機械化ドイツ軍のポーランド侵攻

 機械化ドイツ帝国の軍隊が、敗戦国の国民や軍隊が集められているポーランド地域に、実戦演習として攻め込もうとしています。
 実戦演習に参加するのは少数のゾルダートと、多数の一般人のサイボーグの兵士達です。
 演習と言っても、多くの市民が死傷する非道な行為ですので、この部隊に攻撃を仕掛け、指揮官のゾルダートを撃破して、街から撃退してください。
 サイボーグの兵士は数が多いですが、ディアボロスで無くても対処可能なので、街の義勇兵などに、住人の避難や、防衛の一部を担ってもらう事で事で被害を抑えることが可能でしょう。

ディレイド・デトネイター(作者
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●凶行
 白昼。さんさんと照る太陽の下でもそれと分かるほどあからさまに、街が燃えていた。

 砲弾が飛び交い、建物は崩落し、人々が逃げ惑う。
 固く閉ざしていたはずの門扉は、まるで薄絹のように突き破られた。シュプールフート・クリーガーが放った五五ミリメートル徹甲弾のただ一発で、町民の平穏は一瞬にして崩壊したのである。
 空いた穴から無数の機械兵――ドイツ帝国軍のゾルダート達が侵入してくる。この街も、ついに彼らの狩りの対象となったのだ。
 赤子の泣く声も、母とはぐれて泣く子供の声も、瓦礫の下敷きになった親の手を握る少女の啜り泣きも、鉄靴の足音に呑まれていく。
 自警団がゾルダート達に向けて発砲するが、無駄だ。彼らの攻撃はパラドクスではないのだから。即座にインファントリー・ゾルダートのカノン砲が自警団に応射し、彼らが隠れていた建物ごと、自警団を粉砕してしまう。
 常世の存在では、この暴虐に対抗し得ない。だから、その街が踏み潰されてしまうのは、当たり前のことだ。ここには誰もいなかった。彼らを打破しうる正義の担い手は、この時空には存在しない。
『脆い、脆い、脆い人間共。ああ、何と哀れで弱々しいこと! でももう恐れることはないのよ、機械の躰を授けてあげるわ。一人残らず連れて行きなさい、反抗的なものは殺して見せしめになさい。全ては我らが国、偉大なるドイツ帝国のために!』
 空で指揮官級のゾルダートが哄笑を上げ、その惨状を見下ろしている。

 ――助けて。
 誰か助けて。
 誰、か……。

 ああ、悲痛な叫びが、目に痛いほどに降り注ぐ、太陽の日差しに溶けていく。

●怒りを胸に
「赦せるか? 赦せねぇよな」
 おれはそうだ、と、連々・葛(人間のガジェッティア・g03376)は集ったディアボロス達を見回した。
「おれが見た予知はさっきみたいなもんだ。このまんま放っときゃ、少なくない死人が出るだろう。だが、今ならまだ誰も血を流さない内に処理できる。ちょっとばかり強行軍にはなるだろうが、おれの話を聴いてくれ」
 葛は右手に携えた情報端末のキーボードを片手で打ち、壁面に情報を投影した。
「とにかく敵の数が多いが、そこそこ早いタイミングで予知が効いたのが幸いした。今なら、連中が街に近づく前に、遅滞戦術で進撃を遅らせ、横っ腹を電撃作戦で食い破ってやれるはずだ。……進行を止めるのと、敵の撃滅、同時にやらなきゃならねぇのが辛ぇところかも知れねぇが、力に慣れてきたあんたらならきっとうまく出来るはずだよ」
 葛は指を立て、作戦の概要を説明する。

「まず、おれはあんたらを敵の進路上にある林の中に転送する。街から三キロぐらい東にあるベルト状の林で、街に行くにはここを突っ切るのが最短経路だ。おあつらえ向きに街道が通ってる」
 地図が投影された。映し出された映像には町の東、南北にベルト状に延びた林と、その中を突っ切るように整えられた幅数メートルの街道がある。
「街道っつっても、人が突っ切ってる内に通れるようになったくらいの粗末な道だ。視界も悪い。奇襲に最適ってわけさ。今回あんたらに頼みたいことは二つ。遅滞戦術と、混乱した敵の撃滅だ。遅滞戦術は、トラップや何らかの物理的な障害を設けることで敵の侵攻を遅らせること、あるいは敵の混乱を招くこと。あとは、主力の攻撃部隊で混乱した敵戦力に全力でぶちかましをかけてやりゃあいい」
 敵は三種。
 キャノン砲を背に負った戦車型ゾルダート、シュプールフート・クリーガー。
 最も数が多い、歩兵型ゾルダートであるインファントリー・ゾルダート。
 そして最後に、統率役であるアヴァタール級、トルナード・ヘクセ。
「トルナード・ヘクセは空中戦を得意としてる。が、今回の個体はあんたらが売ったケンカを放置して町の方に飛んでくようなタイプじゃないな。予知の中でも、自分の手は汚さずに腕組みして街を見下ろしてたようなヤツだ。売られたケンカは必ず買うタイプのヤツだと、おれは見たね」
 それ故に、ボス相手のヘイトコントロールはそれほど必要なさそうだ、と説明を結び、葛はディアボロス達に向き直る。

「これからあんたらを現地に送る。……なんだろうな、おれァあんたらを送ることしか出来ない。それが歯がゆくもあるが、けど、その分、その責務についてだけは真摯にこなしたいと思ってる。この事件を赦せないって思ってくれるディアボロスは、手を上げてくれ」
 深く頭を下げ、葛は、復位すると同時にゴーグルを額から落として掛けた。

●花に水を
 林の西で、街は、慎ましやかな祭りを執り行っていた。
 ひっそりと、けれど僅かな笑いも漏れ聞こえる。
 こんな時でなければ食べられないような、色の薄いパンが皆に振る舞われている。
 陰惨な戦争の影で風に揺れる、可憐な一輪の花のような、人の営みのワンシーン。

 町の東に、それを踏み躙るために鉄の軍団が迫る。
 パラドクストレインを飛び降りたディアボロス達の胸に去来するのはなにか。
 憤りか、怒りか、悲しみか、義務感か、あるいは奴らを斃すという破壊欲求か。
 その何れでも構わない。それが、きみたちの最も強い力となるのなら。

 復讐者達よ、鋼の悪鬼を粉砕せよ!
 作戦開始だ!


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
6
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【神速反応】
2
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【罪縛りの鎖】
1
周囲に生き物のように動く「鎖つきの枷」が多数出現する。枷はディアボロスが命じれば指定した通常の生物を捕らえ、「効果LV×2時間」の間、移動と行動を封じる。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【セルフクラフト】
1
周囲が、ディアボロスが、一辺が1mの「コンクリートの立方体」を最大「効果LV×1個」まで組み合わせた壁を出現させられる世界に変わる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
4
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
2
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
2
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【落下耐性】
1
周囲のディアボロスと、「効果LV×300m半径内」の通常の生物に、どんな高所から落下しても、落下時の衝撃を2mの高さから落下した程度に軽減する能力を与える。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)及びアルタン・ウルク個体間の遠距離情報伝達が不可能な世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV6 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV7 / 【ガードアップ】LV3 / 【フィニッシュ】LV2 / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV3 / 【ダブル】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより


 昇(のぼる)です。
 お世話になります。

 機械化ドイツ帝国におけるポーランド西部戦線で発生した、占領下の町への蹂躙攻撃を阻止して下さい。
 今回は街に辿り着く前に敵を撃滅する電撃戦といった内容になります。全編、戦闘パートに近い形での進行です。

 何卒、よろしくお願い致します。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


【Notice.】
 時先案内人の案内に曰く、敵の軍勢に対する遅滞戦術と攻撃を平行して行う必要がある。
 インファントリー・ゾルダートは数が多く、その数一〇〇あまり。シュプールフート・クリーガーも数十機を回る数がいる。あれだけの数がいれば、この距離から盲撃ちに砲撃したとしても街に損害を与えることが出来るだろう。
 それゆえに、指揮官であるトルナード・ヘクセがきみ達の目的――街の防衛に感づいてしまえば、遅滞戦術はうまく立ちゆかなくなるかも知れない。主力であるインファントリー・ゾルダートとシュプールフート・クリーガーを削りつつ、いかに遅滞戦術を展開するかが鍵となることだろう。
 
 
クリスタ・コルトハード
悪路と、視界の悪い林
音を隠すにも姿を隠すにも最適ですね

俺はまず遅滞戦術を仕掛けて敵の足止めをしましょう
やるべきことはシンプルですね、通路に地雷を仕掛けます!
現地にある物を分解、再構築して感圧式の対戦車地雷を作成します
これを不規則間隔で配置していきましょう
そう、これこそお客様をもてなすご奉仕トラップです!
普段使っていらっしゃる皆様、申し訳ありません、通路は後で治します

俺も通路には近寄らないようにしておきましょう
俺の重さでは、地雷が反応してしまうかもしれませんから


飛鳥・遊里
【マイクロカメラドローン】で先んじて偵察をかける
大まかな敵の数と進行ルートをざっと割り出して、予測したルート上に障害を設置

道中の必ず通る道の地面を、水でぐずぐずにして、ぬかるみにしておくだけだ。連中かなりの重量あるだろうから、かなり足を取られると思うからな

俺は離れた場所からドローンの映像を監視して、連中がぬかるみにはまって難儀してるのを確認したら、ど真ん中に【信号拳銃】で煙幕弾を撃ち込む

煙幕が広がったら、ぬかるみにはまってる連中に【雷電掌】をプレゼントだ。さぞかしよく電気を通すだろう

街道にこういう立て看板立てといてやろう
『この先、危険地帯につき通行禁止』

警告は素直に受け取っておくもんだよ?


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
トラップなら任せておけ、林の中ならワイヤートラップがよさそうだ
近道だからってこんな場所を通ったのが命取りだったな

【行動】使用技能:時間稼ぎ、罠使い、地形の利用、暗殺、機械知識、早業、斬撃、電撃使い、演技
まずはあちこちにワイヤートラップを仕掛けておく
それから少し離れた所で待機し、敵がトラップにかかるのを待つ
掛かれば機械知識を応用して暗殺、必要なら電撃を使う
罠が減れば追加して仕掛けて、敵を暗殺するを繰り返す

トラップの位置は味方には分かるようになっている


テレジット・ネイビス
★他ディアボロスとの共闘歓迎

おおっと…これはこれは、少し引いちゃうレベルの大群だね

わかっているとも、烏合の衆とはいえ数は力だ
それなら詭道を以て制するのみだよ

さて、林を利用しない手はないね
【光学迷彩】を利用しつつ、木々を身を潜めて、先頭を歩くトループス級の頭をパラドクス「穿孔のベテルギウス」で狙撃しよう
先頭を歩く兵士が撃たれたのなら、進軍も遅れざるを得ないよね
反撃に備えてこまめに移動し、また狙撃、とにかくその繰り返しだよ
あくまで狙いは攪乱による進軍の遅滞、撃破にはあまりこだわらず、数をこなすことに集中するかな

悪いね、君たちを先に進ませるわけにはいかないんだ
ああ、一兵たりとも、ね


奴崎・娑婆蔵
差し詰め、派手に喧嘩神輿をブチかましてやる前の下準備でござんすね
せいぜい努めると致しやしょう

――畜生道に迷いなせえ、兵隊さん方
カタギの歴々の血肉で地獄を作ろうってんなら、まずはあっしの地獄を通って頂きやすぜ


・風火輪『火車』をかっ飛ばして最短経路を突っ切る
・建造物の影等、遮蔽を伝い移動し潜む(地形の利用+忍び足)

・己の『影業』より、鳥/獣/虫――地獄の畜生共の形象を生成し散発的に差し向ける

・並行して敵群の動向を観察
・進軍に際し強い権限/発言力を持つと思しい個体を見定め『影業』を密やかに地這いに伸ばし【追跡】し【影喰らい】で呑む(暗殺)

・狙った対象を錯乱状況に叩き込み、行軍ペースを阻害する狙い


レター・ポストマン
俺は遅滞戦闘においてもナンバーワン!
林という地形上の有利が取れているならば、俺はあえて飛翔して陽動に参加する!!

狙いは敵の注意の分散と、地上と空でのクロスファイアだ。
敵の注意がこちらに向かえば攻撃よりも防御に備え、地上に向かえば双翼魔弾を叩き込んで注意を惹き寄せる!

お前たちは確かに統率ナンバーワンだろう!
だが俺は妨害ナンバーワン!その陣形すら崩してくれる!


とはいえ俺も限界はあるからな!
林から攻撃する連中が多い場所は事前に把握して、危うくなったらそちらへ逃げよう。囮なって敵をキルゾーンに誘い込めるかもしれん!

さあ、この首を獲りたければ、その銃で挑んでくるがいい!
対価はナンバーワン高価だがな!


●前哨戦
「悪路と視界の悪い林。音を隠すにも姿を隠すにも最適ですね」
 クリスタ・コルトハード(森羅番長・g00039)が街道近くの茂みからこっそりと顔を出して道の様子を伺う。その横で、地形を確認しながら、荒田・誠司(雑草・g00115)が頷いた。
「ああ、おあつらえ向きだ。今のうちにトラップを仕掛けておくとしよう。林の中ならワイヤートラップがいいだろうな。俺は、道から外れた連中を引っ掛ける罠を張る」
「では俺は、シンプルに地雷でも埋めましょうか」
「地雷なんて持ってきたのかよ」
「メイドに不可能はありません。ありもので作って御覧に入れましょう!」
 地雷ってありもので作れるのか? ……いや、疑問を差し挟むだけ時間が惜しい。クリスタの自信満々な様子を横目にしながら、飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)がエンジニア用ノートPCのディスプレイを覗き込み、一カメ、二カメ、三カメと分かれたマイクロカメラドローンの映像を検分する。
「それじゃ、なるべく急いでくれ。奴らはこの道を通るので間違いない。移動速度から計算して、予想通過時刻は今から大体十五分後だ。俺は地雷の手前にぬかるみを作っておく。連中、全身金属ってことはそこそこ重そうだからな。足を取られれば、それなりに焦るだろ」
 三人は頷き合う。まずは遊里のぬかるみで足を取り、そこに他のディアボロス達が軽く攪乱をいれ、焦った敵がぬかるみから脱して前に進もうとすれば地雷。脇道に逸れ林の中を往こうとすればワイヤー。そのまま留まるなら、他のディアボロス達の攻撃が続く、という手筈だ。
 遅滞戦術を仕掛ける六人のうち、三人は頷き合うと、それぞれの行動を開始した。
 遊里が水をぶちまけ、地面を泥濘に変えるその後方で、クリスタが『偶然』見かけた廃戦車から拝借した砲弾を分解、炸薬と戦車のリベット、装甲片を用いて即興で感圧式の対戦車地雷を構築していく。パラドクス、『ご奉仕道具製造』。手付きには一切の迷いが見られない。
「そう、これこそお客様をもてなすご奉仕トラップです!」
 クリスタは完成した地雷を不規則な間隔で埋めていく。手慣れた様子だ。配置のパターンが規則的だと、何らかの重しを投げるなどの原始的な方法での解除が成される可能性があるためだろう。
「俺、こいつにもてなされたくはないな……」
「荒田様、なにか?」
「断じて何もない」
 作業するクリスタの様子を横目にしながら、誠司は素早く木と木の間を駆け抜け、蜘蛛の巣めいたワイヤートラップを張っておく。パラドクス『罠設置:蜘蛛の巣』。彼が張るのはただのワイヤートラップではなく、パラドクスを利用したトラップだ。このトラップ――蜘蛛の巣は、仲間から見てその敷設場所が知覚できるようになっているのが最大の特徴である。故に大量に仕掛けても、味方が掛かる心配がないという点で非常に優れているのだ。
「残り五分だ。急いでくれ――」
 遊里はカウントダウンしつつ、敵の視界に入る前に、街道に一つ立て看板をしておいてやる。ブラフでも何でもない、素直な忠告を記した看板だ。相手がそれを真に受けるわけもないが――そうやって無視した挙げ句にドツボに嵌まるというのが、まさに奴らにとっては因果応報、身から出た錆ではないか。
「地雷、敷設完了です! 後できちんと通路をお直ししないとですね」
「ああ、こっちも終わった。原状復帰はその通りだが、まずは離れて連中を待とうぜ」
 口々に報告しつつ、クリスタと誠司が遊里の元に戻る。クリスタが、遊里が手を置いた看板を見て首を傾げた。
「飛鳥様、それは?」
「ちょっとした忠告さ」
 遊里は笑って文面を示した。

『この先、危険地帯につき通行禁止』

 ――ああ、そうとも。
 今、このディヴィジョンの中で、奴らにとって恐らく最も危険な場所がここだ。

 ドイツ帝国軍がその場所へ到着したのは、遊里が予想した時刻から十五秒遅れてのこと。おおよそジャストのタイミングで通りがかった斥候の歩兵が、立て看板を見て首を傾げる。
『小隊長殿。真新しい看板があります』
『なんだ? こんなところに看板だと?』
『はい。この先、危険地帯につき通行禁止……とあります』
 小隊長らしきインファントリー・ゾルダートが『ハッ』と侮蔑するように笑う。
『我らドイツ帝国軍の精兵が、恐れる危険などあるものか。進め進め!!』
『了解であります!』
 ゾルダートらが看板に対して足を止めたのはほんの数秒。その間に、林の中の各所の空気が張り詰める。
 坂を登り切り、下りだしてすぐのところに作られた泥濘みに先頭の機械兵が足を踏み入れる。
『うおっ!?』
『どうした?』
『隊長殿、地面が泥濘んでいます! 歩兵より先にクリーガーを通した方がよいかと!』
『泥濘だと……?』
 指揮官が訝しむような声を上げた瞬間、遊里は茂みから音もなく信号拳銃を突き出して、一発の弾頭を発射した。スモークを曳きながら着弾し瞬く間に濛々とした煙を撒き散らす――煙幕弾である!
『何だ!?』
『隊長、これは煙幕――うわあっ!?』
 転倒音。複数。不足の攻撃に慌てたゾルダートらが、泥濘で滑って転倒したのだ。
『慌てるな!! 全員体勢を立て直せ、全方位警戒……!』
 指揮官機の声に従い、ぶれた隊列を修正し出すゾルダート達。


 それを、照門越しに見ている女がいる。
「やれやれ、あれで部隊のまだほんの先頭か。これはこれは、少し引いちゃうレベルの大群だね」
 敵部隊の先頭が軽い混乱に陥るのを確認し、彼女は樹上で、光の槍を執った。
『Ophioneus』。蛇神の名を持つ光線長銃。大火力にして高精度、連射も効くというそれを肩付けし、光学迷彩で己の姿を隠したまま狙撃準備を整えるのはテレジット・ネイビス(彼の者、愉しむがゆえに無情・g00043)である。
「烏合の衆とはいえ数は力だ。それなら詭道を以て制するのみだよ」
 テレジットは美しい唇を皮肉な笑みに歪め、トリガーを引く。
 パラドクス、『穿孔のベテルギウス』。銃声よりも速く、空気を螺旋に引き裂いて直進した光弾が、先頭にいたインファントリー・ゾルダートの頭を貫いた。
 その先頭の兵士が倒れた刹那の後に銃声が届く。超高速、不可視の位置からの狙撃。林という地の利を生かし、迷彩をかけた上で樹上に身を隠し、狙い澄ましての一発だ。
 敵に避ける手段などあるはずもない。受け弾くなど夢のまた夢。ただの銃撃であろうとも、放つのはテレジット・ネイビス。環境と状況の全てを活かして彼女が放つ銃弾は、命を穿つ死の魔弾となる。
『く、糞ッ! 全軍発砲解禁! 敵襲だッ!!』
 指揮官の大音声と同時に反撃の砲弾が飛んでくるが、砲弾は木の枝を吹っ飛ばしただけだった。テレジットの姿は既に樹上にはない。
「物騒だな……まあ、当たってやるわけにはいかないが」
 彼女は一発撃つなり筒先を下げ、樹から飛び降りて別の物陰に回っていた。射撃と同時に次の狙撃ポイントへ移動するのは基本中の基本だ。狙撃手のアドバンテージとは、『敵から視えないこと』に他ならない。
「悪いね、君たちを先に進ませるわけにはいかないんだ。ああ、一兵たりとも、ね」
 速射、速射! 移動を交えながら、煙幕の中動く敵のシルエットの足を、腕を、次々と狙撃する。派手なヘッドショットは一発目だけでいい。敵の侵攻を遅滞できれば役目はこなせるのだから。
「さぁ、号砲は鳴らした。後は数をこなすだけだ。上手くやってくれよ、諸君」
 謳うように言ったテレジットの声に応えるように、一人の男が宙を翔けた。



『何者だッ……!!』
「誰だと問われれば教えてやろう! 俺は、奇襲ナンバーワンの復讐者だッ!! さあ、この首を獲りたければその銃で挑んでくるがいい! 対価はナンバーワン高価だがな!」
 テレジットの銃弾が降り注ぎ、次々と部隊戦闘の敵を猛撃する中を、掻き回すようにシルエットが突っ込んだ。
 樹上から飛びだして突っ込むのはデーモンの翼を羽ばたかせ飛ぶ男。レター・ポストマン(ナンバーワン・g00532)である。テレジットの狙撃のフォローを受けながら敵前列にトップアタックを仕掛ける。敵の注意がテレジットによる狙撃に向いている間に、彼は悪魔の双翼を広げた。幾何学模様めいたデーモンの翼の節目節目に魔法陣が浮かび上がる。そこを“銃口”として魔弾を形成する。パラドクス『双翼魔弾』。
「喰らうがいい!! そして噛み締めろ、上に対する注意を疎かとすればこうなると!」
 名状しがたき発射音と共に、レターの魔力翼から無数の魔力弾が放たれた。地面を猛撃する魔弾の嵐。連続直撃を受けた数体のゾルダートが蜂の巣になって倒れ臥す。地面から砲撃による応射が数発来るが、レターは悠々と翼で羽撃き砲弾の間を縫った。レターが注意を引き付けている間に、林の中で一人の男がうっそりと呟く。
「――畜生道に迷いなせえ、兵隊さん方。カタギの歴々の血肉で地獄を作ろうってんなら、まずはあっしの地獄を通って頂きやすぜ」
 全身包帯に妖刀を引っ提げた任侠、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)である。彼は火車による空中高速移動により、事前に襲撃に最適な位置に付け、奇襲の準備を整えていたのだ。
 レターの魔弾の嵐に混じり、彼は自分の影を蹴りつけた。平面に過ぎないはずの影が、ざわりとざわめいて立体的に浮かび上がる。地獄の溶岩めいてぼこぼこと沸騰する影から、無数の蟲、鳥、獣が析出した。――彼の影は、『影業』。サイキックエナジーを注ぎ込み立体化した影である。それを、いくつかのグループに分け、散発的な波状攻撃を仕掛けさせる。
『な、なんだッ?! おい、獣の群が来るぞ!?』
『それだけじゃない、鳥や蟲も――うおおっ?!』
 敵が浮き足立つ。それらの獣や鳥は統べて常世の形をしていない。足が六つ、角が三つ、目が九つに羽が三つ。出鱈目に捩れて飛ぶ鳥に全身を波打たせて疾る獣、六つの複眼を持つ甲虫がぐるぐると回って飛びかかる。異形の群、百鬼夜行とはまさにこのこと。
「差し詰め、派手に喧嘩神輿をブチかましてやる前の下準備でござんす。せいぜい努めると致しやしょう」
 腰にした長物は抜かぬまま、娑婆蔵は包帯だらけの手を伸ばした。ひたりと指し向ける先には、
『小隊長殿! ご指示を!!』
『ええいっ、怯むな! それでも貴様、鉄血のドイツ帝国軍人か!!』
 腕を振って檄を飛ばす、指揮官らしき個体の姿がある。
「喧嘩の時はカシラを潰す。やれ、戦争でもその基本は変わらねえと来た」
 肩を竦めて、娑婆蔵は影業を延ばした。地を伝わせ、誰にも知られぬよう隠密に延ばす。いまや彼の影は伸縮自在。数十メートルの距離を措いて、娑婆蔵が延ばした腕ほどの太さの影は、指揮官の足元に水溜まりのように蟠り膨れ――全く唐突に、巨大な顎門を形作った。
『え』
 開いた顎門がばぐんと閉じて、一体のゾルダートを呑み込む。全く唐突に、落とし穴に落ちたかのように消失した指揮官機に、周囲の動揺と混乱が深まる。
「好機だな! お前たちの統率力は確かにナンバーワンだろう! だがしかし俺は妨害ナンバーワン! 何度立て直そうともその陣形、撃って穿って崩して見せよう!」
 娑婆蔵が前線指揮官を暗殺するのと同時に再びレターの弾幕が吹き荒れ、また数体が薙ぎ飛ばされる。即時に戦闘不能と出来なくても構わない。これは、敵の足止めのための攻撃だ。
 攻撃に回るメンバーの位置を常に把握し、彼らの射線の穴を埋める形で宙から魔弾を掃射しつつ、敵の注意を引き寄せて、分散させる。対地にも対空にも集中できない状況を作り出すのがレターの目的である。地上と空からのクロスファイアを実現し、レターは高らかに告げる。
「その程度では俺たちを突破できまい! 残念だが、俺たちが一枚上手だったということだな!」
『糞ッ、舐めたことを……!』
『クリーガー隊進め!! 林を突っ切って応戦するぞ!』
 レターの声に、下半身がキャタピラ状になった機械兵、シュプールフート・クリーガーが前に出て泥濘を突破、その前方の道を切り拓こうと前進し、
 ――爆発ッ!! 爆発ッ爆発爆発爆発ッ!!
 凄まじい爆音を立てて、上空十五メートルまでばらばらの残骸となって吹き上げられ、瞬く間に数台の戦車機人が大破する。クリスタの埋めた対戦車地雷が炸裂し、強行突破を試みたゾルダート達を完膚なきまでに破壊したのだ。
『罠……だと!?』
『糞ッ、このままではいい的だ! 散開して森の中へ――ぐげッ!?』
 脇の林に逃げ込もうとした個体の腕や首をワイヤーが引っ掛ける。誠司が敷設したトラップだ。蜘蛛の巣は、絡め取った相手を決して逃がさない。
「逃がすか!」
 瞬時に誠司が走り、ワイヤーに囚われたゾルダートを電流を走らせた腕部武装、アタッチメント・スラッシュにより首を一閃、あるいは後頭部から刺突で脳中枢を破壊して次々と暗殺していく。
 散り散りになる敵前衛。泥濘に囚われて立ち上がろうと藻掻く数体のゾルダートらの元には、いつの間にやら煙幕の中を縫って、遊里が忍び寄っている。
「警告は素直に受け取っておくもんだよ。――書いてあっただろ、通行禁止って」
『き、貴様――ッ!』
「プレゼントだ。受け取りな」
 スパークを上げるマルチツール・ガントレット『ヘパイストス』のエネルギーゲインを臨界まで上げる。大容量コンデンサに流し込み、この高電圧の電撃を一撃に乗せて叩き込む――パラドクス、『雷電掌』!
 泥濘に振り下ろされた遊里の掌から発される雷撃が、泥濘に沈んだ数体のインファントリー・ゾルダートを凄まじい電流によりショートさせ、破壊する。

 ディアボロス達の戦闘はそうして幕を上げた。敵軍の進行は完全に停止する。
 代わりに、いまや眼を光らせ、敵を認識した鋼の悪魔がきみ達を睨む!
 ディアボロスよ、恐れるな! 己の力を尽くし、ゾルダート達を殲滅せよ!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【修復加速】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
【光学迷彩】LV1が発生!
【悲劇感知】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

アイネリス・レナリィ
鉄屑がどれだけ集まろうと関係無い。一切葬ってあげるわ。

遅滞戦術の後、奇襲。外から細かく削るよりは、一気に肉薄して暴れ回った方が良さそうね。囮になるし街の防衛という意図にも少しは気付かれにくいでしょう。

【喰らいつく因果】【制圧射撃】【爆破】で派手に立ち回る、遮蔽物だろうがなんだろうがまとめて吹き飛ばしてしまいましょう。
こちらに気を向かせて他のディアボロスが動きやすくなるといいけど。


●爆ぜる黒閃
 待ち構えていた第一班が敵部隊の鼻先を叩き、その悉くを葬って敵の戦列と隊伍を乱した、その直後だ。魔女が疾る。
「鉄屑がどれだけ集まろうと関係無い。一切葬ってあげるわ」
 漆黒の髪を風に嬲らせるまま、その狭間で紫水晶の眼が光る。アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)は、第一班の攻撃で浮き足立つ敵部隊目掛け、真っ向から突っ込んだ。
 外から細かく削らず、一気に肉薄して敵陣に浸透攻撃を仕掛ける方がいいと判断した理由は二つある。
 まず第一に、囮となる事。敵の注意を引き付け、後続のディアボロス達の攻撃の補助を行うため。そして第二に、そうして派手に攻撃を行っていれば、真の目的である街の防衛にも多少は気付かれにくいだろう、ということだ。ドイツ軍の壊滅自体を目的としているように見えるようにするなら、遮二無二攻撃したほうがそれらしく見える。
「喰らいつけ、因果の黒槍!」
 アイネリスは腕を打ち振る。空中に金属音を立てて凝結するのは黒鉄の槍。パラドクス、『喰らいつく因果』。それに応じるようにシュプールフート・クリーガーらが遮蔽物構築装置により、軽量・超硬質樹脂壁を形成、防御に掛かる。壁に隠れて銃眼からの水平砲撃が、嵐のようにアイネリスを襲う!
 アイネリスは砲雨の中を敵陣と水平に駆けながら、
「遮蔽物だろうが何だろうが――まとめて吹き飛ばしてあげるわ」
 手を押すように衝き出す。
 彼女の周りに浮遊する無数の黒槍が、それに応じて黒き閃を描き真っ直ぐに飛んだ。次々と樹脂壁を貫通しその向こう側のクリーガーらに突き立つ黒槍! だがゾルダートらはその程度では止まらない、動き続ける。砲撃は止まぬ!
 ――そう。ただ突き刺しただけでは。
「――爆ぜろ!!」
 突き出した掌をアイネリスが、なにかを掴み潰すように握り締めたその刹那、突き刺さった黒槍が立て続けに爆裂した。『喰らいつく因果』は敵を貫き炸裂することで、内部から敵を破壊する黒鉄の術式。燃料タンクに爆発が及んだか、数体のクリーガーが派手に爆発し、噴煙を上げる!
「人々の営みを断たせはしないわ。――魔女の名に懸けて」
 アイネリスに油断はない。その周囲に再び黒槍が凝結した。
 鉄の魔女は、鋼の悪魔目掛け再び槍の雨を繰り出す!
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

星見・晴
◆陸(g01002)と

(『赦せるか?赦せねぇよな』って葛が言ってた通り。)
そぉだよな 赦せやしねぇよ。
だからこうして此処にいる。

――やってやろぉぜ陸。

(唸れオレの【直感】。誰が一番ピンチか、何処に行けば襲われてる人を助けられるかを閃きだけで導き出して)

――陸!あっちだ!!
(ダチに知らせて連携し、敵の撃破と人助けを同時並行して行う)即席の遮蔽物なんざあのダチの前じゃ紙ほどの役にも立たねえし

この程度なら「鎧」着るまでもねぇぞ。("戦闘知識"と"精神集中"で弾避けて、鋼鉄竹刀で"両断"する気概でどタマかち割って回ってやる。)


竜城・陸
晴(g00661)と

そうだね、到底許せる所業ではないな
人々のささやかな平穏も、幸福も
踏み躙られていいものではないだろう

――ああ、行こうか晴

【飛翔】して上空から周囲の地勢や敵の陣容を確認
攻め込みやすいポイント、崩さなければいけない箇所を洗い出す
晴のほうは危機に陥った人間の位置を探ってくれるらしい
ことこういう時の晴の直感はよく当たる
信じて彼についていくよ
救助が必要ないほど敵の歩みが遅滞しているならそれはそれで
効果的に敵の戦力を削げるようなポイントをこちらで晴に指示すればいい

……慈悲も容赦も必要ないだろう
横薙ぎ一閃、遮蔽を貫通する光の斬撃を連続で叩き込む
幾ら群れようが関係ない
全て断ち切ってみせるとも


●助けるための晴光
 ――赦せるか? 赦せねぇよな。
 時先案内人が告げた言葉を今だって覚えている。
 そうだ。到底赦せる所業ではない。人々のささやかな平穏も、幸福も、決して踏み躙られていいものではないはずだ。土足で踏み荒らしていいものではないはずだ。
 だからこうして、此処にいる。

「――やってやろぉぜ陸」
「――ああ、行こうか晴」

 だから、二人の少年は馳せ駆けた。
 誰かの危機に、我が身を呈して迷いなく駆けられる。
 そうでなくては、学園の『番長』は務まらない。


「陸! あっちだ!!」
 星見・晴(赤星番長・g00661)は怒鳴りながら走った。
 街の東にあるこの林は、街からそう離れていない。祭り時とは言え一般人がいないとは限らないと、晴は勘を働かせた。果たしてその勘働きは的中した。突っ走る晴の目に映るのは、数台のシュプールフート・クリーガー、そして、接近する機人らを前に後退る、二人の少年少女――籠に花を摘み入れた少女と、木の棒を持って彼女をかばうようにしている少年だった。
「心得た。こういうときほど君の直感はよく冴えるね」
 上空からその光景を見下ろしていた竜城・陸(蒼海番長・g01002)が、晴の言葉を受けて動いた。上から見れば、敵の陣容や地形がつまびらかになる。あまり高度を上げすぎればトルナード・ヘクセに捕捉されるために派手には動けないが、ある程度の高度を保って陸は空を滑るように飛んだ。
「晴、敵の足を止める。その間に彼らを逃がしてくれ」
「任せとけ!!」
 少年少女を捕捉したシュプールフート・クリーガーの数は五。後続はないが、あの五体を破壊するなり遅滞させるなりしなければ、少年少女の無事はあり得ない。
 晴が駆ける速度を上げるのを見ながら、陸はゆらりと右手を翻した。その指先から、万象を成す形なき“光”が溢れ出る。それは癒やしと恵みの光とも、災厄と災禍の極光ともなりうるもの。彼の本質。『Ildánach』。
「無辜の人々を食い物にしようとする連中に、慈悲も容赦も必要ないだろ?」
 此度放つは後者。滅びの光。
「いくら群れようが関係ない。全て断ち切ってみせる」
 陸は腕を横薙ぎ真一文字に振るった。迸る光が『斬撃』を形成し、下方にカッターめいた光の刃を飛ばす。攻撃を感知したゾルダート達が即席の軽量・超硬質樹脂壁を形成し陣地を成すが、形成したそばから切り削り、貫通せしめる光の斬撃。負けじと再生成される壁を、陸は連続斬撃により攻め立てる!
 ゾルダートらの防御と陸の攻撃が拮抗する中、腰を抜かし駆けている少年少女の元へ晴が辿り着く。
「よぉ、無事か? 今からオレたちがあいつらをブチのめすからよ、お前らは早いとこ家に帰んな! 此処は危ねぇから!」
 交戦中のゾルダートらに向け鋼鉄竹刀を突き出すように構え、少年少女を背にかばう晴。肩越しに振り返って笑う晴に、がくがくと少年少女が頷き、慌てたように林の中を、こけつまろびつと駆けていく。
「よし、と。――はん、五体もいりゃ陸の攻撃とどうにか釣り合う程度にはなるんだな。即席にしちゃやるじゃねぇか。けどなぁ――」
 ひゅ、びゅっ!! 見得を切るように振った鋼鉄竹刀が唸りを上げる!
「てめーら如き、『鎧』着るまでもなくどタマかち割ッたらぁ。……征くぜ、陸!!」
「それじゃ、合わせよう」
 空で陸が、十指を広げた。その尖端それぞれから光が漏出する。掻き抱くような腕の動き、クロスする両腕の振り。十指の先端から、まるで網めいた交差斬撃が飛んだ。シュプールフート・クリーガーらが形成した防御壁に一瞬で刻まれる深い傷――否、貫通して二体のクリーガーの胴を抉るほどの威力!
「ッだらぁあぁあ!!」
 そこに晴が突っ込んだ。防護壁の隙間から放たれる砲雨をまるで獣のような側方移動で回避しながら前進、陸によって既に傷の入った防護壁を、その上から竹刀で力の限り殴り飛ばす!
 ――粉砕!!
『ぐああっ!?』
 破片がクリーガーらの顔面を打ち、ノイズ混じりに苦悶の声が浮かぶ。仰け反ったクリーガーらが復位する前に、
「気合入れてやらぁ!! 歯ァ食い縛れッ!!」
 粉砕した壁を乗り越えて飛びかかった晴が、先頭三体の頭部を鋼鉄竹刀で粉砕した。
『ピガッ……ガガッ……!!!』
 ノイズ塗れの音声を発して頽れる三体の後ろ、後退る二体を、空中から放たれた光の槍が刺し貫く。陸だ。五体いなければあの速度での防御壁構築は不可能。それはつまり、最早彼の光から逃れる方法はなかったということでもある。
「まだ他にも誰かがいるかもしれねぇ。休んでる暇はねぇぞ、陸!」
「当然。君こそ息を切らさないでよ、まだ始まったばかりなんだからね」
 やりとりは軽く。
 助けを求める誰かのために、二人は今一度翔け走る!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

レント・オルトマン
機械の体になれば恐れが無くなるなど幻想だ
俺はあのデカブツを引き受けよう
遅延戦術に合わせて、地面を破壊することで塹壕を複数生成
ついでに音で警戒してもらえば儲けものだ
奴らも遮蔽物を生み出すだろうが、相手にとっては複数方向からの襲撃だ
その壁、仇となるかもしれんぞ

俺は林の中から銃を構え【忍耐力】でもって好機を待ち、相手が浮足立ったところを確実に狙う
砲撃が来れば穴に退避、頃合を見て別ポジションに移動
昔にやっていたことと変わらないな
違うことは同胞が多くいることだろう
スコープを覗く間はクダキツネに周囲を警戒させる
戦況に変化があれば教えてくれ

この銃は貴様らをブチ抜く為に拵えた特別製だ
月並みだが、当たれば痛いぞ


●フォックスホール・スナイピング
「――機械の躰になれば恐れが無くなるなど幻想だ」
 レント・オルトマン(エンデクーゲル・g01439)は、終の弾丸と呼ばれる彼は知っている。恐怖は消えない。――ただ、金属製のボディは痛みを感じにくいだけ。
 そこを貫く銃弾があれば、奴らを斃すのは容易なことだ。
 レントはパラドクスを使用し、無造作に巨大なライフルを一閃した。『フォックスホール』。目にも留まらぬ連射、通常の銃弾には有り得べからざる威力の弾頭が地面を砕き、耕すように掘り返す。
 破壊した地面から巻き上がった土砂が壁となり、出来たいくつもの大穴はレントの身を悠々隠せるほどのサイズとなる。レントはその中に飛び込み、ライフルを構えた。
(あのデカブツから狙うか。――警戒しているな)
 四方八方からディアボロスが襲いかかっている故に、敵の混乱は一入だったが、レントが立てた音はその中でもかなり大きかった。レントのいる側に向け、遮蔽物構築装置により壁を創り出して防御を固めるのが見える。
 ――上等だ。壁を創って引きこもったところで、その程度では銃弾を止められないということを見せてやる。
「この銃は貴様らをブチ抜く為に拵えた特別製だ。月並みだが、当たれば痛いぞ」
 レントは塹壕の中で、クダギツネ『タケノコ』に周囲の警戒を命じ、スコープを覗き込む。狙撃姿勢。狙撃兵は、敵が来るまで何日でも同じ場所で同じ姿勢のまま待つことを求められる。それに要する忍耐力に比べれば、この場で機が来るのを待つの程度、苦にもならない。
 ――やっていることは昔と変わらない。違うのは、共に戦う仲間、ディアボロス達がいることだ。
 仲間のディアボロス達の猛攻を受け、乱立する壁の向こうで数台のシュプールフート・クリーガーが動く。それを確認した瞬間、壁と壁の間に見えた有効幅五〇ミリの隙間に頭を出した敵目掛け、レントは銃弾を放った。
 果たして銃弾は隙間を抜け、その向こう側にいたクリーガーを貫く! ヘッドショット! ぐらりと傾いで倒れるゾルダートの頭部目掛けてもう一射。火花が散り、倒れ往くゾルダートの頭部装甲を銃弾が滑り跳弾! 横手のもう一体のアイカメラから射入し脳を破壊! 瞬く間にツーキル!
「――どうだ。銃弾は通るぞ。こうなればその壁はお前たちを閉じ込める檻に過ぎん」
 レントは反撃が来る前に塹壕を移動しつつ、新たな弾道をスコープで探す!
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【セルフクラフト】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!

クラウス・ロイスナー
自警団しかしない街を潰す事自体が目的だと?……それは軍としてやっちゃならん事だ
既に消えた歴史の住人ではあるが、帝国軍人として、この身に変えても食い止めねばなるまいよ

林内で攻撃が開始されても、最後尾が林内に入り込むまで攻撃を待つ
下手に外にいる状態で攻撃し迂回されたら意味がない。林内で最後尾を潰して道を塞いでやれば遅滞の支援にもなるしな

地形の凹凸と木立、藪を利用して潜み、誘導したプファールを撃ち込んで敵の注意を惹きつけたところで敵陣の側面か背面からMGで制圧しつつ対戦車砲を撃ち込んで仕留めていく
人型戦車とはいえ、その履帯じゃ密集した木立の中を自由には動けまい?
装甲が弱い場所に叩き込んでやるよ


●正義の砲声
 戦争とは果てず残酷なものだ。
 だが、それでも最低限のルールがある。
「自警団しかしない街を潰す事自体が目的だと? ……それは軍としてやっちゃならん事だ
既に消えた歴史の住人ではあるが、帝国軍人として、この身に変えても食い止めねばなるまいよ」
 クラウス・ロイスナー(機械化装甲兵・g04077)は独り言ちる。彼の哲学を知ったことではないと嘲笑うかのように、無数のクリーガー達がキャタピラを軋ませて前進する。
(どうやらうまく挑発できたようだな。後退と迂回の選択肢はなしか)
 地図から見ても、まともな林道はここにしかない。敵としても獣道に等しい林を前進するより道に頼りたいところなのだろう。林を迂回する選択肢も冷静に考えればあるだろうが、てきは大部隊。それに対しディアボロス達は少数、恐らくは二〇名ほど。
 この大戦力差をして、後退する。それは機械化ドイツ帝国の部隊の名折れだ。
 ――とでも考えているのだろう。容易に想像がつく。
「くだらんプライドだ。そういう思考が身を滅ぼすんだと教えてやろう」
 クラウスは戦闘の最中、地形の凹凸と木立の影を利用して潜み進み、敵部隊の後尾に回り込む。
 隠密に潜みながら、敵後尾のシュプールフート・クリーガーに狙いを定める。武装展開。『ゲフリーレンプファール』。思念誘導型凍結弾道弾。低速だがその分衝撃波も発さず、かなり静音性も高い。乱戦のこの状況では背後から撃たれたところで、直撃まで気づけまい。
 ――果たして、クラウスの見込みはその通りとなった。
 直撃したプファールが冷気を撒き散らし、二体のクリーガーが身を軋ませて凍結する!
『なッ、何だ……?!』
『低温攻撃……?!』
「人型戦車とは言え、その履帯じゃ密集した木立の中を自由には動けまい?」
 クラウスは13mm航空機関銃『MG131/BG』と内蔵型25mm対戦車砲を同時展開。MGで弾幕を張りながら、散発的に対戦車砲を連射! まずはプファールにより動きが止まった二体を蜂の巣にし、他の機体の装甲の薄いポイントを狙い戦車砲を連射していく!
『ぐああっ!?』
『おのれ、背面とは卑怯な……!』
「卑怯だと? 民間人だらけの街を、フル装備の一個中隊で襲うよりも卑怯なことがあるとはな。恐れ入った」
 反撃の炸裂弾を回避、掠めた破片による損傷すら無視し、クラウスは突き進む。
「俺は止めるぞ。貴様らを」
 そして、吼える。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

ラーニャ・フォルストロメリア
人の営みを、笑って、勝手な善意とやらで破壊するモノ
絶対に赦しておけないわ

奇襲を仕掛けるならやはり速度を重視し、敵に状況を把握させないということを重視して戦おう

無双馬に騎乗して林に潜み、味方の遅滞戦術で敵が混乱したところを突撃、奇襲する
無双馬の速度で一気に敵陣に切り込み、パラドクスを発動
とにかく駆け回って竜巻を多く発生させ、敵を攪乱させることを狙う
【通信障害】も発動すれば、混乱は更に増すよね
飛び交う砲弾に当たらぬよう、速度は一切緩めず戦場を派手に駆け巡り、囮となって味方が敵を攻撃しやすいように動いていこう

空で偉そうにふんぞり返るやつに、目にもの見せてあげる
すぐにそこから、叩き落してやるからね


結島・詩葉芭
「たのしいおまつり、やわらかくておいしいパン。ぜったいに、じゃまを、させません!」
食いしん坊の彼女は事件についてこう感じ、クロノヴェーダを赦さずディアボロスとして解決を目指します

「無限軌道突進(SPD)」に対し、パラドクス「飛天流星脚」を使うことで、無双馬と共に周囲を走り回りながら攻撃を誘発。仕掛けて来たら馬上より飛び降り不意打ち、双方の勢いを乗せた一撃を繰り出します
撃破できそうな敵を優先して攻撃し、敵の数を減らしていきます
他のディアボロスと連携して戦える場合は、可能ならば、援護します
勝利のため、ある程度のダメージはやむを得ないものとしますが、他のディアボロスを不利にするような行動はしません


火撫・穂垂
火の元の始末は、しっかりと。
みんなの営みを焼くような火は、なおさらね。

攪乱は、たくさん人手が出てるみたい、かな?
じゃあボクは、やるだけだね。

幸い、隠れるところはたくさんある。
混乱もしてるから、息を潜めるには、もってこいだね。
あとは、よーく見て、頃合いを測って、突っ込んで、首筋を、ざっくり。
獣を狩るのと一緒。

……うん、一緒。どっちも、ただ生きてるだけ。
ただ、その生きる中で、ボクたちが脅かされるなら……躊躇は、しない。
ボクらも、生きるために……キミたちの火を、消すよ。


●乱戦
 数々のディアボロスが射撃戦を仕掛け、狙撃銃弾、あるいは砲弾、機関銃弾が飛び交う塹壕戦の様相を呈する戦場に、流星のように三人のディアボロスが飛び込んでいく。二人は無双馬に跨がり、もう一人は身の丈ほどの大鎌を構え地を蹴り走る。
「たのしいおまつり、やわらかくておいしいパン。ぜったいに、じゃまを、させません!」
「ええ、その通りよ。人の営みを、笑って、勝手な善意とやらで破壊するモノ――いえ、あんなもの、善意と言うにも悍ましい。絶対に赦しておけないわ」
 馬上で声を交わすのは結島・詩葉芭(インセクティアの神算軍師・g02796)、そしてラーニャ・フォルストロメリア(万折不撓・g00060)だ。それに応じるように、鎌の少女が柔らかな声で謳った。
「火の元の始末は、しっかりと。みんなの営みを焼くような火は、なおさらね。――攪乱は終わったみたい。じゃあ、ボクらは、やるだけだね」
 命を火に例え、最後の一人、火撫・穂垂(奉火・g00006)がうっすら笑う。
「そうね。――遅滞戦術のお陰での相手は防御壁を構築して隠れてる、このまま突っ込むわ!」
「おともします!」
「じゃ、ボクは隠れながら火を消していくよ。二人が派手にやってくれれば、混乱も深まるし――そうすれば、息を潜める場所には事欠かないだろうからね」
 穂垂が樹上に跳んで、青々茂った木立に紛れる。残るラーニャと詩葉芭は両者、無双馬を駆って、遮蔽物を一息に飛び越えて敵陣に躍り込んだ。
『うおおっ……?!』
『なんだ?!』
「吹っ飛んじゃえっ!!」
 敵陣のど真ん中でラーニャはパラドクスを発動。『雷竜招来』! 妖精の力を用いて、自分を中心に帯電した巨大な竜巻を巻き起こす! 天を衝かんばかりに渦巻く雷風の渦は、まさに雷竜めいて敵を薙ぎ倒す! ラーニャはそのまま敵陣を走り回り、放たれる砲弾の間を巧みな馬術で潜り抜け、速度を決して緩めずに暴れ回る。炸裂弾の破片が頬を掠めても、無双馬『フェザリー』の身体を傷つけても、両者全く止まらぬ、恐れぬ! そうすることで囮となれることを、その分だけ味方が戦い易くなることを知っているのだ!
 薙ぎ倒されるゾルダート達が口々に声を上げる。
『うわぁあぁっ!?』
『オイッ、止めろ! あいつを止めろ!』
 完全に塹壕戦の様相を呈していた状況が、ラーニャと詩葉芭の突撃によって変化した。無双馬の速度を活かした奇襲攻撃が功を奏し、敵陣を混乱が包み込む!
 ラーニャを狙って攻撃をしようと、キャタピラの全力走行で迫るシュプールフート・クリーガーが数機! そこに割り入るように突撃するのは――詩葉芭!
「させませんっ!」
 突っ込んでくるシュプールフート・クリーガーに真正面から突っ込み、無双馬の背を蹴って跳躍! まだ六歳、身長一メートルと僅かという矮躯だが、その速度は凄まじい。
 威力とは、速度と重量の乗算だ。足りないウェイトはスピードで補えばよい!
「はああっ!!」
 裂帛の気合と共に詩葉芭が放つは『飛天流星脚』! 背の蜻蛉の翅を羽ばたかせ加速し、無双馬の速力、そして己の脚力、更に翅での加速力を利用して超加速からの蹴りを繰り出す! 先頭のクリーガーの首を蹴りもぎ飛ばし、その背の砲を蹴って翅を打ち、次の機体に襲いかかる。凶悪な蜂の群ですら逃げて通りそうな、ハム音めいた彼女の羽音が、生み出される推進力を物語るかのようだ。二台目の首を蹴り砕き、横っ飛びに逃れば、丁度走りきた彼女の愛馬が落ちる彼女をその背で受け止める。
「わたしはこちらですよ! たおせるものなら、やってみなさい!」
 詩葉芭は思う。柔らかくておいしいパンを、この地の住民は一体どれだけ食べられるというのだろう。
 彼女は健啖家だ。おいしいものを食べるのがとても幸せだと思っている。――戦争状態のこの地では、普段の食事はきっとしなびた芋や、塩味の殆ど無い雑穀のスープなどが精々のはずだ。その彼らが、久々に食べるであろう、柔らかな色の薄いパン。それを、邪魔させるわけにはいかない。
 クリーガー達を挑発しつつ、詩葉芭は無双馬を走らせる。ラーニャが巻き起こす雷の竜巻の影響範囲からは逃れつつ、彼女を狙い突っ込む、あるいは榴弾砲を放とうとするクリーガーらを横手から飛天流星脚で叩きながら、連携して敵の数を減らしていく!
 だが、詩葉芭は程なく気付いた。……明らかに、敵が減る速度が速い。ラーニャと自分だけでは、この速度では倒し得ない。
 違和感が確信に変わったのは、彼女の視界の隅で、ざギンッ! と金属の貫かれる異音が響いた瞬間であった。詩葉芭が思わず目をやれば、敵の顎下から脳天までを、振り上げた鎌の刃先で貫いた少女がいる。穂垂である。
 暴れ回る騎兵二人組の派手な白兵戦に紛れ、彼女もまた影めいて潜みながらの白兵戦を繰り返していたのだ!
「塹壕に、遮蔽物。誰かの開けた穴。砲弾の痕。樹の影、樹上。隠れるところは沢山あるし――」
 腰を深く落とし、まるで獣が跳ねるように跳ぶ。振り回した鎌のカウンターウェイトを使って躰を振り、腰を捌きながら遠心力を乗せて振るう鎌は、命を『貫く』ためのもの。彼女の一族、火撫の戦士に伝わる大鎌術の一つ。『火撫の大鎌』。
 その鎌は、刈り取ることよりも『突き刺すこと』に特化している。まるで、牙を剥き獲物に飛びかかる獣の狩りの動作のようだ。現実、火撫の戦士に伝わる口伝ではそのように教えられる。
 穂垂は飛び込み様に次の敵機の首に鎌の刃を突き刺し、貫いた。脳に繋がる神経が破壊されればいかにゾルダートとて絶命は免れ得ぬ。即死だ。頽れ、風化するように崩れていく。
「混乱もしてる。息を潜めるには、もってこいだね」
 よく見て、間合いとタイミングを計り、突っ込み、首筋を、あるいは顎下から頭を、急所をざくりと穿てば火は消える。獣を狩るのとまるで同じだ。穂垂は、手を握り、開き、確かめるようにまた握る。
『貴様アあぁぁぁっ!!』
 喚きながら突っ込んでくる一機のシュプールフート・クリーガー。穂垂はカウンター気味に飛び込んだ。キャタピラ上の装甲板を蹴り、巨体を飛び越え様に鎌の刃を敵の首に引っ掛ける。ざぎんッ。切断された首が落ちる。
「――うん、一緒。どっちも、ただ生きてるだけ。ただ、その生きる中で、ボクたちが脅かされるなら……躊躇は、しない。ボクらも、生きるために……キミたちの火を、消すよ」
 穏やかに。だが、冷徹に。
 穂垂は言って、鎌を構え直す。

 ――そうして、三者と、他のディアボロスの攻撃により、次々とシュプールフート・クリーガーらの数が減っていく。白兵戦にもつれ込んだとなれば、次に出てくるのは――インファントリー・ゾルダートらだ。
 クリーガー隊の後ろから突撃してくる歩兵軍団を一瞥し、ラーニャは視線を一瞬、空に遣る。
「――空で偉そうにふんぞり返ってられるのも、今のうちよ。目にもの見せてあげる。すぐにそこから、叩き落してやるからね」
 腕組みをして戦場を俯瞰するトルナード・ヘクセに、少女は吐き捨てるように口にするのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【通信障害】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV2になった!

ハロ・エリス
無辜の民への暴虐はいついかなる時、状況であっても許されぬ
…この怒りも自らが称賛されるべきと妄信する者には届かぬだろう
それでも構わん、その邪悪な願いは潰すだけだ

数の理を誇る相手取るなら【地形の利用】で林に身を潜めて奇襲作戦を行こう
…パラドクス通信で互いの奇襲のタイミングを合わせることも忘れずに
【光使い】、【電撃使い】で敵の目をくらます
【時間稼ぎ】で他の者達が攻撃、または攻撃準備してる事を悟られないように立ち振る舞いたい
さて、俺が手に武器を持ってないから油断したか?
服の飾りとしてた紐…守護者の鞭だったものに電撃を纏わせて【薙ぎ払い】をしよう
貴様らにくれてやる慈悲なぞこれでよい

連携アドリブ歓迎


雨鈴・小夜
撹乱と奇襲の連携作戦
レジスタンスの得意とするところですわ

林の中の道を征くゾルダート達に
一撃離脱を旨とした奇襲攻撃をしかけます
(――覚悟っ!)
木々に隠れつつ、頭上から一気に飛び降りて仕込み刀を一閃
ゾルダートを一体切り捨てたら速やかに林の中に飛び込んで撤退
これを繰り返して徐々に戦力を削いでいきます

同作戦のディアボロスが積極攻勢を仕掛けるまでは上記の通りで
仲間達が突入戦闘を始めたらその背後を守るバックアップ的な動きをします
隠れて機を伺うのは先と同様ですが
今度は味方を狙って攻撃態勢に入った個体を邪魔するように攻撃しましょう
「させませんよ。こちらの正面戦闘員を失うわけには参りませんので」


●きざはし
 ざ、ざ、がさっ、ザッ!
 樹上をまるで忍びのように、二人のディアボロスが走る。ハロ・エリス(星々の間に住まうもの・g01113)、そして雨鈴・小夜(桜月の冷たい夜・g00135)だ。
「無辜の民への暴虐はいついかなる時、状況であっても許されぬ。……この怒りも自らが称賛されるべきと妄信する者には届かぬだろう。だが、それでも構わん、その邪悪な願いは潰すだけだ」
「ご一緒します。攪乱と奇襲の連携作戦――レジスタンスの得意とするところですわ。四方や自分たちが狩られる側に回るとは、彼らとて思っていなかったでしょう。その恐怖と痛苦を報いと致しましょう」
 慨嘆げな口調で語るハロに小夜が同調する。目配せ一つ、彼らは木々を蹴り渡り、戦列を築いた敵歩兵、インファントリー・ゾルダートらを上方から強襲した。
「頭上注意だ」
「――!?」
 バチッ、ぱ、ぱぱァンッ!!
 スタンガンめいた雷光が彼の服の飾り帯から発され、敵の目を眩ますと同時に注意を引き付ける。その隙に滑り込むように、樹枝を天に向けて蹴り飛ばした小夜が手にした箒を上げる。。――銘を『信壊』。一見すれば何気ない竹箒にしか見えぬが、その内には頑健な直刀が仕込んである。反り無く抜きづらいはずの直刀をまるで短剣でも抜くかのように滑らかに抜刀!
(――覚悟っ!!)
 襲いかかるなりの仕込み刀一閃! 敵の頭から胸半ばまでを割断ち裂くッ! 断面から火花を散らしてもんどり打って倒れ込むゾルダート。一体斬れば即座に小夜は茂みの中に飛び退く。追撃しようとするゾルダートらの前に、小夜と立ち替わるようにハロが立ち塞がった。素手、武器らしき武器も持たずポケットに手を突っ込んだままの無造作な態勢だ。
『武器もなく我ら精鋭のドイツ軍に楯突くか、人間!!』
『その無謀、蛮勇を後悔して死ね!』
 口々に吼えながら右腕のキャノン砲を持ち上げるゾルダート達。ハロ目掛け構え、発砲する。その射線の上からギリギリで身を躱しつつ、衝撃波に嬲られながらもハロは前進。
「武器を手に持っていない程度で油断してくれるとはな。精鋭が聞いて呆れる」
 ハロは地面を抉るように蹴り、まるで舞うように空中で回った。優美ささえ感じる動作だったが、それは歴とした攻撃の予備動作。回転するその勢いに乗り、服の飾り帯が撓る。先ほど帯電してゾルダート達の目を奪ったあの飾り帯だ。――だがこの電光は飾りではない!
「貴様らにくれてやる慈悲なぞこれでよい」
 ハロは吐き捨てるなり、撓らせた飾り帯――元は守護者の鞭であったそれに電撃を纏わせ、敵三体を一息で薙ぎ払った。パラドクス、『慈悲は月の光のように』! ゾルダートらの首筋に打ち込んだ飾り帯が、必要最低限の電流で三体のゾルダートの意識を刈り取る! まるで糸の切れたからくり人形めいて、声もなく倒れる三体のゾルダート。
『貴様……!!』
「させません!」
 見事な波状攻撃。林の中に隠れた小夜が、またも飛びだしてハロの攻撃の後をバックアップする。味方を誰一人失わせまいと踏み込んだ小夜が繰り出す『アサシネイトキリング』、致命の斬撃が次々とゾルダートの面を割り、あるいは首を、腕を刎ね飛ばして屠っていく!
『ちょこまかと逃げ回ってくれる……!!』
 姿を現した小夜目掛けての砲撃数発。小夜は跳び下がりながら剣先で砲弾を逸らし、辛うじての回避。砲弾が発する衝撃波が彼女の身体を叩き跳ね飛ばすが、地を手で叩いて跳ね上がり、空中回転二回転半、ブーツの底で草いきれを掻き轍を残して制動! ダメージは軽微、健在である!
「まだやれそうだな」
「無論です!」
 ハロは即座に攻撃と離脱を繰り返す小夜を補助するように、蹴りと共に飾り帯を延ばして、小夜に追撃をかけようとする敵を攻撃し、その意識を奪う。崩れ落ちるゾルダートを飛び越え、倒れていくその肩を蹴り加速した小夜が、その向こうにいた敵を袈裟懸けに斬り倒す!
 阿吽の呼吸で戦場を駆ける二人。両者ともに、数の利を誇る大勢に対して、速度と隠密性を重視して奇襲するという策を選んだ者同士だ。互いのしたいこと、呼吸は、即興としてはできすぎなほどにぴったりと重なっている。
「――さあ、お膳立ては整えた。総攻撃だ」
 ハロは己のパラドクスの残留効果である『パラドクス通信』を用いて、周囲の復讐者に語りかける。そう、ここまで攻撃してきたディアボロス達が全てではない。まだ、このインファントリー・ゾルダート達に備えていたディアボロスが他にいるのだ!
 ハロの呼びかけに合わせ、銃の装填音が、抜剣の音が、幾つも連なった。
 その頼もしき響きを背に、小夜とハロは今再び、争いの渦中に身を投じる!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!

楡金・澄華
命を取りにきてるんなら、取られる覚悟はしてるよな?

仲間の遅滞戦術で混乱状態の敵に奇襲を掛けてやろう
地理的にも状況的にも絶好の機会だ

光学迷彩を使い、見渡しにく状況に甘えることなく敵の目を掻い潜ろう
基本的な狙いは仲間の制圧射撃で混乱していたり、物陰から動けなくなっている奴らだな
暗殺の要領で静かに始末して回り、敵には見えない恐怖を堪能してもらおう
隠れていれば私の太刀、外に出れば仲間の銃撃…
お前らの望む戦場だ


●影刃
「命を取りにきてるんなら、取られる覚悟はしてるよな?」
 戦争だもの、当然だろ? そう言わんばかりに、楡金・澄華(氷忍・g00167)は薄笑みを湛えて言った。銃火が、砲火が飛び交うその鉄火場に迷わず飛び込んでいくその胆力は凄まじい。先祖代々忍びとして生きてきた彼女にしてみれば、この程度の修羅場、幾度も潜ってきたものだ。
 先行したディアボロス達が創り出したこの乱戦、混戦の状況は彼女にとって望むところ。そもそも忍者の役割は諜報とサボタージュ、すなわち破壊活動だ。敵の混乱を招き、本来の能力を発揮できぬようにし、それに乗じて己の武技の最大火力を叩きつけて為す術無く殺しめる。それが忍びの常套戦術である。
 二刀抜刀。左に『黒夜叉姫』、右に『凍雲』。
 戦場は既に大混戦。白兵戦を挑むものもあれば、既に狙撃態勢を整えスナイピングを繰り返すものも、あるいは機関銃による掃射を試みるディアボロスもいる。更にそれに対して撃ち返すゾルダートらにより、絶えず砲火が飛び交う危険な状況だ。少しでも首を出せば流れ弾が襲い、吹き飛びかねない状況下。場の視界は、物理的に見られないという意味で最悪と言っていい。
 そこを更に、『光学迷彩』を用いて身を隠し、敵の目を掻い潜る。まさか、この弾の嵐の中を駆け抜けてくるものがいようなどとは思うまい。故に澄華はそれをやる。相手が思いもよらぬ奇策を真っ向用いる。それが忍びの常道。
「――居た」
 狙いは一つ。こちらの狙撃や制圧射撃により、物陰に固まったり混乱したりと統制を失っているゾルダート達だ。澄華は光学迷彩状態のまま忍び足で背後に回り込み、二刀を風音も無く振るった。『剥魂斬』、同時一閃。ぴたり、と斬られた二体が動きを止める。
『オイッ、これからどうする?! このままここに固まっていても――』
 傍らにいたもう一体が斬られたゾルダートの肩に手をかけた瞬間、――ごろり。その首が転がり落ちる。
『ヒッ!?』
「どうした? 笑えよ。こうして隠れていれば私の太刀、外に出れば仲間の銃撃。――これがお前らの望んだ戦場だぞ」
『き、貴様ァッ!!』
 裏返った声で叫びキャノンを振り向ける機人の動きよりも、翻る『凍雲』の一閃の方が遙かに速い。唐竹割り真っ二つに三体目を断ち斬ると、澄華は納刀すること無く再び辺りの景色に身を溶かす。
 ――この時より、この身は恐怖である。
 見えざる恐怖に身を浸せ、機人共。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
効果2【ダブル】LV1が発生!

朱・吉鷹
▼方針
奇襲・PDによる範囲攻撃・制圧射撃による足止め

すげえの持ってんなおい。徹甲弾か。
あの手のモンを使えりゃ楽だろうが…人間の腕じゃ難しいわな。

得物がなんであれ銃撃で負けるとちと格好がつかん。
殆どこの技術しか残ってない身でよ。
…とは言えこうして魔術《ズル》も使うがね。
《雨乞い》。放っといてもあんたらの裏を取る弾丸だよ。
全身装甲板で覆っとくんだったな。

しかし本当にほぼ林道だ。薄暗い。
気休め程度でも【完全視界】が働くといいんだが。

で、場合に寄っちゃ簡易拠点を作るんだったか?
そっちへ退こうとするんなら[制圧射撃]で足止めする。
あんたら街の連中が逃げたらどうするね。逃がさねえだろう。
おれも逃がさんよ。


●熱砂の雨
「すげえの持ってんなおい、徹甲弾か。あの手のモンを使えりゃ楽だろうが……人間の腕じゃ難しいわな」
 呆れたような、あるいはわずかに羨むような声。睫の長い強面の男が、鋼の軍勢を眺めて呟いた。男の名は朱・吉鷹(巡礼者・g01442)。砂混じりの風吹く、新宿島の最果て、九十九番街の住人。
「……まぁ、得物がなんであれ銃撃で負けるとちと格好がつかん。殆どこの技術しか残ってない身でよ」
 かつて彼は魔術を修めた魔術師であった。しかし今や、彼に大がかりな幻想の行使は叶わぬ。僅かばかりの魔力の残滓を込めた手工で創り出した魔弾と服飾品、手に染みついた銃技にて、幻想の真似事を演ずるが精一杯。彼はそう、毒づくように自称する。

 ――しかし、魔術とは、そう見えるから魔術と呼ばれるのだ。
 朱・吉鷹の術理を見て、それを魔術と思わぬものはいるまい。

「とはいえこうして、少しばかりのズルも使うがね。――喰らってみるか、熱砂の雨を」

 吉鷹は謳うように言って、琥珀の眼で鬱蒼とした林の奥を見通した。『完全視界』による視覚補助が効いている。シュプールフート・クリーガーらが展開した簡易防御壁による拠点に向け、後退しながら砲を全方位に連射する、四体ばかりのインファントリー・ゾルダートが目に入る。あれが話に聞く簡易拠点だろう。
 砲火の中で聞こえるべくもない。だが、それでも肩を竦めずに呟かずにはおれぬ。
「あんたら、街の連中が逃げたらどうするね。逃がさねえだろう? ――おれも逃がさんよ」
 ひゅ、と吉鷹は天に銃口を向けた。放つはただ一発の礼砲。これはただの術理であり、僅かばかりの奇跡を孕んだ技術に過ぎぬ。魔法などにはほど遠い、代償も準備も必要な術式だ。
 ――しかしそれでも、その雨は。吉鷹の《雨乞い》により放たれた焼けた鉄の雨は、まるで魔法にしか見えぬ速度と密度で放たれた。
 無数の銃声と弾丸が万雷と鳴り降り注ぐ! ゾルダートらの周辺四方八方から放たれ降り注ぐ銃弾が、逃げ道すら無く四体のゾルダートを封殺し、ズタズタにする!
『グアアアアッ!?』
『く、くそっ……!』
 今際の際に放たれる反撃の徹甲弾を身を反らして避けながら、吉鷹は着地、頽れる四体の機人に皮肉げに肩を竦めた。
「こんなことなら、全身装甲板で覆っとくんだったな」
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!

綾宵・藤璃
これ以上先には通す訳には参りません
大人しく去るならば良し
――さもなくば、無様に果てなさい

それでは、野蛮な輩を排除致しましょう
正確に攻撃を命中させるべく精神集中
一体、矢で穿ったならば、更に一体
連射で可能な限り、多くの敵を射抜いて御覧に入れましょう
然し装甲板は邪魔この上ない
極力森に身を隠しますが…戦場では限度があります
ならば――弓を上に向け、射る
無論、上空を狙ったものではありません
前が駄目ならば上から
矢は落下するもの…頭上から敵を射抜くには最適でしょう?
敢えて眼前に向けて矢を放ち
フェイントを掛けるのも一手ですね
他の復讐者が狙われている様であれば援護も惜しまず

――せめて最期は、美しく散って逝けば良い


●宙を縫う一矢
『全隊進め!! 前へ!! 敵は少数、怯むな!!』
『『『オオッ!!』』』
 鳴り渡る鬨の声。倒せど倒せど、敵の軍勢は減っていかない。否、後続が尽きず進んで来る分、増えているようにすら感じられる。
 だが、ディアボロス達の戦意がそれで折れるわけもない。また新たなディアボロスが一人戦場に参じ、きりり、と弓弦を引き絞る。
「いいえ。あなた方の前進はここで終点です。これ以上先には通す訳には参りません。大人しく去るならば良し――さもなくば、ここで無様に果てなさい」
 木立に隠れ、涼しげな声で言うのは、綾宵・藤璃(送る繊指・g01014)。乱戦の中、声の出元さえ分からぬ混迷の戦場だ、ゾルダートすら聞こえた声に『何だと!』と反駁するのが精一杯。方向の特定には至らない。藤璃にとってはそれも好都合。
 藤璃は矢を放った。天に向け、幾発も。儀式のように。空に飛び出す号砲のような矢に、居場所を特定したかゾルダートらが砲を向け放ってくる。
 藤璃は身を翻して走った。いかに森の中、乱戦の最中とて、いつまでも見つからずにはいられない。行動を起こせば、敵とてそれを察知して攻撃してくる。
 走る藤璃の後ろを、次々と徹甲弾が掠め降り注ぐ。その内の一発が、藤璃の走るそのまさに足元に食い込んだ。土塊と石を撒き散らし、着弾の衝撃波が藤璃を襲う。
「っく、」
 衝撃のあまり転倒。足に挫傷と、腿に切傷。横に二転し、隙をかばうように転がりながら撃った矢は、しかし攻撃してきた敵の装甲板に阻まれてしまう。
『ふん、この程度のローテクな装備で我々を相手取ろうとはな!』
『我らの三六ミリメートル右腕装填式機関砲の前に砕け散るがいい!!』
 機人の勝ち誇った叫び。勝利を確信したらしい彼ら数体が、とどめの砲撃を放とうとしたまさにその刹那。
 藤璃は、スッ、と細く長い指を、天に向けるように立てた
『――?』
 その一瞬の逡巡が命取り。
 見上げたものもいた。死ぬ前の児戯かと笑ったものもいた。首を傾げたものもいたが、次の刹那、彼ら三体の頭部を並べて貫いたのは、藤璃が天に放った矢であった。
 言葉もなく、三体のゾルダートが崩れ落ちる。『手向け』の一射。天を射貫くように放った矢は、その実、敵の頭を狙った精緻極まる曲射狙撃だったのだ!
「――せめて最期は、美しく散って逝けば良い」
 立ち上がり言い捨て、背を向けた藤璃の後で、撃ち抜かれた機人達が塵へと還る!
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【神速反応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!

ノイン・クリーガー
[行動]
【地形の利用】を行い、林に身を潜めて敵を待つ。
現地の植物などを使い、見つからないように偽装して敵を欺き、味方の遅滞戦術が開始されると共に【不意打ち】する。
MK-63を【連射】して【弾幕】を張り、【制圧射撃】を行う。
攻撃を受けた敵部隊は遮蔽物の多い林の中へ退避したいはず。それをさせずに街道に釘付けにしてやる。
『そこでマトになっていろ』

[心情とか]
勇者を気取った連中が兎狩りをするために鼻唄混じりでゾロゾロとやってくる。
……マヌケ共め。

[協力・アドリブなど]

\歓迎/


獅子城・羽鳥
連係・アドリブ歓迎
自分のパラドクスと敵の攻撃方法の特性を考慮して戦う
他の味方と連携して戦える場合、可能ならば援護
勝利のためある程度のダメージはやむを得ないが
仲間を不利にする行動はしない

楽しく虐殺へ向かうクズ共を足止めの嫌がらせで楽しんでみるか
工作をやってみたかったが適任者多いからこっちに回る

奇襲のタイミングは味方に合わせる
予め消音仕様の装備を調達、静かに待機
木立に隠れながらのヒット&アウェイ
薄暗い林の中なら《光使い》で目眩ましもいけそうだ
敵の動きを止めて【ドレイン】を狙いたい時は
手足を狙ったり見当違いの方向へ物やパラドクス投げて音立てるのも試みる

砲火の交響曲がうるさいなら厳重に耳栓でもするか


●ステルス・キルゾーン
 一見して、そこはこの戦争という竜巻の空隙めいて凪いでいた。
 無論、銃声などは届くが、流れ弾も白兵戦での交戦痕もない、まるで台風の目のような一角がある。
 林の中の至る所で戦闘は激化し、林全体が最早激戦区と言える状況だ。敵味方問わず砲声銃声乱れ飛び、超常の力飛び交う逆説連鎖戦の現場である。だからこそ、奇妙に凪いだその一角に誰かが逃げ込んでくるのは必定だったと言っていい。
『糞ッ、何なんだあいつらは! 兵站無視の大火力を平然と振るう、あんな敵は見たことがない!』
『奴らが近頃各所で戦線を騒がせているディアボロスだって話だ! 体勢を立て直せ、我々の攻撃だって通じないわけじゃない!』
 十体体といったところだろう、小班二つほどか。所々被弾していると思しきゾルダートが、体勢を立て直すべく、砲火を避けてその地点まで逃げ来た。それはまるで、サバンナで水場にありつく草食動物めいて。
 彼らは恐らく、ディアボロスの圧倒的な火力に追いやられ、本隊との合流を妨げられ一時撤退を選んだのだろう。然りとて十体もいれば立派な戦力、ディアボロス単体の攻撃などはどうにか退けてここまで逃げてきたのであろう。
 ノイン・クリーガー(ゴースト・g00915)にはその仔細の想像がついた。彼らがいまどれだけ本隊と合流したいかも全て分かっている。
(勇者を気取った連中が兎狩りをするために鼻唄混じりでゾロゾロとやってくる。……マヌケ共め)
 ノインは全く声を発さないままアサルトライフル『MK-63』を連射した。アンブッシュ。あまりに唐突。突如として叩き込まれた秒間十五発超の小口径高速弾が、ゾルダートの背中や脇腹を、まるで紙を鉛筆で突いたように食い破っていく!!
『ぎゃああっ?!』
『ぐあああ!!!』
 何が起きたのか。――ノインは、はじめからそこにいたのだ。
 不自然ではないか。いかに広きに渡る戦場とはいえ、用意されたかのように静かな安全地帯。なるほど手練れの精兵ならば、その不自然さに気付いたかも知れない。そこかしこに残る偽装の痕に気付いたかも知れない。だが、今ここは乱戦の戦場で、敵は量産型のゾルダートに過ぎない。気付けというほうが無理な話だ。
 地形を利用した自身の隠蔽、完璧なカモフラージュから放たれるアンブッシュ、『サプライズアタック』の銃火が、瞬く間に数体の機人を射貫き、撃ち倒す!
「おのれっ!!」
 撃ち返される徹甲弾。それが放たれる前にノインは横に転がり起き、藪の中を低姿勢で移動しだしている。
『抵抗は無駄だ。そこでマトになっていろ』
 言うなり応射。アサルトライフルの連射で、敵の動きを封じる!
 蹈鞴を踏むゾルダートが、移動しながら銃を撃つノインを捕捉しようと、後退しながら砲口を巡らせる。
 しかしそれが叶う前に、明後日の方向でガサリと音が立つ。バッ、と数体のゾルダートがそちらを振り向く。――しかしそこには、梢を揺らした木の枝が引っかかっているだけだった。
『囮……!』
「そのくらいの頭は働くらしいな」
 声がした。まだ若い、張りのある男の声だった。獅子城・羽鳥(メタリックトルバドゥール・g02965)である。梢に視線を遣ったゾルダート達が振り向くその前に、彼は真っ直ぐに手を振り下ろす。
 天に、全く唐突に戦乙女の幻影が描かれた。パラドクス『謎の加護』。『彼女』から受け取った光を槍とし、戦乙女は真下に向けてそれを投擲する。
 ぎゃ、ぎんッ!! 真上から放たれた光の槍は、まるで衛星レーザーめいて一体の敵を、何の抵抗もなく貫いた。一撃の下に一体のゾルダートを屠り、羽鳥は木々の間を走り出す。 
 あらかじめ木立に、気配と音を殺して潜んでいた羽鳥は、ノインの斉射に合わせて動き出したのだ。元より他のディアボロスとの連携は望むところだ。その方がより効率よく敵を倒せるに決まっている。
『クソッ、奴を殺せ、撃て撃てッ!! ……うおっ!?』
 木々を縫い、木立に隠れながら再び光の槍を放とうとする羽鳥を追い、彼をゾルダートが追いかけようとすれば、傍らからノインが狙い澄ました牽制射撃を叩き込む。どちらを狙うかを判断しあぐね、逡巡した瞬間を羽鳥の光の槍がまた一体穿ち、斃す。
「いいザマだな、楽しくピクニック気分で虐殺に来たゾルダート共が。俺たちの嫌がらせは気に入ってもらえたか?」
『お、おのれぇ――ッ!!』
 挑発の声を上げる羽鳥に、ゾルダートが砲を振り向けるよりも、戦乙女の幻影が放つ光の槍の方が速い。投げ下ろしの槍が最後の一体を貫き、その鋼鉄の躰を黒き塵に還元する。
「お気に召さなくても喰らわせてやるがな。……さて、次だ」
『了解した』
 羽鳥は茂みから出てきたノインと合流。次なるキル・ゾーンに潜伏すべく戦場を走る!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV2になった!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【ドレイン】がLV2になった!

レター・ポストマン
数が多ければ手数も火力も増える!
つまり、お前たちは目下の脅威ナンバーワンだろう!!
だが、俺もまたナンバーワンだ!

上空150mを【飛翔】で旋回しながら、大軍へと魔力弾の嵐をお見舞いして、統率を乱してくれよう!
敵の統率がナンバーワンでも、地上と上空を同時に相手取るには苦労するだろう!ましてや、高速旋回する俺に命中させることとてそう容易なことではない!
【通信障害】で敵の意思疎通を乱し、トラップ作成で地上の敵の動きをある程度制限できれば言うことはないが……そこまでするとナンバーワン多忙だな!!

敵の注意、統率、戦力――いずれも削がせてもらうぞ!
なぜなら俺は――削ぎ落としナンバーワン!!


●魔弾爆撃
 ばおうッ、と空気を裂く音を立て、一人の少年が空へ飛んだ。
「数が多ければ手数も火力も増える! つまり、お前たちは目下の脅威ナンバーワンだろう!! だが、俺もまたナンバーワンだ! 今回の俺は高度ナンバーワン!!」
 レター・ポストマン(ナンバーワン・g00532)である。残留効果である『飛翔』を用い、彼は空へ高々と飛んだ。現在の効果深度から得られる最大速度は時速一五〇km、加えて限界高度は一五〇m。
「いかにお前たちが統率ナンバーワンでも、地上を暴れ回る我がナンバーワンの仲間と、この妨害ナンバーワンの俺から同時に逃れることは困難だろう! 出来るというのなら――高速旋回する俺に攻撃を命中させてみるがいい! その時は全力で己が油断を恥じるとしよう!!」
 レターは言葉通り、限界速度で円を描くように飛んだ。百五十メートル先を時速百五〇キロで旋回する彼を捉えるのは、彼の云う通り困難だ。百五十メートルも離れれば、常人の視界ではレターは羽虫ほどのサイズに見える。しかもそれが高速で飛び回っているのだ。同時に【通信障害】により敵の情報共有をジャミングしつつ、パラドクスを起動する。
「お前たちの注意、統率、戦力、いずれも削がせてもらうぞ。なぜなら俺は、削ぎ落としでもナンバーワンッ!!」
 パラドクスオン。『Nightmare bringer』。己に憑いたアークデーモンの力をドライブし、翼に魔力を集める。先ほど放った『双翼魔弾』よりも大規模かつ広範囲への攻撃だ。
「喰らえッ!!」
 レターが叫ぶなり、無数の魔弾が放たれた。一人で行う空爆さながらの乱れ撃ちである。大量の魔力弾はまさに雨の如くに、眼下の林、乱戦するゾルダート達へと降り注いだ。
『ぬっ、ぐおおっ?!』
『馬鹿な、制空権が取られているだと……!』
 次々と命中する魔弾が数体のゾルダートを打ち砕く。反撃の応射が地表から次々噴き上がるが、レターは時折速度を緩め、早め、あるいは∞を描いてみたり鋭角的に曲がってみたりと――ゾルダート達の予想を裏切るように飛び回り、攻撃の悉くを回避してみせる。時折掠める砲弾の衝撃波でよろめくように飛びながらも、決して止まることはない!
「お前たちには眠ってもらう。黒幕との対面が近いようなのでな!」
 魔弾により掃射を放ちながら、レターは高らかに吼える!
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

星見・晴
◆陸(g01002)と

避難は済んだみてーだな!
次は――この前と同じ兵士か!!

よおし一丁突っ込んでくるから派手にぶちかましてやってくれ陸!
(そんだけ言えば十分とばかり、遮蔽物も何もなしに突っ込んでく。
【未来予測】に、前戦った時の[戦闘知識]ありゃあ十二分。弾道と攻撃読んで躱して、此処ぞというタイミングで眼鏡のブリッジを弾く)

『ID TO BE COSMO END‼︎』

(――赤い鎧姿になり連中の装甲板と武器を斬り飛ばし足止めして)

やっちまえ陸!!!

(あとはダチ公任せ。手前で撃てる斬撃だ、躱すのぁワケねーけど)

お前このやろ人の必殺技を
くっっそ覚えてろお前のもどれかパクってやっからな!?(謎対抗意識)


竜城・陸
晴(g00661)と

突っ込むの? まあ、いいけど
ちゃんと避けてよ、俺、あまり器用に対象を選別できないからね

突っ込んでいく晴とは反対に、こちらは上空へ【飛翔】する
有効射程内ではあるだろうけれど
陽を背にすれば狙いは多少付けづらいかな
……届いてもまあ、魔力障壁がある
銃弾「程度」ではやすやすと貫けないだろう

創出する事象は、シンプルに高火力なもの――そうだな
じゃあ、これだ
――因果をすら断つ彼の斬撃
天から下る極光の一閃、……の、模倣

――了解、ちゃんと避けてよ?

了承と同時、光の斬撃を上空から
大群の真ん中をそのまま切り裂くみたいに叩き込む

……なんだよ、派手にぶちかませって言ったの君だろ
文句は受け付けないけど?


●救世の牙
「っし、避難は済んだみてーだな! 次は――この前と同じ兵士か! よォし一丁突っ込んでくるから派手にぶちかましてやってくれ陸!」
「突っ込むの? まあ、いいけど……ちゃんと避けてよ、俺、あまり器用に対象を選別できないからね……って、聞いてないな、あれは」
 竜城・陸(蒼海番長・g01002)は、「気合入れてやらああぁぁぁあ!!」とドップラー効果とともに遠ざかっていく星見・晴(赤星番長・g00661)の声を聞きながら、かりかりと角を掻いた。
「まあ、無茶を聞くのも面倒を見るのも慣れてるからね。……今更だけど」
 これもあの晴という少年の信頼の形だ。『それだけ言えば伝わる』と確信しているのだ。大量の砲を備えた機人の群れに、遮蔽物も無しに突っ込んでいったところで、『自分と陸』ならば何とでもなると、無鉄砲なまでに信じている。我知らず、陸は薄く笑った。
 とんと地面を蹴り、飛翔する。残留効果のものに重ね、自前の飛翔能力を使う事で陸の速度はいや増す。瞬く間に上空二十メートル程につけ、突っ込んでいく晴と、その先で構えを取る敵を俯瞰する。
 並んだインファントリー・ゾルダート達が、振り上げたキャノン砲を発砲する。晴はきわどいところでそれを躱し、あるいは鉄の竹刀で砲弾を弾きながら前進する。足元に突き刺さった徹甲弾の衝撃に足を取られ転びかけるが身を沈め踏み止まり、そのまま四足獣めいた低姿勢でのダッシュに切り替える。前回とは数も敵の練度も微妙に違う。一度見た攻撃は二度とは通じぬ、などと都合よくは行かない。

 さりとて記憶は残る。経験もまた、そうだ。
 なればこそ、コスモノートは止まらない。

『ID TO BE COSMO END!!』
 砲撃の狭間で晴が眼鏡のブリッジを撫でるように弾けば、その全身に赤い鎧装が蒸着する。刹那の内の変身。友より託された、全てを救うための猛き赤星。晴のネメシス形態、コスモノート・ハーレー!
「うおおおッ!!」
 ポリゴンめいたフレームが彼の手の内に剣の形を作り、ホログラム状に赤い01の粒子が集って枠を満たす。具現するのは赤々と燃える紅蓮の刃、"DAYBREAK"!
 晴は虚空からの抜刀めいて抜いた夜明けの刃を翻し、速度を緩めることなく敵陣に突撃! 刃を揮って敵の装甲板、あるいは腕部砲を斬り、払い、敵の隊列を崩し、あるいは相手の防御能力、攻撃力を削って、束の間動きを封じ、足止めする!
「今だ!! やっちまえ陸!!」
 晴が吼えれば、空で陸が両腕を天に向けて掲げた。
「了解。ちゃんと避けてよ?」
 陸の手の内から激烈な、極彩色の光が噴き上がった。それは極光の剣。時代の狭間に消えた哀色の騎士が用いた、魔力乱流により虹色に煌めく光の一撃。
「ばっ、おっま、それ……!!」
 晴は地面で目を見開き、それを見上げた。避けられないから驚いたのではない。よくよく、見たことがあるから驚いたのだ。
 ――それは彼方より受け継いだ、コスモノート・ハーレーの必殺剣でもある。
 異様な魔力の高まりをゾルダート達ですら感じたのか、空で極光の巨剣を構えた陸目掛け、数体のゾルダートが砲撃をかける。砲火の交響曲が響き渡り、徹甲弾による連続砲撃が陸を穿とうと唸るが、光で描いた障壁でそれを受け止め、あるいは軽く羽撃いて砲弾の火線の間を抜けながら、陸は謳うように言った。

「――“天晴”、披露奉る」

 同時に、大剣をそうするように、形成した光の剣を振り下ろすッ!!
 彼が放ったのは『アウロラ』。空を裂き、雨雲を退け、運命に逆らい、因果を捩じ伏せる極光剣――その模倣である。振り下ろされた一撃が、晴が乱した敵隊列のド真ん中に斬り込み、その反対側までを裂いた。斬撃軌道上にいたゾルダート達が裂かれ、荒れ狂う光の魔力に呑まれて次々と爆発四散する!!
「こんなものかな。注文通りだろう、晴?」
 涼しげな顔で言ってのける陸の耳を、パラドクス通信に乗って届いた晴の大声が劈いた。
「お前このやろ人の必殺技をッ! そんな軽々とッ!!」
「……なんだよ、派手にぶちかませって言ったの君だろ。いつも『なんとなくわかった』って言いながら人の技を真似る人からの文句とか、受け付けないよ?」
「くっっそ見てろ、お前のもどれかパクってやっからな!?」
「逆恨みも甚だしい……ほら、次が来るから。働いて」
「覚えてろぉぉぉおおぉん!!」
 うわーん、とでも言いたげに敵に突っ込んでいく晴。肩を竦めその後に続き、再び光の刃を創り出す陸。
 凸凹コンビのようではあるが、その戦力に不安なし。相対する敵を、次々に蹴散らしていく!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【ガードアップ】がLV3になった!

 
 
 
『惰弱ねぇ。……我らドイツ帝国軍に所属しておきながら、逆賊の始末一つもまともに出来ないなんて』
 背部フライトユニットから黒煙を撒き散らし、ドリルの両腕を高速回転。
 アヴァタール級ゾルダート、トルナード・ヘクセが、敗走するゾルダートらを見下ろし、ぶんと軽く腕を振った。超高速で回転するドリルが真空断層を孕んだ突風を巻き起こし、敵前逃亡するゾルダートらを巻き込んでミキサーめいて斬り刻み、無数の破片として中にブチ撒ける。
『はあ、面倒だけどこの私が相手をしてあげましょう。……私は選ばれた指揮官機。地を這いずる雑魚と同じように出来ると思わないことね。掛かってらっしゃい。このドリルで貫いた穴からあんた達の臓物を残らず引き摺り出し、持って帰って詰め替えて――偉大なるドイツ帝国の礎たる歩兵に造り替えてあげる。光栄に思うのね!』
 哄笑を上げながら、トルナード・ヘクセは天に飛翔した。その速度、目で追いきれぬほど凄まじい!
 この難敵を前に――しかしディアボロスらの意志は決して折れぬ!

 ――奴を殺せ!
 これがこの戦場、最後の戦いだ!
 
 
 
クリスタ・コルトハード
遅滞戦術も効果は上々、トループス級の殲滅は他の方にお任せします
ではいざ、ダンスと参りましょうトルナード・ヘクセ様

俺は徒手にてお相手致しましょう
翻子拳を活用し、嵐のように拳を浴びせかけます
この膂力にスピードを乗せて、たとえ鋼であろうとも貫かせて頂きます

しかし空中戦を得意とする相手……翼のない俺では些か面倒ですが
残留効果の【飛翔】に加えて、林の木を足場に致しましょう
樹木の〝しなり〟をバネのように利用して跳び上がります

なぜ当然のように飛ぶのかって?
それは俺が、ご主人様のためなら地球の裏側にでもすぐに駆けつけられるメイドさんだからです!


テレジット・ネイビス
★他ディアボロス達との共闘歓迎

(多くのメンバーがトループス級と戦うシーンを眺めながら)
こちらは寡兵だけどいずれも精鋭、万一にも遅れは取らないだろう
…それならやることは一つ、将を獲りに行くべきだね

【飛翔】【光学迷彩】を使って上空から隙を伺おう
幸い敵ボスに対して近接戦闘を挑むメンバーがいるみたいだし、
好機が訪れるまで射撃体勢を維持して待つ、ひたすらに

好機を見極めたら穿孔のベテルギウスで一息に撃ち抜こう
尾翼を狙って飛行能力を奪い、体勢を崩したところで頭部あるいは腹部を穿つ
以降は場所をこまめに移動しつつ、援護射撃に徹するよ

武力を行使する者は、武力によって制せらる
気の毒だが、君にとって今がその時だ


●穿つは拳と光なり
 戦場で戦うゾルダートらの間に緊張が走った。
 逃げ出した兵士達を、トルナード・ヘクセが一閃し、破壊したためだ。逃げ出せばどうなるか、その末路を悟った兵士達は捨て身になり、ディアボロス達に襲いかかる。
 多くのディアボロスらがそれを制圧し、撃滅する。それを見下ろしながら、テレジット・ネイビス(彼の者、愉しむがゆえに無情・g00043)は手の内に握ったライフルを一撫でし、深く呼吸をする。
(こちらは寡兵だけどいずれも精鋭、万一にも遅れは取らないだろう。……それならやることは一つ、将を獲りに行くべきだね)
 トルナード・ヘクセの実力は圧倒的だ。あれだけの歩兵大隊を連れながら、己は宙で一人ゆらゆらと気ままに浮遊していたことからも窺える。……だからこそ、これを放置するわけにはいかない。ディアボロス達とて無敵ではないのだ。インファントリー・ゾルダートの砲撃でも直撃すれば只では済まない。死ぬ気で襲いかかってくる敵を排除するのにも過分な労力を要する。
 それ故にテレジットは、『飛翔』と『光学迷彩』を用いて空に隠れ、指揮官たるトルナード・ヘクセを狙うこととしたのだ。無論、全く見つからない保証などない。すぐに斃すことも出来ないだろう。だが、いずれにせよ傷を重ねねば、あの化物を倒すことなど出来はしない。
(焦るな。……研ぎ澄ませ。穿つのはただ一発でいい)
 狙撃とはそういうものだ。矢鱈目鱈に引き金を引くのだけが戦いではない。
 テレジットは好機を待った。――トルナード・ヘクセが嵐の如き暴風を巻き起こし、高らかに笑う。
『雑魚、雑魚、雑魚共! 私に傷の一つも付けられない雑魚共! 跪いて許しを請いなさい!』
「御免ですね。だって礼を尽くして迎えた最中ではありませんか、非礼などとは言わせません! ――ダンスと参りましょう、トルナード・ヘクセ様。この俺があなた様のダンスパートナーです!」
 だ、だ、だだンッ!
 地面を踏みきった足で砕き、跳ねた白髪の影があった。陽光を照り返して赤い瞳が光を曳く。クリスタ・コルトハード(森羅番長・g00039)である。横合いの木の幹を蹴ってピンボールめいた鋭角反射、大樹の枝をメリメリと軋むほどに踏み、――おお、その反発力を撥条めいて用いて上に跳ぶ!! 同時に残留効果『飛翔』を利用、それには飽き足らず樹木の反作用を使った加速は、さしものトルナード・ヘクセをしても予想外。
『なッ――』
「ぼうっとなさらずに! さぁ、さぁ、さぁ!」
 クリスタは脱力した拳を体捌きで繰り出し、命中の瞬間だけ筋肉に力を入れる――『翻子拳』の基本術理にて攻撃を仕掛けた。クリスタの『生まれ持った力』――筋密度は常人の三倍と称される。そこから放たれる、嵐の如き拳の連撃!! 絶え間なく打ち付ける驟雨が如きと謳われる翻子拳、その限界を超えるような拳の嵐が、弾幕のごとくトルナード・へクセを追う!! 竜巻魔女が幾つか被弾しながらも、クリスタの跳躍を単なる跳躍と誤認し、捌くように跳び下がるが、クリスタは空中で『飛翔』により軌道を曲げ追い縋り、尚も拳を浴びせかける!
『っくぅっ?! 人間の分際で、空を飛ぶだと……?! そんなことが有り得るのか?!』
「ふふん。なぜ当然のように飛ぶのかって? それは俺が、ご主人様のためなら地球の裏側にでもすぐに駆けつけられるメイドさんだからです!」
『世迷い言をォッ!!』
 高速回転するドリルを捌きながら、クリスタは連続的に拳を繰り出す!! 装甲の各所を強かに打ち、動きを鈍らせんとする打撃は竜巻魔女に確かなダメージとして積み重なる。それを厭うように魔女は瞳を赤く光らせた。『ヘクセンリヒト』!! 煌めいた瞳から放たれる赤き熱線がクリスタの左肩を穿つ! ……しかし!
「――ご奉仕は止まりません。一度出したら、お客様の心を打ち抜くべし!」
 右手、コークスクリューブロー。左肩に熱線を受けたその反動すら打撃の勢いに還元し、渾身の一撃がトルナード・ヘクセの胸を正面からブッ叩く!!
『がぁッ……!?』
 後ろに吹っ飛ぶ機人が、ドリルも構えず無防備に宙を泳ぐその瞬間。
 それをこそ待っていた。オリオンの赫眼が。

 ――武力を行使する者は、武力によって制せらる。気の毒だが、君にとって今がその時だ。

 声は無い。狙撃手は言葉を発さない。
 だが、代わりにオリオンの矢が、銃声と共に飛んだ。
 パラドクス、『穿孔のベテルギウス』。放つは閃龍、 テレジット・ネイビス。
 トリガー。光線長銃――否、光槍『Ophioneus』が、その名に恥じぬ神速の一突きを放つ。
 打ち下ろしに伸びた光が、トルナード・ヘクセの土手っ腹をブチ抜き、その身体を遙か下方へと弾き飛ばす……!!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【アヴォイド】がLV2になった!

クラウス・ロイスナー
ちっ…場所が悪いな。飛翔とデバイスが有るとは言え、ここで空戦型相手じゃ分が悪い
ならば…自由に飛べないようにしてやるか、動きが悪くなりゃ近接組もやり易いだろうよ

最高速じゃ負けるだろうが、機動性を活かして奴より高度を取るようにしつつ、積極的にMGの制圧しながら対戦車砲、プファールを放ち、高度を落とさせるか、回避を強要させて味方の攻撃チャンスを増やす

もしこっちを鬱陶しく思ってドリルが来たら儲けものだ
一発覚悟で待ち受け、組み付いて背中にアイゼンを食らわせてやるさ
背中の機材を破壊できずとも、機能不全を起こさせればこっちのもんだ
機動力を落とした空戦型なぞカモでしか無いことを思い知らせてやるさ


●決死行
「ちっ……場所が悪いな。飛翔とデバイスが有るとは言え、ここで空戦型相手じゃ分が悪い」
 クラウス・ロイスナー(機械化装甲兵・g04077)は呟く。もっと自在に低空を飛翔できるならばやりようがあるが、周囲は林。相手は空戦型の機体だ。林を縫いながら飛ぶ運動性がある。しかし、こちらは視野が確保出来ていないうえ、全員が空中戦に長けているわけでもない。
 環境に対しての地力の差がモロに出る。――こういうときに大事なのは、味方の能力の底上げよりも、敵へのデバフだ。
「ならば……自由に飛べないようにしてやるか、動きが悪くなりゃ近接組もやり易いだろうよ。最高速じゃ負けるだろうが――ひとつ、空戦の真似事といかせてもらおうか」
 クラウスはクローアームを地面に叩きつけ、仕込まれた炸薬を炸裂させた。爆発の反動をフルに活かし、自分の躰を投げ上げるが如くに跳躍する。その速度を使って飛翔の初速を加速、高々と飛びながらトルナード・ヘクセを捕捉する!
『ふん、苦し紛れの雑兵がもう一匹――うじゃうじゃとよく群れること!』
 竜巻魔女がノイズ混じりの声を吐き捨てるが、クラウスは一顧だにしない。無駄口よりも早く銃を向け、罵声よりも早く引金を引くべきだ。ここが戦場で、自分が兵士であるのなら。
 ビームガトリング、MG131の超高速連射。トルナード・ヘクセは全くそれを意にも介さず、凄まじい速度で弾幕を掻い潜って接近してくる。
『ひょろひょろとした豆鉄砲ね。その程度の火力でよくも突出したわ、死んで後悔なさい!』
 捕捉しきれぬ。トルナード・ヘクセの急速接近。戦車砲を出す間もない。
 だが、結果的に悪い展開ではない。餌にした牽制射撃に敵が食いついた格好だ。――もとより、パラドクスでなければ、クロノヴェーダにはダメージを与えられぬ。
 突っ込んでくる魔女のドリルをギリギリで捌き、肘を脇で抱え込むように押さえ込む!
『なッ……! 離せ!』
 直後に放たれるヘクセンリヒトをガードしたアイゼンが使用不能に。クラウスは覚悟を決める。ならば放つのは『ゲプリーレンプファール』。ここからなら初速の遅い弾頭でも絶対に外すまい。
「機動力を落とした空戦型なぞいいカモだ。思い知らせてやる」
 藻掻くトルナード・ヘクセを抱えたままの至近距離! プファールを連射、自身諸共に敵を氷結爆発に巻き込む……!!
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】がLV5になった!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!

アイネリス・レナリィ
そういえば貴方の部隊、想像以上に粗悪な鋼を使っているのね?
あれでは数を揃えた所で無駄ばかりだし、もう少し品質に拘る事をお勧めするわ。
…次があれば、の話だけれど。

好き勝手飛び回られても面倒だし、こちらも【飛翔】して【空中戦】を挑みましょうか。
視線を切るように背後を取りながら【逆巻く流星】を発動、【連続魔法】で間断なく畳みかけていくわ。
避けさせ続けていればじきに綻びも生まれるでしょう。
なるべくなら他のディアボロスとも連携を取りたい所ね。


●魔術対技術
『ぐうっ……!』
「いい気味ね。畳みかけるわよ」
 至近距離で氷結爆発に巻き込まれ、たまらず動きを鈍らせながら空中を飛び下がるトルナード・ヘクセに対し、冷たく言い捨てるのはアイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)。残留効果を用いて飛翔し、敵から距離を保って並行飛行。制空権を許さない構えだ。
 アイネリスは左手をまるで指揮するように高々と上げ、
「――追い立てろ、槍刃」
 振り下ろす。周囲に生成されるのは無数の槍めいた黒鉄の刃。アイネリスが扱う黒鉄の魔術の一つ――パラドクス『逆巻く流星』。
「行け」
 命令に従い放たれた槍刃の群は、まるで精緻な電子回路めいた、角張った軌道変化で敵を追尾する!
『その程度の攻撃で私を落とせるとでもッ……!』
 動きを鈍らせながらもやはりアヴァタール級。並のゾルダートならば氷結爆発の直撃で決着だったはずだが、トルナード・ヘクセにその様子は無い。放たれたアイネリスの黒鉄の刃を、連続レーザー放射――『ヘクセンリヒト』により悉く切断破壊! 竜巻魔女はアイネリスを追うように視線を動かしてレーザーの射界に捉えようとするが、しかしアイネリスは絶えず敵手の視界外――背後側に向けて旋回を行っている。最早積み重なった残留効果と、彼女自身が用いた魔術の残留効果により、アイネリスの速度は時速三百キロに近づきつつある!
 絶えず動き、死角に回り込みながらも高速で詠唱を繰り返し、まるで輪唱めいて同一の術式を発露させ続ける。『逆巻く流星』、連続起動! 
「――そう言えばあなたの部隊。想像以上に粗悪な鋼を使っているのね? あれでは数を揃えた所で無駄ばかりだし、もう少し品質に拘る事をお勧めするわ」
『貴様ッ……!! 偉大なるドイツ帝国の兵器に言うに事欠いて粗悪ですって!?』
 嘲るようなアイネリスの言葉に、トルナード・ヘクセが飛翔、回頭。レーザーで射貫こうとアイネリスを今度こそ視界に捉えた、その刹那。
「随分安い挑発に乗るものね」
『……!』
 竜巻魔女を迎えたのは、ずらりと彼女を囲むように、穂先を揃えた槍の群れ。レーザーひと薙ぎでは捉えられぬ槍衾!
「――次はないわ。外さない」
『このッ――!!』
 レーザーと、無数の槍が同時に放たれた。
 アイネリスの腕をレーザーが掠め――十数本の黒槍がトルナード・ヘクセを射貫く。
 近代兵器と魔術の空中戦を、束の間、魔女が制する……!
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【飛翔】がLV6になった!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!

朱・吉鷹
アー…ありゃ見たとこ風の魔弾が通じねえなあ。
一回退く。
こういう時のために仕込んでんだ、服の裏地に。【光学迷彩】。

確かよ、制空権を取ってくれたやつがいただろう。
そこに便乗して高所に行けりゃ良いんだがね、叶わねえなら贅沢は言わん。

あれの頭を落としゃ終いだろ。
それとも翅か?心臓か?まあ何だって良い。
急所を晒すまで息を殺して待つ。
隠れてるのはおれだけじゃない。
そら、光の魔弾も見えづらいはずだぜ。
こいつにだって[不意打ち]できるくらいの術はかけてあるんだよ。

とはいえ一発撃ちゃ、おれの位置なんざすぐに分かっちまうだろうさ。
真上から飛んでくるならそこに向かってもう一発ぶち込むだけだ。
あっやべ破片


●貫光
「アー……ありゃ見たとこ風の魔弾が通じねえなあ」
 呟いたのは、朱・吉鷹(巡礼者・g01442)。魔術師だったのは昔の話だが、その頃の杵柄で、見立ての良さと用意周到さは変わらない。故に、彼は直接対峙を免れ、周囲の景色に溶け込んだ。『光学迷彩』。残留効果に加え、服の裏地に編み込んだ魔術式の光学迷彩を重ねがけし、隠れ、潜む。
空で派手に暴れ、敵に一方的に制空権を許さずに、ディアボロス側の制空権を確保している味方がいる。それにありがたく便乗し、吉鷹は木を蹴り上って、一等高い大樹の天辺近く、張り出した枝に片膝を突いて陣取った。
 激戦の音に紛れ、スナイパーライフルのボルトハンドルを引く。装填。ハンドルを叩き落としロック。静止目標ならまだしも、あんな高速移動をしている奴を悠長にスコープで狙ってはいられない。アイアンサイトでの照準。
 ――あれの頭を落としゃ終いだろ。それとも翅か? 心臓か? まあ何だって良い。大事なことはいつも一つ。銃で撃てば、敵は死ぬ。
 それこそが、吉鷹にとって、いっとうたしかな真実だ。
 急所を晒すまで息を殺して待つ。銃身のライフリングに刻み込まれた術式が、弾頭に刻み込まれた術式が、吉鷹の殺意を灯して煌めいた。これは光の魔弾。屈折し、屈曲し、像の姿をねじ曲げ、盲点を穿つ。――隠れているのは吉鷹だけではない。彼が放つこの魔弾こそ、不可視の魔弾。《首無し》。
 トルナード・ヘクセに目掛け、無数の黒槍が突き立った瞬間を狙った。銃声が響き渡り、それが敵に届くよりも早く、《首無し》の弾丸が竜巻魔女の脇腹から入り、人間ならば心臓のある位置を穿った。ぎゅるッ、と魔女が回頭し、吉鷹を睨む。
「睨むなよ。命の取り合いはお互い様だろ」
 吉鷹が即座にボルトのロック解除、真っ直ぐに引いて薬莢を廃莢する間に、まさに銃弾めいた速度でトルナード・ヘクセが突っ込んでくる。その手のドリルを高速回転させて。
 ――そうさ、真っ直ぐ突っ込んでくるだろ。知ってた。
 だから吉鷹は枝振りを真っ直ぐに後ろに蹴り、接近してくる敵を両目で睨み、サイトの中に捉える。――おかげでもう一発叩き込める。
 トリガー。
 銃声と、彼の右脇腹をドリルが穿ったのはほぼ同時だった。ゾルダートの苦鳴、右胸部の銃創からオイルが噴き出す。吉鷹は血を撒き散らし、落ちながらべろりと舌を出した。
 光の魔弾は、確かに届いたのだ。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【光学迷彩】がLV4になった!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!

雨鈴・小夜
配下を全て失い後はあなた一人
「ざまをみろ、ですわ。レジスタンスは、あなた達帝国を打ち破るその時まで戦い続けますわ」
…これは挑発です
空の高みに居る敵手を刀の間合いまで引きずり下ろすための

ドリルを構えて突進してくるヘクセに対し
わたくしは動かず構えて交差を待ちます
(呼吸を整え、視線を真っ直ぐ。余分な力は無用、刃に込めるのは僅かな力と確かな殺意のみ)
完璧なタイミングで放たれた剣閃は、必ずや相手の鋼を断ち痛撃を与えるでしょう

一撃喰らったことで戦術を変え、空に逃れようとしたら
これまで隠していた装備を使う時ですね
箒に仕込んだ飛翔装置でこちらも空中へ
「空は己だけの領域と思っていましたか?逃しませんよ」


●羅閃
『くッ……小賢しい蛆虫共が、生意気に羽もエンジンも持たずに飛び回って!!』
 噴き出したオイルすら、鋼鉄のドリルでは拭えない。内部機構による自動メンテナンスを行いながら、トルナード・ヘクセが忌々しげに吐き捨てる。それに応じるように、凜とした声が響いた。
「配下を全て失い後はあなた一人――傲りが仇になりましたわね」
 雨鈴・小夜(桜月の冷たい夜・g00135)である。左手に『信壊』。竹箒に仕込まれた直刀。鍔すらないが、これでいい。――否、これがいい。小夜はわざ、戦闘により木々が薙ぎ倒され、遮蔽物の無くなった開けた位置で堂々敵を睨み据えた。
「ざまをみろ、ですわ。レジスタンスは、あなた達帝国を打ち破るその時まで戦い続けますわ」
『薄汚いレジスタンスの溝鼠風情が、我らドイツ帝国軍を愚弄した事を後悔なさい!』
 ぼウッ!! バックファイアを噴き、魔女は急加速。ドリルを構え、上昇からの回頭反転、急降下! ブースターノズルを短スパンで偏向稼働させ、まるで鋭角的な螺旋めいた動きで小夜目掛けトップアタックをかけてくる。
(乗ってくれたようですわね。――これなら、届きますわ)
 機械という割に、忠誠心と帰属意識がある。そこを衝いての挑発。突っ込んでくる敵を前に小夜は不動のまま、躰だけを捻る。待つのは交錯のその刹那。
 呼吸を整え、視線は真っ直ぐ。余分な力は無用、刃に込めるのは僅かな力と確かな殺意のみ。
『その血で大言の罪を贖いなさいッ!!』
 高速回転するドリル。小夜は極限まで集中し、敵の攻撃の軌道を見た。――速い。避けきることは出来まい。だが、相打ち以上に持ち込むことは出来る。
 手にした刃の如く。疾く、鋭く、真っ直ぐに。
 交錯するまさにその刹那、交差法――カウンターめいて小夜は、ドリルから身を反らすように右斜め上方へ跳び上がった。抜刀。

 序ノ段『新月』。鞘走る。

 裂帛の気合が抜けるような蒼穹に突き立つその前に、直刀がトルナード・ヘクセの首元を、繋がったチューブごと引き裂く!!繰り出された左のドリルが小夜の左腕を深く抉り取り血を散らすが、
『っぎ、ィぅッ……!!?』
 ノイズ混じりのざらついた悲鳴からしても、ダメージの重さを比べるべくもない……!
 降下の勢いを殺せず地面を抉りながら数転と転がる魔女を、着地した小夜が振り向き、残心。
「――どうやら、罪を贖うのは、そちらの方になりそうでしてよ?」
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【一刀両断】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!

レント・オルトマン
相手は空中か、あの速度で動き回られては堪らん
地面へ引きずり下ろすぞ

前線に出て相手を挑発しよう
射撃の狙いを態と荒くして注意を惹き
倒れた機械兵を踏みつけるなれして
俺のような半端者でも壊せるクズ鉄を率いるとは、貴様も大したことは無いと見えるな
等と罵ってみよう
冷静さを失ってくれればそれだけ御し易くなる

こちらの方へ突っ込んで来てからが勝負だ
未来予測で接触時間を測り
直前でセルフクラフト、相手の視界を一瞬でも塞ぐ
神速反応で進路から飛び退きつつ
破壊される壁に紛れる形でタケノコを送り込み
狙いは奴の影だ
これで完全には止まらぬだろうが大きな隙になるはず
エルガゼーレを振り下ろし奴を大地に叩き付ける
ここで畳み掛けるぞ!


飛鳥・遊里
『毎度。スクラップ解体の依頼受けて来たんだけど、依頼者兼解体対象はあんたかい?』

話しかけながら、ガンビット・フレキシブル起動準備

空中戦がお得意らしいけどな、律儀に同じ土俵で戦うつもりはないよ。俺が空飛ぶ必要ないし

『では早速、お仕事にかかるとしましょうか』

ガンビット・フレキシブル起動

『ま、そいつら一機一機は確かに大したことないんだけどな?』

[信号拳銃]で、奴に向かって、閃光弾を打ち込む

『そいつらの相手をしながら、俺の嫌がらせと、仲間の相手が出来るかな?』

後は攻撃をガンビットと仲間に任せながら、俺はチクチク嫌がらせだ。卑怯?なんとでもどうぞ。だって俺、戦士でも兵士でもない、ただのエンジニアだしな?


綾宵・藤璃
ふむ、厚顔無恥な行いに見合う力はお持ちの様子
…その美的感覚は許容致しかねますが
侮れぬ敵である事は認めましょう

光学迷彩の恩恵を活用し、身を隠しつつ
上空の敵には常に警戒を
いつ、何処より急接近してくるか分りません
…ですが、その瞬間こそ
つけ入るべき『隙』なのでしょう
上空で飛び回られては厄介ならば…地上への誘導こそ最善
未来予測で落下動作を確認したならば――ダフネ
彼女の光使いにて、目眩しを試みます
敵が怯んだ隙に放つ、捨て身の連射
決して外しはしません
飛行に必要な機動部を潰してしまいましょう
特製の毒を丹念に塗り込んでおります故
掠っただけでも時間稼ぎになる筈です

――さて
無様に地面へ這いつくばる気分は如何ですか?


●Anchor
『っ……つくづく鬱陶しい糞虫共だこと!!』
 トルナード・ヘクセがジェット噴射により再び急上昇、姿勢制御。だがその動きには当初のような余裕は無い。確実に追い詰められている。
 だが、そうなったとて一人で圧倒できはしない強敵だ。事実、ここまでに相対したディアボロス達も浅からぬ傷を負わされている。
(――ふむ。厚顔無恥な行いに見合う力はお持ちの様子。その美的感覚は許容致しかねますが、侮れぬ敵である事は認めましょう)
 綾宵・藤璃(送る繊指・g01014)は内心呟きながら、残留効果『光学迷彩』を活用して森の中に身を隠す。上方から、いつこちらの存在を検知して襲いかかってくることか知れぬ。
 ……だが、逆に言えばその時こそ好機。付け入るべき隙だ。敵は元々空戦用の機体。好き勝手に飛び回らせては後手に回るのはこちらの方。
(ならば、地上へ叩き落とすのが最善)
 藤璃がそう考えるに至るのと時を同じくして、ザッ、と音を立てて姿を晒す金髪の男の姿があった。藤璃とは対照的に逃げも隠れもするつもりが無い様子である。
「――よく吼えるクズ鉄だ。引きずり下ろしてやる」
 レント・オルトマン(エンデクーゲル・g01439)である。
 超高速で飛び回る敵の速度を厭ってか、右手に大型ライフル『エルガゼーレ』を構えながら、叫ぶ。
「俺のような半端者でも壊せるクズ鉄を率いるとは、貴様も大したことは無いと見えるな。その五月蠅い屁のようなエンジン音もいい加減耳障りだ。技術力を謳うのなら、少しは静かに出来ないのか?」
 足元のゾルダートの残骸を蹴飛ばしながらの痛烈な皮肉に被せ、エルガゼーレによる射撃。爆音での数射を、恐ろしいほどの運動性による曲芸飛行で回避しながら、ぎらりと紅眼を光らせて竜巻魔女がヒステリックに叫ぶ。
『言うに事欠いてクズ鉄ですって?! ああ、――ああ、あんたは生かしておかない、臓腑まで残らず掻き回して挽いて、ブチ撒けてあげるわ!!』
 凄まじい速度だ。宙を有機的な軌道を描いて飛ぶ魔女を、最早ジェット推進の噴炎の残光でしか捉えられない。レントの背中を汗が伝う。
 ――だが、狙い通りだ。冷静さを失ってくれればそれだけ御し易くなる。突っ込んできてくれてからが勝負。
 たった一秒先の未来を見通す『未来予測』、常の二倍程度には反応速度を速める『神速反応』。レントが頼りにしたのはそのふたつ。自分が串刺しになる未来が見えたその瞬間に、レントは振り上げた腕の先に『セルフクラフト』によるコンクリート塊を現出する!
『悪足掻きをォッ!!』
 まるで豆腐のように、ドリルがコンクリート塊を貫いて粉砕した。レントとしてもその速度での突破は予想外だったが、
「ダフネ!!」
 横合いから叫ぶ声。藤璃のものだ。身を隠しながらもレントを援護する手を選んだのだ。オラトリオ『ダフネ』が、藤璃の声に応じて凄まじい光を放ち、一瞬――ほんの一瞬だけ、トルナード・ヘクセの視覚センサーを規定以上の光量で麻痺させる!
『小細工をっ……!!』
 繰り出すドリルの切っ先の動きが鈍る。一瞬前までレントがいたはずの場所に、トルナード・ヘクセは闇雲にドリルを突き出す。だが当然の如く空を切る刃先! 藤璃の援護が無ければ、おそらく神速反応を用いていたとしても貫かれていただろう。だが、そうはならなかった。連携の成せる技である。
「――タケノコ! 行けッ!!」
 そして。ダフネが発した光が森に焼き付けた影に、疾風の如くに牙を突き立てる影がある。レントの命に従って飛翔したのはクダギツネ『タケノコ』だ! パラドクス、『管狐影縛法』! レントははじめから、タケノコによる敵の影の拘束を目標として動いていたのだ!
『ぐうっ……?!』
「オオッ!!」
 動きの鈍るゾルダートのボディを、レントの打撃が捉えた。強靱なるエルガゼーレの筐体が打撃力をフルに伝え、竜巻魔女を地面と水平に吹っ飛ばす!
「――今だ!! ここで畳み掛けるぞ!!」
「いいトスです。これなら、決して外しません」
 その軌道を見ながら、藤璃が完全集中。光学迷彩すら解除し、身を晒し、捨て身の覚悟で矢を番える。飛行に必要な駆動部を束の間麻痺させるだけでいい。飛べなくなれば、あるいは動きが鈍れば、後は仲間の仕事だ。
「たっぷりと召し上がれ」
 矢を番え、放つ。ただそれだけの動作が、戦慄するほどに速い。
 まるで流星雨。『スコルピオンスティング』の矢群が、空を引き裂いて、吹き飛ぶトルナード・ヘクセに飛び、――過たず突き刺さる!!
『~~~~~!!!』
 震えるようなノイズ混じりの矩形波。機械の魔女が悲鳴を上げる。
 行動を阻害する毒をたっぷりと塗った鏃がトルナード・ヘクセの速度を更に下げる。それでもなおブースターをフル稼働、空に舞い戻ろうとする魔女に、飄々とした声が掛かった。
「毎度。スクラップ解体の依頼受けて来たんだけど、依頼者兼解体対象はあんたかい?」
 飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)が、木に寄りかかって腕組みをし、顎をそびやかす。
「空中戦がお得意らしいけどな、律儀に同じ土俵で戦うつもりはないよ。俺が空飛ぶ必要なんてないしな」
『ッ……、群れて小細工を積み重ねる糞虫共が、次は何を見せてくれるのかしら……!』
「当たり前だろ。鮮やかな仕事ぶりってやつさ」
 ――じゃ、早速お仕事にかかるとしましょうか。
 遊里はマルチツール・ガントレット『ヘパイストス』を翳し、それを司令塔としてパラドクスを起動。ガンビット・オールコントロール・グリーン。『ガンビット・フレキシブル』、起動!
 無数のビット兵器群が遊里の周りに浮遊し、その一つ一つが遊里のパラドクスにより操作され、三次元機動を取って襲いかかる!! ビットが次々と光弾を放ち、四方八方――意や、それどころではない全方位からのオールレンジ攻撃を加え、トルナード・ヘクセの全身を削り火花を撒き散らす!
『がっ、あぁぁあぅっ……!? このっ、調子に乗ってェッ!!』
 トルナード・ヘクセが薙ぎ払った腕から強烈な旋風が巻き起こる。『ドリルトルナード』だ。両腕から巻き起こる二つの竜巻の軋轢に揉まれ、ビットが次々と爆散するが、
「生憎数だけは沢山あってね。――一機一機は確かに大したことないけど、そいつらの相手をしながら、俺の嫌がらせと仲間の攻撃に対応できるかな?」
『卑怯な……!!』
「罵声のバリエーションも品切れか? 何とでもどうぞ。だって俺、戦士でも兵士でもない、ただのエンジニアだしな」
 言うなり、遊里は信号拳銃により閃光弾を撃ち込み、トルナード・ヘクセの視覚センサーを再度漂白する。それに怒りの声を上げる前に、レントと藤璃の援護狙撃が、竜巻魔女の全身を穿った。
『っが、……!!』
 ひとときのこととはいえ、ついに、地に膝を突くトルナード・ヘクセ。
「――さて。無様に地面へ這いつくばる気分は如何ですか?」
「糞虫だの何だのと言ってくれたが、これで目の高さが並んだな、クズ鉄」
 二人の狙撃手が、矢を番え、弾倉を再装填し、嘯くように嘲った。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【傀儡】LV1が発生!
【修復加速】がLV2になった!
【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV6になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

星見・晴
◆陸(g01002)と

あいつ斃せば一件落着ってぇ訳だよな陸。
最後は派手にドォンといくとすっか。
やってやろぉぜダチ公!!

(嵐みてぇな風こっちに向けてくんのぁやり辛いが、高々風如きずんばらりと[両断]してやる。
陸みてーに【セルフクラフト】盾にするのも良い。敵がじれて近距離攻撃仕掛けてくれば、陸の援護に乗じる形で構えを取り――

【未来予測】で敵の攻撃を見切り最適な太刀筋を
【操作会得】で握る大刃をオレの身体の一部とし
後は【神速反応】にて待ち構え)

〝流星〟。

(壱太刀、弐太刀でドリルをいなし
参、肆、伍、陸を敵に叩き込み
漆太刀目、光槍の一撃と合わせ、いざや煌めけ極彩の一閃!!)

――悪ぃな、オレらの勝ちだ!


竜城・陸
晴(g00661)と

そうだね、これで終わり
では手早く済ませるとしよう

【セルフクラフト】の恩恵を借りて
突風を遮る即席の壁を生み出しながら戦闘
創出した盾も、それを往なす助けとするよ

遠距離攻撃が功を奏さないと判れば突撃せざるを得ないだろう
その一瞬に【未来予測】の恩恵を借りよう
一秒先が視えていれば十分
己が裡に在るものを形成すのに、時は必要ないからね

上空から急降下する相手が、晴と交錯する瞬間
光の剣を投擲し、相手に対応を強制させる
僅かな間隙さえ生み出せれば十分
そこを見逃す彼ではないさ

まあ、黙って見ているつもりもないけど
[連続魔法]で編む二撃目は光の槍
晴の極閃、その最後の一撃に合わせて
光槍を叩き込むよ


●粉砕
「あいつ斃せば一件落着ってぇ訳だよな陸。最後は派手にドォンといくとすっか。――よぉ、やってやろぉぜダチ公!!」
「そうだね、これで終わり。……では手早く済ませるとしよう。これ以上生かしておいて、いいことなんて一つもないだろうからね」
 星見・晴(赤星番長・g00661)と竜城・陸(蒼海番長・g01002)が声を交わす。
 それを聞いたか――地上に引き下ろされ、ディアボロスらの波状攻撃を捌くトルナード・ヘクセが、怒りに震えるように身震いをした。
『手早く済ませるでスっテ? この、この帝国ドイツ軍ノ誇り高きゾルダートたるコの私、ヲォッ……!!』
 最早声は矩形波混じりのノイズまみれ。飛行機能をほぼ喪失した魔女ではあるが、地上近くを散発的に噴かすブースターで滑空し、ジグザグの不規則な動きで距離を離して、高速回転するドリルをバックスイング。
 怨嗟に吼える。
『殺しテやル、……殺シてやるゥッ!!』
「はっ、あったまってんじゃねーか!!」
「……来るよ晴。火は消える直前が一番盛る。油断は抜きだ」
 陸の言葉通り、トルナード・ヘクセはその全出力を振り絞った。二本のドリルを超高速回転し、パラドクス『ドリルトルナード』を発動する。巻き起こった風が、周囲のゾルダートの残骸や林の木々などをまるでミキサーにかけたかのように斬り刻み、巻き込む。大量の残骸や飛礫を巻き込んだあの竜巻は最早破壊の渦だ。呑まれればただでは済むまい。
 晴と陸は、一度きり頷き合って、竜巻に正面から突っ込んだ。
 竜巻に巻き込まれる寸前、二人は『セルフクラフト』で同時にコンクリートブロックによる壁を形成。更に、陸がパラドクス『Sleg』を応用して超硬質の光の盾を生み出す。――竜巻と激突早々に、飛礫や残骸にもろに巻き込まれることだけはそうして回避した。
 しかしそれも持って数秒。パラドクスに対抗できるのはパラドクスだけ。瞬く間にコンクリートブロックが、風勢に切られ削られヒビ割れる! そして陸が創り出した盾さえも、竜巻魔女の呪いめいた暴風の前に亀裂走り、光の粒子めいて砕け爆ぜた。
 護りの崩壊! 残骸が、破片が、飛礫が、晴と陸を襲う。全身を打ちのめす、飛礫を孕んだ魔女の竜巻。晴の装甲でも、陸の防御障壁でさえも防ぐこと叶わぬその威力は、まさにアヴァタール級の兵装として相応しいものだ。
 ――だが!
「風をビュービュー吹かせようがよ――その程度じゃ番長は止められねぇんだよ!!!」
 ゴッ!!
 晴と陸が、同時に腕を振るった。晴が振り上げるは極光の剣、陸が振り被るは魔光の槍。竜巻の中心から強烈な斬撃薙ぎ払い。同時に繰り出された二閃が内側より二つの竜巻を食い破り、吹き飛ばす!!
『なッ……!?』
 晴も、陸も傷だらけだ。だが、彼らには躊躇も恐怖もない。その瞳は、ただこの忌まわしき機械の魔女の終焉だけを映している。
「そんなモンじゃ、オレたちは止まってやらねぇぞ!! ――かかって来い!!」
『ッ――!!!』
 吼える晴を恐れるように、トルナード・ヘクセはブースターを最大出力で噴かし、現時点での最大加速で晴目掛け飛び込んだ。ドリルの回転速度も最高速度を更新する。まともに食らえば、着弾面が一瞬で挽肉になるほどの超高速回転。
 晴が飛び込む。陸はその後ろで光の槍を剣に変形させ、振り被る。『未来予測』。彼らには全く同時に、一秒先の未来が視えている。
 たかが一秒、されど一秒!
 凄まじい速度でジグザグに接近してくる敵を、しかしカウンターめいて迎えるのは光の剣。無論陸が投擲したものだ。相手に対応を強制させ、僅かな間隙さえ生み出せれば十分――そこを見逃す晴ではない。
 弾くために腕を振るうトルナード・ヘクセ。防御動作、一手のロス。
 はたして、弾かれた剣が爆ぜて光の粒子に還る前に、ねじ込むように、『神速反応』で己の反応速度を限界を超え加速した晴が飛び込んだ。壱太刀、弐太刀。ドリルを敵の身体の外側目掛け弾きいなし、立て続けに参、肆、伍、陸撃! 一太刀ごとに敵の装甲を斬り裂くは暁光の剣、『DAYBREAK』! 噴き出すオイルが赫奕と燃える剣の熱に炙られ燃える!!
『ギィッ――!?』
「相手が悪かったということだよ。さよならだ」
「そういうこった――悪ぃな、オレらの勝ちだ!」
 身を捻り溜めた剣先が極光に燃える。晴の連続剣技、『流星』――その漆太刀目は無論、宿業を斬り伏せる極光の牙!! それに、陸が計ったようなタイミングで光の槍を形成。己が裡に『在る』ものを創出するのに、時など要らぬ。
 放たれた牙と、光の魔槍がトルナード・ヘクセの躰を半ば断ち、喉を貫いて発声器官を破壊した。真ッ赤なアイカメラが、まるで恐怖を映しているかのようにチカチカと明滅する。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【神速反応】がLV2になった!
【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV3になった!

 
 
 
 そうして、トルナード・ヘクセは自分が完全に敗北したのだと知った。
 彼女は確かに強力なアヴァタール級のゾルダートだ。……しかし、一人一人に対して優勢で戦えたとしても、常にディアボロス達には優れた作戦と数の利があった。
 ――戦闘データを持ち帰れば、この精兵達に対抗する手段を我が帝国にもたらす一助となるに違いない。
 そう判断し、トルナード・ヘクセは、千切れかけまともな継戦が望めぬ躰を翻し、オーバーヒート覚悟でブースターを噴かした。転進。林の中を超高速で飛び抜け、己が来た方向へととって返す。
 
 
 
奴崎・娑婆蔵
●SPD
・攻防時効果2全て使用


大将首、狙わせて貰いやしょうか

手前、姓は奴崎名は娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
八ツ裂きにしてやりまさァ


・敵前に堂々立ちながらも、間合いの感を狂わせよとばかり存在感を希薄化せしめる、無形の構えにして異形の剣理(モブオーラ+忍び足+呼吸法)
・敵接近の刹那を待ち構え(勇気+精神集中)、過たず斬って落とさん


一太刀目で右の得物を弾く
二太刀目で左の得物を捌く
三太刀目で離脱を阻む
四太刀目で行先を絞る
五太刀目で追い込む
六太刀目で打ち込む
七太刀目で崩す
八太刀目で叩ッ斬る

八度も斬り掛かりゃァ斬って斬れねえこともなし

二尺六寸の殺人領域
八手詰めの我流魔剣
殺人技芸――『キラーズ・エイト』


●終焉の殺人魔剣
 ――だが、その先にいる。喧嘩は頭を狙うもの。どんなカチコミでもいつも同じ。
 ハナから、彼は魔女の首級を狙っていたのだ。

「手前、姓は奴崎名は娑婆蔵。人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』」
 ずらり。抜刀、黒鞘、トンカラ刀。
「――八ツ裂きにしてやりまさァ」

 加速するトルナード・ヘクセの前方に堂々姿を現したのは、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)である。
 ひゅううう、と隙間風のような吸気が響くなり、その存在感が希薄化する。構えらしい構えが無い、そう、無形の構え。ただ即応すべしと刃の切っ先を上げただけの、棒立ちに似た構えだ。
 覇気も、脅威も感じられない。だからトルナード・ヘクセは、『この一体だけなら排除できる』と、そう判断した。――故に、現状許される最大加速にて突っ込み、全力でドリルを繰り出したのだ。
 弾かれた。
 え、と思う前に躰が勝手に二発目を繰り出す。いなされた。馬鹿な。手数が多すぎる。……否。敵が何重にも見える――いや、違う、質量を持った分身を、創り出している!!
 驚愕に止まりかける思考。なぜ、と思いながら速力のまま突っ切ろうとしたところを、三体目が放つ三撃目で押さえ込まれた。馬鹿な。なぜ、覇気も闘気にも欠ける弱卒に、こんなことができる?
 四。避ける。いや。『避けさせられた』。五発目をよろめくように避けるが体勢が崩れる。六。打ち込まれ、右眼が破壊された。視界の半分が砂嵐で埋まる。七。胴に入って躰が浮いた。推進器の全力で、上に逃げようと噴かすが、
 ――その先に、剣鬼が既に跳んでいた。

 そう。娑婆蔵は弱卒などではなく。
 己をそう見せかけるために、あらゆる残留効果を使って戦力を誤認させたに過ぎない。

 振り下ろす八撃目が、度重なる攻撃で脆くなったトルナード・ヘクセのボディを今度こそ、袈裟懸け二ツに断ち割った。断たれたボディが空中に双方くるくると舞って、――爆発四散!!
 娑婆蔵は着地し、ヒュッと刀を振って油を払った。
「八度も斬り掛かりゃァ斬って斬れねえこともなし」

 ――これぞ、二尺六寸の殺人領域。八手詰めの我流魔剣。
 殺人技芸――『キラーズ・エイト』。
 刃翻し、逆回し納刀。

「これにて一件落着。――よござんす」

 響く鍔鳴りの音が、拍子木のように蒼天に響いた。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2021年09月22日