リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
拠点の観測も早速役に立ったかな
亜人型より融合精度の高まりを感じてしまう…
即座に防衛できるのは僥倖だ
【水面走行】を借り対馬へ向かう
双眼鏡で遠方より海のアルタンの分布を観察
海中にもいると油断せず警戒、潜水スーツとマスクで水中戦にも対応
仲間と連携、密に情報共有と意思疎通を
まず【通信障害】を発動、遠距離通信を遮断
海上に集まられると大変だ
なるべくその場の一群単位で分断し、都度倒しきる
戦闘の合間があれば双眼鏡で周囲を確認
先に基地を攻められたり、上陸の隙があれば、海戦を減らし陸地から仕掛けての交戦を検討
海戦の不利さや、現場状況にて判断
陸と海含めた挟撃に気を付け、戦場を位置取る
海では、アルタンの連携や海戦の強み、高速機動や水中攻撃に警戒し
味方と背を守りあうように死角を減らし、PD攻撃
一撃で倒せる>消耗した個体の順に狙い、確実に数を減らす
基地では遮蔽物や建物の死角も利用し、孤立した個体あれば狙う
敵を観察、砲門に対し魔力障壁を展開、タワーシールドを構え面で光線を防ぐ
足元の魚雷や接近にも同様に
三間・勲
(連携アドリブ歓迎)
あの姿…懸命に戦ってきた敵の事を想うと複雑な気持ちです
龍驤や静寂の武蔵を沈めた側として、代わりに海を守る責任を果たします
対馬は彼等にとってヤ・ウマト侵攻の橋頭堡、何としても確保したいはず
冥海機の特徴として全体の勝利の為に戦略を立て、時に犠牲を厭わず行動する可能性に留意
敵の目的は拠点の防衛と仮定し、敵群が規則的な陣形を成したりこちらの連携の妨害を試みる事を警戒します
【水面走行】の他、適宜有効な効果をお借りして行動を
孤立は避け味方と互いの側面や背後を守るよう連携、戦闘で得た所感と情報も積極的に共有します
召喚した小型の航空機を相対する敵群に対し横一列に配置
突撃させながら制圧射撃で動きを抑えつつ攻撃します
個体数を着実に減らす事を心掛け、こちらの戦線を乱す動きを察知出来れば臨機応変に航空機を旋回させ優先して対処を
攻撃の前後に移動を挟み反撃の光線を身体の中心から逸らしつつ、氷盾を用いて負傷を軽減
再攻撃時は味方の攻撃の合間を狙うように攻撃を続け、戦線を押し上げ拠点の制圧を目指します
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
冥海機アルタンですか…
予想の範囲内ではありますが、彼らの進化はどこまでいくのかと薄ら寒くなります
強敵であることは疑いようがありません
全力で参ります
水面走行をお借りして海上のアルタンを攻撃しつつ対馬上陸を目指します
宙に展開した鍵盤で「白の舞踏」を演奏
黒衣の死神を喚び、深い深い水底へと引きずり込んで差し上げましょう
集団戦が得意な相手と心得、仲間と出来るだけ離れず
進行方向の体力の減った敵から声を掛け合い集中攻撃で数を減らし
泥濘の地発動で一斉に群がれる事を抑制しつつ対馬上陸まで突破します
冥海機の特徴といえば砲や魚雷に加え、水中での自在な動き
しかし陸上戦はあまり得意ではなかった筈
冥海機アルタンの陸上の動きはよく観察しておきたいです
もし海中での動きが機敏な代わりに陸上では少し動きが鈍るようなら
対馬に上陸後、陸上を先に掃討し海上から迫るアルタンを陸上へと誘導して撃破も考慮
何れにせよ囲まれぬよう常に警戒します
反撃の砲には魔力障壁を展開して凌ぎ
攻撃は最大の防御と心得、指の動く限り演奏します
シル・ウィンディア
アルタン・ウルク、進化というか吸収というか、変異しているんだね。
海戦型特化なのかなぁ。
もともと海中でも行けた相手だったけどね。
水面走行の効果を借りて海上で迎え撃つよ。
突出や孤立しないように注意を行いつつ戦闘行動を開始だね。
高速詠唱で隙を減らしてからの竜雪光風撃を撃つよ。
初撃の狙いは、まだ攻撃の対象になっていない、かつ、手近な敵から攻撃だね。
高威力だから撃破の足掛かりにしてもらうように攻撃を行うよ。
初撃以降に関しては、味方の攻撃した敵を中心に攻撃対象を取っていくよ。倒せるときは、確実に倒すようにしないとね。
敵攻撃に対しては、世界樹の翼type.Aを回転させて防御態勢をとるよ。
でも、真紅の光線を連射って、なんだか攻撃がより激しくなっている気がするんですけどーっ!
攻撃を行いながらも増援などを警戒して対馬の方を警戒するよ。
増援が来た時は警告を発してみんなに伝えるね。
基地付近にもいる可能性はあるから警戒はしっかり、だね。
しかし、どんどんアップデートしていっているね、アルタン・ウルク。
やだなぁ…。
白石・明日香
アドリブ連携可
全く・・・亜人型が出てきたと思ったら今度は冥海機型か脚がないということは上陸を考えていない?
どちらにしてもやるしかないか!
【水面走行】を使って対馬目がけて一直線に向かうよ。水上だけでなく水中の敵も警戒しながら皆とペースを合わせて進み
標的を見つけたら先手必殺とばかりに早業でアルタンの目を撃ち抜くよ!
融合はまっぴらごめんだから向こうが高速で迫ってきたらその軌道を見切って躱し伸ばしてきた腕は斬り祓いあるいは撃ち落として迎撃し捕まれないようにするよ。
しかし、こいつら冥海機特性を得ているのか・・・どこら辺が共通しているのか比較しながら戦い続けようか。
随伴艦で強化される特性は・・・いないからわからないけど。
そして融合しようと掴んでくるなんてなんでも食らう習性が手になって出てきたということか?
いずれにしてもこいつらが大挙としてやってきたら・・・まずいわね。
月鏡・サヨコ
かつて対馬はモンゴル帝国の苛烈な襲撃を受け、全域を制圧された
敵が自らの原型を認知しているかは不明だけど……
いずれにせよ、繰り返させはしない
【水面走行】を借り、水上を駆け回って戦おう
私は【パラドクス通信】を共有し、水中と水上での連携や敵位置の情報共有を容易にする
互いの状況を把握し、少数が孤立して集中攻撃を受けるリスクを低下
挟撃や意識外の奇襲を目論む敵にも、各員の情報を集めれば未然に対応できる率は上がる
目視と≪試製型攻性電探≫で索敵し『高出力殺傷電波砲「Z」』で攻撃を行う
指向性電磁波で急速に敵を加熱し、肉体の中心部にまで熱傷による破壊を浸透
冥海機の性質を得たなら、従来より高度な指揮能力を備えている恐れがあるか
眼の発光や咆哮で仲間を統制する練度の高い個体がいれば優先的に狙おう
触手が伸びてきたら≪対艦軍刀『銀鉤』≫で切り払うか、≪海戦装用増設防盾≫で防御
肉体や海戦装の中枢機関が融合されないように
上陸を妨害する敵を排除したら対馬へ
建造物内部や物陰から触手が伸びて来ないか注意しつつ、基地を制圧しよう
ラズロル・ロンド
次は冥海機型アルタンか…侵攻する地への適応力とでもいうのか?
敵地排斥力への対策なのか?
まったく苦々しくも興味が尽きないよ
対馬をアルタンから奪取すべく
掃討を目的に仲間と足並みを揃え迎撃していくよ
水面走行を借り【冷気の支配者】で周囲のアルタンが近づく足を鈍らせ
押し寄せ対策に
通信障害で対馬一帯のアルタンが押し寄せる事態も阻もう
各個撃破で着実に減らし優位に戦える場所を探りつつ
アルタンを倒しまわっていこう
冥海機化で攻撃パターンが変わった所、アルタン同士の連携度合いなど違いを観察
海での動きが俊敏そうなのは警戒を
陸上戦の方が戦い安いなどあれば上陸を優先した動きに変え
声掛けで仲間達と連携し動きを合わせよう
暴風雪を込めたパラドクス攻撃で動きを阻害しつつ
トドメを狙える敵から優先的に攻撃
反撃の追尾ミサイルは着弾前にパラドクスで迎撃するか
魔障壁でダメージ軽減を図る
一帯のアルタンを倒したら索敵するか一瞬通信障害を解除するなど
僕等が有利に戦える地にアルタン誘き寄せも試してみる
このアルタンは僕等をどう感知するのかな?
百鬼・運命
さてと…対馬は前から注目していたけど、こういう状況になっているか
ロマノフにあふれ出さなくなった分こっちにあふれてきたか?
となるとここで抑え込むと、次はこっちの奪還した土地かリグヴェーダあたりにあふれ出しそうな気もするが…まあ、それはまず此処を抑え込んでしまってからだな
さて【水面走行】を持った味方がすでに水上に展開しているが、敵の見た目から察するに相手は水中の行動も可能そうだ
こちらは水中から敵を倒していこう
パラドクストレインから【水中適応】で潜航
今後の調査もあるし、その参考の為にも可能なら周囲の様子を確認しつつ戦闘を開始しよう
冥海機は一般人も使うからその随伴艦が沈没している可能性なんかもある
そういったものの有無でも、後の調査でそちらを調べる選択肢も出てくるが…
これまでのパターンだとアルタン・ウルクが海底一面にひしめいている可能性も高いな
なにはともあれ敵を発見次第、【ツインボルテクス】で攻撃をしていこう
今度の新種は冥海機を模したそうだが、これまでとどのように変わ高そこらへんも測っていこう
喩・嘉
幸児(g03876)と共に行動する。
※アドリブ・連携歓迎
もちろん別個体になるわけだが
アルタン・ウルクってのは全体で1個体みたいなもんだろう
前回深手を負わされた借りを返さないとな
【水面走行】を活用させてもらって仲間たちと共に戦場へ移動
状況を見極めてから【水中適応】を活用して、幸児と共に水中へ
【完全視界】を使って、視界を確保
敵も水上、水中を縦横無尽に活用してくるだろうからな
こちらも両側からの対応ができた方が良い。
俺たちは水中だ。そろそろ、アルタン・ウルクとの水中での戦いに慣れてきたところだ
『無明轟刃』を使用。
敵の動き、触手や砲撃などの攻撃を見極め、素早く間合いを詰めて
『赤華刀』で敵を切り裂き、一体ずつ、しかし群れを薙ぎ払っていく
幸児の使役する水の鮫とも連携して敵を翻弄してやろう
戦いながら守るものもなく、こちらの退き際を見極めなくてもいい
ただ目の前の敵を撃退させりゃいいってのは、楽でいいな
幸児がSPDやWIZで狙われていた場合、ディフェンス
反撃でもダメージを稼ぐ
守都・幸児
喩嘉(g01517)と一緒に行動するぞ
※アドリブ・連携歓迎
前回の傷もすっかり治って絶好調だ
だが俺はともかく、喩嘉にまで怪我させやがったことは許せねえ
てめえら、これから万倍にして返してやるから覚悟しやがれ
…にしても
とんでもねえ姿してやがるな
【水面走行】を借りて皆と共に戦場へ
喩嘉と共に【水中適応】を使い、敵群を水中から急襲する
俺の使う技は「オーシャンファング」
海水でできた鮫を使役する技だ
初めて使うが、式神の使役は慣れてるから問題ねえ
鮫のことは新宿島で映画見てしっかり勉強したしなあ
【完全視界】で敵群の位置を確認
まずでかい鮫を召喚して、複数の敵に纏めて食らいつかせる
それから複数の鮫を同時に召喚し
喩嘉と連携させながら、状況に応じ使い分けて攻撃するぞ
敵の触手が何に変化するか注意して観察する
触手の手や発射機関は鮫に食い千切らせ
砲門には発射される前に鮫を突っ込ませるぞ
魚雷や光線の射線には鮫を割り込ませ、盾としても使う
喩嘉がPOWで狙われていたらディフェンス
反撃でもダメージを稼いで敵の数を確実に減らしてく
エレオノーラ・アーベントロート
今回のは通常種と変わらぬ戦闘力に冥海機に近い特性ということですけれど、ホラーサーンで見た亜人型のアルタン・ウルクは「集団敵としては通常種より手ごわい」なんて話もありましたわね。
冥海機型の特性を考えると、あれは集団で敵を囲む亜人どもの特性を取り込んだ結果……なのかもしれませんわね。
【水面走行】を借り、対馬の基地に向けて出撃しますわ。
水面だけでなく、水中にもアルタン・ウルクが居るでしょうし、水中も警戒して意識の外から攻撃を受けることがないように。
その補助として【冷気の支配者】を使いますわ。
動きが遅くなればこっちを囲むのも不意を撃つのも遅れますものね。
戦闘は電磁レールガン「フェアレーター」から放つ「第四十九の魔弾【氷剣】」で。アルタン・ウルクの身体を凍らせ、打ち砕きますわ。
水を操作しての高速接近を【冷気の支配者】で遅らせ、掴みかかる腕をフェアレーターで受け、【氷剣】の魔弾で破砕しましょう。
見た目は冥海機のなりそこないですけれど、確かに能力は冥海機ですわね!
●出撃
パラドクストレインは冥海機ヤ・ウマトディヴィジョンの対馬沖に到着した。10月の空と海が青く広がる風景の中に、ディアボロス達が次々と現れる。彼等の足元で波は鎮まり、海は鏡のように凪いだ。
疾走する影は11。対馬に待つ戦いを前に彼等の思いは様々だった。
「今度は冥海機型アルタンか……侵攻する地への適応力とでもいうのか? 敵地排斥力への対策なのか? まったく苦々しくも興味が尽きないよ」
ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)がぼやく。
「拠点の観測も早速役に立ったかな。冥海機型には亜人型より融合精度の高まりを感じてしまう……即座に防衛できるのは僥倖だな」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が冷静に応じ、通信障害を発動した。
「アルタン・ウルク、進化というか吸収というか、変異しているんだね。海戦型特化なのかなぁ。
もともと海中でも行けた相手だったけどね」
シル・ウィンディア(虹を翔ける精霊術師・g01415)の言には幾つも頷きが帰った。
アルタン・ウルクとの戦いを重ねてきたディアボロス達には、これまでの戦闘経験を思い返す者達もいたのだ。
喩・嘉(瑞鳳・g01517)と守都・幸児(祥雲・g03876)も参戦していた。
幸児が、軽く肩をゆすりながら吐きだす。
「前回の傷もすっかり治って絶好調だ。万倍にして返してやるから覚悟しやがれってな」
前回の奴らとの戦いが記憶に蘇り、直接言葉には出さぬ思いに、幸児のまなざしは戦意に満ちている。
喩・嘉は視線を彼に向けると、言いたい事全てを理解したように言った。
「もちろん別個体になるわけだが、アルタン・ウルクってのは全体で1個体みたいなもんだろう。前回深手を負わされた借りを返さないとな」
「……にしてもとんでもねえ姿になりやがったな」
白石・明日香(弔いの狩人・g02194)も仲間の言葉を耳にして密かに頷く。
(「全く……亜人型が出てきたと思ったら今度は冥海機型か」)
全くもって油断のならない敵である。まあどちらにしてもやるしかない、のであるが。
アルタン・ウルクという敵の特性を考察してみる者もいた。
百鬼・運命(ヨアケの魔法使い・g03078)は皆の少し後方にいた。
(「……対馬は前から注目していたけど、こういう状況になっているか。
ここで抑え込むと、次は別の場所にあふれ出しそうな気もするが……まあ、それはまず此処を抑え込んでしまってからだな」)
エレオノーラ・アーベントロート(Straßen Fräulein・g05259)にしても、銀髪をなびかせて海面を駆けながら、脳内に浮かぶのはホラーサーンの出来事だ。冥海機型アルタン・ウルクを、亜人型のそれと比較したくなるのは自然な思考だろう。
月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)の思いは改ざん前の歴史にあった。
(「かつて対馬はモンゴル帝国の苛烈な襲撃を受け、全域を制圧された
敵が自らの原型を認知しているかは不明だけど……」)
隣で三間・勲(漁火・g10186)がぽつりとつぶやいた。
「あの姿……懸命に戦ってきた敵の事を想うと複雑な気持ちです」
「……ああ」
「龍驤や静寂の武蔵を沈めた側として、代わりに海を守る責任を果たします」
サヨコは盟友に確りと頷く。いずれにせよ、繰り返させはしない、と。
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は形のいい唇を引き結んでいた。金色の後れ毛が風をはらんで光を弾く。
冥海機型アルタン・ウルク……予想の範囲内とはいえ、彼等の進化はどこまで続くのか。
(「強敵であることは疑いようがありません。全力で参ります」)
●対馬
見えてきた島影は最終人類史に知られる風景よりもずっと小さい。そして改ざん前の歴史にはいるはずのないモノたちが、黒くうねって群れをなし、赤い光が明滅する。
「いるな」
エトヴァが双眼鏡を構えて言った。
「配置は……」
横に肩を並べたラズロルが気合を入れる気配がする。
サヨコが「使ってくれ」とパラドクス通信を起動した。
「敵は陸地にある基地跡の制圧にむかっているようだ。少なくない数が上陸とみえるが、海面に多数」
風が速い。
ラズロルとエレオノーラが冷気の支配者を、ソレイユが泥濘の地を、喩・嘉は完全視界を発動し、臨戦態勢がとられた。
また幸児と喩・嘉は素早く海面下から浮上し、すぐに報告した。
「今回は水中にはいないようだ」
「ああ、少なくとも今は姿がねえ。それよりも水上がまずいぞ」
運命も素早く仲間の言葉を裏付ける。
「これは……敵は水面と陸地に総力展開するつもりだろう。こっちも全力で対応の必要があるだろうな」
運命は独自に調査したいこともあったが切り替えて作戦の成功を優先した。
(「……沈没した随伴艦なども一見見当たらないが、狭い範囲の捜索では意味がないからな」)
運命は敵の挙動から、水中の様子を観察をしている状況ではないと即座に判断したのだ。
続いてサヨコと勲の声が次々にパラドクス通信に流れる。
「敵のサイズは2~3m」
「大型の冥海機相当です。しかも海上での移動速度も悪くない感じです」
ラズロルがぼやく。
「元の形態は海面ではそんなに速くもなかったのに、まったく……」
皆が口々に告げる。
「来た」
「来ました」
「敵、反転。迎撃に向かってきますわ」
最早誰の目にも、海面のアルタン・ウルクが波を蹴立てて進路をこちらに向けたのがわかった。
「来るよ。行きますっ!」
青い髪をなびかせてシルが高速で詠唱する。直後に、この戦いの火蓋を切るパラドクスの吹雪が巻き起こった。風雪が轟と海面を走り、同時に敵の赫眼光線砲が不気味な触手の砲門から発射され、次の瞬間激しく潮の柱が上がる。
青い風となったシルは小柄な体躯で巨大な風雪を操り、猛然と冥海機型アルタン・ウルクの群れに攻撃を開始したのだ。その背には小さな翼が輝いていた。
それに並び立つようにソレイユが水面を駆り、宙に展開した鍵盤に指を滑らせた。「白の舞踏」の旋律とともに黒衣の死神が敵へと突き進む。
『【氷剣】解放――』
詠唱とともに空気を斬り裂いて魔弾がとんだ。
エレオノーラが電磁レールガン「フェアレーター」から氷剣の魔弾を投射したのだ。銀髪が大きく風を孕んでうねる。
対馬近海での戦いがはじまったのだ。
●海戦
「遠距離通信は遮断されるから、これ以上の増援はないはずだが、都度倒し切ろう」
エトヴァは戦闘に突入する間際、そうパラドクス通信に声をかけ、そんな彼の傍らにはラズロルがいて。
「やつらの移動速度は落ちてるはずだから、あとは潰していくしかないね。じっくり観察する暇はなさそうだし、ここはやるしか」
「……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……」
ラズロルの言葉尻はアルタン・ウルクの唸り声にのみ込まれる。忽ちのパラドクスの応酬に海が逆巻く。
ラズロルとエトヴァは互いに背を預けて奮闘した。そしてラズロルは観察するまでもなく奴らの戦法を知ることになった。
二人は狙いを集中し、暴風雪の魔弾と雷撃が大きく敵を穿つ。
「大丈夫か」
「このくらい平気。確かに戦い方なんかは、冥海機に近いね」
ラズロルは手甲から展開した魔障壁に包まれたままそう言った。
「そうだな。とにかく確実に減らしていこう」
エトヴァがDonnernetz で攻撃を重ねる。彼の青空を映す髪が海風にゆらめくと、海上に電撃の閃光が屹立した。
二人は一体を倒すと、休む間もなく別の一体に挑む。
「冥海機の戦いを学習した事によって、この形状になったのかもしれないね」
「……全くやっかいな習性だな」
二人は戦いに邁進する。
「……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……」
戦場に満ちる奴らの声。
明日香は皆とともに敵の一団に仕掛けた。
今日の明日香には覇気がある。「先手必勝!」、手にした銃器で撃ちまくった。アルタン・ウルクの赤い目が幾つか裂けて唸り声が明日香を包む。
「……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……」
同時に触手が……手をかたどった触手が明日香の体をめがけ高速で襲い掛かる。
「いやいやいや、融合はまっぴらごめんだよ!」
明日香は剣をぬいて懸命にこれを斬りはらってダメージを抑えた。
(「しかし、こいつら冥海機特性を得ている……戦い方とか……随伴艦で強化される特性は……いないからわからないけど。……なんて、考えてるとやられるッ!」)
「明日香さん、気を付けて!」
背後から迫る一体を運命のパラドクスが押しのける。ツインボルテクスの水流がアルタン・ウルクの体を抉った。
「……!!!!」
明日香は怒りの(?)乱射で反応した。
(「融合しようと掴んでくるなんてなんでも食らう習性が手になって出てきたということか?」)
ホント、融合なんて考えただけで嫌すぎる……そんな顔つきの明日香に、運命は声をかけた。
「今回のアルタン・ウルクは海底じゃなくて、陸の基地跡と海上にひしめいているな。まあ海底までは手がまわらなかったか」
「あいつら、ここ分捕る気でしょ、そうはさせない」
「その意気だな。もう一押しいくか」
「というか、行くしかないのッ!」
明日香のパラドクスの弾丸が手負いのアルタン・ウルクにめり込み、追うように放たれた運命のツインボルテクスの水流が敵を海中に沈める。
「いいぞ、次いこう、次」
「対馬めがけて一直線だよ」
喩嘉と幸児は水中を進み、機をうかがった。
「俺たちは水中からだ」
「水中から急襲する作戦だな」
「今回本当に海中にやつらはいないようだな」
「陸と海上の戦闘で攻めるつもりか」
「一匹残らずぶっ潰してやるぞ」
幸児の手元に海水から巨大なサメが顕現する。パラドクス効果のおかげで水中の視界はクリアで、闇を恐れる必要もない。
「この技は初めて使うが、式神の使役は慣れてるからな」
狙いを定めて幸児は攻撃を開始した。
獰猛な海水のサメが海面を突き破ってアルタン・ウルクの虚をつく。一撃、二撃……跳ね回るサメに身体を食いちぎられながらも、異形の触手がぐにょりと蠢く。
「……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……」
そこに水中から黒い蝶が飛沫を散らして優雅に躍り出た。喩嘉の漆黒の刀身が疾風のごとく波間に閃き、赤い刃文が一瞬陽光に照る。
水中からの二人の奇襲は功を奏した。初手で大きく弾みをつけ、その後も二人は連携して畳みかけていく。
敵の触手の手を一部食いちぎって巨大鮫が暴れ、無明轟刃を使う喩嘉が容赦なく敵の不気味な体躯を斬り裂いた。
幸児の夜色の角は波間に仄かに深い青を宿し、濡れた喩嘉の黒髪に水滴が燦と光を宿した。
「戦いながら守るものもなく、こちらの退き際を見極めなくてもいい。
ただ目の前の敵を撃退させりゃいいってのは、楽でいいな」
敵を狩り、喩嘉の口元には薄く微笑みさえ浮かんだようだった。今日の戦いが決して楽なわけではないはずだけど、彼の脳裏には歴戦の記憶が浮かんだのだろう。
「……そうだな。けど油断するなよ、喩嘉」
幸児には彼をディフェンスする覚悟はいつでもある――それは喩嘉も同じだったが。そしてついでに反撃でダメージを狙うのだ。
同時に幸児は、前に喩嘉に深傷を負わせたアルタン・ウルクという種族を許すつもりは微塵もなかった。
「まあ、今日は撤退はなしだ、こいつらを殲滅するまでは」
「ああ。冥海機ディヴィジョンの対馬から駆逐しなくてはな」
海上の敵を掃討しながら、ディアボロス達はこのディヴィジョンの対馬――対馬基地への上陸を目指していた。
本来の対馬の中央部あたり、対馬基地とその周囲の部分の島だけがこのディヴィジョンの対馬だった。
そして激戦の末、冥海機を喰って現れたのがこの――。
勲は器用にパラドクスを操った。横一列に並んだ小型の航空機が整然と敵を攻撃する。銃弾が海を走って波しぶきが燦然と散り、敵の身体がダメージにうねる。
触手は見る間に巨大な砲門を形成して、赫眼光線砲が勲の氷盾に乱反射する。
勲は戦いながら、そのアルタン・ウルクの姿にどこか苦々しい気持ちを覚える。敵を屠りその特性を取り込むやつらの性質はむごく、言いようのない危険を感じさせた。
「対馬は彼等にとってヤ・ウマト侵攻の橋頭堡、何としても確保したいはずです」
「ん……?」
サヨコはそれは勲の独り言かと思ったが、近づいてきた陸地に目をやった。島には基地らしい破壊された施設がみえ、そこにもやつらが、うようよといた。
「どうやらそうらしい……」
サヨコの使うパラドクス、『高出力殺傷電波砲「Z」』がかすかな振動をつたえてくる。サヨコもさっきから忙しかった。索敵する必要もなく、群れが攻めてきたのだから。
「冥海機の特徴には全体の勝利の為に戦略を立て、時に犠牲を厭わず行動するというのがあると思いますが……」
倒したアルタン・ウルクが波に呑み込まれ新たなアルタン・ウルクがそのあとを埋める。
「特徴まではどうだろうか」
パラドクスの応酬。
泡立ち高く飛沫を上げる海。
慣れた海戦、だが敵は冥海機ではなくその特徴を得たアルタン・ウルクなのだ。
「そうですね。犠牲を厭わないというよりは……こいつらの場合は死にたくないなどという理由で、作戦目的に反する行動をしない、のかな……」
勲は戦闘しての感触から、自分の疑問に自分で答えを見出す。
新たな敵を前にすればその戦術や特性を探りたくなるのがディアボロスなのだろう。最も彼等の場合は身をもって戦闘経験から考察しているのであるが。
サヨコは別の点に注目していた。
「冥海機の性質を得たなら、従来より高度な指揮能力を備えているということは……」
ひとしきり、戦闘音が会話を遮断し、会話は切れ切れに続く。
「なるほど、指揮能力ですか。しかし、今回は命令を出していそうな個体は見当たりませんね」
サヨコは海戦装用増設防盾で触手を弾いてダメージを抑える。同時に連携攻撃を受けた一体がまた海に没した。
「そう。見当たらない……もしかしたら」
「え?」
「指揮官タイプは確認されない……つまり、全ての個体が、同じような状況判断を行なって、自分がするべき事をしている事で、連携が取れているように感じられるのかも」
「月鏡さん、それって……」
二人は一瞬視線をかわし、再び戦闘に没頭した。
●対馬基地
乱戦状態の中、ソレイユたちは陸地に一番近い場所にいた。彼は対馬上陸をめざし、一時も休まず宙に展開した鍵盤を演奏し続けた。
「前方のあれを狙いましょう」
「了解」
「はい」
シルとエレオノーラが反応する。
乱戦とはいえ、完全に孤立した者はいない。まだ誰も倒れていない。
ディアボロス達は十分優勢に戦っていた。
ソレイユは白の舞踏を演奏しパラドクスを放つ。
(「深い深い水底へと引きずり込んで差し上げましょう」)
普段は穏やかな瞳が苛烈な戦意を宿して敵を射る。
「……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……」
ここまで来ればもう陸地は目の前だ。海上のアルタン・ウルクはディアボロス達の奮闘で数を減らし、この基地にいた群れがディアボロスを目指して集結してくる。
「でももう、これ以上は増えないようですわね」
エレオノーラが乱れた銀髪を一筋かきあげ、フェアレーターを発射する。
「ここにいるのを全部倒したらおしまいのはずっ」
シルが同じ対象を狙って竜雪光風撃を叩きこんだ。
「増援はないみたいだねっ。基地付近にもいるからあと一押し頑張ろう」
敵が凍って弾け、グロリアスの癒しがシルを優しく包み込む。
彼等は立ち塞がる一体を葬ると、島へと走りだした。
対馬基地は戦いのあとをそのままに、荒廃していた。
捨て置かれたそこに、今は冥海機型アルタン・ウルクが巣くっている。
「上陸しましょう」
「了解。行くよっ」
「続きますわ」
エレオノーラは戦闘の僅かな間隙にパラドクス通信をつなぐ。
「対馬基地到達、上陸。接敵致しますわ」
ソレイユは先駆けて攻撃を放ちながら、陸地でのこのアルタン・ウルクの戦いぶりを掴みとろうとした。
(「冥海機の特徴といえば砲や魚雷に加え、水中での自在な動き。しかし陸上戦はあまり得意ではなかった筈」)
それならば、この冥海機型アルタン・ウルクはどうだろう?
ソレイユは攻撃を放ち、魔力障壁を展開して赫眼光線砲をしのぐ。
そして……彼は戦いの中で得た自分の感覚を認めざるを得ない。
「どうやら……この冥海機型は陸上では通常型のアルタン・ウルク同様に戦えるようですね」
シルも懸命に術を放つと、ソレイユに同意した。
「確かにこのアルタンは陸でも戦える。油断しないほうがいいよ」
「ええ! 見た目は冥海機のなりそこないですけれど、確かに海での能力は冥海機でしたわ。そして陸ではアルタン・ウルクと同じ性能……全く嫌なヤツですわッ!」
「とにかく、囲まれないように戦いましょう」
陸上での通常のアルタン・ウルクとの戦闘経験はある程度蓄積されている。
冷気の支配者と泥濘の地は少なくともアルタン・ウルクを遅くした。
(「移動速度が遅くなればこっちを囲むのも不意を撃つのも遅れますものね」)
エレオノーラはパラドクス効果の助けを借りて、アルタン・ウルクと戦った。それでも、魔弾の発射と同時に、蠢く触手の手がエレオノーラの肉体を掴みにかかってくる。
「ま、戦闘速度は同じでも、こっちも負けるわけにはいきませんわね!」
エレオノーラはフェアレーターで腕を受けてダメージを減らし、反撃をものともせず敵を撃ち抜いた。
「……シュゴォォォォ……シュゴォォォォ……」
シルは世界樹の翼type.Aを回転させて反撃の赫眼光線砲に耐え抜き、ぼやく。
「真紅の光線を連射って、なんだか攻撃がより激しくなっている気がするんですけどーっ!」
ディアボロスが力をつけてきたように、敵も……とは認めたくないものだ。しかしこのぼやきは、それを耳にした仲間の苦笑を誘った。
長く感じられた戦いはようやく終わりが見えていた。敵は残り少なくなり、味方は続々と対馬基地に上陸した。
崩れた壁の影から突如銃弾が走り、手負いの一体が電撃に撃たれたように弾け飛んだ。
「海は掃討完了した。大丈夫か?」
エトヴァがタワーシールドを手に障害物から飛び出してくる。
「良いところに。もう残りはこれだけですわ」
フェアレーターを手にエレオノーラが応える。
ディアボロス達が次々に残敵を囲んで倒してゆく――そして。
「最後の一体、もらったよー!」
ドオン、と巨大な風雪が巻き上がり、冥海機型アルタン・ウルクはその体躯を氷に覆われて弾け飛んだ。
チラチラと風花がシルの青い髪に舞って消え……静かになった基地を10月の海風が渡っていく。
「これで全部だと思うけど、索敵しようか」
ラズロルの声かけで、皆は散開する。
サヨコと勲が話している。
「物陰から触手が伸びてこないか、注意しよう」
「はい。拠点制圧が確認できればホッとできますね」
壊れた壁のあとを警戒しながら、二人は歩いていく。
「俺たちはこっちを見てみるか、喩嘉」
「ああ、いこう。油断はするな」
喩嘉と幸児も別の方向に歩きだした。
ラズロルは試したいことがあるとエトヴァに声をかけた。
「通信障害を一瞬解除するとか、やってみる?」
「そうだな」
エトヴァ達は試してみたが、特に何も起きない。
「よし……今回は既に対馬に襲来していた敵だけが相手だったから、何とかうまくいったな」
「うまくいってよかったよ」
エトヴァは少し移動しながらさらに周囲を確認する。
「霧は全く見当たらないな。……今回は通信障害がなかったとしても増援はなかったかもしれないが。同じ戦場内では通信障害の有無は関係なさそうだ」
しかし、それも万が一ということがある以上、通信障害を準備したのは賢明な策だったことは間違いない。
やがて索敵に出た皆が戻ってきて掃討完了が確認された。
「特に問題ないようだな」
運命が最後に基地を見渡しながら戻ってきた。
「あとはここの調査だな」と、運命は興味深そうな様子をみせる。
落ち着いたところで、ラズロルが戦いを振り返るように言った。
「優位に戦える場所はないか気を付けてみたけど、海では速くなり、陸での性能は変わらずだったね。なんというか……先行き嫌な感じがするよ」
ソレイユもぽつりという。
「私も冥海機の特性をもっているなら陸上では少し動きが鈍るかもしれないと思っていたのですが……残念でした」
明日香も呟くように話す。ピンクの長い髪がさらりと揺れた。
「今日はうまく追い払えたけど、こいつらが大挙してやってきたら……まずいわね」
爽やかな風が、このディヴィジョンの小さな対馬を慰撫するように吹き抜けていく。
「しかし、どんどんアップデートしていっているね、アルタン・ウルク。
やだなぁ……」
ついこぼれたシルの言葉は、皆の気持ちを代弁したものだったに違いない。
ソレイユはつとめて明るく言った。
「とにかく敵は掃討できました。あとは……」
続いては、この無人の基地を調査して、それから拠点の設置を試みる必要があるだろう。
対馬基地……ここでどんな事実が判明するのだろうか。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【通信障害】LV1が発生!
【水面走行】LV2が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV2が発生!
【水中適応】LV2が発生!
【完全視界】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV3が発生!
【ラストリベンジ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
【先行率アップ】LV2が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
白石・明日香
さてと・・・・調べることと言ったらまずはここでどんな戦闘があったかだね。
ここでどういう戦いが繰り広げられどういう結末を迎えたのか。それを知れば何か役立つかもしれないし。
【断末魔動画】が使えればいいけど人間の死体なんて残っているかな?地上だけでなく海中も探してあれば死体を調べてその死に様からどういうことが起きたのか判別できるかもだしなければ地道に基地の状況を丹念に調べて当時の状況を探るよ。
建物の破損状況、地面とかにある戦闘の痕跡から冥海機側がどういう風に戦ったか。脱出したのか全滅したのか・・・
武蔵が早々出るとは思えないからなにがしかのクロノオブジェクトでも持っていたのかな?
あったとしたら施設の中心部かな?判別で来たらそこ目指して探ってみようか。まあ、残っていないだろうけど持ち帰ったのか破壊したのかアルタンに食われたのかくらいは分かるといいけど・・・
月鏡・サヨコ
この作戦の発令はアルタン・ウルク冥海機形態発生の予兆観測と同日
予兆が過去の光景でも、基地の破壊が段階的に起きたなら、後に壊れた施設は【建物復元】が効くかもしれない
……試してみる価値があるな
基地壊滅の経緯を調査する仲間と【パラドクス通信】で連携して施設を視察
破壊痕が新しく復元できそうな施設の情報を聞くと共に、自分がそうした施設を発見したら無断で復元せず連絡
現況の記録や写真撮影、遺物回収等が完了した施設から復元を試行する
今後の防衛に有益なクロノ・オブジェクトや通常の道具があれば確保
クロノ・オブジェクトについては、復元できず残骸や一部のパーツしかなくても、存在するなら回収しよう
将来的に新宿島で研究すれば役に立つ希望はある
冥海機の全体的な傾向として、死守する必要なしと見た領土は呆気なく手放す面がある
武蔵との連絡途絶を踏まえて、対馬の防衛部隊や(いたとすれば)現場指揮のジェネラル級はここに残存したのだろうか?
彼らは別の場所に逃げて健在か、最期まで戦い続けたか。施設の状況や集めた資料を基に判断しよう
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
時系列も考え、基地を誰がどう破壊したかを手掛かりに、状況を探ろう
新宿から測定機器を持ち込み
動画や写真、記録を取っていく
焼け跡や破壊の形状など、基地の破壊のされ方を主に、周囲の戦闘痕を調査
基地の情報部分や機械類があえて破壊されているか否か
「どのように」「どんな種類」の攻撃で破壊されたか
侵攻の方向性
……等から、交戦の様相を調査
・基地を破壊したのは冥海機・通常型アルタン・冥海機型アルタンのいずれか
冥海機は自ら基地を破壊して、撤退する事がある……
破壊の跡がどちらの特徴を示すか
「無差別の破壊」「意図をもった破壊」の有無
光線や魚雷等によれば、冥海機か、冥海機型アルタンなのか
そこから基地との交戦時期
冥海機型の出現時期の手掛かりに
・多方向から攻撃を受けたか
基地が島の中央部に残された状況、複数方向から攻められた可能性を見る
戦闘痕の分布、破壊の方向性を確認
フライトドローンで空撮を試みる
冥海機の撤退判断が
「ヤ・ウマト内部の情勢変化」「決定的な劣勢」「冥海機型アルタンの出現」に関わるか
経緯を推理しつつ情報収集を
●対馬基地調査
冥海機型アルタン・ウルクを掃討したあと、ディアボロス達は、粛々と対馬基地の調査にとりかかった。
「さてと……調べることと言ったら、まずはここでどんな戦闘があったかだね」
白石・明日香(弔いの狩人・g02194)がそう目標を設定する。
「ここでどういう戦いが繰り広げられどういう結末を迎えたのか。それを知れば何か役立つかもしれないし」
「時系列を考え、基地を誰がどう破壊したかを手掛かりに、状況を探ろう」
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が言った。彼は新宿から測定機器を持ち込み、動画や写真、記録を取っていくつもりである。
対馬基地がどういった経緯で破壊されたか等を調べる事は今回の調査においての主目的であろう。
その為に、パラドクス効果の使用を考えた者もいた。
月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は【建物復元】を試してみていたが、その結果を伝えた。
「どうやら【建物復元】は効かないようだな。また、クロノ・オブジェクトらしきものも見当たらない。徹底的にやられているが……これはもしかしたら」
サヨコは何かを考えるように眉根を寄せる。
なお、復元できないことがわかったのも一つの成果だろう。
エトヴァは、ここまでに確認した結果をまず告げる。
「対馬といっても本来中心部になる島山島周辺だけしかこのディヴィジョンには存在しないようだな」
「つまり残りはアルタン・ウルクディヴィジョンにあるのかな。実はワタシも考えてたことがあったんだけど……」
明日香は【断末魔動画】の使用を考えていたが、残念ながら死体は発見できなかった。
「こうなったら、地道に基地の状況を調べるつもりだよ」
明日香は、早速手近な建物の残骸に目をむける。
同じくサヨコも周囲を探って得た情報から、すぐにこう断言した。
「まず言えるのは、この基地は冥海機の技術で作られたものだろうな」
「俺もそう見たな」
「ワタシも」
彼等は戦闘痕の調査を進めながら、意見を交わした。
「今回の戦闘の損傷もあるにはあるが、基地の破壊はその前に行われていたようだな」
「対馬は《七曜の戦》開始時点までは、天正大戦国だったから、この基地は存在しなかったのよね。多分、まず《七曜の戦》でアルタン・ウルクが対馬全域を奪ったかな」
明日香が確認するように意見を述べ、サヨコとエトヴァがさらに類推を重ねていく。
「冥海機がこの基地を整備したのは確かだから、さらに《七曜の戦》で、ここを冥海機が強奪したんだろう」
「《七曜の戦》の流れとしてはそうではないかと俺も思う。冥海機の強奪が成功し、海軍基地が現れる。ただそのあと、アルタン・ウルクが再び攻めてきて戦いが起こった」
「アルタン・ウルクが対馬に攻め寄せていたのならば、武蔵程の有力なジェネラル級が、佐世保鎮守府に配置された理由もうなずける」
「それで、その戦いのことなのだがな……少し今考えていることがあって……確認する時間がほしい」
エトヴァは手分けしての調査を提案する。
「ワタシは建物の破損状況や戦闘の痕跡をもう少し調べてみようか」
明日香も考え考え言ったし、それにはサヨコも同意だった。
「パラドクス通信もあるし、必要なら連絡をとりながらしばらく各自で調べよう」
「そうだな。それぞれに気になるポイントを確認してもう一度集まることにしてはどうだろうか」
三人はそれぞれに調査を開始した。
サヨコは建物復元ができないことを念を入れて確認することになった。もし、クロノ・オブジェクトが発見できれば、そのパーツでもいいから、何かあれば持って帰りたかった、サヨコであるが。
調査を行って今は少し、考えが変わっていた。
(「だがこの基地の破壊痕は考えていたのとは違う可能性を示しているように思う。アルタン・ウルクの侵攻を冥海機が基地で迎え撃ったと思っていたが……。
この考えが正しければクロノ・オブジェクトの影も形もないのはある意味当然か……」)
この基地が破壊された経緯……ここは一つの調査のポイントだった。
エトヴァも、無差別で徹底的な破壊のあとを確認する。
「どのように」「どんな種類」の攻撃で破壊されたかに注目してさらに自らの発見を突き詰めていく。そして攻撃を受けた方向についても考察していく。
(「複数方向から攻められた可能性を考えていたが、これは。やはりこの基地を決定的に破壊したのはアルタン・ウルクではない、か……」)
やがて、明日香からパラドクス通信が入った。
「今、基地の中心部まで来てるけど、よかったらここに集まらない?」
明日香が注目した基地中央には大きな爆発のあとがあった。
「何かあったとしたら施設の中心部だと思って探してみたら、こうなってた。見事に破壊されて何もわからないんだけど」
「もしかしたらここに、何らかのクロノ・オブジェクトがあったのかもしれない……が、確かにこの有様では全くわからない」
サヨコが言った。
「それも仕方ないかもしれない。そういう冥海機の作戦だったのだと思う」
「やっぱり……? アルタン・ウルクのとは違う破壊のあとが多いよね」
誰も驚かなかった。彼等は基地の戦闘あとをさらに調査して、ある結論に達していた。
「そうなんだよな。この基地は当初アルタン・ウルクの攻撃で破壊されたと思ったが、それ以上に『砲撃』による外部からの破壊痕があるんだ。基地をある程度調べたが、どこもそうだ。つまりこの基地は冥海機によって包囲され、破壊された」
攻められた方向などはなかったのだ。というか、全方向から砲撃されていた。
「ま、クロノ・オブジェクトがあったとしてもアルタンに喰われたわけじゃなさそうね。ドッカーン、か」
「おそらく、アルタン・ウルクによって陥落した対馬基地を、冥海機側が基地ごと攻撃したという所だろうか」
サヨコが仮説を唱え、エトヴァはさらに意見をのべた。
「或いは、アルタン・ウルクに基地をわざと占領させ、基地ごとアルタン・ウルクを葬る作戦を実行したか……だな」
ちなみに、攻めてきたアルタン・ウルクが、どのタイプであるかは、今回の調査ではわからなかった。
「私は冥海機の全体的な傾向として、死守する必要なしと見た領土は呆気なく手放す面があると思っていたが……対馬でのいきさつはだいたいそんなところだったのだろうな」
サヨコが呟き、そこでふと出てきた疑問を口にする。
「それで冥海機が勝利したとして、この基地は捨て置かれている。再建の兆しはない」
「そのことだが、冥海機のアルタン・ウルク対策は、龍驤による逐次撃破の作戦が行われていたので、対馬基地の再建などは行っていなかったのかもしれない」
「それとも、ディアボロスとの戦いのせいで、その余裕が無かったとか?」
「それもあると思う。あとは状況を考えると……冥海機が、対馬の戦いで、アルタン・ウルクを撃退した事で、アルタン・ウルクが対馬を避けて、舞鶴方面に矛先を変えたのかもしれない」
そうエトヴァが分析すると、明日香が続けた。
「ん? その舞鶴方面で、ディアボロスが攻勢を仕掛けたから、今度は対馬へ侵攻してきたってこと?」
「……そういうことではないかと。はっきりしているのは、当面は、舞鶴とともに対馬の警戒も強める必要があるということかな」
ここまで話しを聞いていたサヨコがかすかに眉根を寄せる。
「気を抜けば、アルタン・ウルクが大群となり、この対馬或いは舞鶴方面に押し寄せるという可能性もある、ということか」
「でも、それなら対馬と舞鶴の両方で強固な防衛を行なった場合は、別の場所に矛先が向くかもしれないのよね?」
「……それも注意が必要だろうな」
どうも奴らは溢れていく場所を探している大河の水のようだ。抵抗の少ない場所をめがけて突き進む、黒い海嘯。
一瞬、申し合わせたように三人は口をつぐむ。
それから、「あ、そういえば」とエトヴァが切り出した。
「冥海機が行っているという『AU作戦』は、アルタン・ウルクに関わる作戦の可能性もあるのではないかと思った。そちらも気を付けなければな」
「あ、なるほど……」とサヨコと明日香は思わず口をそろえた。
ともあれ、調査はここで終了だ。これでこの基地でわかることは大体、調査できたはずだ。
あとは拠点の設営を残すのみだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【断末魔動画】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV2になった!
月鏡・サヨコ
七曜の戦において、復讐者は万里の長城の遺構を防衛線にアルタン・ウルクを迎撃した
仮に敗走しても、長城より内側は奪取されない見込みだったはず
他方ホラーサーンでは、蟲将を原型とする小型種が閉所戦闘に動員されている
この事例を踏まえると……実はアルタン・ウルクにも、無機物の塊である砦や城壁は容易に吸収できないのでは?
特に【建物復元】で強化された防壁なら、一定の遅滞効果が得られそうだ
【建造物分解】した廃墟を【建物復元】で来た当初の状態に戻し、その後に再度分解して資源を水増し
石垣やブロック塀のように資源を積み上げて、対馬のアルタン・ウルク側と基地の間に防壁を作る
最もシンプルな想定なら、要所に出来るだけ高いものを作って敵を迂回させるために使う
壁を広げる余裕があれば、別れ道の曲がり角に敵を分散させて誘い込み、監視塔や壁の上から撃ち下ろせる仕組みを作ろう
アルタン・ウルク侵入の監視については、赤外線サーチライトの常備を提案
この時代の技術でも夜間に遠距離の敵を視認できるようにするなら、力技だけどこれが一番だろう
●拠点設営
海が近い。
潮風を感じながら、月鏡・サヨコ(水面に揺らぐ月影・g09883)は打ち捨てられた基地のあとを時折睨みつつ、地形を確認するように歩いていた。
(「七曜の戦において、復讐者は万里の長城の遺構を防衛線にアルタン・ウルクを迎撃した。仮に敗走しても、長城より内側は奪取されない見込みだったはず」)
サヨコは過去のアルタン・ウルクとの戦いを思い浮かべていた。
(「他方ホラーサーンでは、蟲将を原型とする小型種が閉所戦闘に動員されている」)
その経験から考えると……アルタン・ウルクは城や城砦を吸収するという事は特にないらしい。
しかしだからといって、この手の無機物がアルタン・ウルクに対する無条件の防御力になるかというと、それも違うとサヨコは思う。
(「そもそもクロノ・オブジェクトではない建造物に防御力はない。こういった建造物が役に立つとしたら、それを利用して防御するディアボロスの存在が不可欠だろう」)
そこにディアボロスがいてこそ、これから作ろうとしているバリケードにも意味がある、とサヨコは思った。ここに拠点を設営するのだから、ディアボロスの誰かがうまく活用してくれるに違いない。
(「可能なら石垣やブロック塀のように資源を積み上げて、対馬のアルタン・ウルク側と基地の間に防壁を作りたかったが、時間的に難しいか。……最もシンプルな想定で要所にバリケードを作ることくらいなら」)
今回は限られた時間でできるだけのことをするしかない。
サヨコはここはと思った地点にバリケードを築くことにする。資材は廃墟を【建造物分解】して調達した。あとは時間内にできるだけのバリケードを設置するつもりだ。
(「あとは、侵入監視については提案も通ったし……」)
サヨコはアルタン・ウルクの侵入監視のために、赤外線サーチライトの常備を提案、新宿島で調達した。
(「この時代の技術でも夜間に遠距離の敵を視認できるようにするなら、力技だけどこれが一番だろう」)
可能な限り古い技術で制作し、故障の可能性を減らしているが。
(「……ディアボロスが常駐しなければ、長くは使えないし、すぐに不具合を起こすだろうが」)
サヨコは、ソレイユと幸児が監視塔設営の作業をしている、島山島の中央付近を振り仰ぐ。対馬にディアボロスが常駐し、拠点が機能する限り、それなりに役に立つはずだった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
ソレイユ・クラーヴィア
対馬基地は冥海機の作戦によって破壊されたのですね…
私達が有効活用できるように整備しましょう
やはり一番大事なのは事前の察知です
アルタン・ウルクの侵攻にいち早く気づけるよう
監視塔を島中央に設置し、四方からの襲撃に備えたいです
まずは建造物分解で破損した基地を素材に変えて、島の見通しも良くしましょう
貨物トレインで監視塔用のヤう・ウマトの時代に合った建材を持ち込みます
滞在時間を考えれば、あまり高くはできませんから10mくらいあれば良いでしょうか
怪力無双も借りて幸児と協力し手早く建造します
一般材料はパラドクス攻撃の前には無力ですし
防壁を作るより、監視塔周囲の見通しを良くして警戒し易く
監視塔の天辺には長時間滞在できるような広さと屋根を備え
双眼鏡や時代に合わせたレーダーを設置
一般材料のレーダー機器はアルタン・ウルクが接近した際に破壊してくる事例がありましたので
察知を早める一助として置いておくのも悪くはない筈です
日本海を突破されるとディヴィジョンとはいえ日本列島はすぐそこ
何としても流入は食い止めたい所です
守都・幸児
※アドリブ・連携歓迎
力仕事だーっ
こいつは俺の得意分野だから張り切っていくぞ
ソレイユの監視塔の設置を手伝うぞ
【怪力無双】で力仕事を主に担当する
新宿島の現場を手伝ってるから、比較的最終人類史に近いヤ・ウマトの建材でも応用できると思う
使えるもんはどんどん運んで組み立てるぞ
海の天気は荒れることもあるかもしれねえから、頑丈な監視塔を作りてえな
高所の作業は【飛翔】を使って安全に気をつけるぞ
見晴らしの邪魔になる瓦礫は取っ払って建材として再利用だ
あと、遠目から見て標的にされにくいように
監視塔を空の色に紛れやすい青や白の塗料で塗装することを提案するぞ
海風や海水による劣化防止にもなるしな
問題なさそうなら俺が登って塗ってくるぞー
細かい作業は苦手だが、頑張ってできるだけ綺麗に塗るぞっ
監視塔が完成したら見晴らしを楽しみてえな
アルタン・ウルクが海嘯みてえに動くなら
防衛線を広げてくことで、どうにか連中の動きを誘導したりできねえかなあ
あいつらのことはまだまだ全然わからねえが
これ以上侵攻されねえように
突破口を見つけたいぞ
●監視塔から見る風景
島の中心部には、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)と守都・幸児(祥雲・g03876)が向かっていた。
激戦を経験した島山島は廃墟と化していたが、ふたたびこの基地を利用して、ディアボロスの拠点とするのだ。
(「対馬基地は冥海機の作戦によって破壊されたのですね……私達が有効活用できるように整備しましょう」)
ソレイユが設営予定地に立って周囲を見回す。
「この辺りですね。監視塔を設置しましょう」
「力仕事だーっ! こいつは俺の得意分野だから張り切っていくぞ」
「よろしくお願いします、幸児」
「ああ、任せろ! ソレイユを手伝うぞ」
幸児はさっそくやる気満々で【怪力無双】を発動する。
「有難うございます。これで作業がやりやすくなりますね」
「ああ。まず、どこからかかる?」
「それではまず建造物分解で……」
ソレイユの束ねた金髪が無造作に風に揺れた。幸児はといえば、闊達な様子で話しに応じ、軽々と資材を運びはじめた。
監視塔の設置はソレイユの発案だった。この拠点設置において重要視したい目標を彼はこんな風に説明する。
「拠点で一番大事なのはやはり事前の察知だと思います。アルタン・ウルクの侵攻にいち早く気づけるよう、監視塔を島中央に設置し、四方からの襲撃に備えたいのです」
彼らは作業の傍ら、そんなことを話した。
「ああ、あいつらが群れになる前に見つけ出したいしな」
「建造物分解で、基地を素材に変えることで、見通しも良くなります」
「やつらを見つけやすくするんだな」
「ええ。一般材料はパラドクス攻撃の前には無力ですし、監視塔周囲の見通しを良くして警戒し易くしたほうがいいと思いました」
また、ソレイユは貨物トレインでも監視塔用の建材を運び込んでいて、二人はそれも活用しながら監視塔を設置してゆく。
「時間を考えればあまり高くはできませんから10mくらいでしょうか」
「わかった。俺は新宿島の現場を手伝ってるから、ヤ・ウマトの建材でも応用できると思う。どんどん運んで組み立てるぞ」
秋風の吹く季節なのに、色白の幸児の額には汗が滲む。そして島の周囲に広がる海は、彼に嵐の季節をも思い起こさせた。
「海の天気は荒れることもあるかもしれねえから、頑丈な監視塔を作りてえな……」
二人は自分達のアイデアを形にしてゆく。
「監視塔の天辺にはある程度の広さと屋根がほしいですね。長時間滞在できるように」
「おお、そうだな。頑張るぞー」
普段は瀟洒な出で立ちのソレイユも今はディアボロスらしい腕っぷしをみせているし、幸児は手慣れた様子で、頼もしく作業をつづけた。
「高所の作業は安全に気を付けるぞー」
「幸児に転落の心配なんて全くしていませんよ」
彼等はディアボロスらしい身のこなしで着々と作業をこなしていく。
「何とか10メートルくらいにはできましたね。ものすごく働いた気分です」
「あとは仕上げだな。もう少し頑張るぞ」
「ええ。私は機材を整えます」
二人が手分けして作業をすすめた部分もある。
ソレイユが持ち込んだのは双眼鏡やこの時代に合わせたレーダーだ。
「一般材料のレーダー機器はアルタン・ウルクが接近した際に破壊してくる事例がありましたので、察知を早める一助として置いておくのも悪くはない筈です」
「そっちは任せた。何事もできることはやっておいて損はないと思うぞ」
また幸児は、監視塔の塗装を率先して行った。
「俺は遠目から見て標的にされにくいように、環境に紛れやすいように塗装するぞ」
「よろしくお願いします」
「海風や海水による劣化防止にもなるしな」
幸児は身軽に作業に取り掛かる。細かい作業は苦手な彼だったが、頑張って綺麗に塗るつもりだった。
豪快なタッチで幸児は作業を進めていく――。
こうして監視塔は無事完成し、しばらく後。
幸児とソレイユは完成した監視塔の上にいた。
「見晴らしがいいな」
幸児はぐるりと景色を眺めた。廃墟と緑と海の、パノラマだ。
「今は穏やかで、平和ですね」
ソレイユが景色を仰いで小さく微笑むが、すぐに表情を引き締める。それでもこの地は、いつ敵の襲来があるかもしれない、危険な場所なのだ。
「……。日本海を突破されると、ディヴィジョンを隔ててとはいえ日本列島はすぐそこですね」
「アルタン・ウルクな……防衛線を広げてくことで、どうにか連中の動きを誘導したりできねえかなあ」
「何としても流入は食い止めたい所ですね」
「あいつらのことはまだまだ全然わからねえが、これ以上侵攻されねえように
突破口を見つけたいぞ……お?」
二人は、ふと眼下の風景の中に仲間の姿をみつけた。サヨコが、こちらに凛と手をあげて合図している。
「あ、あそこに」
「向こうも終わったか?」
「そうみたいですね。今日のところは……まずはここに拠点を設営できましたから」
「そうだな、これからだぜ。作戦、考えねえとな!」
――対馬拠点の設営、完了。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【建造物分解】がLV2になった!
【怪力無双】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV3になった!