかやらないよぉ!
反撃は速さと狂った軌道による【攪乱】で回避を狙い
それでも受ける時は大剣を盾代わりにするねぇ
●第六訳。何時来たり? 青き行燈。応鬼にて。
「呪詛の刃はてっきり青行燈のパラドクスだと思っていたけれど……」
八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)の口元は羽扇で隠され、その様相は伺えない。
「この分だと違うのかな? まあ、あちらは仲間に任せて僕らは追手を掃討しようか」
敵の手段が一つであっても二つであっても倒す分には変わらないという者も居る。
しかし葵漆は軍師であり、その差に意味を見出し、どちらであるかによって戦いの組み立てを考えるタイプだ。どっちでも良いと断言したいわけではない。ただ……。
「鬼馬軍団……油断できる相手じゃない、むしろけっこーヤバいねぇ」
「だねー。速度重視に代えたから、様子を見てた味方一部が振り切られてる」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)と無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)はのほほんと笑っているがそれどころではない。
敵集団は集合と分散を繰り返していたが、途中から進撃速度を上げたのだ。
やってることは同じだが、移動力が大違い。大地を蹴るからこその速力で一気に距離を詰めて来たのだ。
「いつ呪詛の刃が飛んでくるかも知れないのに……! ……いえ、こんな時だからこそ、トループス級共をけしかけてきたんでしょうね」
「多少は知恵が回るようですね。一人だけでも辿り着く事が目的でしょうか」
「一体でも標的に辿り着けば、か。その意気や良し! 一体足りとて届かせないよ!」
ディアボロス達は敵集団の勢いに驚きつつも、散開している中で間に合う者たちが迎撃に向かい始めた。
まずはその勢いを止めねばそのまま蹂躙されてしまう恐ろしさがある。
「今回のトループス級は普段のとは段違いに手強いみたいだし、出来れば協力して一騎ずつ確実に叩いていこう」
「うむ。力量も雑兵等とは思えぬ程か。流石はジェネラル級の配下、と言うべきかのう。だがまあ、それとこれとは話が別よ」
「数押しだけが能かと思ったが……そうもいかないようだな……。守るにしろ減らすにしろ、面倒事は嫌いなんだ……」
理央の言葉に仲間達がニヤリと笑い、あるいは面倒くさそうに肩をすくめる。
敵が強く怖ろしいという事と、対抗できないという事は違う。
あのトループス級は弱めのアヴァタール級に匹敵するくらい強そうだが、いまさらその程度の強さで歴戦のディアボロス達がくじけるはずはないのだ。
「で、でも、ここから先は通しません」
「あなた達を、ここから先に抜けさせるわけにはいかないからっ!!」
少女たちは一人、また一人と駆け出し、空を征く。
モーラットの群れが、魔砲少女が、あるいは妖狐たちが集って『なーん』と集会を始めるかのようだ。
「青行燈は直接戦闘を得意とするタイプでないにしろジェネラル級だ。万全の状態で戦いたいからね。しかし鬼馬突撃ね……。
葵漆は仲間たちの頼もしい姿に灰色の思考回路を回転させる時間を貰った。
先ほどまで彼女の小さな胸を締めていた不安を分割思考に回し、頭脳がフル回転していく。
「ただ突っ込んでくるだけならば、これほどやりやすいものも無し。一里塚君、無堂君。ちょっといいかな?」
「まっかせてー」
「おっけー」
軍師にも色々あるが、葵漆はどちらかといえば事前に準備する攻勢タイプだ。
近くに居た仲間の内、意図して二人に声を掛けた。
「馬防柵……そこまでいかずともちょっとした障害を用意して敵の進路を進み易い道へ誘導してあげよう。そこに用意した落とし穴やら堀に嵌めてしまうよ。そして攪乱して……」
「一人ずつ撃破だね? 了解」
葵漆は地面に縦線を引いて簡単な地図を作る。
凹凸などで造る簡単な枝が、決してボディラインの話ではない。
それどころか高速で突撃すれば、たちまち大惨事になるだろう。
「ボクは突っ込み役だよね? 真っ直ぐ行って攪乱して時間稼ぎ。そっちはどんな感じで?」
理央の強みは何時いかなる時も変わらない、戦闘証明された突進力だ。
パラドクスでアレンジも効くが、突撃戦闘と言う意味で誰もが思い浮かべる確かさがある。
「馬の速さはあくまで『巡航速度』!あたしの『最高速度』に勝てるかなぁ! なんて、まあ小回りの差が違うんだよ、この位ねっ」
一方で燐寧の方はタンク役をメインとして、高機動戦闘もこなすことができる。
目の前で指と指がくっつき合うような微妙な差を見せて、その微妙さを使いこなすのだと告げた。
要するに正面戦闘で時間を稼ぐ戦を行うのに複数種類の方法を備えているという事だ。『なんだったらヒールを履いても戦えるよー』との事である。
「喧嘩と来りゃ放っておく手はねえな。一つ噛ませてもらうぜ。気張って露払いと行くか!」
こうしてディアボロス達は迎撃戦を開始した。
まずは判り易く展開された罠と、隠されたままの罠が待ち受ける。
「あて『足止めの軍略』……味わうといい。移動を封じるのは、古来から有力な軍略さ」
葵漆は敵集団が間近に迫った所でサっと羽扇を振った。
『ちっ。足払いか。跳べ!』
「高速で突っ込めばそれだけでも大惨事。被害が少なくとも、動きを止めた騎兵を倒すのは簡単さ」
陰に隠されたロープのような単純な罠が起動し、トラバサミなどが牙をむく。
そして絡繰り兵器の中でも爆弾を仕込んだものを炸裂させていった。
間髪入れずにディアボロス側の攪乱戦術だが、先陣を切るのはもちろんこの人。いや、この主従!
「いっくぞー! 弾けクロフサ!」
理央は無双馬のクロフサに騎乗して、横合いから突っ込みランスチャージを掛けた。
鬼馬以上の体力を誇るその重量感が、ミシリと受け止めた筈の敵の槍を砕きに掛かる。
『なんの!』
「そーい!」
敵は槍を斜めに反らせて受け流すが、理央は当たるを幸いに体当たり気味の突進に移行する。
さすれば敵兵は弾き飛ばされ……。
『ただでは死なん! かあっ!』
「投げ槍!? うわっと! やるなあ。……でも敵も馬鹿じゃない。陽動や囮役とか駆使してくるだろうし、そこも見極めないとね。クロフサ、もう一周!」
理央は危なく顔面を撃ち抜かれる寸前で身を引き、額に血を流しながら駆け抜けた。
そして適当な所でUターンし、もう一度再突撃する予定である。
「そんじゃ、あたしの出番かなあ!」
『残像ではなあ! そこっ!』
燐寧は攻撃タイミングを誤魔化すために、ジグザグに移動して残像を残しながら攻撃した。
しかし敵はそれを見切り、馬の足で引き潰さんと連打を掛けて来る。
だがしかし!
「残像効かないのは知ってるって! 悔しさや悲しさを背負って生きるのは辛いからねぇ。今、すぐに終わらせてあげるよぉ」
燐寧は鬼馬の足を一本代え、もう一本の足はなんと額で受け止めた。
そして相手の動きが止まった所で、チェーンソー状の大剣を唸らせる。
大切な親友の為に何もできないかもしれないという思い。あるいは連絡が届かなかったり、移動経路が寸断されて間に合わないという悪夢を夢見た。その想いが動かない胸のエンジンに灯を点けて、明後日の方向に奪取したくなるような勢いをもたらしていく!
「目指すは人馬もろとも……邪魔するなら神も悪魔も真っ二つ!! 一匹も逃がしてなんかやらないよぉ!」
有効打である時も、有効打でない時も……。
燐寧は常に動き続け、離散集合する相手の動きをこそバラバラにし始める。
その反撃で自らが傷つく事などお構いなしだ。ここで死にたくはないと思えるように成っては来た、だが、間に合わないとか届かないなんて真っ平ごめんだと明日に手を伸ばす!
「……青行燈、理由が有って逃げれないっと。こっちにとっては利のある事だけど、鬼妖の間でも争いがあるのかな?」
「追儺の儀式を失敗して戦力を増やせていませんから、その影響もあるのかもしれません。しかしここに来て鬼馬軍団は何となく立烏帽子との決戦を思い出しますね」
理央の言葉に仲間の一人が答える。
確かに青行燈は失敗を重ねて来た。その影響で席次であったり、あるいは妖力を失っているのだろうか?
代わりに鬼馬軍団が頭角を現して来たとも思えなくもない。
しかし、その考えを口に出す余裕はなかった。なぜならば……。
「来た……判らない。まったく判らなくなってきたぞ……この気配……」
「呪詛の刃は経験がある……あれは時も距離も超えてくる刃だ。絡繰りは、黒幕は――青行燈。本命に聞いてみないとな」
葵漆は口元を覆い驚愕を隠すことに成功した。
仲間の言葉が耳に入らない。
だが現実に斎院を青い光がポツポツと照らし出し……遅れて避難を勧告する赤い光が周囲に満ちる。
「でも、あたし達も間に合った……のかな? 怒ってる?」
「ただ、"冷静に怒っている"だけ。将門公の怨霊だなんて、虎の威を借りたさもしい餓鬼風情が。ここまで来たからには、……してやる。それだけ、だよ?
燐寧は一瞬、親友の言葉が耳を通り抜けたのを感じる。
迷っているからか? それは燐寧か友人か。鬼馬への対処は今行っている。ならば呪いの刃への対処か、それとも青行燈か。しかしそれは今語る時ではない。
いずれにせよ、紫の斎院は青と赤の色で鬩ぎあい始めた。
それはまさに対立を表すかのようであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【傀儡】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
【温熱適応】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!
瀬島・大輝
■アドリブ歓迎
ちっ…!
息子を守って戻ってきたらまさか親の方もか!
なんにせよ奴さんが直接出てくんならやるっきゃねェ
親子共々、まだ話が通じる内は身を挺して守ってやるよ
俺から離れるんじゃねェ
いいか、手前の子供には全て告白しとくんだぞ
今度の呪いはどのくらいの威力かは知らねェが
【活性治癒】を発揮して保険をかけておく
間隔も分からねェし、すぐさま交代出来る奴は近くに居ろ!
ちっ…前回も思ったがひたすら守りに徹するのは性に合わねェぜ
青行燈め…今に見てろよ…オラァ!!
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
目の前で人が殺されるのを黙ってみてることなんかできるわけ無いからね?こちらの話を聞いてもらうためにもここは身を挺して守らせてもらうわ
残留効果の【未来予測】を使用しながら少しでも刃の出現場所を予測しながら守っていく
んー、守るだけもキツイけど、でもやっぱり守るもの、守れるものは守らないとディアボロスとして恥ずかしいからね……
食らい続けるのも楽じゃないけどある程度は【活性治癒】で癒せるかしら?
伊尹には自分たちの後ろに確実に隠れてもらい当たらないように自分がいくらダメージを食らっても守る姿を見せ信頼を得られるようにしておく
●第七訳。斎たり、青き行燈。逢う気にて
『あははは』
賀茂の斎院へ笑い声が木霊する。
誰なのか思い至り鬼妖を探すと、青く蒼く気味の悪い光が集って姿を為す。
『よくぞお越しいただきました。おおきのおとど、全ての藤原氏を束ねる藤氏の長者よ。ですが……よろしくない者とお付き合いの様ですねえ』
「青行燈……」
誰が言ったか知らないが、全ての者の思いは同じであった。
青色の光で構成された怪しき鬼。
いや、そもそも鬼か? 幽のようであり、鬼の様であり、長き髪と異様な薙刀を持つ姿は毒蜘蛛や毒花の様な気味悪さすら覚える。
「どの面下げて言いやがる。俺の言えた義理じゃないがな」
「あら、そうかしら? あちらと比べたら確実に素敵よ?」
瀬島・大輝(怒りし地獄の閻魔・g06270)が軽口を吐き捨てると桜・姫恋(苺姫・g03043)が拾って投げ返した。
正直な話、此処で出て来るとは思っても見なかったが……。
冗談でも言い合って紛らわせる他ない局面である。
『今すぐその輩と手を切るべきだと御忠告申し上げましょう。出なければ、貴方だけではすみませんよ? 次は大切な方だけではなく……』
「ま、まさか!? 院を、麿の孫を殺す気か!? 止めよ、此処を何処と心得ておる! 王城鎮護の地ぞ!」
藤原伊尹は僅か一瞬ではあったが、勇気を総動員した。
己だけではない。この国を守る為の場所であり、東寺なども含めて最重要の場所である。
妖怪が気にしないとは聞いていたが、まさかよりにもよって、こんな場所で行うとは信じられなかった。恐怖を使命感が上回り、氏長者として……いやこの国の一員として何とか言葉を吐き出すことに成功していた。
『一族全て……。ああ、次の幕には密室殺人など良いやもしれませんねえ。立て籠って安全だと思っている人間を次々に……それを止めたければ、ここで死になさい』
「ああ、ああ、あああああああああ!?」
青行燈はまるで話を聞いてはいない。
そもそも鬼妖相手に話が通じると思ったことが間違いであったのか?
次はどんな事件を起こしてやろうと楽しげに語る。青行燈にとって藤原伊尹は既に殺すだけの相手であり……王城鎮護の地どころかこの国の尊厳など気にもかけて居なかった。殺される、このままでは殺される。しかし座して放置しても誰かが殺される。そしてこの国も命運もまた……。
『おや。貴方の答えを聞きたかったのですが……時間切れの様ですね。サヨウナラ』
「あーもう!」
その時、青行燈が不意に顔を上げた。
俄に気配が増大し、ナニカがやって来る!
もはや一刻も猶予も無い。そんな時だ!!
「ちっ……!」
「くうう……」
大輝が動き出そうとした時、既に刃は転移していた。
近くで手を取っていたのに間に合わなかったのか?
いや、刃が刺さっているのは別の人物だ。倒れ込む時にフワリと香る良い香りが印象的であった。
「……目の前で、人が殺されるのを黙ってみてることなんか……できるわけ無いからね? こちらの話を……」
「もういい、しゃべるな!」
触れている所までは同じだった。
姫恋が間に合ったのは未来を予測していたからだ。
だが危ないタイミングだったろう。もし触れずに隣で眺めて居たら死んでいたし、触れていても予測しなければ上手く止めれたかどうかは怪しい。あまりの衝撃に肺の中の空気が全て出て行ったのかと思う程に苦痛が姫恋の中を走る。
「くそっ。こうなってくると抱きつかなくちゃダメだな。親子共々、まだ話が通じる内は身を挺して守ってやるよ。俺から離れるんじゃねェ!」
「子? 孫ではなく? いや、皆殺しにすると……。麿は、麿はどうしたら……」
大輝が抱きかかえると伊尹はしきりと言い分けをしていた。
声をかけても狙われているのが、自分なのか子供なのか、孫である斎王さまであるのか区別がついていない。
「いつ呪詛の刃が飛んでくるかも解りません。御身に触れる謝罪や状況説明を伊尹様にやってる暇は無いかも?」
「未来予測で敵の呪詛の刃を察知するのはこちらでやります。……治療も余裕があれば」
仲間たちがそう声を掛けたことで、大輝も覚悟を決めて奔り始めた。
この斎院は都の北東部であり、その向こう側に護衛と輸送を兼ねた班が待機しているはずだった。それほど離れていないので、駆け込めば何とかなるだろう。
「息子を守って戻ってきたらまさか親の方もか! なんにせよ奴さんが直接出てくんならやるっきゃねェ。いいか、手前の子供には全て告白しとくんだぞ」
大輝は焦りそうになる自分を抑え、チラリと仲間の方を眺める。
転移してきた刃は既に仲間が抜いたが、放り投げるとカランと音を立てた瞬間に消えている。
だが重要なのはその余裕の方だ。
「んー、守るだけもキツイけど、でもやっぱり守るもの、守れるものは守らないとディアボロスとして恥ずかしいからね……」
「無理すんな! 間隔も分からねェし、すぐさま交代出来る奴は近くに居ろ!」
大輝が見たところ姫恋は自分でも治療しているが、外見だけを取り繕ったように見える。
おそらくは伊尹に心配させないための配慮レベルだろう。休憩もせずにもう一発は怪しいと思えた。
今度の呪いはどのくらいの威力かは知らないが、効力だけは前よりも強く感じる。ならば保険は何重にも掛けておくべきだろう。他の仲間たちに声をかけ、自分もまた盾にするべく重たい体を抱えて走り続けた。
「ちっ……前回も思ったがひたすら守りに徹するのは性に合わねェぜ」
『フフフ……その気勢。何処まで持つかしらねえ? ……おや。もう次が来たみたいね」
大輝はその一撃を感じた瞬間、できるだけ放り出さないようにして次の仲間に託した。
投げ落として衝撃など与えないよう、クルリと回転して自分を下に受け身を取る。
未来など読めないが、それがせめてもの義理だと感じたからだ。
「大丈夫よ。ホラ……私たちは一人じゃないもの」
「青行燈め……」
一瞬だけ気絶をしていたのか、姫恋の声で大輝は目を覚ました。
「藤原殿、御身はお命を狙われておりまする。この身に代えても御守り致しまする故、どうか暫しの御寛恕を賜りたく」
「今に見てろよ……オラァ!!」
少し離れたところで仲間の声が聞こえる。次の仲間も向かっており、目には目をと報復を決意するのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【活性治癒】がLV3になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
狭間・ならく
サテ。お偉いさんのことは向こうに任せて、露払いと行くかね。
ひひ、ひ。なァに、ナラクさんはいつも通りさ。(【飛翔】にて、見晴らしの良さそうなところを探して陣取る)(【パラドクス通信】で連携出来そうな復讐者に声をかけてはそちらに牽制射を含めて射掛ける)
どこから飛んでくるか分かっても、そう簡単には避けられまいよ。此方の矢は無限、射程も通常の矢などよりずっと上、極めつけには不可視であり非物理である。
──ああ、妖ども。
『去ねや』
(言霊に【呪詛】を載せ、放つ。敵意のみにてただ穿つ)
樫谷・都黒
どうやら逃げ先が見当違いであったようですね。
お話を聞いてみたかったのですが望み薄でしょうか。
こうなっては仕方ありませんし、追手の駆除に参りましょうか。
そちらの様に使い分けなど小技が苦手なので距離は関係ない方法をとらせていただきますね。
これで殺しきれるとは思っていませんがこちらを脅威と思われれば助かる人もできるでしょうか。
音による距離を無視した攻撃
青行燈の能力を考慮しステータスに影響しない残留効果を作成する
これで一般人を襲うようであれば挑発して自身に向かわせる
集団相手に他のディアボロスと連携を狙う
無視されたら一体を全武装持って殺す
あなたも運が悪いですね
わたしにはどうでも良い話ですけれど
百鬼・運命
【姫親衛隊】
いくら分散して迂回しても結局は藤原伊尹のいる賀茂の斎院へとやってくるし、すべてを止めきれるとは限らない。
なら、藤原伊尹の周囲に罠を張って仲間の後詰に待ち構えておくのが良いだろうかな?
パラドクス通信で味方と連絡を取りつつ戦況把握。
藤原伊尹の隠れた賀茂の斎院に呪詛返しの結界を施し、味方を抜いて藤原伊尹へと突撃してきた敵に対して自動反撃で足止め。手の空いている仲間に呼びかけ追いついてきた味方と挟撃して打ち倒していく。
また呪詛返しの符はこっそり藤原伊尹にも施す
「嘘は呪いの基本。青行燈が姫御子と言ったことで、ここに足が向くようにしむけられた可能性もある。用心するに越したことはないからな」
●第八訳。溢喜たり、青き行燈。往詭にて
『逃げる気ですか? そうはいきませんよ。伊尹さん、貴方はここで死ぬのです』
青行燈は勝ち誇った顔でニタニタと笑っている。
幽霊の様に青ざめた顔が、その時ばかりは血色を良く感じた。
しかも間が悪いことに、迂回していた鬼馬武者たちがそのまま回り込んで来たのだ。
「どうやら逃げ先が見当違いであったようですね。まさか待ち構えられていたとは」
樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)はため息を吐いた。
せっかく斎院に向かう途中の藤原伊尹を見つけたというのに、その目的地へ先回りされていたとは。
「お話を聞いてみたかったのですが望み薄でしょうか」
「意味があれば話は後で聴けると思うよ?」
「意味があれば……ですか?」
都黒の言葉に百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)がそう返した。
「嘘は呪いの基本。青行燈が姫御子と言ったことで、ここに足が向くようにしむけられた可能性もある。さて、これなーんだ?」
「アー。そういう事な」
運命が解説すると狭間・ならく(【嘘】・g03437)はヒヒヒと魔女の様に笑った。
彼が見せたのは一枚の呪符だ。
御伽噺やら童話で付き物のアレである。
「用心するに越したことはないからな。呪詛返し用で持たせておいた。もちろんこの斎院にも予め施してあるよ。片足で歩くのは面倒だったけどね」
運命は片足を常に地面に付けて、もう片方の足だけを上げて歩く歩法で結界を築いた。
その昔に世界を収める天帝の一人の故事を用いた物で、地に付けた片足で覆った地を領地(結界ノサイズ)として結び、挙げた足の数で強化するという術式である。
「もし最初から罠だった場合……。いくら分散して迂回しても結局は藤原伊尹のいる賀茂の斎院へとやってくるし、そもそも全てを止めきれるとは限らない。最初には最初、藤原伊尹の周囲に罠を張って仲間の後詰に待ち構えておくのが良いだろうかなって思ったわけ」
運命は常に味方とパラドクス通信を行い、いつでもフォローできるようにしていた。
しかし仲間を信じる事と、敵に対処するかしないかは別の論理である。
こういう時に『オレを信じないのか!?』と言われて防御を丸投げする訳にはいかない。だからこそ、予め呪詛返しの準備をしていたのだ。
「ほーん。まあいいさ。しかし奴さんのやり口は判ったが、この状況はどうにもいけねえなあ」
「敵に襲われて呪いの刃が降ってくる状況は判るとして、やり口?」
ナラクは頷いて、地面のうち警告の赤い光が強い部分と敵の青い光が強い部分を交互に指さした。
「緋奈子たちの予知は最終的にあたるが、過程は説明しきれてねえ。断片の王や幹部が命じたのか、それとも他の勢力やら奴自身の妖力浪費とか色々考えられはする」
しかし、絶対に確定情報だけは外さない。
その事を赤色の強い部分に書き記した。
「青行燈は逆だ。奴はウワサが元に成ったつーか、嘘が誠になるタイプだな。先に『虚偽の予言』をして、実際に成功したら妖力を得られるし、それに基づいた噂で人を殺せる。つーか、奴自身が噂で成り立つ妖怪だしな」
しかし、それは確定ではない。
放置すれば確実に死んだかもしれないが、ディアボロスが介入したことで嘘が真実にはならなかったと、青い色が強い部分に書き記していった。
その推測はあって居るような気もしなくもない。
つい先ほど次の事件を……第五幕か何かを起こすのだとしたら、密室殺人でもやろうかと口にしていたからだ。
「話はそこまでだ」
「敵か。マ、しゃーねえ」
「検証をする暇は無さそうですね……。こうなっては仕方ありませんし、追手の駆除に参りましょうか」
とうとう回り込んでいた鬼馬たちがやって来たらしい。
アレを蹴散らさなければ脱出もさせられないと、都黒たちは気合を入れ直して迎撃に向かった。
「なんか前より刀が長めに見える気がするが……。サテ。お偉いさんのことは向こうに任せて、露払いと行くかね。手順は判ってるか?」
「隠れて狙う、というのも難しそう、だ。狙撃手らしからぬだけれど、正面から狙い撃とうか……ただし脚をね」
ナラクは違和感を感じつつも、空を飛んで斎院の屋根に陣取った。
その中でも立ち位置が良い場所を選び、仲間たちにパラドクス通信で連絡を取る。
いや、それだけではない。タイミングを合わせて牽制射撃を開始し、その攻撃を束ねる事にした。
「どこから飛んでくるか分かっても、そう簡単には避けられまいよ──ああ、妖ども『去ねや』疾く、消え失せろ!」
『矢弾だと? しゃらくさい! 突入!』
ナラクは弦を張ってない弓を番えて呪詛を矢として放った。
無形の矢が飛び、仲間たちの攻撃が後に続く。これに対して鬼馬たちがしゃにむに突進して来た。
「これが噂の鬼馬軍団ね、勇ましいのは良い事だけど……私達には敵わないわ!」
「私の勇気は、そのくらいじゃ折れない! 貫けぇーっ!」
迎え撃つディアボロス達は騎乗し、あるいは徒歩で迎撃していく。
しかし敵は例え一騎であろうと、伊尹に辿り付けば良いのだ。極論を言えば攻撃範囲に入りさえすればいい。
『もう直ぐ抜けるぞ!』
「そうはいかないな。……因ハ廻リテ果二至リってやつさ」
鬼馬の頭が敷地に入り、槍が掲げられた時。
運命はただ片手を上げた。別に指も弾かないし、手を降ろして合図もしない。
ただ手を振って、さようならと告げただけだ。ただそれだけで、鬼馬の胴には打撲傷が生じ、武者の胸にも穴が穿たれる。
「そちらの様に使い分けなど、小技が苦手なので距離は関係ない方法をとらせていただきますね」
都黒はその攻撃に相乗りし、追撃するために攻勢に出た。
あるいは続く相手が居れば、そちらを倒そうと唄い始める。正確には彼女ではないのだが。
「唄う髑髏は数あれど、恨みを晴らしたは幾人いるか。塵塚より唄いたまえ。その頭蓋の中身を、今は昔な空虚な恨みを」
都黒の左半身たる悪魔『御前様』の力により、人の頭部と同サイズの髑髏を創りあげた
髑髏は今朝がたに起きた悲劇に感応して唄う。あるいは散々利用され、いま行け偽にされようとしている伊尹の為だろうか? 因果応報を唄うことで、呪詛を含む瘴気の歌を完成させた。
「トドメは刺しましたが、新手ですか。……協力いだだけますか?」
「誰かがボスを倒すために、取り巻きを倒すのも必要な仕事だろう? それに、今回は守らなきゃいけない人がいるみたいだしね。後から合流……できるといいなぁ」
これで殺しきれるとは思ってないが、救う事も出来るかもしれない。
それは伊尹のみならず、斎院の人々や、青行燈を放置して死ぬことになる人々だ。クロノヴェーダの陰謀に対し、ディアボロス達は協力を申しで居た。
「あなたも運が悪いですね。わたしにはどうでも良い話ですけれど」
都黒が最期に告げた言葉は自嘲気味だった。
それは倒れ逝く、雇われ者の鬼馬武者に向けた物だろうか?
それとも失敗の責任でも取らされたのか、あるいは鬼妖同士の対立で逃げられなくなる青行燈に向けた物だろうか?
いずれにせよ斎院を攻め立てた鬼馬武者たちは倒された。
屈強さに押されそうになったが、ディアボロス達は諦めずに協力し合い無事に守り切ったのである。
次は呪いの刃から藤原伊尹を守る時だ。そして……。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【腐食】LV1が発生!
【悲劇感知】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV4になった!
守都・幸児
俺は陰陽師の見習いみてえなもんだ
今からあんたを呪詛から守る
ちょいと暑苦しいかもしれねえが、我慢してくれよ
生き延びたけりゃな
俺のでかい図体をこんなときくらい役に立てねえとな
伊尹にしっかり組み付いて
呪詛の刃を代わりに受けるぞ
【呪詛】の気配を少しでも早く感じ取り
必ず全て止めてやる
一人で前と後ろの両方は守れねえから
皆と連携して全方面をしっかり守る
特に伊尹の心臓の上には必ず誰かしらの体が重なってる状態を保つぞ
刃をくらい続けるのはちょいときついが
【活性治癒】を使いながら【呼吸法】で意識を保つ
皆が必ず追手を片付けてくれるって信じてるぞ
刃を放ってるのがどこのどいつか知らねえか
必ずてめえもぶちのめしてやるからな
葛葉・狐狛
歴史どおりなら……あと半年ぐらいの延命だけど、現代の御霊の眠りのためには護らないとね。
妖怪退治の縁で参じたとでも言っておこう。
御身に不心得者が呪詛を放つが、オレらで身を挺して護るから安心しろってね。
携行してるキノコを模した甘い菓子を、伊尹さんに一つ献上して元気を出して貰いつつ一緒に移動。
お孫さんは可愛いのかね。と興味のある風に話しも振ってみよう。
特徴やら聞けば、今後役立つかも知れないのでね。
道中は抱えるように支え、【未来予測】で襲撃の瞬間に備えて、呪詛の刃を身体で受け止めるさ。痛みは【活性治癒】と【肉体改造】で頑張って耐える。
傷が深くなったら、顔には出さずハンドサインで仲間に代わるよ。
文月・雪人
周囲の被害軽減に【活性治癒】重ねた後
名を名乗り伊尹様の前へ
これまで保護した貴族達やご子息の名を挙げ
皆無事である事伝えて安心させる
呪詛の刃の説明をして
クダ吉と共に密着し防衛
動けぬ状態を好機とし伊尹様と話をしたい
地獄変は、今はお持ちでは無いのですか?
隠す必要はありません
一連の事件に伊尹様が関わっていた事は既に承知しています
鬼妖の導きで逃れ得ぬものであった事も
責める気などありません
ただお命をお護りしたいだけ
それでも失われた命に御心痛めて下さるなら
私達に力をお貸しください
この国の未来の為に
私達はディアボロス、鬼妖と戦う者です
刃を受けても揺らぐ事なく
人々を護りたいのだと
己や皆の、強い意思と覚悟を伝えたい
菅原・小梅
◆行動
伊尹様に身を寄せ陰陽師の様な者だと名乗ったら
身体に触れる非礼を断り
より自然と密着する様に小声で耳打ちしますよ
人の世とは須らく因果応報
貴方様が『地獄変』に関わった報いが此なのかもしれません
心当たりはありませんか?
ですが省みる事で此の先を変える事も可能かと
呪詛の刃の術者は青行灯とは異なる様ですが
伊尹様を執拗に狙うであろう事もまた確かです
より確実に庇うには密着し、呪詛を感じたら庇うだけではなく
伊尹様ご自身にも動いて頂けばより確実と考えました
即ち【傀儡】を発動させ、言わば戦いの際に一撃離脱する時の要領で
私と伊尹様の位置を強引にでも入れ替えてこの身で刃を受ければ確実さが増すかと
※アドリブ&連携歓迎
瀧夜盛・五月姫
【託されし願い】を胸に、貴族“殿”――藤原様の心の臓に近い所に、くっついて、護る、よ。
ぐ……ぅ、7、度……目ぇっ。
よく考えれば、将門公の怨念による“惨殺”、と聞いていたけれど、“斬殺”とは、聞いていない。
わざわざ、胸、中てて、突き立てた、この刃。まるで、藁人形に五寸釘。
術たる『地獄変』に、この刃、含まれている、の、か、な……ぁ?
もしかして……『トランペッター』みたいに、パラドクス……?
貴族“殿”、どうして始めた、とか、いつまで続くの、とか。聞きたいこと、沢山、ある。
だけれど、それはこのあとの話。
まずは、この事件の終結。
貴族“殿”、狙う……死神の如く笑う、アイツ、から。
大丈夫、今は護る、よ……。
●第九訳(表)。逸機たり、青き行燈。鷹気にて
「名を文月は、雪人。陰陽師であります。ご子息を始めとして狙われたと思しく貴族の方々。すべからく御無事にて」
「みな、みな無事なのか?」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は柔らかい笑顔で藤原伊尹へ頷いた。
彼らの名前を次々に諳んじて見せる。もし斎王たる内親王殿下が本当に狙われて居たら、その名もそこにあったかもしれない。
「私たちも陰陽師のような物です。体に触れる非礼、失礼しますよ」
「陰陽師の見習いみてえなもんだ。今からあんたを呪詛から守るちょいと暑苦しいかもしれねえが、我慢してくれよ。生き延びたけりゃな」
菅原・小梅(紅姫・g00596)がそっと耳もとに囁くようにつぶやくと、守都・幸児(祥雲・g03876)は背後に控えて次の番を待った。
現在、雪人が傍に控えて小梅と一緒に密着している(管狐のクダ吉は胸の側)。
イザとなれば抱きかかえるようにして、場合によっては倒れ込むくらいの勢いで守るつもりでいた。
「人の世とは須らく因果応報。貴方様が『地獄変』に関わった報いが此なのかもしれません」
「なに……」
心当たりはありませんか?
耳元でささやく小梅の言葉に一瞬だけ伊尹は顔色を変えた。
「そ、そのような物は知ら……」
「地獄変は、今はお持ちでは無いのですか?」
伊尹は雪人の言葉で少しだけ態度を変えた。
「隠す必要はありません。一連の事件に伊尹様が関わっていた事は既に承知しています。鬼妖の導きで逃れ得ぬものであった事も。もちろん責める気などありません」
「そのような物、持ってはおらぬ」
ただお命をお護りしたいだけだと優しく告げる雪人に、伊尹はただ答えた。
本当かもしれない、嘘かもしれない。
しかし密着した状態で感じる鼓動に乱れはない。
「……この際、どちらでも構いません。ですが省みる事で此の先を変える事も可能かと、呪詛の刃の術者は青行灯とは異なる様ですが」
伊尹様を執拗に狙うであろう事もまた確かです。
そう告げながら小梅は術を発動する準備を行っていた。
より確実に庇うには密着し、呪詛を感じたら庇うだけではなく……。
「さくら花、主を忘れぬものならば
……。……っ」
「菅公の歌か? あの方の書は素晴らしいものよのう。我が家にも家宝として……。おや? 体が勝手にぃぃ」
小梅は菅公の歌を引き金に術を発動させた。
彼女は伊尹自身にも動いて頂けばより確実だと考えたのだ。
体を密着させ、未来を読み、伊尹自身が動けば万全と言う訳だ。
なお、あまり知られてない話だが、時の氏長者は菅公に書を依頼したり贈り物を交わす仲だったとされる。落雷事件よりも前に亡くなっており、昨今では陰謀説は疑問視され始めているとか。
こうして一同は交代しながら斎院を走り抜けた。
「す、すまぬ……」
「それでも失われた命に御心痛めて下さるなら、私達に力をお貸しください。この国の未来の為に」
倒れた雪人には刀が突き刺さっていた。
これまでは瞬時に消えていた刃も、段々と形が残る様になってきた。
しかも最初は引き抜いて投げ捨てると落ちる前に雪の様に消えていたものが、落ちてから砕けるようにして消えていく。
「うむ。うむ。この麿の命が続く限り、国ために働くとしよう。じゃ。その方ら、安心せい」
「まーそういう訳で、オレらで身を挺して護るから安心しろってね。ああ、これでもつまんで食べてなよ」
仲間の代わりに肩を担ぎながら葛葉・狐狛(狐憑き・g00840)はしれっと考えていた。
氏長者と成れば陰謀とは無縁ではいられない。表では人の良い顔をして、裏ではその議長とか良くある話だ。菅公や将門と仲が良かった便宜も図ったとされるが……正直、助けなかった時点で同罪だ。現に将門の乱の前半は、『将門に叛意無し』と訴えた方を罰してさえ居る。本気で守る気だったのならば、将門は怨霊だとされてなどいないだろう。
(「歴史どおりなら……あと半年ぐらいの延命だけど、現代の御霊の眠りのためには護らないとね」)
だがしかし、それでも狐狛は守る気でいた。理由の半分以上が、怨霊だとされる将門の慰霊なのだが。
携帯しているキノコのチョコを渡しながら、狐狛は表と裏の両方で思考する。
青行燈の思考誘導で無ければ、孫娘である斎王さまの話を聞いても良かったのだろうと思いながら未来を夢見ていた。
「流石は高位貴族。伊尹卿の切換の早さはいっそ感心するぜ。しかしやばかったら言えよ」
「はは。気にすんなよ。俺のでかい図体をこんなときくらい役に立てねえとな」
そんな中で幸児は傍らの仲間と共に太った体を抱えて走っていた。
もう一人が少年である以上、重量の大半は自分が持つべきだと思える気さくさがあった。
「……美味い酒の為に耐えろ。必要なれば変わるし、そうでなかったら後で驕ってやるよ」
「そいつは良いな。でも我慢大会じゃなくて、お祝いにしてみんなで吞もうぜ。色々思うことが五月で終わって良かったってな」
気の良い幸児はそんな風に自分よりも皆の事で笑った。
今まで色々とあったが、他所の夫婦問題だとか京で巻き込まれる人々のことでみんな頭が痛かった。
しかしそれあの案件も幾つかが終了する。だからこのまま伊尹を守り抜いてソレに続こうと気楽に言える心の強さが彼にはあった。改まってお祝いするなんて恥ずかしいと言うのではなく、良かったことは良かったと言える人間である。鬼に成り掛けかもしれないと恐れる事があろうとも、そういう所は確実に人間であった。
「おっと、話はそこまでな……螺旋の塔に住まう猟犬、疾く来たりて己が理を示せ。急々如律令」
てんだろ様、てんだろ様……。
と狐狛はとある地方で恐れられる猟犬を呼び出した。
未来を垣間見た瞬間に、自分に治療と肉体改造を施しながら少しでも強固になった自分の体と生命力で耐えるようにする。この時ばかりは大きな体が羨ましい。あらゆる角度から襲い掛かるソレを、護りの力として起動した。犬神が動くたびに自動的に治療術が発動していく。
「くそっ! どうして俺の方を狙わねえ。刃を放ってるのがどこのどいつか知らねえか。必ずてめえもぶちのめしてやるからな」
「いや、オレが勝手に反応しただけだし。とりあえず、後は頼むな」
気の良い幸児の言葉に狐狛は苦笑しながら、体調をハンドサインで出して座り込んだ。
まったく100%の善意というものはヒネた子供には眩しい物だ。
自分にもそんな可能性があるのかと思いたくなるし、似合わないと思うからこそ手を伸ばしたくなる、そう思うたびに焼かれて行く自身を感じる。この程度の傷はどうでもいいし、何だったら新宿が消えたあの時に……。そう思いながら新たな刃の出現を見守るのであった。
●第九訳(裏)。逸機たり、青き行燈。王怒にて
そして新たな刃の訪れとともに、力が失せていくのを感じる。
「うおおおおお! 暗い、喰らい、夜が深けるぞ。この程度、この程度だ! 朝が空ける。アサ、あさ、朝! 夜明けだ!」
「無理に抜かないでください! 消えるまでの間、治療し続けます!」
幸児に深々と突き刺さった刃は、筋肉で締め付け腕を砕きながら止めることで何とかなった。
仲間たちの言葉に、思わず抜いて伊尹から少しでも話そうとした手が止まる。
暗闇の中、自分が鬼になるのではないかと夢見た悪夢が思い出され、消え失せていくような感覚を感じる。最初にあまりにも膨大な妖力を感じ……次第にそれが抜けていくからだ。
「祓へ給ひ、清め給へ。……大丈夫?」
「あんがとさん。いやー体力的にはキツかったけど、その辺を押し付けるのはどーかと思ったからね。これで走れるし、助かったよ」
刃を受けても揺らぐ事なく、人々を護りたいのだと。
そんな気持ちには同意できる。雪人の治療を介して感情が流れ込むのに同意しながら、狐狛は『自分がここまでやったから、これだけ恩を返して欲しい』という思いにこそ対抗する。正直な話、伊尹に思う事など一つもない。だから頑張った姿など見せてやらねえと無事な姿を装う事にした。
「もう大丈夫だと思うけれど……変わる、ね?」
少女は膝を着きそうになる男に変わって伊尹を抱きとめた。
仲間から一歩間違えれば事案だなあと思う微笑ましい目がくすぐったくなり……。
そして湿度の高い親友の視線を感じる。
(「よく考えれば、将門公の怨念による"惨殺"、と聞いていたけれど、"斬殺"とは、聞いていない。わざわざ、胸、中てて、突き立てた、この刃。まるで、藁人形に五寸釘」)
仲間の様子を瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼/大怨霊の愛し姫・g00544)は無表情に眺めていた。
次第に克明になり、形状を残し始める刃の転移。
日に日に、一撃一撃ごとに強くなっていくその妖力。しかし……。
「術たる『地獄変』に、この刃、含まれている、の、か、な……ぁ? もしかして……『トランペッター』みたいに、パラドクス……?」
「ああ、その可能性はありますね。これまでの地獄変は、どちらかというと収集でしたから」
五月姫がふと漏らした疑念に小梅が頷いた。
誰かが死に、その恐怖が膨れ上がる。その形式自体は踏襲されているのだが……。
何処か違う気がするのだ。形式ではなく、その手法に、用途にではなく用法にというべきか。
地獄変自体は妖力を収集したり、鬼に変えて集めたり、地獄の様な血河山屍の景色を収集しているかのように思えた。
『ああ。残念。まったく残念。誰も彼も鬼馬も呪いも。特段に力も持たぬ貴族一人殺せぬとは他愛ない。信じた私が愚かでした』
「愚かなのはあんたじゃないの?」
溜息吐く青行燈に狐狛はむしろ呆れた物言いを返した。
「そうそう。愚かっていう奴が愚かなんだよ」
「小人閑居して不善を為すと言いますが、貴女はその存在自体が不善。いえ小者のようですね」
雪人や小梅は懸命に治療しながら態勢を整える。
今の体力で襲われたら戦えない。だがしかし、ディアボロスには仲間達が居る。ならば来援が来るのを信じて戦い抜けば良いだけだ。援軍が来ないと判っている青行燈よりはマシだろうと仲間達との絆を信じた。
「貴族"殿"、どうして始めた、とか、いつまで続くの、とか。聞きたいこと、沢山、ある。だけれど、それはこのあとの話。まずは、この事件の終結。貴族"殿"、狙う……死神の如く笑う、アイツ、から。大丈夫、今は護る、よ……」
「うむ。そうじゃな世話を掛ける」
青行燈を遮断して守ってくれる仲間たちに感謝しながら五月姫は護衛班の元へ向かった。
後少しの辛抱だ。そしたら取って返しブン殴ろう。
『暑苦しい上に、うっとおしい奴らね。この手で焼き払ってあげようかしら』
「あ、え? 嘘……」
その時、一瞬だけ青行燈の殺気が膨れ上がるのを感じた。
そして連動するように、強大化していく妖力。
姫はまさかと言う思いを感じ、咄嗟に伊尹へと覆い被さる。
「なんだ! 俺たちとやろうってのか! 上等だ! 一歩も引かねえぞ!」
(「ぐ……ぅ、7、度……目ぇっ」)
いまだに刀が突き刺さったままの幸児が吠える中……。
誰も気が付かない状態で五月姫は刃に貫かれた。
駆け寄って来る音は誰の足音か、声にならない叫び下は誰の物か?
『ディアボロス! ー~……。どうやら、今回はここまでのようね』
青行燈は激昂する己の感情を一瞬で鎮め冷静になった。
肩をすくめて強がり、青い光が少しずつ周囲へ散華。消えていく。
「逃げる気か!」
「待て!」
青行燈は少し離れた青色の濃い場所に移動しており、仲間たちの声に隠れて、治療を呼ぶ声が掻き消える。
伊尹はどうなったか? ああ、無事だ。それだけは判るのが幸いだ。
しかしチラリと見える姿が護衛班に守られたことで、倒れ伏した少女から一瞬目が逸れる。少し遅れて治療役が気が付いて駆けつける中、誰かが姫を抱きしめて治療していた。戦闘班の誰かがだろう。
『またお逢いしましょう? 次は予告通り密室殺人でも……』
青行燈はその場を消え、次に青色が濃い場所に移動する。
だが、その時、不意に青い光がその場所だけに結集した!
青い色が次に濃い場所に、何かが転移し青い光を反射したからだ!!
『馬鹿な! 退去できない!?』
「新しい刃!?」
「そんな馬鹿な! 今までの例からしてここまで継続できない筈……」
ギラリと輝く刃が、青い光を反射していた。
それだけではない、仲間に刺さったままの刃も異様に輝いている!!
『おのれ、瀧夜叉姫!』
その時、信じられない言葉を聞いた。
『ここまで力を取り戻していたのか……』
青行燈が最近になって聞き始めた名前を叫んだのだ。
その言葉が意味するのは……。
「奴自身のパラドクスでもなく、手を組んでるでもない?」
明らかに別人の能力。そして別の意図を持った使用法であった。
青い光を利用する逃走を封じたのだ。これまでにはない使い方である。
もしかしたら青行燈に嘘を真実にする能力が本当にあったとして、先んじて逃走先に突き刺すことで無効化されただけかもしれないが……。
『だが、私の逃げ道を塞いだとは言え、私自身を攻撃する事は出来ないのだろう。ならば、目の前のディアボロスを殺せばよいだけだ』
退去を封じられた青行燈はそう言って意識を切り替えた。
仮にもジェネラル級である。戦闘が得意でないとはいえ慌てふためいたりなどはしない。
しかし、そこへ現れた者たちが居る。
「いきなり逃げようとした奴が、俺達に勝てるとでも?」
「いい感じだね。俺も戦いたかったんだ」
「その前に物理的に封鎖しますよ。走って逃げられたら物笑いの種ですからね」
現れたのは当然ながらディアボロス!
星のように輝き、青い光を跳ね返していた!
「……虎の威を借りたさもしい餓鬼風情が。ここまで来たからには、 確 実 に 殺 し て や る」
戦場の何処かで……。誰かがそう呟いていた。
その言葉を聞き取る事が出来たのは、何人いただろうか。
いずれにせよ、青行燈との本当の決戦が此処に始まる!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【完全視界】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【活性治癒】がLV4になった!
【傀儡】がLV2になった!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
曖明・昧
【十星連】
雑魚は他の人に任せて、僕たちはボスのファーストアタックをいただこうか。
美味しい役所だな。よくわかんないけど。
僕が前でズミャッと行くから昴は後ろからグジャッと行ってくれ。
作戦は以上だ。わかったな昴。わかれ。
よし、ダン、暴れてもいいぞ。
(ダンは昧のもつ天廻器『肆妖断』という武器、二メートルほどの鋏だ。
力を解放することで、黒く禍々しい姿となる。)
ダンは「妖」を「断」ずる鋏だ。
ジェネラル級だろうと、断てる。
妖気はむしろダンの餌だ。
よくわかんないけど。
御須統・昴
【十星連】
連携/アドリブ○
使える効果2は全て使用。
さてボスにボコりに行きますか。
後から攻撃すればいいんですね。当たって文句言わないように。
さて、行きましょう。
――陸昴鏢。解放。(昴が持つ六連星の意匠がある鏢です。)
一つ、二つ、三つ……六つ。
さあ、全て避けれますか?
無数に増えた陸昴鏢を四方八方から投げてその逃げ道を塞ぎます。
逃げ道だけでなく幾重にも投げられる鏢で相手の攻撃の手も先に潰せるとよし。
出番作ってあげましたからさっさと攻撃してくださいね、曖昧。
前衛後衛でしっかり連携を取り、敵に対して有利となる立ち回りをしたいですね。
防御や反撃は魔力で障壁を作って防ぎます。
アシュレイ・ランドル
【十星連】
連携・アドリブ歓迎。
技能や効果、翼による飛行なんかは最大限利用させてもらうね。
使用する剣はお任せだよ。
青行燈……彼女を倒して藤原さんを守りきれば、平安ディビジョンの奪還に大きく近づくのかな?
強い敵と戦うのって、ちょっとわくわくしちゃうね。
基本的に【飛翔】しておくことにするよ。
タイミングを見て斬り込むんだ。隼のようにね。
敵の出す妖怪も、しっかり倒していかないとだね。
超強化とやらがどれほどのものかわからないけれど、世界がかかった戦い、負けられないよね!
●いつき、たり。青き行燈おうきにて。戦場翔けし十星連
時は少し遡る。
既に早朝を過ぎ、次第に明るくなっていく。
天の光は地に満ち、日の光に照らされ青い炎は少しだけ遠のいていく。そして人の形をした星がやって来た。
「さてボスにボコりに行きますか」
「雑魚は他の人に任せて、僕たちはボスのファーストアタックをいただこうか」
御須統・昴(十星連・陸昴『六連星の守り人』・g06997)や曖明・昧(十星連・肆妖『無知蒙昧』・g06110)達は混乱する戦場を俯瞰していた。
襲い掛かるトループス級や転移する呪いの刃を無視し、青行燈が現れるのを待っていたのだ。
そして斎院から出て来た敵を見つけて急行する。
「美味しい役所だな、よくわかんないけど」
敵が移動を始めたのだが、不思議な事に動きを止めた。
昧はなんだか良く判らないなりに好機だと判断すると簡単に作戦を決めて突っ込んでいく。
「僕が前でズミャッと行くから昴は後ろからグジャッと行ってくれ。作戦は以上だ。わかったな昴。わかれ」
「後から攻撃すればいいんですね。当たって文句言わないように」
昧が感覚的に出した指示を昴は自分なりに解釈した。
どうせ向こうも判ってないし、それなら自分流に判断して戦術に組み込んでしまえばいい。
後は結果オーライ。当たるも八卦当たらぬも八卦である。
(「あー。やっぱり? まあそうだろうなと思ったけど。まあ、いいかな」)
二人が青行燈の方に向かうのを見てアシュレイ・ランドル(十星連・拾彩『豪佳剣嵐』・g06991)はトループス級が来ないようにフォローしていた。
しかし空を飛んで翔けつけてみると御覧の有様である。
「さて、行きましょう。――陸昴鏢。解放」
六連星の意匠を付けた鏢を昴は普段使用しない。
これを解放し投げつけていく。前方では既に昧が走り出し……もう直ぐアシュレイが空から翔けつけてくる頃だろう。
「よし、ダン、暴れてもいいぞ。……上から適当に抑えて」
「おっけー。強い敵と戦うのって、ちょっとわくわくしちゃうね」
昧は低い体勢で急加速を掛けると、アシュレイに声を掛けた。
四方八方から何かが放たれていく中、ジグザグに駆けた昧が鋏を抱え、アシュレイは風紡ぐ妖精の剣を抜刀する。
「一つ、二つ、三つ……六つ。さあ、全て避けれますか?」
『その必要は……ないわね』
昴が四方より放つ刃に対し、青行燈は避けもしなかった。
サっと薙刀を自身の周囲に対して振るい、円形の衝撃と炎が全てを叩き落とす。
青行燈の周囲を炎の壁が取り囲み、無数の刃を弾き返したかに見える。
しかしそれは予定されたものだ。
「出番作ってあげましたからさっさと攻撃してくださいね、曖昧、アシュレイ」
「やってるよ。むしろ向こうに言って欲しいな。タイミングを見て斬り込むんだ。隼のようにね」
昴の言葉にアシュレイは天空より降り注いだ。
地面に激突しそうなほどの勢いで降下し、さっと風剣ウェンディを振るう。
『ちっ。塗壁、正面じゃないわ下よ』
「遅い。狩りの時間だ」
アシュレイに対し現れた壁の妖怪は、青行燈と違い判断が鈍い。
切り下ろした一撃は防げても、噴き上げるVの字状の……カマイタチによる斬撃は防げなかった。
彼が天空へと翔け戻ると、入れ違いにそこへ三人目がやって来る!
「さあ。ごちそうだぞ」
『まったく! 自分でやる必要があるなんて面倒くさいったら!』
昧は先ほど迎撃のために張り巡らされた炎ごと鋏で喰らって来た。
黒く禍々しい鋏は妖気による炎を食らい、青行燈もそのままでは防げないと瞬時に悟った。仕方なく薙刀を回転させて、円運動で引き離しに掛かる。
「強い。けど、通じない相手じゃない」
「青行燈……彼女を倒して藤原さんを守りきれば、平安○○○○○○の奪還に大きく近づくのかな? 敵の出す妖怪も、しっかり倒していかないとだね」
昧の言葉にアシュレイは笑う。
視線の先には壁の妖怪が一体。超強化とやらがいかほどの事か、世界がかかった戦いに負けられないよね。とばかりに微笑む。
「余波だけでもかなりの物です。しっかり対策して戦いますよ」
昴はそう言ってため息を吐くと、どちらかといえばイケイケな仲間たちのフォローに回るのであった。
こうしてジェネラル級クロノヴェーダ、青行燈との戦いが幕を開ける!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【士気高揚】がLV2になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
レオニード・パヴリチェンコ
ん。仲間割れ、かな
随分と余裕だ、ね
でも、それなら利用させてもらうまで、だ
ボクの実力は先行してる皆と比べると劣る
だから、援護に徹させてもらう、よ
動き回って敵の直撃を避けつつ、【精神集中】して敵の隙を狙って耐えるよ
……狙うのは一瞬の隙
その隙を突いて、薙刀に向かって魔弾を撃ち込むよ
魔弾から溢れる植物の蔓で青行燈の動きを僅かの間でも抑え込む
そこにありったけの銃弾をお見舞い、だ
どうだい、実力で劣る相手に手傷を負わされる気分は
反撃でボクを仕留めにくるようなら、それも狙いの内
ボクなんかに必死になってくれるなら、他の皆にとってはイイ隙だろうとも
守都・幸児
なんだ、仲間割れか?
まあいいや
これでやっとてめえと戦えるな、青行燈
祓ってやるよ
呪詛の刃が刺さった傷は痛えが
【活性治癒】で強引に癒やす
動けりゃ十分だ
武器は鉄骨
【完全視界】でしっかり敵を見極めて
そのまま力任せに「悪鬼粉砕撃」をぶち込んでやる
行燈百鬼行でどんな妖が召喚されようと関係ねえ
鉄骨を振り抜いて、その妖の体ごと青行灯をぶっ飛ばしてやる
てめえらがいると、民も貴族も安心して暮らせねえんだよ
これまで何人か貴族に会ったが、どいつも面白い奴だったぞ
捨てたもんじゃねえ
生贄にされていい奴なんざこの都にはいねえんだ
それに、巻き込まれてやられた従者たちのぶんも
全部、てめえに返してやるよ
こいつが俺たちの呪詛返しだ
●いつき、たり。青き行燈おうきにて。祓ってやるよ、何があろうとも
「なんだ、仲間割れか?」
守都・幸児(祥雲・g03876)は自らを貫く刃を眺めて呟いた。
以前は突き刺さった後にすぐ消えていたものが、消えかけてはいるが、いまだに残り続けている。
ギラギラと怪しく輝くその刃は、青い光を捉えて青行燈自身を照らしていた。
「大丈夫、幸児殿?」
「消えかけてるし問題ねえ。思ったよりも痛くねえってのもあるが……まあいいや」
幸児は仲間の呼びかけに笑って答えた。
本当は痛いが傷付いているわけではない。
治療しても表面だけしか治らないが、それはそれとして刺さったままでも不思議と悪化したりはしないのだ。まるで猛烈な痛みを与える所までが一連の目的であるように。
「これでやっとてめえと戦えるな、青行燈。祓ってやるよ」
砕けた拳の具合を確かめるが鬼の再生力か、それとも最初から胸を穿つ以外に意味はないのか、その傷は癒えている。
幸児としては動ければ十分だと消えゆく刀を無視して鉄骨を掴み、仲間を心配させないように笑って突っ込んでいった。
「夜叉姫の事も気にはなりますが今は目の前にいる『青行燈』を優先しましょう」
「んー気になるけど目の前の青行燈に集中しないとね」
仲間たちの言葉に幸児に続き……。
あるいはその動きを見て合わせて、力を結集していく。
ジェネラルがいかに強くとも、ディアボロスは力を束ねてコレに打ち克つと知っていた。
「ん。仲間割れ、かな。随分と余裕だ、ね。でも、それなら利用させてもらうまで、だ」
仲間と思いを同じくしてレオニード・パヴリチェンコ(“魔弾卿”・g07298)は戦いに挑む。
これまで敵が利用して来た力が、その敵自身に牙をむいたのだから当然の疑問だ。
しかしここで得られる答えではない。ならば此処は戦うのみである。
(「ボクの実力は先行してる皆と比べると劣る。だから、援護に徹させてもらう、よ」)
レオニードは悔しいと思うよりも、自分を実力を認めて今に活かすことにした。
思い悩んでも意味はなく、ならば今できることをせねばならない。
そう思って走り回り、直進する仲間と違って目を引き付けるように動き続ける!
『塗り壁、消える前に時間を稼ぎなさい! その間にサン……』
「させるかよ! このままぶちのめす!」
何が来ようと関係ないとばかりに幸児は鉄骨を振った。
消えゆく壁を薙ぎ払い、降り注いでくる足を背中で受け止めながら無我夢中で振い続ける。振るうのは腕か、それとも心意気が奮うのか!
「てめえらがいると、民も貴族も安心して暮らせねえんだよ。これまで何人か貴族に会ったが、どいつも面白い奴だったぞ! 捨てたもんじゃねえ!」
『だからどうした! 潰れておしまいなさい!』
壁は召喚時間を過ぎ、間に合わないと悟った青行燈は降り注ぐ足に力を込めた。
巨人の足とでもいうべき巨大さで幸児を踏みつける!
しかし彼にとって、『だからどうした!』という暴言こそが人々を踏みつけていると感じた。
「生贄にされていい奴なんざこの都にはいねえんだ。それに、巻き込まれてやられた従者たちのぶんも全部、てめえに返してやるよ!」
幸児に続いて仲間たちも切り込んでいく。
彼が踏みつけられながらもその足を押さえつけ、青行燈に鉄骨で圧迫していた。
「例え倒したところであの時救えなかった命は生き返ってくれないけれど。人に戻れない程の深い悲しみをもう二度と誰にも味わわせない為に……後は征くのみ!」
(「……まだ、だ。でも、後、もう少し……」)
仲間達の奮戦を眺めながらレオニードは冷徹に、言葉も出さずに見つめ続ける。
狙撃だと思えば、迂闊に手を出すべきではない。
その時が来るまで心を鎮めて好機をまち、来ればすかさず動くものだ。
『ええい、わずらわしい! 私が手ずから……』
「ここ、だ!」
青行燈は振り回される鉄骨を薙刀で払おうとした。
だがそれこそがレオニードが待ち続けた一瞬の隙。無意味な牽制に対して弾丸を撃ち込んでいく。
「森の精よ、縛れ! そして……ありったけだ!」
『蔦ァ!?』
レオニードは薙刀を狙ったが、上手く弾き飛ばせるなどとは露ほども考えてはいない。
森の精を宿した魔弾による狙撃を行い、振り払う薙刀のオーバーな動きに合わせて着弾。そこから蔓を伸ばして青行燈を絡めとり、動けなくなったところに無数の弾丸を撃ち込んでいくのだ。
「どうだい、実力で劣る相手に手傷を負わされる気分は」
『死んだよ小僧! 今日があんたの命日だ! 有象無象がうっとおしんだよ!』
レオニードはいまだ自分が弱い事を知っている。
それでも届く牙があり、弱いからこそ考え抜いた戦術で時間こそを奪い、注意を奪い、怒りの火に油を注いで行く。弱兵に夢中に成ればしめたものだとすら考えていた。
「有象無象なんていねえ! ……こいつが俺たちの呪詛返しだ」
弱いなりに必死にあがく、その姿を見て幸児は微笑みを浮かべた。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【土壌改良】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV3になった!
桜・姫恋
絡み・アドリブ歓迎
【桜蝶】で参加
紫桜・梓希(g03812)をディフェンス
沢山の人々を苦しめてきた青行燈とようやく戦えるのね?
青行燈の目的が何だったのかあの呪詛の刃の主は誰だったのか気になることはたくさんあるけれどきっと聞いても応えてはくれないだろうから遠慮なく倒させてもらうわ!!
梓希が気を引いてくれている間に【飛翔】にて空へ
ある程度の高さまで飛んだらすぐさま両手を前に出し桜の花びら型の魔方陣を展開しそこから《全力魔法》で青行燈に向けて全力の魔砲を撃ち込む
喰らえーーー!!これが私の……いえ、私達の全力の魔砲よ!!!消し飛びなさい!!
紫桜・梓希
連携・アドリブ歓迎
【桜蝶】
桜・姫恋(g03043)をディフェンス
青行燈をようやく倒せるチャンスなんだな。
さて、別に俺自体は青行燈に何の関わりもないがお前のせいで苦しんできた人たちがいるのも聞いているからな。折角の機会だここで倒させてもらうぞ
姫恋の攻撃をサポートする形で動き青行燈の注意を惹くようにパラドクスで攻撃しながら敵の攻撃から姫恋をディフェンスしながら戦う。
俺らの連携をお前に崩せるとは思わないことだな。俺らはお前を倒すためならいくらでも強くなれる
御森・白露
真輝殿(g04665)と連携。アドリブ歓迎
貴様が地獄変の首魁、その一人という訳か。
……解せぬな。藤原某の裏で暗躍しておった者が、何故此度は表舞台に出てきた?
だがまあ、我らのやる事に変わりはないか。ゆくぞ真輝殿、合わされよ!
落ち着いて【精神集中】、【呪詛】を限界まで刃に纏わせ居合の構えをとる。
青行燈の一撃を真輝殿と共に【一ノ刻】で迎撃。薙刀ごと【両断】してくれようぞ。
周囲の妖気は斬撃の【呪詛】で汚染し相殺を図る。そう易々と強化をさせるほど甘くは無いぞ。
地獄変もこれにて終幕じゃ。
……まだまだ面倒事は続きそうじゃがのう。
世の静謐は未だ遠し、か。
矢木・真輝
白露(g05193)と、一緒。アドリブ歓迎
あお……青ナントカ!
誰だか、知らないけど、平安、でぃび、じょん、で悪いことしてた、んでしょ。
平安、返してもらう、ために、悪い奴、倒すよ!
強い敵、戦うの、慣れないけど……白露、一緒だから、大丈夫……!
「ん。一緒に、やるよ……!」
『魔笛【夢幻】』にオーラを纏わせて、<浄化>の力を籠めつつ、白露と同じように構える。
<呼吸法>でタイミングを図って、白露の一ノ刻に合わせて、『擬像-刀-現響』(※白露の一ノ刻を模したパラドクス)を発動する。
薙刀を、<両断>だね、わかった。
●いつき、たり。青き行燈おうきにて。わかれしみちを、共に歩みて
「見たか?」
「あお……青ナントカ!」
奮戦する仲間の元へ、次々とディアボロス達が駆けつけて来る。
「誰だか、知らないけど、平安、でぃび、じょん、で悪いことしてた、んでしょ。平安、返してもらう、ために、悪い奴、倒すよ!」
矢木・真輝(風を奏でる放浪者・g04665)は強敵の気配に息を吞む。
しかしここには友人が居て仲間がいる。
なら何を恐れようかと青行燈との決戦に挑むことにした。
「それもじゃが先ほどの……まあ良い。それよりもあ奴が地獄変の首魁、その一人という訳か。……解せぬな。藤原某の裏で暗躍しておった者が、何故此度は表舞台に出てきた?」
御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は即興で作戦を組み直すことにした。
そして脳裏に掠める考察に結論付けるか、今は何とか追い出そうとする。
「沢山の人々を苦しめてきた青行燈とようやく戦えるのね?」
「そうだ。青行燈をようやく倒せるチャンスなんだ。これを逃す訳にはいかないな」
桜・姫恋(苺姫・g03043)と紫桜・梓希(黒紫蝶紅紫蝶使い・g03812)もまた別方面から駆けつけていた。
共に互いを守り合い、バディ態勢で敵に挑む。
「青行燈の目的が何だったのか、あの呪詛の刃の主は誰だったのか気になることはたくさんあるけれど……」
姫恋のピンク色の脳細胞はフル回転をしていた。
しかし今は思い悩む時ではない!
「きっと聞いても応えてはくれないだろうから遠慮なく倒させてもらうわ!!」
「真実だな。奴は策士タイプだ。きっと何を聞いても嘘八百だよ」
スッパリと疑問を押さえつけた相棒に梓希はある種の頼もしさを感じた。
人には悩むべき時と、悩んではいけない時がある。
今ここで思考を巡らせて答えが出るとも思えないし、そもそも『騙る』ことを良しとする噺家が真実を述べてくれるとは限らないのだ。思えば緋奈子だって『尋ねてみると良いかもしれません』などとは一言も言ってはいない。
あの立烏帽子とすら話す機会はあった。
しかし今回はその必要性を感じないほどに怪しい相手だ。
ディアボロスはそれぞれの思いを抑え、今は戦うためにひた走る!
「さて、別に俺自体は青行燈に何の関わりもないが、お前のせいで苦しんできた人たちがいるのも聞いているからな。折角の機会だここで倒させてもらうぞ」
『それがどうした。薪は燃やすし油は注ぐものよ』
梓希は死角に走り込んでからの強襲でも、容易く防がれてしまうと踏んだ。
そこで魔剣で斬り掛かるだけではなく、切り結んでいる最中に刃を生み出すことにする。
「俺らの連携をお前に崩せるとは思わないことだな。俺らはお前を倒すためならいくらでも強くなれる」
『薪は集まっても火種が篝火になるだけよ。来なさい、火車!』
梓希の斬撃を薙刀で防ぎながら青行燈は網代車を呼び出した。
その車体も車輪も燃えており、炎を上げながら突進していく。
梓希は炎に焙られながら刃を生み出し、切りつけると同時に注意を引く。それは……。
「喰らえーーー!!」
姫恋は梓希が時間を稼いでくれている間に飛行して、空に桜の花びら型の魔方陣を展開していた。
それはエネルギーに定行性を与える物で、極太のレーザーが敵を焼いていく。
『はいはい、貴女たちは強いわ。良かったわね。だから……それが?』
「これが私の……いえ、私達の全力の魔砲よ!!! 消し飛びなさい!!」
姫恋は力を振り絞り、周辺を爆破して力を霧散化させようとする青行燈に対抗した。
せっかく仲間が稼いでくれた時間を無駄には出来ない!
そして彼女自身が敵を許せないと感じて居るし、ここでの頑張りが無駄にはならないと知っていたのだ!
「よう戦った。確かに聞いて答える正直者であるはずがなし。我らのやる事に変わりはないか。ゆくぞ真輝殿、合わされよ!」
「ん。一緒に、やるよ……!」
ここで両側から回り込んだ白露と真輝が参戦。
居合の態勢で高速接近し、挟み込むようにして隙を穿つ。
「強い敵、戦うの、慣れないけど……白露、一緒だから、大丈夫……! 僕だって、できる!」
真輝は腰に構えた魔笛を柄として、獣の魔力を刃に替えて解き放った!
『隙を突いた? 数が居る? それがどうした! 私自身が強く成れば関係ないでしょうが!』
これに対して青行燈は衝撃波と妖力の爆発を自身から生み出した。
溢れる力で体を震わせ、己を切裂く攻撃に対抗しようとする。
そして薙刀で二人を切裂こうと……。
「そう易々と強化をさせるほど甘くは無いぞ。真輝殿、覚えておられような?」
「薙刀を、両断だね、わかった」
二人は青行燈を狙ったのではない!
手の持つその刃こそを狙ったのだ!!
『賢しいわね! だけれどその程度で……』
「知らなんだか? これは我らの先駆けではないぞ――暗き月をその眼に刻め」
白露は笑って仲間が攻撃した痕を狙った。
先ほど魔弾を薙刀が弾いていたのだ。それを彼は見逃さなかった。
ギィン! と鈍い音を立てて……薙刀の刃は中ほどから欠けている。
「流石はジェネラル、だね。全部は、持っていけなかった」
「世の静謐は未だ遠し、か」
本当は薙刀ごと敵を真っ二つにするはずだったが、流石にそうはいかなかった。
二人はそのまま交差して入れ違い、離れて包囲網と牽制に加わる事にする。
「残念、もう少しかかりそうね」
「だが必ずやり遂げる……だろ?」
その様子を見ながら残る二人も隙を見て離脱。
口元が寂しいと思いつつ、同じように様子を伺うのであった。
青行燈との戦いは、いまだ佳境に差し掛かったばかりである。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【活性治癒】がLV5になった!
【一刀両断】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
十野・樞
アドリブ・連携歓迎
語られる事で存在するモノが
騙られ謀られるとは洒落にもならねえな
相手が滝夜叉姫って事なら
忍びよる、故意は曲者ってとこかね
細やかな護りでも無いよりはマシだ
神酒を撒き
結界術・浄化・連続魔法で皆と戦場に浄化系結界を多重展開
撒き散らされる呪詛を分断し弱めるべくそなえる
怪異を語る事が拠り所となる妖だ
『居着き』たり、とでもなられちゃ厄介だ
『倒れた行燈』の火がひそかに燻り続け大火の元になっても困る
何かの障りや糧にも一切ならぬよう全力で滅させてもらうぜ
観察・看破・伝承知識、魔術知識を総動員、パラドクス展開
畏れと呪詛に満ちた言の葉の連なりを祓い浄める
神性結界の中での大祓、その残滓の奪取もさせねえ
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
数え歌に、呪われた連歌
追儺の鬼に、大怨霊の呪詛
歌で始まった地獄変の事件もそろそろ終幕……にしたいけど、さて
駒である貴族を切り捨てた末に
自身もまた切り捨てられるとは
何とも因果な話だね、青行燈
詠み掛けられた上の句に、下の句を考えるなら…
『威尽きたり、青き行燈終う期にて、赤き焔の、焼き尽くしたる』
なんて?
事件は何れも阻止して地獄変は白紙のまま
でも犠牲者は決してゼロではなかった
胸に燃ゆるは怒りの炎
歌の言霊から赤き炎の呪詛を生み出し
雪月花の刀に宿す
赤き瞳と赤き2本の角でネメシス形態に
妖気の流れから攻撃看破
薙刀の一撃を刀で祓い
踏みこみ斬妖閃で両断
青き炎を赤き炎で侵食し
その存在を焼き尽くす
「数え歌に、呪われた連歌。追儺の鬼に、大怨霊の呪詛」
一つ一つ諳んじ読み上げていく。
思えば多くの事件があり、ディアボロス達は対処して来たものだ。
「歌で始まった地獄変の事件もそろそろ終幕……にしたいけど、さて」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は複雑な表情で浮かべて敵を見た。
駒である貴族を切り捨てた末に自身もまた切り捨てられたのだとしたら、何とも因果な話だ。
断片の王が居るならば青行燈が切り捨てられたのだろうし、三国志の様に幹部会であるならば仲互いの果てだろうか?
「語られる事で存在するモノが、騙られ謀られるとは洒落にもならねえな」
その言葉に十野・樞(division by zero・g03155)は肩をすくめた。
酒飲みながらの馬鹿話なら笑って済ませるところだが情報量が多くていけない。
「相手が滝夜叉姫って事なら忍びよる、故意は曲者ってとこかね」
「断片の王の名の元、借りていたのか。それとも味方面で保護なり封印していたのか判らないけどね」
二人は顔を見合わせると苦笑し合って敵を見据える。
断片の王が不在にしては妖怪と鬼との関係が緩過ぎた。
では統率が取られているかと言うと今回の例は奇妙な話だ。
「そういえば謎といやあ、予言と言うかあの句もあったな」
樞が口にしたのは『いつき、たり。青き行燈おうきにて』という謎の言葉だ。
案内してくれた南河緋奈子が読み取ったイメージだが、イメージだけに詳細は判らない。
「そうだね。詠み掛けられた上の句に、下の句を考えるなら……」
だから雪人はあえて自分からこう定義することにした。
●威尽きたり、青き行燈終う期にて、赤き焔の、焼き尽くしたる
などと陰陽師、詠み耽りたる。
事件は何れも阻止して地獄変は白紙のまま。
しかし犠牲者は決してゼロではなかった。胸に燃ゆる怒りの炎を現した句だ。
「言霊ってのは水物だが、何時、どう問いかけるか、誰が口にするかで変わって来るもんだ。だから俺たちが決めていくことに意義があるんだろうぜ」
樞は意味不明の、イメージだけの言葉をそう表した。
意味が固まって居ないのであれば、こちらから言霊として利用するべきだと。
「例えば『居着き』たり、とでもなられちゃ厄介だ。『倒れた行燈』の火がひそかに燻り続け大火の元になっても困る」
そういって樞は神酒を撒き、即席の結界を敷いていった。
神に捧げた物を扱う事で陣を敷き、周囲の妖気自体を浄化していく。。
どれほど意味があるのか判らないが、ジェネラル級は兄弟だ。細やかな護りでも無いよりはマシだと可能な限りの備えを行ったのだ。
「そうだね。そろそろ行こうか」
雪人は己が詠んだ歌の言霊から赤き炎の呪詛を生み出し白銀の刀に宿した。
赤き瞳と赤き2本の角でネメシス形態となり、全身全霊で戦いに挑む!
「怪異を語る事が拠り所となる妖だ。何かの障りや糧にも一切ならぬよう全力で滅させてもらうぜFinem lauda――」
樞は今回神酒として奉納したコレクションの記憶がゴッソリと消えていくのを感じた。
思い出そうとしてもどうにも思い出せない。
美少年と美少女を取り違え、ジャックとジャッカーを間違えてもあまり差はないが、既に失われた酒蔵の記憶やそれを闇業者から取り寄せる記憶が消えたのはとても痛い。
「こいつは参った。魔術に費やした研鑽の記憶だと思ったんだがねぇ。まあいいや、末期の酒はまた探しに行こう……たそがれよ、黄昏よ、終焉よ! 遠き山に日は落ちよ芦原中つ邦全ての要は失われたり」
聞け諸々、八十供男たち。
魂の根源に座すナニカと引き替えにソレはやって来る。
初めにありしモノと引き替えにやって来るは終わりの欠片。無窮の向こうにありしは、現世のルールでは語る事の出来ないナニカ、その神聖性である。
「悪いな。六月だが水無月大祓の祝詞を唱えている余裕も、この場で唱える律儀さも無いんでな」
『だからなんだっ! 私は此処に居る! 何処にでもいる! 何処へ追いやられ様とも此処にあり、今居まし我を動かすことはかなわじ! 消え失せるのはお前だ!』
自らを彼岸の彼方どころかこの世から消し去ろうという試みに対し、青行燈は周辺へ自らを刻みつけた。
庭へも建物の一部へも延焼しながら、爆発的な勢いで妖力を振りまいていく。
だがそれら全てが府に消え去り、一か所に集まるとバネのような勢いで……収縮したからこそ爆発的に増え始めた。
「汚染……か。だけどその穢れこそを払って見せよう! 赤き炎で青を討つ!」
『やかましい! この程度の動きで……』
雪人が切り掛かった時、一瞬真っ二つにされたかと思った。
しかし薙刀の先は欠けており、腹を割かれる程度で済んだのだ。もちろんそれが軽傷などと言う気はないが、ここで耐える時間さえあれば……妖気を斬る一撃を浴びせ、炎で炎を侵食することができる!
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【一刀両断】がLV4になった!
アルラトゥ・クリム
アドリブ&絡み連携OK
五月姫さん(g00544)燐寧さん(g04979)をディフェンス
…あんま前に出る性質じゃ無いんだけど
でも、自分の力が届くか分かんないなら
届きそうな刃を、確実に届ける方に賭けた方が良いよね
凝縮された妖気を炸裂させられる前に
全力魔法で魔力を込めた剣形態ブレードガンをPDで振るい、叩き斬る!
『用意された信管』で予定通り爆発するより、威力は減衰する筈
爆発はするだろけど、身体を張って全てを受け止めガード対象を庇護
守るべき対象を護り切れたら、それで役割終わり
もしかしたら、私の人生も一緒に終わるかもだけど…
向こうは忘れてるだろけど
一回だけでも『友達』って言ってくれた人を護れたんなら、ね
狭間・ならく
よっ、と。間に合うたかね?(灼刀──箏の音を奏でながら、振るう)(額に二点、灯るは青白い鬼火……《ネメシス》の怒り)
(しかし、この青さはお揃いかもしれんなとかどうでもいいことを考えた)
(故に、とは言わないが。刀とは別に、言の刃を添えてやる)
──ああ、なンだ。飼ってたつもりが噛まれたか?
ひひひ、そいつァ残念だったな。……何れアタシらはソイツを撫でに行くゼ。伝言がありゃ聞いてやるよ。恨み言でもいいぞ。呪いごと引き受けてやるさ。
(他の仲間の言葉に引きずられて何か情報を漏らしてくれたなら僥倖)(そうでないでも別に構わん)
足掻きは終わりかね、“カタられるモノ”よ。じゃ──サヨナラだ。
百鬼・運命
【姫親衛隊】
絡みアドリブ◎
瀧夜叉姫か…やはり縁は厄介なものだ
呪詛返し(ロストエナジー)の結界継続
主攻は任せ此方は援護
パラドクスの言霊を敵と味方に使用
「ナラクさんの仮説に基づくなら、滝夜叉姫による呪殺を地獄変による呪殺と偽る事で虚偽の予言を成立させていたのだろう。滝夜叉姫からすれば、まさに虎の威を借りられた形だ。ブチ切れるのもさもありなん…だがそうすると『地獄変の実在や青行燈の実力の程も怪しいものだ』」
嘘と噂を力とする青行燈。嘘の看破や自己の存在を疑う事や疑われる事は弱体化に繋がる可能性がある。
また味方の悪夢も気になる所。夢なら覚めればいいだけ
「妙な術がかかっているか?『そろそろ夢はお終いだ』」
一里塚・燐寧
【姫親衛隊】で参加
抱きしめた親友の中から溢れ出す【呪詛】を感じた
呪いを自分の体内にも受け入れて、心を深く繋ぐ
痛い、苦しい……これが、五月姫ちゃんの想い……
重たさに圧し潰されそう
そんなの、1人で持ってたら辛いよね
抱え込まないで、あたしに半分こさせて!
呪いを濁流の如く湧かせて、纏い
鎖鋸の尾を持つ巨大恐竜ネメシス形態に【肉体改造】するよぉ
ネメシスの強みは「外見に基づく身体能力も使用できる」こと
強靭な両脚と【活性治癒】で怯まず食らいつき
牙で爪で角で、次々と【フェイント】を仕掛ける
隙が出来たら尾で『屠竜技:急嵐の型』
昼行燈より青行燈へ、怒りを込めて刃の贈り物だよぉ
この間合いなら、親友の薙刀も当たるはず!
瀧夜盛・五月姫
【姫親衛隊】、だよ。
その名は……その名前は、姫の……っ!
ぎちぎち、ぎちぎち、【呪詛】が漏れ、夜叉(鬼)のネメシス形態へと、変わっていく。だけど冷たくも温かい抱擁に、我に返る。
燐……さんっ。ごめ……ありが、と。一緒に戦って、くれる?
足は燐さん、全て、委ねる。大丈夫、現実は受け入れられない、けど、仲間――親友は信じてる。
【未来予測】、攻撃を読み、それを薙刀で【薙ぎ払い】躱す。
――【戮力協呪『一乗連理』】
これが、燐さんと姫、2人こそのパラドクス。
新宿島の人たち……そして、仲間に【託されし願い】、込めて。
貴方こそ、この“五月姫(さつきひめ)”の刃に、この地獄変とともに串刺し、なるといい。
突きィイッ!!
アンゼリカ・レンブラント
【姫親衛隊】
みんなの頑張りで追い詰めた。
さあ勝利を掴みに行こう!
攻撃タイミングを合わせ
パラドクスの光剣で斬るよ!
ディフェンスは五月姫(g00544)、燐寧(g04979)に
私達は勝つ、五月姫も大丈夫!
いつだって一人じゃない
辛い時、惑う時に
愛する友の言葉が、温もりが
どれだけ支えになるか、力になるか。
彼らにはない力見せてやろうともさ!
積み上げた残留効果の恩恵を受け、
命中させ、反撃を凌ぐ。
接近戦で戦いながら遠距離の仲間が
必殺の一撃を打ち込みやすいよう
注意を惹き付け隙を作り出す
他の仲間に敵が気を取られているか、
大ダメージを受けた直後には
全力の一撃を叩き込む
今こそ最大に輝け光剣収束斬
私達の未来を拓けッ!
八百陣・葵漆
【青行燈宿敵主】
今まで地獄変の裏で暗躍していたのに、直接動いたのは失策だったね
青行燈、ここで討伐してあげるよ!
強敵相手だからこそ、いつもの戦術を研ぎ澄ませよう
(『刹那の戦術眼』発動)
策の基本は不意打ちだ
各種道具や絡繰り兵器を総動員してそれを為すよ
まずは閃光弾で即座の目眩ましから、煙幕を放って敵の視界を封じる
それでも残留効果の『完全視界』と『パラドクス通信』で復讐者の連携は揺らがない
次に絡繰りのデコイで『怨妖爆』を空撃ちさせよう
視界が悪い中ならば、即席のものでも騙すことは出来るはず
そしてその隙を狙って総攻撃だ
動きを邪魔する投網の投擲から、爆弾の投擲やボウガンで仕留めてあげよう
さあ、これで決着だ!
●
「よっ、と。間に合うたかね?」
狭間・ならく(【嘘】・g03437)は鬼馬武者を退けてからおっとり刀で駆けつけた。
走るたびに箏の音を響かせて……青白い炎が額より零れる。
目指すは青行燈、青い光で導かれるのはお揃いとでも言おうか。
「さっきの話なんだけどね……。ナラクさんの仮説に基づくなら、滝夜叉姫による呪殺を地獄変による呪殺と偽る事で虚偽の予言を成立させていたのだろう。滝夜叉姫からすれば、まさに虎の威を借りられた形だ。ブチ切れるのもさもありなん……」
「あん? おう、そうだな」
百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は簡単に理論を組み上げた。
A・B・Cと三段階で成立する事件があったとして、青行燈はCを定義する。
そこで成立した後に、Aを予告してBを他人に丸投げする訳だ。今までの事件であればアヴァタール級『だけ』であった。第四幕では呪いの刃を付け加えたことで、覆すのが難しく、かつ将門た瀧夜叉姫という恐ろしい存在の力を借りれるはずだったのだ。とかなんとか。
「──ああ、なンだ。飼ってたつもりが噛まれたか?」
テキトーぶっこいてたナラクは己の口走った理屈を再整理されて適当に合わせていた。
しかしここでようやく事態に思い至る。
そして運命の言葉が挑発であり、奴の存在を揺らがすための物と知って相乗りすることにした。
「実際にそうなったわけだね。だが、そうすると『地獄変の実在や青行燈の実力の程も怪しいものだ』……そうだろう?」
「ふむ。なるほど、それは興味深い話だ」
運命の言いたいことを悟って八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)は握り締めた扇をもう片方の手にピシャリと収めた。
この期に及んで驚くようなことはなく、口元を隠して様子を伺う必要もない。
「ひひひ、そいつァ残念だったな。……何れアタシらはソイツを撫でに行くゼ。伝言がありゃ聞いてやるよ。恨み言でもいいぞ。呪いごと引き受けてやるさ」
(「あ……」)
ナラクは挑発と失言狙いで口走ったが、それが別の意味で失言である事を運命は知っている。
真顔を維持したまま『瀧夜叉姫か……やはり縁は厄介なものだ』などと証言しており、全力で後の問題をスルーすることにした。
「百の物語を終える前に現れるなど気を急いた結果が此ですよ」
「その通り。総括すると一言で済むんだ。……今まで地獄変の裏で暗躍していたのに、直接動いたのは失策だったね」
仲間の言葉を受けて葵漆はシンプルにまとめた。
黒幕であるが、どちらかといえば青行燈の手口は裏方でこそ輝く物だ。
それこそ瀧夜叉姫と逆に、青行燈こそ手段だけを提供して恐れの感情のみを受け取る利害関係でいればベストであっただろう。それなのにしゃしゃり出て、指揮官面した結果がこれである。
『馬鹿馬鹿しい。私は私さ……』
ディアボロス達の言葉に青行燈は静かに答えた。
挑発を無視し、何かしら情報を漏らして瀧夜叉姫に意趣返しを……などというつもりはないようだ。
『命がけで戦いたい? 勝ちたい? そんなくだらない事には興味ないのよ! 勝ちたきゃ村でも滅ぼしてなさい! 命がけ? 勝手に首でも括れば良いでしょうに。私は私が自儘に出来ればそれで十分……』
そう言いながら青行燈はさもおかしそうにクツクツと嗤った。
戦闘好きなクロノヴェーダや、勝利の栄光を求めるクロノヴェーダとは相容れまい。
あくまでこの妖怪はフィクサーであり、情報を操ってこそなのだろう。
「マっ。あいつは武人じゃないみたいだしな。まっとうな方法やプライド擽ったりは効かねえんだろうさ」
「だが嘘と噂を力とする青行燈。嘘の看破や自己の存在を疑う事や疑われる事は弱体化に繋がる可能性がある。だから逃げないんだとは思うけど……いや、これは再肯定か。と言う事は本気が来るぞ……」
二人は油断せずに青行燈の動きを見守る。
奴は手にした行燈を高く、薙刀を低く掲げて……。不意に天高く行燈を放り投げた。
『おいでませ……青行燈』
青白き行燈の光に、呼び出し強化した存在『青行燈自身』であった。
形振り構わず己を食らい、己自身を再定義したのだ!
周辺に再統合された青き炎が鮮烈な光を放つ!
戦場の一角でそんな光景が繰り広げられて居る中、息の詰まるような光景が起きている。
倒れている仲間がそこに居て、何かを取りこぼしそうになる一瞬。
青行燈なんか気にならないくらいに、仲間たちにとっては、彼女たちにとっては重要な事だった。
「あ、ああ
……!?」
本当は抱きしめる気はなかったのだ。
倒れそうになる背を支えて……そんな中で、刺さったままの呪いの刀を中心に、砕けていくナニカ。
それを取り零しそうになり、でも、手は二本だけ。取りこぼしてはいけないとしたら?
体を抱きしめて、砕けていくナニカに手を伸ばす他ないだろう。
「その名は……その名前は、姫の……っ!」
ギチギチ、ギチギチと音がして砕けていく。
呪詛が己の内側から漏れ出し、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼/大怨霊の愛し姫・g00544)は理性を失いかけた。
炎は額から順に体を焼き、砕けていくナニカと引き替えに骨の様な……。
「っ! 痛い、苦しい……これが、五月姫ちゃんの想い……」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は砕けていくナニカを受け止めて叫びそうになった。
呪いの刃を受けてもこれほどとは思いもしなかった。
だけれど、此処で悲鳴など上げる訳にはいかない。貴族に心配をかける何倍も、心配を掛けたくない相手だからだ。
「重たさに圧し潰されそう。そんなの、1人で持ってたら辛いよね。抱え込まないで、あたしに半分こさせて!」
効果時間が過ぎ去ったのか、それとも単に他に転移したから消えていくのか?
次第に薄れていく呪いの刃を、燐寧は握り締めた。
「大丈夫……かな?」
「大丈夫!」
アルラトゥ・クリム(現代の魔法使い・g05088)は焦燥で心が体ごと焦げつきそうになり、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は力強く断言した。
砕けていくナニカを見るたびに、ネメシスモードへの変遷だと知っていてもドキドキする。
自分を友達だと言ってくれた大切の人のためにアルラトゥは心がすり減り、減った部分が自分の相手に対する気持ちなのだと自覚する。アンゼリカはそれでも問題ないと友人たちを信じて居た。
「私達は勝つ、五月姫も大丈夫! いつだって一人じゃない。辛い時、惑う時に。愛する友の言葉が、温もりがどれだけ支えになるか、力になるか」
アンゼリカだって不安に思わない訳ではない。
だがしかし、それ以上に信じて居る!
倒れるたびに傷付くたびに自分を友人たちの思いが強くしてくれたように、友人たちもまた立ち上がれると信じて居た。例えばプロレスであるならば、追い詰められ様ともラスト五秒で立ち上がる逆転の勇者だと信じて居た!
「そっか。……あんま前に出る性質じゃ無いんだけど」
アルラトゥはそう言って小さくため息をついた。
大切な友人を背にして、膨れ上がる青行燈から守ろうとする。
ただし脅威だからではない……あの邪悪な妖怪の気配が、大切な友人に悪影響を与えないように心を……尊厳を守ろうとしたのだ。
「でも、自分の力が届くか分かんないなら。届きそうな刃を、確実に届ける方に賭けた方が良いよね」
そして一歩を踏み出す。
友人たちはきっと後から追いつくだろう。
そんな言葉を信じて、一歩一歩前に出る。前に出ることで友人と遠ざかる事が心細く感じられるが、同時に何よりも友人たちの為に前に出れることが……。ただの一歩を、これほど誇らしく感じたことはない!
そして心は動き出す!
「妙な術がかかっているか? 『そろそろ夢はお終いだ』出番だよ。夢なら覚めればいいだけだね」
運命はその流れを定義した。
砕けていくナニカは『彼女の自由意志』。別にネメシスモードで変幻することが悪い訳ではない。
ただし、他者の悪影響で引きずられ、誰かの意図で暴走るならばあまり良い結果ではないと、みんなで『彼女自身の自由意志』で動けるまでの時間を稼ごうとしたのだ。
「燐……さんっ。ごめ……ありが、と。一緒に戦って、くれる?」
痛い、苦しい、そんな思いが今度は五月姫に逆流していく。
燐寧は気が付かなかったが、五月姫もまた自分から痛みを受け取る親友と知らず知らずのうちに同調していたのだ。
「あはっ。大丈夫だよー。別に大した怪我してないしさ。一緒に戦おうね!」
「うん。じゃあ、行こう!」
燐寧が引き抜こうとしていた呪いの刃の残滓。
これに五月姫は共に引き抜こうと胸の先に手を伸ばした。
もちろん既に刃は消えかけている。結果的に手を取り合い……。二人の体が紫炎に包まれたのである!
「足は燐さん、全て、委ねる。大丈夫、現実は受け入れられない、けど、仲間――親友は信じてる。みんなが、此処に居るから!」
「いっちょ派手に行くよぉ!」
恐竜の上に少女が乗り、炎に燃える刃を握っている。
砕けた体の一部を、もう一人の少女が恐竜に変化して支えているのだ。先ほどまで骨に変異しつつあり、手には何も無かったのに身の丈よりも大きな大太刀を握っていた!
「け、決戦の時です! 青行燈さんをやっつけてしまい、ます!」
少女はたどたどしく言葉を紡いだ。
足元ではモーラットがチェーンソー唸らせて吠えている(つもり)。
「長らく続いた地獄変、呪われた夜もこれにて終幕じゃ」
「終幕を招くのは我々。行きましょう!」
仲間たちは祝福の歌を紡いだ。
それは勝利に向かう進軍の歌であり、勇気の歌であり、大切な仲間を呼びこむための歌だ。
私の、我々の思いの通さ、その思いは誰にも負けないと! 時は防御不要、だってそこには手を取り合った仲間がいると!
そうして次々に駆けつけて来るディアボロスたち。
先ほどまでここに居て、今は立ち去った仲間たちとそう変わるわけではない。
しかし自分の意思で未来を切り拓こうと、笑顔を浮かべる仲間達を断る者などは居ない。例えその笑顔がどんなにギコチナイものであろうとも!
「おや、準備は良いようだね? ならば戦列に着くと良い。青行燈、ここで討伐してあげるよ!」
葵漆は笑って到着した増援を作戦に組み込んだ。
なに、兵法は詭道なり。だから予期せぬ戦力が増えるのは大歓迎。
そして数を集め、強気きを集めるのは王道であり、多ければ多い方が良いと古の軍師は語る。
「第一幕から数えれば決着すべき頃合だったのでしょうね」
「御霊を、怨霊"ごとき"に貶めようとしたオトシマエは付けて貰うさ。……まあオレとしては誰が為したにしろ、首が獲れればそれでいい」
これまで戦線を支えてきた仲間たちも来援を受け入れた。
相手はジェネラル恐るべき敵であるし、頼もしい仲間が到着するのは心強いからだ。
「方針は波状攻撃。戦形は……みんなに判り易く言うと車掛かりかな。本当は防御用に使った方が安定するんだけど……まあその辺は何とかしよう」
策の基本は不意打ちだ。
よって葵漆は仲間達を勢いのあるままぶつけつつ、自身は絡繰りを操って援護に回る。
軍師は前に出る存在ではないし、中継ぎを上手く行かせる事こそが本領だと、煙幕や閃光弾を放って敵の目を引き付ける。
『馬鹿め此処に来るまでに……燃え尽きろ!』
「させない!」
アルラトゥは凝縮された妖力が弾ける前に、自ら飛び出して剣を叩きつけた!
途中まで銃であったはぞのソレは、一気に展開され火球状態の妖気をぶん殴る。
その瞬間に彼女の体はキリモミ状態で吹っ飛ぶが気にするものか!
『死ぬ気かぃ!?』
「役目は、果たした。後……なんか知るもん、か……」
アルラトゥは敵が何を言ってるのか、どれの位の距離かを掴み兼ねた。
目も耳もやられたらしいが問題ない。
青行燈が能動的に放つ攻撃を防ぎ留め、こちらの流れに組み込めれば問題ないと……。いや、大切な友人を護れたことで満足できた。この後でトドメを刺されても気にすまい。もし生きて居たら、もう一発叩き込もう。
「みんなの頑張りで追い詰めた。さあ勝利を掴みに行こう!」
そんな彼女をアンゼリカはあえて無視した。
無茶して……と心配にはなるが、彼女なりの覚悟だ。
文句を言うのも筋違いだし、作戦的には重要な事である。
「援護する! 最後の一幕、出来ることなら思う存分、腕を振るわせてもらおう……自由に動けると思ったら大間違いだ」
「助かる! 彼らにはない力見せてやろうともさ! ……裁きの光よ、我が手に集いて剣となり、全てを斬り裂けぇっ!」
仲間が敵の下半身に向けて猛烈に魔弾を撃ち込み始めた。
自分の体よりも大きな光の刃を背負い、ただ豪快に振り抜いた。
「今こそ最大に輝け光剣収束斬。私達の未来を拓けッ!!」
鍛え上げた心と体より繰り出す一撃は強力だが、それ以上に時間と相手の余裕を切裂いていく!
切り裂くのは絶望!
作り上げるのは未来! そして希望である!!
「動きを止めた! ここが札の賭け時だ。第二陣、第三陣!」
「足掻きは終わりかね、"カタられるモノ"よ。じゃ──サヨナラだ」
葵漆の言葉をナラクは『正確』に受け止めた。
相手に聞こえるように伝える好機は、好機にして好機にあらず!
ここは意識を奪い去り、『これを凌げば勝利だ』と思わせるための戦いである。
「なァ、覚えてるかい? ……唐天竺の話を知って居る者は幸せである。何故ならば母の胎内に置き忘れて来た根幹の物語……」
それは何処かで聴いたような懐かしい物語だ。
ある時は楽しく、ある時は悲しく、時に希望を時に絶望を思い起こさせるストーリー。
アカシックレコード? んなの知らねえよ。 ──故郷は彼方にありて。 と伝えたい事だけを伝える御言葉である。
『邪魔するな! 私は認めない! 顧みない! それくらいならば……貴様らを殺して……』
「はいはい。強くても仕方ないし、戦闘なんかどうでも良いんだろ? 奇遇だな。俺もだよ。ところで……アレ、なーんだ?」
運命は青行燈の前に出て、シレっと空飛ぶ味方を指さした。
そこには隙を突いて全魔力を集中し、今にも放たんとする味方が居る。
もちろん、本来であればソレは悪手だ。
それが……決め技であればの話である。放つ少女にとってそれは通常攻撃に過ぎない。
「みんなのおかげで得たこのチャンスは逃さないっ! 大きいのを行くから、退避お願いっ! 畏れごと撃ち抜かせてもらうからっ!!」
『馬鹿め! 来ると判って居ればその程度!』
青行燈が耐えたと思った瞬間が決め手である。
二の手、三の手で繰り出した必殺一撃。
これを耐えきれば勝てると思わせる事こそが需要なのだ。効き難いと知って尚、目晦ましを掛けているのもその為である。
「……本命はね、この後だよ。さぁ、引導を渡して!」
「トドメ、です!」
作戦は単純だ。全員で攻撃しながら、ただの一撃を隠し通した。
ただそれだけの手順。だからこそ判り易く、みなに周知し易い作戦であった。
『おのれ! おのれ! おのれ!』
爆発する火薬のような臭い。
焼けていく女の匂い。
恐竜の爪先が薙刀を捉え、背中に乗る少女は燃える刀を……いや、何時しか握られていたのは薙刀であった。あるいは大太刀に見えたのは、薙刀が燃えていたからかもしれない。
「昼行燈より青行燈へ、怒りを込めて刃の贈り物だよぉ」
「貴方こそ、この"五月姫(さつきひめ)"の刃に、この地獄変とともに串刺し、なるといい。突きィイッ!!」
遠からん者は、音にも、聞け!
近くば寄って目にも、見よ!
やあやあ、姫こそは……姫たちこそが! 復讐者《ディアボロス》、だよ!
「さあ、これで決着だ! 総・攻・撃!!」
仲間の声に頷きながら葵漆は自身もボウガンを放つ。
相手はジェネラルであり、後先を忘れて己を魔改造した青行燈だ。幾ら攻撃しても心配し過ぎではないだろう。
刃が通り抜けた後に、残ったのは燃えていく行燈だった。
青い蒼い炎が、チラチラと燃えて……まるで目や口の様に見えなくもない。
『た……瀧夜叉姫。私が、私が悪かった……許してくれ』
口に見えた炎がゼエゼエと呟くと、余力を使い果たしたのか目の部分が消える。
『だから……助けて……く……れ……』
(「みんな利用してばっかり。……あなたなんか、誰も助けないよ。ああ、でも、ボクも……げんか
……!?」)
情けなく死んでいく青行燈の気配を感じ取っていたアルラトゥは、既に言葉も出せない。
だが等々に浮遊感を感じて、肌が全て焼け切っていない事に気が付いた。
「大丈夫、かな?」
「大丈夫さ」
「んー。まあ大丈夫だと思うよん?」
「救護班はボクが手配したよ。運ぶだけでいいと思うよ」
「急御飯? 死んだら戦場飯の類か? それも良いかもな」
「はは。ザウルスだからといって仲間は食べないと思うよ」
のっしのっしと何かが歩く中で、声が聞こえたような気がする。
新宿から届けられた思いを載せて、少女は大切な友人が自分を『友達』だと口にしてくれた時のことを思い出していた。
願わくばあの思い出が綺麗なまま、そのまま死んでも良いかな……と思ったのだが……。
もうちょっと生きてみたいと思うのであった。
地獄変の事件が止まるかは分からない。
しかし操っていた青行燈はディアボロスによって退治された。
そして……新宿へ向けてパラドクストレインが帰還するのだ。次の事件まで体と心を休めるために。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【書物解読】LV2が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【一刀両断】がLV6になった!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【アクティベイト】がLV2になった!
【リザレクション】LV1が発生!
最終結果:成功 |
完成日 | 2022年05月25日 |
宿敵 |
『青行燈』を撃破!
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