リプレイ
シズ・ノウラ
さぁ、戦争が始まったニャ。
私達の世界を土足で踏み荒らした連中に、目にもの見せてやる時が来たニャ。
先ずは前哨戦だニャ。
東洋のサムライって奴ニャ。忠義の厚い戦闘民族と聞いてるニャ。
強敵だけど、だからこそここで叩いておくニャ。
戦場は平地で、敵は弾幕を張ってくるニャ。守りを固めて攻めないと蜂の巣ニャ。
遠距離から攻めるニャ。遮蔽物があるなら隠れて奇襲を狙うニャ。
【マクスウェルプログラム】ニャ。足元の地面に「魔力付与」でありったけの魔力を注ぎ込んで戦場に領域を展開するニャ。
敵の足元から魔力を噴出させて攻撃するニャ。吹き飛ぶニャ!
反撃は「結界術」で魔力の障壁を張って軽減させ耐えるニャ。
アドリブ連携歓迎ニャ。
守都・幸児
※連携、アドリブ関係
伊賀国を落とされたらまた京都が狙われちまうかもしれねえ
そんなことはさせねえぞ
きっちりこの里落としてやる
円陣に飛び道具か、なるほどな
突っ込んでくる敵を迎え討つにはいい策だ
だが、それも見通しのいい戦場での話だろう
俺の使う技は「繋」
樹木が爆発的に繁茂させる技だ
まずは民家の陰に隠れて技を発動
広場に樹木を繁らせ、片っ端から敵兵を締め上げると同時に
枝葉で見通しを悪くして視界と弾道を妨害してやる
残念だったな
この土地も、てめえらには利用されたくねえってよ
味方の攻撃に合わせ木々を生やしながら
戦のあとに民が帰ってこれるように
ついでに弾避けにさせてもらうために
周囲の民家に【建物復元】も使っておく
孫・リア
さぁさぁ前哨戦で先制攻撃よ!
向こうも指揮が高いし連携も強力……けど私達のほうが連携取れてるし強いわ!
皆と機会を見計らってタイミングを合わせて攻撃を仕掛けるわ
突撃に殴りかかって零距離射撃……なら近づかせないわ『水獣』で大量の水の獣達を呼び出して突撃!それぞれ獣達で彼らを水圧で押し込む!濡れてたら自慢の射撃も撃てないでしょう
きっと油断するでしょうね?水で出来た獣達を、だけど一人が水圧で流されたらその後ろの数人も流されるし、命を奪うほど水圧は恐ろしいわよ?
【アドリブ共闘歓迎】
ルキウス・ドゥラメンテ
前哨戦、か
これから暫く戦い浸けかと思うと全く嫌になる
手早く終わらせなくてはな
円陣と言うのは厄介だ
加えて敵の動きを見るにこれと言った死角もない様子
此方も味方と連携して当たろう
味方が狙った標的にパラドクスを重ねて着実に各個撃破の上、陣形を崩してやりたい
反撃は弾幕で相殺を狙いつつ、あちらの陣形次第では掻い潜って懐に飛び込む
多少の傷は貰うかもしれないが、いっそ肉薄した方が集中砲火も浴び難かろう
パラドクスの炎を愛槍に纏わせて連撃を叩き込んでやろう
とは言え前に出過ぎて囲まれても洒落にならないので極力味方と足並みを揃えられるよう臨機応変に立ち回る
リオーネ・クア
※アドリブ・連携OK
士気が高く、連携を得意とする相手
激戦になるだろうな
でも俺の帰りを待っている人がいるから無事に帰らないといけない
油断せず慎重に戦おう
敵を視認できる位置に来たらマジックミサイルを発動
遠距離から仕掛けることで、相手にする敵の数を最低限にするのが目的
俺に対して向かってくる敵だけを相手にするよ
多数の敵を分断するのが効果的と考えたからだけど、俺が倒しきれない数が向かってきた場合は味方に援護を頼みたい
敵からの攻撃は魔力障壁を展開して、更に受け身を取ってできるだけダメージを軽減
攻撃も火炎弾も痛い
けど怯まない、怯めばきっと畳みかけられると思うから
喩・嘉
※アドリブ・連携歓迎
先制攻撃か。やってやろう
攻撃は最大の防御とはよく言ったものだ
敵の数が多い。では直接攻撃ではなく、精神に触れてやろう
大群であればあるほど、個体の動きが狂えば統率が取れなくなるからな
羽扇を振るい、雨雲を呼び「雲行雨計」を使用
あたりに雨を降らせ、雨音で敵の精神に作用していく
仲間の攻撃に合わせ、より作用を強めて、お互いの攻撃の効果を高めよう
伏見・萬
(連携アドリブ歓迎・残留効果はできるだけ有効活用)
(仲間は基本的に苗字呼び。喩嘉は「喩嘉」)
さァて、どうしたモンかねェ…って、なんだァ?
敵陣を眺めて動きを窺っていたら、自分より先に羊のぬいぐるみが敵陣へ飛び出す(【七色の夢の使者】発動)
羊のぬいぐるみが増殖して輝いて乱舞。敵を撹乱し、眠らせ、生命力を喰らっていく
撃破可能な敵がいればなるべく巻き込んで、効率よく数を減らす
倒せる敵が攻撃可能な範囲にいなければ、敵を撹乱すべく羊を放り込む
(羊はある程度は言う事を聞いてくれるが、近くの敵を狙うなら掴んで投げつける事も)
仲間と声を掛け合い、情報を共有する
負傷はあまり気にせず攻撃を優先、倒せる敵は逃さない
●先制攻撃
「決戦の時は近い」
「光秀様の為、粉骨砕身の覚悟で戦に臨まん」
真夏の太陽がじりじりと照りつける中、黒く重厚な装甲に身を鎧った最上家鉄砲隊は微動だにせず待機を続けていた。
円陣を組み、ジェネラル級の下命を待つ機械生命体の武者輩は、見るからに意気軒昂である。もし無為無策のまま仕掛けたならば、良い標的(マト)にされてしまうのは間違いない。
「伊賀国を落とされたら、また京都が狙われちまうかもしれねえ」
茅葺き屋根の民家の陰で、敵軍の様子を伺っていた守都・幸児(祥雲・g03876)が呟いた。その傍らに、シズ・ノウラ(深森の幻獣・g10049)が、ウェアキャットのしなやかさで滑り込んでくる。
「私達の世界を土足で踏み荒らした連中に、目にもの見せてやる時が来たニャ」
領域を侵す不埒者を、彼女は決して赦しはしない。
シズは家屋の陰からひょいと顔だけを覗かせて最上家鉄砲隊の陣容を見る。
「東洋のサムライって奴ニャ。忠義の厚い戦闘民族と聞いてるニャ」
甲冑そのものの装甲に身を包んだ天魔武者どもは、いざ戦いとなれば我が身を顧みず激戦にその身を晒すのだろう。それは確かに、シズの言うところの侍の在り方だ。全く以て、危険極まりない。
「だからこそ、ここで叩いておくニャ」
「ああ、きっちりこの里を落としてやる」
戦意を高めはしても、血気に逸って突っ込むようなディアボロスたちではない。
事前情報と照らし合わせ、幸児と共に敵陣をその赤い瞳で窺ったシズは、声をひそめて、
「戦場は平地で、敵は弾幕を張ってくるニャ。うまく攻めないと蜂の巣ニャ」
「平地に円陣、それと飛び道具だからな。下手に突っ込むわけにはいかねえ」
円陣を形作った天魔武者にこれという死角はない。単に突撃するのは、やはり明らかな自殺行為だと思われた。
「だったら、やるべきことは一つだな」
「このまま奇襲を狙うニャ」
同一の戦場に複数人のディアボロスが集まっている以上、ここで真っ先に成すべきは奇襲による撹乱。
どうやら同じことを考えていたようだと、からっとした笑みを浮かべた幸児は、頼もしい味方が続いてくれるのを信じてパラドクスの力を解き放った。
「ム……?」
「妙な……」
数体の天魔武者が異常に気付いたが、時既に遅し。
陰陽五行は『木』の力が大地に巡り、殆ど何の前触れもなく樹木が地面を割って飛び出した。爆発的に繁茂し林立した木々が、瑞々しい葉を茂らせた枝を機械の武者どもにしゅるしゅると伸ばし、視界を塞ぎ、見る間に締め上げていく!
「合わせるニャ」
続いてシズがパラドクスの力を解き放つと、ふわりと焦茶色の髪がなびいた。刹那、地面を広がり天魔武者どもの足元にまで及んだのは、シズを守護する『領域』である。
「吹き飛ぶニャ!」
マクスウェルプログラム。結界術も駆使してシズが最大限に魔力を注ぎ込めば、最上家鉄砲隊がギリギリとその機械の体躯を軋ませながら赤い眼光を苦しげに点滅させる。
「グ、ガァッ……おのれ……!」
だがそのまま無理矢理に胴を旋回させ、シズや幸児に火縄ガトリング銃の銃口を定めてのけたのは、流石に明智光秀の率いる手勢というだけのことはあった。
「小癪な奴ばらめ!」
「吹き飛ぶのは貴様らの方と知れ!」
最前のシズの言葉にそう返すと、複数体の最上家鉄砲隊――その両腕のガトリングガンが回転(スピンアップ)した。転瞬、凄まじい程の魔力弾と徹甲弾が、まさしく嵐のごとくに殺到する。
パラドクスによる攻撃に民家が耐えられる筈もなく、茅葺きの建物がたちまちに穿たれ、吹き飛ばされ、朦々と煙が舞い上がった。
「やったか……!」
「否、否……!」
「素早い奴らめ……!」
家屋が粉砕される前に、シズと幸児は左右に分かれて散開。二人が舞い上がった土煙から飛び出したのを、最上家鉄砲隊は確かに見た。尚も放たれる無数の弾丸が、右へ左へと二人を追いかけるが、
「当てられるもんなら当ててみるニャ!」
「突っ込んでくる敵を迎え討つにはいい策だったろうよ。だが、それも見通しのいい戦場だったらの話だ!」
壊れた建物は後で復元してえ――そう考えながらも幸児が戦場を駆ける。
流石の最上家鉄砲隊も、幸児が繁茂させた枝に砲身を絡め取られ、シズのマクスウェルプログラムにより生じた領域に阻害されて、充分な命中弾を見舞うことができなかったのだ。
「残念だったな。この土地も、てめえらには利用されたくねえってよ」
「さぁ、一気に仕掛けるニャ!」
連携が功を奏して、動揺した敵陣にディアボロスたちが更なる攻撃を加える。
●恐るべき水計
「幸児たちが切り開いてくれたな。俺たちも続くとしよう」
幸児やシズが敵陣を突き崩したのを目にして、喩・嘉(瑞鳳・g01517)は朱き瑞鳳凰扇を片手に鳳眼を細めた。
敵は即座に態勢を立て直そうとしているが、円陣に綻びが生じたのは動かしがたい事実。それを見逃す喩嘉ではない。
「攻撃は最大の防御とはよく言ったものだ」
名高い兵法家たる孫氏も言及していたとされる格言に、孫・リア(勇武と炎を胸に秘めて・g03550)は凛とした眼差しを敵に向けながら頷いた。
「一気呵成に攻めましょう。この機を逃すわけにはいかないわ」
赤茶色の狐耳をピンと立てて、敢然、敵軍と対峙する。
――向こうも指揮が高いし連携も強力……けど私達のほうが連携取れてるし強いわ!
リアの確信をこめた眼差しに動揺したかのように、最上家鉄砲隊が左右に体を旋回させて、
「おのれ、何人いるというのだ!」
「陣形を乱すな。落ち着いて撃ち殺せ!」
喩嘉やリアに狙いを定めた天魔武者たちが、言い合いながら赤い眼光をギラリと光らせた。
その腹部に魔力砲台が出現したのを見ても、喩嘉は余裕の面持ちを崩さない――どころか、口の端を笑みに上げて、
「見た目は如何にも頑丈そうだが、心はどうかな」
羽扇を高く掲げれば、瞬く間に立ち現れた雨雲が、さながら陣太鼓のような音を鳴らして広がった。ぽつりぽつりと落ちてきた雨粒が途端に驟雨となり、天魔武者どもの装甲を打つ。
「雨よ、天帝の加護ぞあれ」
天を仰ぐ喩嘉の言葉に呼応するように、雨脚は強まる一方だ。
「雨如きが何だというのだ!」
「凍えて死ね! そして砕け散るがいい!」
腹部魔力砲台に青色の光が灯った。
たちまち放たれた数発の冷却砲弾が、喩嘉の眼前に着弾。周囲を強制的に冷却させ、凍結させていく。
「フハハハハハ! 見よ、一人散ったぞ!」
「我ら最上家鉄砲隊に歯向かったのが運の尽きよ!」
「左様、如何に数を揃えようとも我らを抜くことなどできはせぬ!」
叫びながら、両腕の火縄ガトリング銃を『誰もいない』虚空に向ける最上家鉄砲隊。
「……哀れなものだな」
得意げに哄笑する天魔武者たちは精神を狂わされ、喩嘉を仕留めきったと錯覚しているのだ。半身を忙しなく左右に旋回させているのは、幻影の敵を警戒しているためだろうか――。
「陣が乱れ始めたわね。今こそ!」
機を逃さず、ここぞとリアが力を開放する。
戦場において、狂乱は兵から兵へと伝播する。しかし流石に健在の最上家鉄砲隊は怯まず、リアにガトリングガンを構えて突貫する様子さえ見せていた。
「これしきのことで勝ったつもりか」
「粉砕してくれる」
「木っ端微塵になるがいい!」
その巨体からは想像もできない程の速度で突っ込んでくる最上家鉄砲隊。大質量の突進から繰り出される火縄ガトリング銃の連撃は、まともに喰らえばディアボロスとて無事には済むまい。
円陣を崩し、一列縦隊で突っ込んでくる最上家鉄砲隊を前に、リアは花々の彫り物が美しい紫の偃月刀――千紫を突きつけ、凛とした面持ちのまま。
「突撃に、殴りかかっての零距離射撃……なら近づかせないわ」
渦を巻くようにして虚空より生じたのは、リアのパラドクスによって呼び出された水獣の群れだ。真夏の日差しを浴びてきらめく鹿、朱鷺(トキ)、猛虎――水が象った獣たちは目を奪うほどに美しく、呵責ない。
「そんなもので我々を止められるものか……!」
「突破してみるといいわ。そう思うならね」
リアが言った刹那、水獣は突っ込んでくる最上家鉄砲隊めがけて駆け、飛び、機械の巨躯に衝突して物凄い水飛沫をたてた。
「ヌゥ……!」
「きっと油断すると思ったわ。水で出来た獣達を。だけど――」
「……なんのこれしき、ッ……!」
「――水圧は恐ろしいわよ? 時に大きな岩を砕き、命を奪うほどに」
火縄銃と言えば、雨に濡れると射撃不可能になるとも言われている。パラドクスの弾丸を放つ火縄ガトリング銃が同様の不具合を起こすことは少々考え難いが――リアの攻撃によって、天魔武者たる鉄砲隊が満足な攻撃に及べなかったのは紛れもない事実であった。
「勝負ありね」
最上家鉄砲隊の体が水圧に食い止められ、後ろから突っ込んできた同胞にぶち当たって大いに態勢を乱した。こうなれば打撃と零距離射撃を旨とする最上突撃戦術も、まるで意味をなさない。
敵陣が崩れたのを見て、リアが紫の偃月刀を掲げ、この場に集った全ディアボロスの士気を鼓舞する。
「さあ、畳み掛けましょう!」
●各個撃破
「士気が高く、連携を得意とする相手。流石に簡単にはいかないだろうけど」
砲撃を得手とし、近距離攻撃にも対応してのける天魔武者――精強なる最上家鉄砲隊の陣に近づきながらリオーネ・クア(ひつじの悪魔・g01176)は静かに闘争心を高めていく。
「でも俺の帰りを待っている人がいるから――」
無事に帰らないといけない。
大切な人を思い浮かべ、勝利と無事の帰還を改めて誓う。
戦端を開いたディアボロスたちの奮闘もあり、リオーネは一直線に敵を狙える好位置を占めることができた。幸いにしてまだ見つかってもいないようだ。
「始まったなァ。敵さん随分と混乱してやがる」
同一方向から仕掛けようとしていた伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)――その長い前髪に隠された眼光は、獲物を狙う凶獣を思わせるものだ。
その眼前には、喩嘉の雲行雨計に苛まれたことで、哄笑しながら虚空に弾丸を放つ天魔武者たちの姿がある。
敵の陣形は崩れており、萬は民家の物陰で様子を窺いつつ、手の中で鈍色の爪――慣れた手触りのコンバットナイフを回転させていた。
「さァて、どうしたモンかねェ……」
言ったその時、それは起こった。
「……って、なんだァ?」
ぽん、と現れた、光り輝く毛並みを持つ『何か』が、萬より先に敵軍に突っ込んでいったではないか。
「おい、勝手に飛び出すんじゃねェ!」
その光景に、目をぱちくりさせるリオーネ。
「あれは……ひつ、じ……?」
羊である。
もっと言うと、金色に輝く羊のぬいぐるみである。
駆けながら一匹、二匹、三匹――ぽすんぽすんと増殖していくもふもふの羊たちは、燦然と輝きながら最上家鉄砲隊の周囲を乱舞しはじめる。
「おのれ、ちょこまかと……!」
「なっ、なんだというのだこれは!」
鉄砲隊は上半身を忙しなく旋回させながら振り払おうとするも、虚空を駆け回る羊のぬいぐるみたちを撃退することはできない。
それもその筈で、天魔武者たちは羊のぬいぐるみに、意識を掻き乱されているのだった。胴体の魔力砲台から放たれた冷却砲弾は、虚しく中天に撃ち上げられたりそこらの地面に着弾して冷気を撒き散らすだけに終わる。
「逃しはしねェ。そろそろ眠る時間、ってェ奴だ」
ちょっと気を取り直して言いつつも。
生命を吸い取られて巨躯を軋ませる天魔武者……その顔に、萬が引っ掴んだ羊のぬいぐるみを投げつけた。
首を傾げたような状態のまま機能を停止し、永遠の眠りにつく最上家鉄砲隊。
「……。いけない、俺も続こう」
リオーネはふるふると頭を振ると、真剣な面持ちで弱った個体に狙いを定めた。
自身が捌ける程度の敵を相手にしようと考えていたのだが、奇しくも萬(と羊のぬいぐるみたち)がかなりの数を減らしてくれたところだ。
ここで仕掛ければ、敵部隊の一部を殲滅してしまえる――。
「面妖な……!」
「落ち着けい! 動揺すれば敵の思う壺ぞ!」
「立て直させはしないよ」
真紅の宝玉を思わせる曇りなき瞳がきらりと輝いた。刹那、虚空に浮かび上がった魔法陣から、詠唱圧縮された高純度の魔力の矢が解き放たれる。
そして山なりに飛んだ二すじの矢が、最上家鉄砲隊の二体の首元にグザと突き刺さった!
「ガッ
……!?」
「この上は死なば諸共……!」
恐るべきことに、致命傷を負った天魔武者どもはそれでも倒れず、最後の力を振り絞って反撃に出た。
生命を賭した最上突撃戦術だ。
「……っ!」
突進、そして振り被られるガトリングガンを前に、リオーネが魔力障壁を展開する。
「怯むわけにはいかない……!」
が、しかし。
防ぎ、ダメージを最小限に留めようとしたリオーネの前で、武器を振り上げた最上家鉄砲隊が火花を散らして震えた。
やはり――既に死に体だったのだ。
一歩も退かないと鋭く敵を見据えたリオーネの前で、武器を振り被ったまま、天魔武者どもはその機能を完全に停止していた。
それは恐るべき執念の為せるわざか。
「足を止めてはいられない。援護しないと」
弱った敵に狙いを定め、リオーネは萬と連携しつつ、マジックミサイルで的確に敵を討ち取っていく。
●掃滅
「前哨戦、か。これから暫く戦い漬けかと思うと全く嫌になる」
ルキウス・ドゥラメンテ(荊棘卿・g07728)がやれやれと言いたげにひとりごちた。
人類史防衛戦が幕を開け、大規模な奪還戦も近づいている。負けられぬ戦いだが、何しろ長丁場だ。緒戦から飛ばして息切れするわけにはいかない。
「手早く終わらせなくてはな」
円陣と聞いてなるほど厄介だとは思ったものの、共に戦場に突入したディアボロスたちが瞬く間に敵陣を切り崩し、好機を作りつつあった。今こそ一気に突き崩すときだ。
「最早、立て直せないと見える。これでは最上家鉄砲隊とやらも一巻の終わりだな」
「ほざくなッ!」
挑発したルキウスが愛用の黒槍を手に突貫するのと、激昂した最上家鉄砲隊のガトリングガンが火を噴いたのは殆ど同時であった。放たれる魔力弾と徹甲弾の火線が集中する――その死地を、不敵な笑みを浮かべながら駆けるルキウス。
(「多少の傷は貰うかもしれないが――いっそ肉薄した方が集中砲火も浴び難かろう」)
扇状に展開した鉄砲隊が砲弾雨を浴びせてくる。迎え撃つのは、獄炎の第八曲(タンゴ・マーレボルジェ)――ルキウスが操る変幻自在の地獄の炎(パラドクス)だ。轟と唸って放たれた炎弾の弾幕が襲い来る魔力弾と衝突し、徹甲弾の軌道を逸らす。炎を裂いて飛んでくる弾丸もあるが、ルキウスはダメージをものともせず、最短距離で敵に肉薄した。
「おのれ、近づかれたか……!」
苦し紛れに赤熱するガトリングガンを振り被ろうとした天魔武者だが、事此処に至ればそんなもの、もはや攻撃として成立しない。
「遅いな」
そしてルキウスにとっては、繰り出す愛槍『Duramente』――地獄の炎纏いし黒槍の連撃こそが『本命』であった。
「存分に喰らうがいい」
刺突の姿勢で突っ込み、前面の一体を貫き斃した。引き抜いた刹那、まるで舞曲に合わせて踊るような力強い足運びで身を捻り、炎の軌跡を描く黒槍の円弧が左右の二体を纏めて斬り裂いた。
「よもや……我らの火縄ガトリング銃で仕留められぬとは……」
「御見事……」
武者らしく最後の言葉を口にして、ドウと仰向けに倒れて動かなくなる最上家鉄砲隊。
「と、深入りは禁物か」
ルキウスはバックステップして距離を取り、共に戦うディアボロスたちと連携して残敵を掃滅していった。
甲賀の里に突入した七名の猛撃によって、広場に待機していた最上家鉄砲隊は此処に全滅を遂げたのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【使い魔使役】LV1が発生!
【水源】LV1が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!