リプレイ
今咲・栄華
皆で踊るダンスってさァ、踊りたいから踊るンであって、強制されちゃァ楽しさ半減なわけでェ。
ほら体育の授業でダンスが嫌いッて人もプラベなら大歓迎みたいなさァ。
どうせならこれも作戦とかじゃなくてマジで踊りたいッつーか。
仕事のストレスで全て忘れて狂いたい時もあるッつか
いや経済止まってッから仕事は好きで入れてンだけど限度も来るしー?
……ということはアタシはマジで参加する素質があるッてことだ!
ディアボロスの依頼の福利厚生の無料クラブじゃん!役得役得!
アタシは数々の忘年会をハシゴした宴会芸人!【宴会】技能だッてバッチリキメてきた!
アタシの衣装はキラキラしたスパンコールの和服。この場に逆に和服とか逆黒船に驚くがいいわァ
ここで和服は合わないッて?これ現代で売ってたパーティ用衣装なンだけどサンバ用ッて書いて売ってたが?
現代マジ神お求めは弊社運用ビルのお店まで〜
このダンスはサンバじゃないと言う人も
そういうのを全て忘れて吹っ飛ばして踊り明かすよォ!
【活性治癒】があれば朝までだッて体力も保つ、一番を目指せ!ビバ!
●効率のいい仕事には息抜きも必要
今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)は仕事が好きで厳しい労働環境でも乗り越えて来た。いわゆる社畜である。
「皆で踊るダンスってさァ、踊りたいから踊るンであって、強制されちゃァ楽しさ半減なわけでェ。ほら体育の授業でダンスが嫌いッて人もプラベなら大歓迎みたいなさァ。どうせならこれも作戦とかじゃなくてマジで踊りたいッつーか。仕事のストレスで全て忘れて狂いたい時もあるッつか。いや経済止まってッから仕事は好きで入れてンだけど限度も来るしー? ……ということはアタシはマジで参加する素質があるッてことだ! ディアボロスの依頼の福利厚生の無料クラブじゃん! 役得役得!」
時先案内人にそう話した栄華は意気揚々と現地へと向かった。
狂気に包まれた集落に彼女はまばゆい輝きを放つスパンコール付きの和服姿で踊る人々の中に飛び込んだ。かなりシュールな絵面だが栄華本人も周囲の人々も気にする様子は一切ない。
「アタシは数々の忘年会をハシゴした宴会芸人! この場に逆に和服とか逆黒船に驚くがいいわァ」
自信満々に何故かサンバ用と書かれていたその和服で胸を張る。そして灰色の髪を揺らし見様見真似で栄華もダンスを始めた。
「このダンスはサンバじゃないと言う人も、そういうのを全て忘れて吹っ飛ばして踊り明かすよォ!」
彼女が発生させた残留効果【活性治癒】の影響もあり倒れた人々の目に光が戻り始めている。
「一番を目指せ! ビバ!」
栄華は仕事を忘れ楽しく踊り続けるのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
俺は本来、音楽を奏でる側なのだが
本質は同じだよな、音を楽しみ、魂で踊れ
情熱的に楽しくってことなら、得意だ
シンプルな黒の服に、孔雀のような角度で風合いを変える巨大な羽根飾りを背負い、髪にも黄金と羽根飾りでアートに
靴は鈴とタップダンス用の金属板を付け、ステップごと華やかな音とキレのいい響きを演奏しダンス
両手を広げ、リズムに乗って会場へ踊り込もう
羽根飾りの重量は伝わるはず
巧みにバランスを取りながら、サンバのステップを踏み、音楽と一体化して踊ろう
【士気高揚】を交え、背負った羽根で会場の人々を巻き込むように撫でて笑いかけ
掛け声を交えて盛り上げよう
VIVA, VIVA, SAMBA!
率先して手拍子誘い、口ずさんで人々を乗せていこう
サンバのリズム、極彩色の鳥が躍る
南国の煌めく陽光
リオの海には美しい娘たち
踊れ、踊れ、幾夜を忘れ
朝が来るまで踊り明かせ!
踊り本来の熱狂と情熱を全身で体現しよう
クライマックスには何度もターンを決めよう
そこのけと特大の背負い羽を操り
観客も巻き込んで、誘惑の舞で視線を釘付けにしよう
●情熱のサンバ
一方エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)はクジャクのような巨大な羽飾りを背負い青空色の髪に黄金と羽飾りをあしらい黒ブーツに鈴とタップダンス用の金属板を取り付けた正統派なサンバの装いで集落へとやって来た。
(「俺は本来、音楽を奏でる側なのだが。本質は同じだよな、音を楽しみ、魂で踊れ」)
サウンドソルジャーであるエトヴァは演奏のみならずダンスも達人の域に達していた。そのため社交ダンスの中でも難易度が高いと言われているサンバも問題なく踊る事ができる。
だから彼は堂々と両腕を広げメスを誘惑するオスのクジャクのように羽を揺らして踊る人々の中へと割って入った。
「VIVA、VIVA、 SAMBA!」
掛け声と共に残留効果【士気高揚】を発動。そしてサンバを踊り始める。
エトヴァが軽快なステップを踏めば鈴が鳴り太鼓の代わりにタップ音が響く。見事なダンスと演奏には普段は冷静で穏やかな彼の胸中に隠された情熱が込められていた。
「サンバのリズム、極彩色の鳥が躍る」
それに合わせて歌も口ずさみながら手拍子を打つ。
「南国の煌めく陽光、リオの海には美しい娘たち」
文字通り音楽と一体となったエトヴァのダンスに人々は目を奪われる。残留効果も相まって彼の情熱が人々へと伝播していく。
「踊れ、踊れ、幾夜を忘れ、朝が来るまで踊り明かせ!」
「素晴らしい、素晴らしいわ! お前こそ生贄にふさわしい!」
エトヴァのダンスを見たアヴァタール級アークデーモン『泡沫のウェパル『幼体』』も口元に笑みを浮かべて近づいてきた。
その瞬間人々は正気を取り戻した。家族を連れてその場から逃げ出す者あり。倒れた者を助け起こそうとする者もある。
そして幼体もようやく逃げ出さなかったエトヴァと栄華が何者であるか気が付いた。
「……お前たち、復讐者ね?! よくも私のダンスを、儀式を邪魔してくれたわね……!」
彼女の怒りを体現するようにその周囲を水の飛沫が暴れまわる。
「……いいわ。お前たちのダンスが優れていたのは事実だもの、お前たちを食らって私は完全体となる!」
幼体との決戦が始まろうとしていた。
超成功🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
その頃集落の外でもトループス級アビスローバー『イールガイズ』たちが異変に気付いていた。
「変な格好の奴らがいると思ったら、アイツら復讐者か!」
「こりゃあ儀式は失敗だな。報告に戻るぞ」
「応!」
幼体を信用していない彼らはあっさりと彼女を見捨てた。集落に背を向けて早々に立ち去ろうとする。
彼らを見逃せば情報がアビスローバーたちに渡り後に悪影響を及ぼすかもしれない。だがダンスに参加していた復讐者たちは幼体の相手をしなければならずこちらに駆け付ける事はできないだろう。
敵を逃がさないためには新たな復讐者が必要だ。
ジェーン・コーネリアス
くっくっ、ビデオカメラだっけ?
映像を記録できる機械を持ち込んでなかったのが悔やまれるね
いい踊りっぷりだった
ねぇ、君たちもそう思わないかい?
祭りはまだこれからだっていうのに、裸足で逃げ出すなんてもったいない
パラドクストレインを降りたら逃げるイールガイズたちの前に回り込み立ち塞がろう
僕を倒して逃げようとするか、あるいはやり過ごして逃げようとするか。どちらにせよ逃がすつもりはない
ピストル「Badhbh」と「Nemain」を手に『葬笛の丹青』を使用
二丁のピストルで相手が滑ろうと逃げ場のないほどの赤と青の弾幕を張り、イールガイズたちを撃ち抜いていく
特に足を狙って逃げられないようにしておきたいね。
逃げられると後が面倒になるかもしれないし、大きなダメージを与えることを優先して【ダメージアップ】を重ねてで一撃の威力を更に高めよう
反撃のカトラスによる攻撃はピストルの銃身で逸らして傷を浅くし、近づいてきたところを反撃の銃弾で至近距離から撃つ。
海底で上司に報告でもしてな!
ま、運が悪かったと諦めるんだね
玖珂・藤丸
※アドリブ連携歓迎
最も優れた踊りを踊ったものを取り込むと強化されるとは、奇妙な生態のクロノヴェーダもいたものですね。
アークデーモンの引き止めを他のメンバーが行っているうちに、魚もどき共をふちのめしてやりましょう!
今回のトループス級はウナギのアビスローバーですか。
滑って捕まえにくいと厄介なので、“目打ち”をしてやりましょう!
現地に着いたら、まずは敵の逃走経路を先回りして来るのを待ちます。
海賊達が来たら我が相棒『杭喰具』を持って、【玖珂式模造術"百万本銛衾進撃"】を使用。
無数の銛をオーラで生み出して、ウナギたちの逃げ道を塞ぎましょう。
そのままオーラの銛たちを放って攻撃です!
このウナギたちは粘膜でこちらを捕まえてから反撃するのですか。
こちらに向かって攻撃するのであれば、端から避ける気はありません。
カトラスの一撃に合わせて、『振掬』による《捨て身の一撃》を振るいます!
●うなぎの目打ち
イールガイズたちが歩き出して程なく。
「最も優れた踊りを踊った者を取り込むと強化されるとは、奇妙な生態のクロノヴェーダもいたものですね」
そこでは二人の復讐者が彼らを待ち伏せていた。
玖珂・藤丸(海の漢・g09877)の言葉にジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は笑ってうなずく。
「ああ、おかげでいいものが見れたよ。映像を記録できる機械を持ち込んでなかったのが悔やまれるね」
遠目に見てもエトヴァのダンスは文句のつけようがない程素晴らしかった。栄華のダンスも技術は人並みだったものの心から楽しんでいるのが伝わって来た。
「どっちも、いい踊りっぷりだった。ねぇ、君たちもそう思わないかい?」
そう言ってジェーンは金の瞳を集落からアビスローバーへと移す。
イールガイズは舌打ちして二人をにらんだ。
「……お前らも復讐者か」
「どけ! お前らなんかに付き合っている暇はない!」
彼らはこちらを無視して先に進もうとする。
「祭りはまだこれからだっていうのに、裸足で逃げ出すなんてもったいない」
ジェーンはパラドクスで妖しく艶やかなカトラス『Mórrígan』から青い魔力を、血のような刀身のカトラス『Macha』から赤い魔力を白い銃身のピストル『Nemain』と黒い銃身のピストル『Badhbh』に付与。それぞれに青い弾丸と赤い弾丸を高速で放ち弾幕を張る。それは三体のイールガイズたちを制圧した。
「逃がすつもりはないよ」
「クソッ、調子に乗るなよ!」
仲間を倒されイールガイズたちは怒りをあらわにする。残りの三体が一斉に地面を滑るように高速で動きカトラスの連撃をジェーンへと繰り出す。
彼女はそれをとっさに白と黒の銃身で受け流した。だが三体目の攻撃には対処できずその身に受けてよろめく。
その隙にイールガイズたちは逃げ出そうとした。
「魚もどき共はぶちのめします!」
そこに藤丸が百八十センチメートル以上もある自身の背丈と変わらない大きさの銛『杭喰具』を突き出しパラドクスを発動。壁のように並べられた無数の銛を生成し三体の敵を狙って放つ。
「なめるなあ!」
するとアビスローバーたちは手から大量の粘膜を放ちながら藤丸を解体せんとカトラスを振り下ろす。
(「こちらに向かって攻撃するのであれば、端から避ける気はない!」)
藤丸は粘膜に足を取られても防御を考えずそのまま捨て身で銛を突き出す。カトラスに切り裂かれながらも杭喰具と無数の銛で三体のイールガイズを貫いた。
「藤丸、大丈夫かい?」
「ええ。この程度、どうという事はありません。それより、これでアビスローバーは全て倒せたようですね」
念のため周囲を見回す。逃げ出した敵も隠れている敵も見当たらなかった。
「ああ、そのようだね。あとは例のアークデーモンだけだ」
ジェーンの言葉に藤丸は黒い瞳を集落へと向ける。
「泡沫のウェパルの幼体、ですか。私たちも集落に向かいましょう」
「そうだね。ウェパルは相当強かったらしいし、まだ決着がついていないようなら加勢に入るとしよう」
二人はうなずき合うとアヴァタール級アークデーモンとの決戦が行われているであろう集落へと足を向けたのだった。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【水中適応】LV1が発生!
【防衛ライン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【反撃アップ】LV1が発生!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
この付け羽けっこう見た目より重い
あっちの方でウナギの蒲焼きの気配がするけどお任せした! ゼリーじゃなければOK!
食らうって、鳥肉扱いは心外だなぁ……
あっ栄華さん、お手柔らかに
ウェパルの幼体さん、ダンスがお好きなのかな?
Sternenhimmel(アコースティックギター)を奏でよう
弦を手繰る指は心地よく……
踊るために生まれてきた人がいるなら
奏でるために生まれてきた人もいるのだろう
奏でるのは情緒に満ちたファドの旋律、哀愁の音色
PDで精神を掻き乱し、踊りや動きを鈍らせて精神攻撃
踊りを道具にするのは見過ごせないな?
踊りは本来もっと美しいものさ
貴女もそう感じるから、無理やりさせた踊りより俺達を選んだのだろう
毒の泡を飛ばされたら、魔力障壁で身を護り弾きながら、Hashed Audienceを放射の正面に浮かべて防ぐ
多少の痛みには耐えよう
音色に集中し、情感を震わせるよう爪弾き、響かせ、敵を掻き乱して対抗を
さあ、紛い物のカーニバルはおしまい
サンバは楽しく踊らないとな
……撮ってないよな?
今咲・栄華
※アドリブ大好き&
イールガイズの処理サンキュー!
ウナギに穴開く良い音が聞こえるゥ。良い仕事してるわァ。
アタシはこの、何?しらす…?と戦うか!と腕まくり。
やべェ、エトヴァが食べられる!
…羽の部分だッたらアタシもちょッと食べたい。なんて言ッてられないねッ!
呪い攻撃ねェ。
精神が苛まれようとも耐えて心を無にして進む。なんかこれ経験あるわ、やッた事あるわァ…そうそう、弊社でのデスマーチ。
精神攻撃はブラック企業で経験済みよォ。
心乱されないようあの頃の【統率】を思い出して、逆にあの頃の思い出し怒りを敵にぶつけるつもりで、目の前に集中!
さらに【弾幕】の音で歌を掻き消して効き目を薄くしよう。
近づいて至近距離で弾を撃ち込んでやるよォ。
サンバといやァパレードだけど、これは君に死をもたらすバヨネットパレードだよォ。
踊りを強要するパワハラクライアント爆発しろ!!
オ(の)レ!
SPD技の後も水面走行があれば役に立つかなァ?
玖珂・藤丸
※アドリブ連携歓迎
ウナギの対処は完了です。
残りは本丸を叩くだけですね!
コイツがアークデーモンの幼体ですか。
……クリオネ? ではないですね。
タツノオトシゴのようにも見えますが、そうとも言い切れないような……。
まぁ何であろうとクロノヴェーダであることは変わりません。ぶちのめします!
今こそ悪魔狩りの時です。
玖珂・藤丸、出撃します!
我が相棒『杭喰具』を持って、ウェパルの下へ接近。
【玖珂式銛術"漢一本気合銛打ち"】を使用!
至近距離から『杭喰具』を撃ち込む《捨て身の一撃》を放ちます。
この悪魔は嵐の操作を行うのですか……。
クリオネもどきにしてはやりますね。
しかし、“海の漢”は嵐ごときには屈しません!
こちらに流れる海水は素直に受け止めてから、【水面走行】を使いましょう。
流れてきた海水の上に乗り、再度ウェパルに接近。
『振掬』で頭部を狙ってぶん殴ります!
ジェーン・コーネリアス
あぁ、こっちは終わったよ!
くっくっ、串刺しにして焼いても食えそうにない見た目だったけどね
海上で飢えてるんじゃなきゃ、ご免被りたいところだ
さ、あとはそいつだけだ、ブチのめして撤収といこう!
右手にカトラス「Macha」、左手にピストル「Nemain」を持ち戦闘
パラドクスに対してどこまで効果があるかは分からないが、必要なら【水中適応】や【水面走行】も使い、荒れ狂う嵐に耐え、水流を飛び越えてウェパル幼体へと接近するよ
他の復讐者とも連携して、複数の方向から近づいたり、他の復讐者の攻撃にウェパル幼体が気を取られているうちに一気に距離を詰めたいね
距離を詰めたら『海嵐の極み』。カトラスと弾丸の嵐をお返ししよう
嵐も波も、海賊やってれば日常に過ぎない、陸の上ならいざ知らず、そんなものに足が竦む奴は海の女には居ないんだよ!
くっくっ、安心しなよ。撮影する道具を持ち歩いてなかった
あとは新宿駅に帰ったところで、撮られないように祈るといい
●カーニバルの終幕
イールガイズとの戦闘が始まった頃。
アヴァタール級アークデーモン『泡沫のウェパル『幼体』』と対峙したエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は冷や汗をかいていた。もちろん敵に臆したわけではない。
(「この付け羽けっこう見た目より重い」)
サンバの雰囲気を出すために背負ったクジャクの羽が邪魔になっていた。しかしそれを外す時間はない。敵が目の前にいる上に自前の空色の天使の翼がつかえて簡単には外せないのだ。だから仕方なくエトヴァはサンバスタイルのまま戦う事を決めた。
「食らうって、鳥肉扱いは心外だなぁ……」
幼体の言葉に苦笑しつつ同意を求めるように仲間の方へと銀色がかった青の瞳を向ける。
すると邪魔な和服の裾をまくり上げた今咲・栄華(ゲットワイルド退職・g00910)は何故かよだれを垂らしてエトヴァの翼を見ていた。
「栄華さん?」
名前を呼ばれハッとした栄華はよだれを手の甲で拭い真剣な表情で言う。
「羽の部分だッたらアタシもちょッと食べたい。なんて言ッてられないねッ!」
「……お手柔らかに」
二人がそんなやり取りをしていればしびれを切らした幼体が栄華へと顔を向ける。
「お前は邪魔よ!」
そう怒鳴った彼女は美しい唄を歌い始めた。それは栄華の頭の中でうるさいくらいに響き彼女の精神を蝕む。
だがエトヴァの素晴らしいダンスのおかげで幼体は満足に畏怖を集められていない。そのため攻撃の威力は一段落ちていた。
自傷したくなるようなプレッシャーを感じながらも栄華は心を無にして銃剣付きの自動小銃『アサルトライフル』を連射し弾幕を張る。
(「精神攻撃はブラック企業で経験済みよォ」)
休日出勤、支払われない残業代、そしてセクハラとパワハラ。それらを思い出し怒りの力で唄を跳ね除けながらパラドクスを発動。弾幕と並走し敵に肉薄。銃剣の斬撃を浴びせる。
「踊りを強要するパワハラクライアント爆発しろ!! オ(の)レ!」
幼体は弾幕を避けるのに手一杯で銃剣の刃を防げなかった。人魚の長い尾ひれを切り裂かれ唄が止む。
「ぐっ……! この程度、本来の力があれば……!」
その代わりに今度は弦楽器の音色が集落に響く。
(「踊るために生まれてきた人がいるなら、奏でるために生まれてきた人もいるのだろう」)
それはエトヴァのパラドクスの旋律だった。穏やかで哀愁漂う民謡歌はまさに彼が演奏するために生まれてきたかのような美しさだ。
「踊りを道具にするのは見過ごせないな? 踊りは本来もっと美しいものさ。あなたもそう感じるから、無理やりさせた踊りより俺たちを選んだのだろう」
エトヴァの言葉とファドの旋律が幼体の精神をかき乱し誘惑する。
「う……うるさい、黙れぇえ!」
彼女はふらつきながらも触れると肉を腐敗させる毒の泡を自身の周囲に生み出す。それをエトヴァへと放とうとした時だ。
「今こそ悪魔狩りの時です。玖珂・藤丸(海の漢・g09877)、出撃します!」
イールガイズの処理を終えた藤丸が大声で叫びながら敵に突撃。漁師だった頃から愛用している巨大な銛『杭喰具』を至近距離から投げつける。
「ぎゃあああ!」
銛で腹部を貫かれた幼体はたまらず悲鳴を上げた。毒の泡が霧散する。
藤丸はこの機に乗じてさらに攻めようと敵を殴打するのに使用する錨『振掬』を構える。
「ああああ!」
だがそれは幼体が許さなかった。金切り声を発した彼女を中心に大嵐が起こる。防御を考えず捨て身でパラドクスを放った藤丸を荒れ狂う海水が押し流す。
「……ゲホッゴホッ!」
それでも彼は大したダメージを受けず飲んでしまった海水にむせる程度で済んだ。幼体が畏怖を集めていれば無事ではいられなかっただろう。
しかし十分な時間稼ぎにはなった。
「そんなものに足がすくむ奴は海の女にはいないんだよ!」
藤丸が注意を引きつけている間に彼と一緒に合流したジェーン・コーネリアス(pirate code・g10814)は敵の背後に回り込んでいた。パラドクスを込め左手に握った白い銃身のピストル『Nemain』の引き金を引き右手の赤い魔力をまとったカトラス『Macha』で切り捨てる。
「そ、んな……」
銃弾は敵の背中から胸を貫き赤い刃が首を両断した。
人魚の体と頭が地面に落ち嵐が止む。
「……クリオネ? だかタツノオトシゴだかわかりませんが、本丸を討伐できましたね」
藤丸が消えゆく幼体の遺体を黒い瞳で見て安堵のため息をつく。
「ああ、そうだね。苦戦しなかったのは二人の素晴らしいダンスのおかげだ。助かったよ」
そう言ってジェーンは金の瞳をエトヴァと栄華へと向けた。
視線を向けられた栄華はスパンコール付きの和服から砂を払い落しながらカラッと笑う。
「いやいや、こっちこそイールガイズの処理サンキュー! ウナギに穴開く良い音が聞こえた気がしたよォ。良い仕事してるわァ」
「ははは、どういたしましてであります」
「でも二人のダンスは本当に良かったよ。後世に残せないのが残念なくらいだ」
するとエトヴァが少し顔をしかめてジェーンを見た。
「……撮ってないよな?」
さすがに恥ずかしかったようだ。
ジェーンはそれにいたずらっぽく笑って返す。
「くっくっ、安心しなよ。撮影する道具を持ち歩いてなかった。あとは新宿駅に帰ったところで、撮られないように祈るといい」
「いや、パラドクストレインで外すよ……」
「えッ、そうなのォ? 記念撮影しようと思ってたのにィ!」
「栄華さん、絶対に止めてくれよ?」
「はは、仲良き事は良きかなですね」
何はともあれ復讐者たちはアヴァタール級アークデーモン『泡沫のウェパル『幼体』』を倒し儀式の阻止に成功した。幸い一般人の犠牲も出る事はなかった。彼らは集落の人々に感謝されて現地を後にしたのだった。
なお、エトヴァが撮影されずに済んだかはあえて記録しない。だってその方が面白いから。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【液体錬成】LV1が発生!
【水面走行】LV2が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【フィニッシュ】LV1が発生!
【反撃アップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV2が発生!