グランダルメに向かうキマイラウィッチ

 断頭革命グランダルメ奪還戦に介入する為、火刑戦旗ラ・ピュセル内のキマイラがグランダルメ境界の霧地帯に向かっている事が、攻略旅団の提案によって判明しました。
 この増援のキマイラウィッチを、グランダルメに向かう前に撃退する事ができれば、奪還戦でのキマイラウィッチの戦力を減少させることが出来るでしょう。

 キマイラウィッチは、決戦に備えて『復讐』の力を研ぎ澄ませるべく、一般人を蹂躙・虐殺しつつ、霧地帯に向かっているようです。
 攻略旅団の方針に従い、被害に遭う住民の避難誘導を行った上で、キマイラウィッチの増援を阻止してください。

※補足
 このシナリオの成功数に応じ『断頭革命グランダルメ奪還戦』におけるキマイラウィッチの敵残存率が減少します。
 該当する戦場の敵残存率が、合計で「『この事件の成功本数×10%』÷『キマイラウィッチの戦場数』」だけ減少します。
(例)8シナリオ成功し、キマイラウィッチの戦場が4つであれば「8✕10÷4」で各戦場の敵残存率が20%減少します。

獣たちの狂宴(作者 小鳥遊彩羽
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#火刑戦旗ラ・ピュセル  #グランダルメに向かうキマイラウィッチ 


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#グランダルメに向かうキマイラウィッチ


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 ――ただ、そこには虐殺があった。
 響き渡る悲鳴。逃げ惑う人々。
 小さな村で慎ましやかに生きてきた彼らは、ただ無慈悲に命を奪われ、物言わぬ屍となって辺りに転がっていた。
 一人ずつ、ゆっくりと。呪詛帯びる刃で切り刻み、蛇の尾で締め上げ――あるいは、生きたまま火をつけて。
 ただ己の心を満たすためだけに、獣たちは獲物を追い詰めるが如く村人たちを襲っていた。
 噎せ返るような血と炎の臭いが満ちる中、炎上のキマイラは幼子を抱いて震える母親に目を留めた。
「どうか、どうかお願いします、せめて、この子だけでも……!」
「ああ、子を思う母の愛ってヤツかい? 泣かせてくれるじゃないか。そこまで言うなら――」
 懇願する母親へ、炎上のキマイラはそう言いかけて――ニヤリ、と、凶悪な笑みを深めた。
「助けてやるワケなんかないだろう? アタシ等のために死ね! アハハハハッ――!!」
 そして、炎上のキマイラは母親の目の前で幼子を燃やし――。
「いやあああああっ……!!」
 悲痛な声で泣き叫ぶ母親をも、惨たらしく焼き尽くしたのだった。

●獣たちの狂宴
 ――それはこのままでは現実になってしまう、未来の話だ。
「でも、今ならまだ止められる。キマイラウィッチに殺されてしまう人たちを、助けられる……!」
 それには皆の力が必要なのだと、花峯・真帆(Starry Bouquet・g03187)は真剣な表情でディアボロスたちを見やる。
 攻略旅団の作戦により、決戦間近の断頭革命グランダルメに対し火刑戦旗ラ・ピュセルから増援が行われていることがわかった。ディアボロスの活躍により途絶えていたラ・ピュセルからの増援が再開されれば、来たるグランダルメ奪還戦の戦いが不利になってしまう可能性がある。
「攻略旅団の作戦で、新しいパラドクストレインが出現したの。みんなにはこのトレインでラ・ピュセルに行って、グランダルメとの境界の霧地帯に向かおうとしているキマイラウィッチたちをやっつけてもらいたいんだ」
 キマイラウィッチのグランダルメへの移動を阻止することにより、グランダルメ奪還戦におけるキマイラウィッチの軍勢を減らすことが出来るだろう。

 パラドクストレインの行き先はラ・ピュセルの霧地帯付近、キマイラウィッチが進軍して来る村の近郊となる。
 ディアボロスとの決戦を控えているからだろう、キマイラウィッチはどうやら気分が高揚しているらしい。そのせいで、たまたま通りかかった小さな村を襲い、決戦の景気づけだとばかりに村人たちの虐殺を行うのだという。
「でも、さっきも言った通り、今ならまだ間に合う。キマイラウィッチが到着する前に村の人たちを避難させて、その上で、やってくるキマイラウィッチを村の入り口で迎え撃って」
 村人たちは、ディアボロスの言葉を疑うことはしない。また、キマイラウィッチはディアボロスを見れば村人に構うことなく問答無用で襲いかかってくるため、最低限、建物の中に隠れてもらうだけでも大丈夫だと真帆は続けた。

 ラ・ピュセルとグランダルメの間に繋がりがあるのは明白であり、来たる断頭革命グランダルメ奪還戦の勝利のために、そしておそらくはグランダルメ奪還後に本格化することになるであろう火刑戦旗ラ・ピュセルとの戦いのために、キマイラウィッチの戦力を減らしておくのはディアボロスにとっても有利になることだろう。
「……でも、そうでなくても何の罪もない人たちが殺されてしまうなんて、許すわけにはいかないよね。遠慮はいらないから、全力でやっつけちゃって!」
 力強くそう告げて、真帆はディアボロスたちを送り出した。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【友達催眠】
1
周囲の一般人を、誰にでも友人のように接する性格に変化させる。効果LVが高いほど、昔からの大切な友達であるように行動する。
【エアライド】
1
周囲が、ディアボロスが、空中で効果LV回までジャンプできる世界に変わる。地形に関わらず最適な移動経路を見出す事ができる。
【壁歩き】
1
周囲が、ディアボロスが平らな壁や天井を地上と変わらない速度で歩行できる世界に変わる。手をつないだ「効果LV×1人」までの対象にも効果を及ぼせる。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【建物復元】
1
周囲が破壊を拒む世界となり、ディアボロスから「効果LV×10m半径内」の建造物が破壊されにくくなり、「効果LV日」以内に破壊された建物は家財なども含め破壊される前の状態に戻る。
【イルカ変身】
1
周囲が、ディアボロスが体長2m程度のイルカに変身できる世界に変わる。変身したイルカは最大時速「効果LV×20km」で泳げるが、変身中はパラドクスは使用できない。

効果2

【命中アップ】LV3 / 【ダメージアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【グロリアス】LV1

●マスターより

小鳥遊彩羽
 ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
 今回のシナリオは、『火刑戦旗ラ・ピュセル』よりお届けします。

 ①→②&③の順で進行予定です。いずれの選択肢も、成功に必要な人数(+若干名)で進行予定です。
 まずは村人たちを避難させ、その後にやってくるキマイラウィッチを撃退してください。
 概要にもありますとおり、このシナリオの成功数に応じ『断頭革命グランダルメ奪還戦』におけるキマイラウィッチの敵残存率が減少します。
 該当する戦場の敵残存率が、合計で「『この事件の成功本数×10%』÷『キマイラウィッチの戦場数』」だけ減少します。

 以上となります。よろしくお願い致します。
152

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

道行くついでに村を襲うとは…ましてや幼子を
つくづく魔女とは相いれません
グランダルメへの介入も看過できませんが、まずは村人達の安全確保です

友情催眠を使用
村に到着したら、手近な方に声をかけ

私はディアボロスのソレイユと申します
この村に魔女の襲撃が迫っています
村全体に避難の誘導をお願いしたいので、指導者に取り次いでは頂けませんか?

襲撃自体は村の入り口でディアボロスが食い止めますから
皆さんには村入り口から離れた頑丈な建物の内部へ避難を
十分に施錠をして、私たちが魔女を全て討伐するまで決して出てきてはいけません

老人や子供など、避難に時間のかかる方に手を貸して
少しでも早く避難が完了できるよう、ご協力を宜しくお願いします

了承が得られたら、避難に手が必要な人の手伝いに回りましょう
老人に肩を貸したり、子供たちの手を引いて、落ち着いて避難できるよう

こう見えて、私も少しは戦えますから
お菓子でも食べながら、少しだけ待っていて下さいね
と微笑み
焼き菓子の包みを渡し

準備が完了したら、入り口で待ち受けます


エイレーネ・エピケフィシア
グランダルメの終末に向けて、他ディヴィジョンのクロノヴェーダも暗躍しているようですね
奪還戦においても、今この瞬間も、魔女の名を瀆す怪物どもの蛮行を許すわけには参りません
無辜の民を救い、邪悪を滅ぼしましょう!

説得についてはソレイユ様に話を合わせていきましょう
魔女を名乗る怪物は極めて危険ですが、彼らにも目で見ていない者を突然殺すような力はありません
後はわたし達が避難所に敵を寄せ付けなければ、隠れ潜んでいるところに火を放たれることもないでしょう
出来ることなら、皆様ご自身の力で村を護りたかったことかと思いますが……どうか堪えてくださいますよう、お願いいたします

避難に時間がかかる、体力に劣る者や傷病者を助けるため【フライトドローン】を用意
自分自身の手でも移動を手伝い、速やかに人々を仲間と定めた避難場所に連れていきます
人々を助けた上でまだ猶予があれば、敵の侵入口に近い家々から、家畜や重要な家財も動かしておきましょう

これで後は戦うのみですね
怪物どもにわたし達の尽きざる怒りを知らしめてやりましょう!


「道行くついでに村を襲うとは……ましてや、幼子を母親の目の前で殺すなど」
 予知で聞いた光景は、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)の心に怒りを燈すには十分すぎるものだった。
「……つくづくこの地の魔女とは相容れませんね」
「ええ、全くです」
 ソレイユの言葉に、エイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は静かに同意する。
 断頭革命グランダルメの終末――その時が迫りつつあるのを感じているのは、ディアボロスだけではない。
 奪い、奪われる戦いの連鎖。これまでの奪還戦でもそうであったように、来たるグランダルメの奪還戦に乗じて他のディヴィジョンのクロノヴェーダたちもそれぞれの思惑に沿って動き出している。
 火刑戦旗ラ・ピュセルのキマイラウィッチもまた、例外ではない。
「奪還戦においても、今この瞬間も、魔女の名を瀆す怪物どもの蛮行を許すわけには参りません。無辜の民を救い、邪悪を滅ぼしましょう!」
 エイレーネの力強い言葉に、ソレイユも深く頷いた。
 ラ・ピュセルのグランダルメへの介入も看過出来るものではないのは言うまでもないが、まずはこのままでは殺されてしまうことになる人々を守らなければならない。
 バラドクストレインを降りたディアボロスたちは、村へと急ぎ駆けつける。
 ぽつぽつと家が並び畑が広がる小さな村は、とてもこれからキマイラウィッチの襲撃に晒されることになるとは思えないような、穏やかな時間が流れていた。
「おや、……旅の人かい?」
 こちらの姿に気づいた村人が、声をかけてくる。
「――突然申し訳ありません。私はディアボロスのソレイユと申します」
 ソレイユはすぐに友達催眠の残留効果を展開し、村人の元へ駆け寄った。
「……この村に魔女の襲撃が迫っています。村全体に避難の誘導をお願いしたいので、指導者の方に取り次いでは頂けませんか?」
「な、何だって!? そりゃ大変だ!」
 平穏な村に、にわかに慌ただしい空気が走り出す。
 村人はすぐに、ソレイユとエイレーネを村長らしき老人の元へ案内してくれた。
「村長、大変だ! この村に魔女が来るってよ!」
「……何と!」
 ソレイユは、村長へも自分たちがディアボロスであることを名乗り、手短に現状を説明する。
 その間に、何人かの村人たちも集まってきていた。
「襲撃自体は村の入り口で私たちディアボロスが食い止めます。皆さんには、入り口から離れた頑丈な建物の内部へ避難をお願いしたいのです」
 そして、ソレイユに話を合わせながら、真摯な眼差しと声でエイレーネも続く。
「魔女を名乗る怪物は極めて危険ですが、彼らにも目で見ていない者を突然殺すような力はありません。後はわたしたちが皆様が避難している場所に敵を寄せ付けなければ、隠れ潜んでいるところに火を放たれることもないでしょう」
「若い方には老人や子供など、避難に時間のかかる方に手を貸して、少しでも全員が早く避難が完了できるよう、ご協力を宜しくお願いします」
 さらに言葉を重ね、深く頭を下げるソレイユの隣で、エイレーネは一度唇を噛み締めてから、静かに言った。
「出来ることなら、皆様ご自身の力で村を護りたかったことかと思いますが……ここはどうか堪えてくださいますよう、お願いいたします」
 二人の言葉に、頷く村人たち。
 この火刑戦旗ラ・ピュセルの地において、キマイラウィッチという存在がいかに恐ろしいものであるか――彼らはよく知っていた。
 適切な説明もあり、避難は滞りなく行われた。
「十分に施錠をして、私たちが魔女を全て討伐するまで決して出てきてはいけません」
 ソレイユも村の若者たちと共に手伝いに回り、年老いた者や子どもなど、避難に時間のかかる者たちに手を貸していく。
 エイレーネもまた用意したフライトドローンに指示を出し、体力に劣る者や傷病者を素早く運ばせる。
 不安げな子どもにソレイユは優しく微笑みかけて、その手にそっと焼き菓子の包みを握らせた。
「こう見えて、私も少しは戦えますから。お菓子でも食べながら、少しだけ待っていて下さいね」
「……うん!」
 幼子は包みをぎゅっと握り締め、どこか安心したような笑顔を見せてくれた。
 人々の避難が一通り済んだところで、エイレーネは敵の侵入口――村の入り口に近い家々から、家畜や重要な家財も動かすことにした。
 ここまでキマイラウィッチの手を届かせるつもりは毛頭ないが、念には念を入れておくに越したことはない。
「――これで、後は戦うのみですね」
 避難を終えて静けさが満ちる村を振り返り、それから改めて入り口のほうへと向き直りながら、エイレーネは呟く。
「ええ、キマイラウィッチには……丁重にお帰り頂きましょう」
 参りましょう、と踏み出すソレイユに頷き、エイレーネも続く。
「怪物どもに、わたしたちの尽きざる怒りを――知らしめてやりましょう!」
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【友達催眠】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【反撃アップ】LV1が発生!

四葩・ショウ
ただ、こころを満たすためだけの虐殺なんて
そんなの間違ってる

仲間と手分けして声をかけていけたら
わたしは面倒見がよさそうで
芯のつよそうな大人の女性を
観察で見極めて、話をするよ
ラ・ピュセルの領土内なら、きっと
キマイラウィッチのおぞましさはしっているはず

どうか、落ちついてきいてください
これからこの村に
キマイラウィッチがやってきます
このままではいけないと真摯に訴え

これから避難してください
わたし達は魔女に抗い、闘うもの
ディアボロス
貴女達を助けにきました

さぁ、入り口から離れた建物の中へ
移動が出来ないひとは
そのまま建物の中に隠れてもらえたらだいじょうぶ
わたし達が護り抜きます
信じて待っていてください

わたし達が闘いながら
【建物復元】を灯せば
戦闘範囲の建物も破壊から護ることが出来るはず
避難を手伝う傍ら、入り口の近くに
戦闘に適した広場がありそうかも確認しておく

村のひとの避難が済んだら
入り口へと急いだら
堂々とすがたをみせつけて、魔女を待ち構えるね

復讐しかみえていない
その瞳でまっすぐに
わたしのことを、見つけてごらん


(「……ただ、こころを満たすためだけの虐殺なんて、そんなの、――間違ってる」)
 一方、村の入り口でソレイユとエイレーネと別れた四葩・ショウ(After the Rain・g00878)は、二人が向かったのとは別の方向へ向かっていた。
 小さな村とはいえ、すぐに避難の連絡が全員に行き届くわけではない。手分けをして声をかけていけば、より迅速に避難が完了するだろうと考えてのことだ。
 ――ラ・ピュセルの地に生きる人々は、きっと、キマイラウィッチの悍ましさを知っているはず。
 ショウが目を留めたのは、面倒見が良さそうで芯の強そうな、大人の女性だ。
 自給自足の生活を送っているであろう村でちょうど畑仕事の真っ最中であったらしいそのひとへ、ショウは近づいていく。
「――こんにちは」
 そっと声をかければ、女性は目を瞬かせてからにっこりと笑う。
「珍しいね、この辺に旅の人が来るなんて」
 気さくにそう返してくれた女性に、ほっと内心で安堵の息をつき――ショウは、真剣な表情で続けた。
「突然、すみません。どうか……落ち着いてきいてください」
「うん? 一体、どうしたんだい?」
 ショウの様子に、ただならぬものを感じたのだろう。女性もまた真剣な表情で、ショウを真っ直ぐに見つめ返してくる。
「……キマイラウィッチが、やってきます。このままでは、いけない」
「……何だって?」
 ショウの真摯な眼差しに、嘘ではないと女性も受け取ったのだろう。
 ショウは己の胸に手を当てて、続ける。
「わたしは魔女に抗い、闘うもの――ディアボロス。仲間たちと共に、貴女たちを助けにきました。魔女が来る前に、どうか、かれらの目の届かないところへ」
 ――そして、村人の女性と共に、ショウも駆ける。
 村の入り口から離れた建物の中へ。移動が出来ないひとは、そのまま建物の中に隠れていてほしい――と。
 大丈夫だと、ひとりひとりに語りかけながら、ショウは時に安心させるように手を取り、笑いかける。
「わたしたちが必ず、護り抜きます。どうか、信じて待っていてください」
 村人たちの避難を手伝う間に、ショウは建物復元の残留効果を場に燈す。
 これで万が一建物が戦闘に巻き込まれることがあっても、護ることが出来るだろう。
 避難を手伝う合間に確認した限りでは、村の入り口付近に戦闘に適した広い場所はどうやらなさそうだったが、村の外で戦えばきっと、問題はない。
「ありがとう、助かったよ。あんたのお仲間さんにも伝えておくれ。……それと、気をつけるんだよ」
 村人の女性に見送られ、人々の避難を終えたショウも入り口へと向かう。
 身を隠すつもりはなかった。何故なら自分たちこそが、キマイラウィッチの目的そのものとなるのだから。
 間もなく、魔女たちはこの地にやってくるだろう。
 そして、ディアボロスの姿を認めれば――彼女らの復讐劇は、幕を開ける。
(「――さあ、」)
 堂々と姿を見せつけて、ショウはキマイラウィッチの群れを待ち構える。
 復讐しかみえていないその瞳でまっすぐに――わたしのことを、見つけてごらん。
 
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【建物復元】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!

 まるで、日常の光景を残したまま人だけが忽然と消えたかのように、村は静寂に包まれていた。
 建物の中へ避難を終えた人々は息を潜めて身を寄せ合い、嵐が過ぎ去るのを待っている。
 ――キマイラウィッチの嵐が吹き荒れる。
 罪なき人々へ刃を振りかざし、爪を、牙を突き立てて――血と炎で塗り潰す、嵐が。
 それを止めるために、ディアボロスたちはこの地に降り立ったのだ。
「……ディアボロスッ!!」
 村の手前で待ち受けるディアボロスたちの姿を映すや否や、炎上のキマイラが吼えるように叫び、グリーディラミアの群れが蛇の体を蠢かせながら襲いかかって来た。
 このままでは避けられないはずだった惨劇の未来は、ディアボロスたちの手によって姿を変える――。
 
ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

おや、現れましたね
待ちくたびれましたよ
貴方達がグランダルメの地を踏む事も、この村を蹂躙する事も叶いません
その悪しき心根ごと、灰と還して差し上げます

ラミア達の意識をより此方へと引き付けるように、微笑みを乗せて挑発
宙に展開した鍵盤で「月虹」を演奏します
月の化身は猫に似た姿をとり、素早い動きで爪を振えと指揮します
仲間と攻撃対象を揃え、体力の低い者を優先
各個撃破で数を減らします
村の内部に侵入しようとする者も優先
攻撃の流れ弾が村施設を破壊しないよう、立ち位置は背後に何もない場所を意識して動き回ります

本当に、復讐の事しか頭に無いのですね…
ある意味、幸せな生き方なのでしょうか

反撃には魔力障壁を展開して受け流します
なんとも強烈な抱擁をして下さるようで
でも私は、愛のある抱擁の方が好みです

グロリアスの加護で体力を維持しつつ、攻撃に注力する事で素早い殲滅を目指しましょう
状況が許せば反撃アップも併用

さて、配下は片付きましたね
残るは貴方だけ
その復讐心が本当に復讐者に勝るのか否か、試してみますか?


エイレーネ・エピケフィシア
魔女の名を穢す忌まわしき怪物どもよ
あなた達の邪悪な目論見が果たされることはありません
この地に暮らす無辜の民は、わたし達復讐者が護り抜いてみせます

村に敵を通すことがないよう、戦域を突破して虐殺に向かおうとする敵がいれば優先的に攻撃を仕掛けます
わたし達への復讐心が先行するあまり、村のことは一旦忘れてくれるとありがたいのですが……
念のため注意しておくに越したことは無いでしょう

≪神護の長槍≫を敵のうち1体に投げつけると同時に、『降り注ぐ影の槍』を発動
突如として現れた幻影の槍が他の敵を狙って降り注ぎ、一息に複数の標的を串刺しにします
とぐろを巻いた蛇の身体と人体部分を同時に槍で貫くことで、大きなダメージを与えましょう
罪なき子供たちをラミアーの恐怖に怯えさせはしません!

反撃の蛇や骨は手元に戻した槍を振るって打ち払うか、≪神護の輝盾≫で防御
盾に宿る魔術への耐性で呪詛を浄化し、物理的なダメージ共々軽減して耐え抜きましょう

獰悪なるキマイラよ、死の運命は既にあなたを捉えています
――覚悟なさい!


「――おや、ようやく現れましたね」
 待ちくたびれましたよ、と微笑みながら告げるソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)。
「魔女の名を穢す忌まわしき怪物どもよ、あなたたちの邪悪な目論見が果たされることはありません」
 その傍らに歩み出たエイレーネ・エピケフィシア(都市国家の守護者・g08936)は、迫るキマイラウィッチの群れを琥珀の双眸で確りと捉えながら続ける。
「この地に暮らす無辜の民は、わたしたち復讐者が護り抜いてみせます!」
「貴方たちがグランダルメの地を踏むことも、この村を蹂躙することも叶いません。……その悪しき心根ごと、灰と還して差し上げます」
 透き通る空色の鍵盤を広げたソレイユの、微笑みの下で紡がれた音は冱えた響きを帯びて。
 静かな怒りと挑発を乗せたその言葉に、キマイラウィッチが乗らぬ理由はなかった。
「お前ら! 景気づけにやっちまいな!!」
 狂喜に満ちた炎上のキマイラの号令に応えるように鋭い声で鳴きながら、グリーディラミアたちが襲いかかってくる。
 村人たちから、ディアボロスへ。“景気づけ”の対象は上手く逸らせたようだ。
 無論、この戦域を突破して村へ虐殺に向かおうとするものがいたとしても、通すつもりは毛頭ない。
 それを忘れさせるくらいの気概を持って、エイレーネは走り出す。
 愛しき導きの魔女を想えばこそ、目の前のキマイラウィッチが“魔女”を名乗ることさえエイレーネにとっては到底許せるものではないというのに、ただ己の復讐心を満たすためだけに無辜の民を嬲り殺しにしようとした――それが、エイレーネの裡に更なる怒りの炎を燃え上がらせる。
「――聖なる槍よ! 悪しき者どもを一人たりとも逃すことなかれ!」
 赤き星抱く神護の長槍を敵の一体へ投げつけると同時、パラドクスの力を巡らせるエイレーネ。
 すると、瞬きの間に無数の幻影の槍が現れて、躱す間も与えずにグリーディラミアたちを纏めて串刺しにする。
 降り注ぐ影の槍(ドーリ・スキオン)にとぐろを巻いた蛇の身体と人体部分とを同時に貫かれ、次々に倒れていくグリーディラミア。
 ――来たる断頭革命グランダルメ奪還戦に向けた、これは、言わば前哨戦だ。
「ここから先へは、行かせませんよ」
 決戦の地に至ろうとする火刑戦旗ラ・ピュセルの軍勢を少しでも多く減らすために、ソレイユはパラドクスの力を乗せた旋律を響かせる。
 幻想ソナタ「月虹」の調べが描くは闇夜を照らす眩い満月。降り注ぐ月光は穏やかな加護と荒々しい狂気とを孕む猫の化身へと姿を変えて、グリーディラミアたちへ躍り掛かった。
 ソレイユの指揮の元、月の化身は柔らかくも眩い輝きの軌跡を残しながら鋭い爪を振るってグリーディラミアたちを引き裂いていく。
 同胞が倒れても構うことなく、ただディアボロスへの復讐を胸に絹裂くような鋭い声を上げながら襲い来るグリーディラミア。
 骨と化した蛇の腕や、露出した身体の骨が異様なまでに長く伸ばされて、復讐に囚われた悍ましき呪詛がエイレーネを襲う。
 手元に戻した神護の長槍を振るい、睥睨するゴルゴーンが刻まれた神護の輝盾で呪詛を浄化し、これらを防ぐエイレーネ。
 復讐に塗れた力に精神が軋む心地がするけれど、エイレーネは足を止めることなく再び槍を投げつけた。
「罪なき子供たちをラミアーの恐怖に怯えさせはしません!」
 胸を焦がす怒りはパラドクスによって編み上げられた数多の槍に宿り――聖なる裁きの光が悪しき魔女たちを穿つ。
 復讐の対象はここに在ると、ディアボロスたちは自らを示すように果敢に攻め込んでいく。
 一人、また一人とグリーディラミアを滅ぼすための旋律を響かせながら、魔女たちの攻撃の余波が村へ及ぶことのないよう、ソレイユは背後に何もない場所に常に立つことを意識して戦場を駆ける。
(「本当に、復讐のことしか頭に無いのですね……」)
 それは、ある意味では幸せな生き方なのだろうかとさえ、思ってしまいそうなほど。
 けれど――と、ソレイユは巡らせかけた思考を辿るより先に、魔力障壁の護りを展開した。
 全身を蠢かせながら呪文を唱え、グリーディラミアが長大な蛇身をソレイユの身体に巻き付けたのはほぼ同時。
「……なんとも強烈な抱擁をして下さるようで。――でも、」
 骨さえ砕いてしまいそうな凄まじい力で締め付けられながらも、ソレイユは小さく笑みを零して、続けた。
「私は、愛のある抱擁の方が好みです。……など、貴方に語っても詮無いことですが」
 だからお返しにと月虹の旋律を奏でれば――しなやかに躍り出た月猫が輝き帯びた爪を閃かせてグリーディラミアの急所を断ち切った。
「……さて、配下は片付きましたね」
 最後の一体が崩れ落ち、場に巡るグロリアスの力が齎す癒しに息をつきながら――ソレイユは炎上のキマイラを見据えて紡ぐ。
「くそっ、ディアボロスの分際で!!」
 更なる怒りを、復讐心を滾らせる炎上のキマイラへ、ソレイユが向けたのは微笑みだ。
 けれど、二色の双眸に湛えた怒りは、決して揺らぐことのないもの。
「残るは貴方だけ。その復讐心が本当に復讐者に勝るのか否か、試してみますか?」
 そして、神々しき輝き帯びる長槍を振るい、真っ直ぐに構えながら、エイレーネは高らかに告げる。
「獰悪なるキマイラよ、死の運命は既にあなたを捉えています。――覚悟なさい!」
 
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
【エアライド】LV1が発生!
効果2【グロリアス】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!

亀甲・桐葉 (トレインチケット)



 亀甲・桐葉(みずいろ・g00109)は静かに、目の前に立つ“敵”を見据える。
 グリーディラミアたちが倒れ、最後に残されたアヴァタール級――炎上のキマイラの目にはもう、復讐者しか映っていない。
 だが、もしもここで自分たちが負けるようなことがあれば、予知の光景は現実のものとなり――かの魔女の復讐の炎が何の罪もない村人たちを焼き尽くすことだろう。
(「そんなことは、……させない」)
 ただ平穏に日々を生きてきた彼らの未来が、無情なる復讐の炎に呑まれる未来。
 自分たちは、それを変えるために来たのだから。
 空を映したような水色の双眸に確かな怒りの輝きを宿し、桐葉はパラドクスの力を巡らせる。
 様々な世界に存在したあらゆる物語が収束し、尖晶石の掌の上で想いの弾丸へと姿を変えていく。
 夢の続きの、その先へ――この手を、想いを届かせるために。
 眩いしろがねの二丁拳銃にパラドクスの弾丸を籠めて引き金を引けば、放たれた弾丸が炎上のキマイラを正確に捉えた。
「この……ッ!」
 炎上のキマイラの尾の毒蛇が吐き出した毒炎を、桐葉は敢えて避けることなく受け止めた。
 そうすることで、毒が周囲に燃え広がって濃度を増していくのを防いだのだ。
 身体を蝕む痛みと毒を、桐葉はぐっと唇を引き結んで耐える。
 無論、桐葉とてこの程度で倒れるつもりは毛頭ない。
 それに、この一手が次へ、さらにその先の奪還戦へ繋がっていくことを、知っているから。
「――大丈夫、後ろは私に任せてください」
 すぐさま次の弾丸を創り上げながら、桐葉は続く仲間たちへと告げた。
 
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【書物解読】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

四葩・ショウ
――ダメじゃないか、余所見してちゃ

たん、と大地を踏み締めて
仲間に気をとられてる内に
魔女との距離を詰めてしまおう

反撃の獣の腕に捕らわれ、したたかに殴打をされるとしても
急所を外して明け渡せば、きっと
つよく燃え上がる炎の中に
パラドクスの白焔が迸るはず

燃え上がるのはやるせなさ
もう、何も出来ないまま
うばわれるだけの無力なわたしじゃ、ないんだ
姿あらわしたうちの、ひとりの手の甲に
騎士(ナイト)めいた接吻を落として
ミラージュの乙女達が皆消え行くまで
踊り明かすような連撃を、その胸へ捧げよう

この身を焼かれても
悪意を、憎悪を、ぶつけられても
かまわない
何度でも、何度でも
貴女達の復讐に、無辜のひとびとを苦しめるばかりの悪辣に
ふさわしい罰をあげる

ふりかかる災厄の業火から
おぞましい虐殺の未来から
かれらを救うことが出来るなら
すこし無茶するくらい、どうってことない
……ないんだ

燃え上がる炎の中で
踊ってみせてよ、炎のレディ
わるい魔女騙りは
灼けた靴で踊り果てるものでしょう?

貴女達にあげるものなんて
どこにもありはしないのだから


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

仲間の援護が頼もしいですね
私も負けてはいられません
貴方の最後を彩る演奏会を開演致しましょう

宙に展開した鍵盤で「緋槍」を演奏
イルカに乗った女神が巧みに緋槍を捌き、キマイラを刺し貫けと指揮します

少々復讐に熱くなりすぎですね
それが本質であると承知していますが、随分と周りが見えていないようです

呆れたように肩を竦めて挑発し
私達から目が離せなくなれば上々です

仲間と攻撃タイミングを合わせ
挟撃するように仕掛けます
自分か、仲間のつけた傷をより深く貫くように集中して攻めましょう

反撃には魔力障壁を展開して凌ぎます
村の畑や家屋に炎が飛ばぬようにだけは気を付け
この炎では温いとばかりに微笑を含ませ、演奏を続けましょう

どんな理由をつけようと、無辜の人々への非道な行いは看過できません
それを復讐と呼ぶなら、好きにすれば良い
全ての行為には結果が伴います
…その時は、私も謹んで受け入れるつもりですから

戦いが終われば避難した人々の所へ
全て終わったのだと
平穏な生活に戻っても良いのだと
笑顔で迎えに行きます


 頼もしき仲間の援護に双眸を柔く細めてから、ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は宙に広げた電子の鍵盤に指を置き、炎上のキマイラへと向き直った。
「私も負けてはいられませんね、――さあ、貴方の最後を彩る演奏会を開演致しましょう」
「気障ったらしいことを……!」
 炎上のキマイラが吼えると同時、その耳を美しくもどこか物憂げな旋律が震わせる。
 幻想ソナタ「緋槍」の流れるように紡がれる音に導かれ、イルカに乗った海の女神が像を結ぶ。
「女神よ、かのキマイラを刺し貫きなさい」
 ソレイユの指揮のままに女神は緋き槍を振るって大海嘯を呼び起こすと、その勢いのままに炎上のキマイラへと迫り、緋槍でその体を貫いた。
 反撃の毒炎がソレイユへと放たれると同時、たん、と大地を踏み締めて――。
「――ダメじゃないか、余所見してちゃ」
 炎上のキマイラへと肉薄した四葩・ショウ(After the Rain・g00878)が、静かに笑みを深くして告げる。
「っ、チッ……!」
 刹那の間に交錯する互いのパラドクス。
 炎を纏った獣の腕がショウを捕え、燃え盛る松明が迫る。
 その炎はただ触れるだけで、復讐者に喰らいつくように激しく燃え上がることだろう。
 だが――それこそがショウの狙いであった。
 罪なきいのちを、救うことが出来るなら。
(「すこし無茶するくらい、どうってことない。……ないんだ」)
 急所を外し、“敢えて”この身を明け渡す。
 炎上のキマイラが狂ったように歪めた笑みは、けれど、すぐに驚愕へと変わった。
 強く燃え上がる赤き炎の中に、迸るは復讐の白き焔。
「――みせて、あげるよ」
 もう、何も出来ないまま、奪われるだけの無力な“わたし”では、ないから。
 遣る瀬無さから綻び花笑むミラージュの乙女たち。
 己と瓜二つの彼女たちへショウは恭しく手を伸べると、そのうちのひとりの手の甲に、さながら騎士(ナイト)めいた接吻を落とす。
 ミラージュの乙女たちはみな代わる代わる踊るように魔女を囲んでは、次々に手にした白焔のレイピアを突き立てて――ふわりと、風にとけるように消えていった。
 目まぐるしい連撃の最後を彩るのは他でもないショウ自身。
 たとえ、この身を焼かれても。
 悪意を、憎悪を、復讐の心をぶつけられても――人々のねがいを受け止めて咲いた魂の輝きは、けして消えることはない。
「何度でも、何度でも。貴女たちの復讐に、無辜のひとびとを苦しめるばかりの悪辣に、ふさわしい罰をあげる」
「……これくらいの炎では、温いですよ」
 反撃の毒炎を魔力障壁で凌ぎきったソレイユは、村の畑や家屋に炎が飛ぶことがなかった気配に内心安堵しながら、微笑を含ませて演奏を続ける。
「少々復讐に熱くなりすぎですね。それが本質であると承知していますが、随分と周りが見えていないようです」
 そう、呆れたように肩を竦めて挑発するソレイユに、炎上のキマイラは怒り狂ったように吼えた。
「元はと言えば、ディアボロス……お前たちが!!」
 ――もう、かの獣は復讐者から目が離せない。
 憎悪に満ちた眼差しが、存分にそれを物語っている。
 美しくも憂いを孕む旋律が、揺るがぬ怒りを伴って響き渡る。
 まるでキマイラが放つ復讐の炎ごと呑み込むように勢いを増して荒れ狂う大海嘯を、美しい髪を靡かせながらイルカと共に駆ける海の女神が、幻影の乙女と、そしてショウのレイピアが貫いた場所を狙って緋槍を繰り出した。
「ぐうっ……」
「……どんな理由をつけようと、無辜の人々への非道な行いは看過できません。それを復讐と呼ぶなら、好きにすれば良い」
 身を深く穿たれ、よろめく炎上のキマイラを見つめながら、ソレイユは淡々と紡ぐ。
「全ての行為には結果が伴います。……その時は、私も謹んで受け入れるつもりですから」
 世界を、奪われたものを取り戻したその先に――たとえ、何が待ち受けていようとも。
 或いは――何も、残らなかったとしても。
「ハッ――!」
 ソレイユの言葉に、炎上のキマイラはただ嗤うだけ。
 けれどそれは今のソレイユにとっては、どうでもいいことであった。
 元よりキマイラウィッチにこちらの言葉が伝わるとも思っていなかったし、何より、ソレイユには既にかの魔女の“終わり”が、視えていたから。
「――ほら、燃え上がる炎の中で踊ってみせてよ、炎のレディ」
 背後から響いた声に、炎上のキマイラが目を瞠る。
「わるい魔女騙りは、……灼けた靴で、踊り果てるものでしょう?」
 振り向いた炎上のキマイラが目にしたのは、己の赤き炎を容易く塗り替えるほどの眩い白の輝きと、流星のように奔る白焔のレイピアの煌めきだった。
 幻影の乙女たちと共に、ショウはレイピアを閃かせ――そして。
「貴女たちにあげるものなんて、どこにもありはしないのだから」
 捧げられた最後の一閃は迷うことなく、魔女の胸を貫いた。

 戦いを終えたディアボロスたちは、避難している村人たちを迎えに行く。
「もう大丈夫ですよ、……全て、終わりましたから」
 平穏な生活に戻ってもよいのだと微笑むソレイユに村人たちは安堵し、ディアボロスへの感謝を伝えてくれた。
 降りかかる災厄の業火も、悍ましい虐殺の未来も、自分たちディアボロスの手で断ち切った。
 そのことに安堵しながら、ショウは平穏を取り戻した彼らを穏やかな眼差しで見つめる。
「おにいちゃん、おねえちゃんたちも、ありがとう!」
 ぱあっと笑顔を輝かせて駆けてきたのは、ソレイユが焼き菓子を渡した幼子だった。
「お菓子、おいしかったよ!」
「……それは、よかったです」
 ――まるで、始めから何もなかったかのように、彼らは排斥力によってこの出来事を忘れてしまうだろうけれど。
 それでも、何か残るものはきっとあるだろう。
 そうして想いを繋いでいけば――いずれ必ず、この地も歴史侵略者たちの手から解き放つことが出来る。
 来たる決戦の時、断頭革命グランダルメ奪還戦へと繋がる魔女たちの手をひとつ、断ち切って。
 想いを新たに、ディアボロスたちは帰途につくのだった。
 
超成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【壁歩き】LV1が発生!
【イルカ変身】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【先行率アップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年04月13日