蓮華の嶺に薫風の吹く(作者 月夜野サクラ
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#天正大戦国  #高野山・八葉の峰攻略戦  #紀伊国  #高野山  #天海 

「大和の松永殿が滅ぼされたのは間違いない」
 高野山、金剛峯寺。
 薄暗い大広間の最奥で、白面の天魔武者が重々しく口を開いた。
「つまり――大和を制した敵が、この高野山に向かって来るやもしれぬということだ」
 袈裟を纏うかのような緋い躯体で仏座を組むジェネラル級天魔武者――名を『天海』。集められた配下の武者達は僧の前に頭を垂れて、粛々とその言葉に聴き入っている。
「八葉の結界に守られた高野は絶対不可侵ではある。だが……万が一ということもある」
 あくまでも厳かに、天海は続けた。
「八葉の峰の護りを固めておきなさい。敵は、八葉の結界の要を知らぬとは言え、偶然ということもありえます、備えは必要となるでしょう」
 微動だにせず黙していた天魔武者達が、は、と声を揃えた。備えあれば、憂いなし――動き出した配下達を見送る『大僧正』の紅い眼には、底知れない光が宿っている。

●さきぶれ
 時は移り、2023年。日に日に熱を帯びる太陽の下、新宿駅グランドターミナルには今日も多くの復讐者達が行き交っている。
「大和国の天魔武者達の掃討は、成った。次の目的地は……紀伊国、『高野山』だ」
 発車ベルの交錯するホームの一角、天正大戦国へと向かうパラドクストレインを背にして、墨染・カラス(闇鴉・g08481)は言った。
 大和国を支配していたジェネラル級天魔武者『松永久秀』が、その居城、荒神岳城にて復讐者達と交戦し、追い詰められて高野山へ逃げ込もうとしていたことは記憶に新しい。結局、その逃走計画は阻止されたわけだが、彼が敢えて高野山をめざしたことから考えても、それが天魔武者達にとっての重要拠点であることは間違いないだろう。
 復讐者達一人一人を確かめるように見つめて、忍びは続けた。
「この列車に乗れば、大和国との国境辺りまでは行けるはずだ。向こうに着いた後は……紀伊山地を踏破して、高野山の攻略に向ってもらいたい」

 現時点で分かっていることとして、まず、高野山は蓮の花の形をした特殊な結界によって守られている。結界は今来峰、宝珠峰、鉢伏山、弁天岳、姑射山、転軸山、楊柳山、摩尼山の八つの峰を柱として構成されており、それぞれの峰には結界の要となる御堂が建てられているようだ。
「高野山の敵の本陣に乗り込むには、まずこの結界を破壊する必要がある。敵の守りも堅いだろうが……お前達なら、突破できるはずだ」
 各地の御堂は、高野山の『坊官衆』に加え、高野山から派遣された天魔武者達によって守られている。これを撃破して御堂を破壊し、結界を切り崩すこと――それが、今回のミッションである。

「もともと『高野山』という山はないそうだな。蓮の花のように広がった八つの峰と、それに囲まれた盆地部分を指してそう呼ばれている……と聞いた」
 史実において、高野山は真言密教の中心地であるが、天正大戦国においては天台宗の僧侶である天海が座主を務めているようだ。史実では徳川家康と関係の深い僧侶だが、今のところ彼がこの改竄世界史でどういった役割を担っているのかは不明である。
 山か――とぽつり呟いて、カラスはしばし考えてから言った。
「今は、石楠花が見頃だな。戦いを後に控えている以上、あまり悠長に構えてはいられないだろうが……少し、眺めてみるのもいいかもしれない」
 天魔武者達の苛烈な『圧政』は戦国の世に暗い影を落としているが、そんな世界にあってさえ、花は平等に咲き続ける。武運を祈ると手短に結んで、忍びは復讐者達を送り出した。

●序
 整然と行進する足音が、風に乗って聞こえていた。青空を背に突き立つ朱塗りの御堂の門前で、坊官衆達が錫杖を手に身構える。程なくして、鹿の角のような兜が冷やかな印象を与える一体を先頭に、天魔武者達の一団が姿を現した。
「何者だ!」
「我が名は本多忠勝。天海様より、この御堂の守りを仰せつかった」
 冷やかに輝く腕で長い矛の石突を突き立て、本田忠勝と名乗った武者は朗々と述べる。坊官衆は一糸乱れぬ動きで錫杖を下ろすと、はっとその場に膝をついた。
「お前達は、御堂の防衛のみを考えていればよい。万が一の際には、侵入者の相手は我々が引き受ける!」
 整然と並ぶ足軽武者達を背に連れて、蒼銀の武者は言った。新緑と青空の織り成す爽やかな景色とは対照的に、朱塗りの御堂の周辺は物々しい空気に包まれている。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【傀儡】
2
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
8
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【泥濘の地】
2
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【光学迷彩】
3
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【壁歩き】
2
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【液体錬成】
2
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【使い魔使役】
3
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
2
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
7
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV6 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV2 / 【ラストリベンジ】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV5 / 【ダブル】LV4 / 【ロストエナジー】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

月夜野サクラ
お世話になります、月夜野です。
以下シナリオの補足となります。
==================
●選択肢について
 ①→②&③&④の順でプレイングを受付・執筆予定です。
 ①については採用数に制限を設けませんのでお気軽にご参加ください。

 ①は戦いの前ではありますが、紀伊山地の景色などをお楽しみいただけます。
 全体的にゆっくり進行の予定でおりますので、ご承知おきいただけますと幸いです。

==================
●時間帯と場所
 高野山某所。時間帯は日中です。
 御堂へ到る道中では、シャクナゲをはじめ、様々な初夏の花を見ることができるでしょう。

==================
●諸注意
・選択肢②③④は、必要成功数を大幅に上回る場合はプレイングの内容に問題がなくても採用できない場合がございます。何卒ご容赦ください。
・採用形態について、①は個別採用(予定)、②③④は未定です。特定の同行者以外の方との絡みがNGの場合は、お手数でもプレイング中でお知らせ下さい。
・プレイングの採用は先着順ではありません。受付状況については選択肢ごとにご案内いたしますので、MSページも合わせてご確認ください。

==================

それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
152

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

都会生まれ都会育ちの俺達だからこそ
自然いっぱいの山ってやっぱり特別に感じるものだよね
公園なんかとはやっぱり違う
ありのままの世界っていうのかな
山籠もりの修行って確かに効果がありそうって気がするよ

これだけ青々とした風景が広がっているのだから
運ばれてくる空気も新鮮そのものなんだろうなぁって
レオの詩的な言い回しに頷きながら
倣う様に深呼吸を繰り返して

山の壮大さに見惚れているなか
呼びかけられて見る花の綺麗な薄紅に声を漏らして
石楠花かはわからないけど綺麗なのはわかるよと
これまた同じように腰を落として覗き込む

この自然も花も取り戻さないとってことだね
うん、と頷けば決意を新たに


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

現代の人工物に囲まれた景色を見慣れている私たちだから
新緑に包まれているとなんだか特別な気持ちになるよ
もちろん私たちの時代にも自然はたくさんあるけど
さすがここは霊峰と呼ばれる場所って感じ、パワーをもらえる気がするね

風が運ぶ新緑の香りは爽やかで
その空気を胸いっぱいに吸い込めば気持ち良いよね
風が薫るって言い得て妙よねぇと何度も深呼吸

道中、緑の中に薄紅を見つけたら兄を呼び止めるよ
ねぇリオちゃん、あれかな石楠花って
背の低い花に顔を近づける様に少し腰を落とす

花が美しいのは私たちの時代でもこの時代でも同じだよねぇ
だからちゃんと取り戻さないとねって
改めて決意を新たにするね


 乗降口が開いた瞬間、鼻先に触れた風は緑の匂いに満ちていた。停止した列車から青草の茂みへぴょんと飛び下りて、朔・麗央(瑞鏡・g01286)は喜色ばんだ声を上げた。
「いい眺めだね! ねえリオちゃん」
「ああ、そうだねレオ」
 梢を透かす初夏の陽射しの下、振り返る妹の瞳はまるで宝石のように煌いて見えて、朔・璃央(昊鏡・g00493)は微笑ましげに頬を緩める。復讐者達を乗せた列車は、どうやら何処かの山間に停車したらしい。眼下には鮮やかな緑の海が広がり、緩やかに登っていく斜面を仰げばそこにもまた、豊かな樹々が枝葉を広げている。高野山――仏教の聖地とも呼ばれる紀伊国の山間に、双子は立っているのであった。
 草木の薫る爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込みながら、麗央は大きく伸びをして言った。
「なんでだろう? 新緑に包まれてると、特別な気分になるよね。なんていうか……とっても、いい気持ち!」
「まあ、都会生まれの都会育ちだからね、俺達。自然いっぱいの山って、やっぱりちょっと特別な感じがするよ――こういうのを、ありのままの世界っていうのかな」
 高地特有の明るい日差しのせいだろうか。広がる森は折り重なるように葉を茂らせながらも鬱蒼とした印象がなく、璃央もまた妹に倣って大きく深呼吸した。二人の生まれ育った文京区にも緑豊かな公園はあるが、やはりそれとこれとは規模が違う――どちらがいいというわけではないけれど、人工物らしい人工物の見えない緑の世界はわくわくするような非日常感をもたらしてくれる。
 だね、とにっこり笑顔で頷いて、麗央は言った。
「それに、なんだかパワーをもらえる気がするよ。さすが霊峰って感じ!」
「霊峰か。確かにここにいると、山籠もりの修行にも効果がありそうって気がするよ」
「ふふっ。風が薫るって言い得て妙よねぇ」
 青葉の香る空気を何度でも深く吸い込んで、少女は花色のペリースを翻し、足取りも軽く跳ねていく。上機嫌なその後ろ姿を見つめて、感心したように璃央は言った。
「相変わらず詩的だなあ」
 しかし飾った言葉に負けないほど、目の前に広がる自然は実に見事だ。ついでに言えばその中に立つ少女の姿はデーモンというよりも天使のようで、まるで一枚の絵画のようにも思われる。……などと包み隠さず言おうものなら、『何言ってるのリオちゃん』とそこそこ真顔で返ってくるのが分かっているので、口には出さない璃央だけれど。
 木洩れ日の落ちる道なき道の美しさに見惚れながら、二人、つかず離れず歩いていると、麗央が朗らかな声を上げた。
「ねぇねぇリオちゃん、あれ見て!」
「うん?」
 前方で、少女の朗らかに呼ぶ声がした。小走りに駈け寄ってみれば藪の中を指差して、麗央が瞳を輝かせている。
「あれかな、石楠花って!」
 薄紅のフリルを集めてぎゅっと絞ったような艶やかな花。濃緑の中で一層引き立つその彩には、目を瞠るような美しさがあった。おお、と感嘆の声を洩らしてわずかに腰を落とし、少年は灌木の群れを覗き込む。
「石楠花かどうかはわからないけど……綺麗なのはわかるよ」
「うんうん! 花は私たちの時代でも、この時代でも同じだよねぇ」
 普遍的な美しさ、とでも言うべきか。花の色は、いつの世も変わることはない。だからこそ――ここにあって当たり前の景色を奪われたことが、口惜しい。
「ちゃんと、取り戻さないとね」
「うん。この自然も、花も」
 きっと、あるべき場所に取り返す。
 侵略者達に屈しないという強い決意を胸に頷き合って、双子は再び光射す山道を歩き出す。見上げればやがて空へと至るのだろう道は、まだ延々と続いている。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴

恋人である莉緒と二人並んで山道を歩いて

復讐者になって活動的になる人は多そうだな
俺も山を歩いたりまではあまりなかったし

返事を返しつつ、綺麗だという景色や花を一緒に眺めて

莉緒との今までの思い出を振り返ると
色々な花を見てきたな、と

へえ、シャクナゲって名前は知っているんだが
毒があるのか……

道中に初夏咲く名前も知らない花々を見歩いて
二人ピクニック気分で

夏になったらか……

恋人になって初めての夏だから
やっぱり二人で海やお祭りに行ったり
莉緒が好きな花、ヒマワリ畑に行ってみたりもいいかもな

そうだな、どうせなら全部やろうか
と、周りの景色の様に、話に花を咲かせて


如月・莉緒
総二さん(g06384)と

山歩きとか前は全然やらなかったから
復讐者になってからアクティブになった気がする

恋人である総二さんの隣を歩きながらしみじみと呟く

ここのディヴィジョンはあまり来れてないけど景色とか花とかすごく綺麗だよね

今まで訪れたどの時も花は見ていて
金木犀、梅、藤、どれもが綺麗だったことを思い出す

シャクナゲも綺麗だよね。毒あるから触らない方がいいらしけど

歩きつつシャクナゲ見つめて

高山植物は詳しくないけどけっこう色んな花が咲いてるね
もうちょっとしたら夏だし向日葵とか見れたらいいなぁ

と自分の好きな花の話をしつつ

総二さんは夏になったら何したい?

と聞き、返ってきた言葉に

じゃあ全部やろう!

と笑顔で


 鳥の羽音と囀りに、湧き水のせせらぎ、木の葉のさざめき。
 行く道は清かな自然の音色に溢れていた。都会にあっては馴染みのないその一つ一つが、今は肌に心地よい。青草の茂る斜面をさくさくと踏み締めて、如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)は呟くように言った。
「山歩きとか、前は全然やらなかったなあー」
 たった二年前のことなのに、刻逆以前の生活はもう随分と遠いもののように感じられた。記憶の糸を手繰るように視線を廻らせれば、淡い桃色のサキュバスの尾がひらりと宙に泳ぐ。
 隣を行く恋人の顔を覗き込んで、娘は続けた。
「復讐者になってから、アクティブになった気がするよ」
「確かに、前より活動的になったって人は多そうだな」
 俺もそうだしと笑って、神刀・総二(闘神・g06384)は応じた。特別インドア派というわけでもないのだが、あえて山歩きをするほどでもなかった以前の生活と比べてみると、復讐者になってからこちらは随分、あちこちへ足を運んでいるような気がする。そしてそれは実際のところ、事実でもあるのだろう。
 背中で緩く両手を組みながら、莉緒は行く道を縁取る緑の茂みに目を配る。そこには、淡い桃色のフリルのような石楠花の花が点々と咲き誇っていた。
「ここのディヴィジョンにはあんまり来れてないけど、景色とか花とかすごく綺麗だよね」
 金木犀に、梅に藤。秋も冬も、そして春も、この世界は四季折々の彩を見せてくれた。いずれ劣らぬその美しさは、戦国という血生臭い響きとは対照的だ。
 紡ぐ言葉に頷いて、そうかもなと総二は言った。
「色々な花を見てきたよな」
「このシャクナゲも綺麗だよね。毒あるから触らない方がいいらしいけど」
「へえ、毒があるのか」
 名前だけは知っていたが、なるほどそういった知識に詳しいのはいかにも彼女らしい。素直に感心したような声を洩らせば、実はそうなんだよ、と、莉緒は少しばかり得意気に胸を張る。
「高山植物は詳しくないけど……けっこう色んな花が咲いてるね」
 ピンクや白のヤマユリに、薄紫のヒメシャガ、そのほか名前も知らない小さな花々――平地のそれとは少し違った植生は、ただ眺めて歩いているだけでも二人の目を楽しませてくれる。戦いの前という特殊な状況ではあるけれど、これはこれでちょっとしたピクニック気分だ。
 でも、と続けて莉緒は言った。
「もうちょっとしたら夏だし……向日葵とか見れたらいいなぁ。総二さんは夏になったら何したい?」
「夏になったら? うーん……」
 二人が恋人になってから迎える、初めての夏。オーソドックスに海に行くのもいいし、夏祭りの縁日を漫ろ歩くのも悪くない。けれど――さらりと零した花の名が彼女のお気に入りであることを、彼はちゃんと知っている。
 そうだなあと青葉の天蓋を仰いで、総二は言った。
「海やお祭もいいし……ヒマワリ畑に行ってみたりもいいかもな」
「! じゃあ、全部やろうよ!」
「はは、いいなそれ。よし……どうせなら、全部やろうか」
 どれほど季節が巡ろうとも、今年の夏は一度きり。思い残すことのないように楽しむためにも、まずは目の前の仕事を片付けよう。
 弾む会話に花を咲かせて、二人は木洩れ日落ちる森の斜面を進んでいく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【壁歩き】LV2が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!

帷・カラス
【鴉と姫】

桃ちゃんよ、山登りと洒落こもうか
大丈夫か?歩ける?
そりゃあよかった!
疲れたら何時でも抱えてやるぜ

今は石楠花って花が見頃らしいな
石楠花を見つけたら一休みしながら眺めてみようぜ
なにか飲む?水しかないけどな

石楠花と言えば高嶺の花だ!
警戒とかそういう花言葉もあるみたいだが
花木の女王か……たしかに女王サマみたいに立派な花だな
高いとこに咲いてるものは危険で恐れ多くてなかなか手が出ないってことも意味してるそうだ
桃ちゃんはちいせぇから地面からの方が距離が近いが……高嶺の花って感じがするね
なんたってお姫様だもんな
俺はそこらの雑草みたいなものさ
蒲公英とは随分と可愛いな
はは!そんな風に強かに在りたいもんだ


上巳・桃々姫
【鴉と姫】

高野山、景色がよいところですわ
だ、大丈夫でしてよ!しっかりと歩けますわ
……抱えられるのもよいですが……よろしくなくてよ!

石楠花ですわね
せめてお茶にして下さいまし、という小言は秘めて
ちょんと座って花鑑賞ですわ!

意外と詳しいのですわね
石楠花は花木の女王とも呼ばれておりまする
高嶺の花…欲しいと思っても、自ら危険を犯してでも手を伸ばさなければ触れられぬ
覚悟を試される存在なのです
わたくし、そうありたいですの

地面からの距離が近いは余計ですわ!
カラス殿は雑草というより蒲公英ですわ
強く強かで根強くて…
(笑顔が明るく、綿毛のように何処かに飛んでいきそうで)
(そんな所が好ましい、なんて言えばしませぬが)


「さあて、それじゃあいざ山登りと洒落込もうか。桃ちゃんよ、準備はいいか?」
「だ、大丈夫でしてよ!」
 問う声にむんと小さな拳を握り締めて、上巳・桃々姫(ひいな・g08464)は応じた。そりゃあよかった、と、帷・カラス(神遣・g08316)は笑ったが、どうも本気にされていないような気がして、ヒルコの姫はじとりと青年を睨みつける。
「その顔、信じていませんわね?」
「まさかそんな。ま、それはそれとして、疲れたらいつでも抱えてやるけどな!」
「まあ、抱えられるのもよいですが………………よろしくなくてよ!」
「ははは、ノリツッコミとはデキるな桃ちゃん」
 ぺいっと叩きつけられた着物の袖を苦もなくかわして、カラスは歩き出す。まったくもうと小さな肩を怒らせながら後に続いて、桃々姫は周囲を見回した。つかず離れず緩やかな斜面を上に向かって辿り、ふと顧みれば、先程までいたはずの場所があっという間に遠く小さくなっていく。
「それにしても高野山……随分と景色がよいところですわね」
「ああ、それに今は石楠花が見頃らしい。いい感じに咲いてるところを見つけたら、一休みしていこうか? 水しかないけど」
「せめてお茶にし……いえ、なんでもありません」
 小言はぐっと吞み込んで、桃々姫はせっせとカラスの後を追う。傾斜がついているせいもあるのだろうか、樹々はそれなりに密集しているにもかかわらず、山間の林は初夏の日差しをよく通して明るい。
 あ、と小さく声を上げて、カラスは意気揚々と前方を指差した。
「あったぞ、桃ちゃん。石楠花だ!」
 初夏を彩るありとあらゆる花達に飾られた山道の中にあって、一際目を惹く大輪の花。白いフリルを束ねたような花弁を艶やかな紅で縁取ったその姿は、他の高山植物に比べると随分と華やかだ。
「石楠花と言えば、『高嶺の花』だな! 『警戒』とか。そういう花言葉もあるみたいだが」
「あら、意外と詳しいのですわね。石楠花は、花木の女王とも呼ばれておりまする」
「なるほど……? 確かに、女王サマみたいに立派な花だ」
 補足する桃々姫の言はなるほど言い得て妙で、カラスは感心したように頷いた。確かにこの華麗な出で立ちを見れば、そう呼ばれるのも無理はないという気がする。
 長い睫毛を伏し気味にして、桃々姫は大輪の花をじっと見つめ、そして呟くように口を開いた。
「欲しいと思っても、自ら危険を犯してでも手を伸ばさなければ触れられぬ。高嶺の花とは、そうした覚悟を試される存在なのです。……そしてわたくしも、そうありたい」
「桃ちゃんは今でも十分、高嶺の花って感じがするね。なんたってお姫様だもんな! まあ、ちいせぇから地面からの距離の方が近いが……」
「くっ、どうしてそう一言多いのでしょう……!?」
 まったく、珍しく素直に誉められてくれようと思ったのに――放っておけばぽかぽかと殴りかかってきそうなヒルコの娘を片手で易々といなしながら、カラスは言った。
「まあまあ、要は高いとこに咲いてるものは危険で恐れ多くて、なかなか手が出ないってことで。そこへ行くと俺なんかは、そこらの雑草みたいなものさ」
「あら、随分なことをおっしゃりますのね」
 冗談めかした言葉の端に滲んだ微かな自嘲に、彼自身気付いているのかいないのか。呆れたような眼差しで青年をひと睨みして、桃々姫は言った。
「わたくしに言わせれば、カラス殿は雑草というより蒲公英ですわね」
「蒲公英? そりゃ、随分と可愛いな」
「何が可愛いものですか。強く、したたかで、根強くて……」
 笑顔が眩しいほどに明るくて、そのくせふわりと綿毛のように、どこかへ飛んでいってしまいそうで。
 唇の裏にしまった続きを聞かぬまま、彼は斯くありたしと鷹揚に笑ったけれど。
(「そんなところが好ましい、……なんて、言えはしませぬが」)
「桃ちゃん、どした? 難しい顔して、腹でも減ったか?」
「――もう! そういうところですわよ!」
 まったくもってこの男と来たら、乙女心を解しているのかいないのか。この蒲公英、と罵倒とも賛辞ともつかぬ言葉を贈って、桃々姫はツンと顔を背けた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【アヴォイド】LV1が発生!

水蓮寺・颯
ここが高野山、参詣道……真言密教の聖地……。
曲がりなりにも真言宗の寺の娘として、一度は歩いておきたいですよね!
……金剛峯寺にいるのは、弘法大師様じゃないみたいですけど。

平地では既に肌を焦がす太陽も、ここでは木々に遮られてかなり涼しいですね。苔も瑞々しくて素敵……。

あ、次郎坊(ジロボウエンゴサクエンゴサク)だ!よく村の子供たちとこれで遊んだなぁ……。
……もう、ずっと前のことみたい。

沢沿いには小さな谷桔梗、それから、カラスさんの仰ってた石楠花。
眺めながら古道を踏み締める。

色は匂へど、散りぬるを――我世誰ぞ、常ならむ……

もしかしたら弘法大師様も、ここを歩いてる時にこの唄を考えたのかも、なんて。


「ここが高野山……真言密教の聖地ですか」
 吹くは薫風、注ぐは金光。抜けるような初夏の空の下、紀伊山地は爽やかな気配に満ちている。眩しいくらいの陽射しに思わず額に手をかざし、水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)は言った。
「曲がりなりにも真言宗の寺の娘として、一度は歩いておきたかったんですよね!」
 改竄世界史の中とはいえ、かねてより訪ねてみたかった土地を踏んでいることで、唇は自然と緩やかな弧を描く。金剛峯寺に居を構えるのは開祖たる弘法大師ではないようだが、今後の衝突を考えれば、寧ろその方が彼女にとってはやりやすいくらいかもしれない。
「それにしてもいい気候ですね……あっ、次郎坊だ! 懐かしい……!」
 ジロボウエンゴサク、略して次郎坊。細長い釣鐘型の小さな花を咲かせる多年草は、彼女にとっては思い出深い植物の一つだ。故郷の村にいた頃はこの花の距を使って、小さな子ども達と遊んだものだ。
 もっとも――今はもうその村も、焔に呑まれて久しいけれど。
(「そんなに昔のことじゃないのにな。……もう、ずっと前のことみたい」)
 新宿にあっては早くも肌を焦がすような太陽も、ここでは青葉の天蓋を透かして随分と和らぐ。それでいて光は山間の林を隅々まで照らして、岩陰の苔までをも瑞々しく映し出す。天魔武者達の拠点であるということを除けば、それは正に聖地と呼ぶに相応しい装いであった。
 さらさらと落ちる湧水の沢には、淡紫の小さな花が可愛らしい谷桔梗。
 顔を上げて辺りに目を配れば、青々とした灌木の茂みにはここへ来る前に聞いた通り、今が盛りの石楠花がくす玉状の艶やかな花を咲かせている。
 踏み締める古道は微かに湿り気を帯びて、黒土には小さな足跡が残った。
「色は匂へど、散りぬるを――我世誰ぞ、常ならむ」
 口遊む唄は、今もこの耳によく馴染む。弘法大師はかつて何を考えて、この唄を作ったのだろう――何を見て、何を思って、この道を歩いたのだろう?
 答えはきっと、深い緑の樹々達だけが知っている。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!

ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

お坊さんがジェネラル級なのは聞いてたけれど……宗派違うんだ?
まあ各地域、なんだか史実と違う大名が治めてるかんじだし
クロノヴェーダはそういうの気にしないってことなんだね

時代が違う上、山の中ってなるとまだまだ涼しい
ふふ、これから戦闘しにいくのに気にしてらんないんだろうけど
ディアボロスが何人も登るとちょっとピクニックみたい
あちこち見渡しながらひょこひょこと

サンドイッチ(具はおまかせ)とお茶入れた水筒はもってきたし、
休憩しながらでも進もう

あ、石楠花。綺麗だけれど花言葉はなんかお硬いかんじなんだっけ
高嶺の花……いやメカだけれど……
を摘みに行く僕らにはなんだかちょうどいいお花かもね


 何年、何百年という時を隔てても、巡る季節だけは変わることがない。けれど降り立った紀伊山地の林間は、五月も終わりの新宿島より幾分と涼しく感じられた。それは標高のせいもあるのだろうが、あるいは時代の違いも多少影響しているのかもしれない。
「結構登ってきたけど……まだ先は長そうだなあ」
 ふうと大きく息をついて、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は聳え立つ大樹の根元で足を止めた。生い茂る木々はいったいいつから、この山野を見守っているのだろう。
(「ディアボロスが何人も登ると、ちょっとピクニックみたい」)
 もっともこの道を踏破した先に待っているのは侵略者達の御堂であり、決戦なのであって、それは決して楽しいものではない。だからこそ、道中の景色と清々しい空気を今のうちに堪能しておきたい――とも思うわけで。
(「ま、のんびり行こうか」)
 両手で提げた鞄の中には、今が旬のフルーツを生クリームと一緒に挟んだサンドイッチが入っている。もう少し登って景色のいいところを見つけたら、そこで休憩にするとしよう。
 道を縁取る茂みから木立の間の花群まで、気になるところをひょこひょこと渡り歩きながら、ロキシアは山道を辿っていく。
(「にしても……ジェネラル級のお坊さんって、本当は宗派違うんだ?」)
 高野山は、金剛峯寺を総本山とする真言宗の聖地。対してこの世界でそこに君臨するのは、天台宗の大僧正とされる天海だと聞いている。もっとも各地域を治める大名も、その配下達も、史実に沿っていたりいなかったりするもので、この辺りを深く考えても仕方ないのかもしれないが。
(「クロノヴェーダはそういうの気にしないってことなのかな――まあ、いいか」)
 謎はまだまだ多けれど、必要ならばそれはいつか解き明かされるのだろう。
 艶やかに群れて咲く手毬状の石楠花をそうっと撫でて、ロキシアは呟くように口にした。
「石楠花か。『高嶺の花』を摘みにいく僕らには、なんだかちょうどいいお花かもね」
 メカだけど、と付け加えて、少女のような少年はゆったりとしたワンピースの裾を翻し、粛々と斜面を登っていく。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!

野本・裕樹
蓮の花に見立てた護り……八葉の峰の結界ですか。
蓮の花言葉の一つは「神聖」、場所が場所だけに似合っているとも感じてしまいます。
でも結界を作り出している相手は天魔武者、この地を取り戻す為にも護りを突破しなければ。

決意を新たに山を登って行きましょう、案内人さんの話では石楠花が見頃らしいですしちょっと楽しみです。
石楠花といえば花言葉は「荘厳」でしたか、高山のような厳しい環境でも立派に咲くことかららしいですけれど。
ありました、花言葉通りの咲きぶり……見事です。

花は根付く場所を選べません、それでもどんな場所だろうと懸命に咲こうとします。
出来る事を精一杯、花と人の差はあれど私もそのようにありたいものです。


「蓮の花に見立てた護り……八葉の峰の結界ですか」
 なるほど? と首を傾げて、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は頭上遥かな樹々の梢を仰いだ。高野山の『八つの峰』とやらがどんな形をして、どんな風に並んでいるのかは、この森の底からでは窺い知ることができない。
(「蓮の花の花言葉の一つに、『神聖』というものがあります。……場所が場所だけに、似合っているとも感じてしまいますね」)
 蓮は仏教においては極楽浄土に咲く花とされ、仏像や宗教画などにおいても多用されるモチーフだ。『神聖』という花言葉も、その辺りの事情と無関係ではないのかもしれない。もっともこの改竄世界史において、八葉の結界を作り出しているのは天魔武者――そこには仏の慈悲も智慧もありはしないのだろうけれど。
「とかくこの地を取り戻すためにも、『八葉の峰』の護りとやら、突破させていただきましょう」
 きりと唇を引き結んで、裕樹はブーツの爪先を踏み出した。決意を新たに臨む霊峰は、厳かな空気に満ちている。
(「そういえば、石楠花が見頃だそうですが……」)
 花言葉は、『荘厳』。高山のような厳しい環境でも立派に咲くことからそのような花言葉が与えられたと云うが、一方平地で目にする機会はまずなく、容易には手を触れることが叶わないという点で、『高嶺の花』とも呼ばれる石楠花の花。目的は別にあるとはいえど、それが見頃と言われては自然と期待は高まるものだ。
 さくさくと青草を踏む音にしばし耳を傾けて、ふと道の左右へ目を配り、少女は若草色の瞳を見開いた。
「……あれ、ですね」
 一つ目につけばあちらにも、こちらにも。灌木の深い緑の中に鞠のような大きな花を咲かせる石楠花の咲きぶりは、正に花言葉の通りと言うより他にない。たかが花、されど花、高嶺の花と呼ぶに相応しいその気高さには、背筋の伸びるような思いした。
「花は根付く場所を選べません。それでも、どんな場所であろうと、懸命に咲こうとします。……
私もそのようにありたいものですね」
 花と人の差はあれど、真っ直ぐに前を向き、己に今できることを精一杯やり遂げる。すっと胸の痞えが取れるような心地を憶えながら、裕樹は再び山路を歩き出した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

ガーデニア・ラディーチェ
色んな所に2人で行きたいって、貴方と話していたけれど――山登りばかりは、実行しなくて良かったわね
想像よりずっとハードなんだもの
ねえロズ、生前一緒に登っていたら、貴方きっと麓でバテたわよね?
なぁんて

風景も、樹や草も、シャクナゲも初めて見たわ
見た事があるお花なんて、ノイバラくらいかしら?
貴方が育てていた薔薇は、香りも見た目も素晴らしい、美しいものばかりで
勿論、それも大切で特別だけど
わたし、素朴な原種の薔薇も好きよ
貴方はどう?
……生前に聞いておけば良かったわね

そういえば、ノイバラをモチーフにした歌があったかしら
ほら、貴方が教えてくれた……(絶妙に音の外れた鼻歌)
ちょっと、変な顔しないで頂戴……!


「色んなところに二人で行きたいって、貴方と前に話していたけれど……」
 はぁ、と短く息を吐いて、ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)は額に滲んだ汗を拭った。夏本番には程遠いとはいえ、既に暑いほどの陽気の中で行く山道は、元よりアウトドア派とは言い難い彼女にとっては些か険しい。
 悪戯っぽく口元を笑みの形にして、ガーデニアは続けた。
「山登りばかりは、実行しなくて良かったわね。想像よりずっとハードなんだもの――生前一緒に登っていたら、ロズ、貴方きっと麓でバテてたわよ」
 なぁんて、と冗談めかして、少女は傍らを行く人形の腕を取る。身体の弱い人だったのに、呼吸することを忘れた今、彼が悪路に息を切らせることは二度とない。涼やか過ぎる横顔にふと覚えた胸苦しさには、けれど、気づかなかった振りをする。
「国が変われば、植物も変わるのね。風景も……樹や草も、シャクナゲの花も、初めて見るわ」
 目の覚めるような新緑を飾って、咲く石楠花は想像していたよりも随分と派手で艶やかだ。樹々の袂に身を寄せ合うように咲く小花も、枝を差し掛ける木に絡んだ蔓草も多くは見たことのないものばかりで、ここが異国の地であることを肌に感じさせられる。辛うじて見覚えがあるものといえば、小さく白い花が可憐な野茨くらいだろうか?
 楚々と歩み寄った潅木に咲く花をそっとなぞって、少女は遠い日を愛しむように瞳を細めた。
「貴方が育てていた薔薇は、香りも見た目も素晴らしい、美しいものばかりで――勿論、それも大切で特別だけど。わたし、素朴な原種の薔薇も好きよ」
 貴方はどうと尋ねても、当然、返る声はない。いったいあと何度こんな風に、知る術のない答えに想いを馳せ、ささやかな後悔を繰り返すのだろう?
 ふるりと首を振って雑念を払い、ガーデニアは言った。
「そういえば、ノイバラをモチーフにした歌があったかしら。ほら、貴方が教えてくれた……ちょっと。変な顔しないで頂戴……!」
 絶妙に音の外れた鼻歌に、堪え切れずに吹き出した――『彼』が居たのは、今は昔。けれど今もそこに居るのだと思いたくて、少女は人形の腕に頬を寄せた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

ノスリ・アスターゼイン
豊かな緑に燈るまぁるい花影に惹かれて寄ってみれば
こんもり綻んだ花達で

微風に揺れる華やかで柔らかな花弁が
幼子が纏う浴衣の――兵児帯というのだったか、
帯結びのようにも見える

まるでお喋りや遊びに集っている子供達のようで
たいそう愛らしい

石楠花、だっけ

見頃と言っていたから
恐らく此の花がそうなのだろう

立ち止まって辺りを見渡せば
足許にも
下草にも
ちいさくも鮮やかな花の色が差していて
それらの植物名は知らないけれど
こんな花も咲いていたよ、と
カラスへの土産話に、初夏便りに、覚えておこう

緑陰に沈む山道に
明るさを齎してくれる花々は
心にも目にも清しく

此の先の戦場へと繋がる導であり
戦いの先に希望を灯してくれるあかりみたいだ


 木漏れ日踊る林間は、まるで万華鏡の中に迷い込んだような様相を呈している。
 光と影が絶えず移ろい続ける世界の中で、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は何気なくその場に足を止めた。道なき道を縁取るように茂る灌木の並びへ目を向ければ、手鞠のようにこんもりとまとまって咲く淡紅色の花達が目に入る。
「シャクナゲ……と、言ったっけ」
 丸々とした花影は、豊かな深緑の中に灯る花雪洞か提灯か。興味を惹かれて歩み寄って見ると、白に薄桃に咲く花の柔らかな花弁は、微風に揺れ、幼子がまとう兵児帯の結びのようにも見えた。その姿は子らが何やら集まって、遊びや内緒話に興じているようにも見えて愛らしい。
(「見頃、と言っていたからなあ」)
 正確にその花の見た目を知っているわけではないけれど、恐らくこれが『そう』なのだろう。これを見頃と呼ばないのなら他の何が見頃なのか、そう思えるくらいには、華やかな花の群れは青々とした林の底を大層賑わしている。けれどよくよく見てみれば、それだけではない――傍らに続く斜面の上方にも、大樹の陰にも、足許にも。匂い立つような青の世界は多種多様の花に彩られている。
(「あの花は、なんて言うのだろ」)
 木々に絡んだ蔓草の先に吊り下がった、小さな紅紫色は。
 朝露をはらんで瑞々しい草叢に、ちょんと顔を出した淡紫の可憐は?
 彼らをここへ送り出したあの寡黙な忍びなら、あるいはその名を知っているだろうか。
(「帰ったら訊いてみようかな」)
 こんな花が咲いていたよ、と、初夏の便りに伝えたら、花好きな彼にはいい土産になるだろう。そうでなくともこの花達は、名も知らぬまま往き過ぎるには口惜しい。
 生命の営みに溢れる森を抜け、向かう先は八葉の峰。そこには憎むべき侵略者達がいて、辿る道は戦いへと続いている。見渡す世界は小さくとも鮮やかな色彩に溢れているというのに――どうしてこうも、ままならない。
(「まあ、その前にやることはやるけどね」)
 緑陰に沈む山道で、密やかに、けれど懸命に咲く花々は、戦いの先に希望を灯してくれる確かな明かりだ。清かなその色彩を瞼の裏に焼き付けて、猛禽は琥珀の翼を広げ歩き出す。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!

永辿・ヤコウ
青葉闇に明かりを萌すシャガの可憐
ぼんぼりめいた咲き姿の石楠花
ちいさな花穂をくるり遊ばせる捩花
それから彼方の草花は――、

目を楽しませてくれる初夏の花々のお陰で
山道を往く足取りは軽い

緑鮮やかな自然の中に身を置いていると
心が穏やかに凪いで
広く広く開いていく感覚になる

同時に
目も表情も耀いて、そわそわ

今すぐ駆け出し身体全体で
清々しく澄んだ大気や大地を堪能したくなる衝動は
血に宿る野生のものだろうか

花景色を共に眺めようかと招いたヤビも
八尾を揺らし
嬉しそうに石楠花へ鼻先を寄せているから
真似て花の香りを楽しむ

風に揺らぐ花の擽ったさに顔を上げ
互いに花粉に染まった姿を見遣って
笑い綻ぶ様子も、花めいていたかもしれない


 青葉闇の林間に白い花が咲いていた。すらりと伸びる茎の先に零れる花弁は紫の斑紋に飾られて、繊細なフリルかレースのようにひらひらと波打っている。その花群を荒らさぬよう慎重に足を運びながら、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)は菫色の瞳を柔らかに細めた。
(「シャガ、ですね」)
 それだけでは、ない。花雪洞か久寿玉にも似た石楠花に、真っ直ぐに伸びた茎を濃い桃色の小さな花穂で取り巻く捩花、笹に似た葉の中にすらりと立つ淡い彩の山百合。足下まで目を配れば背の高いものから低いものまで、山道には多種多様の高山植物が思い思いの花を咲かせていた。どちらかといえば花の名には詳しい方だと思っていたけれど、こうしてみるとまだまだ知らないものも多くあるもので、花から花へと足取りも軽く飛び回りながら、狐は初夏の林間を往く。
 全身を浸す自然は空気から色彩に至るまで何もかもが鮮やかで、湿り気を帯びた空気を吸い込み、手足の力を抜いてただ立つだけで、心はどこまでも広く穏やかに凪いでいくような心地がする。
(「この衝動は、なんだろう?」)
 鼻先をくすぐる青い匂いに、手足を包む涼やかな風にどきどきと胸が弾む。鏡を見たわけではないけれど、血色がよくなり、開いた瞳がきらきらと輝き出すのが自分でも分かる。今すぐにでも駆け出して、澄み切ったこの大気と大地を全身で味わいたい――そんな不思議な衝動は、あるいはこの身を流れる血に宿る、野生から生じるものなのかもしれない。
「ヤビ?」
 するりと足下を抜けだした八尾のクダギツネの背を目で追えば、一際大きく咲き誇る石楠花の花が目に留まる。少しでも近づこうと後ろ足で立ち上がるのをひょいと抱えて近づけてやれば、狐の尖った鼻先が柔らかな花弁に触れてひくついた。花粉がつくのも構わずそれを真似てみれば、微風に吹かれた花は甘く濃厚に匂い立つ。
「……鼻が茶色くなっていますよ」
 濡れた鼻先を拭ってやれば、狐はくちゅんと小さなくしゃみをして、そして大きく身震いした。生い茂る木々の間を縫うように、道はまだ遥かに続いている。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

ラヴィデ・ローズ
ひとり歩いて、気儘に休み、目を伏せるとき
緑風がさざめきを生み、ここでない場所を思い起こさせる
戦地に咲く花はどうしてかいつも美しい
今のうちにお逃げよ、と
言葉でも通じたらいいのに

ま、散らさせやしないけど
なぁベル
ベ……
可憐な石楠花にしれっと手を出さんとしているミニドラゴンを抱え上げる
あのねぇ、少しはオレみたく美を尊んでくれないかい?
素知らぬ顔で肩へ抜け出た彼女にとって
所詮己は目的地までの足程度ということで
早く行けってことね、オーケー
……たしかに
立ち止まるほど、取り零してきたものたちが肩を叩くから
割とこの手厳しさが丁度良いのかもしれない、と近頃は思うのだ

同じ戦乱の世
想いを胸に、行く先を見据える


 いったい、いつの頃からだろう。
 目を閉じると聞こえてくる音がある。瞼の裏に滲んで広がる世界がある。
 それは心の底に突き刺さった棘のようなものだった。郷愁と呼べるほどいいものではなく、けれど抜き取ってしまえば大切なものまで流れ出してしまう。そういう棘だ。
 ひとり歩く山道は、獣道のような様相を呈し始めていた。手近な岩場に腰を落ち着けて、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は吐息する。急ぐ理由はなし、気儘に羽を休めていくつもりが、緑風に揺れる木々のさざめきはここではないどこかを思い起こさせた。それは憶えておきたいことも――そうでないものも。
 伏せた瞼を緩々と持ち上げれば青い茂みに咲き誇る淡紅色の石楠花と目が合って、青年は困ったように笑った。
「今のうちにお逃げよ。そんなに綺麗なんだから」
 今も、昔も。戦場に咲く花というものは、どうしてかいつも美しい。もっとも言葉が通じたところで彼等はただ、迫り来る運命を受け入れるより他にないのだろうけれど。
「ま、散らさせやしないけど。なぁベル――ベ……」
 その名を呼んでふと、ほんの今しがたまで傍らに伏せていたはずのミニドラゴンがいないことに気がついた。さっと左右に目を配って石楠花の花叢に小竜の翼を見つけ、ともすれば花を毟ろうとするその身体を慌てて捕まえて、ラヴィデは呆れたように眉をひそめる。
「あのねぇ、少しはオレみたく美を尊んでくれないかい?」
 不服げに吐いた竜の息は、紫色の炎となって軽やかに燃えた。プイと顔を背けた彼女はそのまま主の――実際のところは、乗り物程度にしか思われていないのかもしれないが――肩口へ回り込むと、何事もなかったかのように翼を畳んだ。
「……早く行けってことね。オーケー」
 人遣いが荒いなぁと緩く波打つ髪を掻いて、青年はその場に立ち上がった。しかし一方でこの所は、彼女の容赦のない手厳しさが自分にとっては必要なのかもしれないとも思うのだ。
 立ち止まれば、背後から呼ぶ声は大きくなる。それらは決まって、届かなかった手の先で取りこぼしたもの達であり、振り返れば振り返っただけ、彼を未来から遠ざけるものだから。
「……戦乱の世か」
 時代と場所が変わっても、人の生みだす業に大差はない。しかしそこに横たわるものが悪いものばかりではなかったからこそ、彼は復讐者としてここに立っているのだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】がLV4になった!
効果2【ダブル】がLV2になった!

朔・彗藍
【星明】

松永久秀が高野山を目指した意味
何が在るのかはまだ解りませんが

揺れる木々の隙間から差し込む陽
葉のささめきも心地良いから
辿る足取りもゆるりと
少しだけ、花を楽しんでも良いですよね

目を惹くのは薄桃色を残す白の石楠花
高山で見る貴重な花の写真を一枚切り取って
――ねえ、千景
こんなに美しい高嶺の花なのに毒を持つのですよ
荘厳でいて警戒や危険、なんて花言葉
……私に、逢いに来ないで
触れちゃ駄目、って云ってるみたい
なんて、……少し重ねてしまったのかも
ふふ、千景も?

好きな花、咲いていましたか?
隣に……もう、照れちゃうですよ

優しく包む初夏の温もりに
きっと一番凛と咲く荘厳な花は傍らの貴女
進む途へ、確りと前を見据えて


紫空・千景
【星明】

一度阻止されようと、尚目指すのならば
何かは屹度…在るのだろうな

だが、今は少しだけ
花を愛でる時間はあるさ
彗にだけ届く柔らかい音を零して

石楠花が見頃だったか
写真を撮る彗の視線先を自らも辿り
映すは仄か薄桃色に染まる白の石楠花

――うつくしいから、かもな

綺麗な花には毒が有る
花木の女王とも呼ばれる華だ
秘めた孤独も抱いてるんだろう
逢いに来ないで
触れちゃ駄目
自らの毒を憂い
他者を遠ざける優しさの様な
ふふ、私も重ねてしまったかもしれん

私か…此処が蓮の花形をしている話を思い出し
花の中に居ると不思議な心地を感じていた
好きな花ならば隣に、なんてな

初夏の足音
可憐だが芯の強い花――彗に勇気を貰い
見るは前、目指すは…


 透き通るような青い空に、触れる山の端の艶やかな深緑。棚引く雲は白く、初夏の陽射しを受けて眩しいほどに輝いている。
 重なる青葉の隙間から零れた金光が、湿り気を帯びた黒土の地面に踊っていた。豊かな梢のささめきは耳にも肌にもただ心地良く、朔・彗藍(ベガ・g00192)は吹き抜ける微風に身を委ねる。
「風が、気持ちいいですね」
 目を閉じて深く息を吸い込めば、青く香り立つ森の空気が手指の先まで染み渡るようだ。見渡す世界は長閑で、ともすればここが改竄世界史の中であることを忘れそうになる、けれど。
「……松永久秀はなぜ、高野山を目指したのでしょうね」
「さてな。一度阻止されて尚目指すのならば、何かはきっと……在るのだろうな」
 濡羽色のポニーテールを背に引いて、紫空・千景(夜明の導べ・g01765)が少女の隣に並んだ。かの武将がそこで何を成そうとしていたのかは分からないが、いずれにせよそこに何らかの理由があったことは確かだ。それについて考え始めればきりがないが――ふうと小さく吐息して、千景は言った。
「まあ、遅かれ早かれ分かることだろう。……それよりも、今は」
 今はこの深い緑の中に、咲く花を愛でていたい。周囲一帯に敵の気配もない今、そんなささやかな見返りを受けるくらいは許されよう。
 雪白の髪に隠れた耳元へ囁けば、小柄な天使はくすりと笑み零した。
「そうですね。今は少しだけ……花を楽しんでも良いですよね」
「ああ。そのくらいの時間はあるさ」
 道なき道を辿る足を少し緩めて見れば、灌木の茂みに点々と咲いた手鞠のような白の石楠花が目を惹いた。襞の縁に薄桃を刷いた花弁は、繊細なフリルを絞ったかのようだ。
「石楠花が見頃、だったか。……確かに、そうらしいな」
「ねえ、千景――知っていますか? 石楠花の花言葉は『威厳』に『荘厳』……『危険』に、『警戒』」
 感心したように目を瞠る娘を背に、取り出したスマートフォンで美しい花を一枚、写真に切り取って、彗藍は言った。
「こんなに美しい高嶺の花なのに、毒を持つのです。まるで――私に逢いに来ないで、って。触れちゃ駄目、って云ってるみたい」
 麗しくも華やかに咲き誇る花の葉には、触れるだけで爛れるような毒がある。微かな憂いを帯びる淡紫の瞳から花群に視線を映して、なるほどと千景は頷いた。
「うつくしいから、かもな。花木の女王とも呼ばれる華だ……秘めた孤独も抱いてるんだろう」
 逢いに来ないで。触れちゃ駄目。
 自らの毒を憂いて他者を遠ざけるような、優しさに似たもの。
 その美しさと痛みには、少なからず憶えがある。
「ふふ、……重ねてしまったかもしれん」
「あら、千景も? 私も――きっと、そう」
 蓮の花に似た峰は、初夏の便りに溢れている。爽やかで、鮮やかで、けれど真夏のそれよりもいくらか弱い陽射しの中、頬に触れる風が柔らかい。
 こてんと首を傾けて、彗藍は千景の顔を覗き込んだ。
「好きな花、咲いていましたか?」
「私の? そうだな――好きな花ならば、隣に咲いているが……」
 可憐で芯の強い、夜空に瞬く星のような白い花。なんてな、と冗談めかせば、天使はにわかに頬を染めた。照れちゃうですよと唇を尖らせる少女は、彼女が自覚するよりもずっと、千景に勇気を与えてくれる。
 鮮やかな石楠花にも負けず凛と咲き誇って、千景はふわりと口角を上げた。
「さて、行こうか」 
 前を見据えて、目指すのは頂。緩やかに登る道なき道の先には、樹々が青々とした枝葉を差し掛けている。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダブル】がLV3になった!

ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と山登り〜
こんなに草木に囲まれた場所は何だか新鮮
日本にはこんな場所もあるんだね
古代エジプトで砂漠を渡った狐が今住むのはコンクリートジャングル
しかし時代も場所も変われば、こんなにも深い木々に囲まれて…
ここは仏教の聖地的な場所だってね?
名だたる戦国武将のお墓もあるとか
力のある土地なのかね〜

なんてお喋りをしながら山道を登れば
こんな山の奥地に豪華な花弁がこんもりと咲き乱れてるだなんて
おお、これが石楠花?
低木の間をウロウロして綺麗、綺麗とはしゃぎ回る
エトヴァに捕まれば、誘われるままに花へ顔を近づけてスンスン
良い香り〜

一緒になって笑って
再び歩き出す
二人で行けばどんな場所だって楽しい


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と山登りだ
コンパスを手に迷わぬように景色を楽しもう

信仰の地……山の奥深く
翠が滴るようだ……自然は美しいな
ああ、日本は不思議な国だ
ラズも数奇な移動をしているよな……俺は都会暮らしが長い

新宿とは随分、違うのだな……
聖地であるのも頷けるほど
厳かな空気に満ちている

話しながら道すがら
わ……見て、ラズ。綺麗だ
石楠花の花々の華やぎに歩み寄り
優しく気品のある淡色に見入る

嬉しそうな狐さんを見て、一緒に笑う
花の間を駆け回る君は、自然のなかでどこか解放的
後を追いかけ、手を捕まえて
良い香りがするかな……?
二人で花へ顔を近づけて、微笑み零れる

再び歩き出せば、また発見と喜びに出会う
二人なら楽しい道中だ


「へえ……こんな風に草木に囲まれた場所もあるんだね、日本って。なんだか新鮮だなあ」
 陽射しを透かして鮮やかに輝く緑の天蓋を仰ぎ、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は素直な感嘆の声を上げた。古代エジプトに生まれて砂漠を渡り歩いた彼にとって、日本と言えばそれは新宿島そのものだ――林立する摩天楼に囲まれたコンクリートジャングルと緑豊かな山野の景色が同じ国のものだと言われたとて、すぐには結びつかないのも無理はない。
「時代や場所が変われば、違うもんだね」
「確かに、日本は不思議な国だ。俺は都会暮らしが長いが……そことも、新宿とも、随分と違った景色だな」
 興味深げに頷いて、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は手元のコンパスから顔を上げる。光射す森は明るく爽やかでありながら、どこか厳かな空気に満ちている。
 絶えず囁く森の声に狐耳をぴこぴこと動かしながら、ラズロルは言った。
「ここは仏教の聖地的な場所なんだっけ? 力のある土地なのかね。名だたる戦国武将のお墓もあるとかなんとか聞いたけど……」
「信仰の地か。それならこの空気感も納得だな。山の奥深く……翠が滴るみたいだ」
 どんな時代のどんな場所にあっても、自然の美しさは褪せることがない。他愛もないお喋りに花を咲かせながら行く道は瑞々しい緑に包まれて、それだけでも胸の空くような心地がする。ほどよく湿った腐葉土の道に足跡を残しながら、歩くことしばらく――灌木の茂みにこんもりと咲く艶やかな花を見つけて、エトヴァはあれ、と指を差した。
「見て、ラズ」
「おお、あれが石楠花?」
 こんな山奥で、豪華だね――と、ラズロルは紫水晶の目を瞠る。淡色の花は華やかで気品に満ちながら、どこか優しい彩で見る者の目を楽しませてくれる。その色は一つとしてまったく同じものはなく、白い狐は艶めく深緑の葉から葉へ、花を覗いて飛び回る。
「あ――あっちはちょっと違う色してる。こっちも、そっちも綺麗!」
「ふふ、それなら来た甲斐があったな。でも、迷子にならないでくれよ?」
 ぱたぱたと忙しなく揺れる尾を見失わないように見つめて、エトヴァははしゃぐ青年に釣られるように微笑する。豊かな自然の只中、咲く花の合間をするすると抜けていく狐の姿は、解放的でひどく魅力的だけれど――本当に迷子になられたのでは、困るから。
 はしと捕まえれば大人しく立ち止まるラズロルを手元へ引き戻して、エトヴァは続けた。
「ほら、ここにも咲いてる。……いい香りがするかな?」
 顔の高さに迫る木に鼻先を寄せ、すんと一つ嗅ぎ鳴らせば、爽やかで甘い花の香が胸の腑を満たしていく。満足げに息を吐いて、ラズロルは言った。
「さてと、どんどん行こうか」
 どちらからとなく笑い合って、手を取り行く道は決して平坦ではないけれど。新たな発見とささやかな喜びに彩られる時間は、きっと楽しいものになるだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】がLV6になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV3になった!

ユート・チュールスキー
依月(g09439と
仲良しの友達

こちらこそ心強いよ
(ペニュは任せてと胸を張る
僕、登山は初めてなんだ
依月は?

ペニュ、抱っこしようか?
(首を降るペニュ
じゃあ一緒に登ろう
てちてち歩くペニュはいつもながら可愛いな
もちろん八咫も
ペンギン可愛いよね

依月、大丈夫?八咫も疲れてない?
ペニュは元気だけど僕はちょっと疲れたかも
この辺でお花を見ながら少し休憩しよう
服を引っ張るペニュを抱き上げ花を見せる
よく見える?
鮮やかで華やかで綺麗だね
こんな素敵な景色に出会えるのなら登山もいいなあ

そろそろ進もうか
え、下りるの?
抱っこしたままでもいいけど
自分の足で歩きたいんだね
それとも僕を気遣ってるのかな
それなら嬉しいな
さあ、行こう


宮代・依月
仲良しのユートくん(g08952)と一緒に

新宿島には無い空気感…ちょっと緊張しちゃうなぁ
まだ危険はないみたいだけどちょっとソワソワ
ユートくん達が居てくれて本当、心強いよ
あ、登山はね。刻逆前には学校行事で行ったりもしてたよ

ペンギン可愛いのには本当に同意っ
八咫とペニュさん見てたら幾らでも歩ける気がする…癒やされるよね

まだまだ平気…って言いたいとこだけど
そうだね、一休みしよっか
深呼吸して、辺りを見回して
風も気持ちいいな…石楠花も綺麗だね
八咫も抱き上げようか?
ほら。遠慮しないで…ね、よく見えるでしょ?

さ、元気いっぱい。先に進もう?
ユートくん達のやり取りっていつも微笑ましいな
一緒に歩きたいんだよ、きっと


「なんだかちょっと、緊張しちゃうなぁ……」
 薄らと湿り気を帯びた黒土の斜面を踏みながら、宮代・依月(碧風・g09439)は呟くように口にした。光射す山間の林は、新宿島のビル街とは対照的な、透き通るような緑の空気に溢れている。別にどちらがいいとか悪いとかではないのだが、ただ、普段感じることのない澄み切った風は、彼女達が今、別世界にいるのだということを否応なしに教えてくれた。それが些か落ち着かないのは、復讐者として覚醒したばかりの依月にとっては仕方のないことだろう。
「この辺りはまだ、危険はないみたいだけど……ユートくん達がいてくれて本当、心強いよ」
「それを言うなら、こちらこそだよ」
 平素は涼しげな印象を与える口許をほのかに和らげて、ユート・チュールスキー(氷晶・g08952)は応じた。その足下ではまるで『任せろ』とでも言うように、ダンジョンペンギンが得意気な顔で胸を張っている。
 ペニュ、とその名前を呼んで、少年は気遣うように言った。
「抱っこしようか?」
「クァ!」
 必要ない、というように一声鳴いて、ペンギンはない首をふるふると振った。それは依月のダンジョンペンギン、八咫も同じようで、二羽は並んで歩く主達を背にてちてちと斜面を登り出す。その姿は大層可愛らしいのだけれど――大丈夫かなと小首を傾げて、ユートは傍らの少女を振り返った。
「ペンギン、可愛いよね」
「ふふ、ほんとに! あの後ろ姿見てたら、いくらでも歩けるような気がしちゃう」
 癒される、と笑って、依月は全力で同意した。ぽよぽよとしたペンギンが二羽、えっちらおっちら山道を行く姿は親の欲目を抜きにしても本当に可愛らしいものだ。先を行くその姿を見失わないように、二人もまた歩き出す。
「僕、登山は初めてなんだ。依月は?」
「あ、えっとね……刻逆前には、学校行事で行ったりもしてたよ。なんだかもう、随分昔のことみたいだけど……」
 復讐者となり、ウェアキャットとなって、平凡な――陰陽師の家系に生まれついたものを『平凡』と評していいものかどうかはさておき――女子学生だった依月の生活は、一変してしまった。それより以前の生活、まして刻逆以前の日常などは、もう随分と遥かな記憶だ。けれど一つ一つ手繰り寄せながら、少女は降り積もる落ち葉の道を辿っていく。
 他愛もない会話を交わして山道を歩き続けること小一時間も経つ頃には、パラドクストレインの停まった林が随分と下に見えるようになっていた。ふうと小さく息を吐いて、ユートは傍らを行く少女を振り返る。
「依月、大丈夫? 八咫も、そろそろ疲れてない? 僕は……ちょっと疲れたかも」
 ペニュは元気そうだけど、と加えて戻した視線の先では、よちよち歩きの割に存外素早いペンギンが速度を落とすことなく山道を登っている。たは、と眉を下げて、依月は応じた。
「まだまだ平気って言いたいとこだけど、そうだね。この辺で一休みしよっか」
「そうしよう。ペニュ――戻っておいで」
 ぺたぺたと足元へ戻ったペンギンが、どうしたのというように主のコートの裾を引く。それをひょいと抱き上げて、ユートは言った。
「ほら。これでよく見える?」
 きょとんとして瞬くペンギンの眼には、深緑の中に咲く石楠花の鮮やかな桃色が映り込んでいる。同じように八咫を抱き上げて、深呼吸一つ、依月は言った。
「石楠花、綺麗だね。風も気持ちいいな……」
「こんな素敵な景色に出会えるのなら、登山もいいかもしれないね」
 とはいえ、道はまだ半ば。じたばたともがくペンギン達を――どうやら、自分の足で歩きたいらしい――再び地面に下ろしてやって、ユートは言った。
「抱っこしたままでもいいけど……もしかして、気を遣ってるのかな?」
「ふふ、一緒に歩きたいんだよ、きっと」
 この先に何が待っていても、一緒ならばきっと大丈夫。さあ進もうと朗らかに呼び掛けて、依月は再び歩き出した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!

雪定・千草
百合さん(g05341)と

百合さんの普段は見えない足が見えて、どぎまぎ
動き易そう、ではありますね…
俺も動き易く、マウンテンパーカーにジーンズです
百合さんの足を守るべく、積極的に前に出て障害物をチェック
むむ、此処は滑り易いです
俺の手を握っておいてください

フリルが重なったみたいなお花の石楠花
カッコいい言葉が花言葉なんですね
どのお花も綺麗ですが
俺はやっぱり、百合という名が付く花に惹かれます…なんて
人が小まめに手入れしなくても
山の中、こんなに綺麗に咲くんですね
ねえ百合さん
この花の近くに立つあなたを撮影しても良いですか?
今回のお土産にしたいです

いっぱい歩いたらお腹空いてきましたね
サンドイッチ、楽しみです


犬神・百合
千草ちゃん(g03137)と

頬を撫ぜる初夏の風は少し冷たい程ね
今回は登山も楽しむ気持ちでいっぱい
お洋服も動きやすく
赤色にユニコーン柄フリル付きゆめかわパーカー
脚元だってショートパンツにパールカラー可愛いお靴
…ろしゅつ?
でも、前に登った時もっと動きやすいほうが良いなぁって…
笑顔で手を握り直せば山登り再開

みて、石楠花「威厳」や「荘厳」が花言葉だそうよ
高嶺の花とか言うでしょ
そのお花が石楠花なんですって
姫射干に笹百合どの花も淡いお色が綺麗
千草ちゃんはどのお花が好き?
彼の言の葉にやっぱり胸が高鳴って頬が染まってしまうけど
ふふ…嬉しい…綺麗に撮ってね

御堂まで着いたらお弁当たべよ?
サンドイッチ作ってきたの!


 新緑の森を抜ける風が、涼やかに頬を撫でる山の腹。青葉の梢を透かして降る陽射しは存外に強く、林の底を明るく照らしてくれる。しかしそれよりもなお、眩しいのは。
「……さ、ちゃん。千草ちゃん!」
「ふぁっ!?」
 大きな声で名を呼ばれ、雪定・千草(霞籠・g03137)は覚醒した。正確には、我に返ったという方が正しいかもしれない。見れば数歩先の岩場からこちらを振り返って、犬神・百合(ラストダンス・g05341)が不思議そうに見つめている。
「どうしたの、ぼーっとして……もしかして、疲れちゃった?」
「あ……いえ。そういうわけではないの、ですが」
 しどろもどろに応じて、少年は腐葉土の地面に視線を落とした。というのも、すべては目の前の彼女の出で立ちが、普段とは随分と違って見えるせいなのだが。
(「まさか、言えるはずないじゃないですか……?」)
 ユニコーンをあしらったフリル付きのパーカーは赤く、すらりと長い脚を際立たせるショートパンツ、パールカラーがお洒落な運動靴。ロングスカートにタイツなどをしっかりと着込んだ印象が強い普段の百合からすると、今日の彼女は些か活動的だ。その姿にどぎまぎするなという方が難しいわけで――千草は遠慮がちに口にした。
「あの……今日、ちょっと、露出が高くありませんか……?」
「そう? でも、前に登った時、もっと動きやすいほうがいいなぁと思ったのよ。長いスカートなんかは、こういうところで邪魔になっちゃうでしょう?」
「いえ……まあ、確かに動きやすそうではありますけど……」
「でしょ? せっかく来たんだもの、山登りを楽しまなくちゃ」
 屈託なく笑って、百合はさしたる苦もなく岩場を越えていく。放っておけばどんどん進んでいってしまいそうなその姿に慌てて、千草は小走りに岩場へ駆け上がった。
「どうしたの?」
「いえ……その、障害物があると危ないので。ここから先は、俺が前を歩きます」
 春の山は美しいけれど、そこには同時に多くの危険も潜んでいる。尖った岩や木の枝が飛び出しているかもしれないし、生い茂る草木に隠れて見えない路の先は崖になっているかもしれないのだ。大袈裟ね、と百合は笑うけれど、思いのほかにお転婆な恋人を前に千草としてもぼうっとついていくわけにはいかない。
「む……ここは滑りやすいですね。百合さん、俺の手をどうぞ」
「ありがとう。ふふ、なんだかエスコートしてもらってるみたいね?」
 マウンテンパーカーの袖から覗く手を取って、百合は笑みを深くした。緩やかに空をめざす山道の左右には、たっぷりのフリルを束ねたような白と淡紅の石楠花が艶やかに咲き誇っている。
「石楠花の花言葉はね、『威厳』や『荘厳』っていうそうよ」
「へえ……カッコいい花言葉なんですね」
「よく、手の届かないものを指して『高嶺の花』とか言うじゃない? そのお花が、正に石楠花なんですって。あ――よく見れば、色んな花が咲いてるのね!」
 薄紫の可憐な姫射干に、白に近い桃色の笹百合。いずれも淡く優しい彩をまとった花達は、平地ではなかなかお目に掛かれないものばかりだ。
 初めて聞く花の名をなぞりながら、感心したように千草は言った。
「人が小まめに手入れしなくても、こんなに綺麗に咲くものなんですね」
「自然の力を感じるわよね。ね、千草ちゃんはどのお花が好き?」
「そうですね……どれも綺麗ですが。俺はやっぱり――百合という名が付く花に、惹かれます」
 なんて、と冗談めかして笑う少年に、今度は百合が頬を染める番だった。ねえ、と柔らかな音色で呼び掛けて、千草は続ける。
「この花の近くに立つあなたを、撮影しても良いですか?」
「それは別に、構わないけれど……」
 綺麗に撮ってちょうだいね、と、嬉しそうにはにかみながら百合は応じた。同じ名をした花と少女を切り取った写真は、今日が終ってもきっとずっと、この山の記憶を鮮やかに呼び覚ましてくれることだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
【防衛ライン】がLV7になった!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV4になった!

鐘堂・棕櫚
【KB】
まさか絶対来るまいと思ってた場所に居るとは不思議なもんです
どっちかというと俺が嫌われる側です、が
まあ景色も花も綺麗ですし
良縁も奇縁も噛みしめつつ
お仕事前の元気チャージさせて頂きましょう

石楠花ってこうひらひらだしピンクだしで
可愛い女子服みたいですよね
お世辞にも俺らに似合う場所ではない気もしないでもないですが
折角ですし、一枚記念に撮っておきましょうか

だってほら、いつか帰ってこられる骰さんのお身内に
面白アルバムを渡すって使命が俺にはありますから
という訳で花に負けない笑顔をお願いします!
スマホのカメラを向けながら、お手本のようなスマイルを見せ付けつつ
他愛の無い攻防も、英気を養う一要素という事で


鬼歯・骰
【KB】
何だツリガネ、ここ嫌いなのか?
アンタ不敬そうだもんなとは勝手な感想
ただの観光なら気楽だったのに
真っ直ぐ殴りに行けないのは面倒くせぇこった
とはいえこんな機会もなきゃ、じっくり花を見る事もねぇが

意識して見たことなかったんだが
なんか丸まったツツジみてぇだな、石楠花
まぁ服にも、見えなくはないか?

…可愛らしいってのも似合わねぇってのも同感なんだが
その流れでなんで写真撮ろうって発想になるんだ
ふざけんな無茶な要求と馬鹿な思惑は即刻捨てろ
組の人らにゃ絶対会わせねぇからなスマホ叩き折るぞ

向けられたレンズには仏頂面のまま
仕返しににやけてる相手の顔をスマホに収めておこう
良い笑顔なのが本当に腹立つなコイツ


 緩やかに登り始めた斜面は次第に傾斜を増して、視界には澄み渡る空の青が覗く。ひよひよと遠く鳥の囀る声を聴きながら、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)はほうっと長い息をついた。
「まさか絶対来るまいと思ってた場所に立っているとは……人生、不思議なもんですねえ」
「あ? なんだツリガネ、ここ嫌いなのか?」
 悪友の口から零れた些か予想外の一言に、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)は眼鏡の奥の瞳を円くする。すると誤魔化すように笑って、のらりくらりと棕櫚は応じた。
「どっちかというと俺が嫌われる側ですかね」
「ああ、アンタ不敬そうだもんな」
「あはは、骰さんもだいぶ失礼ですよね!」
 けらりと笑った青年のこれまでに、どんな事情があるのかは分からない。だが、取り立てて詮索するつもりはなかった。すべてを明かさないのはお互い様だ――そしてそれでも支障は感じていない。そういう暗黙の了解があるからこそ、この奇妙な友人関係は成り立っているのかもしれない。
 まあまあ、と切り替えるような調子で、棕櫚が言った。
「景色も花も綺麗ですし、お仕事前の元気をチャージさせて頂きましょう。良縁も奇縁も噛みしめつつ、ね」
「ただの観光なら気楽だったんだがな。真っ直ぐ殴りに行けないのは面倒くせぇこった……まあ、しかし」
 眉を寄せてぼやきつつ、骰は周囲に目を配った。当然と言えば当然のことではあるが、ゆっくりと花を眺めて歩く時間など新宿島でもそうはない。ましてそれが高山植物ともなれば、刻逆の前でさえ触れるチャンスはほとんどなかっただろう。
 丸々とした大輪の花を咲かせる石楠花を一瞥して、鬼人は溜息交じりに続けた。
「……こんな機会でもなきゃ、じっくり花を見ることもねぇかもな」
「何事も経験、って奴ですね。それにしても、石楠花ってこうひらひらだしピンクだしで、可愛い女子服みたいですよね」
 一つ一つの花は躑躅に似て、けれども互いにぎゅっと集まって咲く花は手鞠にも似ている。緩々と波を打った白と紅の華やかな花弁は、なるほど棕櫚の言う通り、女性服によくあるフリルやレースを集めたように見えなくもない。言われてみればと首を傾げつつ、骰は応じた。
「意識して見たことなかったんだが……なんか丸まったツツジみてぇだな、石楠花」
「おや、意外にお詳しい。まあ、お世辞にも俺らに似合う場所ではない気がしないでもないですが……せっかくですし、一枚記念に撮っておきましょうか」
「何がどうせっかくなんだよ。似合わねぇってアンタが今言ったんだろうが」
 たった今口から出た言葉を忘れたのか。若年性健忘症なのか。営業用の怖い顔を作って詰め寄ってみるが、棕櫚はあっけらかんとして視線一つ逸らすことなく、スマートフォンを取り出しながら返した。
「言いましたけど、だってほら、いつか帰ってこられる骰さんのお身内に面白アルバムを渡すって使命が俺にはありますから?」
「ふざけんなスマホ叩き折るぞ」
「というわけで、花に負けない笑顔をお願いします!」
「いや聞けよ」
 組の人らにゃ絶対会わせねぇからな――と肩を怒らせる鬼人を、まるで幼子をあやすような口振りでいなして、はい笑ってと棕櫚はカメラを構える。彼がどこまで本気でどこまで冗談なのかは分からないが、こうなるともう骰にできる抵抗は、仏頂面を貫くことしかない。日々順調に弱みを握られているような気がして、鬼人は聞こえよがしに舌打ちすると自身のスマートフォンを取り出した。
「笑えよ。アンタのにやけ顔も撮っといてやる」
「いいですよ? はい、チーズ」
「ちょっとは嫌がれよ」
 画面の中に収めたのは、申し分のないいい笑顔。まったくこれではやり返す意味がないと、盛大な溜息と共に眉間の皺を揉み解す骰であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

鉄・暁斗
【暁光】
コウ、ちょっと食事摂らない?
腹が減っては戦はできぬっていうし

コウのアイテムポケットのお陰で多めに持ってこられたな
ありがとう、コウ
一口おにぎりを作ったんだけど、梅・高菜・鶏そぼろどれから食べる?
(パンダのお弁当箱を取り出し)
これ、最近買ったんだ
癒しは大事だからね

はい、鶏そぼろどうぞ
飲み物は…(何か思いついた顔)
貴方が飲みたいのはこの水だし麦茶ですか?
それとも甘さ控えめのスポドリですか?
何の女神…強いて言うなら山?

わ、羊羹とくるみ餅だ
どっちも好きだから嬉しいな
俺も麦茶にしよう

本当だ、小鳥がいるね
使い魔使役で呼び寄せてみようか
癒しは大事、うん

ふふ、コウが大人気だ
ご飯よりも遊んで欲しいのかも?


秋津島・光希
【暁光】

だな、休憩するか
山道歩いて体力使ってるし、戦闘も控えてるしな

気にすんな、手荷物少ねー方が動きやすいだろ
にしても、だ
(弁当箱三度見)
相変わらずカワイイの使ってんな…じゃあ、鶏そぼろから貰うわ

何で唐突に女神と化したし
つーか、何の女神だ
山の女神がスポドリ勧めてくるとかシュールすぎだろ

じゃ、水だし麦茶で
おにぎりとも、こういうのとも合うだろ?
(片手で食べられるパッケージの羊羹とくるみ餅取り出し)
アキは和菓子系好きだからな
行動食も合わせて選んで来たわ

ん?小鳥がこっち見てねえ?
腹減ってんのかな
アキの作る飯美味そうだもんな。実際美味いし

…いや、飯に惹かれて来たんじゃねえの?何で?
(小鳥に止まられてる)


「コウ、この辺でちょっと食事摂らない?」
「だな……休憩するか。山道って、結構体力使うよな」
 青空へと続く道は未だ長く、その先は見えない。鉄・暁斗(鉄家長男・g07367)の尋ねる声に頷いて、秋津島・光希(Dragonfly・g01409)は額に滲んだ汗を拭った。今は長閑なこの道も、登り詰めればその先には侵略者達の根城がそびえている。万全の状態で彼等との戦いに挑むためには、この辺りで小休止するのが妥当だろう。
 そうと決まればと頷き合って、少年達は手近な木蔭に腰を下ろした。
「腹が減っては戦はできぬっていうしね。あれ、出してくれる?」
「おう、ちょっと待ってろ」
 ほとんど手ぶらで山登りに臨めたのは、光希が持ち込んだアイテムポケットのお蔭だ。次々に取り出される水筒と包みを受け取って、暁斗はほっとしたように息をついた。
「ありがとう。預かってもらっちゃって、ごめんね」
「気にすんな、手荷物少ねー方が動きやすいだろ。……いや、それより、なんつーか」
 他に気にするところがあるんじゃねえのか、と、当惑を隠しきれずに光希は言った。今しがた手渡した包みは暁斗の手の中で開かれて、中からそれはそれは可愛らしいパンダ型の弁当箱が覗いている。言うべきか言わないべきか迷ううちに二度見、もとい三度見していると、暁斗は幼馴染の挙動を不審に思ったのか、不思議そうに首を傾げた。
「あ……これ? 見たことないと思うよ。最近買ったばっかりだから」
「いや、そうじゃねんだわ」
 初見かどうかはこの際どうでもいい。気になるのは何もそこではないのだが、多分、その辺りの機微は彼には伝わらない。ただでさえこのご時勢、男が可愛い弁当箱を持っていることに何ら障りはないのであるが、幼馴染として若干むずむずしてしまうのは致し方ないことと思いたい。
「相変わらずカワイイの使ってんな……」
「癒しは大事だからね。一口おにぎりを作ったんだけど、梅と高菜と鶏そぼろ、どれから食べる?」
「じゃあ、鶏そぼろ」
 一般的なサイズの半分くらいの小さなおにぎりは、具が全体に混ぜ込まれており食べていても外れがなさそうだ。多めに持って来た数種類のペットボトルを見比べて、何やらはっと目を見開き、暁斗は言った。
「貴方が飲みたいのはこの水だし麦茶ですか? それとも甘さ控えめのスポドリですか?」
「なんで唐突に女神と化したし――つーか、なんの女神なんだよ。なんで良いこと思い付いたみたいな顔した?」
 眼鏡の似合う少年は一見するとクールなようでいて、本当に時々理解に苦しむことを言う。しばし考えるように琥珀の瞳を巡らせて、暁斗は応じた。
「強いて言うなら、山の女神?」
「山の女神がスポドリ勧めてくるとかシュールすぎだろ」
 明らかに何も生まない問答に、律儀に付き合ってしまう辺りは光希らしい。ほとんど空になったアイテムポケットの底をさらって何やらこまごまとした包みをいくつか取り出し、少年は言った。
「とりあえず麦茶で。おにぎりとも、和菓子とも合うだろ?」
「わ、羊羹とくるみ餅だ。どっちも好きだから、嬉しいな……俺も麦茶にしよう」
 和菓子好きの暁斗のために持ち込んだ行動食は、どうやら正解だったらしい。適度な食事と甘い物は、山道に疲れた身体を癒してくれる。鶏そぼろのおにぎりに舌鼓を打ちながら、あれ、と光希は首を捻った。
「なんかあの小鳥、こっち見てね? ……うおっ!?」
「ふふ、コウってば大人気だね」
 つややかな米粒に惹かれたのかそれとも、滲み出る動物の友感(※残留効果に非ず)に引き寄せられたのか。思い掛けない山の友人達と一緒のランチタイムは、これからの戦いを乗り切る確かな糧になるだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

マティアス・シュトローマー
ラト(g00020)と

真言密教?天台宗?
えーと……
どちらにせよ、仏教に関係する神聖な場所って事だよな
確かに空気が澄んでる感じがする!

ラトは山歩きに慣れてるんだっけ
楽しく登っていくコツはある?
……なら先に教えてくれたら良かったのに
ほらほら頑張って!と彼女の手を引いていく

やった!
このために来たと言っても過言では……こほん
野菜たっぷりのサンドイッチに
だよなーとテンションが少し下がる
けれど一口食べれば味は最高で、あっという間に完食!
野菜だけなのに何でこんなに美味しいんだろ?

俺が作ったのはブルーベリージャムとクリームチーズのサンドイッチ
もちろん紅茶もここに
ふふん、誰かさんの教育が行き届いているからかな


ラト・ラ
マティアス(g00097)と

神聖なる場所――なるほど
しばし立ち入ることをお許しください
小さな祈りを捧げて歩き出す
石楠花…
束になって咲く様子が紫陽花のようで
けれど色は桜みたい

森育ちなので歩き方なら任せてください
得意げにいったものの
数十分後には
坂は登り慣れていなくて…とペースダウン

一旦軽食を摂りましょう
互いにサプライズで具材をつめた
手作りサンドイッチを交換こ
きっと(確実に)予想されているだろうけれど
こちらは野菜たっぷり
彩り重視、紫キャベツにパプリカに…肉?入ってません

マティアスのほうは甘い系ですね
クリームチーズの程よい酸味
ジャムと混ざるとまろやかで美味しい
紅茶まで用意されていてほわほわ上機嫌


 山中に停車した列車を降りて、もうどれほど登っただろう。来た道を振り返れば銀色に光るパラドクストレインの車体は茂る青葉の中に隠れて、どこにあるのか分からなくなっていた。降る陽射しは夏のそれには及ばぬまでも、金色にさんざめいて熱い。
「ラト……大丈夫?」
「大丈夫です。こう見えて、森育ち……ですので……」
「いや……大丈夫かなあ……」
 そうは見えないんだけどと呟いて、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は傍らのラト・ラ(*☽・g00020)を気まずそうに一瞥する。

『森育ちなので、歩き方なら任せてください』

 パラドクストレインを降り、広がる山道を前にしてラトがそう胸を張ったのは今を遡ること数十分前。しかし同じ大自然の中とはいえ、森と山とはまったくの別物だ――楽しく登るコツはある、なんてマティアスが問うまでもなく、ラトは黒土の斜面へ踏み出すたび、目に見えて疲弊していった。たまには年上として頼もしいところを見せなくては、などと思ってしまったのがそもそもの始まりで、ラトは俯きがちに頬を染める。
「無理しない方がいいって、ほんとに」
「うう……すみません……本音を言うと、坂は登り慣れていなくて……」
「だったら最初にそう言ってくれたらよかったのに……ほら、もうちょっと行ったら平らになるから、頑張って!」
 一緒に行こうと呼ぶ声とつないだ手の力強さは、先へ進む力を分けてくれる。少年に手を引かれるままなんとか平坦な空間へ辿り着いて、ラトはへなへなとその場に腰を下ろした。流石に暑くなってきたのか黒と黄色の派手なジャケットの前を開け、マティアスは周囲を見渡した。
「えーと……なんだっけ。真言密教? 天台宗? どっちだったか分からないけど、仏教に関係する神聖な場所なんだよな……確かに、空気が澄んでる感じがする」
「そうですね。異教の聖地にずかずかと分け入るのは、少し気が引けますが……」
 ささやかな祈りを捧げて行けば、誰も咎めはしないだろう。第一ここは改竄世界史の中であり、本来そこに在るべき神がいるかどうかさえ疑わしい。
 マティアス、と少年の名を呼んで、ラトは大きく息をついた。
「ちょっと、この辺りで軽食にしませんか……?」
「やった! 俺もお腹空いてきたとこだったんだ」
 寧ろそのために来たと言っても、過言ではない――が、敢えて口に出すことでもあるまい。
 大きな樹の根元に腰を落ち着け、広げたクロスの上で交換するのはそれぞれ事前に手作りしておいたサンドイッチ。お互い具材は内緒にしていたものの、案の定、彩鮮やかな野菜がたっぷり挟まれたラトのサンドイッチに、マティアスは肩を落としたが――。
「! 何これ、美味しい! 紫キャベツとパプリカと……? 野菜ばっかりなのに、なんで!?」
「ふふ、彩を重視してみました。でも、美味しさは保証しますよ」
 さてこちらはとラトが開いた包みの中身は、酸味と甘みのバランスがほどよいブルーベリーのジャムとクリームチーズ。山歩きの後ということもあって、その味わいは格別である。
「随分、上達しましたね。まろやかで、とっても美味しい」
「ふふん、誰かさんの教育が行き届いているからかな? ほら、こっちに紅茶もあるよ」
 温かい紅茶で一息つけば、ラトもようやく周囲の景色を楽しむ余裕ができたらしい。ぐるりと周囲に視線を廻らせて、竜の娘はぽつりと言った。
「あれが石楠花――ですか」
 束になって咲くさまは梅雨が盛りの紫陽花に似て、けれど彩は桜の如く。深緑の葉の間に点々と大輪を咲かせる花は話に聞いて想像したよりもずっと華やかに、二人の目を楽しませてくれる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV2になった!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!

杏・紅花
【彩花】
明サンとお山登りだあ〜!

春の桜から初夏の石楠花、季節が深まると花の色も濃くなる気がするねえ
少し気温が上がっても、お山の緑の下は涼しくていい風がふいてくれるから
たっくさん歩けちゃうぞ!

途中休憩にはお弁当とおやつがつきもの
竹皮に包んだ中華風のちまきには、タケノコと干しエビとしいたけ!おやつは胡麻団子だあっ
明サンに食べてもらうのが、いちばんすき
鳥の声、葉っぱの擦れる音、巡る風
ぜんぶごはんがおいしくなる音だあ

春のお花見もすてきだけど、少し汗をかきながら歩く夏の山もすてき
連れ出してくれてありがとう、明サン


平良・明
【彩花】で山登り
紅花さんとてっぺんのお堂めざして歩きます

山の中は下界よりもだいぶ気温が低くてここちよく
普段は見れない花なども咲いていて、興味深いです
ポケットに入るちいさな図鑑を片手に植物を観察
日本シャクナゲは下界に持って帰ってもうまく育てるのが難しいみたいです

紅花さんが用意してくれたお弁当を美味しく頂きます
歩きながら食べてもいいですね
蒸された竹の皮の香りが素材を引き立ててとてもおいしいです
そしてあまーい胡麻団子はしあわせのかたち

涼しい風に吹かれてよい山歩きです
紅花さんにタオルでぱたぱた風を送って涼んでもらいます
とってもおいしいごはんをありがとう


「わあい、お山登りだあ~!」
「はは、転ばないように気をつけて下さいね」
 鈴を転がすような歓声を上げて、杏・紅花(金蚕蠱・g00365)は長い袖を頭上高くに振り翳す。元気一杯、上機嫌に跳ね回るその姿は微笑ましく、平良・明(嶺渡・g03461)はにこやかに目を細めた。
 この時期の新宿島は既に暑いほどの気候だが、標高のせいだろうか、山の空気はそれよりも幾分か涼やかで、汗ばんだ肌に吹き付ける風が心地良い。この分ならば日が高くなって多少気温が上がっても、山歩きに支障はないだろう。何気なく辺りに目を配ってみれば、普段はあまり目にする機会のない高山植物の花々が見られるのも実に興味深いところだ。
 深い緑の葉を茂らせる灌木の中に濃桃色の石楠花を見つけて、紅花はトコトコとその傍らへ歩み寄る。
「春の桜から初夏の石楠花。季節が深まると花の色も濃くなる気がするねえ」
「そうですね。夏に向かって、より鮮やかになっていくんでしょう」
 どれ、と作業着のポケットから小さな植物図鑑を取り出して、明は言った。
「日本シャクナゲは下界に持って帰っても、うまく育てるのが難しいみたいですね」
「そうなんだぁ~。可愛いのに、結構気難しいんだねえ」
 そうだ、と思い出したように手を打ち合わせて、紅花は手持ちの荷物をごそごそと探り出す。そして何やら大きな竹皮の包みを取り出すと、はい、明へ差し出して見せた。
「明サン、おなか空かない? お弁当とおやつで休憩しよっ!」
「おお。さすが紅花さん、準備がいいですね」
「へへ~、一緒に食べようと思って頑張ったよ! ほら!」
 得意気に開いて見せる包みの中からは、具だくさんの中華風ちまきとコロコロとした胡麻団子が顔を出す。いいですねと受け取って、明は嬉しげに口許を綻ばせた。
「せっかくですから、美味しく頂きましょう。歩きながら食べるのもよさそうですね」
 蒸された竹皮の芳しい香が移ったちまきには、しいたけ、干しエビ、タケノコといった定番の具がごろごろと入っている。腹持ちの良い糯米は、山登りの供にはぴったりだ。とろけるような中華餡の甘い胡麻団子をもぐもぐと咀嚼して、紅花は頬に手を添え破顔する。
「おいしい~」
「胡麻団子はしあわせのかたち、ですね」
 コロコロと可愛らしい団子を自分でも一つ摘まみ上げて傍らの少女と見比べながら、明は言った。すると満面の笑みで頷いて、紅花は元気いっぱい『うん』と応じる。
「それをね、明サンに食べてもらうのが、いちばんすきっ。それに……」
 鳥達の囀り。樹々の葉擦れに、吹いては巡る風の声。耳を澄ませば聞こえてくる自然の音色が、この上なく快い。そよぐ風に身を任せてアイスブルーの瞳を細め、紅花は言った。
「ぜんぶ、ごはんがおいしくなる音だあ」
 二つずつのちまきと団子をあっという間に平らげて、蚕の娘はごちそうさまでしたと白い八重歯を覗かせた。光射す林間の鮮烈な緑の中をぴょこぴょこと数歩前へ躍り出て、少女は来し方を振り返った。
「春のお花見もすてきだけど、夏の山もすてき。連れ出してくれてありがとうね――明サン」
 額の汗は、涼やかな山の風が拭ってくれる。手にしたタオルをぱたぱたと振って風を送りながら、こちらこそと明は応じた。
「とってもおいしいごはんを、ありがとうございました」
 さて――しっかりと補給を済ませたら、山の頂までもう少し。つかず離れずの距離に並んで、二人は初夏の山道を緩やかに登っていく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV4になった!
【傀儡】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!

レジーナ・ネイサン
【CANVAS】

シャクナゲか
ツツジとは花の形は似ているけれど違うんだ
柔らかな色がいいな
青紅葉も眩くて心なしか空気が清々しく感じる
この後戦いが控えてるなんて思えない位だ
……あ、あっちは本当にツツジだね?
ギィースはツツジの蜜吸うのってやったことある?
私はなくてね
ある?いいなあ
でも、そう
やっぱりそういうの、やるのは子供の頃だよね
沢山咲いているし、ひとつ位……って思ったけど
毒の有無を見分けられないしね

え、コレいいの?
ギィースもトトも花を口にしている
なら、1つだけ頂きます
ブラシと一緒に吸ってみると
――あまい
ははっ凄いな、甘い!

ありがとう、ギィース
やって見たかった事がひとつ叶ったよ
成程、蜂か
自然の知恵だね


ギィース・エレクレ
【CANVAS】

んーー、自然の中って気持ちいいよね!
空気が美味しい!
そうだね、見た目似てるけど違う花だね
確かに今から戦いがあるなんて不思議な感じだね
ん?あっ、ツツジだ
うん、子供頃蜜吸った事あるよー
ほら大人で吸うとお花が無くなっちゃう

あー、なるほど毒ね
ん、コレなら大丈夫だよ?
一つ花を積んで、ちゅーと吸う
ほら、ね
トトも遠慮なく吸ってるよ
レジーナちゃんとブラシちゃんもどうぞ
甘くて美味しいよ
あっ、でも怖いなら無理しなくてもいいからね
甘い?
ふふっ、良かった

何でわかったかって?
この子達が頑張ってるから
指先に小さな蜂が蜜を運んでいる
ふふっ、毒な花は選ばないだろ?
そうそう、自然知るには自然の先輩に聴くのが一番


「ん――、やっぱり自然の中って気持ちいいよね!」
 木洩れ日の踊る山間の林は、山裾の鬱蒼とした森の印象からはうって変わって明るく、煌くような陽射しに溢れている。青葉の天蓋に届かんばかりに伸びをして、ギィース・エレクレ(誘惑の道化師・g02447)は言った。
「なんたって、空気が美味しい! レジーナちゃん、聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「それ絶対聞いてないやつじゃ……あ」
 気のあるようなないような返事に数歩先を行く少女――レジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)を見やり、ギィースははたと足を止めた。灰色の娘の背中越しには、柔らかなシフォンを重ねて絞ったような大輪の石楠花が覗いている。
「これがシャクナゲだね。ツツジとは花の形は似ているけれど、違うんだ」
「確かに見た目は似てるけど、違う花だね。こっちはなんか、手鞠みたい」
「手鞠か。確かに、それっぽい」
 見慣れぬ花の色と形をしげしげと視線でなぞって、レジーナは嬉しげに双眸を細めた。自分では気づいていないのかもしれないが、こうして美しいものを前にすると彼女は時々、例えようもなく優しい顔をする。
「柔らかな色がいいな。青紅葉も眩くて……なんとなく、空気も清々しく感じるよ」
「ホントにね。これから戦いに行くなんて、信じられないくらい――ん? あっ」
 きょろきょろと辺りを見回す内に、何かが目に入ったのか。少年のように屈託のない声を上げて、ギィースが藪の中を指差した。
「見てみてレジーナちゃん、あそこ! ツツジが咲いてるよ」
「お……本当だ。あっちは本物のツツジだね?」
 色や形こそ近いものの、くす玉のようにまとまって咲く石楠花とは異なり、躑躅の花は灌木全体に満遍なく花をつける。白と薄紅の入り混じるその花群に鼻先を寄せて、レジーナは言った。
「ギィースは、ツツジの蜜吸うのってやったことある?」
「うん、子どもの頃に吸ったことあるよー」
「え、ほんとに? いいなあ」
 本当に『ある』と返ってくるとは思わなかったのか、娘は少しだけ意外そうな顔をして、私はないんだと軽く唇を尖らせる。
「でも、そう――やっぱりそういうの、やるのは子どもの頃だよね」
「レジーナちゃん、やってみたいの?」
「……まあ……沢山咲いてるし、ひとつくらいって思ったけど」
 毒の有無を見分けられないし、と誰にともなく宣って、レジーナはふいと躑躅の群に背を向ける。確かに、躑躅の花には、種類によって毒を持つものもあるというが――トレードマークの『にやにや口』に浮かべた笑みを深くして、ギィースはぽんと手を打った。
「なるほど、毒ね。でも、これならきっと大丈夫だよ」
 ほら、と一輪の花を摘みとって、ギィースはその付け根に唇を寄せる。さらにもう一輪を摘んで手渡せば、黒いクダギツネもまた、これを器用に真似て蜜を吸いだした。
「ほら、ね。トトも遠慮なく吸ってる。レジーナちゃんとブラシちゃんもどうぞ、甘くて美味しいよ?」
「え。なんで分かるの?」
「そりゃあ、ね、この子達が頑張ってるから」
 ほら、と示す指の先を追って目を配ると、灌木の茂みを花から花へ、忙しなく行き交う小さな蜂の姿が見える。なるほど、と得心してレジーナは応じた。
「自然の知恵ってやつだね」
「そうそう、自然を知るには自然の先輩に聴くのが一番! 怖いなら無理しなくてもいいけど……」
「別に、怖いわけじゃあないよ。それじゃあ、一つだけ頂きます」
 左右の手に一輪ずつ摘んだ花を片方、肩口のモーラットへ分けてやり、レジーナはそっと花の根元に口づける。ちゅ、と軽く吸ってやると、口の中に確かな甘味が広がった。
「ははっ……あまい。凄いな、甘いよ!」
 ずっとやってみたかったんだと、屈託のない笑顔で娘は笑う。それが思いのほかに眩しくて、ギィースもまた、それはよかったと笑み返した。
 さて――英気はしっかりと養った。後はこの山道の先にある御堂で、侵略者達を排除するのみだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV5になった!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】がLV5になった!
【能力値アップ】がLV5になった!

●蒼天に立つ
 長い山道を登り詰めたその先に、天魔武者達の御堂は在った。
 突き立つ朱塗りの御堂の門前には錫杖を手にした坊官衆が整然と並び、さらに彼らを守るように、多数の足軽武者を連れた本田忠勝の部隊が展開している。
「皆の者、備えよ! 敵軍の目的はこの御堂! 絶対にこの場を通すでないぞ!」
 吼える忠勝に呼応して、武者達がその手の槍を突き上げた。八葉の結界の一角を担う御堂の護りは硬い――鉄壁の守りをいかに突き崩し、あるいはすり抜けて御堂の破壊を遂げるのかは、復讐者達の手腕に懸かっている。
平良・明
本田忠勝っていうのは有名なお名前です
なんでも逸話だと戦傷を負った事が無いそうです

名前借りておいてそんな伝説に恥じないなんてことはないのでしょう
「リアライズペイント」を使い、装備の光る筆で宙をなぞり、敵の姿を写して戦っていきます

眼窩が伺えないのが不気味ですが、それにしても……あれはシカ角兜
折角なので宙に描いた写し象に書き足して、蛇足もしてしまいましょう
顔の真ん中に赤い点、私には余白の美はまだ解せないようです

描きあげたトナカイ兜の本田忠勝に攻撃は受けてもらい
敵へと突っ込ませて槍を付き放たせます
逸話のほころびと共に、自分の供養は済みましたでしょうか


ラヴィデ・ローズ
御堂破壊達成の為にも
護衛を相手取る仲間に乗じ、大将の足止めに励もう

この威容、昔のオレなら裸足で逃げ出してたなぁ
今も大して変わっちゃいないが
ま、せっかく一度死んだ身だ
強敵の覚悟や力に真摯に向き合い『レゼル』を揮う

さぁ、お相手願おう
居合わせた仲間やベル(ミニドラゴン)と連携
呪縛に合わせた攻撃、ブレスの齎す呪炎の残像に紛れての直撃逸らし・踏み込みの他
ベルとは、一方が攻撃されようと一方が反撃して
ただじゃ通さぬ意気を示したい
……痛いのはオレなんだけどね!
痛みにも集中を途切れさせず機を読む
起点になれるなら
多少無茶でも大胆に仕掛け、仲間へ繋ごう

いつか、
憂いなく、誰もが咲きたい地で咲ける世のため


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

自然と聖地の奥に、八葉の峰の結界か
山々の神秘の仕業か
描かれた結界に、強かな戦略に感じ入ってしまいそうだ

本多忠勝、槍の名手と聞く
お相手願う

PD通信で、味方と積極的に連携
偵察、観察し戦況を把握
合間に泥濘の地を発動、動きの鈍る隙を看破
漆黒で塗りつぶし、狙いすました一弾を穿つ

軽く浮く飛翔、動きはフェイント交え読ませぬよう変則的に
注意を分散させるよう包囲の位置取りを

反撃には魔力障壁で守りつつ
飛翔体の動きと光弾を観察し、飛び退き、エアライドも手段に回避に努める



「いやあ凄いね、あの威容。昔のオレなら裸足で逃げ出してたなぁ」
 地の底から響くような雄叫びが、新緑の木々を震わせ、うねる。高野山・八葉の峰の御堂を臨む木立の中、大勢の足軽達を率いて立つ天魔武者を遠目に見つめて、ラヴィデ・ローズ(la-tta-ta・g00694)は舌を巻いた。
「なんて、今も大して変わっちゃいないけど。で――あれが敵の親玉ってことでいいのかな?」
「そのようですね。本多忠勝といえば、日本では有名なお名前です」
 作業帽を目深に被り直しつつ、平良・明(嶺渡・g03461)が応じる。欧州生まれの仲間達には馴染みのない名前だろうが、この日本に生まれ育ったならば多少歴史に疎くとも一度は聞いたことがあるはずだ。槍の名手として知られ、日本七槍にも数えられる戦国武将であり、徳川の家臣――その名を持つ彼が、家康の側近として知られる天海の命で動いているというのは、率直に言って興味深い。もっとも誰を、何を自称しようとも、彼等が天魔武者たる異物であることに変わりはないのだが。
「逸話によれば、なんでも十三歳で初陣を飾って以来、戦で傷を負ったことがないそうですよ」
「へえ……槍の名手とは聞いていたが、そんな話があるのだな」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が素直な感嘆を示せば、明は静かに頷いて、ふわふわとした前髪の下に琥珀の瞳を光らせる。
「はい。わざわざその名前を借りておいて、伝説に恥じるようなことはないのでしょう」
 つまり、アヴァタール級とはいっても努々油断はならない相手、ということだ。解説になるほどと頷きつつ、エトヴァは言った。
「しかし――自然と聖地の奥に、『八葉の峰』の結界とは」
 山々の神秘の成せる業なのか、はたまた侵略者達の未だ窺い知れぬ技術や魔術の賜物なのか。今のところなんとも言えないが、その裏には天海なる者の深謀遠慮があるのだろう。どんな強かな戦略を張り巡らせているのかは気になるところだが、今は目の前の天魔武者退治からだ。
 手慰みに指へ絡めた黒と赤の前髪を解いて、ラヴィデは左手に提げた異形の弓を構えた。
「ま、せっかく一度死んだ身だ。せいぜい役に立つとしようか」
 この堅固な守りを突破して御堂を打ち壊すのは、決して容易ではない。目的を果たすためには、仲間達が無事に御堂へ辿り着けるよう敵を押さえておく足止め役が必要だ。
「悪いけど、しばらく付き合ってもらうよ? 大将」
 悪戯っぽく片目を瞑って、引き絞るのは炎の矢。狙い澄ました一矢は宙を切り裂いて、足軽達の頭上を飛び越え、武将の眼前で炸裂する――かに、思えたが。
 ヒュッと風を切る音がして、両断された炎の矢が空中で燃え尽きる。くるりと手中の長槍を回してその石突で地面を打ち、本多忠勝は叫んだ。
「敵襲!」
 短く鋭いその一声に、張り詰めていた空気がもう一段、色を変えた。一糸乱れぬ動きで槍を構えた足軽達が走り出し、戦線のあちこちで復讐者達とぶつかり合う。流石、と再び弓に矢を番えて、ラヴィデは言った。
「これは骨が折れそうだ」
 気だるげな口ぶりとは裏腹、その瞳は鋭い闘志に燃えている。背中から飛び出した黒い小竜の吐く息は紫紺に燃えて、放つ二の矢を後押しする――しかし。
「っ!」
 炎の鏃は青く輝く甲冑を今度こそ捉えたが、炸裂したその瞬間、忠勝もまた動いていた。速い。足軽達の間をするりと抜けて肉薄した槍の穂は、青年の傍らを突き抜けて、黒い小竜を打ち落とす。
 ベル、と反射的に名を呼べば、傷ついた右翼に呼応するように右肩に鋭い痛みが走った。
「……まあ、痛いのはオレなんだけどね!」
 だが、それならそれで遠慮は要らない。誰もが咲きたい場所で咲き誇れる、そんな憂いなき世界を手繰り寄せるためならば、傷の一つや二つは勲章の内だ。
「大胆に行こう。多少無茶でもね!」
「はは、派手なのはあんまり得意じゃないんですけどねえ」
 眉を下げて笑いつつ、明は作業着の胸ポケットから一本の筆を取り出した。控えめな口ぶりとは対照的に、光る筆先は淀みなく、そして大胆に宙を走り、蒼い武者の姿を写し取っていく。
(「眼窩が窺えないのが不気味ですが――まあ、いいでしょう」)
 ただ写し取るだけというのも味気ない。鹿の角はトナカイに、見えない顔の中心には煌々と赤い点を打って、いかがでしょうと明は笑った。
「私には、余白の美はまだ解せないようです」
 蛇足でしたかね、と笑えば、いいやと緩く青い髪を振ってエトヴァが応じた。
「独創性は大事だと、俺は思うよ」
 宙に浮かび上がった武者の姿が立体的な形を取り、まるで意思を与えられたかのように動き出す。すかさずその背に張り付いて、エトヴァは両手に二丁の銃を構えた。地表すれすれを滑るように翔けながら、天使は囁くように告げる。
「闇夜に、沈め」
 まずは一発。反動を利用してそのまま二発、三発――対する本田忠勝は振り回す槍の穂先で巧みに漆黒の弾丸を弾いたが、弾ききれなかった数発が蒼い鎧の上で爆ぜ、闇色の塗料を撒き散らす。すると忠勝の後背に浮遊する蒼い数珠のような浮遊体がぐるぐると円を描くように動き出した。
「来るぞ!」
 鋭く注意を呼び掛ければ同時、カッと目映い光が弾けて光弾の雨が降り注ぐ。触れれば膚を灼く光線をトナカイ兜の陰で凌いで、明は言った。
「逸話というのは綻ぶものです。ああ――供養は結構ですよ」
 若葉の嶺に、潰えるのはそちらの方。冷やかに告げれば厳めしい兜の下、見えない表情が微かに動いたような気がした。戦いは、まだ始まったばかりである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【断末魔動画】LV1が発生!
【泥濘の地】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!

ノスリ・アスターゼイン
良いねぇ、威勢の良い声だ

猪突猛進に見せて繰り出す槍先は案外と計算高く
流石、本多が連れる武者だけあるなぁ、と
感心の笑みが零れるものの、

だが
惑わされたりはしないよ
何せ撹乱は俺の方が上手ってことで、ね?

翻す翼でダメージを軽減し
地を蹴り飛翔
或いはエアライドを駆使して
軌道を読ませぬよう翻弄

眼前に肉迫したかと思えば
急旋回して背後を獲るなど
陽動で仲間の援護をしたり
自らも積極的に好機を得に翔ける

放つ魔弾は何処までも追いかけるから
躱すことも逃げることも出来ないよ
尤も
率いる将を前に敵から逃げ出すことは
足軽にとっても
将たる本多にとっても
屈辱で不名誉なことかもしれないね?

なんて
浮かべる笑みは挑発的だが
眼差しは冴え冴え


ユート・チュールスキー
依月(g09439と

忠勝は他の仲間達に任せて僕達は小物の邪魔者を掃除しよう
大丈夫だよ、ペニュ
油断はしない

依月はこれが初陣だっけ?
僕もまだ経験は浅いけど力を合わせれば絶対勝てるよ
八咫もペニュもいるしね
(胸を張るペニュ

パラドクスで敵の視力と生命力を奪う
依月の攻撃も当たりやすくなるといいな
前は任せるよ
うん、勢い良くて頼もしいな
霊験の力ってすごい…
僕も頑張るよ

敵の攻撃はエアライド使い回避を試みる
ペニュと別方向に跳んで撹乱したり

受けた傷はグロリアスで回復
依月や八咫が攻撃されそうな時はペニュとパラドクスで撹乱
僕より自分の身を守って……!
僕は依月に怪我してほしくないんだ
でもありがとう
無事に帰ろう、みんなで


宮代・依月
ユートくん(g08952)と一緒だよ

奪還戦を除けば初めての実戦
山登りの時とは違う緊張感もあるけれど…ボクももうみんなの一員だからね
頼りになる友達と八咫もいるし、緊張はあっても不安はないよ
(胸を張るペニュさんを見て)…ふふ、ほらね?(良い感じに肩の力が抜けるなぁ、なんて)

今のボクに出来る事
まぁ、斬る…もといぶっ飛ばすっ、かな?
背中はユートくんに任せるよ
だから安心して目の前の敵をパラドクスで振り抜くよ
この刀、抜けなくっても霊験あらたかなんだから

接近や回避にはエアライド
ユートくんが攻撃されそうになったら、ディフェンス出来るよう意識して
怪我をしてほしくないのはお互い様
ボクにも格好良くさせてよ、なんてね


朔・彗藍
【星明】

やはり、守りは強固な様子
けれど私達も引けませんから
夜明の花、千景の視線に確りと頷いて

貴女の奇襲から敵の目を逸らす様に
夢魅せる花曇りを描きましょう
舞う花弁に、誘導と撹乱を促して
飛翔やエアライドを用いながら突く槍からの回避を
石楠花の花にも負けぬ程に
綺麗なゆめに堕ちて頂きます

千景の一閃に援護する様に
振るう女神の杖、高速詠唱で刺し貫くは薄紅の刃
隙を生めたなら貴女の刃は
迷い無く真っ直ぐ捕らえるのを知っているから
護って、千景を
薄紅ごと、必要なら浄化を重ねて

――千景、
貴女を呼ぶだけで良い、何をすればいいのか解るから
無窮の美しい世界へ、囚われたまま
誘いましょう、花送葬

さようなら、お休みなさい


紫空・千景
【星明】

強固ならば突破させて貰う迄
星明の花、彗と視線を合わせ頷けば

暫し任せたと告げて
相手が自身を捕捉する前に光学迷彩に紛れ
彗が描く夢魅せの花曇りの傍ら
死角へ潜り込めば

刹那に落とすは空間の裂け目
奇襲が如く一閃
迫る一撃には突撃の威力を刀を滑らせいなし
吹き飛ばしと衝撃波で更に軽減し対応
…なに、直ぐ彗の薄紅が終わらせてくれる

己も隙置かず
彗の目の前へ敵を蹴った反動で戻り
『阻』を用い夜明色の結界を置いては
薙ぎ払いで勢い削ぎ
護る
無傷と生温いことは言わんさ
だが立っていれば私達の勝ちだ

――彗、
重ねる刃と薄紅は名だけで十分
夜明けの刃が開いた空間の裂け目に落として、左様なら
薄紅が弔いならば
何とも、幸せな最後だろう?


鉄・暁斗
【暁光】

例の結界はすぐそこ、か…
確実に打ち破るためにも戦力をしっかり削がないとね
うん行こう、コウ
くるみ餅と羊羹で今の俺はやる気十分です

すごい数…確かに一体ずつ相手にしてたらキリがないね
さて、どうしたものかな
あ。なんかコウが大胆に動きそうな予感がする
了解、サポートするよ
どんな動きにも合わせる
瞬影を無差別に『投擲』、合間を縫うように氷結輪を『臨機応変』に操作して敵の目を引きつける
これでコウが少しでも動きやすくなるといいな
よし、俺も【エアライド】で続くよ

うん、仕上げは任せて
総崩れになった所をアイスエイジブリザードで凍らせてしまおう
数が多い分、一度崩れると連携は取りづらいだろうね
さあ、道を開けて貰うよ


秋津島・光希
【暁光】

守りが堅いってのはマジっぽいか
んじゃ、食った分思いっきり暴れても問題ねーな
行くぞ、アキ

敵の数が多いな
一体ずつ相手にしてたらキリがねえ
陣形崩して統率乱して、こっちのペースに持ち込んじまうか
アキ、背中任せるぞ!

『戦闘知識』『看破』で敵の陣形を把握

『ダッシュ』で敵の攻撃を可能な限り回避しつつ接敵
からの、敵を踏みつけて『ジャンプ』
【エアライド】も使わせてもらうぞ
敵陣ど真ん中の上空でパラドクス発動だ!

竜巻起こして敵を巻き込んでぶっ飛ばせば
陣形も何もあったもんじゃねえだろ

仕上げは頼んだ、アキ!

崩れた陣形を立て直そうにも
凍っちまえばそうはいかねえよな

敵が混乱してるうちに
ガンガン守りを崩してやるよ!


永辿・ヤコウ
足軽の猛る声が戦場に響く
けれど
鬨の声と呼ぶほどに高揚はせず、心にも響かず
却って冷静に
槍捌きも抜刀も動きを見定められるよう

戦況把握に努め
パラドクス通信や声掛けで連携を取りながら
死角を補い合い
間断なく攻撃を繋げていく

戦場を奔る眩い雷光には眸を細めるも
敵前へ駆ける足を止めることなく

むしろ
足を止めるのは
あなたがたの方

ヤビの牙が彼らの影を穿ち捕縛する
その一瞬の好機を逃さず
阿吽の呼吸で捉えて
長針で刺突

雷は植物に栄養を与えてくれるというでしょう?

足軽を苗床に咲き誇る薔薇の
ほら
艶やかなこと

反撃や攻撃は
針で受け流したり弾いたりで被弾の威力を減じ
即座に反撃に移行

さぁ
いっとう鮮やかな花を咲かせてくださるのは
どなた?



 同時刻――八葉の峰・林間。
 足軽武者達の猛る声が、抜けるような青空に渡る。朱塗りの堂を震わせるほどの音圧に、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)はひゅうと軽やかに口笛を鳴らした。
「良いねぇ、威勢の良い声だ」
「ええ、実に。けれど……高揚はしませんね」
 菫色の瞳を冷ややかに細めて、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)が応じる。御堂周辺へと到達し、整然と並んだ足軽武者達と敵将・本田忠勝の様子を木蔭に隠れて窺っていた復讐者達であったが、槍を掲げる武者達がいきり立てば立つほどに、心は却って凪いでいくようだ。
(「お相手は、槍の名手……でしたね」)
 仮にも歴史に名を残す将を語る相手だ。戦場の熱気に呑まれては、分かるものも分からなくなろう――こちらはただ、その槍の穂先が残す銀の軌跡の一筋までをも冷徹に見極めるのみ。きゅっと唇を引き結んだ狐の横顔には、漣一つない湖面のような静かな闘志が燃えている。
 でもとわずかに言い淀んで、鉄・暁斗(鉄家長男・g07367)が口を開いた。
「やっぱり、すごい数だ。あれを一体ずつ相手にしてたらキリがないよ」
「ああ。守りが堅いってのはマジっぽいな」
 御堂の前に陣取った天魔武者達を見渡して、秋津島・光希(Dragonfly・g01409)も同意した。広範に整然と並んだ足軽達は勿論、彼等に守られる本田忠勝も、よもや易々とこの場を通してくれるつもりではあるまい。そしてよしんば彼等を突破したとしても、御堂の前には不気味な坊官衆達が隙間なく並んでいる。八葉の結界とやらにどんな効果があるのかは知らないが、これほどまでに厳重に守るだけの価値があるものなのだろうか――? もっともその守りがどんなに堅固であったとて、それは彼等が諦める理由にはならないのだけれど。
 花色の唇をきゅっと引き結び、朔・彗藍(ベガ・g00192)は確かめるように言った。
「いかに守りが強固でも、私達も引けませんから。……そうでしょう?」
「ああ、勿論。強固ならば、突破させて貰うまでのこと」
 同意を求めるように視線を廻らせれば、紫空・千景(夜明の導べ・g01765)が、仲間達が、厳かに頷いて敵へと向き直る。瞼を閉じて大きく深呼吸し、彗藍は再び星明の瞳を見開いた。
「では……行きましょう!」
 敵も味方も、動き出したのは同時だった。敵襲、と叫ぶ武者の声がしたかと思うと、脇目も降らず突進してくる足軽達をすり抜け、あるいは飛び越えて、数人の仲間達が一直線に大将たる本多忠勝の元へ向かっていく。見る者に一分の恐れをも感じさせないその後ろ姿は、未知の侵略者達に立ち向かう勇気をくれるかのようだ。これが復讐者の戦いなのだと、ユート・チュールスキー(氷晶・g08952)は無意識に白い手袋の手を握り込む。
「依月はこれが初陣だっけ?」
「う、うん……奪還戦を除けばこれが初めて、かな」
 尋ねる声に応じて、宮代・依月(碧風・g09439)は心なしかぎこちなく頷いた。張り詰めた戦場の空気には、慣れない登山とはまた別の緊張感が漂っている。気丈に前を向く友人の横顔にそこはかとない不安を感じ取ったのか、大丈夫、とユートは続けた。
「僕もまだ経験は浅いけど、力を合わせれば絶対勝てるよ。八咫も、ペニュもいるしね」
 足元へ視線を落とせば、丸々としたペンギンが二羽、えへんと大きく胸を張る。ほんとだ、と思わず笑み零して、依月は鞘に納めたままの刀を胸に身構えた。
「ボクももう、みんなの一員なんだから。……しっかりしなきゃね」
 震えはない。気負いもない。知らず前のめりになっていた肩からも、自然と力は抜けている。未だ抜くことの能わぬこの剣でも、頼れる仲間が隣にいてくれるのならば――戦える。
 よし、と短く意気込んで、少女は海のような青い瞳を爛々と光らせた。
「斬る、もとい、ぶっ飛ばして行こっ! ユートくん、背中は任せるね!」
「了解。忠勝は他のみんなに任せて、僕達は小物を掃除しよう」
 誰もがそれぞれの役割を背負って今、この場所に立っているのだとしたら、自分達もまた、その務めを精一杯果たすのみ。クエ、と鳴いて首を捻るペンギンをもう一度見やって、ユートは言った。
「大丈夫だよ、ペニュ。……油断はしない」
 差し伸べた白い指先に、呼び寄せるのは銀色の夜。サアと渦を巻き吹き込んだ季節外れの氷雪は、迫り来る足軽達を十重に二十重に取り巻いて、その身体から力を奪っていく。俄かに遮られる視界と次第に重みを増す手足に敵が動きを鈍らせたら、依月の出番だ。
「この刀、抜けなくっても霊験あらたかなんだから! 全力で、いっくよー!」
 自分はまだまだ未熟者。その自覚があるから、彼女の行動はシンプルだ。格好をつける余裕はないし、元よりそんなつもりもない。タンと力強く石畳を踏み切って、少女は戦闘の最前線に躍り出る。鞘ごと叩きつけた霊刀は足軽の腹を凹ませながら、その身体を真横に吹き飛ばした。凡そ初陣とは思えぬ勢いは、頼もしいの一言に尽きるのだが――。
「あんまり無茶はしないでよ。依月に怪我してほしくないんだ」
「ふふ、怪我をしてほしくないのはお互いさまでしょ。ボクにも格好良くさせてよ」
 銀に光る槍の穂先を刀の鞘で受け流しながら、なんてね、と、茶目っ気たっぷりに依月は笑った。その姿はもうとっくに、一人前の復讐者に他ならない。
「俺らも行くぞ。食った分思いっきり暴れてやろーぜ!」
「うん、行こう。確実にここを突破するためにも、戦力をしっかり削がないとね」
 後に続く仲間達の刃を朱塗りの御堂に届けるには、露払いが必要だ。背中は任せたと一声告げて、光希は透き通った蜻蛉の翅を羽ばたかせる。飛び出したその背中越しに敵の群れを捉えれば、暁斗の眼鏡がきらりと光った。
(「サポートは、俺に任せて」)
 それこそ彼の背中に翅が生える前からの、短くない付き合いだ。そこで培った阿吽の呼吸は、誰にでも真似のできるものではない。翔ける幼馴染がたとえどんな無茶に出たとしても、合わせられる自信が暁斗にはあった。何があっても、合わせてみせる――注意深く見つめる少年の視線の先で、光希は敵の陣笠頭を踏み台に跳ね上がった。
「竜巻起こしてぶっ飛ばせば、陣形も何もあったもんじゃねえだろ――行くぜ!」
 ふわり、剥き出しの腕を撫でた風は、やがて渦を巻き、唸りを上げ始める。敵の構えた槍の穂先からは雷撃が迸って少年の手足を掠めたが、この程度で怯んではいられない。戦意を研ぎ澄ませば澄ませるほどに渦巻く風は勢いを増し、足軽達を巻き込んでは軽やかに吹き飛ばす。
「仕上げだ、アキ!」
「オーケー、任せて」
 宙をひと蹴り、一気に光希の背中に追いついて、暁斗はぼそりと口にした。
「くるみ餅と羊羹のおかげで、今の俺はやる気十分です」
「や、聞いてねえけど?」
「つまり、スタミナ満タンってこと」
 せっかく乱した陣形を、早々に立て直させるわけにはいかない。掌の上、くるくると回る氷輪は急速に勢いを増して、呼び寄せる吹雪と共に敵陣を縦横無尽に駆け抜ける。整然として隙のない槍衾は、純粋な脅威だ――集中攻撃で一点を突き崩したら、そこから道をこじ開けよう。


「彗。暫し、任せるぞ」
「はい!」
 告げる声の怜悧に、背筋の伸びる思いがする。ふつとその場を離脱した千景に代わって、彗藍は一歩前へ進み出ると、花色シフォンの袖を掲げた。右手には、トネリコの筆――灰桜色の彩に浸したその先端は流れる水が如く、夢魅せる花曇りを描き出す。
(「うつくしく、哀しい夢を届けましょう」)
 舞う花弁の薄紅が、忍ぶ夜明けの足跡を、すべてを覆ってくれるよう。一人刃を振るう彼女を、どうか守ってくれるよう。繰り出される槍の先が手足を掠めても、彗藍は手を止めることはなく描き続ける。深緑に咲き誇る石楠花よりもなお美しく咲く桜花の夢が、陣笠頭の武者達を惹きつけたならば――それが好機。
 槍を振るうその背後へと回り込んで、千景は抜き身の刀を振り上げた。
「背中が留守だな」
 ほんの今しがたまで何もなかったはずの場所にすいと立ち昇った殺気は、冷やかで、そして鋭い。天魔武者達は弾かれたように反転を試みたが、死角からの一撃をかわしきるには及ばなかった。風を切るように音もなく、薙いだ刃は空を裂き、足軽武者の一体を虚無の世界へと葬り出す。返す刀で槍の穂先を受け止めれば逸れた切っ先が頬を裂いたが、背にした少女に対する信頼はわずかも揺らぐことはない。
(「なに――すぐに彗の薄紅が終わらせてくれる」)
 舞うように刀を振るえば動きに合わせて広がる濡羽の髪は、艶やかなる夜明けの花。倒れゆく武者の背を蹴って舞い戻ると、大丈夫、と案ずるような声がする。
「無傷でなどと生温いことは言わんさ。だが――立っていれば、私達の勝ちだ。……彗」
「……千景」
 互いに呼ばわるその名前は、彼女達の行くべき道を照らしてくれる。美しき無窮の世界へ、囚え誘う花送葬――さようなら、おやすみなさいと囁いて、彗藍は女神の杖を振るう。薄紅の花に弔われるまままた一体、足軽武者は魂の抜けるように、ふつりとその場に頽れた。
 その様子を横目に確かめて、ノスリは残った敵の数を数える。
(「大体半分は行ったかな」)
 復讐者達の連携の取れた攻勢により、足軽武者達は順調に数を減らしていた。しかしその士気には、然したる衰えも見られない。それどころか繰り出す槍はいっそう疾く、鋭く研ぎ澄まされていくような気さえする。
「……案外と計算高いね。そこは流石だなぁ」
 上体を逸らせば目と鼻の先を突き抜けていく槍の白銀を見つめて、感心したようにノスリは言った。その動きは一見すると猪突猛進に見えるが、槍の使い手として名高い本多忠勝が率いるだけあって存外に洗練されているようだ。
 だけどと笑みを深くして、猛禽は告げる。
「躱すことも、逃げることもできやしないよ」
 太陽の光を受けて黒琥珀の翼が生みだす魔弾は、どこまでも敵を追い続ける。加えて言えば、惑わし、翻弄することにかけては、これでも少々自信がある方だ。広げた翼で武者達の間を右へ左へすり抜けながら、ノスリは言った。
「だけど敵前逃亡なんて、足軽にとっても本多にとっても、不名誉なことかもしれないね?」
 からかうような笑みは挑発そのもので、けれど、太陽の色の瞳は決して笑ってはいない。切り結ぶと見せかけてからの急旋回、急接近――ぎりぎりまで引きつけてから真上に向かって離脱すれば、槍の穂先が宙を突く。
「――おつかれさま」
 狼狽する武者の姿を足元に見つめて、ノスリは微笑した。悲しいかな、どうにか体勢を立て直したところで彼の運命は決まっている。なぜなら彼の眼前には、既にヤコウが詰めているからだ。
 身の丈ほどはあろうかという長針の先でひゅっと宙を斬り、黒い狐は淡々と口を開いた。
「僕達を足止めなさるおつもりなのでしょうが……ここで足を止めるのは、」
 あなたがたの方、ですよ。
 二つの影が交錯し、囁くように告げた声が熱を持たない武者の胸を震わせる。苦し紛れに抜いた刀で繰り出す突きは恐るるに足らず、長針で軽やかにその切っ先を打ち払って、ヤコウは相棒の名を呼んだ。
「ヤビ」
 呼んだ八尾のクダギツネは青年の肩を蹴って飛び出すや、着地と同時、均衡を崩した武者の影に鋭い牙を突き立てる。たった一瞬動きが止まればそれで十分――くるりと銀色の弧を描いた長針の先端は、硬質な音と共に武者の腹を突き通した。
「……雷は植物に栄養を与えてくれるというでしょう?」
 穿たれた孔から伸びる蔓に、咲く花はげに艶やかな紅い薔薇。武者達の槍の先から迸る雷は、今もなお戦場を照らしている。
 強過ぎる光が生み出す影をまといながら、狐は美しくも凄絶な笑みを浮かべた。
「さぁ――いっとう鮮やかな花を咲かせてくださるのは、どなた?」
 人混みのいくらか空いた戦場を、仲間達の足音が駆け抜けていく。復讐の刃が朱塗りの御堂に届くまでは、もう幾許もないだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV7になった!
【寒冷適応】LV1が発生!
【クリーニング】がLV2になった!
【液体錬成】がLV2になった!
【光学迷彩】がLV3になった!
【使い魔使役】がLV3になった!
【傀儡】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ラストリベンジ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ダブル】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV6になった!
【命中アップ】がLV4になった!

朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

坊官かぁ…
天魔武者に信仰とかあるのかな
どこぞの天使たちにも言えるのだけど
そう考えると似たところもあってぶっ飛ばし甲斐があるね
横っ面ぶん殴っちゃおうか

身を潜めながら状況を観察し
武者たちの部隊の戦闘が始まったら
エアライドも使ってすり抜け坊官に接敵を
邪魔なら殴ってこじ開ける心算で

正しいだとか徳を積めだとか
やっぱり大天使みたいな事を抜かしてくるね
レオにもご高説を垂れるようなら
そんな戯言をもう吐けないように
錫杖を圧し折る勢いで殴り抜いて爆発させちゃおう

天国だとか地獄だとか
仏教だと彼岸だっけ
こいつらはこの後どこに行くんだろうね
まぁ、知ったこっちゃないのだけれども


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

クロノヴェーダがお坊さんの真似事したところで
その説法は全然ありがたくないよね
というわけで早急に霊峰から立ち去ってほしいよ
アナタ達がふんぞり返っていい所じゃないと思うの

あっ、リオちゃんがいつもより機嫌が悪い?
でもそうだね、偽物の信仰はいつだってどこだって気分が悪いね

物陰に身を潜めつつ情報収集し
兄が接敵するのに合わせて
エアライドを活用して近づき
双翼魔弾を放って道を開こう

錫杖の反撃が来るなら
届かない距離までエアライドを活用して下がって
リオちゃんが近づき易い様に魔弾を撃って牽制

クロノヴェーダに極楽や地獄があるかは分かんないけど
あったとしたら間違いなく地獄じゃない?


鬼歯・骰
【KB】
厳重だって事はそれだけ大事なもんがあるって事だな
鉄壁だっていうんなら力尽くで風穴の一つでもぶち空けてやる

坊さん殴るのは罰当たりになるんだっけか
まぁその程度で今更何が変わる人生でもねぇが
…俺よりもツリガネの胡散臭さがマシになる方向性で頼みてぇとこ
溜息でもつきたいが仕事が先だな

エアライドで接敵したら鱶で錫杖ごと叩き斬って解体していこう
相手の攻撃は武器でいなすなりして直撃は避けたい
動くのに支障が無きゃ当たっても気にせず
ツリガネのナイフが当たった敵か、アイツ狙ってるのを優先的に倒して
対象首までの突破口を開こうか

知らねぇ奴に正しさなんざ押し付けられてたまるか
自己満足なら、あの世で勝手にやってろよ


鐘堂・棕櫚
【KB】
結界ってもう俺らからしたら
ここ壊してくださいってアピールですもんね
少しでも風通しがよくなるなら何よりで

破戒僧相手なんですから、罰どころか徳が積めるかもしれません
骰さんの良い人ぶりに磨きがかかりますねえ、と
彼曰くの胡散臭い笑顔で茶々を入れ
それはそれとしてお仕事は確り頑張りますよ!

具現化させたスローイングナイフで
主に前衛張ってる骰さんへ攻撃せんとする敵を狙って投擲を
矢鱈敵の数が多く見えるのは幻覚か何かですかね
【泥濘の地】を用いてみつつできるだけ距離取って
極力被害を抑える努力は忘れずに

悪徳坊主がこの世で一番嫌いな生き物なもので
八つ当たりの相手になって頂きます
いずれ地獄でまたお会いしましょうね


野本・裕樹
天魔武者を討つ他にも御堂の破壊が同じくらい今回は大事です。
御堂を破壊できれば戦う事に集中できる筈、私は御堂の破壊に専心しましょう。

とはいえ『坊官衆』は簡単にはそれを許してくれなさそうですね。
ならば『坊官衆』ごと御堂の破壊をする事にしましょう。

武器は《雷光刀『雷花』》、雷で作って延長した刀身で挑みます。
『坊官衆』に邪魔されても御堂に届くぐらい刀身を長くしてやりましょう、巻き添えにして《雷生炎花・百合車》です。
山火事には注意する必要がありますが御堂を直接的な破壊だけでなく火でも攻撃していきます。

天魔武者流の徳なのかもしれませんがそんな押し付けの徳は不要です、錫杖の一撃は刀で薙ぎ払いましょう。



 茂る木立の向こう側に、朱塗りの御堂が覗いていた。決して大きくはないが精緻な造りの日本建築は、旅先で訪れたならば一見の価値のあるものだったと言えるだろう。だが、残念ながら今日は、観光をしにきたのではないわけで――。
「坊官かぁ」
 若木の陰から半分だけ細面を覗かせて、朔・璃央(昊鏡・g00493)は呟くように口にした。
「天魔武者に信仰とかあるのかな?」
「ね。クロノヴェーダがお坊さんの真似事なんかしたところで、説法も全然ありがたくないのに」
 そう言って、朔・麗央(瑞鏡・g01286)は兄の丁度頭一つ分下から同じように御堂の方角を覗き込む。前庭では既に、仲間の復讐者達が御堂を守る天魔武者達と刃を交えていた。
「しかし随分と厳重だな。まあ、それだけ大事なもんがあるってことなんだろうが……」
「結界なんて、もう俺らからしたらここ壊してくださいってアピールですもんね」
 樹の幹に張り付いた知己の双子を数歩後ろから眺めて、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)と鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)が口々に交わす。八葉の結界と高野山――その存在が侵略者達にとってどんな意味を持つのかは定かでないが、少なくとも、重要拠点であるということについては疑いの余地もあるまい。
「あの天魔武者を捨て置くことはできませんが……今回は、御堂の破壊も同じくらい大事な意味を持ちます」
 静々と青草を踏んで仲間達へ歩み寄り、野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が言った。ちらりと流した視線の先では、足軽武者を従えた蒼い甲冑の天魔武者が猛然と槍を振るっている。
「他の皆さんが心置きなく戦いに集中できるように、私達は御堂の破壊に専心いたしましょう」
「あそこまで辿り着くだけでも骨が折れそうだがな。妙な連中も控えてるようだし……」
 乱戦の前庭を見渡して、骰がぼやく。そしてあの戦線を越えられたとしても、御堂の前にはいかにも不気味な風貌の坊官衆――彼等とて、易々とこの御堂に触れさせてはくれないだろうが。
 ならば、とにこやかに口角を上げて、裕樹は言った。
「でしたらあの坊官衆ごと、破壊してしまいましょう」
「思いきったことを言いますねえ」
 頭上に広がる初夏の天と同じ色をした瞳をぱちりと瞬かせ、棕櫚が応じる。しかし実際そのつもりで、彼等はここへやってきた。
 まあいい、とスーツの肩を気だるげに鳴らして、骰は鋸歯を握り直す。
「鉄壁だっていうんなら、力尽くで風穴の一つでもぶち空けてやるよ」
「いいんじゃないですか。最近、暑いですしね」
 少しでも風通しがよくなるなら、何よりで――相も変わらぬ軽口で返して、棕櫚は悪友の隣に並ぶ。居並ぶ足軽衆が一人倒れ、二人倒れ、細くとも確かな通り道が視えたなら、後はそこを目掛けて突き進むだけだ。
「行くぞ。一塊になって、突っ走れ」
「了解です。では、お先に」
 胸元に固めた拳をぱきりと鳴らし、璃央は天使の翼をひと打ち翔け出した。ほとんど同時に飛び出した麗央と共に、双子は戦場のわずかな隙間を縫って朱塗りの御堂へと迫る。下手をすれば接触しそうな距離で器用に並びながら、少年は心なしか不機嫌に口にした。
「まるでどこぞの天使たちみたいだね。……そう考えると、ぶっ飛ばし甲斐があるよ」
「そうだね。偽物の信仰なんて、いつだってどこだって気分がいいものじゃないし」
 救いを求める人々を、惑わし、支配し、時に蹂躙する侵略者達の行いは枚挙に暇がない。今はないエジプトも然り、そして二人の故郷たる東京でもそうだ。
 考えれば否応なく在りし日の記憶が胸に過り、麗央は黒いブラウスの胸を掻いた。
「みんな辛くて、苦しくて、藁にもすがる思いで神様に祈るのに。……それを利用するなんて、許せないよ」
 だからこそ、絶対に排除する。勢いのまま宙を蹴り、御堂の前に立ち並ぶ坊官衆達の元へ一気に飛び出して、少女は悪魔の翼を広げた。決して望んで手に入れた力ではないけれど、それが憎むべき侵略者達に立ち向かう術となるのなら――利用することに、躊躇はない。
「ここはアナタ達がふんぞり返っていい所じゃないと思うの! 大人しく、立ち去りなさいっ!」
 暗紅を帯びた黒の翼に、魔力の焔が俄かに燃える。覆面のような頭をした坊官衆達はすぐさまその場から散開したが、放たれる魔弾は不規則な軌道を描いて、彼等を追尾し続ける。シャラン、といやに軽やかな音を鳴らして繰り出した反撃の錫杖は、しかし少女に届くより早く、璃央の腕に阻まれた。
「よっぽど、ぶん殴られたいみたいですね」
 同じ年頃の同性よりも幾分細い腕はみしりと軋んだが、痛くはない。機械仕掛けの坊官衆は明らかに狼狽した様子で何やらぶつぶつと――恐らくは仏の教えらしきことを――宣っていたが、生憎と聞く耳は持ち合わせていない。ぎろりと敵を睨めつけて、少年は言った。
「そんな戯言、二度と吐けないようにしてあげますよ」
 正しいだとか、徳を積めだとか。そうすることで、人は真に救われるのだとか。
 そんな聞こえのよい言葉に縋り、そして踏みにじられた人々をこの目で何度も見てきたのだ。甘い言葉に夢を見るほど、二人はもう、子どもではない。そのうえ可愛い妹に手を出そうなど、不届き千万もいいところだ。
 腕に食い込んだ錫杖を力の限り跳ねのけて、璃央は拳を振り被った。
「爆ぜろ!」
 二色の魔力を宿して叩きつける拳は爆発を引き起こし、光る錫杖が真っ二つに折れて弧を描く。どさりと倒れた坊官衆の一人を見下ろして、璃央はぱたぱたと手をはたいた。
「こいつらは、この後どこに行くんだろうね。天国だとか地獄だとか――仏教だと彼岸だっけ?」
 知ったこっちゃないけどと吐き捨てる兄の横顔は彫像のように冷やかで、どこか憎しみよりも哀しみを思わせる。立ち尽くす兄と倒れた武者とを交互に見やって、麗央は細い手を握り込んだ。
「クロノヴェーダに極楽や地獄があるかは分かんないけど……」
 あるとすれば行き着く先は、地獄に相違ない。否――そうでなければ、ならないのだ。
「怯むな! この場を通してはならぬぞ!」
 一人の呼び掛けによって、坊官衆達はすぐさま崩れた陣形を整える。高度に統率された動きは敵ながら大したものだが、相手が立て直してくるのなら、こちらは何度でも切り崩すのみだ。
 やれやれと辟易した様子で眉を寄せ、骰は言った。
「坊さん殴るのは罰当たりになるんだっけか。まぁ、その程度で今更何が変わる人生でもねぇが」
「どうでしょう。破戒僧相手なんですから、罰どころか徳が積めるかもしれませんよ?」
 そうなったら、骰さんの良い人ぶりに磨きがかかりますねえ――などと冗談めかして、棕櫚が笑う。良い人、なんて営業妨害もいいところだが、やめろと言ったところで聞きやしないので、このところは受け流すようにしている骰である。
「俺よか先にアンタの胡散臭さをマシにする方向性で頼みてぇとこだ」
「あはは、仏様もそんなに暇じゃないと思いますよ」
 故に、そこは謹んで辞退するとして。掌のナイフを扇状に広げて、棕櫚は言った。
「それはそれとして、お仕事はしっかり頑張りましょうか!」
「ああ、そいつが先決だな」
 喉まで出かかった溜息は呑み込んで、骰は得物を持つ手に力を込めた。僧兵の一体が錫杖を振り上げるやその懐へ飛び込んで、振り抜いた鋸歯は金属棒を圧し折り、機械の横腹に食らいつく。また別の一体が杖を掲げれば、その腕には一つ二つと棕櫚のナイフが突き刺さった。傾いだ身体が地に崩れるのを見下ろせば、平素は柔和な蒼の瞳にはちくりと冷やかな光が揺れる。
「悪徳坊主がこの世で一番、嫌いな生き物なんですよ」
 それが八つ当たりであることは、棕櫚自身も理解している。とはいえ、当たったところでわずかも心が痛まないというその一点でだけは、彼等にも意味があるのかもしれない。返す手で次撃を叩き込めばすかさず重ねる骰の刃が、何事か唱え続ける僧兵を斬り倒していく。
「自己満足なら、あの世で勝手にやってろよ」
 正しさとは、自ら見いだすもの。まして見も知らぬ侵略者などに、教えられるものなどありはしない。
 一進一退、足元の泥濘も利用して適切な距離を取りながら、復讐者達は着実に敵の数を減らしていく。そしてまた一体、倒れゆく僧兵の背後に朱塗りの御堂を見て、裕樹は胸に抱いた刀に力を込めた。身の丈ほどもあろうかという長刀は雷を帯びて、本来のそれよりも随分と長く伸びている。
「その説法もまた、天魔武者流の『徳』なのかもしれませんが……そんな押し付けの徳は、不要です」
 生臭の僧兵達も、『結界』を成すこの御堂も、すべては無用の長物なれば。いきり立って襲い掛かる坊官衆の錫杖を返す刀で薙ぎ払い、裕樹は雷の太刀を構え直す。御堂の前にはまだ数体の坊官衆が残ってはいるが、仕掛けるには十分――狐耳をぴんと尖らせて、心を澄まし、そして少女は言った。
「燃え上れ、百合車」
 振り抜けば鞭のようにしなる雷光の刀身が、御堂の壁に突き刺さる。そのまま力に任せて薙ぎ払えば、バキバキと音を立てて裂けゆく壁のそちこちで炎の花がぽうと咲いた。それは深緑に咲き誇る石楠花に、勝るとも劣らぬ大輪の華だ。
「――終わりにしましょう」
 結界の一柱は、崩れた。朱塗りの御堂が焼けて落ちるまで、後は吹く風に任せておけばいいだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【照明】LV1が発生!
【飛翔】がLV8になった!
【活性治癒】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV7になった!
【グロリアス】がLV2になった!

ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

さて。猛将の名を持つ相手となれば
士気高く構える相手であれば
ディアボロス、ロキシア・グロスビーク!
きみたちを討つものたちのひとり!いざ、勝負!
彼に負けないよう声を張り上げ、こちらも気分を切り替える
ここからは真面目モード
“魔槍”を構え
仲間が稼いでくれる時間で、あいつを貫く!

未知。知らない相手っていうのは怖ろしいものだよ
Moon-Childを両脚に集中・活性化、
石畳が爆ぜんばかりの【ダッシュ】を以て
障壁を展開、後は放たれた矢の如く
けど、相手だって同じこと!情報の差があるならば!
ランスチャージで貫く!
勝つのは僕たちだ!

反撃に際しては槍を構え油断なく受け止める
ここで抑えれば、後は!


水蓮寺・颯
士気は高いみたいですね……でも、僕にも貫かねばならぬ信があります。引く気はありません。
それに、僕にとってもここは憧れの地。そこへ我が物顔で陣取る天魔武者は……少し、業腹ですよね。

『其は――』
どろり。手にした本から血のような墨が滴り、袖を染める。
墨とともに広がる絵巻物から、被写体に不足無しと狂った絵師の哄笑が響く。
彼の頸を此処へ――『丙丸百人絵巻』。

槍の穂先は墨で受け流し、また敵の視界を遮るように纏わりつかせて動きを阻害します。
ごうと振るわれる槍は恐ろしいですが、必死に避けつつ隙を伺います。
……頸を曝したが最後、それを見逃す者など此処にはいないでしょうから。


(アドリブ、連携 歓迎です)


マティアス・シュトローマー
ラト(g00020)と

頑張って登り詰めた先が
天魔武者の建てた御堂なんだもんなー
興醒めもいいところ

さて
高野山攻略のためにも、美しい景観のためにも
お引き取り願おうか

パラドクスを発動。七発の弾丸が狙うのは機動力に関わる関節部分
効果的にダメージを与え、こちらが反撃に備えるまでの時間を少しでも稼ぎたい

完全に躱すのは無理でも、せめて――
反撃への対策として【エアライド】で宙を蹴り、空中で素早く方向転換。多少掠っても致命傷を避ける事だけを考えよう
御堂の破壊を見据えて柱や屋根も足場として使わせて貰おうかな
ラトへと向かう攻撃はディフェンスも

景色も開けて前より断然良い感じ!
帰る前にもう少しだけ眺めていってもいい?


ラト・ラ
マティアス(g00097)と

確かに、苦労や努力の先には
もう少し褒美めいたものがほしいですね
けれどわたしたちは復讐者
怒りや恨みを果たすことも――
ある意味一種の、…

パラドクス【星影】を発動
彼が本体を狙うなら
こちらは大数珠型の飛翔体へ流れ星を撃つ
攻撃/照準の妨害、武器の破損を狙う
強き願いを抱くものがより早く翔ける
ついてこられるかしら
煽るような言葉と共に【飛翔】で攻撃をぎりぎりまで引き付け
その隙にマティアスが死角に入れるよう誘導
ダメージを受ける際は致命傷を避ける動きを心がけます

――結構派手にやりましたね
姿勢正しくすまし顔で辺りを見回す
せっかくここまで来たのだし、もう少しゆっくりしていきましょう



 燃え盛る火は、風を起こす。吹き付ける熱風に事態を察知したのだろう、斬り結ぶ刃を力の限り跳ね返して、天魔武者は反転した。蒼く輝くその体表に鮮やかな紅蓮を揺らめかせ、御堂は煌々と燃えていた。
「不覚……!」
 唸るように発した声は、痛恨の響きを帯びていた。結界の柱たる御堂をなんとしても守り切れと言いつかって来たというのに、これは失態以外の何物でもないだろう。
 いいじゃん別に、と軽く口を尖らせて、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は言った。
「頑張って登り詰めた先が天魔武者の御堂なんて、興醒めもいいとこだろ? なくなった方がいっそスッキリするって」
「おのれ――ディアボロス!」
 槍の穂先が紅銀の光跡を描き、風の鳴く声が確かに聞こえた。怒りに矛を研ぎ澄ませて、本多忠勝は復讐者達に向き直る。意気軒高に槍を掲げた足軽衆も、坊官達も今はない。しかし燃える御堂を背に一人立つその闘志に、衰えは微塵も感じられなかった。
「斯くなる上は貴様らの首を持って、天海様へ献上つかまつる!」
「鈍ってはいないようですね。でも――僕にも貫かねばならぬ信があります。ここで引く気はありません」
 鹿角の兜をじろりと睨んで、水蓮寺・颯(灼がて白く・g08972)は毅然と告げる。最後の一騎となっても戦い抜く覚悟は天晴と言いたいところだが、ここは彼女にとっていわば憧れの地――幼い日より夢想したこの森と山を穢す者達を、許せるはずもなかった。
「ここは真言密教の聖地。あなた方に我が物顔で陣取られるのは――業腹です」
 差し出すのは、古びた絵巻物。留め具のついた紐をぱらりと解けば、広がる巻物の紙面からどろりと重たげな墨が落ちる。滴る血に似たそれは風にひらめく袈裟の袖を染めながら、おどろおどろしい光景を描き出す。どこからとなく響き渡る哄笑と共に、紡ぐ絵巻は裁かれ処された罪人達の記録だ。
「彼の頸を此処へ。『丙丸百人絵巻』」
 まるで意志を持つかのように形を取ってうねる墨が、蒼い天魔武者を取り巻き、締めつける。しかしなんのと咆哮して、忠勝は大槍を振るい、墨の呪縛を力任せに振りほどいた。千切れた墨はその場で弾け、地に落ちて、ぱしゃんと黒い飛沫を散らす。
(「――来る!」)
 ごうと風の唸る音がする。光る穂先の迫るのが分かる。鋭い恐怖が胸を刺し、颯は俄かに表情を引き攣らせた。しかしどんなに恐ろしくとも、退くわけにはいかない。
 寸でのところで反転すれば、舞う袈裟の端を引き裂いて槍の穂先が行き過ぎる。勢い余って突き抜けたその背後から、武者の頸を狙うのは――。
「ディアボロス、ロキシア・グロスビーク! きみたちを討つものたちのひとり! いざ尋常に、勝負っ!」
 高らかに声を張り上げて、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は真紅の魔槍を手に突進する。紛い物とはいえ、猛将の名を持つ相手だ――侮りはしない。仲間達が稼いだ時間、作った隙を余すところなく使って、着実に仕留めよう。
 少女のように華奢な身体の内側で、ナノマシンが脈動する。両脚に集めたその力で力いっぱい石畳を踏みきって、少年は跳躍した。どんな強敵にも怯むことなく立ち向かう勇気こそは、この身を護る最強の盾だ。
 突き入れる槍が蒼い甲冑の肩を砕いたのと、敵の大槍が少年の肩を裂いたのとは同時だった。瞬時に後方へ離脱して、ロキシアはじわりと血の滲むパフスリーブを押さえる。断わっておくが、油断をしたつもりは全くない。それだけ、相手の槍は速かったのだ。
(「知らない相手とやり合うのは、怖ろしい。……怖ろしい、ものだけど」)
 追い込まれた武将の並々ならぬ闘気には、一瞬、気圧されそうになるけれど、未知を相手どっているのは互いに同じこと。ならばどちらがより怖れなかったのか、それが勝敗を決めるのだ。
 傷めた側の腕を下げて立ち尽くす武者を見やって、マティアスは敢えて挑発的な口振りで言った。
「さあ、いい加減お引き取り願おうか。高野山攻略のためにも、美しい景観のためにもね――ねえラト!」
「マティアス。油断すると足を取られますよ」
 ほどほどに、と嗜めるようにその名を呼んで、ラト・ラ(*☽・g00020)は小さく息をついた。しかしわずかに逡巡して、女は考えるように視線を廻らせる。
「確かに――苦労や努力の先にはもう少し、褒美めいたものがほしいです。が……わたしたちは、復讐者ですから」
 復讐こそが、彼女達の本懐だ。登り詰めた頂に討つべき仇がいるのなら、その怒り、恨みを果たすのもまた、一種の歓びと言えるのではないか?
 黙り込んだ横顔をちらりと見て、マティアスは思わず姿勢を正した。
(「今、なにか怖いこと考えてるな――」)
 平素は淑女然とした彼女だが、怒るとそこそこ怖いのだということを少年はよく知っている。一方で、そうして敵を見据える女の横顔は彫像のように冷やかで――ひどく目を惹きつけられる、ということも。
 はっとしてブンブンと頭を振り、少年は改めて天魔武者へと向き直った。
(「見惚れてる場合じゃないんだった」)
 燃え上がる御堂を背に立つは、猛将がただ一人。御堂の破壊は既に成ったが、力ある武者を取り逃すわけにはいかない。ポケットから取り出した拳銃を指先でくるりと回して構え、マティアスは言った。
「ラストスパート、行くよ!」
 狙い定めた銃口の先に蒼い天魔武者を捉えて、一発、二発、三発――七発。反動をも利用した神業的な連射で狙うのは、脚だ。機械生命体といえども、脚を狙われれば物理的に動きづらいはずだ。
 しかし。
「っ――まだ動くか」
 敵の執念もまた、然るもの。風穴の開いた片足を引きずりながらも、武者は槍を手に迫り来る。その動きは依然として疾く、少年は口惜し気に歯噛みして、宙を蹴り立体的に反転した。顔のすれすれを抜けていく槍の穂先に触れれば、蜜柑色の猫っ毛がはらりと落ちる。上下逆さまになった世界に蒼い武者の姿を捉え、マティアスはにまりと笑んだ。
「前ばっかり見てていいの?」
「何を――」
 続く言葉は、呻き声に呑まれて消えた。弾丸の如く降り注ぐのは、透明な光を放つオクタグラム――注ぐ無数の星々は次から次へ、武者を取り巻く飛翔体を撃ち抜いていく。連なる数珠のような曲面から放つ光が手足を灼いても、ラトはわずかも怯むことなく言った。
「あなたに、ついてこられるかしら」
 敵を上回るものはただ、より強き願いのみ。誰かに命じられてここに立つ者と、自らの意思でここへ来た者の差はそこにこそ表れる。『無傷』の伝承もとうに昔、星に追われる武者の動きは次第に鈍くなっていく。血路を求めて転び出るその行く手に再び立ちはだかって、ロキシアは今一度、紅い魔槍を握り締めた。
「どこへ行くんだい? 決着をつけようよ」
 得物は同じ。手負いも同じ。いいだろうと低く頷いて、本多忠勝は大槍を構える。走り出せばもはや止まることは能わない。
 ギィン、と重々しい剣戟が一つ。放たれた矢の如く突き進む二つの影が、揺らめく焔の御堂を前に交錯した。互いに微動だにすることなく数秒、ゆっくりと槍の穂先を下ろして、立ち上がったのはロキシアだった。
「勝つのは、僕たちだ」
 蒼い甲冑の後ろ姿は、片膝をつき、そしてどうと崩れ落ちる。断末魔の声もない静かな勝利に、颯はほっと安堵の息を吐き、仲間達へと駆け寄った。
「皆さん、お疲れ様でした!」
「お疲れ様です。それにしても……結構、派手にやりましたね」
 いつも通りのにこやかな笑みに立ち返って、ラトは応じた。御堂を取り巻く焔は徐々に落ち着いて、白い煙へと変わりつつある。焼け落ちた壁や柱の残骸は黒く煤けて無残な様子だが、時が立てば自然に還るだろう。
 やっぱり、と口角を上げてマティアスは言った。
「ほらね。何もない方がスッキリして良い感じ! ねえ、帰る前にもう少しだけ、この辺眺めてってもいいかな?」
「帰りの列車に乗り遅れても、知りませんよ。…………まあ、でも、少しくらいなら?」
 嗜めるところは窘めつつ、ラトは緑の山野を一望する。ここまで登ってきた分は、どのみち下らねばならないのだ。
 いいんじゃないですか、と笑って、颯は言った。
「山歩きは、下りの方が辛いと言いますし。のんびり、下っていきましょう」
 本来の姿を取り戻して、広がる峰はどこまでも青い。帰路は険しく長くとも、道を縁取る石楠花は何度でも彼等の目を楽しませてくれることだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
【託されし願い】LV2が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV6になった!
【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!

最終結果:成功

完成日2023年06月08日

高野山・八葉の峰攻略戦

 大和国掃討作戦を成功させ、大和国の天魔武者勢力を一掃したディアボロスは、攻略旅団の方針に従い、紀伊国の『高野山』の攻略を開始します。
 しかし、高野山はジェネラル級天魔武者『天海』が設置した特殊な結界に阻まれており、すぐに攻略を開始するという訳にはいかないようです。
 高野山を中心に『蓮の花』の形に配置された、『今来峰・宝珠峰・鉢伏山・弁天岳・姑射山・転軸山・楊柳山・摩尼山』という、八葉の峰を全て攻略しなければ、高野山への侵入は不可能なのです。
 高野山攻略の為、この八葉の峰の攻略を行ってください。

天海


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選択肢『霊峰高野を登る』のルール

 大和国の国境周辺までは、パラドクストレインで移動。その後は、紀伊山地を踏破して、高野山の八葉の峰に向かいます。
 高野山周囲のクロノヴェーダは、大和国が奪われ、救援に向かったトループス級が撃破された事を受け、防衛拠点である八葉の峰の内側に戦力を集中さえているようなので、比較的安全に移動する事が出来るでしょう。
 春の紀伊山地の景色を楽しみながら、決戦の地に向かってください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾護衛するトループス級『足軽天魔武者』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)を護衛するトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える必要があるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾敵施設破壊戦闘『坊官衆』のルール

 施設を警備するトループス級と戦いながら、敵施設を破壊する選択肢です。
 トループス級との戦闘も行いますが、成否判定は、どれだけの施設を破壊したかで判定されます。
 その為、トループス級との戦闘しか行っていなかった場合は『🔴🔴🔴』判定になる場合もあります。
 それまでの戦闘で、トループス級を多く撃破していると、以降の判定は成功しやすくなるので『🔴🔴🔴』が出ても、全くの無駄にはならないかもしれません。
 詳細は、オープニングやリプレイを確認してください。
 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『本多忠勝』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「藺草・風水」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。