宿縁を断ち切る戦い

 クロノス級クロノヴェーダは「自分の存在を保ったまま、その時代に転移してくる」事もありますが、「その時代の生物や概念などに寄生して転生する」事もあるようです。
 後者の場合、一定期間、転生した生物として成長し、充分に成長した所で覚醒する事で、対象の能力などを奪い、より強い力を得られるようです。

 この事件では、上記の方法でクロノス級に覚醒したクロノス級クロノヴェーダと戦い、決着をつける事になります。
 そのため、宿敵であるクロノス級クロノヴェーダは、自分、或いは、自分に意志を託してくれた過去の時代のディアボロスの血縁者や恋人など、親しい相手の姿をしています。

 クロノス級クロノヴェーダは、覚醒時に『悲劇的な事件を引き起こす』事で、より強い力を得られるため、様々な悲劇を引き起こします。
 ですが、覚醒する前の人格に訴えかける事で、行動を制限したり、クロノヴェーダ撃破後に寄生された対象を救出したりできるかもしれません。

約束(作者 藍鳶カナン
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#宿縁邂逅  #宿縁を断ち切る戦い 


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●約束
 ――私達、ずっと一緒だよね?
 ――ずっと、いつまでも一緒だよ!!

 天高く澄み渡る空はこんなに青いのに、大切な『あの子』と交わした約束が夕陽の最後の煌きみたいに強く眩い光を放ち、底無しの闇に呑み込まれていく心地がした。私の魂も闇に引きずり『堕とされ』、呑み込まれていく気がして。
 なのに、足はさっきまで歩いていた歩道から遠く離れ、私は高く舞い上がった空から街を見下ろしている。
 学校行事の関係で早めに授業が終わったこの日の帰り道、大切な親友と『また明日!』と笑って手を振り合って別れた後にふと遠回りをしてみたくなったのは覚えている。ガーデンウェディングが人気のホテルの傍を通りかかって、あ、結婚式、と思わず笑みを零したのも。だが次の瞬間、身体と魂の芯から何かが弾けた。
 紺碧のセーラーに青のリボンを踊らす制服姿の少女の背からずるりと溢れて広がったのが悪魔の翼であることも、
 右のこめかみから伸びたのが悪魔の角であることも、顔の右半分が黒き悪魔のそれに変じたことも少女には判らない。
 然れど己の右腕が異形に変じ、禍々しい剣を握っていることには気がついた。
 己の裡に寄生し、ずっと息を潜めていた悍ましい何かが――『覚醒』したことも。
 空を渡る秋風に哄笑が響き渡る。
『さあ惨劇の始まりだ! お前には特等席で見せてやるぜ、ユーフェミア!!』
「惨、劇……? ねぇ待ってどういうこと? あなた誰なの、私どうなってしまったの……!?」
 覚醒した何かが少女の身体を使って哄笑する、宣言する。なのに少女、ユーフェミアも己が唇で言葉を紡ぐことができた。
『嗚呼ユーフェミア! 聖エウフェミアに由来する由緒正しき名を授けられた清らな乙女よ!! 何とお前は生まれる前からこの俺様、クロノス級アークデーモン『仮面の悪魔シリク・コア』に寄生されていて、今覚醒の時を迎えたってわけだ!!』
「……!! それじゃ、惨劇って……!!」
 聖女の裡にずっと悪魔がいたなんてお笑いだよなぁ、と嘲弄される。
 動揺、混乱、魂が掻き乱されるなかで最も強く感じたのは、背筋が凍るような想いだった。『仮面の悪魔シリク・コア』はユーフェミアの意識を消し去ってしまうこともできたはずだ。なのにわざと少女の意識を残したのは、
『お、察しがいいな。流石はユーフェミア、我が聖女サマ!! 勿論お前にたっぷり惨劇を見せつけてやって、お前の魂には強烈なショックを受けて派手に砕け散ってもらおうって寸法だ。そのほうが俺様がより大きな力を得られそうなんでな!!』
「そんな――!!」
 意識と声音だけは自由だった。だが身体は自由にならなかった。眼を瞑ることさえ叶わなかった。
 次々と己の周りの空に現れた白とも灰色ともつかぬ数多の悪魔が、大鎌を携えて地上めざして翔けていく。
 美しいホテルの庭園に純白のチャペルがあった。艶やかな緑のアイビーと純白のアングレカムの花々に彩られた庭園では、多くの人々がチャペルの前で花嫁と花婿を祝福していたけれど、純白の星を咲かせる花が散る。花々が舞い散る中、結婚式が鮮血と悲鳴と、数多の死に呑まれていく。
 いつまでもあなたと一緒。
 純白の星を咲かせるアングレカム、その花言葉が脳裏に浮かぶのと同時に涙が溢れだせば、『仮面の悪魔シリク・コア』が猫なで声でユーフェミアに語りかけてきた。なあユーフェミア、我が聖女サマ。ここからが本番だ。
 ――次はお前自身の手でお前の大切なやつらを殺させてやるぜ。お前の家族や、
 ――さっき『また明日!』って別れた、お前の大好きで大切な、親友の『あの子』をな!!

●宿縁邂逅
 ――お願い殺して! 私ごとこの悪魔を殺して、『  』!!
 基準時間軸よりも過去のTOKYOエゼキエル戦争へ向かう、特別なパラドクストレインが現れた新宿駅で。
 強く魂を揺さぶる宿縁を感じたアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の脳裏で誰かの叫びが鮮烈に甦った。
 眩い閃光にも似たそれが失った記憶を刺激して、意識を明滅させるけれど、アンゼリカは新宿駅のホームを強く踏みしめて前を向く。時先案内人が語るこのパラドクストレインの行く先は、基準時間軸よりも過去の時代で覚醒したクロノス級アークデーモンのもと。
 失った記憶の彼方から幾度も響いていた約束の声。いつまでも一緒という約束と、それを叶えられなかった自責の念だけが鮮やかだったアンゼリカの胸に、親友の、ユーフェミアの面影が鮮明に萌した。この拳が彼女に寄生した悪魔だけを滅ぼせる力を持っていればどんなによかっただろう。だが『あのとき』アンゼリカにはそれが叶わなかった。
 そして『この時代のアンゼリカ』は、クロノス級アークデーモン『仮面の悪魔シリク・コア』に敗れ――、
 今、この最終人類史の、新宿駅に立っているのだけれども。
「クレメンティア! これって、今回のパラドクストレインって……!!」
「はい! 大丈夫です! 今度こそアンゼリカ様の手はユーフェミア様に届きます! だって皆様が一緒なんですから!!」
 時先案内人たるクレメンティア・オランジュリー(オランジェット・g03616)が今この場につどったディアボロス達を見て笑みを咲かす。基準時間軸よりも過去の時空に跳んだクロノス級クロノヴェーダを撃破することは、新たなアヴァタール級の出現を阻止し敵ディヴィジョンの弱体化にも繋がること。勿論そのために馳せ参じた者達もいるだろうけれど、
 何かを感じてか、アンゼリカに手を貸すために、アンゼリカの力になるために駆けつけた者達もいる。
 独りじゃない――そう感じられることが、黄金誓姫の胸の裡に眩い勇気の輝きを咲かせた。

 聖エウフェミア。獅子との奇跡の伝承をも持つ聖女に由来する名を授けられた少女。
 外国生まれの子だったろうか。それとも両親のいずれかが外国人で、日本で、東京で生まれ育った子だったろうか。
 己は彼女をユーフェミアと呼んでいただろうか。それともユーフェミアの愛称として一般的なフェミィやエフィ。もしくはミアとでも呼んでいただろうか。あるいは――。
 そして、彼女は自分をどう呼んでくれていただろうか。
 甦った記憶はまだ断片的で、今すぐそれを手繰りたい心地になったけれど、優先すべきことは勿論解っていた。
「話の続きをお願いするね、クレメンティア!」
「お任せください! 皆様が駆けつけるのは先程お話しした事件の直前、具体的には『仮面の悪魔シリク・コア』の配下たるトループス級アークデーモン『刈取の悪魔』達が空中からホテルの庭園めがけて降下しようとするところになります!!」
 黄金の眼差しでアンゼリカが見つめて願えば、真摯な眼差しで頷き返したクレメンティアが詳細な説明に入る。
 少女ユーフェミアに寄生した『仮面の悪魔シリク・コア』の覚醒を防ぐのは不可能だが、このクロノス級が起こそうとする惨劇を阻止し、力の増強をも阻むことは可能だ。
「皆様には『刈取の悪魔』達を【飛翔】で強襲し、そのまま空中戦を仕掛けていただくようお願いします! 一気に空中戦に持ち込めば敵は地上の一般人を襲うより皆様への応戦を優先するはずです! 可能なら【避難勧告】も使っていただけると、より一般人への被害を防ぎやすくなると思います! 皆様なら一般人への被害をゼロにすることも叶うはずですっ!!」
 突如複数のディアボロスが現れ、配下が殲滅されたとなれば、『仮面の悪魔シリク・コア』は新たな配下を出現させて己を護らせようとするだろう。だが、このタイミングこそがユーフェミアに語りかける好機。
「『仮面の悪魔シリク・コア』が焦って動揺している間に! どうぞどうぞ、アンゼリカ様からユーフェミア様に呼びかけてあげてください! 惨劇は阻止したと、その悪魔の目論見はすべて打ち砕いてみせると、勇気づけてあげてください!!」
 然れど遠くからの呼びかけでは恐らくユーフェミアの心には届かない。
 彼女の間近で、ユーフェミアが親友の存在を確かに感じられる距離で、アンゼリカが呼びかける必要がある。
 そのためには、
「新たに『仮面の悪魔シリク・コア』が出現させるトループス級アークデーモン『ガーゴイルガンナー』達が、主を護るべくその周囲を固めディアボロスを主に近づけまいとしますから、皆様には『ガーゴイルガンナー』達を攻撃し、アンゼリカ様がユーフェミア様のもとへ跳び込むための突破口を開いていただくようお願いします! 叶うならそのまま殲滅を!!」
 アンゼリカが彼女を勇気づけ、ユーフェミアが底無しの闇に呑まれた『約束』を取り戻せたなら、
 彼女の意識が『仮面の悪魔シリク・コア』に抵抗することで、強力なクロノス級との戦いを有利にしてくれるだろう。
 勿論そればかりではなく、『仮面の悪魔シリク・コア』を撃破した後に、
「あの子を取り戻せる……悪魔だけを滅ぼして、あの子を助けることができる可能性があるんだよね!?」
「はい! どうぞどうぞアンゼリカ様、今度こそ!!」
 底無しの闇に希望の光が射した心地が、真白になっていた過去の記憶に希望の彩が咲き溢れた心地がした。

 ――私達、ずっと一緒だよね?
 ――ずっと、いつまでも一緒だよ!!
 輝く約束、眩い歓喜。永遠にも似たあの一瞬で、時など止まってしまえば良かったと幾度も希ったけれど。
 今度こそ手が届くのなら、時を止めてしまう必要なんてない。
 揺るがぬ決意を眼差しに宿したアンゼリカのみならず、今この場には刻逆で多くのものを奪われた者がいるだろう。遥けき時空の彼方に叶えられぬままの約束を残してきた者がいるだろう。然れど、己自身のそれでなくとも。
 仲間がそれを取り戻すための力になれたなら、
 仲間がそれを取り戻す瞬間に居合わせることができたなら。
 ――自分自身が、これからもディアボロスとして歩んでいくための、
 ――希望のともしびとなるような、あたたかな光を胸に燈すことができるはずだから。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
20
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
4
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
2
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
2
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【勝利の凱歌】
2
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【エイティーン】
2
周囲が、ディアボロスが18歳から「18+効果LV」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【活性治癒】
4
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【ハウスキーパー】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
3
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【能力値アップ】LV4 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV5 / 【反撃アップ】LV3 / 【リザレクション】LV3(最大) / 【先行率アップ】LV3 / 【ドレイン】LV5(最大) / 【アヴォイド】LV6 / 【ダブル】LV2 / 【グロリアス】LV5(最大)

●マスターより

藍鳶カナン
 こんにちは、藍鳶カナンです。
 アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)さんの宿縁邂逅をお届けにあがりました!
 御申請ありがとうございます!!
 宿敵主様だけでなく、皆様が、御自身の大切な約束やディアボロスとして戦う理由、御自身が取り戻したいものを強く想うシナリオになれば幸いです。

 ※当シナリオでは、調査や情報収集は行えません。

●運営予定
 選択肢3→4&2(同時募集)→1(スルーも可能)→5の順にリプレイ執筆予定。
 進行状況については、マスターページも合わせてご確認いただければ幸いです。

 継続参加は勿論、途中参加や一点のみのスポット参加も大歓迎。
 選択肢4&2とは同時募集。2は宿敵主様専用選択肢です。宿敵主様は2のみでも両方参加でもお好みでどうぞ!
 2を除く全ての選択肢で、判定・タイミング・状況次第では採用できない場合がある旨、ご了承いただければ幸いです。
 (可能な範囲で頑張らせていただきますが、全採用の確約はいたしかねますので、御容赦賜りますようお願いいたします)

●シナリオの舞台
 基準時間軸よりも過去(歴史改竄の初期段階)の、TOKYOエゼキエル戦争の何処か。
 場所(区)の明示や特定はせず、ぼかす方向で参りますので、御理解御了承をお願いいたします。
 なお、今回の現場に『この時代の宿敵主様』は登場しません。

●ユーフェミア嬢について
 宿敵主様の親友。OP及びリプレイでは基本的に『ユーフェミア』と表記しますが、宿敵主様が愛称を決めてくださった場合は、宿敵主様以外の皆様も愛称でのプレイング表記OKです。
 選択肢2(覚醒前の人格に呼びかける)を成功させていれば、👿『仮面の悪魔シリク・コア』撃破後にユーフェミア嬢を救出できる可能性があります。救出できたなら彼女を新宿島に連れて帰りたいという場合は、救出成功でシナリオが完結した後にキャラクター作成を行ってください。

●選択肢3:👾一般人を襲うトループス級『刈取の悪魔』
 一般人を襲撃しようとしている『刈取の悪魔』達を強襲・撃破することで、クロノス級が起こそうとする悲劇を防ぎます。
 皆様が【飛翔】で空中戦を仕掛ければ、敵は一般人への襲撃より皆様への応戦を優先します。
 加えて【避難勧告】を使用できれば、よりいっそう一般人への被害を防ぎやすくなります。

●選択肢4:👾護衛するトループス級『ガーゴイルガンナー』
 敵が空中にいるため、引き続いて空中戦がおすすめです。
 この選択肢の最大の目的は、宿敵主様がユーフェミア嬢のもとに向かうための突破口を開き、『ガーゴイルガンナー』達に宿敵主様の邪魔をさせないことにあります。クロノス級の周りを固めようとする『ガーゴイルガンナー』達を攻撃し、宿敵主様がユーフェミア嬢のすぐ目の前に辿りつけるよう道を拓いてあげてください。また、宿敵主様がユーフェミア嬢に呼びかける(選択肢2)間も、『ガーゴイルガンナー』が宿敵主様の邪魔をしないように攻撃し続けてください。
 残しておくとクロノス級との決戦で主を援護するため、殲滅しておくのがおすすめです。

 ※宿敵主様がこの選択肢に参加する場合は、仲間に援護されつつ『ガーゴイルガンナー』達を突破する流れになります。この選択肢は他の皆様に任せ、宿敵主様は選択肢2のみに参加することも可能です。お好みでどうぞ!

●選択肢2:覚醒前の人格に呼びかける
 宿敵主様専用の選択肢です。他の方は採用いたしかねますので、御了承ください。

●選択肢1:『仮面の悪魔シリク・コア』との対話
 ここまでのリプレイの結果を確認した上で、必要であればプレイングをかけてください。不要であればスルーOK。
 宿敵主様からのプレイングがあった場合のみ、リプレイを執筆します。
 専用選択肢ではないので、他の方からのプレイングがあれば、宿敵主様+1~3名程度の採用となります。

 ※調査・情報収集は【不可能】です。
 (クロノス級クロノヴェーダはディヴィジョンの情報を持たない上、非常に知性が高いため、情報収集を試みても完全な空振りに終わります)

●選択肢5:👿クロノス級決戦『仮面の悪魔シリク・コア』
 流れのまま空中戦での決戦となるのを想定しています。
 強敵ですが、選択肢2を成功させていればユーフェミア嬢の意識が『仮面の悪魔シリク・コア』に抵抗しようとするため、敵の力が弱まります。また、本来なら敵の撃破とともに寄生対象も死亡しますが、選択肢2を成功させていれば、敵の撃破後にユーフェミア嬢を救える可能性があります。

 それでは、皆様の御参加をお待ちしております。
143

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


アンゼリカ・レンブラント
時折思い出せたあの子に
約束に、ようやく届く

まだ記憶の混濁や心の動揺は残っている
けれど耳に響くのは頼もしい友の声
目に入るのは今起きようとする悲劇

だから為すべきことを間違えない!

気合十分、勇気を燃やし
ダッシュ!悪魔達と人々の間に入りパラドクスで攻撃
効果を受けられるなら飛翔も加え空中戦だ
注意を惹きつけるよう戦い一般人に被害を出さないよ

反撃を凌ぎ囲まれないよう絶えず動き
多数から攻撃を受けないよう位置取り戦う
ダメージの痛みは、本来の歴史で
あの子が受けた痛みに比べれば些細なもの
だから耐えすぐに動いて攻撃を繰り返す

裁きの光を纏いしは
アングレカムを思わせる形のパラドクス
全力の《天輪輝星》を打ち込み殲滅するよ!


レオアリア・フォルシオン
決着を付ける時が来たのね
我が同胞の果て無き祈りが結実するなら、それに手を貸さない理由は無いわ!
パラドクスの効果で飛翔し、非物質的な概念・事象を凍結させる氷雪……即ち大音声――『声』という形無き現象を凍結させ、アークデーモンのパラドクスを封殺していくわ
他にも飛翔を持ってきている同胞もいる事だし、最大速度で複雑な機動を描き飛翔してトループスを攪乱
そのまま死角から隙を突いてパラドクスの冷気を浴びせかけてトループスの精神と魂魄を凍結させていくわ

約束は、わたくし達が果たさせるわ!
復元せよ、汝の歴史!
それは永劫にして須臾の約束の歴史……
その復元を以て、我は約束を果たす翼の一つとなる!


ノスリ・アスターゼイン
アンゼリカの決意や約束を
叶える手助けをしたい

大丈夫
きっと叶うよ

敵を見据える眼差しは凛
口調は朗と確り

飛翔で急襲
眼前で旋回し背後を取るなど
軌道を読ませず翻弄

戦況全体の把握に努め
声を掛け合い連携
攻撃を畳みかける

死角を補い
ディフェンスも積極的に

祝福を贈るのは天使の役目デショ
場違いも甚だしいじゃない
それとも自ら饗応になるつもり?
あんたらを喰えるのは悪食だけだよ
焼かれるのとアイスになるの、どっちが好み?

大声過ぎて却って何を言っているか分からない挑発だ、と
笑んで覗く牙

確実に殲滅
禍根など塵すら残らせはしない

花冠に燈るアングレカム
式場にも咲く純白の花
少女達の約束
すべてが耀いて見えるから
翔ける理由には充分だろう?


永辿・ヤコウ
人々やユーフェミアさんを
惨事から救える可能性が示された今、
アンゼリカさんが立ち向かう今、
僕も立ち上がらずには居られなかったのです
それが此の戦いに挑む理由

行きましょう

絆の花冠を長針に飾って
飛翔
一気呵成に急襲

戦いの流れをよく見
死角を補うよう声を掛け合いながら
連携を図りたい
臆さずディフェンスも

どちらを向いているの
僕達以外に目を奪われる余裕など――ほら、

無いでしょう、と
告げた声は聞こえたかは知らない
僅かの隙さえ針で穿つのが僕の得手だから

でも
春の眠りに誘っておきながら
気を取られるなとは酷でしょうか

浮かべた淡い笑みは
春野の幻に堕ちゆく瞬間に
彼らの目にどう映って居ただろうか
なんて
訊ねる間ももう無さそうですね


月見山・伊吹
※連携、アドリブ歓迎だよ!


アンゼリカさんとそのお友達であるユーフェミアさんとの約束を果たせるように
そして多くの人々を悲劇から救えるように私も戦うよ!
大丈夫、アンゼリカさんの声がしっかり届くように私達が道を拓くからねぇ

お友達と人々と、更に結婚式会場まで襲うのは悪趣味だね

まずは人々を巻き込まないように【飛翔】してからパラドクス『陽射の魔弾』で
先手を撃ち叫んで敵の注目を集める!
ほらほら、こっちだよー!

そして敢えて複雑で不規則な軌道で飛び回り
反撃の大鎌での切り裂きを回避しつつも敵を翻弄しながらも
【ダメージアップ】で底上げしつつ
『陽射の魔弾』での魔力で出来た弾丸で蜂の巣にしてやっつけてあげるから!


エレナ・バークリー
人生の節目に立つお二人とそれを祝福する皆さんを的にするとは、大した悪意ですね。
他人が幸せになるのがそんなに許せませんか?

トループス級に尋ねたところで返事があるわけでなし。出来るだけ急いで殲滅してしまいましょう。
【飛翔】して、悪魔達に「空中戦」を挑みます。
最大戦速で両手剣を構え、「突撃」するように「貫通撃」。そのまま、身体を旋回させて「薙ぎ払い」、「強打」「連撃」「斬撃」と攻撃を重ねていきます。

「大声」で「挑発」したら、敵の注意が私に向くでしょう。
人の幸せを妬むみずぼらしき悪魔ども。あなた方の大鎌は、一滴たりとも無辜の人々の血を吸うことないと知れ! 刃の元に屍晒し相応しき地獄へ墜ちよ!


シル・ウィンディア
相棒さんの大切なお友達…。
過去を、希望を取り戻すために…。
心は熱く、でも頭は冷静に
わたしはわたしにできることをっ!!

人を襲っている悪魔を視野に入れたら、世界樹の翼をtype.Bにしてから、誘導弾を連射っ!
敵の目の前に着弾するように撃ちつつ、飛翔の効果で最速接近っ!
こっちに気を向けてくれたのならそれでよしっ!

接近しつつ杖は納めて、高速詠唱を開始。
近接の間合いに入ったら、精霊獅子闘拳で思いっきりまっすぐぶん殴るっ!
いつもの砲撃は、今はしないよ。
アンゼリカさんに教えてもらった、これを無性に使いたかったからっ!
殴りつけた後は、一撃離脱で敵から距離を取るよ。

さぁ、今日のわたしのやる気は一味違うからねっ!


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

漂着前の出来事を聞き
どこか既視感を覚え小さく苦笑してしまう
ああ、皆同じなのだ、と
ならば協力する事に理由はいらない
アンゼリカが大切な親友との絆を取り戻せるように
私に出来ることを成すのみ

飛翔して悪魔達の元へ急ぎ、宙に展開した鍵盤で一曲奏でさせて頂きます
「月虹」で月の化身を喚び、此方に注意を引きましょう
できるだけ上空から攻撃し、相手を上へと誘います
避難勧告も使えるなら
念の為、建物の中に避難するよう伝えます

仲間と連携して体力の少ない者から集中して撃破
自分の得意属性はディフェンスに入り反転攻勢に

人生の門出の日を台無しにするなど、悪趣味極まりない
お呼びではありませんよ、とご退去願いましょう


シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携

日常を破壊する悪魔
幼気な者の幸せを壊すことに喜びを覚える
許しがたい存在だ
しかし、アンゼリカ殿
今度こそ間に合ったのだから
悔いのないよう
大切な約束をした彼女を救って見せよう

避難は他の仲間に任せ
私は素早く飛翔で飛び上がりつつ
敵や周りを見て情報収集
地上の人々に注意がいかぬよう空中戦を仕掛けよう
不規則な軌道で敵を攪乱
囲まれるのを防ぎつつ空へと引き付け
味方と狙いを合わせ敵を撃ち
確実に数を減らそう
味方の攻撃から逃れた敵は
日狂星落乱舞で遠く空へと弾き飛ばすことで
地上の安全をなお図る

敵は追跡してくるだろうが
それは思うつぼ
地上から引き離し動き回って可能な限り損害を減らす

アドリブ等歓迎


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok

悪趣味と言いますか、何と言いますか……。
結婚式での惨劇を認める訳にはいきませんね。
敵が地上に降り立つ前に、全て退けますよ。

まずは飛翔、それから敵に空中戦を仕掛けます。

基本方針は『極光の波動』で射撃戦。
優先すべきは弱った敵への止め。次いで前衛への援護射撃。
地上の人々に被害を出さない事を最優先、かつ味方に誤射せぬよう注意しつつ、広範囲に波動を飛ばして面制圧を試みながら攻撃です。
可能なら、味方が攻撃し易いよう敵の動きを阻害または誘導します。
敵が声で優位を取ろうとするなら、此方も精霊達と歌を紡いで仲間を奮い立たせます。

また、味方が孤立せぬよう注意し、すぐフォロー出来るよう動きます。


一里塚・燐寧
アンゼリカちゃんが失くした思い出は、ここにあるんだねぇ
んふふ。こーゆー時でもしっかり落ち着いるじゃん。流石流石~
でも、しんどい時は絶対に言うんだよぉ? あたし達がついてるんだからさっ

へぇ。最初の相手は結婚式を襲うアークデーモンかぁ
いやー、気持ちよくブッ殺せるやつを相手にウォーミングアップ出来て助かるよぉ
こっから先は……心を締め付けられそうだからねぇ

【飛翔】して空中で勝負だよぉ!
敵群を下から突き上げるように高度を上げて、出会い頭に『呪式:魂業輪罪』を発動!
幾つもの鋸弾を左右に放った後、挟み込むように敵に向けて軌道を変え
退路を潰しながらバラバラに解体してくねぇ
刈り取られるのはきみ達の方だよぉ!


ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します

あの子、アンゼリカの友達なのね!
とんでもなく良い趣味した悪魔がくっついちゃってるみたいだけど!
ソイツを引き剥がせるチャンス、逃す手は無いわ!

まずは雑魚の排除からね!
結婚式を狙うってのも、上司の趣味なのかしら?

それじゃフルパワーの【飛翔】で一般人と悪魔の間に割り込んで、「空中戦」と行きましょ!
そのまま【双翼魔弾】を「連続魔法」で連射して、1体ずつ倒していくわ!

相手の反撃は、振り被った大鎌の軌道を「観察」して、
「ダンス」するように最小限の動きで避けて直ぐ様反撃よ!

アナタ達は踊るのが好きなのかしら?
奇遇ね、アタシも大好きよ! それを仕事にする位にはね!


宇佐美・アリス
アンゼリカさんの友達のことも、結婚式を襲う事ことも、許せない
貴方達、趣味最悪ね

アンゼリカさんの為にまずは露払いしなきゃね
集まった皆と連携を心がけて行動するわね
【飛翔】で派手に飛び回って、トループスの注意を集めましょう
多分すごい速度で飛べる気がするわ

一般人に近づく敵を優先的に攻撃、もしくは、敵の進路を妨害するわね
[氷雪使い][光使い][ブレス]でキラキラするモノを吹き付けてあげれば、嫌でも目立つし、一般人への遮蔽にもなる、はずよ。多分
最悪の場合は、体で割って入って止めましょう
防御はシールドで耐えるわよ


無堂・理央
過去行きのパラドクストレイン。
今回はアンゼリカさんに関わる悲劇を止めれるんだね。
それなら、全力でお手伝い!


無双馬『クロフサ』に騎乗して、クロフサには【飛翔】で空中を駆けて貰うよ。
うん、何だか凄い数の【飛翔】が重なりそうな気もするけど、高機動になるなら問題無し?

馬上槍をしっかり構えて敵集団目がけて突撃ー!
すれ違いざまに敵を刺し貫き薙ぎ払って駆け抜けてから旋回しての再突撃を繰り返してくよ。
敵集団の規模にもよるけど、ボクの役回りは敵の撹乱。
適度に敵を屠りつつ、敵が連携出来ない様に敵の間を駆け抜けて連携をかき乱しちゃえ!

敵の反撃も技能的によーくやり方が分かるし、慌てす確実に捌いてくよ。


白水・蛍
アドリブ・連携歓迎

大事な人を取り戻す。その為の協力なら惜しむつもりはございません。
さあ、参りましょう。

【飛翔】を借りて素早く駆けつけて【避難勧告】を使用。
建物内に避難するよう呼びかけます。
その後は、<演奏・歌唱>で敵をひきつけながら<時間稼ぎ>をします。
此方に敵を寄せたら≪コンダクタースピア≫で<粉砕・斬撃>【パラドクス】で仕留めていきます。

幸せを踏みにじるものを許せる人はいないと思いますわ。
此処に居るだけでもこれだけの人がそれを許さない。
さあ、尻尾巻いて帰っていただきましょうか。


ネリリ・ラヴラン
自分と同じ様に過去をその手から零してしまった彼女
もし、失った物を取り戻せるのなら
手を貸し合おうと交わした約束を、わたしは果たすよ

それは大切な友人の為であり
同時に、わたしにも希望をくれるものだって感じているよ

>行動
まずは時間との勝負だね
使えるだけの【飛翔】を全て利用して加速しながら
降りて来ると思われる教会の敷地へ飛び込んで
周囲の一般人さんへ【警告勧告】を出すよ

ただ、じっと待ち構える気はないわ
降下してくる敵さんの間を射通すように”星屑の嵐”を上空へ放って威嚇
発射元の地上側を警戒させながら
遥か上空で折り返して降り注ぐ矢雨で貫くよ

アドリブや連携は歓迎


アオイ・ダイアログ
アンゼリカさんのお友達がそんなことになっていたなんて
奪われる苦しみは私もよく知っています
取り戻しましょう!
その為の私たちです!

【飛翔】と【避難勧告】をお借りして、一般人さんを逃がしつつ自身は空に上がって歌いましょう
いち早く注目を集めればより一般の方が安全になります!

やっはろー、ディアボロスです♪ 一曲いかが?
ふぅん、口上は結構ですが、あなた方が私に食いついた時点で私は戦略的に勝利してるんですよ?
ふふ、私のこの笑顔……あっちへのお土産にして下さいね♪

行きましょう、人々は誰一人傷つけさせません!

連携・アドリブ歓迎


竜城・陸
最初は、思っていた
何も出来なかった自分は贖罪のように運命に従うべきで
誰かを、何かを思う資格などないと

けれど今は
ただ心の侭に声を上げてもいいと
思うさま、守りたいものの為に手を伸ばしてもいいと知った
沢山の出会いがそう教えてくれた

片角に掛けた花冠
この花と共に培った絆も、そう

【飛翔】で上空へ
全体を俯瞰し敵の挙動がよく見える位置取りを心掛け
声を掛け合い標的を合わせ
或いは狙いを手分けしながら
迅速に数を減らすよ

光剣と氷剣の投擲と接近戦を使い分けつつ
得手とする攻撃からは積極的に皆をディフェンスし
互いに補い合っていく

だって、その為に来たのだから
アンゼリカの大切なもの
絆も思い出も、共に戦う仲間も
全部守ってみせるよ


●帰還
 ――私達、ずっと一緒だよね?
 ――ずっと、いつまでも一緒だよ!!

 時空を超えて翔けるパラドクストレインが目的地へ近づくほど、魂の奥から強く大きく響いて身体中に反響を満たしていく約束の言葉、あの日の親友と己自身の声。記憶の混濁と精神の動揺が胸の裡を今も掻き乱すけれど、
 宿縁を結ぶパラドクストレインが目的地に到着すると同時に開いた扉から跳び出した途端、あまりにも鮮やかな空の青さにアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の天の光を映した瞳の奥から熱い涙が溢れそうになった。
 新宿島に流れ着いてからも何度だってTOKYOエゼキエル戦争へパラドクストレインで翔けた。任務で何度も、何度も。
 だけど普段とはまるで違う。基準時間軸よりも過去にあるこの時空の光景がこんなにも鮮明に魂へ灼きつくのは、
 帰ってきたからだ。
 還ってきたからだ。
 かえって、きたからだ。
 過去の記憶を失ってなお、真白な記憶の彼方にその声と存在を感じていた『あの子』のもとへ、約束の時空へ、
「帰ってきたよ! 還ってきたよ!!」
 ――待っててなんて言わない、待たせやしない。
 ――だって今の私はひとりじゃない、頼もしい幾多の友が、一緒にこの時空を翔けてくれるから。

 いますぐいくよ、きみのもとへ!!

●開幕
 現場が街中ゆえに地上で停車位置が得られなかったのか、あるいは乗り込んだ者達が最終人類史を凌駕せんばかりに手厚い【飛翔】の力を携えていたことが影響したのか。いずれであるか判じることは叶わなかったけれど、
 宿縁を結ぶパラドクストレインが停車したのは、東京の街並みの遥かな上空。
 蒼穹を突き抜ける。地上から天へ舞い上がる秋の鷹風を貫いて迫る二十一世紀の極東の都の街並み、幻想竜域で生きていた時には想像さえも叶わなかった時空と感覚に総身を晒しながら、竜城・陸(蒼海番長・g01002)は淡く微笑した。
 最初の頃に胸を満たしていたのは、絶望、諦念。
 ――何も出来なかった自分は贖罪のように運命に従うべきで、
 ――誰かを、何かを思う資格などないと。そう、考えていた。
 然れど今は、
 唯、心のままに声を上げてもいいのだと、
 誰かの命を、絆を、笑顔を、大勢のひとびとの命を、絆を、笑顔を、
 護りたいと思ったもののために、思うさま手を伸ばしてもいいのだと識っている。
 ――遥か遠く時空を超え、新宿島に漂着してからの数多の出逢いが、そう教えてくれた。
 春の湖水地方に始まり、花冠を編み上げるように培ってきた、アンゼリカを含む仲間達との絆も、そのひとつだから。
「全部護りにいこう。アンゼリカの大切なものも、ともに戦う仲間達も」
「ええ。人々もユーフェミアさんも救える可能性をアンゼリカさんが手にした今、翔けない理由なんてありませんよね」
 夏緑残す森で得た絆の花冠はクロノ・オブジェクト化しなければ朽ちるばかりか、凄まじい速度に達するだろう【飛翔】を駆使する空中戦に晒せばただ翔けるだけで散り果ててしまうものだ。ゆえに今ここへ携えて来るのは叶わずとも、絆を結んだ仲間皆の胸の芯には常に鮮やかに咲き誇っているのだと識るから、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)は陸の両の手に氷と光の双剣が咲くと同時、迷わぬ笑みとともに己が背丈をも超える長大な銀針を閃かせた。
 黎明と宵紫の眼差しが捉えるのは白とも灰ともつかぬ数多の悪魔達。空中から今にも地上の人々をめがけて降下せんとするあの敵勢に如何に対するべきか、最も端的に的確に把握していたフィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)が誰より速く【飛翔】で加速する。結婚式での惨劇なんて悪趣味な事件そのものを起こさせやしませんと翔ければ空色の髪や法衣ごと疾風と化した娘の手許に咲く輝きは白銀の長杖と、
 雪、氷、光の三精霊達。
「全て退けますよ! 敵が地上に降り立つ前に!!」
「だよねぇ! 悪趣味な惨劇なんてほんとごめんだもん! ほらほら、こっちだよー!!」
 凛然たる声音を即座に歌へと繋げれば一気に蒼穹へ展開して『刈取の悪魔』達を圧するように襲いかかるのは冴ゆる青から蒼銀、眩い白銀に流麗な煌きを翻す極光の波動、急襲されたと気づくよりも先に反射的に悪魔達がフィーナへと放った反撃の大音声に挑発の声は掻き消されてしまったものの、
 仲間の極光に春の光を透かしたかのごとき彩に輝く魔力の翼で翔ける月見山・伊吹(小春日和・g04125)が撃ち込む陽射の魔弾(サンライトバレット)の眩さと勢いそのものが悪魔達の意識を伊吹へと惹きつけた。
 名実ともに愛するひとの伴侶となれた日の眩い歓喜が今も伊吹の胸に輝くからこそ、反撃の大鎌を潜りぬけるように翔けて避けきれぬ斬撃に裂かれた鮮血の軌跡を空に描きつつ敵勢を翻弄せんとする彼女が、
「お願いするね!!」
「勿論です! 全ての力、出し惜しみせずに参ります!」
「任せて!! 時間との勝負になるもんね!!」
 何をとは敢えて言わずに願えば、弾丸めいた勢いで高空から地上へ、純白のチャペルを擁するホテルの庭園へ強行着陸した白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)とネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)が空中の敵勢へ熱狂の楽曲を叩き込み魔力の黒矢を射ち上げた刹那、
 瞳を射抜かんばかりに鮮烈な赤き光が一気に辺りへ爆ぜて明滅し、鼓膜から脳髄へと突き抜けそうな音色で危険を知らせるけたたましいサイレンが鳴り響いた。二人が発動させたのは一般人を危険な地域から脱出させる【避難勧告】の効果、
「建物内に避難するよう呼びかけたほうが良いでしょうか」
「このサイレンじゃ聴きとれないかもだし、なんて言ったのかな? って足を止められちゃうほうが危ないと思うよ!!」
 純白の星を咲かせるアングレカムの花々と艶やかな緑のアイビーに彩られたホテルの庭園、何が起きたのかは分からぬまま数多の人々がこの一帯を脱出せんと動き出す様に蛍が思案気に呟けば、きっぱり首を振って見せたネリリが、【避難勧告】の効果を信じて、わたし達は敵さんの相手に専念しよう、と戦友に告げて、軽やかに地を蹴り空へと舞いあがる。
 求められているのは空中戦、それならば己が手に顕現させた黒き弓矢での戦い方は――。
 地上に鳴り響くは危険が生じる可能性のある一帯へ警告を発するサイレン、なら空中は私の歌で満たしてみせますと明るい笑み咲かせ、青き歌い手アオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)が翻すはハーモボイス・オルフェウス、
「やっはろー、ディアボロスです♪ 一曲いかが――いえ、一曲とは言わず何曲だってアンコールに応えてみせますよ!」
「折角の空中ライブだもんね! 見逃しちゃったら勿体ないよ、悪魔さん達っ!!」
 歌声ばかりか言霊の力の及ぶ範囲さえ拡大するハンドマイクに少女の声が通った途端、全方位に爆ぜるよう溢れだしたのは紫色(ゆかりいろ)の光孕む波動、彼方の憧れ、友への愛慕を軽やかで華やかな旋律で花開かせるアオイの歌声。敵の注意を自身へと惹きつける力をも備えた歌声が憧憬と友との縁(ゆかり)を歌い上げれば、一斉にアオイへ眼差しを向けた悪魔達が彼女の判断力を乱さんと大音声の反撃を轟かせるが、
 悪魔達の気を地上から逸らさんとする彼女の意を汲んだシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)の手許では白銀の長杖から変じた銃が風翼と藍鉱石の蕾を花開かせ、一気に連射する誘導弾が逆に敵勢の意識を乱しにかかる。紫色(ゆかりいろ)の光に彩られた空中を翔けめぐる魔力の誘導弾は火と水と風の精霊力を秘めた赤と青と緑の輝き、然れど敢えて敵すれすれながらも直撃はさせぬ軌道で乱舞する数多の輝きはあくまで敵勢の気を惹く囮、
 己自身が翔ける速度も緩めず、青き精霊術師はまっすぐに悪魔へ吶喊した。
 そう、先程凛と響き渡ったフィーナの言葉のとおり、
 強襲すべきは『人を襲っている悪魔』ではなく『人に襲いかかる前の悪魔』。敵を地上に辿りつかせる必要など、ない。
 一瞬の高速詠唱、眩く花開く輝きが黄金の獅子をかたどって、
 自身が青に黄金の輝き重ねる弾丸となったかのごときシルの拳が悪魔の反撃ごとその命を打ち砕けば、
「こっちからも行かせてもらうよぉ! 気持ちよくブッ殺せるやつ相手にウォーミングアップできてありがたい限り!!」
 彼女やアオイへと悪魔達の攻撃が殺到するよりも速く一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)の双眸が煌いて、敢えて滑り込んでいた敵勢の下方から突き上げるよう翔けた己が身の裡から燐寧が一気に解き放つは禍々しい紫色に結晶した呪詛の弾丸、
 獰猛に煌く回転ノコギリの形を成す数多の弾丸は瞬時に広範囲に拡散した――と見えた途端、一斉に収束する勢いで敵勢に襲いかかった。着弾と同時に高速回転で悪魔達の肉体を裂断しにかかる鋸弾の蹂躙、反撃の大音声が複数折り重なる痛手など燐寧の笑みを歪めることさえ叶わず、
 更に包囲殲滅を図る勢いで鋸弾を揮わんとする燐寧や皆の気概と猛攻に笑みひとつ、光も影も翳り輝く魄翼で思うさま風を打つノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)も縦横無尽の【飛翔】と虚空ごと獲物を裂く猛禽の爪で敵勢を掻き乱す。
 悪魔の爪先ひとつ大地に触れさせやしない、悪魔の羽ばたきで純白の星を咲かせるアングレカムも艶やかな緑のアイビーのひとつも揺らさせはしない。況して彼らの大鎌の刃ひとつ、言の葉ひとつさえも無辜のひとびとに届かせはしない。
 ――黄金誓姫と、彼女の助けとなるべくこの時空を翔けるディアボロス達全員が、絶対に。
 純白に輝くようなアングレカム達をさあっとさざめかせたのは僅か一瞬地上近くを掠めるがごときノスリの飛翔、桁外れの空中戦技能を備えた彼の飛翔は悪魔の眼差しさえもその追随を許さず、彼らの視界から掻き消えた次の瞬間に猛禽は獲物達の下方から全速で強襲した。
 凄まじい高速は視界の端を翔けぬける世界を流水のごとく変え、然れど蜜色の双眸が捉える敵影は鮮明で。
 鋭く虚空を裂いた爪痕から溢れて反撃も許さず悪魔達を呑み込んだのは灼熱と極寒の幻、
「――と、良かったね、あんた達。月光が死出の旅路を導いてくれるってさ」
「ええ、送って差し上げますよ。あなたがた悪魔達に、相応しいところまで」
 凛と冴えた眼差しも僅かに笑んだのは、灼熱と極寒の幻越し、獲物達の遥か上空に展開された光の鍵盤を認めたから。
 直接声は届かずとも彼が何を告げたかは理解できたから、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が微笑とともに光の鍵盤に躍らす十指は常よりも冴え冴えとした音色で月虹のソナタを奏で、澄みきった青空から月光を招いた刹那、荒々しくも神々しい輝きを纏って顕現した月の化身が高空から一気に翔けた。
 清浄と狂気、相反するそれらを綯い交ぜにした月光の矢とも槍とも思える輝きが悪魔二体を葬り去れば、
「うんうん、やっぱり『それ』が効くわよね!」
 この刈取の悪魔達は飛翔能力こそ備えてはいるものの、空中戦そのものに長けているわけでは決してない。上下に振られる攻勢への対応は乱れがちだと確信したなら蘇芳の眼差しに燈る煌き、挑むように笑んだネリリもまた敵勢の下方で黒色の弓を引き絞り、上方めがけて迷わず放った黒矢は数多の悪魔達の間隙を射通して、
 遥か天頂の太陽を射抜くかに見えた瞬間、無数の矢に分裂した黒き魔力が星屑の嵐めいた苛烈さで降り注ぐ。
 黒き星屑に次々と貫かれる悪魔達へ間髪を容れず襲いかかったのはこちらも星のごとく輝く眩い裁きの光、星というよりもいっそ純白のアングレカムのごとく花開いた無数の光が爆ぜて一気に悪魔達を屠れば、仲間が重ねてくれた【グロリアス】の恩恵を享けつつアンゼリカは迷わず爆煙を貫いた。
 己があの日のままだったなら、この時空を翔けるのが自分独りきりだったなら。
 激して昂る感情が爆ぜるまま、あの子以外の何もかもが見えなくなっていたかもしれない。
 然れど今のアンゼリカの耳には絶えず数多の友の声が届き、瞳には悪魔達に猛攻をかける頼もしき友人達の勇姿も、戦端が開かれた直後に発動された【避難勧告】の効果で危険が及ぶ範囲から脱しつつある護るべき人々の姿も映る。
「だから私は、為すべきことを間違えない!!」
 今この身に感じる痛みなど、あの時あの子が受けた痛みに比べれば何ほどのものか。
 襲い来る悪魔の刃が肩を抉る痛みに怯まず拳ごと叩き込む勇気の星、眩い約束を咲かせる輝きが悪を裁く力を爆裂させれば続け様に撃ち込まれた輝ける弾丸が黄金誓姫の眼前の悪魔を撃墜した。攻撃強化の加護とともに陽光のごとく翔けた弾丸は、
「その意気だよ! アンゼリカさんがユーフェミアさんとの約束を果たせるよう、まずは惨劇を完全阻止しなきゃね!」
「アンゼリカ殿。今度こそ間に合ったのだから、何ひとつ悔いのないように、大切な約束をした彼女を救って見せよう」
 皆を鼓舞するような笑みを咲かせた伊吹のもの。溌剌と声を張りつつも迷わぬ連撃で更なる獲物へ襲いかかる彼女の弾丸が反撃の大鎌と交錯した刹那にその悪魔を強襲したのはシャムス・ライラ(極夜・g04075)、首元を強打した蹴撃から苛烈なる掌打が喉笛を潰すまでが無駄なく流麗な一瞬の日狂星落乱舞(ニッキョウセイラクランブ)、
 己が屠った悪魔には一瞥もくれず、天色の眼差しがまっすぐ黄金誓姫の瞳を見据えたのは、この場で最も赦しがたき存在、全ての元凶たる『仮面の悪魔シリク・コア』に、その目論見が完璧に潰える様を見せつけようと改めて誓うためだ。
 結婚式を狙ったのが趣味かどうかはともかく、惨劇ってのは絶対に首魁の趣味よね、と鮮やかに青空の双眸を煌かせ、空色透ける翼を風に踊らせて翔けるソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)も力強く頷いて、
「元凶はとんでもなく良い趣味した悪魔みたいだけど、ソイツだけを滅ぼせるチャンス、確実にモノにしなきゃよね!!」
 間断なく連射するのは双翼魔弾、無辜の人々がひとりでも傷つけばユーフェミアを救える可能性が格段に落ちると本能的に察するからこそ、ソラも迷わず首魁でなくその配下達の掃討に全力を叩き込む。魔弾に撃ち抜かれた悪魔達を猛禽の爪で引き裂き撃墜して、
「俺達が、皆が一緒だから大丈夫。きっと叶うよ」
「うんっ! 私達が必ずそのチャンスまでアンゼリカさんを送り届けてみせるからっ!!」
 翔けぬけ様にノスリがぽんとアンゼリカの肩を叩いていけば、逆の肩に掌から想いを伝えるよう触れて、シルもまた一気に加速した。大切な友達を、失った過去を、途方もなく遠く思えていただろう希望を取り戻す機会を、相棒に贈るために。
 ――わたしはわたしにできることをっ!!
 翔けるほどに意識は冴え、心は輝く熱を帯びていく。熱を咲き誇らせるようシルが纏う黄金獅子の輝き、常ならば己自身が纏うそれを今このとき相棒が纏ってくれているその意味を確りと感じとり、アンゼリカは黄金の髪を風に躍らせて翔けつつ眩いほど白く輝く裁きの光の星を撃ち放った。
「ありがとう、みんな! 辿りついてみせるよ、必ず!!」
 輝く約束、眩い歓喜。永遠にも似たあの一瞬で、
 時を止めるのでなく、再び時を紡いでいけるところまで。

●錯綜
 猛然と吶喊すれど単純な突撃に拘泥することなく絶えず位置を変え、敵勢からの一斉捕捉を許さぬよう翔けめぐる。それは無謀な我武者羅ではなく、果断なる勇気をもって戦いに臨む姿であったから、アンゼリカちゃんてばこーゆー時でもしっかり落ち着いてるじゃん、と燐寧は猫のように双眸を細めて笑って、
「でも、しんどい時は絶対に言うんだよぉ? あたし達がついてるんだからさっ!」
「ええ、結婚式を襲うのもユーフェミアさんの心を傷つけようとするのも許せないのは私達も同じ。必ず力になるから!」
 一瞬の交錯で更に彼女を勇気づけるよう軽く触れていくのはアンゼリカの片手を覆う鉤爪つきの篭手、自身は手首に桜色の煌きを翻し、空中の戦場へ爆ぜるように解き放つのは禍々しき数多の呪詛の輝き。アンゼリカへ微笑みかければ迷うことなく宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)も全力で加速した。
 最早敵勢に地上の一般人へ意識を向ける余裕はなく、だからこそこの勢いのまま悪魔達を屠りきってしまわんと更に敵勢の気を惹くべく派手に旋回すれば視界の端で一気に流動する世界、苛烈なまでの速度と遠心力に己が振り回されそうになるのを堪えてアリスが若紫に彩られた唇で艶やかに笑みを深めれば、
 猛然たる唸りをあげて悪魔達へと襲いかかる燐寧の鋸弾が乱舞する戦場へ吹きつけられる吐息が眩く煌く輝きとなって敵へ翔けた。解き放つまでその魔力が如何なる姿で現れるかアリス自身にも解らぬ煌く吐息(サキュバス・オーラ)、その煌きが今回の戦いではアンゼリカの黄金めく輝き宿し、その裁きの星の形で咲き誇る数多の光となって悪魔達へ爆ぜる様に笑み、
「同じく! 必要なら頼って頂戴、我が同胞の果て無き祈りが結実するなら、それに手を貸さない理由は無いわ!」
「うん、この時空でアンゼリカさんの悲願が叶うなら、ボクもクロフサも全力でお手伝いさせてもらうからね!!」
 彼女へ反撃する悪魔達の大音声を掻き消さんばかりの気勢で高らかに言い放つはレオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)、不規則な十芒星を空間に描くかのごとき機動で敵勢を掻き乱さんとする猛き姫騎士が強きな笑みとともに氷雪を解き放てば、
 非物質的な概念や事象を凍結させる氷雪の権能が悪魔どもの大音声を封殺せんと襲いかかった。如何に強力な権能とはいえ標的がクロノヴェーダの一部であるなら凍結による封殺が叶うのも僅か一瞬、然れど既に燐寧やアリスの攻勢に晒されていた悪魔達を仕留めるには純然たるその火力で十分すぎるほどで、
 撃墜された悪魔達の彼方の敵勢めがけて無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)は迷わず愛馬とともに突撃した。
 無双馬クロフサの脚は理央のパラドクス戦騎天駆(エアリアル・チャージ)で強化され、少女を背に乗せ天駆ける姿は正に黒き疾風、勇壮な馬上槍を確と構えた理央との人馬一体の吶喊は敵勢を一気呵成に穿つ鋭い鋩となり、怒涛の勢いで駆けては悪魔を刺し貫き薙ぎ払っては駆け抜けて、風巻のごとく旋回しては猛然たる颶風と化して改めて敵勢を穿つ。
 自陣最高火力の吶喊で悪魔を屠り敵勢の合間を嵐のごとく天駆ける機動で思うさま彼らを攪乱する理央、無論敵とてただ翻弄されるばかりでなく彼女を追って捉えて大鎌の刃に掛けんとするが、蹂躙と騎乗にダッシュ、彼らがその術に活かす技能すべてで圧倒的に上回る理央に辛うじて刃は届いても痛打を浴びせることは叶わず、
「うん! めいっぱい頼らせてもらうよ! 思いきりみんなを頼りにさせてもらうから!!」
 彼女や皆が創り出してくれる好機を見逃さずにアンゼリカが撃ち込む数多の裁きの光が眩い白の輝き咲かせて爆ぜて、更に敵勢を削っていく。迷うことなくまっすぐ仲間達を信頼できることも彼女の強さとその魂の輝きのひとつだから、
「これに応えなきゃ、絆の名がすたるというものだよね」
「勿論。応えて翔けて、アンゼリカの決意も約束も叶える手助けをするために来た。そうだよね?」
「アンゼリカさんが立ち向かうならともに立ち上がる、当然のことですよね」
 笑みも眼差しも交わしたのは一瞬のこと、次の瞬間には其々がどう動くかなど言の葉にせずとも理解できたから、合図さえ必要とせずに陸とノスリとヤコウは、大きく拡大している戦場へと爆ぜるような勢いで散開した。
 ――敵を惹きつけて掻き乱し、攪乱する戦術を採る仲間が多いのなら、
 ――自分達は全体の戦況把握に努め、味方の死角を確実に補っていく。
 見渡す戦場に早速閃いた猛禽の爪が灼熱と極寒の幻を招く様に微笑して、宵紫の眼差しでヤコウが捉えるのもまた積極的に敵勢へ翔けるソラや悪魔達の注意を惹きつけるアオイの死角を獲らんとする獲物達、
 悪魔の翼ごとその背を穿たんと奔らせた銀針に時空の理を覆す力はなく、ゆえに瞬時に振り返った彼らが揮った大鎌に針の刺突は防がれるも、嫣然と笑みを深めて招く春野の幻こそヤコウが時空の理を超えて敵を堕とす術、
「今更その眼に僕を捉えても遅いですよ――ほら」
 足元も靴裏さえも風が掠めていく天空の戦場、その空中を瞬く間に春の野辺に染め変える春花や春草の幻が萌せば、暖かな春が悪魔達を捉えてひとときの春の眠りへと誘う。心地好くありながらも命を削るそれに何とか抗って相手が振り絞る反撃の大音声、然れどその次の瞬間に上空から飛来して悪魔達のうなじに突き立ち彼らを絶命させたのは陸の氷剣と光剣。
 狙い過たずの投擲も己が手で直接斬撃を揮う接近戦も自在な双剣、凛冽と灼熱の刃を再び自身の両の手に咲かせて、敵勢を俯瞰できる上空を翔ける陸が微笑して、
「次は、あの悪魔達を堕とそうか」
「堕としましょう、確実に」
 敵勢から眼差しを離さぬまま告げたのは同じく上空を翔けて敵を狙い撃つソレイユと上手く機を噛み合わせたがゆえ。彼の蒼穹と黄昏の眼差しも同じ標的を捉えていることは疑いようもなく、だからこそ一切の躊躇いもなく陸が双剣を撃ち込んだと同時、こちらもまた微笑したソレイユが鍵盤を翔ける指先が織り成す旋律から月の化身を奔らせた。
 高空から一気に降り落ちる急襲、凛冽と灼熱の双剣とともに翔けた清浄と狂気を孕んで輝く月の化身が屠ったのは、執拗にシャムスを追わんとしていた悪魔達、己が惹きつけた敵が潰えれば、
「成程ね、確実に援護がもらえるなら――」
 一気に身を翻し彼我の距離を殺したシャムスが新たな標的に叩き込む蹴撃と掌打の乱舞、反撃の大鎌と交錯した刹那には、美しく翻った極光の波動が悪魔達を叩き伏せる勢いで舞い降りた。
「私からも援護させていただきますね! 思うままに翔けてください、シルさんも!!」
「ありがとうフィーナさんっ! 今日はね、思いっきり敵をぶん殴りたい気分だからっ!!」
 極光の波動が背に花開かせた翼で翔けるフィーナも皆への後方援護が叶う位置を確保し、三精霊とともに魔力で織り上げる極光を敵勢めがけて翔け続ける仲間達のために揮う。誰も孤立させないという彼女の強い意志を感じるままにシルはまっすぐ翔けて、フィーナへ大音声の宣告で反撃する悪魔の腹へ、思うさま気と魔力を凝らせた拳を叩き込んだ。
 遥か地上へ素早く眼差しを奔らせれば、数多いた無辜の人々すべてが危険を脱しきるまで後わずか。
 だがエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)も仲間達と同じく決して気を緩めることなく天空の戦場を翔けた。胸を撫で下ろすにはまだ早い、たとえ僅かであっても万が一にも敵の意識が一般人へと向くことのないようこちらに惹きつけねばと思うが、大声で挑発しようにも双方ともにエレナよりも敵が技能で優に勝って、それらを活かしたパラドクスを幾多の敵が揮う戦場にあっては最早大声のみの挑発では相手を惹きつけることは難しいと察すれば、
 ならば確実にこちらを意識させる方法で惹きつけるのみ、と全力で加速し、身体ごとぶつかる勢いで悪魔の腹を貫いたのは頑丈にして武骨な両手剣。命中強化の加護を乗せた一撃でエレナは相手の反撃を捻じ伏せて、
 結婚式という人生の節目を迎えた二人とそれを祝福する人々を標的にするとは、何たる悪意か、
「人の幸せを妬むみすぼらしき悪魔どもよ、他人が幸せになるのがそんなに許せませんか?」
『何とも愚かなことを口走るヒトの娘よ。貴様ら卑小な者どもが幸福であれ不幸であれ、我等は関心など持たぬ』
 然したる期待もせずに口にすれば、腹を貫かれた悪魔が意外にもそう哂う。
 そもそもアークデーモンは人々の『畏怖』の感情をエネルギーとする種族。己の力や存在を誇示するべく術を揮う程度ならともかく、今回『仮面の悪魔シリク・コア』が配下に命じた手あたり次第の虐殺による惨劇は彼らにとって割に合わぬものであるが、それでもなお惨劇を創り出さんとしたのは、首魁の外道ぶりの発露というだけではなく。
 少女ユーフェミアの心を傷つけ魂を砕け散らせることで、数千あるいは数万の人々から畏怖を得るよりも遥かに大きな力を手に入れられるからに相違ない。事前情報からもそれは明らかだ。
 反撃を潰された刈取の悪魔は無理矢理後方へ飛び退ることでエレナの両手剣を引き抜くのが精々ではあったが、
『寧ろ貴様自身が他者の幸福を妬むからこそ、相手もそうだと思い込むのではないか? ヒトの娘よ――!!』
「……!!」
 悪魔は突如轟かせた声音で攻勢に出た。なれど苛烈なる魔力を乗せた宣告、大音声の攻撃がエレナへ叩きつけられんとした刹那、瞬時に己が身を盾にしたノスリが痛手を引き受ける。
「結婚式に招かれざる客、ってとこは正解デショ? それとも自ら饗応になるつもり?」
 ――あんたらを喰えるのは悪食だけだよ。
 挑むよう笑んで牙を覗かすのは彼がデーモンイーターであるがゆえか。焼かれるのとアイスになるの、どっちが好み? と不敵に笑みを深めれば揮う反撃から溢るるのは灼熱と極寒の幻、選ぶ間もなく悪魔は幻の裡で潰えたが、他の刈取の悪魔どもも言うことには変わりあるまい。
 況して首魁たる『仮面の悪魔シリク・コア』の外道ぶりは疑いようもなく、
「何にせよ遣り口が悪趣味だっていうのには変わりないわよね!」
「ええ、より深く強くユーフェミアさんが傷つくことが解っていて、というなら尚更です!!」
 残る刈取の悪魔達が叩きつけて来る大音声を手首のカフスから展開した光のシールドで受けとめ威力を減じつつ、アリスは言の葉に続けて今日は黄金の星のごとく輝く煌きを敵めがけて溢れさせ、彼らの声音を押し返す気概でフィーナは精霊達と透明な響きで四重唱を歌い上げて極光を織り上げて、
 黄金に輝く星々と青き煌きを翻す極光が舞う戦場に、紫色(ゆかりいろ)の光孕む波動が溢れだす。
「口上は結構ですが、あなた方が私達に食いついた時点で私達はとっくに戦略的に勝利してたんですよ?」
 今更何を言ってももう負け惜しみじゃないですか?
 悪魔達への餞代わりにひときわ明るく笑ってみせ、言霊をマイク越しに大きく広げながらアオイが響かせる歌声が悪魔達に永遠の眠りを贈れば、更なる標的めがけて蛍が翔けた。白き手から一気に迸るよう伸びたのは折り畳まれていた指揮杖、その先端には魔力の穂先が煌くけれど、魔力の鋩なれどパラドクスなきそれではクロノヴェーダに掠り傷ひとつつけられぬことは蛍とて百も承知、ゆえに大鎌に指揮杖の槍が跳ね上げられた刹那、
 開闢と熱狂を歌い上げる力ある旋律を、迷うことなく敵勢へと叩き込んだ。
「あなたがたの望みがどうあれ嗜好がどうあれ、幸せを踏みにじるものを許せる人はいないと思いますわ」
 ――今ここに居るだけでも、これだけの人がそれを許さない。

●殲滅
 天空の戦場でも馬蹄の音を響かせて、黒き無双馬が更に猛然と加速する。騎乗する理央の黒き双眸にもなおいっそう強気な煌きが燈るのは、地上の人々がもはや完全に危険から逃れ去ったからだ。誰もいない街並みの遥か上空を疾駆して、
「これで憂いなし!! となれば後はもう一気呵成に殲滅しちゃうだけだね!!」
「ええ! 首魁はまだ先、彼らは雑魚だもの。早々に一掃しちゃわなきゃね!!」
 正しく怒涛の疾風となって確実に悪魔を屠りにかかる理央と無双馬の突撃、猛然たる馬上槍で貫かれ薙ぎ払われその勢いで宙に舞った獲物を青空の瞳をきらりと煌かせたソラの双翼魔弾が撃墜するも、撃墜直前に一気に振り落とされた反撃の大鎌は躱しきれなかった。幸い幾重もの【グロリアス】が痛手の多くを拭い去ってくれたが、
 ――超新星アイドルのアタシとはいえ、流石にダンスの動きで回避ってのは難しいかしら?
 何せ双翼魔弾そのものがソラの最も不得手な能力に拠るもの、自然敵からも勢いある反撃が返って来やすいが、それでも、今回の戦いに最も重要な【飛翔】を重ねるこの技を選んだことを、常に前を、常に上を向く彼女は後悔なんてしない。
 迷わず駆ける理央、怯まず翔けるソラ、
 更に攻め手の勢いを増さんとする二人めがけて大音声と大鎌が放たれ揮われんとするが、
「彼女達の勢い、殺させやしないよ」
「ええ、皆さんを阻まんとするものは、僕達が止めてみせます」
 全速で翔けた陸とヤコウが少女達を完全に護り抜いた。ディフェンスは味方を護る戦術にして己の反撃という手数を増やす攻めの戦術、それを確と心得た陸が迷わず悪魔の懐へと跳び込んで揮う双剣の反撃、自身は反撃こそ叶わずとも大鎌の軌跡を銀針に滑らせ急所を反らしたヤコウは防御強化の加護にも援けられ、瞬時に攻勢へ繋いだ。
 一斉に萌す春野の幻、暖かな春陽に祝福された草花が悪魔達を須臾の眠りへいざなった刹那、
「春眠の寝入りばなに申し訳ありませんが、オーロラをお届けしますね!」
 凛然と煌く青空の双眸で確実に戦況を捉えて好機を掴んだフィーナが春野の幻に呑まれた敵勢へ極光の波動を躍らせ迷わず悪魔達を葬って。天空の戦場に美しい彩を描き、着実に敵勢を削って追い詰めていく。
「あと少し! このまま一気に殲滅しようっ!!」
「ええ、どうか迷わずに! アンゼリカ!!」
 指先にまでその熱を届かせんばかりにいっそう勇気を燃え上がらせ、全力で輝ける裁きの星を解き放つアンゼリカ、彼女を打ち据えんとした悪魔の大音声に迷わず身を挺し、ソレイユは己が声音で彼女の背に追い風を贈る。
 アンゼリカが如何なる経緯で新宿島に漂着したのか。
 予知の光景と切れ切れながらも記憶を甦らせた彼女の話を重ねれば、胸に燈ったのは微かな苦味を孕む既視感だった。
 遥か時空の彼方に大切な人々を、約束を置いてきてしまったのはソレイユもまた同じ。
 明日の朝食の献立といった微笑ましい約束から、将来の家督の行方という確かな重みを持つ約束まで、何ひとつ叶わぬまま何ひとつ叶えられぬまま。然れど己のそれはまだ遠くとも、アンゼリカの手が届くと言うのなら、
「私は、私に出来ることを成すのみです」
「うん、私も同じだ。一緒に尽くそう、力も、心も」
 痛手を気丈に堪えて迷わず光の鍵盤を十指で打ち込む弟のような友の姿に眦を緩め、彼の反撃の旋律から翔けた月の化身と共にシャムスも翔けた。月の一撃に続く日狂星落乱舞(ニッキョウセイラクランブ)、ソレイユの旋律に乗せた体術の乱舞で月に日と星を重ねて悪魔を屠り、互いに頷き合って戦いの涯をめざして翔ける。
 日常を破壊し、少女の幸せを壊すことに歓びを覚える、赦しがたい存在に手が届くところまで。
 誰もが猛攻をかける、その勢いを加速度的に増していく。
 蹂躙戦の態を成してくれば燐寧もいっそう猛るように笑って、
「何もかも全部、刈り取られるのはきみ達の方だよぉ!!」
「そういうことです! あなた方の大鎌は、一滴たりとも無辜の人々の血を吸うことないと知れ!」
 アンゼリカが失くした想い出を覆い隠さんとする邪魔者どもすべてを刈り取らんと爆ぜるように解き放った鋸弾を思うさま乱舞させて、高速回転する鋸刃が蹂躙する悪魔の一体に狙い定めてエレナも駆けた。敵の胸を容赦なく喰い破るよう貫くのは先と同じ武骨な両手剣、
 ――刃の元に屍晒し、その身に相応しき地獄へ墜ちよ!!
 クレイモアの餌食となった獲物が絶命したと見れば迷わずノスリは翔けぬけ、鋸刃に抉られた悪魔へ猛禽の爪を揮う。
 今は手許になくとも胸に咲く花冠に燈るアングレカムも、
 純白のチャペルを擁する庭園にも咲き溢れる純白の星も、
 そして、眩い歓喜に彩られた少女達の約束も、すべてが耀いて見えるから、
 ――それだけで、翔ける理由には充分すぎるほど。
「一般人の皆さんは誰ひとり傷つかずに済みました! さあ、約束を取り戻しに行きましょう、アンゼリカさん!!」
 記憶を失った彼女とは異なり、刻逆で姉を奪われた瞬間の記憶はアオイの胸の裡で今も血を流すから。記憶が甦った時にはきっと彼女も同じ痛みを覚えただろうと思うから、敢えて明るく笑ってアオイは敵勢に痛手を齎す歌声で縁(ゆかり)を歌いあげる。皆とアンゼリカの、アンゼリカとユーフェミアの。
 素晴らしいわ、と彼女の歌に感嘆を咲かせ、毅然と笑んで翔けたレオアリアが歌声に呑まれた悪魔達へと浴びせかけるのは凍結の権能を孕む氷雪、然れど猛然たる凍気が彼らの精神や魂魄に襲いかかるも、それらが凍てつくのはやはり一瞬。反撃の大音声が轟くも咲先と同じく純然たるかり火力で捻じ伏せて屠れば、猛き姫騎士は高らかに宣言した。
 この戦いはまだ始まり、第一幕にすぎない。
 全回復を望む間もない次なる戦いが予知されていることはこの場の誰もが承知の上、なれど敢えてレオアリアは断言した。
「約束は、わたくし達が果たさせるわ! 復元せよ、汝の歴史!!」
 ――それは永劫にして須臾の約束の歴史……、
 ――その復元を以て、我は約束を果たす翼の一つとなる!!
 ふんわり柔らかで、真白な霧の海。
 恐らくは刻逆のときに掌から零れ落ちてしまったのだろうネリリの過去や想い出は、今も真白な霧の海のなか。だけど、
「もし、失った物を取り戻せるのなら、そのときには手を貸し合おうって約束したよね?」
 ――あの約束を、今こそわたしは果たすよ!!
 鏡写しのように良く似た境遇を抱えていたアンゼリカの手が、零れ落ちてしまったものに届くのなら、大切な友人のためにネリリも約束を果たすために全力を尽くす。
 失った物を取り戻した友の笑顔を見れば、きっと己の胸にも希望が咲くはずだから。
 渾身の力で引き絞った黒き弓から翔ける黒き矢、遥かなる高みで爆ぜるよう分裂し、星屑の嵐となって敵勢に降り注ぐその魔力が更に悪魔達を減らしていくなかへ、脇目も振らずにシルが吶喊する。最も得手とする砲撃魔法ではなく、今は相棒たるアンゼリカに教わったこの技をどうしても使いたくて、
 ――六芒星に集いし精霊達よ、我に力を……!
「輝け、わたしの魔力と裁きの光っ!! アンゼリカさんの力と一緒に、すべての悪魔を打ち砕くんだからっ!!」
「シル……!!」
 常よりもなおいっそう冴え渡る相棒の高速詠唱、本来のそれに更なる想いを重ねたシルが黄金の獅子の輝き咲かせ、裁きの光と共に悪魔めがけて吶喊していく。泣くのはまだだと歯を食い縛って熱い涙を堪え、

「我が手と相棒のもとに集う裁きの光よ。全ての邪悪なる者を、焼き尽くせっ!!」

 黄金誓姫もまた詠唱に今この瞬間の想いを重ね、輝ける星々を解き放った。
 煌々たる黄金、皓々たる純白、どちらともつかず、どちらとも思える輝きが一斉に爆ぜ、二人の力が残る刈取の悪魔全てを屠った次の瞬間に、初めて。
 誰もが、首魁たる『仮面の悪魔シリク・コア』を目の当たりにした。
 刈取の悪魔達の眼を地上の一般人達から完全に逸らす為の戦いは、恐らくは自分達の眼も標的から逸らせぬ激戦であったということなのだろうか。だが、驚愕に右半分の顔を歪めた『仮面の悪魔シリク・コア』が、
『俺様を護れ! ガーゴイルガンナーども!!』
 絶叫めいた声を迸らせた途端、何もない空中から一斉に溢れだした新手の悪魔達がたちまち『仮面の悪魔シリク・コア』の姿を覆い隠していく。
 ユーフェミアの大切な親友に関する知識はあれど、突如現れ刈取の悪魔達を殲滅した敵の中にその当人、アンゼリカがいることにはまだ気づいていないらしい。距離があるためか、ユーフェミア自身も、また。
 続けて一触即発の緊張を漲らせた天空の戦場で、真っ先に明るい声音を咲かせたのは伊吹。
「大丈夫! アンゼリカさんの声がしっかり届くように、私達がきっちり道を拓いてみせるから!!」
 曇りなき声音も言葉も決して強がりではなく、
 全回復は望めずとも、幾重にも燈された【グロリアス】が継戦に十分な力を皆に確かに贈ってくれているがゆえ。
 ――だから続けて翔けていこう。
 ――輝く約束、眩い歓喜を取り戻すための戦いの、第二幕へと。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
【飛翔】LV13が発生!
【避難勧告】LV2が発生!
【友達催眠】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【グロリアス】LV5(最大)が発生!
【ダメージアップ】LV4が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV3が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

アンゼリカ・レンブラント
地上の人々の無事に
みんなの言葉に想いに熱い涙が溢れそう
でもまだ零さない――まだ!

飛翔の効果を受けつつダッシュして
約束を交わした友の傍に行こうとする
でも無茶はしない

あの子は、「ミア」は人の痛みを自分の痛みのように思う子だった
その優しさが時に自己犠牲の想いにもなると知っている
私が傷だらけで傍に行ったのなら、きっと彼女を傷つける
故にはやる気持ちを抑え確実に行くよ

こちらからの攻撃は進行方向を塞ぐ相手のみに行う
光剣の一刀で一撃必殺を狙い斬り伏せ進む
突出しすぎて囲まれることのないよう確実に
みんなの援護を十分に受けられるよう進むよ

駆け抜ける中脳裏に戻って来る記憶と共に
待っていてミア
今私が

「陽菜」が行くから!


宇佐美・アリス
皆との連携を心掛けて行動するわ
何としてもアンゼリカさんを送り届けなきゃね

友人とのお話位させなさいよ
本当に野暮な連中ね
「アンゼリカさんをディフェンスする」わよ
石化の魔弾はシールドか武器で直撃を避ける位しか出来ないけど、弾除け位には・・・

ネガティブはダメね
攻撃される前に落とすつもりでいきましょう
敵に出来るだけ、上を取られないよう【飛翔】で移動しつつ、妖精さん達を[召喚]して、彼らを[統率]して、敵を攻撃しやすい位置に誘導してもらって、すれ違いざまに[斬撃]を叩き込んであげるわ
マッハ0.5って言うとなんかスゴくない?

囲まれたり弾幕に晒される時は、【エアライド】で回避経路を見極めて急ターンするわよ


ノスリ・アスターゼイン
ネメシス化
身の紋様が耀く

立ち塞がる敵を確実に落として露払い
突破口を拓き
ふたりの邂逅を叶えよう

無粋な輩など
砂の鳥が喰らってしまうよ
味わう事なく丸飲みにしてさ
だって如何にも不味そうだもの

突出・孤立しないよう心得つつ
縦横無尽の飛翔で
アンゼリカの死角を補う

あんたは
どうぞ真っ直ぐに
カバーは任せて

アンゼリカが皆を信じているように
俺も彼女を、花冠の絆を
必ずミアの許へ辿り着くことを
信じている

パラドクス通信も活用し
戦況の把握と
連携を密に

ディフェンスもアンゼリカを主にと心掛け
ミアへの気遣いを見せる彼女の真摯な優しさごと護りたい

アンゼリカが想いを届けている間も
塵一片たりと邪魔させない

煩いよ
呪詛ごと砂に飲まれてしまえ


四葩・ショウ
大切な家族を、友達を
――あの夏の日に、奪われた

今も
ひき裂かれそうな絆が、ある

羽搏く理由なら――それだけで

救援機動力を花冠の絆を標に
最高速度の【飛翔】と空中戦で初撃は足元から不意打ち
アンゼリカさん狙い・邪魔する敵>最も負傷した敵を標的に

手にとる直刃のナイフ
ウエディングナイフめいたそれで軌跡描き
悪辣な企みごと断ち切って

一撃離脱時にひろく見定め
突破させるべく集中攻撃か
敵を食い止めるか
仲間の動きに合わせ、【通信】で伝え連携

アンゼリカさんをディフェンスし、傷つけさせない
ここはまかせて、さぁ
ミアさんのところへ!

彼女の突破後も立ち塞がり続け、追う敵を余さず撃墜し
一体残らず殲滅する

花の許へ
その背を送り届けよう


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

親友との大切な語らいに
外野の口出しほど無粋な事はありません
代わりに一曲、こちらのお相手をして頂きましょう
なに、退屈はさせませんよ

引き続き飛翔しネメシス化
宙に展開した鍵盤でヒロイックシンフォニーを演奏
幻想の英雄を喚び、ガーゴイルへ攻撃を指揮します
できるだけ早くアンゼリカが親友の許へ辿り着けるように
仲間と標的を揃えて一点突破の道を作ります

攻撃して注意を引き、距離を詰めたり下がったりと不規則に動き
徐々に仮面の悪魔からガーゴイルを引き離せれば僥倖
アンゼリカを主に、仲間へは得意属性でディフェンスに入り
更に相手のテンポを崩していきましょう

貴方は振り返らずに翔ければ良い
此方は任せてください


シル・ウィンディア
最初から全開で行くよっ!
ネメシスモード開放っ!
銀髪銀目の天使モードですっ!

飛翔の効果で、アンゼリカさんに随伴飛行
アンゼリカさんの通る進路上に敵がいれば優先して七芒星精霊収束砲で撃ち落としていくよ。それ以外は、向かってきそうな敵へ攻撃、
アンゼリカさんに向かう攻撃は出来る限りディフェンスで庇いに入るよ。
彼女に攻撃を通したいなら、わたしをどうにかしていくことだよっ!!

随伴飛行をしながら、戦場を観察して、気づいたことはパラドクス通信で味方と情報共有。
特に、アンゼリカさんに追撃を仕掛ける敵と、進路上で撃ち漏らしそうな敵に関しては優先で共有をしていくね

さぁ、行って!
あとはみんなで引き受けるからっ!


シャムス・ライラ
仲間と情報共有、連携
アンゼリカ殿を親友の元に進ませるため可能な限りの助力を

地形の利用、情報収集で戦場の概要を把握
視野を広く持ち
アンゼリカ殿の進路確保を最優先
その他は手が足りない所を補うよう動く
飛翔しネメシス化して空中戦を
星の銀で無数の盾を生成
盾を連ね、或いは強度が必要な場合は重ね
弾丸、爪、肉弾攻撃等
敵の攻撃からアンゼリカ殿を始め味方の防御を
強引に抜けようと突っ込んでくる個体があれば
シールドバッシュで叩き落す
彼女は為すべきことのある場所へ
私達は道を堅守する
やすやすとここを抜けられると思うなよ

敵攻撃は盾で防ぎつつ押し返す
アンゼリカ殿への攻撃はディフェンス

有効そうな残留効果は全て使用

アドリブ等歓迎


永辿・ヤコウ
ネメシス形態
背に炎揺らめき
赤眼に

葵襲の針雨にて敵陣を穿ち
アンゼリカさんをミアさんの所へ送る為
突破口を作る

アンゼリカさんをディフェンス
彼女を庇う皆のこともディフェンス

パラドクス通信や声掛けで
戦況の全体把握、確認を怠らず
連携を図り
死角も補いあおう

油断も見縊りも決してしない
自陣の僅かの隙も突かせやしない
そして
一体も逃がしはしない

空に一点の曇りも残さぬよう
殲滅します

敵の動きを察知すべく
見据える眼差しは
赤く燈って凛

アンゼリカさんが突破して後も
語らいの邪魔はさせない

地に縫い付ける間もなく
空中で針山にして差し上げる

けれどきっと針山になる前に
悪しき思惑ごと霧散しているに違いなく
頼もしい面々へ
極自然に零れる笑み


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
※ネメシス形態使用

空中戦で来るなら、ひとまず地上の方々は大丈夫ですね。
ならば、私はアンゼリカさんの道を切り開きます。

飛翔を維持し、まず『希望の円舞曲』で仲間を鼓舞。
アンゼリカさん達が望む未来への希望を歌いつつ、細剣に精霊の加護を付与。

その後、魔力刃を飛ばして敵集団の手鼻を挫きながら、ユーフェミアさんへの道を確保するため接近戦を仕掛けます。
接近後、未来予測も利用して、敵の頭上またはアンゼリカさんへの道を遮るように位置取り。
敵の行動を妨害しつつ、細剣で呪詛を込めた一撃を加えます。

また、遠くにアンゼリカさんに向かう敵が居たら、魔力刃を飛ばして牽制するなど、出来るだけ足止めします。


月見山・伊吹
※連携、アドリブ歓迎だよ!


今、私がやるべきことはお友達に語りかけ出来るようにアンゼリカさんの道を拓くこと!

お次は取り巻きであるあの敵ことガーゴイルガンナーどもをやっつけなきゃだねぇ

【パラドクス通信】で仲間達と連携を密にしながらも
アンゼリカさんをディフェンス!
敵が空中戦するならこちらは引き続き【飛翔】するよ

パラドクスは『霹靂環』を発動!
反撃の対策は上昇はなるべく長毛種スフィンクスのシフォンにびりびり攻撃で邪魔して撃ち落として間に合わず急降下してきたら【未来予測】を使って頑張って回避するか
下から突き上げるように敵を切れ味も抜群な雷の魔力が込められた多機能シャベルで貫くからね!


嵐柴・暁翔
久方ぶりに会う友達同士の会話を邪魔しようとは悪魔達も無粋だねぇ…
ユーフェミアの魂を砕くためにアンゼリカを甚振ろうって魂胆だろうけど、然うは問屋が卸さないぜ

残留効果の【飛翔】を使用して溢れ出る悪魔達に空中戦を仕掛けます
誰かが【パラドクス通信】を使用していたなら相乗りします
乱戦の中で他の方々と連携が取れるのは有難いからな

《伝承顕現》でゲイボルグを作り出し、【未来予測】で相手の動きを先読みして狙いをつけて投擲して攻撃します
特にアンゼリカを狙う悪魔達を優先して仕留めます
悪魔達と俺達どちらにとっても勝利の鍵はアンゼリカなんだしな
暫くは俺と遊んでいて貰うぜ

相手の攻撃は【未来予測】を駆使して防ぐか回避します


一里塚・燐寧
やれやれ~。石像みたいに黙ってくれりゃいいのに
邪魔をするなら、粉々に砕いちゃうよぉ?

巨大恐竜型のネメシス形態に変貌し、肩の生体スラスター器官から炎を噴射して【飛翔】
巨体を盾とするように、アンゼリカちゃんをディフェンスして戦うよぉ
人の恋路……かはともかく、一途な道行き邪魔する奴は、チェーンソーザウルスがブッ殺す!

高速詠唱で急激に体内にエネルギーを溜め込み
足を止めることなく高速で飛びながら『闇雷収束咆・怨響波』を発動!
無数のプラズマ弾を口からのブレスとして放ち、敵を灼き払うよぉ!
友達の花道を綺麗にお掃除しなきゃねぇ!

反撃の魔弾はブレスの砲撃で撃ち落とし
突撃は急所に当たらぬよう尾や拳で受け止めるねぇ


ネリリ・ラヴラン
もう、すぐそこ…
手を伸ばせば届く所まで辿り着いたんだから
邪魔はもう無粋なんだよ

「先に行くね」ってアンゼリカちゃんと随伴の子達を一瞥したら
【飛翔】の効果を最大まで発揮、敵陣へ飛び込むよ

敵同士の間をすり抜け、同士打ちの危険を意識させながら
【未来予測】で攻撃を予測、身を翻して避けてながら
高速詠唱で呼び出した蝙蝠群を撃ち込んでゆくね
積極的に攻めて、彼女達の方へ仕掛け難くするのが目的だよ

彼女が通り抜けてゆけたら
少し離れた後方を追ってから進路を塞ぐように敵さんへ振り返るよ
殿につく皆と協力して追っ手は全部倒してあげるわ

振り返る必要なんて無いわ
貴女は真っ直ぐ、ミアちゃんだけを見て、進むんだよ

アドリブは歓迎です


竜城・陸
ネメシス形態で継戦
白金の髪、淡い菫色の瞳
魂に宿る“光の神”の光輝纏う姿

【飛翔】用い空中戦
振るうのは曙光を編んで束ねた光槍
遠くば投擲、近ければ槍を振るい斬撃で応戦

皆の状況を逐次確認
【パラドクス通信】で位置・狙いを共有し合い
アンゼリカの進路を阻む敵を最優先に
吶喊/攪乱に回る味方のフォローも行うよ

誰一人倒れさせない
皆で彼女を最後まで支えたいから

ディフェンスは積極的に
アンゼリカを庇う子が多いならば
庇う側の子たちにも負傷が嵩む筈
彼ら彼女らの体力も常に気に掛けるよ

さあ、行ってアンゼリカ
振り返らなくていい
君の身を脅かす者
交わす言葉を阻む者
その絆を裂こうとする者すべて
俺たちが払ってみせるから


無堂・理央
アンゼリカさんの道を切り開く!
邪魔する輩は纏めてぶっ飛ばすまでだよ!


引き続き無双馬『クロフサ』に騎乗、【飛翔】でクロフサには空中を駆けれるようにするよ。
更にネメシス形態発動!
義憤の女神ネメシスの力を宿す神炎をボクとクロフサが纏う!
今回はも一つオマケにパラドクスで作る鳳にも神炎を混ぜちゃえ!
解き放った神炎の鳳に直ぐ追いついての突撃パターンで敵陣突破!

アンゼリカさんより前を駆け抜けて、アンゼリカさんを助けたい人の元へと行く道を切り開いていく!
それこそ、前から来る攻撃はアンゼリカさんに行く前に全てボクとクロフサが受け止める位の気持ちと立ち位置で行くよ!!


ソラ・フルーリア
※連携アドリブ歓迎します!

さてと、リハーサルその2ね!
ミアとの再会は邪魔させないわ!
ここで全員叩き落としてやるんだから!
(ネメシス発動!四肢と翼が赤く染まる!)

初っ端から「全力魔法」で行くわよ!
今回も【飛翔】しつつ、【正念と白光の流星散砲!】で纏めて撃ち抜いていくわ!
「誘導弾」も併用して確実に数を減らしていくわね!

敵の攻撃は石化が厄介ね!
【飛翔】のスピードで回避するか、しきれなくてもレゾネイトで弾く!
翼が石化して飛ぶのに支障が出ないようにするわ!

アンゼリカが呼びかけてる間も「連撃」で近寄らせないし、アンゼリカをディフェンスして守るわよ!
たまには誰かのステージを盛り上げるために動かなくちゃ!


アオイ・ダイアログ
連携・アドリブ歓迎

さて、引き続き【飛翔】で空中戦ですね
ここはBOWスタイルにチェンジして弓で行きますよ!

矢を数本取り出して一気に言霊を込めて射ます!
突撃してくる敵をメインに爆風で吹き飛ばして不発にしてやりますよ!
特にアンゼリカさんに攻撃しようとしてるヤツは絶許です!

攻撃は銃の向きを見て回避、緊急時は味方や自身に矢を当てて起爆して避難させます
ダメージはないので我慢してください!

あなた方はアンゼリカさんがお話するのに邪魔なんですよ
だから黙って墜ちてて下さい
再会の横槍はさせませんよ!


●記憶
 ――お願い殺して! 私ごとこの悪魔を殺して、『  』!!

 甦った記憶に鮮烈な赤が、生々しい紅が明滅する。
 先程の【避難勧告】とはまた異なる赤や紅の明滅に彩られているのは『あの子』の叫びが血を吐くようなものだったから。嘗てアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が最期に聴いた親友の、ユーフェミアの言葉がそれだった。
 結婚式が惨劇に染まる様を見せつけられ、彼女の身体を我が物として振舞う『仮面の悪魔シリク・コア』によって己自身の手で家族を惨殺させられて、少女の魂が生々しく裂けて血を噴き出す様が見えるようだった。
 私が生まれてきたせいで、私が生きてきたせいで、この悪魔が覚醒してしまったの、と残された左半分の顔を涙に濡らして慟哭しながら自分を責める親友を救いたかったのに、『あのとき』のアンゼリカにはその力がなくて。
 ――私の光が死者さえ蘇らせるものなら、
 ――私の拳が悪しき心だけを砕くものだったら、
 君の憧れのままだったらなら、どんなにか……!!
 アンゼリカの魂もまた生々しく裂けて血を噴き出し、それでも『仮面の悪魔シリク・コア』に立ち向かわんとして、結果、悪魔が意のままに揮うユーフェミア自身の身体で、その手で、命を絶たれたのだ。きっとあの瞬間に親友の魂も砕け散ったに違いない。
 けれど、
 だけど、
 悪魔に敗れて新宿島へ流れ着き、基準時間軸よりも更なる過去へ翔けるパラドクストレインによって、アンゼリカは約束の時空に帰還した。嘗ては駆けつけることさえ叶わなかった最初の惨劇を完全に防ぎきった。無辜のひとびとは誰ひとりとして傷つくことなく安全なところまで逃げ延びている。
 己ひとりでは無理だった。だが『あのとき』とは違う。
 いざとなれば無辜のひとびとの盾となる覚悟でともに時空を超えてくれた友人達が、仲間達がいる。みんなが一緒に翔けてくれたからこそ最初の惨劇を覆すことができた。そして誰もがユーフェミアの運命を覆すことを、アンゼリカがすべてを取り戻すことを願ってくれている。
 熱い涙で滲みかけた視界に『あの子』が見えたのは一瞬のこと、たちまち宙から数多溢れだした悪魔の護衛達によってその姿は見えなくなってしまったけれど、ただ一瞬で脳裏を閃光めいた記憶が翔けぬけた。
 まだ泣かない。まだ涙は零さない。
 だから代わりのように熱い叫びを迸らせた。そう、自分は『あの子』を、ユーフェミアをこう呼んでいた。

「ミア……!!」

 ――もうすぐ届く、もうすぐ助けにいくよ!!
 ――きみのこころもからだも、いのちもすべて、まもりぬいてみせるから!!

●吶喊
 天翔けるツバメの最高速度は時速200km。
 既にその数倍にも達している全速の【飛翔】で翔ければ視界に映る世界のすべてが色彩の奔流になるかのよう。だがめざす戦場も倒すべき敵も、力になるべき仲間も見誤ったりしない。救援機動力と明星の花冠が繋ぐ絆が標となってくれるから、
 世界を貫く勢いで翔ける四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)の手に顕現するのは無垢なる白銀に煌く直刃のナイフ。
 眩い夏を想うたびに胸が張り裂けそうになる。
 大切な家族を、友達を、刻逆に――あの夏の日に、奪われて。
 然れど、己のそれにはまだ手が届かずとも、嘗て引き裂かれた絆を取り戻せるのなら、
 花冠の絆を結んだ仲間が、大切な親友とのそれを取り戻すための力になれるのならば、
「わたしも追い風になりにきたよ! アンゼリカさん!!」
「俺もだ、無粋な悪魔どもを蹴散らしにきたぜ! アンゼリカ!!」
 羽ばたく理由などそれだけで十分すぎるほど。全速で飛び込んだ数多の悪魔達の足元から突き上げるよう急襲したショウが閃かせる白銀は人類が連綿と歴史を紡いできた現代出身の身なればこそ揮える復讐の刃、本来であればウエディングケーキに入刀すべきナイフをアンゼリカへの祝福の刃と成して、彼女の道を阻む『ガーゴイルガンナー』達を斬り裂いたとほぼ同時、
 強気な笑みを覗かせた嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)が上空から敵勢を強襲した。ショウが顕現させるのが人類史に実在した武器であるなら暁翔が独自の技で顕現させるのは人類史に存在する神話や伝承上の武器、
 瞬時の顕現とともに撃ち込まれたゲイボルグが数多の鏃となって悪魔四体を一気に穿てば、
「ショウ! 暁翔!」
 悪魔達の反撃にも怯まず戦場へ躍り込む新たに駆けつけてくれた仲間達、その名がアンゼリカの口から迸り、
「先駆けはわたし達に任せてね、アンゼリカちゃん。悪魔達の壁なんか抉じ開けてみせるんだよ!」
「うん、絶対にアンゼリカさんの道を切り開くよ! 邪魔する輩は纏めてぶっ飛ばしてやるからね!!」
 迷わぬ微笑みひとつ彼女達へと残して、ネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)も全速の【飛翔】で敵勢へと飛び込んだなら、復讐の女神の名の許に燃え上がる神炎で一気に己も愛馬も覆った無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)も躊躇うことなく先駆けとして敵勢へ吶喊した。
 ――もう、すぐそこ。
 ――手を伸ばせば届くところまで辿り着いたんだから、
 邪魔はさせないんだよと蘇芳の眼差しに鋭い煌き燈れば、光の煌きほどの刹那にまで圧縮された高速詠唱とともに魔術精錬銀の指輪を燈す手を閃かせたネリリの許から数多の魔法の蝙蝠が翔け、反撃の魔弾と交錯しながらも蝙蝠達が派手に爆発して悪魔達を呑んだなら、凄まじい勢いで解き放った神炎の鳳へ追いつく勢いで馳せた理央の人馬一体、更に鳳とも一体となった突撃が鉱物の肉体を持つガーゴイルガンナーを撃墜する。
 頑強な悪魔達の壁に風穴を空ける蝙蝠の爆発と神炎の突撃、
「わたし達も続こう、アンゼリカさんっ! ミアさんのところに送り届けるまで絶対傍を離れないからっ!!」
「うん! みんなの力を借りるね、無茶はせず確実に、絶対にミアのところまで押し通るっ!!」
 仲間達の頼もしさに笑みを咲かせたならば、青きシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)の髪にも瞳にも復讐の女神の名の許に銀の彩が咲く。背に咲き誇る白き天使の翼に重ねて四対の魔力翼が展開した瞬間、
 眩くも苛烈に迸る光は今このとき自陣最高火力を誇る七芒星精霊収束砲(ヘプタクロノス・エレメンタル・ブラスト)!
 絶大な虹の輝きが敵の反撃も次撃も捻じ伏せ、その命ごと鉱物の肉体を粉砕したなら、虹を追う飛翔突撃とともに掌中へと一気に咲き誇らせた巨大な光剣でアンゼリカが更なる悪魔を斬り伏せて、
「ええ、今あなたの前に開けているのは、絶望ではなく希望の未来です! アンゼリカさん!!」
「そう、アンゼリカの前にあるのは輝く希望のみ。あなた達のほうこそ絶望に沈んでもらいますよ、悪魔の皆さん」
 戦場には皆を鼓舞するように希望の円舞曲と英雄の交響曲が響き渡った。
 希望の歌声とともに背に花開いた純白の翼でフィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)が翔ければその手で白銀に煌く細剣に精霊の加護が宿り、復讐の女神の名の許に研ぎ澄まされた魔力の刃を迸らせたなら、疾風めく刃とともに敵勢へと斬り込んでいくのはソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)が演奏によって顕現させた幻想の英雄。
 純白と夜空を翻す外套の裡に覗くは夜を金で彩ったアビ・ア・ラ・フランセーズ、復讐の女神の名の許に己を変容させれば宙に展開された光の鍵盤に奔るソレイユの指先はいっそう雄々しき旋律を奏で、
「邪魔者どもは全力で吹き飛ばしていきますよ! 特にアンゼリカさんを攻撃しようとするヤツは絶許です!!」
「野暮な悪魔は絶許よね、何としてもアンゼリカさんをミアさんのところへ送り届けてみせましょう!!」
 天空の戦場を翔ける歌声と楽曲に乗るよう翔けるアオイ・ダイアログ(響き合う言霊の繰り手・g02687)の手には緑の弓。瞬時に番えた幾つもの矢の鏃は丸くとも、一気に射ち放てば鏃に凝縮した言霊が凄まじい爆炎と衝撃波を炸裂させて、爆風で上空に舞い上げられた敵達が瞬時に反撃の急降下突撃を仕掛けるが、怯まぬアオイと彼らが激突した瞬間に妖精達を嗾け、
 命中強化の加護を重ねた妖精剣を奔らせた宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)の斬撃が悪魔どもを纏めて撃墜する。
「まだまだリハーサルその2ってところだけど、滾るわよね! ミアとの再会は邪魔させないわ!!」
「石像みたいに大人しくしてればいいのにねぇ。邪魔をするってんなら、粉々に砕いちゃうよぉ~?」
 背に輝く魔力の翼と撓やかな四肢に復讐の女神の力を赤き彩として咲かせた刹那に全力で魔力を凝らせて、敵勢の上空へと魔力弾を撃ち放ったのはソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)、天頂の太陽さえも凌駕する眩さで輝いた魔力が爆ぜれば光の魔力が苛烈な流星雨のごとく悪魔達へ襲いかかって、
 復讐の女神の名の許に悪魔達よりも更に獰猛なる恐竜の姿に変貌した一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が咆哮すれば、高速詠唱で一気に凝縮された怨念の力が凄まじい闇色の雷となって恐竜のあぎとから迸り、悪魔達を蹂躙した。
 黄金誓姫をユーフェミアの眼前に送り届ける。
 親友の許へ馳せんとするアンゼリカを揺るぎなきその一念で援護するディアボロス達は、さながら頑強にして堅固な無数の悪魔達の壁に喰らいつく牙にして穿ち貫くための鋩。乱戦の様相を呈することを見越しての【パラドクス通信】で顕現させたインカム状の通信機で意志の疎通を確実化して、幾人ものディフェンスで彼女を護りながらの突破を図るが、
 結婚式の惨劇を完璧に阻止されたのが『仮面の悪魔シリク・コア』にとって余りにも想定外にすぎることだったのだろう、件の悪魔が顕現させた護衛たるガーゴイルガンナー達の壁は極めて厚く、易々と突破を許しはしない。
 然れどそれとて誰もが承知の上だ。一気に厚く積み上げられた命中強化と攻撃強化の加護で悪魔達を圧倒し、最大の威力を発揮する【グロリアス】で痛手を癒しながら天空を駆けて馳せて翔けぬけんとする。だが、
 魔力刃の射撃と細剣の斬撃、双方ともに精霊の加護を乗せたそれを自在に揮うフィーナが、一瞬で顕現させるゲイボルグで悪魔達を穿つ暁翔が、敵の動きを先読みせんと【未来予測】を試みれば、
「「……!!」」
 視えたものは、数多の銃弾と爪を、石化の魔弾と突撃を、其々が『喰らった後』の光景。
 彼我ともに己の周辺時空を歪めて戦う逆説連鎖戦では、十秒や二十秒、あるいはそれ以上の時間を一瞬に圧縮する事象など当たり前のように頻発し、場合によっては時間の逆流や逆転すらも起こりうる。
 ゆえに戦端が開かれる前ならまだしも、逆説連鎖戦の最中に【未来予測】で敵の挙動や攻撃を察知するのは非常に困難で、寧ろ【未来予測】をあてにしすぎれば致命的な隙に繋がる可能性すらある。敵も己も、時間も空間も世界法則さえ書き換える力で戦っているのだから。
 だが視えた未来は一瞬にも満たぬ刹那で覆された。
 二人を直撃するはずだった猛攻を防いだのは星彩の銀と曙光の光、
「護衛の悪魔達の目的は『敵を主に近づけないこと』。狙いは決してアンゼリカ殿だけではありませんからね」
「だよね、けれど誰ひとり倒れさせはしないよ。皆でアンゼリカを最後まで支えたいから」
 星の輝き湛えた金属を無数の盾として展開したシャムス・ライラ(極夜・g04075)の背や上腕には復讐の女神の力が紋様を描き、反撃はならずとも先手を齎す風とともに彼が思うさま盾を叩き込む攻勢に移るよりも僅かに速く、曙光の白金に染まる髪を躍らせた竜城・陸(蒼海番長・g01002)が反撃の光槍で己の眼前の悪魔を薙ぎ払う。
 復讐の女神の力を燈した今、天空の戦場を翔けるのは蒼海の竜ではなく曙光の神。
 ――だって、アンゼリカが大切に想うものすべてを護りに来た。
 ――絆も約束も想い出も、今彼女とともに戦う仲間達をも護る。その為に、降臨したのだから。

●劈開
 陽光の銀に輝く靴で天翔ける風を蹴る。約束を交わした親友のもとを目指して飛翔する。
 速く速くと『あのとき』の己が胸の裡で叫ぶけれど、新宿島に流れ着いてから得た友人や仲間達との絆で成長した『今』のアンゼリカ自身がその衝動を抑え込んだ。だってあの子は、ミアは、他人の痛みさえ自分の痛みのように思う子だったから、他人の苦しみに胸を痛める彼女の優しさが、時に自己犠牲の想いになるとも識っているから、
「絶対に無茶はしないよ! 私が傷だらけで逢いに行ったら、きっとミアを傷つけてしまうから!!」
 数多の悪魔達が行く手を阻む敵陣、悪意の嵐のごときそこへ黄金の颶風となって吶喊しながらも、仲間達の援護をまっすぐ信じるアンゼリカが己から巨大な光剣を揮うのは真正面に立ちはだかる相手のみ。
 猛然たる弾幕と激突する光剣の輝き、鋭い爪との鬩ぎ合いを制した彼女が眼の前の悪魔を斬り伏せた刹那、下方と左方から一斉に石化の弾丸が撃ち込まれたが、迷いなく射線に飛び込む二つの影、
 ――親友を気遣うその真摯な優しさごと、あんたを護るよ。
「そう簡単に通ると思った大間違い、ってね! あんたはどうぞまっすぐに、アンゼリカ! 絶対にカバーするから!!」
「うんっ! アンゼリカさんに攻撃を通したいなら、まずわたし達をどうにかすることだねっ!!」
 彼女の盾となったノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)とシルが痛みさえ物ともせぬ強気な笑みでそう告げ、苛烈な砂礫の雨と虹色の魔力砲撃の反撃を迸らせた。己が砂礫の雨を追うよう全速で急降下するノスリの体躯を彩る紋様に奔る光は復讐の女神の名を冠する変容が齎した輝き、砂礫の雨と砂塵の刃で繋ぐ攻勢、砂色の猛禽の嘴爪で確実に敵を仕留めて、
 鮮烈な旋回で一気に翔けるは次なる獲物のもと。
「ショウ! 右下の敵勢を!!」
「うん、こっちで抑えるね!!」
 数多の銃声や剣戟が交錯するなか【パラドクス通信】越しに交わした言葉はほんの僅か、然れども彼の言葉が示す悪魔達を見逃すことなく花の色の眼差しで捉えたその刹那、ショウの手許から奔るのは無垢なる白銀の軌跡。首魁の悪辣な目論みごと断ち切る勢いで護衛の悪魔達を斬り裂いて、
「こっちを下から狙ってくる敵が増えてきてるみたい。みんな、気をつけて!」
「下から狙ってくる敵に要注意だね、了解だよ! いこうシフォン、アンゼリカさんのためにっ!!」
 凛と通る声音を【パラドクス通信】越しに響かせたなら、月見山・伊吹(小春日和・g04125)も一片の躊躇いもなく敵へと翔けた。陽色の髪が踊る肩から跳ぶのは長毛種のスフィンクス、空中に広げたその翼から迸らす雷とともに伊吹も雷の魔力を帯びた多機能シャベルを叩き込む霹靂環(ハタタマリ)。
 世界に燈された能力を高める祝福と命中強化の加護、それらを得た得た伊吹達の雷の連撃が敵の反撃も捻じ伏せたなら、
「真っ向から来る輩はぶっ飛ばす! 下から来る輩は踏み潰すよ!!」
「頼もしいんだよ、理央ちゃん! わたしも積極的にいっちゃうんだから!!」
 神炎と雷の鳳を滑空させながら吶喊する理央と無双馬もまた悪魔を蹂躙する。無双馬クロフサの脚をパラドクスで強化した先の戦いとは異なり、今は理央自身が【飛翔】し己のすぐ傍に無双馬を強引に召喚し続けている状態だが、理央ほどの騎乗の技量があればそれでも天翔ける無双馬に騎乗して愛馬を駆るのと変わらぬ感覚で天空の戦場を疾駆することが叶う。
 前方から来る攻撃はアンゼリカに届く前に全て己と愛馬で受けとめる――勿論それが不可能であるとは識りながら、迷わぬその気概で翔け続ける彼女に劣らぬ勢いでネリリも翔け、神速の域に達した高速詠唱で次々撃ち込む魔力の蝙蝠の爆発で敵を薙ぎ払っていくが、ネメシス化で戦闘能力そのものを底上げしている理央はともかく、素のままで先駆けるネリリには最大威力の【グロリアス】でも追いつかぬ痛手が嵩んでいく。
 敵の攻撃は【未来予測】で読み、身を翻して避けるつもりであったのだけれど、
 逆説連鎖戦において、相手からのパラドクス攻撃を自発的かつ能動的な手段で完全回避するという事象は『発生しない』。急所への直撃を逸らすなり、防御で攻撃の威力を削ぐなりで受ける痛手を軽減することや、自身の攻撃で強打を決めて相手の反撃を無にすることは可能だが、余程特殊な能力や加護でも存在しない限り敵からのパラドクス攻撃を己の意志や行動のみで無傷で凌ぐことは不可能なのだ。
 逆を言えば、だからこそ天と地ほど力の差がある断片の王にさえ自分達の刃は届く。
 これが逆説連鎖戦の絶対的な理だ。パラドクス攻撃は狙った標的に必ず命中するがゆえに、如何に激しい乱戦になろうと視界が通るなら同士討ちが発生する余地もその恐れさえもなく、
「ちょっと無理しちゃったかな、けど、アンゼリカちゃんがあと少しでミアちゃんに届くなら……!!」
 高速で敵同士の間をすりぬけるような飛翔は攪乱の効果こそあれ、同士討ちの危惧で悪魔達を怯ませるには至らない。己に狙い定めた敵が攻撃を仕掛けてくるが、その分だけ敵の意識が彼女から逸れるならとネリリは気丈な笑みを咲かせた。
 だってもしも、掌から零れてしまった大切なものにネリリの手が届く日がきたら、アンゼリカだって同じことをしてくれるはずだから。約束は、自分達の間にも結ばれているから。
 然れど、苛烈な勢いで襲いきた弾幕と鋭い爪のすべてがネリリの眼前で赤き焔に呑まれて潰える。
 無論弾幕も爪も決して消えたわけではない。彼女に届く寸前で己が身を盾とした永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)がすべて引き受け、眼前の悪魔に嫣然と微笑んでみせて、一瞬で閃かせた薄青と紫の煌きは反撃ならぬ攻撃の針の雨。
 復讐の女神の力を背に焔として咲かせたヤコウは反撃とともに間合いを取った敵を鋭い煌きの驟雨で追撃し、
「無理は禁物……なんて、それこそ野暮ですよね。けれど、皆で力を合わせれば、きっと」
「うん、わたしも皆を頼らせてもらうね。ここで撃墜されちゃうわけにはいかないもの!」
 紫から赤に変じた眼差しを和らげそう語れば、微笑み返したネリリは彼の針雨が続け様に悪魔を穿つと同時に魔力の蝙蝠を撃ち込んだ。味方との連携でより精度の高い攻撃を叩き込めれば、敵の反撃を捻じ伏せ己の被弾を減らせる確率も高くなる。
 確率の枷を持つものもあれど、確実に戦いを有利にしてくれるのは、命中強化や防御強化といった戦時限定で力を発揮する効果のほう。平時に力を発揮する効果を戦時に過信するのはあまりに危険だ。護りを重視するなら反撃強化や防御強化の加護を厚くすべきだろう。
「流石に【エアライド】で回避経路が見極められるかもってのは、あまりに都合よすぎる解釈だったわね……!」
「避けることを考えるより、連携をいっそう密にしていくほうが現実的かも!」
 飛翔の速度も高度も圧倒的にこちらが勝るが、時空を歪めるパラドクスなれば一瞬で悪魔がアリスの遥か頭上を獲ることも可能。猛然たる急降下で襲いくる相手を躱しきれないと察したなら間一髪で両手首のカフスから展開させたシールドで突撃の勢いを減じ、防御強化の加護もが痛手を軽減してくれる様に笑んだアリスが咲かせるのは妖精達の乱舞と妖精剣の閃きが奔る反撃の一手。
 彼女の斬撃が鉱物の体躯を持つ敵に亀裂を奔らせた刹那、その足元から突き上げる勢いで強襲した伊吹の多機能シャベルと翼猫が叩き込んだ雷が悪魔をその命ごと打ち砕けば、伊吹とアリスは笑みを交わして再び天空の戦場を翔けていく。
 たとえ基準時間軸より過去に存在する時空であれど、逆説連鎖戦における絶対的な理は変わらない。敵攻撃の回避を前提に戦術を組んでいた者達は想定以上の消耗を強いられ、状況次第では撃墜されてしまっていただろう。
 ――戦況全体の把握と味方との連携、そしてフォローやカパーを意識して翔ける仲間達がいなければ。
 黄金とも黄銅とも見ゆる装身具で目許は覆われても、その裡に秘められたシャムスの天色の双眸は戦場を広く見渡して、
「左下方の敵勢、叩き落とすよ」
「流石に目敏いですね、シャムス!」
 瞬時に状況を見極めれば無数に展開していた星の銀(ホシノシロガネ)の盾、星彩に輝く金属を生成して形成するそれらを一気に倍化させる勢いで重ね、先手を齎す風を掴めば数多の星の輝きとともに全速で翔けるのは先駆ける仲間を狙わんとする悪魔達のもと。
 只管に吶喊する理央を石化の魔弾から庇い、反撃で敵を屠ったソレイユも即座に蒼穹と黄昏の眼差しと宙に展開した鍵盤を翻して、兄のごとき友が星彩を叩き込む敵勢めがけて幻想の英雄を奔らせる。演奏を重ねるたびになめらかさを増す十指が流麗に奔って躍っていっそう猛々しい旋律を響かせれば、
 猛然たる勢いで悪魔達と激突する星彩の銀、英雄の剣。
 獲物複数を撃墜した二人の攻勢で墜としきれなかった悪魔は瞬時に撃ち込まれた光槍が絶命させ、間髪を容れずに再度己が掌中に顕現させた鋭き曙光を手に陸が翔ける。黎明から更に光を孕んだ淡い菫色の眼差しは世界を俯瞰する神のごとき視点で戦況全体の把握に努め、
 幾人ものディフェンスで護られるアンゼリカは【グロリアス】や【ドレイン】の恩恵もあってほぼ万全の状態だが、
「アンゼリカを積極的にディフェンスする子達、特にネメシス化していない子達の消耗を気にかけておきたいところだね」
「視点が広いね、陸。そういうことなら――俺も」
 曙光の鋩で反撃の機ごと悪魔を斬り裂きながら陸が語れば、眩い一閃に重ねるよう降らせた砂礫の雨で鉱物の悪魔を砂とへ還したノスリが笑みひとつ残し、思うさま己が翼を羽ばたかせた。
 露払いを担わんとする仲間達は幾人もいる、彼ら彼女らも含めてアンゼリカの大切なものすべてを護らんとする友がいる。ならばアンゼリカだけでなく今ともに翔ける皆をカバーできるよう、いっそう縦横無尽に戦場を翔けるまで。
 ――アンゼリカが皆を信じているように、
 ――俺も彼女を、花冠の絆を、必ずミアの許へ辿り着くことを、信じている。
「うん、わたしも信じてる。だからこそ」
「ええ、油断も見縊りも決してしません。それがアンゼリカさんが信じてくれている僕らだから」
 彼の胸裡を察したように花唇を綻ばせればショウの手からも花咲くのは無垢なる白銀、一瞬の閃きの軌跡を薄青と紫に煌く針の雨で追って悪魔達を撃墜し、ヤコウは翔ける速度を緩めぬまま赤き眼差しを凛と澄まして敵勢を見据えた。
 僅かの隙も衝かせやしない。そして、
 一体たりとも、討ち洩らしやしない。
 連携できる機会があれば歓迎するといった受動的な『心構え』と、能動的かつ積極的に仲間達との連携を図る『戦術』は、似ているようでまるで違う。確実に戦果や勝利に繋がるのは後者のほう。
「アンゼリカとミアの再会を邪魔させないって気持ちはみんな同じだものね!」
「ええ、一丸となってぶち抜いてやりますよ! こんな悪魔どもの壁なんて!」
 悪魔がアンゼリカめがけて翻した銃口から石化の魔弾が迸ると直感した刹那に射線へ身を躍らせたのはソラ、赤き翼だけは石化させまいと揮うは大きなリボン踊る青き杖。如何にパラドクスとはいえどディアボロスを石化させられるのは僅か一瞬、然れどその一瞬の隙さえ作るまいと全力で弾いた弾丸が腕を抉って突き抜けるがそれには構わず、強気な笑みを咲かせたソラは続けざまの突撃を輝ける己の魔力で迎え撃つ。
 天空の戦場を一気に染めたのは彼女の反撃が降らせた眩く苛烈な光の流星雨、数多の輝きに穿たれた悪魔ごと呑み込んで、青空に緑の弧を描くアオイの弓から射ち込まれた矢の爆発が彼らの鉱物の躯を大いに削れば、その悪魔達ごと更に多くの敵を穿たんと撃ち込まれた暁翔のゲイボルグが数多の鏃に変じて降り注ぐ。
 二体を屠り二体の反撃を受けながら、中庸の道を歩む青年もこの日ばかりは迷わず新たな神槍を顕現させた。
 親友同士の再会を叶えてやりたいと想うのも本音、それに、
「悪魔達と俺達どちらにとっても、勝利の鍵はアンゼリカだからな」
「だよねぇ! 何としてもアンゼリカちゃんを護りきって、ミアちゃんに逢わせてあげなきゃ!!」
 嘗てアンゼリカが『仮面の悪魔シリク・コア』に敗れた瞬間。
 その瞬間よりも更に時間を遡った時空に、その瞬間よりも力と心を成長させたアンゼリカが帰還したのだ。これはまさしく時空を超える自分達だからこそ為せた奇跡、ゆえに件の悪魔もユーフェミアも、突如現れた自分達のなかにアンゼリカがいることにはまだ気づいていない。
 然れども、気づけば件の悪魔はやはりユーフェミアの手でアンゼリカを殺させようとするのだろうか。そうして力の増強を図ろうとするのだろうか。だが、仮にそうだとしても――。
 アンゼリカの心がユーフェミアに届けば、悪魔のみを滅ぼしてユーフェミアを救出する、完全勝利が見えてくる。
 今ともに翔ける仲間の誰ひとりとして、悪魔が滅ぼせるなら彼女を犠牲にしてもいいなどと思っている者はいない。暁翔も無論同じであるから、銀の眼差しで見据えた敵勢めがけて一気に神槍を撃ち込んだ。数多の鏃の驟雨と化したそれが悪魔達を穿てば猛然たる追撃を迸らせるのは獰猛なる恐竜の姿で翔け続ける燐寧、
 肩から噴射する紫炎よりも激しく迸る咆哮が、
「人の恋路……かはともかく、一途な道行き邪魔する奴は、チェーンソーザウルスがブッ殺す! んだよぉ!!」
 闇色の雷めいた無数のプラズマ弾を怒涛の波濤のごとく天空の戦場に奔らせ、前方の悪魔達を灼き払った。

●突破
 蒼穹へ純白の翼で舞い上がる。
 飛翔の速度も高度も敵よりこちらが圧倒的に勝る現状なれば相手の頭上を獲ることも難しくなく、青空の眼差しで悪魔達を見渡したフィーナは行く手をより強固に阻まんとする敵めがけて一気に降り落ちた。己の希望の円舞曲(キボウノワルツ)は味方には未来を見通す希望の加護を、敵にはその力を奪う呪詛を齎す呪歌、
 呪詛とともに命中強化の加護を得たなら白銀の刃はいっそう鋭く煌き、一切の容赦もなく悪魔の眉間を貫いて、その反撃や次撃ごと【ドレイン】で命も喰らって屠れば続けざまにフィーナは魔力刃を撃ち放った。
 更なる敵の反撃ごとその意識を己に惹きつけたなら、
「右側の悪魔、お願いします!!」
「うん! ボクとクロフサで受けとめる!!」
 膂力を活かした跳躍でアンゼリカへ急降下突撃を仕掛けんとする敵を眼にとめ凛然たる声音を迸らせ、即座に応じた理央が愛馬とともに躍り出た。鉱物の重さも乗せた速度と衝撃を己が身に引き受けて、噴き上げる勢いで放つ神炎の鳳で硬い悪魔の体躯を深々と抉る。
 敵攻撃から仲間を庇うディフェンスが可能なのは、護られる側よりも護る側が該当能力で勝る場合のみだ。
 アンゼリカが最も痛打を喰らいやすい石化の魔弾をディフェンスできる者は多い。ガーゴイルダイブから彼女を庇える者もそれなりにいる。然れど、飛びぬけて優れたパワーを有するアンゼリカをショットアンドクローから護れる者は今この場には存在しない。
 勿論アンゼリカにとっては最も対処しやすい技ではあるが、たとえ威力を半減させようとも無傷では凌げない。
 凌げない、のだけれども。
 横殴りの豪雨さながらに撃ち込まれた弾幕も間髪を容れずの爪撃も、咄嗟にアンゼリカが揮った鉤爪つきの篭手がさながら奇跡のごとく綺麗にすべてを受け流す。だが当の本人が驚いたように天の光映す瞳を瞬かせた通り、これはアンゼリカ自身の力に拠るものではなく、
「今の、【アヴォイド】……!!」
 皆が重ねてくれた加護と凄まじい幸運が齎してくれたもの。迷わず渾身の力を乗せて揮った巨大な光剣が鉱物の悪魔を断ち割れば、砕け散る敵そのものを突き抜ける勢いでアンゼリカは翔けて、
「アガるよねこういうの! このままアンゼリカちゃんの花道を綺麗にお掃除しちゃうよぉ!!」
「綺麗に祓って、開きましょう。アンゼリカさんの突破口を」
 彼女めがけて銃口が翻る様に気づけば恐竜の貌で不敵に笑んだ燐寧が銃手へ吶喊する勢いで盾となる。闇色の雷めく息吹で魔弾の勢いを削ぎ、唸りをあけて揮われた恐竜の尾、チェーンソーのごとき頑強な尾で突撃の勢いをも殺せば、痛烈な反撃に重ねるよう迸らせたプラズマ弾の波濤で前方の敵勢を蹂躙して、
 赤き双眸を細めたヤコウが【アヴォイド】を重ねて良かったと微笑した瞬間に奔らせた針雨が悪魔達を穿って撃墜すれば、
 薄くなった壁の先に、一瞬。
 相棒の親友だという少女の姿が見えた。
 たちまち強く輝く魔力の翼を背に咲かす。最初から今このときまで全力全開、然れど心も魂も振り絞る心地でシルは自身の芯から更なる力を引きずり出す。だって、この瞬間のためにここに来た。
 この瞬間の先にある輝く約束に、眩い歓喜に、希望の未来に、相棒の手を届かせるためにここに来た。
 眼前に咲き誇らせる精霊魔法陣は彼女を阻まんとする悪魔の壁を開くための扉、そこへ渾身の魔力を凝らせながら仲間達へ【パラドクス通信】越しに呼びかける。
「もうすぐ突破できると思うから! 援護お願い、みんなっ!!」
「「了解!!」」
 迷わず返る皆の声が熱い。皆きっと同じことを思ってる。
 ――今日のわたし達の力、全部全部あなたとミアさんのためのものだからね、アンゼリカさん!!
 蒼穹を、その天の涯まで震わせる気概で撃ち放つ七芒星精霊収束砲(ヘプタクロノス・エレメンタル・ブラスト)。
 誰もの瞳を眩ますかに思える絶大な虹色の輝きが迸れば、一気呵成の皆の猛攻が悪魔達の壁へと叩き込まれていく。数多の悪魔を撃墜して開かれるのは一瞬では閉じられぬだろう大きな穴。『仮面の悪魔シリク・コア』に寄生された少女が見える。
 今こそユーフェミアの許へ、手が届く。
「さぁ、行って! あとはみんなで引き受けるからっ!!」
「ここは大丈夫、さぁアンゼリカさん! ミアさんのところへ!!」
 相棒を送り出す声音とともに息つく間もなく翻す淡碧の聖剣でシルが描き出すは残るガーゴイルガンナーを殲滅するための精霊魔法陣、翔けぬけていく黄金の軌跡を追撃せんとする石化の魔弾を己が身で受けとめ、ショウもまた花咲く約束のもとへアンゼリカを送り出せば、
「振り返る必要なんて無いわ。貴女は真っ直ぐ、ミアちゃんだけを見て、進むんだよ」
「ええ、貴方は振り返らずに翔ければ良い。後顧の憂いなど何ひとつありませんから」
「そう。君の身を脅かす者、交わす言葉を阻む者、その絆を裂こうとする者すべて――俺達が払ってみせるから」
 毅然とした眼差しで彼女の代わりに振り返ったネリリが魔術精錬銀の煌きで風を薙ぎ、たちまち溢れさせた魔力の蝙蝠達で鉱物の悪魔達を強襲して。光の鍵盤を一気に押し広げるかのごとき勢いで旋律を迸らせたソレイユの許から幻想の英雄が敵へ馳せたなら、その剣閃に重ねるようにして陸が曙光の鋩を撃ち込んでいく。

 届く皆の言葉を想いを、すべて胸に刻み込む。灼きつける。溢れんばかりの感謝を必ず皆にあとで伝えるから。
 今は瞳も心もすべてまっすぐユーフェミアに向けて翔ける、飛び込んでいく。鮮やかになっていく記憶の裡から咲くのは、親友が己の名を呼ぶ声音。今はもうすっかり馴染んだアンゼリカという名前、だけどこの時空で己は別の名前を持っていた。

 ――もうすぐだよミア!
 ――いますぐ私が、

「今すぐ私が、『陽菜』が行くから!!」

 飛び込むと同時に魂の底からの声音を迸らせれば、眼前の少女が瞠った左目から涙が溢れだした。

「ひ、な……? 陽菜! 陽菜あっ!!」

 手を伸ばしたのは果たしてどちらが先だったろうか。
 然れど、アンゼリカの後顧の憂いを完全に絶つためにガーゴイルガンナー殲滅戦にかかるディアボロス達がそれを識るのはまだ先のこと。今まで阻まれてきた自分達が逆に護衛の悪魔達を阻む側となり、
「っと! 弾丸ひとつだって通したりしないからね!!」
「親友とのお話くらいゆっくりさせてあげなさいよ、本当に野暮なのねあなた達!!」
 主の至近まで飛び込んだアンゼリカを追撃せんとした悪魔達の石化の魔弾を己が身で受けとめたのは伊吹とアリス。反撃は叶わねど攻撃を捻じ伏せられたわけではないから、憤激したように悪魔達を威嚇する翼猫とともに伊吹が閃かす輝きは雷ごと敵へと叩き込む多機能シャベル、爆ぜる勢いで翔けた妖精達を悪魔達の顔面へと飛び込ませた瞬間にアリスは妖精剣で敵勢を一気に斬り払い、
「あなた方はお話の邪魔なんですよ! だから黙って墜ちててください、再会に横槍は入れさせませんよ!!」
 薔薇色の双眸に映した端からアオイが言霊の矢を敵勢に射ち込んで爆裂させていく。爆風の中にも凛と通るのはソレイユの声音。勿論その指先が奏でる旋律も遮られることなく通って、
 ――親友との大切な語らいに、外野の口出しほど無粋なことはありません。
「代わりに一曲、こちらのお相手をしていただきましょう。なに、退屈はさせませんよ」
「あらいいわね、そういうことならアナタのステージを盛り上げさせてもらおうかしら!」
 悪魔達に挑むよう笑んだソレイユが光の鍵盤に力強く指先を奔らせれば、溢れだす旋律は挑発的な装飾音を絡めた交響曲。天空を馳せる幻想の英雄も何処か不敵さを備えているようで、少年演奏家の気概に楽しげな笑みを咲かせた超新星アイドルが天頂高く撃ち放った魔力弾が、強気満開のソラの魔力を鮮烈に煌かせながら降る流星雨となって英雄の交響曲を彩ったなら、
 皆いっそう戦意が増してるようで何より、と口の端を擡げたノスリが鉱物の悪魔どもをめがけて翔けた。
 二人の再開に水を差す無粋な輩など、砂の鳥が喰らってしまうよ。
「味わう事なく丸飲みにしてさ、だって如何にも不味そうだもの」
「風情が無ければ風味も無い、と言ったところでしょうか」
 敵勢を掻き混ぜるがごとき飛翔は一瞬、次の瞬間に悪魔達を巻き込んだのは砂礫の雨に砂塵の刃、彼の言の葉に興味深げに微笑したヤコウは、地に縫い付ける間もなく、空中で針山にして差し上げる――と告げるまでもなく悪魔達が塵と成り果てる様に笑み深め、赤き眼差しで新たに捉えた獲物めがけて針の雨を迸らせた。
 この空に一点の曇りも、残しはしない。
 青き空に瞬時に展開される星の彩、
 星彩の光沢燈す無数の盾を護り手とも攻め手とも成して天空の戦場に鏤めて、シャムスは揺るがぬ声音でこう告げる。
「私達はアンゼリカ殿とユーフェミア殿のひとときを堅守する」
 ――やすやすとここを抜けられると思うなよ。

 彼の言の葉が突破を防ぎきるという意味であるのか、突破されるまでもなく殲滅しきるという意味であるのかは、
 最早、訊ねるまでもないことだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【エイティーン】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV3が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【飛翔】がLV15になった!
【未来予測】LV3が発生!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
【照明】がLV2になった!
【落下耐性】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【命中アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【能力値アップ】LV2が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV4になった!

アンゼリカ・レンブラント
私の姿は手を振り合ってミアと別れた時とは
違う装束に瞳の色

けれど、だからこそ
あの頃と同じように優しく呼びかけ勇気づける

ミア、陽菜だよ
悪魔が目論んだ惨劇は阻止された
後は君を助け出せば解決さ

優しい君のことだ
きっと悪魔の起こす暴虐を自分のせいだと思い
自分ごと討ってほしいとさえ願っているのかもしれないが
その願いだけは叶えられない

交わした約束、覚えているよね
ずっと、いつまでも一緒
私の『明日』は君と共に迎えなければ意味がないんだ
君が好きで、必要なんだ

今君の心を傷つける惨劇はどこにもない
この先もない!

必ず私達は君を助け出す
だからミアも諦めないで

私と共にあの通学路に帰ろう
同じ時間を生きよう
私達はずっと一緒だよ!


●誓姫
 ――お願い殺して! 私ごとこの悪魔を殺して、『陽菜』!!

 魂に刻みついていた『あのとき』のユーフェミアの叫び。
 血を吐くような叫びだった。喉も裂けよとばかりの叫びだった。
 嘗ての『あのとき』。見せつけられた惨劇に、己が手を染めた惨劇に、彼女はどれほど慟哭したのだろう。その声は涸れて割れて、なのに涙は尽きなくて。
 己も、陽菜自身も泣いた。叫んだ。慟哭した。
 大切な、大好きな親友に、あんなことを言わせてしまう己の無力さが悔しくて。
 私が生まれてきたせいで、私が生きてきたせいで、この悪魔が覚醒してしまったの、と誰よりも何よりも自分自身を責める彼女を抱きしめる前に命尽きてしまったときには、陽菜の魂もまた底無しの絶望に沈んでいく心地がしたけれど。
 記憶が真白になった状態で新宿島に流れ着いた陽菜は、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)になって、

 帰ってきたよ、
 還ってきたよ。
 君の魂が傷つけられてしまう前の時空に。

 今度こそ絶対に、あんなこと言わせやしない。
 今度こそ絶対に、君の魂から血を流させやしない。

「今すぐ私が、『陽菜』が行くから!!」

 親友のもとへ飛び込むと同時に魂の底からの声音を迸らせれば、眼前の少女が瞠った左目から涙が溢れだした。

「ひ、な……? 陽菜! 陽菜あっ!!」

●約束
 記憶が真白になった胸の裡は、茫漠と広がる涯てなき白の闇。
 だけど何も思い出せないでいる間も、涯てなき白の闇の彼方に輝く約束を、そのときの眩い歓喜を感じていた。
 涯てなき白の闇の彼方に輝く約束、眩い歓喜にきっといつか手が届くと信じて翔け続けてきた。
 今こそ手が届く。今こそ取り戻せる。
 嘗て『仮面の悪魔シリク・コア』に敗れ、新宿島に漂着してから、陽菜の上に、アンゼリカの上に流れた時間は一年以上。だがユーフェミアにとってはつい先程『また明日!』と手を振り合って別れたばかり。
 彼女の記憶のなかの陽菜は制服姿、然れど今のアンゼリカは制服ではなく戦姫の鎧を纏って、通学鞄ではなく黄金の大剣を携えて、瞳の色さえも変わっている。幾多の戦場を駆け、何度も死線を潜って、顔つきも変わったかもしれない。
 だが、こうして傍まで飛び込めば、ユーフェミアはすぐにアンゼリカが陽菜なのだと気づいてくれた。光の消えかけていた彼女の瞳に輝きが戻り、
「陽菜、陽菜、陽菜……!!」
『……! ……!!』
 彼女に勝手に寄生して、彼女の身体を勝手に意のままにしている悪魔が何事かをわめいているものの、それも雑音となって消え果てる。大好きな親友、心の拠り所たる陽菜が駆けつけてくれたことでユーフェミアが気力を取り戻したのだろうけど、アンゼリカは、それも今だけの、一時的なものにすぎないと本能的に察していた。
 けれど今だけで終わらせやしない。必ず彼女を取り戻す。
 あの頃の、陽菜のままに優しく呼びかければ、
「そうだよミア、陽菜が来たよ。悪魔が目論んだ惨劇は私達がきっちり阻止した。後は君を助け出せば解決さ」
「でも、陽菜。私、普通の女の子じゃなかった。悪魔に寄生されてて、この身体も悪魔のものになって……!」
 返るのはユーフェミアの縋るような眼差しと声音。
 今ここでの結婚式は無事だった。
 だけど悪魔が別のところで惨劇を起こしたら?
 このまま家に帰って、家族と笑い合うはずの夕餉の食卓でみんなを殺してしまったら?
 明日の通学路で、おはようと笑顔で迎えてくれる陽菜を、この手で殺してしまったら?
「陽菜、陽菜! 私そんなの耐えられない、幸せに生きているひと達が、私の大切なひと達が、私の――!!」
「ミア!!」
 ――私のせいで皆が無残に殺されてしまうなら、その前に、
 ――お願いだから今のうちに、私ごとこの悪魔を殺して、陽菜!!
 彼女がそう口にしてしまう前に遮って、アンゼリカはまっすぐユーフェミアを見つめて言い切った。
「優しい君が何を考えて何を言おうとしたかなんてお見通しさ。だけど、その願いだけは叶えられない」
「陽菜……!!」
 悲痛な叫びは哀願を含むもの、その響きはもちろんアンゼリカの胸を強く締めつけるけれど、あえて強気な笑みを咲かせてみせる。彼女の、ユーフェミアのままの左手を取って、悪魔の異形に変じた右手も取って、今の彼女の両手を握って、二人の約束を口にする。
「ねえミア。交わした約束、覚えているよね。――ずっと、いつまでも一緒」
「覚えてる! でも、でも、陽菜! だって私は……!!」
 両手をアンゼリカに預けたまま、涙を溢れさせたユーフェミアがかぶりを振るけれど、
「今君の心を傷つける惨劇はどこにもない! この先もない!!」
 彼女の不安を力強い声音で抱きしめる。親友の両手を強く握って訴える。私は独りじゃない。私達は二人きりじゃない。
 ねえミア。私、相棒ができたよ。新しい友達が、仲間ができたよ。
 私だけじゃない。皆が君を助けたいと思ってくれている。助けたいと思って、駆けつけてくれている。
 独りじゃないんだ。『私達』なら、君に寄生した悪魔だけを倒すことだってできるんだ。
「必ず私達は君を助け出す。だからミアも諦めないで。私の『明日』は君と共に迎えなければ意味がないんだ!」

 ――君が好きで、必要なんだ。

 だからどうか、たとえ一瞬でも、私なんか生まれて来なければ良かったなんて、思ったりしないで。

「陽菜、陽菜! 私だって、私だってまた明日、陽菜に『おはよう』って言いたいよ……!」
「うん、うん! 一緒に言おう、絶対言うんだ!」
 絶望の堰を切って溢れだしたのは明日を望むユーフェミアの希望。
 底無しの闇から浮かびあがってきた彼女の輝きにアンゼリカがまっすぐ手を伸ばす。己自身が陽の光になって。
 あの通学路にはもう帰れない。この時空がクロノス級クロノヴェーダのものである以上、この時空の通学路には戻れない。だけど、『また明日!』と手を振り合って別れた、あのときの続きを始めていくことはできるから。
「一緒に『また明日!』の続きを始めよう、ミア! 同じ時間を生きよう、私達はずっと一緒だよ!!」
「陽菜……! 私も、陽菜とずっと一緒がいい……!」
 輝く約束を、眩い歓喜を、二人で一緒に取り戻す。悪魔のみを滅ぼす、完全勝利の鍵を掴みとる。

 ――私達、ずっと一緒だよね?
 ――ずっと、いつまでも一緒だよ!!
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV9になった!

●悪魔
 輝く約束、眩い歓喜。
 光に手が届いてもそれだけで終わりじゃない。誰もが理解していたことを改めて示すよう、『仮面の悪魔シリク・コア』が再びユーフェミアの身体の支配権を取り戻した。
『……おい。おいおいユーフェミア』
 零れるのは困惑、そして、動揺。
『おいユーフェミア、我が聖女サマ! 聴いてないぞ、お前の大好きな陽菜がディアボロスだったなんて!!』
「だから何? ディアボロスってのは私にはよく分からないけれど、陽菜が何か特別なところのある子だなんて私はちゃんと知ってた。あなたが気づいてなかっただけ!!」
 陽菜が傍にいてくれる。勇気をくれる。約束はちゃんと二人の手のなかにある。
 唯それだけでユーフェミアも強くなれるから、悪魔に気丈にそう言い返したけれど、仮面の悪魔は『うるせぇ!』と強引に彼女の意識を抑え込んだ。悪魔の紅眼が陽菜を、アンゼリカを捉え、闇を覗かせる口がニタリと哂う。
『なあ、取り引きといこうぜ、陽菜』
 護衛として顕現させたガーゴイルガンナー達までもが殲滅されたことに気づいたのだろう、暢気に困惑や動揺などしている場合じゃないと察すれば即座に思案をめぐらせたらしい。クロノス級の知性の高さは伊達ではないといったところか。
 クロノス級アークデーモンはこう告げた。

 ――ユーフェミアの魂を砕け散らせるのを、諦めてやってもいい。

『お前がディアボロスだろうが、俺様に独りで突っかかって来るようなヤツなら捻り潰しゃあ済む話なんだがな。あれだけの仲間を引き連れて来られるディアボロスだってんなら、恩を売っておくのも悪くない』
 無論、お前達を全員ぶっ殺すことだって俺様には可能だ。
 ただ、赤子の手をひねるよりも簡単に、とは流石にいかないだろうからな――と告げるのは虚勢ではないのだろう。確かに覚醒直後でまだ力は増強されていないとはいえ、強敵であることには違いない。
 だが悪魔は戦意がないことを示すように、ユーフェミアの右手に握らせていた剣を消してみせた。勿論一瞬で顕現させることも可能だろうが、とりあえず礼は尽くした、つもりらしい。
『確かにユーフェミアの魂を砕け散らせて得られる力は魅力的なんだがなぁ、俺様が力を手に入れる手段はそれだけってわけじゃない。人間の命も取りゃあしない、俺様の偉大さを知らしめるのなんて簡単だしな、そうやって畏怖を集めるだけにしてやるぜ?』
 ケケケ、と愉しげに零れる笑声は実に怪しげだったが、どうやらその場しのぎの嘘でもなさそうだ。
 お前達が一緒に学校にいってる間や、週末に一緒に遊びにいってる間は俺様は引っ込んでてやるよ――と悪魔は続けて、
『悪くない話だろ、陽菜? 何せ俺様が寄生してりゃ、お前の大切なミアは事故だとか病気だとかのつまらん理由で死んだりすることはないんだぜ? お前達の約束どおり『ずっと、いつまでも一緒』にいられるってわけだ。めでたいよなぁ!』
 陽気にゲラゲラと哂って手を打った。
『なあ、陽菜よぉ。お前も仲間もユーフェミアを助けに来たんだろ? けれどもう我が聖女サマの悲劇も終わりだ! 俺様とお前達が戦う理由もこれで綺麗さっぱり消えたってわけだ! ――そうだろ?』
 戦う理由はもうないよな、と悪魔が囁く。

 ――私達、ずっと一緒だよね?
 ――ずっと、いつまでも一緒だよ!!

 輝く約束、眩い歓喜を取り戻した。希望の未来にだって手が届く。
 然れど、相手の言葉に嘘がなくとも、この申し出をアンゼリカが受け入れるずもない。決戦の幕が上がるのは必然だ。
 提案は受け入れられない、と拒絶するだけなら、それでもお前は許せない、と怒りや憤りなどの感情をぶつけるだけなら、あるいは断罪してやりたいだけなら、手を止める必要などない。
 このまま決戦を挑み、戦いながら言葉も感情もぶつけてやればいい。断罪してやればいい。新たなアヴァタール級の出現を阻止してディヴィジョンの弱体化を図るという、ディアボロスとして極めて正しい理由で戦う場合も同じ。
 けれど、
 だけど、
 己に確かめるように、己に誓うように、
 戦う理由を、敢えて口にしたいのなら。
 決戦の幕を開ける前に一旦手をとめてみてもいいだろう。
 アンゼリカばかりではない。奪わた故郷を既に最終人類史に奪還したという者もいるだろう。己の宿縁に決着をつけた者もいるだろう。戦う目的を達した者も、戦う理由を見失った者も。それでもなお、戦い続けている者もいるだろう。

 ――どうして自分は、歩き続けているのだろう。
 ――どうして自分は、戦いの道を歩み続けていくのを、やめないのだろう。
 
アンゼリカ・レンブラント
悪魔が囁く言葉に幼い日を想う
確かにミアと夢想したのだ

悪である敵に慈悲を示し
最後は分かり合い平和を手に入れた英雄に
そんな人になれたら、と

私は
陽菜はきっと元々の時間で
英雄と同じこと
話すことを試み、騙され
結果何も守れなかった

シリク・コア
私達はお前の言葉を拒絶し、滅ぼすよ
私が求めるは正義でも慈悲でもない

ただ私と、大切な友が
愛する人の居る時間を、歴史を取り戻すことだから
ミアとの時間にお前は要らない

拒絶の言葉は、きっとミアの知る
陽菜は放つことはなかった
でもここにいる私は英雄に憧れる雛じゃなく
友達に、仲間に、心に羽ばたく翼をいただいた
アンゼリカだから

悪魔、お前だけを完全に滅ぼし
愛するミアを、今から取り戻す!


ノスリ・アスターゼイン
悪魔の囁きは甘いと聞くけれど
一滴の蜜も感じず
むしろきょとんと

ミアを取り戻して
期間限定パフェを食いに行こう、とでも
放課後の寄り道に
俺が皆を誘う方が余程甘やかじゃない?
なんて軽口さえ浮かぶ程

翔け続ける理由は
少女達の輝く約束を
眩い歓喜を
続く未来への希望を
嘗ては砂の海から見上げた、今もこうして見ている空を
羽を休める場所をくれる地のおおらかさを
いのちが織りなす彩りを
何てうつくしい、と
どうしようもなく愛おしいと、感じるからだ

取引ではない
それは支配だ
自由な空に
人の心に
支配は要らない
何者も縛ることはかなわない

心と時間を解放するために
俺は此処に存る

どんな甘言も戯言も
聞く耳を持つものなど居ない
さぁ、幕引きの時間だ


竜城・陸
どうしてそれでお前と戦う理由がなくなると思ったんだい?
ひとを縛る存在がそこに在り続けるのだとしたら
人々は心から自由にはなれない
アンゼリカの大切な人も、きっと心から笑えない
そんな世界をどうして許せると思う?

己が戦う理由は幾つも思い浮かぶけれど
そのどれもが同じひとつに立ち返る
俺は、大切な人たちに心から笑ってほしいんだ

だからその願いを守るために
皆が心から笑える世界を取り戻すためにここにいる

それにね
世界のすべてを取り戻さないと、心から笑えないひとがいる
真に自由な“本当の”海で笑うその顔が見たいから

――そう、だから
傲慢な侵略者を、許すつもりははじめからないんだよ

言い分はもうないね?
なら、幕引きと行こう


シル・ウィンディア
戦い続ける理由は…

わたしと両親を殺したクロノス級を倒して、両親と再会を果たしたよ。
両親と幸せに過ごすのなら、そこで足を止めたらいい話だからね。
でも、わたしはそれは選ばなかった。

全人類の幸せの為…
なんて、そんな大それた理由はわたしにはないよ。

わたしが歩み続ける理由は簡単。
わたしのような悲しい別れを経験させたくないから。
これから起きるであろう悲劇を生み出させないように。
その為にわたしは歩みを止めることはないよ。
それが、両親と邂逅を果たした、わたしの新しい誓いであり、ディアボロスとしての力の原動力だから。

英雄になんてなれなくていい
わたしは、わたしの選んだこの道を信じて歩くだけ
…さぁ、始めましょうか


永辿・ヤコウ
遍く命が共存できたらと僕も思っていました
誰も悲しまず恐れず阿らず
自由に生きられる
理不尽に脅かすものの無い世界で

それは
あなたの言い分には則らない世界です

想い描くのは
忘れたことも無いのは
各地各時代で
侵略者達の支配下でも懸命に生きる人々の姿
今まさに目の前で悪魔と戦い続けているミアさんと僕達
紡いだ花冠の絆
大切な人達の為に編んだ花冠

そんな
温かい想いが
交流が
僕を育んでくれたから
過ごして来た日々に
続く未来に
掛け替えのない尊さを感じるから
僕は歩き続けるのをやめない

生きる為に
奪われた全てを取り戻す為に
戦い続けている

姦計には応じません
斯様に手を止める時間すら
僕達の意志のもとで掴んでいる

決戦へ
いざ
立ち向かいましょう


●英雄
 ――陽菜! いつか陽菜も、あの英雄みたいになるんだよね?
 ――なるよ、なってみせるよ! ミアの憧れの、あの英雄みたいなひとにね!!

 涯てなき白の闇が光を孕んで明滅して、真白になった過去の記憶の奥から今この時空の中学生としての日々ばかりでなく、幼い日々の記憶までをも甦らせる様にアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)は胸を詰まらせた。
 ああ、やはり確かにこのクロノス級アークデーモン『仮面の悪魔シリク・コア』は、ユーフェミアが生まれる前から彼女に寄生し、彼女と同じ時を過ごしてきたのだ。ユーフェミアと絆を結び、ともに過ごしてきた陽菜とも、また。
 だからこそ悪魔の囁きが陽菜の、アンゼリカの記憶を刺激する。
 今より更に遠い日々、まだ世の中の理不尽など何ひとつ識らぬ無垢な子供だった頃に、幼い陽菜とユーフェミアは無邪気に笑い合って夢想していたのだ。それは一緒に頁を捲った絵本の主人公だったろうか、肩を寄せ合って画面に見入ったアニメの主人公だったろうか。
 ――悪である敵に慈悲を示して、
 ――最後は敵とも分かり合い、平和を手に入れたあの英雄に、

 あんな英雄みたいなひとになれたなら、と。

 ああ、と苦い笑みが零れた。
 己は、元々の陽菜であったなら、もし嘗ての『あの時』に同じ言葉を言われれば受け容れてしまっただろう。幸か不幸か、当時は独りで立ち向かった陽菜は悪魔から取引の言葉を引き出すことも叶わずに敗れてしまったのだけれども、
 あの時に同じ言葉を囁かれていれば、きっと受け容れてしまっていた。
 敵と語らい分かり合い、憧れの英雄そのままの存在となれると信じて、
 憧れの英雄になって、ユーフェミアと手を取り合いたいと希ってしまっていた。

 ――だが、今の陽菜は。
 ――陽菜からアンゼリカになった、今の自分は。

●飛翔
 天空は青く澄み渡り、地上には平穏が満ちていた。
 巨大にして厚い壁のごとき数多のガーゴイルガンナー達を殲滅したなら、振り仰ぐ青空は何処までも美しく、眼下に広がる東京の街並みは惨劇を完璧に阻止され、無辜のひとびとの血など一滴も流れぬ平穏な姿のまま。だがまだ終わってはいない。天空の戦場に唯ひとりの、然れど最も強大なる力を華奢な少女の身体の裡に秘めた敵がいる。
 遍く命が共存できるのなら、そこは理想郷となるのだろう。
 誰も悲しむことなく、怖れることも阿ることもなく、自由に生きられる、理不尽に脅かすものなど何も無い世界で。それを夢見たことがないとは言わないけれど、
「遍く命が共存できる理想郷があるのだとしても、それはあなたの言い分には則らない世界です」
 数多のガーゴイルガンナーを殲滅して翔けた先、この件の首魁にしてこの時空の主たるクロノス級アークデーモンの言葉が己が耳に直接届けば、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)の唇は呼吸するよりも自然にその言の葉を紡いでいた。
 悪魔の囁きは甘いと聞くけれど、
 今の囁きに何処か一滴でも蜜の甘さがあった? と心底不思議そうに蜜色の双眸を瞬かせたなら、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)の口許に浮かぶのは挑むような笑みと、二人の少女と皆を憂いなき未来へいざなう言の葉。
「ミアを取り戻して期間限定パフェを食いに行こう、なんて、放課後の寄り道に俺が皆を誘う方が余程甘やかじゃない?」
「同意するよ。其方のほうが遥かに魅力的だよね、比べ物にすらならないくらい」
 彼の軽口はまったくもって真実だったから、竜城・陸(蒼海番長・g01002)も微笑すれば、強大な悪魔の存在にもまったく怯まず飛び込んできてくれた仲間達の気配に、その言の葉に胸の芯へ眩い光を燈されて、
「……うん、うん。そっちのほうが絶対いい……!!」
「だよね! アンゼリカさんが悪魔に唆されてここで立ち止まったりなんかしないって、わたし達みんな解ってるから!」
 涙を零さず堪えた笑顔で言い切る相棒の傍へ迷わずシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)は飛び込んで、彼女の心に寄り添う。心を支える。一度は屈した過去へ戻れることがどれほど甘いか、痛いほどに識っている。
 改竄世界史の基準時間軸よりも更なる過去へ翔けるパラドクストレイン。
 夏に出現したそれが向かった先はシル自身が殺された時空、クロノス級クロノヴェーダに故郷を襲撃されて、両親とともに命を奪われた時空へ帰還して、仲間達とともにシルは故郷も両親も救って宿敵を討ち果たした。
 ――死の歴史を覆して、故郷がある時空で、
 ――両親がいつだって抱きしめてくれる、幸せな日々を再び紡いでいく道もあったのかもしれない。
 だがシルはその道を選ばなかった。故郷ではなく新宿島に帰還し、ディアボロスとして歩み続ける道を選んだ。
 相棒とて同じだと信じてシルがアンゼリカの背に手を添える様に菫色の眼差しを和ませたのは一瞬のこと、視線を悪魔へと移せば陸の眼差しは冷たく冴えて、穏やかな声音は確かな鋭さで悪魔の戯言を斬り捨てる。
「どうしてそれでお前と戦う理由がなくなると思ったんだい?」
 ひとを縛る存在がそこに在り続けるのだとしたら、ひとびとは心から自由にはなれない。
「アンゼリカの大切な人も、きっと心から笑えない。――そんな世界をどうして許せると思う?」
 陸自身が戦う理由は幾つもあれど、手繰ればすべてが唯ひとつに立ち返る。
 ――俺は、大切な人たちに心から笑ってほしいんだ。
 時空を超えて絆を結んだアンゼリカも、彼女の大切なユーフェミアにも、憂いなく笑ってほしい。己が大切に想う相手皆にそうあってほしいと願うから、その皆の大切な人達にもそうあってほしいと願うから、自然と全てを護る道へ陸の足は向く。
「だから俺はその願いを守るために、皆が心から笑える世界を取り戻すためにここにいる」
「戦場と同じだね、陸の眼差しはいつも広くすべてを見渡してる」
 彼の言の葉、想いの眩さに、蜜色の双眸を細めてノスリは柔く笑んだ。だがノスリ自身もまた、いつも眼の前にあるものを愛おしみながら、空を、大地を、世界を見霽かしている。
 陽菜であった頃の彼女は知らない。だが己が識る今のアンゼリカが何と答えるかなんて、訊かずとも解っているから。
 彼女は悪魔の言葉を拒み、共に翔けてくれる友や仲間達をまっすぐ信じて、皆と共に自分自身で未来を掴みとるから。
 二人の少女達の輝く約束を、眩い歓喜を、続く未来への希望を、
 記憶の砂塵の彼方で、嘗ては砂の海から見上げた、今では見上げることも、翔ける視点で見ることも叶う空を、
 羽を休める場所をくれる地のおおらかさを、光の滴が弾むように溌剌と生きるいのちが織りなす彩りを、
 ――何てうつくしい、と、
 ――どうしようもなく愛おしいと、己の魂が、感じているから。
 ここまで翔け続けてきて、ここから先へも翔け続けていく。
 だからこそノスリが悪魔へ向ける眼差しも声音も、冴え冴えと相手を射抜く。
「あんたの言ってるのは取引なんてものじゃない。それは、支配だ」
『そりゃ当然だろ? 何たってこの時空は俺様の王国みたいなもんだ、すべてを支配して当然じゃねえか』
 今度は悪魔のほうが心底不思議そうにそう言い返した。悪びれる様子さえも無いのがいっそう性質(たち)が悪い。悪魔にとってそれは当たり前すぎるほどに当たり前のことなのだ。到底相容れることなど叶わない。
『この俺様が、我が聖女サマの親友にして、刈取の悪魔どもやガーゴイルガンナーどもを殲滅しちまえるほどの仲間達を引き連れて来られるディアボロスである陽菜に一歩譲ってやるって、特別扱いしてやるって言ってるんだぜ?』
 何処が不満なんだ、と続ける悪魔に、何処もかしこもだ、と返してやる。
 ――自由な空に、人の心に支配は要らない。
 ――何者も縛ることはかなわない。
 自由を縛るものがあるなら何時だって抗おう、そう告げるようなノスリの心に触れれば、陸の胸の裡へと燈るのは色違いの宝石めいた眼差しを持つ少女の面影。今も一見は自由奔放に見える彼女を眼に見えない何かが縛っていると識るから、
 世界のすべてを取り戻さないと、心から笑えないひとがいるから。
 真に自由な『本当の』海で、一切の縛めから解き放たれた彼女の笑顔が満開に咲き誇る様を見たいと、希っているから。
 何時しかそう思うようになっていた心を、もう陸は己自身に誤魔化したりはしない。
「――そう、だから。傲慢な侵略者を、赦すつもりははじめからないんだよ」
「そういうこと。心と時間を解放するために、俺は此処に存る」
『……へぇ?』
 妥協するつもりも余地も無いと宣告するかのごとき陸とノスリの言葉に、悪魔の紅眼に剣呑な光が僅かに燈る。
 なれどそれに臆する様子もなく赤き双眸で相手を見据え、ヤコウは艶めく笑みを悪魔へひとつ、
「ほら。やはりあなたの齎す世界など、僕達にとっての理想郷にはなり得ない。――ですよね? アンゼリカさん」
「うん。悪魔に与えられるものなど要らない、与えてもらう必要さえもない」
 言の葉をひとつアンゼリカに向ければ、黄金誓姫はしっかりと頷いてみせた。
 ――お前を赦そう、仮面の悪魔シリク・コア。
 嘗ての己だったら、ユーフェミアが識るままの陽菜だったら、物語の英雄に憧れる気持ちのままにそう言っていただろう。強く気高く、寛大な慈悲をも持ち合わせた英雄となって、物語の姫君さながらにユーフェミアを救って、赦した敵とも分かり合う、そんな夢想を叶えるために。
 だけど夢想の世界に羽ばたくための憧れという名の翼はもう要らない。
 一度は眼前の悪魔に敗れ、新宿島に流れ着いたからこそ得られた出逢いが、絆が、
 相棒が、友人達が、仲間達が、時に肩を並べ、時に追い風となり、折に触れては心に触れて、
 夢想の世界ではなく、現実の世界へと羽ばたくための翼を心に咲かせてくれたから。

 ――陽菜(ひな)だった私は、
 ――英雄に憧れる雛(ひな)から、己のままで望む世界へ、未来へ羽ばたけるアンゼリカになったから!!

 揺らがない。迷わない。まっすぐ力強く羽ばたいていくために、アンゼリカは悪魔の提案を跳ねのける。
「シリク・コア。私達はお前の言葉を拒絶し、滅ぼすよ」
 私が求めるのは正義でも慈悲でもない。
 ただ私と、大切な友が、愛する人の居る時間を、歴史を取り戻すことだから。
「ミアとの時間に、お前は要らない!!」
『……そうかよ』
 天の光を映す瞳がひとかけらの翳りもない強い意志の光で『仮面の悪魔シリク・コア』を見据え、偽りなき心を語る花唇が毅然とした拒絶の言葉を告げれば、悪魔が意のままにするユーフェミアの右手に再び禍々しい剣が顕れた。
『ケケケ! とんだ大馬鹿だぜ陽菜、そんじゃ最初の予定通りユーフェミアの、我が聖女サマの手でお前を殺してやるよ!』
 闇を覗かせる悪魔の口が哄笑を響かせるけれど、
「させない! 陽菜は独りきりじゃない、私達は二人きりじゃない、陽菜には仲間のみんながいるもの! 私だってあなたの力を出来る限り抑えてみせる、あなたの好きになんか、させない!!」
「ミア……!!」
 即座に反駁したのは悪魔に抵抗せんとするユーフェミア自身の声音、感極まる心地でアンゼリカが叫ぶ。
 悪魔が揮うパラドクスのうち、ユーフェミアを利用する技はユーフェミア自身の抵抗で変化するだろう。狡猾な刃は単なる剣技に、神火収束砲”屑”は単なる魔力砲撃に。無論、力が弱められたとて侮れぬ敵であることに変わりはないだろうが、
 ユーフェミアもまた悪魔と戦っている。その様を実際に目の当たりにすれば、自身までもが勇気づけられる心地でヤコウは笑みを深めた。ひとときだって忘れたことなんてない、忘れるはずもない。
 数多の時空で、数多の改竄世界史で、歴史侵略者達の支配下でも懸命に生きる人々の姿を、
 時空を超えて編まれ、結ばれ、紡いできた花冠の絆を、大切な人達の為に編んだ花冠を。
「今だって、アンゼリカさんや僕達だけでなく、ミアさんまでもが戦っている姿が、絆が環になる様が胸を打つから」
 胸にあたたかな想いを萌してくれる出逢いが、出逢ったひとびとと織り成す絆が、想い出が、自分を育んでくれたから。
 ――過ごして来た日々に、続く未来に、
 ――掛け替えのない尊さを感じるから。
 僕もまた、歩き続けることをやめない。
 生きるために、奪われた全てを取り戻すために戦い続けてきて、戦い続けていくから。
「姦計には応じません。斯様に手を止める時間すら、僕達の意志のもとで掴んでいる」
「あなたが陽菜さんを殺しに来るんじゃない。アンゼリカさんとミアさんとわたし達があなたを斃しにいくんだからっ!」
 そう、対話の主導権すら悪魔に渡してなどいない。ヤコウの言葉に頷いて、まずはシルが宣戦布告を突きつけた。
 全人類の幸せのために、なんて大それた理由を抱いているわけじゃない。
 だけど、己と同じような悲しい別れを誰かに経験させたくないから、
 これから生まれんとする悲劇をとめる手段があるなら、悲劇を覆す手段と機会があるなら、その為に己が力を尽くすことをシルは躊躇わない。ディアボロスとしての歩みを止めたりしない。
 ――それが、両親と邂逅を果たした、わたしの新しい誓いであり、
 ――ディアボロスとしての力の原動力だから。
「英雄になんてなれなくていい。わたしは、わたしの選んだこの道を信じて歩くだけ」
「私も、今はもう英雄になりたいとは思わない。私も、私自身として、私の望む道をいくよ」
 これからも数多の時空を、数多の戦場を翔けるだろう。
 だけど、たとえユーフェミアを取り戻して宿願を果たしたとしても、アンゼリカはきっとシルの相棒のまま翔けてくれると思えるから。気丈な笑みを咲かせてシルが己の歩み続ける意志を言の葉にすれば、相棒の心を確と受けとめて、アンゼリカは彼女の隣で悪魔と相対した。
「彼方にも言い分はもう無いようだしね、最終幕といこうか。アンゼリカ」
「完全無欠のハッピーエンドで幕引きといこうじゃないの、アンゼリカ!」
「ええ。悪魔との決戦へ、いざ立ち向かうとしましょう、アンゼリカさん」
「だね! さぁ、始めましょうか! わたしの相棒、アンゼリカさんっ!」
 陸の手が、ノスリの手が、ヤコウの手が、ぽんぽんぽんと小気味よいリズムでアンゼリカの背に触れていき、最後にシルの手がぽんっと触れて、その感触と皆の言葉がアンゼリカの心の翼をいっそう力強く咲き誇らせてくれる。
「うん、うん! 改めてお願いするよ、どうか皆の力を、私に貸して!!」
 今一緒に悪魔と対峙してくれた四人ばかりでなく、友人達、仲間達へ、皆へとアンゼリカは願った。
 この対話の間に、刈取の悪魔達やガーゴイルガンナー達との戦いでの皆の負傷も全回復している。ならば憂いなく決戦を。
「仮面の悪魔シリク・コア、お前だけを完全に滅ぼし、愛するミアを、今から取り戻す!!」

 ――第三幕の、最終幕の幕が、今こそ上がる。
 ――悪魔のみを滅ぼす、完全勝利の鍵はもう手のなか。
 然れど油断できる敵でないことは誰もが承知、ならば全力で、完全勝利を掴み獲りにいくのみだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】がLV2になった!
【飛翔】がLV17になった!
【ハウスキーパー】LV2が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!
【反撃アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】がLV4になった!

ネリリ・ラヴラン
妥協をするのだったら最初から過去を救おうだなんて願わないものね
それがどんなに贅沢で無謀な願いでも
二人にとって一番の結末以外、誰も望んでいないわ

余裕を見せるのが虚勢ではないんだろう
一つの時間を統べるだけの敵が
ミアちゃんに頼り切っているとも思えないもの

ただ、狙いは解りやすいかもしれない
この時間との繋がりはアンゼリカちゃんが鍵なのだから
彼女が動けば狙いは向く気がするよ

【未来予測】で探るのはその一瞬
僅かに先んじて動き、超高速の詠唱を紡ぐ
全力のPDで悪魔を射抜き
彼女の行く手を阻む一撃を放たせはしないわ

貴女が、記憶の向こうに零してしまった忘れ物は
手を伸ばせば、もう…すぐそこだよ

…確り、取り戻してきてね


四葩・ショウ
羽搏いて燃える
微笑む白百合の天使のネメシス形態

翻る【飛翔】での空中戦
積極的に仲間をディフェンス
特にピンチの人や非ネメシスの人を気にかけ

わたしは牽制を主に
前線の仲間が望む通り翔べるよう
孤立させないよに伴って、好機を託して
悪魔をよく見て【通信】で伝え
思い通りになんてさせない

……悪いけど、さ
つよがるのは得意なんだ
それに
奪われた時間の、彼女達の苦しみにくらべたら、これくらい

鐘をならして微笑んで
何ともないよ
ミアさんのおかげ
皆で一緒に悪魔に打ち勝とう

なりたかった姿じゃ、ないとしても
貴女は英雄だ
魔力付与の祝福託して

動き出す時間に視界が滲んで
わたしの胸にも
希ってやまないひかりが煌めく
いつの日にかこの腕に――と


ノスリ・アスターゼイン
ネメシス化
眼差しも嘴爪も研ぎ澄まされて凛然

獲物を喰らい尽くすまで

お前を喰って尚
満ちない飢餓が刃になる

敵前へ翔ける陽動も
急な方向転換から死角を突く刃も
苛烈ながら冷静さを失わない

塵も残さず無に散れ

即座に後方へ飛ぶか
構えた武器で反撃防御
ダメージ軽減

戦況全体を把握
通信と声掛けで死角のカバー、仲間のフォロー
間断なく攻撃を繋ぐなど連携を図る
ディフェンスも積極的に

悪魔の戯言は
耳にも心にも一切響かないが
共に悪魔と闘ってくれているミアへは
励ましの言葉を

ありがとう
必ず未来を掴もう
一緒に

アンゼリカとミアが――俺たち皆が築く明日を
確かに掴み取るんだ

少女達の為に翔けると告げた
俺も全力で約束を果たすよ

良いね
最高の強欲!


永辿・ヤコウ
ネメシス継続

対話後
力の漲りを感じたことは
皆の生き生きした姿からも分かる
針先を悪魔へぴたりと向け
確かな力強さをもって浮かべる笑み

針の筵になりなさい

言葉の通り葵襲で穿つことは勿論
熾烈な攻撃を皆で浴びせることの宣告

ミアさんの抵抗も僕達の力になっているのだと
諦めない姿に励まされるのだと
剣戟を交わす度にミアさんへ伝えたい

戦場を広く見て状況を把握
パラドクス通信で皆と情報共有
即座に攻撃を繋いでいくなど、連携を常に意識
悪魔の退路を断ち
果敢にディフェンスも

敵技は針で受け流して
極力ダメージを抑える

少女達の約束を叶えるために
悪魔という綻びを繕うために
一切の怯みも迷いも無く空を翔ける
その勇気と絆をくれた花冠が僕の誇り


レオアリア・フォルシオン
望んだ『真実』には、必ず辿り着けるわ
わたくし達がそれを諦めない限り…必ず、いつか、この掌に、全て!

サイキを構え、飛翔しながらパラドクスを発動
敵の行動を電磁気と跳弾で阻害し、未来予測の効果で数秒先を見据えて攻撃を仕掛けていくわ
そこに託されし願いで成功率を上げ、アンゼリカの祈りの果てをサポートするわ!

わたくしは、アンゼリカが祈るならそこに必ず届くと知っている
『信じている』のではなく『知っている』のよ
それこそが絶対の『真実』!
クロノヴェーダの妥協等いらないし必要ない

復元せよ、汝の歴史!
その復元を以て……愛する者をまずは取り戻せ!


メルキディア・セデクリエル
アドリブ・連携大歓迎

シリク・コア……お前の言葉はどこまで行っても自己愛の権化。
何もかも利用して踏みにじって愉悦に浸るその在り方は吐き気を催す邪悪に他ならない!

アンゼリカさんをディフェンスし、放たれようとする神火収束砲"屑"をシェキルザッパーで撃ち落とし…全力のクロッシング・ドミナスフィアで動きを封じる!

私が出来るのはかけがえのない戦友の一人でもあるアンゼリカさんの力になる事…
アンゼリカさん、貴女の約束を果たすために…!
正しいって言える勇気があれば…唯それだけが出来れば、貴女は英雄なのだから!

私達が、貴女が飛翔する-とぶ-為の西風-かぜ-になるッ!
全部掴み取ってぶっ飛ばせッ!!


エレナ・バークリー
さあ、ミアさんを返してもらいますからね、シリク・コア。
アンゼリカさんとミアさんの絆を舐めない方がいいですよ。

仲間達と連携して【飛翔】で空へ上がり、戦端を開きます。あくまでもアンゼリカさんから敵の目を逸らすように動きます。

「結界術」で攻撃範囲指定。「全力魔法」で「浄化」攻撃の煌輝嚇灼たる絶光の小庭を叩き込みます。悪魔には「浄化」の力は効くでしょう。同時に、ミアさんへの影響は少ないはず。

悪魔の攻撃は、魔力障壁とバックラーで受け止めましょう。同じ技能はありますが、どれだけダメージを減らせるか。
アンゼリカさんへの攻撃は、そこへ割り込み。

迷いなく行ってください、アンゼリカさん! 今こそ悪夢に終止符を!


宇佐美・アリス
ここまで来たら、後はあの気持ち悪いのを引っ剥がすだけよ

引き続き「アンゼリカさんをディフェンスする」わ

【パラドクス通信】で皆と意思疎通して、積極的に連携していくわよ
【飛翔】での高速機動で撹乱しつつ、兎ぽいモノを大量召喚で[残像]を作る隙を作って攻撃よ

これだけ人数がいれば、死角、視界外(背後とか真下とか)から攻撃を仕掛けるわね
私に注意を向けるなら、他の人の援護に少しでもなるし、無視してくれるならチマチマ削るわよ
大技使う人の隙位は作ってみせたいわね
攻撃は出来るだけ、気持ち悪い半身を狙うわよ

攻撃は[残像]で攻撃をずらしたり、シールドと障壁で耐える方向で


アンゼリカ・レンブラント
ネメシス形態の戦乙女へ
幼い体は、英雄に憧れていたあの頃のまま
今は友の想いを力に、己でも空を行く

飛翔してのダッシュで光剣で斬る
未だ侮れない力を持つ相手だろう
でも技量でいえば私は相手の倍以上
そして皆と連携して戦う!

狡猾な刃、ミアを犠牲にして勝利すべきが復讐者なら
私は躊躇無く復讐者を辞める
けれど私達の戦いは正義を為すことでなく
大切なものを取り戻すこと
――そして今、宿願に届く!

ミア!大丈夫、私は皆と一緒のアンゼリカだから
何よりも強く君を助ける
想いの全てを込め《光剣収束斬》で決着をつけるよ!

悪魔だけを仕留めたなら
この時間の平和は幸せで
けれど私は強欲だから更にもう1つ願う
どうか同じ時間を――新宿島でミアと


シル・ウィンディア
相棒が助けたいと思っている人…
彼女の芯の強さは見せてもらったから、あとは引っ張り上げるだけだねっ!

ネメシスモード、さらに解放するよ。
背には白と黒の翼…
天使と堕天使が交わっての力で悲劇を撃ち抜くよ!

飛翔し、空を舞って高速詠唱の六芒星精霊収束砲!
時の力が混じった方が今回は強いけど…
でも、悪魔に負けない、全力の想いをぶつけるためにいくよっ!!

神火収束砲、確かに強いね。
でも、無理やりに引き出した借り物の力で撃ち抜けるほど、わたしの精霊収束砲は弱くないんだよっ!
いいつつ、全力魔法の六芒星精霊収束砲で行くよ

ディフェンス可能な人は積極的に庇いに行って反撃を

光の刃で悪魔の呪縛を断ち切れ、アンゼリカさんっ!


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

皆さんの想い、それに応えたミアの意思
こんな光景を見せられれば、戦場だと言うのに笑みが溢れてしまう
ミアは助けを待つだけの聖女では無い
歴とした戦う意志を持つ仲間
ならば、その願いを叶える為
私は喜んで福音を奏でましょう

引き続きネメシス姿で飛翔し悪魔へ向かう
宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
鐘の音が悪しき意思を灼く様に
聖なる意思を守る様に
想いは全て音色に込めて

弱体化したとはいえ、侮る事はせず
仲間と連携を意識して、絶え間なく攻撃を
自分の得意属性にはディフェンスに入り
悪魔が喜んで付け入りそうな綻びを一つでも潰していきましょう

アンゼリカの願いを少しでも後押しできるように
さあ、行ってください


無堂・理央
へぇ、手は掛かるがボク等を倒せると?
違うよ、君を確殺するレベルの戦力がここに集ってるんだよ。


引き続き無双馬『クロフサ』に騎乗して、クロフサには【飛翔】で空中を駆けて貰うよ。
更にネメシス形態発動!
ボクとクロフサが義憤の女神の力を宿す神炎を纏う!

ボクがやる事はどでかい一撃を加えてアンゼリカさん達が攻める隙を作り出す。
限界上昇高度まで登ってからの垂直急降下突撃!
ネメシス形態だから火の玉ダイブだね。

敵には突撃に気づかれても良い、むしろ気付いて対応しようとする位でないと隙は作れないだろうしね。
敵の頭上から馬上槍でどでかい一撃を叩き込んだら、地上に被害が出ないようにもう一度空中へ登っておくね。


嵐柴・暁翔
全てを救う英雄ではなく、大切な友人と一緒にいたいと願うただの人間として戦う、か…
どこぞの聖人君子よりも我儘な女の子の方が余程共感できるってもんだ
まあ根本的な問題として悪魔の空手形が信用できるのかという疑問もあるけどな
……かつてのアンゼリカが負けたのは戦闘能力よりもその辺りが敗因なんじゃないか…?

《天元突破冒険者》を発動
想い合う二人が引き裂かれる結末…その理不尽な終焉を破壊する
『風牙』に想いと稲妻を籠めて全力で斬ります

張り付いた仮面からの浸食は気合で耐えて剥がします
俺は悲劇を齎す仮面を砕く専門家だ…なんてな

ディフェンスで周囲の方々をできる限り庇います
大団円ってのは全員で迎えるものと決まってるのさ


フィーナ・ユグドラシア
※アドリブ、連携ok
※ネメシス形態使用

二人がお互いを想う絆の方が、貴方の支配力より強かった。それだけのお話です。
だからこれ以上、貴方に無粋な真似はさせません。
無理矢理奪ったその身体、本来の持ち主であるユーフェミアさんに返して頂きます。

戦闘中は距離を取り『聖槍』で射撃戦、敵の足止めと前衛の援護に努めます。射撃時は誤射せぬよう注意、また、ユリウスにも足止めを手伝って貰います。

アンゼリカさんに攻撃が集中するなら、横槍を入れて注意を逸らしましょう。悪魔と一体化した部分を狙えば気を逸らせますかね?

私が裁くのは悪魔のみ、この『聖槍』は、彼女を解放する一助。
さぁ、お二人とも、最後の仕上げ、行ってらっしゃい。


ソラ・フルーリア
さっき会ったばかりのアタシでも分かるわよ!
ミアは弱い人間じゃない、強い意志を胸に抱く本物の聖女様だって事!
アイドルにも向いてるわ!

借りた体で良い気になっているアナタなんかより、ずっと逞しいって事を教えてやるわ!

ネメシス発動!
あの悪魔を消し去れる力をアタシに!

【飛翔】で飛び回り「撹乱」しつつ、隙を狙って攻撃していくわ!
【飛入と渦動の五元光芒!】!
アタシにもよく分からない力だけど、あれを消し飛ばす位は出来るわ!

積極的に仲間と連携して、同時攻撃やディフェンスもしていくわよ!
相手の砲撃は速度で回避するか、ローブで防御よ!
あら、ミアの力を借りなきゃこんなものかしら!

最後はアンゼリカ、華麗に決めちゃって!


シャムス・ライラ
仲間とP通信で情報共有、連携

悪魔よ
どうやらお前の付け入る隙はないようだな
ならばもうお前に勝ち目はない
ただ、倒され失せるが良い
そして、その体を本来の主に返すのだ

アンゼリカ殿の援護を主に
皆で協力して敵を討とう

暁の一片で隼を呼び出し
アンゼリカ殿の周囲を守るように
或いは敵の目を攪乱するよう不規則な軌道で飛行させ露払いを
彼女の危機もしくは攻撃との連携時には飛び出し
暁の光で敵の目をくらましつつ貫通撃

敵攻撃は注意深く観察し
飛翔、エアライド等で距離を取り可能な限り損害を減らす

仲間への攻撃は可能な限りディフェンス

その他、有効そうな残留効果は全て使用

さぁ、アンゼリカ殿
今こそ、取り戻す時だ

アドリブ等歓迎


一里塚・燐寧
仮面の悪魔だっけぇ?
この期に及んで世迷言叩くヨユーあるのが、現実をわかってない何よりの証拠だねぇ
ミアちゃんの根性をナメて憑りついた時点で、きみは詰んでたんだよぉ

巨大恐竜型ネメシス形態を継続
肩から噴き出す炎の勢いで【飛翔】し、敵よりも高い空へ
眼下に獲物を捉え、高速詠唱で速やかにエネルギーを蓄える
蓄積された【ダメージアップ】が齎す強い力と爆熱は、喉を赤熱化させるほど
最大まで溜まった所で、ブレス砲撃──『闇雷収束咆・猛爆砕』を解き放つよぉ!

上空から隕石みたいに落ちて、爆ぜる火球
威力と風圧で敵の放つ収束砲を押しやり、アンゼリカちゃんが付け入る隙を作るよぉ
見せてやりなよぉ、ほんとのヒーローってやつをさ!


竜城・陸
ネメシス形態で継戦

【飛翔】して戦いに臨む
敵との位置関係、味方の戦況は常に確認し
攻撃は連携して間断なく
相手に僅かの隙も与えないように

曙光の槍は投擲或いは接近しての斬撃を使い分ける
魔力砲撃からは確りと味方をディフェンス
力量こそ敵に及ばずとも、培ってきた技能では劣らない
比較的抗し易い僕が積極的に受けるべきだ
損傷を抑えやすいという意味では全体の継戦能力も高まるし
反撃によるダメージも狙えるだろう

無理矢理に彼女から力を引き出したところで
無駄だよ、そんなものは通さない
何一つ、お前の思い通りにになどさせはしない

アンゼリカも、仲間たちも
今こうして共に戦っているミア、君も
皆が笑える最良の未来の為に力を尽くすよ


●双翼
 ――陽菜(ひな)だった私は、
 ――英雄に憧れる雛(ひな)から、己のままで望む世界へ、未来へ羽ばたけるアンゼリカになったから!!

「私は、私達は、ここからまだ強くなれる! 覚悟してもらうよ、仮面の悪魔シリク・コア!!」
『ケケケ、口だけなら何とでも言えるよなぁ! 精々ほざくがいいぜ、陽菜――……ッ!!??』
 斯くて決戦の幕が開く。天空の戦場に突如吹き荒れたのは先陣を切る加護を齎す颶風、仲間達が重ねてくれた加護の颶風に迷わぬ【飛翔】でアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)が乗った刹那、これまでの戦い以上に激しくも眩い輝きが咲き溢れた。輝く約束、眩い歓喜、希望の未来、何もかもを孕んで戦場すべてを染め抜く、黄金のひかり。
 黄金誓姫の掌中から噴き上がった輝きは彼女の象徴のひとつとも言える身の丈を超えるほどの巨大な光剣、だがその輝きを纏ったアンゼリカ自身が魂の裡から眩い光を迸らせていた。幼き日へと時を遡った身体はユーフェミアと一緒に英雄に憧れていた頃のもの、然れど空色の鎧を纏うその背には夢想の空でなく現実の空を、己のままで望む世界へ、未来へ羽ばたくための翼が花開く。
 輝ける戦乙女――復讐の女神の名の許に遂げた変容で一気に底上げした戦闘能力で大上段から叩き込む凄まじい光の斬撃、絶大な巨大光剣の一撃には先までの戦いのみならずユーフェミアへの呼びかけや悪魔との対話の間にも積み上げられ最大域に達した攻撃強化を始めとする様々な加護が乗り、然しもの悪魔も紅眼を見張るほどの強打となったが、
 壮絶な光が爆ぜる。凄まじい光の斬撃と禍々しい剣の反撃が激突する。
 絆を確かめ合ったユーフェミアが悪魔に抵抗しその力を抑え込んでくれているとはいえ、だからとて容易くこの悪魔を圧倒出来るとは当然アンゼリカも考えてはいない。然れど、ここからだ。
 この決戦でも数多の加護を積み重ね、
 今よりも更に、ディアボロス達は強くなるのだから。

●決戦
 天頂に輝く太陽をも凌ぐ壮絶な光が爆ぜた。
 苛烈なる攻撃と反撃、強大な威の斬撃で仮面の悪魔と黄金誓姫の双方が互いに弾き飛ばされたが初撃はアンゼリカが優勢、然れども即座に『仮面の悪魔シリク・コア』が高濃度の魔力を収束させる。息を吐かせる間も与えず撃ち放たれる魔力砲撃、悪魔の力を神火と名付けて迸らせる冒涜的かつ烈しい輝きが襲いかかるが、
 間一髪で翻ったのは長く艶やかな花紫の髪。
「クライマックスには間に合ったみたいね! 貴女が約束を果たすための力になりに来たわよ、アンゼリカさん!!」
「メルキディア!!」
 救援機動力で天空の戦場へ飛び込むと同時にメルキディア・セデクリエル(閃機術士のエンジェリアン・g03132)は戦友の盾となり、瞬時に籠手から顕現させた銃閃機シェキルザッパーから己が心の波動をエネルギー弾と成して迸らせた。反撃なら無にすることも可能なれど、彼我ともにパラドクス攻撃を無傷で凌ぐことは不可能であるのが逆説連鎖戦の絶対の理、ゆえに悪魔の魔力砲撃を撃ち落とすことは叶わずとも、互いを喰い破る勢いで激突した魔力砲撃とエネルギー弾は拮抗しながら其々メルキディアと悪魔めがけて突き抜ける。
 弱体化してなお強力な砲撃をメルキディアは既に戦場に燈されている防御強化の加護で堪え、彼女のエネルギー弾は無数の光の鎖となって悪魔をその精神ごと捕縛したが、クロッシング・ドミナスフィア(クロッシング・ドミナスフィア)が有する捕縛の力もクロノヴェーダ相手では効果は僅か一瞬、
 然れどもその一瞬に、高速詠唱を完成させたシル・ウィンディア(虹霓の砂時計を携えし精霊術師・g01415)の眼前に精霊魔法陣が咲き誇る。先んじて女神の名の許に銀髪銀瞳の天使に変じていたシルは裡なる己自身を更に解放し、
 光の白翼と闇の黒翼を咲かせる天使と堕天使を融合させた姿で解き放つのは、六属性の精霊の力を収束させて撃つ、六芒星精霊収束砲(ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト)!!
「時の力込みの七芒星精霊収束砲の方がクロノス級には効きそうな気もするけど、今はこれで全力の想いをぶつけるよ!!」
「最も想いを籠められる技が一番だと思いますよ! それに【ドレイン】を重ねるのは戦術的にも正しいはずです!!」
 ――相棒が助けたいと願うひと、ミアさんの芯の強さは見せてもらったから、
 ――あとは悲劇を撃ち抜いて、彼女を引っ張り上げるだけ!!
 全身全霊でシルが想いを籠めた精霊魔法陣の輝きは七芒星を描くそれにも決して劣らず、相手の反撃の威を半減させながら眩い精霊の輝きが悪魔を直撃する様に勢いを得る心地で、続け様にエレナ・バークリー(アブソリュートウィッシュ/エレメンタルキャヴァリエ・g00090)が掲げるのは光り輝く精霊剣、
「さあ、ミアさんを返してもらいますからね、シリク・コア。アンゼリカさんとミアさんの絆を舐めない方がいいですよ!」
 天空の戦場に奔った光が結界を成した刹那、天上の遥か高みより降りそそぐのは数多の破邪の光条、エレナのこの術もまた自陣に敵の命を喰らう力を燈すもの。
 数多の敵を相手取る戦場では比類なき効果を発揮する最大域の【グロリアス】も、敵が首魁のみのこの決戦ではほぼ意味を成さない。ならば成功の目は低くとも【ドレイン】の効果を高めておくことが戦闘中の回復の期待値を上げることになる。
 弱体化してなおも強敵であるのは誰もが承知、なれど数多の刈取の悪魔を殲滅し数多のガーゴイルガンナーの壁を斬り拓く戦いよりもなおいっそう皆の瞳に勝利の確信が輝く頼もしさに、永辿・ヤコウ(繕い屋・g04118)も強気な笑みを燈した。
 悪魔が持ちかけた対話のひとときすら、仲間達の傷すべてを癒し自陣に力を漲らせる時間という糧となったから、
「狩るのはあなたではなく僕達のほう、それを御理解いただきましょうか」
 ――さあ、針の筵におなりなさい。
 鋭く悪魔へ向ける針一閃、身の丈をも超える銀針の煌きは同時に降りそそぐ針雨のみならず、自分達全員で熾烈な猛攻勢を浴びせることの宣告に他ならない。背に焔を躍らせ赤き眼差しで悪魔を見据える女神の名の変容のまま迸らせる針雨は反撃の仮面の半数を撃ち落とし、ヤコウの針雨の更なる上空からは、
「仮面の悪魔だっけぇ? この期に及んで世迷言叩くヨユーあるのが、現実をわかってない何よりの証拠だねぇ!!」
 一気に【飛翔】で遥か高空へと翔けあがっていた獰猛なる恐竜、此方も女神の変容を遂げた姿のままの一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が痛烈に悪魔を嘲るとともに咆哮する。
 最大域の攻撃強化の加護を得て高速詠唱で蓄えた力は頑健な表皮で鎧われた恐竜の喉をも赤熱させるほど、凶暴な牙が覗く顎門の奥にいっそう獰猛な輝きが見えたと思った刹那、燐寧のブレス砲撃が燃え盛る隕石のごとく降り落とされた。
 命中強化の加護を強め、凄絶な勢いで悪魔を直撃して、反撃さえも捻じ伏せて爆ぜる火球。
 輝きの余韻も衝撃の余波も消えぬうち一気呵成に悪魔を強襲したのは暁光と曙光の輝きで、
「幾らお前に余裕があろうと、私達とて決して負けはしない。ただ斃され、その体を本来の主に返すが良い」
「そう、最早何ひとつ、お前の思い通りになどさせはしない。何ひとつ得ることなく彼岸に去ってもらうよ」
 天色の双眸を鋭く細めたシャムス・ライラ(極夜・g04075)が空を薙いだ拳から翔けたのは夜闇を薙ぎ払う暁光の隼、眩く輝ける隼は左方から悪魔を貫くと同時に敵の命を喰らう力を高め、女神の名の許に解き放った曙光の神の姿のままで右方から悪魔を穿った竜城・陸(蒼海番長・g01002)は防御強化の加護を強めるもの、
「貴方にこれ以上無粋な真似をさせるつもりはありません。その身体、ユーフェミアさんに返していただきます!」
「そういうこと! いいね、アンゼリカとミアの行く先には必ず夜明けがあるって証みたいじゃないの!!」
 凄絶に爆ぜる火球に続いて左右から悪魔を強襲した輝ける暁光と曙光に、真っ向から悪魔に射ち込まれる暁光が続く。
 二人がお互いを想う絆の方が、貴方の支配力より強かった――そう告げてやりたい気持ちもあれど、嘗て一度は二人の絆が眼前の悪魔に敗北したのは厳然たる事実。だが、それゆえにアンゼリカは新宿島に漂着し、それゆえにアンゼリカは自分達、フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)達との新たな絆を得てこの時空に帰還した。
 帰還したアンゼリカは悪魔がユーフェミアの魂を砕かんとした最初の惨劇を自分達とともに覆し、それによって親友と絆を確かめ強め合う機を得て、己と親友に輝く約束を取り戻すことを叶えたのだ。
 女神の変容の証たる純白の翼を咲かせたままのフィーナが悪魔の砲撃と真っ向から撃ち合う覚悟で奔らせるのは悪意を裁く暁光の聖槍、敵の命を喰らう力を更に強めて、彼女の眼差しと声音そのままにまっすぐ翔けた暁の光が悪魔を射抜いた刹那、聖槍の影のごとく翔けていたノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)が獲物の下方から一気に猛禽の嘴爪を閃かせた。
 仲間達の言の葉と夜明けの光の眩さに笑みはすれど、獲物を捉える眼差しも嘴爪も研ぎ澄まされて凛然と冴え、女神の力を燈した体躯の紋様にも更なる耀きが奔る。デーモンイーターたる身には真実、悪魔など獲物にすぎない。
 ――獲物を喰らい尽くすまで、
 ――否、お前を喰らってなお、満ちない飢餓が刃になる。
 反撃強化も研ぎ澄まされ、自陣全体の力が加速度的に高められていく。
 然れど復讐の女神の名を冠する変容で戦闘能力を底上げした精鋭ディアボロス達の絶え間なき猛攻にも、この時空の主たるクロノス級アークデーモン『仮面の悪魔シリク・コア』は強気な態度をいまだ崩しはしない。
『ケケケ、よく言うぜ! 俺様の時空で無粋な真似をしてるのはお前達のほうだろうが!!』
「……っ! だからって、陽菜とみんなが負けるはず、ない!!」
 裡からユーフェミアの抵抗に力を抑え込まれながらも悪魔が揮うパラドクスの威は決して侮れず、なれどそれを理由に怯む者も自陣には皆無。馴染んだ愛刀、業物の一振りを抜き放って天空を翔ける嵐柴・暁翔(ニュートラルヒーロー・g00931)の口許にも笑みが覗くのは、先のアンゼリカの言葉が己の心の琴線に触れたがゆえ。
 ――全てを救う英雄ではなく、大切な友人と一緒にいたいと願うただの人間として戦う、か。
「聖人君子みたいな英雄よりも、我儘な女の子のほうが余程共感できるってもんだからな!!」
「我儘だって構わないよ、それがどんなに贅沢で無謀な願いでも、二人にとって一番の結末以外、誰も望んでいないわ!」
 嘗てアンゼリカが敗北したのは悪魔の甘言に惑ったがゆえかとの想いが暁翔の脳裏を過ぎりはするものの、敵はこの時空を統べる存在だと決して相手を侮らぬネリリ・ラヴラン(★クソザコちゃーむ★・g04086)の蘇芳の眼差しが暁翔のその考えを否定する。
 嘗てアンゼリカは独りきりで、現状よりも更に強敵であった仮面の悪魔に挑んだ。
 今ほど戦闘経験を持たず、単騎で立ち向かった彼女は、悪魔のほうから譲歩するまでもない存在だったろう。
 新宿島に流れ着き、自分達との絆を育みながら心身ともに成長したアンゼリカ、今の彼女が彼女であるからこそ皆も自分もこの時空へ駆けつけて力を揮い、完全勝利を望める決戦を首魁に挑めたのだと改めて想えば愛刀を握る暁翔の手にもいっそう力が籠もるというもの、
「想い合う二人が引き裂かれる結末……その理不尽な終焉を破壊する!!」
 理不尽なエンディングを打ち砕く存在、天元突破冒険者(ランディ)の力の一端を借り受けるパラドクスが愛刀・風牙へと燈す力の名は雷光烈斬牙。反撃の仮面にも怯まず稲妻の斬撃を一閃する彼の技の眩さに双眸を細めつつ、ネリリが番えて引き絞るのは黒色一対の弓矢として顕現した己の魔術。
 思い描く理想は悪魔がアンゼリカを狙う一瞬を【未来予測】で先読みし、全力のパラドクスで敵を射抜いてアンゼリカへの攻撃を阻むこと。だが逆説連鎖戦において【未来予測】がほぼ意味を成さないのは先のガーゴイルガンナー戦でも明らかで、仮に思い通りに悪魔を射抜くことができたとしても、アンゼリカへの攻撃を防げるわけではない。
 逆説連鎖戦において最も確実に仲間への攻撃を防ぐ手段は、ディフェンスに他ならない。
 護る対象よりも高い能力を有するという条件と、自分自身が護る対象の代わりに敵の攻撃を引き受けるという代償、そして成功確率が揃って初めて仲間を無傷で護ることができるのだ。それら無しに仲間への攻撃を防ぐのは極めて困難、それゆえに多くの仲間がディフェンスを戦術に組み込んでこの決戦に臨んでいる。
 唯一ネリリの戦術でアンゼリカへの攻撃を防ぐことが叶うのは、仮面の悪魔の反撃も次撃も捻じ伏せるほどの完璧な一撃を決めることができた場合のみだが、ネメシス化で戦闘能力を底上げし、積極的に皆との連携を図って攻め立てている面々ならともかく、素のままのネリリが強敵相手にそれほどの一撃を決められる確率は極めて低い。
「それでも、手をこまねいているよりは一手でも多く攻めるほうを選ぶよ!」
「思惑通りに事が運ばないのは戦いの常よね! けれど、あの悪魔の生命を削るだけでも意味はあるわ!!」
 理想の一撃でなくとも構わない。だってネリリとて唯ひたすらにアンゼリカの力になることを望んでここまで翔けてきた。悪魔の攻撃を阻めずとも強大な敵を削る一手となれば、僅かなりとも攻撃の勢いを鈍らせる一手となれば、と強く希って射ち放った黒矢が悪魔を穿って爆ぜたなら、レオアリア・フォルシオン(フォルシオン統一王朝初代皇帝『征龍帝』・g00492)が強気な笑みを咲かせて雷霆の魔弾を迸らせるのは碎輝の名を冠する杖にして魔導銃、
 ――望んだ『真実』には、必ず辿り着けるわ。
 ――わたくし達がそれを諦めない限り……必ず、いつか、この掌に、すべて!!
 黒矢の爆裂に続いて苛烈な電磁気を帯びた数百の魔弾の乱舞が仮面の悪魔を喰い破るが、反撃の砲撃と斬撃が二人めがけて奔ったのとアンゼリカを攻撃する禍々しい輝きが迸ったのは殆ど同時。然れども黄金誓姫を直撃するはずだった魔力砲撃へと真っ向から飛び込んだ銀の星がアンゼリカを護り抜いた。
 強大な一撃なれど本来ならユーフェミアの心の痛みを糧に更に威力を増していただろう砲撃は、魔力を帯びた繊維が鉱石の煌き燈すローブでその火力を軽減し、防御強化の恩恵にも護られたソラ・フルーリア(歌って踊れる銀の星・g00896)にとって挑むような笑みひとつで耐えきれるもの。
「あら、意外に大したことないのね。ミアの力を借りなきゃこんなものかしら!」
『言うねぇ。大したタマだぜ、ディアボロス!!』
 女神の名を冠する変容をいっそう深めたソラが闇色の眼球に輝く紅の瞳で悪魔を見据えた途端、青き杖の先端に花開くのは火と水と風と地の力で織り成された魔法陣、その中心の黒き力にすべてが凝った瞬間に解き放たれた苛烈なる五元光芒の砲撃魔法が反撃強化の加護を得て悪魔へ痛烈な反撃を喰らわせた刹那、
「ありがとうみんな! ミアの心を、力を、魂を、もうお前の好きにはさせない! 絶対に!!」
「手こずってもボクらを倒せると思ってるみたいだけど、違うよ、君を確殺するレベルの戦力がここに集ってるんだよ!!」
 天の光映す双眸も巨大なる光剣もいっそう強く輝かせたアンゼリカがまっすぐな気勢とともに一閃させた斬撃、互いが剣に活かすすべての技能で仮面の悪魔シリク・コアを圧倒する黄金誓姫の剣閃が相手の反撃を捻じ伏せれば、
 義憤の女神の神炎を愛馬とともに纏ったまま遥か高空へ翔けあがっていた無堂・理央(現代の騎兵?娘・g00846)が全速で垂直降下突撃に出た。凄まじい速度で悪魔めがけて降り落ちる人馬一体の突撃は此方も燃え盛る隕石さながらで、音速の壁を突き抜ける衝撃波さえも威に重ねる凄絶な一撃が、またもや悪魔の反撃を捻じ伏せる痛打を喰らわせた。
 天空から、悪魔が堕ちる。

●鼓翼
 純白の翼が、純白の百合が天空に花開いていた。
 花色の双眸は復讐の女神の変容を遂げた証たる翼に覆われて、然れどそれでも四葩・ショウ(Leaden heart・g00878)の眼差しは決して敵の挙動を見逃さない。先の理央の垂直降下突撃はこれが空中戦でなく地上戦であれば派手なクレーターが生まれていただろうと思えるほど強力なものだったが、
「仮面の悪魔、一瞬で体勢を立て直したよ。――来る!!」
「流石は強力なクロノス級アークデーモンだね、勿論迎え撃つよ」
 衝撃を耐え抜いた敵が上昇に転じる寸前に【パラドクス通信】越しに声音を響かせると同時、白百合の天使の姿を咲かせたショウが戦場に鳴り響かせたのは福音の鐘の音、隠した目許から零れさせたのはマドンナブルーの焔の涙。蒼き焔が伝って、燃えて、尽きたなら、
 微笑みとともに仮面の悪魔へ下る審判は数多輝く焔の嚆矢、反撃の仮面と交錯する聖なる焔矢に重ね、瞬時に己が掌中へと咲かせて陸が撃ち込んだ光も神なる輝きで編み上げた曙光の槍。敵の位置も挙動も仲間すべての状況も確と把握せんと天空の戦場を広く見霽かすのは陸もまた同じ、淡き菫色燈す双眸は対話の折よりもいっそう冴え冴えと敵を捉え、
 敵を穿ち貫く神の光槍は、相手の反撃さえも容赦なく貫いた。
「だからって攻め手を緩めるわけないわよね! このまま一気にあの気持ち悪い仮面を引っ剥がすとこまで行きたいわ!!」
「ええ。ミアは助けを待つだけの聖女ではないのですから、悪魔とは無縁の未来を彼女とアンゼリカに拓いてみせましょう」
 先のショウの声音が【パラドクス通信】越しに届いた瞬間に跳んでいたのは宇佐美・アリス(兎に非ず・g01948)、輝ける焔矢と光槍が悪魔を穿ち貫けばその死角を獲って、途端に溢れさせるのは大小様々な数多のウサギ。天空の戦場にふわもこが溢れたなら、それらに紛れて真っ白ファーのバスタイルに変じたアリスが妖精剣で鋭く悪魔を貫いたなら、
 襲い来る仮面の反撃を彼女が手首のカフスから展開するシールドで減じるのと同時、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の手許に展開されていた光の鍵盤が輝きを増した。光そのものを奏でるよう鍵盤に躍る十指が天空の戦場に響かせる旋律はこちらも福音の鐘の音を導くもの、
 ――光あれ、恵みあれ、幸いあれ。
 輝く約束、眩い歓喜。二人の幸いそのものを指先に籠めれば溢るる旋律も光り輝いていくかのよう。旋律に導かれ鳴り響く鐘の音は聖なる光へ変じ、ユーフェミアの意志を護り悪魔の意志を灼くかのごとき眩さで降りそそいで、宮廷服に白き外套を翻す女神の変容で底上げされたソレイユの力のまま苛烈に悪魔を穿っていく。
 胸に燈るのは悪魔との対話に臨んだ仲間達の想いと、それに応えたユーフェミアの意志。
 決戦の幕が上がることは確定していてもなお笑みを溢さずにはいられなかったあのときの暖かな輝きが今も胸に燈るから、
 ――その願いを叶えるため、
 ――私は喜んで福音を奏でましょう。
 悪魔が揮う斬撃も仮面も砲撃も今もってなお苛烈、然れど徐々にその声音と仮面の表情に焦燥が滲み始める。
『この……! なかなかにうざってぇな、ディアボロスども!!』
「それなら私だって、みんなのためにうざったくあなたを邪魔してみせる!!」
 一切怯むことなきディアボロス達の猛攻勢が確実に悪魔を追い詰め始めて、それに勇気づけられたユーフェミアの抵抗力も強まっているのは明らかだった。禍々しい悪魔の剣が視界に映るたび、アンゼリカの胸の裡には、
 ――お願い殺して! 私ごとこの悪魔を殺して、陽菜!!
 嘗て仮面の悪魔と対峙した時の血を吐くようなユーフェミアの叫びが谺するけれど、いま眼の前にいる彼女は、輝く約束と眩い歓喜を取り戻したユーフェミアは、私ごと悪魔を殺してなんて決して言いはしない。
 彼女を犠牲にしても勝利すべきなのがディアボロスだというなら、アンゼリカは躊躇い無くディアボロスとしての己を投げ捨てただろう。だが最早そんな可能性すら考える必要はない。
「信じてるから思いきりやって、陽菜! ううん、アンゼリカ!! アンゼリカと一緒に来てくれた、みんなも!!」
「うん! 絶対助けるってミアが信じてくれるから、絶対助けるって皆が一緒に翔けてくれるから、迷ったりしない!!」
「わたし達みんなであなたとアンゼリカさんの力になるからね! 絶対にその悪魔の呪縛を断ち切るよ、ミアさんっ!!」
 私達なら、君に寄生した悪魔だけを倒すことだってできるんだ。
 己のその言葉を揺るぎなく信じてくれる親友の言葉が、アンゼリカの胸の裡にひときわ輝く約束を、眩い歓喜を、眩く光り輝く勇気を咲き誇らせてくれるから、ありったけの勇気を凝らせて真夏の太陽よりも強い輝きを溢れさせた巨大光剣を全力で叩き込む。
 まっすぐな信頼がアンゼリカさんに良く似てるねと此方もまっすぐな笑み咲かせ、シルも全力の精霊魔法を一気に花開いた六芒星の輝きへ注ぎ込む。自分達が惨劇を完璧に阻止したことでユーフェミアの心の痛みを糧とできなくなった悪魔の砲撃が精霊収束砲の敵などであるものか。
 戦場全体を震わす勢いで打ち下ろされる光の斬撃、まっすぐ翔ける光の砲撃、
 相棒同士の連携攻撃が双方ともに悪魔の反撃を捻じ伏せるが、殺しきれなかった攻撃が二人を狙う。
 然れど、
『やってくれるじゃねぇか! お前達にも俺様が寄生してやるよ!!』
「そんなこと、させない……!!」
 爆ぜる勢いで噴出せんとした数多の仮面の勢いがユーフェミアの抵抗で鈍った刹那に飛び込む蒼き風と白き花、
「問題ない、俺は悲劇を齎す仮面を砕く専門家だ――なんてな!!」
「何ともないよ、ミアさんのおかげ。皆で一緒に悪魔に打ち勝とう」
「良かった……! うん、うん、絶対一緒に、勝利を……!!」
 瞬時の飛翔でシルの盾となった暁翔が不敵にそう笑むのは力を借り受ける相手の記憶も宿すがゆえか。己を侵蝕する仮面を言葉どおり引き剥がして握り潰すと同時に眩く愛刀に咲き誇らせた稲妻の斬撃で彼が悪魔へと反撃を見舞えば、アンゼリカを護りきったショウもユーフェミアへ微笑みかける。
 強がるのは得意なれど、耐えがたい激痛や悪寒に呪詛で侵蝕してくるという仮面の威力も、ユーフェミアの抵抗と仲間達が燈してくれた加護の恩恵で強がるまでもないほどのもの。それに、最初の惨劇を覆されている彼女はともかく、
 ――アンゼリカさんの苦しみに比べたら、これくらい……!!
 親友にとっては『まだ起きていない』悲劇の記憶を鮮やかに胸に甦らせたのだろう黄金誓姫を想い、白百合の天使は自身が受けた痛手など些細なものと証すように微笑みを深め、福音の鐘を鳴らして悪魔を灼くための焔の嚆矢を降らしめて。
「ミアさんの抵抗も間違いなく僕達の力になっています、諦めない姿に僕達も励まされていますから……!」
「ええ、一緒に戦いぬきましょ! 逢ったばかりのアタシでも判るわ、ミアは強い意志を胸に抱く本物の聖女様だって!!」
「私、みんなの力になれてる? 嬉しい……!!」
 敢えて敵の許へ飛び込んだヤコウが悪魔の剣と己が銀針で打ち合うのは至近でユーフェミアに想いを伝えるため、ひときわ激しい剣戟の音が響いた刹那に薄青と紫に煌く針雨を降り注がせれば、アイドルにも向いてるわ! と太鼓判を捺した自称超新星アイドル・ソラが針雨とともに高空からの全力急降下で迫るとともに五元光芒の砲撃魔法を悪魔へ撃ち込んだ。
 鋭く無数に悪魔を穿つ針の雨、火と水と風と地の力に黒色と赤雷の輝きを渦巻かせて悪魔に爆ぜる砲撃、
「これで一息つけると思ってもらっては困るな。この悪魔が付け入る隙など最早何処にも無いと痛感してもらおうか」
「心に付け入る隙もなければ、この戦いの中でこちらの虚を衝く隙も無いと思い知ってもらいましょう」
 敵の眼を攪乱できればと不規則な機動で飛翔させていた暁光の隼、銀の曲刀をシャムスが一閃すれば即座に隼がまっすぐに翔けるのは砲撃の輝きの余韻が晴れる寸前の敵の眼前。余韻が晴れた瞬間に悪魔の眼すら眩む程の輝きで友の隼が突き抜けた刹那、指先で鍵盤に籠めた力から輝きと旋律を溢れさせる心地でソレイユが幻想の輪舞曲を奏であげたなら、打ち鳴らされる鐘の音が招く聖なる光が悪しき者へと降り注ぐ。
「いい雰囲気ね! このまま畳みかけていけるかしら!?」
「うん、ここから逆転なんてさせやしないわ! アンゼリカちゃんとミアちゃんのためにも、わたし達が絶対に!!」
 吐き気を催す邪悪としか思えぬ仮面の悪魔、耳障りなその声や言葉を耳にする頻度も大分減ったと思えばメルキディアにも咲く強気な笑み、眼鏡と照準器越しに敵を捉えれば一切迷わず銃閃機シェキルザッパーから撃ち放つエネルギー弾。揺るがぬ意志で彼女の言葉に頷いて、叶う限り機と狙いを研ぎ澄ませた黒矢でネリリも悪魔を射ち抜き、完全勝利を掴むための一手を着実に重ねていく。
 天空を翔ける風は今や完全にディアボロス達への追い風となった。、
 迷わず風と翔けたエレナが悪魔へめぐらせる光の結界、騎士が天を突くかのごとく掲げた精霊剣が結界の裡へ苛烈なまでに眩い浄化を孕む数多の光条を降らしめて、
「悪魔に浄化の力は効くでしょうし、逆にミアさんへの影響は少ないはず……!!」
 光条の合間を突き抜けて迸ってきた反撃を瞬時に展開した魔力障壁と左手のバックラーで彼女が減じた瞬間、
「この悪魔に効果的かは判らないけど、そういうこともあるかもしれないわね! 私は悪魔の半身を狙ってみるわ!」
「私も悪魔と一体化した部分を狙い撃ちしてみますね、特別な効果はなくともアンゼリカさんから気を逸らせるかも!!」
 爆ぜた魔力砲撃の輝きに重ねるよう一気に溢れさせたふわもこウサギ達に紛れて敵の背後へと躍り込んだアリスが閃かせた妖精剣が斬り裂いたのは悪魔の翼。お願いユリウスと声音が響くとともに敵を足止めせんとダンジョンペンギンが悪魔の許へ跳ねたなら、その瞬間に掌中に咲いた眩くも鋭い暁光をフィーナは迷わず仮面の悪魔へ射ち込んだ。
 天空を貫く暁光の聖槍が命中強化の加護も重ね、禍々しい仮面を反撃ごと貫いたなら、
『いい腕と、いい根性してるじゃねぇか!!』
 派手な亀裂を仮面に奔らせながらも紅眼をぎらつかせ、仮面の悪魔はフィーナめがけて一気に翔けた。近接戦を挑む仲間を援護せんと距離を取って光槍を射ち込んでいた彼女だが、時空を歪めて一瞬で彼我の距離を殺した悪魔が剣の攻勢へと打って出る。だが、
「ダメ……!!」
 不意にユーフェミアの声が響けば一瞬強張る右の腕。その刹那に己から彼我の距離を殺したノスリがフィーナの盾となり、反撃強化の加護も掴んで翳した刃で悪魔の斬撃の威力を半減させて、最早少女の犠牲的精神を盾に取ることさえ叶わぬ悪魔に構わず彼は、左のユーフェミアの瞳と合わせた蜜色の眼差しを和らげた。
「ありがとう、ミア。必ず未来を掴もう、一緒に」
「うん、うん、ありがとう! 私もみんなと一緒に、未来を掴みにいく……!!」
 少女を励ます笑みを暖かに深めれば、貌とは対照的にいっそう冴ゆる猛禽の嘴爪が苛烈な反撃で悪魔の力を喰い破る。
 ――少女達のために翔けると告げた、先の言葉を違えはしない。
 ――俺も全力で、約束を果たすよ。

●成就
 輝く約束を、眩い歓喜を、二人で一緒に取り戻した少女達。
 然れど、彼女達に希望の未来を拓くまで、この時空を翔けるディアボロス達は決して攻め手を緩めたりなどしない。天空の戦場で一気呵成に仮面の悪魔へ襲いかかる猛攻勢、然れど敵が禍々しい紅眼で追い求めるのは唯ひとり、
『陽菜を、陽菜を倒してユーフェミアの、我が聖女サマの魂を砕け散らせれば、まだ俺様は……!!』
「あなたはまだそんなことを……!!」
 黄金の軌跡を描いて翔ける戦乙女、アンゼリカを紅眼に捉えれば全力を振り絞って悪魔が迸らせるのは今もなお強大な魔力砲撃。だが天空も黄金誓姫も貫かんとするその軌跡を遮るよう、神々しい曙光が射し込めた。
 そう見えたのは恐らく一瞬にも満たぬ僅かな間のこと、
「更なる力を得て、俺達を全員倒せるとでも? 無駄だよ、そんな目論見など確実に阻んでみせるから」
『……っ!!』
 曙光の輝きを燈す白金の髪を躍らせ己が身をもってアンゼリカの射線を塞いだ陸は、真っ向から魔力砲撃を突き破る勢いで翔けた。個々の戦闘能力では及ばずとも悪魔がこの術に活かす技能すべてで己が勝るのなら、砲撃の威力を半減させて痛烈な反撃を浴びせることとて難しくはない。
 アンゼリカも、仲間達も、
 今こうしてともに戦っているミア、君も。
「皆が笑える最良の未来のために、力を尽くすよ」
「私も、みんなと笑い合いたい。後少し、のはずなの……!!」
 柔らかな微笑で陸がユーフェミアと語らったのも僅か一瞬のこと、遠近自在な曙光の槍を電光石火の勢いで繰り出せば、右腹を強かに穿たれた悪魔が己の身体から光槍を引き抜くよう跳び退るが、迷わずヤコウが距離を殺す。
 後少しとはいえど、この悪魔が相手ではその『後少し』の間も並のアヴァタール級などと比べれば決して短い時間ではないはずだ。なれど怯まず翔けて強敵に肉薄し、鮮烈な殺気を煌かせた銀針の刺突を囮に一気に撃ち込む天空からの針の驟雨、
「御二人の約束を叶えるために、何処までも悪魔を追って彼が齎した綻びを繕ってみせましょう」
「後少しというなのなら、より強く確かにアンゼリカを後押しできるよう、私も何処までも福音を奏でるまでです」
 ――そのためなら一切の怯みも迷いも無く空を翔けられる、
 ――まっすぐな勇気と絆をくれた花冠が僕の誇り。
 彼のそんな言の葉が聴こえた気がして蒼穹と黄昏の眼差しを緩め、ソレイユも光を、恵みを、幸いを、絶え間なく降らせる福音さながらの鐘の音を招く旋律を天空の戦場に響き渡らせた。少女達には清らな幸いを、悪魔には聖なる光の痛打を。
 生きて歩んで、駆けて翔け続けていく限り、恐らくひとは変わり続けるのだろう。
 シルが恋人と手を取り合ったように、アンゼリカがユーフェミアと手を取り合うように。
 変わっていく。変わって、成長して、お互いの成長を確かめ合うように、相棒同士として新たな戦場をともに翔けて、
「それが素敵な未来だって、わたしは識ってるから! みんなでそこに届かせるよ、一秒だって早く!!」
 天使の白翼も堕天使の黒翼も、魔力の翼も咲き誇らせて、全身全霊を、とめどなく溢れだす心すべてを、世界の色彩すべて重ねた眩い白に輝く六芒星精霊収束砲を迸らせる。
 絶大なその砲撃のさなかにも【パラドクス通信】越しに間違いなく皆の耳に届いたシルの声。そう、必ず辿りつけるのよと揺るぎない声音でレオアリアは真っ向から彼女の言の葉を肯定して、
 ――わたくしは、アンゼリカが祈るならそこに必ず届くと識っている。
「『信じている』のではなく『識っている』のよ! それこそが絶対の『真実』!!」
「ええ、最早未来は確定ですよね。後は仕上げにかかるだけ……!!」
 己が奪われしものの奪還を苛烈なまでに希求する赤き姫騎士もまた、一秒でも早く絶対の『真実』に届かせんと惜しみなく己の権能を揮う。魔導銃から迸った数多の魔弾の乱舞と強烈に荒ぶ電磁気で悪魔を呑み込んだなら、電磁波越しにも確と敵を見定めたフィーナが一瞬で暁光を顕現させた。狙い澄ませば耳許で涼やかに鳴る天狼星の蒼、
 ――大切に想い合う御二人に、
 ――『約束』された、未来を。
 輝ける聖槍、暁光の鋩が悪魔を撃ち抜いた刹那、蜜色の眼差しが視界の端に捉えたのは遥か高みへ翔けあがる恐竜と騎馬。
「そう来るなら、こっちでも舞台を調えようじゃないの」
「ええ。確実な仕上げといきましょうか」
「いいわね、乗ったわ!」
 三人の眼差しが交錯したのも【パラドクス通信】越しに言の葉を交わしたのも一瞬のこと、須臾の間も置かず一気に全速で翔けたノスリの軌跡は真っ向から悪魔に迫るもの。だが眼前に迫ると見せて不意に敵の視界から掻き消えるのも彼の十八番、体躯のみならず魄翼も大きな猛禽が消えた瞬間、夜闇を鋭く射抜く輝きで翔けた暁光の隼がシャムスの狙いそのままに悪魔の仮面を貫いた。
 敵の剣を蹴りつけた跳躍で悪魔の背後を獲った大きな猛禽が悪魔の翼を喰い破ったのが暁光の隼を突き抜けた直後のこと、続け様に悪魔の足元から瞬く間に膨れ上がったのは数多のふわもこウサギの群れ、悪魔を埋もれさせんばかりのふわもこの裡から奔った煌きは、甘き双眸を煌かせたアリスの妖精剣。
 細く鋭い刃が悪魔の剣を携えた右腕を一気に貫いた、そのとき。
 天空に咆哮が轟いた。
「ミアちゃんの根性をナメて憑りついた時点で、きみは詰んでたんだよぉ!!」
「本当にね! そろそろ覚悟完了してもらうよ、仮面の悪魔シリク・コア!!」
 遥かな高空で眼下の獲物を嘲る燐寧は獰猛なる恐竜の姿のまま、咆哮とともにその喉奥で凶暴に輝いて、凄絶な威力で燃え猛る火球そのもののブレス砲撃を叩き込む。間髪を容れず垂直急降下突撃を仕掛けるのは勿論無双馬クロフサとともに女神の神炎を纏った理央、
 天災そのものとしか思えぬ凄まじい猛撃が二連打で仮面の悪魔シリク・コアを直撃する。
 先の三連撃と今の二連打、悪魔の反撃のみならず次撃をも捻じ伏せたのはいずれであったのだろう。
「アンゼリカちゃん、見せてやりなよぉ! アンゼリカちゃんがアンゼリカちゃん自身として更に羽ばたく姿をさ!!」
「ええ! 私達が、貴女が飛翔する(とぶ)為の西風(かぜ)になるッ! 全部掴み取ってぶっ飛ばせッ!!」
 火球が爆裂する轟きの中でも【パラドクス通信】越しに確かに響き渡る燐寧の声、勢いのまま笑みを深めて声音を迸らせたメルキディアが悪魔へ撃ち放つクロッシング・ドミナスフィア(クロッシング・ドミナスフィア)もこの時ばかりは華々しい祝砲めいて、
「最後はアンゼリカ、華麗に決めちゃって!」
 明るい声音を負けじと響き渡らせるソラが、
「さあ、行ってください」
「アンゼリカ殿。今こそ、取り戻す時だ」
「迷いなく行ってください、アンゼリカさん! 今こそ悪夢に終止符を!」
「復元せよ、汝の歴史! その復元をもって……愛する者を取り戻せ!!」
 憧憬も祝福も燈した眼差しでソレイユが、穏やかな光に凪いだ眼差しでシャムスが、まっすぐに黄金誓姫の背を押す声音でエレナが、天にも地にも高らかに宣言する声音でレオアリアが、
「なりたかった姿じゃ、ないとしても、貴女は英雄だ」
 ふわりと優しく祝福を添える声音でショウが、
「光の刃で悪魔の呪縛を断ち切れ、アンゼリカさんっ!」
「さぁ、御二人とも、最後の仕上げ、行ってらっしゃい」
 希望の未来をまっすぐ指し示す光のごときシルが、妹達を微笑ましく見守る姉のごとき声音と眼差しでフィーナが、
 自分達の幸福を願って送り出してくれるから、迷わず翔けたアンゼリカは、この時空で最も強いとさえ思えるほどの輝きを巨大な光剣に凝らせた。
 今このとき自陣最高火力を誇る光剣収束斬(ジャッジメントセイバー)、なれど絶大なこの光の斬撃は、仮面の悪魔のみを滅ぼし決してユーフェミアを傷つけはしないと信じぬく。
「ミア! 大丈夫、私は皆と一緒のアンゼリカだから! 君を助けることを何よりも強く望んでるから、必ず!!」
 ――悪魔だけを倒して、君を救い出すよ。
 天空を断ち割るように、
 あるいは、天頂に輝く太陽を連れて来るように、
 大きな光を咲かせる剣が、輝く約束と眩い歓喜、そして希望の未来のために揮われる。
 祈るように両手の指を組み合わせ、
 ――貴女が、記憶の向こうに零してしまった忘れ物は
 ――もう……すぐそこだよ。
 瞬きもせずにネリリは、その瞬間を見つめた。
「……確り、取り戻してきてね」

 眩い輝きが、二人を中心に天空の戦場へ咲き誇った。

 断末魔の叫びを残すことさえ叶わず、悪魔の姿が、力が、魂が光に呑まれて消え果てていく。
 天空に残ったのは普通の少女としての姿を、傷ひとつなくり戻したユーフェミア。悪魔のすべてが何もかも消え果てた今、本当ならば彼女はそのまま地上に落下しているはずだった。けれど、
「あれ……? 私、どうして飛べてるの……!?」
「ミア……! もしかして、それ……っ!!」
 己の状態に気づいたらしいユーフェミアが驚いたように瞬きすれば、今にも溢れそうな涙を必死で堪えながらアンゼリカも天の光映す双眸を瞠った。もしかして自分達の【飛翔】を無意識に使っているのかもと思えば、胸裡に希望が萌した。だってパラドクストレインに乗りこめるのは、ディアボロスかディアボロスに覚醒できる素質がある者のみだ。
 溢れだしそうな歓喜の涙も皆への感謝の言葉も、もう少しだけ後回しにさせてもらって、今すぐに口にしなければならない言葉をはっきりと口にした。ユーフェミアを傷つける悪魔は完全に葬り去ったから、彼女はこのまま幸せになれるのかもしれないけれど、
「私は強欲だから、更にもうひとつ願わせてもらうよ! どうか私に、ミアと同じ時間を!!」
 ――ミア、私と一緒に時空を超えていこう、最終人類史の新宿島へ!!
「あっは、良いねそれ! 最高の強欲!!」
「うんうん、強欲どんと行っちゃえ! 願いなんてきっと、みんながいれば全部叶っちゃうんだから!!」
 それこそ弾けるような笑みがノスリとシルに咲く。詳しい事情を語るまでもなく、涙を溢れさせたユーフェミアが思いきりアンゼリカに抱きついた。
「陽菜、陽菜! アンゼリカ……っ!!」
「うん、うん、私は、ここにいるよ!!」
 また明日、おはようって言いたいと涙声で紡ぐ彼女をアンゼリカが抱きしめる光景を花の色の双眸に映せば、ショウの胸も眩い歓喜で満ち溢れた。その芯でいっとう強くきらめく、希ってやまない、ひかり。
 熱く優しく、視界が滲んでいく。
 ああ、わたしも。
 いつの日にか、この腕に――。

 ――私達、ずっと一緒だよね?
 ――ずっと、いつまでも一緒だよ!!

 輝く約束、眩い歓喜。
 光を取り戻した二人が新宿島で希望の未来を紡いでいくことになるのかどうかは、ここから先の、また別の物語。
 希望の未来が花開いたならきっと、皆の祝福が二人を迎えてくれるはず。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【活性治癒】LV4が発生!
【クリーニング】LV3が発生!
【飛翔】がLV20になった!
【通信障害】LV1が発生!
【未来予測】がLV4になった!
【防衛ライン】LV1が発生!
【エイティーン】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!
【リザレクション】がLV3(最大)になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【アヴォイド】がLV6になった!
【ダブル】がLV2になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ガードアップ】がLV5になった!

最終結果:成功

完成日2023年01月05日
宿敵 『仮面の悪魔シリク・コア』を撃破!