リプレイ
エイレーネ・エピケフィシア
バーリからオリュンピアに至るまでの戦いで西部のイオニア海は平定しましたが、地中海の東部は未だ手つかずの領域です
海を通じて断片の王の使者がキプロスに送り込まれ、兵力の移動が行われることもあり得ないとは言えません
奪還戦において、この地のクロノヴェーダが障害となる前に……出来る限りのことはしておきましょう
キプロス島への上陸後、茂みや建物の影に身を隠しながら巡回する敵を探します
長時間の隠密行動は難しいですが、「どちらが先に攻撃を始めるか決める」程度のことはしておいてもよいでしょう
単に姿を探すだけではなく、移動する足音や会話する声、巡回路に残された足跡等も索敵の助けとなります
敵を捕捉したなら、隠れ場所から≪神護の長槍≫を投擲すると共に『降り注ぐ影の槍』を発動
突如として空中に出現した何本もの幻影の槍を頭上に降らせ、迎撃態勢が整う前に出来るだけ多くを仕留めましょう
突撃してきたなら≪神護の長槍≫で槍の穂先を防ぎ、後退ないしは【エアライド】による頭上の跳び越えで距離を取り直して、再び槍を放ちましょう
アルメア・グラウプナー
「偽のドイツもエジプトも世界から消えてだいぶ経つというのに、未だ残党の根絶までには至らずか…まったくしぶとい連中だ」
「ま、だからといって音を上げて放っとく訳にもいかんからな。こうして作戦の最中に少しずつ潰して回れば、いずれは滅んでくれるだろうさ…ははは」
・行動
すぐに戦闘に入るとはいえ、向こうから発見されて不利になるのは避けたいな。
上陸前後はなるべく目立たず、【地形を利用】する等して慎重に動き、此方から敵部隊へ先に接触できる様にしよう。
部隊を発見次第、開幕大砲火を放ち一気に強襲を掛ける。
そこから中距離からの砲撃戦を展開し、態勢を立て直す暇を与えない様に火砲とガトリングによる【砲撃】【制圧射撃】で牽制を行い、ミサイルによる【爆破】【誘導弾】の音と光で混乱状態を継続させていこう。
その後も射線が開いていれば大砲火を織り交ぜて積極的に使用していき、敵の数を減らしていくとしようか。
もし衛盾撃等を使い接近して来た者が居た場合は爆裂鉄球とソードオフに持替えての接近戦に移行し、元居た場所に叩き返してやる。
●
「バーリからオリュンピアに至るまでの戦いで西部のイオニア海は平定しましたが、地中海の東部は未だ手つかずの領域です」
エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は周囲の海域図を大まかに脳裏へと描いた。古代の出身ではあるが、アテネを始めとしたギリシャ文明は海洋における都市国家群である、そのくらい出来ないと神官は名乗れない。
「海を通じて断片の王の使者がキプロスに送り込まれ、兵力の移動が行われることもあり得ないとは言えません。奪還戦において、この地のクロノヴェーダが障害となる前に……出来る限りのことはしておきましょう」
新宿では数カ月に一度、戦いの機運が高まる時に奪還戦が起きると言われている。
その時に時期尚早であれば別だが、蹂躙戦記イスカンダルは大詰めであった。
日月の精気なのは星の配置か知らないが、エイレーネとしては奪還戦が起きるのであれば、少しでも懸念は晴らしておきたかったのだ。せっかく追い込んでおり、訓練中とはいえ後方を突ける様な敵戦力を野放しにはしておきたくはなかった。
「もうすぐ敵の勢力圏。……長時間の隠密行動は難しいですが、『どちらが先に攻撃を始めるか決める』程度のことはしておいてもよいでしょう」
エイレーネたちディアボロスはキプロス島へと上陸した。
今回は敵集団を見つけたら叩けるだけ叩いて撤退する予定だった。
それゆえに以前のように『数を減らすために程ほどにまとまった、都合の良い敵』を捜索したりはしないので、であったら即戦闘の予定である。それゆえに工夫することは多くないのだが、せめてイニシアティブを取ろうと出来るだけ隠れて移動することにしたのだ。
「……居たな。それも何度も見かけた顔だ」
暫くして同行者のアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)が声を上げた。
異国や異なる時間の戦場で顔見知りの仲間を見た時は、何処かホッとするものである。
だが、敵を見かけると、むしろ苦笑しか出てこないのだ。
「偽のドイツもエジプトも世界から消えてだいぶ経つというのに、未だ残党の根絶までには至らずか……まったくしぶとい連中だ」
アルメアはかつての奪還戦を思い出した。
ドイツは真っ先に奪還し、エジプトもそれなりのペースである。
なのにまた同じ顔を見るとは、とんだ奇遇に笑うどこか苦笑以外の感情は浮かばなかった。
「ま、だからといって音を上げて放っとく訳にもいかんからな。こうして作戦の最中に少しずつ潰して回れば、いずれは滅んでくれるだろうさ……ははは」
とはいえ、何度も戦った敵は戦い慣れた相手とも言える。
また、嘆いて逃げ回る訳にもいかないので、アルメアはさっさと頭を切り替えた。
そして彼女もまた隠れ潜んで、タイミングを待っていたのだ。こちらから接触できる状況であると判断すると、仲間とタイミングを揃えて挑む事にしたのである。
「私が先行する。貴殿が殲滅する。問題は?」
「ありません。可能な限り初撃で薙ぎ払いましょう」
タイミングを合わせて出会い頭に撃ち込もう。
そうアルメアが提案するとエイレーネは静かに頷いた。
そして相手の行軍速度を計算すると、一斉に攻撃を始めたのである。
「さて、学習力を置き忘れた連中に文明の教範をくれてやろう。――――Feuerッッ
!!!!」
アルメはまるでオーケストラの指揮者がタクトを振る様に攻撃を始めた。
追加武装を地面に突き立てると、腕の義手に装着した大火砲をぶっ放す。
そしてガトリングや通常の火砲に切り替えると、躊躇せずに火器群全てを使ってド派手な攻撃を放ったのであった。
『敵しゅっ!?』
『敵襲だ! 迎え討て!』
その攻撃がトループス級たちの周囲へと炸裂する。
一番外側に居たものたちはなすすべなく倒れ、逆連鎖戦ゆえに反撃のみを可能とする。
『せめて貴様だけでも!』
「悪いが『せめて』とか、『なんとか』などと口にした者が何かを為したことは無いな」
敵は盾で火器から身を守りながら槍を構えて突撃して来た。
アルメアは冷静に突き立てておいた鉄棒を構えると、火薬付きの鉄球で迎え撃つ。そして爆発して敵を弾き飛ばした瞬間に、逆の手で持っていた銃身を切り詰めたショットガンを放ったのである。
「今ですね! 聖なる槍よ! 悪しき者どもを一人たりとも逃すことなかれ!」
この隙をエイレーネは逃さなかった。
手に持つ槍を構えて投擲すると、魔力が周囲に幻影の槍を投射し始める。
その特性上、この攻撃は避け難く、そして注いだ魔力によっては幻影の槍でも攻撃可能と掃射攻撃に向いた一撃であった。
『おおおお!!! 引くな! 我らに下がる場所はないぞ!』
『進め進め!』
敵はそれでも逃げることなく、最後の瞬間まで戦い続けた。
当然のように盾を掲げ、時の声と共に突っ込んでいく。
「来ましたね! ですが、こんな所でやられる訳には行きません!」
エイレーネは手元に戻した槍で迎え討ち、あるいは猫のようにジャンプして敵の攻撃を可能な限り躱した。そして空中で槍を持ち替えて、再び投げ放ったのである。
「このまま一気に殲滅しましょう!」
「心得た。敵の数を減らしていくとしようか」
エイレーネが槍を投げると、アルメアも火砲を放つ。
そして二人は敵直衛部隊を薙ぎ払っていったのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エアライド】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
シエルシーシャ・クリスタ
アドリブ・連携は歓迎
ああ、ようやくキプロス島の警戒部隊も底が見えてきたかな……
長かった。
それにしてもここの部隊はまだ訓練中のも混じってるんだね。少し意外。
結構訓練済みの奴らが多かった印象があるけど……単に見てなかっただけかな?
それともマミーだらけの編成ならエジプトの頃のノリで使えるって判断?
……まあ、どっちでもいいか。倒す相手には変わりないし。
なるべくそっと接近して身を潜め、護衛部隊を襲う皆が動くのを待つ。
仲間が襲撃されれば、まあ慌てるよね。鍛えられてれば一瞬で立ち直るかもだけど……
どっちにせよ、立ち直る隙を与えないようにすかさずたくさんの妖精さんたちを送り込もう。
さあ妖精さんたち。今日はそいつらが遊び相手だよ。
ただふっ飛ばされちゃったら減点だよ。気を付けてね。
トループスだからって油断できるわけじゃないけど……私も妖精さんたちも呪詛の気配は読み慣れてる方。
避け切ることは出来なくても、どう動けばダメージを抑えられるかはある程度読めるはず。
●
これは少し前の事。敵部隊を探して居た仲間が発見して挑む前のこと。
小さな敵部隊を発見するや、一人隠れ潜んで、ずっと待っている者が居た。
「ああ、ようやくキプロス島の警戒部隊も底が見えてきたかな……長かった」
シエルシーシャ・クリスタ(水妖の巫・g01847)は長い戦いを振り返った。
何しろ敵地の中にある訓練場を襲撃する任務である。
指導しているであろうジェネラル級を倒すどころかその陰すら見えず、あまりにも多い前線を崩すために、『まとまって倒し易い敵』を探してから挑むような状況だったのだ。それが相手の前線を崩して、隙に挑めるまでになったのだから感無量であろう。
「それにしてもここの部隊はまだ訓練中のも混じってるんだね。少し意外。結構訓練済みの奴らが多かった印象があるけど……単に見てなかっただけかな?」
シエルシーシャは過去の記憶を思い出すが、あまり雑兵と戦った覚えがない。
なにしろ訓練場なので、訓練は内側でやっている筈だった。
もちろん全ての記録を読んだわけではないので確実とは言い難いのだが……。
「それともマミーだらけの編成ならエジプトの頃のノリで使えるって判断? ……まあ、どっちでもいいか。倒す相手には変わりないし」
同じような判断で動く者を並べておけば、その判断力に引き吊られて同じ動きをする事がある。
その為、訓練法の一種として全体の中に何割かの玄人を入れたり、逆に慣れた者の中に素人を混ぜたりすることもあるのだ。だが、実際にそうやっているとも限らず、何とも言えない。そしてシエルシーシャは考えるのをやめて、どのみち倒すのだから構うまいと判断したのであった。
そして彼女は出来るだけ息をひそめると、仲間たちが攻勢をかけるのを待ったのである。
『敵襲!』
『なんだって敵襲!? 援護に行くべきなのか?』
(「仲間が襲撃されれば、まあ慌てるよね。鍛えられてれば一瞬で立ち直るかもだけど……」)
整然とした敵部隊にディアボロスの仲間達が攻撃を掛けたらしい。
シエルシーシャはその隙を見逃さずに攻撃を掛ける事にした。
案の定、敵は混乱している。味方がそのまま倒してしまうのを待つべきなのか、挟み撃ちを掛けるべく行動すべきなのか、それとも指揮官の命令が来るのを待つべきなのかを判断しかねたのであろう。もちろん彼女の言うように、練度の高い部隊ならば距離に応じて挟み撃ちなり援軍なりで動きつつ、指揮官の命令で動きを修正しただろう。
(「どっちにせよ、立ち直る隙を与えないように妖精さんたちを送り込もうかな」)
シエルシーシャはここに至っては躊躇せず、妖精の門を開いて友人たちを呼び寄せる。
妖精たちは気まぐれだ、遊ぶためだけに大挙して現れることもあれば、ごく真面目な奴が少数だけだったりする。
「さあ妖精さんたち。今日はそいつらが遊び相手だよ。ただふっ飛ばされちゃったら減点だよ。気を付けてね」
シエルシーシャの声に妖精さん達は『はーい♪』と賑やかな声で飛び出して来た。
そしてマミーの集団へと飛び込み、なんと包帯をはがしたり、縫われた部分をバラバラにし始めたのだ。それはまるで玩具のプラモデルから関節を外すようであり、継ぎ目のセメダインを溶かしてしまうかのようであった。
『なんだ!? 何が起こった!』
『判らん! とりあえず反撃しろ!』
敵は良く分らな要で混乱し始めた。
何しろ、斬り掛かって来る相手に剣で挑むことは教えられているが、包帯を剥したり、繋いだ傷口をバラバラにするするような奴は初めて出逢った。
(「あ、痛。流石に反撃は喰らうか。トループスだからって油断できるわけじゃないけど……私も妖精さんたちも呪詛の気配は読み慣れてる方。なんとかしてくれるよね」)
シエルシーシャが見守って居たら、時々ダメージを喰らった。
どうやら反撃として、呪詛を叩き込まれたらしい。やはり逆連鎖戦では無傷とはいかないようだ。
避け切ることは出来なくても、どう動けばダメージを抑えられるかはある程度読めるはず。ということで、信じたのでお願いプリーズとそのまま見守る事にしたのである。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【操作会得】LV1が発生!
効果2【ダブル】LV1が発生!
●
キプロス島外縁での戦いは終盤に向かっている。
敵部隊の一部は既に破られ、そのままの流れでもう一部隊も壊滅しかかっていた。
「ふふふ、既に仕込みは終わらせています、これも計略通り……」
増援として駆けつけたミレー・マリエット(サキュバスのガジェッティア・g03547)はまるで自分の計画の様に話した。
「あれ、こっちを弾いたらこれが? え、違……っ! ふふ、計画通りです!」
だが、実際には彼女の計画とは違うので、流れが少し予想と違っていた。
でも大丈夫! ここまで来たら後は殲滅するだけだから!
『ここにも居たぞ! こいつを倒せ! 出なければ殺されるぞ!』
「この爪を弾けば……ん? こっち、いやこっちで……」
ミレーが爪ごとにキーを仕込み、隠して置いた砲台を発射するが……。
十本の爪ごとに別の罠を仕掛けており、その場の気分で爪を選んだので上手く当たらない。
「えええい、ここですか、それともこっち!?」
『また爆発したぞ! だがキカンジュウとやら程ではない。上手くよけろ!』
ミレーが慌てふためく中で敵は接近して来る。
なんというか、孤立無援でむしろ倒されそうになった?!
いいえ、それもまた計算の内です。
「ええ、ここまで来たら仕方ありません。いえ、これもまた収束する帰納法のようなもの」
ミレーは慌てず騒がず……とはいかなかったので開き直る事にした。
相手の移動に合わせて『ここですか?』『そこですか?』なんてやって居られない。
「お別れです!」
『うわっ!? おのれ! これでもくらえ!』
ミレーは全部を起動し、周辺を全面的にふっ飛ばしたのだ!
イタチの最後っ屁というか、反撃として切られて居たいが仕方あるまい。
ダメージを受けたものの何とか残敵を掃討して撤退したのである。
華麗に倒そうと思わなければもっと簡単だった? それはそう。しかし、これもまた様式美だと思って置こうじゃないか。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【泥濘の地】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
ハーリス・アルアビド
情勢を大きく揺るがすものとはならずとも、前もって対処するべきでしょう。かつては同じ大地に生きたもの、冥界にも戻れず彷徨う日々を終わらせねばなりません。
軍神にして大いなるナイルの神セベクよ、寄る辺もなく異郷を彷徨う者たちを冥界へとお導き下さい。
共に戦う仲間たちに幸運を願い、彷徨う者たちに祈りを。
いかに強固な隊列を組もうともそれを乱せば数の利は枷となるもの。両足首に【肉体改造】を施し、より鋭く地を駆けるため獣の爪へと変え挑みます。
【残像】を生み出す速度で駆け、舞う砂塵を【砂使い】でより巧みに操り砂の幕とし私の居場所を目立たせ敵の注意を引き付けつつ仲間の攻撃や罠へと誘導します。
包囲されぬよう砂の幕と【残像】に敵の狙いを誘導しながら【忍び足】を織り交ぜて【フェイント】を行い、敵群を別方向に誘い込みます。
それに気付いて隊列を改めようとも時間がかかります。その間に【精神集中】を行い、【神速反応】を用いて横腹に【セベクへの請願】を叩き込み隊列を崩して行きましょう。
アルメア・グラウプナー
「やあ大将、故郷たる獣神王朝の地を追われた末、亜人共の下に付いて警邏仕事に勤しまなければならない気分はどうだね?」
「安心したまえよ、貴殿はここを離れて仲間の元へと向かう事になるだろう。今より寂しくなる事はないだろうさ、はっはっは!」
・行動
鷺使いと呼ばれるだけあって空中戦を得意とするタイプの様だな、さてどうするか…。
開幕よりは射撃戦でちょっかいを掛けつつ様子を見ていこう。
羽根弾や鷲のミイラを火砲やガトリングでの【弾幕】やミサイルでの【誘導弾】で撃ち落とす、又は威力を殺して回避しながら、位置関係を有利にする様に牽制を行っていく。
周囲に味方が居るならばこれらを含めた【砲撃】で戦闘支援をしていくとしようか。
砂嵐は【地形を利用】して避けつつ、砂が付かない様にする。衣装に砂が付いたら呪いが伝染らんようその部分を切り捨てる。
継戦による疲労やダメージの蓄積で動きが鈍り地に足を付けた時が好機だ。
爆裂鉄球とソードオフに持替え【エアライド】を用いて一気に【突撃】し、【捨て身の一撃】で大喝砕を叩き込んでやろう。
エイレーネ・エピケフィシア
かつて人であった者が亜人に仕える様を見るのは、相手がクロノヴェーダであっても心苦しいことです
アイギュプトスの哀れな死者よ。これからあなたを怪物の支配より解き放ちましょう
先に旅立った部下たちと共に、冥府への冥府への道をお行きなさい!
素早く空を舞う敵を『流星が如く燃え立つ投槍』で捉えましょう
敵の翼を射抜くように狙いをつけて、≪神護の長槍≫を凄まじい速度で投げ放ちます
狙い通り翼を貫いて叩き落とせれば僥倖
そうならずとも、猛然と飛び来る槍に対処した分、仲間たちが放つ技に対処する余裕を失ってくれれば十分です
仲間より先に動くなら敵に隙を作るために、後に動くなら出来た隙を逃さぬように、技の速さを活かしましょう
反撃の羽根に対しては、まず【トラップ生成】で周囲に飛来物を捕らえる網を展開
敵が羽を連射したり、一度に無数に飛ばしてくるなら、多少は命中前に止められるようにします
その上で≪神護の輝盾≫を構え、身体に羽根が直撃しないように防御を
かの地の冥王……オシリス様が、あなた達に永遠の楽園を許すことを祈りましょう
●
「情勢を大きく揺るがすものとはならずとも、前もって対処するべきでしょう。それに……」
侵攻序盤の時に攻め込めば、何度かの戦いで、敵増援戦力の源泉を丸ごと粉砕できたはずだ。しかし、今はもうその時間はないが、増援として派遣出来る部隊くらいは倒せるだろう。ハーリス・アルアビド(褪せる事を知らない愛・g04026)はキプロス島を巡る情勢をそう判断した。
「かつては同じ大地に生きたもの、冥界にも戻れず彷徨う日々を終わらせねばなりません」
そう、今回の敵部隊はハーリスの故郷であるエジプトを支配していた勢力である。
かつての同胞が操られていると思えばこそ、苦しませずに冥界へ送ってやるべきだと判断したのである。
「かつて人であった者が亜人に仕える様を見るのは、相手がクロノヴェーダであっても心苦しいことです」
彼の言葉にエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は一定の理解を覚えた。
クロノヴェーダは許せない存在ではあるが、亜人はもっと許せない。
そして人々の尊厳と言うものもあるので、亡命者が権力者によって良いように扱われるのは心苦しかった。それはギリシャ世界でも同じだからだ。
『貴様らが侵入者か! これ以上の狼藉は許さぬ』
「やあ大将、故郷たる獣神王朝の地を追われた末、亜人共の下に付いて警邏仕事に勤しまなければならない気分はどうだね?」
そんな中でアルメア・グラウプナー(フロイライン=ズィーリオス・g00637)は平然と挑発した。
ウェットな感性は持ち合わせていないし、ウェットという単語はサイバー用語で生身で擬体を入れていない人を示すので、二重の意味で彼女には合わないからだ。
「安心したまえよ、貴殿はここを離れて仲間の元へと向かう事になるだろう。今より寂しくなる事はないだろうさ、はっはっは!」
「「……」」
アルメアが挑発する中、他の仲間達は止めなかった。
これも作戦と思えば理解できるし、ここで逃げられても困るからだ。
また、立場に対して挑発しているのであって、人格や尊厳をを否定していないというのもあるだろう。
『なんとでも言え。私には私の目的があり、立場がある。貴様らなどに屈する事などはない!』
だが、敵はそんな言葉にも動じず、空を飛んでこちらを威圧し始めた。
クロノヴェーダは上下関係を築かれると上の存在に逆らえないのもあるだろうが、彼には彼の意思があって従っているのだろう。それが復讐であろうが復権であろうが、クロノヴェーダを倒すという事に差はない。
(「鷺使いと呼ばれるだけあって空中戦を得意とするタイプの様だな、さてどうするか……」)
敵が空を飛び始めたことでアルメアは援護として砲撃を掛けながら少し様子を見ることにした。
軍人であり冷静さを重要視しているのもあるし、相手の行動で戦術が変わるからである。
「アイギュプトスの哀れな死者よ。これからあなたを怪物の支配より解き放ちましょう」
このタイミングでエイレーネが前に出た。
彼女は盾持つ前衛であり、また仲間に先んじて行動することで相手を制し、後衛の仲間に後を託すタイプである。なおアイギュプトスとは王の名前であり、エジプトの語源である。美しき女性でありその血が後に影響したとされるエウロペがヨーロッパの語源であるように。
「先に旅立った部下たちと共に、冥府への冥府への道をお行きなさい!」
そしてエイレーネは素早く槍を構えた。
ギリシャの戦士にとって、槍投げは基本スキルである。
むしろ槍こそが誉れであり、接近戦は余技であるとも言えた(格闘は格闘で華ではあるけれど)。
「輝ける槍よ、悪しき者の命を過たず穿たんことを!」
エイレーネが信仰心と魔力を槍に注いで投げつけると、まるで地上から天へと放たれる……逆行する流星であった。
『ホルス神よ! 天よりの裁きを与え給え!』
「都市の護り手よ! 女神アテーナよ!」
だが、敵も負けてはいない、羽を高質化させて槍の雨として降り注がせてくるのだ! エイレーネは女神アテーナに祈りを捧げると、先ほどの会話の間に用意した網と盾を構えてガードした。流石に全ての羽を防げずに傷を負うが、それは相手も同じこと。槍が敵を貫きスピードが鈍ったかのように見える。
「軍神にして大いなるナイルの神セベクよ、寄る辺もなく異郷を彷徨う者たちを冥界へとお導き下さい」
セベク神とは鰐のことであり、川辺に棲んで人を喰らう存在。
それは無慈悲な力であると同時に、母なるナイルへと回帰させる存在だと思われていた。
人々を冥界へ渡すセベクの力を持って、ハーリスは敵を葬ろうとしたのである。
「共に戦う仲間たちに幸運を、彷徨う者たちに祈りを。では、参ります」
『だが、その程度で惑わされると思うな。はあああ!』
ハーリスは足を獣の如き姿に変え爪を突き立てて疾走した。
残像を残すほどの速度で突っ込み、時折にスローペースの忍び足へと変えてフェイントを掛けながら飛び込んだのである。
「セベク神よ!」
『ホルス神よ!』
奇しくもエジプト人同士の戦い!
河の神に祈るハーリスと、天空の神に祈るナスルとの戦い!!
力強き爪が敵を抉り、敵の放った羽がハーリスを抉る!!!
「くっ。流石はアヴァタール級……ですが!」
「今が好機。そろそろ決着を着けに行こう」
地力の差で膝を着くハーリスだが、ここでアルメアが介入を掛けた。
序盤は射撃で援護しており、様子見していたのだ。
そして相手の体勢も崩れたことで、一気にトドメを刺しに行ったのである。
『ふん。この程度で私は屈せぬ。まだまだ……』
「いいや、終わりだね。名残惜しいが――これで幕引きとしようか!」
敵がダメージや疲労で一度降下し、新たに鷲に命令を与えるところでアルメアが攻撃を掛けた。相手の動きが止まったところで、巨大な鉄棒を振ってその先に着いた爆裂鉄球を炸裂させる!
「これで終わりだ!」
『うおおおお!? まだまだ。まだ我らが王朝の……』
その一撃は強烈なスイングで爆弾をぶつけるというシンプルな攻撃である。
それゆえに威力が強く、また隙を伺っていた分だけ防御し難い。
ナスルとてもガードはしたのだろうが、単純火力の強い攻撃に押し切られて沈黙してしまった。
「はい、お終い。一応は生存者がいないか確認しつつ帰ろうか」
アルメアは敵にトドメを刺したことを確信してから撤収を開始した。
その間も、死体が残るタイプのトループス級を確認しつつ油断なくパラドクストレインへと思っていく。
「かの地の冥王……オシリス様が、あなた達に永遠の楽園を許すことを祈りましょう」
「ええ。そう祈りたいものですね。本来はその為のモノなのですから」
エイレーネの言葉に頷きつつ、ハーリスは祈りを捧げた。
そして、他の戦線でキプロス島に攻勢を掛けている仲間を思いつつ、撤退したのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV2になった!