相模国、兵器工廠破壊作戦

 攻略旅団の調査により、最終人類史と境界を接している『相模国』の兵器工廠で、ヒルコを利用した儀式を使い、最終人類史に向けた破壊兵器の開発が行われている事が判明しました。
 破壊兵器を建造している兵器工廠に向かうパラドクストレインが出現していますので、急ぎ、現地に向かい、この兵器開発を阻止してください。

 破壊兵器は、TOKYOエゼキエル戦争からもたらされた現代技術が元になっています。
 ディアボロスにとっては脅威になりませんが、最終人類史で使用されれば、街や一般人に大きな被害を出してしまうでしょう。

無敗の剣豪(作者 荒雲ニンザ
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 巨大な時限爆弾を背負い、その剣豪は静かに目を開く。
「この装備があれば、少なくとも無駄死にする事は無い」
 それを言う間にも、物々しい時計の音がチクタクと彼の死を刻んでゆく。
「ディアボロスの本拠地に攻め込み、帰ってこなかった数多の同朋達の仇を取れるのだ。装備の増産を進めよ、全てのトループス級への装備が終わった時こそ、我らが出陣の時だ」
 兵器工廠の心部に見えるのは、配線で繋がれた無数のヒルコ達の姿。
 苦しみ、悶え、助けを求めている。


 時は今。
 場は新宿改札内、ホームにある待合室。
 煎った栗を大きな紙袋に詰め、それを抱いている大和屋・酔仙(妖狐の妖怪博士・g03240)が皆を出迎えた。
「攻略旅団の提案により、最終人類史に隣接する『相模国』へのパラドクストレインが出現したようです」

 武蔵国の攻略が終わるまでの牽制ができればという作戦だったのだが、どうやら状況は更に悪いようだ。
「相模国では多くの兵器工廠が造られており、そこで、TOKYOエゼキエル戦争から漂着した大天使やアークデーモンから齎された技術で、爆薬やミサイルの製造計画が進められているらしいのです」
 これらの現代兵器の使用はパラドクスではなく、ダメージを与えるような類のクロノ・オブジェクトでも無いため、ディアボロスにとっては全く無意味だ。
「ですが、一般人にとっては確実に脅威となるものです。これらの行為から推測すると、天魔武者は、ディアボロスの支えとなる一般人から殺そうとしている……こう読み解けます」
 以前に休戦協定が結ばれた際に、天正大戦国が攻撃兵器を開発する可能性は指摘されていたが、案の定、実際に計画が進行していたわけだ。

 相模国の天魔武者は、爆発物を装備した部隊で最終人類史に侵攻し、ディアボロスでは無く、ディアボロスが護る一般人を爆殺しようと企んでいる。
「先んじて相模国の兵器工廠の破壊に向かい、最終人類史に対するテロ行為を未然に防いで下さい」

 では作戦の説明に入る。

「まずはヒルコの隠れ里について説明いたします」
 捕らえられているヒルコも含め、今後ヒルコたちが安全に暮らせる隠れ里を用意してやる必要がある。
「何せエネルギー源にされることの多いヒルコですから、安全、かつ、快適に生活できる場所を作ってあげてほしいのです」
 捕まらぬように隠れ住むための指南をしてやるのもいいだろう。交流を深めてやれば後日何かに繋がる不確定要素になるかもしれない。
「様々な可能性を秘めている子たちですから、丁重にお願いしますね」

「では、次。敵施設破壊戦闘『天魔忍軍・豪傑型』についてです」
 爆発物を扱うからか、兵器工廠は人里から離れた場所に秘密裏に建設されている。
 この兵器工廠の近くまでは、パラドクストレインで移動できるので、そこから兵器工廠に向かって欲しい。
「この施設の奥に兵器工廠があり、それを守っているのが『天魔忍軍・豪傑型』です」
 この任務は施設の破壊が目的だ。クロノヴェーダは全て倒す必要は無く、施設を破壊すれば成功となる。
「破壊するのは、兵器工廠を取り囲む壁です。無論敵は襲ってくるので、それを交わすなり倒すなりして対処をお願いします」
 壁はかなり強固だ。敵も襲ってくるため、工夫が必要となるので、仲間内の連携などの話し合いなど、しっかり準備をしていこう。

「次に、作戦のメインである自爆装置の無効化についてです」
 兵器工廠は、鍛冶や鍛造といった戦国時代レベルの技術で、大天使・アークデーモンがもたらした21世紀の兵器を強引に作り出そうとしており、いびつな施設になっている。
 更に、実現不可能な技術については、ヒルコからエネルギーを絞り出し、魔導技術で無理やり実現しているらしい。
 そのため、何人ものヒルコが、まるで、部品のように兵器工廠の製造設備の一部として組み込まれているという。
「ヒルコは苦痛に悶えながらも、解除の方法を教えてくれているようなのです。それにうまく対処できれば、彼らを救出することができるかと」
 ヒルコの言葉をよく聞き、周辺をよく観察し、彼らを助け出してあげてほしい。

「最後に、アヴァタール級との戦闘『一刀斎』についてです」
 こちらはやることが2つ。兵器工廠を破壊しながら敵と応戦し、試作品の自爆装置を装備したアヴァタール級の撃破を行ってもらいたい。
 自爆装置は、アヴァタール級が撃破されると起動して爆発するが、ディアボロスは一切の影響を受けない。
 ただ、この爆発に巻き込まれると工廠に繋がれているヒルコは助からない。
「可能ならば、先に自爆装置を解除してから撃破し、ヒルコ達を助けてあげてから、一刀斎を撃破して下さい」

 酔仙は説明を終えると溜め息交じりに憤りを吐き出す。
「それにしても、毎度ヒルコを使い潰して参りますよね、あやつらは」
 手持ち無沙汰の指が、袋の外から栗を一粒潰す。
「救出したヒルコは、放置すれば野垂れ死ぬか、或いは、天魔武者に捕まって再利用されてしまうので、ディアボロスの皆様で安全な隠れ里を作って匿ってあげて下さいませ」
 今回の任務は少々トリッキーだ。がんばろう。


 兵器工廠の配線が、電流のような光を発して脈打ち、その度にヒルコたちが悲鳴や呻き声を上げていた。
 周囲を取り囲む配線は7本あり、それぞれがヒルコと繋がっている。
 7本の配線には色がついており、紫・青・緑・赤・橙・藍・黄の色がハッキリと確認できた。
「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し……」
「に、虹……」
「順番に……切っ……」
「ううっ……!! せ、せき……とう・おう・りょく・せい・らん・し!」
 繰り返しそれだけを切れ切れに叫び、各々悲鳴を上げた。


→クリア済み選択肢の詳細を見る


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【傀儡】
1
周囲に、ディアボロスのみが操作できる傀儡の糸を出現させる。この糸を操作する事で「効果LV×1体」の通常の生物の体を操ることが出来る。
【飛翔】
1
周囲が、ディアボロスが飛行できる世界に変わる。飛行時は「効果LV×50m」までの高さを、最高時速「効果LV×90km」で移動できる。【怪力無双】3LVまで併用可能。
※飛行中は非常に目立つ為、多数のクロノヴェーダが警戒中の地域では、集中攻撃される危険がある。
【フライトドローン】
1
最高時速「効果LV×20km」で、人間大の生物1体を乗せて飛べるドローンが多数出現する。ディアボロスは、ドローンの1つに簡単な命令を出せる。
【光学迷彩】
2
隠れたディアボロスは発見困難という世界法則を発生させる。隠れたディアボロスが環境に合った迷彩模様で覆われ、発見される確率が「効果LV1ごとに半減」する。
【エイティーン】
1
周囲が、ディアボロスが18歳から「効果LV×6+18」歳までの、任意の年齢の姿に変身出来る世界に変わる。
【活性治癒】
2
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。

効果2

【命中アップ】LV2 / 【反撃アップ】LV1 / 【リザレクション】LV1 / 【ドレイン】LV2 / 【ダブル】LV2 / 【ロストエナジー】LV1

●マスターより

荒雲ニンザ
 またヒルコたちがとっ捕まってますよーっ!
 ヒルコ大好きですねあいつら!
 今回はちょっとやることが……やることが多い!という回ですが、いつもと変わったトリッキーなシナリオなので、うまく立ち回ってカッコよくキメちゃって下さい。

●戦闘場所
 相模国の兵器工廠施設。

●ヒルコの隠れ里
 ヒルコたちが安全に隠れ住める場所を用意してあげましょう。
 よくとっ捕まるので、そのあたりの対策を念入りにしてあげると良いかも知れません。

●ヒルコヒント
 7本の配線には色がついており、紫・青・緑・赤・橙・藍・黄の色がハッキリと確認できる。
 「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し……」
 「に、虹……」
 「順番に……切っ……」
 
●時系列
①ヒルコの隠れ里
③敵施設破壊戦闘『天魔忍軍・豪傑型』
②自爆装置の無効化
④アヴァタール級との戦闘『一刀斎』

●敵施設破壊戦闘『天魔忍軍・豪傑型』×7
 いっぱいいる。
 全員倒さなくても大丈夫。
 とにかく施設を壊すのを優先。

●アヴァタール級との戦闘『一刀斎』×1
 背中に巨大な時限爆弾を抱えている。
 剣豪らしく質実剛健といった性格。
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このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

一般人を標的にした兵器を準備しているとは……これは確かに牽制で済む話ではなさそうですね。
事前に察知出来て本当に良かったです、こんな兵器は二度と作れないように兵器工廠はしっかりと破壊しておきましょう。

【光学迷彩】で隠れながら警備の『天魔忍軍・豪傑型』が手薄な場所を探し、施設を破壊していくことにしましょう。
相手が忍者型の天魔武者なのに忍ぶのは私の方というのも変な話ですけれど……まずは施設の破壊を優先です。

戦闘になった際の対策も考えておきます。
隠密性は皆無ですが忍者らしい見事な身のこなしの相手、ならばこうしてみましょう。
《結界断・鉄仙》の結界で動きを封じることが出来ないか試してみます。
手にする刀は《妖刀『鐵喰』》、上手く動きを封じることが出来たなら結界ごと『天魔忍軍・豪傑型』を斬り裂きます!
破壊目標である施設の壁も巻き込めそうなら狙ってみましょう。


大和・恭弥
仲間との連携、アドリブ歓迎

圧政での犠牲が多いと思っていたが、兵器を差し向ける計画もあったのか。俺達への罠のつもりだろうが……いまは目的よりも、計画を阻止することが最優先だな。

藍雪花染を抜刀しておき、解放することで【光学迷彩】を使用。周囲に溶け込みながら状況を伺い、最もリスクが少ない経路から侵入し、仲間と連携して施設の破壊をすすめよう

戦闘になったらかかってきた敵に秘技「虚無剣・花染雪ノ抹消」を発動して横一閃、空間ごと斬り裂いて事態が大きくならないよう手早く動いていこう。
敵の動きは呼吸を読んでかわしつついなして、ヒルコに影響が出ないように施設を巻き込んで攻撃する。、


 木材を簡易的に組み立てて自然物に溶け込ませ、遠目からでは気づかぬよう隠されたその施設を覗き込み、二人のディアボロスが眉間に皺を寄せた。
「これは確かに牽制で済む話ではなさそうですね……」
 野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が静かに呟くと、近くに身を隠す大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)が小さく唸る。
「圧政での犠牲が多いと思っていたが、兵器を差し向ける計画もあったのか。俺達への罠のつもりだろうが……いまは目的よりも、計画を阻止することが最優先だな」
「任務は施設の破壊です。どうされますか」
「警護が多いようだ。戦闘にはなるだろうが、できる限りリスクの少ない経路から侵入しよう」
「【光学迷彩】を」
「重ねよう」
 先に裕樹が滑るように走り出す。それを追って恭弥が後に続く。
「ヒルコに影響が及ばないように気をつけなければ」
「ええ」

 天魔忍軍・豪傑型の視線が逸れる方角に進み、陰に隠れる。
(「相手が忍者型の天魔武者なのに、忍ぶのは私の方というのも変な話ですね……」)
 そう考えながら、裕樹は警備が手薄な場所を選んで身を滑らせた。
 恭弥は施設の壁に背をつけ、中にいる敵の気配を感覚で探る。
「さて、どうやって壊すか……ここまで気づかれずに侵入はできたが、隠密で破壊工作をする手段を持ち合わせていない」
「物理しかありませんね」
「仕方ない、事態が大きくならないよう、音を聞きつけてやって来た奴らを一気に叩く」
「では私は、増援の足止めを」
 一度お互い視線を合わせ、微かに頷くと入口から飛び込んだ。

 飛び込むと同時、恭弥が「虚無剣・花染雪ノ抹消」(ヒギ・キョムケン・ハナソメユキノマッショウ)で空間ごと施設を横に薙ぎ払う。
「ギャッ!」
 一閃に巻き込まれた天魔忍軍・豪傑型の2体は上半身と下半身を2つに分けると、声を上げてその場に崩れ落ちる。
 その背後で施設の一部が爆発した。

「何だ!?」
「敵襲!」

 慌ただしく複数の駆け足が近づいてくるのを耳で確かめ、裕樹が結界断・鉄仙(ケッカイダン・テッセン)で天魔忍軍・豪傑型を結界の中に閉じ込めた。
 間を空けず一気にたたみかける。
「やっ!」
 覇気と共に結界ごと切り裂かれた2体の天魔忍軍・豪傑型が倒れるのを目前にし、後からやって来た援軍達はそこで足を止めた。

「ギギ……」
 頭上から施設の壁が崩れ落ち、それを避けて四散する天魔忍軍・豪傑型は、後ずさりしながらその場を退散していった。

 裕樹は小さく息をつく。
「大したことのない敵でしたが、応援を呼ばれれば面倒です。急ぎましょう」
「ああ」
 恭弥は目につく範囲の施設に刃を立て、それらを裕樹と共に破壊していく。

 爆風に髪を撫でられ、濛々と煙が舞い上がる中、二人は先に続く道を見つけた。
 扉の向こうは階段になっており、地下から異様な匂いが舞い上がってくる。
「この先にヒルコのいる部屋があるみたいだな」
「ここはもう十分かと」
「よし、行こう」
 ほぼ飛ぶように駆け下りていく二人は、どこからか近づいてくる強大な気配を感じ取っていた。
「急がないと……アヴァタール級がこちらに向かってきています」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【光学迷彩】LV2が発生!
効果2【ダブル】LV2が発生!

野本・裕樹
急ぎ装置を解除してヒルコの人たちを救出しましょう。
ヒルコの人たちの言葉に解除のヒントがあるはずです。

「せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し」
「虹」
「順番に」
周囲の配線は7色、虹の7色と同じ色、そして虹の色は順番に

「赤(せき)・橙(とう)・黄(おう)・緑(りょく)・青(せい)・藍(らん)・紫(し)」
この順番に配線を切る、という意味ですね。

アヴァタール級が来るまでそう時間があるとは思えません、確信が持てたらすぐに配線を切り装置を解除しましょう。

無事に救出が出来たら【アイテムポケット】から飲み物を出してヒルコの人たちに渡しながら声を掛けたいです。

ありがとうございます、皆さんが解除の方法を頑張って教えてくれたから何とかすることが出来ました。
今度は私たちが頑張る番です、後は任せてください。


ラウム・マルファス
手伝いに来たヨ。人を部品にするなんて、酷いことするネ。
配線の切断順は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫、カナ?順番に切らないといけないから、線同士が近ければ切断は裕樹に任せてヒルコの救出に専念しよウ。遠いなら声を掛け合いつつ、順番に切っていくヨ。

ナノマシンをドライバー型にして、ヒルコを傷つけないように助け出すヨ。出れた人から怪我があれば活性治癒を使いつつ薬品で手当てしよウ。アイテムポケットが使えるなら、小さいおにぎりを持って行って配ろウ。
「辛いと思うケド、逃げなきゃいけないからネ。もちろん全力で護るけど、なるべく自力で動けるようになっておいて欲しイ。動けない人は教えてネ。2,3人くらいなら抱えられると思うカラ」
無理させたり死なせたくはないからネ、様子を観察して、動け無さそうな人は確認しておこウ。ヒルコ7人なら、もし全員動けなくても手分けしつつ戦闘中にフライトドローン出せば何とかなるカナ。

敵が近づいてきたら、護りやすいようヒルコは一カ所に集まって貰うヨ。



 階段を駆け下りると、つぎはぎだらけで粗造りのホールが2人を出迎えた。
 すぐ後ろから、遅れてやって来たラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)が恭弥に声をかける。
「手伝いに来たヨ」
「ああ、助かる。ヒルコの人数が多いからな、運び出すのに手がいりそうだ」
 目の前には巨大な金属の塊が見え、いびつな装置がヒルコたちに絡みつき、延々と苦しみを与え続けていた。
 野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)は小さく唇を噛みしめ、その中心に走り出す。
「急がないと」
「うっ、ううっ……!」
 兵器工廠の配線は、電流のような光を発して脈打ち、その度にヒルコたちは悲鳴や呻き声を上げていた。
 周囲を取り囲む配線は7本あり、それぞれがヒルコと繋がっている。
 ラウムが憤りを声に出す。
「人を部品にするなんて、酷いことするネ」
 7本の配線には色がついており、紫・青・緑・赤・橙・藍・黄の色がハッキリと確認できた。
「あ、赤い……うあああ!!」
 ヒルコが何かを言おうとすると強烈な電流が室内にほとばしる。
「くっ……! トラップみたいだネ」
 するとヒルコたちは、1人ずつ小さく言葉を紡ぎ出した。
「せき」
「とう」
「おう」
「りょく」
「せい」
「らん」
「し……」
 裕樹が配線に視線を向ける。
「周囲の配線は7色、虹の7色と同じ色」
「音読みカ」
「「赤(せき)・橙(とう)・黄(おう)・緑(りょく)・青(せい)・藍(らん)・紫(し)……この順番に配線を切る、という意味のようですね」
「じゃあまず赤からだネ。赤い配線を探そウ」
 無数に絡みつく配線を掻き分け始めるラウムから裕樹は視線を外し、どこからか迫ってくる大きな気配を感じて眉をひそめる。
「アヴァタール級が来るまで、そう時間がありません」
「大丈夫」
 ラウムがナノマシンをドライバー型にして見せると、手慣れた手つきで配線をより分け始める。
「ヨシ、赤OK」
 パチンという切断の音と共にヒルコの1体が機械から切り離される。それを目の前で待ち受けていた裕樹が抱き留めた。
「う……」
 すかさず【アイテムポケット】から持参した飲み物を取り出し、ヒルコの口元に近づける。
「しっかり、もう大丈夫です。さあこれを」
「……あ、ありがとう……で、でも、奴が……」
「おかげで解除の方法は分かりました。今度は私たちが頑張る番です、後は任せてください」
「オレンジ行くヨー!」
 ラウムの声に振り返り、再び裕樹は兵器工廠に繋がれたヒルコを抱きかかえる。
「かなり衰弱しています」
「急がないト……こっちが配線を切断してるのを勘づかれたみたいだヨ」
「黄色あったぞ」
 恭弥から手渡され、平常心を保ちつつ、ミスのないように次々切断していく。

 そうして紫まで順番に切断できたところで、嫌な地響きと共に装置は動きを止めた。
「来る……!」
 咄嗟に裕樹はヒルコの前に立ちはだかり、激しい衝撃で突き破られた壁を弾き返す。
 そこには背中に巨大な時限爆弾を抱えたアヴァタール級『一刀斎』が立っており、怒りに震えて声を張り上げてきた。
「おのれぃ! またも邪魔立てする気か、ディアボロス共めが!」
 恐怖でヒルコ達は身を寄せ合い、震えて目をつむっている。
 恭弥も裕樹の前に出てヒルコを背に守る。
「全員抱えて逃げるにしても、人数が多いな」
「戦闘中ではこちらの分が悪い」
 ラウムがナノマシンを戻して立ち上がる。
「フライトドローンに乗せる隙を作れれバ、何とかなる……カナ?」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
効果2【ロストエナジー】LV1が発生!
【ドレイン】LV1が発生!

大和・恭弥
仲間が加勢に来てくれて助かった。
あとは彼らと脱出して…まず、此奴を倒すことから、だな。

ヒルコ達は背に庇いつつ、仲間に任せて安全を期してもらう。
衰弱してるようだが、この状態じゃ活性治癒も時間が取れない。
代わりに俺は一刀斎と対峙して作戦の隙が出来るように行動しよう

相手の一挙一動からは目を離さず、刃の構えを此方に向けるように藍雪花染の呪詛を解放して殺気を放つ。立ち居振る舞いからその質実剛健さは伝わってくるが、こちらも圧倒されるわけにはいかない。
呼吸を読むがごとく気を張り詰め、刃が動いた瞬間を見切って藍雪を動かす。軌道を描く日本刀を受け止め――その刹那に管狐影縛法を発動。
刀の速度を軽減し、晴彦と連携して数舜動きと力を鈍らせる。

いくらか力で押されようと敵の刀を受け止め、積極的に斬り結ぶ。
そうして隙をつくり、ヒルコを遠ざけきったら臨機応変に空間を使って交戦していこう。可能なら仲間とも連携する。


ラウム・マルファス
ヒルコは助け出したから、あの自爆装置も爆発しないとは思うケド……戦闘の余波とかで爆発すると困るから、ヒルコは遠ざけておきたいネ。

カラス型ドローンに凍結剤を搭載。自爆装置が電気や油を使ってるなら、低温にすればその間は止まるハズ。

フライトドローンを召喚し、いつでも動かせるようにしておこウ。敵に隙が出来たらヒルコを順番に安全な場所へ逃がすヨ。ヒルコのサイズなら3人くらいは乗れるカナ?一定距離離れたら止まるようにして、止まったら別の機体を動かそウ。1度に1機しか命令出来ないからネ、時間が掛かるけど仕方ナイ。

同時に敵の動きを観察し、カラス型ドローンで自爆装置の凍結を狙うヨ。その分本体へのダメージが減るけど必要経費サ。

間合いを誤魔化してくるのは厄介だから、全部間合いの内のつもりで避けるヨ。戦うのはボクじゃなくてドローンだしネ。ヒルコに攻撃が届きそうなら身を挺して庇ウ。ボクは死ななきゃオッケー。


野本・裕樹
※アドリブ・連携歓迎

邪魔立て……剣豪である『一刀斎』、アナタでさえこのような兵器工廠にいるのです。
残念ながら正々堂々の立ち合いが全てではないことは理解されているでしょう。
この施設は破壊します、止められるものなら止めてみてください。

ヒルコの人たちを逃がすためにも『一刀斎』の気を引く必要がありそうですね。
『一刀斎』が今怒りに震えているのは私たちが施設を破壊したからのはず、ならば。

『一刀斎』と戦闘しつつ、施設を破壊していきましょう。
ヒルコの人たちが巻き添えにならないように立ち位置には十分に気を払います。
この期に及んで施設を破壊しようとする私に敵意が向けば他の方も動きやすくなるのではないでしょうか。

《妖刀『鐵喰』》を変化、『一刀斎』の得物にも負けない《巨刀『曼殊沙華』》を振るい戦います。
『一刀斎』の轟滅刃は刀で受け流すことで威力を逃がすことで防御。

ヒルコの人たちが巻き込まれる心配の無い距離まで離れられたなら《鉄蝕閃》で剣豪と正面から勝負です。



 一刀斎はディアボロス達に隙を与えず、壁を突き破ると振動と共に駆け足でこちらへ向かってくる。
 巨大な太刀を手にするその姿は、猛々しくも悲壮感に満ちていた。
 もう後がないことを悟っているのだろう、そういう相手はタチが悪い。
 せっかく助け出したヒルコに突撃されてはまずいと判断した大和・恭弥(追憶のカースブレイド・g04509)が飛び出した。
(「一刀斎に隙が出るように立ち回れば、仲間がヒルコたちを何とかしてくれるはず」)
 間合いに入り込み、目の前まで来たところで一手早く飛び退いた。そこを一刀斎の太刀が空を切る。
「剣筋が重いぞ!」
「ぬかせ小童!」
 この戯れも長くは続くまい。恭弥1人に任せていては何れやられてしまう。いつも飄々としているラウム・マルファス(研究者にして発明家・g00862)が眉間に皺を寄せた。
「ヒルコは助け出したから、あの自爆装置も爆発しないとは思うケド……ヒルコは遠ざけておきたいネ」
 手早くドローンを起動させてはいるが、一刀斎は容易く逃がしてはくれないだろう。
「3体乗せられたら良かったけど、動きが鈍ってしまウ。攻撃を避けながらじゃ1体が限界カナ」
 野本・裕樹(刀を識ろうとする者・g06226)が凜と立ち上がり、静かに呼吸を整える。
「もっと一刀斎の気を引く必要がありそうですね」
 恭弥が太刀を避け、その爆風がこちらに岩を弾き飛ばす。それを蹴散らし、裕樹は『鐵喰』の力を解放した。
「ヒルコたちが巻き添えにならないように、立ち位置には十分に気を払います。私と恭弥さんが一刀斎を足止めしている間、できるだけ遠くへ運んでやって下さい」
「了解」
 裕樹は巨大化した刀身を振り上げ、一気に間合いを詰めて一刀斎の懐に飛び込んだ。それを視線の端に入れた恭弥が飛び退き、一息をつく。
「ふうっ、助かった。そろそろ一息つきたいと思っていたところだ。さてどうする?」
「時間を稼ぎます」
「どうやって?」
 敵の太刀が2人の間を割った。
「一刀斎が今怒りに震えているのは、私たちが施設を破壊したからのはず!」
 裕樹が身体にオーラを張り巡らせ、それを『鐵喰』に流し込む。それを見た一刀斎が斬りかかってくるのを真正面から受け止め、巨刀『曼殊沙華』で妖刀覚醒・鉄蝕閃(ヨウトウカクセイ・テッショクセン)で鎧の一部を裂いた。
「やりおる! だが!」
 一刀斎は両腕で太刀を握り、裕樹目がけて一太刀を振り下ろす。彼女はそれを刀で撫で付け、受け流した勢いで後方に退いた。
 その瞬間、妖刀覚醒・鉄蝕閃(ヨウトウカクセイ・テッショクセン)の余波が、無防備の施設に深い傷を与える。
「おのれ、小娘ぇ!」
 背後から爆風に煽られた一刀斎の横腹に恭弥が滑り込み、刃の構えを此方に向けるように妖刀『藍雪花染』の呪詛を解放して殺気を放つ。
「もらった!!」
「させるか!」
 相手もそれを逃しはしない。懐に潜り込んだ鼠を捕らえようと、太刀を向けてくる。恭弥はその気を読み、刃が動いた瞬間を見切って刃を動かす。
「主の剣筋はとうに見切っておるわ!!」
(「今だ」)
 一刀斎と恭弥の影が最も濃く合わさった場所から、クダギツネ『晴彦』が迫り上がり、敵の太刀を持つ手に牙を剥く。
「ぐっ!?」
 管狐影縛法で一瞬動きが封じ込められたのを裕樹は見逃さず、再び施設に一撃を入れる。
 一刀斎は巨大な太刀を振るい、目にも止まらぬ速度で前面を粉微塵に断ち斬り始めた。
「斬り刻んでくれるわ!!」
「うぐっ……!!」
 軌道上にヒルコ達がいたため、恭弥はそれを避けずに真正面から受け止めた。
 布が宙を舞い、皮膚に細かい傷が無数につき、鮮血が舞う中、その後ろからラウムの声が。
「お待たセ」
 瞬千斬を振るう太刀が徐々に白く染まり、周囲の温度が下がり始めたのに気が付いた時は、すでにこの男の手の中にあった。
「さァー、今回も行っておいデ」
 命令を聞いたドローンの群れは、一斉に中央にいる一刀斎目がけて急降下を始める。
「ぬおおおおおお!!」
 太刀を振り回し、小さな機械を切り落としていくが、直撃を食らった場所から凍結が始まる。
「おのれ! おのれぇぇ!」
 見る見る白い氷が土を覆い隠し、バリバリと音を立てながらその鎧と共に動きを封じていく。
「この俺がぁぁ! 貴様らごとき、剣の神髄も知らぬようなディアボロスに……!!」
 一刀斎の雄叫びが無くなった時、その巨体は時限爆弾ごと時を止めた。

「ふう」
 ラウムが一息つき、にわかに流れた汗を手の甲で拭う。
「ヒルコたちは、一刀斎の入ってきた壁から外へ逃がしてあるヨ。動ける子は歩いて行ってもらってるから、まだよちよち移動してる最中だと思うけどネ」
 ラウムの視線が恭弥に流れ、手傷を負った姿に眉を上げる。
「ドローンに乗っていク?」
「冗談はよしてくれ。大した傷じゃない」
 緩んだ空気に裕樹が少し口元に笑みを戻したが、すぐに次の行動へ移した。
「ヒルコ達を安全な場所まで届けないといけません」
「隠れ里、ってやつを用意しなくちゃだネ」
「よし、行こう」
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【傀儡】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
【エイティーン】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
【リザレクション】LV1が発生!

地国・段三郎
アドリブ歓迎

ほうか、隠れたいか
なればゆくか、森に。
人の手がまだ届かぬ森に住みて、静かに暮らすが良い

ただし、うぬらにもわしを助けてもらうでの

わしの作品の中で最もデカい妖刀、号 『鳥之石楠船神』にわしとヒルコ達を乗せて【飛翔】し、山と川がある森に行く。川近くにおろして適当に周囲の木を切り倒して場所確保と資材確保と同時に行う。

ついでに衆合地国でヒルコ達の住む場所の周囲に草花の生命を原料とした妖刀を十万振りだけ配置させようかの。敵の敵意や悪意に向かって動く妖刀じゃ、少しは守りもないとのう

家作りまで【早業】でしっかり手伝うでの。

そこまでできたら、最後はわしを助けてもらうでの。

わしの生命はそう長くはない。わしが死んでも、わしの知識と技術がこの世に生き続けていいれば、それはわしが永遠に生きているのと同じこと。

銘『地国』を使い、この特別な大鎚を人数分増やして、大人から子供まで全員に配る。

これを持って、うぬらが刀鍛冶『地国』を名乗ってくれたらわしは安心して死にたい時に死ねるでのう

頼んだぞ二代目地国達よ



 逃がしたヒルコたちを待っていたのは、地国・段三郎(刀鍛冶『地国』・g06460)という老いた雰囲気を身に纏う不思議な童子であった。
「どこへゆく」
 手負いのヒルコたちは見知らぬ相手に警戒したものの、その童子がディアボロスだと悟ると怖々近寄ってきた。
「貴方たちは、ぼくたちを…安全な場所に連れて行ってくれると…言っていた」
「ほうか、隠れたいか」
 それもそうだろうと、察してやるには十分な程ヒルコたちは災いを受けている。
「なればゆくか、森に。人の手がまだ届かぬ森に住みて、静かに暮らすが良い」

 遅れてやってきた裕樹、恭弥、ラウムは、山に入っていく無数の足跡をみつけてそれを追ってきた。
「どうやら仲間が、ここにいたヒルコ達を安全な場所に引率してくれたようですね」
 裕樹の言葉に、背にヒルコをおぶったラウムが安堵の溜め息を吐く。
「良かっタ、早く追いかけましょウ」

 段三郎がヒルコを釣れて辿り着いた場所は山の中。近くに川が流れており、湿った空気が茸や苔を育ててくれている。
 人里から離れた土地であるが、ヒルコたちはまだ怯えていたのを見て、段三郎は衆合地国というパラドクスを両腕に宿した。
 地面の葉を撫でてやればそれが小刀となり、小枝に触れれば瞬く間に刀となる。
「敵の敵意や悪意に向かって動く妖刀じゃ。隠れ里を作る間だけでも、こうして守りを固めておけば安心できるじゃろう?」
 ディアボロスたちが元の時代に戻れば、永続的ではないパラドクスはその記憶と共に消えてしまうが、負傷したヒルコたちを安心させてやるには十分であった。
 ようやくヒルコたちは小さな溜め息を吐き出し、木の根元に身体を横たえた。
「さて」
 段三郎は適当な木を見繕うと刀でそれを切り倒し、資材を確保した後に簡易的な家を建てていく。

 そうこうしていくと、戦闘を終えた仲間達が隠れ里へ到着する。
 7人が揃ったのを見て、ヒルコたちは各々抱き合いながら生き延びたことに感涙していた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!

工藤・花梨 (トレインチケット)



 隠れ里が少しずつできあがっていく最中、森の木々を抜けた工藤・花梨(天使のデーモンイーター・g07195)が辿り着く。
「ああっ! やっと見つけた……!」
「人目につかぬ距離という意味では、中々の場所のようじゃな」
 段三郎が迎え入れてやると、花梨は傷ついたヒルコたちを目に入れてフンと鼻を鳴らす。
「随分痛めつけられたようね。隠れ里を作っても死なれたら元も子もないから、手当てしてあげるわ」
 口は悪いが【活性治癒】を施してやるあたり、天使と言えば天使らしい。それから彼女は黙々と治療を続けてゆく。
 身体が楽になっていくヒルコたちはようやく笑みを戻し、渇いた喉を潤そうと身体を動かし始めた。
「まだダメよ。じっとしてなさい」
 そう制して、自らが川に水を汲みに行く。
「魚がとれそうね……水を飲ませてから、あの小さなお腹をパンパンにしてやろうかしら」

 もう大丈夫のようだ。
 運が良ければ、他のヒルコたちもここに合流できるかもしれない。
 後日何かに繋がればよいが、それはまた別の機会に考えよう。
善戦🔵​🔵​🔴​🔴​
効果1【活性治癒】がLV2になった!
効果2【ドレイン】がLV2になった!

最終結果:成功

完成日2023年12月28日