【ラ・ピュセル奪還戦】⑬大元帥アルテュール3世

 このシナリオは【火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦】に関連する特別シナリオです。
 最終人類史の戦場は、奪還戦が開始するまで攻撃する事は出来ない為、火刑戦旗ラ・ピュセルのフランス全域に散らばるジェネラル級キマイラウィッチに対して、戦闘を仕掛けます。
 この戦闘によって、敵の戦力を削ることが出来ます。
 勝利したシナリオ数に応じて、対応する戦場の敵の数が減少し、戦いを有利に進めることが出来るようになります。
 また、火刑戦旗ラ・ピュセルの周囲は全て最終人類史の領域である為、今回の奪還戦では他ディヴィジョンからの横やりが入る事はありません。

 このシナリオの攻撃対象は【⑬大元帥アルテュール3世】の軍勢です。
 大元帥アルテュール3世は、史実でもジャンヌに忠実だったフランス軍の将軍で、最高指揮官を務めていた事もあり、火刑戦旗ラ・ピュセルでも最上位の力を持っています。
 その力を見込んだジャンヌにより、東西の要衝の防衛を任されているようです。
 大元帥アルテュール3世は、伏魔殿パンデモニウム至る要衝を任されています。

「成功したシナリオ数×5%」だけ、「⑬大元帥アルテュール3世」の敵残存率を低下させます。

【ラ・ピュセル奪還戦】忠節の獅子(作者 坂本ピエロギ
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『我が兵たちよ。間もなくこの砦に、ディアボロスが攻めて来る』
 整列する魔女の大軍勢を前に、一人の騎士が告げた。
 淡々とした声色に漲る自信、そして、優れた統率者だけが纏う力強い空気。それらは軍勢の魔女たちを呑み込んで、彼らに揺るがぬ戦意を齎していく。
『だが案ずることは無い。何故なら砦を護るのが、この我だからだ。我はジャンヌ様より信を得た大元帥――故に、我が信頼するお前たちもまた、全員がジャンヌ様の信を得ていると心得よ』
 獅子の姿を取る騎士の声に、熱狂をかき立てるニュアンスは絶無だ。
 だが、紡ぐ言葉は力強く、巌の如き圧と共に、配下の魔女たちへ不動の自信を齎していく。
 やがて演説に触発された魔女たちは、大元帥への絶大な信頼と共に、次々と呼応の声を上げ始めた。
『ジャンヌ様の為に!』『ラ・ピュセルの為に!』
『良き覚悟だ、兵たちよ。いざ、ディアボロスに我らの忠誠を見せつけてやるのだ!』
 割れんばかりの大歓声が呼応する中、騎士は天高く拳を突き上げる。
 彼の名は『大元帥アルテュール3世』。大元帥たる彼の演説に戦意を昂らせる配下たちと共に、魔女の軍勢は一丸となって戦に臨もうとしていた――。

●新宿駅グランドターミナル
「皆、お疲れ様。ラ・ピュセル奪還戦のファーストアタックも、いよいよ大詰めだね」
 復讐者たちに労いの言葉を送ると、リュカ・アルページュ(人間のサウンドソルジャー・g01327)は説明を開始した。
 火刑戦旗ラ・ピュセルを巡る歴史の奪還戦まで、残すところ後わずか。今も各地で行われている先制攻撃は、魔女の戦力を着々と削り続けている状況だ。
「今回、皆に向かって欲しいのはラ・ピュセルの西方面――大元帥アルテュール3世の戦場だよ」
 ラ・ピュセル奪還戦において、魔女勢力の布石として配置された『伏魔殿パンデモニウム』。
 そこへ至る侵攻ルートで、復讐者を待ち構えるのがアルテュール3世の軍勢となる。
「アルテュール3世が護るのは、パンデモニウムの下へ最短ルートで向かえる道だ。早期に攻略しておけば、それだけ奪還戦を有利に進めることが出来る筈だよ!」
 当該の戦場は、復讐者の襲撃に抵抗を続けながら、今も相応の戦力を維持している。
 ここで更なる先制攻撃を加え、アルテュール3世の防衛戦力に打撃を与えれば、より奪還戦を優位に進められるだろう。

「今回の戦場で戦う敵は、砦周辺を防衛する『怨讐騎士』の部隊だよ。皆にはこの魔女たちを撃破して、アルテュール3世の軍勢を削って欲しいんだ!」
 敵の軍勢は大群であり、ファーストアタックで全滅させることは出来ない。
 従って、ある程度の敵を撃破した後は、頃合いを見極めて戦場を離脱する必要がある。長く戦場に留まっていた場合、敵の勢力に包囲される危険もある為、無茶を押しての戦闘は禁物だ。
「本番の奪還戦前に大怪我でもしたら、大変だからね。皆の出来る範囲で、無理をせず――必ず無事に戦って来てね!」
 かくしてリュカは説明を終えると、時空間移動列車のドアを開放する。
 行先は火刑戦旗ラ・ピュセル西方、アルテュール3世の戦場。
 間近に迫る奪還戦を前に、獅子の騎士が率いる軍勢との激戦が、今始まろうとしていた。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【怪力無双】
1
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【熱波の支配者】
1
ディアボロスが熱波を自在に操る世界になり、「効果LV×1.4km半径内」の気温を、「効果LV×14度」まで上昇可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV1 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。
 こちらはラ・ピュセル奪還戦「⑬大元帥アルテュール3世」のファーストアタックとなります。
 伏魔殿パンデモニウムへのルートを護る砦を襲撃し、周辺に展開する敵勢力を撃破して下さい。

🌍目的地🌍
 ラ・ピュセル西方の砦(火刑戦旗ラ・ピュセル)

✏概要✏
 本作戦の目標は、砦周辺を防衛する『怨讐騎士』の撃破です。
 敵部隊を襲撃し、ある程度の数を蹴散らした後、戦場を離脱することで作戦成功となります。
 本シナリオが成功で完結すると、「⑬大元帥アルテュール3世」の敵残存率を5%低下させることが出来ます。

 執筆は4/18の8:30より開始。
 18日時点で必要な参加人数に満たない場合は、トレインチケットの併用による完結処理が行われる場合があります。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
カリスマ性がある敵っていうのは厄介だからなぁ。軍勢は出来るだけ減らしておいた方が良さそうだ
戦争の前に重傷になりましたじゃ笑えない。気をつけていこう
今日はこれくらいにしておくよ。その忠誠とやらは本番で見せてくれ

【行動】
逸れたり分断された敵を狙い攻撃し囲まれないように気をつけて戦う

仲間とは声を掛け合い積極的に連携していく
使用できる残留効果は全て使用する

まずはパラドクスを発動
銃型のバブルメーカーを製作
味方や地形にはただのシャボン玉や泡だが敵に触れると爆発する仕組みになっている
乱戦になっても問題なく使えるだろう

敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンや電光警棒で受けて防ぐ

ある程度倒せたら即時撤退
盾をジェットボードの形態にして素早く逃走する
ジェネラル級に見つかれば攻撃方法などを観察して情報を得てから撤退したい

必要なら臨機応変に対処する


エヴァ・フルトクヴィスト
大元帥ですか……。
グランダルメを思い出しますというか、同じフランスでしたね。
こちらの大元帥もその名に恥じない統率力と強大な力を持つ存在のようですね。
復讐心でこういった統率が揺らぐことがあるラ・ピュセルにおいて、こういった存在は非常に危険ですね。
ラ・ピュセルの大地奪還は勿論、可能な限りキマイラウィッチを倒すべく、
このファーストアタックで戦力を削らせて貰いますよ!

敵の攻撃は飛翔や細氷六華の加減速や軌道変更のタイミングを切り替えて出来うる限り回避、もしくは致命傷を避けつつ。
味方の呼吸に合わせて敵陣深くに切り込み、相手を翻弄しながらも味方と連携して少しでも多くの敵を倒していきますよ!

「一丸となったキマイラウィッチ、ディアボロスに対して精強になりますし、キツイですが……。お前達が復讐したいディアボロスはここ居ますよ!」

回避後は反撃として攻撃に転じて。
速度の乗せた一撃を喰らわせます!

「ですが、私達も忘れてはいません、貴方達に奪われた理不尽を。このいびつなる円環、断ち切る為にも、倒させて貰います!」


一ノ瀬・綾音
いかに相手の規模が大きく士気が高くても、それを真っ向から打ち破るのが勇気というものだ。
男には負けると分かってても戦わないといけない時がある……いや綾音ちゃん女だけど。
ここは頑張っていかないとね!

遮蔽物を使いながら相手の部隊が乱れて十名弱程度の部隊になってるところを狙っていく。
発見したら遮蔽物から出て先手必勝で色彩天泣を放つよ。反撃は雷の魔法だから通用するかわかんないけど破竜剣で急所を防ぐ形で。あとガードアップも使う。また、防ぐ際剣は体に密着させないようにして雷が体に伝わんないようにしてみる。持つ手への伝わりは……ある程度は仕方ない。
相手の攻撃をこちらの攻撃への反撃以外喰らわないように、また相手をかく乱する為撃ったら即遮蔽物へと隠れる。
以降この繰り返しをしつつ攻撃していくよ。ただ大部隊と合流されると流石にマズい、ジェネラル級が来たら尚更だ。
頃合いを見て無理をしないで撤退に走るよ。

ある程度は削ったかな、この辺で一旦撤退だ!
今回はこのような形だったけど、次に攻める時は正々堂々と正面から戦おう!


 火刑戦旗ラ・ピュセルの大地、その西方に位置する砦のひとつ。
 伏魔殿パンデモニウムを護るように建つその場所を背に、隊伍を組んだ魔女の一団が展開していた。騎馬の下半身を有する騎士姿の魔女たち――『怨讐騎士』で構成される防衛部隊だ。
 砦を護る大元帥アルテュール3世は、今回の奪還戦における有力なジェネラル級の一角。その軍勢を構成する魔女の部隊を撃破すべく、復讐者たちはファーストアタックに臨もうとしていた。

「大元帥ですか……。グランダルメを思い出しますというか、同じフランスでしたね」
 前方に聳える砦を見遣り、エヴァ・フルトクヴィスト(星鏡のヴォルヴァ・g01561)は呟いた。
 ラ・ピュセル奪還戦で復讐者たちの前に立ちはだかる、二体の大元帥――その一角を為すのが、アルテュール3世だ。
 未だ交戦経験のない敵ではあるが、その力の一端は、展開する騎士たちの様子からも伺える。規律正しく隊列を組んで戦場を進む彼らの姿は、野放図な個体が珍しくない同種族では相応に珍しい。大勢の兵士を統率する確かな力を、大元帥は有しているのだろう。
「中々に士気が高そうな相手です。気を引き締めていきましょう」
「うん。男には負けると分かってても戦わないといけない時がある……ってね。いや綾音ちゃん女だけど」
 エヴァの言葉に頷きつつ、一ノ瀬・綾音(色彩に溢れし少女・g00868)が冗談めいた口調で言う。
 魔女勢力との決戦は、既に目前まで迫っている。本番の戦いを有利にする為にも、この作戦を落とす訳にはいかない。最後まで気を緩めぬよう、綾音は改めて集中力を研ぎ澄ましていく。
(「いかに相手が強敵でも、真っ向から打ち破るのが勇気というもの。ここは頑張っていかないとね!」)

 現地到着から程なく、周囲に他の敵部隊がいないことを確かめると、復讐者たちは襲撃準備を開始した。
 先頭に立つのは、切込み担当のエヴァだ。そこへ遊撃担当の綾音と、援護担当の荒田・誠司(雑草・g00115)が続く。誠司は特殊武器の作成を早々に終えると、最後尾から準備完了の合図を送った。
「逸れたり分断された敵がいたら、優先的に狙っていく。俺たちも、包囲されないように気をつけよう」
「そうですね。キマイラウィッチ勢に勝利する為にも、着実に戦力を削っていきましょう」
「うんうん、二人とも宜しく。この作戦も成功させて、奪還戦を勝利で飾るよ!」
 互いに合図を送り合い、三人は全ての準備を完了した。
 災禍と悲劇を齎す魔女たちは、確実に滅ぼさねばならない相手だ。それは、砦を護る大元帥アルテュール3世と、その配下たちも例外ではない。
 胸に抱くは、ラ・ピュセル奪還の決意。復讐者たちは頷きを交わすと、怨讐騎士の部隊へ攻撃を開始した。

 エヴァを先頭に、三人の復讐者が敵群めがけ迫る。
 ひとたび戦いが始まれば、そこから先は時間との勝負だ。次第に近づく怨讐騎士たちを銃型武器で狙いながら、誠司が前方のエヴァと綾音に告げた。
「攻撃開始だ。派手に暴れてやろう!」
 騎士の隊列めがけトリガーを引き、誠司が戦闘開始の号砲を放つ。
 『特殊爆:泡沫』――パラドクスを帯びた爆発性の薬液が、大量の泡となって騎士の一団に散布された。クロノヴェーダにのみ傷を与える泡は、乱戦の中でも復讐者に危険を齎すことは無い。盛大な爆発音と共に騎士たちが吹き飛ばされていく中、続くエヴァと綾音が追撃を叩き込んでいく。
「このまま切り込みます。少しでも多くの敵を倒していきますよ!」
「背中の守りは綾音ちゃんたちに任せて、どんどん攻めちゃって!」
 阿吽の呼吸で加速し、敵の隊列に突撃するエヴァ。それを援護するように、縦横無尽の機動で敵を翻弄する綾音。
 かくして――復讐者たちのパラドクスは綺羅星のごとき輝きを秘めて、逆説連鎖戦の火蓋を叩き斬った。

『ディアボロスが来やがったぞ!』『上等だ、叩き斬ってやる!!』
 復讐者が襲撃を開始すると、間を置かずに怨讐騎士たちも反撃に動き出した。
 初手の攻撃こそ許したが、やられたままで終わる気などは毛頭ない。
 騎士が掲げた杖の先端から、眩い雷が迸る。パラドクスを帯びた一撃は、最後列の誠司を強かに打ち据えた。
「荒田くん、大丈夫!?」
「ああ、問題ない。攻撃を続行するぞ!」
 綾音の声に、誠司が盾の『フェイク・プリドゥエン』を構えた体勢で頷く。
 残留効果による肉体硬化も手伝って、受けたダメージは大きくない。この状況で最も恐れるべきは、負傷よりも攻めの手を緩めることだ。誠司が再び攻撃態勢を整え始めると、それに合わせて綾音も速度を更に上げていく。
 騎士たちの守りは未だ堅く、隊列を崩すには至っていない。ならばここは追撃を浴びせ、更なる揺さぶりをかけてやろう。降り注ぐ光矢で標的を穿つ、『色彩天泣』の一撃で――!
「ほら、世界が泣いている。君の存在を否定するように、数多の色を輝かせながら」
 同時、空中に展開した魔方陣より、煌く光が騎士の群れへ雨霰と襲い掛かる。
 虹色の煌きを宿す光矢が降り注ぐ中、響き渡る断末魔の絶叫。攻撃を浴びた魔女たちは、たちまち鎧に無数の穴を穿たれた姿となって、戦場に屍を晒していく。
 そして――誠司と綾音の攻撃で生じた僅かな隙を、エヴァの魔法は逃さない。
「さあ、キマイラウィッチの騎士たちよ。お前たちが復讐したいディアボロスは、ここに居ます!」
 加速の勢いをそのままに、エヴァの突撃が敵の隊列をこじ開ける。
 怒号と絶叫、そして断末魔が響き渡る中、復讐者と魔女の死闘は更に激しさを増していく。

 復讐者が放つ攻撃を、四方八方から浴びる怨讐騎士たち。
 息の合った連携攻撃に晒されて被害がじわりと広がる中、騎士たちは尚も戦意を奮い立たせ、雷の魔法でこれを迎え撃つ。
『ジャンヌ様の為に!』『死ね、ディアボロス!』
「やはり、そう簡単には行かないようですね……しかし!」
 降り注ぐ雷のパラドクスを捌きながら、エヴァは尚も敵陣で暴れ続けた。
 統率の取れた敵群を相手に、彼女を始めとする復讐者もまた一歩も退くことは無い。奪われた歴史と大地を奪還する為に、魔女たちの暴虐に終止符を打つ為に、退く訳にはいかないのだ。
「この程度で、綾音ちゃんたちは負けないよ!」
「そう言うことだ。この戦い、勝たせて貰う!」
 復讐者たちの想いは残留効果となって戦場に留まり、続く仲間たちの力となる。
 守りを固める力、栄光ある戦いで傷を癒す力。二つの効果は三人の負傷を軽微に留め、数に勝る魔女たちを相手に戦い続けることを可能としていた。
「奪い奪われ、憎しみだけを生む歪な復讐の円環……それを断ち切る為にも、貴方たちを倒させて貰います!」
 切り込んだ敵陣の只中で、『細氷六華』を発動したエヴァが宙を舞う。
 空を滑るような機動を描き、眼下の魔女たちへ散布するのは輝く雪の結晶だ。粉砂糖にも似た純白の粒は、怨讐騎士の一団を逃さず捉え、その身を芯まで凍結させていく。
「時の侵略を受けし世界を終わらせる為、来たれ大いなる冬。舞い踊れ、全てを凍らせ輝く六華!」
『う、が……!』
 それは、冷たく、美しく、魔女に死を齎す冬の魔術。
 全身を氷で覆われた騎士たちめがけ、エヴァは速度を乗せた一撃を叩き込み、その巨体を一体残さず粉砕していった。

「ある程度は削ったかな。二人とも、この辺で一旦撤退だよ!」
 それからも騎士の一団を削り続けること暫し、綾音の口から退却の合図が告げられた。
 魔女たちは未だ健在だが、無理を押すのは禁物だ。
 幸い、後方からは救援機動力で駆け付ける仲間たちの姿も見える。後は彼らに託して、一足先に退路を切り拓くとしよう。綾音の合図に応じるように、エヴァと誠司は後方に下がると、息を合わせて戦場を離脱していく。
「戦果は上々ですね。後は、奪還戦の勝利を願いましょう」
「そうだな。戦争の前に重傷になりましたじゃ笑えない」
 尚も追撃せんとする騎士を泡沫で蹴散らすと、誠司は地面に下ろしたフェイク・プリドゥエンに飛び乗った。
 移動時にはジェットボード形態にも変形する相棒は、果たして起動と同時に誠司を戦場の外へと運んでいく。
 無駄な戦いに労力を割くなど愚の骨頂だ。誠司は綾音と共に一度だけ戦場を振り返り、怨讐騎士と、後方の砦に籠る指揮官に別れの言葉を残して去って行った。
「今日はこれくらいにしておくよ。その忠誠とやらは本番で見せてくれ」
「じゃあね。次に攻める時は正々堂々と正面から戦おう!」
 来たる戦いで、自分たちは必ず勝利してみせる。
 その誓いを胸に、三人は後続の仲間にバトンを託すと、まっすぐに戦場を後にするのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水中適応】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

ヴェルチ・アリ
忠誠、忠誠ねぇ…。まぁ、うん。今のあんたらだけ見たら、それもそうだとある意味思いたかったんだけどさ。

…このラ・ピュセルを見てきた。復讐を謳い、復讐を叫び、復讐に嗤い。その復讐という名目の為に、何もかもを赦し、何もかもを楽しみ、人の命を弄ぶ、お前たちを見てきた。

別に復讐の感情を抱くなとは言わない。俺もそれを、味わってしまった身だから。
…炎の使い方がなってねぇんだよ。俺がここにいる理由なんて、それで十分だ。
本当の炎を今から魅せてやる。文字通り、その全身で味わっていけ。


【パラドクス通信】を使い、周囲の味方との連携を意識する。
【火炎使い】と【全力魔法】を使い、パラドクスの熱線を全力照射。相手を一気に薙ぎ払う。


より多くの敵を一気に巻き込めるように少し離れた場所から状況把握に努め、特に弱った敵を確実に燃やし尽くしていくように狙う。
敵の攻撃は重装甲で防御。

あまりに多くの嘆きを、悲しみを、生み出しすぎた。だから…ここで、弔いの火をぶち上げろ!

ある程度燃やしたら、無理なく撤退。

アドリブ、絡みを歓迎します。


アンゼリカ・レンブラント
ジェネラル級と一言に言っても色々なスタンスの奴がいるよね
大元帥はその肩書通り、断片の王ジャンヌに
忠義も厚いタイプみたい
肩書から言ってとても強いんだろうね
でも、そういった相手を常に私達は打ち勝って来た!

共に作戦行動にあたる仲間と動きを合わせ、砦を襲撃
剣を振るいパラドクスの閃光と衝撃波をお見舞いだっ!
反撃もしっかり堪え一撃離脱、
再度仲間と動きを合わせ敵を蹴散らしていくよっ

相手は多数、囲まれないよう注意だね
反撃も4体から浴びるのはきついので、
私からの攻撃ではなるべく敵を落とせるよう、
倒せそうな敵、仲間と攻撃を集中できそうな相手を優先して
パラドクスを叩き込んでいければいいかなっ
《光剣閃波》よ、輝けぇっ!

目的は敵部隊を弱らせること、無理は禁物だね
大元帥アルテュール3世が戦場に現れるか、十分に敵陣を削ったら
あとは戦場に取り残される仲間がいない注意して撤退しよう
足を鈍らせるなら、【泥濘の地】も使っておくね
さぁいよいよ本番20日は迫っているよ
キマイラウィッチの暴虐を終わらせ、最終人類史に凱歌をあげよう!


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

魔女達との本格開戦は、無辜の人達の火刑儀式だった
あの劫火と激しい憎悪を、人々にさえ向いた激しい復讐を忘れた事はない
この国で戦ってきて
手が届いたもの、届かなかったものを見て来た
俺は、ただ走り続けて報いるのみ、と

迷彩コートを纏い、可能なら周囲の地形に潜み双眼鏡で偵察
敵の配置を把握し、分断や相手しやすい位置・数の敵群を狙う
PD通信で連携し、仲間と機を合わせ攻撃

両手の銃に、青炎を纏う弾丸を連射しPD攻撃
仲間と狙いを合わせ
倒せそうな敵>より消耗した敵を目安に倒す
包囲されぬよう、なるべく一方向に相手取り
仲間の死角を補って援護
見せた隙は狙い撃つ

敵の攻撃には、タワーシールドを構えて弾を防ぎ
強化コートで負傷を軽減
エネルギー奪取は勇気と意志力で忍耐
あなた方では、俺の復讐を奪いきる事はできないよ

数多の戦いを乗り越えてきた
魔女の策略にも、理屈にも負けはしないさ
これが、復讐のための戦いならば
俺は人々の自由と未来のために戦う

戦況を観察し把握
戦果十分か、敵将登場、深手の者が出る前に、合図し全員で撤退を


藤原・鏡子
※連携、アドリブ歓迎

【心情】
アルテュールは二人に別れとって、一人を倒すともう一体が覚醒。
せやから最上の手段はほぼ同じタイミングで二人とも倒してしまうことか。
難しいようで簡単な話やな、今の内にできる限り戦力を削って、同時撃破を容易くする。
ほんなら、今の内に暴れに暴れ回れさせて貰いますえ。

「まずは一撃──ご挨拶仕る」

【行動】
今まで散々やってきた戦術やけども、敵陣に突撃してレールカノンとパイルバンカーで暴れ散らかす。
そして限界まで敵を引き付けて包囲される前に撤退。
自分でもびっくりするぐらい単純やとは思うけど、それ故に効果的や。
無理を押し通す鬼の力、止められるもんやったら止めてみよし。

【心情その2】
さてもさても。演説をぶちかまして部下の騎士も士気高揚。
その割には最前線やのうて、伏魔殿に最短で突っ走れる道のりに大軍勢を置いて待機かいな。
やっぱりあのパンデモニウムとかいうんは残しといたらアカン代物みたいやな。
歪み果てとるとはいえ、復讐を行動原理にしとる奴を残しといたら後の禍根になるのは明白やさかい。


 砦を護る魔女勢力との戦いは、早くも大詰めを迎えつつあった。
 大元帥アルテュール3世への忠誠を胸に、未だ強固な抵抗を続ける怨讐騎士たち。そんな彼らの前へ、救援機動力で新たな復讐者たちが駆け付ける。
 全ては、砦の戦力を削る為。魔女たちの支配に終焉を齎す為。そして――来たる奪還戦で、人類に勝利を齎す為に。

「大元帥アルテュール3世。統率力に優れた武人タイプの魔女……か」
 騎士たちの指揮官の名前を呟いて、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は前方の砦へ視線を向けた。
 一言に魔女と言っても、そのスタンスは十人十色だ。何の統制も無く暴虐を働く者もいれば、断片の王たるジャンヌに忠義を尽くす者もいる。今回の指揮官は、どうやら後者らしい。
「肩書から言って、とても強いんだろうね。でも、そういった相手に、いつだって私たちは打ち勝って来た!」
「そやねえ。十人でも百人でも魔女は魔女、敵いう意味では全員同じや」
 アンゼリカに同意を返しつつ、藤原・鏡子(八千代の怨讐・g08000)が考えを巡らせたのは大元帥の力についてだ。
 今回の奪還戦で戦場に配置された二体のアルテュールは、片方を倒すことで残る片方が覚醒することが判明している。
 これを阻止する方法は、タイミングを併せて両者を同時に撃破すること。説明だけ聞けば難しく感じるが、何ということは無い話だと鏡子は思う。
 その理由は至ってシンプルだ。目の前の敵戦力を削れば、それだけ撃破は容易となる。つまり暴れて暴れて暴れまくれば、目論見を叩き潰すことが出来る。力を以て敵の小細工をねじ伏せる、鏡子にとっては普段と変わらぬ戦いという訳だ。
「ほんなら、今の内に大暴れさせて貰いますえ」
 揺らめく陽炎を背に、両腕に『加速鉄杭・胡蜂』と『電影鏑・婚ひ星』を装着した鏡子が微笑む。
 道を塞ぐあらゆる存在を撃破粉砕蹂躙する、それは鬼神の浮かべる笑みであった。

 かくして砦の防衛戦力を撃破すべく、4人の復讐者たちは襲撃準備を整え始めた。
 撃破目標の怨讐騎士たちは、未だ隊列を維持したまま砦へ続く道に立ち塞がっている状態だ。そこには、指揮官たる大元帥の拠点を、絶対に死守するという堅い意志が感じられた。
『これより先には、進ませぬぞ!』『我らの忠誠、侮るな!』
「忠誠、忠誠ねぇ……」
 未だ戦意旺盛に身構える騎士たちを前に、ヴェルチ・アリ(GE-07・SOL01847・g03614)がふっと吐息を洩らす。
 魔女たちの言葉が本心であることを、彼は理解していた。実際、ラ・ピュセルの作戦に参加するのが初めてであれば、自分も彼らの忠誠を信じたかもしれない。
 だが――それは最早、彼にとって無意味な仮定に過ぎない。このラ・ピュセルというディヴィジョンで、魔女が繰り返して来た行いを、余りに多く見過ぎてしまったからだ。
「そう、俺は幾度も見て来た。復讐を謳い、復讐を叫び、復讐に嗤い。その復讐という名目の為に何もかもを赦し、楽しみ、人の命を弄ぶ、お前たち魔女の存在を」
「ああ。彼らは、滅ぼさねばならない『敵』だ」
 ヴェルチの言葉に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が同意を示す。
 彼もまたヴェルチと同様、このラ・ピュセルに長く関わって来た復讐者の一人。それだけに今回の奪還戦に懸ける想いも、並ならぬものがある。
(「魔女勢力との本格開戦は、無辜の人たちの火刑儀式だった。あの劫火と激しい憎悪を、人々にさえ向いた激しい復讐を、忘れたことはない」)
 そう――彼もまた見て来た。幾度にも渡る戦いの中、手が届いたものも、届かなかったものも。
 故に彼は決めた。憎悪と狂気の炎が燃え盛るラ・ピュセルの戦いを、ただ走り続けて報いると。
 そんな長き日々に終止符を打つ為にも、奪還戦へと至る作戦は、一つたりとも落とす訳にはいかなかった。
「準備完了だ。……さあ、行こうか」
 連携用のパラドクス通信を介し、エトヴァの静かな声が仲間たちの下へ届く。
 それを合図に、復讐者たちは未だ抵抗を続ける怨讐騎士の部隊に向かって行った。

 ズン、ズンと地響きを立てて、鏡子が正面から敵陣めがけ突撃する。
 速攻での襲撃、そして撤退という立ち回りが求められるファーストアタックにおいて、彼女が取る戦術は常に明快だ。
 即ち、全力で突撃し、時間の許す限り暴れ散らかす。単純にして効果的、力で無理を押し通す鬼人の戦いである。
「まずは一撃──ご挨拶仕る」
 渾身の力で踏み込むと同時、左腕に装着した胡蜂がブンと唸りを上げた。殴り飛ばしたものを悉く粉砕する、純粋かつ単純な殴打である。物理で殴る――言葉にするだけなら簡単だが、鬼人である鏡子の膂力をもってすれば、それは魔女すらも葬るパラドクスに昇華するのだ。
「刹鬼顕現、毘藍婆。止められるもんやったら止めてみよし!」
 轟音が響き、大地が揺れる。
 左の胡蜂に続き、右で繰り出す婚ひ星の連撃が、馬鹿げた重量を伴う火力を以て怨讐騎士の隊列を蹂躙する。拳を浴びたが最後、魔女は為す術なく叩き潰され、虫のように絶命するのみだ。
 そうして鏡子が構築した戦線へ、アンゼリカは光の剣を構えて飛び込むと、更なる追撃を騎士たちへ叩き込む。
「容赦しないっ! 私の一撃、受けてみろーっ!」
 同時、戦場を席巻するのは眩い光。裂帛の気合と共に放ったパラドクスの閃光が、衝撃波を伴って荒れ狂い、魔女の組んだ隊列を容赦なく切り崩していった。

 鏡子の突撃を筆頭に、波濤のごとく押し寄せる復讐者たちの猛攻。
 それを前に、怨讐騎士の部隊は櫛の歯が駆けるように頭数を減らして尚、熾烈な抵抗を続けていた。
『ディアボロスめ、よくも!』『我らの復讐心、受けるがいい!』
 復讐心を秘めた斬撃を浴びせ、エネルギー弾を放ち。同胞の屍を踏み越えて戦い続ける怨讐騎士たちの姿は、何も知らぬ者の目には勇敢に映ったかもしれない。
 だが、そんな彼らに復讐者たちが浴びせる攻撃は、どこまでも苛烈で容赦がなかった。
「……捉えた。逃がしはしない」
 エトヴァは二挺の銃を構えると、青炎を宿した弾丸で手負いの騎士を討ち取っていく。
 昂揚めいた感情は一切なかった。そこにあるのは、義務感と使命感――この長き戦いを終わらせることへの誓いだ。
 一切の隙を見逃すことなく、発動した『Glänzende Meteore-Σ』の弾丸は尚も止まず、騎士の命を片っ端から奪い去る。
「――光、疾く、翔けよ」
 エトヴァの声に従うように、青き炎を帯びた弾丸が騎士の装甲を穿つ。
 鎧を溶かし、肉を焦がし、燃え盛る炎のパラドクスは魔女たちに逃れ得ぬ死を齎していった。中には鎧の中から憎悪の言葉を洩らす者もいたが、それもすぐに炎に包まれて消えていく。
『畜生め! 呪われろディアボロス、呪――』
「……炎の使い方がなってねぇんだよ」
 大剣に復讐心の炎を宿し、攻撃態勢を取る騎士。その言葉を遮ったのは、ヴェルチが照射するパラドクスの熱線だった。
 敵の言葉とは対照的に、ヴェルチの紡ぐそれはどこまでも簡潔だ。そんな彼が一撃に込めた想いは、しかし幾千の言葉より雄弁に、騎士の肉体を焼き焦がしていく。
 復讐の感情を抱くことを責める気は、ヴェルチには無い。彼もまた、同じ感情を味わった身だからだ。
 そんな彼がこの戦場に立ち、魔女たちを討つと決めた理由は非常にシンプルなもの。即ち、
「本当の炎を今から魅せてやる。文字通り、その全身で味わっていけ」
 回避も防御も許しはしない。ヴェルチは魔女の肉体を焼き焦がし、そのまま敵の隊列を薙ぎ払う。
 後には只、消し炭と化した亡骸が残るばかり。その宣言に違うこと無く、ヴェルチの炎は未だ鎮まることを知らない。

 戦場を満たすパラドクスの炎が、魔女を灰燼に帰していく。
 肉の焦げる不快な臭いが立ち込める中、燃え尽きた魔女の残骸が戦場に満ちていく。
 その只中、光の刃を振るい続けるのはアンゼリカだ。鏡子と共に最前列に立ちながら、彼女は『光剣閃波』を駆使し、迫り来る魔女を撃破していく。
「どんな相手でも、この光剣で叩き斬るよっ。負けるもんかーっ!」
 勝利への誓いを胸に振るう剣の切先より、眩い閃光と衝撃波が魔女の隊列を薙ぎ倒す。残留効果で狙いの精度を増した連撃は騎士たちの急所へ直撃し、その肉体を消し飛ばしていった。
『ぐがぁっ!』『ぎゃぁぁっ!』
 アンゼリカを始め、復讐者の連携攻撃で頭数を減らした騎士たちは、既に壊滅寸前の状況だ。
 戦いの勝者はもはや自明。にも関わらず、増援が現れる気配は未だ無い。鏡子はアルテュール3世が籠る砦を見澄まして、皮肉な笑みをふっと漏らす。
「さてもさても、演説をぶちかまして部下の騎士も士気高揚。その割には、伏魔殿に最短で突っ走れる道中に大軍勢を置いて待機かいな」
 配下である魔女たちの戦いぶりを見ても、アルテュール3世が有能な将であることはほぼ確実だ。
 そんな敵を、わざわざこのような場所に配するということは、かのパンデモニウムは魔女勢力にとってよほど重要な切札であるのだろう。
 来たる奪還戦において、かの伏魔殿は確実に撃破せねばならない。その決意を、鏡子は改めて不動のものとした。
「歪み果てとるとはいえ、復讐を行動原理にしとる奴を残しといたら後の禍根になるのは明白やさかいな」
「ああ。これ以上、この世界の惨禍をばら撒くような真似は阻止しなければ」
 後方より魔女の群れに銃撃を浴びせるエトヴァが、通信機を介して同意を返す。
 パンデモニウムも、アルテュール3世も、そして断片の王ジャンヌも、決して逃がす訳には行かない。奪還戦の勝利を誓うエトヴァの意思を映すように、二挺の銃は高らかに銃声を響かせ続けた。

 戦場にパラドクスの光が煌く度、騎士の骸が増えていく。
 その勢いは留まる処を知らず、もはや敵は数える程にまで規模を減らしていた。
「敵の増援部隊も、まだ来ない……! よし、後少しっ!」
「そうだな、頃合いだ。一気に押し切ろう、皆」
 アンゼリカの言葉に頷いて、エトヴァが合図を送る。
 それに応えるように、復讐者たちのパラドクスが集中砲火となって次々に怨讐騎士に襲いかかった。
 アンゼリカと鏡子は各々の得物を振るいながら、抵抗する魔女たちをねじ伏せ、粉砕し、轢き潰していく。防御力の強化に加え、グロリアスの回復支援も得ている今、戦闘不能者が出る恐れは絶無だ。
『く……くそ! なぜ我らが、このような……!』
「これが、復讐のための戦いならば。……俺は人々の自由と未来のために戦う」
 苦し紛れに騎士が放つエネルギー弾を盾で受けながら、エトヴァは静かな声で言う。
 今までに、幾多の戦いを乗り越えて来た。魔女の策略にも、理屈にも、負けはしない。
 やがて、激しい逆説連鎖戦の末にエトヴァが青炎の弾丸で騎士を葬り去ると、僅かに残る敵群へ最後の一撃を繰り出さんと飛び出す影があった。
「ここに示す。太陽は、ここに在り」
 それは、『アプリレの灯火』を発動したヴェルチだった。
 今こそ戦いを締め括る時――そう告げるように、彼の掲げた掌に膨大な熱エネルギーが凝縮する。
 網膜を焼くような光を放ち、紅蓮の力渦巻くそれは、パラドクスで生じた極小の太陽。怒りの熱線を全力で照射しながら、ヴェルチは死にゆく魔女たちを真正面から睨みつけた。
 弔いの言葉は送らない。人々に惨劇を齎すクロノヴェーダは、ただ灰に帰すのみだ。
「お前たちは、あまりに多くの嘆きを、悲しみを、生み出しすぎた。だから……ここで、弔いの火をぶち上げろ!」
『う……うぎゃあああぁぁぁぁぁ!!』
 その一撃をとどめに、戦場からは断末魔の叫びが途絶え。
 辺りを包む静寂と、転がる騎士たちの死骸が、戦いの決着を復讐者たちに告げていた。

 かくして怨讐騎士の部隊を一掃した後、復讐者たちは直ちに戦場を後にした。
 増援部隊からの追撃を防ぐ為にも、長居は無用。不必要なリスクを避ける為にも、早くこの場を離れなければならない。
「よし、撤退だ。これだけ燃やせば、敵戦力も多少は減っただろう」
 先頭で退路を切り拓きながら、ヴェルチは達成感にふっと吐息を洩らす。
 自分を含め、復讐者の中に深手を負った者はいない。全員が無事に帰還を果たせたことを確かめて、ようやく成功の実感が湧いてくる。これで、後は本番の奪還戦を勝利で飾るのみだ。
 後方ではアンゼリカが万一の追撃に備え、泥濘の地を発動しながら殿を駆けていた。ふと振り返った先、彼方に現れた増援部隊を認めると、彼女は駆ける速度を上げる。
 彼我の距離は十分に開いており、追いつかれる恐れは最早無い。作戦は完全成功で幕を下ろし、奪還戦における復讐者たちの戦いを一層有利にしてくれるだろう。
「いよいよ本番の日も目前だね。キマイラウィッチの暴虐を終わらせ、最終人類史に凱歌をあげよう!」
 来たる決戦で勝利する心を一つに、仲間たちが笑顔を返す。
 戦いを終えた復讐者たちを乗せて、時空間移動列車が新宿島を目指して走り出す。
 西暦2025年、4月18日。
 火刑戦旗ラ・ピュセル奪還戦、そのファーストアタックの新たな成功を告げる報せが、こうして新宿島へ届けられた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2025年04月18日