【断頭革命グランダルメ奪還戦】たとえ城塞砕けようと(作者 離岸)
#火刑戦旗ラ・ピュセル
#【断頭革命グランダルメ奪還戦】バルセロナ防衛ライン
#断頭革命グランダルメ奪還戦
#⑱人間城塞
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「マドリードは陥落、同胞の多くは撤退途中で連中に討ち取られたようだな」
「その上、ラ・ピュセルからの増援はフランス側へ向かったと来た。ここバルセロナへの増援は僅かだろう……やれ。散々とはこのことか」
バルセロナを護るジェネラル『人間城塞』の配下であるトループス『トータスナイト』たちは互いに顔を見合わせ、置かれた状況に小さく嘆息。
一言で言ってしまえば兵力が足りない。彼のジェネラルが守る土地とはいえ、怒涛の勢いで攻め寄せるディアボロスの猛攻を凌ぎ切れるか、と言われてしまえばどうしても押し黙ってしまう。
「……だが構わん。例え敗北するとしても、ディアボロスを一人でも多く道連れにしてやれば、それでよい」
「ああ、ああ。その通りだ。それこそが、俺たちの復讐なのだから」
そう語り合うトータスナイトたちの表情に怯えの色は存在しない。
彼らもまた復讐という名の炎で心を焦がすキマイラウィッチ。強すぎる感情の前に弱気が入り込む余地など、存在しないのだ。
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「グランダルメも大詰めですね。耳にタコかもしれませんが、ちょっとだけおさらいです」
新宿島グランドターミナル。集まったディアボロスたちを前に、綾小路・桜(人間の妖精騎士・g03314)は「ナポレオン」と書かれたホワイトボードをこつんと小突いて。
「断片の王ナポレオンはスイスを最終拠点として、オベリスクの力を利用した起死回生の策を講じていました。
それを察知し、皆さんの活躍でラ・ショー=ド・フォンを攻略したことで、グランダルメ……ひいてはナポレオンへ王手がかかった状態ですが、相手もなりふり構っていられない、といった感じでしょうかね。
土地の割譲や我々への復讐心を利用するような形で蹂躙戦記イスカンダルの亜人や火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラウィッチを引き入れて、何とか今回の一戦を戦い抜こうという腹のようです」
万が一、ナポレオンがこの戦いに生き残ってしまったならば、彼はオベリスクの力を使って北アフリカに疑似ディヴィジョンを創造し、その力を取り戻してしまうだろう。
「故に、ナポレオンはこの機に撃破しなければいけません」
桜にしては珍しい、少し強い言葉だった。
「ナポレオンにイスカンダル。人類史に名を残した英雄の名を騙る存在が相手である以上、今回の戦いもまた激しいものになるでしょう。どうか、皆さんの力を貸してください」
「さて。こちらのパラドクストレインが向かうのはバルセロナ……キマイラウィッチの拠点となっている土地ですね。
他の二勢力よりも優先度は下がるかな、という所はありますが、それでもディアボロスへの強い復讐心を持つ相手です。その戦力が強化されると後々の禍根になるかもしれません」
もっとも、クロノヴェーダの戦力が増加して禍根が生じないというケースはまずないだろうが。
とはいえ、今回の戦場は非常に広い。総取りははっきり言って困難の一言だろう。戦場に置いての取捨選択は間違いなく発生する。
「ですので、選択肢を広げるためにも可能な限り打てる手は打っておきましょう。
この奪還戦におけるディアボロスの作戦方針は、戦争後の状況に大きな影響を与えるかもしれません」
桜がそこまで述べると同時、パラドクストレインの扉が開いた。
グランダルメの今後を占う一戦は、近い。
リプレイ
松中・誠
連携アドリブ歓迎
優先度は低いかもしれないけれど、数を減らしておけば奪還できる可能性もあるし、頑張るんだぜぃ。
コンスの月光の鎖刃で相手を攻撃。
鱗も鎧も堅そうだけど…隙間があるならそこを刺せばいいだけなんだぜぃ。
ある程度数を減らしたら、撤退。
死ななきゃ安いんだぜぃ。
殺されるつもりもないんだぜぃ。
●
何かがバルセロナに近づいてくる気配を察し、トループス『トータスナイト』たちは弾かれたように視線を気配のする方へ。
バイザーの奥に覗く赤い瞳が、『何か』の姿が見えないこの時点で爛々と輝いて見えるのは、復讐に呑まれたキマイラウィッチという種族特有の直感と言って良いのだろう。
即ち、
「……ディアボロスゥ
!!!!」
最短距離を突っ切るルートでトータスナイトたちへと迫りくる松中・誠(術師系竜人・g03037)へ向けるドス黒いまでの殺意は、一瞬で鎮火が望めぬほどまで燃え上がった。
びり、と空気が痺れるような錯覚を前に、しかし誠の軽い口調は揺るがない。
「殺されるつもりもないんだぜぃ」
殺意の濃さに申し訳ない気持ちも無いではないが、そもそも今回の争奪戦においてキマイラウィッチ勢力への優先順位は低いと時先案内人も言っていた。場合によっては彼らが燃やし続ける復讐の炎は、ただ燃えるだけでディアボロスに透かされて終わりという可能性もあり得るだろう。
(「とはいえ、数を減らしておけば奪還できる可能性もあるし、頑張るんだぜぃ」)
そう。一方で、蒼のドラゴニアンが内心で呟く通り、キマイラウィッチの復讐とやらに付き合ってやることで奪い返せる場所もある。
であれば、本戦の前のこの時間を使って戦力を削ることにも意味はある……そこまで考えを巡らせて、誠は敵意を示すように月光が如く光るシャムシールを抜いた。
柄に絡む金鎖がしゃらりと音を立て、来るか、とトータスナイトの一体が身構える。
「空を横切る制裁者よ、その刃を一時授けたまえ」
高らかに発する声と共に竜人が更に一歩踏み込む。
対してトータスナイトはまずは様子見と怪獣のような銀の鱗を纏う腕で顔面周りを覆い、防御の姿勢を取った。
(「鱗も鎧も堅そうだけど……」)
けれど、絶対の防御などそうは存在しないことも事実。
故に誠は構わず更に直進。互いが互いに届く至近距離でサングラス越しの瞳が城壁のような腕を一瞥、しかる後に月光が閃いた。
「……ッ!!」
鮮血が奔り、トータスナイトの表情が苦悶に歪む。刃が突き立てられたのは肩口……甲羅と肩装甲の間にわずかに存在する隙間を、獅子の爪が如き刃は過つことなく貫いたのだ。
「やってくれる、ディアボロス……!」
シャムシールを突き立てたことで柄の鎖が刃の突き立つ肩を起点に円を描きトータスナイトに絡みつく。
これにより一瞬生まれた拘束を隙と見なし、すかさず誠は退く意図を見せたが、復讐対象が目の前にいるのにむざむざそれを見送るような真似をキマイラウィッチがするはずもない。
「その程度で逃げられると思うなッ!」
鎖が絡みつくのをそのままに、トータスナイトは四股を踏むように地面を一つ踏み鳴らし、それに呼応し衝撃が地面を奔った。
「うぉ
……!?」
更なる回避を取るよりも早く地を奔る衝撃は誠の身体を強かに打ち据え、全身の骨が砕けたような痛みに後退を選ぶドラゴニアン目掛けて、周囲のトータスナイトたちが殺到する。
端から見れば絶体絶命にも見えるのかもしれない。けれど、竜人の口元は不敵な笑みを形作っていた。
元よりここでの目的は敵戦力を削ること。ならばダメージを受けたように見える誠を狙って飛び出したトループスたちは、見方を変えれば無暗に突出しているようにも見えるわけで。
――この瞬間、トループスの釣り出しが成立する。
「死ななきゃ安いんだぜぃ」
そう嘯く誠に続けとばかりに、複数のディアボロスがトータスナイトたちへと襲い掛かった。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
大和・恭弥
バルセロナか。今回の最優先事項にはあがっていないかもしれないが、ジェネラルを配置している地域だ。
出来ることは可能なうちにやっておくのが得策だろう。
藍雪花染を抜刀し、呪詛を解放しながら刀が喰ってきた復讐心を秘めた魂に想いを馳せる。
無念を晴らし、刻の狭間にのまれた彼等の復讐を一太刀に込めて果たす。呼吸を定めたその一瞬、敵を見据えて踏み込み、神蝕呪刃を発動。
敵の間合いに入り一閃、反撃は刀で受け止め衝撃をいなしながら振り切る。
仲間との連携を密に取りながら立ち廻り、絶えず移動しながら藍雪花染の刃を届けよう。
お前たちの魂は道連れじゃなく、本戦への手土産にさせてもらう。
本意気で挑むが、余力は残しておきたい。陣を十二分に削ることができたら撤退の算段を立て仲間に呼びかけをしよう。目指すは、ナポレオンの頭を捕ることだからな。
構わない。トータスナイトも自身が青い竜人へ向ける攻撃の暇を狙って、敵が仕掛けてくることは察知していた。
それでも。復讐に焦がれるキマイラウィッチにとって、続く一撃への備えのために目の前の敵を逃すことなど、出来る筈もなかった。
けれど迫りくるディアボロス――大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)の接近速度は、端的に言ってトータスナイトの想定をはるかに超えていた。
(「出来ることは可能なうちにやっておくのが得策だろう」)
たとえそれが今回の優先事項には上がっていない地域であろうと。そう思考を進める恭弥の腰元、藍雪花染と銘された妖刀は解放を急かすように碧の気を放ち、妖刀使いはそれに逆らうことなく刃を鞘から抜き放った。
超加速の中。一歩を踏み出す一瞬の中で、これまで刀が喰ってきた復讐心を秘めた魂に想いを馳せる。
キマイラウィッチが復讐を謳うように、ディアボロスもまたクロノヴェーダと呼ばれる存在への復讐を縁に立ち上がった存在の集団だ。
故に、ぶつける敵意の強さで目の前のトループス如きに後れを取る理由はない。
「一太刀だ」
「何……?」
無念を晴らし、刻の狭間にのまれた存在の復讐を果たすには、一太刀あれば良い。恭弥がそう宣すると同時、彼はそのまま自身の妖刀に込められた呪いを開放。
突如ぶつけられた自身らのルーツと等しい呪詛にトータスナイトたちが一瞬硬直を見せれば、その暇を逃すことなく懐まで踏み込んだ藍黒は、迷うことなく剣を真横へ薙ぐ。
「……き、さ」
ま、と続くはずの言葉は、首と胴とが離れたが故、最早喉から発せられることはない。
ぐらりと倒れる一体に構わず恭弥はそのまま近くのもう一体へと刃を走らせようと刀を振るったが、今度は流石にトータスナイトにも受ける余地があるか。
「やってくれるではないか、ディアボロス!!」
瞬く間に味方を一体失ったことに、振るわれた刀を受けたその個体は臆する訳でも無く、ただ自身の怒りへ更なる火をくべた。
刀を受けた右腕を横に振り払うことで恭弥を強引に後退させ、すかさず彼へ向けた左腕が如意棒のように急激に伸ばす。
けれどぎらりと光る左腕先端の爪を、恭弥は危なげなく妖刀を盾に受け止め、その反動で改めて己の意志で距離を取った。
「お前たちの魂は道連れじゃなく、本戦への手土産にさせてもらう」
「ほざけェ!!!」
戦場を絶えず駆け廻る恭弥を捕らえるべく宙を奔るトータスナイトの腕を器用に払いながら、恭弥は一度戦場を見渡した。
この場で戦闘が始まっていることは、目の前の部隊のみならず周囲の敵全てが把握していることだろう。
今回の歴史の奪還戦における最大の目的はナポレオンの首だ。それを踏まえれば余力を残したままどこかで切り上げる必要はあるのだろうが、まだ周囲に敵が集まり切っていないこの状況であれば、もう少しだけ欲張っても問題はあるまい。
そう判断すると、恭弥は執念深く己を狙う伸縮自在の爪と、身体が掠めるような軌跡で交錯。伸ばしきった腕が凌がれたことに目を大きく見開くトータスナイトへ藍雪花染の刃を突き立てるべく、尚も天を抜き去る速度で大地を蹴った。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【腐食】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
ディアナ・レーヴェ
こーーーんにちはーーっ、亀さん!
偶に兎っぽいって評判の私がやって来たわよ?
(※たぶん白くて目が赤いからとかそういう理由)
さて!
物陰からまずは一発【Licht fällt】――防衛部隊の端の方、なるべく小さめの一団の撃破から狙うわ!
最初に仲間と打ち合わせておいて、誰かの攻撃を合図に同時に別方向から仕掛けられればいいんだけど。
うん、大地からの攻撃なのね?
じゃあ、天・対・地ってことになる!(ニコニコ)
こういうのは、割と高確率で天が勝つって相場で決まってるのよー?
なんてね。
どんな立派な甲羅をもってても、動く瞬間は頭が出る。
パラドクスではそこを狙わせて貰うわ。
あまり敵陣深くには突っ込まず、端の方の部隊を叩いては誘き出し、削っては駆け回る。
大怪我するほどの無茶はしないけど、それでも根性入れて、ギリギリまで粘って敵を減らしていかないとね!
筧・勢理
(連携アドリブ歓迎)
カメさんいっぱーい。イカツーい。カタそーう。
(あんまりカワイくはないなー…ま、そこはいいかー)
【パラドクス通信】利用で、他のディアボロスと連携
「後衛からの状況把握と援護射撃」を基本に立ち回る
敵・味方の数や動き、消耗状況を見極めて情報を共有
攻撃開始・撤収のタイミングは周囲と合わせ、逸れる者が出ないように注意
【めめちゃんスナイプ】使用
めめちゃん(愛用のライフル「めめんと盛り」)で狙い撃つ
一発撃ったら動いて、攻撃の出どころをわかりづらくする
更に魔力のビームの軌道を曲げて、鎧の継ぎ目や兜の隙間など、より効果的とみた部位にビームをねじ込む
撃破可能な敵個体>既に味方が攻撃した敵個体、の順に優先して攻撃対象を選ぶ。該当する敵個体がいなければ、敵の連携を乱せそうなところを狙う
敵陣への深入りは避け、動けなくなる者が出る前に、無理せず撤収を提案
その場の全員揃って撤収。必要があれば動きを補助
いっぱい頑張ったら、その分めめちゃんをカワイくデコるんだもんね
カメさんのステッカーとかがいいかなー?
藍黒の影が戦場を駆け巡り、トータスナイトたちは何とかそれを仕留めようと躍起になって己の威を振り回す。
恭弥の速度は目を見張るものがあるが、それでも場の頭数は敵の側が上。数に任せた猛攻により、次第に彼の逃げ場がなくなってきた頃合いを見計らったように、突如第三者の声が割り込んだ。
「こーーーんにちはーーっ、亀さん!」
復讐を遂げんとする者同士がぶつかり合っているはずのこの場には似つかわしくない、暢気な声。
トータスナイトたちの視線は自然と声の主――ディアナ・レーヴェ(銀弾全弾雨霰・g05579)へ向き、振り回すような言動が生んだ隙を塗って、追い込まれていたはずの恭弥は一度場を離脱。
構わずまくしたてるように言葉をつなぐディアナへ、トータスナイトたちが向ける表情は苦々しい物で。
「偶に兎っぽいって評判の私がやって来たわよ?」
「貴様の評判がどうであろうと知ったことではないが……」
ディアボロスならば殺すだけだ。そう言わんばかりの血走った目をディアナから外すことをしないままトータスナイトが一歩、彼女の方へと足を踏み出し――直後、頭部に強烈な衝撃。
「!?」
比喩ではなく実際に頭をカチ割られ、視界を真っ赤に染めた亀のようなトループスはぐらりとその場に倒れ伏す。
場に残された他の個体には、仲間を射抜いたものの正体が砲弾の類である所までは見えたが、さりとて解せぬ。
「貴様、いつ撃った
……!?」
「ひーみーつっ!」
他のディアボロスに意識を取られている内か、はたまた現れた際の調子の狂う声は砲撃を覆い隠すブラフだったか。
可能性はいくらでも考えられるが、目の前に敵がいる以上、分析は今することではないとそのトループスは判断。そしてそれは正しい判断であると言わんばかりに、今度は右後ろに控えていた別個体が突如光に呑み込まれた。
「次はなんだ!?」
混乱と苛立ちを隠さぬまま、トループスたちは視線を光が飛んできた方角へ。
乱雑に動く視線の中、一瞬視界に入った筧・勢理(パニッシュメントスタンド・g00706)の姿が周囲の物陰に紛れて消えていくのが見える。
(「援護役まで動員されているか」)
トータスナイトとしても、ここまで念入りだと最早笑うしかない。
決戦前のこの段階でこうも消耗を強いられている以上、ここで仇敵と相対する自身らは、事前に括った腹のまま復讐を遂げるしかあるまい。
破れかぶれに近い思考がそんな結論を下し、血のように赤い眼が周囲の敵を威嚇するよう睨んだ。
他方、次の狙撃地点を求めて動く勢理の思考は、まき散らされる敵意に反して随分と緩い。
(「カメさんいっぱーい。イカツーい。カタそーう……というか、実際にカターい」)
移動の最中ちらりと見た限りでは、トループスたちの注意の比率は、目の前にいるディアナと移動する自分とで半々程度といったところか。
もう少しこちらに注意が向くよう立ち回り、矢面のディアナの負担を減らすべきか。次の射撃ポイントを定めながらそんなことを考える間にもトループスの一体が動きを見せた。
「!」
ディアナの助けになるよう、勢理は即座に愛用のライフルを構えたが、それよりもトータスナイトが地面を踏みしめる挙動の方が早かった。
ずんッッ! と地面が揺れる。地震のような衝撃が周囲にまき散らされれば、無差別の面攻撃は自然、ディアナにも勢理にも届いた。
(「あんまりカワイくはないなー……」)
腹の奥で炸裂した衝撃が体中を殴り廻っていく感触にきゅ、と表情を歪めつつ、ピンク髪の少女は改めて敵の亀たちをそう評する。
外面にせよ攻撃の苛烈さにせよ、カワイイ判定は無理がある。そこはいい。
肝心なのは。
「当てるよー、めめちゃん」
衝撃に弾かれ一度身体を宙へ逃がしたディアナへの追撃を許すわけにはいかないと。その一点のみ。
緩い瞳の奥に鋭さのような物が宿り、勢理が見据える戦場ではディアナが誰もいない頭上目掛けて砲撃する姿が見える。
それを苦し紛れの一手と見たか、トータスナイトは彼女の着地の瞬間を狙おうとその凶悪な爪を構えた。
(「いっぱい頑張ったら、その分めめちゃんをカワイくデコるんだもんね」)
相手が相手だ、追加のデコはやはり亀のステッカーだろうか? 日常に近い思考と並列でライフルに魔力を注ぎ、勢理は狙いもそこそこに引き金を引く。
それを契機に圧縮された光は銃口から飛び出すや否や、蛇のように波打つ軌跡を宙に描きながらディアナを狙うトータスナイトへ飛来。
「!?」
対するトータスナイト。ディアナをあと一歩で仕留められる状況にあったためか、光の襲来への対応がほんの一瞬、遅れる。
光の蛇がその顎を開く。どれだけ頑健な甲羅が背にあったとて、鎧の継ぎ目や兜の隙間……攻撃の通りがいい部位はいくらでもある。
故に、トータスナイトを襲った光線はまともな抵抗を受けることもなく鎧の隙間に滑り込むと、その圧倒的な熱を以て鎧の中身を焼き尽くした。
●
「んー。そろそろてっしゅーかなー?」
合流するよう手でディアナへ呼びかけながら、頃合いだ、と勢理は判断する。誠や恭弥もそろそろ別方面から離脱しているだろう。
敵の数はまだまだ多いし、本戦はまだ始まってすらいない。余力のある内に攻撃を打ち切ることがこの場において一番肝心なことである以上、そのタイミングを見逃すわけにはいかない。
事実正面には応援の敵が再び集まってきており、これを再び削っていくのはそろそろ苦しい頃合いだ。
一方で応援を得て勢いづいたか、体中に傷の残る個体はそこでディアナと勢理へ獰猛な視線を向けた。
「ディアボロス……このまま逃がすとでも――」
「天・対・地ってさ」
けれど。
そこで再び、ディアナがトータスナイトの意識を遮った。
「割と高確率で天が勝つって相場が決まってるのよー?」
「……?」
何を言っている? トータスナイトは思わず訝し気な表情を浮かべ、そしてそれが彼の最期の表情となった。
ご、と戦場に響く鈍い音。狂気の染みわたる視界では気づけぬ上空からの襲撃者が、その個体の頭上から降り注いだ。
すなわち……先程上空でディアナが放った砲弾が、今になって、見計らったかのように、トータスナイトの頭部に突き刺さったのだ。
「おー……狙ってたー?」
「当然。軍師だからね!」
本当だろうか。
ディアナ渾身のドヤ顔に勢理はほんの少しだけそんなことを思うのだが、それについては後でいい。
突然降ってきた一撃によってトループスたちに生まれたどよめきを逃すことなく、二人は迷わず後退。そのままバルセロナから撤退していくのであった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【照明】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!