リプレイ
野本・裕樹
美濃国で暮らす人々には現状が大名の国盗り合戦と映っているのですね。
それに合わせて避難の説得をするべきでしょうか。
そして老人たちは若者たちのために自ら口減らしをしようと。
なら食糧の支援もしたいです、最終人類史で準備してもらった『排斥力に排除されない物資』を持てる限り持って行きましょう。
避難の説得には【勝利の凱歌】を。
もし……突然で申し訳ありませんがこの村の方々には戦に巻き込まれないように避難して欲しいのです。
皆さんが厳しい扱いを受け苦しいのは存じています。
ですがこれから起こる戦で美濃の大名が変わればこれまでのような扱いからは解放されるはず。
不安はあると思います、本当に変わるのかと。
せめてもですが避難している間の食糧なども用意してきました。
誰一人欠けずにこの難局を乗り越えていきたい、乗り越えて欲しいのです。
この戦の先に変わる可能性を、希望を信じて。
どうか全員で避難しては貰えませんか。
私たちも、ディアボロスも頑張りますから。
皆が笑って明日を迎えられるような日が来るように。
十野・樞
アドリブ連携歓迎
有用な残留効果は有り難く使用
ああ、クロスヴェーダどもは、相変わらず胸糞悪ぃ真似をしやがる
てか、どうも他ディヴィジョンでの悪行の入れ知恵なんぞがあっただけ、パワーアップしているかもな
……俺は酒が不味くなる話は大嫌いなんでね、早速奴らの邪魔をさせてもらうぜ
腹が減ってる状態では、気力も出にくいもんだ
『天正大戦国:支援セット』を持てるだけ用意
現地でその一つを調理、握り飯と漬け物等を【口福の伝道者】で増やし、カツカツの状態らしい村人に配ろう
余れば、飯は干し飯にすれば保つかね
腹がくちくなり心の余裕ができてきた頃合いを見、支援セットを持たせ避難するよう説得
特に俺はご老体たちに声をかける
「隠れるにしろ新しい場所で一から田畑を切り開くにしろ、ご老体方の知恵や経験が若い衆には必要だと思うんだがね?」
「鉄砲玉みてえな奴らの襟首掴んでくれる古老がいりゃ有難えんだがな」
避難場所はアウグストの書いてくれた地図をもとに選定
……ご老体といったが、ひょっとしてこの時代、俺もその括りに入るのでは……
●
「敵は人々を人質にしようとして、そしてその人々には色々と問題がある……」
パラドクストレインから降り立った野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は現状を把握する。
もう少し行けば支持された村に辿り着くのだが、幾つかの問題があった。
敵は浚って人質にして、殺そうとしているのだが……。食料の問題で体力がなかったり、足手まといになるまいとしているのだ。
「ああ、クロノヴェーダどもは、相変わらず胸糞悪ぃ真似をしやがる」
十野・樞(束の間の・g03155)は敵の所業に苛つくものを感じた。
敵は圧政によってエネルギーを回収地筒、ディアボロスの侵攻意欲を挫く為に利用しようとしているのだ。
「てか、どうも他ディヴィジョンでの悪行の入れ知恵なんぞがあっただけ、パワーアップしているかもな」
時として、手段と発想は力である。
ディアボロスが得意とするような飛翔や動物への返信がやり難くなった。
同様に今回は足止め策として機能している。もし浚われて人間の盾として使われたら面倒なことになるだろうと樞は告げる。
「……俺は酒が不味くなる話は大嫌いなんでね、早速奴らの邪魔をさせてもらうぜ」
樞は勝て裏稼業に属していたことがあったが、それは互いに割り切った連中同士の抗争が主体であった。知識の殿堂を漁る為、血で血を洗うような日々だ。しかし、そこにはある種の線引きがあった。賢者の知見を一般人は知る必要もないからだが、自然とカタギの人間には不干渉だったのだ。その意味でも、クロノヴェーダの所業を許す訳にはいくまい。
「言いたいことは判りますが、問題なのは彼らが仕方のない事だと諦めている事です。美濃国で暮らす人々には現状が大名の国盗り合戦と映っているのですね。それに合わせて避難の説得をするべきでしょうか」
裕樹は平安鬼妖の出身であり、何かが足りなければ死ぬしかない気持ちは判る。食料が足りなければ、清潔な水が無ければ、あるいは寒さを凌げる服や棲み家が無ければ容易く死んでしまうのだ。だからこそ、村人が諦めてしまう胸中にも理解を示した。
「そして老人たちは若者たちのために自ら口減らしをしようと。なら食糧の支援もしたいです、最終人類史で準備してもらった『排斥力に排除されない物資』を持てる限り持って行きましょう」
裕樹は絡み合った状況を一つ一つ解決していくことにした。
事情はどうあれ、人々が動かないのは腹が減って体力がないからだ。
「確かにな。腹が減ってる状態では、気力も出難いもんだ。俺も物資を持って行くとして……現地で増やすとしようか」
衣食住足りて礼節を知ると言うが、食料がないと考える余裕がないものだ。
それこそ奪ってでも食いつながないといけないのに、余計な事を考える余裕があるはずはないからだ。
二人はパラドクストレインに搭載して置いた物資を担ぎ、村の方へと急いだ。
「ん? ……誰だあんた」
「もし……突然で申し訳ありませんがこの村の方々には戦に巻き込まれないように避難して欲しいのです」
裕樹は村の入り口付近に立って居た男に声をかけた。
誰何する気力もないのか、そのまま話に口を挟む事は無かった。
「皆さんが厳しい扱いを受け苦しいのは存じています。ですがこれから起こる戦で美濃の大名が変わればこれまでのような扱いからは解放されるはず」
圧政を受けていて、これからも未来が見えない事に絶望している。
その事を理解していると告げると同時に、『次の支配者』はそうではない可能がある事も示唆した。
「そりゃそうなるなら俺達だってそうはしたいけどさあ。信じるとして……逃げれて数人だぞ。食い物を探しに言ってたもんが、そのまま動けるだけだ」
まずは外と縁がありそうで、同時に村を出る余裕がある男からというところか。裕樹は村の事情を理解すると同時に、動ける者はまだ意欲があるという事に安堵した。全くない者はともかく、わずかでもあるならば可能性も拡げられるだろう。
「不安はあると思います、本当に変わるのかと。せめてもですが避難している間の食糧なども用意してきました」
裕樹は意識してリズムを頭の中で奏でる。
残留効果で人々の意識に意欲を湧きあがらせ、同時に用意して来た食料や衣類を見せたのだ。
「く、食い物だ! いいのか、本当に!?」
「どうぞ。あまり急がずに、ゆっくり食べてくださいね」
本当に貰っても良いのかと尋ねる男に、裕樹は頷いて包装から解放した。圧縮された毛布が何枚にも広がり、干物などの保存食が出て来る。
「こっちは握り飯だぞ。山ほど用意したから食ってくれ。ほら……こんな風に美味いぞ」
樞も荷物を解き、皆の前で握り飯を喰い始めた。
たくさんの握り飯を竹の皮で包んで来たのだが、気が付けば周囲に無数の握り飯が見えた。
「くいもんだ! くいもんがあるぞ!」
「ほ、ほんとうけ? ああ、子供たちが先に食うと良いべ」
一番近くに居た男が声をあげてにじり寄ると、老人たちは続こうとして足を止める。代わりに手を合わせて拝み始めたではないか。
「おじいさんたちも食べて良いんですよ。沢山ありますから。……誰一人欠けずにこの難局を乗り越えていきたい、乗り越えて欲しいのです。この戦の先に変わる可能性を、希望を信じて」
裕樹はその様子に首を振り、増えた握り飯を老人たちの手に持たせていく。
合掌している手を崩し、その手に握り飯を乗せると……その手にポツポツと涙が零れて来るのを感じた。
「ありがとうございます。ありがとうございます」
(「余れば、飯は干し飯にすれば保つかね。しかし……みんな動けないだけで、飢餓状態じゃねえ。これは幸運と言うよりは調整だな。胸糞がワリィ」
樞は餓え過ぎて食事も喉に通らない人が居ないかを確かめた。幸いにもその様子はなく……老人たちも普通に話せていたという事は、ある程度の体力に余裕はあったのだろう。まさに、生かさず殺さずで留める天正大戦国の業である。
「隠れるにしろ新しい場所で一から田畑を切り開くにしろ、ご老体方の知恵や経験が若い衆には必要だと思うんだがね?」
樞は人々が腹いっぱいになって、気力が戻ってきた辺りで声をかけた。
特に老人に向き合い、『生きて行く理由』を作るべく提案する。
「どうか全員で避難しては貰えませんか」
裕樹はそのまま老人たちに声をかけていく。
見れば若者たちも、老人たちを励まそうとしている様にも見えた。
だがあえて口出ししていないのは、ディアボロスたちの方が、よほど説得の為に思いを掛けているのが判るからだ。
「わしらが……まだお役に立てますかいのう」
「ああ、そうさ。鉄砲玉みてえな奴らの襟首掴んでくれる古老がいりゃ有難えんだがな」
こうして問題を、一つ一つ解決していく。
樞は笑ってもらった地図を元に、足元に絵を描いて説明して行った。
ランドマークとなる山などを元に、その辺りならば川があったり森があるから何とかなると伝えたのだ。
「なら、がんばってみっかねえ」
「ええ。私たちも、ディアボロスも頑張りますから。……皆さんが笑って明日を迎えられるような日が来るように」
裕樹は微笑み、避難生活はそれほど長くないと告げる。
期限を区切り、永遠には苦しみは続かないのだと告げて、希望を持たせたのである。
(「……ご老体といったが、ひょっとしてこの時代、俺もその括りに入るのでは……」)
そんな中で樞はふと、『人間五十年』と言う言葉を思い出した。
その枠で言うと、年齢的に四十代と言うのは終盤である。
もっとも『四十にして惑わず、五十にして耳従う』と言う言葉もあるので、人生はまだまだ続くと見ることも出来るので気にする事は無いだろう。
いずれにせよ、人々が避難を始めたことで、戦うための条件は整ったのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【凌駕率アップ】LV1が発生!
野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎
ここからは戦いの時間ですね。
村の人々の生活のためにも千早城を稲葉山城まで無事に送り届けないと。
敵の破壊工作をまずは阻止しましょう。
破壊工作を阻止するためにも千早城へ取りつかせないことを大切にしたいですね。
積極的に前に出て仕掛け、千早城から少しでも離れた場所を戦場に。
そして先手必勝といきたい所です。
使う刀は《妖刀『鐵喰』》です、斬撃で竜巻を作り出して敵部隊へと放ちます。
密集陣形ならば竜巻にも巻き込みやすそうです、【先行率アップ】で突撃に対し先制攻撃を狙い破壊工作をされる前に勝敗を決することを目指しましょう。
【グロリアス】の回復に任せて苛烈に攻めれば敵部隊は千早城よりも私の排除を優先してくれないでしょうか。
大鉞の威力、それが千早城へ向くよりは。
千早城が傷つかずに済むようにやれるだけやってみましょう。
城の方ばかりでなく相対している私の方へ意識を向けてもらいましょうか。
私一人討てない様では千早城へは行かせられませんよ。
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
裕樹と樞兄さんがいるのを見かけてね、俺も手伝いに来たよ。
村の人々は無事に避難出来た様でよかった。
今は一時的な避難であるけれど、この国を真に圧政から開放する為にも、
千早城の歩みを止める訳にはいかないね。
油断なく状況を確認しつつ仲間と連携して戦うよ
千早城はかなりのスピードで移動している。
そこへ乗り込み攻撃を仕掛けようというのなら、敵もまたそれなりの速さが必要だ。
【泥濘の地】で接近する敵の足を捕らえ鈍らせて、千早城へと到達する前に倒したい。
兄さんの【トラップ生成】と合わせて敵を攪乱し、連携を崩しながら、
此方のペースへ引きずり込んでいこう。
『ツールインパクト』のパラドクスを使用
裕樹に合わせて【先行率アップ】で行動
呪符を放ち地面へと叩きつけ【泥濘の地】を発動させる
クダ吉と共に戦場を駆け敵を攪乱しながら
泥濘で敵の足を捕らえてブースターの勢いを削ぎ
【ダメージアップ】なパラドクスの力で体力を奪うと共に
仲間の攻撃へと繋げたい
千早城への攻撃があれば庇いつつ反撃し撃破
一撃たりとも通すものか!
十野・樞
アドリブ連携歓迎
有用な残留効果は有り難く使用
さてさて、若人ばかり働かせてもちょい心情的にアレだ
美味い酒を飲む為には、俺も千早城防衛と洒落込むかね
千早城に敵を近付けねえのも肝要だろう
千早城と敵の間に【トラップ生成】
落とし穴やら草結びやらで敵進軍を僅かでも妨害、攻撃タイミングをずらす
敵が苛ついたところで『挑発』して引き付けてやるさ
やれやれ、(多分)音に聞こえた大鉞衆とやらは、若人たちと魔術師崩れのおっさんが怖くて、尻尾を巻いて逃げるのか
ま、それなら後ろから撃たしてもらうがね
存分に「後ろ傷」、喰らいな
敵が密集陣形で向かって来るならしめたもの
Stat sua cuique dies――
餓え狂う魔を封じた魔導糸を展開した場に、言うなれば数多の魔の顎門に誘導するぜ
敵速度は遅いなら『観察』『看破』で進路予測し
展開した魔導糸への誘導と設置の変更、そして敵攻撃の見切りと防御に繋げる
●
「ここからは戦いの時間ですね」
野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)たちは進路上にある村人たちを避難させた。敵がディアボロスを苦しめるために、人質に取ると知っていたからだ。
「村の人々は無事に避難出来た様でよかった」
そこへ文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)が駆けつけて来た。
彼もまた天正大戦国に気を掛けているディアボロスの一人であり、見知った仲間がいると知って駆けつけてきたのである。
「裕樹と樞兄さんがいるのを見かけてね、俺も手伝いに来たよ」
「おう、頼んだぞ」
雪人の言葉に十野・樞(束の間の・g03155)が柔らかい笑みを浮かべた。
現代社会の感覚では彼が老人であるとは思わないが、もし平安鬼妖などであれば隠居を考える術者と、後を託される若者という風情だからだ。
「村の人々の生活のためにも千早城を稲葉山城まで無事に送り届けないと」
「そうだね。今は一時的な避難であるけれど、この国を真に圧政から開放する為にも、千早城の歩みを止める訳にはいかないね」
ただ、避難させただけでは意味が無い。
一刻も早く美濃国を解放し、人々の生活を良くする必要があるだろう。
裕樹の言葉に雪人は頷き、戦への決意を固めるのであった。
「さてさて、若人ばかり働かせてもちょい心情的にアレだ。美味い酒を飲む為には、俺も千早城防衛と洒落込むかね」
その様子に樞は肩をグルリと回して軽いストレッチをした。
若い喪のたちに任せて様子見などと、本当に老け込む気はなかったからだ。
「千早城に敵を近付けねえのも肝要だろう。罠でも用意しとくか」
「そうですね。敵の破壊工作をまずは阻止しましょう。千早城へ取りつかせないことを大切にしたいですね」
樞の案に裕樹も頷いた。
千早城を稲葉山城に届けて城取り合戦を挑む為だが、敵は千早城を壊して足止めしようとやって来て居るからだ。速攻で指揮官を倒してもダメージを受ける可能性があるので、まずは叩いてしまった方が良いだろう。
「罠に草に……野外で通じるのはこんなものかな」
「良いんじゃない? 千早城はかなりのスピードで移動している。そこへ乗り込み攻撃を仕掛けようというのなら、敵もまたそれなりの速さが必要だものね」
樞が落とし穴撫で斧罠で時間をさせ号とすると、雪人は符を投げて周辺を泥濘化した。パラドクスは基本的に視界内ならば放てるが、逆に言えば早い段階で足止めしてしまえば視認するよりも先に倒せるからだ。
「これで相手を撹乱して此方のペースへ引きずり込んでいこう」
「そうですね。千早城から離れたこの場所を戦場に、先手必勝といきたい所です」
雪人が新しい呪符を用意して戦闘態勢を整えると、裕樹も妖刀を抜いて頷いた。
そして三人はこちらに向かって接近して来る敵を迎え討ったのである。
「まずは私から。散っ!」
裕樹は妖刀を横に構えると、何も無い場所で薙ぎ切った。
今度は楯に刃を振り下ろせば、刃が空気を割いて真空をつくり、やがて竜巻となって荒れ狂う。
『む? あれは……』
『読まれて居たか。ならば、こうするのみよ!』
敵はその竜巻を見てディアボロスの攻撃だと悟った。
そして前面に数人が集い、その上にもう数人が乗って壁になる。
天魔武者によるお神輿が竜巻を阻み、その分だけ足は遅くなるが、着実に迫ったのである!
『シネイ!』
「こちらに来るのは望むところです!」
密集して突撃する敵と、刃で風を起こす裕樹。
双方がぶつかり合って、戦場に火花が散った。
「くっ……。まだまだです。私一人討てない様では千早城へは行かせられませんよ」
『おのれ、仕損じたか』
敵の歩みが遅くなった分だけ、裕樹にはガードする余裕があった。
また、竜巻の中を歩んで来る分だけダメージを帯びていたのもあるだろう。
敵もまた神輿形態が崩れ、進軍が止まってしまう。
「じゃ、俺も……疾っ!」
ここで雪人はすかさずに呪符を地面に叩きつけた。
すると泥濘化した地面が広がって行き、敵を巻き込んでいくではないか。
『ええい。面妖な! こうしてくれる!』
「わわ。なんだか近代的だね。泥を用意しておいてよかったよ。一撃たりとも通すものか!」
敵は斧を掲げ、ブースターを吹かせて攻撃して来た。
泥濘によって足が取られるのを相殺しようというのだろう。雪人はクダキツネのクダ吉と共にそれを迎え討ち、戦場を攪乱して時間を稼ぎに掛かった。ディアボロスは共にあって連携してこそだ。仲間の援護をしようとしたのである。
「おっと、尻に帆を掛けるんじゃなくて火をかけて行くのか。やれやれ、(多分)音に聞こえた大鉞衆とやらは、若人たちと魔術師崩れのおっさんが怖くて、尻尾を巻いて逃げるのかね?」
『なんだと?』
樞はブースターで移動した敵を揶揄しながら攻撃に入った。
敵が反応するよりも先に術を使用し、挑発しつつ攻撃を掛けたのである。
「ま、それなら後ろから撃たしてもらうがね。存分に『後ろ傷』、喰らいな。Stat sua cuique dies――」
樞は罠の中に仕掛けておいた魔導糸を起動した。
落とし穴や結んだ草など自体が魔法陣となり、周辺へ餓えた魔を呼び込んだのである。
言うなれば数多の魔の顎門に誘導したと言えるだろう。敵の進路を予想して罠を仕掛けた段階で、この攻撃を企図していたのだろう。
『ぬう。足が食われる!? ち、ここは任せろ。先に行け』
『すまんな。うおおおお!』
敵は再びお神輿形態になると、足元の敵が食われている間に上に乗った敵が攻撃態勢になった。そして術者を倒そうと倒そうを掲げ……。
「いきますよ!」
「了解! クダ吉!」
そこへ裕樹が割って入り竜巻を飛ばし、雪人はクダ吉に命じて樞へ向かった敵にトドメを刺したのである。
「やったね!」
「大丈夫ですか?」
「ふう。すまねえな。さて、お次は邪魔する連中を片付けてねえとな」
傷の様子を伺う仲間に礼を言いつつ、樞は残る敵へと意識を振り分けた。
こうして千早城に迫る敵は倒され、破壊される未来をひとまず回避したのである。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【クリーニング】LV1が発生!
【泥濘の地】LV1が発生!
【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
記栄・紗々
(トレインチケット)
●
千早城へと向かうクロノヴェーダを倒したディアボロスたちは、今度は逆に敵部隊を討伐に向かう。
「やったー、千早城の防衛は大成功だねっ。みんなすごーいっ」
ユウリュウ・アカサキ(人間の破軍拳士・g03216)は既に一体が倒された事を知り、素直に感心するとやるべきことを決めた。
「じゃあ、負けないように頑張らないとね! あの鬼さんをユウたちでやっつけちゃおう!」
「お役目でございますれば、いつなりと、どこへでも」
ユウリュウがそう言うと記栄・紗々(黒漆の黒狐・g03622)は頷き、クダキツネの小笹と共に稲葉山城への道を塞ぐ敵部隊へと向かった。
城取り合戦を仕掛ける為には、邪魔する部隊を倒す必要があるからである。
「でも、あの鬼さん達って鬼なのかなっ? それとも天魔武者? まあいいや。倒しちゃえば一緒だしね」
そう言って拳を固めると、意識から余計な事を追い出していく。
戦いに集中すると、闘気を集めて体から赤いオーラを吹き出したのである。
「では、わたくしが先に参ります。ご注意を」
その様子とは裏腹に、紗々は息をひそめ気配を潜めて近くにあった障害物に隠れて先行した。逆連鎖戦では反撃されてしまうので奇襲の意味はないが、それでも命中率や回避率は変わって来るからである。
(「ここは、先に仕掛けて気を引きべきですね。ならば、少々の音はむしろ役に立つと言う物。小笹もよろしくお願いしますね」)
紗々は小笹を足元に話すと、小型拳銃を構えて敵を狙う。
隠れるのは最初の一発だけで十分なので、音はしても問題ない。
むしろ敵の注意を引けると、気にせずに引き金を引いたのである。
「それ」
『っ!? 敵襲!』
紗々が銃を放つと、敵は一瞬だけ驚くが即座に刀を抜いて向かって来た。
そこから遠ざかり、仲間に背を向けさせるようにして逃げていく。
『死ね!』
「きゃあ!? でも、このくらいなら……小笹。気を付けて」
敵は速攻で片を付けようと、速度重視の斬撃を放って来た。
紗々は避け切れずに怪我を負ってしまうが、重傷ではないので敵を引き付けながら下がって行った。
「チャーンス! ありがとう。そっちは下がって良いよ。いのちだいじに」
ユウリュウはおkの好機を活かすべく疾走して敵に攻撃を放った。
紗々を追い掛ける敵を攻撃することで、挟み撃ちと言うか援護しようと思ったのかもしれない。
「ちょっと痛いけど、我慢してねっ!」
ユウリュウは紫掛かった赤いオーラをまとって速攻を掛けた。
目にもとまらぬ速度で走り、強烈な手刀を見舞ったのである。
それはまるで水辺を低く飛ぶ鳥の様であった。手刀が鋭く動けば、シャオウー! と音楽の様な音でも聞こえたかもしれない。
『ふん! その程度!』
「わわっ。まだやれるけど……ここは安全第一にいこうか。もし追い駆けて来るならお相手するけどね」
力任せの一撃がユウリュウに見舞われると、顔をしかめつつ傷を確認した。
そして徐々に下がりながら、囲まれないように戦準備を始める。
先頭の為にパラドクストレインに乗った以上は、戻るまでが任務なのだから。
「……時に、この地に美味なお大福はないものでしょうか。難しいかしら……? 」
「戦国時代だものねえ。でも、ユウは新宿に帰ってから食べるのも美味しいと思うな」
そんな事を言いながら二人は撤退し、敵部隊を引き付けながら撤退したのである。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【勝利の凱歌】がLV2になった!
【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
野本・裕樹
憂いは断てました、道を阻む敵部隊を討ちましょう。
先行してくれた仲間がダメージを与えてくれました、このまま一気に押し切ります!
まさに鬼に金棒といった見た目です、戦国で棒術と言われて真っ先に浮かぶのは霞流ですが関係あるのか……どうなのでしょうね。
たとえ相手が誰であろうと退く選択肢はありません、行きます。
見るからに痛そうな金棒です、それなら私も。
使う刀は《廻刃刀『竜顎』》、刃が高速回転していますから触れたらどうなるかは一目瞭然でしょう。
威力はその身で確かめてもらいます。
身を低くしダッシュで急接近。
思い切り懐へ踏み込むことで力任せに振り回す金棒を掻い潜り、パラドクスで至近距離からの斬撃を放ちましょう。
【ダメージアップ】の斬撃で威力を重視し1体ずつ確実に痛打を浴びせていきます。
金棒の反撃に対しては『竜顎』を金棒と打ち合わせ弾いて威力の軽減を図ります。
千早城が稲葉山城に到達するまで、私も『竜顎』も止まりません。
道を切り開かせてもらいます。
●
「憂いは断てました、道を阻む敵部隊を討ちましょう」
避難民を襲う敵を撃退していた野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が引き返して来た。彼女は村の方向に向かう敵部隊を撃滅してきたこともあり、稲葉山方面にはやや遅れてやって来たのだ。
「先行してくれた仲間が時を稼ぎ敵陣を乱してくれたようですね。このまま一気に押し切ります!」
どうやら救援機動力で駆けつけた仲間が、先に敵部隊へとぶつかったようだ。
裕樹はこの隙を見逃さず、敵に挑むことにした。
「まさに鬼に金棒といった見た目です、戦国で棒術と言われて真っ先に浮かぶのは霞流ですが関係あるのか……どうなのでしょうね」
敵は優勢に見えなくもないが、仲間によって陣形を乱されているので確認し易い。
その姿を見て裕樹は幾つかの思案を浮かべたが……。
「たとえ相手が誰であろうと退く選択肢はありません、行きます」
裕樹は頭を振って考えを追い出すと、戦いに集中した。
刀を斜めに倒し、横走りに接近して行く。
『まだ居たか! 増援とはな』
(「見るからに痛そうな金棒ですね、それなら私も」)
負けてはいられないと、妖刀の表面に無数の刃を並べた。
武器を持ち替えるのではなく、一振りの太刀から、無数の刃を持つチェンソー剣へとパラドクスを持って変化させたのだ。
「この刃! 威力はその身で確かめてもらいましょう」
裕樹は身を低くすると、そのままタっと飛んだ。
蟹様な横走りから、一足飛びの移動。
ワンステップの体重移動を掛け、そこから斬撃を放ったのだ。膂力を用いず、刃そのものの回転で攻撃するパラドクスゆえ、このようなダッシュが出来る。
『右ではない、左か? だがしかし!』
敵は思い切り振り合わす打撃を、裕樹の動きですかされた。
しかし掻い潜られただけでは諦めず、そのまま強引に力尽くで金棒を横薙ぎに振り回したのだ。
「圧し斬れ、『竜顎』、その名の如く!」
裕樹はしがみ付くように至近距離に飛び込み、そのまま体重で押し切った。
その間にも回転する刃が敵を切り刻み続け、返す刀で虎の尻尾の様に切り替えして行く。
『おおおお!』
「はっ!」
裕樹は一撃目で右から左に敵を切裂き、返す刀で左から右へと降る。
その時には敵の棍棒が迫り、カーンという音を立てて双方の得物が火花を散らした!
『おのれええ! ただでは……やられんぞお』
「千早城が稲葉山城に到達するまで、私も『竜顎』も止まりません。道を切り開かせてもらいます」
敵がこちらの足首を掴んで攻撃しようとする。
裕樹はさっと手を振り一閃しトドメを刺すと、次なる敵を目指して移動を始めた。
狙うべきは仲間が傷付けた個体である。
全ての敵を倒し、壁の如く立ち塞がる敵を切裂いて、一歩また一歩と稲葉山城へと向かったのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
陳・桂菓
遅ればせながら合力しようか。
広範囲の爆発、燃焼か。厄介だな。
しかし、油を背負っているからには、必ず奴自身の周囲には炎の及ばぬスペースを確保しているはず。
なら、近寄ってしまえば勝機はあるだろう……近寄るまでが大変だろうがな。
使用武器は苗刀『飛竜』
基本方針はとにかく全速力をもって近づき、斬る。これに尽きる。
油の塊の直撃を喰らうわけでないなら構わないぐらいの気持ちでもって、炎の原を走破する。死なない程度の火傷なら死なない、と割り切る。
回避だ迂回だとモタモタしていたら、かえって火で炙られる時間が延びてこちらの不利になるばかり。可能な限りの最短距離を最速で駆け、道三に肉迫して、全力全速の【迅雷断空閃】を見舞おう。
まさか一太刀で仕留められはしないだろうが、せめて『蟒蛇双式』に損傷の一つも与えられれば後の戦いは楽になろう。
あと、見た目からして道三は飛行タイプではなさげだし、【泥濘の地】で足を鈍らせるのも有効か?
「飛んで火に入る羽虫と思ったか? 残念だったな。この飛竜はお前を喰い破るまで止まらん!」
●
稲葉山城への道を塞ぐ部隊も、あとは指揮官を残すのみ。
「遅ればせながら合力しようか」
援軍としてやって来た陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は、アヴァタール級との戦いにおいて一番槍を担う事にした。真っ直ぐ敵将の前に赴き、細見でありつつも堅牢な刃を持つ大太刀を構えたのである。
『これ以上は、これ以上はやらせぬぞ! お濃の為にも、ワシがここで貴様らを討つ!』
敵は周囲に炎をバラまきながら、槍を構えて振り回した。
そして大きく尻尾の様な武器を動かし、広く間合いを取ってこちらを目指して来る。
「広範囲の爆発、燃焼か。厄介だな。しかし、油を背負っているからには、必ず奴自身の周囲には炎の及ばぬスペースを確保している、はず」
桂菓は素早くその様子を見ると、戦いにおけるセオリーを考慮した。
だが戦い慣れた彼女は、パラドクスというものの危うさというものを考える。
「なら、近寄ってしまえば勝機はあるだろう……近寄るまでが大変だろうがな。百戦錬磨と見ておくべきだろう」
桂菓は敵を侮るタイプではないし、強い敵を倒す方が好みである。
一見して戦い易いと思われる戦法を即座に考えつつも、敵がその穴を埋める手段を考慮していると判断した。
「ならば、基本方針はとにかく全速力をもって近づき、斬る。これに尽きる。行くぞ!」
これ以上は余計な考えを持つだけ無駄。
むしろ、一意専心。己を刃にして研ぐ済ませた一撃を浴びせるまでと疾走した。
「おおおおお!!」
『来たか! ここで死ねい!』
桂菓の接近に対して、敵は油を高速弾としてぶつけて来た。
だが彼女は可能な限り素早く走り、大量の脂を浴びないようにして一気に飛びついたのだ。
「この程度! 斬る!」
直撃で無ければ構わない。そんな気持ちで桂菓は攻撃を無視した。
そして敵の得物である蛇の様な武装の部分へ、思いっ切り大太刀を叩きつけたのである。
『死ぬ気か貴様!? 面白い!』
「そのつもりはないさ! だが、もう少し付き合ってもらおう! 仲間達の為にもな!」
敵は油を更にばらまき、炎を拡げようとする。
桂菓はその間に地面へ刃を突き立て、衝撃波をもって泥濘へと変えた。
そして足を止めての打撃戦を行う事で、敵の武装を傷つけ、仲間が戦い易いようにする為だ。
「飛んで火に入る羽虫と思ったか? 残念だったな。この飛竜はお前を喰い破るまで止まらん!」
桂菓は敵の懐での零距離で戦い続けた。
それは油がぶつかる量を減らすため、勢いを減らすため。
そして敵を釘付けにして、仲間の為に戦い続け奮戦したのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【一刀両断】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
三条・真理香
(トレインチケット)
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稲葉山城へと向かう街道を封鎖する敵部隊。
残る敵将への攻撃は続いている。
「お前達にはここで消えて貰う」
増援として駆けつけたアスアド・ガーメディー(人間のオークスレイヤー・g08920)達は堅牢な剣を掲げて暴れるアヴァタール級へと挑んだ。
『馬鹿め。貴様ら謎、まとめて燃やしてくれるわ!』
これに対して敵は蛇型の武装から油を高速で放って行った。
摩擦もあって周囲に炎が広がり、ディアボロスたちを火に包んでいく。
「何とかしますから、少し時間をください!」
「了解した。鉄火場こそ最も俺が慣れ親しんで来た戦場だ。この程度ならば何ともない」
同行していた三条・真理香(デーモンのデジタルサマナー・g08578)は周囲のハッキングを始めると、アスアドは炎が自らを包む前に飛び込んでいった。
「炎は確かに恐ろしい、だが、それは誰にとってもだ! そして! 炎に巻かれる前にお前を倒す!」
アスアドは揺らめく炎と煙の中を隠れて疾走すると、強烈な殺気を放って切り掛かった。
パラドクスは防御出来ないこともあり、ここはガードするよりも攻撃に専念した方が良いと判断したのだろう。
『馬鹿な! 死を覚悟して突っ込んで来るだと!?』
(「こいつは白兵戦型じゃない。周囲を圧する武将型、ならばこのまま押し込むのみ!」)
アスアドは素早く相手のタイプを見抜くと、一刀のもとに切り伏せた。
だが、相手も蛇の尾を使ってガード。互いに攻防を繰り返しながら、負傷しつつ時間を掛けていく。
『ええい。これでも喰らえい!』
「いいえ、ここは既に私たちの領域ですよっ」
真理香は敵が放った炎をハッキングで乗っ取って行った。
炎に炎で対抗し、味方への攻撃を軽減する様に相殺しつつ、すかさず敵を追いこんでいく。
『馬鹿め。この炎を作り出したのは、このワシだ! 押し切られるものかよ!』
「くっ……流石に全部は無理ですか。しかし、これだけ削れれば戦い易く成る筈」
反撃とばかりに真理香に対して強烈な炎が見舞われるが、それでも致命傷と言う程ではない。何とかダメージを抑えると、アスアドと共に戦い抜いていく。
「ここまでだな。後続に任せて下がるぞ」
「了解です。あとはおまかせ。よろしくおねがいします! 」
そして限界が来たところで一度引き、包囲網の一角として下がって行った。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【修復加速】LV1が発生!
【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV3になった!
白・明江
さて……かなり出遅れてもうたけど、敵さんはなかなか満身創痍っぽいな。
ほなら、もう一押しかな。
まずは【トラップフィールド】で戦場に煙幕を張り、そん中で【光学迷彩】を使って潜む。
遠距離やろうと衝撃波でブッ刺してくるって言うても、狙いが定まらなんだら脅威も半減やろう。ましてや、これまで散々にブン殴られて本調子でもなかろうしな。
そこへじりじり近寄りつつ、まず一手、鏢『蒲牢』をホイっと投げる。
まあ、そんなん当たっても屁にもならんのはわかりきっとる。注意が微かにでもそっちに向いてくれたらそれで万々歳。
次いで一瞬で九十度くらい回り込みーの、大闊板刀『狴犴』でもって渾身の斬撃を見舞う。
手数勝負では分が悪いやろうけど、この一発の速度と威力で押し通る。一瞬でも鏢で注意を逸らせたなら、ご自慢の連撃にも隙間ができるやろ。
それに、ちっとばかし手足刺される程度のことでは、止まってやらん。
「血みどろの狼が、蝮に咬まれたくらいでビビってられるかいや! 差し違えてでも叩ッ斬ったる!」
●
稲葉山城へと向かう移動要塞千早城。
その行く手を阻む者との戦いも、大詰めを迎えようとしていた。
「さて……かなり出遅れてもうたけど、敵さんはなかなか満身創痍っぽいな」
増援としてやって来た白・明江(腥紅狼・g11020)は状況を確認する。
ディアボロスの仲間たちが激戦を繰り広げていたのだ。
「ほなら、もう一押しかな。ここは確実に行くで」
明江は慎重に作戦を立てた。
トラップ作成で周囲に煙幕を張ると、その中に光学迷彩で隠れたのだ。
『む? 煙に紛れて接近すれば問題ないと思ったか? こうしてくれるわ!』
「っ! そう来たか、せやけど!!」
明江が牽制として、魔力を込めた棒手裏剣を天へ放った時。
敵は錫杖を振って衝撃波を作り出すと、煙幕を吹き払った。
この煙幕は片手間で作り出せる煙幕であり、片手間で可能な事は、やはり片手間で消し去れるのである。
『やはり隠れておったか! ……む? もう一人居るのか?』
「今や! この隙に!」
明江は一応の牽制で放った棒手裏剣だったが、一瞬の隙を作り出した。
それは煙幕の中を進む時に放ったものであり、明江が投げた瞬間を見ていないのだ。
作り出した煙幕は煙幕を払うという行為で消し去れるが、その『作り出した時間』までは消し去れない。この手の牽制にあまり意味はないが、複数重ねれば意味が出ることもあるのは、こうやって相手の意識を誘導できることもあるからだなのだ。
「まあ、そんなん当たっても屁にもならんのはわかりきっとる。注意が微かにでもそっちに向いてくれたらそれで万々歳。ましてや、これまで散々にブン殴られて本調子でもなかろうしな!」
明江の思惑とは違ったが、隙を突けたのは間違いがない。
一気に接近し、野太く巨大な板の様な刃で切り掛かったのだ。
『しゃらくさいわ!』
(「手数勝負では分が悪いやろうけど、この一発の速度と威力で押し通る。一瞬でもで注意を逸らせたなら、ご自慢の連撃にも隙間ができるやろ。ここが正念場やで!」)
敵は錫杖と蛇型武装を同時に使用、さらに錫杖から強烈な衝撃波を放って来る。
だが明江は作り出した時間を用いて、真横に駆け抜けてから、九十度ターン。
脇を突くように大刀を振りかざした。此処まで来れば、後は気合の勝負である。
『ええい! うっとおしい。これで死ねい!』
「血みどろの狼が、蝮に咬まれたくらいでビビってられるかいや! 差し違えてでも叩ッ斬ったる!」
敵は最も近接に向いた錫杖を叩き付け、その場に衝撃波を発生させた。
明江の周囲に血飛沫が舞い、体の中を衝撃が駆け巡って鈍い痛みが走る。
代わりにこちらの大刀も、敵の体を大きく抉っていた。既に仲間たちが攻撃していたこともあり、深々と敵の体を切裂いたのだ。
「あ痛たたた。何とかなったな。もうちょい上手くやれたよーな気もするけど、結果オーライや」
明江が行った複数の牽制は、成功したのもあるが、失敗したのもある。
だが様々な手法で優位を掴み、最後まで押し切るという姿勢が、勝利をもぎ取ったと言えるだろう。
次はもっと上手くやれる。
そういう確信を得ると、新宿へと帰還したのである。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!