UENO PANDAFUL EXPEDITION(作者 月夜野サクラ
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#TOKYOエゼキエル戦争  #上野上陸作戦  #台東区  #上野 

「まさか『統治者』アルケーがディアボロスに滅ぼされて、文京区が海に変わってしまうとは……」
 額に珠の汗を浮かべて、『光の調停者』イーリスは奥歯を噛んだ。TOKYOエゼキエル戦争、台東区・上野――その二つ名に相応しい絢爛豪華な神殿は、アルケー敗北の報を受けひどく色めき立っている。秋葉原を守っていたカシエルも今はない以上、上野を護り切るのは現実的に困難と言わざるを得なかった。
「やむをえません、浅草寺に本拠地を移動させます。この上野の地を護る者達には、死守命令を出しておきなさい。彼らは、本拠地を護る要衝を任された精鋭の側近達です――カシエルのように、ディアボロス相手に時間を稼いでくれるでしょう」
 その間に、なんとしても迎撃態勢を整えなければ。
 時間はありませんよと天使達を𠮟咤して、イーリスは厳かに目を閉じた。

●CAUTION
 人類史改竄術式『刻逆』。その発動から丸一年の時が過ぎ、世界はわずかながらもその大地を取り戻しつつある。この東京でも、昨年末のディアボロス・ウォーを経て二十三区のうち港区・渋谷区をはじめとした六区が最終人類史への帰還を果たし、去る七月にはそこに文京区が加わった。そして現在――復讐者達は新たなる大地の奪還に向け、動き始めている。
「TOKYOエゼキエル戦争で、タイトー区に侵攻できるようになったらしいな」
 集まった復讐者達を見渡して、ハルトヴィヒ・レーヴェンブルク(殲滅のカノーネ・g03211)は淡々と言った。
 秋葉原を守っていたジェネラル級大天使『電脳大天使カシエル』は倒れ、台東区への道が開けた。既に多くの復讐者達が、かつて『統治者』アルケーによって支配され、今は最終人類史に帰還して海となった文京区から、上野地区への侵攻を開始している。
「ウエノの周りは今、台東区の支配者……『光の調停者』イーリスの側近のアヴァタール連中が守ってる。その拠点を一気に制圧できれば、タイトー区の奪還に大きく近づけるだろう。……そういうわけだから、手を貸してくれ」
 見つめる氷晶の瞳は変わらず鋭く、クロノヴェーダへ怒りに燃えている。

 分かった、と頷いて、復讐者の一人が応じた。
「それで、何をすればいい?」
「パンダの秘密を探ってほしい」
「パンd……なんて?」
 しれっと、さらっと告げられた言葉に、思わず数人が聞き返した。訝るような眼差しを投げ返して、軍服姿の少年は続ける。
「パンダ。知らねえのか? ヒーナの熊で、白くて黒い……」
 いや、そういうことは訊いてない。
 パンダ。ぱんだ。PANDA。いざクロノヴェーダの本拠地に乗り込もうという緊迫した状況からするとあまりにもファンシーな響きだが、ハルトヴィヒはあくまで真顔で続けた。
「ウエノの動物園は、ディヴィジョン内の一般人向けに今でも営業を続けてる。ただ妙なことに……園内を大量の仔パンダがぞろぞろ歩き回ってるらしい」
「大量のこぱんだ……」
 想像しただけでアカン可愛い。あらぬ妄想に心奪われている復讐者達をいっそう怪訝な目で見やって、少年は小さく首を捻る。
「そのパンダにはいくら触ってもいいらしいんだが、一般人が触るとそこからエネルギーを吸い取られちまう。大方、動物園を管理してるアヴァタール級が、魔力で創り出したパンダを介して信仰の力を集めてるってとこだろうな。……なんでパンダなのかは、よく分からねえが」
「クッ……」
「きたない。さすがクロノヴェーダきたない……!」
 こぱんだを餌にするなんて、そんなの誰だって引っ掛かるに決まってる。いわんや動物園を進んで訪れるような動物好きが、こぱんだを無視して通ることなどできるものか。
 おのれクロノヴェーダと息まく復讐者達をいよいよ不可解な顔で見つめ、ハルトヴィヒは言った。
「とにかくお前らにはウエノ動物園に入り込んで、パンダの出どころを突き止めてほしい。パンダを創り出してるヤツが、その近くにいるはずだからな」
 まずパラドクストレインで、エゼキエル戦争では海となった文京区に乗りつけ、そこから泳いで台東区へ渡る。服を乾かすなり着換えるなりして身支度を整えたら、後は一般客に紛れ込めば、動物園内に入り込むのは難しくない。
 入園後は動物を見て回る振りをしながら、仔パンダがどこから来ているのかを突き止め、そこにいるアヴァタール級――恐らくはイーリス側近の――クロノヴェーダを叩けばよい。そうすれば、魔力で生み出されたパンダは消え、動物園を訪れる一般人がエネルギーを吸い上げられることはなくなるはずだ。
 なお念のため補足しておくと、動物の世話や経営はちゃんと一般人が行っているため、アヴァタール級のクロノヴェーダを倒しても園内の動物達に悪影響が出ることはない。極めて大事なことなので言いました。

「ブンキョー区を支配してたアルケーは、大天使側のまとめ役だった。それが撃破されて、大天使勢力には動揺が広がってる……この隙にウエノの拠点を押さえれば、天使どもの支配地域を攻略する突破口になるかもな」
 台東区の支配者であるイーリスは勿論、中央区のサンダルフォンなどにも、あるいは手が届くようになるかもしれない。上野上陸は、いわばその一大作戦の端緒ともなりうるものだ。
 くれぐれも気をつけて行けよ、と結んだ少年の声を背に、復讐者達はパラドクストレインに乗り込んでいく。ぱんだ触り放題――という魅惑の響きを、心密かに繰り返しながら。

●INTRODUCTION
 白くて、黒くて、まんまるでもふもふ。
 よちよち歩き、坂を転げて、引っ繰り返ったらしばらくフリーズ――覗き込むニンゲンを見上げる円らな瞳は、うるうるとして愛らしい。
『きゃ――っ可愛い!』
『パンダ触れるなんて夢みたーい!』
『うおおお俺にもモフモフさせろお――!』
 小さなパンダの一挙一動に、園内は大いに賑わっていた。黄色い(一部野太い)声を上げて仔パンダ達に群がる人々は、老若男女の区別なく、愛くるしい獣に夢中のようだ。
 その光景を、モニター越しに眺める視線が一つあった。
「……皆、随分と楽しんでいるようだね」
 深く柔らかな声音で呟いて、大天使は一人、膝の上に抱いた猫を撫でる。事務用の机が並ぶ部屋の中には園内各所に設置された防犯カメラの映像が流されており、明滅する無数のモニターが青みがかった光を投げかけている。
『……あれ?』
『私達、なにしてるんだっけ……』
 画面の中の人々が突然、まるで最初から興味などなかったかのように、パンダ達の元を離れていく。それもそのはず、愛らしい仔パンダ達へ向ける人々の慈愛、庇護欲といった感情のエネルギーは、すべてが信仰に変換されて、彼――『勿忘草の天使』ミオゾーディデの力となるのだ。
 その時――何かを感じ取ったのだろうか。猫の姿をした使い魔が、ぴくりと耳をそばだてた。
「大丈夫、心配いらないよ。ここにこうしている限り、人間達の愛情が僕に力をくれるのだから」
 安心しなさいと微笑んで、美貌の天使は猫の喉をゴロゴロと鳴らした。歩み寄った窓辺からは、大輪の蓮が咲き乱れる不忍池の風景が覗いている。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【飛翔】
6
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
3
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わる。全力で力仕事をするならば「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げる事が可能になる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【未来予測】
3
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【現の夢】
4
周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【腐食】
3
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【動物の友】
4
周囲の通常の動物がディアボロスになつき、意志の疎通が可能になる。効果LVが高い程、知能が高まり、友好的になる。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【プラチナチケット】
2
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【エアライド】
3
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【トラップ生成】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【モブオーラ】
3
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【スーパーGPS】
1
周囲のディアボロスが見るあらゆる「地図」に、現在位置を表示する機能が追加される。効果LVが高ければ高い程、より詳細な位置を特定できる。
【無鍵空間】
1
周囲が、ディアボロスが鍵やパスワードなどを「60÷効果LV」分をかければ自由に解除できる世界に変わる。
【完全視界】
2
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【使い魔使役】
2
周囲が、ディアボロスが「効果LV×1体」の通常の動物を使い魔にして操れる世界に変わる。使い魔が見聞きした内容を知り、指示を出す事もできる。
【操作会得】
1
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。
【ハウスキーパー】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建物に守護霊を宿らせる。守護霊が宿った建物では、「効果LV日」の間、外部条件に関わらず快適に生活できる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【クリーニング】
1
周囲が清潔を望む世界となり、ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の建造物や物品が、自動的に洗浄殺菌され、清潔な状態になる。
【アイテムポケット】
2
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV7 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV10(最大) / 【ガードアップ】LV4 / 【凌駕率アップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV3(最大) / 【反撃アップ】LV2 / 【先行率アップ】LV2 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV3 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV5 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

月夜野サクラ
お世話になります、月夜野です。
以下シナリオの補足となります。
==================
●選択肢について
④→②&③→①&⑤&⑥の順番でプレイング募集・執筆の予定です。

・④水中からの侵入
 夏の海(文京区)を泳いで上野地区をめざしてください。水着で泳いでも、着衣水泳でも構いません。

・③街に潜入して情報を得る
 上野動物園内を散策して、仔パンダの発生源を探る……のが目的ですが、仔パンダと戯れたり、他の動物を眺めたりしていただいても構いません。西園から不忍池方面を見ると、蓮の花も楽しめます。
 本選択肢のみ人数による採用制限を設けませんので、動物園巡りがメインの方はこちらへどうぞ。
 なおいくらパンダをもふもふしても、ディアボロスならエネルギーを奪われることはありません。

・②上野拠点の探索・潜入作戦
 上野動物園内で、仔パンダの発生源を特定して下さい。
 OPでの描写に沿って正解を設定していますので、正答またはそれに近いプレイングがあればそちらを優先的に採用させていただく予定です。

・①・⑤・⑥戦闘関係
 トループス級は②で突き止めた敵拠点周辺を警備しています。このトループス級と交戦を開始すれば、アヴァタール級も様子を見に出てくるでしょう。
 ①はクリア必須ではありませんが、戦場周辺に展示されている動物達に危害が及ばないよう、よろしければ守ってあげて下さい。

==================
●時間帯と場所
 場所は全編上野周辺~上野動物園内、時間帯は日中です。
 園内の施設配置は現実の2014年とは異なっている可能性がありますので、実際の園内MAPなどと照らし合わせてプレイングを行う必要はありません。

==================
●諸注意
・③のみ、届いたプレイングはできる範囲で書かせていただきます。それ以外は、必要成功数を大幅に上回る場合には内容に問題がなくても採用できない場合がございます。何卒ご容赦ください。
・場合によって、「まとめて採用・まとめてリプレイ」となる可能性があります。特定の同行者以外の方との絡みがNGの場合は、プレイング中でお知らせ下さい。
・プレイングの採用は先着順ではありません。受付状況については選択肢ごとにご案内いたしますので、MSページも合わせてご確認ください。

==================

それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております!
151

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


マティアス・シュトローマー
アドリブ連携歓迎

別にパンダに興味がある訳じゃなくて。今回の作戦には、ほら……台東区の奪還も懸かってるし(と、誰にでもなく言い訳してみる)

目立ち難い黒のウェットスーツ、といきたいところだけど、せっかくだから買ったばかりの水着を着ていこう。ゴーグルもフィンも準備完了!念のためコンパスもポケットへ

方向は……うん、合ってる。このまま進もう
【水中適応】を使い、水の中を素早く移動する。道中ではコンパスで方向を確認し、敵に発見されないよう注意を払う

人目につかない場所を【情報収集】で探し、上陸と着替えを済ませたら——
次はいよいよ動物園!楽しみ……じゃなくて。気を引き締めていこう


ニィニア・ダブリス
アドリブ連携可

パンダ…良いですね…
…おっと、丁度良く今年用意した新しい水着が
これは活かすしかないですね、ええ本当に偶然に水着が…

海が極端に浅くないところと、直線で進めるようなルートをチェック
あとはなるべく人気のない場所…ってあるのでしょうか、忍ぶのは得意なので努力しましょう

水着の上にジャージを着てランニングを装います…ピアスも外しておきましょうか
人目につかない場所を見付けたら手早くジャージを脱ぎ捨てて水の中へ
元の私服は袋に密封して腰に巻き付けておきます

風の力をブーストに使って一気に目的地を目指します
水の中は気持ち良い…いつかゆっくり満喫出来るでしょうか


百鬼・運命
アドリブ絡み歓迎

さてと久しぶりの水中からの侵入か。いつものように大型動力甲冑を召喚し、水中用装備タイダルパックに換装して搭乗。侵入がばれない様に地下鉄や地下道から侵入することも見越して水中用のサーチライトも持ちこんでおこう

また動力甲冑に乗り込んで侵入するので、水濡れの心配が少ない。水濡れ厳禁の物やタオルがあれば味方から預かっておこう

「さてと予報士の皆の話では水中から侵入は可能という事だったけど、何度も侵入しているし、敵もそろそろ気が付いてもおかしくない。できるだけこっそりと侵入したい所だな」

ついでに水中から潜入する際には周囲の様子をよく観察。エゼキエルや台東区に関する情報がないか注意しておこう


●INTO THE BLUE
 照りつける太陽の下、『文京湾』の海上に、一両のパラドクストレインが停車している。開いたドアの縁に立ち、ニィニア・ダブリス(陽炎と蜜・g05014)は遥かな東京のビル群を望んでいた。褐色の膚の中で一際輝く青い瞳には、純白の夏雲がくっきりと映り込んでいる。
「パンダ……良いですね……」
「あー、うーん……俺は別にね? パンダに興味があるワケじゃなくて」
 ドアの戸袋に手を掛けてゆるりと立ち、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)が応じた。
「ただ今回の作戦には、ほら……台東区の奪還も懸かってるし」
「そうなのですよね……別にパンダのためだけにどうこうというわけではないのですけど。おっと――こんなところに丁度、今年用意したばかりの新しい水着が」
 勢いよくファスナーを下げたニィニアのジャージの下には、ざっくりとしたサイドの切れ込みが大胆な黒の水着が覗いていた。出発前から着込んでおいてこんなところにも何もないのだが。
 あー、と困ったような納得したような絶妙にわざとらしい声を上げ、マティアスもまた頷いた。紅白の花が咲き乱れる陽気なアロハシャツの下は右に同じく、今年買ったばかりの海パンである。……地味なウェットスーツなどの方が目立たないのでは、などと、野暮なことは言ってはいけない。
「丁度あるんじゃあ、しょうがないな」
「しょうがないですよねえ。ええ、本当に偶然ではありますが……」
「二人とも誰に向かって言い訳してるんだ?」
 水面を見つめてぶつぶつと――妙に説明口調で――言っている二人の背中を見つめて、百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は苦笑した。
 事実を述べているだけであって、と泳ぐ気満々の格好でのたまう二人をまあまあと宥め、青年は丸眼鏡のフレームを鼻梁に押し込んだ。
「さて、水中から侵入するのは久しぶりだな。どういうルートで行くのがいいか分からないけど、とりあえず水中用のサーチライトは持っていっておこう」
 首尾よくひと気の少ない岸辺に辿り着ければいいが、場合によっては地下鉄の線路や地下水道などから入り込まねばならないこともあるかもしれない。時先案内人達の言うことには水中を移動すれば問題なく侵入は可能とのことだが、度重なる侵入に敵が警戒していないとも限らないからだ。欲を言えば道中に台東区を含めたこのディヴィジョンに関わる情報があればとも思うが――正式な調査ではない以上、ここで得られるものは多くないだろう。
 耳元に輝くリングピアスを外しながら、ニィニアが言った。
「上から見る限り、変わったところはなさそうですね。見通しはよすぎるくらいですが……」
 ほとんど波のない海の色は一定で、見たところ極端に水深が浅そうな場所も、障害物らしいものもなさそうだ。問題があるとすれば、ただ一つ。
 外したピアスを私服と一緒に密閉式のビニール袋にしまい込み、サキュバスの娘は巻き角の頭を小さく傾げた。
「これで濡らさずに済むかしら」
「俺は水中仕様の動力甲冑に乗り込んでいくから水濡れの心配は少ないよ。向こう岸に着くまで預かろうか?」
「あら、ではお願いしても?」
 まだまだ残暑も厳しい折、とはいえ全身ずぶ濡れの状態で動物園に潜り込むわけにもいかない。任せて、という運命に私物を預けて、復讐者達は煌めく水面に向き直る。シュノーケリング用のフィンを装着し、ゴーグルをきっちりと引き下ろしてマティアスは言った。
「よし、準備完了! 動物園、楽しみ――じゃなくて、気を引き締めていこう!」
 繰り返すようだが、決して遊びにいくわけではない。染めた頬を誤魔化すようにひょいと乗降口から外へと躍り出れば、猫のようにしなやかな少年の身体はたちまち、ソーダ水のような蒼の世界へ吸い込まれていく。
 息を零せば、コポコポと軽やかな音を立てて気泡が昇っていくのが見える。水精に引きずり込まれて見る水底の風景は、こんな感じなのだろうか? 遠ざかっていく白い泡の群れをしばし見送ってから、マティアスは水着のポケットを探り、小さなコンパスを取り出した。
(「東に真っ直ぐ進めばいいんだよな……」)
 針の示す先を確かめて、進むべき方へ。あっち、と仲間達に方角を示して、少年はフィンをつけた足で大きく水を打つ。
 口を噤めばもう、水と水の擦れ合う音の他には何も聞こえない静寂の底。身体を仰向けにして光揺れる海面を眺め、ニィニアは眩しげに目を細めた。
(「――気持ちいい」)
 四肢を柔らかく包み込む水の褥は心地よく、いつまででも浸っていたい気持ちになる。けれど――この海は所詮、紛い物だ。
(「いつかゆっくり満喫できるでしょうか」)
 世界のすべてを取り戻した暁には、きっと何を憂えることもなく。
 一日も早くその日が訪れるようにと祈りながら、復讐者達は青い水底を進んでいく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV2が発生!
【現の夢】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!

鐘堂・棕櫚
【KB】
泳いで渡るなんて久しぶりですねえ
もう一年も経ってましたっけ
相変わらず異様に澄んだ海は、懐かしめる代物ではないですけども

…しかし向こう岸はモフモフ天国だとか
つまりここは三途の川ってことかもしれません
大丈夫溺れるのはパンダだけにします、そもそも渡るの海でしたし
お仕事頑張りましょうね!

ラフな格好をしてきたので、泳ぐ前の準備といえばストレッチ程度
上着を脱いだ骰さんの背中に
やたらと綺麗で物騒な絵柄が見えたので
チョキで刺青の鬼の目を突く悪戯がしたくなるのはご愛敬
痛い!グーは後出しじゃんけんがすぎませ…痛い!

モブオーラも活用して
接近は焦らず目立たず、物陰があれば隠れつつ
極力気配を殺して侵入しましょう


鬼歯・骰
【KB】
こっちで泳ぐの一年ぶりぐらいだっけか
時間経つのは早えな

動物園に行くのはもっと久々だ
子パンダ、どんなだろうな
…縁起でもない事を言うのは止めろ
ちゃんと仕事して帰るぞ

簡単な準備運動は前と変わらず
上着を脱いで袖を捲り、よし行くかと意気込んでいれば
背中に感じた悪戯へ即座に振り返ってツリガネの頭に拳骨を落とす
何子供みてぇなことやってんだアンタは
反論にはうるせぇわと、今度はお望み通りパーで頭を叩いてやろう

飛び込めば相変わらず不気味な綺麗さばっかの水だ
水中や上空に敵の影が無いように留意
見つからないように物陰に隠れたり潜ったりしながら
なるべく静かにさっさと渡り切ろう
ついたら早めに服を乾かしてぇとこだな


 遥か都心のビル街を、海を隔てて真横から望む。この景色には、未だに慣れる気配がない。開け放たれたパラドクストレインの乗降口で額に手を翳し、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は言った。
「泳いで渡るなんて久しぶりですねえ」
「ああ、一年ぶりぐらいだっけか」
 応じる鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)の声は淡々としているようで、心なしか苦い。
 去年の秋口だったろうか――こんな風に海上に停まった電車から、この改竄世界史の海に飛び込んだことを憶えている。相も変わらず異様に澄んだ青い海は懐かしめるような代物ではないが、それにつられて去来する記憶は、刻逆の直後、憤りのままにもがいた日々をも胸に呼び覚ますようだ。
「もう一年も経ってましたっけ?」
「そんなもんだろ。……時間が経つのは早えな」
「ええ、本当に」
 言葉少なに応じた棕櫚の表情は、空を仰いだ眼鏡の反射で読みとれない。あの日失ったものと、それからの一年で取り戻したものを思えば、良きにつけ悪しきにつけ感慨は禁じえないのだろう――と、思いきや。
「ところで」
 車内の骰をぐりんと振り返って、棕櫚は言った。
「向こう岸はモフモフ天国だそうですね」
「おう。……おう?」
「つまりここは三途の川ってことかもしれません」
「おい、縁起でもないこと言うのはやめろ」
 猫だけじゃ飽き足らず、パンダにまで狂いだしたのか。いや、漢字で書いたら大熊猫だからパンダも猫の内なのか。結構元気だろ、アンタ――そう言ってじろりと骰が睨めば、ばれましたかと笑って棕櫚は続けた。
「大丈夫、溺れるのはパンダだけにします。そもそも渡るの海でしたし。お仕事頑張りましょうね!」
「何が大丈夫なのか説明してもらいてえんだが?」
 不安しかないとこめかみに手を当てて、骰は深々と溜息をついた。とはいえ、動物園など泳ぐ以上に久々だ――それも普通ならそうそうお目にはかかれない仔パンダがその辺に群れているというのだから、まったく興味を惹かれないというのも嘘になる。やれやれと立ち上がるや上着を脱いで座席の端に引っ掛け、骰は言った。
「ちゃんと仕事して帰るぞ」
「勿論です」
 軽く膝を曲げ伸ばし、ストレッチをして準備運動を済ませたら、飛び込む用意は万全だ。ネクタイを緩め、白いシャツの袖を捲って全開の戸袋に手を掛け――ふと背中に視線を感じて、骰は振り返った。
「……なんだ?」
「いえ別に。どうぞお先に」
「……?」
 促され、怪訝な顔をしながらも青い海を覗き込んだ男の背中には、何やら綺麗で、それでいて物騒な赤鬼の絵紋が透けている。棕櫚はしばしの間、それをまじまじと眺めていたが――。
「えい」
 ドスッ。
 刺青の鬼の目を狙って突き立てた二本の指が、シャツの背中に沈み込む。その次の瞬間、棕櫚の頭に黒々と光る拳骨が落ちた。
「痛い!」
「何、子どもみてぇなことやってんだアンタは」
「痛いですよ! グーは後出しじゃんけんがすぎませ」
「うるせぇわ。パーならいいのか、パーなら!」
 ふわふわとした栗色の頭をはたいて落とせば、再び『痛い』と呻く声がした。憤慨したように鼻を鳴らして、骰は再び青海へと向き直る。
「まったくいい歳して……行くぞ」
「はいはい、分かりました。ああ痛かった」
 広い肩を並べて二人、ぴょん、と車外に飛び出せば、身体は瞬時に透き通った水の世界に吸い込まれていく。
(「――相変わらず不気味な綺麗さばっかの水だ」)
 敵影はない。魚影すらない。どこまでも透明で青い、無機質なほど美しいエゼキエルの海。
 さっさと渡るぞと視線で告げて、骰は大きく水を掻いた。早めに渡って服を乾かしてしまわなければ、後の作戦に響くかもしれない。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

泳ぐのは嫌いじゃないけどさ
東京の海って考えると泳いで大丈夫かちょっと考えちゃうよね
そっか、確かに見た目は綺麗だし問題ないか
あ、しっかり準備運動してからだよ

水着に着替えて、何度目かの海へ

初めてこの存在しなかった海に潜ったのは
もう1年ぐらい前だっけ
沢山のものを見て知ってきて
大事なものを一つ取り戻せたけれど
それでもまだまだ足りないものがある

繋いだ手を引いて泳いでいく
変わらず繋いできた手をしっかりと握って
俺達なら全部取り戻せると伝えるように
言葉に出来なくても伝わるように

何処までも続くように思えた海だって
こうして目的地に辿り着けたからね
身支度整えていこうか
また次の為に


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

リオちゃんの心配に首を傾げつつ
そういえばそういうの考えたこと無かった、と
気にし始めても仕方ないし、大丈夫だよきっと
準備体操もしっかりだね
勿論、新調したばかりの水着で行くよね

一年の間に何度かこの海には潜ったけれど
最初のどうしようもないやるせなさとか
胸が潰れそうな思いとかは少し薄れてきちゃったかな
良くも悪くも慣れたのかなと思うの

だけど約1年前に翼を得た時の気持ちは忘れていないよ
だって私達にはまだまだやらなきゃいけないことや
取り戻さないといけないものが多すぎるもの

この深い紺碧の中で逸れないように
ちゃんと手を繋いで目的地を目指すよ
冷たい水の中で確かな温かさを感じて


「……泳ぐのは嫌いじゃないけどさ」
 じりじりと地上を焦がす晩夏の太陽が、水面に白く反射している。文京区海上に停車した一両のパラドクストレインの中、朔・璃央(昊鏡・g00493)は東京都心に広がるあり得ざる青い海を見下ろし、口を開いた。 
「東京の海って考えると、泳いで大丈夫かどうかちょっと考えちゃうよね」
「? なんで?」
 いたって真顔で眼下の海を見つめる兄の姿に、朔・麗央(瑞鏡・g01286)は首を傾げる。桃色の花を飾った長い髪はいつものサイドテールではなく、輪にした三つ編みが可愛らしいツインテールである。
「だって、あんまり綺麗なイメージないでしょ?」
「あ……そっか。そういえばそういうの、考えたことなかったな……でも、気にし始めても仕方ないよ」
 美しいとか、水がきれいといったイメージとは程遠い東京の海だが、この世界のそれはゴミもなければ汚れとも無縁のものに見える。笑う麗央にそれもそうかと思い直して、璃央は思考を中断した。飛び込むのも憚られるようなところだったら、きっと一年前に止めていた――本当の歴史には存在しない純水の海はどこまでも透き通って、そして歪だ。
「……一年の間に、もう何度かこの海には潜ったけれど」
 紺碧の海から、遥かな都心のビル群と対岸に見ゆる上野山へ。ぐるりと視線を廻らせて、麗央は言った。
「最初の頃のどうしようもないやるせなさとか、胸が潰れそうな思いとか――そういうのは、少し薄れてきちゃったかな」
「…………レオ」
 名を呼ぶ兄の声に案ずるような響きを聞き取って、少女ははっと花色の瞳を見開いた。そして首を横に振り、努めて明るい声色で続ける。
「全部がね、全部悪いことだとは思わないの。よくも悪くも、慣れたのかなって感じで……」
 片や白のハーフパンツと前開きのパーカーに、片や水玉模様とフリルが目を引く黒のツーピース。差し色の翠と桃がモノトーンのベースを引き立てる水着は、白黒二色の翼を持つ兄妹によく似合った。どちらもこの夏、新宿島で新調したものだが、そんな風に日々を楽しむ余裕ができたことは、いいか悪いかで言えばきっといいことなのだろうと思う。笑える時には笑い、楽しめる時には楽しむ――それを咎める人は、少なくとも二人の周りにはいなかったはずだ。
 でもね、と付け加えて少女は言った。
「背中に翼が生えた時の気持ちは、今でも忘れていないよ」
 望まない翼だった。
 大嫌いな翼だった。
 けれど皮肉にも今、仇敵より得た二対の翼は兄妹の往く道を支えている。そして目的を果たすためには、たとえ憎き仇の力とて利用しなければならないことも、二人はまた識っている。細めた瞳に一分の悔しさを滲ませて、麗央はにこりと笑んだ。
「だって私達には、やらなきゃいけないことや取り戻さないといけないものがまだまだ沢山あるんだもの」
「……そうだね。俺達はまだ、たった一つ取り戻せただけに過ぎない」
 生まれ育った街は思いのほかに呆気なく正しい歴史に戻ってきたけれど、二人の大切な人達が戻ってきたわけではない。それに失われた歴史、失った人々と間近に接していれば、嫌でも理解してしまう――この世界が奪われた時間と場所の大きさは計り知れず、易々と取り返せるものではないということを。
「行くよ、レオ」
「うん、リオちゃん」
 軽く準備運動を済ませて乗降口の縁に立ち、双子はそっと頷き合う。落ちる先は、ラムネ色の世界――着水の衝撃で解けかけた手をしっかりと握り直して、先を往く仲間達の背中を追っていく。昨日までも今日からも変わらずにつなぎ続ける手は、冷たい水の中にあっても確かな温もりを感じさせてくれる。
(「――大丈夫」)
 ゆらゆらと泳ぐポニーテールを背に流して、璃央は隣り合う妹へ微笑いかける。
(「俺達なら全部、取り戻せるよ」)
 終らぬ冬はなく、明けない夜もまたない。果てなく続くように思えた海でさえ、泳ぎ続ければいつかは光射す岸辺に辿り着くのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!

●TRAP OF ZOO
 もふもふ、ころん。
 東京都・台東区の西端、文京区と境界を接する日本最古の動物園――恩賜上野動物園。不忍池の畔から上野山の中ほどまで続く広大な敷地内には、二千を超える種類の動物達が飼育・展示されている。
「あっ、きた!」
「かーわいい!」
 黄色い歓声を浴びながら園内を闊歩しているのは、端的に言えば毛玉だった。黒い耳、黒い目元。ずんぐりむっくりとした身体に、丸くて小さな尻尾。どこを切り取っても可愛いとしか言えないような造形の生き物は――名をパンダという。
 もふもふ、ころん。もふ、ころん。
 坂道を転げたり、パンダ同士でぶつかったり。何をするでもなく歩き回っているだけのその姿が、どうしてこんなに可愛らしいのかは分からない。ただその愛らしさ故に、人は惑い、魅了され――その心のエネルギーを、侵略者の糧とされるのだ。
マルケト・キサウェ
台東区といえば上野動物園!
(記憶の内では)来たのは初めてですけど、パンダやアイアイやガラパゴスゾウガメ等々の珍しい動物が飼育されていることで有名ですからね!お噂はかねがね!
……おっと、うきうきしてばかりもいられません。【モブオーラ】にて一般の方々に紛れ、園内の様子を見て回ります。

改竄されているかも知れませんが、従来の施設配置では西園の方にパンダ舎があったはず。ひとまず行ってみましょう。
変化していなければ、その付近には……ハシビロコウ舎にケープペンギン舎、両生爬虫類館に小獣館、それにコビトカバ舎とかも──ああ、そこら中に可愛らしい仔パンダがいるのを抜きにしたって、目移りしてしまいそうですね……!


「台東区と言えば上野動物園、ですね! これが噂の……!」
 上野動物園、池之端門。正門に比べるといくらか小さなその門を前のめりに潜って、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は若葉色の鮮やかな瞳を輝かせた。
 入り口を入ってすぐ右手には、大きく張り出したポーチが特徴的な両性爬虫類館。瑞々しく咲き誇る蓮の花と葉の池を右前方に望みながら進んでいくと、ペンギン、フラミンゴ、ハシビロコウなどの飼育エリアが次々に立ち上がってくる。見慣れぬ動物達の見慣れぬ色彩は不思議と胸を躍らせて、少女は無意識背中の翼をぱたぱたと羽ばたかせた。
(「来るのは初めてですけど、パンダとかガラパゴスゾウガメとか、珍しい動物をたくさん飼育していることで有名ですからね!」)
 ここへ来るのは、初めて――というのは、もしかしたら正確ではないのかもしれない。なぜなら彼女には昨年の今頃、新宿島に漂着する以前の記憶がないからである。実際にこの場を訪れてみても、知っているのに思い出せないのか、本当に知らないだけなのかは、結局のところ分からないままだ。けれど。
(「まあ、そんなことを期待してたわけじゃありませんし」)
 けろりとして前を向くその横顔に、落胆はない。寧ろうきうきと足取りを弾ませて、マルケトは熱いアスファルトを踏み園内へ分け入っていく。
(「現実の施設配置では、西園の方にパンダ舎があったはずですが……?」)
 入り口でもらった案内図を広げて詳しく見ていくと、パンダのマークは意外にも、東園の正門近くに位置していた。これは歴史改竄の影響というよりも、単に上野動物園のパンダ舎は2014年時点では東園にあったということのようだ。なるほど、と案内図を畳んで大事そうに胸に抱き、少女はにっこりと口許を綻ばせる。
「これもまた勉強、ですね!」
 知らない世界を訪れ、歩き、欠けた記憶の穴を埋めていく。その過程は、胸が躍るような高揚感に溢れている。このまま真っ直ぐにパンダ舎をめざしてみるのもよいけれど――。
(「あっちは小獣館、そっちはコビトカバ舎──ああ、目移りしてしまいそうですね……!」)
 幸い、園内を見て回る時間は十分にあることだ。道端にのたくっている仔パンダを踏まないように注意しながら、天使は意気揚々と光射す園内を進んでいく。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【モブオーラ】がLV2になった!
効果2【フィニッシュ】がLV2になった!

バラニィ・エアリーズ
ほうほう、パンダをもふれるとな。
めちゃくちゃ動物好きって訳でもないけど、改竄されてない世界じゃあまずやれないことな訳だし話のネタに体験しておきたいかも。
敵さんが作った偽パンダなんかな?みたいな懸念はあるけど、まずは現地参戦だ!

パンダもふるのが第一目的ではあるけど、折角だし他のも見て回っとくかな。
とりあえず【パラドクス通信】使いつつ、動物園詳しい勢の人いたら話聞いてみよ。

えっここアイアイ居んの?あの南の島のお猿さんでお馴染みの?例の童謡のイメージのまま実物見ると衝撃受けがちって噂をよく聞く、現地では悪魔の化身とか呼ばれたりしてるやつ?
話のネタとしては知ってるけど実物見たことないや。見たい見たい!


 よちよち、おぼつかない足取りで歩いたかと思えば、あっちでもふん。こっちでころん。
 行き交う人々の視線は、愛らしい仔パンダ達に吸い寄せられている。その光景を眺めて、バラニィ・エアリーズ(ゲーミングサキュバス・g02889)は興味深げに唸った。
「ほうほう――パンダをもふれるとな?」
 別に、元々物凄く動物好きというわけでもないのだが、仔パンダもふり放題だなんて本来の世界ではそうそうできない体験だ。それこそ中国の山奥にあるというパンダ幼稚園にでも行かない限り、幼獣であれ成獣であれあの白黒の獣には指一本触れることは叶わない。となれば、話の種に体験しておきたいと思うのも人の性であろう。ディヴィジョンの一般人からエネルギーを吸い上げるというそれらが敵の生み出した偽りの生命体であることはまず間違いないが、ディアボロスなら影響を受けないと判明している以上、少なくとも彼ら単体を警戒する必要はないはずだ。
 よいしょ、と身を屈めてとりあえず手近な一匹を拾い上げれば、ふわもこの見た目に反して意外に重い。落っことさないようにしっかりと仔パンダを抱え直して、バラニィは案内板へ歩み寄る。パンダをもふるという第一目標は早くも達成したわけだが、せっかく来たのだから他の動物も見て回りたいところだ。
「えっ、ここアイアイ居んの?」
 不忍池の滸に、史実では2009年に完成したという比較的新しいエリアには、アイアイやワオキツネザルなどが暮らしている。へえーと朗らかな声を上げて、バラニィはパンダを抱き締めた。
「あの南の島のお猿さんでお馴染みの? 例の童謡のイメージのまま実物見ると衝撃受けがちって噂をよく聞く?」
 話に聞いて知ってはいるが、実物をこの目で見たことはない。生まれ故郷のマダガスカルでは悪魔の使いなどと呼ばれているそうだが、本当にそんなおどろおどろしい姿をしているのか? それとも、意外に可愛らしいのかも――そんな想像を巡らせるのも、また楽しい。
「見たい見たい! よーし、一緒に見に行くぞ!」
 おー、と口で言いながら抱えたパンダの前脚を上げさせ、バラニィは小走りに水上へ伸びる浮き橋を渡っていく。ゆらゆらと揺れる橋の両側には、青々と茂る蓮が色鮮やかな花を咲かせている。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

朔・彗藍
【雪星】

ふ、ふわふわ仔パンダさんー!
ダッシュで近寄り頬擦り
ほんとう、ぬいぐるみのようですね
かわゆいのです!おめめくりくり!

雪璃も抱っこしてみてください!
幸せそうな様子ににんまり思い付き

いつの間にか周りに積まれたパンダさんたちがころころ落ちてるのです
えへ……顔緩んじゃう
シャッターを切る音にはっとして
写真!次は一緒に撮りましょう

雪璃、お願いがあるのですが……
先程思い付いたこと。
雪璃の尻尾にくるまって
パンダちゃん抱っこしたいのです
だぶるもふもふ!至福!

ぎゅう、と抱き着いて
天国です……しあわせ……
さすが雪璃、パンダさんに負けぬもふ……どちらもすきです

きっと最後の写真は
ふたりの笑顔ともふもふが溢れてる


茜來・雪璃
【雪星】
アドリブ歓迎

何コレ……え、やば
彗、彗!ぬいぐるみみたいなこぱんだが歩いてる!
めっちゃふわふわ、かわいー!!
連写し、彗も可愛い…と更にぱしゃり

え、触って抱っこしてもふもふしていいの?
はー…すんごいもふもふ…幸せ……
ふわもふを堪能して思わずへにゃり

彗、写真撮ろう
もふもふに埋もれる写真…!
彗の周りに子ぱんだをつみつみ、ぴろん
ふふ、彗すっごい幸せそう!
いいね!一緒に撮ろー

お願い?いいけど、なあに?
…!あはは、彗らしいや
ん、いいよ!まかせろー
もふ尻尾でくるんでぎゅーっと

ふふ、こぱんだにも負けられないなー
手入れ、一層力を入れなきゃ!ってぱしゃり

アルバムにまた1日
楽しい思い出のページが増えてゆく


「彗、彗! あれみて……ねえ……」
「! ふあ……」
 それはまるで、夢のような光景だった。池之端門の小さなエントランスを背にして立ち、朔・彗藍(ベガ・g00192)と茜來・雪璃(朧夜ノ蝶華燈・g00793)はわなわなと肩を震わせる。言いたいことは色々あるのに、ありすぎて逆に言葉が出てこない。胸の前に重ねた手をぎゅっと握り込み、やっとのことで彗藍は叫んだ。
「ふわふわ仔パンダさん――!」
 本当にそれだけでいっぱいいっぱいだった。この状況で他に何を言うことがあろうか――いやない。木陰に積み重なった仔パンダ達の元へ全力でダッシュするや速攻で一匹を抱き上げ、まんまるの頭に頬ずりする。
「はああ、かわゆいのです! おめめくりくり!」
「何コレ、え、やば!? え、コレ触って抱っこしてもふもふしていいの?」
 まるで園内のショップに山積みにされたぬいぐるみ達が、意思を持って動き出したかのようだった。自由気ままに歩いては転び、転んではひっくり返っている仔パンダ達をかき集めながら、少女達はこれ以上ないほどに頬を緩める。
「めっちゃふわふわ、かわいー!!」
「ほんとう、ぬいぐるみのようですね! 雪璃も抱っこしてみてください!」
「はー……すんごいもふもふ……幸せ……」
 この世の楽園があるとしたら、きっとこんなところに違いない。人に見せられないほどに顔が蕩けている自覚はあるが、だからといってそれをどうすることもできなかった。周囲にはいつのまにかパンダがコロコロと落ちていて、いっそこのまま拾得してしまいたいくらいだ。
「えへ……顔緩んじゃう」
 でれでれと眉を下げて微笑む彗藍は、パンダにも負けず劣らず可愛らしい。思わずスマートフォンのカメラを向けて、雪璃はふと、思い付いた。
(「ただ撮るだけでも可愛いけど」)
 せっかくならもう一声、『映え』を求めよう。目の前のパンダに夢中の彗藍に気づかれぬよう、こっそり、そうっと、雪璃は仔パンダ達を積み上げていく。そうして仔パンダピラミッドが完成したら、もう一度カメラを構え直し――ぴろん、と音が鳴ったのと同時、てっぺんの仔パンダが一匹、ころころと転がり落ちた。
「えっ? 今、撮りました?」
「ふふ、彗すっごい幸せそう! もふもふに埋もれてるとこ、ばっちり撮れたよー」
「ありがとうございます! でも、次は一緒に――」
 撮りましょう、と言いかけて、彗藍ははっと口を噤んだ。そしてためらうように押し黙り、ややあってようやく口を開く。
「雪璃。実は、お願いがあるのですが……」
「うん? いいけど……なあに?」
 耳を貸してとごにょごにょ囁いたのは、ちっぽけで、可愛くて、けれどとっても贅沢な願いごと。いいですか、とおずおず尋ねれば、あははと朗らかに笑って雪璃は応じた。
「彗らしいや! いいよ、まかせろー!」
「ありがとうございます! では、さっそく……!」
 仔パンダをしっかり胸に抱いた彗藍を、雪璃の尻尾がくるりと巻いた。これでいいのと尋ねれば、いいのですと瞳を輝かせ、彗藍は巻きつく尻尾にぎゅうとしがみつく。これぞ至福の『だぶるもふもふ』だ。
「天国です……しあわせ……さすが雪璃、パンダさんに負けぬもふもふですね……」
「ふふ、毎日お手入れ頑張ってるからね!」
 そんな風に言われては、一層磨きを掛けなければ。悪い気はしないままに友人を器用に尾で巻いて、雪璃はスマートフォンを掲げる。ぱしゃりと一枚、残したセルフィーには輝くような笑顔と、画面いっぱいに溢れんばかりのもふもふと、もふもふ――そして今日もまた、思い出のアルバムには新たなページが増えていく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
【腐食】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!

朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

そういえばパンダを触るのは初めて!
日本には元々3箇所しかいないもんね
でもそうなると最終人類史にはパンダいないことになるのかな
そ、それは由々しき事態だよ
また取り戻す理由が一つ増えたかも、ふふ

コロコロと転がる姿を見て思わずニコニコを通り越してデレデレ
ほっぺたがとろけるくらいに笑顔になっちゃう

見てリオちゃん、こんな…!なんて可愛いの!
手近な子を思わず抱き上げてぎゅっとしちゃう
これがクロノヴェーダの罠なんて、悔しい!
あぁぁぁ、頬擦りしちゃうぅ

あ、リオちゃん取り上げるなんてひどいよー!
本当はリオちゃんももふもふしたかったんだよね?

手から離れた後も暫く眺めてデレっと笑顔


朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

上野で見たことはあるけど触れる機会なんて全くなかったしね
あー…そう言われると確かにいないのかな
他の動物たちにも会えるようになるし
此処は早い所取り戻したいところだね

コロコロと転がるパンダの姿――にデレデレなレオの姿にニコニコと
人の欲望に付け込むいつもの大天使のやり口は嫌いだけれど
レオのこの笑顔が見れたのなら
1発ぐらい殴る数を減らしてあげようかな

あぁ、しかし本当に可愛いね
何枚か写真に撮っておこうか
うんうん、良い笑顔だよ
でも流石に何があるか判らないから
それぐらいにしようねと取り上げ
嫉妬じゃないよ

ぽいと転がした姿は確かに可愛らしいけれど
となりの笑顔が一番だからね


「わあ~~」
 入り口を抜けると、そこは天国であった。目の前で繰り広げられる現実とは思い難い光景に、朔・麗央(瑞鏡・g01286)は反射的に両手で顔を覆う。指の間を通り抜けていく感嘆の声は、自分でも聞いたことがないほどに緩みきっていた。木陰で垂れている仔パンダ達に一目散に駆け寄るやその内の一匹を抱き上げ、少女はへなへなとその場に座り込んでしまう。
「パンダ触るのなんて初めて! 日本にはもともと三か所しかいないもんね~」
「そうだね。それに見たことはあっても、触れる機会なんてなかったし」
 転がした仔パンダの腹をよーしよーしと撫でくり回している妹を微笑ましげに見つめて、朔・璃央(昊鏡・g00493)もまた頬を緩めた。ころころと地面を転がるパンダの姿――にニコニコとんでデレデレになっている妹は、本当に可愛いらしい。人の欲望につけ込む辺りは実に大天使のやり口らしく気に入らないが、可愛い妹の笑顔が見られるならば、一発くらいは殴る回数を減らしてやるのもやぶさかではない。まあ、死ぬまで殴った後の話なのだけれども。
「でもそうなると最終人類史にはパンダいないことになるのかな?」
「あー……そう言われると確かに……」
「そ、それは由々しき事態だよ!」
 日本中どこに行ってもパンダが見られないなんて、とんでもない。いつになく深刻な様子で肩を怒らせる麗央の姿に本気を見て、璃央は思わず吹き出した。笑いごとじゃないよー! と拳を振り上げる妹の意見を蔑ろにするつもりは無論なく、そこでムキになる姿がただただ可愛いだけである。
「他の動物たちにも会えるようになるし、ここは早い所取り戻したいところだね」
「そうだよ! また取り戻す理由が一つ増えちゃったね」
 膝の上に座らせたパンダに万歳をさせて、麗央は大きく長い息をついた。魂が出ていきそうな溜息に反して、その頬は大好物を目の前にした子どものように蕩けている。
「だってほら、ねえ、見てリオちゃん! こんな……なんて可愛いの!」
「ああうん、本当に可愛いね(レオが)。そうだ、何枚か写真撮ってあげようか」
「! いいの!?」
 それは勿論、パンダを愛でる妹の可愛い姿を記録に残しておきたいから――などとそんなストレートなことは口にせず。璃央はにこやかに笑みを返すと、スマートフォンのカメラを麗央(と腕の中のパンダ)に向けた。パシャパシャと鳴りっぱなしのシャッター音の中――何枚か、というレベルではない気がするが――麗央はたまらず、獣の後頭部に顔を埋めた。
「これがクロノヴェーダの罠だなんて――くっ悔しい、でもあぁぁぁぁ頬擦りしちゃうぅ」
「うんうん、いい笑顔だよ。……でも」
 シャッター音がやむと同時、腕の中の毛玉がすぽんと抜き取られる。行き場を失った手で自身の肩を抱いて、あれっ、と麗央は呆けた声を上げた。
「もー、リオちゃん! 取り上げるなんてひどいよー! リオちゃんももふもふしたいなら、まだいっぱいいるよ!」
「そうじゃなくて。一応ほら、一般人のエネルギーを吸っちゃうパンダなんだから。それぐらいにしとこう」
 何があるか分からないし、と長い睫毛を伏せた少年はもう、いつも通りの澄まし顔だった。ぽい、と転がされれば転がされたまま固まっているパンダの姿は確かに可愛らしいけれど――。
「俺にとっては、隣の笑顔が一番だからね」
「はあ……ぱんだ……可愛いなぁ~……」
「レオ、聞いてる?」
 多分、まだ聞こえていない。罠と分かっていても抗えない、それがパンダという生き物だ。
(「……別に、妬いてなんかないし!」)
 その場を離れても振り返り振り返りパンダに手を振る妹の隣で、誰にでもなく言いわけをする兄であった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV2になった!
【エアライド】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【ガードアップ】がLV4になった!

鬼歯・骰
【KB】
犬猫は世話したことあるけど
パンダに触んのは初めてだな
誰が馬鹿だ、親父が動物好きでいっぱい飼ってたんだよ

転がってきた子パンダのずっしりした力強さに
そういやこいつらクマの類だっけかと納得し
潰さぬように抱え上げれば随分あったかい
子供の体温と毛並みの柔らかさに少し顔緩め
持って帰りたいなと思わず呟く

敵の術の類とはいえこんな機会があるとは思わなかったが
まぁ、今日ばかりは本当に働く分の役得だな
ってツリガネ顔溶けてんぞ
ドン引きしながらパンダとの写真を撮ってやろう
…知り合い達に土産に丁度いいな

模様あるだけで得だなお前らは
なんて毛並みを撫でつつ転がってくる方向へと発生源探し
俺がやったら余計怖くなるだろうが


鐘堂・棕櫚
【KB】

えっ、骰さん動物と暮らしてた事あるんですか
そういやバカほど面倒見いいですもんね
親御さん譲りでそうなったのなら、とても良い事じゃないです?

笑顔を通り越して土砂崩れを起こす己の顔をどうにか引き戻しつつ
存分にパンダを愛でさせて頂きましょう
俺は今ほど復讐者でよかったと思った瞬間はありません…
あ、ちゃんと発生源も探しましょうね
沢山仔パンダが居る方へと向かえば良いでしょうか
通行の妨げになる仔は抱えちゃいましょうねえ
写真を撮られるのも気付かず、デレデレしたままに

立派な爪は流石に熊の仲間って感じです
そういやパンダって目の回りの黒い毛が白だと
結構怖い顔になるそうですよ
…骰さんも目の回り黒く塗ってみます?


「パンダに触んのは初めてだな……犬猫は世話したことあるけど」
「えっ、骰さん動物と暮らしてたことあるんですか?」
 新宿島で出会って一年、それなりに時間を共有してきたつもりであったが、存外、お互いにまだまだ知らないことは多いらしい。鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)の思いがけない告白に普通に驚いて振り返り、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)はそろそろ見慣れた鬼人の仏頂面をしげしげと覗き込む。
「そういやバカほど面倒見いいですもんね」
「誰が馬鹿だ。親父が動物好きでいっぱい飼ってたんだよ」
 悪いかと睨む鬼人はともすればまた拳骨を落としてきそうで、棕櫚はいえいえと笑って取り繕う。
「親御さん譲りでそうなったのなら、とても良いことじゃないです? あ、ほら――来ましたよ、パンダ!」
 そう言って示した指の先には、二人の方へ向かってのっそのっそと歩いてくる小さなパンダが一匹、二匹……たくさん。誤魔化したな、と骰は悪友を一瞥したが、生憎とどうやらそれどころではないらしい。ころりころりと足元へ転がってくるパンダの一匹を抱き上げて、棕櫚はゆるゆるに緩みきった――否、土砂崩れを起こしたような笑顔で噛み締める。
「はあ~俺は今ほど復讐者でよかったと思った瞬間はありません……」
 自分史上最高クラスのだらしない顔をしているのだろうなという自覚はあるのだが、何せ地盤沈下とんで土砂崩れであるからしてそう易々と復旧できるものではない。全力でデレデレになっているいい大人を横目に、骰もまたその場に屈み込み、地面に寝そべったパンダの身体に両手を差し入れた。どこからともなく転がってくるパンダ達は、二人の足元ですっかり団子状態になっている。
「そういやこいつらクマの類だっけか」
「そうですよお。爪だってこんなに立派ですし、ねえ? クマなんですよねえー」
 はぁい、というように抱えたパンダの片手を挙げさせ茶番に興じる棕櫚を呆れ半分に見つめて、やってろ、と骰は投げた。しかしクマだと思って見ると、ふわもこの見た目に反して存外ずっしり、がっしりしたその身体つきにも納得がいく。潰してしまわないように一応気を遣いつつ、両腕に抱え上げてみれば、子どもゆえの高い体温とごわつかない柔らかな毛並みの心地よさで、不覚にも頬は緩んだ――隣の悪友ほどにだらしない顔ではない、と思いたいが。
「……持って帰りたいな」
 これも敵の術のうち、というのは気に食わないが、都心の真ん中でこんな機会を得られるとは思ってもみなかった。役得と言い切るのは少々憚られるけれども、今日ばかりはそれもやむなしという気分になる。
 だめですよーと蕩け切った声色で、棕櫚が言った。
「ちゃんと発生源も探しましょうね、これでもお仕事で来てるんですから」
「アンタにだきゃ言われたくねえんだが?」
 顔溶けてんぞ、と眉をひそめても、今の棕櫚には何ら響かないだろう。ほにゃほにゃと緩んだ稀に見る表情にドン引きしつつ、骰はスマートフォンを取り出すと片手で器用にカメラを起動した。これ以上なく幸せそうな悪友とパンダの写真は、今日ここにいない知り合い達への丁度いい土産になるだろう。なお棕櫚本人は、目の前のパンダに夢中で撮られていることにさえ気づいていない様子である。
「たくさん仔パンダが居る方へ向かえば良いんですかね。おっと、通行の妨げになる仔は抱えちゃいましょうねえー」
 足元にまとわりついてくるものは次々と腕に抱え込んで、棕櫚は青々と茂る桜の枝葉の下を上機嫌に歩き出す。そして思い出したように、一歩後ろを行く鬼人を振り返った。
「そういやパンダって、目の回りの黒い毛が白だと結構怖い顔になるそうですよ。骰さんも目の回り黒く塗ってみます?」
「……俺がやったら余計怖くなるだろうが」
「おや、それは残念」
 怖い自覚はあるんですねと笑って再びパンダをあやしはじめる棕櫚の後ろ頭をじろりと睨んで、骰は腕の中の獣に視線を落とした。
「模様あるってだけで、得だなお前らは」
 くしゃりと頭を撫でた大きな手の下で、獣はきゅっと目を瞑った。敵の術中と分かっていてなおこの愛らしさなのだから、パンダというのは実に恐ろしい生き物である。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV3になった!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!

長月・夜永
マティくん(g00097)と

ふむふむ、、、
わりと賢いなこの子達
(しゃがみながら、チャイナ服の袖であやし)

あれ!?マティくん
こんなところで会うなんて奇遇だね?
マティくんもパンダ目当てなのかな??
この子達、ほんとふわもこで気持ちいいよー♪

(なんか普段と違うマティくんの反応にくすりと笑みを浮かべながら、抱っこしたコパンダを手渡します)

スマホ?いいよいいよー任せなさい♪
このアプリと、、、撮るよ〜
ハイちーず♪パシャリ

えっ?ボクも?
あはは、じゃぁ記念にお願いしちゃおうかな?
すいませーん

呼び止めて並んでパシャリ
よちよち立ち上がったパンダと並んで太極拳のポーズでパシャリ

壁紙にしよっと♪
いい息抜きになったねー♪


マティアス・シュトローマー
夜永(g03735)と

よしっ、これでパンダと心置きなく触れ合える……!
と思ったら夜永!?
まさかチームメイトに合うなんて

えーと、俺は別にパンダ目当てで来た訳じゃなくて。あくまでクロノヴェーダを倒すために……
え、パンダってそんなに柔らかいんだ?
……やっぱり俺も抱っこしてみる。これも人生経験だし

わ、本当にぬいぐるみみたいだ……!
あのさ、俺のスマホで写真撮ってくれない?
カメラを向けられればパンダを抱っこしたまま笑顔でピースサイン
夜永も撮る?そうだ、一緒に撮ってもらおうよ

道行く人に写真撮影をお願いして、並んでパシャリ
太極拳のポーズを決める夜永に思わず拍手
ああ。こんな風に動物と触れ合うのも悪くないね


 青く長く手の先に余る袖を、振り上げれば立ち上がり、下ろせばその場にすとんと前足をつく。左へ振れば左を向き、右へ振れば右を向く、ひとしきり目の前の仔パンダ達をもてあそんで、長月・夜永(は普通の女のコである・g03735)はふーむと口許に手を添えた。
「……わりと賢いなこの子達?」
 白くまろやかな腹が眩しいへそ出しチャイナに同じ色のお団子頭の出で立ちは、奇しくも彼らの――本物のパンダの、という意味であるが――故郷を髣髴とさせた。本物だったらもっといいのになあ、などと考えながら夜永はその場にしゃがみ込む。すると、その時。
「よしっ、これでパンダと心置きなく触れ合える!」
「うん?」
 不意に、聞いたことのある声がした。その出どころを探って振り返ると、少し離れたところで黄色いアロハシャツの背中が小さくガッツポーズを作っていた。蜜柑色をした短髪の後姿には普通に見覚えがあり、そして少女は思い至る。
「あれ!? マティくん?」
「っ!?」
 天敵に遭った猫のように、アロハの背中がビクンと跳ねて丸まった。そのまま硬直した少年――マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は軋む音でも聞こえてきそうなぎこちない仕草で、背に立つ少女へ向き直る。
「夜永……!? なんでこんなところに」
「こんなところで会うなんて奇遇だね! マティくんもパンダ目当て――」
「や、ちが……違うし! 俺は別にパンダ目当てで来たわけじゃなくて。あくまでクロノヴェーダを倒すために……」
 誰に咎められたわけでもないのに、あたふたと言い訳をしてしまうのは思春期男子の性というものか。しかし慌てふためくマティアスをよそに、夜永はさして気にした風もなく、そうなんだ? 小首を傾げた。そして足下のパンダを一匹抱き上げると、満面の笑顔で少年の前へ突き出して見せる。
「じゃーんっ、見てほらパンダ! この子達、ほんとふわもこで気持ちいいよー♪」
「え……パンダってそんなに柔らかいんだ?」
 張ったばかりの見栄を一瞬で放り捨てて、マティアスは言った。哀しいかな、仔パンダの愛らしさを前にすれば、少年の強がりなど風に吹き散る花の如く儚いものだ。伸ばしかけた手を直前で引き留めてしばし逡巡し、眉間に皺を寄せて唸ってから、やがてマティアスは諦めたように息を吐く。
「……やっぱり俺も抱っこしてみる。これも人生経験だし」
 まだ言ってる。どうぞと差し出す夜永の腕から受け取った毛玉は、意外とずっしりとしているがその重さが心地よい。白い頬をほんのりと染めて、少年は腕の中の仔パンダを抱き締める。
「うわ、わ……」
 きゅるん! とあざとく見つめてくる黒い玻璃玉のような瞳に、突っ込んだ指がどこまでも沈んでいくような毛皮はまるでぬいぐるみのようだ。ふおお、と歓声とも悲鳴ともつかぬ掠れた奇声を洩らして、マティアスはそろそろと顔を上げ、縋るように夜永を見た。
「あのさ夜永……俺のスマホで写真撮ってくれない?」
「いいよいいよー、任せなさい♪ ハイ、ちーず!」
 慣れた手つきでアプリを立ち上げシャッターを切れば、パンダを抱いてピースサインを決めるマティアスはもうすっかり笑顔である。こうなるともう意地を張っている理由はないようで、少年はきらきらと瞳を輝かせ、ありがとうと礼を述べた。
「そうだ。夜永も一緒に撮ってもらおうよ!」
「えっ、ボクも? あはは、じゃぁ記念にお願いしちゃおうかな!」
 道行く人を呼び止めて、まずはシンプルに並んでパシャリ。続いて、よちよち立ち上がったパンダと共に太極拳のポーズでパシャリ。名も知らぬ一般人にありがとうございましたと手を振って、夜永はスマートフォンのカメラロールを辿る。
「えへへー、壁紙にしよっと♪ いい息抜きになったねー♪」
「ああ、こんな風に動物と触れ合うのも悪くないね」
 パンダ目当てで来たわけじゃないけどね、と、聞かれたわけでもないのに繰り返して、マティアスはスマートフォンを大事そうにしまい込んだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【強運の加護】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!

一里塚・燐寧
【燐五】

上野動物園って小さな頃から憧れだったけど、病弱で行けなかったんだよねぇ
そこに一緒に来れるなんて、なんだか夢みたいだよぉ
……っと、完全にデート気分になっちゃいそ。仕事もそれなりにやんなきゃねぇ

【使い魔使役】で、街中にいる鳩や鴉を一羽仲間にするねぇ
あたし達が遊ぶ間、パンダの発生源を探ってもらおう
パンダ舎の周りを空から監視させてれば、どこから来てるか分かるかも!

自分たちでも園内を探索しながら色んな動物を見よう
ハシビロコウとにらめっこしたり、ゾウやホッキョクグマの雄大さに感動したり
そうこうしてるうちにパンダとも出会うけど……あ、五月姫ちゃんにもふもふされてズルい!
あたしのことも、もふもふして!


瀧夜盛・五月姫
【燐五】
へえ? そんなに興味深い、ところ、なの?
動物を飼育している、それは知ってる、けど、いまいちそれ以上、わからない。
でも、燐さんがとても、わくわくしてるから、姫、なんだか楽しみ。

わあ、見たことない、動物、たくさん。
……と、そうだった。パンダ、忘れちゃいけない。
【動物の友】で、動物さんに、どこから来てるか、聞いてみよう。

何故か無表情な鳥に、にらめっこ、挑まれたり、和邇(じゃないの?)のお口チェック、したり。
なんだかんだ、一緒に見てるだけでも楽しい、ね。

あ、あれが噂の、仔パンダ?
な、なるほど。これは、抗えない。もふもふ。
……ん? え、燐さんも?
じゃあ、髪、テールを、もふもふ。ふふ、気持ちいい?


「上野動物園って小さな頃から憧れだったけど、病弱で行けなかったんだよねぇ」
 池の畔に広がる動物園の敷地から仰ぐ夏空は、都心のそれにしては随分と広く見える。透き通った青に積み重なる白雲を見上げて、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は呟くように言った。どちらからとなくつないだ手をきゅっと握り締めて、燐寧は隣を歩く少女へ微笑いかける。
「そこに一緒に来れるなんて、なんだか夢みたいだよぉ」
「へえ? そんなに興味深い、ところ、なの?」
 不思議そうに首を傾げて、瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は言った。平安生まれ、平安育ちの五月姫にとって、動物園というのは未知の存在だ。動物を飼育している、ということだけは知識として知ってはいるが、具体的にそれが何の役に立つのか、詳しいことはよく分かっていないのが実情だ。けれど。
「動物園、のことは、よく分からない……けど」
 つないだ手の指を絡め返して、雪白色の娘は言った。
「でも、燐さんがとても、わくわくしてるから……姫、なんだか楽しみ」
「…………」
 頭半分ほど低い位置から、覗き込むように見上げる瞳は夏空と同じ色をして美しい。花色のワンピースにサマーニットという現代風の装いに身を包んだ恋人はいつもとは少し違って見えて、燐寧は思わず表情を緩め――しかし、いけないいけないと首を振った。
「完全にデート気分になっちゃいそ。仕事もそれなりにやんなきゃねぇ」
 忙しなく首を前後に振りながら足下を歩き回っている鳩を一羽、燐寧はパラドクスの力で手懐けて、青い空へと飛び立たせる。園内を普通に歩き回っている鳩ならば、クロノヴェーダに怪しまれることなくパンダの発生源を探ることができるかもしれない。
 エントランス近くの建物の中では、欠伸をしたワニの――『和邇』とは違うの? とは、平安生まれらしい五月姫の言である――口の中を覗いてみたり。蓮池を望むエリアでは、威圧感の半端ないハシビロコウと睨めっこをしてみたり。西園から橋を渡って移動した先の東園では、ゾウやホッキョクグマの大きさに驚いてみたり、感動してみたり――見たことのない動物達との出逢いはどれも刺激的で、何より面白い。ただ、動物の友となって意思疎通を試みても、檻の中から限られた範囲しか見ることのできない彼らには、例のパンダ達の出どころは分からないようだったが。
「見たことない、動物、たくさん。なんだかんだ、一緒に見てるだけでも楽しい、ね」
 その時――あ、と、五月姫が小さく声を上げた。
「あれ……もしかして、あれが噂の、仔パンダ?」
 指差す先のベンチには、白黒の小さなクマが団子になって固まっていた。寝返りとともに転げ落ちそうになるのを反射的に受け止めて、五月姫は小さな獣をニットの腕に抱き締める。
「な――なるほど。これは……」
 これはとても、抗えない。ディアボロスでさえそうなのだから、一般人がこの毛玉の誘惑に勝てるはずがあるわけもない。少し硬めの毛に顔を埋めているとすぐ隣から、ああっと咎めるような声が上がった。
「五月姫ちゃんにもふもふされてズルい! あたしのことも、もふもふして!」
「うん。……ん? え、そっち?」
 思いがけない要求に思わず瞳を瞬かせて、五月姫は腕に抱えたパンダごと、フリルドレープの可愛らしい燐寧の肩を抱き寄せる。決して遊びに来たのではないけれど、これくらいのささやかなご褒美は許されたっていいだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【使い魔使役】がLV2になった!
【動物の友】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
【命中アップ】がLV2になった!

フェルト・ユメノアール
人の感情を奪って力に変えるなんて狡い事を考えるね
エンターテイナーとしてそんなことは許さないよ!

うーん、とは言ったものの闇雲に探してもダメだよね
まずは適当な洋服に着替えてから一般のお客さんに交じって件のパンダを見てみようかな
どこから現れてどこに行くのかが分かれば黒幕の居場所も特定できるかも、MAPと合わせて黒幕が隠れていそうな施設の目星もつけていく
園内の様子は監視されているだろうからなるべく不自然な態度は取らずにあくまで楽しんでいるお客さんとして
パンダをもふもふして……そう、これはあくまで演技!確かに可愛いけど!もふもふだけど!
誘惑に負けないように気を付けながら調査をしていくよ


「人の感情を奪って力に変えるなんて狡いことを考えるね……」
 上野動物園東園の一角。園内図を描いた大きな案内板の前で、一人の少女が足を止めた。差し掛かる桜の木の枝が、その足下に淡い緑の影を落としている。案内板を見上げて若葉色の瞳をキラリと輝かせ、フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)は小さな拳を握り締めた。
「エンターテイナーとしてそんなことは許さないよ!」
 さすがに目立ち過ぎると思い、今日ばかりは道化師の衣装は封印した。いつもの帽子の代わりに被ったキャップを目深に引き下げて、フェルトは人混みに紛れ歩き出す。腰まで届く桃色の長い髪は、一歩また一歩と踏み出すたびに風をはらんで浮き上がった。
(「とは言ったものの――」)
 総面積14ヘクタールにも及ぶ敷地内を、闇雲に探すのでは効率が悪い。どうしたものかと辺りを見渡しているとすぐさま、路上をのろのろと歩いている仔パンダ達が目に入った。
(「どこから現れてどこに行くのか分かれば、黒幕の居場所も特定できるかも……」)
 入り口で受け取った紙の地図とパンダ達とを見比べ、あくまで行き先に迷っている来園者を装いながら、フェルトはうーんと首を傾げる。黒幕の隠れていそうな施設となると、屋外よりは屋内だろうか? そうなると、園内の設備もだいぶ限られてくるはずだが――。
「…………」
 足下に、もふんと柔らかい感触があった。それは脛から膝へ、膝から腿へ、服を伝ってよじよじと上へ登ってくる。自力で腹のあたりまで登ってきた仔パンダの脇の下に手を入れて掲げてみて――そして思わず、ギュッと抱き締めた。ずっしり重いが思ったより柔らかい仔パンダはモフモフとして温かく、気合を入れていたつもりがつい、頬がゆるゆる緩んでしまう。
(「これは演技! 確かに可愛いけど……演技だから!」)
 そうだ――これはあくまで演技なのだ。園内の様子はカメラを通じて監視されているのだろうから、不自然な態度は取らない方がいい。あくまで動物園を楽しむ客の一人として振る舞うためと思えば、これは不可抗力なのである。
「よし! どんどんいくよ!」
 断じて誘惑に負けたわけではない、と自身に言い聞かせながら、フェルトは賑わう園内を歩き出した。その肩から顔を出した小さなパンダは、円らな瞳で来園者達を見つめている。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!

葉切・松露
紘希(g04512)と

確かに可愛いですけど、ちっちゃいですけど!
熊ですよ!どう見ても熊ですよ!!
紘希が好きなキャラクターのシロクマさんとか、ぬいぐるみなら可愛いですけど!
本物の子熊はダメですよ近づいちゃ!!
だいたい近くに母熊がいるです!子育て中の母熊なんてお山で近づいちゃダメなものナンバーワンですよ!!

……ほ、ホントですか?ほんとにホントですか?
うう……あ、ふわふわです……。
(ぶるぶる頭を振って)
こ、このパンダ達がどこから来てるか探るんですよね!?
おれ、高いとこから見てくるですから!紘希も気をつけてくださいねーっ!!

(アレンジ歓迎)


不知火・紘希
まーくん(g03996)と

おぉー!パンダさんがいっぱい!
見てみてまーくんかわいいねぇ……!
本で読んだことあって、猫熊って書くんだって。
どうしたの?え、パンダもかわいいでしょ、ぬいぐるみと同じだよ。
動物園のパンダさんだし大丈夫だよ、きっと。

(少しずつ近づいてふわふわな子パンダを持ち上げ)
ほら、僕たちなら触っても全然だいじょうぶ!ふわふわだよー。
白と黒の模様がこの子はキレイだね!みんな同じ模様かな?
まーくんも抱き上げてみて一緒に観察しようよ。
うーん、このふわふわ、アンドロイドのパンダさんなわけないし……
目や首に何か隠してないかな?……って、あ、まーくん?

行っちゃった。一緒にモフモフしたかったなぁ。


「おぉー! 本当にパンダさんがいっぱい!」
 子どもらしい大きな瞳を輝かせて、不知火・紘希(幸福のリアライズペインター・g04512)は素直な感嘆の声を上げた。動物園や水族館でペンギンなどの小動物が散歩をしている姿はたまに見かけるが、今回のそれは少々わけが違う。クロノヴェーダの仕業で、という引っ掛かりはあるにせよ、そこにいるのは紛れもなくパンダ。普通ならそう易々とは触れることも、近づくこともできないパンダなのである。
「見てみてまーくんかわいいねぇ……! あのね、本で読んだことあるんだけど、パンダって漢字で書くと熊猫――まーくん?」
 隣を歩いているはずの友人の反応がない。不審に思って足を止め見やるとそこには、青い顔をしてふるふると肩を震わせる葉切・松露(ハキリアリのきのこ農家・g03996)の姿があった。
「あれ……まーくん、どうしたの? 具合でも悪い?」
「いえ、そういうわけでは……ないんですが……」
 ちらりと視線を上げて前方を見、ヒッと上擦った声を上げて松露は後退した。戦慄した、というに相応しいその表情は、ふざけているようには凡そ思えない。
「熊! やっぱり熊ですよねアレ!?」
「え、熊じゃないよ。パン……」
「いや熊ですよ! どう見ても熊ですよ!! あの形が熊じゃなかったらなんなんです!?」
 確かに熊の仲間であるから、松露の感覚は正しいのだが。何ゆえ彼がそこまで怯えるのか分からずに、紘希は不思議そうに首を傾げた。
「熊の仲間かもしれないけど……でもかわいいでしょ? ぬいぐるみと同じだよ」
「ぬいぐるみなら可愛いですけど!」
「でもほら、ぬいぐるみみたい――」
「確かに可愛いし、ちっちゃいですけど! でも! 本物は本物だからダメです!」
「えぇ……」
 きょとんとして言葉に詰まった紘希の困惑が深い。松露とて別に、友人を困らせたいわけではまったくないのだが――でも熊はだめだ。おめーはだめだ。山奥の農家に生まれ育った松露にとって山は庭のようなものだったが、その庭の中で最も危険にして最も警戒すべき動物が熊なのだ。それを可愛いと言える神経は持ち合わせていない。
 キッ! と歯を食いしばって、松露は言った。
「中でも仔熊はダメですよ! だいたい近くに母熊がいるです! 子育て中の母熊なんて、お山で近づいちゃダメなものナンバーワンですよ!!」
「お山のじゃなくて、動物園のパンダさんだし大丈夫だよ、きっと」
 もっと言えば、動物園のパンダですらないのだから心配する必要はないのだが、長年にわたって築き上げられた苦手意識は、そう易々と引っ繰り返せるものではないらしい。ひょいと足元の一匹を抱き上げて、紘希は満面の笑みを浮かべた。
「ほら、僕たちなら触っても全然だいじょうぶ! ふわふわだよー」
「ほ、ホントですか? ほんとにホントですか? ……うう」
 おっかなびっくり、そろそろと伸ばした松露の指先が、仔パンダの頭にゆっくりと沈む。指先を包む体毛は、子どもゆえか存外に柔らかく、そして何より温かい。
「うう……あ、ふわふわです…………ふわふわ……ハッ!!」
 いけない――危うく飲み込まれるところだった。衝撃に肩を跳ね上げて、松露はぶるぶると勢いよく頭を振り、誘惑を振り払う。騙されるな――奴らは熊だ。熊なのだ。
「そ、そういえば、このパンダ達がどこから来てるか探るんですよね!? おれ、高いとこから見てくるですから! 紘希も気をつけてくださいねっ!!」
「えっ。あっ」
 一緒に観察しようよ――などとは言う間もなかった。透き通った蟻の翅を素早く広げ、松露は上空へ飛び去ってしまう。小さくなっていくその姿をきょとんとして見送り、紘希は再び腕の中の毛玉に目を落とした。
「行っちゃった。一緒にモフモフしたかったなぁ」
 こんなに可愛いのにねえ、とつつけば、もだもだと短い手足を動かす姿がまた可愛い。これで本物だったらなあと残念がりつつも、少年は役得とばかり、小さな獣をぎゅっと胸に抱き締めた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】がLV2になった!
【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【アヴォイド】がLV2になった!

シャムス・ライラ
百(g04201)と

賑わう動物園
ころころ転がるパンダ
その前に正座する私

これが「ぱんだ」
クールにモノトーンで統一しながら
ふんわりと丸いフォルム
まったりしたポーズ
そして癒しのタレ目!
これで人々のエネルギーを奪うとは…強敵だ!

しかし「ぱんだ」よ!
癒しのまったりなら
我が家にも狐のモモちゃんがいるからな!
艶々毛皮にふんわりしっぽ
ふっ、耐えきった!
貴様の野望は打ち砕かれたぞ
…あっ、百
あんまり遠くへ行くと飼育員さんに連れていかれちゃうぞ!
「ぱんだ」をころころする姿にほっこり
群れに隠れる様子にさらにほっこり
思わずスマホで動画撮影

ところでこの「ぱんだ」何処から来てるんだろう
狐のカンで何か分かる?

アドリブ等歓迎


一・百
シャムス(g04075)と

コパンダがころころ
そんな姿を狐変身(黒狐で耳先金)した状態で追う
じゃれている訳ではないぞ
ちょっと気になるだけ…

良く転がるな…
目が回らないのだろうか?
押したら倒れるかなと肉球でテシテシ
同じように転がって見たり
初めてのパンダに興味津々
観察してるシャムスが気になり覗き込む

シャムスの「我が家」と「モモちゃん」呼びに動揺して
コパンダの群れの中へズボッと潜って隠れる
突然そんな初めての呼び方するんだもの…
少し照れくさく
そーっと顔を覗かせチラリと耳ピコ
え、連れてかれるのはとっても困る。
俺はシャムスのだから…
慌ててシャムスの元へピョンと戻る。

んー、狐の感では分からないよ。

※アドリブ歓迎


「クァ……」
「!」
 よちよち歩きの小さな獣の、小さなあくびが耳につく。先端ばかりが金色の大きな耳をぴんとそば立て、狐姿の一・百(気まぐれな狐・g04201)は走り出した。側へと近寄ってみると、驚いたのかそうでないのか、あるものは仰向けに、あるものは真横に、仔パンダ達はころころ転げて逃げ回る。
(「よく転がるな……目が回らないのか……?」)
 尻餅をついたようにぺたんと座り込んだ一匹を、前脚でテシと押し込めばそのまま仰向けにごろん。なんとなく悪いことをしたような気分になって、自分もごろん。ころころ転げるパンダ達と、それを追いかけ、じゃれ回る――じゃれているわけではない、気になるだけだというのは本人談であるが――黒い狐の姿を、シャムス・ライラ(極夜・g04075)はなぜか正座で見つめていた。初めて目にするパンダはシャムスにとっては全く未知の生き物で、自然と背筋が伸びてしまう。
「これが――『ぱんだ』」
 クールなモノトーンの毛皮にふんわりと丸いフォルム。のんびりを通り越してもっさりした挙動に、まったりゆるゆるのポーズ。そしてくりくり潤んだ癒し系のタレ目――その姿は、360度どこから見ても愛らしい以外の何物でもない。
「これで人々のエネルギーを奪うとは……強敵だ!」
 雷に打たれたような衝撃で、シャムスは声を震わせた。確かにこれでは、動物好きの一般人などひとたまりもないだろう。この可愛いさに吸い寄せられて易々とエネルギーを奪われてしまうのに違いない。
「しかし――『ぱんだ』よ!」
 青玉の瞳をカッ、と見開いて、青年は言った。白黒のツートンカラーのパーカーと色素の薄い銀髪は、彼自身パンダに紛れているようにも見えるのだが。
「癒しのまったりなら、我が家にも狐のモモちゃんがいるからな!」
「!?」
 モモちゃん、とは。呼ばれ慣れない響きに驚いて、百は反射的に仔パンダの群れに飛び込んだ。ズボッと勢いよく突っ込めば、白と黒の毛玉の中から長い尻尾だけがひょろりと伸びている。その様を、膝の上に設置したスマートフォンでちゃっかり撮影しながらシャムスは続けた。
「どうだ、この艶々毛皮にふんわりしっぽ! 私達は、貴様らの誘惑になど決して負けない……その野望も今日限りだ!」
 正座して動画撮りながらいったい何と戦ってるんだろう、この人。あ、パンダか。
 何を言われているのか分からぬといった様子で首を傾げるパンダ達を前に、シャムスは額に滲んだ汗を拭った。
「ふっ……耐えきった!」
 何に?
 しばし悦に入っていると、団子のように固まったパンダ達の中から百がぴょこんと顔を覗かせた。何やら照れ臭そうに耳をぴこぴことさせている狐に視線を合わせ、シャムスは至って真顔で言った。
「それはそれとして、百。あんまり遠くへ行くと飼育員さんに連れていかれちゃうぞ!」
「…………」
 それは困るというようにパンダの壁から抜け出して、狐は青年の元へ駆け寄った。ジーンズの膝にするりと尻尾を擦りつける仕草に和みつつ、シャムスは狐にカメラを向ける。
「ところで、この『ぱんだ』ってどこから来てるんだろう。狐のカンで何か分かる?」
「…………」
 少しだけ困ったような顔をして、狐はコン、と短く鳴いた。さて、どこを目指したものやら――群れるパンダ達に別れを告げて立ち上がり、一人と一匹は動物園の奥へと歩き出す。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV7になった!

如月・莉緒
総二さん(g06384)と

パンダ好きとして、仔パンダ触りたいもふりたい放題なんて

もうさ、これは行くしかないじゃん!?

なんて言って

そして上野動物園到着

見て!ヤバい!!仔パンダいっぱいいるー!!

今までにないほど幸せに蕩けた表情をしながら叫んで
引き寄せられるように仔パンダを両手に抱っこして

可愛い…ふわふわしてる…!
めっちゃ天国!今死んでも悔いない!!

足元に来た子も抱き上げてもふもふを満喫
抱っこしては下ろしてを繰り返しつつ、ふと

そういや、パンダと総二さんってちょっと似てるよね

と。何処がと返されれば

カラーリング?

と、黒い髪と白と黒の服装を見つめ
新しく抱き上げた仔パンダに、ねー?なんて同意を求めて


神刀・総二
莉緒(g04388)と同伴

パンダ好きを公言する莉緒の
うきうきとした足取りの後ろについて上野動物園へ

本当にパンダだらけだな……

叫びながら仔パンダに吸い込まれて行く莉緒に付いていきながら

折角パンダに触れる機会だしなと
俺も莉緒と一緒にパンダを両手に抱きかかえて

硬いと思ったら普通にもふもふ
天国は分かるが、死なれるのは色々と困るぞ
いや気持ちはわかるが

心底楽しそうに仔パンダを抱きかかえている莉緒から
急にパンダと似てると言われて

え、似て…そうか?何処がだ……?
体格とかそういうのかと考えていたら

カラーリングと返され

色!?そこは体格とか強そうみたいな……
しかもそんなパンダに同意を求められても
と、思わず笑って


「とうちゃーく! 来たぞー上野動物園――あっ!」
 元気いっぱい、ハイテンションに両手を夏空へ突き上げて、如月・莉緒(恋愛至上主義・g04388)は歓声を上げた。高揚感の理由は他でもない――エントランスを潜ったらその先には、彼女の愛してやまない生き物達が待っているからだ。うきうきと足取りを弾ませてゆけば、朗らかな声はすぐさま、黄色い悲鳴に取って代わった。
「きゃーっ、見て! 総二さん見て! ヤバい!! 仔パンダいっぱいいるー!!」
「見てる見てる。本当にパンダだらけなんだな……」
 普段からパンダ好きを公言している莉緒のことだから、きっと喜ぶに違いないとは思っていた。けれど全力ではしゃぐその姿は思った以上に眩しくて、神刀・総二(闘神・g06384)は微笑ましげに眉を下げる。今生の幸せとばかりに蕩け切った顔をして、莉緒は仔パンダの群に吸い込まれていく。
「ああ~来てよかった! パンダ好きとして、仔パンダ触りたいもふりたい放題なんてもうさ、行くしかないじゃん!? 行くしかないとは思ってたけど……!」
 左手に一匹、右手に一匹、頭の上にもう一匹。白黒の毛皮に蜂蜜色の金髪をすりすりと擦りつければ、心の底から噛み締めるような声が漏れた。毛並みも柔らかくふわふわとした仔パンダ達は、まさに一番可愛い時期の姿を切り取られているようだ。
 夢中になってパンダを吸う少女を真似て両腕にパンダを抱え込み、総二は言った。
「もっと硬いのかと思ったら、普通にもふもふなんだな。結構重いけど……」
「もうめっちゃ天国! 今死んでも悔いない~!!」
「あ、いや……死なれるのは色々と困るぞ、色々と」
 苦笑交じりに突っ込んではみたが、感極まって涙ぐむ莉緒は本当にパンダが好きなのだなと思う。たとえこの場限りのまやかしだとしても、日頃の頑張りが報われるならこんな機会も悪くはないかもしれない。足下に寄ってくるパンダをとっかえ引っかえ吸っては下ろし、抱っこしてはまた吸う姿は、一歩後ろで見ている総二の方が嬉しくなってしまうくらいだ。
 ひとしきりパンダを吸ってようやく少し落ち着いたのか、ふーっと深い息を吐いて、莉緒は青年を振り返った。
「そういやさ」
「うん?」
「パンダと総二さんってちょっと似てるよね」
「え? えー……どこがだ?」
 突然何を言い出すやら――なんと返したものか分からずに、やっとのことでそれだけ聞き返すと、あっけらかんとした笑顔を浮かべて莉緒は応じた。
「カラーリング」
「色!? えっ……体格とか、そういうのじゃなく……?」
「うん! ほら、髪は黒いし、服も白と黒が多いでしょ?」
 ねー、と満面の笑顔で小首を傾げれば、白いブラウスの腕の中で仔パンダもまたこてんと頭を倒す。まったくパンダというのは、どうしてこうそこにいるだけあざといのだろう。
 はー、と溜息と共に脱力して、総二は額に手を当てた。白いシャツに黒いベストの出で立ちは確かに、パンダカラーと言われても何ら反論はできないけれども。
(「そんな、パンダに同意を求められても……と、思うけど」)
 まあ、いいか――と、思い直した。夏の終わりに咲いた向日葵のような笑顔を前にしたら、そんなことは些細な問題に過ぎないのだ。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
【託されし願い】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV8になった!

サアシャ・マルガリタ
タオ(g05073)と一緒!

お揃いのパンダパーカーを着ていざ出陣です!
何でってほら、こぱんだが仲間と思って集まってくるかもですし。
着ているタオちゃんを見たいですし。

こぱんだの群れに興奮しつつ、近くの1匹を抱え上げてもふもふを堪能するです!
ひゃーん! 見て下さいですよ、このされるがままで警戒心のないお顔…
堪んないですねぇタオちゃん!(振り返る)
…って何してるです?
真顔でこぱんだ並べ…えっ可愛い(パンダもタオの行動も)
いそいそスマホを出し写真をパチリ。記念記念!

…あの、ちょっと?(パンダ列に並べられ)タオちゃんわざとやってるでしょう!!(ぷんすこ)
…揶揄う時だけ可愛いだなんてずるいですよーう。


タオタオ・ザラ
サアシャ(g05223)と

なんでこんな浮かれた格好を
最後隠しきれてないぞ欲が
マ、それはさておき会いに行くか

園内をぽてぽて歩く子パンダを見て思わず和む
ふわもこぽてぽてしてるな…
抱え上げれば見た目の想像通りやわこくて可愛い
……一匹くらい持ち帰ってもバレねえかな……

ぽてぽて子パンダをそっと集めて道の脇に並べてみたりして
あまり表情に出てはいないが、滅茶苦茶和んでいる
人間許容量を大幅に超えると真顔になるよね

ふと気付けばこちらにスマホを向けるパンダが
ひょいっと抱えて子パンダの列に並べ、こちらも記念撮影
あぁ、なんだサアシャだったか
不満げな顔を見てけらけら笑い
わざとじゃないと思ったか、可愛いパンダちゃん?


「なんでこんな浮かれた格好を……」
 半ば強引に着せられたパーカーの前身頃を摘まんで、タオタオ・ザラ(大喰らい・g05073)はぼそりと言った。白と黒のツートンカラーのパーカーは、ご丁寧にパンダ耳のフード付きであり、一歩前を行く少女とのペアルックでもある。
 不満げな声と眼差しを手向けてみても、サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)は何ら怯むことはなく、にぱっと屈託のない笑顔で振り返った。
「なんでってほら、こぱんだが仲間と思って集まってくるかもですし。着ているタオちゃんを見たいですし」
「最後隠しきれてないぞ欲が」
「さあさあ、いざ出陣です! ぱんだがサアシャたちを待ってるですよーう!」
「聞いちゃいねえし……」
 たったか、くるりら、上機嫌に駆けていく少女の背中で、狐の尻尾がはさはさと振れる。呆れ半分、諦め半分に嘆息して、仕方ねえなとタオタオは笑った。
「マ、それはさておき会いに行くか」
 桜の名所でもある上野山の中だけあって、動物園の敷地内には多くの桜が枝を差しかけている。青々とした木陰を辿って歩いていくと、やがて前方にもぞもぞ動く白と黒の塊が見えてくる。ピャッ、と狐耳をそば立てて、サアシャは黄色い悲鳴を上げた。
「ひゃーん! ぱんだいたです!!」
「想像通りのふわもこぽてぽてだな……」
 かねがね思っているのだが、この生き物、このとろさで野生動物の世界を生き抜いていけるのだろうか? いらぬ心配をしてしまうほどに小さくいとけない獣の姿を前にして、思わず頬は緩んでしまう。
 団子になってじゃれている仔パンダの群れへ興奮気味に飛び込んで、サアシャは手近な一匹を抱え上げた。
「見て下さいですよ、このされるがままで警戒心のないお顔……!」
「やわこくて可愛いな。……一匹くらい持ち帰ってもバレねえかな……」
 淡泊に見えて、存外可愛いものに目がないのか。タオタオは真顔で首を捻ったが――人間、感情が許容量を大幅に超えると真顔になるものだ――所詮はクロノヴェーダが作り出した幻、言うなれば泡沫のパンダだ。いずれ消えゆくもふもふであることは理解している。
 であれば――今この瞬間にやるべきことは、一つ。
「は~ふわふわでもふもふ……堪んないですねぇタオちゃん! …………タオちゃん?」
 返事がないことを不思議に思い振り返って、サアシャは円い瞳をきょとんと瞬かせる。見れば燃えるような赤毛の後ろ頭が、道端に屈みこんでもそもそと何かやっている。
「って何してるです……? あっ!」
 そろそろと覗き込んでみると、タオタオはその辺で集めた仔パンダを道の端に並べて、積んで、また並べていた。その横顔はいたって真剣そのものだが――サアシャには分かる。この男、滅茶苦茶和んでいる。
「えっ、可愛い! ぱんだもタオちゃんも可愛いですよ!?」
 パンダパーカーのポケットからしゅばっとスマートフォンを取り出して、サアシャはシャッターを切りまくる。ベストショットを捉えようと夢中になり過ぎていると――。
「ほあっ!?」
 突然、身体が宙に浮いた。そのまま天地は反転し、気づけば積まれた仔パンダの隣に両手両足を揃えて並べられる。何が起きたのか理解できずにいると――パシャッ、とシャッター音が鳴った。
「……あの、ちょっと?」
「あぁ、なんだ」
 サアシャだったか、と、悪びれた風もなく応じるタオタオの、菫色の瞳が笑っている。もう! と頬を膨らせてサアシャは言った。
「タオちゃんわざとやってるでしょう!!」
「はは、わざとじゃないと思ったか? 可愛い可愛いパンダちゃん?」
 けらけらと笑う表情は、まるで少年のようにあどけない。それがなんとも悔しくて、サアシャは拗ねたように口にした。
「……からかう時だけ可愛いだなんて、ずるいですよーう……」
 つんと唇を尖らせても、シャッターチャンスの邪魔はしない。大人しくその場に蹲ったまま、ぴこぴこと動かす耳だけで抗議するサアシャであった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【未来予測】がLV2になった!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!

七森・実
g01118/ノスリくんと

こっそりお洒落したワンピースの裾を、
もこもこと掴むちいさな前脚
どうやら、彼より先に可愛い仔に口説かれたみたい

抱き上げた柔さに綻んで、
前行く二人組にまた笑って
今日はWデートといきましょうか

歩く先に次々と現れる、
素敵でかわいい動物たち

こぱんだちゃんはどれがお気に入り?
私はそうね、柵の外にいる百面相の猛禽かしら
端麗な翼も獰猛な黄金の眸も
目が離せないくらいに、うつくしいでしょう

見過ぎかしらと視線逸らせば、
涼やかに咲く蓮の水面
ノスリくん見てみて、こっちもきれい

傍らに大きな鳥が舞い降りた気配に
ふと笑って身を寄せる
贅沢なふれあい動物園ねえ
……私の方がぱんだ扱いなのは、きっと気のせい


ノスリ・アスターゼイン
g01241/実

さて散策、と踏み出した矢先
ころんと転がる仔ぱんだに
ぽてっと足にしがみ付かれて

…うぉい、

蹴り飛ばさぬようひょいと掴み
そのまま腕の中

こぱんだと一緒に柵を覗きながら
雄々しい虎の前では、キリっとした表情に
メガネザルの前では、まんまる眼に
眠そうな顔で草を食んでいるリャマの前では大欠伸
動物に合わせて無意識の百面相

やがて
後ろを着いて歩くこぱんだが増し
まるで引率の先生気分

実に呼ばれ
示された先には蓮の大輪

あぁ綺麗だ

壮麗で清涼な風景を眺める眼差しは
腕に寄る+一頭と一人の体温に
花咲くように綻んで

あんたも小動物みたいだなぁと
三匹(二頭+実)の頭を
ぽ、ぽ、ぽん

その服よく似合っている
可愛いよ

賛辞も添えよう


 晩夏の空に、積み重なる白雲が眩しい正午近く。平日であるにもかかわらず、園内はカップルから親子連れまで大勢の一般客で賑わっている。彼らを出迎えもてなすのは、勿論――。
「……うぉい」
 グラディエーターサンダルの足下に、何か重たくて柔らかいものがぽてっとのしかかった。思わず奇妙な声を出して、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は踏みとどまる。見下ろせばそこには、己が足にコアラのようにしがみついた、小さなパンダの姿があった。そのまま視線を横へ流せば、隣に立つ七森・実(F・g01241)の足下でも、小さなパンダが短い手足を伸ばして立ち、白いワンピースの裾をはっしと掴んでいる。
「こーら。何してるの?」
 二段重ねのフリルが可愛らしいサマードレスは、昨夜のうちにあれこれ悩んで選んだとっておきだ。爪でも引っ掛けられてはかなわないと、実はその場に屈み込み、悪戯な仔パンダを抱き上げる。まったくもう、と尖らせた唇とは裏腹、その柔らかさと心地よい温かさに自然と頬は綻んでしまう。
(「可愛い仔に口説かれちゃったみたいね――彼より先に」)
 ちらりと見やれば、秋の夕焼けに似た双眸の先で、ノスリもまた足にしがみついたパンダを剥がし、腕に抱え直していた。紛い物と分かっていても撥ねのけきれない可愛らしさは、まったくパンダらしい。行こうか、と促す言葉に頷いて、歩き出せばまだまだ熱い風をはらんで焦茶色の長い髪が尾を引いた。
 散策は、出逢いと発見に満ちていた。色も形も大きさも一つとして同じところのない動物達を眺めながら、二人と二匹は肩の触れそうで触れない距離を並んで歩いていく。
「まるで引率の先生気分だな」
「先生? ……あ」
 言われて視線を少し下げ、実はぱちりと瞬きした。いつの間に連れてきてしまったのか――歩幅を小さく歩くノスリの後ろには、仔パンダ達の列が続いている。
 好かれてるのかなと嘯いた青年は、時折本当に少年のような笑顔を見せる。最後尾の一匹に合わせて歩きながら、実は腕の中の一匹を抱き締め、そして前を行く男には聞こえぬほどの小さな声で囁いた。
「ねえ、こぱんだちゃんはどれがお気に入り?」
 雄々しいトラやライオンか、きょろきょろ動く大きな目玉のメガネザルか。それとも眠そうな顔をしながら、しっかりと草を食むリャマか。あるいはそんな動物達を眺めながら、恐らくは無意識にくるくると表情を変えている――。
「私はそうね、……柵の外にいる百面相の猛禽かしら」
 仔パンダ達を引き連れて歩く広い背中のミスマッチは、ともすれば笑ってしまいそうなくらいなのに。背に引く端麗なその翼と、獰猛なほどに輝く金眼が許してくれない。
「目が離せないくらいに、うつくしいでしょう?」
 洩れる本音が届かぬように、実は耳だけ黒い獣の頭に顔を埋めた。さすがに少し、見つめ過ぎた――そのまま歩いて西園へ続く橋を渡り、娘は下る坂の上で顔を上げる。すると。
「わ……ノスリくん、見てみて!」
 あれと指し示す指の先を追って、青年は歩みを止め、左前方へ目を向けた。そこには、大輪の花を戴いた瑞々しい蓮の池の清涼な景色が広がっている。
「あぁ、……綺麗だ」
 歩く速さを緩めて並べば、傍らの娘のふわりと咲む気配がした。腕に触れた一人と一頭分の体温は心地良く、ノスリは柔らかく瞳を閉じる。
「あんたも小動物みたいだなぁ」
 ぽん、ぽん、ぽん。
 腕の中の一匹から、隣のもう一匹とそれを抱える麦わら帽子の頭まで。大きな掌を順に乗せれば、実の微かに唸る声がした。
(「……私の方がぱんだ扱いなのは、きっと気のせいね?」)
 贅沢なふれあい動物園ね、と冗談めかした声にはほんの小さな棘が混じった。けれど気づいた風もなく、ノスリは笑って告げるのだ。
「そういえばその服、よく似合ってる」
 可愛いよ、などと言われては、それ以上返す言葉もない。もうと拗ねたように発した声は、腕に抱いた毛玉の中へ吸い込まれていった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【グロリアス】がLV2になった!

灯楼・弐珀
🖼弐祇

初めてだったんですか?
其れなら良い機会だったかな
大丈夫さ、隠れる事も無いだろう
どんな子がいるか楽しみですね、祇伐くん

やはり色んな動物が居ますねぇ
む(ふれあいコーナーの前で止まり
…もし良ければ、此方行ってみませんか?

あまり体験できる機会が少なく気になってて
それに可愛らしい動物に触れられる機会ですからね

祇伐くんも気になる子、居たりします?
気持ちは分かるよ
羊くんや兎くん、他の子も、ふわふわの感触が何とも愛らしくね
癒し、と言う奴なんでしょうね
思わず笑み零れ

僕の顔も…?
ふふ、其れを言うなら君の笑顔も癒しだよ?

おや
パンダにシロクマはどうやら彼方の方にいるみたいですね
折角なら其方も見に行きましょうか


咲樂・祇伐
🌸弐祇

あのね、あのね
私……動物園ってはじめてなのです
動物達は、大抵私という厄災の娘を怖がって隠れてしまうから…心配はありますが…
弐珀さんがいてくれるからきっと大丈夫
癒しのオーラでてますもの

どの動物も目新しくて可愛くて、あっちこっちに駆け回り……あら、ふれあいコーナー?
わぁ、うさちゃんや天竺鼠、羊やヤギにも触れられるのですね!

わくわくしながら覗けばそこはパラダイス!
みてみて、だいふくちゃん以外の兎ちゃんをはじめて抱っこ出来ました!私はこの子が一番気になります
ふかふかで可愛くて…離したくなくなっちゃうわ

ふふ、ふわふわした弐珀さんの笑顔も癒しですよ?
え!シロクマやパンダも!
ぜひ会いに行きましょう!


 緑色の影が落ちる葉桜の木陰を、ショートブーツの爪先がそろりそろりと踏んでいく。
 自身の背中に隠れるように歩く少女を振り返って、灯楼・弐珀(絵師お兄さん・g00011)は言った。
「どうしたんです、祇伐くん」
「あ、ええと……あのね、」
 あのね――と口籠って、咲樂・祇伐(花祇ノ櫻禍・g00791)は足を止めた。俯けば長く艶やかな黒髪が、白い頬を透かしてさらりと揺れる。
「私……動物園ってはじめてなのです」
 おずおずと重ねた両手の指を所在なさげに絡めては解き、少女は気恥ずかしそうに、そして少しだけ不安そうに言った。かつて厄災の娘と呼ばれた彼女は、昔から動物に好かれる性質ではない――その自覚があったから、敢えて怖がらせるのも嫌でこうした場所を訪れる機会がなかったのだ。腹を決めて訪れた今日とて、その不安が消えてなくなったわけではない。
 でも、と一歩前を行く青年の袖を引いて、祇伐は続けた。
「今日は弐珀さんがいてくれるから、きっと大丈夫です」
「? どうしてそう思うんですか」
「だって。癒しのオーラでてますもの」
 背に引く竜の尾と翼にも似た、花のような笑顔で少女は言った。だといいのですがと苦笑して、弐珀は前を向く。行く道の右手には咲き誇る蓮の美しい不忍池が広がっている。
「初めてなら、良い機会だったかな。どんな子がいるか楽しみですね」
「はい!」
 朗らかな声につられるように、青年は口許を和らげた。この調子なら、動物達が隠れてしまうようなこともないだろう。
 それからの時間は、祇伐にとって初めての連続だった。そこにはテレビやスマートフォンの画面越しにしか見たことのなかった動物達が、数えきれないほどに待ち受けていた。濡れた翼をばたつかせるペンギンも、地面に寝そべったカンガルーも、何もかもが目新しく可愛くて、歩調は知らず知らずの内に速くなる。
 そうして西園を一周し、二人はモノレール乗り場の傍で立ち止まった。駅舎の横に『ふれあい広場』の文字を掲げたアーチが見つけて、ふむ、と弐珀は口を開いた。
「もし良ければ、こちらも入ってみませんか?」
「えっ。ふれあいコーナー……ですか? わぁ、うさちゃんにも触れられるのですね!」
 遠目に中を覗き込んで、祇伐は瞳を輝かせる。比較的身近ながらも日常の中では触れる機会のない動物達と間近に接することのできるふれあい広場は、上野動物園の中でも人気のスポットの一つだ。
 でも、と少しだけ不安そうに少女は言った。
「私が入っても、大丈夫でしょうか……?」
「大丈夫ですよ。行ってみましょう」
 まだまだおっかなびっくりの祇伐を促して、弐珀はアーチの向こうへ踏み出した。行く手には既に、ヤギを囲った柵が見えている。
 一言で表すならば、そこは楽園だった。ウサギやモルモットなどの小動物や、ヤギ、羊といった草食獣など、ふわふわで好奇心旺盛な生き物達の歓迎を受け、最初は恐々触れていた祇伐もすっかり馴染んだらしい。一匹のウサギをセーラー風の制服の胸に抱き、少女は蕩けるような笑顔を咲かせた。
「みてみて、だいふくちゃん以外のうさちゃんをはじめて抱っこできました! ふかふかで可愛くて……」
 離したくなくなっちゃうわ、と、抑えきれない愛しさを込めて祇伐はウサギを抱き締める。もう一匹、茶色いウサギを腕の中で撫でながら、弐珀もまた柔らかく目を細めた。
「これが癒し、という奴なんでしょうね」
「ふふ――ふわふわした弐珀さんの笑顔も癒しですよ?」
「僕の?」
 思いがけない言葉に一瞬、きょとんと瞳を瞬かせて、青年は思わずくつりと笑った。それを言うなら彼女の笑顔だって、これ以上ない癒しなのに。
「パンダにシロクマはどうやら彼方の方にいるみたいですね。せっかくなら、そちらも見に行きましょうか」
「ぜひ! 会いに行きましょう!」
 幸い、時間はまだ十分にある。今しばらく腕の中の温もりを味わったら、新しい出逢いを求めて歩き出すのも良いだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【クリーニング】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

レジーナ・ネイサン
【CANVAS】

幾らパンダとは言え、
ギィース油断するなようわあああふわっっっっふわだあああああ
かっかわいい
モノクロでこんな可愛いのはズルくないか!?
抱っこしてもふもふ堪能した後は
横にブラシとトトを並べてみて……マズいぞ
可愛さのあまり心臓が止まるかもしれない
常備しているスケッチブックを取り出して速描しながら
勿論さ、折角間近でパンダが見れてるんだ
残さなくっちゃ
……って、ゴメン
隣で黙々とスケッチしていたが退屈じゃない?
そ、そう?良かった

折角だ、探索がてら他の動物達も見ていこうよ
ペンギンも見てみたいな
……あ
ほらギィース、あれ
向こうの池に沢山の蓮の花が咲いてる
そうだね
泥から咲くとは思えない程に綺麗だ


ギィース・エレクレ
【CANVAS】

おぉ、パンダだ!パンダ!
レジーナちゃん、パンダが居るよ
アレ?居ない?
あっ、レジーナちゃんたらパンダをもふもふしてる
こんなにテンション高いレジーナちゃん珍しい
そうだね、こんなに可愛いのにエネルギー吸うなんて思えないよね
一緒にもふもふ堪能している
ブラシとトトもお澄まししてる
並べると可愛いね

ふふっ、やっぱりスケッチするだね
彼女の横で描かれるパンダ達を見ながら
楽しそうにしてる彼女を堪能
ん?退屈じゃないから大丈夫だよ
可愛いレジーナちゃんを堪能出来たからと言ったら怒られるので心の中でしまって

捜索しないと!
ペンギンも可愛いよね
わぁ、本当だ!
蓮の花って不思議だけど綺麗だよね


「おぉ、パンダだ! パンダ!」
 額に手をかざして道の先を見やり、ギィース・エレクレ(誘惑の道化師・g02447)は歓声を上げた。放射状に枝を広げた立派な桜の木の下では、小さく丸いパンダ達がそちらこちらに転がって、もぞもぞと短い手足を動かしている。
「ねえレジーナちゃん、パンダがいるよ!」
 この世の楽園のような光景にサングラスの奥の瞳を輝かせて、青年は隣を歩く少女を振り返った。しかし、返事はない――レジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)は目深に被ったキャップのつばを更に引き下ろしていて、その顔色は窺えない。あれ? と首を傾げて少女の袖を引き、ギィースはもう一度呼びかける。
「レジーナちゃん?」
「聞こえてるよ。いくら相手がパンダとはいえ、油断するなよギィーうわあああふわっっっっふわだあああああ!」
 きり、と凛々しく決めた表情と声色は、三秒と持たず崩れて黄色い悲鳴に吸い込まれた。残像を残して消えた少女の姿を追い切れずに、ギィースはぱちぱちと目を瞬かせる。
「アレ? いない――あっ」
「かっかわいい……! モノクロでこんな可愛いのはズルくないか!? ズルいよな!?」
「おう……レジーナちゃんテンション上がってる」
 風のように仔パンダの群れに飛び込んだ少女の背中を見つめて、ギィースは驚いたように口にした。どちらかと言えばいつもクールで飄々とした彼女のこんな姿は珍しい。好奇の視線は気にも留めずに左腕に一匹、右腕にもう一匹、欲望のままにパンダを抱き込んで、レジーナは白い毛皮に頬ずりする。本当に、こんなにも可愛い生き物が実はクロノヴェーダの手先だというのだから、侵略者達のやり口というものは実にあくどい。
「こんなに可愛いのにエネルギー吸うなんて思えないよね」
「は――待てよ。ブラシとトトを並べたらもっと可愛いのでは!?」
「……レジーナちゃんが一般人だったらエネルギー吸われ放題だよね」
 まあ一般人じゃないからいいか、と笑って、ギィースもまた一匹のパンダを拾い上げる。貸して、と一言、青年が許可を出すより早くその肩に座った黒毛のクダギツネを取り上げて、レジーナはダマになったパンダ達の横に並べてみる。仕上げのモーラットを反対側の隣に並べれば、可愛いさの限界突破でなんだか胸が苦しくなってきたようだ。
「ブラシとトトもお澄まししちゃって、可愛いねー」
「いや、マズいぞ。この可愛さ、心臓が止まるかもしれない」
 そんな大袈裟なとギィースは笑ったが、レジーナは至って本気だ。こうしてはいられないとスケッチブックを取り出すと、少女は縁石に座り込み、猛烈な勢いで目の前の獣達を画用紙に写し取っていく。
「ふふっ、やっぱりスケッチするんだね」
「勿論さ、せっかく間近でパンダが見れてるんだ。残さなくっちゃ……って、あ」
 はっと思い至って、レジーナは隣に屈みこんだ男を見た。
「ゴメン、退屈じゃない?」
「ん? 全然! 退屈なんかじゃないから大丈夫だよ」
 にこにこと笑って、ギィースは応じた。すまし顔の動物達も、レジーナの絵も、それができ上がっていく様子も、見ていて退屈することなど一つもない。もっと言えば、楽しそうに絵を描く彼女の横顔も、特等席で堪能できるのだし――などと、口にしたら怒られそうなことは胸にしまっておくけれど。
 よかった、とほっとしたように笑って、レジーナは再びスケッチブックに目を戻した。
「スケッチが終わったらさ、探索がてら他の動物達も見ていこうよ。せっかくだし……ペンギンも見てみたいな」
「ああ、ペンギンも可愛いよね」
 視線を横へ流してみれば、数十メートルほど先にペンギンの飼育場があるのが見えた。そしてその向こうには、蓮の花咲く不忍池が広がっている。
「蓮の花って不思議だけど綺麗だよね」
「そうだね。泥から咲くとは思えないくらいに――綺麗だ」
 愛らしい獣達に囲まれて、鮮やかな水景を望む束の間の休息。都心の底を浚うような熱風が、水面を撫でて今は涼やかに吹き付けている。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【現の夢】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

月影・サザレ
【小鳥と燕】

動物園は何年も来ていないから、ウキウキはしゃいじゃう

友達の爆弾発言にはびっくり

ええ〜!?
ニアちゃん、パンダさんのこと知らないの!?人生120%くらいソンしてるわ!

【動物の友】で一緒に遊ぼうってして
子パンダ抱っこして見せてあげる!

ね、カワイイでしょ?そうでもない?そうでもないんだぁ…

触る時は優しくね!
撫でたり遊んだりして楽しんじゃお!

ニアちゃん写真撮って!
新宿島にパンダさんは居ないから、みんなで記念写真も!

パンダさん意外に重いのね
もふもふなのにどっしりしてる!

サザレ、パンダさんを抱っこしたまま一緒に園内を回りたいわ!
良いよね?ね?

え、背中?
あ、パンダさん!
だから背中が重かったのね!


ガーデニア・ラディーチェ
【小鳥と燕/2人】
・アドリブ◎

ぱん、だ……?
ってどんな動物なのかしら?
そもそも、どつぶつえん?自体初めてだわ
世の中には不思議な場所もあるのね
世界中の動物が一箇所に集まるなんて

ふわふわは確かに可愛らしいけど
動物にはあまり興味がないの
植物の方が好きだわ
でも、ロズはぱんだ?に興味があるかしら
珍しい動物だものね
……ちょっと一緒に触ってみましょうか

大丈夫よ、サザレさん
ちゃんと(ロズとぱんだのベストショットは)撮ったから
でも、数枚皆で撮りましょうか
シンジュクじゃぱんだは見られないでしょうから
今日の思い出に

見て回りたいって、もう連れてきてるじゃない……
あと、サザレさんの背中にもしがみついているわよ……?


「ええ~!?」
 思わず上ずった大声に、ペンギン達がざわついた。あっ、と口許に手を当てて、月影・サザレ(蝶々結び・g05062)はこちらをガン見している鳥達に向け、ごめんねと手を合わせる。そして紅い瞳をぱちぱちと瞬かせる友人――ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)へ向き直った。
「ニアちゃん、パンダさんのこと知らないの!?」
「ええ。ぱん、だ? ってどんな動物なのかしら?」
 立てた人差し指を片頬に添えて、ガーデニアは首を捻る。噓をついているようにも見えないその様子にやり場のない手をわなわなと震わせ、しんじられないとサザレは言った。
「人生120%くらいソンしてるわ!」
「そんなに?」
「そんなに!! とにかくこっち来て、見せてあげる!」 
 こめかみで結った白いリボンをひらりはらり、群青の長い髪と一緒に靡かせて、少女は前方を指差し駆けていく。弾むようなその足取りを見送って、ガーデニアはもう一度、今度は反対側に首を傾けた。
「世の中には不思議な場所もあるのね。世界中の動物が一箇所に集まるなんて……」
 そもそも『どうぶつえん』なる施設そのものが彼女にとっては初めての体験だ。ふわふわの生き物は確かに可愛らしいとは思うけれど、どちらかと言えば昔から、動物よりも植物の方が好きだった。
 でも、と言葉を切って傍らの人形を見上げ、少女は言った。
「あなたは、興味があるかしら」
 本の中でその名を知り、想像することしかできなかった――世界中の動物達に。上等なジャケットに身を包んだ人形は炎天下にも拘わらず汗一つかくことなく、路の先を見つめている。早く早くと手を振るサザレの足下には既に、数匹の仔パンダが集まり始めていた。
「それが、ぱんだなの?」
「うん! しかもフワフワのもふもふだよ! ほらっ」
 一匹のパンダを捕まえて腕に抱き、サザレは満面の笑みでガーデニアとその人形の前に差し出した。そこだけ黒い体毛の中にぽつんと煌めく瞳は潤んで、見る者を虜にする――はずなのだが。
「ね、カワイイでしょ? ……そうでもない?」
「いいえ? そんなことないわ」
「そうでもないんだぁ……」
 珍しいものを見るような目で、サザレはまじまじと友人を見た。勿論、好みは人それぞれであり何ら咎めるわけでもないのだが、この状態で正気を保っていられるなんて普通に尊敬する。彼女自身はと言えば、久方ぶりの動物園というだけでうきうき足取りも弾んでしまうくらいなのに。
 誤解しないでと苦笑して、ガーデニアは言った。
「可愛いとは思っているのよ。きっと、とっても珍しい動物なのね……ちょっと一緒に触ってみましょうか、ロズ?」
「触る時は優しくね!」
 少しはらはらした様子のサザレに見守られて、ガーデニアは傍らの人形と共に一匹のパンダを受け取った。ころころと丸い仔パンダは思いのほかに柔らかく、そして見た目通りにずっしりしている。撫でて、じゃらして、転がして――されるがままにのたくり打つ獣を見つめる人形の硝子の瞳はまるで生きているかのように見えた。
「ね、ニアちゃん写真撮って!」
「そうね。シンジュクじゃぱんだは見られないでしょうから……」
 起動したカメラで、まずは戯れる獣と人形を。それが済んだら、今度は三人揃ってパンダと共に。写す画は今日ここでしか残すことのできない、泡沫の記憶だ。
 ひとしきり撮影して満足したのか、スマートフォンをしまい込んでサザレは元気よく友人達を振り返った。
「は~可愛かった! ねえニアちゃん、サザレ、パンダさんを抱っこしたまま一緒に園内を回りたいわ! 良いよね?」
「回るも何も、もう連れてきてるじゃない……」
 それに、と思わずくすりと笑み零して、ガーデニアは悪戯っぽく片目を瞑った。
「サザレさんの背中にも、一匹しがみついているわよ?」
「はっ……パンダさん、いつのまに!?」
 肩越しに背中を覗こうとして白い毛並みが頬に触れれば、ふにゃりと顔が緩んでしまう。ブラウスの背に感じる心地よい重みと温もり――それだけで幸せな気持ちになってしまうのだから、パンダというのは実にずるい生き物である。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】がLV2になった!
【怪力無双】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV4になった!

鉄・暁斗
【暁光】
動物の前では目が輝き微笑を浮かべる男

一緒に動物園なんて久しぶりだね
コウがいると動物が寄ってくるから…って見て、見て見てコウ見て(袖ぐいぐい)
仔パンダがこんなに!
え、触れ合えるの?抱っこしていいの?(と言いながら既に抱っこしてる)
なにこれ可愛い…

…ねぇ、コウ
動物園の子じゃなくてクロノヴェーダの仕業なら、一匹くらい貰ってもいいよね…?
あ、そうか、事件が解決したら消えちゃうのか
許すまじクロノヴェーダ…

…うん?あ、コウのところにアルパカが
ふふ、アルパカも可愛いね
うん、今行くよ
俺にも触らせてね
わ、ふわふわもこもこ
ほら、コウも触っ…パンダタワー…?(群がられる光希に気付き)
いいなーコウ、モテモテだ


秋津島・光希
【暁光】

【動物の友】を発動し散策

アキと動物園来るの、何時ぶりだっけ
結構デカくなってからも来たよな
コイツ、動物好きだし…あー、わかったわかった(引っ張られ)

に、しても
「悪ぃけど、降りてくれねーか?」(登ってくる仔パンダに声掛け)
意思疎通は無理っぽい
やっぱ普通の動物とは違うんだな(仕方ないので抱き上げる)

いや、事件解決したら消えちまうだろ
予想はしてたけど、アキのヤツ
動物相手になると見境無くなるな…ん?

(柵の中のアルパカに服を引っ張られ)
何だお前、遊びたいのか?
よし、もうちょい鼻先近づけてくれ
アキ、お前も来いよ

全く、調査どころじゃねえな
もう少しあちこち見て回るか
(仔パンダに群がられつつ暁斗を見守る)


「わあ……」
 昔から、感情が顔に出にくい性質らしかった。だからといって感情の起伏がないわけではないのだが、それは表に出そうと思って出るものではない。鉄・暁斗(鉄家長男・g07367)というのはそういう人間だった。その、暁斗が――蜂蜜琥珀の瞳を煌めかせ、澄ました口許にやんわりと笑みを浮かべている。おお、と思わず感嘆の声を洩らして、秋津島・光希(Dragonfly・g01409)は言った。
「アキと動物園来るの、いつぶりだっけ」
 結構デカくなってからも来たよな、と、記憶の中の幼馴染の姿を手繰って口にすれば、どうだったかなとやや上の空の調子で暁斗が応じた。上野動物園西園はモノレール乗り場の近傍に位置する『ふれあい広場』――いつになく早足の友人に引っ張られるままここまでやってきた光希であったが、真っ先にここを目指す辺りはいかにも動物好きの暁斗らしいと思う。
 柵の向こうのヤギを撫でながら、暁斗は続けた。
「もうはっきり覚えてないなあ。でも、久しぶりな気がする……あ」
 ぱ、と分かりやすく耀いた視線の下で、色白な少年の頬に淡く朱が昇る。見つめる先には、本来、そこにはいるはずのない生物の姿があった。
「見て、見て見てコウ見て見て見て見て見て見て」
「うお、ちょ、分かった分かっただから引っ張んなって!」
 はっしと掴んだ手をグイグイと引っ張って、暁斗は小動物を囲った柵と柵の間を進んでいく。その先で彼らを待っているのは、ころころと折り重なったふわふわもふもふの仔パンダ達だ。
「仔パンダがこんなに! え、触れ合えるの? 抱っこしていいの?」
 中国のパンダ幼稚園ならいざ知らず、東京のど真ん中でパンダを抱けるなんて――信じられない光景に戸惑いながらも、早々に一匹のパンダを抱き上げて、暁斗は声を震わせる。
「なにこれ可愛い……」
「おう……そーだな……」
 応じる光希の声は、妙にくぐもっていた。まあ、無理もない――足から腕へ、腕から背中を通って、顔へ。よじよじと登った毛玉に目も口も塞がれているのだから、当然そうなる。降りてくれねーか、ともごもご言ってみるが話が通じる気配はなく、光希は両手でパンダの脇の下に手を入れると強引に引き剥がした。
「やっぱ普通の動物とは違うんだな……獣臭さも全然ねえし」
 さしずめ人間に愛嬌を振り撒くためだけに造られた、実体のある幻とでもいったところか。クロノヴェーダの考えることはいつも突拍子がない――などと考えていると。
「ねぇ、コウ」
「ん?」
「……動物園の子じゃなくてクロノヴェーダの仕業なら、一匹くらい貰ってもいいよね……?」
「いや、事件解決したら消えちまうだろ」
「…………!」
 硬直した少年の背中に、ガーンという書き割りが見えた気がした。光希としてはごく当たり前のことを言っただけなのだが、何やら悪いことをしたような気分になる。
「そうか……事件が解決したら消えちゃうのか……許すまじクロノヴェーダ……」
「前から思ってたけどお前、動物相手になると見境なくなるよな……お?」
 くい、とジャケットの背を引っ張られる感触に、光希は後ろを振り返る。するとそこには、木の柵越しに顔を出してフンフンと鼻を鳴らしている真白のアルパカが一頭。物怖じしないその様子には素直に和んで、光希は目元を和らげる。
「なんだお前、遊びたいのか?」
「ふふ、アルパカも可愛いね」
 仔パンダを腕に抱いたまま歩み寄り、暁斗は獣の首に手を伸ばす。綿のようなその体毛はくるくると巻いているが長く、触れた指先はどこまでも深く沈み込んでいく。
「まったく、調査どころじゃねえな」
 もう少し見て回るかと苦笑して、光希は言った。その足下にはいつの間にか、仔パンダ達がぞろぞろと群がりつつある。
「いいなーコウ、モテモテだ。パンダタワー……?」
「喜んでいいのかどうか分かんねえな……」
 しかしまあ、こうしていられるのも今のうち。ほどなく訪れるであろうクロノヴェーダとの邂逅に向けて、今は少しでも英気を養っておくべきだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【動物の友】がLV4になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!

天音・梓
ふうむ、「パンダがどこから発生しているか?」ですか。さっぱり分かりません。分かりませんが、私なら園内の様子を一望できる高所か、状態を機械で把握できる管理棟がどちらかに行きますかね

外れたとしてもカメラをハッキングすれば少しは調査がはかどるでしょうから動物園の西の方にある「上野動物園管理事務所」に向かいましょう
扉がロックされていたら【無鍵空間】でハッキングしてロックを解除、駄目なら……もう大鎌で扉を【両断】することも視野に入れましょう

もし管理棟から発生しているのであれば、ハッキングして電気を落とし、周囲の様子を敵が把握できないようにします
敵がいないのであれば管理棟のカメラで目星をつけて情報共有です


百鬼・運命
アドリブ絡み歓迎

さてと時先案内人の話じゃあ、
・監視カメラがたくさんある
・窓から不忍池の蓮の花が見える
という事。普通なら管理事務所が怪しいけど…実際の上野動物園とは施設配置が違う可能性ありということは新宿島の地図は当てにならないか。

だが不忍池の位置までは動かないだろうし、動物園なら現地に地図があるだろう。【スーパーGPS】も使って照らし合わせ不忍池周辺の施設を探ろう
動物園なら大体の建物にはトイレ等の役目があるはずだが…一般人が訪れる役目がない建物はとても怪しいな

あとは敵は監視カメラを使っているんだったな。ばれない様に【モブオーラ】を使い、更に蓮の花を写真撮影している風を装っておこうか


ニィニア・ダブリス
アドリブ絡み歓迎

とりあえず監視カメラを確認したいところですね
というか…あの子達、本当にパンダなのかしら?

上野動物園管理事務所へ移動、鍵は罠使いと解体のスキルを応用して開けられるでしょうか
可能なら映像を観察してパンダの出どころを探ります
窓辺に立って不忍池を眺めてみたり、行き交う人々の会話に耳をそば立て情報収集を

…触り損ねちゃったな、パンダ…蓮の中からパンダが出てきたらロマンチックなのですけど…


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

行楽にしそびれたので仕事だ
だが、動物園とは良いものだな……なごむ

辺りを偵察、観察しつつ
一般人に紛れつつ園の関係者らしくプラチナチケット
足を向けるのは
上野動物園西園、「管理事務所」へ
地図で予習してきた

不忍池から少し離れてはいるが、三階建のようだし、上部の窓からは確実に見える……かな?
パンダのもりにも近いようだし
何より、管理に向いているしな……
機器も事務机もあるだろう
……と、池からそこそこ距離はあるが……いちおう見えるか

違いそうなら他の施設へ行くが……
西園駅の方が池に近い建物だし、素直に池の傍の売店というのもあるが……どちらも事務机はなさそう
両生爬虫類館だと、猫に怯えそうかな……?


「動物園とは良いものだな……なんというか、なごむ」
 水辺を渡る風が涼やかに吹き付ける池の畔。時折聞こえてくるペンギンやフラミンゴの鳴き声に耳を傾けながら、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は言った。都心の只中にある小さな非日常は、たとえそれが改竄世界史の中であっても、訪れる人々の心を躍らせる。
「……とはいえ、和んでいる場合じゃないな」
「そうですね。問題は、『パンダがどこから発生しているか?』ですが……」
 今が盛りの蓮池を縁取る柵にもたれかかって、天音・梓(雨兆す・g03821)は事もなげに言った。
「さっぱり分かりませんね」
「うーん、そうだな。時先案内人の話じゃあ、監視カメラがたくさんあって、窓から不忍池の蓮の花が見える……ってことだったけど」
 同じく池に面した柵の間際でカメラのシャッターを切りながら、百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)が応じた。こうして蓮の花を眺めている風を装えば、仮に敵がどこかで見ているとしてもすぐに怪しまれることはないだろう。
 柵の上に肘をついて梓が首を傾げると、ハーフアップにした亜麻色の髪が夏の陽射しを照り返してさらりと揺れた。
「私なら園内の様子を一望できる高所か、状態を機械で把握できる管理棟か、そのどちらかに行きますかね」
「というか……あの子達、本当にパンダなのかしら?」
 東屋の支柱に背を預けて、ニィニア・ダブリス(陽炎と蜜・g05014)が言った。黒を基調にしたスタイリッシュなモードには、小さめの円いサングラスがよく似合う。無造作にツルをつまんでサングラスを額の上に押し上げると、ニィニアはそこら中を右から左へ闊歩しているパンダ達に目をくれた。一見すると何の害もなさそうな彼らが本物のパンダでないことは間違いないが、考え得る限りは、一般人のエネルギーを吸い上げるためにクロノヴェーダが生み出した実体のある幻術――というのが妥当なところだろう。
 とにかく、とサングラスを戻して女は言った。
「とりあえず、まずは監視カメラを確認したいところですね。そこに、あの子達も映っているかもしれませんし」
「まあ、順当だな。そうなると、普通は管理事務所が怪しいだろうなあ」
 そこに監視カメラの映像を集約している可能性もあるし、と応じながら、運命は再びシャッターを切る。青い夏空と蓮の葉の深緑、花の桃色が鮮やかに端を接して並んでいる――都心では稀有な光景だ。
「実際の上野動物園とは施設配置が違う可能性もあるってことだから、新宿島の地図は当てにならないかもしれないけど……」
 仮に現実の上野動物園と多少設備の配置が違ったとしても、不忍池の位置までは動かないだろう。そうだ、と思い立って周囲を一望し、運命は言った。
「どこかに地図か、案内板でもないかな?」
「それならさっき、入り口でもらって予習済みだ」
 折り畳んだパンフレットを広げて、エトヴァは園内の主だった施設の位置を今一度確かめる。見れば小獣館の裏手あたりに小さく『管理事務所』と付記された建物が描かれている。
「不忍池から少し離れてはいるが、三階建てのようだし、上部の窓からは確実に見える……かな? パンダ舎とは――割と離れているみたいだけど」
 仮に他の可能性があるとすれば、池の近傍にはモノレールの西園駅や売店などもあるが、そこに大量の映像機器や事務机が並んでいるとは考えにくい。あとは両性爬虫類館だが、外観からして池に面した窓があるようにも見えず、こちらも望み薄と見ていいだろう。
 地図を広げるエトヴァの手元をふむと覗き込み、運命は背にした西園の一角へ視線を投げた。
「……だったら、話が早い」
 まだそうと決まったわけではないが、仮にそこが敵の本拠地ではなかったとしても、管理事務所には監視カメラを束ねるシステムがあるはずだ。そこをハッキングすれば、調査の役には立つかもしれない。
「じゃあ」
「分かりました」
 視線は合わせぬまま、けれどもどこか慣れた様子で四人はそれとなくその場を離れて歩き出す。不忍池に背を向け、獣舎をいくつか横目に見送って、向かうのは獣舎の裏手にひっそりと立つ上野動物園管理事務所だ。
「この辺りは人が少ないですね」
 何気ない風を装って辺りを見渡し、ニィニアが言った。何かの手がかりがあればと行き交う人々の会話に耳を傾けていたが、ここに至ってはそのざわめきすらもほとんど感じられない。そうですね、と淡々と応じ、梓は道を縁取る木の陰を伝っていく。
「一般客には用がないところですしね。……ここから先は少し慎重に行きましょう」
 道はやがて、関係者以外立ち入り禁止の柵に行き当たる。それ自体は公共施設としては当然のことで、何ら不思議なことはない。ただ。
「……おっと」
 柵から中を覗き込もうとして、運命は咄嗟に塀の裏に身を隠した。ほとんど新築らしい小綺麗な三階建てほどの建屋の入り口は――武装した複数の天使達によって守られている。
「いきなりビンゴか……」
「捻りがありませんね。ですが、わざわざハッキングして解錠する手間は省けました」
 まだ見ぬ敵へ冷やかな視線を向けて、梓が応じた。上向けた掌には、青白く輝くハッキングコードがくるくると踊っている。
「開かなかったらぶった斬ることも視野には入れていたんですが」
「あら、物騒。……まあ、わたしも同じことを考えていたのですけれど」
 すらりと伸べた手に桃色の霧をまとわせてニィニアも言った。とはいえここまでスムーズに事が運ぶとは思っていなかったので、パンダを触り損ねたことは少々心残りだが――この期に及んで、引き返すわけにもいかない。
 残念、と吐息する女を背に、梓は手中の輝きを握り込んだ。
「では、殺りあいましょうか」
 もふもふの時間は、もう終わり――復讐者達が一歩、この柵の内側へ踏み込んだ時、事態は大きく動き出すだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
【スーパーGPS】LV1が発生!
【現の夢】がLV3になった!
【プラチナチケット】がLV2になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
【ロストエナジー】がLV3になった!

エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎

うん、当たった……
早めに到着できたなら、対応の時間も取れるか
動物達を守らないとだ

プラチナチケットで飼育員等を装い
速度重視で光学迷彩と飛翔で移動、問題があれば迷彩を解除し走る
管理事務所に近い檻から対処
通信で仲間と連携を取り分担を

動物の友で、動物達へ直接避難を呼び掛け
外にいる動物は、安全そうなら宿舎の中へ

檻が現場に近すぎたり、自力退避が難しい動物は
現の夢で眠らせて、持ち運びのできる檻の中へ入れて、怪力無双で運ぶ
人に危害を及ぼす危険のある獣については厳重に注意し、移動先を決める

偵察、観察しつつ逃げ遅れのないように
移動ついでに周辺通路にロープを張り、看板を置き、立ち入り禁止にしておく


フェルト・ユメノアール
敵の拠点は突き止められたみたいだし、戦闘に備えて動物たちを避難させないとね
ボクはSCドッペルシャドーを召喚!

攻撃がどこから飛んでくるか分からないし、物量を頼りに広範囲をカバー
シャドーたちに号令を出し、周りの人や動物に攻撃が当たらないように敵の牽制と
敵の注意を引いて巻き添えが出ない場所に誘導、避難までの時間稼ぎをお願いするよ

ボク自身は【プラチナチケット】を使って職員の人たちに戦場付近の動物を避難してもらうようお願い
それが難しい場合は動物たちを一か所に集めた上で【怪力無双】を使って物を積み上げ攻撃を防ぐ壁を作り
さらにパラレルパラソルを広げて動物たちをディフェンス、敵の攻撃から守り抜くよ!


「とりあえず、当たりで何よりだが……」
 さて、ここからどう攻めるべきか。関係者以外立ち入り禁止の標識を貼りつけた柵から向こう側を覗き込んで、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は言った。
 上野動物園管理事務所――近傍の通路。辿り着いた猟兵達は植木の陰に身を潜めて、間近に望む敵陣の様子を窺っていた。建物に接近する者を警戒しているのか、入口や周辺を武装した天使達が徘徊している様は、動物園の長閑な風景とは打って変わって物々しい。
 その時――頭上で、がさりと木の葉のずれる音がした。
「敵の拠点は突き止められたみたいだね」
 ぱらぱらと青い葉を散らして、フェルト・ユメノアール(夢を追う道化師・g00275)が枝の間から逆さまに顔を出した。空中でくるんと一回転してアスファルトの道へ降り立ち、少女は続ける。
「じゃあ、戦闘に備えて動物たちを避難させないとだ」
 早々に敵の拠点を特定し、余裕を持って到着できたのは極めて大きい。どんな動きを取るにせよ、敵がこちらの動向に気づいていない今が好機だ。
 ああと小さく頷いて、エトヴァは再び紙の園内図を広げた。
「管理事務所に近い檻から対処していこう。この辺だと小獣舘とふれあい広場、エントランス近くの鳥類と……サバンナの草食獣あたりが危ないか?」
 動物達を動かすにあたって一番の懸念は、人に危害を加える可能性のある猛獣類の扱いであったが、幸い彼らが飼育展示されているのは道路を超えて山の上にある東園だ。戦闘の規模がどれほどになるかは断定できないが、現時点でそこまでの広範囲に対応する必要はないだろう。西園にはカバやキリンなど大型の草食獣達もいるが、彼らの獣舎は食堂などを挟んで管理事務所とは反対側に位置しているため、比較的距離もある。
「手分けして避難対応に当たろう。俺は飼育員に、動物達の傍にいてくれるように頼んでみる」
「うん、それがいいね」
「動物の友で直接避難を呼びかけることも考えたんだが……」
 呼び掛けたところで彼らは自分の力で檻から出ることはできないし、たとえ出られたとしてもそれはそれで大変なことになってしまう。
 しかし今はまだ何も起きていなくとも、非常事態が発生したとなれば飼育員達も彼らの話に耳を傾けざるを得ないだろう。屋外に出ている動物達も頑丈な獣舎の中へ誘導してもらえれば、流れ弾に当たる可能性は下げられる。さらには周辺通路にロープを張り、看板を置いて立ち入り禁止を強調しておけば、無関係な来園者がうっかり管理事務所に近づいてしまうこともないはずだ。
「逃げ遅れのないようにしないとな。ついでにこの辺りの人払いもしておこう」
「了解。じゃあ、ボクは――現れろ! SCドッペルシャドー!」
 どこからともなく手品のように取り出したハトのステッキをくるくると回して、フェルトは人の形をした影を喚び出した。おお、と青い目を瞠るエトヴァに得意げにウインクを送って、少女は告げる。
「攻撃がどこから飛んでくるか分からないからね。物量でカバーしようと思って」
 敵の反撃が発生することを考慮すれば、攻撃とみなされる行為には慎重にならざるを得ないが、こうやってこちらを大人数に見せかけておけばいざという時の囮か目くらましにはなるかもしれない。
 カラフルなパラソルをポンと開いて軽業の要領でくるくる回し、フェルトはばっちりポーズを決めた。
「どこから来たって、守り抜いてみせるよ!」
 ステージ衣装は脱いでいても、彼女はエンターテイナーだ――これ以上、クロノヴェーダに人々の憩いの場を汚させはしない。頼もしげに頷き合って、復讐者達は動き出した。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【現の夢】がLV4になった!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV4になった!
【ダブル】LV1が発生!

天音・梓
倒すべき相手は見つかりました
ならば後はただ速やかに制圧して被害を抑えるだけです

相手はトループス級、こちらの状況を把握されて対策される前に速攻で決めましょう
まずは周囲の地形を【観察】し敵までの接近ルートを思い描いたら、【風使い】で自身の周りを守るように風を纏って空気抵抗へのバリアにします
翼で【飛翔】、【エアライド】で空を蹴って方向転換と加速を行いながら大鎌で敵を【両断】、斬り抜けながら相手の奥深くに侵入して敵の隊列を乱すように動きましょう

室内で狭い場所に来たなら纏った風を操って攻撃を受け流しつつ、大鎌にも風を纏わせて放ちカマイタチで遠くを切り裂き、見かけの射程よりも遠くの敵を奇襲するよう戦います


「さて……相手はトループス級です。こちらの状況を把握されて対策される前に、速攻で決めましょう」
 背にした仲間達を一瞥して、天音・梓(雨兆す・g03821)が言った。車を止めるためのものだろうか? 管理事務所の建屋と柵の間には、少し開けたスペースがあった。事務所の裏手には小獣舘やその他の獣舎があるのは把握しているが、動物達や来園者への対応は別動隊の仲間に任せておけば心配ないだろう。
 この場を速やかに制圧し、これ以上の被害を抑えるとともに、敵の親玉を引きずり出す――それが、この場に残った彼女達の役目だ。
「行きます」
 抑揚のない宣言と共に、梓は焼けたアスファルトを蹴った。入口の左右を守る天使達との距離は、目測にして凡そ50メートルほど――翼をひと打ち上昇して高い柵を飛び越えるや、少女は身の丈ほどの白金の鎌を手中で軽やかに取り回し、そして酷薄に告げた。
「――ご覚悟」
 最短距離で突っ切る先は、天使の御許。竜巻の如き回転で振り抜く刃は、身構える暇さえ与えない。
 肉の引き裂かれる耳障りな音がして、ギャッ、と短い悲鳴が上がった。斬り倒された一人が地に伏せると、軍服姿の天使達が俄かにざわめき立つ。何者と問われれば冷めた眼差しで嘆息して、梓は呆れたような口ぶりで言った。
「答える義理がありますか?」
 四方から突き付けられる剣の中心にあっても、臆することは何もない。振るう鎌は断罪の刃――風をはらんで浮き上がる黒の外套は、天使という名の悪魔を刈り取る処刑人の衣だ。
「緊急事態発生! 園内に侵入者が――」
 通信機に向かって呼びかけながら、天使の一人が斬りかかった。しかし上体を反らしてその剣先をかわし、梓は無心にその手の鎌を振るい続ける。両手を広げてなお余る鎌の長いリーチは、単に間合いを保つためのものではない――かわしたと思い込んで油断した相手は、その剣圧が生む風刃にわずかに遅れて穿たれるのだ。
(「一体一体は、大した相手ではなさそうですね」)
 斬り倒された天使が一体、塵となって散っていく。しかしどこに隠れていたものか――管理事務所の中から外から現れる天使達はみな一様に同じ顔をして、次々と復讐者達に向かってくる。
大成功🔵​🔵​🔵​
効果1【エアライド】がLV3になった!

一里塚・燐寧
【燐五】

いやー。もうちょっと観光してたい気分なんだけどねぇ?
台東区の支配者ブッ殺して奪還キメたあとで、続きはゆっくり楽しもっか~
んじゃ、お仕事お仕事っと

五月姫ちゃんをディフェンスしながら戦うねぇ
お互いに護りあって、背中合わせ……んふふ、こんなに心強いことってないよぉ

≪テンペスト・レイザー≫を担ぎ、『呪式:虚心断壊』で攻撃を仕掛けてくよぉ
一瞬で目の前に出現して斬り裂く埒外の速さで、相手に極力カウンターの【斬撃】を赦さないよーに動くねぇ
五月姫ちゃんが攻撃を受けそうな時は、迫る敵のそばにすぐ現れて攻撃するねぇ
はいストップ~。あたしのカノジョに汚い手で触んないでねぇ。バラバラに【解体】しちゃうよぉ?


瀧夜盛・五月姫
【燐五】

や、こんにちは、こんにちは。
上野の動物園から、こんにちは。
あんな魅惑的なモフモフで、人々からエネルギー、奪うだなんて、とても、許せない。
どうせなら本物、出して……違った、とにかく許せない、よ。

燐さんをディフェンス。
ん、なら燐さんは姫、護る、よ。大丈夫、一緒、だから。

突きとは、敵の急所、的確に捉える、技のこと。
クロノヴェーダの隙、翼の盾の合間をついて、素早く突く、よ。
燐さんが狙われる、ようならば、抱きついてでも、ディフェンス。
姫に確認、しないで攻撃したの、だれ?
あなた? それとも、あなた?
いいよ、いや、だめ。させてあげない。だから、かかってきて。
一撃て、刺し潰して、あげる、よ。


「貴様ら、ディアボロスだな……!」
 突然の襲撃に焦燥を露わにして、武装した天使の一人が歯噛みする。大胆不敵とはまさにこのこと――天使と悪魔に支配されたこの東京で、こんな真似をする者は復讐者をおいて他にはいない。
 やあ、と一声、おさげ髪を柵の向こうからひょっこり出して、瀧夜盛・五月姫(失つし世《うつしよ》の滝夜叉姫・g00544)は言った。
「上野の動物園から、こんにちは……」
 おどけたような物言いとは裏腹に、天使達を見つめる少女の目は妙に据わっていた。それから一歩遅れて、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が隣に並ぶ。華奢な肩に担いだチェーンソーは長大にして重厚で、黒々と輝いて見える。
「いやー。本音じゃもうちょっと観光してたい気分なんだけどねぇ?」
「あんな魅惑的なモフモフで、人々からエネルギー、奪うだなんて……とても、とても許せない」
 静かに燃える五月姫の怒りの原因は、どうやら敵のやり口にあるらしい。もふもふ好きを弄んだ罪は、かくも重く償いがたいのだ。
 どよめく天使達を恨めしげに睨みながら、五月姫は続けた。
「どうせなら本物、出して……じゃなかった、とにかく許せない、よ」
「まーまー、台東区の支配者ブッ殺して奪還キメたあとで、続きはゆっくり楽しも~?」
 もっとも本当の上野動物園には、我が物顔で園内を歩き回る仔パンダ達は残念ながらいないのだけれども――奪り返した世界は、きっとそれ以上に輝いているはず。
 隣り合う肩をぐいと引き寄せて、燐寧は言った。
「いくよぉ五月姫ちゃん!」
「了解、燐さん」
 どんな敵が相手でも、二人一緒なら大丈夫。烈しく唸りを上げる剣を軽々と取り回して、燐寧は不敵な笑みを浮かべた。
「まずはお仕事お仕事、ってね!」
 この細腕のどこにそんな力があるのだろう? 振り回す刃は戦線を切り裂いて、天使達の隊列をかき乱す。しかし負けじと抜き身の剣を掲げて、天使の一人もまた朗々と叫んだ。
「総員構え! ディアボロスを迎撃せよ!」
 台東区の要所、上野を巡る互いに譲れぬ戦いだ。隊列を整えて身構える天使達の懐へ飛び込んで、五月姫は手にした薙刀を掌の上で滑らせる。肋骨の隙間に狙って捩じり込む呪詛の刃は、的確に敵の急所を穿ち、その傷口からじわじわと天使の躯体を侵していく。
「!」
 突如、足元に影が落ちた。背後を取られたのだと気がついて、五月姫は咄嗟に反転する。しかし天使の一体が躍りかかるよりも早く、燐音がそこへ割り込んだ――否。忽然と、姿を現した。
「はいストップ~。あたしのカノジョに汚い手で触んないでねぇ。バラバラにしちゃうよぉ?」
 放つのは、存在否定の呪いを組み込み、編み上げた呪式――『虚心断壊』。虚無の剣は一閃振り抜けば目の前にある距離を否定し、あたかも瞬間移動をしたかのような接敵と、そこから続くシームレスな斬撃を可能にする。瞬時に敵を捉えて斬り裂く埒外の速さは、反撃さえも許さない。
 もうと頬を膨らせて、五月姫は言った。
「姫に確認、しないで攻撃したの、だれ? あなた? ――それとも、あなた?」
 不意打ちなんて許さない。勿論、彼女の大切な物を傷つけるなどは論外だ。薙刀の穂先を敵の胸元へ突きつけて、夜叉姫は氷の如き声色で紡ぐ。
「一撃で、刺し潰して、あげる、よ」
 背に背を合わせて立ち向かえば、これ以上心強いことはない。守りたいと願えば願うだけ、彼女達はどこまでも強く、高め合っていけるのだから。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】がLV2になった!
【腐食】がLV2になった!
効果2【ダブル】がLV2になった!

バラニィ・エアリーズ
やべ、何か戦いが始まるっぽい?
幸いというか生憎というか、偶然会ったマルケトさん(g03412)と一緒に見物してて西園の辺りにいたんだけどもさ。

ふむふむ、敵拠点は管理事務所──って、確かすぐ近くに小獣館とかあったよね?(※さっき行った)
戦闘自体はそんなに長引かないかも知れんけど、被害を受ける可能性はあるよなあ……

ひとまずあたしはそっちの方に向かいつつ【悲劇感知】使えるようにしとこう。
悠長に歌聴いてる余裕あるかは微妙だけど、無いよりかはあった方が対応の幅も広がるでしょ。

そこそこ高Lvの【動物の友】があるし、動物に説明して避難要請とかする分には大丈夫……かな?
ゲーム配信で培った統率力見せてやんよぉ!


マルケト・キサウェ
……あっ。エアリーズさん(g02889)と一緒に西園を巡っていたら、時間が来てしまったようで。
当初の目的はこの地を支配する敵の討伐。頑張らないと。

とは言え、まずは市民の方々や動物たちの安全が気になります。
側近を倒しても園に悪影響は出ないとの話ですが、ただでさえ人が多い上に動物までいるとなれば一時的な被害も極力抑えたい所。
管理事務所直近が一番危険そうというのは確かなものの、逆説連鎖戦は理外の戦い。戦闘の余波がどれ程まで及ぶかは解りません。

【悲劇感知】の歌が聴こえる場所が無いか、なるべく広範囲を〈ダッシュ〉し確認して廻ります。
交戦が始まったなら人目を憚らず【飛翔】もしますね。何かあれば通信連絡を!


 一方その頃、西園・キリン舎近傍――。
 遠く響く撃音と怒号を耳に留め、来園者達がぎくりとその場に足を止める。俄かにざわつき始める園内の様子に慌てて、バラニィ・エアリーズ(ゲーミングサキュバス・g02889)もまた白い肩を跳ね上げた。驚いた様子の主人につられたのか、眼鏡をかけたモーラットは落ち着かない様子でバラニィの頭上をぐるぐると旋回している。
「やべ、何か始まったっぽい?」
「どうやら時間が来てしまったようですね……!」
 恐らくは仲間の復讐者達が、敵に接触したのだろう。不穏な音の出どころを探して、マルケト・キサウェ(docta ignorantia・g03412)は風上に耳を傾ける。どうやらこの西園内、それもそう遠くないところで戦闘が発生しているようだ。
 元より知己である二人は、西園をぶらついている途中でばったり出会い、一緒に動物を見て回っているところであった。本音を言えば東園の方へも足を伸ばしてみたかったのだが――始まってしまったものは仕方ない。
 頑張りましょうねと意気込むマルケトに頷いて、バラニィは上向けた手のひらに小さな通信機を呼び出した。慣れて久しい巻角の下、バーガンディの長い髪に隠れた耳へ添えて乞えば、通信機の向こうの声が現在の状況を教えてくれる。
「ふむふむ、敵拠点は管理事務所──って、確かすぐ近くに小獣館とかあったよね? さっき行った……」
「そうですね、そのはずです。中にいる市民の方々や、動物達に被害が及ばなければいいんですが……」
 地理的に最も危険なのは管理事務所とその直近のエリアであろうが、逆説連鎖戦は理外の戦いだ。戦闘の余波がどこまで及ぶかは、彼女達自身にすら分からない。それで万が一設備に被害が生じれば、デリケートな生き物達への影響は避けられないだろう。
「側近を倒しても園に悪影響は出ないとの話でしたが……それは何もかも無事に済めばの話ですもんね」
 最悪を想定して動くべきでしょうと、マルケトはそう言ってきりりと眉を吊り上げた。守るべき人や動物が多いという点で厄介な戦場だが、今後のためにも一次被害は極力抑えたいところだ。
 そういうことならと両手を握り締め、バラニィが言った。
「じゃあ、二人で手分けしてパトロールしよう! これから何かが起きるなら、『悲劇感知』の歌が聞こえるかもしれないし!」
「分かりました、歌が聞こえたら報・連・相ですね! 何かあれば通信連絡を!」
 どちらからとなく掲げた片手をパシンと軽く打ち合わせ、二人は真逆の方向に向かって走り出す。目的は、戦闘による被害の防止と無関係な動物、そして来園者達の避難誘導だ。檻の中の動物達に直接呼びかけるのは――自力では避難することができない、という点で――難しいかもしれないが、飼育員や来園者達に呼び掛けることは問題なくできるはず。否、できるかどうかは問題ではなく、ただ『やる』のだ。
「ゲーム配信で培った統率力見せてやんよぉ!」
 面白くなってきたと意気込んで、バラニィは勝ち気な笑みを浮かべた。その声を背に聞きながら、マルケトは周囲を確認し、純白の翼を広げる。少々人目はあるものの、戦いが既に始まっている以上、悠長なことは言っていられない。
「よし――行きますよ!」
 大きなリボンを翻して、少女は空の高みへ翔け上がる。そこから眼下に目を向ければ、青々とした夏の木立の向こうには管理事務所の屋根が覗いていた。そしてその周辺では、武装した天使と復讐者達とが激しく切り結んでいる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
【飛翔】がLV5になった!
効果2【ロストエナジー】がLV5になった!
【アヴォイド】がLV3になった!

秋津島・光希
【暁光】
※幼馴染の暴走ぶりに遠い目になってる

おう、そーだな…理不尽だよな
でもな、ここでクロノヴェーダを止めねえと
あの仔パンダは人を脅かすニセモノなんだ
可愛い姿を利用するなんて
本物をバカにしてると思わねーか?

…アキのヤツ
殺る気満々なのはいいけど心配だな
今回はサポートに回るか

[技能:戦闘知識、早業、強打]

常に【飛翔】
機動力を攻防に生かす

爆撃槌を構えて派手に突っ込んでく素振りを見せ
敵の注意を引き付けて…パラドクス発動
動物の恨みってことで
信楽焼の狸の幻影でも落としてやるか

アキ、今だ
思う存分、やっちまえ!

勿論、俺も一緒に殴り掛かるぞ
むしろ殴らせろや!
この野郎、手間かけさせやがって!
ありとあらゆる意味で!


鉄・暁斗
【暁光】
※動物愛故か、ちょっと危ない目をしているような

…コウ、現実って残酷だよね
あんなに可愛い仔パンダを連れて帰ることすら許されないなんて…(しょんぼり)
…人を脅かすニセモノ…そうだ、コウの言う通りだね
やはり本物のもふもふこそ至高!(拳を握り)

そんな悪いクロノヴェーダには、お灸をすえないといけないよね
【光学迷彩】【モブオーラ】活用
[臨機応変]に動き、敵の背後を取れる位置へ

コウが敵の注意を引いてくれるから、俺はその隙をつくよ
信楽焼の狸に吹き出しそうになるけど我慢
ちょっと気分がスッキリするね、コウに感謝しないとな

うん、任せてコウ
人々と動物、そして俺達を弄んだ罪の重さを知るといいよ
哭切、全力で呪え!


 ところ変わって、上野公園管理事務所前。押し入らんとする復讐者達と、その侵入を阻まんとして迎え撃つ天使達の間では、一進一退の攻防が続いている。そして砂煙の舞う戦場に、新たに駆けつけた者がまた二人。
「現実ってさ……残酷だよね」
 入り口の門を潜るや藪から棒に、鉄・暁斗(鉄家長男・g07367)はハイライトの失せた目で戦場を見渡し、言った。
「あんなに可愛い仔パンダを、連れて帰ることすら許されないなんて……」
「お、おう……そーだな……理不尽(?)だよな……」
 遠い目をさらに明後日の方角へ逸らして、秋津島・光希(Dragonfly・g01409)は応じた。気のない返事とは言わないでほしい――動物好きな幼馴染がひどく落ち込み、しょぼくれているのは重々伝わってくるのだが、だからといってこの状況でいったい何を言えばいいというのか。
 はーっと長く大きな溜息を吐いて眉間の皴を揉み、光希は続けた。
「でもな、アキ。俺らはここでクロノヴェーダを止めなきゃならねえ」
「それは勿論、そうだけど……」
「考えてもみろよ。あの仔パンダは人を脅かすニセモノなんだぞ。あの可愛さを利用するなんて、本物をバカにしてると思わねーか?」
「ハッ」
 刹那、雷に打たれたような衝撃が暁斗の中を駆け上がった。姿勢を正し、ずれた眼鏡をきちんと掛け直して、少年はいつになく感情を露わにする。白くなるほどに握り込んだ拳は、怒りのためか微かに震えていた。
「人を脅かすニセモノ……そうだ、そうだよね。コウの言う通りだ」
「おう。お前なら分かってくれると思っ」
「やはり本物のもふもふこそ至高!」
「いや、そっちじゃねえよ!?」
 結果的にクロノヴェーダへの怒りに転化されているならば、それはそれでいいのかもしれないが。ツッコミはさらりと流して、暁斗は白く反射した眼鏡をくいと押し上げた。
「そんな悪いクロノヴェーダには、お灸を据えないといけないよね」
「おう…………そうだな」
 もう長い付き合いになるけれども、こんな暁斗を目にすることは一年にそう何度もない。あれこれ口を挟むのもためらわれて、光希はただ、言葉少なに頷いた。
(「アキの奴、殺る気満々なのはいいけど…………今回はサポートに回るか」)
 いつもは冷静で理知的に見える幼馴染が――実際にそうだとは別に言っていない――こうなると少々危なっかしいことを、光希はよくよく理解している。手中の爆撃槌をくるりと回して構え直し、少年は蜻蛉の翅を広げた。
「じゃあまあ、ここは軽く一発」
 爆撃槌を手に、真正面から派手に突っ込んでいく――と見せかけて、光希は空いた左手にハッキングコードをまとわせる。世界をも改竄し得る力で呼び出す幻影は、最強の武器――ではなく、信楽焼きの狸の置物だ。ゴン、と鈍い音と共に置物が天使の後頭部に落ちるのを見届けて、光希は声を張り上げた。
「アキ、今だ! 思う存分やっちまえ! 俺も殴る!」
「うん、任せてコウ」
 冗談じみたパラドクスで殴られる天使の姿に、若干溜飲が下がったのか。琥珀の瞳に輝きを取り戻して、暁斗は言った。その手には、すべての光を吸い込むような漆黒の短刀が握られている。
「人々と動物、そして俺達を弄んだ罪の重さを知るといいよ! 哭切、全力で呪え!」
「マジでこの野郎、手間かけさせやがって! ありとあらゆる意味で――!」
 生み出す呪刃と狸の置物がボコスカと天使を殴る光景はだいぶ、否かなりシュールだが、本人達は至って真剣そのものである。そうして喚くことしばし、殴ったり殴られたりの攻防を続けていると。
「これは、なんの騒ぎかな?」
 不意に、深く柔らかな男の声がした。天使達が一様に背筋を正して道を開けると、管理事務所の入口扉が左右に開き、宵色の翼を持った美しい天使が一人――こちらへ向かって歩いてくる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
【腐食】がLV3になった!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!

マティアス・シュトローマー
夜永(g03735)と

敵の拠点が見付かったってさ
急ごう!
【パラドクス通信】で連絡を受け【飛翔】で交戦中の仲間の元へ。敵はあのアヴァタール級か。腕の中にいる白い生き物がすごく気になるけど……くっ、今は戦闘に集中しよう

夜永ナイス!それじゃあ俺も
タイミングを合わせてパラドクスを発動。【完全視界】で濃霧の中でも視界を確保。具現化した雷を落とす事でダメージを与え、敵を麻痺させる
空を飛べるとはいえ、これなら大分動きを封じられたんじゃないかな

反撃の勿忘草はすごく綺麗だけど【エアライド】で躱すか、間に合わなければ臨機応変に銃で迎撃を
まあチームメイトを忘れる気も無いから俺は受取拒否させてもらうよ


長月・夜永
マティくん(g00097)と

OK、行こう♪

【完全視界】を活性化、【飛翔】で交戦中の仲間の元へ

うげっ最悪、、勿忘草の天使じゃん
アイツ、氷属性の耐性高いから嫌いなんだよね、、、

(偵察で確認後、露骨に嫌そうな表情を浮かべ、しばし思案したあと、嫌がらせメインで動く事に決め)

マティくん、白霧で視界を奪って時間稼ぐから噛ましちゃって!!!

複雑な印を瞬時に結んでパラドクスを発動
範囲を広範囲に設定して、周囲を全てを濃霧で覆うことで、視界を奪い、また凍てつく冷気で攻撃を行います。

飛翔の機動力兼広範囲技なので、こちらの位置を感知され辛いメリットがあります。

適当に散らした勿忘草は怖くないし、じわじわ削ってあげる。


「夜永! あっち、敵の拠点が見付かったってさ」
「OK、行こう♪」
 急ごうと促すマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)にいつも通り気さくな笑顔で応じて、長月・夜永(は普通の女のコである・g03735)は跳躍する。青い袖をなびかせて、一路向かう先は上野動物園・西園の一角に位置する管理事務所。仲間達は既に交戦中であるらしく、切り結ぶ復讐者と軍服の天使達の戦列は少し離れたところからでも視認できた。そして、その向こうで――白い猫を抱いた大天使が一人、悠然とこちらを見据えている。
「……あいつが親玉だな」
 名を、『勿忘草の天使』ミオゾーディデ。青みがかった宵色の翼を広げた佇まいは余裕さえ感じさせ、いかにも強敵という印象を与えるのだが――マティアスには一つだけ、どうしても気になることがあった。
「腕の中にいる白い生き物が……すごく気になるんだけど……」
 白くもふもふとした毛並みに長い尻尾。さんざんパンダを愛でてきた後でなんだと言われるかもしれないが――パンダにはパンダの、猫には猫の魅力があるのだから仕方ない。クッ、と口惜しげに喉の奥から搾り出して、マティアスはぶんぶんと首を横に振った。
「今は、とにかく戦闘に集中しよう。見逃すって選択肢はないんだから、ね」
 艶々とした毛並みの猫がいかに愛らしくとも、敵は敵。復讐者である以上、心を鬼にして戦わねばならないこともあるのだと、自分自身に言い聞かせてマティアスは武器を取る。しかし一方の夜永はというと、その横に並んでだらりと肩を下げ、露骨に顔をしかめた。
「うげっ、勿忘草の天使じゃん……ボク、アイツ苦手なんだよね」
 嫌な思い出でもあるのだろうか? 真正面に敵を見やってしばしうんうんと唸っていた夜永であったが、クロノヴェーダとの対決を避けて通ることはできない。ややあって腹を決め、少女は言った。
「よし、じゃこうしよう。ボクが白霧で視界を奪って時間稼ぐから、マティくん、その間にかましちゃって!」
「ああ、任された!」
 力強い応答に唇を綻ばせ、夜永は胸の前に両端を組んだ。複雑な印を素早く結んで導くのは、現代に生きる忍びの末裔たる彼女の十八番――忍法・白霧。晩夏の熱を帯びた空気が急速に冷えていくにつれ、生み出された真白の霧はまるで意志を持っているかの如くに広がって、勿忘草の天使を包み込む。
 ナイス、と指を鳴らしてマティアスが続いた。
「それじゃあ俺も……!」
 すっと右手を掲げれば、煌々と輝く雷のオーラが少年の身体を包み込む。蜜柑色の短髪を静電気に膨らませて、少年はじろりと敵を見た。
「――奔れ!」
 号令と共に素早く振り下ろせば、その手指の示す方向へかぎ裂きの雷が迸り、天使の羽根をしたたかに撃った。濃霧の中でも的を違えぬ雷光の矢は、美しい天使を確かに射抜いた――かに見えたが。
「!」
 濃霧の中から舞い上がった勿忘草の氷片が、渦を巻いて復讐者達に襲い掛かる。吹き付けるかけらは剥き出しの肌を容赦なく裂いて、夜永は悔しげに口元を歪めた。
「ああーもう! だから嫌なんだよ、コイツとやるの……!」
 氷の花弁は触れたものを凍てつかせ、そして呪う。その呪詛に触れた者は哀しいかな、愛した者、大切な者を、認識することができなくなると云うのだが。
「っ……そんな呪い! 俺は受取拒否させてもらうよ!」
 降り注ぐ呪詛をがむしゃらに振り払って、無我夢中のままマティアスは叫んだ。吹き散る氷花はこの世のものとは思えぬほどに美しいけれど、さりとてそれで掛け替えのない仲間達を、素直に忘れてやるつもりはない。生き汚くとも、抗って――絶対に、覚えておいてやる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV3になった!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と

実にいい気分転換をさせて貰ったから
その恩を仇で返しにいくとしようか
可愛い姿で惑わすなんて悪魔の所業だろうし
そんな手段を天使が使うだなんて
罰を受けて然るべきだろうしね

アヴァタール級に向かう人達の露払いだね
柵を乗り越えいざ行こう
エアライドで最短距離を突き進んで
まずは手近な奴の横っ面に拳を叩き込もう

集団戦になるだろうから
レオと互いにカバーし合って立ち回ろう
寄ってくる敵は俺が殴り飛ばして
遠くの敵はレオが撃ち抜いて
奥に向かう仲間に手を回せないように暴れ回ろうか

そういえば手心を加えるんだったっけ
じゃあ偶には足で蹴り飛ばそうかな
レオを惑わした罪に足りるとは思わないけれど


朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と

本当に卑劣な罠だったよ、もふもふ
感触を思い出して手をグーパーグーパーと閉じたり開いたり
可愛い姿で惑わすのは本当にずるいよ

そうだね、アヴァタール級の元へ進む人たちの道を開こう
エアライドで最適な移動経路を見出しつつ
飛翔で距離を詰めて射程距離へ移動して
手近な敵から双翼魔弾を打ち込んでいくね

リオちゃんとお互いの背中をカバーしつつ
リオちゃんが接敵して私は遠くの敵を狙って撃つ様に立ち回るね
たくさんの敵を巻き込んで道を開けるようにするよ

平和的なやり方でエネルギーを集めるって方法なのは
ちょっぴり、ちょっぴりね、評価するけど
たくさんの人を惑わせた報いは受けてもらわなきゃだよね


 一人倒せば、また一人。武装した天使達は数多く、次から次へ迫り出してくる。現われたアヴァタール級と交戦する仲間達の姿を視界に収めながら、朔・璃央(昊鏡・g00493)は息の上がった天使を一人、力任せに殴り飛ばした。
「レオ!」
「了解、リオちゃん!」
 後ろ跳びに吹っ飛んだ天使の姿を、今度は朔・麗央(瑞鏡・g01286)の魔弾が捉える。つかず離れず距離を保って互いの死角をカバーし合えば、恐いものなどあるはずもない。戦場の只中で背中合わせに身構え、ほぼ時を同じくして、双子は憤りの混じった息を吐いた。
「まったくもう、本当に卑劣な罠だったよ……もふもふ……!」
 わきわきと手を閉じたり開いたりしてもふもふとした仔パンダの感触を思い出しながら、麗央は怒りを露わに天使達を睨んだ。動物好きの純情を弄んだ彼らの罪は、彼女に言わせれば極めて重い。
「可愛い姿で惑わそうだなんて、本当にずるいよ!」
「悪魔の所業だよね、天使のくせに」
 上に叱られないのかな、と、真顔で冗談のようなことを口にして、璃央は砂埃に塗れた両手を無造作にはたいた。
「まあでも、おかげで実にいい気分転換をさせてもらったよ。だから――ここから先は、恩を仇で返しにいくとしようか?」
 悪魔のような天使達には、然るべき罰を受けさせよう。次なる一体に狙いを定めて、少年は白い翼で宙を打つ。空を蹴り、最短距離で飛び込んだら、あとは力一杯その横面を殴り飛ばすだけ――実にシンプルで、実に明快な戦法だ。
 どつき回される天使達の姿をまじまじと見つめて、麗央は少しだけ複雑そうに唇を噛んだ。
(「平和的なやり方でエネルギーを集めようとしたことは――ちょっぴり、ちょっぴりだけ評価するけど」)
 しかしそれはそれ、これはこれだ。血で血を洗う天使と悪魔の抗争を思えば彼らのやり口は幾分ましなのかもしれないが、彼らが多くの人々を利用し、その信仰を搾取したことに変わりはない。花色の瞳をキッと鋭くして、麗央は毅然と口を開いた。
「たくさんの人を惑わせた報いは、受けてもらわなきゃだよね!」
 一体残らず、倒してみせる。そして前へ進む仲間達の道を開くのだ――有象無象のトループス級などに手出しはさせない。
 近づいてくる敵を千切っては投げ、投げてはまた撃ち落とし。切り返す斬撃に対しては互いにカバーし合いながら、双子は息の合った連携で次々に天使達を沈めていく。
(「そうだよ――上野が戻ってくれば、パンダにだってまた会えるんだもの」)
 少しくらい名残惜しくても、淋しくはない。掌に残る柔らかな感触と訣別するようにきつく両手を握り込んで、麗央は再び魔弾を放った。追尾する魔力塊は天使の一体を執拗に追いかけて、その胸元で炸裂する。くぐもった呻きと共に膝をついた天使へ関心の伴わない視線を向けて、璃央はふと、殴りかからんとした手を止めた。
「そういえば、手心を加えてやるんだったっけ」
 クロノヴェーダによって生み出された、紛い物の仔パンダ達。しかしその愛らしさは皮肉にも、可愛い妹の花咲くような笑顔をもたらしてくれた。それがまるで、戦いの痛みも苦しみも知らなかったあの頃のように屈託なく、無垢であったから――。
 ふ、と口許を和らげて、少年は長い横髪を掻き上げた。
「……じゃあ、たまには足で蹴り飛ばそうかな?」
 可愛い妹をたぶらかした罪を償うには到底及ばないけれど、予告通り、殴る回数だけは減らしてやろう。腕同様に白く冷たく固めた脚で軍服の胸を貫けば、天使の身体は脆くも崩れ、夏風に吹き散らされていく。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【怪力無双】がLV3になった!
【飛翔】がLV6になった!
効果2【能力値アップ】がLV6になった!

鐘堂・棕櫚
【KB】

今回のボスとは絶対に戦える気がしませんので
せめてそこまでの道を開けるお手伝いを頑張りたく
猫を使役して攻撃なんてどんなご褒美ですか
空恐ろしい限りですよ…
トループス級の皆さんも、そんな白一辺倒じゃなく
白黒だったらもっと信仰集められてたかもしれませんね
まあ、今日以降はどんな工夫もできなくなっちゃうんですが

復讐の刃で顕現させたナイフを
敵との距離は取ったまま投げて行きましょう
翼で防御をしてくるならば
その隙に骰さんに胴体を攻撃して貰えばダメージ入るでしょうか?
先生お願いします!って一度は言いたい台詞ですよね

いくら羽が生えていても、天使が動物園に居座る資格はありません
どうぞ天国にでもお帰りくださいね


鬼歯・骰
【KB】
子パンダの手触りは名残惜しくはあるが
害があるのは頂けねぇな

ご褒美ってアンタな…いや、まぁいい
殴っても罪悪感がミリも湧かない相手もいて良かったな
やめろパンダカラーの敵なんかいたら気ぃ抜けるわ
今後が無いってのには全面的に同意だが

待ち構えてる姿勢も防御も関係なく
投げられたナイフに続くように踏み込んで
でかい翼をへし折る勢いで力任せに鱶でぶん殴る
反撃はエアライドで跳んで躱すか
される前にツリガネと攻撃重ねて叩き潰そう
誰が先生だ!相変わらず緊張感に欠ける奴だな
ため息でも吐きたいが全部終わってからだ
今はボスに向かう奴の障害を取り除くことに集中しとく

物騒なんてこの場にゃ互いに不釣り合いだ
とっとと消えとけ


「今回のボスとは絶対に戦える気がしませんね。ええ、しません。まったくしません」
 広げた翼に勿忘草を香らせて立つ、宵色の天使。戦列の向こうにその姿を覗き見て、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は未だかつてないほどに真剣な表情で言った。すらりと長い天使の腕の中には、白い猫の姿をした使い魔が一匹、ちょこんと収まって長い尻尾を揺らしている。
「猫を使役して攻撃なんて、どんなご褒美ですか……? 本当に、空恐ろしい限りですよ……」
「ご褒美」
 ぽかんとして口を開き、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)は言った。思わず繰り返してしまったが、それ以上建設的な言葉は出てこなかった。ただでさえこの男、猫には滅法弱いのだ――それが白猫ともなれば、こうなるだろうことは目に見えていた。事務所の中から現れた天使の姿を遠目に見た瞬間、これはだめだと思ったものだが案の定だ。
 まあいい、と完全な諦めモードに入って、骰は依然として立ちはだかる軍服姿の天使達に向き直る。
「そういう意味じゃ、殴っても罪悪感がミリも湧かない相手がいて良かったな」
「いやあ、実に。でないとここまできてお荷物になるところでした」
 自覚はあるのかと骰は皮肉めかしたが、そんな軽口の叩き合いにも慣れたものだ。棕櫚は特段気にした風もなく、人当たりのよいいつもの笑顔で続けた。
「とまあ、そういうわけですので――せめて皆さんの道を開くお手伝いは、頑張りますよ」
 今なお掌に残る仔パンダの手触りは少々惜しいが、彼らの行いを放置すれば、ここで集められたエネルギーは台東区を支配する天使の軍勢に多大な力をもたらすだろう。そうでなくとも相手がクロノヴェーダである以上、掃討する以外の選択肢はない。
「トループス級の皆さんも、そんな白一辺倒じゃなく白黒だったら、パンダに頼らなくてももっと信仰集められてたかもしれませんね」
「やめろ。パンダカラーの敵なんかいたら気ぃ抜けるわ」
「はは、いやまあ、今日以降はどんな工夫もできなくなっちゃうんですけどね?」
 人々を脅かし搾取する大天使にも、その手先にも明日はない。胸の前に掲げた棕櫚の両手に、顕現するのは復讐のナイフ――両手を交差させ一気に振り抜けば、風を切り宙を裂くその刃を追って骰もまた動き出す。硬化した翼がたとえ放ったナイフを弾いても、その間、無防備を晒した天使の横腹を守るものは何もない。
「先生お願いします! ――って一度は言いたい台詞ですよね」
「誰が先生だ!」
 どこか呑気な言い草は、相も変わらず緊張感に欠けるというか、余裕があるというか。溜息の一つも吐きたいところだが、そこは気合で押し殺して骰は鋸刃を持ち替える。言いたいことは色々あっても、まずはすべてを終わらせることが先決だ。
 気合一閃、フルスイング――渾身の力で振り切った鉄塊の如き鋸は、天使の側面を見事に捉えた。咄嗟に身体を折り曲げ、衝撃を殺そうとしてもわずかに遅い。骨ごとへし折りそうな勢いの痛打に、白い翼がミシミシと音を立てて軋み、名もなき天使は弾き飛ばされて宙を舞う。弾かれざまに片手剣を振り回しても、崩れた体勢からの一閃をかわすのはそれほど難しいことでもなかった。
「お互い、こんなとこには不釣り合いだろ? ……とっとと消えとけ」
 無垢にして無辜の動物達と、動物好きの市民達。その憩いの場である動物園に、物騒な輩は必要ない。もう一度、今度は片手で垂直に振り上げ、叩きつける斬撃は、断頭台の如くに天使の頸を捩じり切る。
 お見事、と口角を上げて棕櫚は言った。
「いくら羽が生えていても、クロノヴェーダが動物園に居座る資格はありません」
 どうぞ、天国にでもお帰りくださいね――冷やかな笑みと共に振るう刃は微塵の容赦もなく、最後に残った天使の胸を貫いた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【操作会得】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV7になった!
【ドレイン】がLV3になった!

ロジェス・アンローズ
ああ、出遅れてパンダをもふりそびれてしまった…
それはそうと、君!パンダへの愛情を横取りするなんて許せないよ!
貴族として見過ごすわけにはいかない!

僕が子供の頃に家を出ていった母との思い出が消えていく
大切な記憶なんだけどな
でもこの喪失感には慣れている
時間稼ぎにはならないよ
ああ、でも、なんだか寒いな…

…しっかりしろ、僕!
僕には負けられない理由がある
僕が人の善意で救われた様に今度は僕が人を助ける
誰かの為の貴族になるんだ!

パラドクスの子守唄で攻撃
良かった
歌は覚えていたみたいだ
いつ聴いたか思い出せないけれど
刻逆の影響なのか元々記憶が曖昧なんだ

大切な記憶を忘れさせるなんて酷いな
君には大切なものはないのかい?


支倉・珠 (サポート)
ミニドラゴンの『紅』を連れた妖精使い。
拳銃とライオットシールドが基本武装です。
口調は年上年下サーヴァント問わず、敬語+さん付けです。

■性格
敬語体育会系女子。任務はド真面目。
紅さんは好奇心の塊で、隙あらば要らないギミック触ったり、フリーダムに飛び回ったり、
拾い食いしたりします。

■戦闘スタンス
盾を使った、同行者、特定対象の護衛を得意としています。
また、忍び足や罠の知識、ハッキング知識を活かした偵察要員としての補助も可能です。

パラドクスは
銃弾を焼夷弾に変成し、撃ち出す妖精召喚と
敵の足を封じてから盾で殴るシールドスマイト、
銃のペイント弾でマーキングされた場所をブレスで攻撃するミニドラブレスが主軸です。


サアシャ・マルガリタ (サポート)
モロッコ生まれ、ドイツのディヴィジョン出身のサアシャです!
こっそりひっそり動くのも、ド派手にかますのもお任せあれー!

パラドクスは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動するです!
初見の人でも知り合いでも、基本的に下の名前をお呼びするですよ!(呼び捨て)
他のディアボロスに対しては、初対面だろうが仲間ならいっぱいお喋りして仲良くなりたいです! 迷惑行為はしないですが、お祭りなんかのイベントだったら悪戯くらいはしてみたい気持ちですねぇ、ふふり!……叱られたらゴメンナサイするです。
日常生活ではお料理とお裁縫が得意ですよう。
あとはおまかせ! うふふ、よろしくお願いしますですですー!


「……ディアボロス。また困ったことをしてくれたものですね……」
 腕の中の猫を撫でながら、大天使は唇を歪めた。人間達の愛情や庇護欲を利用する上野動物園のシステムは、信仰のエネルギーを回収するうえで極めて効率的であったのに、こうなってはもはや使い物にはなるまい。おまけに少なからず配しておいたはずのトループス級も今や壊滅状態とくれば、面白いはずもなかった。
 一人残された大天使と、じりじりと距離を詰めていく復讐者達――睨み合いが続く中、ロジェス・アンローズ(偽薔薇卿・g00347)はよよよと額に手を当てて、大仰な身振りで嘆息した。
「ああ、出遅れてパンダをもふりそびれてしまった……」
 何も知らない者が見れば、戦いの最中に何を言うのかと思うだろう。現に不機嫌な大天使は、訝るように眉をひそめた。しかし、ロジェスは至って真剣だ――もう少し早く到着していればまだ、その辺をうろうろしているパンダ達を愛でる時間もあったかもしれないのだが。
「それはそうと、君! パンダへの愛情を横取りするなんて許せないよ!」
 びし、と力一杯指を差して、『偽薔薇卿』は高らかに告げた。朗々と語るその姿を、美しい天使は苦々しげに見つめている。
「このような行い、貴族として断じて見過ごすわけにはいかない! 僕が直々に成敗してあげるから、覚悟したまえ……!?」
 違和感を覚えたのは、刹那であった。大天使の瞳が青い輝きを放ち、同時に世界が色を変える。昼下がりの動物園と都心のビル街は姿を消し、代わりに復讐者達を包んだのは、一面に勿忘草が咲く庭園であった。あわわと狐耳をそば立てて、サアシャ・マルガリタ(えいえいお!・g05223)は周囲に目を配る。
「な、なにが起きたです!?」
 問えども、天使の姿は見えなかった。支倉・珠(赤盾・g04907)はわけも分からぬまま、ライオットシールドを手に味方を庇うよう身構える。
「他の皆さんは、どこへ行ってしまったのでしょう……!?」
 瞬間、ぐらりと脳を揺さぶられるような感覚があった。辺り一面に充満する花の香を吸い込むと、不快感はいっそう酷くなっていく。丸々とした紅い仔竜が気遣わしげに覗き込む中、珠はがくりとその場に膝をついた。
「既に天使の術中……というわけですか……」
 そこは勿忘草の園――足を踏み入れた不届き者から、愛する人の記憶を奪い取る大天使の結界だ。瞬きをするたびに大切なものを一つ、また一つと忘れていくような虚脱感に、サアシャはその場に立ち竦む。
「あ……れ?」
 誰かを、探していたような気がする。
 それはとても大切な、掛け替えのない人だったはずなのに――どうしてその顔が、その声が思い出せないのだろう?
「大丈夫。気を確かに持つんだ」
 ぴしゃりと言ったのは、ロジェスだった。大きく瞳を見開いて、サアシャは濡れた仔犬のようにぷるぷると首を振る。少しでも気を抜けば、飲み込まれる――危ないところでしたと冷や汗を浮かべて少女は一礼したが、応じるロジェスの内心もまた、決して冷静ではなかった。
(「人の心配をしている場合じゃないんだけどな」)
 それでも他者を案じてしまうのは、その身に沁みついたノブレス・オブリージュの観念ゆえか。ならば仕方なしと自嘲気味に笑って、青年は眉を寄せ、金色の長い睫毛を伏せた。
 まだ、彼が幼い子どもであった頃。彼の母親は家を出ていった。けれどそんな母との間にも、忘れたくない思い出が確かにある。まったく豊かな幼少期ではなかったけれど――その時代こそが、今の彼を形作っている。何もかもが、決して忘れてはならない大切な記憶だ。
「……しっかりしろ、僕!」
 冷えていく背筋には気づかぬふりを貫いて、青年は花野を踏み締めた。今更この程度、なんだというのだ――ただ生きる中で多くを喪ってきた彼にとって、喪失感など慣れたもの。時間稼ぎにだってなりはしない。
「僕には、負けられない理由がある。僕が人の善意で救われたように、今度は僕が人を助ける番なんだ」
 こんなところで挫けてはいられない。幻の空の向こうに見えない敵を睨みつけて、青年は吼えた。
「僕は、誰かのための貴族になるんだ!」
 緊張に乾いた唇が紡ぐのは、名もなき揺籃歌。いつ、どこで耳にしたかも思い出せないのに確かに憶えているその歌は、きっといつか、きっと大切な誰かが、彼のために歌ってくれたものなのだろう。
 魔力を込めて歌い紡ぐメロディは、聴く者を覚めることのない眠りへと誘う。空にぴしりと亀裂が入るのを見て取って、珠はハンドガンに弾を込めた。
「こんなところで足止めされるわけにはいきませんね」
「です! サアシャたちには、忘れちゃいけないことがあるのです!」
 敵は、この青い空の向こう。遠ざかろうとする気配を感じ取って、サアシャは叫んだ。
「行っちゃダメです!」
 言の葉の力を乗せた風塵魔術は、聞く者の身体と意識をその場につなぎ止める鎖になる。そうして動きを封じたならば、それを射抜くのは珠の役目だ。
「炎精召喚! 貫けッ!」
 炎の妖精の力を宿した銃弾が、勿忘草の花を散らして蒼穹の割れ目に突き刺さった。ロジェスが朗々と歌い上げるにつれて、ひび割れは広がり、青い空は砕けて落ちる。幻想の花畑はぐにゃりと歪んで崩れてゆき、代わりに池の畔の動物園の風景が徐々に再構築されていく。
 安堵とも嘆息ともつかぬ溜息をついて、ロジェスは言った。
「まったく酷いことをする。……君には大切なものはないのかい?」
 そう水を向けてはみたものの、大天使の姿はもうどこにも見えなかった。使い魔の白猫や配下の天使達、そしてそこら中にいたはずの仔パンダ達もみな姿を消したと見え、周囲一帯は静寂に沈んでいる。
 やれやれとコートの肩を竦めて、青年は黒い絹帽のつばを押し下げた。
「ああ……パンダ、触ってみたかったな」
 その日、2014年の上野動物園からパンダが消えた。次に相見える時は、最終人類史の空の下――奪還の誓いを胸に秘め、復讐者達は足早にその場を後にしたのだった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【未来予測】がLV3になった!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2022年09月09日

上野上陸作戦

 台東区秋葉原を護っていたジェネラル級大天使『電脳大天使カシエル』を撃破した事で、台東区への本格侵攻が可能になりました。
 まずは、奪還したことで海となった文京区から、台東区の上野周辺に上陸し、上野にある敵拠点を陥落させ、上野周辺の制圧を行います。
 上野周辺を一気に制圧できれば、アルケーの文京区に続いて、台東区の奪還も目前となるでしょう。
 上野周辺は、台東区の区の支配者『光の調停者イーリス』の配下の有力なアヴァタール級が分割支配しているようです。
 上野には、上野動物園やアメ横など特徴的な施設が多く、支配するアヴァタール級の性質や、支配している地域の特性を踏まえて侵攻していく事が必要かもしれません。


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選択肢『ダメージコントロール』のルール

 建設中の工事現場や、飛行船、列車などの乗り物内で戦闘を行った際に発生しうる、倒壊や墜落・座礁などを未然に防ぎます。
 ディアボロスが直接消火活動等を行う他、熟練の一般人が活動できるように支援したり、その指示に従って行動するといった行動がありえるでしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿をクリアするまでに、この選択肢の🔵が👑に達すると、このシナリオで周囲の建造物などに大きな被害を出さずに済む。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『上野拠点の探索・潜入作戦』のルール

 アルケー撃破による文京区の奪還で、海となった文京区から、台東区の上野地域に上陸し、上野周辺の制圧を行います。
 上野の敵拠点は、上野の様々な施設を利用して作られており、探索・潜入を行ってください。
 施設ごとに、状況が大きく異なる為、詳しい情報は、オープニングやリプレイを良く確認するようにしてください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『街に潜入して情報を得る』のルール

 街に潜入して必要な情報を得ます。
 情報は必ずしも必要ではありませんが、情報がある事で、後の行動の成功率が大きく上昇する場合があります。
 潜入する街の情報や、必要とする情報の種類、情報を得る為のヒントなどは、オープニング及びリプレイを参照してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 なお、この選択肢には、特殊ルールはありません。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『水中からの侵入』のルール

 目的地まで、水中を移動して接近します。
 敵に発見されない事が最重要となるので、慎重な行動が必要でしょう。
 敵に発見されない範囲であれば、水中の移動を楽しむ事もできるかもしれません。
 水中適応があれば、より自由に水中の行動を楽しむ事が出来ます。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【🔑】この選択肢の🔵が👑に達しない限り、マスターは他の選択肢のリプレイを執筆できない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾大群のトループス級『ガードエンジェル』のルール

 事件の首魁であるクロノヴェーダ(👿)配下のトループス級クロノヴェーダ(👾)の大群と戦闘を行います。
 敵の数が多いので、撃退するには時間が掛かるかもしれません。
 👾を撃破する前に👿と戦闘を行う場合は、👾が護衛指揮官を支援してくるので、対策を考える行う必要があるでしょう  詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『勿忘草の天使『ミオゾーディデ』』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功 🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔴
 苦戦 🔵🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「イフ・ノクテ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。