イタリア北部救援作戦

《七曜の戦》で蹂躙戦記イスカンダルに強奪されたイタリア南部は、断頭革命グランダルメから消滅し、海となりました。
 攻略旅団の提案により、この海になった地域に近いイタリアの、救援支援に向かう事になりました。

 亜人は《七曜の戦》終戦時に蹂躙戦記イスカンダルに戻り、断頭革命グランダルメのクロノヴェーダもこの地域から撤退した為、この地域にはクロノヴェーダの姿は無いようです。
 残ったイタリアの都市を巡って、住民と交流を行いつつ、彼らの支援を行ってあげてください。
 この救援作戦が成功すれば、イタリアの一般人達は自給自足で生活していく事が可能になる筈です。

祝杯はグリンツァーネ・カヴールで(作者 絵琥れあ
9


#断頭革命グランダルメ  #イタリア北部救援作戦  #イタリア半島 


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「どうしたもんかねえ……」
 豊かに実る葡萄畑を前にして、人々の嘆きが聞こえる。
「まさに今が収穫期だって言うのに、出稼ぎに行った連中が戻らないじゃないか」
「ただでさえ交易が立ち行かなくなって困ってるって言うのにさ」
 どうやらこの村は、人手不足に悩まされているようだ。
 収穫も、それどころか冬を越せるかどうかも危うい状況。
 困り果てた人々を見下ろす立派な城もまた、沈黙を守り続けるより他にない。


「葡萄が旬の時期ですよね」
 旬のものを旬の時期に味わうのは健康にも環境にもいいんですよ、なんて嶋瀬・翠市(描くは未来を・g09696)は告げて。
「南イタリアは蹂躙戦記イスカンダルに。パルマ公国にオーストリアなどは最終人類史に。そして北イタリアは断頭革命グランダルメに……これにより、北イタリアは完全に孤立状態となってしまいました」
 グランダルメ本国からの支援も途絶えていると言う。
「物流が途絶えたことで、冬を越えるのも難しくなった地域も多いことでしょう。幸いにして亜人による侵攻は今のところ行われていませんが……」
 それでも、手を差し伸べられる人々がそこにいるのなら。
 手を差し伸べることは、ディアボロスにしか出来ないと、翠市は言う。
「ですので、皆さんには現地……グリンツァーネ・カヴールでの支援活動をお願いします。物資の補給、農地開拓……方法は皆さんにお任せします」

 翠市はそう言って締め括る……かと思いきや、再びその口を開いた。
「折角ですので、支援を終えたら少し観光してくるといいと思いますよ。グリンツァーネ・カヴール城とその周辺の葡萄畑は観光名所ですからね」
 城の中には入れないようですが、と翠市は言うものの。
 広がる葡萄畑と美しい城の光景は、この秋ならではの絶景だ。
「支援活動の後なら住人の皆さんも好意的でしょうし、貯蔵庫のワインを試飲させてくれるかも知れませんね。……ああ、未成年の方には葡萄ジュースですよ」
 念を押しつつも、翠市がそんな提案をするということは。
 これは彼なりの、英気を養ってくるといいという気遣いなのだろうか。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
2
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV2 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 コンビニの甘口ワインを飲んだら本当に甘ったるくて撃沈した記憶。

 選択肢②について補足を。
 住人との交流とありますが、メインは観光です。
 本来の歴史では世界遺産でもある美しいお城と、広がる葡萄畑の絶景を楽しみましょう。
 その上で住人に声を掛ければ、貯蔵のワイン(未成年とヒルコの方はジュース)を試飲させてくれる、というお話。
 この性質上、リプレイ執筆・納品順は①→②となります。予めご了承いただければ幸いです。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
32

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


マリアラーラ・シルヴァ
共闘アドリブ歓迎

収穫のお手伝いって聞いたから
新品スコップの出番って思ったのに
ブドウ畑だなんてマリアじゃ背が届かないよ

でも背が届かないのはマリアだけじゃない
村の子供達だって
大人達が困ってるならお手伝いするのもやぶさかではないけれど
背が届かないから手伝えないって
やきもきしてると思うの

だからね
大きい【フライトドローン】にマリアと同年代の子を乗せ
ブドウに手が届く高さでゆっくり移動
効率よく収穫して誉めてもらおうよ作戦を決行するよ

何人かの子と交代して打ち解けられたら
ここからが交渉の本番
ドローンすれば子供達も人手になる事を大人達に見せつけられたけど
ドローンのお陰とも思われてるはず
だから「ドローンの代わりになるもの」があればいい

つまり平行移動出来る車輪つきの台を大人達に作って貰ってお馬さんに引いてもらえば
背が届かない子供や腰が曲がって動けないおじいちゃんでも
収穫の人手になれる…人手不足を解消できる

初期投資が必要だから躊躇われるかもだけど
そこは仲良くなった子供達の熱意を前面に出して
マリアも一緒に説得するね



 広大な葡萄畑が、彼の地には広がっている。
 さて、そんな葡萄畑の前で佇んでいるマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)。彼女は復興支援の為、張り切ってこの地を訪れた、のだが。
(「収穫のお手伝いって聞いたから、新品スコップの出番って思ったのに」)
 手にはぴかぴかのスコップ。
 そして空色のその視線は――同じ色した空、ではなく頭上高くの葡萄へと。
(「ブドウ畑だなんてマリアじゃ背が届かないよ」)
 葡萄とか果物って、基本的には木に生るものですからね……。
 マリアラーラにとって想定外の事態は発生したが、ここは見方を変えて。
(「背が届かないのはマリアだけじゃない。村の子供達だってきっとそう。でも」)
 子供達としても、家族の手伝いをするのは吝かではない筈。
 ただ、今しがたマリアラーラが身を以て体験したように、問題があった。
(「背が届かないから手伝えない、ってやきもきしてると思うの」)
 やる気はあるのに、出来ない。
 マリアラーラがここに来て、感じたもどかしさ。それをここの子供達は、あの大戦が終わった日から、ずっと続けていた筈。
 子供達の姿を探せば、畑からは少し離れたところに彼らの姿はあった。思い思いに遊んでいるようだが、側に鋏や籠が置いてある。
「ねえねえ、収穫はいいの?」
 マリアラーラは何も知らぬ風を装って話しかけた。
 すると、子供達は口々に言うのだ。
「僕だって……できるならしたいよ」
「背が届かなくてね、僕ら」
 むくれてしまった小さな少年と、この中では少し背が高めの、皆の兄貴分らしい少年。
「あのね、いいものがあるよ」
 ついてきて! と促せば、子供達は首を傾げながらもマリアラーラを追って葡萄畑へ。
 そこでフライトドローンを呼べば、目を丸くする子供達。
「わー!?」
「なにこれ!?」
「さっ、乗って乗って」
 マリアラーラに促され、子供達は戸惑う様子を見せたものの、やがて先程の小さな少年が恐る恐るドローンの上へ。
 彼が落ちないようゆっくりと、葡萄に手が届く高さまで浮上させれば。
 ぱちん、と鋏の音ひとつと、喜色満面の声。
「できた!」
「おーい、どうした?」
 それを交代して繰り返していると、大人達も声を聞きつけてやってきた。
(「ここからが本番!」)
 マリアラーラは気合を入れ直し、大人達の前へ。
「今の、見てたよね? これがあれば子供達も収穫のお手伝いが出来るよ」
「うおっ、なんだこりゃ!?」
「どうやって動いてるんだ……?」
 大人達もドローンに驚く。
(「まあ、そうだよね」)
 この時代の彼らに、ドローンを動かす技術はない。
 仮にあったとしても、マリアラーラ達ディアボロスが帰れば消えてしまう。
「これじゃなくても、平行移動出来る車輪つきの台を作って貰ってお馬さんに引いてもらえば、背が届かない子供や腰が曲がって動けないおじいちゃんでも収穫の人手になれるの」
 そうすれば、人手不足も解消出来ると。
 初期投資は必要になってしまうけれど。
「父ちゃん、僕やりたい!」
「うん。皆、父さんや母さんの役に立てるかもって喜んでた。だから……」
 子供達も、説得に加わってくれる。
「みんな、こんな時だからこそ役に立ちたいって、収穫の準備してたんだよ」
 ちゃんと見ていた、と。
 マリアラーラも、後押しすれば。
「解った。じゃあちょっとやってみるか」
「あんた達がそんなに考えてくれてたなんてねえ……」
「……!!」
 大人達の答えに、子供達が表情を輝かせる。
 そして、やったよ、と言わんばかりの笑顔をマリアラーラに向けた。
 だからマリアラーラも、とびきりの笑顔を返して。
(「効率よく収穫して誉めてもらおうよ作戦、大成功だね」)
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

新宿島から、時代にあった物資を持てるだけ持ち込もう
鞄やリュックいっぱいに
保存食系の食糧に、塩や香辛料を一人前
残りは早く収穫できる野菜や根菜の種苗に、布地や糸、必需品を

交易が途絶えたことにより足りないものと……
急場を凌ぐためのお手伝いを
それから……これからのために、何ができるのか

持参したチーズやドライフルーツ、ナッツ、生ハム、魚介類の塩干物など
保存食を食器に並べ、食事をしつらえて【口福の伝道者】で増やし
増えたものをまた食べて増やし
食事の一環で、岩塩の欠片を口に含み、塩を確保

現地の人々に挨拶し、素性を語り
街の有力者に事情の説明を
北イタリアで地形の変動があり、当面は商人たちも来られず、交易に頼れなくなるだろう
自給自足を目指し、今から備えを作り、近隣の村や街と協力してやっていけるように……大変だが、皆の力を合わせてほしい
俺も手伝う

食糧と物資を配布したら、人手として働き、葡萄畑で収穫を手伝おう
復讐者の体力で、少しは役に立てるといい
街の人たちと語り、不安や足りないものを聞けたなら、と



 鞄やリュックいっぱいに、物資を沢山詰め込んだ。
 保存食系の食糧に、塩や香辛料を一人前。収穫の早い野菜や根菜の種苗に、布地や糸などの必需品。
 勿論、時代に即したものかどうかはちゃんと確認、気を配りつつ。
(「……一先ずはこんなものか」)
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は考えていた。真剣に、彼の村の人々の為を思って。
(「交易が途絶えたことにより足りないものと……急場を凌ぐためのお手伝いを。それから……」)
 これからのために、何が出来るのか。
 考えて、行動する。それが少しずつでも、人々の為になるのだと信じて。
 パラドクストレインを降り、城を目印に村へと辿り着いたら、早速エトヴァは行動を開始した。
(「保存食はこの食器に並べて、食事を設えて……」)
 並ぶのはチーズにドライフルーツ、ナッツに生ハム。魚介類の塩干物など。塩の確保の為に岩塩も一緒に。
 食べて、また食べて、増やしていく。人々が飢えずに春を、その先の未来を迎えることが出来るように。
 願いを、希望を込めて。
「さて、それじゃあ行こうか」
 村を周り、見かけた人々の姿に少し安堵して。
 彼らと挨拶を交わして、自身のことを語り説明し。
「有力者と話がしたいんだが……村長やそれに相当する人物はいるだろうか」
「ああ、それなら村長の家までご案内しますよ」
 親切な村人に、エトヴァはお礼の言葉を告げて。
 その後をついていくと、村長の家にはすぐに辿り着いた。村人が客が来ていると呼び出すと、村長らしき初老の男が玄関へと顔を出す。
 ここでも、しっかりと挨拶を交わしてから、この国の現状を伝える為に、エトヴァはまた口を開く。
「実は、北イタリアで地形の変動があったんだ」
「なんと……それで出稼ぎに出た者が帰れないと」
「それだけではない。当面は商人たちも来られず、交易に頼れなくなるだろう」
 村長だけでなく、話を聞いていた人々の間にもどよめきが起こる。
 彼らの不安は尤もだ。当たり前に帰ってくると思っていた人が帰って来られず、生きていく為に必要な交易での稼ぎも今後は見込めなくなると言うのだから。
 不安になるな、と言う方が酷だ。エトヴァもそれは痛いほどに理解している。
 だからこそ、力になれればと思ったのだ。その為に、ここにいる。
「自給自足を目指し、今から備えを作り、近隣の村や街と協力してやっていけるように……大変だが、皆の力を合わせてほしい」
 俺も手伝うから、と。
 誠実に、真摯に語りかける。
 どうか、人々が不安に囚われたまま、進めなくなることのないように。人々が少しずつでも前に進む為に、自分も出来ることをするから。力を、尽くすから。
「……とは言ったものの、先立つものがないとな。足しになればと食料と物資を持ってきた。配らせて貰っても?」
「よろしいのですか? それはこちらとしても助かりますが……」
「勿論。その為に用意したんだ」
 安心させるように、その蒼穹の瞳を細めて微笑む。
 最初はおずおずと受け取っていた人々の表情も、冬への備えが行き渡る度に段々と和らいできた。
「それに、収穫の人手も足りないとか。ここにいる間にはなってしまうが、葡萄畑で収穫の手伝いも出来たらと」
「何から何まで……感謝の言葉もございません」
 復讐者の力が、少しでも役に立てばいいのだが。そう願って、エトヴァは収穫の手伝いに入る。時折人々と語り、不安や足りないものを聞いて、共に解決方法を考えて。
 その積み重ねが、少しでもいい方向に向かえばいい。籠いっぱいになった葡萄を見て、そんなことをエトヴァは思った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!

瀬良・要
【黒白藍】

イタリアかァ、刻逆前も含めまともに来ンのは初めてだ
成程、七曜の戦で孤立しちまったのか
そりゃ支援に行くっきゃねェわなァ? 困った時はお互い様♪
まァ、真雪や飛鷹と一緒に遊び行きたかっただけなんだけどな

住民の様子を見ながら、困ってる事があれば手ェ貸すかね
どうせならその中で現地民と話なんかしておきてェな
村の良いところ聞けんのはやっぱ住んでる人が一番だろ!

支援活動大体終えたら聞いた話を参考にちょいと観光も
グリンツァーネ・カヴールったら、ワインの名産地だな……
葡萄畑があンなら、葡萄狩りとかできねェんかね?
出来るなら一度やってみてェなァ

でもメインは葡萄=ワインだよなァ!
確か北イタリアは赤ワインが有名だった筈だぜ
酒の肴は悩んだが、現地で何か良い物聞いて買うか
(家にも一本、嫁さんの土産に買ってくかね……)

そういや、ここの城ってのは外せねェ観光名所なんだろ?
ってかずっと見えてるアレよな? すげー目立つしすぐ分かる
城なんて現代日本の俺からすりゃ見慣れねェからなァ
この眺めだけでも、最高の酒の肴、ってな


黒白園・真雪
【黒白藍】

《七曜の戦》でイタリア全域を取り戻せなかった以上、
残された地域が孤立するのは……そりゃ、当然の事か。
ほんのちょっとかもしれねぇが、オレ達が助けの手を差し出せるなら、
動かない理由にはならねぇんだ。

って言っても、本当にオレみたいな奴に何が出来るかってところだけどな……
喧嘩しかしてこなかったし、農地開拓とか技術も知識もねぇ……
精々新宿島でもやってきたように、危ないモンが無いよう村の様子を見回るとかか?
クロノヴェーダは居ないらしいが、万が一っつー事もあるし、
それ以外の危険性がゼロって訳じゃないと思うし。

つー訳で早速回っていくか。
村の内部や周辺の森林とか、城近くの様子を見ながら住人と交流していく。
景色の良さ、城の来歴なんかは聞くだけでも十分良いもんだし、
戻って来ない人達についてはきっとまた会えると励ますように。

回り終えて、他の奴等が戻ってきたらそのまま帰るか……え?
酒、って……そういや葡萄が旬とか言ってたか……。
……折角の好意を断っちゃいけねぇよな。
まぁ、程々に、な。楽しむのも悪くねぇ。


壬生・飛鷹
【黒白藍】

グリンツァーネ・カヴール……緑豊かな、静かな村だな。
このようにのどかな村も歴史改竄の影響を受けて、人々の生活が脅かされておるとは、胸が痛む。
私は外つ国に来たのは初めてであるのでな。
経験豊富な真雪殿たちに習って住民たちの様子を見て回り、困っている者がいたら力を貸すとしよう。

ん?要殿はブドウ狩りに興味があるのか。
どうやら酒用のブドウは普段我々が生で食しているものとは味が違うようだぞ。皮が厚く、甘いとか。
試せるようであれば、食してみたいものだ。

支援が終わった後には、せっかくなので町や城の周りを観光していこうぞ。
もしかしたら名産のワインの試飲ができるやもと聞いたのでな。
酒好きの私は、つまみに柿を持ってきた。
ちょうど好物が旬の時期だったのだ、チーズとの相性もよいらしい。
ワインが手に入れば、これをつまみながら頂くとしよう。

ああ、ブドウ畑の中に佇む夕暮れのグリンツァーネ・カヴール城は、さぞ壮大な眺めであろうな。
美しい景色の中では、仲間たちと飲んでいるうちに、すぐ夜も更けてしまうかもしれんなあ



(「グリンツァーネ・カヴール……緑豊かな、静かな村だな」)
 壬生・飛鷹(失われた鎖を請う者・g10404)にとっては、見慣れぬ異国の風景。
 だが、それでも。
「イタリアかァ、刻逆前も含めまともに来ンのは初めてだ。……成程、七曜の戦で孤立しちまったのか」
「《七曜の戦》でイタリア全域を取り戻せなかった以上、残された地域が孤立するのは……そりゃ、当然の事か」
 瀬良・要(死は我が踊り手・g00797)と、黒白園・真雪(怒りの天使を宿した者・g09418)の言う通りで。
 一度戦いが起きれば、必ずその犠牲になる人々や地域が出てくる。この村は、先の大戦の煽りを大きく受けてしまった場所のひとつなのだ。
「このようにのどかな村も歴史改竄の影響を受けて、人々の生活が脅かされておるとは、胸が痛む」
 我知らずの内に零れ落ちた飛鷹の呟きを、要と真雪はしっかりと拾い上げていた。二人とも躊躇うことなく、力強く頷く。
「そりゃ支援に行くっきゃねェわなァ? 困った時はお互い様♪」
「ほんのちょっとかもしれねぇが、オレ達が助けの手を差し出せるなら、動かない理由にはならねぇんだ」
 だからこそ、ここに来た。その意志は固い。
 そんな、飛鷹にとってはディアボロスとして先輩の二人。頼もしく思うのはきっと自分だけではない筈だ。この村の人々も、きっと。
(「私は外つ国に来たのは初めてであるのでな。経験豊富な真雪殿たちに習って住民たちの様子を見て回り、困っている者がいたら力を貸すとしよう」)
 要と真雪に続いて、飛鷹も動き始める。


 ……とは言え。
(「まァ、真雪や飛鷹と一緒に遊び行きたかっただけなんだけどな」)
 要としてはそちらの方が本音である。
 だが、遊びに行くことで何か現地の人々の助けになれるのならば、寧ろ行かない手がないと言うものだ。
「って言っても、本当にオレみたいな奴に何が出来るかってところだけどな……」
 一方、顎と腰に手を当てふむ、と思案する真雪。
(「喧嘩しかしてこなかったし、農地開拓とか技術も知識もねぇ……となると、精々新宿島でもやってきたように、危ないモンが無いよう村の様子を見回るとかか?」)
 この村を含むイタリア北部地域にクロノヴェーダの姿はない。それは真雪も理解している。
 だが、クロノヴェーダの攻撃を防ぐだけが見回りの意義ではない。小さな困りごとなどはまだあるかも知れないし、外部の人間との交流によって住人達を安心させることも出来るだろう。
 そうと決まれば善は急げ、である。
「よし、じゃあ早速回っていくか」
「お、見回りだな。住民の様子を見ながら、困ってる事があれば手ェ貸すかね」
 皆まで言わずとも、要には真雪の意図するところが伝わったようだ。
「どうせならその中で現地民と話なんかしておきてェな。村の良いところ聞けんのはやっぱ住んでる人が一番だろ!」
「……観光する気満々だな?」
「いいじゃねェかちょっとくらいなら。時先案内人も観光してくるといいっつってたし?」
 ニカ、と笑う要に真雪も仕方ねえなと言いたげに微苦笑を浮かべつつ、本気で咎める様子はない。
 気心知れているからこその軽口の応酬だろう。釣られて飛鷹もふふと微笑み、その後についていく。
 三人は城近くを中心に、村の内部や周辺の森林の様子を見て回った。その道すがら、出会う住人達に声を掛け、交流を持っていく。
 話題の中でもやはり、景観のよさは勿論のこと、城の来歴や、より風景が美しく見える場所なども教えて貰った。
「いい話を聞かせて貰った、ありがとな。……こんなにいい村なんだ。出稼ぎに行った人達にも、きっとまた会えるさ」
「左様、恐らくは戻りたくとも戻れぬ事情があるのだろう。それさえ解決すれば、必ずや戻られる筈だ」
「ああ、ありがとうねえ。信じて帰りを待つことにするよ」
 真雪と飛鷹が励ましの言葉を掛ければ、住人達は笑顔を見せてくれた。ディアボロス達の活動により、幾分か心に余裕が出てきたのだろう。
 さて、一通り村を回り終えたところで。
「グリンツァーネ・カヴールったら、ワインの名産地だな……葡萄畑があンなら、葡萄狩りとかできねェんかね?」
「え?」
 終わったらそのまま帰るつもりだった真雪、要の言葉に見回りそのものが観光じゃなかったのか、という顔。
「ん? 要殿はブドウ狩りに興味があるのか」
「ああ、出来るなら一度やってみてェなァ」
「どうやら酒用のブドウは普段我々が生で食しているものとは味が違うようだぞ。皮が厚く、甘いとか。試せるようであれば、食してみたいものだ」
「おいおい、お前もかよ」
 飛鷹も割と乗り気だった。肩を竦める真雪。
「……確かに葡萄が旬とか言ってたか……なら、収穫の手伝いでも申し出てみるか? それなら気持ち頼みやすいだろ」
「それだ!」
 真雪が提案してくれた案は、寧ろありがたく住人達に受け入れられた。やり方を教えて貰い、三人で収穫していく。
 その中から、小さなものでよければと葡萄を分けて貰った。確かに糖度が高く、食用よりも甘く感じる。余程の甘党でなければ、沢山食べるのには向かないかも知れないくらいだ。
 勿論、こうして小さなものを少し摘むくらいなら美味しい。普段は味わうことの出来ないその違いを堪能したら。
「でも葡萄は葡萄でも、メインはやっぱワインだよなァ!」
「うむ。事前の説明でも、もしかしたら名産のワインの試飲ができるやもと聞いたのでな。楽しみにしていた」
「それでしたら、貯蔵庫の方からお持ちいたしますよ」
 住人達も確かに好意的に、そう申し出てくれて。
「……折角の好意を断っちゃいけねぇよな。まぁ、程々に、な」
 微苦笑しつつも真雪も頷く。お許しが出た! と言わんばかりに万歳して見せる要。
「確か北イタリアは赤ワインが有名だった筈だぜ。さっきの葡萄も赤葡萄だったしな」
 あの甘い葡萄がワインの味を生み出す、と考えると不思議な気分になってくる。勿論いい意味で、だ。
「酒の肴は悩んだが、現地で何か良い物聞いて買おうと思ってさ。あと、試飲とは別にワイン買ったり出来るか?」
 細やかだが経済も回ればと、住人達へと尋ねる要。それと出来れば、お土産にもワインをと。
(「家にも、嫁さんの土産にな」)
 今回はお留守番の伴侶。きっと喜んでくれるだろうと想像して、自然と笑みが溢れる。
 一方、何かを取り出している様子の飛鷹の様子に気づく真雪。
「それは?」
「ああ、つまみに柿を持ってきた。ちょうど好物が旬の時期だったのだ」
 チーズとの相性もよいらしいぞ、とリサーチは欠かさない、辛党の飛鷹である。
 そしてお待ちかね、ハムとチーズ、飛鷹の持ち込んだ柿とつまみが揃い。
 満を持して渡されたワインは香りからして芳醇で、味の方にも期待が高まる。
「そういや、ここの城ってのは外せねェ観光名所なんだろ?」
 ずっと見えてるアレよな、と要がグリンツァーネ・カヴール城へと視線を向ける。
「すげー目立つしすぐ分かる」
「ああ、ブドウ畑の中に佇む夕暮れのグリンツァーネ・カヴール城は、さぞ壮大な眺めであろうな」
 風味が消えない内に、急いで移動。目指すのは勿論、住人達に教えて貰った、城と葡萄畑が一番美しく見える場所。
 日も傾きかけて、もうすぐ夕暮れだ。城と畑も照らされて、かと言って逆光にもならず、紛れもない絶景に違いなかった。
「城なんて現代日本の俺からすりゃ見慣れねェからなァ。この眺めだけでも、最高の酒の肴、ってな」
「うむ。美しい景色の中では、仲間たちと飲んでいるうちに、すぐ夜も更けてしまうかもしれんなあ」
 では、いよいよ。
 三人で、声を揃えて。
「乾杯!」
 そうして各々がその濃厚な赤を口に含むと、甘さと酸味が快く舌の上で広がっていった。味わいに複雑さは余りないが、余計な雑味もなく飲みやすい。
 つまみを食べ進める手も自然と進む。少し加減しながら食べた方がよさそうだ、なんて三人、顔を見合わせて笑って。
(「……こうして楽しむのも悪くねぇ」)
 真雪が今一度、その瞳で城を望む。
 今も美しく佇むグリンツァーネ・カヴール城は、久々の活気に何を思うだろうか。満たされていればいいと、思わずにはいられなかった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

マリアラーラ・シルヴァ
共闘アドリブ歓迎

仲良くなった子供たちに案内してもらって
ブドウ畑が一望できるヒミツの場所に行ったり
白トリュフがあるかもって一緒に探検したり
持ってきたおやつを【口福の伝道者】で増やして
皆で美味しいねってピクニックに変更したり
そんな風にたっぷり遊んだ後は
いよいよメインイベント
本場のブドウ祭りを期待して様子見てるんだけど…
あれ?ブドウ踏み踊り合戦とかないの?

マリアが期待してたのは無いみたい
その代わりに飲ませてもらった葡萄ジュースがとってもとっても美味しかったから
お礼にマリアがブドウ踊りを披露するね

ブドウ畑の真ん中でワイン作りに使う桶をひっくり返してステージにして
ブドウ踏みをイメージした踊りをしつつ適当に歌っちゃうの

♪葡萄ジュース美味しかったどうもありがとー
♪来年も美味しいジュースのーみたーいなー
♪だから畑は頑張ってネ☆マリアが応援するよー

日本語で歌うから
復讐者の皆が聞いたら呆れそうだけど
ブドウ畑に【土壌改良】するのが目的だから笑わないでね?

本当に収穫量が増えた豊穣の歌って伝わったら面白いかなって



「わぁ!」
 はしゃいだような感嘆の声はマリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)のもの。
「ここね、畑がよーく見えるんだ」
「父ちゃんたちにはヒミツ!」
 先程のお手伝いで仲良くなった子供達。彼らの案内で、マリアラーラは村の探検に出ていたのだ。
「白トリュフはなかったねえ、ざんねーん」
「アルバまでいければあったかも? ぼく、お父さんといったことがあるよ」
「じゃあ、おやつタイムにしよー」
 そう言って、マリアラーラが取り出したのは新宿島から持ち込んだお菓子。
 マリアラーラが一口食べればあら不思議、村の子供達は知らないけれど、口福の伝道者の恩恵で、お菓子がたくさん!
「いっぱいだ!」
「皆で食べようねー」
 と言うわけで休憩も兼ねて、探検はピクニックに変更!
 村の子供達にとっての未来のお菓子は美味しくて、ついもっともっとと食べてしまうけれど。それでもいっぱいあるから足りなくならない!
「美味しい!」
「うん、美味しいね」
 皆がニコニコ、伝わる嬉しいと楽しいに、マリアラーラも満足して。
「さあ、いよいよメインイベントだね」
「?」
 村に戻り、収穫された葡萄を前にして。
 マリアラーラはその瞳をキラキラさせた……が、期待に満ちた視線を向けられた子供達が一様に首を傾げる。
「あれ? ブドウ踏み踊り合戦とかないの?」
「フミオドリガッセン……??」
 どうやらマリアラーラが期待していた、本場の葡萄祭りよろしく葡萄踏みイベント的なものはない模様。
 残念、と言いつつもマリアラーラはワイン造りに使う桶をひとつ借りて、ひっくり返して置き。
 簡易的なステージとして、そこに上る。
「飲ませてもらった葡萄ジュースがとってもとっても美味しかったから、お礼にマリアがブドウ踊りを披露するね」
 葡萄踏みはなかったが、その代わりに楽しんで貰えればいいと。
 歌詞は雰囲気で、だが葡萄踏みをイメージして、小さなステージで歌って踊る。
 葡萄ジュースが美味しかったこと。
 来年も美味しいジュースが飲みたいこと。
 だからありがとうと、畑は頑張ってネ☆
 ――の、気持ちを込めて。
「マリアが応援するよー」
 可憐な少女の歌とダンスに、大人も子供も楽しげに拍子を取る。
(「復讐者の皆が聞いたら呆れそうだけど、ブドウ畑に土壌改良するのが目的だからね」)
 ディアボロスだからこそ使える残留効果の力で、村に恵みを齎すのだ。
 グリンツァーネ・カヴールの地に響き渡れ、小さな豊穣の歌よ。
 祈りを込めて、少女は歌い踊るのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!

エレナ・バークリー
エトヴァ(g05705)さんと

このたびはお誘いありがとうございます。たわわに実った葡萄からも、この地に秋が来ていることが感じられますね。

この素晴らしい景色を、携帯電話で写真に撮って残しておきましょうか。
【浮遊】で高いところからの絶景を画像に収めていきます。エトヴァさんのように絵心があれば、自分で描いた方が思い出に残るはずですけども。
と、一心に風景画を描いているエトヴァさんを発見。この姿も画像に残しておきましょう。

住民の方にワインボトル一本と、グラス二脚を貸していただきましょう。この時代のワイングラスは、上端に行くにつれて広がるラッパ型なんですね。1793年で革命淫魔達と交流を持った皆さんも、こういうグラスで飲み明かしたんでしょうか。
ワインのお代は、新宿島から持ってきたリンゴの果実で。甘いですよ。楽しんでください。

エトヴァさん、お疲れ様です。ワインで一休みしませんか? 酒肴はチーズをもってきました。
この時代の当地のワインは、まだ甘い早飲みのものだそうですよ。
うん、素朴な甘さですね。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
同僚のエレナさん(g00090)と
アドリブ歓迎

絶景にワインと聞けば、一人占めではもったいないからな
古城の姿に、葡萄畑を眺めれば、渡る風を感じる
秋の訪れ……だな。美しい風景だ

思わずスケッチブックにコンテを走らせている
色彩の印もつけつつ
撮影中のエレナさんに手を振りつつ
カメラも持ってるんだけど、つい、描きとめておきたくなって
ぱちりと景色を映しておこう

散策の後、住人さんへ声をかけて、ワインを飲ませて頂こう
なるほど、グラスから味わうのだな
革命淫魔たちの宴は……なんか独特だった
1793年の出来事を思い出しつつ
リンゴのお代は良いアイデアだ。俺も礼を伝えよう

俺はグリッシーニとパルマの生ハムを持参、エレナさんのチーズと一緒に敷物を広げてピクニックだ

労いに微笑んで
ありがとう。この地の人々に、安寧が訪れることを願って
美酒で乾杯といこう
芳香と味わいに、ほう、と感嘆を漏らす
うん……大地の実りの味がする
へえ、時代でも飲み方が変わるのだな
グラスを風景に重ねて
ワインは歴史を宿しているのだなあ……
染み入るように堪能しよう



 グリンツァーネ・カヴールの風景を背に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は人を待っていた。
 ふと顔を上げればその人物を見つけ、軽く挨拶を交わし。
「このたびはお誘いありがとうございます」
 待ち人――エレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)は、秋晴れにも似た爽やかな笑顔を浮かべる。それを快く感じながら、エトヴァもまた微笑み返して。
「こちらこそ。絶景にワインと聞けば、一人占めではもったいないからな」
 改めて二人、佇む城に添うようにして広がる葡萄畑へと、その眼差しを向ける。
「たわわに実った葡萄からも、この地に秋が来ていることが感じられますね」
「ああ、まさに秋の訪れ……だな。美しい風景だ」
 古城の姿に、葡萄畑を眺めれば、渡る風を感じる。目を細めるエトヴァの手には既に、スケッチブックとコンテが握られていて。
「さて、この素晴らしい景色を、携帯電話で写真に撮って残しておきましょうか」
 ふわり、軽やかに秋の空へと浮かび上がるエレナを見送りつつ、コンテを走らせ色彩の印もつけていく。
(「エトヴァさんのように絵心があれば、自分で描いた方が思い出に残るはずですけども」)
 それが出来るエトヴァを、純粋に尊敬する。そしてエレナ自身は携帯電話を手に、最高のロケーションを探して。
 画面の中に風景を切り取れば、一心に風景画を描いているエトヴァの姿を見つけて、おーいと呼びかければ。
 秋空を見上げたエトヴァもエレナに気が付き、軽く手を振る。その姿もエレナはまた、写真に収めて。
「カメラも持ってるんだけど、つい、描きとめておきたくなって」
 降りてきたエレナに、エトヴァはそう笑って、ぱちり映す豊穣の景色。


 その後、軽く散策の後、エトヴァはエレナを伴い村の中へ。
 村の人々は皆、親身に支援と手伝いを行ってくれたエトヴァに好意的で。そのエトヴァと親交のある人物であればと、エレナに対しても心を開いてくれたよう。
 是非、村のワインを味わっていってくださいと、住人達の方から申し出てくれる。
「では、お言葉に甘えて。グラスも二脚、お借り出来ると助かります」
 住人達が渡してくれたグラスの脚を、エレナは指で挟んで軽く回す。
「この時代のワイングラスは、上端に行くにつれて広がるラッパ型なんですね」
「なるほど、グラスから味わうのだな」
 エトヴァもエレナからグラスを受け取り、その形を眺める。この時代にはもう、ボトルとグラスが食卓に並ぶようになっているそうで。
「1793年で革命淫魔達と交流を持った皆さんも、こういうグラスで飲み明かしたんでしょうか」
「革命淫魔たちの宴は……なんか独特だった」
 エレナの言葉に、エトヴァは当時を思い出していた。なにせ相手が相手だったもので。
「と……忘れる前に。こちら、ワインのお代です。甘いですよ。楽しんでください」
 にこり、とエレナが人好きのする笑顔を浮かべて住人達に渡したのは、新宿島から持ってきた林檎。食べごろに熟した林檎は赤く艶があり、まるで宝石のようだった。
「わぁ……ありがとうございます!」
「俺からも、礼を言わせて欲しい。大切なワインをありがとう」
「そんな! 沢山よくしていただきましたから。でも、お二人のお口に合えば何よりです」
 エトヴァも感謝の言葉を伝えれば、村の人々も嬉しそうだった。エトヴァはエレナへと視線を向ける。エレナもその糸を察したようで、ぱちりと目配せを返してきた。
(「リンゴのお代は良いアイデアだ」)
 村の人々の厚意とは言え、困窮しかけていた村だから。彼らの心情としても、こういった対価なら受け入れやすいと踏んでのことだろう。
 もう一度、村の人々にお礼を告げて、眺望のよいところへと、場所を移す。
「エトヴァさん、お疲れ様です。ワインで一休みしませんか? 酒肴はチーズをもってきました」
「ありがとう。俺はグリッシーニとパルマの生ハムを」
 エレナからの労いに、エトヴァは微笑んで。
 敷物を広げて気分はちょっとしたピクニック。
 グラスにワインを互いに注ぎ合う。
「この地の人々に、安寧が訪れることを願って」
「ええ、この土地と、そして人々の心が穏やかに、健やかであるように」
 そして、それぞれの目線の上に掲げて。
「乾杯」
 グリンツァーネ・カヴールの地が生んだ美酒に。
 まずはその芳香を楽しみ、それからゆっくりと口に含む。
 ほう、とエトヴァの口から溜息にも似た感嘆が漏れた。
「うん……大地の実りの味がする」
「この時代の当地のワインは、まだ甘い早飲みのものだそうですよ。……うん、素朴な甘さですね」
 エレナもまたその芳醇さを楽しみつつ、唇を湿らせて頷く。
 奥行きのある複雑性こそないものの、その分こうして飲みやすい。
「へえ、時代でも飲み方が変わるのだな」
 エトヴァは再びグラスを掲げた。風景に重ねれば、グラス越しに葡萄畑が映る。その奥にはあの、美しい城が静かに佇んでいる。
(「ワインは歴史を宿しているのだなあ……」)
 染み入るように堪能する。
 大地の恵みが生んだ味わいも、積み重ねてきた歴史も。
 この地に、この村に生きた生命によって、連綿と紡がれてきたものを、しみじみと感じ取るようにして。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【浮遊】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV1が発生!

エトワール・ライトハウス
沙羅葉(g04517)と

俺はグランダルメ出身ではあるが……俺はフランス人で此処イタリアなのよね
とはいえご近所さんなのも事実、此処は俺が現地ガイドをしなくてはならないだろう!
そんなわけでカヴール城を見て! ……内側からだと何処が守りやすいかとかよく分かるよね
俺も初めて見るからこの城……よし、ガイドは廃業、葡萄畑をチェックだ!

さて、俺も商家の息子、ワインの良し悪しにはうるさいお家で育ちました
ふふふ、ワインの飲み方ならガイドできるぞ!
……確かに飲みやすくはあるが、ちょっと沙羅葉が飲ませてもらってる方の瓶も飲ませてもらっても……こ、これは!?
(有名な辛口ワインが生まれるのはコイツが居た時代の50年くらい後である)

こっちの方が美味い! 瓶、というか多分樽によって完成度が全然違う!
葡萄は同じものだよな…? 醸造の問題か?
成程、此処は新宿島で語られた名酒が生まれる前の土地……!
セーブなんて本気か沙羅葉!? 俺はまだ飲むぞ、ダイヤの原石たる大当たりを見つけてみせる!


沙羅葉・落日
エトワール(g00223)と
取り戻した地域が元気だと嬉しくなっちゃうよね
さて、お酒入れる前に少し観光しよう!

グリンツァーネ・カヴール城を見学しながら雑談
ガイドはお任せ
便りにしてるよ
お城って言うと童話的なのを想像するけど、ここはガッチリしてて頼もしい感じだね
ちょっとズレた目線からの案内にはおかしげに
アタシはそういう視点って持ってないから、聞くの楽しいなと笑い
ガイドの廃業は残念だけど、それなら同行者として楽しもう
お、葡萄畑すごい良い眺め!と指さして喜んだり、風景を満喫するよ

楽しんだなら今度はワインだ!
ワイナリーの人に試飲をお願いしよう
おー、いい香り
って、アタシはワインの良し悪しはそんなに分からないんだけどね
いただきまーすと一口
あ、思ってたより飲みやすい
いや、この時代の造詣に疎くてさ
醸造技術とか全くだし、結構飲みにくかったりするのかなって思ってて…杞憂だったね、うん、美味しい
でも試飲だしセーブセーブ…って、おぉ、美食の国の血が騒ぐみたいな?
くすくす笑ってお付き合いしよう
アタシはお酒強いぞー?



(「俺はグランダルメ出身ではあるが……」)
 村の風景を移す藍色の眼差しは、エトワール・ライトハウス(Le cabotin・g00223)のもの。
 けれど、そこに郷愁の彩は余り感じ取れない。しかし、それにはちゃんと理由があった。
(「俺はフランス人で此処イタリアなのよね」)
 ディヴィジョンは国ごとに定められるものではなく、あくまで支配している領地全てが一括りとなる。そうすると彼のように、出身である筈のディヴィジョン内に出身ではない国が同時に存在しているという現象が起こるのだ。改めて、ディヴィジョン間の戦いが侵略戦争であることを理解させられる。
「とはいえご近所さんなのも事実、此処は俺が現地ガイドをしなくてはならないだろう!」
 何せ、今日は友人と一緒なもので!
「取り戻した地域が元気だと嬉しくなっちゃうよね」
 やる気十分な友人の姿に、沙羅葉・落日(ああ、キミはもういないのか。・g04517)は淡く笑みを零している。
 そんな彼女も世界中を旅して回った時期があった身。異国の地の旅には胸が躍るのも事実だ。
「さて、お酒入れる前に少し観光しよう! ガイドはお任せ、便りにしてるよ」
「任された! そんなわけでカヴール城を見て!」
 城を指し示すエトワールに倣って、落日も視線を向ける。
 美しくも、規模の割に重厚な雰囲気のある城だ。外観からして曲線的なフォルムが余り見られないのも、その一因だろうか。
「お城って言うと童話的なのを想像するけど、ここはガッチリしてて頼もしい感じだね」
「……内側からだと何処が守りやすいかとかよく分かるよね」
 ガイドからのちょっとズレた目線からの案内に、落日は一瞬だけ目を瞬かせたが。すぐにおかしそうにふふと笑って。
「アタシはそういう視点って持ってないから、聞くの楽しいな」
「俺も初めて見るからこの城……よし、ガイドは廃業、葡萄畑をチェックだ!」
「おや残念。それなら同行者として楽しむことにしよう」
 城から少し足を延ばせば、葡萄畑はすぐそこに。
 この村のワインが世界的に知れ渡る一級品となるのは、この時代からはまだ少し先の話。それでも、その礎となった光景がここには広がっている。
「お、葡萄畑すごい良い眺め!」
 絶景に落日の声も弾む。
 二人、暫し時を忘れてその絶景を堪能したのだった。


 さて、のんびりと城周辺の観光を楽しんだら、人々の集まる村の中へと。
 仲間のディアボロス達が事前に彼らに親身になって支援を行っていたお陰で、ディアボロス全体が好意的に受け入れられている様子。勿論、全員が新宿島へ帰還するまでの間だろうが、それでも充分ありがたかった。
 ワインの試飲をお願いすれば、人々は皆、快く首を達に振ってくれた。
 そうして今、二人の手元にはワインが注がれたグラスがある。
「今度はいよいよワインだ!」
 グラスを近づければ、香りからして芳醇で。ふくよかな赤色もまた見事。
 ワインはまず色と香りを楽しむと言うが、それが自然に出来る逸品だった。
「おー、いい香り。……って、アタシはワインの良し悪しはそんなに分からないんだけどね」
 早速堪能しつつも微苦笑を浮かべた落日を前にして、エトワールは。
(「さて、俺も商家の息子」)
 ワインの良し悪しにはうるさいお家で育ちました。残念ながら早逝する者の多かった家系ではあったが、その目利きは確かであるという自負がある。
「ふふふ、ワインの飲み方ならガイドできるぞ!」
「お、それは頼もしい」
「と言っても、楽しみ方は人それぞれの自由があっていいんだけどな。敢えて言うなら、渋みを緩和する為にグラスを軽く回して空気に触れさせてみたり……」
「ふむ、少し酸化させることでまろやかな風味になるわけだね」
 など、エトワールによる幾つかの簡単なガイドの後。
「それじゃあ、そろそろ……」
「いただきまーす」
 グラスを掲げて、それぞれ一口。
「あ、思ってたより飲みやすい」
「……」
「いや、この時代の造詣に疎くてさ。醸造技術とか全くだし、結構飲みにくかったりするのかなって思ってて……でも杞憂だったね。うん、美味しい」
「…………」
「エトワール?」
 落葉とは対照的に、先程から無言で何やら微妙な顔をしているエトワールである。
 いや、明らかに不味い、という顔ではないように見える。ただ、強いて言うなら若干物足りない、ような……そんな表情だ。
「……確かに飲みやすくはあるが、ちょっと沙羅葉が飲ませてもらってる方の瓶も飲ませてもらっても……」
「ん、これ? いいよ、アタシが注ごうか」
 そうして注がれたワインを、飲み比べるように一口、口に含んだエトワールは。
「……こ、これは!?」
 まるで電流が走ったような衝撃を、エトワールは受けた。
 かの有名な辛口ワインが生まれることになったのは、彼が生まれ育った時代よりも、少なくとも50年は後である。本来の歴史でこの城の城主が研究に品種改良を重ねて至高の逸品を生み出すに至ったのも、現在のグランダルメより20年から30年以上先の話だ。
 しかし、そんなことは関係なくエトワールは純粋に思った。美味い、と。
「こっちの方が美味い! 瓶、というか多分樽によって完成度が全然違う!」
「目が輝き始めたな」
「葡萄は同じものだよな……? 醸造の問題か?」
 そうして、エトワールはハッとする。
「成程、此処は新宿島で語られた名酒が生まれる前の土地……!」
 謂わばこれはその前身。品種改良が成される前ではあるが、その基となった葡萄から生み出されたものに違いはない。
「確かに美味しいけれど、でも試飲だしセーブセーブ……」
「セーブなんて本気か沙羅葉!?」
 信じられない、と言いたげなエトワールの視線が勢いよく落日を向く。
「俺はまだ飲むぞ、ダイヤの原石たる大当たりを見つけてみせる!」
「って、おぉ、美食の国の血が騒ぐみたいな?」
 ひしひしと伝わる熱意に、落日はくすくすと笑いつつも。
「なら、アタシもお付き合いしよう」
「よし、まずは村の人と交渉だな……!」
 商家の腕の見せ所だ、と意気込むエトワール。
 早速、二人は更なる試飲の許可を勝ち取るべくいて、人々の元へと(主にエトワールが)足早に向かったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【フライトドローン】がLV2になった!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

シャルロット・アミ
椿野さん(g02761)と

このあたりは嶋瀬さんも仰っていたけれども
お城とぶどう畑が広がるとてものどかな景色
一歩遅れて収穫などのお手伝いはできなかったけれども
…あら、まだ手が足りないところがあるのかしら
椿野さん、一緒に手伝いに行きましょう?
(椿野さんの手を引いて)

お手伝いをしたらワインの試飲のお願いをするわ
これだけのぶどう畑、さぞかし美味しいワインが作られるのでしょうね
え?私は、お酒弱いのでジュースでお願いします
椿野さんにはワインを
モラさんにもジュースをいただければ…(物欲しそうにそわそわしているモラさん)

美味しそうな顔を浮かべる椿野さんを見て嬉しくなるわ
椿野さん、ワイン、お好きですものね?
ジュースもとってもぶどうの味がして美味しい

こんなのどかな景色が危機にさらされるなんて
本当に辛いこと
少しずつ支援していって末永くこの景色が続きますように

ワインの試飲を終えたらお城のまわりをお散歩しましょうか
…もうすっかり秋の風ですね

(モラさんはもきゅもきゅマリアさんと踊ってます)

アドリブ、連携、歓迎です


椿野・燕
アミさん(g00467)と

小さな丘が目に見える範囲に広がって、大陸の広さを感じるような風景
こういう景色を見ると外国に来たと実感しますね
おや、体験も出来るとは。良い機会です、手伝いましょう
(アミさんに手を引かれて)

手伝いも終わって楽しみにしていたワインの試飲を
そうなんですこの辺はフランスにも近くて本格的な赤ワインがですね、といつもの調子で蘊蓄が始まって
アミさんとモラさんにはぶどうジュースを
そして私にはワインを頂いて

グラスをまず回して匂いを、良い香りです
そして満を持して1口、口に含むように飲んで
おぉ、これは素晴らしいバローロ
イタリアワインは軽い物が多いのですがこれは葡萄を凝縮したような重みが有りますね
はい、ワインはとても好きです、と思う存分楽しみます

平和な時間を過ごせばこれを守るのに何が出来るか、と考えてしまいます
ひとまずはまたここでワインが飲めることをお祈りしましょう

えぇそうですね、のんびり散歩でも
酔いすぎないようにしませんと
風がほろ酔いには心地よいです

アドリブ、連携、歓迎です



「こういう景色を見ると外国に来たと実感しますね」
 椿野・燕(詭弁家・g02761)の眼前には、小さな丘が目に見える範囲に広がって、大陸の広さを感じるような風景がある。
 そして、その隣に寄り添うシャルロット・アミ(金糸雀の夢・g00467)の瞳にも、同じ景色が映っている。
「ええ……嶋瀬さんも仰っていたけれども、お城とぶどう畑が広がるとてものどかな景色……」
 美しいばかりでなく、緩やかで穏やかな時の流れを感じる。
 平穏無事な暮らしが遅れているように見えるのに、先程までは冬を越すことも危うかったなんて、事前に聞いていなければ信じられなかっただろう。
 尤も、それは既に仲間達の支援を受けた村の人々の心に余裕が出てきており、それが村の雰囲気に滲み出ているというのもあるのだろうが。
「一歩遅れて収穫などのお手伝いはできなかったけれども……あら?」
「うーん……どうしようかしらねえ」
 畑を眺める老婆の声が聞こえる。
 見れば、まだ収穫の終わっていない一角が残っていたようだ。
「まだ手が足りないところがあるのかしら。椿野さん、一緒に手伝いに行きましょう?」
「おや、体験も出来るとは。良い機会です、手伝いましょう」
 シャルロットが差し出した手を、燕がそっと取って。
 その手を引いて、引かれて。ふたり連れ添って、老婆の元へと歩き出した。


「本当にありがとうねえ」
 シャルロットと燕のお陰で日没までに収穫を終えられたと、老婆から頻りに感謝された。
「いえいえ。ところで、私達の仲間がワインの試飲をしていると聞きまして」
 私達もご相伴に預かれれば嬉しいのですが――そう、燕が告げれば。
 老婆は村の皆に掛け合ってくると、その場を後にする。
 ワインを待つ間、シャルロットは再び見事な葡萄畑へと眼差しを向けて。
「これだけのぶどう畑、さぞかし美味しいワインが作られるのでしょうね」
「ええ、そうなんですこの辺はフランスにも近くて本格的な赤ワインがですね……」
 いつもの調子で始まる燕の蘊蓄を聞きながら待っていれば、戻ってきた老婆に連れられた女性が、ボトルとグラスを持ってきてくれて。
「では、ワインを注ぎますね」
「え? 私は、お酒弱いのでジュースでお願いします」
「あらまあ」
 先に言っておけばよかったですね、とシャルロットは謝るも、ジュースもあります、と女性。出来る。
「あ、あと、モラさんにもジュースをいただければ……」
 ちらと背後に視線を向ければ、物欲しそうな様子でそわそわする真っ白なふわふわ――もとい、シャルロットのモーラット・コミュ、モラさん。
 見慣れない生き物に珍しそうにしつつも、モラさんの分もジュースを。
 二人と一匹で、グラスを掲げて乾杯です!
「……良い香りです」
 燕はまずグラスを回して、その薫りを堪能する。
 そして満を持して、といった風情でグラスに口をつけ、ゆっくりと味わうように一口含む。
 芳醇なワインの味わいのみならず、薫りすら広がっていくようだった。
「おぉ、これは素晴らしいバローロ。イタリアワインは軽い物が多いのですが、これは葡萄を凝縮したような重みが有りますね」
 そう語る燕の表情が、本心から美味しそうに感じられるものだったから。
 彼の言葉に耳を傾けていたシャルロットも嬉しくて、思わず柔らかく、花綻ぶように咲んで。
「椿野さん、ワイン、お好きですものね?」
「はい、ワインはとても好きです」
 どうやら、燕も存分に楽しんでいるようだ。シャルロットも、もっと嬉しくなってしまう。
 ああ、こんなに幸せでいいのだろうか。感じ入るように、シャルロットもジュースで口を湿らせた。アルコールはないが、葡萄の甘くふくよかな味わいが美味しい。
 平和で、優しいひとときだ。
 乱されて欲しくない、と思う。
「……これを守るのに何が出来るか、と考えてしまいますね」 
「ええ、こんなのどかな景色が危機にさらされるなんて……本当に辛いこと」
 このグリンツァーネ・カヴールの村は勿論のこと。ピエモンテ地方……ばかりか、残されたイタリア北部全ての地域。そこにまた戦火が広がることになればと思うと、想像するだに心が痛む。
「ひとまずはまたここでワインが飲めることをお祈りしましょう。そして……」
「その為にも、これからも少しずつ支援していって……末永くこの景色が続きますように」
 祈りを込めて、人々に手を差し伸べる。
 今は、それしか出来ない。だからこそ、それに全力を尽くすのだ。
 少しずつでも積み重ねていけば、いつかは……きっと、必ず事態は好転すると信じて。
「……と、いつの間にか空いてしまいましたね」
 燕が、今度は空になったグラスを回すと、シャルロットもはっとして手元に視線を落とす。
 そこに揺れる豊かな赤葡萄の揺らぎはもう、ない。
「それじゃあ、お城のまわりをお散歩しましょうか」
「えぇそうですね、のんびり散歩でも。酔いすぎないようにしませんと」
 またふたり、手を繋いで。
 のどかな風景の中に溶け込めば、秋風がそよそよと畑を、ふたりの髪や頬を撫でていく。
「……もうすっかり秋の風ですね」
「ええ、風がほろ酔いには心地よいです」
 モラさんは蒲萄踏み踊りの少女を見つけて、もきゅもきゅと一緒に踊り弾んでいる。
 その光景をふたり、微笑ましげに見つめてから――グリンツァーネ・カヴールの優しい風と、豊かな実りをその五感全てで感じ取るように、味わい尽くす。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年10月09日