リプレイ
鐘堂・棕櫚
【KB】2人で
アイスワインは是非とも飲みたいですが
仕事前だと叱られるなら仕方ありません
葡萄畑を眺めながら羽伸ばしといきましょう
俺酒強いですよ?でもお土産に買うのはいい案ですね
見掛けによらず骰さんて真面目ですよねえ
いや、見掛け通りなんです...?
怖い顔をじっと眺めて悩みましたが
即飽きたので視線はすぐに風景へ戻します
吃驚するほど広い畑とその向こうの静かな川
冷たい風も気持ち良く
新宿ではこんな遠景楽しめませんし
視力が悪いもの同士ゆっくり目を休めましょうね
え、伊達眼鏡なんですか
俺が根性なしなら骰さんは素顔でお喋りできないシャイボーイですか?
あっ暴力反対!
拳は敵さんにどうぞと、笑って畦道を逃げて行きますね
鬼歯・骰
【KB】
葡萄畑をだらだら散策
俺だって名物だと聞いたら気になるが
仕事が後にあるって思うと、どうにもな
ツリガネ酔っ払ったら面倒臭そうだし
それに酒は落ち着いて飲む方が美味い
やる事終わったら買って帰りゃいいんじゃねぇか…何だよ
向けられた視線には仏頂面と溜息一つ
アンタのへらへらした顔に比べたら誰だって真面目だろ
…しかし広いな、全部酒にすんのかこれ
高い建物が無いなら畑の端の向こうにある大きな川まで良く見える
?いや、俺のこれ伊達眼鏡だから視力は別に
ほらと眼鏡を外して渡したところで視界にさして変わりなく
アンタ目ぇ悪いのか、根性足りて無さそうだもんな
…そうだなシャイだから拳のが早いんだよ、一発殴っていいか?
丘の上から見上げる空は、心なしかいつもより近く感じられる。収穫を終えて少し枝葉の透いた葡萄が並ぶ一帯は、もうほどなく秋から冬の景色へと移り変わって行くのだろう。
乾いた落ち葉の積もる小径に足を止め、鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)は眼下に目を向けた。続く斜面の先には、赤茶色の屋根が連なる街並みと川の流れが一望できる。
「名物って聞いたら、そりゃあ気にはなるが」
短く揃えた後ろ髪を無造作に掻いて、男は言った。
「仕事が後にあるって思うと、どうにもな」
「そうですね。後学のためにも、アイスワインは是非とも飲んでみたかったところですが……今日のところは致し方ありません」
口で言うほどには残念そうな素振りも見せずに、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は足を止めた。そして遠い街並みへ柔和な眼差しを向けたかと思うと、数歩後ろを歩く男を振り返る。
「葡萄畑を眺めながら、羽伸ばしといきましょう」
「ああ、酒は落ち着いて飲む方が美味い。やること終わったら、幾つか買って帰りゃいいんじゃねぇか――それに、酔っ払ったら面倒臭そうだしな、アンタ」
「俺、酒強いですよ?」
にっこりと人好きのする笑顔で両頬に人差し指を添えて見せれば、何をかわいこぶってるんだと呆れられるのはいつものことで。お決まりの台詞が飛んでくる前にと、棕櫚は続けた。
「でもお土産に買って帰るのはいい案ですね。……に、しても」
「……何だよ」
いつになくじろじろと見つめる瞳に柄にもなくたじろいで、骰は尋ねる。いいえ別にと笑う棕櫚はどこまでも紳士的で温和だが、やはりどうにも底の知れないところがある。
「骰さんて、見掛けによらず真面目ですよねえ。いや、見掛け通りなんです……?」
きっちりと着込んだ黒のスーツとネクタイにオーバルの眼鏡。その筋の人だと知らなければ、なるほど真面目な会社員などに見えないこともない――否、にしては顔が怖すぎるか。棕櫚が心密かに思い直していると、聞こえるような溜息が一つ、渋面から吐き出されて耳に届く。
「アンタのへらへらした顔に比べたら誰だって真面目だろ」
「そんな、これでも毎日真面目に生きてるつもりなんですけどね」
睨みつける鬼の顔を観察するのにも飽きて、棕櫚は再び葡萄の丘へと目を向けた。立ち並ぶ木々の葉を注意深く見つめていると、往き過ぎる風の通り道がよく分かる。
「しかし――広いな」
淡い空の下に広がる丘は一つ向こうもその先も、整然と並ぶ葡萄の縞模様に飾られている。一枚の絵を見ているかのような光景に、感嘆を交えて骰は言った。
「全部酒にすんのか、これ」
「さあ、どうでしょう? ジュースになったり、加工されるものもあるんじゃないですかね。まあ――なんにせよ、」
耳を澄ませば聞こえてくる大河の歌声と、頬を撫でる冷たい風。全身を包む音と空気はひどく穏やかで、自然の美しさに溢れているのに――ここが改竄された歴史の只中だということの、なんと皮肉なことか。
見上げる空と同じ色をした瞳を伏せて、棕櫚は言った。
「新宿では見られない景色なのは確かです。視力が悪い者同士、ゆっくり目を休めましょうね」
「? いや――俺は別に、目は悪くねえぞ」
「え?」
なんだと、とでも言いたげに伏せた眸を一瞬で見開き、棕櫚は背にした友人を振り返る。ほら、と手渡された眼鏡のレンズを覗いてみると、確かに度は入っていないらしい。
「……今明かされる新事実じゃありませんか……」
「アンタ目ぇ悪いのか? まあ、根性足りてなさそうだもんな」
「俺が根性なしなら骰さんは、素顔でお喋りできないシャイボーイってわけですね」
「そうだな、シャイだから拳のが早いんだよ。一発殴っていいか?」
「あっ、暴力反対!」
振り被った拳をひらりと交わして、棕櫚は立ち並ぶ葡萄の小径へ滑り込む。拳は敵さんにどうぞと、ぱちりと片目を瞑って見せたその背中に、骰は再び大きな溜息を零すのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
レイ・シャルダン
陸さん(g01002)と一緒に。
ブドウ畑を陸さんと見学します。
…。
いつか故郷に来てほしいって思ってたけど、早速叶ってしまった
…陸さん。ドイツにいらっしゃい
風がとても気持ちいいですね。
懐かしい…かな?よくわかんないや。
こんな事だったらもっと色んな所を見て回ってたらよかったな。
陸さんは…陸さんはどうなんです?
貴方の故郷についても知りたいです。
それでも…取り戻したい…。
陸さんは自分の世界を取り戻した時…。
(帰っちゃうの?)
(なんて、聞けないよね。)
必ず、取り戻しましょう。
いけないいけない。
不安になるなんてボクらしくないぞ。
へへお腹減りましたね。
賛成です、美味しいカリーブルストでも食べに行きましょう。
竜城・陸
レイ(g00999)と
流れる大河と、斜面を埋めるようなブドウ畑
……壮観だな
あらためて、世界というものは広いのだと思い知らされる
ああ、そうか
ディヴィジョンとはいえ、ここは君の故郷になるのか
……どうかな、やはり懐かしいもの?
俺の故郷?
……困ったな、あまり話せることはないんだよ
ずっと家の中に籠りきりで、外に出たことはなかったから
自分の暮らした場所がどんな景色であったかも知らない
……それでも取り戻したいと思うのだから、不思議なものだけれど
ああ、……そうだね
作戦行動までもう少し時間があるし
軽く食事でもしていこうか
未成年用にジュースなんかもきっとあるだろうし
目で見て学んだのなら、味も楽しんでいかないとね
「……壮観だな」
滔々と流れる大河と、そこに向かって下る斜面を埋め尽くすような葡萄畑の光景は、そう表する他にない。圧倒されたように口にして、竜城・陸(蒼海番長・g01002)は空と地を分ける葡萄畑の稜線を仰いだ。ディアボロスとして、多くの時代と地域を行き来してきた陸だが、こうして広大な緑の中に立ってみると、やはり世界は広いのだと思い知らされる。
風に紛れてかさりと、落ち葉を踏む音がした。
「陸さん。ドイツにいらっしゃい」
青い翼の背に歩み寄り、レイ・シャルダン(人間のガジェッティア・g00999)が言った。そのまま隣へ進み出ると、少女は嬉しそうな笑みを浮かべる。
「いつか故郷に来てほしいって思ってたけど、早速叶ってしまいました」
「ああ――そうか。ディヴィジョンとはいえ……ここは君の故郷になるのか」
時代は違えどこの風景は、過去も現代もそう変わらないのだろう。彼女にとって、ここは紛れもなく故郷だ。吹きつける川風に心地よさげに身を委ねる姿を見ていれば、この場所を憎からず思っているのだろうことは分かる。
釣られるように口許を緩めて、陸は言った。
「どうかな、やはり懐かしいもの?」
「うーん、……懐かしい……かな? ラボに籠ってる時間の方が長かったから、よくわかんないや。こんなことになるなら、もっと色んなところを見て回ってたらよかったな」
そう言って少しだけ寂しそうに眉を下げ、レイは微笑った。
「陸さんはどうなんです?」
「どうって?」
「故郷ですよ。貴方の故郷についても知りたいです」
「それは……」
困ったなと、今度は陸の方が頭を掻く番だった。実感を持って話せることが多くないのは、お互い様というところだ。
「あまり話せることはないんだよ。ずっと家の中に籠りきりで、外に出たことはなかったから……自分の暮らした場所がどんな景色であったかも知らない」
でも、と付け加えて竜は言った。
「……それでも取り戻したいと思うのだから、不思議なものだけれど」
多分、それが故郷というものなのだろう。自覚する愛着、記憶の有無にかかわらず、ただ在るべき姿でそこに在って欲しい――そういうもの。
取り戻したい、と確かめるように青年の言葉を繰り返して、レイははっと息を呑んだ。
(「陸さんは、自分の世界を取り戻した時――」)
帰っちゃうの、とは、聞けなかった。
聞けば彼を困らせてしまうだろうし、大体聞いたところでそれに大してどうこう言えるものではないだろう。続くはずの言葉を呑み込んでしばしラインの川風に吹かれ、ひと呼吸おいてから少女は言った。
「……必ず、取り戻しましょう」
「ああ」
不安になるなんて、らしくもない。いけないいけないと笑って気を取り直し、レイは背にした街を振り返った。
「陸さん、お腹空きませんか?」
「そうだね。作戦行動までもう少し時間があるし、軽く食事でもしていこうか」
ワインの産地とはいえ、未成年でも飲み食いできる場所はあるはずだ。目で見て学ぶだけではなく、五感で覚えておく――そのためにも、折角の機会を棒に振る手はないだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!
ナタリア・ピネハス
ユキヤさま(g01145)と
見て、棚のように木が連なっているの
あれが全部葡萄の木なのね
旧市街地の北に佇むその館には
自動演奏の楽器が並んでいるのだそうよ
ね、行ってみましょう
すごいわ、中に6つもバイオリンを抱いているんですって
知らずに音色を聴いたなら
中に誰かがいるんじゃあないかしら?なんて錯覚してしまいそう
ユキヤさまは、音楽はおすき?
まあ。ほんとうに?すてき!
趣味のようなものだけれど、わたくしもピアノを弾くことがすきよ
あなたの奏でる音を聞くことが叶うかしら
うふふ。いずれ、叶えてくださる?
……わたくし。取り戻したいと思うわ
せかいも、色褪せぬ音楽も
ねえね、おとなになったなら
今度は葡萄酒を頂きましょうね
古城・雪夜
ナタリアさん(g00014)と
知識はあれど実物を見たことはなかった葡萄畑
状況に複雑な想いはあれども、今は素直に楽しもう
美しいですね、これだけ広大だと
ワイン用の葡萄、初めて見ました
街並みも空気も全てが新鮮で
御伽噺に迷い込んだみたいだ
彼女について行けば、どこか懐かしい音色
俺は音楽、好きですよ
自身がチェロ奏者ですしね
演奏は、貴女が機会を望んでくれるならば
その時には是非、ピアノも聞かせてくださいね
オルゴールの音色、記憶して持って帰れるだろうか
きっと、素敵な土産になりそう
意志紡ぐ彼女を静かに見つめて
己が内に眠る決意もそっと心の奥底へ
そうですね…ワインの味が分かるようになったら
味わうことができれば良いな
「見て――ほら。あれが全部、葡萄の木なのね」
川へ向かって下る斜面を指差して、ナタリア・ピネハス(Hitbodedut・g00014)は言った。足を止めたその隣に並んで立ち、古城・雪夜(黒帝・g01145)もまた感嘆の声を上げる。
「知識として知ってはいましたが……実物を見るのは初めてですね。ディヴィジョンで、というのは――少し、複雑な気はしますけれど」
美しいです、と、思わず零した言葉に嘘はない。川を縁取る広大な斜面に整然と突き立つ葡萄の木々も、石造りの街並みも、川面を滑り来る水の匂いも――極東に生まれ育った雪夜にとってはすべてが新鮮で、まるで御伽噺の世界に迷い込んだかのようだ。
「旧市街地の北には、自動演奏の楽器を集めた博物館もあるそうよ。この時代にあるかどうかは、分からないけれど」
「自動演奏楽器、というと……」
「ええ、例えばオルゴールだとか。中に六つもバイオリンを抱いた大きなものもあるんですって」
「バイオリンのオルゴール……ですか?」
「そう。知らずに音色を聴いたなら、中で誰かが弾いていると勘違いしてしまいそう」
どんなだろう、と黒い狐耳の頭を傾ける雪夜に、ナタリアはころころと楽しげに笑って言った。
「ユキヤさまは、音楽はおすき?」
「ええ、好きですよ。これでもチェロ奏者ですし」
「まあ。ほんとうに?」
すてき、と胸の前で両手を合わせた娘は、若き妖狐に興味を惹かれたらしかった。その根底にあるのは、音を愛する者への親近感だ。琥珀の瞳を僅かに煌めかせて、ナタリアは続ける。
「趣味のようなものだけれど、わたくしもピアノを弾くことがすきよ。いつか、あなたの奏でる音を聞かせていただけたら良いのだけど」
「勿論、貴女が機会を望んでくれるならば……いくらでも」
優しげな紅の瞳をにこやかに細めて、雪夜は応じた。
「その時には是非、ピアノも聞かせてくださいね」
「うふふ。いずれ叶えてくださるなら、喜んで」
藍色の髪を揺らす川風を全身に受けながら、水辺の道を歩く。緩やかに流れる時間は平和そのもので、世界を脅かすもののことを一時、忘れさせてくれる――けれど。
「……わたくし。取り戻したいと思うわ」
在るべき世界も、それを彩る色褪せない音楽も。
視線は真っ直ぐに前を向いたまま、紡ぐ決意には一分の迷いもない。恐らくは同じ思いを胸に、無言で見つめる雪夜を顧みて、ナタリアは淡い笑みを浮かべた。
「ねえね、……おとなになったなら今度は葡萄酒を頂きましょうね」
「……そうですね。ワインの味が分かるようになったら」
その時はどうかこの世界が、今よりももっと優しく、生き生きとした音で溢れる場所でありますように。
そこで味わう葡萄の甘露は、二人にとって忘れられないものになるのだろうから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【現の夢】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【フィニッシュ】がLV2になった!
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
東京で生まれ暮らしてきて
小さな世界にいた頃には見た事のない光景の数々
斜面を覆い尽くす一面の葡萄畑に
映画の世界に迷い込んだようなつぐみ横丁の街並み
ただ歩いて、ただ眺めるだけで心が躍ってしまう
こんな可愛くメルヘンな街を探検しない訳にはいかないね
迷子にならぬように手と手を繋いで
互いの気持ちの赴くままに街を巡っていこう
どうせ同じ小路を通るだろうし
同じお店が気になってしまうだろうけど
日が傾くに従って火が灯り色づく街に
賑やかさが増していく陽気な通り
折角だから葡萄ジュースの一杯は頂きたいね
今もとても楽しいけれど
お酒が飲めたらもっと楽しい街なんだろうね
大人になったらまた来ようか
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
目に映る街の全てが可愛く思えちゃう位に素敵な所!
異国の風を感じて思わず頬が緩んじゃう
最初はお買い物いっぱいしようって考えていたけれど
これはお散歩するだけでもすっごく楽しそう
だから今日はこの街をたくさん歩いて探索しようね
日が少し傾いて街に明かりが灯り始めると
照らされている街も可愛くて心がウキウキしてくるよ
道、建物、お店の看板、どれも素敵だから見逃さないように
でも心の赴くままに街を歩こう
リオちゃんと手を繋いで歩けば心のウキウキも倍増する気がするよ
でも散歩の最後にせっかくだから
この街の葡萄ジュースを一杯頂きたいな
ふふ、大人になったらもう一度、かぁ
はーい、約束!だね
「わあ……」
煉瓦の家に、木組みの家。店の軒先に飾られた、色も形もさまざまの吊り看板。子どもの頃に読み聞かせられた御伽噺の絵本の中の、そのままの世界がそこにはあった。石畳の道の中ほどに立ち止まって、朔・麗央(白鉄の鉤・g01286)は花色の瞳を輝かせ、後ろに立つ兄を振り返る。
「すごい。すごいねリオちゃん、見て!」
「勿論、見てるよレオ」
平素は涼やかな目元で慈しむように妹を見やり、朔・璃央(黄鉄の鴉・g00493)は微笑った。細い路地を縁取る建物の並び、背にした大河のその先に立ち上がる斜面と、それを覆い尽くす葡萄畑――東京という小さな世界に生まれ育った兄妹にとっては、パラドクストレインに揺られた先で見るものはすべてが目新しい。改竄世界史の断片で、というのが皮肉ではあるが、それでも、物語の中に迷い込んだかのような風景にはどうしたって心が躍ってしまう。
異国の風に乗ってくるりと黒いスカートの裾を翻し、麗央は言った。
「お買い物いっぱいしようって思ってたけど、お散歩するだけでもすっごく楽しそうだね!」
「そうだね。探検しないわけにはいかないよ」
迷子になってしまわないよう、どちらからとなく差し出した手をしっかりと握って、滑り込む先は『つぐみ横丁』――街の人々にとってはなんということのない日常の景色なのかもしれないが、童話の世界のような街並は奥へ奥へと、双子の兄妹を誘い込む。
お互いの気の向くまま、見たいものを見て、食べたいものを食べて歩こう――なんて、そんなことを言ったところでどうせ、同じ小路を通ろうとして、同じ店に心惹かれてしまうのだろうけれど。
「レオは、何か食べたいものはある?」
「んー……そうだなぁ。せっかくだから、この街の葡萄ジュースを一杯、頂きたいな」
「いいね。……俺もそれがいいなと思ってたところ」
共に生まれ育って十七年。大人の階段はまだ長々と、二人の前に続いている。酒が飲めたならきっと、もっと楽しい街に違いないのだろうけれど――。
「……大人になったら、また来ようか」
その時は今よりももっと、平和で優しいこの街へ。問えば人形のように整った顔立ちをみるみる喜色に染めて、はーいと元気よく麗央は応じた。
「大人になったらもう一度、約束だね!」
「そう。……約束だよ」
大人になったら、何をしよう。
いつか来る日を思い描き、約束を交わすことは、子どもにだけ許された特別な権利だ。だから酒は飲めなくても――今という時間がとても楽しく、愛おしい。
同じ歩幅によく似た後ろ姿をつかず離れず並べたまま、一対の花と葉は傾きかけた陽射しの中を往く。二人指先を重ねていればそれだけで、異国の街並にときめく心はいっそう弾み、このままどこまでも駆けて行けるような気がした。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
ガーデニア・ラディーチェ
*ソロ描写希望
人形のロズリエルと手を繋いで
つぐみ横丁のレストランに
アム・ライン
ライン川沿いのって、意味だって
ロズ。貴方は……教えてくれたわよね
フランクフルトとか、2つあるって
……だから、地名は最後まで聞かないといけないって
そんな思い出話
返事は無いけれど
折角だからお勧めの料理でも
どれもとても美味しそう、よね
ここ、ワインが有名なんですってね
もしわたしたちが、普通に大人になれていたら……
一緒にワインを楽しめる日も、来たのかしら?
なんて
端から見たら2人なのに、実は1人って
とっても寂しいの、よ
ね、なんで蘇ってしまったのかしらね
死者は蘇らない
だから……おかしいのは、わたし
ね、ロズ
……早くそちらに戻りたいわ
「リューデスハイム・アム・ライン」
父なる流れに寄り添う街の名を反芻して、ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)は冬になりかけた空を仰いだ。真紅の薔薇を咲かせた腕の先につなぐ人形の手は、川風の中でいつも以上に冷たく感じられる。
緩く波を打った白金の髪に青空を映した瞳。愛しい人の姿だけをそのままに留めた哀しくも美しい自動人形は、物言わず彼女を見つめている。
「アム・ラインは、『ライン川沿いの』って意味だって――ロズ。貴方は……教えてくれたわよね」
地名は最後まで聞かないといけないと、彼は言った。例えばフランクフルトにはアム・マインとオーダーがあるように、略称で語れば時には有名でない方の街を指していることもあると。それはいつか二人で交わしたささやかな雑談に過ぎないけれど、この街の名を聞いてふと、鮮明に思い出した。勿論、問えども返事はないが、寄り添う『ロズ』の仕種だけは、まるで生前の彼をなぞるかのようだ。
白墨で本日のメニューを書きつけた食堂の看板の前で足を止め、少女は言った。
「どれもとても美味しそう、だけど……ここ、ワインが有名なんですってね」
つないだ手の指に、無意識に少し、力が篭もる。
かつて病に倒れた彼と、彼に殉じた彼女。若くして時計を停めた二人がもし、つつがなく大人になれていたのなら、共にワイングラスを掲げる日もあったのだろうか? などと――今更考えても詮ないことだけれど。
「……端から見たら二人なのに、実は一人って。とっても寂しいの、よ」
薔薇と同じ色をした紅い瞳に、悲しみとも、諦めともつかぬ寂しい光が揺れる。なんで、と、道行く人々には聞こえることのない声で、ガーデニアは言った。
「なんで蘇ってしまったのかしらね。……死者は蘇らないのに」
蘇らなかった彼が悪いのではない。おかしいのでは、ない。
どちらかがおかしいのだとしたら、それは――。
「ね、ロズ。……早くそちらに戻りたいわ」
吹き抜ける風が、路地を飾る樹々の葉と少女の長い髪を空へ舞い上げる。寄り添う人形の手をしっかりと握ったまま、少女はレストランの扉の向こうへ消えていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
アドリブ歓迎
街並みを追えば、行き交う言葉、20世紀初の街の空気を懐かしく感じる
戻ってきたのだろうか、と眩暈を覚える心地を抑え
見つかれば、ライン川を望む店の一軒で
豊かなラインの流れと、葡萄畑を眺めながら食事
歴史の流れから、弾き出され、異郷に流れ着いて……
近くに戻って来たら、歴史ごと改竄されていた……か
どこに居ても異邦人だな
だが酒の味や、街並みは変わることなく
人々の営みを伝えるだろう
……今は分かたれた仲間たちに
アイスワインのグラスを掲げて
味わいながら飲み干す
取り戻す歴史は、良いものになるだろうか――
今は何の確証もない
けれど、俺は
取り戻すために、悪魔にもなるだろう
今日も、これからも、その日が来るまで
ラインの水面を滑り来たる川風が、街路樹の枝を揺らしていく。
二十世紀初頭の欧州の街並と道行く人々の交わす言葉はどうしようもなく懐かしく、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は石畳の路地に足を止めた。
(「戻ってきたのだろうか」)
2021年に生きる未来人達が『御伽噺のような』と称する街並は、エトヴァにとってはそれほど珍しいものではない。軽い眩暈を覚えて眉間を押さえ、青年は歩き出す。
細い坂道を突き当たりまで登り、右手に口を開いた酒場の扉を押し開けると、硝子細工のドアチャイムがしゃらしゃらと涼やかな音を立てた。
「アイスワインを、一杯だけ」
時刻は十三時に少し早い頃。昼飯時の客足もピークアウトしたとはいえ、店内は未だ慌ただしい。カウンターの中を忙しなく行き来する店員に一声かけて、エトヴァは板張りの床を踏み、入り口と反対側のテラスへ抜ける。流れるラインと葡萄畑を望むウッドテラスの縁に立てば、吹き付ける風が心地よい――けれど。
(「どこに居ても異邦人だな」)
歴史の流れから弾き出され、国も時代も異なる場所に流れ着き、やっと近くへ戻ってきたと思えば、切り離された世界は本来の歴史とはかけ離れた物語を紡いでいる。過去にも、未来にも、この地球上に自らの還るべき場所はないのだと実感するようで、思わず小さな溜息が零れた。
(「――だが、変わらないものもある」)
どうぞと短い言葉をかけて、給仕の女の白い手が硝子の杯をテーブルの上に置いていく。この先の歴史がどうなろうとも、この蜂蜜色の露の甘さは変わることなく人々の営みを未来へ伝えていくだろう。取り戻す歴史が良いものになるかどうか――今は何の確証もないけれど。
(「それでも、俺は」)
在るべき歴史を取り戻す。そのためになら、彼は悪魔にだってなるだろう。今日も、明日も――いつかその日が訪れるまで。
小さく掲げたグラスの表面には、今は分かたれた仲間達の顔が音もなく浮かび、そして消えていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
ジュジュ・テネブラルム
リュカ兄様(g05363)と
兄だけど秘密の片思い中
葡萄畑がいっぱいあるね
アイスワインがここの名産なんだっけ?
リュカ兄様は赤ワインのほうが好きだよね
でも折角だし飲んでいこっか
と手を引く流れで手を繋ぐ
レストランでアイスワインを頼む
甘くて美味しい……!
とても飲みやすいね
うん、そうだね
私、お酒にあまり強くないし
ふふふ、なんだかヴァカンス気分になっちゃったね
あっ、じゃあお言葉に甘えちゃおうかな
リュカ兄様と晩酌する時に少しずつ飲むね
いつかリュカ兄様と同じくらいのペースで飲める位に強くなりたいって思ってるんだけど
うん、私も……
って多いよ!一本でいいよ!
もう、リュカ兄様は私に甘いなぁ
呆れた様に笑うが内心嬉しい
リュカ・テネブラルム
愛する妹、ジュジュ(g05884)と
偶にはこうした田舎の風景も趣深きものでございますね
甘いお酒は日頃は頂きませんが名産品は味わうべきもの
頂きましょうか
…嗚呼、貴腐の様に甘やかなれども尚澄み渡る味わい
これは良きものでございます
あぁ、ジュジュ、飲み過ぎてはいけませんよ
この後は仕事だとのことでございますゆえ…と言って、もはやその様な気分ではまるでございませんけれども
ときにジュジュ、こちらをお土産にいかがでしょうか
別にお酒になど強くならずとも構いませんよ
私は貴女とゆっくりと話せる時間を持てるならばそれだけで
…もし、給仕のお方
こちらを1ケースお土産用にお売りくださいませ
リボンも掛けて頂けましたら幸いです
「偶にはこうした田舎の風景も趣深きものでございますね」
坂の上に建つ街酒場のテラスからは、河沿いに広がる葡萄畑がよく見える。蔦の絡んだ飾り柱を背にアイスワインの一献を傾け、リュカ・テネブラルム(彼岸へと愛をこめて・g05363)は言った。その面差しに隠しきれない憧憬を向けながら、ジュジュ・テネブラルム(影纏う白薔薇・g05884)は両手でテーブルに頬杖をつくと、愛らしく小首を傾げてみせる。
「リュカ兄様は赤ワインのほうが好きだよね。でも、ここの名産はアイスワインなんだっけ」
「ええ、甘いお酒は日頃は頂きませんが……名産品は味わうべきもの」
此処へ来て頂かない理由もなし――白葡萄の色と甘みをぎゅっと凝縮した雫は、午後の陽射しに透かして見ると琥珀のような輝きを放つ。兄の仕種を真似てゆらりとグラスをひと回しすると、ジュジュはそっとその縁に口を付けた。
「うん……甘くて美味しい! とても飲みやすいね」
「貴腐のように甘やかなれどもなお澄み渡る味わい。これは良きものでございます」
とはいえ飲み過ぎてはいけませんよと、リュカは微笑した。
「この後は仕事だとのことでございますゆえ……」
「うん、そうだね。それに私、お酒にあまり強くないし――ふふ、なんだかヴァカンス気分になっちゃうね」
ここへ来たのはあくまでも仕事のため――手放しのヴァカンスというわけにはいかないが、至上の甘露を前にしてはそんな現実も一時忘れてしまいそうになる。頷く代わりに微笑みを返して、リュカはアイスワインのボトルを手に取った。
「ときにジュジュ、こちらをお土産にいかがでしょうか」
「え――いいの?」
それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな――と、応じる娘の瞳は、アイスワインに負けずとも劣らず甘い。兄妹水入らずの晩酌はそれでなくても甘美だが、この酒があればいっそう特別な時間になることだろう。
「私もいつか、リュカ兄様と同じペースで飲めるくらい、強くなりたいって思ってるんだけど……」
「別にお酒になど強くならずとも構いませんよ。私は貴女とゆっくりと話せる時間を持てるならばそれだけで良いのです」
伏しがちに笑んだ瞳には、どこか試すような色があった。違いますかと問われているようで、見透かされているようで――ジュジュはほんのりと頬を染める。
「うん、私も……」
か細く応じる声に、リュカはにっこりと頷いた。そして慣れた仕種で片手を挙げると、もし、と給仕の女を呼び止める。
「そこなお方。こちらを一ケース、お土産用にお売りくださいませ。リボンも掛けて頂けましたら――」
「って多いよ! 一本でいいよ!」
ここぞとばかりに妹を甘やかしにかかる兄を慌てて引き止めながら、ジュジュは困ったように、しかし嬉しそうに笑った。どんな些細なことであれ、兄が自分のために何かをしようとしてくれることは彼女にとってこの上ない喜びなのだ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
【命中アップ】LV1が発生!
咲樂・祇伐
🌸弐祇
これ全て葡萄畑なのですね!
長閑で良い光景ですね
なんだか心が安らぐよう
レストラン……くぅ、と鳴ったお腹を咄嗟に抑えて、チラリと弐珀さんの方を伺う
もしや聞こえてしまったのでは?なんて…少し心配で
行くしかないですよ、レストラン!
まずは何を頂きましょう?
ドイツといえばソーセージ
ジャガイモ料理も美味しそう
思わず目移りしてつい山盛りのソーセージを注文してしまいました
け、決して食いしん坊では!
弐珀さんのは初めてです…一口頂いてもいいかしら?
仕上げは葡萄のスイーツを堪能しましょ
弐珀さんはワインはお好きですか?
アイスワイン…私はまだ飲めませんがお土産なんて素敵ですね!
ふふ、いつか一緒に飲みたいです
ワイン
灯楼・弐珀
🖼弐祇
いやはや、この街は何処も見ごたえが在りますねぇ、祇伐くん
葡萄畑も見てて思わず心が躍りましたよ
此方の『つぐみ横丁』の民芸品にワイン、レストランも有ってとても賑やかですし…
…折角ですし、レストラン入って見ます?ご飯もまだでしたし
ドイツですし、ドイツ料理かなと思ったけれど…葡萄系もありそうですね
祇伐くんはどれにします?
お兄さんは此方のカリーヴルストを頼んで見ようかと思いますが
一杯食べるのは好ましい故大丈夫ですとも
えぇ、一口どうぞ
デザートは…葡萄系にしましょうか
ワインは嗜む程度、ですかね
アイスワインは中々貴重みたいですし、お土産にしてみようかな、と
何れ祇伐くんと飲める日を楽しみにしておりますよ
「いやはや、この街は何処も見ごたえが在りますねぇ」
つぐみ横丁に軒を連ねる食堂の窓辺。嵌め殺しの硝子の向こうに覗く街並みを一瞥して、灯楼・弐珀(絵師お兄さん・g00011)は言った。
「葡萄畑も見ていて思わず心が躍りましたよ」
「長閑で良い光景でしたね。なんだか心が安らぐような……!」
くう、と、可愛い鳴き声を上げた腹を咄嗟に押さえて、咲樂・祇伐(櫻禍ノ巫・g00791)は向かいに座る男の顔をそろそろと見た。ともすると、聞こえてしまったかもしれない――そう思うと薄ら頬が熱くなったが、弐珀はただにこやかに笑っているだけだ。
『つぐみ横丁』の一角に軒を連ねたレストランの中は、昼食には少し遅い時間にもかかわらず多くの人で賑わっていた。食事もまだだったからと適当に入ってみたものの、なかなか雰囲気のよい店だ。
布で装丁したメニューを開いてなぞりながら、弐珀が言った。
「ドイツですし、ドイツ料理かなと思ったけれど……葡萄系もありそうですね。祇伐くんはどれにします?」
「そうですね……ジャガイモ料理も美味しそうですが、折角なので私はソーセージの盛り合わせを――はっ」
「?」
「け、決して食いしん坊なわけでは!」
何を言われたわけでもないのにあたふたと慌てふためいて、竜の娘は弁明する。するとなんだというように相好を崩し、弐珀はくつくつと喉を鳴らした。
「一杯食べるのは好ましい故、大丈夫ですとも。お兄さんは此方のカリーヴルストを頼んで見ようかと思いますが――」
「ひ……一口頂いてもいいかしら?」
これは初めて見聞きする食べ物への好奇心であって、と自分自身に言い聞かせながら、祇伐は尋ねる。勿論どうぞと笑って、弐珀は布張りのメニューを閉じると給仕の手に返し、葡萄を使ったデザートを二人分、と追加した。注文を終えて一段落、見渡す店内の一角は堆く積まれたワインに飾られている。
「弐珀さんは、ワインはお好きですか?」
「嗜む程度、ですかね。ですがアイスワインは中々貴重みたいですし、お土産にしてみようかな、と」
時間も場所も遥々超えてやってきたのだから、まったく触れずに帰るのも少々惜しい。横目に眺めるカウンターのアイスワインの瓶達は甘やかに輝いて美しく、弐珀はその色を瞼の裏に焼きつける。
「いずれ祇伐くんと飲める日を楽しみにしておりますよ」
「ふふ、そうですね。今はまだ、飲めませんけど」
いつかご一緒させてくださいと、桜花の咲くように祇伐は微笑む。けれど――。
……ぐう。
「あっ」
「…………」
鼻先をくすぐる肉の匂いに、再び腹の虫が鳴いた。かあっと頬を染めて百面相する少女を、金色の双眸は微笑ましげに見つめている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水源】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
乂八・南
g01118/ノスリくん
葡萄ジュースで乾杯
ソーセージもぱくり
甘さとしょっぱさが良く合う
わっ
ふふ、うまい?
飲めないと知って言ってるのが分かって
少しだけ拗ねた顔
でもすぐ興味に変わり
頷き今は香りだけ
ジュースとは全然違う
ふわふわする感じだ
――俺も早く飲めるようになりたいな
ノスリくんが好きなお酒って何?
そっかぁ
どんな味するんだろと巡らす想像
続く言葉に花咲くように綻ぶ
ちょっとずつ食べるやつだっけ
うん!みんなで食べたい。おっきいやつ買お
目当てを探しながら歩く傍ら
瞬き手にしたのは鳥のオーナメント
これ、かわいい!似てる、なんてノスリくんの横
買ってツリーに飾っちゃお
うーんと首傾げ
無邪気な言葉に嬉しそうに笑った
ノスリ・アスターゼイン
g00139/南
Zum Wohl!
唱和で傾けるアイスワイン
正にデザート気分の甘さだけど
塩気のあるヴルストは幾らでも食える
合わせて何度でも乾杯!
ひょいと
南のグラスを奪って一口
流石、葡萄畑が広がる地だ
絶品の果汁に顔が綻ぶ
…こっちも試してみる?
晩酌は成人までのお預けとして
馥郁たる香りだけでも、と
悪戯に笑って差し出す酒精
好きな酒か
麦酒も葡萄酒もシードルも好き
今は未だ『特別』が無いから
来年、一緒に見つけよう
クリスマスマーケットも間もなくかな
シュトーレンがあれば土産にしようか
聖夜を待ち侘びる日々も楽しくなるよ
掲げられた鳥飾りへ笑み
隣に並べて揺らす、卵型
何が生まれると思う?
鳥、亀、蜥蜴、いいや――恐竜かも!
「Zum Wohl!」
声を重ねて掲げたグラスの中で、蜂蜜色の雫が小さな飛沫を上げた。一口、唇を濡らしたそれは見た目から想像するよりもなお甘く、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は少しだけ、驚いたように目を瞠った。鼻腔に抜ける華やかな香りと甘味は、なるほどデザートワインと称されるのに相応しい。塩気の強いヴルストを食すには、これはこれで良い口直しになる。
「そっちはどんな感じ?」
「え? わっ」
伸びてきた手にジュースのグラスを取り上げられて、乂八・南(WONDERFUL LIFE・g00139)は驚き、瞳を瞬かせた。ワインのそれより少し淡い色をした果汁を悪びれた風もなく口に含んで、ノスリは悪戯に唇を舐める。
「流石、葡萄畑の地だな」
甘さの中に程よい酸味があり、爽やかで、何より新鮮。うまい? と尋ねる南には綻ぶ笑みで応えて、ノスリは自分のグラスを顔の前に掲げて見せた。
「こっちも試してみる?」
「……飲めないって知ってて言ってるでしょ」
惜しくもあと約一年、二十歳に届かない南には、目の前の甘露を口にする術がない。拗ねたように軽く睨んでやると、年上の友人は『ばれたか』と笑いながらグラスを差し出してくる。
「勿論、晩酌は成人までのお預けとして――香りだけなら試せるだろ?」
「……まあ、匂いだけなら」
おずおずと受け取ったグラスの細い脚をつまんで、鼻先へ近づける。すん、と何度か嗅ぎ鳴らして、南は友人の手にグラスを返した。
「どう?」
「ジュースとは全然違う。同じ葡萄だから、似てはいるけど――なんだろ。ふわふわする感じだ」
ふわふわする、と言っても、搾り立ての果汁の爽やかな軽さとは違う。果汁の軽さを風に喩えるなら、その甘露は蜂蜜の海に漂うような浮遊感だ。馥郁として甘い香りに魅せられて、少年は少しだけ残念そうに笑った。
「俺も早く飲めるようになりたいな。……ノスリくんが好きなお酒って何?」
「そうだな。麦酒も、葡萄酒も、シードルも好きだけど」
「ふうん……お酒って言っても、色々あるんだね。……どんな味がするんだろ」
「まあ、それこそ色々だよ。でも今はまだ『特別』がないから――来年、一緒に見つけよう」
もう一つ年を重ねたら、その時は胸を張ってもう一度。幼さの多分に残る顔立ちをみるみる喜色に染めて、約束だよと南は笑った。
晩秋から冬へと移り変わる北国は昼間といえども寒く、暖炉を燃やす室内の暖かさとは対照的に、触れた窓硝子は冷えている。その向こうに続く街並みもやがて、年の瀬の行事に向けて着飾っていくのだろう。
「クリスマスマーケットも間もなくかな。……シュトーレンがあれば土産にしようか」
「クリスマスまでちょっとずつ食べるやつだっけ?」
いいねと満面の笑みで頷いて、南は言った。ずっしりとスパイスの利いたパンを分け合い聖夜を待つ日々は、先の見えない日々にあってもきっと、掛け替えのないものになるに違いない。
「おっきいやつ買お! それからクリスマスのオーナメントも」
「まあそう慌てずに。オーナメントは逃げないよ」
今にも道へ駆け出していきそうな少年を柔らかな笑顔で引き留めて、ノスリはついとグラスの底を上げた。冬支度の『つぐみ横丁』で、二人はこの後、鳥と卵を象った小さな木彫り細工に出会うのだが――それはまた、別の話だ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【飛翔】がLV3になった!
効果2【アヴォイド】がLV3になった!
夜久野・螢
【刻々】で参加
ワインが有名な街らしいけど
未成年なりに楽しむとしよう
二十歳になった時どんなお酒を飲みたいか
考えるのもある意味、醍醐味かもしれないな
ぶらぶらと歩くつぐみ横丁の景観が
ルルとレジーナの色みたいだな、なんて思いつつ
レストランで食べるのも良いんじゃない
アイスワインも有名らしい珈琲も
やっぱりアルコール入ってるんだろうなぁ
ルルの葡萄料理を横目に、
ドイツってソーセージも美味いらしいと
普通の珈琲と合わせて頼もう
……やっぱりブドウ美味しい?
オレも何かひとつくらい食べるかな
お土産にするなら長持ちしそうな葡萄ジャムとか
ジュースも良いけど…見た目が似てるのがなぁ
大人になったら、またこの景色に来れたらいいね
ルル・ムル
【刻々】
ルルはまだのめませんがあこがれます。
二十歳になったらお酒をのみたいです。
今日はつぐみ横丁でぶらぶらとしましょう。
ケイ。レジーナ。
ほんじつは楽しみましょう。
葡萄畑が近くにありますから葡萄を使った物をたべます。
葡萄のアイスはありますか?
葡萄のアイスはすこしさんみがきいていておいしいです
おもちかえりしたいくらいですよ
ソーセージも葡萄のゼリーもおいしそうですね
誰かがたべているとおいしくみえます
ルルものちほどソーセージと葡萄のゼリーをたべたいです
今日はのんびりぶらぶらとする日です
ぶどうジュースがあれば買ってかえりましょう
ぶどうのジュースはとてもおいしいのですよ
おふたりとも飲んだ事はありますか?
レジーナ・ネイサン
【刻々】
ワインが有名なんだ
私もまだ飲めないけれど
それは先の楽しみにとっておくとして
つぐみ横丁をルルと螢と共にぶらぶら
雰囲気のある町並みだ
筆を取りたくなる
レストラン?いいね行こう
ルルはアイス、螢はソーセージ
どちらも此処ならではって感じだ
私は
やはりワインの産地だし、
葡萄のゼリーがあれば注文しよう
玉ねぎケーキも有名らしいし
気になるから一つ
ん、いいお味
二人のも美味しそうだなあ
珈琲好きとしてはブランデー入のは何時か試したいな
葡萄ジュースは
飲んだ事あるよ、美味しいよね
ジャムも良いじゃないか?
両方お土産に買って帰ろうかな
お腹が満ちたら工芸品も見に行きたいな
一回じゃ全部見きれないし
またゆっくり来れるといいよね
「ルルはまだのめませんが……」
あこがれます、と、呟いて、ルル・ムル(花頭蓋・g02918)は開いたメニューに視線を落とした。どの店にするか決めかねてふらりと足を踏み入れた一軒の街食堂は、昼食に訪れた多くの人で賑わっていた。土地柄であろうか、まだ昼間だというのに酒を嗜む者の姿も少なくないが、特に治安が悪いという印象はない。
「二十歳になったらお酒をのみたいです」
「そうだな。ワインが有名な街らしいし……まあ、今日のところは未成年なりに楽しむとしよう」
そう言って、夜久野・螢(青灰の鍵・g02441)は笑った。写真のないメニューには複雑で耳慣れない酒の名前がびっしりと並んでいる。そこから分かるのは赤だ白だという色だけで、味はまったく想像もつかないけれど、いざ二十歳になった時どんな酒を飲みたいか――そんなことを考えて楽しめるのは、ある意味、若者だけに与えられた特権なのかもしれない。
「だけど、雰囲気のある街並みだったね」
不揃いな灰色の石畳と、それを道の両側から飾る木骨組みの可愛らしい家々。深い緑の蔦と街路樹、秋晴れというにはもう随分と冷えた空。アーティストとして活躍するレジーナ・ネイサン(灰色キャンバス・g00801)にとっては、創作意欲をくすぐられる光景だった。中世の面影を色濃く残すラインの真珠を彼女の鮮烈な色使いの中に落とし込んだら、どんな絵ができ上がるのか――想像するだけでわくわくする。
けれどとりあえず今は、目の前のメニュー決めだ。料理の名前を記した細かな文字の羅列を覗き込んで、ルルが言った。
「ぶどうのアイスはありますか? ぶどう畑が、あんなに沢山ありますから」
「アイスはどうかな、ゼリーならメニューにありそうだけど……あ、この、ツヴィーベルクーヘンって、玉ねぎケーキのことかな?」
気になるから一つ、とチェックを入れて、レジーナは唇に笑みを刷く。珈琲好きの彼女としてはいつかブランデー入りのリューデスハイマーカフェを試したいところだが、生憎とまだ未成年だ――それは先の楽しみにとっておくとしよう。尤もその著名な珈琲は、この時代ではまだレシピとして確立されていないかもしれないが。
メニューのページをめくりながら、螢も文字だけのメニューを真剣に吟味する。
「ドイツっていうと、やっぱりソーセージが美味いらしいよな。オレは珈琲とソーセージで……あと何か一つ、葡萄のものを――」
「ソーセージも、ぶどうのゼリーもおいしそうですね。誰かがたべていると、もっとおいしくみえます……」
後で食べよう、と心に決めてメニューを閉じれば、ルルの頭で稲穂のような触角がゆらゆらと揺れる。葡萄のアイスそのものは見つからなかったが、バニラアイスを葡萄のケーキに添えたものならありそうだ。
「ぶどうジュースがあれば買ってかえりましょう。あれは、とてもおいしいのですよ――おふたりとも、飲んだことはありますか?」
カウンター席の向こう側、天井近くまで続くボトルラックを振り仰いで、ルルは言った。ジュースにもいろいろな種類があるが、葡萄のそれは少し特別だ。口に含めば広がる香りには、他の果実とは少し違う濃厚な華やかさがある。
注文を終え、窓硝子の向こうに覗く『つぐみ横丁』の軒先を眺めて、螢が言った。
「土産にするなら後は、ジャムなんかも長持ちしそうだな」
「両方、お土産に買って帰ろうかな。それに、時間があれば工芸品も見に行きたい。一回じゃ全部見きれないかもしれないけど――」
頬杖をついた横顔をきらきらと輝かせて、レジーナは異国の街並みをその瞳に焼き付ける。そして隣と向かいに座った友人達に目を戻すと、にこりと笑った。
「またゆっくり来れるといいよね」
三人揃って大人になって、その時はまたこの景色と、初めての酒精を楽しみに。そうだねと笑って、螢は言った。
「次に来る時、この世界はどんな形になってるんだろうな」
戦いの果てに取り戻す世界がどんな色をしているのか、今はまだ、誰も知らない。
けれどその日を手繰り寄せるために、ディアボロス達は戦い、束の間の平穏に羽を休めるのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【落下耐性】LV1が発生!
【完全視界】がLV2になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【能力値アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
一角・實生
つぐみ横丁で民芸品を見たい
いつも俺を守る≪白鷲のお守り≫
一羽で頑張っているから相棒が欲しくて
クリスマスのオーナメントを売る店ならつぐみや鳥類全般を模した飾りがないだろうか
あまり大きくても嵩張るし、白鷲より小さめでしっかりしたつくりのものが欲しい(※鳥種はお任せ)
レストランではおすすめの料理で腹ごしらえ
料理が来るまでに先程購入した鳥と白鷲を引き合わせ、ひもで結び二羽でひとつのお守りにしよう
これからもよろしくな
白鷲のおなかにある自分のものではない掠れた文字
誰が書いたのか、その記憶は奪われ失くしてしまった
いつか思い出す日は来るんだろうか
柄にもなく感傷的になりかけるけど料理が運ばれてきたら多分忘れるよ
「つぐみ横丁――か」
その名を汲んだ意匠だろうか? 焦げたような深いブラウンの窓枠から覗く向かいの店の軒先には、小鳥の彫像をあしらった看板が揺れている。葡萄畑を眺め、川沿いの道を少し歩いて見つけたレストランの窓辺で、一角・實生(あざよいの鷲・g00995)は右掌を覗き込んだ。そこには白鷺を象ったアミュレットと、木彫りの小鳥が一羽ずつ並んでいる。前者はもともと實生の持ち物だが、後者は先程、このレストランに入る前に近くの木工店で求めたばかりの新顔だ。造りはいたってシンプルで、無彩色の木材を鳥――恐らくはこれも、つぐみなのだろう――の形に彫り込んだだけのものだが、小さいながらも羽根の一枚一枚を丁寧に刻んだ仕上がりからは手がけた職人の几帳面さが伝わってくる。
(「いつも一羽で頑張ってくれてるからな――」)
慈しむようになぞった白鷺の腹には、自分ではない誰かの記した文字が刻まれている。掠れた文字は読めず、誰が記したのかも今となっては分からない。あの島に辿り着いた時、實生はその背の翼と引き換えにそれまでの歩みと記憶の大部分を喪ったのだ。
けれど――それからのことは、はっきりと覚えている。
復讐者として新宿の地に降り立ってから何度となく、この白鷺は持ち主の窮地を救ってきた。たまには、謝意を示しておくことも必要だろう。
「今日からはこいつがお前の相棒だよ」
二羽の鳥を紐で括りつけ、これからも宜しくと實生は笑った。失くした記憶に想いを馳せれば今もなお胸の底は重く淀むけれど、歩みを止めなければいつか、取り戻せるものもあるだろう。
運ばれてきた料理の食欲をそそる匂いに口元を綻ばせて、若き天使は二羽の鳥を軍服のポケットへとしまい込んだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
ラルム・グリシーヌ
【白花】
ニイナのワイン造りの話に思わず
きゅっと目を瞑ったりしながら
葡萄の蔦這う可愛らしい木組みの店で選ぶのは
楽しみな未来の約束を叶える為の大切な物
ね、ニイナ。このワイングラスはどうかな?
彼に差し出したのは
ボウルに葡萄や葉蔓が繊細に彫られ
螺旋状のステムが緑の彩に煌めくレーマーグラス
グラスを満たす白ワインの提案に
笑んで首肯するけどお子ちゃま発言には
ちゃんと大人になるまで我慢できるよ
葡萄ジュースは注……がないと思う。たぶん
拗ねた言が零れるも
2年後の約束と誕生日を思えば自然と頬が緩んで
俺が大人になったらニイナがさっき
生クリームのお髭生やしてたリュー、ハイマ…カフェ?
ええと、美味しい珈琲淹れてあげるね!
篝・ニイナ
【白花】
食事を楽しんだ後訪れた店
彼の瞳の色のような葡萄を潰してワインができているなどと与太話をすれば
瞼に隠れたその色に、くつくつと笑いながら
彼が選んだグラス
彫られた葡萄はもちろん、キラキラと煌めく緑が彼によく似合っている
ラルムクン、センスいいじゃん
せっかくだから白ワインも買うか
けどこのグラス、ラルムクンはお子ちゃまだから葡萄ジュースしか注げねぇな
それとも2年後まで
大人になるまでこのグラス使うの我慢できるか
そう悪戯げに問えば少し拗ねたような言葉が返ってきて
じゃあ大人になるまで、オアズケね
それまで俺も、この白ワインは我慢しておいてやるよとは心の中で
あの珈琲淹れてくれんの?
そりゃあ、2年後が楽しみだ
「白ワインはさ――」
つぐみ横丁の中ほどにある、雑貨店の一角で。棚に並んだ木や硝子の食器を眺めながら、篝・ニイナ(篝火・g01085)は言った。
「ラルムクンの瞳みたいな色をした葡萄を潰して作ってるんだよな」
「……え?」
きょとんと瞬きしたラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)の若草色の瞳の中で、褐色の鬼人がほんの少し、意地悪げに笑った。ワンテンポ遅れて何を言われたのか理解し、ラルムははっと目を瞑る。概ね思った通りの反応が可笑しくて、ニイナはくつくつと喉を鳴らした。
ふらりと入ったレストランで郷土料理に舌鼓を打ち、その足でこれまたふらりと訪れたのは、葡萄の蔦が這う可愛らしい木組みの店だった。初めは二人で使うグラスが欲しくて何気なく立ち寄っただけだったのだが、職人の技が光る繊細な硝子細工や木工を眺めていると、時間が過ぎるのを忘れてしまいそうになる。
「あ――ね、ニイナ。このワイングラスはどうかな?」
「うん?」
これ、とラルムが差し出したのは、葡萄や葉蔓の細やかな彫刻を施した丸みの強いボウルに、螺旋を描く緑のステムが美しいレーマーグラスだった。彫られた葡萄は勿論のこと、照明を受けてきらきらと光り輝く緑色は、同じ色の瞳をした少年によく似合う。
「ラルムクン、センスいいじゃん」
に、と唇の端を上げて、ニイナは言った。そうかな、と照れたように頬を掻くラルムの手からグラスを受け取ってまじまじと眺め、けど、と一言付け加える。
「ラルムクンはお子ちゃまだから、こいつを買って帰っても葡萄ジュースしか注げねぇな」
「おこちゃま」
「それとも、大人になるまで――あと二年、このグラス使うの我慢できるか」
試すような口ぶりで、ニイナは訊いた。もう一方の手にはいつの間にか、白ワインのボトルが一本握られている。少しだけむっとしたように頬を膨らせて、大丈夫だよとラルムは言った。
「ちゃんと、大人になるまで我慢できるよ。葡萄ジュースは、注――がない。と、思う」
たぶん、と少々歯切れ悪く唇を尖らせる姿はまるで、『待て』を言いつけられた仔犬のようで。再びくつくつと声を殺して笑い、ニイナは言った。
「じゃあ大人になるまで、オアズケね」
二年後の誕生日にこのグラスで、二人で。それまではこのワインも取っておいてやろう、というのは、わざわざ口に出してはやらないけれど。
それでも十分嬉しそうに、ラルムは年端も行かぬ子どものごとく頬を緩めた。
「じゃあ俺は、さっきニイナが飲んでた珈琲淹れてあげるね。さっきの――生クリームのおひげ生やしてたやつ」
「何、あの珈琲淹れてくれんの?」
そりゃあ楽しみだと笑って、ニイナは燃える炎に似た瞳を伏せた。
二年後、切り刻まれたこの世界がどんな姿をしているのかは想像もつかないけれど、そこでつつがなく杯を酌み交わせることを――言葉には載せることなく、祈りながら。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV2になった!
【飛翔】がLV4になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
ドナ・ゴーティエ
ラインと真珠と称された街並みを楽しむ中
目に留まるレストランを一つに絞る――のは至難の業故
様々な、自慢の料理に舌鼓を
リューデスハイムのアイスワインは是非喫してみたかったのです
流石に任務遂行前から、という訳にはいきませんが
土産とする分には問題ありますまい
腹拵えを済ませた後、ライン川沿岸へ
瑞々しい葡萄畑を視界に納めながら
鮮やかな青い空と赤い雲
金色に染まりゆく水面に見惚れ、立ち止まる
それは、私が見たかったもの
新宿島で望むものとは異なる光景に
込み上げるこの想いは、望郷の念なのでしょうか
…成程
夕焼けを肴に杯を傾けたい気持ちが分った気がします
今は難しいですが…全てが終った暁には
再びこの地を訪れたいものですね
「『ラインの真珠』、とは言ったものですね……」
川辺に広がるこの街が、いつから、誰からそう呼ばれ始めたのかは定かでない。ただ、緑豊かなラインラントの森と丘に人の息吹を飾る街並みは、小さいながらも美しく、正に真珠と称されるのに相応しいとドナ・ゴーティエ(雷公・g04485)は想う。立ち並ぶ酒場と食堂の中から羽根を休める場所を一つに絞るのは至難の業であったが、店先のメニューを覗いて回るドナをある店の主人が呼び止めてくれたお蔭で、自家製だというとっておきのヴルストにありつけた。かねがね気になっていたアイスワインはこの後の任務を考慮してひとまず遠慮したが、手頃な値段のボトルを一本、土産に持って帰ることにした。先の楽しみがあればそれもまた、仕事の一助になるだろう。
厚紙にくるまれたボトルを手に提げて、腹ごなしを兼ね川沿いの道をそぞろ歩く。向こう岸に広がる葡萄畑はまだ青く、傾きかけた太陽の投げる金色の光と淡い空によく映えた。
(「これは――いえ。……これが私の、」)
『見たい』と望んだ景色なのだろうか。
機械仕掛けの脚は石畳に吸い付けられたように動かなくなり、ドナは視界一面に広がる川と丘陵の緑に目を向ける。新宿島の中では決して見ることのできない、雄大な眺めだが――そこに込み上げる想いを、人は望郷の念と呼ぶのだろうか?
「……なるほど」
あの丘の向こうに日が沈み、流れる川が黄金に染まるのは、さぞ美しい光景だろう。夕焼けを肴に杯を傾けようという人の気持ちも分からなくはない。
(「今はまだ、難しくても」)
すべてが終わったその時には、もう一度この地を訪れてみよう。そこで見える景色は今日よりもっと鮮やかに色づいて、寄る辺のない兵士をも迎えてくれるのだろうから。
大成功🔵🔵🔵
効果1【操作会得】がLV2になった!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
青・空
束の間の休息、かぁ
…この時代に来るのは初めてだけど
白雲、葡萄って食べたことある?
見下ろす足元には白い雲の端っこを青で染めたみたいな
メーラーデーモンの白雲がいて
きょとんとした目を返してくるから
これは食べたことがないんだなぁ、なんて
辺りの店や景色を見渡してみる
…葡萄の皮とかって、絵具の代わりに使えないかな
民芸品も気になるけど、葡萄畑を見てみたいし
もしかしたら、果物を売ってくれるところもあるかも
地図でしか見たことのない国、自分の知らない時代の風景
絵の中に、経験に落とし込みたいものが山とある
人と話すのは、まだちょっと苦手だけれど
スケッチブックに描き留めて
葡萄や果実水を見つけたら、白雲と分け合おう
「白雲、葡萄って食べたことある?」
「めえ?」
路地の先に川を望む石段の中程に腰掛けて、青・空(エソラゴト・g01481)は問う。文字通り綿雲の端を空に染めたような色彩のメーラーデーモンは、主の足元に座り込み、きょとんとして瞳を瞬かせている。どうやら食べたことはなさそうだと思いながら、空は先程買ったばかりの黒葡萄を一粒ちぎり、仔山羊の手に持たせてやった。しかし黒々とした大ぶりの果実を食べ物だとは思っていないのか、山羊は蹄の上でコロコロと葡萄を転がし続けている。
戦いに赴く前にほんの少し、与えられた束の間の休息。この時代を訪れるのは初めての経験だが、川と緑の丘が織りなす原風景はそれほど日本の田舎と変わらないせいか、思ったよりも違和感は少ない。膝の上に置いたスケッチブックには、『つぐみ横丁』の軒先を切り取ったささやかな風景が何枚も書き留められている。
「……甘い」
絵筆を動かす手を休め、剥いた葡萄を一粒放り込むと、甘酸っぱく爽やかな風味が口いっぱいに広がった。見ればその指先が、葡萄の色素で赤紫色に染まっている。
(「葡萄の皮を絵の具の代わりに使えないかな」)
画用紙の上でどんな色が出るのか、乾いてどうなるかは分からないが、草木染めにも使うのだから試してみる価値はあるかもしれない。今度やってみようと思いながら、空は再び筆を取った。人と話すのはまだ少し苦手だが、絵ならば思うさま、伝えたいことを表現できる。
(「絵の中に落とし込んでおきたいことが、山ほどあるんだ――」)
地図でしか見たことのない国の、自分が知るはずのない時代で。目にし、耳にした経験を刻んでおきたい。そのためには、時間はいくらあっても足りないくらいなのだ。
「めえ」
「うん? ……あっ」
のそりと寄ってきた仔山羊の手が触れると、スケッチブックの真中に赤紫色の蹄がくっきりと浮かんだ。さっきの葡萄を潰してしまったのだろう。しょうがないなと笑いながら、空は山羊の小さな蹄をエプロンの端で拭ってやった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【液体錬成】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
月下部・小雪
【博物館】のみなさんとお仕事の前に観光、です。
ライン川沿いの葡萄畑を見学して、斜面いっぱいに広がる葡萄畑に目を輝かせてます。
こ、これが美味しいワインさんになるのでしょうか!
観光が終わったらつぐみ横丁のレストランで一休み、ですね。
ドイツといえば、ソーセージ、なのでしょうか?
大きなソーセージさんにかぶりついてもぐもぐです。
お腹がいっぱいになったら、ワインを作るのと同じ葡萄から作ったジュースを美味しそうに飲みながら、
アイスワインを飲んでるみなさんを興味深そうに見てます。
ボ、ボクも10年後には美味しくお酒、飲めるのでしょうか。
(おとなしくなでなでされたりします)
※アドリブや連携も大歓迎
アンネローゼ・ディマンシュ
【博物館】
ドイツはアイゼナハで生まれたバッハが生まれた土地ですわよね
新宿島……最終人類史でもドイツは音楽の国として名を馳せていたとの事ですわね
改竄された歴史でも、ドイツの音楽はどのような物か気になりますわね
リューデスハイムと言えばワイン、ワインと言えばチーズ
ドイツも酪農国故にチーズが優れていると聞いた事がありますわ
わたくしは未成年なのでワインはいただかずぶどうジュースをグラスに注いで乾杯しますわ
後、一応は戦勝という事なので晴れの日とやらになるでしょう
ここはバッハやベートーヴェン等のドイツ生まれのこの時代における過去の音楽家が作った曲を演奏して披露しますわ
シャムス・ライラ
【博物館】で同行
葡萄畑を眺め
アイスワインは
凍った葡萄から作ったワインだそうですね
ひと房からスプーン一杯しか取れないけれど
甘口で飲みやすいらしい
ひと通り観光し終わったら食事の時間
巴殿、見た目で不審がられずにワインを飲むミッションが待っていますね
軽口を叩いて
ソーセージとチーズをさかなに一杯
ええ、イツカ殿
酒はそこそこ嗜む程度ですが
アンネローゼ殿の演奏に耳を傾け
フィーナ殿は紅茶派ですか
酒の席では多少のやらかしも楽しく流すものですから、ルイーズ殿
蛍殿もそこはかとなく酒豪の風格
小雪殿がもぐもぐしているのを微笑ましく眺め
お酒を飲めるようになる頃には
色々と落ち着いて平和になっていると良いね
(頭を撫でようと)
フィーナ・ユグドラシア
【博物館】の皆様と共に。
アドリブ、絡みok。
旅の最中にここを訪れたのはいつ頃でしたか。
最終人類史と違う歴史だとどう変わるのか気になりますね。
とはいえ、やはり歴史ある町並みは綺麗で興味深いです。
ライン川の葡萄畑も、この時代でも美しいですね。
ああ、そう言えば、ニーダーヴァルト記念碑って、このディヴィジョンにもありますかね?
さて、観光の後はつぐみ横丁のレストランで食事ですか。
私は未成年ですし、葡萄ジュースとソーセージを頂きましょう。紅茶があれば飲み比べして、ソーセージに合うか試してみますか。(唐突な紅茶派の主張)
後は皆さんの様子を見守ります。
戦いの中でも、こういう和やかな一時は大事にしたいものです。
イツカ・ユメ
【博物館】の皆と
新宿島とは違う街並みを楽しみながら、ライン川沿いの葡萄畑へ
わたし葡萄畑って初めて見たかも!すごい!
小雪ちゃんと一緒に目をキラキラ輝かせて見学するよ
ふふ、蛍ちゃんは仕事熱心だね
じゃあ、お仕事に備えて
次は横丁のレストランで美味しいものを食べようか♪
店員さんに、アイスワインに合うおすすめ料理聞いて注文するね
シャムスくんと巴ちゃんは、お酒イケるクチかな?
アンネローゼちゃんの演奏を肴に頂く甘めのアイスワインは、ジュースみたいにすいすい飲めちゃう!やばい!
ルイーズちゃんも結構お酒強そうだね
フィーナちゃんは紅茶?ソーセージに合う?
未成年の子達は、成人したら一緒に飲もうね♪
※アドリブ等大歓迎!
ルイーズ・アルベリス
【博物館】の方々と行動です。
アドリブ、絡み歓迎。
様相が変わってもドイツはドイツですね。
街並みも歴史を感じさせるものばかりですしこれが帝国の支配下というのでなければ最高なのですけどね。
折角ですから久々にワインやビールをいただきましょうか。
後はソーセージとチーズを…!カマンベールチーズとか好きなのですよね。
でも嗜む程度にしましょう。酔って醜態は晒したくありませんからね。酔ったら会社の人曰く泣き上戸、怒り上戸、絡み上戸、キス魔、抱き着き魔やら拗らせて大変らしいから…
まぁでも酒はかなり強い方なので大丈夫でしょう。
ガハハ!酒がのめるぞー!ってノリで頂きますよ。
白水・蛍
アドリブ、絡み歓迎。
【博物館】の皆さんと一緒に観光ですわね。
日本とは違う街並みに目を輝かせ。
ブドウ畑も日本では珍しい光景です。あの一粒一粒が宝石みたいなものでしょうね。
現地の人々の宝を護るのも我々の仕事なのでしょうね、きっと。
……いけませんわね。休暇ですのに、つい、仕事の事に思いを馳せてしまいます。
観光の後は皆さんと一緒に食事です。
チーズやソーセージをつまみに少しずつ飲んでいきましょう。
硝子のゴブレットも綺麗なのでしょう。目でも舌でも楽しめるもの、とても好みですわ。
どれほど飲めるかは分かりませんが……此処で飲める上限を掴んでおきたいですわね。
最終的には場を盛り上げるのに演奏してそうですね。私。
「ドイツはバッハが生まれた土地ですわよね。確か出身はアイゼナハでしたかしら」
一挺のバイオリンを左肩に乗せて、アンネローゼ・ディマンシュ(『楽士大公』ディマンシュ大公・g03631)が口を開く。現代に生きる者なら誰もが一度は耳にしたことがあるだろうクラシック音楽に、悲劇から喜劇までさまざまな歌劇――バッハやベートーヴェンといった著名な作曲家達を多数輩出したドイツは、最終人類史においても音楽の国として有名であった。改竄世界史におけるドイツとその音楽文化は、ディアボロスであり奏で手でもあるアンネローゼにとって興味の尽きないテーマである。
『つぐみ横町』の中ほどに位置するレストランの奥の部屋では、『幻想武装博物館』を拠点とするディアボロスの一団がテーブルを囲んでいた。いつか訪れたことのある街の、そのまた在りし日の姿を目の当たりにするというのは不思議な感覚で、フィーナ・ユグドラシア(望郷の探求者・g02439)は感慨深げに言った。
「以前、旅の最中にここを訪れたことがあるのですが、最終人類史と違う歴史だとどう変わるのか気になりますね。葡萄畑の美しさはこの時代でも変わりませんが……ニーダーヴァルト記念碑は、ここにもあるのでしょうか?」
それにしてもと瞳を輝かせ、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)はテーブルの上に身を乗り出す。
「すごい景色だったよね! わたし葡萄畑って初めて見たかも!」
「ボクもなのです! あのぶどうさんがみんな、美味しいワインさんになるのでしょうか……!」
大人の指三本分は楽にあろうかというソーセージをひと切れフォークに刺して、月下部・小雪(デーモンのデジタルサマナー・g00930)が重ねた。きらきらと光る瞳のその奥には、店への道すがらに見かけた斜面いっぱいの葡萄畑がありありと浮かんでいる。はしゃぐ気持ちを隠し切れない二人の様子にくすりと唇を微笑ませ、白水・蛍(鼓舞する詩歌・g01398)が言った。
「日本では珍しい光景ですからね。あの葡萄の一粒一粒が、この地の人々にとっては宝石みたいなものなのでしょう」
人命は何よりも重いが、そればかりではない。人々が大切にしているものを護ることもまた、彼女達に課せられた役割なのだろう。目にも美しい硝子のゴブレットを真顔で見つめて、蛍ははっと瞳を瞬かせる。
「……いけませんわね。息抜きの時間ですのに、つい、仕事のことに思いを馳せてしまいます」
「ふふ、蛍ちゃんは仕事熱心だねー」
にこにこと笑って、イツカもまたグラスを取った。この後に控えた仕事を考えれば無理もないだろうが、せめて目の前の一杯と料理を楽しむ間くらいは、厳しい現実を忘れても良いだろう。
「それじゃあ、お仕事に備えて乾杯といこっか!」
ワインとジュースのグラスをそれぞれ手に取り、一人一人と視線を合わせて掲げれば、擦れ合った硝子の縁がちりんと涼やかな音を立てた。テーブルの上には、ウェイトレスのお勧めで選んだ郷土料理の数々が並んでいる。
「アイスワインは凍った葡萄から作ったワインだそうですね」
飾り加工の美しいゴブレットを橙色の照明に翳して見て、シャムス・ライラ(極夜・g04075)が言った。
「ひと房からスプーン一杯しか取れないけれど、甘口で飲みやすいのだとか」
「シャムスくんは、お酒イケるクチかな?」
「ええ、まあ、そこそこ嗜む程度ですが」
尋ねるイツカに控えめに笑って、シャムスは答える。そうそう、とその傍らに半身を乗り出して、ルイーズ・アルベリス(会社の臨時役員のお姉さん・g00440)が言った。
「嗜む程度でいいんですよ。酔って醜態は晒したくありませんからね」
溜息交じりに呟くのには、理由がある。というのも勤め先の同僚に言わせると、彼女は泣き上戸で、怒り上戸でもあれば絡み上戸でもあり、キス魔で、抱き着き魔で、平たく言うと『大変』なのだそうだ。酔っている最中のことは自分ではよく分からないのが辛いところだが――まあ、デザートワインの一杯や二杯でどうにかなるほどヤワではないだろう。
すべては語らぬ女の内側に秘めたものをそこはかとなく察して、シャムスは苦笑した。
「酒の席では多少のやらかしも楽しく流すものですから」
「ま、そういうことにしておきましょう」
内心、酒が飲めることに歓喜しているのはそっと秘密にして、ルイーズは続ける。
「それにしても、様相が変わってもドイツはドイツですね」
地域柄もあるのだろうが、少なくともここ、リューデスハイムの市街地は、一般的な現代のドイツのイメージと大きく変わらない。これがクロノヴェーダが牛耳る帝国の支配下にあるのでなければ、どんなにか良いだろうが――ぼやいたところで現実が変わるわけではないので、今日のところはとりあえず、久々の酒と肴を楽しむことにする。ワインにビール、後はソーセージとチーズがあれば、それだけでしばらくは飲んでいられそうだ。
「リューデスハイムと言えばワイン、ワインと言えばチーズですものね。ドイツも酪農国故にチーズが優れていると聞いたことがありますわ――わたくしはジュースですけれども」
演奏の手を一時止めて、アンネローゼはグラスに並々と注いだ金色の葡萄ジュースをついと喉へ流し込む。原料は同じ葡萄畑で穫れた葡萄だが、これならば未成年が口にしても問題はない。一方のフィーナはソーセージを刺したフォークを片手に、反対の手で白磁のティーカップを掲げて見せる。
「私も未成年なので、紅茶を。幸い色々な種類があるようですし、ソーセージに合うものがあるかもしれません」
へえ、と意外そうに緑の瞳を円くして、ルイーズが訊いた。
「ソーセージ、に紅茶なんですか?」
「脂っこい肉料理に烏龍茶を合わせるでしょう? 同じように、肉料理に合う紅茶もあるんですよ」
少しだけ得意げに語って、紅茶派を自負する少女は赤みの強い紅茶に舌鼓を打つ。年上の友人達の会話を興味津々の様子で見つめながら、小雪は葡萄ジュースをちろりと舐めた。
「ボクも、十年後には美味しくお酒、飲めるのでしょうか?」
「そうですね。小雪殿がお酒を飲めるようになる頃には、色々と落ち着いて平和になっていると良いですね」
頭を撫でるシャムスの手に、小雪は少しだけくすぐったそうな笑みを浮かべた。うんうんと上機嫌に頷いて、イツカが応じる。
「未成年のみんなも、成人したら一緒に飲もうね♪ うーん、それにしてもこれ、ジュースみたいにすいすい飲めちゃう!」
華やかに香り立つアイスワインには一切の渋みも苦みもなく、やばい、と零す言葉とは裏腹についつい杯が進んでしまう。滑らかに踊るアンネローゼのバイオリンと蛍のハープの旋律は、木目の暖かなレストランの風景によく馴染み、穏やかな一時を飾っていく。
空になった紅茶のカップを満足げにソーサーへ戻して、フィーナが言った。
「戦いの中でも、こういう和やかな一時は大事にしたいものですね」
言い換えれば、戦いの中なればこそ。共に語り、笑い合う時間が大切だからこそ、それを守るために人は、険しい山道にも挑むことができるのだから。
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桜・姫恋
アドリブ絡み歓迎。
【ヨアケ】で参加。
「アイスワインって飲んだことないから楽しみだわ」
ヨアケの皆と酒盛りしながら盛り上がっている
ヨアケの皆とお酒を飲むのは初めてだからとても楽しんでおり、ついつい飲みすぎてしまう。(酔ってもダル絡みとかはせずただ寝るだけ)
私も何か食べたいわとお酒を飲めない未成年組の所に混ざりに行きつつちょっとずつつまんでいく。
終わる頃にはお酒がまわり少しウトウトし始める。酔っているため普段より言動がふわふわしている
美味しいから私も可能ならお土産として貰っていきたいわね。何かとお祝い事とかにはお酒も付き物よね?
たまにはこんな日も悪くないわよねと思いつつ完全に酔いが回っている。
リディル・ヴェント
アドリブ歓迎☆
【ヨアケ】のみんなと遊びに行くわ!
アタシのお目当ては勿論「アイスワイン」よ!
甘くてデザートみたいなんですってね!
姫恋さん、アタシも初めてなのよ、楽しみね!
んんー!美味しい!ジュースみたいだわ!
ガブガブいけちゃうわね、コレ!
フルーツ盛り合わせも頼みましょ!合うわよ!
※お酒に強い体質っぽいので酔いつぶれはしないけど、ただひたすらテンションが高いので(あ、いつもテンション高いのでした。)、理星さんのシャレにも即反応する。
可能ならお土産に買って帰りたいわ!
(アイツら(いなくなった仲間達)が見つかった時の祝杯用に…んんー、いや我慢できるかしら、帰ったらすぐに開けちゃいそうだわ…!)
月見里・千隼
【ヨアケ】
※連携、アドリブ歓迎
俺もアイスワインを飲むのは初めてだな。
つぐみ横丁でヨアケの皆と共に飲み会をする。
おっとまずは乾杯だな。
これがアイスワインか。
綺麗な琥珀色で…甘い香りがするな。
ん、思ったより甘くてとても美味しい。
まるでぶどうのデザートやジュースのような…芳醇な甘さだな。
おつまみに果物の盛り合わせとぶどうの甘いフラムクーヘン(所謂ドイツ版タルトフランべ)を少しずつ食べながら、
黙々とアイスワインを味わってゆっくりと何杯も飲む。
(お酒に強い方、飲んでも相変わらず寡黙で仏頂面)
酔っ払ったり体調がすぐれない方がいたら介抱する。
混沌としてるが酒盛りを楽しんでるようなら良しと皆を見守る。
三苫・麻緒
【ヨアケ】アドリブ等歓迎
私は未成年だから、アイスワインはまだお預け
うっかり飲まないように気をつけないとね
流石にノンアル系はないだろうから、かわりに葡萄ジュースで乾杯しちゃうよー!
ドイツならソーセージ!ソーセージの盛り合わせが食べたぁい!
他にもあれこれ摘まんじゃおっと
フルーツの盛り合わせは間違いないだろうし、フラムクーヘンって言うのも初めてだから楽しみだなあ
大人組はなんかすごい盛り上がり方してるっぽい?
もし酔っぱらっている人がいたら、水を運んだりして介抱しないとね
羨ましいとか、早く大人になりたいとかはほんの少ししか思ってないんだから
…やっぱりちょっと悔しいから、潰れた人のこと写真に撮っていいかな
眉立・人鳥
アドリブ・絡み歓迎
【ヨアケ】で参加だ
そういや、酒飲むのも随分久しぶりな気がするぜ
エゼキエルじゃそんな暇も無かったしな
アイスワインか、奇跡の甘味とかいう話を耳にした事はあるな
あー、手の平で包み込むように持つといいんだっけ?
やってみよ
滅多にない機会だ、たっぷり味と香りを楽しんで美味いモン食う
皆が頼んだやつ、俺もちょっとずつ貰っていいかい?
(実はあんま強くはねぇんだが……やべ、結構スルッと入るなこれ……)
(うっ、栄華が手慣れててペースが。あ、ぶっ倒れるわこれ)
アイネ……ちゃ……俺、限か……い
お土産に持って帰りてぇな〜、2年位は保つだろうし
今日来れなかった仲間が成人した時のお祝いにでも開けてやれりゃな
雫石・紫乃
【ヨアケ】アドリブ、連携大歓迎
まだこの仲間に入れてもらって日が浅い私だが
葡萄ジュースという言葉に我慢できなかった
未成年なので、皆を羨ましく思いながら、ジュースをいただくつもり
ああ、葡萄が濃くて美味しいジュースだ
私もソーセージやフルーツの盛り合わせをいただいてもいいだろうか
どちらも本場の味は違うものだな
よく味わっていただこう
フラムクーヘン?初耳だが……美味しいな(もぐもぐ)
さすがに酔いつぶれる方はいないと思うが
適宜皆さんの様子には気をつけるつもり
水は用意しておかないといけないだろうか
御門・風花
【ヨアケ】のみんなと参加です。
感情を失った人形のような少女。表情だと分かりづらいが仲間思い、天然なところもある。
大人びたクダキツネの琥珀を連れている。表情が読みづらい主に変わり、鳴き声や動作で他者に主の考えを伝える事がある。
未成年なので葡萄ジュースを味わっています。香りを感じた後、一口飲み
「なるほど、濃厚ですね」
琥珀は大人組に混ざって葡萄酒を飲んでいるようだ。
「いつの間に……サーヴァントなら大丈夫でしょう」
それを見て止めようかしばし思案した後に止めて
「こういう場では『無礼講』というのでしたか……少し違いますか」
自分のつぶやきに突っ込みつつ、一口ジュースを飲みます。
調月・野映
【ヨアケ】
アドリブ等◎
残念ながら俺は体質的に弱くてあまりたくさんは飲めないが
お酒の味と雰囲気は好きなので混ざりたい
ぶどうのワインが美味いならジュースも美味いのも道理
酒の味が嫌いなわけではないが飲み方を知ってこそ大人だ
最初の一杯だけは折角なのでアイスワインを軽く頂くか
甘くてツンとしておらず雑味もなく美味しい
でも飲んだ途端体と気分がフワフワしてきたぞ
この辺にしておいてあとは強い人に飲んでもらおう
あとはワインのアテの食べ物だ
酒に弱くても酒のつまみは好きでな
ソーセージにかぶりつく、これは確かに美味い
酔ってる組は大丈夫だろうか?
ちゃんと水を飲んでるか?
酒と一緒に飲む水は和らぎ水といってちゃんと効果がある
アイネリス・レナリィ
【ヨアケ】で参加
アドリブ絡み歓迎
普段頼もしい皆さんがふにゃふにゃな所を見るのは楽しみです。
私は未成年ですし、葡萄ジュースで乾杯させて頂きます。
お酒を飲まない分、未成年組は沢山食べそうかな?
摘みやすいように一通りの料理を盛って来ます。
成人組の皆さんも足りなければ追加しますよ。
姫恋さん、ふわふわしているけど大丈夫かしら。
フラムクーヘンというのも気になる所。
お酒の味は気になりますが、酔った時に自分がどうなるか分からないのが少し怖いですね……
見ていると運命さん栄華さん人鳥さんは凄いペースだし、介抱出来るよう見ていましょう。
特に人鳥さんはヤバそう。
人鳥さん、私はここに居ますから無理せず休みましょうね。
百鬼・運命
【ヨアケ】で参加
アドリブ絡み歓迎
「さてワインもいいが、ドイツと行ったらやはり肉料理。楽しみだな」
と肉料理を楽しむつもりが、何処かで見たような地元民?に「お前もモテないんだろう」と言われて意気投合。飲み比べなんかしたものだから、つい飲みすぎ…
「く…甘いと思って飲みすぎた。頭痛が痛い…」
と机に突っ伏しています。
ただ飲み比べを挑んだ地元民?が周囲で数人泡を吹いていますが気にしてはいけません
地元民?が宿敵の嫉妬団ぽい服装をしていますが気にしてはいけません
近くに何故か空の瓶ではなく樽があっても気にしてはいけません
ついでに頭が痛いのに若干据わった眼でまだちびちびと飲んでいる事も気にしてはいけないでしょう
天夜・理星
バカンスバカンスたのしーなー♪
アタシも【ヨアケ】のみんなとテーブル囲むぞ〜!
ワインが飲めるって楽しみだー!
みんな本当に元気だよね。
冷たいワインでみんな笑顔だし、
アタシも飲んでみるけど本当美味いし、
約数名やばいし。
え、酔い潰れそうなのどいつ? ドイツだけに?
…ま、どうしてもあれそうなら感情の波で癒して介抱するか。
みんなマジで飲み過ぎちゃダメだよ?
酒は程々が一番いいんだから。
(酒に本当に強いけど20歳+酒を程々に楽しむタイプなので自覚が無し)
こういう時間が一番良くて、
でも昔の友達と酒を飲み語らった記憶は…がっつり消えてますね。
それでも今という時間がある。
新しい思い出、もっともっと増えるよね♬
黒城・廉也
【ヨアケ】で参加
連携アドリブ歓迎ッス
アイスワインって凍った葡萄を圧縮してワインにしてるから
量も取れなくて希少なんだとか…楽しみッスね!
うわぁ…色が綺麗ッス。香りも芳醇で…うん、上手い言葉で表せないけど美味しいッス!
俺もフルーツと…アイスクリームも合うって聞いたッスね。美味しい物ばかりで凄い贅沢ッス!
ホワホワしてきたッスけど…ふふっ、こういう気分も皆でお酒を飲む醍醐味ッスよね。…ってなんか危険な人もいるみたいッス。俺も一旦止めて介抱に回ろ(水の入った瓶を抱えふよふよと飛んで危ない人の介抱へ)
人鳥さん、今咲さんのコンビ…いや、今咲さん元気そうだから人鳥さん、百鬼さんと桜さんが危なそうッスかね?
今咲・栄華
【ヨアケ】の皆が楽しそうな事やるって聞いてェ。
お酌して回るゥ。皆戦闘頑張ってきてェ
むしろアタシはドンドン飲めッって勧めて回る方ォ!皆飲んでるゥ?
喜ぶ相手にゃ営業・忘新年会のノリかつキャバ嬢並みの笑顔でおだて上げてガバガバ飲ませちゃう。
ヨッ!人鳥!色男!良い飲みっぷり!潰れろッ。
相手がしんどい場合は「そ?せっかく持ってきたのに勿体ないからアタシが飲んじゃう」って結局自分でラッパ飲みしてるほーが多いっていうね。
ブラック社畜出身だから酒にゃある程度慣れてるよォ。言動はもうふわっふわだがなァ
アドリブ改変却下ごじゆーにッ
トバリ・ナイトライト
【ヨアケ】
パラドクストレインで向かった先で、こんな風に遊べる暇を頂けるなんて、
それだけで嬉しいもんですね
さぁ、楽しみましょう!
自分で言うのもなんですが、結構いける口ですからね!
皆でグラスを掲げて一口、ワインの味を楽しみます
「いわゆるこれが本場のワインってことでしょうか」
「さぁさ、飲んでください」
とお酌もして回ったりもします
酔った人には
「ほらほら、そんなに飲んでしまっては明日大変ですよ」
と介抱しつつ膝枕……あ、それは嫌ですか?
ふふふ、こうしているだけでもなんだか楽しい気分になってしまいます
知らず知らずのうちに僕も酔ってしまっているんでしょうね
こんな出鱈目な夜もあって良い。このひと時を楽しみます
「アイスワインって飲んだことないから楽しみだわ」
苺があればもっとよかったのだけれど、と冗談めかして、桜・姫恋(苺姫・g03043)は笑う。そうでなくても、このメンバーで酒席を共にするのは初めての経験だ――厳密にいえば遊びに来たわけではないのだが、どんな状況であれ、気の置けない仲間達と食事の席を共にするのは楽しいものだ。呟きを聡く耳に留めて、リディル・ヴェント(ゲットレディ・g00550)が身を乗り出してくる。
「姫恋さんも初めて? アタシもなのよー! 甘くてデザートみたいなんですってね」
普段の生活ではあまり触れる機会がないものだけに、そこに掛かる期待値は高い。そうッスね、と元気よく応じて、黒城・廉也(後輩サキュバス・g02175)が加わった。
「凍った葡萄を圧縮してワインにしてるから、量も取れなくて希少なんだとかって聞いたッス。楽しみッス!」
「そういや、奇跡の甘味だとかいう話を聞いたことはあるな」
どんなもんだろうなと口元を緩めて、眉立・人鳥(鳥好き兄ちゃん・g02854)が応じる。近いようで遠い2013年の東京からやってきた彼にとっては、久方ぶりの酒精だ。パラドクストレインで時を遡った先で飲み食いする機会もそう滅多にはなし、今日は心行くまでこの地の味と香りを楽しんでもよいだろう。
「俺もアイスワインは初めてだ。まずは乾杯だな」
忙しなく人の行き来する昼下がりの食堂の、さらにその奥に仕切られた部屋に、総勢十四人。呼び掛けに応えて集まった仲間達を見渡して、月見里・千隼(清風明月・g03438)は手にしたグラスを顔の前に掲げた。大人にはワインを、少年少女には葡萄のジュースを満たした杯を次々に回して、全員の手に飲み物が行き渡るのをしばし待つ。
「うわぁ……綺麗な色ッスね~。香りも芳醇で……」
こくり、と思わず喉を鳴らして、廉也はグラスを持つ手を掲げた。オレンジがかった天井照明に透かして見ると、普通の白ワインよりも少し濃く、とろりとした印象を与える琥珀色の雫がキラキラと輝いて見える。おかしなことを承知で言えば、宝石が流体になったような――そんな印象かもしれない。
「みんな、飲み物は持ったか? それじゃあ――」
「乾杯ー!!」
千隼の横からグラスを突き上げて、トバリ・ナイトライト(透明の黄昏・g00064)が高らかに告げた。さぁ、今日は楽しみましょう――呼びかけに応じて部屋のあちこちで硝子の縁の擦れ合う涼やかな音がちりん、ちりんと鳴り渡り、北国の空気に渇いた喉を甘い雫が潤していく。
「ん。思ったよりかなり甘いな。まるでぶどうのデザートやジュースのような……」
だが美味しいと、千隼は寡黙な横顔に薄らと笑みを滲ませる。大型犬のそれに似た瞳をきらきらと輝かせ、廉也は大きく頷き同意した。
「うん、上手い言葉で表せないけど美味しいッス!」
「芳醇な甘さ?」
「そう、それッス!」
流石ッス、と力を込めて、後輩気質のサキュバスは背筋を正す。その横で最初の一杯をぐいっと喉へ流し込みながら、リディルは若葉色の瞳に星を浮かべた。
「んんー美味しい! ジュースみたいだわ! ガブガブいけちゃうわね、コレ!」
「俺はガブガブはちょっと。でも確かにこれ、美味しいですね」
飲みっぷりの良すぎる仲間達に困ったような笑顔で、けれども調月・野映(ホリゾンブルー・g00586)は満足げにアイスワインのグラスを傾ける。残念ながら体質的に量は飲めないが――そこで無理をして飲まないのが大人の飲み方だ――酒の味と酒席の雰囲気は好きだ。最初の一杯だけと注いでもらったワインは酸味のほとんどない純粋な甘さで、雑味もなく、ただ透明に舌の上で融けていく。この分なら、年少組が飲んでいるジュースも期待できるだろう。
「でも――」
やはりこの身体は、飲酒に向いてはいないらしい。甘い雫が喉を通り抜けた途端に、身体が微かに熱くなり、頭がふわふわと弾み出す。やはり、酒盛りは強い人々に任せておこう――ぼんやりとする視界の中、確かめるようにテーブルの上を探ってグラスを置き、野映は部屋の反対側にあるテーブルへ向かった。そこにはまだ酒の飲めない未成年の仲間達のための葡萄ジュースと、数々の郷土料理が並べられている。
色も形も多種多様のチーズとサラミに、定番のソーセージと仔牛肉のヴィーナーシュニッツェル、塊の豚肉をこんがりとローストしたシュヴァインハクセ、たっぷりのキノコが入ったショートパスタ『シュペッツレ』――そして肉料理の脇に山のように盛られた、ザウアークラウトとポテトフライ。宴会仕様ということで料理はいずれも大皿に盛られているが、人数が人数だけにある意味壮観である。
「ワインもいいが、ドイツと言ったらやはり肉料理だよな」
意気揚々とナイフとフォークを手に取って、百鬼・運命(人間のカースブレイド・g03078)は山盛りのシュニッツェルを一枚、取り皿に引っ張り込む。揚げたてのカツレツはまだ温かく、衣のさくさくとした歯触りが癖になりそうだ。
どれ、と自らもフォークを取って、野映は赤みがかった大きなヴルストを切り分け、半分を皿の上に載せた。
「……うん。確かに美味い」
歯を立てる瞬間のパリッという音と共に、口の中で肉汁が弾け、肉の旨味と塩気がじんわりと染みわたっていく感覚。酒にはめっぽう弱いけれど、酒のつまみはこれだからやめられない。それにこうした食べ物ならば、年若い友人達とも遠慮なく分かち合うことができるのだ。
「私も混じっていいのかどうか、ちょっと迷ったんだけどな」
はく、とひと粒の葡萄を唇に押し込んで、雫石・紫乃(咲かせや咲かせ・g03908)は言った。宴席を囲む仲間達とは知り合ってまだ日が浅い自分がこの場に来てもよいものかどうか、一切の躊躇いがなかったわけではないけれども――。
「本場の葡萄ジュースと聞いたら、来ないわけにはな」
酒の飲める大人達をちらりと見て、紫乃は目の前のグラスに目を戻す。皮ごと絞ったジュースはワインとは異なり白っぽく濁って、見た目は市販の林檎ジュースに似ている。しかし。
「……ああ、葡萄が濃くて、美味しいな」
舌に載せれば爽やかに香り立つ、新鮮な果実の華やかな匂い。どんなに技術が進歩してもこればかりは、紙パックに詰め込まれたジュースには真似のできない本場の味である。酒の飲める大人達をちっとも羨ましく思わないといえば嘘になるけれども、これはこれで悪くないものだ。
「なるほど……確かに、濃厚ですね」
両手で支えたジュースの香りを鼻先でしばし楽しみ、それからそっと唇に押し当てて、御門・風花(静謐の凶鳥/ミセリコルデ・g01985)が言った。眼鏡の奥の瞬きを忘れたような瞳には感情らしい感情が見えないが、それでも、この地の葡萄は口に合ったらしい。琥珀という名のクダギツネは酒盛りが始まるや否や隣のテーブルへ行ってしまったが、無礼講のこの場ではわざわざ連れ戻すのも野暮だろう。
同じくジュースのグラスを口へ運んで、三苫・麻緒(ミント☆ソウル・g01206)が言った。
「どっちも葡萄だから、お酒と間違えてうっかり飲まないように気をつけないとだけどね――ん、このピザも美味しい!」
「それはフラムクーヘンというらしいぞ」
「ふぁむ?」
薄焼きのピザに似た――というよりも、どこからどう見ても薄焼きのピザなのだが――食べ物をひと切れ頬張りながら、麻緒は声の主を振り返る。ワインを片手にピザ、もといフラムクーヘンを一枚反対の手に摘まみ上げて、千隼は続けた。
「フランスで言うところのタルトフランベだな。ピザのように塩辛いものもあるし、甘いものもある。……こっちは葡萄を使ったものらしい」
「初耳だな……どれ、一枚」
葡萄を乗せて焼き上げたフラムクーヘンをひと切れ皿に取り、紫乃はは、と瞳を見開いた。甘いピザ、というのは現代にも普通にあるけれど――これはこれで、美味しい。
「……美味しいな」
本当に美味しいものを食べていると、人は言葉少なになるという。端的な感想を述べて黙々と咀嚼するその姿はそれを如実に表していて、麻緒はいいなぁと声を上げた。
「あたしも食べる! そっちのソーセージもちょうだぁい!」
「どうぞ、まだ沢山ありますよ」
ほら、と大皿を差し出して、アイネリス・レナリィ(黒鉄の魔女・g01781)はたおやかに微笑む。酒が飲めない分、未成年組は食べるだろうと思っていたが、予想の通りだ。気が利くー! と片目を瞑ってその皿から甘いフラムクーヘンを一枚剥がして取り、麻緒は言った。
「お酒ってどんな味するんだろねー」
「そうですね……どうなのでしょう。気にはなりますが……酔った時に自分がどうなるのか分からないのが、少し怖いような気はしますね」
そう言って、アイネリスはちらりと大人達の方を見やる。すると――。
「イェ――――みんな飲んでるゥ? ほらほらぁ人鳥ぃーグラス空んなってるよォ!」
「えっ、俺?!」
実はそれほど酒に強くないということもあり、名指しで呼ばれた人鳥はぎくりと肩を跳ね上げる。けれどもそんなことはお構いなしにガッとその背を抱き込んで、今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)は右手に持ったワインボトルの口を男のグラスに突っ込んだ。とくとく、どころか、どぼどぼといった調子で縁の限界まで酒を注ぎ、栄華は人鳥の広い背中をバシバシと叩いて笑った。一言で表すと、世の中ではこれを酔っ払いという。
「や――みんなが楽しそうなことやるって聞いてェ、これは何がなんでも参加しなきゃと思ってェ。アタシはガンガンお酌して回るからァ、みんなは戦闘頑張って来てェ」
「こんなべろべろで戦場に出られるわけな――」
「ごちゃごちゃ言わないで飲むゥ! ヨッ色男! 潰れろッ!」
しかも、だいぶ性質が悪いタイプの酔っ払いである。その様子を間近に見て、天夜・理星(復讐の王・g02264)が真顔で口を開いた。
「え、酔い潰れそうなのどいつ? ドイツだけに?」
「もー何言ってんの理星さんー!」
あくまでも真顔で言い放つシャレに声を上げて笑い、リディルが理星の背中をバンバン叩く。そのうちに二人揃って笑い転げ始めるものだから――とはいえこの二人、まったく酔ってはいないのだが――なんというか、けたたましい。一頻り笑って涙を拭い、理星は言った。
「みんな本当に元気だよねー。でもマジで飲み過ぎちゃダメだよ? 酒は程々が一番いいんだからねー」
「く……甘いと思って飲み過ぎた……頭痛が痛い……」
どこかで飲み比べでもしてきたのだろうか、部屋の片隅に寄せられた机に突っ伏して、運命は典型的なトートロジーを口走る。箸休めの林檎を齧りながら、リディルはその背中をつんつんとつついた。
「さっきから見かけなかったけど、どこで飲んでたの?」
「だって……非モテの集いで意気投合しちゃって……つい……」
「ぶふっ」
周囲数名が盛大に吹き出した。非モテの集いて。本当にどこで飲んできたのと誰かが言えば、もはや誰が何を言っても面白くて笑い声が止まらなくなる。
「…………」
「…………」
「……ああいうのも、『無礼講』のうちですかね?」
ぽつり、呟くように口にした風花の言葉に、答えらえる者があるはずもない。隣のテーブルの惨状(?)からすいと目を逸らし、アイネリスは同年代の友人達に向き直った。
「……酔った時に自分がどうなるのか分からないのが、少し怖いような気はしますね」
「うん、ほんとそうだね」
一言一句変わらぬ言葉を繰り返すアイネリスに、少々遠い目で麻緒は応じた。けれども――あんな風に羽目を外す姿も、それはそれでちょっと羨ましいような、そんな気もする。
「でも」
困惑とも呆れともつかぬ微笑みで、アイネリスは言った。
「普段頼もしい皆さんがふにゃふにゃなところを見るのは――ちょっと、楽しみというか」
「それはなんとなく、分かるような気もするけど」
早く大人になりたい、というと、大人はいつも、子どもの方がいいと言うけれど。それでも子どもは子どもなりに、前を歩く人たちに早く追いつきたいと思ってしまうのだ。葡萄を手にほんの少し頬を膨らせていると、前方でばんばんとテーブルを叩く音がした。見れば栄華の肘掛と化した人鳥が、こちらに向かって震える手を伸ばしている。
「アイネ……ちゃ……俺、限か……い」
「あら」
大変、と慌てて席を立ち、アイネリスは人鳥の元へ走っていく。その光景を呆れたように見て、野映が言った。
「おいおい……ちゃんと水飲んでるか?」
「水ならあるぞ」
酒と一緒に飲む水は和らぎ水と云い、酔いの回りを緩やかにする効果があるそうだ。硝子の水差しを紫乃が小走りに駆けていくと、それと入れ替わるように姫恋が料理のテーブルへやって来る。
「私も何か食べたいわー」
「桜さん、大丈夫ッスか?」
「うん、大丈夫大丈夫~」
心配そうに後をついてくる廉也へひらひらと手を振って、姫恋はナッツをひとつまみ口は放り込むと、ソファ席にもたれかかった。
「ちょっと、飲みすぎちゃったかなぁ……」
でも、楽しかったから。そう自分に弁明して、ふふっと誰にともなく笑みを溢す。仕方ない――何せ初めての酒席で目にした仲間達のいつもとは少し違う顔は、酒の肴にぴったりだったから。
「お土産に何本か、買って行けたらいいわよね」
今日、この場に来られなかった仲間達のために。あるいは、やがて大人になる若い友人たちのために。ソファ席の隣に寝かされた人鳥が、それいいな、と寝ぼけ半分に応じた。次第に深くなる呼吸に誘われるまま、二人の意識は白昼の酒場の中で眠りの淵に落ちていく。
「何よォーまだこんなに残ってるのに、もったいないじゃないのォ」
「まあまあ、そんなに飲んでしまっては明日大変ですよ」
椅子の上に胡坐をかきそうな勢いで残った酒をラッパ飲みにする栄華をやんわりと宥めて、トバリは言った。
「なんなら落ち着くまで膝枕しますけど……あ、それは嫌ですか?」
そんな言葉がするすると出てきてしまうくらいには、自身も知らず酔っているのだろう。氷の解け切った水を一息に呷って、サキュバスはテーブルに上体を預けた。いつの間にやらすっかり静かになった食堂の一室を、傾いた午後の陽射しが今は穏やかに照らしている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【現の夢】がLV4になった!
【託されし願い】LV1が発生!
【完全視界】がLV4になった!
【平穏結界】LV1が発生!
【活性治癒】がLV4になった!
【ハウスキーパー】LV1が発生!
【狐変身】LV1が発生!
【飛翔】がLV6になった!
【隔離眼】LV1が発生!
【水面歩行】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】がLV4になった!
【能力値アップ】がLV6になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【アヴォイド】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV4になった!
飛鳥・遊里
ひとまず知りたいのは、『どんな物資がどれだけの量運ばれてるのか』だな。食料、建材、燃料、あるいは宝飾品
運ぶ量が多いものが輸送先で大量に必要とされてるものだからな。逆に言えば、ピンポイントでその供給を断ってしまえば大打撃を与えられる。こっちも労力少なくて済むしな
なので、まずは【マイクロカメラドローン】で、水運の様子をしばらく定点観測してみる
船自体の警備を確認して、いけそうならドローンで積み荷を検証する。詳しくはわからないだろうけど、大体何を積んでるのかだけ解ればいい
全部調べるのは無理だから、喫水が深い船を重点的にだ。大量に積み荷がある証拠だからな
補給線を掌握される怖さを身を持って知ってもらおう
冰室・冷桜
さーてさて、部隊の近くに船も通れる川があるってんなら利用しない手はないと思いますけど
コイツらはどうなのかしらね
とりま、【召喚】しただいふくに【通信障害】と簡単な見張りを命じつつーの、アタシは双眼鏡で川を通る船がないか見張りましょうか
なるたけ物陰に隠れたりして見つからねーようにね
通信障害で探索の時間も多少稼げるといいんだけどねー
とりあえず、まずはそもそも船が通るのかってのとそれが部隊のためのもんなのかってこと
後は船が来るなら積荷の類も調べて―とこだけど……外から見て分かる様に晒してるわけねーわよねぇ
せめて、大きい物を運んでるのか、大量に運んでるのか、くらいは見極められるといいんだけどね
一方その頃、ライン河畔――。
「さーてさて、部隊の近くに船も通れる川があるってんなら利用しない手はないと思うけど、コイツらはどうなのかしらね」
双眼鏡を片手に川岸の木陰に身を潜めながら、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)が言った。ざっと見渡す限り、上流にも下流にも船の影は見えないようだ。
「だいふく、そっちはどう?」
「めえ」
尋ねる声に振り返って、メーラーデーモンの『だいふく』はふるふると首を横に振った。監視中、背中が無防備になるのを考慮して念のため見張りにつけておいたのだが、特に陸にも川にも今のところ、変わった動きはないらしい。
「ま、こういうのは根気勝負よね」
張り込みは即座に成果が出るものでもなしと、冷桜は双眼鏡を持つ手を下ろし、一旦、その場に座り込む。少し離れた木の影からちらりと視線を送って、飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)が言った。
「ひとまず知りたいのは、『どんな物資がどれだけの量運ばれてるのか』だな」
食料、建材、燃料、あるいは宝飾品――何が運ばれているにせよ、運ぶ量が多いものが輸送先で大量に必要とされている物資ということだ。それを突き止め、ピンポイントでその供給を断つことができたとしたら、労せず敵の補給線に打撃を与えることも可能かもしれない。
学生服のスカートから伸びる脚を組み替えて、心持ち退屈そうに冷桜が応じた。
「そもそも船が通るのかどうか、それが部隊のためのもんなのかどうかもまだ分からないけどね」
「ああ。通りさえすれば、こいつで積み荷を検証できるんだけどな」
胡坐をかいた遊里の膝の上、開かれたパソコンの画面には、カメラを内蔵した自前の超小型ドローンからの映像が映し出されている。
「詳しいことはともかく、大体何を積んでるのかだけでも分かればいいんだが……」
「外から見て分かるように晒してるとも限らねーしねえ。まあでも、大きさとか、物量とか、そういうのは見極められるかも?」
ぽつり、ぽつり、交わす会話が穏やかなラインの風に融けていく。
川幅の広さから想像するよりも速い流れを眺めていると、止まっているのに動いているかのような奇妙な感覚に襲われる。酔わないように適度に目を逸らしながら待つこと、十分、二十分、三十分――。
「…………」
「…………」
連綿と絶えることのない川のさざめきに耳を澄ましながら、二人のディアボロスは訝るように顔を見合わせた。
「……そろそろ一時間は経つよな」
「そうね。もうそれくらいは経ってる」
見落としたのか?
気づかなかったのか?
否、こんな見通しのよい河岸でそれはない。木陰からばっと飛び出して流れる川を広く見渡し、二人は口々に言った。
「これってもしかして……」
「ライン川は水運に使われていない……のか?」
葡萄の丘を駆ける風が、冷やかな冬の気配を連れてくる。二人はしばらく定点観測を続けたが、その間、滔々と流れるラインの水面に船影が現れることは終ぞなかった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】がLV3になった!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV5(最大)になった!
●AUS DEM HUEGEL
夕刻、リューデスハイム近郊――。
国境要塞群の一つから派遣された哨戒の兵士達は、見晴らしのよい丘の上に立ち、ラインラントの森と川を見下ろしていた。すっかり傾いた陽射しは葡萄の丘を染め上げて、世界は燃えるような紅に包まれている。
「報告」
「はっ。周辺に異常はありません!」
仮面に黒衣を纏った男――『フォーアライター』の不機嫌な声に応えて、下級兵士がきびきびと敬礼する。よし、と男は応じたが、言葉とは裏腹、その内心はまったくもって不満で溢れていた。本来であれば周囲に敵影がないことを喜んで然るべきなのだろうが、戦火に飢えたゾルダートにとって退屈は毒も同じなのだ。
(……異郷の鼠どもめ)
どうせ来るなら、早く来い。
火炎放射器の先端に赤黒い火を燻らせて、警戒を続けよと男は命じた。リューデスハイムの街を出て、葡萄畑を南進すること数キロメートルの丘の上でのことであった。
飛鳥・遊里
…ずっと河の流れを監視してた後に、また敵さんの偵察監視とは、俺も大概物好きだな
【マイクロカメラドローン】を上空に飛ばして、ざっと敵の布陣の確認と行軍進路の予測を立てる。それなりの規模の部隊が隊列組んで行軍できるような場所なんて割と限られるだろうしな
でだ、予測進路を割り出したら、ちょっとばかりサプライズを用意してやろう
進路上広範囲に、自己鍛造弾・氷雪結界を展開。任務を頑張る彼らに、雪景色のプレゼントだ。雪中行軍の訓練にもなって一石二鳥だろう?
これはダメージを与える事が目的じゃない。連中の足並みを乱して、こっちに少しでも有利な状況で戦闘するためだ。それに、結界への対応で連中の練度も測れるしな
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携、アドリブ歓迎
可能なら地元の人に尋ねるか、高所から
森から街の方角へ抜ける道や軍の巡回路を情報収集
双眼鏡で視認できる距離なら
街の塔の裏など高所に潜み、周辺を偵察、観察
敵の姿の発見に努める
完全視界も利用
【光学迷彩】を纏い、丘の緑や環境に紛れながら、見つからない程度に接近し詳細を把握
発見されない事を第一とし
高低差や、長距離移動は【飛翔】を用い、偵察に活かそう
なるべく低空飛行や遮蔽物経由で隠密
あるいは、俺の姿なら、今日の空に紛れるだろうか
移動するものや
森の方角から現れる火のちらつきを見逃さない
敵部隊を見つけたら、【パラドクス通信】で仲間へ位置を伝えよう
……壊させはしない、何も
強運の加護と臨機応変に
青・空
実りをくれた葡萄畑の向こうで
焦げ臭くて嫌な臭いがする
…気のせい、じゃないよね
描き出すのは今し方、目にしたばかりの葡萄の蔓草と
ここいらに広がる草花の緑たち
辺りに紛れ込ませて罠のように張り巡らせておこう
触れれば位置の特定を、身体の自由を奪えれば僥倖、かな
植物活性って、どれくらい早く成長するんだろう…
辺りの葡萄たちに手伝ってもらえれば良かったんだけど
ただ焼かれていくばかりじゃあ、ね
上手く見つけ出せなければ、せめて描いた蔓草を盾に
出来る限りここは焼かせたくないから
白雲も怪しい人影や臭いがしたら教えてね
他に偵察を行っている人がいるなら、邪魔にならないように
協力出来るのであれば少しはお役に立てると良いな
冰室・冷桜
んだば、ドンパチは苦手な分、引き続き他のことを頑張っていきましょーか
引き続き【召喚】しただいふくには【通信障害】で敵さんらの通信をカットしてもらいつつーの
木の影とかに隠れながら双眼鏡を使って、敵さんの動きがないか見て回るわね
隠れてる時は【光学迷彩】【平穏結界】【モブオーラ】を発動させて、目立たねーように、と
勿論過信はしないで、しっかり影に隠れとくけどね
【未来予測】も発動しながら敵部隊の動きを探してくわ、見つけたら【パラドクス通信】で他の人らにも共有、と
アタシの隠れ場所に近づいてくるのが分かったらさっさと撤収、やりあう前までがお仕事なもんでね
●丘上を目指して
「……あれか?」
リューデスハイム、『つぐみ横丁』の突き当たりに位置する、とあるレストランの屋根の上。双眼鏡で葡萄畑を見渡して、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が言った。ここより遥かな丘の上に、人影が見える――それも一人、二人ではない。畑の主が収穫作業をしているという風にも見えないし、まず間違いはないだろう。白手袋の掌を夕映えの空へ向け、エトヴァは小型の通信機を口元に寄せる。
「――それらしいものを見つけた。俺が先導しよう」
通信可能範囲は、半径三キロといったところか。後続の仲間達がある程度距離を空けて追ってきても、意思疎通は十分可能だ。空へ舞った青い翼を地上から見上げて、青・空(エソラゴト・g01481)は傍らのメーラーデーモンを振り返った。
「いくよ、白雲」
「めえー」
綿飴のようなふわふわの腕を元気いっぱいに振り上げると、仔山羊は大きくジャンプして、主人の肩によじ登る。そこ? と空は苦笑したが、全速力で行くなら反ってこの方が都合がいい。前を往くエトヴァを追って駆けていくと、そこへ一人、また一人、仲間達が集まってくる。
「んだば、引き続きサポート頑張っていきましょーか」
「やれやれ――河の流れを監視して、今度は敵さんの偵察監視とはね」
眼鏡のブリッジを押し上げ意気込む冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)に、飛鳥・遊里(リサイクラー・g00512)が応じた。前を行く仲間達の背を追って走りながら、遊里は腕に抱えたままのノートパソコンを開く。
「俺も大概物好きだな」
「適材適所ってーやつよ、多分ね」
丸眼鏡の向こうの瞳で道の先を見据えて、冷桜は言った。派手にやり合うのは正直言って、得意ではないのだ――だから彼女は、彼女にやれること、やるべきことをやる。
違いないと苦笑して、遊里はパソコンの画面に目を移した。そこには、ドローンから送られる葡萄畑の映像が映し出されている。
「だいふく、ちゃんと通信妨害してる?」
「めえ!」
冷桜の後をついてくる仔山羊が、勿論と言うように鳴いた。その槍の穂先から放たれる電磁波は、周囲数百メートルの通信を――ディアボロス達が望まないものに限り――妨害する。敵が他部隊と連絡を取り合っているかは分からないが、一度敵の懐へ切り込めば、その連絡網は断たれることになるだろう。
丘の上へと登っていく農道を低空飛行で翔け上がりながら、エトヴァは手の中の通信機に囁いた。
「道なりに直進する。恐らく、この先だ」
光学迷彩を身に纏って大きく羽搏き、舞い上がれば、その姿は音もなく空に融けていく。行こう、と告げる声の主の見えない翼を追いかけて、空は駆ける脚を速めた。流れる河と、大空と緑――この美しい原風景を、退屈凌ぎに焼き払わせるわけにはいかない。
「白雲も怪しい人影や臭いがしたら教えてね」
「めえー」
上目遣いに見やると、頭の上で仔山羊が鳴いた。すんすんと鼻を嗅ぎ鳴らす気配に自身も鼻先をひくつかせて、空は俄かに眉をひそめる。
「焦げ臭くて嫌な臭いがする……」
吹き抜ける青い風に交じる、鉄と炎の匂い。行く手に待ち受けるものを思えば、それは恐らく気のせいではないのだろう。
(「この辺りの葡萄達にも手伝ってもらえれば良かったんだけど――」)
豊かな実りを分け与えてくれた、辺り一面の葡萄畑。ただ焼かれていくばかりでは、彼らとて悔しかろう。けれど、現状ではパラドクスを用いても、急速な成長までは見込めまい。道を挟んで左右の斜面に続く畑を見渡して、空は絵筆を執った。
描き出すのは葡萄の木々と、周囲の景色に溶け込むような幻想の花。どれだけ保つかは分からないが、万一の時はこの草花が、少なからず敵の道を阻むだろう。
農道を縁取る比較的背の高い木の陰に身を潜め、気配は極力消したまま。幹の後ろから素早く進路を覗き込み、また走るのを繰り返すこと十数分。
「……見えた」
広がる葡萄の並びのその先に、ちらりと燃える焔があるのを、エトヴァの瞳が射抜いた。その先にあるものを確かめて、冷桜は掌に呼び寄せた通信機に囁きかける。その先にいるのは、来た道を後から辿る仲間達だ。
「みんな聞こえる? そのまま道なりに、アタシ達の後を追ってきて」
「待った。正面からぶつかる前に」
続く言葉を遮って、遊里は腰に下げたツールバッグから見慣れない機械を取り出した。それで何を、と尋ねる空ににんまりと笑って、青年は応じる。
「周りが畑だからな。あんまり手荒なことはできないけど――」
ダメージを与えるためではない。敵を攪乱し、少しでも有利な状況で戦闘を仕掛けるために――一瞬、混乱させるくらいならば。
パシュ、と空気の抜けるような音がして、ガジェットから射出されたナノマシンが上空に散開する。そして。
「…………」
光学迷彩を纏ったまま少し高度を上げ、エトヴァは前方数百メートルの位置に展開するゾルダート達を見やった。その頭上から舞い散るのは――淡く白い、儚げなもの。
「……雪?」
夕映えの空から落ちる空は赤光を照り返しながら、銀に紅に降り注ぐ。雲も疎らな晴れ空の下、異彩を放つ雪の粒はゾルダート達の注意を引くには十分な代物であった。
「今よ!」
通信機に向かって素早く呼び掛け、冷桜らは道の左右へ散開する。ここから先は、後に続く仲間達の出番だ。丘の頂上へ駆け上がるディアボロス達を上空から見下ろして、エトヴァは言った。
「……壊させはしない。何も――」
実りの畑に火の粉が降らんとするならば、この手の届く限り振り払おう。たとえ紛い物の歴史でも、そこには街があり、人の営みがあるのだから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV2になった!
【植物活性】LV1が発生!
【通信障害】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】がLV6になった!
【アヴォイド】がLV5になった!
【ガードアップ】がLV4になった!
レイ・シャルダン
陸さん(g01002)と一緒に。
ここはもう、ボクにとって大切な思い出の地になってるんだ。
葡萄畑も街並みも戦禍に巻き込むなんて許さない!
ボク達が護るんだ、行きましょう陸さん!
【アクロヴァレリア】を始めとした全ての武装を起動する。
お先に、と空を疾駆し集団の頭上へと突撃、
【空中戦】【陽動】【一撃離脱】を駆使し、
敵を引きつけつつ攻撃を行う。
空を駆ける中、光の剣が敵を、砲弾を
撃ち落としているのが見えた。
ああ…陸さんがボクの脅威を払ってくれている。
胸が…とても熱いよ…。
ボクも…あなたを守れる人間になりたい!
上空からスカイレイダーを発動
空から放たれた一筋の光
幾重にも分離を繰り返し流星群の様に敵へと降り注げ。
ノスリ・アスターゼイン
g00139/南
酒精に溺れ難い身だけれど
ワインの芳醇な香りは記憶に鮮やか
美味し糧の数々を想い返して
甘やかな笑みを浮かべつつ
見据える先は
武骨なばかりの機械の軍隊
南と過ごした温かな時間には
酔った心地で居たいから
酒を醒ますに丁度良い、なんて
無粋なことは言いやしないよ
でも
これからも
楽しいひと時を
一緒に紡いでくれるんでしょ
だったら今は
夢から覚めても寂しくないね
行こうか
地を蹴り
空翔け
上空から敵陣営を見渡し
砂嵐の檻に
ゾルダート達を鎖してしまおう
機械の隙間から節目から
砂礫が動きを封じていくよ
BGM代わりに口遊むのは
一足早いクリスマスソング
ね、
全部片付けたら
シュトーレンを肴に
もう一度ワインを味わっても
許される?
篝・ニイナ
【白花】
この街が、葡萄畑が戦禍になるなら
その方がよっぽど気に入らない
そんなの、気分良く飲めねーだろ
こちとら約束もあるもんで、今のうちに潰させてもらおうかね
こう言うときは祈らずに、やれることはやるもんだ
なあラルムクン?
共に光学迷彩等を使い身を潜め
タイミングを伺って一気に接敵
『桜幕』を使い目眩し
熱を帯びた蜃気楼が見せる夢
アンタたちに俺の刀が見えるかね?
接敵や回避には飛翔等も利用して
傷が増えるようなら活性治癒で少しだけでも癒しながら
砲撃の奏でる音がひとつ、ひとつと減ってゆく
ソロ演奏が始まる頃には佳境を迎え
フィナーレは白藤が飾る挽歌
手向けにできるのは蜃気楼の花ぐらいしかねーが
さあ、終幕だ!
ラルム・グリシーヌ
【白花】
愉しげな笑声や唄が響く
この街に物騒な音はお断りだよ
名を呼ぶ声に応える様に柔く笑む
大切な約束の為にも
祈るよりこの手で力を尽くさないとね
光学迷彩やモブオーラで身を潜めつつ
敵の姿を確り視認できる距離まで近付き
機を合わせ共に飛翔して一気に接敵
竪琴を爪弾き紅葩を詠う
旋律も聲も朗々と響き渡らせ
彼らが奏でる轟く砲声を塗り替える様に
爆ぜる暁の花を鮮やかに咲かせよう
飛翔で回避に努めつつ
四肢を氷で凍らせ捕縛し
ニイナが攻撃する隙を作ったり
周囲に被害が及ばぬ様
光槍で丘の反対側へ吹き飛ばす
傍らの鬼人が魅せる
幻夢の花に、閃き咲かす刃に
唄を重ね、累ねて
死出の旅路を燈す
焔の花に魅せられた侭
常世の果ての涯まで、おやすみ
竜城・陸
レイ(g00999)と一緒に
たとえ、改竄された歴史の果てであろうと
そこに暮らす人々がいて、そこに思いを馳せる者がいる限り
この場所は、守るべき“誰かの日常”だ
――ああ、行こうか、レイ
自由に動いて構わないよ、援護はこちらで行うから
偵察を担ってくれる方々の情報も頭に入れながら
迎撃に適した地形を選別して戦端を切ろう
【飛翔】して戦場全体を把握しながら動くよ
レイの戦いを補助するように、光で形成した無数の剣を【投擲】していく
彼女の死角にいる敵を最優先に
彼女へ注ぐ砲弾を退けることを次善に
傷つけさせるわけにはいかない
彼女もまた、俺にとって守るべき、大切なものなのだから
乂八・南
g01118/ノスリくん
対峙する敵に、ピリと奔る緊張も
頼もしいあんたの背を見ればやや解け
落とされた言葉に首傾げ瞬き
そして自然と零れた笑み
勿論!
多分、今はそれだけで十分
ホルスターから連結した武器を取り
空飛ぶ竜を描き飛び乗る
囲む砂の檻にすげぇと零す感嘆
己の役目をこなすべく封じられた敵に向け
滑空するように鋭爪で裂き落雷を
聞こえた歌には、呆れたように…否
余裕かよ、なんてからり眉を下げ
いっぱい働いたら、お腹も空くというもの
他にもたくさん食べようよ
実はね、さっき、食べたりなかったんだ
とは少しだけ照れくさそうに告げて
だから今はまだ――後少しと空を翔ける
その先であんたと
また一緒に、温かな夢が見たいから
●戦端
「――了解」
短く、けれども明瞭に応答して、竜城・陸(蒼海番長・g01002)は通信を切った。砂利を敷いた農道は葡萄畑を左右に臨み、丘の上へと続いている。
「道なりに直進。この上で間違いなさそうだよ」
「いよいよですね」
その隣に並んで駆けながら、レイ・シャルダン(人間のガジェッティア・g00999)は言った。道の先を睨み、唇を引き結ぶ澄んだ眼差しには、確かな決意が揺れている。
(「ここはもう、ボクにとって大切な思い出の場所なんだ」)
この畑も街並みも、クロノヴェーダの好きにはさせない。
グローブの表面が軋むほどに握り込んだ手を見てとって、陸は少女へ柔らかな笑みを向けた。
「自由に動いて構わないよ、援護はこちらで行うから」
君は君の思うように――言外に囁く言葉は頼もしく、レイは緊張に強張った表情を僅かに和らげる。はい、と応じる声に喜色を滲ませて、少女は言った。
「行きましょう、陸さん!」
切り取られ、改竄された地球の断片に過ぎないこの場所。けれどもそこには、懸命に日々を暮らす人々がいて、そこに想いを馳せる者がいる。歪んだ歴史の果てだとしても、ここは『誰か』にとっての、守るべき日常なのだ――暇に任せての破壊など、見過ごせるはずもない。
確かめるように大きく息を吸い込んで、レイは蒼く輝くフライトデバイスを起動する。
「ここは、ボク達が護るんだ!」
お先に、と仲間達へ一声かけ、少女は銀色の風となって敵集団に肉薄する。射ち出された光の矢が無数に分裂して地上へと降り注ぐや、敵襲、と物々しい声が前方から湧き起こり、機銃の発砲音が鳴り渡る。戦いの火蓋が切って落とされた瞬間であった。
「始まった」
数メートル後方で先頭の仲間達を追いながら、乂八・南(WONDERFUL LIFE・g00139)は息を呑んだ。戦いが始まる瞬間は、いつだってそうだ――命の奪り合いに行くのだと、分かっているのに胸が詰まる。けれども隣を駆ける友人の横顔は、そんな緊張を知らぬかのように悠然として見えた。
「情緒も何もあったものじゃないな」
道の先に広がる鉄靴の部隊を見やって、ノスリ・アスターゼイン(共喰い・g01118)は言った。
「せっかく美味しいワインだったのにさ」
元より酒に溺れることは滅多にないが、それでも甘いアイスワインの芳醇な香りは、今もその身を浸している。言ってる場合、と訝るように見つめる少年へ酒精に負けずとも劣らぬ甘やかな笑みを返して、男は言った。
「もう少し、酔った心地でいたいけど――」
酔い醒ましには丁度いい運動だなんて、無粋なことは言いたくないが仕方ない。やれ、と掻き上げた前髪を頭へ撫でつけ、ノスリは笑った。
「でも、これからも楽しいひと時を一緒に紡いでくれるんでしょ?」
機械仕掛けの武骨な人形達を前に、暢気な台詞だ。けれどその裏にある想いを、南はちゃんと識っている。瞬き一つ、釣られるように笑みを浮かべて、勿論と力強く少年は応じた。
「だったら」
満足げに睫毛を伏せて、猛禽は道の先に目を向けた。
「今は、夢から覚めても寂しくないね」
行こうか、と何気なく誘うように口にして、ノスリは地を蹴った。夕焼け空に羽搏いていく魔光の翼を追いかけて、南は腰のホルスターから素早く警棒を抜き取ると、その先に繋いだペンで空飛ぶ竜を描き出す。ぬいぐるみのような愛嬌のあるその背に飛び乗り向かう先は、敵陣の真っ只中だ。
「くそっ、こいつら一体、どこから……!」
不意を打たれて毒づきながら、兵士の一人が破壊槌を構える。しかし折角の奇襲でのんびりと状況を把握させてやるほど、復讐者達は甘くない。混乱する兵士の背中で、くすりと笑み零す幽かな気配がした。
「アンタたちに俺の刀が見えるかね?」
「!?」
声と共に鮮やかになるのは、風のない日の湖面のように静かな殺気。ぎょっとして振り抜いた槌の先端は空しく宙を切り、兵士は狼狽する。身に纏う迷彩を解いて忽然と姿を現したのは、篝・ニイナ(篝火・g01085)であった。
「何者……!」
何者か、は分からない――けれど刺すような熱気とともに炎の花弁を纏う青年が、只者でないことは理解できる。後退、と兵士は叫んだが、その退路には既に、ラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)が回り込んでいた。
「物騒な音はお断りだよ」
愉しげな笑い声と唄が響くこの街に、鉄靴の足音はそぐわない。少年は大きく息を吸い込むと、胸に抱えた竪琴をつま弾き、旧き歌を朗々と詠い上げる。深く滑らかなその声に誘われるように、浮かび上がった焔の花は敵兵の身体を包み込み――そして一息に、爆ぜる。
断末魔の悲鳴は聞くに堪えず、ラルムは微かに眉を寄せた。その背を無造作に叩いて、ニイナは光の中に倒れゆく兵士へ吐き捨てる。
「ここが火の海になったりしちゃあ、気分良く飲めねーだろ。なあ、ラルムクン?」
「……うん、」
そうだねと微笑んで、少年は再び竪琴の弦に指を添えた。交わした大切な約束のためにも、手を止めている暇はない――無機質な悪意に満ちた砲声は、響かせる歌声と旋律で塗り替えよう。それはこの広く美しい夕空には、まるで相応しくない音だ。
「何をしている! 前進せよ!」
「し、しかし、これでは前が見えな――あ、」
混戦の丘に怒号が渡る。足並みの乱れた兵士達を分断するのは、ノスリの操る砂嵐だ。猛然と渦を巻き吹きすさぶ砂礫は、機械化された兵士達の身体の継ぎ目を見る間に埋めて、その自由を奪っていく。
「すげぇ……」
戦いというものは、例外なく泥臭く血腥いものだと思っていた。そして大抵の場合、それはその印象に当てはまる。しかし目の前で繰り広げられる光景はそのどちらでもなく荒涼として、烈しく、それでいてどこか寂しい。
は、と弾かれたように真紅の瞳を瞬かせ、南は翼竜の背を叩く。動きを封じるのが友の役目、引導を渡すのは彼の役目だ。砂の檻に封じられた兵士の頭上に雷を落として、南を乗せた翼竜はノスリの傍らへ舞い降りる。すると――。
「……余裕かよ」
聞こえてくる鼻唄は、やがて訪れる聖夜を祝うメロディで。ぽろりと素直な感想を零して、南は肩を竦めた。歌を口遊む傍らで敵を縛って閉じ込めるなど、彼らしいと云うか、何と云うか――呆れ半分、感心半分の呟きに、気にした風もなくノスリは言った。
「全部片付けたら、シュトーレンを肴にもう一度ワインを味わっても許されると思う?」
「いいんじゃないの、いっぱい働いたらお腹も空くし、……俺もちょっと、食べ足りなかったし」
仕事の前だと遠慮もあった分、その時は心置きなく楽しめばいい。少しだけ照れ臭そうに笑って、南は再び翼竜を駆り夕焼け空へ翔け上がる。戦いの果てで共に見る、美味しくて温かな夢のためにも、災厄の芽を残しておくわけにはいかないのだ。
「射ち落とせ! 早く!」
「!」
鋭い一声にはっとして、レイは足元に目を向ける。見れば数人の兵士達が足並みを揃え、滞空する復讐者達に向けて腕の機銃を掲げていた。このままでは良い的だ――直感的にまずいと感じて、敵の射線から離脱しようとフライトデバイスに動力を送る。しかし、
「な、なんだあれは――ぎゃああ!」
無数の銃口が火を噴く前に、天上より降り注ぐ光の剣が兵士達を貫いた。その出所を探してきょろきょろと上下左右に目を配ると、彼女よりも少し太陽に近い場所で、陸がたおやかに微笑っている。
「陸さん!」
「大丈夫、後ろは気にしないで」
街やそこに暮らす人、だけではない。彼女もまた、陸にとって守るべき大切なものの一つだ。有象無象のクロノヴェーダなどに、傷つけさせるわけにはいかない。
行ってと促す声に頷き、レイは空へと舞い上がる。目の前の脅威から、陸が、自分を守ろうとしてくれている――そう思うだけで、蒼銀に輝くスーツの胸はじんわりと温かな熱を帯びた。
(「ボクも、あなたを守れる人間になりたい!」)
その優しさに、報いることができる人間になりたい。力の限り弓を引き絞り、レイは眼下に展開する兵士たちに的を絞る。
「いっけ――!」
降り注ぐ光の矢の嵐はさながら黄昏の流星雨に似て、敵兵を地面に縫い留めていく。よし、と拳を固めてふと周囲を見渡すと、倒れた兵士達の間を縫って後続のディアボロス達が黒服のゾルダートへと駆けていくのが見えた。それを取り巻く下級兵士達は、残すところあと一人――二人――三人。
「ち、」
指揮官へと迫る仲間達の背中を、複数の銃口が狙っていた。手近な一体を袈裟懸けに斬り下ろして、ニイナは小さく舌打ちする。乱戦の中、掠めた銃弾は緋い和装の肩を裂いたが、いちいち気に掛けてはいられない。返す刀で逆向きに斬り上げれば血とも花ともつかぬ赤が、宵色滲む空へと舞い上がる。
「アンタらの相手は、こっちだろ」
彼らの後は、追わせない。向きを変えた銃口から吐き出される鉛玉を垂直に翔んでかわし、ラルムもまた懸命に、白藤飾る竪琴を掻き鳴らす。
言葉は要らない――玄く美しい鬼人の魅せる幻夢の花弁と咲かす刃の閃きに、ただ累ねて、死に往く者の旅立ちに挽歌を飾るのみ。天鵞絨のような歌声に焔を燈す瞳を細めて、ニイナは微かな笑みを浮かべた。
「さあ、終幕だ!」
ガスマスクの奥の眸に爆ぜる花弁を映したまま、最後の兵士が墜ちていく。白く柔らかな前髪に夕焼けと散る花の朱を濃く照り返しながら、ラルムはゆっくりと息を吐き、そして言った。
「常世の果ての涯まで――おやすみ」
後は、上役一人を残すのみ。すいと流した白葡萄色の眼差しは、続く道の先に切り結ぶ復讐者達のシルエットを見つめている。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
【光学迷彩】がLV3になった!
【飛翔】がLV9になった!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【ロストエナジー】がLV7になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV6になった!
朔・璃央
双子の妹のレオ(g01286)と
火を放つのがお好きだなんて天使みたいですね
いや、色が黒いから悪魔の方でしょうか
どちらであろうともなかろうとも
殴り飛ばす理由はそう思えるからで十分でしょう
炎でレオの髪を燃やされたら堪ったもんじゃないですね
うんと近づいて妨害してやりましょう
葡萄畑の中を平穏結界と光学迷彩を使って潜み動きを観察
他所に気を取られているタイミングに
飛翔で一気に近づいて奇襲を狙います
挨拶代わりにまず一発殴って
注意を此方へ向けさせましょうか
鉄球が当たるのは流石に怖いので出来るだけ回避
振り終わったところをぶん殴ってやります
思い出に炎の光景は要らないですからね
纏めてぽいっとしちゃいましょう
朔・麗央
双子の兄リオちゃん(g00493)と
クロノヴェーダを野放しにすればいずれは厄介なことになるよね
だからいつかはこの美しい風景を炎の海に変えるかもしれないでしょ
若しくは誰かが涙することになるだろうし
というわけで!哨戒任務中悪いけど、アナタたちはここで左様なら、だよ
リオちゃんに追従する形で
平穏結界と光学迷彩で身を隠しつつ進んで
飛翔で一気に敵との距離を詰めるね
それからリオちゃんが最初に接敵したら
私はリオちゃんの後ろから牽制する形で
契約召喚で魔法を打ち込んでいくよ
敵がリオちゃんに攻撃しようとしたら
邪魔する様に攻撃を打ち込もうと思うよ
これで涙する人が1人でも減ったかな
いつかの未来のために頑張らなくちゃね
鐘堂・棕櫚
【KB】
ここは焼き畑農業なんてお呼びじゃありませんので
さっさとお引き取り頂いてワイン買って帰りたいですね
親玉が丘を下りきる前に接敵したいですが
【飛翔】で地面すれすれを移動すれば走るより余程早いでしょうか
見晴らしのいい場所にいる敵に通じるかは謎ですけど
【モブオーラ】【光学迷彩】も無いよりましと確り活用して
可能な限り最高速度で敵との距離を縮めるよう努めます
芯まで焼かれるのは勘弁願いたいので、突っ込むのは前方から
バールを振り抜きながら後方まで駆け抜けて
火炎放射器の攻撃範囲内にいる時間を縮めたいところです
って熱!!
チリチリにするのはあっちの骰さんにして貰えません?!
彼ならきっとアフロも似合いますから!
鬼歯・骰
【KB】
折角長閑でいい場所なのに
燃やされんのは勘弁してもらいてぇな
まだ酒飲んでねぇんだから
夕陽の赤の中でも火炎放射器は目印にゃいいな
光学迷彩で近寄れるだけ進んだら
あとはエアライドと飛翔で一気に距離詰めて
相手が丘を下る前に接敵
配下は無視して跳び越えよう
多少の妨害は速度重視で突っ切る
純粋に打ち合っても力負けする気はねぇが、爆発はちと怖ぇな
敵が破壊槌を振りぬく前に柄の辺りを狙って威力殺ししつつ
隙を見て本体に鱶で攻撃を
平時を退屈だなんて思うようになっちまったら
今ここで壊される方がアンタにとっても楽だろ
おいこらツリガネふざけんな、真面目にやれ!
似合ってたまるか、アフロんなったらアンタの髪の毛全部毟るぞ!
ドナ・ゴーティエ
死闘に飢えているのでしたら
僭越ながら、私がお相手致しましょう
同じく戦槌を得物とする者として
後れを取る訳には参りません
…とはいえ、爆発に巻き込まれては厄介です
敵の挙動には常に気を配りつつ
未来予測の恩恵にて攻撃動作を視認したならば
電撃を放ち、一瞬怯ませる…若しくは目眩しを試みます
立ち直る前に此方は完全視界を用いて一撃を見舞いましょう
爆発に巻き込まれようと忍耐力で立ち止まりはせず
エアライドで移動経路を見出し、ダッシュで敵に突撃
命中した部位を粉砕、吹き飛ばす勢いで戦槌を振います
――さて、楽しんで頂けましたか?
申し訳ありませんが、此度の私は勝利の美酒に酔いたい気分なのです
何せ『楽しみ』が増えたのですから
●黄昏に燃ゆ
時を遡ること少し。
一本道の農道は、坂の下から見上げると夕陽に燃える空へ続いているかのようだった。緩やかな円を描く丘の稜線は近づくにつれて平らになり、その向こうには先行する仲間達の姿が見える。道の手前には数人の兵士達が倒れ、武骨な機械の骸を重ねていた。
「流石に仕事が速いですね」
累々と重なる兵士達を一瞥して、ドナ・ゴーティエ(雷公・g04485)が言った。光学迷彩を身に纏うディアボロス達は前線に展開する兵士達の間をすり抜け、或いは飛び越えて、奥に控える指揮官を目がけ突進する。雑兵達の機銃が火を噴こうとも、振り返る必要はなかった――彼らが敵の喉元を目指す限り、その背中は仲間達が護ってくれる。
「見えた! あそこ!」
前方の木立を指差して、朔・麗央(白鉄の鉤・g01286)が声を上げた。葡萄の木々に縁どられた道の先、集団から一人離れて立つ黒ずくめのゾルダートの手で、長大な火炎放射器が黒々と光るのが見える。
「夕陽の中でも火炎放射器は目印にゃいいな――燃やされんのは勘弁してもらいてぇが」
まだ酒飲んでねぇんだから、と厳めしい顔でぼやく鬼歯・骰(狂乱索餌・g00299)の言葉は、冗談かそれともただの本心か。違いないと笑って、鐘堂・棕櫚(七十五日後・g00541)は応じる。
「焼き畑農業なんてお呼びじゃないでしょうしね。さっさとお引き取り頂いて、ワイン買って帰りましょう」
目標までの距離は凡そ百メートル。駆けるその足をすいと浮かせて、棕櫚は右手のバールを握り直した。敵の間合いに長く留まれば、それだけ危険は増す――最短距離で射程範囲を抜け出すには、正面から突き抜けるのが一番だ。
「最高速度で、突っ込みますよ」
ぐんと加速すれば強さを増す向かい風に栗色の髪が乱れたが、ブレーキは不要だ。勢いのままに敵の懐へ飛び込んで、棕櫚は思い切り腕を振り抜いた。
ガァン、と激しい金属音が高い空に鳴り渡り、ぶつかり合ったバールと破壊槌が一瞬互いに喰い込んで、火花と共に離れる。そのまま後方へ駆け抜けて振り返れば、視線は真っ直ぐに黒衣のゾルダートへぶつかった。
「……来たな」
破壊槌をとんとんと肩に叩きつけながら、此方を見る鉄仮面の向こうには赤く禍々しい光。哨戒中の敵襲、ほとんど壊滅状態の部下達――状況は最悪のはずなのに、何故かその声色は弾んでいた。自身を中心に取り囲むように立ったディアボロス達を舐めるように見回して、兵士は続ける。
「一応聞いておこうか? ……何をしに来た」
街に手を出すわけでもない。誰かを殺めたわけでもない。だのに何をしようというのかと、おどけたように兵士は語る。愉しんでいるかのような口ぶりに不快感を露にして、麗央は静かに口を開いた。
「今、何も起きなくても、明日も起きない保証はないでしょ?」
こと、この男のような戦闘狂ならば尚のこと。哨戒任務にかこつけて、この美しい野山を火の海にしないとも限らない。そうなれば誰かが、涙を零すことになる――いかに改竄された歴史の中とはいえ、野放しにしておく理由はどこにもない。
「というわけで! 悪いけど、アナタたちはここで左様なら、だよ」
片手を腰に、もう一方の手でびしりと敵を指差して、麗央は挑むように告げる。すると何が可笑しいのか――兵士はくつくつと喉を鳴らし、やがて大声で笑いだした。ムッとして眉を吊り上げ、少女は唇を尖らせる。
「私、そんなに可笑しいこと言った?」
「いいや、何も。お前達には感謝しているよ」
お蔭で、暴れる理由ができた。
そう言って、男は手にした火炎放射器を構え、眼前の少女に照準を合わせる。しかしその先端が燃えるように紅い輝きを放った――瞬間。
「! リオちゃん……!」
白い翼が赤光を遮り、二人の間に飛び込んだ。深緑の眸でぎろりと敵を見据え、朔・璃央(黄鉄の鴉・g00493)は固めた拳で敵の横面を殴りつける。思わぬ方向からの一撃に受け身を取り損ねたゾルダートは、盛大に吹き飛んで真横から葡萄畑に突っ込んだ。
「レオの髪を一筋でも燃やしたら、ただじゃおきませんよ」
握り締めた手が白くなるほどの憤怒に、燃える眸はいつも以上に鋭い。鬼気迫る雰囲気に思わず追撃するのも忘れて、麗央は言った。
「まだ何もされてないよ、リオちゃん!」
「されてからは遅いんだよ、レオ」
まったく、とひりつく右手をぱたぱたと振って、璃央は敵を睨みつける。
「今のは挨拶です。火を放つのがお好きだなんて、天使みたいですね。……否」
どちらかといえば悪魔のような色味だが、どっちでもいいかと思い直した。天使だろうと悪魔だろうと、人間だろうと機械だろうと関係ない。最愛の妹と、彼女と過ごしたこの街に、男は凶弾を向けたのだ。殴り飛ばすのにそれ以上の理由は要るまい。
葡萄の根元でむくりと上体を起こして、しかし兵士は不敵に笑った。
「そうだ。燃やして壊すのが俺の役目だからな!」
膝を立てた次の一歩で大きく踏み出し、振り上げる破壊槌が夕陽を受けて鈍く光る。ぶん、と風を切る鉄球を寸でのところでかわして、璃央は吐き捨てるように言った。
「思い出の中に、炎は要らないんですよ」
纏めてぽいっとしちゃいましょう――返す手で兵士の腹へ鉄拳を見舞えば、生まれた隙にすかさず、麗央と呼び寄せた悪魔も魔弾を撃ち込んでいく。ひとしきり打ち合って距離を取ると、今度はドナが兵士の頭上から躍り掛かった。
「それほど死闘に飢えているのでしたら、僭越ながら私がお相手致しましょう」
自重を乗せて振り下ろす戦槌が、黒衣の兵士を捉える。咄嗟に構えた槌の柄で受け止める一撃は痺れるほどに重く、仮面の男は乾いた声で――明らかに、嗤った。
「面白い!」
かち合う得物を力任せに弾き飛ばし、その手で振り下ろす槌を仰け反りかわせば、地面にめり込んだ鉄球が爆発を引き起こす。反射的に後ろへ跳び退って体勢を立て直し、ドナは若葉の色の双眸をじろりと細めた。
(「爆発するのは厄介ですが――」)
同じく戦槌を得物とする者として、後れを取るわけにはいかない。そのために、ドナは注意深く相手の動きを見究める。得物が大きければ大きいほど、振りのタイミングで隙が生じるものだ。手にした槌の出力を上げれば、その先端からはライムグリーンの電撃が迸る。
「大人しく、お休みなさいませ」
色のない声で告げ、機人は手中の槌を振り抜いた。みしり、と確かな手ごたえと共に、兵士の身体が宙を舞い、木々の並びに叩きつけられる。しかし敵も然るもの――仮面の向こうの紅い光を爛々と燃やして、黒衣のゾルダートは何度でもディアボロス達に向かってくる。その手の火炎放射器から迸る炎の鞭は髪の一筋をちりりと焦がし、棕櫚は上ずった声を上げた。
「熱!! ちょっと、チリチリにするならあっちにして貰えません?! 彼ならきっとアフロも似合いますから!」
「おいこらツリガネふざけんな、真面目にやれ! その猫っ毛全部毟るぞ!」
無遠慮に指差す手の主を鋭過ぎる瞳で睨み、骰は声を荒らげる。冗談じゃないと手にした大鋸を握り直し、男は漆黒のスーツを脱ぎ捨てた。
「んなもん、似合ってたまるかよ」
純粋に打ち合ったところで力負けするつもりはないが、むざむざ爆発に巻き込まれたくもない。敵が大きく半身を後ろに引いたその時が、勝負だ。
槌を持つ手の下側、生まれた隙を目掛けて、骰は地を蹴った。なるべく振りを小さく、しかし持ちうる限りの力を込めて、叩き込む鋸刃は兵士の横腹を真っすぐに捉える。確かな手応えと同時に見やれば、低い苦悶の声を上げて兵士がその場に膝を折る。
「平時を退屈だなんて思うようになっちまったらよ……」
大勢は、決した。乱れたネクタイを整えて、骰は地べたに蹲った男を見下ろした。度なしの眼鏡の奥に光る金眼には、ほんのわずか――彼自身気づくか気づかないかというほどの、微かな憐憫が揺れている。
「今ここで壊される方が、アンタにとっても楽だろ」
「…………くく」
この期に及んで、尚も男は嗤う。そして仮面の奥に揺れる不気味な光をディアボロス達へと向けて――続けた。
「そうかもしれんな。……だが、」
一人では壊れない。
握り締めた破壊槌が土を削る。骰さん、と鋭く呼んだ棕櫚の声に応じて、鬼人は咄嗟に上体を逸らした。黒髪をわずかに掠めた鉄球が再び打ち下ろされるよりも早く、敵の頭蓋にドナが槌を叩きつける――今度こそ、終わりだ。
「楽しんで頂けましたか? ……楽しんで頂けたなら何よりです」
形の変わってしまったヘルメットの頭を見下ろして、ドナは槌を下ろし、乱れたコートの襟を正した。呆気なく絶命した男の身体はぐらりと傾ぎ、土埃を舞い上げて倒れ込む。
戦うために生み出された兵士。
戦うことでしか、自らの価値を証明できない哀れな男。
一つ間違えば今日この空の下に倒れていたのは自分自身であったかもしれない、そう思うと、胸の回路が軋む気がした。けれど――彼とドナとでは決定的に違うことが一つある。
「申し訳ありませんが、此度の私は勝利の美酒に酔いたい気分なのですよ」
戦うだけがすべてではないと、今のドナは知っている。否、寧ろ生きる意味、価値というものは、戦いの向こう側にこそあるものだ。
失礼、と短く告げて、青年は坂を下っていく。戦いは終わった――土産のワインを預けた店が閉まる前に、街へ戻らなければなるまい。
「忙し過ぎるのも考えものですけど、暇も過ぎると毒ですね。ああはなりたくないものです」
危ないところでしたねえ、とへらり笑って背を叩けば、仏頂面の鬼人からうるせえと短い声が返る。彼らの仕事は、これまでだ。
街へ向かう仲間達の後ろで、麗央はふと足を止め、地に伏す兵士達の骸を振り返った。
「レオ――どうかした」
「……ううん、別に」
なんでもない、と首を振りながらも、夕陽に染まる花色の眼差しはどこか遠くに想いを馳せているかのように見えた。しばし無言で茜色の空を見上げて、少女はぽつりと口を開く。
「これで一人でも減ったかな。……クロノヴェーダのせいで、涙を流す人が」
「……そうだね」
妹の肩にそっと手を触れて、きっとそうだよと璃央は笑った。在るべき歴史を取り戻すその日まで、この葡萄畑と共に生きる人々の暮らしが、ささやかでも平穏なものであればいい――少しだけほっとしたように口許を緩めて、麗央は言った。
「いつかの未来のために、頑張らなくちゃね」
戦いはまだ、始まったばかりかもしれない。倒した敵は、全体からすればほんの一部に過ぎないかもしれない。けれど彼らの積み重ねた一つ一つの出来事は、いつか必ず、より良い明日を導くことになるだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【怪力無双】がLV2になった!
【友達催眠】LV1が発生!
【モブオーラ】がLV2になった!
【建造物分解】LV1が発生!
【完全視界】がLV5になった!
効果2【ダメージアップ】がLV10(最大)になった!