フライング・ダッチマン号確保作戦

 幻想竜域キングアーサー奪還戦の結果、冥海機ヤ・ウマトに漂着した、海賊船型クロノ・オブジェクト『フライング・ダッチマン号』の確保を目指します。
 攻略旅団の調査により、フライング・ダッチマン号が、九州の海域に出現した事が判明したのですが、九州北部の冥海機拠点『佐世保鎮守府』の冥海機が、フライング・ダッチマン号を発見、破壊しようと攻撃を仕掛けようとしているようです。
 急ぎ、この海域に向かって冥海機からフライングダッチマン号を護って戦闘を行い、フライング・ダッチマン号の確保を成功させてください。
 確保したフライング・ダッチマン号を、ディアボロスが制圧した台湾島に向かわせることが出来れば、作戦は成功となります。

フライング・ダッチマン号確保作戦~破壊の危機を回避せよ(作者 北瀬沙希
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●冥海機ヤ・ウマト:九州海域
 冬の荒波とは無縁の穏やかな海域を、冥海機の艦隊が哨戒している。
 佐世保鎮守府所属のアヴァタール級冥海機『アストリア』が率いているその艦隊は、台湾島の哨戒任務を目的としているためか、随伴艦隊を同行させず、少数の偵察艦隊編成のみで航行していた。
(「台湾島を警戒する任務も楽ではないですが、ディアボロスに制圧されている以上、必要な任務ですから」)
 そう、考えていたアストリアが顔を上げると、1隻の大型帆船が海上を彷徨う様子が目に入った。
「何故、こんなところにエルドラードの海賊船が?」
 アストリアが首を傾げていると、先行するトループス級冥海機『メタルクルーズ』達から通信が入る。
「アストリア様!! あれは、あの船影は……フライング・ダッチマン号です!!」
 その名を聞いたアストリアの目が、驚愕で大きく見開かれた。
「フライング・ダッチマン号ですって!? それは第一級危険指定の大型海賊船ではないですか!!」
(「台湾島の哨戒任務に来て、どうしてこんな厄介事を引き当てるのでしょうか!」)
 しかし、厄介事に遭遇してしまった今、アストリアが命じることは一つしかない。
「総員、攻撃開始!! フライング・ダッチマン号を撃沈せよ!!」
 アストリアの命令を受けた艦隊が、一斉にフライング・ダッチマン号に主砲を向け、攻撃を開始する。
 無人のまま冥海機ヤ・ウマトに漂着した大型海賊船は、今まさに破壊の危機に瀕していた。

●新宿駅グランドターミナル
「幻想竜域キングアーサー奪還戦のゴンドワナから、冥海機ヤ・ウマトに漂着した『フライング・ダッチマン号』の行方が判明しました」
 パラドクストレインの前に集まったディアボロスを前に、時先案内人潮矢・鋼四郎(零式英霊機のボトムマリナー・g09813)は、なぜか重い口調で告げる。
「フライング・ダッチマン号は、ディアボロスが制圧した台湾島から北北東の方角、九州の海域に漂着したようです。直ぐに確保に向かってほしいのですが……重大な問題が発生していまして」
 問題とは? と言いたげなディアボロス達に、鋼四郎は重い口調のまま告げる。
「漂着したフライング・ダッチマン号が、当該海域で冥海機の艦隊と遭遇し、攻撃されようとしているのです」
 ――現在のフライング・ダッチマン号は、無人の状態で漂流している。
 反撃の術を持たぬ状態で冥海機の艦隊の攻撃を受ければ、撃沈されてしまう可能性が極めて高い。
「そこで皆様には、至急この海域に向かっていただき、フライング・ダッチマン号を護って冥海機を撃破した上で、フライング・ダッチマン号をディアボロスの勢力圏である台湾島に運び込んでほしいのです」
 お願いします、と頭を下げる鋼四郎に、ディアボロス達は其々の想いを胸に頷いた。

 鋼四郎いわく、現地に到着するのは、本当に、本当にギリギリのタイミングになってしまうという。
「そのため、フライング・ダッチマン号の撃沈を防ぐためには、フライング・ダッチマン号を攻撃しようとしている冥海機艦隊が直前で攻撃目標を変えるような、格好の攻撃対象を敵の前に示す必要があるのです」
 では、『格好の攻撃対象』をどう示すかというと。
「パラドクストレイン到着と同時に、ごく少人数の先発隊が【飛翔】し現場に急行、フライング・ダッチマン号と冥海機の間に割り込んでいただきたいのです」
 ――【飛翔】するディアボロスは、クロノヴェーダにとって最優先の攻撃目標。
 そのディアボロスが、攻撃対象との間に割り込んできたのならば、冥海機は即座に攻撃対象をフライング・ダッチマン号からディアボロスに変更し、撃墜せんと攻撃してくるだろう。
【飛翔】して割り込んだディアボロスの撃墜は不可避であり、重傷を負って最終人類史に漂着する事になる可能性も高いが……。
「それでも、フライング・ダッチマン号を確保する為には必要な行動です。勇気をもって向かって下さい」
 決死の覚悟で最初の攻撃をフライング・ダッチマン号から逸らす事が出来れば、その後は救援機動力で駆けつけた後発隊が冥海機の艦隊を撃破し、フライング・ダッチマン号の確保が成るだろう。
「冥海機撃破後は、フライング・ダッチマン号に乗り込み、台湾島に向かって下さい」
 なお、フライング・ダッチマン号は無人でも航行できる性能を持っているようで、目的地さえ定めることが出来れば、航行に支障はないと思われる。
 クロノ・オブジェクトのため、【操作会得】の効果は発揮されないが、操舵の方法自体は大航海時代のガレオン船に準じるようなので、それを踏まえて航行させて欲しい。

「通常、敵の眼前で【飛翔】するのは自殺行為ですから、我々時先案内人は推奨しないのですが……その自殺行為が必要な時もある、ということでしょう。その上で、冥海機を挑発するようなことをすれば、作戦の成功率をさらに高められるはずです」
 そう、助言する鋼四郎の表情は、沈痛なまま。
「改めて申し上げますが、これは非常に危険な任務です。手を出さないとフライング・ダッチマン号は撃沈されてしまいますが、もしフライング・ダッチマン号を確保できれば、冥海機ヤ・ウマトでの作戦行動の幅も大きく広がるでしょう」
 ――だからどうか、覚悟を決めて参加して欲しい。
 そう呟きつつ、礼儀正しく頭を下げる鋼四郎に見送られながら。
 ディアボロス達はパラドクストレインに乗り込み、フライング・ダッチマン号が漂着した九州海域へと赴いた。


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【飛翔】
2
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【強運の加護】
1
幸運の加護により、周囲が黄金に輝きだす。運以外の要素が絡まない行動において、ディアボロスに悪い結果が出る可能性が「効果LVごとに半減」する。
【勝利の凱歌】
1
周囲に、勇気を奮い起こす歌声が響き渡り、ディアボロスと一般人の心に勇気と希望が湧き上がる。効果LVが高ければ高い程、歌声は多くの人に届く。
【避難勧告】
1
周囲の危険な地域に、赤い光が明滅しサイレンが鳴り響く。範囲内の一般人は、その地域から脱出を始める。効果LVが高い程、避難が素早く完了する。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【パラドクス通信】
1
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【水中適応】
2
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。

効果2

【能力値アップ】LV1 / 【ダメージアップ】LV1 / 【ガードアップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【アクティベイト】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【グロリアス】LV2

●マスターより

北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 冥海機ヤ・ウマト攻略旅団からの提案で、ゴンドワナから漂着したフライング・ダッチマン号を確保することになりました。
 ディアボロスの皆様、至急現場に向かい、冥海機に攻撃されようとしているフライング・ダッチマン号の確保をお願いします。

●シナリオ進行について
 ①→③④→②の順で進行いたします。

①ディアボロス【飛翔】特攻隊

【飛翔】し冥海機とフライング・ダッチマン号の間に割り込み、初撃の目標を逸らしてください。
 上手く逸らせた場合、割り込んだディアボロスは撃墜されますが、フライング・ダッチマン号は護れるでしょう。
 選択肢の性質上、【飛翔】の用意は必須です。ご注意ください。
 この選択肢の採用人数は、1名様、ないしは2名様となります。

!!重要!!

 本選択肢に採用された場合、撃墜された上で高確率で【重傷】となります。
 犠牲覚悟の作戦となりますので、覚悟の上での参加をお願い致します。

③👾護衛するトループス級『メタルクルーズ』
④👿アヴァタール級との戦闘『アストリア』

 フライングダッチマン号を破壊しようとしている、冥海機との戦闘。③④同時募集です。
 必要成功数を大幅に上回るような採用は行いませんので、うまく分担いただけますと幸いです。

②フライング・ダッチマン号の船旅~台湾島航路

 台湾島までの船旅の最中、フライング・ダッチマン号の内部を調べることができます。
 あれもこれもと欲張って調べるより、調べる対象、ないしはやりたい行動をひとつに絞ってプレイングをかけるのをお勧め致します。
 こちらの採用は、最高3名様程度の予定です。

 本シナリオは、グループで参加されたり、2人ペアで参加された場合でも、グループ内の一部のみ、ペア参加の片方のみ採用する可能性もございます。予めご了承の上での参加をお願いします。

 プレイング受付締切等、シナリオ進行に関する告知は、マスターページにて行います。
 それでは、皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
12

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


ラトリア・ブルーアローゾ
アドリブ・絡みOK

敵が破壊しようとしている敵の船を確保するために陽動作戦(特攻)をしてこいってか。
おもしれえ。いっちょやってやろうじゃねえか。

時先案内人がどんなタイミングで連れていってくれるかにもよるがあまり早く見つかると無駄に撃墜されるな。
到着次第、海面すれすれを飛行して一気に距離を詰めて敵艦隊が砲門をフライング・ダッチマン号に向けたら見つけてくれるように高度を上げて間に割り込むぜ。

攻撃目標の変更で若干もたつく隙を突いてアストリアとかいう可愛い子ちゃんに機関砲をぶち込む!
相手がまともな指揮官なら最も脅威度の高い標的を狙う。
脅威度の高い標的、つまり自分を狙ってる敵だ!

時先案内人は初撃を逸らせとしか言ってないから二撃目の機会はないんだろう。
なら成功後はそのまま景気よく機関砲を撃ちまくりながらアストリアに突っ込んで華々しくいこうか!
あんたは途中退場だから知らんだろうが、後々カミカゼってのもあったんだぜ!
炎上する機体でそのまま体当たりだ。
Rizkuko FOX4!
ここは笑うところだぜ……!


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に

無事に流れ着いてたかと思えばもう壊されそうになってるし
忙しないなーまったく!
あの船、移動拠点に出来るとは聞いてたけど、
第一級危険指定って随分だね。何かあるのかしら
ま、とりあえず確保確保っと!

【飛翔】を用い最大速度、限界高度で急行
フライング・ダッチマン号と敵群の間に割り込み、
陣を乱すようにパラドクスを吹き付ける
はっはー!失陥した台湾島をわざわざ戦力割いて見に来るだなんてっ!
大変だねーきみたちも!お疲れ様!
ぺちぺち拍手したりにやにやオスガキめいた表情をしたり
こっちとしちゃお宝も手に入るってんだから本当愉快でしょうがないよ
後はきみたちが全滅してくれれば言う事なしだね!
思っきし挑発の言葉をなげる。容赦なく!

その後は殺到する攻撃に備える
Moon-Childを外骨格化させて曲芸飛行に移行
挑発的でありながら読み辛い動きを行い、
少しでも攻撃の手を緩められれば僥倖かな
ま、そこまで期待はしちゃいないよ
本命は【グロリアス】による攻撃
ちょっとでも保つようにすれば、それだけ船を守れるからね



 九州海域に停車したパラドクストレインの扉が開いた瞬間、ラトリア・ブルーアローゾ(餅が好きすぎて上官にコールサインを『餅』にされた男・g10730)とロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)のふたりが【飛翔】しながら外へ飛び出す。
「敵が破壊しようとしている敵の船を確保するために陽動作戦(特攻)をしてこいってか。おもしれえ。いっちょやってやろうじゃねえか!」
「無事に流れ着いてたかと思えばもう壊されそうになってるし、忙しないなーまったく!」
(「移動拠点に出来るとは聞いてたし、第一級危険指定という単語に何かあるのかと気にはなるけど……」)
「ま、とりあえず確保確保っと!」
 思うところを心の裡にしまいつつ、ロキシアは限界高度まで上昇しながら最大速度でフライング・ダッチマン号目指して飛翔し始める。
 そんなロキシアの真下では、ラトリアが海面スレスレを飛翔しながら同じ方向へ向かっていた。


 現場に到着したラトリアが目にしたのは、トループス級冥海機『メタルクルーズ』の集団がアヴァタール級冥海機『アストリア』の命に従い、一斉にフライング・ダッチマン号に主砲を向けたところだった。
「総員、攻撃開始!! フライング・ダッチマン号を撃沈せよ!!」
(「よし、間に合ったぜ!!」)
 メタルクルーズ達が一斉に発射する直前、ラトリアは冥海機たちが見つけてくれるように祈りながら高度を上げ、冥海機とフライング・ダッチマン号の間に割り込む。
 フライング・ダッチマン号に向いていたアストリアの目が、突然割り込んできた蒼い装甲に向けられた。
「新手……今度はディアボロスですか!!」
「可愛い子ちゃんへのプレゼントだ!!『Rizkuko Guns!』」
 アストリアの左右にある三連装砲の砲口がフライング・ダッチマン号からラトリアに向き、即座に発射。
 砲撃を受けた海面が壁のようにそそり立つのとほぼ同時に、ラトリアは機関砲からの一斉射をアストリアにぶち込んだ。
 制圧水壁と化した海面がラトリアを呑み込み、海に引きずり込もうとするが、ラトリアの機関砲の弾丸も水壁を貫き、アストリアの身体を捉える。
 一斉射を受けたアストリアの表情が、痛みで微かに歪んだ。
「くっ……全軍、目標変更! ディアボロスを撃墜せよ!!」
「アイアイサー!!」
 アストリアの命を受けたメタルクルーズ達の視線と砲門が、一斉にラトリアに集中する。
 明らかに危機的な状況ではあるにも関わらず、ラトリアはニヤリと笑っていた。
 ――相手がまともな指揮官なら、最も脅威度の高い標的を狙う。
 今のアストリアにとって、脅威度の高い標的は自分を狙ってる敵――ラトリアだろう。
(「時先案内人は初撃を逸らせとしか言ってないから二撃目の機会はないんだろう」)
 そして、全ての砲門がラトリアに向いている今、フライング・ダッチマン号が砲火に晒される危険性はほぼないだろう。
「あんたは途中退場だから知らんだろうが、後々カミカゼってのもあったんだぜ!」
 次の一手を打つべく、ラトリアは景気よく機関銃を撃ちまくりながらアストリアに突っ込んでゆくが、どうにも効いている様子がない。
 逆に、アストリアの制圧水壁はラトリアを頭上から圧し潰し、メタルクルーズからの一斉射は吸い込まれるようにラトリアの四肢や胴を貫いている。
 全身が炎上し始め、激痛が意識を刈り取ろうとする中、ラトリアはアストリアに向けて飛翔し、景気よく体当たりを狙う。
「Rizkuko FOX4! ここは笑うところだぜ……!」
 そんなラトリアの行く手を遮るように、アストリアの三連装砲がみたび海面に撃ち込まれ、巨大な水壁が発生した。
 ラトリアもまた、炎上したまま構わず水壁に突っ込もうとするが、水壁は容赦なくラトリアを呑み込み、圧し潰す。
(「体当たりはかなわねえか……ちっ!」)
 機関銃を発射する前に崩壊する水壁に呑まれたラトリアは、そのまま墜落し、海中へと引きずり込まれて行った。


 ラトリアに続き、ロキシアもフライング・ダッチマン号と敵群の間に割り込みながら、思考や精神、生命活動を徐々に停止させる輝く淡雪をメタルクルーズ2体に吹き付ける。
「またもディアボロスですか!」
「はっはー! 失陥した台湾島をわざわざ戦力割いて見に来るだなんてっ!」
 淡雪を受けても動きが変わらぬメタルクルーズに思わず首を傾げそうになりながらも、ロキシアは派手に挑発の言葉を投げつけた。
「大変だねーきみたちも! お疲れ様!」
 思っきし投げつけた挑発の言葉に合わせ、オスガキめいた表情を冥海機に向けつつぺちぺち拍手するロキシア。
 その行動に怒りをかき立てられたか、メタルクルーズの艦底部エネルギーブレードが、アストリアの波動が、一斉にロキシアを襲った。
 ロキシアもMoon-Childを外骨格化させて曲芸飛行に移行し、少しでも手を読まれづらくはしているのだが、ロキシアの身体はエネルギーブレードに的確を切り裂かれ、波動に生命力を奪われている。
(「敵の攻撃は苛烈なのに、淡雪があまり効いている様子がないかあ」)
 全身激痛に苛まれながらも、ロキシアは再度淡雪を吹き付けようとするが、どうにも攻撃の糸口が掴めない。
 本命たる【グロリアス】も、攻撃そのものの機会がなければ恩恵はない。
(「あちゃー、タイミングが掴めないね」)
 だがそれでも、アストリアへの挑発の手は、口は緩めない。
 ……緩めるわけには、いかない。
「こっちとしちゃお宝も手に入るってんだから、本当愉快でしょうがないよ」
「ディアボロスが、言いたい放題言ってくれますね!!」
「後はきみたちが全滅してくれれば言う事なしだね!」
 ロキシアの容赦のない挑発に、アストリアの怒りが頂点に達したか、周囲の波動が揺らめき始める。
「馬鹿にするのも大概にしなさい……!!」
 アストリアの怒りと共に放たれた波動が、ロキシアの意識を刈り取る勢いで生命力をごっそり奪う。
(「あ、これは耐えられないや」)
 三度淡雪を吹き付けるチャンスを奪われたロキシアは、急激に脱力しバランスを崩し、海に墜落した。


 薄れゆく意識の中、ロキシアは海に身を委ねながら、これまでの行動を振り返る。
(「【飛翔】しながらの戦闘は、敵側が非常に有利になるってことだね……勉強になったよ」)
 ラトリアもまた、我が身を沈みゆくままに任せながら、己が身で知った経験を知識に刻み込む。
(「敵の目前で不用意に【飛翔】するなと言われる理由がわかったぜ。これは耐えられねえな」)
 一方、敵の目前で【飛翔】したおかげで、冥海機たちの意識をフライング・ダッチマン号から逸らすことができた。
 直に、後続の仲間たちが辿り着き、フライング・ダッチマン号を確保してくれることだろう。
(「じゃ、後は頼んだぜ」)
(「フライング・ダッチマン号の確保、皆に任せたよ」)
 先発隊としての役割を、十二分にやり遂げた手ごたえを感じながら。
 ラトリアとロキシアは、海中で意識を手放した。

※戦闘結果
『ラトリア・ブルーアローゾ(餅が好きすぎて上官にコールサインを『餅』にされた男・g10730)は重傷を負った』
『ロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)は重傷を負った』
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV2が発生!
効果2【能力値アップ】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!


 冥海機に撃墜されたディアボロスが、アストリアの前で海中に沈んでゆく。
「しかし、ここにディアボロスが駆け付けた、ということは……」
 アストリアの嫌な予想が言の葉となって穏やかな海に漂い始めた、その時。
 救援機動力で駆けつけた後続のディアボロス達が、フライング・ダッチマン号と冥海機の間に割って入るように現れた。

 さあ、フライング・ダッチマン号確保のための条件は整った。
 ディアボロス達よ、目の前の冥海機を撃破し、フライング・ダッチマン号を確保せよ!!
エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
【水面走行】を共有し、残留効果を活用

……無茶をする
見事だ

後は引き受けよう
彼らに安心して休んでもらわないとな

現場の仲間と声掛け連携
戦況を観察しつつ把握
敵の数が多い間は、死角を補いあうように立ち位置を取り
援護しつつ、狙いを合わせて着実に数を減らしていく
一撃で倒せる敵>消耗した個体を目安に
仲間の動きに応じ、ダッチマン号を狙う敵も警戒を

【水面走行】で戦闘
両手の銃に雷撃を帯びた弾丸を込め、連射しパラドクス攻撃
雷撃を走らせて、敵の動きを阻害しながら、狙い澄まして撃ち抜こう
味方とは声を掛け合い、気づいたことや危険を知らせ合い
攻撃の集中する味方や、消耗した味方をディフェンス

敵の布陣に合わせ、味方の背を守るように動き
立ち止まらずに移動を交える

敵からの攻撃には魔力障壁を展開し身を護りつつ
浮遊するそぶりを見せたらタワーシールドを構え、刃を受け流し
深手を避ける

フライング・ダッチマン号があれば、ヤ・ウマトの戦況も変わるだろう
次へ繋ぐための一手、退く訳にはいかないな
道は切り拓くのみだ


イツカ・ユメ
頼んだ、と。
任せた、と。
声が、聴こえたから。
全力でかっ飛んで、冥界機の間に割って入るよ!
ふたりが切り開いた道を、絶対無駄にしない!

歌って奏でて踊って、気分はノリノリ絶好調!
さぁ、ここはもうわたしのステージだよ!
極上の歌声でとろとろに酔わせて、あなた達全員虜にしちゃうから、覚悟してね♪

使える残留効果をフル活用しつつ、周りの人達と協力して一体ずつ確実に撃破していくね。
囲まれないように【未来予測】で相手の行動の先を読みつつ、砲撃の連射に味方を巻き込まないように周囲の状況の【観察】も忘れずに。
ふふーん!わたしみたいなデキる女は、常に戦いの二手三手先を読んでいるのだよ!

ピンチの時でも笑顔は忘れずに。
どんな時でも、音楽はわたしに笑顔と勇気をくれたから。
明るい歌声で皆を、自分自身を応援しながら、最後まで諦めずに戦うよ!
……多分大丈夫とは思うけれども。ダッチマン号を狙う相手がいたら、最優先で撃破するよ。ここで船を落とされたら困っちゃうしね。
船を確保したら、台湾島にも行けるのかな?わくわくしちゃう!



 救援機動力で駆けつけたエトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)は、海中にちらりと視線を向ける。
(「……無茶をする。見事だ」)
 フライング・ダッチマン号撃沈まで時間の猶予がない中、危険を顧みず【飛翔】し道を切り開いてくれた仲間に敬意を表しながら、エトヴァは改めてトループス級冥海機『メタルクルーズ』の一群に目を向けた。
 エトヴァ自身も、重傷覚悟で大灯台へ降下し、後進への道を切り開いた経験があるから、彼らの行動は無茶であれども無駄だとは思っていない。
「後は引き受けよう。彼らに安心して休んでもらわないとな」
 彼らを労うエトヴァに続くように、全力でかっ飛んできたイツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)が、同じくフライング・ダッチマン号と冥海機の間に割って入る。
 ――頼んだ。
 ――任せた。
 先んじて飛翔したふたりの声が、イツカにも聴こえたから。
「ふたりが切り開いた道を、絶対無駄にはしない!」
 イツカの明るく決意に満ちた声が、冥海機の耳を打つと同時に。
 フライング・ダッチマン号を確保するための戦いの火ぶたが、切って落とされた。


「――疾く、閃け」
 水面に足をつけながら、エトヴァは両手の二挺の銃から雷撃の力を封じた水陸両用弾を発射し、メタルクルーズを狙い撃つ。
 消耗した敵より一撃で倒せそうな敵を優先し発射した3発の雷撃弾は、雷撃を走らせ敵の動きを阻害しながら、狙い澄ましたかのように負傷しているメタルクルーズ2体とその付近にいた1体、計3体に命中した。
「――ッ!!」
「かみな、り……!!」
 エトヴァに艦底部エネルギーブレードで斬りつけようとしていた3体のうち、負傷していた2体は雷撃弾に機関部を貫かれ、ブレードをエトヴァに届かせることなく墜落した。
(「この傷は、おそらくあのふたりの何方かがつけた傷、か」)
 残る1体が雷撃弾を受けながら振るったエネルギーブレードを全身に纏った魔術結界で止めながら、エトヴァが改めて戦況を確認すると、イツカがメタルクルーズの注目を集めるように歌い始めている。
「歌って奏でて踊って、気分はノリノリ絶好調! さぁ、ここはもうわたしのステージだよ!」
 ――極上の歌声でとろとろに酔わせて、あなた達全員虜にしちゃうから、覚悟してね♪
 水面に足をつけながら、イツカはいつかどこかで聞いた歌をアップテンポにアレンジした歌を歌い始める。
 その一方で、メタルクルーズ達の砲撃の連射にエトヴァを巻き込まないよう、周囲の状況を観察するのも忘れない。
(「わたしみたいなデキる女は、常に戦いの二手三手先を呼んでいるのだよ!」)
「いつか叶う、夢はきっと叶う……ほらほら、休んでいる暇なんてないよ!」
 歌はいつしか音の刃と化し、エトヴァの雷撃弾を受けたメタルクルーズの首に集中し、落とす。
 首が落とされると同時に艦首滑空砲から高速で撃ち出された砲弾は、イツカの髪をかすめながら明後日の方向に飛び去っていった。


 その後もエトヴァとイツカは、お互いをカバーしながら、的確な一撃でメタルクルーズの数を減らして行く。
 イツカが歌っている間、エトヴァがその背を守りながら雷撃弾を連射し、確実にメタルクルーズを沈め。
 そして、エトヴァが敵を阻害すべく狙い撃っている間は、イツカが明るい歌声で皆を応援しながら、音の刃と琴剣でメタルクルーズの首を容赦なく落としていく。
 お互いの死角をカバーし狙いを合わせながら、着実に冥海機の数を減らしていく最中、ふとイツカの脳裏に疑問が過った。
(「そういえば、フライング・ダッチマン号は無事かな?」)
 何体目かの首を落とした後、イツカはフライング・ダッチマン号が無事か確認するが、彷徨うガレオン船が攻撃されている様子はない。
(「ここで船を落とされたら困っちゃうけど、フライング・ダッチマン号を狙う相手はいなさそうだね」)
 もし、ふたりを無視してフライング・ダッチマン号を攻撃するような敵がいたら、エトヴァもイツカも最優先で撃破するつもりだったが、冥海機たちはふたりに注目し続け、フライング・ダッチマン号に意識を向ける様子はない。
 ディアボロスがこの場にいる限り、フライング・ダッチマン号が攻撃される心配はないと考えていいだろう。
「船を確保したら、台湾島にも行けるのかな? わくわくしちゃう」
「ああ。フライング・ダッチマン号があれば、ヤ・ウマトの戦況も変わるだろう」
 ――次へ繋ぐための一手、退く訳にはいかないな。
 彷徨うガレオン船を見失わぬよう視界の片隅に捕らえつつ、今は道は切り拓くのみ、と己に言い聞かせながら。
 エトヴァは雷が籠った銃のトリガーを引き、道を遮るメタルクルーズの心臓を撃ち抜いた。


 その後も、銃声と歌声が幾度となく海上に響き渡るたび、メタルクルーズが海中に沈み、砲撃音が減っていく。
 気付けば、メタルクルーズの残りは、1体のみとなっていた。
 その最後の1体が、浮遊しながらエネルギーブレードでエトヴァに斬りつけるが、エトヴァはタワーシールドの表面でブレードを受け流しつつ雷撃弾を発射。
 刃を逸らされバランスを崩したメタルクルーズの側面を、エトヴァの雷撃弾が撃ち抜いた。
「アストリア様……申し、訳、ござ……」
 致命傷を受けたメタルクルーズは、指揮官に詫びながら海中に沈んでいく。
 これで海域に残る冥海機は、アストリアのみ。
「くっ、メタルクルーズが全滅しましたか!」
 残りひとりになっても尚、アストリアは左右の三連装砲をエトヴァ達に向ける。
「それでも、厄介事は全て片付けます。ディアボロスを一人残らず海に沈め、フライング・ダッチマン号も撃沈しましょう!!」
 そう、高らかに宣言したアストリアの前に、救援機動力で新たなディアボロスが駆け付けた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【水面走行】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

荒田・誠司
アドリブなど歓迎

【心情】
仲間たちの頑張りは無駄にさせない!
絶対に船を確保してみせる
お前らの好きにはさせないからな!来いよ、スクラップ!

【行動】
使える残留効果を全て使い駆けつける
仲間とは声を掛け合い積極的に連携していく

まずは風で可燃物を巻き上げその後着火する特殊な弾丸を製作して
エレメントリボルバーに装填して攻撃する
彼方が遠距離でくるなら此方も倣らおう

敵からの攻撃は盾のフェイク・プリドゥエンで受けて防ぐ
ただ直接防ぐと消耗が激しいので自分から後方に飛んで衝撃を殺し
能力アップで自分を強化しておく

アクティベイトも使っておけば簡単に連続攻撃を受けることもないんじゃないだろうか

敵を挑発して狙いをこちらに向けさせて
船に被害が出ないよう戦闘しながらも少しずつ移動
流れ弾や余波で被害を負わないように注意する

必要なら臨機応変に対処する


九重・古安
敵の指揮官と護衛とを分断できた今が好機だな。
飛翔で突っ込んで時間を稼いでくれた味方のおかげで敵の注意は上空や水上に向いているとみた。
味方の奮戦に応えるためにもフライング・ダッチマン号を沈めさせるわけにはいかん。そのためには想定外の遭遇戦で混乱している相手が立て直す暇を与えず畳みかけたい。
トループ級と戦っている味方……特にイツカに狙いが行くのを遮るためにも、駆け付けた勢いそのままに【水中適応】で海中に飛び込んで、下から仕掛けることで白兵戦に持ち込める距離まで間合いを詰めるぞ。

死なばもろともととフライング・ダッチマン号を狙うのを阻止するためにも【水面走法】で至近距離で立ち回る。
敵が砲撃のために俺から距離をとろうとするように仕向けるのがこちらの狙いだ。
目論見通りに敵が間合いを離し攻撃に転じようとしたそのタイミングで、全力の一振りと共に残響の嘆奏を叩きこむ。
戦槌だけなら届かないと見せかけて、本命は衝撃波の方だ。指揮官殿にはもうしばらく混乱しておいてもらおう。



 ――少しだけ、時が遡る。

 トループス級冥海機『メタルクルーズ』が全滅するほんの少し前に救援機動力で駆けつけた九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は、乱戦状態になっている戦場を眺めていた。
(「敵の指揮官と護衛とを分断できた今が好機だな」)
 飛翔で突っ込んで時間を稼いでくれた味方のおかげで、アヴァタール級冥海機『アストリア』率いる冥海機艦隊の注意は完全にフライング・ダッチマン号から逸れ、上空や水上にいるディアボロス達に向いている。
 そして、護衛の任を勤めていたメタルクルーズは、真っ先に駆けつけた味方が確実に撃破しているようだ。
(「味方の奮戦に応えるためにも、フライング・ダッチマン号を沈めさせるわけにはいかん」)
 ――なら、そのため古安が出来ることは?
(「想定外の遭遇戦で混乱している相手が立て直す暇を与えず、一気に畳みかけるか?」)
 思案している古安の目の前で、メタルクルーズが次々と味方の手で撃破され、海に沈んでゆく。
(「為すべきことは、決まったな」)
 古安は駆けつけた勢いのまま海中に飛び込み、泳ぎ始めた。
(「まだパラドクスが撃てていないから【水中適応】は発生していないが……この距離なら十分泳いで行けるはずだ」)
 死なばもろとも、フライング・ダッチマン号を狙うのを阻止するために。
 そして何より――気にかけている仲間に狙いが行くのを遮るために。
 古安は一刻も早く白兵戦に持ち込める距離まで間合いを詰めるべく、全力で泳ぎ始めた。

 一方、その頃。
 古安と同じく、救援機動力で駆けつけた荒田・誠司(雑草・g00115)は、盾のフェイク・プリドゥエンを手に海面に降り立った。
(「仲間たちの頑張りは無駄にさせない! 絶対に船を確保してみせる」) 
「お前らの好きにはさせないからな! 来いよ、スクラップ!」
 少しでもフライング・ダッチマン号に被害が出ないようにするために、誠司はあえて挑発し自分に狙いを向けさせる。
「次から次へと、どうしてここに辿り着けるのですか!?」
 誠司の存在に気が付いたアストリアが、腰部の三連装砲を向けようとした、その時。
 ――ザバーン!!
 アストリアの足元から、古安が戦槌を片手に水面に這い上がり、至近距離まで肉薄していた。


「足元からも現れても……ディアボロスよ、海の藻屑となりなさい!!」
 誠司と古安の存在に気づいたアストリアが、距離を取りながら腰部三連装砲の狙いをふたりにつけ、二度発射。
 最初の砲撃の狙いは、遠距離でエレメントリボルバーを構えている誠司に。
 続く砲撃の狙いは……間合いを詰めながら戦槌を全力で叩き込もうとしている古安に。
 誠司はフェイク・プリドゥエンを構え、真正面から砲撃を受け止めようと試みる。
 苛烈な砲撃を直接防ぐと消耗が激しいと予測した誠司は、タイミングを合わせて後方に飛んで衝撃を緩和しようとしながら、前方にフェイク・プリドゥエンを翳した。
 直後、フェイク・プリドゥエンに砲弾が命中し、強烈な衝撃が誠司の身体を大きく揺らす。
「くっ……!!」
 流れ弾や余波でいらぬ被害を負わぬよう注意しながら、誠司は風で可燃物を巻き上げその後着火する特殊な弾丸を制作し、エレメントリボルバーに装填し発射。
 巻き上がった風は、砲弾の細かい欠片や煙に含まれる僅かな可燃物とともにアストリアを巻き込み、吹き荒れた。
「これしきの風ごとき……!?」
 風に抗うよう三連装砲を誠司に向けようとしたその時、巻き上げられた可燃物に着火する。
 アストリアが状況を把握するより早く、可燃物が爆発を起こし、アストリアに少なくないダメージを与えていた。

 一方、古安は砲撃を避けようとしない。
 避けられないのではなく、最初から避けるつもりがないのだ。
 それもそのはず、危険を承知で至近距離で立ち回っていたのは――。
(「砲撃の為には俺から距離を取ろうとするだろう。そう仕向けるのがこちらの狙いだ」)
 ――アストリアが間合いを離し、攻撃に転じようとした一瞬を狙うため。
「そろそろ黙る時間だ。……いや、黙らせるとも!」
 三連装砲が火を噴くと同時に、古安は思いっきり戦槌を振り上げる。
 砲撃を受けながら、古安は仲間に、フライング・ダッチマン号に狙いを向けさせないとの強い想いを籠めて力いっぱい戦槌を振り下ろしたが、渾身の一振りはアストリアには届かない。
 アストリアの口元に、微かに嘲笑が浮かぶ。
「間合いすら見えていない……ッ!?」
 ――ブウンッ!!
 古安を嘲ろうとしたアストリアの言の葉は、一瞬遅れて響いた異音にかき消される。
 直後、アストリアは何かで叩かれたような衝撃を全身に受け、大きく後方へ吹き飛ばされた。
(「戦槌だけなら届かないと見せかけて、本命は衝撃波の方だ」)
 古安のパラドクス【残響の嘆奏】は、武器を振るうことで強力な音波を発生させ、物理的な衝撃によって相手を打ち倒すパラドクス。
 戦槌の振り下ろしを当てたとしても牽制にしかならぬが、その後発生する衝撃波は――クロノヴェーダに十分すぎる程の痛手を与えるのだ。
 アストリアが起き上がるより早く、古安は再度間合いを詰めるために海中に飛び込み、【水中適応】の恩恵を受けながら一気に泳いで間を詰める。
 その隙を埋めるように、誠司が再びフェイク・プリドゥエンを構えながら、エレメントリボルバーに籠める弾丸を制作し始めていた。


 その後も、誠司と古安は砲弾を受け止め、ギリギリで避けながら、エレメントリボルバーの射撃と戦槌から広がる衝撃波でアストリアを翻弄し続ける。
 時折砲撃を受け、軽くないダメージを受けてはいるが、ふたりは戦場に流れる歌に背中を押されながら着実にアストリアに手傷を与えていった。
「厄介事は続くものかもしれませんが、それでもこれは……!」
「指揮官殿にはもうしばらく混乱しておいてもらおう」
 古安の意図通り、アストリアはディアボロスの意図を測りかねながらも、ディアボロスを最優先に撃墜しようとしている。
 そんなアストリアの混乱に拍車をかけるように、誠司と古安の前にさらに新たなディアボロスが現れた。
成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
効果2【アクティベイト】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!

ラトリア・ブルーアローゾ
アドリブ・絡みOK

撃墜されて病院送りで完治した後に前回とほぼ同一時刻・同一地点行きの電車に乗車して戦闘を続行するディアボロス流一人時間差攻撃!
行くぜ、タイムパラドックス!

遅れましたー!
待たせたな可愛い子ちゃん!
さっきぶりのイケメンエースパイロットのリズクーコだ!
機体は消耗品、乗り換えれば無傷の戦力が再登場、これが量産機の良いところだぜ。

苛烈な砲撃の雨の中を【水面走行】で水上をホバー機動して躱しながらビームサーベルを伸ばしてアストリア目掛けて突進
さっきは届かなかったが今回はマジだぜ!
悪いがここで沈んでもらう!

撃墜したはずの亡霊の登場にアストリアが動揺するなら最大限利用。
機関砲の傷はまだ痛むかい?
メタルクルーズの「アイアイサー!」と回頭は見事だったぜ!
制圧水壁のガードの堅さに面食らったが目の前のいい女を俺は諦めないぜ!
など、同一人物だと強調するフレーズを繰り出す。

響け【勝利の凱歌】よ!
貴様を倒せと歴史が叫ぶ!
蒼き光剣の輝きは正義の証!
くらえ! Rizkuko FOX4!
ここは笑うところだぜ!


ロキシア・グロスビーク
アドリブ連携ご自由に
【水中適応】は常時使用

やー、何度なってもしんどいや。慣れたって痛いものは痛いし
それでも皆が上手くやれてるなら一回休みの甲斐があったってものだね

“魔槍”を手に海中、なるたけ底のほうを進んで
敵味方の攻防を注視し、差し込むように急浮上
障壁を展開して魚雷めいて海中より突進、
敵を貫きにゆく!
交錯する視線には挑戦的な笑顔を浮かべて

おはようお姉さん!なにさ幽霊に会いましたみたいな顔して
僕はとってもしぶといんだよ?あれで倒せたなんて思わないでよねー!
条件が互角ならこんなもん。さあ、ダンスに付き合って頂戴!

反撃に際しては
おおっと、こっちはまだ喰らったことないやつ!
槍を確りと握り締め、海中へ退く
壁の着弾後は下手に動かず敵味方の位置を再確認して継戦するよ
残留効果があるから溺水の心配はないといっても、
空間識失調になったら明確な隙だからね
味方と息を合わせて詰めに行こう!

とっても綺麗なお姉さんだってのに、
デートに誘えないのは出来ないのは残念だけれど!
リベンジマッチなら存分にやれる。覚悟してよね!



「一体、何がどうなっているのですか?」
 先行したディアボロスを腰部の三連装砲で吹き飛ばしながら、アヴァタール級冥海機『アストリア』は頭の中で状況を整理し始めていた。
 台湾島哨戒任務に向かう最中、第一級危険指定の大型海賊船、フライング・ダッチマン号に遭遇し、撃沈しようとしたところ、【飛翔】してきたディアボロスに割り込まれてしまい。
 割り込んだ2名のディアボロスは、集中砲火で撃墜し海深く沈めたのだが、その直後に突然ディアボロスの増援が登場。
 現れた増援の攻撃により、トループス級冥海機『メタルクルーズ』達は全て撃沈し、残っているのはアストリアただひとりとなってしまっていた。
 そのアストリアも、ディアボロスの攻撃を受け、決して軽くない傷を負っている。
「早くディアボロスを排除してフライング・ダッチマン号を撃沈し、台湾島へ向かわないと……厄介事は積み重なる一方ですか」
 アストリアが三連装砲を発射しようとしたその時、救援機動力で新たなディアボロスがふたり、駆け付けた。
「遅れましたー! 待たせたな可愛い子ちゃん!」
「おはようお姉さん!」
「……え!?」
 駆けつけた二人の姿と声音に、アストリアの表情が驚愕一色に染まる。
 なぜなら、新たに駆けつけたのは、撃墜したはずのラトリア・ブルーアローゾ(餅が好きすぎて上官にコールサインを『餅』にされた男・g10730)とロキシア・グロスビーク(啄む嘴・g07258)だったのだから。


「ど、どういうことですか!! あなた達は確かに沈めたはず……!!」
 ラトリアとロキシアの顔を見たアストリアの反応は、まさに幽霊を見たようなそれ。
「なにさ幽霊に会いましたみたいな顔して。僕はとってもしぶといんだよ?」
“魔槍”を軽く振り回しながら「あれで倒せたなんて思わないでよねー!」と挑戦的な笑顔を浮かべるロキシアを横目に、ラトリアはカッコつけながら陽気に名乗る。
「というわけで、さっきぶりのイケメンエースパイロットのリズクーコだ! 機体は消耗品、乗り換えれば無傷の戦力が再登場、これが量産機の良いところだぜ!」
(「これぞ撃墜されて病院送りで完治した後に、前回とほぼ同一時刻・同一地点行きの電車に乗車して戦闘を続行する、ディアボロス流一人時間差攻撃!」)
 こそりと種明かしを心の裡にしまったラトリアを見て、ロキシアも内心苦笑い。
(「やー、何度重傷になってもしんどいや。慣れたって痛いものは痛いし」)
 それでも皆が上手くやれてるなら、一回休みの甲斐があったってもの。
「さっきは届かなかったが、今回はマジだぜ! 悪いがここで沈んでもらう!」
「条件が互角ならこんなもん。さあ、ダンスに付き合って頂戴!」
 ライトサーベルを手にしたラトリアと、“魔槍”を手にしたロキシアを見て、アストリアはすかさず制圧水壁を展開。
 ディアボロスと冥海機の間を遮るように海が盛り上がり、壁のようにそそり立った。
「幽霊は大人しく海に戻って下さいな!」
 アストリアを護るように聳え立った水壁は、ラトリアではなく、ロキシア目がけて崩壊する。
 だが、ロキシアは“魔槍”を確りと握り締め、海中にダイブし急速潜航した。
(「こっちはまだ喰らったことないやつ! でも使っていたのは見ているから!」)
 1度ラトリアが呑み込まれたのを見ていたか、制圧水壁への対応策を練って来ていたロキシアの頭上で、相手を見失った水壁が大量の水が海面に降り注いだ。
 そのまま海中に潜伏するロキシアに対し、ラトリアはビームサーベルを伸ばしつつ、水上をホバー機動するように走りながらアストリアに肉薄。
「そこのあなた、本当に同一人物ですか!?」
 全身蒼の機体姿のラトリアを見たアストリアが誰何の声を上げるが、その声音も悲鳴混じりになっていた。
(「撃墜したはずの亡霊の登場にアストリアが動揺しているなら、最大限利用しない手はないな」)
 内心ニヤリと笑いながら、ラトリアはわざと軽薄に、そして陽気に答える。
「機関砲の傷はまだ痛むかい? メタルクルーズの「アイアイサー!」と回頭は見事だったぜ!」
「……ッ!!」
 先程の戦闘の様子を正確に表現され、アストリアは見るからに動揺を深めていた。
「制圧水壁のガードの堅さに面食らったが、目の前のいい女を俺は諦めないぜ!」
「いい加減、諦めてくれませんか!?」
 同一人物アピールを続けるラトリアに対し、我慢の限界に達したのか、アストリアは腰部の三連装砲からラトリアに苛烈な砲撃を加えるが、砲撃手の動揺が乗った砲弾はラトリアに当たらず、周囲の海に着弾。
 着弾の衝撃で次々と上がる水しぶきに圧されるように、ビームサーベルを構えたラトリアが肉薄する。
「貴様を倒せと歴史が叫ぶ! 蒼き光剣の輝きは正義の証!」
「何を世迷いごとを!」
「くらえ! Rizkuko FOX4! ここは笑うところだぜ!」
 フェイスマスクの下の顔がニヤリと笑うと同時に、アストリアの背後の海面からロキシアが魚雷のように飛び出す。
「リベンジマッチなら存分にやれる。覚悟してよね!」
 海中で機を伺っていたロキシアは、秘めたる勇気を己を守る障壁に変え、魚雷の如き勢いで敵へと突進しながら、勢いよく“魔槍”を突き出した。

 ――ザシュッ!!
 ――ズブッ!!

 ラトリアのビームサーベルが、真正面からアストリアを袈裟懸けに深く斬り。
 海中から突進したロキシアの“魔槍”は、アストリアの背中から腹を深々と貫いた。
「とっても綺麗なお姉さんだってのに、デートに誘えないのは残念だね」
「ここまで、です、か……」
 心底残念そうにつぶやくロキシアが”魔槍”を引くと同時に、致命傷を受けたアストリアの身体が頽れ、海中へ沈んでいった。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
【水中適応】がLV2になった!
効果2【グロリアス】がLV2になった!
【ガードアップ】がLV2になった!


 冥海機艦隊を殲滅したディアボロス達は、近隣をゆったり航行していたフライング・ダッチマン号を確保する。
 ディアボロスが舵輪を回し、進路を南南東――台湾島の方角に合わせると、フライング・ダッチマン号はゆっくりと進み始めた。

 フライング・ダッチマン号は、現在時速約30kmほどで航行している。
 この速度だと、台湾島まではおそらく十数時間ほどかかるだろう。
 その間、船内を調べても良いし、やりたいことがあるなら試してみるのも良いだろう。
イツカ・ユメ
やったぁ♪無事にフライング・ダッチマン号を確保できたね。
それじゃあ、進路は台湾島へ!おもかじいっぱーい、ヨーソロー!

事前に一般的なガレオン船の造りを可能な範囲で調べて資料に纏めておくね。
何か比べられるものがあれば、船内の調査もし易くなるかなって。

今後も何かに活用できるかもしれないから、わたしはダッチマン号のスペックを調べてみるね。
船内の設備や装備、船室の広さや、人や荷物がどれくらい載せられそうか、とか。
今は無人みたいだけれども、罠や仕掛けがあるかもしれないし、用心して調べるよ。
…キットみたいな、謎の可愛い生き物が紛れ込んでいたら大歓迎なんだけどね?

何か発見があったら、大声で皆を呼んで。
スマホで写真を撮ったり、手帳にメモを取ったりして、あとで他の人達とも情報が共有できるようにしておくよ。

一通り見終わって時間が余ったら、甲板に出て。
のんびり夜空でも眺めながら、船旅を楽しむよ。
このまま無事に台湾島に着くように、お星様にお願いしておくね。


九重・古安
どうにか無事に確保できたな。詳しい調査は台湾島に着いてからとしても、この機会にこれからの運用に備えて便利な点不便な点を実体験で調べてみるか。
船に詳しいわけでもなく船上での生活に慣れているわけでも無いが、そういう視点での意見というものも意味はあるだろう。

今後拠点として使うにあたって気になるのはやはり居住性か。漕ぎ手無しで航行してくれる便利な船とはいえ、構造自体は見た目通りの帆船だとしたら……乗り心地の方は覚悟した方が良いと見た。
そういった点を踏まえて船特有の設備、特にハンモックや吊り下げ鍋のような感じの、揺れに備えたものなどあると良さそうだ。
移動拠点という共通点から、砂上船スフィンクスでの経験が流用できるかもしれん。もちろん環境の違いに合わせた工夫は必要だろうが。

一通り見て回ったら高いところ……この手の船なら見張り台があるだろうか。そこで周囲を警戒しつつ、パラドクス通信で他の皆と情報共有を。
異常がなさそうなら夜空でも眺めたいな。船旅で見上げる星というのも、中々に風情があるものだろう。



「やったぁ♪ 無事にフライング・ダッチマン号を確保できたね」
「どうにか無事に確保できたな」
 フライング・ダッチマン号の甲板に上がりながら、イツカ・ユメ(いつかかなうゆめ・g02834)と九重・古安(巻き戻り路逸れる針・g02347)は周囲をきょろきょろと見回しつつ、舵輪を探し。
 ほどなくしてイツカが舵輪を見つけ、両手で確り握り締めた。
「それじゃあ、進路は台湾島へ! おもかじいっぱーい、ヨーソロー!」


 イツカの手で進路を南南東に設定されたフライング・ダッチマン号は、静かに緩やかに航行し始める。
 台湾島までの所要時間は、約十数時間。
 その間、ディアボロス達は手分けしてフライング・ダッチマン号の船内を調べることにした。
「詳しい調査は台湾島に着いてからとしても、この機会にこれからの運用に備えて便利な点不便な点を実体験で調べてみるか」
 古安も船に詳しいわけでもなく、船上での生活に慣れているわけでも無いが、そういう視点での意見というものも意味はあるだろう。
「わたしはダッチマン号のスペックを調べてみるね」
「俺も一緒に行こう……って用意がいいな?」
 イツカの手には、事前に纏めてあった、一般的なガレオン船の造りに関する資料が握られている。
「何か比べられるものがあれば、船内の調査もしやすくなるかなって」
 船内の設備や装備、船室の広さや、人や荷物がどれくらい載せられそうか、とかがわかれば、今後も何かに活用できるかもしれないから。
(「今は無人でも、罠や仕掛けがあるかもしれないね」)
 イツカと古安は用心しながら調べていくが、どうやら船内に罠や仕掛けはないらしい。
(「……キットみたいな、謎の可愛い生き物が紛れ込んでいたら大歓迎なんだけど、紛れていなかったね」)
 内心を顔に出さないようにしつつ、イツカが資料片手に一部屋ずつ調べていくと、史実のガレオン船との違いがくっきりと浮かび上がって来た。
「史実のガレオン船に比べて、生活に必要な部分が大きく変化しているね」
 おそらく、船員も全員がアビスローバー……エルドラードのクロノヴェーダである事が前提だからだろうか。
 その分、頑丈な構造をしているし、宝を持ち帰る為なのか、大きな倉庫のような部屋も用意されている。
「……この倉庫に、戦闘員を運ぶこともできそうだな」
 呻き声を上げた古安が次に調べたのは、食糧倉庫らしき部屋。
 倉庫内を調べてみたところ、倉庫内にはかさばる水や主食の穀類などは詰まれていないが、酒や嗜好品などはそれなりに積み込まれていたようだとわかった。
 クロノヴェーダは食事をしなくても死にはしないが、不満を貯めさせないためのものだろう。
「嗜好品なのは、『体積に比べて、不満を和らげる効果が高い』からかな?」
 軽く首を捻りながら、イツカは後で他のディアボロス達とも情報が共有できるよう、スマホで写真を撮ったり、手帳にメモを取ったりして記録に残していった。


 一方、古安は、今後拠点として使うにあたって気になっている居住性に重点を置いて調べていた。
 漕ぎ手無しで航行してくれる便利な船とはいえ、構造自体は見た目通りの帆船だとしたら……?
(「……乗り心地の方は覚悟した方が良いと見たが、さて」)
 そういった点を踏まえて、船特有の設備、特にハンモックや吊り下げ鍋のような感じの、揺れに備えたものなどあると良さそうだと感じ、あるかどうか調べてみると……。
「ハンモックは一応あるみたいね」
「休息用の備品扱いのようだな」
 睡眠用ではなく、休息用なのは、クロノヴェーダは睡眠などが特に必要無いからだろう。
 全員の寝床という訳では無いため、休息室みたいな場所の備品として設置されていたり、ちょっと疲れたなと言う時に休むベンチ……みたいな扱いになっているようだ。
 ――ならば、次は実際に試してみよう。
 というわけで、古安とイツカが休息室に備えられていたハンモックに身体を横たえてみると、これが意外に快適で。
「思ったより、いや、ほとんど揺れないな?」
「そういえば、史実のガレー船やガレオン船のような、揺れに備えた設備のようなものを見かけないね?」
 ハンモックに寝っ転がりながら、イツカが資料と写真を突き合わせて確認してみたが、フライング・ダッチマン号にはそのような設備が全く見当たらない。
 どうやら、フライング・ダッチマン号はクロノ・オブジェクトなので、豪華客船並みに揺れに強くなっているようだ。
「乗り心地はよさそうだな」
「少し、安心したね」


 一通り船内の調査を完了したディアボロス達は、めいめいに船旅を楽しみつつ、休息に入る。
 古安が周囲の警戒の為に見張り台から目を凝らしている間に、イツカも甲板に出てのんびり夜空を眺めながら船旅を楽しんでいた。
「このまま無事に台湾島に着くように、お星様にお願いしておくかな?」
 イツカが星を探して空を見上げた、その時、見張り台から古安の驚いた声が飛んでくる。
「島が見えて来たぞ!」
「え、もう!?」
 急ぎイツカが前方に目を凝らすと、確かに島影がうっすらと浮かび上がっていた。
 古安から【パラドクス通信】で連絡を受けたディアボロス達も、甲板に上がって確認し、驚きを隠せない。
「おお、確かに島影が見えるね?」
「あれは、確かに台湾島だな」
 台湾島の制圧に向かったディアボロスからの証言で、島影が台湾島だと確信するディアボロス達。
 だとすると、いつの間にか、かなりの距離を進んでいることになるが……。
「十数時間かかると思っていたが、数時間しかかかってないぜ?」
「体感的には時速30kmくらいの速度に感じられたが……」
 どういうことだ、と首を捻りながら、その理由を考えるディアボロス達。
 しばし沈黙が続いた後、古安が「おそらく」と前置きしてから推論を述べた。
「障害物や危険が無いならば、距離をショートカットして目的地に到着する感じか?」
「そうだとしたら、わたしたちディアボロスの『救援機動力』に近い、不思議効果なのかもしれないね」
 イツカが感心している間に、フライング・ダッチマン号は静かに台湾島に近づいていった。

 かくして、ディアボロス達は冥海機艦隊を退け、大型帆船型クロノ・オブジェクト『フライング・ダッチマン号』を確保した。
 かつてアビスローバーを乗せてオーストラリアに、そしてゴンドワナに姿を見せた彷徨うガレオン船が、今度はディアボロスを乗せて大海原に乗り出す日は――そう遠くはないだろう。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【リザレクション】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2024年02月02日