リプレイ
イシュア・アルミゴス
やっぱり出てくるとしたら君か。僕の故郷を滅ぼしたエンネミアド
一度だって忘れたことはないよ。忘れちゃならない僕の罪だ
守らなかった守れなかった。逃げた上に逃げ切れなかった
わがままを最後まで貫き通せず死にかけたのに生き残ってしまった僕の罪
君は偽物だ。所詮虚像だ。そうだからこそかな
気分が悪くなる。分かっているから記憶との相違で気色が悪い。
僕の前にその姿で姿を現すな。お前がこの場にいる訳がない。
こんな所に居ちゃダメだ。そんなに弱っちくちゃ駄目なんだ
あんなにも簡単に踏み躙ったんだ。強大さも力も威圧感もまるで違う
神を騙ったお前をいつか滅する為に今日は踏み台にさせてもらおう
だけどお願いだ。精々足掻いてくれ
霧深い迷宮へ足を踏み入れた瞬間、世界が歪むような感覚に包まれる。
「やっぱり出てくるとしたら君か。僕の故郷を滅ぼした――エンネアド」
迷わずそう紡いだイシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)の目の前に現れたのは、イシュアにとって護るべき全てを奪った存在だった。
一族、使命、ひいてはイシュアを形成する全てを奪った存在と言っても過言ではなく。
「一度だって忘れたことはないよ。忘れちゃならない。我儘を最後まで貫き通せず、死にかけたのに生き残ってしまった僕の罪だ」
――守らなかった。
――守れなかった。
――逃げた上に逃げ切れなかった。
琥珀の瞳が揺らぐいつかの輪郭をなぞる。
一度だって忘れたことのない姿。目の前に現れたのは最期に見たそれと瓜二つだというのに、イシュアの中にあるのは恐怖ではなく――。
「君は偽物だ。所詮虚像だ。そう、だからこそかな。――気分が悪くなる」
吐き捨てるようにイシュアは告げる。
目の前に居る“それ”は、イシュアの心が生み出した幻に過ぎず、イシュアの世界を奪った存在そのものではない。
わかっているからこそ、己の記憶が創り上げた偽物だからこそ、気色が悪いのだ。
「僕の前にその姿で姿を現すな。お前がこの場にいる訳がない。こんな所に居ちゃダメだ。そんなに弱っちくちゃ駄目なんだ」
まるで花を摘むように、いとも容易く全てを踏み躙ったあの強大さも力も、威圧感もまるで違う。
今の己ならば倒せそうだと、思いたくないのに思ってしまうほどに。
だが、いずれにしても倒さなければならない存在である以上迷いはなく。
「神を騙ったお前をいつか滅する為に、今日は踏み台にさせてもらおう」
イシュアは銀色の円筒状の壺を取り出し、それに飛行ユニットを接続してドローンへと変える。
「だけど、お願いだ。――精々足掻いてくれ」
イシュアの世界を、全てを奪った――あの悍ましき化け物のように。
ふわりと舞い上がった銀のドローンから投下された爆弾が鮮やかに爆ぜて、深い霧ごと払うようにエンネミアドを呑み込んだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
ニコル・リヴィエール
トラウマ……そうですね、幼少期に奴隷商のところにいたのが忘れたと思っていた嫌な記憶ですが……あぁ、怒鳴り声を聞くと身がすくんでしまいます
太っちょで悪人顔の奴隷商人、モンスターにはピッタリなんて思う余裕もないかもしれません
『男のくせにかわいい顔して媚びるな』とよく殴られて、蹴られて
ぼく……私はそんなつもりはなかったのに
つい昔の癖で頭を護ろうとして、転がり落ちた紋章を見て思い出すのです
今はもう奴隷ではなく、リヴィエール家のメイドなのですから
メイドとしての気持ちを取り戻し、冷静になってモンスターに立ち向かいます
今はもうお嬢様付きのメイドであって奴隷ではないのです
アドリブ歓迎
深い霧の中に足を踏み入れた直後、ニコル・リヴィエール(リヴィエール家のメイド・g00574)の耳に叩きつけるような怒鳴り声が届いた。
それは、ニコルの心の奥深くに刻みつけられた忌まわしい記憶。
霧の中から現れたのは、丸々と太った悪人顔の、奴隷商人であった。
忘れていたはずなのに、思い出してしまうとその姿はより鮮明になって。
まさしくモンスターにぴったりだ――なんて思う余裕もないほどに、ニコルは忽ちの内にその姿と声に身が竦み、動けなくなっていた。
『男のくせに、かわいい顔して媚びるな!』
響く怒号に、心と身体に深く刻みつけられた痛みが蘇る。
まるで、身も心も幼いあの頃に戻ってしまったかのよう。
(「ぼく……私は、そんなつもりはなかったのに」)
直後に殴られ、あるいは蹴られるのが日常茶飯事だったから、つい昔の癖で頭を護ろうとして――。
その時、ニコルは懐から転がり落ちた紋章を見てはっと瞬いた。
上側に川、下側に薔薇の描かれた――それは、ニコルが仕えるリヴィエール家の紋章。
「……そうです、今の私は、リヴィエール家のメイドなのですから」
守るべき人々の陽だまりのような笑顔を、穏やかでありふれた愛すべき日々を。
そして、いつか胸に抱いた誓いと誇りを思い出し、ニコルは紋章を拾いながら繰り出された霧の拳を躱して立ち上がった。
メイドとしての志と冷静さを取り戻したニコルは、紋章を確りと握り締めて。
そうして、顔を歪ませ下卑た笑みを浮かべながら迫る奴隷商人の幻へ、毅然と告げる。
「私はお嬢様付きのメイドであって、もう、あなたの奴隷ではないのです。……お嬢様、どうかお力をお貸し下さい」
祈るように紡ぎ、ニコルはメイド服の中に忍ばせたナイフを次々に幻影へ投げつける。
「ただの草花と侮らないでくださいませ。私はお嬢様に仕える野薔薇でございます」
――綺麗な薔薇には棘がある。
そして、たとえ綺麗でなくとも、野薔薇にだって棘はある。
ただ美しい薔薇を護るための――棘が。
かつて“お嬢様”を護るために身につけた力を、過去を取り戻すための一手として。
寸分の狂いもなく命中したナイフが悪夢のような幻影を散らし、そして、辺りを覆う霧をも晴らしていく。
忌まわしき過去を振り払ったニコルは、迷わず霧が晴れたその先へと歩み出した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【トラップ生成】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
ガーデニア・ラディーチェ
読書が好きだった
色んなことを知っていた
バラが好きだった
そして、身体が弱かった…
流行り病で、貴方…は、呆気なく…
幸せになるって……約束、守れなくてごめんなさい
あの後、「殉葬」の為に、わたしも…
繋いだ手の体温が…少しずつ、冷たくなっていくの、は…怖い…
けれど…もう二度と、喪いたくは、ないもの……!
どんな形だって良い
死後の世界でも、意志無き人形の姿でも…
世界の何処かで、「貴方」と2人で…ずっと一緒に、いられるのなら…
わたしたちは、それだけだった……!
意志がなくても、ただの骸でも、人形の姿でも…「貴方」は「貴方」だから
人形のロズリエルと手を繋いで
ロズ以外は、何も要らない
もう、わたしたちに構わないで…!
繋いだ手の体温が、少しずつ冷たくなっていくのは怖い。
けれど、もう二度と“貴方”を喪いたくはないから。
――“貴方”は、読書が好きだった。
色々なことを知っていて、たくさんのことを教えてくれた。名前を与えてくれたのも、“貴方”だった。
――“貴方”は、薔薇が好きだった。
そして、身体が弱かった。
――“貴方”は呆気なく、流行り病で逝ってしまった。
そして、“殉葬”のために。
ガーデニア・ラディーチェ(クチナシの花護り・g03839)もその短い生を終えた――はずだった。
「幸せになるって……約束、守れなくてごめんなさい」
そう、あの時一緒に、永遠の眠りについたはずだった。
それは、ある意味ではガーデニアにとって、幸せな結末だったのかもしれない。
なのに歴史は改竄されて、ガーデニアだけが蘇り、復讐者としての力を得て今ここに居る。
“貴方”の居ない、この世界に。
ガーデニアはそっと、傍らに立つ人形を見やる。
ロズリエル。――“あの人”の躯からつくられた、“あの人”の動きをなぞるだけの、意志のない、人形。
――どんな形でも構わなかった。
死後の世界でも、意志無き人形の姿でも、傍に居られるのならそれで良かった。
世界の何処かで、“貴方”とふたりで。
ずっと一緒に居られるのなら――。
「わたしたちは、それだけだった……!」
本当に、ただ、それだけで良かったのだ。
ガーデニアはそっと、人形のロズリエルと手を繋ぐ。
――きっと、“貴方”がそうしてくれたように。
ロズリエルも、ガーデニアと繋いだ手を握り返す。
「ロズ以外は、何も要らない。もう、わたしたちに構わないで……!」
ガーデニアの躰に息づく赤き薔薇が、棘だらけの蔓を伸ばし――霧の中から現れたものへと絡みつく。
たとえ心がなくても、ただの骸でも、人形の姿でも。
(「……“貴方”は、“貴方”だから」)
だから、ずっと傍に。
何も教えてくれなくても、優しい声で、名を呼んでくれなくても。
ただ、傍に居てくれるだけでいい。
もう二度と、誰にも奪わせはしない――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【植物活性】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV2になった!
シル・ウィンディア
炎に包まれた村の中
そこには一人の全身鎧の騎士の姿…
血にぬれた剣をもって、こっちに、一歩一歩、迫って来て…
わたしの目の前に立ちふさがった人は二人
男性は、庇うように
女性は、わたしを抱きしめて…
逃げて、生き延びてと囁いてくれて…
二人を切り捨てた騎士は
笑みを浮かべて、わたしの元に…
怖い、泣きたい、逃げなきゃ…
逃げても逃げても、その笑みが頭を離れない
騎士はずっと追いかけてくる
平和に過ごしていた、ただそれだけだったのに
それを奪った
わたしの大切な人を奪った
そんなあなたを許さないからっ!
一度目を閉じた後は
まっすぐに騎士を見据えて…
あなたには、負けない…
たどり着くまで、まやかしになんかに負けてたまるかっ!!
過去から過去へと至る道。
先の見通せぬ濃い霧の中に足を踏み入れた瞬間、シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)を取り巻く景色は一変していた。
――炎に包まれた村。
建物が崩れる音も、木々が焼ける音も、そして肌に感じる熱も、まるで本物のように感じられる。
平穏な日々を送っていたその村に災厄を齎したのは、全身を鎧で覆った一人の騎士。
足が竦んで動けなくなったシルの目の前で、また一人、剣で斬られた村人が動かなくなった。
――ぽたり。
血に濡れた剣。滴る鮮やかな赤が、地面を染めていく。
騎士はゆっくりと視線を巡らせてシルの姿を捉え、一歩、また一歩と距離を詰めてくる。
その時、シルを守るように、目の前に二人の男女が立ちはだかった。
「――
、……!」
二人を呼ぼうとして、シルは呼ぶことが出来ないまま。
鎧の騎士に無謀にも立ち向かっていく男性の背を呆然と見つめるシルを、女性が優しく抱き締めて、囁くように告げる。
「どうか逃げて、そして、生き延びて……」
そうして離れていくぬくもりに追い縋るように、シルは手を伸ばそうとした。
けれど、身体は動いてはくれなかった。
(「だめ
……!」)
声も、出なかった。
かけがえのない、穏やかな日々。
平和に過ごしていた、ただそれだけだったのに。
鎧の騎士はにやりと笑みを浮かべながら、シルが見つめる中、二人を――斬り捨てる。
ほんの少し前まで確かに生きていた二人は、もう、動かない。
――怖い。泣きたい。
(「逃げなきゃ……」)
脳裏に焼き付いて離れない笑み。
逃げても逃げても、騎士はずっと、どこまでもシルを追いかけてきて、そして――。
――でも、今は、あの時とは違う。
「……あなたは、すべてを奪った。平和な日常を、わたしの大切な人を奪った!」
シルは一度目を閉じ、一つ呼吸をして、それから真っ直ぐに、空色の瞳で騎士を見据える。
「わたしは、あなたには、負けない。――あなたを絶対に、許さないからっ!」
今のシルは、ただ逃げることしか出来なかったあの時のシルとは――違う。
「たどり着くまで、まやかしになんかに負けてたまるかっ!!」
詠唱と共に青白い魔力の翼を広げ、シルは、精霊の力を一つに束ねて騎士へと放つ。
光は騎士を撃ち抜いて跡形もなく消し去り、そして、忌まわしき霧をも晴らしていった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】がLV3になった!
アンゼリカ・レンブラント
トラウマは、現れる和服を着た桃色の髪の少女
私は、記憶がないけど彼女を知っている
たぶん彼女は私の大事な友達で
楽しい思い出が、沢山あったんだ
彼女の姿を直視すると胸がじくじく痛む
手が震え攻撃どころか、この場にいることも辛い
……でも!
この痛みがなんであれ、私はディアボロスだ
すべてを奪われた人々の幸せは、こんな痛みじゃないぞ!
しっかりしろアンゼリカ!
彼女が私のなんであれ今一番やるべきことは、誤らない
【勇気】を胸に、《ブレイブスマイト》でタックル
少女の姿を、突破するよ
突破したとき思わず口にした言葉は
「――君の愛した世界を」
私達の、みんなの日常をー
取り戻す!
そっか
私の胸にある1つの誓いは、
きっとここからーー
深い霧の中へ飛び込んだアンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の目の前に現れたのは、和服を着た桃色の髪の少女。
アンゼリカは、過去の記憶を持たない。
けれど、アンゼリカは彼女を知っていた。
彼女が“誰”なのかまではわからないし、どれほど記憶を手繰り寄せようとしても思い出せないけれど。
それでも、わかることがある。
きっと、彼女はアンゼリカにとってとても大切な友達で、失われた記憶の中にも、彼女と紡いだ鮮やかであたたかな――たくさんの楽しい思い出があった――はずなのだ。
「……っ」
あどけない少女の姿に、アンゼリカは胸がひどく痛むのを感じていた。
心が軋んで、悲鳴を上げているようだった。
手が震えて、動けなかった。
先へ進むためには倒さなければならないのに、わかっていても、拳を振るうことが出来なかった。
この場にいることが辛くて、目を背けて、逃げ出したくなってしまうほどだった。
「……でも! この痛みがなんであれ、私はディアボロスだ!」
アンゼリカは力強く地を踏み締めて、己自身を叱咤する。
「すべてを奪われた人々の幸せは、こんな痛みじゃないぞ! ――しっかりしろ、アンゼリカ!」
込み上げてくる恐怖を飲み込むように、叩きつけるように、強く、強く、自分に言い聞かせる。
たとえ、彼女がアンゼリカにとってどのような存在であったとしても、どれほど大切な存在であったとしても、今、やるべきことは誤らない。
天光色の瞳に確かな意志の光を灯し、奮い起こした勇気を胸に、アンゼリカは全身全霊で少女の幻影へとぶつかり、そして――。
一撃の元にその姿を消し去り、辺りを満たす霧を晴らしていく。
「――君の愛した世界を」
少女の姿が掻き消えようとした刹那、アンゼリカは無意識にそう、口にしていた。
「私たちの、みんなの日常を――取り戻す!」
――その瞬間。
少女が、柔らかく微笑んだような――そんな気がした。
「……そっか」
まるで少女が託してくれたかのような、手の中に残ったちいさな光を、アンゼリカはそっと握り込む。
それは、アンゼリカの身体に、心に刻まれた、絆の力。
(「私の胸にあるひとつの誓いは、きっと、ここから――」)
晴れた霧の向こうには、更なる過去へと繋がる道が続いている――。
大成功🔵🔵🔵
効果1【託されし願い】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
アイン・トロイメライ
同行:メル(g00643)
大事な双子の妹
マリー・アントワネット、グランダルメ出身だから彼女については昔の人程度に知識はあるけど…自動人形が彼女を処刑する事に意味があるのかしら?
…考えるのは後
今は突破しましょう
トラウマの内容は両親が妹を売り払った時の記憶…いいえそれだけじゃないわね
妹を助けようと躍起になって軍に入ったけど、結局負けてしまった無力さもわたしの前に現れる
思いの外ショックを受けていたという事かしら
でも、メルは今隣にいる
拍子抜けと思わなくもないけど、姉として折角取り戻した妹の前で情けない所は見せられないかしら
メルの手を取って立ち塞がる敵に【『楽園』ガルデン】
指一本も触らせないわ
メルクーア・ヴァンデルン
同行:アインお姉様(g00491)
大好きな双子の姉
多数の書物を見ているので、ベルサイユ宮殿やマリー様の知識はあります。たしか革命に反対し処刑されみたいですが、自動人形達はそれを再現しようとしてるのでしょうか。それに彼女もたし姉妹の妹ではありますので、何かの縁を感じます。
トラウマの1つは両親が私を売った時でしょうか、今でもあの両親の表情は忘れません。それから姉と離れ離れになってから冷たい檻の中に閉じ込められて、色々な方に買われては再び売られての繰り返す日々。
でも今は隣にお姉様がいます。
過去の記憶は消せなくても、お姉様と手を取り合って未来を歩み続けます。
立ち塞がる敵は金碧輝煌の楽園で浄化。
――マリー・アントワネット。革命により処刑された王妃。
グランダルメ出身のアイン・トロイメライ(子どもの夢でさようなら・g00491)は、人並みには彼女のことを知っている。
だから、彼女がたとえこの改竄された世界において“処刑”されたのだとしても、特に深い疑問を抱くようなことではなかった。
――けれど。
「たしか革命に反対し処刑されみたいですが、自動人形たちはそれを再現しようとしてるのでしょうか」
数多の書物から得たベルサイユ宮殿やマリー・アントワネットについての知識を紐解きつつ、ぽつりと呟いたメルクーア・ヴァンデルン(大切な刻は二度ともどらない・g00643)に、アインは目を瞬かせる。
「……自動人形が彼女を処刑することに意味があるのかしら?」
思考を巡らせ、けれどアインは小さく首を横に振った。
「……考えるのは後。今は突破しましょう、メル」
「はい、お姉様」
こくりと頷くメルクーアもまた、マリー・アントワネットに対しては不思議と縁を感じていた。
多くの姉がいたマリー・アントワネットは、メルクーアと同じ、“妹”という立場でもあったからだ。
いずれにしても、今は、この霧の迷宮を突破して、“彼女”の――マリー・アントワネットその人の元へ急がなければならない。
――そうして、霧の中へと踏み込んだ直後。
二人の目の前に走馬灯のように浮かび上がったのは、同じ光景だった。
それほどまでに、二人の心に深い傷を刻んだ記憶。それは――。
膨大な魔力と時を操る術を持つその珍しさから高い値がつけられ、両親によって無理やり売り飛ばされたメルクーア。
目先の欲に駆られてあっさりと娘を手放したあの時の二人の顔を、メルクーアは忘れようとしても忘れられない。
そこには憐憫も悔恨の情もなく、まさに魔物と呼ぶに相応しい形相だった。
その時の、助けを求めて泣いていたメルクーアの声が、アインの耳の奥で反芻する。
己の無力さを思い知らされたアインは、メルクーアを助けようと躍起になって軍に入った。
けれど、結局は――妹を助けるどころかクロノヴェーダに斃されて、新宿島へと流れ着くに至ったのだ。
(「……思いの外、ショックを受けていたということかしら」)
目の前には、両親と、無力だった己。
その二つが合わさった、悍ましい魔物が姿を見せていた。
一方、大好きな双子の姉と引き離されたメルクーアを待っていたのは過酷な運命だった。
冷たい檻に閉じ込められ、好奇の目に晒されて――様々な人々に買われては再び売られる、そんな日々の繰り返しだった。
死んだほうがましだと思ったことも、一度や二度ではなく。
だが、二人は再び巡り会い、そして、こうして一番近い場所にいる。
同じディアボロスとして新宿島に辿り着き、そこで思いがけず運命の再会を果たしたことには、拍子抜けもしたものだけれど。
「――アインお姉様」
メルクーアがそっと紡げば、アインの力強い笑みと頷きが返る。
ふたり一緒なら、もう怖いものは何もない。
たとえ、忌まわしき過去の記憶は消せなくても――共に、未来へ歩み続けることが出来るのだから。
「メルには指一本だって触らせないわ」
姉として、折角取り戻した妹の前で情けない所は見せられないから。
アインはメルクーアの手を取り、立ち塞がる敵へ怒りを向ける。
両親という名の――否、親と呼ぶのさえ忌まわしき、人の形をしているだけの化け物と、何も出来なかったいつかの自分に別れを告げて。
刹那、アインが咲かせた美しい花たちが、無数の棘と毒を孕んだ馨しい芳香で忌まわしき影へと襲い掛かり――。
メルクーアが広範囲に展開させた金碧輝煌の聖域が、不浄なる記憶の影を消し去った。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【植物活性】がLV3になった!
効果2【ガードアップ】LV2が発生!
チェスラフ・チェルニー
マリー・アントワネット様自体、現代でも有名な王妃であった様ですね
とは言え何がこの処刑をそれ程大きな事柄にしたのでしょうか
私に過去の記憶がありませんが、これはきっと以前の私の恐怖
姿を隠したローブの方…
まるで死神の様ですね
死は等しく全てに定められた終わり
私の終わりは既に訪れましたが…
…あぁ、きっと恐れていたのは大切な者の死
例えば、坊ちゃん"達”のーー
それは足が竦む程に恐ろしいものでしょう
喪失の記憶があれば止まっていた事でしょう
ですが、私は記憶と安寧の代わりに力を得ました
坊ちゃんをお護りするための力を
それに私には道中で倒れる事の出来ない思いがあります
不条理な死は、私がこの身で払い退けましょう
「マリー・アントワネット様自体、現代でも有名な王妃であった様ですね。……とは言え、何がこの処刑をそれ程大きな事柄にしたのでしょうか」
未だ見えぬ答えを探るように視線を巡らせながら、チェスラフ・チェルニー(彷徨う幻香・g01309)は霧の迷宮へと足を踏み入れる。
過去の記憶を持たないチェスラフの前にも、“恐怖”は姿を見せた。
それは、きっと記憶を失う以前の己が抱いていたものだろうと、チェスラフはすぐに理解する。
チェスラフの行く手に現れたのは、ローブに身を包んだ、顔の見えない誰か。
それは、まるで死神のような――。
――死は、等しく全てに定められた“終わり”である。
だが、死の淵から蘇ったリターナーであるチェスラフにとっては、死というものはいわば、既に訪れたものだ。
己が死ぬことが恐ろしいかと問われれば、然程実感らしき実感はない。何せ、死に際の記憶だってないのだから。
ならば――。
(「……あぁ、」)
死神が齎そうとしている、チェスラフが恐れていたもの。
今のチェスラフにはなくて、かつてのチェスラフに在ったもの。
恐れていたのは己自身の死ではなく、きっと、傍に居た――大切な誰かの死だったのだろう。
(「例えば、坊ちゃん“達”の――……」)
小さな鳴き声が響いて、チェスラフが『坊ちゃん』と呼ぶモーラット・コミュが身を寄せてくる。
「……大丈夫ですよ、坊ちゃん」
心配してくれたのだろうか。坊ちゃんを優しく撫でてやりながら、チェスラフは、目の前の死神へと向き直った。
――大切な誰かとの、永遠の別れ。
それは、足が竦む程に恐ろしいものだろう。
もしもチェスラフの中に喪失の記憶が残されていたなら、ここから動けず、先に進むことが出来なかったかもしれない。
「ですが、私は記憶と安寧の代わりに力を得ました。坊ちゃんをお護りするための力を」
チェスラフにとって、永久の眠りが失われた事実は嘆かわしいものだ。
だが、己には為すべきことがあると知ってしまったから。
今のチェスラフの胸の裡には、道半ばにして倒れることなど出来ないという想いが強く息づいている。
「不条理な死は、私がこの身で払い退けましょう」
奪われるべくして奪われる命。それを、救うことに何か意味があるのなら。
蜜色の瞳に迷いはなく。
チェスラフは、鋭利な刃で死神を斬り捨てた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV4になった!
エステル・コランクール
私の父はナポレオン軍に挑み、力及ばず倒れました。
その時の私の実力はあまりに弱々しく、到底クロノヴェーダに対抗できる程度にいたってませんでした。
父はそんな私を馬車に乗せ逃がし、自分は殿となったのです。
私にトラウマがあればその一点。必要な時に力が足りなかったこと。
出てくるのは父に間違いなく。
豊かな髭。大きな肩に太い腕。生粋の武人らしい姿で手を広げ、立ち塞がるでしょう。
娘を戦いに向かわせたくない。わかります。私は溺愛されていました。
でも、私は決めた。
「父上。あなたを超える戦士となって、故国フランスを取り戻したい。さあ、この目を見て。あなたと同じです」
ゆっくりと塞ぐ腕を除けて前に進みましょう。
「――やはりあなたですか、父上」
エステル・コランクール(もし貴方に闇が訪れても私が星で照らしてみせる・g04237)は静かに、目の前に現れた人影へ告げる。
故郷が奪われたあの日、ナポレオン軍に戦いを挑み、力及ばず倒れた父。
その時のエステルはまだ、クロノヴェーダとまともに戦えるほどの力を持っていなかった。
そんなエステルを馬車に乗せて逃がし、父は殿となって戦場に散ったのだ。
最後に見た父の大きな背中。焼け落ちてゆく故郷と、逃げ惑う人々の悲鳴――今もなお脳裏に焼き付いて離れないあの日の光景に、エステルは唇を引き結ぶ。
必要な時に、必要な力を持たなかった――大切な人たちを、愛しい故郷を守れぬほどに弱かった、かつての自分。
その記憶はエステルの心に深い傷を残し、そして今、父の姿となって現れた。
――深い霧に満たされた世界で、父と娘は向かい合う。
大きな肩に太い腕。豊かな髭をたくわえた、生粋の武人然とした父。
記憶に残るそのままの姿の父は、ゆっくりと両手を広げ、エステルの前に立ちはだかった。
娘を戦いに向かわせたくないのだろう。
危険が待つこの先に、進ませたくないのだろう。
その想いは、エステルには痛いほどによくわかった。
きっと、父ならばそうしただろう。
それほどまでに、父は娘であるエステルを大切に想い、愛してくれていたから。
だが、エステルはとうに決めていた。
「――父上。私はあなたを超える戦士となって、故国フランスを取り戻したい」
ゆえに怯むことなく、退くことなく、真っ直ぐに父を見つめて、告げる。
「さあ、この目を見て。あなたと同じです」
故国を、故郷を取り戻したいという、確かな想い。
エステルは一歩踏み出した。けれど、父は動かない。
「どうか待っていて下さい、父上。……あなたを、そして故国を取り戻す、その日まで」
エステルはゆっくりと行く手を塞ぐ腕を除けて、振り返ることなく先へ――深い霧の向こうへ進んでいった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【プラチナチケット】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
竜城・陸
心理的瑕疵か
人の身に余る力を持って生まれた時から
このかたずっと、自分は独りだった
“災厄”であるとして、何をすることも許されず
薄暗い部屋でただ朽ちるを待つだけの日々
……あまり、当時は思ったことはないのだけれど
今思い返せばやはり、暗澹とした気分にはなる
だから、怖いものがあるとすれば
生命の営みを感じない、全くの闇――孤独と呼ぶべきそういうものだろう
それがどんな形を取って目の前に現れるかわからないけれど
ああ、でもね
もう怖くはないんだよ
今ここにいる自分はそれがなければ存在しなかったのだから
人の世には災厄だとしても
その力で今、人の営みを守れるんだ
ひとときそれが許されるなら
喩え孤独に戻るとしても
――構わない
――人の身に余る力を持って生まれた時からずっと、独りだった。
“災厄”の烙印を押され、何をすることも許されず、閉ざされた世界でただ朽ちるのを待つだけの日々を過ごしていた。
それが当たり前だったから、それ以外の世界を知らなかったから、あの頃は特に何かを思うことはなかった――けれど。
それが当たり前ではないと知った今は、思い返す度に暗澹とした気分になる。
――光の差さない、薄暗い部屋。
時の流れさえも忘れてしまいそうなそこは、幼い竜城・陸(蒼海番長・g01002)にとっての、“世界”だった場所だ。
ゆえに、陸にとって怖いものがあるとするならば。
生命の営みを感じない、全くの闇――たとえば、“孤独”と呼ぶべき、そういうものだろうと陸は思う。
――辺りを包む白く深い霧が忽ちの内に闇色に染まり、夜よりも深い闇色の世界が陸を取り巻いて、ひとり、世界に置き去りにする。
(「これが、俺の心理的瑕疵……か」)
呼吸をひとつ。心臓の鼓動さえ聴こえてきそうな静寂に、確かに身が竦む心地がする。
右も左も分からない世界に、ひとりきり。どこへ向かえば良いのかさえ、わからない。
もしかしたらあの世界は、陸が思っていた以上に怖いものとして、心に深く刻まれていたのかもしれない。
(「……ああ、でもね」)
それはもう怖いものではないのだと、陸はわかっていた。
何故なら、今ここにいる自分は、あの世界がなければ――あの世界に閉じ込められるきっかけとなった“力”がなければ、存在していないのだから。
たとえ、この身に宿る膨大な魔力が、人の世に災厄を齎すものだったとしても。
その力で陸は今、多くの人々を救い、彼らの営みを守っている。
己にも、誰かを守る力がある。そのために、戦うことが出来る――。
ほんのひとときでもそれが許されるなら、たとえ全てが終わった後にあの場所に、ひとりきりの世界に戻るとしても――構わない。
形なき“光”を槍へと変えて、陸は闇の帳を穿つ。
刹那、闇の中に差し込んだ一筋の光が、陸の行く手を優しく照らし出した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV3になった!
効果2【ドレイン】がLV5(最大)になった!
ラルム・グリシーヌ
記憶を奪われた自分に恐れるものなんてあるのかな…
霧深い迷い路を歩む視線の先
影が不意に蠢き膨らんで形を成した
白の鱗に花咲くドラゴン
その姿を知らない筈なのに、識っている
脳裏に燃え落ちた藤花咲く街が過る
刹那、裡に生まれた募る後悔、哀しみ、執着
そんな感情の綯交ぜに堪えられず
心が軋む音がこだまする
敵の一撃を紙一重で躱せば
しゃらり、玻璃の花飾りが唄う
……嗚呼、そうだ
名を識らない、思い出せない
けれど愛しい君の為に歌を捧ぐと燈した誓いは決して消えない
己を鼓舞するように音を奏でる
彼女が教えて呉れた歌を紡ぐ
幾度も重ねた誓いをまた一つ重ねるように
もう、何も恐れない
何度絶望に呑まれても
歌が俺を導いてくれるからね
――記憶を奪われた己に、恐れるものなどあるのだろうか。
幾ら辿れども片鱗すら掴めぬ己の過去。行き場のない思考を泳がせながら、ラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)は霧深い迷い路をひとり、歩んでいた。
そうして、春めく彩りに満ちたペリドットの双眸を巡らせた先。
不意に霧が蠢いて巨大な影が膨れ上がり――ひとつの形をなした。
「……っ、」
綻ぶ花を纏う、白きドラゴン。
――知らない筈なのに、識っている。
その姿を目にした瞬間、ラルムは、全身が竦み上がるような心地に襲われた。
同時に、燃え落ちた瓦礫の山の光景が脳裏に過ぎる。
――藤の花が美しく咲き綻ぶ街だった。
けれどその面影はどこにもなく、全てが焼き払われ、失われてしまった。
胸の裡を満たすのは、後悔であり、哀しみであり、執着であり――。
それらが綯い交ぜになった感情が波濤のように押し寄せて、ラルムの心を軋ませる。
心が、哭いているのがわかった。
まるで幼子のようになりふり構わず、声を上げて泣き出してしまいそうだった。
――刹那、咆哮を上げた竜が牙を剥く。
剥き出しの牙を紙一重で躱せば、春の名残を思わせる白藤の花飾り、玻璃の花房がしゃらりと唄い――その瞬間、ラルムは目を瞠った。
(「……嗚呼、そうだ」)
優しい煌めきを指先で撫ぜる。
名を識らず、思い出すことも出来ないけれど、いつだって共に、裡にあった耀きを思い出す。
――愛しい君の為に歌を捧ぐと燈した誓いは、決して消えない。
己を鼓舞するように奏でるは、終幕を彩る調べ。
それは、“彼女”が教えてくれた歌。
たとえ記憶が奪われても、心を繋ぐ旋律と命の音は、今も確かにここにある。
幾度も重ねた誓いをまたひとつ重ねるように、ラルムは泡沫の冰花を綻ばせる。
醒めぬ睡りの淵へと導くように、凍れる花が幻の竜を抱き締めて――そして、霧と共に消えてゆく。
過去から過去へと至る道を、ラルムは迷いなく踏み出した。
たとえ、この先に何が待っているのだとしても、恐れることはない。
――何度絶望に呑まれたとしても、“君”が教えてくれた歌が、導いてくれるから。
大成功🔵🔵🔵
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV3になった!
ミラ・テネブラエ
生前 記憶ない 私 知ってる
フランス 王妃 名前
処刑 斬首 集まる 民衆
何 思う 何 手に入れた?
(雑念を掃うべく頭を振り
時空の歪みに足を踏み出せば
殺意を剥き出しにした魔獣が
轟々と燃え盛る炎へと姿を変える
竦んだ足が鉛のように重い理由も
蟀谷伝う脂汗の意味も分からない儘)
ああ 熱い アツイ――
私 きっと 炎 炙られる 死んだ
今 退く 直面しない 済む
だけど 目 背ける 立ち止まる
この先 進めない 未来永劫
火 怖い たぶん ずっと
でも 私 戦う 決めた 自分の為
(迫り来る劫火にぶつけるのは
呪装帯が覆う指先から放たれた
アイスエイジブリザード
凍てつく炎を真っすぐ見据えて)
……邪魔 そこ どいて
生前の記憶がない己でも、その名は知っている。
フランス王妃、マリー・アントワネット。
その首が刎ねられ、処刑される瞬間を見るために、断頭台の前には多くの民衆が大挙して押しかけているという。
人々は、そしてクロノヴェーダは――。
彼女の命が断たれた瞬間、はたして何を思い、何を手に入れたのだろう。
――ミラ・テネブラエ(リターナーの時間神官・g05456)は小さくかぶりを振って、雑念を掃う。
それを確かめるためにも、この先に――過去から、更なる過去へと進まなければならないのだ。
そうして、一歩。
歪む時空のその先へと、足を踏み出した刹那。
不意に霧の中から現れた魔獣が殺意を剥き出しにしながら、その姿を轟々と燃え盛る炎へ変えた。
立ち止まったミラの元へ、炎が迫る。
だが、ミラはその場に縫い留められてしまったかのように、動けなくなっていた。
竦んだ足が鉛のように重い理由も、こめかみを伝う脂汗の意味もわからないまま――。
(「ああ、熱い、アツイ――」)
時折瞼の裏に浮かぶ情景が、重なるようだった。
きっと、かつての己は炎で炙られて死んだのだろう。
何故そうなったかまではわからなくとも、炎に巻かれ果てた最期の瞬間は、今も熱を帯びて心の奥底に刻まれているから。
――怖い、と、そう思った。
赤々と燃える炎はまだミラに触れてはいないのに、肌が焼け付くような心地がした。
吸い込んだ息も熱を帯びて、肺が焼かれてしまいそうだった。
ここで引き返せば、向き合わなくて済むだろう。
忘れてしまった記憶も、知らないままでいられるはずだ。
けれど――。
立ち止まったままでは、目を背けたままでは――未来永劫この先には進めないことも、ミラは知っている。
炎を怖いと思う心は、きっと、この先もずっと変わらないのだろう。
(「……でも」)
他の誰でもない“自分”のために、ミラは戦うと決めた。だから――。
「……邪魔。そこ、どいて」
迫りくる劫火に向けて呪装帯が覆う指先を伸ばし、ミラは凍てつく吹雪を解き放つ。
灰被る黄金色の双眸が真っ直ぐに見据える中、ミラが放った吹雪は瞬く間に炎を覆い、呑み込んで――世界を凍りつかせてゆく。
――やがて、炎も霧も消え失せて。
凍てついた炎の残滓を踏み締めて、ミラはその先へと歩き出した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【使い魔使役】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
イフ・ノクテ
アドリブ連携歓迎
トラウマ、って怖い思い出のことよね
だいじょうぶよ、イフはお父様と一緒だもの
こわいものなんて、なぁんにもないもの
けれど
あなたはだあれ?
青黒いコート、イフと同じ白い髪
なんだか、あなたを見ていると、とてもざわざわする
あたたかい、けれど冷たい手
あの日、赤にまみれていた――
「お父様」?
いいえ、そんなはずはないわ
お父様はここにいるもの
あなたはきっとにせもの
だから平気なの
「幸せなわたしたち《ハッピーエンド》」には
悲しみもいたみもいらないわ
すべて、切り捨ててしまいましょう
「トラウマ、って怖い思い出のことよね」
小さなモノクルをつけた艷やかな毛並みの黒い翼猫と共に、深い霧の迷宮を進むイフ・ノクテ(Myosotis serenade・g05255)は、ぽつりと確かめるように呟く。
「……だいじょうぶよ、イフはお父様と一緒だもの。こわいものなんて、なぁんにもないもの」
腕の中の黒い翼猫――“お父様”をそっと抱き締めて、小さく頷くイフ。
けれど――。
霧の中から現れたそのひとに、イフはふたいろの双眸を瞬かせた。
「……あなたはだあれ?」
青黒いコートを着た、イフと同じ白い髪の、男のひと。
イフは何故だか心がざわざわするのを感じながらも、そのひとから目を離すことが出来なかった。
同時に、瞼の裏にちらつくのは――。
あたたかい、けれど冷たい、大きくて骨ばって痩せた、白い手。
それは“あの日”、赤にまみれていた――。
「……“お父様”?」
イフの声に頷いたそのひとは、優しく微笑んで。
一緒に行こうというように、イフへと手を差し伸べる。
大きくて、骨ばって、痩せた――白い手。
この手を取ったら、どこへ行けるのだろう。どこへ、連れて行ってくれるのだろう。
イフは暫しその手を見つめていたが、小さくかぶりを振ると、逃げるように一歩飛び退いた。
「……いいえ、いいえ。そんなはずはないわ。だって、お父様はここにいるもの」
そして、イフははっきりと拒絶を口にする。
腕の中の翼猫をぎゅうっと抱き締めて、告げる。
「あなたはきっとにせもの。だから平気なの。こわくなんてないわ」
応えるように翼猫――イフの“お父様”が、にゃあと一声、鳴いた。
「――“幸せなわたしたち《ハッピーエンド》”には、悲しみもいたみもいらないわ」
だから、すべて、切り捨ててしまいましょう――。
イフは夜色のちいさな翼を羽ばたかせ、無数の光輪で霧を裂く。
手を差し伸べてくれたそのひとを、霧の向こうへ追いやるように。
やがて霧がいなくなった時にはにせもののお父様も一緒にいなくなっていて、イフはほっと安堵の息をつく。
「……ずっといっしょよ、お父様」
そうして、腕の中の“お父様”に――イフはふわりと微笑んだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV4になった!
シセラ・カドシュ
過去の記憶と、今一度向き合えと言うのなら
向き合う覚悟はあるよ
一番向き合うべき記憶は――そうだな
お父様が、わたしのこれまでを否定した事かな
わたしを愛していた、
わたしに暗殺の技能を教えたお父様が
一人前に育ったわたしを誇りとは思ってくれず
わたしを恐れて、案じて、殺したのだから
意識が薄れる中で
わたしのこれまでは何だったのかと思ったよ
でも、蘇ってみると
お父様が恐れるほど、わたしは成長したのだと
わたしは、わたしが誇らしくも思えた
たとえお父様が褒めてくれなかったとしてもね
それに、今此処に立っていると、
人を殺す才しか無かったわたしが、
お父様のお陰で、今は人を助ける事も出来るのだと思えるから
感謝しているよ
過去の記憶と、今一度向き合えと言うのなら――。
「……向き合う覚悟は、あるよ」
うん、と一つ頷いて、シセラ・カドシュ(Hiraeth・g01516)は霧の中へと足を踏み入れた。
右も左もわからぬような真白の世界で、一番向き合わなければいけない記憶を、シセラはゆっくりと手繰り寄せる。
「――お父様」
霧の中から現れたその人は、まるで怪物を見るような目でシセラを見ていた。
シセラは、その顔を知っていた。
――それは、シセラが“最期”に見た父の顔だった。
シセラを愛してくれた父。
生まれた時から定められていた生き方を、そして生きるために必要な、人の殺し方を教えてくれた父。
だが、そうして一人前に育ったシセラを彼が誇らしく思うことはなく。
シセラの才能を恐れた父は、シセラを否定し、拒絶して――自らの手で殺したのだ。
「そう、わたしを恐れて、案じてくれたから。だから、わたしを殺した。そうだろう、お父様?」
確かめるように問うシセラに、父は黙したまま答えない。
それもそうだろう。ここにいるのはあくまでも、シセラの心が生み出した虚像に過ぎないのだから。
それでも構わずに、シセラは淡々と続ける。
「意識が薄れてゆく中で、わたしのこれまでは何だったのかと思ったよ。……でもね、お父様」
柔らかく微笑んで、シセラは紡ぐ。
「いざ、こうして蘇ってみると……お父様が恐れるほどにわたしは成長したのだと、――わたしは、わたしが誇らしくも思えた。たとえ、お父様が褒めてくれなかったとしてもね」
敬愛していた父に裏切られ、殺されたという事実。
そこには深い絶望と哀しみがあり、恐怖もあった。
けれどある意味では――父は、シセラの力を認めたということでもある。
だから、もう怖くはなかった。
「それに、人を殺す才しか無かったわたしが、お父様のお陰で、今は人を助けることも出来るのだと思えるから」
――それから。
ひとと語らい、劇や歌や、本を楽しみながら。
自由に、怠惰に“今”を謳歌できるのも、全て、父が己を手に掛けてくれたからでもあるから――というのは、胸に秘めこそしたけれど。
「感謝しているよ、お父様」
シセラは迷いなく踏み込み、父の姿をした虚像にカドシュの短剣を突き立てる。
霧が作り出した虚像だというのに、臓腑を突き抜ける感触は人を貫いた時のそれに似ていた。
――けれども、ただそれだけ。
後には何も残らずに、いつしか霧も晴れていた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【モブオーラ】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
ロー・オーウェル
●過去
知った顔の死が怖かった
それに伴う恐怖と絶望が怖かった
貧民街の中の貧乏療養所
そこが俺の実家
医療の質と金は相互補完の関係
意欲と努力は先立つ物を生まない
親の手伝いで多少は治療もした
だが死神は帰らず知り合いも還らない
知り合いを失う恐怖と助けられない絶望
俺は『今まで』を捨てて逃げた
●現在
ディアボロスとして誰かを助けられる事に気づき
ようやく過去と向き合えた
あの恐怖と絶望の中でも
失わない喜びと助けられた側からの感謝はあった
それは代えがたい幸せな経験
場所から逃げても記憶からは逃げられない
『今まで』にはもう二度と戻れない
捨てた罪に対する罰は常に心の中
でもそれを受け入れて歩き出す
新しい『今まで』を作るために
――知った顔の死が怖かった。
それに伴う、恐怖と絶望が怖かった。
霧の中へと踏み込んだロー・オーウェル(スモーキークォーツ・g03934)の前に、憶えのある光景が広がる。
貧民街の中にある、寂れた診療所。
そこは、ローが生まれ育った場所だ。
医療の質と金が完全に相互補完の関係にあり、意欲と努力だけでは先立つ物が生み出せない世界では、どれほど願っても、力を注いでも、出来ることには限界がある。
そんな世界に、ローは生きていた。
――忘れもしない過去を辿る。
それは、親の手伝いで治療に当たったあの日。
ローは持てる力のすべてを、手を尽くした。
だが、死神はついぞ帰らず、そして、死神に連れ去られた知り合いが還ることもなかった。
その時のことは、今もはっきりと覚えている。
二度と開くことのない瞳。
熱を失い、冷たくなっていく身体。
幾度名を呼んでも、答えはなく。
人というものは呆気なく死んでしまうのだと、思い知らされた。
どれほど己の無力さを悔いても、失われた命は戻らない。
お前には何も救えないのだと、死神に嘲笑われたような心地がした。
知り合いを失った恐怖と、己の力では助けられなかったという、絶望。
心に伸し掛かるその重さに耐えきれなかったローは、“今まで”を捨てて一人、逃げたのだ。
――それから、今。
ディアボロスとなったローは、誰かのために戦う力を得た。
その力で、誰かの命を救うことが出来るようになった。
死神を退ける力を得たことで、ローはようやく、過去と向き合えるようになった。
あの恐怖と絶望に彩られた世界でも失わずに済んだ命はあったし、助けられたことに対する感謝もあった。
それは何物にも代えがたい幸せな経験で、今もローを先へと進ませる確かな力になっている――けれど。
たとえ世界から逃げても、己自身の記憶からは逃れられない。
失われた命が還ることはなく、“今まで”にも――もう二度と戻れない。
世界を捨てて逃げ出した罪も、それに課した罰も、いつだって心の中に在る。
目を背けることもなく、逃げ出すこともなく受け入れて。
そうして、前へ歩き出すと決めたのだ。
これから進む先で、新しい“今まで”を、作るために。
ローは真っ直ぐに前を見据え、ダガーを構える。
――己の心に、ずっと息づいていた恐怖。
それが形をなした死神へ、ローは迷いなく刃を突き立てた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【光学迷彩】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
レベッカ・ブルーゾイス
【星夜】
あてなく霧を割き歩む
みぎ?ひだり?
どちらでもいいわ
どうせ何処にも辿り着きやしないもの
探しても、捜しても、みつからないから
不意に増した靴音
ひとつはわたし
ひとつは、
振り返るその先
ヒトのカタチを成した紫闇の翳り
娘は低く呟く
「――なぜわたしを置いていったの…」
髪も服も縒れ
地に滴り吸い込まれる泪
ああ…酷い貌
その手に握られた鋏だけが
にぶい光を帯びて
――いらっしゃい
拡げた腕に飛び込む“わたし”
傷みに傾ぐも堪えきり
震える肩を抱きしめる
もういいのよ
“あのひと”はいない
わたしは、あきらめたの…
囁けば
燃ゆる翳が重く哭いた
「――わたしも連れていって……“あなた”」
今はこの手に救われる
いきましょう、ラファレさん
ラファレ・リロード
【星夜】
マリー・アントワネット
処刑される日でも美しく凛とした女性だったと聞きますねぇ
過去……?
嗚呼、トラウマとは…?
俺は自由を好んだ
依頼が有れば躊躇なく殺した
その結果、一族の中でも目立っていたのだろう
他人からの妬み、嫉み……そして好意さえも私にとって興味は無く面倒なモノ
何に対しても興味が無い、それは自分の命さえも
それこそトラウマというのだろうか?
やり過ぎた私に殺しの依頼
逃げるという行為もどうでも良くなった時に
『貴方、そこで何してるの?』
差し伸べた彼女の手
彼女にとって何の気なしだったかもしれない
それでも私は…
辛そうにするそっと彼女の手を握る
貴女なら乗り越えられる
――マリー・アントワネット。
処刑される日でも美しく凛とした女性だったと聞いている。
このグランダルメの彼女がどのような存在なのかは、まだわからないけれど。
それを確かめるためにも、この先へと進まなければならない。
とは言え、ラファレ・リロード(デーモンのデーモンイーター・g03117)は内心首を傾げるばかりだった。
(「過去……? 嗚呼、トラウマとは
……?」)
ベルサイユ宮殿に生じた、時空の歪み。
過去へ至ろうとするディアボロスたちを拒むかのように、踏み込んだ者の心の傷を呼び起こす霧が、迷宮をつくり上げているのだという。
――そして。
特に思い当たる節がない様子のラファレをも、迷宮の白い霧は包み込む。
(「――“俺”は、」)
ラファレはいつだって、自由を好んでいた。
依頼が有れば、躊躇なく殺した。
殺した者の顔など憶えてすらいないほどに、多くを殺した。
その結果、一族の中でも目立っていたのだろう。
他者からの妬みや嫉み――それが直接的な形となって向けられたことも、一度や二度ではなく。
あるいは、純粋な好意を抱かれたことも、おそらくはあった。
けれど、それさえも。
ラファレにとっては興味のない、面倒なものだった。
何に対しても、それこそ、己の命にさえも興味がなかった。
それが、ラファレにとってのトラウマであるというのなら――。
「……なるほど、そういうことですか」
ラファレの行く手を阻むように浮かび上がった昏い影。
その表情までは見えないものの、ラファレは、それが己自身であると理解した。
たとえそれが本当に己自身だったとしても、ラファレは、殺すことを躊躇わない。
それよりも、今は――。
「レベッカさん……?」
白い霧の世界でいつの間にかはぐれてしまった彼女の名を、ラファレはぽつりと呼んだ。
――いつの間にか、ひとりになっていた。
宛てもなく、深い霧を割きながら歩む。
(「みぎ? ひだり? ……どちらでもいいわ」)
どうせ、どこにも辿り着けはしないのだ。
探しても、捜しても、見つからないから――。
――こつり。
不意に増した靴音に、レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)は瞬いた。
「ラファレさん?」
名を呼ぶも、違うとわかる。
こつり。
ひとつはレベッカのもの。
――こつり。
もうひとつ、は。
振り返ったその先には、人の形を成した紫闇の翳りが揺れていた。
星涙宿す双眸にその姿を映した瞬間、レベッカの耳に刺すような低い音が届く。
「――なぜ、わたしを置いていったの……?」
娘は、どれほど泣いていたのだろう。
髪も服も乱れて、泣きはらした双眸が、こちらを睨めつけていた。
(「ああ……酷い貌」)
その手に握られた鋏だけが、鈍い光を帯びて――。
「――いらっしゃい」
レベッカは両手を広げ、飛び込んでくるいつかの自分を受け止める。
突き刺さる刃。鈍い痛みが熱を帯びて意識が眩みそうになるけれど、傾ぐ身体を地に縫い止めて、震える娘の肩を抱き締める。
あやすように優しく撫でながら、レベッカは囁くように続けた。
「……もういいの。もういいのよ。“あのひと”はいない。わたしは、あきらめたの……」
その声に、その言葉に。
燃ゆる紫闇の翳が慟哭する。
縋るようにレベッカを抱き締めて、それから――。
「――わたしも連れていって……“あなた”」
ぽつり、言の葉が落ちた時には。
紫闇の翳りは、跡形もなく消えていた。
霧が、晴れてゆく。
探していた彼女の姿が存外近くにあったことに、ラファレは心底安堵する。
そうして思い出すのは、彼女と初めて出逢った時のこと。
――人を殺し、同胞を殺し、そしてついには己自身が殺される番になった。
けれど、逃げるという行為さえ、ラファレにとってはどうでもいいものだった。
――そんな、時だった。
「貴方、そこで何してるの?」
その時差し伸べられた手を、こちらを見つめる瞳に鏤められた煌めきを、ラファレは今も、はっきりと覚えている。
彼女からすれば、何の気もない、単なる気まぐれだったかもしれない。
(「それでも、私は……」)
今にも泣き出しそうなレベッカの手を、ラファレはそっと握り締める。
(「きっと、貴女なら乗り越えられる――」)
――繋がれた手から伝うぬくもりに、レベッカは不思議と心が落ち着くのを感じていた。
縋ってはいけないと、わかっていても。
今は、この手に救われる。
「……いきましょう、ラファレさん」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】がLV4になった!
【飛翔】がLV2になった!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
山本・メメメ
現れたトラウマは桃色の蚕蛾の姿をしていた
クロノヴェーダと比較にもならない小さく弱い虫
それでもぎくりと身体が膠着する
ごめんなさい
メは、私は、貴方を見殺しにしました
私が連れ出さなければ庭で穏やかに過ごしていたのに
私はただ、貴方の綺麗な姿を皆に見て貰いたかったんです
貴方を通じて仲良くなれると思ったんです
私にとって貴方がどれだけ可愛くても虫は虫
受け入れられない人が居るというのをバカな私は知らなかったんです
私の姿は貴方の怒り
忘れたりなんかしません、確かに私が背負います、背負ってます
今の私は貴方無しではいなかったのです
貴方はトラウマではありません
私の決意です
か弱い虫のモンスターを手に掴み
ごくりと丸呑みに
霧の中から現れたのは、桃色の蚕蛾だった。
強大なクロノヴェーダとはまるで比べ物にならない、小さくてか弱い虫。
それでも、山本・メメメ(×××・g03041)はその姿を見た瞬間に、驚きと恐れとで身体が動かなくなっていた。
「……ごめんなさい」
喉の奥が縺れるような感覚を覚えながら、メメメは謝罪の音を言葉に変える。
「メは、私は、貴方を見殺しにしました。私が連れ出さなければ庭で穏やかに過ごしていたのに」
いつかの光景が、瞼の裏に蘇る。
初めてその姿を見た時の驚きと喜びは、今でも忘れられない。
とても美しく、そして愛らしい虫だった。
絵に描いたような色彩に、吸い込まれる心地がした。
「私はただ、貴方の綺麗な姿を皆に見て貰いたかったんです。貴方を通じて仲良くなれると思ったんです」
皆に、この美しくも愛らしい姿を、見せてあげたい。
メメメが感じたこの驚きを、喜びを、皆と分かち合いたい。
そう思った時、メメメはたまらず蚕蛾へと手を伸ばしていた。
――けれど。
悲鳴が、拒絶の声が聴こえてくる。
見えない壁の向こうから、嫌悪と侮蔑の眼差しが突き刺さる。
そして、叩き潰され、踏み躙られた――汚れてしまった桃色の翅が、見えた。
あの時の後悔が波のように押し寄せて、呑み込まれてしまいそうだった。
けれど、メメメは真っ直ぐに蚕蛾を見つめて、続ける。
「私にとって貴方がどれだけ可愛くても虫は虫。受け入れられない人が居るというのを、バカな私は知らなかったんです」
メメメが纏う桃色と黄色の色彩は、目の前に浮かぶ蚕蛾と同じものだ。
刻逆の影響で、ディアボロスの力に目覚めると同時にインセクティアとなったメメメは、それが意味することを知っていた。
「私の姿は貴方の怒り。忘れたりなんかしません、確かに私が背負います、背負ってます。……今の私は、貴方無しではいなかったのです」
最後まで蚕蛾から目を逸らすことなく、メメメは告げた。
「貴方はトラウマではありません。――私の、決意です」
そして手を伸ばし、小さくてか弱い蚕蛾を掴み取ると。
――そのまま迷いなく、ごくりと呑み込んだ。
大成功🔵🔵🔵
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】がLV2になった!
綾宵・藤璃
鼻孔を擽る愛おしい花の香
過去と向き合わねばならない…覚悟は、していましたが
よもや、立ち向かうべきトラウマがこれとは
目の前には血を吐き横たわる女性
そしてその傍らで、彼女に泣き縋る幼い少女の姿
今でも忘れられないこの香は
生涯で一人、愛した人が愛用していた香水
あの人に子がいた事は知っていたけれど
それでも未練がましく想い続けた人は
呆気なく、謀殺されてしまった
引き取った少女も犯人を知る者として密かに殺された
俺は誰一人として…大切なものを守りきれなかった
――おいで
泣く少女に、手を差し伸べる
手を取ったのは、ダフネだった
守れなかった少女の生き写し
未練が消える事はないけれど…今度こそ、守ってみせる
改めて心に誓おう
鼻孔を擽る愛おしい花の香に、そして、白い霧が描き出した情景に、綾宵・藤璃(送る繊指・g01014)は苦く笑った。
過去と向き合わなければ、過去へ至ることは出来ない。
(「……覚悟は、していましたが。よもや、立ち向かうべきトラウマがこれとは」)
藤璃の目の前には、血を吐いた女性が横たわっていた。
そして、その傍らには、もう動かぬ彼女に泣きながら縋りつく、幼い少女がいた。
――愛おしい花の香。
今でも忘れられないこの香りは、藤璃が生涯で唯一人、愛したひとが好んで纏っていたものだ。
彼女に子がいたことは知っていた。
けれど、未練がましく想い続けていた。
募らせた想いが、叶わないこともわかっていた。
それでも、彼女を想っていられる――ただ、それだけで良かった。
なのに、彼女は、藤璃の手の届かぬところで呆気なく殺されてしまった。
母を呼ぶ少女の泣き声が、耳の奥でこだまする。
二度と動くことのない彼女の、冷たくなった肌の感触を、覚えている。
せめて彼女の代わりにと、藤璃は残された少女を引き取った。
彼女を失った哀しみは、完全に癒えることはなかったけれど。
共に過ごす内に、少女も、次第に笑顔を見せてくれるようになった。
ただ穏やかに過ぎていく時間は、藤璃にとっても幸せなものだった。
――けれど、少女も。
母を殺した犯人を知る者として、藤璃の手の届かぬ場所で、密かに殺されてしまった。
――後にはただ一人、藤璃だけが残された。
(「俺は誰一人として……大切なものを守りきれなかった」)
幻の少女が、ふと藤璃のほうへと視線を向ける。
――どうして、助けてくれなかったの?
無垢な眼差しにそう突きつけられているようで、藤璃の心の奥底で、罪悪感が渦を巻く。
「――おいで」
藤璃は静かに、少女へ手を差し伸べた。
けれど、藤璃の手を取ったのは、守れなかった少女に生き写しの天使の少女――ダフネだった。
藤璃の大きな手と、ダフネの小さな手が重なる。
大丈夫というように、ダフネが微笑む。
「……そうだな」
彼女への未練が消えることは、これから先もないけれど。
「今度こそ、守ってみせる」
それは、藤璃の覚悟であり、誓い。
いつかの情景に別れを告げて、藤璃はダフネと共に、晴れた霧の向こうへと歩き出した。
大成功🔵🔵🔵
効果1【神速反応】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
金刺・鞆
無貌の女が、男が、大人が、子供が、わたくしをみている。顔がない、否。わたくしがそれを憶えていないから。呼ぶ名がない。否、わたくしがそれを忘れているから。大切な家族なのに。命を、名を預けて尽くしてくれた臣たちなのに。
謝罪が喉奥につかえて噎せそうになる。身を縮めようとたじろいで――懐で、弓張櫛が輝いたように、思えた。
子の髪を梳く母の愛を、妹に知を分け与える兄の優しさを、娘に身を護る術を説く父の厳しさを、おぼえている。
(おぼえていれば、大丈夫だと、言ってくれる人がいたから。)
鞆は、まだそちらには逝けません。皆の想いを、無念を晴らすため。皆の存在を、我らが世を取り戻すため!
……行ってまいります、母上。
白い霧の中に浮かび上がったのは、幾つもの人影。
それが朧気ながらも輪郭を結んだ時、金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は足が竦んで動けなくなっていた。
無貌の女、男、大人、子供――誰一人として、顔がない。見えないと言ったほうが正しいだろうか。
(「……否」)
彼らの顔がないのは、見えないのは、鞆がそれを憶えていないから。
彼らを何と呼べばよいのかわからない。
(「……否」)
――呼ぶべき名を持たないのは、鞆が、それを忘れてしまったから。
姿も、名さえもどこかに置き去りにしてしまった、大切な家族。
それから、命と名を預けて尽くしてくれた臣たち。
最期まで鞆を守ってくれた――そして、鞆が守れなかった、ひとびと。
「……っ!」
謝らなければ。咄嗟にそう思ったけれど、謝罪の音が喉の奥につかえて噎せそうになる。
顔のない者たちが鞆を捕まえようと手を伸ばしてきて――思わずたじろいだ瞬間、鞆は、懐にあたたかな光を感じて瞬いた。
触れたのは牡丹の透かし彫りが美しい、黄金色の弓張櫛。
その時、鞆の瞼の裏に、幾つもの懐かしい光景が浮かび上がった。
――鞆の髪を梳く母の手。
美しい髪だと褒めてくれた母は、鞆にたくさんの愛情を注いでくれた。
鞆の知らないことを何でも教えてくれた聡明で優しい兄は、いつだって鞆を導いてくれた。
そして、己の身を護り、生き抜くための術を教えてくれた、父。
厳格だった父は幼い鞆に対しても厳しかったけれど、その背はいつだって大きくて、頼もしかった。
(「……おぼえている」)
うつくしい母を、やさしい兄を、そして、厳格な父を。――大切な、家族を。
覚えていれば、憶えてさえいれば大丈夫だと、言ってくれる人が居たから。
「――鞆は、まだそちらには逝けません」
顔なき者たちに凛と告げ、鞆は霧を払う力を解き放つ。
「皆の想いを、無念を晴らすため。皆の存在を、我らが世を取り戻すため!」
――刹那。
それまで見えなかった顔が、ほんの一瞬見えたような気がして。
「……行ってまいります、母上」
霧が晴れてゆく中、揺らぐ輪郭に向け、鞆は真っ直ぐに告げてから深く頭を下げた。
大成功🔵🔵🔵
効果1【水源】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
エステル・コランクール
歪んだ願いが叶えられれば、誇りは損なわれ、歴史は間違ったままとなる。
マリー王妃はまだ死ぬべきではない。その処刑、やらせはしません!
残留効果【勝利の凱歌】を使用。
演説で熱狂の向き先を変えてみましょう。エネルギーが変われば、敵が力を得るのは難しくなるはず。
お集まりの諸君。
マリー王妃は処刑されんとしている。だが本当に必要だろうか?
誇り高きフランスは、そこにある人もまた気高くあるべき。
フランスは最も強く、最も偉大です。
ならば、既に捕らわれて無力な女性の首を衆目に晒すのは強き者の行いでしょうか?
示威を表すだけの処刑は偉大な我らのやるべき事でしょうか?
否、弱い者の遠吠えに等しき所業は我らには不要!
シル・ウィンディア
その人が、何をしたかって、わたしはわからないよ
でもね…
人の死の瞬間に立ち会って…
それを、喜ぶ人ってね、執行される人より、もっと悪だよっ!
それを喜ぶってことは…
あなた達、自分が断頭台に立たされたときに、他の人達に笑われたり喜ばれたりするってことだよ
自分はそうじゃない?
さぁ、どうだかね。
他人を笑うのならね。笑われる覚悟は持ってるってことだよね
死を喜ぶのなら、死んでもいい覚悟を持ってるってことだよね?
それじゃ…
あなた、断頭台に上ってみる?
それくらいの覚悟、あるんでしょうねっ!!
そういって、熱狂している人の一人を捕まえて、断頭台に上ろうとするよ
…そんな覚悟がないのなら、死を、喜ぶんじゃないっ!!
時空の歪みが引き起こした、過去への転移。
霧深き迷宮を抜けたディアボロスたちは、1793年10月16日――マリー・アントワネットが処刑されようとしているその瞬間へと辿り着いた。
ベルサイユ宮殿前の処刑台広場に押しかけた多くの群衆は、皆一様に熱狂的な声を上げている。
マリー・アントワネットの首が跳ね飛ばされるその瞬間を、今か今かと待ちわびている――。
――その歪んだ願いが叶えられてしまえば、民の誇りは損なわれ、歴史は狂ったままとなる。
「マリー王妃はまだ死ぬべきではない。その処刑、やらせはしません!」
毅然と声を張り上げたエステル・コランクール(もし貴方に闇が訪れても私が星で照らしてみせる・g04237)に、群衆はほんの一瞬、静まり返った。
同時に、エステルは勝利の凱歌を響かせる。
彼らの心に正しき勇気と希望が湧き上がるよう願いながら、エステルは口を開いた。
「お集まりの諸君。マリー王妃は処刑されんとしている。だが本当に必要だろうか?」
「必要だから処刑されるのだろう、当然のことだ!」
「そうだ! どこの誰だか知らないが、邪魔をするな!」
すると、その声を聞いてシル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)が一歩前に歩み出た。
「――その人が、何をしたかって、わたしはわからないよ」
でもね、と、シルは僅かに声を震わせながら、群衆へと告げる。
「人の死の瞬間に立ち会って……それを、喜ぶ人ってね、執行される人より、もっと悪だよっ!」
シルの声も、眼差しも、純然たる怒りの色に満ちていた。
その勢いに尻込みした様子の人々へ、シルは畳み掛けるように紡ぐ。
「それを喜ぶってことは……あなたたち、自分が断頭台に立たされたときに、他の人たちに笑われたり喜ばれたりするってことだよ」
「そ、そんなことはない、我々は――」
「自分はそうじゃない? さぁ、どうだかね。……他人を笑うのならね。笑われる覚悟は持ってるってことだよね」
反論の声を上げかけた市民をシルはきっと睨みつけて、そうして、更に一歩前へと踏み出した。
「死を喜ぶのなら、死んでもいい覚悟を持ってるってことだよね? それじゃ……あなた、断頭台に上ってみる? それくらいの覚悟、あるんでしょうねっ!!」
シルは市民の一人を捕まえると、そのまま有無を言わさず群衆を掻き分け、断頭台の方へ連れていこうとした。
「ひっ!?」
断頭台の周りにはまだ多くの自動人形たちが犇めいているため、近づくことは叶わない。
ゆえに、断頭台へ連れて行くこと自体は出来なかったが、シルの気迫は十分に伝わったよう。
「……そんな覚悟がないのなら、死を、喜ぶんじゃないっ!!」
シルの的を射た言葉と気迫に押されて黙り込んだ人々を、エステルは真っ直ぐに見つめて続ける。
「誇り高きフランスは、そこにある人もまた気高くあるべき。フランスは最も強く、最も偉大です。――ならば、既に捕らわれて無力な女性の首を衆目に晒すのは強き者の行いでしょうか?」
そのような振る舞いは、気高きフランスの民として、不名誉なことではないか。
人々は、気まずそうに顔を見合わせている。
群衆の全てとはいかないが、こちらの言葉に耳を傾けるものはいる。
ここから熱狂の向かう先が僅かでも変われば、敵が力を得るのは難しくなるはずだ。
「示威を表すだけの処刑は、偉大な我らのやるべきことでしょうか? ――否、弱い者の遠吠えに等しき所業は我らには不要!」
――今一度、勇気と希望を胸に。
叩きつけるようにそう告げれば、熱狂のそれとは違う、どこか、戸惑うようなざわめきが広がり始めた。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
金刺・鞆
正史に伝わる王妃と同じ存在であるのかは、わからない。確たる情報を持たずして、叛意を削ぐのは、むずかしく。
……なれど、為さねば。彼女の死が改竄世界史の礎、なれば。阻止するより、他はないのです。
群衆の耳目を集める場は――空、でしょうか。【飛翔】、【プラチナチケット】等を用いて……必要ならば、超常の奇蹟をみせしめるのに【水源】を、処刑台と民を隔てるよう布きます。
「われは大いなる主の遣い。人の子よ、この王妃の罪を申してみよ」
宗教観が正史のそれと違いなければ、多少はハッタリも利くでしょうか。
「人の子よ、他者の死を望むのか。己が行いは己に還る。処刑望みし者は、いつか己自身も断頭台に架けられると知るがよい」
綾宵・藤璃
この時代において、処刑は人々の娯楽であった事は存じております
その事実を異常と感じるのは我等の感性が異なるが故
…娯楽故のこの歓喜、狂乱ならば
決して美しくはありませんが許容致しましょう
然し、その罵倒は何処まで真実なのでしょうか
謂れのない噂と考えた事は?
事実であるか否かなど関係なく
王族が処刑される事に意味を見出しますか?
それで貴人方の空腹は満たされますか?
不満は解消されますか?
――否
次を求め、血を求めるだけです
次に首が飛ぶのは隣にいる方かも知れませんよ?
どうせ大地を埋め尽くすならば
血よりももっと、美しい物が好ましい
ダフネの力で美しい花々を降らせながら
少しでも人々が冷静になるよう心の浄化に努めましょう
マリー・アントワネット。フランス革命によって歴史の表舞台から降ろされた、悲劇の王妃。
今まさに、目の前でギロチンにかけられようとしている――この断頭革命グランダルメにおけるマリー・アントワネットが、正史に伝わる彼女と同じ存在であるのかはわからない。
確たる情報を持たずして、人々の心に深く根を下ろした叛意を削ぐのは、おそらく難しいことだろう。
(「……なれど、為さねば。彼女の死が改竄世界史の礎、なれば」)
金刺・鞆(虚氏の仔・g03964)は群衆の向こう、断頭台に引き立てられた“彼女”を、真っ直ぐに見つめて。
――阻止するより、他はない。
群衆の熱狂は、先の演説により僅かに勢いを弱めていた。
だが、依然として辺りは騒がしく、一刻も早く処刑を求める声は鳴り止む気配がない。
そんな群衆の耳目を集められそうな場所は――思案と共に、鞆はふと空を見上げた。
そこは、誰の目も遮らぬ場所。
鞆は小さく頷いて、空へと舞い上がる。
その、直後。
「なっ、何だ
……!?」
断頭台と群衆を隔てるように、突如として清らかな川の流れが現れた。
――それはまるで、超常の奇蹟が如く。
実際には水源を用いたちょっとした演出であるのだが、それはさておき。
「われは大いなる主の遣い。……人の子よ、この王妃の罪を申してみよ」
驚き戸惑う群衆に向けて、鞆は空中から声を響かせる。
「それは……っ」
「この時代において、処刑は人々の娯楽であったことは存じております」
鞆の降臨――もとい登場に動揺を隠せぬ人々の前へ、綾宵・藤璃(送る繊指・g01014)が穏やかな声と共に歩み出る。
「あんた……いや、あなたも、我らが主の御遣いであると……?」
傍らに寄り添うちいさな天使――オラトリオのダフネの姿もまた、鞆の演出に一役買ったよう。
藤璃のことも主の使いだと思ったらしい人々へ、藤璃は続ける。
「その事実を異常と感じるのは我等の感性が異なるが故。……娯楽故のこの歓喜、狂乱ならば、決して美しくはありませんが許容致しましょう」
「なら、どうして……」
「――然し、」
処刑を止めようとしているのか――疑問の声を上げかけた民を、藤璃は静かに制止した。
「その罵倒は何処まで真実なのでしょうか。謂れのない噂と考えたことは? それとも、事実であるか否かなど関係なく、王族が処刑される事に意味を見出しますか?」
「……そうだ、俺たちは一切れのパンさえ満足に食べられないってのに、あの女は!」
怒りに震える群衆が、再び沸き立とうとしたその時。
「それで貴人方の空腹は満たされますか? 不満は解消されますか? ――否」
「……っ!」
「次を求め、血を求めるだけです。……次に首が飛ぶのは、隣にいる方かも知れませんよ?」
ちらり、と、藤璃は視線を隣の男へ移す。
藤璃の眼差しに射抜かれたかのように、男が息を呑む。
「――人の子よ、他者の死を望むのか。己が行いは己に還る」
小さき御遣いたる鞆は、凛然と告げる。
「処刑望みし者は、いつか己自身も断頭台に架けられると知るがよい」
宣告に言い返す言葉を失った人々の元へ、藤璃の傍からふわりと舞い上がったダフネが、空から美しい花々を降らせ始めた。
どうせ大地を埋め尽くすならば、血よりももっと、美しい物で――。
くるりと踊るように飛び回りながら花を降らせるダフネはとても楽しげだ。
はらはらと舞う聖なる花を、はたして、人々はどのように受け取っただろう。
これもまた、奇蹟のひとつだと映っただろうか。
少しでも、人々の荒んだ心が洗われれて、冷静さを取り戻してくれれば良い――。
藤璃はそう、願わずにはいられなかった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【水源】がLV2になった!
【植物活性】がLV4になった!
効果2【反撃アップ】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV5になった!
ラファレ・リロード
【星夜】
先程の幻影で心がツラくなりました
のでレベッカさん手を離さないでくださいね?
ずっと彼女の手を離す事無くにこにこと笑って語る
誰でも嘘だとわかるが
優しい彼女は呆れたとしても手を離さないだろう
彼女のヒールの音と護る力が心地良い
救出は私としてはどうでも良いですが
彼女を苦しめた罪は重い
ぶっ壊……倒しましょうね
繋いだ手を自分の方へ
魔弾の火や電撃など連弾し
敵の弾の粉砕と機械の体を貫通させる
戸惑う彼女がわかる
それをにこにことそっと触れる
私の〝特別〝はきっと普通とは違うだろう
彼女がこの心に触れてしまったら、熱く焦がしてしまうだろう
それでも…欲して止まない
レベッカ・ブルーゾイス
【星夜】
心配性な貴方へと溜息ひとつ
手を繋いだまま戦うですって?
自身の為と語り乞うも
おそらくはわたしの為
無茶な行いと諫めようにも
絡んだ熱を振り解けない
カツン、コツン、
《蠱寵》のヒールを踏み鳴らし
極光の帳が結界を形創る
疎ましく思うか
悦びと想うか
だって、これはきっと彼の“特別”
欲しくて慾しくてたまらない
枯渇したこころを満たす
この世でわたしがいちばん恋焦がれるモノ
平静を装いながらも
高まる心地に魔蝶が揺らぐ
夢想を秘めし幻粉が
風に乗り人形たちを囲って
ああ、なんてこと…
集中力のかけらも無くて
けれど抑えが利かないの
“特別”のまえには
おまえたちなぞ些末でしかない
それとも此の熱情を
開け放てばよいかしら?
「先程の幻影で心がツラくなりました……なのでレベッカさん、手を離さないでくださいね?」
霧の中からずっと繋いだままの手を離すことなく、ラファレ・リロード(デーモンのデーモンイーター・g03117)はにっこりと――それはもう晴れやかな笑みで告げた。
「……手を繋いだまま戦うですって?」
星涙宿す双眸を瞬かせ、レベッカ・ブルーゾイス(嫉みの星魔女・g02252)は困惑を隠せずに、繋がれたままの手を見やる。
涼しい笑顔で己のためと語り乞うラファレだけれど、レベッカにはそれが“嘘”だとわかっていた。
(「――わたしのため、なのでしょう?」)
浮かんだことばは口に出来ぬまま、代わりに心配性なラファレへと溜息ひとつ。
無茶な行いだと諌めようにも、絡んだ熱を振りほどけなくて。
そう、優しい彼女は呆れこそしても、決してこの手を振りほどいたりはしない。
ラファレはそう、確信していた。
――カツン、コツン。
蝶が踊る繊細な意匠のヒールを踏み鳴らし、レベッカが形創るは極光の帳。
響く彼女のヒールの音と、巡る護りの力に心地良さそうに瞳を細めながら、ラファレは笑顔で眼前の敵へと向き直って。
今のラファレにとっては、マリー・アントワネットの救出よりも――。
「レベッカさんを苦しめた罪は万死に値します。ぶっ壊……こほん。倒しましょうね」
繋いだ手を己の方へ引き寄せ、ラファレは空へと舞い上がった。
放つ魔弾に炎や雷を絡め、人形たちが持つ銃を、あるいは人形そのものを次々に撃ち抜いていく。
彼との空中散歩もすっかり慣れたものだ。
いつだって容易に触れようとしてくるラファレの振る舞いを、疎ましく思うか。
それとも、悦びと想うか。
――そんなこと、己の裡に問わずとも、レベッカは理解っていた。
(「……だって、これはきっと彼の“特別”。この世で、わたしがいちばん恋焦がれるモノ」)
枯渇したこころを満たす“それ”が、欲しくて慾しくてたまらないのだ。
夢想を秘めし幻粉の煌めきが、風に乗り人形たちを囲って――現と幻の境を滲ませる。
レベッカは平静を装いながらも、高まる心地に魔蝶が揺らぐのを止められなかった。
まるで、内なる歓びを顕にしているかのように軽やかに、翅を震わせ舞い踊る蝶に、レベッカは憂いの息を零す。
(「ああ、なんてこと……」)
沸き起こる渇望にうち震える心が、狙いさえも鈍らせる。
けれど、レベッカはそれを抑えることが出来なかった。
そんなレベッカの戸惑いも、ラファレには手に取るようにわかっていた。
「――レベッカさん」
わかっていて、ラファレは心からの笑みを浮かべたまま――レベッカへそっと触れる。
鼓膜を震わす声が、指先に触れたささやかな熱が、レベッカの心を、身体を震わせる。
――己の“特別”は、きっと普通とは違うだろう。そう、ラファレは自覚していた。
もしも彼女がこの心に触れてしまったら、この指先に伝う熱などとは比べ物にならないほど、熱く焦がしてしまうだろう。
それでも――欲して止まないのだ。
絡まる視線を今だけは振りほどいて、レベッカは群れをなす人形たちへ目を向ける。
求めて止まぬ“特別”の前には、あれらの存在など些末でしかなく。
(「それとも。――此の熱情を、開け放てばよいかしら?」)
ラファレが放つ魔弾の光に寄り添うように。
想い重ねた魔蝶が、美しい煌めきを振り撒きながら――ふわりと舞い上がった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【飛翔】がLV4になった!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
アンゼリカ・レンブラント
時空の歪みは突破できたね
色々、思うこともあるけど今は戦闘だ
【勇気】を胸に【突撃】!
【命中アップ】などの残留効果の恩恵も受けつつ、
《光剣収束斬》の力強い斬撃で1体1体確実に倒していこう
最大【ドレイン】の効果もあるから、
前衛で戦い続けてもだいぶ持ちこたえられるかな!
暴れつつも大勢相手なのは忘れないで、
壁を背にしたり、絶えず動いて集団の後ろをついたり
一度に相手をする敵をなるべく絞るようにしよう
ともに戦う仲間と連携できるなら、尚いいね!
【臨機応変】に戦おう。
数が減ってきたらこちらから逆に囲んでやるぞ!
乱戦になると思うので、
孤立している仲間がいれば助けに行くよ!
片付いたなら、あとは部隊長を倒すだけかな!
チェスラフ・チェルニー
無事に庭園を抜ける事が出来て何よりです。
坊ちゃんもありがとうございました。
これが処刑の日…。
……このざわめきはあまり好ましいものではありませんね。
適材適所、人々への演説は得意な方に任し、私達はあの機械をどうにかしていきましょう。
坊ちゃん?ああ、そんなに興奮せず……と、言う間に行ってしまいましたね。
数をこなすなら私より坊ちゃんの方が得意でしょう。
小さくてすばしっこい、機械達の間にも踏み込めるでしょう。
坊ちゃんが前に行ったのなら、私が出来るのは坊ちゃんの後方をお守りする事だけです。
坊ちゃんへ攻撃をする者がいるのであれば、私が庇いましょう。
ええ存分に暴れてくださいませ。
イシュア・アルミゴス
全く思い出させてくれるよね。でも…覚悟は完全に決まった。
この悲劇を終わらせる。そのために君等は邪魔なんだ。
数だけは多いけど木偶から屑鉄、なるにはどれくらいかな?
セルケトクロウを振るい人形達を牽制。敵が避けた瞬間に意表を突く形で射出させ敵を断ち切る。
さらにハンマーのように振るい敵を蹴散らせた上で冷気を放出。動きさえ止めてしまえばどんな攻撃だって対処できるさ。
体を凍らせ動きを封じ、そのうえで砕き破壊する。
身も心も氷雪の様に儚くそして美しく、凍てつき砕けて骸をさらせ。
せめて散り際だけは美しく。そっちの方が良いだろう?
アンダルシア・ノォヴェント
あらあら?
金属の使い魔・・・ゴーレム?
いえ、また別の何かでしょうか?
実に興味深いですね?
一体、持ち帰りたいものですが、やはりいけませんか?
ともあれ暴れられてはそれもままなりませんね?
こう言った手合いは初めてではありますが、
近く遠く、例えるならば鎧兵士と思えば、
単純な炎熱、氷結よりも衝撃でしょうか?
足元を狙って撃ちましょう、
相手はこちらをよく狙うようで?
体勢を崩せば戦いやすそうですし?
弱点なんて人である以上は解りきったことですよ?
弱点ばかり狙うから、それが逆に仇になるのですね?
搦め手はとっても大切、ふふ、覚えておきましょうね?
もっとも、今後に活かせるチャンスがあるかは存じませんが?
山本・メメメ
思い出したくないとは思っていても、逃げちゃダメなこともありますよね
気を取り直して、はい!
戦うのが怖くても逃げません!メは強くなります、強くなります!
ハッキングツールのモモモスを敵の近くまでこっそり飛ばして【イグジストハッキング】を使用
人形たちの視覚認識を歪めることで、人形たちをメたちディアボロスと誤認させるようにします
彼らが敵と攻撃するのは同じ人形、ちょっと可哀想ですが同士討ちをしてもらいます
メは【モブオーラ】【光学迷彩】で極力彼らの視界に入らないようにこっそりしておきましょう
いやいやだって人はすぐには強くなれないんですよ、これがメの最善ですっ!
ロー・オーウェル
「……気にいらねぇ」
なぜここに来る時に
あんな『試験』を受けさせられた?
なんとか合格したからいいものの
そうでなけりゃトラウマで精神が崩壊してたぜ……
●戦
憂さ晴らしにちと暴れる
壊しても文句を言われんモノが相手なのは好都合だ
大勢の敵に囲まれぬ様立ち位置に留意しつつ
光学迷彩やエアライド等も駆使し傷深い個体優先で攻撃
上記が効率的に進む様仲間との声かけ・連携にも重きを
複数攻撃可のパラドクスゆえ
なるべく複数の敵を攻撃範囲に捉える様留意して行動
●
それだけあの王妃様を助けられたくないのか
だから『試験』を用意したと
誰が試験官かは判らんが一つだけは言える
間違いなくソイツは性格が悪い
「……ああ、まったく気にいらねぇ」
ラルム・グリシーヌ
過去からさらに遡るのも楽じゃないね
麗しの王妃の明日を繋ぐ一助となるなら…
そう願って一歩を踏み出したけど
勝手に心を覗かれるのはあまり気分が良くないね
けれど記憶の欠片に触れたからこそ歌える唄がある
さあ、銃声も爆発音も掻き消すような翠葩を奏で
風纏う音の花を咲かせよう
死角を補い合える様に周囲と声掛け連携重視
自分と仲間が突出して孤立せぬよう留意
弱った個体を優先的に攻撃
確実に数を減らしてく
如何に堅い身体だろうとこの歌は防げないよ
仲間の背後や死角に回り込む自動人形は
仲間がいない、敵が固まっている方向に吹き飛ばして
相手の連携を崩していくね
此方に投げてくる銃や砲撃は氷塊の中に閉じ込めたり
吹き飛ばして軌道を逸らす
「無事に庭園を抜けることが出来て何よりです。坊ちゃんもありがとうございました」
心なしか得意げに胸を張っている――ように見えるモーラット・コミュの坊ちゃんを優しく撫でながら、深い霧を抜けて更なる過去へと辿り着いたチェスラフ・チェルニー(彷徨う幻香・g01309)は、辺りを包む異様な空気に息を呑むばかりだった。
「これが処刑の日……」
同胞たちの演説により、群衆たちの熱狂は完全にとはまだ言えないが、幾許か弱まったよう。
だが――チェスラフは僅かに眉を顰めた。
「……このざわめきはあまり好ましいものではありませんね」
『何事だ!』
すると、異変に気づいたらしいクロノヴェーダの一部隊が、どこからともなく駆けつけてきた。
クロノヴェーダは、ディアボロスたちがこの場において異質な存在であると、すぐに気づいたようで。
『邪魔をするな! お前たちがどの歴史から来たか知らないが、マリー王妃は必ず処刑されねばならないのだ! ――かかれ!』
アヴァタール級クロノヴェーダ――キュイラッサードールの号令により、自動人形たちが襲い掛かってきた。
「全く思い出させてくれるよね」
だが、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は覚悟を決めていた。
守れなかった皆の想いに報いるためにも――。
「この悲劇を終わらせる。そのために君等は邪魔なんだ。数だけは多いけど木偶から屑鉄、なるにはどれくらいかな?」
ディアボロスたちを取り囲むように布陣する、自動人形の群れ。
人形たちはみなディアボロスたちだけを標的として定めているのか、群衆の姿は目に入っていないよう。
それは寧ろ好都合と言えるだろう――が。
「……気にいらねぇ」
押し寄せてくる自動人形たちを前に、ロー・オーウェル(スモーキークォーツ・g03934)は低い声で吐き捨てた。
何故ここに来る時に、わざわざあのような“試験”を受けさせられたのか。
何とか“合格”したから良かったものの――。
(「そうでなけりゃ、トラウマで精神が崩壊してたぜ……」)
ここに来るためとはいえ、過去を勝手に覗き見られ、暴かれ、目の前で晒されたという事実。
その全てがローにとっては気に入らないことであり、つまるところ、今のローは――機嫌が悪かった。
たとえ、思い出したくなかったことだったとしても、逃げずに向き合わなければならないこともある。
「――気を取り直して、はい!」
うん、と大きく頷いて、山本・メメメ(×××・g03041)は押し寄せてくるたくさんの自動人形たちをしっかりと見つめて。
(「戦うのが怖くても逃げません! メは強くなります、強くなります!」)
だから、どうか見ていてください――己の内に言い聞かせるように、メメメはそっと、ハッキング用の虫型ルーター“モモモス”を解き放った。
「ちょっと可哀想ですが、同士討ちをしてもらいますよ」
モモモスを人形たちの近くまでこっそりと飛ばし、メメメは人智を超えたハッキング技術を用いて、“存在情報”そのものを書き換える。
『――!?』
『……!!』
歪めたのは、彼らの視覚認識。
すると、メメメによって存在を歪められた人形たちが、別の人形に向けて自身の銃の引き金を引いた。
人形たちの同士討ちが始まり、忽ちの内に混乱に陥った敵群へ、畳み掛けるように攻撃が繋げられてゆく。
「裁きの光よ、我が手に集いて剣となり、全てを斬り裂けぇっ!」
力ある言葉と共に掲げた手には、アンゼリカ・レンブラント(黄金誓姫・g02672)の身の丈を優に超える巨大な光の剣。
アンゼリカはそれを軽々と振り回しながら、正々堂々と真正面から、豪快に斬り込んでいく。
可愛らしい顔立ちのアンゼリカではあるが、その身体は腹筋が割れるほどに鍛え上げられていて。
鋼の肉体から繰り出された光剣の力強い一撃は、反撃の間も与えず忽ちの内に自動人形を粉砕した。
時空の歪みが作り出した、霧の迷宮。
そこで見た光景には、思うこともあるけれど、今は――。
(「――大丈夫、勇気はいつだってこの胸に」)
崩れ落ちた人形には目もくれず、アンゼリカは次なる敵へと向かっていく。
過去からさらに遡るのは、やはり楽なことではなく。
それが、パラドクストレインに頼らない方法となれば、尚更のこと。
麗しの王妃の明日を繋ぐ一助となるなら――そう願って踏み出した一歩ではあったけれど。
(「……勝手に心を覗かれるのは、あまり気分が良くないね」)
ラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)は苦い微笑を浮かべながらも、そっと胸に手を当てた。
――けれど、記憶の欠片に触れたからこそ、奏でることの出来る音がある。
歌うことの出来る、唄がある。
白き藤花が咲き零れる珪化木の竪琴に指先添えて、ラルムが紡ぐは心を囚えゆく調べ――翠葩(レチタティーヴォ)。
綻び咲いた透き通る花たちが、碧の風を纏い舞い上がり――澄んだ音を幾つも重ね響かせながら、刃の如く自動人形を斬り裂いた。
「あらあら? 金属の使い魔……ゴーレム? いえ、また別の何かでしょうか?」
己の意志で動いているらしい征服人形たちを、アンダルシア・ノォヴェント(アンダルシアの魔女・g05231)はそう表した。
クロノヴェーダとはいえ、自我を持つ人形など、アンダルシアにしてみれば、初めて目にする存在。
新たな魔法を創り出すため、より多くの知識を求めるアンダルシアは、たとえクロノヴェーダであっても興味津々だ。
「実に興味深いですね? 一体、持ち帰りたいものですが、やはりいけませんか?」
ともあれ、暴れられてはそれもままならない。後の処遇はさておくことにして、アンダルシアもまた、人形たちへと向き直る。
こういった手合いは初めてではあるけれど、例えるならば鎧を纏った兵士のよう。ならば――。
「単純な炎熱、氷結よりも衝撃でしょうか? ――炎よ炎よ、回り回って爆ぜなさい」
アンダルシアは人形たちの足元を狙い、拳大の炎の塊を放つ。
人形たちの足元で次々に爆ぜる炎。体勢を崩して転がった人形たちへ、狙いを定めたのはイシュアだ。
イシュアは装甲剥離生体鋏――セルケトクロウと名付けたそれをハンマーのように振るい、人形たちを牽制する。
「王墓を守る蠍の鋏はちょっと特別なんだ。といっても君等にはわからないだろうけど」
自動人形たちはイシュアの間合いから一歩後方へ。しかし、その瞬間に決着はついていた。
「動きさえ止めてしまえばもう何も出来ないだろう?」
セルケトクロウから射出された冷気が、忽ちの内に人形たちを凍りつかせたのだ。
「身も心も氷雪の様に儚くそして美しく、凍てつき砕けて骸をさらせ。せめて散り際だけは美しく。そっちの方が良いだろう?」
人形たちを凍らせて動きを封じ、イシュアは次々に粉砕していく。
その背後へ回り込もうとした自動人形へ、ラルムは碧花の刃を向けた。
「如何に堅い身体だろうと、この歌は防げないよ」
同時に投げつけられた銃を氷塊に閉じ込めて彼方へ飛ばし、風纏う音の花を次々に咲かせながら、ラルムは一体ずつ確実に数を減らしていく。
死角を補い合いながら、時に動きを合わせて立ち回るディアボロスたちは、場に満ちる残留効果も駆使しながら人形たちを蹴散らしていた。
後方からの支援を受けつつ、アンゼリカは積極的に前に出て、壁の如く立ちはだかる敵群を切り崩していく。
パラドクスに宿る生命力を奪う力で、傷を癒しながら。
心の赴くままに暴れているように見えても、アンゼリカは、大軍を相手にしていることは忘れてはいない。
一度に相手をする敵をなるべく絞りながら、縦横無尽に戦場を駆け回っていた。
「坊ちゃん? ああ、そんなに興奮せず……」
チェスラフが止める間もなく、坊ちゃんが人形たちのほうへと向かっていく。
どうやら戦う仲間たちの姿に触発されてか、坊ちゃんもやる気に満ち溢れているよう。
多くの敵を一度に相手にするのであれば、坊ちゃんのほうが得意だろう。
小さくてすばしっこい――少々“やんちゃ”な坊ちゃんならば、人形たちの群れの間に踏み込むのも容易だろうから。
そうして、ぱちりと弾ける火花。
坊ちゃんが放った眩い電撃が、征服人形たちを纏めて貫いた。
一体の人形がすかさず自身の銃を坊ちゃんへ投げつけたのを、割って入ったチェスラフが弾き飛ばす。
坊ちゃんが前に行くのなら、その後方を守り抜くのが務めとばかりに、チェスラフは迷いなく己が身を挺して。
「坊ちゃんへは指一本触れさせません。さあ坊ちゃん、存分に暴れてくださいませ」
「――きゅ!」
元気の良い鳴き声が響いて、そうして、坊ちゃんは再び雷撃の雨を見舞うのだった。
アンダルシアが放つ鮮やかな炎が花火のように爆ぜ、チェスラフと共に戦う坊ちゃんが雷撃の閃光を炸裂させる。
そんな中、憂さ晴らしとばかりにローは暴れ、もとい、銃弾をばら撒いていた。
壊しても文句を言われなさそうな自動人形が相手なのは寧ろ好都合で。
大勢の敵に囲まれぬよう気をつけながらも、ローは光学迷彩を纏い、時に空を駆けたりなどして、特に同胞たちが攻撃を加えた傷の深い個体を優先的に狙い、その足元から突き崩していた。
「弱点なんて人である以上は解りきったことですよ? 弱点ばかり狙うから、それが逆に仇になるのですね?」
続けて炎を操りながら、アンダルシアは微笑んで告げる。
「搦め手はとっても大切、ふふ、覚えておきましょうね? ――もっとも、今後に活かせるチャンスがあるかは存じませんが?」
一つ、二つと、次々に、アンダルシアが踊らせた炎が、人形たちを呑み込んでいく。
焦げ付いた足を縺れさせた自動人形を、ラルムの碧き飃花が切り刻み、イシュアのセルケトクロウが叩き割る。
深手を負いながらもまだ動いている人形たちを纏めて撃ち抜きながら、ローは胸中で思いを巡らせる。
(「……それだけあの王妃様を助けられたくないのか。だから“試験”を用意したと」)
あのような“試験”を用意したのが誰か、それはわからなくとも、ローにはひとつだけわかっていることがあった。
(「――間違いなく“ソイツ”は、性格が悪い」)
ちらりと視線を向けた先は断頭台。悲劇の王妃マリー・アントワネットは、はたしてどのような想いでこの状況を見つめているのだろう。ここからでは、その表情すら窺うことは出来ないけれど。
「……ああ、まったく気にいらねぇ」
苦虫を噛みつぶしたような顔で眼前へと向き直ったローは、群がる人形たちへ向けて続け様に引き金を引く。
モモモスを飛び回らせ、人形たちを次々に混乱に陥れながら。
当のメメメ自身はというと、モブオーラを纏い、更に光学迷彩まで用いて完全に風景と一体化していた。
人形たちの視界に極力入らないようこっそりと息を潜めた結果、仲間たちの目からもほぼほぼ完全に隠れてしまっているかもしれないが、いずれにしても戦いの邪魔にならない場所にいるので問題はない。
(「いやいや、だって人はすぐには強くなれないんですよ。これでもメにしては頑張ったほうだと思いますし!」)
今出来る最善を尽くしたことに違いはないから、きっと、少しは強くなれた――はずだ。
やがて、最後の一体を、アンゼリカの光の剣が断ち切った。
瞬く間に征服人形の群れを退けたディアボロスたち。
「――あとは部隊長を倒すだけかな!」
アンゼリカの眼差しの先には、まるで苦く表情を歪めているようにも見える、キュイラッサードールの姿があった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【エイティーン】LV2が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
【フライトドローン】がLV2になった!
【無鍵空間】がLV2になった!
【過去視の道案内】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【ロストエナジー】がLV2になった!
【能力値アップ】がLV4になった!
【ダメージアップ】がLV6になった!
エステル・コランクール
真の戦士とは何か。父も伯父達も私がそれを知る前に居なくなってしまいました。
だから私は追い求め、見つけなければならない。
彼らの振る舞いを思い出す。苦しい時には……いや苦しい時ほど先頭で戦ってしました。
勇気を示し、仲間と民衆に戦う力を分け与えるのです。
私には近接用の武器が無い。でも!
脚のハイブースターレッグシステムを起動、敵の疾駆に合わせて【ダッシュ】。
私の仲間、炎のジン『レ・ロイ』が籠るボロジノを手に握り、残留効果【飛翔】で突進する。
撃たれても傷ついてもひるまない。握った拳で直接殴り、【魔霊刃】で炎のエネルギーを解放する。
【火炎使い】として正々堂々の白兵戦に応じ、打ち破ってみせましょう。
シル・ウィンディア
さぁ、執行人さん?
あなたの出番はおしまい。
なので、ここでさようなら、だよっ!
飛翔で飛びあがってから空中戦を繰り広げていくよっ!
メインは、世界樹の翼type.Cからの誘導弾での射撃だね
ダメージにならなくても…
こっちが遠距離型と思ってくれたらちょうどいいっ!
味方との連携があるなら、敵の邪魔を心掛けて
誘導弾を連射して邪魔していくね
敵が接近、もしくは、敵の気が反れたら…
エアライドで最短距離を飛翔して、一気に接敵っ!
こっちから行くとは思わなかったでしょっ!!
高速詠唱で隙を減らして…
全力魔法での精霊収束斬っ!
断罪の時間だよ…
すべてを斬り裂けっ!!
…正しいかだなんて知らないよ
ただ、救いたいから救うだけだよ
ロー・オーウェル
“王妃”
権力と権威と富の象徴たる王の配偶者
金や寒暖に悩む事もなく
十分な治療も享受可能な存在
俺が反発する要素満載のそんな存在を助けるなんて
「これが笑わずにいられるか」
●戦
さっき動きすぎて少し疲れたな
光学迷彩で隠れて一撃必殺狙いの戦法でいく
獲物が弱ったところを一気にガブリ
おいしいトコ取りの卑怯なスタイル
別に構わんさ
お行儀よくするのはナイフとフォークのディナータイムだけで十分
まぁナイフは投げる方が得意だがね、俺は
●終
タバコ吸ってスッキリするか
……だがその権力や権威のおかげで
貧しい連中は外に追放されず都市内に居住でき
一応の庇護も受けられ利益はあった
王妃の救出は利益
頭では理解できる
「だが心では、な……」
イシュア・アルミゴス
あとは君だけだ。君がどう足掻こうともう僕らは止められない。
僕らの未来への糧となってくれ。
本当の最速の一撃、見せてあげるよ。
いくら速くても君が地を駆ける以上直線的にしか動けないよね。
そこに付け入らせてもらうよ。軌道を見極め一撃を弾く。
敵の背後に回り込み王墓を守る蠍の一刺しで突き刺す。
君がどういう機構で動いてるのかは知らないし興味もない。
けど僕にも多少は機械の知識があるんだ。ここかな?
痺れる様な一撃を、ってね。電撃を走らせ内部機構を焼き切る。
王妃を救う、そのために来たんだ。
君がどんなに抗おうと僕らは必ずこの悲劇を終わらせる。
これが僕らの覚悟だ。
ラルム・グリシーヌ
救いのない物語は好きじゃないんだよね
紡ぐ音は楽しくないし、軽やかに爪弾けない
まあ…救いのありかたなんて人其々だけど
花が手折られない明日があるなら俺は諦めたくないよ
だから、唄うね
褪せた薔薇色の世界を塗り替えて
美しい朝へと繋げる様な歌を
断頭台に唯独りの王妃にも届く様に
パラドクス通信で声掛け連携&フォロー重視
敵自慢の四脚には白葩で冱花を咲かせ
動きを封じる様に凍てつかせようか
突進は魔力を紡ぎ眩い光刃の誘導弾で牽制
回避には飛翔
高く飛ぶなら態勢を崩す様に
思い切り吹き飛ばすか大きな氷塊を放つ
部隊の動きに留意
包囲され退路確保が危うくなる前に撤退
仲間にも注意喚起
どうか、皆が差し伸べた手が燈した希望が繋がるように
竜城・陸
実のところ、哀れな貴婦人の末路にさして関心はないんだ
同情も、余り
為政者が道を誤ったのならば
その責は身を以て贖うべきなのだから
――けれど
それは悪趣味な見世物としてでなく
只、粛々と行われるべきものだ――と思う
一時であったとしても、民が愛し、民を愛した者なのだから
【飛翔】して上空を取り、戦闘を運ぶよ
こちらの方が慣れている、というだけでなく
味方へ向いた注意を分散させる意味もある
幾ら手練れといえ、上空と地上を同時に警戒するのは難しい筈だ
創出した光の槍は動きを妨害するように投擲
殊に、味方の攻撃を援護するような形を心掛ける
無論、隙を見せたなら一息に撃ち抜くけれど
敵と名のつく者に、慈悲も容赦も要らないだろう?
――“王妃”。
それは、権力と権威と富の象徴たる、王の配偶者に与えられる称号だ。
金に悩むことも、飢えや寒さに苦しむこともなく。
たとえ病に冒されたとしても十分な治療を享受可能な、言うなれば全てにおいて恵まれた存在。
――今、助けるために手を貸そうとしているかの女は、ロー・オーウェル(スモーキークォーツ・g03934)がこの世で最も嫌悪する存在だと言っても過言ではなく。
「……これが笑わずにいられるか」
思わずそう、呟いていた。
「……救いのない物語は、好きじゃないんだよね」
哀しみと絶望で閉ざされる物語など、軽やかに爪弾けないし、紡ぐ音も楽しいものではない。
(「まあ……救いのありかたなんて人それぞれだけど」)
それでも、花が手折られない明日があるならば、諦めたくはない。
ゆえに、ラルム・グリシーヌ(ラメント・g01224)は唄うのだ。
褪せた薔薇色の世界を塗り替えて、優しくも眩い光の差す、美しい朝へと繋げるような歌を。
今はまだ手の届かぬ場所にいる“彼女”にも届くよう、願いと祈りを込めて。
断頭台の周囲には、熱狂とは違うざわめきが満ちていた。
それは、驚き、あるいは戸惑いのようなもので、すぐに再び熱狂で塗り潰されてしまうもの。
けれど今この瞬間だけは――確かにディアボロスたちへの追い風となっていた。
未だ多くのクロノヴェーダたちが犇めく中、復讐者たちはその一翼を削ぎ落とすべく、アヴァタール級クロノヴェーダ――キュイラッサードールと対峙する。
「あとは君だけだ」
忌々しげに表情を歪めているキュイラッサードールへ、イシュア・アルミゴス(守護星蟲・g00954)は毅然と告げる。
「君がどう足掻こうともう僕らは止められない。僕らの未来への糧となってくれ」
「さぁ、執行人さん? あなたの出番はおしまい」
風翼の装飾と、杖頭に藍鉱石の蕾を鏤めた白銀の長杖――世界樹の翼(ユグドラシル・ウィング)を突きつけながら、シル・ウィンディア(虹色の精霊術士・g01415)は強気な笑みを浮かべて。
「なので、ここでさようなら、だよっ!」
キュイラッサードールが空高く向けて銃を撃つ。
それを合図とするかのように、一瞬にして戦いは始まっていた。
颯爽と空へ飛び上がったシルは手にした世界樹の翼(ユグドラシル・ウィング)を長杖から魔力銃へと変形させて、上空から誘導弾をばら撒いていく。
パラドクスを伴わないそれは、クロノヴェーダであるキュイラッサードールに直接傷を負わせるものではない。
だが、キュイラッサードールの目を“誤魔化す”ことなら、あるいは――。
――真の戦士とは何か。
エステル・コランクール(もし貴方に闇が訪れても私が星で照らしてみせる・g04237)にとって、それを教えてくれるべきだったはずの父も伯父たちも、エステルにそれを示すことなく居なくなってしまった。
(「……だから私は追い求め、見つけなければならない。そして、そこへと至らなければならない」)
エステルは今も脳裏に焼き付いて離れない、彼らの勇姿を思い出す。
苦しい時には――否、苦しい時こそ先駆けとなって、勇猛果敢に敵陣へと切り込んでいった、その姿を。
ゆえに、エステルもまた、そのように振る舞うのだ。
勇気を示すことで、仲間たちと民衆に戦う力を分け与えるために。
近接用の武器を持たぬエステルではあるけれど、白兵戦を挑むだけの策はあった。
脚に装着したハイブースターレッグシステムを起動させることにより、その脚力は疾駆するキュイラッサードールのそれにも及ばぬものとなる。
そうして、エステルは花と鳥をモチーフにした赤い髪飾り“ボロジノ”を握り締め、キュイラッサードールへ突進を仕掛けた。
猛然と飛び込んでくるエステルに応えるように、キュイラッサードールも向かってくる。
刹那、キュイラッサードールへと繰り出されたエステルの拳に鮮やかな炎が踊った。
時を同じくして、竜城・陸(蒼海番長・g01002)は深藍色の竜翼を広げて空へと舞い上がっていた。
陸にとってはこちらのほうが慣れている――というのもあったが、味方へ向けられる注意を分散させるという狙いもあった。
幾ら手練れとはいえ、上空と地上とを同時に警戒するのは難しいはずだ。
現に今、キュイラッサードールの意識はエステルに向いている。
その好機を逃す手は――無論、ない。
詠唱も陣も、力ある言葉のひとつもなく。
陸は己が裡に根付く、己の本質である形なき“光”から瞬時に槍を創出し、キュイラッサードールの脚を狙って投げつけた。
「小癪な!」
光の奔流が掠めても、キュイラッサードールは怯むことなく地を蹴って。
加速からの跳躍。時空の法則を書き換え一瞬で陸と同じ高みへと至ったキュイラッサードールが、陸へ反撃の引き金を引く。
陸はそれを更に上書きするように光の如き速さで旋回し、銃弾の雨から逃れた。
遥かな高みからちらりと見やれば、断頭台にぽつりと佇む“彼女”の姿が見える。
――実のところ、哀れな貴婦人の末路には、陸自身はそれほど関心がなかった。
同情だとか憐れみだとか、そういったものもあまり感じていなかった。
為政者として道を誤ったのであるならば、誰であれ、その責は身を以て贖うべきなのだから。
けれど、陸はこうも思っていた。
それはこのような悪趣味な見世物としてでなく、ただ粛々と行われるべきものだ――と。
たとえ、たったひと時の短い間であったとしても。
彼女は民を愛し、そして、民に愛された者なのだから。
「余所見をしている場合かい? 本当の最速の一撃、見せてあげるよ」
キュイラッサードールが再び地を踏み締めた直後、その背後に素早く回り込んだのはイシュアだ。
自動人形(オートマタ)。
それは自我を持ち、自動的に動く人形型のクロノヴェーダであるという。
どういう仕組みで動いているのかイシュアは知らないし、また興味もないけれど。
「けど僕にも多少は機械の知識があるんだ。ここかな?」
セルケトテイルによる神速の一撃――王墓を守る蠍の一刺し。
「痺れる様な一撃を、ってね」
「グッ
……!?」
「王妃を救う、僕らはそのために来たんだ」
蠍の尾が如きセルケトテイルを握る手に力を込めながら、淡々と告げるイシュア。
「君がどんなに抗おうと僕らは必ずこの悲劇を終わらせる。――これが僕らの覚悟だ」
刹那、セルケトテイルから流し込まれた電撃に、キュイラッサードールの動きが一瞬止まる。
そこから振り抜かれた剣を躱すのは容易く、更にその意識を惑わせるように空からシルの誘導弾が、陸の光槍が降り注ぐ。
「さあ、奏でよう――終幕を彩る調べを」
ラルムの狙いは、キュイラッサードールの“自慢”の四脚。
白藤に彩られた珪化木の竪琴に指添わせ、奏でるは幼少から語り聴かされた古き謡。
紡がれる旋律に重なる歌声に、天色の氷を纏う花があえかに綻び咲いて降り積もり、氷唄の如く澄んだ音を響かせながら――絡繰り仕掛けの体を凍てつかせてゆく。
すかさず地を蹴って高く飛び上がったキュイラッサードール目掛け、ラルムは氷塊を叩きつけた。
僅か一瞬、動きと狙いを狂わせるには十分で。
降り注ぐ無数の銃弾をラルムは空へ逃れることで躱す。
跳弾がいくつか肌を掠めたものの、致命傷には至らない。
その隙に、横合いから踏み込んだのはエステルだ。
強く握り込まれた髪飾りの中心にあしらわれた可愛らしいハートに宿る、相棒たるジン――“レ・ロイ”の炎を力に変えて。
「私たちは決して諦めません。世界を取り戻すまで戦い続けます!」
たとえ銃で撃たれても剣で斬られても怯むことなく、エステルはボロジノを握る拳をキュイラッサードールに直接叩き込み、強大な炎の魔力を解き放った。
――その直後だった。
光学迷彩を纏ってその身を隠していたローが、研ぎ澄まされた牙を剥くかのようにキュイラッサードールへナイフを投げつけたのは。
先程の征服人形たちとの戦いで動きすぎたせいで少し疲れたからとは、ここだけの話ではあるけれど。
獲物が弱ったその瞬間を狙い、一息に仕留める。
そのための機をずっと窺っていたローのナイフは、寸分の狂いもなくキュイラッサードールの心臓の辺りを深々と貫いていて。
完全に死角からの一撃に、キュイラッサードールは呻きながらも振り返った。
「卑怯な
……!?」
「別に構わんさ。お行儀よくするのはナイフとフォークのディナータイムだけで十分」
まぁナイフは投げる方が得意だがねと、悪びれもせずローは小さく肩を竦めてみせる。
そこにシルの誘導弾が流星の如く降り注ぎ――。
重ねるように落とされた陸の光槍が、キュイラッサードールを深々と穿った。
「敵と名のつく者に、慈悲も容赦も要らないだろう?」
――それだけではなく。
空中を蹴って最短距離を駆け抜けたシルが、畳み掛けられる攻撃に翻弄されるがままのキュイラッサードールとの距離を一気に詰めていた。
「こっちから行くとは思わなかったでしょっ!!」
「なっ――!?」
キュイラッサードールの驚愕の声が、全てを表していた。
シルがずっと上空から誘導弾を放ち続けていたことで、キュイラッサードールはシルの狙い通り、シルが遠距離を得手とすると思い込んでいたらしい。
キュイラッサードールへ肉薄したその時、シルは既に詠唱を終えていた。
収束させた精霊の力を、光り輝く剣に変えて。
「断罪の時間だよ。――すべてを、斬り裂けっ!!」
放たれた渾身の一撃が、キュイラッサードールを断ち斬った。
「……正しいかどうかなんて知らないよ」
崩れ落ちるキュイラッサードールを前に、シルはぽつりと言葉を落とす。
「ただ、――救いたいから救うだけだよ」
断頭台を取り巻くクロノヴェーダの部隊、その一つとの戦いを終えたディアボロスたちの前に、間を置かずして更なる部隊が駆けつけようとしていた。
「必ず救ってみせるよ」
揺るがぬ決意を言葉に変えて、イシュアは断頭台を目に焼き付けるように映し。
「さて、これなら少しは時間が稼げるかな?」
陸が放った光が追いかけてくる部隊の目の前で炸裂し、氷の壁となって聳え立つ。
「みんな、急いで!」
「そうだね、囲まれる前に戻ろう」
シルとラルムの声に、引き返していく仲間たち。
(「時が来れば……必ず」)
目の前に居るというのに、救えない。
届かぬ手を強く握り、想いを振り切るようにエステルは断頭台を背に駆け出した。
そろそろ頭をすっきりさせたいところだったが、まずは無事に帰ることが先決で。
どうやら一服できるのはもう少し先になりそうだと胸中で独り言ちながら、ローは“頭と心の栄養源”が眠る革製の小袋をぽんと撫でる。
権力も、権威も、ローは好まない。
それどころか、嫌悪してすらいる。
――けれど、それらがあったからこそ。
貧しくとも都市から追放されることなく、一応の庇護も受けられて、少なくとも利益は完全にないわけではなかった。
王妃を救出し、クロノヴェーダの目論見を阻止すること。
それは利益であると、頭では理解出来るのだ。
だが、心では――。
複雑な想いに折り合いをつけられぬまま、踵を返すロー。そんな彼を追うように踏み出そうとしたラルムは、最後にもう一度、今はまだ遠い断頭台の方へと振り返る。
(「……どうか、皆が差し伸べた手が燈した希望が繋がるように」)
更なる戦いへと繋ぐための一手は確かに刻まれた。
今はまだ遠くとも、こうして繋ぎ、重ねてゆけば――いずれ必ず、来たるべき時は訪れるだろう。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【浮遊】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
【神速反応】がLV2になった!
【操作会得】LV1が発生!
【勝利の凱歌】がLV2になった!
【活性治癒】がLV5になった!
効果2【能力値アップ】がLV5になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
【ガードアップ】がLV6になった!