地獄変第二幕『呪われた連歌』

【!期限延長により状況が困難になっています!】
 ディアボロスの活躍により、京の都を騒がせていた『数え歌殺人事件』は無事に解決する事が出来ました。
 しかし地獄変の事件はまだ終わりではありません。
 京の都では『この歌を送られた相手は、3日以内に返歌を作って、別人に送らなければ呪われて死ぬ』という、『呪われた連歌』事件が耳目を集め始めています。
 3日以内に返歌を送らなかった場合、或いは、既に、この呪いの歌を送った事がある相手に歌を送ってしまうと、体が腐り落ちて死んでしまうというのです。

 歌会などを通じて、呪いの歌を受け取ってしまった被害者に接触し、ディアボロス宛に返歌を送ってもらっいましょう。
 ディアボロスが歌の返歌を『事件を起こしているクロノヴェーダ』に送り付けて撃破する事が出来れば、『呪われた連歌』の呪いを打ち破ることが出来るでしょう。

扇の裏にはアンチョコを(作者 baron
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#平安鬼妖地獄変  #地獄変第二幕『呪われた連歌』  #地獄変 


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『皆様は既に一定の水準を越えたと思われます。次は連歌と参りましょう』
 クロノヴェーダが盛装して屋敷に鎮座し、人々を集めている。
 上座には若い貴族、下座には金持ちや武士などが居た。
「先生。その、連歌といえば今まで以上の難しさ。我らにかような雅が叶うでしょうか?」
『ホホホ。かような思いこそ不要です。殿上人の全てが可能であれば……吾のような女官など不要ですから。これを』
 クロノヴェーダはくすりと笑うと、不安げな貴族や武士の前に扇を何枚か置いた。
 そして笑いながら、クルリと裏返したのだ。
 そこには……。
「おや? 秋、月、そして白?」
「こちらには何処ぞで読んだ詩がありますぞ……?」
 この平安鬼妖地獄変に漢詩の元になる漢はなく、ただの海。
 しかし漢詩に当たるナニカがあり、読んだ覚えはあるのだろう若い貴族が首を傾げる。
『何れかを己が得意とする文言に合わせて詠みます。さすれば急場で困る事はないでしょう? 上の句は私が用意しますので、試しにこれらを用いて次の会までに下の句を用意されると勉強になるでしょう』
「なるほど! さすがは先生ですな! では早速……」
 クロノヴェーダはそれぞれの前に扇を渡した。
 全てにアンチョコとなる文字が書かれており、例えば『夏・火・夜』であるとか書かれている。
 この言葉のどれかを使い、これまで自分が得意として来た言葉に使いまわせば楽に連歌に対応できるという訳だ。
(「むむ……これは……まさか……」)
 そこで青ざめたのが武士だった。
 彼は職業柄『狩る』とか『駆る』と言う言葉などを多用し、みなにも認められている。
 だが手元に来たアンチョコの文字は『水・黒・霜』、どれも組み合わせると『お前を殺す』という意味になり易い。
 昔は気にもしていなかったが、それらの言葉を組み合わせると死を暗喩させてしまう事を理解してしまった。

「平安鬼妖地獄変の京の都で、呪われた連歌の事件が起きているようです。昔、このような呪いの手紙が流行ったそうですね」
 南河・緋奈子(人間の陰陽師・g03255)が説明を始めると、ある年齢層の人々が苦笑を浮かべた。
「呪われた歌を受け取った被害者は、3日以内に、呪いの歌を受け取っていない別人に呪いの歌の返歌を送らなければ、体が腐って死んでしまうそうなのです」
 この話は、苦笑したディアボロス達が若い当時に流行った物のようだ。
 ただし笑い話で済むようなことはなく、実際に呪い殺されるのは恐ろしい。
「当時の平安京であれば本来の返歌は、歌を送ってくれた相手に相手に返すものですが、この呪いの歌は全くの別人に送る必要があります。この悪質な所は恐怖を煽り、次々と送られた相手に恐怖が移る事でしょう」
 呪いの歌を受けた被害者は、呪いの歌を別人に返そうと歌会に参加しているようだが、他人に呪いを渡す事を躊躇して、行えないようだ。このままだと、被害者の体が腐り落ちて死んでしまうだろう。
「ですがディアボロスならば呪いなどには負けたりはしません。そして、この歌会に参加すれば、被害者と接触する事ができるので、うまく接触して、呪いの歌について話を聞きだせるようにしてください」
 被害者からディアボロスに呪いの歌を送ってもらい、その歌をクロノヴェーダに叩き返すことが出来れば、呪いの連鎖を打ち破る事も出来るだろうと緋奈子は告げた。

「歌会を主催するクロノヴェーダは、正体を隠して歌の師匠として活動しているようです。当然ながら歌の師匠として活動している間は、周囲の警戒などを行わないません。そこでディアボロスが目立つ行動をせず、正体を隠すようにして行動すれば、歌会に参加している時に正体が露見する事は無いでしょう」
 敵も多くの人を誘う以上、妙な事をして警戒されたくはないのだろう。
 逆に言えばこちらも妙な行動をしなければ、相手の警戒には引っ掛からないし、他の参加者経由で不信に思う事はあるまい。
「このような陰謀の都合上、敵クロノヴェーダは当日、歌会が行われたクロノヴェーダの屋敷に居ます。屋敷に踏み込んで、戦闘を仕掛ける事が可能となるわけです」
 この時、呪いを解く準備が出来るならば、ここで、クロノヴェーダに呪いの返歌を叩きつける事ができるだろう。
 もちろん呪いを無視することも出来る。その場合は歌会に参加せずに、歌会が終わった後にでも屋敷に踏み込めば、クロノヴェーダと戦闘を行う事も可能だ。もっとも呪いの歌の被害者の体が腐って死んでしまうので、これは最後の手段として欲しいと忠告を貰った。

「京の都で次々と起こる猟奇事件、この事件の裏には、正体が判っていない平安鬼妖地獄変の断片の王がいるのかもしれません」
 緋奈子はそう説明した後で、連歌の返しに悩む人に助言をする事にした。
「連歌の作法は色々ありますが、クロノヴェーダの呪術なのでそこまで気にすることはありません。今回のルールで言えば、『水・黒・霜』のどれかの文字を使えば、簡単に返すことができますから」
 参加者が悩んでいるのは、呪いの句になるように導かれている事だ。
 それは歌の師匠として接近し、以前からそうなるように仕組んだからでもある。
 逆に言えばディアボロスであれば、心のままに詠むことで、ただの文言にしかならないのだから。
「またパラドクストレインが敵ディヴィジョンに到着するまでは、他の仲間と共に作戦を練る事も出来ますので相談するのも良いかもしれませんね」
 そう言って緋奈子は敵が来る屋敷の位置だとか、資料を置いて相談を見守るのであった。

「明日出る『お題』の一つは巡りか。月か秋を見て思うのであろうのう」
 クロノヴェーダは簡単な出題を出す。
 そうでなければ参加者が容易出来ないし、徐々に難しい問題にする過程だからだ。
 期日を明日に控えたこの武士も、宿題が呪いの歌になるのでなければ意気揚々と詠んでいただろう。
 なるほど分かり易いお題であり、5・7・5で先に簡単な上の句を詠んであれば、自分が下の句を読むのはイメージし易い。
 もらったアンチョコの『水・黒・霜』のどれかを使うというルールがあるので、それも難しくはない。だが……。
「以前より教えていただいた言葉が『狩る』と『駆る』、ワシに似合いの言葉なのじゃが、どうやっても不成立か殺し文句にしかならぬわ。いっそ代ると読み替えて……駄目じゃの、これではワシが地獄の使者になってしまうではないか」
 クロノヴェーダはやはり和歌を詠み易くするアイデアを、以前より伝えていた。
 これを決め打ちして流用するのが手っ取り早く上達するコツであり、流用が難しくなるにつれ頭のひねり方も学んでいる。
 これを使わないと他の仲間も何故使わないのかと思うだろうし、不信に思わせないような返しを思いつけなかった。
 そう、クロノヴェーダは以前よりこうなる様に仕向けていたのだ。
 そして一度呪いの歌として成立すれば、お題など無視して呪いの歌を巡らせねばならないのである。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【士気高揚】
1
ディアボロスの強い熱意が周囲に伝播しやすくなる。ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の一般人が、勇気のある行動を取るようになる。
【悲劇感知】
1
「効果LV×1時間」以内に悲劇が発生する場合、発生する場所に、ディアボロスだけに聞こえる悲劇の内容を示唆する悲しみの歌が流れるようになる。
【一刀両断】
2
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【腐食】
2
周囲が腐食の霧に包まれる。霧はディアボロスが指定した「効果LV×10kg」の物品(生物やクロノ・オブジェクトは不可)だけを急激に腐食させていく。
【避難勧告】
2
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【プラチナチケット】
1
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、最大で「効果LV×10度」低下可能になる(解除すると気温は元に戻る)。ディアボロスが望む場合、クロノヴェーダ種族「アルタン・ウルク」の移動速度を「効果LV×10%」低下させると共に、「アルタン・ウルク」以外の生物に気温の低下による影響を及ぼさない。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【建造物分解】
3
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【口福の伝道者】
1
周囲が、ディアボロスが食事を摂ると、同じ食事が食器と共に最大「効果LV×400人前」まで出現する世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV8 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【ロストエナジー】LV2

●マスターより

baron
baronと申します、よろしくお願いしますね。
今回は連歌を作る話ですが、平安貴族名物のアンチョコ・カンペを利用した『あるある技』を主題にしました。

●選択肢1
 呪いの言葉を受け取った武士は悩んでいますが、彼が置かれた状況が悩ましいだけです。
(水・黒・霜は死や終焉を暗喩することが多いのは確かですが、良く使う言葉もあり、咄嗟に思いつけないだけ)
よって彼以外ならば問題ないので、「良い返しを思いついたから」と説得するのは難しくないでしょう。
また職業柄、どんなルートで巡回したり、休日になって歌会に赴くかは把握できます。

この選択肢の後に、クロノヴェーダとの歌会、そして戦闘が始まります。

●選択肢2
 クロノヴェーダともお話しできますが、これは事件用ではなく、交流用であり別の歌会になります。
基本は貴族や代々続く商人が招待された上流階級の歌会ですが、歌を即興で詠めるならば通してもらえます。
なお季節がら『秋』『月』が主題になる事も多く、知って居れば詠むのは難しくないとされます。
要するにお題を教えてもらえるかと言うコネ、あるいは調査できる手腕を求められているとも。
(選択肢1から戦闘に繋がるので、成立しなくとも構いません)

●選択肢3
 呪いの歌を返すお屋敷に移動して歌を叩きつけたり、終わってから攻め込むと護衛として現れます。

●選択肢4
 有名な女官の名を名乗る鬼。幻術を操り、その人の大切な人間だと思わせ、敵味方の位置を誤認させる外道な術の使い手。
なお、それらしい言葉を察して惑わせたり、自分と相手の位置・歴史・認識を書き換えているだけで、特に記憶が読めるわけでも転移できるわけでもありません。
(トラウマを抉られたい方が居られれば抉りに行きます)
126

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


天破星・巴
【アドリブ・連携歓迎】
呪われ死を待つ恐怖、自らが呪いを押しつけてしまう恐怖と悔恨
呪いが鎖の如く連鎖していく実に悪辣な仕組みじゃ
人を呪わば穴二つ、今回必要な穴は呪いをばら撒く元凶一つ分で十分じゃ

まず歌会というのがどいうものか参加してみるのじゃ

角は上手くお団子で隠し、手袋をつけ巫女服姿で参加
巫女も教養が必要なので勉強に来たと述べる

「紅葉散り 社は紅に 染まりゆく 掃けども掃けど 勤め終わらず」
お掃除してもまたすぐに落ち葉だらけになってしまう嘆き

呪いをばら撒く対象を集めるため参加者を募っているはずなので
参加者どなたに紹介いただいたか機会があれば聞きたいところじゃ



「なるほどのう。呪われ死を待つ恐怖、自らが呪いを押しつけてしまう恐怖と悔恨」
 天破星・巴(反逆鬼・g01709)は飴でも舐める様に、事件をその舌先に載せた。
「呪いが鎖の如く連鎖していく実に悪辣な仕組みじゃ。人を呪わば穴二つ……」
 理屈を紐解きウンウンと頷いて問題の屋敷に向かった。
 とある貴族の屋敷で、あちらも招待客に過ぎない。情報を集めるには十分だ。
 そして鬼の角をお団子頭で隠し、巫女装束を着て汚れを嫌う様に手袋を身に付けて見せる。
「いずこかの巫女殿で?」
「はい。昨今は巫女も教養が必要でございますゆえ」
 不審には思われはしなかったが、代わりに出されたのは一枚の紙。
「何か歌をいただければ、誰ぞ紹介状の代わりにいたそう」
「では、僭越ながら……」
 この屋敷の会には誰でも訪れて構わないが、足切りが存在する。
 その境は歌を詠む能力であり、あるいはその事を聞きつけておく能力だ。
「紅葉散り、社は紅に、染まりゆく。掃けども掃けど、勤め終わらず」
「ふむ……」
 巴は掃除しても、またすぐに落ち葉だらけになってしまう嘆きを謡った。
 判り易く裏が無く、純粋な気持ちを表す古い形式の詩である。
「みなさま方、どう思われます?」
「今様にはあらぬが、素直で心地よい」
「わたくしは悪くないのではないかと思いますよ」
 その場に居た者の中には色々な意見があった。
 肯定も否定もあるが、ちゃんと歌をよどみなく読んでいる時点で問題は無い。
 重要なのは、『ある人物』が関心を持つかどうか。
(「やはりのう。呪いをばら撒く対象を集めるため参加者を募っているはず。敷居を別けるのは、やはりこやつか」)
 巴は言葉を控えて見守るのだが……。
 決定打になったのは、今回の事件を起こすクロノヴェーダであった。
 名を東宮左近と言う。
「良し、と?」
「よろしくてよ。社を染める紅が目に見える様ではないですか」
(「何がよろしかろう、じゃ。鬼ゆえにそう反応しただけであろうに」)
 巴は歌を偲んだ、情景の裏を思って苦笑する。
 きっと鬼ならば、神社を血に染めた……その連鎖が終わらぬと読み替えたのであろう。
「本日はこの場へ皆様のお点前を拝見に参りました。まだまだ至らぬ身、参加者どなたにお教えいただく機会があればと……」
「ではわたくしの歌会においでなさいな。ほど近くにありますゆえ」
 呪い歌を詠ませる相手をこんな会を経て募集し、そしてゆっくりと呪いを仕込んでいくのだろう。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【建造物分解】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!

菅原・小梅
◆行動
急いては事を仕損じるとも言います
私は歌会に潜入し、次の連歌のお題を先んじて確認しましょう

【プラチナチケット】を使用し
お忍びで参加した何処の貴族の子息と言う体裁で紛れ込みます
上質の香を焚き込め赤と濃赤の重ねの水干装束に身を包み
【歴史知識】など相応の学も備えているなら怪しまれないでしょう

程好く馴染めましたら歌を詠みましょう

『道の辺の 紅葉のしとね 重ねれば 白鶺鴒(はくせきれい)の 台(だい)ぞ見えぬか』

割と露骨なおねだりの歌を詠んだのですし
後で白鬼歌仙の遣いから言伝(次のお題)を頂けませんかね(チラッ)

何度も参加している方も居るでしょうし
どの様な方が参加しているのか【情報収集】しましょう


結城・礼音
「巡りゆく ときの流れに 薄れゆく 君への思ひ 月に重ねる」
と、でも歌いましょうか。
上品な着物に翡翠の帯留め。裕福などこかの女主人か女将、って雰囲気で歌会に参加します。
ついでに美味しい和菓子も持参しましょうか。
そして歌の師匠についての情報を集めます。

……「東宮左近」先日からすごく気になっていたのですが、あらあら「女房三十六歌仙」の1人じゃないですか。まあ。「和歌」をこんなことに利用するなんてねえ。
扇で口元を隠して微笑みながらも、静かな怒りが満ちてくる。
キチンとお返しをしなければ。と決意します。

※仲間との協力大歓迎です。



「みなさま、あちらに」
「ご配慮ありがとうございます」
 菅原・小梅(紅姫・g00596)はパラドクスを用いてこの会場に先行していた。
 基本的には情報収集が目的で、仲間たちが集うのを眺め必要とあれば介入する可能性もあろう。
 もちろん情報は交換し合うのは大前提であった。
(「急いては事を仕損じるとも言います。ここは情報収集と参りましょうか」)
 そう言って小梅は流れる所作で着席した。
 足首の返しと膝の動きだけで腰も曲げずに座って見せる。
 服には上質の香を焚き締め、赤と濃紺を重ねて僅かに袖から全色を覗かせていた。
「おや、また来られましたな。やはりその才を頼られる方は多いのでしょう」
「次の方はどうなるやら」
 歌を詠んで参加する足切りは、いわば上流階級のステータスだ。
 才能による許しを最上として、コネによる許し、最後に金による許しと続く。
 一定の力が無ければ参加は許されず、許された者にとって試験官でもないのに入り口を眺めるのは、己の力量を確認する……そんな浅ましい理由である。

 だがこの一体感こそが重要なのだろう。
 一体感とサロンに入り浸る優越性こそが、呪われても迂闊に相談することを躊躇われる。
「そうですね。あの方ならば当然でしょう」
「東宮左近さまの出入りする会。それは縁を繋ぎたくもなりましょう」
 小梅はさりげなくクロノヴェーダを持ち上げつつ、周囲の様子を観察していた。
 この仕組みを考えた者がこの相手かは別であるが、前にあった歌の事件にも共通する根深く絡まる蔦のような呪詛。
 どこまで続くのかと思いを馳せた。
「巡りゆく、ときの流れに、薄れゆく。君への思ひ、月に重ねる」
 新しい試験者は結城・礼音(人間の特級厨師・g00964)であった。
 時が流れて巡ると直球に見せて、下の句で人の思いに変化させることで技を取る。
 更に月の満ち欠けに相応したことで、最初は重ね過ぎたと思われた時間の巡りが、『重ね過ぎた事で欠け、思いが移ろった』と多重に引っ掛けてあるのだ。
「問題ないのではありませんか?」
「作用ですな」
「それよりも、そろそろ締めてしまいませんか。あの歌の様に時間は無限ではございませぬ」
 小梅は特に参加者として認めたり、否定もせず代わりに時間を理由に後続を切った。
 他のディアボロスは来ないと聞いているので、これ以上は余分で余計であろう。
 黒幕と話す機会は無くなるし、万が一にでも巻き込んだら危険である
「ありがとうございます。歌の師を求めておりまして」
「貴女もですか? 私もですよ」
「同じく」
 礼音が静かに頭を下げて、上品な着物で腰を下ろしつつ胸を張り直して帯留めをチラリと見せた。
 翡翠をあしらった美しさと共に、派手過ぎない上品な逸品だ。
 そして宝石自慢をするではなく、代わりに珍しい菓子を出すことで遠慮をして見せた。
 その仕草はいずれかの女主人か、あるいは何処かの大棚の女将と言った風情。
「……小大君さまの居られる会とは知らず、とんだ粗相を申しました。道理で出入りの課題も難しいと」
 何かに気が付いたかのような仕草で礼音は畏まって見せた。
 東宮左近とは官職名……今少し親しい者に対する名は小大君。
 女房三十六歌仙にして三十六歌仙そのものにも名を連ねる才人である。
 この時代、紫式部は生まれたばかりで清少納言も小娘であろう。
「いえいえ。構いませぬよ。とはいえ身を立てる証も無く……いかがしたものでしょう」
 交友関係もいずれも名のしれた才人ばかり。
 その正体を知れば我も我もと、歌を習いたい、あるいは権力者への仲介を求めて参加するのも頷けよう。
 同時にこういった人物は『騙り』も多い、帳越しで顔を合わさず香りと歌で判別する程度、偽者が多いのも仕方はない。
「人は言葉ではなく行いで真偽を示すと申します。やはりここは歌ではいかが?」
「構いませぬが、なんと申せば釣り合いましょう? わたくしならずとも、歌なぞ幾らでも読めましょうに」
 小梅が促すと東宮左近はやんわりと頷いた。
 この時代、女官とで無学に近い者は居る。
「……道の辺の、紅葉のしとね、重ねれば。白鶺鴒の、台ぞ見えぬか」
 だが宮中での女房のやり取りと言えば、小気味よいやり取りと相場は決まっていた。
 小梅は用意していた歌で、次の歌会のお題を教えて欲しいと尋ねてみる。
 勿論他の詩で返すことはできるが、ここは次の会で使うお題を混ぜる方が良いだろうと参加者を見渡す。
「さようですね。では……」
 そして、その視線が参加者を見据えて最後に東宮左近に移ったことで、彼女もそれを理解したようだ。
「月の刻は、うつりにけりな、いたづらに。我が身あおぎて、眺めせしまに」
「まあ、小町ではありませぬか。深草少将は何方なのでしょうね」
 東宮左近は次のお題は月齢による変化、すなわち過ぎ行く時間であると告げた。
 礼音はその歌を聞いて小野小町からの本歌取り、そして自分が呼んだ最後の試験歌を意識していたと悟る。
 そして参加者が呪いの詩を貰った時にはもう遅く、悩んでいるうちに時間が無くなるぞと言う意味になるのではないかと……静かに怒りを隠していた。

 まさか和歌を此処まで利用し、愚弄するモノが現れようとは思わなかった。
 だがしかし、呪われた歌会が近づいているのは間違いがないのである。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
【口福の伝道者】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【ガードアップ】LV1が発生!

狭間・ならく
……よし、楽〈ガク〉はともかく雅な遊びはアタシにゃ分からん。なんとかしてくれモコモコ野郎(端末に保存された電子書籍からデータを抽出)(モコモコががんばるだけのターン)

えーとほら、昔の歌からいい感じのやつを引用とかしたらいいんじゃねぇか。
御井の清水とか黒馬の〜とかなんかあんだろ。馬なら題材としては狩りにも向いてるしな。秋の恵み的ないいかんじの歌に……するのはモコモコが頑張るから。
ナラクさんは歌会に忍び込む用の支度してくるゼ。あとは得意そうな奴らに任せた!

アドリブ・連携お任せ


陳・桂菓
使うのは水、黒、霜のどれかを一語で良いのだよな?
ではこの世界にも漢詩にあたる何かがあるらしいから、李白の『静夜思』を引用しよう。『牀前月光を看る 疑うらくは是地上の霜かと』の部分だ。
また『かる』も使うと。『狩る』『駆る』のみではなし、ここは『借る』にしよう。
即ち返歌はこうだ。

『地上の霜の 影を借るべし』

霜が降りた地上の光景を借りてきたに違いない、といった意味だな。
これは静夜思で描写された情景ほぼそのまま。明白なパクリだが、それだけに本歌取り的な意図が明瞭で、物騒な他意が挟まれる余地はあるまい。恐らくだが。
というわけで私なら返歌は可能だ。その呪い、私に預けてくれないか?

……と説得してみる。



「うえっ、姐さんたちすげーな、なんでみんなお歌吟じたりとかできンの?」
 狭間・ならく(【嘘】・g03437)は仲間たちが情報を集めて来た経緯を聞いて苦笑いを浮かべた。
 自分には経緯を聞いても、敬意を覚えるくらいだと冗談めかす。
「つか、コレどうやって導くんだよ……よし、楽はともかく雅な遊びはアタシにゃ分からん。なんとかしてくれモコモコ野郎!」
 楽と学を引っかけながら、ナラクは難しい顔で端末を操る。
 アキバでニッキュッパで買ったと言うが、どう考えても嘘だろう。
 そして途中で飽きて考えるのをやめると、入力をモーラットに任せて問題の人物に突っかかりに行った。
「よう。あんたがタケベとか言う奴? 竹部か猛部か武部か知らんけど。つか戦部って感じのツラしてんな」
「何かな貴殿らは?」
 ナラクが声を掛けたのは検非違使に所属する武者で、別当殿の覚えもめでたい……要するに自由時間も多い裕福な武士だった。
「難しい題を出されて悩んでいるとの話を聞いた。貴公の知り合いに頼まれて相談にやって来たと思えばいい」
「そ、そうか。もしや……」
 陳・桂菓(如蚩尤・g02534)が声を掛けると適当に納得したようだ。
 歌会で仲間のディアボロス達が参加メンバーを確認しており、そこで聞いたのだと告げれば問題なく伝わる。
 どんな人物がいたかも伝えられているので、人物紹介されても困ることはなかった。
「使うのは水、黒、霜のどれかを一語で良いのだよな?」
「ああ。まずは主題を交えて上の句を主宰が吟じ、これに合わせてその言葉を入れた下の句を返す。同じ相手に返しても良いが、他の者につられても良いと言われておる」
 桂菓が確認すると、猛部と言う武士はルールを教えてくれる。
 作られた下の句に対して、上の句を返し、また別の者が下の句を詠むという具合だ。
 何処かで切れたりすると、主催がまた読み直すらしい。
「えーとほら、昔の歌からいい感じのやつを引用とかしたらいいんじゃねぇか。御井の清水とか黒馬の? とかなんかあんだろ。あんた武士なんだから似合ってるじゃん」
「そうだな……だが主題が判らぬでは合わせられぬ。しかし馬か」
 馬なら題材としては狩りにも向いてる。
 もし主題が秋なら、秋の恵み的ないいかんじの歌に……するのはモコモコが頑張るから。とナラクは丸投げした。
 男は難しい顔をしていたが、無理にヒネった言葉を考えずとも直球で表現すれば良いのだと言われて少し安心したようだ。
 考えてみれば古い歌などには馬を扱った物も多く、武士には名馬を所持して駆け回るのは夢である。

 そしてここで、主題が判っているので組み合わせがある程度を推測できるのだ。
「あまりに悩んでいるのでな、主題を教えてくださる方がおられた。月齢による巡りだそうだが……秋の巡りと言えば霜だ。本朝……いや本歌取りはどうだ? それならば呪詛には当たらぬ」
「っ! その手があったか。しかし今から調べるとなると……それに武士が読むのだ。秋霜烈日となりはすまいか?」
 日時の進行によって、秋が深まる。
 その事を主題にするのであれば、霜は判り易い応えだ。
 元になるのは漢詩なのだが存在しないので、本朝取りを本歌取りと言い換えて桂菓は説明した。
「良い話がある。『牀前月光を看る 疑うらくは是地上の霜かと』を引用し、他に混ぜるものは……?」
「かる、だな。武士だから狩るとか、駆るを混ぜればそれらしく扱い易いと勧められた」
 桂菓はその話を聞いて、巧みに忍び寄る影を思い起こさせた。
 かなりの段階から誘導しており、どうやっても不吉な歌になる様にしているのだろう。おそらくは他の参加者も同様に違いない。
「では本歌取りであることも明かして、『地上の霜の、影を借るべし』というのはどうだろうか?」
 霜が降りた地上の光景を借りてきたに違いない、といった意味である。
 何よりも、そうだ! と明確には示しておらず、柔らかくイメージしているのが良かった。

 李白の『静夜思』をもじったものだが、それだけに本歌取り的な意図が明瞭で、物騒な他意が挟まれる余地がないのだ。
 秋霜烈日とは官が悪を許さぬことは秋の霜が植物を枯らすかの如しと言う、責め殺すという意味が混じりそうだが、本歌取りゆえにそちらには誘導されないのである。
「もし心配なら私も参加者なので、私に返して欲しい。私ならここからの問題ない返歌は可能だ。その呪い、私に預けてくれないか?」
「そ、そうだな……ここまでしてくれるのだ。信じよう」
 アンチョコを用意する以上、別の回答を用意できるし、それも複数可能なのだ。
 桂菓はその中から問題の無い物を選ぶと告げて、猛部という武士を納得させることに成功した。
「お、いい塩梅? ならナラクさんは当日の準備をしてくるぜ」
 こうして呪いを解くことに成功した一同は、歌会に向けて動き出したのである。
 ナラク達は屋敷で戦いを挑むため、ある者は侵入の準備に、ある者は宣戦布告の歌を詠むために準備を始めた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【植物活性】LV1が発生!
【避難勧告】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

結城・礼音
フリージングミサイルを使ったら、霜が降りたみたいになるかしらー?
歌会での「東宮左近」の様子にこめかみを押さえつつ、ならくさんと合流して返歌を考えます。

「さすが三十六歌仙の1人よねぇ」溜息。

歌会で得た情報は他のディアボロスの皆さんと共有。

「清らかに 水面にうつる 望月は 君を映せし じょうはり(浄玻璃・上玻璃)の鏡」

浄玻璃の鏡は閻魔大王のところにあるその者の業を映し、亡者に自分の罪を見せることで反省を促すためのものともいわれている鏡。
玻璃、は七宝の1つ。
水面に写った満月が貴女を映した水晶の鏡のようだ、というのが表向き
貴女の業が映ってますよ、悔い改めなさい。というのが裏の意味。
って言ってみたい。


陳・桂菓
敵が発句で月齢にあてこする気なら月は必ず出るから、猛部氏が「地上の~」と受けて変にはならんな。
それを結城殿の歌につながるように連歌を組み立てると。

道順考えた。
私は「故郷の、大文字草、匂うころ」と受ける。
静夜思『頭を低れて故郷を思う』を用いたもので、「地上に~」とつなげば白い花が一面に咲く様を霜にたとえた一首となる。

次いで誰かが「天に雲なし、地に風もなし」とする。
「月に叢雲花に風」をもじったもので、花を観賞するのに邪魔なものがないという一首になる。

そこで「清らかに~」と誰かが受ける。
雲がないから月は綺麗、風がないから水面は凪、映り清らかだ。

最後に結城殿が「君を映せし~」で小大君を刺す。どうかな?



「発句が月齢を用いるならば問題ない。猛部氏が予定した下の句で返しても変にはならんな」
 その上で、と陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は続けた。
 扇を何枚か用意して置いて、仲間たちの元に置いた。
「彼は正式な客なので席次が決まっている。私は出来るだけ彼に近い位置に座るつもりだが、そのまま小大君に返すのでは芸がない」
 桂菓はそう言って扇を広げて見せる。
 そこには幾つかの下の句と、間を繋ぐための上の句があった。
 扇を半開きにすれば下の句だけが、全て開けば上の句も参照できるようになっている。
「用意して居ない者の為に回答と道順を考えてみた。この順で贈り合い、最後に結城殿に繋げれば良いだろう」
「そこで私が彼女に返すという訳ね。判ったわ」
 桂菓の言葉に結城・礼音(人間の特級厨師・g00964)が頷く。
 彼女は東宮左近……小大君に対して返す為の句を用意していた。
 それは宣戦布告であり、その正体を露わにするための歌である。
「でも、さすが三十六歌仙の1人よねぇ。即興で歌を返すとか卒がないわ」
「調べてみたら小大君は小野小町とも混同されているらしい。あえて乗ってみたのだろう。歌というものはヒントさえあればそれほど難しくはない」
 礼音がこめかみを抑えながら溜息を吐くと、桂菓は皆に渡した扇を広げつつ指で順番を追って見せる。
 『静夜思』を引用すると決めているので思いつくのは早いし、間に入れる繋ぎも、誰もが思いつくような定番の文言なので違和感がない。
「要するにヒントを用意し、そのヒント自体を操るのが今回の肝と言う事だな」
「けっ。マッチポンプかよ」
 現に東宮左近は以前から他の歌会に参加し、相手の趣味やら経歴に合わせてヒントを用意する所謂マッチポンプをやっていた。
 他の仲間たちも苦笑しながら扇を受け取ったり、肩をすくめて屋敷に向かっていく。

 そしてディアボロス達が歌会に参加する者や、隠れ潜んで介入を伺いながら……。
 問題の歌会が始まったのである。
(「月満ちて……いや、これは月満つれば欠くか……史記だな」)
 桂菓はお題である月齢に関する文言を聞いて苦笑した。
 一見普通に見えるが、元は『月が満ちればやがて、必ず欠ける』という事を指しているのだ。
 何人かが句を返し、不自然になる度に東宮左近が詠み直しているが……その部分だけは共通させていた。
「……地上の霜の、影を借るべし」
「静夜思ですか? では……故郷の、大文字草、匂うころ」
 猛部がそう返すと、すかさず桂菓がそう受けた。
 漢文に詳しいであろう貴族も頷くのを見て、他の仲間達も回し詠んでいく。
「月が霜を連想し、白い花が一面に咲く様を霜に例えたのですか。見事ですね」
「おや、アレを御覧なさい。早霜ですよ」
 礼音はしれっと解説を入れつつ、用意しておいたパラドクスが効果を表すのを待つ。
 すると凍結効果を調整することで、霜が降り始めて来たのだ。
 情景を表すのにピッタリで、まるで歌詠んだら神が吹かせてくれたかのようではないか。
「となると『天に雲なし、地に風もなし』としたいところですね」
 美しい光景を眺めるのに邪魔をする、『月に叢雲花に風』を逆に返したものである。
 月も花も鑑賞するのに邪魔する者は居ない、という句になるのだ。
「ではその次は『清らかに?』ですかな」
 続けてその理由として、雲がないから月は綺麗、風がないから水面は凪、映り清らかだ。
 という意味を別の仲間が続ける。
 ここまで違和感は丸でなく、誰もが思いつく連想だからこそであろう。

 そして……。
「そういえばこの会に参加させていただいたのは小大君のお導き。かねてからお返ししたい言葉があったのです」
『おや? なんぞありましたか?』
 礼音は改めて向き直り、東宮左近に向けて言葉を連ねた。
 クスリと笑い合って、女の戦いが始まる。
「清らかに、水面にうつる、望月は。君を映せし、じょうはりの鏡」
「なるほど、水鏡に映る月ですか」
「いえいえ、この場合は別の宝を挿すのでしょう」
 水面に写った満月が貴女を映した水晶の鏡のようだ、というのが表向きの歌である。
 だが、ここに一つの示唆がある。
「玻璃、は七宝の1つ。いえ、浄玻璃鏡ということですよね?」
「はい。閻魔の鏡です」
「それは一体?」
 貴女の業が映ってますよ、悔い改めなさい。というのが裏の意味であった。
 何故か? なぜこれが一連の歌に繋がるのか?
 貴族や武士たちが首を傾げる中、ディアボロス達は立ち上がって東宮左近の前に集う。
『邪魔をするつもりですか? まったく野狂な』
「みなさまお下がりください。こやつ、呪い歌を流行らした鬼です」
 バシンと扇を叩きつけ、口角を上げて怪しく笑う東宮左近。
 この一連の句は清らかになる理由こそは、邪しまな計画を暴かれた鬼が討たれて綺麗になるということであった!
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【冷気の支配者】LV1が発生!
【避難勧告】がLV2になった!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV4になった!


『まったく野凶な輩共』
 東宮左近は口の端をあげて笑った。
 この期に及んで否定するつもりはない。
 一連の連歌を見れば、かねてから探り、ここに来て叩き付けたことを表している。
 推理物のコツとは、その場で問い詰めることをいうのではない。
 証拠を探し、証言を探し、最後に積み上げて一気に相手の牙城を突き崩す事に意義がある。
 だからこそ、東宮左近は否定しても仕方がないと悟ったのだ。
『しかしここで鏡とはやってくれますね……よくもまあ』
「あら、何か怒ってらっしゃる?」
「……この間、小大君が小町を流用したでしょう? あれは衰えを語る歌でしたから。ソレを返したら、まあ」
 気が付かなかったが、前の歌会で小野小町の歌を小大君は引用していたのだ。
 有名な『花の色は』で始まる、交流を愉しんで居たら、年齢による容姿の劣えで寂しくなっていくという歌である。
 これを鏡で跳ね返す事で、東宮左近が歌会で遊んでいる間に囲まれて、貴女も衰えましたね……となるのかもしれない。
『花の色は、月に交じりて、見えずとも。香をだに匂へ鬼の知るべく』
 ここで東宮左近は小野小町の祖父と言われる、小野篁の句を引用した。
 彼は上に逆らうことを平然とやる反骨精神の持ち主で、野狂と呼ばれた存在である。
 その歌を悪しくもじり、手下の鬼どもを召喚する。
 いやいや、それだけではない!
「つ、月が月が紅く!?」
「は、花もまるで血の様に……」
「幻術です! お早くお下がりください!」
 認識を書き換え、周囲を血の地獄であるかのようにイメージさせた。
 次々と現れる鬼たちを前に、武士ですら逃げ始める!
『ここに至っては仕方ありませぬ。捧げよその血を! 歌に掛けるその情熱を! 本日は花も月も血鏡で染めて差し上げましょうほどに』
 さあ! 時は此処に至る!
 もし首がもがれれば血が花の様に薫る殺戮の宴を始めよう!
狭間・ならく
ひひひ、お月さんまで血の色か?
演出は悪くねェ。ああ、悪くねェよ。
だが流れンのは鬼ども、テメーらの血だゼ。

歌会だのなんのと堅苦しい話で肩凝ってンだよ。やっと身体動かせら。
ちゃんちゃんバラバラならナラクさんの出番さァ。……なんて。
……なんてな。
野狂と。野凶とのたもうたか。
なァ、お前。お前如きがその名を。

──退けよ雑魚ども。
アタシゃその女に用がある。

アドリブ・連携お任せ


天破星・巴
手袋を外し、お団子を解き、長い髪を風にさらし、瞳に殲滅の覚悟を宿らせ鬼の力を解き放つ

紅葉散り 社は紅に 染まりゆく 掃けども掃けど 勤め終わらず
この歌の紅葉は葉っぱの形と色が鬼の角と変異した腕を示しているのじゃ
つまり歌は鬼が死に、鬼の血で紅に、染まる、鬼を掃討しても掃討しても、鬼がまた現れるという意味も込めていたのじゃ

そしてこれは鬼を倒し続けるという決意の歌じゃ

矜持無き 悪鬼羅刹は 尽きぬとも 復讐者は 根源を絶つ

護衛の鬼に血の華を咲かせるべく【破壊】の力を込めた血の散弾を【砲撃】し鬼を【制圧する射撃】を指弾にて連続射撃



「やはり出てきおったか」
 天破星・巴(反逆鬼・g01709)は頭のお団子を止める紐をシュルリと外し、長い髪を風にさらした。
 そして手袋の先を唇でつまんでピッと外す。
「ひひひ、お月さんまで血の色か?」
 狭間・ならく(【嘘】・g03437)は認識を書き換えられ、一瞬染まった月に笑った。
「演出は悪くねェ。ああ、悪くねェよ。だが流れンのは鬼ども、テメーらの血だゼ」
 臨戦態勢を整えて、他の招待客に割って入りながら彼らを逃がす。
 そして不敵に笑って緋色の刃を見せ付けた。
「そうじゃな。……紅葉散り、社は紅に、染まりゆく。掃けども掃けど、勤め終わらず」
『確かそれは……』
 巴は頷く代わりに溜息を吐きながら先の歌会に入るために詠んだ句をもう一度口にした。
「紅を重ねたのは血が流れるという意味で合っておる。じゃがこの歌の紅葉は、葉っぱの形と色が鬼の角と変異した腕を示しているのじゃ。つまり……」
 巴は以前に詠んだ句の裏の意味を今こそ告げた。
 目の前に居る鬼である東宮左近は、神社を染め上げる人の血、ケガレでもイメージしたのだろう。
 しかし、その実態は……。
「つまり歌は鬼が死に、鬼の血で紅に、染まる、鬼を掃討しても掃討しても、鬼がまた現れるという意味も込めていたのじゃ」
『まあ、つまりは宣戦布告と言う事ね?』
 そしてこれは鬼を倒し続けるという決意の歌。
 素敵な宣戦布告に東宮左近は錫杖を呼び寄せ、鬼たちに支持を与えて戦いの火蓋を切って落とさせた。
『あの野狂どもを打ち捨てなさいな。首はもいで花の様に咲かせてあげる』
「やかましいつってんだろ。歌会だのなんのと堅苦しい話で肩凝ってンだよ。やっと身体動かせら。ちゃんちゃんバラバラならナラクさんの出番さァ。……なんて」
 ナラクは笑って受けて立ち、怒鳴りながら鬼の振り下ろす棒を片手で受け止めた。
 そして背中に向けて、持っている刃をブスリ。
 後ろに回り込もうとした鬼を一突きして、逃げる一般人を追わせたり、仲間を奇襲しようとする試みを打ち砕く。
「……なんてな。野狂と。野凶とのたもうたか。なァ、お前。お前如きがその名を」
『呼んで悪いかしら?』
 野狂とは反骨精神を持った貴族、小野篁の異名である。
 道理の乗らぬ決定に背き、平然と朝廷を批判した男だ。そして笑い話として本人が語った話が後に逸話として残るのだ。
 地獄からの使者とも言うべき復讐鬼ディアボロスには、病んだ世界に反骨を抱くナラクには理不尽に対し怒る理由があった。
「──退けよ雑魚ども。アタシゃその女に用がある」
 そしてナラクは群がる鬼どもに対し、平然と真っ向から緋色の刀を担いで挑むのであった。
 西に理不尽な神と出逢えば神を切り、非道な鬼が東に出れば鬼を切る。
「矜持無き、悪鬼羅刹は、尽きぬとも。復讐者は、根源を絶つ」
 巴もその列に並び、肩を並べて鬼どもを討つことにした。
 指先より放つ血の弾丸が、散弾となって鬼たちに撃ち込まれていく。
 例え幾百幾万の敵であろうとも、ディアボロスは外道に対し引きはせぬ!
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【建造物分解】がLV2になった!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV5になった!

加奈氏・コウキ
さて。
苦手な歌会は終わったか。
ここからは戦闘。
俺の、ターンだ。
クロノヴェーダは全て殺す。
例外は、ない。

神蝕呪刃にて攻撃。
使用武器は装備している各種武装のいずれかでお任せ。
(基本は妖一刀流皆伝乃刀、他はサブ)

反撃として予測される鬼の行進に対して。
力任せの殴打など、敵ではない。
スピードで回避し、撹乱し、隙を突き、攻撃。
その首、頂く。

しかし呪いの歌会か。
一昔前に呪いのビデオなんていうのもあったか。
あれは作り話だったが。
まさか平安の世では似たようなものが普通にあったとはな。
いや、この平安は、作り物といえば作り物の平安だったか。
いずれにしても、呪いの力は、俺の方が、上だ。
(技能の呪詛的な意味で)


陳・桂菓
「はて。浄玻璃の鏡で明らかとなった悪人はあっちなのだから、地獄の鬼が折檻すべきもあっちなのでは?」
東宮左近を指さしつつ言ってみるが、詮無きことは承知の上。どうせこやつら地獄の獄卒とは無関係だろうし。

するまでもなく逃げているようだが復讐者以外の歌会参加者らに【避難勧告】。
次いで苗刀『飛竜』を抜いて鬼らを攻撃。
流石にがっちり鍔迫り合いに持ち込まれるなどしては鬼の膂力がものを言うだろうから、敵群の隙間を駆け抜けるように潜り抜けるように動きつつ、脇腹をかっさばくような格好で薙ぎ倒していく。
とにかく捕捉されないよう、動きを止めないことを念頭に置く。
(巌のような頑強さ……だが、斬れないほどではない!)



「さて。苦手な歌会は終わったか」
 加奈氏・コウキ(妖一刀流皆伝・g04391)は刀の刃に指の腹を当て、皮を軽く切って一雫の血を垂らした。
 そして柄を握り締めると、媒介とした血を元に生命力を送り込んでいく。
「コツはあるのだがな。流石に誰もが千とも万以上ともされる句を覚えてなどいない」
 陳・桂菓(如蚩尤・g02534)は苦笑しながら竜の骨で造った太刀を構えなおした。
 二人は一般人たちが立ち去るのを見守っていたが、此処からは鬼たちの殲滅に入る。
「何か得意とする教本でも用意して、ソレ一つを上手く使いこなせばいい。まあ無理には進めないがね」
「そうさせてもらおう」
 桂菓の言葉をコウキは適当に返した。
 前半部分を肯定したのか、後半部分を肯定したのか分からない。
 だがしかし、戦場ですべきことは一つだけだ。
「ここからは戦闘。俺の、ターンだ……」
 そう言ってコウキは駆け出した。
 バタバタと木の床を走り抜け、呪われし刃を振り下ろす!
『ムオウ!』
「クロノヴェーダは全て殺す。例外は、ない」
 その刃は振り下ろし始めるよりも、途中からの方が劇的に速かった。
 更に生命力を送り込んだことで、その威力も格段に向上している。
 振り切った刃を横に寝かせると、鬼が反応するよりも速くもう一撃を加えたのだ。

 そして鬼たちもやられてばかりではない。
 行列を組んで行進し、あるいは棒を振り回して屋敷など構わないとばかりに暴れまわる。
『オオアア!!』
「はて。浄玻璃の鏡で明らかとなった悪人はあっちなのだから、地獄の鬼が折檻すべきもあっちなのでは?」
 桂菓はクスリと笑って東宮左近の方を指さした。
 とはいえこいつらが地獄の極卒ではない事など百も承知。
 迫る敵が粉砕しようと攻撃繰り出す前に床を滑る様に通り抜け、回転と共に横滑りの一撃を繰り出した。
 そして鍔競り合いになる前に身をかわし、態勢を入れ替えると金属棒を踏みつけながら斬撃を浴びせる。
「しかし呪いの歌会か。一昔前に呪いのビデオなんていうのもあったか。あれは作り話だったが……」
「人を呪わば穴二つ。何時の世も考えることは皆同じだ」
 コウキの愚痴に桂菓は付き合った。
 そしてすれ違いながら、互いを追う敵を入違える。
 相手を交代して追いすがる敵を切り裂き、縦に肩を、あるいは横に腹を切り裂いていった。
「なるほど平安の世では似たようなものが普通にあったとはな。その様子だと漢にもありはしそうだ。いや、この平安は、作り物といえば作り物の平安だったか」
 そういってコウキは笑って敵を真っ向唐竹割りで切り落とした。
「いずれにしても、呪いの力は、俺の方が、上だ」
 ビュっと一振り、血を拭う時間も惜しいと残る敵に向かって挑んでいく。
(「漢にもあるだろうさ符蟲道、神仙道、修験道、陰陽道……。しかし、巌のような頑強さ……だが、斬れないほどではない!」)
 桂菓は口を開くのも惜しいと跳ね回り、鬼を速度で置き去りにした。
 そして屈強な筋肉ではなく、比較的柔らかい腹や関節を狙って苗刀を振り回していったのである。
 やがて金属棒を振り回す剛力自慢の鬼たちが全滅するまで、時間は掛からなかった。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【腐食】LV1が発生!
【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV6になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

結城・礼音
東宮左近に言いたいことは山のようにあるんですけど、きっとはぐらかされるでしょうから。
もうここまで来たら、あとは全力で倒すのみ。
愛用の大包丁を取り出して東宮左近と対峙します。

「まあ。貴女が小野小町と小野篁の名を汚すようなこと、ならくさんだけではなく私も許せないわ」

「我が思い刃となりて敵を切り裂け!」

※連携大歓迎です。


狭間・ならく
暗作野人天与性
自古狂官世呼名……(ぼそり)

なァ。アンタが歌仙を名乗ろうと東宮を名乗ろうと、アタシにゃどーだっていいンだよ。全部、ぜんぶどうでもいい。コインの裏と表くらい、おんなじようなモンだ。
だがな。そいつァ駄目だ。どうしても見逃せねェ。本人がいいっつっても駄目だ。このアタシが許さない。
(ゆらり、傾いで睨めつけた眼には炎)(額には鬼と見紛う2本の角)
アァ、もしアンタが地獄に行けそうなら……そんときゃまた会おうゼ?

──咲け、地獄花



「暗作野人天与性」
「自古狂官世呼名……」
 戦場にありて誰かが呟いた。
 漢文ではあるが漢詩ではない。
「何か言いました?」
「何でもねえよ」
 狭間・ならく(【嘘】・g03437)は自ら放った言葉に何も言わなかった。
 肯定もしない、否定もしない。
 ただ口にしただけだ。
「なァ。アンタが歌仙を名乗ろうと東宮を名乗ろうと、アタシにゃどーだっていいンだよ。全部、ぜんぶどうでもいい。コインの裏と表くらい、おんなじようなモンだ」
『何が言いたいのかしら?』
 ナラクの言葉は何時だって嘘ばかり。
 時に直截で、時に絡め手で。ストレートとフェイントに差などない。
 だがもし、背中で人生を語ることがあるとしたら、先の言葉になるだろう。

 野人と呼ばれるのは生まれた時、天から授かった性格である。
 狂ってやがると噂されるのは、他人が勝手につけたアダ名である。

「だがな。そいつァ駄目だ。どうしても見逃せねェ。本人がいいっつっても駄目だ。このアタシが許さない」
 ナラクは首を傾げて瞳に炎を灯した。
 額には鬼と見まごう二本の角。ネメシスモードと人の呼ぶ。
『ねえ、貴女も……』
「アァ、もしアンタが地獄に行けそうなら……そんときゃまた会おうゼ?」
 仲間であるフリをした東宮左近に、ヒュオーと音を立て刃が唸る。
 ナラクの踏み込みを錫杖が弾く。シャンシャンと鳴って叫ぶか、啼かせるか。
 友愛の表情を浮かべようと、仲間の誰かのような貌をしてとぼけようと構わず斬り捨てようとしたのだ。
『話も聞かないなんて、何処の蛮地から参られたのかしら? もしかして東? それとも以北?』
「答える義理はありませんね。……まあ。貴女が小野小町と小野篁の名を汚すようなこと、ならくさんだけではなく私も許せないわ」
 味方であろうと斬ろうとする攻撃に、たまらず飛びずさる東宮左近。
 それを追い掛けて、今度は結城・礼音(人間の特級厨師・g00964)が迫った。
 怒り狂うナラクに遠慮したのか、それとも幻覚で敵味方の誤認を避けたのか。
 礼音は少しだけ間を空けてから、着地後を狙って大包丁を突き挿したのだ。
「話したところでどうせはぐらかすのでしょう? なら問答無用が正しいと私だってそう思うわ」
『汚して何が悪いの? 許さなきゃどうするというの? 人なぞどうせ我らの糧よ。使い倒してこそでしょうに』
 礼音は包丁を握って食い止める左近に対し、蹴りを浴びせて突き放した。
 追い打ちで繰り出す錫杖を受け止め、そのまま一回転……と行きたいがそんな体術はない。
 むしろそのまま同じ位置に、同じように刃を繰り出す方が向いているのだ。余計な事は考えずに斬り割いていく。
『やだやだ。思い通りにいかないからって……ああ。そうだわ、そうね……』
「っ!?」
 戦っている間に何かを思いついたらしい。
 こういう絡め手が得意な相手は思い通りに動かしてはならぬ、礼音は咄嗟に先制することにした。
 クロノヴェーダが強いのは当たり前だから恐ろしいとは思わない、だが人の心を弄ぶその言葉こそを恐れよう。
『ねえ知ってる? 小野篁の歴任した役職の中に……』
「我が思い刃となりて敵を切り裂け!」
 まるでトモダチがクイズのヒントで、勉強の山カンを口にするような口調で何かを口にしようとした。
 それが言の葉に登り切る前に、礼音は己の中のスイッチを入れる。
 後は身に付けた技が勝手に体を動かして、東宮博士という言葉と共に斬り刻んだ。
「アンタはもう何も喋んな! ──咲け、地獄花」
『ちっ!』
 そこへナラクの本命、言葉もまやかしもまとめて切り裂く攻撃が繰り出されたのだ。
 先ほどの迫真の攻撃? ああ、嘘だ。
 言葉に関して、何処までが本当かはナラクだけが知っている。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!

伏見・しろがね
仲間をディフェンスする
アドリブ歓迎、連携推奨

幻瞳術に視線が重要なら狐火で妨害します。
低命中高ダメージの技を使う仲間がいれば、狐火を破裂させて隙を作ります。

「齢百を数える狐を前にして幻術で挑むか。面白い、受けて立とうぞ」

狐火眩惑光で、戦意を失う者、同士討ちを始める者、感動のあまり涙する者などの、白鬼歌仙の思惑がすべてうまくいっている幻を見せます。
その先にあるものは──。

【精神攻撃10】【時間稼ぎ10】【情報収集13】。ギチギチに圧縮された濃厚な妖力で幻を見せます。
見終わった頃には、狐につままれたような表情をしていることでしょう。



『わたくしの力が妨害されている!?』
「さよう」
 驚く東宮左近にディアボロスの声が投げられた。
 次々と繰り出される牽制攻撃、あるいは本命の技。
『これは狐火か! まったく面倒な……』
「齢百を数える狐を前にして幻術で挑むか。面白い、受けて立とうぞ」
 それは伏見・しろがね(鬼斬り稲荷🦊・g01292)の放つ狐火であった。
 無数に狐火を飛ばし、視界を遮りあるいは炸裂させて注意を奪う。
 目を合わせる必要などないが、相手を睨みつけ、更にどのように弄ぶかを決めねばならない。
 先々動き、なおかつ視線も遮れば動きもきっと妨げよう。
『このたびは、幣もとりあえず手向け山。紅葉の錦、カミのまにまに!』
 東宮左近は歌を持って無数の紅葉を呼び、それらを刃に変えた。
 降りしきる紅葉の吹雪、踏み込むだけで打たれ切り刻まれる攻防一体の陣だ。
 その攻撃に痛みなどないが、感動している間に切り刻まれては集中してパラドクスなど使用できまい。
「紅葉に隠れる気かぇ? 焼き払ってくれる。朱雀、鳳・凰の長たる夏の炎帝よ!」
 これに対し、しろがねは炎を放って全てを焼き払おうと演技した。

 幻術vs幻術の攻防が此処に始まり、一進一退の動きが屋敷を紅に染め上げていく!!
『ウフフフ。その炎はわたくしが導いたもの。次なるは……』
「屋敷ごと焼き払う? ならば埋火か、それとも漁火か。おぬしの試み、わらわが知らぬと思うてか?」
 東宮左近は二手三手先を詠むために、あえて相手に判る術を放った。
 しろがねはその流れに乗ることで、東宮左近の術が『まるで上手く行っている』かの様に演技する。
 最初から彼女の術は炎ではない、幻術合戦の一環で相手の思考に乗って見せただけの事。
「攻防は一手、二手と過ぎさり互角なり。されど見るが良い、お主の敵はわらわのみに非ず!」
『くっ……屋敷が燃えておらぬとは……』
 しろがねは最初から時間稼ぎというよりは、仲間を守るために幻術を使用していた。
 実際に術に陥らせても良い、陥らなくても良い。必要なのは千日手!
 相手の集中力を奪い、視界を遮ることでマヤカシたのである。

 戦いはまだまだ決着には遠いが、次第にディアボロスの側に勝機が傾きつつあった。
成功🔵​🔵​🔴​
効果1【照明】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!

加奈氏・コウキ
いよいよボスの登場か。
これでこの地で苦しめられている人々を、とりあえずは救うことができる。
悪行もこれまでだ。
貴様の首、頂く。
大人しく、滅しろ。

神蝕呪刃にて攻撃。
使用武器は装備している各種武装のいずれかでお任せ。
(基本は妖一刀流皆伝乃刀、他はサブ)

反撃は、幻瞳術『傀儡潰乱』と予測。
スピードを活かして、その視界に入らないように立ち回り、戦場にある障害物なども活用し接近。
隙を突くように、死角から、攻撃を放つよう動く。

偽の歌教室も今日で終わりだ。
その物騒な教え、そのまま地獄に持っていけ。

味方との連携重視。
アドリブ歓迎。
どんな時でも沈着、冷静、寡黙、そして、無表情。


天破星・巴
【連携アドリブ歓迎】
教養はあるようじゃが悪知恵にしか用いないとは嘆かわしい限りじゃ呪いばら撒く矜持無き鬼よわらわが畏れられる真の鬼の有り様を見せてやるのじゃ

POW 幻瞳術『虚実転変』対策
撹乱14吹き飛ばし10と敵よりLVが高い
うぬとは以前戦ったことがあるのじゃ
うぬの瞳術もタネを知っていればこけおどし効きはせぬ

無駄に暴れるだけの鬼とは違う御され研ぎ澄まされた武を視よ
鬼神変の腕強化では拳だけじゃがわらわの改良版は
破壊もたらすグラップルで殴る蹴る肘膝と全身を使う連撃

武は詭道なり、隙を見て錫杖を急激に【腐食】させる


陳・桂菓
瞳術使いらしいが、まず右目で見て(ウィンク)次に左目で見て(逆ウィンク)というのを繰り返していれば防げたり……しないか。

ならば瓢箪徳利の酒を飲んで挑む。
「くっふ、のこすはてきしょーひとり~」
酔っ払った馬鹿の歴史をどう改竄すれば思い通りの結果を導けるやらわかるまい。
まあ歌仙再現以前に、元より東宮左近の語彙力や歌力について見事だと思っていたところ。捻じ曲げられるまでもなく感動はしていたかもだが。

何にせよ錫杖か何かで殴られる瞬間が本番。
【虚誘還殺】の肝は肉を切らせて骨を断つこと。その一撃を切っ掛けとし、勝ったと思っているところに返す刀を見舞う。
飲んで痛覚鈍ってるから【忍耐力】も上がっている、はず。



「いよいよボスの登場か」
 加奈氏・コウキ(妖一刀流皆伝・g04391)は刀を構え直すと、鬼たちの反撃で傷ついた血を垂らす。
 触媒である血がこれまで以上の力を注ぎ込み、神をも蝕む力となり果てた。
「これでこの地で苦しめられている人々を、とりあえずは救うことができる」
 そう言って刀を構え直し、態勢を低く、それでいて前へ前へと駆け抜けた!
『新手? いえ違うわね、手下どもを蹴散らしたと? また手間暇を掛けさせてくれる事。あなたたちは同士討ちでも……』
「悪行もこれまでだ。貴様の首、頂く」
 コウキはここでさらに加速した。
 倒れそうなくらいに大勢を低くして、そこから強制的に立ち上がることで加速を掛ける。
 いわゆる縮地の一種だが、慣れれば技などなくても使用できる。
『くっ……視界の外へ……?』
「大人しく、滅しろ」
 100m走にマラソンにアメフトにと、人の積み上げたダッシュと言う概念。
 高速で自分を動かすことでスピードを活かし、分けても視界に入らないことを念頭に動いていた。
「しゃすがに……右目左目と、かくし続けてみょダメかにゃ」
 援軍に駆けつけてきた陳・桂菓(如蚩尤・g02534)はこの時、酔っぱらっていた。
 歌会は確かに宴ではあるが、酒は終わってから呑むものである。
 いや、もう終わったとでも言いたいのか、随分と余裕……。
「呑んでおるのかえ? 飲んでも飲まれるなと言う言葉を、でーぶいでーにて見たのじゃが」
「らいじょーぶれすよー。これは、かいざんたいさくなのら~」
 天破星・巴(反逆鬼・g01709)が苦笑するが桂菓としては本気だ。
 酔っ払った馬鹿の歴史をどう改竄すれば思い通りの結果を導けるのやら判るまい!
 え、その必要はないって? それも含めて、計算どーり!! とでも言っておこう。
「くっふ、のこすはてきしょーひとり~。月はキレーでお酒もおいひい。お酒は恋にもドラクルにも鬼にもゆうこうなのれす」
 瓢箪徳利の酒を担いで呑みながら、ゴキゲンで戦いに挑む。
 まあディアボロスのバランス力なら普通に酔っぱらったくらいじゃ支障は無いし、後回しにされるならば有効かもしれないと言っておこう。まあ時間を曲げて戦うから意味もないけどね。

 ともあれ更なるディアボロスが鬼を倒して駆けつけ、東宮左近を包囲し始める。
『わたくしの力が先読みされている?』
「左様。うぬとは以前戦ったことがあるのじゃ』
 良いが何処まで感動に通じるかは別として、対策を立てようとしたことは伺えた。
 だが、どうしてここまで先読みされているかが分からない。
「うぬの瞳術もタネを知っていればこけおどし。効きはせぬ。知っておるか? でーぶいでーにおいては、無数の瞳術があったのじゃ。対策法も含めてのう」
 巴はこの時の為に様々な作品を見ていたのかもしれない。
 だが確証はないので此処で止めておこう。
「無駄に暴れるだけの鬼とは違う御され研ぎ澄まされた武を視よ。わらわも、あれなるも、この程度で止まりはせぬぞ?」
『……口惜しや。ここまでコケにされようとは!』
 巴はメキメキと体を変化させ、巡らせた血を力に変えた。
 それだけではない、筋肉の配分を変えて高速戦闘にも対応させた改良型の術である。
「教養はあるようじゃが悪知恵にしか用いないとは、嘆かわしい限りじゃ。呪いばら撒く矜持無き鬼よ、わらわが畏れられる真の鬼の有り様を見せてやるのじゃ」
『黙れ、ダマレ! 黙り居ろう!』
 東宮左近は咄嗟に防御し、術を放とうとするがついて行けない。膝で吹っ飛び、肘で打たれて崩れ落ちる。
 所詮、彼女は鬼としてはバランス型であり、膂力も呪力も突き抜けたモノがない。
 あくまで策略とアドリブ性が高いのであって、巴がただの格闘戦ではなく連撃に移ったことで対応できないでいた。ましてコウキの速度にはついて行けてない。
『……敵の音は絶えて久しくなりぬれど、名こそ流れて……』
「っ! 画を記録してから、術を掛けるつもりれす! ちゅういいっぱい、怪我一杯!」
 桂菓は東宮左近が交流していたという、藤原公任の歌に気が付いた。
 咄嗟に飛びついて仲間を守りながら攻撃を掛ける。
『さあ、死になさい!』
「させ、ませんよ! 佳い夢は、見れましたか?」
 桂菓は記録された仲間の画像に自分を飛び込ませ、東宮左近の錫杖を我が身で受ける。
 そして返し刃を放ち、肉を切らせて骨を絶ちに行ったのだ!
「わらわの拳に打ち砕けぬ物なし!」
 そこへ巴も駆けつけて、裏拳・肘打ち・正拳突きの三連打を浴びせる。
 それだけではなく、走りながら高速斬撃を繰り出していた仲間もトドメにやって来た。
「偽の歌教室も今日で終わりだ。その物騒な教え、そのまま地獄に持っていけ」
 コウキは和歌で造られた光景にも、酒の香りも無視してただひたすらに一刃を放ったのである。
 ゴロンと転がる首が、その一撃の強さを物語っていた。

 こうして呪いの連歌を流行らそうとしていた鬼の一人が、言葉もなく討ち取られたのである。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​
効果1【腐食】がLV2になった!
【建造物分解】がLV3になった!
【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV8になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2021年10月20日