リプレイ
ひとり、ふたり。
張り巡らせた罠へ、息せき切って『奴等』が飛び込んでくる気配を、女鬼はすぐに感じ取った。
三人、四人。さらに数人……。
駆けつけた気配のまばらな数に、女鬼――『天の魔焰』立烏帽子の心には抑えきれない愉悦が込み上げる。
(『来たね。本当に来たね。嗚呼……なんて愚かな奴らなんだろう!!』)
今すぐにでも嘲笑をぶつけたくなる衝動を抑えながら、立烏帽子の視線は、少年の武士に注がれ続けていた。
この餌を助けようと、奴等はわざわざ死にに来るのだ。この戦場が、もう完全に包囲されているとも知らずに。
だが嗤うにはまだ早い。今は奴等を引きつける為、目の前の餌を刺激してやらねばならない。
『迷うことはないわ。鬼を斬る為、アタシが力を貸してあげる……』
立烏帽子は妖刀を手に、武士へと歩み寄っていく。その五感に、迫る者達の気配をひしひしと感じながら。
そうだ来い。早く来い。
ディアボロス、ここがお前達の墓場となる――!
エヴァ・フルトクヴィスト
囮とはいえ、鬼狩りで傷つき、心折られた方がいるのも事実。
言動を尽くし未来を護り、鬼を狩りましょう!
お待ちください。力なき正義は無力なのは事実。
ですが、ただ力を求め得て相手を倒す。それは鬼と変わり在りませんか?
包囲網に武士を中心に円状になって対抗する構えを取りつつ、
慌てる様にキョロキョロと。
完全視界で味方の動きを敵越しに把握しつつ時間稼ぎも。
いつもより配下が多い!?
包囲網を敷かれ、しかも足の速い騎馬。
くっ、罠に嵌められた!
悔しさと焦りの表情を浮ぶように。
この包囲網を抜けるのはこの人数では。
一点突破も私達だけならともかく彼もとなると。
っ、どうすれば……。
判断に迷う演技で包囲網を縮めて貰います。
冰室・冷桜
趣味の悪いお遊びはここで終わりにしときてーわね
罠っつても、ほっときゃあの少年くんが次の犠牲者ってわけでしょ
ま、見逃せねー気持ちはマジですわ、割と
だいふく、ごー!
【召喚】しただいふくをけしかけて、少年と立烏帽子の間に距離を開かせましょう
マジか、伏兵とかせこいヤツ……!
包囲が始まったら、減らず口っぽいのを叩きながら半分本気で後退ってしまっちゃいつつ
鬼馬軍団へだいふくで攻撃させるわ、一体ずつ攻撃して如何にも焦ってるーって感じを出してくわね
演技……てか、分かってても普通に囲まれるとかこえーですわ、うん。元一般人の度胸を舐めんなよ、めっちゃびびるわ……!
十野・樞
アドリブ・連携歓迎
待ちに待った瞬間だ
この機会、必ずものにするぜ
罠云々はともあれ、武士の魂がかかっているのは確かだ
これ以上犠牲は出さねえ
その為に駆け付ける事に自体に欺瞞は要らねえ
待ったをかけると共に武士の手元めがけ【結界術】で結界展開
妖刀を弾き飛ばし、武士を庇うよう結界で防御
間に割って入る
騎馬軍団が現れれば【演技】【計略】駆使し立烏帽子を欺く
睨み付け舌打ち、これを狙っていやがったのかと呟く
精鋭揃えて数の暴力に切り替えやがったか、剣豪装う割には姑息なこったな、と負け惜しみ風に吐き捨てる
武士を逃がせなければ彼を真中にし自分・仲間で周りを固め、結界展開
悪態をつき防御専念せざるを得ない押されてる風を装う
アンゼリカ・レンブラント
いよいよ立烏帽子と決着をつける時が来たね!
件の竹林に囲まれた街道に仲間と向かう
これまで戦った時のように
無力感に打ちひしがれる少年を助けるため、
まずは立烏帽子と少年の間に入り
その刀を取ってはいけないと強く訴える
鬼の誘いで得た力で、強くなれる訳がない
――こいつの手を取っちゃだめだよ!
そんな中『騎馬軍団』が現れ包囲されると驚く
演技を悟られないよう目を見開いて
「まさか、私達が現れることも読んでいたの?」
「それでもこの子だけは守らないと!」
「ディアボロスの意地を見せよう!」
少年を守りたいって気持ちは本当だ。
悲壮感を前面に出しつつも気を張って守るように立つ
――心に勇気を燃やす。爆発させるのはもう少し後だ。
●女鬼は嗤う
「待って。その刀を手にとってはいけない!」
「えっ……?」
時は西暦972年、所は平安鬼妖怪地獄変のとある竹林。
一体の女鬼から妖刀を授かろうとしていた少年武士を、凛々しさを帯びた声の少女が呼び止めた。
アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)である。
「鬼の誘いで得た力で、強くなれる訳がない――そいつの手を取っちゃだめだよ!」
「鬼? いったい何を言って……うわっ!?」
突然の乱入者に面食らう武士。そんな彼の言葉を待たず、アンゼリカは武士と立烏帽子の間に割り込んだ。
これ以上、妖刀の犠牲者は一人だって出させない。そんな決意を抱くのは彼女の仲間達もまた同じ。
「みすみす見逃すって話はねーですわね。だいふく、ごー!」
「ああ、詳しい話は後だな。まずは此方へ、早く」
冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)のメーラーデーモンが飛び出すと同時、十野・樞(division by zero・g03155)が結界の発動準備を完了し、武士は立烏帽子から引きはがされる。
ものの十数秒もしないうちに樞の結界に覆われ、アンゼリカとだいふくに確保される武士。流れるような動きで救出を完了するディアボロス達を、しかし立烏帽子は全く邪魔する気配がない。
そんな餌など、もう用済みだ――そう告げるように。
『また会ったねえ、お前達。いつもいつも雁首揃えてご苦労なことだ』
「そりゃどーも。……じゃ、趣味の悪いお遊びはココで終わりっつーことで」
冷桜は飄々とした口調で返しながらも、掌に滲む冷や汗を妙にはっきりと感じ取っていた。今こうして対峙している瞬間も、この女鬼が発する殺気は尋常ではない。その気になれば、だいふくやアンゼリカを巻き込んで武士の首を刎ねるくらい、造作もない筈だった。
では、何故そうしなかったのか?
「立烏帽子。もうこれ以上、お前の妖刀の犠牲者は出させない!」
「腐れ縁にも飽き飽きだ。決着を付けようぜ」
自分達は何も知らず駆けつけた。目の前のジェネラル級を今日こそ討つ――。
立烏帽子の謀などは何ひとつ知らないという演技を続けながら、アンゼリカと樞もまた理解する。恐らく、奴は判断したのだ。その方が復讐者達を苦しめられる。より無念と無力に打ちひしがれた無残な死を与えられる、と。
果たして、その推察の正しさを示すように、
『ふ。ふふ。ふふふふ、ふふふふふふふふふふふふ。――鬼馬ども、出てこい!!』
立烏帽子の号令一下、竹林の陰から次々と、次々と、鉞兵の軍団がディアボロス達をぐるりと取り囲む。
その数、実に数十騎。エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は完全視界で竹林を凝視しながら、背筋が凍えるのをはっきりと感じ取った。
「……囲まれていますね。しかも、いつもより配下が多い」
『逃がしはしないよ。お前達が屈辱に塗れながら殺される顔を心行くまで拝んでやる、覚悟しな!!』
もはや逃げる道はないとばかり、嘲弄の色を露に立烏帽子が言い放つ。
子供一人とて逃れる隙間のない完全包囲。それは即ち、この女鬼が本気で復讐者達を殺しに来ている証左である。
ギリ、と歯軋りを立てながら、エヴァと樞は立烏帽子を睨みつけた。
「包囲網を敷き、しかも足の速い騎馬……逃がす気はない、という訳ですか」
「精鋭揃えて数の暴力とはな。剣豪装う割には姑息なこった」
二人の視線を負け惜しみと取ったのか、女鬼は心底愉快そうに受け止めながら、
『ふふふ……どうする、足掻いて突破でもしてみるかい?』
そんな真似を許す気がないことを示すように、腰の妖刀へ手をかけた。
おかしな真似をするなら、武士もろとも叩き切る――そう暗に告げる女鬼を、アンゼリカと冷桜もまた睨みつける。
「まさか、私達が現れることも読んでいたなんて……!」
「マジかよ、伏兵とかせこいヤツ……!」
ふと冷桜は、演技をする自分の心に、本物の恐怖が忍び寄るのを感じた。
無論、伏兵の存在は最初から知っていた。しかし実際に包囲されて感じる重圧は、理屈とは全く別のところにある。
じりじり狭まる鬼馬軍団の包囲、そして妖刀に手をかける女鬼の殺気。それはまるで首を絞めつける真綿のようだ。
「くっそ。元一般人の度胸を舐めんなよ、めっちゃびびるわ……!」
怯えの心を叱咤しながら、冷桜は唇をきつく噛んだ。
この状況で戦闘になっても勝ち目はない。運よく撃退が叶っても、立烏帽子を討つことは不可能。
今は敵を油断させて、気を引きつける時だ――そう心に誓い、冷桜らは円陣を組んで武士を守る。女鬼が浮かべる、鼠をいたぶる猫のような嘲弄に満ちた視線を浴びながら。
「う、うう……すみません、すみません……」
「大丈夫だよ武士さん、貴方は何としても守るから。みんな、ディアボロスの意地を見せよう!」
「ええ。ですがこの状況、一点突破を狙おうにも……」
怯える武士を励ますアンゼリカ。一方、戦場を凝視するエヴァの眼は、更に包囲を狭める鉞兵を鮮明に捉えていた。
一歩一歩と距離を詰める鬼馬軍団。それは細首を絞める女鬼の手にも似て、じわじわと復讐者達を絞め殺しに迫る。
「武士の少年を連れてというのは……っ、どうすれば……」
この状況で武士を逃がす好機は絶無だった。
下手に突破など試みようものなら、その瞬間に妖刀へ背中を晒してしまうことになる。チャンスはこちらの時間稼ぎが成功した直後――鉞兵との戦闘が始まるまでの一瞬しかないだろう。
『この期に及んで、まだそんな小僧の心配かい。お優しいことだよ、ククク』
そんなディアボロス達を、立烏帽子はここぞとばかりにせせら笑う。
『安心しな、その武士はまだ生かしてやる。お前達を皆殺しにしたら、きっちり縁切りに変えてやるよ』
「嫌だと言ったら刀の錆って訳か。下種め……!」
吐き捨てるように言いながら、樞は冷静な心で自分達の置かれた状況を分析する。
包囲はじりじりと狭まっている。流れもけして悪くない。――だが、まだだ。
(「慢心を戒める心を、俺達の反撃を警戒する心を、奴はまだ残してやがる。もう一押しだな……」)
そう判断した樞は、結界術で守る武士へ告げる。
防御に専念する体を装い、立烏帽子に自分達が劣勢であると思わせるように。
「いいか坊主、いざとなったら俺達でお前さんを逃がしてみせる。今は自分が助かることだけ考えろ、いいな」
「は……はい……」
「大丈夫、安心して。私達、こう見えても強いんだから……っ!」
『吠えるじゃないか小娘。まずはお前から、アタシへ吐いた唾を飲んでもらうよ。この前と、その前もねえ』
劣勢は明白、しかし最後まで諦めない。
悲壮感と無念さを前面に出したアンゼリカの姿に刺激されたように、立烏帽子はここぞとばかり嘲りを投げる。
かつて二度にわたり妖刀を凌いだ少女へ、殊更に容赦がない悪意を滲ませて。
『どうやってアタシの首を刎ねるって? アタシに刃を届かせるって? ほら何か言ってみな、ほらほら!』
「……っ」
込み上げる怒りに俯いたまま、拳を振るわせて耐えるアンゼリカ。
その姿を演技と気づかず、なおも悪辣な嘲りをぶつける立烏帽子からは、しかし僅かずつだが警戒心が失われ始めているのをアンゼリカは感じ取った。
――心に勇気を燃やす。爆発させるのはもう少し後だ。
木霊する女鬼の嘲弄。着々と包囲が狭まる中、反撃の準備は着々と整いつつあった――。
苦戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
御森・白露
幾ら罠と分かっていようと、目の前の命は見過ごせぬのう。
どの道止めねば少年がクロノヴェーダになるやもしれん。
演技は苦手じゃが、本気の動きなら騙す意図は見えまいよ。
例えばそう――一手喰らわせるぐらいでのうッ!
【一ノ刻】を立烏帽子に放ちながら乱入。あしらわれることは分かっているので少年との間に割って入るのが目的。
はッ、これで何番煎じのつもりだ?馬鹿の一つ覚えも大概、に……
成程、馬鹿は我らの方だったと。そう言いたい訳か?
冷や汗をかきながらも動揺を圧し殺して静かに抜刀。
戯けめ、死の覚悟なぞとうに済ませてあるわ。
最期の死に花、貴様に刻んで散ってくれよう!いざ、いざ――ッ!
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
(詐欺の如きやり口で人々の無念を弄んだ立烏帽子!
人を陥れるのは嫌いだけれど、そうした●演技は得意なのよ。
魔法の竜神として神罰を下す為、この機を逃す積もりはないわ)
その女から離れなさい!
その刀で貴方を鬼にしようと…!?
…まんまと誘い込まれた、という訳ね
(唇を噛み締めた後、キッと睨みつけ)
貴女の所業に頭に血が上っていた
認めるわ、一手取られた事を
けれど、只では終わらないわよ
この人(武士)を助ける為にここへ来たんですもの
包囲を食い破って、貴方だけでも逃がしてみせるわ
安い意趣返し? 往生際が悪い?
好きに笑いなさい!
私達の在り方…誇りの問題よ!
逆鱗に触れた事を最後に後悔させてあげる!
周囲に炎の壁を放ち牽制
クラウ・ディークラウ
罠にかかった、演技……
ん、分かった、がんばる
でも、同時に、武士の少年も……ちゃんと助けなきゃ、ね
(駆け付けたら、敵と武士に割り込むように介入)
力を受け取ることが、悪いわけじゃない、けど
力そのものが、悪いものだったら……望む強さは持てない、よ
良く、見て
あれは、本当にあなたのためになりそうに、見える……?
(軍勢が出てきたら)
……罠
そう、じゃあ、彼はクラウたちを、誘い出すため、に?
心を、気持ちを、利用して……ひどい、ね
でも、それなら、彼を留める理由は、もうないはず
せめて、巻き込まれないよう、逃がしてあげて、ほしい
……お願い
(懇願する姿は敵にとっては愉快に映るだろう、と
けれど、逃がしたい気持ちは本物)
●最後の一手
じわり、じわり。
立烏帽子の嘲弄が止まぬ中、鬼馬軍団『鉞兵』の包囲がさらに狭まる。
それを見た御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)は、窮地に陥り焦燥する表情を顔に浮かべてみせた。
「――成程、馬鹿は我等の方だったと。そう言いたい訳か?」
白露の頬を伝うのは、一滴の冷や汗だ。
包囲網の只中に置かれ、これから何をされるか嫌でも理解してしまった……そんな表情を彼は作る。
無論、その立ち居振る舞いはすべてが演技。それでも、数十を数える鬼馬軍団が一斉に襲い掛かる事態を想像すれば肝の冷える思いがした。
「ジェネラル級の鬼に、これだけの鉞兵……我等ではちと荷が重いかのう」
『おや、今頃気づいたかい? その面が絶望に染まるところ、しっかり拝んでやるよ』
なおも包囲を狭めるよう鉞兵へ片手で合図を送りながら、喜色も露に言う立烏帽子。
その女鬼を、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は蒼白に変じた唇を噛み締めながら、屈辱を滲ませた目で睨みつけた。
「まんまと誘い込まれた、という訳ね……認めるわ、一手取られた事を」
「ああ、一杯食わされたわ。まさか、これほどの兵を配置していようとは」
ツィルニトラの隣で、白露もまた無念を滲ませる口調で言う。
本来であれば、とうに活路を見出すために鬼馬軍団へ斬りかかってもおかしくない――そんな気配を漂わせる二人の背後には、復讐者によって救出された少年武士の姿があった。
身を挺し、力なき者を護る。そんな復讐者達の意志を嘲るように、立烏帽子はフンと鼻を鳴らす。
『つくづく間抜けな連中だよ、お前達は。そんな虫けら一匹守る為に、わざわざ死にに来るなんて』
「……彼はクラウたちを、誘い出すため、に? 心を、気持ちを、利用して……ひどい、ね」
武士をせせら笑う立烏帽子に、クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)は怒りの滲む言葉を零した。
追い詰められたクラウの抗議はツィルニトラや白露の演技と相まって、女鬼の嗜虐心を大層刺激したらしい。もはやその眼に疑念の心はなく、ディアボロスの窮地を露ほども疑っていないことは明らか。
勝利を確信した立烏帽子の浮かべる残忍な笑みから、クラウとツィルニトラは武士の視線を背中でそっと塞いだ。
「大丈夫。……クラウと皆で、助ける、から」
「そうよ、最後まで諦めては駄目。貴方は必ず逃がしてみせるわ」
「……は、はい!」
武士は覚悟を決めたのか、気力を奮い立たせて足の震えをおさめた。
年は若いが、多少なりとも戦ってきた経験がそうさせたのだろう。戦場からの離脱は一人でも問題なく出来そうだ。
一方、二人が視線を戻した先では、白露は立烏帽子から嘲りをぶつけられている最中だった。
『お前、随分とアタシの邪魔をしてくれたね。念入りに殺してやるから覚悟しな』
「戯けめ、死の覚悟なぞとうに済ませてあるわ……!」
『おや驚いた。抵抗の目があると、まだ思ってるのかい?』
「黙れ! 最期の死に花、貴様に刻んで散ってくれよう! いざ、いざ――ッ!」
抜いた刀の切先を動揺で揺らしながら、悲壮感を漂わせる白露。
そこへ倣うツィルニトラも牽制とばかり炎壁を放つ。
「くっ……! 見ていなさい、只では終わってやらないわ……!」
『あーっはっは! 往生際の悪いことだね! アタシの妖刀を凌いだ時の威勢は何処へ行ったんだい?』
ついに堪え切れず、立烏帽子が腹を抱えて笑い出した。
同時にツィルニトラは確信する。あと一手だ。あと一手あれば反撃の機が訪れる――!
「何とでも言いなさい。これは私達の在り方……誇りの問題よ! 竜神の逆鱗に触れたこと、必ず後悔するわ!」
「ん。……でも……ここまで、みたい」
眦に涙を浮かべるツィルニトラの横で、クラウは小さく肩を落とすと、立烏帽子に言った。
十分に望みは果たしただろう。武士を留める理由も、もうない筈だと。
「だから……せめて彼を、巻き込まれないよう、逃がしてあげて、ほしい……お願い」
クラウの隣で、白露が、ツィルニトラが、唇を噛んで目を伏せる。
その姿は立烏帽子にとって、無言の屈服以外に映る筈もなく――。
『ふっ。あはははは、はーっはっはっは! こいつは傑作だ!』
女鬼はその体をくの字に折り曲げながら、肺腑の息を残らず吐き出すような勢いで、盛大に嗤い続けた。
縁切りを生み出す儀式を邪魔し、三明の剣技を悉く凌ぎ、己が目論見を阻み続けてきた復讐者達。
万全の罠を張り巡らせ、必ず殺すと誓った復讐者達。
そんな相手が今、懇願を送っている――クラウ達が打った最後の一手は、愚かな女鬼の心を達成感で満たすと同時、僅かに残っていた警戒心をも完膚なきまでに取り去って、
『鉞兵ども、もっと近くへ寄って来い! こいつらの間抜け面、殺す前にじっくり眺めてやろうじゃないか!』
愉悦に満ちた哄笑に誘われ、息遣いが届きそうな程にまで鬼馬軍団が距離を縮めた、まさにその瞬間。
円陣を組んでいた復讐者の中から、幼さを残した一人の童女が立烏帽子へと口を開くのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
金刺・鞆
ようやくこのときが来ましたか。力の差を見せつけられ、口惜しさを感じてより一日千秋かのごとく。
……なれど、今はその血気は抑えねばなりませんね。計略に通ずるのはわたくしも同じこと。飛んで火に入る羽虫を演じることといたしましょう。
騙されてはなりませぬ!
それなる鬼こそ鬼妖の将、立烏帽子。妖刀を手にしたが最期、貴方も鬼と成り果てるのですよ!
以前と同じように武者を救うべく、全力で竹林を駆け息など乱して割り込みを。
【パラドクス通信】にて状況が奇襲をかける仲間に伝わるようにいたしましょう。はんずふりー、というとても小さな通信機であれば見破られぬはず。
表面上はよもや罠とはと慄きつつ、こちらも態勢を整えるのです。
●機は至りて
「……そうですか。鞆達は、殺されてしまうのですか」
進み出たのは、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)だった。
童女が紡ぐ淡々とした言葉。対する立烏帽子は己が勝利を疑わず、嗤って返す。
『そうとも。言い残すことでもあるのかい、小娘?』
「ええ。遺言ではございませんが、一言だけ」
そして――鞆は胸元に留めた飾りを手に、口を開いた。
ただの飾りではない。装飾品に扮した小型のパラドクス通信機へと。
「時は満ちてございます。参りましょう――『皆様』」
『……!?』
同時。
鉞兵の背後を、次々と、次々と、復讐者が覆い尽くすように現れる。
ある者は怒りを、ある者は復讐心を、またある者は決意をその胸に秘めながら。
瞬く間に完成する包囲網。生じた一瞬の好機を逃さず、鞆は武士を振り返った。
「此処は戦場となります。今のうちに外へ」
「……はい。ありがとうございます!」
迷わぬ足取りで離脱していく武士を見送ると、鞆は静かに呼吸を整えた。
精神が刀のごとく研ぎ澄まされていく。抑えていた血気が小さな体を駆け巡っていく。
そうして、厳かな声で童女は告げる。この場に集うすべての仲間達へ。
「忍耐の時はこれにて終わり。いざ、鬼討ちの戦を始めましょう」
抜き放たれた刃の切先が、復讐者の憤りに満ちた目が、ひとつ残らず鬼共へと降り注いだ。
かたや、ここに至りようやく自分の状況を悟った立烏帽子は、もはや勝利の愉悦どころではない。青黒色の顔を蒼白に変じさせて屈辱に震える表情は、演技で表し得るものでは到底なく、
『ま、まさか……お前達、最初から!?』
「この状況。答えずともお判りでしょう?」
得物とする『仕掛け扇』を構えながら、鞆は告げた。
彼女の脳裏に浮かぶのは、かつて力量の差を見せつけられ、口惜しさを感じた日々。それと決別できる日がようやく巡って来たのだ。逃す気はない――この戦場に集う、すべての復讐者達が抱く想いと同じように。
「汝はわたくしの首を獲り損ねた。その意味を、いまこそ知れ」
『ちっ……調子に乗るんじゃないよ! このアタシが、お前達ごときに殺されるか!!』
すぐさま気力を奮い立たせる立烏帽子。
そこに鬼人の童女は決然たる意志を込めて、言い渡す。
「『天の魔焰』立烏帽子。――汝の首、もらい受ける」
数え切れぬ悲劇を振りまき続けた女鬼を討つ為。罪なき人々の血と涙を吸い続けた妖刀を滅する為。
平安鬼妖地獄変の地を舞台に、いま、決戦の火蓋が叩き斬られた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
金刺・鞆
きさまは見逃したものらの顔など一々覚える能もないやもしれませぬが……以前、わたくしはこう申したはずです。
『きさまはわたくしの首を獲り損ねた。その意味を、きさまはいずれ知る』『覚え置け。きさまを討つ、弱者の顏だ』……と。
今こそが、その意味にございます。弱者たる羽虫が、強者たるきさまの策謀を見抜き覆す。その気分は如何でございましょう?
この無様はきさまの驕りの結果である。この失態はきさまの愚策の結果である。羽虫に知恵がないなどとお思いか? それはあまりにも浅慮というもの。
さあ、さあ、ご覧あれ! 御自慢の包囲が挟撃され首を落とすそのさまを!
われらでぃあぼろす、この戦場に在るすべての鬼を滅してみせよう!
クラウ・ディークラウ
……うん
あなたが倒れるとしても、たぶん
それは、クラウたちだけの力じゃ、なくて……
あなたが、蔑ろにしてきたもの
人の心、気持ち、想い……悲しさ悔しさや、復讐心も、そう
犠牲になった人の分も、全部、全部
知ったなら、それもクラウたちの原動力のひとつになる、から――
あなたはきっと、彼や、彼らが持っていた想いに
負けて、倒れるの
(先の武士の少年や、妖刀を渡されかけた、渡されてしまった人達を、想いつつ)
切り捨てたものに、身を切られて
打ち捨てたものに、身を打たれる
……考えるだけで、とっても怖い、ね?
震えて泣きそうに、なった?
なら……いい、よ
ごめんなさい、って
許して、って
お願いする、なら――逃がして、あげる
●応報の時
戦いは、復讐者の圧倒的優勢で幕を開けた。
鬼の軍団を包囲し、一斉攻撃を仕掛ける復讐者達。今や全方位から首級を狙われる身となった『天の魔焰』立烏帽子は、鋭い歯列をギリリと嚙み鳴らした。
――はめられた?
――このアタシが、こんな雑魚どもに!?
気力を奮い立たせて、事実を受け入れて。そうして心に湧き上がって来たのは魂を焦がす強烈な屈辱感だ。
愚かな復讐者を罠に嵌めたと思ったら、嵌っていたのはこの自分。目を逸らそうにも受け入れざるを得ない現実が、今、女鬼の眼前に容赦なく突きつけられている。
『グズグズするな鉞兵ども! 退路を開くんだよ!』
号令を飛ばすや鬼馬軍団の兵が一斉に動きだし、強襲する復讐者と激戦を開始する。
咆哮、嘶き、鯨波、絶叫。敵味方の声が剣戟の火花に混じり飛び交う中、女鬼は刺殺すような怒りの視線を向ける。殺せると信じて疑わなかった復讐者の一人、クラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)へと。
『よくも嵌めてくれたね。この程度で勝ったつもりかい、ディアボロス?』
「ん、『つもり』じゃ、ない。あなたは、もう、おしまい」
憎悪に歪んだ立烏帽子の顔とは対照的に、クラウの表情はどこまでも冷静だった。
淡々と言葉を紡ぐ穏やかな様子は、先程まで命乞いをしていた時とはまるで別人。それは即ち、クラウの懇願が演技であることを示す証であり、立烏帽子にとってはこの時点で既に挑発を受けているようなものである。
『調子に乗るのも大概にしな。こっちに兵がどれだけいるか、分かってて言ってるのかい?』
「ふむ。この見苦しさ、いっそ清々しささえ感じるのです」
声を荒らげ虚勢を繕う立烏帽子。その様を金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は冷ややかに見つめた。
この女鬼は悪罵の限りを尽くしながら、いまだ敗北を受け入れていない。鬼馬軍団を捨て駒に包囲をこじ開けさせ、自分はまんまと逃げ果せるつもりなのだ。
無論、そんな真似を許す気はない。鞆にもクラウにも、この場に集う全ての復讐者達にも。
「『天の魔焰』立烏帽子。いまさら、われらの手から逃げられるとお思いか?」
「ん、クラウたちだけじゃ、ない。これは、想いを託してくれた『みんな』の意志でもある、から」
立烏帽子の言葉を待たず、クラウは告げた。
鞆の言う『われら』――それは、この場に集った復讐者だけではない。願いを託した者達も一緒にいるのだと。
縁切りと化した武士。虐げられた人々。彼らの心を背負って、クラウ達はここにいる。
弱者と嗤い、一顧だにしなかった者達から託された心。その想いを、これから立烏帽子は否が応でも思い知るのだ。
「あなたが、蔑ろにしてきたもの。踏み躙ってきたもの。それはクラウたちの原動力のひとつになる、から――」
「『きさまはわたくしの首を獲り損ねた。その意味を、きさまはいずれ知る』――今こそが、その意味にございます」
かつて立烏帽子に向けた言葉を、鞆はふたたび叩きつける。
必ず貴様を討ってみせる、そう告げた『弱者の顔』で、真正面から立烏帽子を睨みつけて。
「弱者たる羽虫が、強者たるきさまの策謀を見抜き覆す。その気分は如何でございましょう?」
『お前達……!』
クラウを睨みつける立烏帽子の表情には、今や隠し切れない程の敵意と憎悪と殺意がありったけ浮かんでいた。
弱者と見做した者から意趣返しを叩きつけられる――この女鬼にとって、それは耐えがたい屈辱なのだろう。気づけば鬼の体は、わなわなと震えていた。怒りと屈辱がそうさせるのか、あるいは恐怖がそうさせるのか。そんな立烏帽子を見つめて、クラウは告げる。
「考えるだけで、とっても怖い、ね? 震えて泣きそうに、なった? ん。なら……いい、よ」
物分かりの悪い子供をあやすような口調。
その言葉は一言一句、挑発の刃となって突き刺さる。紡げば紡ぐほど、女鬼の眉が怒りで吊り上がっていく。
「ごめんなさい、って、許して、って。お願いする、なら――逃がして、あげる」
助かりたくば、兵士が見ている前で命乞いしろ――クラウの言うことは、即ちそういうことだった。
軍団を預かる立場として、絶対に応じられるはずのない要求。それを立烏帽子は舌打ちをもって拒絶する。
『チッ……包囲がどうした! 最後に勝つのはアタシ、命乞いするのはお前達だよ!』
「ならば、さあさあ、ご覧あれ! 御自慢の包囲が挟撃され首を落とすそのさまを!」
立烏帽子の言葉が終わると同時、鞆の挑発が飛んだ。
それは即ち、女鬼の悪態さえも、いまや復讐者には予想済みということに外ならず。その先に待つものはただ一つとばかり、鞆は高らかに宣戦を布告する。
「われらでぃあぼろす、この戦場に在るすべての鬼を滅してみせよう!」
『鉞兵ども、死ぬ気で戦え! 負けたらタダじゃおかないよ!!』
配下に怒声を飛ばす立烏帽子。焦りを見せ始める女鬼の心を、クラウと鞆の挑発は乱していく。
静かに、着実に、乱していく――。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【神速反応】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
リオーネ・クア
こちらの包囲網は完成しているけど囮役の人達は立烏帽子の傍にいる
早急に鬼馬軍団を突破して立烏帽子との対決に持ち込みたい
でも焦ることなく、確実に1体ずつ倒していこう
急がば回れだ
【飛翔】し敵に捕らわれ難くして
『双翼魔弾』を[連続魔法]も活かし同じ2体に対して何度も放つ
2体の相手をして倒し、1体が倒れたら他の特定の1体を狙うようにして、常に相手にするのは2体だけ
それでは味方に危険が及ぶと判断した場合は、複数に攻撃を仕掛け攻撃に耐えながら倒していくように変更
相手は騎馬だけど囮役を囲い込もうとして距離を詰めている
機動力が充分に発揮できない状況だ
魔弾を多数発射し戦場に飛び回らせ、より敵の動きを牽制してみよう
矢木・真輝
※連携・絡み歓迎
※効果・技能は積極使用
※最初からオーラモード
馬を傷付けるなんてのは気乗りしねぇが、相手はクロノヴェーダだ。致し方ねぇか。
馬上の鬼を狙うより、馬を狙った方が崩しやすいだろうしなァ。
そうだな。俺はバランスを崩すことを狙う。
他の奴が仕留めてくれりゃあいい。
馬の脚あるいは首を狙って、この呪いの爪で切り裂いてやらぁ。
――穢れた世界に、破壊の闇を。
暴れる馬は<ダンス>ゲームみてーなステップだったり<ダッシュ>したりで可能な限り避ける。
息切れしねぇように<呼吸法>にも気を付けとくぜ。
避けれねぇなら受け流す。
それも無理なら受けてやろうじゃねぇか。
文月・雪人
※アドリブ・連携歓迎
【パラドクス通信】で仲間と情報共有しながら連携
敵の包囲を内と外から挟み撃ちにする
[観察・情報収集・看破]で素早く状況を確認し
冷静に戦況を見極め、『逆説推理』で有効な戦術を見出し実行する
成程、敵兵の練度は高い様だが、立烏帽子の指揮には慣れていないか
揃えた駒も上手く動かせなければ意味がない
奇襲の混乱を最大限に活用させていただこう
岩石を【未来予測】で避けながら戦場を駆け
刀を振るう事で[斬撃・両断]の[呪詛]込めた[衝撃波]を放ち
クダ吉による[浄化]の力持つ[火炎]と共に
【命中・ダメージアップ】な[不意打ち]で敵軍を撹乱
分断して連携を断ち、復讐者側がより有利な形で戦えるよう誘導する
●慈悲なき包囲戦
先行した仲間の活躍によって、立烏帽子の一団を包囲した復讐者達。
その一人、リオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)は悪魔の翼で上空を飛翔しながら、眼下の戦場を見澄ました。
視線の先に捉えるのは鬼馬軍団『鉞兵』。実に数十騎を数える赤鬼の騎兵達は、いまや死に物狂いで復讐者の包囲を突破せんとしている。
『怯むな、囲いを抜けろ!』『鬼馬軍団の力を見せてやれ!』
「残念だが、そうはさせない。君達はここで排除させてもらう」
リオーネの言葉を示すように、復讐者の包囲網は一斉に牙を剥き、鉞兵の喉笛を食い破らんと迫っていた。
◎の形に似た包囲の外側から、網にかかった敵を跡形も無くすり潰す――リオーネは、その一番槍を務める一人だ。
「こちらリオーネ。攻撃を開始する!」
パラドクス通信機へ連絡を送り、リオーネが、復讐者達が、一斉に鉞兵へと殺到していく。
あの鬼馬軍団が健在である限り、立烏帽子は撤退の隙を伺うだろう。故にこそ、敵が混乱から立ち直りきらない今が最大のチャンスなのだ。徹底的に叩き潰さねばならない。あの女鬼を戦いに引きずり込む為にも。
「焦ることなく、確実に1体ずつ倒していこう。急がば回れだ……!」
悪魔の双翼が輝きを増して、魔力の弾丸を生成する。
狙い定めるのは地上の二体。包囲網を切り崩さんと鉞を振るう鬼馬兵達を狙い、リオーネは双翼魔弾を発射した。
追尾性を有する魔弾を浴びて鬼馬兵が悶絶する。反撃とばかり投擲した鉞がブーメランめいて手に戻ったところへ、地上の復讐者――矢木・真輝(風を奏でる放浪者・g04665)が襲いかかった。
「騎馬兵ならぬ『鬼』馬兵なァ。言い得て妙な名前じゃねぇか」
普段は昼行燈そのものといった彼の気配は、いまや獰猛な肉食獣のごとく。
食い殺さんばかりの視線を鉞兵へと射掛けながら、サイキックオーラ『潜獣の気魄』を全開、ぶんと腕を振り被る。
「――穢れた世界に、破壊の闇を」
内なる獣の呪いを込めた爪が、疾駆する馬脚を完全に捉え、一思いに薙ぐ。
並の馬ならば脚を砕かれ、騎兵の落馬も免れない一撃。敵のバランスを崩すことを企図した真輝の狙いとは裏腹に、しかし馬は全くの無傷だ。
代わって騎乗した赤鬼が、盛大に吐血する。
『ガハァッ!』
「なるほどなァ。馬に食らわせたダメージは、『本体』へ回るって寸法か」
あの馬は、いわばサーヴァントに近いものなのか――いずれにせよ、生物としての『馬』でないことは間違いない。
となれば必然、一般の対騎兵戦闘のセオリーは通用しない前提で臨むべきだろう。
一体、二体、三体。包囲された鬼馬軍団が、復讐者の手によって次々に討ち取られていく。赤鬼が絶命する度、騎乗する馬もまた跡形も無く消滅していった。だが、敵の戦意はいまだ健在。立烏帽子の命を受けた鉞兵達が次々と集まり、鏃めいた隊列を組んで包囲を突破しようとしている。
「皆、油断するな。ただの雑兵ではないぞ、この兵士達!」
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は刀を手に戦場を駆けながら、通信機へ語り掛けた。
逃げ場を塞がれての包囲攻撃――並の敵であれば、この時点で大方詰みである。前と後ろから磨り潰され、為す術もないまま物言わぬ骸と化しただろう。
しかし鬼馬軍団は驚異的とも言える抵抗で包囲網を食い破らんと、決死の反撃を繰り出してきた。
『殺せ殺せぇ!!』『どきやがれ、ディアボロスども!!』
無論、背を向けた側からの攻撃を防ぐ術はない。
被弾によって見る見る生命力を失いながら、なおも攻撃の苛烈さを増していく敵に、雪人は抜刀して襲い掛かった。
この敵を放置するのは、危険に過ぎる。一秒でも早く、一体でも多く。この赤鬼共は殲滅せねばならない。
「奇襲の混乱を最大限に活用させていただこう!」
上空からはリオーネの魔弾。地上からは真輝の呪爪。
仲間達と息を合わせて刀を振るう雪人の猛攻は、着実に鬼馬軍団を葬っていく。
だが、これだけの混戦にあって、飛来する岩石の狙いは恐ろしく正確だ。包囲を突破しようと突撃体制を取る鉞兵。そこへ雪人は『逆説推理』で先手を取り、刀の衝撃波を放つ。
「……然もありなん」
戦いはまだ始まったばかり。瀕死の赤鬼を斬り捨てて、雪人はなおも刀を振るい続ける。
今も戦場のどこかで戦い続ける、仲間達の顔を思いながら。
苦戦🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
狭間・ならく
【凪】サテ、せっかくカナメ兄ちゃんらが作ってくれた好機だ。ノらない手はねェな。あァ、何、こっちの話さ。
元よりテメェら雑魚にゃ用はねェ。
“去ね”
(【大弓】に言霊の【呪詛】という不可視の矢を番えて放つ)
(ひとつ、ふたつ……)(気を逸らすな、少しでも数を減らせりゃそれでいい)(特に今回は、頼もしい連中がいくらでも揃ってやがるンだからな)
(……いるよな?)(コウキ、カナメ、ユキヒト、ユーキ……マ、どーせそれぞれにやってるか。見るまでもねェ)
加奈氏・コウキ
【凪】で参加。
因縁の立烏帽子…。
今日こそ、あの時の雪辱、晴らして見せよう。
まずは邪魔な雑魚を一掃する。
投擲ナイフ型に具現化させた復讐の刃を使用し攻撃。
技能の投擲、戦闘知識を活用し行う。
その他、手持ちの武器や、残留効果もフル活用し、攻撃や防御に、臨機応変に使い分ける。
敵の攻撃は、鬼馬蹂躙と予測。
蹂躙してくる鬼馬を、動きをよく見て回避行動をとり、その間際に復讐の刃を投擲し、騎乗している鉞兵へと攻撃を行う。
俺から大切な故郷を、家族を奪ったクロノヴェーダは、全て皆殺しだ。
例外はない。
貴様らの首、置いていけ。
味方との連携重視。
他者との絡み歓迎。
アドリブ歓迎。
迷惑行為はしません。
野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎
逆包囲に成功したのならこちらの手番ですね、相手の動揺が収まらない内に打撃を与えましょう。
内と外で挟撃にもなっていますが依然として内側の仲間は包囲された状態、彼らの実力は信用していますが負担を掛けたくないのもまた本心。
外側から先手を狙って仕掛けていきます。
[風使い]で斬撃を飛ばしつつ接近、騎兵の強みである機動力を活かせないように立ち回りましょう。
普段はあまり嬉しくないですが背が低いのも活かしてできるだけ低姿勢で馬の脚を払いながら戦います。
近くの仲間の死角をフォローしながら必要に応じて敵の密集箇所にはパラドクスを使用。
友人達もどこかで戦っている事でしょう、でも今は眼前の相手を。
●包囲の中で
時間の猶予を敵に与えず、一気呵成の攻撃で鬼馬軍団を一体でも多く削る。
その目標を達すべく、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)ら第一陣の攻撃は更に熾烈さを増していった。
「散っ!」
戦場に響く裂帛の気合。
横と縦、二度の太刀捌きで生じた風が、『散風刃・金雀枝』で妖気を孕む竜巻に変じ、鬼馬軍団へと迫る。
横合いから浴びせた一撃は、同時に三体の鉞兵を捉え、その肉体に深手を刻み込んだ。
『ガァッ!?』『怯むな、応戦しろ!』
一体が絶命して地に伏すも、鉞兵の士気はいまだ健在だ。
馬上で振るう鉞も、鬼馬の蹂躙も、発射される岩石も、どれ一つとして勢いが衰える気配はない――並の敵ならば、とうに士気が挫けてもおかしくない戦況にも関わらず。飛んで来る岩を防ぎながら、なおも刀を振るう裕樹。そんな彼女の猛攻を前に、負傷した鉞兵達が舌打ち混じりに叫ぶ。
『チッ、立烏帽子め、しくじりやがって!』
『あんなヤツの護衛だなんて……命令とはいえ、とんだ貧乏くじだぜ、畜生め!』
鉞兵達が漏らす悲鳴。もはや自分達に戦死以外の結末がないことを悟ったのか、呪詛にも似て放たれるその言葉を、しかし加奈氏・コウキ(妖一刀流皆伝・g04391)は聞き逃さなかった。
(「『命令』……成程な。この鬼馬軍団、立烏帽子の配下では本来ないということか」)
トループス級には到底許されぬような呪詛と、そこから滲む立烏帽子への嫌悪は、鉞兵の真の統率者である鬼妖の力を反映したものだろう。恐らくは立烏帽子よりも上位の実力者――コウキはそう当たりをつけると、復讐の刃を構える。
鬼馬軍団の主もいずれ復讐者が討ってやろう。だが、いま倒すべきはあの女鬼だ。かつての雪辱を晴らす為、まずは邪魔な鉞兵を一掃する――!
「俺から大切な故郷を、家族を奪ったクロノヴェーダ……全て皆殺しだ」
コウキの復讐心を注ぎ込まれた刃が、投擲ナイフへと形を変えた。
同時、パラドクスの力で放たれる復讐の刃が、負傷した鉞兵の眉間に寸分たがわず直撃する。
『ギッ!?』『グェ……』
「例外はない――貴様らの首、置いていけ」
絶命する鉞兵。だが勝利の余韻に浸る間もなく、コウキのもとへ二の手三の手が更に迫ってきた。
足止めを買った兵士達なのだろう。いずれも全身に怪我を負い、その命が風前の灯火であることは明らか。最後の華でも咲かせる心積もりか、全力で鬼馬を疾駆させコウキを蹂躙せんとした、次の瞬間である。
「み い つ け た」
包囲する円陣の後方より、不可視の矢が飛来する。
呪いを込めた大弓より次々と発射された矢は『神蝕呪華』の力を帯びて、鉞兵の心臓を立て続けに射抜いた。
消滅する二頭の鬼馬。断末魔さえなく地面に転がる赤鬼の死亡を確認すると、射手である狭間・ならく(【嘘】・g03437)は残心を待ちながら笑みを浮かべる。
(「コウキ、ユキヒト、ユーキ……皆、それぞれにやってやがる」)
戦場の復讐者を弓矢で支援するならく。
彼女の目に留まるのは、今も共に戦う知己の仲間達の存在だ。
ある者は彼女の傍で、ある者は目の届かぬどこかで。立烏帽子を討ち取る、ただその決意だけを胸に抱いて戦う者達の息遣いを確かに感じながら、ならくの攻勢はいっそう激しさを増していく。
「せっかくカナメ兄ちゃんらが作ってくれた好機だ。ノらない手はねェな」
大弓に不可視の矢を込めながら、のろいは更なる得物を探して射ち続ける。
負ける気はしない。この戦場には、頼もしい仲間達が数え切れぬ程に揃っているのだから。
「元よりテメェら雑魚にゃ用はねェ。――“去ね”」
そうして発射される矢は、仲間の復讐者達と共に、少しずつ鬼馬軍団を切り崩していく。
孤立した鉞兵はあらかた片付けた。苦戦を強いられた戦闘も、もうじき終わるだろう。あとは包囲突破を目論む鉞兵を排除すれば、立烏帽子に狙いを絞ることが出来る。
折しもならく達のすぐ傍では、新たな復讐者達が挑発を始めようとしていた。
今もしぶとく逃走を試みる立烏帽子を、この戦場に縛り付ける為に――。
苦戦🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
シル・ウィンディア
届かせるためにも、まずは周りからだね。
騎兵の速度には劣るかもだけどっ!!
まずは、相手の目を欺かないとね
飛翔からの空中戦で動いていくよ
残像を発生させつつ、フェイントを入れて空中を動いていくね
少しでも攪乱できたらいいんだけど…
攻撃は、最初から出し惜しみなしでっ!
高速詠唱で隙を減らしてから、天翔光撃破!
纏めて切り裂かせてもらうからっ!!
敵パラドクスには、結界術とガードアップの効果で少しでも被害を抑えつつ…
反撃はできる限り行っていくからっ!
攻撃がこちらに集中するなら、みんなに声をかけるよ
今のうちに、一斉攻撃をっ!
声をかけつつも、機動は止めずに動き回って攪乱していくね
アンゼリカ・レンブラント
今こそ立烏帽子との決着だ。
その時が近くまで来ているよ
奴の首を飛ばすため、まずは騎馬軍団を片付けよう
接近戦を挑み、パラドクスの格闘戦で攻撃していこう
大丈夫、数はともかく質は私達の方が遥かに上さ
囲まれないようにダッシュで動き、逆に仲間と
狙いを合わせ攻撃し確実に数を減らしていこう
相手の攻撃も痛いと思うけど、そのくらいで
私の勇気の炎を消せると思うな!
ネメシスモード!天使風の姿になりさらに力強く
強打ってのはこう打ち込むんだ!
気合い十分にパラドクスの反撃を叩き込み粉砕するよ
敵集団の撤退を許さず確実に殲滅していこう
呼吸法で力を溜めた――全力の《光獅子闘拳》で
仕留めるよ!
さぁ――後は立烏帽子に刃を届かせよう!
●勇気の炎
鬼馬軍団の兵達は、けして烏合の衆などではなかった。
復讐者の包囲にあっても怯むことなく、戦意を奮い立たせて突破を試みる勇猛さ。立烏帽子の退路を作るため、命を捨てられる献身性。それらを全ての兵が例外なく有している。
だが――そんな鬼馬軍団をもってしても、血路を開かんと行動できた兵の集団は多くない。
「まずは周りからだね。騎兵の速度には劣るかもだけどっ!!」
「空にばかり気を取られてると……こうだ!」
それは、一体何故か。答えは至ってシンプルで『行動の自由さえ与えられず、倒された』からだ。
戦闘開始と同時、一気呵成の猛攻をかけた復讐者の第一陣。その中でもシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)と、ネメシス形態を発動したアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の動きは瞠目するものがあった。
「出し惜しみなしっ! 纏めて切り裂かせてもらうからっ!!」
『ぐわっ!』『ぐえっ!』『ぎゃあっ!』
飛翔を発動し、敵陣に切り込み、高速詠唱から放つ天翔光撃破。
上空から発射される光は、地上の鉞兵に身構える隙さえも与えず、鋭い刃と化して敵陣を薙ぎ払う。
頭上の脅威に反撃せんと鬼馬が岩石を蹴飛ばせば、その背後を突くのはアンゼリカの光獅子闘拳だ。
「さぁ受けてみろ、黄金獅子の一撃をっ!」
呼吸法で力を溜めた拳の放つ闘気が、黄金獅子の顎と化して鉞兵へ食らいついた。
背後を晒したまま、為す術無く上半身ごと吹き飛ぶ鉞兵。ネメシス形態となって戦場を駆けるアンゼリカの勇姿は、まさに鬼馬軍団に死を告げる天使のよう。シルと息を合わせた絶妙の挟撃を凌ぎうる鉞兵は一騎もいない。
「さあ、このままどんどん攻めよう!」
『図に乗るな小娘どもがぁぁぁ!!』
いきり立った鉞兵が鬼馬を駆り、ひときわ大きな岩をアンゼリカめがけて射出した。
生身の人間が受ければ消し飛ぶであろう巨岩を、しかしアンゼリカは全身で受け止め、軽く口笛を吹いてみせる。
成程、先程の包囲でこの攻撃を浴びれば、自分達に勝ち目はなかっただろう。立烏帽子の余裕も頷けた。だが、
「数はともかく、質は私達の方が遥かに上さ!」
そう。包囲が崩れた今、数を恃んだ鉞兵の攻撃など、アンゼリカにとって何ら脅威たりえない。
ましてこの戦場では、ほぼ完ぺきなタイミングで挟撃に成功しているのだ。負ける要素などない。両腕を交差して、防御態勢を取るアンゼリカ。ガードされた巨岩が脆くも砕け散ると同時、反撃の強打が鉞兵を捉える。
「こんな岩なんかで、私達の勇気の炎を消せると思うな!」
アンゼリカの獅子拳が、鉞兵の肉体を跡形も無く粉砕する。
上空を縦横無尽に飛翔しながら、光翼から刃を振るい続けるシル。二人の働きはまさに獅子奮迅のごとく、一体また一体と鬼馬軍団を蹴散らしていく。中でもシルの眼は、既に鉞兵を倒した『その先』を見据えていた。残留効果に防御力上昇を加える行動は、まさにその証と言えるだろう。
そう――彼女達にとって、鬼馬軍団との戦いは単なる前哨戦にすぎないのだ。
「いい感じだね。どんどん行こうっ!」
「オッケー! このまま、立烏帽子に刃を届かせよう!」
サムズアップを交わし合い、死地を駆け続ける少女達。
復讐者の猛攻を止められる鉞兵は、最早この戦場に存在しない……!!
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
エヴァ・フルトクヴィスト
立烏帽子に言いたいことはありますが……。
ですが、ぶつけて貰うのと実際の戦いは、因縁を持つ方にお任せして。
私は私が出来る事を。鬼を狩る、あの若き武者が奮い立つ戦いを!
外側を包囲してくれている仲間と呼応して、
出来るように敵の数を減らします!
召喚で妖精さん達を呼び出して、統率しながら。
相手の突撃してきた場合、勇気を以って観察。
フェイントや残像使った体術や、エアライドでの変則軌道を混ぜて回避。
その際にお返しに斬撃やナイフの投擲からの電撃を発動させ、
妖精さん達の攻撃と共に叩き込んだり。
味方の援護として、妖精さんと共に魔術の砲撃や弾幕で攪乱を行ったりと、
戦況に合わせて臨機応変に対応。
これこそ私達の力です!
●天王山の只中で
「さて、鬼馬軍団との戦いも佳境といったところですか……」
復讐者の包囲によって幕を開けた戦場では、なおも鉞兵との激戦が続いていた。
孤立した赤鬼は一体また一体と掃討され、残るは包囲を突破せんと足掻く鬼馬軍団の一団を残すのみ。
そんな敵軍を背後から狙える絶好の位置に、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)はいた。
(「立烏帽子に言いたいことはありますが……今は、私に出来る最善を尽くしましょう」)
エヴァが凝視する先、鬼馬軍団の進路上には別働隊の復讐者が壁の如く立ち塞がっているのが見える。
必死の勢いで壁を破らんと暴れる鉞兵。その意識は前面へと集中し、後方の守りはがら空きだ。
前方には奮戦する仲間達と、背中を晒す鉞兵の群れ。となれば、エヴァが攻める場所も自ずと決まった。
「エヴァ・フルトクヴィスト、いざ参ります」
鉞兵の背後を狙い定め、エヴァは攻撃開始の合図を送る。
それを鶴の一声に、彼女の周囲に展開していた妖精達が、一斉に鉞兵の背中から襲い掛かった。
妖精の群れが鬼馬軍団の視界を翻弄する。同時、エヴァは魔術の砲撃を開始。妖精と共に仕掛けるフェアリーコンボが、たちまち殿の鉞兵を容赦なく呑み込んでいく。
『グオオオォォ!!』『突破しろ、もはや後は――ギャアァ!!』
妖精と砲撃のコンボ攻撃を受けた鉞兵達は、防御すらままならない。
溶けるように消えていく赤鬼達へ、エヴァはなおも熾烈な攻撃を続けた。無様な戦いは出来ない。自分達が助けた、あの若き武士の為にも――この鬼馬軍団も、立烏帽子も、残らずここで討ち取ってみせる!
「鬼を狩る、あの若武者が奮い立つ戦いを。いざ、勝利のために」
もはや鉞兵の数は半分も残っていない。それは即ち、孤立しつつある立烏帽子の余裕が削られていることと同義だ。
決着の時は、確実に近づいている――。
その確信を胸に、復讐者の猛攻はいよいよ激しく鬼馬軍団を呑み込みつつあった。
成功🔵🔵🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
フェルト・ユメノアール
アッハッハッ!
あの勝ち誇った顔!
キミ、ボクなんかよりよっぽど道化としての素質あるよ!
とお腹を押さえて笑い転げている演技をしながら立烏帽子を挑発
あれぇ~もしかして、怒ってる?
なら、ここでボクたちと正々堂々戦うかな?
出来る訳ないよねぇ!
今まで本気で戦おうと思えばチャンスはいくらでもあった
でも、なんだかんだ言い訳して最後まで戦おうとしなかった臆病者のキミだもんねー
召喚したSCドッペルシャドーに立烏帽子の姿を取らせ、話しながらその頭をペシペシと叩き
肩をすくめてやれやれと飽きれたような様子で言葉を紡ぐ
相手が食いついたら
鬼さんこちら~
と余裕を見せつつフェイントを入れた回避で攻撃を避け、逃げ回りさらに煽るよ
御森・白露
く、くく!ふふふははははは!!
此処まで見事に嵌ってくれるとはのう!我の拙い演技もそう悪くはないということか?
ああ、そうだ。一つ疑問に思っておってな。
我の知るジェネラル級というものは、策を巡らせるにしてもそう気軽に前線には出てこぬ奴らばかりじゃった。しかし貴様は手ずから人の心を折り、妖刀を授け……おやおや、まるで貴様らが顎で使う、アヴァタール級が如き所業ではないか?
これはこれは、わざわざジェネラル級にご足労頂けるとは!
そこまで我らが怖いのか……はたまた貴様の格というものが相応に低いのか。
お聞かせ願えるかのう?策を弄さねば我らと戦うこともできない、臆病者の『天の魔焰』様?
くか、くかかかかか!!!
●嘲弄の代償
挑発という行為は、戦においてある種のリスクを伴う。
上手く嵌れば敵の心を乱し、冷静さを奪い、ペースを乱すことが出来る。
かたや失敗すれば、向けた嘲笑と侮蔑が、そっくりそのまま利子をつけて返って来るのだ。
「アッハッハッ! あの立烏帽子の勝ち誇った顔!」
「ふふふははははは!! うむうむ傑作じゃ、此処まで見事に嵌ってくれるとはのう!」
すなわち――挑発を浴びせる者は、誰よりも冷静でなければならない。その意味において『天の魔焰』立烏帽子は、今まさに応報を受けている最中だった。
フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)と御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)。戦場に並んで立つ二人の復讐者から、嘲笑と侮蔑という名の利子をたっぷりと乗せられて。
「立烏帽子! キミ、ボクなんかよりよっぽど道化としての素質あるよ! ボク、笑い過ぎてお腹が痛くて痛くて!」
「ふふ、我の拙い演技もそう悪くはないということか? おお済まぬ、それどころではなかったのう立烏帽子様は!」
『……ちっ。何を手こずってるんだい、鉞兵の間抜けどもが……!』
無視をしようにも、立烏帽子が置かれたあらゆる戦況は、それを立烏帽子に許さない。
なにしろ、いま彼女の目に映るのは、血路を開くよう命じた鉞兵が復讐者の手によって討たれていく光景なのだ。
隠し切れない焦燥を露にする女鬼。そこに向かってフェルトと白露は、挑発の言葉を立て続けに放つ。
「あれぇ~もしかして、怒ってる? なら、ここでボクたちと正々堂々戦うかな?」
「いやいやまさか! 相手はジェネラル級の鬼、そんな雑事など鉞兵に任せるものと我は思うが……どうなのかのう、尻尾を巻くのがお仕事の立烏帽子様? んんん?」
「あっはははー、それもそうか! 出来る訳ないよねぇ! 鬼馬軍団もみすみす死なせて、なんだかんだ言い訳して逃げるような臆病者のキミだもんねー!」
『…………ッ!!』
戦場に遠慮なく響き続ける、白露とフェルトの笑い声。
如何なる反論も負け惜しみと理解している女鬼は、憎悪を込めた瞳だけを二人へ向けて――そして、見てしまった。
フェルトの駆使する『<召喚札>SCドッペルシャドー』の影人間が、彼女と瓜二つの鬼へと変身した姿を。
「ねえ立烏帽子、どうなのかな? あれれー、黙っちゃってどうしたの?」
「ふはははは! おお済まなんだ、こちらが本物であったか!」
フェルトと白露が、侮りを滲ませる仕草でドッペルの頭をぺしぺしと叩く。
同時、二人を突き刺すのは、刃のように研ぎ澄まされた凄まじい殺気。ビリビリと肌を震わせる気配を感じながら、二人は静かに目配せを交わし合った。
(「うんうん、すごく効いてるね」)
(「効いておるのう。よし、もう一押しじゃ」)
そうして二人は、なおも挑発の言葉を投げ続けた。
流れは完全に此方にある。このまま立烏帽子の心を怒りで満たせば、もう戦いは勝ったも同然――!
「しかし、ここに至って逃げようとは。そこまで我らが怖いのか、はたまた貴様の格というものが相応に低いのか?」
「ほんと、こう黙ってばかりじゃ困っちゃうなあ。鉞兵さん達には威勢がいいのに、どうしたのかなあ?」
「どうなのじゃ? 策を弄さねば我らと戦うこともできない、臆病者の『天の魔焰』様? くか、くかかかかか!!」
二人の挑発に、本物の立烏帽子はなおも言葉を返さない。
だが、女鬼の余裕が完全に失われつつあることは、その表情からも如実に見て取れた。
顔色は青色を通り越してドス黒く染まり、金色の双眸には憎悪と憤怒と呪詛と悪罵と――その他考えられ得る全ての黒い感情が溢れ、いまや決壊寸前といった状態だ。
『…… …………ぐうう、ううううううう
……!!!!』
(「ふむ。まだ耐えるか、しぶといのう。ならば、更に揺さぶってやるかのう」)
言葉の嘲弄はこの辺りが限界だろう――そう見て取った白露は、視線を戦場へと移す。
そこに映るのは、復讐者の包囲に晒され、一体また一体と討ち取られていく鉞兵の姿。奴らを討ち取って、立烏帽子の心を更に追い込んでやるのだ。
「さて、もうひと働きせねば。この場は頼んだぞ、フェルト殿!」
「了解! ここをアイツの墓場にしてやろう!」
フェルトに別れを告げて、白露は一直線に駆け出した。
向かう先は戦場の只中。彼を待つ一人の女性の元を目指して。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
瀧夜盛・五月姫
御森さん(g05193)と、一緒、に。
ふふ、立烏帽子、殺すとまで、姫、云われた。
だったら、受けて立たない、わけ、ない、よね。
まずは貴方たち。
ね、御森さん。あいつら、薙ぎ払お?
地獄の炎、鎧のように纏い、炎蛇を操る。
囲まれないように、クロノヴェーダを【薙ぎ払い】、【蹂躙】する、よ。
皆も、大事にする、けど、御森さんとの連携、重視。
御森さんの背後や隙を、取られるようなら、【ダッシュ】で《ディフェンス》。
鉞の軌道を【観察】、そして【フェイント】と共に、炎を纏わせた薙刀で反撃、しよう。
さあ、さあさあさあさあ。
燃えろ、燃えて、燃え尽き、て!
極大の熱と、絶無の凛に、捩じ、切られるがいい、よ。
あっははははは。
御森・白露
五月姫殿(g00544)と連携じゃ。
ああ、殺すとまで言われたからには。
尤も、あの調子では覚えているかも分からぬがのう。
というわけで……貴様らは邪魔じゃ。早々に失せよ。
繊月、冽冽たる斬撃の波濤よ。内より鬼の群れを食い破れ。
呪詛、オーラ操作、氷雪使いにて斬撃を更に強化じゃ。
乱戦じゃからのう、その場その場で柔軟に動くが、此度はなるべく五月姫殿と合わせよう。
五月姫殿になにかあれば一撃離脱で突撃し『ディフェンス』、攻撃を両断して防いでくれようぞ。
かの八大地獄には遠く及ばぬが、焦熱と鉢特摩に挟まれて逝くのだ。
鬼の貴様らにはお似合いの結末とは思わぬか?
●氷と炎、阿吽の如く
「五月姫殿! 待たせて相すまぬ!」
「ふ、ふふ。もう一息、だね、御森さん。ふ、ふふふふふふ、ふ」
鬼馬軍団と復讐者が火花を散らす戦場。
そこへ駆けつけた御森・白露(放浪する転寝狐・g05193)を迎えたのは、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)の笑い声であった。邂逅を喜びたい白露だったが、彼は今、五月姫の顔を見ることが出来ない。何故なら二人の間には包囲を突破せんとする鉞兵の一団がいるからだ。
「五月姫殿、大事はないか!?」
「ふふ、ふ。平気だよ、御森さん」
白露の問いに、五月姫はふっと笑い返した。
彼女が浮かべる表情は、確かに『笑顔』に分類されるものには違いない。だが、
「ふふ、立烏帽子、殺すとまで、姫、云われた」
逃走を試みる立烏帽子を射殺さんばかりに凝視する双眸に滲むのは、喜びではなく悦び。楽しみではなく愉しみ。
殺すと決めた相手にようやく引導を渡すことが出来る――そんな感情に満ちた表情であった。
「だったら、受けて立たない、わけ、ない、よね」
「五月姫殿……うむ、まことその通り!」
もっとも、立烏帽子があの調子では、どこまで我等を覚えているやら――喉まで出かけた一言を呑み込んで、白露は鬼馬軍団の一団を狙い定める。立烏帽子を逃がさんと血路を開く鉞兵、まずはこいつらの撃破が最優先だ。白露と五月姫がいる場所はちょうど敵の側面を突ける位置。この好機を利用しない手はない。
「ね、御森さん。あいつら、薙ぎ払お?」
「心得た、五月姫殿。我も同じことを考えておった」
通信機を介して交わし合う言葉は、そのまま攻撃開始の合図となった。
「刃の波濤に溺れ潰えよ」
白露が発動するのは『荒魂・忌椿』。呪いを込めた冷気にオーラを注ぎ、鉞兵を刻む刃と為す。
「地獄のような、怨火に、焦がされて」
五月姫が発動するのは怪怨召喚『中劫大焦熱』。顕現した大蛇のごとき業火が、真っ赤な炎の舌を赤鬼達へ向ける。
「御森さん、いこう?」
「うむ、五月姫殿。参ろうぞ!」
そして――白露の繰り出す斬撃が、五月姫の炎蛇が、いま鬼馬軍団へと迫る。
両側面から迫る冷気と炎の波濤。それを凌ぎ切る術を鉞兵の集団は持たない。
『グッ、ギャアァッ!!』『ギエェ!』
「さあ、さあさあさあさあ。燃えろ、燃えて、燃え尽き、て!」
『女ァ
……!!』
断末魔と共に屠られていく鉞兵を、恍惚の笑みで眺める五月姫。
そこへ、辛うじて生き残った鬼が、半ば炭化した腕で鉞を振り下ろす。渾身の力を込めた刃が、五月姫の脳天めがけ一直線に吸い込まれ――刹那、硬い金属の手応えに阻まれた。雷光のごとく割り込んだ白露の刀である。
「大事はないか、五月姫殿」
「大丈夫だ、よ。御森さん」
「ふむ、安堵したぞ。――むんっ!」
そうして最後の鉞兵が冷気の刃で斬られ、力尽きる。
鬼馬が消え去り、骸を晒していく赤鬼達。次第に数を減らしていく敵に対して、二人の攻撃は一切の容赦を知らず、更に激しさを増していくのだった。
「焦熱と鉢特摩に挟まれて逝くのだ。お似合いの結末とは思わぬか、鬼共よ?」
「極大の熱と、絶無の凛に、捩じ、切られるがいい、よ。あっははははは」
戦場に木霊する冷気と炎熱、そして哄笑。
鬼馬軍団『鉞兵』の命運は、いまや風前の灯めいて掻き消えようとしていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】がLV2になった!
【使い魔使役】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
平良・明
連携、アドリブ歓迎
いつも地獄なこの土地です
でも今日は、獄卒の方がすり潰れる地獄
どこからともなく岩石とは面妖ですが
私はどこからともなく岩塩の板、どっちもどっちかも
「カッパ」で岩塩の板を呼び出し
そのまま大きな槌にして、敵を薙ぎ払ってまわります
今日の私は鬼ですから、もう一度もう一度、何度でも
吹き飛ばしてその先で叩き潰し、「蹂躙」
一匹も逃がさない
喩・嘉
※アドリブ、連携歓迎
ここで必ず、事件を引き起こしていた元凶を討つ。
そのためには、まずは邪魔なもの達を片付けねばな
数には数で対抗するのが定石。
「幻鶴翼陣」を使用。
羽扇を振るい、幻影の兵士を召喚、指揮する
敵は騎馬兵。まずは馬の足を止める。
陣形を崩さず攻め込めば、馬の足は必ず止まる。
歩兵部隊、突撃
十野・樞
アドリブ・連携歓迎
折角俺達を歓迎してくれる精鋭部隊とやらの傍にいるんだ
仲間に任せっきり、てな訳にはいかねえよな
包囲してる仲間に呼応
【高速詠唱】【電撃使い】【結界術】で雷撃系結界を高速展開、敵攻撃を防御
また結界を敵の足元周りに置き敵の行動を妨害
落馬は無理でもたたらを踏ませ敵同士の連携を邪魔するくらい制限できれば上出来
間髪いれずパラドクス展開
どこから岩石を取り出そうが、それごと禍津神の分霊が居ます結界にご案内、だ
【観察】【看破】で状況確認
①仲間が危ない
②立烏帽子が移動を図ろうとしている
③敵密集場所
を狙う
優先順位は①→②→③
逃がしはしねえさ
地獄変、何幕あろうがきっちり幕を引いてやる
●いななきは絶えて
側面を突かれた鬼馬軍団が、壊滅に陥りつつあった同刻。
同じ軍団の先頭では、こちらも残り僅かとなった鉞兵達が、死に物狂いで包囲を突破せんと足掻いていた。
「さてさて。この状況をどう例えたものでしょうか」
戦いも今や終盤である。赤鬼が次々と屍を晒し始める中、平良・明(時折の旅行者・g03461)は至って平静な口調のまま、迫りくる敵を相手に戦いを繰り広げていた。
「いつも地獄なこの土地です。でも今日は、獄卒の方がすり潰れる地獄……」
『うおらァ!』
「はい、残念」
反撃で飛来する岩石を、明は一振りで弾いた。
その得物は、彼の周りに墓標めいて突き立てられた塊――『インスタントトーチカκ』で呼び出した岩塩である。
騎乗する鉞兵を頭蓋もろとも砕き、岩石を弾いてはまた砕き。幾度も続く攻防で鬼馬軍団が負わせた傷も、明の心に焦燥を生み出すまでには至らない。
「思ったよりも抵抗が激しいですね。あの赤鬼達、立烏帽子の直属ではないようですが」
「本来の上司への忠誠度が、それだけ高いんだろう。律儀なこった、まったく」
雷の結界を展開しながら、十野・樞(division by zero・g03155)は肩を竦めてみせた。
鉞兵の攻撃を食い止め続けられているのは、明の奮戦のみならず、樞の支援によるところも大きい。彼の高速詠唱を駆使した結界術は、鉞兵の足元を妨害するように展開され、連携を幾分か妨害することに成功していた。
加えてそこに喩・嘉(瑞鳳・g01517)の攻撃が加われば、耐えるのは造作もないというもの。
「こちらの目的は立烏帽子の首だ。前座の鬼馬には退場ねがおう――歩兵部隊、突撃」
数を頼みに押し切ろうとする鉞兵の突撃は、嘉の幻鶴翼陣によって難なく阻まれた。
幻影の兵士が放つ弓矢と剣に呑み込まれ、三体の鉞兵達が為す術もなく討ち取られていく。数には数で対抗する――そんな嘉の召喚する兵士の猛攻を潜り抜ければ、待っているのは岩塩の槌を構える明の無慈悲な迎撃だ。
『除け除けェ! ――ぐおおお!!』
「はい一丁上がり。……しかし助かりました。お二人のサポートで随分楽になりましたよ」
「気にするな。大事な仲間の危機を放置する訳にはいかねえ、そう言うこった」
「うむ。では、そろそろ仕上げと行こうか」
三人が攻撃を捌き続ける間も、鬼馬軍団の兵士は側背から復讐者達の攻撃を浴び続け、数を減らしていく。
決着まではあと少し。なおも鉞兵に突破を命じながら、余裕を失いつつある立烏帽子の表情も良く見える。随分とまあ足掻くものだ――樞は思わず苦笑を浮かべた。
「まあその頑張りも、徒労に終わるがな。Non obiit, abiit――」
樞の紡ぐ呪言が、禍津神の影を呼び起こした。
生成した結界が囲うのは、しぶとく抵抗を続ける鉞兵の群れだ。どこからともなく伸びる神霊の手を振り払わんと、鬼達は必至で暴れ回るが、
「禍津神の分霊が居ます結界にご案内、だ」
力の一端を取り戻した神霊は、赤鬼の悪あがきをあざ笑うように、岩石もろとも幽世へと連れ去っていく。
残った鉞兵達はなおも岩石を飛ばして突破を図るも、明と嘉、そして樞に阻まれ、四方八方から攻撃を浴び、溶けるように消えていった。
そして後に残るのは――鬼馬のいななきが絶えた戦場で、復讐者に包囲された女鬼がただ一体。
「さて、これで鬼馬軍団も終わりでしょうか」
「そのようだな。後は最後の仕上げを残すのみだ」
「逃がしはしねえさ。地獄変、何幕あろうがきっちり幕を引いてやる」
嘉と樞は明に頷きを返すと、彼方に見える立烏帽子へ視線を向ける。
あの女鬼はいまだ逃走を諦めていない。だが、その心も直に消え失せることを、三人は確信していた。
復讐者達が向ける挑発の言葉、それを放つ一人は彼らの信頼する仲間なのだから――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【ハウスキーパー】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
菱神・桐梧
よう、立烏帽子
久しぶりだな……いや、お前のオツムじゃ覚えてねえか
少しはマシな刀、用意出来たか?
『次は殺す』っつってたよな
お前が殺さにゃならん相手は何人だ?十人か、百人か?
いつになったら殺しに来るんだ、お前は
ここで逃げたらまーたお友達が増えるぜ
なんなら千人目指してみるか?
てめえにゃ無理だよ立烏帽子
土壇場でとんずらしようって奴が一体誰を殺せるってんだ
ま、やる気のない奴とはやらん主義だ
逃げるってんなら構わねえ
見守っててやるから、なまくら抱えて向こうへ消えな
構って欲しくなったら出て来いよ
気が向いたら遊んでやるさ
……なんだ、気に入らねえか?
そんなら自慢の得物で斬り捨てて見せろ、三下!
守都・幸児
縁切りにされた武士とは何度も戦った
助けられなかった命もあった
だからこいつは許せねえ
堂々と前に立ってやる
よお、立烏帽子
会うのは三度目だな
二度ある事は三度あるって言うが
またてめえは逃げて、俺を殺し損ねるんだろうなあ
三度も重なれば偶然じゃねえよな?
てめえに俺は殺せねえ
違うってんなら見せてみろ
三度目の正直ってやつをよ
どうせ出来やしねえだろうが
てめえを部下に持つ大将も大変だな
てめえが大将だって?
んなわけねえだろ
逃げてばかりのてめえが
大将のわけがねえ
これまで縁切りにされたどの武士よりもてめえは弱い
だからこんなに配下を連れて来たんだろ?
戦うのが怖いのか
俺はてめえなんざ怖くねえ
さあ、来いよ
※アドリブ、連携歓迎
●辿り着いた果て
「よう、立烏帽子。久しぶりだな」
戦場の中央。掃討された鬼馬軍団が屍を晒す中、菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)は告げた。
その視線の先には、もはや守る者も戦う者も、誰一人いない立烏帽子の姿がある。
『お前は、アタシの刀を防いだ……!』
「ほう、覚えてたか。なら当然、俺に切った啖呵も覚えてるな?」
今や復讐者への憎悪を隠しもしない立烏帽子の視線を、桐梧は平然と受け止めた。
この女鬼との決着を今日こそつける――その決意を胸に、一言一言を刻み付けるように、挑発の言葉を投げる。
「『次は殺す』、お前はそう言った。お前が殺さにゃならん相手は何人だ?」
立烏帽子は無言。だがそれが、反論できないが故の沈黙で無いことは、女鬼の爛々と輝く双眸を見れば明らかだ。
彼女の周囲は、いまや十重二十重に包囲され、逃げる隙間などどこにもない。それは同時に、彼女の命運が今ここで確実に尽きるであろうことを意味していた。
「十人か、百人か? いつになったら殺しに来るんだ、お前は。何なら千人目指してみるか?」
周囲を取り囲む復讐者達を、桐梧が指し示す。
ここに居る全員を斬り伏せる――立烏帽子の力量で、そんなことが出来る筈もないことは百も承知だ。
承知の上で、桐梧は告げた。せめて最後は正面からの喧嘩で決着を着けたい、そんな想いを抱きながら。
「てめえにゃ無理だよ立烏帽子。土壇場でとんずらしようって奴が一体誰を殺せるってんだ」
そうして、拍子抜けしたように溜息を漏らしてみせる。
「ま、逃げるってんなら構わねえ。見守っててやるから、なまくら抱えて向こうへ消えな」
逃げるなら、もはやお前など敵ではない。敵と見做すにも値しない。言葉と態度でこれ以上なく雄弁に桐梧は言う。
同時、立烏帽子の眼が冷たい光を帯びて、戦場の復讐者達を睨みつけた。その視界には、もはや退路は移っていない――そのことを確信した守都・幸児(迷子鬼・g03876)は、駄目押しとなる挑発を投げた。
「会うのは三度目だな。二度ある事は三度あるって言うが、またてめえは逃げて、俺を殺し損ねるんだろうなあ」
ここで白黒をつける。生きて帰るのは片方のみ。
それは幸児にとっても望むところだ。多くの罪なき人を踏み躙り、苦しめ続けた鬼との因縁を、今日この場で断つ。
揺らぐことのない決意で、彼はこの戦場に臨んでいるのだから。
「三度も重なれば偶然じゃねえよな? 立烏帽子、てめえに俺は殺せねえ。違うってんなら見せてみろ、三度目の正直ってやつをよ。どうせ出来やしねえだろうが」
幸児は思う。実のところ立烏帽子は、一度も幸児達と『戦って』などいないのだ。
やったことと言えば、心折れた武士を縁切りに変え、弱者を踏みにじる、すなわち力無き者を虐げることのみ。
その因果は今、巡り巡って彼女の前に突きつけられている。包囲する復讐者と、討ち取られた鉞兵の屍の山として。
「逃げてばかりのてめえが大将のわけがねえ。最初にてめえに言った言葉、もう一度聞かせてやるよ」
『……黙れ……!』
怒りに声を震わせる立烏帽子。そんな彼女を無視して、幸児は続ける。
立烏帽子の心に楔を打ち込む、最後の一言を告げる。
「てめえは弱い。これまで縁切りにされたどの武士よりもだ。だからこんなに配下を連れて来たんだろ? それとも、まだ戦うのが怖いのか?」
最早、反論がないことを承知で投げた挑発。その言葉に一層鋭さを増す視線を、幸児は真正面から受け止めた。
「俺はてめえなんざ怖くねえ。――さあ、来いよ」
弱者を踏みにじることを何より好み、自らの力を侮られることを何より恐れる立烏帽子。
そんな彼女が、ここでおめおめ退がる筈がない――ある意味では信頼に近い復讐者達の心に、女鬼は無言で応えた。
腰に提げた妖刀を抜き放ち、その切先を向けることによって。
『黙れ……! 吠えるんじゃないよ、野良犬どもが!!』
それは即ち、立烏帽子が自ら退路を断ったことの証であり、最後の決戦が始まる瞬間であった。
『殺す。殺してやる! どいつもこいつも斬り殺してやる!! あの御方に罰されようと構うものか
!!!!』
「……なんだ、気に入らねえか? そんなら自慢の得物で斬り捨てて見せろ、三下!」
全身から殺気を漲らせる立烏帽子。そんな女鬼へ啖呵を切って桐梧は思う。
この戦いに次はない。心折れた武士をクロノヴェーダに変え続けた鬼との戦いに、今日こそ決着を着けてやると。
そして――立烏帽子と復讐者、最後の死闘がいま始まる。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
菱神・桐梧
アドリブ連携大好き
安い挑発に乗ってねえで、端っからそうしてりゃ良かったのにな
さて、一つ揉んでやるとするか
ガッカリさせてくれるなよ!
降り注ぐ剣雨をハンマーで防ぎ、鎖で逸らし、太刀で弾き、リボルバーで撃ち落とす
様子を伺いながら防戦だ
消耗、使えなくなった武器から【投擲】し奴の意識を削いでいく
合間に煽りでも入れておくか
余分にキレてくれりゃつけ入り易くもなるしな
大振りか他の奴に気を取られでもした辺り
デカい隙を狙って【ダッシュ】
即座に接近して【捨て身の一撃】、パラドクスをブチ込みに行く!
どうしたよ、ああ?
ヘラヘラ嘲笑って見せろよ……そいつがてめえの取り柄だろ?
矢木・真輝
※連携・絡み歓迎
※効果・技能は積極使用
※最初からオーラモード
で、甲斐性もなく逃げようとした上、まんまと挑発に乗せられてそれすらも失敗したってワケだ。
そんじゃ、力ずくで逃げるしかねぇなァ?
逃げ場を失ったテメーの馬鹿力、見せてみろよ。
<ダッシュ>で接近して尾を叩き込むぜ。
奴の技は心が読める?面白ぇ。
右。左。狙うは背後。残念、こっちだ。
これは所謂フェイントだが、思惑がバレようが関係ねぇ。
何人もの思考と攻撃を同時に見切るのは難しいだろうからなァ。
俺は囮で結構。奴を倒せりゃあそれでいい。
くっはは!踊れ踊れ!――そして散れ。
平穏で安らかなるかの地かの刻を穢した罰、しっかりと受けてもらわなきゃなぁ。
●窮鬼と復讐者
『……オォォォォォォォォ……』
戦場の中央。復讐者の一団に包囲された状態で、妖刀を構えた立烏帽子が静かに呼吸を整えた。
同時、それまで見苦しく撒き散らされていた殺気が潮を引くように鎮まり、彼女の全身へと収まっていく。その光景を凝視しながら、菱神・桐梧(喧嘩屋・g05613)は込み上げる武者震いを抑えきれずにいた。
「へっ。安い挑発に乗ってねえで、端っからそうしてりゃ良かったのにな」
燃えるような闘気を指先へと集めながら、桐梧は笑う。
この女鬼は覚悟を決めたのだ。その事実が、喧嘩屋である彼にとっては堪らなく嬉しい。
まして先陣を切る一番槍の一人として、あの女鬼に拳を叩き込むことが出来るとなれば猶更だ。
「さぁて……幕引きと行こうか、立烏帽子よォ?」
一方、オーラモードを発動した矢木・真輝(風を奏でる放浪者・g04665)も、好戦的な笑みを露わに言い放った。
全身に漲る獣のオーラは、全力の戦いにのみ用いるもの。立烏帽子との死闘に臨む決意を、それは雄弁に物語る。
そうして準備を終えた桐梧と真輝へ、立烏帽子は告げる――常のそれより尚深い、嘲りを込めた笑みを浮かべて。
『先手は譲ってやる。来な、ディアボロスども』
「上等……テメェの馬鹿力、見せてみろよ立烏帽子!」
同時、駆け出した真輝が、肉体の重心を前方へと傾けた。
地面に倒れ込むような勢いで下ろした両手の爪先を、地面に突き立てて跳躍。四つ脚の獣を思わせる機敏な動きを武器に、一跳びで立烏帽子を射程に捉える。
「これは、ヒトならざるモノ、妖の獣。この身に纏いし魔力の源。……この片鱗を、味わわせてやる」
真輝の全身を流れるオーラが、腰で揺れる尾へと注ぎ込まれ始めた。
技の名を『妖獣の禍魔衣』。変貌を遂げて立烏帽子へと繰り出す一房の尾は、さながら巨大な破城槌のよう。
並の鬼妖なら致命傷は免れない刺突が、心臓めがけ一直線に迫り――尾の先端が肉を浅く刺したところで、女鬼はその一撃を受け止めた。
逃げず、避けず、真正面からである。
『成程……よぉく分かった』
胸先に刻まれた傷から血の球を生じさせたまま、吊り上がった口の両端で三日月めいた姿を形作る。
その顔が形作る笑みは、まさしく鬼のそれ。心弱い者ならたちまち竦み上がるような形相を、真輝は睨み返した。この戦いは心の削り合いでもある。気迫で後れを取る訳には、絶対にいかない。
「腐ってもジェネラル級ってかァ……面白ェ!」
気力を奮い立たせた真輝は、すぐさま身を捻り、立烏帽子の周囲を駆けまわり始めた。
前後から左右から変幻自在の脚運びで撹乱を始める真輝。そんな彼の動きを、しかし顕明連は狂いなく読み切って、
『そこだ!!』
刀の軌跡が毒蛇めいた軌跡を描き、真輝の胴を切り裂いた。
舞い散る血飛沫。派手な刀傷を負いながらも、しかし真輝の表情が恐怖に曇ることはない。
「――へへ、まんまと、かかってくれたなァ?」
何故なら、自信の役割は囮だからだ。最後に斃れるのが立烏帽子であれば、それが真輝にとっての勝利だからだ。
刹那の間を置いて、立烏帽子も真輝の意図に気づく。だが遅い――その間合いには、すでに桐梧がいた。どう足掻いても、回避どころか防御も間に合わない僅かな隙。真輝が稼いだその好機を、喧嘩屋はけして逃さない。
「流石にこれ以上の無茶は危ねェ……頼んだ、桐梧!」
「ああ。任せな、真輝」
闘気を注ぎ込んだ指先を握り固めた『レックレス・フィスト』の拳。
それを今、桐梧は全力で叩き込む。無防備に曝け出された、立烏帽子の脇腹めがけて――!
「さあ。ぶっ潰れるのは俺か、お前か、試してみようぜ!!」
『がっ……!』
女鬼が咄嗟に力を込めた腹を、桐梧の拳が抉った。
同時、拳を通じて伝わるのは、彼の身の丈を超える岩塊のごとき硬い手応え。
それでも桐梧は構わず渾身の力で拳を振りぬく。立烏帽子が僅かに漏らす呻き声に、確かな手応えを感じながら。
「どうしたよ、ああ? ヘラヘラ嘲笑って見せろよ……そいつがてめえの取り柄だろ?」
『いいだろう、アタシも存分に試してやるよ――アンタの体でね!!』
桐梧の挑発に、息を整えた立烏帽子が大通連を発動した。
宙を舞う妖刀は、たちまち空を埋め尽くす程の群れへと膨れがり、桐梧めがけ降り注ぐ。
逃れる術のない斬撃の嵐。それを桐梧はハンマーで防ぎ、鎖で逸らし、防ぎ続ける。迎撃を逃れた妖刀に体を切り裂かれても、彼の不敵な笑みが陰ることはない。
「効かねえな、こんなモン。前より弱くなったんじゃねぇか?」
『ふふ。あんな柔い拳で、もう勝ったつもりかい? 風が吹いたかと思ったよ』
見苦しく撒き散らしていた怒気は鳴りを潜め、殺意を研ぎ澄ます立烏帽子。その凄絶な笑みを前に、桐梧は今まで以上の武者震いを感じていた。
この戦いは、間違いなく激戦になる――。
喧嘩屋の勘が現実となるのは、それから程なくしてのことだった。
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴
一里塚・燐寧
共闘・アレンジ大歓迎
やーいやい、臆病者の卑怯者がようやくまともに戦う気になったみたいだねぇ?
敬意を表して、最初の攻撃ぐらいは受けてあげるよぉ
……貰っておしまいじゃなくて、素敵なお返しがあるけどねぇ?
立烏帽子が放つ『大通連』を迎え撃つように
『呪式:報仇絶恨』を発動して防御力を引き上げるよぉ
分裂した無数の妖刀の雨を
巨大鎖鋸剣≪テンペスト・レイザー≫で斬り払って【粉砕】したり
剣を盾のようにして弾いたりして急所を外しつつ
身体に当たるものは【肉体改造】で得た耐久性で耐え抜くよぉ
んふふ、頑丈さが取り柄だよぉ!
そして刃をあらかた捌いたところで
鬼火を纏わせた剣を振りかざし
伸びる炎の刃で敵を離れた所から斬るねぇ
リオーネ・クア
ネメシスモード発動
首元より下が全て、赤く硬質な皮膚を持ち強健な肉体の悪魔と化すよ
立烏帽子から逃走の意思が消えた
上位の存在の命令に反して戦うようだし決死の覚悟だろうね
油断は厳禁
この場に居る他の復讐者と連携、協力して全力以上の力で相手するつもりで行かなくちゃ
方針は敵に近付き激しく攻め立てて敵の注意を引く
味方が攻撃を狙いやすく、効果的な場所に当てられるようにするのが狙いだよ
その結果反撃だけでなく攻撃も多く受けることになると思う
体力的に危険と判断した時点で後は皆を信じて離脱
魔骸連刃を発動、手足と尾に刃を生やし敵に殴りかかって刃で傷つける
襲ってくる無数の刀は魔力障壁で勢いを殺し、手足の刃にて弾き返したい
大和・恭弥
妖刀を持つ身として、幾度か関わって来た。皆、何かを護りたい一心だった。彼らの無念は必ず晴らす。
お前は俺らの力を見過った、それが運の尽きだ。
仲間の援護をしながら、主に攻撃のダメージ軽減を受け持つ
最優先は、仲間に降りかかる刃を少しでも減らすことだ。
すぐに妖刀「藍雪花染」を抜刀、呪詛を解放し接近。刀に溜めた呪詛を殺気に変えて気を引き、結界を展開する。晴彦とも連携。
最優先は、仲間に降りかかる刃を少しでも減らすこと。必要なら効果も技能も全て使う。
ダメージを軽減しながら一撃離脱で秘技を発動。俺もタイミングを狙って一太刀斬りかかる。負傷は厭わず全力で―
存在を滅された彼らの絶望を思い知れ…!
アドリブ連携可
●勝利への一歩
窮地に追いやられた者は、往々にして決死の抵抗を見せる。
一寸の虫から百獣の王まで、およそ例外は存在しない。戦場に立つ立烏帽子も、また例外ではなかった。
ひとつだけ違いを挙げるならば――復讐者の敵たる女鬼が、百獣の王など軽く凌ぐ危険な力を有していたことだ。
『かかって来な。一人残らず地獄に送ってやるよ!』
「決死の覚悟ということか。想定はしていたけど、厄介だね……!」
包囲の只中、不動の姿勢で告げる立烏帽子。
この窮地にあって尚、自分の勝利を信じて疑わぬ女鬼を前に、リオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)は唇を噛んだ。
先行した仲間達の攻撃は、確かなダメージとなって蓄積されている。だが、本格的な攻撃を仕掛ける機は、まだ熟していない。更なる傷を刻み込み、あの女鬼から余力を奪いつくした時――着実に仕留める好機は、その時を置いてない。
「後に続く仲間の為。全力で行かせてもらう!」
リオーネの決意を示すように、彼の首から下が悪魔の肉体へと変貌していく。
ネメシス形態――炎のように赤い色と、頑健な硬質さを併せ持つ、異形の姿。そうして持てる力を解放したリオーネが見上げた先では、早くも大通連の妖刀が大空を埋め尽くさんばかりに舞っていた。
『ふふ。言い残すことはそれだけかい?』
立烏帽子が手を掲げると同時、夥しい数の切先が、ひとつ残らず地上の復讐者に向けられる。
それを見た大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)は守りの結界を展開し、急ぎ仲間達を包んでいった。あの物量の前には気休め程度にしかならないだろうが、有ると無しでは大違いだ。
「耐えましょう。奴をここで討つためにも!」
「まっかせてぇ! あたし、こう見えて頑丈さが取り柄だからねぇ!」
結界に包まれた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が、心配無用と笑顔を送ってみせた。
リオーネや恭弥と同じく、彼女もまた先行を担う一人だ。その腕が握るのは巨大鎖鋸剣≪テンペスト・レイザー≫。身の丈程もある剣の刃を立烏帽子へ突きつけながら、燐寧は告げる。
「やーいやい、臆病者の卑怯者がようやくまともに戦う気になったみたいだねぇ? 敬意を表して、最初の攻撃ぐらいは受けてあげるよぉ」
『後悔するよ、小娘!!』
同時、妖刀が雨霰と降り注ぎ、蹂躙を開始した。
使い手たる立烏帽子の双眸は今や凶悪な意志に満ちて、復讐者達をまっすぐに見据えている。
挑発を受けた時の見苦しい姿は、もはやない。それは即ち、女鬼が死を覚悟した反撃に出たことと同義である。
『死ね。死ね。鬼妖に楯突く奴等は、残らず地獄に行くんだよ!』
「地獄に行くのはお前だ、立烏帽子。彼らの絶望を思い知れ……!」
降り注ぐ剣雨に晒されながら、恭弥が妖刀「藍雪花染」を抜刀する。
彼の役割は、敵の注意を引きつけて、味方への被弾を少しでも減らすことだ。
大海を泳ぐ肉食魚の群れめいて襲い来る大通連の妖刀。そこへ藍雪花染の放つ呪詛が吸い込まれると同時、刀群の一部が分かたれて恭弥めがけ飛来する。
展開した結界が斬撃の濁流に突き破られる中、恭弥は呪詛を宿した己が妖刀の斬撃を、反撃に放つ。空間そのものを両断する斬撃を浴びても、しかし立烏帽子の傷は信じがたいことに軽微だ。
(「これが、ジェネラル級の力……けど!」)
恭弥は倒れない。倒れる訳にはいかない。
今まで関わって来た者達の想いに報いる為にも、ここで膝を折ることだけは許されない。
同時、彼が刀群をおびき寄せて生じた空白へ、リオーネと燐寧が突撃していく。いまだ深手を負わずに済んでいる二人の背中は、恭弥にとってこれ以上なく頼もしい。
「お前は俺らの力を見過った。それが運の尽きだ――燐寧さん、リオーネさん、頼む!」
「んふふ、任せてぇ! 全力の一撃、叩き込んじゃうよぉ!」
高々と掲げられた鎖鋸剣が、燐寧の手で命を吹き込まれた。
凶悪な唸り声を上げながら、襲い来る妖刀をテンペスト・レイザーが打ち払う。
妖刀の攻勢は尽きない。肉体改造で抗戦を続ける燐寧。その体に一つ二つと傷が増え始めた、その時だった。
「……貰っておしまいじゃなくて、素敵なお返しがあるんだよねぇ?」
燐寧の体を覆う紫色のオーラが、血のような赤色に染まり始める。
同時、そのオーラを余さず注ぎ込まれた鎖鋸剣の刀身から伸びた鬼火が、一振りの刃を生成。『呪式:報仇絶恨』の一撃となって立烏帽子へ振り下ろされた。
鬼火に焦がされ、全身から黒煙をあげる立烏帽子。そこへ燐寧はさらなる一撃を叩き込む。
「さっきのは反撃ね。本当の恐ろしさは、ここからだよぉ!」
テンペスト・レイザーが唸り声をあげて、二度目の斬撃を立烏帽子へ見舞う。
降り注ぐ妖刀の嵐にいても尚、燐寧の勢いは衰えない。恭弥の働きで攻撃が逸れたぶん、初撃のダメージを抑えられた結果に違いなかった。そして、その恩恵を受けていたのは、燐寧以外にもう一人――ネメシス形態のリオーネである。
「どちらの覚悟が勝るか……勝負だ、立烏帽子!」
真っ赤な砲弾さながらに、リオーネの肉体が迫る。
その手足と尾に生やした刃は、かつて喰らった敵から得た魔骸連刃のそれだ。
全身をあまねく凶器に変えた突撃。ネメシス形態でパワーアップした一撃を、立烏帽子は妖刀で防ぐ。
『……ふん。ディアボロスの力とやら、こんなものかい……!』
反撃を浴びせ、さらに主攻の一撃を叩き込み、立烏帽子の両腕を切り裂くリオーネ。
対する立烏帽子の大通連が繰り出す妖刀は、次から次へと分裂を続け、休む間もなく復讐者達を襲い続ける。
だが、その威力が僅かずつだが衰え初めていることを、リオーネは確かに感じ取っていた。
「間違いない。俺達のダメージは、着実に蓄積されている……!」
魔力障壁を展開しながら、ちらと目を送った先には、攻撃準備を終えた恭弥の姿があった。
攻撃を引きつけて傷を負った彼は、もはや浅くない傷を負っている。ネメシス形態のリオーネならばまだしも、この状態で立烏帽子に攻撃を浴びせれば、反撃を受けて沈むことは容易に予想できた。
今なら、退がれる――それを承知で、恭弥は仲間の一人へ視線を送った。
「リオーネさん。……悪いけど、頼んだ」
「ああ。任せて」
頷きを持って応じるリオーネ。同時、恭弥は二度目となる秘技「虚無剣・花染雪ノ抹消」を発動した。
一撃を与えて離脱する――当初に考えていた彼の作戦は、どうやら一人では困難だ。だが、ここで下がる選択など、それ以上にあり得なかった。
「妖刀を持つ身として、幾度か関わって来た。皆、何かを護りたい一心だった。彼らの無念は必ず晴らす!」
藍雪花染の解き放った呪詛が、戦場に木霊した。
哀しみ、絶望、悔恨――無念千万の呪詛を宿した妖刀が、いま再び立烏帽子を薙ぎ払う。
真一文字の一閃。空間もろとも足を切られ苦悶の呻きを漏らした女鬼は、五体の全てを残したまま、お返しとばかりに妖刀の矛先を恭弥へ向けた。
「ここまで、か……!」
耐える余裕は、もはやない。もはや自分の身体が指一本たりとも動かないことを悟り、崩れ落ちる恭弥。
その身が地に伏す刹那、彼の身体をリオーネは担ぎ上げる。自身もまた、傷だらけの身体で。
「頃合いだ。離脱しよう、燐寧さん」
「オッケー。みんなー、敵はいい感じに弱って来てるよぉ!」
オーラと血糊で全身を赤紫に染めながら、燐寧もまた戦場を離脱していく。
力を尽くして傷を刻み込み、続く仲間達へ後を託しながら――。
苦戦🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
喩・嘉
【鳳】の仲間達との連携強化
今まで犠牲になった者たちの無念を
俺たちの力に変えて
「五里霧計」であたりに霧を発生させる
視界を奪われれば、殺気を読むのに長けた奴は必ずそれを察知してくるだろう
俺はあえて全身から漲る殺気を消さずに接近する
毒針の一撃を入れられればそれで良し
太刀の一閃が来たら、その刃を麒麟蹄で受け止め地面に踏みつけ封じる
来ると分かっているなら、対応することくらいはできるだろう
例え傷を負ったとしても
三振りのうち、一振りでも防げるなら金星だ
俺は一人で戦っているわけじゃない
俺に注意を向けているとき、仲間がお前の懐に迫っている
平良・明
【鳳】の仲間たちと連携強化
心を読み通せるというのなら、もしかして、分かるのでしょうか
仲間たちと、私が、負けるはずがないと確信していることを
ひとりの鬼狩人、それの砕けた欠片は私に刺さり、今日この浄化する嵐となる
「カッパ」で細かな岩塩の板を降り注がせ
これは分かっていてもどうしようもない
今日の天気は霧や刃入り乱れ、時に岩の嵐、針の筵です
一切合切、吹き荒れる罪業に撒かれてつぶれるといい
その刃がどれほどかはわかりませんが
守りには板を重ね重ねて盾とします
シャムス・ライラ
【鳳】
救える命は救ってきたつもりだった
だが、妖刀に魅入られた者は…
「おっかぁの芋粥……食いてぇ……」
遺言は、他愛もない望みだった
足の腱を切ったのも、止めを刺したのも私だった
地形を利用し、油断なく情報収取で戦況を確認
仲間の動きを見つつエアライドで接敵
敵攻撃はジャンプとセルフクラフトの壁で防御
敵に罪縛りの鎖で攪乱
足元に敵の目が行ったら怪力無双で土を蹴り
土埃で敵視界を一瞬奪った隙に
ギミックブーツに仕込んだ毒刃でスコルピオスティング
捨て身の一撃叩き込む!
決定打でなくとも仲間の力となれば幸い
立烏帽子
お前が生き延びる為の最適解は存在しない
人を踏みつけ続けた
今度は、お前が、踏まれる番だ!
アドリブ等歓迎
杏・紅花
【鳳】の仲間と連携するっ
アドリブ歓迎
この世界のたくさんのいのちを奪ってきたやつ
たくさんのひとに、生きることを諦めさせたやつ
許せるわけないじゃん
【飛翔】して懐狙って馬鹿正直に突撃、切り裂くよう見せかけてフェイントかけたい
敵の反撃を爪で受けて、袂から放出させたワイヤーソーで敵の四肢、または武器を拘束
仲間が一撃入れる隙を作る
最適解なんて、人間の可能性の前にはあってないようなもの
意外性って知ってる?
これだけの仲間がいるんだもん
掛け合わせて、可能性は無限大でしょっ!
守都・幸児
【鳳】の仲間達との連携強化
縁切りにされた武士がいた
妖怪にされた民がいた
巻き込まれた子供がいた
だから俺はここに来た
やっとてめえを直接ぶちのめせるな立烏帽子
「悪鬼粉砕撃」で懐に飛び込んでぶん殴る
悪鬼を粉砕する技だ
ぴったりだろ
あえて真正面から行ってやる
太刀が刺さろうが
どこを斬られようが
動きを読まれようが
構わず【粉砕】する【捨て身の一撃】だ
特に大通連は二度もくらったことのある技だ
威力も痛みも覚えてる
だから怯まねえ
絶対に止まらねえ
俺一人じゃきっと届かねえだろうな
だがよ
俺たちは一人じゃねえ
誰かの攻撃は必ずてめえに届く
一人が届けば皆が続く
なあ
この期に及んで避けたりしねえよな?
目が合ったら笑ってそう言ってやる
●乾坤一擲
復讐者を復讐者たらしめる本質は何か。それは『怒り』の感情である。
彼らが抱くのは、ただの怒りではない。歴史を奪ったクロノヴェーダの暴虐、ひいてはクロノヴェーダという存在そのものに対する否定を伴う、強烈で根源的な憤りだ。
それを踏まえて語るならば、シャムス・ライラ(極夜・g04075)は今、極めて純粋な復讐者として戦場に立つ一人であった。
(「今でも思い出す。あの時、『彼ら』が遺した無念の呻きを」)
脳裏に蘇るのは、かつてシャムスが討った、妖刀に魅入られた者の最期だ。
望みと呼ぶようなものでさえない、本当に本当に他愛もない望み――その悲痛な声は、今も鮮明に思い出せる。
元は人間であったにも関わらず、理不尽に奪われた日常。その黒幕たる鬼が、いまシャムス達の目の前にいた。刃を繰り出せば、すぐ届く場所に。
「油断するな。追い詰められたとはいえ、奴は勝負を諦めていない」
注意を促す喩・嘉(瑞鳳・g01517)の言葉に、その場の仲間達が頷きをもって返す。
退路を断ち、手負いとなったジェネラル級の鬼。それがアヴァタール級などとは比較にならない程に危険な脅威であることは、復讐者の誰もが痛感するところだ。
だが、それでも――諦めるという選択肢も、逃がすという選択肢も、彼らの中には存在しない。
「この世界のたくさんのいのちを奪ってきたやつ、たくさんのひとに、生きることを諦めさせたやつ、許せるわけないじゃん」
杏・紅花(金蚕蠱・g00365)の語る言葉は、ある意味、仲間達の心を代弁するものでもあっただろう。
それを示すように、平良・明(時折の旅行者・g03461)は紅花にちらと視線を送り、小さな頷きを送った。先陣は自分達で果たそう、その合図だ。
(「私も、仲間達も、負ける筈がありませんからね。いざ、道を切り開きましょう」)
そんな彼の心を、立烏帽子もまた読み取ったのか――三明の剣を構え、迎撃の構えを取る。大通連に小通連に顕明連、いずれの一振りもすぐさま抜き放てる、万全の態勢で。
『次はお前達かい? 待つのも面倒だ、さっさとかかって来な』
「行くぞ。今まで犠牲になった者達の無念を、俺たちの力に変えて」
嘉の一言を合図に、明と紅花を先頭とする復讐者の一団が攻撃を開始する。
戦場の視界を奪うため嘉が発動するのは、『五里霧計』のパラドクス。数多の死角を生み出す霧が光を屈折させ、立烏帽子の周囲を包んでいく。
対する立烏帽子は微動だにせず。そこへ上空から飛翔してきた紅花が真正面から間合いへと肉薄した。残像を生み出す速度で翻弄しながら、『爪牙の響』の爪を薙ぎ払う。
「ばあっ! 驚いたっ?」
爪の一閃が立烏帽子の腕を捉える。
同時、更なる追撃でワイヤーソーを放とうとした紅花の肉体が、妙な違和感を訴えた。
足が重い。すぐさま紅花は違和感の正体に気づく。自分の利き腕が斬られている――精緻な狙いの覚束ない、明白な深手。
爪牙の響きを浴びせた際、返しざまに小通連の斬撃を浴びていたに違いなかった。
「さっすがジェネラル級ってやつ? 明サン、お願い!」
「ええ紅花さん、任されました」
同時、霧に覆われた立烏帽子の周囲が、ふいに黒い影に覆われた。
『インスタントトーチカκ』、明のパラドクスが召喚した岩塩の巨大な一枚板。それが今、立烏帽子を圧し潰さんと上空から真っすぐに迫る。
「今日の天気は霧や刃入り乱れ、時に岩の嵐、針の筵です。一切合切、吹き荒れる罪業に撒かれてつぶれるといい」
「深き霧の中で、迷い子のように惑え」
同時、霧を突き破って現れた嘉の毒針が、立烏帽子へ迫る。
頭蓋を割り砕かんと振り下ろされた一撃を、女鬼は避けなかった。分厚い額から生えた角で真正面から針を受け止め、爛々と輝く双眸でギロリと嘉を睨みつけ、不敵に笑う。
『あんたがこいつらの親玉かい。ずいぶんいい度胸じゃないか、ええ?』
「さみしいですね。余所見は禁物ですよ、立烏帽子」
直後、岩塩の板が、立烏帽子の頭上を捉えた。どう足掻いても避けようのない一撃。それを避けようなどと、女鬼は最初から考えない。
明の一撃を受けるに任せ、顕明連を抜刀。紅花の爪で血に濡れた腕で、明と嘉めがけて反撃の刃を振るう。
『霧? 刃? 岩に針? なら最後に降るのは、血飛沫で決まりだ!!』
心を読んだ一振りは、二人の復讐者に回避を許さない。
ならばと岩塩を盾と重ねれば、構える先を見切られた。受け止めを狙って麒麟蹄を構えれば、真正面からの力押しでガードを突き破られた。
そうして振るう刃は明と嘉に傷を刻み込み、真っ赤な血を戦場に降らす。アヴァタール級などとは比較にならない火力――戦闘不能こそ免れたが、次に浴びれば確実に落ちるだろう。
「嘉さん。そろそろでしょうか」
「ああ。頃合いだ」
だが、そんな状況にあっても、明と嘉、そして紅花にも恐怖の色など微塵もない。
当然だ。この程度の負傷など、彼らにとっては想定内。三人の狙いは立烏帽子の首ではない、時間稼ぎにあるのだから。
すなわち、真打たる二人の仲間――シャムスと守都・幸児(迷子鬼・g03876)が最高の一撃を叩き込む為の、布石だったのだから!
「立烏帽子。お前が生き延びる為の最適解は存在しない」
エアライドで跳んだシャムスが、立烏帽子の頭上から迫る。
ギミックブーツに仕込んだ毒刃のスコルピオンスティングで、人を踏みつけ続けた女鬼めがけて。
「今度は、お前が、踏まれる番だ!」
『ちっ!』
咄嗟に交差した腕を、全体重を込めたシャムスの毒刃が切り裂く。
同時、その眼前から迫るのは、全身の膂力を得物に込めて疾駆する幸児だ。
回避する術はない。防ぐ術もない。立烏帽子に許されたのは、膂力を込めた全力攻撃を甘んじて受ける――それ以外、ただの一つも存在しない。
「よう。やっとてめえを直接ぶちのめせるな」
『お前は……!』
「この技は『悪鬼粉砕撃』。悪鬼を粉砕する技だ、ぴったりだろ」
鉄骨の一振りが唸りを上げて、立烏帽子のガードを突き破った。
鈍い手応えと共に、立烏帽子の口から血が漏れる。復讐者の手で着実に蓄積されていくダメージも、しかし未だ女鬼は執念深く、勝利を諦めようとしない。
『勝つのは……アタシだぁぁぁっ!!』
立烏帽子の大通連が、幸児へと降り注いだ。
鋭い妖刀に全身を刻まれる幸児。しかし次の瞬間、女鬼は己が目にした光景に絶句する。
攻撃態勢を取っているのだ。浅くない傷を負った幸児が、鉄骨を構え、ダブルの残留効果で今一度の悪鬼粉砕撃を叩き込もうというのである。
「さて。そろそろ本命と行くか」
『……!? お、お前、何を
……!!』
初めて焦燥の色を浮かべる立烏帽子を見ながら、幸児は思う。
この女鬼は、あまりにも復讐者を軽く見過ぎていると。
縁切りにされた武士。妖怪にされた民。巻き込まれた子供――彼らの痛みと、そして苦しみに比べれば、この程度の傷を厭う復讐者など、ここには一人も存在しないのだから。
「なあ。この期に及んで避けたりしねえよな?」
幸児の拳が立烏帽子の脇腹にめり込んだ。
骨を砕く確かな手応えの後、女鬼の口からどす黒い血が盛大に吐き出される。
絶叫し、悶絶する立烏帽子。もはや嘲笑を浮かべる余裕を奪われたその様は、勝利への道筋が切り開かれた瞬間を示すものであり、
『があぁ……っ!! 貴、様……よくも
……!!』
「悪いな、皆。後は頼んだぜ」
同時に、力を使い果たした幸児が、激闘の代償を支払う瞬間でもあった。
怨念を滾らせた声を漏らし、大通連が再びの反撃となって降り注ぐ。立て続けに降り注いだ妖刀は、もはや標的に指一本動かすことも許すことなく――『守都・幸児(迷子鬼・g03876)は重傷を負った』。
戦いは、いよいよ最後の決着を迎えようとしていた。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【セルフクラフト】がLV2になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【神速反応】がLV2になった!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
シル・ウィンディア
命は預けて置くって言われたしね
さて、それじゃ、死合うとしましょうか。
…わたし達を簡単にどうこうできるとは思わないことだよっ!
飛翔で空中に舞い上がってから、戦域全体を見渡すよ
味方が接敵するまでは、世界樹の翼type.Cからの誘導弾で牽制攻撃っ!
吹き飛ばしの効果で、少しでも体勢を崩せたら儲けものだけど…
味方が攻撃し始めたら誘導弾は停止
味方が吹き飛ばされたりしたら、誘導弾を連射して気を惹くよ
敵パラドクスは、残像を生む空中戦の機動での回避とガードアップで強化した結界術で防御。
反撃は忘れずに行うよ。
味方の攻撃が激しくなったら…
高速詠唱で隙を減らした、全力魔法の六芒星精霊収束砲!
…わたしの全部受け取って!
クラウ・ディークラウ
(もやもやな刃も手にし、【魔骸連刃】
しかし斬り掛かるでもなく敵を見て)
その剣は、見たことある
また使ってくる、なら……うん
じゃあ、今度こそはせめて、クラウひとりくらいは
倒せると、いい、ね?
(あなたにやれるものなら、と言外に込めて
改めて刃を構え、真っ向から立ち向かう)
それは、避け切れない
それは、払い切れない
分かってるから、覚悟だって、できる
(急所へと降る剣だけ『薙ぎ払い』つつ進む『捨て身の一撃』)
(敵へ肉薄できたなら)
……あなたはちゃんと、覚悟、した?
クラウたちの、彼の、彼らの、想い
知っているだけ、全部残さず、込めるから
――最後まで、受け取って、ね
(想いの数だけ斬撃を届けんと、全力で、振り抜く)
ツィルニトラ・プリルヴィッツ
随分と頭に血が昇っているようね
虚仮にした相手を一人でも多く屠って…
いえ、道連れにしようというのかしら
…そうはさせない
縁切りにされた人、妖怪に苦しめられた人々
数多の血と涙を産み出した貴女にこれ以上、何も奪わせない!
魔法の竜神がお相手するわ!
【竜神の眼】にて虚偽を見破り、相手の行動を看破
残留効果の【未来予測】と【神速反応】も併用し精度向上
突いて、叩いて、薙いで斬って…ハルバードで切り結び
貴女が各地で見せた顕明連…心見通す神通力だそうね?
それとぶつかればどうなるか…
ええ、そうよ
互いが最適解をぶつけ合う千日手…
膠着状態に持ち込ませて貰う!
(地力の差でその時間は僅か、だけど…)
復讐者は、一人じゃないのよ
●死闘の帰趨
鉞兵を包囲殲滅し、立烏帽子を挑発し、そうして開始された最後の決戦。
幕開けから僅か十数分にも満たない激闘は、復讐者と立烏帽子の双方に深い傷を刻んでなお終わらない。
だが――いまだ激しい火花を散らしながら、戦いの終わりは着実に迫っていた。
『まだだ……まだアタシは死なない! 残らず地獄に引きずり込んでやる!!』
「虚仮にした相手を、一人でも道連れにしようというのかしら。……そうはさせない」
深手を負い、なおも屈服を拒んで戦い続ける立烏帽子。文字通り鬼気迫るその姿を、ツィルニトラ・プリルヴィッツ(自称/捏造 魔法竜神・g02012)は得物の槍斧を構えながら見つめていた。
女鬼の深手は明らかだ。このまま攻撃を浴びせ続ければ、遠からず復讐者に軍配が上がるだろう。
だがそれは、今から始まるツィルニトラらの戦いが楽であることを意味するものではない。
(「戦闘不能が一人、重傷が一人……このまますんなり終われば、良いのだけど」)
復讐者側の被害を反芻しながら、ツィルニトラは改めて気合を入れ直す。
いま自分達が対峙している相手は、紛れもないジェネラル級の一角なのだ。アヴァタール級などとは比較にならない強敵を討ち取る好機は、今を置いてない。
ここで奴を逃せば、悲劇はこれからも続くだろう。その際に流されるであろう沢山の血と涙を思い、ツィルニトラは改めて決意する――あの女鬼は、ここで葬らねばならない。
「行きましょう。ここで、終わらせるわ」
「ん。クラウも、一緒に、頑張る」
ツィルニトラの横で頷くクラウ・ディークラウ(遮る灰色・g01961)の手が、戦闘態勢のもやもやな刃に変じる。
魔晶剣『輝かずの刃』――定型を持たない刃は、かつて大通連の一撃を防ぎ切った武器でもある。そんな刃の切先が向いた先、クラウ達の眼前には、満身創痍となった立烏帽子の姿があった。
「負けられない、ね」
「うん。わたしも、命は預けて置くって言われたしね。きっちりケリはつけなくちゃ!」
正面から立烏帽子に立ち向かうクラウ。その上空では飛翔で空に留まるシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)が、攻撃準備の完了を告げた。
背に広げる『世界樹の翼type.C』の周りには牽制用の誘導弾が無数に生成され、立烏帽子を狙い定めている。クラウとツィルニトラが接敵するまで、女鬼の態勢を崩すことを狙ったものだ。
「それじゃ、死合うとしましょうか。……わたし達を簡単にどうこうできるとは思わないことだよっ!」
「立烏帽子。貴女にこれ以上、何も奪わせない! 魔法の竜神がお相手するわ!」
そうして――ツィルニトラが先陣を切ると同時、その後ろをクラウが追うように駆け出した。
先手を取ったシルが誘導弾を発射。一斉に標的めがけて迫る牽制の弾幕を、しかし立烏帽子はものともしない。
邪魔だとばかり顕明連を抜き放つ女鬼。直後、止んだ弾幕の土煙を突き破り、ツィルニトラが槍斧を構え肉薄する。
「誤魔化そうとしても無駄よ。親近感を覚えるから」
『笑わせるなっ!』
妖刀の切先が、ツィルニトラへと変わる。
すかさず、顕明連に先んじてツィルニトラが発動するのは『捏造竜神の眼』。敵の嘘偽りを看破し、動きを見切った攻撃を放つという、顕明連と似た力を有するパラドクスだ。
互いに行動を読み合うことで膠着状態を狙う、そんな意図を秘めて放つ一撃は、しかし敵の脇腹を切り裂いた直後、
『殺ッ!!』
顕明連の一閃によって返される――すなわち、他のパラドクスをぶつけ合うのと変わらない結果に終わる。
「やはり、そう上手くは行かないようね……! 気をつけて、まだ来るわよ!」
「ん……その剣は、見たことある」
刀傷の痛みに耐えながら注意を促すツィルニトラの眼前で、立烏帽子が構えたのは大通連であった。
無数に分裂し、刀の嵐となって標的を切り刻む、三明の剣が一振り。その妖刀が今、立烏帽子の手で命を吹き込まれ、再び宙へと浮かび分裂を開始する。
切先を突きつけるのは只一人。魔骸連刃で女鬼を狙うクラウだ。
「また使ってくる、なら……うん。じゃあ、今度こそはせめて、クラウのこと倒せると、いい、ね?」
言い終えるや、クラウは立烏帽子めがけて突撃していった。
もやもやな刃が振るわれた直後、空を覆い尽くす妖刀が地上目掛けて一斉に降り注ぐ。
その猛攻を、クラウは端から避け切うとはしない。払い切ろうともしない。致命傷となり得る剣に狙いを絞って薙ぎ払いながら、捨て身の一撃を浴びせ続ける。
「分かってるから、覚悟だって、できる。……あなたはちゃんと、覚悟、した?」
『イラつく小娘だよ……どこまでも、どこまでも!』
どんな怪我も辞さないクラウの突撃が、次第に立烏帽子を防戦に追い込んでいく。
降り注ぐ剣の軌跡をすべて読み切ることは叶わず、その体は血で真っ赤。だが、それでも倒れる訳にはいかないのだ。最後の一撃を、この女鬼へ叩き込むまでは。
「クラウたちの、彼の、彼らの、想い。知っているだけ、全部残さず、込めるから」
鬼妖の犠牲になった者。力及ばず涙を呑んだ者。
鬼妖に踏みにじられて全てを失った者。助けが届かず鬼妖に変じてしまった者。
そして、この戦いに駆けつけることの叶わなかった、復讐者達の全ての想いを、この一撃にありったけ込める。
魔骸連刃を構えるクラウと、『六芒星精霊収束砲』の発動するシルと、そして――彼女達の背後で今まさに全力攻撃の準備を終えようとしている、復讐者の集団が。
「教えてあげるわ。復讐者は、一人じゃないのよ」
ツィルニトラが告げる一言は無慈悲な死刑宣告にも似て、立烏帽子を打ちのめす。
戦場の全員と、時間軸をも越える怒り。その全てから刃を突き付けられた立烏帽子に、もはや逃れる術はない。
「加勢するよっ。わたしの全部も、受け取って!」
「ん。――最後まで、受け取って、ね」
全力で振りぬいたクラウの刃が、立烏帽子の身体を深く刻む。
そうして女鬼の血飛沫が地を汚すと同時、シルの精霊収束砲が六属性を束ねた光となって上空より照射され、
「……六芒星に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!」
『……
………………っ!!』
その一撃を合図に。
戦場に残る復讐者が、一人残らず、一斉に、立烏帽子めがけて牙を剥いた――!
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
エヴァ・フルトクヴィスト
囮を為し、包囲を崩し、敵の心を私達に縫い留めた。
後は心の怒りをぶつけるのみ。鬼狩の武者達を弄ぶ一端に、全力で!!
普段からチームで動かれている方々に比べれば連携の練度は落ちるでしょう。
それならば、まずは私達で動きの癖を引き出し見せて、手一杯になって貰ってエフェクトを残して。
入れ替わりでアタッカーを変わって貰いましょうか!
こちらの心を読むというのなら、言葉と心で違う事を思って、攪乱。
相手の動きを観察しつつ敵の攻撃はエアライドや飛翔、残像などを組み合わせて避けたり、結界術で急所を護りつつ。
槍を砲弾として発動させて吹き飛ばしたり、
勇気を以って光の槍を揮って斬撃したりと味方の動きと絡めて臨機応変に。
メルキディア・セデクリエル
アドリブ・連携大歓迎
立烏帽子との決戦、遅ればせながら駆け付けたわ!
心の折れた人に付け込んで縁を断つ悪辣な魔焔に容赦は不要。
顕明連は他者の心を見通す神通力で行動を読むのなら、対処しきれない威力の攻撃で迎え撃つのみ。
正義の天使が放つ光の奔流が如き光線、斬れる物なら斬ってみなさいッ!
そう言って、他の仲間の射撃・砲撃系のパラドクスに合わせてエーテリア・ブラスターを放つわ。
反撃の刃は予め突き立てておいたイオスラッガーにエーテリア・ブラスターの力を込めて、念動力で浮かせて防ぎきって見せる!
白水・蛍
アドリブ・連携歓迎
遅ればせながら。よおやっと悪辣な鬼と戦える機会が巡ってきましたか。
殺気は中々。ですが、それ位では何ともないですね。
我々、慣れてますから。そうそう怯みませんわ。
と、笑顔を崩さず相対しましょう。
敵の行動を読み取るという話ですが、問題ございませんね。
矢と<演奏・歌唱>の魔力を放ちます。
矢は正面からですが、魔力は四方八方から放てます。
回避が難しくなるよう魔力と矢を放ちます。
行動が読み取れても回避できないように囲んで攻撃すれば問題ないでしょうね。
私の攻撃を避けられたとして……『他の皆さん』の攻撃はどうでしょうね?
月下部・小雪
ジェ、ジェネラル級との決戦、です!
こ、怖いけど、みんなが準備してくれたチャンスを、逃しません。
怒って冷静さを失っているみたいですが、相手はジェネラル級。な、生半可な攻撃はきっと通用、しません。
な、ならボクも全力全開、です。ボクの中に巣食うアクマから魔力を限界まで引き出しての一撃必殺、です。
その間、コダマが立烏帽子の周りを飛び回って邪魔をして、ボクの攻撃のチャンスを作ってくれます。
烏帽子がコダマを切り払おうとしたところで召喚解除。獲物を一瞬見失ったところに【魔砲《破滅の運び手》】を叩き込みます!
最適解で避けたところで魔砲を振り回して、き、切り払います!
※アドリブや連携も大歓迎
フェルト・ユメノアール
いよいよクライマックスだね!
立烏帽子の興したこのふざけた舞台の幕引きと行こう!
と気合を入れて最後の戦いへと向かう
心を読む能力、厄介だね
でも、体が増える訳じゃない
仲間と連携して多方向から相手が躱しきれない攻撃を叩き込むよ!
まずは【未来予測】を使って相手の動きを先読みしながら爆裂ゴマを放ち
それが接近、爆発する前に別方向からトリックスターを投擲する
時間差を利用した連撃で相手を攪乱、仲間の戦いを支援するよ
そして、相手が仲間に攻撃しようとするか
仲間の攻撃で隙が出来た所でパラドクスを発動
ボクはSCバイバニーを召喚!
【エアライド】で空中に飛び上がり、回避不能なほど巨大化させたトリックスターの一撃を叩きつける
天夜・理星
…刻は昨夜。剣を取れ。
煽りに弱いもんだ、全く…!
情報処理? 高速思考?
悪いが斬撃技能はあなたが上でも両断技能はアタシが上だ。
だから全力で怒りながら笑顔で、一撃一撃、怪力無双の重みと一刀両断の切断性を込めて徹底的に聖剣を振るって攻める。
あちらは最適解に防御を敷いてくるだろうけど…正確な斬撃よりも心の篭った剣の方が上だってこと教えてあげなきゃね?
あちらが消耗してきたなら、熱波の支配者で僅かでも情報処理を鈍らせる。
そしてその隙を突いて…聖剣を思いっきり真っ直ぐに届かせる!!
答えを読む必要なんてない。
アタシたちの感情が、あなたのそれを超えて行く。
人々を嗤うあなたを、赦さない……。
●砲火の果てに
『あれは……!』
口の端から滴る血を拭った立烏帽子は、己が目にした光景に絶句した。
視線を向けた先、並ぶのは六名を数える復讐者の一団。その全員が隊伍を組んで彼女に狙いを定めているのだ。
勇猛な鯨波はなく、突撃の雄叫びもなく。ここをお前の墓場にすると、無言で突き付けた矛先が物語る。
「いよいよクライマックスだね! 皆、準備はいいかな!?」
戦闘で音頭を取るのは、フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)。
攻撃用の召喚札を手に語り掛ける彼女の声に、両脇の二人は頷きを持って返した。メルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)と、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)である。
「悪辣な魔焰に容赦は不要。本気で行かせてもらうわ」
「心の怒りをぶつけましょう。鬼狩の武者達を弄んだ女鬼に、全力で!!」
戦闘準備を完了したメルキディアとエヴァが、怒りに満ちた視線を立烏帽子へと差し向けた。
あの女鬼は、生きている限り恐怖と死を撒き散らし続ける。生かす理由も許す理由も、何ひとつ存在しない。深手を負わせた今こそが、撃破する最大のチャンスなのだ。
「後の三人が続けるように。さあ、ショーのクライマックスといこう!」
フェルトの一声が一斉攻撃の口火を切ると同時、七色の回転独楽が立烏帽子めがけて発射された。
小型爆弾を内蔵した戦闘用発明品『爆裂ゴマ』の一斉攻撃だ。飛来する独楽の爆発で生じる煙幕を難なく躱す女鬼。そこへ立て続けに投げナイフ『トリックスター』が降り注ぐ。
仲間が接敵するまでの時間稼ぎに放つフェルトの物量攻撃を、しかし立烏帽子は物ともせずに向かって来た。今更、こんな小細工が通じると思うな――そう告げるように。
『死ねええェェェッ!!』
「あれれー粘るね。二人とも、予定通り先に攻撃お願い。ボクもすぐ続くから!」
トリックスターの残弾を残したまま、フェルトは召喚用の札を取り出して告げた。
同時、迫りくる立烏帽子を挟撃するように、エヴァとメルキディアが左右から攻撃を仕掛ける。息を合わせて放つ、怒涛のごとき魔法光線の連射である。
「世界を支える樹、天の光宿りしトネリコの枝よ。ここに顕現し、生命の輝きを示せ!」
「我が身に宿りし正義の天使よ。その力、お借りします! エーテリアブラスタァァァッ!」
エヴァの魔術詠唱と同時、その背後から一本の枝がそそり立った。
生命と世界の象徴たる世界樹――その枝に満ちた生命の輝きが、光の槍となって、いま立烏帽子めがけて迫る。
妖刀を手に光槍を受ける女鬼。だが光の勢いはなおも強く、力を殺しきれない彼女の体を容赦なく焼きつくす。
『ぐ……ぐああああぁぁぁぁっ!!』
「正義の天使が放つ光の奔流が如き光線、斬れる物なら斬ってみなさいッ!」
たまらず絶叫を上げる立烏帽子に、さらなる刃が迫る。
メルキディアが十字に組んだ腕、そこから発射される必殺光線が光の波濤となって、女鬼の体に更なる傷を刻んだ。全身が焼け爛れ、ぶすぶすと黒煙を上げる立烏帽子。だが、復讐者の攻撃はまだ終わらない。反撃を浴びせようと妖刀を抜き放った彼女へ、フェルトは更なる追撃を叩きつける。
「まだ見ぬ明日を掴む為、夢と希望のダブルアップだ! 現れろ! SCバイバニー!」
フェルトの召喚札から出現したのは、魔法の鎚を手にしたバニーガールだった。
同時、手中のトリックスターを頭上へ投擲し、跳躍するフェルト。魔法鎚で叩かれ巨大化したナイフは、パラドクスの力によってその軌道を地面へと変え、立烏帽子めがけ一直線に突撃していく。サーフボードのごとき広く分厚い刀身に、主人のフェルトを乗せながら。
「空舞う刃、妖刀だけの専売特許じゃないってことさ! 存分に味わうといいよ、アーッハッハッハッ!」
『く……!』
巨大化したトリックスターが、破壊と斬撃の嵐となって立烏帽子を襲う。
轟音。衝撃。ナイフに斬られ光線に焼かれ、全身に傷を負いながら、しかし女鬼は倒れない。妖刀を抜き放ち、反撃の顕明連を三人へ浴びせにかかる。
『よくも……よくも! お前達、虫けらの分際でこのアタシにぃぃぃっ
!!!!』
立烏帽子の叫びは、もはや絶叫を通り越して悲鳴に近かった。
崖っぷちに追い込まれても尚、顕明連の威力は健在だ。エヴァはガードアップの効果で斬撃のダメージを殺しながら、自分の胸に浴びた切り傷の深さに舌を巻かずにはいられない。あと少しでも傷が深ければ、恐らくは戦闘不能に陥っていただろう。ジェネラル級が持つ戦闘力の高さを、今更ながらに痛感する。
「……お二人とも、まだ動けますか」
戦闘不能者がいれば、担いで戦場を離脱せねばならない。
そう思って向けた確認の言葉に、フェルトとメルキディアはサムズアップで応える。
「もっちろーん! このくらい、全然平気だよ!」
「ええ。何とか、次の攻撃への道筋は作れたようね」
負った傷は、エヴァと同程度。確かな傷を刻んだ今、これ以上の無茶は危険だ――メルキディアはそう判断すると、後方に待機する三人の仲間へ、視線で合図を送る。
「皆。後は任せるわ」
「了解です。よおやっと巡ってきた機会、逃す手はありません」
そう言って、笑顔でメルキディアへ頷きを返すのは、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)。
吟遊詩人たる彼女が、歌声も高らかに紡ぐのは『喚降英雄再演』の伝承詩。英雄を湛える歌の力で、その身に妙技を降ろすパラドクスだ。
「我が声に応えて降りよ。我はその御業を再現する者なり!」
魔法の力を帯びた妖討弓『妖弓琴』によって、力が増幅されていく。
そうして降ろされた力を極限まで高め、弓矢を構える蛍。その傍では、大悪魔から力を引き出した月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が、『魔砲《破滅の運び手》』の発射体制を完了する。
出し惜しみ無し、魔力を限界まで引き出しての一撃必殺だ。そして――小雪と蛍の準備完了を確認し、
「二人とも、準備はいいね? じゃあ行くよ!」
先頭を担う天夜・理星(復讐の王・g02264)が、まっすぐに立烏帽子めがけて突っ込んでいった。
怒りを秘めた笑顔をもって、彼女が構えるのは『六聖剣・紅/激情』。真っすぐに迫る切先が心臓を穿つことを、しかし立烏帽子は断固として拒むかのように、
『こんなところで……死ねるかァァァァッ!!』
小通連の斬撃を、理星と小雪めがけて叩きつける。
満身創痍となった立烏帽子の決死の攻撃を、しかし理星は端から躱そうとはしない。下手な小細工は一切無用。斬撃のひとつやふたつで、理星ら復讐者の怒りが揺らぐことなど、けして有り得ないのだから。
「答えを読む必要なんてない。アタシ達の感情は、あなたのそれを超えて行く」
「ボ、ボクも、こ、怖いけど。……みんなが準備してくれたチャンスを、逃しません!」
小雪もまた、小通連を凌ぎ切ると、力強く頷いた。
「よく聞くんだ立烏帽子。アタシ達は、人々を嗤うあなたを、赦さない……!」
そうして理星の感情斬が、立烏帽子を捉えると同時、
「み、見様見真似だけど、これがボクの全力全開の魔砲、です!」
「殺気は中々。ですが、それ位では何ともないですね」
小雪が発射する魔力砲撃と、蛍が射かける華麗な射撃が、次々と立烏帽子めがけて降り注ぐ。
反撃を交え、さらに攻め、濁流となって押し寄せる猛攻の前に為す術は一切ない。もはや反撃の刃を振るうことも、斬り伏せるさえ碌に叶わず――それでも尚、女鬼は倒れない。
復讐者を一人残らず斬り殺す、今となってはその執念だけが支えであるかのように。
『ふふ……どうした、ディアボロス共……アタシは、まだ、ま、だ
……!!』
心に渦巻く焰をもって、消えゆく命に継ぎ足して。そうして生じた炎は、立烏帽子に今一度の力をもたらした。
だがそれは、けして戦況を覆すものではない。今まさに燃え尽きる炎が放つ、最後の輝きに過ぎない。
嘲り、罵り、斬り続けて。そうして女鬼が歩んだ道の果て、いま三人の復讐者が引導を渡すべく立ちはだかった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】がLV4になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【一刀両断】がLV3になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
【ロストエナジー】がLV4になった!
アンゼリカ・レンブラント
本腰を入れずに殺せるディアボロスはいない
私達を侮ることはと出来ない、分かったろう
そして今こそ、お前に刃を届かせる時だ!
相手の無数の妖刀はオーラ操作で吹き上げた風に加え
パラドクスの光剣での打ち払いでダメージを抑えつつ
ダッシュで迫って力強く接近戦を挑むっ!
同時に間合いを詰めるを仲間と攻撃タイミングを合わせ、
見切られにくいように光剣で切りつけていくね
接近戦で戦いつつ、敵の動きを注視
培った力と技でめいっぱい攻撃するけど
ただ打ち込むだけではなく、フェイントを織り交ぜ
隙を作りだし、遠距離の味方の攻撃を決める助けにもなるよ
立烏帽子の消耗が分かれば、
私達の絆と想い――
全てを《光剣収束斬》の一撃に込めて斬るッ!
金刺・鞆
はて。怒りで精細を欠いている、でしょうか?
純粋な戦闘力は未だじぇねらる級に分があるものの、斬撃の冴えは以前立ち合ったそれのほうが鋭かったような。
その程度の鈍らでは、斬れるものも斬れまいぞ。
高速思考とやらも、冷静でなければ使いこなせない、はず。仕掛け扇と暗器を用いて牽制や競り合い、防御を試みながらも引き続き挑発を続けましょう。一瞬でも隙ができたならば、そこに乗じ『荒魂水刃』、水神の刃にて攻め立てようぞ。傷口から蝕む荒魂の呪詛が、立烏帽子の動きを鈍らせるならば僥倖。腕、脚、胴。どこでも狙いやすい部位に当たればよかろうと。
斬撃、刀の扱いでは遅れを取りますが、こと両断することにかけてはわたくしが優る!
一ノ瀬・綾音
ついに自暴自棄になったね、立烏帽子。
あの御方とかいう気になる言葉も出てきたけど……今はただ、自分が手を出さず、弱者を踏みにじる君に怒りが収まらない。
遊戯の時間は終わりだ。
私が、私達が、君を踏みにじってあげる。
神通力で心を見通し行動を読んでくるなら、まずは破竜剣を構えて勇気と情熱のままに突撃。
勿論相手はこちらが無謀に飛び込んできたとみて返り討ちにしてくるだろうね。でもこれは演技だ。
【未来予測】で相手が攻撃してくる瞬間を見切り、バックステップなどで臨機応変に回避した後【厄災の星光】を高速詠唱からの発射!
これが私の全力魔法だ、受け取れー!
戦いはヤケになった方が負けだ。
さぁ、今度は君が絶望する番だよ!
●魔焰、消ゆ
長きに渡る死闘にも、いずれは勝敗の帰趨が見えて来る。
包囲され、砲火を浴びて、反撃に出ては、また砲火を浴びて。その応酬は否が応でも女鬼の体力を削り、もはや彼女の体に傷のない場所は一つも見当たらない。
最後まで敗北を拒んで戦い続けた『天の魔焰』立烏帽子。その焰が今、ついに燃え尽きようとしていた。
「ついに来たね、立烏帽子。色々と気になる言葉も口にしてたけど……」
満身創痍となったジェネラル級の女鬼をまっすぐに見つめ、一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)は口を開いた。
包囲され、集中攻撃を浴び、負傷を重ねたところを討つ――並の敵ならば罪悪感のひとつも感じたかもしれないが、今の綾音にそのような感情は微塵も存在しない。
あるのは只、弱者を踏み躙り続けた悪鬼への、尽きることのない怒りだけだ。
「遊戯の時間は終わりだ。私が、私達が、君を踏みにじってあげる」
『ふふふ……次はお前かい。アタシの顕明連、防げると思うな!!』
腰に提げた妖刀の一振りを構え、立烏帽子が毒々しい笑みで言った。
綾音ら復讐者達を見つめる金色の双眸は、呪詛と憎悪で爛々と輝きを増している。ここに至っても尚、女鬼の戦意はまるで衰えていない。その姿はまるで、心臓が止んでも獲物に喰いつかんとする毒蛇のよう。
そんな強敵を前に、綾音は得物の破竜剣を抜き放ちながら、共に戦場へ立つ二人の仲間達――金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)とアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)に告げる。
「先陣は私が行くね。ここで立烏帽子にトドメをさしてやろう」
「承りましてございます。いざ幕引きといたしましょう」
「うん。彼女との因縁を、きっちり断ち切ってやらないとね!」
そして――静寂が包む戦場で、最後の攻勢が幕を開けた。
破竜剣を構えた綾音が、まっすぐに立烏帽子めがけ駆けていく。勇気と情熱のままに向かう突撃は、しかし女鬼が迎撃の構えを取ると同時、その進路を上空へと変える。
剣をもっての突撃はフェイントにすぎない。後に続く鞆とアンゼリカが駆け出したことを確かめて、いま綾音は飛翔と共に発射する。高速詠唱が生み出す『厄災の星光』の一撃を。
「さぁ、今度は君が絶望する番だよ!」
六色の光点が滑らかな奇跡で魔法陣を描く。
同時、陣の中央から溢れ出た魔力の奔流は、反撃を繰り出さんとした立烏帽子の妖刀が一振りを叩き折り、
『――
!!!!』
「これが私の全力魔法だ、受け取れぇぇ!!」
勢いもそのままに、女鬼の体を骨の髄まで焼き尽くした。
ほとんど炭化した肉体の、かろうじて動く半身。その腕で、残る二振りの片方を立烏帽子は構える。
三明が剣の一振り、小通連。させじとそこへ迫るのは鞆――かつて女鬼の首を取ると、告げてみせた鬼人の童女だ。
「今こそきさまに引導をわたす、その時にございます」
『アッハハハハ! 執念深いことだ、よくよく気に入られたものだねぇ! だがここ迄だ、返り討ちにしてやる!!』
「……切る」
鞆は自負している。刀の扱いでこそ後れを取るが、こと切断にかけて、自分は立烏帽子をも凌ぎ得ると。
言葉少なに繰り出すパラドクスは、『荒魂水刃
(・)』。水の刃が荒ぶる御魂の呪詛を帯びて、横薙ぎの一閃となって立烏帽子の首を捉える。女鬼のそれを一手先んじて放たれた刃が、鬼の首を刎ねるかに見えたその刹那、
『させるかぁぁぁぁっ!!』
立烏帽子の妖刀がその軌跡を逸らし、首の横を浅く切り裂くに留まった。
その代償として――跡形も無く砕け散る小通連と引き換えに。
「ふむ。その程度の鈍らでは、斬れるものも斬れまいぞ」
『妖刀を二本折ったくらいで、もう勝ったつもりかい? ふざけるな……まだ終わっちゃいないよ
……!!』
折れ砕けた二振りの妖刀には目もくれず、立烏帽子は最後の一振り『大通連』を抜き放った。
呪詛を帯びた剣が分裂を始めようとしたその刹那、させじとアンゼリカが斬りかかる。
これ以上、血は流させない。流れるとすれば、ただひとつ――立烏帽子の血をおいて他にないのだ。
「『天の魔焰』立烏帽子。今こそ、私達がお前に刃を届かせる時だ!」
かつて女鬼に向けた言葉を、アンゼリカが向けた。
この台詞を言ったのは二度目だ。三度目が来ることはない。これより放つ一撃を持って戦いを終わらせる。
自分と、仲間達と、関わった人々の絆と想い。その全てを、《光剣収束斬》の一撃に込めて――!
「裁きの光よ、我が手に集いて剣となり……」
『アタシは勝つ! お前達を殺す!! 雑魚は斬って、縁切りに変えて! どこまでも生きてやる!!』
アンゼリカの振るう光の大剣が、クロノヴェーダへ与える『死』となって、立烏帽子めがけ振り下ろされる。
迫りくる最期を前にしても尚、しかし立烏帽子は勝利への執念を手放そうとしなかった。懺悔も悔恨も命乞いさえ、断固として拒否した。そして、
「全てを――斬り裂けぇっ!」
『斬って殺して、斬って殺して! この妖刀で、アタシは世の全てを――』
絶叫が、途切れた。
アンゼリカの振り下ろした一閃は、最後の妖刀を一撃のもとに叩き折る。
脳天からの直撃を浴び、ついに地に伏す立烏帽子。ふいに、その心臓から滂沱と溢れ出た焰に全身を覆われながら、ふいに女鬼は嗤い始めた。いずれ復讐者達の前に立ちはだかるであろうジェネラル級の鬼妖達。そして断片の王。彼らの力を前に絶望するお前達の顔を拝めないのが、無念でならないと告げるように。
『ふふ……ははは……あっはははは! アーッハッハッハ!! クカカカカカカカ……ケケケケ……ケ……』
嘲笑が途絶えると同時、魂ともども燃え尽きた骸は灰となり、風に乗って空の彼方へ消えていく。
ジェネラル級の女鬼、『天の魔焰』立烏帽子。復讐者への嘲弄を尽くした彼女の生は、こうして終わりを告げた。
「私達、勝ったのかな……?」
「間違いありませぬ。あの鬼は、もう二度と蘇ることはありますまい」
勝利の喜びもそこそこに、激闘を繰り広げた場所へ目を向ける綾音と鞆。
そこには、立烏帽子の死を示す地面の焦げ跡と、跡形もなく砕け散った三振りの妖刀が残骸となって残るのみ。
この世界に住む人々に数え切れぬ悲劇をもたらし続けた戦いは、ついに決着を迎えたのだ。
「皆、お疲れ様。……やったね!」
激闘を制したアンゼリカは、疲労を訴える肉体を叱咤して、仲間達の激闘を労った。
妖刀にまつわる事件は、これで終わった。ひとつの悲劇にピリオドが打たれた実感を、少女はそっと噛み締める。
「これで、少しでも鬼の被害が減れば良いのですが」
「うん。あいつらも、この状況を黙って見てはいないだろうけど……それでも、ね」
鞆と綾音もまた、頷きを交わし合いながら、確かな勝利の手応えを静かに感じ取っていた。
ジェネラル級の一角を喪った鬼妖が、次にいかなる手を打って来るかは分からない。だがこの勝利が、平安鬼妖地獄変のクロノヴェーダを滅ぼす一歩となったことは、紛れもない事実だ。
「さ、帰ろうか。皆の待つ新宿島に」
アンゼリカの言葉に頷いて、復讐者達は帰還していく。
戦いを終えた今、彼女達には新たな戦いが待っているのだから。
妖刀の破壊確認、犠牲者ゼロ。
ジェネラル級鬼『天の魔焰』立烏帽子を撃破。
それが決戦を制した復讐者達が、死闘の末に勝ち取った戦果だった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
【クリーニング】がLV2になった!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
最終結果:成功 |
完成日 | 2022年03月06日 |
宿敵 |
『『天の魔焰』立烏帽子』を撃破!
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