リプレイ
ナタリア・ピネハス
ユリさま(g05341)と
ユリさま、わたくしに教えてくださいな!
たくさんの子どもたちが夢に見る
大人たちの心をも惹きつける――『魔女の惚れ薬』のこと!
砂糖を焦がしたようなあまい香りに目を瞠る
すごいわ、これが全部お菓子だなんて!
おひとつどうぞと差し出されたチョコレートを恐る恐る食んだなら
見る間に蕩けて、思わず店員さんとユリさまを交互に見つめ
……ゆめみたいにあまいわ!
あれも、これも、なんて
思わず欲張りになってしまった自分に気付いて、照れ隠しに笑って見せた
ねえね、ユリさま
新宿島でのバレンタインは、チョコレートに
『ありがとう』の気持ちを込めるんだって聞いたわ
……おともだち同士であげても、おかしくはない?
犬神・百合
ナタリア様(g00014)と
もちろんよナタリア様!
誰もが虜になってしまう『惚れ薬』ふふ。
わたくしたちは今からその『誘惑の魔女の家』へ参るのですわ。
甘い香りに包まれて、これほどに凄いなんて……
わたくしも驚くぐらいよ!
差し出されたチョコレートを同じく食んで
まあ、なんて美味しいのかしら!
ナタリア様の姿にクスクスと微笑みこぼし
本当に蕩けてしまいそうですわ
あら、欲張りさんなナタリア様……すっかり『魔法』の虜ね?
ちょっぴり悪戯に囁いて
問われた言葉に頷き
ええ。『大好き』も『ありがとう』の気持ちも
どちらも込めることができますわ
ふふ、全然おかしくありませんわよ?
『友チョコ』って言うんですって、素敵ですわね。
「チョコレートは『魔女の惚れ薬』とも言われるそうよ」
「まあ――惚れ薬?」
惚れ薬。ちょっぴり妖しく危険な言葉は、年頃の少女の興味を大いに掻き立てる。煉瓦の石畳を歩きながら、ナタリア・ピネハス(Hitbodedut・g00014)は聞き返した。蜂蜜琥珀の瞳は好奇心に輝いて、隣を歩く犬神・百合(ラストダンス・g05341)を見つめている。
「わたくしも知りたいわ、『魔女の惚れ薬』のこと! ねえユリさま、わたくしにも教えてくださる?」
「もちろんよ、ナタリア様!」
うふふと笑って乳白色の手を握り返し、百合は応じた。誰もを虜にしてやまない『惚れ薬』――恋の秘薬の話ときたら、それは卜占を商う彼女の専売特許だ。
「だってわたくしたちはそのために、『誘惑の魔女の家』へ参るのですもの」
ベルリン市郊外に位置する広大な緑地の只中に、『魔女の家』はあった。工場らしい鉄の箱はシンプルだが、入り口部分はカラフルに飾り立てられて人目を引く建物だ。歩くスピードが自然と速くなるのを感じながら、二人は左右をショーウィンドウに挟まれた扉を開く――すると。
「わあ……」
扉を引いた瞬間に溢れ出す、砂糖を焦がしたような甘い匂い。こんにちは、と微笑む愛想のいい店員達に促されるまま歩を進めると、身体はとっぷりとその芳香に包まれる。左右を見渡せば天井近くまで積み上げられたケースの中には、色も形もさまざまの菓子――真珠のように丸く艶めくチョコレートから宝石に似たグミベルヒェン、鮮やかに色付けされたコットン・キャンディなどが眩しいほどの輝きを放っている。
「すごいわ。すごいわ! これが全部、お菓子だなんて」
「ええ、本当に――」
ご覧になってと袖を引くナタリアの示す先を視線で追って、百合は黒曜の瞳を瞬かせる。堆く積み重なる菓子の物量は、一言で表すと圧倒的だ。普段は大人びて見られることの多い百合だけれども、今日ばかりは天井を仰ぐその横顔に年相応の幼さが滲んでいる。
しばし呆然と店内を見つめていると、一人の店員が銀のトレーにボンボンショコラを載せ、少女達の元へやって来た。
「よろしければお一つ、いかがですか?」
「よろしいの?」
差し出されたチョコレートはどれもが、磨き上げられた輝石のよう。おっかなびっくり、真っ赤に輝くハートの一粒を摘み上げて口へ運び、ナタリアは瞠目した。表面の硬い部分は白い歯に触れるとさくりと崩れ、溢れ出すガナッシュの蕩けるような甘さが口いっぱいに広がっていく。
「……どうかなさって?」
身振り手振りを交えながら、店員と自身とを交互に見やる友人の挙動不審ぶりに、百合は思わずくすりと笑みをこぼす。舌の上のチョコレートがようやく溶けてなくなったのか、ナタリアはうっとりと瞳を蕩かし、言った。
「ゆめみたいにあまいわ!」
甘く温かく溶けていくチョコレートは、正に一夜の夢のよう。もう一つよろしいかしら、と巻き角を傾げる少女の背中で、百合もまた一粒のトリュフを口に運ぶ。ココアパウダーのほろ苦さと内側の柔らかなチョコレートの甘さが溶け合う味わいは、絶品の一言だ。
「……本当に蕩けてしまいそうですわ。ねえ、ナタリア様――」
振り返ると、友人の姿は既にそこにはなかった。素早く視線を巡らせれば、見慣れた後ろ姿はボンボンショコラのショーケースの前で身動きを取れなくなっている。あらあらと眉を下げてその背に歩み寄り、百合は悪戯な声色で囁いた。
「すっかり『魔法』の虜みたいね?」
欲張りさん、とからかう声に、ナタリアは思わず頬を染めた。応対する店員の手元のトレーには、彼女が指名したらしいチョコレートが既にいくつも並んでいる。
「ねえね、ユリさま。新宿島でのバレンタインは、チョコレートに『ありがとう』の気持ちを込めるんだって聞いたわ。……おともだち同士であげても、おかしくはない?」
「ええ、勿論。『大好き』も『ありがとう』の気持ちも、どちらも込めることができますわよ?」
だからちっとも、おかしいことなどない。そう言って、百合は微笑った。気のおけない友人同士で贈り合うチョコレートをここで選ぶのも、また楽しい時間になるだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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鐘堂・棕櫚
【KB】2人
見上げる高さまで積まれたお菓子
カラフルで甘い世界は童話じみていて
わあと思わず零れる嘆息
そしてそんな中で分かり易くはしゃいでいる
コワモテ代表みたいな骰さんを目撃してしまって
も一度ウワァと声が漏れてしまったのは不可抗力です
……楽しそうですね
いや良い事だと思いますが
せめて眉間の皺は今ぐらい無くしませんか
売り子のお嬢さんが怯えますよ可哀想に
こっそりスマホを取り出して
お菓子を山と抱える浮かれ骰さんでも撮影しておきましょう
ジュース屋の皆へのお土産はこのシュールな画像です
はいはいカフェでも何でも付き合いますよ
でも持ち帰りはお仕事に支障ない程度に…え、食べるんですか?
今?この量を?
うわぁ(三度目)
鬼歯・骰
【KB】2人
見たことねぇようなのも沢山あるな
てかこのクマのグミもここ出身なのか
甘い匂いばかりの菓子の山
ガキん頃だったらそれこそ夢か何かだと思えそうな場所に
普段と変わらぬ仏頂面のままちょっと浮つく
…何だ、なんか言いたそうだな
取り外しきかねぇんだよと低い声で答えながらも
眉間を指で揉み解しとこう
この後仕事じゃなけりゃあ端から全部買って帰りたいんだが
心底残念そうに呟きながらも選ぶのは楽しい
ターフェルにマシュマロ、チョコと
あれこれ手にとっていれば両手はすぐに塞がって
ツリガネ、上で食ってくぞ
ついでに持って帰るの手伝え
手ぇ空いてんだろと暇そうな姿に声かけて
安心しろ仕事前の腹拵えに大半食っちまうからと機嫌良く
「わあ――」
踏み入った店の中程で足を止め、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は高い天井を仰いだ。こう背が高いと普段の生活の中ではそうそう何かを見上げる機会はないのだが、色とりどりのチョコやキャンディが堆く積み上げられた甘くカラフルな光景は目で追わずにはいられない。お菓子の家の中に入ったら、多分、こんな感じなのだろうか?
「これはなかなか壮観ですね。ねえ、骰さ―― 」
「見たことねぇようなのも沢山あるな。てか、このクマのグミもここ出身なのか」
陳列ワゴンに山盛りになったグミベアの小袋を取り上げて、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)は言った。そう、何を隠そうこの男、人類コワモテ代表のような顔をして根っからの甘党なのである。それは今に始まったことではないのだが、口数といい声のトーンといい、黒ずくめの大男がカラフルポップな菓子達に囲まれて分かりやすくはしゃいでいる様子は――といっても普段とほとんど変わらない仏頂面が明らかにソワソワと浮ついているのに気づけるのは、ごく一部の知人だけであろうが――なかなかどうして趣深い。
ウワァ、と零した声につい、『ヤバ……このヤクザはしゃぎ過ぎ……?』みたいな色が載ってしまったのは、不可抗力だと思いたい。
「……楽しそうですね」
「なんだ、なんか言いたそうだな」
並ぶワゴンの中からグミベアや板チョコをがさっと取り上げてスーツの腕に抱き、骰は眉間に皺を寄せた。こうなるともう誰が見ても、一目瞭然ではしゃいでいる。ダイバーシティが叫ばれる今日この頃、コワモテヤクザが甘いお菓子に夢中になってはいけないなんて法は勿論ないのだが――否、ここは百年前なのだから適用外か?
こほんと小さく咳払いして、棕櫚は言った。
「いや、良いことだと思いますよ? 大人になっても夢中になれる何かがあるっていうのは。……でもせめて眉間の皺は今ぐらいなくしませんか? 売り子のお嬢さんが怯えます」
ちらり見やれば、流石に怯えてはいないけれど、子どもを見るような微笑ましさで此方を見ていたスタッフの女性が、さっと目を逸らした。取り外しきかねぇんだよ、とドスの利いた声で応じて骰はぐりぐりと眉間を揉んだが、結局皺は取れていない。
店内に充満する甘い匂いと菓子の山の宝石じみた煌めきは、すべての甘党を魅了する。トラウムラントの名の通り、子どもの頃の自分ならそれこそ夢のように思えたに違いない。
心底残念そうに息をついて、骰は言った。
「この後仕事じゃなけりゃあ端から全部買って帰りたいんだがな」
クリスマスを寝過ごしたサンタクロースのように菓子の袋を担いだまま、迷宮探索に赴くわけにもいくまい。だから食べられるだけ、持ち帰れるだけ――と思いながらも、あれやこれやと手に取っていると両手はすぐに塞がってしまう。
パシャ、とシャッターの切れる音に振り返ると、棕櫚がスマートフォンを構えて立っていた。
「……何撮ってんだ」
「いえ、お構いなく」
「構うわ」
不服げな言葉には笑顔で誤魔化して、棕櫚は電話をズボンのポケットにしまった。ターフェルショコラーデにマシュマロ、グミまで、山のような菓子を抱える浮かれた骰のシュールな画が、ジュース屋の常連客達への手土産だ。
まあいい、と流されたのは、やはり機嫌がいいからか。プラスチックの籠に菓子をどっさり放り込み、鬼人は言った。
「上で食ってくぞ。それから、どうせ手ぇ空いてんなら持って帰んのも手伝え」
「はいはい、カフェでもなんでも付き合いますよ。でも持ち帰りはお仕事に支障ない程度に――」
「大半食っちまうから安心しろ」
「……え」
食べるんですか、と問えば、薄目で見ればインテリに見えなくもない眼鏡顔がこくりと頷いた。
「今ここで? ……この量を?」
問いを重ねればごく当たり前のように、男は繰り返し首を縦に振る。うわぁ、と零した本日三度目の声には、万感の思いが込められている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
クーガ・ゾハル
同行
エン/g05162
見たこともないかたち
かいだこともない匂い
あちこちで、うれしそうな声がするが
何をどうしたらいいのか分からない
エン、なんだこれ
…うまいのか
じゃあ――あの、ガラスみたいなやつ
本当にたべられるのか、たしかめてみたい
ええと…ふたつで、いい
上?
かってにたべたら、吊るされるだろ
だいじょうぶだと言われても、へんな気分だ
ふうん…ここのヌシは気のいいやつなんだな
おまえのオゴリなら、じゃあ――あれとこれと、ふくろいっぱい
シンサク?じゃあ、それも
ん、よろしくたのむ
自由ってのは、まだよくわからないが
たくさんつまった紙ぶくろに
とおく、かわいた砂のかえりみちを思い出して
なぜだか少しユカイになった
エンジュ・アルティオ
クー/g05079と
お約束のデート話なんてもんはなく
古代人くんの社会見学・引率係ですとな
何でもないよ
まあ、見たことないよね
全部おいしいお菓子だよ
チョコは甘くて苦くて溶けるし
その透明なのはグミ、歯応えあって楽しいし
好きなのを選んでどうぞってわけ
すぐに食べてもいいけど、と上階を指す
は?吊るす?どこに?
するわけない、そんなもん自由だよ
こめかみを押さえたり憐れみの眼差しを堪えたり忙しい
ついでに言うと、もっといっぱい買っても大丈夫だから
ヌシて…もういいや、今日だけは奢ってやろう
おい、調子に乗んじゃない
わりと抜け目ない奴だ
…下のきょうだいなんて居たことないけど
案外こんな感じだったりしてね
楽しそうで何より
赤に黄色に、ピンクに、オレンジ。丸に四角に、それから――桃の実をひっくり返したような、不思議な形。
うるさいほどの色彩で飾られた部屋の中には、見たこともない形、嗅いだこともない匂いが溢れていた。黄色い歓声があちらこちらで上がるのを不思議そうに聞きながら、クーガ・ゾハル(墓守・g05079)は首を傾げる。
「何か……あちこち、うれしそうだが」
ここで何を、どうしたらいいのか分からない。なんだこれ、と手に取ったトフィーの袋を――勿論、彼はその菓子の名前も何も知らないのだが――まじまじと見つめていると、背後でエンジュ・アルティオ(風冠・g05162)が笑う気配がした。
「まあ見たことないよね、古代人くんは」
お菓子の国で気になるあの子と甘いひと時――と洒落込めたなら良かったが、生憎とそんな当てもない。もっとも、遥か時を超えてやってきた彼の社会科見学を率いるのは、それはそれで楽しい時間なのであるが。
四方の壁を埋め尽くす菓子の山を一望して、エンジュは言った。
「全部おいしいお菓子だよ。これはチョコ、そっちはキャンディ。マシュマロやクッキーもあるね」
「……ぜんぶ、うまいのか」
菓子と名のつくもので、この場にないものなど何もないのではないか。そう思えるほどに多彩な菓子達の間をミツバチのように彷徨して、クーガは見慣れないその色形を観察する。中でも目を引いたのは、ガラスジャー一杯に詰まってきらきらと輝く、色とりどりのグミキャンディだ。
「あの、ガラスみたいなやつもたべられるのか?」
角のない、丸みを帯びた鉱石のようなそれは、岸辺に流れ着く硝子玉にも似ている。勿論とエンジュが応じると、クーガは再びグミの並びに目を戻し、そしてぽつりと言った。
「本当にたべられるのか、たしかめてみたい」
「だったらほら、好きなのを選ぶといい。歯応えがあって楽しいよ? すぐに食べるなら、上に持って行ってもいいけど――」
ほら、と吹き抜けの上のカフェスペースを指差すと、隻眼の青年は訝るように眉を寄せた。
「かってにたべたら、吊るされるだろ」
「吊るされ……」
古代人というのは、時々現代人の度肝を抜くようなことを言う。どこに、と試しに聞いてみると、褐色の指先が『上』を指し示した。そういう意味で言ってないから――とこめかみを押さえながら、エンジュはクーガの手に茶色い紙袋とトングを握らせる。
「どこで何を食べようと、そんなもん自由だよ」
少なくとも今、この世界には、彼を縛るものは何もない。奴隷として生きてきたという彼にとって現代の常識は非常識にも等しく、慣れるにはまだまだ時間が掛かるのだろうけれど。
「ええと……じゃあ、ふたつ……」
「もっといっぱい買っても大丈夫だから」
「……だいじょうぶだと、言われても」
へんな気分だ、と困惑気味にクーガは言い、グミの入ったガラスジャーへ視線を戻した。突然、自由だと言われても即座に受け入れるのは難しい。何しろそういう生き方をしたことがないし、想像したこともなかったのだ。けれど――エンジュがそうまで言うのなら、彼がここでこの菓子を好きに食べたとして、この城の『ヌシ』は怒らないのだろう。
「ここのヌシは気のいいやつなんだな」
「ヌシて、あのね――……ああ、もういいや」
不自由に慣らされ過ぎたその境遇には同情を禁じえず、エンジュは深々と吐息した。
「しょうがないから、今日だけは奢ってやるよ」
遥か時を超えた先で彼が手に入れた、どうしようもなくささやかで、けれど大きな自由を祝して。
おごり、と繰り返して瞳を瞬かせ、クーガは言った。
「おまえのオゴリなら、じゃあ……あれと、これと、……ふくろいっぱい」
「おい」
マッハで調子に乗るんじゃない――脊髄反射で突っ込んでみたけれど、既に青年の姿はそこになかった。一月の新作もいかがですか、などとのたまう店員の口車に易々と乗せられて、その手の紙袋は瞬く間に煌めくグミで満たされていく。
(「……下のきょうだいなんて居たことないけど」)
居たとしたら、案外こんな感じだったりして。
年下の友人の少しだけ愉しげな横顔に、しょうがないなとエンジュは微笑った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【フィニッシュ】がLV2になった!
金刺・鞆
とらうむらんと。ちょこれーと、ぐみきゃんでぃ、ましゅまろ……お菓子の街ですよ、いぬ!
新宿島……というのも、だんだん非常時のみの呼称となるやもですが。当世でもなにやらちょこれーと、の祭があるそうで、なにやらわくわくしてしまいますね。
ちょこやましゅまろ、は、ともにも作れるでしょうか? 工場をじっくり観察する、ですよ!
……むん。ともには、少々むずかしそう、かと。ちょこ祭も佳き人に贈り物をするのが慣例であると聞きますし、ともにはまだ早かった、ですね。
なれど。それはそれとして、お菓子の街なのです、いぬ!
気になるものを食しまして、この後の冒険に備えましょう。とりゅふちょこ、熊のぐみ、いぬは何を食べますか。
「ちょこれーと。ぐみきゃんでぃ。……ましゅまろ……」
雪のように白く柔らかな前髪の下、隠れかけた藍玉に次々と、見目にも甘く華やかな西洋菓子が移ろいゆく。時を超えて初めて知ったその名前は今もなお新鮮に、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)の小さな胸を弾ませる。
「お菓子の国ですよ、いぬ!」
ゆったりとした和装の袖に真白のモーラット・コミュ――鞆は、『いぬ』と呼んでいる――を抱き締めて往く店内は、まさにお菓子の国と呼ぶのに相応しい。折しも、時はバレンタインデーを一ヶ月後に控える一月の半ば――新宿島の人々が俄かにそわそわとし始める頃である。
「新宿島……というのも、だんだん非常時のみの呼称となるやもですが。当世でもなにやらちょこれーと、の祭があるそうで、わくわくしてしまいますね。ちょこや、ましゅまろ、は、ともにも作れるでしょうか?」
白いもふもふの毛玉を抱いて、草履の足を弾ませて。鞆はうきうきと陳列棚の間をすり抜ける。入場カウンターでチケットに鋏を入れてもらって店の奥の扉を潜ると、そこにはある種の別世界が広がっていた。
「わああ……!」
通路を挟んで仕切り硝子の向こうには、聞き慣れない音を立てて動く機械の群れがあった。ぴかぴかに磨き上げられた機器と、製造の途上と思しき無数のチョコレートを弛みなく、規則正しく運び続けるベルトコンベアはことに少女の興味を惹く。
硝子にびったりと張り付いてしばしその光景に見入ってから、鞆ははっとして身体を引いた。その胸で、若干横に潰れたモーラットがもきゅうと萎びた声を上げる。
「むん……ともには、少々むずかしそう、かと」
何某かの機械を通り抜けたと思ったら、まったく違う色と模様にめかしこんでいるチョコレート達を見れば凡そ真似できる気はしないが――新宿島の『ちょこ祭』も然り、背伸びをする必要はない。それより、と気を取り直して、鞆は腕の中のモーラットを覗き込んだ。
「何か食しに参りましょう。いぬは何を食べますか?」
後に控える冒険を思えば、腹拵えも仕事の内。ショーケースに並んだトリュフやグミの色彩を思い描きながら、少女はぴょこぴょこと通路を跳ねていく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
飛鳥・遊里
…お菓子も気になるんだが、俺はどっちかというと工場そのものに興味がある。根っからの機械屋なもんでな、製造機器とか製造工程がどんなもんか見てみたい。別に他意はないんだ、純粋な興味。普段食べてるお菓子がどういう風に出来上がっていくかをリアルタイムで追っていける機会なんてそうそうないからさ
あ、衛生服着用とか消毒もしっかりするよ、もちろん
昔っから、機械ががっちゃんがっちゃん動いてる所見てるだけで一日過ごせるぐらい好きだったけど、年月立っても変わらないどころか、ますます好きになっていくな
何十年たっても、機械と一緒に夢を追い続けていたいもんだ
…あ、帰りに、出来立てのお菓子、もらって行っていいかい?
「おお。これは……」
色鮮やかなバルーンに飾られたゲートから一歩、踏み出した先にあったのは、一つ一つが緊密に連携して一つのラインを作り出す、見渡す限りの機械の世界だ。ある意味では、最もこの機械化ドイツ帝国らしい光景だとも言えるだろう。
すごいな、と率直な感想を溢して、飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)は硝子の壁に手をつき、絶え間なく動き続ける機械の海を覗き込む。甘い菓子も然ることながら、どちらかと言えば工場そのもの――機器や工程の方に興味が行ってしまうのは、機械屋の性だろうか。菓子が嫌いなわけでもないし、別にこの機械達から帝国の秘密を探ってやろうなどとも思っていないけれど、ただ目の前の機械がどんな仕組みでどう動き、何を成そうとしているのか、純粋に見て知りたいのだ。……筋金入りだな、とは、自分でも思う。
(「普段食べてるお菓子がどういう風にでき上がっていくのか、リアルタイムで追っていける機会なんてそうそうないからさ」)
何気なく口にするチョコやキャンディは、そのまま木に生っているわけではない。それはそれで浪漫だという人もあるかもしれないが、遊里からすればナンセンスだ。飽くなき研究と創意工夫の果て、人の手で送り出されるものだからこそ、それらは人を惹きつける。
ふ、と唇に笑みを浮かべて、遊里は心密かに呟いた。
(「何十年たっても、機械と一緒に夢を追い続けていたいもんだ」)
がちゃんがちゃんと規則正しく、文句も言わずに働く機械達を、一日中、飽かず眺めていられるような子どもだった。そしてそれは年月を経ても変わらない。それどころか、ますます彼らを好きになっていくような気さえする。
とはいえ――それとこれとはまた別の話、ということもあるもので。
「宜しければ、おひとついかがですか?」
掛かる声に足を止めて振り返ると、通路の中程に設置されたチョコレート・ファウンテンの傍らに、衛生帽を被ったスタッフが一人、ウェハースを手に立っていた。そういうことなら遠慮なく、と笑み零せば、さくさくのウェハースの先に掬われた滑らかなチョコレートがとびきり甘く、温かい。
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
フリーダ・レッチェ
「①🔑現地料理を堪能しよう」に挑戦します。
工場の様子を眺めて、自身の手で再現できるか検討しつつも
同じものは作れないと結論を出す。
菓子の製法や材料について積極的にNPCに質問していく。
(兵站は戦争における重要なポイント。案外敵勢力とつながっている情報があるかもしれない。)
菓子類は甘さ控えめのものとブラックのコーヒーを購入する
可能であれば持ち帰り用の菓子もいくつか包んでもらう。
カフェスペースで購入した菓子とコーヒーを飲みつつ、潜入時のルートを検討する。
他のディアボロスとは積極的に交流しませんが、相手側から接触があった場合は一般的な応対は行います。
工場見学ゾーンの入り口を入ってすぐ目の前には、チョコレートの製造ラインが広がっていた。カカオ豆を炒って砕き、皮を除いてどろどろになるまで擦り潰したら、ミルクや砂糖の出番だ。そうして混ぜ合わされたチョコレートの『種』は平たく引き伸ばされて、連なるローラーに通されていく。
「これは何をしているの?」
回転するローラーの中を紙か絨毯のように抜けていくチョコレートを見つめて、フリーダ・レッチェ(サイボーグの殲滅機兵・g01237)は通路に立つ衛星帽の女性に問い掛ける。すると女性はにこやかに笑って、応じた。
「チョコレートを細かく、滑らかにする工程です。このロールの中を通ることで、豆のざらつきを感じなくなるんですよ」
「ふうん……」
立ち込める甘い匂いの中、ローラーの山を越えたチョコレートは、巨大な金属の器の中でぐるぐる練り上げられている。生まれては消える波紋をじっと見つめて、フリーダは思った。
(「これを再現するのは……難しそうね」)
彼女はサイボーグだ。戦闘なら陸、海、空、すべてに対応できるだけのスペックがあると自認しているが、お菓子作りとなるとそうはいかない。複雑に組み合わさった機械の並びを感情の薄い青い瞳でなぞって、娘はふむ、と白い頤に手を当てた。
(「兵站は戦争における重要なポイント。案外敵勢力とつながっている情報があるかもしれない」)
もっとも如何に迷宮の上に建っているとはいえ、案内役の一スタッフが何かを知っているという可能性はまずないだろうが、何事も知らないよりは知っている方がいいに決まっている。
そうと決まれば利用しない手はなしと、フリーダは順路の所々でスタッフを捕まえて、原材料や工程について事細かに尋ねていく。潜入開始まで、まだ後数時間――工場を一周してエントランスに戻ったなら、甘さ控えめの菓子とコーヒーを供にして、この後のことを考えるのも良いだろう。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
奴崎・娑婆蔵
【ゴチです】
成る程、これがチョコレート工場
なんとも見応えのあるこって
(アクリルパイプの行く先を目でずーっと追う)
食べていくのはマアよござんすが
気を付けなせえよ樹の、それから舞剣のも
代謝の活発な若い時分だきゃァ、チョコだのを一度に数多く摂ると、やれ肌にデキモノやら鼻血が出るやらと――
(年長ぶりながら顔面包帯の口元隙間からチョコをパクパク取り込む)
どれ、土産も見繕って行くと致しやしょうかァ
甘過ぎず、シンプルで、ここぞとばかり高そうなモンなんぞを――
よしこれでさァ
カカオだかが何倍とある、貫徹余裕、目も頭もギンギンに冴えそうなこのこれを
アア?
一箱おごられたしと来やしたか
全く甘え上手な……マアよござんす
舞剣・荊
【ゴチです】
☆個人情報
感情を奪われた
食事に関心が薄い
バカ
ここがトラウマランド?
テーマパークみたいでテンション上がりそうな場所ね
……ん?なんか間違えた?
☆工場
食べ合わせとか分からないので
グミとチョコを口に入れたりする
組長モリモリ食ってんね
甘党なん?コッチのガチ甘いから食ってみ
うそ!?鼻血出んの!?
えっ出ないの?どっち!?
ちゃんとっつーか色々つまんでるだけだし
つか、ひつよーな栄養は食べてっからね?サプリメントとか……
ドライフルーツは……フルーツって言ってるし、もしかしてフルーツなんじゃね?(名推理)
せっかくだし適当に包んでもらっとこ
本場かどーか知らんけど
新宿以外のモンってだけで貴重なカンジするし
樹・春一
【ゴチです】
工場見学ってなんだかわくわくしますね!
おいしいお菓子の舞台裏! かわいいなのに無骨なパイプ!
そも工場ってだけでテンション上がりませんか? 上がります!
ふふん、チョコを食べすぎると鼻血がでるってのは嘘なんですよ!
子供が食べ過ぎないように大人が考えた悪い話なのです! 僕知ってるんですから!
荊さんもちゃんと食べてくれて嬉しいです。もっとお肉やお野菜もバランスよく摂ってくれればなおよいのですが
ドライフルーツって野菜カウントされますかね……
師匠~、僕あれ欲しいなあ。お花の形のやつ!
絶対姉さんが好きです! 写真映え間違いなし!
一箱僕におごってくれてもいいんですよ?(キラキラサキュバスオーラ)
「へー、ここがトラウマランドかあ!」
左手を腰に、右手を額に前傾して、舞剣・荊(Thorm.・g02226)は言った。深い緑のラバー床から天井までを仕切る硝子の壁の向こうには、さまざまな形の機械と配管が複雑に絡み合いながら続いている。自律式のロボット達が全自動でチョコを絞り、成形していくそのさまは、まるでSF映画の一場面のようだ。
「テーマパークみたいでテンション上がりそうな場所ね――ん?」
なんか間違えた? と首を傾げる娘は冗談で言っている風にも見えない。突っ込んだところで話がややこしくなるだけだろうと予測して、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)はいいやと緩く首を振った。
「しかし――成る程。なんとも見応えのあるこって」
見上げる天井に走る無数の配管は、融けたチョコレートでも運んでいるのだろうか? パイプの行方を追って工場のレイアウトなどを眺めていると、ですね、と弾む声が同意する。うきうきとシスター服の裾を翻して、樹・春一(だいたいかみさまのいうとおり・g00319)が言った。
「おいしいお菓子の舞台裏! かわいいなのに無骨なパイプ! だから工場見学ってわくわくします!」
役目も形も全く異なる機械の動きが、ぴったりと噛み合って目的を成し遂げる。その光景は、喩えるならばオーケストラのコンサートにも似ている。どれか一つがずれても狂っても成り立たない繊細な仕事を、彼らは驚くべき緻密さでやってのけるのだ。
テンション上がりますよね、と興奮気味にまくし立てながら、春一は入り口の店舗で買ったチョコレートを一つ、上機嫌に頬張った。その一歩後ろでは、荊が小袋のグミキャンディとチョコレートを同時にざらざらと口に流し込んでいる。ショーケースに並ぶチョコレートの中にはグミ入り板チョコなどという見慣れない代物もあったので、恐らく不味くはない――はずである。
「食べていくのはマアよござんすが」
放っておけばずっと食べ続けていそうな二人を横目に見て、娑婆蔵は言った。
「気を付けなせえよ樹の、それから舞剣のも。代謝の活発な若い時分だきゃァ、チョコだのを一度に数多く摂ると」
「でも、組長もモリモリ食ってんじゃん。甘党なん? コッチのガチ甘いから、食ってみ?」
年長者ぶって紡ぐ言葉とは裏腹、ぐるぐると巻いた包帯の隙間から次々にチョコを口へ放り込んでいく男に、突っ込むでもなく、皮肉るわけでもなく荊は言った。ねえねえ、とツンツンつついてくるのを無視して口の中のチョコレートを呑み下し、娑婆蔵は一つ、咳払いをして続ける。
「とにかく、チョコなんぞ一遍に摂るとだな。やれ肌にデキモノやら鼻血が出るやらと――」
「うそ!? 鼻血出んの!? やべえ!」
「やだなあ荊さん、そんなの子ども騙しですよ。子どもがチョコを食べ過ぎないように大人が考えた悪い話なのです!」
両手で鼻を押さえる荊の隣で、春一は分かった風に指を振った。ふふんと小鼻を膨らませる彼も、まだ十八の子どもなのだが――困惑を隠しきれない様子で、荊は鼻を摘まみ続けている。
「えっ、出ないの? どっち!?」
二十代も半ばにして、馬――もとい、素直過ぎるその姿は一周回って微笑ましい。大丈夫ですってばと笑って、春一は言った。
「そんなことより、荊さんがちゃんと食べてくれてることの方が嬉しいですよ。……もっとお肉やお野菜もバランスよく摂ってくれればなおよいのですが」
「ひつよーな栄養は食べてっからね? サプリメントとか……あっ、ほら、ドライフルーツも入ってっし」
ほらほら、と見せつける板チョコに埋まったフルーツは、野菜というかそういうカテゴリにカウントしていいのだろうか。という一抹の疑問は拭えないものの、食にこだわりのない彼女が食べる気になったというのは純粋に喜ばしいことだろう。
わいわいと工場を巡ること三十分ほど、見学コースを一巡して入り口のエリアに戻ってきたところで、娑婆蔵は言った。
「どれ、土産も見繕って行くと致しやしょうかァ。どうせならカカオだかが何倍の、目も頭もギンギンに冴えそうなのを」
「アタシもアタシも! せっかくだし適当に包んでもらっとこ! 本場かどーか知らんけど」
新宿島で手に入るものには、不自由こそないが限りはある。折角の機会だ――ここでしか出会えないとっておきの菓子を持ち帰れば、新宿島で待つ人々にもきっと喜ばれることだろう。
クイクイと娑婆蔵の黒い羽織の袖を引き、春一が言った。
「師匠~、僕あれ欲しいなあ。さっき見た、お花の形のやつ!」
「アア?」
「絶対姉さんが好きです! 写真映え間違いなし! だから、ね? 一箱僕におごってくれてもいいんですよ?」
「…………」
きらきらと光る黒曜の眼差しは、サキュバスオーラというよりもさしずめ、サキュバスビームと呼ぶべきか。そう来やしたかとざんばら髪を搔いて、娑婆蔵は言った。
「全く甘え上手な……マアよござんす」
何しろそうはない機会だ――ちょっとした我侭も、今日くらいは大目に見よう。わーい、と朗らかな歓声を上げて、少年は光り輝く店舗の中へ駆け込んでいく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【セルフクラフト】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
工場見学なんて久々だなぁ…
その程度に思っていたのは扉を潜るまで
身体を包み込む甘い香りに
出来上がっていく煌びやかなお菓子の数々
あれもこれも食べたいなって目移りしちゃうね
早く食べたいと訴えるお腹に導かれ二階のカフェへ
俺が買ったのはミルク・ダーク・ホワイトの3色トリュフを2つずつ
レオと食べ比べしたいなと思ったんだ
どちらも悩み抜いて選んだ逸品達だから
きっと頬を蕩けさせてくれるよ
凝られた工場の内装や出来上がっていくお菓子の姿
工場で見た光景を思い返しながら味わうチョコは
どれもこれもが驚きの美味しさで甲乙つけがたい
苦い珈琲と共に味わえば
これはどうにも、手が止まらないね
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
お菓子ができる工程を見学して美味しいお菓子を沢山買いたいな
材料だったものが芸術品と見まごうお菓子が出来上がるのを
わぁぁ、これは夢の国だよ!と目を輝かせ
楽しくてニコニコに緩んだ顔が元に戻らないよ
見学が終わったら2階のカフェへ
オランジェットと生チョコを2個ずつ買って
リオちゃんとカフェで食べ比べをするよ
もちろん1個ずつリオちゃんにあげるね
私もこの二種類にたどり着くまですっごく悩んだんだ
だって本当は全部食べたいもの!
食べながら見学中に見たあれやこれやを思い出して
あれがすごかった!これがカッコよかった!と話しつつ
苦い珈琲をお供に甘いチョコが口の中で蕩けるのを楽しむよ
「まさに夢の国、って感じだったね!」
真白のカフェテーブルに両手で頬杖をつき、朔・麗央(白鉄の鉤・g01286)は満面の笑顔で言った。一定間隔で均等に絞り出されるチョコレート、動物や果物を象った金型に流し込まれるカラフルなグミキャンディの素――形のない、材料の混合物に過ぎなかったものが芸術品のような菓子に生まれ変わっていくさまは、まるで魔法だ。思い返すだけでも楽しくて、緩んだ頬は当分、元に戻りそうにない。うきうきと声を弾ませる妹を微笑ましげに見つめて、朔・璃央(黄鉄の鴉・g00493)は言った。
「工場見学なんていつぶりだろうね」
あれは社会科の授業だったか、それとも旅先で訪れた施設だったか。久しぶりに覗いてみるか、くらいの気持ちだったのに、いざ工場の門を潜ってみると兄妹揃って夢中になってしまった。全身を包む甘い香りと産み落とされていく菓子の煌びやかなまでの色艶は、大人びた少年の瞳にさえ童心を呼び覚ます。
ねえねえ、と前のめりに身を乗り出して、麗央が言った。テーブルの上には、ポップな模様の色紙に包まれた小箱が二つ、双子のように並んでいる。
「リオちゃんは何を買ったの?」
「俺はこれだよ」
封印のシールを丁寧に剥がして開けた箱の中には、ミルク・ダーク・ホワイトの三色のトリュフが二つずつ、ちょこんと行儀よく収まっていた。美味しそう、と歓声を上げて、麗央は花色の瞳を輝かせる。
「レオと食べ比べしたいなと思ったんだ」
「私のはね、オランジェットと、それから生チョコ! もちろん、一個ずつリオちゃんにあげるね」
おいしそうでしょ、と開いた小箱を傾けてその中身を見せ、少女は笑った。本音を言えば、あれもこれも全部食べたい――けれどそういうわけにもいかないからと、悩みに悩んで選び抜いた逸品だ。どんな味がするのかと想像するだけでワクワクして、双子は幼い子どものように顔を見合わせた。工場見学の間中、芳しい匂いに包まれていたせいで、先程から腹の虫がもう限界だと訴えている。
「どれから食べようかな」
「えーっとね……」
これ、と声を合わせて指差したのは、同じ色のミルクトリュフ。思わずもう一度顔を見合わせて、兄妹はどちらからとなく笑った。二人の考えることと言ったら、こんな時まで一緒なのだ。
「それじゃあ、せーので行こうか」
「うん!」
指先に摘まんだトリュフを確かめるように見せあって、せーので二人、同時に口へ放り込む。瞬間――ココアパウダーのほのかな苦味が舌の上でふわりと広がったかと思うと、蕩けるような甘さが追いかけてくる。
「これは……まずいね、リオちゃん」
「そうだね、……レオ」
不味いのではない。純粋に、まずい。流石、あれこれ悩んで辿り着いた一品だ――こんなもの、一つ食べたら止められなくなってしまう。溶けて落ちそうな頬を押さえて、麗央は言った。
「ね、次はこっち、こっち食べてみよう!」
工場の内装やコンベアの上を流れていく菓子の行列、チョコの泉にキャンディの森。SFかはたまたファンタジーの世界のような工場で、形作られていく可愛いお菓子達。幼い日に憧れた世界を目の当たりにした興奮を思い起こしながら、味わうチョコレートは格別だ。熱くて苦いコーヒーの中でほどけていくチョコの香は堪らなくて、次から次へ手が伸びてしまう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV4になった!
瀧夜盛・五月姫
アドリブ、連携、歓迎、だよ?
もうすぐ、バレンタイン? とかいう、チョコレート、つくって渡す? イベントがあるってきいた。
だから、この依頼、とても、丁度いい。
どんなチョコレート、あるのか、研究、だよ。
カフェスペースで、チョコレートを並べて、眺めてみる。
チョコレート、一口、云っても、たくさん種類、あるんだね……。
みんな、どんなの、喜んてくれるんだろ……。
やっぱり、手間、かかる、ケーキ?
見た目、かわいい、ガトーショコラ?
それとも、簡単だけど、数、作れる、ココアパウダーにチョコボール?
む……作れるか、分からない、けど、悩ま、しい……。
色々考えつつ、試食、パク。
……〜〜っ///
とても、幸せ味、だね……。
天窓から注ぐ光が明るい開放的なカフェスペースは、既に多くの人で賑わっていた。白く清潔な丸テーブルに両手と両足を揃えて座り、瀧夜盛・五月姫(無自覚な復讐鬼・g00544)は並べた小箱と包み紙をじいっと見る。
「もうすぐ、バレンタイン――ってきいた」
諸外国ではどうか分からないが、当世に詳しい仲間達から得た情報によれば、少なくとも2021年の日本においてそれは、意中の人、或いは親しい人々に、想いを込めてチョコレートを贈る催しであるらしい。さて、自分はどうしようかと考えていたところに本場欧州のお菓子工場という気になる言葉が聞こえてきたもので、ホームに侵入してきたパラドクストレインに思わず飛び乗ってしまった五月姫であった。
「どんなチョコレート、あるのか、研究、だよ」
新宿島へ流れ着いて早半年が過ぎたけれど、当世はまだまだ知らないことだらけだ。チョコレートの種類など、正にその最たるものである。シンプルな板チョコからクリームを閉じ込めたボンボンショコラ、口どけのいい生チョコレートに、小麦粉を使ったケーキまで、一口にチョコレートと言ってもその幅は広く、奥深い。
(「みんな、どんなの、喜んでくれるんだろ……?」)
手間暇をかけたケーキがいいのか。
見た目が可愛い焼き菓子か。
簡単だけれど数を作れる、一口大のチョコボールがいいのか。
チョコを贈りたい人々の顔を一人一人思い浮かべながら、五月姫はテーブルに並べたチョコレートを端から試食していく。自力で作れるかどうかという問題はさておき、折角ならば一番美味しいものを真似てみたいところだが――。
「……っ」
ココアパウダーを塗したトリュフを一つ口へ運ぶなり、感情の薄い瞳に衝撃が揺れた。口の中でほどけるチョコレートの蕩けるような甘さは感動的で、白雪の頬に薄らと朱が昇っていく。
「これは……とても、幸せ味、だね……?」
けれどもしかしたら、こっちはもっと、美味しいかも。
どれが一番美味しいのか、まずは確かめなくては。一つ味わってはまた次へ、川面の飛び石に誘われて先へ先へと進むように、少女はチョコの織り成す甘やかな迷宮へ迷い込んでいく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
ベアストリア・ヴァイゼンホルン
ふふっ……チョコレート……♪チョコレート……♪
好物は我慢できない物よね……。
チョコレートにコーヒー、たまらない組み合わせ……。
僕はカフェでのんびり甘味を楽しませてもらうわね。
ここに新聞でもあれば、まさに休日……と言った感じなのだけれど、まぁ、無いわよね……?
コーヒーと……ザッハトルテがあれば……ザッハトルテを……キルシュトルテでも……いいわ……。
こういうところに慣れた、というか常連だったという感じで注文させてもらうわ。
注文したものが届いたら、届いたものに舌鼓を打ちつつ、ゆっくり新聞(帝国の情報収集を兼ねる)か本を読ませてもらうわね……。
しあわせ……♪
「ふふっ……チョコレート……♪ チョコレート……♪」
黒いレースの両手をテーブルの上に組み合わせ、ベアストリア・ヴァイゼンホルン(ジャンカー系眼鏡女子・g04239)は上機嫌に黒いブーツの爪先を遊ばせる。着席してすぐに注文したキルシュトルテはまだ運ばれてこないが、その味や香りに想いを馳せながら待つ時間もまた楽しみのうちというものだ。
(「好物は我慢できないものよね」)
できない、というよりも、しない方がいいと言うべきだろうか。我慢は身体に悪いし、何より好きなものを適度に楽しむことは心身の充実とリフレッシュにもつながる。そして彼女の場合、それは一杯のコーヒーとチョコレートというわけである。
「お待たせしました」
エプロン姿のカフェスタッフが、ケーキとコーヒーを運んでくる気配がする。一瞬、分かりやすく金色の瞳を輝かせてから、いけないいけないとベアストリアは首を振る。カフェの常連は、スタッフの足音に一喜一憂しないのだ。あくまで優雅に、いつものコーヒーとケーキを待つように振る舞わねば。
ありがとう、と少し気取って礼を述べ、呼吸を落ち着けてから視線を下げると――そこには。
「……たまらないわ……この組み合わせ……」
正式名称、シュヴァルツヴェルター・キルシュトルテ。黒い森の名を冠するチョコレートケーキの上にたっぷりと飾られた生クリームは雪を、削ったチョコレートは森の落ち葉を表現しているという。弧の部分にちょこんと鎮座するサクランボは黒々と艶めいて、大きな瑪瑙の塊のようだ。湯気の立つコーヒーカップを鼻先へ近づけてスンと嗅ぎ鳴らすと、温かく香ばしい匂いが胸いっぱいに染み渡っていく。
「はあ……しあわせ……♪」
甘い甘いキルシュトルテと合わせるのに、砂糖とミルクは必要ない。融けるようなチョコレートの甘さと舌を濡らすコーヒーの苦さに溜息を零して、ベアストリアは一冊の本を取り出した。幸い、時間はまだ十分ある――今だけは仕事のことを忘れて、至福の休息を楽しむこととしよう。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV4になった!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
レイ・シャルダン
陸さん(g01002)と参加します。
2人の関係は学校の先輩後輩で私の片想いです。
(告白済みです)
一緒に買ったお菓子を2階のカフェで頂きます。
ああ、でも、体重とか気にしちゃうので半分は持って帰りますね。
日本のスイーツとはまた違って…古風で…チープで…でもそれが良かったりするんですよね。
チョコレートを一口。
甘い♪
陸さんはどうなのかな?と以前よりしっかり食べる彼の姿を幸せそーに眺めます。
ねぇ?陸さんにとって食べる事は楽しみになりましたか?
どんなお味なんですかー?気になっちゃうなー?
なんて言いながらあーんを迫ります。
ボクの食べたチョコも気になります?
じゃあ、お口開けてくださいます?
…ちぇっ。
竜城・陸
レイ(g00999)と一緒に
学校の先輩と後輩
後輩としては大切ですが
扱いとしては「年下の親戚」くらいのイメージです
こういう食べ物にはあまり馴染みがないから
買ってきたものを前にして興味深げ
先に食べているレイの様子をじっと観察したりしてから
ナッツ入りのチョコレートを一口齧る
……すごく甘いね
前よりは少し体調もよくなって
――甘いものばかりでは胸焼けしそうだけれど
それでも、前よりは随分と食べられるようになった
……目の前の彼女の半分くらいだけど
ん、これ、気になる?
食べていない方を一欠け割って、差し出すよ
……こら、自分で食べなさい
とは言うけれど、特に強く止めはせず
いや、俺はいいよ……
……大人だし。男だし。ね?
「うーん、甘い♪」
一粒のミルクチョコレートを小さな唇に押し込んで、レイ・シャルダン(蒼空を駆ける・g00999)は蕩けるような笑顔で頬を押さえた。壁も棚も、柱まで菓子で満たされた極彩色のショップエリアを見下ろす回廊のカフェの一角、テーブルの一つに向かい合って、竜城・陸(蒼海番長・g01002)はまじまじと少女の手元を見つめていた。
(「……こういう食べ物には……」)
あまり縁がないんだよなと唇の裏で呟いて、陸は透明なビニール袋に包まれたターフェルショコラーデを天窓の明かりに翳して見る。アーモンドやクルミなどがたっぷり入った板チョコはずしりと重く、いかにも食べでがありそうだ。ビニールの口を絞ったリボンをほどき、端を一口分ほど割って口に入れてみると、カカオの風味のしっかりしたチョコレートの匂いに混じって、ナッツの香ばしさが鼻に抜ける。
「……すごく甘いね」
「日本のスイーツとはまた違って、古風で……時々チープで、でもそれが良かったりするんですよね」
喜色満面にチョコを頬張るレイは、早々と小箱を一つ空けてしまったらしい。驚いたように瞳を瞬かせる陸の思うところを察したのか、少女はハッとブラウスの肩を跳ね上げ、テーブルの上に積んだ菓子箱をそそくさと腕の中にしまい込む。
「い、いっぺんに全部食べるわけじゃありませんよ? 食べ過ぎはほら、体型に響きますし――」
半分は持って帰ります、と、歳頃の少女らしく振る舞ってみせたくなるのは、他でもない、憧れの彼の前だからか。半分でも凄いけど、と喉まで出かかった言葉を飲み込んで、陸は微笑む。
ねえ、と唇を綻ばせて、レイは言った。
「陸さんにとって食べることは楽しみになりましたか?」
「うーん……そうだなあ」
もう一口、齧った板チョコレートがパキッと小気味の良い音を立てる。混ざり合うチョコとナッツをしっかりと飲み下してから、陸は応じた。
「甘いものばかりでは胸焼けしそうだけど、これでも前よりは随分と食べられるようになったような気がするよ」
「本当に?」
「うん。まあ、食べられると言っても――」
「……と言っても?」
君の半分ほどだけど、という事実は、やはり口に出すべきではあるまい。再び言葉を飲み込んだ陸を不思議そうに見つめて、レイは首を傾げる。けれどすぐさま幸せそうな笑みに返って、少女はテーブル上に頬杖をついた。
「それ、どんなお味なんですかー?」
「ん? これ、気になる?」
光の具合によって色を変える碧の瞳が、キラキラと輝いた。気になっちゃうなあ、と上目遣いに見つめてくる少女と手元のチョコレートを見比べて、陸は尋ねる。口をつけていない方の端をひとかけ割って差し出すと、レイは瞼を伏せ、あーんと唇を開いた。
「……こら、自分で食べなさい」
「あーん」
「…………」
小さく吐息して、陸は途端に耳が遠くなったらしいレイの唇へとチョコの欠片を押し込んだ。美味しい、とまた頬を緩めながら、レイは手元のチョコレートを一粒つまむと陸の目の前に差し出して見せる。
「ボクのチョコも気になります?」
お口開けてくれたら、食べさせてあげるんだけどなあ――。
悪戯っぽく瞑った片眼にきょとんと数度瞬きして、陸は言った。
「いや、俺はいいよ……大人だし。男だし……ね?」
宥めるように言えば、ちぇっと唇を尖らせる姿は年相応に子どもじみて、微笑ましい。妹か従姉妹でも見るような眼差しにレイは少しだけ不服げな表情を見せたが――今日のところはこのチョコレートの味に免じて、よしということにしておこう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【飛翔】がLV5になった!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
篝・ニイナ
【白花】
買ったお菓子を楽しむべくカフェでふたり
零れ落ちそうなくらいどっさりと広げられた彼の戦利品に
お店屋さんでも開くつもり?と聞けば
どうやら全部食べるらしい
今日も食いしん坊のお腹は絶好調だ
もぐもぐと幸せそうに動く白い頬
見れば色とりどりのグミの中から赤いクマだけ消えている
指摘してみれば無自覚だったようで
人の喜ぶ顔が見たい
つい、そういう自分勝手な性分が悪さをする
そんなに苺味が好きならと
自分が買ったグミベルヒェンから赤色だけを彼に渡せば
予想通りの笑顔
そして予想外にやってきた緑のくまさん
いや、俺は別にいいんだけど
けど、
緑のグミを摘んでみればキラキラとした彼の瞳と重なって
確かに、俺は緑が好きかも
ラルム・グリシーヌ
【白花】
夢色のお菓子全部!
は無理だから散々迷って選んだ
林檎や苺の果実煌めくターフェル
七彩のグミベア
他にも沢山手に、いざカフェへ
蕩ける様な宝石達を眺めれば
愉しげな声が耳に届く
これは俺が今食べる分だよ
どれも美味しそうだね
笑んで伝え乍ら
グミベアを頬張る
甘い幸せ味を夢中で食べ進めてると
ニイナからの指摘
あれ?本当だ…赤色だけ減ってる
苺味だからかな?
答えればやって来たのは
赤いクマの大群
ありがとう!
輝かせた瞳に映ったのは
俺の好きな赤い、彼の瞳
あ、そうか
この色ばかり選んでたのは…
じゃあ俺はこの色、あげる!
滲む照れを隠す様に
集めた緑のクマを彼に渡すよ
ニイナもこの色、好きだよね?
なんて悪戯な煌き増した眼差しを君に
「ラルムクンさあ」
「うん?」
マシュマロのような白い頬がもぐもぐと動く。黙って見ていれば、どれほど食べるつもりだろう――テーブルいっぱいに広げた菓子を幸せそうに口へ運ぶラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)を眺めて、篝・ニイナ(篝火・g01085)は頬杖をついた。
「お店屋さんでも開くつもり?」
「? これは俺が今食べる分だよ」
「……え? 全部?」
どれも美味しそうだね、と光るきらきらの橄欖石は、どうやら冗談を言っているわけではないらしい。ああそう、と笑って返しはしたものの、甘味ばかりよくもこれだけ食べられるものだ――まったく腹を空かせた仔犬の胃袋は底が知れない。
絶好調だな、と呆れ半分、感心半分に呟いて視線を落とせば、白いカフェテーブルの上には彼の戦利品、ドライフルーツの林檎や苺が埋まったターフェルショコラーデや、七彩に煌めくグミベアがごろごろと転がっている。うんうん唸って悩んでいたから何を買ったのかと思えば存外に普通のラインナップだが、シンプルなだけに誤魔化しの利かない菓子は確かに美味しそうに見える。そして眺めるうちに、ふと、気付いた――色鮮やかなグミキャンディの中から不自然に、赤い色のクマだけ消えている。
視線を上げると琴を奏でる少年の指が、最後の赤いクマを摘まみ上げ、唇に押し込んだところだった。
「……なあラルムクン、それわざと?」
「なにが?」
ここまで言っても分からないとは、本当に無自覚なのか。それ、と黒く硬化した指先で指し示し、ニイナは言った。
「クマ。赤いのだけもういないよ」
「あれ? …………あ」
言われてようやく偏ったグミベアの並びに気付いたのか、ラルムはかあっと目元を染めた。そして頬を掻きながら、照れ臭そうに笑う。
「苺味、だからかな?」
目の前で輝く菓子はどれも全部夢のような幸せの味だけれど、中でも苺は格別だ。蕩けるように甘く、ほのかな酸味が心地よいフルーツグミはやめ時が分からずに、つい次から次へと食べてしまう。すると。
「え」
黄色や緑のグミが重なる袋の上に、赤いクマが一匹、ぴょこんと飛び込んできた。否、一匹だけではない。黒く長い指先に連れられて、赤いクマ達がぴょこぴょことラルムのところにやって来る。いいの? と思わず前のめりになって尋ねれば、手の主はにんまりと唇を笑みの形にして、言った。
「この期に及んで、ダメなんて言うと思う?」
人の喜ぶ顔が見たい鬼なんて、昔話なら台なしだろう。けれど、それがニイナの性分だ。悪戯っぽく光る双眸は熟した苺のように赤くて、ラルムははっと息を呑む。
(「あ――そうか」)
赤色ばかりを選んでいたのは、多分、味の問題だけではない。気付いてしまうとちょっと気恥ずかしくて、続く言葉が迷子になる。どうかした、と尋ねる声にはなんでもないと首を振って、ラルムは満面の笑顔で返した。
「ありがとう、ニイナ! じゃあ俺はこの色、あげるね」
隠しきれない照れ臭さを隠すように、拾い集めた緑のクマをまとめてニイナの掌へ落とす。
「ニイナもこの色、好きだよね?」
「いや、俺は別にいいんだけど」
予想外の来訪者に苦笑して、ニイナは若葉色に煌めくクマを摘まみ上げ、天窓から落ちる光に翳した。太陽に透けた明るい緑は、どこかで見た覚えがあって――そしてやっと、少年の言葉の意味するところに気付いた。はっとして見やれば期待に満ちたペリドットの眼差しが、言葉の先を待ってじいっと鬼人を見つめている。
「……確かに、俺は緑が好きかも」
多分、無意識なのだろう。けれど無垢な子どもがいつの間に、そんな顔をするようになったのか。舌を巻き、けれど言葉は胸に秘めたままでニイナは言った。我が意を得たりと笑う少年はもう、いつも通り屈託のない笑顔である。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV5になった!
ノスリ・アスターゼイン
g01241/実
見惚れてしまう程の
甘やかな宝石達
カフェスペースから見渡せば
玩具箱を覗き込んでいるみたいで
わくわくする
小さなタマゴ型のチョコを手に取り
耳元でそっと
カラカラ、
コロコロ、
あ、これは無音!
どんな物が入っているのか
割って楽しい
食べて美味しい
遊び心満載の逸品
プレゼントボックスみたいだな
何が生まれるか
中身当てをしながら
次々開けてみよう
星型のラムネ
グミベア
ワニやトカゲのチョコ
実の手元から現れたカエルグミを
ひょいと摘まんで
そのままパクっ!
むくれる頬に笑って詫びて
代わりに小鳥クッキーを花唇へ贈呈
鳥も恐竜のうちだというから
生まれたばかりの
この雛も
いつかはでっかい翼竜になるのかな
なんて夢物語も弾む時間
七森・実
g01118/ノスリくんと
お菓子たちの洪水に、
思わず緩んでしまう頬
今日くらいはダイエットも忘れて
思う存分──
可愛いたまご!
中身を確かめる名目で
一つ割ってはもぐもぐ
二つ割ってはぱくり
素敵な何かが生まれてくるまで
頑張って食べなくちゃ
決して食い意地ではないのよ、ええ
うきうき齧った三つ目からは
ぴょんと飛び出すかえるグミ
見てみてノスリく、
きゃーっ、食べられたっ!?
ライムの匂いが馨る笑い声に
頬膨らませて抗議の意
差し出された小鳥クッキーごと
猛禽の指先を噛んじゃうんだから
ゆっくりと呑み込んだ甘い雛は
立派な恐竜になるのかしら
お腹の中で悠々と飛ぶ姿を想像して
なんだか嬉しくなって笑ったら
小さなたまごの、お代わり一つ
「まるで玩具箱だね」
カフェスペースを戴く回廊からは、階下の様子がよく見える。艶めくチョコレートや色とりどりのキャンディ、甘い宝石達を詰め込んだショーケースの並びは目にも鮮やかで、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は黄昏映す琥珀の瞳を細めた。昔のことは正直憶えていないけれど、多分、これが『童心に返る』ということなのだろう。
そうねと笑って頬を緩め、七森・実(F・g01241)もまたうっとりと階下の煌めきに目を向けた。
「こんなところに来る機会、そうないもの。今日くらいはダイエットを忘れたって、いいわよね」
右を向いても左を向いても逃げ場のない菓子の洪水に、飲み込まれるなと言われてもそれは無茶というもの。復讐者の力を以てしても、彼らに抗う術などないのだから。
と――いうわけで。
向かい合った美男美女の間、白く円かなテーブルの上にごろごろと転がるのは、銀紙にくるまれたタマゴ型のチョコレート。鶏卵よりも二回りは小さいだろうか? 掌にすっぽりと収まるタマゴを左手に一つ、右手に一つ取り上げて耳元で振ってみると、カラカラ、コロコロと軽やかな音がする。
「こっちは何か硬そうなもの。こっちは丸いね。……あ、これは空っぽだ」
音の違いを聞き分けて、ノスリはまだ見ぬタマゴの中身に想いを馳せる。そんなに違う、と訝りながら男の仕種を真似て、実もタマゴを耳に当てた。
「いったい何が入ってるのかしら」
小さく可愛いらしいタマゴは、割って楽しく食べて美味しい、大人も子どもも夢中にさせる遊び心に溢れた一品だ。銀紙を剥いて一つ割り、二つ割り、実は甘いタマゴを平らげていく。断じて食い意地ではない――卵から生まれてくる素敵な『何か』に出逢うまで、この作業は終われない。生憎と二つとも中身はなんということはないガナッシュだったが、それでも美味しいのがこのタマゴのいい所だ。
「星のラムネに……グミベア。こっちはワニだ」
「ノスリくん、引きが良すぎない?」
何が出るかは開けてみるまで分からないタマゴは、まるでプレゼントボックスだ。殻から転がり出た小さなワニを摘まみ上げて目元へ寄せる男に、実は少しだけむくれて次の一つに向き直る。今度こそはと割ってみると、その中からは。
「! これは……」
にょっきり、伸びた脚を引っ張れば、飛び出したのは黄緑色の鮮やかなカエルグミ。幼い少女のようにぱあっと表情を輝かせて、実は半透明のカエルを大事に掌に載せ、嬉しそうに差し出した。……のだが。
「ねえ! 見てみてノスリく」
ひょいぱく。
合わせた両手の器から、男の長い指がカエルを攫った。迅速で躊躇のない狩りは流石、猛禽――などと言っている場合ではなく。きゃーっと思わず声を上げて、実はブラウスの肩を怒らせる。
「食べられたっ!?」
ぷちぷちとした程よい歯ごたえと共に広がるライムの香が爽やかで、チョコのおまけにしては上等だ。うん美味しい――と確かめるように口にする姿は悪びれた風もなく、実の頬が見る間に膨れていく。童女のようなその顔が可愛くて、ノスリは思わず吹き出した。
「ごめんごめん」
「ごめんじゃないのよ」
やっと出てきてくれたのに、と頬を膨らせる娘に詫びて、男は孵化したばかりの菓子達の中から小鳥の形をしたクッキーを取り上げると、尖った唇へそっと押し付けた。
「これで赦してくれる?」
「…………」
「いて」
クッキー越しに男の指を甘噛みして、しょうがないわね、と実は言った。齧るまでもない小さな焼き菓子は、舌に乗せれば素朴で優しい味がする。
噛まれた指先をぱたぱたと振って、ノスリは笑った。
「鳥も恐竜のうちだって、知ってた?」
生まれたばかりのこの小鳥も、いつかは大空を舞う翼竜になるのかな――夢物語のように紡げば、ふわりと微笑った実であったが。
「……なんて、誤魔化されないわよ?」
「……おっと」
だめだったか、と肩を竦めるその手元には小さなタマゴがまだ沢山、孵る瞬間を待ち侘びている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV2になった!
ラヴィデ・ローズ
幸せな甘い香り
切欠は任務でも、こんな場所を知ることが出来ツイている
例の日は約一か月後
プレゼントにはまずステキなものを知らなきゃね
手作りのベースにも活躍しそうな
板チョコを数種購入しカフェで食べ比べ
ナッツとドライフルーツ入り
フルーツペースト入り
マシュマロごろごろ入り
うん、まずいな。全部美味いぞ
パキパキ手折る感触、鉱石を掘り当てたみたく覗く具がまた楽しい
これこのまま渡す方が喜ばれるのでは、なんて気もするが
いやいや。らしくない
戦う前から負けを認めるなんてね……!
というわけで
紅茶でリセットしつつ暫しチョコ三昧。え、グミも美味い……
結局色々買って帰る気しかしないが
宝石箱を楽しませて貰った礼も、忘れないとも
お待たせしました、の声と共に白い湯気が鼻先をくすぐった。ありがとうと片目を瞑ればウェイターの女性がほんのりと頬を染め、一杯の紅茶をテーブルに据えて足早に去っていく。
さて――と長い脚を組み替えて、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)はテーブルの上のチョコレート達に向き直った。白い天板の端では主人とチョコレートを見比べて、小さな竜が不思議そうに首を傾げている。
(「プレゼントをするにはまず、ステキなものを知らなきゃね」)
『例の日』は、約一か月後。きっかけは任務だが、このタイミングでこういう場所を訪れることができたのは幸運だった。どれを買おうか、色彩の祭典のようなショップを眺めて迷いに迷うこと小一時間、ようやくこれと決めたのは、数種類のターフェルショコラーデだ。
ナッツとドライフルーツを甘めのミルクチョコレートで固めた定番品からフルーツペースト入りのホワイト、マシュマロがごろごろ入ったビター、砕いたキャンディやグミを混ぜ込んだ変わり種まで、つい買い過ぎてしまったようにも思うが、これでも随分絞ったのだ。窓のついたボール紙のケースから取り出したターフェルに力を込めると、パキッと小気味良い音と共に幸せの甘い香りが立ち昇る。
まずは一つ、折り取ったひとかけを口に放り込むと、舌の上でほどけるチョコレートの甘みと、ドライチェリーの爽やかな香りが瞬時に広がっていく。
(「これは手作りのベースにも活躍しそうだな――と思ったけど」)
手折る感触も、割れた断面に覗くフルーツの宝石を見つけた瞬間も、すべてが楽しい。唇に残るチョコレートを舐めて、ラヴィデは唸った。
「うん。……まずいな。全部美味いぞ」
このまま何も手を加えずに渡す方が、いっそ喜ばれるのでは――などとつい、弱気にもなってしまうが、戦う前から負けを認めるなんてらしくない。いやいや、とかぶりを振って紅茶を含み、躊躇いなく次の箱を開ける。テーブルの隅で此方を見ているグミベルヒェンといい、色々と買い込み過ぎた気はしないでもないが、これも菓子の宝石箱を楽しませて貰った礼ということで、よしとしよう。
大成功🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!
モリオン・スモーキー
アドリブ・連携歓迎
……ほう。チョコレート、ですか。
と思いつつまずは店内を観覧いたします。
ぐるりと見た後、砂糖で出来た宝石箱、夢の国とはよく言ったものです。と一人納得します。
オリジナルのチョコレートづくりが出来るとの事なので体験していきましょう。
果物が入ったチョコレートを作りたいですね。後あまり甘くないものとか。
形も決める事が出来るのでしょうか? 結晶の形とか作れますか?
と、色々聞きつつ進めていきたいですね。
……この地下にあるのですね。しかし、今はまず英気を養い。次に備えましょう。
「砂糖で出来た宝石箱。夢の国とはよく言ったものですね」
輝き艶めく様々な甘味達は、見ていて飽きるということがない。暖色に調整された照明を受けてきらきらと光るチョコレートやキャンディは、誇張ではなく、宝石のようだとモリオン・スモーキー(存在奪われし魔術発明家・g05961)は思う。言い得て妙だ、と一人納得しながら店内を見て回っていると、ふと、会計カウンターの裏手にある大きな硝子窓と、その向こう側の工房が目に入った。最初はパティシエの製菓の工程でも見せているのかと思ったが、どうやらそうではないらしく――。
「ほう。チョコレートづくりですか……」
工房の入り口には、チョコレートの製作体験を謳った掲示物が貼られていた。ご興味がおありですか、とすかさず声を掛けてくる係員に一瞬目を丸くして、モリオンは首を捻る。
(「自分で作ってみる、というのも、悪くないかもしれません」)
気づけば『是非』と口走っていた。ではこちらへ、と朗らかに笑んで、店員は流れるように工房の扉を開いた。既に数名の先客で賑わっている室内を通り抜け、いくつか並んだ調理台へ案内されて、モリオンは備え付けの器具を取り上げる。調理台の上にはオーソドックスなチョコレートのレシピが貼り付けられており、誰でも比較的簡単にチョコレート作りに挑戦できるようになっていた。一番簡単なものは、ベースとなるチョコレートと具材を選んで溶かし固めるだけのシンプルなものだ。
(「果物が入ったのがいいですね」)
甘くなり過ぎないよう、カカオ分の高いダークチョコレートをベースに選んだら、湯煎にかけて溶かし、好みのドライフルーツを細かく刻んで、いくつか用意された型へ流し込んで固めるだけ。やることは至ってシンプルなだけに、丁寧さが仕上がりに物を言う。四角い型で固めてアトランダムな棒状に切り分ければ、黒曜の結晶のようなチョコレートの出来上がりだ。
(「今はまず、これで英気を養うとしましょうか」)
足元に広がる迷宮を踏破し、そこに潜む悪の芽を摘むためにも。さて次はと調理台へ向き直って、青年はチョコレート作りに没頭していく。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
ライラ・ロスクヴァ
まぁ!甘味ですね!
カラフルな世界へ足を踏み入れ、少しソワソワしてしまいますね
えぇと、お土産に甘味が欲しいのですが……
まぁ、オリジナルのチョコレート、ですか?
ええ、是非とも!
料理は得意な方ですので、手際よく作っていきましょう
思い浮かべるのは最愛のご主人様のこと
故郷でもよく食べていたドライフルーツをふんだんに取り入れた
甘い甘いチョコレートを作ります
……あの、食べられるお花などは有りますでしょうか?
もしありましたら、それも飾りたいなと思いまして
なければ、溶かした色付きのチョコレートを花弁に見立てて飾ります
ふふ、喜んでいただけるでしょうか
フルーツグミやキャンディの色鮮やかな煌めきに、滑らかなチョコレートの艶、小麦粉を使った焼き菓子の香ばしい焦げ目。似ているようで一つとして同じもののない菓子達を吟味するのは、ある意味で贅沢な時間だ。部屋の四方を囲む壁は、ライラ・ロスクヴァ(セレーネ・g00843)の瞳に揺れる虹のように複雑で、そして美しい。
まあ、と口許に手を添えて、娘は言った。
「これがすべて、甘味なのですね……!」
知っているものも、知らないものも、ここでは何もかもが輝いて見える。どれを買うべきか決めあぐねてきょろきょろと辺りを見回していると、これまたカラフルなエプロンを身につけた店員の女性と目が合った。何かお探しですか、と朗らかに尋ねる店員へ少しだけ照れたように笑って、ライラは口を開く。
「えぇと、お土産に甘味が欲しいのですが……」
「でしたら、日持ちのするターフェルなどいかがでしょう? またはお時間があるようでしたら、奥の工房でチョコレートの製作体験もご案内しておりますが……」
「! それは、オリジナルのチョコレートを作れる……ということですか?」
「はい。体験をご希望ですか?」
是非とも、と小麦色の両手を握り、ライラはやや前のめりに頷いた。世界に一つだけのチョコレートをこの手で生み出せるのなら、やらない理由はどこにもない。カウンターの裏手にある工房へ入り、簡単な説明を受けたら早速調理開始だ。
(「これでも、料理は得意な方なのです――」)
作るのは、ドライフルーツをふんだんに使った見目にも可愛らしいチョコレートバー。馴染み深いドライフルーツとナッツを細かく刻んで、甘めのミルクチョコレートと混ぜ合わせ、天パンへ流し込む。一連の工程を難なくこなしながら思うのは、愛しい愛しい主人のことばかりだ。
「ふふ――喜んでいただけるでしょうか?」
花の咲くような笑顔を想えば、心は俄かに弾みだす。エディブルフラワーの代わりに砂糖細工の花をいくつか埋め込み、色をつけたチョコレートを花弁に見立てて飾ったら、後は固まるのを待つばかりだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV7になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
シル・ウィンディア
チョコレートかぁ。
おいしいよねっ♪でも、せっかくだから作るように挑戦したいかな?
…作って、渡したい人がいるから。
ええと、チョコレート作りって初めてなんだけど、どうしたらいいの?
わからないから、お店の人に聞いてからスタートするよ
チョコレートの材料を選んで…
あ、フルーツ系おいしそうかも?
ドライフルーツも選んで取っていくよ
お店の人の教え通りに丁寧に作っていくね。
えーと、これを、こーして…。
四苦八苦しながら作っていくね。
完成したら
せっかくだから、味見もしてみたいし
カフェエリアで自分の作ったチョコレートを味見ですっ♪
わぁ、チョコレートとフルーツばっちり合うんだね
よし、本命の為にも頑張って覚えて帰るよっ!
一ノ瀬・綾音
ぜひ!チョコの作り方教えてください!
綾音ちゃん来るべき日に備えてみんなのために何か作ってあげたいんです!
(文化の違いとか地雷とかを鑑みてあえてバレンタインとは言わない)
わお、これが本格的なチョコ作り…
とりあえずベースはオーソドックスなものにして…フルーツとかも混ぜたものにしようっと!
えーと、まずこれを混ぜるんだっけ?け、結構重い…わぷっ。跳ねるねこれ割と。(悪戦苦闘)
ふー、集中力いるね、普段の戦闘とはまた違う意味で。でも慣れるとなんか楽しくなってきた。ゲームみたいで。
出来上がったらカフェでちょっと味見してみるよ。
…うん、この感触を忘れないように、その日に備えないと、ね。
気持ちを込めたいから…
「ええと、チョコレート作りって初めてなんだけど……どうしたらいいの?」
「さあ?」
調理台の上に並んだボウルや泡だて器をとりあえず適当に手にとって、シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)と一ノ瀬・綾音(綺羅星の如く・g00868)はほとんど同時に首を傾げた。既成品のチョコレートとトッピングを組み合わせるだけの気軽な製作体験メニューもあったのだが、来るべき例の日――綾音曰く、『文化の違いとか地雷とか地雷とか地雷などを鑑みて、敢えてバなんとかとは言わない』らしい――に向けて、つい本格的なチョコレート作りに飛びこんでしまった。指導員もいるにはいるのだが、基本的には調理台に貼られた手順書に沿って進めていかねばならないらしい。
ようし、とツインテールの緑髪に三角巾を巻いて、綾音は洋服の袖を捲り上げた。
「みんなのために、綾音ちゃん頑張っちゃうぞ!」
「そうだね! おいしいチョコレートにしなくっちゃ♪」
古来より、物は試し、習うより慣れろ、などと言うように、やってみないことには始まらない。貸し出されたエプロンを身に着けて、シルは調理台の上のレシピ集を覗き込む。
「なになに。まずはチョコレートの材料を選んで……」
ダークに、ミルクに、ホワイト。基本になるのはこの三色のチョコレートだ。甘めが好きならミルク、甘さ控えめがいいならダーク。色をつけたいならホワイト一択だろう。
「ベースはオーソドックスなのがいいな! 綾音ちゃんはこれにしよっ」
「それって、ミルクチョコレート? あっ、ドライフルーツも入れられるみたいだよ!」
リンゴのダイスにオレンジピール、バナナチップスといった定番は勿論、イチジク、チェリーにアンゼリカ――果てはショウガまである。何をどれだけ入れようか、考えながら作るのもまたこうしたチョコ作りの醍醐味だ。
いいね、と朗らかに笑って、綾音は包丁を手に取った。
「えーっと、まずはベースのチョコレートを刻んで……」
チョコがすぐに融けるよう、削り節のように細かくしてから、ボウルに入れて湯煎に掛ける。形がなくなるまでしっかり溶かしたら、刻んだフルーツを投入して全体が均質になるまでぐるぐる混ぜる。それができてしまえば後は固めるだけなのだが、これが簡単そうで意外な重労働である。生クリームなどを加えていないチョコレートは融け切っても意外に重く、湯煎から上げるとすぐに固まり始めてしまう。
「わぷっ。跳ねるね、割と」
「力を入れすぎなんじゃ? わぷっ」
仲良く頬にチョコレートのしぶきを散らして、四苦八苦することしばらく。やっとのことで金型に流したチョコレートを大きな冷蔵庫へしまい込んで、綾音はふーっと額の汗を拭った。
「集中力いるね~これ! でも、慣れたらゲームみたいで、楽しかったね!」
「うんうん、こういう楽しみ方は手作りならではだよね」
できあがったら、二階のカフェで味見をしてみようか――そう言い合って、二人の少女は顔を見合わせ、笑った。
来るべき『本番』のその日に向けて、乙女の研鑽には余念がない。想いを込めたチョコレートを手渡す誰かの笑顔に想いを馳せ、語らう姿は復讐者というよりも、恋に恋するあどけない少女たちのそれである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】がLV2になった!
【活性治癒】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ドレイン】がLV3になった!
咲樂・神樂
【桜守】
チョコレートのいい香り!
あたし、チョコは大好きよ!
キラキラした眼差しを千景に向けにんまり笑う
勿論!あたしはかぁいい妹の為に、チョコをつくるわ!
千景はあの子の大切な友達なのよね
嬉しいわ
あの子はいつもひとりでいたから…もうひとりではないのね
それが嬉しくて
少しだけ切ないのは内緒
あたしだけが独り占めできる訳では無いから
ありったけの愛を込めるわよ!
シンプルに分かりやすくハートかしら…ハートは心臓で心…千景の桜チョコで飾って…すごい!
あの子の好きなものだらけ!
じゃあジョーカーの仮面なチョコものせましょ
口許に運ばれた桜に瞬いてから
ぱくりとひとつ頂くわ
甘くて美味しい笑顔を咲かせるチョコレート
大好きだわ
紫空・千景
【桜守】
チョコを始めとした色々な甘さ
まるで菓子の国
色々食べても構わんが
私と神樂なら…選択肢は作る、だよな?
キラキラの眸に夜明け色も
そうでなくてはと咲う
噫、あの子は私にとって大切な友人だ
独りじゃない、ひとりにさせない
…だが、あんたの妹なのも確かだ、神樂
傍に居るのも変わらんと告げて
これまた大きなハートだな
なら私はとっておきを飾ってやろう
桜色のチョコ花びらを舞い散らせ
柘榴の眸の鴉を置き
傍らにチョコ大福
あの子の好きな物ばかりになっただろう
瞬き、冗談めかして
私も入って良いのか?
なんて、嬉しげに仮面の形を象り添えよう
…其れから、此れはあんたに
桜の花びらチョコを口許へひとつ
あんたも桜が咲くみたいに笑うんだな
大勢の客で賑わうチョコレート工房の内部は、いつしか甘い芳香に溢れていた。ボウルの中でチョコレートをかき混ぜながら、咲樂・神樂(離一匁・g03059)はうっとりと瞳を細める。
「あたし、チョコって大好きよ!」
甘く、時にほろ苦く蕩けるチョコレートの匂いは、いつだって心を弾ませる。でしょ、と微笑めば視線の先で、紫空・千景(暁の切り札・g01765)が静かに頷いた。
「それにしても本当に、菓子の国だな」
幅広の窓の向こうに覗くショッピングエリアはチョコレートをはじめ、焼き菓子から砂糖菓子まで多種多様の色彩に溢れて、夏の日差しの如くにさんざめく。色々と買って食べるのも悪くはなかったのだが、自分でチョコレートを作れると聞いては飛びこまずにおれないのが性分の二人だ。そしてキラキラ光る眸の先に想うのも二人、同じ顔――神樂にとっては可愛い妹で、千景にとっては愛しい友人の彼女の顔だ。
ねえ、と華やかに笑んで神樂は言った。
「千景はあの子の大切な友達なのよね」
「ああ」
間を置かず応えれば、黄昏の茜を映した少年の瞳が嬉しそうに微笑う。
「嬉しいわ。あの子はいつも、ひとりでいたから……」
もうひとりではないのね、と呟く声は、何気なく零したようでいて、深い安堵と、そして一抹の切なさを孕んでいた。きょうだい揃って、今年で十六――いつも、どこへ行くにも一緒だった子どものままではいられないのは理解っている。『お兄ちゃん』という立場だけで、自分が彼女を独り占めできるわけではないということも、また。
勿論、と力強く応じながらも少年の双眸に揺れる想いを汲み取って、千景は言った。
「あの子は私にとって大切な友人だ。独りじゃないし、独りにはさせない。だが――あんたの妹なのも確かだ」
この先も共に在るということには、何の変わりもない。
だろう、と念を押せば美しい少年はぱちりと瞳を瞬かせて、そして少しだけ、ほっとしたような表情を見せた。変わっていくこと、それ自体は悪いことではないし、何より本当に大切なものは、時や環境の変化で移ろったりしない。そう思うと急に元気が湧いてきて、神樂はたすき掛けにした和装の袖をもう一度しっかりと捲り上げる。
「よーし、かぁいい妹のために、ありったけの愛を込めるわよ!」
想いを、心を伝えるのだから、形はシンプルにハートがいい。選んだ金型は両手に余るほどの大きさで、千景は一瞬目を瞠り、そして咲む。
「なら、私はとっておきを飾ってやろう」
そう言って取り出したのは、浅い天パンにクッキングシートを敷いて、その上で固めた桜の花。淡紅に色づけたホワイトチョコレートの花弁は、ミルクチョコレートの艶やかなハートによく映えるだろう。
「すごい、あの子の好きなものだらけね! じゃあ――ジョーカーの仮面なんかも、乗せちゃう?」
「私も入って良いのか?」
それならと悪戯に笑って、千景は固まりかけたチョコレートを再び湯煎に掛ける。仮面の形のチョコ細工ぐらい、プロ顔負けの腕をもってすれば作り上げるのは造作もない。彼女の好きな大福は――土地柄調達しづらいだろうが、砂糖菓子の鴉くらいなら外の店に置いているかもしれない。
それから、と天パンに残った花弁を一枚摘まみ上げて、千景は言った。
「これは、あんたに」
差し出せば、女のように整った少年はぱちりと瞳を瞬かせ、そして小さく頷いた。甘い花弁を一口に含めば零れる笑顔は、一足早く花開いた桜のようだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダブル】がLV2になった!
咲樂・祇伐
【櫻蝶星】
雪璃さん、彗藍さん…では早速、チョコ作りですね!
咲いた笑みはさくらいろ
ふふり擽るように笑う
彗さんも?
私もお兄様に渡そうかなと…チョコが好きだと仰っていたので感謝を込めて
きっと喜んでくださるわ
あとは館の皆さんに食べてもらうものも
私もトリュフのチョコレートをベースにします!
ビスタチオをそっと忍ばせて、周囲をイチゴのパウダーでそうと包み込んで…桜の蕾のようなチョコレートにしたいわ
桜型のチョコ飾りもつけたいの
彗藍さんのチョコ星も、宝石チョコもとっても可愛らしいわ!
食べるのが勿体ないくらい…でも…ふふ!
はい、おふたりとも…あーん!
チョコより甘くて暖かな秘密の女子会…噫、なんて
美味しいのでしょう
朔・彗藍
【櫻蝶星】
祇伐、雪璃!
オリジナルチョコが作れるみたいですよ…!
バレンタインも近いですし
予行練習……いえ、少し早めに
贈っても良いかも?
私は…兄様へ
甘い物好きだったから
ね、二人は誰かにあげる?って
そわそわした調子で
祇伐は神樂に?とても喜んでくれそう
館にお土産、良いですね
選んだベースはトリュフチョコ
粉砂糖やナッツ、金粉を振り掛けて
宙の惑星っぽく見えたらいいなぁ
ふふ、祇伐の桜蕾も素敵
雪璃の宝石も美味しそう………
だめです、彗は我慢できません
良かったら3人でシェアしましょう!
トリュフチョコもどうぞなのです
はい、あーん、ですよ
甘やかに口いっぱい広がる
チョコがとろけてゆるむ表情
私も、しあわせで溶けちゃいそう
茜來・雪璃
【櫻蝶星】
オリジナルチョコ!
いいね、いいね!
どんなチョコにしようかなあ
んえ!?彗、お兄さんいるんだ?
どんな人なんだろー…
祇伐もお兄さん…神樂に?あは、めちゃめちゃ喜びそう
誰に…うぅむ……
御屋敷のみんながつまめるようにかなあ?
一口サイズのチョコタルトをベースに
アラザンと宝石みたいな琥珀糖で飾り付け
ちょっと鉱石を見つけた気分、になれるかな?
ぉお、彗のは宇宙だね!
祇伐のは…わ、桜の蕾?
二人とも綺麗で可愛くて…どれも美味しそう!
あはは、じゃあ今日は秘密の女子会ってことで食べちゃお!
ほい、じゃあ私のもあーん
ふふふ、甘くて幸せでとけちゃいそうだねえ
ほんわか心もあたたかでへにゃりと笑う
またみんなで作ろうね
「それでは早速、チョコ作りですね!」
千々に煌めく色彩が照らす店舗の一角で、咲樂・祇伐(櫻禍ノ巫・g00791)は声を弾ませた。ショップエリアの端、ボンボンショコラのショーケースの傍に設けられたテーブルでは調理器具を使った製菓はできないが、ショーケースの中のチョコレートとトッピングを組み合わせてオリジナリティ溢れるチョコレートを作ることができる。
桜色に咲き零れる笑みで背後を振り返ると、茜來・雪璃(朧夜ノ蝶華燈・g00793)と朔・彗藍(ベガ・g00192)もまた、意気揚々として横に並んだ。
「いいね、いいね! どんなチョコにしようかなあ」
「バレンタインも近いですし、予行練習しておくのもいいかもしれませんね。……いえ、少し早めに贈ってもいいのかも?」
読みかけの本で口許を隠しながら、彗藍は微かに笑み、そして言った。
「私は……兄様へあげるつもりです。甘い物が好きな人だったから」
「んえ!? 彗、お兄さんいるんだ? どんな人なんだろー……」
発した言葉には少し含みがある気がしたが、雪璃は素直に驚きの声を上げた。ふわりと少しだけ曖昧に笑って彗藍が首を傾げると、白く波打つ長い髪がレースのカーテンのように揺れる。
「ね、二人は誰かにあげる?」
「私もお兄様に渡そうかなと。チョコが好きだと仰っていたので、日頃の感謝を込めてですね」
「神樂に? あは、めちゃめちゃ喜びそう」
応じる祇伐の肩越しに、妹煩悩な彼女の兄の姿が見えた気がして、雪璃は笑った。知らない仲ではないだけに、プレゼントを贈られた側の反応を想像するのもまた楽しいものだ。そういう雪璃さんは、と水を向けられると、少々言葉に詰まってしまうのだけれども。
「えーと、私は……うぅむ……御屋敷のみんながつまめるように適当に、かなあ?」
「館にお土産、良いですね」
今日は留守番の面々も、欧州はドイツの本場のチョコレートを持って帰ったら、きっと喜んでくれるはず。どれにしようかと覗き込むショーケースの中では、磨き上げた宝石のようなチョコレート達が選ばれる時を待っている。
「私は、これにしましょう」
既製品を組み合わせるだけに、仕上がりのイメージを大きく左右するのはベースだ。彗藍がココアパウダーのほろ苦いトリュフチョコレートを指差すと、残る二人も視線を巡らせる。
「ええと、私もトリュフのチョコレートをベースにします!」
「トリュフが人気かな。じゃあ私はこの、小さなタルトにしよう」
それぞれベースを決めたら購入し、作業テーブルの上に運んでアレンジ開始。テーブルの中央に集められたさまざまなトッピングを選んで、ベースのチョコレートを慎重に飾っていく。いざ作業を始めるとチョコに向き合う表情は皆真剣そのもので、つい無言で作業に集中してしまう。
黙々とトッピングを摘まんでは乗せ、摘まんでは乗せ、十分は経ったろうか。できた、と最初に声を上げたのは、雪璃だった。
「宝石チョコ、完成ー!」
一口サイズのチョコタルトをアラザンと砂糖菓子で飾り付けたそれは、タルトを土台に見立てたブローチのよう。小箱の中からこれを見つけたら、貴重な鉱石を見つけたような気分になれるかもしれない。
まあ、と頬に手を添えて、祇伐はうっとりと柘榴の瞳を細める。
「とっても可愛らしいわ! 食べるのが勿体ないくらい……」
「あら、祇伐のチョコレートも、すごく素敵ですよ」
それ、と示す彗藍の指の先には、葉に見立てたピスタチオを飾り、苺風味のパウダーと花弁型の小さなチョコで化粧したまんまるのトリュフ。にこりと笑んで、少女は続けた。
「桜の蕾でしょう?」
「あ……そ、そう見えましたか」
よかった、と安堵して、けれど意図したところをきちんと見抜かれているのは嬉しくもあり、気恥ずかしくもありで祇伐は頬を染める。どれどれとテーブルに身を乗り出して、雪璃が言った。
「ぉお、そういう彗のは宇宙だね!」
雪のような粉砂糖と少しの金粉を振りかけたら、丸いトリュフはナッツの小惑星の海を漂う小さな惑星に早変わり。食べるのが惜しいほどのチョコ達は、小箱に詰めて持って帰ればきっと、大切な人々を喜ばせてくれる――と、思うのだけれども。
「……だめです」
「え?」
覗き込む二人の友人の視線の中心で、彗藍はふるりと肩を震わせた。
「だめです。彗は我慢できません! よかったら、三人でその――シェアしませんか!」
いずれも綺麗で愛らしいチョコレート達を前にすると、これを食べずして持ち帰るというのはなかなかに難易度が高い。辛抱堪らない気持ちは二人も同じだったようで、雪璃と祇伐は顔を見合わせ、そしてぷっと吹き出した。
「あはは、じゃあ今日は秘密の女子会ってことで食べちゃお!」
「そうですね。はい、おふたりとも。あーん!」
大切な人へのプレゼントは、来月、また日を改めて。今日のところは頑張る自分達に、ささやかなご褒美をくれてやろう。
二又の小さなフォークで切り分けたチョコレートをそれぞれ口へ運べば、底抜けの甘さがとろりとほどけ、顔まですっかり蕩けてしまう。
「本当に――しあわせで、溶けちゃいそう」
落ちそうな頬を押さえる彗藍に頷いて、雪璃はへにゃりと笑った。
「また、みんなで作ろうね」
誰からとなく頷き合って、三人娘は一時の、されど極上の幸福に身を委ねる。気の置けない友と笑い合い過ごす時間は、チョコよりも甘く、暖かい。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【飛翔】がLV8になった!
【腐食】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
【ヨアケ】のみんなと。
チョコ作りかー。料理は得意な方だし自分も作りながら作り慣れてない人たちのフォローに入ろうかな?
少し凝ったもの作りたいから生チョコでも作ろうかしら?
ベースは苺のチョコにして飾り付けに可愛らしい花のアイシングでもしようかなとテキパキと作り上げ他の不安そうな人たちの手伝いをしに行く
お菓子作りが終わったら2階で
皆と出来上がったお菓子やドイツの料理を楽しもうかな?
ん?人鳥はチリグミを買ったのね?挑戦してみる?(辛いの苦手だけど好奇心が勝った人食べた後暫く隅で悶絶している)
お土産としてチョコやグミベアなどを買っていく。今日一緒に来れなかった人たちへお土産としてね?
リディル・ヴェント
【ヨアケ】のみんなと遊びに行くわ。
見ていても楽しい所ね、甘い匂いが広がっているわ!
折角だから、チョコレート作ってみたいわ。
新宿島に来て、初めて食べたけど、作ったことはないのよね。
どうやって作るのかしら?
経験のある皆に教えてもらいたいわ。
派手でゴージャスででっかいヤツ作りたいわ!
何を入れるのが良いかしら、ドライフルーツとか色々入れてみようかしら。
フフフ出来たわ、リディルちゃん特製チョコよ!
カフェには勿論作ったチョコを持っていくわ。
みんなに見てもらわなきゃ!
みんなとお菓子を楽しむわ、何食べてるの?
生チョコ…?え、チョコにも生とかあるの!?(生肉とかの“生”と思ってるやつ)
クィト・メリトモナカアイス
【ヨアケ】
お菓子……!
モナカアイスが一番好きだけど他のも好き。
たくさん食べる。
1階の店舗でお菓子を買ってきて2回のカフェで食べる。
名前を聞いてもどんなお菓子か分からない。
ので全部食べる。
たくさんの種類をちょっとずつ買ってきてテーブルに広げて食べる。
他の人がチョコレートとか作ってきたらじーっと見る。
もしかしたら口から涎が落ちるかもしれないくらいじーっと見る。
分けてもらったら食べる。
ありがとー。
んむ。おいひい。
アドリブ歓迎
白水・蛍
【ヨアケ】の皆さんと遊びに行きます。
アドリブ・連携歓迎
宝箱とはよくいったものです。
さて、オリジナルを作ってみましょうか……
果物が入った奴と……あまり甘くないもの作ってみましょうか……
手際よくテキパキ作っていきます。
こういうものは一通りたしなんでおりますので。
出来たものは2階に持っていってもよいでしょうか?
許可もらったら2階へ持っていって皆さんと一緒に食べましょう。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
【ヨアケ】で参加
絡み、アドリブ歓迎
夢の国……か、違いない
子供達にとっても、きっと大人にとっても
目についた菓子を幾つかと、土産にターフェルを買っていこう
チョコ作りか
刻んで溶かして、好きなものを入れればいいのだな
好みのドライフルーツやナッツをちりばめて
ステンドグラスのように並べていく
花畑に佇む小鳥のイメージ
見た目に拘ってしまった……
……入れすぎだろうか?
皆の成果を拝見
器用だな、可愛らしい、と思ったり
誰かに贈ったりするのだろうか?
カフェでテーブルを囲む
色々広げて、気になるものは皆で食べられるように
これも食べてみるか、とチョコを分け
面白い味だったり、懐かしい味だったり
チョコミントは爽やかだ
珈琲を傍らに
黒城・廉也
【ヨアケ】
アドリブ連携歓迎
へぇ…オリジナルのチョコレート!…ところでチョコってどうやって作るんスか?料理できない俺でも出来るならやりたいッス!
えっと…ゆせん?で溶かしてかきまぜる…うわっ!…顔にはねちゃったッス。もっと落ち着いてやらないと。
飾り付けはオレンジのドライフルーツと…うーん、せっかくだし色々なものをどんどん乗せちゃうッス!
ジャーン、廉也特性チョコレートの完成!良かった皆さんもどうぞ!……えっと、不恰好だけどきっと美味しいッスよ!味見もしたから間違いないッス!
眉立・人鳥
アドリブ絡み歓迎
【ヨアケ】で参加
おお〜、むっちゃ綺麗。内装おしゃれ過ぎんか
こういうの憧れるわ〜
(店内撮影OKなんかな、聞いてみるか。OKなら色々撮っちゃお)
お菓子が詰まったショーケースはなんかワクワク感あるよな
キャンディ系なんかは芸術性高くて好きだぜ
皆が買ったもんとかを色々教えて貰いつつーの、おすすめ聞きーの
なんか買うか。んん、このクマのグミ見覚えがあるようなないような
やたら硬いやつじゃね??
チョコ作り組より先に2階へ上がって景色見ながらのんびりするかね
へー、オリジナルチョコ?食う食う、コーヒーもいただこう
俺はチリ入りグミってのが気になったんよな、結構辛いの好きだし
挑戦者居るなら一緒に食おうぜ
アオイ・ダイアログ
【ヨアケ】の皆さんと
ほうほう、ドイツのお菓子工房なんて面白そうな所ですね🎵
ドイツのグミって独特な食感とかありそうですがはてさて?
チョコを作れるんですね!
で、チョコミントは勿論作れますよね?
作れるなら作って2階に持っていきます🎵
ないなら自前で持ってきたミントの素使うだけですけどね
ミルクチョコでチョコミントを閉じ込めたのやスティック型のチョコミントやドライフルーツを乗せたチョコミントやら様々なチョコミントを作ってみました、皆さん是非食べてみて下さいね🎵
リディルさんのはずいぶんデカイですね!
エトヴァさんのは……芸術品か何かですか?
しかし、なんかバレンタインの予行演習みたいになりましたねー
アイネリス・レナリィ
【ヨアケ】で参加
アドリブ絡み歓迎
練習も兼ねてチョコレートを作ってみましょうか。
とはいえこちらは素人、あまり大掛かりなものは避けて無難に、飾り付けも今回はご縁がなかったと言うことで、極力シンプルにと。
心配なのでお手伝いやら味見やらしていただけるとありがたいのですけど、誰かいないかな……
チョコももちろん良いのですが、工場も少し気になるのですよね。
型とかあるでしょうし出来れば拝見させてもらえませんかね。
お願いしてみようかしら。
一応完成したチョコは2階の皆さんのところへ持っていきましょうか。
味の保証はできませんけど。
チリグミ?辛いんですか?
……いいえ。私は遠慮しておきます。
天夜・理星
あっまってまって堪能したいですアタシも。
【ヨアケ】のみんなと一緒にやってみたかったんだこういうの!
さあ何をどうする、アタシは料理がそんなに上手じゃないぞ。
チョコを作るって出来る?
やってみたいね、でも難しいね。
みんなはどう、ああチョコミントさん平常運転だわ、
みんなでチョコ食べるの、やっぱ良いよねっ!
出来たチョコは2階に持ってk
…………失敗しました。
やったな。やったわ。
案の定よ。なんでこうなったよ。
これじゃトッピングをしようにもカバーの仕方をどうするよって話で…
…みんなの見よっか!
やっぱチョコは見るのと食べるのが性に合う!
みんな綺麗ですごいぞ!
えらいえらい♪
「ほうほう、ドイツのお菓子工房というだけあって、面白そうなところですね?」
興味津々の眼差しで室内をぐるりと見渡して、アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)は言った。規則的に並んだ調理台は八つあり、既にチョコレート作りに取り掛かっている客もいる。程よく光を取り入れる天窓は高く、現代建築と言われてもおかしくないような装いだ。これが改竄世界史の只中とは思えぬほど、甘い匂いの立ち込める工房を行き交う人々の顔は一様に笑顔である。
「オリジナルのチョコレートとか、いいッスねー、ホットッスね! どうやって作るのか知らないスけど」
工房の中を行ったり来たり、忙しなく動き回る馴染みの面々を視線で追いかけて、黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)は言った。
「どうやって作るんスか? 料理できない俺でもできるッスかね?」
「ん~アタシもよく分かってないのよね。新宿島に来てから初めて食べたし、作ったこともないのよ」
はて、と首を傾げる青年の隣で、リディル・ヴェント(ゲットレディ・g00550)は唇に指を添える。けれどそこはそれ、持ちつ持たれつという奴で――明るい若葉色の瞳を悪戯に輝かせて、リディルは前を通りかかったアイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)の肩をがしっと掴んだ。
「でも、せっかくだから作ってみたい! と、いうわけで、経験のある皆に教えてもらいたいわ!」
「そう言われましても、こちらも素人なので……」
どこまでできるか、とアイネリスは僅かに視線を逸らしたが、リディルは気にしない。自信たっぷりに胸を叩いて、娘は満面の笑顔で続ける。
「大丈夫よ! 派手でゴージャスででっかいヤツ作りましょ!」
「大丈夫……とは……?」
大丈夫かどうかを判断するのは少なくともチョコ作り初体験の人間の役割ではない気がするが、突っ込んでも仕方がないのでこれ以上は何も言わないことにした。抱えた器具を調理台の上に広げてほうと小さく息をつき、アイネリスは銀に光る眼鏡をついと押し上げる。
調理台の上には、オーソドックスな手作りチョコレートのレシピがいくつか、図解も交えて貼られていた。さて、何をどうするか――細かな文字を覗き込んでしばし見つめるうちに、天夜・理星(復讐の王・g02264)の眉間には薄ら皺が寄っていく。皆でわいわいチョコ作り、という楽しい響きに惹かれて飛び込んだまでは良かったのだが――。
「アタシ、そんなに料理上手じゃないのよね……」
「そんなに難しく考えることもないんじゃないか? 刻んで溶かして、好きなものを入れればいい」
こんな風に、と買ったばかりのターフェルショコラーデを手に取って見せ、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は柔らかく笑った。ミルクチョコレートがベースの板チョコは形こそシンプルだが、埋め込まれたドライフルーツとナッツがきらきら光っていかにも美味しそうに見える。もっともそのシンプルな美しさを表現することが、チョコレート作りにおいては一番難しい所なのだろうけれど。
ううん、と少しだけ不安そうに首を捻りつつも、アイネリスは果敢に調理台へ向き直った。
「皆さんのご期待に沿えるかは分かりませんが……練習も兼ねて、やってみましょうか」
もうひと月も時が廻ればバレンタインデー。来たるべきその日に向けて、練習は何度しておいてもし過ぎるということはない。ひとたび包丁を握って板チョコとまな板に向き合えば、アメジストの眸は真剣な色を帯びる。その隣で同じく包丁を握って、桜・姫恋(苺姫・g03043)はほのぼのと笑った。
「いいわねー、みんな初々しくて! こういうのは得意な方だから、何か困ったら遠慮なく言ってね」
フォローするから、と付け加え、手際よく刻んでいくのは彼女が愛する苺のチョコレート。あっという間に小さくなっていくチョコの塊をまじまじと見つめて、廉也は不思議そうに首を捻った。
「これから溶かすのに、なんでわざわざ刻むッスか?」
「そのまま溶かそうとするとえらい時間がかかるのよー。だからこうやって細かくしてから湯煎に掛けるの」
水を入れた鍋を火にかけて、しばし待機。それにしてもと部屋の中を見回して、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)は言った。
「宝箱とは、よく言ったものですね」
部屋の前方に設置されたテーブルには、取り分け用のシャーレと共にチョコレートに混ぜ込む具材が並んでいる。アーモンドやピスタチオといったナッツ類やドライフルーツは勿論、マシュマロなどの砂糖菓子、果てはグミベアまで、アクリルケースの中には宝石じみた菓子達がぎっしりと詰まっていた。ここから好きなものを選んで小皿に取って、それぞれの調理台へ持っていくというシステムのようだ。
では、と小さなトングを手に取って、蛍は言った。
「どれを入れるとしましょうか……」
ドライフルーツをたっぷり入れて、キラキラ輝く鉱石のようなチョコにするのもいい。フルーツが甘いなら、ベースは甘くない方がいいだろうか。料理も製菓も一通り嗜んだというだけあって、蛍の判断には淀みがない。うずうずと弾む気持ちを押さえきれずに、リディルと廉也、そしてアオイは小走りに蛍へ駆け寄ると、その肩越しに具材のテーブルを覗き込む。
「何を入れるのが良いかしら、やっぱりドライフルーツがいいかしら?」
「俺はオレンジのやつがいいッス! あの、良い匂いのするやつ」
「ミント! ミントの素はありますか? チョコミントは勿論作れますよね!? ないならここに、自前のやつが――」
「んー、そこの人達はまずはチョコを刻むところからね?」
はいこれ持つ、と笑って、姫恋は小さなナイフを差し出した。具材選びは最も楽しいプロセスの一つだが、お菓子作りは何より地道な一歩から。
はあいと気のあるようなないような返事をして、初心者達はベースのチョコレートを選び、慣れない手つきで刻み出した。
一方その頃、上階のカフェスペースでは――。
「お菓子が……いっぱい……!」
丸テーブルいっぱいに広げたチョコレートやキャンディを前にして、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は連なる菓子の山にも負けないほどに新緑の瞳を輝かせる。信仰とともに棄てた名の代わり、『モナカアイスに愛されし守護者』を名乗る彼女は、読んで字のごとく三度の飯よりモナカアイスが好きなわけだが、だからといって他の菓子が嫌いなわけではない。沢山の種類をちょっとずつ――ハムスターのように頬を膨らせ黙々と菓子を口に運ぶクィトを眺めて、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)は微笑ましげに目を細める。
「随分買ったな。飴とかチョコとかも好きなのか」
「ん。よく分からない。名前を聞いても……だから、全部食べる」
「ん~そっかー」
今一つ分からない理論だが、とりあえず、三十路の身体ではなかなか真似できそうにないのは確かだ。若いなー、と笑って、人鳥は開放感のある吹き抜けを明々と照らす天窓を仰いだ。
「にしても、むっちゃ綺麗なとこだな。おしゃれ過ぎんか……」
取り出したスマートフォンで一枚、二枚。チョコの詰まったショーケースと言い、ガラス細工のようなキャンディの瓶といい、夢のお菓子工場はどこをどう切り取っても絵になった。このカフェスペースだって、青山辺りの人気のカフェとでも言われたら信じてしまいそうなほどだ。
黙々と食べ続けるクィトに倣い、階下のショップで薦められるままに買ってしまったやたらと硬いグミを口へ放り込んでしばしもぐもぐやっていると、おういと呼ぶ声が聞こえてくる。
「人鳥さーん! クィトさーん!」
「おー、理星おかえり。オリジナルチョコ、どうだっt」
「失敗しました」
「オゥ……」
ドズゥン、という書き割りを背負って、理星はその場に崩れ落ちた。その腕の中には、参加者全員に配られるのであろう小奇麗なプラスチックの小箱――に入った、入れ過ぎたナッツとフルーツで溶岩のようになったチョコレートらしきものが収まっている。
どう反応したものか分からずに黙るしかない人鳥を前にガバッと顔を上げ、理星は勢いよくまくし立てた。
「やめよやめよ、みんなの見よ! やっぱチョコは見るのと食べるのが性に合ってるみたいだわ、アタシ!」
「んー……んむ。これ、おいひい、よ?」
溶岩(仮)を製作者の腕からしれっと抜き取って口に入れ、クィトはあくまで純真に瞳を輝かせる。まあ、おかしなものは入れていないのだから理屈の上では不味くなるわけはないのだが――チョコレートは見た目ではなく気持ちだ、と言い張っておくことにする。
ワイワイガヤガヤやっていると、そろそろチョコ作りも一周する頃なのだろう、他の仲間達も続々と成果物を手にカフェスペースへ集まってくる。
「随分賑やかですね」
「アタシ達もまーぜて! はい、リディルちゃん特製チョコ!」
「でっか」
シンプルながら几帳面に仕上げられた蛍のチョコレートの後ろから出てきた控えめに言って大ぶりなチョコレートに、思わず語彙のない感想が零れた。けれどそれだけでは終わらない――苺尽くしの姫恋の生チョコに、不格好ながら香りのよい廉也のオランジェット。曰く、花畑と小鳥をイメージしたというエトヴァのステンドグラスのようなターフェルと、アオイの安定のチョコミントによるチョコミントのためのチョコミント。
最後におずおずと前に進み出て、アイネリスが言った。
「味の保証はできませんけど……」
面白かったり、懐かしかったり、色も形も味わいまでもがさまざまだけれど、皆が一生懸命に作ったチョコなのだ。そこにはきっと、人を幸せにする力が詰まっている。
壮観ですねえと笑って、アオイが言った。
「なんか、バレンタインの予行演習みたいになりましたね」
「ああ。……本番の前に、解決しなければならないことは多いけれど」
湯気の立つコーヒーを一口含んで、エトヴァは意味ありげに足元へ目を向けた。
そこは大人も子どもも関係なく、誰もが夢を叶えるお菓子の国。なのにその足元に広がるのが暗く冷たい迷宮だとは、なんとも皮肉なものだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV10になった!
【完全視界】がLV2になった!
【エアライド】がLV3になった!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【フライトドローン】がLV3になった!
【光学迷彩】がLV3になった!
【口福の伝道者】LV1が発生!
【活性治癒】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ダブル】がLV3になった!
【アヴォイド】LV2が発生!
【凌駕率アップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV4になった!
●DER ABGRUND
ホウ、ホウとどこからか、梟の鳴く声が聞こえていた。日中、手筈を整えておいたおかげで、終業後の施設内に侵入するのは容易であった。照明が落ち、すっかり暗く静まり返ったショップエリアの片隅でエレベーターに乗り込み、復讐者達は一枚の紙片の記述に従って、行き先階のボタンを押していく。
「2、2、2。U。EG。1、1、1。EG、U」
「で、非常ボタンだ」
電話印のボタンを押し込むと、がこん、と重たい音がした。エレベーターは数人の復讐者達を載せて、ぐんぐんと地の底へ潜っていく。そして辿り着いたのは、地上のお菓子の王国とは打って変わって冷たく色のない世界だった。耳を澄ませばどこからか、声のようなものが聞こえてくる。
「ええいこら、言うことを聞け! おい、どうなってるんだこいつの制御は!」
「すみません、すみません、ちょっとネジが二、三本取れてしまってるようで……!」
「それをなんとかするのが貴様らの役目だろうが!」
息を詰め、声のする方へ進むと、通路の先には開けた空間があった。そこで何やら揉めていたのは、数名の兵士と、研究者らしい白衣の老人達――そして。
「……なんだあれは」
誰かが思わず零したのも、無理はあるまい。そこにいたのは黒々と光沢を放つ鋼の獣。獣といっても、よく見る鉄の狼のように小さく華奢なものではない――体高は三メートル近くもありそうな、鋼鉄の『恐竜』だった。
「で、でもですね! こいつの凄いところはこの、背中と腹の特殊装甲なんですよ」
「特殊装甲だ?」
復讐者達が聞き耳を立てているなどとは露知らず、クロノヴェーダ達は声高に話し続ける。
「はい! この特殊装甲には、電気を流すと硬化する素材を組み込んでおりまして、電気さえ流れていれば大体どんな攻撃も通しません。まさに無敵です!」
「だから尻尾の先がコンセントにつながっているのか……?」
居並ぶ兵士達の足に隠れてよくは見えないが、どうやら恐竜の尻尾はこの空間のどこかにあるコンセントにつながっているらしい。それは、ひょっとしなくても動きにくいのではないか――と誰もが思ったが、どうやらガスマスクの兵士達もそう考えたようだ。しばし沈黙した後、一人の兵士が首を捻り、そして言った。
「動きにくくはないのか?」
「でも無敵です!」
「電気のない場所ではどうする?」
「電気のあるところなら無敵です!!」
だめだこいつら、まあまあ馬鹿だ。
どうしようもないやり取りを遠くに聞きながら、復讐者達は顔を見合わせた。
「頭の弱そうな連中だが、今の話が本当なら……」
「電源を落とすとか、コードを抜くとか、何か手を打たないと、あの恐竜には攻撃が通らないのかも」
「でも、コードを抜きに行くには兵士達が邪魔だな……」
さて――どうやって対処しようか?
がおー、と鳴くちょっと間の抜けた声が、暗い天井に響いている。
ラヴィデ・ローズ
お菓子工場の秘密の地下にかっこいい恐竜
いやぁロマンある話だ!
ブチ壊しにするのは心苦しいけど
悪い大人より純な子供の夢を守りたいんでね
仲間を巻き添えにしないよう散開して踏み込もう
残留効果の神速反応、未来予測の併用で爆弾の直撃を避けながら
また、爆風を受けても飛翔、エアライドにて空中で体勢を整え、間合いへ
完全視界で敵を捉え
爆炎の中からこんばんは、って具合で急襲出来ればなによりだ
攻撃時には『レゼル(長剣)』を使用
おや、ご自分の体の研究開発が疎かなんじゃないか
一撃離脱で注意を引き、仲間に繋げるよ
身を守る『ドラゴンオーラ』がはらはら燃える
甘い香り
チョコは薔薇の形にしようかな
溶け消えるそのときまで美しいから
咲樂・神樂
【桜守】
これを渡した時のかぁいい笑顔を想像したら心がぴょんぴょんするようよ!
愛車の桜蘭号に跨り、いざ!!妹の笑顔の元へ─
ええ、何?あなた、あたしの邪魔をしようっての?
千景、後ろに乗って!
このままはねとばしてチャリの藻屑にしてやるわ!
ふふ…頼もしいわね
奴らの視線を私に集中させる
鶱華・暴嵐桜蘭
ダッシュで突っ込んで衝撃波と共に薙ぎ払い(撥ねとばし)そこをすかさず両断してやるわ!
話が通じようと通じまいと関係ないわ!
あたしの妹への路を邪魔するやつは消す、それだけ
いいわよ、やっちゃって千景!
あたしも殺るわと斬撃を這わせ
爆発なんて!
チョコが傷ついたらどうすんのよ!
千景の結界に結界を重ねる
ええ!まだ足りないわ
紫空・千景
【桜守】
チョコ完成の余韻で満足していたが
もうひとつ仕事が有った
…噫、話の通じなさそうなのが出てきたな
了解と神樂の後ろに立ち乗りしつつ
運転は任せ、警戒は私が
仕掛けるタイミングは云わずとも伝わるだろう
だから…
其の儘、派手に突っ込んでくれと云い残し
エアライドでチャリ上の空を一蹴りから飛翔して
光学迷彩で姿を隠し、死角に陣取り
見事な運転捌きを映しては
次は私の番――虚閃一刀
重ねる刃の軌跡は寸分狂わず
轢かれた相手に殺気と呪詛を乗せた斬撃を見舞い
勢いで再度チャリの後ろに降り立つ
爆弾?
そんな物は結界術で被弾ごと防いでやる
チョコに傷なぞ万死に値する
私達の二重結界舐めてくれるなよ
――さて、神樂
もう一走りと行くか?
レイ・シャルダン
陸さん(g01002)と参加です。
お菓子工場の下に迷宮があるだなんて
夢も浪漫も無いですね…。(いや?男の子はわくわくするのかしら?)
お昼に買ったチョコを一口食べて元気投入。
ん…ん~…。
何ですあの白衣の老人達。
差し詰めこのメカの開発者って所?
(この中にボクの遠縁とか居ませんよねぇ?)
…もちろん、貴方の前で醜態を晒す気は毛頭ありません!
敵同士がわちゃわちゃ喋っている間に倒せないですかねぇ!
陸さん!ここは合わせて一気に行きましょう。
サイバーゴーグル【Boeotia】を起動し機械魔導弓【ACRO】と接続
魔法の矢を番え敵に対し精密射撃を行います。
更に相手を殲滅する為に広範囲に射角を広げ弾幕を張ります。
竜城・陸
レイ(g00999)と
どうだろうね?
ロマンがある、なんて言いそうな子には覚えがあるけれど
なんにせよこの地下迷宮を解き明かすことが必要なのだろう
では、ここは押し通らないとね
気の抜けたようには見えるだろうけれど、油断はしないで
ああ見えても、この世界の荒廃を担った一端なのだから
生み出した氷雪は剣の形を成して
先ずは投げつけられる薬品類を迎撃
液体ならば命中した時点で凍らせられるだろう
届かせはしないよ
彼女の狙える範囲に応じて此方も射程を拡げて対応
一挙に叩いて仕舞えた方が面倒がない
狙えるなら喉笛を一瞬で引き裂いて
そうでなければ動きを縫い留めてレイの援護としよう
行けるね? なんて確認はしないよ
信じているからね
●愚者の白衣
「……これはまた話の通じなさそうなのが出てきたな」
行きどころのない手でポニーテールの根本を搔いて、紫空・千景(暁の切り札・g01765)は顔をしかめた。ありとあらゆる菓子に溢れた夢の時間はもう終わり、チョコレートづくりという立派な仕事を果たした彼女達には、まだもう一つやるべきことが残っている――のは重々に承知しているのだが。
「ん……ん~……」
頭の痛くなるような会話を遠くに聞きながら、レイ・シャルダン(蒼空を駆ける・g00999)はぐりぐりと眉間を揉んだ。なんだろう、アレ――なんだろうあの、話の通じないダメな感じ。
「何でしょう、あの人達。このメカの開発者……なのかな?」
「いや、改造しただけかもしれない。……『改』造なのかどうかは微妙なところだけど」
あくまで声を潜めつつ、竜城・陸(蒼海番長・g01002)が応じた。うへぇとあからさまに嫌そうな顔をして、レイは件の恐竜がいかに素晴らしいのかを語る、妙に楽しそうな研究者達を見やる。万に一つ、あの中に遠い血縁者でも混じっていようものなら一族の恥と、現代ドイツの科学者の家系に生まれ育った身としては一抹の不安を禁じ得ないのである。
レイ、と嗜めるように呼ぶ声に顔を上げると、陸の青い瞳が真剣な様子で敵の一団を見据えていた。
「気の抜けた連中のようには見えるだろうけれど、油断はしないで。ああ見えても、この世界の荒廃を担った一端なのだから」
「……もちろん。貴方の前で醜態を晒す気は毛頭ありません!」
きりっと勇ましく眉を吊り上げた少女に、陸は頼もしげな笑みを浮かべた。
「では、ここは押し通らないとね」
暗い天井へ向けた掌に、氷雪の冷気が音もなく集まっていく。はいっと明快に応えて、レイはターフェルショコラーデの最後のひとかけを口に放り込み、耳に掛かるゴーグルのつるに指を触れた。フォン、と風の吹くような起動音と共に光り出した青い硝子には、座標や数列が次々に浮かんでは流れていく。
「いつでもいけます!」
立ちはだかるものはすべて倒し、この地下迷宮の秘密を解き明かす。敵同士、わちゃわちゃやっている今が不意打ちのチャンスだ。たった一つの目的の下に頷き合い、復讐者達は動き出した。
「それにしても――お菓子工場の下に迷宮なんて、夢も浪漫も無いですね」
「そうかな? 秘密の地下に、おまけにかっこいい恐竜なんて、ロマンある話だとオレは思うけどね」
呟くように言ったレイへ茶目っ気たっぷりに片目を瞑って見せて、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)が口を挟んだ。こうしたら強い! とか。ああしたらカッコいい! とか。多分、その程度のモチベーションと行動基準で動いているから結果としてああいうモノが生まれるのだろう。その心理は男としてまったく分からないわけでもない。ただ。
「まあ、でも――悪い大人のロマンより、純な子どもの夢を守りたいんでね」
人好きのする甘い垂れ目に、柔らかな印象を飾る緩やかな癖毛。絵に描いたような伊達男の横顔に、一瞬、真摯な色が滲む。
心苦しいけれど、ぶち壊させてもらおうじゃないか――嘯く翼で大きく宙を打ち、黒い竜は天井付近へ舞い上がる。靡く黒い尾をぽかんと見送って、レイは首を捻った。
「男の子はわくわくするのかしら。……陸さんもそうですか?」
「うーん、どうだろう」
人によるかなと、やや曖昧に陸は笑った。すると並んで走る二人の間を、一陣の風が猛スピードで突き抜ける。花色の残像を残して直進するのは、咲樂・神樂(離一匁・g03059)の駆る愛車――といっても、自転車だが――『桜蘭号』と、その荷台に立ち乗る千景である。
「そこのインチキ科学者どもー!」
「な――」
「なんだ!?」
大人になりかけの少年の高い声は、冷たい天井に朗々と響いた。自分達の他には誰もいるはずのない空間から突如として降って湧いた声に動揺して、白衣の老人達が一斉に復讐者達を振り返る。まずは、正面から気を引くべし――勢いよくペダルを立ち漕ぎしながら、神樂は高らかに叫んだ。
「覚悟なさい! あたしの邪魔をしようってんなら、このままはねとばしてチャリの藻屑にしてやるわ!」
行って、と潜めた声で付け加えると、背後で頷く気配がした。荷台が急に軽くなったかと思うと、視界の端で見慣れた長い黒髪がひらりと舞い、空気を足場に跳んでいく。そのまま神樂の自転車に並走して、千景は言った。
「派手に突っ込んでくれ」
「……言われなくても!」
敵味方の視線を一身に集めたまま、神樂は疾風のごとく白衣の老人達に突っ込んだ。ヒキガエルのような悲鳴が上がるやいなや天井を仰ぎ、少年は鋭く言い放つ。
「やっちゃって、千景!」
「了解」
阿吽の呼吸でタイミングを計り、少女は光の迷彩に身を包んだ。何が起きたとどよめく老人達の背後へ回り込み、抜き放てば暗がりに白刃がぎらりと光る。策は成った――次は、彼女の番だ。
「虚閃一刀」
寸分の狂いもなく浴びせる太刀は、文字通り一刀の下に白衣の老人を切り捨てる。老人、といっても中身はほとんど絡繰りに取って代わられているようで、ずるりとずれ落ちた身体の断面には入り組んだ機械が覗いていた。
「なんだ、こいつらは!」
「ええいやれ、やれ!」
慌てふためく老人達が白衣の内側から何かを取り出した。丸や三角のフラスコに揺れる怪しげな液体が具体的に何なのかは不明だが、ろくなものでないことだけは確かだ。
「気を付けて――きゃあ!」
注意を促した神樂の眼前で、閃光が弾け、煙が上がる。ちょっと、と憤慨したように声を荒らげて、美しい少年は奥歯を噛んだ。
「やめてよね! 大事なチョコが傷ついたらどうすんのよ!」
和装の懐に隠したのは、目に入れても痛くないほど可愛い、可愛い妹のため、丹精込めて作り上げたチョコレート。ありがとうございます、と花咲む笑顔を思えばそれだけで心が弾んだのに、まったく無粋もいいところだ。急旋回して距離を取るや愛車を壁際によけて、神樂は赤鞘の刀を抜き放った。
「話が通じようと通じまいと関係ない」
目の前に開けた路を、邪魔する輩は消し去るのみ。その傍らへすたんと軽く降り立って、千景は言った。
「さて、神樂。もうひと走りと行くか?」
「ええ! まだまだ、全然走り足りないわ!」
二人、背中合わせに構えれば、そこには一分の隙もなし。投げつけられる爆発物を素早く両断すれば、暗がりに炎の花がぱっと開いては散っていく。
「陸さん!」
「うん?」
何、と、差し出した指先から放つ冷気で飛来する薬品を凍らせながら、こともなげに陸は訊いた。彼はいつだって冷静だ。だからその美しい横顔は、戦いの中でさえも翳らない。
ちょっとずるい、と思いながら、レイは慌てて首を振った。憧れの先輩がいくら格好良くても、今は見惚れている場合ではないのだ。
「ここは合わせて一気に行きましょう」
「ああ、わかった。でも――いいね」
行けるね、なんて、いちいち確認はしない。見つめ返す竜の瞳がそう告げていた。こくりと小さく喉を鳴らして、レイは蒼く輝く魔導弓を握り締める。彼の期待に応えなければ――そう思うと少し息苦しくて、少女は深呼吸した。銀に輝くメタリックな弓幹に番えるのは魔法の矢。その鏃がほんの微かに震えるのを見て取って、陸は相変わらず柔和な笑みを浮かべる。
「大丈夫。ちゃんと合わせるから」
それに何より、信じている。恋に恋する少女のように見えていても、彼女は理不尽に抗う立派な戦士だ。戦いの中で命を預けるのに不足はない。
深い声に背を押されて、レイは言った。
「……行きます!」
放つ矢は宙を裂くうちに、二本になり、四本になり、無数に枝分かれして空間を埋めていく。ひい、と怯えた声を上げて老人達が踵を返しても、逃げる場所などどこにもない。頼もしいな、と唇の裏で口にして――当の彼女には、聞こえていないのだろうけれど――陸は両手に氷の剣を生み出した。
「残念だったね」
殺到する光の矢と雪の刃に襲われて、研究員達は哀れなほどに逃げ惑う。幸運にもその猛攻を逃れて、立っているのはあと一人――けれど、ひいひいと息を切らせて逃げ出そうとする老人の前にラヴィデが舞い降りる。
「こんばんは、ご老体。お疲れのところ悪いけど、逃がさないよ?」
苦し紛れに投げつける爆弾が、一つ、二つと火を噴いた。けれどもそれは、のらりくらりと羽ばたき移ろう竜を捉えるには凡そ足りない。肩で息をする老人が足を止めたのを見て、ラヴィデは柔らかく、そして少しだけ酷薄に笑んだ。
「もう終わり? ……じゃあ、こっちから行こうか」
右手に携えるのは、弓より変じた異形の剣。ひい、と尻もちをついて後ずさりする機械仕掛けの研究員へおどろおどろしい刃を向けて、黒い竜は言った。
「もう少し、自分の体の研究開発に力を入れればよかったのにね」
勝負は、まさに一瞬であった。黒い翼が閃いたかと思うと、紫紺の呪炎に灼き斬られた機械の身体が火花を上げて崩れ落ちる。プラスチックの被覆の焦げる嫌な臭気に眉を寄せながら、そうだ、とラヴィデは口許を和らげた。
「バレンタインのチョコレートは、薔薇の形にしようかな」
それならばきっと、融けて消える最後の刹那まで美しいまま。
はらり、花弁の散るように身に纏う竜気が燃え散るに連れて、金属の焼ける匂いは紅い薔薇の甘い香りに変わっていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV11になった!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV4になった!
【フライトドローン】がLV4になった!
【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【ダブル】がLV4になった!
【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
…あのメカ恐竜のグッズ
上のお店で売り始めたりしないですかね
男の子に人気が出そうだと思うんですよね、私も欲しい
え、デフォルメ無しよりそのままの方が良いなぁ
折角ならもう少し近くで見たいので
邪魔な兵士達にはどいて頂きましょうか
お喋りに夢中みたいですし奇襲といきましょう
気取られぬよう物陰に隠れ
エアライドで経路を見出しながら
一息で近づける距離まで進みましょう
進撃の出鼻を挫くのと此方へ注意を集めるために
まずは挨拶代わりの一発を
振るわれた斧は硬質化させた両腕で受け止め流し
私だけ見てると危ないですよと
レオのハッキングでの追撃に合わせ
更に追い打ちの拳を叩き込んでやりましょうか
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
確かにあのメカ恐竜をデフォルメしたグッズなんてあったら可愛いかも
なんだかリオちゃん、分かりやすくワクワクしているね
ちょっと意外
そうだね、恐竜に辿り着くのが難しそう
という訳で道を開けてもらうよ
オッケー、奇襲だね
リオちゃんと敵に気取られないように物陰に身を潜ませつつ
エアライドで最適な経路を進むね
リオちゃんが接敵したタイミングで
イグジストハッキングで敵の動きを止める様にするね
敵が砲撃してくる素振りがあれば飛翔で移動して遮蔽物で遮る様に
幸いにも屋内だから身を潜めるにも隠れるにも苦労しそうにないかな
上手く敵の隙をついて攻撃できたたら良いんだけど
ちゃんと道は開けたかな
クーガ・ゾハル
同行
エン/g05162
おう
おわらないとアレ、たべられないからな
片方だけだと、よくないのか
きこえてしまった声に右目をおさえる
ん、じゃあ、どっちにも付けたらいいか
……見えなくないか
……あとにしよう
眼帯の下でひらいた、ひかりの火花を剣にまとわせたら
いっしゅんだけ止まりかけて見せ、イッキに走る
剣をタテみたいにかかげて体はひくく、たまをふせぐ
エンがつくったケッカイにとびこんで
かたそうなやつらを斬りたおす
そうだ、ついでに
おもい方のウデ、おとしてやろうか
ぐあいがよくなるらしいからな
…エン、おまえ
ナサケナイおっさんってやつだな
上げられたてのひらは、つよめにグーでなぐっておく
手かげんは、あまいガラスのオンのぶん
エンジュ・アルティオ
クー/g05079と
体力要る所は元気な子に任せることにしよう
はあ、お楽しみは後に取っとくタイプなのね
お子様かな
兵士の人、そうやって右腕だけ重くしてると後々全身バキバキだよー
さあさ種も仕掛けもイカサマもありの
符で模った白い鳥と黒い鳥の群れ
ほい、クーちゃんのサポートよろしくね
囲んで、惑わして、閉じ込めちゃって
あの大仰な剣を構える一瞬と振り抜いたあとの隙を埋めたげよう
あー……こっちには来ないでくれる?僕は頭脳労働派だから
喧しい砲撃から退きつつクーの後ろに隠れちゃおうね
やあどうも、対処よろしく
失敬な、何だその顔
こういうのは適材適所って呼ぶんだよ
上出来上出来、はいタッチね――痛っってえんですがこの野郎
天夜・理星
…こうして友達全員にチョコレートを手作りで渡す計画は失敗に終わったのでありました…
というわけでアタシはこれさえも復讐者としての怒りに変える。
ところであちこち人が多過ぎてやべえ。
ついでにあなたたちも多いね兵隊さん。
…吹き飛ばすか。
翠の混迷……六聖剣。
完全視界と未来予測を併用で行こう。
で、ダッシュすればそれで砲撃は大部分をかわせると思う。
かわせなくても活性治癒があるんだ、王様舐めんなって。
で、近づけたら一気にパラドクスで聖剣解放。
室内だろうが『風を集めて』刃にする。
そして、託されし願いと一刀両断を以て風の圧を振るって兵士さんたちを斬り飛ばす!!
っし、これで凡そチョコの悲しさも吹き飛ばせたかな♪
クィト・メリトモナカアイス
人がいっぱい。
少ないのはー、こっちかな? やるぞー。
敵もたくさん。それじゃあ我が敵の体勢を崩す。
3機のモナカ突撃型を召喚。「突撃のジャパニーズボブテイル」でとつげきー。1体目は防がれても続く2体目で隙を作って3体目がとどめ。これぞじぇっとすとりーむあたっく。
モナカたちを敵陣に突っ込ませてる間に我も敵の中に飛び込んで攪乱。飛び回るモナカ突撃型で混乱した兵士を盾に徹甲弾を避けて「黄金猫拳打棒」で殴り倒してく。
甘いものたくさん食べたから元気もやる気もまんたん。
全員どつき倒す。
●唄う砲声
「……あのメカ恐竜のグッズ、上のお店で売り始めたりしないですかね」
「……えっ?」
兵士達に囲まれた機械の竜を暗がりから眺めて、朔・璃央(黄鉄の鴉・g00493)はぼそりと言った。一瞬、何を言われたのか分からずに、朔・麗央(白鉄の鉤・g01286)は思わず呆けた声で聞き返す。すると兄は至って真顔で続けた。
「男の子に人気が出そうだと思うんですよ。私も欲しい」
「なんだかリオちゃん、分かりやすくワクワクしてるね……」
ちょっと意外、と花色の瞳を丸くして、麗央は応じた。知らないことなど何もないと思っていたのに、こんなところで兄もまた男児なのだと実感させられるとは。
でも、と思わず口許を笑ませて、少女は言った。
「確かにあのメカ恐竜をデフォルメしたグッズなんてあったら可愛いかも」
「え。デフォルメするよりそのままの方が良いなぁ……」
「え?」
色も形もとりどりのトリュフを食べる順番まで一緒だったのに、ここへ来てまさかの方向性の不一致(?)か。きょとんとして顔を見合わせる双子を背に、エンジュ・アルティオ(風冠・g05162)はやれやれと肩を竦めた。
「みんな若いなあ……体力要るところは元気な子に任せたいよ」
「おう。まかせろ」
「クー、若い? ……若いな、チッ」
何せ、四捨五入したらまだ二十歳側。苦虫を噛み潰したような顔でエンジュが舌打ちすると、クーガ・ゾハル(墓守・g05079)は小さく首を捻り、なんだかよく分からないけど、と、前置きしてから続けた。
「おわらないとアレ、たべられないからな」
「はあ、お楽しみは後に取っとくタイプなのね」
だぼっとした上着の胸を叩き応える声には相変わらず抑揚がないが、実際のところはそうでもないらしい。茫洋とした琥珀色の瞳は、心なしかいつもより生気に満ちている。
若い、通り越してお子様かな――皮肉を込めて呟くと、クーガはもう一度、こてんと首を倒した。皮肉が伝わらない辺りが本当に若くて、エンジュ的には一番堪えるのだが。
よし、と妹と二人、無言の見つめ合いを切り上げて、璃央が言った。
「もう少し近くで見たいので、邪魔な兵士達にはどいて頂きましょう」
「そうだね!」
議論は一旦棚に上げて、今は何より屯す兵士達の排除だ。吠える恐竜に近づくため、それを片付けるためには、まず目の前の障害を排さなければ。
幸い、兵士達は恐竜についてあれこれ話すのに夢中で、こちらの存在にはまるで気付いていない。暗がりに潜んでそろそろと距離を詰め、復讐者達は仕掛けるタイミングを計る。そして、
「いち、にの」
「さん!」
双子の合図を端緒にして、その場の全員が一斉に動き出した。真っ先に斬り込んだのは別動隊の方で、兵士達より手前に立っていた科学者達が蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。
「何事だ!」
一喝する兵士達は、白衣の老人達に比べればいくらかは荒事にも慣れていると見えるが、それでも突然の強襲に動揺は隠せないようだった。鋭い一声に表情を引き締めて、璃央は別動隊に気を取られている兵士の背後から躍り掛かる。
「あなた方の相手はこちらです」
「!」
両手を組み、白く固めた拳を叩きつけるように下ろすと、ヘルメット頭がべこりとへこんだ。たたらを踏んだ一人に代わって別の兵士が手斧を振り下ろすが、それさえも少年はその細腕で受け止める。
「ほら、また。視野が狭いと危ないですよ」
力ずくに押し切ろうとした斧を持つ、その手が動かない。思うようにならない身体でやっとこさ背後を振り返り、兵士は苦々しげに絞り出す。そこには、少しだけ得意げな麗央の笑顔があった。
「貴様――何を、」
「ハッキングだよ。お兄さん、機械なのに知らなかった?」
潜り込ませるハッキングコードで動きを止めるのに、これ以上やり易い相手もそうはいない。身動きの取れなくなった兵士にとどめの鉄拳を見舞って、璃央は長い髪を無造作に背に流した。有象無象の兵士達をどれだけ早く片付けられるかが、この作戦の鍵だ。
「人がたくさん。敵もたくさん」
猫のような瞳で戦況を見渡して、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は言った。絵に描いたような乱戦だが、何も問題はない。猫の手を模した杖をひと振り呼び出すのは、金色に輝く三機の猫耳しっぽ付き謎の球体――もとい、浮遊球形ガジェット、その名も『モナカ』である。
「やるぞー、とつげき!」
にゃーん、という鳴き声が聞こえたような気がした。武器ともドローンともつかない物体に狼狽する兵士達が、リーダーらしき一名の指示で機銃を構える。けれど銃撃などなんのその――放たれる徹甲弾を縫うように飛び回り、三機の『モナカ』は兵士達に体当たりを食らわせていく。そう――何を隠そうこの『モナカ』、頑丈で体当たりに適した突撃型なのだ。いや、他の物を見ていないから何がどう違うのか兵士達にはまったく分からないのだけれども。
「これぞ、じぇっとすとりーむあたっく」
どやぁ、と両腕を腰に当て、クィトは薄い胸を張る。おのれ、と恨み言を吐いてたたらを踏みながら、兵士達はなんとかその場に踏み止まると、再び腕の機銃を掲げた。
「総員、構え――フォイア!」
号令とともに銃声が幾重にも重なり、鳴り響く。けれど黙って的になってやるようなクィトではない。銃弾の雨を掻い潜って敵陣へと飛びこむと、少女は猫の手を振り回し、昏倒させた兵士を盾にしてまた次の敵へ飛び掛かる。すごい、この子、武闘派。
「ぜんいん、どつきたおす」
日中甘い物を沢山摂取したからだろうか、小さな身体の内側から湧き上がるパワーには今のところ陰りがない。どこか余裕さえ感じさせる佇まいを前に、兵士は憎々しげに舌打ちする。
「貴様ら、もしやディアボロスだな――くそっ。いつの間にこんな大勢で」
「いやあ、あなたたちも大概でしょ兵隊さん」
歯噛みする兵士の背後に、ゆらりと黒い影が立ち上がった。全身から迸るような怒気と殺気にぞくりと背筋を震わせて、兵士達は一斉に反転する。その先には、光のない目で彼らを見つめる天夜・理星(復讐の王・g02264)の姿があった。
「……まあいいや、とりあえず吹き飛ばすか」
はるばるドイツまでやってきて、果敢に挑み、そしてしくじったチョコレート作りの傷は未だ癒えていないけれど、それすらも復讐の炎に変えるのがディアボロスという生き物だ(個人の見解です)。刃のない剣の柄を胸の前に掲げて、理星は低くその名を告げる。
「翠の混迷、六聖剣」
その身に受けよと掲げれば、風のほとんどない地下の淀んだ空気がうねり出す。彼女が集めるのは、風――渦を巻く翠風は研ぎ澄ました鋼よりもなお鋭く、触れるものすべてを切り裂く刃となる。
「聖剣解放! 混迷は此より、風となれ!」
勇ましい叫びとともに解き放つ心の刃が、居並ぶ兵士達を薙ぎ倒した。どこか憑き物の取れたような笑顔を浮かべて、理星は額の汗を拭う。
「はー、すっきりした! これで今夜は心置きなく眠れそうね!」
「我、しってる。それ……やつあたり」
妙に晴れやかな友人の顔をジト目で見やり、クィトは呟くように言った。まあ、この際八つ当たりであれ何であれ、敵を倒せればそれでいい――動機はさておき、この場においては数を捌くことの方が肝要だ。
「そうやって右腕だけ重くしてると、後々全身バキバキんなるよー」
向かい合う敵の一団を眺めて、エンジュは言った。敵のこととはいえそんなことを気にかけてしまうのは、ある種の職業病だろうか?
え、と惚けた声で右目の眼帯に触れ、クーガは俄かに動揺する。
「片方だけだと、よくないのか……」
じゃあ、どっちにも付けたらいいか?
思い立って左目を隠してみたら、当たり前だが何も見えなかった。不覚である。
「……あとにしよう」
瞬き一つ、見開いた片目で敵の姿を捉えれば、眼帯の下で光が咲いた。瞬時に身体を駆け巡った火花は指先から冷たいチェーンソーへと移り、廻る刃が唸りを上げる。その様子を視線で追って、エンジュは両手に数枚の呪符を広げた。
「さあさ、種も仕掛けもイカサマもありのショータイムだよ」
よろしくね、と囁く声に応じて指先を離れた白と黒の二色の呪符は、無数の鳥となって舞い上がる。なんだこれは、と慌てふためく兵士達を囲み、惑わし、閉じ込めたら、十分――向けられる銃口にはおっとと肩を竦めて見せて、エンジュは言った。
「あー、こっちには来ないでくれる? 僕は頭脳労働派だから」
撃ち込まれる銃弾をかわして後ろへ飛び退り、後は宜しくと男は笑う。矢のように鋭くその傍らを駆け抜けて、クーガは力強く地を蹴った。
「おもい方のウデ、おとしてやろうか」
十数歩分の距離が瞬時に詰まる。唸る刃は銃弾をあらぬ方向へ弾き飛ばして、機銃の腕ごと兵士達を斬り伏せる。倒れた身体がもはや起き上がっては来ないのを確かめてから、クーガは背にした男を見やった。
「……エン、おまえ」
「何だその顔」
「ナサケナイおっさんってやつだな」
「失敬な! こういうのは適材適所って呼ぶんだよ。はい、ハイタッチ――痛っった!!」
掲げた掌へ打ち込まれた拳の強さに、思わず汚めの悲鳴が上がる。片手を押さえて身を屈めたエンジュを不思議そうに見下ろして、クーガは言った。
「手かげんは、あまいガラスのぶんだ」
「うん。現代語はちょっと難しいみたいだから、辞書で手加減って引いてみようか!?」
気付けばあれほどいた兵士達は、もう数えるほどになっていた。ガスマスクの横面を殴り飛ばしながら、璃央は戦場を一望する。
「あちらも概ね片付いたようですね」
「そうだね! あとは――」
後は、あの恐竜を無敵たらしめる装置を止めるだけ。見れば乱戦の戦場に開けた道なき道を、仲間達の背が一直線に駆けていく。
待て、と叫ぶ兵士の一人へ向き直って、麗央はきりりと眉を吊り上げた。
「待つのはそっちだよ!」
仲間達の背は追わせない。白い指先から迸るコードは機械の脳を狂わせて、一人、また一人と、兵士達を冷たい床に縫い留めていく。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【無鍵空間】がLV2になった!
【避難勧告】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV7になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【先行率アップ】がLV5になった!
金刺・鞆
お菓子、たいへんに美味でした……。
なれど、夢のごとき街の地下にこのような施設があるなど無粋というもの。ともにできることは少ないやもしれませぬが、頑張りましょうね、いぬ。
【光学迷彩】にて物陰に潜み、あばたーる級……恐竜? の、尻尾の周囲をよく観察しましょう。薄暗ければ【完全視界】も用います。こーど、などの長いものがついているはず……あるいは尻尾そのものがとても長いとか……?
ともであれば一見給電していると見破られぬよう工夫をいたしますし、見つけづらいやもしれませぬが。まずは慎重に、こんせんとを探さねば。
無事見つけだせたならば、【パラドクス通信】で場所を共有。戦況の隙をついて協力し、無効化、ですよ!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
P通信で連携
ターフェルを一欠片、噛って栄養補給
アイデアから発展する技術も出るのだろう
……だが、その……
(移動電源という発想はなかったのだろうかと)
ゾルダート達の持っていてよい技術ではないな
闇に葬ろう
完全視界、光学迷彩で潜み、戦況を偵察・観察
恐竜の行動圏、尾の長さと向きから、コンセントのある範囲を特定
兵士の抑えに合わせ
隙を看破した瞬間に神速反応
飛翔とエアライドで一気に背後へ抜けよう
角度が必要なら壁歩きから壁や天井を蹴る
尻尾の先のコンセントの方を一刀両断
尻尾が離れた所へ、返す刃でプラグ自体を攻撃し破壊
プラグが無事なら、複数コンセントがないか観察し速やかに破壊
仲間と連携し安全に撤収
鐘堂・棕櫚
【KB】
地下に恐竜ですか
今日はシュールなものばかりに遭遇してる気がしますね
意外と可愛らしく鳴くギャップが余計罪深いと思いませんか
ねえ骰さん、とギャップの先達者に水を向けて
何で振ったか分からないとか言いませんよねそんな甘い匂いさせて…
敵の強さが電力次第なら
こっそり通電妨害を狙いましょうね
【モブオーラ】や【光学迷彩】を利用して通路や物陰に隠れながら
暗くて見え辛ければ【完全視界】も使いつつ
配電盤や発電機らしきものを探して、手持ちのバールで破壊します
骰さんは鋸で電気ケーブルギコギコしてみるとかどうです?
なんて提案は辞退されたので俺が鋸借りて切断を試みましょう
まあグリップまでは電気来ないでしょ、きっと
鬼歯・骰
【KB】
間抜けな敵でも放っておいたら厄介に変わりないしきっちり仕事といこう
お菓子に秘密基地に恐竜って聞けば童心に溢れてんだろうけどな
ツリガネ何で今こっちに話振った
まぁ今機嫌がいいから殴らないでいてやるが
厄介そうな装甲だが種が分かってりゃ元をどうにかすれば良い
光学迷彩で物陰に隠れながら電源を探して解体していこう
見えづらい暗所も完全視界で見逃さぬように
高い位置ならエアライドも使ってこう
当たりも外れも全部壊せば問題ないだろ
拳か鱶の背で思い切り殴って破壊して
この場から電気供給できないようにしてやろうな
流石にんなことしたら感電しねぇか
やりたいなら鱶貸してやるけど…やんのか…
どうなっても俺は知らねぇからな
喧々囂々と言い合う兵士達の声に、チョコレートの割れる微かな音が紛れる。栄養補給がてらターフェルショコラーデの一片を口の中で融かしながら、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はなんとも言えない表情で敵の集団を見つめていた。
「アイデアから発展する技術もあるのだろうが……しかし、その……」
移動電源の搭載は考えなかったのだろうか。とか。そも、これだけのメカを作り上げる技術力を持っていながら、なんで発想が家庭用電化製品レベルなんだ。とか。言いたいことは色々あるが、あり過ぎていちいち口に出すのも憚られる。
「……ゾルダート達の持っていてよい技術ではないな。闇に葬ろう」
せめてもの情けと言わんばかりの口ぶりに、気まずい沈黙が流れる。考えていることは、恐らく皆同じだ。
まあ、とこめかみを抑えながら、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)が口を開いた。
「間抜けな敵でも放っておいたら厄介なことには変わりねえからな。きっちり仕事といこう」
お菓子の国と地底世界の秘密基地、火を噴き暴れるメカ恐竜――なんて、年端も行かぬ子ども達なら目を輝かせて喜びそうなキーワードが揃い踏みだが、現実はそう楽しくはない。がおがおと吠える恐竜を遠目に見つめて、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は空色の瞳をじっとりと細めた。
「今日はシュールなものばかりに遭遇してる気がしますね。鳴き方は意外と可愛らしいのが余計に罪深いというか――ねえ骰さん」
「なんで俺に振った?」
「なんで? え? おわかりでない?」
結局閉館の間際までカフェスペースに入り浸っていたせいで、黒いスーツには砂糖菓子の甘い匂いがすっかり染みついている。ちょっと、この状態で抗争とか行ってみて欲しい。
何考えてんだか知らねえが、と結局消えなかった眉間の溝を深くして、骰は言った。
「まぁいい。今は機嫌がいいから殴らないでおいてやる」
「そもそも暴力を選択肢に入れないで欲しいんですけど……」
もっとも、存外紳士なヤクザが馴染みの店主にばかり遠慮がないのは今に始まったことではないのだが。
「お菓子、たいへんに美味でありました……」
漂う菓子の残り香にほうと溜息をついて、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は言った。なんかすまん、と頭を掻いた骰へふるふると首を振り、少女は腕の中のモーラットを抱き締める。
「なれど、夢のごとき街の地下にこのような施設があるなど無粋というもの。ともにできることは少ないやもしれませぬが、頑張りましょう」
ね、と笑いかけると、変わった『いぬ』はもきゅっと鳴いて、心なしか勇ましく眉を吊り上げる。その、直後だった。
「いち、にの――」
「さん!」
遠く、合図を告げる声とともに、鬨の声が上がった。一斉に動き出した別働隊の仲間達は、居並ぶ兵士と研究者達をあれよあれよと蹴散らしていく。暗がりにくすんだ蒼い翼を広げて、エトヴァは言った。
「では、行こうか」
誘導灯に照らされた地下通路は決して明るくはないが、視界はクリアだ。ただ、殺風景で薄暗い空間は距離感が掴みにくく、電源の正確な位置を特定するにはもう少し近づくしかない。仲間達の開いた道に飛び込んで、復讐者達は光の迷彩を纏い散開する。
「確かにありゃ厄介そうな装甲だな」
大きな足を踏み鳴らす恐竜の姿を横目に見て、骰は言った。背中と腹側に取り付けられた装甲板は電気を帯びているせいか、ほのかに青白く光って見える。だが、お喋りな科学者達のお蔭で幸い手の内は割れている――電源は、あの恐竜を中心としてそう遠くない場所にあるはずだ。
「まあ、それっぽいものは手当たり次第でいいでしょう。どうせ悪いことにしか使わないアジトでしょうし」
「ああ、当たりも外れも全部壊せば問題ないだろ」
少しだけ悪い笑みを交わして、棕櫚と骰はそれぞれの得物を構えた。疑わしきは罰しても、困るのはクロノヴェーダ達だけだ。片や白百合揺れる真白のバール、もう片や飾り気のない歴戦の鋸刃を振り上げて、腐れ縁二人、息のあった動きで電力供給に関わりそうな怪しい盤や機械を叩き壊していく。
「あばたーる級……こんなに大きいものなのですね」
黒光りする身体から伸びる鉄の尾を視線でなぞりながら、鞆は暗がりに目を凝らす。科学者達の頭が少々足りなくても、あれが兵器であるからには少なくとも最低限の可動性は確保されているはずだ。
(「尻尾、そのものは、それほど長くありませんね」)
ならば、尾の先にさらにコードなどの長いものがついているはず。ただ、そこは腐っても『秘密兵器』だ。一見、給電しているとは分からないようにカムフラージュされている可能性もある。少なくとも、鞆ならばそれくらいのことはするだろう。そう、見つけづらいことこそあれど、あっさり見つかる所になんて――。
身動きの度にふりふり揺れる意外と短い尻尾の先を見やって、鞆は円い瞳をいっそう円くした。
「ありました!?」
「もきゅー!?」
普通にあった。まあまあ太いケーブルが、尻尾の先から伸びていた。なんというかもう、隠す気がなさすぎていっそ潔い。衝撃に固まった鞆とモーラットが視る先を追って、骰はマジかと呆れ半分に呟いた。
「実戦に出す時どうするつもりだったんだ、あれ」
「分かりやすくて助かりますけどね。切ってくださいと言わんばかりで」
太めの黒い電源コードは可動域を考慮したのか意外に長く――気を遣うべきはそこじゃない、というツッコミはさておき――床の上にぐるぐるとわだかまっていた。
「あれ、鋸でギコギコしてみるとかどうです?」
「流石にんなことしたら感電しねぇか」
やりたいなら自分でやれ――と言わんばかりに差し出された鋸を受け取って、棕櫚は刃の背をなぞる。
「まあグリップまでは電気来ないでしょ、きっと」
「どうなっても俺は知らねぇからな」
自己責任だぞと返しながら、一瞬、感電して髪がバリバリになった相棒の姿を想像したのは秘密だ。何か失礼なこと考えてるでしょうと薄目で骰を睨みつつ、棕櫚は鋸の歯をコードに当てた。何度か押し引きするとバチンと大きな音とともに火花が爆ぜ、太いコードが弾け飛ぶ。――けれど。
「まだ、消えていないのです!」
恐竜の腹の装甲は依然として青白い電気を帯びて発光している。
「ふぇいく? でしょうか?」
「いや、電気は確かに通っていた。考えられるのは……」
首を傾げる少女に緩く首を振って、エトヴァは注意深く、恐竜の足下に目を配る。冗長性を確保するために、複数の電源から供給を受けることはよくあるケースだ。そんなところだけ常識的になられても、とは思うが、尻尾の先のコードを切っても給電が止まらないのなら――。
「……あった」
尻尾の『内側』から延びるもう一本のコードを見つけて、エトヴァは指先に光の環を生み出した。くるくると回して放ったその刃は二本目のコードをぶつりと断ち、恐竜の身体から電気が抜けていく。そしてその瞬間、
「がおおおん!!」
大きな足を踏み鳴らして、機械仕掛けの恐竜が動き出す。モーラットを胸にその巨体を見上げて、鞆はおずおずと口にした。
「これは、もしかして……いえ。もしかしなくても……?」
「……二方向から繋がれて、身動きが取れなかったんだな」
やはり彼らの持つべき技術ではない――前進を始めたメカ恐竜の揺れる尻尾を眺めながら、どこか哀愁めいた想いを新たにするエトヴァであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】がLV3になった!
【飛翔】がLV12になった!
【モブオーラ】がLV3になった!
【建造物分解】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV7になった!
【ダメージアップ】がLV9になった!
篝・ニイナ
【白花】
兵装が無効化され次第戦闘
簡単に無敵のビリビリ剥がされちゃって
ま、確かにちょっとデカくてちょっと炎吐くぐらいのオモチャみたいなもんだろ
お菓子の工場の真下にいるメカ恐竜なんて
お子ちゃま大喜びでまさに夢の詰まった宝箱だ
そう思っていたら隣の少年の瞳が輝いて見えて
あながち間違ってないらしい
まあそれでも放っておくわけにはいかないんでね
その夢、壊させてもらおうか
回避には飛翔等利用して
情報共有欠かさず
熱を帯びた妖刀で斬り込んでいけば
頬を掠めた冷気は彼によるものだ
戦いの昂りに火照る俺には心地いいが
恐竜クンにはちいと冷た過ぎるかもな
氷の中で永遠に眠るのが恐竜の運命でも
お菓子の夢ぐらい見たっていいさ
ラルム・グリシーヌ
【白花】
光学迷彩で物陰に身を潜めつつ
装甲解除を確認次第ニイナと共に接敵
鋼鉄の恐竜…近くで見ると
ちょっと格好良いかも
恐竜グミとかあるのかな?
傍らの視線に気付けば
べ、別に興味ないけど?
と誤魔化し乍ら
竪琴の弦に指先を添える
君に食べられるのは御免だよ
代わりにこれをどうぞ
赤いグミベアみたいに甘くないけどね!
音を奏で生まれる
槍の如き氷柱群をその大きな口に
互いの攻撃の隙を補い合い
ブレスや爪は飛翔とエアライドで回避
彼の身を焦がす怨炎の熱を和らげ
恐竜の脚や尾を氷塊で閉じ込めるように
凍つる氷唄を高らかに紡ぐ
君の炎の息より
ニイナの焔の方が華やかで凄いんだからね
さあ、砂糖菓子よりも
甘い夢へと導く冱花をあげる
アンゼリカ・レンブラント
特殊装甲は仲間がコードを抜いて
きっと無効化してくれるはず!
というわけで、『恐竜』退治に頑張るぞ!
【勇気】を胸に、突撃してのパラドクスの剣撃!
叩き込んだ後はすかさず間合いを取り敵の動きを見るよ
【飛翔】や【エアライド】も駆使して動き、
行動を見切らせないように攪乱していくね
私に気を取らせたところで仲間の攻撃を誘う、
【グラップル】【怪力無双】で押さえたところに
パラドクスを打ち込んでもらうなど、臨機応変を心がけるね
相手からの反撃も痛いと思うけど
【オーラ操作】で厚くした障壁に自慢の腹筋で踏ん張る
仲間と連携しての攻撃を重ね消耗させて
トドメは【呼吸法】で力を溜めた全力の《光剣収束斬》だよ!
これで、どうだーっ!
シル・ウィンディア
…なんだk、ちょっとほのぼのしちゃったけど
でも、こんな厄介なものを外に出すわけにはいかないよねっ!
世界樹の翼をtype.Cにして
誘導弾を連射するけど…
光使いをオーラ操作で誘導弾に付与
簡易の照明弾として使って、目くらましを狙うよ
誘導弾が当たったら、吹き飛ばしで体勢崩しを狙うね
敵の攻撃は、エアライドの複数空中ジャンプに、飛翔も取り入れての空中戦機動で回避
低空飛行しかできなくても、速度は上がるからっ!!
被弾時は結界術を展開し、致命箇所を重点的に防御だね
防御しつつ、世界樹の翼をtype.Aに戻してから
全力魔法の六芒星精霊収束砲!
これなら…
多少装甲が厚くても…
全てを撃ち抜け、六芒星精霊収束砲!!
ノスリ・アスターゼイン
g01241/実
おや
本当に翼竜に進化した――と言う割には
随分硬そうな翼だね
あれじゃ羽搏けなくない?
なんて呑気に手で庇を作って眺めていたら
竜じゃなくて焔が飛んできたから
あっぶない!
ほら
こっちこっち
笑いつつひらりと躱す
挑発に乗ってくれたら重畳
エアライドや飛翔で
壁を蹴り
メカザウルスを足場に飛んで跳ねて
注意を惹き付けようか
隙を生じさせ
皆と連携を図って機を逃さず
攻撃を畳みかけよう
巻き起こす砂で消炎鎮火
機械の隙間から入り込む微粒子は
知らぬうちに動きの自由を奪うだろう
吹き付けようとした焔も
今度は欠伸みたいに、ふかりとしている
さぁ
そろそろ眠る時間じゃないの
どうぞお休み
砂嵐の布団に包まれて
卵に還る夢を見るといい
七森・実
g01118/ノスリくんと
想像以上に立派に育っちゃった
目を丸くして見上げる鋼鉄の恐竜
が……がおー!
こっそり取っておいてた卵チョコが
溶けないうちに終わらせるんだから
メカにも負けない心意気で奏でる曲は
鳥の化身の英雄の旋律
さあ、卵から今こそ孵って
宙を自由に羽搏いてみせて
炎の吐息が来たらどっきりするけど、
目は逸らさない、曲も止めない
きっと上手ではないけれど
今だけは、私も、彼の鳥のように飛んで
炎の切れ目が出来たらしめたもの
あの大きな口の中に英雄を飛び込ませて
中身の部品から壊してあげる
機械ってカバーの中は脆いものね
修理不能なスパークの向こう
機械の恐竜が見る夢はどんな風かしら
ポケットの中の卵に、そっとふれて
バチン、と火花の爆ぜる音がした。続いてもう一度、バチン――尻尾の先につながっていた二本のコードを断ち切られて、恐竜の背と腹を覆っていた青白い光が消えていく。やった、と拳を握り締めて、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は仲間達に呼び掛ける。
「コードが切れたよ!」
トループス級の制圧から特殊装甲の無効化まで、息の合った連携が実に頼もしい。散り散りになった兵士と科学者達はもう数えるほども残っておらず、邪魔が入る心配もないだろう。ようしと両手を打ち合わせて、アンゼリカは好戦的な笑みを浮かべた。
「いざ『恐竜』退治、頑張るぞ!」
「うん! こんな厄介なもの、外に出すわけにはいかないもんねっ!」
白い翼の輝く杖をくるくると手の中で回して、シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)も意気込む。気の抜けるやりとりにちょっとほのぼのさせられてしまったが、特殊装甲を無力化した今でも、この大きさの機械が街へ出て暴れ回ったら十分過ぎる脅威だ。長杖を両手で槍のように構えると、その先端で藍鉱石の花の蕾が膨らんでいく。
「行くよ! そーれっ」
ポポポと軽やかな音を伴い、弓へと変じた杖の先から精霊魔法の弾丸が飛び出した。不規則な軌道を描いて飛翔する光の玉は恐竜の腹や頭に命中するが、電源ケーブルから解放されたメカ恐竜は元気が有り余っているようで、どすどすと大きな脚を踏み鳴らしながら復讐者達へ向かってくる。
「がおおおおん!」
「が……がおー!」
轟く咆哮に壁や天井がびりびりと震えた。両手を怪獣(?)の形にして吠え返す七森・実(F・g01241)をまじまじと見て、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は普通に首を捻った。
「なんで張り合ったの?」
「えっ? あ――えっと、つい」
負けないぞって気持ちになって……? と、少女は頬を赤らめる。卵から孵った小さな蜥蜴が、随分とまあ大きく立派に進化したものだ。その身体は菓子とは違って、硬く融通が利きそうにないけれど。
「どれどれ、翼はあるのかな……!」
額の上に手で庇を作ってノスリが身を乗り出すと、瞬間、吠える恐竜の口の中で鮮烈な紅が輝いた。水平に伸びる火柱を寸でのところでかわして、ノスリはぱちりと瞳を瞬かせる。
「……あっぶな」
「んがおー!!」
尻尾を振って大きな身体を左右に揺する恐竜は『やってやったぜ』と喜んでいるようにも見えた。その姿は愛嬌があると言えなくもないが、そこは腐っても『秘密兵器』、内蔵された兵装の性能は決して悪くない。無敵の装甲を剥がされたとはいえ、油断は禁物だ。
「まあでも、ちょっとデカくてちょっと炎吐くオモチャみたいなもんだろ」
ちょっとデカくてちょっと炎吐く玩具が売っていたら、とりあえず裁判沙汰待ったなしだろう――という現実的な話はさておき、篝・ニイナ(篝火・g01085)は壁際へ距離を取り、恐竜を見上げた。
「間合いに気をつけて一気に畳めば、こんなの――ラルムクン?」
「…………え?」
ややあって、呆けた声が返った。ぎこちなく此方を振り返ったラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)の表情にすべてを悟って、ニイナはなんとも言えない表情を浮かべる。
「……今、あれちょっとカッコいいとか思ってたでしょ」
「思ってないよ」
「いや、だって今絶対」
「興味ないってば。恐竜グミとかあるのかなとか、思ってないってば!」
訊いてない。誰もそこまで訊いてない。
はあ、と二本の指を眉間に添えて鬼人は吐息した。お菓子工場の地下に潜む秘密兵器のメカ恐竜、なんて夢と浪漫の宝箱に『お子ちゃま』のラルムが喜ばないわけがない。ぷいと背けた橄欖石の瞳がキラッキラに輝いていることを、多分、本人は知らないのだろうけれど。
花焔を零す妖刀を引き抜いて、やれやれとニイナは言った。
「まあ、それでも放っておくわけにはいかないんでね。悪いけど、その夢、壊させてもらうよ」
「興味ないって言ってるのに!」
全く聞く耳を持たない相棒にぷうっと頬を膨らせて、ラルムは白磁の琴に指を掛けた。でっかい図体でどたんばたんと跳ねる恐竜をきっと睨みつけ、少年は子ども扱いされたことへの――仄かな(逆)恨みを込めて、告げる。
「君に食べられるのは御免だよ」
弦を撫でる指に導かれ、生まれ出ずるは赤いグミベアほどには甘くも柔くもない氷柱の群れ。代わりにどうぞと囁けば、凍てつく槍が恐竜を囲むように床へと突き刺さっていく。そこへ、アンゼリカが飛び込んだ。
「これで、どうだーっ!」
暗がりに金の髪を靡かせて、勇猛果敢に進む姿は獅子の如く。空気の階段を駆け上がり、天井近くまで跳躍するや少女はその手に光を握り締める。身の丈ほどにも膨れ上がった光の剣を渾身の力で振り下ろすと、恐竜がギャオンッと悲鳴を上げた。その声は恐竜というよりも、どちらかというと犬っぽい。
どうやらまあまあ痛かったらしく、怒った恐竜は背中の砲を二門、真っ直ぐにアンゼリカへと向けると、間髪を入れず鉛玉を吐き出した。全身に纏う魔力障壁を腹へ集めて砲弾を弾きつつ、少女はまだまだ健在の恐竜に嘆息する。
「かったいなぁー」
「装甲がなくても、やっぱり一応は秘密兵器なんだね」
はー、と半ば感心したように声を上げて、シルが応じた。大きさの割には機動力も悪くないし、火炎放射の威力も、磨き上げられた爪の鋭さも、兵器として一線級なのは間違いないのだろう。ちょっと頭が弱くても、強いものは強い。そして、だからこそ厄介なのだ。
「だったらこっちも、本気で行くよ!」
噴きつける炎を辛くも躍んでかわしながら、シルは白い杖を握り締めた。その先端で咲む花は、その中に十分な魔力が蓄積されたことを示している。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ」
風よ、大地よ、光と闇よ。この星を象る六の元素に呼び掛けて、シルは全身の魔力を杖の先へ集めていく。多少装甲が分厚い程度では、この一撃は防げない。
「すべてを撃ち抜け――六芒星精霊収束砲!!」
放たれた六色の魔力は空中で絡み合い、一つの光の束となって恐竜の腹へ突き刺さる。カッと眩い閃光が弾け、怒声のような、悲鳴のような吠え声が暗い天井に木霊する。
やったか、と消えゆく光の中心へ誰もが目をやって――そしてごくりと息を呑んだ。
「がお」
ぷすぷすと白い煙を上げながら、恐竜はまだそこに立っていた。がくっと肩を落としてつんのめり、シルは涙目で抗議の声を上げる。
「効いてないの!? はずかしい! だいぶはずかしい!」
「いや、ちゃんと効いてるよ! 大丈夫だよ!」
ただ頑丈過ぎるんだよ、とアンゼリカがフォローする通り、恐竜の腹からはシルの魔法が当たった部分の装甲が見事に剥がれ落ち、内部機構が露出している。本当に頑丈だなと舌を巻く思いで、ノスリは再び動き出した恐竜に向けて口笛を鳴らした。
「ほら、こっちこっち」
「がお!」
赤い炎の一筋が、暗がりを裂いて天井照明のガラスを叩き割る。そっちじゃないよとからかう声は止めぬまま、床を蹴り、壁を蹴り、時には恐竜の背中を踏んで猛禽は地下を飛び回る。
右を見て、左を見て、また右を見て――繰り返すうちに段々追いつかなくなってきたらしく、恐竜の目がぐるぐる回り出す。へろん、と天井に向けて吐かれた欠伸のような炎を砂の嵐で掻き消して、ノスリは言った。
「今だ」
吹き荒ぶ砂は恐竜の手足に絡みつき、節目節目に入り込んでその自由を奪っていく。送られた視線にこくりと素早く頷いて、実はきっと眉を吊り上げた。ポケットの中には、銀紙に包まれた小さな卵型のチョコレートがひっそりと忍ばせてある。
(「このチョコが溶けないうちに終わらせるんだから」)
とんでもドイツのとんでもメカなんかに、負けたりしない。決意と共に握る弓で、奏でるヴァイオリンは英雄の旋律――卵から孵った焼き菓子の小鳥が空を羽搏く姿を想いながら、娘は音を紡ぎ続ける。
ちりちりと膚を焦がすような炎の熱に心臓は弾んでも、目は逸らさない、怯まない。拙くても、不格好でも、空を翔ける自由な『鳥』をどこまでも追いかけて行きたいから。
(「……見えた!」)
火柱が途切れ、恐竜が口を閉じるまでのわずかな時間が反撃の好機だ。勇壮なメロディに乗せて踊る英雄達の幻影を開いた大口へ飛び込ませると、恐竜が『アガガ』だの、『オゴゴ』だのと奇妙な声を上げて苦しみ出す。確かな手応えに微かな安堵を覚えて、実は小さく息をついた。
(「機械って、カバーの中は脆いものね」)
身体の中に入り込んだものが不快なのだろう。ゲホゴホとえずいては右も左もなく炎を吐き散らし、恐竜はがむしゃらに暴れ回る。その姿は少しだけ哀れにも見えて、しかしラルムはゆるりと首を振った。あれはあくまでクロノヴェーダ。たとえ数ある犠牲者の一人なのだとしても、ここで葬らなければならない存在なのだ――それに。
(「君の炎の息より、ニイナの焔の方がずっと、華やかで凄いんだからね!」)
「ラルムクン、今なに考えてる?」
何か妙なところで張り合ってない? と尋ねる声の勘が良すぎて、ラルムはぎくりと肩を跳ね上げた。別に何もと応じると、ほんとかなあと訝る鬼人には全く敵う気がしない。
まあいいやと笑って、ニイナは熱帯ぶ妖刀の刃を返した。戦いの終わりが近いことを本能的に察して、ラルムは前に立つ青年を支えるべく、竪琴の弦に指を添える。
「さあ――砂糖菓子より甘い夢へ、案内してあげる」
掻き慣らす琴の音と伸びやかな唄声に連れられて、咲き誇る氷花が恐竜の足元を固めていく。空気さえも凍てつかせるその冷気は戦の熱に火照った頬には心地よく、ニイナはにっと口角を上げ跳躍する。
「恐竜クンにはちいと冷た過ぎるかもな」
だから、今際の際に見る夢が、冷たいだけのものにはならぬよう。奔る刃の灼熱は暗がりに揺らめく蜃気楼を生み、機械仕掛けの恐竜を焔の花に包んでいく。
「氷の中で永遠に眠るのが恐竜の運命でも、お菓子の夢ぐらい見たっていいさ」
「がお……」
とろんとし始めた恐竜の目が、ゆっくりと閉じていく。光が落ち、絶えず動いていた尻尾が動きを止めて、全身が静かに硬直していく。怖じることなくその眼前に歩み寄って、ノスリはそっと、冷えゆく恐竜の横顔に触れた。
「さぁ、そろそろ眠る時間じゃないの」
どうぞお休み、と囁いた優しい声は、眠りに落ちる彼の耳に届いたろうか。尻尾の先からぱちんと小さな火花を上げて、恐竜は完全に停止した。そろそろと男の隣へ歩み寄って、実はおっかなびっくり、蜥蜴の顔を覗き込む。
「機械仕掛けの恐竜は、どんな夢を見るのかしら」
「さあ。卵に還る夢でも見るんじゃない?」
そう言ってノスリはもう一度、機械の冷たい鼻先を撫でた。
安全で温かい殻の中、微睡む優しい夢を見て目が覚めたら、きっと世界は元通りになっているはず。
帰ろうかと呼び掛ける声に応じて、復讐者達は武器を下ろした。戦いを終えて、何も知らないお菓子の国は夜のしじまの中――その地下には今も、物言わぬ恐竜が眠っている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】がLV5になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【クリーニング】がLV2になった!
【土壌改良】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダブル】がLV5になった!
【ガードアップ】がLV8になった!
【リザレクション】LV1が発生!
【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!