【断頭革命グランダルメ奪還戦】勝利の布石を打つ者は(作者 紅葉茉莉)
#断頭革命グランダルメ
#【断頭革命グランダルメ奪還戦】工兵の戦い方
#断頭革命グランダルメ奪還戦
#⑫アンリ・ガティアン・ベルトラン
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スイス南部の山稜地帯、そこに陣取った自動人形であるグレナディアドール達は戦闘ではなく拠点設営で忙しなく動き回っていた。
作動させれば岩肌が爆破崩落、進路を塞ぐ事で敵の行軍ルートを絞り込む物や爆風が広がり視界を遮る物もある。
ワイヤーを張り巡らせ、爆発物と連動する物や引っ張る事にて遠方に揺れが伝播、通信手段の代わりとする鳴子のような罠も見受けられる中、ふと一体のグレナディアドールが首を傾げて言葉を発する。
「アンリ様の言う様に罠を仕掛けてはいるが、ディアボロスを殺す事は出来ない筈、何故ここまで」
「お前は配属されて間が無かったな、お前の言う通り殺す事は出来ないが別の使い方もある、という事だ」
新人だったのだろう、山肌を破壊し道を塞ぐ爆破物や地面や壁を破壊し、爆風を広げる罠に多量のワイヤートラップを設置するよりも、自分達が戦うに有利な物。
交戦時に身を隠せる遮蔽物やそもそも進軍を断念させるような防壁の方が効果的ではないかと疑念を抱くが、先輩たるグレナディアドールが別の意味があるのだと語っていく。
進路を塞げばそれだけ地上を進むディアボロスは分断されたりして各個撃破の機会も生まれる、他には進路を限定的にすることで迎撃戦力を集中させることも出来る。
ワイヤートラップは原始的だが、作動すれば何処から敵が向かってきているかを判断できるし、これらのトラップを嫌い空を飛んで向かってくれば、それこそ隠れる場所の無い空中に飛び出す自殺行為。
多数の戦力による一斉射撃で簡単に撃ち落とせるという算段であろう。
「成程、これらは全て我々の攻撃を的確に届ける為の布石、という事ですか!」
「そういう事だ、本隊の詰め所である野営地点に攻めるような愚はせぬだろう、ならば。外周を徹底的に守り、敵を分断していき各個撃破を、焦れた相手ならば倒すのも容易いという訳だ」
目的と手段、それを明確にして作戦を組み上げ、限られた時間の中で最適な準備を行う、それが肝要だと先輩は語り、なるほどと膝を打つ新人。
その目的を達成すべく、戦力が多数集結した野営地点から物資が運び出されていく。
結果、東西の街道や山肌に各種トラップが仕掛けられ外周の守りを固め、少数の偵察部隊が巡回し場合によっては罠を自ら発動、その音で敵襲を告げることは出来ると示されて。
簡易拠点としての野営地点の北は切り立った崖であり迂回してくることは不可能、南方からの街道は開けているために罠を設置する場所も時間的猶予もないが、この野営地点に詰める大軍に挑むなど自殺行為だと語っていて。
ディアボロスに備えた布陣が急ピッチで作られ、難攻不落の要塞無くともディアボロスの足を止めるべく、そして命を奪う布石が打たれていた。
新宿駅グランドターミナル、断頭革命グランダルメの奪還戦に向けて数多のパラドクストレインが忙しなく行き交う中、ミレー・マリエット(サキュバスのガジェッティア・g03547)がディアボロスを出迎えていた。
「はいどうもーっ! 今回も先んじての奇襲作戦、行き先はスイス、グランダルメの拠点攻略が目的ですよーっ!」
テンション高く出迎えたミレー、そんな彼女が案内するのは言葉通り、グランダルメ勢力の拠点の一つ。
スイス南部の山稜地帯を利用して防衛拠点を築き上げるアンリ・ガティアン・ベルトラン配下の軍勢を叩く事となる。
「工兵部隊の指揮官が指示して、ディアボロスを的確に迎え撃つ罠を作らせている様ですね。罠で倒すのではなく、罠を布石にして動きをコントロールして本命を叩きこむ、何ともいやらしい作戦ですが……。
逆に考えましょう、相手の立場側に自分達が居るとして、どういう行軍をされると一番面倒か、を考えて、それを実行しちゃえばいい感じにいくんじゃないかって思うんですよね、多分、きっと、恐らくは!」
相手の作戦を分析、それを打ち破るにはどうすればいいか。
敵の立場に立ち、どんな立ち回りで攻められると用意した戦術が機能しないのかを考え実行すれば効果的だと語っていたが、最後に段々と確証が無くなっていく言葉を付け加えたせいで台無しなのは残念さの表れだがシカタナイ。
追い詰められたナポレオンが引き込んだ火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラウィッチ、蹂躙戦記イスカンダルの亜人との戦闘もある此度の戦い、万一にでもナポレオンが生き残り、またイスカンダルも領土を得る事になってしまえば。
オベリスクの力で北アフリカに生み出される疑似ディヴィジョンに、豊富な人口を元に大規模な蹂躙で戦力を増やさんとするイスカンダルという最悪のケースとなるだろう。
そうならないためにも、ナポレオンを討ち領土も奪わせない戦いが必要であり、この戦いもその前哨戦、勝利の布石となるものであろう。
「工兵として準備をし、布石を打つ。最終的な戦略目標を達成する為に砦の破壊や放棄という戦術も平然と取れる軍勢です、しかし!
ここでいいようにやられて取り逃がすような事はないと信じていますので、戦術戦略何もかもぶち壊す戦いの前哨戦、布石を打っているのはどちらかここで思い知らせてやりましょう!」
ビッと指を突き立てて、相手の打った布石など無意味、むしろ此方が布石を打ってやるのだと言い切ってミレーは説明を終了。
戦場にディアボロスを送り出すべく、パラドクストレインの扉が開かれていた。
リプレイ
爆発音と斜面の崩落、クロノヴェーダに仕掛けられたトラップによる足止めか、はたまたディアボロスが罠を破壊して安全を確保しているのか。
詳細は分からぬが、その爆発の後に交戦が始まらぬ不気味な沈黙、双方が様子見をしている所謂千日手とも言える状況で。
「これは……狙撃していい?」
ディアボロスは罠の発動から敵が対応してくる流れを、クロノヴェーダは罠が発動すれど姿が見えぬディアボロスを警戒して様子見の中、爆撃で状況を動かすべきと判断したユリア・ドライツェン(十三番目の渡烏・g05181)が誰に言うのでもなく呟いて。
懸架用フレームに吊り下げられてポイントを移動、同じようにぶら下げられた大口径対戦車銃を軽く見て。
標的たる的は爆風の中に身を潜め、ディアボロスの出方を伺う敵、あれを撃ち抜くとばかりに補助アームが大口径対戦車銃を持ち上げスコープがユリアの目の位置に移動して。
「対象補足、エネルギーライトゥングフォレフェアビドゥン……」
罠を発動させた相手を警戒し、此方に気付いていない敵の胴部に狙いを定め、エネルギーを重点。
引き金を引く、という思考をした瞬間にはノータイムで遠隔操作、ユリアが指をかけるまでも無く大口径対戦車銃の引き金は引かれており、遠雷が如き轟音とあまりにも過剰なエネルギーが雷光のように銃口から放たれて。
同時に超高速回転した巨大な銃弾が射出、異音に気付いた時には既にグレナディアドールの胴部に風穴があけられて、何が起こったかも分からぬままに転倒していたのであった。
「なっ!? 銃撃、しかし射線が通るという事は」
「あそこだ、構えているぞ、迎撃だ!」
仲間の被弾、だが罠を発動させ動きの無かったディアボロス側からの攻撃を受ければ場所を割り出せると飛び出したグレナディアドール達。
視線の先には大口径対戦車銃を構えたユリアの姿が見え、一気に潰すとばかりに榴弾を放ちつつ銃剣を構え突撃を行っていく。
その砲撃を受け、懸架用フレームで爆発を受け止めながら下がるユリア。
狙撃、そして敵の釣り出しという役割は果たしたと、この光景を見ているであろう仲間が気付くであろうと考えながら、何処へともなく会釈して。
敵の攻撃から逃れる様に撤退を完了するのであった。
善戦🔵🔵🔴🔴
効果1【水面走行】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
ソラス・マルファス
罠がある、と予めわかるのはありがたいねぇ。
どんな罠であれ、ディアボロス相手にはパラドクスで攻撃する必要がある以上、敵は見えるところまで出てくるはずだ。なら、離れた場所から罠を作動させ、出てきたところを叩くとしよう。
空輝石で突風を起こすぜ。なるべく人1人くらいの幅で、まっすぐ風を吹かせよう。爆発で視界がふさがるような罠が動いたらそこが見えるあたりに身を潜める。狙い通り敵が爆発地点辺りを攻撃してくれたら、その隙を狙って背後から1体ずつ仕留めていこう。
狙いがバレたら、なるべく敵陣に近い方へ空輝石を投げ、広範囲に強い風を起こして鳴子を鳴らしてから逃げるぜ。駆けつけたヤツらが混乱すれば、状況を説明するために戻るか俺を追うかで迷いも出るだろう。
余裕があれば別の地点で同じことをしよう。手傷が増えてきたら無理せず撤退するぜ。
友軍による敵への攻撃、そして釣り出しが行われるより少し前。
千日手となっていた状況は如何にして生まれていたのか、時計の針を遡って確認しよう。
「罠がある、と予めわかるのはありがたいねぇ」
事前に聞いていた罠を設置して待ち構えている状況、それを知って行動できる有難さをソラス・マルファス(呪詛大剣・g00968)が呟きつつ。
どんな罠であろうともパラドクスでしか互いにダメージを与えられない関係、ならば敵は見える場所まで出てくる、そこを叩くとばかりに密やかに街道を進み、遮蔽物に身を隠す。
何かを仕掛けてくるのに適した細い道、故にここに在る事を看破して。
「さて、コイツで引き寄せられてくれるといいんだが」
手にしたのは投げると石を中心に臨んだ風を発生させるという空輝石、それを力いっぱい投げ込めば。
前方へと貫く様に、人一人分の範囲に伸びる風が発生、そして罠の発動による爆発と斜面の崩落が引き起こされる。
だがしかし、罠の発動によって敵が警戒する様子は分かるも前に出てくる気配なし、それはクロノヴェーダも互いにパラドクスでしかダメージを与えられない事を知っているが故。
罠にかかったディアボロスの姿が見えぬ、ならば何らかの形で罠を破壊した事を見抜き身を潜めて出方を伺ういわば両者様子見の状態になったのだ。
こうなれば何らかの変化を引き起こす動きか、一時下がって警戒が解かれるか待つか、別の場所を狙うかという選択肢がありどうするかソラスが思考を巡らせたその瞬間。
強烈な閃光と遠雷の如き轟音が鳴り響き、そして慌てて飛び出すグレナディアドールの姿が見えたのだ。
「ん? 他の誰かが……なるほどな」
膠着状態にあった自分の戦場、それを突き崩してくれた仲間のディアボロスに礼を告げ、撤退する仲間を追っていくグレナディアドール、その背後に狙いを定めて遮蔽物から飛び出して。
呪詛の大剣を振り上げれば、その刀身には強烈な旋風が纏わりつく。
「風纏い、旋風!」
そのまま全力の振り下ろし、此方を見ずに別の仲間に気を取られていたグレナディアドールの背面に迫る巨大な旋風は機械の体を押し潰し、そしてバラバラに砕いていく。
罠を発動させ睨み合っていた中、仕掛けてきたであろうディアボロスの迎撃に向かった筈だった。
されどそれはある種の囮、隙を晒した瞬間に強烈な一撃で仲間が粉砕された瞬間に自分達が釣り出されたことを悟ったのだろう、即時反転してソラスを認め、銃剣を構えつつ。
「しまった、はめられたか! 敵はあちらだ、突撃!!」
榴弾を次々と放ちつつ、敵襲に対応せんと突撃を再開するグレナディアドール達。
その猛追を受け続ける必要は無いとばかりにソラスは反転、同じような立ち回りを別の場所でもやるがついでに攪乱はさせてやろうと再び取り出す空輝石。
「コイツはオマケだ、とっときな!」
自身に迫る榴弾の爆発を受け、そして銃剣突撃を大剣で受け止めながら吹き飛ばされつつ投げた空輝石は鳴子と繋がるワイヤーを激しく揺らす。
これによってこの交戦だけでなく、別の場その敵にまで余計な情報が通達、このポイントに敵が更に向かう様に仕向けつつ無理に戦う事は無いとばかりにソラスは反転。
逃がすまいと追撃するグレナディアドールの追撃を振り切って撤退し、敵陣を乱す事にて別ポイントで戦う仲間の援護に繋げるのであった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
地道な工作も、賢い将も嫌いじゃないぞ
支える者あってこその防衛、そして戦争という訳だな
迷彩コートを纏い、山稜の物陰や地形に紛れ忍び足で移動
双眼鏡で偵察警戒し状況把握
ワイヤーを察知したらクロスボウで矢を放ち、遠距離の鳴子をわざと鳴らし撹乱
爆発崩落で進路を防がれれば、土砂を遮蔽物としその場で交戦
視界を遮る罠にはこちらもPDの煙幕弾を仕掛ける
怪しい所は回避し、隙のない隊列を維持
可能なら、巡回か待ち伏せの一隊を見つけ分断か誘き出し撃破
PD通信で味方と連携、機を合わせ攻撃
煙幕弾を炸裂させ、敵の視野を撹乱しつつ銃でPD攻撃
仲間と狙いを合わせ
一撃で倒せる敵>消耗した敵を目安に、確実に数を減らす
包囲されぬよう仲間の死角を補う
敵の攻撃には、行軍歌を察知し
魔力障壁で全身を護りつつ
攻撃の動きを観察、腕のタワーシールドを構え防ぐ
戦況を常に観察し把握
戦果十分か、味方が深手を負う前に撤退判断し、PD通信し全員で撤退
ベルトランを警戒し、出現時は攻撃を防ぎつつ、挨拶し素早く撤退
敵ながら話のできそうな男だな
天破星・巴
辻連携アドリブ歓迎
新宿島を直接攻撃してくる輩が増えてきて面倒じゃのう。
こちらも防衛のための結界が用意出来ていて何よりじゃ。
鬼道・操土術、土を操るわらわの前で罠や陣地が役に立つという誤解は早めに解いてやるのじゃ。
祈りを捧げるように両手を合わせた後にしゃがみ地面に両手を着くと地面から砂でできた巨大な腕が生え、砂を固めた岩を投げて陣地を攻撃して破壊を狙う
大量に呼び寄せては流石に対処できないので外縁部から少しずつ破壊
敵は【砂使い】で巧みに腕を操り
砂の腕で地面を叩き【衝撃波】で敵を怯ませ
砂の腕で殴り【強打】で叩き潰す
ときに追加で敵の足元に小さな腕を作り敵の隙を作る
撤退時には陣地と罠を壊すために大量の投石
ジェネラル級の出現を警戒し現れた際は少しでも情報を持ち替えるべく相手を観察しつつ直ちに撤退
おぬしが落丁した辞書を書(吾輩の辞書に不可能は無いより)をわざわざ愛読しているという噂の輩かえ
(相手の得意不得意を探るべく挑発)
罠を前に交戦が進んでいた頃、偵察部隊を見ていたのはエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)であった。
「地道な工作も、賢い将も嫌いじゃないぞ。支える者あってこその防衛、そして戦争という訳だな」
迷彩コートに身を包み、地に伏せ双眼鏡で罠の設置位置や敵の配置、偵察部隊の動きを見ていたエトヴァ。
何もない空間に煌めく光、恐らく何らかのワイヤートラップがある事も看破して、されどどうするかと思考を巡らせるエトヴァ。
そんな中、慌ただしく動く敵集団を発見し、何らかの変化があったかと急ぎパラドクス通信で仲間と連絡を取ればとある地点での交戦報告が入ってきて。
「了解した、偵察中の集団は居ない上に救援に向かっている、か。なら此方もかき乱しておこう」
そう通信を送り、取り出したクロスボウにて狙うはワイヤー。
その先に鳴子が繋がっているか、はたまた別の爆発物かは分からぬが複数のワイヤーに向かい矢を放てば、揺れた後に無反応の物と爆発が引き起こされる物があり、恐らく爆発しなかった物が鳴子によって敵襲を報せる物であった事が推測できた。
これにより、爆発と鳴子によって敵集団の動きが変化、エトヴァが罠を作動させた地点にも敵が動き始めていて。
「む、そちらでも陽動してくれておるのか。今から西側より仕掛けるので手伝って欲しいのじゃ」
敵軍の陽動、その様子を通信機越しに聞いていたであろう天破星・巴(反逆鬼・g01709)よりの要請。
不用意にこの場で戦闘する必要も無い、ならば援護に向かって想定外の方向から一撃を加えるが上策と判断したエトヴァは迅速に移動して、西側で戦う巴の方へと向かうのであった。
そして、エトヴァが向かう最中、西側にて今まさに守りを突き崩さんとした巴は如何なる動きを見せたのか。
「新宿島を直接攻撃してくる輩が増えてきて面倒じゃのう。こちらも防衛のための結界が用意出来ていて何よりじ」
アンリが用意した、そして他のジェネラルが担当する戦場にも配置された新宿島を直接攻撃する手段である対新宿島砲撃陣地。
守りが用意できていなければ厄介だったと零しつつ、隠れ潜んだ彼女は両手を合わせて祈るような動作の後、しゃがみこんで両手を地につければその後背より砂で出来た巨大な腕が現れて。
「鬼道・操土術、土を操るわらわの前で罠や陣地が役に立つという誤解は早めに解いてやるのじゃ」
相手が罠を設置して待ち構えているのならば、その罠を直接地形ごと破壊してしまえば解決とばかりに砂の腕より投げられたのは、砂を押し固めて作られた巨大な岩のような物体で。
敵が潜んでいるであろう遮蔽物や仕掛けられた数多の罠、その周囲に砂岩が落ちて周囲に破片を撒き散らし、結果として爆発、ワイヤーが揺れて鳴子が鳴り、またグレナディアドールが質量によって押しつぶされていたのであった。
陣地ごと叩く攻撃、そして別の仲間によって救援に向かう筈の敵軍が分散されている好機。
それを逃さず、外縁部より確実に、薄皮を剥く様に確実に破壊し、浸透していくように攻める巴の狙い通りに戦力を削がれ、負傷した者は下がっていくが罠ごと攻めてきたのなら位置を割り出すのは容易。
「あそこだ、あの腕が目印だ!」
自分達を狙う大規模な攻撃、砂の岩を投げつける存在はトラップによる爆発の中でも嫌に目立つのは必然で。
榴弾を放ちながらグレナディアドール達が突撃、近寄らせまいと投げられ砕け散った砂岩の破片を受け、体の各所を破損させながらも一気に巴との距離を詰め。
強烈な銃剣の刺突攻撃、回避も防御も出来ぬ一撃が巴の腹を貫き別の個体が続こうと突進をして来たが。
「やりおるの、じゃがな」
そう巴が呟けば、岩を投げていた砂の腕は投擲ではなく地面に向けてのはたき込み。
接近してきた相手はその強烈な打撃によって倒れてしまい、そして巴は鬼の腕にて自身を刺し貫くグレナディアドールの腕掴み、そのまま力任せに己が体より引き抜いて。
「遅れた、これより援護する」
次の瞬間、巴に腕を掴まれていたグレナディアドールの側頭部に一発の銃弾が命中、それと同時に強烈な閃光が周囲に広がり、巴に迫っていたグレナディアドール達は標的を見失う。
思わぬ横合いからの一撃、それを放ったのは援護に向かっていたエトヴァであり、閃光の中にて巴は突撃してきた面々から距離を取る様に後退を完了していたのであった。
複数による突撃、それが阻まれた上で閃光による目くらまし、だがそれだけで終わらせるエトヴァではなく。
「――絢爛と、咲き誇れ」
被弾した敵を狙い次々と放たれる銃弾は単なる鉛玉にあらず。
ある弾丸は先ほどと同じように着弾と同時に閃光を、またある弾丸は爆発し煙幕を発生させる代物で。
それに加えて通常の弾丸が放たれて、視界を奪いながらの銃撃が成されていたのであった。
「くっ、新手か! だがこの程度の妨害など想定の範囲内、攻勢に出る」
「了解! 我らが大陸軍の栄光の為に!」
横合いからの奇襲、その妨害を受けて尚戦意の衰えぬグレナディアドール達。
被弾したのならば被弾箇所、そこから敵の位置など割り出せるとばかりに体の向きを変え、煙幕に包まれた中から正確に、エトヴァの方向に向けて行軍しての銃撃を放っていて。
鳴り響く行進曲、それと同時に放たれた苛烈な攻撃から身を守るべくタワーシールドを構え、被弾しながら下がるエトヴァ。
双方ともに消耗を強いられる激戦となり、互いの攻撃による衝撃で罠が発動、爆発と山肌の崩落が引き起こされ、また煙幕が広がる中でこの地点での戦闘が激化していることを察したのだろう、援軍が迫る姿が見えてきた。
「新手が来たか、流石にこれ以上は限界か」
「そうじゃな、まあ帰る前に置き土産でもくれてやるとするのじゃ」
戦況を分析していたエトヴァが撤退のタイミングを察すれば、最後に一撃入れてやろうと応じた巴。
再び生み出した砂の腕が無茶苦茶に、周辺にばら撒くように砂の岩を投げつければまだ作動していなかった罠が次々と作動させられ、ディアボロスを追うのには無意味な爆発が引き起こされる。
結果、戦場に救援せんと向かってきた軍勢の足が逆に止められる形となり、その間にディアボロス達は撤退を完了。
救援陣が到着した時には既に敵対者であるディアボロスの姿は無く、無茶苦茶に崩れた陣地と倒された同胞の残骸と。
追撃できなかったことを悔しがる、損耗激しいグレナディアドールの姿が残るだけとなっていたのであった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【動物の友】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!