リプレイ
桑原・雫
共同プレイング
↪︎リコレット・ルナリシア(g00260)
オラトリオの妹「ユリ」と「リコちゃん」と明るくお喋りしながら共に調査
捜査範囲は、周囲をぐるりと回って
雫「オベリスクといえば、古代エジプトが元だよな。
神殿とかにさ立てられた記念碑(モニュメント)、こんなとこにあるんだな。」
ユリ「雫お姉様。わたくし知ってますわ!ゲームではよく過去に飛んだりする不思議なモニュメントだと。」
雫「不思議な力があるんだな。」
会話をしながらもどこか起動スイッチがないか探しながら
リコちゃんがとんでも無い事を言ったら「ねえよ!」とツッコミいれながら【書物解読】で関連する新聞記事や資料を調べながらじっくりと調査を行います。
リコレット・ルナリシア
共同プレイング
↪︎ 桑原・雫(g05979)
リコレットの巨獣大陸ゴンドワナの調査動機は、巨大な敵との対峙
新たなる冒険を夢見て明るい気分で調査に取り掛かる
リコ「起動するには、操作方法を知らないといけないね。
操作ボタンはどこにあるのかな、光るものを中心に探してみよう。」
起動前のオベリスクを触り、操作できそうなものがあれば【操作会得】を扱い、起動できる状態までもっていく
成功した場合は起動マニュアルを作成してディアボロスが誰でも閲覧できる報告書を作って提出します。
リコ「新宿島には、こんなものまで流れ着いてくるんだね。
もしかして、宇宙戦艦のパーツとか流れてたりしない?」
大きな生物の世界、気になるなぁ…。
弐伊原・祈織
フム…最終人類史はつくづく便利だな
使う残留効果は…書物解読に未来予測、操作会得に強運の加護、託されし願いといった所か
後は設備や装置等を用いてオベリスクの解析や調査を行うのもいいだろう
考古学の調査機材や機械等の工学用の機器を用いて測定を行い、反応等を見る
そこから測定されたデータから安全が確保・確認されたら技術者等を招集して意見等を貰って解析を進めよう
節分で地獄変のエネルギーが溜まっていて良かったな
仮に地獄変のエネルギーが必要なら、奪還戦のバリアが全日稼働できる範囲内で供給する
さて、これで起動できると良いのだが……
フルルズン・イスルーン
時間無制限。信仰エネルギーに他代替の当てはある。
なら失敗はないさ。繋がる時間に気を付けたいくらい。
本来は七本ある内の一本のはずだから、いきなり巨獣が出てくる程のは空かないとは思うけど。
じゃ、それっぽい儀式の準備やろうか。オーメン・ゴーレム。
これより拠点構築で簡易神殿の設営を行う!
重要なのは、この儀式をやると起動しそうという感覚。
今回は遠見だから、目をモチーフにしたアートで飾り付けをしようか。
エジプトの伝承知識や魔術知識で補正掛ける。雰囲気は大事。
同文化圏の人にも手伝ってもらうのだ。
一応何か反応あるかもだし、
アブ・シンベル神殿で巨大神像を整備した時のパーツなり資料なりがあれば用意しようね。
クィト・メリトモナカアイス
たぶん! 第一回! でぃあぼろすちゃんねるー。わーわー。
この配信は。
港区に唐突に現れたオベリスクを起動するべく、皆の力を借りるためになんか動画サイトを使って行われている。
たぶん我より視聴者の皆の方が詳しいので細かいことは割愛。
「地獄変」を使えばたぶん起動するけれど、あれは大きな戦いで新宿島を守るためのものなので……
というわけで解説。
このオベリスクは南アフリカに陣取る巨大な獣たちのいるディヴィジョンに繋がっている。
そこでは民は巨大な獣にただ蹂躙されるだけの存在と聞く。
獣が人の歴史を奪い、土地を奪い、蹂躙する。
それを許せぬものは、港区に怒りのぱわーを送って欲しい。
それが門を開く力となる……たぶん。
イシュア・アルミゴス
時間がいくらでもあるっていうのはいいね。残留効果も使い放題なんて
ここは天国?新宿?あぁ、そう…
まずは操作会得で調査。これで方法が分かればお仕事終了宴会開始だけど
…うんまあ知ってたよ?一応、ね?それじゃあ信仰パワーチャレンジするか!
あんまり人数集めて変に動いても困るし少人数でまずはオベリスクに祈る
次に新宿島、ディアボロス、日本の神、エジプト神と対象を変えてそれぞれ
だいたい30分位祈ってみて反応を観察。
地獄変のエネルギーばっか使っていざって時に使えないと困るからね。
祈る対象を変えながら探ってみるか。
簡易的な神殿とか作った方がいい?その方が雰囲気、あるしね!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
引き続き調査……だな
オベリスクとの付き合いも長いが、そろそろ詳細を掴みたい
まずは限定起動のエネルギーだな
地獄変を用いるが、こちらも貴重
地獄変から起動実験に「必要なだけ」のエネルギーを、少しずつ段階的に注げるかを試そう
同時に、新宿の技術者の方々に、観測器材をもって「門」の性質の解析を頼みたい
オベリスクにどんな現象が起きるか
科学分野…電磁波や電波などから読み解ける性質はないかな
以前ルクソールや各地で入手したデータの解析も聞きたい
地道に実験と観測を繰り返し、分析から
門を操るための鍵、影響を及ぼす範囲や
新宿島に悪影響がないかを調べたい
鍵のようなものはないか?
「垣間見たい」と命じてみるか
強運の加護も活用
一里塚・燐寧
んー、あたしが気になってるのはオベリスクに書いてある文字なんだよねぇ
もし説明書きだったらそれ読むのが一番早いじゃん
ま、古代エジプト語じゃなくて、丸っきり捏造のクロノヴェーダ語なのかもだけどさぁ
それでも「言語」としてちゃんと機能してるなら、法則性があったりしなぁい?
そーだ。文字を全文撮影した上で、技術者さんに頼んで画像を解析し、欠けている部分があれば補ったり
奪還済地域の大学に勤めてる言語学者・エジプト学者さんに見せたりしたら、何か分かったりしないかなぁ?
あたし達復讐者だって、別に万能じゃない
逆にふつーの人でも凄いことができる人たちは沢山いる
時間がたっぷりあるなら、みんなの力を借りて総力戦だよぉ!
クーガ・ゾハル
ジゴクヘン、の力は
大事なときに、いちおう、のこしておきたいな
エジプトからきたのか、おまえ
似たような字とか、似たようなものは見たことあるが
太陽の下で、もっとピカピカ、してた気がする
【強運の加護】、ちょっとたよりにして
ほってある図を指でなぞったり
キカイの右目から、
エジプトの太陽みたいな、つよい光をあてたり
月のでる、夜まで待ってみたりして
シカケがないか、ヘンカがないか
ちょくせつ手や目でも、しらべてみるぞ
もう、取りもどせないものも、あるが
おれの、ふるさとから来たおまえが
だれかの、たすけになるかも、しれない
……それは、ちょっとうれしいからな
力をかして、みせてほしい
おしえてくれ、おまえと、セカイのこと
逆叉・オルカ
時間の限り研究が許されるとはね。俺個人としては嬉しい限りだ。
起動させて他世界を見たいと提案した甲斐があったのかな。無論、良い結果となるかはこれから決まるのだろうが。
研究者や残留効果を利用しながら、ヒエログリフの解読をするのはもちろんとして。
俺は「使用した形跡の特に強いところ」がないか探してみようかな。
操作パネルやリモコンに該当する部分かも知れない。1番すり減ってる箇所は起動ボタンかな?
起動→ゴンドワナ世界を覗く→転送する、と段階を踏むかと思ったんだが…
あとは奪還戦のドラゴンの様子を思い出すと
起動には時間や太陽も関係あるかも知れないね
エネルギーも段階的に注ぐ必要があるのかな
休憩とるのも忘れずにね
レイア・パーガトリー
この間の続きね!
さきに調査したときの画像もあるし
資料をお取り寄せして【書物解読】で挑んだり
逆に奪還したエジプト現地の有識者に意見を募るのもいいかしら?
文脈に対して直感的に意図を見出せるのはやはり母語話者の強みだと思うわ
地獄変のパワーは節分で溜まったのを少しお借りしたいわね
力の注ぎ方がある程度形となって解釈できるまでは
無駄遣いの可能性を避けて温存したほうがいいかしら
さらに各種センサーをお借りして、人間に感知できない音波や微細振動
見ててもなかなか気づかないアハ体験的な色調変化など
オベリスク自体がこちらの働きかけに対して
何か反応を示しているかどうかを確実に察知しましょ
文明の利器、すごいわね…!
●下準備、そして信仰と操作会得について
「たぶん! 第一回! でぃあぼろすちゃんねるー!」
わーわー。
新宿島の動画配信サービスを通じて始まったのは、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)によるオベリスク再起動配信である。港区に突如現れたこの巨大な物体について、疑問に思う者も多かっただろう、ということでその辺りの説明と一緒に、皆の手を借りようという試みだ。
「このオベリスクは南アフリカに陣取る巨大な獣たちのいるディヴィジョンに繋がっている」
勿体ぶるように一拍置いて、クィトは語る。
「そこでは民は巨大な獣にただ蹂躙されるだけの存在と聞く。
獣が人の歴史を奪い、土地を奪い、蹂躙する。それを許せぬものは、港区に怒りのぱわーを送って欲しい」
それが門を開く力となる……たぶん。
そんな文句で、とりあえず出だしの解説を終わらせた。これでエネルギーが充填できる感じはあんまりしないが、少しでも足しになるなら儲けもの。
一応先日の調査で、『地獄変』のエネルギーを使えば起動できそうだということはわかっている。しかしながら、あれは大きな戦いで新宿島を守る際にも使われるものだ。温存できるのならそれに越したことはない。
「地獄変のエネルギーばっか使って、いざって時に使えないと困るからね」
そう同意しながら、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は次なる試み、信仰のエネルギーで代替できないかの実験を始める。そもそもはエジプトのディヴィジョンで、それを糧にして動いていたものだ、同質のエネルギーを供給できれば同じことが出来るはず。
まずはオベリスク、そして新宿島、ディアボロス……祈る対象を次々と変えていく。日本の神にエジプトの神、それに祈ってもダメなら雰囲気作りに簡易的な神殿を組んでみたり、クィトの配信を見ている人に呼び掛けたりと色々試してはみたが。
「反応がない……」
「まあ……知ってたけどさ」
残念そうなクィトに続いて、イシュアが溜息を吐く。
「この程度の祈りでエネルギーを集められるなら、クロノヴェーダだって信仰を集め放題だからね」
残念ながらこの辺りは空振り、とはいえ『できない』という事実をはっきりさせるのも調査の内。貴重な情報である。
「時間がいくらでもあるっていうのはいいね。残留効果も使い放題だし」
そう、この程度の空振りならいくらでも取り返しがつく。それが新宿島のいいところだ。
「それじゃついでに、これも一応試しとくか」
残留効果の話も出たところで、イシュアは『操作会得』の力に頼ってオベリスクの使い方を調査する。これで方法が分かればお仕事終了宴会開始。万々歳である。結果はまあ、イシュアの予想通りだったが。
「ダメかー」
「クロノ・オブジェクトだからなあ」
製作者がクロノヴェーダである以上、その残留思念に働きかけることは不可能――そういうことだ。
クィトとイシュアは揃って悩まし気に眉を寄せる。どうやら、まだまだ先は長そうである。
『祈り』の実験がされている内に、桑原・雫(幽銃のシズク・g05979)とリコレット・ルナリシア(藍色の君【泣き虫リコレット】・g00260)は、オラトリオのユリを連れて周囲を調査していた。
「オベリスクといえば、古代エジプトが元だよな」
聳え立つ尖塔を見上げて雫が言う。一般的には神殿等に建てられた記念碑のはずなのだが、それがこんな街中にあるのは奇妙な光景ではある。
「雫お姉様。わたくし知ってますわ! ゲームではよく過去に飛んだりする不思議なモニュメントだと」
「不思議な力があるんだな」
奇しくも、目の前にあるそれもまたゲームによくある類の力を持っている。『巨獣大陸ゴンドワナ』への転移門……とはいえ、今問題になっているのはその使い方の方だ。
「起動するには、操作方法を知らないといけないね。操作ボタンはどこにあるのかな?」
首を傾げつつ、リコレットは操作会得の効果を頼りにオベリスクに触れてみる。しかしながら、クロノ・オブジェクトたるそれからは冷たい感触が返るばかりで、何の直感も湧いてこない。この残留効果では意味がないのだろう。
落胆しつつも、周囲をぐるりと一周。探ってはみたが、見た目上起動スイッチに当たるようなものは発見できなかった。わかりやすいものがあるなら一次調査で発見されているだろうから、この辺りは再確認の意味合いが強いか。
「光るものとか目印があれば手掛かりにできたんだけど……」
とっかかりすらないとなると、この先の調査もまた難航しそうな気配がしてくる。
「起動成功したら、マニュアル化しておいた方が良いかな?」
「そうだな……そんな風に、皆が使える日が来るといいな」
雫の相槌に対して、リコレットは溜息を一つ。
「それにしても、新宿島にはこんなものまで流れ着いてくるんだね。もしかして、宇宙戦艦のパーツとか流れてたりしない?」
「ねえよ!」
軽口を叩きながら一時離れて、彼女等は世界史におけるオベリスク関連の資料を紐解き始めた。
●専門家の協力による各種解析と、ヒエログリフ解読
「オベリスクとの付き合いも長いが、そろそろ詳細を掴みたいところだな」
引き続きの調査に当たって、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)がそう呟く。今のところとっかかりすら見えていないのが懸念点と言えなくもないが、エネルギーを供給すればまた新たな知見は得られるのではないだろうか。
「残留効果も生かしていくか……最終人類史はつくづく便利だな」
弐伊原・祈織(黒白二元剣術流祖・『二意天双流』・g01487)もまた調査の準備に入る。『強運の加護』で周辺を輝かせれば、不測の事態の保険くらいにはなるだろうか。とはいえ現状では有意な効果が得られそうなのはそれくらいか。
「色々試してみるとして、変化や反応は見逃したくないわよね」
「そうすると使えそうなのは、考古学の調査機材や、工学系の観測機器か」
レイア・パーガトリー(毒棘の竜騎士・g01200)の言葉に祈織が頷く。エトヴァもそれには同意見のようで。
「電波や電磁波あたりから読み取れる情報はないか……と、詳細は技術者の方々に任せよう」
専門外のことをあまり言っていても仕方がない。振動や音波、それら電磁気系の観測を依頼し、三人は新宿島の人々の協力を得ることにした。
オベリスクの周辺に足場が組まれ、様々な機材が運び込まれる。
「文明の利器、すごいわね……!」
レイア達が見守る前で、観測体制が着々と整えられていった。
そうして色々と観測機材が取り付けられていく間に、オベリスクを見上げていた一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が「うーん」と小さく唸る。
「どうかしたの?」
「やっぱり表面に書いてある文字、気になるよねぇ」
レイアの問いにそう答えて、描かれた文様を指さす。場所によっては象形文字のようにも見える。これでまさか意味がない絵柄ということはないだろう。
「もし説明書きだったら、それ読むのが一番早いじゃん」
それは確かにその通り。だが燐寧本人としても、そううまくいくかは懐疑的な面があるようで。
「ま、古代エジプト語とは全然違うのかもしれないけどさぁ」
死者の書の間に描かれていたのも、最終人類史で知られているものとは別物だったという話だ。その可能性も加味すべきだが、どちらにせよやってみなくては始まらない。
「文字を全文撮影した上で、技術者さんとか学者さんに見せたりしたら、何か分かったりしないかなぁ?」
「良いんじゃないかしら。エジプト現地の有識者にも協力を求めたいわね」
専門家ならではの視点というものもあるだろうし、文脈に対して直感的に意図を見出せるのは母語話者の強み。一次調査の時の画像もあったわよね、とレイアが協力打診の準備を行う。
「これもある意味総力戦だよねぇ」
ディアボロスとて万能と言うわけではない。逆に『普通の人』の中にも凄いことができる人たちは沢山いるのだと、燐寧は頷く。今回の件は、それを実感できるいい機会なのかもしれない。
「節分で地獄変のエネルギーが溜まっていて良かったな」
「そうね。少しだけお借りしましょ」
機材のセッティングが終わったという報告を受けて、祈織とレイアが頷く。貴重なエネルギーである、温存できるのならしておきたい、というのは皆の共通認識だが、必要な場面で出し惜しみしてもそれはそれで溜めた意味がないとも言える。
「とりあえず、少しずつ段階的に注げるかを試してみよう」
何にせよ最低限の消費で済むように、エトヴァの合図を皮切りにエネルギーが少しずつ供給されていった。
「さて、これで起動できると良いのだが……」
「どうだろう、何か反応があるか?」
オベリスクの様子を見守る祈織の横で、エトヴァが仲間達に問う。
「今のところは特に……」
首を横に振ったレイアは、観測に当たっている技術者達の方にも目を向けるが、そちらに目立った動きがないことが結果を物語っていた。
「とてもゆっくり変化してたりとか、そういうのもないのかしら」
いわゆるアハ体験みたいな。そう可能性を提示してみる。時間軸で並べたデータを俯瞰してみれば、何かしらの回答は出るだろうか。
「何にせよ、地道にいくしかなさそうだな」
エトヴァがそう呟く。実際各種計測にはかなりの時間を要し、その膨大なデータをまとめるにはさらなる時間と手間が必要だ。しかしながら計測を担当した技術者達の所感として、一次報告は『各数値は当初予測された通常値の範囲内に収まっているようだ』というものだった。これから詳細な解析結果が上がってくるだろうが、『特記すべき有意的な何かは観測されなかった』と見るべきだろう。
そして、それらの結果を待っている間に、燐寧の方にはオベリスク表面の紋様についての解析結果が届けられた。
刻まれた文様の中には象形文字なども混ざっており、古代エジプト語に通じるものがあったらしい。
「へー、丸っきり捏造のクロノヴェーダ語ってわけじゃないんだねぇ」
「解読結果も出てるの?」
すごいわね、と言いながらレイアがそちらに目を通す。さすがに分量が多すぎるのもあり、全ての翻訳結果が載っていたわけではないが、ざっくりと言うなら『ファラオやエンネアドを讃える文言が多い』とのことだ。
「えぇ……? わざわざ自分達を讃える言葉を書いたのぉ?」
さすがにそれはひくよぉ。呆れた様子の燐寧とレイアが報告を目で追っていくと。
「クロノヴェーダが書いたわけではないのかも」
古代エジプト文字に通じるその部分は、そのディヴィジョンの一般人が彫ったものなのでは? 専門家側からもそんな見解が挙げられている。
これまでの戦いにおいてもクロノ・オブジェクトは何らかの力で守護されていることが多かったが、少なくとも現状、このオベリスクに関してはそうではないらしい、ということはその後の調査ですぐに判明する。一般人にも彫刻が可能であったように、今も表面を削ることもできるし、扱いを誤れば破損してしまう可能性もあるだろう。
「それにしても、なんでこんなもの彫ったのかなぁ?」
このオベリスクは『なんらかの魔術的回路を形成している』と想定される。文字の刻まれたこの表面部分も、無関係であるとは考え辛い。
「魔術回路を安定させるとか、増幅させるとか……」
「クロノ・オブジェクトの質を高めてる、みたいな感じぃ……?」
当初の想定とは違い、起動の手がかりにはならなかったが、オベリスクの理解を深める貴重な情報を得ることはできた。
●起動のための試行錯誤
「時間の限り研究が許されるとはね。俺個人としては嬉しい限りだ」
「エネルギーも供給自体はできてるんだっけ? なら少なくとも失敗はないよね」
逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)の言葉に、フルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)がそう続ける。空振りとて無駄にはならない、これはそういう挑戦だ。
「本来は七本ある内の一本なんだよね。だったら、いきなり巨獣が出てくる程のは空かないとは思うけど……」
「どうかな、それぞれ別の場所への転移を担ってる、なんてこともないとは言えない」
まあ、どちらにせよ転移門を開くまでには段階を踏む……ような気がする。きちんとした保証があるわけではないが、「見たい」と言い出した者が尻込みしているわけにはいかないだろう。
「しかし、このヒエログリフが『ファラオやエンネアドを讃える言葉』だったとは……」
貴重な情報だが、オルカにとっては少々目算が外れた面はある。意味がある文章だとすると、この文字列がパソコンのキーボードやタッチパネルのようなものである可能性は低い。これが操作盤の類であれば、『触れられたことが多い箇所』など調査の方法も増えたのだが。
「擦り減り方から目算を立てるのは無理そうだな……」
よくよく観察はしてみるが、彫られた文字のほか、目立った変化は見られない。
「似たような字とか、似たようなものは見たことあるが、太陽の下で、もっとピカピカ、してた気がする」
クーガ・ゾハル(墓守・g05079)のその提案に、「なるほど」とオルカが頷く。
「奪還戦のドラゴンの様子を思い出すと、起動には時間や太陽も関係あるかも知れないね」
起動にあたって周辺条件があるという可能性もあるだろう。不測の事故に備えて『強運の加護』を纏いつつ、クーガはオベリスクの表面に触れる。彼の故郷、砂漠の風に晒されていたそれは、どこかなめらかな手触りを返してくる。
「まずは、光か」
エジプトを照らす太陽のように。機械化した右目から眩い光を照射し、反応を見る。輝きを返したり、それで仕掛けが動いたりといった気配は感じられないが。
「月の光……は、夜にならないと、無理か?」
「じゃ、こっちはそれっぽい儀式の準備やろうか。オーメン・ゴーレム」
「ぎ、儀式……?」
なんで? と聞きたくなるがそこはそれだ。クーガ達が条件を探る様子見に入ったところで、フルルズンは縁起物っぽい形のゴーレムを引き連れ、儀式会場の設営に入った。
「重要なのはこの儀式でいけるという感覚さ」
ぶっちゃけた話根拠はないが、信じる心は大事である。だって獣神王朝では信仰エネルギーで動いてたはずだもの。
というわけで今回は遠見、目をモチーフにしたアートで周辺に簡易神殿的なものを形作る。本格的な雰囲気を出すべくエジプト関係の人々に助言を求め、協力を得ながら場を整え――。
やがて日が落ち、月が上る。その静かな光の下でも、オベリスクには変化が見られない。
現状では、オベリスクの起動に日照や時刻が関係がある、という事実は立証されなかった。だが、関係ない事を証明することもできていない、今のところは不明と言わざるを得ないだろう。
仕方が無いか、と思いつつ、クーガは月の下に聳えるその姿を眺める。エジプトのディヴィジョンから来た、と考えれば、このオベリスクは同胞とも言える。
時は過ぎ、もう取り戻せないものもあるけれど、何の因果か自分とこいつはこの新宿島に流れ着いた。故郷から来たこいつが、誰かの助けになるかもしれないと思うと、少しくすぐったいような気持ちになるもので。
「力をかして、みせてほしい。おしえてくれ、おまえと、セカイのこと」
真摯な言葉に返ってきたのは、しかし沈黙だけ。変化のないその様子に、クーガは残念そうに溜息を吐いた。
しかし、とそれを見ていたオルカは思考する。クーガにそんな意識があったかはわからないが、手動で操作した形跡が見られない以上、『言葉』によって操作する、音声認識のような機能があってもおかしくない。アプローチとしてはそう間違ってはいないだろう。これも飽くまで可能性だが、反応がなかったのは条件が整っていないため、という見方もできるか。
一方、フルルズンのやっている謎の儀式も佳境を迎えたようだ。
目覚めたまえ、力を示したまえ。周りに火を焚くやら何やらしながら呼び掛けてはいたが。
「ちょっとくらい反応してくれてもよくない……?」
ダメだったらしい。疲労の滲む声に対し、オルカはそろそろ休憩してはどうかと申し出た。
「まあ、そう簡単にはいかないよな」
「わかってるけどさぁ……」
オルカの呟きに、フルルズンが渋面を作る。
「手掛かりがないんだから、何でも試してみるしかないよね?」
砂上船は破損部を補修すれば動いた。巨大神像は機構を連想できるパーツと整備器具があった。だが今回のオベリスクについてはその手のとっかかりが未だにない。当てずっぽうのアプローチになってしまうのは当然の流れと言えるだろう。
これまでの経験を踏まえた彼女の言葉に、オルカと、それからエトヴァは同意するように頷く。彼女の言っていることは至極正しい。
試しにエトヴァも「垣間見たい」などと都合の良い命令を口にしてみるが、反応は見られない――もしくは測定誤差に紛れる程度のものしか得られない。
今回は終始この調子。時間制限がないとはいえ、これでは。溜息と共に、エトヴァが呟く。
「何か、鍵のようなものはないのか?」
「鍵が……無い……?」
ある種それは決定的な一言だった。エトヴァのそれを聞いたディアボロス達の頭に浮かんだのは、その名の通りの残留効果。
動くことはわかっている、だがそこに至る解法がわからない構造物――これは一種のパズルと見做すことができないだろうか。
それは、調査を重ね、様々な手法を試したことで辿り着いた一つの案。
オベリスクを無理矢理起動状態に持っていくだけならば、『無鍵空間』が使えるのでは……?
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【書物解読】LV1が発生!
【操作会得】LV2が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【強運の加護】LV3が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【飛翔】LV2が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダブル】LV2が発生!
【アヴォイド】LV2が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【グロリアス】LV4が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
●持久戦
早速効果を試したディアボロス達は、およそ六分ほどでオベリスクを活性状態に持っていくことに成功する。
ただし、それはこの巨大なオベリスクの内の、ほんの小さな一部分に過ぎなかった。
つまり、最大レベルの無鍵空間で六分かけて、一度の効果で正解を導き出せるのはオベリスクの内の一ヶ所のみ。微々たる前進にも見えるが、しかしこれは大きな一歩である。影も形も実現性も見えない『正しい起動手段』を探すのに対し、不格好にせよこの方法を繰り返せば、いつかは必ず起動するのだから。
新宿島という地の利を生かした持久戦は、ここで新たな段階に入る。
文字の刻まれた表面を削る、逆に補修する、楔を打ち込む、念じる語りかける儀式を行う――とにかく多人数で並行して様々な方法を試し、無鍵空間で一部分ずつ起動状態に持っていくのだ。作業はディアボロスの手で行う必要があるが、工程把握をはじめとした技術者達のサポートがあればより確実だろう。
邪魔は入らず、人員は豊富で時間無制限。遠くはあるが、こうして限定起動までの道は示された。
逆叉・オルカ
無鍵空間は盲点だったなぁ…。
まぁ、見つかったならあとは地獄の挑戦タイムかな。
無鍵空間を駆使しながらコツコツやっていこう。
手がかりに感じたのは「音による操作」。
せっかく解読してもらったヒエログリフを読み上げたり、そこに関連する言葉(王や神の名前など)などがないか専門家と調べたりしてみよう。発音の中にキーワードがあると思う。
必要なら文字の修理を行うが、溟海残響でも脆い部分や不自然な所を看破してからやるよ。
神像修理時の蠍型機械みたいに魔力回路を視認できたら良いのだけど。回路の位置も特定できないかな?
転送しない程度の手加減がどれほどかわからん
持久戦でも楽しみながらやろうかね
モ助のもふもふがとても癒し
フルルズン・イスルーン
ディヴィジョンに過去居たと思しきディアボロスの効果が、妙に性能が良かったりするなぁとは思ってたけども。
理解が進んでないのも大きいのかもねぇ。
ま、今は行動の前と後に【無鍵空間】をつけるのだ!
飛べぃ、コフィン・ゴーレム!
エンネアドは飛べるんだから、上の方になにかあるかもしれない。
というか人手が多くいるなら立体的に調べられた方が良かろうなのだ。
はい【フライトドローン】
安定した足場に乗った方が調べやすいでしょ。
んー、巨大神像はテンションを上げるとエネルギーになったっけ。
「ゴーレムくんが将来行く未踏の地の光景を見せよー!」
と念じたり叫びながら反応調べようかな。
ついでに簡易神殿の増築だ。こっちは趣味。
クーガ・ゾハル
トビラは、カギでひらく
ん、これはナルホドだな
てわけして、しらべてみよう
おれはガクとか、ないから
【操作会得】や【書物解読】かりつつ
センモンカのヒトたちに、きかないとな
オベリスクも、ちょっとねぎらっておこう
たくさんつっつかれて、おまえもタイヘンだろうけど
よろしくたのむ
オヤツのクッキーもあるぞ
さっきとちがう中で同じように、光や
それから、あんまり、たくさん知らないが
エジプトのことばで呼びかけてみよう
ほってあったものや、アイサツ
ひらけ、見せてくれって、たのみ事まで
あとは、なんか、すごくあつくなったから
こんどは【水源】やってみようか
これサバクに、ほしかったやつだ
あのころのことも、見られると、いいのにな
イシュア・アルミゴス
無鍵…鍵?鍵…鍵!?
クロノオブジェクトむっずかしいなぁ
さてさてどうしよっかこれ?
どう操作するか結局試していくしかないんだよね?
神像はコード体に刺してたけどそんなコード無いし
言葉か祈りか…。両方試すか!
オベリスクよ、巨獣大陸ゴンドワナの風景を映し出せ!
…どう?なんか変わった?
これで変化がなかったらあとは、んー…彫るか。
見てるだけじゃもう分かんないし
少し彫って修復加速を使って治しながら色々と、ね?
試しにクフ王を称える文字でも、と
これで何か変化見れたら最高なんだけど、どうかな?
オベリスクさん的にもそろそろ本領発揮したくない?
一里塚・燐寧
む、【無鍵空間】……!?
ぶっちゃけかなりのヘタレ残留効果だと思ってたんだけど、こんな使い道があるとはねぇ
よーしっ。無鍵くんの晴れ舞台に花を添えられるよう、キリキリ働くよぉ
オベリスクの文字について調べたわけだし、引き続き文字絡みでチャレンジしてみよっか
まずオベリスクの表面を新宿島に存在する素材で修復が可能かどうかを専門家に確認するよぉ
あと【修復加速】【建物復元】が効くかも試しておこう
文字を修復できる用意を整えた上で
ファラオやエンネアドを称える文言からそれらの名前を消し、ディアボロスを称える内容に変えちゃうよぉ
自画自賛ってゆーのも何ともだけど、物は試しだからねぇ
これで従ってくれりゃあ楽なんだけどっ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ◎
『鍵』を探して、逆転の発見か
良かった。大きな一歩だ……ようやくだな
限定起動を目指す
微々たる前進、大いに結構だ
【無鍵空間】を重ね、活性状態の部分を広げていく
技術者達とは逐一データと意見交換
どのくらいの体積で「起動の臨界点」を超えるか
部分的な活性か、全体活性が必要か
高所は飛翔で
巨大神像の整備の道具があれば試そう
サソリ型テスターはいけそう?
鍵のピラミッドはどうかな
エネルギー供給は、起動の反応が出るまで注いで……
反応後は一旦維持し、発動規模の調整に入りたい
神像は鍵と「感情の昂り」で起動したんだ
感情的な言葉を……強い意志を……ぶつけてみるか
開け、小さな門
巨獣の国へ
過去と、未来のための一歩を
●無鍵空間
時間をかけて、試行錯誤したものの、ディアボロス達はこのオベリスクの仕組を解き明かすどころか、そのきっかけさえ掴むことは出来なかった。思い付くところを一通り試してこの結果なのだから、少なくとも今は、決定的な何かが足りないか、そもそも現在の技術では解析不可能であると結論付けるしかないだろう。
だが様々な調査を重ねたところで、活路を開いたのが、まさかの無鍵空間である。
「いや、盲点だったな……」
これは思いつかなかった、と逆叉・オルカ(オルキヌスの語り部・g00294)が唸る。言われてみれば、という気もしないではないが。
「トビラは、カギでひらく。――ん、これはナルホドだな」
「ナルホド、でいいのかこれ?」
うんうん、と頷くクーガ・ゾハル(墓守・g05079)の言葉にに、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)がいまいち釈然としないような表情を浮かべる。これを鍵と解釈して良いものか。だがまぁ効いてしまったものは仕方がない、クロノ・オブジェクトはモノによって違い過ぎて一貫した手段が取りづらいのが悩ましいなと溜息が出てしまう。
「逆転の発想、と言うべきだろうか……」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)がそう続ける。先程までの調査は『鍵を探す』方向に注力していたが、まさか鍵が無くても大丈夫な方法に行き着くことになろうとは。
「ぶっちゃけかなりのヘタレ残留効果だと思ってたんだけど、こんな使い道があるとはねぇ」
「理解が進んでないのも大きいのかもねぇ」
一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)とフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)がしみじみと呟く。酷い言い草だが概ね事実なので仕方がない。こうして隠れていた活用法がわかってもなお、使いどころが限られ過ぎているきらいはあるが、とにかく。
「さてさて、どうしよっかこれ?」
感心してばかりもいられない。先へと進むべくイシュアがそう話を振る。
「まあ、コツコツやっていくしかないだろうな」
「微々たる前進、大いに結構だ。一歩ずつ限定起動を目指していこう」
オルカとエトヴァの答えに、「やっぱりか」と頷いて。
「どう操作するか、結局試していくしかないんだよね?」
ディアボロスがこれまで鹵獲してきた他のクロノ・オブジェクトと違い、取っ掛かりのヒントがないのが難点ではある。しかし影も見えない『真なる回答』を狙う必要はもはやないのだ。
調査は終わり、画期的な方法だの目の覚めるアイデアだのは不要になった。とにかく思い付くまま手を動かすのがここからの戦いだ。
「よーしっ。無鍵くんの晴れ舞台に花を添えられるよう、キリキリ働くよぉ」
「今は行動の前と後に【無鍵空間】をつけるのだー!」
燐寧とフルルズンの声を皮切りに、各々手分けしての起動作業が始まった。
「せっかくオベリスクの文字について調べたわけだし、あたしは引き続き、文字絡みでチャレンジしてみよっかなぁ」
ということで、燐寧は早速新宿島の技術者達に相談する。当然完全な修復とはいかないが、文字を埋めたり彫ったりという行為に関しては、彫刻の要領で何とかなりそうである。
今度は翻訳チームの協力を得て、燐寧は刻まれた文字の一角を指でなぞる。先の調査で、この辺りはファラオやエンネアドを讃える文言だとわかっている。
「ここからファラオとエンネアドの名前を消して、ディアボロスを称える内容に変えちゃうよぉ」
言いつつ、該当する文字を埋めてしまう。一般人の書いたこれらの文言にも意味があるというのなら、その対象をずらすことができないだろうか、という試みだ。「これで言うことを聞いてくれりゃあ楽なんだけど」と呟いて――。
「あ、『ディアボロス』ってどうやって書くのぉ?」
「えっ……わかんないです……」
翻訳チームは飽くまで古代文字の意味を読み解くだけであり、ここに無い文字を作り出すことは出来ないようだ。
「カタカナで通じるかなぁ……?」
「さあ……?」
だがまあ、無鍵空間の影響下ならば『やってみる』ことが大事だ。
実際に、色々と悩みながら文字を刻んでいた燐寧が、チェーンソーの生えた恐竜みたいな象形文字を捏造しだした辺りで、オベリスクの一部が薄く光り始めた。
「えっ、冗談だったんだけどぉ……」
起動しちゃったらこの文字迂闊に消せないじゃない。
とにかく、さらに活性状態の場所を増やすべく、燐寧は次の文字列へと取り掛かっていった。
一方では、イシュアがアプローチの方法を吟味している。「何でも試してみれば良い」となると困るのもまた事実。
「言葉か祈りか……。いや、両方試すか!」
先程の調査ではエネルギーに変えられなかった祈りではあるが。
「オベリスクよ、巨獣大陸ゴンドワナの風景を映し出せ!」
精一杯の祈りを込めて、高らかにそう命令する。
「……どう? なんか変わった?」
が、見た感じ何も変化がない。このまま祈りの対象を変えるとか、呼び掛ける言葉を変えるとかしてみても良いが、何かそれでは先程の調査の繰り返しになってしまうような気がする。
「んー……彫るか」
見てるだけでわかることがあるならとっくに判明しているはず。こうなったら物理である。
「えーっと、何が書いてあるんだっけ……?」
かつての知識と新宿島翻訳班の力も借りて、文字を付け加えては埋めてを繰り返し、実験的に表面を書き換えていく。
試しにクフ王を称える文言でも足してみるか、と空白部に文字を刻んでいたところ、その周辺部がほのかに光を放ち始めた。
「おっ、上手くいった!」
恐らくクフ王の文言というより文字を削った感じが都合よく嵌っただけだろうが、とりあえずはそれで構わないだろう。
「どうかな? オベリスクさん的にもそろそろ本領発揮したくない?」
無言。どうやらまだその気にはなってくれないらしい。とはいえ一歩前進、イシュアもまた次々とオベリスクを活性化に導いていく。
燐寧やイシュアと同じく、クーガもまたオベリスクの起動作業に入っている。彼の場合は作業に自信がないためか、新宿島の技術者達のアドバイスも元にしながらの進行となったが。
「……たくさんつっつかれて、おまえもタイヘンだろう」
手元の周辺が起動状態になったことを確認し、彼は労うようにオベリスクを撫でる。
「だけど、よろしくたのむ」
オヤツのクッキーもあるが食べるか? クロノ・オブジェクトの概念を彼なりに消化したのが、この接し方なのだろう、クーガは生物に対するようにそう呼び掛けながら、次の部位の起動作業に取り掛かった。
調査時と同様に光を浴びせかけ、エジプトの言葉で語りかける。彼としてはやっていることは変わらないのだが、無鍵空間の中でのそれは、一定時間で成果を上げていく。
「はじめまして」からスタートして時節の挨拶やご機嫌窺い、彫ってあった単語に文章、果ては「開け」、「見せてくれ」と頼み事まで。とはいえあまり語彙の豊富でないクーガの言葉は、やがて詰まり気味になってきていた。
うーむ、としばし眉根を寄せてから、クーガは軽く頭を振った。
「おまえも、すこしつかれたろう」
休憩だ、と口にして、『水源』の残留効果で周囲に水を流す。
「これサバクに、ほしかったやつだ……」
オベリスクが起動したら、あの頃のことも見られると良いのに。そんなことを考えながら、清水で喉を潤していると。
「……ん?」
水で洗い流されることで、オベリスクの土台部分に何かいい感じの力が働いたのか、根本の一部が光を放ち始めた。
「よしよし、少しゲンキに、なったか」
その辺りにクーガ自身が気付いているかは、ちょっとわからないけれど。
ディアボロス達の尽力により、極めて地道に作業は進んでいる。活性化した部分は全体から見れば僅かなものだが、徐々に進行していく様子は少なくともモチベーションに繋げやすい。
「後は、どの段階で機能し始めるか、だな……」
予測の域はでないが、とにかく、エトヴァは技術者達との情報共有と意見交換に努める。目標としては最初に言っていた通り、向こうの光景を見るだけの『限定起動』である。
「転送しない程度に加減しておきたいよな」
オルカもそれに同意する。正常な手順を踏まないこの無鍵空間による起動法だが、そこに落着できれば理想ではあるだろう。まあ、そんな都合良く進む感じは全くしないのだが。
「神像の時のサソリ型機械みたいに、計測器があればよかったんだけどな」
「現状ではあの『発光』を目印にするしかないか」
オルカの言葉にエトヴァが首肯する。別のクロノ・オブジェクトに使えたあれらの機器が、オベリスクには何の反応も示さないのは既に確認済みだ。
「とにかく、こっちは『音による操作』を試してみよう」
やはりコツコツと地道に行くしかない。オルカは最初の言葉を貫くように、一つ一つ実験的に開錠作業を続けていく。
解読してもらったヒエログリフを読み上げたり、そこに関連する言葉を並べたり。たとえそれが正解のワードでなくとも、発音のどこかが引っ掛かればそれで良いのだ。
王よ、神よ、先祖よ、マミーよ、とにかく色んな語句を並べている内に、やはり六分に一度、鍵は開く。
複数人のディアボロスによる並列作業で活性化範囲は徐々に広がってきている。だが今のところ手付かずなのは、文字通りの意味で手の届かないオベリスクの上部だろうか。
「エンネアドは飛べるんだから、上の方になにかあるかもしれない! 飛べぃ、コフィン・ゴーレム!」
高らかに命じて、船型のそれと共にフルルズンが上へと向かう。さすがにそんな見落としはされてなかったが、三次元的に取り掛かった方が理に適っているのはその通りである。
「俺も手伝おう」
「うん、じゃあこれを足場にするといいよ」
飛翔で上がってきたエトヴァにフライトドローンを提供し、彼女もまた高所の活性化作業に移る。
「んー、巨大神像はテンションを上げるとエネルギーになったっけ」
「ああ、鍵と感情の昂りで起動していた」
「試してみる価値は……」
「あるよな?」
感情的で強い意志を。フルルズンとエトヴァは念じて、願って、最後は口に出して叫んだ。
「ゴーレムくんが将来行く未踏の地の光景を見せよー!」
「開け、小さな門! 巨獣の国へ過去と、未来のための一歩を!」
一連の動きと語句の中の何かが作用し、二人の前にした一部分が、薄く光りを放ち始めた。
●限定起動
以上のような手順を三桁回数繰り返した頃には、オベリスクの8割近くが活性状態になっていた。
「はあ……癒されるな」
モーラットのモ助をもふもふしながら休憩していたオルカの近くでは、フルルズンが調査時の簡易神殿をさらにパワーアップさせている。
「休憩中じゃなかったのか……?」
「こっちは趣味だよ、趣味」
でも微妙に効果がある気がするんだよねぇ、などと言いながら設営を続けていると、何やらオベリスクの光が強くなり始めた。
「んん、なんか……」
「動き出したみたいだねぇ……?」
クーガと燐寧が作業の手を止めて、エトヴァが皆に代わって声を上げる。
「よし、少しずつエネルギーを供給してみよう」
徐々に光が強くなっているような気がする。可能なら、臨界点ぎりぎりで留めたいところ……と、それを見守りながらも、イシュアは思わず時計を確認する。
無鍵空間での作業開始から概ね24時間が経っていた。
「もうこんなに経ってたのか……」
1つの鍵をとくのに6分かかる状態で、複数のディアボロスが調査を行い、かつ、新宿島の技術者のバックアップがある状態でこの時間経過である。
「これは……最終人類史でないと使えない方法だな……?」
「無鍵空間くん……もうちょっと融通利かせらんないかなぁ……?」
まあでも、大活躍ではあったよね、と燐寧が気を取り直した頃合いに、周囲に霧が立ち込め始めた。
「なんか、ちかくにいるとあぶなそう、か?」
「はーいみんな、ちょっと離れてー」
水蒸気、というわけではないらしい、この不可思議な霧の出所がオベリスクだと見て取り、クーガとフルルズンが、技術者を含めた一同を下がらせる。
霧は徐々に深く、濃くなっていく。やがてそこに、巨大な影が浮かび上がった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【修復加速】LV1が発生!
【フライトドローン】LV2が発生!
【水源】LV1が発生!
【通信障害】がLV2になった!
【強運の加護】がLV4になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【ダブル】がLV3になった!
【グロリアス】がLV5(最大)になった!
●霧の向こう
ディアボロス達の尽力により、ついにオベリスクが起動した。
クロノ・オブジェクトを中心に霧が立ち込め始めると、そこに鬱蒼とした緑の重なる、密林が浮かび上がる。見たことのない植物、そして遠くから聞こえるのは巨獣の咆哮だろうか。当初の目算通り、このオベリスクは『巨獣大陸ゴンドワナ』と繋がるものらしい。
意を決して霧の中に踏み込んだディアボロス達は、茫洋とした光景ながら、巨獣大陸を覗き込むことに成功する。
それはまるで、霧の範囲だけ、薄く世界が重なり合ったよう。オベリスクを中心とした狭い範囲ではあるが、霧の中を歩くことで、そこから見える巨獣大陸を疑似的に探索できるだろう。
道が繋がるには至っていないため、出来ることは限られているが――さて、どのようにして、何を探す?
※これ以降の選択肢について、採用数は👑を満たす最小限の人数になります
クィト・メリトモナカアイス
巨獣大陸ゴンドワナ。
かつてクフ王が口にし、奪還戦で目にした巨大な獣たちが住むというその大陸。
そこにあるものとは一体?
その謎を解明するべく、我々はジャングルの奥地へと向かった――
とうわけででぃあぼろすちゃんねる・ぱーとつー!
この配信は皆の協力もあって一部繋がった巨獣大陸ゴンドワナより行われている。
もしかしたら配信はできてないかもだけど、映像や音声を記録に残すのは大事なので録画していく。
というわけでまず取り出したのは世界地図。【スーパーGPS】によりこの地図に今の位置が表示されている。
あとは周囲の動植物の採取をしつつ、霧の範囲内で流れ着いたクロノ・オブジェクトがないか探していこうと思う。やるぞー。
クーガ・ゾハル
でかいケモノの声
ティラノとか、いるだろうか
ワクワクするけど
ちょっとあぶない、ような
キアイ入れなおそう
一回【完全視界】をためして
ダメならナシだ
しらべてみるのは、地面と、いきもののあと
虫、小さいケモノの生きのび方
たべるもの、たべられるもの
こっちのセカイでは
こいつらが始まりと、おわりだから
あしあとや、ホネ、ムクロ、ヒトのコンセキ
ツノやハネ、どんなカタチしてるだろう
どんなやつが生きてるだろう
うつりそうなら、スマホでさつえい
むりなら、ヘタだけどメモにスケッチ
さいごは【過去視の道案内】チョーセン
目的地は、ヒトのくらすところ
どこへ向かうか
ここで生きているやつの、その先の先
とりもどしたいものに、つながればいい
レイア・パーガトリー
す、すごいわね…古代のVRかしら
向こうの存在は此方に干渉できない可能性が高い…のかしら
念のため手近な植物に触れてみて安全を確認しましょ
最終人類史では、ゴンドワナの存在は人類が現れるより昔の
…資料の宝庫みたいなものよね
一方的に安全に観察できる状況であれば生物の生態観察、相互干渉可能なら生物の痕跡を辿って
植物図鑑アプリも活用して
おおよその年代を特定したいわ
巨獣そのものや未知のトループス級の痕跡集めも並行したいわね
足跡や狩りの痕跡、植物の傷等を辿るわ
20mを超すものが動いたら、何かしら残りそうだもの
歴戦そうな中型動物を追ってたみたり
石ころを転がして警戒させ、逃げて行った先で見つかる、とかないかしら…
●第二回配信
巨獣大陸ゴンドワナ。
かつてクフ王が口にし、奪還戦で目にした巨大な獣たちが住むというその大陸。
果たしてそこは今どうなっているのか。何があるのか。
その謎を解明するべく、我々はジャングルの奥地を目指す――。
そんな感じのナレーションを自ら述べて、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は高らかに宣言した。
「というわけで、でぃあぼろすちゃんねる・ぱーとつー! 配信開始!」
この配信は、皆の協力もあって起動したオベリスクから生じた霧の中、なんかわからんけど見えるようになった巨獣大陸ゴンドワナの光景をお伝えしている!
「す、すごいわね……クロノヴェーダ流のVRかしら」
ナレーションを続けるクィトに続いて、霧の中に踏み込んだレイア・パーガトリー(毒棘の竜騎士・g01200)が、周囲に映し出された光景を見回す。深い密林の中に居るように見えるが、どこか茫洋とした植物等に手を伸ばしても、ただただすり抜けるばかり。
つまり、彼女の認識しているように、この光景は立体映像のようなものなのだろう。
「さて、ご覧いただけるだろうか、この巨大な密林を――え? 映ってない??」
「スマホでも、サツエイできないな」
クィトと共にクーガ・ゾハル(墓守・g05079)もその光景を写真に撮ってみるが、撮影できたのは白い霧に包まれた港区の様子のみだった。オベリスクが見せるこの光景は、現状ディアボロスの目にのみ映っているらしい。
配信コンテンツとしてそれはどうよ、としばし眉根を寄せていたクィトだが。
「まあ、実験結果を音声に残すのも重要!」
ということで記録を続行した。それはそう。
●映し出されたもの
改めて霧の中に身を置き、周囲を見回してみると、その密林の深さを実感できることだろう。何しろ一つ一つの植物のサイズがとにかく大きい。エジプト奪還戦で見かけた巨獣たち、あれを育む環境だと考えれば、当然のことなのかもしれないが。
そして、そんな生い茂る緑の中で一際目立つ物体が一つ。
「オベリスクか……」
「でも、さっきまでのとは、ベツジンみたいだ」
クィトとクーガがそれを見上げる。調査を含めると数日間付き合っていただけあり、その造形は見慣れてしまったが、目の前にあるこれは、ディアボロスの刻んだクフ王のくだりやザウルス文字、周囲に作った簡易神殿などの姿が見られない。
「……つまり、『向こう』にもオベリスクがあるのね」
「偶然……ということはなさそうだ」
レイアの呟きにクィトがそう続ける。おそらく、今ゴンドワナに建っているオベリスクは、港区のオベリスクと対になるもの。オベリスクの正常な機能とは、対となる両者の間に『道』を作ることなのかもしれない。
まあ、考察は後で良いだろう、とにかく今は情報を得られるだけ得ておきたい。レイアはまず周囲の植物に着目する。
「最終人類史では、ゴンドワナの存在は人類が現れるより昔……ということになるのかしら?」
ディヴィジョンと化した以上過去の史料扱いはできないのだが、それでも興味深い。巨大な葉を持つそれらを眼で追っていくと、樹木の表面に巨大な傷が付いてるのを発見できた。
「裂け目じゃなくて爪痕よね、これ」
「とおくから、でかいケモノの声もしてる」
やはりこの辺りも巨獣が闊歩しているらしい。よく見れば、下生えの草をまとめて押しつぶしたような足跡や、毟り取られた樹木の形跡がそこらにある。
「ティラノとか、いるだろうか」
どこかわくわくとした内心を滲ませながらクーガが言う。このディヴィジョンに本格的に挑むことになれば、エジプト奪還戦で見たモノ以外の多様な巨獣と相まみえることになるのだろう。
「今のところ近くには居ないようね」
周囲を見回しながらレイアが言う。この映像の感じだと巨獣が居ても安全に観察できそうではあったが、残念と言うべきか、幸いというべきか。
そんなこんなで他のディアボロス達と共に調査に当たっていた彼等だが、期待されていた人間の形跡は、今回の調査範囲には存在しなかった。
「ん? これは、虫……?」
代わりにそのまま木々を観察していたクーガが、幹のある一点を注視しながら呟く。そこに握り拳程度の甲虫が居るようなのだが、茫洋として細部がよく見えない。目をこすってみても変わらない、これは……?
「なんだか、解像度が足りないみたいになってるわね……」
レイアも同じく目を細めてみるが、映像自体がそこまではっきりしていないのだろう、細部を見るには至らなかった。
うーむ、とクィトが頭を悩ませる。
色々と見て回ってはみたが、結局は「現地に踏み込まなければわからない」といったものが多い。やはり、限定起動の『覗き見』で、詳細な情報を求めるのは難しいのかもしれない。
しかしそれならば、足元ばかりに拘らず、もっと大雑把で大きなものを探した方が良いだろうか。
「たとえば、クロノ・オブジェクトとか――」
動ける範囲の霧の中をうろうろしながら、彼女は遠くへと目を遣る。風に揺れる巨大植物、絡み合うそれらの隙間が開けて……その向こう、少し離れた密林の中に、彼女は求めていたものを発見した。
「あーっ! あれは……!!」
記録向けにしっかりタメを作ってから、クィトはそいつの名を呼ぶ。彼女が見間違えるはずもない、彼のエジプトの地で鹵獲し、ディアボロス達の名付けたそれは――。
「――サフィーナ・ミウ! ここに流れ着いていたのかー!!」
砂上船スフィンクス1号機。巨大な獅子を模した船は、何の因果かこの巨獣の棲む地に漂着していた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
●状態遷移
大きな発見をしたものの、まだまだ調査は始まったばかり。
だが調査に当たっていたディアボロス達が、そこで気付く。霧に映し出され、どこか茫洋としていた光景が、徐々に鮮明になってきている。まあ、調査するにあたってはありがたい話だが、空気中に色濃い緑の気配が香るようになったところで、彼等は状況を悟った。
道が繋がりかけている。
オベリスクによる転移門が正常に、完全に繋がれば、自由に行き来できるようになるのだろうか。
しかしそうすると最悪の場合、この港区に巨獣が雪崩れ込み、攻略対象を絞るどころの話ではなくなってしまうのでは?
全ては予測の域を出ないが、少なくとも今回は『覗き見』にとどめる方針だったはずだ。それを完全に逸脱するようなリスクは踏めない。
「止めないと――!」
限定起動から正常起動状態へ。ディアボロスの思惑など関係なく、オベリスクの湛える光は徐々にその強さを増していく。
フルルズン・イスルーン
入らないで様子見ててよかったよコンチクショー!!
こーれだから実用的な芸術は!!
シャッタード・ゴーレム! 簡易神殿の解体の時間だぁー!
オベリスク自体に傷を入れないようにするって言ったらこれだよね!
少なくともリスクを負うのは後回しで、クロノ・オブジェクトではない方が優先だよね!
新宿島の資材や人員を好きに使えるチャンスと思ったらとんだ落とし穴だよ!!
一応優先順位を設ける!
1、魔術的な意匠や"眼"のアートを含む部分を【隔離眼】して非活性化の兆候を観察!
2、時間的に問題なければ【建築物分解】!
3、ダメなら簡易神殿を全部ゴーレムくんで即破壊!
ぷぇー。こうなるならパズルみたくピース分けしとけばよかったのだ。
イシュア・アルミゴス
ちょいちょいちょい!
オベリスク君スロースターターの癖して気合出し過ぎだよ!
そこまで求めてない!
えーとりあえず文字消すか
勿体ないけどこれはもうしょうがないよね
記録は十分取ったし次までお休みってことで
今回刻んだ文字を全て削る
後はえーっと閉じよ?閉鎖!閉じよゴマ!起動終了!
とりあえず終了に関わりそうな事を片っ端から言っていくよ
この神殿、センスはあったけどごめんね!
一回お辞儀してささっとぶっ壊して反応を見る
これで止まらなきゃオベリスク派手に傷つけるしかないんだけど
本格調査するまでこれ以上は難しいか…
向こうから繋がっても怖いし早めに手を打たなきゃな
●緊急停止
「ちょいちょいちょい! オベリスク君スロースターターの癖して気合出し過ぎだよ!」
徐々に強くなるオベリスクの輝きと、濃度を増していく霧。ディヴィジョン間に干渉するそのはたらきに、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)がストップをかける。こちらは向こうを覗き見したいだけだ、道を繋ぐことまで望んではいない。
「えーっと、閉じよ? 閉鎖! 閉じよゴマ! 起動終了!」
だが、命じて止まるようなものなら、そもそも無鍵空間に頼ることにはなっていなかっただろう。
状況の変化に対するディアボロス達の動きは早く、万が一に備えた迎撃の構えが取られ、境界の霧から離れるよう警句が飛ぶ。
速やかに地獄変のエネルギー供給が断たれ、【通信障害】の効果も展開されるが、すぐさま停止するような様子は見られない。
「止まるまでどれくらいかかるんだ……!?」
オベリスクに注がれた分が使い果たされるまでの時間は? 通信障害はオベリスクの機能に対して有効なのか? 答えはどちらも『確認できない』になるだろうか。
とはいえ、24時間がかりの作業に従事してきた者達は、直感的に理解しているだろう。このオベリスクは、些細な条件の積み重ねでこの状態になっている。パラドクスでもぶちこんで表面に大きな傷を付ければ、高い確率で停止させることができるはずだと。
どの程度待ち、どこまで思い切ったことをするか、難しい判断にはなるが。
「しゃーない、とりあえず文字消すか……!」
どうせ削り取るならまずは自分の従事した箇所を。記録にも残してあるし妥当な線だろうとイシュアが動く。
「待った!」
そこに制止をかけたのは、「どうせこんなことだろう」と霧の外で控えていたフルルズン・イスルーン(ザ・ゴーレムクラフター・g00240)だ。
「オベリスク自体に傷を入れる前に、やれることがあるよね!!」
「そうだけど、それは……」
イシュアが言葉を濁すが、もはや迷ってはいられないと意を決し、フルルズンはゴーレムへと指令を飛ばした。
「シャッタード・ゴーレム! 簡易神殿の解体の時間だぁー!」
そう、外付けのこいつなら壊しても惜しくない。建築した彼女自身も冷静にそう判断している。
どの程度解体すれば、とか色々試したいところだが優先順位の第一は新宿島の安全である。最速を目指したゴーレムくんはここまで頑張って作った簡易神殿を解体工具で叩き壊した。
「コンチクショー!!!」
自分でやらせたこととは言え痛みが伴う。新宿島の資材や人員を好きに使える良い機会とばかりに、細部まで凝って作ったモノ達がバラバラと崩れていった。
「まあ……センスあったよこの神殿……」
「ぷぇー。こうなるならパズルみたくピース分けしとけばよかったのだ……」
そしたらすぐに解体して隔離眼とか融通が利いたかもしれないのに。肩を落とした彼女の落胆の対価というべきか、オベリスクの一部――【無鍵空間】の作業時に、その辺の謎儀式の一環で起動していた部分が、一気に光を失った。
活性化部分をいくらか失い、全体としての光もかなり弱ってきているようだが。
「えぇ……これじゃ足りない?」
「後は文字を削るか……!」
クフ王のくだりにエンネアドを讃える語句、恐竜みたいな象形文字は……え、これは後回しにしておいた方が良い? とにかくディアボロスが手を加えた箇所を削り取っていく内に、霧は徐々に薄れていった。
やがてオベリスクの湛える光は消失し、何事もなかったかのように沈黙する。意図せずゴンドワナと繋がってしまうという最悪の事態は、どうにか避けられたようだ。
紆余曲折あったものの、オベリスクの強制起動自体には成功し、目的通り『巨獣大陸ゴンドワナ』の一端を垣間見ることが出来た。結果を見れば、今回のミッションは達成できたと言って良いだろう。
お疲れ様でした、とその場に集ったディアボロス達と、協力してくれた技術者達に労いの声がかけられる。
ようやく落ち着いたところで、一同は、色々と手を加えたオベリスクを見上げて。
「本格的に攻略に踏み出すまで、これ以上は難しいか……」
「そうだねえ……」
当初の方針通りであればこのまましばらく置いておくことになるが、さて。今回の件を踏まえて、彼等は何を選択するのだろうか。
機能停止したオベリスクは、何も語らず、港区の端で沈黙を保っている。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV4になった!