リプレイ
ソレイユ・クラーヴィア
アリアドネは随分と慎重な性格のようですね
何とか迷宮を踏破できるよう、頑張ってみましょう
蜘蛛糸に紛れる白黒の迷彩服を着用
エアライド使用
蜘蛛の巣に触れぬ最適な移動経路で木に登り洋館を探します
登る前に地上と蜘蛛糸上の自動人形の位置を確認
太い糸の絡まった木は避け、比較的細い糸が絡まっている木を選び
葉擦れや小枝の音も極力最小限になるよう慎重に素早く登ります
自動人形の復讐気配や音は常に警戒
気配を察知したら蜘蛛糸に隠れてやり過ごします
迷宮の中で迷子防止に糸の付いていない木の幹に僅かな印を刻み
現在位置の把握に利用
本拠地たる洋館は当然警戒は厳重の筈
自動人形達の多数警戒する太い糸が複数で繋がる先にあると予想
太い糸がどちらの方向に伸びているかを、複数の木から確認し方位磁石と見合わせマップに記載
目星をつけた方向へ、蜘蛛の巣を避けて木の上と地上とを行き来しつつ隠密移動
周囲に自動人形がおらず飛び移れる距離ならエアアライドで木から木へも移動
高所から双眼鏡で捜索を地道に続け
発覚せずに洋館を発見できるよう慎重にいきます
●着実な探索
白い蜘蛛糸が幾重にも薄闇を侵食し、さらに暗い森の奥へと続いている。
(「此処が蜘蛛の巣の森の最深部ですか。見渡す限りの蜘蛛の巣が、アリアドネの性格を現しているようですね」)
ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は、無言で眼前に広がる大迷宮を見据えた。
この巨大な蜘蛛の巣迷宮のどこかに、アリアドネが滞在する洋館がある。
しかし、たとえどのような迷宮であっても、知恵を絞り工夫を凝らせば、突破の糸口は掴めるはず。
彼は洋館の位置を特定しようとしていた。時先案内人から『高度な作戦を要求される』とまで言われた難儀な作戦だ。
蜘蛛糸に紛れる白黒の迷彩服を身に纏い、ソレイユは迷宮に挑む。
蜘蛛の巣の破壊を軽率に行えないとなれば、移動に使う場所は、必然的に蜘蛛糸が『他と比較して薄い場所』となる。
(「すべての木に蜘蛛糸が張り巡らされているとして、高所へ行くために使うならば、比較的細い糸が絡まっている木が良いでしょう」)
太い糸の絡まった木は避け、細い糸が絡まっている木を選んで幹の傍に移動した。
登る前に、周辺の自動人形の位置を確認する。……見通せない空間では、敵の接近に気付く時間も遅れる。
『常に周囲に自動人形がいる』と考えて、動いた方が良いだろう。幹に手を掛け、ソレイユは音を立てぬように木を登り始める。視界が悪い状況では、音が重要な情報源なのだ。それはこちらにとっても、自動人形にとっても同じである。
(「細い糸でも結構粘つきますね。ですが、動けないほどではありません」)
登る速度は落ちるだろうが、とにかく大事なのは敵に見つからないことだ。
葉擦れや小枝の音を最小限にするという前提のもと、葉や枝の茂り具合に応じ、速度を変えながら登っていく。
自分が発する音に気を付けるだけでなく、自動人形が歩く音にも注意を向けた。
音が近付いたら足を止め、遠ざかれば、また登り始める……木の上部まで登ったソレイユは、双眼鏡を手に思考を巡らせる。
(「本拠地たる洋館は、当然警戒は厳重の筈。自動人形達の多数警戒する太い糸が、複数で繋がる先にあると予想して……」)
洋館へと繋がるルートの目星を付けることから始めようというわけだ。当然、それが正解とは限らない。
だが、考えもなく闇雲に探し回るよりはずっと良い。
あやしい場所は幾つか存在する。だが、木に一本登った程度では特定できないことも、ソレイユは十分に理解していた。
木から地面へと戻った後、近付いてきた足音に、ソレイユは蜘蛛糸の塊の陰へと身を隠した。解体少女が、ぶつぶつと呟きながら、蜘蛛糸の塊を隔てた向こう側を通り過ぎる。
足音が遠ざかったところで、ソレイユは方位磁石へと視線を落とした。
(「……まだ判断するには早いですね。別の木からも確認して、見極めなければ」)
複数の木からも確認し、途中であやふやにならないよう、マップにも記していくのだ。マップとして残しておけば、迷って同じ場所を回り続ける危険も減るだろう。
(「焦らず、地道に行きましょう。急いては事を仕損じてしまいますから」)
迷子対策として念のため、木の幹の糸が付いていない隙間に小さな印を刻んだ。一見、獣が軽く引っ掻いた跡にしか見えない印を、ソレイユは自分の頭にしかと刻み付けた。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【エアライド】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
イツカ・ユメ
うひゃぁ……どこもかしこも蜘蛛の巣だらけだよ。
この迷宮全体がアリアドネの巣、みたいなものなのかな。
慎重な相手を下手に刺激しないように、慎重に行動するよ。
荷物は最小限、周囲の景色に近い色合いのボディスーツを着用。
有効そうなら【猫変身】で小柄な猫に変身。
敵を刺激しそうなら、変身無しでそのまま進むね。
まずは地上から探索を。
屋敷に繋がっているのなら、簡単に切れないようにしている気がするので、丈夫そうな太い糸を辿ってみるね。
糸のほつれや汚れ等、何かが頻繁に行き来している形跡が無いかにも注意して観察するね。
移動中は物音や声や匂い、張られた蜘蛛の糸にも警戒。
触っていないのに糸が振動しているってことは、何かが近付いてきていると思ってすぐに身を隠すね。
周囲に敵の姿が無く、短時間で上り下り出来そうな場合は、
木に登って高いところから捜索するね。
蜘蛛の糸が複数交わるところや、逆に全く交わらないのに妙に警戒されている糸は重要そうなカンジがするので、怪しそうな場所を見つけたら向かってみるのだよ。
●蜘蛛糸を辿る
夥しい量の蜘蛛の巣が、森を覆い尽くすように広がっている。
視界いっぱいに広がるそれらに、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)は息を呑んだ。
(「うひゃぁ……どこもかしこも蜘蛛の巣だらけだよ。この迷宮全体がアリアドネの巣、みたいなものなのかな」)
この迷宮の先に、アリアドネが居る。イツカはきゅっと表情を引き締めて、行く手を阻む巣を見据えた。
(「必ず洋館を見つけて、アリアドネの所に行ってみせるよ」)
周囲の景色に溶け込むボディスーツを着用し、イツカは蜘蛛の巣迷宮へと足を踏み入れる。
物音や声、周囲の匂いにも注意を配りつつ、地上から迷宮の探索を開始する。
(「屋敷に繋がっているのなら、簡単に切れないようにしている気がする」)
イツカはそう推測し、簡単には切れない糸……つまりは丈夫そうな太い糸を探し辿ることにした。
太い糸、という条件だけでなく、その糸の使用状況も念頭に置く。
(「丈夫な糸なら、敵も通路として使ってるかもしれないよね。それなら、何か形跡が残ってるかも」)
太さだけでなく、ほつれや汚れがないかどうかも観察しながら、その糸を辿るかの判断をするのだ。
イツカは何本めかの太い糸の表面に、土が付着しているのを見つけた。ほぼ同時、周囲の糸が一定のリズムで揺れ動き始める。
触れていないのに糸が振動しているということは、つまり。
(「敵が近付いてきてる!」)
とっさに身を隠した直後、糸の向こうからいくつかの足音が聞えてきた。迷宮内を警備する解体少女たちだ。
彼女たちは悪霊にでも取り憑かれたかのように、殺気立った空気を纏いながら太い糸を渡っていく。
「ディアボロス……ドコ……ドコナノ……?」
「コロス、コロス、コロス……」
イツカが身を隠した木の傍を彼女たちは通り過ぎ、蜘蛛の巣と薄闇の向こうへ消えていった。
(「うわぁ、完全に正気を失ってる感じだったね……とにかく、やり過ごせたかな」)
足音が聞こえなくなった後、イツカはほっと息を吐き出した。
やはり、怪しいのは解体少女たちが来た方向か。土が付着していた糸の先でもある。
(「どこも蜘蛛の巣だらけだけど、この先はとくに多い気がするね。さっきすれ違った敵も、そっちから来たし」)
蜘蛛糸が複数交わっている上、多くの敵がその方向から歩いてきた。断定はできないが、この糸の先に洋館へと続く道がある可能性も考えられる。
ともあれ、行ってみなければわからないと、イツカは向かうべき方向を定めるのであった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【猫変身】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
アヴィシア・ローゼンハイム
随分と用意周到ね
でもようやく得られたチャンス
逃すつもりはないわ
探索は地上から
光学迷彩を使用し隠密行動
できる限り捕まらないよう糸が少ない場所を移動
枝を踏むなどで、音を立てないように足元に注意
足音を立てないように気を付ける
目立たないように腰を低くし、ゆっくりと進むわ
自動人形の足音や声、気配に常に気を配る
気配がしたら木々や蜘蛛糸に隠れ、物音を立てないように息を潜めるわ
見つからないことを最優先
通ったルートの木の幹の目立たない部分に印をつける
迷子対策と探索したルートの目印に
探索した範囲はマップに記して情報を蓄積、コンパスで方角関係を把握
同行者がいたら同じ場所を探さないよう探索個所の情報交換
洋館というからにはそれなりに大きい建物のはず
糸で隠す、または糸で建物を作るなら多くの糸が必要と仮定、糸の密度が高い場所を重点的に捜索
館には人間の死体や骨があるようだから、近くにはそういった物や衣服等が多く落ちていたり、絡まっていたりする可能性も考慮
敵や糸が多い等、迂闊に近づけないところは双眼鏡で確認するわ
●さらなる奥へ
息が詰まるような重苦しさと不気味な景色が、蜘蛛の巣迷宮には溢れている。
目立たないよう腰を低く保ち、アヴィシア・ローゼンハイム(Blue・Roses・g09882)は、蜘蛛の巣が張り巡らされた森を見上げた。
(「随分と用意周到ね。でもようやく得られたチャンス。逃すつもりはないわ」)
呼吸音を静め、薄暗い迷宮を歩く。音を立てることは、この環境下において、敵に情報を与えてしまうことを意味する。枝を誤って踏まぬよう、足元にも十分に注意しながら森の中を進む。隠密のための行動に加えて、光学迷彩の効果をのせることでより精度を上げた。
自分の発する音を最小限に抑えつつ、耳は常に周囲の環境へと欹てる。
(「洋館というからには、それなりに大きい建物のはず。糸で隠したり建物を作るなら、多くの糸が必要になるかもしれないわ」)
ゆえに重点的に捜索すべきは糸の密度が高い場所。そのように仮定し、アヴィシアは疑わしい地点を探す。
どこを見ても蜘蛛の巣だらけだが、その中でもなるべく蜘蛛糸が薄い所を通りつつ、彼女は慎重に最深部を目指した。
敵の足音が近付けば木陰に身を隠し、遠ざかったと同時に、再びゆっくりと歩み出す。
(「方角は、こちらの方向で大丈夫ね」)
同じ道に再び入らぬよう、方角関係もきっちりと把握する。
コンパスへと落としていた視線を前方に戻した。彼女は奥の方に、より密集した蜘蛛糸の塊を見つける。
その付近では、解体少女も数人うろついていた。アヴィシアは双眼鏡を手に取り、木陰からこっそりとその場所を観察する。
双眼鏡を覗き込み、アヴィシアはあるものを発見した。
(「……やっぱりあったわね、と言うべきかしら」)
密集した蜘蛛糸の周囲には、人骨やボロボロになった衣服が無惨に転がっていた。
洋館にはアリアドネが弄んだ人間の死体や骨があるという。ならば、この迷宮内にも放置されている可能性がある、と考えるのは自然な流れというもの。
だからこそ、予想はしていた。迷宮の中には、キマイラウィッチに殺された人々の遺体や遺留品があるかもしれないと。実際に目にすると、心が痛む。
(「……どうか、人々の魂が安らかに眠れますように」)
アヴィシアは心の中で、静かに祈りを捧げた。彼らの魂の安寧は、アリアドネを討ち倒すことで得られるだろうか?
身を隠していた木の幹の下部に小さな印をつけて、彼女は立ち上がった。
(「行きましょう。迷宮の奥へ」)
濁った空気の中、アヴィシアは澄んだ瞳で前を見据える。
陰惨とした死の匂いが漂う蜘蛛の巣迷宮を、彼女は密やかに、それでいて確かな足取りで進んでゆく。
人々を嬲り、虐げ、愉悦に浸る悪辣な魔女――アリアドネを討つために。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
●
ディアボロスたちは隠密しながらの探索を続け、ついに洋館を発見した。
このあと彼らは洋館に侵入し、アリアドネと、彼女の配下であるグリーディラミアに奇襲を掛けることになる。
アリアドネとの会話も可能だが、撤退の準備ができなかったアリアドネは、そう易々と有益な情報を話しはしない。
彼女に話をさせたければ、ディアボロスが彼女との戦闘で苦戦を演じ、彼女の油断を誘う必要がある。
ただし、いくら油断しようと、彼女の狡猾さは変わらない。
話をさせるにしても、質問の仕方を間違えれば、望む答えが返ってこない可能性もある。
難しい状況だが、皆の知恵と力で切り抜けてほしい。
ルチル・クォンタム
アドリブその他諸々歓迎
味方とは積極的に連携。
洋館発見。順調な時こそ慎重にっと……
味方と足並み揃えて護衛排除に動きます。糸に引っかからないように動きつつ……敵の動きも見ながら戦います。
もしかしたら引っかからないルートを敵は知ってるかもしれませんし。
分からなければエアライドや猫変身。コウモリ変身で糸と糸の隙間縫うようにしてそっと駆け抜けます。
そして、敵があわよくば引っかからないかと思いながらパラドクスを使います。
――その身を狂気に浸せ。身も心も堕ちてしまえ。
狂気齎す女神の威!《ルナティック・リープ・ニードル》!!
正常な行動力、正常な判断力。見出してしまえばあわよくば敵も糸に引っかかるかもしれない。
そしてそうすればそれはこちらの好機にもなる。
確実に素早く敵を仕留めてしまいましょう。
●想いを護るために
その洋館は蜘蛛の巣に護られ、暗澹たる迷宮の最深部にひっそりと佇んでいる。
……必要とはいえ、格上相手に苦戦を演じるのは、自ら蜘蛛の巣に引っ掛かりに行くようなものだ。
下手を打てば重傷を受ける可能性もある。ならば、その危険性を少しでも減らすため、護衛のトループス級を先に喰い止めるのも手か。
洋館に辿り着いたディアボロスたちは、息を潜めその内部へと侵入する。
アリアドネの根城を発見したとはいえ油断は禁物と、ルチル・クォンタム(加護の外に出た守り人・g10515)は表情を引き締めた。
(「順調な時こそ慎重にっと……」)
仲間たちと共に蜘蛛糸が張り巡らされた洋館内を進み、目的の部屋へと到着した。
蜘蛛の巣が侵食する部屋の奥、目標のアリアドネとグリーディラミアを捉える。奇襲のタイミングに合わせ、ルチルは大鎌を振り上げた。
(「狂気の月よ、力をお借りします!」)
グリーディラミアへと狙いを定め、ルチルはパラドクスを展開する。
心へと想起するのは、狂気を齎す女神と月。神秘的な光が彼女の周囲を取り巻き、瞬く間に光の針へと姿を変えた。
「――その身を狂気に浸せ。身も心も堕ちてしまえ。狂気齎す女神の威!《ルナティック・リープ・ニードル》!!」
発射された針状のエネルギーは、グリーディラミアたちの体へと突き刺さる。奇襲に気付いた彼女たちは、敵意を剥き出しにディアボロスたちを睨んだ。
「ディアボロス!?」
「自動人形は何をしていたの?」
一方で、アリアドネは落ち着き払った表情である。
「あらまぁ、ガラクタに頼るべきではなかったかしらね?」
(「奇襲を受けてもあの様子。さすがジェネラル級というべきでしょうか。ともあれ、まずは配下を仕留めましょう」)
反撃に備え、ルチルはグリーディラミアの進行ルートを見極めんとする。
敵は蜘蛛糸を伝い、ルチルへと迫り来る。自動人形と違い、キマイラウィッチたちは蜘蛛糸を自由自在に移動できる。
これまでの蜘蛛の巣の森での依頼において、ディアボロスたちを散々苦しめてきた戦法だ。ディアボロスが行動を制限されるであろう場所でも、簡単にすり抜けてくる。
(「不規則かつ素早い動き……まるで隙がありません……!」)
動物に変身する――その選択はすぐに捨てる。現状で使えば、敵の反撃に捕まった時の対処ができない。
麻痺呪文がルチルの体を拘束し、蛇身が彼女の体を縛り上げた。
「絞め殺してあげる」
圧迫感と共に激痛がルチルを襲う。
「くっ……このような、もので!」
彼女は力を振り絞り大鎌を振るうことで、かろうじて締め付けから逃れた。
鈍い痛みが重く残るが、それでもルチルは決して膝を付かず、大鎌をしかと構え直す。倒れぬ彼女に、グリーディラミアが苛立たしげに顔を歪めた。
「さすが此処まで来たディアボロスね。なんてしぶといのかしら」
しぶとい。当然だ、とルチルは想う。彼女には心に決めたことがあるのだから。
「……必ず護ってみせると誓ったのです。だからこそ、倒れるわけにはいきません!」
受け継いだ想いのために戦うと決めたのだ。苦難に直面しようとも屈するわけにはいかないと、ルチルは血が滲む手のひらで武器を堅く握る。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【コウモリ変身】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
一里塚・燐寧
キマイラウィッチのアリアドネかぁ。フランス産のくせにギリシャかぶれ?
ま、あたしもエジプトかぶれの日本人だけど~
後で苦戦を演じるにしてもまず雑魚は奇襲でブッ殺しちゃおう
不利な状況のまま戦って、挽回の機会を失くしちゃうのは怖いからねぇ
景気よく取り巻きを片付けた後ってのも、「油断する時」としちゃ悪くないと思うよぉ?
屋敷中に這った糸を踏んだり、迂闊に網に突っ込んだりしないように気を付けて進もう
案内人さんが予知した部屋にまだ敵がいるかもだけど、廊下でばったり遭遇にも警戒
曲がり角ではクリアリングを欠かさず、準備できずに飛び込む事態を避けるねぇ
敵の居所を見つけたら出会い頭に『ルージュ・バラージ』をブチかますよぉ!
≪ダブルチェーンソーブラスター≫から、≪焼尽の呪炎≫で形作った赤い光弾を連射
敵が襲撃に対応する態勢を整える前に怒涛の弾幕をぶちまけて、なるべく多く倒しちゃおう
伸びて来る骨には得物の回転鋸刃部分をカチ合わせて受け流し、直撃を防ぐねぇ
あははぁ!もぉ一人だけぇ?
こりゃ5秒ぐらいで決着がつきそうだねぇ
●燃き尽くすまで
アリアドネ――悪辣な迷宮の主、そしてキマイラウィッチである彼女に対し、奇妙な感覚を覚える者は少なくない。
(「キマイラウィッチのアリアドネかぁ。フランス産のくせにギリシャかぶれ? ま、あたしもエジプトかぶれの日本人だけど~」)
ひっそりと心の内で呟くのは、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)だ。まぁそれはそれとして、と彼女はすぐに思考を切り替える。
(「後で苦戦を演じるにしてもまず雑魚は奇襲でブッ殺しちゃおう。不利な状況のまま戦って、挽回の機会を失くしちゃうのは怖いからねぇ」)
遭遇の危険がある箇所をクリアリングしつつ、糸に気を付けながら仲間と共に進んだ先。アリアドネとグリーディラミアが居る部屋へと辿り着く。
今こそ奇襲の時だ。燐寧はダブルチェーンソーブラスターを駆動させ、焼尽の呪炎をその砲身に纏わせた。
「やっほ~。撤退準備はできたぁ? できてないよねぇ!」
鮮やかな赤の光弾が、部屋中に弾幕の如く展開される。ルージュ・バラージの怒涛の弾幕が、奇襲に気付いたばかりのグリーディラミアへと容赦なく降り注いだ。輝く炎に包まれた彼女たちは、身を焼かれながらも鋭い言葉をぶつけてくる。
「この屋敷に入ったのがお前たちの運の尽き!」
「あなたたちはアリアドネ様のオモチャになるのよ!」
血気盛んなグリーディラミアたちに、燐寧は呆れたように軽く息をついた。
「オモチャねぇ。退路を塞がれたこの状況で、そんなこと言えるんだ?」
状況を把握しきれていないのか、把握した上でアリアドネが勝つと信じているのか。
どちらにせよやることは変わらないかぁと、彼女は得物の狙いを敵へと合わせる。
「呪詛で侵してあげるわ!」
グリーディラミアの露出した骨が蠢き、骨蛇呪撃を繰り出してくる。鞭のようにしなり迫る骨を、燐寧は得物で受け止めた。
回転する鋸刃と硬質な骨が擦れ合い、耳障りな音を奏でる。
骨蛇呪撃の呪詛が武器を伝い、体へと沁み込んでゆく。呪詛の侵食によるダメージを表情に一切出さず、燐寧は笑みを浮かべてみせた。
「呪詛、ねぇ。それじゃあ呪詛には呪詛を返してあげるよぉ。どっちの呪いが強いかなぁ!」
呪詛により形成された鬼火が、彼女の得物の先で煌めいた。
「ブチかますよぉ!」
高らかに紡がれる声と同時。射出された赤い輝きは再び敵群へと撃ち込まれ、その蛇身を大炎上させた。
何匹かが倒れるもその奥から、或いは周囲の蜘蛛の巣の内から、新たな敵が怒りに燃える瞳をギラつかせながら燐寧を狙う。
「あははぁ! 虫みたいに湧いてくるねぇ! でもぉ、あとどれくらいもつかな~」
憎悪に満ちた視線をひしひしと感じながらも、燐寧は強気に言い放った。――問題ない。まだ、戦える。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
アテナイの英雄をラビュリントスより救いし姫君を、迷宮に座す怪物が騙るとは……赦せませんね
無辜の民の屍がこれ以上積み重なる前に、必ず討ち滅ぼさねばなりません
参りましょう、クロエ様。魔女の名を穢す悪に怒りを知らしめる時です!
洋館内に絡みつく蜘蛛の糸に引っかからぬように注意して、侵入と戦闘を行います
足音を殺して敵の居所に向かい、護衛達に奇襲を仕掛けましょう
接敵前の道中で糸により足の踏み場がない所は【猫変身】の跳躍力で切り抜け、猫特有の静かな着地を
接敵後の立ち回りで糸が邪魔な時は【エアライド】で宙を蹴って跳び越えます
敵が集まった部屋に押し入るや否や≪神護の長槍≫を投擲
『降り注ぐ影の槍』を発動し、幾つもの幻影の槍を本物の槍と共に射出します
逃げ場の少ない屋内に多数の槍を溢れさせて直撃率を向上
反撃の骨は手元に戻した槍で打ち払うか≪神護の輝盾≫で弾き、呪詛の体内深くへの浸透を阻害
その後は、盾持つ我が身の後ろで術を詠唱していたクロエ様に追撃をかけて頂きます
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし、共に戦います
英雄の名を騙り、王の名を騙り、神々の名を騙り。
クロノヴェーダが名を騙るのは常ですが、迷宮の怪物がかの王女の名を騙るとは、不遜に過ぎる。
人を害す怪物には、相応の報いを与えましょう。
ここは敵地、そして敵はジェネラル級とその側付き。
侮れば苦戦を演ずるまでもなく苦戦を強いられるでしょう。
まずは奇襲の利を活かし、護衛を倒しきりましょう。
エイレーネと共に必要なら【猫変身】も駆使し、【光学迷彩】で柱や家具などに隠れながら忍び込みます。
敵を発見したらまずは出入り口付近に蜘蛛の糸が仕掛けられていないかをよく観察。蜘蛛の巣で身動きを阻害されては奇襲の利も活きません。
蜘蛛の糸にかからないようエイレーネと共に部屋に部屋に踏み込み、エイレーネの槍の攻撃に続き【ゴルゴーン・パイオーニアー】を使用。
槍で傷ついた敵を狙い、ゴルゴーンの放つ光でグリーディラミアたちを石化させましょう。
麻痺呪文からの締め上げは【ガードアップ】と「守護の赤薔薇」の防壁で耐えます。
●導きと剣
蜘蛛の巣迷宮の最深部、アリアドネの洋館には様々に想いを抱いたディアボロスたちが訪れる。
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)、そしてクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)。
彼女たちも仲間と共にアリアドネの領域へと足を踏み入れ、よりいっそうの怒りを心に燃やす。
「アテナイの英雄をラビュリントスより救いし姫君を、迷宮に座す怪物が騙るとは……赦せませんね」
そう口にするのはエイレーネだ。彼女へと、クロエが力強く頷いた。
「英雄の名を騙り、王の名を騙り、神々の名を騙り。クロノヴェーダが名を騙るのは常ですが、迷宮の怪物がかの王女の名を騙るとは、不遜に過ぎる」
二人の想いは同じだ。正史におけるギリシャ神話のアリアドネ――『とりわけて潔らかに聖い娘』から、キマイラウィッチのアリアドネはあまりにも遠い。
否、遠いどころか、欠片程度の面影すらないただの怪物だ。そのような怪物が、アリアドネの名を騙ろうなど、許せるわけがなかった。
「無辜の民の屍がこれ以上積み重なる前に、必ず討ち滅ぼさねばなりません。参りましょう、クロエ様。魔女の名を穢す悪に怒りを知らしめる時です!」
神護の長槍、そして神護の輝盾を凛と構えるエイレーネ。クロエも己の武器を堅く握り、洋館の中に広がる蜘蛛の巣を鋭く見据えた。
「人を害す怪物には、相応の報いを与えましょう」
足音を殺し、身を隠し、蜘蛛糸に掛からぬよう潜り抜けた先の部屋。扉の向こうに感じる気配に神経を尖らせる。
仲間たちの奇襲に合わせ、エイレーネとクロエも室内へと突入した。
蜘蛛糸の塊を跳び越え、エイレーネは神護の長槍を投擲する。目標はグリーディラミア、その邪悪なる心臓である。
「聖なる槍よ! 悪しき者どもを一人たりとも逃すことなかれ!」
無数の幻影の槍が、神護の長槍と共に駆けた。降り注ぐ影の槍が本物の雨霰の如く、敵群の体へと突き刺さる。
ディアボロスによる一斉攻撃だ。複数の攻撃が重なり、奇襲を喰らった敵群の一部が崩壊する。
エイレーネの槍に貫かれ、体から血を流しながらも、グリーディラミアたちが吼えた。
「おのれディアボロス……!」
「絶対に生かして返さないよ!」
露出した骨を長く伸ばし、骨蛇呪撃を打ち放つ。あらゆる方向から飛んでくる攻撃を、エイレーネは槍と盾で迎え撃った。
(「すべてを捌き切ることは不可能……ですが!」)
迫り来る骨を槍で薙ぎ払い、盾で弾き飛ばす。呪撃の幾筋かが体を掠めるが急所は守っている。
肌の表面を呪詛が伝い焼け付くような痛みを覚えるも、エイレーネは決してその痛みに屈しない。
「いくら呪詛が体を侵そうと、この護りを砕かせはしません!」
エイレーネの誓いと共に、彼女の後方からクロエのパラドクスが伸び広がる。紫の芍薬がしなやかに、大輪の花を咲かせた。
それは尽きることなき怒りの花。恐ろしき怪物の妖花である。
「種子に宿るは我が憤怒、芽吹け『ゴルゴーン・パイオーニアー』!」
花は眼を灼く輝きを放った。逃れようのない太陽光の如き煌めきが、敵の体を石へと変えていく。
「くっ、石化の魔術か……」
「面白いじゃない!」
体の一部を石に変えられながらも、グリーディラミアたちはグリーディトランスを発動した。
麻痺呪文の詠唱と同時、クロエは守護の赤薔薇を展開する。薔薇の花が咲き誇り、鋭き棘をその身に纏わせた。
(「防壁の展開は間に合いました。であれば、あとは耐えるだけです」)
捕縛の魔術の気配。一瞬の拘束の間に長大な蛇身が迫り、クロエの体を縛り上げた。
クロエは意志を強く持ち、敵の反撃を耐え抜く。守護の赤薔薇の防護が、締め付けによるダメージと圧迫感を緩和した。
「チッ……この程度じゃ落ちないか」
悔しげにグリーディラミアが呟く。それを聞き逃さず、クロエは淡々と言葉を返した。
「落ちるのはお前たちです。怪物たるお前たちの主と共に、石となり崩れ落ちてもらいましょう」
突入前に多数居たグリーディラミアたちは、急速に数を減らしつつある。それでもなお、彼女らはディアボロスへと喰らい付く。
「此処は我々の領域! そう簡単には落ちない!」
「死ねッ、ディアボロス!!」
室内に巡らされた蜘蛛糸を縦横無尽に駆け、彼女らはエイレーネへと再び骨蛇呪撃を放った。
死角から回り込むようにして打ち出された呪詛の骨を、クロエが間に入ることで代わりに受け止める。
「クロエ様!」
「私は大丈夫です。エイレーネ、攻撃を」
守護の赤薔薇が攻撃に耐えるように赤い花弁を散らせた。その様は痛々しくもあるが、エイレーネは躊躇わずに頷いた。
クロエが大丈夫だと言えば、大丈夫なのだ。迷う必要などない。クロエが見据える先、敵群へとエイレーネは鋭い眼差しを向けた。
「正しき魔女の導きに従い、悪を穿つ槍を掲げましょう!」
その身は、愛する『正しき魔女』のために振るわれる剣である。号令と共に、エイレーネは槍を投げ放った。
召喚された槍の幻影が、再び敵へと飛来する。その衝撃は確かな威力を以て敵を貫いた。クロエも植物の怪物を操り、敵群を次々に石へと変えていく。
「我が憤怒の大輪は、一匹たりとも取り逃がしたりなどしません」
掃討の見通しは立った。ディアボロスの猛攻が、グリーディラミアを破竹の勢いで倒していく。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【エアライド】がLV2になった!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
桜・姫恋
探索してくれた人たちのおかげで無事に辿り着けたわね
奇襲と同時にアリアドネを油断させる必要があるようだから苦戦を演じないといけないみたいね
とりあえず奇襲を仕掛けるのに良さそうな場所を探してそこから洋館へ侵入しましょうか
あ、アリアドネ見っけ!
こんにちは。それともこんばんはかしら?ようやくお目にかかれたわね
静かに縛神帯ー桜ーを構えて縛鎖の陣を発動しアリアドネを《捕縛》しようとするも一部コントロールがうまくいってないように装って少し外しつつもアリアドネに鎖を巻きつけていく
流石ジェネラル級……一筋縄ではいかないか
反撃に対してはガードアップを使いつつ鎖で弾き返しつつ少し蜘蛛糸に絡まれたりしアリアドネの油断を誘ってみる
あくまでも苦戦してるように演技しつつも演技がバレないようにある程度の本当も紛れ込ませながら立ち回っていく
クッ……このままここでお前を逃がすわけには行かないのよ!!
確実にお前にはここで死んでもらわないと困るの
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
方針:重要な会話ができる段階まで油断を誘うため演技を交え苦戦
それ以上は不必要に劣勢を重ねない
護衛戦の仲間を邪魔しない
迷彩コートと光学迷彩で潜みつつ、侵入口を確認
奇襲は仲間とタイミングを揃えて踏み込む
アリアドネ。袋の鼠だ。観念するんだな!
人々を踏み躙り虐げた非道、その報いを受ける時だ!
護衛は任せ、合間から一直線にアリアドネめがけ羽根型エネルギーを飛ばしPD攻撃
連携が取れていないようばらばらに攻撃
見え透いた不意打ちに、六本の脚に側面から仕掛ける
周囲の仲間がやられるのをみて、顔色を変え
加虐趣味に訴えよう
手ごたえが薄い……まさか?
桁違いだ……こんなに強いとは聞いていないぞ!
反撃には
蜘蛛糸に為すすべなく絡めとられるようにみせ
さりげなくローブで受けSegenを噛ませつつ、蜘蛛脚の動きを観察、プロテクターで急所は守り
ガードアップで耐久
いい一撃が入ったと、苦しむ演技を
うわぁぁッ
嘘だろ、やめてくれ
来るな、なんて化け物だ――!
もがき、怯えと恐怖を浮かべる
演技するが油断はしない
文句なしの強敵だ
●蜘蛛糸渡り
トループス級への攻撃と時を同じくして、ディアボロスたちはアリアドネへと襲撃を仕掛けていた。
それは彼女の油断を誘うためのものであり、彼女から情報を引き出すための偽装である。
「あ、アリアドネ見っけ!」
部屋へと突入しアリアドネを視界に捉えるやいなや、彼女へと声を掛けたのは桜・姫恋(苺姫・g03043)だ。
姫恋の声に、アリアドネは赤い眼差しを向ける。
「……私の巣へようこそ、ディアボロス」
「こんにちは。それともこんばんはかしら? ようやくお目にかかれたわね」
この迷宮は昼夜がわかりにくいわね、と微笑んでみせる姫恋。武器を構える彼女と共に、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)も盾を構え、アリアドネへと力強く宣言する。
「アリアドネ。袋の鼠だ。観念するんだな! 人々を踏み躙り虐げた非道、その報いを受ける時だ!」
「袋の鼠、ねぇ。果たして本当にそうなのかしら?」
エトヴァの言葉に、アリアドネは瞳を艶やかに細めた。駆除される鼠は果たしてどちらか。
現状ではどう転ぶかは不透明。その事実を十分に理解しつつ、エトヴァは勝利を確信する愚か者を演じる。
「今からそれをわからせてやろう!」
姫恋とエトヴァは互いに目配せし、頷き合った。
「必ず倒してみせるわ」
「ああ、共に戦おう」
それは真意であり、偽装の一部でもある。二人は各々のタイミングでパラドクスを展開した。
姫恋は縛神帯ー桜ーを広げ、縛鎖の陣を発動する。エネルギーを帯びた桜色の布が宙を舞い、アリアドネの体へと鎖のように伸びた。
鎖の如く強靭な布であるが、それは宙で頼りなくふらつき、アリアドネの腕先にかろうじて絡み付く。
巻き付いた布へと冷めた視線を向けるアリアドネ。冷静な彼女の様子に気付かぬフリをしつつ、エトヴァは天使の翼を羽搏かせる。
羽根の形を成したエネルギーが羽搏きと共に解き放たれ、アリアドネの側面へと迫った。だが、見え透いた不意打ちである。飛来する羽根の動きは単純だ。
蜘蛛の脚で羽根を叩き落とし、アリアドネは軽く息をついた。
「少し、痒いわね」
うっすらと口元に笑みを作る彼女に、エトヴァは驚愕の表情を浮かべてみせる。
「手ごたえが薄い……まさか?」
攻撃を試みるも効いている気配がないアリアドネに、姫恋も悔しげに眉を寄せてみせた。
「流石ジェネラル級……一筋縄ではいかないか」
表面上は動揺しているように見える二人を、アリアドネは冷酷な眼差しで見下ろす。
「此処まで辿り着いておいて、この程度なのかしら?」
蜘蛛の脚を駆使し、彼女は部屋中に張り巡らされた蜘蛛の巣を駆けた。立体的かつ素早い動きを、姫恋は必死に目で追う。
「ッ、速い……!」
鎖化させた縛神帯ー桜ーで繰り出される脚を受け止め、後方へと飛び退いた。
アリアドネの手から伸ばされる蜘蛛糸に、姫恋はぐっと奥歯を噛み締める。防御態勢は敢えて取らず、蜘蛛糸に体を絡ませた。
引き裂くような痛みに耐えながら、彼女は荒々しく叫んだ。
「クッ……このままここでお前を逃がすわけには行かないのよ!! 確実にお前にはここで死んでもらわないと困るの!!」
荒々しい口調は演技。だが、この痛みは本物だ。ガードアップにより肉体を堅くしてもなお、体を襲う激痛は凄まじい。
(「自ら蜘蛛の巣に引っ掛かるのも命懸けね。一歩間違えれば、本当に体を引き千切られそうだわ」)
それでも誰かがやらなければ。その役目は自分が受け持つと、姫恋は心に強く想う。
一方で、姫恋が手酷く反撃される様を呆然と眺めるしかないエトヴァは、その表情に恐怖を滲ませた。
「け、桁違いだ……こんなに強いとは聞いていないぞ!」
アリアドネの蜘蛛の瞳が、エトヴァを視た。高速で蜘蛛の巣を移動し、彼の傍へと迫る。
間近に迫るアリアドネに、エトヴァは悲痛な叫び声を上げた。
「うわぁぁッ!? 嘘だろ、やめてくれ来るな、なんて化け物だ――!」
「ふふっ、いい男がみっともないわねぇ」
アリアドネの愉しげな声と同時、蜘蛛糸が瞬く間に彼の体を絡め取る。蜘蛛糸の中でもがき怯える裏側で、エトヴァは冷静に思考を巡らせた。
――まるで綱渡りだ。落ちれば蜘蛛糸に体を巻かれ、演技どころか本当に何もできずに嬲られる。
それほどまでに危険な状況下、『芸を披露する』など、神経が焼き切れそうである。
(「文句なしの強敵だ。演技を止めたとしても、容易く勝てる相手ではない……」)
ガードアップを交え、ローブとプロテクターで身を護り、Segenにて展開した白銀の魔力の盾を噛ませていても。身を侵すような痛みは無視できるものではない。
苦戦を演じる彼らの前で、アリアドネが部屋全体を見渡し……悩ましげに息を吐き出した。
「グリーディラミアたちは全員斃れたのね。残念だわ、良い話相手だったのに。まぁ、仕方ないわ……私が少し『撫でた』だけで、肉が抉れて悶絶する程度の弱さでしたから。けれど……」
彼女は自分の眼前で苦しむディアボロスを見て、愉悦と恍惚の入り混じった笑みを浮かべた。
「ディアボロスも、彼女たちと大して変わらないのね。加減を間違えたら、すぐに壊してしまいそう」
苦戦🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
どうしても知りたい事があった
問うならば、彼女が適任だ
他種族に怨嗟の思念を植え付けて魔女化する……
「怨嗟の思念」について
再利用を止める方法を得るために、その在処や性質を掴みたい
窮地で気弱な演技をし、嗜虐趣味に訴え情報収集
その脚の動き一つで命を奪えると油断させ
時にはわずかに後ずさるように逃れるように怯え
防具で身を護りつつ、甚振りを愉しませる
◆会話
クソ、このままでは勝てない……
どうしても……貴女を倒さなければ……
貴女方は、自動人形の復讐心に「怨嗟の思念」を注ぎ、増幅させて魔女化していた
俺達が倒した魔女達の思念を、儀式で呼び戻し、植え付けていたのだろう?
それならば、魔女を倒しても、倒しても……どこかで思念が燻ってしまうのか
まるで空気中に満ちているように?
あるいは、魔女達の思念は、どこかへ還り、どこかから呼び出しているとでも?
それが晴れぬ事には……堂々巡りだ
復讐を受け継ぐなんてこと……
……そんなことをしても、何もならないのに……
それは終わりがなく、救いもない……
そんなこと、もうやめてくださ……い
●怨嗟の行方
目的のためならば手段を選ばない――は言い過ぎかもしれない。
だが、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)には、目的を達成するためならば、身を粉にして挑む覚悟がある。
いくら表面上は情けない姿を晒そうとも、その内面では常に刃を磨いているのだ。そうまでしてでも、彼にはどうしても知りたいことがあった。
(「問うならば、彼女が適任だ」)
『怨嗟の思念』を用いた魔女化の儀式。その思念の在処や性質について、掴めるものがあれば。
表情を恐怖に強張らせ、必死に自分の身を護ろうとする哀れな弱者を演じる。覚束ない足で立ち上がり、エトヴァは肩で息をする。
「クソ、このままでは勝てない……どうしても……貴女を倒さなければ……」
エトヴァは怯えた眼でアリアドネを見た。アリアドネの愉しげな赤い瞳と、目が合った。
その赤い視線に耐えられないと目を泳がせつつ、エトヴァは震える声で言葉を続ける。
「貴女方は、自動人形の復讐心に『怨嗟の思念』を注ぎ、増幅させて魔女化していた。俺達が倒した魔女達の思念を、儀式で呼び戻し、植え付けていたのだろう? それならば、魔女を倒しても、倒しても……どこかで思念が燻ってしまうのか。まるで空気中に満ちているように? あるいは、魔女達の思念は、どこかへ還り、どこかから呼び出しているとでも? それが晴れぬ事には……堂々巡りだ」
そこで一旦言葉を切り、彼は敢えて咳き込んだ。受けた傷を押さえながら後退る様は、まさに追い詰められた獲物だ。
蜘蛛の脚の動きひとつで、命を奪える。アリアドネにそう思い込ませる。
「……復讐を受け継ぐなんてこと……そんなことをしても、何もならないのに……それは終わりがなく、救いもない……」
弱々しい声で絞り出すエトヴァへと、アリアドネが軽やかに口を開いた。
「その通りよ。復讐に終わりはないわ。ディアボロスに敗北して死したとしても、その復讐の心は新たなキマイラウィッチに受け継がれるの」
「そんなこと、もうやめてくださ……い」
「やめるわけないでしょう。……でも、そうね。全てのディアボロスをこの世界から消し去ったならば、ディアボロスへの復讐は完遂されるでしょうね。そういった意味なら、復讐には終わりがあると言えるわ」
アリアドネは柔らかに言葉を紡ぎ、ディアボロスたちを嘲る。
「死せるキマイラウィッチの復讐の念は、ジャンヌ様の元に戻り再誕する。お前たちには何もできないでしょうね」
偽装された優勢の中で、アリアドネは上機嫌に微笑んだ。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【浮遊】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
ソレイユ・クラーヴィア
くっ、森の奥に引き篭もって、配下を操るだけの魔女と聞いていきたら、これ程の強敵とは…!
まさか、勝てない…、そんなバカな…!?
焦りを見せ、喋って撤退の時間を稼ぐかのように
貴方の事は知っていますよ
イザベル・ロメを操り自動人形を魔女化した黒幕
他のジェネラル級に実行を任せるということは、戦力は低い技術系の魔女と見ていましたが…
誤算でした…
ならば魔女化儀式の場である、この洋館だけでも破壊すれば儀式はできなくなる筈
自動人形の漂着も既に打ち止めの頃でしょう
おそらく残っている魔女化自動人形は外を徘徊していた個体のみ
魔女化する自動人形が無ければ、どれだけ儀式をやれるといっても仕事は無くなりますね
貴方を倒せなくても、やりようはいくらでもあるということです
復讐心を植え付ける方法について問うてみたいですが、素直に答えてはくれないでしょう
植え付ける相手はもう居ないだろうと、否定して反応を見てみます
ニコラ・フラメルが自動人形のジェネラル化について匂わせていた事を思えば
おそらく自動人形は他にも居るのでしょうけれど
●成功作
『勝てると思っていたのに、劣勢に追い込まれた』。
意図的に作り出した劣勢の中で、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は焦りを見せ、動揺を演出する。
「くっ、森の奥に引き篭もって、配下を操るだけの魔女と聞いてきたら、これ程の強敵とは……! まさか、勝てない……、そんなバカな……!?」
ならば、せめて撤退の時間だけでも稼がなければ。逃走の意図を滲ませつつ、ソレイユは硬い声色でアリアドネへと語りかけた。
「貴方の事は知っていますよ。イザベル・ロメを操り自動人形を魔女化した黒幕。他のジェネラル級に実行を任せるということは、戦力は低い技術系の魔女と見ていましたが……誤算でした……ですが」
一縷の望みを抱くように、ソレイユは紡ぐ。
「魔女化儀式の場である、この洋館だけでも破壊すれば儀式はできなくなる筈」
「……ふぅん? なぜそんな風に思うのかしら」
アリアドネの瞳がギラリと光った。獲物を仕留めようとする獣の眼だ。
その眼差しから目を背けぬよう、必死に踏み止まる演技をしながら、ソレイユは続ける。
「自動人形の漂着も既に打ち止めの頃でしょう。おそらく残っている魔女化自動人形は外を徘徊していた個体のみ。魔女化する自動人形が無ければ、どれだけ儀式をやれるといっても仕事は無くなりますね。貴方を倒せなくても、やりようはいくらでもあるということです」
ソレイユの言葉に、アリアドネは心底愉快そうに笑い声を上げた。
「ふふ、あはははっ! まだ何かできると思っているのね? 健気で可愛らしいわぁ!」
ひとしきり笑ったあと、彼女は喜々として言葉を紡ぐ。ディアボロスが抱いた希望を容赦なく砕き、絶望させようとするように。
「自動人形は復讐の念が薄いわ。まぁ、所詮は人形に過ぎないのでしょうね。ここは自動人形の魔女化のために用意した巣ではあったけれど、もう用済みよ。けれど、自動人形が全滅したとしても、漂着するクロノヴェーダがいる限り、魔女化はできるわ。ディアボロスへの恨みの念が強いものほど、良い手駒になる。私の仕事は、まだまだ沢山あるというわけ。……あぁ、それと」
アリアドネの言葉は自信に満ちていた。そして、付け加えるように彼女は続ける。
「残っている魔女化させた自動人形は、外のガラクタ以外にもいるわよ。イザベルが育てたマリアは、成功作といえるでしょうね」
マリア。その名を告げて、アリアドネは口元を愉悦に歪ませた。
(「イザベルが育てた、マリア……」)
――成功作の『マリア』。アリアドネが口にした名を、ソレイユは頭の中で繰り返す。自動人形は他にも居るだろうと予測していたが、やはり。
ディアボロスたちの真意に未だ気付かぬアリアドネは、不気味に蜘蛛脚を蠢かせた。
獲物を狩り取る準備は万全といったところか。
「ふふっ、面白い話だったでしょう? でも……お前たちは、この情報を仲間へと伝えられずに死ぬのよ」
さらなる絶望を与えるべく、彼女は狩りを再開する――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
煮ても焼いても食えない強敵だ
着実に勝機を積み上げていこう
復讐に終わりはない……か……
演技するまま、絶望を与えに来た所を一撃
脚を振りかぶるなど見せた隙は逃がさない
本体に風穴開けるつもりで両手の銃を連射、PDの弾丸を撃ち込もう
敵の攻撃には脚の動きを観察、魔力障壁で防ぎ、プロテクターで守る
手脚の駆動を阻害するよう、手脚の付け根や人体部分を撃ち抜いて動きを留め、釘付けにする
周囲の蜘蛛の巣に囚われぬよう、身体の動きは抑えつつ
絡まればコートや靴を脱いで対応、繊細にエアライドも駆使し立体的な動きを
戦況と敵の動きを観察し、仲間が後背を取れるよう、互いに挟撃や包囲に近い位置を取り
死角からや俊敏に襲う動きにはPD通信で注意喚起を
さあ、と通信で声掛け
見守ってくれていた仲間達に機を繋ごう
仲間になるはずだった者たち、か
仕える主さえ忘れる事が、果たして彼ら彼女らの望みであったのか
気に入らなければ撫でて壊す程度の玩具では?
孤独な女王様
あなたに助けは、来ない
聞いた話は、いつかあなた方の急所とするよ
●攻勢へ
気弱な青年を演じていたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)だったが、瞳の奥に強い光を宿した。
「復讐に終わりはない……か……」
ぽつりと、彼は呟く。アリアドネがエトヴァへと接近し、その体を貫くべく蜘蛛脚を振り上げた。
同時、エトヴァは両手の銃を彼女へと向ける。闇に閃く確かな意志が、二つの銃口から火の華を咲かせた。
「!」
アリアドネが僅かに眉を寄せた。それは思わぬ被弾による驚きからか。
Sternenkreuzにより立て続けに撃ち出された弾丸が、彼女の体へと刻まれる。
「復讐は終わる。……俺たちが、終わらせる」
気弱な青年は消え失せた。其処には悠然と、それでいて刃の如き鋭さを纏うエトヴァが構えている。
状況を理解したアリアドネが、うっすらと瞳を細めた。
「お前たち、私を騙したのね」
「時は来た。アリアドネ、あなたを倒す」
二挺銃の照準をアリアドネへと合わせ、エトヴァは力強く告げる。雰囲気がガラリと変わった彼の姿に、アリアドネは口端を吊り上げてみせた。
「……ふふ、屈服させた時の快感を、より強く感じられるということね!」
狩場である蜘蛛の巣上を移動しながら、彼女は蜘蛛糸をエトヴァへと撃ち放つ。
絡まった蜘蛛糸を、コートを脱ぐことで剥ぎ取り、その間にも迫り来る蜘蛛脚へと射撃。
僅かではあるが攻撃速度が落ちた隙に魔力障壁を展開し、繰り出される反撃を緩和する。
「仲間になるはずだった者たち、か。仕える主さえ忘れる事が、果たして彼ら彼女らの望みであったのか」
刺し貫かれるような痛みを感じながらも、エトヴァは静かな口調で語りかけた。彼の問いに、アリアドネは当然のように返す。
「復讐を為すという目的の前では、自動人形の望みなんてちっぽけなものよ」
「彼らの矜持は無視か。それでは、気に入らなければ撫でて壊す程度の玩具と何も変わらない」
反撃を凌ぎながら、エトヴァは想いを口にする。魔力障壁に亀裂を入れながら、アリアドネが額の瞳を蠢かせた。
「お前たちだって、散々自動人形を壊してきたでしょう? 自動人形の望みを文字どおり『壊してきた』お前たちに、私を咎める権利はあるのかしら」
魔力障壁が砕け散る――同時に、反撃の勢いも殺しきる。蜘蛛の巣の奥へと飛び移ったアリアドネへと、エトヴァは迷いのない声色で紡いだ。
「奪還という目的のために彼らを破壊したのは事実だ。だが、俺は……彼らの望みを、矜持を忘れたことはない」
再び二挺の銃を構え、視線の先に居るアリアドネをしかと睨み据える。
復讐に支配され、他のすべてを視界に入れようとしない――毒蜘蛛の怪物には、哀れみすら覚える。
「孤独な女王様。あなたに助けは、来ない。聞いた話は、いつかあなた方の急所とするよ」
今は情報を得ただけだとしても、いつか、必ず。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
桜・姫恋
連携・アドリブ歓迎
さて、そろそろ本気出してもいいわよね?
これ以上の情報を聞き出すのは無理そうですし……
(ネメシスの姿へ。髪は紅色、瞳は桜色へ。羽根は自身を包み込める程の大きさへ。尻尾は二又へと変化していく)
アリアドネ?私達の実力があれだと本気で思ったの?
あれで全力だと思われるのも癪ね。
本番はこれからよ?
ここからは本気で行かせてもらうわ!!
全身に桜の花びらの紋様を浮かばせ紋様から毒を含んだ紅や紫色の桜の花びらを出現させ。
お前のようなものは生きるに値しない。死して罪を償うことね?
そう言い放ちながら手を前へ出し生み出した毒の桜の花びらをアリアドネへ向けてはなっていく。
避けても無駄よ?少しでも触れればお前の体に毒は注入される。
お前にとっての理想を夢見ながら毒に侵されて死ぬことね。
とはいえ、もう私の声はほとんど聞こえないでしょうね。貴方にとっての理想に囚われていなさい。夢だと気づかずに行くほうが幸せでしょうからね
●桜の毒
苦戦を演じることを止めたのはエトヴァだけではない。
情報を聞き出した今、これ以上演じる必要はないと、桜・姫恋(苺姫・g03043)は表情を変える。
「アリアドネ? 私達の実力があれだと本気で思ったの? あれで全力だと思われるのも癪ね」
落ち着き払った声色と共に、花が色付くように紅へと染まりゆく髪。瞳に桜の色を湛える様は、鮮やかな春の色。
それが姫恋のネメシス形態だ。自身を包み込むほどに大きな翼と二又の尾を広げ、彼女は宣言する。
「本番はこれからよ? ここからは本気で行かせてもらうわ!!」
体の表面を覆うように、花びらの紋様が浮かび上がった。紋様から紅と紫の花吹雪が出現し、空中へと舞い上がる。
(「桜よ、邪悪な蜘蛛の怪物を、その毒で蝕め――」)
人々を苦しめた分――否、それ以上に苦しめと、姫恋は深く念じる。邪悪な毒蜘蛛を捕まえようとするかの如く、手が前へと伸ばされた。
「お前のようなものは生きるに値しない。死して罪を償うことね?」
冷たく言い放つ。明確な敵意、そして殺意と共に、桜蝕毒の花吹雪がアリアドネへと迫った。
触れる花びらが、アリアドネの体を毒で侵す。髪に付いた花弁を邪魔そうに払い落とすアリアドネに、姫恋は淡々と紡ぐ。
「避けても無駄よ? 少しでも触れればお前の体に毒は注入される。お前にとっての理想を夢見ながら毒に侵されて死ぬことね」
アリアドネの視線が、姫恋へと向けられる。毒蜘蛛の瞳が、うっすらと細められた。
「理想の夢? そうねぇ、理想の夢……それなら」
此処は毒蜘蛛の狩場だ。蜘蛛の巣を駆けるアリアドネが、瞬く間に眼前へと迫る。
強靭な蜘蛛糸が姫恋の体を拘束し、激痛と共にその身を縛り上げた。先程も感じた身の引き千切れる痛みだ。
しかし、どんなに苦痛に苛まれても、姫恋はそれを表情に出さない。
(「どんなに痛くても、表になんて出さないわ」)
ひたすらに反撃を耐え凌ぐ。蜘蛛糸が喰い込み柔肌から流れる鮮血に、アリアドネがうっとりと微笑んだ。
「ディアボロスが苦しみ続ける夢を見たいわ。苦しみ、もがき、最期は無惨に死ぬ。なんて素敵な夢なのかしら」
姫恋の毒はアリアドネを確かに蝕んだ。それでもなお、毒蜘蛛は愉しげに笑う。姫恋は冷え切った眼差しで、アリアドネをしかと見据えた。
「すぐにでも見せてあげるわ。その頃には、お前の体は動かなくなっているでしょうけれど」
毒とは完全に回るまで時間が掛かるものだ。それが強敵であるならばなおのこと。即効性など物ともしないであろう。
今は僅かな浸蝕であっても、追い詰めていけば、毒蜘蛛にも毒は回るはずだ。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【スーパーGPS】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
イツカ・ユメ
とっても面白いお話を聞かせてくれてありがとう、アリアドネちゃんは。
わたし達はこの情報と、あなたの討伐を皆に伝える為に、全力で戦って、生きて帰るのよ!
…出し惜しみ無しのネメシスモードで挑むよ!
立体的な動きに惑わされないように、サーヴァントや他の皆と可能な限り連携を取って、
死角を補い合うように立ち回るね。
絶望を跳ね飛ばすように高らかに、この魂が叫ぶままに。
夢を、希望を、勇気を、愛を。
歌って奏でて、皆と自分自身を鼓舞しながら軽やかに切り結ぶよ
あなた程度の蜘蛛の糸じゃ、わたしの歌は縛れない。
終わらない復讐に縛られた孤独で可哀想な魔女さんは、ここで眠ってもらうよ!
…復讐は、終わらない。
アリアドネを討っても、復讐の念は、ジャンヌの元に戻り再誕する。
なら、ジャンヌを討てば再誕は終わる?
でも、そうしたら。
ジャンヌの復讐の念は、一体何処はいくのかしら。
●終わらない歌
演技により作り上げた虚構を捨てた今こそ、本気のぶつかり合いが幕を開ける。
「とっても面白いお話を聞かせてくれてありがとう、アリアドネちゃん」
イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)の青い瞳が、ルビーの色彩に染まる。ネメシス形態へと姿を変え、彼女は凛と眼前のアリアドネを睨み据えた。
緑の面影を残しつつも白銀に色付く髪が、澱んだ空気の中で存在を主張するように輝く。
「わたし達はこの情報と、あなたの討伐を皆に伝える為に、全力で戦って、生きて帰るのよ! 終わらない復讐に縛られた孤独で可哀想な魔女さんは、ここで眠ってもらうよ!」
息を大きく吸い込みパラドクスを紡ごうとするイツカと同じく、アリアドネも動き出した。
「私は私を『可哀想』だなんて思わないわ。だって、こんなに愉しいんですもの」
壁を駆け天井を跳び、アリアドネはイツカへと接近する。――速い。そして不規則な動きは、到底読み切れるものではない。
「っ……!」
体を締め上げる激痛にイツカは息を詰めた。すれ違いざまに放たれた蜘蛛糸が、イツカの体を絡め取ったのだ。
「さあ、ディアボロス、もっと藻掻きなさい、足掻きなさい」
蜘蛛糸を束ねイツカへと巻き付けながら、アリアドネが歌うように言った。
「もきゅっ、もきゅぅ……!」
痛みと息苦しさに意識が遠退きかけるが、サーヴァント――キットの声がイツカを引き戻す。
「……ありがとう、わたしは平気だよ」
こんな場所で倒れてる場合じゃない。絡み付いた絶望の糸を、引き千切ってみせる!
イツカは渾身の力を振り絞り、パラドクスを発動する。絶望を跳ね飛ばすように高らかに、この魂が叫ぶままに。夢を、希望を、勇気を、愛を。
いつかどこかで聴いた、あの歌を――。
(「いつか叶う、夢はきっと叶う……大丈夫。痛いのも、怖いのも、全部飛んでいっちゃうから」)
甘く蕩ける歌声が力となり、体を拘束する硬い蜘蛛糸を蕩けさせた。
弛んだ糸を強引に引き千切り、イツカは高らかにイツカノウタ<dolce arrange>を紡ぐ。
「あなた程度の蜘蛛の糸じゃ、わたしの歌は縛れない!」
歌声と共に発現した闇を照らす光が、アリアドネへと降り注いだ。
「……頑丈ねえ。あれで死なないなんて」
眩しさに眉を寄せつつも、アリアドネは柔らかに呟いた。
ネメシス形態となり強化された肉体が、イツカから致命傷を遠ざけたのだろう。だが、次も同じく免れるとは限らない。
死は常に傍らにある。けれど、それが歌うことを止める理由にはならない。イツカは痛みを堪えながらも力強く告げた。
「さっき言ったよね、必ず生きて帰るって。この声が枯れるまで、わたしは歌い続ける!」
歌は終わらない。絶望に掻き消されることなく、暗い闇を照らすために在り続ける。
苦戦🔵🔴🔴🔴
一里塚・燐寧
逆に言えば、再誕させるジャンヌさえいなくなれば、キマイラウィッチは詰みって訳だねぇ
いやー、きみ達が王様さえブッ殺せばおしまいの単純な連中で助かったぁ~
……ディアボロスがほんとに何もできないか、じぃーっとよく見ておくといいよぉ
ジャンヌが死んで、その復讐心も擦り切れて消えちゃう瞬間までねぇ
チェーンソーの角と尾を持つ肉食恐竜型のネメシス形態に変貌
張り巡らされた糸を肉体に備わった鋭い回転鋸刃で切り裂き、脚や腕が引っかからないようにして戦うよぉ
尾を武器として『屠竜技:衝破轟震撃』をキメるよぉ!
ジャンプで距離を詰めると共に、ぐるりと巨体を宙返りさせて、敵の頭上から尾を叩きつける
回転しながら飛び込む勢いと恐竜の体重を乗せた、渾身の斬撃をぶちかましちゃおう!
決着に至らなくても、敵が陥没した地面から脱するまでの僅かな時間を仲間が攻めかかるチャンスに出来れば万歳
湧き出て来る蜘蛛からは【エアライド】で後方に跳んで逃げ、尻尾を振り回して接近を阻むねぇ
楽しもうじゃん。化け物同士のヤバいブッ殺し合いってやつをさぁ!
●チェーンソーザウルスVS毒蜘蛛の魔女
「逆に言えば、再誕させるジャンヌさえいなくなれば、キマイラウィッチは詰みって訳だねぇ。いやー、きみ達が王様さえブッ殺せばおしまいの単純な連中で助かったぁ~」
緊張の糸が張り詰める中、重い空気を突き破るように口にしたのは一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)だ。
「お前たちに、ジャンヌ様を殺すことなんてできないわ」
アリアドネの涼しげな表情を燐寧は見つめ返し、にいっと口元に笑みを浮かべてみせた。
「……ディアボロスがほんとに何もできないか、じぃーっとよく見ておくといいよぉ。ジャンヌが死んで、その復讐心も擦り切れて消えちゃう瞬間までねぇ」
焔にも似た光が燐寧を包み込み、その姿を一瞬にして肉食恐竜の姿へと変貌させる。
チェーンソーの角と尾を鳴らす燐寧に、アリアドネがぱちりと瞳を瞬かせた。
「あら可愛い。ペットにしたいくらいね」
「あいにく誰かに飼われるような趣味は持ち合わせていないんだよねぇ」
本音か冗談か判別のつかない発言はさらりと流し、燐寧は屠竜技:衝破轟震撃を発動する。
大きく跳躍しアリアドネへと距離を詰めた。巨体を空中で回転させ、頭上から尾を振り上げる。
高速回転するチェーンソーが唸り声を上げた。
「足元の大地ごと、粉々に砕いてあげるよぉ!」
全体重をのせた一撃を、身構えたアリアドネへと叩き込んだ。衝撃に体を揺らしながらも、彼女は妖艶な笑みをこぼす。
「ふふっ、とても元気で狂暴な子ね。弱った時の反応が楽しみだわ。――さあ、私の可愛い毒蜘蛛たち」
アリアドネの呼び声と同時、張り巡らされた蜘蛛の巣から毒蜘蛛の集団が溢れ出た。
一斉に迫り来る毒蜘蛛から逃れるべく、燐寧はエアライドで後方へと跳躍する。
(「この蜘蛛の巣、本当に面倒だなぁ」)
毒蜘蛛が縦横無尽に駆け巡る巣を燐寧は睨んだ。パラドクスで破壊するか、服や防具を間に噛ませて脱ぐことで脱出するか。蜘蛛の巣への対処はとにかく手間を要する。体に触れてしまえば厄介なことこの上ない。
毒蜘蛛たちが、燐寧へと飛び付いた。刺すような痛みと共に体内へと猛毒が流れ込む。
「ちょこまかと、邪魔だよぉ!」
尻尾で毒蜘蛛を払い落とし、グシャリと踏み潰した。溶け消える毒蜘蛛には目もくれず、輝く赤い眼にアリアドネを映す。
「……あたしも今から楽しみだよぉ。きみが、こんな風に潰れちゃうのを見る時がねぇ」
駆動音が闇を裂いた。体を蝕む猛毒に構わず、燐寧は戦意の赴くままにアリアドネへと突撃する。
「楽しもうじゃん。化け物同士のヤバいブッ殺し合いってやつをさぁ!」
チェーンソーと蜘蛛の脚が再びぶつかり合い、どちらのものかもわからぬ血飛沫が迸る。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎
ここで死ぬのは遠慮しておきます
イザベルや成功作の「マリア」とやらにも、ご挨拶に伺いたいですし
この地に沈むのはアリアドネ、貴方です
強敵相手に出し惜しみは無しです
ネメシス化
黒鍵翼のマエストロの姿に変化
宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
聖なる光を束ねて剣と成し、真っ直ぐ貫いて差し上げます
命中・ダメージアップの加護を纏い、複数の光剣を展開
立体的な動きで逃げるなら
命中の逸れた攻撃と見せかけ、行く手を遮るように何本か射出し
誘導した地点へとありったけの力を込めた一撃を放ちます
仲間と挟撃するように包囲して、万が一の逃走も警戒
誰かにアリアドネの戦意が集中して一点突破されぬよう
常に背後や側面から攻撃して意識を散らせるよう動きます
反撃には魔力障壁を展開して急所を避けるように凌ぎます
演奏会はまだ途中
貴方の糸に絡めとられるわけにはいきません
この世界では人間はおろか、漂着した侵略者にも人権は無いのですね
失意の心を復讐で塗り潰すのは、さぞや愉しかったことでしょう
そんな歪んだ因果は、もう終わりにしましょう
●光の旋律
己の傷を顧みず戦い続ける仲間たちに続き、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)も鍵盤へと指を走らせた。
演奏の開始と同時、彼の翼に変化が起こる。日没の赤い太陽と黒い大地を混ぜ合わせた色彩――黒鍵翼のマエストロへと姿を変える。
「恵みの慈雨を、邪悪な者を貫く光の剣としましょう」
毒蜘蛛の領域に響き渡るは幻想ロンド「福音」の音色だ。怒りの力を音色へと込め増幅させる。
音色は光となり、光は邪を穿つ聖剣となる。
攻撃を凌いだばかりのアリアドネが、光を湛える無数の剣へと視線を走らせた。
蜘蛛の巣へと飛び移り防御の態勢を取る彼女を、ソレイユはしかと瞳に捉える。
(「どんな手段を用いたとしても、逆説連鎖戦において攻撃は必ず当たるもの。ですが――」)
その威力を削がれぬよう、僅かでもアリアドネの心臓へと届かせるよう。ソレイユは思考を巡らせる。
「逃がしませんよ」
命中アップの加護――敵へと続く光の導きを目で追いながら、ソレイユは指揮を振るった。
アリアドネの行く手を遮るように光剣を撃ち放ち、彼女が逃れた地点へと全力の一撃を叩き込む。
束ねられた光が、アリアドネの体に深々と突き刺さった。
――たとえ誘導であると理解していたとしても、アリアドネは己の素早さを信じて動くしかない。
どの攻撃が全力の攻撃かなど、この短時間で把握できるわけがないのだ。
「……ふぅん、やってくれるじゃない」
喰い込んだ光剣を強引に抜き取り、乱暴に地面へと払い落とす。
「獲物に牙を突き立てられるのも悪くないわね。活きが良いほど、嬲り甲斐があるもの」
巣からソレイユへと飛び掛かり、蜘蛛の糸を放った。巻き付いた蜘蛛糸がソレイユを締め上げるも、展開した魔力障壁が痛みを緩和する。
だが、障壁を以てしても、刻まれるような痛みは防ぎ切れるものではない。
(「この程度の痛みなど……虐げられた人々の痛みと比べたら、取るに足らないものです」)
太陽の如き鮮やかな光の中で、ソレイユは痛みに耐えながら淡々と紡いだ。
「演奏会はまだ途中。貴方の糸に絡めとられるわけにはいきません」
「その意気よ。たくさん抵抗して、最期は無惨に死んでね?」
クスクスと笑みをこぼすアリアドネへと、ソレイユは首を横に振った。
「ここで死ぬのは遠慮しておきます。イザベルや成功作の『マリア』とやらにもご挨拶に伺いたいですし、この地に沈むのはアリアドネ、貴方です」
断言し、彼はアリアドネを鋭く睨み据える。貫くような視線は、確固たる意志をその内に宿していた。
「この世界では人間はおろか、漂着した侵略者にも人権は無いのですね。失意の心を復讐で塗り潰すのは、さぞや愉しかったことでしょう。……そんな歪んだ因果は、もう終わりにしましょう」
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV4になった!
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
魔女の称号を穢す者よ、アリアドネを騙るならば知っているでしょう
迷宮に潜む怪物は、生け贄に紛れた英雄の手で討たれたのだと
わたし達もまた、無力な犠牲者として迷宮に迷い込んだ訳ではありません
――都市と人々の安寧のため、邪悪を滅ぼすべく来たのです!
聖なる黄金鎧を纏うネメシスを解放
≪神威の聖盾≫を構え、自身とクロエ様を護り戦います
糸と蜘蛛を隠しやすい暗がりや物陰には注意
必要に応じて【エアライド】で危険地帯を跳び越え、罠の前や壁際に追い詰められない位置取りを
攻撃の機が来れば≪オレイカルコスの聖槍≫の穂先から『勝利齎す女神の威光』を発射
クロエ様より先に動く場合、槍を横に振るって光の奔流で薙ぎ払い、糸や毒蜘蛛ごと敵を灼いて道を拓きます
わたしが後詰ならクロエ様の技で生じた隙を狙って槍を突きつけ、光の集中的照射で大打撃を狙います
反撃の蜘蛛は槍と盾で振り払うか、≪神威の光≫で撃ち噛傷の威力や回数を低減
不遜なる詐称者よ!今こそ、その傲慢と悪行の報いを受けなさい!
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし、共に戦います
仮にお前が知らなかったとて、私たちがやることに変わりはありません。
迷宮に座す怪物よ、英雄を導く王女の名はお前が名乗るには不遜、そして不敬です。
冥府の神衣を纏うネメシス形態へ。
三相の杖を構え魔術の詠唱を行います。
先ほどのグリーディラミアたちよりも余程蜘蛛の糸を利用し、移動するのには長けているでしょう。
蜘蛛の糸を利用した変則的かつ俊敏な動きに対応しやすいよう、エイレーネとは近くで戦い、お互いをディフェンスしやすいようにします。
敵に対しては【アリアドネー・メディカゴ】を使用。
エイレーネよりも後に動くならばエイレーネが光の奔流で開いた道を辿るようにして糸を伸ばし、蜘蛛足ごとアリアドネを締め上げます。
先に動くならば敵が館に張った糸に紛れさせるように糸を伸ばし、アリアドネを絡め取り、締め上げて動きを封じ、エイレーネの一撃を撃ち込む隙を作ります。
敵の伸ばす蜘蛛の糸の絡め捕りは「守護の赤薔薇」の茨で防御を。
其の名を返し、冥府へと墜ちなさい!
●名を取り戻すための戦い
たとえ劣勢に追い込まれていたとしても、潮流とは常に変わるものだ。
勝利の天秤をこちら側へと傾けるべく、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)はネメシスの姿を解放する。
「魔女の称号を穢す者よ、アリアドネを騙るならば知っているでしょう。迷宮に潜む怪物は、生け贄に紛れた英雄の手で討たれたのだと」
聖なる黄金鎧を身に纏い、大きな翼を広げ、彼女は凜然と言葉を紡ぎ出した。
「わたし達もまた、無力な犠牲者として迷宮に迷い込んだ訳ではありません。――都市と人々の安寧のため、邪悪を滅ぼすべく来たのです!」
エイレーネと時を同じくして、クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)もネメシス形態へと姿を変える。
「仮にお前が知らなかったとて、私たちがやることに変わりはありません」
アリアドネ――その名で呼ぶのも忌々しい。この名は眼前の怪物が名乗って良い名前ではない。
冥府の神衣にて身を包み三相の杖を構える彼女は、射抜くような眼差しで、魔女を騙りその名を穢す存在を睨んだ。
「迷宮に座す怪物よ、英雄を導く王女の名はお前が名乗るには不遜、そして不敬です」
互いに背を預け、死角を無くすよう陣形を組む彼女らに対し、アリアドネは何処か上機嫌な様子だ。
「……復讐に取り憑かれ、名を穢す不遜な怪物。ふふ、いいじゃない。お前たちにそう思われてこそ、私の復讐は美しい花を咲かせるの」
濁流が如き毒蜘蛛の群れが、巣の上で無数の赤い瞳を輝かせる。アリアドネが、妖美に微笑んだ。
「怪物は嫌われてこそ怪物。そうでしょう?」
動き出すアリアドネと共に、毒蜘蛛たちが一斉に襲い掛かった。同時に迫り来る攻撃を、エイレーネとクロエは全力で迎え撃つ。
あらゆる方向から襲い来る毒蜘蛛の群れに、エイレーネは神威の聖盾を勇ましく構える。
「嫌われてこそ怪物というならば、討たれてこその怪物とも言うでしょうね!」
足元から這い上がろうとする毒蜘蛛からエアライドで逃れ、天井から飛び付かんとするそれらは武器で振り払う。
いくら振り払えども襲い来る毒蜘蛛。だが悍ましい虫共に決して臆せず、エイレーネはオレイカルコスの聖槍を差し向けた。
狙いは部屋中を蜘蛛脚で駆け回るアリアドネ。毒蜘蛛をエイレーネへとけしかけながら、アリアドネ本人はクロエへと距離を詰めている。
クロエは守護の赤薔薇を咲かせた。茨の防壁によって、アリアドネが撃ち放った蜘蛛糸が直接体に触れぬよう妨害する。
防壁ごしであっても、蜘蛛糸が体を締め上げてくる。だが、その痛みにクロエが屈することはない。
「迷宮の怪物。お前の醜悪な毒花は此処で散るのです。そしてもう二度と咲くことはありません」
魔女として生きる者として、眼前の怪物に負けるわけにはいかぬと、強き想いが彼女を突き動かす。
アリアドネを視界の中心におさめつつ、クロエは視界の端にエイレーネの姿を捉えた。聖槍の穂先へと加護の光明が灯る様を、しかとその目で確認する。
(「合わせる準備はできていますよ、エイレーネ」)
(「はい、クロエ様。今こそ攻勢の時です!」)
言葉にせずとも、目と心で通じ合う。
黄金に輝く奔流が、薄闇の迷宮で燦然と輝いた。
「アテーナー様! 大神ゼウス様の姫神にして、勝利を齎す女神よ! どうかこの槍に、人々の敵を撃ち破る力をお与えください!」
闇を貫く光が、エイレーネを蝕む毒蜘蛛を灼き払った。エイレーネは全身全霊を以て聖槍を振るう。
「不遜なる詐称者よ! 今こそ、その傲慢と悪行の報いを受けなさい!」
矢の如き言の葉と共に、光は止まることなく。勝利齎す女神の威光はアリアドネへと一直線に届く。
光の奔流が邪悪な毒蜘蛛の女王を呑み込んだ。破壊の光芒を、アリアドネはその身に受け止める。
身を灼かれながら天井に飛び退こうとする怪物を、クロエは逃がさない。唐草の種に魔力と信頼の感情を注ぎ、堅牢な植物を創り出した。
「種子に宿るは我が信頼、芽吹け『アリアドネー・メディカゴ』!」
その植物はギリシャ神話の伝承『アリアドネーの糸』を象ったもの。アリアドネの名を騙る者を絡め取るに相応しい魔術と言えよう。
エイレーネが開いた光の路を辿るように、クロエは糸を伸ばす。
「其の名を返し、冥府へと墜ちなさい!」
糸は逃れようとする怪物の脚を絡め取り、天井から床へと引き摺り落とした。
「くっ……」
凄まじい衝撃音と同時に床へと体を激しく打ち付け、アリアドネは呻き声を上げる。ここに来て漸く、アリアドネの顔に苦悶の気配が垣間見えた。
「……今のは、効いたわ」
絡み付いた糸を引き千切り、アリアドネは立ち上がる。これまで重ねられた攻撃にその身は傷付き、多くの血を流していた。
エイレーネとクロエは変わらず戦闘態勢を取り続け、消耗しつつある怪物を鋭く見据える。
聖槍の穂先をアリアドネへと突き付け、エイレーネが力強く告げた。
「多くの無辜の民を傷付け、魔女の名を穢した罪を、その命を以て償っていただきます」
「英雄として怪物を討ちにきたってわけ。凄いわねぇ。今まで何十、何百の怪物とやらを殺してきたのかしら」
アリアドネの皮肉めいた言葉に、クロエは瞳を細める。
「私は英雄ではなく、魔女としてお前を討ちに来たのです。――其の名を、返してもらいましょう」
『アリアドネ』。怪物によって奪われた、潔らかな其の名を。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【隔離眼】LV1が発生!
【土壌改良】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
水上・鏡夜
アドリブ、連携歓迎
巣穴から逃げ出せると思っておいでかな?
それはできない相談だよ
復讐を植え付けるのを見過ごすわけにはいかないんだ
どうにも役割を押し付けられているようでいて腹立たしい
これはどこまでも私怨でしかないけどね
これだけ暗いのならどこからでも茨を伸ばすことができる
相手の動きに注視し、移動の起点を見極めよう
相手は撤退ルートを把握しているんだ
趨勢次第でその動きを取る可能性がある
移動を阻害するように茨で地面に近い蜘蛛の脚を括り上げよう
命中アップ、先行率アップをのせてやれば多少は届くはず
ボクに反撃する為に視線を、思考を奪えれば十全
それは僅かな隙だが、味方がいるんだ
活かしてくれるだろう
反撃にはガードアップを用いて耐える方向でいこう
喉さえ無事であればいくらでも歌えるからね
終始、妨害に徹するよ
ここまで繋いできた子達がここに来ているんだ
その為の道を作るのがボクの役割だよ
執拗なまでにどこまでも追い縋ろう
影が届く範囲がボクの間合いだ
逃がしはしない
四肢がもげようと、ね
アヴィシア・ローゼンハイム
仲間たちのおかげで色々と興味深い情報は得られたわね
さあ、反撃開始といきましょうか
ディアボロスの本気、見せてあげる
とはいえ、相手はジェネラル級、できる限り最大限の警戒を
ネメシス形態を発動、赤と黒の魔女衣装に、紅の蝶を引き連れて
ダメージアップと合わせて攻撃力を底上げ
敵の攻撃は蜘蛛の脚の動きをよく確認し、立体行動の動きを観察
移動先を予想しつつ防御を固め、致命傷を避けるように行動
ダメージはガードアップと大鎌での防御で可能な限り軽減
周囲の蜘蛛の糸には注意しながら立ち回る
糸が衣服についた場合、可能であれば衣装を脱ぐか切って、身動きが出来なくなる前に対応
ジェネラル級だけあって確かに手ごわい。だけれど
この悲しみの連鎖を断ち切りたいから、心奮わせて
此処に来るまでに、貴女の犠牲になった人達の遺物を見つけたわ
貴女の紛い物の復讐心と、くだらない楽しみの犠牲になった、ね
人々の未来を奪ったその報い、必ず受けさせるわ
さあ、花開きなさい、万物を凍てつかせる、蒼氷の薔薇よ
悲しみの根源を世界に溶かし、希望の花を咲かせなさい
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
――鉄と、刈られた毒麦の香り
救援機動力の高速を、靴で地面を噛み黒赤が降り立つ
遅参を許してねマドモワゼル
佳境に入ったグランギニョルは値千金
《失黒刀》の柄に手を掛けて
魅力的で、昂ぶれるのだから慎莫に負えない
策を断って尚、ジェネラル級は悪辣に咲く
耳にした仲間の苦闘も薪と、怒りの窯に積むように
敢闘の跡を獣道の如くに有難く進もう
伝承、開放
コマンドワードを唱え。鯉口を切り、疾駆
展開したAutoscopy、電脳の影法師を伴として
敵の戦傷から断ち易い箇所を確りと見定め
エアライドも駆使し蜘蛛糸を潜り抜け、或いは断ち迫り
その凶脚、絶たせてもらう!
斬撃は群翔ぶ鵤が如く、残留効果の重みも乗せて八重に閃く!
反撃に際しては護りの残留効果を確かめつつ蜘蛛脚を注視
身体に這わせたMoon-Childを外骨格化させ
刀と合わせ捌き、物理的な勢いを殺すように
いいね、戦いの中で研がれたってわけ。復讐心はおそろしいや
血と汗とを化粧とするように莞爾を浮かべ
それでも、此処に集った全てがアルテミスの鏃
逃がしはしないよ
ルチル・クォンタム
アドリブその他お任せします。
……情報は得た。後はお前を倒すだけだよ。これ以上恨みつらみを広げさせはしない。お前を倒して少しでもそれを止める。
お前たちは恨みつらみを広げたい。でも僕らはそれを止める。一歩ずつ進ませてもらうよ!お前たちは一歩下がってね!
相手はジェネラル級油断せずにいく。ネメシス化するよ。
戦乙女なんて柄じゃないんだけどさ……それでも僕は皆と一緒に勝つんだよ!
相手の攻撃はよく見て観察して、致命傷を避けれるように行動。
ダメージはガードアップと装備で防御を固めて可能な限り軽減。
隙は少ないだろうけど、絶対ない相手ではないね。だから隙をみつけたら畳みかける様にパラドクス発動。
――僕が女神様なんて言わない。でもその力は借りれる。お借りします女神様。神様。彼らを倒す力を僕にください!
相手に向かってその力を一気に叩き込む。一人の力じゃない。僕らの、ううん、此処にいる全員の想いがそれぞれの攻撃に載るんだ。
一人で戦っているお前が僕らに勝てるわけはないよ!
僕らが――勝つんだ!
伏見・逸
(連携アドリブ歓迎)(仲間は苗字呼び)
必要に応じ、味方をディフェンス
俺は、てめえらにとっての禍だ
禍ってのは、遠慮も容赦もしねえもんだ
てめえらの恨みだの復讐だのも、潰れるまで潰してやるよ
仲間と声を掛け合い連携(必要に応じ【パラドクス通信】を使わせて貰う)
敵の動きの特徴や消耗具合(負傷で動きに偏りが生じていないか)等の情報を共有
立ち位置は前衛。距離をとられないように敵に張り付き、声掛けで挑発して引き付ける
【ダメージアップ】の力を借りて敵の体力を削るが、最優先目標は「敵の視野と動きの範囲・選択肢を狭め、仲間が攻撃を仕掛ける隙を作る」事
【禍竜の鋭刃】使用、長ドスによるシンプルな斬撃
脚を中心に狙い、挑発も合わせて機動力を削ぎにかかる
敵の糸は長ドスで斬り、毒蜘蛛の群れは尻尾や翼で振り払う
仲間が絡め取られた時も、糸を斬り救出する
蜘蛛の脚が直接来るならチャンスとみる。掴むか尻尾を絡めてそのまま敵を押さえつけ、そこを仲間に攻撃して貰う
【ガードアップ】も利用させて貰って消耗を抑えるが、動ける限りは攻撃を優先
●糸を辿り至る
暗い昏い迷宮の奥。毒蜘蛛の領域での戦いは、偽装による劣勢から始まった。
その後も、ディアボロスは少しずつ劣勢から優勢へと戦況を運び続けた。
――結果として、張り詰めた糸を辿るようにして、彼らはその先にある勝利を掴み取りつつある。
とはいえ相手はジェネラル級。戦況をひっくり返される危険性は十分過ぎるほど。
アリアドネへと最大限の警戒を払い、アヴィシア・ローゼンハイム(Blue・Roses・g09882)はネメシス形態を解放する。
瑠璃の蝶は紅へと色を変え、青薔薇のドレスは赤薔薇の彩へと染まる。
「さあ、反撃開始といきましょうか。ディアボロスの本気、見せてあげる」
悠然と紡ぐアヴィシアへと頷き、水上・鏡夜(添星・g09629)もアリアドネを視界に捉えた。
「ああ、行こうか。ここまで繋いできた道を途切れさせはしない」
巣穴から逃げ出せぬよう、徹底的に追い詰めるのだ。彼女は己の影へと鎖の如き茨を伸ばす。
ここに居る全員が、ひとつの意志の下に集っている。蜘蛛の巣迷宮の主たる怪物、アリアドネを討ち果たすと。
「戦乙女なんて柄じゃないんだけどさ……皆と一緒に勝つ、そのためなら!」
ルチル・クォンタム(加護の外に出た守り人・g10515)は女神の力をその身に纏い、大鎌をアリアドネへと突き付ける。
その姿はルチルのネメシス形態であり、決意の証だ。
伏見・逸(禍竜の生き先・g00248)も長ドスを白鞘から抜き、狙い定めるように刀身へとアリアドネを映した。
「俺は、てめえらにとっての禍だ。禍ってのは、遠慮も容赦もしねえもんだ。てめえらの恨みだの復讐だのも、潰れるまで潰してやるよ」
――鉄と、刈られた毒麦の香り。
狂騒と死の芳香を漂わせる戦場へと、ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は降り立った。
「遅参を許してねマドモワゼル。最高潮を迎えるこの舞台で、僕と一曲踊ってくれないかい」
役者は揃った。『怨嗟』という名の毒をばら撒く、毒蜘蛛の女王を葬り去るための役者が。
全身から血を流しながら、アリアドネは歪に口端を吊り上げてみせた。
「……あぁ、感じるわ。肌に突き刺さるような怒り、そして殺意を」
彼女に備わったすべての眼が大きく見開かれ、ディアボロスたちをその内に映し込む。
「なんて気持ちが良いのかしら! 私はお前たちをこんなにも怒らせた! 毒をばら撒いた甲斐があるってものね!」
その声は歓喜に震えていた。狂気の沙汰に、逸が呆れを滲ませる。
「……こいつ、イカれてやがるぜ」
逸の言葉に、鏡夜が同意する。
「キマイラウィッチってのは、どうにも頭のネジが飛んでる連中が多いね」
「策を断って尚、ジェネラル級は悪辣に咲く。まさに悪の華と言うべきかな」
迷宮にて咲き誇る悪を見据え、ロキシアは《失黒刀》の柄に手を掛けた。
蜘蛛脚を不気味に揺らし、アリアドネは言葉を続ける。
「……でも、まだ足りないわ。私の復讐は終わらない。この程度じゃ満足できないの」
怨恨と加虐の怪物は、燃えるような眼差しをディアボロスたちへと向ける。
彼女の言葉に対し、アヴィシアが首を横に振ってみせた。
「いいえ、ここで終わらせるわ。貴女の復讐はこの迷宮の中で幕を閉じるの」
アリアドネを射抜くように見つめ、彼女は鮮明に思い出す。
「……此処に来るまでに、貴女の犠牲になった人達の遺物を見つけたわ。貴女の紛い物の復讐心と、くだらない楽しみの犠牲になった、ね。人々の未来を奪ったその報い、必ず受けさせるわ」
迷宮の怪物が暴れる舞台は此処で終わりだ。
恨みつらみを広げんとするキマイラウィッチを必ず止めてみせると、ルチルも力強く紡いだ。
「お前を倒して、いつの日かジャンヌだって討ち倒してみせるよ」
ディアボロス、そしてアリアドネ。睨み合いの末、先に動いたのは果たしてどちらか。
「ディアボロスども、私の前に跪くがいい。怒り、打ち砕かれ、絶望する姿を私に見せて頂戴!」
――ほぼ同時、動き出したであろう。混沌渦巻く迷宮の檻の中で、ロキシアは戦意が煮え滾る心地を覚える。
(「佳境に入ったグランギニョルは値千金。魅力的で、昂ぶれるのだから慎莫に負えない」)
此処に至るまでの仲間の苦闘、そして怒りの声。それら全てを心の窯に積み、ロキシアは仲間が切り拓いた路を進んだ。
蜘蛛の巣を飛び越え、潜り抜け、悪の華たるアリアドネへと肉薄。鯉口を切り、伝承を解放する。
「七天の黒は切断の極北。遍く現象、時空、概念、逆説も、我が手で斬れぬ理趣なし」
Autoscopyの展開により構築されるは人型電脳傀儡群。電脳の影法師たちと共にアリアドネを包囲し、《黒刀》を凛と閃かせる。
同時、アリアドネを挟撃するように、ルチルも奮然と立ち回る。
「一歩ずつ進ませてもらうよ! お前たちは一歩下がってね!」
眼前の怪物から隙を見つけ出すのは至難の業。だが、隙が一切無いわけではない――仲間と共に攻撃を重ね、打ち合わせれば。
張り詰めた糸を辿るような心地で、ルチルは距離を詰める。その糸は、一瞬でも気を抜けば途切れてしまうだろう。
糸の先に至るために、彼女は心の中の女神を呼び醒ます。
「――僕が女神様なんて言わない。でもその力は借りれる。お借りします女神様。神様。彼らを倒す力を僕にください!」
ロキシアの《黒刀》とルチルの勝利を齎す女神の威が、双方向からアリアドネへと叩き込まれた。
「その凶脚、絶たせてもらう!」
闇を湛える昏き斬撃は群翔ぶ鵤が如く。仲間たちが重ねてきた軌跡が刃に宿り、怪物の邪体へと導く。
同時、全身全霊を以て振るわれたルチルの大鎌から、闇を裂く光針が解き放たれた。
「僕らが――勝つんだ!」
光針は闇を引き裂きながら、矢の如くアリアドネへと飛んでゆく。
ロキシアの一閃が蜘蛛脚の一本を斬り落とし、ルチルの撃ち放った光がアリアドネの体へと突き刺さった。
「――いいえ、最期に勝つのはこの私」
残る蜘蛛脚を使い、アリアドネが八脚の晩餐を繰り出す。肉を抉る一撃が、ロキシアとルチルの体を穿った。
Moon-Childを外骨格化させ、蜘蛛脚を刀と突き合わせてもなお、体を貫く激痛。執念の一撃に血を流しながらも、ロキシアはにこりと微笑んだ。
「いいね、戦いの中で研がれたってわけ。復讐心はおそろしいや」
肉体を強固にし、ルチルもアリアドネの反撃から身を護る。痛みが全身を駆け巡るが、戦う意志が消えることはない。
この身には自分の力だけでなく、これまで戦ってきた仲間たちの力が宿っているのだ。
「……一人で戦っているお前が、僕らに勝てるわけはないよ!」
「ふふっ……それはどうかしら、ね!」
突き刺した蜘蛛脚を振り回し、二人を投げ飛ばすアリアドネ。投げ飛ばした先には、無数の蜘蛛の巣が待ち構えている。
巣に突っ込ませて動きを封じる意図か。二人を絡め取るはずだった蜘蛛の巣へと、逸の禍竜の鋭刃が打ち込まれる。
「蜘蛛の巣なんざ、真っ二つにしてやらあ」
蜘蛛の巣はパラドクスならば破壊できる。長ドスから繰り出される研ぎ澄まされた斬撃が、蜘蛛の巣を斬り払った。
散っていく蜘蛛の巣に、アリアドネが忌々しげに瞳を細める。
「せっかく捕まえたと思ったのに。代わりにお前を絡め取りましょうか」
蜘蛛の女王の命に従い、毒蜘蛛たちが逸へと襲い掛かった。毒蜘蛛たちが、その牙で肉を喰い破る。
「毒蜘蛛の群れか。……ったく、次から次へと湧いてきやがるな」
ガードアップで持ち堪えながら、逸は攻撃の機を窺う。現状、仲間を蜘蛛の巣から救出した代わりに己が矢面に立っている状態だ。
だが、それで構わない。端から前に立ち、敵の視線を引き付けるつもりでいたのだから。
「私に一太刀浴びせに来てはどう? それともそんな余裕はないかしら?」
喜々として紡ぐアリアドネ。逸は体を這う毒蜘蛛を尻尾や翼で振り落としながら、己から伝う血の匂いを感じ取る。
「……余裕がない、か」
体は血に塗れているが、心は凪いだ海のように落ち着いていた。アリアドネの消耗が目に見えて判るせいだろう。
理由はもう一つある。――長ドスを叩き込む余裕が、すぐにでも生まれるであろうことを知っているからだ。
暗がりから伸びる茨の陰が、逸を弄ばんとするアリアドネの後方より迫った。
迷宮の暗闇より咲くは漆黒の茨だ。鏡夜が陰を操り、アリアドネの脚を拘束する。
「随分とお楽しみだね、女王様。ボクも混ぜておくれよ」
脚に括られた陰へと目をやり、アリアドネが眉を寄せた。陰は深く喰い込み、怪物の体を蝕んでゆく。
アリアドネをまっすぐに見つめ、鏡夜は想いを紡ぐ。
「復讐を植え付けるのを見過ごすわけにはいかないんだ。どうにも役割を押し付けられているようでいて腹立たしい」
どこまでも私怨でしかない感情だ。だが、綺麗で崇高な理由でなくとも構わない。
その感情は、眼前の怪物を倒すための十分な理由になる。アリアドネが、鏡夜へとギョロリと蜘蛛の眼を向ける。
「……お邪魔虫を演じるのがお好きなようね。お前とは、仲良くできそうだわ」
己を縛る陰の源へと向かうようにアリアドネが駆けた。蜘蛛脚の強襲と共に放たれる蜘蛛糸を、鏡夜はしかと受け止める。
硬質な糸が体を容赦なく締め上げた。肉体をガードアップにより強固にし、身を引き千切らんとする激痛から身を護る。
「道を作るのがボクの役割だからね。執拗なまでにどこまでも追い縋ろう。影が届く範囲がボクの間合いだ」
そう口にしつつも、苦痛に息が詰まりそうになる。追い詰められていても、アリアドネの力は弱まることを知らない。
(「一瞬でも気を抜けば喉ごと引き裂かれそうな威力……流石だね。けれど、ボクに向けたその視線が――」)
反撃の為の視線を、思考を一時的にでも奪えれば、それは敵の隙となる。刹那に過ぎゆく――それでいて決定的な瞬間となる。
蜘蛛糸を絡ませ、鏡夜を引き裂こうとするアリアドネの背後に、暗い影が落ちた。
アリアドネが気付き振り向くのと、長ドスを構えた逸が禍竜の鋭刃を振り下ろすのは、ほぼ同時。
「よお、一太刀浴びせに来たぜ。蜘蛛女」
その斬撃は鋭く速く、そして重い。『断ち切る』……唯一、その意志のみを宿した斬撃が、アリアドネの背を深く斬り捌いた。
「ぐぅ、ッ……!」
斬り飛ばされ、血を撒き散らしながらアリアドネが飛び退いた。
逸は刀に付いた血を払い落とし、苦痛に顔を歪めるアリアドネを睨み据える。
「なんだ、シケたツラしやがって。さっき自分で言ってたじゃねえか。浴びせに来い、ってよ」
追撃は終わらない。ルチルが大鎌を振り翳し、エネルギーを光針として再放出する。
「怨嗟を広げる怪物よ! 僕らの全力を、その身に受けるといい!」
光の雨が降り注ぐ中、ロキシアは踊るようにアリアドネへと距離を詰め、その蜘蛛脚を再び切断する。
「此処に集った全てがアルテミスの鏃。グランギニョルは、怪物の処刑にて結末を迎えるのだよ」
毒蜘蛛の女王に、死を。観客が居るとするならば、皆が怪物の死を望む。
彼女がプライドを捨て命乞いをしたとしても、必死に逃げようとしたとしても、変わることはない。
死の運命を織り合わせ、その全てを陰へと込めて。鏡夜はアリアドネが生き延びる道を陰の茨で覆う。
「逃がしはしない。四肢がもげようと、ね」
怪物の退路は塞いだ。一方で仲間たちへと続く道をこじ開け、鏡夜は笑みを浮かべる。
拓かれた路を、アヴィシアは凛然と進み続けた。蜘蛛糸が衣装に絡み付くも、躊躇なく大鎌で布を切り裂き脱出する。
「さあ、花開きなさい、万物を凍てつかせる、蒼氷の薔薇よ。悲しみの根源を世界に溶かし、希望の花を咲かせなさい」
床を這う蜘蛛糸を突き破るは氷の茨。茨は蔓と共に成長し、アリアドネへと急速に伸びてゆく。
茨に巻き付かれ、動きを封じられながらも、アリアドネは高らかに叫んだ。
「――その希望の花を摘み取るのが、私の役目よ!」
体を捩じ切る硬質な蜘蛛糸が、寸分の狂いなくアヴィシアへと撃ち放たれた。
大鎌を盾とし、強化した肉体で持ち堪える。それでもなお、締め上げる蜘蛛糸がアヴィシアの体に血を滲ませる。
(「確かに、手ごわい。これがジェネラル級……」)
体を引き裂かんとする激痛を耐えるように、アヴィシアはぎゅっと唇を噛み締めた。
アヴィシアの体を蜘蛛糸が蝕むと同時に、アリアドネもまた、アヴィシアが生み出した氷の茨に包まれている。
「……そのドレス、綺麗なのに勿体ないわねぇ」
苦しげに息を詰めながらも、アリアドネが言った。満身創痍にも関わらず、彼女の表情には笑みが滲んでいる。
血濡れた微笑みは艶やかに、邪悪に咲き誇る。
――この悲しみの連鎖を断ち切りたいから、心奮わせて。
間近に香り立つ毒の花から、アヴィシアは決して目を逸らさない。
「貴女を冥界の牢獄に送り届けるためなら、衣装の一つや二つ、惜しくなんてないわ」
全力で魔力を注ぎ込み、彼女はGlacies Rosaを茂らせる。氷の茨が、ついにアリアドネの体を呑み込んだ。
運命の天秤は大きく傾いた。大きく目を見開くアリアドネへと、アヴィシアは命じるように告げる。
「――命を弄ぶ悪の華よ、その花弁を散らし、在るべき場所へと還りなさい」
蒼氷の薔薇が満開に咲き誇り、花弁を砕き散らす。散る花弁は、アリアドネの命だ。
力を使い果たし、毒蜘蛛の女王はついに倒れ伏す。
「……ジャンヌ、様……私、最期まで……魔女、として、振る舞え、て……――――」
最期の青薔薇が溶け消えると同時。アリアドネの命も迷宮の闇へと溶け出し、跡形もなく消えてゆくのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【浮遊】がLV2になった!
【アイスクラフト】LV1が発生!
【一刀両断】LV2が発生!
【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV2が発生!
【ダブル】がLV2になった!
【命中アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV5になった!
最終結果:成功 |
完成日 | 2024年10月03日 |
宿敵 |
『アリアドネ』を撃破!
|