リプレイ
神之蛇・幸人
雨……。相変わらず、好かれてる。いや、嫌われてるのかな
急に降らないだけ有難いや
ざわつくのに、いつの間にか慣れちゃった血の匂い
この場所から遠ざけたい。これからは安心できる場所にしたい
陰陽師達と協力して作業を進めるね
少しでも風雨を抑えられるよう周囲に攻性式神結界を展開
這代も、手伝ってくれる?
まずは瓦礫をどかして、直すときには風除けになってあげて
この風じゃ、飛ばされたものも多いよね
おれは崩れた建物を【観察】して
補修するのに足りないものを運んでくるよ
遠くにあったり重かったりするものを優先
『建物』って呼べるくらいに整ってきたら、
【ハウスキーパー】で守護霊を宿らせる
これで、中の作業は快適に進められるよ
全身を叩く雨音。
風が皮膚を剥いでいくように過ぎていく。
神之蛇・幸人(黎明・g00182)は噎せ返るような雨匂いに重くなる胃袋を抱えるように屈めていた背を、ほんの少しだけもたげた。
雨で粉塵が流されているのか、空気は澄んでいる。崩れた屋根の下に、雨水を逃れた血痕が滲んでいる。死体はもうどこかへ運ばれたのだろう。だが、そこに血を零した誰かが、怪我のみで済んだものではないと分かる程度の名残は残されている。
溜息を吐けば良いのか。黙して冥福なるものを祈れば良いのか。もう分からない。ざわざわと首の後ろを何かに刺されたような嫌悪感だけが肌につきまとっている。
こうも散々に降りかかる雨粒に自分は好かれているのか、それとも、嫌われているのだろうか。
幸人は殴りつけてくるような風に華奢な体を飛ばされぬよう、辛うじて残っていた屋台骨を掴んで踏ん張る。指先に鋭い痛みが走る。木のささくれが指先に血を滲ませていた。人外の如き耐久性を持つディアボロスもこうした傷を受けることは珍しくない。とはいえ、そんなもの新宿島に帰れば気づかぬうちに癒えている。
「どうした、怪我したか?」
僅かに指先を滑らせる体液に目を向けていた幸人に声が掛けられた。見れば、陰陽師の一人が幸人を見ていた。全身を雨に濡らし、その唇は僅かに血色を悪くし始めている。幸人達が訪れるより前から作業を行っていたのだ。深刻なのは彼らのほうだろう。
だが、彼らはたとえ幸人がパラドクスによって効率的に作業をし始めても休もうとはしない。風除けにでもなれば良いと呼び出した白蛇に明らかに警戒を向けながらも、だ。
「いえ」
雨粒に流され、僅かな赤すら見えなくなった指先を握り隠して幸人は首を振る。
「そうかよ」
睨むように、陰陽師が幸人を見つめてから幸人の周りへと視線を向ける。
「その小屋どうかしたのか?」
「どうか、というか……」
幸人は自分が修繕していた崩壊した小屋を振り返る。柱の一つが怪我を負わせてきた相手だが、それを責めることはない。破れた屋根に簾や布を数枚かぶせ、壊れた壁に瓦礫を寄り掛からせただけの、体裁だけを保っているような小屋。
そんなものを瓦礫の只中に作ったところでどうにかなるものではない。それが陰陽師達の見識だろう。むしろ中途半端に形を残していたが故に今は解体よりも周囲の撤去整地を優先していたような邪魔者だ。
だが、幸人はそうは考えない。
そこに守護霊を宿らせた。快適な作業場にもなれば、休憩場所にも使える。そう説明した幸人はそこから離れていく。
「使わねえのか」
「中の補修全然出来てないんで、頼めますか。俺は、……使えそうなもの運んでくるんで」
視線から逃れるように幸人は、ある程度片付いた小屋の周りに背を向けるようにして歩いて行く。
首に張り付く雨滴が厭に重たく感じた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【ハウスキーパー】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
黄泉王・唯妃
※アドリブ、連携歓迎。
まったく鬱陶しい天気ですねぇ。
差し当たって先ずはこの瓦礫をどうにかしないといけませんか。
【怪力無双】で瓦礫を持ち上げて、大きく穴の開いた壁や塀を一時的にでも塞いでおけばあちこち補修する手間はある程度減るでしょう。
不躾な視線にはこちらも冷たい視線を返して黙らせるとして、さっさと戦闘に入りたいものです。
「……人をじろじろ見る暇があったら早く片付けてくれませんか。此方としても手伝わせておいてそのような目で見られると不愉快ですので」
濡れた黒の髪を指で梳かせば、染み込んだ雫が次々と溢れて腕を伝い落ちていく。どうしても乾くものではないと分かっていながら、黄泉王・唯妃(灰色の織り手・g01618)は指先を払ってその雨滴を散らせた。
そうして片腕に抱えていた瓦礫を、屋根が残っていた家屋の壁に凭れさせるようにして置いて絶え間なく降り注ぐ天幕を見上げて呟く。
「……鬱陶しいですね」
それは降り止まぬ雨に対してばかりではない。
唯妃は雨風にまぎれさせるようにして、ともすれば雨粒よりも不躾に突き刺さる視線に胡乱げに息をついた。
インセクティアとしての違和感を押さえられている今、華奢な女性としか感じないだろう唯妃が五百貫は下らないであろう瓦礫を持ち上げる姿は、彼らからすれば正しく埒外の存在だ。それは分かる。
だが、ディアボロスがどういった存在かも、あの会談を経て、ある程度伝わっているはずだ。だというのに、あの陰陽師達は手を止めずともこちらに視線を度々寄越してくる。
不愉快だ。
奇異なものを見る目も、己の一挙手一投足を観察される目もそうだが、なによりも唯妃が気に食わないのはそこに滲む、親しみと喜びの匂いだ。一方的な期待とも違う慣れない温度のそれが、唯妃の肌に障る。
「……あなた方の仕事は、じろじろと人に視線を向ける事なのですか?」
「あ、いや……そういう訳じゃ」
「で、あるならば、早く片付けようと努めてくれませんか」
横殴りの雨が唯妃の溜息を隠す。
白く景色を白く擦り上げる雨の向こうで、陰陽師達は唯妃をどう見ているのか。それを考えようとして、僅かな拒絶を感じて止める。その代わりに、退屈だ。と与太を零した。
「そのように見られていても不愉快ですので」
それだけ言い放ち、唯妃は再び重なる瓦礫に目を向ける。彼らと向き合っているよりも、瓦礫を運んでいた方が幾らかは意義があるというものだ。
早く終わらせて、戦いの場へと向かいたいものですね。と唯妃は暫く終わりそうにない作業を前に、前髪に滴り視界を塞ぐ粒を額に押し付けるようにして拭い去った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
相原・相真
ま、実際に会ってもいなければ胡散臭く思われても仕方ないですよね
何はともあれやれることからやりましょう
まずは邪魔な瓦礫を撤去し、
[拠点構築]の要領で防壁の修復を行っていきましょう
【怪力無双・修復加速】などの残留効果も使えるものは使ってきます
瓦礫をどこに動かせばいいか、どの辺りの防壁から直していくかなど、
陰陽師の皆さんに確認しながら作業していきます
俺たちが勝手に判断するより、
ここで過ごす皆さんの意見を聞いていった方がいいでしょうから
こっちはこういう土木作業は割と慣れてますから任せてください
まずは出来る事での助け合い
そこから仲良くなっていけたらいいんですけどね
アドリブ・連携歓迎です
機構腕に雨水が伝う。溝に流れを作って落ちていく数条が動きに支障を与えるものでは無いことを確認するように、二、三度拳を握っては開いた。
彼らからすれば、何処からともなく現れた謎の力を行使する集団だ。話しかけた相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)に、動揺を隠すように答えた陰陽師達の態度にそれも仕方ないと納得はする。
そのままでいいとは思ってはいないが、なにか特別な事をする必要もないだろうと相真は思っていた。
「では、瓦礫はだいたいの大きさに分けてあの一角へ。南側の損傷を優先して……ですね」
「ああ。この天気だ、無理する必要は……」
「そうですね、お互い出来る範囲で。負傷者が増えては元も子もないですし」
雨風が濡れた服を引きずるように過ぎていく。心地の良いものではない。冷える体は体力を否応なく奪われていく。体調に障るがそれ以上に思考を鈍らせれば、もっと直接的に事故を招く。
言外にそう告げた相真に、陰陽師は力なく頷いた。
「お互い、か……、そうだな」
「こっちはこういう土木作業は割と慣れてますから任せてください」
「はは、そりゃあ頼もしい」
乾いた笑いが返る。それから陰陽師は口を閉ざした。そのまま数秒沈黙が続いた後に、気まずい空気を払拭するようにして相真は、会釈とともに背を向ける。
「それじゃあ、また分からない事があれば聞きますね」
言い残した言葉に返事はなかった。僅かに寂しげな眼差しが最後に見えた気がして振り返るが、陰陽師も既に背を向けている。
相真は近くに転がっていた瓦礫に手を掛ける。重量と雨で滑る表面に今は放置せざるを得なかったのだろうそれをすくい上げるようにして担ぎ上げて運ぶ。
ディアボロスによって周囲を変異させた修復加速の効果によって風の影響も軽減されているらしく、ディアボロスならず陰陽師達の動きも無駄のないものへと変わっている。とはいえ、それでもディアボロスのそれよりは効率は劣るだろう。
「……なら、役には立てていますよね」
それを再確認して、相真は瓦礫を指定の場所に置いて次の場所へと向かった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【修復加速】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
樫谷・都黒
はい、そちら危ないですよ。
瓦礫は片付けますので修繕はお願いしますね。
【建造物分解】にて瓦礫を再利用しやすい様に加工する
本当はこんな風が強い時に動かすのはよろしくないのでしょうけれど、このくらいの風から大丈夫でしょう。
重いですし。
解体重機が何かと問われ、それが機械と分からないならば
自身が使役する牛鬼など大型妖怪に例える
この時代に重機の記憶を残すより妖怪という理由付けをした方が矛盾はないでしょうし。
不可解な現象=妖怪の仕業
それは当時の人々が使用した解釈方法なのだろうから
光る眼(ヘッドライト)の前に行かない様に押しつぶされますよ。
物は使い様、役に立っているでしょう?
「本来ならこのように風が強い時に動かすのはよろしくないのでしょうけれど」
樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)は自らが召喚した解体重機に押し流されるように片付けられていく瓦礫を眺めていた。
重機の踏む地面もあまり土の状態は良くなく、転倒すれば惨事を引き起こしかねない環境だが、修復加速が適応されている場所であるなら問題なく動かせると踏んでいた。
思惑はかちりと嵌まり、自然と大雑把な掃除ができそうな場所は都黒の持ち場のようになっていた。
「そんな心配そうに見つめずとも、急に方向を変えて食らいついてくるような事はありませんよ」
と、都黒はそんな光景を警戒を露わに見つめる陰陽師に声を掛けていた。そのまま無視をしていても良かったのだが、気にしないという事もできない性質なのは自覚するところでもある。
「あ……ああ、そうか。……あれは何なんだ?」
「重機、機械、車両……そうですね」
と都黒は少し言葉に悩む。車といった所で彼らが想像するのは車輪そのものか、牛舎荷車のようなものだろう。実際口にした言葉に対しての反応は、鈍いものだった。
「あなた方にとっては、妖怪と変わりないようなものですよ」
「……妖怪よりよほど奇天烈なものだ。私達にとってはな」
「そうですか」
都黒は、慄くような声に小さく頷く。
不可解な現象は、妖怪の仕業。
そう捉えているものと考えていた。いや、この世で生きる人々の大半にとってはそうなのかもしれない。だが。この場にいる陰陽師達にとってはそうではないらしい。
明確に存在するものとして、鬼や妖怪を敵と捉えている。そんな彼らにとっては、成る程イレギュラーであるのはディアボロス達ということか。
疎外と親和。それが相混ざる視線の意味は。
ならば返答を変えるべきだろうか。理解されない事を承知の上で、説明をするべきか。都黒は思考し、そして何も言い残さない事を決めた。
この時代に重機の記憶を残すよりも今のままの方が矛盾は無いだろうから。
「だが、知らぬ力を持つことは承知した」
と陰陽師が
「それならば、光る眼の前に行かない様、お気をつけください」
見ての通りの硬い石頭で、人と瓦礫の違いも分からぬものですから。と陰陽師に告げる。
「ああ、押しつぶされぬよう、伝えてまわろう」
彼はどことなく力ないように、そう返していた。
警戒は僅かに解けたような気はする。
「どうですか?」
と都黒は、作業に戻る陰陽師へと声を差し向ける。
「役に立っているでしょう?」
「ああ、……十分すぎるくらいだ」
都黒の言葉に陰陽師は、少し離れたところからそう告げた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
カーレン・ブライト
懐疑も悪態も嫌いじゃないわ。正直なひとは好きよ
雨風は煩わしいけれど、仕事の邪魔にはならないわ
陰陽師たちと作業を進めましょう
補強が必要な場所を教えて。蔓を生やして支えるわ
あとは瓦礫の除去作業を少し楽にできるかしら
大きい瓦礫は銃弾を〈連射〉して細かく砕きましょう
それから――そうね。いずれ此処には人が集まるようになるはず
養っていくための糧を作る、そのための下準備
私が去った後でも持続する『土壌改良』の残留効果を使うわ
ねえ。ありがとう
あなたたちが作業をしていてくれたから拠点作りができてるの
ディアボロスは妖怪と同じくらい得体が知れないでしょう
でもこうして手助けをしてくれる。それだけでいいわ
「そこは私が支えるわ。その間に固定してくれる?」
「あ、ああ」
地面から植物を伸ばし、風に飛ばされないように木板を絡め取る。クロノヴェーダをも捕縛しうる蔦だ。風に負けないように壁に固定することも容易い。
とはいえ、急激に植物が成長するという光景に陰陽師達が驚かないわけもない。彼らとて術師ではあるが、その力は彼らの常識を逸したものに違いないのだ。
カーレン・ブライト(泥蓮五二〇・g06986)はその驚愕に動きを鈍らせながらもすぐに動きだす陰陽師に、少しだけ満足に目を細めていた。
「次が待ってるの、手早く済ませてね」
蔓に警戒して動けないのならば落第。だが、すぐに動けたのならば十分だ。彼らにとってカーレン達ディアボロスは未知の相手。蘆屋道満との会談を果たしたとは言え、それでも底の知れぬ相手である事は変わらない。蘆屋道満さえ、完全にこちらを信用しきっているかと言われれば、カーレンとしては首を傾げる他ないだろう。
懐疑も、それからくる悪態も、カーレンは否定しない。それを嫌悪することはない。
「いいぞ」
「そう、ちゃんと固定できているのかしら?」
「……ああ」
振り返る陰陽師は大工道具を手に頷いた。それを受けて蔓を散らせれば、確かに壁に固定された木板はそこに張り付いたままだった。彼らとて、ただ妖怪の相手ばかりしてきた訳では無いのだろう。手付きは慣れたものだった。
「次だ」
雨に濡れる地面へと潜り、消えていく蔓から周囲に活力を染み込ませていくカーレンに陰陽師は手短に次を告げる。
「ええ、……ありがとう」
「何がだ」
彼らにとっての異物であるディアボロスの力に対して警戒を解くことは無いけれど、それでも、彼らはディアボロスがここにいることを受け入れようとしてくれている。
それを告げようとして、カーレンは口を閉ざした。
「いえ、そうね」
それを言ってしまえば、彼らは何も言えなくなるだろう。肯定も否定もしなくなる、ただ、ディアボロス達との間に一線を引き続けるようになるかもしれない。
「手助けをちょうだい」
だから、端的にカーレンはそう言った。大きな瓦礫を弾丸で砕いた道の先へと歩き出す。
雨は変わらず体を叩き続けていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【土壌改良】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV4になった!
亀甲・桐葉
【瑞雨】
うん、大丈夫、行こ
少しでも、ここで暮らすひとたちの助けになりたい
焦らないでひとつずつ、確実にね
気を抜いたら足が浮いちゃいそう
慣れない敬語と『仕事』はたどたどしく、けれど精一杯に
私たちも、手を貸したい、です
出来るだけのことをさせてください
ありがと、るり
わ、あんまり無理は……してなかった
すごい、これなら瓦礫の片付けもあっという間に終わっちゃいそう
それなら、私は他の準備のお手伝い
掃除や細々とした片付けをしながら、陰陽師さんの愚痴のひとつでも聞いてあげたい
きっと、治さなくちゃいけないのは傷だけじゃなくて、心もだから
さて、るりもみんなも守らなくちゃ
折角整えたここを、また荒らされるわけにはいかない
水上・瑠璃青
【瑞雨】
いつ襲撃に遭うのか分からないけれど
こういう時こそ焦りは禁物、だよね?
きりちゃん、行けそう?
復興のお手伝い、行ってみよっか
るりはぜんぜん平気だよ
凄い風だから、気を付けて歩こうね
家族同然の貴女へは柔らかな言葉を投げ掛けつつ
気持ちを切り替えて、現地の方と復興を試みるよ
私たちにもお手伝いをさせて下さいな
御礼は結構。成すべきことを成すのみ、よ
きりちゃん、大丈夫?
重そうなのは、るりに任せてね
刀を振るうために鍛えているんだ
このくらいの重さなら、へっちゃらだよ
うふふ、見てて。……ほら!
ある程度は整地出来たかな
整えた場所が荒れ狂うのは、嫌だなあ
頑張って防衛しないとね
きりちゃんに格好良いところを見せなきゃ
「大丈夫?」
「うん、ありがと」
「足元、気をつけてね。濡れてるから滑っちゃう」
「そうだね」
亀甲・桐葉(みずいろ・g00109)は伸ばして繋いだ手を離して、風に揺れる不揃いの髪を見遣る。不安定な瓦礫の不意の傾きに転げ崩れてしまいそうだった。無意識に伸びた手を掴んでくれた水上・瑠璃青(縹の疆界/・g00530)は、安定した体幹でそこに立っていた。
硬質化した腕を見ることもなく意識する。
「すごい風だね」
「うん、足が浮いちゃいそうになる」
一瞬、彼女の体が砕けてしまう幻想を見た。
瑠璃青は咄嗟に傾いた彼女の体を食い止めた、その手を弛緩させるように広げて揺らす。雨粒が幾重にも重なって滑り落ちていく。ごく薄い黒。色のない透明。
「きりちゃん、行けそう?」
僅かに羨んだ幻想を、雨粒とともに瞼一つの動きで散らせて問いかけた。
桐葉は少し足裏を擦り付けるようにして足元を確かめてから、小さく頷いた。
「多分?」
「大丈夫そうだね」
彼女の返事に瑠璃青は雨霞の向こうで動く人影へと近づいていく。
「私たちにもお手伝いをさせて下さいな」
「えっと、でぃあぼろすか」
陰陽師は声をかけた瑠璃青に訝しげに視線を向けてからそう言った。妙齢の女性二人であっても驚きはないようだ。ただ、向けられる視線はこちらを深く知ろうとするようで思わず目を逸してしまう。
「あの」
桐葉は、逸した目を滑車に通した糸を引くように陰陽師へと戻す。
「私たちも、手を貸したい、です」
慣れない言葉遣い。それでも辛うじて違和感もなく伝わったらしい。返事は「そうか、助かる」と短いものではあったが。
瑠璃青は相当な重さがあるだろう瓦礫を掴み上げる。
「るり、すごい……、これなら瓦礫の片付けもあっという間に終わっちゃいそう」
「ふふ、大げさだよ。でもこれくらいの重さならへっちゃらかな」
鍛えていると言う瑠璃青に桐葉が目を丸くしてから零した称賛にはにかんで返した。桐葉も瑠璃青をか弱い乙女だ、と思っていた訳ではないけれども、目の前で自分が持てそうにないと思った瓦礫を掲げる様は驚かざるを得なかったらしい。
「えっと、ではこれはあちらに運んで……この一帯を空ける形にすればいいですか?」
「……ああ」
と近くで作業をしていた陰陽師は桐葉以上に驚きを表情に浮かび上がらせていた。
「るり、すごいですよね」
桐葉は瓦礫を次々と運んでいく瑠璃青へと視線を向けながら言う。それは陰陽師に向けた言葉だ。彼の指示に従って細かい瓦礫や使える資材の仕分けを行う傍ら、桐葉は自分に意識が向けられるのを感じていた。
「皆さんも、その……すごいです」
「いや」
端的な否定が返った。互いに押し黙るような数秒が過ぎてから、ぽつりと陰陽師が続きを語った。
「まだ、何もしてはいない」
「……まだ」
桐葉は僅かに意思が強く込められたその声を繰り返した。それから何を言うべきか分からずに、再び黙々と作業に向き直っていった。
「一段落、したかな」
と瑠璃青が周囲を見回す。この悪天候の中、短時間ではあったが十二分の成果を得られたと言っていいだろう光景に、桐葉も達成感を胸に頷いた。
「守らなくちゃ」
「うん、整えた場所が荒れ狂うのは、嫌だからね」
顔を見合わせて、笑みを浮かべる。それは互いに互いもを護る対象として見ているという意味の笑みではあるのだが、それに触れることはない。
「どこか行くのか」
その時、陰陽師が二人に声をかけていた。
「うん」
戦いに。とは桐葉は言わなかったが、それだけで陰陽師は何かを察する所があったらしい。耳を叩くような雨音の中。
「死なないようにな」
彼は二人に聞こえるようにそう少しだけ声を張っていた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!
●
「なあ、結局隠し事があるのはあるんだろうよ」
希望。
果たしてディアボロスがそういったものなのかと問えば、否と答えるだろう。
それでも、いつ再び破壊され蹂躙されるかも分からない、半ば廃都と化したこの場所で手を止めずにいるのは彼らの存在に後押しされてだというのは、分かっている。
嫌気が差す。
こうして気力がまだ残っているという事に。襲撃に見舞われた時に死力は尽くしたと思っていたのにも関わらず、まだ動けている。こうして、足りない場所を作ろうとしている。
「でも、良いことだろう」
「妖どもに押し込まれても不便は無かったのにな」
「逃げて、死んで、倦んで。それどころじゃなかったさ」
「減りはしても、増えるたぁな」
目は曇るように色を失いかけていた。知る顔が消えていく中で、その外れ籤を引く手番を待つような暗澹とした疲労が常に肩に重く圧しかかっていた。
自らが何に抵抗しているのかすら分からない道行だ。ただ失うばかりで、消えていくばかりで、終わりも知れない先。深い暗闇。
ディアボロスの存在は、そこへと向かう知らぬ足音があったというだけだ。それだけ。だがそれで十分だった。希望は依然見えない。この暗天の向こうに何があるのかも知らない。それでも、暗闇の向こうを睨みつけて歩を進めること程度はできる。
まあ、その歩幅は合わないらしい事は恨めしさもあるが。それは一笑に付して陰陽師は暗く大粒の雨を降らせる空を見上げた。
「からっと晴れて欲しいもんだ」
冷えた体をぶるりと一つ震わせる。
●追加情報は特にありません。
長岡京から少し離れて、警戒中の敵と交戦します。
ゼキ・レヴニ
折角民草に上を向かせようってのにこの雨じゃあな
この闇い空の下に絶望が、妖が蔓延るってなら
そいつを切り裂く嚆矢になってやろうじゃねえか
この風音じゃ足音も悟られんだろう
遮蔽物や草木に隠れつつ、もしくは側面や背面からの『不意打ち』を狙い、躯を『疾風の槍』に変形させて突撃
一番槍は希望の担い手だ、一匹でも串刺しにして流れを作りたいもんだぜ
とは言え素早しこそうな奴らだ
こっちが逆に不意を突かれねえ様に注意し【神速反応】利用で回避を狙う
戦場が湿原なら足を取られて囲まれねえように『ジャンプ』も動きに織り交ぜる
ここより酷え戦場は幾つもあった
だが――ぬかるんだ足元を掬われるのは、あの一度きりにしたいもんだぜ
濃い水の匂い。
雨は止まず、風がそれを激しく巻き上げている。折角火を点けた煙草も、一つ吸う間に無数の水滴に叩かれて、苦い水が唇を濡らすばかりだ。
「はあ」
ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は態とらしく溜息をついてみせた。誰かが己を見つめているわけではない、強いて言えば観客は己自身だろうか。灰入れに僅か数ミリ焦げただけの煙草を押し詰めた。足元は悪い。湿原の土に雨が吸われて一面泥濘に覆われている。
その中に、それらはいた。鎌鼬。妖。蔓延る闇。
ゼキは金属塊を無造作に掴んでいた。千変を果たす意味の無い今に価値はない。僅かにありえざる痛みが顔に走り、かと思えば金属の塊はその姿を一つの槍へと変えていた。その傷一つ、忘れようもないどこにでもあるような、どこにももう存在しない槍。
ゼキはそれを掴み、その身を槍と化す。誰よりも早く先へ、誰よりも早く敵へ。そうあるべき姿を。
踏み込む。風を貫き駆けたゼキが、その音すら置き去り。
不意打ちに返るのは、無防備な悲鳴などではなかった。鋭い斬撃が交差する。
刃が重なり、弾かれる。その胴に食らいつけば一体程度串刺しに出来たかもしれないが、警邏の最中である彼らの不意を突くには足りなかったのかもしれない。鎌鼬はその刃を欠けさせながらも、襲撃者への反撃を緩めることはない。
「……おい」
反撃。疾駆する斬撃。雨風が熾す暗闇に斬光が閃く。過たず己の首へと叩き込まれる尾の鎌へとゼキは己の腕を差し出すようし、そして、その刃を握り止めていた。
後悔、慙愧。癒えぬ痛みが許さない。
「この槍を、止めんじゃねえよ」
獰猛な鼬の目が見開く。静かに吐き出した声に秘められた怒りが、鎌鼬に本能的な危険を示していた。
火花が散る。ゼキの指から逃れた鎌鼬が体を捻り距離を取る。削られたのは己の腕か、鎌鼬の尾か。それを確かめる間もなく風が吹く。
疾風。それは刃が引き起こす風鳴だ。迫る刃。舞う槍で弾き、躱し、宙に体を投げるようにして濡れた獣の身体を蹴り飛ばし、ゼキは荒れる風に身を委ねた。直後。熱したすすきの穂が無数に空中に浮かび、掻き消える。
その熱が触れた頬の痛みが冷めぬような刹那。泥濘む土を抉るように着地し、滑る脚をそのままに旋回、振り下ろされた鎌を避けては横倒しに錐揉みする体を地面に槍の石突を叩きつけるようにして引き起こす。
斬撃、息を吐く間もなく、風と同化しすれ違うようにして叩き込まれるそれに、ゼキは身を投げた。
放った槍が鎌鼬を貫いていた。その刃はゼキに触れる直前で砕かれ、風に散る。
「甘い。甘えだろ、なあ」
苛立ちを隠さず、力なく突き刺さる鎌鼬の死骸を振り払いゼキは誰ともなく呟く。
酷い戦場は見てきた。踏み越えてきた。
まだ、足りない。
その眼光は闇に駆ける銀閃を射抜いていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【壁歩き】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
樫谷・都黒
人とあるときなら気を使いますけれど、そうでないならその必要はありませんよね。
やっと右半身も慣れて来たので本業をこなせそうです。
あなた達の本質は諸説様々ですが容を持ったのが運の尽きです。
この右半身はそれを喰らって使役する悪魔喰らいなのですから。
鎌鼬を喰らい【口福の伝道者】により数だけは百倍にして反撃する
ステータス上一撃の威力は低い
数の多さで脅威と判断させる
長岡京にいる方々は完全に信を置かれていないようですけれど、先の世のわたしはそれなりに彼等に信を置いていますので、それをここで示さないといけませんね。
死亡しない損害は許容
彼等に知ってもらう必要は無い
妖怪も妖しい輩も御伽噺に堕ちれば良い
黄金の腕が鎌鼬の刃と噛み合う。地面へと抑えつけた鎌鼬に樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)は口を開いた。
長岡京の人々は、ディアボロスに信を完全には置いていない。暴れる鎌鼬の刃が腕を、脚を胸を首を腹を掠めては傷が増えていく。
だが、都黒は鎌鼬の拘束を優先していた。
ここには誰もいない。ならばその左を隠す必要もなく、右を偽る必要もない。
都黒は、ディアボロスを陰陽師が信用することを求めはしない。
本来あるはずだった先を知る己が、彼らに信を置いていると。それが伝わればいい。ただそれだけだ。
歯を暴れる鎌鼬の腹に当てた。舌が鋭い毛先に触れて、血が溢れた。
怪物が怪物を喰らう。
その有り様。
そこに何の異があろうか。
そこに意はなく、忌もなく、威などなく。
ならば、普遍に在るべき人の身を以てそれを為すことこそが。
毛皮を歯が破く。感覚が内へと向く。雨風が遠ざかる。あぎとを閉じる。
血の匂いが溢れる。苦み。鉄の味。歪み潰れる歯ざわり。悍ましさに吐き気が込み上げる。旨いはずが無い。幸福があるわけもない。身の毛もよだつような嫌悪感だけが、喉から下の臓腑を埋め尽くす。
気味の悪い寒気を押し殺し、都黒は肉を飲み込んだ。
口の周りに張り付いた血が雨に滲み広がり、顔も衣服も汚れゆく。拒絶を声もなく叫ぶ体を押さえつけ、人の形の中に異物を押し流す。
その歯と舌に血を滴らせる整った無表情な横顔は、異様なる醜悪さであった。
忌避感がもたらす震えに都黒が幽かに身を凍らせた瞬間、斬撃が跳ねた。押さえつけていた鎌鼬がその刃を振るい都黒の拘束から抜け出ていたのだ。
咄嗟に逸した顔に縦に一筋、痛みが弾ける。眉間と眼球。その間を抜けるようにして骨すら断ち切る刃が皮膚を抜けると同時に、鎌鼬は背を向けていた。
胃の中で、膿のような何かが溶けた。
都黒の顔を割った鎌鼬が逃げるその背に、無造作に左の腕を振るう。指の先、刃の如き鋭利さを手に入れたそれが風を撫でた。それだけで、風が刃と変じて駆け抜ける。
さながら巨大な獣の爪に裂かれたように、逃げた鎌鼬の身体は分割されて地に落ちていた。変容を受け入れた瞬間。遠ざかっていた雨音が都黒の脳を埋め尽くす。雑音。血が血管を通り全身に巡る音が拡大されたようにノイズばかりが響いて、都黒は己が何かを呟いたことを舌が歯に触れた事で漸く気付いた。
都黒は、己を人が信用することを求めはしない。
妖も怪も、全て御伽噺に堕ちればいい。天候は乱れ、雨の帳が醜い虚像を覆い隠していく。
都黒は醜い腕を振り上げる。
成功🔵🔵🔴
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【凌駕率アップ】LV1が発生!
相原・相真
あちらでの作業はひとまず完了
では次に移りましょう
…どう思われていようとも、
まずはやるべきことからやらないと
長岡京から出来るだけ離れたところで敵を迎撃
せっかく直したもの早速壊されちゃたまりませんし、
万が一にも人が巻き込まれちゃ大変ですからね
パラドクスで作り出した巨大な腕でトループスを攻撃
巨腕を振り回したり打撃を撃ち込んだりで[蹂躙]していきます
敵からの攻撃は魔力障壁や巨腕で防御して対応
これまでもっと強い敵とも戦ってきたし、
これから先もっとヤバいのも出てくるんでしょう
だったらここでビビってなんていられないんですよ…!
雨、冷たい感触が伝う。風がそれを刃の鋒のように感じさせる。無数の刃の中に囚われているかのような暴風雨。
そんな比喩が浮かんでしまう程に戦いの空気が身に沁みてしまったらしい。相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)は自嘲を瞼の震えに隠した。
だが、比喩は比喩だ。慣れはしようと、しかしそれでも、雨粒と刃を相真に誤認させたりはしない。
斬撃が閃いた。風が切り散らされ、雨粒が瞬くように暗い光を跳ね返す。素早い動きから放たれる斬撃。それに対して、相真はその腕を扇ぐようにして振り払う。斬撃はまだ届いていない。タイミングの早い振りに、相真の機構腕ただ空を切る。
「遠い所にいてくれて助かりました」
まるで無防備に隙を晒しただけのような相真は、しかし、刹那に迫る斬撃に落ち着き払った眼光を向けていた。
何かが。相真に触れんとした刃を覆い尽くす。地面から無数の腕が伸びるかのように。何かが――土が、砂が。相真の周囲の地面が濁流となって、先程振るわれた腕を追う。濁流に飲まれた鎌鼬は、その全身を泥に濡らしながら相真から瞬く間に距離を取っていた。
乱雑に、しかし、緻密に伸ばしたままの腕に絡みついていた土砂は、鎌鼬が相真を振り返る時には既に、その形を固着させていた。
巨大な腕。アンバランスに右の肩からのみ提げられた岩塊の腕鎧。どこか刺々しさを見せるそれは衝撃を持って砕く鈍器そのものであった。
伏せた顔の鼻頭から水滴が滴る。その影に隠した相真の表情は僅かに笑みを残しているように見えたかもしれない。
青の瞳が鎌鼬を見上げた。
「折角直したんです。何かが壊れるのも、誰かが巻き込まれるのも……嫌ですからね」
烈風。
言葉を遮るようにして鎌鼬が駆けた。四方の風音。閃く銀光。雨音を揺らす飛沫。全てが己を刈り取らんとする殺意の刃だ。
腕を引き寄せる。刃が走る。ゾブリ、と粒子を割り裂く音。岩の拳が切り飛ばされ……そして、相真が肉薄した。
切断された拳に骨子たる相馬の腕は無い。ならば。
「再――接続」
ナノマシンによってその掌は再生し、逃げるよりも早くその巨大な五指の中へと鎌鼬を閉じ込める。歪な感触、振動が伝わる。握り込むように生成した指に詰め込まれた鎌鼬の末路に意識をさくよりも早く、相真はその腕を振るう。
風を殴るように。雨を全て砕くように。
過剰に偏る遠心力を、更に強引に腕を振るうことによって手綱を握る。旋回。身軽な相真に一瞬遅れ放たれた巨腕の裏拳が、剛烈な勢いを以て相真へと躍りかかる鎌鼬を殴りつけていた。獣と刃が潰れ圧し折れ、吹き飛んでいく。
戦地に慣れようと、慣れぬものもある。血の味も、死の感触も、震える息も。それでも、相真は瞼にそれを隠して、冷ややかに世界を見つめる。
「ここでビビってなんて、いられないんですよ」
その視線の先に見据える更なる脅威を思えばこそ、恐れに目を瞑ってはいられない。
大成功🔵🔵🔵
効果1【建物復元】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
神之蛇・幸人
どんなふうに思われてるか。……気にならないわけじゃ、ないけど
いいんだ。何であれ単純なものじゃないし、やることは変わらないから
やっぱり、獣の姿をしてると駆けるのも早いね
そのまま迎え撃つと怪我しそうだ
負わなくていい傷は避けるようになった
戦うのに慣れてきたのもあるし、
誰かを守りたいときに、肝心な時に動けないのは嫌だから
引き付けてから来宵を呼ぶよ
集中して見計らう〈観察〉【神速反応】
来宵の片足に捕まって地から逃れ、
次いで真上から鎌鼬を鷲掴みにさせる
止めを刺し損ねるか、次の個体が来たらまた別の手を
必ずしも体の全部を呼ぶ必要なんてない
式札の周囲を〈結界術〉で強化、
爪だけ先に顕現させて鼬を裂く〈罠使い〉
雨が、髪に溶けては首を伝い、全身の肌を這いずるようにして足底へと抜けていく。いい加減に濡れる事に慣れてもいいのかもしれない。髪や服のみならず下着や靴までが肌に吸い付いてくるような濡れ鼠に。
戦地。だが刀は抜かない。ただ、泥濘んだ緩い坂を登るように歩を進める。
差した傘は本来の意味を為していない。雨を叩きつけてくる風が傘を剥ぎ取ろうとする度、雨粒が覆いかぶさってくる。だというのに傘を差し続けるのは、ただ迫る刃の音をけたたましく騒ぐ雨音に隠してしまいたかったからか。
己を殺そうとする刃の多さを知りたくないと。それでも、己の色に刃を向けてほしいと。
神之蛇・幸人(黎明・g00182)の髪先を何かが揺らした。濡れた幾つかの毛束が跳ねる。殺意だ。紛れもなく幸人を殺そうと放たれた斬撃は、届かず地面に縫い留められた。
まるで闇から爪が生えたように。以津真天来宵の足が――その姿が、雨に墨が滲むようにして浮かび上がる。
その切っ先に貫かれた鎌鼬を見て僅かに眉を顰め、周囲の風切る音へと目を向けた。
まだいる。囲まれている。
うまく、寄ってきてくれた。良かった。と幸人は少し安堵の笑みを零した。
陰陽師達がディアボロスをどう思っていようと、やることは変わらない。幸人はそう考える。そう考えて、残る棘に嫌気が差した。傘を閉じる。
無防備な己を囮にすることを厭わない。罠を仕掛けることを厭わない。敵を排除することを厭わない。そしてなにより、他者を助けることを厭わない。
彼の本質は変わらない。何に喜び、何に怒り、悲しむか。それは以前と変わりはしない。ただ、僅かにその優先順位が変動しただけ。
傷を避けるのは、痛みを恐れるからではなく、誰かの為に伸ばす手を残す為。
故に自覚もなく、幸人は違和感なく変化を受け入れ、そしてその変化がいつから始まったのかも気づかない。
其れ以前と、其れ以降で、少しずつ乖離していくそれを見つめて来宵は首を傾げる。
「イツマデ」
問いかけるような音声で鳴いた来宵に答えず、幸人はその足に捕まる。
「飛んで」
告げた途端に、足を抱えた腕が引っ張り上げられる感覚と共に幸人は地面から引き剥がされた。
それを追って切りかかってくる鎌鼬を、来宵が空いた足で蹴り飛ばし迎撃する。囲いを抜け、尚且つ逃されないだろう距離で高度を下げて来宵の召喚を解いた。
落ちる。不慣れな着地に蹌踉めきながら考える。
どう、殺すべきか。
幸人は雨に冷えて震える唇を引き結び、奔る剣閃に式札を放った。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
暗天。
警めるように鳴いた。
風に爪を立てる音が消えた。
かの灼炎の白光を呑んだという大妖怪『ヒノミ』――その写身たる黒狼は、その喉に陽を通したことはない。ただその痛みは知っている。同一ながらにして、下位。
それだけに過ぎぬ存在。しかし、欲する所はこの夜闇そのものであった。
星のない天を見上げ己を慰め、風に声を溶かした。
どうか人よ、恐れよ。と。
雨音は強く。風音は強く。黒を彩っている。
●選択肢②達成しました。
追加情報は特にありません。
樫谷・都黒
嵐が吹き荒れても日食が怒っても太陽は必ずその姿を現わすのです。
例えあなたがここで喰らったとしてです。
ただ、夜闇の恐怖はいつまでも変わりません。
その在り方は変わっても。
【狂骨】【魔骸義腕】にて喰われないように太陽を抑える
本物の太陽であれば無理ですけれど、そうでないならわたしの左半身は何故か太陽も掴めるようですね。
左半身『御前様』は星の外から墜落した存在が元のため、対恒星の仕様は組み込まれていた
融けるかもしれないがとりあえず無視
ただの火の玉に貶めた太陽と融解した左腕でヒノミの口内を焼き融かす
人も獣もこの星から全ての生き物がいなくなっても太陽は昇りますけどね。
アドリブアレンジ絡み歓迎
雨が降り続いている。黒い風が空を覆うように、辺りは闇に包まれている。深い、深い雲の底。陽の光を忘れたような雨風の中。
それでも、その雲の向こうには灯火があることを樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)は疑わない。
嵐が吹き荒れても、日蝕が起ころうと、太陽は必ず姿を現すのだから。歴史を改変しようと変わらぬ摂理があると、変えられぬ摂理があると。都黒は疑わない。
獣が吼える。
光が瞬いた。一滴の炎。都黒の掌ほどしか無いようなまばゆい輝きが空から落ちてくる。遠くにあるというのにまるで豪火が傍で燃えているかのような熱気に、それを雨に揺らぐ蝋燭の火と同等とは考えない。
それは疑いようもなく、全てを灰塵へと化す、灼熱そのものだ。
荒ぶ雨粒が蒸気となって消えていく。渦巻く気流に黒髪を乱暴にかき乱されながら、都黒は左腕を構える。都黒の脚は地面を蹴った。それと同時に、世界が凍りつく。いや、今まで凍りついていたのだと錯覚するような膨大な熱が都黒へと襲いかかっていたのだ。
火が膨れ上がる。掌ほどだった火炎が、都黒が腕を広げて二十人ほどが輪になったような大きさの爆炎へと姿を変えて迫りくる。
風が叫んでいる。ヒノミの声が重なり、反響する。風と共に歌を歌っているようだ。
「夜闇は恐ろしいものです。ですが、それは貴方を恐れているものではないのですよ」
都黒はその嘆きを聞きはしない。炎の壁が如き獄炎球。それに対し、都黒はその左腕を開いた。黄金の腕を食い破り無数の刃が溢れ出す。瞬く間に巨大な鉤爪へと化した腕が獄炎へと振り上げられた。
その炎は実体なのか。太陽を模した、力の塊とも言うべきそれの正体は分からない。ただ、現実として都黒の刃は炎球を掴んだ。
触れた瞬間、弾かれるように一瞬にして都黒の刃が白熱する。金の光が眩く散れば、解け落ちる刃は無数の穴を開けるように、禍々しく黒ずみ朽ち落ちていく。
「……っ」
焼ける痛みが伝播する。まるで体を猛烈な勢いで鑢にかけられるような激痛が都黒の脳を埋め尽くす。視界は眩く焼き尽くすような暁光に閉ざされ、肺が内側から燃えていく。四肢に通う血液が全て沸騰しているような痛み。
それを越えて、都黒は炎を掴み取っていた。いや、その刃に宿る炎は今も自らを焼いている。恒星にあらず、しかし、火炎にもあらず。ヒノミの太陽は都黒を絶えず燃やしながら、しかし、その熱は刃に与えられている。
駆ける。獄炎が無数に散る空白を抜け。黒き獣へと燃え盛る刃を振り下ろす。
「夜闇は巡り、太陽は昇ります。あなたと私が死に絶えようと、変わらずに」
自らの炎に巻かれ、融ける刃を受けた獣は、そこに佇んでいた。血肉を撒き散らし、五体を別ったはずの獣は、肉体を影で繋ぐようにして静かに都黒を見つめていた。
「厭でしょう?」
問いかけに微かに風が揺らいだような気がした。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
ゼキ・レヴニ
雨天じゃ仕事終わりの一服さえ満足に出来やしねえ
お天道様を仕舞い込んじまうとは欲張りもいいとこだ
この地に、民に。返して貰うぜ
躯を数枚の盾に変じ【鋼の要塞】を展開
『地形を利用』し、柔い泥土を押し上げながら接敵
盛り上げた泥土は簡易的な遮蔽物として利用(『拠点構築』)、敵が日光を操って来たら【神速反応】で即座に身を隠すなり回避なりするぜ
【トラップ生成】であちこち水飛沫を跳ね上げるように細工し、一瞬でも注意を逸らせねえか試すか
太陽に擡げた首を【飛翔】で跳び上がって上から盾で圧し折ってやる
甘い。まだ足りねえ…この盾も。あるべき姿に追いつけちゃいない
今は真似事でも、それらしく――ブッ倒れるまでここは通さねえ
火炎。
雨に打たれながら、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は見たそれを炎だと断じる事に戸惑いを感じていた。
熱、なのだろう。だが、それは物理的なそれではなく、己の喉を引き裂くような、いわば渇望。痛みを願った具現のようにすら思えた。
足りない。足りないのだ。
「……そうかい」
ゼキもまた具現する。手にしていた槍を別の姿へと。
大盾。
彼の腕と背に、そして周囲に展開したそれらは一個小隊の盾兵すら思わせる。それは一人の守る者だった。
「返してもらうぜ。この地に、民に」
動かない。あの獣は動くこと無く雨風を聞いている。
ならば、攻める。
重装甲を物ともせず、ゼキは弾丸の如く飛び出した。濡れた土砂を巻き上げ、盾を前方へと叩きつけて突進。盾がめくり上げた土を壁にして放たれる光を躱しながら肉薄し、ゼキは飛び上がる。
今もなお、空を見つめるばかりの獣へと上空からの襲撃で、首を叩き潰す。土塊を吹き飛ばす光はゼキを妨げること無く。
鈍重なる一撃は過たず獣の顔面を捉え、そのまま地面と盾で圧搾する。
「……?」
潰した。その感覚はあった。明確に打撃を与えたという確信はある。だが、同時に仕留めてはいないという確信もあったのだ。
だというのに、動かない。警戒が脳裏を走る、その時、視界の端で火の粉が踊るのをゼキは見た。
いや、火の粉などではない。それは生まれ落ちた熱。大火の種。刹那、獄炎がゼキを飲み込んでいた。衝撃が全身を叩き、吹き飛ばされる。だが、まだ。
広がる火炎がゼキへと駆け抜ける。
振り下ろした盾が地面を穿つ。ゆるい地面に深々と突き立てた盾の影に身を隠したゼキは背負っていた盾を掴み取る。
身を隠した盾は既に融解しはじめている。白熱し、今にも崩壊しそうな盾を放棄しゼキは飛び出した。熱波が襲う。全てを呑まんと欲する獄炎がゼキを貫く、よりも先に、重ねる。盾を、盾を。重ねて、束ねて。その両の腕で、全身で支える。
押し、込む。
瞬間に、火が爆ぜた。
猛烈な爆風が盾を奪っていく。制御を離れ燃え散り灰と化し。そしてゼキの手元に残るのは半ばが焼け焦げた残骸とでも言うべき盾が一つ。
それでもゼキは立っていた。
焦げた肌も気にならない。丁度煙を求めていたところだ。美味くもない煙だったが。
「……下手は承知、倒れねえなら上々だ」
望む姿には遠い。これではゼキの背後以外を守れない。重い盾を引き上げて、焦げた周囲に目をやった。未熟だ。背に誰かを庇うことすらこれでは覚束ない。
「それでも、通さねえ」
猿真似だろうと、止めるわけにはいかないのだと。ゼキは黒い獣を睨みつけていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
樫谷・都黒
左半身は九割壊滅
内部機構が融け砕け転がり落ちる
少女の矜持として顔はなんとか傷は少ない
太陽は堕ちた
疑似的な氷河期が平安時代に再現された
蛇《ヤマタノオロチ》が困るでしょうね。この寒さは。
何故、陽を呑むモノが蛇程度に従っていたのか知りませんけれど。
まぁ、わたしにはどうでも良い話です。
いつか人は怪異を理屈で縛し、掌に収めるのですから。
【冷気の支配者】を上乗せしつつ、この時代の人間に被害が及ばない様に冷たい世界を抑え込む
自身の損傷は度外視
右半身は再生能力はディアボロスだが耐久性は年相応
ヒノミを倒す事よりも戦えない人を護ることを優先する
自身の有様がどう思われようと関係ない
元より異形を喰らい人を護る者ゆえに
骨身と歯車。雨が叩く乾いた音。
「堕ちた太陽は砕きました。なら……そうなるでしょうね」
焼け爛れた左の刃。展開していた刃はその殆どが失われて、無惨に砕けて散った。残る腕も煤に塗れ、くすんだ黄金は輝きを失っている。
だが、ダメージは見た目よりも少ない。それは樫谷・都黒(臥し者は独り路に・g00233)の身体が頑丈である故か、雨粒が張り付いて白に染まるように急速に凍てついていく風故か。光が舞っている。陽光のように地を這うそれは、暗い空を照らすことなく鎖すばかり。
雨は雪へと変わり、風が容赦なく都黒から体温を奪っていく。世界は白か黒か。光の足りぬ世界ではそれすら見誤ってしまうようだ。
都黒は震える右脚を進ませた、その先にあるのは消えゆく直前の己の刃。
融けた刃に絡まり氷となった獣の血液。その鉄の味を奥歯で噛み砕いた。生臭い液体が喉を伝って落ちていく。
唇を舐めた。
体表で風が揺らぐ。感覚が微かに広がり、都黒は見えぬ風を手にしていた。
「あなたにお返ししましょう」
凍てる風に解かすように黄金の腕を伸ばした。骨を抜ける風が広がり、獣と都黒が制御を奪い合う。広がっていた冷気はその二つの術者へと注がれていく。
都黒は手を獣へと向け続け、目を閉じる。
蛇は――ヤマタノオロチは困るだろう。おおよその変温動物にこの極寒は耐えられまい。巨きいならば発熱器官をもっているかもしれないが。
問いかけようと、答えは返らないのだろう。その獣は言葉を操らないのか、それともそうしようとしていないだけか。ただ、それだけは分かる。
「何故、陽を呑むモノが蛇程度に従っていたのでしょうね」
凍てつく風が獣と都黒の間に渦巻く。
それも、都黒にとってはどうでもいい話だ。結局、人は怪異を理屈で縛し、手に入れるのだ。残されるのは、形骸と化した信仰と畏怖のみ。
形骸。中身のない偶像。鏡に残された虚。
「ああ。それが……」
目を開ける。凍てる風は止んでいた。都黒は仮初めの力を手放して獣を見つめながら、体表の感覚に僅かに瞼を揺らす。
痒い。人間らしい感覚に無意識に頬でもかこうかと手を持ち上げる。動かしたはずの人差し指はそこにはなく、濡れた地面に転がっていた。
「……」
過ったのは己の損壊に対しての恐れなどではなく。
「様子見に戻ることは諦めた方がいいでしょうね。まあ、影響はないでしょうけれど」
人目については要らぬ騒ぎになるだろうという、遠くの人々へ向けた思慮だった。
成功🔵🔵🔴
効果1【口福の伝道者】がLV2になった!
効果2【凌駕率アップ】がLV2になった!
相原・相真
ヒノミ…、日食への畏れから生まれた妖怪でしょうか
ともあれこいつが最後、乗り越えてみせますよ!
やることは単純
弾丸を込め、敵を見据え、敵へと撃ちこむ
牙をむかれようと、炎や氷が迫ろうと、
怯えず退かず真っ直ぐに[勇気]と誓いを込めて立ち向かう
自分でも脳筋っぽくて笑えてしまうけど、仕方ない
だって、今までだって、俺はそうやって戦ってきたんだから…!
現代ならそれは星の動きで起こるものだと解っている
未知に挑み、知り、いずれ人は畏れを乗り越えるんです
なら、こいつだって乗り越えてみせます
畏れなんかで足を止めていられない
「取り戻す」と決めた、この誓いのために!
弾丸を込める。
銃口を向ける。
引き金を引く。
「……基本は単純。やれることをする。それだけだろ、俺」
不思議と脚は震えていなかった。雨に仲間の姿すら時折見失う。風が誰かの声を無に帰す。暗闇は音もなく孤独を囁いてくる。肺を強張らせるような恐れであり、同時に心地よくもある畏れだった。
故に、足は止めない。闇を恐れる心はあれど、この眼は黒い獣を見据えている。そして。獣も彼を見つめていた。
赤く揺らがぬ瞳。
強く、そして儚く。その灯は鮮やかに澄んで相原・相真(人間のガジェッティア・g01549)を射抜く。
瞬間。
全身を浚うような風が叩きつけられた。雨粒は氷の礫となって体の自由を奪っていく。ただ一迅ばかりに留まらない。相真を拒むように闇を駆ける凍てる風が相真を、いやその周囲を極寒の世界へと変貌させていた。
凍りついた土を砕くように歩を進める。まだ、射程範囲に獣はいない。服に滑り込む雪に熱を吸われながら体を前に。息もまともに出来ないような風の中で心臓が音を立てる。グリップを握る腕はまだ生きている。接触部が壊死する前に引き金を引かねばならない。重い足を上げる。
息を吐いて、風を遮るように腕で口を覆い呼吸する。
人智を超えた天候。
黒き獣に太陽を呑まれたのだと、日食に遭遇した人々の畏れがその力を獣に与えたのか。隠れた陽は地上を潰し、狂った光が一切を焼き、鎮まる天に世界は凍りつく。
現代ならば、星星の動きによって起きる現象であり、予測すら難しくはないもの。それを成したのは他ならぬ人の手だ。これほどの地獄を刻みつけた人々もそれを乗り越えたのだ。
なら、己にそれが出来ぬ道理はない。否――そうすると決めたのだ。
『取り戻す』と誓ったのだ。
足を一歩、進めて、止まる。
脳筋だと、笑いがこみ上げる。大した対抗策もなく体を張って敵に挑んでいる。だが、それでも重ねたディアボロスの力が、銃を持ち上げ照準を定めることを可能とさせていた。
目は合ったまま。
獣の視線が憾むように相真を一瞬縛り付ける。
「……」
それでも迷いなく、相馬は引き金を引く。
衝撃とともに跳ねる銃身。そこから凍てる風を越えて弾丸は一直線に獣へと走る。一条の先を引くように、まっすぐと。
●
「晴れたな」
陰陽師は、澄んだ空から降る朝日を拝みながら持ち場に戻ってきていた。一晩中続いた嵐で辺りは散らかっている。
だが、想定していたよりも被害はずっと少ない。それはディアボロス達の功績が大きいことは明白であった。
「ああ。眩しいったらねえ。多少薄曇りが残ってくれりゃ良かったのによ」
「そうだな」
文句ばかり言う相手に相槌を打って、周囲を見渡した。
「で、どこから手を付ける? やることは山積みだ」
「ああ、……厄介なもんだな」
文句ばかり言う陰陽師は、鬱陶しい陽射しだと空を見上げる。
「嬉しいって事は、まだ死にたくねえってことだ。この期に及んで、だ」
そういって彼は満更でもないと笑みを浮かべる。
「はは、そりゃ良い」
陰陽師は肯いて、雨除けにしていた藁を剥がして作業を再開する。
暗天は深く、長く。
まだ明けない。
願う先はまだ更に、遠くへ。目はまだ開いている。
大成功🔵🔵🔵
効果1【寒冷適応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!