さよならサユーズ(作者 朝下万理
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#吸血ロマノフ王朝  #裏切りのサンクトペテルブルク  #サンクトペテルブルク 


 それは突然の出来事だった。
 攻略旅団の提案に従い、多方面からサンクトペテルブルクを攻撃する為に新宿駅グランドターミナルを発車し、順調に時を越えて『吸血ロマノフ王朝』サンクトペテルブルグ上空へと差し掛かりかけたパラドクストレインだったが。
 車内の電光掲示板がぽっと非常事態を知らせたが刹那、激しい衝撃が車内のディアボロスたちを襲ったのだ。
「な、なんだ!?」
 突然の衝撃にディアボロスは咄嗟にそれぞれの得物を構えた。
 一度きりの衝撃ならばパラドクストレイン側になんらかの不都合が発生したのでは無いかと考えもしただろう。
 しかし、衝撃は一度きりではない。
 二度、三度。
 四度目の一際激しい襲撃の後、ディアボロスたちは衝撃の回数を数えるのをやめた。
「……奇襲、されてないか、これ……」
 一人のディアボロスが発した呟きが、皆の意識を合致させた。
 もし、この衝撃がクロノヴェーダの奇襲であるならば、このまま黙っていればパラドクストレインが破壊されかねない。
 だけどここは上空。飛び出せば自分たちにだっけ危険が及ぶ。
 それでも皆が選んだ策は、たった一つ。
「……パラドクストレインを壊させるわけにはいかない……! 行こう!」
 その言葉に皆同意して。
 各々の決意と覚悟を胸にディアボロスたちは、パラドクストレインの扉を開けるのだった。


 普段、この場での天竜・なの唄(春告小唄・g03217)はまず皆に人懐っこい笑顔を向けて挨拶すると言うのに、今日ばかりは様子が違っていた。
 そわそわと不安げな表情で、集まってきたディアボロスを見つけるなり、
「大変ですっ。サンクトペテルブルグへ向かったパラドクストレインが、ヴァンパイアノーブルの攻撃を受けているんですっ!」
 と声を張った。
 彼女が言うパラドクストレインといえば、攻略旅団の方針によりサンクトペテルブルクを多方面から攻撃する作戦の第一陣として新宿駅を出発した列車。
 ディアボロスたちの間に緊張が走る。
「……敵の狙いはパラドクストレインの破壊にあるようですっ。ですが残念ながら今から現地に向かっても、この攻撃の阻止には間に合いませんっ。なので迎撃については、サンクトペテルブルグ攻撃作戦に参加するために乗車しているディアボロスの機転に任せるしかないですけど……」
 記念にシワを寄せながら顎先を手で覆い、難しい表情のなの唄は、
「救援機動力で現場に駆けつけることが出来れば、きっと、間に合うはず……」
 と自分の考えに確信を持つと、ふたたびディアボロスたちに向き直った。
「なので皆さんには、襲撃されているパラドクストレインを救援する為に、現地に向かっていただきたいんですっ」

 現状。
 パラドクストレインはディヴィジョンの上空に居るため格好の的となってしまい、今まさに襲撃を受けている状況だ。
「……もし乗車しているディアボロスパラドクストレインを守ろうとした場合、パラドクストレインから空中に飛び出して戦う事になりますっ。なので【飛翔】した場合と同時ように、格好の餌食……絶体絶命の状況に立たされることになりますっ」
 空に飛び出したディアボロスがパラドクストレインを守って戦ってくれれば、パラドクストレインは無事に撤退できる可能性が高くなるが……。
 それでも救援は必要になるだろう。
「現地の状況は現地のディアボロスに任せるしかありませんっ。そして、パラドクストレインが狙われているので、救援に駆けつける側の『この』パラドクストレインも、現場から少し離れた地域までしか移動できないと思われますっ」
 到着後は救援機動力を駆使し、戦闘が行われているポイントまで向かうことになるだろう。

 仔細を告げた名の唄の表情は、未だ険しいまま。
「…… 攻略旅団の情報によれば、サンクトペテルブルクに『ラスプーチン配下』が接触しているという情報もありました。なのでこの奇襲の首謀者は、怪僧・ラスプーチンと考えて間違い無いでしょうね……っ」
 呟いてなの唄は、またディアボロスたちを見やった。
「可能ならばで大丈夫ですので、パラドクストレインを襲撃してきたクロノヴェーダから、怪僧ラスプーチンの関与に関する証拠も集めていただけると幸いですっ」
 場合によっては、サンクトペテルブルクに集う大貴族達の前に、ラスプーチン派閥と戦う事になるかもしれない。
 それはホームに集うディアボロスの共通認識となりつつあった。


 ダン! と激しい殴打音が、地下施設の一室に響き渡った。
「『裏切られた』というべきか。あるいは『ついにこの時が来た』というべきか……!」
 きつく握った両の拳をわなわなと震わせて、血走った目を光らせながら怪僧ラスプーチンは今一度拳で机を叩きつけた。
「……カーミラを討ち、我らの目をモスクワの統治に向けさせた隙に、サンクトペテルブルクへの大規模侵攻を行うとはなディアボロス……! コトリン島やシュリッセリブルクへの攻撃程度ならばまだしも、よりにもよって陛下のいる首都を攻めるとなれば看過はできぬぞ」
 さらに拳を握り込めば、指の間から滲み出るのは怒りの鮮血だ。
「……我らを欺いてのこの動き。ディアボロスはついに『吸血ロマノフ王朝』を滅ぼしに動き始めるつもりか」
 だけどその兆候は以前からあった。
 怪僧ラスプーチンは一度、深く息を吸って荒れた呼吸を整えると、拳を握ったまま大きく息をついた。
「……モスクワでの我らの統治を妨害するような言動も、関係を切る気であったならば納得がいくというもの……やむを得ぬ、我が策の多くが潰えるであろうが、サンクトペテルブルクに対応を求めねば」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
3
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【神速反応】
1
周囲が、ディアボロスの反応速度が上昇する世界に変わる。他の行動を行わず集中している間、反応に必要な時間が「効果LVごとに半減」する。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【友達催眠】
2
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【液体錬成】
1
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【パラドクス通信】
2
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。

効果2

【命中アップ】LV2 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV3 / 【アクティベイト】LV2 / 【先行率アップ】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

朝下万理
 こんにちは、朝下万理です。
 吸血ロマノフ王朝のシナリオです。
 よろしくお願いいたします。


 このシナリオの参加者は、
【1】奇襲作戦のためにパラドクストレインに乗っていたディアボロス
【2】後続のパラドクストレインで救援に駆けつけるディアボロス
 のいずれかの立場になります。
「パラドクストレインを守れ」の選択肢に参加した方は必ず【1】の立場になります。
 それ以降に参加する方は、自分が【1】【2】どちらかの立場か、分かるように記載していただけるとリプレイに反映しやすくなります。

 執筆順は、②パラドクストレインを守るため飛び出し応戦→③トループス級との戦闘、④指揮官であるアヴァタール級との戦闘、その合間を縫って①情報収集を想定しています。
 ①については飛ばしていただいても問題ありません。

 その他の状況についてはオープニングや『情報』をご覧ください。
 皆様の熱の籠ったプレイングをお待ちしております。
30

このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


マティアス・シュトローマー
やってくれるね
手切れ金は高くついたけど、この状況を切り抜けられればサンクトペテルブルクに助言したラスプーチンを追い込めるはず
何としてもトレインを守り切ろう

トレインから飛び出したら【飛翔】を使い、落下する体をコントロール。襲撃してきた敵の視線を引き付けるため、こちらも敵に向かってパラドクスを放ち攻撃しよう

こんなに注目を浴びれるなんて映画のスターにでもなった気分
ギャラリーの皆様は流れ弾にご注意を
狙うのは敵群の中のトループス級一体のみ。威力の高い単体攻撃で敵を撃破、または大ダメージを与えれば、彼らの標的は自ずとトレインからこちらに移るはず

後はパラドクストレインのディフェンスに集中。ライオットシールドを構え、受けるダメージの軽減に努めよう。反撃アップ、ガードアップの効果も活用出来るだろうか
さらにトレインが被弾しない範囲で【飛翔】を使って方向転換し、クリティカルの判定や致命傷を負うのを防ぎたい
体力が残り2割を切った時点でディフェンスを解除。仲間の様子にも注意を払い誰一人欠ける事なく任務を遂行しよう


バトラ・ヘロス
決裂後即座に襲ってくるとは、さすがに判断が早いでありますね。
ですが、同盟中からいつ裏切られても対応出来るよう構えてはいました。意外とは考えません。
無双馬に騎乗し即座に外に飛び出して、トレインを守ります。

左手に方形盾スクトゥム、右手に円形盾ホプロンを構え防御を固めます。
【飛翔】を借りられるなら飛行し、仲間と連携してトレインを庇える様に位置取りします。

先ずは気を引きます。
敵陣の只中に突撃します。連鎖戦に距離が関係ないなら何処にいても同じ事です。
【鋼騎疾駆】使用。馬鎧を重甲に変化させ【ガードアップ】で防御強化。
飛翔速度に落下の勢いを乗せ、敵陣中央の一体を挑発的に踏み潰します。
即座に跳躍しトレインの傍へ。次に潰されたいのは誰ですか。

トレインをディフェンス対象とします。
二枚盾と騎馬の装甲で敵の攻撃を受け流し軽減。トレインを守りつつ自身のダメージも最小限に抑えます。体力二割でディフェンス解除。援軍が来るまで耐えます。

【防衛ライン】でトレインに追い縋る敵の移動を一瞬でも食い止められないか試してみます。


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
仲間と連携して成功へ導こう

ラスプーチンは復讐者をよく知っている
いつかこれを狙っていたのだろうな
冷静に状況を観察し対処

仲間と合わせ電車を飛び出すと同時にPD攻撃
煙幕弾を交えた銃撃で、視界の撹乱を仕掛け応戦
飛翔し注目を集め空中戦
反転し、トレインへ向いた敵を違う角度から撃ち挑発し注意を引く
随分とつまらない歌劇だな!
緩急つけた撹乱軌道で動きを掴ませない

常に戦況を観察し把握
仲間と狙い合わせ、止めを増やしてグロリアスで回復し戦線を安定
反撃、ガードアップ活用

仲間と声掛けあい連携と情報共有
序盤はトレインをディフェンス、自身の体力7割程で自分より負傷の深い仲間のディフェンスに切替
仲間の体力にも気を配り
最も体力の低い者に止めを任せる等臨機応変に

常に魔力障壁を展開し、盾を腕に構え、防具を駆使し攻防一体の立ち回り
敵の歌はピアスの音を聞き忍耐
隙を見せず、仲間と死角を補いあう位置を取る

空を舞い、十分に敵の気を引きつけたら、トレインから引き離すように降下
全員で地上戦に切替えよう
体力危険域の者が出る前に呼びかけ降下する


 パラドクストレインの扉をこじ開けると、サンクトペテルブルクの上空を吹き荒ぶ風がごうごうびゅうびゅうと唸り声をあげている。
 その吹き荒れる風や重く低く垂れ込める灰色の雲、そして止む間もない雪の向こうにぐっと目を凝らすと、この世界の景色にやけに鮮やかで何か異質な存在が見て取れた。
 それは、奇抜な衣装を身に纏った少女型のトループス級ヴァンパイアノーブル、の歌劇鬼『ドレッサー』群れ。
 あのヴァンパイアノーブルたちがパラドクストレインに対して次々と攻撃を仕掛けていた。
 その奥でパラドクストレインを見上げているのは、この作戦の現場を指揮しているアヴァタール級のヴァンパイアノーブルだろうか。 
 ドア横の手すりに捕まりながらオレンジ色の髪を寒風に靡かせて。地上を伺っていたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は、地上に敵の姿を確認するや一瞬灰色の目を細めたが、ピンチの時こそ笑えとばかりに口の端を上げた。
「……やってくれるね。これが、怪僧ラスプーチンが自分たちに向けた手切れ金だとするならば、割と高額じゃない?」
 マティアスの皮肉に「そうですね」と頷いたのは、黒い瞳で地上を見据えるバトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)。
「決裂後即座に襲ってくるとは、さすがに判断が早いでありますね」
 浅黒い手で手すりを掴む手が、微かにキュッと鳴った。
 だけど、バトラをはじめとした多くのディアボロスたちは、怪僧ラスプーチンとの同盟中からいつ裏切られても対応出来るよう構えてはいた。故にバトラは、この奇襲を意外だとは考えてはいない。
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)も強風に穹色の髪を煽られながら険しい目線で地上の敵を見据える。
「ラスプーチンは復讐者をよく知っている。故に、いつかこれを狙っていたのだろうな」
 だけどこの難局を切り抜けられれば、サンクトペテルブルクに助言したラスプーチンを追い込めるはず。
 ならば自分たちやるべきことは一つ。
 バトラはすぐさま右手と左手にそれぞれ円形盾『ホプロン』とマジックシールド『スクトゥム』を装備すると傍に無双馬『青縞』を呼び出すや否や、その背に飛び乗って灰色の世界へと身を投じた。 
 マティアスも手にしている愛用の小型拳銃『P08』のグリップを握れば、呼応してグリップを握る手がキュッと鳴る。
「――何としてもトレインを守り切ろう」
 言葉でも決意を示したマティアスと、彼の言葉にしっかり頷いたエトヴァも、パラドクストレインの乗車口の縁を蹴ってサンクトペテルブルクの冷たい空へと飛び出した。
 頬を雪が叩きつけ、耳もとを寒風が高い音を立てて鳴り叫ぶ。
 エトヴァとマティアスは【飛翔】の効果を効かせ、空中に投げ出された際に不安定になりかけた体勢をぐっと立て直す。すると、バトラを乗せた青縞もパラドクストレインを後ろの守る形で体勢を立て直した。
 体勢を立て直して改めて地上を伺えば、歌劇鬼『ドレッサー』たちが自分たちを指さしたのが見えた。
 穹色の大きな翼を一つ羽撃かせたエトヴァは、利き手に構えた魔法銃『Νέμεσις―α』のマズルを地上に向け、唱える。
「――響き、咲き誇れ」 
 同時にトリガーを引けば、弾は豊かな色彩の煙幕の尾を引きながら、灰色の世界へと急降下していき、やがて煙幕の向こうから聞こえる炸裂音で弾丸が地上の目標に届いたことを知る。
 だが、反撃とばかりに聴こえてくるのは、いかにも耳障りのいい歌声。
 その歌声には感覚を鈍らせる作用があるようで、自分の体がぐらりと揺らいだところで、エトヴァは頭を横に振って今一度、大きな翼で冷たい大気を強く叩いた。
 羽撃きを一瞬でも止めてしまっては、歌に呑まれてしまう。
「…… 随分とつまらない歌劇だな!」
 エトヴァは穹色の瞳を細めて悪態を吐きながら、挑発のための弾丸を次々と地上に降らせていく。
 今はパラドクストレイン襲われるという前代未聞の危機。
 だけどマティアスはそれすら楽しもうと、いつものように悪戯っ子の笑みを浮かべる。
「こんなに注目を浴びれるなんて、映画のスターにでもなった気分! ――Gehen wir!」
 意気揚々と唱えれば、足元に具現化されるのは、数多の大鴉。
 大きな翼をばさばさと羽撃かせても、マティアスがその背に足を掛ければ、翼を広げて主が動きやすい体勢をとってくれる良い子たちだ。
 この危機を好機に変える強運を引き寄せるために――マティアスは『P08』のマズルを一番手前の歌劇鬼『ドレッサー』に向けた。
「さぁさ、ギャラリーの皆様は流れ弾にご注意を!」
 謳い文句を高らかに口上しながらトリガーを引けば、飛び出した弾丸は強風寒風をものともせずに、必ず狙いの敵へとヒットする。
 そうすればほら、狙い通りに敵の標的が、パラドクストレインから自分たちに逸れた。
 マティアスの放った弾丸により肩を吹っ飛ばされた歌劇鬼『ドレッサー』は、マティアスを見上げるや否やくるくると回転しながら急接近急上昇。咄嗟に後方に飛ぼうとしたマティアスの脛を、スカートから覗く強靭なクリノリンで切り裂いた。
「……っ!」
 ただ掠めただけなのに衣服が裂け鮮血が飛び、痛みで思わず顔を顰めてしまう。
「にはは♪ ディアボロス、やっぱり出てきた出てきた。まるで飛んで火に入る夏の虫ダネ⭐︎」
 歌劇鬼『ドレッサー』は悪戯っ子のように――いや、狂気を添えながらにぃっと笑うと、さらにスカートに施された血塗れの回転木馬の回転速度を上げ、その遠心力を駆使しマティアスを絡め取ろうとする。
 あのスカートの裾に捉えられようものならば、完全に動きを封じられてしまうだろう。
 現に、スカートの裾から覗くクリノリンに体の一部が僅かに接触しただけでこの傷だ。
 マティアスは【飛翔】の力を目一杯使って後方へ飛ぶと、トループス級ヴァンパイアノーブルに向けてニッと笑んで見せた。
「そう簡単には捕まってやらないよ!」
 バトラが引こうとしていた【防衛ライン】は地上に引かなくては意味がないようで、上空ではその効果を発揮しないようだった。
 それを一つの学びとして、バトラはすぐに気持ちを切り替える。
 連鎖戦に距離が関係ないなら、地上にいようが上空にいようが関係ない。
 何処にいても同じ事。
「いくよ、青縞!」
 バトラが声をかければ、声高く嘶いた青縞の馬鎧が重甲に変化。重ね付けられた【飛翔】の速度に落下の勢いを乗せて、敵陣中央にいた歌劇鬼『ドレッサー』を意図的に挑発的に踏み潰した。
「ぐえっ」
 この緊迫した戦場に似つかわしくないヤラレボイスを物ともせず、青縞はくるりと踵を返すなりパラドクストレイン目指して空中を駆け上がる。
 チラと後ろを振り返れば、先ほど潰した歌劇鬼『ドレッサー』が口から血を垂れ流しながら回転しながら自分たちに迫り来る。
 だが、防御体制は万全。
「……しつこいですね」
 呟いたバトラは両手に装着したシールドと重甲に変化させた青縞の鎧を以て、歌劇鬼『ドレッサー』の反撃を受け止める。
 やがて青縞が足を踏み鳴らして威嚇すると、歌劇鬼『ドレッサー』は反撃を終えたように自分の持ち場へと戻っていった。
 その背を冷徹に見送りながら、バトラは深淵の如き瞳を敵陣に向けて告げる。
「さて、次に潰されたいのは誰ですか」
 それに反応する歌劇鬼『ドレッサー』たちは、ニヤニヤくすくすと厭らしい笑いを上空に送る。
「潰されたい? バカ言わないでよ」
「寧ろあたしたちが潰したいのは、あんたたちの後ろの鉄屑なんだよねぇ!」
「あんたたちごと、撃ち落としてあげるね!」
 と口々に告げ、パラドクストレイン目掛けて攻撃を仕掛けてくる歌劇鬼『ドレッサー』。
「させるか!!」
 パラドクストレインを護るべく相手とトレインの間へと滑り込んだマティアスは、その回転し広がるスカートの裾をライオットシールで徹底的に抑えこむと、青縞に騎乗したままのバトラも二枚の盾と青縞の装甲で敵の攻撃を肩代わりし、押さえ込みながら次のターゲットを見定めた。
「次はあなたにしましょう。ね、青縞」
 同意とばかりに青縞が嘶けば、
「一両たりとも堕とさせるものか!」
 両手中指の指輪『Dornenengel』から黄金の荊の障壁を展開させながら魔法盾『Αιγίς』を腕に構えたエトヴァは、絶えず響き渡り続ける歌声を遮るかのように、強風に揺らされるたびに繊細な音を奏るピアス『Herzensmusik』の音のみを諦聴しようと心がける。
 そして各々がパラドクストレインを庇った分の反撃に転じ、また次々と攻撃を仕掛けていく。
 パラドクストレインへのこれ以上の被弾は絶対に避けるべき。
 ディアボロスたちの強い想いは、彼らを強く突き動かす。
 そしてついに、敵軍の標的がパラドクストレインからディアボロスに完全に移ったタイミングで、三人は地上に降り立ち交戦を続ける。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【飛翔】LV2が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!

文月・雪人
【2】
※アドリブ連携歓迎

後続のパラドクストレインで急ぎ現地へ向かいたい。
先行の皆は無事だろうか、
救援機動力で皆の位置と状況を感じ取りつつ、
可能なら【パラドクス通信】で確認する。

上空の先行組とは敢えて合流せず、地上の敵へと直接向かおう。
上空の皆は集中攻撃に晒されて、トレイン防衛に手いっぱいな状態だと思われる。
反撃や陽動には動けても、敵の撃破まで狙うのは難しい状況だろう。
ならばその役目、後続の此方で担いたい。

敵の目は上空へと向いている。
奇襲を仕掛け、ダメージのある敵を優先して狙って倒しつつ、
敵数を着実に減らす事で、上空への集中攻撃を妨害する。

有明月の竜笛を吹き鳴らして、『幽玄の霧』のパラドクスを使用。
幻の中へと敵を捕らえ、敵の攻撃の狙いを狂わせて、
それでも繰り出される反撃の連撃を、此方も踊る様に【ガードアップ】で凌ぎつつ、
【命中アップ】なパラドクスの力を宿した刀で敵を薙ぎ払う。

敵数を減らしながら【グロリアス】で回復、攻撃を続け、
降下する仲間とも連携し、
可能なら挟み撃ちの形に持ち込めればと思う


 ディアボロスたちが上空にて歌劇鬼『ドレッサー』を相手取っていた頃。
 ここより少し離れた場所で停車したパラドクストレインを降りた文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は、救援機動力により現地に到着するなり上空を見上げ、小さく安堵の息をついた。
 厚く垂れ込める灰色の雲の手前に見えるのは、パラドクストレインと、三人のディアボロスたち。
 仲間もパラドクストレインも、まだ無事なようだ。
【パラドクス通信】で出現させた小型無線機からも、彼らのしっかりした声が聞こえる。
「……よかった、皆無事だ……」
 不意にふっと表情を緩ませ、安堵の息が漏れる。
 だがしかし、手放しで安心してもいられない。
 彼らは今【飛翔】中。
 集中攻撃を喰らう恐れが非常に高い上に、反撃や陽動には動けても、敵の撃破まで狙うのは難しい状況。
 それに、パラドクストレイン防衛も行ってに引き受けなければならないとなれば、遅かれ早かれ体力が尽きてしまう。
 だが今なら、幸いにして敵軍の視線は上空へと向いている。
 ならば奇襲と敵撃破の役目は、後続の此方が担おう。
 敵陣を見据えた雪人は自身の到着を上空の仲間には敢えて告げず、竜笛『有明月』を構えると、この灰色の世界に、この世界の人々が誰も目にし耳にしたことがないような晴れた日の有明の空の如く澄んだ音色を響かせた。
 明かに冴え冴えとした異国の音色は、敵の注意を引くには十分だった。、
「……ん? なんの音?」
 部隊後方の歌劇鬼『ドレッサー』たちが、この戦場には異様な澄んだ音色に耳を傾け始めたが最後。みるみるうちに彼女たちの周りに立ち篭めるのは、幽幻の霧。
 淡い色彩の柔らかな霧は彼女たちの意識をカクリヨ
「……ほわわー。なんだかふわふわしてきたよぉ」
「あたしもぉ」
「このままここで踊ってたいよねぇ」
 目をトロンとさせながら脱力する歌劇鬼『ドレッサー』は、自身の至近距離にディアボロスが現れたことなど、もう気が付かない。
「これ以上、パラドクストレインと仲間を傷つけさせやしないよ」
 普段の柔らかな表情を険しげに、雪人は『有明月』に代わり愛刀『雪月花』を柄に手を添えるなり、親やかで静かに、且つ鋭い一太刀で『ドレッサー』の華奢な体を斬り裂いていく。
 斬り裂かれた激痛で奇襲に気がついて、慌てて正気に戻って踊り始めても、ももう遅い。
 雪人は『ドレッサー』の反撃を愛刀で薙ぎ払いながら、上空を見上げれば、猛攻に耐える仲間たちの勇姿が見える。
 後少ししたら敵の意識もパラドクストレインから自分達へと移るだろう。そうなれば上空の彼らも少しは戦いやすくなるはず。
 上空で銃撃を繰り広げ、馬を操る彼らの無事と傷ついたパラドクストレインの帰還を祈りながら、雪人は敵を惑わし愛刀を振るうのであった。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!

ラズロル・ロンド
アドリブ連携歓迎

【2】で救援機動力で急ぎ駆け付けよう

あの3人なら必ず持ち堪えてくれるだろう…とは信じているが
気は焦るもので
【飛翔】の低空飛行で地面スレスレを飛びぬけ
敵発見と同時に、味方勢への攻撃に集中する敵の横っ面を強襲するべく
息を吸ってーーー

ちょっとまったぁぁーーー♪
ボイスバズーカーで味方に近い奴らから、超音量の歌声でぶっ飛ばしていこう
【グロリアス】を重ね掛け、味方を少しでも回復の機会を増やすと共に
トレイン奇襲を覆すべく、ドレッサーに攻撃を仕掛けて行くぞ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

【1】
パラドクス通信を重ね、戦場と戦況を救援組に報せよう
……来てくれたのかと、微笑んで
百人力だな

こちらは、地上への降下地点は、包囲されない端側に取り
救援の味方との挟撃に持ち込めるよう狙う
増量したグロリアスと、ガードアップ・反撃アップを駆使し
着実に継戦を行おう

仲間とPD通信で連携を取り
Wandervogel(ヴァイオリン)を演奏
情熱の旋律にのせて、輝ける焔を操りPD攻撃
仲間と狙いを合わせ
一撃で倒せる敵>消耗した敵の順に優先し攻撃
敵の数を減らし、優勢に持ち込んでいく

歌劇には音色が必要だろう
ただし、ここは俺達の舞台だ

戦況を観察し、把握
自身の体力に気をつけながら、自身より消耗した味方や、集中攻撃を受けそうな味方をディフェンス

敵の攻撃には、歌に耳を貸さぬよう、己の演奏に集中しよう
もう聞き飽きたな、身勝手な歌は
趣味じゃないので……
感覚が鈍れども忍耐を

さあ……高くつくのはそちらだ
ラスプーチンに、礼を突き返してやろう


マティアス・シュトローマー
【1】

トレインは無事に退避出来たみたいだね
役者も揃ったし、ここから反撃開始だ
地上に降り立ったら、仲間や救援組とは戦闘における方針や立ち回りを【パラドクス通信】で共有しておく

まだまだ体は動く!
そう、そのまま――俺達から目を離さないでね
敵陣に対して、救援組と挟撃出来る位置をキープしながらパラドクスを発動。ダッシュで地を駆け、密集する敵を足蹴に高く跳躍。さらに【エアライド】で宙を蹴り、衝撃波を伴う一撃をお見舞いするよ
狙いは仲間と統一し、一撃で倒せる個体を優先して撃破。また、一手で複数の敵を巻き込めるようポジション取りにも注意を払おう

反撃への対策としてライオットシールドを構え、受けるダメージの軽減を狙う。また、【エアライド】で宙を駆ける事で立体的な立ち回りを意識。敵に狙いを絞らせない事で致命傷だけは避けられたらいいな
加えてガードアップの効果も合わせて攻撃に耐え、反撃アップの効果を乗せた強烈な一撃をカウンターとして叩き込もう
これは素敵なダンスを見せてくれたお礼
遠慮無く受け取ってよ


 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)が地上を伺うと、狩衣を着た雪人が敵に対して純白の剣を振るうのが見える。
 そしてふと手のひらを天に向けると、【パラドクス通信】用の小型無線機が彼らの手元に現れた。
「……来てくれたのか。……百人力だな」
 エトヴァが胸を撫で下ろすと。ふと笑みが溢れる。
 だが、今はやっとパラドクストレインを守り切ることができた第一段階。
 エトヴァとともに地上に降りたマティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)がチラと上空を伺えば、傷ついたパラドクストレインはまるで回送列車の如く来た道を引き返し、雪を降らせる灰色の雲の向こうへと吸い込まれた。
「パラドクストレインも無事に退避できたみたいだね」
 あとは、この作戦を企てた首謀者を探り、パラドクストレインに攻撃を仕掛けた指揮官を滅せねばなるまい。
 先遣のディアボロスは着地地点を敵陣の隅に見定め、救援のディアボロスと敵を挟むように陣取った。
 これで狭襲の陣形は整ったか。
 手負であったがマティアスは、いつものように強気に笑んで見せると、ぐっと拳を握った。
「さて、役者も揃ったし、ここから反撃開始だ」
 一方、挟まれた格好の敵陣は、正面にやってきた先遣組と後ろに控える救援組を交互に見据えてぐぬぬと歯を軋ませたが。
「あーあ、降りてきちゃった」
「でも、ダンスと歌でやっちゃえばいいんだよ!」
「相手は手負いがいっぱい。ラックショーだよ!」
 と強気に笑んで見せる。
 その言いぐさにマティアスは小首を傾げて笑ってみせる。
「楽勝? 俺たちの体はまだまだ動く!」
 と、ダッシュで地を駆け始めた。
 目を細めてにんまり微笑むと、両の拳に纏ったのは鋼鉄の籠手。
 自分を見逃すまいと目を見開いている歌劇鬼『ドレッサー』に対し、
「そう、そのまま――俺達から目を離さないでね」
 と挑発すると、たんと地を蹴って一番手前の個体の肩を足蹴にした。
「みぎゃっ!」
 この戦場に相応しくないやられ声をあげた歌劇鬼『ドレッサー』を尻目にマティアスは空中を【エアライド】で蹴り上げると、雪舞う宙へと昇り、さらに硬く拳を握り込んだ。
 自分たちの前に立ちはだかるものは、この嵐の如き拳で全て薙ぎ倒す。
 まずは、空中で自分や仲間が傷を負わせた個体から。
 マティアスの鋼鉄の拳は雪を引き連れ衝撃波を纏いながら、歌劇鬼『ドレッサー』たちを吹き飛ばす。
 吹き飛ばされた個体は反撃へと転じるためゆらり立ち上がると、鮮血を吹き出しながらマティアスに迫ってきた。
 マティアスはすぐさまライオットシールドを展開させると、時に【エアライド】で宙へ飛んだりしながら、満身創痍とて無駄のない歌劇鬼『ドレッサー』の華麗な蹴りや殴打の連撃を耐える。
 が、もう彼女たちの命もここまでだろう。 
「……これは素敵なダンスを見せてくれたお礼。遠慮無く受け取って!」
 ライオットシールドの縁で彼女たちを払えば、ばたりと倒れた可憐な少女たちは二度と立ち上がり踊ることはなかった。
 同じころ。
 ここから少し離れた郊外を地面スレスレで【飛翔】するディアボロスがいた。
 白い短髪と大きな狐の尻尾を寒風に揺らす、ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)だ。
 案じるのは、襲撃されたパラドクストレインに乗車していた仲間たちのこと。
 あの三人ならば必ず持ち堪えてくれるし、パラドクストレインも守りぬいてくれるであろうと信じる一方で、万が一が頭を過ぎる。
 救援機動力と重ね付けされた【飛翔】の力がラズロルを前へ前へと押し進めているのに、やけに遅く感じてしまって、ザワザワする胸を拳でトントンと叩いて落ち着かせ、自分を鼓舞する。
「……大丈夫だ……。仲間たちもエトヴァも、堪えてくれる……!」
 そしてついにラズロルの紫の瞳は、先遣隊と先に到着していた救援のディアボロス、そして敵軍を捉えることができた。
 ラズロルは標的を見据えるとすぅっと胸いっぱい息を吸い込んで。
「ちょっとまったぁぁーー!♪」
 と、破壊力を持つに至った超音量の歌で、一番手前にいた歌劇鬼『ドレッサー』たちをあっという間に吹き飛ばした。
 だが、撃破には至らず。
 反撃とばかりに鮮やかなドレスを翻しながら立ち上がった歌劇鬼『ドレッサー』たちは、次々と踊りながらラズロルに強烈な蹴りや拳をお見舞いしていく。
「……っ!」
「っ、ラズ!」
 すかさず動いたのは、ヴァイオリン『Wandervogel』を構えたエトヴァ。
 激しいリズムを刻み奏でれば、舞曲の旋律は煌めく炎を生み出した。さらに情熱も込めれば、炎は嵐を纏い歌劇鬼『ドレッサー』の舞を彩る……いや、葬る火焔の復讐曲へと変化していく。
「歌劇には音色が必要だろう。――ただし、ここは俺達の舞台だ」
 穹色の瞳でぐっと焔の向こうを見据えれば、赤赤と揺らぐ奥に踊るのは、歌劇鬼『ドレッサー』三体分の影。
 彼女たちが火焔に焼かれながら敵が歌うのは、感覚を鈍らせ停止させる心地良い歌。
 それをヴァイオリンの演奏で掻き消しながら、エトヴァは己の奏でる音色だけに集中する。
「……もう聞き飽きたな、身勝手な歌は。そんな断末魔の子守唄は俺の趣味じゃない……」
 ヴァイオリンの音色に紛れて耳に届く歌声は幾度もエトヴァを揺さぶったが、そのうち炎が消えるとともに歌っていた少女の姿も灰となり冷たい風に吹かれて流れていった。
 重ねられた【グロリアス】の効果が、ディアボロスたちの体と傷を癒す中、
「まったくラズは、なんて無茶を……」
 ヴァイオリンを手にしながらエトヴァは、歌劇鬼『ドレッサー』から猛反撃を受けたラズロルに駆け寄った。
 ラズロルは心配顔の彼の表情にごめんと苦笑いで手を合わせ。
「いやだってさ、パラドクストレインや仲間たち……エトヴァのピンチだぞ? そりゃ焦りもするし無茶もするって」
「……でも、助けに来てくれて嬉しい。ありがとう」
 エトヴァの微笑みにへへっと笑んだラズロル。
「相変わらず仲がいいねぇ」
 二人の睦まじい様子に呆れながらも笑んだマティアスだったが、ふと歌劇鬼『ドレッサー』の亡骸の向こう、全身黒で統一されたシルクハットのアヴァタール級に目を移す。
 あれがこの作戦を実行した指揮官か。
 ならばやることは二つ。
 奴からこの件についてラスプーチン関与の情報を聞き出し、撃破する。
 ディアボロスたちは再び獲物を叶えると、残った敵を見据えるのであった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【パラドクス通信】がLV2になった!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【グロリアス】がLV2になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV2になった!

ラズロル・ロンド
ラスプーチンだよなぁ…こんな手際の良い戦略を立てられるのは
ディアボロスを試し、おびき寄せるのもお手の物だったし
僕等の行動もある程度は読める位な接点はあったしね
しかし、トレイン第2陣は読めなかったか…命令された君達の見通しが甘かったのかな?

僕はお見通しだよ風にペダチェンコに喋りながら反応を伺おう

にしても、トレインが出現して地上に降りるまでの短時間にしっかり襲撃するお手並みは流石と言うべきか
吸血皇帝様直属の軍部は手練れ揃いか…人海戦術で血眼になってサンクトペテルブルク周辺を警戒してるのかい?あ、だから折角ディアボロスが倒せそうな機会なのに、増援が来ないのかな?人手が足りない!

そんなまさか、と言わんばかりに聞いてみよう

もしくは…索敵が得意の上司様がいらっしゃるのかな?
だとしたら直ぐ見つかるのも頷ける
こればかりは、僕等もお手上げだからね。
是非名前を伺いたいよ

皇帝直属の軍部が動いていると知ってる風な態度で
それを誰が指揮しているのか聞きたい
会話は場の空気に合わせ選び
相手が話し安いよう誘導を


「ディアボロスに対してこんなに綺麗に奇襲が決まるとは……」
 老紳士風の男―― 切り裂き卿ペダチェンコは配下の亡骸を前にしながらも口角をニィっとあげて、自分を取り囲んだディアボロスを見回した。
 こいつがパラドクストレインに攻撃を仕掛けた指揮官か。
 ディアボロスが各々の得物を構えて臨戦体制に入る中、利き手に構えた得物を背中に隠しながら、白く大きな尻尾の先をふっさりと肩にかけたラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)は、一歩前に踏み出ながらこの作戦の首謀者を頭に思い浮かべていた。
 ラスプーチンだよなぁ……こんな手際の良い戦略を立てられるのは……。
 ディアボロスを試し、おびき寄せるのもお手の物だったし、僕等の行動もある程度は読める位な接点はあったしね。
「――奇襲が決まるまでは良かった」
 彼の言葉をなぞりながらラズロルは鮮やかな紫色の瞳でペダチェンコを見据え、「けど」と続ける。
「トレイン第ニ陣到着までは読めなかったか……命令された君達の見通しが甘かったのかな?」
 僕には、僕等にはお見通しだ。
 そう言わんばかりのラズロルの真剣は表情とは裏腹に、ペダチェンコは黒いシルクハットに手をやった。 
「……見通しが甘かった――それは認めましょう」
 パラドクストレインを破壊すると言う作戦が失敗したと言うのに、やけに清々しい笑顔でいられるのはなぜだろうか。
 表情にでない程度に訝しみながら、ラズロルは続ける。
「にしても、トレインが出現して地上に降りるまでの短時間にしっかり襲撃するお手並みは流石と言うべきか……。吸血皇帝様直属の軍部は手練れ揃いか……それとも、人海戦術で血眼になってサンクトペテルブルク周辺を警戒してるのかい? ……あ、だから折角ディアボロスが倒せそうな機会なのに、増援が来ないのかな? もしかして、人手が足りないとか!?」
 ラズロルが、そんなまさか! と言わんばかりに戯けた表情と仕草で伺ってみても、ペダチェンコは表情を崩さない。
 ポーカーフェイスがお得意なのだろう。
 ならば確信をついてみるか。
「もしくは……索敵が得意の上司様がいらっしゃるのかな?」
 指を下顎に当て、チラと敵の様子を伺いながら呟いた。
 すると、ペダチェンコの口角がわずかにピクリと動く。
 あたりか。
「だとしたらトレインの出現場所を直ぐ見つけられるのも頷ける。こうされてしまっては流石の僕等もお手上げだからね。……是非、その上司様のお名前を伺いたいよ」
 狐耳をピンと立ち上げて、あとは相手の反応と答えを待つだけだ。
 するとペダチェンコは、ふふふと含み笑いを浮かべたのち、顔を上げた。
「私はね、あの御方が生きていてくださって、心底嬉しいんですよ」
 あの御方? とこちらから尋ねる前にペダチェンコの口は開く。
「ラスプーチン様――この作戦は、ディアボロスの情報をスパイしていたラスプーチン様による作戦らしいんですよ。やはり、いざという時に頼りになるのはラスプーチン様ですね」
 大きく笑うことがないのは、こいつの性格的なものか。ずっと含み笑いを浮かべている。
 やはり首謀者は、怪僧ラスプーチン。
 ラズロルは仲間たちと視線を合わせると、背に隠し持っていた得物を改めて構え直した。
「首謀者さえ判ればもういいよ。あとは心置きなく貴方を潰すだけ。トレインを狙った代償は高くつくよ。覚悟しておいてね!」
 雪を従えた凍てつく風が寒いと感じられないほど、ディアボロスの闘志は延々と燃え上がっていた。
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!

マティアス・シュトローマー
なるほど
君達軍部の反応を見るに、俺達をサンクトペテルブルグから遠ざけたラスプーチンの地位は安泰って訳か
なら、奇襲作戦を失敗に終わらせ、ラスプーチン派を決戦の場に引き摺り出すためにもここは押し切らせて貰うよ

仲間と連携してパラドクスを発動。具現化した大鴉達を足場に戦場を駆け、蹴りや銃撃の連続攻撃を浴びせる。トリッキーな動きに【飛翔】も交えてさらに敵を錯乱させよう
命中アップの効果も乗せ、銃で頭部を狙いながら蹴撃で足元を掬う――指揮官サマなら当然ついて来れるよね?

仲間の攻撃を妨げないよう注意を払いつつ、ヒットアンドアウェイの戦法で敵に圧をかけていく

見ての通り元気が有り余っているんだ
俺にオペは必要ないよ
反撃はその軌道を見切り、ライオットシールドを構えながら攻撃を往なしていく。シールドで覆えない部分はガードアップの効果を活用しつつ、致命傷だけは負わないよう立ち回ろう
グロリアスでの回復も忘れずに

…ラスプーチンがスパイ活動、ねえ
一難去ってまた一難だけど、これも攻略が進んでいる証
一歩ずつ着実に進んでいこう


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

ネタは上がっているのだが、末端の知ることは少なそうか
ラスプーチンは、上官にするには現主流派より人気って所だろうか
……奴の裏の顔を知っても、慕えるなら本物の信者だな

仲間とPD通信し連携
敵の動きを観察しつつ把握
絵筆で宙に敵の姿を描き出し、分身を操ってPD攻撃
ロマノフの風景に落ちた墨の広がるようなモノクロームを纏い
本体の技巧的な戦いを、近い動きで対応させつつ
鏡写しの動きからフェイント交えて、メスを投擲、仲間の死角を分身に防がせたり挟撃の位置へ
妨害と攻撃を一体に立ち回り
やりづらかろうな
敵の立ち回りを観察し、ステップや挙動、癖、細やかな動きまで映し、行動を磨き上げていく
味方側へ隙を作り、こちらに隙あらば一撃を

自身より負傷の深い方をディフェンス
敵の攻撃には、聴覚や感覚を研ぎ澄まし、空気の揺らぎや音を頼りに精神集中、敵の気配や動きを看破し対処
攻撃は魔力障壁を展開、タワーシールドで防御

こちらを襲撃しておいて、無事で帰れると思わぬ事だ
貴方の撃破をもって、ラスプーチンへの宣戦布告返しとしよう


文月・雪人
※アドリブ連携歓迎

スパイとは、何というか物は言いようだね。
一先ずラスプーチンに関しては、情報を手土産にポジションを確保しつつあるのかな。
全く厄介な話だけれど、そう思惑通りにはさせないさ。

残る敵はペダチェンコ氏一体のみだ
引き続き【パラドクス通信】で仲間と連携して戦いたい
ダメージの多い仲間が居れば、状況に応じて攻撃を庇い
皆でフォローし合って最後まで油断なく乗り切ろう

『真理の矢』のパラドクスを使用
パラドクスの力で観察眼と洞察力を高め
【反撃アップ】の力と共に敵の弱点と攻撃の隙を見出す
得られた情報を【パラドクス通信】で仲間とも共有し
仲間とタイミングを合わせて、或いは故意にずらして攻撃を畳みかけ
霧に紛れたり死角に回ろうとする敵の動きを制限しながら
此方のペースへと引き込み戦いたい

魔力の霧に対する戦術として
『真理の矢』のパラドクスの力による破魔と炎の術を使用
【ガードアップ】で思考の鈍化を凌ぎつつ
印を結んで破魔防御結界を形成し、魔力の霧を祓い清め
敵を確と滅するべく、【命中アップ】な炎の呪詛で攻撃を重ねたい


バトラ・ヘロス
アドリブ、連携歓迎であります。

トレインは無事に帰還出来たようです。ディフェンスの体勢を解いて、攻撃に加わります。
車輌がいなくなった以上、ここから帰る手段は敵を倒すか自分が倒されるか。出来るだけの事はしてみましょう。初手はラスプーチンに取られましたが、勝つのは自分達であります。

地上に降下して飛翔を解除。
無双馬に騎乗して、長槍サリッサと魔力盾スクトゥムを構えます。
【百盾槍】を使用します。
槍と盾の複製を無数に具現化。周囲に展開します。
仲間と連携する動きで、敵側面に回り込みます。
暗殺者、でしょうか。自由に動かれると厄介です。動きを抑え込んでみます。
盾と槍を操作して、敵を包囲させます。並べ立てた盾で移動と視界を封じつつ、盾の隙間から突き出される槍衾で刺し貫いていきます。

反撃は盾群を操って防御します。死角に盾を置きながら、急所を防御。【ガードアップ】の効果を重ねて耐え抜きます。


ラズロル・ロンド
連携アドリブ歓迎
言葉こそ僕の攻撃

パラドクス攻撃で喋りながら
流石はラスプーチンと言う時は
人差し指を自分の口に添えシーっと黙らせ攻撃
さすラスはもうお腹いっぱいだよ。
反撃の霧は、思考の鈍化は頭を振り意識を保ち、立ち回る音で気配を探ろう。
距離を取り仲間との攻防の隙間を縫うように立ち回りながら声をかけ続けよう。
ウザさには自信あり!(フンス)

ラスプーチンにしっかり心酔しちゃってるねぇ
でも、その様子から、この作戦を聞かされた時は半信半疑だったのかな?
いやいや~、本当に信じちゃっていいのかい?
だってラスプーチン、ディアボロスにカーミラを襲わせた張本人だよ!
知ってる?知らなかったかい?
また裏切るんじゃないの?
一度あることは二度あるって言うし…
本当に信じられる??

なんて、戦闘の合間に言葉で揺さぶって動揺を誘い
仲間の攻撃に繋げよう
自分より負傷度が高い仲間にはディフェンスを

そろそろ黙らせる時間かな?
もういいよ。黙って朽ち果てるんだね。


 ロマノフの冷たい空の中。無双馬の青縞に乗りながらパラドクストレインをずっと守ってきたバトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)は、分厚い雲間に消えていったトレインの軌跡を見送って、小さく安堵の息をついた。
 けど、次の瞬間にはキリッと表情を硬くする。
 自分が乗っていた車輌が新宿島へと還った以上、ここから帰る手段は『敵を倒して救援に来た仲間を乗せてきたトレインに乗車する』か『自分が倒されるか』だ。
「……出来るだけの事はしてみましょう。初手はラスプーチンに取られましたが、勝つのは自分達であります」
 決意を胸に青縞と共に地上に降りるなり【飛翔】を解除し、利き手に長槍の『サリッサ』、逆の腕に魔法盾『スクトゥム』を装着し、黒く大きな瞳で目の前の老紳士――切り裂き卿ペダチェンコを静かに見据える。
 その隣、マティアス・シュトローマー(Trickster・g00097)は手を顎に当て思案していたが。
「……なるほど。君達軍部の反応を見るに、俺達をサンクトペテルブルグから遠ざけたラスプーチンの地位は安泰って訳か……。なら、この奇襲作戦を失敗に終わらせ、ラスプーチン派を決戦の場に引き摺り出すためにもここは押し切らせて貰うよ」
 と、愛用の銃を構える。
 黒髪を寒風に靡かせる文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)もペダチェンコを見据え、先ほどの彼の言葉を頭の中でリフレインさせる。
 ――この作戦は、ディアボロスの情報をスパイしていたラスプーチン様によるもの――。
「……スパイとは、何というか物は言いようだね」
 一先ずラスプーチンに関しては、情報を手土産にポジションを確保しつつあるのか。そうであれば全く厄介な話ではあるが。
「――そう思惑通りにはさせないさ」
 雪人は決意と共に口角を上げると、陰陽符を構えた。
 一方。
 ペダチェンコは、孤軍奮闘の戦いになると言うのに、深く被ったシルクハットのブリムから異様に上がった口角を覗かせていたが、ふっと顔をあげるなり、
「さぁやり合いましょうディアボロス! この戦いはラスプーチン様の生存祝いです!」
 と宣言すると、戦場を濃密な魔力の霧で覆いディアボロスの視界を奪い思考を鈍化させる。
 鈍る意識の中、その霧を各々振り払い反撃に転じ。
 攻撃へと動き出したのは、焦茶のザンバラの髪を冷たい風に揺らすバトラと、彼女を背に乗せる青縞だった。
 雪の舞う中、バトラはペダチェンコの側面に回り込むなり、
「ファランクス、アポクリズモス!」
 唱えると空中に無数に出現するバトラの得物『サリッサ』と『スクトゥム』。それらは仲間たちと共にペダチェンコを包囲する。
「暗殺者、でしょうか……。自由に動かれると厄介です。動きを抑え込んでみますね」
 告げると無数の『スクトゥム』でペダチェンコを行手を阻むと同時に視界を封じた。
「……おやおや」
 逃げ場が消えたと戯けてみせるペダチェンコを貫くのは、『スクトゥム』の隙間から突き出された無数の『サリッサ』の穂。
 盾の向こうから鮮血が噴き上がり、かなりの深傷を負わせたことを物語る。
 が、同時に飛び上がってきたのは血濡れのペダチェンコ。
「……なかなか鋭い攻撃でしたよ。ではこちらもいかせていただきますね」
 たんと地面に着地するなり、軽やかにステップを踏みながら手にした暗器でバトラと青縞を翻弄し始める。
 常に死角を取られながら受ける襲撃は、一瞬の油断が命取りだ。
「……っ!」
 バトラは急所を盾でガードしながら、その猛攻をひたすら耐える。
 最終人類史に帰還するなら、深傷を負いこんな冷たい地に埋もれたのちに漂流し帰還するよりも、仲間たちと暖かなトレインに乗って帰還した方が、断然いい。
 ペダチェンコはバトラの浅黒い肌を切り裂きながら、人の良さそうな微笑みを湛え、謳う。
「……5対1、明らかわたしの方が劣勢ですけどね、いいんですよ、全然いいんですよ。ラスプーチン様が生きていてくださっただけで――」
 が、急に彼の言葉が途絶えた。
 ラズロル・ロンド(デザートフォックス・g01587)が己の口元に立てた人差しを当て、微かに開いた口元から「シー」と音を立てたのだ。
 するとペダチェンコは、まるで言葉を忘れたように黙り込み、焦り始めた。
 まるで催眠術にかかったように、声が出ないのだ。
「……『さすラス』はもうお腹いっぱいだよ」
 目を細めたラズロルは自身の大きな尻尾をふさふさと左右に振りながら、ペダチェンコに歩み寄りながら、言葉を紡ぐ。
 戦闘の合間にこいつの心を揺さぶってやるつもりだったけど、いい機会だ。
 言葉こそ、僕の攻撃。
「ラスプーチンにしっかり心酔しちゃってるねぇ。でも、その様子から、この作戦を聞かされた時は半信半疑だったのかな?」
 片方の口端も厭らしくあげながら相手の心を揺さぶれば、反論すらできないペダチェンコは先程まで穏やかだった表情を徐々に赤く変化させていく。
 その様子が可笑しくて、ラズロルは紫色の瞳を細めた。
「いやいや~、本当に信じちゃっていいのかい? だってラスプーチン、ディアボロスにカーミラを襲わせた張本人だよ! 知ってる?」
 それを聞いたペダチェンコ目が、驚きとともに開かれた。
「その表情は知らなかったって顔だね? 『一度あることは二度ある』って言うし……ラスプーチンはまた裏切るんじゃないの? 本当に信じられる??」
 純真無垢な瞳を向けて小首を傾げれば、抉れんばかりの衝撃にペダチェンコはぐっと喉をならしてその場に蹲って咳き込み始めた。
 ラズロルはその憐れな姿にを無慈悲に見下ろし、
「まぁ、貴方にこんなこと言っても無駄だけどね。だって、僕たちが倒すから」
 そう告げるや否や、ペダチェンコが顔を上げた。
「……ラスプーチン様の行動は、全てお考えがあってのこと……。動揺してしまったのは、認めますけどね」
 口端を上げて周囲に充満させるのは、濃密な魔力の霧。
 ラズロルは咄嗟に長い尻尾を自分の肩に掛けるなり、尻尾の先で口と鼻を覆った。だが、少しずつ目の前が霞む中、ブンブンと頭を振って自分を奮い立たせた。
 ここで思考を鈍らされて膝をついたら、霧の向こうから迫るであろう刃に反応できなくなる。
 ラズロルは雪が積もっては踏まれて水と化す地面をタンと蹴って、縦横無尽に戦場を駆け巡る。
 やがて霧が収まり、ペダチェンコの太刀筋が見えた。
 そのその一瞬で地面を蹴り上げ、空中で一回転。
 長い尻尾を巧みに使い華麗に地面に着地すると、ラズロルは得意げにふんすと鼻を鳴らした。
「ウザさには自信あり!」
 エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は穹色の大きな翼を羽撃かせて霧を消し去るとラズロルの隣に並び、ペダチェンコを見据える。
「……ラスプーチン様の行動は、全てお考えがあってのこと……か。……ラスプーチンは、上官にするには現主流派より人気って所だろうが……奴の裏の顔を知っても、慕えるなら本物の信者だな」
 あとはこの奇襲についての首謀者はラスプーチン以上のネタを、この末端が知っているか否か――おそらく、知らないだろう。
 エトヴァはペイントツール『Das TOR Der Gedächtnisse』を軽やかに手に持つと、空中を軽やかになぞる。すると筆の軌跡はこの世界の風景に落ちた墨のような――色彩を持たないモノクロームを纏い、現れたのは人の良さそうな老紳士風のヴァンパイアノーブル『切り裂き卿ペダチェンコ』。
「っ。こんな面妖な技も使うとは……」
 エトヴァの目の前に立つ自分を見据え、それでもこの状況を楽しめるだけの余裕は、本物にはまだある。
「合戦と行こうじゃないか」 
 エトヴァが宣言するとペダチェンコも「面白い」と口角をあげて今一度、濃密な魔力の霧を発生させる。
 こうされてはもう、相手がどこにいるのかはわからない。
 それが、ペダチェンコ以外ならば。
 エトヴァは大きな翼を羽撃かせて霧を吹き飛ばそうとするその目前で、こちらのペダチェンコがふと横に飛ぶなり指にスラリと構えたメスを真正面へと投げつけた。
 それはエトヴァを目掛けて投擲されたメスを叩き落とし、さらにもう一射、メスを投げた。
 まるで鏡写のように行動させているから当然あちらからも、メスが飛んでくる。が、エトヴァはタンと地面を蹴るなり、そのメスをひらりと交わしてみせた。
「やりづらかろうな……」
 なんせ、エトヴァに反撃を企てようと行動しても、ステップや挙動、癖や細やかな動きまで一挙手一投足を拾われ、それを攻撃側の『自分』に全て妨害され。
 さらに高いダメージを負わされているのだから。
 今一度、大きな翼でこの世界の凍えた空気を叩けば、さぁっと音を立てるかのように霧は晴れていく。と同時に、エトヴァが描き上げたペダチェンコが、本物の鼻っ面わずかのところまでメスを突き立てたが、ゆらりとその実体を手放していった。
「……ぐっ……」
 自分の幻影にしてやられ、悔しそうな表情を浮かべるペダチェンコを穹色の瞳で見据えて、エトヴァは告げる。
「こちらを襲撃しておいて、無事で帰れると思わぬ事だ。貴方の撃破をもって、ラスプーチンへの宣戦布告返しとしよう」
「そろそろ黙らせる時間かな? もういいよ。黙って朽ち果てるんだね」
 ラズロルもまた、慈悲のない瞳で手負のペダチェンコを見据えた。
 ディアボロスとラスプーチンの軌跡は奇跡的に交わった。
 だけど、もう二度と交わることはないだろう。
「だけどその前に、パラドクストレインを襲ったことを心の底から後悔させてあげるよ!」
 自信満々に笑んで見せるマティアスが指を鳴らすと、パチンと甲高い音と共に現れたのは数多の大鴉。
 軽やかに飛び跳ねて大鴉の背に足をかければ、それに呼応して羽撃いた大鴉がマティアスを高い場所へと連れていく。
「指揮官サマなら、当然ついて来れるよね?」
 悪戯っ子の笑みで挑発しながら愛用の小型拳銃『P08』を構えるなり、頭目掛けてトリガーを引くと、マズルから発射される弾がペダチェンコの肩を射抜く。
「っ!」
「次は外さないから!」
 マティアスは大鴉の背を自由自在に足がかりに、回避行動に走るペダチェンコに銃撃の雨を降らせ続けた。
 言葉を発する隙すらない銃撃の連続にペダチェンコは逃げ回るしかなかったが。急に、足首を強い打撃が襲い、盛大に地面に倒れ込んだ。
 【飛翔】の力を借りたマティアスが、大鴉の背から飛び降りるなりそのスラリとした足首目掛けてスライディングで蹴り技をかましたのだ。
 地面に伏せたペダチェンコ。シルクハットが落ちロマンスグレーが顕になる。
 一方のマティアスはそのまま立ち上がると、拳銃のマズルを相手に向けた。
「チェック!」
 しかしペダチェンコはふっと笑んで、袖に仕込んでおいたメスを手元まで滑らせるなり身を翻しながらマティアスに斬りかかった。
「っ!」
 咄嗟に後ろに跳ねてライオットシールドを構えたマティアスに、ペダチェンコは告げる。
「まだチェックメイトにはならない」
 たんと地面を蹴るなり、マティアスの軌道を追い始めた。
「っ、見ての通り元気が有り余っているんだ、俺にオペは必要ないよ」
 冗談を交えながらタンタンと後ろに飛びながら太刀筋をシールドで弾いていく。けど、弾ききれなかった一撃が、靡くオレンジの髪の一筋を切った。
 これは本腰入れて回避しなくては、この手負いの老紳士に深傷を負わされかねない。
 そう直感した次の瞬間、マティアスはペダチェンコの後ろに回るディアボロスを見た。
 その後ろに追いついた雪人だ。
 生物は目前の獲物を狙う時、己の背後を疎かにする。
 クロノヴェーダも、ご多分に漏れない。
 ペダチェンコが目の前にご執心になっている一瞬の隙を突いて、愛刀『雪月花』の柄を握り抜刀のモーションに入る。
 が、その気配に気がついたペダチェンコは咄嗟に魔力の霧を四方八方に散布し、自分の姿をその深い霧の中に隠した。
 一瞬、ズキンと響いた頭痛は、思考の鈍化の効果なのだろう。
「パラドクストレインや仲間を狙った報いは、必ず――」
 雪人は愛刀の柄から手を離すと素早く印を組む。すると、破魔の力を宿す結界と神聖なる炎が思考を鈍化させる霧を祓うと、目の前には体勢を整え始めた標的の姿。
 今一度、愛刀の柄に手を添えた雪人は、青い瞳をさらに冷めさせてペダチェンコを見据えた。
「――詰みだよ、ペタチェンコ氏」
 一歩踏み出て抜刀の勢いで刀を振えば、咄嗟のことに目を丸くさせたヴァンパイアノーブルの胴体を炎を纏わせた美しい太刀筋で一気に斬り裂いた。
 胴体を真っ二つに裂かれたペダチェンコは、最後の足掻きとばかりにニヤリと笑い、
「……ラ、ラスプーチン様に、栄光あれ……!」
 と、辞世の声を上げながら、己の血の海の上で絶命していった。
 ディアボロスたちはクロノヴェーダたちの全滅を確認すると、各々安堵の息をついて得物を収めた。 
「……しかし、ラスプーチンがスパイ活動、ねえ……」
 マティアスも相棒の拳銃をホルダーに収めながらため息まじりに呟いた。
 自分たちとの密約の裏で――。それを思うと頭を抱えたくなるが。
「一難去ってまた一難だけど、これも攻略が進んでいる証。一歩ずつ着実に進んでいこう」
 自分に言い聞かせるようにうんうん頷きながら言葉にすると、仲間たちもその想いを肯定してくれた。
 雪人も安堵も笑みを浮かべて告げる。
「ひとまず、最終人類史に戻ろうか。パラドクストレインを守りきれたことも報告しないとね」
 するとラズロルも、
「あっちに僕たちが乗ってきたトレインが止まってる。……まぁ場所はちょっと遠いんだけどね」
 と雪人と目線を合わせて笑い合った。
 それは救援機動力の賜物。
「雪人さんもラズも、有難う」
 エトヴァは柔らかく笑んで二人に礼を告げると、バトラもそれに頷きながら暖かな列車で帰れる喜びを感じ、隣に並ぶ青縞の顔を優しく撫でた。

 いずれは終わらせなければならない同盟だったが、その終わりはあまりにも衝撃的すぎて。
 もう交わることのない奇跡的な軌跡は、ディアボロスとラスプーチンをゆっくりと別々の方向へと運ぼうとしていた。
 ひとつは暖かな場所へ。
 もうひとつは極寒の世界へ――。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】がLV3になった!
【液体錬成】LV1が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
【友達催眠】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
【命中アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【アクティベイト】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2024年05月28日

裏切りのサンクトペテルブルク

 緊急事態が発生しました。
 攻略旅団の提案に従い、多方面からサンクトペテルブルクを攻撃する為に出発した『パラドクストレイン』が、敵の奇襲攻撃を受け、危機に陥っています。
 この襲撃の裏には、ディアボロスの大作戦を予測あるいは察知して、対抗策を用意した黒幕が存在しているようです。
 襲撃されたパラドクストレインに登場していたディアボロスが決死の防衛戦を行ってくれている間に、後続のパラドクストレインで現地に向かい、救援機動力で駆けつけ、敵の奇襲部隊を撃破して下さい。

※特殊ルール
 この事件が失敗した場合、或いは『パラドクストレインを守れ』の選択肢をクリアせずに完結したシナリオが4つ以上出た場合、パラドクストレインに大きな被害が生じます。
 今後の攻略に影響を及ぼすかもしれません。なお、どのような影響が出るかは、現時点では不明です。


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選択肢『クロノヴェーダとの対話』のルール

 事件の首魁であるアヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と会話を行います(状況によっては、トループス級(👾)との会話も可能です)。
 戦闘を行わず会話に専念する事になりますが、必要な情報が得られるなど、後の行動が有利になる場合があります。
 問答無用で戦闘を行う場合は、この選択肢を無視しても問題ありません。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『👿または👾で出現する敵との会話に専念する。戦闘行動は行わない。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢『パラドクストレインを守れ(サンクトペテルブルク)』のルール

 攻略旅団の作戦に従い、サンクトペテルブルク近郊に向かっていた、パラドクストレインが襲撃を受けました。
 このままでは、パラドクストレインが破壊されてしまいます。
 パラドクストレインが破壊されれば、再び現れる保証はありません。まずは、パラドクストレインを襲撃しようとしてきた敵に対して、パラドクストレインから飛び降りながら攻撃などをして、パラドクストレインから敵の目を引き離してください。
 空中から降下中は【飛翔】と同じで、敵の攻撃の良い的になってしまいますが、なんとか耐えきって、パラドクストレインを防衛しましょう。

 今回の作戦では、逆説連鎖戦の特殊な行動である『ディフェンス』の対象として「パラドクストレイン」を指定する事も可能です。

 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。

※特殊ルール
 シナリオ完結時に、この選択肢が達成されていなかった場合、パラドクストレインは破壊されます。
 パラドクストレインが破壊される事で、今後の作戦行動に影響が出るかもしれません。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、選択肢の説明で指定された特別な効果が発生する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾ディアボロスを狙うトループス『歌劇鬼『ドレッサー』』のルール

 ディアボロスを発見した途端に、ディアボロスを狙って攻撃して来るトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 ディアボロスに攻撃を仕掛けてくれるので、敵の捜索を行ったり、周囲の被害を減らす為の行動などは必要ありませんが、戦意が高い傾向にある為、油断は禁物でしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『切り裂き卿ペダチェンコ』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 🎖🎖🎖 🔵🔵🔵🔵🔵
 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「アーニャ・シーリナ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。