クロノス級の事件に挑め

 クロノス級クロノヴェーダが行っている悪辣な事件を阻止する為、特別なパラドクストレインで過去に遡り、クロノス級と決着をつけます。
 宿敵が引き起こしている事件の一つに介入し、事件を引き起こしているクロノス級クロノヴェーダを撃破して、因縁に決着をつけます。

 クロノス級は、宿敵の性質に沿った事件を引き起こします。
 この事件を完遂させる事で、クロノス級クロノヴェーダは、新たな『アヴァタール級』を生み出し、戦力として基準時間軸に送り届けているようです。

ぶち毀しのドレスコードは盛装で(作者 花々実コノネ
19


#宿縁邂逅  #クロノス級の事件に挑め  #挿絵あり 


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 砂漠の中にぽっかりと現れる街を見た者は、誰もが己の目を疑うに違いない。
 整然とした街並みには水の豊かさを示すように緑が繁り、建物には金彩がほどこされ。
 花々が咲き乱れる街を行く人々は皆、鮮やかな色彩を身に纏う。
 訪れる旅人は歓待され、この街『ジェア』の素晴らしさを知るだろう。
 それはまるで高級リゾート地でのひととき。
 けれど、街の人々に感謝して旅立つ彼は知る由もない。
 街の人々の幸せの底に口を開ける深淵があることを。

 空を覆うは満天の星。
 地上には明々とかがり火が焚かれ、見事な庭園を浮かび上がらせていた。
 幾何学模様に整えられた植栽。
 縁取りはトルコブルーの陶片。
 豊かに水をたたえた池に咲くのはロータス。
 庭園の先にある神殿には、ひときわ飾り立て、盛装した人々。
 飲み物を口にしながら宴が始まるのを待つ彼らの顔は、誉れに輝き、恐れに曇る。
 今宵彼らは命を捧げねばならぬ。
 女神への供物に選ばれたことを光栄に思わねばならないが、心残りも捨てきれない。そんな彼らは言葉もなく、神殿内は音のみ響く無言の空間となっていた。
 そこに音楽が鳴り響く。
 はっと顔をあげた人々の前に、水の子たちが現れた。水の子の体はまるでドレスを纏っているような形に形作られ、両手に料理を捧げ持っている。豪華な料理の数々――だがその料理にたっぷり入っているのは彼らを女神へと捧げるための呪詛。非常に美味なのに、食べれば呪詛が回って生命を奪われる。
 料理が行き渡ると、神殿の奥からケン・レムが進み出て。
「よくぞ参った。女神のもとにゆくそなたらに馳走を用意した。たらふく食べて逝くがよい」
 華やかで残酷な宴のはじまりを告げるのだった。


「古代エジプトに向かう特別なパラドクストレインが現れました」
 新宿駅のホームで久住野乃が示したのは、クロノス級『流槍のケン・レム』が活動する過去の時代への列車だった。
「ケン・レムはこの時代に水と緑の街『ジェア』を築き上げ、拠点としています」
 街の中央に魚の女神ハトメヒトの神殿、その周囲に美しき庭園、それを囲む街もまた水の恵みを受け、豊かな暮らしをもたらしている。
 だがそれはもちろんそこに住まう人のためではなく、この街が生み出すものもまた、人々ではなくクロノヴェーダのためのものでしかない。
「ケン・レムは呪詛によって街の人の生命を奪うことにより力を得、アヴァタール級を生み出そうとしているのです」
 これを放置しておけば街の人々は殺され続け、アヴァタール級が生み出され続ける。
「どうかこの事件を阻止して、クロノス級を撃破してください」

 パラドクストレインが到着するのは、宴が開かれる日の午後。
 ケン・レムは街を離れており、宴で料理が提供される頃までに戻ってくる予定でいる。パラドクストレインの侵入は気づかれてしまうが、ケン・レムはすぐには街に戻ってこられないだろう。
「その間に、街の様子を見て回ることができます。何か見ておきたいところがあれば調べておくことも出来ますし、特にないのなら、街の中を散策したり、ちょっとしたお買い物をしたり、何か食べたり……庭園や景色を鑑賞するのもいいかもしれませんね」
 しばらくの間は、思い思いにジェアの街を楽しんで時間を過ごすことができる。
 クロノス級からの恩恵を受けた街は豪華で美しい。見るものは多く、待つ時間を感じさせないだろう。
「女神への生贄を差し出すようにと言われた家の戸口には、花が差されています。誉れとはいえ家族を差し出さなければならないことに、家の人は苦しんでいるでしょう。この家に行って入れ替わりを提案すれば喜んでもらえるし、そこで用意されている晴れ着を着つけてもらうこともできるでしょう」
 女神への捧げものとなったことへの祝いを述べに、と言えば家に招き入れられるだろう。誰かを捧げなければならない家は、家族以外が捧げものになりたいと申し出れば飛びついてくる。
 宴への参加は女神にふさわしい華やかな服装でとなっている。自前の衣装を持ち込んでも良いし、入れ替わりを提案した家で調達することもできる。あるいは散策中に気に入ったものがあれば、それを購入しても良いだろう。
「日が落ちるころになると神殿の扉が開かれ、生贄となる人々が中に入れるようになります。飲み物が提供されるので、それを飲みながら待ち……トループス級が料理を運んでくるのが見えたら、大暴れして宴をぶち毀してください」
 家の戸口にある花が神殿への招待状。神殿入口に居るのは一般人の見張りだから、入れ替わって花を手に入れていなくとも、こっそりと忍び込むことはたやすいだろう。
 大騒ぎが起きれば、一般人は神殿から逃げ出す。誰かが料理を食べてしまう前に、暴れて目を引き付け、食事どころではない状態にしよう。
 宴を滅茶苦茶にして事件を阻止すれば、ケン・レムの力を一時的に弱めることが出来、有利に戦えるようになる。
「水の子は皆さんを倒そうとするでしょうから、反対に倒しちゃってください。そのうちにケン・レムも駆けつけてくるでしょうから、それを倒せば依頼完了です」
 クロノス級を倒せばこの世界は崩壊するため、撃破したらすぐに脱出することが必要だ。

「えっと、要するに……楽しんで、暴れて、ぶちのめして、離脱、って依頼ですっ」
 身も蓋もなくまとめると、野乃は笑顔でディアボロスたちを、いってらっしゃいと送り出した。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
7
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【水源】
2
周囲に、清らかな川の流れを出現させる。この川からは、10秒間に「効果LVトン」の飲用可能な水をくみ上げる事が出来る。
【飛翔】
37
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
5
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【未来予測】
3
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
3
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【浮遊】
1
周囲が、ディアボロスが浮遊できる世界に変わる。浮遊中は手を繋いだ「効果LV×3体」までの一般人を連れ、空中を歩く程度の速度で移動できる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
4
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【動物の友】
1
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【友達催眠】
6
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【迷宮化】
1
洞窟や家屋、砦などの内部を迷宮に変化させる。迷宮化により、敵は探索や突破に必要な時間が「効果LV倍」される。
【隔離眼】
2
ディアボロスが、目視した「効果LV×100kg」までの物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)を安全な異空間に隔離可能になる。解除すると、物品は元の場所に戻る。
【泥濘の地】
3
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【エアライド】
2
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
5
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【熱波の支配者】
3
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【光学迷彩】
1
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
2
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【断末魔動画】
1
原型の残った死体の周囲に、死ぬ直前の「効果LV×1分」に死者が見た情景が動画として表示される世界になる。この映像はディアボロスだけに見える。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
3
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
2
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【土壌改良】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の地面を、植物が育ちやすい土壌に変える。この変化はディアボロスが去った後も継続する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【水面走行】
2
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【温熱適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、気温摂氏80度までの暑さなら快適に過ごせる世界に変わる。
【操作会得】
3
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
2
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
2
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
5
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【寒冷適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が、摂氏マイナス80度までの寒さならば快適に過ごせる世界に変わる。
【水中適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
3
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【猫変身】
2
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV9 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV10(最大) / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV5(最大) / 【アクティベイト】LV3(最大) / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV4 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV3 / 【ダブル】LV7 / 【ロストエナジー】LV6 / 【グロリアス】LV5(最大)

●マスターより

花々実コノネ
 ※宿敵主さんのリクエストに『誰でも参加歓迎』とありました。
 観光したい人も、暴れてみたい人も、戦いたい人も、ぜひいらしてくださいね。

 舞台は獣神王朝エジプトの過去。クロノス級が作り上げたラグジュアリーな街『ジェア』。
 ②③は優雅に、①④⑤はスカッと大暴れして。楽しくお過ごしください。

 リプレイの流れは、
 ② 街で遊ぶ(散策、買い物、飲食、景観鑑賞等)。
 ③ 生贄を出す家を訪問(会話、衣装入手等)
 ① 宴をぶち毀す(前半は夜の庭園を歩いたり、未成年はジュース、成人はジュースかお酒を優雅にたしなんだり。後半は大暴れ。プレイングにはどちらか片方でも、前半後半両方を書いていただいてもどちらでも。ただし、大暴れする人がいないと、ケン・レムと戦うとき不利になります)。盛装じゃなくても入れますけど、せっかくなのでよろしければ盛装で。
 ④ 水の子を倒す。
 ⑤ ケン・レムを倒す。
 の順を考えていますが、②と③、④と⑤は入り混じるかも知れません。
 また、⑤以外の選択肢はすべて飛ばすことが可能です。
 オープニングにない不明点は宿敵主さんで決めていただいて構いません。

 小難しいこと抜きで、楽しく参りましょう。
 では、プレイングお待ちしております。
41

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ジズ・ユルドゥルム
【キュ道】
トレインを下りたら、そこはリゾート地だった。
いやはや、面妖な事件があるものだ

ふー、いい湯だった。ほう、えすて。きゅうり。美容。
…動体視力が上がったりしないのか?(従業員に聞く)
えぇ…上がるのか…すごいな改竄きゅうり。…話を盛ってないか?
まぁいい、そういうことならやろう。

私だって新宿では毎日入浴しているぞ(対抗)

ディミトラが戦士の顔をしている。強い。
確かに強く見えることも戦いでは重要だ
武器は鋭く研がなければな
絵面など些事…え、この泥も?顔に塗るのか?
顔面緑の泥、まぶたの上にきゅうり…
もしかしなくても相当愉快な状況だな??

そうだな、何か食べに行こうか。
何がいい銀シャリ。…かっぱ巻きか?


ディミトラ・ディミオス
【キュ道】
湯や水が潤沢に使えるなんて
贅沢なところですよね
異世界に迷い込んだような気分です

きゅうりパックも異世界の美容法……?
美白やシミそばかす予防に効くみたいですね
動体視力の向上まで見込めるなんて素晴らしい
やりましょう、美しさは武器になる
女の戦支度、手を抜くわけにはいきません

アロママッサージとかもしてもらいます?
サアシャさんは肌が綺麗ですし
ジズさんはスタイル抜群ですし
普段どういうケアされてるか訊いても?

絵面が愉快でも奇怪でも珍妙でも良いんです
結果が全て、手段と経過はちょっとした彩り
ほら、きゅうりの緑も綺麗ですし
銀シャリさんはお腹空いちゃったんですね
ぴかぴかになったら、ご飯食べに行きましょうか


サアシャ・マルガリタ
【キュ道】
リゾートスパ…!
ひとっ風呂浴びたあとにエステが出来るですか、わーい!
…男湯の方も賑やかです?

…きゅうりをお顔に貼り付ける…?
何ですかそのユカイな美容法は
動体視力まで。きゅうりのポテンシャル恐るべしです
ジズ、ディミトラ、覚悟はよろしいですか
なるほど女の戦支度
そうと思えば気合いが入るですね!

マッサージもいいですねぇ
普段のケア…新宿島に流れてからは毎日お風呂に入ってるです(ドヤ)
というか、お肌ならディミトラこそ白くてきれいですよーう!

なんと言うことでしょう
おふたりの美貌が匠の技により…何ですかねコレ。スリラー?
あっ、いつの間に銀シャリまできゅうり漬けに!
ダメですよ、きゅうりつまみ食いしちゃ


 パラドクストレインを下りたら、そこはリゾート地だった。
「いやはや、面妖な事件があるものだ」
 なんてちょっと眉間に皺なんて寄せてみながらも、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)の足取りは軽く、素早く見極めた良さげな場所へと向かっている。
 施設の外からでもわしゃわしゃと茂る緑が見えて、それだけでもジズの心は震えた。砂漠の中で緑がある、すなわち水が潤沢にある場所は宝なのだ。
 吸い寄せられるように施設に入るジズを追いながら、サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)は辺りを見回した。
 両側にそびえる壁に、水につかる人や、横になっている人が色鮮やかに描かれている。
「ミイラを作ってるところですかね?」
「ミイラですか……?」
 ディミトラ・ディミオス(アマルトリ・g08941)は、サアシャの指した壁画をじっくりと観察した。自分より勝手が分かっていそうな2人に行く先を任せていたのだが、ミイラにされるのもミイラを作るのも御免蒙りたい。
 何をしている場面なのだろう。ミイラ作成ではなさそうだが、壁画の人々の表情が読めなくて、判読が難しい。
 2人の会話にジズが振り返った。
「入浴の場面と、こちらはおそらく香油を塗っているところだろう」
「ほーなるほど。エジプト風の壁画だから、ミイラでも作っているのかと思いましたが、なんとリゾートスパ……! 香油ということは、ひとっ風呂浴びたあとにエステが出来るですか」
 わーい、とはしゃぐサアシャの視線の先に、浴場への入り口とその脇に控えている従業員の姿が見えてきた。

 身体を流そうと言う従業員を断って、3人は自分たちだけでゆっくりとスパに浸かった。
 緑に囲まれた中での入浴は実に爽快だ。
「湯や水が潤沢に使えるなんて、贅沢なところですよね。異世界に迷い込んだような気分です」
 水を汲み、湯を沸かす作業に手間がかかることを良く知るディミトラにとって、たっぷりの湯に浸かれるこの状態は、夢のような贅沢だ。
「異世界と言えばそうなのだろうが、こんな場所はそうそう無いな。水が尽きて生命を失うものも少なくない世界だ」
 その贅沢が許されるのは力ある者のみ。それが今回倒さねばならないクロノス級だと思えば内心複雑だが、はるばるここまで来たのだから、少しぐらい、いやたっぷりと楽しませてもらっても良いだろう。ジズがそう言うと、サアシャは「出張料金代わりですねぇ」と笑った。

「ふー、いい湯だった」
 ほっこりと湯から上がったジズたちを、待ち構えていた従業員が別室へといざなった。
 湯上りの身体のほてりをさます間に、従業員たちが髪を乾かし、梳ってくれる。
「よろしければ、この街自慢のジョアエステを体験されませんか」
「はい! サアシャやりたいです!」
 サアシャは手をあげて即答した。
「ほう、えすて……とは、どんなことをするんだ?」
「香油などを使用したマッサージや、薬草の燻蒸などいろいろございますが、最もお勧めしているのはきゅうりパックです」
 思わぬ単語に、ジズは繰り返す。
「きゅうり?」
「はい、この街で作られている特別なきゅうりを使用したパックです。スライスしたものをお顔に貼り付けることにより、様々な良い効果がもたらされるのですわ」
 従業員の返答に、サアシャはあげたままだった手をそろっと下ろす。
「……きゅうりをお顔に貼り付ける……? 何ですかそのユカイな美容法は」
「きゅうりパックが異世界の美容法……?」
 食料となるものを顔に貼ると聞き、ディミトラもやや引き気味だ。だがジズは、従業員の口にした『良い効果』が気になった。
「良い効果には何があるんだ?」
「お肌しっとり、テカリやニキビなどの肌トラブルの予防など、効果はいろいろです。強い日差しにさらされる肌は、きゅうりのうるおいを必要としているのですわ」
 すらすら出てくる説明を聞いていたジズは、ふむと考え質問する。
「動体視力が上がったりしないのか?」
「どーたい……え、ええ、ええ、もちろんです!」
「……一瞬間があったな」
「いいえ、そんなことはございませんわ。こう、お肌が引き締まれば、目もぱっちり。しっかり開いた目で見れば、どんな獲物でも狩れることでしょう」
「えぇ……上がるのか……すごいな改竄きゅうり」
 自分で質問しておきながら、ジズは感心する。
「動体視力まで。きゅうりのポテンシャル恐るべしです。ジズ、ディミトラ、覚悟はよろしいですか」
 一度下げたはずのサアシャの手は、いつの間にかまた上がっている。
「動体視力の向上まで見込めるなんて素晴らしい。やりましょう、美しさは武器になる。女の戦支度、手を抜くわけにはいきません」
 今度はディミトラも乗り気になって、サアシャを真似て手をあげた。
「なるほど女の戦支度。そうと思えば気合いが入るですね!」
 きゅうりパックが気合いを入れるものかどうかはさておいて。
「おお、ディミトラが戦士の顔をしている。確かに強く見えることも戦いでは重要だ。武器は鋭く研がなければな」
 ジズも合わせて手をあげた。

 まずは全身を香油によるアロママッサージ。
 なめらかに滑る手に、全身がほぐされてゆく感覚を堪能しながら、ディミトラが尋ねる。
「サアシャさんは肌が綺麗ですし、ジズさんはスタイル抜群ですし。普段どういうケアされてるか訊いてもよろしいですか?」
「普段のケア……新宿島に流れてからは毎日お風呂に入ってるです!」
「私だって新宿では毎日入浴しているぞ」
 ドヤ顔サアシャと、対抗ジズ。
「というか、お肌ならディミトラこそ白くてきれいですよーう!」
「私も新宿島に来てからは入浴するようになったからでしょうか」
 サアシャに答えるディミトラ。
 ……いや、この美容意識はどうなんだろう。
 その意識を目覚めさせんと、従業員はきゅうりパックに取りかかった。
 顔にきゅうりのすりおろしと薬草と泥を混ぜたパックが塗られる。そこにきゅうりの輪切りが散らされ、特に目の周りは重点的にと、輪切りで囲まれる。
「なんと言うことでしょう。おふたりの美貌が匠の技により……何ですかねコレ。スリラー?」
 笑撃のビフォーアフター。自分の顔は見えないから、サアシャは2人の様相に驚く。
 顔面緑の泥、目の周りにぐるっときゅうり。
「もしかしなくても相当愉快な状況だな??」
 ジズがはっと気づいたように言うが、ディミトラは動じていない。
「絵面が愉快でも奇怪でも珍妙でも良いんです。結果が全て、手段と経過はちょっとした彩り。ほら、きゅうりの緑も綺麗ですし」
「ディミトラ! おそろしい子!」
 その動じない様子に慄くサアシャの耳に、ポリポリという音が聞こえた。何かと見れば、サアシャ同様きゅうり漬けになったダンジョンペンギン『銀シャリ』が、手に持ったきゅうりを齧っている。
「ダメですよ、きゅうりつまみ食いしちゃ」
「銀シャリさんはお腹空いちゃったんですね。ぴかぴかになったら、ご飯食べに行きましょうか」
 きゅうり魔神顔のディミトラが、優しく声をかける。
「そうだな、何か食べに行こうか。何がいい銀シャリ」
 ジズは聞きながら、銀シャリときゅうりを眺める。銀シャリ、きゅうり、銀シャリ、きゅうり……。
「かっぱ巻きか?」
「まだきゅうりですか??」
 ――リゾートスパの思い出は、どうやらきゅうりに塗りつぶされそうだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【猫変身】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

ルーシド・アスィーム
【いい湯】
お知り合いには手を振りつつ僕も毒林檎になるべくお付き合い!いざスパへ
初めてで比較出来ませんが、確かに内装とか豪華っすねー(傍らで柱をぺたぺたする🐧)

いや待ってお二方、僕普段はちゃんと着てるし!?全裸と間違い探しレベルとか捕まるじゃん!がおがお吠えつつぴるぴる寒そうにしてるわたゆきを抱っこしてお湯へ

お、やりますか我慢比べ?負けませんよ、優勝商品は酒っしょ酒!
飛んできた飛沫にはわたゆきとダブル水鉄砲で応戦
ふふ、童心に返っちゃいますね
あれ、クーガくん顔が赤…ソレヤバいー!?ゼキさんヘルプ!(魔術で氷枕を作り)
…ってお兄さんもっすかーい!
聞き覚えのある悲鳴と相成りとってもカオスなんすが!?


クーガ・ゾハル
【いい湯】3人
スパって、すごいんだな(物珍し気にキョロキョロ)
ツヤピカのドクリンゴになれば
カミサマもイッパツKOだ

ゼキのタオル、マネできなかったから頭にのせる
ルーシドは、入る前とまちがい探しみたいだな?
すごいぞ、ゴーカで王ゾク気分だな
おう、わかった
あご先までつかって
ハネのつもりで手足を伸ばす

ねっとうブロ、テレビで見たやつだ
おう、まけないぞ
ツヤピカキングリンゴをかけてショーブだ

…って、言ったが
だんだん、ボンヤリ、してくる
ゼキ、ルーシド、わたゆき
へへ、二人(と一匹)とも、なんだかヘンだぞ
ナナイロにひかって回ってる……

他のとこからも、ききおぼえのある声――ダンマツマ?
気のせい…かな…へへ(ごぼごぼ)


ゼキ・レヴニ
【いい湯】

リゾートスパまであるなんて流石水の街
折角神の供物になるんだからよ
エステ女子達に負けん位ツヤピカの毒林檎になってやろうぜ!
(背中に濡れタオルをパァン!しつつ

フゥ、やっぱでかい風呂は気持ちいいぜ
裸の付き合いって言うしよ
無礼講で羽を伸ばそうぜ
まァルーシドはいつも裸みたいなモンだが…
ほらクーガも早く入りな
ピシリと湯を飛ばす四十児

見ろよ、変わり種の風呂もあるみたいだぜ
これは…熱湯風呂か
なァ、誰が一番長く入ってられるか勝負しねえか

風呂上りの一杯の為なら余裕余裕
何かさっき死ぬなよって言ってた奴の断末魔が聞こえんだが…ってクーガやべえ!今助ける!
ところでルーシド、おれ達何でお花畑にいるんd(ごぼごぼ


 広々とした空間に、大小さまざまな風呂がしつらえられている。
 外の乾燥した空気と真逆に、湯気が肌をうるおすようにしっとりと立ちこめ、そこにほのかな花の香が感じられる。
「これがスパか。すごいぞ、ゴーカで王ゾク気分だな」
 クーガ・ゾハル(墓守・g05079)は物珍し気にきょろきょろと周囲に目をやった。
「確かに、内装とか豪華っすねー」
 ルーシド・アスィーム(星轍・g01854)はスパに来るのが初めてだから、他と比べることが出来ない。だが、磨かれた石でできた内装に手がかかっていることは分かる。柱の手触りが気になるのか、ルーシドのダンジョンペンギン『わたゆき』は、ぺたぺたとしきりに柱を触っていた。
「リゾートスパまであるなんて流石水の街だな」
 砂漠にある街としては最高の贅沢だと、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は感心半分呆れ半分に思う。
「ま、折角神の供物になるんだからよ、エステ女子達に負けん位ツヤピカの毒林檎になってやろうぜ!」
 気合を入れるようにゼキがタオルを背中へと叩きつけると、パァン! と小気味よい音が鳴る。
「ゼキかっこいい」
 自分も、とクーガもタオルを背中に叩きつけた。パンと音はしたが、ゼキのように威勢よくは鳴ってくれない。マネが出来なかったクーガは諦めて、たたんだタオルを頭に乗せた。たしかこれがフロの流儀だ。
「ツヤピカのドクリンゴになれば、カミサマもイッパツKOだ」
「では僕も、毒林檎になるべくお付き合いといきましょう」
 わたゆき、とルーシドが呼びかけている間に、ゼキはもう湯船に浸かって深々と息を吐いていた。
「フゥ、やっぱでかい風呂は気持ちいいぜ」
 ゼキは伸びをするように身体をほぐす。
「裸の付き合いって言うしよ。無礼講で羽を伸ばそうぜ。まァルーシドはいつも裸みたいなモンだが……」
「うん。ルーシドは、入る前とまちがい探しみたいだな。いつもと1つだけちがうところはどこでしょう、ってヤツ」
「いや待って」
 普段の自分のイメージに、ルーシドが愕然とする。
「僕普段はちゃんと着てるし!? 全裸と間違い探しレベルとか捕まるじゃん!」
「ほー、あれがちゃんと着てるってのかー」
「ゼキさん、知らない人がそれ聞いたら、変態認定待ったなし……」
「ダイジョーブ。ルーシドがヘンタイでもおれはへーきだ」
「クーガくん、僕にとっては大丈夫な要素がありませんよ、それ」
 2人に反論しながら、ルーシドはぴるぴる寒そうにしているわたゆきを抱きかかえ、そっと湯船に滑り込んだ。
「ほらクーガも早く入りな」
 ピシリとゼキがクーガへと飛ばした湯の飛沫が、ルーシドとわたゆきにも降りかかる。
「わたゆき、応戦ですよ」
 ルーシドとわたゆきは、ダブル水鉄砲をゼキに浴びせ、
「負けるかっ!」
 ゼキも派手に湯を飛ばす。
「おれにもやり方おしえてくれ!」
 自分もまざろうと湯船に飛び込むクーガに、よく見ててくださいねと、ルーシドは手で水鉄砲を作る方法を教えた。
 飛び交う湯、避けようとした足が滑ってぼちゃんとあがる水飛沫。
 優雅なスパで、童心に返ってはしゃぐというのも良いものだ。
 ひとしきり遊んだあとは、のんびりといい湯に浸かる。
「クーガ、ちゃんと肩まで浸かるんだぞ」
「おう、わかった。しっかりつかってハネをのばすんだな」
 ゼキに言われたクーガは、素直にあご先まで湯に浸かると、羽のつもりで手足をぐっと伸ばした。

 十分に身体も温まったころ。
 一角で異彩を放っている湯船にゼキが目を留めた。
「見ろよ、変わり種の風呂もあるみたいだぜ。これは……熱湯風呂か」
 高温注意、の注意書きが掲げられたそこは、一応風呂の体裁だが、その実、スパのほどよい湿度を保つために熱々に沸かしているのではないかと思われる。
「なァ、誰が一番長く入ってられるか勝負しねえか」
 ただ普通に風呂に入っているだけなのもつまらないとゼキが提案すると、
「お、やりますか我慢比べ?」
 さっそくルーシドが乗ってくる。
「負けませんよ、優勝商品は酒っしょ酒!」
「ねっとうブロ、テレビで見たやつだ。おれもやる! まけないぞ。ツヤピカキングリンゴをかけてショーブだ」
 クーガもやる気だ。
「おーし、上等! せーの、でいくぜ」
 せーの、とタイミングを合わせ、3人はもうもうと湯気のあがる熱湯風呂へ入った。
 あー・っ・つい!
 だがここは我慢だ。入った瞬間はぶわっと鳥肌が立ち、焼けるような熱さを感じたが、じっとしていると自分の周囲に薄い膜が出来たかのように、やや熱さが和らぎなんとか耐えられそうに思える。
「風呂上りの一杯の為なら余裕余裕」
「ゼキさん、そんな余裕かましてたら後で後悔しますよ」
「イチバンキングになるのはおれだ」
 やせ我慢中のそこに、奥のスパにいたらしきタオタオが通りかかった。
 これからマッサージに行くのだと上機嫌なタオタオを、後から来たヴィバルスがひらっと手をあげて、お先、と追い抜いてゆく。
「待て、タオが先に選ぶんだかんな! ――逆上せんなよお前さんたち、って言うか死ぬなよ」
 3人に言い置くと、タオタオはヴィバルスより前に出ようと急ぎ足にスパを出ていった。
 その背に手を振った頃はまだ3人とも元気だった。

 ……だが。
 全身が茹でられる熱さに、クーガからはだんだん、だんだん……ぼわーっと周囲の音が遠のいていった。
「ゼキ、ルーシド、わたゆき。へへ、みーんな、なんだかヘンだぞ」
 そう言う自分の声も変に聞こえる。
「どこが変ですか? というかクーガくん、顔が真っ赤ですね」
 ぼわぼわ聞こえるルーシドの声に、クーガは答える。
「ヘン……ナナイロにひかって回ってる……」
「ソレヤバいー!? ゼキさんヘルプ!」
 そこに。
 世にも恐ろしい断末魔が聞こえた。ここにいる3人ではない、だがとても良く知る誰かの悲鳴が。
「何かさっき死ぬなよって言ってた奴の断末魔が聞こえなかったか?」
「ダンマツマ? 気のせい……かな……へへ」
 にこーっと笑いながらクーガはごぼごぼと湯に沈んだ。
「クーガやべえ! 今助ける!」
 慌ててクーガに手を差し伸べながら、ゼキはルーシドに聞く。
「ところでルーシド、おれ達何でお花畑にいるん……」
 ゼキもそのまま湯に没する。
「……ってお兄さんもっすかーい!」
 悲鳴は気になれど、こっちもそれどころではない。
 すっかり茹で上がった2人をルーシドは湯船から引っ張り上げると、大急ぎで冷やし、介抱した。
 ――勝者、ルーシド。
 だがこの勝負、勝者が最も苦労する役回りなのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV5になった!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

タオタオ・ザラ
ヴィバルス(g05064)と

なんでもアリか、歴史改竄
マ、風呂は堪能するんじゃが
同じように湯に浸かっている男性陣にひらり手を振って
……逆上せんなよお前さんたち、って言うか死ぬなよ

さて
かわい子ちゃんにマッサージとか、
イイコトしてもらおうと思ったわけですが

――何してんだこの自称英雄は!無粋!
あとなんか手違いでタオんとこに屈強な野郎が手配されてるんですがあ!?
タオは足ツボマッサージは望んでねえんだよなあ!!?

こんの脳筋!説教を始めるな!
普通喜ぶとこだろう。なに?お前の飾り?
はぁー?タオのはちゃんと使ってますぅー!
何が座布団だそこ変われヴィバルスこの野郎!!
って、いやっ、ちょっ、待て痛い痛い痛い痛い!!


ヴィバルス・リルアバード
タオタオ(g05073)と

ほう、観光地
ほう、歴史侵略者の領土で湯治
ほう、年若い娘達が来客に奉仕
ほう、ほう、ほう……なるほどなァ?

よし、正座
夜空を彩る奴ではなく罪人が膝の上に石を載せられる方な
善悪の分別も付く年頃で何をしておるのだ貴様らは
親は泣いているぞ。この為に貴様らを育てた訳ではあるまい
楽に得た栄華は同じ容易さで喪われるのだ(時間ギリギリまで説教)

あ?誰のモノが飾りだ貴様と同じにするな金メッキ
俺の王は何時なりと必要なら機能するわ馬鹿者
今必要ではないだけだ恥を知れ。と、言いたかったが、
貴様は元より痴れ者だったなあ!ははは、英雄に座布団一枚!

ま、しかし貴様以上の痴れ者は討たねばな。民が泣いている


 なんでもアリか、歴史改竄。
 高級リゾート地にスパとは。クロノス級の力をもってすれば、労働力も何もかも使い放題なのかと呆れはしたが、せっかくあるものなら堪能させてもらおうと、タオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)は広々とした風呂を楽しんだ。
 そしていざ本命。マッサージに向かおうとすると、ヴィバルス・リルアバード(不死身の英雄・g05064)もついてくる。
「ついてくんな」
「ちょうど上がりたくなっただけだ。嫌ならそのへんの風呂に頭から入っておけ」
「そんなこと言って、タオより先にカワイ子ちゃんを指名しようって腹じゃろうが」
 言い合いながら磨かれた石の上を歩いてゆくと、よく見知った顔ぶれが……どうやら熱湯風呂なぞに挑戦している様子。
「逆上せんなよお前さんたち、って言うか死ぬなよ」
 熱湯風呂に浸かっている男性陣にひらっと手を振ると、タオタオは喋っているうちに先に進まれてしまったヴィバルスを、足を速めて追い抜いた。

 マッサージルームに飛び込むと、タオタオはそこに控えていた従業員に言い放った。
「一番いいのを頼む!」
「え? は、はい。すぐに呼んで参りますので、どうぞこちらでお待ちください」
 面食らったようだが、従業員はすぐに2人をそれぞれ寝台に案内し、控えの間へと入って行った。
「はい、ナンバーワンはタオがもらいましたァ。のろまなヴィバルスくんは指くわえて見てろ」
「そもそも競ってもいない相手に噛みつくとは、まさに狂犬だな」
 寝台に腰かけて、2人がなおも言い合っていると、まず長い髪を結い上げた少女が入ってきた。アーモンド形の目はぱっちりと。薄布の衣装からは豊かなボディーラインが見て取れる。
 少女はさっと室内を見渡すと、ヴィバルスの寝台へとやってきた。そしてその後からは……ムキムキの偉丈夫が登場し、タオタオへと近づいてくる。
「待ってなんかチガウ」
 何かの手違いだと否定しようとするタオタオへと、屈強な男性はにっと白い歯をみせて親指を立ててみせた。
「足つぼナンバーワン」
「いやタオはカワイ子ちゃんにマッサージとか、イイコトしてもらおうかなと……」
 どうやら要望は間違って伝えられたらしい。
 ヴィバルスはどうしてるのかとタオタオが見やれば、そこでは。
「ほう、観光地。ほう、歴史侵略者の領土で湯治。ほう、年若い娘達が来客に奉仕。ほう、ほう、ほう……なるほどなァ?」
 ご奉仕を、とオイルを手にした少女を前に、ヴィバルスは何度もふむふむと頷き、床を指した。
「よし、正座。夜空を彩る奴ではなく罪人が膝の上に石を載せられる方な」
 きょとんとしている少女を、再度促してヴィバルスは正座させた。その前に腕組みをして立ち、始まったのはお説教タイム。
「善悪の分別も付く年頃で何をしておるのだ貴様らは。親は泣いているぞ。この為に貴様らを育てた訳ではあるまい。楽に得た栄華は同じ容易さで喪われるのだ」
(「――何してんだこの自称英雄は!」)
 なんて無粋なと、タオタオは目をむく。
「こんの脳筋! 説教を始めるな! 普通喜ぶとこだろう。なに? お前の飾り?」
「あ?」
 説教の途中でも、タオタオの煽りは聞き逃せなかったのだろう。ヴィバルスが剣呑な目でタオタオを睨む。
「誰のモノが飾りだ貴様と同じにするな金メッキ」
「はぁー? タオのはちゃんと使ってますぅー! 可哀そうな自称英雄くんの役に立たないモノとは違いますぅー」
「俺の王は何時なりと必要なら機能するわ馬鹿者めが。今必要ではないだけだ恥を知れ……と言いたいところだが、貴様は元より痴れ者だったなあ! ははは、英雄に座布団一枚!
 ヴィバルスは楽しくてたまらないように、大声で笑った。
「何が座布団だそこ代われヴィバルスこの野郎!!」
 じたじた動かしたタオタオの足が、がしっと力強く掴まれた。
「タオは足ツボマッサージは望んでねえんだよ!!?」
 反射的に引こうとした足は、逆にぐいっと伸ばされる。
「って、いやっ、ちょっ、待て痛い痛い痛い痛い!! うっぎゃああぁってええぇえーっ!」
 マッサージルームにタオタオの断末魔の叫びが響き渡った。
「おーおー、その勢いなら頭にも効くかもしれんぞ
 のたうち回るタオタオをヴィバルスは見世物を楽しむように眺め、こっそりとひとりごちる。
「ま、しかし貴様以上の痴れ者は討たねばな。……民が泣いている」
 そんな英雄らしい呟きは、タオタオの悲鳴にかき消され、誰の耳にも届きはしないのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!

ナディア・ベズヴィルド
【ヒラール】
まずは楽しみましょうテクトラムさん!
水着にぱぱっと着替えたらプールに飛び込んで浮き輪に掴まりぷかぷかと

あはは、気持ちいい。ほらテクトラムさんも早く
うん?スパの方から悲鳴が聞こえた様な…まあいいか

遊んだ後は手を繋いで街を歩く
屋台を見たり露天で珍しいものを見たりと
宴は夜…まだ時間はある
ウーパールーパーのから揚げが(一瞬ウーパー戦士のか!?と二度見。良かった違う)
ナイルマグロの串焼もあるわね
ウーパーと目を見なければ食べられるわ(もぐもぐ実食)結構美味しい
服を買うのも良いけど花が差されているお家に行って晴れ着をお借りしようと
まってテクトラムさん、それ盛装チガウ

知人と会ったら軽く手を振り挨拶


テクトラム・ギベリオ
【ヒラール】
まるで地上の楽園。これで供物や宴がなければ…。
と言いつつちゃっかり水着姿。遊び倒す気満々だ。
ナディアに誘われるままプールの方へ。
懐かしいエジプトの地、美しい水辺、悲鳴、そして水着の恋人。
様々な眩しさに思わずくらくらと…なにか混じったか?

着替えたら手を繋いで街を散策。そうだな少し腹に入れときたい。
ナディア、あれを食うのか?ウーパーのは割と姿そのままだぞ。
カラッと揚がった瞳がこちらを見ている(気がする)店主、私はナイルマグロの方で。

宴は自前の服で乗り込むつもりだったが、せっかくだし何か買うか。
(でかでかと主張するケン・レムの大きな羽織を手に取る)

知人と会ったら会釈し挨拶しよう。


 クロノス級ケン・レムの意向により、ジェアの街は一大リゾート地と化していた。
 砂漠に忽然と現れるその街はまるで地上の楽園だ。
「これで供物や宴がなければ……」
 街の人々も苦しむことはなかろうに。そう思いつつも、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)はばっちり水着姿でいる。白と紫のツートンカラーに、テクトラムの目と同じ金色の彩がポイントだ。
「それをぶち毀すのはもう少し後。まずは楽しみましょうテクトラムさん!」
 そう言って笑うナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)もすでに水着に着替え終わっている。紺地に花をあしらった水着は、露出こそ多めだがあちらこちらに結ばれたリボンもあって、可愛い印象だ。
 そのままプールまで走って行って飛び込むと、ナディアは浮き輪につかまってテクトラムを差し招いた。
「あはは、気持ちいい。ほらテクトラムさんも早く」
「そうだな。今は遊び倒そう」
 ナディアに誘われるままテクトラムはプールへと向かった。
 懐かしいエジプトの地、美しい水辺、悲鳴、そして水着の恋人。
 実に眩しい。そして実に好ましい。……おや、何か混じったか? はて、とテクトラムは首を傾げた。
 ナディアもまた、どこからか悲鳴が聞こえたような……それもなんとなく聞いたことのあるような……と周囲を見渡したが、プール周辺は平和そのものだ。
(「まあいいか」)
 2人は同時にそう思い、同時に悲鳴のことは頭から追い出して、エジプトの陽光にきらめくプールを堪能した。
 水にぷかぷか浮いてみたり、水をかけあってみたり。
 搾りたての果物ジュースを、両側から差し込んだストローで一緒に飲んでみたり。
 エジプトの空気の中、恋人と共に遊ぶ時間はまさに至福で。
 遊び疲れると着替えて、今度は手を繋いで街を歩いた。
 珍しいものも、懐かしいものも、どれも見れば心が浮き立つ。
「宴は夜……まだ時間はあるわね。何か食べても大丈夫かしら」
「そうだな。少し腹に入れときたい」
 何を食べようかと、2人は店を見て行った。新宿島でもエジプト料理を出すところはあるけれど、材料のせいか、調味料のせいか、やはり知っている味とはどこか違う。ここで懐かしい味のものを食べておきたい。
 そう思いながら店を覗いたナディアは、ぎょっとして動きを止めた。
「ウーパー戦士!?」
 思わず二度見。良かった、違う。
「ウーパールーパーのから揚げだわ。ナイルマグロの串焼もあるわね」
 ナディアの視線の先を追い、テクトラムはうっと息を呑んだ。
「ナディア、あれを食うのか? ウーパーのは割と……姿そのままだぞ」
 確かに衣はついている。だが、そのフォルムもつぶらな瞳もどう見てもウーパールーパーそのものだ。
「ウーパーと目を見なければ食べられるわ」
 ナディアはウーパールーパーのから揚げを注文すると、もぐもぐと食べた。くせのない味わいに、こりこりとした軟骨のような食感がアクセント。
「結構美味しいわ。テクトラムさんもどう?」
 ナディアに誘われ、テクトラムはちらっとから揚げに目をやった。カラッと揚がった瞳がこちらを見ている気がする。こほんと小さく咳払いすると、テクトラムは注文した。
「店主、私はナイルマグロの方で」
 渡されたナイルマグロの串焼きを齧ると、焼き目からふんわりと香ばしい匂いが立ちのぼった。

 街を歩いていると、他のディアボロスにもよく会う。この人数で1つの街に来ているのだから、それも当然か。そのたび手を振って挨拶しては、それぞれの行く先へと分かれ。
「ジズさんたちはこれからどこへ?」
 散策しているジズ、サアシャ、ディミトラを見つけ、ナディアが声をかけてみれば。
「かっぱ巻きが食べたいんだ」
「かっぱ? この街にあるのか?」
 ジズの言葉にテクトラムは、これまで見てきた店にそれらしきものはなかったなと振り返る。
「かっぱ巻きに限らず、何か食べようと思っているんです」
 ディミトラの返事に、それなら、とナディアはさきほどウーパールーパーのから揚げを食べた店を指した。
「あそこのお店、結構美味しかったわよ」
「ありがとうです。行ってみましょう!」
 嬉しそうに走ってゆくサアシャを見送ると、ナディアたちはまたふらりと街歩きに戻った。
「ナディアは宴の服はどうする?」
「私は花が差されているお家に行って晴れ着をお借りしようと思ってるわ。テクトラムさんは?」
「自前の服でと思っていたが、せっかくだし何か買うか。これはどうだろう」
 店先にかかっていた羽織物を、テクトラムは広げた。そこにはでかでかと主張するケン・レムの図柄が縫い取られていた。
「待ってテクトラムさん、それ盛装チガウ」
 止めるナディアの前でテクトラムはそれを羽織り、なかなかいいなと満足そうに眺めるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV8になった!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!

有栖川宮・永遠
幼馴染で従者の悠(g02300)と参加

エジプトの街は何度か行ったけど任務がらみでしたし。ゆっくり楽しむ機会は意外となかったかも。悠、折角なので存分に羽を伸ばしましょうか。

この国の衣装は煌びやかで良いですね。開放的で新鮮な気がします。悠は体格が良いので似合いますね。見惚れてしまうかも。

庭園も整えられてますし、池のロータスも見事なものです。庭園を見終わったら何か食べにいきましょうか。未知の食べ物を味わうのはとても楽しくて。

美味しいですね、悠。あ、ちょっと頬についてますか。食べ過ぎちゃった。悠も存分に満喫してますね。未知の世界での時間。まるで夢の国にいるみたいです。


近衛・悠
幼馴染で主人の永遠(g00976)と参加

そうだな、エジプトの街へ行ったのも情報収集だったりするしな。純粋に楽しむ機会はなかった。永遠も楽しむ気だし、うっかり発動しないよう気をつ
けつつ、満喫するか。

この国の衣装は開放的で何故か俺に馴染むな。普段と違う俺でびっくりしたか?煌びやかな永遠も意外といいもんだな。

ああ、庭園も池も見事なものだ。永遠、うっかり転倒するなよ。あ、食べ物探しにいくのか?付き合うぜ。

俺も未知の味は大好物だぜ。永遠、食べかすが頬についてる(取ってやる)ああ、まるで物語の舞台で過ごしてるようだ。折角だから存分に満喫しないとな。


 パラドクストレインを降りた有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)と近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)に、燦々と太陽が降り注ぐ。
 永遠は任務で獣神王朝エジプトを何度か訪れているが、そのときは楽しむ余裕などなかった。照りつける太陽は民を苦しめるものとなっていたし、砂漠という土地に手こずらされることもあった。
 けれどこうして改めて訪れてみると、晴れ渡った空を見上げれば気分も良いし、陽の光は明るく大地を照らしてくれている。砂漠の中の街というのも興味深い。
「これまでゆっくり楽しむ機会は意外とありませんでしたよね」
 永遠の視線を受けて、悠も同意する。
「エジプトの街へ行ったのも情報収集だったりしたから、純粋に楽しむ機会はなかったな」
「悠、折角なので今日は存分に羽を伸ばしましょうか」
 そう言う永遠が楽しむ気満々でいるのが悠には分かる。
「そうだな。この機会を満喫するか」
 宴が始まるまでは街を楽しめる。そんな機会はなかなかないだろう。
 そのために、2人は服装もそれらしく整えてきた。
「悠は体格が良いので、エジプト風の衣装も似合いますね」
「ああ。この国の衣装は開放的で何故か俺に馴染むな」
 白い腰布と派手なアクセサリーが悠の肌に映えて、確かに良く似合っている。
「普段と違う俺でびっくりしたか?」
「ええ。見惚れてしまいそうです」
 そう言う永遠も、今日は煌びやかな衣装を身に着けている。普段落ち着いた服装をしていることが多い永遠だから、鮮やかな色彩を纏った姿は華やかに悠の目に映る。
「この国の衣装は開放的で新鮮な気がします」
「煌びやかな永遠も意外といいもんだな」
 こんなに似合うとは思っていなかった、と悠は永遠の姿に目を細めた。

 活気のある街を見物しながら歩いてゆくと、自然と街の中央にある神殿へと導かれた。
 今は神殿は宴の準備のために閉ざされているけれど、その前にある庭園は散策できる。
「悠、なんて見事なロータスなんでしょう」
「ああ、庭園も池も見事なものだ。永遠、うっかり転倒するなよ」
 トルコブルーの陶片に縁どられた池も、そこに咲く花も美しいけれど、身を乗り出してロータスを見る永遠が危うく見えて、悠の意識はついつい、池よりも永遠へと向いてしまう。
 そんな悠の心配をよそに、庭園を堪能した永遠は笑顔で提案してきた。
「悠、お腹がすきませんか。何か食べにいきましょう」
「ああ、付き合うぜ」
 庭園を出て街を歩き、2人は気になったものがあると試しに食べてみた。
「未知の食べ物を味わうのはとても楽しいですね」
「俺も未知の味は大好物だぜ」
 口に合うものもそうでないものも、どれも物珍しく。
「あ、これは美味しいですね」
 嬉しそうにコシャリを食べる永遠の頬に、悠は手を伸ばした。
「永遠、頬についてる」
 言いながらコシャリの欠片を取ってやると、永遠は恥ずかしそうに頬に手を当てた。
「珍しいものいっぱいて食べ過ぎちゃいました。未知の世界での時間。まるで夢の国にいるみたいです」
「ああ、まるで物語の舞台で過ごしてるようだ」
 せっかく訪れた機会だからと、永遠と悠はエジプトの街を満喫するのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV10になった!
効果2【ガードアップ】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

サプライズ・ウメコ
良い街ですね
栄え、賑わい、活気に満ちている
……虚栄でなければ、なお良かったのですが
とはいえ、まだ時間に猶予があるというのなら
この喧騒を楽しみましょう

以前に仕事でこのような土地を訪れた際は、あまり余裕がありませんでした
信じるか信じないかはお任せしますが……あのような豪華な庭園を、俺は爆弾で吹き飛ばしたことがあるんです
……なんて、冗談 笑みを浮かべないから本気にしてしまいましたか?
ご心配なさらず 意味もなく大暴れなどはしませんから

――えぇ、理由なく戦場の下見を行うことはありません
この地に足を踏み入れた時点で、勝ちの目をひとつずつ丁寧に潰すつもりでしたので
……先の楽しみも程ほどに、次へ進みましょうか


 賑やかな街路をすたすたと。
 異国の地にあっても、サプライズ・ウメコ(塔・g05946)の歩調は変わらない。
「良い街ですね」
 そう思うのは本当。
 クロノヴェーダに支配されているとはいえ、この街の人々の表情は明るく、街は栄え、賑わい、活気に満ちている。
(「……虚栄でなければ、なお良かったのですが」)
 そう思うのも真実。
 ここはクロノス級が過去へアヴァタール級を送り込むため、都合の良いように作りあげた場所。ぱっと見ただけでは分からなくとも、彼らが犠牲を強いられていることは確か。
 とはいえ、そのクロノヴェーダが姿を現すまではまだ時間に猶予がある。ならばその間だけでも、この喧騒を楽しもう。

 美味しそうな料理、手に取りたくなるような小物、遊びたくなるような施設、目を楽しませる庭園。
 街のあちらこちらを見て回るウメコに、客慣れしている街の人々が声をかけてくる。
 どこから来たのか、楽しんでいるか、この街はどうか。
 そんなたわいもない質問に、ウメコは適当に答えを返し。そしてふと話し出す。
「以前に仕事でこのような土地を訪れた際は、あまり余裕がありませんでした。信じるか信じないかはお任せしますが……あのような豪華な庭園を、俺は爆弾で吹き飛ばしたことがあるんです」
「え……?」
 ウメコの話の内容に、街の住人は目を見開いたまま動きを止めた。
「……なんて、冗談」
「びっくりさせないでくれよ」
 住人は愛想笑いを浮かべたが、ウメコの表情は平静のまま。
「笑みを浮かべないから本気にしてしまいましたか? ご心配なさらず。意味もなく大暴れなどはしませんから」
「はは、そりゃあそうだろうとも」
 えぇとウメコは頷くと、すっかり緊張を解いた住人とわかれ、また街路を進んでゆく。
(「――えぇ、理由なく戦場の下見を行うことはありません」)
 意味無いことなどしない。この地に足を踏み入れた時点で、ウメコは既に勝ちの目をひとつずつ丁寧に潰すつもりでいた。
「……先の楽しみも程ほどに、次へ進みましょうか」
 虚栄で塗り固められたこの場所を吹き飛ばす。そのために。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV11になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!

捌碁・秋果
アドリブ歓迎 

初めてのエジプト観光。折角だしここの服に着替えてお出かけしよっと。
露出が多いのは恥ずかしいから無しで、色も地味に…。
…消去法で男物に。うん、いつものやつ。

行き先は庭園。
新宿島では見れない植物や池のロータスを端末で撮ったり。
ロータスで思い浮かぶのは大好きな印象派。
邪魔にならない所で池をスケッチできないかな?

画材はパステル。
大好きな画家に触発されて使い始めてそろそろ1年、少しは味を引き出せるようになったと思う。
水面の揺らめきを、照り返す光を描く。水色に紫や緑も使って。
あの連作はたくさん観てきたのにいざ描くと後も追えない!
ロータスそのものより、水面に映るその虚像や空に力を入れて描きます


 初めてのエジプト観光は、飛行機ではなく電車経由で。
 捌碁・秋果(見果てぬ秋・g06403)がまず悩んだのは、何を着てゆけばいいか、だった。
 街の散策に関しては、特にこうでなければならないという服装はないらしい。だがそう言われると逆に悩むものだ。
 折角だから現地で着られているような服装で歩きたいけれど。
 露出が多いのは恥ずかしいし、色もあまり鮮やかなものは気が退ける……ということで結局。
「うん、いつものやつ」
 消去法で残った男物の服を着て、秋果はジェアの街を訪れた。

 街の佇まいに心ひかれながら、秋果が向かった先は神殿の庭園。
 刈り込まれた植え込みが作り物のような模様を描いているのと対照的に、天を指す木々は自然の伸びやかさ。
 新宿島では見られない植物や池のロータスを端末で撮っているうち、秋果は自分でもこの風景を描いてみたくなった。
 ロータスといえば、秋果がまず思い浮かべるのは大好きな印象派。
 くっきりとした日差しを受けて花開くロータスを、自分なりの感覚で描いてみたい。
 邪魔にならなそうな場所を見計らうと、秋果はパステルを手に取った。
 大好きな画家に触発されて使い始めてそろそろ1年。最初は混色が困難なこの画材の扱いに迷うこともあったけれど、少しは味を引き出せるようになったと思う。
 ロータスの咲く池を見やっては、秋果はパステルからその色を探す。
 水面の揺らめき、照り返す光。水色に紫や緑も使って。
(「あの連作はたくさん観てきたのに……」)
 いざ描くと後も追えないもどかしさ。
 その先にあるものが見えそうなのに、届かない。けれどもう少しで捉えられそうな。
 秋果は華やかに開くロータスそのものよりも、水面に映るその虚像や空を描くことに力を入れて、無心にパステルを動かし続けるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV12になった!
効果2【グロリアス】LV1が発生!

ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)とエジプトデートだ~

ああ、砂漠の先に豊な緑と水の気配…
こんな景色見たら砂漠を横断する旅の疲れも吹っ飛んで
服脱ぎ散かしながら全裸ダイブしたくなる場所だー
や!ちゃんと着てるよ今は
公序良俗に反しません!
旅人時代を思い出しながら腰布付けてエトヴァと水遊びを楽しもう
新宿島の寒い冬もやっと柔らいだけど…
やっぱりこの陽射しはエジプトだなぁ~

…しかし、色白エトヴァがこんな炎天下に晒されて…心配
日焼け止め塗ろう!
そこは新宿島技術力の恩恵に与り
SPF50・PA++++のウォータープルーフで完璧
背中や手足、顔も入念にぬりぬりぬり
ヨシッ!
二人で駆け出しダイブでどっぱーんしよう
はしゃいで楽しむよ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)とオアシスデート
アドリブ歓迎

ラズの故郷の陽射しと風を浴びて、砂の香りを確かめる
そして、緑と水の気配
ラズはこの大地で暮らしていたんだなと感じる
微笑みかけて

え、脱ぐのかい
エジプトを奪還できたら、一緒にやりたいなって言ってたオアシスダイブ
ラズ……全裸はエジプトスタイルなのか
俺も腰布(シェンティ)一枚でダイブしたい
着替えて支度

眩しいな
ん? 日焼け止め?
そういえば、以前の任務で赤く焼けてたっけ
うん、塗ってもらおう
えっあっ……
くすぐったい
とあちこち塗ってもらう
ありがと
なんかスゴイな新宿島

うん、と笑って
手を引っ張って、駆けだしてダイブ!
水辺へ二人で飛び込んで
水かけあって、泳いではしゃごう


 新宿島とは違うからりとした空気は砂の香り。
 降り注ぐ陽射しは容赦なく、辺りを白く照らし出す。
 そんな中、風を受けて歩いているラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、この世界にとても似合いで。
「ラズはこの大地で暮らしていたんだな……」
 思わずつぶやいたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)に、ラズロルは振り返って笑った。
「そうだよ。暑いし砂まみれになっちゃうけど、やっぱ故郷だなーって」
 新宿島のほうがずっと便利で暮らしやすいけれど、身体を流れる記憶が、感覚が、エジプトの大地を覚えていて、ここが故郷だと呼びかけてくるようだ。
「ああ、砂漠の先に豊かな緑と水の気配がする……」
 パラドクストレインを降りた先に見えてきたジェアの街に、ラズロルの心は躍る。それもまた、緑と水の恵みを大切にしてきた記憶が揺り動かされているからか。
「こんな景色見たら砂漠を横断する旅の疲れも吹っ飛んで、服脱ぎ散かしながら全裸ダイブしたくなる場所だー」
 両腕を振り上げたラズロルに、エトヴァがえっと声をあげた。
「脱ぐのかい? ラズ……全裸はエジプトスタイルなのか」
 そのまま納得されてしまいそうで、ラズロルはぱたぱたと自分の着ているものを叩く。
「や! ちゃんと着てるよ今は。公序良俗に反しません!」
「いや、別にラズが公序良俗違反をするとは思っていないが……普段は窮屈なのかな、と」
 新宿島では、外で服を脱ぎ散らかすわけにもいかないだろうから、と言うエトヴァに、いやいやとラズロルは首を振る。
「陽射しから身を護らないといけないから、エジプトでもちゃんと服を着こんでたよ。ただ、オアシスとかを見ると、そういうの脱ぎ捨ててバーンと飛び込みたい気分になるんだよねえ」
「それなら……やろう。オアシスダイブ」
 エジプトを奪還出来たら、一緒にやりたいなって言っていた。なかなかそんな機会も来ないだろうから、この折に。
「うん、やろう。エトヴァにもあの気持ちよさを知って欲しいよ」
 2人はジェアの街に入るとすぐにオアシスを目指した。

 澄んだ水、周囲から溢れるように広がる緑。
 砂漠の街にとっての生命線となるオアシスは、水面に空の青と陽の光を映して輝いていた。
 腰布(シェンティ)一枚に着替えたエトヴァを、ラズロルは笑顔で見やった。恋人が自分の故郷の衣装を身に着けてくれるのだから、嬉しくないはずがない。しかし……。
「眩しいな……」
 揃えた指を庇にして風景を眺めているエトヴァの肌は、抜けるような白さ。こんな炎天にさらされたら、陽に焼けるどころか腫れあがってしまいそうだ。
「エトヴァ、日焼け止め塗ろう!」
「日焼け止め?」
 そういえば以前の任務で赤く焼けてたっけ、とエトヴァは思い出す。
「うん、塗ってもらおう」
「任せて。砂がつきにくいように、べたつかないタイプのを用意してきたんだ」
 しっかり準備してきた日焼け止めを手のひらに出すと、ラズロルはエトヴァの背中に塗っていった。
「えっあっ……」
 くすぐったさに、エトヴァが身をすくめる。
「動かないでねー。ムラになるといけないから」
 背中、手足、顔にも入念にぬりぬりぬり。塗り残しがないように丁寧に。
「ヨシッ! 新宿島技術力の粋、SPF50・PA++++のウォータープルーフの威力、見せてもらおう」
「ありがと。なんかスゴイな新宿島」
 エトヴァは日焼け止めを塗ってもらった腕に触れてみた。塗っただけでエジプトの太陽を退けるとは、大した技術だ
「じゃあ、二人で駆け出しダイブでどっぱーんしよう」
 ラズロルが出した手を、うんと頷いて取ったエトヴァは、先に立って走り出す。
「え? エトヴァ、速い!」
 笑いながらついてくるラズロルの手を引いて、エトヴァはオアシスまで駆け。
 タイミングをあわせて2人は地面を蹴った。
 一瞬の浮遊感。
 次の瞬間、水飛沫をあげてオアシスの中へ。
 最高のオアシスダイブ。
 水をかけあって、泳いで。お揃いの腰布姿で、2人は子どものようにはしゃぎ回った。
 オアシスの水が、エジプトの日差しを受けてきらきらと散る。
「ああ、やっぱりこの陽射しはエジプトだなぁ~」
 旅人時代を思い出しながら、けれどそのときよりもずっと幸せな気分で。
 ラズロルは久しぶりのオアシスでの水浴びを、エトヴァとともに思いっきり楽しんだのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【飛翔】がLV13になった!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV6になった!

一里塚・燐寧
いやー、まさかクロノス級をブッ殺しに行った先で暢気に街歩きとはねぇ
あたしとしちゃあ助かるけど、なんか不思議~
ま、荒事タイムまでは楽しませてもらっちゃお~っと

エジプト気分を満喫するために現地の女の子と同じような格好で散策
アーモンド入りのパンをもしゃもしゃしたり、蜂蜜入りの飲み物で喉を潤しながら歩いてくよぉ
食べ物の味はわかんない体質だけど、フンイキだけでお腹いっぱいになるねぇ!

街歩きのあとは水着姿でプールに
これは最終人類史の服だけど、お腹の傷見せたくないししょーがない
夜が来るまでサンサンの太陽と燃えるような夕焼けを楽しみながら、泳いだり昼寝したりするよぉ
ふー、今日はこれで解散……とはいかないよねぇ


ネリリ・ラヴラン
戦いや復興の間は、とてものんびりとはできなかったし
ひと時でも観光を楽しめるのなら万々歳ね

わたしの見て来たエジプトにある多くの街とは
似つかぬ華やかな雰囲気を眺め歩けば
見て来たものもまた一つの側面でしかないのかなとも思えるね

衣裳は現地に合わせてみるけれど正直解らないからある程度曖昧に!
観光地ならそれでも馴染みそうだしね

お店で買い食いとかしながら庭園辺りを目指してみようかな
賑やかなのも楽しいけれど、最後は静かな場所でお空を見上げてみたいわ

口にするエジプト風の味付けに
立ち寄った事のある街々を思い起こしながら
ちょっぴり感傷に浸ってみたりっ

さてと、この素敵な国を残らず取り戻してあげなくちゃね!

アドリブ歓迎


 獣神王朝エジプトには何度も来て、クロノヴェーダと戦い、あるいは復興の手伝いをした。そのときにはとてものんびりとは出来なかったけれど。
「ひとときでも観光を楽しめる機会があるなんて、万々歳ね」
 ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)はそう言って、街の様子を興味深く見回した。
 全体的に高級感が漂う街は、ネリリの知るエジプトにあった多くの街とは似つかぬ華やかさで。それでもこの空気も街の造りも、どこか懐かしく、やっぱりエジプトなのだとも感じる。
「わたしが見てきたものも、この世界の一つの側面でしかなかったのかな」
 多くを見てきたように思うけれど、見てこなかったほうが圧倒的に多いのだろう。いくつもの側面が重なって作り上げていたひとつの世界を、ネリリは思う。
「いやー、まさかクロノス級をブッ殺しに来た先で暢気に街歩きとはねぇ」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)もまた、ジェアの街の佇まいに違和感と懐かしさを同時に味わっていた。
 ゆっくりと街歩きができるのは助かるけれど、なんだか不思議だ。でもまあ、このあとに荒事タイムが控えているのはこれまでと同じ。ならばそれが始まるまでこの状況を楽しませてもらっても良いだろう。
「わたしの服装だいじょうぶかな? 一応それらしい恰好をしてきたつもりだけど……」
 リゾート向けのワンピースの裾をネリリは心配そうにつまんだ。これなら、と思って選んだ服装だけれど、いざ現地の人の間に入るとどこか違うように感じてしまう。
「燐寧ちゃんはさすが、これぞエジプトって感じね」
 現地の女の子たちと同じような恰好の燐寧にネリリは感心する。
「ん~、もし気になるならお店で買うこともできるけど、ネリリちゃんの服装で問題ないと思うよー。観光客っぽい人たちは全然違う恰好だし、そもそもこの街自体いろいろ混ざってるみたいだからさ」
「そう? ならこのままいくわ。お気に入りのワンピースなの」
「どーりで似合ってると思ったよー」
 そんな会話をしながら、街路を散策する。
 観光に訪れる人のためか、店先で食べられるようになっていたり、食べ歩きできるようなものを売っていたりする店が目に付く。
 いらっしゃいと誘われるままに、2人はアーモンド入りのパンや蜂蜜入りの飲み物を購入した。
「このパン、ちょっとぱさぱさするけど美味しいわ」
「アーモンドのプチプチした食感ってたのしーよね」
 パンをもしゃもしゃ頬張って。
「蜂蜜の甘さって自然でいいわよね」
「うん。喉をしっとり潤してくれるカンジがする」
 ネリリはエジプトならではの味を、燐寧はその雰囲気をたっぷりと味わって散策すると、途中で分かれた。

 燐寧はそこからスパに併設された屋外プールへと向かった。
「風情には欠けるかもだけど……」
 お腹の傷が隠れる最終人類史の水着に着替えると、燐寧はプールで泳いだり、木陰で昼寝をしたりと、気の向くままに過ごした。
 燦々の太陽から燃えるような夕焼けまでを、じっくりと味わって。
 このまま今日は解散、だったらほんとのリゾート気分だけれど。
「……とはいかないよねぇ」
 暮れ始めた空を見上げると、燐寧はプールサイドのベンチから腰をあげた。

 一方ネリリは、ぶらぶらと歩いて神殿前の庭園へと。
 宴が始まる前の庭園は、明るい陽光に池がきらめき、緑が輝き、ため息が漏れるほどに美しい。
 ネリリは庭園の中でも奥まった、静かなベンチに座ると空を見上げた。
 澄んだ青空は、ここには何も悪いことなど起きません、と言わんばかりだけれど、そうでないことをネリリは知っている。
 空を見上げたまま、ネリリは街で買い求めたターメイヤを食べた。
 エジプト風の料理に、獣神王朝エジプトで訪れた街々のことが思い出される。どの街の人たちも皆、懸命に生きようとしていた。今頃あの場所はどうなっているのだろう。
 ちょっぴり感傷に浸ったあとは。
「さてと、この素敵な国を残らず取り戻してあげなくちゃね!」
 思いも新たに、ネリリは庭園のベンチから立ち上がったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV14になった!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!

クィト・メリトモナカアイス
んんんんんー……懐かしい!
んむー。今日はたくさん遊ぶ。
宴の前だしまずはいつもの服装。
買い食いをするのだ。

モナカアイス……はもちろんないけれど。
今日はそれでよし。
パンを片手に色んな店を見て回る。
今日は何が採れてるかな……?
我は良い子なので好き嫌いせぬ子。
採れた野菜や果物、お魚などとパンで前は食べてたいつもの食事を庭園でのんびりと。

父上と母上とついでに愚弟にはまだ会えぬけれど。
たまの里帰りは良いもの。

……でも食べ過ぎないようにせねば。宴が近いんだった。

我には分からぬことがある。
あの世界で暮らしていた人があの後どうなったのか。
分からぬけれど。こんな風に過ごしてくれていると嬉しい。


 控えめに言って、モナカアイスは神だと思う。
 新宿島に流れ着いて運命的に巡り合ったモナカアイスは、ひんやり冷たくて、甘くて。手で持てて簡単に食べられる。
 同じく新宿島で知ったハイテク焼き窯……オーブントースターに入れてほんのちょっと焼いたりなんかすれば、皮はぱりぱり中のアイスは外側だけがほんのり溶けて至高の味わい。
 だが、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が今いるのは、古代エジプトの地。
 太陽はじりじり照りつけてくるし、乾いた風は暑いし、どこからか砂がまとわりついてくるし、もちろんモナカアイスもない。
 けれど。
「んむ、それでよし!」
 いつもの服装で、ふらっと歩く街は過去を思い起こさせる懐かしさ。そんな今日は、冷房の効いた部屋もモナカアイスもないこの地を味わいたい。
 まずはパンを手に入れて、それを片手にいろいろな店を見て回る。
 おおぶりのパンから立ちのぼるのは、現代の小麦粉では出せない香りだ。
「今日は何が採れてるかな……?」
 とれたてだというラテスを揚げてもらい、豆の煮たもの、果物など、以前食べていたようなものをクィトは好き嫌いなく買い込んだ。
 買い込んだものは庭園にしつられられたテーブルの上に並べて、お食事タイム。
 今はもう遠くなってしまった、『いつもの食事』をのんびり楽しめる貴重な機会でもあるし、宴の食べ物は呪詛入りというから、始まる前にちょっと腹ごしらえ。
「んむー……おいしい」
 たまの里帰りは良いものだ。
 ……あの頃と違い、テーブルの上に伸ばす手は自分のものだけしかないけれど、
(「父上と母上とついでに愚弟……」)
 改竄された歴史は最終人類史に取り戻された。その後、あの世界で暮らしていた人々はどうなったのだろうかとクィトは考える。
 会いたい。けれど会えないならばせめて。
 クィトはナツメヤシの実を口に放り込み、噛み締める。
 せめて――こんなこんな風に過ごしてくれていますように、と。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV15になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!

カイス・ライル
【うーぱー】
俺のいたところは、これほど美しくはなかったが
そうだな、空だけは同じだ
彗藍が気に入ったなら、来て良かったと思う
蒼蓮の池の畔に立つふたりを想像すれば、思わず頬が緩む
でも、まずはウーパー……落差がひどい

ウーパーというと、どうしても戦士の姿がちらつく
……見事に姿揚げだな
大丈夫か、彗藍。無理はするな
ケペシュは優しいから、やはり抵抗があるか?
俺は、別に気にならないから、頭から行く
調理されているだけで、御馳走だから
魚みたいな味がするな、骨の食感が面白い

七色の飲み物は、七つの味がするんだろうか
水が綺麗だから、ケペシュの好きなソーダ水も、美味しいかもしれない
彗藍の好きな物も、教えてくれると嬉しい


朔・彗藍
【うーぱー】

此処がお二人の故郷の空、綺麗
はい、夜はもっと素敵になるみたいで楽しみ
何処かでケペシュが好きなロータスの花も見れたらいいな

ウーパーさんの…から揚げ……だ、大丈夫です
私も気になりますし思い切って食べましょう!
頂きま……(粒らな目と目が合う)
水族館で見たままのこんがりウーパーさんです、すごい
正面からは胸が痛いですね……
目を合わせぬように……では尻尾からがぶりといくのです
んむ、おいしーですー!さくさく!
カイスは豪快に頭から!お味どうですか!
ふふ、癖になっちゃうかも

七色に光るフルーツジュースもありますね
何味なんでしょう?
ケペシュ、ソーダもあるかもですよ!
勿論、カイスの好きな物も教えて下さいね


ケペシュ・ナージャ
【うーぱー】

懐かしいな、この景色
この国で生きていた頃を思い出します
カイスも同じ出身でしたっけ
彗にも故郷の空を見せられて良かった
ええ、ブルーロータスもきっと何処かで見られますよ
まずは噂のウーパールーパーの唐揚げを求め、いざ

これは、想像していたよりもだいぶウーパーですね…
確かにウーパーというと戦士の姿がチラつく
カイスも彗も大丈夫ですか…と、心配は無用でしたか
彗もなかなかチャレンジャーですよね
ん、頭からとは豪快な。俺もカイスの豪快さを見習って頭から
…あ、味は良い
歯応えがあるんですね

七色のジュースとは珍しい
色んな味が混ざり合って美味いですね
それはいい、いつか古代の水でソーダ水を作ってみたいもんです


 新宿島とは違う力強い日差し。 乾いた風。どこまでも続く砂の大地。
 その景色にケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)の口から自然と、懐かしいなと言葉が漏れる。
「この国で生きていた頃を思い出します。カイスも同じ出身でしたっけ」
「ああ。とはいえ俺のいたところは、これほど美しくはなかったが……」
 整然と並ぶ家々と、美しく金彩のほどこされた施設は、カイス・ライル(屍負い・g06804)の知るエジプトとはずいぶん異なる。だが、と見上げたそこには懐かしい色。
「そうだな、空だけは同じだ」
 カイスと視線の方向を合わせ、朔・彗藍(ベガ・g00192)も空を見上げた。青い空に、刷いたような雲が光を受けて白く輝いている。
「此処がお二人の故郷の空……綺麗」
 感嘆の息を漏らす彗藍に、故郷の空を見せられたことをケペシュは嬉しく思った。
「彗藍が気に入ったなら、来て良かった」
 この空は新宿島にはないからと言うカイスに、彗藍ははいと両手を胸の前で組み合わせた。
「夜はもっと素敵になるみたいで楽しみ。何処かでケペシュが好きなロータスの花も見れたらいいな」
「ええ、ブルーロータスもきっと何処かで見られますよ」
 そんな会話を交わす彗藍とケペシュが蒼蓮の池の畔に立つ姿を想像し、どんなにか似合いだろうとカイスの頬は思わず緩む。けれど、
「まずは噂のウーパールーパーのから揚げを求めるとしましょう」
 それに続いたケペシュの言葉は、その幻想をがらがらと壊すもので。
「……落差がひどい」
 美しき立ち姿と、ウーパールーパーの正面からの顔が脳裏で重なり、カイスはくらりと眩暈をおぼえた。

 街の人に聞いてみれば、ウーパールーパーのから揚げを売る店はすぐに見つけられた。
 注文すれば二つ返事で揚げたてを用意してくれる。
 じゅわじゅわと揚げる音を聞きながら待つことしばし。
「ウーパーというと、どうしても戦士の姿がちらつくな」
 あの仕上がってる戦士たち……とカイスは相まみえたことのあるウーパー戦士のことを思い出す。
「確かに……かなりちらつきますね」
 敵であってもあのつぶらな瞳は直視しがたかった、とケペシュも振り返る。そもそもその戦いのときにルーシドから、ウーパールーパーは白身魚みたいな味で、から揚げが美味しいらしいと聞いたのだった。
 そこに、でん、と皿が置かれた。
「おまちどうさま!」
 ウーパールーパーのから揚げ参上!
「これは、想像していたよりもだいぶウーパーですね……」
 ケペシュはそっと皿の上のモノから視線を外す。
「見事に素揚げだな」
 衣はついているが、形はしっかりと見分けられる。何よりも、衣から透けて見える黒々としたつぶらな瞳……。
「ウーパーさんの……から揚げ……」
 彗藍が呆然と呟く。
「大丈夫か、彗藍。無理はするな」
 カイスから掛けられたいたわりの声に、彗藍ははっと気を取り直した。
「だ、大丈夫です。私も気になりますし思い切って食べましょう!」
 食べるのには勇気が要るが、ここで食べておかないと後悔する気がする。
「頂きま……」
 ウーパールーパーのから揚げと目があってしまって、彗藍の伸ばしかけた手がぴたりと止まった。
「水族館で見たままのこんがりウーパーさんです、すごい……」
 今にもこちらに、ウパ、と挨拶でもしてきそうで、正面から向き合うのは胸が痛い。目を合わせぬように、彗藍は皿をくるーっと回し、尻尾から……かぷり。
 ん、んん、んんん……。
「んむ、おいしーですー! さくさく!」
 さくさくした衣、その中の身はふんわり。白身魚のようなさっぱりした味わいに、彗藍の顔はにこにこと。
「ケペシュは優しいから、やはり抵抗があるか? 俺は、別に気にならないから、頭から行こう」
 カイスにとって、調理されているものはそれだけでご馳走だ。有難く、頭から丸かじりする。
「豪快に頭から! カイス、お味どうですか!」
 興味津々に聞いてくる彗藍に、ふむ、とカイスは答える。
「魚みたいな味がするな。このこりこりとしたのは骨か? 食感が面白い」
「美味しいですよね」
 二口、三口……食べ進めるごとに抵抗はなくなってゆく。
「カイスも彗も大丈夫……なようですね。心配は無用でしたか。彗はなかなかチャレンジャーですよね」
 これは自分も挑戦せざるを得ないと、ケペシュはウーパールーパーのから揚げを掴んだ。ここは、カイスの豪快さを見習って頭から。
 か・ぷ。
「……あ、味は良い。歯応えがあるんですね」
「ふふ、癖になっちゃうかもですね」
 食べ物らしい味がしたことにほっとするケペシュに、彗藍がいたずらっぽく微笑みかけた。

 無事、ウーパールーパーのから揚げを完食した3人は、再び街を歩いた。
 物珍しいものは、ウーパールーパー以外にもいろいろだ。
「七色に光るフルーツジュースがあります。何味なんでしょう?」
 きれいな七層になったジュースを見つけ、彗藍が指さす。
「これは珍しい。それに綺麗ですね」
「七つの味がするんだろうか……」
 興味の向くままに3人はフルーツジュースを飲んでみる。
「かき混ぜないようにして飲むんだよ」
 店の人に言われて、そっと口をつけると飲むうちに味が変化してゆく。
「色んな味が混ざり合って美味いですね」
 ケペシュが褒めると、店員は嬉しそうな顔で味の組み合わせについて、滔々と語ってくれた。
「オアシスの水を使っているんだろうか。水が綺麗だから、ここで飲めたらケペシュの好きなソーダ水も、美味しいかもしれないな」
 カイスに言われ、ケペシュもそれはいいと同意する。
「いつか古代の水でソーダ水を作ってみたいもんです」
「ケペシュ、ソーダもあるかもですよ!」
 探してみましょう、と彗藍は店々をのぞき込んでゆく。
「彗藍の好きな物も、教えてくれると嬉しい」
 そうしたらそれも一緒に探せるからというカイスに、彗藍は勿論、と頷いた。
「カイスの好きな物も教えて下さいね」
 みんなの好きなものを捜し歩いたら、それが見つかっても見つからなくてもきっと楽しい。
 3人は店をひとつひとつ確かめながら、ジェアの街を散策するのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV17になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV7になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!

アリア・パーハーツ
【狂瀾怒濤】
おお、賑わってる
美味しそうな匂いもするし楽しそうな気配も沢山!
とりあえず楽しむのだぜ
デートだもん

待ってなんか悲鳴聞こえたんだけど

あ、蛇のエステだって
オイル塗って、蛇を乗っけて、…血行良くなる、とな
え、めちゃやりたい

んふ、ふふふ、くすぐったい!
冷たくてきもちぃ
……フェオの子使えばいつでも出来るのでは(ハッと閃いたように)
なにそれ可愛いんだけど

(知人を見つければ手を振ってご挨拶)

……え、
ウーパー食べてる人いる
ねえフェオあれって食べていいやつなの??
エジプトじゃ食べるの?まじで?

…たじんら、…なぁにそれ
あれかな、美味しそうなにおいするー食べる!
ラム肉の串焼きも食べたい、かぶりついちゃえ


フェオ・アンスール
【狂瀾怒濤】
クロノヴェーダがある所、煌びやかな所あり
看過する事は出来ぬがこの食欲そそる香ばしい香りは抗いがたい

エジプトで蛇エステ
俺の知らない商材だな
奇をてらい過ぎていないか…?

やるのか?本気か?
やると言うのなら止めはすまい

悲鳴?
…ああ、尊い犠牲が払われたのか
俺はやらんぞ蛇エステ
蛇は使い魔だけで間に合っている
…俺の蛇、背中に乗ってもくうくう寝てるだけだと思うぞ

アリアは美容に強い関心があるか
俺もその方面で何か探してみる価値がありそうだな

火を通してからになるが、食えるらしいぞ?
あまり食用に向いているとは言えないだろうが…
それよりもタジンラハマが喰いたくなる…
マトンのトマト煮と言ったらわかるだろうか?


「おお、賑わってる」
 活気のあるジェアの街に、アリア・パーハーツ(狂酔・g00278)が嬉しそうな声をあげた。
 こざっぱりとした家々と、豪華な施設が並ぶ街路を、人々が行き来している。
 歩けば、おいしそうな匂いが鼻腔をくすぐり、いかがですかと店員が声をかけてくる。
「クロノヴェーダがある所、煌びやかな所あり、か」
 この活気が、純粋に人々によって築かれたものでないことを知るフェオ・アンスール(狂飆・g04703)の言葉は苦い。いかに住民が一見幸せそうに見えたとしても、この状態を看過することはできない……が。
「この食欲そそる香ばしい香りは抗いがたい」
 食べ物に罪は無い、と言ってしまいたくなるのも事実。それに、
「とりあえず楽しむのだぜ。デートだもん」
 ほにゃっとしたアリアの笑顔を向けられてしまったら、抗えるはずもない。倒すべきクロノヴェーダは宴の時間まで街に戻ってこないとのことだったし。
「デート……そうだな。楽しむか」
 フェオが答えたその言葉に重なって……断末魔のごとき叫びが聞こえた。
「待ってなんか悲鳴聞こえたんだけど」
 アリアが反射的に見ればそこは、スパ施設。
「……ああ、尊い犠牲が払われたのか」
「犠牲?」
「気にしなくても良い。捨て置け」
「そう? じゃあ気にしなーい」
 優先すべきは楽しいデート。悲鳴のことは忘れて街を見渡したアリアは、興味を惹かれる店を見つけた。
「あ、蛇のエステだって」
 呼び込みをしている人に、どんなものかを聞いてみると、オイルを塗ったうえに蛇を乗せることにより、血行促進や癒し効果があるのだという。
「俺の知らない商材だな。奇をてらい過ぎていないか……?」
 聞いたことがないと警戒するフェオと逆に、アリアは大乗り気だ。
「え、めちゃやりたい」
「やるのか? 本気か?」
「うん。面白そう」
 アリアがやりたいと言うのなら、とフェオはアリアについてエステ店へと入って行った。
 さっそく横になり、オイルをたっぷりと縫ってもらったアリアの背に両手で円を作ったほどの太さの蛇が2匹乗せられた。蛇はアリアの背を這い、身体を巻きつけ、うねうね動く。
「んふ、ふふふ、くすぐったい! 冷たくてきもちぃ」
 蛇の重みがほどよい圧迫を与え、マッサージ効果をもたらす。ひんやりすべすべ、ひんやりさらさら。触感の異なる2匹の蛇の動きに、アリアは気持ち良さそうに目を閉じた。
「アリアは美容に強い関心があるか。俺もその方面で何か探してみる価値がありそうだな」
「フェオも体験してみる?」
「俺はやらんぞ。蛇は使い魔だけで間に合っている」
 フェオの返事に、アリアははっと閃いた。
「フェオの子使えばいつでも蛇エステ出来る!?」
「……俺の蛇、背中に乗ってもくうくう寝てるだけだと思うぞ」
 勤勉に動き回ったりすまいというフェオに、アリアは背中で眠りこける蛇を想像する。
「なにそれ可愛いんだけど」
 マッサージはともかく、リラックス効果は抜群にありそうだ。
「ボク様専用背乗り蛇になってもらおっかなー」
「いやそれだとアリアが蛇専用ベッドにされそうだ」
 エステにはなりそうもないというフェオに、アリアは喉を鳴らすように笑った。

 エステが終われば、今度は食べ歩き。
 美味しそうなものいろいろで、どれを食べようか迷ってしまう。
「……え、ウーパー食べてる人いる。ねえフェオあれって食べていいやつなの??」
 愛玩動物ではないのかと驚くアリアに、フェオが説明する。
「火を通してからになるが、食えるらしいぞ? 見た目そのままの状態だから、あまり食用に向いているとは言えないだろうが……」
 あれを食べるのには勇気が必要だろう、なんて言っていると、その店先でナディアとテクトラムが足を止めるのが見えた。
「ナディアさん買うの?? まじで? 買った! 食べた!」
 デートを邪魔しないように声はかけずにおいたが、ウーパールーパーのから揚げを食べる様子を、アリアは遠目からしっかりと見守る。
「あれが何を食べても俺は驚かん。それよりもタジンラハマが喰いたいな」
「……たじんら、……なぁにそれ」
「マトンのトマト煮と言ったらわかるだろうか?」
「マトン、トマト、トマトマトン……」
 アリアは街路に並ぶ店を順に覗き、
「あれかな、美味しそうなにおいするー」
 それらしき店を見つけて走ってゆく。
「フェオが食べたいのこれかなー? あ、ラム肉の串焼き食べたい!」
 大ぶりのラム肉が刺さった串を購入すると、アリアはぱくっとかぶりついた。
 外はカリカリ中はジューシー。
「うーまーいーぞー!」
 アリアが振り上げる串を指し、フェオも注文する。
「俺もこれを1本くれ。それとタジンラハマを」
 焼きたての香ばしい肉を頬張り、気になるものを片っ端から試してみながら、2人はジェアの街を楽しんだのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV18になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!
【ロストエナジー】LV1が発生!

咲樂・祇伐
❀鴉とお嬢

綺麗な街ですね
私のお世話をしてくれる頼もしい幼馴染のカラスくんは元気で賑やか
心を和ませてくれます
では初エジプトのカラスくんにエスコートをお願いしちゃう

スパ?
少し気恥しい…けど
一緒にいるのはカラスくんだもの!
カップル向けとか見えた気がしますが…カラスくんですから!
いいですよと二つ返事

並んでマッサージやエステを受けるの
ふゃ〜
疲れが解けていくよう…
肌に塗るのもいい香りがするし
見慣れた野菜を貼るなんて…わくわくするわ
はたと見遣ればぐーすか眠る幼馴染が

いつも護衛お疲れ様です、なんて心の中で唱えて

ふふふ!
お肌もつやつやリフレッシュ!
カラスくんももちもちですね
え?…それは…神のみぞ知ることですね?


帷・カラス
𓄿鴉とお嬢

綺麗な街があったもんだぜ!
お手をどうぞ、お嬢様?
淑女はしっかりエスコートしねぇとな

主の大事な娘で小さい頃から世話してて
俺にとっては幼馴染みたいな存在が嬢ちゃんだ
異国の地を並んで歩くだけでも楽しい
見るのも全部が目新しい
何せエジプト初来訪だ

嬢ちゃん、スパにいってみようぜ
男女共用でエステもできるそうだ
日頃の疲れを流してリフレッシュしよう

勿論エステなんで初めてだけど
可愛い嬢ちゃんがますます可愛くなるな
ペタペタなんか塗られて…え?な、え?その野菜みたいの
貼る?よく分からないがマッサージも心地よく…ついつい爆睡だ

はっ!

お肌ツルツルだ嬢ちゃん、すごく綺麗だよ
こりゃあ……お嫁になんてやりたくないな


 砂漠の中に忽然と現れる緑溢れる街。
 ようこそと来訪者たちを迎え入れるようなジェアの街は、街路も建物も計算しつくされたように洗練されていた。
「これがエジプトか。綺麗な街があったもんだぜ!」
 エジプト初来訪の帷・カラス(神遣・g08316)は初めて見る異国の地に目を奪われる。
「これまで見た古代エジプトと比べても、この街は綺麗です」
 咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)は透明感のある赤い瞳で街と、頼もしい幼馴染のカラスを眺め、おっとりと微笑んだ。人々が生き生きとしている街も、元気で賑やかなカラスも、どちらも祇伐の心を和ませてくれる。
「お手をどうぞ、お嬢様?」
 カラスはすっと祇伐へと手を差し伸べた。
「淑女はしっかりエスコートしねぇとな」
「では、初エジプトのカラスくんにエスコートをお願いしちゃいましょう」
 祇伐がカラスの手に自分の手を重ねると、カラスはその手を大切に握りこんだ。
 カラスにとって祇伐は、主の大事な娘であり、小さい頃から世話している幼馴染のような存在だ。そんな祇伐とともに歩く街は、何もかも目新しく、興味が尽きない。
 店先の小物を覗き、珍しい食べ物が売られているのに目を向けながら、2人は街をそぞろ歩いた。すれ違う街の人々は来訪する旅人に慣れているため、2人に対してもにこやかに接してくる。
 そんな街の住人にお勧めの場所を聞いて、カラスは祇伐を誘った。
「嬢ちゃん、スパにいってみようぜ」
「スパ、ですか?」
「男女共用でエステが出来る場所があるそうだ。日頃の疲れを流してリフレッシュしよう」
 カラスが示す先には、緑が茂る施設があった。
 正直、スパとかエステと聞くと、少し気恥ずかしい……けれど。
「いいですよ」
 と祇伐は二つ返事する。
(「一緒にいるのはカラスくんだもの!」)
 幼いころから傍にいるカラスと一緒なんだから、気にする必要はない。
「カップルさんに好評なんだよ」
 街の人がやたらとにこにこしているけれど……祇伐は、カラスくんですから! のひと言で気恥ずかしさを払拭して、スパへと向かった。

 エステが出来る場所は、男性用、女性用、男女共用、の3つに分かれており、祇伐とカラスは男女共用のスペースに入った。
「お連れ様と離れるのを不安に思う方もいらっしゃいますから」
 2つ並んだ石のベッドに寝転ぶと、良い匂いのする香油が垂らされ、熟練の腕がゆるりとそれを伸ばしながら、全身をマッサージしてくれる。
「ふゃ〜。疲れが解けていくよう……」
 祇伐は夢見心地に息を吐く。
 勿論エステなんて初めてのカラスは、ベタベタした油を塗られて一体何が始まるのだろうと思っていたけれど、絶妙な力加減のマッサージはかなり気持ちが良い。
「ジェアの街特製のきゅうりパックはいかがでしょうか」
「きゅうり……あのきゅうりですか?」
 驚く祇伐に、従業員はええと頷く。
「輪切りにしたものと、すりおろして薬草入りの泥に混ぜたものとで、パックをします。お肌に良い美容成分をたくさん含んでいるんですよ」
「お願いします」
 きゅうりを貼るだなんて経験に、祇伐はわくわくする。
「嬢ちゃんがするなら俺も」
 良く分からないまま、カラスも頷いた。
「お肌に良い、か。可愛い嬢ちゃんがますます可愛くなるな」
「ふふ、そうだと良いですけど」
 そんな会話をしているうちに、カラスはとろとろと睡魔に誘われる。リラックス効果のあるという香のせいか、それともゆっくりと繰り返されるマッサージのせいか。
「あら、カラスくん……?」
 すっかり爆睡したカラスに気付いた祇伐は、心の中で、
(「いつも護衛お疲れ様です」)
 なんて唱えるのだった。

「お疲れさまでした」
 従業員からかけられた声に、カラスははっと目覚めた。隣を見れば、白い肌にほんのり血色が差した祇伐が、ベッドから起き上がってこちらを見ている。
「お肌ツルツルだ嬢ちゃん、すごく綺麗だよ」
 自分も起き上がってカラスが褒めると、祇伐は嬉しそうに自分の頬に手を当てた。
「ふふふ! お肌もつやつやリフレッシュ! カラスくんももちもちですね」
 これぞジェアの街特製きゅうりパックの威力。
「こりゃあ……お嫁になんてやりたくないな」
 カラスはついそう呟いた。
「え? それは……神のみぞ知ることですね?」
 祇伐はまばたいてから、ちょっと視線を上向けた。

 いつかそんなときが来るのかもしれないけれど、今はまだこの状態を楽しんでいよう。
 Only God knows.その刻がくるまでは。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【飛翔】がLV19になった!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!

マティアス・シュトローマー
【チーム世直し】

俺達の目的はあくまでクロノヴェーダの撃破だからね
こうして街に溶け込むのも重要な任務のひとつって訳!

手には鮮やかな花で飾られたアイスクリームに、カットフルーツが添えられたドリンク
楽しく観光しているように見せ掛けつつ、戸口に花が差された家に目星を付けていく…のが狙い
弾む声と軽い足取りはきっと気のせい

ラトのアイスティーもいいなー!
俺のと少し交換して
…もらう前より顔が熱いのも絶対気のせい

それじゃ、そろそろ潜入用の晴れ着も調達しようか
俺は入れ替わる先で貸してもらうからいいとして
ラトはどんなのが好き?

っ脚…!?
変じゃないし、寧ろ神に感謝というか…
綺麗――

今の悲鳴は…タオ?
くっ、先を急ごう!


ラト・ラ
【チーム世直し】

なるほど
基礎となる偵察も重要…ということですね
カップの縁に添えられたレモンを
琥珀色のアイスティーに絞り入れながら
こくりと神妙に頷く
…マティアスは少し買いすぎじゃない?
交換の提案に一口飲んでから差し出して
なんだか顔が赤い気がする、と
額に手を伸ばしてみたり

気候のせいでしょうけど
衣装が開放的というか…
もっと落ち着いた晴れ着はないかしら…?
戸惑いつつ選んだのは白を基調としたもの
ホルターネックになるように首裏でパレオを結んで
胸元と腹部の露出は回避
脚――…はこの際仕方ないでしょう
どうかしら?変じゃない?

無事に衣装を調達し終えたところで轟く悲鳴
何事ですか?
聞き覚えのある声に彼と共に走り出す


 マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)とラト・ラ(*☽・g00020)は、ジェアの街を観光客のように巡り歩いた。
 呼び込みをする人に話しかけ、気になるものがあれば買い求め。
 今は店先に置かれたテーブルセットにゆったりとつき、優雅にドリンクを楽しんでいる。
「なんだかすっかり楽しんでしまっていますね」
 いいのでしょうかと言うラトに、もちろんとマティアスは答えた。
「俺達の目的はあくまでクロノヴェーダの撃破だからね。こうして街に溶け込むのも重要な任務のひとつって訳!」
 マティアスの手にあるドリンクは、鮮やかな花で飾られたクリームに、瑞々しいカットフルーツが添えられている。
「なるほど。基礎となる偵察も重要……ということですね」
 こくりと神妙に頷きながら、ラトはカップの縁に添えられたレモンを琥珀色のアイスティーに絞り入れた。緑色のレモンからは、果汁とともにしゅわっと香気が散り、ラトはその香をしばし楽しむ。
 実際、2人は楽しく観光しているように見せ掛けつつ、戸口に花が差された家に目星を付けていたのだった。今夜の生贄を出さねばならない家の目印となる花は、残酷なほどにあでやかに、戸口でその存在を主張しており、前を通りかかればいやでも目に付いた。
「そうだとしても……マティアスは少し買いすぎじゃない?」
 ラトの視線が、マティアスが買い込んだ物品に向けられる。
「きっと気のせいだよ」
 マティアスの声が弾んでいるのも、街を歩く足取りが軽かったのも、ただの気のせい……うん、きっと、たぶん。
「ラトのアイスティーいいなー! ここまでレモンの匂いが届いてるよ。飲んでみたいから、俺のと少し交換して」
「はい。美味しいですよ」
 ラトはアイスティーを一口飲んでから、マティアスの前へと差し出した。
「ありがとう」
 マティアスはラトが口をつけたアイスティーを自分も飲んでみる。すっきりしたお茶とレモンの香りがひんやりと喉を通ってゆく、けれど。
「日差しが強いせいかしら。なんだかマティアスの顔が赤い気がするのだけれど……」
 心配したラトがマティアスの額に手を伸ばす。
「絶対気のせいだよ」
 冷たいお茶を飲む前よりも、マティアスの頬は熱くなっている。それも気のせい、ということにしてしまおう。

 街をぐるっと楽しみ……いや、偵察しながら、2人は今夜の用意にも取り掛かった。
「パーティに潜入するのなら晴れ着も調達しておかないとね。俺は入れ替わる先で貸してもらうけど、ラトは似合うのを買っておいたほうが良いかな」
 どんなのが好き? と聞きながら、マティアスは店の衣装をラトにあててゆく。
 太陽に映える鮮やかな色彩?
 それともぐっと落ち着いたシックなドレス?
 けれど次々にあてられる衣装に、ラトは戸惑いを見せる。気にかかるのは色合いではなく、衣装のデザインで。
「あの……気候のせいでしょうけど、衣装が開放的というか……」
 晴れ着ということもあるのだろう。薄手の布地が隠してくれる部分は少なく、それを着た自分を想像するだけでラトは顔が赤らむ思いがする。
 もっと落ち着いた晴れ着はないかと探し、ラトが見つけたのは白を基調としたドレスだった。
 ぱっと見ると白。だがよく見れば純白ではなく、白に数滴緑を混ぜたような優しい色の布で仕立てられており、ポイントカラーとして施された緑とよく馴染んでいる。
 ホルターネックになるように首裏でパレオを結び、これで胸元と腹部の露出は回避できるとラトはほっとした。脚の露出は気になるけれど、土地柄となれば仕方がないと割り切るしかないだろう。
「どうかしら? 変じゃない?」
 ラトは恐る恐る、マティアスにドレスを着た姿を見せた。
「っ脚……!?」
 口をついたマティアスの叫びはラトにはよく聞き取れず、ラトは不安そうに衣装を見やった。その動作で衣装が揺れてラトの脚が見え隠れし、マティアスは自分が何かを口走ってしまわぬよう、手で口を押さえる。
「こういう衣装は着たことがなくて……やっぱり変かしら」
「変じゃない! 変じゃないし、寧ろ神に感謝というか……」
「感謝?」
「いや、とても綺麗――」
 言いかけたマティアスの耳が、どこからか聞こえてきた悲鳴を捉えた。
「何事ですか?」
 ラトも気づいて周囲を見回す。視界には気になるものはないけれど。
「今の悲鳴は……タオ? くっ、先を急ごう!」
「はい!」
 放置しておけない悲痛な叫びの聞こえてきた方向へと、2人は急ぐのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV21になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!

ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

エジプトリゾートで観光、良い響きですね
のんびりと見て回るとしましょう

エジプト攻略時は、神殿やピラミッドを攻めてばかりで
市井を観光する機会が殆ど無かったのですよね
何か美味しい果物やエジプト料理などあれば、食べてみたいです
え、ウーパーの唐揚げって何ですか?
食べるんですか?これを…?
エジプト怖っ

腹を満たしたら、ゆるゆると庭園の方へ
砂漠のオアシスに咲くロータス
とてもオリエンタルな光景で素晴らしい
光と水が溢れる異邦の地に憧れてしまうフランス人

エジプトの音楽も聞ければ良いなとも思いますが
宴は夜とのこと
いま暫くは水跳ねの音や木々を揺らす風の音に耳を傾け
木陰にてこの安らかな時間を楽しみましょう


 ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は元々はエジプトの地に縁はない。けれどいつの間にか縁が出来ていた……そんな場所だ。
 獣神王朝エジプトを攻略するときは、神殿やピラミッドを攻めてばかり。訪れた町は荒れ果てて復興が必要、というありさまで、市井を観光する機会はほとんどなかった。
 それが、奪還戦が終わってのちに、エジプトリゾートで観光ができるとは。
 この街もまた普通とは言えないのだろうけれど、せっかくの機会、のんびりとエジプトを見物するとしよう。
 リゾート地とのことで、街路には店が並んでいる。
 何か美味しいものでもないかと、ソレイユは珍しいものばかりの店を見て回った。
「スイカはいかが? 水分たっぷりで美味しいよ」
 勧められた果物は、新宿島の赤いスイカとは違いオレンジ色の果肉をしていたが水気たっぷりで、この気候の中で食べるとひと際美味に感じられた。
 モロヘイヤと鳩の煮込みは、食べ歩けるようにエイシで巻いてもらって。それを手に、他に珍しいものはないかと覗いた先に。
「え、ウーパールーパーのから揚げ……食べるんですか? これを……? エジプト怖っ」
 水槽からこちらを見てくるウーパールーパーをソレイユが指すと、店員は笑って首を振る。
「それは俺のペットだから食べないでくれ。すぐにこっちを揚げてやるからな」
 どぽんと衣につけるそれは、どう見ても水槽の中のウーパールーパーと同じに見えるのだが、飼ってる側からすれば別物なのだろうか。
「いえ、揚げなくて結構です。ちょっと見ていただけですから」
 勢いにおされて食べる羽目にならぬよう、ソレイユは慌てて店先を離れた。

 生き物系は危険そうだから、その後はタイガーナッツケーキなどを食べ歩き、腹が満ちるとゆるゆると庭園の方へと向かう。
 到着した庭園は、縁取る幾何学模様の植え込みにも、中央にある池にも、エジプトの太陽が照り付け、眩しい光に満ちていた。
 池に咲き乱れるロータスには、心引き付けられるオリエンタルな魅力があり、フランス人であるソレイユは、光と水が溢れる異邦の地に憧れを抱かずにはいられない。
 風景ばかりでなくエジプトの音楽にも触れたいと思うが、宴が開催されるのは夜。
 ソレイユは木陰のベンチに腰かけると目を閉じた。
 耳に届くのは水跳ねの音や木々を揺らす風の音。
 宴を待ついま暫くは、この安らかな時間を楽しもうと。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV22になった!
効果2【グロリアス】がLV2になった!

シャムス・ライラ
【百夜】
こんな風に観光目的の都市もあるんだね
荒れ果てたオアシスや
砂漠に彷徨うリターナー達を多く見てきたから
とても不思議な感じ

篝火に照らされた百の金装飾もきらきらと
まるで狐の王子様
耳と尻尾の正直さが可愛らしい
もし、昔の百の体が丈夫だったら
こんな風に出かける事もあったのかも
…「兄様」と
…妬いてませんよ?

今は私の隣にいるし
むしろ砂漠から「ゆるさーん!」みたいな
古代からのメッセージ石板が発掘されそうだと思っているし

蓮の花
新宿島で見るのとはまた違った感じだ
星が水面に輝きを添えて

手、繋ごうか?
空を見上げていたら
迷子になってしまうかもしれないしね
左手の指輪を目にとめて
微笑み手を握る

アドリブ等歓迎


一・百
【百夜】

おおー
今度は夜のエジプトだ…
攻略中は記憶が殆どなかったしのんびりできなかったしな

懐かしい空気
ずっと窓から眺めていた場所
気分があがって耳も尻尾もピコピコ
エジプトらしく金装飾多め耳飾りのある服で
とはいえ夜だ、お腹冷えないよう外套は羽織る

えへへ、柄じゃないからあまりこうゆう格好はしないんだが
兄様みたいでしょ?
くるっと回って篝火と月の下で楽しそうに
話を聞き
うん…最後兄様ぐぐってなってたしな…

ロータスも綺麗だ
…日本のは水の中に怖いのがいたけど
あれもいい思い出…
付き合う前だったんだよな…
星空が水面にも映って綺麗だな

うん
少し照れ臭そうに
指輪を嵌めて貰った左手を差し出し
つかまえていてな

※アドリブ等歓迎


 燦々と照らしていた陽が沈み、夜が訪れる。
 本来なら街は闇に閉ざされ、街路から一般人の姿が消える時間だけれど、ジェアの街にはかがり火が焚かれ、一層華やかさを増す。
「こんな風に観光目的の都市もあるんだね」
 シャムス・ライラ(極夜・g04075)は物珍しく、街の様子を眺めた。
 これまで何度も獣神王朝エジプトを訪れているが、そのときに目に入るものといえば、荒れ果てたオアシスだったり、砂漠を砂漠に彷徨うリターナーだったり。
 生きることさえ難しい過酷な状況ばかりを見てきたから、この街にいるととても不思議な感じがする。
「クロノス級の道楽なんだろうな」
 シャムスに寄り添いながら、一・百(気まぐれな狐・g04201)は火に照らし出された街を見やった。
 民を虐げるのももてなすのも、クロノヴェーダの思いのまま。とはいえ、苦しむ人がいるよりは、楽しむ人がいるほうが良い。それに。
「夜のエジプトだ……」
 身体に感じる懐かしい空気。街の佇まい。
 エジプトにいた頃は、窓から眺めるしかなかった場所にいて、どこにでも行けるのだと思うと、ふわふわとした幸福感が湧き上がってくる。
 依頼で獣神王朝エジプトに来ていた頃は記憶を取り戻せていなかったから、じっくりと世界を味わうことが出来なかった。だから、こんな機会が来たのは嬉しい。
 百がそう感じているのはシャムスにも伝わってきた。
 新宿島にいるときとは違い、今日の百はエジプトらしい金の装飾を散りばめた衣装を身に着け、耳飾りをつけている。隠せない嬉しさで、耳や尾がぴこぴこ揺れるたび、装飾の金がかがり火を受けてきらきらと輝く、その様子は。
「まるで狐の王子様だね」
 シャムスに言われ、百は照れたように笑った。
「柄じゃないからあまりこうゆう格好はしないんだけど……兄様みたいでしょ?」
 百がくるっと回って見せると、羽織った外套が風をはらんで広がる。それがジェバーの白いマントを思い出させて、シャムスはつい呟く。
「もし、昔の百の体が丈夫だったら……こんな風に出かける事もあったのかな。『兄様』と」
 兄を心から慕う弟と、弟を心から愛する兄と。
 想像した様子はとても仲睦まじく。
「もしかして、妬いてくれた?」
「妬いてませんよ?」
 聞いてくるいたずら狐に、シャムスは強がりではなく答えた。
 妬く必要なんてない。百は今はシャムスの隣にいるのだから。
「妬くというのならむしろ、砂漠から『ゆるさーん!』みたいな古代からのメッセージ石板が発掘されそうだと思っている……」
 シャムスの言葉に、百は吹きだした。あの兄ならさもあらん。
「うん……最後兄様ぐぐってなってたしな」
 もしそんなものが発掘されて、一体これは何だろうとニュースになったら……うん、きっと恥ずかしくて名乗り出られず、うちの兄がお騒がせしてすみませんと、こっそり詫びることしか出来ないだろうけど。
 話しながら歩くうちに着いた庭園の池には、ロータスが咲いている。
 エジプトのロータスは睡蓮だから、本来は夜には閉じるはず。それが鮮やかに花開いているのもまた、クロノス級の力があってのことか。
「新宿島で見るのとはまた違った感じだね」
 星が水面に輝きを添え、神秘的な美しさのロータスをシャムスは覗き込む。百も池に落ちないように気を付けながら、ロータスを眺めた。
「星空が水面にも映って綺麗だな……日本のは水の中に怖いのがいたけど、あれもいい思い出」
 上野で見た蓮の花を百は思い出す。水が苦手で不安だった百にシャムスが掴まっていいよと言ってくれた。掴まった手から流れ込んできた安心感……あれはまだ付き合いだすより前のこと。
 思い出していた百に、シャムスが尋ねてくる。
「手、繋ごうか?」
 迷子になってしまうかもしれないしね、と言うシャムスに、百は素直にうんと頷いて、左手を差し出した。その指に輝くのは、あの日パラドクストレインの中でシャムスに嵌めてもらった、星の加護と誓いをこめた結婚指輪。
 指輪の輝きに目をとめて、シャムスは微笑んだ。そしてしっかりと百の手を握る。
 ああ、やっぱりこうしてもらうと安心できる。そう感じて百はシャムスの手を握り返した。
「つかまえていてな」
「勿論。石板に放せと百回刻んであっても放さないよ」
「……兄様だったら見越して百一回刻ませていそう」
「それなら千回でも一万回でも」
 エジプトの夜に、小さく笑う2人の声が重なった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!

カルメン・リコリスラディアタ
【彼岸花】
旦那のダルクエスと一緒、呼称:ダルク
アドリブOK、服装お任せ


「まさにオアシスの高級リゾート地じゃね?」
ロマノフとは真逆の古代エジプトの煌びやか華やかでエキゾチックな街並みを見て大はしゃぎ!

ダルクエスと共に街中を散策デートしながら美味しい食べ物を食べ歩きするぜ
ついでに店員や客に【友達催眠】を使い
あんたの店の食べ物めっちゃ美味いとか褒め言葉交え雑談して
生贄を出すことになった家はどこかと聞いて情報収集してく

「ターメイヤもケバブもクナーファも美味い!
こうも豊かなら蜂蜜パンケーキもあるかな?
カルカデは美容にも良いから飲みたいぜ!
果物はどれがお勧め?」


ダルクエス・ネクスト
【彼岸花】
伴侶のカルメンと一緒、呼称:カルメン
アドリブ歓迎

「ははっ、蜃気楼…ではなかったか。見事なものだね。」
オアシスのような街の絢爛さを認めながらも、付き纏う不自然さに考えさせられる

カルメンと共に街中を散策しながら食べ歩きデートしようか
エイシにターメイヤ、ケバブ…など、料理に限らず果物もいただこう
「食材の豊かさはこの街の豊かさってわけだ…それにしても美味いな。」
後で動くのだから…と思いつつ食べたり飲んだり

おっと、調査を忘れないように…【友達催眠】で
店員やそこの客に食べ物を絶賛したり世間話しながら、
生贄の名誉を得た家や街の困りごとを自然な流れで情報収集といこう


 砂漠の真ん中に出現したジェアの街は、煌びやかで華やかで。カルメン・リコリスラディアタ(彼岸花の女・g08648)は大はしゃぎする。どこまでも白い吸血ロマノフ王朝の大地と比べ色鮮やかで、その色彩を見ているだけでもお祭りの中にいる気分になる。
「まさにオアシスの高級リゾート地じゃね?」
「ははっ、蜃気楼……ではなかったか。見事なものだね」
 喜ぶカルメンの様子を嬉しく眺めながら、ダルクエス・ネクスト(蒐集家・g07049)が笑う。
 近づけば逃げる蜃気楼とは違い、2人で歩く街は実在。とはいえ、こんな場所に高級リゾート風の街があるということも、街の人々の様子にも、ダルクエスはどこか不自然を感じ取らずにはいられない。
 無いはずのものが見える……ならばやはりここは蜃気楼の街とでも言うべきなのだろう……。
 だが今日は夫婦デートを楽しみに来たのだ。
 クロノヴェーダの居ぬ間を利用して、存分に楽しませてもらうとしよう。
 エイシにターメイヤ、ケバブ、クナーファ。果物も飲み物も何もかも。
 2人は興味のあるものを片っ端から食べ歩く。
「食材の豊かさはこの街の豊かさってわけだ……それにしても美味いな」
 少し食べすぎか、いや、このあとには立ち回りが控えている。腹ごしらえをしておくのは必要なことだろうと、ダルクエスは思い直した。
 カルメンのほうは、そもそも食べすぎかどうかなどという迷いもなく、美味しいものを美味しく味わっている。
「ああ。ターメイヤもケバブもクナーファも美味い! こうも豊かなら蜂蜜パンケーキもあるかな?」
「探してみよう」
 ダルクエスが答えるうちにも、カルメンは別の興味を見つけて店先で足をとめた。
「あ、カルカデがある! カルカデは美容にも良いから飲みたいぜ!」
 ルビーレッドのカルカデジュースには、美容成分がたっぷりと含まれている。酸味が結構あるから、飲みやすいように蜂蜜を加えて甘味をつけて、ごくごくと。
 エジプトの空気に渇いた喉にぴったりの飲み物だ。
 とはいえ、ダルクエスとカルメンはすべてを忘れて飲食にふけっているわけではなく。
「あー、喉がさっぱりした。あんたの店のカルカデ、めっちゃ美味いな」
「それに色も綺麗だ。きっと質の良い花を使ってるんだろうね」
 友達催眠の力と、誉め言葉の力とで店員と親しく会話し、あれこれ聞いて情報収集を試みる。
「そういえば、今晩神殿で宴があるんだってな」
 カルメンが話を振ると、店員の顔がわずかに曇ったがすぐに笑顔に戻る。
「ええ。この街にとって大切な宴です……それより、デーツはいかがですか。美味しいのが入っていますよ」
「もちろんもらうぜ」
 話を逸らそうとする店員にカルメンはデーツを出してもらった。だが話題は宴から変えない。
「大切な宴かー。きっと豪勢なんだろうな。見てみたいぜ」
「招待された人しか入れないので、外からのお客さんは無理ですね」
「残念。美味いものたくさん出そうなのに」
 さりげなさを装ったカルメンの言葉に、今度ははっきりと店員の顔がこわばった。宴の料理を食べれば生きて戻れないことを、街の人は知っている。
 気づかぬふりでダルクエスは話を続けた。
「招待の栄誉にあずかった人がいるということか」
「人、というのではなく、家、ですね。その家から誰か1人が神殿に行くのです。ほら、あそこ……」
 店員は手をあげて、家の戸口を指さした。
「花がささっているのが見えますか? あれが招待の目印なんです」
 遠目からでもその花はよく見えた。暑さの中でしおれもせず、美しく咲いている。
「随分華やかな招待だね。君も宴に行ったことがあるのか」
 ダルクエスの問いへの返事は当然、否。
「ありません。私は一人暮らしですから、もし招待が来たら私自身が行くことになるでしょうね」
 答える店員をダルクエスとカルメンは観察する。
 そこに表れているのは、恐怖でも拒否でもなく、穏やかな諦めと受容。
 店員の様子を見ながら口に放り込んだデーツは甘く美味しいけれど……カルメンの中には苦いような思いが広がった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV4になった!

雪定・千草
古代エジプトで散策…わくわくします
俺が住んでいる日本とは異なる色使いに装飾
建物や人々の服装などを存分に眺めたい
あっちこっち色々見て回ります

気の向くままに、人の流れのままに歩いていたら
…おや
やっぱり迷子になってしまいました
此処はどの辺りでしょう
でもその内分かりますよね
砂漠に出なければきっと大丈夫…大丈夫

雑貨屋みたいな所を見付けたら
綺麗な香水瓶に惹かれます
…これ、買って帰ったら喜んでもらえるかな
と大切な人の顔思い浮かべつつ
この綺麗な赤色が入った香水瓶をくださいな
華奢でとても壊れ易そう
大切に包んでもらいましょうか

敵が作り上げた街…という点以外は、素敵な街ですね
この瓶のように、壊れ易いかもしれませんが


 新宿島にはありとあらゆる色がある。
 けれどこうして古代エジプトにやってきて見る色は、まったく違うもののように感じられた。
 それは色の組み合わせによるものなのかもしれないし、あるいは日本とは違う陽の光や空気の影響があってのことかもしれない。
 日本とは異なる色使いや装飾、建物や人々の服装などどれを見ても新鮮で、雪定・千草(霞籠・g03137)はジェアの街のあちらこちらに視線をやってた。
 この時代の旅人らしき人もきょろきょろと街を見渡しているから、千草だけが目だってしまうこともなく、存分に眺めることができる。
 どこに行こうという目的もないから、千草は街を見ながら気の向くまま、人の流れのままに散策していた……はずなのだが。
「……おや?」
 気づけば周囲から人通りが絶え、街路には千草ひとりだけ。この辺りは旅人も来ないのか店もまばらだ。
 やっぱり迷子になってしまったようだ。
「此処はどの辺りでしょう……」
 見回しても、もともと土地勘のない場所だから、さっぱり分からない。けれど巨大な街ではないのだから、そのうちに通ったことのある場所に出るだろう。
(「砂漠に出なければきっと大丈夫……大丈夫」)
 砂漠で遭難なんてことのないようにとだけ気を付けて千草が歩いていると、ふと雑貨を売っている店……そこに置かれた凝った装飾のされた小壜が目に留まった。
 何を入れるものなのだろう。口の小さな壜だからおそらくは液体。小ぶりな壜だから量も少ししか入らない。
「香水壜……でしょうか」
 そのデザインと、綺麗な赤色が入っているのに心惹かれ、千草は小壜を手に取った。
(「……これ、買って帰ったら喜んでもらえるかな」)
 この赤はきっとあの人に似合う。
「すみません。この香水壜をくださいな」
 華奢でとても壊れやすそうな壜を、千草は大切に包んでもらった。
 美しい物品のある美しい街。
 クロノス級が作りあげた街、という点以外はこの場所は素敵だと千草は思う。
(「この壜のように、壊れ易いかもしれませんが……」)
 あるいは、それだからこそ。
 ジェアの街は盛りとばかりに輝いているのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】がLV2になった!

リドリー・バーディ
【闇市】
異国情緒しかない街並み、色鮮やかで綺麗だね!
でも裏では悪いこと企んでるんでしょ?
やだこわい! なんて笑いながら
Let's 掘り出し物ショッピング!

友仁って曰くつきの古物とか詳しいんだっけ
ご利益つきのもいいんだけどさ
1日1回足の小指をぶつける呪いとか
爪切ると微妙に深爪になる呪いとか
そういう地味に嫌な感じのやつがいいな
だって、その方が面白い

病は気から的に生えてくる呪い、
興味深いけど試すのは気が引けちゃうね
ガチなやつあげる方がダメかな? どうかな?
友達の顔を思い浮かべながらお土産漁り
ジョークグッズみたいな呪物を友仁に鑑定してもらいつつ

そういえば、ねぇ、店主さん
笑顔ひきつってるけど大丈夫?


如月・友仁
【闇市】
呪いの聖地らしい良い品が見つかるといいな
リドリーくんも興味あるの?ちょっと意外
観光客向けの明るい商品が多そうだね
エジプトらしいデザインの工芸品を楽しく見つつ

怪しげな露店も発見
ふーん、絶対成功できる石、万病が治る耳飾り…
でも僕がこの店で一番気になるのはコレかな
ねえおじさん、最近肩が重くない?
店主の首飾りを笑顔で指差し

ほ、本当に地味に嫌だね
それ持ち主の人呪われてるって気付けるかなあ?
でも、信じる心は呪いの力の源泉だ
尤もらしい逸話を人に語って聞かせれば、新たな呪いの品を創り出せるかもね
要は受け手の感じ方さ
『言われてみれば最近やけに小指をぶつける気が』、ってね
……で、どれを誰へのお土産にする?


 ザ・ジェアリゾート。
 砂漠に忽然と出現する最高のおもてなしを、あなたに――。
 そんな謳い文句が似合いそうなジェアの街。
「異国情緒しかない街並み、色鮮やかで綺麗だね!」
 リドリー・バーディ(chitter-chatter・g08402)は賞美しつつも、見透かす目で笑う。
「でも裏では悪いこと企んでるんでしょ?」
 やだこわい、とリドリーがあげる声はなんだかやたらと弾んでいる。
「呪いの聖地らしい良い品が見つかるといいな」
 呪詛の宴が開かれる街だ。なにか面白いものもがあるかも知れないと、如月・友仁(ユアフレンド・g05963)は期待する。
 どうもこの2人、クロノス級が想定する範囲外の楽しみを街に見出しているらしい。
「どんなのがあるんだろ。Let's 掘り出し物ショッピング!」
「リドリーくんも興味あるの?」
 怪しい店はいずこ。うきうきと探し始めるリドリーをちょっと意外に思いながらも、友仁も店を覗いて行った。
 エジプトらしいデザインの工芸品は、呪い関係なしに見ていて楽しい。
「観光客向けの明るい商品が多いね」
「やっぱニーズが違うからね。リゾート地のおみやげに呪いアイテムを選ぶ人は少なそう」
 とはいえ、怪しげな品物を並べる露店がないわけではなく。
「トクベツな品だ。ここで買わないと後悔するよ」
 にやにやしながら店主が見せてくれる品物は、いかにもそれらしい雰囲気ありありで。
「ふーん、絶対成功できる石、万病が治る耳飾り……か」
 勧められた品物を、友仁は興味の無い様子で一瞥すると、でも、と店主に笑いかけた。
「僕がこの店で一番気になるのはコレかな」
「えっ……」
 友仁が指差したのは、店主の首にじゃらじゃらとかかっている首飾り。
「ねえおじさん、最近肩が重くない?」
「な……」
 友仁に言われた店主はぎょっと目を見開いた。それには構わず、リドリーは友仁に話しかける。
「そういえば、友仁って曰くつきの古物とか詳しいんだっけ。ご利益つきのもいいんだけどさ、僕は1日1回足の小指をぶつける呪いとか、爪切ると微妙に深爪になる呪いとか、そういう地味に嫌な感じのやつがいいな」
「ほ、本当に地味に嫌だね」
「だって、その方が面白いでしょ?」
 大きな呪いを受けている相手を笑うのは憚られても、そんな地味な呪いなら笑って見ていられそうだ。だが、大したことのない不幸でも、繰り返し繰り返し降りかかれば、精神に与えるダメージは大きい。
「それ持ち主の人呪われてるって気付けるかなあ? 最近肩が重いなと思ったとしても、それを首飾りと結び付けたりしないよね」
 不幸と品物を結び付けなければ、ただ最近良くないことが起きる、というだけになってしまいそうだと言う友仁に、店主がひぇっと声にならない声をあげる。
「いやでも、信じる心は呪いの力の源泉だ。逆に、尤もらしい逸話を人に語って聞かせれば、新たな呪いの品を創り出せるかもね。要は受け手の感じ方さ。『言われてみれば最近やけに小指をぶつける気が』、ってね」
「病は気から的に生えてくる呪い? 興味深いけど試すのは気が引けちゃうね」
 ふふっと笑いながら、リドリーは店の品物を漁る。
「この仮面お土産に良くない?」
 友だちの顔を思い浮かべながらリドリーが見せた仮面に、友仁は首を振った。
「リドリーくん、それは地味じゃなくてガチなほうだから」
「そう? ガチなやつあげる方がダメかな? どうかな?」
「誰へのお土産にするかでも違いそうだけど……誰へのお土産にするつもり?」
「ガチなのをあげられる友だち……誰がいいかな」
 首を傾げるリドリーの脳裏には、誰の顔が浮かんでいるのだろうか。
 友仁に鑑定してもらいながら、リドリーは楽しそうに品物を選んでいった。その中には、ガチと鑑定されたものも入っている。
「ほかにもっとスゴイのとかある?」
 店主に尋ねたリドリーは、その反応の悪さにあれっと思う。
「ねぇ、店主さん、顔ひきつってるけど大丈夫?」
 気づけば店主はいつの間にか首飾りを外している上、自分で並べたはずの品物から身を離すようにして、柱に背をべったりとつけていたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV24になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!
【ガードアップ】がLV8になった!

不知火・紘希
【或街】
悩んで、最後かもしれないからって送ったメールに来たお返事。やった……キョウちゃんとエジプト観光だ!

街だから少しだけ浮かれてくまさんの麦わら帽子で。長めのパーカに下はいつもの半ズボン。キョウちゃんにエジプトの美味しいお菓子や食べものを教えるよ。
わ、ウーパーさん……!あのね、僕、これと戦ったことあるの。
なんて、自慢げに話してみたり。

そうだ!庭園でお話しようよ。
最初の頃にふたりで行ったのはオアシスの依頼だったね。あのときはたまだ何も分からなかったなぁ。
時々一緒についてきてくれて頼もしかったよ。ありがとう!

キョウちゃん。
僕、エジプトで色んなもの見て、いっぱい学んだんだ。
少しは強くなれたかな?


大和・恭弥
【或街】
定期的な連絡と別に弟から来たメール。クロノス級と聞いて躊躇したけれど、弟の希望なら叶えないとな、と了承して。
潜入ならいつもの黒コートじゃ怪しいよな、と薄い黒の羽織物を持ち出す。中は弟に合わせた黒と藍色基調の布地の服で行こう。

エジプトの料理や菓子を楽しそうに教えてくる弟――紘希に、本当に好きなんだなと相槌をうちながらついていく。美麗な景色に空気感。この先を深く考えなければ凪いだ気持ちになれる街だ。

そうだったな、俺たちがまだ復讐者になりたての頃。それから困ってるひとを放っておけないと幾度も出向くから心配して―。
実際は心配無用だったけどな。

うん、紘希は……お前は強くなったよ。よく頑張ったな。


 弟の不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)からメールが届き、大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)はその文面に目を走らせた。
「……クロノス級」
 メールの内容は、クロノス級のいる世界へのパラドクストレインに一緒に乗ってくれないかというものだ。どうやらエジプトを観光する時間がとれる依頼らしい。
 クロノス級と聞いて躊躇したけれど、あまり頼みごとをしてこない弟が望むのなら、叶えてやりたい。恭弥は紘希に了承の返信を送った。
 エジプトの街に潜入するのなら、いつもの黒いコートだと浮きそうだ。恭弥は黒と藍色を基調とした服の上に薄い黒の上着を羽織ると、すぐに新宿駅へと向かった。

「やった、キョウちゃんとエジプト観光だ!」
 パラドクストレインが到着すると、紘希は勢いよく外に走り出た。
 兄を誘おうかどうか悩んで、もしかしたらこんな機会はこれが最後かもしれないからと思い切ってメールを送って。それに了承の返事があったときには、飛び上がってしまった。
 街を散策するのだから、少しだけ浮かれてくまさんの麦わら帽子をかぶって。長めのパーカに下はいつもの半ズボンで。
「キョウちゃんは何が食べたい? エジプトっておいしいものがいっぱいあるんだよ」
 美味しい食べ物、お菓子、飲み物。
 紘希は店を指しては、それがどんなものかを恭弥に説明する。
「ケバブとかどう? それともターメイヤがいいかな。あ、それとも甘いものが食べたい? あのタイガーナッツケーキにしてみる?」
 あれもこれも勧めたい様子の紘希に、恭弥は相槌をうちながらついてゆく。勧めてくれるものは皆美味しいし、景色は美麗、解放的な空気感。この先を深く考えなければ、凪いだ気持ちになれる街だと恭弥は思う。だが、
「キョウちゃん、見て見て。ウーパーさん!」
 紘希が指した水槽の中のウーパールーパーを、そしてその横に掲げられた『ウーパールーパーのから揚げ』の文字を見たときには、さすがに恭弥も引いた。
「食材なのか……?」
「あのね、僕、これと戦ったことあるの。もちろんこれそのものじゃなくて、もっとムキムキってした相手だったんだけどね」
 そんな恭弥に紘希はウーパー戦士と戦ったときのことを、自慢げに話してきかせた。

 食べ歩きのあとは、腹ごなしを兼ねて庭園を散歩する。
「こんなに立派な庭園を作っちゃうなんてすごいよね。これもオアシスからの水を使ってるのかな」
 豊かな恵みをもたらしてくれるオアシスだけれど、こんなに贅沢に使っているのは珍しい。そう考えて、紘希はかつて恭弥と赴いたオアシスの依頼のことを思い出した。
 まだ復讐者となって間もないころ、襲われるオアシスから人々を逃げ延びさせる依頼に携わった。恭弥が街に潜入して得た情報をもとに、人々を逃がし、襲撃してきたクロノヴェーダを倒した。
「あのときはたまだ何も分からなかったなぁ」
「そうだったな、俺たちがまだ復讐者になりたての頃だったから」
 突然変わってしまった世界に戸惑いながら、だたひたすら必死に、目の前の人を助けようと動いた。
 それからも、困っているひとを放っておけないと紘希が幾度も出向くから、恭弥は心配でならなかったものだ。
「実際は心配無用だったけどな」
「ううん。キョウちゃんが時々一緒についてきてくれて、頼もしかったよ。ありがとう!」
 何が起きているのか分からない世界で、一歩一歩進んでいくことしか出来なかった。そんなとき、一緒に来てくれることが、どれほど心強かったことか。
 それに……心配してくれる人がいることも、とても嬉しいことだ。
「キョウちゃん」
 庭園の池の前で、紘希は恭弥を振り仰ぐ。
「僕、エジプトで色んなもの見て、いっぱい学んだんだ。少しは強くなれたかな?」
 エジプトの太陽に照らされた紘希を、恭弥は改めて眺めた。
 いくつもの悲惨な光景を映してきたに違いない紘希の瞳は、それでも曇りなく真っ直ぐだ。
「うん。紘希は……お前は強くなったよ」
 恭弥に認められて、紘希がぱっと明るい笑顔を咲かせる。
 頭を撫でてやりたい気分になったけれど、恭弥はそれを抑えて紘希の瞳を見返す。
「よく頑張ったな」
 それは、弟であり、また共に戦う復讐者である紘希へ向けた、心からのねぎらいの言葉なのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!

ジズ・ユルドゥルム
さて、衣装を調達しなければな。どんな服が出てくるやら…(不安)

花が差してある家を訪ね、女神…様…とその従者は皆個性豊かで素敵ですねとか何とか一味を褒めそやし、贄を入れ替わりたい熱意を伝えよう。

住民が持って来たのは、裏地が水面のように煌めく不思議な生地のロングドレス
戦争で戦ったハトメヒトも似たものを着ていたな。改竄世界の技術なんだろうか

……この服、切れ込み(スリット)が深すぎないか?
いや、好き嫌いは言っていられない。お腹は露出していないしこれd(有無を言わさず住民にお化粧や装飾を盛られる)

…熱意が伝わりすぎたかもしれないな
金の魚の被り物もいるかって??
…遠慮しておく!!親切にどうもありがとう!!


 戸口に飾られた花はその家の嘆きも知らず、美しく咲き誇っている。
 生贄の目印となる花をちらりと見やったあと、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)はその家を訪れた。
 女神への捧げものとなる人に祝いを述べに……という名目でおそらくは最期の挨拶をしに、街の人がひっきりなしに訪問するが、夕刻を過ぎればぐっと減る。夕刻から宴までは、宴に出る準備と家族との別れを済ませる時間となるのだ。
 訪問するには少し遅めの時間、それも街の住人ではないジズの訪問も、家人は丁重に受け入れ、生贄となる少女のもとへと案内してくれた。
 一応、祝いを述べなくてはと思うのだが……どう褒めれば良いのだろう。
「女神……様………とその従者は皆個性豊かで素敵ですね」
「ええ。素晴らしい御方です」
「御尊顔などまさにサカ、金ピ、光輝いて……目出度そうなところは良いんじゃないか、な、たぶん……」
 誉め言葉は早々に切り上げて、ジズは贄を入れ代わりたいと申し出た。
「ですが、贄となれば命は女神様に召され、戻るのは亡骸のみ。それでも代わっていただけると?」
「承知の上だ。是非女神……様に捧げられたい。出来れば宴用の衣装を提供してもらえると有難いのだが」
 おお、と喜ぶ家族が持ってきたのは美しい布だった。ひらりと広げてみせてくれたのは、裏地が水面のように煌めく不思議な生地のロングドレスだ。
(「戦争で戦ったハトメヒトも似たものを着ていたな。改竄世界の技術なんだろうか」)
 ハトメヒトのマントの裏地も確かこんな風だった。とりあえずはまともそうな衣装であったことにほっとしながら、ジズはドレスに着替えたのだが。
「……この服、切れ込みが深すぎないか?」
 太腿の上の方までスリットが大胆に入っている。動くと脚がかなり露出しそうだ。
「この辺りまで縫ってしまったほうが良くないか」
 膝のあたりをつまんで見せるが、そこまで縫ったら歩きにくいし、デザイン的にもどうかと思う、と否定されてしまう。そもそも人の衣装なのだから、好き嫌いは言っていられないだろう。
「お腹は露出していないしな……」
 落としどころをジズが考えているうちに、顔にいろいろ塗りたくられ、装飾品をこれでもかとつけられ、どんどん盛られてゆく。
「仕上げにこれを。我が家の家宝です」
 金の魚の被り物を出され、
「遠慮しておく!! 親切にどうもありがとう!!」
 ジズは脱兎の勢いで家を飛び出したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV25になった!
効果2【ガードアップ】がLV9になった!

リドリー・バーディ
【両手に花】
彗藍もディミトラも楽しんできたみたいだね
僕はお土産いっぱい買っちゃった!
ここからは殴り込みの準備だよ!

花が飾られてる家を訪問して、花と衣装を譲ってもらうね
僕には男物を! お願いします!
着替えて合流するのが楽しみ!

着替えつつ家の人に質問タイムいいですか!
女神様への供物ってどういう基準で選ばれてるの?
目印の花はいつから飾られてるの?
通達があるなら選別理由とか聞いてないかな?
興味があるっていうか……
異性のきょうだいがいる家、とかだと闇が深いなって思っただけなんだけどね

わぁ、彗藍可愛い! ディミトラも綺麗だね!
ラピスラズリの腕輪でお揃いってさりげなくて洒落てる
会場中の視線集めちゃおうね!


朔・彗藍
【両手に花】

街での食べ歩き楽しかったですよ!
二人も後で感想聞かせて下さいね
次は精一杯着飾って頂きましょう…!

招待状と衣装は訪問したお家のを譲って貰います
リドリーは何方でも似合いそ……いえ、素敵な礼装楽しみに
私はお任せで、折角ですしいつもと違う雰囲気も……
薄明色のお花、可愛い……!
ディミトラはスタイル良いですしタイト衣装、妖艶で素敵ですね!
寧ろせくしーなお姉さんは私の目標ですよっ

わ……!リドリーは確り貴人の麗しさ
合流したら花と最後の仕上げを二人へ手渡し
もうひとつ選んだ装飾品はラピスラズリ石を嵌め込んだ腕輪
三人でお揃いです
エジプトでは幸運の石として親しみあるみたいですよ
さあ、胸を張って会場へ


ディミトラ・ディミオス
【両手に花】
リドリーさんがお持ちの怪しげな民芸品は一体……?
彗藍さんは何が一番気に入りました?
道々お話を聞きながら

花が招待状なんて粋ですけど
行先が望まざる舞台なら迷惑にも程がある
こちらの方達には女神の信徒を装い愛想良く
憧れ込めたおねだりで譲ってもらいましょう

彗藍さん、肩とか出してみます?
雲のような髪に、薄明の空を思わせる淡色の花を飾るのはどうでしょう
あたしは動き易そうな深い切込み入りのタイトな衣装を
ベルトにも花を飾って、密かな自慢の腰回りを密かに強調
大胆過ぎることはないでしょう、たぶん

リドリーさんも花の意匠の装飾品でお揃いに
ラピスラズリの腕輪をひと撫で、心強く思いつつ
戦の支度は万端ですね


 それぞれ別のグループで街歩きを楽しんだ3人は合流し、戸口に花が飾られている家を探して街路を歩いた。
「彗藍さんは何が一番気に入りました?」
 そう尋ねるディミトラ・ディミオス(アマルトリ・g08941)は、エステ効果でいつもよりお肌つやつや、動体視力も上がっている……ような気がする。
「街での食べ歩き楽しかったですよ! でもそんなにお肌に良いならきゅうりエステにも行ってみたかったです」
 朔・彗藍(ベガ・g00192)はふふっと両手で頬を挟む。
「ディミトラも彗藍も楽しんできたみたいだね。僕はお土産いっぱい買っちゃった!」
 ほら、とリドリー・バーディ(chitter-chatter・g08402)が見せたのは、操作すると歯を嚙み合わせる、なんだか分からない動物の人形で。
「リドリーさんがお持ちの怪しげな民芸品は一体……?」
「これ? いいでしょ。こっちの仮面なんてね、ガチなんだって!」
 答えながらリドリーが取り出した仮面の禍々しさに、そのようですね、とディミトラは呟いた。
 エステも食べ歩きも買い物もどれも楽しかったけれど、ここからは。
「殴り込みの準備だね!」
 リドリーが人形の歯をガチガチと噛み合わせる。
「僕は男物の衣装を譲ってもらえる家を探すね。着替えて合流するのが楽しみ!」
「リドリーはどちらでも似合いそ……」
 言いかけた彗藍は、
「いえ、素敵な礼装楽しみにしています」
 と言い直し、リドリーと分かれた。

 戸口に差された花は、招待状にするにふさわしく華やかに咲いている。
「花が招待状なんて粋ですけど。行先が望まざる舞台なら迷惑にも程がありますね」
 ディミトラは生贄を出す家を訪問すると、女神の信徒を装い、女神様への憧れが強く御許に召されたい、とねだって衣装と花を手に入れた。
 彗藍も首尾よく衣装と花を譲ってもらうと、場所を借りてのお着替えタイム。
 ディミトラは黒に見えるほど深い紫のタイトなシルエットの衣装。
 身に着けた時の動きを確認してみたが、スリットが大きく入っているため足さばきも妨げられず、戦うにも問題なさそうだ。
 首回りと裾には銀糸で精緻な刺繍がされ、腰には幅広の銀のベルト。ドレスの持ち味をくずさないよう、アクセサリーは腕と髪に。
 動きをチェックしたあとに、ディミトラはベルトに花を飾り、密かに自慢の腰回りに視線を誘導するよう、さりげなく強調してみた。
「ディミトラはスタイル良いですし、タイト衣装、妖艶で素敵ですね!」
「これなら大胆過ぎることはないでしょう……たぶん」
「寧ろせくしーなお姉さんは私の目標ですよっ」
 ディミトラの衣装に目を輝かせる彗藍が着ているのは、くるぶしまでの白いロングドレス。スカート部分のボリュームを、腰布に似せて巻かれたオーバースカートが抑えている。
「彗藍さん、肩とか出してみます? それと雲のような髪に、薄明の空を思わせる淡色の花を飾るのはどうでしょう」
 ディミトラは彗藍の肩飾りの開きを調整し、髪飾りを花飾りへと変えた。それだけで彗藍の佇まいはぐんと垢ぬけて華やかになった。
「ディミトラさんのセンス素晴らしいです」
「いえ、モデルが良いからでしょう。さあ、リドリーさんと合流しなくては」
 着替えを終えた2人はリドリーと約束しておいた合流地点へと向かった。

 リドリーは息子を生贄に出すという家で衣装と花を譲り受け、慣れない衣装を家の人に着つけてもらった。
 危うく難を逃れた息子は、リドリーよりも2つ3つ年下ということろだろうか。こんな年齢の子も生贄にされてしまうのかと、リドリーは家の人に聞いてみる。
「女神様への供物ってどういう基準で選ばれてるの?」
「さあ……女神様の思し召し、なんじゃないかしら」
 よく分からない、と生贄の子の母は答えた。
「通達があるの?」
「いいえ。戸口に花が差されるのがその印よ」
 ある日、水の子たちが街の家の戸口に花を差して回る。家によっては2本差されることもあり、そのときは2人を差し出さなければならない。
 一人暮らしをしていた人の戸口に花が差され、誰もいなくなる、なんてこともあるようだ。
「目印の花はいつから飾られてるの?」
「7日前。花が差されてから7日目が宴の日になるの」
 花が差されてからの、長くて短い7日間を思ってか、母親は目頭を押さえた。

 着替え終わって合流地点へと向かったリドリーの目に、宴用のドレスを着た彗藍とディミトラの姿が飛び込んでくる。
「わぁ、彗藍可愛い! ディミトラも綺麗だね!」
「わ……! リドリーは確り貴人の麗しさですね」
 彗藍が思わず声をあげた。
 リドリーの衣装は、肩をぐっと出した黒のアメリカンスリーブに、二重に重ねた腰布を腰の横で宝石で止めたデザイン。下側の短い腰布が鮮やかに赤く覗き、上側の長い腰布はたっぷりと襞をなして。
 装飾品は腰の宝石周囲に集中しており、それ以外はすっきりとした印象だ。
「リドリーさんも花の意匠の装飾品でお揃いにしませんか」
 ディミトラが花を模した金の飾りを、リドリーの首元につけた。
「もうひとつ、これは三人でお揃いです」
 彗藍が2人に腕輪を手渡し、自分のつけているものを示した。
「ラピスラズリ石を嵌め込んだ腕輪です。エジプトでは幸運の石として親しみあるみたいですよ」
 リドリーは早速身に着け、満足そうに目を細める。
「お揃いってさりげなくて洒落てる。会場中の視線集めちゃおうね!」
 ディミトラはラピスラズリの腕輪をひと撫でする。
「戦の支度は万端ですね」
 揃いの幸運の石が自分の腕にあると思うととても心強い。
「さあ、胸を張って会場へ参りましょう!」
 彗藍は2人とともに、宴の開かれる神殿へと向かうのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV27になった!
【迷宮化】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】がLV10(最大)になった!

テクトラム・ギベリオ
【ヒラール】
軽食もとったしナディアの盛装を調達しよう。家の戸口に花だったか?

住民へお祝いを言いに来たと言って家に入れてもらう
購入したケン・レムの羽織を見せれば関係者と思うだろう

ナディアが衣装を調達している間住民に事情を説明する
他にも動いている仲間が居る。儀式は今日で終わるので安心を…何か騒がしいな
大丈夫かナディ(わっさぁ)

何が起きたか処理が追いつかない
目頭を揉んで2度見

…ウン、わっさぁしてる

何故民家に舞台衣装の極みのような羽根が。いや似合っている大丈夫(?)
そも儀式は仮装大会だった?
私も何か追加した方がいいのか…(物はお任せ)

招待状の花を受取り出発。
ナディア足元にはくれぐれも注意s(吹き飛ぶ)


ナディア・ベズヴィルド
【ヒラール】
見た目はともかく中々美味でした
ええ、そう。花が差さっているお家よ
(テクトラムさんと一緒に中にお邪魔して)
何やらお悩みの様ですね…
そう話をくり出して生贄の入れ替えを提案
衣装は此処でお借りする

シースドレスに金装飾を
え、まって
これも?なんで?重っっっ!なんか楽しそうじゃありませんか!?
(わっさぁぁと宝○顔負けの背負い羽根を良い笑顔の住人に装着させられる)

お待たせしましたテクトラムさん…
ヨロヨロ足取りで華麗に登場。なんでこのようなものがこの世界に…
改竄世界だからかしら…どうせだったら大階段もほしいわ。

はい?何か呼びましたか?(振り返ると羽根がテクトラムさんにぶつかり弾き飛ばす)あぁぁっっっ


「見た目はともかく中々美味でした」
 珍しいものを食べられたのに満足しながら、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)はテクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)の顔を見上げた。
「テクトラムさんは本当に食べなくていいの? ウーパールーパーのから揚げを食べられる機会は滅多にないと思うんだけど」
 後悔しない? と尋ねるナディアに、
「しない。さあ、軽食もとったしナディアの盛装を調達しようか。家の戸口に花だったか?」
テクトラムはきっぱりと首を振ると話を変えた。
「ええ、そう。花が差さっているお家よ」
 花は戸口の目立つところに差されているから、該当の家はすぐ見つかった。
「女神への捧げものとなる者へ祝いを言いにきた」
 テクトラムがケン・レムがでかでかとついた羽織を見せてそう言うと、家人は少し困ったような顔になった。だがすぐにどうぞと2人を家の中に導き入れる。
 生贄となる娘を見れば、先ほど何故家人が困った顔をしたのかはすぐ理解できた。光栄に思い喜ばねばならないはずの娘は、しくしくと泣いていた。顔立ちの整った娘だが、泣きはらした目がぱんぱんに腫れて、悲惨な状態となっている。余程嫌なのだろう。
「あの、これは、嬉しさの余りで……」
「宴になんか行きたくない!」
 家人の言い訳に娘の叫びが重なる。青くなる家人にナディアは、
「何やらお悩みの様ですね……」
 と優しく声をかけ、生贄の入れ替えを提案した。
「私は宴に行きたいの。良かったら代わってもらえないかしら」
 勿論、娘も家族もすぐその提案に飛びついた。
 衣装を貸して欲しいという願いも快く承諾され、ナディアは娘と母親に連れられて、衣装の置いてある部屋へと向かう。
 その間にテクトラムは、自分たちが宴を今日で終わらせようとしていることを、家人に話した。
「……無理です」
 クロノヴェーダの力を知る住人は、あり得ないと首を振る。
「宴を終わりにしようとしている仲間は他にもいる。必ずや……ん? 何か騒がしいな」
 話の途中、ナディアたちの声がここまで届いて、テクトラムは不安になった。何かあったのだろうか。
「大丈夫かナディ……」
「お待たせしましたテクトラムさん…」
 心配になったテクトラムが立ち上がったとき、着替えの部屋に通じるドアが開いた。
 わっさぁ。
 羽根がわっさぁしてる。
 いや、わっさわっさわっさぁしてる。
 何が起きたか処理が追いつかず、テクトラムは目頭を揉んで二度見した。
「……ウン、わっさぁしてる」
 衝撃に、テクトラムの感想はそれしか出てこない。
 衣装の重みでヨロヨロしながら現れたナディアは、筒形のシースドレスに金の装飾を何重にも重ね、そして――背負い羽根を装着していた。歌いながら大階段でも下りてきそうないで立ちだ。
 ……ドレスに着替えたあと、良い笑顔で娘がこの大羽根を持ってきたときにはナディアも仰天した。この子、これを背負って宴に出るつもりだったのかと。そして背負わされてまた驚いた。
「重っっっ!」
 10キロ、いや20キロあるかも知れない。
 なんでこのようなものがこの世界に……改竄世界にしても謎過ぎる。そう呆然としているうちに背負い羽根はしっかり装着されてしまった。
「わふっ……!」
 部屋に入ろうとして羽根がつっかえて、横向き横向き、かがんで、と言われてなんとかドアを潜り抜ける。
 ドアを抜けたところで、大羽根は再びぶわっと広がった。
「さすがに派手過ぎるかしら……」
「いや似合っている大丈夫」
 頷きはしたが、テクトラムは逆に不安になってくる。自分はこのでかでかケン・レム羽織だけで大丈夫なのだろうか。
「私も何か追加した方がいいか……」
「ではこれを。その羽織に似合うと思うの」
 娘が差し出したのは、ケン・レムの槍を金ピカ仕様にした模造槍。祭りのときに使う縁起の良いものらしい。
「もうひとつ羽根があると良かったんだけど……」
 残念そうな娘に、いやこれで良いと言ってテクトラムは模造槍を受け取った。
「ごめんなさい。でも本当にありがとう」
 娘が詫びながら差し出した招待状となる花を手にすると、2人はその家を出た。
「ナディア足元にはくれぐれも注意……」
 転ばないようにとかけたテクトラムの声にナディアがぱっと振り返る。
「はい? 呼びましたか?」
 ぶわん、どごっ。
「あぁぁっっっ、テクトラムさんっ!」
 押し寄せた羽根に弾き飛ばされたテクトラムへと、ナディアは慌てて……羽根をわっさわっささせながら駆け寄った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV2になった!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV2になった!

サアシャ・マルガリタ
さてさて、次は潜入準備ですね!
えっと、お花を差してある家が目印でしたっけ
お祝いを言いに来ましたです、とひとまずおうちに入れて頂いてから
贄の身代わりを申し出るです
サアシャは身寄りもありませんしお構いなく!
その代わり、衣装お借り出来ます?
サイズが合えば良いのですが……調整して頂けるですか、ありがとです!
準備されていたものを何でも着るですよう!(描写お任せ)

ひゃあ、煌びやかーになりましたねぇ…(てれれ)
って、気づけば銀シャリまでキンキラアクセサリーでジャラジャラ飾られてるです!?
あ、でも、このあと暴れ回って人目を引くのにはお役立ちでしょーか
銀シャリ、その状態で踊れます??(ひょっこり跳ねる銀シャリ)


 つるつるになった顔が嬉しくて、サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)がペタペタと顔を触ると、その横でダンジョンペンギン『銀シャリ』も、ペタペタ顔を触っている。
「きゅうりパックの効果あなどれないですね」
 良い気分で、次は潜入準備開始だ。
「えっと、お花を差してある家……あれですね!」
 花を目印に生贄を出す家を見つけ、サアシャはお祝いを言いに来ましたと、ひとまず家に入れてもらった。
 他の祝い客がいなくなるのを待って、サアシャは少女に話しかける。
「サアシャが贄の身代わりになるですよ」
「本日はありが……えっ?」
 少女は表情を変えた。少女だけでなく家族もまた。
「代わって……くれるの?」
「はいです。サアシャは身寄りもありませんしお構いなく! その代わり、衣装お借り出来ます?」
 思わぬ助けに、家族は代わる代わるサアシャの手を取って礼を言い、娘のために用意していた衣装を着つけてくれた。
 クリームイエローのすとんとしたワンピースは上質の麻。腰には幾何学模様が丁寧に縫い取られた布を巻き、前にも長く垂らされた。
 娘と比べてサアシャは小柄だから、その場で衣装を調整してくれる。長すぎる裾をあげ、そして……。
「お胸がぶかぶかですねえ……」
 屈まなくとも見えそうな胸元をサアシャは手でつまんだ。
「直すの無理そうなら、別の家で……」
「待って」
 まさに娘の命綱であるサアシャを逃がすまいと、母親は奥へと走って行き、きらきら光る薄布を手に戻ってきた。
 余った胸元の布を寄せて、そこに薄布を大きくリボン状に結んで留めつける。同様に腰の部分にもつけてボリュームアップ。あとは腕輪、足輪に髪飾り。装飾品をてんこ盛り。
「ひゃあ、煌びやかーになりましたねぇ……って、銀シャリも?」
 気づけば銀シャリにもキンキラアクセサリーがジャラジャラ飾りつけられている。
「このあと暴れ回って人目を引くのにはお役立ちでしょーか。銀シャリ、その状態で踊れます??」
 サアシャに聞かれた銀シャリは、ひょっこりと跳ねてみせた。大丈夫そうだ。
「準備完了、ですねえ」
 行ってきます、とサアシャは生贄の花を手に、少女とその家族に向かって手を振った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV28になった!

クーガ・ゾハル
【凸凸】22/7/7JC参考

たのもー、じゃないな
ここはヒトツまかせてくれ

言ったの、おまえなのに
だいじょうぶだ、キアイがあれば大体いける

お、おう
おどり……ダンスか
イショーの事、くわしくないからな
布いちまいだったし

ヒラヒラ、キラキラ、王ゾクみたいだ
ひっかからずに、うごけるだろうか
カガミの前でボーゼンとして
絵本に出てきたようなスガタのやつがいる
……? はじめまして、だれだ、こいつ
……? おれだな……?
ねっとうブロのツヤピカパワーもあるし
すごく、うまくおどれるヨカンがする
"ひっぷほっぷ"と"ぶれいくだんす"なら
新宿島で、ちょっとおぼえたからな

で、エンのイショーはどうするんだ
おい、サボりはダメなやつだぞ


エンジュ・アルティオ
【凸凸】

青い花の飾られた家を訪問
どうも、ツレが代わりに行ってやるって意気込んでてね

家や近隣の人に協力仰いで馬子の衣装拝借
仮にも生贄だしな
そらもう華やかに神秘的に穢れなく
……かけ離れてンな、いけるか

本人が本場とくれば遊び心も沸く
中東のお伽話、それも踊り子イメージで
深い夜の青と黒、ひらり風になびく薄衣
お星さまヨロシク高貴に輝く金の装飾
揃いのやつを耳にも髪にも

おいドタバタせずに、もちょい粛々と歩いてみ
――よしよし、なかなかどうしてお伽話な仕上がり

いや熱湯風呂って何?芸人?
ここでそのジャンルのダンスは神様ビックリするだろうよ

あァ、僕はスパでのんびりする予定だからこの辺で
荒事は宜し……ぐえ、襟引っ張ンな


 戸口に飾られているのは繊細な花弁をいくつも重ねた青い花。
 花の意味を知らなければ、綺麗だと好ましくも思っただろうけれど。
 生贄の目印の花をつけられた家の中では、家族の中で一番年下の少年が宴に出かける準備をしようとしていた。
 家族はかける言葉もなく、それを手伝おうとする……そこに、家を訪問したエンジュ・アルティオ(イロナシ・g05162)は、どうもと声をかけた。
「戸口の花を譲り受けたいんだがいいかな。ツレが代わりに行ってやるって意気込んでてね」
「たのもー」
 エンジュの後ろがら顔を出したクーガ・ゾハル(墓守・g05079)は、この挨拶じゃないなと言い直す。
「ここはヒトツまかせてくれ」
「代わりに……宴に出てくれるの?」
 見知らぬ2人を少年は期待をこめて見つめ、だが言わなくてはと小さな声で続ける。
「……でも、宴に出たら生きて戻れない。それも知ってる?」
「しってる。イケニエだからな」
 即答するクーガに、少年は泣きそうな笑顔になった。

「ンで、馬子の衣装を拝借したいんだが」
 エンジュに指され、クーガがきょとんとする。
「おれ、まご?」
 少年を差し出さずに済むとなれば、家族は喜んで協力してくれた。
「仮にも生贄だしな。そらもう華やかに神秘的に穢れなく……」
 積み重なる衣装や布、装飾品を手に取りながら、さてどう作ろうかとエンジュはクーガを眺め。
「……かけ離れてンな」
「言ったの、おまえなのに」
「確かに言ったけど……いけるか、これ」
 不安が兆してくるエンジュに、クーガはどんと胸を叩く。
「だいじょうぶだ、キアイがあれば大体いける」
「神秘が気合でいけるってかァ?」
 そう口では言いながらも、エンジュの中ではイメージが出来上がりつつあった。
 飾り付けられる本人が本場とくれば、遊び心も湧こうというもの。
「中東のお伽話、それも踊り子イメージでどうだ」
「お、おう。おどり……ダンスか。腹だす?」
「腹はしまっとけ」
「うーん……イショーの事、くわしくないからな。布いちまいだったし」
 クーガの言葉にエンジュは、彼が『ドレイだった』と話していたことを思いだす。
「なら好きにやらせてもらいましょー、ってな」
 エンジュの手が、ささっと衣装を選び出した。
 色合いは深い夜の青と黒。全身がそれだと重くなるから、下は白で軽やかさを出して。
 羽根のようなマントは華やかでありながら派手過ぎることなく、踊りに翻るだろう。
 ひらり風になびく薄衣は、夕焼けが夜へと変化してゆくようなグラデーション。
 装飾品は大ぶりのものを避け、精緻なものを全身に。暮れた空にきらめくお星さまよろしく、高貴に金の装飾を輝かせて。揃いのやつを耳にも髪にも。
「ヒラヒラ、キラキラ、王ゾクみたいだ」
 クーガは物珍しそうに衣装を見やった。
「動きにくいところはあるか?」
 エンジュに言われ、クーガはひっかからないように気を付けながら動いてみる。
「おいドタバタせずに、もちょい粛々と歩いてみ」
「しゅーく、しゅーく……こうか?」
「よしよし、なかなかどうしてお伽話な仕上がり。ほら見てみな」
 エンジュが示した鏡を、クーガはじっと見つめた。
「……? はじめまして、だれだ、こいつ?」
 絵本に出てきたような姿の相手は、クーガが頭を下げると頭を下げた。
「……?」
 左右に顔を動かすと、相手も左右に顔を振る。
「おれだな……?」
「そ、クーちゃん」
 クーガは呆然と鏡に見入った。これが自分?
「ねっとうブロのツヤピカパワーもあるし、すごく、うまくおどれるヨカンがする」
 すっかりその気になっているクーガに、エンジュはついツッコミを入れる。
「いや熱湯風呂って何? 芸人?」
「しょーしゃはルーシド、だけど、おれもゆだった。ダンスは、"ひっぷほっぷ"と"ぶれいくだんす"なら、新宿島で、ちょっとおぼえたからな」
「……ここでそのジャンルのダンスは神様ビックリするだろうよ」
 その衣装でそのダンス。捧げられる女神はさぞ目を丸くすることだろう。そう思って含み笑うエンジュの服をクーガがつまむ。
「で、エンのイショーはどうするんだ」
「あァ、僕はスパでのんびりする予定だからこの辺で。荒事は宜し……」
「おい、サボりはダメなやつだぞ」
 ぐい、とクーガに襟を引かれ、エンジュはぐえと呻いた。
「あの……向かいの家にも花が……幼馴染なんです」
 おそるおそる申し出る少年に、クーガはわかったと頷き。
「エン、いこう」
 エンジュの服を握ったまま、ずんずんと向かいの家へと歩き出した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!

カイス・ライル
【お祭り男】
ケペシュと共にゼキと合流
良い男振りに磨きを掛けたようだな、ゼキ
俺達はウーパーを食べたが……名物なのか
ただのウーパーだったぞ

供物候補の家を訪ね、祝辞を述べて様子を窺い
身代わりを打診して、人数分の花を譲り受ける
衣装や更衣場所の用意も頼みたい

ゼキは、背も厚みも立派だから
豪奢な宝飾品を着ければ、威風を放つだろう
機械の手足も磨いて、獅子の王のように飾る
ケペシュは、撓やかで品があるから
羽根飾りや花を添えれば、華やぎが増す
剣の柄にも、飾り紐を巻いて構わないか
黒豹の貴人のように仕立てたい

俺は、見苦しくなければ構わないが
友の厚意に背くはずもない
豹の毛皮と白蓮、首飾り
ふたりに値するよう着こなしてみせる


ケペシュ・ナージャ
【お祭り男】
彗に手を振って別れ
ゼキ殿、肌が綺麗に…?
スパ効果ですか

まずは人数分の服と花が必要です
供物候補の家を訪ね、入れ替わりを提案
このことは内密に
家族は離れ離れになるべきではない、そうでしょう

その後は一箇所に集まり着替えを
華のある装いに慣れていないもので面映いですね
飾り紐も腕輪も有難く

豪奢といえばやはり黄金
この首飾りは如何ですか、陛下
なんてゼキ殿に戯れを
貴方の豪胆さもより引き立てられましょう

何を言っているんです、カイス
ちゃんと貴方自身も立派に飾らないと
女神が許しても俺が許しません
生まれ持った野性の中に光る優しさが貴方の魅力の一つだと、俺は思います
ヒョウの毛皮と、白のエジプトスイレンを我が友に


ゼキ・レヴニ
【お祭り男】

ン、あの世に逝きかける位いい湯だったぜ
お前さん達は変わった名物食ったとか?

生贄の家を回り
祝いを述べに来たと告げ、迎え入れられたら入替り提案
家族を守る事が不信心なもんか、心配しなさんな

住民からあれもこれもと渡された衣装はド派手なお祭り風味
二人にも飾って貰えばいっそ清々しい程豪華に
これなら機械部分も装飾の一部に見えるかね
うむ、苦しゅうない!
陛下気分で胸を張る

ケペシュは黒が似合うねえ
豹の瞳っぽい石が嵌め込まれた腕輪もどうだい
カイス〜お前さんの盛装も見たいなァ
牙と革で編まれた首飾りも合いそうじゃねえか

よっしゃ、黒豹と白豹と獅子トリオの完成!
パーティを食い荒らしてやろうぜ
祭りの始まりだ!


 彗藍に手を振っていったん別れると、ケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)とカイス・ライル(屍負い・g06804)はゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)と合流した。
「ゼキ殿、肌が綺麗に……? もしやスパ効果ですか」
「確かに、良い男振りに磨きを掛けたようだな、ゼキ」
 会うなりケペシュとカイスに続けざまにに褒められ、ゼキはつるりと顔を撫でた。
「ン、あの世に逝きかける位いい湯だったぜ」
 スパに肩までどころか頭の上までどっぷり浸かった、あるいは茹でられた効果だろうか。ゼキの肌はゆでたまごのように滑らかだ。
「お前さん達は変わった名物食ったとか?」
 聞いたぜ、と言うゼキに、ケペシュは涼しい顔で頷く。
「未知の料理に出合うのもまた、旅の醍醐味ですから」
 未知の生物(を揚げたもの)と目が合うのもまた、旅の醍醐味……か?
「俺達はウーパーを食べたが……名物なのか。ただのウーパーだったぞ」
 カイスにとってはウーパールーパーも、等しくただの食材であるようだ。
 それぞれにジェアの街を楽しんだ後は、今宵の宴のための準備にとりかかる。
「まずは人数分の服と花が必要ですね」
 宴に参加するための盛装と、招待状となる花を手に入れるため、ケペシュたちは戸口に花が飾られた家を訪ねることにした。

 祝いを述べに来たと告げれば、ゼキはどうぞとすぐに迎え入れられた。
 ゼキが入れ替わりを提案すると、申し出は有難いけれど……と家族は不安を見せる。
「別の方を生贄にするなど、許されるのでしょうか……」
「家族を守る事が不信心なもんか、心配しなさんな」
 ゼキが当然のようにそう言うと、家族の不安は喜びへと変わっていった。

 ケペシュもまた供物候補の家を訪問し、入れ替わりを申し出た。
「本当に良いのですか?」
 信じられないように何度も確かめる家族に頷くと、ケペシュは人差し指を立てて口元に当てた。
「このことは内密に。家族は離れ離れになるべきではない、そうでしょう」
「ええ……ええ、ありがとうございます……」
 もうどこにもやらないとばかりに、家族は生贄とされるはずだった少年の手をしっかりと握りしめた。

 カイスの祝辞に供物候補の青年は礼を述べた。
「ありがとうございます」
 表面上は光栄だと取り繕いながらも、青年にも家族にも内心を隠しきれない暗さが付きまとっている。喜ばねばならない、とはいえ心から喜べるはずもない。
 そこに身代わりを打診すると、偽りの喜びは真の喜びへと変わった。
「宴に出るための花と、できれば衣装や更衣場所も頼みたい」
 カイスの頼みにも家族はすぐに頷き、着替えのための部屋と衣装……青年が着る予定だったものだけでなく、家中の衣装や布、装飾品を用意してくれた。

 3人は提供された部屋に集まり、あれもこれもと渡された衣装や装飾品を広げた。
「しかし、ド派手だな」
 衣装を身に着けたゼキは、真紅のマントをつまんで広げてみた。
 普段彩度の高い服を着ることがないため、華やかな赤、ふんだんに使われた金の鮮やかさに、祭りか? と思う。
「良く似合っている。この衣装を着こなすとは流石だな。ゼキは、背も厚みも立派だから、豪奢な宝飾品を着ければ、威風を放つだろう」
「豪奢といえばやはり黄金。この首飾りは如何ですか、陛下」
 カイスの言葉を受けて、ケペシュがずっしりと重い金細工の首飾りをゼキに留めつけると、戯れめかして一礼してみせる。
「これで貴方の豪胆さもより引き立てられましょう」
 カイスはゼキの機械の手足を磨き、そこにも装飾を足して、獅子の王のように飾り立てた。
「これなら機械部分も装飾の一部に見えるかね」
 派手だと思ったが、ここまで飾ってもらえればいっそ清々しい程豪華だ。
「うむ、苦しゅうない!」
 ゼキは陛下気分で胸を張ってみせた。

 ケペシュが提供された衣装は、ゼキとうって変わって色合いをぐっと抑えた黒。
 黒といっても一色でなく肩から渡された布は紫黒色、と微妙に異なる色の黒が奥行を出している。
 布の端には金の縁取りがされ、落ち着きの中にも華を添えている。
「ケペシュは黒が似合うねえ」
「そうだな。ケペシュは、撓やかで品があるから、羽根飾りや花を添えれば、華やぎが増すだろう」
 衣装の良さを損なわない装飾品はどれだろうと、カイスは当ててみながら選んでいった。
「剣の柄にも、飾り紐を巻いて構わないか。黒豹の貴人のように仕立てたい」
「お、いいねえ。なら、豹の瞳っぽい石が嵌め込まれた腕輪もどうだい」
 闇に紛れるように黒をまとうことはあっても、華のある装いには慣れていないから面映ゆくもあるが、カイスの案も、ゼキから差し出された腕輪も、ケペシュは有難く受け取った。

 ゼキとケペシュを飾り終えて満足そうなカイスに、ゼキが言う。
「カイス〜、お前さんの盛装も見たいなァ」
「そうだな、宴用の衣装を着る必要はあるだろう。見苦しくなければ構わないが」
 とりあえず生贄役が着るはずだった衣装を着ておけば問題ないはず。目の詰まった上質なリネンの腰布の上から、青と金が交互に入った飾りベルトを3本。あとは適当に装飾品を……と特に考えずに伸ばしたカイスの手を、ケペシュが止めた。
「何を言っているんです、カイス。ちゃんと貴方自身も立派に飾らないと」
「俺は宴に入れればそれで良い」
「いいえ。女神が許しても俺が許しません」
 何を足せば、カイスの魅力をいっそう引き出せるだろう。ケペシュは顎に手を添えてカイスをじっと眺めた。
「これを我が友に。生まれ持った野性の中に光る優しさが貴方の魅力の一つだと、俺は思います」
 ケペシュが選び出したのは、ヒョウの毛皮と白のエジプトスイレンだ。
 毛皮に花のように並ぶ斑紋は、絢爛だが野生の輝きを失わず、エジプトスイレンからは芳香が漂う。
「首飾りはキラキラよりこっちが合いそうじゃねえか」
 ゼキがカイスにかけたのは、牙と革で編まれた首飾り。戦利品を綴ったような首飾りは、浮つかない雰囲気がカイスに似合う。
 カイスはヒョウの毛皮、エジプトスイレン、首飾りに順に手を触れ、ふたりに値するよう着こなしてみせる、と心に誓った。
「よっしゃ、黒豹と白豹と獅子トリオの完成! 祭りの始まりだ!」
 せいぜいパーティを食い荒らしてやろうと、ゼキは気炎を上げた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【怪力無双】がLV3になった!
効果2【ダブル】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

アリア・パーハーツ
※衣装イメージ20220723納品全身図準拠
変装も兼ねて黒髪に

【踊り子親子】

ルーシドさんと一緒に踊り子親子戦法なのだぜ
あの家かな、お父さんと娘さんが選ばれちゃったところ

全部ボク様たちに任せて
大事な人と離れる必要なんてない
そんな事させない

大丈夫、パパンが何とかしてくれる
神様なんて捻り潰すものだし

というわけで衣装お借りします
お花も貰っていい?

えへへ、嬉しい
宝石意外と重いね?
睡蓮のお花綺麗…似合う?(にっこにこ御満悦)

おお…黒と深い赤に金の装飾が映えるのだぜ
しゃらっと良い音色
あ、青いお花もある…ヤグルマギクだって
ターバンに付けたら似合いそう

ちょうど色が逆でいいね
ボク様のパパンが世界一格好いい!


ルーシド・アスィーム
※衣装イメージは2022.4.30納品の全身図準拠

【踊り子親子】
アリアさんと艶やかな踊り子に
父子が生け贄になる家庭を訪問し成り代わりを提案
ええ、あのお宅の様です。2人も生け贄指名とは運が悪い
家族が引き裂かれるのは忍びない、僕達が身代わりになりましょう
神を騙る不届き者を成敗したい故お気に病まれず
ふふ、愛娘ちゃんの前ですからね。一層頑張れますとも!

お代に家族から花を融通して貰いアリアさんを飾り立てましょ!
黒髪姿も艶やかな黒真珠の様、可憐な薄紅の睡蓮花が良く似合ってますよう(良い仕事をした!とにこにこ)

分かります、宝石も重なると重くなるんですよね……え、格好いい?やだ照れるー!


 ジェアの街で聞きこんだ噂をもとに、アリア・パーハーツ(狂酔・g00278)とルーシド・アスィーム(星轍・g01854)は該当の家を探した。
「あの家かな?」
 教えてもらった特徴と一致する家を見つけ、アリアがこっそりと指をさした。普段のアリアを知る人ならば、二度見するだろうか。変装も兼ねて彼女の赤い髪は染められ、黒く背に流れている。
「ええ、あのお宅の様です」
 ルーシドの目は、戸口に差された2本の花を捉えていた。
 2人の生贄を要求され、父と娘を出すことになった家がある。そう街の人が気の毒そうに噂していた。1人でも辛いのに、2人が同時とは。
 祝いを口実に訪問してみれば、隠せぬ悲しみが家中に満ちていた。
 離れがたく手を握り合っている家族に、祝い客もかける言葉がなく、ただ肩を叩き、頭を下げて去っていった。
「家族が引き裂かれるのは忍びない、僕達が身代わりになりましょう」
 ルーシドが申し出ると、父娘はその意味を捉えかねて顔を見合わせた。自分たちの願望が、そんな空耳を呼んでしまったのかと。けれど続けてアリアが、
「全部ボク様たちに任せて。大事な人と離れる必要なんてない。そんな事させない」
 と請け合うと、息を引くように小さな叫びをあげた。
「見知らぬ方にそんなこと頼むわけには……いや、娘だけは」
 葛藤する父親に、ルーシドは何でもないように言った。
「神を騙る不届き者を成敗したい故、お気に病まれず」
「でも、宴に出ればあなたがたの命が……それでも代わってくださると?」
 娘を抱きしめながら聞く父親に、アリアはうんと頷いた。
「大丈夫、パパンが何とかしてくれる。神様なんて捻り潰すものだし」
 ね? とアリアの視線を向けられて、ルーシドはふふっと笑う。
「愛娘ちゃんの前ですからね。一層頑張れますとも!」
「親子……?」
 父親は2人を見比べたが、すぐにそんな詮索をしている場合ではないと気づいたのだろう。
「代わってもらえるというなら、是非にも」
 願ったり叶ったりの申し出を有難く受けた。

「というわけで衣装お借りします。お花も貰っていい?」
「はい、もちろんです」
 代わってくれるというのなら何なりと。父娘が着る予定だった衣装や装飾品、着替えの部屋、他にも必要なものがあればお申し付けください、と様々なものが提供された。
「えへへ、嬉しい」
 アリアは早速着替えてみた。踊り子の衣装は、上は金鎖の肩紐がチョーカーに繋がる白いブラ、スカート部分は淡青色に金糸で模様を縫い取った生地と、金の縁取りがされた白い生地との2枚重ね。スカートは上部が完全に離れている形のため、アリアの引き締まったレッグラインが惜しげもなくさらされている。露出の多い恰好なのに健康的な魅力に溢れているのは、程よくついた筋肉のバランスの良さもあるのだろう。
 衣装を身に着け終えると今度は装飾品。腕に、脚に、いくつもの装飾品をはめ、首元には大きな宝石の輝く胸飾り。
「宝石意外と重いね?」
「分かります、宝石も重なると重くなるんですよね」
 頷きながら、ルーシドは家族から融通してもらった睡蓮花をアリアの髪に飾り付けた。
「睡蓮のお花綺麗……似合う?」
 にっこにこのご満悦の笑みを見せるアリアに、こちらも良い仕事をしたとにこにこ顔のルーシドが答える。花飾りは位置やつけ方によって、粋にも野暮ったくもなる。うまく位置が決まったときは、飾り付けたほうも気分が良い。
「黒髪姿も艶やかな黒真珠の様、可憐な薄紅の睡蓮花が良く似合ってますよう」
「そう言うルーシドも、黒と深い赤に金の装飾が映えるのだぜ」
 ルーシドもまた、踊り子衣装。
 肩から腰へと斜めにかけられた黒い布には金のひし形模様。それとは逆側でぎゅっと絞られた赤い腰布は、揺れるたびふち飾りがきらりきらりと。
 その下はサルエル風のパンツ、だが腰布が大きく翻れば、側面にどきりとするほと深いスリットが入っているのが見えるだろう。
 ふんだんにつけた装飾品は、踊れば触れ合い、しゃらっと良い音色を立てることだろう。
 そして2人のペディキュアはお揃いの黒。
「あ、青いお花もある……ヤグルマギクだって。ターバンに付けたら似合いそう」
 はい、とアリアはルーシドのターバンにヤグルマギクを飾った。
「ちょうど色が逆でいいね。ボク様のパパンが世界一格好いい!」
「……え、格好いい? やだ照れるー!

 漏れ聞こえてくる2人の声に、生贄になるのに何故そんなに楽しそうなのだろうかと、父娘はこっそりと首を傾げたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【飛翔】がLV29になった!
効果2【ダブル】がLV3になった!

サプライズ・ウメコ
生贄、ですか
愚かしい。古い因習や儀式をなぞるような意味合いなのでしょうが
所詮そんなもの、盛者必衰の泡沫でしかないのです

可能であればそこに住まう方々の逃走手段の手引きをしたいですが、
そこまで出来ずとも、小さな困りごと程度なら片づけて差し上げます

片づけ、子供の世話……生憎と笑顔を向けることはできかねますが、信頼を勝ち取れるのなら幸いです
敵を始末する為の下準備には、俺は苦労を惜しみませんので
……これは、花冠?
俺には不釣り合いなものです けれど、大事にしましょう

さあ、準備は整いました 彼らの思惑通りには、させませんよ――?


 綺麗な街並み、幸せそうな人々。
 光に満ちているようなジェアの街。
 けれどその裏側を覗かせるように、家の戸口に差された花がある。
「生贄、ですか」
 その言葉をサプライズ・ウメコ(塔・g05946)は嫌そうに口にした。
 残酷であるから……というのではなく、あまりにも愚かしくて。
(「古い因習や儀式をなぞるような意味合いなのでしょうが、所詮そんなもの、盛者必衰の泡沫でしかないのです」)
 そこにウメコは意味も意義も見いだせない。
 可能であれば、生贄を出さねばならない家に住まう人々の逃走手段の手引きをしたいところだが、クロノヴェーダによる恩恵によって生かされている住民は、逃がせば野垂れ死にしかねない。
 無駄なことはしたくないから、ウメコは代わりに彼らの小さな困りごとを片付けてやることにした。
 怪力無双の効果があるから、力仕事も難なくこなせる。
 宴に気を奪われておろそかになってしまっている子どもの世話をしてやり、邪魔なものは取り片付け。
「すまないねぇ、助かるよ」
 安心しきった住人に、いえいえと首を振る。
 ウメコがしているのは親切ではない。敵を始末する為の下準備だ。ならば労苦を惜しみはしない。
 生贄となった者が向かう宴では、ディアボロスが暴れることになる。そのときによそ者である自分たちへの信頼が少しでも得られているかどうかによって、彼らの動きも変化するだろう。
「あの、よかったらこれを」
 生贄となる娘が庭の花を摘んで作った花冠を、ウメコへと差し出した。
 自分には不釣り合いに思われるそれを、
「大事にしましょう」
 とウメコは受け取った。
 関与しなければこの娘は生贄とされ、それによってクロノス級はアヴァタール級を生み出し、過去へと送る。
(「準備は整いました。彼らの思惑通りには、させませんよ――?」)
 花冠を手に、ウメコは生贄の家から去って行った。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV30になった!

ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と
…どうしてこうなった

各自贄を出すお宅訪問で衣装を借り身代りで家族も助けてWinWinで行こうと思うけど
ココで要注意は女性の贄と決まってる家は気まずい
街であの家は次男を出すらしいと情報を得て
訪れたら女装男子だったよ!…思わず二度見したよ!

そんな訳でお借りしたのはまごう事無き女性の衣装
筒形のワンピースに軽やかなヴェール。高価な布をふんだんに使い金装飾がシャリシャリ音を立てる…
どうしてこうなった?
エートーヴァー!と泣きつき合流すれば
エトヴァ、カッコイイじゃないか!
あ…これは将来を誓い合った二人が共に贄になる健気設定ができる?
諜報員…どんな時も状況に合わせて…や、やるかぁ~?


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
恋人のラズ(g01587)と
アドリブ歓迎

豊かな街だ
だが、人々が笑っていなければ……

花が差された家を手分けし訪れ
俺はただ、誉れよりも、一人ずつが幸福であってほしいと願う
代わりに神殿へ向かおう
と入れ替りを提案

えっと……こちらの衣裳は勝手がわからんな
着つけてもらえば
織の美しい夜空色の腰布に、黄金と彩りの豊かな装飾品
半裸の上半身にはマントを羽織って、髪には黄金の装飾を編みこんで
黄金のサンダルに腕輪を……ん、婚礼衣装?
外に出れば、近づいてくる涼やかな音、淑やかなシルエット
……ラズ?
瞬きを打って、抱きしめる
……美しいな。俺の花嫁さんだ
頬を赤らめて、やろうか、と
想いは一つに
するりと指を絡めて、神殿へ向かおう


 オアシスで思いっきり遊んだ後、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)とラズロル・ロンド(着実確実に人類の正気を奪う者…が、しかし地味っ・g01587)は、手分けして生贄を出す家を訪れ、花と衣装を借り受けることにした。
「贄を出すお宅訪問で衣装を借りて、身代りで家族も助けてWinWin、と行きたいところだけど……」
 女性の贄と決まってる家は気まずい。花が差さった家を見つけても、ラズロルはすぐにその家を訪れることはせず、街の人にあれやこれや話しかけ、まずは情報を得る。
 誰を生贄としようとしているかを注意深く聞き出して、その中で次男を出すらしいと噂されている家を発見した。次男の年頃は、ラズロルより少し下か、という辺りらしい。
 これなら入れ替わりも衣装も問題ないだろう。
 やっぱり情報は大切。
 ラズロルは意気揚々とその家を訪れた。

「豊かな街だ」
 一見、幸せに見えるジェアの街。だが、エトヴァはその裏に犠牲を強いられている人々がいることを知っている。生贄を差し出さねばならない家々では、今頃別れを惜しんでいる頃だろうか。
 戸口に花が差された家を見つけると、エトヴァはその家を訪れた。
 祝いを述べに来た客だと思われたのだろう。家人は丁重にエトヴァを迎え入れた。
 生贄になるという青年は、これから用意をしようかというところ。
 女神に身を捧げることは誉れだとされているし、抵抗すればクロノヴェーダが支配するこの街では生きていけない。沈んだ顔で、支度に立とうとするのをエトヴァは止めた。
「俺が代わりに神殿へ向かおう」
 そう申し出ると、勿論驚かれたが、誰かが身代わりとなってくれるなど信じられないほど有難いのが本音。何度もそれで良いのかと確認したあと、家族全員がエトヴァへと頭を垂れた。
 衣装を貸してほしいとの要望も快く聞き届けられた。
「えっと……これを巻けばいいのか?」
 手渡された布を見て戸惑っていると、こちらへ、隣の部屋に案内された。
 丁重に着つけてくれるのは、織の美しい夜空色の腰布だ。しっかりした布なのに、動きを妨げず身に寄り添う。その上に、黄金と彩りの豊かな装飾品がつけられる。
 半裸の上半身には金の縁取りがされたマント。その首元にも金の装飾品がかけられた。
「そちらにお座りください」
 促されるまま椅子に座れば、エトヴァの青い髪にも黄金の装飾が編み込まれる。
 足には黄金のサンダル、腕にはこちらも黄金の腕輪。
「随分と豪華な衣装だな」
 着つけられた衣装を眺めるエトヴァに、青年が説明する。
「これは……婚礼衣装になるはずでした。ですが、女神様への捧げものに選ばれたので、もう婚礼をすることもないと、宴に着ようとしていたものです」
「そんな大切なものを借りて良いのか?」
「婚礼が出来るのも貴方のお蔭。恩人に着てもらえるなら衣装も光栄に思うでしょう。……すみません。そしてありがとうございます」
 青年は床に膝をつき、深々と頭を下げた。

 一方ラズロルは。
 ばっちりリサーチして訪れた家で、ばっちりその家の次男との入れ替わりに成功したのだが。
「……どうしてこうなった!」
 着つけられたのは筒形のワンピース。肌ざわりからも高価なのがうかがえる布をふんだんに使い、幾重にもかけられた黄金の装飾が、ラズロルが動くたびシャリシャリと耳に心地よい音を立てる。
「これを……」
 仕上げにかけられたのは、軽やかなヴェール。
 そう、まごうことなき女性の衣装、かっこ、めちゃめちゃ高そう、かっこ閉じ。
 宴に行かずに済んで感涙にむせぶ次男は、まさかの女装男子。
 二度見三度見四度見しても、その事実は変わらない。けれどだからといって、身代わりやめます、とは言えない。
 見事に大変身を遂げたラズロルは、戸口の花を渡され家族総出で送り出された。
「…………」
 呆然としているそこに、
「……ラズ?」
 良く知った声がかけられた。
「エートーヴァー!」
 ラズロルは装飾品を鳴らしながらエトヴァに泣きついた。
「エトヴァ、カッコイイじゃないか! 僕はこれだよー!」
 良く見えるように両手を広げて女性用の衣装を見せると、エトヴァは瞬きを打ち……ラズロルを抱きしめた。
「……美しいな。俺の花嫁さんだ」
 エトヴァに言われて、涙目だったラズロルは目を見開き、そしてエトヴァの腕の中で笑った。
「あ……これは将来を誓い合った二人が共に贄になる健気設定ができる? や、やるかぁ~?」
 諜報員たるもの、どんな時も状況に合わせて。そう言うラズロルに、エトヴァは顔を赤らめ。
「……やろうか」
 想いは一つに。
 ふたりはするりと指を絡め合うと、寄り添うようにして神殿へと向かうのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】がLV5になった!
【飛翔】がLV31になった!
効果2【アクティベイト】がLV3(最大)になった!
【グロリアス】がLV3になった!

マティアス・シュトローマー
【チーム世直し】

風の噂によるとタオは平気だったみた…っと、ここだ
向かった先は散策中に見付けた家
ドアをノックして声を掛けよう

花が飾ってあるのを見掛けたんだ
えーと、おめでとう…?
(これで合ってる?)
なんて視線をラトに送りつつ本題へ

生贄の役を代わってほしいんだ
あはは、平気だって
何かあれば頼もしいお姉さんが守ってくれるし

見たところ、息子さんと俺は背格好が似てるから上手く誤魔化せるはず
衣装も貸して貰えると有難いんだけど

着付けて貰ったのはラトのものと似た色合いの衣装
いかにも礼装って感じでテンション上がるなー!
褒められれば、ふふんとポーズを決めてみる

さて。女神様に会いに行こう、か?
(ラトから謎の圧が…!?)


ラト・ラ
【チーム世直し】

この世の終わりのような悲鳴でしたからね
何事もなかったならいいのだけれど…

祝辞の言葉を向ける彼の眼差しを受け
複雑そうに眉を下げる
体裁的にはめでたいことでも実際は――
だけど、そんな苦しみはもうおしまい
わたしたちに任せてくださいと胸を張る

背格好…の単語にマティアスを横目でちらり
そういえば昔より背が高くなっただけでなく
体つきもしっかりしたような…?
はっ 脱線するところでした

はからずともお揃いみたいな色味の晴れ着
エキゾチックでお似合いです

女神さま――
例え神と名がつこうとも
マティアスのことは渡しません
めらっと修道女の背後で感情的な何かが燃え上がった気がしなくもない


 世にも恐ろしきタオタオの悲鳴を聞いたりもしたが、ジェアの街は概ね平和で、リゾート気分をたっぷりと味わうことができた。
「まさにこの世の終わりのような悲鳴でしたね。何事もなかったならいいのだけれど……」
 あんな声をあげるだなんてタオタオに何があったのかと、ラト・ラ(*☽・g00020)は案じる。
「風の噂によるとタオは平気だったみた……っと、ここだ」
 答えている途中で花が飾られている家を発見し、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は扉をノックした。
 はいと応えがあって、扉はすぐに開かれる。
「花が飾ってあるのを見掛けたんだ。えーと、おめでとう……?」
 この声かけで良いのだろうか。心配になったマティアスは、尋ねる視線をラトに投げる。
 マティアスの眼差しを受けてラトは軽く頷き、けれど複雑そうに眉を下げた。
 女神に捧げられるのは名誉なこととされている。だからこれは体裁的にはめでたいこと。マティアスのおめでとうの声かけは相応しい。でも実際は……。間近に迫る家族との別れを、心からめでたいことなどと思えるはずもない。
 家に招き入れられると、マティアスはすぐに本題に入った。
「実は、生贄の役を代わってほしくて来たんだ」
「そんなことをしたらあんたが……」
 言いかけた父親が息子を見て言葉をにごす。生贄とされる子の前で、その先を口にできなかったのだろう。
「あはは、平気だって」
 承知の上だとマティアスは明るく笑う。
「何かあれば頼もしいお姉さんが守ってくれるし」
 マティアスの視線の先にいるのがラトなことに、父親は不思議そうな顔をしたが、
「わたしたちに任せてください」
 ラトは胸を張る。家族を差し出さなければならない苦しみなど、もうおしまいにしなければならないのだから。
 そのラトの態度をどう見たのか、父親は安堵の息を吐いた。
「そうか……代わってくれるというなら非常に助かる。だが本当にいいのか?」
「いいから来たんだよ。見たところ、息子さんと俺は背格好が似てるから上手く誤魔化せると思うんだ。出来れば衣装も貸して貰えると有難いんだけど」
「ああ。勿論だ。こっちに来てくれ」
 衣装のある部屋へと父親はマティアスを案内する。
 その会話の中で聞こえた『背格好』の単語に、ラトは横目でちらりとマティアスを見やった。
(「そういえば昔より背が高くなりましたね。それだけでなく体つきもしっかりしたような……?」)
 日々の変化は少しずつだから普段は意識にのぼらないが、改めて見るといつの間に、と以前との違いに気付く。部屋を出て行くマティアスを視線で追って……はっとラトは脱線しそうになっていたのを引き戻した。

 やがて衣装を着つけてもらったマティアスが戻ってきた。
 左が長く右は短く、長さに大きく変化をつけた腰布。ベルトは前でXを形作るように両側から渡され、その交点には、宝石と金とを組み合わせた豪華な飾り。左肩から右腰へかけられた布は右腰で留めたあと、膝より長く足に沿ってひらひらと垂れている。
「あら……」
 ラトが目を見開いたのは、なんという偶然かその色が……ほんのりと緑を帯びた白に、ポイントカラーの緑のベルト、と自分が選んであった衣装と似た色合いだったからだ。
「こういう衣装、いかにも礼装って感じでテンション上がるなー!」
 普段着とは全く違う衣装。そしてあちこちにつけられた装飾品。見慣れぬ自分の姿にうきうきしているマティアスにラトは微笑んだ。
「エキゾチックでお似合いです」
「ふふん、似合う?」
 マティアスはそれらしいポーズを決めてみた。
 エジプト風の衣装を着たマティアスをこれまでラトは想像したことがなかったけれど、実際に見るととても似合っている。この姿が女神への捧げものとされるのかと考えると、ラトは異国の衣装を身に着けたマティアスから目が離せなくなった。
(「女神さま――例え神と名がつこうともマティアスのことは渡しません。ええ、決して」)
 意志が外に表れるものならば、ラトの背後でめらっと燃え上がる感情的ななにかが見えただろうか。
「さて。女神様に会いに行こう……か?」
 マティアスが視線をやったラトは、さっきの微笑みのまま。だが……なんだろう、押し寄せてくるこの謎の圧は。
「参りましょう。ええ、女神さまへの捧げものなど必ず阻止しなければなりません」
 ラトは生贄を逃れた家族へと一礼すると、迷いの無い足取りで神殿へと歩き出す。マティアスもラトの決意の強さがどこから来るものか不思議がりながら、その後を追っていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV33になった!

ネリリ・ラヴラン
花を差してあるお家を訪問するよ
名誉ある役を仰せつかった事を祝わせて頂きたいわ
(一応プラチナチケットも使うね)

ただ、ちょっぴり羨ましい気持ちねっ
正直に選ばれたかった事を伝えてから
わたしには共に暮らしている身内が居るでもなく
捧げものとなる日を待ちわびているのだと神妙にお話するわ

その上で
ご家族へ「今日だけこの家の娘」にしてくれないかって頼んでみるよ
このお家の子を捧げれば良いのだから
それなら堂々と代役になれるわ

衣裳は、本来行く筈の子の物を借りつつ
折角なら豪華な布や金細工の飾りで華やかにしてみたいね
あ、でもお着換えシーンは非公開だよ
さすがに脱いだら残留効果あっても羽や尾で怪しまれそう!

アドリブ歓迎


 戸口で咲く花を、ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)はこれが生贄の目印かと見つめた。綺麗な花だけれど、これを見つけたときの家族のショックは大きかったに違いない。
「名誉ある役を仰せつかった事を祝わせて頂きたいわ」
 ネリリがそう声をかけると、どうぞとすぐに家の中へと招き入れられた。
 この家で宴に出る予定なのは、末の娘とのこと。
 祝いを述べると、光栄です、と挨拶を返したが、うつろな目はネリリの顔も認識していなさそうだ。
「ちょっぴり羨ましい気持ちね。わたしも選ばれたかったわ」
 ネリリはそう伝えて、神妙は面持ちで話す。
「わたしには共に暮らしている身内が居るでもなくて、早く女神様の御許に召されたいと待ちわびているの。なのに今回の宴にも招待されなくて、正直がっかりしてしまったわ」「待つ人のところへは、なかなか来ないものなのかも知れませんね……」
 生贄の娘の母が細く息を吐いた。そこにネリリは提案する。
「生贄はこの家から捧げるのよね。ねえ、今日だけわたしをこの家の娘にしてもらえないかしら。そうしたらわたしはこの家の娘として、堂々と宴に参加できるわ」
 ネリリの案に生贄の家の家族たちは、なんと有難い申し出かとひれ伏した。

 本来生贄となる娘が着る予定だった衣装をネリリは借りた。着付けようというのを、自分でできるからと断って、部屋だけ借りてネリリは着替えた。
 上は紫の短い上衣。お腹の部分はあいていて、腰からは長く濃藍の布が流れ落ちる。
 上下に共通して金で蔓草の刺繍がされ、胸元には小ぶりの、腰には大ぶりの揃いの宝石が煌めく。
 ネリリはそれに加えて、豪華な布をショールとして、髪や手足に金細工の飾りを足して、華やかさを増した。
 着替えて出て行くと家族が待っていて、順にネリリを抱きしめた。
 今日だけはネリリはこの家の娘。
 髪を撫でられ照れながらも、ネリリは今日だけの家族にいってきますと手を振って、神殿へと出発した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!

カルメン・リコリスラディアタ
【彼岸花】
旦那のダルクエスと一緒、呼称:ダルク
アドリブOK


「思いっきり夫婦デート楽しんだことだし…一仕事すっか!」

花の招待状がある家を訪問して【友達催眠】を使い
その家の人に生贄の身代わりを申し出るぜ

だいじょーぶ、俺らに任せときなって!
その代わりだけどよ、衣装と化粧品と更衣室貸してくんね?

俺は艶やかな踊り子衣装を着るぜ
メイン色は大好きな赤と濃紅
ボディチェーンなど金のアクセサリー
髪には赤と白の花を飾る
何気にオペラのアイーダやアムネリスの衣装をちょっと意識してみたり

どーよダルク、この衣装似合うだろ?
ダルクエスの前で決めポーズし
着飾った夫に綺麗…と見惚れる

準備したらダルクエスに寄り添い宴の会場へ行くぜ


ダルクエス・ネクスト
【彼岸花】
妻のカルメンと一緒、呼称:カルメン
アドリブ歓迎
夫婦デートは楽しかったな…良い思い出にするためにも、切り替えよう
「宴が待ってる…そろそろ招待されようじゃないか。」

日中に店員の教えてくれた花の招待状のある家を訪問
祝辞とともに様子を窺い、生贄の身代わりを提案
…それと、衣装と小道具をお借りしても?

金のアクセサリー、黒と赤のエキゾチックな衣装で着飾ろうか
言葉と行為で「いつもより派手だ。カルメン、目に焼き付けておくれ?」
互いに魅せて、互いに魅せられよう
「綺麗だよ、カルメン。抱き締めてしまいたいくらい。」

花の招待状を持ち準備は万端、カルメンと腕を組んで
余裕をもって宴の会場へ向かおうかな♪


 様々なものを食べ歩き、ジェアの街で夫婦デートを楽しんだ後。
 カルメン・リコリスラディアタ(彼岸花の女・g08648)は、ひとつ伸びをした。
「さてと。思いっきり楽しんだことだし……ひと仕事すっか!
「ああ。宴が待ってる……そろそろ招待されようじゃないか」
 楽しかったこのデートを良い思い出にするためにと、ダルクエス・ネクスト(蒐集家・g07049)もリゾート気分から仕事モードへと切り替えた。
 といっても、デート中にすでに情報は入手してある。
 2人はカルカデを飲んだ店で教えてもらっていた、花の招待状のある家を目指した。

 その家まで行くとダルクエスは、戸口に差された花を確認してカルメンと目を合わせた。
 これが生贄の花、宴への招待状。
 まずはこの家の様子を確かめようと、ダルクエスはその戸口をノックした。
「名誉ある役目に選ばれたことを祝福する。おめでとう」
 ダルクエスは祝辞を述べながら、家族の様子を窺った。ありがとうと祝辞を受けてはいるが、表面を取り繕っていても全く喜んではいないのが伝わってくる。
 生贄となるのは娘。彼女は悲しみと恐怖のために真っ直ぐ座っていることさえできず、蒼白な顔色で椅子の背に身をもたせかけていた。
 ダルクエスが話を誘導すると、重なった友達催眠の効果もあり、家族は友達に打ち明けるようにやるせない思いを語った。
「喜ぶべきことだとは思う。だが……だからと言って割り切れなくてな」
「だよな。その気持ちわかるぜ」
 カルメンは大きく頷いて話を聞いた。
「娘で残っているのはこの子だけなんだ。いい子でなあ……俺が代わりに宴に行ってやりたいが、そんなわけにもいかなくてな」
「誰か代わりがいれば……って、そうだ。俺が生贄の身代わりをしてやるよ」
 カルメンの申し出に、父親は重く首を振る。
「行けば死ぬことが分かってる場所に、あんたを行かせるわけにはいかんだろう」
「だいじょーぶ、俺らに任せときなって! な、ダルク?」
 カルメンに同意を求められ、ダルクエスも言葉を添える。
「無理やり身代わりにするのは良くないだろうが、俺たちは望んで行くんだから問題ない」
「そう、なのか。頼んでいいのか?」
「いいっていいって。その代わりだけどよ、衣装と化粧品貸してくんね?」
「ああ。宴に行かないなら使わない衣装だ。遠慮なくなんでも使ってくれ」
 娘の命が助かるならと協力的な家族から衣装と化粧品、そして宴の招待状となる花を借り受けると、カルメンとダルクエスはその家を出た。そしてもう1軒、戸口に花のある家を訪ね、今度はそこの息子の身代わりをダルクエスが引き受けた。その家では衣装などの他に部屋も借り受け、そこで2人は着替えをした。
 カルメンが借りた衣装は、艶やかな踊り子衣装。
 メインとなるドレスは鮮やかな赤のロングドレス。
 その上にドレープを寄せて重ねた布は、ドレスよりも深みのある濃紅色。
 ボディチェーンなどのアクセサリーは金で統一し、髪には大輪の赤い花。そしてその色を引き立てる白の清楚な花も添えて。
 普段好んで着ているロックパンクな服装とは違うけれど、オペラの中に入り込んだようなこの衣装も着ていて楽しい。
「どーよダルク、この衣装似合うだろ?」
 着替え終えたカルメンは、ダルクエスの前で決めポーズを取ってみせた。
 赤い衣装はカルメンの魅力を引き立て、アイラインで強調された目元が印象的だ。
「綺麗だよ、カルメン。抱き締めてしまいたいくらい」
 答えるダルクエスのエキゾチックな衣装の色ははっきりとした対比を見せる黒と赤。
 こちらもたっぷりと使用された布が美しい曲線を形作り、その上にいくつも重ね連ねた金のアクセサリーが、きらめいて人目を惹きつける。
「いつもより派手だ。カルメン、目に焼き付けておくれ?」
 ダルクエスが言うまでもなく、カルメンの目は彼に釘付けだ。
「ダルク、綺麗だ……」
 派手な衣装がこんなにしっくり似合うだなんてと、着飾った夫の新たな魅力にカルメンは見惚れた。
 互いに魅せて、互いに魅せられて。
「準備が整ったなら、余裕をもって宴の会場に向かうとしようか」
 そう言ってダルクエスが出した腕に、カルメンは自分の腕を絡め組んだ。そうするだけで、自然と笑みがこみあげてくる。
 組んでいないもう一方の手にはそれぞれ、招待状となる花を掲げ持ち。
 腕を組んだ2人は寄り添い合って、宴の会場となる神殿へと向かうのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】がLV2になった!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!

クィト・メリトモナカアイス
買い食いの途中で知り合った生贄役の人のお家に転がりこむ。
んむ、今日は楽しかった。そして美味しかった。

というわけで。お礼をせねば。
罪悪感で遠慮されてもなんやかんや上手いこと説得したり、逃げ足の速さをアピールしたりで生贄を変わってもらう。

着るのはこの時代の女性として一般的な白いワンピースのような形にきらきらの飾りのロングドレス。
んむむ……! お、思ったより動きづらい……

んむー、墓守はドレスを着ぬのだ。
けれども。色々あって色々やって色々終わったので。今なら着てもいい。

それじゃあ、いってきまーす。


 真昼の照り付ける日差しに渇いた喉をうるおそうと、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は店先でザクロジュースを頼んだ。
 出てくるのを待つ間に家族連れがやってきたので、横にずれてスペースを空ける。
 ありがとうと礼を言う少女はどこか悲しげで。
 街のものを食べられなくなってしまう前にお気に入りの店を回っているのだという少女から、クィトはお勧めの店を教えてもらった。

 日が暮れかけたころクィトは少女の家へと向かった。その戸口には花が差されている。
「旅人さん。街はどうでした?」
 少女に聞かれ、クィトは満足そうに頷いた。
「んむ、今日は楽しかった。そして美味しかった」
「良かった。他にもこの街にはおいしいお店があるから、楽しんでいってくださいね」
 これからその繁栄を支える礎とされる少女は、それでも淡く微笑んだ。
「というわけで。お礼にあの花を貰う」
 クィトの指先の方向には、生贄の目印の花。
「あれは……私が負うべき花、です」
 少女は花の意味を話してくれた。
「知ってる。でも我の逃げ足は速い。愚弟との追いかけっこも全戦全勝」
「あの……」
「お腹も丈夫。今日怪しいものも食べたけど、なんともない」
「えっ?」
 少女はゆっくりとまばたきして、くすっと笑った。

 言葉を尽くして身代わりになると言い続けると、少女よりも家族が乗り出してきて、本当に良いのかと確認した後、クィトの申し出は受け入れられた。
「私が着る予定だった衣装でよかったら……」
 少女がクィトに渡してくれたのは、すとんとした筒形フォルムの白いワンピースのような衣装だ。
「んむー、墓守はドレスを着ぬのだ」
「では、仕立てのできる人を集めて、なんとか形にできるようにやってみましょうか」
 すぐ別の衣装の手配を、と部屋を出て行こうとする少女をクィトは止めた。
「いい。色々あって色々やって色々終わったので。今なら着てもいい」
 新品ではあるけれど何度も水通しをしてある生地は、しなやかにクィトの身に沿う。
 そこに大量のビーズを何段も連ねた襟飾り。
 そして、頭飾り、髪飾り、首飾り、腕輪、腰飾りに足輪……。
「んむむ……! お、思ったより動きづらい…」
 ロングドレスで足の動きが制限され、きらきらの飾りは綺麗だけど結構重い。
 慣れない衣装に苦戦しながらも、
「それじゃあ、いってきまーす」
 クィトは戸口の花を手に取り、神殿へと出発した。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV34になった!

有栖川宮・永遠
幼なじみで従者の悠(g02300)と参加

さあ悠、生贄に指名された方の家に行きますよ。悠、どうしましたか?私の花嫁姿を見るのが怖いような、ですか。まあ、私の場合はお婿さんを貰う事
になりますか。

花の指してある家を訪ねて身代わりを申し出ます。一応【プラチナチケット】使っておきます。

衣装と小道具をお借りして着替えます。筒型のワンピースに白と紫の花を飾り、金の宝飾で飾ります。悠、どうですか?いささか緊張するのですが。

悠も見事な晴れ姿ですね・・・やはり悠の肌の色と体格に金のアクセサリーとこの世界の衣装は良く似合う。

ええ、悠なら護ってくれると信じています。私の隣には、悠がいるべきですから。


近衛・悠
幼なじみで主人の永遠(g00976)と参加

ああ、生贄の人の家に言って身代わりを申し出るんだな。永遠の花嫁姿か・・・まあ、物心付く前から一緒にいた永遠の嫁ぐ姿を見るとなると。永遠の場合は婿取りになるんだが。はあ・・・(複雑な気持ち)

花を指してある家に行って身代わりを申し出る。あ、衣装と小道具借りていいか?

そうだな、黒の腰布に赤いマントに黄金の装飾。これで体裁は整ったか?

永遠の衣装に息を飲む。ああ、良く似合ってるぞ。こういう華やかな姿もいいな。俺もかっこいいか?まあ、素直に褒めてるらしいしな。

大事な存在の永遠を悪党の手に渡す事は絶対させない。俺が絶対守ってみせる。


 庭園を鑑賞し、食べ歩きを楽しみ。
 ジェアの街を観光し終えた有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)は、さあ、と近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)を振り返った。
「悠、生贄に指名された方の家に行きますよ」
「ああ。分かってる。生贄の人の家に行って身代わりを申し出るんだな」
 今宵の宴に参加するための招待状となる花は、生贄を出す家の戸口に。さっと引き抜き持ってくることも可能だがそれでは家の人が混乱するだろうから、しっかり話をしてもらい受けたいところだ。
 しなければならないことは分かっているのに、なんとなく悠の足取りは重い。それに気づいた永遠が、どうしましたかと悠に尋ねた。
「永遠の花嫁姿のことを考えてた」
「花嫁姿? どうしてですか?」
 思わぬことを急に言われ、永遠はきょとんとする。
「生贄の家は、女神に誰かを捧げるのを、本当は悲しいけれど名誉なことだから仕方がない、って思ってるんだろう? 永遠が結婚するとなれば勿論めでたいが、物心付く前から一緒にいた永遠の嫁ぐ姿を見るとなると、俺としては喜ばしいような見るのが怖いような気になりそうだ。生贄の家族もそういう複雑さなのかと思って」
「私の嫁ぐ姿、ですか。まあ、私の場合は余所へ嫁すのではなく、お婿さんを貰う事になるでしょうけれど」
「そうか。永遠の場合は婿取りになるんだな……」
 はあ、と悠は大きくため息をついた。

 それでも、花の差してある家を訪れるころには悠も気を取り直し、落ち着いた態度で身代わりを申し出、衣装などを無事借り受けた。
 永遠も別の家で同様に身代わりを引き受け、その家の娘が着る予定だった衣装などを譲ってもらうことができた。
 訪問したときには名誉なお役目だと口にしていた家族も、身代わりとなってくれると言われた後は、
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
 涙まじりに何度も頭を床にこすりつけた。
 どんなに豊かな街であっても、本音を言えない状況下での生活は、やはり正しいものとは言えないだろう。
 永遠も悠もそれぞれが生贄役の衣装を借り、着替えてから合流する。
「悠、どうですか? 着たことのない衣装ですので、いささか緊張するのですが……」
 そう言う永遠の衣装に、悠は息を呑んだ。
 筒形のワンピースは永遠の立ち姿をすっきりと見せ、ふんだんに飾られた金の宝飾が華やかだ。
 そこに添えられた白と紫の花が、いつもの永遠らしさを引き出している。
「ああ、良く似合ってるぞ。こういう華やかな姿もいいな」
 悠の感想に、永遠は安心したように微笑んだ。
「ありがとうございます。悠がそう言ってくれるのなら大丈夫そうですね。それに……」
 と永遠は、悠の衣装に目を細める。
「悠も見事な晴れ姿ですね」
 腰布の黒が悠の印象を引き締めている。その上に翻る赤いマント、そしてちりばめられた黄金の装飾が、目にも鮮やかだ。
「これで体裁は整ったか?」
 宴の参加者として見劣りしない服装かと尋ねる悠に、はいと永遠は頷いた。
「思っていた通り、悠の肌の色と体格に金のアクセサリーとこの世界の衣装は良く似合います。悠、恰好良いですよ」
「俺もかっこいいか?」
 永遠が素直に褒めてくれるのだからこの衣装で大丈夫だろうと、悠も判断する。
「次はいよいよ生贄役だな。大事な存在の永遠を悪党の手に渡す事は絶対させない。俺が絶対守ってみせる」
「ええ、悠なら護ってくれると信じています。私の隣には、悠がいるべきですから」
 女神へなど捧げさせない、捧げられない。
 誓いを胸に、悠と永遠は神殿へと歩き出したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】がLV2になった!
【飛翔】がLV35になった!

タオタオ・ザラ
ヴィバルス(g05064)と
痛かったけど、身体が軽いのが悔しい
……覚えてろよこの野郎死ね

戸口に花が差してある家が生贄の家なんだとよ
英雄様の気持ちは分かるがステイ
ただでさえお前顔も五月蠅いんだから

渡された衣装を見て
……ちょっと待て、女物だなコレ
着ねえぞ、着れるのと着るのとでは大きな差が――ア゛?
誰が囮だこらぁ!!なんでタオがお前の引き立て役なんだ畜生!
……死ねねばいいのにこの英雄、殺してやる

家の人に着せ替えられ
はいはい、タオはなんでも似合うんですよゴメンナサイねぇー?!
こんな美人が目の前に居るのに機能してないじゃねえかお前の王
やっぱ飾りか可哀想に

なぁに人を囮にして隠れようとしてんだ出てこい!!!


ヴィバルス・リルアバード
タオタオ(g05073)と

このザマァ。
身体が軽くなって良かったなーア?

ん、戸口に花?
ふん…海を割った聖人の逆しまとは小賢しい真似をする。
衣装などと悠長は言うまい。この英雄が誅罰を

…へぇ、女装。うん発想最悪かな?
英雄恥とか良識とか有ってな?クラスで噂とかされると恥ずかしぃし…
なので完成品がこちらドン。ハイハイ巻きでいこーなー

分かんねえ金メッキだな。お前囮。俺英雄。
な?全部言わんと伝わらんか?そこまでか??

あ、ウンニアウニアウ。エジプト人ニホンゴ難シーネ。
ん?何その狂気?お前知性とかねえの?
ないかァ!脳みそ金メッキだもんな!無理な質問ゴメンナサイねえ???

でも恥とか知る英雄は他所に隠れてるんで!!


 絶対に穴が開いた。
 そう思ってタオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)が見た足の裏はいつもより血色が良い。足つぼマッサージは痛かったが、身体はぐんと軽くなっていてなんだか悔しい。
「このザマァ。身体が軽くなって良かったなーア?」
 存分に説教をかましてスッキリ顔のヴィバルス・リルアバード(不死身の英雄・g05064)を見るにつけ、この場での正しいスッキリ法は足つぼでも説教でもないだろうとの思いがむくむくと。
「……覚えてろよこの野郎死ね」
 絶対覚えてはいないだろう相手に、タオタオは毒づいた。

 気分とは裏腹に妙に軽い身体を持て余しながら、タオタオは街を歩いた。
「戸口に花?」
「それが生贄の家なんだとよ。そこで花と衣装を貰う……って話聞いてなかったんかー?」
 面倒そうにタオタオが答えると、ヴィバルスはふんと鼻を鳴らす。
「海を割った聖人の逆しまとは小賢しい真似をする。衣装などと悠長は言うまい。この英雄が誅罰を……」
「あー、英雄様の気持ちは分かるがステイ。できればハウス。ただでさえお前顔も五月蠅いんだから」
 ヴィバルスがいる側の耳の穴に指をつっこんで、もう片手でタオタオは家の扉をノックした。
 生贄を代わると申し出ると家人はやたらと恐縮していた。だが家族を差し出さずに済めば有難いことこの上ない。恐縮しながらもお願いしますと身代わりを受け入れ、そして宴で着るはずだった衣装を渡してくれた。
 その衣装を広げ、タオタオは目を剥く。
「ちょっと待て、女物だなコレ」
「……へぇ、女装。うん発想最悪かな?」
 ヴィバルスはすっかり他人事で見物している。勿論自分が代わりに着るなんて気はさらさらない。
「英雄恥とか良識とか有ってな? クラスで噂とかされると恥ずかしぃし……」
「タオだって着ねえぞ」
「メイド服着れるなら楽勝だろう」
「着れるのと着るのとでは大きな差があるじゃろ!」
 抵抗するタオタオに、ヴィバルスは腰に手を当てた。
「分かんねえ金メッキだな。お前囮。俺英雄」
「ア゛? 誰が囮だこらぁ!! なんでタオがお前の引き立て役なんだ畜生!」
 びきびきっとタオタオのこめかみに怒りマークが浮かび上がる。
「全部言わんと伝わらんか? そこまでか??」
 ヴィバルスは嘆かわしいとばかりに、はあと大げさにため息をついた。
「……死ねばいいのにこの英雄」
 いや殺してやる。物騒なことを呟いたタオタオの目が、おどおどとこちらを窺っている娘と合う。
「……無理、ですか?」
 助かったと思ったのはぬか喜びだったのかと泣きそうな瞳を向けられ、タオタオは額に手を当てて呻いた。

 気が変わられてはと、家人は大急ぎでタオタオを着せ替えた。
 胸の下までの短い上衣にはびっしりと刺繍が施されている。腹部を大胆に覗かせた下はしなやかな白の布地をスカート状に垂らし、それを腰に引っかけるようなフリンジ付の帯が押さえている。
 襟飾りは小ぶりだが高価な宝石が使われていて見事な輝きを放ち、シャラシャラと揺れる金のチェーンは長さを変えて幾重にも。
「はいはい、タオはなんでも似合うんですよゴメンナサイねぇー?!」
 見事に女性物の衣装を着こなしたタオタオは、自棄になって胸を反らした。
「あ、ウンニアウニアウ。エジプト人ニホンゴ難シーネ」
 白けた口調のヴィバルスにタオタオは手を広げてひらひら振った。
「こんな美人が目の前に居るのに機能してないじゃねえかお前の王。やっぱ飾りか可哀想に」
 タオタオに挑発されたヴィバルスに、ぶわっと立ち上がる……鳥肌。
「何その狂気? 気色悪っ」
 ヴィバルスはごしごしと腕を擦った。
「お前知性とかねえの? ないかァ! 脳みそ金メッキだもんな! 無理な質問ゴメンナサイねえ???」
「役立たずを暴露されたからって、騒いで誤魔化すのはみっともないですう!」
 繰り広げられる言い争いを見かねた家人は、
「娘の命をお救いくださりありがとうございます。ですが、あの……年頃の娘の耳にはちょっと……」
 礼を言いながらも、2人を外へと押し出した。

 街路をずんずんとドレスを纏ったタオタオが闊歩し、それを横目にヴィバルスは、身を隠しながら街路を進む。
「なぁに人を囮にして隠れようとしてんだ出てこい!!」
 タオタオは物陰にいるヴィバルスへと怒鳴った。
「英雄は恥とか知るんで!」
 他所に隠れさせてもらうと、ヴィバルスは家の陰に身を寄せた。
「その言い方、タオが恥ずかしい人みたいじゃろ!」
「え……恥ずかしいだろう?」
 そこだけ普通に返されて、タオタオの頭に熱がのぼる。
「こんにゃろ……」
 ドレスを蹴立てて全力ダッシュ、タオタオはがしっとヴィバルスにしがみついた。せめて巻き添えにしてやる。
「やめんか! 目立つ!」
 ……注目を集めているのは衣装か、それとも大騒ぎしているからか。
 街の人は目を合わせないように、だが興味津々に2人のやりとりを見つめるのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】がLV2になった!
【飛翔】がLV36になった!

ジズ・ユルドゥルム
構造の把握がてら、花を片手に庭園を一通り見て回る
遠目に、あるいはすれ違いながら友人達の煌びやかな装いを眺めよう

お祭り男達に、着飾った少年少女達。慣れない衣装に少し動きにくそうな様子も微笑ましい
それと羽織りに…羽飾r(わっさぁ)
神殿の階段から降りたら映えそうだな…
あの2人は…婚礼衣装か?お祝いを言いに行かねばな。

高い階段の近く等、神殿内を見渡せる場所に立ち、頃合いを見て大声を上げる。

儀式は終いだ!

パラドクスで戦士達を召喚。食卓をひっくり返し繊細な食器を派手にぶちまけ、場を滅茶苦茶にしてやろう。
私も戦士達に混ざって椅子やら調度品をぶん投げて暴れる。

ははッ、結構足回りが動きやすいじゃないか、この服。


有栖川宮・永遠
幼馴染で従者の悠(g02300)と参加

実戦で動く方が私達には合ってますが、敢えて宴を楽しんで生贄になりきり、打ち毀す方の方々が動き安いようにしますか。あ、身代わりを申し出た家の方に招待状の花は譲っていただきましたので忘れずに所持。

私も悠もまだ未成年なのでお酒は無理ですが、提供される食事は喜んで頂きます。家柄から社交的な場での振る舞いには慣れてるので優雅な振る舞いで楽しむ様子を見せます。

打ち毀す方々が乱入してきたら、一般人の方が逃げやすいよう然りげ無く邪魔者を遮ったり、足を取られて転倒する方などが入れば手を取って起こしてあげるなどサポートを。ここはこれから荒れた場になります。お逃げください!!


近衛・悠
幼馴染で主人の永遠(g00976)と参加

確かに俺と永遠は戦いの方が慣れてるが、熟練の復讐者が揃っているので敢えて宴を楽しむ方に回るか。身代わりを申し出た家の方に招待状の花は譲って貰えたので忘れずに。

永遠と俺は共に未成年だから酒は無理だが、宴の料理は喜んで食べる。永遠が転んだり、テーブルひっくり返したりしないようにフォローはちゃんとするな。そうだな、雰囲気は違うところあるが、宴での振る舞いは慣れたものだ。

打ち毀す面々が乱入してきたら一般人が逃げやすいようにフォローしよう。突然の騒ぎに転倒する人がいるかも。そういう人たちの助けに専念する。この場はいささか物騒になる。早く避難してくれ!!


テクトラム・ギベリオ
【ヒラール】
調達した招待花を持って堂々と神殿へ
ああ、まだその時ではないので問題ないだろう。ナディアを手伝って装飾を外してやる
羽織と槍も置いていこう…存在感すごい

庭園を散策しながら大きな噴水の方へ。思わず水面を覗き込む
うむ、唐揚げの印象も強かったが…(それを食べてしまうナディアの方が印象強かった)
誤魔化すように小さく水をかけてナディアを驚かそう

準備は…ふ、愚問だったな。
薄暗いかもしれんし、折角だから【照明】で神殿内を明るくする。
ド派手に行ってやれナディア

アレの威力まさに身をもって体験済みだ。吹き飛ぶ諸々を見て納得
私も金ピカ模造槍とでかでかケン・レム羽織を翻し負けじと暴れる。

居たなウーパー(真顔)


カイス・ライル
【お祭り男】
戦場の把握を兼ねて、見て回ろう
皆の盛装、思い思いの趣が、とても良いな
擦れ違えば挨拶を交わし、健闘を祈る
ケペシュ、ソーダ水があるぞ。飲んでみるか
ゼキは酒の方が好みだったな
景気付けに貰っておくと良い

騒ぎを起こしながら、生贄のひと達が出て行く機を作りたい
ゼキは、偉そうにしていてくれ
ケペシュ、やるぞ
目配せひとつでタイミングを合わせ、花器や飾りを薙ぎ倒す
鰐のジン、ナダーには、生贄達が逃げ出す理由を作るべく、
危険のないよう威嚇して回らせる

頭が高い、……いや、高くても構わないが、
ここにおわすゼキは、素晴らしいひとだから
………駄目だ、上から物を言うのは慣れない
口上の続きは任せたぞ、ケペシュ


ゼキ・レヴニ
【お祭り男】

食前酒はガッツリ楽しんでガソリン補充
酌なんて悪いねえ
皆を褒めそやしたり、すげえ衣装に仰天したり
盛装カイス&ケペシュを後方腕組み親分面で自慢

今日はゴージャスにキメて来たVIPだからよ
偉ぶって料理にクレームもつけるぜ
おいおい、この料理…悪事の臭いがぷんぷんすんなァ
こういう時の決め台詞は確かアレだ
ケペさん、カイさん、懲らしめてやりなさい
料理を机ごとひっくり返して、さあ祭りの本番だ

二人が暴れてる間【防衛ライン】で敵を足止めしつつ
金属塊『躯』を旗槍に変じて振り【士気高揚】で一般人の避難誘導を
ここでビシッと…アレだな!?
この旗が目に入らぬかァ!
…ハイハイ皆さん避難はこっちデスヨー(旗ぶんぶん)


ケペシュ・ナージャ
【お祭り男】
宴の空気を楽しみながら歩き、会場の造りを把握します
皆の盛装も個性があり華やかで
ついつい目で追ってしまいますね
視線が合えば会釈で応えて

ソーダ水ですか、もちろん頂きます
良ければカイスも一緒に
ゼキ殿、お酌しましょうか?

料理が登場したところで
待ってましたとばかりに暴れてやりますか
目配せを合図に双剣(ケペシュ)を抜いて、力任せにテーブルを叩き切ります
とにかく注意をこちらに引き付けるように、派手に立ち回りましょう

ご老公様の御前である。頭が高い、控えおろう!
高い頭は刎ねてしまうぞ!
口上の続きを述べながら、剣をぶんぶん振ります

さぁ、ゼキ殿
最後にビシッと格好良く決めてください


ナディア・ベズヴィルド
【ヒラール】
わっさわっさと羽根を揺らして神殿へ
招待状は然りと此処に

神殿の中に入ったら時間もまだ少しあるし庭園を散策しましょう
流石に歩くのに邪魔だからこれ(羽根)を今だけ外す
流石にここにはウーパーはいないと思う…思いたい
そんなに唐揚げの印象が強すぎた?
何か言いたそうな…冷たいっ!

いざ宴へ。私の自慢の羽根が唸るわ
テクトラムさん今度は吹っ飛ばされないように気を付けてね
神殿の大階段を優雅にド派手に羽根を揺らして降りていく

宴は私たちが来たからにはもう終わりよ

止めようと近づいてきた者には盛大に羽根で吹っ飛ばす
ついでに周りのものを破壊していく
まさに(物理的に)ぶち毀す

ジズさん率いるウーパーがいたわ(真顔


ネリリ・ラヴラン
招待状(花)はこれね
ええ、名誉ある役に選んで頂けて光栄だわ

会場にどの位集まってるのか解らないけれど
みんなもこの中にいるのかしらね
あ、良く知ってる新郎新婦さんがいるわ
他にも集まってるみたい…?
結構みんな純粋にパーティを楽しんでそうね…

いつ始まるのかな、なんて思いながらお飲み物を手に
一般人っぽい子達と一緒にお料理を迎えましょう
これを食べる前に何とかしなくちゃいけないんだよね

おーっと、手が滑ったよ
アイテムポケットからデスソース数kgをぶちまけるわ
見た目から呪詛を醸し出す存在になったお料理
食べれるものなら食べてみろの心だよ

他にもまだあるなら走り込んでいくね
ごめんなさい、躓いてしまって!(ですそーす)


リドリー・バーディ
招待状の花を手に
神殿内を歩き回って【友達催眠】で一般人と顔繋ぎ
身代わりを得られなかった人達も、ちゃんと帰してあげないとね

宴に招かれるなんて身に余る栄誉だよね
飲み物も食べ物も分不相応に思えちゃって、と口にしないようにさりげなく誘導
そういえば、この後派手な余興があるらしいよ
僕その間にこっそり辞退しちゃおうかな
大騒ぎになるらしいからバレやしないよ

あちらこちらの一般人を巡って何気ない誘惑を一垂らし
壊せそうな物や卓の近くへは近寄らないようにそれとなく忠告も
家族や友達に会えなくなるのは寂しいもんね
未練残して神様に侍るのも失礼かもだし
大切な人を悲しませるのが信仰だなんて、そんなこと胸張って言えないでしょ?


クィト・メリトモナカアイス
むーむん、むーむん……(えっちらおっちら盛装で歩いてくる)
おぉう、もう宴(隠語)は始まってた。

んむー。そうなれば。
我もどんどこ暴れよう。

他の人が暴れている中、我も神殿にえんとりー。
取り出した黄金猫拳打棒に「北より至れ月冠す火」で着火。
ぶんぶんと振るい神殿内の色々なものに火を付けていく。
あ、でもこの服は燃やしたらダメ。あの飾りは燃やしてもいいやつかな……?
なんかいい感じに燃やして良さそうなものを選んで燃やしていこう。

んむ、ちゃんと火を付けていい物は選ぶ。我は良い子なので。


ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と花嫁衣装で女装参加
ええ、僕…私は乙女
コホンと声を高くし
なりきって参りましょう
思い込み大事ウフフのフ

エトヴァにエスコートしてもらい
靭やかな立ち振舞で所作に注意し
女神様の下へ共に身罷られれば幸せに存じます
花を手に宴に参加し庭園散策を

…知合の視線がササル
そっと人差指を立てシーっと微笑み返し
まぁ、女神のように美しい装いに羽根フワッさぁ…ブフッと噴出す寸前にエトヴァの腕に突伏し笑いを堪え
失礼。とても綺羅びやかな衣装で羨ましいですわぁ

歓談を楽しんだ所で料理が来れば
パッカーンとテーブルを蹴り上げますとも
見えそう?でも平気、エトヴァが隠して下さいますもの彼鉄壁
暴れましょうか、旦那様


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と
俺は花婿衣装で参加
絡みアドリブ歓迎

花を飾って神殿へ
盛装と宴の前の華やぎに
笑み零す恋人を可愛いなと思いつつ、手を取りエスコートして神殿へ上ろう
口上の代わりに、静かに頭を下げておこう
美酒を二杯
ラズの手を取り庭園散歩し、星空を眺めよう
……綺麗だな

視線には、ウィンクして花嫁さんを自慢しておこう
どうした?と笑いを堪える背を撫で

ジズさんには照れつつ会釈を
儀式は終いの掛け声とともに行動開始

あ、それはだめ
ラズのスカートの中が見えないよう、そっと立ち塞がりつつ
ラズと背中合わせにぶち毀しタイムだ
はい、お嫁様。花婿さんも暴れるよ

やる時は遠慮なくだ

……意に沿わぬ生贄なんて、もう見たくはないからな


ディミトラ・ディミオス
生贄に選ばれたのは大人ばかりじゃないでしょう
子供がいたなら、心細くないように付き添って
他の一般人の生贄と引き合わせておきましょう

一緒に果実水を飲みながらお話しして落ち着かせます
ねぇ、もしもお家に帰れる機会があったらどうしますか
好機は作るもの、掴むもの
その時を見逃さず、進む勇気を持っていてください

食事が運び込まれたなら、うっかりぶつかるふりをして
派手にひっくり返してやりましょう
あたし、おっちょこちょいなんです
ごめんなさい、手が滑ってこっちも台無しにしてしまいました
これも、これも……勿体ないからあなたが召し上がってくださいな
敵の顔に皿ごと投げつけて
神様からのお心尽くし、よもや否とは言いませんよね?


クーガ・ゾハル
『粛々』歩くのって、たいへんだ
みんな、なれてるのかな
ウズウズしながらゴーカな料理やみんなのイショー
フツーのヒトたちの場所みておく
おびえてる小さいやつをはげましたり
あばれる所を考えながらつまみ食い

ジズの声がきこえたら
食べてカラにしておいた皿やメロンのフォーク、ピック
ダンスのフリにあわせてゴチソーサマ投擲
テーブルをけり上げ引っくり返し<避難勧告>

ん、うまそうなハム
食べものはソマツにしない、大事
盆をカクホして、思いきりクロスをひっぱったら
マントにしてテーブルからテーブルへジャンプ
こけたらダンスにしてごまかす

へへへ、大暴れするの楽しい
いいぞ、みんな
ゴローコーってなんだっけ
ウーパーにも、まけられないな


如月・友仁
宴のことはお洒落した皆に任せよう
……と、思ってたんだけど
皆が凄く楽しそうだから我慢できずに来ちゃった

目立たない黒衣に身を包んで
見張りが他の招待客に気を取られているうちに、こっそり潜入

普段は現代服や…露出度が高い皆の盛装を横目に
みんな綺麗だなあ、ちょっと羨ましい
でも招かれざる客にしかできない仕事もあるだろう
スニーキングミッション、開始といこうか

会場の各地に、花火…もとい爆弾を仕掛けて回るよ
一般客には極力見つからないよう注意
万が一の時は、庭園の状態を確認する使用人っぽく見えますように

宴開始と共に順番に炸裂させていく
あくまで主目的は音と光で注意を惹くこと
人に危害が及ばないよう、威力と場所は調整しよう


 照りつけていた太陽は没し、空を支配するのは無数の星。
 街は闇に沈んだけれど、神殿周囲には明々とかがり火が焚かれ、夜に浮かび上がっていた。
 神殿前の庭園に通じる入口の両側には、見張りのリターナーが立ち、宴への参加者を見極めている。
 ロングドレスを着たジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)が入ろうとすると、リターナーはさっと目を走らせ、ジズの手に生贄の印となる花を認めると目礼した。
 それに目礼を返すと、ジズは花を片手に庭園をひと通り見て回る。綺麗に刈り込まれた低木も星を映す池も、計算され尽くした美しさだ。
「こんばんは」
 声をかけられ見れば、そこにいたのは有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)と近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)だった。
 筒形ワンピースに身を包んだ永遠も、腰布にマントを羽織った悠も、エジプト風の衣装をしっくりと着こなしている。
「こんばんは。良い夜だな。これから荒事なのが残念なくらいだ」
 リゾート気分もそろそろ終わりらしいと言うジズに、永遠は頷いた。
「ええ、ゆっくりと楽しめる宴であってくれれば良かったのですが」
「ああ、そうであって欲しかったんだが、クロノヴェーダが関わると平穏は望めないんだろうな」
 悠も軽く肩をすくめてみせた。このままリゾート気分を満喫していたいところだが、もうすぐ宴は開始され、クロノス級も街に帰ってくる。
「それでもまだ少し時間はありそうです。その間、私と悠は宴を楽しんで、生贄になりきろうと思っています」
「俺と永遠は戦いの方が慣れてるんだが、今日は熟練の復讐者が揃っているからな。敢えて宴を楽しむ方に回るよ」
 永遠と悠は生贄の印の花を手に、神殿へと入って行った。

 そして庭園入り口前では。
「行こうか。俺の花嫁さん」
「ええ、僕……」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)に答えかけたラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、コホンと咳払いをして、声を高くする。
「私は乙女。なりきって参りましょう」
 思い込み大事と、ラズロルは含み笑った。
 今宵演じるのは、将来を誓い合った2人が共に贄となる設定。ラズロルは筒形ワンピースに金の装飾を輝かせ、恥じらう花嫁のようにヴェールの陰に顔を隠している。
 相手役のエトヴァがまとう花婿の婚礼衣装は、夜空色の腰布と金の縁取りがされたマント。
 重ねられたラズロルの手を大切なものを扱う手つきで取ると、エトヴァはエスコートして入口へと向かった。
 入口に立つ見張りの前まで来ると、ラズロルは宴への招待状となる花を示し、
「女神様の下へ共に身罷られること、幸せに存じます」
 しなやかな立ち居振る舞いでご挨拶。
 見張りのリターナーはこれから共に贄となる2人に、祝福の言葉を贈る。
「おふたりの上に女神様の恩寵が注がれますように」
 リターナーに対して静かに頭を下げると、エトヴァは入口をくぐった。
 そこに、
「むーむん、むーむん……」
 えっちらおっちらと、盛装姿のクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)が歩きにくそうにやってくる。美しいロングドレスを着ているのだが、その裾を両手でよいしょとまとめて持ち上げてしまっている。
「うむ、見張りご苦労」
 ドレスをたくしあげた恰好で挨拶をし、クィトも神殿の庭園へと。
 歩いてゆく先にいるのが、エトヴァ、続いて隣にいる女性がラズロルの女装だと気づいたクィトは、つい声をあげた。
「あ……」
「シーっ」
 ラズロルがそっと人差し指を立てて微笑むと、クィトはいったん口を閉ざして皆のいる場所まで進んで行った。
「そういう衣装も似合っているな」
 庭園でクィトを迎えたジズは、ドレスの動きにくさに苦戦中の様子を微笑ましく眺める。
「んむ。我は何でも着こなせる。……むむ?」
 答えたクィトの目は、ジズのドレスに大胆に入ったスリットへ。
 なんと。太腿の上のほうまでスリットが入ったあのドレスなら、歩くのに苦労しなさそう……いや、反復横跳びだって楽々できそうだ。どうして全ドレスにあの手法を使わないのか不思議だ。
 だが、その動きにくさにも益はあるようで。
「すごい、それが『粛々』歩きだな」
 ゆっくりとしか動けないクィトにクーガ・ゾハル(墓守・g05079)がソンケーのまなざしを向けた。エンジュに粛々と歩けと言われて努力しているが、気を抜くとつい、ぱぱっと身軽に動いてしまう。
「うみゅ。これこそ粛々」
 クィトは気を良くして胸を反らした。
 ジズは今度はエトヴァとラズロルに向き直る。
「それは婚礼衣装か? おめでとう」
「ありがとうございます」
 ラズロルは高く作った声で応え、エトヴァは照れつつも会釈を返した。
「んむ。めでたい」
 傍からは、生贄になる前にと婚姻を結んだ新婚夫婦とそれを祝福する友人とも見えるだろうか。
「あ、みんなここにいたのね。こんばんは」
 ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)は知った顔にむけて、手にした生贄の花を振ってみせた。
 ネリリの恰好は、紫の上衣と、その下に除く腹部の白い肌、腰からは再び濃藍の布、というコントラストがなまめかしい衣装だ。
 刺繍や房飾りがついたショールが、ネリリが歩くのにあわせてふわっと広がった。
「さすがにみんな、エジプトの衣装を着こなしてるわね。板についてるって言うのかしら」
 違和感がない。女物の衣装を着ているラズロルでさえも、とネリリは感心する。
「それはエジプトの婚礼衣装? ラズロルさんの花嫁さんもエトヴァさんの花婿さんも、どちらもとても素敵だわ」
「ありがと。花嫁さんって言われるとなんか照れちゃうけど」
「うちの花嫁さんは綺麗だろう?」
 照れるラズロルと、堂々と自慢するエトヴァが対照的だ。
「みんな衣装が良く……」
 似合っている、と続けるはずのジズは目に飛び込んできたものに、続ける言葉を忘れた。
「みんな素敵な衣装ね」
 にこにこと皆に笑顔を向けてくるナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)の背で。
 わっさぁ。
 わっさわっさぁ。
 巨大な羽根飾りが偉容を放っている。
 その隣に立つテクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)は、ケン・レムがでかでかと刺繍された羽織物を靡かせ、手にはキンキラキンの模造槍。
 通りかかる生贄の宴の参加者が、二度見三度見振り返り見してゆく。
「まぁ、女神のように美しい装いに羽根フワッさぁ……」
 ぶふっと噴き出しそうになったラズロルは、がばっとエトヴァの腕に突っ伏した。
「どうした?」
 笑いをこらえるラズロルの背がびくびくと跳ねるのを、エトヴァが落ち着かせるように撫でる。
 深呼吸して笑いをおさめると、ラズロルは顔をあげた。
「し、失礼。とても煌びやかな衣装に感動してしまって……素敵な衣装羨ましいですわぁ」
 まだ少し語尾が震えている。
「あら。ラズ……いえ、そちらこそ素敵な新郎新婦だわ。おめでとう」
「婚姻の衣装か、見違えたな」
 ナディアとテクトラムの言葉に、そっちも、とラズロルは肩を震わせた。
「豪華だな。神殿の階段から降りたら映えそうだ」
 まるで何かの舞台のようだとジズが感嘆する。
「いいわね、それ。でも流石に歩くのに邪魔なのよね。重いし、人を跳ねそうだし。宴の開始まで時間もまだ少しあるし、今だけ外しておこうかしら」
「ああ、まだその時ではないので問題ないだろう」
 跳ねられた被害者その1、もとい、テクトラムはナディアを手伝って、背負い羽根を外してやった。
 興味ありげに見ているクィトに、テクトラムが外した背負い羽根を向ける。
「ん? よかったら少し背負ってみるか?」
「……いい」
 若干後ろに下がったクィトにそうかと頷くと、テクトラムは自分も羽織と槍を置き、目立たぬ陰に置いておいた。
「身軽なうちに庭園を散歩しよう」
「そうね。じゃあまた」
 急に軽くなった背中で、ナディアはテクトラムと庭園散策に出かけてゆく。
「俺たちも行こう」
 エトヴァもラズロルの手を取り、庭園を歩いた。
 これから起きることと裏腹に、星々のきらめく空は心奪われる美しさ。
「エジプトの空は星が良く見えるな……」
「うん。新宿で夜空を見上げたとき、星こんだけ? って思った。こんな星空はもうなかなか見られないだろうから、目に焼き付けとこ」
 ラズロルはヴェールを少しずらすと、夜空に顔を向けた。エトヴァはその横顔にじっと見入る。
「……綺麗だな」
「でしょ?」
 答えるラズロルの視線は天へ。
「ああ。本当に……綺麗だ」
 頷くエトヴァの視線は、嬉しそうに星を見ている花嫁の顔へ。

 一方、ナディアとテクトラムは庭園にある大きな噴水へと来ていた。
 池に落ちる噴水の水音が耳に心地よい。
「この池には何かいるのか……はっ、まさか」
 テクトラムは思わず身を乗り出して、池をのぞき込んだ。
 こんな時間にも関わらずロータスが花開いている池には、何の魚なのだろう、鮮やかな色がちらりと見える。
「ウーパーではないようだな」
「流石にここにはウーパーはいないと思う……思いたいわね」
 エジプトはそこまでウーパールーパー推しではないはずだ。
「それなら良かった」
「ふふっ、そんなにから揚げの印象が強すぎた?」
 昼間ウーパールーパーのから揚げを食べたとき、目を丸くしていたテクトラムを思い出し、ナディアは小さく笑った。
「うむ、から揚げの印象も強かったが……」
 テクトラムにとってもっと印象強かったのは、それを食べてしまうナディアのほうだった。が、それは口に出さずにおく。
「何か言いたそうな顔して……」
 しっかりこちらの心の動きを察知しているナディアへと、テクトラムは。
 ぴちょん。
 誤魔化すように小さく水を指ではじいた。
「……冷たいっ!」
 頬に当たった水滴にナディアは驚く。
「はははっ」
「もう、テクトラムさんってば……えいっ」
 お返し、とナディアが跳ねあげた水が、かがり火にきらめいた。

 宴の始まる前の時間、庭園にはディアボロス以外にも人々の姿があった。
 楽しんでいるディアボロスと対照的に、盛装した住民はこの世の最後の思い出を目に焼き付けようとでもしているかのように、思いつめた表情で花や星、そして家のあるほうを眺めていた。
 アヴァタール級を生み出すために必要な犠牲を得るための宴。ということは、これまでにも宴が開かれ、生贄が捧げられ、基準時間軸にアヴァタール級が送り込まれていたのだろう。
 ディアボロスの目の届かぬところでも、クロノヴェーダは人々を苦しませ続けている。
 そんな生贄の人々の様子を、如月・友仁(ユアフレンド・g05963)は物陰から見やった。
 友仁の手には宴への招待状はなく、盛装もしていない。それどころか彼が身に着けているのは夜に紛れそうな目立たぬ黒衣。
 他の招待客に気を取られている見張りの目を掻い潜るのは容易だった。中に入ってしまえば見回りなどもなく、物陰を選びさえすれば自由に動き回れる。もし誰かに見つかったら、庭師とでも言い逃れすれば良い。
 宴のことはお洒落した皆に任せよう、と思っていたのだが、あんまり楽しそうな様子だったから、心惹かれて来てしまった。
 覗き見る皆の盛装は、普段の現代服とは違って華やかだ。
(「みんな綺麗だなあ、ちょっと羨ましい」)
 あの中に交ざるのも楽しかったかも。けれど招かれざる客にしかできない仕事もある。
(「スニーキングミッション、開始といこうか」)
 友仁は持ってきたブツを会場にそっと仕掛けて回った……。

 物陰から友仁に見られていたとも知らず。
「カイスのイショー、ヒョウだな。強そうだ」
 クーガは手のひらでカイス・ライル(屍負い・g06804)のまとうヒョウの毛皮の手触りを確かめた。毛並みに沿って撫でるとすべすべで、ずっと触っていたくなる。
「ゼキはオーサマみたいだ」
 今度はゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)の真紅のマントを両手でぱたぱたしたり、ずっしりと重い金細工を持ち上げたりしてみる。もしかしてこの衣装、この街の支配者であるケン・レムよりも立派ではないだろうか。
「ケペシュは、黒か。かっこいいな」
 ぐっと色味を抑えているのに華がある。クーガはケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)の周りをぐるっと巡り、腕輪の石に目を近づけてよくよく眺めた。
「だろ? カイスもケペシュも素材がいいから、こういうのが映えるんだよ」
 ゼキはうむうむと頷いて、2人の盛装を自慢した。
「クーガだってその衣装、会場の中でもひと際目を惹いてますよ」
 薄衣に羽根のようなマント。精緻な金の装飾がほどこされた、まるでお伽噺に出てきそうな衣装にケペシュは目を細める。
「これ、エンが着せてくれた。ヒラヒラのキラキラだ」
「へえ、こういうのも似合うんだなァ。どれ、回ってみな」
 ゼキに言われてクーガがくるりと一回転すると、衣装がふわりと舞った。
「皆の盛装、思い思いの趣が、とても良いな」
 戦場の把握を兼ねて歩き回っているうちに見かけた皆の衣装を、カイスは思い浮かべる。様々な衣装があったけれど、どれもが似合っていた。
 今も周囲を見渡せば、盛装した皆が目に入る。
 リドリー・バーディ(chitter-chatter・g08402)の衣装は上下とも黒。けれどリドリーが動くたび、長い腰布の下から覗く腰布が、どきりとするほど鮮やかに赤い。
 カイスの視線に気づいたのか、リドリーが目立たぬように小さく手を振った。それにケペシュは会釈で応える。
 宴が始まるまであと少し。
 皆の衣装で目を楽しませながら、ディアボロスたちはひっそりとそれぞれの準備にいそしんだ。

 ケペシュと視線を交わしたあと、リドリーは宴に招待されている住民との会話に戻った。宴に招待された人の数は多く、ディアボロスが身代わりとなれたのはそのうちの一部。残りはこの街の住民だ。
「宴に招かれるなんて身に余る栄誉だよね」
「はい……」
 女性はか細い声で答えた。綺麗に着飾ってはいても、曇った表情ではそれも映えない。
「やっぱり豪勢だよね。こういうのに慣れてないから、飲み物も食べ物も分不相応に思えちゃって」
 リドリーがそう言うと、女性は小さく首を振った。
「そんなことを言わず召し上がってください。女神様のもとに行く前に、綺麗な恰好でお腹いっぱいになって、というケン・レム様の心遣いですもの」
「え、そうなの?」
「貧しくあることは辛いこと。なのでこの街を豊かに、そして女神様に召される最期のときも飢えなく幸せにと。……ありがたいことです」
「へえ、貧しいとか飢えとか、ケン・レム……様、にもそういう感覚があるんだね」
 宴を栄誉としているとの設定だから、敬称はつけておくべきだろう、と一応配慮しておいて。そういえば、とリドリーはちょっと声を潜める。
「知ってる? この後派手な余興があるらしいよ。やっぱり僕には女神様への捧げものになるなんて栄誉は大きすぎるから、その間にこっそり辞退しちゃおうかな」
「そんなことしたら、家族もろとも……」
 女性は青くなる。
「余興で大騒ぎになるらしいからバレやしないよ。今のうちに、出入口近くに行ってよっかなー」
 あくまでも軽い口調で、でも相手の望みに沿った何気ない誘惑をひと垂らし。
「私は逃げようだなんて……」
 口の中で言いながら、女性は少しずつ出入口近くへと寄っていった。

 会場のテーブルの間をふらふらと、人の居場所や暴れられそうな空間を考えながら歩き回っていたクーガは、隅の椅子にぽつんと座ってうなだれている子どもに気付いた。
「おまえ、元気ないな」
 クーガが声をかけると、子どもはびくっと顔をあげた。
「良かったら一緒に果実水を飲みませんか」
 ディミトラ・ディミオス(アマルトリ・g08941)は子どもとクーガに飲み物を渡し、自分も同じものを手にして子どもの隣の席に腰かけた。
 何歳ぐらいだろうと、ディミトラは果実水のカップを両手で持って飲んでいる子どもの横顔を眺める。
 子どもは床についていない足をぶらぶらさせている。見た感じでは6,7歳ぐらいだろうか。
「あまいやつ、おいしいな」
「うん」
 クーガに言われ、子どもは少しだけ表情を緩めた。
「お母さんが、おいしいもの、たくさんあるって言ってた」
 ディミトラは周りを見渡したが、親らしき姿は見えない。
「ここへはひとりで来たのですか」
「お父さんが連れてきてくれたけど、もう帰っちゃった。ごはんがおわるまで、いい子でここにいなさいって」
 自分がこれから生贄とされることを分かっているのか、いないのか。子どもからうかがえるのは、親と離れた不安だけだ。
「ねぇ、もしもお家に帰れる機会があったらどうしますか」
 ディミトラの質問に、子どもは顔をあげた。
「おうち、帰りたい」
「そうですよね。好機は作るもの、掴むもの。その時を見逃さず、進む勇気を持っていてください」
「ゆーき? でも……」
 困り顔で足を揺らす子どもを、ディミトラは他の一般人の生贄と引き合わせ、様子を見ておいてくれるよう、頼んでおいた。

 神殿内部にはテーブルが用意され、その間を給仕の人々が動き回って、飲みものを提供していた。呪詛の料理を運んでくるのはトループス級の水の子だが、飲み物は一般の人の手で配られており、特に何も仕込まれてはいない。
「永遠も飲むだろう?」
「そうですね。ではさっぱりしたジュースがあればいただきましょうか」
 永遠の答えに、悠は給仕の持つトレイからカップを2つ取り、そのうちのひとつを永遠に渡した。
「ありがとう、悠。この世界にいると喉が渇きやすいような気がしますね」
「乾燥しているからな。それに……」
 クロノヴェーダが動くのを待っている、という緊張もあるだろうかと悠は思う。
 宴の会場からは裏の様子は知ることができないが、もう、呪詛を込めた料理は用意されているのだろうか。過去へアヴァタール級を送り込むために、ここにいる生贄となる人々すべてを死に追いやろうと。
 そんな中で、永遠は受け取ったカップに口をつけ、喉を潤した。華やかな宴の会場であっても、社交的な場での振る舞いに慣れている永遠は、臆す様子もなく自然に楽しんでいる。
 そんな永遠を、何かあったらすぐにフォローできるよう、悠は見守った。

 給仕が運んできたトレイを見て昼間にしていた話を思い出し、カイスはケペシュを手招いた。
「ケペシュ、ソーダ水があるぞ。飲んでみるか」
「もちろん頂きます」
 しゅわしゅわと泡が弾ける音のする飲み物を、ケペシュは手に取った。エジプトの大気は懐かしいが、乾燥しているだけに喉がかわく。そんな喉をうるおすためには、さっぱりしたソーダ水が嬉しい。
「良ければカイスも一緒にいかがですか?」
「ああ、もらおう」
 ケペシュに促され、カイスもソーダ水を手に取った。ゼキも……と言いかけて、思い出す。
「ゼキは酒の方が好みだったな」
「まあね。別にソーダ水が嫌いってわけじゃねえが、酒があるならそっちを貰いてえな」
「わかった。……酒を頼めるか」
 カイスが酒を所望すると、給仕はすぐにビールを持ってきた。
「今は酔っぱらうまでは飲めないが、景気付けに貰っておくと良い」
「食前酒ごときで酔ったりしねえって。ガッツリ楽しんでガソリン補充といこうか」
「ゼキ殿、お酌しましょうか?」
 言いながらケペシュはすでにビールを手にしている。
「お、ケペシュ、酌なんて悪いねえ」
「いえいえ、ぐぐっといってください」
 ゼキが手にしたカップに、ケペシュはビールを注いだ。それをいかにも旨そうにゼキはぐいっと飲み干し、ふうと満足そうな息を吐いた。


 そこに、音楽が鳴り響いた。
 奥の扉が開き、料理を捧げ持った水の子たちが現れる。呪詛をたっぷりと含んだその料理を口にしたものは、死してアヴァタール級を生み出すエネルギーとなるのだ。
 それを見て取って、ジズが大声を挙げた。
「儀式は終いだ!」
 その声に、会場の人々の視線はジズへと集まった。視線のただなかに立ちながら、ジズは高らかに詠唱する。
『来たれ王朝の残滓。迅速にして逞しきもの。その名は「ウーパー戦士」!』
 ジズの呼びかけに応えて現れたのは、獣神王朝エジプトでかつて戦ったトループス級エンネアド『ウーパー戦士』の幻体たち。一斉にぐぐっと力をこめて決めるポーズは、サイドチェスト。
 ポーズが決まったのと同時に、会場のあちこちで音と光が次々に炸裂してゆく。友仁が仕掛けておいた花火……もとい、爆弾だ。
 人に危害を加える目的ではないから、威力は抑えられている。とはいえ、突然あちこちから爆発音とともに派手な光が弾ければ、参加者たちは当然驚く。
 人々はこれが宴の催しなのか、それとも何か起きたのかを計りかね、会場の隅で怯えて固まった。水の子の運んできた料理を食べるどころではない。
(「ミッション成功、ってね」)
 人々の様子を陰から見守り、友仁は笑みをこぼした。
 そして突然明るく照らされる神殿内。
「ド派手に行ってやれ」
 照明の残留効果を使ったテクトラムは、ナディアを促した。
「任せて。私の自慢の羽根が唸るわ」
 ナディアは神殿の大階段を、優雅に、そして派手に、ゆっさゆさと背負い羽根を揺らしながら降りてゆく。堂々たる足取りは、まさにスターの貫禄。
 その隣を歩くのは、ケン・レムのぎらぎら刺繍の羽織をまとい、金ピカの模造槍を掲げたテクトラム。
 会場内の人々の目は、大階段を下りてくる2人に釘付けとなる。
 やはりさきほどの音と光は宴の余興だったのか。そう思いかけたとき。
「私たちが来たからには、宴はもう終わりよ」
 ナディアの背負い羽根が、会場に飾られた女神の彫像を台ごと吹っ飛ばし、頭の部分の魚がドカッとテーブルの真ん中にメインディッシュのごとくに着地した。

 ジズの掛け声で、会場のそこかしこでディアボロスたちが一斉に動いていた。
 騒げば騒ぐほどに、一般人の目はディアボロスたちに釘付けとなり、水の子が運んできた料理から意識が逸らせる。
「ゼキは偉そうに頼む」
 カイスに言われ、ゼキはにやりと笑い、
「おいおい、この料理……悪事の臭いがぷんぷんすんなァ」
 水の子がテーブルに置いた料理に、ゴージャスなVIPよろしく、ふんぞり返ってクレームをつけた。
 そうそう、こういう時の決め台詞といえば、確かアレだ。
 ぶわっと真紅のマントを翻しての仁王立ち。からの。
「ケペさん、カイさん、懲らしめてやりなさい!」
 料理を机ごとひっくり返す派手な音が、曲の代わり。
 さあ、祭りの本番だ。
 カイスとケペシュも目配せひとつでタイミングを合わせ。
 宴を祝いふんだんに花が活けられた花器が、カイスになぎ倒されてばらばらに割れ、水と花をまき散らす。
 同時にケペシュは双剣を抜いて、力任せにテーブルを叩き切った。
 破壊の音に耳を塞ぎ、破壊の跡から目を背け、生贄のために集められた人々が悲鳴をあげる。
 その上からかぶさるように、カイスのジン、ナダ―がぐわっと威嚇すると、人々は逃げ出し始めた。
「待ちなさい。神殿から出てはなりません!」
 そうはさせじと追う水の子の前に、カイスとケペシュが素早く割り込んだ。
「頭が高い」
 言ってから、カイスは言いよどむ。
「いや、高くても構わないが……下げてみてはどうだろうか。ここにおわすゼキは、素晴らしいひとだから………」
 続けられなくなって、駄目だ、とカイスは断念した。
「上から物を言うのは慣れない。口上の続きは任せたぞ、ケペシュ」
 そんなところがカイスらしいと思いつつ、ケペシュは、任されましたと口上の続きを引き受けた。
「ゼキ王様の御前である。頭が高い、控えおろう! 高い頭は刎ねてしまうぞ!」
 言われたからと言って、目の前に整列してくれるような敵ではないから、剣をぶんぶん振り回して牽制し、逃げる人々を追うのを妨げる。
 人々の逃走は阻止しなければならないが、さりとて目の前で剣を振るう相手も放置はしておけず。水の子たちは足を止めるしかない。
「さぁ、ゼキ殿。最後にビシッと格好良く決めてください」
 2人が暴れている間、ゼキは敵の足止めをしつつ、金属塊『躯』を変じた旗槍を振り回し、避難する人々の勇気を奮い起こしていた。
「へ?」
 ケペシュからの急な振りに一瞬戸惑ったが、
「ここでビシッと……アレだな!? ――この旗が目に入らぬかァ!」
 思い当たって、旗槍を高々と掲げた。そしてその旗をぶんぶんと目立つように振り。
「……ハイハイ皆さん避難はこっちデスヨー」
 ザ・添乗員!
 旗を掲げて人々を先導していった。

「なんか見たことある……なんだっけ?」
 3人の立ち回りにクーガは首を傾げた。思い出せないが、カッコいいような気がする。
 自分も負けていられないと、クーガはテーブル上の食器を掴むと、ブルックリンステップにあわせて、右に左に投げ散らかした。
 名付けて『ゴチソーサマ投擲』。
 新宿島でおぼえたダンスを、中東の踊り子イメージの衣装で披露する。
 リズミカルに食器を飛ばしたあとは、
「ん、うまそう」
 まだ飲んでいないジュースをごくごくっと飲み干す。料理には呪詛がかかっているが、飲み物は違う。食べられるものはソマツにしてはいけないから。
 これでよし、と確認してから、クーガは思いっきりテーブルクロスをひっぱった。テーブル上のものを床に落としなから引き抜いたクロスをマントにすると、テーブルからテーブルへとジャンプ!
 そこに残留効果の避難勧告を使用すれば、サイレンは鳴るわ、赤い光が明滅するわで、騒がしいことこの上ない。
「へへへ、大暴れするの楽しい」
 クーガのその感想は、きっとこの場にいるすべてのディアボロスに共通だ。

「そぉれっ!」
 水の子が運んできた料理をテーブルに置いた瞬間、ラズロルの足が思いっきりテーブルを蹴りあげた。
 パッカーンと蹴られたテーブルが宙を跳び、ワンピースに入ったスリットは全開。その内側を無防備にさらけだそうと……。
「あ、それはだめ」
 エトヴァがさっと立ち位置を変え、ラズロルのスカートの中への視線をマントを翻して遮った。その位置取りもタイミングも完璧だ。
 見えそう、でも平気。エトヴァが鉄壁で隠してくれる。
「暴れましょうか、旦那様」
 花嫁さんがふふっと笑ってウインクすれば、
「はい、お嫁様」
 花婿さんも周囲のものをなぎ倒す。背中合わせのぶち毀しタイム。
 やる時は遠慮なく。……意に沿わぬ生贄なんて、もう見たくはないから。
 2人が暴れるたび、幾重にも飾り付けられた黄金の装飾が、触れ合って音を立てる。
 新郎新婦の共同作業は、ケーキ入刀ではなく宴の粉砕だ。

「お料理が来たみたいね」
 テーブル付近で生贄とされた一般人と話をしていたネリリは、料理を運んでくる水の子に目をやった。
(「これを食べる前に何とかしなくちゃいけないんだよね」)
 ぱっと見では、ただのおいしそうな料理。けれど確実に人の命を奪う料理。
「なんだか周りがうるさくない?」
 巻き起こる騒ぎに周囲の人の意識を向けた隙に、ネリリはアイテムポケットから持参してきたデスソースを取り出した。
「おーっと、手が滑ったよ」
 ぶしゃっ!
 ネリリの振り回した手から、デスソースがたっぷりと料理にかかる。
 赤く染まった料理は実に……禍々しい。
(「食べれるものなら食べてみろの心だよ」)
 見た目からして呪詛を醸し出す存在になった料理に、ネリリは心の中で舌を出す。
 デスソースから逃れた料理を手にしている水の子へは、
「あっ、ごめんなさい……」
 ディミトラがうっかりを装ってぶつかった。こっそり肘を突き上げると、水の子の手から料理が吹っ飛んで、べちゃりと床に落ちた。
「まあ大変……あたし、おっちょこちょいなんです」
 床にかがみこむ……ふりをして、隣にいる水の子の腕を払い、料理を叩き落とす。
「ごめんなさい、手が滑ってこっちも台無しにしてしまいました」
「あーっと、ごめんなさい、わたしも躓いてしまって!」
 ネリリは隣のテーブルへと、走り込み、あーんど、デスソース!
 ディミトラは、これも、これも、と次々に料理をぶちまけさせ、ついには料理の皿を取り上げ、
「……勿体ないからあなたが召し上がってくださいな。神様からのお心尽くし、よもや否とは言いませんよね?」。
 水の子の顔めがけて投げつけた。
 さすがにこれには水の子も反撃してきたが、ソースまみれの顔ではそれもどこか間が抜けて見えてしまうのだった。

 ジズのパラドクスで生み出されたウーパー戦士が、テーブルをひっくり返し、繊細な食器を派手にぶちまける。ジズ自身もまた、椅子を投げ、いかにも高価そうな調度品をぶん投げての大暴れ。
 投げた椅子が壁に当たって、ばきりと脚がへし折れる。ぶつかっても壊れなかった調度品には回し蹴り。ぼこっとチェストがひしゃげた。
「ははッ、結構足回りが動きやすいじゃないか、この服」
 なるほど、スリットとはこのために入っているのかとジズは得心した。
 スリットなしのロングドレスで、庭をふらっと周り会場へとエントリーを果たしたクィトは、バキバキメリメリと異様な音に満ちた会場に目を瞠る。
「おぉう、もう宴(隠語)が始まってた」
 ぼやぼやしていると、皆に破壊し尽くされてしまいそうだ、なんて考えていたとき。
「今、クィトさんの声がしなかった?」
「伏せろ!」
 テクトラムの警告にクィトは素早く身をかがめた。
 その頭上を、ぶわんっと唸りを立てて背負い羽根が通り過ぎ、その先にあるテーブルを薙ぎ払った。
「あ、やっぱりクィトさんだったわ」
 にっこり笑うナディアの背負った羽根は、まさに物理的に宴をぶち毀しつつあった。
「アレの威力まさに身をもって体験済みだからな」
 間に合って良かったと、金ピカ模造槍とでかでかケン・レム羽織姿のテクトラムは汗をぬぐう。
「ふふ、テクトラムさん今度は吹っ飛ばされないように気を付けてね。あ、見て、あそこにジズさん率いるウーパーが」
 ガチャガチャガチャーン。
「居たなウーパー」
 バキバキバキーン。
 真顔で2人が話す間も、周囲で物が破壊されてゆく。
「んむー。我もどんどこ暴れよう」
 まだ破壊の余地があるうちに、とクィトは黄金猫拳打棒を取り出した。
『今日の黄金猫拳打棒は真っ赤に燃えている』
 それっとクィトが高く掲げた黄金猫拳打棒が、赤く炎に包まれた。
「ふぁいやー」
 着火した黄金猫拳打棒をぶんぶんと振るい、クィトは神殿内に火をつけてゆく。
 といっても、無暗に放火したら逃げる人々を巻き込みかねないから、燃やすものは慎重に見定める。
「うみゅ。これは燃やしていいやつ」
 奥の方にあるウーパールーパー柄のタペストリーに火をつけると、気持ちが良いくらいにメラメラと炎をあげて燃えあがった。
 それを、せっかく集めた生贄が呪詛に寄らず火に巻かれて死んでしまったら大変だとばかりに、慌てて駆けつけた水の子たちが消火する。
 テーブルクロス……は危ないだろうか。うっかり仲間のディアボロスの服にでも延焼したら困るからやめておこう。
「んむ、ちゃんと火を付けていい物は選ぶ。我は良い子なので」
 なんかいい感じに燃やして良さそうなものを選びつつ、良い子は神殿内に放火して回り、そのあとから水の子たちが大わらわで火を消して回るのだった。

 ディアボロスによって宴が破壊されてゆく中、リドリーは声をかけておいた人に話しかけた。
「ほんとに派手だよね。余興だと知っててもびっくりしちゃうよ」
「よ、余興……これが……?」
 胸を押さえる女性に、あくまでにこにこと、けれど視線だけは射るように向けて、
「さあ今がチャンスだよ」
 リドリーは外へ通じる扉をさした。
「え……」
「宴に来たことは間違いないんだし、この騒ぎに紛れればバレないバレない。家族や友達に会えなくなるのは寂しいもんね」
「それはもちろん……」
 街での豊かな生活の代償だからといっても、生贄になどなりたくはない。女性はリドリーの指した扉を食い入るように見る。
「未練残して神様に侍るのも失礼かもだし、大切な人を悲しませるのが信仰だなんて、そんなこと胸張って言えないでしょ?」
 リドリーが用意してた言い訳に、女性は飛びついた。
「そ、その通りだわ。こんな未練たっぷりの私では、女神様に申し訳ないし……火事から逃げるのは普通のことよね」
「うん、その通りだよ」
 リドリーが断言すると、女性は扉の外へと走り去って行った。

 逃げ出す人の流れが出来てゆく。
「外への扉はこちらです。神殿はこれから荒れた場になります。どうかお逃げください!!」
 水の子に封鎖されてしまわぬように、永遠は扉に手をかけて一般人へと呼びかけた。
「この場はいささか物騒になる。早く避難してくれ!!」
 悠も目につくように手をあげて、人の流れを誘導した。
「危ない!」
 扉へ向かった人々がもつれるように倒れ込むのを見て、永遠が駆け寄り、助け起こす。
「怪我はありませんか? 気を付けてくださいね」
「焦らなくていい。水の子は俺たちが近寄せないから」
 永遠を手伝って、悠も手を貸した。
「ああ、ありがとう」
 立ち上がり外へと向かう人々を、悠は背にかばった。火の始末や暴れるディアボロスへの対応に追われて、こちらに来る水の子が少ないのは幸いだ。
 どうか無事でと、2人は逃げてゆく人の背に向けて祈るのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水源】LV1が発生!
【避難勧告】LV3が発生!
【照明】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【士気高揚】がLV3になった!
【怪力無双】がLV4になった!
【泥濘の地】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【友達催眠】がLV6になった!
【熱波の支配者】LV3が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
【浮遊】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【先行率アップ】LV3が発生!
【グロリアス】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV3になった!

龍統・光明
『その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……』

ドラゴニアンのガジェッティア × レジェンドウィザード

特徴:基本冷静沈着。行動の際は【残像】【忍び足】を使用
普段二刀流と蹴術を織り交ぜる戦闘スタイルだが、
AS展開時は一転二丁銃と羽形ブラスターを操り戦う

基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う

常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている

『例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません』

よろしくおねがいします(連携大歓迎・NG:ギャグ・コミカル)


 ケン・レムが戻ってくる前に事態をおさめなければと、逃げる人々を水の子が追う。
 アヴァタール級を生み出すためには、集めた人々を呪詛によって生贄としなければならない。そのために、生贄を逃がしてしまうわけにはいかないが、あまり無理をして殺してしまっては元も子もない。
「待ちなさい。自らに課せられたお役目を果たすのです」
 呼びかけながら追う水の子の前に、龍統・光明(千変万化の九頭龍神・g01001)が立ち塞がった。
「邪魔です。退きなさい」
 光明の相手をする手間も惜しんで突破して行こうとする水の子へと、光明のパラドクス【フルブラスト】が放たれる。
『ロック完了。射ち貫け!』
 高速起動からのマルチロック。
 光明の全武装が水の子へと展開する。
 一斉に行われた射撃は、水の子の体を何か所も貫いた。
 貫かれた水の子は水のように溶け、そこから無数の泥の手を光明へと伸ばしてくる。泥の手に捕らえられまいと、光明は左手で振り払い、
「その業喰わせて貰う、さぁ貴様の業を数えろ」
 冷ややかな目を水の子へと向け、命じたのだった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【神速反応】LV1が発生!

マティアス・シュトローマー
【チーム世直し】

やっぱりジュースじゃ格好がつかないよなー
ラトはお酒は好き?
美しい庭園に煌びやかな衣装。そんな非日常の中でもいつもと変わらぬお子様扱いに頬を膨らませる
…へえ、神様の血ってやつか
俺が飲めるようになったら付き合って
えっ潰される…!?

音楽が鳴り響けば、にっと笑って彼女に目配せを
それじゃ
お手をどうぞ?フロイライン

神殿へと駆け付け、水の子達が手にした料理を狙って弾丸を放とう
まずは前菜、スープ、そしてメイン
射的なら総取りだけど今回は遠慮しておくよ

あのデザートはラトに
あはは、大丈夫だって
これも罪のない人々を救うため!

ナイス!
ふふ、このお行儀の良さはラトの教育の賜物だね
仲良くなれそうな気がするよ


ラト・ラ
【チーム世直し】

日常的に葡萄酒を飲んでいましたからね
嗜好品としてではなかったので
好きという表現が正しいかどうか…
ええ、もちろん
介抱役は任せてください
お姉さんぶる癖は抜けきれないままに言う

彼の手を取り音楽を辿るように神殿へ
先手を打つマティアスの傍で両頬をおさえる
ああ、食事が…!
毒入りとわかってはいても
質素が板についた修道女は息をのむ
そんな心の動揺に反応したのか
足元から蛇の影が這い出り
まるでマティアスの指示通りに
水の子らからデザートを取り上げた!

行儀が悪いですよ…!
叱りつけられた蛇が頬張りかけのデザートを吐き出す
まあ、でも……
これでだれも食べることはできませんね
しっちゃかめっちゃかな会場を見回した


 全員が神殿内に入ってしまったため、庭園にいるのは入口に立っている門番のリターナー2人、そしてマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)とラト・ラ(*☽・g00020)だけとなった。
 いくつものかがり火に照らされる庭園の風景を、ふたり占めに眺めながら飲み物を口にする。
 ラトが身に着けているのはパレオをホルターネックになるように結んだドレス。無防備に出ている脚に、ひんやりとした夜風が感じられた。
 マティアスはエジプト風の腰布を。ベルトの交点につけられた豪華な装飾品は、かがり火を受けて温かみのある輝きを放っている。
 そのどちらも衣装の色はほのかに緑がかった白。偶然のなせる業だが、人の目からはペアで仕立てられた衣装だと見えるだろう。
「やっぱりジュースじゃ格好がつかないよなー」
 給仕から受け取った新鮮な果物のジュースは美味しいけれど、マティアスの口からはぼやきが漏れた。
 夜の庭園でラトと2人というこのシチュエーションならば、恰好良く酒のグラスでも揺らしたいところだが、残念ながら飲酒可能な年齢までにはまだしばらくある。
「ラトはお酒は好き?」
 そう聞いてみると、ラトはどうでしょう、と首を傾げた。
「日常的に葡萄酒を飲んでいましたからね。嗜好品としてではなかったので、好きという表現が正しいかどうか……」
 好きとか嫌いとか、美味しいとかまずいとか。そういう感覚ではなかったから、好きかと言われると答えられない。
「……へえ、神様の血ってやつか」
 そういえば聞いたことがある。自分が飲んだことのない酒をラトが普段から飲んでいたと知り、マティアスは頬を膨らませた。……そんな動作こそ、子どもっぽいのだということには気づかずに。
「ね、ラト。俺が飲めるようになったら付き合って」
「ええ、もちろん。介抱役は任せてください」
 お姉さんぶる癖が抜けきれないままに、ラトは答えた。
「介抱……えっ潰される…!?」
 ラトはどれだけ強いんだろうと、マティアスはぎょっと目を剥いた。


 神殿内で鳴り響いた音楽が庭園にまで届く。
「それじゃ」
 マティアスはにっと笑うとラトに手を差し出した。
「お手をどうぞ? フロイライン」
 ラトはその手を取ると、音楽を辿るように神殿へ入っていった。
 すでにディアボロスによる宴のぶち毀しは始まっていて、物が壊れる音があちらからもこちらからも聞こえてくる。
 何が始まったのかすぐには理解できずにいる水の子、その手にした料理を狙ってマティアスはP08を撃ち込んだ。
 まずは前菜、スープ、そしてメイン。
 銃弾を受けた皿が次々に砕け、料理が飛び散る。
「ああ、食事が……!」
 先手を打つマティアスの傍で、ラトは両頬をおさえた。
 あの料理は呪詛入り。万が一にも一般人に食べさせてはならないから、破壊するのが最善……とわかってはいるのだが、質素が板についた修道女のラトとしては、息を呑まずにいられない。
「射的なら総取りだけど今回は遠慮しておくよ。あのデザートはラトに」
 振り返ったマティアスは、蒼褪めているラトの様子に気付いた。
「あはは、大丈夫だって。これも罪のない人々を救うため!」
 人助け=破壊。
 そのふたつを上手く結びつけられずに動揺するラトの足元から、音もなく蛇が這い出した。巨大な蛇影はまるでマティアスの指示に従うかのように、水の子の持つ皿の上のデザートを、ぱくり。
「ナイス!」
 マティアスは手を打ったが、ラトは蛇を叱りつける。
「行儀が悪いですよ……!」
 叱られた蛇は、即座に頬張りかけのデザートを吐き出した。
「ふふ、この聞き分けの良さはラトの教育の賜物だね」
 仲良くなれそうな気がするよとマティアスは笑う。
「他人様のデザートを食べようとするだなんて……まあ、でも……これでだれも食べることはできなくなりましたね」
 撃たれて散乱する料理も、蛇が吐き出したデザートも、一般人の口に入ることはないだろう。
 ラトは複雑な面持ちで、しっちゃかめっちゃかにされてゆく会場を見渡したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV2になった!
【トラップ生成】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!

サプライズ・ウメコ
号令に合わせて、俺も動き出しましょう

盛装と言う程派手な身なりは好みませんが、いただいた花の王冠はさぞ艶やかに映ることでしょう
大事なものですので、なくさないよう…いえ、壊さないよう注意を払います
テロリストは、毀すべきものとそうでないものを理解しているものですから

選ばれた生贄の中で、俺は目立つことは無いでしょう それこそが勝機となります
影を縫うように、携えた刃は細い鋼糸。広く仕掛けるには十分でしょう
ゆっくりと立ち上がると共に起動する罠は、まるで蜘蛛の巣のよう

絡めとりましょう、邪魔者を
脆く儚い泡沫の夢は――ここに弾けて消えるのです


 神殿にいる宴の参加者たちは、高価な布で作られた衣装に、豪華な装飾品をつけた盛装姿。
 これが死に装束となるのは皮肉なものだと、サプライズ・ウメコ(塔・g05946)は会場の隅から内部を見渡した。
 ウメコは盛装というほど派手な身なりは好まないが、宴に入れてもらえる程度には服装を整えていた。あまりに場違いな衣装では却って浮いてしまうから。
 選ばれた生贄の中で、ウメコは目立つことは無い。それこそが勝機へと繋がる布石なのだから。
 他の人よりはシンプルな服装を彩るのは、生贄となる娘が庭の花を摘んで作った花冠。金銀財宝ではないその飾りは、生命の輝きを宿すが故にさぞ艶やかに映ることだろう。
 ウメコはさりげなく手をあげて花冠に触れた。
 これから始まる宴の破壊、からの戦い。その中で花冠をなくさないよう……いや、壊さないように注意をしなければ。
 ウメコはデストロイヤーではなく、テロリスト。
 ならば毀すべきものとそうでないものは明確に区別するべきだろう。
 会場に集う人々は、覚悟を決めた表情だったり不安そうだったり、あるいは取り繕った笑みを浮かべていたり。
 その会場の中をウメコはひっそりと巡り歩いた。


「儀式は終いだ!」
 会場にジズの声が響き渡る。
 破壊の始まりを告げる声が。
 だがそれを聞いたウメコの動きは、いっそひそやかで。
 影を縫うように、携えた刃は細い鋼糸。
 ゆっくりと立ち上がると共に起動する罠は、まるで蜘蛛の巣のように広く仕掛けられ。
「絡めとりましょうか……邪魔者を」
 動作は小さく。けれど水の子は派手に転倒して呪詛入りの料理を床にばらまく。
「脆く儚い泡沫の夢は――ここに弾けて消えるのです」
 クロノス級が作りあげた世界ごと、すべて。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!

タオタオ・ザラ
サアシャ(g05223)と
ちゃっかり上は脱いどいた
英雄野郎と被るけど女装よりマシ

タオに夢中にさせれば料理から気ィ逸らせるかねと
美人サンに粉掛けてたら、むくれた狐っ娘と目が合い
……おやマ、どうした可愛いお嬢さん?
タオの目を奪ってくれるのかね、なんてけらけら

なんだ、踊るの銀シャリだけかぁ?
サアシャは踊らんのか、残念だな
おー?
タオが踊っても構わんが、
それこそ本当に可愛子ちゃんがタオに見惚れちまうぞ

拗ねそうなサアシャをおいでと手招き
ちゃあんと可愛いぞ、サアシャ
露出は仕方ねえんだ、女装で戦いたくねえからよ…
お子様には刺激が強すぎるか?
ハグしてもいいのに、ほれほれ
……っと、本当に飛び付かれると思わんかった


サアシャ・マルガリタ
タオちゃん(g05073)と

ふふり、盛装してきましたよう!
タオちゃん見て見てー…
…また綺麗なおねーさんにちょっかいかけてるんですぅー?
別にサアシャが口出すことじゃないですけども
ここにも可愛い子がいると思いませんか!(むくれている)

目を奪うのはどちらかというと銀シャリですかね
(一般人の気を引くために踊っている銀シャリ)
ふむり? サアシャの踊りです?
それなら一緒に踊りますか、なぁんて!

手招かれるまま近づき
ありがとです、タオちゃんも素敵ですよう
…にしても、いつにも増して露出度高めですね…?
え、良いんですか。わぁいやったー!(ここぞとばかりに飛びつく)
んふふ、充電完了したのでお仕事がんばろーですです!


 女物の衣装を着せられて神殿へ送り出されたけれど、さすがにこのまま女装しているわけにもいかない。
「どうすっかなー」
 考えるタオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)の脳裏にふとルーシドの幻影が浮かび、厳かに託宣を告げた。
 ――お脱ぎなさい。
 ぽん。
「そっか、脱げばいいんじゃね?」
 胸の下までの短い上衣を、タオタオは脱いでみた。下は白いスカートのまま……いや、これを腰布ということにすれば、女装ではなくなる。
 男性用の腰布とはデザインがちょっと違う? いや細かいことは気にしない。
 邪魔になりそうなところはちょいと挟み込んで、っと。
 うん、これで女装ではなくなっただろう。
 気がかりから解放されたタオタオは、生贄とされた娘を見つけ、声をかけてみた。最初は不安に沈んでいて反応が悪かった娘も、タオタオが面白おかしく話しかけると、はにかんだ笑顔を見せてくれるようになる。
 このまま気を惹いていれば、呪詛入りの料理を食べてしまうなんて事態を避けられるか……なんて思う背中に、感じる視線。
 振り返ればそこには、サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)のジト目があった。
「おやマ、どうした可愛いお嬢さん?」
「……また綺麗なおねーさんにちょっかいかけてるんですぅー?」
 サアシャはぷんとむくれる。
 せっかく、きゅうりパックでお肌つるつる、ばっちり盛装した晴れ姿を見てもらおう、なんて意気込んで来たのに、タオタオは美人なお姉さんを口説いていて。
「別にサアシャが口出すことじゃないですけども! ここにも可愛い子がいると思いませんか!」
 ほらほらと、サアシャはアクセサリーをジャラジャラ鳴らしてみせる。
「ほー、サアシャがタオの目を奪ってくれるのかね?」
 けらけら笑うタオタオに、
「目を奪うのはどちらかというと銀シャリですかね」
 サアシャは自分と同じくアクセサリーてんこ盛りに飾られている、ダンジョンペンギン『銀シャリ』をさした。
 一般人の気を引くために、銀シャリはぱたぱたと羽を振り、えんやこらさっさと踊っている。ちょっと和風のダンスに見えてしまうのは、頭にしめたねじり鉢巻きの所為だろうか。
「なんだ、踊るの銀シャリだけかぁ? サアシャは踊らんのか、残念だな」
 タオタオに言われ、サアシャはふむりと考えた。
「サアシャの踊りです? それならタオちゃんも一緒に踊りますか、なぁんて!」
 冗談めかしてサアシャは誘う。
「おー? タオが踊っても構わんが、それこそ本当に可愛い子ちゃんがタオに見惚れちまうぞ」
「見惚れるのも仕方がないかもしれませんが、それはあんまり嬉しくないですね」
 むう、と笑顔を消すサアシャを、おいで、とタオタオは手招いた。
 手招かれるままに近づいたサアシャの盛装は、クリームイエローのワンピースにリボンのように結ばれた布が飾られ、可愛らしい雰囲気に仕上がっている。
「ちゃあんと可愛いぞ、サアシャ」
「ありがとです、タオちゃんも素敵ですよう」
 お洒落をした姿を褒めてもらえるのは嬉しい。サアシャはにこにこと答えて……ん? とタオタオの恰好を見直す。
「タオちゃんは、いつにも増して露出度高めですね……?」
 上半身につけているのは宝飾品だけ。腰布もいつもとは感じが違うような……。
「露出は仕方ねえんだ、女装で戦いたくねえからよ……お子様には刺激が強すぎるか?」
 けらりと笑って、タオタオはむき出しの上半身が良く見えるように手を広げてみせた。
「ハグしてもいいのに、ほれほれ」
 揶揄ったつもりだったのだが、サアシャはぱっと顔を輝かせた。
「え、良いんですか。わぁいやったー!」
 ここぞとばかりにダッシュで飛びついてくるサアシャを、タオタオはおっとと受け止める。
「本当に飛び付かれると思わんかった」
「そりゃあ飛び付きますよぉ」
 チャンスは逃しません、とサアシャはタオタオにぎゅっと手を回してハグ。
「んふふ、充電完了したのでお仕事がんばろーですです!」
 元気百倍。
 水の子もケン・レムも蹴散らせそうな気分で、サアシャは笑うのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】がLV5になった!

カルメン・リコリスラディアタ
【彼岸花】
旦那のダルクエスと一緒、呼称:ダルク
アドリブOK


花の招待状を持ちいざ、夫婦揃って宴を開催してる神殿へ!

うわーすっげー豪華だぜ…ロマノフのヴァンパイアノーブルどもの館とは違った極彩色の豪勢さだな

まずは構造を把握する為に神殿内部と庭園を散策しよっか
煌びやかな衣装で着飾った旦那に寄り添ってるときゅんきゅんしちゃう…

ザクロ酒もあるぞ、一緒に呑もうぜ!

他の参加者の動向に合わせて派手に暴れてやんよ!
『獺祭雷舞劇団』で召喚した使い魔カワウソ達にも協力してもらおうか
(食べ物は粗末にしたくないので)使い魔カワウソ達は宴の料理を次々と食べ尽くし
所持した楽器で神殿内部も敵も物理的にボコボコにしてぶち毀す!


ダルクエス・ネクスト
【彼岸花】
妻のカルメンと一緒、呼称:カルメン
アドリブ歓迎

花の招待状を持ち、夫婦腕を組んで神殿へ赴く

これぞ絢爛豪華。ヴァンパイアノーブルの退廃美とは違うのさ
ま、それをいまから…ね?

神殿の内部構造の把握はカルメンに任せて
ザクロ酒を飲みつつ、一般人の位置や人数、避難経路の把握に努めよう
把握できたなら避難を手伝うディアボロスに【パラドクス通信】で知らせるのも手、だね…
…それにしても、神殿内の誰よりも華やかで惹かれるのはカルメンだけだ

ブーツ型の黒鉄の機械武装こと『蒼く閃く蹴断』を召喚し装備、蒼い雷の奔らせて
加速しつつブレイクダンスのように暴れ、煌びやかな衣装は舞うように、神殿内部を物品ごとの打ち毀す


 花の招待状を持ち、すらりとした立ち姿のダルクエス・ネクスト(蒐集家・g07049)がまとうのは、黒と赤の対比が目を惹くエキゾチックな衣装。
 その腕に腕を絡め、赤のロングドレスに金のアクセサリー、髪には赤白の花を飾った妻は、カルメン・リコリスラディアタ(彼岸花の女・g08648)。
 そのまま情熱的なダンスを踊りだしそうな様子で、2人は神殿へと足を踏み入れた。
「うわーすっげー豪華だぜ」
 金と宝石で飾られた神殿に、カルメンは目を瞠る。
「ロマノフのヴァンパイアノーブルどもの館とは違った極彩色の豪勢さだな」
 柱や壁に描かれた壁画、並ぶ彫刻たち、金彩がまばゆい調度品。
「これぞ絢爛豪華というのだろうね」
 ヴァンパイアノーブルの退廃美とは違う、どちらかというと分かりやすい豪華さだと、ダルクエスも同意し、そしてカルメンに目くばせする。
「ま、それをいまから……ね?」
「だな。そのためにもまずは神殿内部と庭園を散策しよっか」
 この後のために構造を把握しておきたいからと、カルメンは神殿内を歩き回ってみた。街路と通じる入口にはリターナーの見張りが2人。中に入ると広い庭園があり、その先に神殿。
 神殿の正面入り口をくぐった大広間が今回の宴の場所で、参加者たちは皆そこにいる。奥には大階段、その向こうにいくつか部屋に通じると思われる扉があるが、今は閉ざされている。
「料理の準備やクロノヴェーダがいるのは、奥だろーな」
 たぶんもうしばらくすれば、あの扉から現れるのだろうとカルメンはそちらに顎をしゃくった。
「おそらくそうだろう。では一般人を逃がすのは正面入り口一択だね。庭園に出てもらうだけでも危険は避けられそうだ」
 それぞれ調査した結果を口にしながら、ザクロ酒でひと休憩。
 瑞々しい香りがたちのぼるきれいな色合いの酒のカップを、小さく触れ合わせて――乾杯。
 良く見知った夫なのに、煌びやかな異国の衣装で着飾ったダルクエスに寄り添っていると、カルメンの胸はきゅんとときめいてしまう。新たな魅力の発見、というところだろうか。
 ダルクエスのほうはといえば、衣装がどうという以前に、カルメンしか目に入っていない。
「神殿内の誰よりも華やかで、俺が惹かれるのはカルメンだけだ」
「ダルク……」
 これから始まる生贄の儀式よりも何よりも、大切な夫婦の時間を2人は過ごすのだった。


「儀式は終いだ!」
 ジズの声が響き渡る。
 待ちに待った合図に、カルメンはパラドクス【獺祭雷舞劇団】を唱えた。
『賑やか愉快なヴィードラ達よ、ショータイムだッ!!』
 現れたのは、楽器を持った使い魔カワウソ音楽隊。
「派手に暴れてやりな!」
 カルメンの命を受けた使い魔カワウソたちは、呪詛まみれの料理をものともせずにむさぼり喰らい、手にした楽器でそこらじゅうをボコボコにして回る。
 テーブル付近にいた一般人たちは、突然現れたカワウソに驚き、次いでその破壊活動におののいた。
 妻に後れを取るまいと、ダルクエスはブーツ型の黒鉄の機械武装こと【蒼く閃く蹴断】を召喚する。
『蒼き雷光の瞬く間に』
 ロケットエンジンのように加速したダルクエスは、蒼い雷撃を放つ鋭い蹴りをカワウソが料理を食べ尽くしたテーブルへとくらわせた。
 食器は吹っ飛び、脚をへし折られたテーブルは音を立てて崩れる。
 ダルクエスの動きはそれだけに留まらず、ブレイクダンスのように暴れ回った。
 煌びやかな衣装が、赤に、黒に翻るたび、テーブルが、調度品が、そして壁までもが破壊されてゆく。
 カルメンはその様子に見惚れそうになり……おっといけないと気を取り直すと、再び使い魔のカワウソたちを喚び出したのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】がLV3になった!
【通信障害】LV1が発生!

ルーシド・アスィーム
【踊り子親子】
着飾った愛娘ちゃんと僕とで、争乱に華を添えると致しましょう
あ、確かにお酒も美味しそう……こっちのワインもどうですか(ぐびぐび)
構造把握を兼ねて会場を練り歩き
すれ違う仲間達に手をひらひら、大惨事な方からはそっと目を逸らしつつ装いや演目も楽しみます
ふふ、負けてはいられません。アリアさんと僕の絆が合わされば怖いものなしです!

演目は一般人の方々を勇気付ける戦舞を
地を踏み鳴らし、装飾を揺らし、勇壮に、時に蠱惑的に舞います
余所見は許しません。生み出した焔の華を空へ放ちアリアさんと僕を彩り、偽りを焼き尽くします
貴女が歩いた道は、鍛えた力はまやかしなんて目じゃないくらい美しい


アリア・パーハーツ
【踊り子親子】
さあ余興のお時間!…あ、待って、先にお酒飲ませて(ワインぐびー)

皆楽しそう!(大惨事に拍手)
仲間が気付いてくれたら手を振ってご挨拶

お、ジズの声だ

んふふ、パパンとボク様なら何も怖くないのだぜ

ルーシドさんに合わせつつ、自由に、派手に、舞い踊る

愉快に、装飾を軽やかに鳴らすパパンと一緒に
一般人の方々に楽しんでもらえるように
笑顔を振りまいて安心できるように

おいで、ボク様のかわいい子たち
サメを解き放って焔の海を泳がせて、何もかもを滅茶苦茶にしてしまおう

パパンは食べちゃダメ!あの人たちもダメ!
敵ならいいよ
ガラスとかも怪我防止に食べておいてー

【能力値アップ】で準備も万端

さあ神様の味見をしようか


 生贄になりにきたとは思えないうっきうきの様子で、ルーシド・アスィーム(星轍・g01854)とアリア・パーハーツ(狂酔・g00278)は神殿へとやってきた。
 自分が着飾るのも楽しいけれど、一緒にいる相手が着飾ってくれているのを見るのも嬉しい。
「では、着飾った愛娘ちゃんと僕とで、争乱に華を添えると致しましょうか」
「うん! ……あ、待って、先にお酒飲ませて」
 アリアの手が給仕の持つトレイから、ワインの入ったカップを取り。
 ぐびーと飲み干す。
「おいしー!」
「あ、確かにお酒も美味しそう……」
 アリアの飲みっぷりに、ルーシドも別のワインへと手が伸びる。
 ぐびぐびぐびー。
「こっちのワインもいけますよ」
 良い酒だ。口唇ににじむ赤を、ルーシドは手の甲で押さえた。
 美酒で喉を潤したら、構造の把握を兼ねて会場を練り歩く。
 会場内にいる盛装した仲間と、すれ違うたび手をひらりと。
「ゼキさんの衣装、王様みたい! パパンもああいうのどう?」
「あの衣装だったら、アリアさんのほうが着こなせそうじゃありません? 真っ赤なマントを翻して歩いたらきっと映えますよ」
「えへへ、そうかな。王様ごっこ楽しそう! あ、見て見て、クーガ君の衣装、踊りのときに良さそう。パパンに着せてみたいなー」
 頭の中で着せ替えして楽しんでいるアリアに、ルーシドは逆に聞いてみる。
「そういうアリアさんは着てみたい衣装はないんですか?」
「んーと、ボク様はね……ナディアさんの!」
「え゛……?」
「あの羽根、強そうだよねー」
 にこにこにこ。
 楽しそうなアリアとナディアの背負い羽根を見比べて、ルーシドはあの羽根をかわすためのディフェンス・テクニックを磨いておこうと思うのだった。


「儀式は終いだ!」
 会場にはっきりとした声が響く。
「お、ジズの声だ」
 振り返ったルーシドの目に、ジズが喚びだしたウーパー戦士の幻体たちのポージングが映る。
 どうやら余興開始のようだ。
「んふふ、パパンとボク様なら何も怖くないのだぜ」
「ふふ、負けてはいられません。アリアさんと僕の絆が合わされば怖いものなしです!」 タン、とルーシドの足が床を踏み鳴らす。
 ふんだんにつけた装飾品がルーシドの動きで触れ合い、しゃらしゃらと耳に心地よい音をたてる。
 演目は一般人を勇気付ける戦舞。
 勇壮に、時に蠱惑的に。
 ルーシドの舞は人々に余所見を許さない。
 その動きに合わせつつも、アリアは自由に、派手に、舞い踊る。
 舞は重なり、あるいは対照的に。
 つき、離れ、異なる動きをするときさえも一体で。
 宴に招かれた一般人は、何が起きているのだろう、これが女神への捧げものと関係があるのだろうかと不安ながらも、2人の踊りから目が離せないでいる。その視線を捉えて、アリアは笑顔を振りまいた。
 そうこれは余興。
 愉快に、楽しく、残酷な儀式を砕こう。
 ルーシドの舞はナイルの恩恵を受けるエジプト都市のひとつ、カルガの在りし日の幻を呼び覚ます。誰かの亡骸の上に築かれた繁栄など、ただの偽物なのだと告げるように。
「貴女が歩いた道は、鍛えた力はまやかしなんて目じゃないくらい美しい」
 生み出した焔の華は空へと放たれ、踊る親子を照らし、偽りを焼き尽くす。
「おいで、ボク様のかわいい子たち」
 ルーシドの祝炎の中を力強く泳ぐのは、アリアの解き放った3匹のホホジロザメ。
「パパンは食べちゃダメ! あの人たちもダメ!」
 ルーシドと一般人を示したあと、アリアの指先は水の子と会場へ向けられる。
「敵ならいいよ。そこらじゅう滅茶苦茶にしちゃっていいよ。ガラスとかも怪我防止に食べておいてー」
 宴の料理は呪詛入りだから、代わりに水の子をかじっちゃえ。神様を騙るものの味はどんなだろう。
 エジプトの神殿をウーパー戦士が駆け、焔の華が開き、サメが泳ぐ。
 生贄の宴は尽きせぬカオスに取って代わられてゆくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!

ジズ・ユルドゥルム
ははっ。良い雰囲気の宴会場になったじゃあないか
では余興の第二部と行こうか
貴様らの主人が戻るまで場を持たせてみろ!

起動するのは「原始のならわし」!
楽しい楽しい殴り合いだ!

その辺の卓や椅子を手近な器物とし、敵を物理で殴る。
器物が砕ければ今度は拳だ。

敵の反撃は…へぇ、膨張するのか!
面白い宴会芸だが、膨れようが手足が大きかろうが、やることは同じ!
物理には物理で対抗しよう。
手近な大型家具を【怪力無双】でぶん回し、ぶん投げ、振り下ろされる敵の手足をぶち壊す。

使えそうなものはなんでも使うぞ。
食卓、高そうな壺、クソデカ金ピカ魚像に等身大クフ王像…
…今何か変なものも投げた気がするな??まぁいいか!


ディミトラ・ディミオス
食べ物を粗末に扱ってしまって、ごめんなさいね
でも、そうさせたのはそちらです
恙なく儀式を執り行うのはあなた達の仕事ですから、
うまくいかなかった責任も、あなた達が取るんです

床上の破片などを避ける為にも飛翔して近付いて
水で出来ていたって切れないことはないでしょう
ナイフに毒を滴らせ、傷口から体中に染み渡らせます
じりじりと焦がれる熱を生じる毒は、
その身が蒸発してしまうまで消えることはありません

いやだわ、断りもなく淑女に触れようだなんて
そんな不作法、女神様だってお許しになりませんよ
伸べられる泥の手を躱し、叩き落として
あたしを連れ去りたいのなら、粋な口説き文句のひとつでも
永遠の夢の中で考えておいてくださいな


 かがり火に照らされる庭園を抜け、女神ハトメヒトの神殿へ。
 そこで開かれるのは盛装の人々が集う華やかな宴。
 女神への捧げものとなることを寿ぎ、豪華な最期の晩餐を楽しむ。
 ……そんな宴の会場は、テーブルや椅子があらぬ位置に吹っ飛び、破壊された調度品が転がり、床には呪詛を含んだ料理が散らばり、という惨状を呈していた。
 その只中で、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)が喉を反らして笑う。
「ははっ。良い雰囲気の宴会場になったじゃあないか」
 無辜の人々をアヴァタール級を生み出すための犠牲にしようというのだ。綺麗に取り繕った宴よりも、この混沌が相応しい。
「食べ物を粗末に扱ってしまって、ごめんなさいね」
 ディミトラ・ディミオス(アマルトリ・g08941)は申し訳なさそうにぶちまけられた料理を眺め……そこから視線だけを水の子へとあげた。
「でも、そうさせたのはそちらです」
 料理を食べられない忌まわしいものにしてしまったのは、クロノヴェーダだ。
「恙なく儀式を執り行うのはあなた達の仕事ですから、うまくいかなかった責任も、あなた達が取るんです
 その身を以て、とディミトラは水の子たちに掌を向けた。
「では余興の第二部と行こうか。貴様らの主人が戻るまで場を持たせてみろ!」
 ジズが起動させたのは、パラドクス【原始のならわし】。
 その呼び名『ブツリデナグル』が示すように、小難しい作用があるパラドクスではない。ただ単に。
「楽しい楽しい殴り合いだ!」
 ジズは真っ二つになっているテーブルの脚をつかむと、ぶん回した。
 割れたテーブルを腹に受け、水の子が吹っ飛ぶ。殴ったほうのテーブルも天板が砕け、脚も折れてしまったので、ジズはそれを投げ捨てた。
「な、なんというもので殴るのです!」
 武器とも言えないものに殴られたことに水の子は衝撃を隠せない。
「なんだ? もしかして再利用するつもりだったのか」
 さっきまでは一応割れたテーブルであったのだが、今はただの廃物となった成れの果てに目をやり、もう手遅れだな、とジズは呟いた。
 水の子は周囲にいた仲間たちと融合しながら、巨大な人の形をした水の塊へと膨れ上がった。テーブルのお返しとばかりに太い水の腕を振り上げる。
「へぇ、膨張するのか! 面白い宴会芸だ」
 澄ました宴より余程面白い。だが膨れようが手足が大きかろうが、やることは同じ。
 目には目を。
 物理には物理を。
 ジズは手近にあったものをがしっと掴むと、圧するように迫る水の子の腕へとフルスイングした。
 水の子の腕が砕け、ジズが振り回したものも破壊される。
 そういえば何を掴んだのだろうと今更ながらに確かめれば、ひしゃげていて分かりにくいが、たぶんそれは……。
「クフ王像……?」
 いや気のせいだ。見間違いだ。そうに違いない。
 壊れた等身大の像を床に倒れた水の子の陰にこそっと置いて、ジズは今度は高そうな壺を手に取ると、別の水の子の脳天へと叩きつけた。

 絶賛増産中の廃物を避け、ディミトラは飛翔して水の子に近接した。
 ひっそりと手に握るナイフにはしたたる毒を。
 悲運なる姫君の名を冠したパラドクスで、ディミトラは水の子にナイフを突き立てた。
「水で出来ていたって切れないことはないでしょう」
 ナイフが刻んだ傷口から水の子の体内へと毒がしみわたる。
「じりじりと焦がれる熱を感じるでしょう。それはあなたが蒸発してしまうまで消えることはありません」
 それはこれまで水の子たちがしてきたことへの報い。
 ディミトラの攻撃を受けた水の子は、周囲の水の子とともに水のように溶け、床にぬかるみを作り出した。そこから無数の泥の手が、ディミトラを捕らえ、地面へと引きずりこもうと伸ばされる。
「いやだわ、断りもなく淑女に触れようだなんて。そんな不作法、女神様だってお許しになりませんよ」
 なんの手練手管もなしに、ただ力任せに引きずりこもうだなんてと、ディミトラは眉を顰める。
「あたしを連れ去りたいのなら、粋な口説き文句のひとつでも、永遠の夢の中で考えておいてくださいな」
 簡単に思い通りにはならないとばかりに、ディミトラは伸べられる泥の手を躱し、叩き落としていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV5になった!
【光学迷彩】LV1が発生!

有栖川宮・永遠
幼馴染で従者の悠(g02300)と参加

さあ、一般人の方は逃しました。さっきまでさりげなく給仕役として紛れていたようですが、その外見は誤魔化せません。その忌々しい技ごと、祓わせてもらいましょう。

【泥濘の地】で動きを鈍らせ、攻撃に巻き込まれる前に先手をとるべく、【高速詠唱】で素早く印を切り、【精神集中】にて確実に巻き込むようにしっかり狙って不動降魔印を発動。【全力魔法】で魔力を込め、確実に祓えるようにします。

悠、前を任せて申し訳ありません。ここは心強い方々が揃ってます。連携してこの集団を打ち倒しましょう。

敵の攻撃は巻き込まれても首に攻撃が行かないように【残像】で凌ぎますね。


近衛・悠
幼馴染で主人の永遠(g00976)と参加

さあ、宴は終わりだ。これからはお前達が死の宴の客だ。忌々しい水の化け物。当然この場にはいてはいけないからな。

永遠の術の時間を稼ぐべく、【残像】で致命傷を避けながら【毒使い】【呪詛】【貫通撃】【気絶攻撃】を込めた日蝕の闇で片っ端から【両断】していく。

もし敵の手に掴まれたら【怪力無双】で力まかせに引きちぎる。悪いな、永遠の目の前でくたばる訳には行かないんで。

ああ、永遠と俺は二人きりで戦ってる訳ではない。この場にいる戦友達と力合わせてこの群れを蹴散らすぞ!!


 生贄とされるはずだった人々は、神殿の扉から外の庭園へと逃れて行った。
「しばらくの間、神殿に近づかないようにしてくださいね」
 これからここは戦場となる。
 有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)が言葉を投げかけ、近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)はもう内部に残っている人がいないのを確認してから、神殿の扉を閉ざした。
「さあ、一般人の方は逃しました」
 永遠の瞳が水の子たちを見据える。
 現在、宴の会場にいるのは、ディアボロス、そしてトループス級の水の子だけ。
 もうすぐ、出かけているケン・レムが戻ってくるだろうから、それまでにトループス級を始末しておきたいところだ。
「宴は終わりだ」
 宣言した悠は、水の子を指す。
「忌々しい水の化け物。これからはお前達が死の宴の客だ」
「その忌々しい技ごと、祓わせてもらいましょう」
 永遠が神殿の床を泥濘へと変化させる。
 悠は永遠が術を完成させる時間を稼ごうと前に出た。
『凍りつけ……体も心も!!』
 悠の琥珀色の瞳が冷たく水の子に向けられる。水の子たちはこの場にいてはならない存在なのだ。
 パラドクス【日蝕の闇】。それは秘めた冷たい心のままに、水の子2体を身も心も凍り付かせる。
 水の子は悠をおし潰さんと、融合した手足を振り回した。
 それを悠は素早く身を沈めてかわす。かわしきれなかった水の子の手が背をかすめるのを見て、
「悠!」
 永遠が悠の名を呼ぶ。
「これくらいなんともない。悪いな、永遠の目の前でくたばる訳には行かないんで」
 悠は余裕を見せて笑った。
 その間に不動降魔印を結び終えた永遠からは、光り輝く神気が放たれる。
 着実に狙いを定めた光は、水の子を頭上から貫いた。
 調伏されてゆきながらも水の子は力を振り絞り、巨大な暗い水の塊へと姿を変えた。水が打ち寄せ、永遠を包み込む。
 だが永遠は首に攻撃がいかないように身を守りながら、水の範囲から抜け出した。
 その前に、永遠を守ろうとすぐさま悠が出る。
「悠、前を任せて申し訳ありません」
 すまなそうに言ったあと、永遠は悠に強く呼びかける。
「ここには心強い方々が揃ってます。連携してこの集団を打ち倒しましょう」
「ああ、永遠と俺は二人きりで戦ってる訳ではない。この場にいる戦友達と力合わせてこの群れを蹴散らすぞ!!」
 悠は永遠の言葉に答えるように、再び水の子めがけてパラドクスをみまうのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【平穏結界】LV1が発生!
【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV3になった!

ナディア・ベズヴィルド
【ヒラール】
出てくるのが遅ったわね
生贄の皆は既に安全な外に、まあ大変。どうしましょ
余興に熱が入りすぎてしまったみたい、ごめーーん…なんて言うわけないでしょう
誰かの犠牲の元の幸せなんてないわ
嗚呼、不愉快、不快…重たいっ!(背負い羽根をそっと下ろす)

今のは見なかったことに。コホン

ケン・レムが戻ってくるまでに片を付けよう
奴が戻ってきたときの驚いた顔はさぞや見物であろうな

【エアライド】で水の子らを翻弄し一か所に集めていく

偽神の僕、呪詛を散らす者
強大なる灼熱の焔をもって貴様らを消し去ってくれよう!

テクトラムさんと息の合った攻撃を

ねえねえ、ケン・レムを迎える時はやっぱり羽根つけておいた方がいいと思う?


テクトラム・ギベリオ
【ヒラール】
余興にも熱が入ってきたところで追加の参加者がようやく来たようだ
なるほど余興の第二部、真打までの前座か。面白くなってきたではないか

まばらに来られても埒が明かん。巨大なひと塊になるならそれを圧倒的な力で粉砕するのみ
【未来予測】で敵の動きを把握し、金ピカ槍をぶん回しながら敵の手足を去なす
扱い慣れた曲刀に持ち替え【悪鬼粉砕撃】、ナディアと阿吽の呼吸で水の子らへ攻撃だ

もちろんケン・レムの羽織はそのまま着ている
おい、なんだその顔は。貴様らの親玉(?)の顔だぞ。喜べ(敵反応おまかせ)

ナディアの背負羽根は【隔離眼】で隔離しておく
うむ。奴が用意させた衣装だ、むしろ付けてお出迎えが礼儀だろう…ふふふ。


アリア・パーハーツ
いやぁ躍ったし踊ったー…体も温まって準備運動完了!
普通の人達は避難出来たかな、残ってないよね

よし、じゃあ、暴れよう

あはは、でかいね、合体出来るんだ
でもそれだけじゃ怖くないのだぜ

『青い柘榴』のピンを抜いて、水の子の内側から爆発させる
目には目を歯には歯を、水には水を
膨張し襲い来るならば、それを上回る水量で押し流してやろう

【飛翔】で舞い上がり仲間の援護を兼ねて、柘榴をぽいぽい投げる
さあ洪水のお時間なのだぜ!
【水面歩行】もあるし足場はどうにかなるでしょ!

うわ、なんかでっかい羽根落ちてる!
(あ、ナディアさんのか)
(ねえこれ大事に持っててー、と避難した生贄の人に預けておこうっと)


「いやぁ躍ったし踊ったー」
 ふぅと満足そうに、アリア・パーハーツ(狂酔・g00278)は息をついた。
 身体もイイ感じに温まって、準備運動完了というところだ。
 一般人たちは……と見れば、ちょうど悠が神殿の扉を閉ざすところ。
 念のため、残っている人がいないかとアリアは会場をひとわたり眺めたが、今神殿の中に居るのはディアボロスと水の子だけだ。
「普通の人たちは避難できたみたい。良かったねー」
「余興に熱が入ってきたところに、追加の参加者もようやく来たようだ。ここからは余興の第二部。真打までの前座か」
 面白くなってきたと、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)はケン・レム印の羽織物を翻した。
「料理に時間をかけすぎたのかしら。出てくるのが遅かったわね。生贄の皆は既に安全な外に逃げてしまったわ。まあ大変」
 ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)はくすくすと笑った。その動きで背負い羽根がばさばさ揺れる。
「どうしましょ。余興に熱が入りすぎてしまったみたい、ごめーーん……なんて言うわけないでしょう」
 ナディアは笑みをすっと消した。
「生贄なんて許さない。誰かの犠牲の上に幸せなんてないわ。これまでどれだけの人を苦しめてきたの? 嗚呼、不愉快、不快……重たいっ!」
 水の子への話をそっちのけにして、ナディアはそっと背負い羽根を下ろした。
「でっかい羽根だからね」
 重いのも無理はないと、アリアはナディアが羽根を下ろすのを手伝った。
「これどうする? 避難した人に預けておく?」
「いや、こんなこともあろうかと」
 テクトラムがカッと目を向けると、背負い羽根は消えた。正確に言うと、テクトラムの隔離眼によって安全な空間に隔離された。
「ねえねえ、ケン・レムを迎える時はやっぱり羽根つけておいた方がいいと思う?」
「あははー。あったほうが派手で楽しそう!」
「うむ。奴が用意させた衣装だ、むしろ付けてお出迎えが礼儀だろう……ふふふ」
 3人できゃっきゃと話して……あれ、何か忘れていない?
 そうだ、水の子!
「えっと……今のは見なかったことに」
 ナディアは小さくコホンと咳払いして仕切り直した。
「ケン・レムが戻ってくるまでに片を付けよう。奴が戻ってきたときの驚いた顔はさぞや見物であろうな」
「ナディアさんのそういう切り替えの早さ好きなのだぜ。よし、じゃあ、暴れよう」
 言うや否や、アリアはフィンガースナップ。
 パチンという音と同時に、アリアの手の中に『青い柘榴』が現れた。
 アリアの目の前で水の子らは次々に融合して、光を吸い込みそうに暗い水の塊となってゆく。
 蠢き、膨張する水の塊をアリアは見上げた。
「あはは、でかいね、合体出来るんだ。でもそれだけじゃ怖くないのだぜ」
 水は崩れるようにアリアを頭から呑み込み、溶解しようとする。だがアリアは恐れる様子もなく、水の子に包まれながら『青い柘榴』のピンを抜く。
『爆ぜろ、満たせ、地の果てまで』
 それは手榴弾を模して作られた魔武器。
 ピンを抜けば閉じ込められていた水魔法が爆音を立てて溢れ出す。
 目には目を歯には歯を、水には水を。相手が膨張し襲い来るならば、こちらはそれを上回る水量で押し流す。
 アリアを呑み込もうとしていた水の子は、内側から生じた青き奔流に弾け、轟音をあげる水に流され跡形もなくなった。
「さあ洪水のお時間なのだぜ!」
 アリアが飛翔で舞い上がれば、ひらりと踊り子の衣装が翻る。
 空を舞うように、アリアは仲間の援護を兼ねて、青い柘榴をぽいぽいと投げた。
 その横を、ナディアがエアライドで跳ねてゆく。
 背負い羽根を下ろした身体は、いつも以上に軽く感じる。
『捧げたもう捧げたもう 血の盟約により我が声に応えよ 第22星宿 血は契り 痛みは力 【サール・ダベ】 我が苦しみを知らしめよ!』
 口にする詠唱は【屠殺者の守り星】。
 跳ねるナディアを、水の子が膨れ上がりながら追いかけ、追いつき。
 圧倒的な水量をもってナディアを包みこむ。けれど水の子が目的を達する前に、ナディアの周囲に灼熱が迸った。
「偽神の僕、呪詛を散らす者。強大なる灼熱の焔をもって貴様らを消し去ってくれよう!」
 呪いあれ、災いあれと放たれた焔は水の子を燃やし尽くした。
 燃やされるより先に押し潰さんと、水の子がナディア目指して押し寄せる。融合しながら水で巨大なヒト型を形作ってゆく水の子へと、そうはさせじとテクトラムは金ピカの模造槍をぶん回して襲い掛かった。
 テクトラムを迎えうとうと、水の子はひと抱えを超える太さとなった脚で回し蹴りを繰り出した。対するテクトラムは、模造槍から扱い慣れた曲刀に持ち替える。
「集まってくれるならちょうど良い。まばらに来られても埒が明かんからな」
 相手が巨大なひと塊になるならそれを圧倒的な力で粉砕するのみ。
 守護者が持つには少々禍々しい呪詛が刻まれた曲刀はテクトラムの膂力をのせて、水の塊へと突き出された。
 悪鬼も砕く強烈な一撃は、受けたところから水の子を粉砕してゆき、水の集合体は散り弾けた。
「さあ、次は誰が相手だ?」
 金ピカ槍でぐるりと周囲の水の子を指してゆくテクトラムの羽織には、ケン・レムの刺繍がでかでかと。
 水の子の表情は判り難いが、
(「なんだ? ちょっと呆れている……?」)
 伝わってくる微妙な雰囲気……。
「おい、なんだその顔は。貴様らの親玉の顔だぞ。喜べ」
 テクトラムは、ケン・レムが良く見えるように羽織を広げてみせた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【水源】がLV2になった!

カイス・ライル
生贄の避難が済んだなら、遠慮はいらないな
神は尊く、信仰は有意だが
ひとの命は侵されざるもの
守るべきものを違えてはならない

ひとは神の為に在るのではない
ひとの尊厳はひとのもの
お前達が思うほど、軽くも安くもないぞ
『Anwar』
ナダーが咲かせる花はどこにでも根付くが
水を得たなら、より眩く育つだろう
最後の一滴まで差し出してもらおう

仲間が欲しいのか、水の子ら
だが、俺が仕える者は、お前達の神ではない
俺が信じる者は、志を同じくする仲間と
不安なく背中を預け合える友
至尊に牙を剥く信徒など、神も望みはすまい
水ならば、恵みを与えるものになれたはず
災いと成るのなら、絶やし尽くすだけだ


ケペシュ・ナージャ
避難は完了しましたか?
なら、これで心置きなくやれる

俺は別に立派な志を持ってこの場にいる訳じゃありませんが
生贄だの捧げものだの
気に食わないんですよね、そういうの
人を巻き込まずにやって貰えますか

ねぇ、水というのは斬ったらどんな感触がするものなんですか?
俺に教えてくださいよ

「サンシャインブレイク」
太陽の熱光で作った剣で薙ぎ
斬り口から蒸発させる

図体がデカくなっても狙いは変わらない
【飛翔】で頭部に肉薄し
その首、貰い受ける
他の【飛翔】する仲間とも息を合わせて攻めます

俺は自分の信じたいものだけ信じます
親愛なる血の気の多い戦友たちと
背中を預け合える友を

あぁ、せめて安らかに
大好きな女神様の元へ行けるといいですね


 神殿の扉が閉ざされ、残るのはディアボロスと水の子のみ。
 宴の会場は戦場へと移り変わる。
「避難は完了しましたか? なら、これで……心置きなくやれる」
 ケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)の呟きの『やれる』に当てはめるとしたら、どの漢字となるのだろう。
「避難が済んだなら、遠慮はいらないな」
 これで戦いやすくなると、カイス・ライル(屍負い・g06804)は神殿内を見渡した。
 真っ先に目につくのは破壊の跡。その上に、宴どころではなくなったのを知った水の子が、料理を打ち捨てる。
 呪詛をたっぷり含んだ料理は、生贄に食べられることなく飛び散った。
「俺は別に立派な志を持ってこの場にいる訳じゃありませんが……」
 ケペシュは給仕の顔をかなぐり捨てた水の子に、冷ややかな視線をあてる。
 人の生命に貴賤はないとか、そんなきれいごとを口にする気はないけれど、
「生贄だの捧げものだの、気に食わないんですよね、そういうの。人を巻き込まずにやって貰えますか」
 胸にわだかまる不快感をこのままにはしておけない。
「……ねぇ、水というのは斬ったらどんな感触がするものなんですか? 俺に教えてくださいよ」
 水の子に尋ねるケペシュの手に、今は月に場所を譲っているはずの太陽の光が凝集する。
 熱光が形作った剣を手に、ケペシュは飛翔した。
 逃すまいと水の子は融合し、巨大な水の塊へと変化した。水の塊からは手足が生え、ケペシュを狙って殴りかかってくる。
 しかし巨大になったとて、ケペシュの狙いは変わらない。
 水の子の伸びに合わせて神殿の高い天井へと上昇する。
「おつかれー」
 空中ですれ違ったアリアが投げた青い柘榴が、水の子を爆撃する。音のほうへと顔を向けた水の腕をかいくぐり、ケペシュは水の子のむき出しになった首筋を、サンシャインブレイクの剣で斬り裂いた。
「その首、貰い受ける」
 水の子に触れた剣がじゅっと音を立て。切り離された首は水をまき散らしながら落下する。
「俺は自分の信じたいものだけ信じます」
 ケペシュが信を置くものは女神ハトメヒトではなく、親愛なる血の気の多い戦友たちと、背中を預け合える友。
 水の子の体が首を追って崩壊してゆく。そこに、
「あぁ、せめて安らかに。大好きな女神様の元へ行けるといいですね」
 ケペシュは手向けの言葉を贈った。

 崩れて水となった水の子の裡から、新たな融合体が立ち上がる。それは暗い暗い水の集合体。仲間を倒したケペシュを、今度は自分たちに取り込み変異させようとの暗い意志をこめて蠢き、瞬く間に膨張する。
 だが、カイスはそれを許しはしなかった。
『Anwar』
 カイスが言い終わるのと同時に、ジンが光の花を生み出した。
 目が眩みそうなまばゆい花が水の塊に根付き、絡み、喰らってゆく。
「ナダーが咲かせる花はどこにでも根付くが、水を得たなら、より眩く育つだろう。最後の一滴まで差し出してもらおうか」
 光の花に吸われながらも、水の子はカイスをすっぽりと包み込んだ。眠気をもよおす水音が、共に行こうと誘いかける。
「仲間が欲しいのか、水の子ら」
 そのまま眠りに身をゆだねれば、カイスは溶けて水の子となるだろう。
 だがカイスはその誘いに抵抗する。
「俺が仕える者は、お前達の神ではない。俺が信じる者は、志を同じくする仲間と、不安なく背中を預け合える友だ」
 神は尊く、信仰は有意だが、ひとの命は侵されざるもの。
 生贄を差し出せと命ずるような、守るべきものを違えた神に、カイスは自分を委ねることはできない。
「ひとは神の為に在るのではない。ひとの尊厳はひとのもの。お前達が思うほど、軽くも安くもないぞ」
 クロノヴェーダからみれば、ひとの命や尊厳など何程のものでもないのだろう。だから安易に踏みにじり、利用する。そんなものの仲間とはならない。
 水の子の質が水ならば、恵みを与えるものにもなれたはず。
 だが災いと成ってしまったのなら、絶やし尽くすだけだ
「至尊に牙を剥く信徒など、神も望みはすまい」
 カイスは花に吸われてしぼんだ水の塊を裂いて外に出た。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
【温熱適応】LV1が発生!

リドリー・バーディ
まだまだ見せ場はこれからだよね!
目論見潰えた水の子さん達、今どんな気持ち?
ねぇねぇ、僕に教えてよ!

生贄を捧げられなかった君達は女神様に叱られちゃうのかな?
役立たずの烙印を免れる為に何とかしなきゃって感じ?
計画通り進まなくておこなの?
それとも悔しくて堪らない?
僕ばっかり喋っちゃってごめんね
でも『饒舌多弁』は僕の持ち味だからさ
それに、ほら、君達だって僕と仲良くしたいんでしょ
だから取り込んで同じものになりたいんだよねぇ?

だけど叶えてあげられないよ
君達の望みはもう何も叶わない
逆らえない立場の人から搾取しようなんてひどいこと考えた報い
こんなもんじゃあ足りないくらいなんだけどね


ゼキ・レヴニ
ふはは、こいつはひでえ
宴ってよりもはや暴動だな!
こうなる理由が無かったとは言わせねえぜ、『神の僕』さんよ

ま、おれだって今日は一日王様やってるんで
忠実な僕だって隠し持ってんだぜ
マントをバサリと広げ『忠実な僕』…カタツムリ型爆弾を投下
こいつらはぬかるみも何のその、だ
奴らが合体した好機に投げ入れ纏めて爆破してやる
さっきの温泉より熱々だなァ
そのまま蒸発しちまえ

泥の手が伸びてきたら【飛翔】や【水面歩行】で回避・抵抗
ついでに上から爆弾を投下してやろう

ヒュウ、皆いい暴れっぷりだぜ
大半の奴がしらふだとは思えねえな!
冗談混じえつつ仲間と連携、敵を追い込む
宴もたけなわ、主役の登場ももうすぐか
ぶちのめすのが楽しみだ


一里塚・燐寧
うひゃっ、昼寝しすぎたぁっ……!
幸いエジプトっぽい服は元から用意してたねぇ?
ここはさも最初からいたかのように戦う、面の皮の厚さで勝負だよぉ
さぁさぁ、エジプト攻略チームのド派手な同窓会と行こーじゃん!

騒乱の中に≪テンペスト・レイザー≫の唸りと共に飛び込むよぉ
敵を背後や側面、あるいは頭上からジャンプで襲いながら『呪式:鬼炎蛮擾』で攻撃!
回転鋸刃の薙ぎ払いと同時に、呪詛の鬼火を撒き散らす!
水の子たちを時に両断し、時に炎の熱で蒸発させていくよぉ
あはは! 生け贄になるのはきみ達だったみたいだねぇ!

敵の数を減らすことで融合時の大きさを下げて対処しやすくしつつ
反撃は得物の分厚い刀身を盾代わりにガードするねぇ


 完膚なきまでに破壊された会場の惨状に、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)はたまらず笑いだした。
「ふはは、こいつはひでえ。宴ってよりもはや暴動だな!」
 クロノヴェーダにとっては笑いごとではないだろうが、破壊する側からしたら暴れるのは痛快だし、生贄にされそうだった人々は逃がせるし、クロノヴェーダの鼻はあかせるし、と楽しいことこの上ない。
「こうなる理由が無かったとは言わせねえぜ、『神の僕』さんよ」
 暴動を招いたのはそっちが生贄の宴など開いたからだと、ゼキは水の子につきつける。
「まだまだ見せ場はこれからだよ!」
 こんなもの序の口。ここからやっとクロノヴェーダ撃破ショーが始まるのだと、リドリー・バーディ(chitter-chatter・g08402)は挑発の目を水の子に向けた。
「目論見潰えた水の子さん達、今どんな気持ち? ねぇねぇ、僕に教えてよ!」
 本音のところを聞かせてと、リドリーは朗らかに水の子に話しかける。
「生贄全部逃げちゃったよ。儀式は大失敗ってことだよね。生贄を捧げられなかった君達は女神様に叱られちゃうのかな? あ、もしかして叱られるだけでは済まない感じ? わぁ大変だ」
 水の子は問いかけには答えない。だが、リドリーからぽんぽん飛び出す言葉から距離を取ろうというように、じりじりと後ずさりした。
 その距離はリドリーは迷いもなく詰める。
「だったら今って、役立たずの烙印を免れる為に何とかしなきゃって感じ? それってかなりピンチだね」
 そんなときって、どんな気持ちになるんだろう。
「計画通り進まなくておこなの? それとも悔しくて堪らない?」
 興味津々で質問しまくっていたリドリーは、そこでちょっととどまった。
「あっ、僕ばっかり喋っちゃってごめんね」
 リドリーのペースに押されっぱなしだった水の子も、リドリーがとどまったことにより、己のすべきことを思い出す。儀式を邪魔だてする者は処分せねばならない。
 水の子らはリドリーを呑み込むために、次々と融合し、ひとつの水の塊へと変じていった。水に包み、眠らせて静かにすれば、不審な侵入者も水の子となるだろう。
 ぐうっと水塊はリドリーの前で伸びあがる。それに向けてリドリーはにこにこ笑った。
「でも『饒舌多弁』は僕の持ち味だからさ。それに、ほら、君達だって僕と仲良くしたいんでしょ。だから取り込んで同じものになりたいんだよねぇ?」
 リドリーが言い終えるのと同時に、水の塊がすっぽりとリドリーを押し包んだ。
 それでもリドリーの言葉の弾丸は止まらない。それがパラドクス【饒舌多弁】だから。
「……だけど叶えてあげられないよ。君達の望みはもう何も叶わない」
 言葉は力となって、水の子を撃つ。
「逆らえない立場の人から搾取しようなんてひどいこと考えた報い。こんなもんじゃあ足りないくらいなんだけどね」
 まだ全然言い足りない。けれどリドリーの言葉に耐えきれなくなった水の子は、水の結束を手放して、ばちゃりと床に広がった。

「おお、やるねえ」
 リドリーの手際……口際? にゼキはにやりとした。
 これは負けてはいられない。
 水の子はゼキの目の前で溶けあうように地面にしみこみ、泥のぬかるみとなってゆく。
 そこから何本もの泥の手がゼキを狙って伸びてくる。それをゼキは空中高く飛んで回避した。あんなものに引きずり込まれたら、せっかくの衣装も台無しだ。
「ま、おれだって今日は一日王様やってるんで、忠実な僕だって隠し持ってんだぜ」
 真紅の王様マントをばさりと広げ、発する王命は、
『全弾発射!』
 マントから投下されたゼキの『忠実な僕』、こと鋼鉄製のカタツムリ型爆弾は、ぬかるみの中へバラバラと吸い込まれていった。
「こいつらならぬかるみも何のその、だぜ」
 ゼキの言葉にかぶさるように、カタツムリ型爆弾はぬかるみを吹き飛ばす勢いで爆炎をあげた。
「さっきの温泉より熱々だなァ。そのまま蒸発しちまえ」
 爆弾の熱では、熱湯風呂のような勝者は生まれない。ただただ焼き尽くされてゆくだけだ。
「うひゃっ、派手に始まってるっ……!」
 扉を開けて飛び込んできた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、眼前に広がる破壊の跡に目を見開いた。
 テーブルや椅子はまともな位置にあるものが無い。壷はバリバリ、像はゴロゴロ。優雅な宴はどこへやら。
 せっかく着てきたエジプト風の盛装だから、それっぽく宴に参加してみたかった気もするが、本番の戦闘に間に合ったのだからよしとしよう。
 その分水の子には、己を屠る者の姿をよくよく目に焼き付けてほしいものだ。
「さぁさぁ、エジプト攻略チームのド派手な同窓会と行こーじゃん!」
 燐寧はチェーンソー大剣『テンペスト・レイザー』を振りかざした。回転する刃が凶悪な唸りをあげる。
 そのまま燐寧は騒乱の中に飛び込んでいった。
『きみ達の命のロウソクに、あたしの火を点けてあげるねぇ』
 命のロウソクに怨念と呪詛の鬼火を灯そう。
 ロウソクは明々と燃え上がるだろう。水の子たちの生命力を燃料に、燃えて、燃えて、燃え尽きるまで。
 リドリーのお喋りから逃れようとしている水の子を頭上から、ゼキを見上げている水の子の首筋を、仲間と融合しようと走り寄りつつあるその背中を。
 小柄な身体で楽々と、燐寧はテンペスト・レイザーの回転鋸刃で薙ぎ払い、紫色の鬼火をまき散らす。
「あはは! 生け贄になるのはきみ達だったみたいだねぇ!」
 立ち塞がろうとする水の子は、腰のところから真っ二つ。
 倒した水の子たちは集まり一体となり、燐寧を押しつぶさんと巨大な水の腕を振り抜いた。
「あれぇ、案外細いねえ。集まり切れてないんじゃない?」
 打ち付けられた水の拳の勢いを、燐寧はテンペスト・レイザーの分厚い刀身を掲げてガード。脚を踏ん張って衝撃に耐える。
 あちらこちらで繰り広げられる戦いに、ゼキはヒュウと口笛ひとつ。
「皆、いい暴れっぷりだぜ。大半の奴がしらふだとは思えねえな!」
 酔っ払いだとてここまで破壊の限りを尽くしはしないだろうにと軽口を叩きながら、ゼキは仲間の動きにあわせて、水の子らを追い込んでいった。
 宴もたけなわ。
 主役の登場ももうすぐか。
 ケン・レムをぶちのめすのを楽しみに、ゼキはカタツムリ型爆弾をこれでもかとばかりにばらまくのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】がLV3になった!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【グロリアス】がLV5(最大)になった!

ヴィバルス・リルアバード
徒步で来た(宴を壊しに)

上半身半裸ながら「これが俺の正装である」と言う体で
飲み物を片手に待機。料理が運ばれて来たのを確認次第『英雄の拳』で殴る
「ヒーロータイムだ……!」

何故殴られたか分かるか?なァ。何故か分かるか
人の親だ。人の子だ。家族が喪われ喜ぶ者が何処に居る
神が供物を求めるならば、是を討つが王の役目であろうよ

水の子ら、の武器は融合による質量と聞く
なるほど、でかいはつよい。ああ世の真理だな、認めよう
だが如何な巨体。如何な質量であろうと退かずカウンターを合わせる。
もう一つ世の真理を教えてやる。民を守る為戦う時、英雄は必ず勝利する。
何故か分かるか?

「貴様の前に立つ、俺こそがその英雄だからだ!!」


 ヴィバルス・リルアバード(不死身の英雄・g05064)は拳を握りこんで、ガッツポーズを取ってみた。
 そこに文字を書き加えるなら、『徒步で来た』だろうか。
 上半身につけているのは装飾品のみ。あとは腰にシェンティをつけただけの恰好だが、これが自分にとっての正装であるという体で、堂々と。
 配られた飲み物を時折あおりながら待機していたヴィバルスは、料理を運んできた水の子を見て目を輝かせた。
「ヒーロータイムだ……!」
 生贄を要求する偽りの神をぶちのめし、民を救う。それはまさに英雄たる自分の役目。
 ヴィバルスは嬉々として【英雄の拳】で水の子に殴りかかった。
「何故殴られたか分かるか? なァ。何故か分かるか」
 問いながら殴る。
「人の親だ。人の子だ。家族が喪われ喜ぶ者が何処に居る」
 言いながら殴る。
「神が供物を求めるならば、是を討つが王の役目であろうよ」
 とにかく殴る。
 殴られた水の子は腕を広げ、周囲にいる同志たちと融合し、ヴィバルスを圧する質量の水塊へと膨れ上がった。
 巨大化した水の子は、ぐっと踏み込むと、水の脚でヴィバルスめがけて回し蹴りを繰り出した。
 水でできた柱が襲い来るようなその蹴りにも、ヴィバルスは退かずカウンターを合わせ。
 受けた……だがその衝撃に、ヴィバルスの身体は弾き飛ばされる。
 ダン、と音を立てて着地したヴィバルスは、不敵に笑った。
「なるほど、でかいはつよい。ああ世の真理だな、認めよう」
 大きさは強さに直結する要素だからなと、ヴィバルスは水の子を見上げ、だが、と続けた。
「もう一つ世の真理を教えてやる。民を守る為戦う時、英雄は必ず勝利する。何故か分かるか?」
 尋ねる口調ではあるが、それは質問ではない。
 再び水の子へと殴りかかりながら、ヴィバルスはその答えを高らかに口にする。
「貴様の前に立つ、俺こそがその英雄だからだ!!」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】がLV6になった!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!

ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と
ふぅ〜、もう女性装う必要は無いよね
動きはいつも通りに戻しつつも
旦那様、はい武器
とスカートを摘むと中から自分の拳銃や長銃を取出し渡そう
勿論、潜入前に仕込んでおいたのですとも〜
まだ変装感覚が抜けきらない

ん?ドキドキ?
必要事項と割り切ってたけど
エトヴァがやってたら…なるほど納得狐
気持ち慎ましくしよう

気を取り直し
スカートの中は秘密がいっぱい
覗きは厳禁だよ!
エトヴァと息を合せステップを踏みパラドクスで攻撃
軽快な舞踏と共に銃撃を
お互いの背後敵を撃ち合う

反撃の引き摺り込みは
お触り厳禁!
舞踏でスルリと躱す
エトヴァが水に吞まれそうなら引上げを

エジプト服気に入った?
今度は僕が見立てよう~


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と
連携アドリブ歓迎
エジプト攻略を共にした仲間たちが頼もしい

はい、奥様。いつものやつな
スカートの中から出てきた銃を二挺受け取り
なぜかさりげなく目を逸らしたとか

や、何かドキドキするな
衣裳に黄金の装飾翻して立ち回り
ラズと息を合わせて、彼を狙う敵は狙い定めて撃ち抜く

俺もなんかスースーするんだけど
砂漠の夜に、戦場の熱気
エジプト衣裳は着心地いいな
ああ、翼の動きがいいんだ

今宵は舞踏の如く立ち回り
飛翔し低空を舞って立ち回り、無重力の銃撃
泥濘の地で縛り、狙い合わせて撃破していく

嵌めた指輪から魔力障壁を展開し防御
自前の装備も忍ばせていたりする
未来予測し、飛翔に緩急つけ回避を

うん……気に入った


 参加者たちは外へと逃れた。
「ふぅ〜、もう女性装う必要は無いよね」
 やれやれという様子でラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、それまで心がけていた女性らしい仕草をやめた。水の子相手に何も取り繕う必要はない。
 これで戦いやすくなったと思いつつ、ラズロルはスカートの中から潜入前に仕込んでおいた武器を取り出す。自分の分だけではなく、
「奥様。いつものやつな」
「旦那様、はい武器ですわぁ」
 求めに応じて、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)から預かっていた銃二挺もスカートを摘み上げて取り出した。まだ変装していたときの感覚が抜けなくて、返事が若奥様風になってしまうのはご愛敬。
 エトヴァは銃を受け取ったが、さらけ出されたラズロルの脚からはさりげなく目を逸らした。
「や、何かドキドキするな」
「ドキドキ?」
 なんで? とラズロルは改めて自分がめくりあげているスカートに目をやった。
 スカートの中に固定しておいた武器を出すのに必要だから、なんとも思っていなかったけれど、もしこれが自分でなくエトヴァがやっていた……らと想像し、ラズロルはぱっとスカートから手を放した。
「……なるほど。気持ち慎ましくしよう」
「そうしてくれると助かる」
 2人は目を合わせて笑みをかわすと、水の子へと向かった。

 夜空色の腰布に、金の縁取りがされたマント。
 婚礼衣装を翻し、エトヴァが立ちまわる。
「なんかスースーするんだけど……」
 普段の服装と比べて、布が覆う面積が少ないためか、肌の感覚がいつもと違う。
 砂漠の夜に戦場の熱気。
 会場で戦う、エジプト攻略を共にした仲間たちの頼もしさ。
 そういうものが外気に触れている肌からも伝わるような、そんなエジプト衣裳をエトヴァは着心地良いと感じた。
「エトヴァはエジプト服気に入った?」
 聞いてくるラズロルに、エトヴァはうんと頷いた。
「気に入った」
「なら、今度は僕が見立てよう~」
 どんな衣装がいいかなと、うきうき考えながらラズロルは水の子と対峙する。
「スカートの中は秘密がいっぱい。覗きは厳禁だよ!」
 茶目っ気たっぷりに言い放つラズロルが踊るのは、パラドクス【ベスフィルカ】。
 軽快なステップ、キレのある回転。
 歌い、踊り、飛び跳ねて。
 そんなラズロルに合わせて、低空飛行のエトヴァが舞うように身を返した。身に着けたエジプトの衣裳はエトヴァの翼の動きを妨げず、寄り添う。
 2人の息を合わせた動きに目を奪われれば、その先には。
 ダンスの動きに紛らせたラズロルの銃撃が、エトヴァの背後にいた水の子へと次々に吸い込まれる。
『――闇夜に沈め』
 同時に、ラズロルの背後にいた水の子を、狙い定めたエトヴァの二丁拳銃が撃ち抜いた。漆黒の塗料を籠めた銃弾は、周囲、そして水の子の存在までもを闇に塗りこめてゆく。
 銃弾を受けた水の子は倒れ、他の個体と混じり合っていった。
 神殿の床に展開された泥濘の地、その上に水の子のぬかるみが重なってできた泥の海から、無数の手が突き出し、ラズロルへと迫った。わらわらとこちらに伸ばされる手の動きの気持ち悪さに、ラズロルは尻尾の毛が逆立ちそうになる。
「うっわー、花嫁さんに手を出すなんてサイテー!」
 お触り厳禁! とばかりにラズロルは舞踏のステップで泥の手を躱した。
 エトヴァへは暗い水の塊が打ち寄せる。
 それをエトヴァは掲げた指に嵌められた『Dornenengel』が展開した障壁で防御した。水は左右に分かれ、通り過ぎてまた合わさりエトヴァを包み込んだ。
 さあ、この水に包まれまどろんで同じものになろう、と水音が誘いかけてくる。
 当然そんな誘いには乗れない。
 逃れようと水をかいたエトヴァの手は……温かい手に掴まれた。引かれて水から抜け出せば、その正面には。
「花婿さんを水なんかに取られる訳にはいかないよねー」
 エトヴァの手を引き寄せたラズロルの、にへらとした笑顔があった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【士気高揚】がLV7になった!
【泥濘の地】がLV3になった!

クーガ・ゾハル
じゅんび、ヨシ
やぶれないようヒラヒラは脇によけて

みんな、いやがってたぞ、イケニエ
だれだって生きかたも、終わりかたも
かってに決められたくなんか、ないんだって

すごくでかくなったって、フシギと負ける気がしない
だって今日は、おまえよりずっと
暴れんぼうの仲間がたくさんいるからな

水をよくわたる『龍葬』のバチバチ
【飛翔】つかって
なんだか色々とんでくでかい物の下をくぐりながら
ほかのやつとちがう方向、高さでねらう
仲間をねらう手首を、足首を
タイミングあわせて<貫通撃>のせてつらぬく
足ふらふらさせれば、きっとみんなせめやすい
ヒザついて、ハンセーの時間だ

おまえたちのオヤダマも引きずりおろしてやる
カクメイ、ってやつだな


クィト・メリトモナカアイス
んよーし、だいぶ暴れた。
そしてこの恰好にも慣れてきた……気がする。

とか言ってたら色々来てる。
んむ、アレらを倒してたらきっと親玉も出てくる。
とりあえず全員殴り倒そう。

「落涙告げる鋭き星辰」を使用。モナカと我のこんびねーしょん。
【飛翔】でふわりと宙に浮いて、伸びてくる手から距離を取り、泥の手をモナカ突撃型の突進と黄金猫拳打棒で叩き潰す。叩き潰しながら水に溶けた水の子らを探して、見つけたら急降下からの黄金猫拳打棒の肉球叩きつけ&モナカ突撃型の急降下突進で粉砕。

我的に。生贄として生き、身を捧げるのも一つの生き方。
けれど、生贄に「なる」のと「する」のは別のお話。
汝ら全員叩きのめす。


 宴に招待された人々も飲み物を配っていた一般人も、突然始まった騒動に驚き、神殿から逃げ出していった。
 これで一般人を巻き込まないように注意する必要もなくなった。
 水の子へ向かおうとしたクーガ・ゾハル(墓守・g05079)は、その動きに靡く自分の衣装に気付くとちょっと立ち止まった。
 エンジュが着つけてくれた薄物は繊細で、このまま戦えば引っかけて破いてしまいそうだ。クーガはキレイなヒラヒラを外すと、脇に避けた。
「じゅんび、ヨシ」
 自分の恰好を指差確認すると、クーガは水の子へと向かった。
 クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は生贄の宴など到底続けられない状態になった会場を、ぐるりと眺め渡した。
「んよーし、だいぶ暴れた」
 暴れているうちに、この衣装にもだいぶ慣れてきた……気がする。
 たまに、いつものように動こうとして引っかかることもあるけれど、それもこうすれば、とクィトは飛翔で宙に舞い上がった。これで足が開かなくても問題ない。
 飛翔する下では、水の子たちが料理を放り出し、右往左往している。
 まだ戻っていないのか、ケン・レムの姿はなさそうだ。
「んむ、アレらを倒してたらきっと親玉も出てくる」
 親玉登場までの時間を有意義に過ごすために、とりあえず水の子は全員殴り倒そうと、クィトは手近にいる敵に狙いを定めた。
 浮遊球形ガジェット『モナカ』突撃型を水の子へと突進させれば、気配に気づいた水の子は同志たちとともに水のように溶け、ぬかるみを作った。
 青暗いぬかるみからは無数の手が、クィトを引きずり込もうと伸びてくる。
 その手をクィトはモナカ突撃型の突進と、手にした『黄金猫拳打棒』で潰してゆく。
 パラドクス【落涙告げる鋭き星辰】は、本来は息の合う相手と共に放つ連携技を、ガジェットを使用した連携攻撃として繰り出すものだ。
 ガジェットの操作と攻撃を行うこの技は、集中力を要するが上に疲れるけれど。
「頑張る」
 反撃をいなし、クィトは水のように溶けた水の子へと急降下。黄金猫拳打棒の肉球で、水の子が元の姿に戻るいとまを与えず、叩き潰した。

「なんか色々とんでる……」
 青い柘榴やカタツムリ型爆弾から離れ、ブンと振り回される王様らしき像を避け、浮遊する猫耳付き球形のガジェットの下をくぐり。
 他の皆と違う方向、違う高さになるよう位置を調整すると、クーガは右眼の機関で発生させた雷撃を、身体を通し武器へと注ぎ込んだ。
「『龍葬』のバチバチ、水をよくわたる」
 仲間を狙って水の子が伸ばした手を、踏み出した脚を、
『どけ』
 クーガは雷をまとったバールのようなもので薙ぎ払っていった。
 脚を失い膝をついた水の子の姿は、まるで反省のポーズのようだけれど。
「みんなのせーざには、かなわない。……おれはしびれるけど」
 雷と脚のしびれとどっちがビリビリだろう
 ふとそう考えたクーガの前で、水の子たちが融合し、ぐんぐんと大きさを増してゆく。
「すごくでかくなったな」
 自分の何倍もの大きさになった水の子を見ても、クーガは負ける気がしない。
 だって今日は、水の子よりずっと暴れんぼうの仲間がたくさんいるから。
「みんな、いやがってたぞ、イケニエ。だれだって生きかたも、終わりかたも、かってに決められたくなんか、ないんだって」
 一方的に選ばれて。捧げられて。
 ご馳走の出る宴を、喜んでいる人は誰もいなかったと言うクーガに、クィトがうむと頷く。
「我的に。生贄として生き、身を捧げるのもひとつの生き方。けれど、生贄に『なる』のと『する』のは別のお話」
 己の信じる神のため、自ら望んで身を捧げるならば、クィトはその選択を間違っているとは言わない。だが、無理やりに生贄にするというのなら。
「汝ら全員叩きのめす」
 有言実行。クィトの黄金猫拳打棒が水の子に迷いなく振り下ろされる。
「おまえたちやっつけて、オヤダマも引きずりおろしてやる。カクメイ、ってやつだな」
 逆らえない人々に代わって、運命を変革してやる。
 打ち付けるように落ちてくる水の子の巨大な腕へと、クーガはバールのようなものを突きあげた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【避難勧告】がLV4になった!
【水面歩行】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV4になった!

マティアス・シュトローマー
【チーム世直し】

避難誘導は頼もしい仲間達が済ませてくれたみたいだね
さっそく女神様に会いに行きたいところだけど、まずは物騒な給仕係から導いていこうか
頼りにしてるよ、修道女様!

パラドクスを発動。神殿内の障害物の間を縫うように【トラップ生成】で蜘蛛の巣状のトラップを張り巡らせ、敵への牽制を
それからとっておきのサプライズ!
さらに死角から捕獲ネット状にした本命のトラップを放ち、ダメージを与えつつその動きを封じる
一瞬でも隙を作り出せれば十分。罠使いとしてラトの援護に徹しよう

泥の手は【飛翔】に【エアライド】を織り交ぜたアクロバットな動きで躱し、間に合わないものは銃撃で対処

神のご加護があらんことを
…なんてね!


ラト・ラ
【チーム世直し】

ええ、これで巻き込みの心配はありません
ここからは懺悔の時間
…罪を悔い改める見込みはないけれど

先手を打つマティアスの動きに合わせ
障害物を利用し死角へ移動
敵がトラップにかかったタイミングで
パラドクス【浄化】を発動
炎を操り水の子らの融合を阻止しながら攻撃
繋ぎ目を狙って焼き切るように意識して
蒸発して天に昇れば
神も受け入れてくださるかもしれませんよ

迫り来る水の塊は【泥濘の地】で堰き止め、
泥の手は翼を翻し【飛翔】で対処を

自身を真似たマティアスの口振りには
瞬きをひとつ
少ししてから気恥ずかしげにはにかみ
……加護はあなたにね
いつも通り大活躍の、少年の肩へと手を添えた


 一般人の避難が終了し、神殿正面の扉が閉ざされる。
「避難誘導は頼もしい仲間達が済ませてくれたみたいだね」
 マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)が視線で扉を示すと、ラト・ラ(*☽・g00020)も安堵の表情になった。
「ええ、これで巻き込みの心配はありません」
 ディアボロスとクロノヴェーダが戦う場は、一般人にとってはあまりにも危険だ。生贄から逃れたのに戦いに巻き込まれ……なんてことになりかねないから、避難してくれたのは有難い。
「ここからは懺悔の時間ですね」
 宴を破壊された驚きから立ち直り、戦闘態勢に入りつつある水の子にラトは目をやった。
 告解に来る人々とは違い、一般人を弑することをなんとも思わないクロノヴェーダが悔い改める見込みはないだろう。けれど、これまでしてきた悪行が罪なのだと、その身に知らしめなければ。
「まずは物騒な給仕係から導いていこうか」
 言いながらマティアスは、周囲に蜘蛛の巣状のトラップを張り巡らせていった。
「頼りにしてるよ、修道女様!」
 いたずらっぽく声をかけると、マティアスは向かい来る水の子に、ラトに先駆けて仕掛けた。
 トラップ地帯を難なく無効化する水の子に、
『動かない方がいいよ。その手足が大事なら』
 マティアスが死角から放ったのは、パラドクス【シュピネファーデン】。
 見た目は他の蜘蛛の巣トラップと変わりないけれど、パラドクスで編まれたそれは水の子の頭上で広がり。
「とっておきのサプライズ、楽しんでよね!」
 蜘蛛の巣は水の子をすっぽりと捕らえた。そればかりでなく絡みつき、水の子に焼けつくような痛みを与えながらぎりぎりと締め上げてゆく。
 けれどそれさえも、もっと大きなサプライズへとつなげるための牽制だ。
 マティアスの動きの裏で、ラトは障害物の裏へと移動し、パラドクス【浄化】を発動させていた。
 どれだけ言葉を尽くしても、クロノヴェーダは己のしていることを罪と認識しないだろう。何を伝えてもむなしいばかりの相手だから、ラトは言葉をかけることはしない。その代わりに。
『穢れを燃やせ』
 身体の奥で熱く燃やした燻る感情を、水の子へと向けた。
 それは一瞬のうちに燃え上がり、水の子を浄化の炎に包む。
「蒸発して天に昇れば、神も受け入れてくださるかもしれませんよ」
 そのためには、存在を一片残らず燃やさなければならないだろうが。
 水の子は半ば蒸散しながらも、周囲の同志たちへと手を伸ばした。溶け、融合し、形を変えてゆく。
 足下にどろりと、水の子だったものがぬかるむ。
 そこから無数に生えてきた手が、マティアスへと伸ばされた。泥の手を避けて、マティアスは床を蹴った。その動きを追って、手はマティアスを捕えようとなおも伸びる。
 空中で跳ね、手をかわしながらマティアスは呼びかけた。
「ラト、気を付けて!」
 融合を阻止しようと炎を操るラトの前で、水が膨れ上がってゆく。
 確実に人型となり切れない水の子の体は、波打つように、それでも手足のようなものを形成した。
 巨大な質量が崩れるように落ちかかってくるのを、ラトは飛翔でかいくぐる。
 ラトを捉えきれずに床を殴った水の拳は、そのまま形を失って辺りに広がった。
「さすがラト!」
 マティアスはすいっと宙を飛んで、水の子に潰されずに避けることのできたラトの横に行き、
「神のご加護があらんことを……」
 ラトの口調を真似て言ったあと、なんてね、と付け加えた。
 そんなマティアスにラトは瞬きをひとつ。
 少ししてからやっと、気恥ずかしげにはにかむと。
「……加護はあなたにね」
 いつも通り大活躍の少年の肩へと、ラトは優しく手を添えた
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】がLV3になった!
【隔離眼】がLV2になった!

不知火・紘希
わ、すっかり街を楽しみすぎちゃった……お兄ちゃんと別れていろんな人とお話してたら宴もクライマックスになってるね。

【プラチナチケット】とエジプト知識の工夫で状況に紛れて仲間の援護をするよ。
エジプトで散々にこういう儀式を見てきたんだ。誰かが悲しむのはもうたくさん。君たちにはちゃんとした幸せの光景を教えてあげるよ!

迫る水の塊は【飛翔】で出来るだけかわして、つかまりそうになったらMutで防いでダッシュで移動するよ

その間に素早くリアライズグリーンを発動、描き出した植物で水に対抗しながら緑の壁をつくりつつ、仲間が攻撃する隙ができるように動いていくよ。

悪いことする水なんて幸せの緑で押し返しちゃうんだからね!


如月・友仁
あーあ、せっかくの宴が滅茶苦茶だ
頑張って準備したクロノヴェーダの皆の顔も、心なしか悲しそうに見えるね

水の子ら……命じられて料理を運んでいた子たちだね
君たちの本心は解っているとも
本当は下働きじゃなくて、参加者の皆みたいにおめかしして宴を楽しみたいと——そう思っていたんだろう?
その願い、僕が叶えてあげよう

パラドクス発動
ジンに頼んで、彼らの為の盛装に姿を変えてもらおう
着る者の全身にむりやり巻き付いて攻撃する、とっておきのドレスに
そんなに焦らなくても、体の大きな子用もちゃんと用意してあるよ
相手の攻撃は【エアライド】で跳んで回避しつつ、大きな布に形を変えて再度攻撃しようか

ガラスの靴のお代は要らないよ


「わ、すっかり街を楽しみすぎちゃった……」
 不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は、小走りに夜の街を神殿へと急いだ。
 神殿に続く庭園入り口には人が集まっていた。
 庭園側にいる人々は、外に出してくれと請うている。
 一方門番は、通して良いものか悩んでいる様子だ。不審者を中に入れるなとは言われているが、出て行くことに関しては指示を受けていない。さりとて、宴の参加者をそのまま外に出して良いとも思えない。
「すみませんが、状況が分かるまでは中にいてもらえませんか」
「でも……」
「危険があるようなら通しますから」
 押し問答をしている隙に、紘希はするりと中へと忍び込んだ。
「お邪魔しま……うわぁ……」
 神殿の扉を開けた先に広がる光景に、紘希は目を瞠る。どうやら宴はクライマックスに向かって、急速に進んでいるらしい。
 驚いている紘希に、如月・友仁(ユアフレンド・g05963)が笑いを含んだ声をかけてくる。
「あーあ、せっかくの宴が滅茶苦茶だね」
「うん。予想以上だったから、ちょっとびっくりしちゃった」
 声をかけられたことによって気を取り直し、紘希は中に入って扉を元通りに閉めた。
「頑張って準備したクロノヴェーダの皆の顔も、心なしか悲しそうに見えるね」
 友仁は慌てふためく水の子たちを指した。
「そうかなぁ?」
 悲しそうには見えないけれど、と紘希が思ううちに、友仁は水の子に優しく話しかけた。
「水の子ら……命じられて料理を運んでいた子たちだね」
 もう水の子の手には料理はなく、侵入者を倒さんとするばかりだったけれど。
「君たちの本心は解っているとも。本当は下働きじゃなくて、参加者の皆みたいにおめかしして宴を楽しみたいと——―そう思っていたんだろう?」
「意味不明なことを……」
 何を言い出したのだろうと水の子が訝る。
「隠さなくていいよ。友達じゃないか。その願い、僕が叶えてあげよう」
 ねえ、と友仁は傍らのジンに頼んだ。
「僕の友達にも盛装させてやってくれよ。せっかくの宴なんだから」
 友仁の頼みを受けて、ジンはくるりと水の子の全身に巻きついた。
 それは対象の願い……だと思われるものを、友仁の主観によって叶えるパラドクス【君のための小さな幸運】。
 きっと君は綺麗なドレスを着たいと願っているんだろう?
 ならばそれを、物語の主人公であるかのように叶えよう。
 ジンで出来たドレスは、会場の誰よりも素敵な特別製。着れば全身が締め上げられ、形を保つことができなくなる。
 潰れ零れながら、水の子たちは同志たちと融合し、巨大なヒト型へと変化すると、友仁めがけて水の集合体の手足を振り回した。
「おっと……」
 それを危ういところで友仁は、空中で跳ねて回避する。
「そんなに焦らなくても、体の大きな子用もちゃんと用意してあるよ」
 ドレスを着るには大きすぎる体のために、友仁はジンを大きな布のように広げる。これならドレスのサイスを気にしなくても大丈夫。
「ガラスの靴のお代は要らないよ」
 友達へのサービスだから、と友仁は水の子を着飾ってやるのだった。

 水の子が集まってできた暗い水の塊が、紘希を包み込もうとする。水に包まれまどろめば、いつしか紘希も水の子へと変じるだろう。
 けれど紘希は淡い虹色の光のカーテンを引いて水を留めると、その隙に全速力で飛翔して追撃してくる水を振り切った。
「誰かを悲しませる儀式なんて、もうたくさんだよ」
 無辜の人を犠牲にする儀式を、紘希は獣神王朝エジプトでさんざん見てきた。
 もうこれ以上、そんなものは見たくない。ましてや、自分がそんな儀式を手伝うような存在になど変えられる訳にはいかない。
「僕が君たちにちゃんとした幸せの光景を教えてあげるよ!」
 紘希の手が動くと、空中に緑の植物が描き出される。
 繁った枝葉、開く花。蔦は寄り合わさってウォールグリーンを形成し、水の子たちを押しとどめた。
 クレヨンの魔法が切れれば絵となって、紘希が移動すれば消えてしまう緑だけれど、それまでの間、仲間の助けとなれるように。
「悪いことする水なんて、幸せの緑で押し返しちゃうんだからね!」
 緑の葉をいっぱいつけた枝が、葉擦れの音とともに水の子を打ち倒した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【植物活性】がLV2になった!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV7になった!
【アヴォイド】がLV3になった!

カルメン・リコリスラディアタ
【彼岸花】
旦那のダルクエスと一緒、呼称:ダルク
アドリブOK


あははっ夫婦で躍るように超暴れてやったぜ
ほらダルク、髪が乱れてるぞ衣装に砂が…これでよし
軽く身だしなみを整えて一般の人達の避難が済んでるか確認してから宴をより派手にしちゃおっかにゃー?

ブレイクダンスみたいに華麗な蹴り技を披露したダルクに惚れ直したしよりもっと魅了されてメロメロになったぜ!

ぬかるみ対策に【エアライド】【飛翔】を使い
どこから泥の手が現れるか【未来予測】である程度推測しながら反撃で大怪我しないよう気を付けつつも
『大紅蓮の氷花』でぬかるみや宴会場ごと敵を凍てつかせてやるぜ

ま、水の子どもには氷のオブジェ役ですら役不足だけどな!


ダルクエス・ネクスト
【彼岸花】
妻のカルメンと一緒 呼称:カルメン
アドリブ歓迎

つい乱してしまったね。ありがとう、カルメン…
衣装直しを受けていると、水の子らの不粋な介入が…
『蒼く閃く蹴断』を起動、臨戦態勢に

おっとそうだ。カルメン、惚れ直してくれたかい?
派手に踊り壊したけど、妻を魅了できたか気になって

わざわざ纏まってくれるのか
獰猛に狂う蒼い雷を纏った蹴りを炸裂、蒸発させちゃおうか
数を減らせば拘束も抵抗しやすいはず…【未来予測】と【神速反応】で予知して行動
泥濘む地面は【水面歩行】で対応
引き摺り込むなら【飛翔】と【エアライド】で直撃を避け、『蒼く閃く蹴断』の雷撃で反撃

俺達夫婦の前じゃ、君らは役不足だよ…本命に来てもらおうか


「あははっ。夫婦で躍るように超暴れてやったぜ」
 宴を滅茶苦茶にしたカルメン・リコリスラディアタ(彼岸花の女・g08648)は、楽しくてならないように笑うと、共に暴れた夫のダルクエス・ネクスト(蒐集家・g07049)の髪へと手を伸ばした。
「ほらダルク、髪が乱れてるぞ。衣装にも砂が……」
 先ほどのダンスの際に乱れたのだろう。髪が数本ほつれている。
 カルメンは指先でダルクエスの髪を梳き、衣装の砂を払ってやった。
「これでよし」
「つい乱してしまっていたようだね。ありがとう、カルメン」
 大暴れするのが楽しくて、つい身なりを気にすることを忘れてしまっていた、とダルクエスはちょっと反省した。
 カルメンは自分の身だしなみも軽く整えると、神殿の扉のほうを見やった。
 さっきまで逃げる人でごった返していた扉も、今は閉ざされている。一般人は皆、神殿の外へと逃れたのだろう。そうなればもう、遠慮は不要だ。
「宴をより派手にしちゃおっかにゃー?」
 カルメンは身を寄せるようにしてダルクエスに言った。
「そうだね。そろそろ無粋な介入もされそうだ」
 ダルクエスはこちらを排除すべき敵とみなして向かってくる水の子へと、顎をしゃくった。
 ブーツ型の黒鉄の機械武装を召喚して臨戦態勢を整えながら、ダルクエスはふと気になってカルメンに尋ねた。
「おっとそうだ。カルメン、惚れ直してくれたかい?」
 派手に宴を踊り壊しはしたけど、ちゃんと妻を魅了できただろうか。それはダルクエスにとって、かなり重要ポイントだ。
「もちろん! ダルクのブレイクダンスみたいに華麗な蹴り技、すっげー恰好良かった! 惚れ直したし、もっと魅了されてメロメロになったぜ!」
 カルメンは迷うことなく夫を称賛した。
「俺も負けていられないな。やってやるぜ」
 水の子たちが作り出したぬかるみにはまる前に、カルメンは飛び上がった。わずかに遅れて、ぬかるみから伸びた数多の手が、カルメンを追う。
 掴まれる、と見えた刹那、カルメンは空中で跳ねて進路を変え。
『凍てつけ大紅蓮、血肉ひび割れ真紅の花々咲き乱れよ』
 手のひらにのせた氷の魔力に息を吹きかける。
 そこから広がる冷気が、周辺一帯を凍結させた。ぬかるみの上には蓮華のような鋭利な氷の花が咲き乱れ、水の子たちを貫く。
「どうだ俺の【大紅蓮の氷花】は。ま、水の子どもには氷のオブジェ役ですら力不足だけどな!」
 氷の破片となる水の子を、カルメンは宙から見下ろした。

「そちらから、わざわざ纏まってくれるのか」
 目の前で膨れ上がってゆく水の子たちの集合体。
 だがその方が手間が省けるというものだ。
 ダルクエスは瞬時に加速すると、
『蒼き雷光の瞬く間に』
 獰猛に狂う蒼い雷を纏った蹴りを、水の子へと炸裂させた。蹴りから発せられる雷が、ばちばちと派手な音を立てる。
 そのダルクエスを水の塊がとぷんと呑み込んだ。
 周囲はすっぽりと水に包まれる。息苦しさは感じない。むしろ、水音はまどろみを誘うようで。
 そのまま眠ってしまえば、ダルクエスは水の子となるだろう。
 けれど。
「こんなもので、俺をカルメンから引き離せると思うのかね?」
 邪魔だと言いたげにダルクエスは腕を払い、水の塊から抜け出た。
 水の誘惑など、何ほどのものでもない。
「俺達夫婦の前じゃ、君らは力不足だよ……本命に来てもらおうか」
 もう前座には用はない。
 ダルクエスの言葉が聞こえたように、祭壇の奥にある扉が音を立てて開かれた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【寒冷適応】がLV2になった!
【通信障害】がLV4になった!


 今晩の儀式の用意で街を離れていた流槍のケン・レムは、酷い胸騒ぎを感じた。
 いや、胸騒ぎというには余りにも強烈な違和感だ。
 この世界に異分子が入り込んだのを感じたケン・レムは、急ぎ用意を整えると、ジェアの街へと引き返した。
 神殿に向かう道には特に変わりはない。
 だが神殿入口には人が溜まり、神殿建物には異分子の気配が色濃い。
 何かが起きている。
 入口の騒ぎを避けて裏側から神殿に入ると、ケン・レムは祭壇奥の扉を勢いよく押し開け……目の前に広がる惨状に、一瞬言葉を失った。
 何があったらこうなるのか分からないほどに荒れた内部。
 だがその理由を作った者だけは明白だ。
「……っざけんな」
 口悪く罵ると、ケン・レムは飛び出した。
※トミーウォーカーからのお知らせ
 担当マスターが体調不良のため、ここからはトミーウォーカーの「相原きさ」が代筆します。ご了承ください。
 
テクトラム・ギベリオ
【ヒラール】
熱狂は最高潮、最後の一騒ぎだ

【隔離眼】を解除し背負い羽をナディアに
自身も羽織と模造槍を構え盛装で出迎え(華麗にポーズ)
ふるぼっこでコンボ達成だどんどこどん(気合)

顔が刺繍された羽織を当の本人へ投げつけ視界を塞ぐ
これを貴様へプレゼントしたかったのだ

その隙に正面から…何、魚だと?そうか奴の技
ナディア大丈……新手の神話生物か?!
今毛玉を喚んだら珍しさにナディアへじゃれ付きかねん
己で対処するしかない。【神后鞭】で鞭を具現化し渾身の力で振るう

最後はもちろんジズだ
壊れかけの神殿には不要かもしれんが、【照明】で照らす
華々しく行ってほしい

エジプトに触れられて良かった
ああ、帰ろうナディア。皆で帰ろう


ナディア・ベズヴィルド
【ヒラール】
悠長にお出かけをしていたな、宴は存分に楽しませてもらった
礼を言おう(マジシャン顔負けのイリュージョンで羽根装備。どばぁんと登場)
ふはは!よくも私とテクトラムさんに愉快な格好をさせてくれたな
正直面白かった(真顔)
楽しい祭りもこれで終いだ
皆でふるぼっこだどん!100コンボまでいかぬようにしてやるのが情けかな?

先手必勝と攻撃を…と
ぴちぴち

反撃を喰らってしまうが抵抗で中途半端に
下半身は魚、上半身は人型&羽根付とヘンテコ生物の誕生!

全然大丈夫じゃない
毛玉ちゃんは危険!齧られそうだから!
銛で突こうとするな!あぶなっ

ジズさん殺っちゃえーっ

懐かしのエジプトは楽しかったわね
帰りましょうテクトラムさん


 そんな、ケン・レムに立ちふさがるのは、二人の影。
「熱狂は最高潮、最後の一騒ぎだ」
 高らかにそう宣言するのは、テクトラム・ギベリオ(砂漠の少数民族・g01318)だ。
 しかもそれだけではない。
 隔離眼を解除し、背負い羽を隣の女性に渡すと、自身も羽織と模造槍を構え盛装で出迎えている。
 どどんと、背後に陽気な力強い太鼓の音が聞こえたかのように。
「悠長にお出かけをしていたな? 宴は存分に楽しませてもらった。礼を言おう」
 テクトラムの隣で、受け取った翼を、マジシャン顔負けの華やかなイリュージョンと共に現れたのは、ナディア・ベズヴィルド(黄昏のグランデヴィナ・g00246)だ。
「ふはは! よくも私とテクトラムさんに愉快な格好をさせてくれたな!!」
 とナディアは言うと、そこで突然真顔になり。
「正直面白かった」
「あ、ああ……」
 ケン・レムは、二人のド派手(?)的な登場に、少々圧倒されているようだ。
「楽しい祭りもこれで終いだ! 皆でふるぼっこだ!!」
 そのナディアの言葉に、ケン・レムは即座にハトメヒトの加護を発動させ、周囲を水中空間に変換。そして、ナディアを……。

 ――ぼむん。

「くうう、失敗した……って、ナニコレ!!」
 中途半端に攻撃を受けたせいか、下半身は魚、上半身は人型&羽根付とヘンテコ生物の誕生していた!!
「隙ありだよっ!!」
 そこを見過ごすケン・レムではない。
「ナディア大丈……新手の神話生物ってところじゃないな! ほらよっ!!」
「うわっ!!」
 ギリギリ間に合った。テクトラムの、何かが刺繍された羽織をケン・レム目掛けて放ったのだ。
「くそっ!!」
 ケン・レムの鋭い銛が掠めていった。
「全然大丈夫じゃない! 銛で突こうとするな! あぶなっ」
 と、なんとか難を逃れた。その間にテクトラムが牽制に放った神后鞭が振るわれるも、ケン・レムを掠める事しかできなかった。
「最後はやっぱ、ジズか」
 せめてとテクトラムが照明で辺りを照らしていく。
「ジズさん殺っちゃえーっ」
 ケン・レムから遠く離れた所で、ナディアもエールを送るのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【操作会得】がLV2になった!
【クリーニング】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV8になった!

ゼキ・レヴニ
ようケンちゃん、遅かったじゃねえの
お前さんが来ないんで勝手に宴を始めてたとこだ
楽しい余興も豪華なショーも見逃して残念だねえ
だがそんな不運も日頃の行いってヤツじゃねえか?

『躯』を槍に変じ対抗しつつ【飛翔】
水流の上から【未来予測】でケンの動きを読み
飛翔の速度で上から一直線に刺し貫く
今日のメインディッシュは串焼きで決まりだな!
そのまま床に縫い止めて味方の連撃に繋げるぜ

激流に呑まれたら【水中適応】を利用
アレッなんか見たことねえ魚がいる…?
気を取られつも
【水源】でケンを阻害する水流をぶつけ反撃に繋げよう

家族を引き裂くお前さんの奪い方は曲がりきってるが
その槍捌きは悪くなかったぜ

そんじゃ仕上げは任せた、ジズ


アリア・パーハーツ
わぁ、お口がわるーい!
んふふ。ねぇどんな気持ち?
そもそも敬え崇めろ奉れだなんて、強要するもんじゃない

生贄なんて誰がなりたいと思うんだ、ばーか

【飛翔】を利用して空中から強襲してやろう
懐から取り出したでっかい本の錠をこじ開ける
ランダムに召喚する武器で斬り、殴り、叩きのめし、撃ち砕く

激流に落とされたって【水中適応】もあるし【水面歩行】で体勢は整えられる

そんだけ素早く移動しようが間合いに入ればこっちのもの
水で火薬を湿らせたって、武器商人の手札は尽きない

宴でしょ、ケン・レム

派手に最期を飾ってやるのだぜ

さあジズ、トドメはよろしく、…てなにその姿!魚!!?

全部終わったらみんなで帰ろ
んふふ、楽しかったねぇ


「ようケンちゃん、遅かったじゃねえの。お前さんが来ないんで、勝手に宴を始めてたとこだ。楽しい余興も豪華なショーも見逃して残念だねえ。だがそんな不運も日頃の行いってヤツじゃねえか?」
 様々な武器に変じる金属塊、躯を槍に変じながら、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は、ざぱーんと水中から上空へと飛び出した。
「うるせぇ!! お前らが勝手にドンパチやってたんだろっ!!」
 叫ぶケン・レムに、ゼキは容赦なく、飛び出した上空から、そのまま落下していった。
「今日のメインディッシュは、串焼きで決まりだな!」
「ぐっ……!!」
 思いの他、早く飛び降りてきたゼキの槍を、ケン・レムは避け切れず、その腕に食らう。
 じゃぷんと水の中に入ったときに、ナディアの変化した姿を見つけた。
「アレッ……なんか見たことねえ魚がいる……?」
「そこだ、間抜け野郎!!」
 突き刺してくるケン・レムの攻撃を間一髪で避けると、ゼキは。
「うわ、危ねえな」
 何とかケン・レムを阻害する水流をぶつけ、追撃を逃れることに成功した。
「家族を引き裂く、お前さんの奪い方は曲がりきってるが……その槍捌きは悪くなかったぜ」
 最後と言わんばかりにそういって、ゼキは距離を開ける。
「そんじゃ仕上げは任せた、ジズ」
 最後の戦いを彼に託して。

「わぁ、お口がわるーい!」
 そう言うのは、アリア・パーハーツ(狂酔・g00278)だ。
「んふふ。ねぇどんな気持ち? そもそも敬え崇めろ奉れだなんて、強要するもんじゃない」
「貴様もいい加減黙れよ、ディアボロス風情がっ!!」
 叫ぶケン・レムの言葉に眉根を顰めながら。
「生贄なんて誰がなりたいと思うんだ、ばーか」
 アリアはそういって、錠で封じられた本を取り出した。
「scelta」
 これが、アリアの持つ、武器商人の目録(カタログ)。ランダムに選ばれたページに閉じ込めた武器だけを召喚する事が出来るもの。しかし、何が出てくるか分からない危険な運任せでもあった。
「ふん、そんな武器でやれるものなら、やってみろ!!」
 周囲に川の激流を出現させ、ケン・レムは迫る。
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
 ランダムで選ばれた爆弾を投げ込み、巨大な砲台でもって、灼熱の弾を発する。
「宴でしょ、ケン・レム。派手に最期を飾ってやるのだぜ」
「何が宴だ!!」
 激流に身を委ねるかのように、ケン・レムは何とかそれらを逃れるも、その勢いを全て殺しきることはできなかったようだ。
 ちっと舌打ちする、ケン・レムの姿が見えた。
「さあジズ、トドメはよろしく」
 一瞬、変な魚姿が見えたような気がしたが、きっと気のせいだとアリアは思い込むことにした。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV4になった!

ラズロル・ロンド
エトヴァ(g05705)と
連携アドリブ歓迎
効果を活用し

お、メインディッシュ登場かい?
宴は大盛り上がりだよ
といっても贄は居ないけどね

さぁ一気に攻撃だという所だけど
…このパラドクス初なんだ
えっと高速回転…こう?
拳銃のトリガーガードに指を掛けクルクル回せば
最高のタイミングでグリップで脳天を打ち据える
使い方チガウ感満載でも
だいたい合ってる…ハズ!
仲間の攻撃に合せ連携攻撃を重ね
反撃の魚群と槍は
わー、肉に嫉妬する魚群コワー
と飛び退き槍も躱す
ジズ君、いっけぇー

戦闘が終ればふぅ〜と椅子に男座り
え?脚?ハッ…
着替えるまでは慎ましさ大事なのね旦那様

古代エジプトで大暴れは楽しかった
けど…帰る場所は新宿島だ
帰ろうか


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
ラズ(g01587)と
連携アドリブ歓迎
効果を活用

さあ、宴も最高潮だな
生贄など、街の人達は望んではいなかった

……たとえ人々が生贄を望んだように見えたとしても
答えはNeinだ
俺は変わらず、その欺瞞を射貫くだろう
エジプトでの戦いは、己の意志が問われたからこそ

戦況を観察し把握、【飛翔】し空中戦
見つけた隙へ、両手の銃で跳弾を浴びせる
反撃には魔力障壁を張り
敵の動きを観察、空を舞うように泳ぎ抜けよう
仲間達と連携し攻撃を
さあ、ジズさん!

椅子に座ったラズをみて
……お嫁様、脚閉じる!
頬赤らめて前に立ち、そっと小声で窘め
視線が泳ぐ

うん。帰ろう
新宿島へ、一緒に帰ろう
手を繋いで
今一たび、古代エジプトの夜を目に焼きつける


「お、メインディッシュ登場かい? 宴は大盛り上がりだよ。といっても贄は居ないけどね」
 そう激流を有効に使って攻撃してくるケン・レムに声をかけるのは、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)。
「さあ、宴も最高潮だな。生贄など、街の人達は望んではいなかった……たとえ人々が生贄を望んだように見えたとしても、答えはNeinだ」
 人々の想いを代弁するかのように、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はきっぱりと、そう言い放つ。
「貴様らに何が……わかるってんだよっ!!」
 鋭い歯を持つ大型肉食魚の群れを召喚し、ケン・レムもまた、追撃をすべくその手の鋭い武器を振るう。
「わー、肉に嫉妬する魚群コワー」
 と避け切るラズロルを援護するかのように。
「――踊れ、導け、祈りの下に」
 エトヴァのSilberner Freischütz-Ⅲ(シルベルナー・フライシュッツ・ドライ)だ。聖なる祈りを込めた白銀の弾丸をケン・レムへと放つことで、ラズロルへの攻撃を弱めようとしたのだ。
 それは成功していた。
「くっ……貴様らが邪魔してこなければっ!!」
 ケン・レムの体をいくつかの弾丸が撃ち貫いていく。けれど、残念なことに致命傷には至っていない。
 その隙にラズロルもまた、エトヴァを援護すべく戦いに加わろうとするのだが。
「えっと高速回転……こう?」
 実はラズロル。この超重回旋撃を使うのは、今回が初だった。拳銃のトリガーガードに指を掛けクルクル回しながら。
 ――どげしっ!!
 それは奇跡の一撃というべき攻撃だった。最高のタイミングでグリップで脳天を打ち据えたのだ。
「ぐあっ!?」
 まさかグリップで頭を直撃されるとは思ってなかったので、ケン・レムも何が起こったのかわからないといった表情ですぐさま距離を開けてきた。
「使い方チガウ感満載でも、だいたい合ってる……ハズ!」
「……えっと、ああ合ってる……のか?」
「そこは合ってるっていうのっ!!」
 ラズロルとエトヴァが言い合っている間に、ケン・レムはいつの間にか姿を消していた。どうやら、これ以上、攻撃を重ねることは難しそうだ。
「さあ、ジズさん!」
「ジズ君、いっけぇー」
 だからこそ、宿命を持つ仲間へとエールを送り、繋いでいくのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【防衛ライン】がLV2になった!
【パラドクス通信】がLV3になった!

カイス・ライル
他者の命を以て、己が誠を表すことは出来ない
女神へ忠を捧げるのなら、己が命を奉ずべきだ
自ら幕引きの舞台へ上がる潔さだけは、賞そう

『Kadhim』
犠牲を強いられたひと達の怨を、無念を、お前は味わった方が良い
誰もが喜んで殉ずるわけではないし
信仰ばかりが尊いということもない

【水面歩行】【水中適応】で敵の利を減じる
お前は、こういう川のもとに在ったのか
漁師だったのなら、命を頂くことの意味を知っているはず
己を生かす為なら、未だしも理解を示せたかもしれないが
今の所業は、許し難い驕りと感じる
口を取り繕えないほど、嘗てのお前を残しているなら
最期くらいは己を顧みてやると良い

ジズ、心置きなく、終わりにしよう


ヴィバルス・リルアバード
俺は英雄であり、英雄とは俺だ。
民草が涙を流す時、英雄は必ずやって来る。

【未来予測】と【強運の加護】で致命傷だけは確実に避けつつ全力で舌鋒を向ける。
「神に縋り、民を贄とし、己が野心を肥やすがお前の王道か?」
「否!否!!否!!!悪政を敷き民を蔑ろにすればその先に道など無い!」
「何故なら−−−−英雄は、必ずやってくるからだ!!!」

だからこそ、悪しき為政者の道は必ず絶える。俺が絶つ。
罪状は、己が庇護すべき民に望まぬ犠牲を強いた事。
セトの審判は下った。さァ敗北の時だぜ流槍のケン・レム。

だが気を付けろ?英雄の一撃は……少しばかり痛いぞ!

「何せ、これまで散々ブッ刺された分全部載せだからなァ−−−−ッ!!!」


「他者の命を以て、己が誠を表すことは出来ない。女神へ忠を捧げるのなら、己が命を奉ずべきだ。自ら幕引きの舞台へ上がる潔さだけは、賞そう」
 そう静かに告げるのは、カイス・ライル(屍負い・g06804)。
 それともう一人。
「神に縋り、民を贄とし、己が野心を肥やすがお前の王道か?」
 強い意志を秘めた金の瞳……ヴィバルス・リルアバード(不死身の英雄・g05064)の目がケン・レムを捉えて離さない。
「だから何だっていうんだよ!! そんなの関係ないだろっ!!」
 黙れと言わんばかりの声で叫ぶケン・レムに、カイスは続けた。
「犠牲を強いられたひと達の怨を、無念を、お前は味わった方が良い。誰もが喜んで殉ずるわけではないし、信仰ばかりが尊いということもない」
 そういって、カイスが放ったのは、Kadhim(カーズィム)だ。耐え忍んだ苦難の澱に、抑圧された怒りが積り、焦がれて滴る毒が、ケン・レムを襲う。
「お前は、こういう川のもとに在ったのか。漁師だったのなら、命を頂くことの意味を知っているはず」
 激流を肌身で感じながら、カイスは言葉を紡ぐことを止めない。
「己を生かす為なら、未だしも理解を示せたかもしれないが、今の所業は、許し難い驕りと感じる。口を取り繕えないほど、嘗てのお前を残しているなら、最期くらいは己を顧みてやると良い」
「説教するつもりか、ああ、ああ、うるせえやつらだっ!! ちったあ、黙れっていうんだよっ!!」
 もがく様にケン・レムは川の激流と共に、その刃をカイスに振るう。散るのは掠めたカイスの髪だけ。
「否! 否!! 否!!! 悪政を敷き民を蔑ろにすればその先に道など無い! 何故なら――英雄は、必ずやってくるからだ!!!」
 代わりに前に出るのはヴァイバルス。
 ――俺は英雄であり、英雄とは俺だ。民草が涙を流す時、英雄は必ずやって来る。
 その信念を胸に、熱き魂を震わせ、この場に躍り出た。
「だからこそ、悪しき為政者の道は必ず絶える。俺が絶つ。罪状は、己が庇護すべき民に望まぬ犠牲を強いた事。セトの審判は下った。さァ敗北の時だぜ流槍のケン・レム」
「はあ? そんなの関係ないね!! 知ったことか!!」
 ケン・レムはお構いなしに川の激流の中、変幻自在な移動でヴァイバルスを翻弄していく。
「だが気を付けろ? 英雄の一撃は……少しばかり痛いぞ! 何せ、これまで散々ブッ刺された分全部載せだからなァ――ッ!!!」
 虚空より現れた武具が……第十の難事の褒章で得たセト神の権能を借りるその、報復がケン・レムへと注がれる。
「ぐああああああああ!!!」
 ケン・レムも川の激流を生み出しながら対抗しているが、その攻撃はかなりのダメージを与えているようだ。
「ジズ、心置きなく、終わりにしよう」
 託すかのようにカイスはそう、これから戦う仲間へと告げた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】がLV2になった!
【操作会得】がLV3になった!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV9になった!

有栖川宮・永遠
幼馴染で従者の悠(g02300)と参加

ええ、楽しませて頂いた事は感謝します。異国の宴、興味深いものでした。

ただ、信仰を悪用する貴方を見過ごす訳には参りません。宴の最後は、貴方
の死で締めくくりましょう。

悠が激流に飛び込んでいくので、私は【飛翔】【エアライド】で空中にて相対しましょう。

大型肉食魚を召喚したとて霊格高き獣に敵うでしょうか?【高速詠唱】にて式神「天狐」を召喚、天狐の力にて魚の群れに対抗します。

私自身に攻撃がくる可能性もあるので【残像】で墜落を防ぎつつ、【風使い】【氷雪使い】で作り出した冷風にて【吹き飛ばし】しましょう。

さあジズさん、終幕の一撃を!!


近衛・悠
幼馴染で主人の永遠(g00976)と参加

まあ、確かにこの街の宴は楽しかった。その点は感謝していいかもな。


でも人々に犠牲を強いる奴はほっとけない。さあ、もう逃げられない。ここで終わりだ。

永遠にサポート任せて激流に飛び込む。ああ、【水中適応】【水面歩行】があれば水中でも動ける。【残像】で敵の攻撃を回避しながら返すナイフで【呪詛】【毒使い】【両断】を併せた【斬撃】を七影斬の残像と共に叩き込む。

さあ、トドメはジズに任せた。盛大に喰らわせてやれ!!


「ええ、楽しませて頂いた事は感謝します。異国の宴、興味深いものでした」
 先ほどの宴を思い出してか、有栖川宮・永遠(玲瓏のエテルネル・g00976)は思わず瞳を細める。
「ただ……信仰を悪用する貴方を、見過ごす訳には参りません。宴の最後は、貴方の死で締めくくりましょう」
 愛用の玲瓏の杖を振るい、永遠もまたケン・レムの前に立ちはだかる。
「まあ、確かにこの街の宴は楽しかった。その点は感謝していいかもな」
 永遠の言葉に同意するのは、近衛・悠(黄昏のフラメント・g02300)だ。常闇のナイフを手にすると、その殺気をケン・レムへと向けるかのように。
「でも人々に犠牲を強いる奴はほっとけない。さあ、もう逃げられない。ここで終わりだ」
 そう悠もまた告げる。
「このままやられるわけにはいかねえんだよ、お前らにっ!!」
 川の激流を増やしながら、ケン・レムは悠へと突撃していく。
 と、悠は後を任せ、敵の生み出した激流へと飛び込むではないか!
「お前、馬鹿か?」
 にやりと笑みを浮かべるケン・レムに悠は。
「そうでないと言ったら……お前はどんな顔をするんだろうな?」
「!!!!」
 勝算がない戦いはしない。悠もまた、戦い方をしっかりと考えていた。悠はいくつもの残像を纏わせ、襲ってきたのだ。
「なっ……どいつが当たりなんだよっ!?」
 ケン・レムの破れかぶれの攻撃は、消える残像に呑まれていった。
 それに戦っている相手は一人ではないことを忘れていた。
「大型肉食魚を召喚したとて、霊格高き獣に敵うでしょうか? その大いなる霊力、借り受けますよ」
 悠の後方で詠唱していた永遠が式神「天狐」(シキガミテンコ)を発動させ、大いなる霊力を持つ天狐を召喚し、それを嗾ける。
「ちっ……!!」
 対するケン・レムが、咄嗟に大型肉食魚の群れを召喚し放つものの、その全てをあっという間に駆逐され。
 その隙に間近に迫っていた悠が闇色の刃を振るう。
「そこだっ!!」
「ぐあっ!!」
 傷付けられながらも、ケン・レムは激流の力でもって、二人から離れる。まだ致命傷には至ってない。
「さあジズさん、終幕の一撃を!!」
「さあ、トドメはジズに任せた。盛大に喰らわせてやれ!!」
 二人の熱いエールがその場に響いた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】LV1が発生!
【防衛ライン】がLV3になった!
効果2【ダブル】がLV5になった!

ルーシド・アスィーム
連携歓迎

わあ、ケンくん怒ってる……!
街を目一杯楽しんだので、こう、若干後ろめたさがありますね?
しかし見逃せないのは確かです、どうぞお覚悟を

紡ぐは【泡沫のネイト】
水が貴方の領域であるならば、神威にして神秘なる原初の海へと塗り替えましょう
神とは偉大にして苛烈、不浄なる命に彼の水は猛毒に等しいでしょう

こちらは【水中適応】で自在に動き回り、わたゆきと共に【氷雪使い】【風使い】にて氷嵐の魔術を紡ぎ、ケン・レムの周囲を凍結
サディークは同じく氷雪の加護を乗せた双剣の【フェイント】交じりの【斬撃】で挙動を妨害出来ないか試行

一つの糸はか細くも、仲間と連なり紡げば四肢を捉える網となる
ジズさん、最後はお任せしても?


タオタオ・ザラ
ケン義兄サマ、一緒にあーそびましょ!
可愛いジェアちゃんとお近づきになりたいだなんて、そんなそんな
……マ、言ったところで分かんねえんだろうけど

小難しいことはナシだ、もともと向いてねえしな
……よし、じゃあ殺ろうぜ
タオはタオタオだ
お相手よろしく、ケン・レム
どこぞで告げた言葉をリフレイン、くつりと笑う

にゃ、は、は!楽しいなあ!
血沸き肉躍る、だっけか?
魚どもに喰らい付かれても気にせず
寧ろ楽しそうに、けらけら武器を振り回す
やっぱり宴は華々しく騒々しく、そうだろう?
でも駄目だ、こんな小魚じゃあ腹の足しにもならん
来いよケン・レム、突撃お前が晩御飯だ!!

いやジズの姿見えな――……
ちょっと待ってあの魚?あの魚か?


ケペシュ・ナージャ
あんたが噂のケン・レム様?
待ちくたびれましたよ
さぁ、ここからがこの宴の楽しいところです
つべこべ言わず武器を持ちなさい
俺は強い相手と戦いたい

相手が水中に潜ったら【飛翔】しながら【未来予測】で水上に出てくるポイントを読み、
顔を出すタイミングに合わせて上から急襲します
あんたが槍を突き出すより早く
「アサシネイトキリング」で串刺しにして差し上げようか

水に落ちたら【水中適応】【水面歩行】で立て直します

どんな気分ですか?
今度はあんたが命を握られる側になった
けど今更気付いたって遅すぎる
許しを請うべき人達はもういないんだ

このまま首を落としたいところですが…
残念ながらそれは俺の役目じゃない
後は頼みましたよ、ジズ


「わあ、ケンくん怒ってる……! 街を目一杯楽しんだので、こう、若干後ろめたさがありますね? しかし見逃せないのは確かです、どうぞお覚悟を」
 怒り狂っているケン・レムを横目に、そう声をかけるのは、ルーシド・アスィーム(星轍・g01854)。
「ケン義兄サマ、一緒にあーそびましょ! 可愛いジェアちゃんとお近づきになりたいだなんて、そんなそんな。……マ、言ったところで分かんねえんだろうけど」
 にひひと笑みを浮かべるのは、タオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)だ。
「あんたが噂のケン・レム様? 待ちくたびれましたよ」
 被っていたフードを下ろしながら、ケペシュ・ナージャ(砂蠍・g06831)もまた、声をかける。
「くそ、今度は三人かよ……畜生っ!!!」
 大型肉食魚の群れを召喚しながら、ケン・レムもまた、刃を振るってきた。
「小難しいことはナシだ、もともと向いてねえしな。……よし、じゃあ殺ろうぜ。タオはタオタオだ。お相手よろしく、ケン・レム」
 魚達に食らいつかれても、構わず、けらけらと蠍の鋏角でもって、いなしていく。
「にゃ、は、は! 楽しいなあ! 血沸き肉躍る、だっけか?」
 その間にルーシドも動き出す。狙うはケン・レムの動きを阻害すること。
「水が貴方の領域であるならば、神威にして神秘なる原初の海へと塗り替えましょう。神とは偉大にして苛烈、不浄なる命に彼の水は猛毒に等しいでしょう」
 泡沫のネイト(ウタカタノネイト)でもって、周囲の水を浄化し、ケン・レムを押し流していく。
「うわあああああ……!!」
 と、そこにケペシュの一撃が、手に馴染む双剣、ブルーロータスがケン・レムを突き刺した。
「ぐおっ!!」
 無理やりそれを引き外し、距離を開ける。
「どんな気分ですか? 今度はあんたが命を握られる側になった。けど今更気付いたって遅すぎる。許しを請うべき人達はもういないんだ」
 そのケペシュの言葉を嫌そうに睨みつける。
「黙れ、消えろってんだろっ!!」
 持っている武具を振り回しながら、ケン・レムは再び、魚を呼び寄せた。
「そうはさせません、サディーク!!」
 と、そこにルシードの、双剣を携えた金髪碧眼の青年の姿を象るジン、サディークが斬りつける。
「邪魔なんだよ、ジンの癖にっ!!」
 その攻撃を軽くいなして、先へ先へと逃れるようにケン・レムは逃げ始めた。どうやら、この状況を不利と感じたようだ。
「やっぱり宴は華々しく騒々しく、そうだろう? でも駄目だ、こんな小魚じゃあ腹の足しにもならん。来いよケン・レム、突撃お前が晩御飯だ!!」
「チッ……!!」
 タオタオの攻撃を何とか避けて、三人から退避していく。
「このまま首を落としたいところですが……残念ながら、それは俺の役目じゃない。後は頼みましたよ、ジズ」
 ケペシュと。
「一つの糸はか細くも、仲間と連なり紡げば四肢を捉える網となる。ジズさん、最後はお任せしても?」
 ルーシドが後の仲間へと攻撃を託すのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】がLV2になった!
【断末魔動画】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV6になった!
【フィニッシュ】がLV2になった!

リドリー・バーディ
主役は遅れてやってくるってね
さぁ、役者は揃った
後は宴を締めるだけ!

いいねぇ、随分と荒ぶってるじゃん
感情抑えて取り澄ました言葉より、粗暴な本音の方が好感度大だよ
そんな成り上がりお偉いさんに『甘い苦言』をひとつ

誰かの犠牲が必要なんて、君の女神様ちょっとポンコツじゃない?
与える立場の人が与えられることを望むなんてワガママすぎない?
信仰心を試そうなんて、敬われてる自信がないからやるんだよね?

ねぇ、ケン様
街はとっても素敵だったよ
君の理想が詰まってたのかな
あの光景を守ることだけ考えてたら、こうはならなかったかもね
最期の花道飾ってあげるから潔く退場してください!

大トリは勿論ジズだよね!


クーガ・ゾハル
オヤダマサンジョーってやつだな

ええと、先に
おれはクーガ、あの街たのしかったぞ。ありがとう
あと、いっぱいこわしてわるい
からの
ヨシ、カクゴはいいか

やっぱりぜんぜん、まける気がしてないときは
フシギなくらい楽しい気分になるんだな
【未来予測】かりて、魚たちのキドウよみながら
うるさくてでかい剣でタタキにしてやる
三枚オロシはちょっとむずかしい
カンヅメもすてがたい

かけてくるケン・レムが
とどくまえに、おれから<突撃>
タイミングくるわせて
みじかい【飛翔】からの鳥葬
おまえのヤリと、どっちがジョーブかショーブだ
ニエなんていらない
ダイショーは、自分ではらえ

いけいけ、ジズ
えっ――あれがジズなのか
すごいぞ、サメ映画みたいだ


「主役は遅れてやってくるってね。さぁ、役者は揃った。後は宴を締めるだけ!」
 びしっと指をケン・レムへと指さして、リドリー・バーディ(chitter-chatter・g08402)は、にっと微笑む。
「オヤダマサンジョーってやつだな! ……ええと、先に。おれはクーガ、あの街たのしかったぞ。ありがとう! あと、いっぱいこわしてわるい」
 そうぺこりと律儀に謝るのはクーガ・ゾハル(墓守・g05079)だ。それだけではない。
「ヨシ、カクゴはいいか!」
 戦いへの切り替えも超絶早かった!
「なんなんだよ、お前らは!! さっさと消えろってんだよっ!!」
 傷だらけになりながらも、ケン・レムは、大型肉食魚の群れを召喚し、ディアボロス達へと放っていく。
「やっぱりぜんぜん、まける気がしてないときは、フシギなくらい楽しい気分になるんだな」
 吼えて斬り裂く、うるさい剣、號でもって、クーガはその肉食魚の群れをバンバン、タタキにしていく。
「三枚オロシはちょっとむずかしい……カンヅメもすてがたい」
「勝手に食い物にすんなっ!!」
 思わず、ケン・レムも突っ込んでしまうほど。クーガは倒した魚の後始末(?)に余念がない様子。
「いいねぇ、随分と荒ぶってるじゃん! 感情抑えて取り澄ました言葉より、粗暴な本音の方が好感度大だよ。そんな成り上がりお偉いさんに『甘い苦言』をひとつ」
 そう前置きして、リドリーが声をかけてきた。
「テメエも黙れよ!!」
 叫ぶケン・レムにリドリーは構わず続ける。
「誰かの犠牲が必要なんて、君の女神様ちょっとポンコツじゃない? 与える立場の人が与えられることを望むなんてワガママすぎない? 信仰心を試そうなんて、敬われてる自信がないからやるんだよね?」
「何だとっ!?」
「ねぇ、ケン様。街はとっても素敵だったよ。君の理想が詰まってたのかな? あの光景を守ることだけ考えてたら、こうはならなかったかもね。だけど……最期の花道飾ってあげるから潔く退場してください!」
 そういって、リドリーは甘い苦言(ビター・ワーズ)で、攻撃を重ねてきた。
「くっ……!!」
 体に傷が出なくても、ケン・レムの心には苦い傷になったようだ。それでも構わず、クーガへと向かっていくケン・レム。
「貴様を倒してでも……んっ!?」
 クーガは既にその動きを見破り、タイミングをずらして。
「おまえのヤリと、どっちがジョーブかショーブだ! ニエなんていらない。ダイショーは、自分ではらえ!!」
 クーガの放った鳥葬(ル・フ)が、ケン・レムの脇腹を引き裂いていく。
「ぐはっ……!!」
 驚くような表情を浮かべた後、ケン・レムはまたもや自分の纏う激流に乗り、一気に距離を開けていく。
「大トリは勿論ジズだよね! 頼んだよ!」
 そう、リドリーは、ケン・レムを見送りながら、後に戦う仲間へと呼びかけるのであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【罪縛りの鎖】がLV3になった!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV5になった!

クィト・メリトモナカアイス
今頃のこのこ現れる親玉がいるらしい。
とてもおそい。
んむ、我的には。ふざけているのは汝の方。
汝民を呪う者。
汝の名は語られず、刻まれず。
女神とかなんだか知らぬけれど。神が許しても、我は許さぬ。

モナカたちをお休みモードにして「震わすは鬣なき獣」。
黄金猫拳打棒を手に激流に乗るケン・レムを迎え撃つ。高速移動に対してこっちはなんか最大マッハ3くらいまで出そうな【飛翔】で対抗。
滑走に追いついたり並走したりしながら黄金猫拳打棒による連撃からの強打で他の復讐者の方へ殴り飛ばし。
んむ、ジズに後はお任せ。がんばれー。


ディミトラ・ディミオス
知的な顔で乱暴な言動、良いですね
なかなか女心を解っていらっしゃる
でも、他人を道具のように使い捨てる卑劣漢は嫌いです
亜人じゃなくても殺します

光の獣は虎の姿に
魚に戯れる猫って可愛いですからね
存分に齧らせてあげてくださいな
壁や柱を背に飛翔して、敵の進路を制限します
あら、わざわざ傍へ来てくれるんですか
女に手間を掛けさせない振る舞いは及第点
勢い任せの迫り方は落第点
顔が良くってもお断りです
いっそ首だけ置いて行ってください

水を操る力、使いようによっては尊ばれたでしょうに
誤った道を突き進んだ先が四面楚歌の袋小路とはご愁傷様
ここから奈落の門への案内は、ジズさんにお任せしましょう
手向は、招待状の花で良いですか


「知的な顔で乱暴な言動、良いですね。なかなか女心を解っていらっしゃる」
 ケン・レムを眺めながら、そう告げるのはディミトラ・ディミオス(アマルトリ・g08941)だ。
 その隣ではふむと頷くクィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)の姿も。
「今頃のこのこ現れる親玉がいるらしい。とてもおそい」
「遅いって、貴様らが先に仕掛けてきたことだろ!! ふざけるなっ!!」
 逃げた先にいた二人に怒りながら、ケン・レムは叫ぶ。
「んむ、我的には、ふざけているのは汝の方。汝民を呪う者。汝の名は語られず、刻まれず。女神とかなんだか知らぬけれど。神が許しても、我は許さぬ」
 浮遊球形ガジェット『モナカ』達を休ませながら、クィトは身構える。その間にもケン・レムは、再び川の激流をその身に纏わせた。
「何が我は許さぬ、なんだよっ!!」
 自らの怒りを込めているのか、ケン・レムの槍裁きはいつになく、力がこもっている。これこそ当たったら危険だろう。だがしかし。
「お遊びはお終い」
 凄まじい飛翔のスピードがそれをさせなかった。代わりにクィトが放つ震わすは鬣なき獣(フルワスハタテガミナキケモノ)で……えっと、その手にしている黄金猫拳打棒での激しい攻撃がケン・レムに浴びせられる。
「ぐあっ!!」
 途中、めきょっとかいう、ちょっとヤバい音が聞こえたのは……たぶん気のせいだろう。
「……そうですね、でも、他人を道具のように使い捨てる卑劣漢は嫌いです。亜人じゃなくても殺します」
 クィトの攻撃に逃れようと逃げ出す先にはもう一人。ディミトラがいた。
「光の獣は虎の姿に……魚に戯れる猫って可愛いですからね。存分に齧らせてあげてくださいな」
 ディミトラがArtemis(アルテミス)で呼んだ光の獣は、大きな虎へと姿を変えて、ケン・レムへと向かっていった。
「あら、わざわざ傍へ来てくれるんですか。女に手間を掛けさせない振る舞いは及第点。勢い任せの迫り方は落第点。顔が良くってもお断りです。いっそ首だけ置いて行ってください」
「うるさい獣が……!! 邪魔なんだよっ!!」
 ディミトラの虎との激闘を制したのは、なんとケン・レムだった。しかし、その様子はかなりボロボロだ。
「水を操る力、使いようによっては尊ばれたでしょうに……。誤った道を突き進んだ先が四面楚歌の袋小路とはご愁傷様。ここから奈落の門への案内は、ジズさんにお任せしましょう。手向は、招待状の花で良いですか」
 そうディミトラが言うと。
「そんなもの、誰が受け取るんだよっ!!」
 ケン・レムはまた叫ぶ。
「んむ、ジズに後はお任せ。がんばれー」
 先ほど休ませたモナカ達を抱きしめながら、クィトは更に逃げ出すケン・レムを見送ったのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【猫変身】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV7になった!

ラト・ラ
【チーム世直し】

…ええ、そうですね
むしろ真面目に行ったからこその成果ともいえます
あの方(ケン・レム)がお気に召さないのは、
当たり前のことかもしれないけれど
至極真面目に答え、マティアスに頷く

心配しないで、懺悔の時間は設けます
チャンスは皆平等にあるべきです
それすらも無碍にするのなら――
許さないのは、わたしだけではありません
マティアスの先行を見守りながら
後ろでくどくどと説く
……あら、ただ立っているだけとお思いで?
いつのまにか発動していた【月影】の
2対の蛇がケン・レムへ襲いかかる
水に飲まれたときは【水中適応】で対処を
物理攻撃は【飛翔】で躱す

さあ、最期は――?
ジズへと期待の眼差しと共に振り返って


マティアス・シュトローマー
【チーム世直し】

俺としては真面目にやってるつもりなんだけど…
どう思う?なんて、態とらしく悄気た様子でラトを振り返る
目が合えばニッと笑ってこっそりサムズアップ

お気に召して貰えなかったのなら、次はうんと派手に
こんなのはどう?
パラドクスを発動。具現化した大鴉達を足場に戦場を駆け、こちらへと向かってくる敵を迎え討つ
魚の群れは銃撃で。ケン・レムの突きは【飛翔】で致命傷を避けた後、【エアライド】で宙を蹴り、至近距離からの蹴撃を浴びせよう

私欲のために神を騙る不届き者でも、ちゃーんと導いてあげようとしてるんだ
寧ろ感謝して貰いたいくらい!

続きは後光の差してるジズに任せようか
楽しい宴の最後に相応しい一撃をよろしく


「俺としては真面目にやってるつもりなんだけど……どう思う?」
 そう、隣にいる女性に声をかけるのは、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)だ。
「……ええ、そうですね。むしろ真面目に行ったからこその成果ともいえます。あの方がお気に召さないのは、当たり前のことかもしれないけれど」
 ラト・ラ(*☽・g00020)の視線の先には、数々の戦いでボロボロに追いつめられているケン・レムがいる。と、ラトはマティアスと視線があった。
 マティアスはにっと笑みを深め、むんとサムズアップして見せる。心配させないように……そんな気持ちが現れるかのよう。

「くそ、早く逃げないとヤバい……」
 ケン・レムは思わず、弱音を吐いていた。
「心配しないで、懺悔の時間は設けます。チャンスは皆平等にあるべきです。それすらも無碍にするのなら――許さないのは、わたしだけではありません」
 ラトの声が響き。
「お気に召して貰えなかったのなら、次はうんと派手に……こんなのはどう?」
 先行するマティアスがフッケバインを、具現化した数多の大鴉を足場に戦場を跳ね回り、アクロバットな蹴り技や銃撃で連続攻撃を仕掛けてきたのだ。
「だあああ、なんなんだよ、お前らはっ!!」
 大型肉食魚の群れを召喚し、ケン・レムは我先にと逃げ出していく。次々とやられるのは、哀れな肉食魚だけ。
「私欲のために神を騙る不届き者でも、ちゃーんと導いてあげようとしてるんだ。寧ろ、感謝して貰いたいくらい!」
 あともう少しというところで、マティアスはケン・レムを捉えきれなかった。
 が、しかし。
「……あら、ただ立っているだけとお思いで?」
 ケン・レムは失念していた。もう一人、立ちふさがっている敵が……ラトがいることに。
「マティアスが攻撃できなかった分、私が代わりを務めましょう」
 ラトの月影(サブコンシャス)で生み出した2対の蛇がケン・レムへ襲いかかる。
「ぐああっ!! だから、邪魔なんだよ、ボケがっ!!」
 何とか激流を使って身を解いて、ケン・レムはたまらないといった表情を浮かべながら逃げようとする。
「続きは後光の差してるジズに任せようか。楽しい宴の最後に相応しい一撃をよろしく」
「さあ、最期は――?」
 二人もまた、心得ているらしく、戦いを後の仲間へと託す。
 逃げようとするケン・レムを見送りながら……。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【トラップ生成】がLV4になった!
【飛翔】がLV37になった!

ダルクエス・ネクスト
【彼岸花】
妻のカルメンと一緒、呼称:カルメン
アドリブOK

主役は遅れてやってくるが、遅刻が過ぎるしそれが命取りとなる
お前が今宵、復讐者達の宴のメインデッシュとなる…今まで何度も贄にしてきたんだ
文句は言えないよね?
「ブーツ型の黒鉄の機械武装」を起動、自動装着し『蒼く閃く蹴断』を構えて
大盾でケン・レムの攻撃から直撃を避け、激流に呑まれたなら【水中適応】
【飛翔】【水面歩行】も用いて水上に出れば『蒼く閃く蹴断』の電撃で動きを縛ってやる
ジズによる正しき終末を受け入れるといいよ、ケン・レム

人魚のカルメンも綺麗だよ、人魚姫のようだ♪
(自身は魚人のようになって)

さあカルメン、目的は果たされた…我が家に帰ろうか!


カルメン・リコリスラディアタ
【彼岸花】
旦那のダルクエスと一緒、呼称:ダルク
アドリブOK


無事に家に帰るまでが宴、最後のメインディッシュ堪能しまくってド派手に豪勢に楽しもうぜ!

んにゃ?!水ならあの残留効果を…って、魚に変身させるってそんなのあり?!
魚になるなら…お、おぉー見て見てダルク!
俺、人魚になっちゃった!
魚人姿のダルクもかっけぇにゃー♪
(反撃に抵抗し身体の一部の範囲に留め煌びやかな人魚姫の姿に)

あははっ泡になるのは俺じゃ無くてケン・レムだぜ
お前の悪巧みは全て水の泡になるのさ

『幽冥なる柩の白骨葬列』で敵を闇の魔力の棺に閉じ込め召喚した骸骨達に斬ってもらい
ジズちゃんがケン・レムに水葬みたいなトドメを刺せるよう繋げるぞ!


「無事に家に帰るまでが宴、最後のメインディッシュ堪能しまくってド派手に豪勢に楽しもうぜ!」
 そう、上機嫌で叫ぶのは、カルメン・リコリスラディアタ(彼岸花の女・g08648)だ。
「ああ……それと、主役は遅れてやってくるが、遅刻が過ぎるし、それが命取りとなる」
 そう静かに指摘するのは、ダルクエス・ネクスト(蒐集家・g07049)。
「くっ……まだいたのかっ!!」
 二人を見つけ、嫌そうに顔を歪めるのはケン・レムだ。
「お前が今宵、復讐者達の宴のメインデッシュとなる……今まで何度も贄にしてきたんだ。文句は言えないよね?」
 ブーツ型の黒鉄の機械武装を起動させ、ダルクエスは身構えた。
「うるさい!! 貴様らも魚になれっ!!」
 ケン・レムが放ってきたのは、ハトメヒトの加護。すなわち。
「お、おぉー見て見てダルク! 俺、人魚になっちゃった! 魚人姿のダルクもかっけぇにゃー♪」
「人魚のカルメンも綺麗だよ、人魚姫のようだ♪」
 カルメンは、煌びやかな人魚姫の姿に。そして、ダルクエスは、逞しい魚人の姿に変わった。
「このまま……消え失せろっ!! ……なに!?」
 変化した姿でまごつくかと思われたが、それはケン・レムの読み違いが出た。なぜなら、二人はその姿を最大限に利用し、ケン・レムの突きを華麗に躱してみせたのだ。
「ジズによる正しき終末を受け入れるといいよ、ケン・レム!!」
 お返しにとダルクエスは、蒼く閃く蹴断(マトリックス)で、蒼い雷撃を放つ鋭い蹴り技を喰らわせる。
 その先には人魚の姿のカルメンが笑みを浮かべて待っていた。
「あははっ! 泡になるのは俺じゃ無くて、ケン・レムの方だぜ。お前の悪巧みは全て水の泡になるのさ!」
 カルメンは、幽冥なる柩の白骨葬列(ブラッディ・コフィン)で生み出した闇の魔力の棺で、ケン・レムを閉じ込め、めった刺しにしていく。
「がはっ!!」
 何とかその棺から飛び出したものの、ケン・レムはかなり消耗している様子。

 それを見送った後、元の姿に戻ったダルクエスがカルメンへと手を伸ばした。
「さあカルメン、目的は果たされた……我が家に帰ろうか!」
 二人の手が重なったと同時に、カルメンもまた元の姿に戻る。
「ああ、お疲れ様」
 二人はそのまま、満足げにその場を後にしたのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】がLV5になった!
【書物解読】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV6になった!

ジズ・ユルドゥルム
ようやく主役のお出ましか!
まずは礼を言わせてもらおう。貴様の造った街と宴、なかなか楽しかったぞ。
では、ぼっこぼこにされる覚悟はいいか。

む。これは女神の加護か…!魚に変身するならば…あれだ!
(鋭い歯を持つ大型肉食魚、ゴライアス・タイガーフィッシュに変身)
(尻尾をびちびちして槍攻撃に対抗し、歯でガブガブかじる)
(心なしかライトアップされてドヤ顔の魚)

ははッ、皆に期待されているようだ。
最後まで派手にやらなければな。
武器に纏った光を槍に変じて、全力をもって宴の主へ向かって投擲しよう。

「ケン・レム」…この地の言葉で「勇敢な魚」か。
その名に恥じない戦いぶりだった。

さらばだ、流槍のケン・レム!


一里塚・燐寧
獣神王朝は滅んだってゆーのに、いつまでもこーんなとこでお仕事たぁ、ご苦労なこったねぇ?
でも今日で、無駄な頑張りの日々は終わるよぉ
きみをドゥアトに送ったげる……アヌビスの裁きを受ける準備はおっけい?

【トラップ生成】を発動して、自分と敵の間に網の罠を出現させるよぉ
そこに魚を突っ込ませて動きを止め、止めきれない分は《テンペスト・レイザー》で両断
敵本体の攻撃は得物の分厚い刀身でガードし、攻勢に転じちゃおう

肉体改造で得た高い膂力で放つは『屠竜技:衝破轟震撃』!
重厚な回転鋸刃を頭上から叩きつけ、敵を地に伏せさせ後続に繋ぐねぇ
エジプト同窓会もここらで終わりだねぇ
さぁジズちゃん、有終の美ってやつを見せてよぉ!


「獣神王朝は滅んだってゆーのに、いつまでもこーんなとこでお仕事たぁ、ご苦労なこったねぇ? でも今日で、無駄な頑張りの日々は終わるよぉ。きみをドゥアトに送ったげる……アヌビスの裁きを受ける準備はおっけい?」
 にんまりと瞳を細めるのは、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)だ。
「アヌビスの……裁きだって? んなもん、受けるかよっ!!」
 大型肉食魚の群れを召喚しながら、ケン・レムは心底、うんざりとした顔を見せる。
「おっと、そうはさせないよっ!!」
 そこで発動させるのは、魚達を抑える大きな網が、魚と燐寧との間に展開。網に掴まる魚達をそのまま、燐寧はテンペスト・レイザーで両断してみせた。
「チッ!! まだ邪魔をするのかっ!!」
 せめてとケン・レムが放った攻撃は、その分厚い刀身で、見事に阻まれてしまう。
「足元の大地ごと、粉々に砕いてあげるよぉ!」
 そのまま、攻撃へと転じた燐寧が放つは、屠竜技:衝破轟震撃(スレイヤーアーツ・メイルストロームパルス)。重厚な回転鋸刃を頭上から叩きつけ、敵を地に伏せさせる。
「ぐはっ!!」
「エジプト同窓会もここらで終わりだねぇ。さぁジズちゃん、有終の美ってやつを見せてよぉ!」
 その言葉に応えるかのように、そこに佇むは、今回のトリを務めるジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)だ。
「ようやく主役のお出ましか! まずは礼を言わせてもらおう。貴様の造った街と宴、なかなか楽しかったぞ。……では、ぼっこぼこにされる覚悟はいいか」
「そんなこと、されて堪るかっ!!」
 破れかぶれのハトメヒトの加護が、見事、ジズを捉えてしまった。
「む。これは女神の加護か……! 魚に変身するならば……あれだ!」
 咄嗟に対抗して、ジズが変わった姿は。

 ――鋭い歯を持つ大型肉食魚、ゴライアス・タイガーフィッシュ。

 尻尾をびちびちさせながら、槍攻撃に対抗し、歯でガブガブかじって見せている。心なしかライトアップされたかに見えるドヤ顔の魚の姿が……見えた。
「「「!!?」」」
 周りにいた仲間達も驚きを隠せずにいる者も多いようだ。
 まさか、そんな姿になろうとは……。
 と仲間達が感じた次の瞬間には、もう元の姿に戻っていた。
 どうやら、ケン・レムの力はかなり消耗していたようだ。効果時間も長くはもたなかったようだ。
 ちょっぴり残念そうにも見えるジズだが。
「ははッ、皆に期待されているようだ。最後まで派手にやらなければな」
「うるさい!! もう一度……今度は逃さないよっ!!」
 しかし、僅かにジズの方が早かった。
「『ケン・レム』……この地の言葉で『勇敢な魚』か。その名に恥じない戦いぶりだった」
 ジズはその手に持つ武器に鷹のジン「ケレイ」を憑依させる。と、同時に光を纏い、高貴な槍を生み出した。曙光の戟(アサヒノホコ)だ。
「さらばだ、流槍のケン・レム!」
「うああああああああああっ!!!!」
 その光の槍を避けることができなかった。あの激しい激流さえも貫き、ケン・レムの心臓を貫いたのだ。
「……くそ、ヤキが回った、か……」
 苦笑を浮かべながら、ケン・レムは激しい濁流と共に、その身を消し去ったのだった。

 数多くのディアボロス達がこの戦いに参加した。
 敵の最後を見届けた後、彼らはそれぞれ、手を取り合い、笑顔で戻っていく。
「んふふ、楽しかったねぇ」
「さあ、帰ろう」
 残ったのは、静かになった街と川のせせらぎだけ。
 もう、あの惨劇は、二度と起こらないだろう……。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】がLV3になった!
【トラップ生成】がLV5になった!

最終結果:成功

完成日2023年05月17日
宿敵 『流槍のケン・レム』を撃破!