マンティコアに出会ったら、そいつの尻尾に気を付けろ(作者 塩田多弾砲
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#火刑戦旗ラ・ピュセル  #最終人類史、バルセロナの霧  #最終人類史(新宿島)  #バルセロナ 

『マンティコアに出会ったら、そいつの尻尾に気を付けろ』
 伝説の幻獣『魔蠍獅子』、すなわち『マンティコア』には、そのような『詩』が残っている。
 そのキマイラウィッチは、それが好きだった。
『……唸りとともに刺してくる、毒の針には敵わない』
 そう笑いつつ、獲物に襲い掛かる。獲物は恐怖に追い立てられつつも、この毒針から、或いは爪や牙からは逃れられない。
『……ここか? ここが、ディアボロスどものディヴィジョンなのか?』
 キマイラウィッチは、首をかしげつつ……周囲に視線を向ける。
 そいつの姿は、『老人の顔を持つ、大柄な獅子』。しなやかな胴体の背中には、蝙蝠の翼を持ち、長く伸びる尻尾は、蠍のそれ。
 そして尻尾の先端には、蠍同様に……『毒針』が伸びていた。否、蠍同様ではなく、蠍のそれよりも凶悪。小剣ほどの大きさの毒針の他に、小さな棘が生えそろい、モーニングスターのようでもあった。
 その蠍の尾を振り回しつつ、老人の顔に歪んだ笑みを浮かべ……キマイラウィッチは哄笑した。
『だが……人影も無ければ、動くものの姿もないな。まあいい、どこかに潜んでいるのだろう。おい、お前達!』
 と、後ろへ声をかけると、
『お呼びですか?』
 異様な姿の『彼女たち』が、霧を抜けてやってきた。
『……「マンティコアウィッチ」! 我が半同胞にして、忠実なる部下共よ! 獰猛で勇敢、残酷なる戦士たちよ! お前達に命じる!』
 キマイラウィッチは、『彼女たち』へ、命令を下した。
『……このディヴィジョンを、バルセロナとかいうこのディヴィジョンのこの町を、蹂躙せよ! おそらく、ここにディアボロスどもは潜んでいる。探せ! 探し出し、殺せ!』
『我が主よ、仰せのままに。ですが……』
『彼女たち』の一人が、質問する。
『見たところ、人の気配は感じられません。もしも奴らが、ディアボロスどもがこの都市内部に居ない場合、いかがいたしましょう?』
『ならば、ここを占拠する。さすれば、ここは我等の本拠地として後々役に立つだろう。もし我々がここにいるとディアボロスどもが気付いたなら。迎え撃ち復讐を遂げてやる!』
『マンティコアウィッチ』と呼ばれた者たちは、跪いた。彼女たちは、ケンタウロスの様に上半身は女性、下半身は獅子という姿をしていたが……、獅子の身体の尻尾も、蠍のそれ、毒針を供えたそれだった。
『行け! 我等「マンティコア」とその眷属の恐ろしさを、ディアボロスどもに知らしめるのだ!』
 アヴァタール級キマイラウィッチ『マンティコア』は、トループス級『マンティコアウィッチ』に命令を下し、
『マンティコアウィッチ』たちは、それに従い街中へと入っていった。

 リュカ・アルページュが、
「みんな、大変だよ!」
 新宿島にて、君たちへと大慌てで述べた。
「……『確認』されたんだ! バルセロナに、ディヴィジョン境界の霧発生が『確認』された! そして……それを通り、『キマイラウィッチ』が侵入している事も『確実視』されてる! 至急、対処して欲しい!」
 リュカの言う通り、先だっての『断頭革命グランダルメ』『同・奪還戦』において、ディアボロスたちは見事に勝利を収めていた。
 そして、多くの地を奪還したが、その一つ『バルセロナ』に、突如『ディヴィジョン境界の霧』の発生が確認された。
「問題は、その霧を通り……最終人類史のバルセロナに、キマイラウィッチが侵入しているようなんだ。現在バルセルナの状況は、帰還が行われていないから、まだ無人。けど、このまま放置すれば……」
 せっかく取り戻した最終人類史に、キマイラウィッチの橋頭保が作られてしまう。
「ゆえに、急ぎパラドクストレインで現地に向かい、侵入してきたキマイラウィッチの撃退をよろしく頼みたい」

 状況は? 君たちの一人が訊ねると、
「現在キマイラウイッチの一部が侵入済。しかしそいつらは、帰還前のバルセロナの様子を目の当たりにして、警戒しているようだね。ディアボロスが居れば戦い、一般人がいれば虐殺するつもりだったのが、どちらも居ないから戸惑っているようだ。それと……」
 現在のディヴィジョン境界は、霧により遠距離の視認は無理でも、『完全視界』を用いれば戦闘に支障は無い程度の視覚を確保できる。それに加え、最終人類史。最大限のパラドクス効果を得て、ディアボロスの力も強化されている。
「だが、キマイラウィッチたちの戦闘能力もまた、全般的に強化されている。油断は禁物だと心得てほしい」
 そう、キマイラウィッチの方も、『復讐の対象であるディアボロスの本拠地』に攻め込んでいるため、各能力が強化しているのみならず、気力も上がっている。
「するべき事は、キマイラウィッチを確実に撃破し、最終人類史から叩きだす事だ」

 それから、もう一つ……と、リュカは続けた。
「キマイラウィッチにとって『復讐の念』は、とても重要な要素。もしも今回侵攻してきた奴らを、ディアボロスがあっさり返り討ちにしたとしたら。奴らの『復讐の念』は、更に強まるだろう。そうなったら、それを利用した新たな作戦を、今後仕掛けてくる危険性がある」
 もっとも、実際には簡単に倒す事はできないだろうけどと付け加える。
「そこで、可能性の問題だけど。可能ならば連中の『復讐の念』を弱めたうえで、撃破してほしい。ただ……」
 これは非常に難しい。手抜きして相対した事がバレたら、おそらくより一層の復讐の念を燃やすだろう。かといって、敵に勝たせるわけにもいかない。
 相打ちに極めて近い、奴らが『復讐を果たした』と満足させられるように振る舞えば、復讐の念もきっと弱まるはず。
「具体的には、ディアボロスを殺害したり、大きな打撃を与えたと『思わせる』。そのように振る舞って欲しいんだ。当然これは、キマイラウィッチの奴らに『そう思い込ませる』ような演技を行う必要があるけどね」
 難しい任務だが、放置はできない。
「皆、やってくれるかな?」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【現の夢】
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周囲に眠りを誘う歌声が流れ、通常の生物は全て夢現の状態となり、直近の「効果LV×1時間」までの現実に起きた現実を夢だと思い込む。
【一刀両断】
1
意志が刃として具現化する世界となり、ディアボロスが24時間に「効果LV×1回」だけ、建造物の薄い壁や扉などの斬りやすい部分を、一撃で切断できるようになる。
【照明】
1
ディアボロスの周囲「効果LV×20m」の空間が昼と同じ明るさに変化する。壁などで隔てられた場所にも効果が発揮される。
【託されし願い】
1
周囲に、ディアボロスに願いを託した人々の現在の様子が映像として映し出される。「効果LV×1回」、願いの強さに応じて判定が有利になる。
【迷宮化】
1
洞窟や家屋、砦などの内部を迷宮に変化させる。迷宮化により、敵は探索や突破に必要な時間が「効果LV倍」される。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【植物活性】
1
周囲が、ディアボロスが指定した通常の植物が「効果LV×20倍」の速度で成長し、成長に光や水、栄養を必要としない世界に変わる。
【建造物分解】
1
周囲の建造物が、ディアボロスが望めば1分間に「効果LV×1トン」まで分解され、利用可能な資源に変化するようになる。同意しない人間がいる建造物は分解されない。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
1
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【猫変身】
1
周囲が、ディアボロスが猫に変身できる世界に変わる。変身した猫は最大「効果LV×10m」の高さまで跳躍できるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【命中アップ】LV2 / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV3 / 【反撃アップ】LV1 / 【ドレイン】LV3 / 【アヴォイド】LV2 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

塩田多弾砲
 こんにちは、塩田です。
 今回は、キマイラウィッチの人類最終史、バルセロナでの戦いです。以下の順番で、進めて下さい。
 ①キマイラウィッチを満足させる戦い。
 ②👾ディアボロスを狙うトループス『マンティコアウィッチ』
 ③👿アヴァタール級との決戦『マンティコア』

 最初に①にて、「キマイラウィッチ『マンティコア』が、ある程度満足して死ぬようにするための演技」をお願いします。キマイラウィッチは『恨み』をもって行動しており、ディアボロス側が簡単かつ容易に倒してしまったら、後続の同族がそれすらも恨みにして、攻め込んでくる可能性があります。
 そのため、可能な限りディアボロス側が苦戦、または追い込まれるような『芝居』をうってください。これは、たとえ最後にキマイラウィッチが敗れたとしても、その恨みの元凶たるディアボロスに一矢報えた……と思わせるような行動を取る事で、少しでも恨みを軽減させるための措置です。
 具体的な方法はお任せしますが、例えば、
「小屋などに追い込まれ、敵からの攻撃を受け爆発。別の場所から脱出するなどして殺された、あるいは瀕死の重傷を負ったように見せる」
「敵と直接交戦し、敵からの攻撃をあえて受ける、あるいは受けたふりをして、ダメージを食らったと思わせる」
「パラドクスを利用し、敵の攻撃を受けて、多大なダメージを受けたように相手に思わせる(幻影や目くらまし、認識阻害や精神操作の効果を持つパラドクスで、攻撃を受けたように見せる。爆発系のパラドクスで、自爆するように用い自分達が敵の攻撃で爆破されたと見せる、など)」
 ただし、当然ながらわざとらしい芝居や、ばればれな行動や言動を取ったら、相手の恨みが更に増してしまうので、注意して下さい。

 次に②にて、トループス級と交戦し、各個撃破をお願いします。ただできれば、次の③にも通じる事なので、できるだけ『苦戦した上で辛勝』したように見せかけて下さい。
 そうした上で、ぼろぼろの状態(になったと装い)で、③に赴いてください。
 これも、可能な限りで構いませんが、ディアボロス側が何人か『マンティコアに倒された』と装い、更に倒す時も『マンティコアに辛勝した』と思わせるようにするのが理想です。

 ある意味非常に難しい内容かもしれませんが、皆様のご参加をお待ちしております。
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このシナリオは完結しました。



発言期間は終了しました。


リプレイ


伏見・萬
(連携アドリブ歓迎)(仲間は苗字呼び)
奴らを満足させてやる義理もねェンだが、仕方ねェな

【完全視界】利用で周囲の状況を観察、フードで顔を隠して敵群に突撃
「偵察の予定だったが我慢できず攻撃開始。予想より敵が多かったが引っ込みがつかない」という風を装う
【捕食者の追跡】を使用するが、敵の尾の攻撃をわざと受ける(不自然にならないよう注意)

ッ…こいつァ…毒、か…!マズいな…
…こうなったら、てめェらも道連れだ…!

「自分はもう助からないと悟り、力尽きるまで敵を倒そうとする」→「苦しみながらも戦うが、毒が回って次第に動きが鈍り、そのせいで負傷も重なり、倒れて動かなくなる(死んだふり)」という流れ

…あァ、もう身体が動かねェ
俺ァ…てめェらの「復讐」に…飲まれるのか…

リターナー故に元々心臓は動いておらず、動かなければ死体にしか見えない
(顔を隠していたのは、「元々血の気の失せた身体をしている」事を悟られないようにする為)

(※以降は「ディアボロスの死体」として戦場に転がっている
演出等にご自由にご利用頂いてOKです)


薔薇星・パッフェ
なるほど、芝居であるか
ならばここは舞台、我輩たちは役者。復讐にかられたキマイラウィッチたちの心を満たす、その演目は――
…うむ。『acteur』よ、共に舞台へ!

我輩は威光の杖を片手にカッコよく登場するのである。『acteur』よ、従者のように三歩引いて歩くように
そして威風堂々と名乗りをあげ、敵に決闘を申し出るであるよ。相手に投げつける白手袋も準備したのだ!
まあ、決闘を受け入れてもらえなくても戦闘にはなるのだろう。いずれにせよ杖で敵との戦いを演じるのである
杖で奮戦するも力負けし悔しそうな表情をしたり、攻撃を受けて「こんなはずでは…」と気弱な台詞を言おう
そして苦し紛れのようにパラドクスを使用。放たれるスモークと共に単身エスケープ…これも当然演技である。『acteur』は少し遅れてから我輩を追ってくるように

『決闘に挑んだ復讐者にダメージを与え、従者すら置いて逃げる失態を晒させた』
これで彼らの溜飲も下がろう
権威的な相手が負けるのも胸がすくであろうしな

連携もアドリブも大歓迎である!


マリアラーラ・シルヴァ
本当にピンチにならないよう皆と話し合ってから
マリアは偽オベリスク防衛戦な劇を始めるよ

【セルクラフト】を重ねて作った塔に
カーテンやシーツを巻きクリスマスの点滅する飾りを付けてそれっぽくするの

そしてピカピカの光に誘われ部下ベーダ達が来たら
秘密の研究都市になんでベーダが!?って慌てる演技をするね

そうすると「蹂躙と探索」が任務のベーダ達は
秘密の研究なんて聞き捨てならない単語について尋問するため
すぐには攻撃しないだろうから
その隙に【罪縛りの鎖】をけしかけ
なんで効かないの?なんで!?って焦るマリアで復讐心を刺激するの

さらに人々の犠牲を無駄にするよりは…!なんて
都市が無人な理由っぽい事をこぼしながら
手作りオベリスクを盾にパラドクス
急な天候悪化で何か凄いことが起きそうな演出をするよ

そうすればベーダの反撃で
花びらがカーテンやシーツに火をつけるだろうから
それに紛れて【腐敗】でコンクリートを腐らせ
ぽっきりオベリスクさせて
なんてことなの…!ってイヤイヤしながら逃げ出すことで
ベーダにいい気分になってもらう作戦だよ


●復讐の念は、良き悪しきに関わらず……
 バルセロナ。
 そこは『霧』により、町全体が見えにくくなっていた。
「……おかしい」
 伏見・萬(錆びた鉄格子・g07071)は、それに対し『疑問』を呟く。
「……『完全視界』の効果が、どうも……調子が悪い」
「萬君もそうかね。我輩も……どこかこの『霧』には、違和感を覚えるのである」
 薔薇星・パッフェ(役『吸血鬼 薔薇星・パッフェ』・g10767)もまた、彼なりに『おかしさ』を感じ取っている様子。
「……薔薇星、お前もか」
 そう、萬のパラドクスの効果により、普通にバルセロナ市中を見通す事は出来る。その程度の視界は確保できてはいるが……、
 バルセロナ市外の方へと視線をやっても、そちらはなぜか、見通せなかった。
 今彼らは、バルセロナ市の外辺部に、市中を望める場所に立っている。市中にも『霧』はあちこちに立ち込めており、視界を遮っていたが……、
『完全視界』の効果で、それらを見通す事は支障なくできていた。視界の確保に問題は無い。
 だが、市外へと視線を移すと……『霧』が分厚く漂っている様子が見えるのみ。外の様子がどうなっているのか、なぜか見通せない。
「……萬、そっちの目から確認したいの。いい?」
 マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)が問う。
「シルヴァ、なんだ?」
「……『市内』は、見通せるのね? 見えないのは『市外』だけ?」
「……ああ、どうやらその様だ。市内は普通に見える。活動する事に問題は無いだろう」
「……なら、当座は大丈夫そうなのね。マリアたちが一番しなきゃならない事は……」
『市内』の、キマイラウィッチたち。
「……左様。キマイラウィッチたちへの対処を優先せねば」
 薔薇星もまた、考えつつ何度もうなずく。そして、
「……ま、考えていても始まりませぬ。人生とはすなわち、即興劇! アドリブを畏れては、即興劇は進みませぬ。そうであろう?『acteur』?」
 傍らの人形を大きくうなずかせ、薔薇星は大仰な、それこそ文字通りに芝居がかった仕草にて、そんな台詞を口にした。
「……そうだな。恐れていては、できる事もできない、か」
 萬はそう口にすると、
「……それじゃあ、俺たちも芝居をするとするか。奴らを満足させてやる義理なんざねェンだが……仕方ねェ」
 改めて、目前の事態に向き合った。

「さて、状況の『確認』なのね」
 マリアラーラは、即座にバルセロナ市内の、やや高い場所に陣取り、
 改めて、場所を俯瞰した。
 あちこちに、ライオンのケンタウロスのような姿のベーダ……『マンティコアウィッチ』が見える。
 先刻の打ち合わせ。それに基づき行動する予定だが……いつもの通り、『うまくいく』かは定かではない。
 けど、薔薇星の言う通り、『予定調和な展開の物語は、退屈なだけ』。そう簡単にいかないからこそ、ベーダとの戦いは困難なものであり……挑戦するに値する。
 薔薇星も、萬も、己の『劇』を、ベーダの復讐を語る『即興劇』を始めている。
「……マリアも、いくのね。さあ……」
 偽オベリスク防衛戦、開幕するの!
 それとともに、バルセロナの一角に姿を現した『塔』。それが、
 点灯し始めた。

『マンティコアウィッチ』、
 彼女たちは、その手に花の杖を、薔薇を模した意匠の杖を握っていた。
 ライオンのケンタウロスのような彼女たちは……その腕と、ライオンの前半身部に、番号の刺青が入れられていた。
 その一隊は、『18号』の刺青が入った個体が率いていた。
『おい、同志! あれを見ろ!』
 同志の19号が、立ち止まり指し示す。
 その示した先には、
『塔』が立っていた。
『……あんな塔、あったか?』
『わからん。見過ごしたのかもしれんが……見つけたのなら調べねば』
『あるいは、ディアボロスどもが幻術か何かで隠していたのかもしれん。やつらの隠れ家という事も考えられる』
 20号、ウィッチたちのリーダー格の言葉が、次の行動を決めた。
 まるで猫のように、あるいは、狩りの前の獅子のように、塔の近くまで駆けていくマンティコアウィッチたち。
 だが、その前に。
「やあやあ、御同輩! ご機嫌麗しゅう!」
 そんな声とともに、大仰な仕草で、そいつが……、
 薔薇星・パッフェが、彼女らの前に現れた。

 同じく、『塔』を臨む別の場所。そこには、
『……? 21号、あの塔はなんだ?』
 マンティコアと、
『わかりません。あの辺りには、30号の部隊が向かっているので、調査しているはずです』
 マンティコアウィッチの一隊が、改めて認識した『塔』に対し、訝し気な視線を向けていた。
『……我々も行くぞ。周囲は人の気配が無く、明かりも無いのに……あれだけが不自然なくらいに点灯している。あからさまに、『こっちに来い』と誘っているかのようにな』
 マンティコアのその推論に、控えていたマンティコアウィッチ……21号は驚愕したように問うた。
『では、あれは罠ですか? だとしたら、接近は避けるべきでしょうか?』
 21号の質問に、
『いや……このまま進むぞ』
 そう答えるマンティコア。
『あえて目立たせ、誘っているとしたら……あの塔には罠とともに、ディアボロスが居るはずだ。しかし逆に考えれば、こちらが罠を見越して対処すれば、肉迫できる好機とも言える』
『成る程、敵の懐にあえて飛び込むわけですね』
 マンティコアウィッチたちも、指揮官の意図に気付き、用心深い歩調に。
「…………」
 その様子を、近くの建物の陰から聞いていた者が居た。
(「うまく、引っかかってくれたようだな。こっちも「捕食者の追跡(プレデター・トラッキング)」を使い、奴らを発見したが……そろそろ行くか」)
 彼……萬は、来ていた服のフード部分を大きくかぶり直し、
 塔の近くに来たタイミングを見計らい、そして……、
「おいお前ら! そこまでだ!」
 敵軍に聞こえる位置から飛びだすと、言い放った。

●……精神に、強烈な力を与える事は確か
「……うまく、来てくれたみたいなのね」
 狙い通りと、マリアラーラは『塔』の窓から、徐々に近づいてくるマンティコアウィッチの群を確認した。
 この『塔』は、【セルフクラフト】を重ねて作ったもの。それにカーテンやシーツを巻き、クリスマスやカーニバルなどの用いられる、点滅する伝統の飾りなどを付けている。その形状は『オベリスク』のそれ。
 実際に作ってみて、ピカピカと光る様子は悪目立ちすぎるかとも思ったが、かえってそれが惹きつけてくれている。
「さて、それじゃあ……」
 ウィッチたちが、声が届く場所に接近した事を確認し、
「……ベーダ!? 秘密研究都市の、研究所に、なんでベーダが来てるの!?」
 マリアラーラは叫んだ。

『聞いたか? 秘密研究とか言っていたぞ!』
『やはり、何らかの研究施設か! すぐに破壊しろ!』
『いや、まずは問いただせ!』
『中も調べろ! 壊すのはその後だ!』
 そんな事を言いつつ、30号以降の番号を持つマンティコアウィッチたちは、
 オベリスク塔の周囲を、その壁を壊し、内部への侵入を試みていた。
「やめて! 来ないでなの! 内部の研究施設や資料は壊させないの!」
 そして、マリアラーラのそんな言葉に、
『やはりそうか、ディアボロスどもの研究所に違いない!』
『あの小娘は、恐らく研究者か何かだろう。捕まえて吐かせろ!』
 と、一部のマンティコアウィッチたちは、威嚇するように手の杖を振り回す。
「…………!」
 しかし、いきなり彼女らに、『鎖付きの枷』がどこからか伸びてくると、巻きついてきた。
『なんだ!?』
『罠か! 気を付けろ!』
 まるで鎖は、空を飛ぶ蛇のよう。空中を飛来し、マンティコアウィッチたちに向かっていった。
 そして、それら鎖付きの枷……『罪縛りの鎖』は、ウィッチたちを捕える。
 その状態で、
「……なんで、なんで効かないの! 敵への防衛装置がうまく動かないの、なんで!?」
 焦りの言葉が、マリアラーラの口から放たれた。それとともに、
 天候が、いきなり『悪く』なっていった。

『……貴様、ディアボロスか!?』
 曇天だった空の下、マンティコアとマンティコアウィッチたちの一群。
 その前に現れた萬を前に、マンティコアは警戒していた。
 曇天そのものも、より不吉に、より重々しく、変化していく。
 これぞ、マリアラーラのパラドクス、『夢魔のお天気占い(ウィザースウェザース)』。
 単に『不吉な天候を見せる』だけだが、それでも不安を煽る事には、この上ない手段。
(「シルヴァのパラドクスだな。彼女も敵と遭遇したらしい」)
 それを悟った萬は、
「ああ、そうとも。この辺りを偵察で回っていたら、まさかテメェらを発見するとはな。テメェらごとき、俺が片付けてやる!」
 フードをかぶり、顔や頭部を隠しつつ……手の得物を、コンバットナイフ『鈍色の爪』を構えていた。
『それはこちらも同じ! ディアボロスよ、貴様を苦しめ葬る事で、我が復讐を果たしてやる!』
 ナイフに対抗し、マンティコアは尻尾の毒針を構える。
 それとともに、周囲のマンティコアウィッチたちも、爪を伸ばし牙を剥き出し、尻尾の針とともに……薔薇の杖を構えた。
『そうとも! 我々が居る事も忘れるな!』
(「……乗って来やがったな」)
 自分へと、注目してきた事を感じ取り、
「……へっ、テメェら程度、ライオンもどきが一匹に、手下が十……いや、もっとか。このくらい、俺の敵じゃあネェぜ!」
 萬はナイフの刃を向け、煽るような事を言ってみた。が、
『……莫迦め、まだまだおるわ!』
 と、マンティコアの後ろから、更なるマンティコアウィッチたちが、その姿を見せた。
「……ちっ、少ねえと思ったのによ! だがここまで来たなら、後に引くつもりもネェぜ!」
 そんな事を言う萬に、
 マンティコアウィッチたちは、ニヤリ……と、笑みを浮かべた。

「我が名は薔薇星・パッフェ! 貴様らを滅ぼしに来た者である! そこの半人半獣のレディたちよ……我輩は貴殿らに、正々堂々と決闘を申し込む!」
 薔薇星はそう言って、長手袋を投げつけた。彼の後ろに、従者が如く控えるは『acteur』。
『……正々堂々と、だと?』
 18号、19号、20号のウィッチたちが、それを聞き、
『ふざけるな! 行うのは、お前に対する『一方的な蹂躙』だけだ!』
 吠え、そして……飛び掛かって来た。
(「やはり、決闘にはならなかったのであるな!」)
 でも、誘き出す事には成功。このままこいつらと交戦し……本来の目的を遂げねば。
 否、そもそも……決闘になろうがなかろうが、構わない! 本来の目的……こやつらに納得させたうえで、葬り去る。それを実行するためには……、
「ならば狂戦士がごとく、獣らしい戦いを始めるとしよう! はーっ!」
 手にしていたステッキで、敵の爪を受け流し、ウィッチたちへと振り下ろし叩きつける。
(「これは……やはり……!」)
 そして、気付かされた。
 芝居の『必要がある』と同時に、『必要は無い』という事に。
 この時点では、あくまでも『推される』芝居を、やられたふりをして『撤退する』芝居を打つ必要がある。
 だが、敵の攻撃はすさまじかった。恨みつらみを牙と爪、そして薔薇の杖に込め、強力な一撃を喰らわせて来る。力負けするふりも無用ならば、悔しそうな表情の芝居も不要(実際、ちょっと悔しい)。
 攻撃を受け、本気で「こんなはずでは……」と、自然に口走ってしまった自分を、薔薇星は知った。
『うらああっ!』
『はーっ!』
 16、17号のマンティコアウィッチの体当たりと爪が、
「! ぐっ!」
 杖で受け止めきれず、自身のスーツの一部を切り裂き、身体を爪でえぐるのを、薔薇星は激痛とともに感じ取った。
(「これは……想定外! 然れども……」)
 然れども、最初の目論見からは、そう離れていない。
 ピンチはチャンス。今回もそれを実践せんと、薔薇星は、
「さあどうした、半獣の化け物レディたち! 貴女たちの復讐の炎はその程度か! この程度、蝋燭の火にも劣る!」
 あえて煽る言葉を、放つのだった。

●しかし、その力に流され飲まれると、待つのは破滅のみ
「!」
 キマイラウィッチ、マンティコアウィッチたちは、
『燃えろ!『復讐のグロリオサ』!』
 魔術を用い、無数の花びらを舞い散らせた。
 それは空中を舞い、マリアラーラの『塔』、それを包むシーツに引火。
 一気に火炎が回り、『塔』そのものも火炎に包まれる。
「きゃああっ! 熱いの!」
 即座に、マリアラーラは『塔』から飛び降り、逃れんとする。が、
『逃がさん! このまま殺してやる!』
『待て! 情報を吐かせろ! ここで何をしていた!?』
『秘密研究と言っていたな、どこまで何を知っている! 答えろ!』
 マンティコアウィッチたちは、ほぼ全て『罪縛りの鎖』でその自由を奪われている。
 このまま、逃げて態勢を整えるのが良いだろうが……、
『もらった! 逃がすくらいなら、殺してやる!』
 と、数体のマンティコアウィッチが、再び、
『復讐のグロリオサ』、燃える花びらを放ってきた。

「ぐっ、がはあっ!」
 萬は、
『……ディアボロスよ。我が『蠍尾の一刺し』と……』
 マンティコアと、
『我々の『蠍の毒尾槍』は、どうだ? 苦しいか? もっと苦しめ!』
 マンティコアウィッチたちからの、蠍の尻尾、その毒針の攻撃を受け、瀕死の状態だった。
「……ッ……こいつァ、『毒』か……! マズいな……」
『ああ、マズいとも!『マンティコアに出会ったら、そいつの尻尾に気を付けろ』。この詩の続きは、あの世で考えるがいい!』
 マンティコアが、勝ち誇る。
『今頭の中には、走馬灯でも回っているか? だが、お前たちにはそれすら許さん!』
 そう言って、マンティコアは黒き火炎を、ウィッチたちは花びらを、周囲に浮かばせ始めた。
「……あァ、もう身体が動かねェ」
 だが、それらが放たれる前に。
「……俺ァ…てめェらの『復讐』に………飲まれるのか……」
 どさっと、萬は倒れ……、
 そのまま、動かなくなった。
『……やった……やったぞ! 復讐を遂げた!』
『ははは! 無様な死にざまだ! ざまあみろ!』
 ウィッチたちは歓喜に轟く。
(「……このまま、どっか行ってくれよ……」)
 だが、萬は倒れたまま、虚ろにそんな事を考えていた。
 リターナーである彼は、元から心臓が動いていない。故に動かなければ、死体にしか見えない。何より、元から血の気が失せた顔と体をしている。
 死んだふりをして、敵を満足させる……という、萬の当初の目的は完了した。
 しかし、
『待て。そいつの死体も始末してやる』
 マンティコアがそんな事を言いだし。萬は背筋が凍った。
『死体蹴りしても無意味だが……復讐は完全でなければな! 燃やすのも良いが……牙と爪でバラバラに引き裂くのも悪くない!』
(「……まずい! どうする!?」)
 死ぬ覚悟はできているが、このまま殺されるわけにもいかない。
 しかし、逡巡する彼の想いをよそに、
 マンティコアたちは、徐々に近づいて来た。

「……この研究所、人々の犠牲で建てられたもの! 敵ベーダの手に落ちるくらいなら……」
 マリアラーラは、叫び、ウィッチたちが『復讐のグロリオサ』を放つ直前。
『塔』が、倒壊した。
『! な、なんだとぉっ!』
 細長い、オベリスク型の塔の先端部がいきなり折れ、
 マリアラーラの目前へと、落下したのだ。
「なんてことなの……! ああ、なんてことなの!」
 先端部は、ウィッチと、マリアラーラとを巻き込み、もうもうと、粉塵を巻き上げる。
「もう、これで全部がおしまいなの! せっかくの、研究結果が……データが……!」
 泣きながら、マリアラーラは、
 そのままウィッチたちの目前から、姿を消した。
『……我らの炎が、奴らの基地を、研究所を壊したらしいな!』
『……我らが勝利だ! 見ろ、あの小娘の無様な姿を! 我等はどうやら、奴らにとって有用な情報をも燃やせたらしいな!ざまあみろだ!』
『この鎖をなんとか外した後で、マンティコア様の元に合流するぞ、あの小娘は、後で追い詰めて殺してやろう』
 勝利の雄叫びと、士気高揚。
(「……うまく、行ったみたいなのね」)
 物陰に隠れつつ、マリアラーラは彼女らの言葉を聞いた。聞きつつ、
【腐敗】で、『塔』を構成していたコンクリートを腐らせ、更に崩していった。
『追い詰められて、研究所と思わせた『塔』に火を放たせ、それとともに崩し、敵の復讐心を満足させる』
 マリアラーラのこの作戦は、うまくいったと思って良いだろう。
 しかし……少しだけ予定外の事が。
(「ちょっと、怪我しちゃったのね。けど……」)
 かすり傷。それに……、
 仲間たちも、助けなければ。

「どうやら……思った以上に手練れのようであるな!」
 次々に、『塔』が崩れているのを横目に、疲労困憊といった口調で薔薇星は言い放つ。
『ふん。貴様も中々のステッキさばきだが……遅い!』
 18号ウィッチは、尻尾を伸ばしステッキと打ち合うと、
 前脚の爪で、薔薇星の胸を引掻いた。
「ぐっ……!」
『とどめだ! 『人食い獅子の狩猟』!』
 集団で飛び掛かったマンティコアウィッチたちは、強靭な前脚と爪とで引き裂かんとしたが……、
「ひいいいっ! 死にたくないぃぃぃ!」
 途端に爆発が起こり、スモークと紙吹雪とが、視界を防いだ。
『おい、やつはどこだ!』
『くそっ、何も見えん!』
 それが晴れると、薔薇星の姿は消えており、
 マンティコアウィッチたちは、自分たちの爪が引き裂いたのは、従者の人形である事に気付くのだった。

●復讐は無意味か否か、それは当人にしか判断できない
『……ははは! 奴め、逃げおった!』
『何と無様な! ダンディに決めたつもりが、実力が伴わないとはな!』
『逃がした事は心残りだが……まあいい、後で見つけて殺してやる。マンティコア様に合流するぞ!』
『この人形はどうする? 戦利品として持ち帰るか?』
『放っておけ。そんなガラクタ、かさばるだけだ』
 かくして、マンティコアウィッチたちは、その場を離れていった。
 しばらくして、倒れていた『acteur』は、よろよろと立ち上がり、
 別の場所へと、向かって行った。

「……済まぬ、『acteur』。ぼろぼろにしてしまったな」
 数刻後。遁れてきた『acteur』と合流した薔薇星は、
 傷だらけになっている人形を、いとおしげに撫でていた。
「……表面に爪の傷は刻まれてしまったが、手足ももがれてはおらず、大きな破損も……無さそうであるな。済まぬ、もう少しだけ頑張ってもらいたいのである」
 当然ながら、返答は無い。だが……薔薇星はなんとなく感じていた。
『任せて』と、『acteur』が言ってくれたと。
「……その前に、我輩も少しばかり……休息せねば」
 へとへとになっただけでなく、重傷ではないが怪我も負った。休んで、回復しなければ。
 物陰に隠れ、壁に寄りかかり、
(「こんなところを襲われたら、ひとたまりもないであろうな……」)
 薔薇星は……休息を取った。

 マンティコアが、萬に一歩踏み出した、その時。
『! ……全員下がれ!』
 上空から、『塔』の一部が崩れてきた。
 それは、マンティコアとウィッチたちが居た場所に、まるで狙い定めたかのように落下すると、瓦礫をまき散らす。
『マンティコア様!』
『……30号どもは、どうやら『塔』の破壊を行ったらしいな』
 落下した瓦礫と、崩れ落ちたそれらを見て、マンティコアは考え込む。
 と、そこへ。
『マンティコア様、30号です!』
 30号と、その配下たちが姿を現した。

『……なるほど。追い詰めはしたが、逃したのだな』
『はっ、申し訳ありません』
『だが、敵の施設を破壊した事は僥倖。生きているディアボロスも確認したならば、そちらを始末せねば』
 報告を受けたマンティコアは、
 再び、言い放った。
『……マンティコアウィッチどもよ、捜索を再開せよ! 我等の復讐の炎は、確実に燃え広がっている! なにより、我等は敵の一人を討ち取った! 敵どもは間違いなく我々を探し、仲間の仇討ちをするためにやって来るだろう!』
 と、倒れている萬を指し示す。
『奴は放っておけ。それより、生きているディアボロスだ! 行くぞ!』
 マンティコアの号令とともに、ウィッチたちもそれに従い……その場を離れていった。

「……萬、大丈夫?」
 人気が無くなり、暫く経過してから、
 マリアラーラが、うつ伏せで倒れている萬へと駆けつけた。
「シルヴァか? ……心配ネェ。それより、俺の事は触らず、このままにしといてくれ。奴らが遠くから見てるかもしれねェ」
「うん……ああっ、仲間まで殺されてる! なんてことなの!」
 見られている事を用心し、マリアラーラはそう言ってみる。
 言った後、悲しみに暮れて跪いたふりをしつつ、
「……薔薇星は、うまくいったみたいなの。少し負傷してるけど」
 萬の耳元で、小声でそう伝えた。
「マリアも、秘密施設を破壊され、マリアの事も追い詰めて逃げられた……って、思わせる事に、成功したのね」
「……そうか。なら……次の段階に移行する頃合いだな」
 萬も、小声で返答する。
「……シルヴァ、俺はもうしばらく、こうやって死体のふりをしておく。お前は薔薇星に合流し、次の段階に進んでくれ」
「……わかったの……おのれ、ベーダ! この仇は必ず取るの!」
 もう一度、そんな事を言った後、
 マリアラーラは萬から離れ、消えていった。

 そして、その様子は。
 マリアラーラが心配した通り、二体のマンティコアウィッチに、遠くから見られていた。
『マンティコア様の命令で、見張っていたが……」
「ふん。あの男、死んだふりをしていたかもと思ったが、どうやら本当に死んだらしいな』
『ああ。だが……このままあの小娘を追わなくていいのか?』
『構わん、マンティコア様が言うには『小娘の方も、研究施設を壊されたのだ。それに仲間を失ったなら、放っておいても、こちらに来るだろう』と仰っていた』
『なるほど、我らが捜す必要は無いという事か。では……』
 戻り、報告だ。
 そう呟くと、マンティコアウィッチたちは、そのままその場を後にするのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【完全視界】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

マリアラーラ・シルヴァ
敵方は合流しちゃったみたい?
部下は凄く手強いし親玉ティコアは隠れて見張りを付けるなんて頭が回るし
なんとか引き離さないと
観察されてマリア達の狙いも見破られるかも…

だから本拠地は地下にあった作戦で行くよ

ティコア達が復讐者迎撃陣地造ってる所に
マンホールから飛び出し奇襲の【一刀両断】
すぐに「やっぱり通じない…こうなったら人類最終兵器を使うしか…!」
って地下鉄の入り口へ逃げ込むの

そしたら親玉は大柄な上に翼もあるし
美学持ってる尻尾も天井低くてぶつけちゃうから
地下に隠れている人間共を引きずり出せって
比較的小柄な部下ティコア達を向かわせるはず

でもそこは【迷宮化】したうえ【トラップ生成】が待ち受ける魔窟
更にマリアがティコア達を引き付け
攻性迷宮パラドクス使いながら一緒にトラップに掛かるから
落とし穴も吊り天井もなぜかティコア達の方が被害甚大
復讐心を募らせないようマリアも傷つきながら
悪いのは貴女達の日頃の行いでしょ!って誤魔化すの

後は仲間が戦いやすいよう
機を見てティコア達を分断遭難させるね
皆どうか無事に…!なの


薔薇星・パッフェ
『acteur』。私の操り人形、大切な役者。そしてかけがえのないバディ
今君を消耗させるわけにはいかない
この戦いは私にまかせて、君は観客席から私の…我輩の大立ち回りを観ていたまえ

小さな策略家さんが敵を分断してくれたか
ありがたい、この機に撃破させてもらおう

逃げた我輩が戦場にいるのは不自然で敵の警戒を強めてしまうかな?
伏見君の敵討ちに来たという演技で平仄を合わせよう

敵が【復讐のグロリオサ】で攻撃してきたら我輩もパラドクスを使用
さあ、エチュードに付き合ってもらうおうか!
燃える花びらから身を守ろうと吸血マントを翻して防御
マントで敵から我輩の姿が一瞬でも見えなくなった瞬間、パラドクスで大火傷を偽装するである
呻き声をあげて地に伏し敵の油断を誘い、敵が勝利か残忍な愉悦に酔った隙にシルバーブレッドで連射
吸血鬼殺しの弾丸よ、魔女殺しの弾丸となれ!

決闘の時にぼろぼろになった服、偽装した大火傷
どう見ても辛勝であるよな?こっちは本当に燃え死ぬかと思ったであるし?
…演技するまでもなく諸君らは強敵であったぞ


伏見・逸
(連携アドリブ歓迎)(味方は苗字呼び)
戦場に到着するなり、倒れている男を発見
それがかつての「目の前で弟分を亡くした」記憶と重なり激昂する
倒れているのが誰なのか、本当に死んでいるのか、等を確かめる余裕もなく、獣の如く吼えながら敵群に襲い掛かる

……なんだ、これは。
てめえら、何を、しやがった――!
全員ここで潰れて消えろ、一欠片も残さねえ

【禍竜の凶舞】使用。蹴りと尻尾がメインの、対複数用の喧嘩殺法
【ダメージアップ】を利用させて貰い、撃破可能な敵個体を優先して狙い、手早く数を減らす
【ガードアップ】の力は借りるが、基本的に防御や回避の姿勢はとらない
敵の攻撃には自分の攻撃をぶつけて、そのまま押し潰しにかかる
負傷しようが構わず、自分が倒れるか敵が全滅するまで攻撃し続ける

「仲間がやられている事に怒り狂い、冷静さを失い、自分の身を省みる事も忘れ、敵を倒す事に執着する」という様子を見せる事で、敵に「精神ダメージを与えた・復讐を果たした」と思わせる
(とはいえ、本人にはその意識はあまりない。激昂も演技ではなく素)


終之蝶・椿姫 (トレインチケット)



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雁金・湊 (トレインチケット)



ケヴィン・グローブ (トレインチケット)



赦蜘・九朗 (トレインチケット)



アンゼリカ・レンブラント (トレインチケット)



来栖・禊 (トレインチケット)



●マンティコア。その意味は、古代ペルシア語で『人を食う者』
「……なんだ、これは」
 戦場に到着した、その男……伏見・逸(死にぞこないの禍竜・g00248)は、
 静かに、呟いた。
 瓦礫の中、砕けたレンガや石などの中、
 一人の男が、倒れていたのだ。その男は、動かない。動く様子を見せない。
 気絶しているだけなら、僅かだが呼吸をしている様子をみせるものだが、それすらもない。
 そして、
『……貴様、何者だ?』
『さては、ディアボロスの仲間か?』
『動くな! 我らが復讐の炎で焼いてやる!』
 そこに現れたのは、数名のキマイラウィッチ……マンティコアウィッチ。
 だが、逸は……視線を『倒れている男』に向けていた。
「……てめえら、何を……」
 静かな口調だった彼は、
「……何を、しやがった――!」
 咆哮するかのように、激昂した。
『何を? 我らが復讐の一端を遂げたのだ!』
『そいつは、我らが復讐すべき相手! ディアボロスが一人!』
『嘆く事は無いぞ。お前もすぐに同じ場所に送ってやる! かかれ!』
 マンティコアウィッチたちは嘲りつつ、同時に襲い掛かる。
「……全員」
『死ねえっ! 「人食い獅子の狩猟」!』
 襲い掛かられた逸は、
「……全員、ここで潰れて消えろ! ……一欠片も、残さねえ……!」
 その攻撃を受けつつも、尻尾を振るい、数体のマンティコアウィッチを薙ぎ払った。
『! や、やったな!』
「!」
 そのまま、言葉も無く。威圧感とともに携えた長ドスを、
 鞘に納めたまま、一人目……17号とナンバリングされたマンティコアウィッチに叩きつけた。
『ぎゃああっ!』
 受け止めた腕の骨が砕ける音を聞いた逸は、そのまま鞘を払い、
 18号、19号へと憤怒の表情のまま切り付け、切り捨てた。
『貴様、よくも……ひいっ!』
「何が『よくも』だ! てめぇらこそ、よくも仲間をやってくれたな! 許さねえ……絶対に許さねえ! 復讐してやる!」
『……はっ! ざまあみろだ! お前のその取り乱す様! 見苦しく狼狽える様! まさに見ものだ! やれぃ、我らがマンティコアウィッチ! こいつも復讐の炎で焼いてやれ!』
 20号が、後ろの方から命じる。
『燃えろ! 『復讐のグロリオサ』!』
 17号から13号までのウィッチが、燃える花びらを大量に放つ。
 それが直撃し、ウィッチたちはほくそ笑んだが……、
「……うらあああっ!」
 それを受けたまま、逸は突進。
「言ったはずだ! 俺の復讐を受けろ!『禍竜の凶舞(カリュウノキョウブ)』!」
 ドラゴニアンである彼は、硬化させた尻尾と、己の蹴りを以て、
 ほくそ笑んだマンティコアウィッチたちへ、攻撃した!
 先刻の敵のパラドクスによるダメージで、身体には痛みが走る。
 だが、それがどうした? むしろこの痛みのせいで、かえって頭が冴えてくれる……。
 こいつらへパキチかます事に、あれこれ迷わずに済む。
『ひっ……!』
 マンティコアウィッチどもは、次々に倒れ、そして……、
『喰らえ! 『蠍の毒尾槍』!』
「てめぇこそ喰らえ!」
 その場に居た、最後の一体……20号の蠍の尾を、逸は自分の尻尾で弾き、
 そいつに、長ドスを深く突き刺した。
『がっ!……ふっ……ディアボロスめ、我等を倒せたとて……まだ仲間がいる……マンティコア様もいる……』
「…………」
『……お前も、地獄にすぐ落ちる! 無様に死ね! 待っているぞ! ははははは!……ぎゃあっ!』
 20号から長ドスを引き抜くと、逸はそいつの首を落とし、
「……その前に、てめぇらを全員地獄に落としてやる!」
 吠えた。そして、
「……てめぇの仇は、必ず取ってやるからな」
 倒れていたその男……伏見・萬の身体を一瞥し、改める事無く、
 その場を去っていった。

「……? あなたは?」
「……貴殿は?」
「……遅くなったな。助太刀に来たぜ」
 やがて逸は、味方と合流した。
「で? 状況を説明してくれ」

「……正直、人数差があるのは否めないのね。けど……」
 マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)と、
「……来ていただいた事には、感謝するのである」
 薔薇星・パッフェ(役『吸血鬼 薔薇星・パッフェ』・g10767)が、それまでの事を語り、情報を共有する。
「……俺は、たった今。11号から20号のウィッチ共を殺してきた。仲間が死んでいるのを見て、怒りに震えてな。で……」
 これから、どう動くんだ?
 訊ねられたマリアラーラは、
「……マリアはちょっと、『策』があるの。できればそれに、協力して欲しいの」
 そう前置きし、語り出した。

「……『地下道』、あって良かったの」
 ヨーロッパの歴史ある大都市には、『地下道』が必ずある。
 バルセロナも然り。古代におけるカタコウム(地下墳墓)や地下の教会、聖堂、それに下水道や、戦争時に王侯貴族が逃げ出すための逃走路など、地下空間が意外なほどに整備されている。まさに……『地下迷宮』。
「……で、シルヴァに、薔薇星。先刻にてめえぇらの言った『作戦』だが……要は、『誘導』って事だな?」
 逸の言葉に、マリアラーラは頷き、
「左様。敵を誘い込み、分断し、各個撃破。単純に言えばそんなところである」
 薔薇星も、相槌を打った。
「少なくとも敵の総数は、アヴァタール級のマンティコア、先刻に貴殿が倒したウィッチを除いても、30から40、それ以上は居ると推測する。ゆえに……我輩たちディアボロスの一騎当千の力を以ても、苦戦するは必至。加えて……」
 敵の復讐心を抱かせないよう、可能な限り『辛勝』を装う必要もある。
「一方的に蹂躙する事は禁じ手、という事なのね」
 と、マリアラーラ。
「それと、もう一つ。敵は仲間意識が強いの。だから敵たちは必ず、仲間を殺したマリアや薔薇星を追ってくるはずなの」
「……なるほどな。俺もたった今、奴らを何人かバラしている。ならば……追って来ねえわけがねぇか」
 逸も納得したように、頷いた。
「……話は決まったな。それでは……」
 行くのである。薔薇星は立ち上がった。

●紀元前四世紀。古代ペルシア語「マルティコラス」が語源
『……!?』
 陣地を形成していたマンティコアは、その攻撃に……驚きを隠せなかった。
 いきなり、地下道から姿を現した『ディアボロスたち』。そいつらは何らかの、刃のような武器を振るい、切り付けてきたのだ。
「……てめぇが親玉か! この糞ライオンが!」
 長ドスの一撃を、マンティコアは尻尾の毒針で払いのける。
『……ディアボロスども! 自棄になったか? まあいい、我等の復讐の刃も受けてもらうぞ。そのまま死ぬがいい!』
 呵々大笑し、蠍の尻尾を振り回した。
『ウィッチども、奴らを殺せ!』
『はっ! 探索任務に出ている個体も全て呼び戻します!』
『奴らは手勢を増やしている、ならば確実に倒すため……こちらも戦力を集中させるぞ!』
 マンティコアウィッチもまた、部下たちに命じた。
 しかし、それに対し、
「……数が多いのね。みんな、地下道に入って、散開して! 地下の、『人類最終兵器』を用いて……こいつらを倒すの!」
 ディアボロスの一人、マリアラーラはそう述べると、
 地下道の入口へと、再び舞い戻っていった。
『逃がすか!』
 マンティコアが、自ら追跡せんとするも、
『お待ちを! 奴らは地下道に逃げました。狭い場所ゆえ、我等にお任せを!』
『それに、奴らは最終兵器と言っておりました。何らかの罠または、兵器を仕掛けているやもしれませぬ』
『我々が先行し、奴らを追跡し攻撃します!』
 マンティコアウィッチたちが、提案する。
『……よし、くれぐれも油断するな。危険と判断したらすぐに戻れ!』
 マンティコアの命を受け、
 マンティコアウィッチたちも、地下へ入っていった。

 バルセロナ市、地下。
 そこに広がる『地下道』は、ただでさえ……縦横無尽に広がっており、準備も無く入り込んだ者は、確実に迷う。
 それに、パラドクスの『迷宮化』効果が付与されたらどうなるか。本物の『地下迷宮』と化す。
「……『雪輝精の悪戯(ネージュアナライズシステム)』、ランダム生成ダンジョンに追いこめたようなのね」
「みたいだな、シルヴァ。……薔薇星、てめぇ風に言えば、こいつぁ『劇の第一部終了』ってところか?」
 マリアと逸に言われ、
「いかにも。では、幕間の現在……マリアラーラ殿の先刻の作戦通り、第二幕の開催と行こうか。この『地下迷宮』という名の舞台で、マンティコアウィッチたちに引導を渡そうぞ」
 薔薇星は頷く。そして……、
「では皆々様、別れて、それぞれ誘導し……対処する。第二幕の開始と行きましょう」
 言い放った。

 マンティコアウィッチたちは、焦りを感じて……いなかった。
 感じているのは、『自信』。そして、『全能感』。
 自分たちは、既に勝ち馬に乗っており……この勢いのままで戦えば、必ず勝てる、勝利できるといった確信だった。戦いゆえに、何名かは落命するだろう。だがそれを織り込んでも……最終的な勝利はこちらにある。そんな余裕が、彼女たちにはあった。
『……やつらは、途中で分かれた様子! 我々も分かれて追うぞ!』
『わかった! 我等はあの小娘の方を追う!』
 三分の一が、そう申し出て、
『では、我等はあの腰抜けのダンディ気取りを狙おう! 復讐の炎で、焼き殺してくれる』
『なら、我等はあのドラゴンの男だ!』
 残りは、そう申し出た。
 ……勝てる、必ず、勝てる。
 そんな確信が、彼女らの中に生じていた。
 しかし、
『……おい、こちらの通路……なぜこんなに曲がりくねっている?』
『……かなり走ったはずだが、なぜ戻って来るんだ?』
『……行き止まり? 別の道を進め!』
 バルセロナの地下道が、これほど入り組んでいるとは。マンティコアウィッチたちは思いもよらなかった。
『だが、この程度! 歯牙にもかけん!』
『そうとも! 勝利を目前にしている我らの前に、敵う者無し!』
『このディヴィジョンの都市の地下自体が、複雑なのだろう! 問題は無い!』
 彼女らは、熱狂のあまり……気付いていなかった。
 それが、マリアラーラのパラドクスである事に。

『見つけたぞ! あれは……秘密基地の『塔』から出てきた小娘だな』
『奴を捕えろ! 口を割らせて、情報を得てやる!』
『兵器とやらの詳細も吐かせろ!』
 マンティコアウィッチたちは、これ幸いと騒ぎ出す。
 だが、
 なぜかウィッチたちは、マリアラーラに『追いつけなかった』。
 もうちょっとで、捕まえられる……と迫ったところで、落とし戸が落ち、潰される。
 廊下を進んでいると、そこで……落とし穴に落ち、そのまま命も落とす。
 行き止まりに辿り着くが、後退したら地下道に見覚えのない空間が発生。
 レンガが落ちたり、曲がり角を曲がったらなぜか迷う。振り向いたら、見覚えのない曲がり角や通路や扉を見かける。
『くっ、あの小娘! ちょこまかと!』
 明らかにおかしいのに、ウィッチたちはそれに気づいていない。
『だが、逃げるだけだ! この辺りは先刻調べた! その先は行き止まり……』
 そう言ったウィッチだが、マリアラーラは『行き止まり』にあったはずの『曲がり角』を駆け抜けて逃れ、
『え?』
 後ろの、追っていたマンティコアウィッチ十数体は、
 そのまま床が抜け、奈落の下へ。そして……、
 一瞬で壁に左右から挟まれ、全員が押しつぶされた。
「……これが、マリアのパラドクス。『雪輝精の悪戯(ネージュアナライズシステム)』なのよ」
 その様子を、曲がり角から一瞥するマリアラーラ。
 このパラドクスは、ダイヤモンドダストのように輝くナノマシン群を展開させ、それに搭載されている戦闘AIにより、周囲をハッキング。『周囲を攻性迷宮と化し、追手を翻弄する』効力を持つ。
 視界はホワイトアウトし、空間も捻じれ、敵は周囲の迷宮そのものから『正体がつかめない反撃』に打ちのめされる。例え拙速に追っても、慎重に周囲を調べても、その反撃から逃れるすべはない。
「……けど、これだけで倒せるほど、ティコア(マンティコアウィッチ)もやわじゃないはず」
 そう、事態は甘くはない。むしろ……人数差があり過ぎる為、圧倒的不利な状況に変わりはない。
 薔薇星と逸はともかく、自分に向かってくる敵をさばき切れるかは、やや心もとない。
「とはいえ、敵戦力は分断できたから……」
 あとは、皆の実力次第なの。マリアラーラは仲間たちに、
「……どうか、がんばってなの」
 心の中で、エールを送るのだった。

●紀元前77年に、プリニウス『博物誌』で「マンティコラ」と誤記
「……『acteur』、私の操り人形、大切な役者、そして……かけがえのないバディよ」
 薔薇星は地下道内を、迷宮と化したその内部を、走っていた。
『acteur』の姿はない。先刻の戦いでダメージを負ったため、戦いに用いない事を決めていたのだ。
「この戦いは私にまかせて、君は観客席から私の……我輩の大立ち回りを観ていたまえ。たまには観客として、劇を楽しむのも悪くは無かろう?」
 そうとも。『acteur』はただの人形でもなければ、替えの効く道具でもない。
 かけがえのない、大切な存在。我輩の相棒であり、親友であり、兄弟にして家族。
 これまで、戦いをともに潜り抜けてきた仲間。破壊されて、失われるわけにはいかない。
 マリアラーラ。小さな策略家が、敵を分断させてくれた。この機に、敵を惹きつけ……撃破させてもらおう。この好機、有難く活用するつもり。
『おい見ろ! あいつはダンディを気取ったヘタレだ!』
『そのようだな。はは! また逃げるつもりだろう!』
『改めて、いたぶってやろう! あいつは大したやつではない、我らが復讐には物足りないが、殺しを楽しませてもらおう!』
 嘲りの声が聞こえてくる。だが、それを聞いて薔薇星はほくそ笑んだ。
(「……もっと嘲るがいい。嘲りは軽視につながり、それは油断につながるのである。そして……」)
『油断は、敗北を誘発する』。これは古今東西、何事にも当てはまる鉄則その1。
 鉄則その2。『油断し敗北する者は、最後の最後までその状況に陥った事に気付かない』。
(「大体において、『自分は大丈夫』『自分はそんなマヌケな事はしない』と、己を過信するものである」)
 その事を心に留め、
「……貴様らに、復讐するために来た!」
 地下道内、広い部屋に追い詰められたと見せかけて、振り向いた薔薇星は、
「……よくも我らの仲間を、伏見君を殺してくれたな! 仇討ちをさせてもらう!」
 マントを翻し、言い放った。
「さあ、エチュードに付き合ってもらおうか!」

 そして、また別の場所では。
『どうした、ドラゴンの尻尾は飾りか? そのドラゴンのタトゥーもこけおどしか?』
『焼き殺してほしいか? それとも毒針で死にたいか?』
『我々全員で引き裂いても良いぞ! 好きな死にざまを選ぶがいい!』
「……この……くそガキどもが!」
 やはり、広めの地下道の一角に追い込まれ、囲まれた逸の姿があった。
 先刻同様に、長ドスを抜身で構えているが……正直、分が悪い。
(「シルヴァのパラドクスと、俺の攻撃で多少は減ったが……まだかなりの数がいるな……!」)
 だが、彼は決めていた。カチコミの時には、弱音は吐かない。それを相手に聞かせて満足させるつもりもない。
『不死身の龍』の二つ名は伊達じゃねえ。この名の通り、不死身な事を証明してやる。
 ……いや、仮に今日ここで死ぬことになっても、大半の事を暴力で解決してきたこの俺には相応しい。戦いの中で斃れる、暴力でタマ取られるんだからな。
 鉄砲玉一人で、数十人相手にする。上等じゃあねえか。死ぬ覚悟は、とうにできてる。
「……来やがれ!」
 マンティコアウィッチたちと対峙し、逸は、
 己の眼差しに、絶望を越えた魔性の輝きを宿らせていた。

「……はあっ、はあっ、はあっ……」
 マリアラーラは、柄にもなく、
『覚悟』めいたものを感じていた。
『雪輝精の悪戯』の効力は確かにあった。そして敵戦力の分断にも成功。目論見通りに事は進んでいる。
 しかし、『目論見通りに進まない』事も、往々にしてある。
 今がまさにそれ。
(「ティコアたちの戦力が……思った以上に、マリアの方に向かってくるの!」)
 やはり、自分があの『塔』の関係者と思われたゆえに、捕まえて情報を吐かせよう……と考えての事だろう。
 それに、先刻には『地下に秘密兵器がある』とも言った。うまくそれに引っかかってくれたのは幸いだが……『うまくひっかかり過ぎた』。
 そして、
「……行き止まり?」
 長く伸びた、広い地下道の果てに辿り着いたが、そこは崩落していた。
 瓦礫も大きく、マリアラーラの手で取り除くのは不可能。そして、
 振り向くと、既にマンティコアウィッチたちが。
『……ふん、お前を追っていたら、なぜか我々も被害を受けてしまったが……』
『だが、追い詰めたぞ。喋ってもらう……あの『塔』で何を研究していたのかを』
『それに、地下の『人類最終兵器』に関してもだ。お前が知っている事、洗いざらい吐け!』
『情報を聞き出した後は、拷問した後に惨殺処刑してやる。悪く思うなよ。これも……我々の復讐のため。恨むなら仲間を恨むんだな』
 そいつらに、誤魔化すように、
「悪く思う? 悪いのは、貴女たちの日頃の行いでしょ!」
 そう言ってみるが、彼女らは全く動じない。
『……おしゃべりは終わりだ。逃げられないように、爪で足の腱を切っておくか』
 マンティコアウィッチの、指揮官らしき一体が、爪を剥き出し、進み出てきた。
「…………」
(「これまでの……ようなのね」)
 それでも、抵抗を示さんとした、その時。
「!」
『!?』
 騎兵隊が、到着した。
 おそらく薔薇星がこの場に居たら、間違いなく……そう言った事だろう。

『焼け死ね!『復讐のグロリオサ』!』
 そして、そこから離れた場所では。
 舞い散る花びらから放たれし、復讐の火炎が、薔薇星に放たれた。
「くうっ!」
 吸血マントを翻し、それを防御する。だが……、
「……くっ…! こんなはず…では…! こんなはずではぁぁぁぁっ!」
 マントが、ウィッチたちの視界を一瞬遮ると。
 その後で、薔薇星は己の姿を見せつけた。火傷、流血、そして、倒れ込む様子を。
 マンティコアウィッチたちには、確かに見せつけたはず。薔薇星が崩れ落ち、地下道の床に身を伏せる様子を。
『ははっ! やった、やったぞ!』
『ヘタレにしては、かなり抵抗していたが……だが、褒めてやる』
『ああ。思った以上にしぶとかった、その事に対しては敬意を示してやるとも!』
 ウィッチたちは、『浮かれた』。
 浮かれ、中には小躍りする者も。自らの歪んだ復讐が成し遂げられた事を、彼女らは浮かれつつ悦んでいた。
『我々の完全勝利は目前……あ?』
 そのウィッチは、いきなり言葉を止めた。
 それだけでなく、他のウィッチたちも……言葉を止めた。
 そして響くは、銃撃音。
「……吸血鬼殺しの弾丸よ! 魔女殺しの弾丸となれ! 我輩の弾丸を以て、歪んだ悦びとともに地獄に落ちるがいい!」
 それは、『シルバーブレッド』。古色蒼然としたリボルバーと、それに装填された銀の弾丸であり、吸血鬼を殺す武器。
 薔薇星は、パラドクス『絶体絶命の演技(ダマシウチノエンギ)』を以て、倒されたと敵に思わせ……油断したウィッチたちの隙を突き、反撃したのだ。
 リボルバーの弾丸が切れたら、素早く装填し、更に撃つ。
 薔薇星がシルバーブレッドの引き金を引くたび、ウィッチたちは葬られていったが……、
「……ぐっ……!」
 負った本物の傷の痛みで、リボルバーを取り落としてしまった。
 そして、
『……お前の事を、どうやら見くびっていたようだ』
 数体のウィッチを、仕留め損ねてしまった。
「!……くっ!」
『……小心者の無能を装い、我々を騙したのだろう? 弱い相手と我々に思わせて、油断を誘い……最後の最後にこうやって、反撃したわけだ』
 目前のウィッチたちには、嘲りは無かった。おそらくもう……油断を誘い、隙を作る事は出来ないだろう。
「……我輩も、言いたい」
 少しでも時間を稼がんと、薔薇星は問いかけた。
「……演技するまでもなく、諸君らは……『強敵』であったぞ」
『そうか。では……嘲った事を詫びる。強者として……敬意とともに殺そう』
 残りのマンティコアウィッチたちは、一礼し、
 飛び掛からんと、身構えた。

●以後、マンティコアとなり、現在に至る
「…………?」
 逸は、覚悟を決めていた。既に何人かのウィッチを殺したが……敵の数は予想以上だったのだ。殺し切れず、体力も持たないだろう。
 だが、いつしか。周囲に『花』が乱れ咲いているのに、気が付いた。
「……椿の花? へっ……いよいよ幻覚が見えてきたか……」
 シルヴァのパラドクスには、こんなのは無いはずだ。死ぬ最後の瞬間に、美しい椿が見られるたぁ、あの世の良い土産話になるだろうよ……。
 そう思っていた逸だったが、マンティコアウィッチたちも戸惑った様子を見せている。
「ふふ……我が身映せし花乱れ。その儚き姿を以て……」
 そして、その花の嵐、花弁舞う地下道内の一角に、
「……幾多の夢境へ誘え。……源流之舞『五色八重散椿花魁道中(ゴショクヤエチリツバキオイランドウチュウ)』。わっちの花びらの舞、いかがでありんすか……」
 スフィンクスを傍らに連れた、猫耳の女性が、その姿を見せていた。
「……花魁か? どうやら……味方のようだな」
「いかにもでありんす。駆けつけるのが遅れ、申し訳ござりんせん。終之蝶・椿姫(徒花・g00531)と申しんす。こちらのスフィンクスは『狐狼丸』。さ、主さま。こちらに来てなんし」
 椿姫が手を差し伸べる。
「待て、まだこいつらが……」
「心配はいりんせん。わっちのパラドクス……『五色八重散椿花魁道中』は、相手の精神を浸食し……夢うつつの状態にするのでござりんす」
 まさにその通り、マンティコアウィッチたちは、夢を見ているかのように前後不覚の状態になっている。
「この隙に、此方に来て、わっちに主さんの傷の手当てをさせてくれなんし。後は……」
「僕にまかせてよ。さ、『おもち』もいくよ」
 出てきたのは、ガスマスクで顔を包んだ、長い手足の男。彼もまた、スフィンクスを連れている。
「……お前は?」
 逸の問いに、
「来栖・禊(error・g01033)。こちらは『おもち』。よろしくね、逸ちゃん」
 軽くそう答えて、彼は夢うつつのマンティコアウィッチたちに接近した。
「気の毒に……僕に出会ってしまった事がさ」
 愉しげに、煽るように言い放ち、後方から忍び寄ると、ナイフで急所を一突き。
『……え?』
 その一撃で、ウィッチたちは次々に、その命を散らしていった。
「『聖なる一撃』……僕はか弱いからね。だから、僕ができるのは、不意打ちくらいだね」
 ガスマスク越しに、嬉しそうに言い放つ禊。
 それに、何か言おうとした逸だったが、
「……ま、だれでもいい。助けてくれたんなら、な」
 自分が助かった事をかみしめつつ、禊と、椿姫とに視線を向け、
 安堵の溜息をつくのだった。

 マリアラーラの元に駆け付けた、騎兵隊は、
「ねえ、待ってよ。まずは……ボクの目を見て?」
 17歳くらいの、少年だった。青い髪に、琥珀色の眼差しを持っている。
『……なんだ、貴様は?』
 マンティコアウィッチたちは、そちらに視線を向け、
「……あなたは?」
 マリアラーラも、彼に問いかけた。
「ボク? 雁金・湊(失った記憶の欠片を求める魔術師・g02358)という者だよ、よろしくお見知りおきを。それより……皆、腱を切るとか、惨殺処刑とか、そんな事は止めようよ。せっかく出会えた、素敵な時間なのに……」
『一体何を……ああ、そうだな。そんなのは馬鹿げている』
「え?」
 マリアラーラは、驚きを隠せなかった。いきなり現れた彼の言葉に、ウィッチたちが従ってくれたのだ。
「一体、これは……」
「ボクのパラドクスさ。瞳から魅了の魔力を放って、相手の精神を浸食。そこから、親愛と友愛の感情を相手にオーバードーズさせるって代物でね。人呼んで、『幸福な魅了中毒(ボクトナカヨクシヨウネ)』。さ、こっちに……」
 と、二人して、戦う気力を失ったマンティコアウィッチたちの間を突っ切っていく。
「ちょっと、通してもらうよ……」
『いいぞ、通れ通れ……』
『お前たちは、友人だからな……』
 マリアラーラが不気味に思うほどに、ウィッチたちは通してくれた。
 そして、通っていった後に、
「あとは、宜しくお願いするよ、ケヴィンさん、九郎さん」
「……え? ああ、オレ? わかった、やるよ」
 後ろに控えていた、ケヴィン・グローブ(人間の無双武人・g02967)、灼けた金色の肌と、琥珀色の髪を持つ、逞しい青年が、進み出た。
「おう、ウチに任せな」
 ケヴィンの隣にいるのは、色白の肌と、灰色の髪の男。ミニドラゴン『うろ』を連れた彼の名は、赦蜘・九朗(挿ゲ替エノ曼珠沙華・g03801)。
 ケヴィンは、
「んじゃ、面倒だしちゃっちゃと済ませるか。……!」
 面倒くさそうにつぶやくと、両拳を握り、
「……『ブレイブスマイト』!」
 強烈な拳の一撃を、ウィッチらへと叩きこんでいった。
「楽には死なせてあげられんで。けど……幸せ気分満載なら、それも関係あらへんやろな……」
 九郎もまた、首の傷口から、赤色の矢を引き抜くと……それを、クロスボウに擬態した有刺鉄線型寄生体『鋼』で、次々に打ち出し、打ち込んでいった。
「『華刊刺死(ハナカンザシ)』。嬢ちゃんたちマンティコアウィッチへの、最後のオシャレや」
 撃ち込まれた矢は、まるでマンティコアウィッチに寄生し、蔓草が根付くように絡んで成長すると、
 そこに、彼岸花を開花させていった。
 拳で薙ぎ払われ、彼岸花が次々に咲いていく様を見つつ、
「……お礼が遅くなったけど、助かったの。ありがとうね」
 マリアラーラは、湊に、皆に礼を述べる。
「気にしなくていいよ。ボクらの方も、来るのが遅くなってごめんね」
 湊は頷きつつ、マリアラーラに応えた。
(「友愛の感情に溢れてるなら、復讐の念は無さそうなのね」)
 湊に手を引かれつつ、マリアラーラは、何とかやり遂げた事を悟り、安堵するのだった。

「!?」
 薔薇星の目前には、二人の『勇者』が駆けつけていた。
 勇者、あるいはヒーローとでも言えようか。
 飛び掛かられる直前、
「まて!」
 無双武人の、銀髪青眼の少年と、
「私達が、相手するよ!」
 撃竜騎士の、金髪と金の瞳の少女とが、薔薇星に飛び掛からんとするマンティコアウィッチの前に、立ちはだかったのだ。
「……き、貴殿らは?」
「僕は、皇・銀静(銀雷閃・g02337)!」
 少年は雄々しく答え、
「私は、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)!」
 少女騎士は、凛々しく言い放った。
『……どうやら、仲間のようだな』
 マンティコアウィッチたちは、新手のディアボロスに対し、
『ならば、先に片付けてやる!』
 身構えると……飛び掛かった。
「……いざ!」
 それに対し、銀静は
「貴方たちを……『仕留め』ます! 『牙狼乱舞』! 」
 巨大な狼のオーラをその身に纏い、ウィッチたちへと突撃した。
 オーラは、本物の狼よろしく噛みつき、爪で切り裂き、翻弄。
 銀静自身もまた、剣を取り出し切り付ける。
「私たちは、勝ちます! 何があっても、負けません!」
 アンゼリカもまた、楯と剣とを振るい、マンティコアウィッチの群を薙ぎ払う。
 獅子のオーラが立ち上る大剣『Day Braek of Leo』が、獅子の半身を持つトループス級を斬り捨てていった。
「さあ……貫くよ! 『光泡輝槍(ブレイブ・ランサー)』!」
 そして、己を水泡状のオーラに身を包んだアンゼリカは、そのまま突進し……ウィッチたちを切り倒した。
『……これが、我等の終り、か』
 最後のマンティコアウィッチが、銀静とアンゼリカの同時攻撃で仕留められた様子を見て、
「……二人とも、見事である」
 やっとのことで立ち上がった薔薇星は、そう述べた。
「遅れてすみません。ですが……」
「他の皆さんの方にも、仲間が向かいました。トループス級の掃討は、これで大丈夫かと」
 銀静と、アンゼリカの言葉に、薔薇星もまた、安堵の溜息をついたのだった。

 地上。
 マンティコアの陣地から、やや離れた場所にて。
「……あとは、アヴァタール級の、マンティコアだけ、なのね」
 皆と合流したマリアラーラは、生き残りのウィッチが居ない事を確認し、そう言った。
「うむ。苦労したが、あとは黒幕を倒すのみ、であるな」
 同意するように、薔薇星も頷く。
「……ちっとばかし苦戦したが……マンティコアの奴の、タマを取ってやるぜ」
 逸が静かに、しかしドスの効いた口調で、誓うように言い放つ。
 いよいよ正念場。
 いかに戦うか、ディアボロスたちは最後の作戦を練るのだった。
善戦🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
効果1【迷宮化】LV1が発生!
【現の夢】LV3が発生!
【照明】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【託されし願い】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【建物復元】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV3になった!
【ドレイン】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【能力値アップ】LV1が発生!

薔薇星・パッフェ
舞台の幕を上げたのが私達なら、下すのも私達だ
そうだろう『acteur』?
ああ、君を温存して本当に良かった
ライオン狩りに付き合ってくれるね?

敵を満足させるためぼろぼろの状態でと思ったが、この様相では演技をするまでもないであるな
「マンティコア君よ、君の部下たちは強く、礼節をもった戦士だった」
「彼らの奮戦で我輩たちも痛手を被ったがここで引くわけにはいかない。犠牲を払ってでも君を斃す」
…と、リスペクトのセリフとこちらが追い込まれていることを示唆するセリフで敵の復讐心を満たそう

戦闘になったら効果MAXの【未来予測】を使用
敵の動きを先読みし、伸びる蠍の尾は威光の杖で弾いて防ぐ

まったく復讐の女神は残酷だ!
いつもの我輩ならとっくに負けて浜辺で楽をしていただろうに、まだ戦えてしまう
つまり…ネメシスモード発動中!であるよ
(特に外見は変わらないのだ!)
パラドクスを使い『acteur』と共に戦うのだ。網のように展開した此糸で敵を捕縛し、仲間が攻撃をしやすいようにしよう。

(アドリブも連携も大歓迎である!)


マリアラーラ・シルヴァ
皆のおかげで助かったよ
ありがとうなの

親ティコアは指揮官として振る舞える知性と冷静さを持ってる

だから先ずは任務から解放してあげる
「人類最終兵器で子ティコア達は倒したけどディビジョンはもう終わりなの」
そして仲間の台詞に合わせ
貴方も道連れにするからって復讐者が自暴自棄になってるって演出すれば
親ティコアの脳裏に窮鼠猫を噛むって言葉が不安とともに過ぎるんじゃないかな

それをひっくり返させてあげて良い気分にしてあげる

【フライトドローン】の突撃自爆攻撃
自爆時の爆炎の向こうで「逃げるよ!」って叫び
何度も意識させた一撃加えてからの逃走を先回りさせ
半泣きの表情で爪と牙に追い込められ
自慢の毒針攻撃を受ける
窮鼠はしょせんネズミだったなって喜ばせ復讐心を満たしてあげる

不安からの解放はきっと細かい事を気にしなくさせる
だからマリアが尻尾攻撃に【神速反応】して毒針を掴んで吹き飛ばされ
その際にパラドクスで尻尾へ内部崩壊を起こす魔法を染み込ませた事も気にされないといいな

陽動したマリアは仲間直伝の死んだふり
トドメは皆に任せるの


伏見・逸
(連携アドリブ歓迎)(ネメシスモード:背の翼が巨大な竜の腕に変化)
必要に応じ、味方をPOWでディフェンス

後はてめえだけだ
言っただろうが、一欠片も残さねえってな

「怒りのままに、自分の身を省みず敵の撃破に執着する」のはトループス戦の時と同じ
そこに「これ以上味方を倒させない」という執着も加わり、味方を庇おうとする
(演技含め)傷つき倒れた者が出た場合は更に激昂する

張り付いて攻撃し続ける事で、敵の視野と行動の選択肢を狭める
【デストロイスマッシュ】使用、背の翼を竜の腕に変形させ、力任せに叩きつける
敵の尻尾や槍は竜の腕や長ドス、方向によっては尻尾で受け止めてへし折りにかかる
【ダメージアップ】を利用させて貰い、防御や回避は捨てて攻撃を最優先

身体が動くなら、傷なんざどうでもいい
毒なんざ知った事か。てめえを潰すまでもてばいい
相討ちなら上等だろうよ
(本音を言えば、途中で倒れたって構いやしねえ。やっと俺もあっちへいける、それだけの事だ)

深手を負ってしまったら、まだ動ける者に後を託して倒れる(演技と本気半々程度)


●マンティコアは、元は人面の獅子
「……マリアラーラ嬢、傷の具合は……」
 薔薇星・パッフェ(役『吸血鬼 薔薇星・パッフェ』・g10767)の気づかいに、
「マリアは問題ないの、そっちは……」
 マリアラーラ・シルヴァ(コキュバス・g02935)は、平気だと答えた。
 だが、正直……二人とも、身体はもちろんだが、精神の方もかなり疲労していた。
 よもや、これほどまでに神経をすり減らすとは、思っていなかったのだ。
(「……もちろん、マリアたちは毎回の戦いに、そういう『覚悟』はしていたけど……」)
(「……今回は、我輩たちも、色々と『予想外』だったのである」)
『弱音』ではなく、『愚痴』でもない。しかし……ディアボロスもその全てが最強無敵でもなければ、完全無欠というわけでもない。少しばかり、精神のリセットを、心のスイッチを入れ直す贅沢も、求めてしまう事がある。
 若干の時間……かなり長く消費した。30秒もかかったのだ……を用い、マンティコアへの、アヴァタール級への戦いに、心を集中させる。
「……あの倒れていたやつは、死んだふりをしていたと聞くが……」
 伏見・逸(死にぞこないの禍竜・g00248)は、独り言ちる。
 彼もまた、あちこち負傷していた。まだ動けはするし戦えるものの、決して万全の状態ではない。ではあっても、それを理由に辞退などしないだろう。
 先刻に参加してくれた他のディアボロスたちは、周囲の残存ウィッチたちの調査と掃討を終えた後……負傷した者を連れてトレインへ戻っていた。
「……ウィッチも苦戦した。前座ですらでこうなのだから、マンティコアはより恐ろしいと思って違いなかろう」
 薔薇星が呟く。伝説の魔獣の名は、伊達ではないという事だろう。
「……そうなのね。親ティコアは『持ってる』……指揮官として振る舞える、『知性』と『冷静さ』を持ってるからね。これで狂戦士が猪突猛進に攻めて来るみたいな相手だったら、その隙を突けたんだけど」
「……で、シルヴァ。この敵にはどのように対処するつもりだ?」
 逸の問いに、
「マリアはね……」
 マリアラーラは、語り出した。

『…………お前達。我がウィッチたちはどうした』
 バルセロナの市街地。
 その一角。
 そこは、名も無き聖堂を臨む広場。マンティコアはそこの主のように、悠然と佇んでいた。
 そいつの前に、ディアボロスたちは姿を現していた。
 マリアラーラ・シルヴァが、一歩踏み出し、言い放つ。
「……ひとつ、伝えておくの」
『…………』
「……人類最終兵器で、子ティコア達は倒したけど、その代わりに……ディビジョンはもう終わりなの」
『子ティコア? ……ああ、マンティコアウィッチたちの事か。それで、『終わり』とはどういう事だ?』
「言葉通り、このディビジョン自体が終わる、という事だ。クロノヴェーダの手に落ちてしまい、我々はおしまいという意味でだな」
 次は、薔薇星。
「マンティコア君よ、我輩も君に言いたいことがある。君の部下たちは、強く、礼節を持った戦士たちだった。それゆえに……我輩たちは、彼らの奮戦で、痛手を被った」
『……なるほど、どうやら……倒されたようだな』
「然り。そして痛手を被っていても、我輩たちも、ここで引くわけにはいかない」
「その通り。……後は、てめえだけだ」
 逸が、進み出る。彼は、既にネメシスモードに……背の竜翼を、竜の巨腕へと変化させた姿になっていた。
 その状態で、己の『怒気』と『殺気』とを隠す事無く放っているが……、
 マンティコアの放つ『殺気』、そして『戦意』は、比べ物にならない事を実感させられていた。
(「……気圧されるんじゃあねえ、俺! タイマンの気合勝負に、負けてたまるか……!」)
「……言っただろうが、一欠片も残さねえってな」
「そうよ。……そして、このディビジョンが終わりゆえに、マリアたちも『後がない』……のっぴきならない状況になったのね」
『……!? ふん、そういう事か。どうやら我がウィッチたちは、お前達に倒されはしたものの、それに相応しい復讐は行えたようだな』
 マンティコアの言葉を聞き、マリアラーラは先刻に語った事を思い返す。

………………
「マリアは、あの親ティコアにこう思わせるつもり。『(ハッタリの)人類最終兵器で、子ティコア達は倒した。けど、ディビジョンはもう終わりになった』と」
「そして、皆はマリアに合わせ、宣戦布告するような事を言い放ってほしいの」
「こうする事で、『あなたも道連れにする』と、マリアたちディアボロスが『自暴自棄になっている』って演出するの」
「そうする事で、親ティコアも『ディアボロスも、後がない』と思わせるのね。『窮鼠猫を噛む』って感じに、不安とともに思わせて……」
「そして、それを『ひっくり返させる』事で、いい気分にしてあげるの」
………………

「……そう、後がない。……だから、勝負なの。死にたいとは思わない。けど、勝てるとも思えない。でも……戦いもせずに終わるのは嫌」
「然り……この地は、諸君らの手に落ちた。そして、我輩たちもおそらくこの地で終わる事だろう。それが定められた運命だとしても、それを何もせず、ただ受け入れるのみ……などという行動は、我々は取るつもりは無いのでね」
「俺流に言わせてもらえば、『どうせ死ぬなら、テメエにカチコミ喰らわせて死んでやる』ってところだ。……ま、三対一だが、てめえの方は図体がでかく、爪も、毒針も持っている。これくらいのハンデはもらっても構わねえだろう?」
 それを聞き、
『……ふむ。死に抗い、勝ち目無き戦いを望むか』
 マンティコアは、己の顔に、人間の老人に似た顔に、笑みを浮かべ、
『……ディアボロスども、いい覚悟だ。この我が殺すに相応しい』
 そう、言い放った。
『よかろう。その勝負、受けよう。勝つのがお前らか、この我か。お前達の戦意と、我等の復讐の念と。どちらが勝利するか……』
 勝負だ。
 それとともに、まるで、獅子のように、
 マンティコアは、咆哮した。

『……最初に言っておくぞ、我は相手が女子供だろうが、容赦はしない。敵だと一度認識したならば、慈悲をかけず、全力で殺す。そして……逃がさない』
「……承知したの」
「ある意味、平等かつ公平であるな。性差や年齢など関係なし、というわけか」
「……ふん」
 ディアボロスは三者三葉に返答し、こちらも戦闘態勢を。
「……それじゃ、先刻にマリアが言った通りに」
 仲間たちに囁いたマリアラーラは、
「……承知!」
「いいぜ、とっとと行け」
 二人の言葉を背中に聞き、自身がまず駆け出した。

●やがて、尾の先に球状に生やした無数の針が加えられる
………………
「……で、その『ひっくり返させる』方法だけど」
「マリアが、まず親ティコアに向かって行くの。マリアが最初に攻撃するのね」
「攻撃は、『フライトドローン』を使うの。それを用いて攻撃して、その後で……相手の反撃に応戦するのね」
「その間、二人は敵の攻撃をマリアへ向けるように仕向けてなの」
………………

「……行って!」
 フライトドローンがマリアラーラの周囲に、召喚獣の如く出現。
 空中を自在に浮遊しつつ、それは、空中をジグザグに動き、左右上下に複雑に、素早く浮遊しつつ……、
 マンティコアへと体当たりし、自爆。
『……ちいっ!』
 マンティコアは、翼でその体当たりを、そして自爆の爆風を防ぐ。
『……やるな小娘……だが!』
 二度三度と襲い来るドローンの特攻を、マンティコアは翼で弾き、尻尾を振り回して跳ね返すと、
『……見切った! お前はそこか!』
 ドローンの襲撃をかわし、駆け出した。
(「……思った以上に、素早いの!」)
 マリアラーラは焦りの表情とともに、襲い来る爪を、
「……けど、逃げられるの!」
 猫の如く素早い動きで、それを躱した。
「こっちも忘れてんじゃねえ!」
 と、長ドスで横から逸が切りかかるが、
『忘れてはおらぬわ!』
 蠍の尻尾を振り回し、その先端の毒針でドスの刃が受け止められた。
 毒針と刃とが、切り結ばれる。
(「……ちっ、これのどこが『針』だ! 槍の穂先じゃあねーか!」)
 まさに然り、毒針が突き出た蠍の尾は、鎖分銅のように自在に動き狙ってくる。
 それとともに、爪、そして牙でも迫るマンティコア。
 そして、それでも足りないかのように、
『……我が恨み、鋭き穂先となれ! 其は我が敵の肉を貫き、苦痛をもたらせ!』
 呟き始めた。
「……逸殿! 何か詠唱している! 気を付けられよ!」
 と、薔薇星の言葉を聞いた逸は、
『……「ダークジャベリン」!』
 逸は、マンティコアの周囲に出現した、螺旋状に回転する槍が………漆黒の槍が、己に投擲されるのを見た。
「ぐっ……があああっ!」
 即座にマンティコアから離れ、長ドスで薙ぎ払い、竜の腕でそれを払い、掴み取り、へし折るが……、
「……くっ、糞があっ!」
 数本は、躱し切れなかった。それらは逸の身体を貫き、抉っていた。
「逸!」
 もしもマリアラーラのドローンが放たれなかったら、もっと刺さって、即死していたに違いない。
 そのままマンティコアは、マリアラーラを追っていく。
 彼女を助けんと、踏み出そうとした逸だったが……できなかった。突き刺さった槍からも、戦意を砕くほどの激痛を、逸の身体に走らせていたのだ。長ドスを思わず取り落としそうになるが、
「……まだだ! この程度でくたばってたまるか!」
 歯を食いしばり、倒れそうになるのを必死にこらえる。
「逸殿、しっかり!」
 薔薇星は駆け寄り、彼を支えてくれた。
「……しかしこれでは、マリアラーラ嬢の援護ができないのであるな……」
 彼は呟き、
「ああ……ここまでは、シルヴァの作戦通り、だな」
 逸も、その呟きに続いた。

『……この恨み、晴らさでおくべきか! この炎、憎悪とともに我が敵に降り注げ! 醜く焼けただれさせよ! 「グラッジスコール」!』
 再び駆け出したマンティコアは、素早く逃げるマリアラーラを追う。追いつつ、憎悪の念を具現化させた、ドス黒い火炎を彼女へと降らせた。
 マリアラーラは、『猛虎破撃』……虎のごとき俊敏柔軟な動きで、逃げつつもその炎の直撃を躱していくが……、
「くっ……ああっ!」
 やはり、火炎の熱を全て防ぐのは不可能。息を吸い込んだだけでも、肺が焼ける様な熱さと苦しさとが、マリアラーラを苛んだ。
『逃げ回るだけか? 追い詰められても、所詮その程度か!?』
「くっ……!」
 それでも、ドローンを飛ばし、何機か直撃させ……、
 マリアラーラは、回り込んだ。
 だが、
『……そこか! お前の動きは見切った! 終わりだ!』
 その動きを先読みしたマンティコアの爪が、マリアラーラに直撃し、
 尻尾の毒針が、襲い掛かった。

…………
「……そして、ティコアにマリアを追わせ、逃げるマリアの動きを先回りさせるのね」
「……マリアの事を、ティコアは『窮鼠は所詮ネズミだったな』と思わせて、復讐心を満たさせて……」
「……そして、自慢の毒針攻撃を放って来たら、……それをマリアは受けるの」
…………

 マンティコアの毒針は、処刑人の武器のようにマリアラーラに迫り、そして、
 ……マリアラーラの手が、それを掴んだ。
「くっ!……あああっ!」
 毒針は、抜身の刀身のよう、そして槍の穂先のよう。
 滲み出る毒は、マリアラーラの掌を侵し、その皮膚を焼き、爛れさせた。
 手から伝わる激痛は、あまりに強く……掴んだ『手』のみならず。『腕』にも、腕部全体にも流れ、伝わり……マリアラーラの脳内を狂わせた。
『……ネズミなりに、貴様は良く戦った。そのまま、死ね』
 マンティコアは言い放ち、マリアラーラに毒針を掴ませたまま、
 そのまま尻尾を振るい、近くの壁に叩き付け……、
 小うるさい小動物を追い払い終えたかのように、転がった彼女を一瞥した。

…………
「……こうして、マリアがさっき言った『ひっくり返し』……つまり、『ティコアの復讐心を満たさせた』ことで、ティコアを安堵させるのね」
「そしてこれは、ティコアに細かい事を気にしなくさせる事も兼ねてるの。そこから、マリアは『仕込み』を行い……」
「……こうやって『陽動』を行ったあと、マリアは仲間直伝の死んだふりをして、隅っこの方に転がるのね」
「その後の、直接戦闘、および『とどめ』は、皆にお任せするの」
…………

(「……うまく、いったのね。けど……」)
 マリアラーラは、予想通りに事を進め、そして、予想外の状況に陥っていた。
『負傷』と『毒』によるダメージは、ある程度覚悟はしていた。それに耐える心の準備もしていた。が、それらのダメージは思ったより大きく、死んだふりの演技をする必要は無かった。……実際に、瀕死の状態になっていたのだ。
「……後は……皆に……まかせるの……」
 毒と負傷のせいで、身体中に激痛が走る。手足に力が入らない。呼吸するだけでも困難。
 意識も……混濁し、徐々に薄れていく。身体中が冷たくなっていく。
「…………」
 少し眠ろう。
 これが、永遠の『おやすみ』になりそうだけど……、
 そうならない事を祈り、マリアラーラは、静かに目を閉じた。

…………
「……その後で、逸と薔薇星に任せるのね」
「直接攻撃は、二人の方が得意だろうから、攻め込んでなの」
「その後で……マリアがティコアへ『仕込んだ』事が役立つはずなの」
…………

「……てめえっ! シルヴァをやったのか!」
 かけつけた逸の怒りは、叫びは、
 マンティコアをたじろがせた。
『……次は貴様か。先刻の「ダークジャベリン」は効かなかったか?』
 言いつつ、人面の獅子は唸る。
「……我輩も居るぞ。逸君……我輩も少々、否、かなり……怒り心頭である!」
 そして、薔薇星もまた並び立った。
 彼の傍らには、もう一人……、
「さあ……『acteur』! 今一度、我輩に力を! 我等の復讐劇を開幕するのである!」
 薔薇星の大切な、人形の相棒が立っていた。

(「舞台の幕を上げたのが私達なら……下ろすのもまた、私達だ。そうだろう、『acteur』?」)
 薔薇星は思った。ああ、『acteur』。君を温存して本当に良かった、無理をさせず本当に良かった。
(「敵を満足させるため、ぼろぼろの状態でもと思ったが……この様相では、その必要無し!」)
「……ひとつだけ、言っておく。マンティコア君」
 並び立ち、薔薇星は言い放つ。
「君の部下たちは強く、礼節を持った戦士だった。彼女らの奮戦で、我輩たちも痛手を負った、仲間も同様だ」
 自分にしては、芝居っ気がほとんどないセリフだと思いつつ、薔薇星は、
「それゆえ……ここで引くわけにはいかない。犠牲を払ってでも、君を倒す」
 ……言い放った。
「……俺は、長々と喋るのは苦手だ。だから俺も、一つだけ言わせてもらう」
 俺の番とばかりに、逸も進み出ると……、
「……てめえを、潰す……ぶち殺す!」
 激怒し、激昂しつつ、言い放った。

●そして尻尾は蠍になり、後になって蝙蝠の翼も付加
 ディアボロスの戦士と、マンティコア。
 マンティコアは、翼を広げ、羽ばたくと、
 駆け出した。

 マンティコアの蝙蝠の翼は、飛行能力を付加させている。ではあっても、空中戦力はあまり優れているとはいいがたい。
 その代わり、地上戦でこの翼は、肉厚で頑丈ゆえ、楯のような防御壁になる。
 今まさに、飛び掛かってきた逸の攻撃を、翼を用いて防ぎ、弾き飛ばしていた。
『「グラッジスコール」!』
 憎悪の黒炎を降らせ、逸へ当てるが、
「うおおおおおっ!」
 逸はその炎を、長ドスで切り払い、ネメシス化で翼が変化した逞しい腕で薙ぎ払う。
 が、やはり無傷では済まない。漂う肉の焼ける臭いは、逸の皮膚を焼く臭いに相違あるまい。
『……人形使い! そっちから来るか!』
 と、マンティコアは自身の後方に、『acteur』を操り迫った薔薇星に気付くと、そのまま尻尾を伸ばし応戦した。
「……くっ!」
 毒針の尻尾は、殻竿のように『acteur』を打ち据え跳ね飛ばし、
 槍のように、薔薇星へ刺突する。
 その刺突を、薔薇星は『威光の杖』で受け止める。
「……やはり、隙が無いのである! 獣の爪と牙に加え、尻尾の毒針! 翼の防御! 楽して勝てる相手ではないと、改めて実感だ!」
 そう、薔薇星自身も、【未来予測】を用いていなかったなら、毒針の直撃を受けていただろう。
(「……我がパラドクス、『ダンスマカブル』。指に結んだこの糸で、人形『acteur』とともに連続攻撃を放っても……」)
 致命傷には至らない。このままでは、負ける。
『ガアアアアアアッ!』
 そんな薔薇星を喰らわんとするかのように、獅子のように、老齢の武道家のように、マンティコアは吠えた。
 再び、尻尾で薔薇星と『acteur』を薙ぎ払う。が、
『……!? なんだ? 身体に何か、『糸』が絡んでいる?』
 自身の足や身体に、何かが絡みつき、身体を引っ張る感覚を、マンティコアは感じ取った。だが、何も見えず、引っ張る何かはわからない。
 それに気を取られていた、その一瞬に。
「……もらった! 『デストロイスマッシュ』!」
 逸がマンティコアへ、己が竜腕を以て強烈なパンチにして直撃させ、転ばせた。
『……なっ!』
「往生しやがれ!」
 立ち上がったところを、逸は止めとばかりに、長ドスを振り下ろす!
『……!』
 だが、マンティコアは、その剣の刃を、
 老人の顔、顎で噛みつき、受け止めていた。
「! てめえっ!」
 そのまま、蠍の尾を前方に伸ばし、
「……! がっ……はあっ!」
 逸の胴体へ、毒針を突き刺した。
「……『蠍尾の一差し』。我が毒で、地獄に行け!」
 勝利を確信した、マンティコアの声が。そこに響いた。

「! 逸殿!」
 薔薇星が叫ぶが、
「……動くな! こんな毒……どうってことはねえ!」
 逸は不敵に返し、そして……、
「狙いはもとより……この『尻尾』だ!」
 竜の腕で、マンティコアの尾をしっかと捕まえた。
『……やるな、ドラゴンの戦士! だが……その尻尾と毒針は、お前の思っている以上に頑強だ! 切断も、破壊も不可能と知れ!』
 マンティコアも言い返すが、
「……ああ、そうだろうな。だが! シルヴァが、あの小さななりの小娘でさえできたんだ! 大の大人の、この俺ができない、なんて言えるかよ!」
 逸は、マリアラーラが言った言葉を思い出しつつ、
 長ドスを、振り下ろした。

…………
「……ティコアは、恐らく直接自分で、爪や牙、それにあのサソリの尻尾で攻撃すると思うの」
「マリアは、ティコアのあの尻尾に……『仕込み』……マリア自身のパラドクス『猛虎破撃』の『ドレイン』効果で……尻尾から生命力をできるだけ抜き取っておくの」
「うまくいけば、尻尾を内部から崩壊させられるかもなの。そうならなくとも……ダメージは受けてるはずなの。そこから……」
…………

「……そこから、この尻尾を断つ!」
 腕により固定され、マリアラーラにより『仕込まれた』事で、
 マンティコアの尻尾は、長ドスの刃を受け……切断された。

『! ぐっ……ああああああああっ!』
「……へっ、ザマぁ見ろ……」
 痛みに叫ぶマンティコアを見つつ、竜の腕で切断した蠍の尾をしっかと握りしめ、
 逸はそのまま倒れ、動かなくなった。
「薔薇星、後、頼むぜ……」
 その静かなつぶやきを聞き、
「……承知!」
 薔薇星は、マンティコアを睨みつけた。

『…………ここまでとは、まさか、ここまで肉迫されるとは!』
 マンティコアは、四つ足でしっかと立ちつつ、
 薔薇星と、その傍らの『acteur』とが並び立つのを見た。
「……マリアラーラ嬢が仕掛け、逸殿が実行した……。その『毒針の尻尾』の攻略を! 命を賭して、与えてくれたこの好機、逃すわけにはいかない! ……ああ、復讐の女神よ、照覧あれ!」
 いつものように、芝居がかった動作で彼は、『嘆き』つつ『悦ぶ』様を、言い表していた。
「我輩たちの運命を弄ぶとは、かの女神は、なんと残酷! いつものように敗退し、寝転がる事を許さぬとは、なんたる仕打ち。然れども……友が倒れる様を、戦いに倒れる様を目の当たりにして、復讐に高揚せぬ者が居ようか。現に我が腕は戦いを求め、蛮族の如き闘争を求め打ち震え、未だ疲れを知らぬ。……まだ、戦える! 戦えてしまう!」
 そう、彼はすでに、ネメシスモードを発動させていた。外観は変わらないが、戦いへの気勢と気概、闘争心が、いつも以上に燃えていたのだ。
『……そうか。お前も戦いに高揚しているのか』
 と、マンティコアは、驚くほどに穏やかな口調で、そう述べた。
『我も然り。もう、復讐も、ディビジョン占領も、どうでもいい! 今の我は、お前との戦いに悦びを感じている! ははは! 尻尾を切り落とされるなど、初めてだ! これほどまでに戦いが、殺し合いが愉しいとは、思わなんだぞ!』
 マンティコアの口調は、狂喜している、狂気のそれ。
 だが、それはこちらも同じ。こちらも全力で殺し合うのみ! 
「いざ!」
 マンティコアは突進した。
「……行くぞ、『acteur』!」
 そして、薔薇星も駆け出した。
 両者が、互いに突進し合い、そして、
『!? さっきの、「糸」?』
「いかにも! 我が『ダンスマカブル』で、貴殿の身体に『糸』を巻きつかせ、その四肢を拘束していたのだ!」
 薔薇星は勢いを止めず、『威光の杖』を獣の脳天に突き刺さんと、跳躍し振りかぶった、
 が、
『……「グラッジスコール」!』
 マンティコアは、黒き炎を自らへ放ち、『糸』を燃やし切断。
「なっ!?」
「『ダークジャベリン』!」
 黒き槍を、薔薇星へと至近距離から放った!
「ぐっ……ああああっ!」
 憎悪の槍が直撃し、突き刺さり、激痛が薔薇星の身体にも走る。石畳の地面に転がったところを、
『もらった! その喉笛を噛みちぎる!』
 本物のライオンよろしく、マンティコアは飛び掛かり、薔薇星に噛みついた。

●結果、老いた人面、蠍の尾、蝙蝠の翼を持つ魔獣が完成した
『……ぐっ……!』
「まだまだ!」
 薔薇星は、マンティコアにのしかかられ、その前脚に身体を仰向けで押さえつけられ、
 噛みつかれていた。
 だが、獣が噛みついているのは、薔薇星の杖……『威光の杖』。
 そして、
 マンティコアは、その体勢から『動けなかった』。
 幾重にも伸ばし、放たれた『糸』により、杖を噛みついた顎を何重にも固く縛られ、
 薔薇星を押さえつけた両前脚も、薔薇星の身体ごと縛られ、
 更には四肢を全て、地面の石畳に、近くの建物に固定され、
 薔薇星ごと、マンティコアは堅く縛り上げられ、完全に動きを止められていた。
「……マンティコアよ、我輩の、勝ちだ」
 満身創痍といった状態で、押さえつけられたまま。
 マンティコアを見上げつつ、薔薇星は言った。その口調は、奇妙に穏やかだった。
「貴殿は、確かに強かった。だが我輩には……マリアラーラ嬢、逸殿、なにより……『acteur』という強い味方が、最後までいてくれた。だから……貴殿に勝てたのだ」
『…………』
 マンティコアは、顎を縛られ、返答は出来なかったが、
 察したかのように、そして覚悟を決めたかのように、目を閉じた。

 マンティコアの前には、パラドクス『ダンスマカブル』で操られている『acteur』の姿があり、
 その手には、逸の長ドスを拾っていた。
 そのまま『acteur』は、その刀を構え、振りかぶる。
「……『acteur』! 介錯!」
 薔薇星は、人形を操り、
『acteur』は主人に従って、マンティコアの首筋へと、刃を振り下ろした。
 魔獣の首が、バルセロナ市内に転がり落ち……復讐の炎は、ここに消えた。

「……ここは?」
「気が付かれたか、マリアラーラ嬢」
「なんとか、大丈夫そうだな。シルヴァ」
 マリアラーラが目覚めたのは、薔薇星にお姫様抱っこされ、トレインへと向かう帰り道。
 逸もまた、『acteur』に肩を借りつつ、ゆっくりと歩いていた。
「……お二人の活躍で、マンティコアは倒せました。感謝なのである」
 薔薇星に言われ、
「ううん……マリアも、ティコアを倒せるかは、ちょっとわからなかったの。二人のおかげなのよ」
「ああ。思った以上に、激しい戦いだった……勝てたのは……」
 マリアラーラに続いて、何か言おうとした逸だったが、
「……いや、今は疲れた。頭が回らねえや」
「でしょうな。我輩も、今回は少しばかり……疲れました」
「……そうね、マリアもなの」
 会話は、そこで途切れた。
 ぎりぎりの状況で、戦いに勝てたのだ。それを実感すると、どっと疲れが出てきた。
 加えて、敵の攻撃を受けてしまっている。毒も、身体の痛みも、まだ続いている。
 ……早く休みたい。それが、皆の共通する思考だった。
「……また、生き残っちまったな。ま……もう少しだけ、気張ってみるか……」
 逸は、静かに呟く。『あっち』では、まだ来るなとでも言ってるのか……。
「……逸?」
「逸殿? いかがした?」
 小さく笑みを浮かべる逸に、マリアラーラと薔薇星は問うが、
「……いや、早く一休みしてえと思ってな。さ、行こうぜ」
 逸は誤魔化すようにして、先を急ぐのだった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【猫変身】LV1が発生!
【建造物分解】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ドレイン】がLV3になった!
【ダメージアップ】がLV3になった!

最終結果:成功

完成日2024年06月05日

最終人類史、バルセロナの霧

 緊急事態です。
 最終人類史に奪還した、スペインの『バルセロナ』に、ディヴィジョン境界の霧が発生してしまいました。
 このディヴィジョン境界の霧は「オベリスクの影響で断頭革命グランダルメの排斥力が大幅に低下していた」「断頭革命グランダルメ奪還戦の前後にキマイラウィッチが大量に死亡し、その強い復讐の念が残っていた」といった事態が、奪還後にも影響を及ぼしていると推測できます。
 このままでは、最終人類史のバルセロナに、キマイラウィッチの拠点を作られてしまうかもしれません。
 それを防ぐ為、急ぎバルセロナに向かい、出現したキマイラウィッチを撃破。最終人類史から、キマイラウィッチを一掃してください。

※特殊ルール
 最終人類史ではパラドクス効果が『10LV(効果2は最大LV)』で発揮され、有利に戦闘を行えます。
 しかし、ディアボロスへの復讐を力の根源とする、キマイラウィッチも『ディアボロスの本拠地である最終人類史での戦いでは、全ての能力が強化』されるようです。
 最終人類史だからディアボロスが圧倒的に有利……とまでは言い切れませんので、充分に注意して戦闘を行ってください。

※特殊ルール
『キマイラウィッチを満足させる戦い』をクリアしなかったシナリオが複数あった場合、事件解決後に、キマイラウィッチが再び、最終人類史に侵入を企てる可能性があります。注意してください。
 侵入の規模などは、選択肢のクリア状況によって変化します。

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#火刑戦旗ラ・ピュセル
🔒
#最終人類史、バルセロナの霧
🔒
#最終人類史(新宿島)
🔒
#バルセロナ


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選択肢『キマイラウィッチを満足させる戦い』のルール

 キマイラウィッチが、強い復讐の念を持ったまま死ぬ事で、その復讐の念は、キマイラウィッチに力を与えてしまいます。
 強い復讐の念をもったまま、多くのキマイラウィッチが死ねば、その復讐の念が受け継がれる為、キマイラウィッチに力を与えてしまうでしょう。
 それをさせない為には、キマイラウィッチに対して『命を賭してディアボロスに打撃を与えた』等と満足させ、復讐心を弱めるような演技を行なう必要があるでしょう。

 敢えて、敗北して死んだふりをしたり、絶対に守るべき何かをキマイラウィッチに破壊されるような損失を受けてしまい悲嘆にくれるような演技をするなど、戦闘を行うキマイラウィッチが『命を賭けて復讐に成功した!』と認識させましょう。
 詳しくは、オープニングやリプレイを確認してください。


 オープニングやマスターよりに書かれた内容を参考にしつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『🔵が👑に達すると、選択肢の説明で指定された特別な効果が発生する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👾ディアボロスを狙うトループス『マンティコアウィッチ』のルール

 ディアボロスを発見した途端に、ディアボロスを狙って攻撃して来るトループス級クロノヴェーダ(👾)と戦闘を行います。
 ディアボロスに攻撃を仕掛けてくれるので、敵の捜索を行ったり、周囲の被害を減らす為の行動などは必要ありませんが、戦意が高い傾向にある為、油断は禁物でしょう。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「沢山」出現します(現れる敵の数は、オープニングの情報やリプレイの記述で提示されます)。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
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 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『この選択肢の🔵が👑に達すると、この敵集団を倒す。完結までにクリアしていない場合、この敵集団は撤退する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


選択肢👿アヴァタール級との決戦『マンティコア』のルール

 事件の首魁である、アヴァタール級クロノヴェーダ(👿)と戦います。
 👿を撃破する事で、この事件を成功で完結させ、クロノヴェーダの作戦を阻止する事が可能です。
 敵指揮官を撃破した時点で、撃破していないクロノヴェーダは撤退してしまいます。
 また、救出対象などが設定されている場合も、シナリオ成功時までに救出している必要があるので、注意が必要です。
 詳細は、オープニング及びリプレイで確認してください。

 記載された敵が「1体」出現します。敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」のパラドクスで反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、450文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★1個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は600文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 超成功 🔵🔵🔵🔵🔵
 大成功 🔵🔵🔵🔵
 成功 🔵🔵🔵🔴
 善戦 🔵🔵🔴🔴
 苦戦 🔵🔴🔴🔴
 失敗 🔴🔴🔴🔴
 大失敗 [評価なし]

 👑の数だけ🔵をゲットしたら、選択肢は攻略完了です。
 また、この選択肢には、
『【完結条件】この選択肢の🔵が👑に達すると、敵を倒し、シナリオは成功で完結する。ただし、この選択肢の🔴が🔵より先に👑に達すると、シナリオは失敗で完結する。』
 という特殊ルールがあります。よく確認して、行動を決めてください。
※このボスの宿敵主は「シメオン・グランツ」です。
※クロノヴェーダには、同じ外見を持つ複数の個体が存在しますが、それぞれ別々のクロノヴェーダで、他の個体の記憶などは持っておらず、個体ごとに性格なども異なっています。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。