朱艶の饗応(作者 黒塚婁
8


#吸血ロマノフ王朝  #『死妖姫カーミラ』の食人儀式  #死妖姫カーミラ  #食人儀式  #モスクワ 

●新たなる統治者
 モスクワ――ココツェフ伯爵に代わり、この地に呼ばれた死妖姫カーミラは、取り巻きに向かって、悠然と微笑する。
 妖艶なる眼差しを受けた配下らは、皆一様に頭を垂れる。
 彼女のための静寂。なれば、主として、声を聴かせてやろうというもの……。
「ディアボロスなどに簡単に殺されるなど、ココツェフ伯爵も、存外役に立たないこと」
 冷笑とともに、かつてこの地で力を振るったジェネラル級ヴァンパイアノーブルを誹った。
 彼女の近くに侍ることを許された者らに、首肯以外のいらえはない。
「やはり、人間を生かして使おうというのが甘いのですわ」
 謳うようにカーミラは囁き。
 そして名案を思いついたように双眸を細め、少女のように白い手を合わせる。
「まずは、このモスクワの人間全てを、ヴァンパイアノーブルを生み出す為の贄としましょう」
 ふわっと笑ったカーミラに、誰もが賛美の眼差しを送る。
 流石は死妖姫様、名案でございます――そんな言葉を、彼女は終始当然と受け止め、命を下す。
「さぁ、このモスクワで、食人儀式の大儀式を行いなさい。モスクワ中の美女を、捕らえ、儀式を行うのです」
 これぞ、モスクワはクレムリンの――新しき支配者の、最初の号令であった。

●次なる戦い
「皆さん、《七曜の戦》はお疲れ様でした――大変な大勝利、おめでとうございます!」
 私もその一員で鼻が高いです、と夜嵐・真赭(閃耀・g07223)は笑って、ディアボロス達を労った。
「しかし、まだまだ戦いは終わりません。どうか、皆さんの力をお貸しください」
 そう、《七曜の戦》は乗り切ったが、未だ世界はディヴィジョンに分割され、人々はクロノヴェーダに虐げられている。
 状況は変わろうとも――そう、戦を越えて、戦況は大きく変わった。
「皆さんは《七曜の戦》の直前、モスクワ政治の中枢を担っていたココツェフ伯爵を討ちました――その後、サンクトペテルブルクよりジェネラル級ヴァンパイアノーブル『死妖姫カーミラ』がやってきて、モスクワを制圧したとのことです」
 モスクワは吸血ロマノフ王朝でも、一般人たちが平和に暮らしているような一面も見られた土地である……それはすべて、ココツェフ伯爵の内政によるもの。
 無論、ヴァンパイアノーブルの最終目的は変わらぬが――。
「しかし、カーミラは輪を掛けて人間など歯牙にも掛けません。モスクワ中の見目麗しい女性を集め、大規模な食人儀式を行おうとしているのです」
 心痛そうに、真赭は告げる。
 食人儀式――人に、親しい人の肉を喰らわせ、ヴァンパイアノーブルへと覚醒を促す、忌まわしき儀式である。絶対に阻止すべき、おぞましい儀式だ。

「まずは、モスクワ市内に潜入し、食人儀式の情報を集めてください」
 市内には、死妖姫カーミラの配下が徘徊しているようだ――それらの仕事は、食人儀式の贄となる美女の捜索、および、儀式に必要となる、美女らの家族の捜索。
 ディアボロスを警戒しているという徘徊ではないのだが、気付かれぬ方が都合が良い。
 さて、問題は、探るべき情報の手がかりであるが――。
 まず第一に考えるべきは、カーミラの……正確にはその配下の眼鏡に適った美女、美少女だ――街で見かけて連れ去られ、家族が共にいるなら、一緒に掠われる可能性が高い。
 ヴァンパイアノーブルらが、周囲に憚ることはないため、そういった事件が起こったならば、何かしら証拠や痕跡、目撃者――噂なども事欠かぬであろう。
「食人儀式が行われている場所などの情報を掴んだら、そのまま、阻止に向かってください!」
 後は武力行使。
 ひとまず、そうしてこの場の儀式を阻止するのが、今回の作戦である。

「既に聞き及んでいる方もいるかと思いますが、《七曜の戦》におけるディアボロスの活躍、勝利によって、クロノヴェーダは警戒を強めています」
 真摯な眼差しでディアボロス達を見つめ、真赭は続ける。
 脅威と思われている――その優位はあるが、TOKYOエゼキエル戦争から離散した『ヘルヴィム直属軍』による対ディアボロス戦略が、各ディヴィジョンに伝わっているようだ。
「具体的には、飛翔による移動や……使い魔使役などによる情報収集、そういった行動が強く警戒され、阻まれる可能性が高いです」
 ご注意ください、と彼女は警戒を促すと、
「しかし、私は皆さんなら問題ないと信じております。食人儀式なんて、ぶち壊してやってください!」
 表情を明るく改め、鼓舞するような声音で、そう締めくくった。

●打ち砕くべき未来視
 金の睫に縁取られた瞼が、きゅっと閉じ――理想的なカーブを描く頬に、幾重にも涙が伝って落ちていく。
 常であれば健康的な薔薇色の頬は、今はとても青ざめていた。しかしそれも白磁の肌を美しく、引き立たせている。金の髪に、青い瞳。十四、五の美しい少女は、恐怖に震え、ただ涙していた。
 その姿は、美しく、いじらしい――だが、対峙する者には、関係なかった。
「さあ、お食べなさい。これは死妖姫の饗応よ。断るは不敬、ありえないの」
 幼さを宿す少女の声が、正面から響く。
 愛らしいが、有無を言わさぬ力に充ちた声だ。
「食べないなら殺す、なんてこともありえないわ。だって、貴女は食べるしかないんだもの」
 オリガ・アポーストルは微笑み、小首を傾げる。
 ヴァンパイアノーブルと、豪勢な食卓を挟んで対峙する囚われの少女は、棺輸巨狼らに囲まれ、目の前で湯気を立てる真っ赤なステーキを食べるように促される。
 突然、家族と共に掠われ、ただひとりこの部屋でこうして目覚め、恐怖に涙をこぼしていた少女は、到底、どんな食べ物も喉を通るような心境ではなかったが――逃れられぬ、そう覚悟を決めて、ナイフとフォークを手に取った。
 少女が肉を口に運び、咀嚼する……食べたことのない味がする……ただただ、不穏な気配に、吐きそうなそれを、必死に飲み下すと。
「うふふ、美味しかった? 貴女のお母さん」
 可憐に、無垢に、オリガは微笑みかけた――。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【過去視の道案内】
1
移動時、目的地へ向かう影が出現しディアボロスを案内してくれる世界となる。「効果LV×1日以内」に、現在地から目的に移動した人がいなければ影は発生しない。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【使い魔使役】
1
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV2 / 【フィニッシュ】LV1 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV1 / 【ダブル】LV2

●マスターより

黒塚婁
どうも、黒塚です。
モスクワの人々は急転直下がひどい感じに……。

●補足&注意事項
①→②→③→④の順番での攻略になります。

オープニングでは警戒するよういってますが、モスクワ市内はあまりディアボロスに注意を払っていないので、動物変身や使い魔使役などでの情報収集は可能となっております。

オープニングラストのシチュエーションは、阻止できなかった時の状況&被害者です。
ご参考までに。

●その他諸々
プレイングはいただいてから、1~2日おいて採用決定をします。
残留効果の説明もよくご確認ください。

それでは、皆様の活躍を楽しみにしております。
90

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


マティアス・シュトローマー
ココツェフを討った時から覚悟はしていたはずなんだけど……
まさか彼の後釜にカーミラが座り、食人儀式を進めているなんてね
考え得る中でもかなり悪い状況だなっていうのが率直な感想
早急に手を打たないと

モスクワへの潜入の際は【モブオーラ】を使用し、悪目立ちしないように。さらに現地でコートやブーツを張達。モスクワの一般市民に溶け込めるよう身なりを整えよう

向かうのは人の出が多く、情報が集まりそうな市場。当然ヴァンパイアノーブルも目を付けているだろうけど、木を隠すなら森の中。人が多ければ多いほど隠れるのに都合が良いからね
買い物客のフリをしていれば、歩き回っていても不自然ではないはず。メモを片手に迷っている素振りも加えれば、より敵の目を欺けるかな

また、敵の徘徊の目的は美女やその家族の捜索。条件に合致するような市民からは距離を置き、近くで目を光らせているであろう敵をいち早く発見。極力会わずに済むよう注意を払おう

仲間とは定期的に連絡を取り、複数の拠点で効率良く情報を集められたらいいな


●気になる噂
 はあ、と嘆息ひとつ。白く溶ける息を眺め。
「ココツェフを討った時から覚悟はしていたはずなんだけど……まさか彼の後釜にカーミラが座り、食人儀式を進めているなんてね」
 マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は呟いた。
 考え得る中でもかなり悪い状況だ――死妖姫カーミラは、如何にもクロノヴェーダらしい残酷さの持ち主。ディアボロスが解放したヴォトキンスクは、その支配下に落ちる危機を逃れたが――モスクワが直轄となろうとは。
「早急に手を打たないと」
 呟く声にも、深刻な色が滲む。
 現地住民がよく来ているコートやブーツに身を包んだマティアスは、一般市民に紛れるように、道の端を歩いていた。
 人々は、モスクワの在り方が変わったことに気付いているか、いないか。
 人通りはさほど変わらないような――それでいて、警戒しているような。何とも判断の付かぬ様子だが、外出を控えているといった様子はなさそうだ。
(「そりゃ、美女捜しにしても、外出て貰わなきゃできないか」)
 街に変化があるとすれば、広く死妖姫の所業が広がり出した後だろう。
 それが良いことか悪いことかは解らぬ――そんな事を考えながら、市場を目指す。
(「市場は情報が集まりそうだし……当然ヴァンパイアノーブルも目を付けているだろうけど」)
 マティアスは警戒を強めながら、不自然にならぬよう振る舞いつつ、メモに目を落としたり、商品を眺めるふりをして、辺りを探る。
(「敵の徘徊の目的は、美女やその家族の捜索……それらしい人はいるかな」)
 その時、マティアスが耳にしたのは、「すごい美少女を見た」という商人達の会話であった。
「綺麗な金髪でなあ。母親と買い物に来てたんだよ……母親は月並みだったがな」
「へえ」
「あ、オレ、気になってちょっと追いかけちゃったんだよね」
 世間話を交わす二人の間に、どちらかの子供らしい少年が口を挟むと、親父が鼻白む。
 叱られるよりも先に、少年はペロッと舌を出す。
「あっちの通りに入っていって、その後いきなり消えちゃったんだよなあ」
 残念、と天を仰いだ少年を、ぽかんと親父が殴りつけるのをこっそり見届け、マティアスは、さて、と少年が示した方向を見た。
 閑静な、住宅が並ぶ路地……情報の事実確認、およびヴァンパイアノーブルの拠点を突き止めるには、もう少し情報が必要だなと呟いて、そっとその場を離れるのだった――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

一角・實生
首を挿げ替えようと所詮クロノヴェーダはクロノヴェーダ
……と思ったけれど、事態は悪い方向へ転がっているな
ここでも食人儀式が行われるなんて

見目麗しい、しかも女性限定
条件がかなり限られている分手掛かりも発見し辛いだろう――チャンスは逃さず掴まないと

【モブオーラ】の残留効果を使い市内へ潜入
シュトローマーさんの得た情報を共有させて貰おう
美少女が消えたという通りまで一般人のふりをして向かう
目立たない色をした地味な防寒具に身を包むよ

俺は男だから奴らにとって用無しだろう
けれど万が一を考えて、自然体でいつつも警戒は怠らないでおく

周囲を偵察し適当な物陰に潜んでパラドクスを発動
黒鷲を放つと同時に【使い魔使役】で地上からも探ろう
野良猫や野良犬あたりがいい

不特定多数の人物が出入りする建物、逆に人の気配を感じない建物
何かを引きずった跡や新しい傷のある場所
目立たない位置に設置された扉
そんなところを探ってくれ

住宅街ならどこかに噂好きなご婦人方がいそうだ
俺は彼女達の話に耳を傾け情報の確度を上げる
人の噂は怖いものだからね


●噂に導かれるのは
「首を挿げ替えようと所詮クロノヴェーダはクロノヴェーダ……と思ったけれど、事態は悪い方向へ転がっているな」
 ここでも食人儀式が行われるなんて、呟き、一角・實生(深い潭・g00995)は険しくなりそうな眉間を、意図してほぐす。
 ただ、死妖姫の嗜好が幸いするとみるか、災いとみるか。
「標的の条件がかなり限られている分手掛かりも発見し辛いだろう――チャンスは逃さず掴まないと」
 今を逃せば、更なる悲劇を重ねることになる。
 ぐっと口元を引き締めた實生は、先に潜入したマティアスに倣って、一般人に混ざって市内を行く。目立たない色をした地味な防寒具に身を包み、美少女が消えたという通りへ自然に歩いて行く。
(「俺は男だから奴らにとって用無しだろう……けれど、警戒は怠らないほうがいい」)
 襟に顎を埋めるようにして、息を吐き。
 住民のような顔をして、ゆっくりと、一帯を歩いて探る――辺りは似たような住宅が並んでいる。少し入り組んでいて、死角も多い。
 ひとしきりある機、失踪した二人がヴァンパイアノーブルに掠われたならば、この辺りに潜んでいるのではないかと思って警戒していたが、今はこの辺りに敵はいないと判断していいだろう。
 彼は行き止まりの路地に身を潜めると、裡に渦巻く呪いを空へと放つ。
「それじゃあ、頼んだよ」
 常闇色の黒鷲がさっと天に昇り、散っていく。
 そして、やや待つと、實生の前に野良猫が一匹やってきた。金の瞳をした黒猫は、理知的な眼差しを彼に向けている。
「何かを引きずった跡や新しい傷のある場所、目立たない位置に設置された扉……そんなところを探ってくれ」
 にゃ、と応え、猫は歩き出す。實生も猫との距離を意識しながら、引き続き周囲を探りながら慎重に歩く。
 不意に、向かってくる人の気配を感じ、實生は足を止めた。敵ではなさそうだが――さっと路地に身を潜めて、やり過ごす。
『最近、アリーサを見ないねえ』
『イーヤもどうしたんだろうね。病気でもしてるんだろうか』
 住宅の前で、買い物帰りの老婆達が会話をしている。
『アリーサの太陽みたいな笑顔が見られなくって、寂しいねえ』
 本当にねえと相槌がある。イーヤとアリーサは二人の近所に住む者の名らしい。
『……ねえ、そういえば、ずっと向こうの不気味な森、あのお屋敷に、最近出入りする者があるそうだよ……もしかして、』
『シッ、滅多なことを……』
 ひとりの老婆は青ざめた顔でひとりを諫めると、自分の家の扉に手をかけた。
 二人が家に消えていくのを見届けると、實生の足元で猫が呼ぶ。
 導かれた先は、施錠もされず、生活の気配を残したまま、放置された家。先程の老婆がすぐ近くの家に入っていったことで、失踪した二人の家であろうと解る――。
「……人の噂は怖いものだからね」
 實生は静かに息を吐く。

 さて、推測は繋がった。ここから、どうヴァンパイアノーブルの拠点へ乗り込もう――。
成功🔵​🔵​🔵​🔴​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

モスクワの状況を少しでも良くしたい……一刻も早く
攫われたイーヤやアリーサ達を家族とともに救出しよう

先行の仲間達から情報を受け取る
老婆達が「向こう」と首を向けた方角があるか確認を
もし情報不足なら、被害者達の家付近に潜みモブオーラと使い魔で聞込みを継続
森の方角や屋敷の特徴が分かれば上々

俺は「ずっと向こうの不気味な森の屋敷」を探そう
道中は雪中迷彩服か、周囲にあわせた迷彩コートを纏い【光学迷彩】
地形の利用し、色彩を紛らせたり、樹々や影の部分を伝って現地へ向かおう
双眼鏡で街の周囲を偵察、観察し、不気味な森に目星をつける
鬱蒼と茂っていたり、人気のない感じ?

森に入れば忍び足を強め、樹々の影を辿り、息を潜め
周囲の安全を確認して移動

観察し、耳を澄まし、手がかりを探る
屋敷らしき影か、森の中へ向かう何者かの姿
誰かが通った跡、落とし物、折れた枝、遠くに声が聞こえるか
慎重に屋敷を見つけ出し、周辺の警備状況を観察

なるべく不意を打てるよう、様子を伺い突入
悲鳴が聞こえるなど急を要せば、救助優先で飛び込む


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

食人儀式とは、また悪趣味な儀式もあったものだ
ヴァンパイアノーブルらしいといえばらしいのかもしれないけど
勿論放っておける訳もない
イーヤさんもアリーサさんも、儀式が行われる前に必ず助け出そう

可能なら仲間と連携し、協力して捜索を行いたい
現地に馴染む服装にした上で【モブオーラ】使用
目立たぬ様に町に溶け込みつつ捜索する
仲間のお陰で二人の家が判明しているのは有難いね
周囲に不審な者が居ない事を確認した上で、【過去視の道案内】を使用する

目的地とするのは、二人の現在の居場所だ
二人はここから町に出て、その道中で連れ去られた
ここまでに得られた情報から察するに、移動してからまだ一日は経っていないだろう
現れた影を追い、二人の下へと急いで向かう

仲間の【光学迷彩】も借りて
敵に見つからないよう慎重に行動する

二人が囚われている屋敷を発見したら
周囲にネズミを探して【使い魔使役】
踏み込む前に屋敷内部の状況を確認したい

二人と敵の所在を確認したら
敵に見つからない様に注意して潜入
二人を保護してその安全を確保したい


●突入
「食人儀式とは、また悪趣味な儀式もあったものだ――ヴァンパイアノーブルらしいといえばらしいのかもしれないけど」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は呆れたような溜息とともにそう零す。
 勿論放っておける訳もないという彼の囁きに、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は同意する。
 モスクワの状況を少しでも良くしたい――そう囁き、蒼穹の瞳を静かな街に走らせる。
 今はまだ、死妖姫の横暴な支配は本格化していないが……こうしてヴァンパイアノーブルによる人さらいが起こっている。
「イーヤさんもアリーサさんも、儀式が行われる前に必ず助け出そう」
 雪人の言葉に、ああ、とエトヴァは真摯に首肯する。
「一刻も早く――攫われたイーヤやアリーサ達を救出しよう」
 さて、手元には『ずっと向こうの不気味な森』『あのお屋敷』という情報がある。
 調査の継続地点は、二人の家。
 周辺の雰囲気から察するに、いなくなってから数日経った様子は無いと、雪人は判断を下す。
「二人はここから町に出て、その道中で連れ去られたとすると……」
 彼が陰陽符に念じるや、目的地へ向かう影がゆっくりと身を起こし、歩き始める。
 影は、雪人とエトヴァの間を擦り抜け、歩き出す――ひとまず雪人は、それをつかず離れずで追っていく。
 その追跡は、町中に溶け込む姿をしている彼に任せ、情報源である老婆の告げた『ずっと向こう』の方角を見極め、エトヴァは森を探しに反対方向へと進み出す。
 住宅街はひっそりと静かだ。必要以上に外出しないのは、市民達にも何か予感めいたものがあるからなのだろうか――。
 暫く行くと住宅街を抜けるが街は続いている。雪の除けられた道に出ると、エトヴァはあれか、とすぐに目標を見つけた。
 ――森は、忽然と街中に存在していた。森としては小さいが、大きな樹木の密度が高く、その薄暗い見た目は『不気味』といって差し支えない。
 同時、この中央に『お屋敷』くらいはありそうであった。入り口の様子を念入りに観察した上で、やや外れた場所から滑り込み、木々の中に身を潜め、エトヴァは地面や枝木の状態を観察した。
 何かが引き摺られたような後……無法に伸びた枝が、乱暴に打ち払われた痕跡……。
 確信を得て、エトヴァの双眸に、鋭利な輝きが宿る。
 低木を静かに掻き分けながら進んでいくと、対面から、雪人が貌を覗かせた。
「やあ。……此所が目的地で間違いないみたいだね」
「そのようだ――今のところ、静かだな……」
 影を追ってきた彼が此所に辿り着いたなら、この屋敷で食人儀式が行われるのだろう。
 軽く話を聞くと、影は、裏路地のようなところへ回り道しながら、この屋敷をやってきたらしい。
 人さらいにあうシチュエーションとしてはこれ以上無い……まあ、ヴァンパイアノーブルの立場なら、人目を忍ぶ必要は無いだろうが、被害者の恐怖たるや――雪人は憂うような吐息を零した。
「……見張りはいないね」
 周囲を見やり目を眇めた雪人の声に、エトヴァは、もしや、と俯く。
「儀式を始めるために、屋敷内に集まっている……のか?」
「探ってみようか」
 言うや、雪人はそこらで土を掘っていたネズミを使役し、屋敷に潜り込むよう指示を出す――効果範囲内での調査のため、屋敷の深部となれば制御は効かぬが、まずはこのまま突入して大丈夫なのか、状態を探れれば良い。
 その間にも屋敷内部で不穏な騒音や、悲鳴が聞こえないかどうか、エトヴァは耳を澄ましている。
 屋敷の構造はよくある大きなエントランスから放射線状に部屋が分かれているもので、表向きは二階建て。人の気配は二階に集中している。
 入り口にも見張りなどはいないらしい。さて、被害者だが――。
「ひとり見つけたよ。厨房だ。もう一人は食堂……かな?」
「――! 突入する」
 エトヴァは素早く判断を下し、屋敷の内部へ、急ぎつつも慎重に潜り込んだ。
 食人儀式を行うなら、料理は必須。先に調理が行われる可能性が高い――使い魔から得た情報を元に雪人が先導し、彼らは厨房へと向かう。
 そこには、縄で捕らえられ、気を失った女性が無造作に横たえられていた。
「……息はあるな」
 口元に手をやり、脈を取り、エトヴァが安堵の息を吐く。厨房は調理の準備は進められていたが、不思議と無人であった。
「こっちがイーヤ、かな――ならアリーサは食堂だね」
 安全なところにつれていってあげたいけど――雪人が周囲を難しそうに見つめると、エトヴァは力強く頷く。
「俺が食堂を見て来る。その間に、彼女を安全なところへ」
「ああ。……気をつけて」
 その言葉に、エトヴァは首肯しつつ……無理をするつもりはないが、状況によっては、きっと躊躇いなく敵前に跳び込むだろう予感だけはあった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

 果たして、食堂の扉の向こう。頬杖をついて、儀式の始まりを待つオリガ・アポーストルと。一席を取り囲むよう座って待機している棺輸巨狼どもがいた。
「早く目を醒まさないかしら……ああ、でも料理がまだね。本当、準備が整っていないなんて……人間の愚図ってイヤね」
 すぐそこに、猟兵らが駆けつけたことも知らず、オリガはぷぅと頬を膨らませ、調理人らの不手際に怒りを向けていた。
レイ・シャルダン (トレインチケット)



●開戦
 食堂――観音開きの重厚な戸を、力任せに開け放ち、
「そこまでです」
 ゴーグル型デバイスを装着し、煌めく光を放つサイバーレイピアを手にした完全戦闘武装で、レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)が言い放つ。
「……ディアボロス!?」
 氷結の令嬢『オリガ・アポーストル』が目を丸くして、彼女を見る――同時、娘を囲んでいた棺輸巨狼どもが、くるりと振り返った。
 狼らに睨み据えられようと、レイが動じることはない。
 毅然と見つめ返し、宣告する。
「先程仲間が、イーヤさんを解放しました。もう食人儀式はできませんよ」
「む、むむ……。とにかく……排除しちゃって!」
 オリガの命令に応じるように、狼はぴょんと跳ね上がり、前傾姿勢を取る。
 いつでも馳せられるよう、構えながら。レイはさっと部屋の状態を観察する。
 食堂は、とても広い――壁床天井、いずれも古びているが、ホールとして大きなパーティにも使えそうな大空間で、巨狼であっても戦闘に不自由はしないだろう。
 部屋の突き当たり側に円卓があって、オリガと娘……これがアリーサなのだろう、対面に席に着いている。片方は意識を失ったまま、縛り付けられているのだが。
 室内が広いお陰で、数メートルは優に離れている。
 ――この条件ならば、レイも、遠慮無く力を解き放てる。
 計測した数値、情報を即座にデバイスが演算し。レイの背で、ナノマギアで形成されたフライトデバイスが起動し、蒼炎の噴射炎を噴き、一気に最高速まで加速する。
「この空を駆ける、これがボクの…機動戦闘の極致だ!」
 赤く輝く尾を描くように。レイは巨狼へと垂直に突進した。閃かせるレイピアが、狼どもの首を深々掻いて、赤黒い血が部屋を舞う。
 レイは壁にぶつからぬよう最小限の急転回を見せ、レイピアをスナップで薙いで、血を払う。
 牙を向き唸りを上げた巨狼らは、体内で起こした水蒸気爆発を推進力に、レイへと飛びかかって来た。
 その身体がレイの腕に触れようか、という瞬間、彼女も超高速で上へと跳ねる。狼の突進が、小柄なレイの肉体に与えた衝撃は大きいが、この程度ならば、充分に耐えきれる。
 跳び上がったレイは天井に足を付け、大きく膝を曲げた。みしり、と天井が嫌な音を立てるも構わず、床を目掛け、飛んだ。
「家族を食べさせるなどという非道な行い……あなた方に、容赦はしません」
 厳かに告げるや、輝く一閃を縦に走らせ、狼を両断した。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

マティアス・シュトローマー
そんな可愛らしい子をヴァンパイアノーブルにしようだなんて――君の上司とは女の子の趣味は合っても仲良くなれそうにないな
救援機動力で儀式が予定されていた食堂へと急行。仲間に続いて戦闘に加わろう

だから、気兼ねなく派手に暴れさせて貰うよ
会場もお誂え向きの広さみたいだし!
パラドクスを発動。ダッシュで地を駆け、身構える狼達を足蹴に高く跳躍。さらに【エアライド】で宙を蹴り、衝撃波を伴う一撃をお見舞いするよ
狙うのは彼らの機動力を支える足元。数の上では向こうが有利。一手で複数の敵を巻き込めるよう立ち回ろう
勿論、アリーサに危険が及ばないよう気を付けながらポジション取りを

アレを正面から受け止めるのは遠慮したいところ……!
体温操作の際の予備動作さえ読めれば――
反撃は敵の動きをよく観察し、体温操作の予備動作が確認出来たと同時にジャンプ。続けて【エアライド】でのトリッキーな動きも取り入れ、回避を試みる。完全に躱す事が難しくてもガードアップの効果で致命傷だけは避けられたらいいな

お待たせ。君もウォーミングアップは必要?


一角・實生
先行した仲間の後を追って食堂へ駆け込もう
思考は冷静に、しかし扉は蹴破るくらいでいい
仲間がつけた勢いを維持したいんだ

常に敵の配置を把握する
囲まれて集中攻撃、なんていうのは避けたいからね
仲間を追う敵をグラナトゥムの銃撃で牽制しながら戦闘を続ける

援護する、任せて

仲間に続く形でパラドクスを発動し一気に敵の数を減らそう

反撃は爆発の瞬間を看破して飛翔するよ
グラナトゥムで直撃を防ぎつつ突進方向へ後退する
こんな場所で水蒸気爆発なんて物騒だなあ

アリーサさんの元へ急ぎたいけれど、敵に気取られれば万が一のこともある
仲間の援護、敵への牽制
その合間を縫い観察を
彼女を背に庇える位置まで戦線を押し上げていく

アリーサさん、あなたを助けに来たんだ
イーヤさんも無事だよ
……だから、あと少し頑張れるかい

彼女が意識を取り戻したら戦う手は緩めずに声をかけよう
可能ならば仲間と協力し、拘束を密かに解いてしまいたい

食人、それも親しい者の肉を喰わせるなんてね
人を人として見ていないのが良く分かる
そんな相手に情けも容赦も無用だな


●救いの手
 一瞬にして、寂れた古屋敷に、破壊の嵐が吹き荒れ――その勢いを引き継ぐように、閉まりかけた重い扉を、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)と一角・實生(深い潭・g00995)が蹴破った。
「! また新手?!」
 オリガ・アポーストルはますます頬を膨らませ、憤る。
 より怒っているのは此方だけど――などと思いつつも、マティアスは指で銃を撃つジェスチャーで、開口一番、挑発する。
「そんな可愛らしい子をヴァンパイアノーブルにしようだなんて――君の上司とは女の子の趣味は合っても仲良くなれそうにないな」
 片や實生は相棒――グラナトゥム構え、部屋内部の様子を、さっと一瞥した。
 その視線が、円卓に着く形でぐったりとしている少女の背中を捉えると、彼の双眸は、ぐっと剣呑な光で冴えた。
 オリガは円卓についたまま――二人を睨む。
「呼んでないお客様、とっとと帰ってくださる?」
「悪いけど、そうはいかない」
 實生の生真面目ないらえに、
「そうそう、折角だし、俺達からの贈り物を受け取ってよ」
 マティアスは悪戯っぽくグレーの双眸を細めると、前へと駆け出す。
「気兼ねなく派手に暴れさせて貰うよ――会場もお誂え向きの広さみたいだし!」
 当然、棺輸巨狼らが、さっと行く手を阻んでくるが――そんなことは解っている。
 マティアスがどう動くか、警戒に睨んでくる狼の頭を踏みつけて、彼は跳躍した。
 そのまま、くるり、宙返りのように回転すると、何も無い空気を蹴って、狼の背へと切り返す。
「Leck mich am Arsch! ……なんてね」
 重力に従いながら振り下ろす拳は、鋼鉄の籠手を纏い。
 軽やかな身体捌きからは想像できぬほど重い打撃を、その巨体に叩き込む――その威力を示すように、殴打された狼は、壁際まで一気に吹き飛ばされる。衝撃波が、床に落ちる小さな瓦礫を纏めて弾き飛ばし、壁にいくつもの穴を穿った。
 さっと視界を過る大きな影に、マティアスが隙無く構えをとった、背に。
「援護する、任せて」
 實生の静かな声音が届くや、
「させないよ」
 駆け抜けるは、銃弾。連射された大口径の弾丸は、マティアス目標と頭を下げ突進の兆しを見せた狼の額を貫く。
 呆気なく穿たれた疵口から、夥しい血が噴き出し――血液は、不可思議な慣性を描いて、狼の元へと戻る。
 なれど、荒い息を吐き、いっそう憎らしげな目つきで、實生を睨み付けてくる。
 刹那、弾けるように。室内の狼どもが、それぞれに殺到した――。
 まさにそれらの体内では、水蒸気爆発が起きている。
「こんな場所で水蒸気爆発なんて物騒だなあ」
 呆れたように實生がいう。マティアスはただただ同意する。
「アレを正面から受け止めるのは遠慮したいところ……!」
 實生は、翠の瞳で、しっかり敵の動きを見――タイミングを合わせて翼を広げた。
 銃を盾に、接触の威力を利用しながら、飛翔の瞬間速度で狼を跳び越える。両腕から全身に伝わる重い衝撃はあるが、彼は気にせぬ。
 マティアスもまた、上へと逃れる。突進してくるのは解っている。間に合うように跳躍し、狼をやり過ごせば――しかし、その巨躯が起こす衝撃に巻き込まれ、引きこまれそうになるところを、宙を更に蹴り上げ、方向を切り替えて凌ぐ。
 身体を撃つ衝撃をなかったことに出来なくとも。
 接触が僅かであれば、充分だ。
 再度、床に足を着いたマティアスは、即座に狼らの背を目掛けて疾駆する。
 鋼鉄の籠手を纏い、その伸びきった脚を狙って、勢いを乗せたストレートを見舞う。
 手応えは、重たかった。しかし、確実に内部を打ち砕いた反動を感じ取り、彼は休まず、床を蹴り付け、隣の狼の前脚を砕く……。
 そんなマティアスに牙を剥いた狼頭を破裂させたのは、實生の一撃。
 赤い飛沫が辺りに漂い、狼の血潮は熱く燃え、古い床は白煙をあげた。
 マティアスの視線の意味に気付き、實生は首肯すると。銃を抱き、円卓まで駆ける――背後で、マティアスが軽やかに躍動する音が響く。天井がまた少し壊れたか、埃がまとまって落ちてくる……。
「アリーサさん」
 實生は、急ぎ、ぐったりと意識を失って椅子に縛り付けられている少女の名を呼んだ。
 その刺激で意識が戻ってきたらしい、三日月のような睫をふるわせ、アリーサは薄目をあけた。
 彼女が、恐怖に駆られるより早く。實生は優しい声音と、眼差しで、語りかける。
「アリーサさん、あなたを助けに来たんだ」
 暫しぼんやりとしているアリーサに背を向け、彼は狼を攻撃する手も止めない。
「――イーヤさんも無事だよ……だから、あと少し頑張れるかい」
 その名に、はっとしたらしい。アリーサは背中に感じる戦いの気配と……正面にいる見慣れぬ少女に、怯えた貌を浮かべたが。
「母は無事なのですね」
「ああ、仲間が保護してる――もう大丈夫」
 彼が請け負うと、彼女はコクリと首肯した。
「ちょっと、勝手なことしないでよ」
 オリガが、がたんと椅子を弾き飛ばして、立ち上がる。
 彼女へ、實生はアリーサに向けたものとは正反対の冷たい視線を向けた。
「食人、それも親しい者の肉を喰わせるなんてね――人を人として見ていないのが良く分かる」
「なによ、当たり前じゃない」
 ますます不機嫌そうに、オリガは当たり散らす。
「なんの価値もない人間を、私達と同じものにしてあげるのよ? 感謝してほしいくらいなのに!」
 頬を膨らませ、ダンと脚を踏みならす……愛らしい怒り方をしているが、實生の心は、ますます冷酷に反応するばかり。
「――情けも容赦も無用だな」
 告げるや、彼は無造作に、腕を横へと伸ばし、銃撃する。
 ズドンと射貫いた狼の心臓……そこへ、壁を蹴って踏み込んだマティアスが、
「っと、ラスト!」
 カウントしながら、その頭部を叩き割って、円卓の上に飛び乗って、
「お待たせ。君もウォーミングアップは必要?」
 オリガへとウインクひとつ、敢えてにっこり笑って、問いかけた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!

●古びた屋敷の、女主
「……信じられないの! やっぱり、人間ってバカ! 死妖姫さまの御厚意なのに」
 氷結の令嬢『オリガ・アポーストル』は、こちら側からすれば、受け入れられぬことを憤り――ディアボロス達を睨み据える。
「でもいいの。私が取り返して、やり直せばいいの。少し大変だけど、仕方ないわ」
 握った傘で、乱暴に椅子と円卓を薙ぎ払い。
「出来の悪いオモチャと遊んで……その後、お友達を増やす……そう考えれば、少しは楽しめそう」
 実に自分勝手なプランをたてると、それが気に入ったらしい。
 機嫌の良い、愛らしい貌で、ニッコリ笑った――。
一里塚・燐寧 (トレインチケット)



●火球と氷柱
 斯くてヴァンパイアノーブルの威厳と余裕を見せつけた氷結の令嬢『オリガ・アポーストル』であったが――。
 地を揺らすような不穏な低音から――甲高い何かが回転する音に、はっと表情を改め、振り返る。
「あはっ、ヒトのことバカに出来る立場かなぁ!」
 そこには、高くチェーンソー剣を振り上げた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の姿があった。
 背後を円卓にとられているオリガは、咄嗟に横へと跳び退くが。
 燐寧はその姿をニヤニヤ眺め、行くよぉ、とすぐに距離を詰める。
「怨み募りし魂よ、群がり集いて荒れ狂え。汝ら、燻る火種にあらず。憤怒の炎となりて焼き尽くせ……な~んてね、ズガガーンっていくよぉ!」
 クロノヴェーダに命や存在を奪われた犠牲者たちの怨念を吸い上げ、何処か邪悪なオーラを纏いながら、重厚な刀身を軽々振り回し、彼女はオリガの身体を薙いだ。
 傘を盾に、凶悪に回転する刃をオリガは受け止めたが――燐寧の表情は、ますます笑みを深めた。刀身から火球が生じ、そのままオリガの身体を吹き飛ばした。
「っ!」
 塵も残さぬ高熱が、オリガを襲う。
 ぱっと薄暗い部屋に赤い火花が瞬いて、消える――煤けた貌を拭ってオリガは、焦げた衣服を叩くと、怒りに目を吊り上げた。
「許さないんだから!」
 すぐさま、オーラを氷晶化した複数の氷柱が、オリガの周囲に浮かび上がる。
 鋭利な鋒が、次々と燐寧に襲いかかる。
 チェーンソーの刃で迎え撃ちつつ、同時に後ろへと跳び退いて、氷柱を躱していく――頬を、肩を、腰を、狙って、円錐は飛び――大きく弧を描いて、オリガの元へと帰って行く。
 なるほど、火球の勢いを削いだのもこの力なのかもしれぬなどと思いながら、しかし燐寧が怯む事も無い。
「残ぁ念、あたしは『死体』だから、氷漬けには耐性あるんだよぉ」
 挑発しつつ、ぶん、と剣を薙ぎ。次の一撃への溜めは前より長いと笑う。
「あははぁっ! 楽しみなよぉ、自分がまっぷたつに割れる瞬間をさぁ!」
 そういって、瞳を剣呑な光で輝かせ、燐寧は更に躍り掛かった――。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

仲間に続き、攻勢を仕掛けましょう。
カーミラ側に付くこの連中相手にまともな会話は成立しそうにない。
何かを語り掛けるだけ、無駄と言うもの。
助けるべき人達は助けられた、後は……倒すのみ!!

フライトデバイス『アクロヴァレリア』を点火し、低空を【飛翔】
電脳ゴーグル型デバイス『Boeotia』のテンプルをノックし起動すれば
敵への最短かつ最適なルートを瞬時に算出し
武装制御による精密な空中機動で敵への距離を零にします。
構えるは煌剣『シュトライフリヒト』
周囲に蒼いフォトンの粒子を散らし、煌めく閃光が高速で戦場を駆け抜ける。
空と地を、生と死を、その境界線ごと断ち切る様な横薙ぎの一閃を放ち敵を攻撃します。

攻撃後はすぐさま【一撃離脱】で距離を取り敵の反撃に備えます。
『シャルダント』から発生する防御壁の【結界術】を緩衝材にして
一時的にでも攻撃を食い止めた隙を使って回避行動を取ります。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

我儘な女の子のあやし方か……ちょっと自信ないが
……そのやり口は許せないんだ
人をそうでないものに変えてしまう儀式だ

歪んだ価値観には興味がない
本人たちへ、意志を問うたこともなかろうに
一体、幾人の少女たちとその家族を手にかけてきたのか……
それは子供の遊びではない。ここで仕留める

仲間が敵を引き付けてくれている間に、アリーサさんの縛めをナイフで断ち保護を
戦闘域外へ促すか、抱えて運ぶ
じきイーヤさんに会える
済むまで安全な場所に隠れているように、と伝える

オリガと対峙し、仲間と連携を取ろう
戦況を偵察、観察しつつ把握、壁床との距離感も測り
味方側へ隙を作るように多角的に銃撃、フェイント掛けつつ狙いを読ませず
好機を看破すれば、跳弾を集め一気に穿つ
味方となるべく挟撃や包囲の位置へ入る

反撃には魔力障壁を展開し身を護り
氷柱の動きを観察しつつ、Nazarの盾を掲げて凌ぐ
飛翔し家具を踏み、エアライドも利用し立体的に立ち回る

残酷な儀式はお仕舞いだ
被害者へ詫びの一つも言えるなら……な
カーミラにもいずれ見えよう


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

イーヤさんの安全は確保出来た、あとはアリーサさんだね
仲間がアリーサさんの保護に向かうのに合わせて
俺もまたオリガの前に割って入り【防衛ライン】で足止めしよう

価値観が違うのは百も承知だけれど、死妖姫さまの御厚意か
本気でそう思っているのだろうから、全く始末に負えないよ
だがそれもここまでだ、やり直しなんてさせてやるものか
オリガ、お前は俺達がここで倒すよ
まあ、出来がいいか悪いかはさておいて、遊んではくれるんだろう?

油断なく敵の動きを観察し、攻撃を看破する
勿論、カメラのフレームに大人しく収まるつもりは無いよ
雪月花の刀と呪符を構えて『七影斬』のパラドクスを使用
七つの残像で攪乱し、敵の狙いをブレさせ命中率を下げ
【ガードアップ】で寒さを凌ぎつつ
七つの残像と共に、パラドクスによる斬撃と炎の連続攻撃を仕掛ける

此方に注意を引く事で、仲間の攻撃も仕掛け易くなるだろうか
仲間と連携フォローし合って、此方のペースに徐々に引き込みオリガを倒す

戦闘終了後に
アリーサさんをイーヤさんの所まで安全に送り届けたい


一角・實生
アリーサさんと彼女に接触する仲間を庇い前に出る
やりとりを隠し、何より敵の姿を遮断することでアリーサさんを安心させたいんだ
後ろ手で『大丈夫』と伝えるよ

仲間の攻撃と攻撃を繋ぐ動きを念頭に立ち回ろう
アリーサさんとイーヤさんに矛先が向かう万が一を確実に潰しておきたいからさ
どんな見た目だろうが油断はしないよ

さっきから聞いていれば人間は価値がないだとか、バカだとか
随分好きに言ってくれるね
俺は少なくともお前達クロノヴェーダとは比べものにならない程の価値があると思っているよ
……比べるのは好きじゃないけれど
一方的に決めつけているのは、どうにも

仲間のパラドクスに繋げる形でパラドクスを発動
さっきの戦いで俺が銃を使うことは見られている
だから不意打ちも兼ねられるかな?

発動後は敵の身体を蹴り距離をとる
氷晶をグラナトゥムで銃撃し、削りながら引きつけて【エアライド】による回避を試みるよ
俺の血は呪詛入りで不味いんじゃないかなあ

叶うならふたりの再会を見届けたいな
母と子、か
写真でしか両親を知らない俺には、その絆が少し羨ましい


マティアス・シュトローマー
中々楽しそうな良いプランだと思うよ――ぶち壊すのが、だけど!

アリーサには仲間が付いてくれているから大丈夫。さて、どんな悪戯でご令嬢を驚かせようか

仲間と連携してパラドクスを発動。室内の家具や装飾品の間を縫うように【トラップ生成】で蜘蛛の巣状のトラップを張り巡らせ、敵への牽制を
そこでじっとしていれば素敵なレディに見えない事も無いかもね

ふふ、出来の悪いオモチャの出来の悪いトラップだと思った?
それからとっておきのサプライズ!
さらに死角から捕獲ネット状にした本命のトラップを放ち、ダメージを与えつつその動きを封じる
一瞬でも隙を作り出せればそれで十分。罠使いとして仲間の攻撃の援護に徹しよう

へえ、素敵なカメラだね
せっかくだしカッコいいところを撮ってほしいなー
反撃への対策として【飛翔】に【エアライド】を織り交ぜたアクロバットな立ち回りで動きを読ませず、出来る限りオリガのレンズから逃れよう
ドレインで回復しつつガードアップで耐えれば長く被写体として動けるだろうか

親子の再会はきちんとこの目に焼き付けておきたいな


●朱の宴
 なんなの、もう、オリガが怒りにスカートの煤を払って、ディアボロス達を睨む。
 それを、厳しい眼差しで見つめ返しながら、一角・實生(深い潭・g00995)は前に出た。アリーサを庇うように――後ろ手で、大丈夫、とハンドサインを作って、彼女を落ち着かせる。
「さっきから聞いていれば人間は価値がないだとか、バカだとか……随分好きに言ってくれるね」
 同時、彼はオリガへと言い放つ。
「俺は少なくともお前達クロノヴェーダとは比べものにならない程の価値があると思っているよ」
「そう。それはそっちの勝手なのよ」
 いらえに、實生は小さく嘆息した――まあ、彼とて、クロノヴェーダらの存在価値を認めるかと問われれば、元より難しい。
 それでも、「お前達は無価値だ」と面罵することはない……存在価値を比べ合うことも不毛だが――こうして、一方的に決めつけられれば、言い返したくなる。
「言いたいことはそれだけ?」
 小首を傾げ、オリガは問いかける。愛らしい仕草だが、言葉の向こうにある剣呑さは隠していない。
 しかし、殺気立ったオリガの注意は、すべてディアボロス達に向かっており、アリーサの挙動に興味はなさそうだった――状況的に、自分にとって危険な存在に注意を払うのは当然といえよう。
 そこへ、
「価値観が違うのは百も承知だけれど、死妖姫さまの御厚意か――本気でそう思っているのだろうから、全く始末に負えないよ」
 文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が白銀の刀を手に、躍り掛かる。
 同時、床に刻まれた防衛ライン……微々たるものだが、鬱陶しいと感じて避けるだけでも意味がある。殊、人命救助を視野に入れるならば。
 雪人は冷静な青き双眸で、ひたと敵を見据え、低い構えで實生の横をすり抜けて行く。
「だがそれもここまでだ、やり直しなんてさせてやるものか。オリガ、お前は俺達がここで倒すよ」
「……!」
 オリガが絶句したのは、雪人の宣言もあるが……距離を詰める彼の姿が、複数にブレて見え、戸惑ったからだ。
 パラドクスによって作られた七つの残像が、距離感を曖昧に惑わせる。
「――まあ、出来がいいか悪いかはさておいて、遊んではくれるんだろう?」
 浅く笑う。
 どれが本人なのか、解りかねる様子のオリガへ、深く斬り込んだ。
 結果から言えば、七つのどれもが、オリガの身体を容赦なく切り刻む本物の雪人の刃である。
「きゃっ……っ」
 痛みに小さく悲鳴を上げて。なれど、すぐさまカメラを構え、シャッターを切るのは、アヴァタール級たるプライドであろう。
 雪人は、凄まじい冷気に襲われるも、動じぬ――自分に攻撃が向いている瞬間は、仲間が仕掛ける絶好の機会でもあるからだ。
「カーミラ側に付くこの連中相手にまともな会話は成立しそうにない。何かを語り掛けるだけ、無駄と言うもの」
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)の声が、凜乎と空間を打った。
 同時、電脳ゴーグル型デバイスのテンプルをノックする。
 オリガまでの最短かつ最適なルートが瞬時に算出され、レイのフライトデバイスが青白く炎を吐く。
 煌めく光を放つサーベルを手に、飛んだ。点と点を、結ぶ線は閃光。蒼いフォトンの粒子がきらりと残し……。
「フィールド内への侵入を感知!電磁障壁起動します!」
 彼女が広げた電磁領域に立つオリガに、強烈な雷撃が襲いかかる。更には最高速度を最良ルートで接近したレイの刃が、華奢な躰を貫いた。
「!」
 畳みかける痛みに、踏鞴を踏みながら。オリガは、憎らしげに、レイを『見た』――そう感じた瞬間、間に合うはずの回避を越えて、冷気がレイの身体を蝕んだ。
「なんてこと、なんてこと……」
 カメラを片手に、あまった片手で、腹部から流れ落ちる血をぐっと押さえ込む。
 青ざめた貌は、いよいよヴァンパイアノーブルらしい剣呑さを増す。更に殺気を高めた背中に、軽やかな揶揄が飛ぶ。
「『出来の悪いオモチャと遊んで、その後、お友達を増やす』だったっけ? 中々楽しそうな良いプランだと思うよ――ぶち壊すのが、だけど!」
 既に壊されかけてるかな、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は努めて朗らかに、笑いかけ。
「おっと――動かない方がいいよ。その手足が大事なら」
 気付けば、オリガの周辺には、蜘蛛の巣状のトラップが、これ見よがしにいくつも張り巡らされている。
「そこでじっとしていれば素敵なレディに見えない事も無いかもね」
 驚いてくれたかい、とウインクを送れば、それを叩き落とすような、低い声音でオリガが冷笑する。
「こんなものがどうしたっていうのかしら」
 躊躇いもなく、片足で踏みにじる……それが、ただの蜘蛛の糸だということは、見抜かれているようだ。攻撃性のない、トラップ――精々、潔癖症な性格なら、嫌がって避けるかもしれない、そんな悪戯。
「本当、無価値ね」
 オリガは嘲笑を隠さず、カメラを掲げた時――ニヤッとマティアスが笑う。
「ふふ、出来の悪いオモチャの出来の悪いトラップだと思った? ――それからとっておきのサプライズ!」
 言うや、軽やかに後ろへと跳躍し、オリガへと何かを投じた。
「動かない方がいいよ。その手足が大事なら」
 そう告げる声音の不穏さは、オリガには届かなかったようで――何を、と言い、蜘蛛糸のネットを無造作に払い除けようとした瞬間、焼け付く痛みが、オリガを襲う。
 思わず零れた声と、自由を奪われた事で彼女のカメラは、一瞬、デタラメな位置を向く。
 そこへ――すかさず實生が距離を詰める。
 妖刀を接続して銃剣のようになったグラナトゥムを振り下ろし、オリガの脚を床に固定するよう、突き刺す。
 そして、
「銃と頭は使いよう、だ」
 思い切り振りかぶった彼は、その額を、オリガの額へと叩き込む。
 身体を固定され、強烈な頭突きを喰らい――ヴァンパイアノーブルとて、クラクラと目を回したように、躰を揺らめかせた。
「こ、の……!」
 即座と、彼女の躰を容赦なく蹴り付け、刃を貫き、距離を取る實生を鋭く睨むオリガの姿に、声を立てて笑ったのはマティアスだ――「まさか、ご令嬢に頭突き、更に足蹴!」と楽しげに手を叩いている。
「ゆるさない、ゆるさない、ゆるさない!」
 屈辱に肩を奮わせながら、彼女は周囲に氷柱を作り出した。
 氷柱を向けられた實生は、銃を腰撓めに構えながら、ひとりごつ。
「俺の血は呪詛入りで不味いんじゃないかなあ」

 一方、ディアボロスの戦いの傍らで。
 蒼穹のような大翼を畳み、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が抱えた少女を、部屋の外へと逃す。
「じきイーヤさんに会える――済むまで安全な場所に隠れているように」
 室内に人は居ない……それでも、万全を期すため、空き部屋に隠れていて欲しいと、アリーサへ願う。
 彼女は、今日の間に起こった様々なことを呑み込みきれず、返すべき言葉を思いつかなかったようだが、素直に、こくりと首肯した。
 エトヴァは安心させるような微笑みを彼女に見せて、ゆっくりと振り返る。
 小さな足音が去って行くのを確かめた後――彼は、微笑を消し、冷ややかな面持ちで、オリガを見る。
 必死にディアボロスと渡り合う姿に、彼は銃口を向けた。
「歪んだ価値観には興味がない。本人たちへ、意志を問うたこともなかろうに」
 遊び相手だの、玩具だの――オリガの言葉を思い出し、忌まわしげに、眉を寄せ。
「人をそうでないものに変えてしまう儀式……そのやり口は許せない」
 ――ここで仕留める、薄い唇に、確固たる意思を刻んで、引鉄を引く。
「――歌え、気高き魂よ、根源なる願いを」
 祈りを込めた白銀の弾丸は、仲間を避け、部屋の壁を跳ね、無軌道にオリガへと迫る。
 それを回避する余裕は、オリガにはない。
 次々と様々な方角から襲いかかる弾丸に、躰を穿たれ――ヴァンパイアノーブルは激しく血を吐いた。
 最早、体力で耐えているようなものである。オリガが作り出した氷柱がエトヴァを狙い澄まして飛来する。
 彼はそれを巨大な青い目を持つライオットシールドで凌ぎつつ、立体的な跳躍で、次々と躱す。掠め行く程度の傷ならば、問題にもならぬ。
「どいつもこいつも、ちょこまかと、鬱陶しいの!」
 オリガの集中力は、室内を所狭しと飛び回るディアボロス達の戦い方に、翻弄され続けている。
「へえ、素敵なカメラだね。せっかくだしカッコいいところを撮ってほしいなー」
 撮れるものならねとるマティアスは、飛翔の速度を取り入れながら、宙を幾度となく蹴り、方向転換を繰り返す。
 投じる蜘蛛糸は、もう全部、本物だ。膚が灼けるも気にせず、オリガは傘で振り払って、潜り抜ける――脇から、雪人が深く踏み込んで、剣を振り下ろす。
 七つの剣閃が、僅かな時差を伴ってオリガを斬る――鮮やかに咲く血の飛沫が床に落ちるより早く、レイの雷撃が、オリガを撃つ。
「助けるべき人達は助けられた、後は……倒すのみ!!」
 自ら放つ光で銀麗の髪を輝かせ、剣閃そのものと化す。
 迸る光の流線、青白い輝きと雷光に痛めつけられたオリガは、全身を真っ赤に染めながらも、前へと踏み出す。
 マティアスの蜘蛛糸に、焼け付く痛みに脚を取られ、蹲りながら。カメラを構えて、反撃する。なれど、被写体を、もう真っ正面に捉えるのは難しくなっていた。
 満身創痍の少女が、必死にカメラを向ける様は、憐憫を誘う姿なれど……。
 相手がクロノヴェーダである限り、ディアボロス達が手心を加えることはない。
「何度も、大人しく収まるつもりは無いよ」
 腕も、もう上がらないだろう――雪人の囁きは、慈悲の響きを含んでいた。
「うるさいっ!」
 オリガはそう叫んで立ち上がったが。即座に、銃で打ち据えられ、畳みかける實生の頭突きに、大いに蹌踉めいた。
 倒れ込みそうなところを、傘を支えに堪えると、
「まだよ、まだ、終わっていない!」
 朦朧とした意識に活を入れるように言い放ち、ぐらぐら、ふらふらとしながら、オリガは氷柱を作り上げる。
 いいや、勝負は決している――きっぱりと、エトヴァは現実を突きつけるように告げ。
「残酷な儀式はお仕舞いだ」
 平行に突き出した銃を、それぞれに撃つ。
 咆哮と同時に金属が鋭く跳ね返る音が数回、脆い室内を抉りながら、威力を変えずにオリガへと牙を剥く。
「がッあ……!」
 獣じみた声が出て、オリガの躰が崩れゆく――まだよ、とその唇が抵抗を紡いだ刹那、雪人の刃が、ヴァンパイアノーブルの心臓を貫いた。

●再会と誓い
 雪人の導きで――先に避難していたイーヤの元へ、ディアボロス達はアリーサを送り届けることにしたが、何のことはない、避難先は、屋敷の別の一室であった。
「ここだよ――……イーヤさん、もう出てきて大丈夫ですよ」
 クローゼットへ、雪人が声を掛けると、おそるおそるイーヤが顔を覗かせた。
 戦場へと引き返す直前、意識を取り戻した彼女に、クロノヴェーダなどに見つからぬよう、念のため此所に隠れているようにと、雪人は助言をしたのだ。
「お母さん!」
「アリーサ!」
 ひしと抱き合う二人を見て――實生は静かに囁く。
「母と子、か」
 奇跡的に、九死に一生を得た二人。具体的にどんな窮地が待っていたのか、二人は知らないだろうけれど……良かった、と彼はほっと息を吐く。
 アリーサの額を何度も撫でたり、抱き合う母の背を撫でていたりする光景を前に、
(「写真でしか両親を知らない俺には、その絆が少し羨ましい」)
 實生は翠の双眸を細める。
「うん、よかった」
 マティアスも、二人の姿を目に焼き付けるかのようにじっと見つめている――いつもと変わらぬ飄然とした笑みを湛えている一方、そこには冷やかすような色は一切無かった。
 喜び合う二人を前に。
 柔らかに笑いながらも、エトヴァはつと嘆息を零す。
「被害者へ詫びの一つも言えるなら……な」
 クロノヴェーダに、そんなことを望んでも無駄であろうが――エトヴァが目を伏せると。
「被害を……未然に防げたことを、喜びましょう」
 そんな心中を察したレイの静かな囁きに、彼はただ首肯する。
 ふつふつと消えぬ腹立たしさ、無念さ――それは、いずれ見えるであろう死妖姫カーミラへ……。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV2が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年09月30日

『死妖姫カーミラ』の食人儀式

 《七曜の戦》後、モスクワは、サンクトペテルブルクから移動してきた、ジェネラル級ヴァンパイアノーブル『死妖姫カーミラ』と、その取り巻きによって支配されたようです。
 更に、モスクワ中の若い美女達がクレムリンに連行され、カーミラの趣味の犠牲となり、食人儀式により、新たなノーブルヴァンパイアが生み出されようとしています。

 連れ去られた美女を救出し、食人儀式を阻止して、モスクワの人々を護ってください。

 モスクワでの食人儀式を阻止する事で、吸血ロマノフ王朝全土で食人儀式を行うというカーミラの目論見を潰すことが出来ます。


死妖姫カーミラ


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#吸血ロマノフ王朝
🔒
#『死妖姫カーミラ』の食人儀式
🔒
#死妖姫カーミラ
🔒
#食人儀式
🔒
#モスクワ


30




選択肢『モスクワへの潜入』のルール

 死妖姫カーミラが支配するモスクワ市内への潜入を行います。
 モスクワ市内は、多数のクロノヴェーダが徘徊していますが、統制は取れていない為、敵の警戒をすり抜けて市内に入り込む事は可能でしょう。
 徘徊するクロノヴェーダの動きを察知し、見つからないように市街地に入り込んだ上で、活動拠点となる場所を確保してください。
 活動拠点は、クロノヴェーダに見つからない場所で、一般人から情報を集めやすい場所が良いでしょう。
 拠点とした場所によって、得られる情報の精度や情報を得る為の難易度が変化します。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『食人儀式を止めろ』のルール

 手に入れた活動拠点で情報を集めつつ、食人儀式が行われている場所を見つけ出してください。
 一般人の家族が連れ込まれて帰ってくるものがいない……と噂される場所を見つけたり、或いは、最近誰かにつけられているように感じている人と接触するなどして、儀式が行われている場所を特定、踏み込んでください。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『棺輸巨狼』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『氷結の令嬢『オリガ・アポーストル』』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「スヴェトラーナ・アスィルムラトヴァ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。