マダガスカルに向かえ!

 ゴンドワナ巨大湖の探索が一区切りついたので、攻略旅団の提案により『マダガスカル島』の探索を開始する事となりました。
 巨大湖の探索が長期に渡ったため、提案から探索まで時間が掛かってしまいましたが、まずは、ゴンドワナの東海岸からマダガスカル島へ向かいます。
 海を越えて、マダガスカル島に上陸し、探索の拠点となるベースキャンプを設置して下さい。

 攻略旅団からは、現在確認されている『黄金海賊船エルドラード』以外のディヴィジョンが巨獣大陸ゴンドワナへ侵入していないかを調査する依頼も出されています。
 インド洋方面のマダガスカルへの進出はこの調査を解決する上でも必要となるでしょう。

復讐者たちよ、海を往け~マダガスカル上陸作戦(作者 坂本ピエロギ
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●新宿駅グランドターミナル
「皆、お疲れ様。巨獣大陸ゴンドワナで、ついにマダガスカル島の探索を開始することになったよ!」
 ジャスミン・モンテイロ(人間の占星航海士・g10808)はそう言って、作戦の説明を開始した。
 巨大湖の探索完了に伴い、次なる目標として選ばれた探索エリア――それがマダガスカル島だ。
「とはいえ、現状あの島に関する情報は無いに等しい。現地の状況も全く不明のままだ」
 《七曜の戦》の探索で敵勢力らしき姿は確認されていないが、当時と現在ではゴンドワナの状況は大きく変わっている。
 知性を持つドラゴン化巨獣や、大陸西側で活動するアビスローバーたち――新たな敵勢力の出現もあって、攻略旅団からは他ディヴィジョンからの干渉も危惧されている状況だ。
 もし干渉があるとすれば、マダガスカルはその有力地となる。そうした意味でも、島の探索は重要になるだろう。

「今回、皆に頼みたいことは二つある。マダガスカル島への上陸と、探索拠点――つまりベースキャンプの作成だ」
 そう言ってジャスミンは、復讐者たちの前にゴンドワナの地図を広げて見せた。
 出発地点となるのは大陸の東海岸だ。パラドクストレインで海岸へ移動し、その後は海上ルートを進んでマダガスカルへと向かう。同島までは数百kmの距離があるため、中継地点のコモロ諸島で適宜休息を挟むと良いだろう。
「コモロ周辺は安全な海域だからクロノヴェーダの襲撃を受ける心配はない。現地に着いたら一泊キャンプをして、その後にマヨット島に向かうと良いよ」
 それから更に南東へと進めば、マダガスカルの北側に到達するだろう。
 この周辺海域には凶暴な巨獣が棲息しており、道中での戦闘は避けられない。巨獣を撃破し、島へ上陸し、そうして現地で拠点の場所を選定。ベースキャンプの作成を終えれば、今回の作戦は完了だ。

「マダガスカル島へ上陸すれば、拠点に必要な資材や物資は最終人類史から運べるよ。探索に有利な場所に建築を行ったり、あるいは便利な機能を備え付けたり……出来ることは色々あるから、皆で分担して進めると良いだろう」
 パラドクストレインの発着場、復讐者の休憩場所など、拠点に備えられるものは数多い。そうした準備が多いほど、島内の探索を有利に進められる筈だ。
 ただし島内には危険な巨獣たちが徘徊している為、建設の際には、その一帯を縄張りとする敵の襲撃が予想される。
 うまく刺激を避ける工夫や配慮があれば、戦闘の回避自体は不可能ではない。ただしその場合、拠点の場所や性能が、ある程度の制限を受ける可能性は上がってしまう。
「拠点の『場所』と『性能』、この二つは今後の探索で非常に重要になる。作成は慎重に判断して行ってね!」
 マダガスカルは日本全土よりも広大な面積を有する土地で、その全てを隅々まで調査するのは現実的ではない。
 実入りのある探索を行うには、目的を明確にして適切な計画を立てる必要があるだろう――そう告げて、ジャスミンは作戦の説明を終えた。

 そうして最後に、ジャスミンの話は攻略旅団から為された一つの提案へと及ぶ。
 ゴンドワナの歴史改変時に殺害されたであろう、現地ディアボロスたち。彼らに祈りを捧げたいという要望についてだ。
「もし良かったら冥福を祈ってあげて欲しい。マダガスカルへ向かった後では敵との戦闘も発生するから……行うとすれば、遅くともマヨットを発つ前までに、だろうね」
 無念のうちに命を落とした彼らに祈りを捧げ、そして復讐者は未来へ進まねば為らない。
 歴史を奪ったクロノヴェーダたちは今この瞬間も、《戴冠の戦》に勝利するための支度を着々と進めているのだから。
「来たる大きな戦いに勝利するために。さあ皆、出発だ!」
 未知に包まれたマダガスカル島、その地の探索に挑む第一歩を踏み出すため。
 ジャスミンは信頼を秘めた微笑みと共に、復讐者たちを送り出すのであった。

●巨獣大陸ゴンドワナ
 マヨット島の南東、彼方にマダガスカルを望む海域。
 その海面にて、小さな島の如き影が多数、波間を切り裂きながら移動していた。
『キルルルル……!』
 トループス巨獣『流島亀カスケイドル』。海面に隆起する幾つもの島影は、彼らが背負う巨大な甲羅であった。
 鎧であり凶器でもある其れを誇示しながら、流島亀たちは我が物顔で海を進む。
 縄張りに侵入する者を例外なく排除すべく、彼らはマダガスカルへと至る海域を警戒しているのだ。
『ギルルルル……!』『ギルルルル……!』
 我らの海へと踏み込む者は容赦しない。
 そう告げるかのように、流島亀たちは今日もゴンドワナの海を泳ぎ続ける――。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【狐変身】
1
周囲が、ディアボロスが狐に変身できる世界に変わる。変身した狐は通常の狐の「効果LV倍」までの重量のものを運べるが、変身中はパラドクスは使用できない。
【怪力無双】
4
周囲が、ディアボロスが怪力を発揮する世界に変わり、「効果LV×3トン」までの物品を持ち上げて運搬可能になる(ただし移動を伴う残留効果は特記なき限り併用できない)。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【託されし願い】
3
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【泥濘の地】
1
周囲の地面または水面が泥濘に変わり、ディアボロスは指定した「飛行できない対象」の移動速度を「効果LV×10%」低下させられるようになる。
【トラップ生成】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」の空間を、非殺傷性の罠が隠された罠地帯に変化させる。罠の種類は、自由に指定できる。
【モブオーラ】
1
ディアボロスの行動が周囲の耳目を集めないという世界法則を発生させる。注目されたり話しかけられる確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【平穏結界】
1
ディアボロスから「効果LV×30m半径内」の空間が、外から把握されにくい空間に変化する。空間外から中の異常に気付く確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【水面走行】
3
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【操作会得】
2
周囲の物品に、製作者の残留思念が宿り、ディアボロスの操作をサポートしてくれるようになる。効果LVが高い程、サポート効果が向上する。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【アイテムポケット】
4
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
3
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV4 / 【ダメージアップ】LV9 / 【ガードアップ】LV1 / 【反撃アップ】LV3 / 【ラストリベンジ】LV1 / 【先行率アップ】LV5 / 【ドレイン】LV2 / 【ダブル】LV5

●マスターより

坂本ピエロギ
 坂本ピエロギです。いよいよマダガスカル島の探索が可能となりました。
 海を進んでマダガスカルへと上陸し、今後の活動拠点となるベースキャンプを作成しましょう。
 以下、作戦の概要となります。

🌍目的地🌍
 ゴンドワナ東海岸~マダガスカル島(巨獣大陸ゴンドワナ)

✏作戦概要✏
 ゴンドワナ東海岸を出発後、コモロ諸島を経由してマヨット島へ上陸(①)。
 その後、周辺海域のトループス級巨獣を撃破し、マダガスカルへの上陸を行って下さい(④)。
 上陸後は巨獣への対処を行いつつ探索拠点を作成し(⑤・②)、拠点が完成すれば作戦成功となります。

 選択肢①では「海岸を出発→海上を移動→コモロで一泊→マヨットへ上陸」という流れでリプレイが描写されます。
 描写を希望されるパートのみプレイングにご記入いただければ、それに応じて対応させて頂きます。
 なお、犠牲となった復讐者に祈りを捧げる選択肢③は、選択肢①の前でも後でも着手可能です。

 選択肢②では、マダガスカルに探索拠点を作成します。
 拠点の「場所」と「性能」は、今後の探索シナリオの展開にも影響を及ぼす可能性がありますのでご注意下さい。

 アヴァタール級巨獣の襲撃(⑤)は、②の着手中に巨獣が縄張りを侵されたと判断した場合のみ発生します。探索に有利な場所や性能を設けるほど、襲撃が発生する可能性は上昇するでしょう。
 巨獣を刺激しない工夫などがあれば、内容次第で戦闘は回避可能ですが、その場合、作成する拠点の場所や性能にある程度の制限が生じる可能性がありますので、併せてご注意下さい。

 執筆順は(①・③)→④→(⑤・②)、優先順は(①・③)>④>⑤>②。
 成功条件は②の達成です。

 執筆は、最速で5/13の8:30より開始。以降の執筆は参加状況を見つつ適宜行う予定です。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしています。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


月下部・小雪
ようやくマダガスカル島の調査開始、ですね。
けど、ま、まずはゴンドワナの現地ディアボロスにお祈りを捧げたいと、思います。
ご、ご冥福をお祈り、です。(コダマも黙祷を捧げている)

カリバ峡谷で見つかったニンゲンさんは軍人さんでした。
巨獣に追われながらも逃げきれた人ばかりじゃなかったはず、です。
きっと、ディアボロスに覚醒できずに巨獣さんに食べられてしまった人もいっぱいだったと、思います。

大地を取り戻した時に、ゴンドワナに漂着してしまった人達が戻ってくるかはわかりません。
けど、いつかキングゴンドワナさんをやっつけてかならず大地は奪還してみせます。
まだまだ時間はかかりそうですが、も、もう少しだけ待っていてください、です。

そ、それに、もしこんな理不尽にまだ怒りを覚えているなら、最終人類史にきっと辿り着けるはずです。
いつかまた、ボクたちと一緒に戦い、ましょう!

※アドリブ連携大歓迎


イシュア・アルミゴス
今回はマダガスカルの調査じゃなくて拠点構築か。
こいつは腕が鳴るねぇ。巨獣に負けない拠点、いや楽しみ楽しみ。
っと張り切る前にこれだけはやっておかないとね。手と手を合わせて祈りの姿勢。
黙祷を捧げ冥福を祈ろう。

僕らにあなた達のことが伝わった様に、僕らの思いをあなた達へ伝える。
最終人類史から流れ着き何も分からずゴンドワナで戦い、そして無念のまま
倒れていったあなた達の痛みを、悲しみを、そして怒りを僕らは忘れない。
現代で生きたあなた達がそれでもこの地で諦めなかったことを誇りに思う。
あなた達は勇敢な戦士だ。

でも、怒りがあるのなら、一度敗れてなお消えない思いがあるのなら。
僕らが戦い、今を取り戻す場所、最終人類史 新宿島へ来るといい。
僕らは何時だって歓迎する。ディアボロスに覚醒したあなた達ならたどり着ける。
繋げることが僕らの強さだ。願わくばあなた達がその一員になることを。

よしっ、彼らのためにも張り切って攻略していこうか!


イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎

カリバ峡谷で知ったけど、この巨獣が猛威を奮う過酷なゴンドワナの地でも人知れず復讐者達は戦っていたんだね。

ならば聖職者のはしくれとして責務を全うすべくイロハは散って行った人達に厳かに【祈り】を捧げよう。
生きると言うことは数多の理不尽と戦うことでもあるよ。この地に漂着した彼等には最終人類史とは比べ物にはならない困難が待ち構えて居たと思う、それでも尚希望を信じて、最後まで戦い続けた戦士達の魂に安らぎを。
そして叶うならば共に戦うべく、新宿の地に辿り着いて欲しいと願おうと思う。

最終人類史を取り戻す道半ばではあるけれど、時も場所も人種さえも違う人間ではあるけれど、大切なものを取り戻そうと言う思いは一緒だと思うからね。

『涙と共に種を蒔く人は喜びの歌と共に刈り入れる』と言う……貴方達が頑張ったことは決して無駄にはならないし、無駄にさせはしないよ。


一里塚・燐寧
あたし達ディヴィジョンの復讐者は確かに一回やられたはずなのに、最終人類史に漂着できてる
だから、復讐者になれた人達には希望がある気がするけど……そうじゃない人たちもいたんだよねぇ
うまいこと、それぞれの立場の人に気持ちを届けられたらいいなぁ

まず復讐者になれず死んでしまった人たちのことは、純粋に追悼するよぉ
こんな所に連れて来られて大変だったよねぇ
キングゴンドワナ……化け物の大ボスをブッ殺して、元のアフリカを取り戻せたらさ
絶対、戦いの末にいなくなったみんなのお墓を作るよぉ
魂が戻ってくるための導になるようにねぇ

そして復讐者になった人達には、共に戦うための祈りを捧げよっか
ねぇ、皆。聞こえてるかな?
あたし達は今、日本の新宿って街を拠点にして、あの化け物たちと戦ってるんだ
皆と同じように一度は殺されたけど……諦めない気持ちでこの世に戻ってきたんだよぉ
だからさ。もしこの声を受け取ってくれたなら、皆も来てよぉ
出来れば生きて……それが無理なら、戦う意志だけでも
一方的に奪われて、負けたまんまじゃいられないじゃん?


 開放された降車ドアの向こうには、見渡す限りの海が広がっていた。
 巨獣大陸ゴンドワナ、東海岸の砂浜。その地へ降り立った復讐者たちは、目的地である東の大海を見遣る。
 新たなる探索地『マダガスカル島』――そこで待つ探検への第一歩を、彼らは歩み出そうとしているのだ。
「今回はマダガスカルの拠点構築か。こいつは腕が鳴るねぇ」
 期待に胸を弾ませた様子で、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)の顔に笑みが浮かぶ。巨獣大陸ゴンドワナの探索に初期から関わってきた復讐者の一人だけに、新たな土地に抱く好奇心にも並ならぬものがあるようだ。復讐者で築く拠点にかける想いは、とりわけ大きい。
「腕が鳴るねぇ。巨獣に負けない拠点、いや楽しみ楽しみ」
「そうですね。巨大湖の探索が終わって、ようやく調査開始、です……!」
 同様に、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)も、大いに胸を弾ませている様子だ。
 マダガスカルはかつて竜域ダンジョンが存在した地であり、その後《七曜の戦》で偵察も行われている。そんな島の本格的な探索に加えて、第二次探索の頃から探索が決まっていた土地に着手できるとあって、期待は計り知れない。そんな小雪の心を映してか、モーラット・コミュのコダマも元気一杯の様子であった。
 今回の作戦で、最初に目指す場所は中継地点のコモロ諸島。だがその前に、復讐者たちには果たすべき大事なことがある。ゴンドワナに流れ着き、そして命を落とした人々に、冥福を捧げようと決めていたのだ。

「さてと。カリバ峡谷は……向こうの方だね」
 亡骸が見つかった地の方角を割り出し、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は西方へと目を向けた。
 海原とは真逆の方角である陸地には、シダやソテツを始めとする巨大植物の密林が広がっている。時折、林の中から聞こえて来るのは、狂暴な獣の其れと思しき咆哮だ。
 すっかり見慣れたゴンドワナの光景を眺めながら、イロハはふと思う。何も知らない人間がこの地へ流れ着いた時の恐怖と絶望は、一体どれ程のものであったろうと。
「巨獣が猛威を奮う過酷なゴンドワナの地でも、人知れず復讐者たちは戦っていたんだね……」
「だねぇ。あたしみたいな過去の復讐者は、新宿島に漂着できてるけど……ね」
 一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、犠牲になった者たちに想いを巡らせ、呟く。
 いかなる運命の悪戯か、ゴンドワナへと漂着して帰らぬ者となった現代アフリカの一般人たち。復讐者になれた者も、そうでなかった者も、少しでも祈りが届いて欲しいと願わずにはいられなかった。燐寧のように、過去の時代で命を落とし新宿島に流れ着いた人々とは、前提からして異なるとしても。
 ゴンドワナで死んだ人々の意思が、最終人類史に辿り着けるかは分からない。だが、それでも――と燐寧は思う。
「うまいこと、それぞれの立場の人に気持ちを届けられたらいいなぁ」
「うん。……じゃあ、始めようか」
 巨獣が跋扈するゴンドワナの地。
 そこで散って行った人々の最期に思いを馳せ、イロハは祈りを捧げ始めた。

 イロハが瞑目すると同時、場には厳かな空気が満ちていった。
 死者の冥福を祈ることは、聖職者のはしくれであるイロハにとって全うすべき責務と言って良い。その全身から発せられる荘厳な気配に触発されて、最初に祈りを捧げ始めたのは小雪とイシュアであった。
「ご、ご冥福をお祈り、です」
「そうだね。……張り切る前に、これだけはやっておかないと」
 居住まいを正し、命を落とした人々への冥福を祈るイシュア。
 その横で瞑目する小雪の姿に倣い、普段は元気一杯のコダマも静かに黙とうを捧げ始めた。

 そうして――静寂の帳が下りる中、復讐者たちは願う。
 ゴンドワナの地で命を落とした者たちに、魂の安息があるようにと。
 巨獣への復讐に燃える者も、冒険に心を弾ませる者も、今は全員が心を一つに祈りを捧げる時だ。
 同じ最終人類史を生きる復讐者として戦った、顔も名も知らぬ仲間たち。無念のうちに命を落としたであろう一般人。彼らの魂に等しく救いと安らぎがあるようにと、復讐者たちは願うのだった。

「巨獣が跋扈する地で、それでも尚希望を信じて、最後まで戦い続けた戦士たちの魂に安らぎを」
 ゴンドワナで散った復讐者の冥福を祈りながら、イロハが言葉を紡いでいく。
 生きるということは、数多の理不尽と戦うこと。この大地に漂着した人々には、最終人類史とは比べ物にはならない困難が待ち構えていたのだろう。その過酷さを思うと、彼女の胸は締め付けられるように痛んだ。
(「彼らがどんな思いを抱いて最期を迎えたのかは分からない。……けど、もしも――」)
 もしも彼らが、新宿の地に辿り着いてくれたらと、イロハは願わずにはいられない。
 最終人類史の戦いは道半ば、新宿島に集まった復讐者は彼女を含め、時代も場所も人種も違う人間だ。だが其れでも、

 ――大切なものを取り戻そうと願う思いは、きっと一緒だから。

 死者への冥福に、微かな希望を抱いてイロハは祈る。
 一方、そんな彼女の後ろでは、小雪もコダマと共に祈りを捧げていた。
 思いを巡らせるのは、峡谷で見つかった軍人のことだ。復讐者に覚醒し、傷を負いながらもカリバ峡谷で戦い続けた彼は、果たして最期の時に何を思ったのだろう。
 同時に彼女は思う。漂着した者たちの中には、亡骸が残らなかった者も少なくない筈だと。
(「巨獣さんは、すごく大きなクロノヴェーダです。その気になれば、人間一人くらいは……」)
 その最期を想像し、悲しみに満ちた表情で小雪は俯いた。
 巨躯を持たず、空も飛べず、足も遅い動物――巨獣から見た人間は、概ねそうした存在だった筈。復讐者に覚醒しなかった者は、それに加えて爪も牙も持たない。巨獣が棲息するゴンドワナの大自然で、力持たぬ人々が『食われる側』の存在だったことは容易に想像がつく。
(「中には、逃げ切れずに死んだ人も……きっと……」)
 かつて巨大湖で聞いた言葉が、ふと小雪の脳裏に蘇る。
 断片の王たる最強巨獣キングゴンドワナが、復讐者たちに言い放ったあの言葉を。

 ――ニンゲン、スベテ、クラッタ。
 ――スベテ、ワガリョウドナリ。

 当時は謎めいて聞こえた言葉。そして、今では全く違った意味を持って響く言葉。
 巨獣の手にかかり命を落とした人々、その恐怖は想像を絶するものであったに違いない。
 復讐者として覚醒できず、抗うことも許されずに死んで行った彼らに、イシュアは瞑目したまま語り掛ける。カリバ峡谷で受け取った想いに、自らの想いを返すように。

「あなたたちは勇敢な戦士だ。最終人類史から流れ着き、この地で最後まで諦めなかったことを誇りに思う」
 それは、イシュアの嘘偽りなき言葉であった。
 ある日突然、ゴンドワナという魔境同然の地へ漂着し。巨獣と言うクロノヴェーダが跋扈する地で、運命に抗いながら無念のまま命を落としていった人々。彼らが感じたであろう痛みを、悲しみを、そして怒りを、自分たち復讐者は絶対に忘れまいとイシュアは誓う。
(「そして、もしも。その怒りが消えずに残っているのなら、どうか――」)
 故郷であるアフリカを奪われ、クロノヴェーダに命を奪われ、後には何も残らない――そんな救いの無い結末は、あまりに悲惨だとイシュアは思わずにはいられない。
 それは彼だけではない、燐寧にとっても同じであった。
「……こんな所に連れて来られて大変だったよねぇ」
 死者の魂に寄り添うように、燐寧はぽつりと呟いた。
 死んだ人々を慰める言葉を、彼女は多く語らない。代わりに語るのは、これから先のこと。巨獣大陸ゴンドワナを奪還し、アフリカの大地を最終人類史に取り戻した、きっと遠くない未来の話だ。
「キングゴンドワナ……化け物の大ボスをブッ殺して、全部取り戻せたらさ。みんなのお墓を作るよぉ」
 かつて生きた証を刻み、アフリカの地に其れを遺す。
 ゴンドワナの地で命を落とした者たちの魂が、戻るための標になるように。
 そう語る燐寧の言葉に、小雪もまた小さく頷いた。断片の王キングゴンドワナを倒し、奪われた大地を奪還する――それは燐寧と、小雪と、すべての復讐者が望むものであった。
「ボクたちは、必ずこの地を奪還してみせます。だから……も、もう少しだけ待っていてください、です」
 一朝一夕ではいかないことは百も承知。だが、それでも自分たちは必ず成し遂げる。
 今は亡き人々への祈りと共に呟く声は、小雪の揺るがぬ決意に満ちたものであった。

「……ねぇ皆。もしかすると、聞こえてるかな?」
 仲間たちが祈りを捧げる中、燐寧の言葉は現地で力に覚醒した者たちへと向けられた。
 燐寧が彼らに紡ぐのは、同じ復讐者としての言葉だ。自分たちが巨獣を始めとするクロノヴェーダと戦い、奪われた歴史を取り戻すために戦っていることを、彼女の口は紡いでいく。
 最終人類史の日本、新宿という街を拠点に戦っていること。
 かつて一度は敗北し、命を失い、なおも抗う意思を捨てずに新宿島に辿り着いたこと。
 そして――もしも自分の声が届いているなら、この地で命を落とした復讐者たちも、どうか一緒に来て欲しいことを。
「都合のいいお願いかもだけど。でも、出来ることなら、せめて戦う意思だけでも……一方的に奪われて、負けたまんまじゃいられないじゃん? だからさ……お願い」
「繋げることが僕らの強さだ。だからどうか、願わくば」
 生きる者、死した者、彼らの意思を継いで戦うのが復讐者という存在。それらを繋いでいくことこそ、自分たちの強さ――そう言葉を継いで、イシュアも祈る。そこに小雪とイロハも続き、祈りを捧げ続けた。
「み、皆さんも、ボクたちと一緒に戦い、ましょう!」
「『涙と共に種を蒔く人は喜びの歌と共に刈り入れる』と言う。貴方たちが頑張ったことは決して無駄にはならないし、無駄にさせはしないよ」
 そう言いながら、小雪とイロハが願う。
 彼らの魂に、どうか安らぎがあるように。そして叶うならば、自分たちと一緒に戦えるようにと。
 かくして四人が祈りを捧げる中――続いて現れた最後の一人が、復讐者たちの祈りを締め括ろうとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】LV2が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【ダブル】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

クィト・メリトモナカアイス
ゴンドワナ東側の海岸、あるいはコモロ諸島で西に向かって大勲章の輝きももった【祈り】を捧げよう。
よくよく考えたらあの場でなくなった人の宗教を知らぬ。
なので、他の人と合わせて黙とうを捧げた後は我流で祈ろう。

人は必ず死ぬものである。
決して永遠に生きたり、滅びた後に復活したりはせぬ。

けれども。
どう終わりを迎えるかはそれぞれに違い、各々必ず来るそれを受け入れたり、抗ったり、救いを求めたりする。
汝ら理不尽に抗い、滅びた者。
同じく抗う者として、抗い戦った汝らに敬意を。

汝ら全ての名を知ることは叶わなかったけど。我らは汝らのことを知った。
汝らの存在は今を生きる者の中に確かに刻まれた。
我らが在る限り、汝らも汝らの戦いも滅ばず。

かつて獣神王朝には神と蘇りと救いがあった。
今この世界には神も蘇りもないけれど……きっと救いはある。
今我にできることは祈ることだけだけれど、汝らへの救いを我は祈ろう。

我らが抗い、巨獣と戦い勝つこと。
それが意思を受け継ぐということ。頑張る。


 浜辺は静謐な気配に満ちていた。
 それはマダガスカル島を目指す復讐者たちが、出発前に捧げる黙祷のひと時である。
 最終人類史からゴンドワナへ流れ着き、命を落とした人々――彼らの魂の安らぎを、彼らは祈っているのだ。

「んむ。我も、祈りを捧げよう」
 そこへ新たな復讐者が一人、威厳を帯びた声と共に現れる。
 クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)であった。
 仲間たちの居る所へ静かに進み出ると、クィトは深呼吸をひとつ。暫し黙祷した後、閉じていた目を見開いて言葉を紡ぐ。現地アフリカの作法を知らない立場ゆえ、その祈りは我流だ。
「……人は必ず死ぬものである。決して永遠に生きたり、滅びた後に復活したりはせぬ」
 クィトが紡ぐ祈りの言葉は、静かで淡々としたものだった。
 ゴンドワナで死んだ人々は、復讐者に覚醒した者を含めて既に滅んでいる。最終人類史の復讐者とて完全に死亡すれば復活する術が無いのと同様、彼らが新宿島に流れ着くことは無い。クィトの祈りは、それを大前提としていた。

「けれども。どう終わりを迎えるかはそれぞれに違う。全ての者に等しく訪れる最期を前に、人々は受け入れ、抗い、救いを求める」
 尚も紡がれるクィトの言葉を前に、仲間たちが抱く想いは様々だ。
 一度は死を迎え、最終人類史へ漂着した者。新宿島で意思を託され覚醒した者。そこに共通するのは歴史や大地を奪われた理不尽への怒りと、クロノヴェーダに抗う意思である。同時にそれらは、ゴンドワナの地に散った者たちも等しく抱く想いであったことを、この場の誰もが確信していた。
「汝ら理不尽に抗い、滅びた者。同じく抗う者として、抗い戦った汝らに敬意を」
 淡々とした声で、クィトは尚も祈る。
 現代アフリカからゴンドワナに流れ着き、無念のうちに命を落とした人々。
 語り掛ける名を全て知ることは叶わずとも、その存在を既にクィトら復讐者たちは知っている。彼らが生きた証も、遺していった思いも、理不尽を前に最後まで戦い抜いた不屈の信念も、全て。
「故に。我らが在る限り、汝らも汝らの戦いも滅ばず」
 今は無き獣神王朝にあった、神と蘇りと救い。この世界に神と蘇りが無くとも、きっと救いはあるとクィトは言う。
「今我にできることは祈ることだけだけれど、汝らへの救いを我は祈ろう」

 そして――再びクィトが瞑目し、死んだ者たちに祈りを捧げ始めた、その時。
 彼女の魂に刻まれた大勲章の輝きが、一つの標を示した。
 復讐者である彼女の中に息づく、微かだが確かなる意思の存在を。

「――んむ」
 クィトは暫しその場に佇み、何かを確かめるように瞑目した。
 仲間たちが見守る中、静寂の時が流れる。そうして一瞬にも永遠にも思える時間が過ぎた後、クィトは四人へ向き直り、
「……んむ、皆。『彼ら』の意思は確かに辿り着いた。否――辿り着いていた」
 その一言と共に、手を黙って胸へと当てる。祈りを捧げた人々の意思は、今ここに在る――そう示したのだ。
 そしてそれは同時に、クィトの考えを裏付けるものでもあった。
 即ち、かつてゴンドワナで死んだ者たちが、復讐者として新宿島に流れ着くことはない。何故なら、彼らは既にクィトたちと共に在るからだ。自分たちの意思を託し、今を戦う復讐者たちと共に。それが、彼女の得た答えだった。

「汝等の想い、確かに継いだ。……頑張る」
 一言一句を噛み締めるように語るクィト。そうして復讐者たちは静かに頷きを交わし合い、祈りの時間は幕を下ろした。
 かつてゴンドワナに漂着し、命を落としたアフリカの人々。彼らの託した意思を胸に、復讐者は新たな地へと歩き出す。
 神秘と危険が待ち受ける未知なる地、マダガスカル島を目指して。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【託されし願い】がLV3になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!

金箱・茜
マダガスカルといえばサファイアよね
南側には世界最大の鉱床があるそうよ
この時代にもあるかはわからないし、目的地(島の北側)とは反対方向だから
将来の楽しみに取っておきましょう
ただアビスローバーに先を越されていないか心配ね
まあ奴らがいるならいるで、いずれ奪い返せばいいんだけど

水面走行を発動
これで水上を歩いていけるわね
あとは気分転換に泳いだり、水上で休憩したりしながら進むわ
一応、水使いで海流の向きを調整できるか試してみるわね
進行方向と同じ海流に乗れたら、水面に浮かんで休んでいる間も進めるし

確かコモロ諸島って、シーラカンスが発見された場所よね
現代ではもう深海にしか生息していないけど、
この時代なら浅い所にもいたりしないかしら
ゴンベッサの名が示す通り、発見して幸運にあやかりたいものね

後はキャンプ用に食べられそうな魚もいくつか調達したいけど
さすがに見たことない種類ばかりね
食べても大丈夫な魚の調査記録って、どこかにあったかしら
…まあ適当でいいわね!例え不味くても死ぬわけじゃないし


イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎

勇敢に戦った過去の復讐者達には祈りを捧げたから、いよいよマダガスカル島に向けて出発しないとね。
途中途中で休憩を挟めるみたいだけど、小さな?巨獣は居るみたいだし不要な戦闘は避けて着実に進まないとね。
その為に【水上走行】を発動させて水面を歩いて先ずはコモロ諸島に行くよ。
巨獣の注意を惹きそうなキラキラ光る金属製の装備を身に付けるのは避け
必要に応じて双眼鏡とかで海面を確認しながら目的地へ行こう。
この辺りでシーラカンスも発見されたと聞くけど、今回は深海を泳いでる訳じゃないから出逢うのは難しそうだよね、
まだ波に漂ってそうなアンモナイトの方が見付けられる可能性が高いかも?
キャンプで一泊するする必要があるからBBQに良さげな食材も途中で確保できると良いんだけど……

マダガスカル島と言えば幹が太いバオバブの木が生えてる荒野のイメージがあるけど
この辺りの島の全部がそういう訳じゃないしね、良い拠点になりそうな場所を確保できると良いな。


月下部・鐶
義妹の小雪ちゃん(g00930)に合わせて上陸作戦に途中参加!

長旅の準備に大慌てて
キャンプに必要なテントや寝袋、消耗品にえとせとらえとせとら、それに忘れちゃいけないBBQ道具!
一通り揃えて小雪ちゃんと一緒に【アイテムポケット】に荷物を入れて持っていくね

コモロ諸島に到着したら【平穏結界】で周囲の安全を確保してしっかり周囲を[観察・偵察・情報収集]しておくよ
【パラドクス通信】も使ってしっかり情報共有
獣の通り道や海の満ち引きに気をつけて、安全そうな場所をキャンプ地とする!

みんなでテントの準備が終わったら、BBQやろBBQ!
なにげに楽しみにして[情報収集]しておいた、食べられるお魚と調理法で[料理]するぞー!
サーモンみたいな味らしいシーラカンスがとれなさそうなのは残念だけど、インドマグロとかとれたかな?
ここはおねーちゃんのキッチンだ!海鮮BBQが火を吹くぞ!!

無事に一息ついたらキャンバス取りだしてコモロ諸島の風景を絵にするよ
この空気、これは現地じゃないと分からないやつだから

アドリブ連携大歓迎!


月下部・小雪
お姉ちゃん(g00960:義姉)と合流して、いざマダガスカルに出発、です!
かくかくしかじかと無事にコモロ諸島に到着、しましたね。今日はここでキャンプをして休息、です。

【アイテムポケット】に皆さんの分のテントや寝袋も詰め込んで、きました。
コダマのお気に入りのチェアも持ってきたので安心して、くださいね。
説明書を見ながら大きなテントを四苦八苦しながら立てていきます。
か、風に飛ばされないように注意、です。コダマが押さえていてくれているうちに固定しちゃいましょう。

テントの準備が出来たらお腹がぺこぺこ、です。
道中にBBQの素材を取っていてくれたみたいなので、今回は海鮮BBQ、です!
ゴンドワナのお魚さんなのでどれも大きめ、でしょうか?
これだけあればお腹がいっぱいになりそう、ですね。

お腹がいっぱいになったらお姉ちゃんがお絵かきしている横でコダマと一緒にチェアに座ってまったり、です。
ふと夜空を見上げてみると、わわっ、お星さまがキラキラでとてもいっぱい、です!

※アドリブ連携大歓迎


イシュア・アルミゴス
アドリブ連携歓迎
さて、そろそろ行こうかマダガスカル。
気を付けて行けば危険も少ないみたいだしゴンドワナの風景楽しんじゃおう。
目指すのは…コモロ?マヨット?まあいいや、とりあえず目指していこう。
行けば分かるさ、それが旅行。

水中適応と水面走行使ってでいざ出発。風景を適度に楽しみ進んでいこう。
アノマロカリスとかいる?僕あいつ好きなんだよね。それ以外って
聞かれると…えーっと、知らない…。

というわけで上陸!おー…まあ島だね。うん普通に島だ。
何も問題はない。ナイス島。巨獣が居ないのはグッドだよ。
キャンプの設営を手伝い、楽しむ準備は万端。それじゃあ釣り、やろうか。
時間はあるんだからじっくりやって食料調達、食料調達!
あ、適当に塩コショウさえ振ってあれば何でもおいしく食べちゃうよ。
焼けば、うまいんだよ焼けば。うまいうまい。

マダガスカルにはちゃんと巨獣がいるんだよねえ。島って思ったけど
普通に日本より大きいらしいじゃん。英気、養っておかないとねえ。
夜景を楽しみぐっすり眠っていざマヨットへ!


一里塚・燐寧
マダガスカルは、アフリカからインド洋への玄関口、ってとこにある島なんだ
だから史実じゃ海賊の巣窟になってた時期があってねぇ
いやー、まだアビスローバーが上陸してないといいんだけど。間に合ってますよーにっ!

【水中適応】と【水面走行】を借りてコモロ諸島への道を進むよぉ
あたしは【平穏結界】を張って、巨獣に発見されづらい状態を整えとこう
マダガスカル上陸時はどーせ戦うことになるけど、あんまり早い段階でやりあって大騒ぎになるのもイヤだからねぇ

食事のために魚を釣るなら、海上移動中じゃなくて島に上陸後に状況が落ち着いた辺りがいいかなぁ?
そゆわけで、あたしは釣竿を持ってくねぇ
あと、マダガスカル到着後のキャンプ設営に必要な工具類も用意しとこ。トンカチとかノミとか色々!
一人じゃ持ちきれないものは【アイテムポケット】を借りたり、仲間と協力・分担して運ぶよぉ

あたしは味覚が凄く弱いから、食事をする時は何にでも激辛のデスソースをかけるよぉ
ま、自分の取ったものにしかやらないから、見た目がちょっとあぶなっかしいけど許してぇ~


クィト・メリトモナカアイス
んむ。
そーれーでーはー……泳ぐぞー!
戦いも大事だけど泳ぐのも大事。

……100km単位の水泳って割としゃれにならぬというのは内緒の話。
復讐者なのでヨシ。
ざぶんざぶんと泳いでコモロ諸島に着いたらキャンプ。

皆で協力してえっちらおっちらと設営したらBBQの準備。
んむ、せっかくなので持ち込むだけでなく、色々とってくるのがきっと楽しい。
我は【水中適応】を借りて水中に潜り、貝とか蟹とか海老とかを探そう。
あとはウツボみたいな釣り上げづらい魚がいればそれも獲っておく。
んむ!大漁。

みんなでバーベキューをして、食べ終わったところで【アイテムポケット】から取り出すのはやっぱりモナカアイス。
ばーべきゅーといえばそう、モナカアイス。
今日はマダガスカルということでとろぴかるせれくしょん。皆で食べるともっと美味しい。
林檎やオレンジ、ストロベリーなど果物フレーバーのアイスを挟んだモナカアイスを取り出して欲しい人皆で食べる。

明日くらいからはまた戦いになるだろうけど。
今日は鋭気を養うべし。


 祈りの時間を終えて、復讐者たちは新たな旅へと立っていく。
 海を越えた彼方の島――マダガスカルを目指して。

 さざ波の打ち寄せるゴンドワナ海岸の浜辺。東の海に広がる水平線の彼方に、復讐者たちの目指す地はあった。
 中継地点のコモロ諸島までは、数百kmにも及ぶ道程となる。
 水面走行の効果で凪いだ海の上を、一人、また一人と歩き出す復讐者たち。そんな彼らの旅路の始まりを祝福するように、暖かな日差しの中を潮風が優しく吹き抜けていく。
「よし、問題なく歩けるわね。じゃ、行きましょうか」
 一番乗りで海へと歩み出したのは、金箱・茜(妖狐のトレジャーハンター・g11179)であった。金色に輝く瞳に宿すのは、未知なる島の探索に挑むことへの好奇心だ。煌びやかな金銀財宝への期待がほんの少しだけ混じるのは、トレジャーハンターゆえの性分であろう。
「マダガスカルと言えば、やっぱりサファイア! 史実では島の南側に世界最大の鉱床があるそうだし、楽しみだわ」
 最終人類史の鉱床がゴンドワナにも在ったら、其の地を探索出来たら――そう思えば、期待も膨らむと言うものだ。
 待ち受ける地の冒険に胸を躍らせながら、弾む足取りで海上を進んで行く茜。一方、マダガスカルの冒険を思い描くという意味では、茜に続く一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)も同じであった。もっとも燐寧のそれは、宝石や財宝といった煌びやかなイメージとは趣が少々異なる。
「マダガスカルは、アフリカからインド洋への玄関口、ってとこにある島なんだ。だから史実じゃ海賊の巣窟になってた時期があってねぇ」
 海賊――ゴンドワナで活動している彼らの存在は、復讐者ならば誰もが知っていた。
 黄金海賊船エルドラードより訪れた、アビスローバー勢力である。
 キングアーサー奪還戦以降、ゴンドワナ西海岸に現れるようになった海賊たち。彼らの魔手がゴンドワナの何処まで伸びているかは現状不明だが、海賊船を有する連中が西海岸の一部で満足などする訳がない。マダガスカルに上陸している可能性は十分にあると燐寧は考えていた。
「いやー、まだ奴らが来てないといいんだけど。間に合ってますよーにっ!」
 ほんの僅かに生じる焦燥を抑えつつ、燐寧は海上をすたすたと進んで行く。
 発動した平穏結界は、無用な騒ぎを避けるための計らいだ。マダガスカルの周辺海域までは敵の襲撃はないとの情報だが、用心に越したことは無い。
 そんな燐寧に続く形で、復讐者たちは二人、三人と浜辺を出発し始めた。
 イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は進路の方角を時折確認しながら、警戒を怠らずに海を行く。
 出発前の祈りを終えて、すでに彼女は纏う空気を復讐者の其れへと変えていた。周囲の景色に溶け込んで見えるのは、光を放つ装備品を外していることも有るだろう。安全な道中でも、巨獣を刺激する真似はしない――その方針は燐寧だけでなく、イロハもまた共有するところだ。
「マダガスカルか……強行偵察では大した脅威は無かったようだけど、気になるよね。あれから情勢も色々動いてるし」
「まあね。とは言え、ここで気をもんでも仕方がない。行けば分かるさ、それが旅行!」
 暖かな陽射しを浴びるように全身で伸びをして、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は海上を進み出した。
 行き先で待ち受ける危険は、憩いの後に考えれば良い。楽しめる時は思い切り楽しむ――それが彼の流儀だ。戦闘前の気分転換には丁度良い散歩とばかり、彼の足取りは軽やかであった。
 そうして復讐者がコモロへと出発していく中、次第に遠ざかっていく浜辺をイロハはちらと振り返る。
「小雪君、鐶君! 出発の準備は大丈夫かい?」
「い、いま行きます! お姉ちゃん、消耗品のチェックは完了、です。そっちは大丈夫、ですか?」
「あ、待って! キャンプ用テントと寝袋は持って、忘れちゃいけないBBQ道具も……よしオッケー、行くよ!」
 準備した品々のチェックを終えて、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)と月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)は急ぎ足で仲間の下へと向かって行った。
 一泊予定のコモロ諸島で、寝泊まりの道具は不可欠だ。泳いで、食べて、ぐっすり眠って、皆で素敵なひとときを過ごせるように――そんな願いを数々の道具と一緒にアイテムポケットに詰め込んで、小雪と鐶は微笑みを交わし合う。
「とっても楽しみ。素敵な時間になるといいね」
「は、はい。ボクも楽しみ、です! コダマ、これ使いますか?」
「もきゅっきゅー!」
 取り出した浮き輪にすっぽり嵌まり、上機嫌で泳ぎ出すコダマ。
 その元気な姿を見守りながら、小雪は鐶と共に新たな冒険の地へと歩み出した。
「それでは、いざマダガスカルに出発、です!」

 潮風がそよぐ海原。ぽかぽかと心地よい日差しが復讐者たちを照らす。
 体を動かせば微かに汗ばむほどの陽気は、海水浴にも丁度良い塩梅だ。危険な巨獣も居ない海域とあって楽しまねば損と、一人の復讐者が海へと勢いよく飛び込んだ。
「んむ。そーれーでーはー……泳ぐぞー!」
 名を、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)。他の仲間たちと同様、祈りを終えた後の彼女は気分を切り替え、水中適応を借りながら泳ぎに集中している様子であった。
 ざぶんざぶんと水面を泳ぎつつ、ときおり海中に潜って探すのは、釣り餌用の小魚だ。海面下を悠然と泳ぐ不思議な魚たちは見ているだけでも飽きず、コモロ諸島までの長い距離もまるで退屈には感じない。幸いアイテムポケットの効果もあって、確保のスペースには不自由しないだろう。
(「……んむ。よく見ると、使えそうな魚がちらほら。ゆくぞー」)
(「それにしても良い眺めだ。アノマロカリスはいないかな? 僕、あいつ好きなんだよね」)
 キラリと目を輝かせ、手頃な獲物を狙い始めるクィト。その傍ではイシュアが、珍しい魚たちの泳ぐ景色を満喫している。
 一方の茜は海上で適度に休憩を挟みつつ、のんびり気分転換に水泳を楽しんでいる様子。周囲に広がる見渡す限りの水平線にクロノヴェーダの姿は未だ無い。巨獣は元よりアビスローバーの海賊船も見えず、この一帯がクロノヴェーダの手の伸びていない場所であることが感じられた。
 海流の向きを水使いで調整する試みは生憎不発に終わったものの、進む速度に支障はない。彼方に待つマダガスカルの方角を見遣りつつ、茜の瞳がふいに憂いを帯びる。
(「ほんと、アビスローバーに先を越されていないと良いけど……ね」)
 悩んでも仕方ないとばかり、茜は迷いを振り切るように海へ飛び込んだ。
 居るなら居るでいずれ奪い返せば良い。焦っても結果が変わらぬ以上、今は休息を満喫するとしよう。
 冷たく心地よい海を茜がのんびりと泳ぐ。青く澄んだ、宝石にも劣らぬ景色に、心からの満足を覚えながら――。

 東海岸の浜辺はとうに消えた海を、復讐者たちは往く。
 雲ひとつ無い晴れ渡る青空と、どこまでも続く水平線。見えるのはこれだけだ。
 クロノヴェーダの襲撃もない静寂の世界を7人は着実に進み続けた。中継地点であるコモロ諸島を目指し、東へ、東へ。

 そうして更に進むこと数刻。
 イロハは一行の先頭を歩きながら、前方に意識を向け始めた。
「さて、だいぶん距離を進んだ筈だけど……」
 既に太陽は少しずつ傾き始めており、予定であればそろそろコモロが見える頃だ。双眼鏡で水平線の彼方を注視しながら、なおも進むこと暫し。真っ直ぐに伸びていた水平線に、ふいに小さな変化が生じた。
「……ん? あれは……」
 見遣った先、イロハの眼が捉えたのは水平線を僅かに遮る島影である。
 距離は十数km程だろうか、巨獣とは明らかに異なる大きさは、それが中継地点のコモロ諸島であると告げていた。イロハはすぐに仲間たちの方を振り返り、その報せを送った。
「皆、コモロが見えたよ! 向こうの方角だ!」
「お、いよいよか。どんな場所か楽しみだね」
「んむ。島での調達もがんばるぞー」
 イロハの言葉を聞いて、早足で歩き始めるイシュアとクィト。
 次第に大きく、鮮明になっていく島の輪郭に、燐寧が、茜が、小雪が、鐶が、待ちきれないとばかり歩き出す。
 長き道程の中継地点、コモロ諸島――その地へ7人が上陸を果たしたのは、それから間もなくのことであった。

 復讐者たちが上陸を終えると、そこに待っていたのは大自然の広がる陸地であった。
 エメラルドグリーンの海に面した浜辺には豊かな密林が茂り、島の東には大きな山も見て取れる。
 時折聞こえる恐竜や大型動物と思しき生物たちの鳴き声に、巨獣のそれは聞き取れない。事前の情報通り、この一帯は巨獣が存在しないエリアなのだろう。
「恐らく、ここはグランドコモロ島……最終人類史で言うコモロ連合を構成する島の一つかな」
「おー……島だね、普通に島だ。敵が居ないのはグッドだよ」
 程なくしてイロハとイシュアが周囲の安全を確認すると、復讐者たちは早速キャンプの準備を始めた。
 選んだ場所は海に近い平地である。周囲は風を遮ってくれる樹々に恵まれ、地面には目立った障害物も無く、テントを固定するペグを打ち込むにも最適の硬さだ。
「今日はここでキャンプをして休息、ですね」
「ここをキャンプ地とする! ……ってね。じゃあ、テントを組み立てちゃいましょうか」
 周囲の動物たちを刺激しないよう平穏結界を展開して、アイテムポケットから取り出した道具を小雪と鐶が並べていく。
 寝泊まり用のテントと寝袋はきっかり7人分。コダマお気に入りのチェアも、もちろん一緒だ。
「人手が必要かな? 僕も手伝うよ。力仕事なら任せてくれ」
「んむ、ここは我も手を貸そう」
「工具類はちゃーんと用意してあるからねぇ。トンカチとかノミとか色々!」
「イシュアさん、クィトさん、燐寧さん……助かります! じゃあ、お姉ちゃんとコダマはそっちを押さえてて、下さい!」
「はーい♪ ここでいいのね?」
「もっきゅ!」
「設営の人手は充分そうかな? イロハたちは一足先に食材調達に行ってくるよ」
「何が釣れるかしらね……楽しみだわ!」
「お、お気をつけて、です!」
 イロハと茜はパラドクス通信の通信機を携え、一足先に食材を取りに出かけていった。
 一方の小雪は付属の説明書を手に、鐶やイシュア、クィト、燐寧、コダマと、寝泊まりするテントを組み立てていく。
 素敵な時間を過ごすのに最高の寝床は欠かせない。時折、作業に悪戦苦闘する一幕を挟みつつ、シート、支柱、ペグなどが丁寧に妥協なく組み立てられる。7人用のテントとあって大きさは中々だが、イシュアが発動した怪力無双、さらには燐寧とクィトの細かなフォローもあって作業は着々と進んで行った。
「いい感じだね。さて、そろそろ僕らも調達に向かうよ」
「んむ。何かあったら皆で連絡を取り合うべし、ゆくぞー」
「行って来るよぉ。期待してて待っててねぇ」
「了解、です! こっちの準備も、しっかりやっておきますね! イロハさんたちにも宜しく、です!」
 釣竿を手にイロハらと合流しに行くイシュアたち。そんな二人を見送る元気な姿を、鐶は微笑みと共に見守っていた。
 巨獣大陸ゴンドワナで幾つもの冒険を繰り広げた小雪と仲間たち――そこに至る迄に義妹が積み重ねて来たであろう互いの信頼は、彼女にとっても大いに喜ばしいものであったから。
「さて、こっちも準備しちゃおう!」
「そうですね! 頑張っちゃいましょう、お姉ちゃん!」
 かくして、設営の仕上げにかかる鐶と小雪。
 これから過ごす時間は最高のものになる――そんな予感を共に抱きながら、姉妹は着々と準備を進めて行った。

 そうして設営が着々と進む頃、キャンプ地付近の海ではイロハたちが食材調達に勤しんでいた。
 各々が持ち込んだ道具を利用して、いざ狙うは海の幸である。
 燐寧とイシュアが行うのは海辺の釣りであった。道中でクィトがたっぷり調達していた小魚を餌に、そっと釣り糸を垂らすと、程なくして二人の竿がグンと勢いよくしなる。
「おっとと、もうかかったか」
「さーて、何が釣れたかなぁ?」
 暫しの格闘の末、釣り上げたのは一抱え程もある大きな魚が二尾。
 小さな鱗に覆われた流線形のボディには、程よく堅そうな肉がみっしりと詰まっている。最終人類史には該当する姿形の魚はないものの、煮ても焼いても美味い魚であることは一目で知れた。鋭い背鰭が指に刺さらないよう気を付けながら、釣果を各々のバケツに入れ、二人は次なる獲物を狙い始めた。
 一方、茜とイロハは、水面走行で海面に釣り糸を垂らし、獲物がかかる時を待っていた。と――そんな最中、足下に見えた一つの魚影に、茜が目を見開いて叫ぶ。
「何あれ……ひょっとしてシーラカンス!?」
 果たして茜が指差した先に居たのは、彼女の知る其れによく似た姿の魚であった。
 丸太のように頑健な体。厳ついながらも、どこか愛嬌を感じる顔。最終人類史は20世紀のコモロ諸島で発見された記録のある魚の名前に、イロハも思わず目が釘付けになる。
「うん。似ているね……というか本物じゃないかな? あれは」
「この時代なら浅い所にもいるかも、なんて思ってたけど……ゴンベッサに出会えるなんて運が良いわ!」
 ゴンベッサ――コモロの島民からは味が悪いと嫌われ、後に標本としての価値が上がると転じて「幸運」の意味で使われたシーラカンスの呼び名を呟きながら、去って行く大魚を見送っていると、ふいに茜とイロハの釣り竿が立て続けにしなった。二人は慌てて意識を釣りに集中すると、竿から伝わってくるのは何やら鈍重な手応えである。
 大物の魚が暴れる特有の感覚では無く、重い塊を引っ張っているような感触。まさか海亀でもかかったかと思い竿を上げると、其処にかかっていたのは、これまた最終人類史で有名な生物であった。
「これはアンモナイト……いや、オウムガイのようだね」
 山羊の巻角を連想させる殻に、サッと閉じこもるオウムガイ。
 頭巾と呼ばれる部位で頭を隠したその姿は、まさにオウムの頭を思わせるユーモラスなものだ。
「ほんと、生きた化石のオンパレードね。現代でもフィリピンの方では普通に食べるらしいし、頂きましょうか」
「そうだね、どんな味がするか今から楽しみだ。まだ時間もあるし、次の釣果を狙ってみるかな」
「ええ、そうしましょう。この分だと、美味しそうなのが釣れそうな気がするわ!」
 茜とイロハは感嘆の吐息を洩らすと、大ぶりの其れをバケツごとアイテムポケットに仕舞い込み、新たに餌を着けた糸を海へと垂らしていった。

 こうして四人の復讐者が釣りに勤しむ傍ら、海岸では――。
「んむんむ、良き収穫。むふー」
 得られた宝の山を前に、クィトが満足そうに鼻を鳴らしていた。
 水中適応を利用し、海辺を主に探っていた彼女が獲って来たのは貝や甲殻類を中心としたものだ。大人の拳骨ほどの大きさを持つ大ぶりの貝は磯の香りが濃く漂い、蟹と海老は手に取ればズッシリと重い。そして唯一、今もクーラーボックスの中でガタガタと執念深そうに暴れるウツボも、きっと美味しい御飯になってくれるだろう。
 美味そうなものを選び、小さなものは海へと逃がし、そうして選りすぐった海の幸を前に、
「んむ! 大漁」
 クィトがうむうむと頷くと、ちょうど通信機を介してイロハと燐寧から連絡が届いた。
 いずれも釣果は上々のようだ。これよりキャンプ地に戻るという連絡を交わし合い、クィトもまた小雪たちの待つテントに戻って行く。
(「んむ、持ち込むだけでなく、色々とってきて大正解」)
 今日の夕食は楽しいものになりそうだ――そう胸を弾ませて、帰路を急ぐクィト。
 気づけば水平線には、茜色の夕陽が足をつけようとしていた。
 その美しい黄昏の輝きは、もうじき始まる宴の時への祝福であるように、クィトには感じられるのであった。

 そうして帰って来た5人を迎えたのは、夕食の支度を整えた小雪と鐶であった。
 きっちり張られた大型テントの前に、用意されたのは大型のBBQ設備。人数分のチェアが囲むテーブルには、食器と飲料も用意されている。
「ここはおねーちゃんのキッチンだ! 海鮮BBQが火を吹くぞ!!」
 帰りの時間を計ったかのように熱されたグリルの前で、鐶がトングをカチカチと鳴らす。
 そんな彼女の前に揃えられたのは、立派な海の幸であった。大きなもの、小ぶりなもの、見たことのあるもの、初めて見るもの。全てが最高の鮮度で艶々と輝く海鮮は、帰る途中でいずれも処理を済ませており、すぐにでも焼ける状態である。その眺めを前にして、小雪は思わずゴクリと生唾を呑み込んだ。
「お、お腹がぺこぺこ、です……!」
「うんうん。テントの準備と用意、頑張ってくれてたもんねぇ」
「んむんむ。いっぱい食べるが良い」
 小雪の肩を、燐寧とクィトがポンと叩く。
 食材が並び、着席する6人の復讐者。今日の一日を共にした仲間たちを前に、グリルに立つ鐶は鶴の一声よろしく、
「それじゃ皆、始めるよ! どんどん焼いてけー!」
 宴の始まりを、高らかに告げた。

「「いっただきまーす!」」
 夕暮れのキャンプ地に、食欲を刺激する匂いが漂い始める。
 焼網でジリジリと音を音を立てるのは、イシュアと燐寧の釣り上げた二尾の大魚だ。狐色に焦げた皮に醤油をひと垂らし、湯気の立ち込める白身をイシュアはほっくりと噛み締める。
「焼けば、うまいんだよ焼けば。うまいうまい」
「お、美味しい、です……!」
 イシュアの隣では、小雪がもくもくと魚を食べていた。
 焼き上がった魚はどれも筆舌に尽くし難い美味だった。イシュアたちの獲った魚は勿論、クィトの其れも最高であった。
 岩場で獲ったというウツボは醤油と味醂で蒲焼き風に焼いてあった。強靭な生命力と凶悪な形相、そして獰猛な性格で知られるウツボだが、その身は癖のない優しい味わいだ。プルンとした厚い皮は食感も楽しく、噛み締める毎に頬は緩んだ。骨が全く気にならないところからして、最終人類史のそれとは微妙に種が異なるのだろう。
「んん~! やっぱ、あたしはコレがないとねぇ!」
 一方、燐寧はと言えば、白身魚が真っ赤になる程のデスソースを塗した其れを、大口で豪快に頬張っている。
 目に染みる程の辛さを帯びた蒸気がむわりと立ち込め、一思いに口へ。駆け巡る刺激に、思わず漏れるのは歓喜の悲鳴だ。自分で釣り上げた獲物だけに、その美味しさも一入であった。
「さて。こっちの味はどうかしらね、っと……おぉぉ……!」
「あっ、何だか凄い良い匂い!」
 茜が焼き上げた其れに、思わず鐶の口からも驚愕の声が漏れた。
 網の上で殻ごと焼いた、オウムガイの丸焼きである。殻からシュワシュワと立ち込める湯気には、最初に垂らした醤油だけでなく、何やら異様に食用をそそる芳醇な香りが混じっていた。カレーのように濃厚な色を湛えたそれ、殻の中でブツブツと沸騰の音を立てるミソの匂いであった。
 茜と鐶のみならず、イロハの視線までもが吸い寄せられる。
「ああ……間違いなく美味しいやつだね、これは」
「そうね……いただきましょうか」
 興奮で僅かに震える箸を殻へと伸ばし、予め切っておいた身をミソの中から掬い上げる。
 色濃いミソの絡んだ熱々の肉片を、二人は恐る恐る口へと運び――ひと思いに、噛み締めた。
「――!!」
「んんん、最高……!」
 イカのような小気味良い歯応えに続いて、舌の上で弾けるのはサザエの其れを凝縮したような磯の風味であった。ほうっと洩らす恍惚の吐息に、濃厚なミソの香りが余韻となって漂う。気づけばその匂いに惹かれたように、他の仲間たちも一人また一人と箸を伸ばしていた。
「美味しそう……あたしも一口!」
「ああ、良いねこれは。僕も気に入ったよ。うん、実に良い」
 オウムガイの身には捨てる場所もさして無く、舌鼓を打った後には綺麗な殻と嘴、そして僅かな頭巾だけが残された。
 クィトが獲って来た海老と蟹も、復讐者たちは余すことなく頂いた。大きな海老は左右に割った鬼殻焼きで、身の美味さは言うに及ばず、甘いミソを塗して齧れば、その絶妙の味にしばし言葉を忘れるばかりである。
「……んむ。んむ。美味。んむむむむ」
 クィトは静かに感激しているようで、殻の薄い所はへばりついた肉ごとぱりぱりと齧っている。
 いっぽう蟹はと言えば、熱々の殻で火傷しないよう皿に取った身を、鐶と小雪が仲良く分け合っていた。
 切り目を入れた脚の身を軽く捻れば、スルッと現れたのは純白の肉だ。人肌よりもやや熱い程度の肉はしっかりと締まり、噛めば甘い汁が迸る。綺麗に殻だけとなった脚を皿に残し、ふたりはやっと言葉を紡いだ。
「美味しかった、です……!」
「うんうん、幸せだね……!」
「もっきゅ……!」
 焼いて、食べて、飲んで、笑って。
 そうして獲って来た海の幸を余さず頂くと、最後にクィトが締めの一品をアイテムポケットから取り出した。
「ばーべきゅーといえばそう、モナカアイス。皆で食べるともっと美味しい」
 行先がマダガスカルということもあり、彼女が今回選んだのは果物フレーバーのトロピカルセレクション。優しい甘さの林檎、爽やかな香りのオレンジ、甘酸っぱいストロベリー、などなど……甘いアイスを挟んだモナカを前に、復讐者たちの目がキラキラと輝く。
「んむ。欲しい人、挙手ー」
「「「「「「はい!」」」」」」
 クィトの声に、6人の声が重なった。
 美味しいBBQに舌鼓を打ち、食後に甘いモナカアイス。それは正に、ひとつの極楽の形であろう。
 冷えたモナカアイスは美味しい。だが、皆で食べるともっと美味しい。共にマダガスカルを目指す仲間たちの幸せな笑顔に、クィトは胸がほっと温かくなるのを感じていた。
(「明日くらいからはまた戦いになるだろうけど。……今日は鋭気を養うべし」)

 陽が沈み、食事を終えて後片付けを済ませると、復讐者たちは思い思いのひと時を過ごし始めた。
 翌日に備えて支度を整える者、泳ぎ疲れて早々に寝床に着く者、大自然の夜景を楽しむ者、過ごし方は様々である。
 そんな中、小雪はコダマと一緒にチェアに座り、のんびりと食後の時間を過ごしていた。
 汗ばむような陽気を感じた日中とは打って変わり、夜の空気は少々肌寒い。温かいお茶で喉を潤しつつ、ちらと隣に目を向ければ、そこには鐶がキャンバスを前に無心で筆を動かしている。そこに描かれるのは、コモロ諸島の風景。現地でだけ感じ取れる繊細な空気までもが、そこには余すことなく表現されていた。
(「お姉ちゃん……すっごく真剣に描いてます」)
 集中を邪魔しないよう、義姉の絵を眺める小雪。
 薄暗い夜の中で僅かな灯に照らされる絵と、それを描く鐶の姿は、それ自体が一枚の絵のような美しさを湛えている。
 こうして一緒に過ごす時間がとても掛け替えのないものに感じられ、小雪の顔には満ち足りた微笑が浮かんだ。それから時間はゆっくりと流れ、温かなお茶を空けた頃、鐶の絵は完成を見る。
「よーし、出来た!」
「やりましたね、お姉ちゃん。とっても素敵な絵、です!」
「ありがと。今日はとっても楽しくて、描きたい気持ちがいっぱい湧いてるから……まだまだ描けそうな感じ!」
 次は何を描こうかと、鐶は暫し思案する。
 浜辺、自然、島の景色――それらを一頻り考えて、程なくして彼女の目はある一点へと向けられた。
 鐶と小雪と仲間たちを見守るように輝く、天の星々へと。
「よし。次はあれを描くよ!」
 灯の光量を調節し、雲一つない夜空を見上げる鐶。釣られるように空を仰ぎ見た小雪とコダマが、その眺めに息を呑む。
「わわっ、お星さまがキラキラでとてもいっぱい、です!」
 仄かに青みがかった暗闇に、宝石を散りばめたような光を放つ星々。
 同じ景色を見上げながら、鐶の手でキャンバスにひとつの世界が創り出されていく。鐶が描き出すそれは、きっと素敵な作品になるだろう。
 その完成に胸を躍らせながら、小雪とコダマは絵を描く義姉の姿を憧れに満ちた目で見つめていた。
 いつまでも、いつまでも見つめていた。

 そうして翌朝。
 東の空が白む頃、目を覚ました復讐者たちは次なる地を目指して支度を開始した。復讐者たちの英気を養った体には活力が漲り、心は早くも太陽の昇る東へと向いているようだ。
「ああ、良く寝たぁ……! では、いざ行かんマダガスカルへ!」
 仲間たちと共にテントを片付け、諸々の確認を終えると、イシュアは一行の先頭を行くように歩き出す。
 一晩快眠を取ったことで、7人の身体に初日の疲れは欠片も残っていない。
 再び海上を進み、二つの島を通り抜け、そうして辿り着いたのはコモロ諸島の南東端に浮かぶ島――マヨット島であった。

 マヨット島を出て更に南東へ数百kmほど進めば、いよいよマダガスカル島へと到達出来るだろう。
 だが、復讐者たちは知っている。ここから先が、今までとは違った危険と隣り合わせの道程であることを。
 果たして先頭で海岸に辿り着いた燐寧とクィトは、行く先の海域から漂って来る不穏な気配を敏感に感じ取っていた。
「なんか、ヤバい空気の海だねぇ。……ま、それでも行くけどねぇ」
「んむ。これは巨獣がいる気配」
 そう言いながら、7人の復讐者たちは戦いに備えた準備を迅速に調えた。
 道中で襲撃が発生するであろうことは、既に全員が感じ取っている。
 だが同時に、その程度で復讐者が足を止めることは無い。この海を越えれば、ついにマダガスカルの地を踏める。その先で待つ探検と冒険こそ、彼らの求めるものなのだから。
「さあ、準備はいいかな?」
「勿論! 待ちに待ったマダガスカル、早く行ってみたいわ!」
 南東の彼方を目指して海へと進むイロハ。そんな彼女の言葉に応えるように、茜もまた一歩を踏み出した。
 続いて、イシュアが、燐寧が、クィトが、鐶が、小雪が、その後に続く。
 此処から先は、襲い来る巨獣と戦闘を行いながら海を進むことになるだろう。待ち受ける巨獣に立ち向かう決意と、未知の島に踏み込んでいく勇気。それらを等しく胸に抱いて、復讐者たちは、いざマダガスカル島へと進んでいく――。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV2が発生!
【水中適応】がLV2になった!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【怪力無双】LV1が発生!
【平穏結界】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!
【ダブル】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!

 マヨット島を発って、海上を南東に進むこと暫し。
 復讐者たちの前方から、妙に冷たい風が吹きつけて来た。ここから先へ進むことは認めない――そう警告するように。
 それに怯むこと無く復讐者たちが進もうとした矢先、派手な水柱と共に水面に島のような何かが浮かび始めた。

『キルルルル……』

 無論、それは島などではない。
 水棲型巨獣『流島亀カスケイドル』たちの誇る、巨大な甲羅であった。
 彼らは縄張りを侵した復讐者たちの罪を、死で償わせる気なのだ。一体、更に一体――海上に甲羅を晒した流島亀たちが敵意を露わに距離を詰めて来る。

『ギルル……!』『ギルルルルル……!!』

 其れを前に、復讐者たちは即座に速度を上げて海を進み始めた。
 危険な巨獣が棲息する海域に留まって戦うことは、大きな危険を伴う。故に此処から先は、襲い来るカスケイドルを撃破しながら海を進み、一刻も早くマダガスカルへ辿り着かねばならない。
 着実な撃破と迅速な移動、その二点が求められるだろう。

 水平線の彼方、マダガスカルの島影は未だ見えず。
 目的地への到達を阻む障害を前に、復讐者たちは行動を開始するのであった。
月下部・鐶
義妹の小雪ちゃん(g00930)といっしょに大海原を進んでいくよ!

マダガスカル島へのルートを進めてるか、ちゃんと確認しながら進軍!
巨獣のカメたちに道を阻まれても、アーティストの目で海の様子からしっかり敵の位置を[情報収集]して【パラドクス通信】で情報共有しながらしっかり撃破していくよ!

戦闘になったら小雪ちゃん&コダマちゃんと連携して、お互いでスキをカバーして戦闘!
数を任せてたくさん来てるから、描く側としては特徴を捉えやすくていいよね
コダマちゃんの砲撃がカメの頭にヒットしたら、しっかり効いてるか[観察・看破]して、効果のほどをみんなに共有!

手にした画用紙にドンドン描いて、コダマちゃんの砲撃をかいくぐるカメを見つけしだいに、パラドクス発動!
海面から嵐で吹き飛ばして近づかせないよ!

敵が海水で押し流してきたら【飛翔】で海面から飛んでやり過ごすね
避けらそのまま飛んで逃げたりせずに、しっかり反撃だ!

マダガスカル島まであとどれくらいか、こまめに確認しながらペース配分には注意!

アドリブ連携大歓迎!


月下部・小雪
お姉ちゃん(g00960:義姉)と一緒に巨獣の亀さんをやっつけながら進軍、です。
マダガスカル島まであと少し、です。一気に突破しちゃいます!
【パラドクス通信】を使って、みんなと連絡を取り合いながら一丸となって進みましょう。

この巨獣さんはボクも初めて見るタイプ、ですね。
もしジェネラル級相当まで強くなったら、ちっちゃな島みたいになるの、でしょうか?
間違って上陸したらカスケイドルさんのお背中でした、なんてならないように注意ですね。

突撃してくる亀さんに対抗してコダマが【海戦装装備型モーラット・コミュ】になります。
体当たりされる前にコダマの砲撃をどんどん叩き込みましょう。
甲羅の部分は固そうなので、ね、狙いはあのお顔です!
撃ち漏らしたのが体当たりしてくるのはコダマに掴まって回避運動、です。

あっ、マダガスカル島の海岸が見えて、きました。
あそこまでたどり着けば亀さんも追ってこないかも、です!

※アドリブ連携大歓迎


金箱・茜
多分、マダガスカル島の巨獣にでも追いやられて、この海域を縄張りにしたんでしょう
だから島まで辿り着けばこいつらも諦めるはず
敵陣を突っ切って急いで島を目指すわよ

・戦闘
水面走行を維持
島の方角を見失わないよう時々コンパスで確認
他の味方と狙いを合わせ、1体ずつ集中攻撃して少しでも早く敵を減らす
優先順位は弱った個体から
敵体力がいずれも同程度なら、進行方向に立ちはだかる個体から

手負いの敵が戦意喪失して逃げ出してくれるなら放置するけど、
多分縄張りを放り出してくれるわけないわね

奪魂尾獣穿で攻撃
全ての尾を一纏めにして巨大な尾を形成
重ねがけしたダメージアップも活かして敵を貫く
一回きり通してくれたら十分なのよ
道を開けなさい

反撃による押し流しが厄介ね
島から引き離されたり、最悪孤立するかも
水面走行を一時解除して水中適応で海中に逃れ、周囲の海水で少しでも激流の勢いを殺す
せめて当たったら痛そうな瓦礫だけでも逸らし、後はガードアップで耐える
逆に島の方向へ吹き飛ばしてくれるなら、そんな小細工なし
喜んで距離を稼がせてもらうわ


イシュア・アルミゴス
おぉー亀だね。脚が6本ある亀よりよほど亀だ。
ヴォグトーラスよりちっちゃい亀が…あーちょっと数が多いかな?
ウサギよろしく亀を足場に向こうの島に、足場になるのはワニだっけ?
まぁいいや。こっちは亀を食らうディアボロス!死骸も足場にゃなるでしょう!

迅速撃破で一点突破。スピード勝負で行かせてもらおう。
立ち止まらずにパラドクス用意。突けば飛び出す蠍の毒槍!
そんだけデカけりゃ外さないよ。弱った敵をいじめ抜く!
浦島太郎はアビスローバーらしいよ!助けは期待できないねえ!

押しかかりってほぼほぼ体当たりじゃ?これは厳しいのでは?
上からの押しかかり時に体を丸め『アヌビスの守護』を球状に展開。
亀の体の下を沿うように転がりそのままの加速で離脱。
これ目回るから嫌なんだよねえ。めちゃくちゃ酔うんだよ。

あぁー気持ち悪…。ここマダガスカル?それとも亀の上?
着いたんだったら喜びたいところなんだけど。


一里塚・燐寧
わーお、敵が七分で海が三分!
……んふふ。実際そんなに海が埋め尽くされてるかわかんないけど、言いたかっただけ
こりゃあ足を止めてやりあってる暇はないねぇ
目の前に出てくる奴としつこいのをブッ殺しながら駆け抜けるよぉ!

【泥濘の地】を周囲に展開して敵の移動速度を鈍化させながら、【水面走行】で駆け抜けるよぉ
全滅を狙うというよりは、マダガスカル方面に立ち塞がる敵としっかり追い付いてくる賢い奴に火力を集中させるイメージで敵中突破を狙おう

『呪式:爛離骨廃』を発動
呪いを纏わせた《テンペスト・レイザー》で敵に斬りかかるよぉ
断首を狙ったり、甲羅をパラドクスで脆化させて刃を通し背骨を粉砕したり、【水中適応】で下側に潜り込んで腹を攻めたり
敵との位置取りに合わせて臨機応変に狙いを変えながら、分厚い刀身で打ち砕いた外皮の下を回転鋸刃の斬撃で切り刻もうじゃん!

反撃の海水と押し流される砂礫は、得物の刀身を盾代わりにしてガード
潰されそうになっても【怪力無双】の膂力で押し退けて持ちこたえ、凌いだところで移動と戦闘を続けるよぉ!


イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎

浮島にしては動きが変だなーと思ったけどウミガメ型の巨獣とはね
この前に倒したジェネラル級のヴォグトーラス程ではないけど海上で群れに遭遇すると圧巻だね
とは言えべっ甲とかが獲れるタイマイの類じゃなさそうだから
進行を邪魔する個体を優先的に狙って速やかに突破しないとかな?

さて【水上走行】は発動させたから水上戦を挑もう
身体が大きいと言う事は質量と伴う衝撃が並大抵のものではないけど・・・逆に言えばそれ止まりの存在だね
緻密に群れで狩りを為す様に連携を取って来れば厄介だけどそんな素振りもないし

巨体を活かした体当たりは自分から飛ぶことで衝撃を受け流し最小限の被害に抑えられるからね
何より浸透剄の技術も臨機応変に対応する冷静さ、己よりも巨大な敵に立ち向かう勇猛果敢さ
その全てでイロハの方が上回っているんだから此方が優勢となるのは当然の帰結かな?
甲羅の表面を殴るのではなく、全身に纏った氣を賦活させ
内側に衝撃を徹すのをイメージして【ゲオルギウスの聖槍】で殴り飛ばそうか

大人しく海の藻屑と化すべし


クィト・メリトモナカアイス
きるるる……ぎるるるる?
んんーむ。これは妙。なんと鳴き声と名前が一致していない。ゆゆしきじたい。
半分は本気。もっと大きいジェネラル級の個体がいて、そいつはキルギルしい名前がついているのかもしれぬ。

んむー、さすがに全部は倒しきれる気がせぬ。
がんばって突破すべし。

我は【水中適応】を使って潜り、水面下から攻撃されぬように頑張る役目。
水上の復讐者とは【パラドクス通信】で連絡を取り合い、はぐれぬように一塊になって進もう。
モナカ衝撃型を抱え、ぷるぷると振るわせて放つ「衝撃のバリニーズ」でマダガスカルへ進むルートにいるカスケイドルを攻撃。衝撃波で吹き飛ばして攻撃して行こう。
攻撃しつつもバタ足で泳ぎ続け、進むのは止めぬように。
反撃ののしかかり攻撃に対しても直撃しないように迂回したり加速したり、あるいは潜ったりで避け、止まることは可能な限りしないように。

んむ、止まると最悪囲まれて大変なことになる。
群れを抜けて引き離すまで頑張って進むべし。


『ギルルルル……!!』
 大海原に咆哮が轟く。波紋で波打つ海面が復讐者へと押し寄せる。
 その彼方、群れを成して襲い来るのは、島の如き巨大な甲羅を誇る巨獣たち。
 トループス級巨獣『流島亀カスケイドル』――その大群が敵意を露わに、動く大地のごとき偉容をもって迫って来ていた。マダガスカル島へと向かう復讐者たちを、一人残らず海へと沈める為に。

「おぉー亀だね。脚が6本ある山殻亀より、よほど亀だ!」
 彼方より迫る流島亀たちを見遣り、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は冗談めいた口調で言った。
 イシュアの態度は常と変わらず飄々としたものだが、置かれている状況はそう楽観的なものでもない。何しろ、彼や仲間の周囲は四方が海、目的地のマダガスカル島は未だ遠き彼方なのだから。
 一方の流島亀たちは今や完全に復讐者を敵と認識したらしく、着々と頭数を増やし始めている。
 巨大な島めいた甲羅が次々集結する光景は、まさに意思を持った陸地の如く。その眺めを前に、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)が驚嘆の吐息を洩らす。
「わーお、敵が七分で海が三分! ……んふふ。言いたかっただけ」
 流石に誇張が過ぎたかなと笑う燐寧だが、敵は決して侮れる規模ではない。燐寧を筆頭に復讐者たちは水面走行を発動し、戦闘準備を整える。目指す南東の方角には、行く手を塞ぐように展開する流島亀の群れ。かの敵群を撃破してマダガスカルへ到着することが燐寧らの目的だ。
 敵は大群、島までは未だ遠い。
 その状況を前に復讐者たちが選んだのは、互いをフォローしながらの行動であった。
 7人の間で連携を取り合いながら進んだ方が、長丁場の戦いを凌ぎ切る上でも有利――そう考えての判断である。仲間同士で連絡を取り合えるよう、月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)は発動したパラドクス通信の通信機を手に、仲間たちへ語り掛けた。
「マダガスカル島まであと少し、です。力を合わせて、一気に突破しちゃいましょう!」
「うんうん。今日はお姉ちゃんも頑張っちゃうよ!」
 小雪とコダマの傍で、月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)はグッと力を込めて拳を握る。
 流島亀の群れは強敵だが負ける気はしない。小雪とコダマと仲間たちの強さに、鐶は全幅の信頼を置いているのだ。
 一方、鐶と小雪の姉妹と肩を並べるようにして、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は、前方の流島亀の大群を見遣り、呟いた。
「んむー、さすがに全部は倒しきれる気がせぬ。がんばって突破すべし」
「余力は残しながら進みたいよね。序盤はイロハたちはサポートに回るから、ある程度進んだら交代しようか」
 クィトのやや後方で、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)が言った。
 彼女はイシュアや金箱・茜(妖狐のトレジャーハンター・g11179)と共に、不測の事態に備えて後方からのサポートを担う役割である。ある程度進んだ後はクィトらと役割を代わり、交互に力を温存しながら進む……というのが方針だ。
 前半の戦闘はクィト、小雪、鐶、燐寧が担当。
 後半の戦闘はイロハ、茜、イシュアが担当。
 そうして茜は全員が準備を終えたのを確認すると、距離を詰めて来る流島亀たちをイロハと共に見遣る。
「相手は海棲型の巨獣みたいだし、マダガスカル島まで辿り着けば流石に諦めるはず。急いで島を目指すわよ!」
「そうだね。絶対に、7人全員で辿り着こう。……じゃ、準備は良いかな?」
 通信機を介してイロハの声が響く。
 それに応じるように、海域にチェーンソーのけたたましい音が唸りを上げ始めた。
 先頭に立った燐寧が、鎖鋸剣《テンペスト・レイザー》を駆動させたのだ。邪魔する巨獣は全員ぶった切る――そう無言で告げるように、燐寧は波打つ海面を一番槍で駆けていく。
「足を止めてやりあってる暇はないしねぇ。ブッ殺しながら駆け抜けるよぉ!」
 それを合図に、仲間の全員が動き出した。
 クィトが、小雪が、鐶が、流島亀の群れへ突撃する。続けてイロハが、茜が、イシュアが援護に走り出す。
 巨獣を蹴散らし、マダガスカル島へと到るため――今、7人の復讐者は駆けて行くのだった。

 見渡す限りの大海原。その行く手を塞ぐのは流島亀カスケイドルの群れだ。
 その巨大な甲羅は正に要塞――否、島そのもの。
 圧倒的な質量を誇る其れを武器に迫り来る敵の群れへ、今、燐寧を先頭とした復讐者たちが真っ直ぐに突っ込んでいく。
「さぁ、駆け抜けるよぉ!」
『ギルルル!』『ギルルルル!!』
 テンペスト・レイザーを構え、水面走行で海面を駆ける燐寧。そんな彼女を圧し潰さんとする流島亀たちの巨体が、突如として水面に捉われたように速度を落とし始めた。
「よしよし効いてる。泥濘の地は効果抜群だねぇ」
 発動した残留効果の程に、燐寧が会心の笑みを浮かべる。
 巨獣たちは元より大群であり、全滅させることは困難だ。ならば最初に足を封じ、邪魔する敵と追撃して来る敵だけに火力を集中させて敵中突破する――それが彼女の考えであった。
 海面に生じた泥濘に捉われ、足並みを俄かに乱す流島亀の群れ。果たして其の一瞬を燐寧は見逃さない。
「どんなにかったーい装甲も、ドロドロのバラバラにしちゃうよぉ!」
 戦闘開始の号砲さながら、テンペスト・レイザーが悍ましい雄叫びを上げた。
 声の源は、燐寧のパラドクス『呪式:爛離骨廃』によって、剣が纏う存在否定の呪詛である。ダメージアップを込めて振り下ろした回転刃は流島亀の甲羅に食い込むと、分厚く堅い其れを呪詛の力でたちまち脆化させ、その巨体を紙細工めいて易々と切断し始めた。
『ギィェェェェェッ!!』
 とどめに背骨を粉砕された流島亀が、断末魔の絶叫を上げて絶命する。
 周囲に飛び散った呪詛が更なる威力を帯びて、続け様に新たな個体を粉砕。燐寧の猛攻によって綻びが生じた巨獣の群れを突き破るように、更なる攻撃が流島亀たちへと襲い掛かった。
「い、今がチャンスです! お姉ちゃん、行きましょう!」
「オッケー! このまま強行突破だね!」
 通信機を手に、息を合わせて突撃するのは小雪と鐶だ。
 小雪は先行率アップの風を背中に浴びて、迫り来る流島亀たちの巨躯を見遣る。初めて目にする海棲型巨獣のそれに、抑えきれない好奇心の光を宿しながら。
「この巨獣さん……もしジェネラル級相当まで強くなったら、ちっちゃな島みたいになるの、でしょうか?」
『ギルルルルッ!!』
 もしそうなら、とても面白い光景かも――そんな想像を巡らせる小雪の心を、当の流島亀の突撃が現実に呼び戻した。
 トループス級と言えど、巨躯を駆使した体当たりの威力は侮れない。小雪は即座にパラドクスを発動し、完全武装のコダマを召喚。その身を固める海戦装の主砲で、迫り来る流島亀たちを狙い定める。
「あの亀さんたちを倒せば、ひとまず突破できそうですね。コダマ、撃ちまくって下さい! ね、狙いはあのお顔です!」
「もっきゅ!」
 同時、主砲の斉射が海原に轟く。
 コダマの戦艦級海戦装は其の小さなサイズと裏腹に、有する火力は強烈にして極悪だ。
 第一第二主砲の一斉発射が、重ねに重ねたダメージアップの効果を乗せて、流島亀の顔面に次々と直撃する。空気を震わす衝撃に咲き乱れる爆炎、巨獣の肉片が勢いよく飛び散った。
 絶命して次々に海へ沈んでいく流島亀を見遣り、鐶は通信機を手に仲間たちへ連絡を送る。
「3体、撃破確認! 小雪ちゃん、大戦果だよ!」
「や、やりました! 皆さん、今のうちに駆け抜けましょう!」
「オッケー、このまま突っ切るよぉ!」
 燐寧を先頭とする復讐者たちが、コダマの砲撃によって開いた間隙を一直線に突き抜けていく。対する流島亀たちは同胞を討たれ、いよいよ怒りに火がついたらしい。泥濘と化した海面をかき分け、繰り出すのは巨躯を活かした体当たりである。
『ギルルルルルルルッ!!』
 刹那、襲うのは轟音を伴う衝撃。
 島めいた巨大な甲羅がさながら巨大な壁のように、小雪を軽々と宙へ吹き飛ばした。小雪はガードアップで硬化させた体で衝撃を殺して海面へ着地すると、直ちにコダマを連れて走り続ける。幸い被弾のダメージは少なく、全身が軽く痛む程度だ。とは言え、何度も攻撃を浴び続ければ少々拙いことになる――そう思った矢先、
「皆、気を付けて! 追って来るよ!」
『キルルルッ!!』『ギルルルッ!!』
 鐶が指さした後方、いち早く混乱から立ち直った流島亀の一団が、敵意も露わに7人のもとへ迫って来ていた。
 泥濘の地は未だ発動している最中だが、効果が初期レベルとあって巨獣たちを振り切るには至らない。未だ止むことの無い攻撃を前に、茜は負傷した巨獣を標的に捉え、着実に仕留めて行く。
「手負いの敵は任せて! 無傷のヤツを優先に頼むわ!」
「オッケー。これ以上、近づかせないよ!」
 一切承知と、パラドクスを発動した鐶は手元の画用紙に筆を走らせ始めた。
 流島亀たちの戦意は未だ旺盛で、その追撃も衰える気配は無い。恐らくは、この海域が自分たちの縄張り――すなわち庭だと言う自負があるのだろう。
 ならばと鐶は思う。自分が描くこの絵で、彼らを其処から永久に追放してやるのみだと。
「あたしは知ってる、自由な空を。だけど空には掴まるものも地面もなにもないってことも」
 最初に鐶が描き出したのは、乱気流の絵だ。
 続いて海を、鎖を、それに繋がれた流島亀を、素早く正確なタッチで描き出していく。そうして仕上げに、彼女が握るのは白い絵具。それをつけた絵筆で、海と亀を繋ぐ鎖を一思いに断ち切った。
 『作品名【重力】』、発動の瞬間である。
「オマエなんて――鎖をなくして飛ばされちゃえ!」
 流島亀たちの巨体が宙に浮いた。
 一体、二体、三体。亀たちが鐶のパラドクスで重力を奪われ、ぐんぐんと空に浮かんで行った次の刹那――浮遊する彼らを乱気流が残らず呑み込んで、跡形も無く粉砕し始めた。幾千幾万の欠片となって飛び散る甲羅と肉片が、花火さながらに大空に咲き乱れるのであった。

 流島亀を着実に討ち取りながら、なおも海上を駆ける復讐者たち。
 鐶は戦闘の最中もペースの把握を忘れること無く、常に通信機で仲間たちへ連絡を送り続けていた。
 マヨットを出発してから移動した距離は、既に相応の長さに及んでいる。いまだ変わらぬ水平線の景色、その彼方に島影が少しでも早く現れることを願い、鐶は仲間たちに激励を飛ばし続ける。
「皆、進路はそのまま! 振り切ってどんどん進むよ……っ!?」
 だが、次の刹那。
 鐶ら復讐者たちの右手からは、態勢を立て直した流島亀の一団が迫りつつあった。海面では無く、海中からの襲撃である。海の上と下から、同時に攻撃して復讐者を仕留めようと言うのだろう。
 泥濘の地の力が及ばぬ海中、海流をかき分けながら恐るべき速度で迫る流島亀たち。だが、次の瞬間――彼らの行く手を、ひとつの小さな球が阻む。
『キルルル?』
「きるるる……ぎるるるる? んんーむ。これは妙」
 巨獣の巨躯では凝視しなければ気づかぬ程に小さな其れは、単なる球ではない。
 可愛い猫耳と尻尾を備え、猫を模した其れはクィトの武装『モナカ衝撃型』。海中から敵の襲撃を察知していたクィトが、先んじて展開した警戒網に、流島亀たちは既に捕まっていた。
「なんと鳴き声と名前が一致していない。ゆゆしきじたい。かすけけけとか、どるるるるではない……んむ、不思議」
 んむむとクィトが呟きを終える頃には、モナカ衝撃型は攻撃準備を完了していた。
 待ち伏せを悟った亀たちが身構えるよりも早く、衝撃型がぶるりと身を震わせる。
 次の瞬間、クィトは『衝撃のバリニーズ』を発動。ぷるぷると身を震わせる衝撃型から、強烈な衝撃波を発射していく。
「『モナカ』衝撃型、はなてー」
 刹那、海中の景色を歪める程の衝撃が流島亀たちに叩きつけられた。
 命中アップを帯びた一撃は亀たちに直撃すると、その巨躯を玩具のように翻弄し、粉砕。次々と海の藻屑に変える。その間も止まること無く海中を泳ぎ続けながら、クィトは海上を駆ける仲間たちを見上げ、通信機越しに合図を送った。
「んむ、海中の敵は仕留めた。このまま進むべし」
「了解です。こっちも今のところ、も、問題ありません!」
 通信機を介して、小雪の元気な声が届く。
 どうやら、大きな被害も無く敵の包囲を抜けたらしい――そのことを示すように、続けて届いたのは鐶の声だ。
「何だかんだで、けっこう進んだね。敵の攻撃も一旦止んだみたいだし、そろそろメンバーを交代しない?」
「そ、そうしましょう! ところでお姉ちゃん、マダガスカル島まで後どのくらい、でしょうか?」
「うーん……ペース的には、そろそろ着いても良い頃なんだけど――」
 小雪と会話を交わしつつ、鐶が言いかけた矢先。
 二人の会話に、興奮気味の声が突如として割り込んで来た。
「皆、前方に島が見えるよぉ!」
 声の主は、先頭を進んでいた燐寧である。
 その言葉に導かれるように、俄かに進む速度を上げる復讐者たち。海上へ浮上したクィトもまた、他の仲間たちと合流し、そして――前方に広がる景色を、その眼に刻み込んだ。

 復讐者たちが眺める先、水平線の彼方に見えるのは大きな陸地だった。
 広く緑に覆われた大自然は、幻などではあり得ない。
 流島亀の甲羅とは桁の違う雄大な光景を誇る島。その地の名前を、小雪の口が紡ぎ出す。

「……あれが、マダガスカル島。到着は、眼の前ですね……!」
「此処から陸地までの距離は20kmくらいかな。後は、このまま巨獣が見逃してくれれば良いんだけど――」
 果たして、そんなイロハの不安が的中するように、復讐者たちの後方からは再び轟音が響き始めた。
 音の源は、言うまでも無く流島亀の群れである。
 縄張りを侵す者は生かして通さぬとばかり、尚も執拗に迫る巨獣たち。それを振り切るべく、復讐者たちは戦闘に専念するメンバーを入れ替えて、直ちに海原を駆け出していく。後半戦を担当するのは、イシュア、茜、イロハの3人だ。
「後は陸地に辿り着くだけか。迅速撃破で一点突破、スピード勝負で行かせて貰おう」
「逃げ出すなら放置しても良かったのに……本当にしつこい奴等ね、まったく」
「さあ、ここから先はイロハたちが相手だよ。邪魔するなら容赦はしないよ、カスケイドル!」
 かくして疾駆の速度を上げる復讐者たち。それを逃すまいと、流島亀の咆哮が海原に響く。
 全力で海上を疾走するイシュア。そこへ並走するように迫ってくる巨獣たちを、イシュアの構えた槍の先端が狙い定めた。対物貫通生体槍尾『セルケトテイル』――そこへパラドクスを込めて、必殺の一撃が放たれる。
「それじゃあいっちょ、狙い撃ちっ!」
 銃声にも似た乾いた響きが、立て続けに海原に響いた。
 それはイシュアの発動する『飛翔せし蠍の槍』が、セルケトテイルの刺突で空気を穿つ音だ。生じた蠍尾のオーラは2体の巨獣へと食らいつき、その分厚い甲羅を穿ち貫いていく。
「そんだけデカけりゃ外さないよ。突けば飛び出す蠍の毒槍、存分に食らいな!」
『ギルルルルルッ!!』
 そうしてイシュアが攻撃を終えた直後、彼の周囲がふいに影で覆われた。
 新手の流島亀が反撃とばかり、パラドクスを駆使して繰り出すボディプレスの一撃だ。避け切れないと悟ったイシュアは、即座にアヌビスの守護を展開。受け身を取って海上を転がると、再び飛び起きて駆け続けていく。
「あああ、これ目回るから嫌なんだよねえ。めちゃくちゃ酔うんだよ……!」
『キルルル!』『ギルルルル!』
 対する流島亀は尚も追撃を止めず、執拗にイシュアたちを狙って来ていた。
 巨獣たちが双眸に宿すのは、縄張りを侵した復讐者たちへの純粋な殺意だ。
 侵入者には死あるのみ――そう告げるように、咆哮と共に吐き出す海水が砂礫を帯びて襲い掛かる。パラドクスによる其の攻撃を茜は凌ぎ切ると、呼吸を整えて海上を優雅に舞い始めた。次第に高まる妖力が茜によって練り上げられ、禍々しい凶器へ形成されていく。
「縄張りに踏み込んだことが余程許せないようね。もしかしたら、島の巨獣に追いやられたのかもしれないけど……」
 逆説連鎖戦で先んじて反撃を浴びせた流島亀を見遣りながら、茜は思う。
 目の前の流島亀たちが、いかなる経緯でこの海域を縄張りとするに至ったのかは分からない。だが、邪魔するなら力を以て押し通るのみ。生存競争が日々繰り広げられる、力こそが掟の地――それが此処、巨獣大陸ゴンドワナというディヴィジョンなのだから。
「一回きり通してくれたら十分なのよ。道を開けなさい!」
 刹那、茜の妖力を注ぎ込まれた狐尾が具現化され、鋭い槍さながらに放たれる。
 重ね掛けしたダメージアップを乗せた『奪魂尾獣穿』のパラドクスは、寸分も過たずに標的を捉え、流島亀の眉間を貫いて絶命させた。死骸となって沈みゆく巨獣を乗り越え、尚も走り続ける茜。その前方には、マダガスカルの島影がいよいよ鮮明さを増して、彼女たちの前に広がり始めていた。
「皆、頑張って! もう一息で追撃を振り切れそうよ!」
 果たして茜の言葉通り、陸地が近づくにつれて、流島亀たちは追撃を諦めたように数を減らしつつあった。
 それでも尚、怒りに背を押された数体の流島亀は諦めない。7人の行く手を塞ぐように小島めいた甲羅を次々に浮上させ、体当たりの態勢を取る。復讐者たちの上陸を阻み、海へ弾き返す気なのだろう。
 無論、そんなものに怯む者はいない。イロハは全身の聖氣を賦活させ、固めた拳を突き出しながら巨獣たちへ告げる。
「君たちを倒して、イロハたちは先へ進むよ。邪魔をしないで貰おうかな!」
 イロハの拳が向く先は、行く手を塞ぐ二つの甲羅だ。
 あれこそが、島への道を塞ぐ最後の障害。それを全力で打ち砕くべく、イロハは一直線に疾駆していく。
 怯むこと無く突き進み、殉教した聖人の様に揺るがぬ信仰によって強化した『ゲオルギウスの聖槍』。パラドクスを込めて放つその一撃は、もはや何者にも止め得ない。
「聖なるかな。あなたが創造なさったすべて、地、空、海、あなたの御名を讃美します」
 そうして――イロハが放った拳は命中アップの光に導かれ、流島亀の巨体を捉えた。
 拳を介して叩き込まれたパラドクスで体内を破壊された流島亀たちが、断末魔の絶叫を上げながら絶命していく。長き死闘の終焉を物語るように、再び静穏を取り戻した海原の上で、イロハはふっと安堵の吐息を一つ。手にした通信機を開始、仲間たちへ撃破完了の連絡を送る。
「……まあ、当然の結果かな。さあ皆、急ごう!」
 今こそ、念願の地へ上陸を果たす時。
 来訪者を迎え入れるように広がるマダガスカル島の大地へ、復讐者たちは弾む足取りで向かって行った。

「あっ、海岸が見えて、きました。あそこから上陸できそう、です!」
 程なくして小雪が発見したのは、海に面した砂浜海岸であった。
 周囲に脅威が無いことを確かめた後、復讐者たちは互いに頷きを交わし合い、足並みを揃えて駆けて行く。
 小雪、鐶、燐寧、クィト。
 イシュア、茜、そしてイロハ。
 マダガスカル島には全員で辿り着く――その目的を叶えるように、7人の足が、島の砂浜を同時に踏みしめる。仲間たちが達成感と喜びに湧く中、鐶はさっそくスケッチブックを取り出して、周囲の風景を描き始めていた。
「此処は島の北部かな。取り立てて怪しいものは見えないけど……」
「海賊たちがお出迎え! ……みたいな事態は避けられたねぇ。島の南側とかはどうなってるのかなぁ」
 未だ他勢力の手が及んでいないといいのだが――そんなことを考えながら、燐寧は浜辺の奥へと視線を向ける。
 彼女たちが到達したマダガスカル島の北部には、豊かな大自然が一面に広がっていた。
 生い茂る緑の樹々に、あちこちから聞こえる動物たちのけたたましい鳴き声。その中には、巨獣たちの其れと思しきものも明らかに混じっている。
「……ぱっと見た感じ、他のゴンドワナの土地と似た感じだねぇ」
「一見しておかしな所は、確かに見当たらないわね。後は、実際に島に入ってみないと分からない感じかしら?」
 そう言って頷きを返すと、茜は他の仲間たちを振り返った。
 イシュアは戦闘のプレッシャーから解放されて、先程から喜びに砂浜を駆け回っている。最初こそパラドクス行使の影響で酔いが抜けていなかった彼も、今はもうどこ吹く風だ。
「ここマダガスカル? ほんとに着いた? やったー!」
「と、到着できましたね。次は、島に入ってみましょう!」
「んむ。まずは、キャンプの場所を決めるべし」
 小雪の言葉に同意を示し、クィトは木々の生い茂る島の奥地に目を向けた。
 ここから先は島内に拠点となるベースキャンプを建設し、今後の攻略に向けた準備を行わねば為らない。
 どのような場所に、どの程度の規模の拠点を築くか……それによって、今後の攻略できる範囲は大きく変わるだろう。
「ベースキャンプか。どうせなら、いい場所に立派なものをドーンと作れるといいね」
「うんうん。とはいえ、島内にも巨獣の縄張りがあるだろうし……慎重に決めないとね」
 イシュアの言葉に同意を示しながら、イロハは今後について考えを巡らせ始めた。
 パラドクストレインの発着場所については、遠くから敵に視認される場所でなければ問題ないだろう。場所の選定次第で、十分に対策可能だ。諸々の資材についても、復讐者がマダガスカル島に着いた今なら新宿島から運ぶことが出来る。そうして拠点を築き終えれば、いよいよ本格的な探索の始まりだ。
「悩んでいても始まらない。行こうか、皆」
「んむ。いざ、ベースキャンプを建設するため。やるぞー」
 かくして、復讐者たちは次なる目標を目指して動き出す。
 ついに辿り着いたマダガスカルの地。その地で待つ新たな冒険に、各々が胸を躍らせながら――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【水面走行】がLV3になった!
【狐変身】LV1が発生!
【水中適応】がLV3になった!
【泥濘の地】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【先行率アップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV7になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!

金箱・茜
遂に辿り着いたわね
私は拠点候補地を探しに行くわ

巨獣に視認されない場所として思いつくのは、やっぱり洞窟かしら
マダガスカルの北部には、アンカラナ特別自然保護区のような石灰岩の洞窟があると聞いたことがあるわ
この時代でも、雨水が石灰岩を侵食して鍾乳洞を形成しているかもしれない
最低限、パラドクストレインが発着できる程度の広さ
理想を言えば、地上の巨獣を無視して進めるほど長い地下洞窟を見つけたいわね

・探索方法
森林地帯で目立たぬようギリースーツ着用
パラドクス通信で連絡を保ち、平穏結界で隠れながら移動
更に可能ならば、トラップ生成で周囲に蜘蛛の巣のような糸を展開
巨獣等が接触したら振動で私に伝わるような仕組み
無理なら鳴子を展開して音を頼りに危険を察知

雨水が流れ込みやすい、すり鉢状の地形
地面が水で浸食されてできたであろう裂け目や縦穴
など、洞窟が形成されそうな地形を重点的に探査

川が途中で途切れて地下に流れ込む所があれば、水中適応で中に入り水中洞窟の有無を調査
拠点にできそうなら、水をせき止めるか迂回させるかして確保


イロハ・アプリルシェルツ
※アドリブ&連携歓迎

マダガスカル島北部はツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区として世界遺産に指定されているんだっけ。
この辺りの仮想敵として想定されるクロノヴェーダは巨獣かアビスローパーだろうから
先の尖った石灰岩が立ち並ぶと言う稀有な地形を活用して拠点を開発したいところだね。
絶対に確保しないといけないのはパラドクストレインの発着場のスペース。
石灰岩の地質であるならば地下に鍾乳洞が形成されている可能性が高いから、洞窟探検してそれなりのスペースを探しても良いし
次善の策としては切り立った崖の間の樹々や岩を切り開いて平らにし、スペースを確保するのもありかな。
いずれにしても人の手だけだと地形の加工も大変だから【アイテムポケット】でスコップやノコギリ、ノミにハンマーなどの土木工事用の工具等を持ち込んで開拓しよう。

んー出来れば尖った岩石群と言うのを活用して、先端へと縄梯子で登れるようにした見張り台は作っておきたいよね。
ほら交替しながら敵の襲撃を警戒し、いざと言う時は知らせる施設って秘密基地っぽくない?


 かくして、復讐者たちは歩み出す。
 マダガスカル島北部――巨獣の咆哮が響く未知なる大地、その攻略の第一歩を。

「さてと……まずは、候補地の選定からね」
 金箱・茜(妖狐のトレジャーハンター・g11179)が、仲間の意思を代弁するように言った。
 彼女の手元には、大きく広げた最終人類史の地図がある。島全域が詳細に記された其れには、拠点設営の候補地である複数のエリアが赤い線で囲ってあった。
「探索エリアは島の北側。候補地は、外部から発見されにくい場所――『洞窟』ね」
「そうだね。この一帯は石灰岩が立ち並ぶ地形らしいから、そこを活用して拠点を開発できると良いかな」
 茜の地図を睨みながら、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)が頷きを返す。
 マダガスカルの北部に存在する、槍のように鋭い形状の山々――通称『ツィンギ』と呼ばれる其れは、固い石灰岩によって構成されており、最終人類史では観光資源の一つでもあったと言う。
 そうした山々を探索すれば、鍾乳洞などの洞窟も恐らくは存在するだろう。仮に手頃な洞窟が見つからない場合は、次点として敵に発見されにくい谷などを候補地とする――それが、選定にあたっての方針であった。
「ふむ。平穏結界の使用は大前提として……探索は結構な広範囲に及びそうだね」
 そう呟いてイロハは眉根を寄せる。平穏結界は敵からの発見を防いでくれる便利な効果だが、それとて万能では無い。移動範囲が広いほど、行動時間が長いほど、巨獣の襲撃を受けるリスクは増していくだろう。
 とは言え、今後の攻略を考えるなら、半端なところで妥協は出来ないのも事実だった。
 襲撃のリスクも込みで、万全を尽くしながら行動する――その意思を確かめ合うように、復讐者たちは頷きを交わす。
「行動中は、パラドクス通信で連絡を取り合いましょう。何かあったら、いつでも伝えて」
「了解だよ。……じゃ、行こうか」
 北部の山々を目指して歩き出す茜とイロハ。
 行く手の彼方では、そんな彼女たちを待ち受けるように、巨獣の咆哮が山彦のように木霊していた。

 鬱蒼と広がる森林地帯を暫し進むと、その先には一面の山々が広がっていた。
 天を突くように幾重にもそびえ立つ、剃刀のように尖った巨大な石灰岩。ゴンドワナの大地が形作った奇妙ながらも雄大な景色に、イロハは思わず息を呑む。
「これは見事な眺めだね。……茜君、そっちからも見えるかい?」
「ええ、見えるわ。巨獣の襲撃も無いし、今のところは順調ね」
「となれば、後はいよいよ洞窟か。念のため、ここからは一緒に行動するのはどうかな?」
「洞窟の中と外で挟み撃ち……なんて事態は避けたいものね。いいわ、そうしましょう」
 そうして程なく合流を果たすと、イロハと茜は山々へ踏み入っていく。
 果たして其処には、雨水の浸食で出来たと思しき鍾乳洞が幾つも見て取れた。二人は早速、それらの一つ一つを丹念に調査して回る。無論、内部に巨獣がいる可能性を想定しての警戒を怠ることは無い。
 入口で警戒を行うイロハに背を預け、洞窟内へと踏み込む茜。
 そんな茜が進んだ先に広がっていたのは、鍾乳石の形作る広大で幻想的な光景だ。ひんやり冷たい空気の中、水滴の音が澄んだ響きを帯びて反響する。ゴンドワナの大自然が作り出す神秘の景色がそこにはあった。
「アンカラナ特別自然保護区のような石灰岩の洞窟があるかと思ったけど……この時代でも、鍾乳洞はあったようね」
 これは、きっと素敵な基地が出来そうだ――そんな想いを抱きつつ、茜は更に探索を進めていく。
 洞窟内は静かなもので、巨獣が潜んでいる気配も感じられない。拠点には正に最適の場所と言えそうだ。もう少し周囲の山々を回れば、めぼしい洞窟を幾つかリストアップ出来るだろう。そうすれば場所の選定は完了し、いよいよ設営を残すのみ。期待に胸を躍らせて、茜はイロハへ連絡を送る。
「茜よ。これから入口に戻るわ」
「了解だ。さっそく次の場所を探すとしようか」
 通信を終えた茜と合流するまでの時間も、イロハは警戒を怠らなかった。
 彼方から響いてくる巨獣の声が、先程よりも少しずつ大きくなりつつある――そのことが、彼女の唯一の懸念であった。
「……さて。ここから先、何事も無いと良いんだけど」
 程なくして茜と合流を果たし、イロハは再び探索を続けていった。

 更に暫しの探索を経て、復讐者たちが選んだのは一つの鍾乳洞だった。
 時間をかけて選び抜いたその場所は、周辺に存在する洞窟の中で最も広く、活動拠点の設営にも最適だ。洞窟内にはイロハがアイテムポケットで運び込んだ工具類が既に並べられており、いつでも開拓に移れる状態である。
 そう――状況は、理想的と言ってよかった。
 イロハたち復讐者が求める、たった一つの条件を除いて。
「……やはり、足りないね。長さが」
「ええ。それ以外は問題ないんだけど……ね」
 広大な鍾乳洞の空間を隅々まで見渡しながら、イロハと茜が眉を寄せた。
 先程から二人が頭を悩ませているのは、復讐者たちが新宿島との行き来に利用する場所の確保である。往来に不可欠となるパラドクストレインの発着用スペース――これを確保する広さが、どうしても足りないのだ。
「地上の巨獣を無視して進める長い地下洞窟があればと思ったけど……流石にそこまで都合の良い場所はなかったわね」
「となると、やはり外に作るしかないか……」
 イロハは唇を噛んで、入口の方を見遣った。
 発着に使用できる条件を満たす場所が洞窟の入口付近に存在することは、二人とも確認済みである。完成したスペースに木を積み上げたり土を盛ったりすれば、外部から隠蔽することは難しくないだろう。問題は、それを行う最中の作業。すなわち完成させるまでの間にあった。
「作業をすれば音や気配は出るし、そこそこ時間もかかる……襲撃は来るわよ、確実に」
「だろうね。かと言って、洞窟の内部を掘り進めるのは現実的では無いし――」
 今後の攻略を行う上で、パラドクストレインの発着スペースは絶対に欠かしたくない設備だ。果たしてどうしたものか――そんな二人の悩みを吹き飛ばす出来事が起こったのは、正にその時であった。
「ねえ、外から巨獣の足音が聞こえない?」
「……ああ、近づいてくる。勘づかれたね、これは」
 果たしてイロハの言葉通り、洞窟の外から響いてくる足音は恐るべき勢いを盛って二人の元へ迫りつつあった。
 怒りを帯びた咆哮は、足音の主がこの一帯を縄張りとする巨獣であることを示すものだ。もはや戦闘は不可避と悟り、二人は頷きを交わし合う。
「向こうから来てくれるとはね。これは手間が省けたかな」
「洞窟に入られると厄介だわ。急ぎましょう!」
 マダガスカル島の拠点設営、その最後に現れた障害を乗り越えるべく。
 巨獣と復讐者の戦いが、今ここに始まろうとしていた。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV3になった!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
【先行率アップ】がLV3になった!

クィト・メリトモナカアイス
やんのかこらー。
両手をかかげて威嚇のぽーず。モナナナナ……!
んむ、やる気なら仕方なし。
【アイテムポケット】から黄金猫拳打棒をにょきっと取り出し戦闘開始。

「毒蛇食む断頭の爪」でさらに黄金猫拳打棒からにょきっと爪を生やしたように光を凝縮。これぞ黄金猫爪斬棒。
ん-む、当たり前といえば当たり前だけど大きい。とても大きい。
巨大神像があればとは思うけど。ないならないなりに戦うべし。
四足歩行の敵の足の間を潜り抜けてお尻の方に出たりフェイントで横から出たり、敵の大きな体の陰に隠れて視界から外れるように動き回りながら戦闘。
頭とかにはなかなか届かぬし、届かせようとしたらこっちに隙ができそう。
まずは脚とかを攻撃してダメージを与えていこう。
反撃の泥攻撃は黄金猫拳打棒でガードして直撃を避ける。
ぬおぉ、動きづらい。これは仕返しが必要。
動きづらくなった分は【泥濘の地】で相手も動きづらくする。これでおあいこ。

脚を攻撃して敵のバランスが崩れたら頭を狙っての一撃で切り裂こう。
んむ、縄張りの主?みたいだししばらくは安心そう。


月下部・鐶
義妹の小雪ちゃん(g00930)といっしょに縄張り争い!

むむっ、あたしも威嚇のポーズ!
あっこれダメそう、これってモグラでオオカミじゃん!
なんとモグラもオオカミも縄張り荒らされるとメチャクチャ狂暴になって襲ってくるって……あわわっ、本に書いてあったとーり!

ピンチだけど、それなら誘き寄せれば追っかけてくるってことだよね
泥で辺りじゅうドロドロにされる前に、【飛翔】で距離をとりながら敵を洞窟から引き離しつつ戦うぞ

スケッチブックに素早く影絵の土竜狼を描いて、追いつかれそうになったらパラドクス発動!
絵の中から地面に垂れ落ちた影が敵を地面に押し潰すよ!

小雪ちゃんにでっかい一発をお願いして、連携しながら戦うね
ここは見知らぬ土地で敵のナワバリだから周囲には常に注意するよ
地面に洞窟沢山あるらしいし、落とし穴みたいに地面に落ちちゃったら危ないからね!

戦闘が終わったら、コダマちゃんといっしょに川で泥を洗っちゃおう!
すっきりしたら秘密基地の建設を再開だー!

アドリブ連携大歓迎!


月下部・小雪
せ、せっかくいい場所が見つかったのです。
こ、ここは今日からボク達ディアボロスの縄張り、です。
お姉ちゃん(g00960:義姉)と一緒に、縄張りを守ります!
もきゅきゅきゅきゅーとコダマも威嚇のポーズでやる気十分、ですね。

【泥濘の地】を発動して移動の邪魔をしちゃいましょう。
ダイアロスさんも泥んこを使うみたいですが、ディアボロスの泥んこは一味違い、ます!
動きが鈍って、お姉ちゃんの攻撃で押し潰されているダイアロスさんに強烈な一撃をお見舞いです。
ドリルを装備して【螺旋工具装備型モーラット・コミュ】になったコダマが突貫、します!

て、敵の攻撃でコダマも泥んこだらけになっちゃってますが、
もふもふが汚れるのも気にせず頑張って、くれています!

モグラでオオカミな巨獣さんをやっつけれた、でしょうか?
そ、それでは秘密基地をもっと大きく、していきましょう!
っと、その前にコダマをキレイキレイにしてあげなきゃ、ですね。

※アドリブ連携大歓迎


一里塚・燐寧
おっと。オオカミモグラくんのお出ましかぁ。でもって尻尾は蛇? なんか妖怪みたい
ま、こいつをブッ殺しちゃえば後はあたし達が好き放題出来そうだねぇ
幸いここまでの大冒険で、残留効果はノりにノってるぉ
とっとと片付けて秘密基地づくりの続きといこーじゃん?

戦いの混乱に乗じて【狐変身】で敵の足下に潜り込み、気付かれる前に変身解除
≪テンペスト・レイザー≫を【アイテムポケット】から取り出し、『絶技:界を絶つ巨剣』で超巨大化させるよぉ!
巨大な刀身を全力で振り上げて、腹に渾身の斬撃を浴びせちゃおう
激突の衝撃で臓腑を揺らし、回転鋸刃で毛皮を裂いて体内に深々と斬り込み、狙うは解体!
足下からの不意打ちに【命中アップ】の効果も合わせて、一気に削り斬りたいねぇ

反撃の爪は得物の分厚い刀身を盾代わりにガードしたり
大きく横薙ぎに振るって泥の散弾を吹き飛ばしちゃうことで威力を抑制
凌ぎきったら駆け出して再び足下に陣取り、再度の攻撃で更に傷を広げるよぉ

はぁ~、作業服とはいえドロドロはつらいねぇ
誰か【クリーニング】持ってないのぉ?


イシュア・アルミゴス
狼だかモグラだかドラゴンモドキか知らないけどお客さん第一号は厄介者らしい。
電気マッサージと針治療どっちがいい?休んでいきなよ、永遠に。

泥遊びが好きならこっちも泥濘の地だ。泥は君だけのものじゃないよ?
トラップ生成で足を引っ掛け転がす罠を仕掛け準備は完了。
それじゃあ疲れた体に安らぎを。セルケトテイルは今日も鋭さ抜群だ。
足を溜めてそれじゃあ行こうか。残留効果で威力は増し増し。
鋭く痺れる一撃で、君の疲れをノックアウト!懐の素早く入り込み
セルケトテイルを一気に突き刺し片付けよう。
反撃の泥弾はセルケトテイルとアヌビスの守護で防御を固めて被害を減らそう。

泥のコーティングによるカモフラージュ効果は…微妙そうだね。
んじゃま、拠点作り再開といこうか。さっぱりしたいところだけど
丁度いい残留効果さん居る?居ない?そう…


 縄張りの主は大いに腹を立てていた。
 己が支配する領土を、見たことも無い二足歩行の小動物たちが勝手に探り回っていたからだ。
 主たる彼はこの地において並ぶ者無き強者であり、支配する側の存在。獣も鳥も虫も、それ以外の全ては主に怯えながら生きる弱者に過ぎない。縄張りを侵す不届き者に彼が課す制裁は、死の一文字のみであり、そこに容赦や慈悲は存在しない。
 故に、主は――『土竜狼ダイアロス』は考える。
 分を弁えぬ者共には、思い知らせねばなるまい。この地の主が誰であるかを、奴ら自身の命をもって――!

『ヴルルオオオォォォッッ!!』
 怒りに満ちた咆哮が、マダガスカル島北部の岩山に山彦となって轟く。
 雄叫びの源は、一帯を縄張りとする土竜狼ダイアロスだ。
 山の彼方から地響きを伴い、土竜狼の巨躯が姿を現す。狼とも土竜ともつかぬ異様な風貌の目指す先は、見知らぬ侵入者たち――復讐者が居る鍾乳洞であった。
 殺気を帯びた双眸で、鍾乳洞の入口を見遣るダイアロス。怯えた鳥や恐竜が蜘蛛の子を散らすように逃げていく中、巨獣の四つ足がゆっくり洞窟へ近づいていく。縄張りを侵した者共に恐怖をじっくり味わわせるように、一歩、また一歩。
 そして、その鋭い爪がいよいよ洞窟内の復讐者たちに振るわれようとした次の刹那、
「モナナナナ……! やんのかこらー」
 ぴょいっ、と。岩陰から復讐者の少女が飛び出した。
 名を、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)。巨獣の進路を塞ぐように立ちはだかる彼女は、小さな体で両手を広げ、優に10倍を超えるであろう体躯の敵へ威嚇を送る。
 対するダイアロスも、予期せぬ侵入者の出現に僅かだが警戒を抱いたらしい。全身の毛を逆立てて、威嚇を送り返す。
『ヴルルルル……!』
「モナナナナ……! モナナナナ……!」
 ダイアロスを前に一歩も退かず、更なる威嚇を送るクィト。そこに続いて岩陰から飛び出したのは、彼女よりも更に小さな者たち――月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)とコダマであった。
「コダマ、巨獣さんを威嚇です! もきゅきゅきゅきゅー、です!」
「もきゅきゅきゅきゅきゅー!」
「とうっ、あたしも威嚇のポーズ! ……がるるるるー!」
 威嚇と言うには余りに可愛らしい声が響く中、そこへ続けと月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)も飛び出して、クィトや小雪と共に威嚇のポーズを取る。肝心のダイアロスが無言を保っていることに一抹の不安は覚えたが、そこは敢えて考えないことにした。
「もきゅきゅきゅー! 心強いです、お姉ちゃん!」
「そ、そう? よーし頑張っちゃうよ! がるるるるー!」
「モナナナナナナー! んむんむ、これは効果抜群――」
 そう言って、クィトが胸を張った次の瞬間、

『ヴルルルルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォッ!!』

 三人を襲ったのは、激怒したダイアロスの咆哮であった。
 縄張りの主にとって、彼女たちの威嚇は完全な挑発と映ったらしい。マダガスカル島の全土に響きそうな大声を響かせ、復讐者を抹殺する意思を一層強固にした敵を前に、鐶は慌てつつも即座に戦闘態勢を整える。
「あわわっ、これはダメそう! 土竜と狼って、縄張りを荒らされると狂暴になるんだっけ……!?」
「んむ、敵がやる気なら仕方なし。いざー戦闘開始!」
 完全に復讐者を抹殺対象と認識したダイアロスを前に、クィトがアイテムポケットに手を伸ばした。にょきっと飛び出た黄金猫拳打棒を構え、金色に輝く肉球を印籠さながらに土竜竜へ掲げてみせる。可愛らしさと高い火力を併せ持つ、彼女愛用の武器であった。
「せ、せっかくいい場所が見つかったのです。こ、ここは今日からボクたちディアボロスの縄張り、です!」
 鐶とクィトに続けと、コダマを連れた小雪がダイアロスを睨みつける。
 巨獣大陸ゴンドワナの掟は弱肉強食、つまり強者が正しいというものだ。その掟に基づいてお前を倒し、縄張りの鍾乳洞を貰い受けると告げる小雪。そんな彼女の意思をダイアロスも感じ取ったか、復讐者たちへ牙を剥いた。縄張りの主として、刃向かう者は叩き潰すのみ――そう宣言するように。
『ヴルルルルオオオオオオオォォォッッ!!』
 小さき挑戦者たちを捻り潰さんと、ダイアロスが吠える。
 ここから先、始まるのは生きるか死ぬかの戦いだ。
 逆説連鎖戦の開始を告げるパラドクスの光が展開していく中、復讐者たちは決戦の火蓋を叩き切った。

「始まったね……! 皆、ダイアロスを洞窟から引き離すよ!」
 戦闘が開始されると同時、鐶は巨獣の注意を引き付けるべく動き始めた。
 鐶ら復讐者にとって、この戦いはただ敵を倒せば良いというものではない。拠点設営を考える上で、洞窟が被害を受けない場所で決戦を行うことが理想だった。
 ダイアロスは敵意を露わに、早くも全身から溢れ出る巨大な泥塊を砲弾の如き勢いで撃ち出して来ている。このまま戦闘が長引けば、洞窟の周囲が泥で汚れることは確実だ。四本脚の間を駆け回り、黄金猫拳打棒を振るうクィト。それに合わせ、飛翔を発動した鐶が巨獣の眼前で挑発するようにふわふわと宙を舞う。
「ほらほら、こっちだよ!」
『ヴルルルオオオォォォッ!!』
「よしっ、かかった……! このまま引き離すよ!」
 高度を低めに調整したまま鐶が合図を送ると、それに合わせてクィトと小雪も一斉に洞窟を背に駆けだした。巨獣は元より知能が低い種族だけに、誘導を疑うような事態は生じないだろう。ましてダイアロスは縄張りの主、一人の復讐者も仕留めずに逃走を許すことは彼の沽券にも関わる筈だ。
「んむんむ、追いかけっこの始まり。ゆくぞー」
「お、鬼さんこちら、です!」
 誘導は容易と判断し、洞窟を一斉に離れていく復讐者たち。果たして間を置かず、ダイアロスは三人を追って来た。縄張りの主として、不届きな侵入者は皆殺しにせねば気が収まらないのだろう。
 だが、彼は知らない。復讐者の逃走が計画されたものであることも、自分が今まさに、其の罠に嵌まりつつあることも。
「小雪ちゃん、そろそろ良さそう?」
「そうですね、頃合いです。は、始めましょう!」
 飛翔を解除して地を駆ける鐶の問いに、小雪が通信機を手に頷きを返す。
 洞窟周辺からの距離は十分。ここから先は、狩りの時間だ。
 そして――速度を一斉に緩める三人へ追いつかんとしたダイアロスめがけ、襲撃の嚆矢となる一撃を鐶が発動する。
「かげを真っ黒にぬりつぶす、かげを真っ赤にぬりつぶす、重くて歩けないぐらい、重くて立てなくなるぐらい」
 愛用の絵筆を走らせて、大きく広げたスケッチブックに鐶が描き出すのは影絵の巨獣だ。
 素早く正確な筆さばきで瞬く間に完成した其れは、『作品名【おもい、おもい、おもい、かげ】』。ダイアロスの姿を持つ影絵が紙の中から這い出すと、巨獣の影に音も無くすべり込む。そうして絵が影に同化すると同時、鐶のパラドクスは破壊の力を伴ってダイアロスの体内で暴れ回り始めた。
「かげの重さで、つぶれちゃえ!」
『ヴル……!!』
 ズン、と鈍い音が響き、巨大な脚が地面にめり込む。
 鐶のパラドクスに足を止められたダイアロスは、しかし前脚を力ずくで引き上げると、其れを即座に反撃で振るった。
 泥で覆われた鋭い爪を武器に、鐶を切り裂かんと暴れ回るダイアロス。大地を揺さぶる轟音が響き渡る只中に、モーターの強烈な回転音が混じったのは、正にその時であった。
「小雪ちゃん、今だよ!」
「ま、任せて下さい、お姉ちゃん!」
 小雪のパラドクスによって、コダマが掲げる円錐状ドリルの高速回転――其れが、音の源だ。
 自らの電撃で動力を供給、いよいよ勢いを増した凶器を構えてコダマがダイアロスめがけて飛ぶ。鐶の攻撃と息を合わせ、ダメージアップの効果を込めた『螺旋工具装備型モーラット・コミュ』の強烈な一撃をもって。
「コダマのドリルで敵を貫き、ます! スーパーぐるぐるアタック、です!」
 断続的な振動が響き、巨獣の体躯を穿つ。
 小さなコダマの体からは想像も出来ぬ強大な火力に呻き声を洩らしながら、ダイアロスが負けじと濁流を吐き出す。
 瞬く間に周囲が泥水で汚れるのも構わず、尚もドリルを振るい続けるコダマ。やがて小雪は、鐶との連携攻撃でダイアロスの動きを封じた手応えを得ると、最後の仕上げに泥濘の地を発動した。
「ダイアロスさんも泥んこを使うみたいですが、ディアボロスの泥んこは一味違い、ます!」
 パラドクスによって動きを止め、残留効果で速度を封じ。そうして全ての準備が整ったことを確かめると、クィトは手元のパラドクス通信機を通じて、その言葉を告げる。
「んむ、いざ一斉攻撃のとき。行くべし」

 そして――クィトが発した合図を皮切りに。
 岩陰で襲撃準備を整えていた復讐者たちによる、更なる襲撃が幕を開けた。

「泥遊びが好きならこっちも泥濘の地だ。泥は君だけのものじゃないよ?」
 残留効果に捉われたダイアロスめがけ、すかさず襲いかかったのはイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)であった。
 パラドクス通信機を用いた待ち伏せと、仲間たちとの阿吽の呼吸。絶妙の連携で彼が狙うのは、巨獣の大木めいて大きな脚である。セルケトテイルがパラドクスを帯びて輝き始める中、させじとダイアロスも反撃に移ろうと身構えた。
『ヴルルルルルル!!』
「んむ、隙あり。くらえー」
 同時、そんなダイアロスの意図を察したクィトは、即座に妨害へと移った。
 光の刃を凝縮させた黄金猫拳打棒を、爪を出した猫の手さながらに振るいながら、敵の足元を縦横無尽に駆け回る。鋭い傷を刻むパラドクスの斬撃に、怒り狂って反撃を浴びせるダイアロス。そうして生じた隙を突くことは、イシュアにとって実に容易いことであった。
「疲れた体に安らぎを。鋭く痺れる一撃で、君の疲れをノックアウト! セルケトテイルは今日も鋭さ抜群だ!」
 眼にも止まらぬ速度で放つ槍尾の穂先が、ダイアロスの脚を捉える。
 パラドクスを込めた『王墓を守る蠍の一刺し』は紫色の甲殻を穿ち、猛烈な電撃によって巨獣の肉体を焼き焦がし始めた。
 動きを封じ、集団で狩る――対巨獣戦闘における、それは復讐者の強みを最大限に活かした戦い方。更には、今までに重ねに重ねた残留効果によって、イシュアや仲間たちは大きな力を得る形での戦いが可能となっているのだ。
『ヴルルルルルルルッ!!』
 対するダイアロスも、自分の対峙する敵が見た目通りの弱者でないことを悟ったらしい。負けてなるものかと、イシュアが振るう槍に泥の塊を投げ返し、猛烈な反撃を開始する。
 たちまち泥で覆われていく戦場を駆け回りながら、イシュアは肩をすくめて苦笑を浮かべた。もしも洞窟前で戦いを続けていたら、現場は相当に大変な状況になっていたに違いない。だが、小雪らが敵を誘き出すことに成功した今、戦闘を躊躇する理由は存在しなかった。
「流石に巨獣の泥遊びは激しさが違うね! けど――いいのかな? 僕たちにばかり気を取られて」
 もしダイアロスが人間並みの知能を有していれば、この時のイシュアの言葉に言外の意図を読み取ったことだろう。即ち、イシュアを含む四人の攻撃は全てが布石であり、本命の攻撃はこれから始まるということに。怒り狂う心で野獣の勘が鈍っていなければ、激戦に紛れ込む形で、巨獣たる彼の足元へ飛び込んだ一匹の狐の存在にも気づいたかも知れない。
 だが、彼はその両方を見落とした。
 そして、その瞬間――縄張りの主たる彼の運命は決した。
「オオカミにモグラ、でもって尻尾は蛇? なんか妖怪みたいだねぇ」
 足元から響く聞き慣れぬ声に、ダイアロスの顔色が変わる。
 僅かな間を置いて、彼もまたイシュアが指した意味を悟ったのだろう。
 だが、その反応は余りに遅い。泥濘の地と四人の復讐者による攻撃で脚を縫い止められた彼の足元で、声の主――狐変身を解除した一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)がパラドクスを発動する。
 手に掲げるは鎖鋸剣テンペスト・レイザー。クロノヴェーダの犠牲となった人々の怨念を集積し、『絶技:界を絶つ巨剣』でみるみる巨大化する回転刃が標的へと振るわれる。燐寧が仰ぎ見る先、無防備に晒されたダイアロスの腹部めがけて。
「ま、こいつをブッ殺しちゃえば後は好き放題出来そうだねぇ。とっとと片付けて秘密基地づくりの続きといこーじゃん?」
 巨大化した鎖鋸剣の刃先が、ズブリと標的に埋まる。
 命中アップの光に導かれた刃はダイアロスの腹部に突き刺さると同時、猛烈な勢いで回転を開始。鋭い鋸刃は土竜狼の毛皮を容易く切り裂いて、その先の分厚い皮を、筋肉を、ズタズタに切断していく。
『ヴルルルルルルルァァァァァァァァァッ!!』
「あっははは! このまま解体したげるよぉ!」
 狙い済ました回転刃の直撃に、ダイアロスの絶叫が木霊する。
 燐寧の強烈な一撃を尚も耐えながら反撃の爪を振るうダイアロスだが、その攻撃にもはや開戦当初の勢いは残っていない。ここが好機と巨大化したテンペスト・レイザーを振るい続ける燐寧。そこへ小雪たちの攻撃が一層勢いを増して降り注ぐ中、セルケトテイルを構えたイシュアが不敵な笑みを巨獣に送る。
「電気マッサージと針治療どっちがいい? 休んでいきなよ、永遠に!」
 それは、縄張りの主を今まさに追われつつある巨獣に向けた、餞めいた言葉。
 こうして、洞窟からの誘き出しで始まった復讐者たちの戦いは、勝利に向けて着実な歩みを進めつつあった。

 5人の復讐者による集中攻撃は、ダイアロスを瞬く間に窮地へと追い詰めた。
 息を合わせた連携と、残留効果の活用。それらを余すこと無く駆使して戦う彼らに、もはや敗北の可能性は皆無である。
 この戦闘に至るまでに積み上げたダメージアップと命中アップがもたらす効果は、とりわけ絶大であった。増幅された怒りを込めたパラドクスを復讐者が振るう度、命中アップの導く攻撃を直撃させる度、ダイアロスの巨体には深い傷が刻まれた。そうして更に数分の攻防を経て、戦いは既に最終局面へと移りつつあった。
『ヴルル……ルルルルル……!』
 全身を血と泥で汚したダイアロスの眼には、大きな動揺の色がある。
 まさか、敗れるのか。絶対的強者であるこの自分が。そんな狼狽を露わにする縄張りの主へ今まさに敗北の二文字を叩きつけるように、鐶の影絵が、コダマのドリルが、イシュアのセルケトテイルが、燐寧のテンペスト・レイザーが、積み重なった膨大な残留効果を帯びて襲いかかり、そして、
「年貢の納め時、って奴だねぇ。観念してブッ殺されるといいよぉ!」
『ヴルルルルルオオオォォォォォォッ!!』
 燐寧の言葉と共に集中砲火を浴びたダイアロスが、無念の絶叫を上げて崩れ落ちる。
 傷だらけの四つ脚に力を込め、なおも立ち上がろうとするダイアロス。執念を帯びた眼で見上げた先、そこに彼が見たのは太陽を遮るように跳躍したクィトの姿であった。
「んむむ、これは泥攻撃の仕返し。くらえー」
 太陽よりも眩い黄金色の光が、クィトの猫拳打棒に収束。そうして彼女が振るう『毒蛇食む断頭の爪』は、猫爪めいた光刃
を形成し、ダイアロスの眉間へと突き刺さった。
「これぞ守護者にして処刑人の爪、黄金猫爪斬棒」
『ヴル――!』
 分厚い眉間を穿ち貫く猫爪斬棒の光刃が、クィトの一息で振り抜かれた。
 断末魔を発するより早く、命脈を断たれたダイアロスの瞳から光が消え、地響きと共に巨体が地に倒れ伏す。
 其れが、決着の瞬間。縄張りの主たる巨獣の死を告げるように、岩山の一帯を静寂が覆い始めていた。

 そうして、ダイアロスとの撃破完了から程なく経った頃。
「ふう、すっきり! コダマちゃん、泥は落ちた?」
「もっきゅ!」
「えへへ、きれいきれい、です!」
 鐶や小雪をはじめ、洞窟へ戻ってきた5人は入口傍で見つけた泉で汚れを落とし、心身のリフレッシュを終えていた。設営に支障が出ないよう、序盤戦で周囲に生じた僅かな汚れも、痕跡を残さず清められている。
「はぁ~、着替え持って来てて良かったぁ。アイテムポケット様々だねぇ」
「泉が複数あるのは嬉しいね。今回みたいに、男女で分けて使う時とかは便利そうだ」
 作業服の洗濯を終えて微笑む燐寧に、イシュアが同意を返す。クリーニングが無いと知った時にはどうなるかと思ったが、それも嬉しい形で杞憂に終わってくれた。
 獣たちが水飲み場に使っているであろう泉からは、澄んだ清水が絶えず湧き出している。近くには小さな川もあるらしく、拠点設営でも何らかの形で利用できるかも知れない。クィトは周囲に巨獣の気配が無いことを確かめて、安堵の息を洩らす。これでもう、設営中に襲撃を受けることは無さそうだ。
「んむ、しばらくは安心そう。ベースキャンプの設営、がんばるぞー」
 クィトの宣言に、四人の仲間も頷きで応じる。
 縄張りの主から勝ち取った鍾乳洞は、もう復讐者たちのものだ。どんな設備を何処に築くか、どんな冒険を始めるか――期待と決意と好奇心を胸に秘めながら、5人は動き出した。
「んじゃま、拠点作り再開といこうか」
「うんうん、建設再開だー! おー!」
「秘密基地をもっと大きく、していきましょう! コダマも宜しくお願い、します!」
「いや~楽しみだねぇ。最後のひと頑張り、行っちゃうよぉ!」
 ゴンドワナ東海岸の出発から始まった、復讐者たちの長き旅路。
 その最後を締めくくるベースキャンプの設営が、いよいよ始まろうとしていた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【液体錬成】LV1が発生!
【トラップ生成】がLV2になった!
【モブオーラ】LV1が発生!
【操作会得】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV4になった!
【反撃アップ】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV8になった!
【先行率アップ】がLV4になった!

月下部・鐶
義妹の小雪ちゃん(g00930)といっしょにベースキャンプの建築するぞー!
はじめての基地建設にクリエイター魂が燃える!

イロハさんが持ってきた土木道具をお借りして【操作会得】に【怪力無双】を組み合わせて、進路の邪魔になる木を斧でザクザク切って運んで、さらに丸太を組み合わせて駅を隠す土壁を補強していこう!
マダガスカルの気候だと夏は大雨が続くらしいから、小雪ちゃんが作った堀で水捌けも良くしておくね

がっつり大事な駅周辺の建設が一段落したら、汗を流す施設を作るぞ!
マダガスカルは暑いからぜったい必要!もちろん男女別々で!
獣の水場になってる泉とか、獣の邪魔にならないように、川から水を引くぞー!

あとはみんなの作業の手伝いもしっかりやって、秘密基地の完成までしっかり働くぞー!
うにゃあああつかれたー……
でも完成したベースキャンプを見上げたら、達成感でグッときちゃうね
ガッツリ調査もがんばろー!

アドリブ連携大歓迎!


月下部・小雪
お姉ちゃん(g00960:義姉)とコダマと一緒にマダガスカル島の秘密基地を建設、です!
り、立派な秘密基地を作っちゃいましょう!

まずは一番大事なパラドクストレインの発着場作りのお手伝い、です。
【怪力無双】を使ってコダマと一緒に駅を隠す土壁を作ります! 土壁を作るついでにお堀も作れば一石二鳥、でしょうか?

お次は秘密基地にあったらいいなって施設を作っていきます。
えっと、さきほど使った泉、水浴びができるのはやっぱり気持ちいいのでリフレッシュ用に専用の施設にしちゃいます?
目隠しになるように木材で木の板で壁を作って完成、です! 男性用と女性用の二つ、作っちゃいました!
ドラム缶を用意すればお風呂にすることでできそう、でしょうか?
マダガスカルの冒険の疲れをここで癒していきます。

それ以外にもみんなの作業をお手伝いなんかして、つ、ついに秘密基地の完成、です!
えへへ、みんなで作った秘密基地、です。り、立派に活用してマダガスカルを調査しましょう!

※アドリブ連携大歓迎


クィト・メリトモナカアイス
んむ、巨獣の気配もなし。
楽しく設営しよう。
でんーでれってーてて、でんーでれってーててー

まずはパラドクストレイン発着用すぺーすを完成させねばならぬ。
邪魔な岩とか木とかを【怪力無双】で運び、パラドクストレインが発着できるだけの広いスペースを作ろう。
んむ、マダガスカル駅と名付けよう。

スペース作りが終わったら次は周辺から隠す。
さっき運び出した岩とか木も利用して、壁を作っていこう。
結構ゴンドワナを探索してきたけれど。飛べる巨獣は結局いなそうなんだっけ……?
ふんむ、それならだいたい20mくらい積み上げれば巨獣からは中が見えなそう。
我らの出入り口は壁の下の方に開けておこう。

マダガスカル駅が完成したら次は内部の模様替え。
うーん……地図とかを見ながらお話できる場所とか。
見つけたものを共有したり簡単に分析できる場所が欲しい。

というわけで、切り株を使って椅子と机を作っていこう。
後は明かり。我らがいないと排斥力で明かりはどっかに消えそう……?
もちこんだ明かりを引っ掛けたり、松明を立てれるようにはしておこう。


イシュア・アルミゴス
ではでは再開、拠点構築。中に作りたいとこだけどままならないのはしょうがないね。
なるだけ目立たないよううまい具合にやっちゃいましょうか。

パラドクストレインの発着場…パラドクストレインって確か1両大体長さ20mで
高さは5mちょい、だったかな?全部隠すとちょっとした丘だね。
すべり台でも作りたいけどここは我慢しておこう。怪力無双で木切って
運んで骨組みを作成。後はひたすら土を盛るべし。木を積んでもちょっと
勘のいい巨獣には気づかれちゃうみたいだしね、先人を見るに。
しっかりかっちり作っておこう。よっぽど細い巨獣じゃなきゃ入れないよう
入口を作れば、んーいい感じ。あとはゴンドワナの植物がいい感じに成長
してくれれば目立たなくなるかな?

周囲の植物と石で寝床は作って、と。ゴツゴツしたとこで寝たくないから
なるべく地面を均しておこう。あと必要になりそうなもの…
残留効果あると大抵なんとかなっちゃうからなぁ。石窯?
煙を近くの水辺に流れるようにすれば目立たないかな?暖かいもの、食べたいしね


一里塚・燐寧
パラドクストレインの大きさって普段はあんま気にしたことなかったけど、こーゆー時は困るよねぇ
車型のタイムマシンなら洞窟でも入ったのに~

【怪力無双】で土木工事を手伝うよぉ
木を伐ったり岩や土壁を削る必要がある時は《テンペスト・レイザー》を工具として使用
もし生きた蔦とかを壁に這わせられるなら、【植物活性】で育てて覆いにするのもアリだねぇ

んで必要な設備ねぇ
あ、そいえば。万が一いきなり巨獣が襲ってきて施設が崩落したら、あたし達も無事じゃ済まないかもしれないよねぇ
ほら、翔鶴とかエブレみたいに建物ごと自爆しようとする奴がいたあたり、生き埋めになるのって復讐者でもヤバそうじゃん?
そこでいざという時にすぐ脱出できるように、構内から一方的に外が見られる方法が欲しいかなぁ
少なくともあたし達がゴンドワナにいる間は現代の機械も動くはずだし、草や岩の覆いの間に監視カメラを隠すってのはどーだろ?
電力は都度バッテリーを持ち込もう
これで、話してる途中で急にブッ潰されることはないはずだよぉ
……無理なら最悪、原始的な覗き穴でも


イロハ・アプリルシェルツ
※連携&アドリブ歓迎

おぉぅ、拠点づくりに精を出してたらアヴァタール級巨獣はいつの間にか退治されてたね。
撃退してくれた皆には感謝をしないと。

さて引き続き拠点づくりを進めないとだね、個人的に秘密基地に作っておきたいのは見張り台なんだよね。
世界遺産に登録されるぐらいの尖った岩石群と言うのは珍しいから出来るだけその地形は有効活用するとして
岩の先端へは縄梯子で登れるようにし、木材で作った見張り場を設置したいかな。
この拠点も周囲から見つかり難いようにカモフラージュしている最中だけど
巨獣やアビスローパーが発見して襲撃してくる可能性は捨てきれないから原始的だけど見張りは欠かせないと思うんだ。
取り敢えずは岩で擦れて切れたりしない丈夫なロープを【アイテムポケット】で持ち込み
開拓の際に出た木材とかを利用して良い感じの縄梯子を作り、上部には見張り台も作成しようか。
岩に溶け込むような塗装をしたりすれば良い感じのが完成だね。

此処も発着場だから駅になるのかな?
拠点名はゴンドワナ線マダガスカル島北駅(仮)あたりで。


 平穏を取り戻した鍾乳洞の前で、復讐者たちの賑わう声がわいわいと響き始めた。
 縄張りの主である土竜狼を撃破した今、脅威となる存在はもう居ない。警戒に無用な人手を割くことなく、拠点の設営に力を注げる状況であった。
「ではでは再開、拠点構築!」
 作業用のスペースへ、用意されていた道具をイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)が鍾乳洞から運び出す。
 斧や鋸、追加で運んできた小型のパワーショベルまで、文明の利器は大いに役立ってくれるだろう。資材を結わえるロープなどは排斥力の影響を受け難いよう、全て自然素材で作成してあった。
 彼らが最初に取りかかるのはパラドクストレイン発着場の作成だ。一人では相当な作業量も、大勢でやれば苦にならない。イシュアは仲間たちを振り返り、ニッと笑みを浮かべて言った。
「さてさて。なるだけ目立たないよう、うまい具合にやっちゃいましょうか」
「そうだね。足りない道具もなさそうだし、手分けして進めていこう」
 イシュアの手で広げられた青写真から顔を上げ、イロハ・アプリルシェルツ(神聖ならざる銀・g05555)は発着場の予定地へ目を向ける。
 鍾乳洞に面した其処は、洞窟内部より遙かに広いスペースであった。
 広さで言えば、最終人類史の東京ドームを超えるほどであろうか。これだけの面積があれば、パラドクストレインの発着も容易だろう。皆で作り上げる拠点がどのようなものになるか、今から楽しみで仕方ない。
「縄張りの主が襲撃して来た時は驚いたけど……あっという間に退治されたみたいだね。皆ありがとう、感謝してるよ」
「ピンチの時はお互い様、です! り、立派な秘密基地を作っちゃいましょう!」
 礼を述べるイロハに、笑顔で返す月下部・小雪(おどおどサマナーところころコダマ・g00930)。巨獣との戦闘で大いに活躍した彼女のサーヴァント、コダマも誇らしげに胸を張る。
「もきゅ、もきゅ!」
「えへへ。コダマも、お姉ちゃんも、頑張りましょう!」
「よろしくね! はじめての基地建設にクリエイター魂が燃える……!」
 義姉である月下部・鐶(さいつよのお姉ちゃん・g00960)が、小雪と仲間たちに笑みを向ける。
 眼の前に広がる大きな土地は、彼女にとっては真っ新なカンバスに等しい。これから此処に、どんな発着場を作ろうか――まさにクリエイターとして腕の見せ所であろう。地面の所々に転がった岩塊や木々も、怪力無双を使える復讐者たちにとっては大した障害にはなり得ない。
「パワーショベルは操作会得で動かすとして……他の残留効果も十分に乗ってるから、作業は問題なさそうだね」
「んむ、巨獣の気配もなし。楽しく設営しよう」
 道具類の最終チェックを終え、作業用の軍手を嵌める鐶。そんな彼女に同意を返しつつ、クィト・メリトモナカアイス(モナカアイスに愛されし守護者・g00885)は上機嫌で歌を口ずさみ始めた。
「でんーでれってーてて、でんーでれってーててー」
「もっきゅもっきゅーきゅきゅー♪」
「ふふっ。皆で作る駅、楽しみですね!」
「やー腕が鳴るね! それじゃ、気合い入れて行こうか!」
 クィトに合わせて歌うコダマ。微笑を浮かべ、作業工具を手に取る小雪。やる気満々でグッと拳を握るイシュア。
 マダガスカル島探索の最後を締め括るための一仕事に、復讐者たちは胸を弾ませ取りかかっていった。

 カンカンと斧を振るう音が、青空の下に響く。
 小さな木を切り倒す小気味よいリズムと共に、復讐者たちの作業は順調に進み始めた。
「んむんむ、まずは邪魔な物をどんどん片付けるべし」
 発着スペースの予定地で仲間たちが伐採を開始する中、クィトが着手したのは障害物の撤去であった。
 間近にある大岩へすたすたと歩み寄ると、クィトは小型トラック程の大きさを誇る其れを、無造作にひょいと持ち上げる。彼女を含む仲間たちの重ねた効果によって、駆使できる怪力無双は実にレベル4。合計12トンもの重量物を運べるクィトにとって、岩の重さは軽石と大差ない。
「これも、色々用途がありそう。端に纏めておくべし」
 まるで空の段ボール箱でも扱うように、クィトの手で邪魔な岩が次々退けられていく。
 そうして始まったのは、木々の伐採だった。一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はテンペスト・レイザーを駆動させると、大木の幹を易々と切り倒していく。木の伐採に適する鎖鋸を駆使したこともあって、作業は理想的なペースで進んでいった。
 ある程度伐採を進めれば作業のコツも掴め、心には余裕が生じる。
 そうして生じた余裕で、燐寧は仲間との何気ない世間話に会話を弾ませ始めた。
「パラドクストレインの大きさって普段はあんま気にしたことなかったけど、こーゆー時は困るよねぇ。車型のタイムマシンなら洞窟でも入ったのに」
「本当だよね。車型かぁ……バイク型とか自転車型とか、色々思いついちゃうね」
「あははっ。本当、あったら便利そうだよねぇ」
 燐寧と冗談めいた会話を交わしながらも、鐶が伐採用斧を黙々と振るう。
 やがて木がミシミシと音を立てて倒れると、鐶は切り終えた木々を燐寧と共に造作も無く担ぎ上げ、クィトが巨岩を集めた場所へと運んでいく。その量たるや、石と合わせれば見上げるほどの大きさに積み上がっており、発着スペースを隠す建材としては十分すぎる程だ。
「よいしょ……っと。これだけあれば、立派なものが出来そうだね」
「だよねぇ。どんな感じになるか、ますます楽しみになってきたよぉ」
 6人という人手、そして豊富な残留効果、更にはイロハが用意した工具の数々。全ての要素を余すこと無く活用したことで復讐者たちの作業は流れるように進んでいった。

 障害物の除去を終え、石材と木材が集まれば、次はいよいよ発着場の作成である。
 そこでは、操作会得でパワーショベルを動かす小雪が、駅を隠すための土壁を作り終えたところであった。機械で対応できないところは怪力無双を駆使し、侵入防止用の堀も万全。着々と出来上がっていく発着場を見遣って、コダマがぴょんぴょんと飛び跳ねながら喜びを表す。
「もっきゅー! もっきゅー!」
「えへへ。コダマのナビ、とっても助かりました!」
「良い感じで出来てきてるね。じゃ、次は補強作業といこうか」
 そこへ合流を果たしたのは、丸太を担いだ鐶と燐寧、そしてイシュアである。
 三人は慣れた手つきで木々を組み合わせ、土壁が崩れないよう補強をし始めた。骨組みを作成し、用意した縄で木を結び、仕上げにクィトが運搬してきた巨石を組んで壁を作っていく。周囲からの隠蔽、そして構造そのものにも頑丈さを持たせた、実に見事な出来映えであった。
「んむ。んむんむんむ。これは実に良いかんじ」
「うんうん、いいねいいね! 小雪ちゃん、グッジョブだよ!」
「えへへ。そう言って貰えると嬉しいです、お姉ちゃん!」
 小雪とコダマの丁寧な仕事に、鐶は賛辞を惜しまなかった。
 最終人類史のマダガスカルでは、夏は大雨が続く季節である。小雪とコダマが作った堀は大量の雨水もしっかり受け止め、水捌けを良くしてくれることだろう。
 そうして大凡の作業が終わり、発着場の作成は最終仕上げを残すのみとなった。
 堀や土壁、石などで作られた大きな構造物は、まさに天然の『駅』そのものだ。イシュアは青写真と巻尺を駆使しながら、諸々の寸法に誤りがないことを確かめていく。
 パラドクストレイン一両の寸法は、長さがおよそ20m、高さが5mほど。車輌をすっぽり覆ってなお余裕がある発着場の大きさに、イシュアは思わず口笛を吹いた。
「最早ちょっとした丘だね、これは。すべり台でも作りたいけど、ここは我慢しておこう」
 車輌入口は、パラドクストレインが出入りするには十分大きく、巨獣が入るには小さい絶妙の大きさだった。
 後は発着場を植物で覆い隠せば、めでたく完成となる。燐寧は生きた蔦を周囲から引き込んでくると、植物活性を発動し、石と土壁を覆っていく。
「うんうん、良い感じ。蔦は伸びるのも速いからねぇ」
「ゴンドワナの植物の生命力が、こんな時は有難いね。あんまり伸びすぎないよう、時折手入れもしてやらないと」
 そうして燐寧と場所を分担して植物を成長させると、イロハは発着場を見遣った。
「良いね。素敵な感じに出来たじゃないか!」
 築き上げた土壁は豊富な木材と石材で補強され、堅牢な作りに出来上がっている。
 パラドクストレインが出入りするのに十分な大きさを誇るそれは、緑色の蔦に覆われて、外敵の眼を巧妙に欺ける造りだ。水捌けを考慮して作られた堀は巨獣の侵入防止にも有用で、それが発着場の要所を守るように万遍なく築かれていた。外壁の下方に設けた出入口から、クィトがぴょこっと顔を出す。内部の造りもバッチリと、両腕で大きな丸を描いた。
「んむんむ、発着場は無事完成。やったぞー」
「バッチリですね! これなら巨獣さんの眼も、う、うまく誤魔化せそうです!」
「これから、此処を使って冒険に出かけるんだね。うんうん、イロハも楽しみだよ」
 完成した発着場を眺め、達成感に目を輝かせる復讐者たち。
 暫しの小休止を挟んだ後、6人の作業は次なる作業――周辺設備の準備に移るのであった。

 ひんやりと涼しい空気が漂う石灰岩の洞窟内。
 復讐者たちによって活動スペースが確保された其の区域は、広さこそ発着場には届かないが、日常生活を行うのには十分な空間であった。鍾乳洞を満たす冷気はさながら天然の冷房で、寒すぎず暑すぎない快適な温度が保たれている。其のスペースに更なる快適な設備を設けようと、イシュアとクィトは早速作業を開始していった。
「やっぱり寝床は欠かせないよね。ゴツゴツしたとこで寝たくないし」
 丁寧に均した地面に植物を敷いて、イシュアが作るのは天然の寝所であった。
 木や石を組んで作った頑丈な台に柔らかい獣の皮を敷けば、立派なベッドの完成だ。固い床が気になる者のことを考慮し、彼は手に抱えた其れを周囲の手頃な鍾乳石へ括りつけていく。
「よし、良い感じだ!」
 二つの鍾乳石の間に渡されたのは、天然素材のハンモックである。
 試しにゆっくり背を預けてみれば、イシュアを包むのは宙に浮くような心地よい感覚だ。このまま目を閉じたくなる衝動を堪えると、寝床の作成を終えた彼は次なる作業に取りかかり始めた。
「次は石窯かな。食事は最終人類史から持ち込めるけど……暖かいもの、食べたいしね」
 生存に必要な諸々は残留効果があれば大抵は問題ないが、それだけにここは譲りたくないところ。
 近くの水辺に繋がる穴を見つけたイシュアは、排煙口に用いる為の処理を手際よく済ませ、石材を丁寧に積み上げていく。
 程なくして出来上がった石積みの窯は、大きなピザくらいなら焼けそうな立派な造りだ。蓄熱性も申し分なさそうで、軽食からご馳走まで幅広い用途に使えることだろう。試しに燃やした薪の煙が、外部の水辺がうまく隠蔽しているのを確かめて、イシュアに会心の笑みが浮かぶ。
「よしよし、良い感じだ。さて、次は……」
「んむんむ。日常生活の場となればテーブルは欠かせぬ。椅子と机造り、やるぞー」
 そうしてクィトの一声で始まったのは、家具の作成であった。
 地図を見ながら話をするテーブル、見つけた物を共有分析する作業机――切り株を利用した其れが、着々と作られていく。ある程度の加工は発着場の建設中にイロハが先んじて行ってくれていたようで、丁寧に削られた切り株の傍には一枚のメモが置かれていた。
「『上等な木を選んでおいたから、そのまま使って大丈夫だよ』……んむ、有難い」
 イロハの残したメモ通り、木材はどれも頑丈な固さを誇っている。
 ゴンドワナ特有の木と思しき其れは元から水分を殆ど蓄えない性質なのか、内部にも湿気は含まれていない。時間が経って机が変形する心配も無用と分かり、クィトはてきぱきと内部の模様替えを行っていった。
 間隔を開けて置いた切り株の上、そこにドンと乗せるのは大木から切り出した立派な一枚板だ。そうして完成した卓の周りを囲むように丸太の簡素な椅子を配したテーブルや机が、鍾乳洞の中に次々と設けられていく。
「んむ、次は光源。我らがいないと排斥力で明かりはどっかに消えそうだから……」
 灯りを掛ける場所として鍾乳石を削った凹みを設け、更には松明を立てる場所を要所に設け。そうして照らし出された洞窟
の眺めは、まさに秘密基地の名に相応しい立派なものであった。

「さて。イロハも、拠点づくりに取りかからないとだね」
 鍾乳洞での設営が進んでいく一方、其の外でも建設は着々と進められていた。
 イロハが岩山の外部を利用して造るのは、天然の見張り台である。尖塔よろしく聳え立った石灰岩の山は、周囲を観察するのに絶好の場だ。足場の悪い場所に注意しつつ、目星を付けた場所に辿り着くと、イロハは手頃な場所に縄梯子を括りつけて地上へと降ろしていく。
「まあ、いざとなれば飛翔も使えはするけど……リスクを考えれば割に合わないしね」
 縄張りの主であった土竜狼を復讐者たちが倒したことで、危険な巨獣は拠点周辺には居ない状況だ。
 とは言え、マダガスカルが依然として巨獣の跋扈する大地であることは変わらない。今後、アビスローバーなどの他勢力が襲撃してくる可能性も加味すれば、監視用の設備は用意しておきたいところだ。程なくして縄梯子を使って地上に降りると、イロハは再び作業用の木材を担いで梯子を昇っていった。
「重量物を担いでも、縄の強度は問題なし……と。よし、次は設置だ」
 担いだ材料を降ろし、イロハは手早く作業を開始した。
 程なくして出来たのは、簡易式の見張り台である。木材には岩肌に溶け込む色で塗装が施されており、そう簡単に外部から発見されることは無い。上り下りの最中を狙われることの無いよう、高さに適度な頃合いを保たせてある其れは、周囲の警戒に十分貢献してくれることだろう。
「よし、と。良い感じのが完成したね……おや」
 見張り台から基地周辺を見渡し、満足の吐息を漏らすイロハ。
 と、その視界に映ったのは、入口近くで作業を行う一人の復讐者――燐寧の姿であった。

 洞窟に面した木の枝がわさわさと揺れる。
 入口付近を見渡すのに丁度良い大きさの木によじ登り、燐寧は用意した其れを太い枝の間に括りつけていく。
「敵が襲ってきた時の為に、万一の備えはしておきたいよねぇ」
 そう言って取り付けたのは、監視カメラの設置台だ。
 敵の襲撃で施設が崩落する――そんな事態を未然に防ぐため、構内から外部を見る手段を設けようと言うのだった。
 かつて戦った翔鶴やエブレのように、自爆に巻き込まれれば復讐者も命の保証は無い。生き埋めになるような事態は出来る限り避けたいところだ。
「構内から一方的に外部が見られれば、いざという時の脱出も手間が省けそうだしねぇ。やっぱり、最悪の事態は想定しておきたいよねぇ」
 カメラの設置を終えて木を降りると、燐寧は周囲へ確認の視線を向けた。
 草むらや岩の覆いに隠したカメラも風景に上手く溶け込んでおり、そう簡単に発見されることはないだろう。拠点に復讐者がいる間は排斥力も作用しないため、機械が動作しないといった心配も無用だ。電力は、その都度バッテリーを持ち込むことで対応すれば問題ない。
 アイテムポケットから取り出したノートPCを開き、カメラのコードを接続。そうしてモニタに映された映像の鮮明さに、燐寧は得たりと笑顔を浮かべた。
「あはっ、上出来! これで、話してる途中で急にブッ潰される心配はなさそうだねぇ!」
 今後の活動では、拠点を訪れる際に持参したカメラを設置台に設置、その映像を拠点内のPCで確認する――といった形で運用を行うことになるだろう。拠点に復讐者が居ても、あまり離れた距離ではカメラが動かないことは確認済みなので、その点も一応は注意が必要そうであった。
「いや-、覗き穴に頼らなくて済むのは嬉しいねぇ。……さて、そろそろ基地も完成かなぁ?」
 気づけば鍾乳洞のあちこちから聞こえる作業の音も、すっかり収まっている。
 いよいよ作業が大詰めを迎えつつあることを感じつつ、燐寧はカメラの回収に向かうのだった。

 一方その頃、入口から程近い別の場所では――。
「もきゅー! もきゅー!」
「えへへ、お湯加減は良い感じですか? 気に入ってくれて良かった、です!」
 土竜狼との戦いの後、体の汚れを洗い落とした水場。
 澄んだ清水が滾々と湧き出る泉の一つで、小雪は熱々のドラム缶風呂に歓喜の声を上げるコダマに笑顔を浮かべていた。
 程よく温まったお湯に、コダマはすっかり上機嫌の様子だ。モーラット・コミュの体には大きいドラム缶は、人間用に用意された物である。マダガスカルの冒険で疲れた後は、ここでゆっくり疲れを癒していけることだろう。
 そうして風呂上がりのコダマを小雪が丁寧に拭いてやっていると、他所の泉から水を引く作業を終えた鐶が戻ってきた。
「これで準備完了! いざ、水浴び場の設営開始-!」
「おー、です!」
 息を合わせ、拳を突き上げる小雪。そうして二人が造り始めたのは、リフレッシュ用の施設だ。
 マダガスカルは気温も高く、おまけに巨獣も跋扈する土地柄だ。土竜狼のような敵との戦いを考えれば、汗を流せる施設は是非とも欲しい。
 幸いにして泉は複数あるので、男女別の場所は容易に確保可能だ。目隠し用の木材で仕切りの壁を設ければ、完成したのは天然の水浴び場である。其処では冷たい水で汗を流すことも、温かいドラム缶風呂で寛ぐのも思いのまま。程なくして男女用の設置を共に終えると、小雪と鐶は達成感を湛えた笑顔でパシンとハイタッチを交わす。
「バッチリ完成しちゃいました! やりましたね、コダマ、お姉ちゃん!」
「もっきゅ!」
「うんうん、やったよ小雪ちゃん! よーし、後はみんなの作業も手伝って、しっかり働くぞー!」
 完成した施設を見遣り、仲間の元へ合流していく小雪とコダマ、そして鐶。
 復讐者たちの手によってベースキャンプの設営が完了したのは、それから程なくしてのことであった。

 そうして、ゴンドワナの太陽が地平線に傾き始める頃。
 全ての作業を終えた6人は、鍾乳洞に設けたテーブルを囲みつつ、作戦の最後を締め括る仕事に取り掛かろうとしていた。
「後は、これを書けば完成、ですね……!」
「だねぇ。どんな名前がいいかなぁ?」
 テーブルに置かれた一枚の真っ新な板。それを小雪と燐寧は睨みながら、あれこれと考えを巡らせている。
 最後の仕事――其れは即ち、ベースキャンプの発着場に名前を付けるというもの。
 力を合わせて造った拠点だけに、いざ名前を付けるとなると中々に悩ましい。果たしてどうしたものかと一同が悩むなか、同時に手を挙げたのはクィトとイロハである。
「んむ、我は『マダガスカル駅』がよさげ」
「『ゴンドワナ線マダガスカル島北駅』はどうかな。パラドクストレインに線路は無いけど、そこは響きの問題で」
 場に漂う沈黙は、いずれも甲乙付けがたい名前だと誰もが感じている証拠だった。
 クィトの案か、或いはイロハの案か――いっそう重苦しさを増しそうになる場の空気を払うように、手拍子がパンと響く。鳴らしたのは、イシュアであった。
「よし! だったら、二人の間をとって『マダガスカル島北駅』。それでどうかな、皆?」
「んむんむ、良いと思う」
「イロハも異議なしだよ。マダガスカル島北駅か……いい名前だね」
 他の仲間たちも異議が出ないことを確認すると、鐶はさっそく新たな発着場の名前を絵筆で描いていった。自然由来の塗料を使って筆を走らせるたび、鐶の脳裏に去来するのは長いようで短かった今までの旅路である。
 浜辺を出発し、皆で歩いたゴンドワナの海。
 コモロ諸島で過ごした、賑やかで楽しい一晩。
 旅の途中で襲いかかってきた流島亀カスケイドルたちとの戦い。
 そして――一緒にマダガスカルの大地を踏みしめて、拠点となる場所を探し出し。襲ってきた土竜狼を撃破して、拠点設営という最後の一仕事が、今ここに締め括られる。
「できた……! 後はこれを掲げれば、完成だね!」
 マダガスカル島北駅の名が書かれた看板を手に、目を輝かせる鐶。
 拠点のテーブルに響く仲間たちの拍手が、作戦の成功を高らかに告げていた。

 かくして全ての作業が終わる頃、復讐者たちは帰途についた。
 完成したベースキャンプを見上げ、鐶の口から吐息がしみじみ洩れる。マヨットを出発し、巨獣たちとの戦闘に次ぐ戦闘。そうしてベースキャンプの建設――たった一日で行われた膨大な作戦行動は、彼女に大きな疲労感と、それを上回る達成感を齎していたようだった。
「うにゃあああつかれたー……でも、なんかグッときちゃうね」
「えへへ、みんなで作った秘密基地、ですからね。り、立派に活用してマダガスカルを調査しましょう!」
 そんな義姉に頷きを返しつつ、小雪もまた完成させた拠点を見遣る。もうじきこの島で始まる、探索と戦いの日々。そこで仲間たちと紡ぐであろう日々に胸を躍らせるように。
 そうして――クィトとイロハの手で、発着場に看板が掛けられて程なく経った頃。
 彼方から向かってくる見慣れた其れを指さして、燐寧の弾む声が仲間たちへ飛んだ。
「あっ、皆! パラドクストレインが来たよぉ!」
 復讐者の築いた発着場に、トレインがゆっくりと停車する。
 イシュアは座席に腰を下ろし、遠ざかり始めたベースキャンプを仲間たちと一緒に車窓から眺め続けた。やがてその景色が見えなくなっても、復讐者たちは暫く窓の外を眺め続けていた。
「……作戦成功だね。皆、お疲れ様!」
 イシュアの言葉と共に、充足の沈黙が車内に降りる。
 其れは、彼らが携わったひとつの作戦の終わりと、次なる冒険の開始を告げるものであった。
 巨獣大陸ゴンドワナ、マダガスカル島。其処に築かれた拠点を舞台に、これより新たな物語は紡がれていくことだろう。
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効果1【操作会得】がLV2になった!
【怪力無双】がLV4になった!
【植物活性】LV1が発生!
【アイテムポケット】がLV4になった!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
【ダブル】がLV5になった!
【ダメージアップ】がLV9になった!
【ドレイン】がLV2になった!
【先行率アップ】がLV5になった!

最終結果:成功

完成日2024年06月07日