リプレイ
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
う、む
度し難い
内乱の罠の阻止に奔走した身だ
見逃す訳がないだろう……
携帯スピーカーを繋ぎ、集落全体に呼びかけつつ
【避難勧告】を発動
一度見知っているなら、名乗るが早いか
ディアボロスだ。よく聞いてほしい
キマイラウィッチ達の襲撃がある
ただちにここを離れ、近くの森へ避難し、隠れてくれ
家族や隣人に声をかけて、逃げ遅れのないように
特に小さな子や、移動しづらい方を取り残さず
助け合ってほしい
慌てずに、だが急いで
動けない方、移動に時間がかかる方がいたら教えてくれ
手伝おう
道に詳しい方、森への案内を頼めるか?
元気そうな方に先導を頼み
歩きづらい地形を避けつつ、速やかに避難するように
自身は、動きづらい方のフォローや、逃げ遅れた方がいないか見て回り
殿側で、全員を逃がす
動きづらい方は背負う、ドローンをお借りして乗せるなどしつつ
荷馬車を借りて、そこへ運び入れて出すなど
臨機応変に事態に対処し、混乱のないよう統率を
予知にあった母子の保護も急ごう
間に合ってくれ
もう二度と、人の生活を、踏み躙らせたりはしない!
ゼキ・レヴニ
◎
先の見通しもなく激情で配下を動かすたぁな
なんともまァ分かりやすいが、制御のタガが外れた軍隊なんざ寒気がするぜ
胸糞悪い事態が起こる前に、連中に規律とやらを叩き込みに行こうかね
到着次第、住民を一旦広場などに集め
彼らがパニックに陥らん様に落ち着いた声で、敵襲がある事と誘導指示を伝える
焦って全体の避難が遅れたら敵の思う壺だ、冷静に行動してくれ
心配しなさんな、奴らはおれたちディアボロスが片付ける
復讐者の戦いってモンを、お前さん達はもう見て知ってんだろ?
【フライトドローン】を呼び出し、安全な乗物である事を説明
ちょっとばかし浮く馬車みてえなモンよ
体を動かし辛い者や、老人、子供はこいつで移動してくれ
動ける奴は乗降を手伝ってやるんだ、おれも手を貸す
…手を取り合い、助け合って生き延びる。魔女どもにゃ決してできねえ戦い方だ
お前さん達が上げた狼煙を、連中に消させはしねえ
避難場所は…行軍中の敵と鉢合わせないなら近くの森に潜んでもらうか
辺りに詳しいだろう住民にも意見を聞いて
敵から隠れられそうな避難場所へ誘導するぜ
●その地獄は未然なり
かくも残酷な真似を平気で出来る精神など、知りたくも無い。
衝動というには余りに短絡的で、狂乱というにはあまりにお粗末で――……ただ、その存在こそが“ ”なのだ。
「奴っこさんにとっちゃあ、お遊びの延長なんだろうよ」
「……度し難いな」
――激情なんてもんで、軍なんざ動かすもんじゃぁねぇさ。
眉間に皺を寄せたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)へ、乾いた笑みを浮かべたゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)の瞳は遠くを見ていた。
少なくとも、憤怒の魔女 エティエンヌの行為は決して軍を統べる者の行為ではない。
「(……寧ろ、勢いでどうにかしているに過ぎねぇだろうさ。本当に、度し難いったらねぇ)」
だがそんな話をしている暇もないと溜息に全てを混ぜたゼキはエトヴァと目配せ一つで散開し、二人は無駄の無い動きで人々へ避難を促し避難経路を確保する。
東側へ到着したエトヴァが眉間の皺を揉み解し心掛けるのは、極力柔い笑顔。焦りを浮かべ過ぎれば、生むのは余計な動揺。ただ冷静な立場で恐ろしさを感じさせず、危機感だけは伝えてゆく。
「――ディアボロスだ、よく聞いてほしい」
敢えて“はじめまして”なんて穏やかな挨拶は無用に、エトヴァの低くも耳心地の良い声が通る。淡々とキマイラウィッチの襲撃がある旨、ここを離れる準備を迅速にする旨、品案先は森である旨――そして、到着次第隠れること。
騒めく人々は、ディアボロスであるエトヴァを信じ手早く準備を開始していた。
一方、ゼキは日々の暮らしに精を出す人々をエトヴァとは逆方向――西側の人々を広場へと集めてゆく。
「(1,2,3……男が少ないな。だが、子供は――あの年齢なら十分動けるな)」
目視で素早く数え、ゼキが考案するのはより分かりやすい指示と役割分担。簡単に脳内でシュミレーションを済ませたところで“集まったぜ”と教えてくれた少年に礼を言ったゼキは咳払いを一つ。
「俺はディアボロス。……これで俺が此処に来た意味、察せてる人もいると思うが――敵襲だ。が、焦らないで聞いてくれ」
女性には一番小さい子供を離さず持ちたい荷物を年嵩の子供に伝えるように指示をする。そして老人達には機動力を失わないために杖を肌身離さずもてと伝え、年嵩の子供達には“仕事”の指示を。
迫るキマイラウィッチを喜ばせないために冷静さを忘れるなと言えば、誰もが頷いた。
東西――否、村の全ての人間の避難支度ができた時、中央で合流したゼキとエトヴァは簡潔な会話で住民の数と割合を共有してゆく。
「――だから、年寄りと子供、荷物はおれのドローンで森まで運べば問題ないと思うんだがどうだ?」
「そうだな、そうしよう。だが、幼い子供は母親に?」
「生憎ドローンはあやせないんで、不安にさせるより良いかと思ったんだが」
「たしかにそうだ。では、始めよう」
「だな」
刻々と、時間は迫っている。
遠く微かな足音の群れが波濤の如く迫る中、ゼキの“ドローン”は非常に強力な天馬となった。
最初は酷く近未来的な物品に住民らは多少の驚きを見せたものの“ディアボロス”への信頼厚く、驚きはすぐに霧散し老人から順に乗り込む準備を整える最中、住民たちが森守りだという老人へエトヴァはそっと声を掛ける。
「失礼、あなたが森守りのザンバイ殿と伺ったのだが」
『おぉ、私がザンハイだ。ディアボロスであるあなたの願いなら、喜んで聞くとも』
ほっそりと曲がった亀背の老人 ザンバイへエトヴァが願ったのは森の案内と、隠れやすい場所について。二つ返事で頷いたザンバイと、その弟子だという少年がいたため二人は指示役としてドローンに乗せ、先行させる。そして、順に支度の整った者から送り出せば町はもぬけの殻となっていた。
『うー……あ!』
『はい、そうね。あれはお空を飛ぶのよ、ぼうや』
「 、」
「あぁ……そうだ、森に着いたらすぐ隠れる場所は森守りの爺さんに聞いてくれ。必ず、だ」
『ありがとうございます、ディアボロスさん。あなた方は……?』
赤子の柔らかな頬を母親の指が擽り、きゃあきゃあと無垢な赤子の笑みは健在。あの惨劇はあくまで可能性だと分かっていても――……ゼキもエトヴァも、心のどこかで安堵せずにはいられなかった。この幸福……否、“日常”を潰される気などさらさら無いからこそ、心配そうな視線への答えはただ一つ。
「――“復讐者の戦い”っての、知ってるだろう?」
「ありがとう、俺達は問題ない」
「「魔女を討つ」」
力強い答えが偶然にも重なったところで、人々の森への非難が完遂した。
「さぁて、あちらさんには手取り合って助け合って、魔女どもにゃできねえ戦い方をしてもらうとして」
「あぁ。逃げ遅れが無いことは確認した。各自必要な物も最低限に纏めてくれたお陰で早く済んだな」
次に成すべきは、純粋な獲り合いだ。
拳には拳を。刃には刃を。そして、無辜の命狙った対価は命で贖えば良い。
迫る迫る迫る。
滔々と間断なく迫る狂気と暴力に満ちた軍勢がやってくる。何もないなど知りもせず、純粋に獲物の存在を信じて。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
ジズ・ユルドゥルム
カミーユが感知したあの光景…。
今は未然に防げたが…この先別の場所で起こるかもしれないなどと、想像すらしたくない。
芽を潰さなければ。完全に、痕も残さず。
敵は弱いもの虐めを好む性質らしい。
ならば…罠猟師の真似事でもしてみるか。
敵は村の中で「仕事」を試みるのだろうが、
人々の生活の場で戦うのは、可能な限り避けたい。
戦闘のしやすさ如何もあるが…何より、子供達の遊び場にもなる場所に、戦闘の跡を残したくない。
村外れへ敵を誘導するため
広場など村の中心部から、森と反対側の村外れに向かって、
「慌てて移動する大勢の人の足跡」に見える痕跡を、目立つように残す。
更に新宿島から持ち込んだ、子供靴の片側、小さな木彫りのおもちゃ、
偽物の金貨、銀メッキの食器等の品物を【アイテムポケット】から取り出し
避難中に慌てて落としたかのように、足跡に沿って置いておく
村外れに物置き小屋等の建物があれば
その場所を足跡と品物の終着点にする。
奴らは狩る側でいることに慣れきっているだろうが…
今日の獲物は貴様らなのだと、よく教えてやるとしよう。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
◎
まずは避難成功……あとは仕置きだが
そう何度も、踏み躙らせてなるものか
彼女達はもう、多大な苦難を経てきた……
俺は、ありったけ奪ってこい、を実現させようか
逃げる時間稼ぎにもなるだろう
空き家となった家の前に、酒瓶や食糧を散らしておき
略奪に夢中になると言う事なので
その辺りに宝飾品や絵画を積んだり隠したり、落としたりしておこう
新宿島から【アイテムポケット】いっぱいに持込みの人口宝石や、複製画を
なけなしの財産、家宝さえ置いて、拾う間もなく逃げたとみせておく
美術品の扱いには、色々と心苦しくはあるな
あまりにささやかではいけないので、色彩や輝き、飛び出してみえる配置で目立たせつつ
宝探し状態にしておけば、根こそぎもっていこうとするかもしれない
金の額縁、銀の水差し、不自然でない程度に豪華で、大切にしていたものを残すように
持ち込む前に磨きをかけておこう
村はずれの方へ誘導するなら
逃げ遅れを装い、家屋の下にスピーカーを仕込んでおき、ささやかな音量で赤子の鳴き声を流す
その周りに略奪の品を積み上げておこう
ゼキ・レヴニ
◎
避難は無事完了、っと
手分けして手早く済んだな
あとは敵を誘いこむ手を……おや、随分と周到なハンターがいるじゃねえの?
そんじゃおれはジズの罠に、ダメ押しの一手を加えてこうかね
優秀な猟師の傍にゃでけえ猟犬が付き物だろ、なァんてな
まずは下準備だな
森の反対側の村外れへ続く足跡の偽装を手伝いつつ
奇襲予定地に隠れ易そうな藪等の場所を確認しとくぜ
準備が済んだら、脚に包帯を巻いて杖をつき
逃げ遅れた怪我人に見せかけて、足跡の上でスタンバイだ
敵軍が見えたら足を引きずりながら足跡に沿って逃げれば
連中は涎垂らして追っかけてきてくれるかね
助けてくれ!まだ死にたくねえんだ!
なんて、貴重品が入ってそうなパンパンの荷物を抱えて嗜虐心煽り
終着点が小屋なら、追っつかれる前に飛び込んで
小屋の手前に【トラップ生成】で落とし穴を生成
夢中で追っかけて来た奴らがうまく引っかかったなら
混乱から立ち直られる前に、荷物から武器を引っ張り出して奇襲を仕掛けるぜ
地獄へようこそ、クソ野郎ども
祭りでも宴会でも、盛大におっ始めようじゃねえの
遠く、瘦せた土地でも葉を騒めく木々の方―森に避難する人々の背―を見た。
辛く苦しい中にあっても助け合うことを忘れず、人間らしく生きる人々の姿。幼い子供を抱く母の手は、足りぬ栄養に骨ばっても力強い。
「……誰も、怪我はするなよ」
同時に、決してその愛しい温もりを離すなと心で激励した。
たとえ風に浚われたその言葉が彼らに届かなかったとしても構わないと思いながら、囁くように祈る。
ただ純粋に無事を祈って何が悪い。
ただ純粋に平穏を願って何が悪い。
命が必死になって“生きる”選択をすることの、何が無様だ。
「(――ここから先へは、決して近づかせはしない)」
それを嘲笑うなら、この“心臓”が動く限り二度と笑えぬように潰してやろう。
願い祈った平穏無事を、全身全霊を懸け勝ち取り本来無かったはずのものを断つために。
――そう、本来なら在りはしなかった毒々しい鉄錆と血脂塗れの影法師共の“存在”を一片、ここで断つ。
「(誰が貴様らの痕跡なんてもの、一欠片でも残してやるものか)」
抹消への歩みが今は三つ、深く力強く踏み締め踵を返す。
●楽園の埋火
カミーユの苦渋に満ちながらも奥底に炎を宿した瞳と言葉を思い返しながら、鳥骨の戦面を整えたジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)はアイテムポケットから取り出した幼い子供用サンダルを、角度を変えながらまるで“実際に人間が走って逃げた”ような痕跡を作ってゆく。
重ねて摺って、時に大人のサンダルを上から重ね押し演出するのは偽りの恐慌。
「(……今は、未然できた。だが、)」
“――もしもこの先、似たような事件を食い止められなければ?”過る恐ろしい考えを振り切るように頭を振って掻き消したジズは、黙々と作業に精を出す。
見知った同業と相棒が先行して人々を避難させ痕跡を消す傍ら、一歩でも先に万全な舞台を整えるために。
ジズが作業する場所とは、町を挟んで反対側。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)とゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)が最後の村人を送りだし、その背が森の中へ消えたことを確認したのち人々が森へ逃げ込んだ痕跡を消してゆく。
「まずは避難成功……あとは仕置きか」
「よし、無事完了っと。手分け出来たんで、随分早く片付いたんじゃねぇか?」
上々の運びに軽く拳をぶつけ合った二人は、極自然に痕跡を消し人が通ったことで折れた葉の一筋にさえ気を使い修復してゆく。
直し過ぎず――かといって、ここを人が通り抜けたことを気付かれない程度の自然さを意識した形へ。
「……さて、この辺でいいか?」
「そうだな……あまりに整い過ぎていては不自然、か」
額の汗を拭ったゼキに涼し気な顔を変えないままのエトヴァが頷き、住民避難が本当の実で完了した。
さてと、と伸びをしたゼキ首を回したのは避難した森と反対側。襲撃後に有り物の材料で作ったのだろう、物置小屋と思しき小屋の方向だ。
「……おや」
「――はは、いやぁ。こりゃあ随分と用意周到なハンターがいるじゃねぇの?」
既にクロノヴェーダ共を引き付ける準備に入っていたジズの姿に、工作作業へ先行した同胞を喜び瞳細めたエトヴァと準備の早い相棒たるジズへ手を振ったゼキがニヤリと笑えば、鳥骨の面の戦士から返ってきたのは“狩り取るぞ”という挑発的な笑み。
「さすがは猟師様、用意周到で優秀な罠にでけぇ猟犬からダメ押しの一手といこうかね?」
「あぁ。多大な苦難を受けてきた彼女たちよりも、もっと奴らには“魅力的”な準備をしよう」
気配を察知させないことは勿論、そんな余計な発想さえ浮かばぬようにさせてしまえばいいと笑みをゼキが深めれば、エトヴァの青い人見もまた昏き炎を揺らがせる。
将の怒りに釣られ惑わされる程度の配下ならば、十分騙せるだけの隙が見えるのだ。
「……――それについてだが、二人に一つ相談がある」
ジズの提案とは、敵に極力町の中で“仕事”をさせないこと。
小さくとも町の中にあるのは人々の日常――つまりは生活だ。
子供達の遊ぶ広場、女たちが洗濯のために集う井戸。木こり仕事の傍らに男たちが休息を取る木陰や、老人たちが寄り合う小さな集会場――……そのどれも、恐らく住民は一度壊された経験を持っている。
「これ以上、奪わせたくはない……それに、守るためと言えど戦いの痕跡を残したくないんだ」
不安を思い起こさせる片鱗を残したくないと眉間に皺を寄せたジズが口にすれば、顔を見合わせたゼキとエトヴァが瞬きを一つ二つ。
「おいおい、あそこで市街戦なんざしてみろ……なんも残らないどころか、何もかも吹っ飛んじまう。全部潰すならここが一番いいと思わねぇか?」
「そうだな、全員ここにおびき寄せるなら多少の貴金属を撒くのもいいと思って――ふふ、持ってきたかいがある。さて、」
肩を竦めたゼキが“囮になれる人材ならいるだろう?”と笑み、エトヴァのアイテムポケットから落とされた人工輝石や銀食器がじゃらりと音を立てる。
皆、考えることは同じ。
「話が早くて助かる。さ、時間は無い。急ぐぞ」
「じゃ、ここいらの貴重品は転がしてちょいと汚しときゃ余計にそれっぽいか?」
「なら、町の門の所に一つ二つ距離を開けて誘導するようにしておくのも良さそうだ」
それぞれが多く言葉を交わさずとも先を読めるほどには、ジズもゼキもエトヴァも様々な戦いを重ねてきた。
場所は違えど敵は同じならば、思考が手に取るように読める。
こうして不自然ではない程度に泥で汚された銀の水差しが転がり、煌めく輝石の上には気にする暇もなくは知ったような足跡が重ねられ、木彫りのおもちゃがあらぬ方向に落ちていれば整えられる“必死な”空気。
仕上げには泥と血のような赤を滲ませた包帯がゼキの足に巻きつけられ、立ち上がりやすい姿勢を誤魔化すような尻もちをついた隣に木を括って作った松葉杖擬きを添えて。
「いいじゃねぇか、あいつらにゃ豪華過ぎる食卓だな」
据え膳のような怪我人こそが、奴らの求める豪華な晩餐足りえるのだ。
更にエトヴァの案で小屋の奥へ仕掛けられた赤子の泣き声を録音したスピーカーは、尖兵として現れる道化師紛いを引き付けるには十分なおもちゃだろう。
「狭い小屋なら、これもやっておくか」
最後にジズが襤褸布を小屋の扉から覗かせ、子供の靴を落した場所にはゼキのトラップ―落とし穴―が息を潜めれば舞台は整った。
“獲物”とは、いったい何を指すのだろう。
「さて……勘違いした奴らのメッキを剥がすとしよう」
「大切なものを奪うなら、存在が奪われる覚悟を持たねばならなかったと教えてやらねばならないね」
「立つ暇なんかねぇくらいに遊んでやろうぜ、ご所望だからなぁ」
さぁ、パーティーの始まりだ
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV2が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!
●笛の音来たる
ひゅるり吹いた笛の音はパレードのように振舞って、これから人々へ齎そうとしていた死の臭いを隠さない。
――しかし、軽やかそうでいて重い足音の機械人形 断頭の道化師が手中の手斧めいた刃をバトンの様に振り回して踊っていた歩みを止めた。
『……? ……――!!』
『アソボウ♡ あそぼう!』
『イヒヒ、ひひ アハハハハハ!』
『👏🤡💃』
静まり返る町に一体の道化師が首を傾げたのも束の間、裏門から町へ入り込んだ道化師たちは一体が気が付き指を指す入口の門に散る宝石という“仕掛け”に気が付き狂喜する。
子供のようにはしゃぎ、下品に笑って、身振り手振りで大騒ぎ!
だが。
こんなものは前座――……いや、呼び込みチラシのようなもの。
“ほんとうにおもしろいもの”はすぐそこに在る。
血を、肉を、命を斬り捨て弄ぶ味を覚えてしまったバケモノゆえに涎を垂らして喜び食いつかずには居られない、蠱惑的な“もの”が。
すぐ、そこに。
ゼキ・レヴニ
◎
豪華な会場も用意して、ディナーにゃキッチリ毒も盛った
さァ、張り切って奴らをもてなしてやろうぜ
準備段階で整えた手筈通りに囮となり
敵軍が見えたら怯える振りで包帯を巻いた足を引き摺り、ついでに抱えた荷物からはポロポロ貴金属を落としつつ
足跡の偽装を辿り、頼れる「猟師」が待ってる村外れの小屋へと逃げてくぜ
上手く敵が追ってきたら、小屋の手前で【トラップ生成】した落とし穴にズドン
ご馳走にありつけると思ったか?残念!てめえらが今日の晩メシさ
おれの健気な獲物っぷりはどうだった?なんて笑いつつ
奴らが穴ぼこで怯んでる隙に先制を仕掛けたい
金属塊『躯』を大鍋の形に展開
ぐつぐつ煮えた金属のスープを敵の頭上からぶち撒ける
おっと、火力がちょいと足りねえか?
出番だぜジズ料理長、仕上げは任せた!
敵の機動をよく見て背後に回られんよう立ち回り
ギロチン刃のロープを得物や腕で引っ掛けて軌道を変えさせ
【ガードアップ】で負傷を抑えるぜ
気ぃつけろよ、おれの相棒はかなりの強火だぜ
焦げ付かねえように踊って跳ねたら、うまァく調理してやるよ
ジズ・ユルドゥルム
◎
皆のおかげで良い食卓が用意できた。あとはお客を待つばかりだな。
私は小屋の中で待機し、ゼキが呑気な道化師達を連れてくるのを待とう
外の状況は音で判断できるだろうが、年のため扉の隙間から様子を見ておく。
主に確認するのはゼキの囮役っぷりだが。
…だいぶ奴らを引き付けてるな。ふふ、役者じゃないか。
客、もとい晩ご飯が到着したなら、「先行率アップ」の風とともに扉を開け放つ。
涙を誘うくらい良い獲物っぷりだったよ。などと軽口を叩き、
「曙光の戟・焔」を起動。
斧にまとった炎を放ち、熱い鉄のスープの上にさらに熱い火を注いで、道化師達を暖めてやろう。
よく来たな。すまんが火加減は苦手なんだ、強火一辺倒で行くぞ。
敵を自由に動き回らせて、奴らの得意な曲芸機動に翻弄されるのは避けたい。
自分と仲間の周囲に炎を撒き、奴らが自由に動き回れんよう妨害しよう。
飛来するギロチンの刃は、炎を纏わせた斧で斬り払い相殺を狙う。
どうした。弱い者虐めを楽しみに来たんだろう?それが楽しめるかは貴様ら次第だぞ。
奮起してみせろ!!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
仕置きといこう
自動人形の風上にも置けない連中だな
魔女と結託するとこうなるか
映えある大陸軍はもうお忘れかな……
二人の動きを邪魔しないように潜み、タイミング合わせ仕掛ける
「獲物」を夢中で追ってきた連中が小屋に辿りついた辺り(罠にかかった時)で、後方から不意打ちを仕掛ける
後方へ退く空間を断ちつつ、挟撃や包囲に持ち込む
そうだな、狩りは算段と連携だ
銃を抜き、パラドクス攻撃
戦況を常に観察しつつ、敵の動きや位置取りを把握
曲撃敵な機動は芯の動線を見極めつつ、攻撃にかかるタイミングを看破
踊りたいなら、どうぞ俺達の掌の上で
狙いを合わせ、一撃で倒せる敵>消耗した敵の順に屠っていく
敵の攻撃には、4本腕の動きを観察し、荊の魔力障壁で身を護りつつ
Nazerの盾を構えつつ、軽く下がるように受け流し応戦
人々を弄ぶ権利など、貴様らにない
招かれぬ客は、早々に退場願おう
●皿を食らう客などいらぬ
毒を食らわば皿までというのならば、噛み砕き呑み下したと勘違いしたその片鱗で喉を裂かれぬよう――どうかどうか、ご注意を。
『アハハ! いひひひひひひ!!』
『すてきすてきすてきすてきすてき!』
『✨🔪🩸!!』
けたたましく喚いて迫る断頭の道化師から、縺れる足を引き摺って“男”は逃げる。
たっぷりと蜜のような憐れみで鴇に転んで見せ、着かず離れずの距離を保ちながら道化師共の意識を釘づけにして。
「っ、チクショウ……!」
まるで逃げ遅れたように。
「どうしてっ、どうしておれは……!」
悔いる悔いる悔いる! 甘美な恐怖に道化師共の笑みが深まるのを横目にして。
追う笑い声は皆、ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)を嘲り“遊んで”いる。残酷に冷酷に、何の感慨も抱かないくせに一丁前に欲望だけをギラつかせながら、用意された舞台へ引き摺り込まれていると気付きもしないで踊るのだ。
引き付けながら、ゼキは逃げ続ける。まるで、憐れな弱者の様に。
ゼキは逃げる。這いずるその身から、物欲掻き立てる黄金を溢して。
とろけるような黄金色の杯を落しては惜しみ、散らした銀のナイフを取り損ねては叫ぶ。
『カワイソウ!カワイソウ!!』
『ンフフフ、イヒヒヒッ!』
「(――そうさ、笑いたきゃ笑っとけ)」
どうせあんなもの、人成らざる――否、バケモノ共のままごとから学んだものだろう。
そう頭を振ったゼキの脳裏を過るものこそ“ほんとうににげていた”生々しいもう亡き人々の記憶。
戦場だって、逃げる兵士は皆家族を想い叫びながら赤き命の片鱗を溢し、仇の機械人形共に命を請い――そして。
「(そうさ“お前さんらが”ぶっ壊れちまう前に……!)」
全て最期の晩餐なれば、請いて食らえ腸無き“物”よ。
●前菜には“仔羊”の産声を
泥彩の絨毯の上を警戒に走る足音が聞こえる。
「……――来た」
待望の客のお出ましに小屋の隙間から様子を伺っていたジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)がうっすら口角を上げれば、同じく小屋近くの茂みで待機していたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)も茂る葉の隙間から囮役の様子を伺い、上手に引き付ける様に舌を巻く。
・
・
・
こうして別れ潜む直前、二人は小屋を整えゼキが引き付けるまでの最終調整を担っていた。
「しかし……驚いたな、自動人形がいとも簡単に魔女と結託するとは」
「敗残兵だからこそ、本当に良い選択というのは取れないんだろう」
“戦場で討死すればいいものを、往生際の悪い……”とエトヴァが柳眉を顰めれば“そんな矜持があれば略奪などしないだろうな”とジズは迫る自動人形を鼻で笑う。
歴史が改竄されたばかりの頃にフランスを圧していた自動人形は、ディアボロスという滅ぼしたと勘違いした存在に圧倒された驚きで読み間違えたのだ。
たかだか復讎の茨では金属の肌を裂けず、堅牢な肌を融かす復讎の炎など非ず等と思ってはいけない。“相手にしている者”を見誤り、侮ったことこそが罪なのだ。
何度死んでも分からないだろう。
何度作られても刻まれないことだろう。
・
・
・
「(……そろそろ、この子の声は届く距離だな)」
走り迫るゼキが徐々にはっきりと見えてくる。じっと注視していたジズが思い出したのは、エトヴァの用意した赤子の泣き声が録音されたもの。
(「あぁ。この短い時間で録音に協力し、森では静かに寝てくれたこの子に報いらねばならないね」)と笑っていたのだ。
エトヴァ曰く、それは避難の折のこと。
慌てる大人の気配に何かを感じたのか、静かにしていた赤子が怯えたように泣き出し、中々泣き止まなかったのだという。
避難完了時刻まで時間の無い中、森で泣き声が漏れれば自動人形たちに感知されかねないと、エトヴァの即興音楽と母親の温かな腕で宥める最中、そう考えれば気を引けるはず……と、少し録音させてもらった泣き声なのだ、と言っていた。
(「恐らく、奴らは大陸でも散々聞いて身に染みているはずだ。自分より弱く脆いものの聲として」)
「あぁ。たしかにそうだろうな」
――おぎゃあ
小屋から洩れる声は、幾度も踏み躙ってきた蜜のように。
――おぎゃあ
隙間から洩れ響く声を聞いたゼキが瞠目し“わざとらしく”叫ぶ。
「っ、来るな!!!!!!」
守りたい妻と子供がいると目に見えて分かるようにアピールすれば、嫌味ったらしく笑った人形が腰が抜けたように転びながらも純銀のフォーク振り回すゼキを跳び越えせせら笑った――まま、落とし穴へと頭から。
「ふふ、役者じゃないか」
「――けれどお陰でいい晩餐になりそうだ」
『ッエア?』
断頭の刃で斬り開いた先に待っていたのは、焼け付くような黄金の陽光に似た瞳をギラつかせたジズと、ハッと態勢を整えようと後退しかけた道化師の後ろを取った透き通り研ぎ澄まされた天空色の瞳で眉吊り上げたエトヴァだった。
「ここまで引っ張ったんだ、頼むぜ」
「勿論だ。だがこれが元大陸軍とは……酷いものだな、まったく」
「さて、中々良い舞台だった。よき猟犬のお陰でスパイスと火加減の準備も万端だ」
落し穴で藻掻き、飛び上がった道化師を即座に撃ち抜いたエトヴァの銃弾。
ニっと笑たジズが落とし穴を飛び越えたざま、流麗な太刀筋で断った道化師の身が呻きながら火達磨となり再び穴へと落ちてゆく。
『ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
『殺せ殺せ殺せぇぇぇえええ!!』
同胞が焼かれる様子に絶叫しながら手近な自身へ飛び掛かった自動人形へ、ゼキほぼ反射的に立ち上がる勢いのまま懐へ深く踏み込んだ。
間合の、更に内側へ。長い得物であるほど無防備になる道化師の腕の中へ!
「たく、気持ち悪ぃったらねえな」
一時的にフォークへ擬態させていた“躯”を突き出して喉を突き馬乗りの要領で引き倒せば、喚めいて断頭斧を振ろうとする道化師がいとも簡単に押さえ込めた。
一瞬の油断とは、死神が鎌を首に掛けるに十分な隙である。
「おいおい、戦場舐めんなよ」
『ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ッッッッッ!!!!』
躊躇なくその錆浮く喉にフォークを突き立て抉り込み、飛び退きざま呻く道化師の身を蹴飛ばしたゼキが転がるように腕の中を抜け出しフォークを大鍋へ! PD―火輪の匙―で大鍋へ変化した躯をひっくり返し、にぃっと唇を吊り上げた。
「一品目はスープ。具材はお前さん、出汁もお前さん――きっと奴にかかればさぞ旨かったろうなぁ!」
『ギ、ィ!!!!!!!』
『ギャアアアアア!!』
『zwれtcりゅぶ!!!!』
『💃🔥😡!!!』
熱された鉄の雨が道化師の鋼鉄の肌を焼溶かしてゆく。
呻き悶えのた打ち回る道化師共3体と軽やかに身を翻しバク転し、道化師らしい身の熟しで間合いを取った1体が、おそらく身振り手振りで口汚くゼキを指差し何かを罵っている。
暢気なのか演技なのか分かり辛い振る舞いと悶え苦しむ道化を挟撃するように踏み出したジズとエトヴァの背を、空舞うジズのジンが応えるように押し鼓舞していた。
「(なるほど、こちらは目が潰れたか)」
『ぁいああうんしわいおcぶあう!!!』
『おぉぉあぁあぁおおおおおっっっっ!!!』
闇雲に揮われる断頭斧を躱すエトヴァの身は踊るよう。
宮廷程の絢爛さが無くとも、戦場だからこその野性味は躍動に溢れるばかり!
『あぁぁぁあおぉぉあおあぁっっ!!!』
「そんな力任せで、俺は捕えられない」
『ッッッア!!!!!!!!!!!!!』
突き出された断頭斧を仰け反って躱し、叩きろされるもう一本の斧を姿勢崩さずターン躱す! 負けじと交差するように切り上げる斧の動きに抗わず、伸ばされるもう一対の腕を銃握で殴り飛ばしで弾いたエトヴァもまたバック転で身を翻す。
――それでもなお、艶やかに輝く銃口は道化師だけを見つめるまま。
「踊りたいならどうぞ、俺たちの掌の上で」
PD―シューティングダンス―!
『『―――――ッッッ!!!』』
錆きった絶叫に、静かに森が震えていた。
『🔥🔥💃💃💃🪓!!』
『あううああうううううう!!!』
「火を注ごう」
首傾け断頭斧を躱したジズの毛先を切った道化師の笑い声と呻き声にジズは微笑まない。
半ば溶け落ちながら闇雲に手を伸ばす道化師は焱を掴み悶えるのなら――否、“炎を求めるのならば、さぞ寒いのだろう”。
「まったく……たしかに涙を誘うくらい良い得物っぷりだった。涙を流し過ぎて冷えたんだろう」
振るわれる断頭斧を意にも介さず、飛来する刃を炎纏う戦斧に持ち替えたジズが勿体ぶったように恭しく告げる。
「すまんが私は火加減というものが苦手でな――」
『あおぁああぁおおおおぁおあおおあ・あ・あ!!!』
『🪓🪓😡🪢🩸🪓🪓』
無軌道に迫った断頭斧が、ジズの首と足を同時に――!
「人の話を最後――あぁいや“最期”まで聞けない道化師は、売れず地方に飛ばされたことを苦に、」
ガァン!! と叩き落された二つの斧が掠めたのはジズの薄皮のみ。深々と地に突き立つや二つに割れた。
錆びついた断頭斧よりはるかに鋭利に研ぎあげられたジズの斧が、木々の間から降る淡い陽光に艶めかしく照る。
なぞるジズの指先が再び炎を齎し、歴史を改竄した者だけを舐る焱の熱が空気を焼いた。
「なんて、上品過ぎるか。逆だな、さぁ来い――お前たちのお得意な弱いもの虐め……楽しめるかは貴様ら次第だ!!」
歯を食い縛れと歯を剥いた狩人――ジズの焱が収まる頃には、消し炭が二つ泥濘に転がるのみ。
戦いは佳境へと至る。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【口福の伝道者】LV1が発生!
【熱波の支配者】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
ルチル・クォンタム
アドリブ等々何でも可です。
――駆けつけました!
遅くなってすいません!
後はこの敵だけですね!僕らもこの力を振るわせていただきます!
笑顔には惑わされません……!
相手に向かってこの技を披露させていただきます。
――この一撃は拡散して貫く針の一撃!スプレッド・ニードル!
体は機械っぽい感じもしますが……関係ないですね。何だって貫いてみせます!
後は……相手の射程と自分の射程を見極めてダメージを減らす様に戦います。致命傷を受けないように立ち回りましょう。
ガードアップとか能力値アップとか、残ってる力もしっかり活かしつつ倒しましょう。
……こんなの楽しい訳ないんだから。楽しむなら他にももっと方法はあるからね。僕はもっと違う方法で楽しいことしたいよ。
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
◎
では、幕引きといこう
そう愉快でもない顔は見覚えがあるな
貴方がたにとって、人とは何だろうな
ただ踏み躙られるだけの存在なのだろうか
復讐を煽るやり方もいけ好かないが
暴力任せの略奪には、何の戦略も感じない
将が将なら部下も部下か
ラ・イルに、怒りを覚ませと伝えてやってくれ
……もう手遅れだろうけど
仲間とPD通信で連携を
戦況をよく観察し把握
推移を見極め、挟撃や包囲の形に柔軟に位置を取る
互いの視野や死角をカバーするように動こう
Wandervogelを演奏
音色に描くは、漆黒の馬に跨る、黄金の騎士
駆け、回り込み、騎槍を構え突撃を
槍の纏う花々で、赤と黒の世界に色彩を
そこにあるのは生命だから
人々の暮らしだから
貴方がたには、理解できないのだろう
残念だ
反撃に備え、頭部の発光を気取れば、視線の焦点を顔の外側へ・遠方ずらし直視を避けつつ
精神攻撃の恐怖には祈りで耐えよう
前に見た、別個体のファニーサイスと同じ顔なんだから……
人は成長するものだ
目は閉じずに、音色を描こう
誰かが、俺の戦いを祈りだと言った
何度でも、打ち破ろう
ジズ・ユルドゥルム
◎
遅かったな、人形兵の隊長どの。
戻ってこない部下を心配…するわけがないか。大方、部下が愉しみを独り占めしていないかの心配か?
安心しろ。貴様の部下は皆、お愉しみの前に消し炭になってしまったよ。
ゼキが低い姿勢で地を駆けるのを視認後、「人鷹一体・導」を起動。
やろうか、ケレイ。命を獲る流儀も知らん連中に、身をもって叩き込んでやろう。
相手は機械の人形だ。人体の可動範囲や、死角、急所の理屈はおそらく通らないだろう。
仲間が敵に喰らいついている間、敵の動作を目で視て観察し、
どう背後を取り、どこを攻撃すれば有利を得られるか看破を狙いながら、
仲間と挟撃の位置取りを試みる。
攻撃の際は生命力によって膂力を高め、さらに【命中アップ】がもたらす光を目掛けて、
敵の急所へ全力の貫通撃を撃ち込んでやろう!
反撃は…っ、くそ。精神攻撃はどうも苦手だ。
己の恐怖心を否定すれば余計に増幅恐怖が増幅しかねない。
恐怖を認め、対峙し、確実に打ち克つ。
ゼキが隣で戦っている。2人ともちゃんと立っている。
大丈夫だ、何も恐れることはない!
ゼキ・レヴニ
◎
道化師達は皆仲良く消し炭だ
『憤怒』の業炎はどうやらてめえらの足元に焚べられたようだぜ
残るはメイン・ディッシュのみ
ニコニコ笑顔で結構だが、綺麗に喰われようなんて思うなよ
狩人は狩りを始めた、猟犬はもう放たれてんだ
外骨格『躰』から指令を送り、機械脚を獣の様な関節に調節
敵の頭部をまともに見ねえように、低い姿勢で地を駆けながら
金属塊『躯』を腕に纏わせて大狼の顎門と成し
形作った鋭い牙で敵の喉元に食らいつく!
食らいつかせたまま放さず、振り回す動きで
敵の装甲を剥がし、更なる【ダメージアップ】を狙ってくぜ
殴られようと蹴られようと放してやるか
この「牙」は勇敢でなくちゃいけねえんだ
それに、この隙に、この瞬間に、狩人は必殺の一矢を射るはずだ
敵の精神攻撃で恐怖に飲まれそうになっても
ジズが隣で戦ってんのに怯えてブルってる訳にゃいかんし
ここより”怖い”戦場なんざ山程見てきた、今更だ
呑気なヒマワリ顔を睨み返して頭突きでもしてやろう
てめえのスマイルはゼロ円でも返品だ
村に居たあの赤ん坊の笑顔ならなんぼでも見たいがね!
●祈ったことも無き神へ今“感謝”を
見た。
ミタ。
観た。
みた。
ファニーサイスは最後の道化師が打ち砕かれる様をみた。
おぉ、ディアボロス。あぁ、忌々しき者共。
『あ。 ぁ。 ァ、ッ!――アハハハハハハァハハハハハハハハハァ、ア、ハハ!!!!!!』
これは幸運だ。
あれは不運だ。
魔女へ下った意味がある!
絶叫は喝采のように。
無意味な笑いがこと切れた部下だったモノを踏み躙る。
瞳に燃える憤怒の衝動のままに力んだ四脚で、ファニーサイスはゴム毬が如く跳ね上がるや、暴力的な勢いで叩き下ろした鎌が道化師の身をブチ壊し、頭蓋を踏み砕く。
弾けたパーツがディアボロスの頬掠めることなど、些末。
魔女と化したファニーサイスは、くねらせた首からオイルを垂らし厭味ったらしくディアボロスを見上げ笑顔で睥睨した。
『 コロス』
●――ここがお前の最果てである証明に、墓標をくれてやる
「では、幕引きといこう」
『イヒ!!!』
真正面に立つエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)とファニーサイスの睨み合いは一瞬。
凄まじい衝撃を放つほどの衝撃を放つは、ただ怒りのままに降り抜かれた鎌。咄嗟に白銀のガントレットで防いだエトヴァの腕が軋むほどの鍔迫り合い。
『ウフ。うふ。ふ。ふふふふうふうふふうふうううふふふふふううううふうふふふうふ!!!!』
「……っ、――あまり“感情”に従わない方がいい」
エトヴァは怒りの行軍に与する者へ餞に告ぐ。
「感情に囚われれば、見失うだけだ」
『アハ♡』
大柄な体躯を活かし上から押し潰すようにエトヴァへ圧をかけ始めたファニーサイスの左右からジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)とゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)の拳が迫る。
輝ける右腕 PD—人鷹一体・導—! 躯の牙 PD—忠義の牙—!
「安心しろ。貴様の部下と同じように、お愉しみ前に私が消し炭にしてやろう」
「さぁさぁ、消し炭になりたきゃ待機列に並ぶこった!」
鷹の瞳が辿る光に導かれたジズと、姿勢低く賢き軍犬の足と牙借り受けたゼキが死角より振るった拳を鋭く地を蹴った四脚で躱す! 屑鉄の身を掠めるのみに留めた二人が歯を噛んだのを見た時、ゲタゲタ笑ったファニーサイスはエトヴァの言葉の“ほんとうのいみ”に気付いていなかった。
『あはははははははは!』
「遅くなってすみません! ルチル・クォンタム、現着です! ――この一撃は拡散し貫くもの!」
『ハ、』
握りしめた大鎌を振りかぶる少女の青き髪と、纏う光の魔力が鮮烈にファニーサイスの目を焼く。
――あまり“感情”に従わない方がいい。
自動人形より早く、三人は合流した新たなる同胞にきがついていたが言う必要もあるまいと、当然告げることはなかった。
全ては、ファニーサイスにルチルが一撃叩き込みやすい位置まで誘導しただけ。ファニーサイスへの言葉の群れは、ただの時間稼ぎにすぎなかったのだから!
怒りは目を曇らせ、強き力は慢心を齎し、払うべき注意力を殺してしまう。
冷静なれ、冷静なれ。勝利求むるものよ。汝、“敵”より目を逸らしてはならぬ――なんて教えは、弱きばかりを踏み躙りどこか悦に浸っていたファニーサイスに思考を破棄させるには十分過ぎた。
「開いて、“スプレッドニードル”!!」
PD―拡散する針―!!
ファニーサイス後方——“誰もいない”とファニーサイスが高を括っていた位置からフルスイングされたルチル・クォンタム(加護の外に出た守り人・g10515)の一撃が、拡散する。
花の如く開いた軌跡が、一気にファニーサイスを貫き穿つ!
『ギッ……、エア、ァアアァ゛ア゛ア゛ア゛!!!』
「――意味を感じさせない略奪。人を踏み躙るだけと、未だ勘違いしたそのプログラム……俺は、その見覚えのある愉快でもない顔の通り変わっていないあなたの根性が、」
“今だけ利用価値があることを教えてやろう”
どこか憐れむようなエトヴァの言葉に、ギリギリと錆びた歯車廻したファニーサイスが苛立ったような唸りを上げる。
『ッァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
「――、っぶないですね!」
ルチルを圧するようなファニーサイスの踏み均しを転がり躱したルチルが間合いを取り直す合間、首が“視ていない”ことを察知したジズの口角が口角を上げた。
「いくぞ、ケレイ。身を以て、命を守る流儀というものを叩き込むぞ」
『 』
声なきジンの言葉はいつでもジズの胸の裡で反響する。
「(もしかすれば、これは死角への一撃か? たとえ通らなかったとしても――!)」
踏み込む足は力強く、辿るべき光はいつでも“目”で追える! 指先までじんとジズを温める生命の温もりを握りしめた一撃と同時に、無意識か呼吸を合わせて叩き込まれたゼキの賢き友の牙模す鋼がファニーサイスの胴を抉り込む!
「綺麗に喰われようなんざ思わねえことだ。――生憎と、戦場にテーブルマナーなんてお上品は無ぇんでな!」
『い゛』
軋む。
きしむ軋む。
軋み、
『 オ゛』
ぐるんと巡った首が、咄嗟に間合い取ろうとしたジズとゼキを捕え“わらった”。
ガシャンと開いた花の顔の先には歪に明滅するひかりだけ。血色の赤に橙を重ね覚まし起こすは恐ろしき――“喪った”記憶!
「ジズ、ゼキ!」
「っ、あぶない!」
エトヴァとルチルの声が遠くなる。
●――side g04279価値無き鉄の埋火
水中へ突き飛ばされたような衝動の中、ゼキは見た。
無惨に、一層惨たらしく暴かれ肉とかした賢き軍犬の頭を拾ったこと。
機械共の軋む音を、まるで戯れる子供の声のように響かせ“賢きともだもので遊んでいた”奴ら――あぁ憎きクロノヴェーダ共!!
呼び起こされる壮絶な怒りの衝動が爆発しそうになる。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い殺す殺す殺す、しんでしまえ。あぁ、ぶっ壊してやる!!!
「(……ッ、痛ぇ)」
痛い。
いたい。
痛みの記憶は根深くゼキの心臓を蝕んでいる。今も、なお。
吹き飛んだものを、物資さえ足りぬ中で憎き敵のパーツで補い組んだ自身。“ほんとうのじぶん”を見失いそうになる度、おまえはおまえだと、声なき声でゼキをゼキ足らしめるのは亡き友の記憶たち。
「(そうだ、)」
絶望さえも、糧とする。それすらくべて、止まってしまうその時まで自身をこの復讐へとくべよう。
何としても生き為そうと“ディアボロス”として目覚めたあの時から、ゼキは――いや、デイアボロスならば誰もが抱く可能性のある想い。
並び立つ相棒はどうだろうか。きっと、しっかりと地に足を着けているだろう。
悼み、痛み続けるだけが世界ではない。高き空識る友を持つ彼女ならば――……。
●――side g02140残された軌跡の向こう側に立つ者
ゼキ同様に、自身と睥睨し頭部の装置を開き光浴びせられたジズも水の中へと落ちてゆく衝動に苛まれていた。
捕まるものの無い、果ての無い中はいつだってこわい。
ずっとずっと落ち行き、ひかりから遠のくような感覚もこわい。
「(……いやだな、)」
寒くて。
冷たくて。
小さな手が指の隙間から滑り落ちるような、どんどん体から大切なものが抜け落ちるような――この水に、奪われてしまうような、抜き取られてしまうような感覚。
「(――いや、)」
正確には、自身はきっとそれを持つことも儘ならないのではないだろうか。そんな思いが泡のように浮かんでは消えることに腹が立つと、ジズは思うと同時——彼の相棒ならどうするかとも、思った。
藻掻くのだろうか。
走馬灯のようにめぐる“あの瞬間”を突き破り、往くか。
「(まったく……やはり隙が無い、か。どうにも私は、苦手らしい。が、)」
ゼキがあの足で地に立つなら、その隣で――あぁ。
「(まったく、猟犬の横には猟師が入用だろうな。それに、私は先程見えたもう一つの道も試したいんだ)」
●side vsファニーサイス!
ジズとゼキ捉えた顔でエトヴァを見ようとしたファニーサイスは、大鎌で花のようなパラドクス見舞い間合いを開かせたルチルの剣戟にモーターを唸らせ怒りの輝きを目に燈す。
「っ、(あれは、以前とは異なる個体……!)」
思考の中で言い聞かせながら、頭を振ったエトヴァが“助かった”と呟く声に“大丈夫です!”と勝気に笑んだルチルは決してファニーサイスから目を逸らさない。
「エトヴァさん、行きましょう! あんなのに僕らは止まっていられません……!」
「……当然、」
過る頭痛を振り払い、此度重なった二藍は往く。
『アハ、ハハハハハハハハハハハハ!!』
ファニーサイスの無粋な嘲笑を横目にルチルとエトヴァが言葉を交わし、目配せ数秒。
飛び来たファニーサイスが無邪気な様子で振り上げた大鎌がエトヴァの指先を斬り落とさんと迫ろうと、優雅に躱したエトヴァは頬の掠り傷痛もうと余裕のある笑みを絶やさない。指先で指揮を執り奏でるは、鮮烈なる戦場の調べ!
「貴方がたに、きっと生命を理解する思考はないのだろう。なら、その身を以てラ・イルに伝えてくれ」
怒りを冷ますは猛き軍靴の音!
鮮烈であり繚乱なれ、記憶に在りし繚乱なる帝国の騎士の戦術よ!
PD―Das Leben ein Kampf―!!
波濤の如くファニーサイスを肉薄する騎士の槍術が唸り抉る!
『キィィィアァァァァアアア!!』
「その叫び、僕は可哀想と言ってあげられそうにありません」
軽やかにフェニーサイスが癇癪起こし振るう大鎌が捉えたのは、エトヴァとはまた異なる青を持つルチルの毛先のみ。
返すように振るわれた剣圧が瞬き弾け、放たれるは星の伊吹が如きPD―拡散する針―!!
痛みに躍る憐れなる自動人形 ファニーサイスができたのはエトヴァとルチルの白い頬や身に赤い線を刻み、毛先を切ること程度。
致命傷はなく、顔を向け光明滅させようとするたび身を翻し騎士の槍術でお返しを見舞うエトヴァの判断に迷いはない。
飛び跳ねターンしては貫通の一撃を見舞うルチル捉えること叶わぬファニーサイスが、怒りのままにズドン! と地団駄を踏んだ。
●絲織りて、
“まだ、終われない”
「「――今更だな」」
恐怖は飲み下した。
●vsファニーサイス!
「さぁて、仕上げの時間か? それとも、見飽きた笑顔なんざ返品対象だろうよ」
「そろそろアレも皿に乗りたくて疼いてるんじゃないか? それとも――欲しいのか、一番痛いのが」
待たせるなんて可哀そうなことをした、と肩を竦めて見せるジズが纏い直した生命の伊吹が煌々と輝き、賢き友の俊足模したゼキの足は獣に似た関節に再調整される。
長いようで、ほんの数秒。
永遠にも感じられるような時間を経た二人は、エトヴァとルチルが繋いだ戦線へと復帰すれば、ファニーサイスが整えたはずの盤は瞬く間に返された。
いかに焦ろうと覆された盤上を再び取り戻すには、もうファニーサイスの狙える隙は無い!
「人とは成長するものだ、……そう、アレはまたあの時と異なる。俺達は貴方の先へ往く!」
エトヴァの言葉と奏でられた軍馬の蹄に後押しされるように、踏み砕かれてなお起き上がるファニーサイスへ、ルチルが大鎌を突き立てる!
『アハ、アハアッハハハハハハッハハァ!!』
「……こんなの、楽しくなんかない。誰も彼もを傷つけて笑っているあなたを、僕らはここで斃します!」
一際美しく咲き乱れた軌跡は金の驟雨。
ルチルの軌跡に身を隠すように踏み込んだゼキが、連綿の気合と共に捻じ込んだ大狼の顎門が、ファニーサイスの貫通痕を切り開き、装甲を引き剥がす!
『ッギィイイイイイイイイイイイイイイ!!!』
「泣いても吼えても終わりゃしない。今までお前さんらがしてきたみてぇにな!」
いくら暴れようと、押さえ込む。
蹴られたゼキの腹が裂け、赤がオイル混じりに流れようと。
「(こいつの牙は――、あぁそうさ!)」
「なんだ、ちゃんと“血”が流せるじゃあないか。……それに、うちには優秀な犬がいるものでね」
“矢を番える時間がゆっくりあるのが、良い所さ”
ファニーサイスの腹から滴り零れる、赤や橙の血に似た火花に喉鳴らし笑ったジズの瞳が吊り上がり、引き絞られた拳が輝く。
「貴様もくべよう。何、またいつかお前を焼く為だ!」
轟々と、ファニーサイスが燃えている。
崩れゆくその身で抗おうと燃え盛る命の火が風の力で繋がり合い、焱を成す!
人形よ、焼けた鉄靴で踊り消し炭となった悍ましき童話の魔女となれ。
白雪の頬を薔薇色に染め眠る幼児の未来を潰させはしない――!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【命中アップ】がLV2になった!