リプレイ
エルル・ヘイズルーン
怒りは時に必要、でも心を曇らせもする
闇夜のオーロラであれ。それがエルルの信念
エルルは、キノコ柄エプロンが目を引く
木こり風のディアンドル姿
「ディアンドルに着替えてぇ、お祭りを楽しみましょお!」
【情熱】的にヘクセを誘います
ドイツの秋といえば、オクトーバーフェスト
1918年時点でも100年以上続く伝統の祝祭
フル装備のヘクセでも、お祭り仕様に見えるよう飾り付けます
胸部装甲とスカートはディアンドル風に
【伝承知識】を活かし、ミュンヘンのご当地キャラ
「ミュンヒナー・キンドル」風に
黒いフード付きローブでイメチェン
あとは楽しく、食べたり飲んだり踊ったり
「誰もが、この冬の時代の迷い子ですねぇ」
●お祭りデート
トルナード・ヘクセと青年の間に流れる気まずい沈黙を破ったのは明るい声だった。
「ディアンドルに着替えてぇ、お祭りを楽しみましょお!」
エルル・ヘイズルーン(美食を導くたまねぎの女神・g03599)がにこにこ笑顔で二人の前に現れた。エルルはキノコ柄のエプロンにひざ下までのスカート、木こり風の袖なし胴衣とブラウスというディアンドル姿だ。
そんな彼女の方を見てヘクセは不思議そうな声を上げた。
「ディアンドル?」
「知りませんかぁ? ドイツ南部の女性の民族衣装ですよぉ」
「お祭り?」
「はい! ドイツの秋と言えばオクトーバーフェストですからぁ!」
オクトーバーフェストと聞いて青年が口を開いた。
「ミュンヘンで毎年九月から十月にかけて行われているお祭りですね。でも、この町では行われていませんよ」
「あらぁ、そうなんですかぁ? じゃあオクトーバーフェストごっこしましょお!」
そう言いながらエルルはヘクセにディアンドルを着せていく。さらにその上にミュンヘンの市章のミュンヒナー・キンドル風のフード付き黒ローブを羽織らせた。
ヘクセはドリルに改造された両腕をぐるぐる回して不満げな声を出す。
「動きが阻害される。戦闘には不向きだ」
「お祭りで戦闘はしませんよぉ? あなた、恋がしたいんでしょお? お祭りデートは恋人たちの定番ですよぉ」
「……そうか」
途端にヘクセは大人しくなった。
エルルは彼女の背中を押して青年にその姿を見せる。
「どうですかぁ? 可愛いでしょお?」
ゾルダートであるヘクセの体はいびつな形をしており人間にはない機械の器官が取り付けられている。そのためディアンドルもかなり無理矢理着せたので不格好な姿となっていた。
それでも青年は優しく微笑んだ。
「はい、お似合いですよ。素敵だと思います」
「そう……か?」
「そうですよぉ! デートはおしゃれしてするものですからぁ」
「そうか。それで、お祭りデートとは何をするものなのだ?」
「そうですねぇ。一緒にお酒を飲んだり、食事を楽しんだり、ダンスをしますよぉ」
エルルはそう言うと陽気に踊って見せる。
「ほらぁ、お二人もご一緒に!」
「えぇ、僕も?! ……ダンスは苦手なんだけどなあ」
そんなことを呟きながらも青年はぎこちなく踊り始めた。
ヘクセはダンスなどしたことがなかったのだろう。踊る二人を交互に見る。そして見よう見まねでカクカク踊り出す。
(「なんだかんだ言って、お二人とも楽しそうですねぇ」)
けれどももしもこの二人の恋がうまくいったとしよう。彼が心残りになってヘクセの巨大化が解けても倒さねばならない敵であることに変わりはない。倒してしまえば二人の仲を引き裂くことになるのだ。
エルルは少しだけ複雑な気分になった。
(「誰もが、この冬の時代の迷い子ですねぇ」)
成功🔵🔵🔴
効果1【勝利の凱歌】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
エルマー・クライネルト
鉄屑の分際で恋がしたいと、面白くない冗談だ
恋に興味があるのならば見て回ろうではないか
何、先ほどから様子を伺っていて興味を引かれたのでな
と誘いをかけて恋人同士が行きそうな場所を回る
カップルの様子を見せつけて羨ましがるように、ひと際仲睦まじい一組を指し
「あれが恋愛の極み、いちゃらぶアベック(新宿島で覚えた言語)だ。あれ程熱くなるには時間が掛かるだろうな」
…まぁ、片一方が強く想う感情も恋と呼べるのかもしれん
私にも想う人はいるが、それを伝えてはいない
それでも共に居てくれるだけで十分幸せで、満たされた時間だった
(あの人は帰ってこない、お前達が奪った
仇だというのに、そんな奴に何を話しているんだ、私は?)
月見山・伊吹
【月日夫妻】
※連携、アドリブ歓迎だよ!
あれが例のゾルダートだね。
おやおや、あの青年にナンパしてると言うことは恋に興味があるのかな?
成就させるより羨ましいと思わせた方が心残りになるのかな?
見せつけるように愛する旦那の千隼に思いっきり甘えていちゃいちゃするよ!
千隼と結婚して早3年経ったけど愛おしいと想う気持ちは恋人の時からずっと変わらないなぁ。
千隼のほっぺにちゅーしたらいきなり唇にキスされて、キスし終わった後の照れ隠ししてるところを見てより可愛いと思ってしまう。
千隼にもたれて甘えながらも時逆無かったら今頃どうしてたかなとか子供欲しいよねとか話し合う。
月見里・千隼
【月日夫妻】
※連携、アドリブ歓迎
妻の伊吹の提案とは言えども
甘えられて内心嬉しくも人前でいちゃつくのが恥ずかしくて、照れながらも平然を装い最初は好きなようにさせる。
伊吹が頬にちゅーしてきたので思わず反射的に唇にキスし返してしまう。
伊吹の唇へのキスをし終わった後に我に帰り恥ずかしくなり照れ隠しする。
俺が伊吹をとても愛おしいと想う気持ちは恋人を経て結婚した時からもずっとずっと変わってないな…。
千隼なりにぎこちなく不器用に伊吹に甘えながらも、時逆無かったら今頃どうしてたかとか子供欲しいよねとか話し合う。
俺と伊吹の仲睦まじいところを見たゾルダートが羨ましいと思って未練タラタラになっていればいいな。
●夫婦と片思い
エルルと青年と共に踊るトルナード・ヘクセを眺めてエルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は胸中で吐き捨てた。
(「鉄くずの分際で恋がしたいだと、面白くない冗談だ」)
それでもこれは敵を倒すために必要な任務だ。耐えねばならない。
エルマーは怒りを隠して踊り終わったヘクセに歩み寄る。
「恋に興味があるのならば見て学べばいいではないか」
「見て、学ぶ?」
「ああ。丁度あそこに恋人同士がいるだろう?」
言いながら彼が示したのは公園のベンチだ。
そこにはいつの間にか月見山・伊吹(小春日和・g04125)と月見里・千隼(清風明月・g03438)の夫婦が並んで座っていた。
「ほら、例のゾルダートがこっち見てるよ。思いっきりいちゃいちゃして羨ましいと思わせて、心残りになるようにしなくちゃ」
「あ、ああ……」
妻に耳元で囁かれうなずく千隼。彼女に甘えてもらえるのは嬉しいが人前でのスキンシップは気恥ずかしい。赤くなる顔をウエスタンハットで隠してどうにか平然を装う。
そんな千隼の様子などお構いなしに伊吹は夫の腕に抱き着く。彼の指と自分の指とを絡め合いいわゆる恋人繋ぎにする。さらに千隼の頬に口付けた。
「っ……!」
いたずらっぽく笑う伊吹が愛しくて気づけば千隼は彼女の唇に自分のそれを重ねていた。唇を離した所で我に返る。顔が熱くなるのを感じてウエスタンハットを目深に被り直した。
伊吹は突然の事に驚いて千隼の顔をじっと見つめていた。しかし彼の照れ隠しの仕草が可愛くて思わずくすくす笑ってしまう。
「……何だ?」
「ううん、何でもないよ!」
結婚して三年経った今でも夫を想う気持ちは変わらない。千隼の不器用な所がたまらなく愛しかった。
伊吹は彼の肩に頭を乗せて甘えながら尋ねる。
「ねぇ、何もなく平和に北海道で暮らし続けていたら、今頃どうしてたと思う?」
「ん……そうだな。子どもができていたんじゃないか」
「そうだね! 子ども、欲しいよねぇ」
「ああ、そうだな」
伊吹と千隼の仲睦まじい様子を無言で見つめるヘクセ。
彼女にエルマーは言う。
「あれが恋愛の極み、いちゃらぶアベックだ。あれ程熱くなるには相応の時間がかかるだろうな」
「時間……。そう、か」
頭も機械化されているヘクセに表情はない。だがその声はどこか悲しげに聞こえた。
伊吹と千隼から恥ずかしそうに目線を反らしていた青年が心配そうにヘクセに声をかける。
「……大丈夫ですか?」
「……? 何がだ?」
「えっ……いえ。大丈夫なら、いいんですけど……」
(「鉄くず風情がまるで人のように振舞うとはな」)
エルマーはいら立ちを覚えながらもそれを表に出さないように話を続ける。
「……まぁ、片一方が強く思う感情も恋と呼べるのかもしれん。私にも想う人はいるが、それを伝えてはいない。それでも共にいてくれるだけで十分幸せで、満たされた時間だった」
その彼の幸せな時間を奪ったのはゾルダートだ。もうあの人に想いを伝えることはできない。ただ同じ時間を過ごすことすらできないのだ。
(「仇だというのに、そんな奴に何を話しているんだ、私は?」)
エルマーが自己嫌悪に苛まれている時だ。
「――どうしたんですか?!」
青年の焦った声で我に返る。見ればヘクセが地面にうずくまっていた。
「……時間だ。離れろ」
彼女のその言葉でエルマーはすべてを察した。青年の腕を掴んで引っ張り自分の後ろに下がらせる。
「一体何を――?!」
青年が困惑の声を上げたのと同時に異変が起きた。
ヘクセの着ていたディアンドルがブチブチと音を立てて破れ散る。そして彼女の身体が見る見るうちに巨大化し二十メートルもの巨体となった。
突然の事に驚き声も出せない青年を庇って復讐者たちが前に出る。
「……そうか。お前たちが復讐者だったのだな」
悲しげな彼女の声はすぐに通常の無機質なものへと変わる。
「私の任務はお前たちの殲滅だ。私と共に死ね、復讐者」
ヘクセは空を飛んで両腕のドリルを突き出しながら復讐者たちへと突っ込んでいく。
街と一般人を守るために戦いながら彼女への呼びかけも行わなければ多くの犠牲者が出てしまう。だがまずはあの巨大なドリルを防がなければ呼びかけることは難しい。下手に回避すれば青年や街に被害が及ぶ。
復讐者たちはそれぞれに武器を構え防御を試みる事となった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【士気高揚】LV1が発生!
【飛翔】LV1が発生!
【神速反応】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV2が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
エルマー・クライネルト
…何故知り合ったばかりの者にそんな顔をするのか、分からない
お前達に感傷などある筈もない、そうでなければ…いや、これ以上は私情だ
来るがいい鉄屑め、相手をしてやろう
挑発を行い攻撃が此方に向くよう仕向け、【飛翔】でトルナードへ肉薄
自分がトルナードよりも上空に位置取り、攻撃を空中へ向かわせ街に落とさないよう誘導
飛び道具を使わせないよう接敵し交戦
攻撃の狙い目はドリルの回転部分。鋼糸を絡ませ、停止できないかを試みる
この戦いの後に貴様がどんな末路を辿るのかは知っている
それで構わないというのであればそれ以上は知らん
だが、そのガラクタの頭でも思うことがあるのであれば、少しばかり他の声に耳を傾けてみてはどうかね?
●足止め
トルナード・ヘクセの声色に悲しみを一瞬感じた。その事にエルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)はわずかに動揺する。
(「……何故知り合ったばかりの者に対してそんな声を出すのか、わからない。お前たちに感傷などあるはずもない、そうでなければ……」)
機械に改造された自分の家族はどうなる。復讐者となったエルマーと彼らは今や敵同士だ。鉄くずだと言い聞かせてきた彼らにまだ自我が残っているとしたら。
(「……いや、これ以上は私情だ」)
エルマーはかぶりを振って悪い予感を頭の隅へと追いやった。今は目の前の巨大な敵に集中しなければならない。
「来るがいい鉄くずめ、相手をしてやろう!」
ヘクセに向かってそう怒鳴ると操り人形【Schrecken】と共に空高く飛翔する。
すると彼女は街には目もくれずこちらにドリルを突き出し向かってきた。これで街や一般人に被害が及ぶことはないだろう。
エルマーは空中で巨大ヘクセに接近。人形を前に出すとそれの操り糸【Bis der Tod uns scheidet】を彼女の両腕のドリルに絡ませた。その状態のまま糸を思い切り引っ張りドリルの回転を止めようと試みる。
相手は巨大化しているだけあってかなりの力だ。パラドクスの効果がなければ力負けしていただろう。それがある今ですら気を抜けば回転の力で吹き飛ばされそうだ。
機械音を立て空回りするドリルと力比べしながらエルマーは言う。
「この戦いの後に貴様がどんな末路をたどるかは知っている。それで構わないというのであればそれ以上は知らん。だが、そのガラクタの頭でも思うことがあるのであれば、少しばかり他の声に耳を傾けてみてはどうかね?」
ヘクセの返事はない。だがドリルを絡め取っている限りは下手に動けないのは間違いない。
エルマーは長くはもたないぞという目線を地上の復讐者たちへと向けた。
ヘクセへの呼びかけを行うならば今しかないだろう。
大成功🔵🔵🔵
効果1【壁歩き】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
エルル・ヘイズルーン
「恋がしたいって、女の子には普通のことですよねぇ!」
脳まで改造されても、残ってた人の心
「この出会いはぁ、エルルちゃんにとって闇夜のオーロラでしたぁ!」
【夢渡る蝶】を発動し、背中に蝶羽型の光翼を展開
【飛翔】でヘクセの頭上、声が届く距離へ
倒す以外、彼女を解放する道が無いとしても
せめて人として、最期を看取りたい
熱い【情熱】が、本気の涙となって流れ落ち
「ヘクセさぁんのオリジナルだって、改造される前はきっと」
恋する心を持った、ひとりの女の子だったはず
「戦争に勝ったつもりでも、女の子ひとり幸せにできなかった」
穏やかな心を持ちながら、激しい怒りでエルルはネメシス形態に
「機械化ドイツ帝国、許さないですぅ!」
●普通の女の子として
巨大化したトルナード・ヘクセとそれを押さえるエルマーを見上げた青年はひどく困惑した様子だ。
「何なんですか一体?! 彼女はどうして……? さっきまであんな、普通の女の子だったのに……!」
それを聞いたエルル・ヘイズルーン(美食を導くたまねぎの女神・g03599)は静かにうなずいた。
「そうですよねぇ。恋がしたいって、女の子には普通の事ですよねぇ!」
口調こそいつも通りののんびりとしたものだが彼女は憤っていた。ヘクセが普通の女の子として生きられないこの世界に対して。
(「機械化ドイツ帝国、許さないですぅ!」)
エルルは背中に光輝く蝶の羽を生やしヘクセへと近づこうとした。
「ま、待ってください! まさかあなたも彼女と戦うつもりなんですか?!」
エルルを止める青年は責めるような声音だった。それは優しさ故か。それともこの短時間でヘクセへ何らかの想いを寄せるようになったのか。
エルルは青年に向き直る。
「彼女はこのままでは自爆してしまいますぅ」
「自爆
……?!」
「エルルちゃんはせめて人としてぇ、最期を看取りたいと思っていますぅ。だから止めに行きますぅ。危ないですからあなたは下がっていてくださいねぇ」
そう言った彼女の青い瞳はうるんでいた。
それを見た青年はそれが真実だと察したのだろう。事の重大さに黙して立ち尽くした。
エルルは今度こそ光翼で飛び立つ。ドリルを絡め止められたヘクセに声が届く距離まで近づいた。
「ヘクセさんとの出会いはぁ、エルルちゃんにとって闇夜のオーロラでしたぁ!」
ヘクセからの返答はやはりない。
それでも構わずエルルは彼女に呼びかけ続ける。
「ヘクセさんだって、改造される前はきっと恋する心を持った、一人の女の子だったはずですぅ! それが脳まで改造されても、残っていたんですよねぇ?!」
「……」
彼女の改造されていない口がわずかに開いた。
エルルは熱い想いと共に涙を溢れさせる。
「帝国は確かに戦争に勝ったかもしれませぇん。でも女の子一人幸せにできなかった。あなたは本当に、このまま帝国のために死んでいいんですかぁ?!」
叫ぶようにそう言うとエルルはネメシス形態へと変化した。
長い沈黙の後ヘクセはようやく声を発する。
「……私は、兵士だ。国のために戦って死ねるなら本望だ」
言葉とは裏腹にその声はわずかに震えていた。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【ガードアップ】LV1が発生!
エルマー・クライネルト
鋼糸を手繰って近づき、呼びかけを行う
貴様等は、いや、お前はなんなんだ?
未練を残さないために恋をすることを選んだ?
そんなもの、これから死ぬ者には一番不要なものだろう
そこまで考えが至らなかったのであれば、お前は本当に愚か者だ
だから、その迷いを十分に活用させてもらう事にする
…強く想い合う為には時間がかかるとは言った
だが、初めるだけならまだ間に合うのではないか?
そう言って地上の青年に目線を落とす
(叶うはずのない希望を見せて、未練を抱かせるのは
それはとても残酷な事ではないかと
そんな馬鹿馬鹿しい事を考える自分に厭気が差す
…もう少し人でなしであってくれたら気が楽だったのだがな。お前も、私も)
●叶わぬ希望
エルルの叫びを聞いたヘクセのドリルの力がわずかに弱まった。
その隙を逃さずエルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)は操り人形の鋼糸を手繰り寄せてヘクセへと近づく。
「貴様等は、いや、お前はなんなんだ? 未練を残さないために恋をすることを選んだ? そんなもの、これから死ぬ者には一番不要なものだろう」
死の間際に生存本能によってそういった欲求が高まることはある。しかし彼女は身体のほとんどを機械化されたゾルダートだ。生殖機能が残っているとも思えない。
「そこまで考えが至らなかったのであれば、お前は本当に愚か者だ。だから、その迷いを十分に活用させてもらう事にする」
「……そんな挑発には乗らない」
「ならば何故私を追ってきた? 復讐者を殺すためなら、地上の方が人数が多い。地上を狙った方が効率的に殺せるだろうに」
「確実に各個撃破しようとしただけだ」
「せっかく巨大化したのに、か?」
「……」
ヘクセは息をのんで押し黙った。まるで自身の非合理的な行動を今自覚したように。
しかしエルマーにとっても彼女を鉄くずだと断じるのは難しくなっていた。
(「叶うはずのない希望を見せて、未練を抱かせる。それはとても残酷な事ではないかと。そんな馬鹿馬鹿しい事を考える自分に嫌気がさす」)
それでもこれは果たせねばならない任務だ。いくら上空にいようともヘクセが自爆すれば彼女の残骸が街に降り注ぐ。爆風の影響もあるだろう。そうなれば街にも一般人にも被害が出てしまう。それは何としても避けねばならない。
そう自分に言い聞かせて彼は再び口を開いた。
「……強く想い合うためには時間がかかるとは言った。だが、始めるだけならまだ間に合うのではないか?」
そして地上へと視線を落とす。
そこには何か言いたげな表情で不安そうにこちらを見上げる青年の姿があった。
「お前が私を迷わず追ってきたのは、彼を傷つけないためなのだろう?」
「私は……! 彼は復讐者ではないのだから殺す必要などない!」
それはおよそゾルダートのものとは思えない程に感情のこもった叫びだった。
(「……もう少し人でなしであってくれたら気が楽だったのだがな。お前も、私も」)
ヘクセのドリルは最早回転していなかった。
大成功🔵🔵🔵
効果1【悲劇感知】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
月見山・伊吹
【公園】で連携!
※連携、アドリブ歓迎だよ!
【飛翔】して攻撃を回避しながらもしながらゾルダートへ呼びかけるよ!
あんた…本当に街を爆破する気?!
この街にはあんたの愛した青年、
そして彼が大切にする友達や親兄弟がいるんだよ?!
彼らが巻き添えで怪我したり死んで悲しむのは青年なんだ!
ほら、青年がピンチだよ。
(青年に薙刀の刃を突きつける怨霊に憑かれた五月姫さんに視線を向ける。)
彼を愛してるなら!想ってる気持ちがあれば!青年への未練があるなら!!
彼を助けて幸せにしてあげようと思わないのかい!?
恋人も夫婦も…お互いを大事にして思いやり支え合うものさ!
まだ誰かに恋する心を持つあんたなら
理解出来る筈だ!
●想い合うこと
月見山・伊吹(小春日和・g04125)はこちらまで聞こえる叫びを上げたヘクセとそれを複雑な表情で見上げる青年とを見比べた。
彼がヘクセの心残りなのは明らかだ。そこで彼に殺意を向け助けるように呼びかける作戦を考えた。
だが今のヘクセは初めての感情と任務に板挟みになって不安定な状態だ。そこに青年への殺意など見せれば暴走しかねない。あと一押しで巨大化を解除できるのだからわざわざ危ない橋を渡る必要はないだろう。
そう判断した伊吹は彼女に呼びかけるため飛翔し空高く舞い上がった。エルマーたちに追いつくと動きを止めたヘクセに思いを込めて怒鳴る。
「あんた……本当に街ごと自爆する気?! この街にはあんたの愛した青年、そして彼が大切にする友達や親兄弟がいるんだよ?! 彼らが巻き添えで怪我したり死んで悲しむのは青年なんだ!」
「……私は国のために何人もの人間を殺してきている。今更人を殺すことに迷いなど、ない」
ヘクセは自分に言い聞かせるように言うと再びドリルを回転させようとする。
伊吹は首を横に振って彼女に呼びかけ続けた。
「違う! 彼を愛してるなら! 想ってる気持ちがあれば! 青年への未練があるなら! 彼を幸せにしてあげようと思わないのかい!?」
「幸せに、する……?」
「そうだよ! 恋人も夫婦も……お互いを大事にして思いやり支え合うものさ! まだ誰かに恋する心を持つあんたなら、理解出来るはずだ!」
「私は……任務を、遂行する。それが、国のためで……」
か細い声で呟くとヘクセの飛ぶ力は弱まりゆっくりと地上へと降りて行く。地にたどり着いたと同時にその巨体でうずくまった。
「それがいつか、彼のためにも、なるのだ……。それを、見届けたい……!」
苦しげにうめいた彼女は見る見るうちに体が縮み元の大きさへと戻った。
巨大化の解除に成功したのだ。
ヘクセは驚きの声を上げながら自分の体を見下ろした。
「そんな……巨大化が解けただと?!」
復讐者たちも彼女を追って地上へと降り立つ。心配そうに駆け寄ってくる青年を手で制した。
ヘクセはゆっくりと立ち上がる。
「……だが、これで彼を殺さずに済む。国のため、彼のため、私はお前たちを殺す!」
この騒ぎのおかげで周囲には青年以外に一般人はいない。彼にだけ注意して戦えばいいだろう。
ヘクセが青年と生きる未来を夢見て覚悟を決めたのだ。復讐者たちもそれに応えねばならない。
敵である彼女を倒す。例え心が痛んでも。
成功🔵🔵🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!
月見山・伊吹
【月日夫妻】
※連携、アドリブ歓迎だよ!
愛する者を想う女性として心苦しいものはあるけど…
どんなことがあれど相手はゾルダート!クロノヴェーダ!
絶対に負けないよ!
私も千隼との夫婦愛は誰にも負けないからね!
他の復讐者と連携しながらも
レーザー攻撃を【飛翔】での回避や【結界術】で防ぐ!
パラドクス『烈日』を使い多機能シャベルで徹底的に【粉砕】【破壊】【強打】!!
動きが鈍る敵を見てすっと涙が流れる。
もし生まれ変わりがあるならば
戦争のない平和な時代と国に生まれて健やかに育ち、
もし愛する人と出会えたら添い遂げて…ずっと幸せ暮らしてほしい。
ヘクセは自分と同じ恋する心を持つ乙女だと。
祈りを込め『烈日』で【粉砕】する。
月見里・千隼
【月日夫妻】
※連携、アドリブ歓迎
よくやった!伊吹達の説得が通じて自爆機能も巨大化も解除された!
心情的に戦い辛いが相手がクロノヴェーダだと言う事を忘れるな!
他の復讐者と連携しながら
チャンディラムに【騎乗】し【ダッシュ】して攻撃を回避しながらも後援に立ち回り援護射撃。
伊吹の魔力が込められた弾丸を撃ちパラドクス『花鳥風月』を使いさせて嵐のような疾風を発動させて敵を何度も切りつける。
伊吹が軽度でも負傷した時に駆け寄り心配し、その後敵を睨みつける。
その目から伊吹を傷付けたレーザーを出したのかと怒り、パラドクス『花鳥風月』で敵の両目と両腕のドリルを風魔法の刃で使い物にならないくらい切り刻む。
エルマー・クライネルト
それでいい、結局我々は奪い合う事しかできん
青年にはこの場から離れるよう忠告
これ以上付き合う義理もないだろうし、君に出来る事もない
それでも残ると言うのなら好きにしたまえ
鋼糸による【捕縛】を続け、上空に離脱されないよう余った糸を建物に絡み付けて固定
【地形の利用】で移動を阻害する
その間人形に仕込んだ暗器を全て解放し撹乱を行う
生きて彼と共にありたいと言う願い、実に立派ではないか
私にも嘗てそう想いたかった人が居た
だがそれはもう二度と叶わない。あの人は居ない、お前達が奪った!
背後に回らせていたオラトリオに命じパラドクス発動
最期に興味本位で聞いてみよう
私にとって恋は呪いだが、お前にはどんなものだったのかと
エルル・ヘイズルーン
「たとえ、ドナウ川のヴァルハラ神殿に名前が残らなくたって」
※北欧神話ではない、ドイツの偉人を讃える実在の殿堂
「ヘクセさぁんのことはぁ、詩人のエルルちゃんが歌にしますよぉ!」
最期を看取ると決めたから
エルルは今、勇者を夢の世界へ導く戦乙女
蝶型の光翼を展開したネメシス形態で【飛翔】しつつ
身にまとう防御オーラのAVP鬼雷音が、赤きオーロラと化して
「安産の呼吸、駱馬図の型…【必筆婦】ぅ!」
味方が聞いたら笑いそうな技名だけど
至ってマジメに、苦しませず引導を渡そうと
輝ける月の斧を振るいます
意識は脳から生まれないから
脳改造でも人の心は消せない
「今夜はきっと夢の中で、あの青年と人の姿に戻ったヘクセさぁんが」
●夢でまた会おう
「――私はお前たちを殺す!」
トルナード・ヘクセの決意を聞いて少しも迷わなかったと言えば嘘になる。
月見山・伊吹(小春日和・g04125)は夫の月見里・千隼(清風明月・g03438)を愛している。ヘクセと同じく愛する者がいる身として戦うことに心苦しさを感じていた。
「よくやった! 伊吹達の説得が通じて巨大化が解除された! 心情的に戦い辛いが、相手がクロノヴェーダだと言う事を忘れるな!」
それでも夫の力強い呼びかけのおかげで気持ちを切り替えることができた。
(「どんなことがあれど相手はゾルダート! クロノヴェーダ! 絶対に負けないよ!」)
まだ愛する千隼との子どもも残していないのだ。夫婦の未来のためにもここで死ぬ訳にはいかない。
エルマー・クライネルト(価値の残滓・g00074)の操り人形【Schrecken】の操り糸『Bis der Tod uns scheidet』は幸運にも相手の巨大化が解けた際に解けなかった。緩んだだけで済んでいたそれをエルマーは改めてヘクセのドリルに固く絡ませる。そうしながらも後方の青年に声をかけた。
「青年。これ以上恋人ごっこに付き合う義理もないだろうし、戦えない君に出来る事もない。この場から離れたまえ」
青年はひどく困惑した表情で悲痛な声を上げた。
「義理どころか、僕には何もわかりませんよ! 何故彼女があなたたちを殺そうとするのか! あなたたちは何者なのか! 何もわからないまま、僕のために命を懸けると言う彼女を見捨てて逃げろと言うんですか?! そんなこと、出来るわけないでしょう!」
「……そこまで言うのなら好きにしたまえ。戦いの邪魔はしてくれるなよ」
その間に伊吹はヘクセに接近しパラドクスの力を込めた『多機能シャベル』で殴りかかる。
ヘクセはそれに赤い目からのレーザー光線で反撃を試みた。
しかしそれを夫が許すはずもない。
「伊吹は傷つけさせない!」
千隼が自身のサーヴァントである無双馬『チャンディラム』にまたがり魔法拳銃『朧月夜』から風の魔法を帯びた弾丸を撃ち出す。それは疾風となりレーザー光線を相殺した。
ヘクセもドリルから突風を巻き起こして千隼を攻撃しようとする。
そのドリルを伊吹がシャベルで強打。右ドリルを粉砕した。
(「もし生まれ変わりがあるならば、ヘクセには戦争のない平和な時代と国に生まれて健やかに育ち、もし愛する人と出会えたら添い遂げて……ずっと幸せに暮らしてほしい」)
そんな祈りが込められた強烈な攻撃にヘクセはわずかによろめく。だがすぐに態勢を立て直した。そして蒸気の力で飛び上がろうとする。
「生きて彼と共にありたいと言う願い、実に立派ではないか」
エルマーは鋼糸を手近な街灯に結び付けて相手の飛行を阻止しようとしつつ注意を引きつける。
「私にもかつてそう想いたかった人が居た。だがそれはもう二度と叶わない。あの人は居ない、お前達が奪ったのだから!」
彼はそう言うとヘクセを指さした。
「あれから奪え!」
すると彼女の背後に回っていたエルマーのサーヴァントのオラトリオ『フルーフ』の力によりヘクセの胸にクロユリのつぼみが生える。それは呪詛により相手の生命力を奪い徐々に開花する。
「……そうか」
ヘクセは苦しげな息を漏らしながら刻逆の力を発動。瞬時にその場からわずかに横に移動し鋼糸の拘束から逃れた。左ドリルで胸のクロユリを散らす。
「たとえ、ドナウ川のヴァルハラ神殿に名前が残らなくたって」
赤きオーロラをその身にまとったネメシス形態のエルル・ヘイズルーン(美食を導くたまねぎの女神・g03599)が蝶型の光翼で空に舞い上がる。
「ヘクセさぁんのことはぁ、詩人のエルルちゃんが歌にしますよぉ!」
ヘクセを看取ると決めていたエルル。彼女を穏やかな最期へと導くため『輝ける月の斧』を構えた。
「安産の呼吸、駱馬図の型……【必筆婦】ぅ!」
独特な呼吸法で自身のオーラを斧の三日月形の刃に集めて振り上げる。そして上空から高速落下しながらそれを振り下ろす。オーラの力により肉体を傷つけずにゾルダートとしてのヘクセを両断した。
その赤く光る両目からレーザー光線を虚空へと放ちながら彼女は地に伏す。
「……ヘクセさん!」
青年がヘクセに駆け寄り抱き起す。
そんな二人の姿を見てエルマーは最期に彼女に尋ねた。
「私にとって恋は呪いだが、お前にはどんなものだったのだ?」
ヘクセは弱々しい声で答える。
「呪い、か……。私は、恋など……していない。だから、君も……」
彼女は青年に触れようとして左腕を上げた。しかしその腕はドリルだ。触れると傷つけてしまうと思ったのだろう。結局何もできないまま腕を下ろした。
「君も、恋など、していない。だから……呪いなど、ない。そう、だろう……?」
青年は今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「あなたは、どうしてそこまで僕を……!」
どうして気遣うのか。その問いを飲み込んだ。答えなどわかり切っていた。恋心が彼女をそうさせたのだろう。
代わりに時間のない彼女に無理やり笑って見せる。そして決して本心ではないが彼女の欲しい言葉を口にした。
「もちろん、僕はあなたに恋なんて……していませんよ」
「そうか……。有難う」
ヘクセは安心した声でそう言うと眠るように穏やかに息を引き取った。
彼女を抱きしめて泣く青年にエルルも涙をこぼしながら静かに語りかける。
「大丈夫ですよぉ。彼女には人の心が残っていましたからぁ。今夜はきっと夢の中で、人の姿に戻ったヘクセさぁんとまた会えます」
その時は彼女も青年に触れることができるだろう。
こうして復讐者たちはトルナード・ヘクセの最期を看取った。彼らは帰りのパラドクストレインが来るまでの間青年に寄り添い共に彼女をしのんだのだった。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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