リプレイ
冰室・冷桜
前提としてラスプーチンは当初の密約では命を賭けるつもりだった、てーのを考えると
当初からラスプーチンが死んでも最低限の目的を果たすプランがある筈で、そこを崩さなきゃラスプーチンの策は成功する、てのが私の認識だけど……どっから突けばいいのやら
ま、とりあえず、今はまだ和やかに腹を探り合いましょうか
まずはお招きに感謝を
こうして会談の場所を用意できるくらいには現状お互いに成果が出ているようで何よりです
挨拶をしながら手土産として持参したユビレイノエを渡しましょ
さて、まずはお互い近況報告といきませんか?
ある程度は把握してるでしょうが、実際に話し合うのは大事ですから
こちらは現在ゼレノグラードとコトリン島へ攻撃を開始しており、この会談後にモスクワの攻略を開始
情報を頂いたジェネラル級もすべて撃破済ってー感じですね
そちらは説得と勧誘を、ってーことでしたが首尾の方は如何でしょう
現在の主流派、軍部と皇帝直属以外のとこに声掛けてーって感じでしたよね
そういや、派閥って今挙げたとこ以外にあったりするんですか?
「まずはお招きに感謝を。こうして会談の場所を用意できるくらいには現状お互いに成果が出ているようで、何よりです」
「うむ。互いにな」
手土産として持参したユビレイノエを差し出し、ラスプーチンに挨拶する冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)。最終人類史の物とはいえ由来を考えればなんとも皮肉めいた土産だが、気づいているのかいないのか。
少なくともラスプーチンは反応を見せることなく、お互い表面上は和やかに接する。もちろん、その裏では互いの腹の探り合いだが。
(「前提として、ラスプーチンは当初、命を賭けるつもりだったんだよな……」)
ならば例えばここでラスプーチンの命を奪ったとして、それが根本的な解決になりうるだろうか。そんな冷桜の認識が正しいかどうか、相手の表情からは読み取れない。
まあどちらにせよ、ここで行うべきは戦闘ではなく情報収集だ。
「さて、まずはお互い近況報告といきませんか? ある程度は把握してるでしょうが、実際に話し合うのは大事ですから」
「ふむ、そうさな。何から話したものか」
その言葉に、考え込むように顎髭をしごくラスプーチン。気になる情報は山とあるが、全てを話しては貰えないだろう。聞くべき情報を頭の中で吟味しつつ、まずは切り出したこちらから、とディアボロスの近況を伝えていく。
「……ってー感じですね」
「うむ、順調に進んでいるようだな」
興味深げに聞くラスプーチンだが、実際にはどこまでが既知であるやら。ともあれこちらの情報を開示した後は、こちらから質問を行う番だ。
「そちらは説得と勧誘を、ってーことでしたが首尾の方は如何でしょう。現在の主流派、軍部と皇帝直属以外のとこに声掛けてーって感じでしたよね」
「いや、その辺りは、そもそもまだ着手していないと言うのが現状だな」
帰って来た答えは、ディアボロス達にしてみればそれなりに意外な物だ。ラスプーチンの態度を見れば、ある程度順調に進んでいるものだと思ったが。
だが、それを口にしたラスプーチンに焦りの色はなく、むしろ当然のことだと言葉を紡ぐ。
「単純な話だ。勝算が薄いうちに接触すれば、当然露見の可能性も増えよう?」
「それは、確かに……」
ディアボロスの策により、ラスプーチンは己の死を装っている。その秘匿性が大きな武器である以上、情報を知る者は少ない方が良い。
寝返り工作を実行に移すなら確実を期したい、と言うのは正しい戦略だ。
「だがもちろん、見通しは立っている。こちらが優位に立てば、中立派は雪崩を打ってこちらに寝返るだろうな」
「中立派……ふむ、そんな派閥があると」
冷桜の興味に対して、その口元に自信ありげな笑みを浮かべるラスプーチン。深く頷き、具体的な内容を告げる。
「うむ。一部の武闘派にはさすがに手が出せぬが……そうだな、例えばウピル殿に、ストルイピン殿などは味方に出来よう。あとはティーホン殿も、上手く行けば手を組めるか。どうやらカーミラめが、取り込みに失敗したらしいのでな」
以前の冬将軍からの情報では、鮮血大主教・ティーホンは敵である、と言う話であった。だが、それすらも上手く共闘に持ち込める、と言う自信があるのだろう。
その声音には、誇るような色が含まれている。ディアボロスに、自分の政治力と利用価値をアピールしようと言う事か。
そしてこれは、攻略旅団を通しての会談である。情報の精度は高く、誇張などはほぼないと見ていい。
「将来的な勧誘の見込みについては、そんな所だな。他になにか、聞きたい事はあるか?」
そう言ってラスプーチンは次を促しつつ、紅茶に口を付けた。
大成功🔵🔵🔵🔵
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イシュア・アルミゴス
まだ勧誘していない、か。事前準備の重要性は納得するとして
モスクワ復興には向こうの手はいるし…そうなると表向きの指導者が
必要になるんだけど、うーん。探っていくしかないかあ
それはなんとも素晴しい手腕で。その名は確かサンクトペテルブルクを守る要塞の指導者だったか
そちらも知っていると思うが僕らはその要塞を攻略しようとしている。協力を見込めるのであれば
考える必要があるんだが…。そちらは検討しよう
そういえば、今クリミアに目を向けていてね。そちら方面で隣接するディビジョン
蹂躙戦記イスカンダルは女性を犠牲にすることで増えていく亜人の地だ
アルタン・ウルクを退けた実績もある強敵だ。仮に攻め込まれれば望ましくない結果を生む
それはこちらとしも望ましくない。そこで防衛に向いた地を考えた時にクリミアが出てね
その地のジェネラル級と協力を結べるのであればこちらとしても動きやすいんだがそちらは今誰が指揮を?
(「まだ勧誘していない、か。事前準備の重要性は納得するとして……」)
ラスプーチンから与えられた情報を、慎重に思案するイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)。まだ疑問が全て解決したとは言い難いが、素直になんでも教えてくれるとは思えないし、過剰に質問攻めにする訳にもいかない。
「それはなんとも素晴しい手腕で。その名は確か、サンクトペテルブルクを守る要塞の指導者だったか」
ともあれひとまずはラスプーチンに称賛を送りつつ、次の質問について脳内で吟味する。派閥とモスクワの事以外にもう一つ、攻略旅団から情報収集の要請が来ている。
一旦そちらの方について尋ねようと、話題を転換して。
「そういえば、今クリミアに目を向けていてね」
「……クリミアか」
その言葉に帰って来るのは、微妙な……なんとも、微妙な反応だ。全くの的外れと言う訳でもなく、さりとて核心をついた訳でもなさそうな、割り切れない反応。
ラスプーチンを不審に思いながらも、とにかくこちらの意図を伝えていくイシュア。
「蹂躙戦記イスカンダルは女性を犠牲にすることで増えていく亜人の地だ。仮に攻め込まれれば望ましくない結果を生む」
ディアボロスにとって全てのクロノヴェーダは不倶戴天の敵であるが、それでもこうして利害の一致で一時的に共闘する事はある。だがそんな中で『蹂躙』を糧とする亜人には、特に怒りや憎しみを抱くディアボロスは多い。
そんな亜人達の拡大を警戒しつつ、ヴァンパイアノーブルの内情も暴く。そうした目的をもって、彼はラスプーチンに問いかけて。
「そこで防衛に向いた地の候補にクリミアが出てね。その地のジェネラル級と協力を結べるのであれば動きやすいんだが」
「むぅ……」
対してラスプーチンは、顎髭に手を当ててしばし黙り込む。だがそれは、答えられないと言う訳ではなく……小考の後、彼はゆっくりと口を開いた。
「――我々吸血ロマノフ王朝の、七曜の戦における戦略は知っているな?」
「む、それは……」
アルタン・ウルクを相手としたシベリア戦線。吸血ロマノフ王朝はシベリアの広大な土地を防壁として、戦力を温存する戦略を取っていた。
その話を今、切り出すと言う事は――察したディアボロス達に対し、ラスプーチンは重々しく頷く。
「うむ。クリミア半島と呼ばれる地は、すでに『ない』。我らは七曜の戦において、かの地の防衛も放棄していたのだ」
ディアボロスは七曜の戦において、各地の戦いに介入を試みた。シベリアの地は結局戦場には選ばれなかった物の、候補には上がっていた。だがそれはおそらく直接的ではないとはいえ冬将軍が布陣し、『防衛戦』が発生したがため。
だがクリミア半島が完全に放棄され、そこに亜人が進駐して来ただけならば、それは『戦い』ではなく、ただの『移動』に過ぎない。よってパラドクストレインの予知に引っかからず、戦場の候補とはならなかった。
まあ推測にはなるが、おそらくはそういうことだろう。
「つまり、かの地は今、蹂躙戦記イスカンダルの――おそらくは『タウリカ半島』なのだ。君達には申し訳ないが」
「……なるほど」
望んだ答えとは到底言い難い回答に、思わず眉を寄せるイシュア。だが、攻略旅団による会談である以上は、これが嘘と言う事は考え難い。そもそもディアボロスの心証を損ねたくなかったであろうラスプーチンにとって、こんな嘘をつくメリットがない。クリミア半島がすでに奪われていると言うのは、確かな事実であろう。
さて、これを踏まえて、次はどのように質問を重ねるべきだろうか?
大成功🔵🔵🔵🔵
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エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
七曜の戦の貴殿らの戦略は、あまり褒められた作戦ではなかったと……戦わずして放棄か
苦言になってしまうが、広大な領土とて無限大ではない
亜人の連中は、一度侵入を許せば、貪欲に領土を奪いに来るだろう……それが今か、先かはわからないが
国が揺れれば、つけ入る隙も生じるだろう
それは、民を重視する貴方の政策とも衝突するのではないか
クリミアを北上すればいずれモスクワだ
サンクトペテルブルクとモスクワさえ無事なら、良い訳でもないだろう
ロマノフ王朝は、他国の侵略からの「最終防衛線」をどこに置くつもりなのか……?
防衛線にあたる領地の支配者は、どの派閥の誰なのか?
主流派がさらに後退しても、そこが貴方の派閥や勧誘先の領地であっても、貴方や我々の仕事になるのではないか
大事なことだ。早めに知らせておいてほしい
この件について……現主流派の意識は変わらないのか、そして貴殿はどうお考えなのか
お聞かせ願いたい
同盟者の真剣さで会話
クリミア周辺を起点に、勢力図と支配者の一端、重視する土地、ラスプーチン及び現主流派の意図を透かし見たい
「七曜の戦の貴殿らの戦略は、あまり褒められた作戦ではなかったと……戦わずして放棄か」
「ふむ?」
クリミアがすでに奪われていると言う事実を前に、眉を寄せ、ラスプーチンを批判するエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。それに対してラスプーチンは、動じる事なく先を促す。
「苦言になってしまうが、広大な領土とて無限大ではない。亜人の連中は一度侵入を許せば、貪欲に奪いに来るだろう」
「侵入を許せば……か。まあ否定はしない。それに、亜人には君達の方が詳しかろう」
同盟者として真摯にそう訴えるエトヴァだが、ラスプーチンの方に響いた様子はない。そして彼は冷静に、エトヴァに対して反論する。
「だが現状、亜人がディヴィジョン境界を越えたと言う報告は入っていない。侵攻を許したのは、七曜の戦においてのみだ」
「む……」
一般的な国境間の戦争と異なり、ディヴィジョン間の往来は基本的に『境界の霧』の発生を必須とする。亜人の側にどれほど侵攻の意図があろうとも、それがない限りはロマノフ王朝の領土が脅かされる事はない。
七曜の戦による侵略は、あくまで例外なのだ。
「で、ある以上は現状、防衛の優先順位は低い。無論、いずれは戴冠の戦に向けて着手する必要はあるが」
「しかし、絶対に安全と言い切れるのか? クリミアを北上すればいずれはモスクワだろう?」
ディヴィジョン間戦争の常識を説くラスプーチンに対し、エトヴァはなおも懸念を口にし食い下がる。霧がいつ発生するかは分からない。それにオベリスクなどのクロノオブジェクトのような例外も、ないとは言い切れない。
「そこまで想定しては、兵がいくらいても足りんよ。主流派の方もおそらく、同じ考えだろう」
だがラスプーチンとしては、『侵攻が発生してからの対処で十分』と言う方針のようだ。今は対外防衛よりも、国内の安定を図りたいのだろう。
それに国内が安定すれば排斥力が強固となり、霧の発生を、ひいては侵略を予防出来る。ディヴィジョンの防衛戦略としては、おそらくラスプーチンの策の方が正しい。
もちろんディアボロスとしては、いずれは霧が発生するほどにロマノフ王朝を叩くつもりではあるし、ラスプーチンもそれに気づいてはいるだろうが、同盟を組んでいる現状で馬鹿正直にそれを口にする理由は、どちらにもない。
「だが君達が独自に防衛を行う分には、止めはしない。なんなら、タウリカ半島を持っていってくれても構わんぞ?」
「……考えておこう」
やや冗談めかし、くつくつと笑いながらそう告げるラスプーチンに、肩を竦めて応じるエトヴァ。実際それらは、今後の選択肢の一つではあるだろう。
「だがその活動の参考に、クリミア周辺で亜人に奪われた土地がないかを聞いてもいいだろう?」
「うむ、大規模な変動は確認されていない。とはいえ、境界を数キロ単位で削られた、といった事はあるだろう」
そしてエトヴァからの問いかけには、今度はラスプーチンの方が肩を竦める。重要拠点が他に奪われた、と言う事はなさそうだが、正確な所は把握していないようで。
「そもそもあの近辺で言うと、アゼルバイジャンが半ば放置されていてな……」
ディアボロスは七曜の戦より大分前に、その地にあったバクー油田城塞を攻略している。クリミア半島に最も近いロマノフ王朝の拠点は、本来はそこであった筈で。
「もちろん、君達を批判している訳ではない。だが、詳細な確認が難しい理由については、理解してほしい所だな」
「……なるほど、わかった」
そう言われては言葉を重ねる事も難しく、頷くエトヴァ。結局の所、ロマノフ王朝は対イスカンダルに対する防衛を、現状では考えていないようだ。ディアボロスが今後どのような方針を取るかは、攻略旅団で考える事になるだろう。
だがそれは帰った後の事。まずは次の、ラスプーチンの派閥に関する最後の質問をどうするか、それが喫緊の問題である。これまでに分かった情報を踏まえて何かを踏み込んだ事を聞くか、それとも全く別の話題に手を伸ばすか。
今回に限った話ではないか、情報収集は一度に一つの質問のみ、が基本である。慎重に考えなくては。
大成功🔵🔵🔵🔵
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レイラ・イグラーナ
七曜の戦でもバベルの塔で戦いましたし、亜人とは何度か交戦経験があります。
その経験からいうと、ロマノフにとって決して勝てない相手ではなかったはずです。少なくとも、戦いすら放棄せざるを得ないほどに力が離れているわけではない……そう感じました。
ロマノフにとって、あの土地というのはそれだけの価値しかないということでしょう。あるいは、一度窮地に陥ることも策略のうちなのか。
それではそろそろ本題……モスクワの今後の話といたしましょう。
ですがその前に一つだけ確認をさせてください。
猊下はモスクワの統治は任せて欲しい、ということを仰っておりました。
ですが、先ほどのお話ですと、猊下の派閥はまだ猊下と冬将軍とのお二人のみ。
そして猊下も冬将軍も今は死を偽装しており、表舞台には立てぬ身かと存じます。
猊下の派閥に、モスクワの統治をできる方はおられるのでしょうか?
このタイミングで表舞台に舞い戻るのか、アヴァタール級の名代を立てるのか、あるいはカーミラ撃破後、即座に引き込める人材の目途が立っているのか……
お伺いしたく。
(「七曜の戦でもバベルの塔で戦いましたし、亜人とは何度か交戦経験があります」)
自身の経験を思い出しながら、ラスプーチンの真意を探らんとするレイラ・イグラーナ(メイドの針仕事・g07156)。
(「その経験からいうと、ロマノフにとって決して勝てない相手ではなかったはずです」)
アルタン・ウルクとの戦いを避けようとした理由は分かる。あれはまさにイレギュラーだ。イスカンダルのような数も、リグ・ヴェーダのような特異性も持たないロマノフ王朝にとっては、最善の策であったのは間違いないだろう。
だが亜人相手ならば、戦力を割いてクリミア半島を防衛すると言う手段も十分にあり得たはずだ。
(「そうしなかったのはロマノフにとって、あの土地と言うのがそれだけの価値しかない、と言うことでしょう」)
あるいは領土を失う事すら策略のうち、と言う事も有り得るか。だとすれば、その目的は。ラスプーチンの言動に、裏がないはずはない。ディアボロスとて、それは同じ事なのだから。
だがその裏がどこにあるかを見誤れば、良い結果とはならないだろう。
(「疑わずとも、疑いすぎても問題ですね……」)
判断は慎重に行う必要がある。そしてそのために必要なのは、情報だ。答えの出ない思案を打ち切ったレイラは、ラスプーチンへと視線を向けた。
「それではそろそろ本題……モスクワの今後の話といたしましょう。ですがその前に一つだけ確認をさせてください」
「ふむ、良いだろう」
本題を除けば、今回質問出来るのはこれで最後だろう。何を聞くべきかを慎重に思案しつつ、探るように質問を切り出す。
「猊下はモスクワの統治は任せて欲しい、ということを仰っておりました。猊下の派閥に、モスクワの統治をできる方はおられるのでしょうか?」
「無論、私が直接差配する事になるだろう」
その質問に返るのは、力強い即答だ。だが、ラスプーチンは現在、死を装って裏工作を行っている身。表舞台に立つ事は出来ないはずで。
「よろしいのですか? 確かに先ほどのお話ですと、猊下の派閥はまだ猊下と冬将軍とのお二人のみですが……」
「それは関係ない。たとえ他に誰かいたとしても、他者に任せる事など出来ぬ。これは私が直接当たらねばならぬ」
しかし、モスクワとはこの吸血ロマノフ王朝にとってそれだけ重要な地なのだと、ラスプーチンは力説する。他に任せられる人材がいないと言うのも、当然理由の一つではあるだろうが。
「まあ、とはいえ今の立場を捨てるつもりもない。常駐はせず、裏から指示を出す形になるだろう」
「なるほど……」
それは、その形であっても問題なくモスクワを統治する事ができ、自分の存在を隠しきれると言う自負であろう。もちろん露見のリスクは0ではないだろうが、それを踏まえてなお、モスクワを重要視していると言う証でもあるか。
「私にモスクワ統治を任せてくれるならば、悪いようにはしない。もちろん、それに不安があると言うのなら仕方ないがね」
とはいえ、何がなんでもモスクワを自分の手で、と言う訳でもないようではある。ディアボロスの意見を柔軟に受け入れる態度を示し、ラスプーチンはこちらに視線を向けた。
「君達になにか腹案があるのならば聞かせてほしい。あるいは私の方から先に語っても構わんが……どうするね?」
いよいよ今回のボロジノ会談は、その最大の議題へと移る。モスクワ制圧後の統治を、どうするか。
さて、どのように切り出すとしよう。
大成功🔵🔵🔵🔵
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効果2【先行率アップ】LV1が発生!
イシュア・アルミゴス
なるほどねえ。ま、能力には問題ないし
適当なアヴァタール級に任せるよりは余程信用できる。
信頼できないのはお互い様だけどね
さて、そちらがどう統治するにしてもだ大前提として
他の領主の様な統治を行えば僕らは武力によって介入する。
よく分かっていると思うのでそちらの腕の見せ所だ。大いに期待している。
ラスプーチン殿の統制力を疑いたくはないが抑えの効かない部下が
市民を害したなんてことでも同様だ。
その上で聞かせてもらいたい。そちらはモスクワをどう統治するつもりで?
従属という手段が必要な種族だ。力をつける上でどうしていくつもりか、ぜひ伺いたい。
現段階では統治に大きく口を出すつもりも市民への支援を惜しむつもりも無いが
モスクワをどうしていきたいか、まずはそれを教えてもらいたい。
現主流派に代わってそちらが立つ。大いに結構だが何故モスクワで?
その情報をもって僕らの提案を伝えさせてもらう。
(「なるほどねえ。ま、能力には問題ないし、適当なアヴァタール級に任せるよりは余程信用できる」)
ラスプーチンの言葉に対し、内心で密かにつぶやきを零すイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)。その思いには、能力を『信用』してもその人となりを『信頼』する事は出来ない、と言う裏の思いもあり。
(「それは、お互い様だろうけどね」)
一方でラスプーチンとて、ディアボロスを完全に信頼しているとは思えない。お互いに、利用出来るから利用している。それを心に刻んだ上で、モスクワの統治について切り出していく。
「さて、そちらがどう統治するにしても、だ。大前提として、他の領主の様な統治を行えば僕らは武力によって介入する」
「だろうな。君達が一般人の命を重んじている事は、私も理解している」
それに対して当然の事だろうと、頷くラスプーチン。以前の北欧では、それを利用した作戦も行って来た相手だ。不用意にディアボロスを刺激する愚も、当然把握しているはずで。
「ラスプーチン殿の統制力を疑いたくはないが、抑えの効かない部下が市民を害したなんて事もないように願いたい」
「うむ、もちろんだ」
なにしろ当然ラスプーチンは知らないが、他所にはそれで散々苦労した淫魔もいる。その二の舞いは、ディアボロスにとっても避けてほしい所であり。
「だがその点――つまり市民の安全については、君達にも協力を求めたい事がある」
「む? なんだろうか」
それを踏まえた上で、ラスプーチンはそう切り出してきた。先を促すイシュアに対し、深刻そうな表情で続ける。
「統治の上で、物資の不足が深刻なのだ。何しろ農場が壊滅しているのでな、このままでは食糧が行き渡らん」
モスクワの統治において、必要な事は多い。再開発や食糧の確保については、ヴァンパイアノーブルだけでは手が回らない可能性が高いと言う。
「そのためディアボロスにはしばらく、援助物資をモスクワへ集中的に届けてもらいたいのだ。その間にこちらが鉄道網を掌握し、各地に輸送する手はずを整えよう」
「なるほど……」
一般人を飢えさせるのはもちろんディアボロスにとって本意ではなく、ラスプーチンの要請はその方針にも適っている。同時にそれはラスプーチンの手を借りずにモスクワを統治する場合、ディアボロスがそれだけの手間を割かねばならない、と言う意味でもある。
とはいえ、即答は出来ない。まずは熟慮に留めるイシュアに、ラスプーチンはさらに己の計画を説明する。
「モスクワは鉄道網の中心であり、物流の要。ここを掌握すれば、サンクトペテルブルク周辺を除いた地域に強い影響を持つことが出来る。一般人への援助も、中立派の取り込みもやりやすくなるだろう。それに鉄道を手にすれば、セルゲイ・ウィッテの協力も得られような」
「なるほど。それでモスクワ、か……ならば、そちらはモスクワをどう統治するつもりで?」
モスクワはこの吸血ロマノフ王朝と言う広大な領土に血液を行き渡らせる、心臓部である。ラスプーチンがそこの統治を重視するのは、当然の事だ。
そこを納得したイシュアは、最後に真剣な表情でラスプーチンを見据え、尋ねる。
「どう、とは?」
「ヴァンパイアノーブルは、従属という手段が必要な種族だ。力をつける上でどうしていくつもりか、ぜひ伺いたい」
この事だけは確認しておく必要がある。力を得るために一般人を虐げるのなら、ラスプーチンにモスクワを委ねる事はできない。そんな問いかけに、ラスプーチンは冷静に応じる。
「どうやら『従属』と言う感情について、誤解があるようだ。そもそも、市民が政府に、法に『従属』する。それは国家の運営において、なくてはならない事であろう?」
例えば最終人類史の人々も、国家が定めた法律に従っている。そうでなければ、国と言う仕組みは成り立たない。その論には一応、筋は通っている。
まあそれを完全に信頼すると言うのは、やはり難しい所であるが……ただ同時に、このような論を押し立ててくる以上、あちらが同盟に価値を感じている間はいきなり一般人が虐げられる可能性は低いだろう、とも言えるか。
「ふむ……」
さて、ラスプーチンの方針は理解した。順調に進めば、次が統治の方針を決める最後の回答となるだろう。
果たして、どのように答えるべきか。
大成功🔵🔵🔵🔵
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効果2【反撃アップ】がLV2になった!
イシュア・アルミゴス
んー、法による従属ができても圧政じゃないと大したエネルギーは確保できないんじゃない?
人の数でカバーするにしても強化するには少し弱いと思うんだけど…これ以上探るのは今は厳しいか
なるほど、もとよりこちらも支援を行うつもりだった。全面的に協力させてもらおう。
しかし法となるとかなり人と時間をかけなければ強化度合いとしては弱そうだが
何か見込みがあるのだろう。どの様な統治かはじっくりと見させてもらう。
さて、統治となるとそちらに任せる分野が大きそうだ。
多くをそちらに任せてしまうだろう。代わりにモスクワ内を調べる、
いわゆる監査をさせてもらいたい。信頼とは結局お互いを見ていくしかない。
こちらがどう動くかも信頼してもいたい。
そしてこれは復旧後だが鉄道をこちらも利用できるだろうか?
使えれば強襲するのも楽なんだが。検討してもらいたい。
ふぅ…すっかり紅茶も冷めてしまった。今回の会談も大変有意義だった
カーミラ撃破をしても主流派はこちらの動きを不審に見ている。
くれぐれも気取られないようしていきたい。では、いずれまた
(「んー、法による従属ができても圧政じゃないと大したエネルギーは確保できないんじゃない?」)
ラスプーチンからの回答に、内心で不信を滲ませるイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)。
(「人の数でカバーするにしても、強化するには少し弱いと思うんだけど……」)
だが、今それを真正面から聞いた所で、正直に答えて貰えるとも思えない。それに元より、クロノヴェーダを全面的に信用する事など不可能と言う事は分かっている。
それでも益があると思ったからこその、同盟なのだ。
「なるほど、もとよりこちらも支援を行うつもりだった。全面的に協力させてもらおう」
「有り難い。信頼には応えさせてもらうとしよう」
その覚悟を秘めて踏み込み、ラスプーチンの提案を受諾する。笑みを浮かべ、深く頷くラスプーチンの反応を探り、その真意を探るように、追加の条件を提示していく。
「だが、統治となるとそちらに任せる分野が大きそうだ。代わりにモスクワ内を調べる、いわゆる監査をさせてもらいたい」
「勿論問題無い、毎月の会談をモスクワで行う、という事で良いだろうか。他に何か見たい物があれば、逐次言ってくれ」
それに対してラスプーチンは、特に動じる事もなく即答する。本心を隠しての事か、それとも本当に何の問題もないのか。その内心は、伺い知りようもないが。
「そしてこれは復旧後だが、鉄道をこちらも利用できるだろうか? 使えれば強襲するのも楽なんだが」
「利用するだけなら構わん。だが、ディアボロスのために動かすとなると難しい事は、承知してほしい」
次の提案に関しては、条件付きでの受諾となる。ただ、それについても特に、後ろめたい様子は見受けられず。
「鉄道のダイヤと言うのは、緻密な物だ。臨時車両を一本増発するだけでも、輸送計画が大きく崩れてしまうのでな」
「それは、まあ確かに。それで支援が遅れては本末転倒、か……」
実際のところディヴィジョン内の移動と言う目的において、パラドクストレインの利便性は抜きん出ている。排斥力で移動範囲の限られる攻略初期ならともかく、現状のディアボロスの作戦行動にシベリア鉄道が寄与するメリットはさほど大きくはなく、この条件でも問題が生じる可能性は低い。
それよりも、好きな時に乗車出来る――すなわち、ダイヤを阻害しない範囲でなら自由な臨検が可能である、という言質を取った事の方が大きいだろう。
「……では、こちらからの条件はこんな所だ。すっかり紅茶も冷めてしまったな」
会談で張り詰めた空気を緩めるように、深く息を吐き出すイシュア。随分と長い事、話し込んだ物だ。冷めた紅茶を飲み干すと、席から立ち上がる。
「カーミラを撃破しても、主流派はこちらの動きを不審に見ている。くれぐれも気取られないようして欲しい」
「うむ、わかっている」
最後に一つ付け加えると、イシュアはラスプーチンに右手を差し出した。あちらも乾いた手を差し出して来て、固い握手をかわしていく。
……無論、この握りあった右手はいずれ、互いの命を奪うために振るわれる事となるだろうが。
「今回の会談も大変有意義だった。では、いずれまた」
「うむ、実り有る会談に感謝する。今後ともよろしく」
だが、それまでは互いの利益のために手を取り合う事は出来る。いつか来る決裂の予感を胸に秘め、今日もまた平和のうちに、ボロジノ会談は幕を閉じた。
次なる標的はモスクワ、吸血ロマノフ王朝の心臓部。以前のような電撃戦ではない。今度こそ完全にかの地を掌握すべく、ディアボロスはその手を伸ばす事となる――。
大成功🔵🔵🔵🔵
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