あるイベリアの森の中(作者 baron
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#火刑戦旗ラ・ピュセル  #キマイラウィッチ増援阻止戦  #断頭革命グランダルメ  #イベリア半島 


 これはあり得るべき出来事、誰も来なければ起き得る未来の事。
「にいちゃあん」
「しっ。おかあちゃんに食べ物持って帰るんだろ」
 小さな兄妹が森の中で隠れています。
 木の実を集めて食料にする気なのでしょう。
 どうして隠れているかと言うと……。
『きゃっきゃ♪ みーつけたあ』
「ひゃああ!? にいちゃにいちゃ!」
「に、にげるんだよおお! 僕に構わず、にげるんだあ!」
 猿にも似たバケモノが襲って来るからです。
 お兄ちゃんは妹を逃がし、必死て猿をペタペタと叩きます。
『あひゃひゃひゃ。きかないよーだ』
『ねえねえ、あいつつかまえないの?』
『馬鹿だなあ。直ぐに見つけられるって、こいつにみたいにさ』
 猿たちは子供を使って遊んでいるようですね。
 アヴァタール級のネズミさんが尋ねますが、まだまだ遊べると寄り道を終える気はないようです。
『本当に君たちは仕方ないなあ。でもボクもちょっと判る気はするから、ここで眺めてるね……。ねえ、君、妹さんが何処に逃げるか知らない? お母さんは何処に居るの? 教えてくれたら助けてあげるけど……』
「教えるもんか! お前たちなんかに!」
 ネズミさんは捕まっているお兄ちゃんと問答して遊び始めました。どうやらその心意気に免じて、直ぐには殺さない様です。
 猿たちはその間に森の中を追いかけまわし、妹を酷い目に合わせてから食べてしまうのかもしれません。
 これはイベリア半島で最近起こっていることです。
 もし、ここで子供たちが死んでも、万が一にも助かっても、何処かで別の魔女がひどい目に合わせるでしょう。
「たしけて……たしけて……にいちゃあをたしけて……たからりゃものあげゆから~」
 小さな妹は必死で走ります。
 助かりたいからというよりも、お兄ちゃんを助けてくれる誰かを探しに……。
 そこに希望はあるのでしょうか?


「ディヴィジョン境界の霧を越えて火刑戦旗ラ・ピュセルから断頭革命グランダルメに移動してきたキマイラウィッチは、イベリア半島に向かって移動しているとのことは知っておられる方が多いと思われます。これは締めの段階に入ってきているのですが、収まったわけではありません」
 南河・緋奈子(人間の陰陽師・g03255)が地図と資料を手に説明を始める。
 七曜の戦に前後して始まった事件だが、この半年で収束に向かいつつあるのだが、まだ終わってなどいないのだ。
「彼らはこの道すがらに村があれば、その村を襲って虐殺行為も行っております。皆さんには、このキマイラウィッチの凶行を止めて、増援を阻止するためにも確実に敵を撃破してください」
 そう言って緋奈子は資料を皆に手渡した。

「今から向かえば、キマイラウィッチの襲撃の少し前のタイミングで兄妹たちを保護できます。キマイラウィッチは、ディアボロスへの嫌がらせというだけで、一般人を殺す可能性があるので、まずは、一般人を戦場となる場所から非難させた上で、キマイラウィッチを迎え討ってください。兄妹の両親は森の近くにある小屋に住んでいて、父親はそこで炭焼きの作業を、母親はちょっとした病気で寝ています」
 緋奈子はそういって、当時の薬の中で効き目がある物と食料を用意した。
 これを持っていって渡せば子供たちは信じてくれるだろう。
「子供たちを見つけるのに手間取って、もし敵が直ぐに来たとしても……。キマイラウィッチは、復讐対象のディアボロスへの攻撃を最優先とするので、戦闘中に一般人を攻撃する可能性は少ないでしょう。ですが勝ち目がないと理解した場合は、せめて嫌がらせの為にも、一般人を殺そうとするので注意してくださいね」
 そう言って地図を渡し、森のこの辺で木の実を集め、時間がたてば猿を見つけて隠れるのだと告げた。
 早めに移動すれば敵と出逢う前に保護できるだろうと告げて。

「御存じの通りグランダルメの大陸軍は、キマイラウィッチとは戦わないように進路からは撤退しているようですね。そして遊撃軍の類も我々が倒しています。つまり、進路上の村々は、大陸軍からも見捨てられたと言って良いでしょう。子供たちもその両親も助けてくれる者は居ません。みなさんだけが希望なのです」
 そう言って緋奈子は軽く頭を下げて見守るのであった。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【猫変身】
1
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回はイベリア半島にやって来る魔女たちを防ぐ話になります。

●流れ。
最初の選択肢は、初日からプレイングがあっても、29日朝まで待ちます。
仮に全ての選択肢にプレイングが有り、29日中に全部執筆可能でも、最後のアヴァタール級との戦いは31日まで待ちます。
また、最後のアヴァタール級に限り、採用人数を若干増やしますね。
これは時間を掛けてプレイングを考えて遊ぶ為であり、予算が増えたので全部には参加せず、途中の1つ参加しつつ……。
最後の締めに参加される方が居られることに合わせた処置です。楽しいプレイングを思いつきましたら是非ご参加ください。

①子供たちの保護。
最初は森で木の実を探してウロウロしています。

②敵部隊を倒す。
もし敵の方が早く到着しても、直ぐには殺しません。
また保護している状態・見つけたばかりの状態で戦闘になっても、ディアボロスを重視するので意図的には巻き込みません。
ですが殲滅する段階になったら苦し紛れの嫌がらせをする可能性はあるので、ご注意ください。

③指揮官を倒す。
一連の流れを喜劇の様に、悲劇の様に見てから行動する予定です。
部下が成功しても死んでも、楽しんでいるでしょう。
なお、子供たちの保護が遅くて捕まったとしても、兄弟愛が強い場合は暫く様子見をします。
その心意気が何処まで保つのか、本当かどうかを試して遊んでいるのかもしれませんね。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


シルヴィオ・リュデケ
※アドリブ・連携歓迎

あまり時間に余裕は無さそうだが、そういうことなら一般人の避難が優先だ
[忍び足]で現場である森に入ったらパラドクスを即時発動
興味を引く光で兄妹の進路を安全な場所へ誘導しつつ、こちらからも接触を図る
万が一クロノヴェーダに発見されても、ある程度ならば光が兄妹を守ってくれる筈だ

兄妹と合流ができたら状況説明と避難指示を
…不要だとは思うが早めに納得してもらえるよう[誘惑]も重ねよう
あまり長く問答もしていられないからな
食糧と薬はこれだ、落とさないよう帰ると良い
森から何か物音がしても決して振り返らず、家だけを目指すように

素直に頷いてくれたなら頭を撫でて、姿が見えなくなるまで見送ろう
これから起こる戦闘を子供に見せるわけにはいかないからな
パラドクスの光も、効果が及ぶ限りついて行かせよう


シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎

……今回の猿、ちょっと気分悪い。あの顔どうにかならないのかな。
いや、基本的に全部気に喰わないんだけど、顔のインパクトが、濃い。

コホン。
用意された薬や食料、ついでに蜂蜜も持って森へ。
鼠や猿に見つかる前なら歩き慣れた分かりやすい道を使ってるはず。
地図もあるし食用の実のなる樹も探す目安になるかな。
足跡とか声とかで【追跡】もできるよね?
探す道中、何か獲物が居たら妖精さんたちに狩ってもらって持っておこう。
十分狩れてて余裕がある感じなら色々あげても怪しまれないだろうし。

こんな森の中でどうしたの?
今は森に危ない獣が入りこんでるんだ、危ないからお家にお帰り。
私は強いから平気だけどね。むしろ返り討ちにしちゃうから。
食べ物とお薬?
今の手持ちだとこのあたりかな……全部あげる。足りるかな?
私なら大丈夫、妖精さんがついてるからね。
このくらいなら、またすぐ手に入るんだ。
しばらくは森に入っちゃダメだよ、危ないから。
悪い獣は私たちが退治するから、少しだけの辛抱。
お兄ちゃん、家まで妹を守ってあげてね。


近衛・悠
アドリブ・連携可

ある日、森の中、熊さんに出会った・・の歌あったような気がしたが、熊さ俺も家族当然の姉妹が傍にいるので兄と妹の関係に親近感ある。まあ、何かと手のかかる妹達だが。

助けてくれる権力者はいない。なら、俺たち復讐者が助けないとな。一つ一つの命は尊い。

森での捜索になるから【パラドクス通信】発動しておこう。森の中の状況確認と兄妹見つけたら報告できるように。

妹を逃して怖い奴に立ち向かう、小さいのに勇敢な兄だな。悪辣な非道なクロノヴェーダに小さい命を渡しはしない。一人で懸命に働く父と病気の母にとって小さい命は心の支えだからな。


森の中で迷彩のフードを被って捜索。薬と食料ももちろん持っていくな。

まずは走ってきた妹を保護だな。転んで足を怪我してる可能性あるから余裕あったら手当てして、と、甘いものを渡して兄の居場所を聞く。妹をおぶって走って兄を保護だな。良く頑張った。薬と食料を渡して、ここは怖くて危ない所だ。しっかり手を繋いで帰るように促す。気をつけてな。

二人を見送って、さて、これからが本番だ。


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

兄と妹、か……
同じ兄としては妹を想うその心意気は見事だと思うし、絶対に助けないとな
幸いと言って良いか狩りの経験がある身として追跡は自信がある
其れも野外の物なら猶更にな
皆と連絡を取り合いながらなら如何にか保護も出来るだろう

まあ民の食料確保と危険排除の為に冬の雪山での穴持たずの熊の捜索やトナカイや兎を狩る事に比べれば遥かにマシというものさ
雪山だと獲物の足跡とかも消えちまうもんなあ

危険な奴等が此処にやってきている
危険だし避難した方が良いぜ

食料に薬か?
なら俺が持っているのがあるからあげるぜ
色々大変な世の中だからこそ助け合わないとだしな

〇パラドクス通信で他のディアボロスと連絡を取り合い場所等を分担しつつ捜索
可能なら子供達の住んでいた家の近辺から捜索を開始
狩りで獲物を探した経験を活かし子供の足跡等の遺された痕跡を探しつつ〇追跡、捜索していく
発見したら食料と薬を渡し危険な存在が此処にいる事を目線を合わせた上で説明、説得
二人を相棒の無双馬、スヴェルカーニエに乗せ可能な限り遠くへ避難させる



「……今回の猿、ちょっと気分悪い。あの顔どうにかならないのかな」
 シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は資料を折りたたみながら呟いた。
 懐にしまい込んだ資料の絵には、気味の悪い猿が描かれている。
「いや、基本的に全部気に喰わないんだけど、顔のインパクトが、濃い。……コホン」
 更に性格は最悪であり、どうしようもない相手だ。
 シエルシーシャは頭を振り、イメージをお出してパラドクストレインから降り立った。
 仲間達は先に出たので、急がねばなるまい。
「ある日、森の中、熊さんに出会った……の歌あったような気がしたが、熊さ俺も家族当然の姉妹が傍にいるので兄と妹の関係に親近感ある。まあ、何かと手のかかる妹達だが」
 近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)は盛大な溜息を吐きながら森を歩く。
 そこには迷惑を掛けられた事もあるという思いと、ソレが大事であるという思いの両方が感じられる。
「兄と妹、か……。同じ兄としては妹を想うその心意気は見事だと思うし、絶対に助けないとな」
「ああ。助けてくれる権力者はいない。なら、俺たち復讐者が助けないとな。一つ一つの命は尊い」
 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)が騎士としてディアボロスとして救うと言えば、悠は頷いてその先駆けとなろうとする。森の中には権力も町の秩序も存在しないが、ここにはディアボロスが居るのだ。助け手となって救うチャンスがあるのだ。ならばやらねばなるまいと思う。
「あまり時間に余裕は無さそうだが、そういうことなら一般人の避難が優先だ」
 仲間達の言葉を聞いてシルヴィオ・リュデケ(ナイトウォーカー・g08427)も頷く。
 早い行軍にはメリットもデメリットもあるが、デメリットを許容して此処は動くべきだと踏んだのだ。
「森での捜索になるから【パラドクス通信】発動しておこう。森の中の状況確認と兄妹見つけたら報告できるように」
「それは助かる。幸いと言って良いか狩りの経験がある身として追跡は自信がある。其れも野外の物なら猶更にな」
 悠も同じ残留効果を設置すると知ってルィツァーリは相好を崩した。
 皆と連絡を取り合いながらなら如何にか保護も出来るだろう。
 探すだけなら難しくも無いが、重要なのは時間だからだ。そしてパラドクス通信は携帯に可能な機能は大抵可能であることに加えて、重ねがけ出来れば範囲が格段に広がるのである。それは皆で高めた効果であり、反撃当初よりも遥かに距離を飛躍させていた。
「まあ民の食料確保と危険排除の為に、冬の雪山での穴持たずの熊の捜索やトナカイや兎を狩る事に比べれば遥かにマシというものさ。雪山だと獲物の足跡とかも消えちまうもんなあ」
 ルィツァーリは食料のない冬の時期に不意の来客が訪れる地獄を思い出した。
 散々飲み食いされると、領主や騎士はもてなす必要がある為、なけなしの食料を使い果たし、仕方なく冬に狩りに行く話を思い出したのだ。それはまさしく地獄である。
「やっと追いついた。……鼠や猿に見つかる前なら歩き慣れた分かりやすい道を使ってるはず。地図もあるし食用の実のなる樹も探す目安になるかな。足跡とか声とかで【追跡】もできるよね?」
 シエルシーシャは木々の上を飛び跳ねて追いつくことに成功した。
 タンと着地しつつ、自分の足元に着いた痕を眺める。
 これは着地の衝撃もあるが、草や槌には痕が残る物だ。子供たちは体が軽いとはいえ、隠そうとも思っていないから見つけ易い筈である。
「それもあるが、向こうから見つけてもらう手があるな。デメリットも大きいが、今ならばメリットの方が大きいはずだ。……導きの光だ、よく見ていろ」
 シルヴィオはパラドクスで明かりを灯した。
 通常、パラドクスは残留効果を除いて攻撃用だ。
 大勲章でも使わない限りは外見的な副次効果は起きない。だが、光を灯す程度ならば問題ないし、治癒効果を齎す残留効果を受ければ、歩き疲れた子供たちの体力も元に戻るだろう。イメージ効果以上に役に立つのではないかと思われたのだ。
「興味を引く光で兄妹の進路を安全な場所へ誘導しつつ、こちらからも接触を図るという算段だ。問題があれば消すが?」
「良いんじゃない? 探す道中、何か獲物が居たら妖精さんたちに狩ってもらって持っていくね。十分狩れてて余裕がある感じなら色々あげても怪しまれないだろうしね」
 シルヴィオが確認するとシエルシーシャは肩をすくめた。
 敵が見つける可能性もあるが、子供たちがこちらに向かいつつ、こちらも子供たちを探しているので相対的に見つけ易いだろう。もし敵が子供たちに追いついたとしても、最初はなぶる為に石や木々を投げつけ焦らせようとするだろう。ならば治癒効果は十二分に役にだってくれそうである。止める理由は特になかった。

 やがて何処からか小さく、明るい声が漏れ始めた。
「にいたん。あれなあに?」
「待てって、何があるか判んねえんだから」
 たったった……と小気味よく走る音。
 その音は小さく、そしてリズムは早かった。
 何か小さな存在が、それでいて見えなくなるような物ではない、確かな存在の足音だ。
「おっと、そんなに走ったら危ないぞ。それと、ここは怖くて危ない所なんだ」
「危険な奴等が此処にやってきている。危険だし避難した方が良いぜ」
「あなたは、だあれ?」
 悠とルィツァーリは中腰に成り、好奇心旺盛な妹分を出迎えた。
 視線をその子に合わせながら、持って来た袋をその場に降ろす。
 そして素早く怪我がないかを見ていると……。
「だ、誰だ! 妹から離れろ!」
「妹を逃して怖い奴に立ち向かう、小さいのに勇敢な兄だな」
 悠は走り込んで来た兄に対して微笑んだ。
 感心な事に大人に対して物おじせず、不審者かもしれないと警戒している。
「こんな森の中でどうしたの? 今は森に危ない獣が入りこんでるんだ、危ないからお家にお帰り」
 駆けつけたシエルシーシャがやって来て危険性を伝える。
 みんな手に何かを持ってきており、武装の類は目に見える位置において話した。
「そうだ。あまり長く問答もしていられないからな」
「でも……ごはん見つけて帰らないと……あと元気の出る葉っぱ……」
 仲間達が情報を少しずつかみ砕いて伝えていく中、シルヴィオは時間が無いのだと改めて促した。
 誰も怒鳴ったりしていない、だけれど何かを焦るように伝えているのは判るのだろう。
 ただ、子供たちにも引けない理由があるのだ。兄は勇気をもって、それでも見つけないとと口に出した。
「食料に薬か? なら俺たちが持っているのがあるからあげるぜ。色々大変な世の中だからこそ助け合わないとだしな」
「だが、これだけあれば足りるだろう。食糧と薬はこれだ、落とさないよう帰ると良い」
 ルィツァーリが適当に信憑性のある話をすると、シルヴィオは袋の一つを開いた。
 保存食がそれなりの量と、子供たちにはわからないが薬草の類である。
「今の手持ちだとこのあたりかな……蜂蜜も含めて全部あげる。足りるかな?」
「はちみつ!」
 シエルシーシャは笑って太っ腹な所を見せた。
 妹は甘い物が好きなのか大喜びだ。
「い、いいんですか?」
「私なら大丈夫、妖精さんがついてるからね。このくらいなら、またすぐ手に入るんだ」
 多少は者の価値がわかるのか、それとも小さい頃に怒られた事があるのか兄が遠慮すると、シエルシーシャは問題ないと答える。また獣が出て来ても、私は強いから平気だけどね。むしろ返り討ちにしちゃうから。と笑って。
「慣れない森の中を良く頑張った。しっかり手を繋いで帰るように促す。気をつけてな」
「……う。あ、ありがとうございます!」
「ありがとー」
 悠が荷物を渡すと、戸惑った兄も最後には受け取った。
 なにしろ食料を子供が手に入れるのは並大抵では無い。
 そして遠慮せずにさっさと行けと言うのは態度からも判る。ならば受け取った方がよいと判断したのだろう。
「しばらくは森に入っちゃダメだよ、危ないから。悪い獣は私たちが退治するから、少しだけの辛抱。お兄ちゃん、家まで妹を守ってあげてね」
「森から何か物音がしても決して振り返らず、家だけを目指すように」
「「はい!」」
 シエルシーシャが背中を叩いて出発を促し、シルヴィオは元気の良い二人の頭を撫でた。
 そして反対側を見せないように、体で覆い隠しつつ見えなくなるまで見送ったのだ。
「行ったか。送る必要があるまで時間が掛からず、良かったぜ」
「これから起こる戦闘を子供に見せるわけにはいかないからな」
 ルィツァーリが無双馬のスヴェルカーニエに乗って警戒し、シルヴィオは最後まで光を灯し続けた。ここからは敵の注意をこちらに引き付け、そして足止め……いや、倒す番である。
「さて、これからが本番だ」
「先に二人ほど行ってるのは助かったわ。アヴァタール級も居るから油断ならないけど」
 悠の言葉にシエルシーシャは頷き、戦闘態勢を取って周辺を警戒する。
 トループス級のクロノヴェーダがそろそろ現れる筈であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV2が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

リューロボロス・リンドラゴ
幼子の敵達よ。
竜が来たぞ。
怒れる竜が。
牙無き子達の復讐者が!

未来は変える。悲劇など起こさせはせぬ。
だが、そのような未来が有り得たのは事実。
きっと、兄妹達だけではないのだろう。
一体どれだけの幼子達をこやつらはいたぶった?
どれだけの幼子達を絶望させ、死に追いやった?
許せぬ、許せぬよ。
だからこそ我がおる。竜がおる。

母を想い、互いを想う健気な兄妹達のことはルィツァーリ達に任せよう。
あやつらなら必ずや幼子達を見つけ出し、避難させてくれるであろう。
幼子達が見つかった場所や帰り道、見つからぬ時は未探索の場所に向かわせぬようエトヴァと囮&足止めよ。
時間稼ぎは任せよ。
幼子達に魔の手が及ばぬようなら即殲滅するがの。その方が安心&怖がらせずに済むしの。
【泥濘の地】にて移動を阻害し、幼子達の所へ行かせはせぬよ。
幸い敵は我らを優先するようだしの。
派手に暴れればこっちに集まってこようぞ。
ふん、下衆な笑みだ。見るに堪えぬ。
――大地よ、我が牙となれ。飲み込み喰らうは竜である。
死ね。
我が地割れにて呑み込んでくれるわ。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

相変わらず外道の所業だな
イベリアからキマイラウィッチ達を一掃する……一歩だ
ここで被害も増援も食い止める

子供達の保護に向かった仲間とパラドクス通信があれば連絡を取り合い状況を把握
仲間たちが保護を終えるか、十分に距離をとり安全確保し戦闘
もし避難を終えていなければ、殲滅には移行せず囮と足止めを行う

……遊び相手を探しているのかい
じゃあ、俺たちが遊んであげるよ
遊ぶの意味合いは聞かないほうがいいぞ

周囲が暗ければランタンを
戦況を偵察、観察しつつ敵の位置や動きを把握
リューさんや仲間と声をかけあい連携
ヴァイオリン(Wandervogel)を演奏し、PD攻撃
仲間と狙いを合わせ、弱った個体から狙う
3体同時に攻撃し連携攻撃を抑制
死角を補いあうように背を寄せるか、敵の正面側に立ち位置を取り、不意打ちを警戒、報せあう

猿の野太い声には魔力障壁で影響を緩衝しつつ、気を確かに、己の演奏に集中し、味方を鼓舞
音色に炎を操り、焼き尽くす
炎に躍らせ、リューさんの地割れへ追い込もう
それで合唱ならば、眉根が寄りそうだ



 ディアボロスたちはトループス級クロノヴェーダに向かい合った。
 現れた敵は三匹ほどだが、僅か三匹と言う事がトループス級としては強い事を示している。
『くんくんくん。あれえ、子供たちの臭いが消えちゃったよぉ?』
『だあれ? 僕たちの玩具を横どりしたのはだあれ?』
『僕しってるよお。ディアボロス! 許せないよね!』
 キャッキャと笑いながら猿たちは飛び跳ねる。
 見ざる・言わざる・聞かざるの三猿の様に可愛げはない。
 むしろ多民族の人間を獣に例えたかのような、厭らしい表情と、胴体にあるもう一つの顔が特徴的であった。
「子供を玩具と呼ぶか。相変わらず外道の所業だな」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はその醜悪な狂騒に顔をしかめる。
 きっと人間の皮を剥いで装飾品を作る様な輩は、こんな奴らなのだろうなと吐き気すら催しそうだ。
『こいつ僕らを相手する気かな? かな?』
「イベリアからキマイラウィッチ達を一掃する……一歩だ。ここで被害も増援も食い止める。それと忠告しておくが……俺だけを見ない方がいいぞ?」
 三対一で勝つ気なのかと嘲笑う猿たち。
 だがエトヴァは恐れてなどは居ない。
 子供たちが逃げている最中なのに引く気はないし、クロノヴェーダを許す気も無い。そして何より、パラドクス通信で連絡を取り合った仲間がいる!
『ざーんねんでしたぁ! 僕らはつきあいませーん! それともこれはフリかなあ?』
「どちらであろうとも、させるわけにはいかぬ。幼子の敵達よ」
 回り込んで去ろうとする……あるいはフェイントで回り込もうとする敵に何者かやって来た。
 小さな姿に、もしかしたら子供たちがこっちに向かって来たのかと思う浅はかな猿も居たかもしれない。だがしかし!
「竜が来たぞ」
「怒れる竜が」
「牙無き子達の復讐者が!」
 ダン!
 ダンダン!!
 ダダダン!!!
「来てくれたか」
「未来は変える。悲劇など起こさせはせぬ。だが、そのような未来が有り得たのは事実」
 現れたのはリューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)!
 子供たちの守護者と己を規定する、いまだ小さな……それでいて強大なるドラゴンであった。
「きっと、兄妹達だけではないのだろう。一体どれだけの幼子達をこやつらはいたぶった?」
「どれだけの幼子達を絶望させ、死に追いやった?」
「許せぬ、許せぬよ。だからこそ我がおる。竜がおる」
 リューロボロスには嘆きがある、怒りがある、そして使命があった。
 世界を取り戻す前に、子供たちを救えと轟叫ぶ使命である。
 母を想い、互いを想う健気な兄妹達のことは仲間達に任せよう。彼らならば必ずや幼子達を見つけ出し、避難させてくれるであろうから。
「……遊び相手を探しているのかい。じゃあ、俺たちが遊んであげるよ」
 仲間のが言葉ではなくその眼差しで『時間稼ぎは任せよ』と語っている。
 エトヴァはそれを感じ取ると、二人で敵三体を足止めできるように少し距離を取る。
 先ほど迂回のフリをして回り込もうとしたが、それをさせないために正面から、たった二人で壁と成れる位置を取ったのだ。それで火力が下がるならば、後から駆け付ける仲間に任せれば良いだけの事なのだから。
『遊んでくれるの? ならアソボウ!』
「遊ぶの意味合いは聞かないほうがいいぞ。言っても無駄だろうがな」
 歯を剥く猿の顔は笑うというよりは威嚇であった。
 獣じみたその行為にエトヴァはヴァイオリンを構える。
 いつもは銃で戦うが、ここは童話めいて戦うとしよう。

 あるイベリアの森の中、旋律が響く竜の雄たけびが聞こえる。
「――踊り、謳え、心の儘に」
 楽器は人の手を渡って育つという。
 エトヴァは譲り受けた古い楽器に弦をあて、情熱的に弾き始める。
『きゃっきゃっきゃ』
『あそぼ、あそぼ、あっそっぼ!』
『あっそびーましょー!』
 猿たちは時に連なる様に、時に別々の姿で、時に同じ姿のコピーであるかのように。
 三匹揃ってダンスを踊る。それは嘲弄であり、罵倒であり、罵りの声であった。
 グルグルと取り囲んで、踊る様に攻撃を仕掛けようとする。
「させぬよ。幼子達の所へ行かせはせぬよ。いや、我らを優先するがゆえにフリか? だが、どちらでも同じことだ」
 リューロボロスはダンと足元をカカトで蹴りつけた。
 それだけで周辺が泥沼と化し、移動を阻害してしまう。
『じゃまっけー。ゆるさないぞー!』
「ふん、下衆な笑みだ。見るに堪えぬ。しかしやはり我らの心を揺るがす罠であったか。だが、もはやこれまでよ。――大地よ、我が牙となれ。飲み込み喰らうは竜である」
 猿たちは起こったのか、こちらに向かって来る。
 いや、やはり迂回こそは子供を守ろうとうするディアボロスを脅かすためなのだろう。
 リューロボロスはその事を看破した事で、フェイントに掛からぬ分だけ余裕を持った。そして踏みにじったカカトによる一撃は、周辺に断層すら生じさせたのである。
「死ね。我が地割れにて呑み込んでくれるわ」
『お前こそ、シネー!』
 リューロボロスが踏みつけた大地は元に戻ろうする事で敵を挟みつける。
 大地自体が万力となるのを、猿たちは殴りつけて反撃。
 逆連鎖戦ゆえにその衝撃波リューロボロスに叩きつけられるのだが、子供たちが傷つくよりは良いと涼し気な顔であった。
「やはりフリか。予知通りではあるが、実際に目にすると安心するな」
 予知では最初から、敵はディアボロスを優先すると言われていた。
 顔を合わせたら向かって来る相手ならば別に気にもしなかったが、こういう絡め手系の敵もそうだと知ると驚きも少しはあった。それだけ魔女たちの復讐心は、ディアボロスに向けて固定されているのだろう。流石にイベリア半島やフランスの他の地域で増えた個体は別としても、ジャンヌ達と共にあった敵は相当にディアボロスを目標としているらしい。
「では攻撃を再開するとしよう。炎をもって、既に殺された犠牲者たちへの哀悼をささげよう」
『うるさーい!』
『ぎゃあぎゃあっぎゃあ!』
 猿たちの信徳、そして邪悪な声に眉をしかめる。
 だがそれでもエトヴァは旋律を奏で続けた。
 その心は浄化の炎を呼び、食われた魂を弔い、そして怒りの炎として猿たちを焼くのであった。
「地割れへと追い込むとしようか」
「炎で焼いてくれても構わんぞ? まあ……その必要はなさそうだがな」
 二人が戦って居る間に、仲間たちが駆けつけてくれたのだろう。
 周囲へ何時の間にか、ディアボロスによる包囲網が形成されていたのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!

シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎

よし、これであの子達は大丈夫だね。
足止めに向かってくれた二人と連絡を取って急ぐよ。
まあ増援なんて要らないかもしれないけど。
……あの猿と顔を合わせずに済むって考えると間に合わなかったらそれはそれでいいのかもしれないけど。
でもま、一匹でも逃がしたら同じことになるから。
万一を無くすためには必要だよね。

……へぇ、遊び相手が欲しいんだ?
そっか、丁度いい。
ね、妖精さんたち。あいつら『思いっきり』遊びたいんだって。
今日は、構わないよ。何だったらお持ち帰りも私は気にしない。
ここに残しさえしなきゃね。
じゃ、みんなを呼ぼうか。どれくらい来るかな?

妖精さんたちって物凄い残虐行為を笑顔でするからね。
お前達がやりたかったことか、それ以上。
今日はやられてみるといいよ。
(生首で)ボール遊びとか。
(体内で)迷路ごっことか。
それ以上も。

精神的なダメージは呑みこんで、なるべく表に出さないように。
不快感と苛つきで不用意な動きをしそうになるけどぐっと堪える。
言動が攻撃的になるのは仕方ないけど、努めて冷静に。


ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

兄妹の避難は完了した
後は足止めに向かった二人に連絡して、急がないとな
一応、敵は此方に向かってるみたいだが早めに合流するに越した事はないし

可愛い?
流石キマイラウィッチ、美的感覚が狂ってな
貴様等みたいなのは可愛いと言わん
禄でもない害獣というんだ

逃したらどれだけ被害が出るか分からんからな
罪なき人々を護る為、騎士として害獣狩り、全力で行わせて貰う!

貴様等は一切逃さず殲滅させて貰う
貴様等の為に涙を流す人を出さない為にも絶対に逃さん!!

相棒の無双馬に〇騎乗し森の中を〇ダッシュし敵の元へ向かう

敵を補足したら即座に〇双翼魔弾を放つ
敵を逃さぬ様に敵を〇追跡する〇誘導弾の特性を強化し逃さない事重点
逃げ出しそうな奴と自分に攻撃を仕掛けてくる奴>自身に近付いてくる奴>味方が攻撃している奴>他の順に優先する
敵の攻撃に対しては距離を取りつつこっちに近付いて攻撃してくる前に先にこっちが魔弾で倒す事で対処
余りにも禄でもない敵で最悪の場合、あの兄妹が犠牲になってた為、割りと怒りで攻撃的になっている


レイ・シャルダン
連携アドリブ歓迎です。

まずはほっと一息。
ですが同時に溜息。
作戦にもようやく終わりが見えてきましたが
この様な状況はキマイラウィッチの各地で起こっているはずです。
その元凶を完全に潰さねば被害は増える一方でしょうか…。
一歩ずつしか歩めませんが、助けられる人たちが居るなら頑張るのみです。

うぅ……。
凄い猿から見られている気がする…。
ボクもあの猿の事、凄く不快に思ってしまうのは何故でしょうね。

電脳ゴーグル型デバイス『Boeotia』のテンプルをノックしてパラドクスを発動
≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫
『Boeotia』と精神と全武装をリンクさせて
人と機械が互いを補い合い、相乗効果を発揮した人機一体の状態になります。

『アクロヴァレリア』の推進力で一気に加速して距離を詰め
煌剣『シュトライフリヒト』で一閃その命脈を断ちます。

攻撃後はすぐさま反撃に備えます。
『シャルダント』から発生する防御壁の【結界術】を緩衝材にして
一時的にでも攻撃を食い止めた隙を使って敵の連携を乱します。



「よし、これであの子達は大丈夫だね」
「後は足止めに向かった二人に連絡して、急がないとな」
 シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)とルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)は子供たちが森から退避するのを見届けた。
 全てを見たわけではないが、ここから先で二人を敵が出し抜くのは不可能だろう。
「まあ増援なんて要らないかもしれないけ、ど」
 シエルシーシャはそう言って最高速ですっ飛ばす。
 エアライドはこういう時に便利だ。
 枝を伝ってジャンプしていくと、障害物を飛び越えるついでに丘を越えたり、本来は迂回するべき南路をショートカットできる。そして複数の道から最短のコースを選べるのだ(流石に知りもしない迷宮とかは無理だが森ならば十分)。
「一応、敵は此方に向かってるみたいだが早めに合流するに越した事はないしな」
 ルィツァーリの方は無双馬であるスヴェルカーニエに騎乗してかっ飛ばす。
 出来るだけ平坦な道を進んで高速で進み、どうしてもと言う所だけエアライドで跳ぶ。
 サーヴァントは残留効果を使えないが、こうして密着して居れば範囲に含められるのがありがたい。
「……あの猿と顔を合わせずに済むって考えると間に合わなかったらそれはそれでいいのかもしれないけど。でもま、一匹でも逃がしたら同じことになるから。万一を無くすためには必要だよね」
 仲間の言葉にシエルシーシャは苦笑した。
 今回見た資料での猿は気味が悪い。
 それと出くわさずに済むならば、徒労もまた良しと思いはするのだ。
(「問題無く助けられたようですね……」)
 その姿を見てレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)は息を吐く。
 まずはほっと一息。
 だけど同時に溜息。
(「作戦にもようやく終わりが見えてきましたが、この様な状況はキマイラウィッチの各地で起こっているはずです」)
 イベリア半島は最近になって魔女たちが手を出し始めた場所に過ぎない。
 ジャンヌのおひざ元出るオルレアンなどはどうなっているのだろうか?
 それらの地域はどれほど無残な事に成っているのか心配でたまらない。いや、違う。そう……であるとの悪い確信があるからこそ、不安なのだ。
「その元凶を完全に潰さねば被害は増える一方でしょうか……。一歩ずつしか歩めませんが、助けられる人たちが居るなら頑張るのみです」
 だからレイも仲間の元へ走る。
 トループス級を足止めしている筈の仲間の元へ走る。

 やがて様々な経路で進んだ三人は戦場で合流する。
 それは同時に猿たちを包囲する事にもなった。
『ききー! キタキター! ディアボロス』
『また来た。僕たちの邪魔するディアボロス!』
『許さないぞディアボロス!』
 うっきーと猿たちは奮起した。
 今まで仲間達にやられていたのだが、そんな事は微塵も覚えていない。
 トループス級はもっと数が居る物だが、三体しかいないので、強い個体ばかりなのもあるだろう。
「うぅ……。凄い猿から見られている気がする……」
「良く分らんが何かの縁を繋いでしまったんじゃないか? ドイツの奪還戦で西欧の魔女たちの話が出た時に調べたとか」
 レイの言葉にルィツァーリが反応した。
 何しろ彼も良く分らない相手と縁を結んだことがある。
 もちろん宿縁の敵の中には因縁部会相手も居れば、祖先などが縁を結んだ相手も居る。だが、妙な所で縁を結んでしまう事もあるという。
「あーかもしれませんね。ボクもあの猿の事、凄く不快に思ってしまうのは何故でしょううかと思ってましたが……そっかー。何処かで調べた情報で、何かの縁があったのかな」
 深淵を覗く者は、同時に除かれているとレイは聞いたことがあった。
 その辺があるからこそ、妙な感覚を受けるのかもしれない。
「まあ、あの猿たちをの外見的に、単純に気味悪いと思うのも当然とは思うけどね」
「あ、それはそれで思います。気味悪いですよね」
 シエルシーシャとレイはそんな事を言い合いつつ、それはそれとして気を引き締めた。
 出逢った以上、ディアボロスとクロノヴェーダが殺し合うのは当然だ。
 まして放置すれば人々を弄ぶことが確定しているキマイラウイッチたちである。容赦する事などあり得まい。
「ふふう……≪ - 接続開始 - ≫これより攻勢に出ます」
 レイは意識を集中させつつ、ゴーグルの上を触ってスイッチを入れた。
 電脳化したゴーグルは様々なデータや、相手の動きの予想図を表示し始める。
「スカイレイダー、逝きます。≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫……はああ!」
 レイが走りながら足元に力を籠めると、フライトユニットが動きを補正した。
 蒼い炎が点灯し、ブースターを吹かせながら空を翔ける。
 そして指先を腰に走らせれば、同時に鞘の無い柄が外れて抜刀し光の刃が迸る。体だけではなく、機械に意志を這わせた人機一体の極致である。
『うっきー!』
『うっきー!』
『うっきー!』
 猿たちはそのうごきにたしいて、三体が重なって行った。
 そしてトーテムのようになると、レイが突っ込んで来るのに合わせて三方へと分散する。
「さては拳法? って、此処は中国じゃないんだから!」
 レイが掲げるレイピアは光を魔力で構成したレーザーブレード。
 四方から迫る猿たちの動きに追いつき、追い越して切り払い、そして最も傷の深い個体に追い打ちの刺突を放ったのだ。
『後ろから行った……のに』
『見えてる? ずるいー! ていうか、しんだー!?』
『かわいい僕たちを殺するなんてゆるさなーい!』
 猿たちは一匹が斬られて崩れ落ちた。
 既に仲間たちの攻撃を受けていた事もあるだろう。
 強力なトループスでなければ既に死んでいたのだろうが、それでも元気なのはさすがである。
「可愛い?」
「流石キマイラウィッチ、美的感覚が狂ってんな」
「貴様等みたいなのは可愛いと言わん」
 その動きを追ってルィツァーリも空を飛んだ。
 俊敏な敵に追いつく為に飛翔し、翼を出した姿はまるでペガサスライダー。
 実際にはスヴェルカーニエにまたがったまま空を飛び羽を出しただけだが、見た目にはそんな感じである。
「禄でもない害獣というんだ。逃したらどれだけ被害が出るか分からんからな。罪なき人々を護る為、騎士として害獣狩り、全力で行わせて貰う!」
 ルィツァーリは天を翔けながら魔弾を放った。
 俊敏な敵に誘導弾を放ち、相手が避けてから本命の一撃を放つ。
『むっきー!』
「貴様等は一切逃さず殲滅させて貰う。貴様等の為に涙を流す人を出さない為にも絶対に逃さん!!」
 ルィツァーリもまた相手の怪力を剣で受け流しつつ至近距離から魔弾を放った。
 強引にふっ飛ばされる途中でスヴェルカーニエが踏み留まるが、空を飛んでいるのでズサーとか足音はしない。
「あと一匹! 碌でもない奴らを逃がす訳にはいかない!」
「任せて。絶対に逃がさないから」
 ルィツァーリの声を受けてシエルシーシャが最後の一隊に向かう。
 そいつはギョロリとした顔を見せて、胴体の口も牙を剥いた。
 そしてベロリと舌を出し、この状況下であるのに楽しげに語るのだ。
『アソボー! 僕らとアソボー!』
「……へぇ、遊び相手が欲しいんだ? そっか、丁度いい」
 シエルシーシャも笑ったが、くすりとは笑わない。
 自嘲気味で吐き捨てるような、この後の展開を想起して苦笑に近い笑みである。
「ね、妖精さんたち。あいつら『思いっきり』遊びたいんだって。今日は、構わないよ。何だったらお持ち帰りも私は気にしない。ここに残しさえしなきゃね」
 知っているだろうか? 妖精というものは元来、残酷な存在である。
 残酷さと同じくらいに純粋で、あどけなく自然に笑い合う事も出来た。
 その差を知って、ほどほどに付き合うのが妖精使いのコツなのだ。妖精使いは陽性使いとはよく言ったものである。
「じゃ、みんなを呼ぼうか。どれくらい来るかな? ……さあおいで。今日はここが遊び場だ」
 シエルシーシャの乾いた苦笑とは裏腹に、クスクスとした笑い声が聞こえる。
 ここにも、そこにも、あそこにも!
 無数の笑い声が森の周囲から聞こえて来る。草葉の陰から、泉の下から、遥か彼方の丘の向こうにある虹の根元から!
『キャハハ。みんなでアソボー!』
「妖精さんたちって物凄い残虐行為を笑顔でするからね。お前達がやりたかったことか、それ以上。今日はやられてみるといいよ」
 さあ、生首のサッカボールをご覧あれ。
 いつの間にか倒された猿の首が千切れ跳び、ごろごろと転がっている。
 そして敵のお腹にある口の中に突入し、中で鬼ごっことかもやっているぞ。
『あで? それ、おでの目玉……。かえじで。もやざないで……』
(「う……あれは流石にグロイかな。とはいえ流石に表には出さないようにしておこうか」)
 目玉を引き抜き、それを岩の上に置いて火をつければ目玉焼き!
 どこからか持って来た小麦と卵を使って、パンケーキも焼こう!
 不快感と苛つきで不用意な動きをしそうになるけどぐっと堪えるシエルシーシャだが、タンシチューを作り始めないか少しだけ不安に思った。だけれど、安心して欲しい!
「終わった……のか?」
「みたいですね?」
「ああ。妖精さんが隠してしまったんだ。伝承通りにね」
 まるで出来の悪い童話の様に、無残にバラバラ。
 そんな光景を見たのはパラドクスを放った本人だけ。
 白昼夢を見たかのようなシエルシーシャだが、これも逆連鎖戦で放たれた反撃ダメージなのだと思う事にした。

 何しろ……直ぐそこにアヴァタール級が居たのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!


『やあやあやあ。みなさんお待ちかね。本日の締めにボクが登場したよ!』
『お猿さん達には残念だったね。ボクも一人に成って寂しいや』
『だから素敵なゲストを呼んでみたんだ。君たちも沢山いるから、構わないよね?』
 そこに居たのは道化であった。
 最初から勝利も敗北も気にはしていない。
 過程こそが重要で、結果と逆転してしまったロクで無し。
『さあさ。今日もみんなで楽しく行こう』
『大人たちは眠りにつき、子供たちは僕と一緒にね』
『夜の世界にブラボー! 誰も知らない場所にご招待。まあ、本当にあるのかはボクもしらないんだけどさ?』
 周囲から無数のネズミが現れる。
 あるいは子供たちのドザエモンが七体くらいは居たかもしれない。
 もしかしたら最初から無頼の輩の末路で、利用された合われたモノたちかもしれないが。

 いずれにせよ、笛吹くキマイラウイッチが現れたのだ!
シルヴィオ・リュデケ
※アドリブ・連携歓迎

…クロノヴェーダというものは本当に死人を辱める行いが好きだな
悪いが、お前とは音楽の趣味が合わない
すぐに退場願おう
私の人形を、信念の無い音楽に合わせて躍らせてやる義理も無い

吸血鬼といえど流水を怖れるほどヤワじゃない
残留効果【水中適応】もある
常と変わらない速度で対応させてもらおうか
大量の水が流れ込んできたことで視界は良好とは言えないだろう
流木等の陰を利用して間合いを詰め、時折[フェイント]で相手の気を散らす
油断が生まれたところに[暗殺]で死角を取りパラドクスで仕留めよう
[貫通撃]で致命傷を与えられたら僥倖だな

無駄口は叩かず手早く済ませてやろう
大人の説教は嫌いだろうからな


近衛・悠
アドリブ・連携歓迎

トループは手伝えなくてすまない。アヴァタール戦は・・・(絶句)


人の命は遊びの道具じゃない。それぞれかけがえのない、大事なものだ。俺が最も嫌悪するもの、それは自分勝手な理由で罪無き命を弄ぶ奴だ。

子供達、さぞや怖かったろうな、冷たかったろうな。それ以上の苦しみを与えてやる!!

ネズミか。よし。(両手のナイフとククリを鞘に収める)

俺は本体を狙う。繰り出してくる迫る水攻撃は溺れさせようとするらしいが動きが制限される程じゃない。口に水が入らないように気をつけながら【飛翔】【エアライド】【水中適応】も使って窒息しないように水から脱出して凌ぐ。

凌げたら鷲狩りの爪発動!!獲物のごとく切り裂き、そのまま【両断】【解体】。その減らず口を叩けぬよう冷徹に切り刻んでやる。奴を楽しませないように、極めて冷静に、影の一族らしく。

お前の気まぐれで失われた命の苦しみ、その何倍もの苦しみを受けて死んでいけ!!

終わったら子供達を弔いたい。たとえ遺骸が残らなくても墓をたて、祈りを捧げる。



 無数のネズミが現れる。そこらから、ここらから、いずこから現れ出でる。
 子供たちのドザエモンが七体くらいは居たかもしれないし、もっと居るかも?
 それらは理由のある咎人であり、あるいは無関係である無垢な人々であった。
「トループは手伝えなくてすまない。アヴァタール戦は……」
 その姿を見て近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)は絶句した。
 その名の通り近衛でもあれば、陰働きもこなす一族なので公明正大だというつもりはない。
「人の命は遊びの道具じゃない。それぞれかけがえのない、大事なものだ。俺が最も嫌悪するもの、それは自分勝手な理由で罪無き命を弄ぶ奴だ」
 だが、それでも悠の一族が為したことに意味はあったと信じている。
 主人の為であり、天下の為だと伝えられている。だからこそ、無意味に子供たちを操り、そして殺す所業が許せない。
「……クロノヴェーダというものは本当に死人を辱める行いが好きだな」
 吐き気を催す邪悪と言うものは早々居る物ではない。
 シルヴィオ・リュデケ(ナイトウォーカー・g08427)はクロノヴェーダの中であってすら、無意味な行為に怒りを覚える。
「悪いが、お前とは音楽の趣味が合わない」
 語らう気も怒りをぶつける気も、シルヴィオには無かった。
 何か話してやれば、感情をぶつければ相手が喜ぶだけだ。
「すぐに退場願おうか。私の人形を、信念の無い音楽に合わせて躍らせてやる義理も無い」
「そうだな……ああ、そうだな。子供達、さぞや怖かったろうな、冷たかったろうな。それ以上の苦しみを与えてやる!!」
 シルヴィオと悠は左右に分かれて敵に向かって行った。
 まず悠が両手のナイフを収め、爪先に闘気を灯しながら身を低くした。
『おや~。キミたち怒ってる怒ってる? じゃあ、仕方ないな~。冷ませてあげよー』
「ネズミか。よし。疫病の血に塗らすのも惜しいし、もっと適任な技がある」
 獣めいた動きであり、流れて来る水の上を低空で飛んでいく。
 水が次第に増えて濁流に成るのだ。パシャパシャと言う足音は次第に消えて、いつしか完全に空を飛んだ。
「その減らず口を叩けぬよう冷徹に切り刻んでやる」
『ぱんぱかぱーん♪ はっずれー』
 悠が形の無い爪を突き立てると、敵はグシャリと潰れた。
 そしてその姿自体が、水の塊に成って周囲へ噴水の様に溢れ出した!
「だろうよ、! お前はそんな奴だ! お前の気まぐれで失われた命の苦しみ、その何倍もの苦しみを受けて死んでいけ!!」
 だが悠は慌てもしないし、冷静に動き続ける。
 その水を口にしないようにだけ気を付けて、水で出来た姿の殴り掛かった。
『痛いじゃなーいって。おろろ? もうひとりは何処に行ったかなー?』
 失敗失敗と笑うパイドパイパー。
 しかし、突如としてキョロキョロし始める。その時、シルヴィオの姿が無かったのだ。
 そしてネズミのような体の足元が膨れ上がり……。
「どこを見ている。ここだ」
『なんだってー!? なーんてね』
 足元から現れるシルヴィオに、パイドパイパーは素早く対応した。
 大量の水を渦の様に巻いて攻撃をしたのだ。
「悪いがそのくらいは想定済みだ。お前に人形もナイフももったいない」
 大量の水を切り裂いて鋭い糸が敵に迫った。
 いかに水を壁のように使おうとも、糸の様に細い存在を防げはしない。
 ネズミの体を切り刻もうと、スンバラリンと襲い掛かる!
「無駄口は叩かず手早く済ませてやろう。大人の説教は嫌いだろうからな」
「それは良いが……。終わったら子供達を弔いたい。たとえ遺骸が残らなくても墓を立ててな」
 シルヴィオと悠は背中を合わせて変幻自在、摩訶不思議な敵と向かい合った。
 それぞれが片方を睨み、そして時に正面に、時に影から敵を追い詰める。

 だが、注意せよ。
 そやつはハーメルンの笛吹、パイドパイパー。
 現代に至るまで、その正体が不明とされる怪異の一つである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【猫変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ダブル】がLV2になった!

シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎

……まだあの猿たちの死に様が目に焼き付いてる気がする……
少し頭を振って気持ちを入れ替えよう。
今度のは見てくれはマシな方だけど、中身はやっぱりどうしようもないね。
あの子達は……倒した後は土くれになっても不思議じゃない。
違っててもそう考えることにするよ。
反応しちゃえば喜ばせるだけ。そう。努めて、冷静に。……冷静に。

へえ。お前の手管の一つは水死なんだ。
当然自分は溺れず、愉しんで笑って笛を吹く……
うん、少し不公平だね?
川辺の死、海辺の死。少し種類は違うけど、お前にもたっぷり振る舞ってあげる。
だって、お前もネズミでしょ?
笛吹の童話をなぞるなら、沈むのはお前の方がふさわしい。
水底で死んだお仲間が、たくさんのネズミたちがお前を呼んでるよ。

飛翔にエアライド、水中適応。
さすがに水中での呼吸はさせてもらえないにしても、これだけあるなら水中に囚われる時間を極力減らして溺れない内に脱出できそうかな。
脱出ついでに逆に敵を水中に蹴り落としてあげたいね。
まあ、意趣返し以上の意味はないけど。


レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

勝利も自らの死も気にしない。
その間にディアボロスが苦しめばいい。
人が苦しめばいい。
自分が愉しめればいい…。

そんな事…許されていい訳が無い……。
のに…。

許し何て求めてない奴に、一体何を言えばいい
怒っても嘆いても奴らが喜ぶだけキマイラウィッチとはつくづく

救えない連中だ。

渾天魔法陣【Raumfahrt】を起動しパラドクス『ヴンダーアルタードノヴァ』を発動。
掌の上でぷかぷか浮ぶアーミラリースフィアに赤色超巨星を投影し
星の死を疑似的に再現し、死の瞬間に発生する超新星爆発の莫大な力を一点に凝縮
その力を放出して巨大レーザーの如き矢で敵を灼滅します。

お前も、ネズミたちも、その水も、彼らも
全てを蒸発させて無に帰しますよ。

ここで…。
こんな所で心を折られる訳にはいきません。
どれだけ目を背けたい事があっても、辛い事があっても
乗り越えて、踏み越えて、前に進まなければ

救えなくてすいません。



 不思議不可思議、摩訶不思議。
 ちょいと現れて人々を先導し、時には良い事を、基本的には悪い事を。
 そして良い事はいずれ来る悪い事の伏線であり、導入である。
「……まだあの猿たちの死に様が目に焼き付いてる気がする……」
 シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は青ざめた顔を振った。
 妖精たちは純粋だが、それゆえに残酷である。
 敵の残虐性に付き合って、妖精の残酷さを解き放ったことで、悪性をその眼に焼き付けてしまったのだ。自業自得ではあるが……あの邪悪な猿には、ソレが似つかわしいと思った結果でもあった。
「今度のは見てくれはマシな方だけど、中身はやっぱりどうしようもないね。あの子達は……倒した後は土くれになっても不思議じゃない。違っててもそう考えることにするよ」
 独り言のようにシエルシーシャは語る。
 それは自分を言い聞かせている様であり、同時に仲間に告げているようでもあった。
「反応しちゃえば喜ばせるだけ。そう。努めて、冷静に。……冷静に」
(「勝利も自らの死も気にしない。その間にディアボロスが苦しめばいい。人が苦しめばいい。自分が愉しめればいい……」)
 シエルシーシャの言葉がレイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)には右から左に抜けそうだった。その忠告は聞いておかねばならないと理解できるのに、考えがぐるぐると回って目を回してしまいそうだ。
『ハハハ。宣誓! ボク達!』
『ワタシ達ハ……』
『キミ達が正々堂々と戦う限り♪』
『正々堂々ト戦イマス』
 笛吹が陽気に叫ぶと、周囲の死体が何かを言い始める。
 喉はとっくに朽ちているのに、無理やり発音されてくぐもって聞こえるのだ。意味もディアボロスの力で、ようやく理解しているに過ぎない。
「そんな事……許されていい訳が無い……。のに……」
 許し何て求めてない奴に、一体何を言えばいい?
 あいつは正面から戦うだけの話を、面白がって水死体に宣誓させている。
 そうすればディアボロスが反応すると判っているからだ。もちろん、面白がっている。
(「怒っても嘆いても奴らが喜ぶだけ。キマイラウィッチとはつくづく……」)
 ……救えない連中だ。
 レイの考えと、言葉と、その怒りから壁が取り払われようとしていた。
 だが、それではいけない。入り乱れる思考で、位階rのまま戦ってはいけないのだ。モラルからではなく、敵を喜ばせないように戦おう。

 猿に鼠に、吐き気を催す邪悪のバーゲンセール。
 キマイラウイッチはこんなのばかり、ディヴィジョン全体がこうなのだろう。
 フォルクスバーゲン、国民的大安売りってこういうものなのかもしれない。ただ、喜ばしいものにはちっとも見えないが。
「へえ。お前の手管の一つは水死なんだ」
「当然自分は溺れず、愉しんで笑って笛を吹く……」
「うん、少し不公平だね?」
 シエルシーシャは真紅の宝玉を指先で軽く撫でる。
 まるで瞼をこじ開けるように、人差し指でスルリと。
 そして詠唱を開始し、魔力を注ぎ込んでいった。
「川辺の死、海辺の死。少し種類は違うけど、お前にもたっぷり振る舞ってあげる。だって、お前もネズミでしょ? 笛吹の童話をなぞるなら、沈むのはお前の方がふさわしい。ナックラヴィー、呪え、縋れ、啜れ」
 シエルシーシャはエアライドであふれかえる水の上を歩いた。
 もちろん空を飛べるし、仲間がやったように水の底にも潜むことは可能だ。
 チョコンチョコンと渡り歩き、水底に魔力を溜めていく。
「水底で死んだお仲間が、たくさんのネズミたちがお前を呼んでるよ」
『ひ、ひえー!? タスケ、たすけてー。おたすけー~』
 すると足元から無数の腕が伸びて来る。
 水で形成された腕が、水底に笛吹の足を掴んで引きずり込み始めたのだ。
『ヘールプ! ヘルプミー!? ボクを助けるんだ~』
『タスケ……ル』
『タスケ……ゴブ、ゴボボ』
 するとどうだろう、笛吹のみならず、子供たちの水死体も巻き込まれた。
 次々とドザエモンが水底へ、元の世界へ『還って』いく。
 そして笛吹の顔が、まさしくネズミになったり、もっとディティールの凝った人間の顔に変化するではないか。その姿ですら水に変化して、周辺全体に大量の水が溢れ出していく。
「うっ……。判っててもつらいかな。でも……沈むのはお前だ」
 自分が水の中に巻き込まれた事はどうでも良い。
 だが、敵はネズミもドザエモンも含めて一括りのクロノヴェーダなのだ。
 耳から手を突っ込んで奥歯の神経を抜くような不快さと、臍の緒から手を突っ込んで胃袋を掴むような不快感をかみ殺す。水の中から抜け出るついでに、敵を蹴り落としてやった。
「何があったのか分かりませんが、大丈夫です?」
「足場にして蹴っ飛ばしただけ。まあ、意趣返し以上の意味はないけど」
 レイの言葉にシエルシーシャは簡単な説明をした。
 不思議と水の臭いがしないのは、やはりパラドクスだからだろう。
 先ほどのイメージは彼女が敵を水底に叩き込む時に、子供の水死体を巻き込んで土くれに変えた時の不快感なのだろう。だからこそ、鼻や口から水を吸い込んだ時特有の水の冷たさも、噎せ返る様なコケの香りも感じないのである。
「お前も、ネズミたちも、その水も、彼らも。全てを蒸発させて無に帰しますよ」
 レイは何が起きたのかと言う想像を止めた。
 逆連鎖戦では一瞬の出来事であり、注視しない限りは早々見ない。
 そして彼女は仲間がパラドクスを放つ間、準備し続けていたのだから。それはこの時の為であろう。
「ここで……こんな所で心を折られる訳にはいきません。どれだけ目を背けたい事があっても、辛い事があっても。乗り越えて、踏み越えて、前に進まなければ」
 レイの掌の中で天体模型が回転する。
 それの中で干を示す幾多の光点が巡っている。
 すると彼女の周囲に電子情報が表示され始めるが、ゴーグルをつけていない余人には見栄はしない。
「下部座標に『感』あり。見つけました……、誰にも看取られる事無く消えて行った子供たちの未来。それは豊かな明日があったはずの、奇跡の星たち。今はボクが『見て』いてあげる。だからその存在証明をしましょう……」
 水底に当る場所に、可能性が埋もれていた。
 それはきっと、水に流されて死んだ子供たちの運命であろう。
 レイはブラックホールの向こうにいるという『事象地平の観測官』であるかのように、可能性を観測したのだ。そして、観測することで失われた人々の未来を再発見し、ソレを一時的に攻撃手段として採用。己自身の敵を討たせると共に、失われた励起子から抜き出して、存在証明を持って転生に導くのだ。
「人の死を、星の死に見立てる。既に絶えた星の証しは、歴史に刻まれぬ人の死。赤き星の軌跡は今、地球に届いた! ならば今まで証明されず、此処に証明されるのは必然! 我は星の死を、赤き緋を矢と為さしめん!」
 人の死を持って星の死を疑似的に再現。
 無為に死した死は、星の死として超新星爆発の莫大な力を発する。
 ソレを凝縮し一点に集中。星の光が元の位置から地球に届くという現象を、矢の動きとして放ったのだ。それはレーザー、あるいはメーザーと呼ばれる炎の矢! 光の矢! 敵を貫くことで星の終焉を荒鷲、星が死んだという事を証明し、そして重ね合わされた人の死を証明して輪廻に戻る一撃である!
『チクショーお前たちなんて……なーんてね? お姉ちゃん達、ヒドーイ!」
「……救えなくてすいません」
 自らに絡みつく大量の水ごと、レイは赤い光で敵を焼いた。
 巨大なレーザーは敵を貫き、大量の水を蒸発させていく。
 叩き付けられる水の勢いよりも……子供たちを救えていないという事実こそが、レイにとって辛い事実。

 ならばせめて、その死を新宿に連れて行こう。
 子供たちは歴史の中で死に、いつか生まれ変わるのだと……自分達くらいは覚えていようと心に誓うのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!

ルィツァーリ・ペルーンスィン
アレンジ連携歓迎

此の行状、本当にクロノヴェーダの禄でもなさを痛感させられるな
キマイラウィッチは禄でもない輩が多いが……特に貴様は醜悪に過ぎる!

ああ!
彼等を開放する為に……絶対に奴を討つぞリュー、エトヴァさん!

我が神ペルーンよ
外道に囚われ凍える子供達を其の焔にて暖め浄化し……あの外道を焼き尽くさんが為、御身の焔矢を此処に……っ!!

……済まない、君達が生きている間に救う事が出来なくて
こうして奴から君達を開放した様に……奴の本体は必ず討つ!
此の誓いは騎士として絶対に果たして見せる!
だから、どうか安らかに……

敵に足下を掬われない様に怒りを無理やりに抑え込みつつ相棒の無双馬に〇騎乗し戦闘
敵の呪縛から解放する為にも子供達ごと〇焔矢で敵を討つ

彼等の様な犠牲者を此れ以上出させない為に、そして救えなかった彼等を開放する為に、己の全身全霊を込めた焔矢は奴を死ぬまで〇追跡し絶対に逃さず討ち果たす!

戦闘後は遺体が残らないかもしれないが簡易的でも良いので彼等の分の墓を建て、絶対に本体も討ち取る事を彼等の墓前に誓う


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

キマイラウィッチの残忍性と身勝手さは嫌いとしか言いようがないな
遊ぶなら一人で遊べ

ああ、行こう、二人とも
禍いの源を駆逐する

リューさん、ルィさんへディフェンス
仲間とパラドクス通信で連携を取りつつ、逃さぬように包囲や挟撃しながら、注意を奪う
Nachtigall(チェロ)を演奏し、PDの音色で攻撃
それは子守歌、それは鎮魂歌
どこまでも柔らかな旋律が、のびやかな音色が、彷徨う子供たちを包むように
敵に笛吹く手を止めさせ、哀れな犠牲者たちを留まらせ、無理な使役から解き放とう
どんな笛の音が聴こえても、演奏に集中し手を止めないだろう

音色をこうも悪用されると腹立たしいな
反撃には忍耐し
俺が踊るならば、貴様を屠る舞踏であろうな
ならば踊るように奏で
今度は灰さえ残さぬように
二度とこの地に、子供たちに触れさせはしない

奴を倒せば、パラドクスの産物は消え失せるのだろうか
彼等が、もう操られずに済むように……
弔いの十字を切る

討伐後は、ルイツァーリさんを手伝おう
犠牲者たちの安息の場所となるように祈る


リューロボロス・リンドラゴ
この我に。
幼子達の復讐者にして弔いの花たるこの我に、幼子達の水死体をけしかけるか。
くくく、くははははは!
つくづく貴様達は我が逆鱗に触れるのが上手いらしい!
マッチポンプの復讐はキマイラウィッチのお家芸!
守れる訳のない、守る訳にはいかない約束を吹っかけたのだろう!

ルィツァーリ、エトヴァ、幼子達を解き放つぞ!
二人をディフェンスしつつ戦うぞ!
我が炎は幼子達の夢。
死して尚弄ばれる幼子達を火葬してやりたいところだが……。
逆説連鎖や敵のパラドクスに組み込まれてるとなればそうもいかぬか。
だとしても我が炎を弔火とし、幼子達を解き放ち天へと導く光と成さん!
ルゥオオオオオオオオ!
――万物万象燃え尽きよ。火を吹くは竜である。
幼子達をけしかけてこようとも動揺はせぬ。
我が身全てで幼子達の嘆きを悲しみを受け止めようぞ!
言葉で挑発してこようともこの悲しみに比べればあまりにも軽すぎる。
逃げようものなら泥濘の地……過程こそが重要なら逃げることなく怒り猛る我らを愉しもうとするやもだがの。

墓標か。我も共に作り、誓おうぞ。



 貫き、焼かれた敵は、まるで肉の塊のように変異する。
 それは子供の様で、ネズミの様で、それらが混ざり合った醜悪な存在だった。
『ドドドドッド!!』
『レレレレレ……』
『ミミミミ…………』
『ファー~!?』
『ソソソ!!!!』
 その時、戦場を埋め尽くす不快な音が響いた。
 人間の喉を楽器として組み込み、その個性を音の種類にする。
 それは笛の様に抜ける空気の音、そして子供たちの悲鳴。
 人間によるオルガンであり、オーケストラであった。膨大な魔力と嘆きが周囲を染め上げる。
「この我に」
「幼子達の復讐者にして弔いの花たるこの我に、幼子達の水死体をけしかけるか」
「くくく、くははははは!」
 リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)は哄笑を上げた。
 だが高笑いと言うよりは怒声に近い。
 内から溢れる怒りは、時として笑いとして表すしかない。
「つくづく貴様達は我が逆鱗に触れるのが上手いらしい!」
「マッチポンプの復讐はキマイラウィッチのお家芸!」
「守れる訳のない、守る訳にはいかない約束を吹っかけたのだろう!」
 リューロボロスの声は戦場を切裂いた。
 その眼差しは戦場を見通した。
 その怒りの声は周囲を埋め尽くす水流を放逐していった。
『え? そんなの当たり前じゃない。だからこそ、叶えようとする人間の行いは美しい』
『ああいうのは良いよね。でも、大人は汚いから直ぐに初心を忘れちゃう』
『その点、子供は純真で良いよね。あ、でもさー。本当に実行したら、その時点で部下とか、話を聞いてくれる仲間は引き揚げさせるよ? それはホントだよ。まずいないけどね~』
 肉の塊に成って死にかけている敵は、頬に手を当てて『ビューリーホー』と溜息を吐いた。
 息も絶え絶えだが、その吐息は心底感嘆に満ちている事が判る。
 約束を守ろうとする人々の心が美しいと知って尚、犠牲にして愉しもうとする姿は、けっして相容れないものであった。
「此の行状、本当にクロノヴェーダの禄でもなさを痛感させられるな」
 ルィツァーリ・ペルーンスィン(騎士道少年・g00996)はその気持ち悪さが鼻に付いた。
 どうしてそんな嗜好(思考)に成っているのか理解できない。
 なまじ人の心に共感し、そして出来るはずも約束を本気で守ろうとする精神性が全く理解できなかった。
「キマイラウィッチは禄でもない輩が多いが……特に貴様は醜悪に過ぎる!」
「そうだな。その残忍性と身勝手さは嫌いとしか言いようがない。遊ぶなら一人で遊べ」
 ルィツァーリの言葉に頷きエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は吐き捨てた。
 絵を描き音楽を奏でる過程を愛する事も、失われていく光景を愛する事はある。
 だが、それでも無意味に花をへし折ったり、既にある芸術作品を炎に叩き込んで、嘆く人々を困らせて鑑賞しようという事は無いのだ。
「ルィツァーリ、エトヴァ、幼子達を解き放つぞ!」
「「ああ!!」
 リューロボロスの言葉に二人が唱和する。
「ああ、行こう、二人とも。禍いの源を駆逐する」
「ああ! 彼等を開放する為に……絶対に奴を討つぞリュー、エトヴァさん!」
 エトヴァの言葉にルィツァーリが多い被せ、思いを上書きする。
 言葉を、思いを、行いを濃く・鋭く・そして当然の物へと変えていった。

 そして真っ先に動き出したのはエトヴァである。
 他の二人の方が思いが鮮烈であり、同時に広範囲に影響を与えることが可能なのは彼だからだ。
「――Willkommen」
 それは子守歌、それは鎮魂歌。チェロの音と共に奏でられる。
 どこまでも柔らかな旋律が、のびやかな音色が、彷徨う子供たちを包むように。
 笛吹く手を止めさせ、哀れな犠牲者たちを留まらせ、無理な使役から解き放とう。
(「あの音は……子供たちの悲鳴は止まないか。……どんな笛の音が聴こえても、演奏に集中し手を止めないだろう。音色をこうも悪用されると腹立たしいな」)
 依然として、あの不快な音楽が奏でられている。
 その中心核に、笛の音があるのを確かにエトヴァは感じた。
 その音が子供たちの神経を許さぶると知り、精神を犯すと判る。
 どうして自分は、この状況で黙って見て居られるのかと思う。気が付けば……歯がガチリと神合わされる音、ブチリと肉を噛む音、ドロリと血の味を感じる。
(『我慢なんて必要ないよ……やっちゃえ!』)
「俺が踊るならば、貴様を屠る舞踏であろうな。ならば踊るように奏で今度は灰さえ残さぬように。二度とこの地に、子供たちに触れさせはしない」
 何処からか、心の奥からか、幻想の言葉が聞こえる。
 だが、エトヴァはその言葉の通りに心を解き放つことにした。
 主義主張を止め、心と心をつなぎ合わせる。
 それは自分であり、哀れな子供たちだ。踊る様に風を呼び覚ます。風塵に載せて軽やかな音が戦場に木霊したのだ。
「我が炎は幼子達の夢。死して尚弄ばれる幼子達を火葬してやりたいところだが……。逆説連鎖や敵のパラドクスに組み込まれてるとなればそうもいかぬか。だが!」
 リューロボロスは一瞬戸惑った。
 だが、心のままに動くことにした。
 ここで 貫き通せぬ弱い自分など要らぬ。重要なのは、我儘を貫くのではなく、必要な事に手を伸ばす……そう、手段だ。
「だとしても我が炎を弔火とし、幼子達を解き放ち天へと導く光と成さん!」
「ルゥオオオオオオオオ!」
「――万物万象燃え尽きよ。火を吹くは竜である」
 竜の唄声を、時にブレスと呼ぶ。
 血の一混じる口付けを口吻と呼ぶ。
 叫ぶような、張り裂けるようなその声は、吐息をして業火に変えた。
「幼子達をけしかけてこようとも動揺はせぬ」
「我が身全てで幼子達の嘆きを悲しみを受け止めようぞ!」
「言葉で挑発してこようともこの悲しみに比べればあまりにも軽すぎる」
 リューロボロスは肉が混ざり合い、子供たちとも鼠ともつかぬナニカに火を放つ。
 火焔を持って衣とし、寒さを吹き飛ばす装いに変える。業火であり豪華な衣。
 目覚めよ灰被り。シンデレラと名前を変えて、悲劇から復讐劇から、喜びの物語に姿を変えるのだ!
「逃げようものなら泥濘の地……過程こそが重要なら逃げることなく怒り猛る我らを愉しもうとするやもだがの。……やれ!」
「おお!」
 リューロボロスの声に応じてナニカが翔ける。
 無双馬が疾駆し、その背にある少年が矢を番える。
 すると空にポツポツと、熱量エネルギーを蓄え始めた。まるで竜が放った業火の様に。
「我が神ペルーンよ」
「外道に囚われ凍える子供達を其の焔にて暖め浄化し……」
「あの外道を焼き尽くさんが為、御身の焔矢を此処に……っ!!」
 ……済まない、君達が生きている間に救う事が出来なくて。
 こうして奴から君達を開放した様に……奴の本体は必ず討つ!
 此の誓いは騎士として絶対に果たして見せる! ルィツァーリのそんな心根が聞こえる様ではないか!
「だから、どうか安らかに……」
 弓を引くような腕の動きに合わせて、炎が、大砲が姿を現す。
 炎を包み込むように大砲が現れ、その方向を肉塊の中の一部分に向ける。
 全身全霊を傾けて放った一撃は、彼の思いの熱量を示すかのようだ。肉の塊を貫通し、そして周囲を蒸発させていったのである。
「遺体が残ってないのかもしれないが……簡単でいいから彼等の分の墓を建ていてやりたいな」
「パラドクスの産物は消え失せるのだろうか? だが、彼等が、もう操られずに済むように……そう願いたいな」
 ルィツァーリの決意にエトヴァが頷いた。
 そして十字を切り、安息を祈る。
「絶対に本体も討ち取る。その事を此処に誓う」
「墓標か。我も共に作り、誓おうぞ」
 騎士の少年が誓うと、少女の竜も誓った。

 今だ、何処に居るのか分からないクロノス級。
 その復讐を果たすために、本体をいつか探し出し……。
 あるいは格好の舞台が整えば、召喚して倒してやるぞと心に誓ったのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ロストエナジー】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2024年01月06日

キマイラウィッチ増援阻止戦

 攻略旅団の提案により、火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラ・ウィッチが断頭革命グランダルメに向かっている移動経路を割り出すことが出来ました。
 キマイラウィッチ達は、ディヴィジョン境界の霧を越えて次々とグランダルメに侵入。移動中に人里があれば、住人を皆殺しにしながら、イベリア半島に向かって移動しています。
 断頭革命グランダルメ側は、このキマイラウィッチの移動経路から撤退し、無抵抗に移動を許しているようです。

 自動人形に見捨てられてキマイラウィッチに蹂躙される人々を助けて、キマイラウィッチを撃破してください。
 多くのキマイラウィッチを撃破すれば、イベリア半島のキマイラウィッチ勢力の戦力を枯渇させることも可能でしょう。


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#火刑戦旗ラ・ピュセル
🔒
#キマイラウィッチ増援阻止戦
🔒
#断頭革命グランダルメ
🔒
#イベリア半島


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選択肢『住民の避難誘導』のルール

 危険な場所にいる住民を、安全な場所へと避難させます。
 避難を呼びかけて自主的に避難させる事もできますが、自主避難が難しい場合は、力づくで避難させる必要もあるかもしれません。
 老人や子供、怪我人など、自力での避難が難しい人には、フライトドローンなどを利用するのも良いかもしれません。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿をクリアするまでに、この選択肢の🔵が👑に達すると、このシナリオで一般人に死者を出さずに済む。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾一般人を襲うトループス級『少年合唱団・猿』のルール

 周囲の一般人を襲撃するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 放置すると村や町を破壊したり一般人を虐殺してしまうので、被害が拡大する恐れがあるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『ハーメルンの笛吹き』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「ルィツァーリ・ペルーンスィン」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。