リプレイ
月下部・小雪
ニンゲンさんの痕跡を探して、ちょ、調査開始です!
キングゴンドワナさんも食べちゃったと言ってたので、人型の何かがいたはず、です。
けど、食べちゃった頃の巨獣さんはあまり賢くないので見間違えてた、という可能性はありそうですね。
ま、まずは一つ一つ洞窟を調べていきましょう。コダマもお手伝い、よろしくお願いします。
真っ暗でも周りをよく確認できるように【完全視界】を持ち込んでおきます。
もしニンゲンさんがいたとして、ゴンドワナの動物はとっても大きいので狩って食糧にするのは難しそう、です。
それなら食べていたご飯は果物とか植物中心になる、でしょうか?
食べれそうな木の実が生えている植物の近くの洞窟なんかを中心に潜って、いきましょう。
けど、過去にいたのが人型のクロノヴェーダだったらご飯は必要ない、ですね。
リグ・ヴェーダに滅ぼされたらしい仙人さんとか、お話の中だと霞を食べて生活できたらしいのでご飯もいらなそう、です。
イシュア・アルミゴス
300mのやつが、認識してるニンゲンねえ。キングゴンドワナがアレだと
何もかも疑わしくなっちゃうんだよね。ここはUMAを探す心持ちで行ってみよう。
何しろ人類誕生前だからね。巨獣由来か他ディビジョン次第で大分変わるよ、これ。
恐竜人間かはたまたまだ見ぬクロノヴェーダか。超たのしみ。
さて今回は範囲が広いからね。パラドクス通信で連携を取りながら
少しでも効率よく洞窟を探して行こうか。って、言ってもなあ。
ニンゲンも外に出て見つかったら大変だろうから住んでるとしたら奥も奥かな?
こりゃ骨が折れるぞ。地下って可能性もあるし壁や床を槍で突きながら
洞窟をしっかり確認しながら探索を進めていこう。
他ディビジョンを滅ぼした時の漂着した人間かクロノヴェーダだとしたら
ゴンドワナより太古ってことは無いだろうし何かしらの人工物は使ってたとは
思うんだよねえ。洞窟の壁面に人工的な傷跡が無いかも確認してみるか。
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
併合されたディヴィジョンか流れ着いた存在かは判らないけどゴンドワナの地にも人間の類が居たのは
キングゴンドワナの発言だけではなく獣神王朝エジプトのジェネラル級が語ってたから間違いないんだよね。
まぁ、大怪獣が闊歩する様なところだから探すのも大変なんだろうけどさ。
巨獣達から隠れて過ごして居たのだとすると洞窟住まいか地下都市が考えられるね。
そこで普通とはちょっと離れたカテゴリーの人類種であっても生きていく上で欠かせないものが水源。
川か湖の近くで巨獣が中に入れないサイズの洞窟とかに住んでいたんじゃないかなと思うんだ。
他にも生活していたならば火を使うことで天井とかに煤が付く筈だから
そう言った点も踏まえて条件に当てはまる洞窟を調査していこう。
いずれにしても巨獣と遭遇する可能性も高い筈だから
迷彩柄の服に身を包み大きな音を立てない様に注意し【パラドクス通信】で仲間達と協力し合って調査を進めよう。
後は役に立つか不明だけど【悲劇感知】を
もしかしたらピンチになってる現地人と出くわすかもね。
「いざ、ニンゲンさんの痕跡を探して、ちょ、調査開始です!」
巨獣大陸ゴンドワナ・カリバ峡谷。バックパックを背負った月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)が巨大樹の森をびしりと指差すと、肩の上のモーラットがそれを真似て小さな手を振り上げる。
ビルほどもあろうかという巨獣たちがひしめく世界に、今日、彼女たちが訪れた目的はただ一つ。いつかここに居たかもしれない、あるいは居るのかもしれない『ニンゲン』の痕跡を探すことだ。
「300メートルのやつが認識してる『ニンゲン』ねえ……」
訝るように首を傾げて、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)が口を開いた。原生林を見渡す琥珀の瞳には、半分の好奇心と半分の懐疑心が同居している。
「キングゴンドワナがアレだと、何もかも疑わしくなっちゃうんだよね」
東京タワーと同じくらいの大きさの生き物が、あちらからすればミジンコも同然の人間を正しく認識しているのかどうか、言ってしまえばそれすらも怪しい。でも、と口を挟んだのは、迷彩服に身を包んだイロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)である。
「併合されたディヴィジョンから流れ着いた存在かどうかは判らないけど、ゴンドワナにも人間の類が居たことは、キングゴンドワナだけじゃなく獣神王朝エジプトのジェネラル級も語ってたんだよね」
人々は皆、踏みつぶされ、食い散らかされているようだ――。
かつてエジプトで復讐者たちと相対した『大いなるトート』はそう語っていた。その言葉を手繰りながら、娘はふうむと首を捻る。
「……『ようだ』、か。語り口からして、トートも不確定情報を語っていたんだろうけど……」
「キングゴンドワナさんも『食べちゃった』と言ってましたし、人型の何かがいたことは、いたんじゃないでしょうか。けど、食べちゃった頃の巨獣さんは今みたいに賢くなかったでしょうし、見間違えてた……という可能性もありそうですね」
うんうんと頷きながら、小雪も自身の見解を述べる。何はともあれ、行動開始――右手の槍の先を湿った地面に突き立てて、イシュアは言った。
「ここはUMAを探すくらいの心持ちで行ってみよう。何しろ人類誕生前だからね」
可能性としては大きく二つ。『ニンゲン』とやらが巨獣などのこのディヴィジョンに由来するものなのか、それとも他の改竄世界史に関係するものなのか。それ次第で、結果は大きく変わってくるだろう。
「恐竜人間か、はたまたまだ見ぬクロノヴェーダか……今の段階じゃなんとも言えないけど、どう転んでも超たのしみ」
存在すらも不確かな『ニンゲン』を巡る探索行は、有体に言えば『太古の浪漫を求めて』と言ったところだろうか。ようしと胸の前で両手を握り締めて、小雪は意気込んだ。
「ま、まずは一つ一つ洞窟を調べていきましょう。コダマもお手伝い、よろしくお願いしますね!」
「もきゅ!」
任せろ、というようにキリリと眉を吊り上げるモーラットの敬礼が頼もしい。その様子を横目にくすりと笑んで、イシュアが言った。
「今回は範囲が広いからね。パラドクス通信で連携を取りながら、少しでも効率よく洞窟を探して行こう」
「そうだね。それにある程度、見当をつけて掛かった方がいいと思う」
そう言って、イロハは周囲一帯に目を配る。広大なカリバ峡谷のすべてを虱潰しに調べることは現実的には難しい。しかも少人数で迅速に、となれば、ある程度的を絞った調査が必要になるだろう。例えば、と思案してイロハは続けた。
「巨獣たちから隠れて過ごしていたのだとすると、洞窟住まいか地下都市が考えられるね」
「『ニンゲン』も、外に出て巨獣たちに見つかったら大変だろうからね。住んでるとしたら奥も奥かな?」
だとしたら骨が折れるぞ、と、辟易したような言葉とは裏腹にイシュアは笑う。パラドクス通信の届かない範囲にまで散らばらないようにと確認し合って、復讐者たちは行動を開始した。
●SITE 1:月下部・小雪&コダマ
「もしニンゲンさんがいたとして……」
森の底に口を開いた洞窟の入り口からひょこりと中を覗き込んで、小雪は言った。
「ゴンドワナの動物はとっても大きいですし、狩って食糧にするのは難しそう、です。となると……」
小雪が目を付けたのは、森だ。正確にはそこで実る果物など、植物由来の食糧だ。巨獣でなくとも巨大な古生代の動物たちを狩ることなく人々が命をつなぐとしたら、食事の多くは植物に頼るしかないだろう。辺りの木々に生っている実らしきものが実際に食べられるのかどうかは定かでないが、ひとまずその周辺に狙いを定めて、少女は洞窟の中に分け入っていく。闇の力を宿したモーラット・コミュ『ダーク』に進化したコダマの力もあって、暗闇を進むのに然したる苦はない。
「けど、過去にいたのが人型のクロノヴェーダだったら、ご飯は必要ない、ですね……?」
かつて大戦乱群蟲三国志の南に存在し、リグ・ヴェーダによって滅ぼされたという改竄世界史には、仙人たちが住んでいたという。そんなことを思い起こしながら、少女は右肩のモーラットへ話し掛ける。
「お話の中だと、仙人さんは霞を食べて生活できたそうです。それだときっと、ご飯もいらない、ですね」
キングゴンドワナのいう『ニンゲン』が何者なのかは、未だ不明だ。今はただ手がかりを求めて、一にも二にも足を動かすばかりである。
●SITE 2:イシュア・アルミゴス
「さあて、ここはどうかな?」
山肌に口を開いた洞窟の暗い天井をぐるりと仰いで、イシュアは目を細めた。目につく洞窟へ分け入っては戻りを繰り返すこと、既に何か所を回っただろう。数をこなすのが目的ではあるものの、そろそろ当たりの一つも欲しいところだ。
(「巨獣に見つからないように、って考えると、地下って可能性も……?」)
試しに洞窟の側壁を手にした槍で突いてみる。だが手応えからして、壁の向こう側には土と岩がみっしりと詰まっているようで、空間らしきものがあるようには思えない。分岐のない洞窟の一番奥までやってきて、青年はその場に足を止めた。地面、壁面、天井――土をなぞるようにひと通り見渡してみても、目立った痕跡のようなものは見当たらない。
(「文字とか、壁画とか……人間がいれば、壁には何かしら痕跡が残りそうだけど……」)
もし、キングゴンドワナのいう『ニンゲン』が他の改竄世界史を滅ぼした際に漂着した人間か、クロノヴェーダだとしたら、それがこのゴンドワナよりも古い時代ということはないだろう。そしてそうであるならば、日々の暮らしの中で何かしらの人工物を使っていたはずであり、その痕跡が洞窟の中に残っていてもおかしくない。
「……でも、ここにはないか」
少なくともこの洞窟には、誰かが暮らしていた形跡はない。さあ次と気持ちを切り替えて、イシュアは再び洞窟の入り口を目指して歩き出した。
●SITE 3:イロハ・アプリルシェルツ
(「大怪獣が闊歩するようなところで、人探しっていうのも大変だけど……」)
住むのはきっとそれ以上に大変だろうな。
そんなことを何とはなしに考えながら、イロハはがさがさと巨大植物の茂みを掻き分けていく。お化けのようなシダの葉を持ち上げて顔を出した先は地面が緩やかに窪んでおり、森の底に点々と小さな沼地を作っていた。
(「普通とはちょっと離れたカテゴリーの人類種でも、生きていく上で水は必要なはず……」)
水は人間の生命線だ。この地に暮らす『ニンゲン』がいたとして、わざわざ巨獣の脅威を掻い潜りながら遠くまで水を調達しに行ったとは考えづらい――となると。
(「川や湖、あるいは湧き水」)
そうした何らかの水源に近く、かつ巨獣が中に入れない大きさの洞窟に、『ニンゲン』しか用い得ない何かの痕跡があれば。
いや、と緩く首を振って、娘は眉を寄せた。
(「トートはディアボロスの問い掛けに誠実に答えたのかもしれない。けど、実際は単なる推測だった可能性も……」)
巨獣が獣神王朝エジプトに侵入してきた時の振る舞いから、ゴンドワナの内情を推測しただけ、ということも大いにあり得る。仮にそうだとしたら、ますます以て『ニンゲン』の実在が怪しく思われてくるところだが。
「……うん?」
さらさらと、水の流れる微かな音が聞こえてくる。耳を澄ませて音を辿ると、そこには小さな泉があった。そして、その奥――折り重なるように倒れた木々の向こう側に、暗い窪みが口を開けている。
(「あんなところにも洞窟が……倒木で埋もれかかってるけど…………?」)
瞬間、奇妙な違和感が胸を掠めた。
違う。
あれはただの倒木ではない。
自然に折れただけの木は、あんな風に不自然に積み重なったりしない。
まさか、と息を呑んだその時――。
「!!」
遠く、ドスドスと地の底から震えるような足音が聞こえてくる。はっと背後の森を振り返って、イロハは素早く耳元の通信機へ呼び掛けた。
「みんな、聞こえるかな。見てもらいたいものがあるんだ――あと、その前に」
邪魔者退治が必要みたい。
そう言って、娘は森の奥に目を凝らす。巨大な樹々の向こうには、迫りくる巨獣たちの紫紺の鱗が覗いている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【完全視界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
クィト・メリトモナカアイス
救援機動力でイロハに合流。
ほむん。あれは……木で洞窟を隠してる?
ちてきせいめいたいの雰囲気がする。
んむ。あっちは気になるけどまずはこっち。
モナカ砲撃型を呼び出して「砲撃のアビシニアン」。火炎ミサイルと氷結ミサイルでベノムラプトルを狙う。
なんだっけ、爬虫類は温度変化に弱い……巨獣なのでそんなことはないかな?それもそう。
温度変化が弱点ではなくとも、それはそれとして凍らせたり燃やしたりすれば倒せる。
大きい敵にさらに囲まれぬように、2体攻撃で少数ずつを相手取り、【ダメージアップ】を重ねて確実に撃破して行こう。
反撃の毒液はミサイルをぶつけて相殺し、襲い掛かってきてのかみちぎりは黄金猫拳打棒でガード。
これだけ大きさが違うと、かみちぎられるとかそんな話じゃないぞ……丸飲みにされそう。我は強いのでされないけど。
んむ、大いなるトートとかいうやつの名誉のため。
汝らはしばき倒してお帰りねがう。
●遭遇
視界左右をぐんぐんと、深い緑に覆われた原生林の風景が飛び去っていく。遠く木々の向こう側に仲間たちと、奇妙な洞窟の入口を見つめて、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は一段スピードを上げる。遠目に詳細は確認できないが、小さな洞窟の入り口の前には丸太のようなものが重ねられているように見えた。通信機越しに伝えられた『見てもらいたいもの』とは、十中八九あれのことだろう。
「ほむん。あれは……木で洞窟を隠してる? ……ちてきせいめいたいの雰囲気がする」
それが実際に何で、どんな状態であるのかは、もう少し近づいてみないことには分からない。だがどうやらその前に、やるべきことがあるらしい。
「んむ。あっちは気になるけどまずはこっち」
巨大な蜥蜴たちの咆哮が、その背を遥かに上回って聳え立つ樹々の梢を震わせる。湿った土を爪先で削ってブレーキを掛け、クィトはくるりと反転した。猫の肉球を象った黄金の長杖をひと振り呼び出すのは、これまた金色の猫型ガジェットだ。
「『モナカ』砲撃型、ミサイル撃てー」
号令に応じて猫の口から飛び出したのは、一対のミサイル。森を縫うように駆け抜けるそれは、青紫に耀く鱗の精悍なベノムラプトルたちの足下に着弾し、炎と冷気を撒き散らす。
「なんだっけ、爬虫類は温度変化に弱い……巨獣なのでそんなことはないかな?」
それもそう、と自己完結して、クィトは反撃に備え杖を構える。空気に触れて絶えずシュウシュウと揮発するベノムラプトルの体液は、その名に違わぬ強酸性の毒だ。触れれば皮膚の灼ける感触に眉を寄せながら、娘はそのまま敵を引きつけ、黄金の杖をつっかい棒のようにして蜥蜴の大顎を固定する。
(「これだけ大きさが違うと、かみちぎられるとかそんな話じゃないぞ」)
一歩間違えば丸飲みにされてもおかしくないほどの体格差だが、そこはそれ、そんなへまをするクィトではない。閉じようとする顎の力でみしみしと骨が軋んだが、構うことなく娘は言った。
「大いなるトートとかいうやつの名誉のため。汝らはしばき倒して、お帰りねがう」
告げる言葉に応えるように、黄金猫の目が光った。弾ける閃光と共に再び叩き込んだミサイルは蜥蜴の口腔内で炸裂し、ギャアッと鼓膜が破れそうなほどの絶叫が森の中に響き渡る。下顎を蹴って離脱したクィトは、蜥蜴たちがぞろぞろと逃げていくのを見送って、杖を地面に突き立てた。
「とりあえずは、これでよし」
とはいえ、ここは巨獣たちの棲み処の真っ只中。またすぐに別のグループが近付いてこないとも限らない。
「今のうちにさくっと、調べてみよう」
洞窟の入り口を塞ぐ『倒木』の正体を調べるのは、今しかない。居合わせた他の仲間たちとも合流しつつ、クィトは洞窟の入口へ急ぐ。しかしてそこで、復讐者たちが目にしたものは――。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
●奇妙な洞窟
「これは……」
森の中の湧き水に程近い崖下に、その洞窟は口を開けていた。入り口を覆って折り重なるように積まれた――積まれていた、と言うべきかもしれない――樹々を前に、復讐者たちは息を呑む。
「……切り口が真っ直ぐだね。誰かが木を切って、積み上げたのは間違いない」
だが。
語尾を濁した誰かの言葉に顔を見合わせて、復讐者たちは沈黙する。
積み上げられた丸太は、あるべき姿を保っているわけではないようだった。何しろ洞窟の入り口が見えてしまうほどには崩れているし、下の方にあるものほど湿気って朽ちかけている。
「バリケードを作ったのに、壊されたんだ。もし巨獣の仕業だとしたら、その狙いは……」
……『ニンゲン』?
暗い洞窟の内部は、外から見通すことはできそうにない。果たしてその中に、何が待ち受けているのか――今はまだ、誰も知らない。
イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎
当たりか大当たりかは判らないけど有力な手掛かりを一つ発見だね。
さてどの程度の期間か判らないけど、ニンゲンがこの洞窟の中で暮らして居たならば使って居た可能性が高いのが火だね。
洞窟内部での光源としてもそうだし、暖房としてだったり調理する為にも使うからね。
漂流してきたディアボロスであっても、最終人類史みたいに電灯やカセットコンロの補給は見込め無いだろうから必然的に焚き火や松明の類いを使って居たはず。
其ならば洞窟の天井には煤が付着して居ると思われるから、その辺も参考にしながら【完全視界】を発動させて【パラドクス通信】で連絡を取り上げながら探そう。
煤が見当たらない場合は足跡を参考に探そうかな、靴若しくは裸足なら他の動物とは異なるだろうしね。
調査中は道具や遺骸などの痕跡だけでなく生き延びたニンゲンと不意に出くわすことも想定しておき
そんな時は【友達催眠】を真っ先に使い、此方に敵意は無いことをアピールし友好的な第一印象になる様に接触しようか。ディアボロスならある意味話が早いけど。
「さて……これは有力な手掛かりを一つ発見だね」
当たりか大当たりかは判らないけど、と付け加えて、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は暗い洞窟の中を覗き込む。入り口は広く、先を見通せないことからして決して浅くはなさそうだ。同行する仲間たちと視線で頷き合って、娘は一歩ずつ確かめるように洞窟の中へと分け入っていく。
「……これは……」
土臭く湿った洞窟の中は、入り口同様に奇妙な様相を呈していた。壁はところどころ崩れて石や岩が散乱し、何者かによる――といっても、この世界ではほぼ間違いなく巨獣の仕業なのだろうが――破壊行為があったことを想起させる。一方で地面は人が一人か二人並んで通れるほどの幅である程度平らに均されており、これは周辺の地形と比べて不自然だ。巨獣とは異なる『誰か』が、何らかの意図を以てこの洞窟に手を加えたのだろう。
「地面を均した? 歩きやすくするために? ……でも」
そう言って、イロハは息を詰めた。ひとたび口を噤んでしまえば耳が痛くなるほどの静寂に沈む洞窟の内部には、生き物の気配が感じられない。生き延びた『ニンゲン』がもし中にいるなら、不意に出くわすことも想定はしていたのだが。
結論を出すのは後回しにして、イロハは言った。
「……もしここに人が住んでいたなら、使っていた可能性が高いのが火だね」
光の入らない洞窟内では光源が必要であっただろうし、暖房としても、調理のためにも、人間の生活には火が欠かせない。たとえより未来の時間軸から漂着したディアボロスが電灯やカセットコンロなどの文明の利器をたまたま持ち合わせていたとしても、この改竄世界史での補給はまず不可能だろう。だとすれば、必然的に焚き火や松明などの原始的な火を使うしかなかったはずだ。
「それならきっと、どこかに……!」
残留効果の影響もあって、洞窟内の視界は悪くない。周囲の土壁をなぞるように見つめて、イロハははっと金の瞳を見開いた。
「……やっぱり、煤だ」
壁の中の一際黒い部分に手を伸ばし、表面を拭うと、指先に真っ黒な煤がついてくる。火の痕跡があるとなると、やはり人間、ないし同等の知的レベルを持った種族がこの洞窟を拠点にしていたことは間違いない。しかし影も形も見えないところを見ると、やはり巨獣に殺されてしまったのだろうか? 体の一部が細長い巨獣であれば、洞窟の内側を攻撃できたかもしれない。仮にそうだとすれば、この洞窟の中で、『ニンゲン』が抵抗したとも考えられるが――。
「……うん?」
確かめるように土壁をなぞって、ふと、指先の違和感に気づく。視線を下げれば触れた指のその先に、小さな穴が穿たれていた。
「これは……?」
よく見れば壁の一部、いや、そこかしこにある小さな穴は、何を意味しているのだろうか?
真相に近付くためには、ここで起きたことについてもう少し詳しく調べてみる必要がありそうだ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
※補足※
壁の穴の大きさは、小指の爪の先ほどの小さなものです。
逆叉・オルカ
……穴を見ると突いてみたくなるな。子供っぽいから慎むが。
それにしても、どうして穴が…?
何か理由があるはずだ。なぜ穴が空いているのか調べよう。
周囲には暮らしの跡があるのに、人影がないことも気になるしな。骸もないとなると……穴と関係あるのだろうか?
穴の奥に何があるか知りたいので、聞き耳をたててみよう。何か聞こえないかな?
壁の奥に空間があるなら風の音が聞こえるだろうし、中に小さな生き物がいれば動く音もするだろう。
仮に、人が住めるほど広い空間を壁の奥に隠しているとしたら空気孔が必要となるから、その穴かな?
洞窟暮らしと聞くとドワーフみたいなイメージ…いや、今は予想するのは後回し。
音がしたら、何の音か知りたい。声なら話しかけてみる。自分の名を告げ相手の無事を確認。
もしかしたら銃痕の様な戦闘の痕の可能性もあるから、調査は落ち着いて行う。
とにかく【操作会得】や持ち込んだ懐中電灯で照らしたり、何の用途で開けられた穴か調べてみよう。
それがわかれば、ここにいたニンゲンの身に何が起きたのか、わかってくるはずだ。
「……穴を見ると突いてみたくなるな」
土壁の小さな穴を見つめて、逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)は呟いた。小指の爪の先ほどの小さな穴は、よく見れば壁だけではなく天井にまで及んでいる箇所もある。これが自然にできた穴とは考えにくい。
誰かがこの穴を穿ったのであれば、その理由は何か。意図的に開けた穴なのか、あるいは何らかの行動の結果開いた穴なのか。もう少し調べてみないことには、現状ではなんとも言えるまい。
(「周囲には暮らしの跡があるのに、人影がないことも気になるしな……骸もないとなると……」)
この穴の向こうに何かがある?
首を捻りつつ、オルカは壁に右耳を押し当てる。しかし冷たい土のヒヤリとした感覚が返ってくるだけで、これといった音や声は聞こえなかった。
「……何も聞こえないな」
壁の奥に空間があるなら風の音が聞こえるだろうし、中に小さな生き物がいれば動く気配があるかもしれない。だがそうした反応は、今のところ皆無だった。試しに壁を叩いてみたりもしたが、音といい手応えといい、そこにはみっしりと土が詰まっているだけのように思われる。
「人が住めるほどの空間を奥に隠しているなら空気孔という可能性も……いや」
この小ささではそれも考えにくい、と思い直す。物は試しと壁に向かって呼び掛けてみたりもしたが、やはりこれといった反応は得られなかった。
「そもそも、この穴はどこまで続いているんだ? ……!」
子どもじみた真似とは思いつつも、穴に指を突っ込んでみる。すると、指先は驚くほどあっさりと穴の奥に突き当たった。すぐさま荷物の中から懐中電灯を取り出して、オルカは穴の中を照らしてみる。
「……? 中で何か……」
何かが、きらりと光ったような気がした。懐中電灯を反対の手に持ち替えて、オルカは穴の入り口を指で掘って広げていく。周囲を崩しながら掘り進めていくと、その指先が何かを掴んだ。そうして土の中から摘まみだしたのは、人の小指ほどの長細い金属塊だった。
「これは……!」
付着した土を払い落とし、眼鏡の前に掲げてみて、オルカは蒼海の瞳を見開いた。
「銃弾だ。しかもパラドクスによるものじゃない、本物の弾丸だぞ……!」
同行する復讐者たちの間に、ざわめきが広がっていく。そこから推測できるのは、この洞窟を拠点に活動していたのが銃を使える時代の『ニンゲン』であったということだ。
「戦闘の痕の可能性もあるとは思ったが……まさか、ここへきて本物の銃弾とは」
他の時代から漂着した、銃を扱う『ニンゲン』がこの洞窟にいた。それはほぼ間違いないと考えていいだろう。だが、死体は残されていない。死体が残らないクロノヴェーダであったのか、あるいは彼らを襲った巨獣が、死体も残さずに喰らってしまったのか。生き残った人間が仲間を埋葬して脱出した、という可能性もないとは言えないが、銃痕周りの土の風化や周辺の様子からして、昨日今日ここで戦闘が起きたというわけではなさそうだ。
「……もし、ここに人間が住んでいたなら、居住区がここだけとは考えにくいな」
洞窟は、まだ奥へ続いている。だが、その時――。
ズン、という地響きが復讐者たちの足下で響いた。
「これは、また近付いてきたな……?」
大地を揺るがし歩く者は、この世界で巨獣をおいて他にはない。万が一にも探索の途中で洞窟が崩れてしまわぬよう、早めに追い払った方がよさそうだ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
一里塚・燐寧
銃弾、それも球状じゃなくて細長いってことはミニエー銃より後の時代、19世紀以降……?
エルドラード絡みの線は薄くなったけど、なおさら何か分からなくて困るよぉ
……んー。とりま今は巨獣を追い払うとこからだねぇ
他の奴に気付かれないようになるべく静かに戦える技を使おう
【平穏結界】を纏って洞窟入口に近づき、まず外に出る前に巨獣との距離を確認
既に視界内にいれば入口から出ずに身を隠し、まだ居ないなら茂みや木陰に滑り込んで待ち伏せを
いずれにせよ先手必勝、気付かれる前に奇襲攻撃を仕掛けちゃおう
『呪式:怨雲禍含』を発動し、敵の周囲に密かに怨念の霧を発生
自分の能力で作る毒煙や毒液とは何か違う?と気付いた時にはもう遅いよぉ
【命中アップ】で確実に体内に霧を送り込み、臓器と肉を破壊しよう
んふふ。おんなじ分野で張り合われると思ってなかったっしょ?
攻撃時に洞窟入口に隠れてた場合は、気付かれた時点で飛び出して注意を引き付け、洞窟が壊されないように
反撃の毒液と噛みつきは≪テンペスト・レイザー≫の分厚い刀身を盾代わりに防ぐよぉ
繰り返す小さな地震のように、ズシン、ズシンと重たげな足音が近づいてくる。外から見えにくいよう土の壁に張りつきながら、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はそろそろと洞窟の入り口付近へ引き返しつつあった。だが今しがた見つかった壁の中の銃弾が頭から離れてくれないのは、無理からぬことであろう――何しろ、そこには謎が多すぎる。
(「銃弾、それも球状じゃなくて細長いってことは、少なくともミニエー銃より後の時代、つまり19世紀以降……?」)
銃弾、と聞いた時にまず疑ったのが、隣接するディヴィジョンであり地理的にも近い黄金海賊船エルドラードとの関連であったが、エルドラードの時代の銃弾といえばいわゆる『鉛玉』だ。壁から出てきた銃弾とは形が合わない。しかしエルドラード絡みではないとすると、ますます以てその銃弾をもたらした者がどこの誰なのかは見当もつかなかった。
んー、と唸って眉間の皴を揉み、少女は自分に言い聞かせるように口を開く。
「……とりま今は巨獣を追い払うとこからだねぇ」
万が一ここで巨獣の攻撃を受けようものなら、重要な痕跡ごと洞窟を破壊されてしまいかねない。落ち着いて調査を進めるためにも、招かれざる客にはお帰り願うより他にないだろう。
ちらりと顔の半分だけを岩陰から覗かせて外の様子を窺うと、巨大な樹々が林立する森の陰に青紫の鱗の輝きが見て取れた。ここは先手必勝――何事もやられる前にやれ、である。
わずかな敵意を察知したのか、あるいは人の匂いに気づいたのか。森の奥のベノムラプトルが、きょろきょろと周囲を見回し、鼻先をひくつかせるのが見えた。洞窟の存在に気づかれては厄介と、燐寧は入り口から外へ飛び出して巨樹の陰に身を潜める。音もなく周囲を浸していくのは、薄紫色の霧。呪詛に満ちた怨念をはらむ、パラドクスの霧だ。
「んふふ。おんなじ分野で張り合われると思ってなかったっしょ?」
充満する怨毒の霧は、ターゲットの身体を内側から蝕んでいく不可視の刃に等しい。何かがおかしいと気づいた時には、もはや手遅れ――苦しそうに首を傾げたベノムラプトルは辛うじてその口から緑色の毒液を吐いたが、盾代わりのチェーンソー剣に直撃を阻まれれば致命傷には程遠い。
すごすごと去っていく蜥蜴の長い尾が深い森の奥へ消えてしまうのを見届けて、燐寧はふうと息をついた。
「さあて、今度は何が出るかな?」
これでしばらくは巨獣が近付いてくることもないだろう。好奇心に背を押されるまま、少女は薄桃色の髪を靡かせ、朽ちかけたバリケードを乗り越えていく。この洞窟には、未だ調べるべきことがありそうだ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【腐食】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
トロワ・パルティシオン
他の時代から漂着したのなら、やっぱりクロノヴェーダなんだろうか?
……いや、たしか機械化ドイツ帝国に吸血ロマノフ王朝の一般人が漂着したことがあったかな。
ここでも同じことが起きなかったとは言い切れないか。
さて、洞窟の入り口で戦闘の跡があったんだったね。
僕らはこうして巨獣を追い払えたけど、ニンゲンはどうだったのかな。
パラドクスに対抗できるのはパラドクスだけだ、一般人なら何人いてもほぼ全滅だね。
クロノヴェーダでも無傷とはいかないだろう。地面に血痕が残っていないか調べてみようか。
【完全視界】にダメ押しの懐中電灯で、隅々まで目を凝らそう。
……血を流さないクロノヴェーダだったらお手上げだな。
仮に巨獣との戦闘を生き延びたとして。
多分そのまま外には出ていかないだろう、僕なら一度休息を取るね。傷ついたなら尚更さ。
奥へと続く血痕が見つかれば、それを辿って新たな痕跡を見つけられるはずだ。
外は言葉も通じない巨獣に囲まれて、仲間も多くないか、あるいは一人きりで。
ここにいたニンゲンは何を考えていたんだろうね。
●邂逅
いかにも重たげな巨獣の足音がいずこかへと遠ざかっていくのを聞きながら、洞窟に残った復讐者たちは内部の調査を続けていた。壁から掘り出した弾丸を借り受け、手持ちの懐中電灯で照らしながら、トロワ・パルティシオン(新時代の音色・g02982)は首を捻る。
「ふーむ。他の時代から漂着したのなら、やっぱりクロノヴェーダなんだろうか……?」
歴史の奪還戦の末に消滅したディヴィジョンから、隣接する別のディヴィジョンへクロノヴェーダの残党が漂着するという例はこれまでにも何度か目にしてきたが、同じことが一般人にも起き得るのだろうか。
いや、と緩く銀髪を振って、少女は思案する。
「機械化ドイツ帝国に吸血ロマノフ王朝の一般人が漂着したことがあったかな。ここでも同じことが起きなかったとは言い切れないか……」
振り返る洞窟の内部には、よく見ればそこかしこに戦闘の痕跡が見受けられる。彼女たちには巨獣を追い払う術があるけれど――ここに居た『ニンゲン』は、果たしてどうだっただろうか。
「……パラドクスに対抗できるのはパラドクスだけだ。一般人なら何人いても、ほぼ全滅だね」
そう考えるとほの暗い感情を禁じ得ないが、致し方ない。一般人どころかクロノヴェーダであっても、この地の巨獣を相手どれば無傷というわけにはいかないだろう。
「地面に血痕が残っていないか、調べてみようか」
ルミノール試薬でもあれば効率的なのだろうが、今この場で頼れるのは己の眼と電灯だけ。わずかな痕跡も見落とさぬよう慎重に、少女は足下の地面に目を配って進んでいく。しかし実際にここで戦いが起きてからそれなりの時間が経っているとすると、土の地面に血痕が残っているとは考えにくい。実際、足元の地面にそれらしい痕跡は見当たらず、トロワは微かに嘆息した。
「血を流さないクロノヴェーダだったら、お手上げだな――……うん?」
こつんと、爪先に何かを蹴った感触があった。足元へ目を向けてみるとそこには、黒い小石が転がっていた。それを拾い上げてみて、少女は瞠目する。
「この小石、色が……」
色が黒い、のではない。表面が汚れて、黒い染みがついているのだ――そしてその染みこそが、何者かの血痕なのではないだろうか?
(「……それ以上、何が分かるということもなさそうだが」)
これが血痕なのだとしたら、いよいよここで誰かが血を流したことも間違いない。
紫水晶の瞳をわずかに翳らせて、トロワは洞窟の中に目を凝らした。
「仮に巨獣との戦闘を生き延びた『誰か』がいたとして――多分、そのまま外には出ていかないだろう。僕なら一度休息を取るね」
傷ついたなら、それは尚のこと。
道標とするには乏しい血痕だが、進むべき方向は間違っていないはずだ。そうして更に洞窟の奥へ分け入っていくと――。
「行き止まり? ……いや、」
違う。
道の先は半ば土砂で埋もれかかってはいるが、確かに奥へ続いている。
積み重なった岩と土の隙間から奥を覗き込んで、少女は思わず息を詰めた。
「あれは…………!」
最初に目についたのは、煤けた薪の転がる焚火の跡だった。
視線を上向ければ壁にはロープが渡されて、薄汚れた迷彩服が引っ掛けられている。壁際には長い弾倉が特徴的な自動小銃。木を組んで作ったハンモック。そして――部屋の隅に蹲るように倒れ込んだ、人影。
「……これがここで暮らしていた……」
ぼろ切れのようになった迷彩服の袖からは、白骨化した腕が覗いている。やるせなさに暗い天井を仰いで、少女は長い睫毛を伏せた。
「……外は言葉も通じない巨獣に囲まれて、仲間も多くないか、あるいは一人きり」
ここに『いた』ニンゲンは、何を考えていたんだろうね――。
呟く声は哀しげに響いて、洞窟の冷えた空気に融けた。もっと近づいて調べてみれば、更に分かることがあるだろうか。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
イシュア・アルミゴス
武器と洞窟の整備からして疑ってたけど、やっぱ軍人だったか。にしても自動小銃ねぇ…。
これって割と新しい武器だよね?技術的にはヤ・ウマトとかコーサノストラ?
どっちもかなり遠いけど…まさか最終人類史、ってことはないよね?
何時から居たのか、だよねぇ。というわけで土砂をかき分けいざ突入。
突入したなら国も宗派も分からないからここは日本式に手を合わせて黙禱。
あなたのおかげで僕らはまた一歩真実に近づけます。ありがとう。
それじゃあ持ち物を調べよう。手記か何かを持っているかもしれない。
当時の状況を少しでも知る手掛かりが欲しい。少なくとも自分の所属をはっきりさせるものはあるはずだ。
一通りのものは回収していこう。壁の隙間や岩などの下に隠してないかも調査。
用心深い人間だとこういうとこに隠してたりするんだけど。
何故は当人にも分からないかもだけど誰が何時、何処から
そして何よりどうやってかは分かるかもしれない。霧以外の何かだったらそれは大変だ。
あなたの想い、きっちり引き継がせてもらう。せめてあなたは安らかに。
一里塚・燐寧
おっと。こりゃ南無阿弥陀仏だねぇ(短く手を合わせる)
あの銃アサルトライフルに見えるけど、最終人類史かエゼキエルぐらいにしかないんじゃない?
取り敢えず部屋の中を隅々まで探して、服のポケットの中も見て、荷物を一通り集めよう
鍵がかけてあれば錠だけを【腐食】で破壊する、用途が不明なら【操作会得】で把握だよぉ
あたしとしては気になるのは、この人が「ディヴィジョンじゃなくて最終人類史の人間の可能性」かなぁ
どういう理屈かは後で考えるとして、もし今の人達を殺す能力を巨獣が持ってたら帰還後に響くからヤバい
メモ、日記、書籍、壁や道具類への落書きなどの文字資料があれば【書物解読】を用いて調査
支配するクロノヴェーダへの言及が全くなかったり、現実の情勢に細かく触れてたら怪しいかな……?
さらに【断末魔動画】で最期の情景を見て、言語や外見や仕草などから遺体が何者だったかを探るよぉ
調査後は重要な遺留品と遺体の新宿島への持ち帰りを試みる
ディヴィジョンから生鮮食品……動物の死体を持ち帰れるなら人の骨でもイケそーだけど、どう?
「おっと――こりゃ南無阿弥陀仏だねぇ」
土砂の向こうに覗いたものを認識して、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は額に手を当てた。重苦しい沈黙が場を浸す中、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は一言、なるほど、と呟くと、土砂の隙間を覗き込む。
「武器と洞窟の整備からして疑ってたけど、やっぱ軍人だったか。にしても、自動小銃ねぇ……これって割と新しい武器だよね?」
技術的には、ヤ・ウマトかコーサノストラか。だがどちらの改竄世界史も、この巨獣大陸ゴンドワナと距離が近いとは言いがたい。
顎に手を添えて唸りつつ、青年は続けた。
「まさか最終人類史、ってことはないよね?」
「いやあ、どうかな。だってアレ、ずばりAK-47じゃない? だとしたら最終人類史か、せいぜいエゼキエルぐらいにしかないと思うんだけど……」
そう言って、燐寧は訝るように首を傾げる。だが、ここでこうしていても始まらない。手がかりは目の前にあるのだ――墓所を荒らすようではあるけれど、もう少し近付いてみようではないか。
「問題はいつからここにいたのか、だよねぇ」
仲間たちと手分けして土砂を取り除き、人が通れるだけの隙間をしっかりと確保して、イシュアは土砂の奥の空間へ潜り込む。横たわる白骨がどこの出身かは分からないが、死者には敬意を払うべきだろう。
ひとまず日本式に手を合わせてしばし黙祷し、青年は厳かに琥珀の瞳を開いた。
「あなたのおかげで僕らはまた一歩真実に近づけます。……ありがとう」
それに倣って、燐寧もまた合掌した。傍らに屈みこんで観察してみると、遺骨は部分的に欠けたり、砕けたりと激しく損傷していることが分かる。
「死後数年ってとこかなぁ。この感じだと、死因は外傷?」
「巨獣に攻撃されて重傷を負って、やっとここまで帰っては来たけど……って感じだね。複数人で生活してたみたいなのに他に死体が残ってないのは、みんな骨まで喰われたのか、ここまでは巨獣の手が届かなかった……とか?」
地面に染み込んだ血は、恐らく土に還ってしまったのだろう。決して広くはない空洞の全体をぐるりと見渡して、イシュアは言った。
「それじゃあ持ち物を調べよう。手記や、身分証なんかを持っているかもしれない」
生活用具や武器から、この人物が近代の文明人であることは明らかだ。であれば彼、あるいは彼女が、何らかの記録を残している可能性は非常に高い。首尾よくそれを見つけることができれば、当時の状況を知る手掛かりになるはずだ。
迷彩服のポケットを検めながら、燐寧が言った。
「あたしが気になるのは、この人が『ディヴィジョンじゃなくて最終人類史の人間の可能性』かなぁ」
「というと?」
「んー、どういう理屈かは後で考えるとしてさ。もし『今』の人たちを殺す能力を巨獣が持ってたなら、帰還後に響くからヤバいなーって……」
ポケットというポケットを引っ張り出してみても、個人の身元を特定できるようなものは見つからない。ならばと壁の隙間や岩の陰など、イシュアは目につくところを片っ端から調べていく。すると――。
「む? ……これは……」
ハンモックの残骸を漁っていると、指先に紙のような感触があった。それを傷つけないよう丁寧に布切れなどをのけていくと、そこには一冊の手帳が埋もれていた。ぱらりとページを捲ってみて、青年は瞠目した。
「2021年8月」
「! それって――」
それは、忘れようにも忘れられないあの夏。身を乗り出した燐寧に頷いて、イシュアは続けた。
「記録の最初の日付だ。これを書いた『ニンゲン』たちは正規の軍人じゃなく、ジンバブエの武装組織に所属する者たちだったみたいだな……」
――2021年8月。
部隊の一部が、いきなり密林の中に放り込まれた。
装備があったのは幸いだが、この森はなんだ?
あんな恐竜、現代にいるはずがない……。
ぱらぱらと頁を捲るたびに眉間の皴を深くして、イシュアは言った。
「狼狽してるな。密林の探索中に恐竜に追われて、逃げ込んだのがここだったのか……」
手記によれば、突然、恐竜ひしめく密林の中へ迷い込んだ武装組織の一団は、しばらくは巨獣から隠れて暮らしていた。巨獣以外の動物ならば、元々所持していたアサルトライフルでも倒せないわけではないため、狩りで得た肉や採集した植物で命を長らえていたようだ。
「気になるのはこの記述だ。『理不尽な状況に憤りを覚える』と書いた後に……」
「……仲間たちが不思議な力を使えるようになった? 怪我の治りが早くなった? ……って、ソレってもしかしなくても――」
小さな手帳を半分ずつ覗き込んで、イシュアと燐寧は顔を見合わせる。理不尽な状況に陥り、それに対して怒り、『不思議な力』を得た人間。それは正しく、ディアボロスの定義そのものだ。
「つまり……経緯はよく分からないけど、ここに隠れていた最終人類史の人間がディアボロスに覚醒して、逆説連鎖戦に対応していった……ってことかな……?」
詳細は不明だが、大筋はそんなところなのだろう。手記はさらに続いており、『不思議な力』を得たその後は、巨獣から逃げ隠れするのではなく戦うようになっていった様子が伺えた。密林に闊歩する『恐竜モドキ』たちを倒せば現代に戻れるはず、と彼らは考えていたようだが、彼らがディアボロスに覚醒したのならば、本能的に巨獣を倒そうとするのは頷ける。
紀元前一億年という太古の改竄世界史、ゴンドワナ。これまでそこは恐竜時代の歴史であるがゆえに、一般人は存在せず、当然ディアボロスも存在しないと思われていた。だが、ディヴィジョン形成の過程で、『クロノヴェーダと戦うべきディアボロス』として、最終人類史の人間がゴンドワナに漂着し、復讐の力に覚醒していた――今回の調査の結果から仮説を立てるとすれば、そんなところだろう。
突然このゴンドワナに迷い込んだ人々は、正確な状況も把握できないまま、まるで恐竜時代にタイムスリップしたかのように感じていたに違いない。彼らは恐らくごく初期の新宿島のディアボロスと同様の力を以て巨獣と戦い、そして全滅した。その結果、歴史は完全に改変され、巨獣大陸ゴンドワナが『成った』のだ。
「でも、歴史改竄は起きたんだよね? だったらどうして、あの洞窟の痕跡は失われなかったんだろ?」
「さあ、正確なところはなんともだけど……キングゴンドワナが気にしなかったから、なのかもしれないね」
歴史の辻褄合わせなど、元来無用。巨獣大陸ゴンドワナとは、そういう世界だ。だから断片の王たるキングゴンドワナは、そんな些事に興味を持たなかったのだろう。
「……とにかくこれは新宿島に持って帰って、専門家に詳しく調べてもらおう。まだ何か、分かることがあるかもしれない――……ん?」
そう言ってふと、傍らの少女が何かを見つめているのに気づき、イシュアは瞳を瞬かせる。燐寧は遺体の側に屈みこみ、何かをじっと見つめていた。
「何見てるんだい?」
「断末魔動画。何か分かればと思ったけど……」
遺体の上に浮かびあがった小さなスクリーンには、名も知らぬ異邦人が死の直前に見た景色が映し出されている。一分間の動画には、焚火の明かりでほのかに赤らんだ洞窟の天井がただ映っていた。なんとも物悲しい、寂しい死だ。
白骨の主が死に瀕して何を想ったのかは推して量るより他にない。彼らがなぜ、どうやってここに迷い込んでしまったのか、ディヴィジョン境界の『霧』のせいなのかどうかも、詳細は現時点では不明である。したがって、今ここで彼らにできることは多くないが――。
「あなたの想い、きっちり引き継がせてもらう。……せめてあなたは、安らかに」
「とりあえずで悪いけど、一旦新宿島に連れて帰るねぇ」
遺骨を丁寧に集め、ハンモックだったのだろう布に遺留品と共に包んで、燐寧は言った。
彼女たちが今日この場所で知った事実は、無駄にはならない。知り得たすべてを復讐の糧として、ディアボロスたちは戦い続けるだろう。そしていつかすべてを取り返したその暁には、この骨の主を故郷の地へ還してやることもできるのかもしれない――。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】がLV2になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!