リプレイ
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
長きに渡る激闘の先で、ついに断片の王と見える時が来ました
ですが此度の戦は終わりではなく、奪還戦に向けた道の始まりと見るべきですね
共に今日の勝利を掴み、生きて新宿島に帰りましょう
故郷を取り戻した暁には、必ずクロエ様をご案内しなければなりませんからね!
禍根となる大群を仕留めつつ残留効果の蓄積を
≪神護の輝盾≫を手に前衛を務め、己の身とクロエ様を護り戦います
クロエ様が呼び出した怪物が好き放題暴れる隙を作るため、まず敵陣をかき乱します
『恐れなき急襲の槍』で敵陣の一角に乱入
可能なら敵が演奏に熱中している隙を突いたり、隊列の側面から襲いかかることで効果を向上
突撃と同時に起きる爆破によって敵を吹き飛ばし、楽団の密度を疎らにしていきます
イスカンダルにもダレイオスにも勝利の歌を聞かせはしません!
反撃に対しては頭を隠すように盾を構えて音量を可能な限り抑制
心を襲う衝撃も、愛する者と共に在ることで奮い起こす勇気で耐えます
魂を満たす想いがこの程度で揺らぐものですか!
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし共に闘います
いずれにせよ、大きな意味を持つ戦いとなることでしょう。
えぇ、一度新宿島に流れ着いた時には思いもしませんでしたが……
隣にあなたが居ないことなど耐えられません。勝って共に帰りましょう。
後衛からエイレーネを援護しながら、有用な残留効果を重ねましょう。
【セイレーン・カンパニュラ】を使用。セイレーンを象った怪物を作り出します。
エイレーネに続くようにセイレーンを突撃させ、身を引き裂く歌声を響かせて敵を攻撃。穿った陣形の穴を更に押し広げるようにして敵の陣形を疎らにさせましょう。
エイレーネとは標的を合わせ、早期に数を減らすことで被弾を減らします。
お前たちに相応しいのは勝利を讃える歌ではなく、命を奪う怪物の歌です。文字通り、その身に刻みなさい!
敵の反撃の楽曲で心が情動で満たされるたび、共に戦うエイレーネへの想いで戦意を奮い立たせ、攻撃を再開します。
この想いはお前たちに作られた情動とは違う、本物です。お前たちが何をしようと、押し退けられはしません。
アンゼリカ・レンブラント
多くの仲間達の尽力で辿り着いた大決戦
最良の形で終わるよう、一助となるよ
まずは後々を考え大群のゴブリンを攻撃だっ
戦場には共に戦う仲間がいる
連携を意識し行動するよ
可能な限り仕掛ける機を仲間と合わせ動き
踏み込んで雷剣を叩き込み、反撃を障壁で凌いだら一撃離脱
同じ場所に留まらず囲まれるのを避け消耗の多い個体から狙う
相手から集中攻撃を受けないよう絶えず足を使い動き
仲間と狙いを合わせ、確実に倒せる敵を巻き込んで倒していく
この先に控えるは精鋭に大物
連戦になっていくから消耗を抑えたいね
【グロリアス】で倒すと共に回復を得て
ダメージを軽減しつつ敵を倒していく
気を吐きながら、常に口からは鼓舞する言葉をあげながら
パラドクスの斬撃を繰り出していくよ
亜人の痺れる音楽よりも
奪還した地で人々が歌う癒される歌を聞きたいよ!
敵は多い、焦らず確実に数を減らしていき
敵陣が大きく崩れれば、さぁ今が攻め時だっ!
亜人の王よ、遠目にもよく見よ
奪還の志とともにここまで来た私達の強さをさ
全力全開の《雷剣閃波》を叩き込んで片付けるよ
いっけー!
パラドクストレインからイラン高原に降り立ち、敵陣を駆け抜けるディアボロス達。亜人の軍勢達は、そんなディアボロスを阻止出来ないほど、大きく混乱している。
だがディアボロスの方も、そんな軍勢を相手にしている場合ではない。目的地は敵本陣。狙うは、断片の王。
「長きに渡る激闘の先で、ついに断片の王と見える時が来ました」
「そうですね。この戦い、とても大きな意味を持つ事となることでしょう」
その事実を実感し、万感の思いで言葉を漏らすエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)。クロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)もそれに同意し、深く頷いた。
これまでの亜人達との戦いは全て、今日、この日のために。強い決意と共に、お互いに視線を交わし合う。
「共に今日の勝利を掴み、生きて新宿島に帰りましょう。故郷を取り戻した暁には、必ずクロエ様をご案内しなければなりませんからね!」
「えぇ、一度新宿島に流れ着いた時には思いもしませんでしたが……隣にあなたが居ないことなど耐えられません」
二人にとってお互いは、かけがえのない存在だ。開戦を前にして、その姿を目に焼き付ける。
愛しき魔女と、己の英雄と。強く頷きあった2人は、その視線を目指す敵へと移した。
「とはいえ此度の戦は終わりではなく、奪還戦に向けた道の始まりと見るべきです。後の禍根も断ち切らねば!」
「ギギィッ、ナンダァ!?」
まず彼女達が標的とするのは、トループス級『ゴブリン音楽隊』だ。おそらくは軍楽隊として随伴しているのだろう、勇壮な音楽をかき鳴らし、周囲の軍勢を盛り立てている。
敵本陣からに向かうことを考えれば、やや寄り道。生かしておいてもイスカンダルとの戦いには直接影響しないだろう。だがエイレーネの言葉通りこの戦いはまだ道半ば、未来を見据えるならば野放しにはしておけない。
長槍と円盾を構え、信仰の輝きをその身に纏って突撃すれば、さながらそれは彗星の如く。
「まずはわたしが、先陣を切りますよっ!」
切っ先がゴブリンの一体に触れると同時、エネルギーが弾けて爆発を起こす。爆発は数体のゴブリンを巻き込んで、その小さな身体を吹き飛ばした。
さらにそれを追うように、続けて敵陣に飛び込むのは植物で出来た怪物。クロエがパラドクスによって作り出したセイレーンは、絹を引き裂くような金切り声と共にゴブリン達の間を駆け抜けて。
いや、それは比喩ではない。歌を聞かされたゴブリンは、現実にその身を引き裂かれていく。
「そんなに音楽が聞きたいのならば、我が憂いの歌に切り裂かれなさい」
「グギャァッ!? ディアボロスッ! ディアボロス!」
2人で攻撃対象を合わせる事で、確実に標的を仕留めにかかるエイレーネとクロエ。信仰の光と怪物の歌に晒されたゴブリン達は、鮮血を噴き上げながら激しくのたうち倒れていく。
だが当然、彼らもただではやられない。太鼓を派手に打ち鳴らし、角笛を吹き散らして反撃を繰り出してくる。その曲は洗練されず無軌道なれど、聞けば心をかき乱される、原初の音楽。
「ぐっ……!!」
咄嗟に盾で頭部を庇うエイレーネだが、その音はよく響き渡る……いや、脳にすら直接響くかのようだ。パラドクスは物理法則を超越する。仮に耳を塞ごうが鼓膜を破ろうが、それを聞かないと言う事は不可能。
そして響き渡る太鼓の音は、まるで電撃のようにエイレーネの心を貫く。痺れる音楽と言うのもまた、比喩ではない。身体の自由が効かなくなり、突撃の足が止まってしまう。
「……く、ぅ……!」
同時にクロエを苛むは、意外なほどに美しい角笛の音色。その音色がもたらすのはセイレーンの歌声への意趣返しとばかりの、身を裂かれるような苦痛だ。
こちらと違って物理的な傷はもたらさないが、果たしてそれが何の慰めになろう。心に与えられる苦痛は、身体の苦痛となんら遜色はない。
「クロエ、様っ……!」
「エイ、レーネっ……!」
だが同時にどれほど苦痛であろうとそれが心へのダメージであるなら、心を強く持てば耐えられる。愛しき相手の名を呼んで、自身を鼓舞していく2人。
「わたし達は、愛する者と共に在る! 魂を満たす想いが、この程度で揺らぐものですか!」
「この想いはお前たちに作られた情動とは違う、本物です。お前たちが何をしようと、押し退けられはしません」
勇気を、戦意を奮い立たせて己を保つ事で、ゴブリン達の音楽を振り払う。痺れを振り払って槍を構えるエイレーネ、痛みに耐えて怪物に魔力を注ぐクロエ。
「オレタチノ、オンガク! キケ! ディアボロス、キケ!」
「そのような曲をいくら響かせようとも、私達が屈する事はありません!」
ゴブリン達はさらに激しく曲を奏でて、こちらを屈服させようとしてくる。それに対して互いに庇い合いながら、反撃を繰り出していく2人。
さらにそこで新たにゴブリンへと飛びかかるのは、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)だ。手にした大剣に雷を纏わせ、まっすぐに斬りかかっていく。
「多くの仲間達の尽力で辿り着いた大決戦。最良の形で終わるよう、一助となるよっ!」
「ギギャー! ディアボロス! ディアボロス、コロス!」
力強く横薙ぎに振るった剣は、雷光を呼び起こし、周囲のゴブリン達を真一文字に切り裂いた。他の2人が弱らせた敵を優先的に狙う事で、その命を断ち切っていく。
だが同時に反撃の音楽は、当然アンゼリカにも襲いかかってくる。血を流してのたうちながらも、同時に太鼓を激しく打ち鳴らすゴブリン達。
「ぐっ……痺れ、るぅっ……!!」
ガンガンと激しい音の衝撃は、まさしく雷鳴の如し。実際の雷を伴わずとも、こちらの身体を激しく痺れさせる。
こちらがその身に纏う雷の障壁も、音を前にしては大した防御にならない。大剣を握る手から力が抜け、大地を踏みしめる脚もおぼつかなくなり。
「でもっ! こんな、亜人の痺れる音楽よりも、奪還した地で人々が歌う癒される歌を聞きたいよ!」
だが、そんな弛緩する全身に、何よりその心に力を入れ直し、踏み止まって見せるアンゼリカ。もう一度その刃を振り抜けば、受けたダメージを【グロリアス】で塞いでいく。
「この先に控える相手が本番っ。ここで消耗はしていられないっ!」
何しろ、この先に待つのは断片の王だ。どれほど絶好調であったとしても、過酷な戦いとなるのは間違いない。ならばこんなゴブリン程度を相手に、苦戦などしている場合ではない。残留効果で傷を癒やす以上に、己の心を鼓舞するために叫ぶ。
雷の刃が幾度となく閃いて、眼前のゴブリン達を薙ぎ払い、敵陣をこじ開ける。そしてその穴にエイレーネが飛び込めば、敵陣を両断するがごとく、輝きをもってまっすぐに駆け抜けて。
「イスカンダルにもダレイオスにも、勝利の歌を聞かせはしません!」
「お前たちに相応しいのは勝利を讃える歌ではなく、命を奪う怪物の歌です。文字通り、その身に刻みなさい!」
爆ぜる輝きが完全に陣形を崩した所へ、クロエのセイレーンが追撃をかけて各個撃破していく。連携を取れずに散り散りとなった相手へ、容赦のない蹂躙。
それでもゴブリン達は、戦意を喪失する事はない。そもそも恐れの感情を持っているのかどうか、愚かゆえの愚直さで、太鼓を打ち鳴らし、角笛を吹き鳴らし続ける。
「ディアボロス! シネ! ディアボロス! シネ!」
「いいや。私達は死なないよ、絶対に!」
だが今更、その愚直さに打ち倒される事などない。アンゼリカはしっかりと大地を踏みしめると、手にした大剣を高々と掲げてみせる。
全身を覆う雷光のオーラが、激しい火花を散らしながら、大剣へと収束していく。その光景はさながら、地上から空へと雷が落ちるが如く。
その輝きを、ここより先にいる相手に、見せつけるが如く。
「亜人の王よ、遠目にもよく見よ! 奪還の志とともにここまで来た、私達の強さを!}
そうして彼女は力強く、その右足を踏み込んだ。物理的にはただの一歩、だが、この先に進むと言う決意を篭めた一歩と共に、振りかぶった剣を振り下ろし。
「全力全開っ! いっけー!」
「グギャアアア……!!」
そうして奔る雷刃が、残るゴブリン達をまとめて薙ぎ払う。切り裂くを通り越し、炭化させるほどの力。
眩いほどの雷が過ぎ去った後、そこに動くゴブリン達は存在しなかった。
「ふぅっ……って、一息ついている場合じゃないよねっ。さあ、次だっ!」
「そうですね、ここからが、本番です」
ゴブリン達への勝利を喜ぶ暇もなく、すぐに気合を入れ直すアンゼリカ。クロエもその言葉に頷いて、エイレーネと視線を交わし合う。
「ええ。私達の歴史を、奪還するためにも……!」
そして休む事なく、ディアボロス達は駆けていく。この先に待つ、王の元へと――!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【通信障害】LV2が発生!
効果2【命中アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
アンディア・ラムパデス
殺す、殺す……殺す殺す殺す!
貴様が踏み躙ってきた者たちの怒りを今日、ここで、思い知ると良い!!
イスカンダル……憎き亜人共をこの地にのさばらせる元凶
ここで討てずとも、貴様の首に刃が迫っていることを思い知らせてやる……!!
この身がどれだけ傷付こうが知ったことか
少しでも、一歩でも速く、奴の下への道をこじ開ける……!
断片の王の近衛とあって、練度は下手なジェネラル級よりも上
ならば、一体ずつ確実に仕留めるまで
密集陣形は厄介だが、ならば端から削り取る……!
迫る我らの存在をイスカンダルに伝えると共に我の戦意と殺意を高めるため、咆哮と共に親衛隊へと突撃
密集し、守りを固めている分、奴らの動きは決して機敏ではない筈だ
単独で動く機動力を活かし、一斉に多くの敵から攻撃を受けぬよう立ち回りながら攻撃を仕掛ける
敵から受ける傷は無視、手足が動き続ける限り、奴らを少しでも多く殺し尽くす、ただそれだけだ!
構えた盾で攻撃を受け止めてダメージを抑えつつ、返しの刃で盾を投擲し、敵を斬り裂く!
今日が貴様たちの終わりが始まる日だ!
ゼキ・レヴニ
ついに大将とご対面か
大英雄の名を冠した亜人の威風がどれほどだろうと、こっちの気迫はそれ以上
ここが正念場。この地に流れた血…一滴たりとも無駄にしちゃいけねえな
大王の親衛隊は…歴史に名高い重装歩兵、ホプリタイか
猛者の集団だ、油断せず行くぜ
ファランクスに正面からぶつかるのは得策じゃあない
敵陣とある程度の距離を保ち、金属塊『躯』を変形させた弓を構え
いれば陣形背側面の護衛、または弱り仕留められそうな敵から狙って雷撃の矢を放つ
ファランクス陣形の弱点と言や機動力と背側面
個人で動ける小回りのアドバンテージを活かして敵陣右側面に回り込み
盾の守りの薄い場所へ【命中アップ】を乗せた矢を射掛けるぜ
コイツをただの矢だと思うなよ、この地を踏み荒らしたお前らへの裁きの雷さ
一見正面や空を狙ったように見せて油断させ、ホーミングさせ側面にぶっ刺してやる
【パラドクス通信】を使えば戦の喧騒ん中でも連携を取り易い筈
突撃に一遍に巻き込まれん様味方と散らばる様に位置取り
突撃が来たら回り込む様に回避する動きで
味方が隙を突く時間を稼ぐぜ
音羽・華楠
蹂躙戦記イスカンダルには、これまであまり関わってこられなかった身ですが……この一大決戦に何もお手伝い出来ないというのは心苦しいです。
……少し、断片の王イスカンダルに会いたい理由も出来ましたし。
――行きますよ!
まずは、イスカンダルの親衛隊を崩します、が――
……雷の魔力を帯びた長槍、ですか。
私も雷使いの端くれ。
敵も雷を使うとなれば、対抗心が沸きますね――
――《雷幻想・瑞鳳》!
雷の鳳凰の式神を降臨させ、ホプリタイたちへ襲い掛からせますよ。
どちらの雷が強いか、勝負と参りましょう!
雷の化身たる《瑞鳳》の飛行速度は、文字通りの雷速。
その速度を活かし、間合いを保とうとするホプリタイたちとの距離を一気に詰めさせ、向こうの思い通りには戦わせないように仕向けます。
自分の間合いで戦えないのは、真の実力を発揮出来ないのと同義ですからね。
その隙を狙い、《瑞鳳》に嘴や爪で引き裂かせましょう。
私自身は戦場を俯瞰出来る程度に距離を取り、戦況の把握を。
弱った敵への追撃に、危機の味方が居れば救援に、《瑞鳳》を飛ばします。
ジズ・ユルドゥルム
高原に蠢く大軍勢を見るたびに
あのおびただしい亜人の数だけ、使い捨てられた生命があるのだと
そう思い知らされているようで、やりきれない思いだった
…だが、そうか。殆ど全ての人々を…「消費」していたんだな
一刻も早く、この地を亜人から取り戻そう
ここで必ず成果を残さねばな
王の親衛隊か。成程、そこいらのトループスより遥かに強力なようだ
「炎天の巡・旋」を起動
敵の攻撃で体勢を崩される機会(クリティカル行動中止)を少しでも減らすため
戦場に【先行率アップ】の風を吹かせ、味方が先手を取る一助とする
接近戦を行う敵に対応すべく
斧は遠方まで投擲せず、私の周囲を薙ぎ払い旋回させるように操作
強固な盾をも覆いつくす、全身を舐めるような炎風を敵へ浴びせかけ
熱傷と斬撃によって、複数の敵の消耗を狙う
特に消耗した敵がいれば、止めを狙う味方と連携し
素早く敵の数を減らしたい
敵の強力な反撃へ身構え、斧で長槍を打ち払って刺突の軌道を逸らし
刺突と放電の両方をまともに食らうのだけは避ける
雷光で焼かれようとも
今の私に、攻撃を緩める理由は無い。
「我ら親衛隊、ここが命の使い所だ。ディアボロスどもをイスカンダル様に近づけさせるな!」
意気軒昂に咆哮の如く叫び、ディアボロスの前に立ちはだかるホプリタイ達。盾を構えて陣を組む姿は、さながら難攻不落の壁の如し。
この壁を越えるのは、容易な事ではない。だが、越えなくてはならない。壁の向こうでこちらを睥睨する獅子の王に、復讐の刃を届かせるためには。
「ついに大将とご対面か……」
その威風に息を呑み、汗が滲むのを感じるゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)。こちらの気迫はそれ以上だ、と意気込んだ所で、相手の存在感は決して無視出来る物ではない。
だが今のところ、イスカンダル自らが攻撃して来ると言う事はないようだ。逆説連鎖戦において、攻撃は常に反撃の危険を伴う。時先案内人による事前の情報通り軍勢の救援を待ち、時間稼ぎの守りに入っていると言う事だろう。
「……軍勢、か」
その姿にやりきれない思いを覚え、ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)は骨面の下の顔を歪める。
このイラン高原に蠢く、おびただしい亜人の大軍勢。それを見る度に、使い捨てられた多くの命の事を思い知らされるようだと感じていた。
だが実際の現実は、もっと悪い。イスカンダルにとっての『可能な限りの人間』は、この軍勢のために消費されていたと言うのだから。
「一刻も早く、この地を亜人から取り戻そう。ここで必ず成果を残さねばな」
これ以上、亜人の跳梁を許す訳にはいかない。彼女はその覚悟をもって、右手に握る戦斧を掲げる。パラドクスによって鷹のジンを憑依させれば、それは生きているかのように飛び立った。
「いくぞ、ケレイ。奴らを焼き払え!」
「むっ、防げっ!」
そしてそれはそのまま彼女の周囲を旋回し、炎風を巻き起こしていく。大地を舐めるように突き進み、ホプリタイを呑み込まんとする灼熱の風。
対するホプリタイは一斉に盾を掲げると、巨大な壁を作って対応してくる。炎風はそれすらも乗り越えてホプリタイの身体を焼かんとするが、その一方で――。
「そして……貫くがいい!」
「がっ……!?」
相手の長槍(サリッサ)が伸び、ジズの身体を貫かんとして来る。咄嗟に戦斧を操り防ぐが、切っ先から迸る電撃までは、防ぎきれない。
全身を奔る強烈な痺れは、想像以上の威力だ。一瞬、意識が遠のきかけ……それをなんとか耐えて、踏み止まる。ここで、倒れる訳にはいかない。
「ぐっ、成程、そこいらのトループスより遥かに強力なようだ。だが、今の私に、攻撃を緩める理由はない……!」
「殺す、殺す……殺す殺す殺す! 貴様が踏み躙ってきた者たちの怒りを今日、ここで、思い知ると良い!!」
無論、イスカンダルに対する激情を示すのは、ジズだけではない。アンディア・ラムパデス(砂塵の戦槍・g09007)は壁の向こうの大王に対し、猛烈な殺意を叩きつける。
亜人を強く憎む彼女にとって、断片の王たるイスカンダルはその元凶。決して許せる相手ではない。許されるなら今すぐにでもその獅子の顔に、一太刀叩き込んでやりたい。
だが、親衛隊を無視して王のみを狙うのがどれほど無謀であるかは、不本意ながら理解している。煮え滾る激情を懸命に押さえつけ、ホプリタイへと視線を向ける。いや、睨みつける時間すら惜しいと、ジズの風がもたらす【先攻率アップ】を背に受けながら、叫びと共に突撃する。
「まずはそこで見ていろ! 少しでも、一歩でも速く、貴様への道をこじ開けるっ!!」
「ディアボロス如きが良い気になるなよ。貴様らなど、大王のご尊顔を仰ぐ事すら畏れ多いわ!」
対するホプリタイは盾を構え、その守りをより一層に強固とする。どれほどアンディアが殺意を研ぎ澄ませようと、正面からでは為す術なく、へし折られてしまうだろう。
「ちっ、邪魔を……だが、それほど守りを固めているなら、動きは鈍かろう!」
対してアンディアは咄嗟に横に跳びながら、手にした盾を投擲する。湧き上がる自身の怒りと屈辱を、魔力に変えて放つ飛刃。単身ゆえの小回りを生かし、端から順に削り取らんと目論んで。
「舐めるな、ディアボロスっ!」
「っ!? ぐ、ぅっ……!?」
だがホプリタイはその動きに合わせて一斉に向き直り、こちらの盾を受け流す。さらにそのまま突撃で間合いを詰められ、アンディアの身に槍が突き立てられた。
重装ゆえ、集団ゆえの足回りの遅さは、高度な連携と技量によって補われている。こちらが機動力を生かした所で、撹乱するのは難しい――。
『いや、間違っちゃいないはずだ……!』
一瞬そう考えたアンディアの元に現れるのは、【パラドクス通信】の通信機。それを呼び出したゼキは、アンディアとは反対側に回っている。
手にした金属塊をパラドクスで弓に変えれば、番えたその矢は上へと放つ。電光石火と鋭く舞い上がった矢は天で弾け、雷となってホプリタイに降り注いだ。
「コイツをただの矢だと思うなよ、この地を踏み荒らしたお前らへの裁きの雷さ!」
「ぐぅっ……小癪なっ!!」
逆方向からの攻撃、さらには空から対地と言う意表をつく起動。それに対してなおホプリタイは対応し、しっかりと盾を掲げて受け止めながら、進撃してこちらの身体に槍を突き立ててくる。
咄嗟に回避しようとするゼキだが、完全には避けきれず、その身体から血を溢れさせ。
「っ……流石に、歴史に名高い重装歩兵の名を持つだけあるぜ。だが……!」
だがそれでも僅かに、対応は遅れている。盾に防ぎきれぬ一部の矢が、ホプリタイの身体に突き立った。やはりこちらの機動力による撹乱が、通じていないのではない。
「ようは弱点を突いてようやくこの強さって訳だ……全く、その名に恥じぬ猛者達だよなっ!」
『なるほどな……!』
相手はイスカンダルの前座などではない、鉄壁の親衛隊。断片の王の守りを任されたその力は、トループスの域を大きく逸脱している。いや、むしろ親衛隊として戦うために、敢えてトループスに留まっているのだろうか。
だがそれがどうしたと、アンディアは獰猛にその目を見開く。肩口の槍傷も、意に介さない。
「ならば、その盾が砕けるまで削り取るまでだ!」
一度で通じぬのならば、通じるまで攻撃すればいい。手足が動き続ける限り、何度でも。
もちろんそうは言っても、その覚悟だけでは壁は越えられない。だが、相手に優れた統率があるように、こちらにだって仲間がいる。
「これまでこのディヴィジョンにはあまり関わってこられませんでしたが……この一大決戦、お手伝いさせてもらいます」
音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)がパラドクスによって生み出すのは、雷の化身たる鳳凰だ。陰陽木行の雷術に孔雀明王法と妖精の補助を重ね、式神として顕現させる。
「……少し、断片の王イスカンダルに会いたい理由も出来ましたし。――行きますよ!」
「っ、むぅっ……!!」
それは文字通り雷の速度でホプリタイへと迫るが、やはりその盾によって受け止められた。だが、さらに矢継ぎ早に嘴や爪を繰り出させ、相手に対応を強いる。
速度を生かして纏わり付かせ、間合いの内側に潜り込むように。過度に近い間合いならば、槍を得物とする相手は対応しにくいはず。
「思い通りには戦わせませんよっ!」
「ならば……こうすればいいのだっ!」
だが対するホプリタイは鳳凰への対応を盾のみに留め、その槍の切っ先は華楠へと向けて来る。どれほど鳳凰が目の前で飛び回ろうと、反撃の対象はそちらではなく、パラドクスの行使者であるディアボロス。
「伸びろっ!」
「っ、がっ!?」
どれほど距離を取ろうとも戦場に立てば、パラドクスからは逃れられない――それが逆説連鎖戦の法則。ましてやホプリタイの得物は、魔法によって伸縮する長槍(サリッサ)だ。
離れた華楠の身体にその切っ先が突き立てられ、強烈な電撃が流し込まれる。声にならない呻きを漏らすと、その口から苦悶の血が零れ落ちる。
「ぐっ……雷の魔力を帯びた長槍かですか。私も雷使いの端くれ、対抗心が沸きますね……!」
「ちぃ……っ!?」
だが、なんとか耐えて踏みとどまり、鳳凰の操作を続ける華楠。敵の意識がこちらに向いたのならば、その分防御は疎かになるはず。
それでもホブリタイは巧みな盾捌きで、その攻撃を防ぎ続けてくる。だが流石にディアボロスの攻撃全ては防ぎきれず、その身体へと徐々に、傷が蓄積し始めて。
「ここで、畳み掛ける……ゼキッ!」
『おうともっ!』
その隙を、逃す訳にはいかない。【パラドクス通信】を通して呼びかけたジズの声に、ゼキがその弓を引き、空へと矢を放つ。もちろんそれは上空で弾けると、雷の雨となって降り注ぎ。それに合わせてジズの方も、斧からさらなる炎風を放つ。
「流石にここまでやりゃ、防ぎきれないだろっ!?」
「があっ……こ、のっ……ディアボロス……めっ!」
異なる方向から、同時に繰り出される攻撃。それはついにホプリタイの防御の限界を越え、その身体に直撃していく。ついに数人が地に伏して、緻密な密集陣形が崩れた。
「まだだ、立て直せっ!」
「ぐっ……そうは、させるかっ!」
それでもホブリタイは、すぐに陣形の穴を埋めようと動く。同時に反撃も怠らず、ジズの身体が再び電撃が灼かれて。だが相手がようやく隙を見せたこの場で、倒れる訳にはいかない。
踏み留まって炎風を巻き起こし続け……そしてもちろん他のディアボロスも、一気に攻めかかる。
「瑞鳳、畳み掛けなさいっ……!」
「ぐっ、させるかっ……我らが倒れる訳にはいかぬ! 大王をお守りするのだ……!」
鳳凰が羽ばたきと共に距離を詰め、ホプリタイの身体に爪を突き立てる。反撃は直撃を避け、それでも電撃には身を焦がされるが、懸命に踏みとどまって。
「雷使いの意地です。雷で倒れる訳にはいかないでしょう……!」
「がっ、おの、れっ……!?」
そして鳳凰の操作も止める事なく、弱った相手から狙い、敵の数を減らしていく。優れた連携こそが、ホプリタイの最大の武器であるならば。
「数を減らせば、あなた達の強さは崩れるでしょうっ……!」
「だが安心しろ。ひとり残らず、殺してやるっ!」
アンディアもまた自らの傷を顧みず、その意地をもって身体を動かす。盾で相手の槍を受け止めながら、その盾を投じて斬り裂いて。そんな激戦もようやく、その天秤が傾き始めた。張り巡らされた残留効果も、ディアボロスの助けとなって。
「ディアボロス……通す訳には……いかぬっ……があぁっ!」
「いいや、通してもらうさ……こっちは、お前さん達の大将に用があるっ!」
ゼキの放った矢は軌道を変えて側面からホプリタイを狙う。本来その矢を防ぐべき相手の仲間は、もう存在しない。もはや彼らに趨勢を覆す力はない。
それでもどれほど数を減らそうと、その気迫が衰える事はない。最後の一兵卒となるまでイスカンダルを守って見せると、高い忠誠心を示し続ける。
「お前達が……人々を『消費』して生み出された兵でなければ、なっ!」
「がぁあっ……!!」
その忠誠を、ジズは認める訳にはいかない。残る僅かなホプリタイを、炎風が薙ぎ払い、焼き尽くしていく。彼らは最期の瞬間までこちらを見据え、一人でも道連れにしようとこちらに迫り続け。
「イスカンダル、様……力及ばず……申し、訳……っ!」
そうしてついに彼らは一兵残らず、その大地へと崩れ落ちた。
ようやく激戦が終わり――否。もちろん、終わってなど、いない。
「さあ、今日が貴様たちの終わりが始まる日だ!」
「次は、大将の出番だぜ……!」
アンディアが、ゼキが。この場に集まる、あるいは集まろうとしている全てのディアボロスが。
そちらへと、視線を向けていく。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【猫変身】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【照明】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【命中アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!
「我が親衛隊をも倒すか。見事なものだ」
そうして彼は、閉ざしていたその口を開いた。
響き渡る声は厳かに。まるで声自体が質量をもって、ディアボロスにのしかかるかのようだ。
「だが、それだけで納得しているはずもあるまい。目的は、我の首であろう?」
獅子の瞳はゆっくりと、ディアボロス達をゆっくりと見渡していく。
親衛隊と言う壁を失い、だが彼の威風は、衰えるどころかむしろ増したようにすら感じられる。
「我はここで死ぬ訳にはいかぬ。我はイスカンダル。我こそが、蹂躙戦記イスカンダルそのものなのだから」
その言葉は、何ら大言ではない。このディヴィジョンに、彼以上の存在はない。ゆえに彼の命を奪うことこそ、この地の奪還に直結する。
もちろん、今回それは不可能ではある。イスカンダルは逃走の手段を用意している。
だが、もし仮に相手に逃げる手段がないとしても、それで本当にこの大王を打ち取れるものか。
そもそも今この場で退却に追いやる事すら、果たして可能なのか。
「ゆえに相手をしてやろう、ディアボロスよ。この苦境を乗り越え勝利してこその、唯一絶対の王なのだから」
いや、成し遂げなければならない。この大決戦の勝利のために、ディアボロスはこれまで戦い続けて来たのだ。
大帝の剣を構え、こちらを迎え撃つ体勢を取るイスカンダル。その王威がどれほど強大であろうとも、ここで退く事は出来ない。
「イスカンダルの力、その身に刻みつけるが良い」
手にした『大帝の剣』をゆっくりと持ち上げ、イスカンダルはディアボロスを睥睨する。
最強たる断片の王との戦いが、その幕を開けた――。
アンゼリカ・レンブラント
暴虐なる亜人の王を否定する言の葉を紡ぐのは
きっとこの地で長く戦った仲間の役割
自分は己の役目を果たそう
私は撃竜騎士アンゼリカ
望むは貴方の想像通り、大王の命
いざ参りますッ!
何度も斬りこめるとは思わない
己の最強パラドクスで挑む
共に攻める仲間がいれば可能な限りタイミングを合わせ
呼吸を整え、身体を勇気で満たし
全身全霊の《神焔収束斬》でいざ斬り込む!
積みあがった《命中アップ》は裏切らない
必ず一打は叩き込む
私の光よ、心の焔よ
奪還の志と共に、最大まで輝けぇーっ!
ドイツ皇帝、アーサー王
断片の王にこれまでも私は常に真っ先に挑んだ
ディヴィジョン最高戦力の技はそのものが重要な情報
受けて復讐者全体の勝利の為倒れるは誉れ
また、倒れること自体が目的でない以上
全力で「次」に繋げるッ
収束斬を叩き込んだ衝撃の反動を利して一撃離脱
間合いを離すと共に障壁を全開にして
大王の『大帝の剣』を致命打とはさせない
倒れるなら、前のめり
でも立っているなら
亜人には屈しない、
その意思を示し剣を引き続き構える
まだまだ、復讐者の攻めはこれからだよ!
湯上・雪華
連携、アドリブ。怪我描写歓迎
断片の王と相対できる機会は貴重ですから
威圧に怯んでいられないけど、振るえる身体を隠して
どこまでも不敵に、大胆に笑いましょう
渇望抱く伽藍、参ります
攪乱するように動きましょう
【飛翔】も交えて動き回れば意表を突けるかな
相手の動きを注視し【先行率アップ】で先手を打ちたいですね
攻撃の始点を邪魔するように【命中アップ】も重ねて『空虚』で攻撃を仕掛けましょうか
ヘイトを稼ぐとしてもそれで僅かな隙に繋がれ充分です
その隙を復讐者が見逃すはずないですもん
【ダメージアップ】を乗せた渾身の一撃をお見舞いしてあげますよ
攻撃後は【飛翔】で離脱を、そのままは的ですからね
反撃に対しては致命傷を避けるように立ち回ります
炎の塊なら【火炎使い】の知識から炎の薄い所を見極めて斬れるはず、たぶん
雀の涙でも【グロリアス】で回復できれば、多少なりともマシかな
ほんの些細な一撃にしかならないかもしれない
でも、積み重ね、繋いでいくのが復讐者の戦い方です
その首、欲しいけど、次に繋げれば私の戦果としては充分なんですよ
八栄・玄才
うぉぉぉ……っ、なんつー威圧感、今まで戦争なんかで相見えた断片の王と比べても、際立った"暴"の気配……
これが、この獅子が、蹂躙の王、イスカンダル!!
走り寄り、真っ向から挑みかかる
細工もなしに突撃するのは蛮勇か――、否ッ!
己の得意な型での全身全霊、それこそが最適解と、拳士の本能が知っている!
正面から行くヤツがいてこそ、側面から叩くタイプのディアボロスの手も活きるだろうしな
初手から奥義を
お前がこの世界そのものだというのなら、こちらが放つは界砕く一撃
とにかく前へ
蹂躙の剣撃をまともに受けたら木っ端のように吹き飛ばされて終わりだろう
前へ踏み込みクリーンヒットを避ける
オレ達が六度でようやく切断できたゴルディアスの結び目も、きっとコイツなら切れ目を毛羽立たせることもなく一閃で両断するのだろう
だけどそれでも殺されてたまるかと、静電硬気で身を守りながら前へ
懐に入れたら既に残留した分に更に重ねた《命中アップ》の効果を帯びた拳で敵の存在の真芯に『界砕き』を
さあ、断片の王の内包する世界の手触りはどんなモンだ!?
ゼキ・レヴニ
肌で感じる
死に物狂いで斃すつもりでなけりゃ対峙すらできん相手だと
ならば震える声をガスマスクで、冷えた汗は軍服で、腕は銃剣で覆い
一個の鋼の兵たる【ネメシス】と成る
史実の大王は東征から引き返して病であっけなく死んだ
なら、此度はおれたちがお前の「病」だ
奪った歴史の重みを
蹂躙した魂の痛みを
てめえの身で知れ、イスカンダル…!
間違いなく重い一撃を耐久するより短期戦に賭ける
征服より恐ろしい夢を見せてやる…きょうだい達、力を貸せ
『瓦斯灯』を発動
地を這う亡霊兵達に敵の足を縋らせ動きを鈍らせる事で【命中アップ】を更に重ね
アサルト以上の確立を上げダメージ増と反撃軽減を狙う
敵の角や剣が光る等雷撃の予兆があれば全身で喰らわん様【飛翔】の速度で離れ
雷撃使いの知識を元に改良した機械脚で雷撃を地に受け流す
バカデカい剣を振り上げ・下ろした直後に少しでも隙が生まれるなら
亡霊に刃を押さえさせ懐に飛び込み腹に銃剣を突き刺してやる
聞け!彼方の剣戟の音を
あれはてめえの部下が死んでく音だ
援軍など来ねえぜ
復讐者の本気ってモンを思い知れ
「うぉぉぉ……っ、なんつー威圧感、際立った“暴”の気配……これが、この獅子が、蹂躙の王、イスカンダル!!」
イスカンダルの王威を前にして、汗を滲ませる八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)。喉の乾きを覚え、知らずのうちに唾を呑み込む。
その反応は他のディアボロスも、似たようなものだ。ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)もその肌で感じ取る。目の前に立つ王は死に物狂いで斃すつもりでなければ、対峙すら儘ならぬ相手であると。
「――――」
だがそれゆえにこそ、ゼキの頭は冷えていく。震える声をガスマスクで、冷えた汗を軍服で、粟立つ腕を銃剣で。そうやってその全身を、復讐によって覆い尽くす。
そこにいるのは、ただ一個の鋼の兵。ネメシスとなったゼキは、王威に抗う強い怒りを呼び起こす。
「史実の大王は東征から引き返して病であっけなく死んだ。なら、此度はおれたちがお前の『病』だ」
「確かにな。ディヴィジョンを蝕む病巣……それこそがお前達だ。ならば、切除せねばなるまい」
だがイスカンダルはその溢れ出る強い怒りに対して、その毛一本すら揺らす事はない。ディアボロスの敵意を総身に受けてなお、泰然自若としてそこに立つ。
この大樹の如き王を揺らがすためには、幾千、幾万の言葉でも不足。ただ、その力をぶつけるしかない。
「奪った歴史の重みを。蹂躙した魂の痛みを。てめえの身で知れ、イスカンダル――!」
宣言と共に、イスカンダルへと間合いを詰めんとするゼキ。同時に、幾人かのディアボロスが同時に行動を開始した。
玄才はただ駆け出し、真っ向からイスカンダルへと突き進む。
(「細工もなしに突撃するのは蛮勇か――、否ッ!」)
断片の王を相手にして、生半な小細工など通じるものか。己の得意な型での全身全霊、それこそが最適解。そう告げる拳士の本能に従い、恐れを覚悟でねじ伏せて前に進む。
さらに、それにタイミングを合わせる事で、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)も踏み込んでいく。
「私は撃竜騎士アンゼリカ。望むは貴方の想像通り、大王の命、いざ参りますッ!」
彼女に、イスカンダルを否定する言葉はない。それはきっと、この地で長く戦った仲間の役目だから。自分の役割は、そんな仲間達を助け戦う事。
ゆえにただ、高らかに名乗りを上げる。そして大きく息を吸い込む事で、酸素と共に身体に勇気とオーラを行き渡らせ、王威の重圧に抗う。
勇気は輝く神火となり、神火は大剣の形を取った。それを構えて、真っ向から突き進む。
(「ディヴィジョン最高戦力の技はそのものが重要な情報。受けて復讐者全体の勝利の為倒れるは誉れ……!」
ヴィルヘルム2世との、アーサー王との。断片の王の戦いにおいて、彼女はいつだって真っ先に挑んだ。
たとえそれが力及ばずとも、己の戦いに続く者がいるはず。そう信じているからこそ、覚悟を決められる。
(「もちろん、倒れる事自体が目的じゃないけどねっ……全力で「次』に繋げるッ!!」)
「断片の王と相対できる機会は貴重ですからね……怯んでなんていられない」
そうして2人が間合いを詰めるのに対し、離れて間合いをはかるのは湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)。震える身体を隠すように、大胆不敵な笑みを浮かべる。
「渇望抱く伽藍、参ります」
ここは敵陣真っ只中、どこから視認される――つまりパラドクスの対象となるか分からない以上、高く飛ぶ事は出来ない。だが低空でその速度を活かし、イスカンダルの意識を撹乱しようとする。彼我の間合いを図りつつ意表を突こうと――。
(「――あ、これ駄目だ」)
そしてその瞬間、雪華は唐突にそう悟った。
パラドクスが射程の概念を持たない逆説連鎖戦においては、【飛翔】の距離も速度も防御として絶対ではない。とは言ってもそれは理論上の話、通常ならば、高速で動く相手を捕捉するには相応の意識を割く必要があろう。
だが此度の相手は断片の王、イスカンダル。無論、通常の相手ではない。相手の動きを注視していた雪華は、自分の動きがイスカンダルに完全に把握されている事を確信する。
どれほど速く、どれほど機敏に飛び回ろうとも、この相手を前にしては棒立ちとさして変わるまい。飛び回る鬱陶しい虫を焼き払わんと、大王の身から炎が立ち昇らんとして。
「ならばっ……!」
瞬間、意識を切り替える。こちらが先手を取る気なら、飛び回っている暇などない。
妖刀の切っ先をイスカンダルに突き付け、呪詛を行使してイスカンダルに働きかける。禍々しき渇望が王を喰らわんと、解き放たれた。
「太陽の前に、滅びよ」
「っ……!!」
次の瞬間、雪華の全身が炎に包まれた。まさに地上に太陽が現出したが如き、眩いほどの灼熱。
炎の薄い所を見極めて斬るなどと、なんと甘い考えだったか。太陽に弱点などなく、仮にあったとして、それは人の身で断てるような物ではない。
(「これは……どうしようもないですね」)
どれほどイスカンダルから離れようと、この炎からは逃れられまい。自らの身体が燃え尽きていくのを、諦念と共に受け入れる雪華。
イスカンダルの力を侮っていた訳ではない。だがそれは思った以上に圧倒的で、彼女の力など、ほんの些細なものでしかなかった。
(「……でも、積み重ね、繋いでいくのが復讐者の戦い方です」)
だがそんな些細なものでもイスカンダルを呪詛が捉え、そしてこちらにイスカンダルの意識を引き付けた。その刹那を、彼女の仲間達は逃さない。力の片鱗を見てなお恐れずに立ち向かう彼らの姿を、炎の向こうに見やり、自分のやるべき仕事は果たしたと薄く笑みを浮かべる。
(「その首、欲しいけど、次に繋げれば私の戦果としては充分なんですよ」)
まあ出来るならもう少し戦っていたかったのも本音だけれども、それは信頼し、託すとしよう。己がもたらした結果がどう繋がるかを見る事なく、雪華の身体は新宿島へと送還されていく。
「これは耐久は無理だな……ならば……!」
一方でその生じた隙を押し広げるべく、ゼキはパラドクスを発動する。雪華の先ほどの姿を見れば、イスカンダルを相手に長期戦など間違いなく不可能だろう。
短期戦に賭けて、仕掛けるしかない。ネメシスの力を最大限に解放し、彼は地中より瓦斯(ガス)の靄を呼び起こす。
「征服より恐ろしい夢を見せてやる。きょうだい達、力を貸せ……!」
靄の正体は、無数の兵の魂だ。塹壕に散ったゼキの『家族』達が、形を取ってイスカンダルにまとわりついた。脚を封じたその隙に、銃剣を構えて突撃する。
もちろん他のディアボロスも、同時に間合いを詰めている。いの一番に接敵するのは、何も考えず、ただ愚直に突き進んだ玄才だ。下がる事は考えない。大剣の間合いの内へと潜り込むべく、イスカンダルを前にむしろ加速して。
「お前がこの世界そのものだというのなら、こちらが放つは界砕く一撃だ……!」
力強い踏み込みと共に、己の全てを右腕に集中する。力強く突き出したその掌底が、イスカンダルの身体に触れた。
その気迫とは裏腹に着弾の衝撃音は小さく鈍いが、それは、威力が低い事を意味しない。外に逃げる衝撃を最小限に抑え、全てを相手の存在の、その真芯へと浸透させる八栄流の奥義。
「さあ、断片の王の内包する世界の手触りはどんなモンだ……!?」
「私の光よ、心の焔よ。奪還の志と共に、最大まで輝けぇーっ!」
そしてそれとタイミングを合わせ、衝撃がイスカンダルを貫くその刹那、アンゼリカが光焔の大剣を振り下ろさんとする。それもまた彼女が振るう事が出来る、最強のパラドクスだ。何度も打ち込む機会が与えられるとは思えない、ならばこの一撃に全てを篭める。
己の勇気の全てを焔に焚べて、聖姫の神火が燃え盛る。それをただまっすぐに、イスカンダルめがけて叩きつけた。
そして。
「がっ……!?」
「あああっ!?」
大帝の剣が、大上段から振り下ろされて。玄才の身体がねじ伏せられ、アンゼリカの身体が吹き飛ばされていく。
懐に潜り込んだから、なんだと言うか。王の大剣は、その程度の間合いなども苦にせぬ。
衝撃の反動による、一撃離脱。そんなもので、王の御前から逃れられると思ったか。
圧倒的な蹂躙の力が、2人のディアボロスを叩き潰す。
「だから、どうした……!」
それに怖気づく事なく、ゼキはまっすぐに踏み込んだ。振り下ろされた大剣を、亡霊達に抑えさせて。こじあけたその隙めがけ、その腹に銃剣を突き立てた。
鎧の硬い感触。さらに押し込まんと、力を篭めて。
「っ、があああっ!?」
そして雷霆が、彼の身体を焼き焦がした。わかりやすい攻撃の予兆などない。有ったとて、雷から逃げる術などない。
離れ逃れようとするその動きごと、雷霆は彼を呑み込んだ。全身から白煙を噴き上げながら、大地へと墜落する。呼び起こした霊達も、その余波だけで吹き散らされた。
「ディアボロス。お前達の群の力、なるほど、我が考える以上の脅威やもしれぬ」
そうして倒れたディアボロス達を、イスカンダルは泰然と見下ろす。その巨躯は、後退りすらしていない。征服者の大王は、依然としてそこにある。
これが、イスカンダルの力。それを見せつけ、だが誇るでもなく、ただこれが当然の事実であると、そう告げる。
「だがお前達の個の力など、我には遠く及ばぬ」
「どう、かな……っ」
だが、その降り注ぐ言葉に対し、アンゼリカは懸命に声を振り絞る。受けたダメージは重く、身体の自由が効かないが、まだ意志は潰えてはいない。
痛みに震える身体を懸命に動かし、立ち上がろうとし続ける。
「私はまだ、終わって、ない、よっ……! だから、効いてない、訳じゃないっ……」
イスカンダルの大剣が十全に振るわれていれば、今頃アンゼリカの身体はとうに新宿島に送り返されていただろう。
ならば口火を切った雪華の呪詛は確かに隙を作っていたし、後に続く攻撃も、僅かに相手の攻めを弱めていたはず。
断片の王とて、決して無敵でも不死でもない。ディアボロスはこれまでにそれを証明して来たし、そしてこれからも、それを証明するだけだ。
「ふむ……」
だがそんなアンゼリカの言葉に、イスカンダルは己の足元を一瞥する。そこに倒れているのは、玄才だ。
退こうとした他の2人はともかく、前に進む事だけを貫いた彼は、イスカンダルの暴威から逃れる事は出来なかった。その身体は深々と斬り裂かれ、すでに動かない。
「はっ……だが、悔いはねぇよ……」
それでも彼は笑みを浮かべ、己の右の掌に意識をやる。あの時触れた物こそが、断片の王の――世界そのものの感触。それはあまりに巨大で、彼では到底及ばなかった。
しかし、届かなかった訳ではない。彼の渾身は確かにその片鱗に触れ、僅かなりとも揺らがせた手応えも残っている。
それに彼が果敢に懐へ踏み込んだからこそ、イスカンダルはそれを確実に仕留めるべく集中して力を振るい、それが他の2人を僅かなりとも守った、と言う側面もあるだろう。ならば、今はこれでいい。
「だが悪ぃ、後は任せるわ……」
そうして玄才の身体もまた、新宿島へと送還される。それを悠然と見下ろすイスカンダルへ、ゼキが懸命に声を振り絞り。
「聞け! 彼方の剣戟の音を。あれはてめえの部下が死んでく音だ……!」
こちらもアンゼリカ同様、倒れてはいるがまだ送還はされていない。全身に滞留する雷霆の痺れに耐え、イスカンダルへと言葉をぶつけていく。
「援軍など来ねえぜ。復讐者の本気ってモンを思い知れ……!」
「まだまだ、復讐者の攻めはこれからだよ……!」
アンゼリカもそれに言葉を重ね、その決意を口にする。まだ、戦いは始まったばかり。
だが、イスカンダルは動じない。再び大帝の剣を構えると、ディアボロス達をゆっくりと見回した。
「そうか。ならばその本気とやらの全てを、蹂躙し尽くすまでのことだ」
●リザルト
『湯上・雪華(悪食も美食への道・g02423)は重傷を負った』
『八栄・玄才(井の中の雷魔・g00563)は重傷を負った』
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【一刀両断】LV1が発生!
【腐食】LV2が発生!
【隔離眼】LV1が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】がLV5(最大)になった!
音羽・華楠
……すみません。
これは私の我が儘です。
酷く個人的な理由で、イスカンダルへ挑みます……!
お初にお目に掛かります、イスカンダル。
まさか――断片の王にもう一人雷使いが居るとは!
申し遅れました、私は音羽華楠。
雷使いの端くれとして、あなたに雷での勝負を望みます!!
ネメシス形態発動。
狐耳と尻尾が消え、黒髪黒瞳の人間の姿に。
これより私が使うのは、かつて機械化ドイツ帝国の断片の王、ヴィルヘルム2世へ放ったパラドクス――
……彼は、あなたと同じ雷使いの断片の王でした。
私の雷を真っ向から受け止め、打ち破った、私が知る限り最強の雷使いです。
……あなたは、彼を超える断片の王であり、雷使いでしょうか?
ヴィルヘルム2世が打ち破ったこの技で、確かめさせて下さいな!
――《雷幻想・閃耀》!!
私の最強のパラドクス、魔術的荷電粒子砲を掛け値無しの全身全霊で以って撃ち放ちます。
イスカンダルの反撃への対処は、思考から捨てましょう!
防御とか回避とか、そんな雑念があっては断片の王には届きません!!
さぁ――我が『赫雷』、見せましょう!!
「……すみません。これは私の我が儘です。酷く個人的な理由で、イスカンダルへ挑みます……!」
圧倒的な強さを攻めたイスカンダルに対し、攻め方を探るディアボロス達。
だがそこで音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)が、仲間達に謝りながら前に出た。
「お初にお目に掛かります、イスカンダル まさか――断片の王にもう一人雷使いが居るとは!」
狐の耳が、尾が失われ、髪も瞳も黒く染まっていく。そこにいるのは、一人の人間の姿。ネメシスとしての彼女は堂々と、イスカンダルの前に立つ。
「申し遅れました、私は音羽華楠。雷使いの端くれとして、あなたに雷での勝負を望みます!」
イスカンダルからの答えはない。だが、その沈黙を肯定と捉え、彼女は陰陽符を展開していく。
木行を核に、火行、土行、金行を組み込む。その術式を支えるのは、妖精達の補助。
「これより私が使うのは、かつて機械化ドイツ帝国の断片の王、ヴィルヘルム2世へ放ったパラドクス。彼は、あなたと同じ雷使いの断片の王でした」
その術を準備する間、華楠は静かに、イスカンダルへと語りかける。答えは帰ってこない。だが構わない。
先に、仲間達に謝った通り。これは、彼女が納得するためだけの行いだ。
「私の雷を真っ向から受け止め、打ち破った、私が知る限り最強の雷使いです。……あなたは、彼を超える断片の王であり、雷使いでしょうか? ヴィルヘルム2世が打ち破ったこの技で、確かめさせて下さいな!」
重金属粒子を生成し、帯電させ、手足する。超高電圧をかける事で、指向性を持たせていく。
術式は陰陽の技、支えるは妖精の力。されどそこに実現する力は、科学――それを人は『荷電粒子砲』と言う。
「さぁ――我が『赫雷』、見せましょう!!」
そうして、光は解き放たれた。灼熱のビームとなって、真っ直ぐに突き進む。直撃すれば原子崩壊をもたらすその光が、イスカンダルの身体にぶつかって。眩い輝きの中に、その身体が消えていく。
そして。
「断片の王の力を測らんとするその行い。不遜である」
「っ……!」
その光の向こう側から、厳然たる宣告が響く。イスカンダルの両角と剣、その三点から放たれる輝きは、赫雷の輝きの向こう側にあってなお、こちらの目を灼くほどに眩い。
「そして何より、蛮勇である。お前の雷が、我に届く事はない」
ヴィルヘルム2世とイスカンダル、どちらが雷使いとして上か。それを図ろうとした華楠だが……ダーナなど一部の例外を除けば、ほとんどの断片の王の力は、個として一つの頂点にある。
そこにあって多少の差があろうとも、果たして何の意味があろうか。そしてただ一人のディアボロス程度が、隔絶した頂点の力を測るための物差し足り得るものか。
「ゆえに、我が雷霆の裁きをもって贖いとせよ」
「これが……イスカンダルの雷……!」
華楠一人では、どれほど力を振り絞ろうとも到底届かない、それだけが、厳然たる事実である。
迸る雷霆がこちらの赫雷を貫き、華楠の身体を呑み込んだ。全身を駆け抜けるその雷撃の痛みを、彼女はその心身に刻みつけ、記憶する。
そして雷が通り過ぎた後、彼女の身体は新宿島に送還され、そこには残っていなかった。
●リザルト
『音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は重傷を負った』
苦戦🔵🔴🔴🔴
シャムス・ライラ
流石に「大王」の風格
立っているだけで総毛立つ
しかし、我等は積み重ねる
一歩また一歩と
力の差は歴然だが
あくなき挑戦が断片の王の脅威となるだろう
《パラドクス通信》で攻撃タイミングは仲間と合わせ連携
続く仲間にも連絡を
仲間とは別方向から仕掛ける
戦場に立ち込める砂煙に紛れ
双刀に猛毒を滾らせて
狙いを定め一心に駆け
己を刃と化す
ふいに身を低くして
【スコルピオンスティング】
足元に滑り込むように接敵し《捨て身の一撃》
すれ違いざまに
双刀で挟み込むように深く切り裂いてやる
敵攻撃は攻撃範囲が広く回避は困難だろう
走り込んだ速度のまま
ふいにクイックターン
横跳びに方向転換
視線を引き付けることで《攪乱》
まともに喰らわぬよう
素早く防御態勢で
可能な限り直撃を防ぐよう動く
敵が向きを変えたことで背中があいた
この好機を繋いでくれ
如何に大王が大きく強くとも
足掻き、重ねて行こう
《ロストエナジー》毒がじわじわと体を蝕み
仲間達を勝利へと導くことを願う
…王は毒で暗殺されることもままあるだろう
個の力が及ばぬなら
束ねた力で対するだけ
ジズ・ユルドゥルム
【轍炉】
奴に言いたいことが、山ほどあったはずなんだが
身震いと一緒に吹き飛んでしまった
これまでのことを思い出す
カナンの地で産まれた赤ん坊のちいさな手
バビロンの娼館の死臭
高原を埋め尽くす、亜人の軍勢
積み上げてきた想いも、隣に立ってくれる戦友も居る
何も、畏れることはない
クロノス級マミーの「ネメシス」に変容する
ゼキ。まだやれるか。
「砂嵐・骨断」を起動
戦場を砂塵で覆い、私の姿を紛れさせる
奴から隠れるのは無理だろう。だが「私が不意打ちを狙うかに見える状況」を作れれば良し
追い風を背負い疾走し
腕に砂塵を集め、接敵の直前まで砂嵐を凝縮し続け
【ダメージアップ】を乗せた全身全霊の貫通撃を、正面から王へ叩き込む!
雷撃は砂塵を盾とし、一撃で斃れるのだけは避ける
務めを果たすまでは…半身が灰になっても、戦場にしがみ付くッ!
私は囮だ。小細工の砂塵も、全力の砂槍も、両方な
刻んでやれ、ゼキ!!!
奴に届かせたいのは言葉じゃない
世界を、イスカンダルを必ず滅ぼす。その意志だけだ
誰かが意思を届けられれば良し
それが、私でなくてもな。
ゼキ・レヴニ
【轍炉】
血反吐吐いても笑って宣おう
…ああ、まだやれるぜ
【ネメシス化】の能力値上昇の恩恵を得てジズを【ディフェンス】
死線に近づく程に、身の裡に膨れ上がる力を感じる
それでもあと耐えられるのは…いや、何撃でも耐えてみせる
奴の技能を同等に備えはしたが、それでも避けられんなら受け切るまで
斃れた者達が紡いだ細い糸。そいつを繋いで勝利を手繰り寄せる為に
傍らの友と、戦友達を前へ送り出す為に
戦場に砂塵が吹き荒れれば、言葉を交わさずとも狙いを理解する
絶対的な強さの「個」に対抗する術を
狩人の記憶を金属塊『躯』に投じ、鉄爪を具現化
身を低く砂塵に紛れ、イスカンダルをジズと挟み込む位置へ回り込む
――任せろ、ジズ!!
積み上げた効果、ネメシスの力へ更に【能力値アップ】を重ね
正面を砂槍が穿つのに合わせ、後ろから全力の斬撃をくれてやる
先に察知された場合はおれが囮になり、ジズの全力を届かせる
味方とも連携、連撃意識
そう、誰が届かせてもいい
遥か過去から意思を紡いで、繋いで、積み上げ
届かせ、突き動かす!!
これが復讐者の戦いだ…ッ!
ただ在るだけで、ディアボロスの心を挫かんとする王威。その風格を前にして、シャムス・ライラ(極夜・g04075)は全身を総毛立たせる。
だが、それは退く理由とはならない。どれほど強大な相手であっても、彼が歩みを止める事はない。
(「我等は積み重ねる。一歩、また一歩と。あくなき挑戦が、断片の王の脅威となるだろう」)
心の中で唱えたその言葉は、自分に言い聞かせるための言葉でもある。相手との力の差は歴然、だがだとしても決して、届かぬ訳ではないはずだ。
ジズ・ユルドゥルム(砂上の轍・g02140)もまた、イスカンダルの王威を浴びる者の一人。こみ上げる緊張と恐怖にその身を震わせ、乾いて張り付いた喉に唾液を送り込む。
(「奴に言いたいことが、山ほどあったはずなんだがな……」)
実際に対峙すれば、そんな言葉の全てが吹き飛んだ。だが代わりに思い出すのは、これまでの戦いだ。
カナンの地で出会った赤ん坊の、なんと愛らしかった事か。バビロンの娼館の死臭を前に感じた、強い怒りを思い出せ。
そして高原を埋め尽くす、亜人の軍勢。それらを打ち破って、今ここにいる。
このディヴィジョンで積み上げて来た全ての思いが、彼女を支える。
「そうだ、何も、畏れることはない」
彼女の身体が、ネメシスへと変貌していく。身にまとうはマミーの姿――自らの命を一度奪い、そして次には彼女が宿縁を断ち切った、かつての宿敵の力。
恐怖はすでに無く、震えはすでに止まっている。……だが死地に踏み込むために必要な要素は、あともう1つ。
「ゼキ。まだやれるか」
「……ああ、まだやれるぜ」
そうして呼びかけた戦友――ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は、ボロボロの身体を引きずるように立ち上がった。イスカンダルの雷霆に晒されたその身体は、ネメシスの姿をもってしてもすでに限界が近い。ただ立つだけで、口から血の塊が溢れる。
次は耐えられまい――それを頭のどこかで感じながら、だが一時、それを打ち消した。今は考えなくていい。死地にあって身の裡に膨れ上がる力、ただそれだけに、身を委ねていればいい。
(「斃れた者達が紡いだ細い糸。そいつを繋いで、勝利を手繰り寄せて見せる……!」)
「よし。では……いくぞ」
そんな戦友の決意に背を押されるように、ジズはイスカンダルへと歩みを進めていく。もう何も畏れる事はない。パラドクスによって砂塵と風を呼び込み、自身の姿を、覆い隠す。
(「まあこの程度で、奴から隠れるのは無理だろうがな……」)
その砂嵐の中で、だがイスカンダルの視線はこちらを捉えている。それをはっきりと感じ取りながら、だが戦友は今頃、言葉を交わさずとも自分の意を汲んでくれているはず。
それを確信すると彼女は、追い風を背に受けて真っ直ぐに突き進んだ。砂嵐の一部を腕に凝縮させ、槍として研ぎ澄ませながら振りかぶる。
(「ああ、分かってるさ……」)
もちろんゼキは、そんなジズの狙いを理解している。砂嵐が生じた瞬間、彼はすでに駆け出していた。イスカンダルへ向けて……ではない。それを大きく迂回して、背後に回り込むように。
狙いは挟撃。前後から同時に仕掛ける事で、ゼキが不意を突く狙いだ。パラドクスによって手にした金属塊に狩人の記憶を投じれば、五指に鋭い鉄爪が伸びる。
そしてその不意打ちを成功させるため、ジズは正面からイスカンダルへと迫る。砂塵に紛れても隠れきれないが、不意打ちを狙っていると、そう見せかけるために。
「これで、貫く――!」
無論、囮と言えど全力だ。己が仕留めるつもりで、全身全霊をもって砂槍を突き出していく。イスカンダルのその鎧を貫かんと、真っ直ぐにその腹へ突き立てて。
「神なる雷の前に、焼け果てよ」
「くっ、がっ……!?」
そしてその報いとして、イスカンダルの雷霆が降り注いだ。張り巡らせた砂塵など、その前では何の盾にもならない。全身に焼けつくような感覚と強烈な痺れが走ると、苦痛にその目を見開いて。
(「まだ、だっ……半身が灰になろうとも、戦場にしがみついてやる!」)
だが、ここで倒れる訳にはいかない。自分の行動は囮、だがそれを果たす前に消えては、何の意味もない。ゼキが相手の背を斬り裂くまで、意地でも喰らいついて見せる。
そう考えてイスカンダルを睨んだジズの、そして背後から迫るゼキの、その身体を同時に、悪寒が駆け抜けた。
「それで、隠れたつもりか?」
「「っ……!」」
たとえ砂で身を隠そうと、捨て身で囮となろうと。その程度で断片の王の目を欺けるものかと、イスカンダルは背後に殺気を向ける。
戦場において一度対峙した相手を見失ってくれるほど、イスカンダルは甘い相手ではない。雷が、輝きを増していき。
「先に、仕掛ける……!」
だがそこで連携に割り込むように、横合いからシャムスがイスカンダルへと斬りかかる。二振りのシャムシールを握る両手に、大地を蹴る足に力を篭めて、足元への急襲。
イスカンダルは当然のように、こちらにも気づいている。それが証拠に砂塵の中から飛び出した彼へと、ギロリと視線が向けられて。
だがそれに構わず、彼はただ、真っ直ぐに駆けていく。狙いを定め、一心に。刃を振るうのではなく、己の身体を、刃とするかのように。
(「不意が打てなくても構わない……!」)
「ふん、鼠の多い事だ……!」
パラドクスによって滴るは蠍の猛毒、双刀で挟み込むように、イスカンダルの足元に斬りつけていくシャムス。
その直後、雷霆が彼を打ち据えた。咄嗟のクイックターンでも、当然逃れるには至らない。全身を貫く強烈な衝撃が、身体を焼き尽くさんと駆け抜ける。
「ぐ、ぁっ……!!」
その激痛に目を見開き、膝を折りそうになる。だがまだ、やるべき事を終えてはいない。
元より反撃を避けられるなどと、そんな事は全く思ってはいなかった。不意打ち出来ずとも、それでも仕掛けたのは、イスカンダルの注意を引き付けるため。
「っ……繋いで、くれ……!」
「刻んでやれ、ゼキ……っ!!!」
いかに強大なる断片の王であろうとも、1人より複数を相手にする方が、手を焼くに決まっている。ジズもまた執念をもって、イスカンダルの雷霆に耐え続けて。
そうして2人のディアボロスを雷霆が打つ間に、ゼキは大地を蹴って加速する。
「――任せろ、ジズ!!」
「ぬ……!」
意識がそちらに割かれている間に、その背中めがけて、全力で爪を振るう。イスカンダルの背負う豪奢な外套、そしてその向こう側の背中を、その十指をもって全力で斬り裂いていく。
……そして手応えを感じた、その直後。降り注ぐ雷霆が、ゼキを捉え、灼き尽くした。
「ゼキッ……!」
(「やはり、耐えられない、か」)
ジズの声を聞きながら、自らの身体が新宿島へと送還されるのを感じ取る。予想していた事だが、二度目の攻撃は流石に受けきれるものではなかった。
だが、これでいい。紡いで、繋げた。イスカンダルを倒すのは、自分でなくてもいい。
「復讐者の執念か。よく食い下がるものだ」
「如何に大きく強くとも、足掻き、重ねていけばいずれは届く」
言葉さえも、自分でなくていい。シャムスとイスカンダルの会話を聞くと、後に託す決意と共に、消えていくゼキ。そしてそれをちらとも一瞥しないイスカンダルへと、シャムスはなおも言葉をぶつけていく。
「個の力が及ばぬなら、束ねた力で対するだけだ。王は毒で暗殺されることもままあるだろう?」
「なるほど、確かに厄介ではある。ここまで我を、我が軍を追い詰めた、その束ねた力とやらはな」
ディアボロス如きと侮ったがゆえに、今がある。イスカンダルは素直にそれを認め、だが同時に、動じることなくこちらを見下す。
シャムスもジズも送還こそされていないが、大きなダメージを負っている事に変わりはなく。
「だが、足りぬな。我を討つには、この程度の束では足りぬ」
確かにディアボロスの全てが、ここに来られる訳ではない。戦いの中で積み上げられたその残留効果も、『絶対に勝てない戦い』を『非常に不利な戦い』に書き換える程度の物だ。シャムスが積んだ【ロストエナジー】も、イスカンダルにしてみれば、微々たる毒でしかない。
(「だが、私達だけじゃない」)
そんなイスカンダルを見上げ、ジズはその胸の裡で呟いた。彼女にはもう会話など必要ない。ただ、世界を、イスカンダルを必ず滅ぼす、その意志があればいい。そしてその意志が、続いていけばいい。
イスカンダルを討つのは、自分達でなくていい。ディアボロス達の戦意は、未だ潰えていないのだから――。
●リザルト
『ゼキ・レヴニ(Debaser・g04279)は重傷を負った』
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【罪縛りの鎖】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
――ああ、烈しい
これまで戦ってきた亜人の将、一兵卒に至るまで
彼らが心酔する理由がひと目で分かる
畏ろしく、輝いている。だからこそ、彼らの行ってきた蛮行が赦せない
ディアボロス、ロキシア・グロスビーク
貴方を討ちます。イスカンダル大王
《失黒刀》の柄に手を掛け、挑む
僕が今ここで出来るかどうかじゃあない
仲間と共に負傷部位を攻める冷徹な知の刃も携えて
昇る太陽めいた光焔を前に「死界」が捉えるのは大王の存在のみ
眩まず、ただ一撃を中るために
受け継ぎ、怒り、紡ぐ。覚悟と復讐のバトンだ
五体に這わせたMoon-Childへ。限界を越えろと伝え
編まれた残留効果の道筋を確かめ
爆発したかと錯覚するほど膨れ上がる力と、
灼熱のエンチャントを以て全身を焼くファラオの炎の猛威を抗い進み
断見ッ!焦、熱、瞋!
己の信じる必殺を叩き込む!
獅子。でしょ……王様!
闘志を失わぬ眼差しを向け
牙を失わぬ獣の強さは。貴方が一番良く分かっている、はずだ
僕らは。絶対に、勝つ……!
傷が深いなら刀を杖に。意識を手放そうとも決して倒れず
アンゼリカ・レンブラント
本来なら奪還戦で千の仲間と戦う相手
強いのは知っているよ
でも先ほどは確かに一撃を入れ
今私はこうして立っている。必ず届く!
ネメシス形態、天使風の姿へ変化
【パラドクス通信】を駆使し
仕掛ける仲間と連携を密に動くよ。
1人ずつ向かっては各個撃破されるのみ、合わせよう!
狙うは勇気を小さな身体に満たし、
身体其の物を魚雷が如く突っ込むパラドクス
足を使い駆け
打ち込む機を、打ち込む点を測り
仲間の攻撃に合わせ飛び込む!
打ち込む際は仲間の攻撃と重ねるよう行う
命中アップも最大、積み重ねた残留効果は
ここに至るまでの尊い財産。当てるっ
体で――可能なら臀部で飛び込む全身全霊の《光雷突撃》
思いっきり顔に叩き込んでやるから
攻撃第一で、凌ぐのはその後
先程自分を助けてくれたように、
大王の意識を此方に引き付け
他の仲間が少しでも多く立っていられるように
先へ繋げられるように
そして私も倒れず立ち続けるよ
限界は越えるためにあるんだ!
ガードアップを重ねた障壁を全開に
悲鳴は上げても反撃の炎を懸命に堪えてみせる
大王が退くところを見ないと、さぁ!
一里塚・燐寧
やいやい!断片の王イスカンダル!
きみはまだ、本物の大王が神託を受けたエジプトを握っちゃいないのにさ
ファラオだのゼウスだの……笑わせてくれるねぇ
ほんの30年ちょっとの人生を全力で生きて世界を変えた、誰もが憧れる伝説の王様
その名前を奪われてね。ずっと頭に来てたワケ
……よーやっと、文句を言える日が来たよぉ
仲間と息を合わせて攻め、敵が反応しきれない状況に追い込もっか
≪テンペスト・レイザー≫を手に『呪式:刃速火断』を発動!
鬼火の爆破で急加速し刹那の内に肉薄
胴を両断する意気込みで全力の一閃をブチこむよぉ!
加速の勢いを乗せて重厚な刀身を叩きつける衝撃で鎧を砕き
肉体に回転鋸刃を喰い込ませて、あらん限りの力で斬り裂く!
反撃が当たるギリギリまで攻め立てた末に、鬼火を爆破してその反動で後方に吹き飛び一撃離脱
得物の分厚い刀身を盾代わりに、全身を焼き尽くされないよう炎を防ぐねぇ
歴史を盗んできたクロノヴェーダじゃ、ほんとの新しい時代は作れないんだ
きみなんかに、未来を拓いた男の名前は重すぎるって――証明してやるっ!!
伏見・逸
(連携アドリブ歓迎)(味方は苗字呼び)
周囲の味方をPOWでディフェンス
てめえが断片の王って奴か。流石に圧力がすげえな
…だが、そうだな。ビビりも遠慮もしねえよ
どんだけ強い奴にも、でかくて偉い王様やらにも、
禍ってのは遠慮なしに降りかかるもんだろう?
周囲の味方と声を掛け合い、連携と情報共有を密に
隙や死角を互いに補う立ち位置を意識
敵の動きを観察、強力な攻撃の素振り等あれば味方に知らせ
可能であれば庇う(傷が深い者を優先)
動けない程の負傷者が付近にいれば、その対象と敵との間に立ち、射線を塞ぐ
基本は接近戦。【禍竜の鋭刃】使用。長ドスによる、シンプルな斬撃
【命中アップ】【ダメージアップ】を利用させて貰い、四肢等「攻撃や動きを阻害できそうな所」を狙う
敵の攻撃は武器や翼・尻尾で受け流すが、防御姿勢をとる事より、攻撃の動きを止めない事を優先
動ける限りは敵に張り付き続け、その視野を狭める
味方が強力な攻撃を放つようなら、自分と自分の攻撃を囮として、敵に隙を作る
俺の事は好きに使っていい。一発でけえのをぶち込んでくれ
「――ああ、烈しい」
イスカンダルが放つその王威を前に、眩しげに目を細めるロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)。これまで戦って来た亜人の将、一兵卒に至るまで。彼らが心酔する理由がひと目で分かる、そのカリスマ。
――だからこそ、彼らの行ってきた蛮行が、赦せない。黒い刀身の日本刀を構え、じっとその姿を見据える。
「ディアボロス、ロキシア・グロスビーク。貴方を討ちます。イスカンダル大王」
「お前達では、届かぬ」
そんな怒りを篭めたロキシアの言葉をしかし、イスカンダルは冷厳に切り捨てた。だが確かに、彼我の戦力差はそれだけあるだろう。それは、紛う事なき事実ではある。
「てめえが断片の王って奴か。流石に圧力がすげえな」
けれどそんなイスカンダルの王威に対しても、目をそらす事なくまっすぐにその姿を見据える伏見・逸(死にぞこないの禍竜・g00248)。
そこには恐れも遠慮もない。白鞘から長ドスを抜き放ち、不敵な笑みを浮かべてみせる。
「どんだけ強い奴にも、でかくて偉い王様やらにも、禍ってのは遠慮なしに降りかかるもんだろう?」
「否定はせぬ。だがお前達にも、同様に禍は訪れよう」
対するイスカンダルは、表情を動かす事なくそれに応じた。その禍とは、目の前に立つ王であると。そう示すが如く、戦場に君臨する。
「やいやい! 断片の王イスカンダル! きみはまだ、本物の大王が神託を受けたエジプトを握っちゃいないのにさ」
だが一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)はそんなイスカンダルへ、勇ましく声を張り上げた。王に対する畏怖を塗り潰すのは、それを越えた怒り。
「ファラオだのゼウスだの、笑わせてくれるねぇ。その名前は、誰もが憧れる伝説の王様の名前なんだよ!」
たとえイスカンダルがどれだけ強大な断片の王であろうとも、その存在は、奪われた歴史によって成り立っている。
それを、彼女は許さない。偽物の王威を、決して認める訳ではない。
「ほんの30年ちょっとの人生を全力で生きて世界を変えた、その王様の名を奪った事。ずっと文句を言ったかったんだよ!」
「お前に文句を言われようと、知った事ではないが」
そんな燐寧の言葉も、イスカンダルは些かも動じず切り捨てて。だがそこで少しだけ思い直すと、改めて口を開いた。
「我は、世界を蹂躙する。その時イスカンダルの名は、唯一絶対の王を讃える物となろう」
「っ……!」
イスカンダルの名が元々誰の物であったかなど、彼にとってはどうでも良い。歴史の簒奪など、出発点に過ぎない。史実の王が偉大な王であったとして、彼が目指すのはその模倣でも、ましてや後追いでもない。
元々、そんな枠に収まるつもりはない。史実を、あらゆる歴史と伝説を越えてこその、大王。
「我が王道の、礎となるがいい」
「……だったら……まずは、私を、蹂躙していきなよっ……!」
堂々と宣言するイスカンダルに対して、そう言葉をぶつけるのは、アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)。大帝の剣にねじ伏せられたその身体を懸命に起こすと、ネメシスの力でその身を変ずる。
広げるは白翼、さながら天使の如く。不屈の闘志を燃やし、彼女は勇気の光でその身を覆う。
「本来なら奪還戦で千の仲間と戦う相手、強いのは知っているよ。でも今私は、こうして立っている……必ず届く!」
「拾った命を、無駄にする事もあるまい」
だが、一度倒れたディアボロスが立ち上がろうと、イスカンダルが動じる事はない。ただ泰然とその場に立ち、ディアボロスを待ち構える。
これより先は死地と、誰もがそれを理解して。そして誰もが、そこに踏み込む事を躊躇わない。
「まずは行かせてもらうぜ!」
そこにいの一番に飛び込んでいくのは、逸。長ドスを手に駆け寄る彼を見て、イスカンダルも大帝の剣を振り上げた。
ただそれだけで、王の殺気が急激に増幅される。恐れ知らずの逸ですら、軽く息を呑むほどに。
(「これが王様の力ってヤツかい。いやはや、参ったね」)
強力な攻撃の素振りあらば、対応して――そんな考えは、まだ甘かったと悟らされる。断片の王の攻撃に、強力でないものなど存在しない。
その大剣の、ただ無造作な一振り。それだけでディアボロスなど、微塵に打ち砕くだけの力を持っている。あの大剣を受け流そうなどと、一体どのようにしてか、想像すらつかない。逆説連鎖戦における部位狙いは基本的に意味を為さないが、そもそもこの相手の四肢を狙う余裕など、果たしてあるものか。
「だがな……それがどうしたぁっ!」
けれどその事実はやはり、彼を恐れさせはしない。これよりは死地とそう確信し、彼は一歩を踏み込んでいく。元より自分は、死に時を逃しただけの男だ。これほどの強敵との戦いの中で斃れるなら、それに何の文句があろう。
「俺の事は好きに使っていい。一発でけえのをぶち込んでくれっ!」
イスカンダルめがけ、躊躇わず真っ向から突き進む。彼の心の中を満たすのは、ただ目の前の相手を断つと言う、それだけの純粋な意志。
叫べばそのまま振り上げた長ドスを、イスカンダルめがけて真っ直ぐに振り下ろす。それに合わせて相手もまた、大帝の剣を振り下ろして。
「分かった、絶対に――届かせる!」
「きみなんかに、未来を拓いた男の名前は重すぎるって――証明してやるっ!!」
それと同時にアンゼリカが、燐寧が、ロキシアが。一斉に大地を蹴って、イスカンダルに向けて飛び出していく。
アンゼリカは己の肉体そのものを武器として、光の魚雷が如く、真っ直ぐに王へと突き進む。背を向け臀部を突き出し、その全身を叩きつけるべく。
燐寧は手にした鎖鋸大剣を振りかぶりながら、その足元で、紫色の怪火を爆ぜさせる。噴射されたその鬼火による、限界を越えた急加速。
「僕が今ここで出来るかどうかじゃあない――」
そしてロキシアはパラドクスによって極限まで引き伸ばされた全周感知能力をもって、イスカンダルを――イスカンダルだけを、その目に捉える。
他の何をも目に入らない。イスカンダルから与えられる殺気すら、今のロキシアにはどうでもいい。むしろ、目に入れれば恐怖が生まれる。ならば、そんな物は見ない方がいい。
もちろんそれは、相手の攻撃の兆候すら読み取れないと言う事ではある。だが、構わない。ただ一撃を、通すために。
「限界を越えろ、Moon-Child!」
五体に這わせたナノマシンも、そのパラドクスによって励起される。身体能力が強化され、アンゼリカや燐寧の加速に追いすがる。
オーバークロックのせいで、身体が焼けるように熱い。だがその熱すらも力に変えて、突き進む。
「受け継ぎ、怒り、紡ぐ。覚悟と復讐のバトンだ――!」
そうして先んじた逸に、3人のディアボロスが追いついた。1人目で意識を引いての4人同時の攻撃が、大王を討ち取らんと迫る。
(「これなら流石に、反応しきれない、はず――っ!?」)
だが、そうして燐寧の刃がイスカンダルの鎧に触れた瞬間、感じるのは凄まじい熱量。相手の反撃直前、そのギリギリまで攻め立てる……そんな認識も、まだ甘かったと知る。
「太陽に近づく者は、燃え尽きるのみだ」
「っ~~~~!」
その反撃は、攻撃の着弾とほぼ同時。断片の王は当然のように、反応速度すら尋常の相手を凌駕している。具現化する炎の塊が、こちらを包みこもうと広がった。
それを理解し、燐寧は刹那、逡巡する。今退かねば、全身を焼き尽くされるだろう。だがまだ刃は、王を傷つけるに至っていない。……逆説連鎖戦によって引き伸ばされたそんな思考の時間は、外から見れば0.1秒にも満たず。
「おぉぉおおぉぉぉぉっっ――!」
その瞬間、燐寧の耳朶を打つのは、隣でイスカンダルに突っ込むアンゼリカの叫び。彼女は元よりもう、防御など考えてはいない。己の身体を光の魚雷と化して、臀部から真っ直ぐに突っ込んでいく。全身全霊、その全てを捧げた突撃。
当然彼女の全身は、太陽の炎によって包まれる。骨まで溶けるような灼熱に、彼女は一つ、理解する。
(「これは……無理だねっ……!」)
断片の王の力が強大なのは、先ほどの接触で理解したつもりだった。だが、絶対に耐えてみせると、限界は越えるためにあるのだと、そのつもりでいた。
だが、太陽に包まれて理解する。限界など、とうに越えていたのだと。二度目の攻撃を繰り出している今こそが、すでに彼女の、限界の先。そしてその先は、ない。
(「大王が退くところ……見たかった、けどっ……!」)
この炎を抜ける頃には、彼女の身体は焼滅しているだろう。だがそれを理解してそれでも――いや、それだからこそ、彼女は決して止まらない。
どうあっても自分はもう無理ならば、自分がやるべき事は、仲間に託す事。さっき自分が助けられたように、今度は自分が大王の意識を、攻撃を、少しでも引き付けんとする。
そしてまたその反対側ではロキシアが真っ直ぐに、太陽を突っ切ろうと進み続ける。
「断見ッ! 焦、熱、瞋――!」
その五体が爆ぜたかと思うほどに、力を振り絞り、爆発させる。それと同時に、元々熱く滾っていた身体が、ファラオの猛威に抗って前に突き進む。
無論、立ちはだかる太陽の力はあまりに強大。そこまでした所でなお、刃が届くより早く燃え尽きそうだ。
「信じる必殺を……叩き、込む……!」
それでも、彼は止まらない。どれほど太陽に焼かようとも、決してその太陽を目に入れる事はない。彼の瞳に映るのはイスカンダルただ一人。
――己の左右のそんな2人を認識した瞬間、燐寧は恐れる事なく、その大剣を振り切った。
「っ……いく、よぉっ……!!」
3つの攻撃が同時に、イスカンダルを捕らえる。そしてその直後、太陽はさらに広がり、3人の身体を呑み込んでいく。
そんな中燐寧は咄嗟に鬼火の爆破によって離脱し、その直撃から逃れる。それでも盾にした大剣ごとその身を焼かれ、地面をごろごろと転がっていくが。
「っ、ぐぅっ……!?」
「――こいつで、どうだっ!」
そして直後、逸の長ドスと大帝の剣が、同時に振り下ろされた。燐寧の大剣と、ロキシアと逸の身体。3つの攻撃が、イスカンダルを斬りつけて。
「がっ……!」
同時に逸の身体からも鮮血が噴き上がり、そのまま、衝撃とともに吹き飛ばされる。だがかろうじて、その身体の左右は繋がったまま。
だがアンゼリカは大王の胸鎧にぶつかったまま、一言を上げる事すらなく――それすらも突撃の力として費やして。完全にその身が燃え尽き、新宿島へと送還された。
「ったく、洒落にならん力だな……!」
「ほんとにね、もうっ……!」
傷口を抑えて呻く逸と、地面に倒れながらも身体を起こそうとする燐寧。こちらはなんとか、新宿島への送還を免れた。ダメージは大きいが、意識を保つ。
「獅子。でしょ……王様!」
そして、前に進む事だけを考えていたロキシアは、その身を焼き尽くされ、それでも刀を杖にして立つ。そうしなければ倒れてしまう……いや。
「牙を失わぬ獣の強さは。貴方が一番良く分かっている、はずだ。僕らは。絶対に、勝つ……!」
意地で、それだけを言い残し。彼女はそれ以上動く事も出来ず、刀にもたれかかった。イスカンダルはそれを、一瞥だけして。
「獣は、獣だ。王を脅かすには至らぬ」
「だが……あんたの強さも、無限に続く訳じゃあ、あるまい……!」
そう豪語するイスカンダルに対し、痛みに耐えて言葉をぶつけていく逸。燐寧もまた相手を睨む、苦悶とともに叫ぶ。
「歴史を盗んできたクロノヴェーダじゃ、ほんとの新しい時代は作れないんだ……!」
「それを決めるのは、お前達ではない」
イスカンダルは未だ堂々と、ディアボロスを睥睨している。
だがその攻撃は確かに、積み重なっているはずだ――。
●リザルト
『アンゼリカ・レンブラント(光彩誓騎・g02672)は重傷を負った』
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【熱波の支配者】LV2が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【一刀両断】がLV2になった!
効果2【反撃アップ】LV3が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
クロエ・アルニティコス
愛するエイレーネ(g08936)をディフェンスし共に戦います
全ての悲願が目の前に居る、ならば私たちがやるべきは一つ。
冷静な頭も、イスカンダルにエネルギーを空費させるには死を感じさせるほど追い込むことが必要だと考えている。
感情も理性も、私の中の全てがそうせよと告げている。
断片の王イスカンダル。お前はここで殺します。
いきましょう、エイレーネ。今までのように、勝利し共に帰るために。
トリカブトの種を触媒に【ヘカテー・アコニタム】。イスカンダルの背後に冥府の門を開き、そこから伸びる腕で掴み、生命力を奪います。
限界まで重ねた【命中アップ】で攻撃を導き、攻撃を直撃させるとともにイスカンダルから受ける反撃を弱めます。
エイレーネとは常に傍で戦い、お互いにディフェンス、攻撃後の隙を埋めるようにして戦います。
反撃として放たれる雷に対しては三相の杖を掲げ、結界術で僅かでも威力を軽減、致命傷にならぬように。
っ、大神の後継を僭称しますか……!
お前は殺します。果たしてこれが不遜か、届かぬことか。
その身で確かめなさい!
エイレーネ・エピケフィシア
愛するクロエ様(g08917)をディフェンスし共闘
全て終わらせる覚悟で戦わねば撃退すら叶わぬ敵
だからこそ敢えて宣言します
都市と人々を脅かす暴虐、大神の胤を騙る傲慢
イスカンダルの名に連なる何もかもを、ここに断ち斬ると!
勿論です、クロエ様。長き旅路の終わりへと、道を拓きましょう!
≪神護の輝盾≫で自身とクロエ様を護りながら戦います
敵の技に目を凝らし、不用意に一か所に留まらぬように
互いの死角や注意外の事象をカバーし、声を掛け合い危機に素早く対応
≪神護の長槍≫に聖炎の巨刃を纏わせ、『奮い立つ正義の一閃』
渾身の力で横薙ぎに槍を振るい、【命中アップ】が導く一撃を放ちます!
クロエ様より先に動くなら、燃え盛る炎の灼熱と視界を侵す眩しさで門に応じる余力を奪い
後に動くなら、腕が敵を掴んだ直後に畳みかけ決定打を!
大帝の剣は咄嗟に炎纏う槍を振り上げ一瞬でも鍔迫り合うか
盾で受けて直撃と致命傷を防ぎ、戦場に立ち続けます
無慈悲な蹂躙を終わらせ、奪われた平和を取り戻す時が来ました
――暴君よ、今こそ悪行の報いを受けなさい!
凍雲・雪那
イス、カンダル……ッ!
ボクの内にある、数多の怒りを、復讐の声を感じる。
それに……貴様は、雪華を。ボクの戦友を、焼いたな。
ああ、貴様を葬る理由が、一つ増えたぞ。
知っている。今此処で、この刃は奴の喉元に届かない。
分かっている。たった一人の怒りだけでは、断片の王に太刀打ちできない。
だから、だから、だからっ!
ごめんなさい、皆。
皆が作ってくれた隙を、一方的に借り受けます。
浅ましく、みっともなく。
息を殺す、気配を殺す、殺意すらも殺す。
そして、一瞬の隙、いやそれ以下でも構わない。筋肉の弛緩、意識のブレ、
パラドクスの溜め。
それらの僅かな綻びに、殺意を叩き付け強引に隙を捩じ込む。
雷霆は真っ向から斬り捨てる。是なるは、セレウコスに痛打を刻みし、我が殺意の一撃――ッ!
殺す!殺す!!殺すッ!!!
必ず抉り断つ、決意を限界を超えて捻り出し、イスカンダルにぶつける!!!
ぶ・ち・抜・けぇぇえええッッッ!!!!!
(「全ての悲願が。今、私の目の前にいる――」)
ディアボロスを圧する、イスカンダルの王威。されどクロエ・アルニティコス(妖花の魔女・g08917)に恐怖はない。
彼女を満たす感情は、ただ憎悪のみ。亜人を強く憎み、殺し尽くしてやりたいと願い、戦い抜いてきた。その鏖殺の果てがここにある。
今すぐにでも、殺してやりたい。だがその激情とは裏腹の冷静な思考が、彼女に告げる……イスカンダルにエネルギーを空費させるには、死を感じさせるほどに追い込まねばならないと。
感情と理性の両方が、クロエの中の全てが、そうせよと告げる。なら躊躇う理由など何一つない。
「断片の王イスカンダル。お前はここで殺します」
「都市と人々を脅かす暴虐、大神の胤を騙る傲慢。イスカンダルの名に連なる何もかもを、ここに断ち斬ります!」
そんなクロエに同調し、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)も高らかに宣言する。ここではどうせ倒しきれないなどと、そんな余計な事を考えていられる相手ではない。殺すつもりでかからねば、撃退すらままなるまい。
強い殺意を研ぎ澄ませて決意に変え、円盾を構えて前に出るエイレーネ。そんな彼女の――愛する者の姿に、クロエは憎悪だけではない、もう1つの感情を思い出す。
「いきましょう、エイレーネ。今までのように、勝利し共に帰るために」
「勿論です、クロエ様。長き旅路の終わりへと、道を拓きましょう!」
復讐のために。そして、未来のために。この場は決して、退く事など出来はしない。そんな思いをだが、イスカンダルは揺らぐ事なく受け止める。
「ならばお前達の道、我が断ち切ろう」
振りかぶられる大帝の剣。ただそれだけで、再び死地が現出する。エイレーネがあと数歩を踏み込めば、剣は彼女を容易く斬り捨てるだろう。
数多の亜人の攻撃を跳ね返してきたその円盾も、今はなんと心細い事か。だが、背後には愛するクロエがいる。その存在こそが、彼女の勇気を支える。
(「クロエ様は、わたしがお護りします……!」)
そうしてイスカンダルと対峙する2人。それを少し離れた所から、凍雲・雪那(報仇雪恨の皓巫姫・g07783)が息を潜めて見つめる。
(「イス、カンダル……ッ!」)
自分の中にある、数多の怒り。復讐の声。それらが止め処なく湧き上がってくるのを、全身で感じ取る。体温が熱い。亜人への憎悪に、身体が焼き尽くされそうだ。
(「それに……貴様は、雪華を。ボクの戦友を、焼いたな。ああ、貴様を葬る理由が、一つ増えたぞ……!」)
今すぐにでも、あの大王気取りに刃を突き立ててやりたい。そんな衝動を、必死に抑え込む。それで倒せるくらいなら、雪華は焼かれていない。ああ、よく理解している。
(「たった一人の怒りだけでは、断片の王に太刀打ち出来ない……だから、だから、だからっ!」)
浅ましくとも、みっともなくとも構わない。息を殺し、気配を殺し、殺意さえ殺す。
おそらくイスカンダルは常に、戦場の全てのディアボロスを把握している。こちらの事も、当然意識に入っているだろう。
だが、重点的に意識を向けるのは当然、己に殺意を向ける者達のはず。その意識から、外れてみせる。
(「ごめんなさい。皆が作ってくれる隙を、一方的に借り受けます……!」)
イスカンダルが隙を晒すその瞬間まで、僅かたりとも殺意を漏らしはしない。怒りも憎悪も、何もかも。己の奥底にしまい込む。
そうして、なんの感情も宿さず視線を向ける彼女の視界の中で、クロエが己の手を、グッと握り込んだ。
「お前は殺します。果たしてこれが不遜か、届かぬことか。その身で確かめなさい!」
もう1度その殺意を叫び、復讐心に身を委ねる。そんな彼女の意志に反応し、手の中で育つのはトリカブト。
それはギリシャの死の女神、ヘカテーを象徴する植物。いっとき、彼女はその代行者となり、権能をもってイスカンダルの背後に冥府の門を開いた。
そこから伸びる無数の手が、イスカンダルへとまとわりつく。己と同じ冥府へと、王を引きずり込まんとして。
「死の女神、ヘカテーの名の下に! その身と魂を、あるべき所へ送ってあげましょう!」
「神の名を唱えるか。ならばその力を、見せてやろう」
だがイスカンダルはそれに全く動じず、両の角を光らせた。溢れ出すのは、雷霆。それもまた、神に由来する力である。
「ゼウスの雷霆の前に、滅びるがいい」
「っ、大神の後継を僭称しますか……!」
そんなイスカンダルの言葉に、怒りを滲ませるクロエ。だが雷霆は確かに、その尊大なる自称に相応しいだけの力を秘めている。イスカンダルに纏わりついた腕が、焼き焦がされ、引き剥がされていく。
「まだですっ……無慈悲な蹂躙を終わらせ、奪われた平和を取り戻す時が来ました!」
そしてその全てが失われるよりも早く、エイレーネがイスカンダルへと駆ける。円盾を押し立てイスカンダルへと突き進めば、一歩を踏み込むごとに彼女を襲う、死の予感。
危機を察して対応する、どころではない。今この戦場に立っている事、それ自体が危機なのだ。そうと理解してしかし、彼女に退く選択肢はない。
愛する女性を守る事、その誇りこそが彼女を支える。肉体の死など、心の死に比べれば何を恐れる物か。
「暴君よ、今こそ悪行の報いを受けなさい!」
そしてもう1つ彼女を支える誇りは、女神の神官としての強き信仰心。それがパラドクスとして顕現し、長槍の穂先が灼熱の炎を纏う。巨刃となって燃え盛り、目も眩めとばかり、燦然と輝かせながら振りかぶって。
「太陽が、炎に目を眩ませるものか」
「っ……!」
そんな炎に一切動じる事なく、イスカンダルはそれを睥睨した。振り上げられた大帝の剣が、叛逆者への断罪のため、振り下ろされんとする。
「エイレーネ様っ……!」
その刃を押し留めようと、冥府の門から手が伸びる。エイレーネがクロエを守るように、クロエもまたエイレーネを守らんとする。
だがそれも一時。雷霆が、無慈悲にその手を焼き尽くす。そしてそれが、クロエ本人をも焼き払わんとして。
「……おぉぉぉぉぉおおぉっっ!!」
「む……」
その刹那。その瞬きにも満たぬ一瞬に、殺意が膨れ上がった。大地を蹴って突き進むのは、今まで息を潜めていた雪那。内に秘めていた殺気の全てを解放し、その手に蒼氷の巨剣を生み出して。
ただ真っ直ぐに、イスカンダルへと突き進む。
「殺す! 殺す!! 殺すッ!!! 必ず、抉り断つ――!!」
「――その殺意ごと、雷霆の前に屈するがいい」
突如0から最大まで振り切ったその殺意に、視線を向けるイスカンダル。溢れる雷霆が雪那を迎え撃ち……そしてそれを、真っ向から斬り捨てんとする。
それはかの勝利王にも痛打を刻みし、研ぎ澄まされた殺意の一撃。それは雷霆を斬り捨てる、否、斬り殺すためのパラドクス。そう、まさに今、この時のために――!
「ぶ・ち・抜・けぇぇえええッッッ!!!!!」
「っ――今、ですっ!!」
そしてエイレーネもまた、最後の一歩を踏み込んだ。クロエが力を振り絞って稼いだ一時。雪那の殺意によって僅かに逸れた、自分への殺気。この瞬間こそ、最大の好機。
蒼氷と聖炎、2つの刃が、イスカンダルへと真っ直ぐに迫り、そして。
「……その刃、王には届かぬ」
それが全て過ぎ去った時、立っているのはやはり、イスカンダルであった。
雷霆は雪那をねじ伏せ、そしてクロエを呑み込み、神の裁きをもってそれを打ち倒した。
振り下ろされた剣は、エイレーネの守りごと彼女をねじ伏せた。
対するイスカンダルは、倒れ伏したディアボロス達を睥睨し、あいも変わらず、泰然と――。
「大王っ!?」
「イスカンダル様っ!?」
――いや。その首筋から、鮮血が噴き上がった。戦いを見守っていた亜人達が、口々に驚愕と狼狽の声を上げる。
「狼狽えるな。大した傷ではない」
「はっ……届いたじゃ、ないか……」
その傷に眉を顰めるのみで、さしたる動揺は見せないイスカンダル。だがそれを見て雪那は獰猛な笑みを浮かべると、ふらつきながらも身体を起こす。受けたダメージは甚大、だがまだ、身体は動く。
そしてその刃は、殺意は確かに、イスカンダルに届いた。明らかに今までより深い傷が、大王の身体に刻まれている。
もちろん、この3人の力だけによるものではない。これまでディアボロス達が積み重ねて来た数多の傷が、大王に隙を作り上げたのだ。
「……この程度の傷で、我を打ち倒せるとでも?」
「ならば……何度でも、積み重ねるまでです」
イスカンダルの問いに、エイレーネが応える。クロエと手を握り、身体を支えながら、こちらもゆっくりと立ち上がる。
確かにイスカンダルの言う通り、ディアボロスの与えた傷は致命には程遠い。このまま戦い続けても、イスカンダルに勝利出来る可能性は低いだろう。
そう。低い、のだ。もはやそれは、ゼロではない。
「言った筈です。お前は殺す、と」
エイレーネに肩を預けながら、イスカンダルを真っ直ぐに睨むクロエ。その殺意は未だ、衰えてはいない。
ディアボロスの誰も、まだ諦めてはいない。
「……認めよう。ディアボロスの力、侮っていたようだ」
その事実はイスカンダルに初めて、己の敗北の可能性を認識させた。
彼は一度天を仰ぐと、ディアボロスに向けていた殺意を収めていく――。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【一刀両断】がLV3になった!
【友達催眠】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV5になった!
【フィニッシュ】LV1が発生!
――まずその異変に気づいたのは、イスカンダルであった。
不意に怪訝そうな顔を浮かべると、吼えるように叫ぶ。
「我とディアボロスとの戦いに割って入ろうと言うか。何者だ!」
「何……?」
その言葉に真実の気迫を感じたディアボロス達も、慌てて周囲の様子を伺う。
そして。
それは突然、現れた。
「っ!?」
息を呑んだのは、果たして誰だったか。いや、その場のディアボロス全員であったかもしれない。
この場の誰も、それと直接まみえた事はない。
だがディアボロスの中には『予兆』を通して、はっきりとその姿を見た事がある者も多いはずだ。
あるいは見た事がなかったとしても、その存在感だけで足は止まり、目は奪われよう。
何故なら、それは。
『我が名は『人形皇帝ナポレオン』。断頭革命グランダルメの断片の王である』
それは、厳かに。そのように、名乗りを上げたのだから。
誰もが……普段は騒がしい亜人達ですら驚愕に声を発せない中、イスカンダルだけが唸るように呟きを漏らす。
「ふむ……幻、か?」
確かにそれはどうやら、幻影……いわゆるホログラムのようだ。ナポレオン本人が、ここに来ている訳ではない。
それでも、断片の王同士の邂逅である事に変わりはない。前代未聞の光景が、ディアボロスの眼前で繰り広げられている。
『幾つものディヴィジョンを滅ぼし、断片の王を撃破してきた『ディアボロス』は、我らクロノヴェーダ共通の敵である』
『我ら自動人形とディアボロスとの決戦が、間もなく開始されるだろう』
『ゆえに断片の王として、蹂躙戦記イスカンダルの断片の王『イスカンダル』に、一時的な共闘を提案する』
誰も幻影のナポレオンから目が離せない。その間にそれは、一方的に言葉を紡ぎ続ける。
ディアボロスの事が、目に入っていないのか。いや、そもそもこちらを認識しているのかどうか。しかしその内容は、ディアボロスにとってはあまり衝撃的だ。
もちろんディヴィジョン同士の共闘の画策に、前例がない訳ではない。断頭革命グランダルメは以前にも火刑戦旗ラ・ピュセルとの同盟を企図し、七曜の戦でディアボロスがそれを阻止している。だが、だからこそ仮にナポレオンが接触を図るとしても、そちら――ジャンヌ・ダルクであろうと、多くのディアボロスは考えたはずだ。
そもそも、ディアボロスへの復讐を第一とするキマイラウィッチ達と違い、蹂躙戦記イスカンダルに断頭革命グランダルメを守りにわざわざ参戦する動機はない。亜人が他のディヴィジョンに踏み入る時は、その領土を蹂躙する時だろう。
そんな共闘など、不可能のはずであり――。
『我らと共に決戦に挑み、ディアボロスを退けたのならば、蹂躙戦記イスカンダルに対して『北イタリア』及び『フランス東部』地域を、割譲させて貰う』
『北イタリアとフランス東部の人口が手に入れば、『蹂躙』により、亜人の戦力を増強できるであろう』
『そして、万が一我らが敗北したならば、我が遺領の全てを蹂躙戦記イスカンダルに遺そう』
だがナポレオンは容易く、その不可能を飛び越えた。
共闘まではまだ、理解出来よう。だが、そのために差し出される物を、果たして誰が予想し得ただろうか。
あの断頭革命グランダルメの王が、ディアボロスを倒すために、己が領土を差し出すとまで。
落ちぶれたと、笑う事は出来よう。だがその言葉には、確たる覚悟がある。
『我が手を取り、共に、ディアボロスとの決戦に挑んでくれることを望む』
ナポレオンはそう、己の言葉を締めくくった。だがその内容の衝撃に、誰一人言葉を発しない。いや、発せない。
一瞬の静寂が、その場を支配する。
「は――ははははは、はーっはっはっはっは!」
そしてその静寂を失ったのはやはり、イスカンダルであった。呵呵とした大笑が、周囲に響き渡る。
「ディアボロスの力、まだ見誤っていたか! よもや、このイラン高原の決戦と同時に、自動人形との決戦にも勝とうとしていたとは!」
だが彼が真に驚愕したのは、ナポレオンの提案ではなく、その事実だ。東方軍団を追い詰め、己の命すら脅かした大決戦が、よもやディアボロスの総力ですらなかったとは。ひとしきり笑い終えた彼は、ディアボロスを睨みつける。その視線に宿るのは、憤怒か、屈辱か。
いや、イスカンダルはディアボロスを今まで以上の脅威と見做し、己の行動を決しようとしている。
ならばそこに宿る感情を形容する言葉は、決意と覚悟こそが相応しいであろう。
「よかろう、人形皇帝よ、お前の申し出を受け入れよう。我もまた、ディヴィジョンを捨てる気で掛からねばなるまい!」
『――感謝する、亜人の王よ。そしてディアボロス。その侵攻、グランダルメの総力をもって阻ませてもらう』
その返答に対して、幻影のナポレオンは最後にそう言い残すと、姿を消した。それでもなお衝撃はさめやらず、亜人達は呆然と立ち尽くす。
そんな亜人達を目覚めさせるべく、イスカンダルは大帝の剣を大地に打ち付けた。その音に慌てて直立した彼らへと、厳かに命じる。
「我がジェネラル達に伝令を。生き残っている者は、即時脱出せよ。兵達は見捨てても構わぬ、とな」
「「……は、はいっ!」」
それが己の命をも見捨てさせる行為であろうと、断片の王から直接命令された亜人達に否はない。あるいは受けた衝撃の大きさから、まともな判断も出来ないか。機動力の高い亜人達が率先して、ジェネラル達の元へと駆けていく。
そしてそれを見送ったイスカンダルは、再びディアボロスへと向き直った。
「ディアボロスよ、この戦はお前達の勝ちだ。より相応しい場で、再び相まみえようぞ」
その言葉と共に、イスカンダルの元に莫大なエネルギーが集まっていく。
彼の背中を包むように現れたのは、機械翼型のクロノ・オブジェクトだ。クロノ・オブジェクトは即座に力を高めていく。
見た目からも、その用途が何であるかは説明されるまでもなくディアボロス達にもおのずと理解できた。
「撤退用のクロノ・オブジェクトか!」
「『ダイダロスの翼』。再現ゆえ、使い捨てにしかならぬが、お前達にも追いつけはするまいよ」
翼を破壊しようとしたところでイスカンダルは容易く防ぐだろう。
当初から予期されていたように、この脱出を阻止することは不可能。
だが撤退する最後の間際に、僅かな会話の猶予はあるだろう。
断片の王自らが、『断頭革命グランダルメ奪還戦』に参戦するという異常事態。
この状況において、何を問うべきか。ディアボロスは僅かな間に、思考を巡らせる……。
(イスカンダルが撤退しようとしています。
選択肢①で最後の会話を行えます。
基本的に、13日朝時点で、採用プレイングを決定します)
一里塚・燐寧
『ダイダロスの翼』?
「再現」ってことは、本来は蹂躙戦記イスカンダルの技術じゃないってワケ?
そいえば『神像鎧』も、かつて滅ぼしたギリシャのディヴィジョンに連なるものだったねぇ
ギリシャ到達が近づいてる今、情報を集めるべきかも!
不確定情報や全くの出任せをハッタリとして織り交ぜて会話を挑むよぉ
へぇ、どーやって逃げるのかと思いきや、そんな玩具があるなんて面白いじゃん
だけど所詮は亜人のチンケな脳みそで作った劣化コピーってとこかな
高い技術力と神の力を持ってたギリシャのディヴィジョンが、なんできみ達に負けたのか不思議で仕方ないよぉ
ねぇ、もしギリシャのディヴィジョンの力を完璧に解析できてたら、きみは神像鎧を着てるはずでしょ?
断片の王『ゼウス』を閉じ込めた像から力を得る、最強最高の鎧をねぇ
だけど悲しいかな、それを可能にできたかもしれないエニューオーはもういないんだ
「アーディティヤより弱い」って評判の復讐者相手にビビッて帰っちゃう、今の強さで遠征に出ざるを得ない
それで一体どれだけの戦果が得られるか見物だねぇ?
(「『ダイダロスの翼』? 『再現』ってことは、本来は蹂躙戦記イスカンダルの技術じゃないってワケ?」)
イスカンダルの言葉に、怪訝そうな反応を滲ませる一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)。ナポレオンの出現から続く覚めやらぬ衝撃の中で、冷静に思考を巡らせる。
(「そいえば『神像鎧』も、かつて滅ぼしたギリシャのディヴィジョンに連なるものだったねぇ」)
ギリシャを目指してイオニア海戦が進行する中、その情報は重要となるかもしれない。そう目算を立てた彼女は、イスカンダルへと歩み出た。表情を繕い、殊更に挑発的に、嘲るように口を開く。
「へぇ、どーやって逃げるのかと思いきや、そんな玩具があるなんて面白いじゃん。だけど所詮は、亜人のチンケな脳みそで作った劣化コピーってとこかな」
その言葉はほとんどが不確定情報から来るハッタリ、真実と言う訳ではない。だがそれが真実を引き出すための呼び水となればと、舌を回していく。
聞くイスカンダルに動じた様子はないが、その表情の変化を見逃すまいとしながら、構わずさらに重ねていき。
「高い技術力と神の力を持ってたギリシャのディヴィジョンが、なんできみ達に負けたのか不思議で仕方ないよぉ」
「神ごときに随分と、過大な評価を下すものだ」
それに対してようやく口を開いたイスカンダルの言葉は、やや呆れを伴うような物であった。道理を知らぬ相手を諭すかのように、悠然とした態度でそう告げて来る。
「我が力と数の前には、神であろうと無力であったぞ」
「でも、もしギリシャのディヴィジョンの力を完璧に解析できてたら、きみは神像鎧を着てるはずでしょ?」
それに対し、燐寧もなお食い下がる。確かエルサレムのジェネラル級、破壊者エニューオーは、そんな最強のイスカンダルの姿を夢見ていたが。
「断片の王『ゼウス』を閉じ込めた像から力を得る、最強最高の鎧をねぇ」
「神像鎧など、我にとってはゴルディアスの結び目の下位互換でしかない。あの程度では、我が力に耐えられぬのだよ」
だがイスカンダルは、そんなものに興味はないと首を横に振る。破壊者の夢は、所詮は妄執に過ぎなかったと言う事か。
無論、神像鎧がこのディヴィジョンにとって有用な研究であったのは、確かだろうが。
「確かに『神威断罪ギガントマキア』の技術は、我が蹂躙戦記イスカンダルと融合し、新たな文化を生み出した。だがそれは我らが勝者として、敗者の力を奪ったに過ぎぬ。蹂躙の本質ではない」
それが、今はもう亡きディヴィジョンの名なのだろう。それについて問おうとする燐寧を遮るように、ダイダロスの翼を中心に突風が吹き荒れた。
「さて、問答はここまでだ」
イスカンダルがわざわざ会話に付き合ったのは、クロノ・オブジェクトの準備が整うまでの時間稼ぎだったのだろう。もちろんディアボロスの側からしても、今の短時間でイスカンダルを討ち取れたとは思えないので、利害の一致と言う所だが。
「『アーディティヤより弱い』って評判の復讐者相手にビビッて帰っちゃう、今の強さで遠征に出ざるを得ない。それで一体どれだけの戦果が得られるか見物だねぇ?」
「言った筈だ。この戦はお前達の勝ちだ、と」
最後にぶつけた燐寧の挑発に、それは道理が通らぬと首を横に振るイスカンダル。侮りを捨てた相手に、力を卑下する意味はもうない。
「続きの問答がしたくば、我が首を取りに来るがいい。人形皇帝を捨て置いても構わないのならば、だがな――」
そう告げた次の瞬間、翼は凄まじい速度で、イスカンダルを空へと連れ去って。
止める暇など、あらばこそ。その姿はあっと言う間に、地平の彼方へと消えていった――。
「大王様がっ……!」
「もうお終いだぁっ!」
イスカンダルの退却。その事実が動揺となって、亜人達に伝播していく。恐慌状態となり、潰走していく大軍勢。いまだ健在のジェネラル達の存在が、かろうじて戦線を支えているが――それとてもう、趨勢を覆すには至るまい。蹂躙戦記イスカンダルの未来を賭けたイラン高原の大決戦は、ディアボロスの勝利に終わろうとしている。
だが、その勝利の先に何があるかは、『断頭革命グランダルメ奪還戦』の結果によって決まるだろう。2つのディヴィジョンの未来を賭けた戦いは、間近に迫っている――。
大成功🔵🔵🔵🔵
効果1【熱波の支配者】がLV3になった!
効果2【反撃アップ】がLV4になった!