リプレイ
我孫子・寅吉
(トレインチケット)
●討ち入りダイナミック
相模国へ到着し、道なき道を進んだ我孫子・寅吉(新宿の喧嘩師・g03186)、ブロス・ブラッドハート(深紅の稲妻・g03342)は奇妙な建造物を見つける。
土壁に無数の鉄パイプが巻きつき、一部の配管は竹材で支えられていた。
屋根から突きだした、曲がりくねった細い煙突から濛々と白煙をあげ、ときおり爆音が聞こえてくる。
「人里離れた妙ちくりんな建物。間違いないぜ、あれが兵器工廠ってやつだ」
「戦えない人達を狙った兵器を造るなんて……丸ごとぶっ壊していいんだよな?」
「ああ、派手にぶちかましてやろうぜ」
鼻息も荒く、猛るブロスを寅吉は抑えるどころか、勢いを煽ってそのまま工廠へ走りだした。
使えるモノなら何でも使う――寅吉にとって、鉄パイプや角材がたんまり詰まった外装は、まさに“武器庫”そのもの。
「先手必勝! そんなに吹っかけてぇなら、こっちから仕掛けてやるぜ!」
鉄パイプを一本、壁から引っこ抜くや《ストリートストライク》で壁ごと粉砕しにかかり、ミニドラゴンの辰も壁に体当たりしていく。
「おれも負けねーぞ! おりゃーっ!!」
ブロスも愛剣・紅角刀を担ぐと、勢いよく工廠に叩きつけて解体作業にかかった。
『――ドゴォン!!』
内部に配電盤でもあったのだろう。
激しい炸裂音が響き渡り、騒動に気付いた天魔忍軍・豪傑型が集まりだす。
「よもや、この兵器工廠まで嗅ぎつけただと!?」
「出合え出合え! 一息に返り討ちにしてくれよう!」
縦横無尽な体術で寅吉に襲いかかるが、寅吉も折れ曲がったパイプやら、壁材の土塊を投げつけ――まさにやりたい放題にやり返していき、
「『関係ない人を巻き込む争いはケンカじゃない、ただの弱い者イジメだ』ってじーちゃんは言ってた。そんな卑怯なモノを使おうなんて、おれは許さねーぞ!」
竜翼を羽ばたかせ、清浄なる風を吹かせるブロスの頭上から“戦華(イクサバナ)”が降り注ぐ。
荒野を彩る、数多のサボテンの花達は天魔忍軍に触れるや、その不実な所業を清めんと装甲を焦がした。
蝦蟇型のカラクリ銃まで抜きだし、天魔忍軍は襲来したディアボロスに抵抗を続ける。
その間もブロス達は隙を見て、兵器工廠の破壊工作を仕掛けて、被害を拡大させていく。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【強運の加護】LV1が発生!
【植物活性】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
桜坂・凜々花
「実力不足は百も承知の上。それでも俺は退きたくはない」
助けを求めてる奴らがいるんだ。ここで退いたら女が廃る。
それに一般人を狙うなんて、非道な真似は赦せない。
「やべえ、出遅れた!?」
先輩方の活躍に目を奪われ、ワンテンポ遅れて参戦。
味方と連携できる場合は、援護に専念。俺の手で仕留めることは二の次で、少しでも役に立てるよう頑張る。もし撃破できる敵を《看破》できたら優先的に攻撃し、敵の数を減らしていこう。
「屍を晒せ」
天魔忍軍・豪傑型の「忍法・ラピッドショット(SPD)」に対し、「我流殺法・八劈姫(ガリュウサッポウ・ヤツンザキ)」で、《早業》の《斬撃》で《両断》するぜ。
残留効果のおかげで多少マシにはなってるが、実力差は健在。一撃に全てを賭けて突っ込もう。
勝利のための怪我は勲章だ。何発もらおうが俺は気にはしない。だが、他のディアボロスを不利にするような行動はしない。特に失敗以下になりそうな場合は非採用OKなんで、そこんとこヨロシク。
アドリブ、連携歓迎。
●
(「実力不足は百も承知。それでも俺は退きたくはない――退いたら、大勢の人間が犠牲になっちまう」)
これが初陣となる桜坂・凜々花(Dusty Pink・g10777)は救援機動力を頼りに、交戦しているディアボロス達の気配を追って山を駆け抜ける。
視線を上げれば、白煙の柱が無数に立ち上り、兵器工廠の位置をこれでもかと凜々花に教えた。
先に暴れていたディアボロスによって、兵器工廠は半壊し、天魔忍軍・豪傑型は消火活動に回る暇もない。
天魔忍軍の姿を見つけるや、凜々花はすかさず《我流殺法・八劈姫》で斬りかかる。
妖刀が禍々しいオーラを纏い、一瞬の刹那に鋭い剣閃が奔って、一体の天魔武者を斬り捨てた。
「まずは一体!」
「曲者め、まだ居たか!?」
天魔忍軍も凜々花の存在に気付き、蝦蟇型カラクリ銃で光弾を連射していく。
【ガードアップ】の恩恵はあるものの、力量差は想定する以上に感じた。
「勝利のための怪我なら、名誉の負傷ってもんだろ!!」
吼え猛る凜々花は工廠を巻き込むように天魔忍軍へ刃を奮い、確実に仕留めていき……そして最後の一体が機能停止し、地べたを転がった。
「ハァ、ハァ……これが、逆説連鎖戦ってやつなのか?」
埒外の戦いを仕掛けてくる敵にも驚かされるが、それに順応しようと動こうとする、自身の超人的な身体能力にも凜々花は驚かされる。
気付けば、先発隊のディアボロス達が兵器工廠の大部分を破壊し、自爆兵器の試験場とおぼしき訓練場で、真っ赤な機体の天魔武者と対峙していた。
「よくも私の兵器工廠を台無しにしてくれましたわね……ここが『翔び六法』唐沢玄蕃の統括と知っての狼藉ですの!? 万死に値しましてよ!」
その背には『後付け』と一目で分かるほど、地味な色合いのミサイル大筒が二丁……あれが問題の“自爆兵装”のようだ。
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【無鍵空間】LV1が発生!
効果2【ラストリベンジ】LV1が発生!
●分析
『翔び六法』唐沢玄蕃の装着している自爆兵装――あれ自体はクロノ・オブジェクトではないため、ディアボロスにはなんの被害も与えられない。
だが、そのまま爆破すると製造設備に繋がれた一般人――“ヒルコ達は爆死”する。
それを防ぐ術はないのか? ――今一度、唐沢玄蕃の自爆兵装を注視してみると、どうやら玄蕃自身と連動して起爆するよう、ミサイルじみた大筒は、無数のコードで玄蕃と繋がっていた。
あのコードと大筒の信管……つまり、起爆装置が繋がっている可能性が高い。
ミサイル自体を攻撃しても大爆発してしまう以上、なんとか無力化する必要がある。
だが、玄蕃自身にそれを悟られては厄介だ……誰かが玄蕃と戦闘している間に、並行して別の誰かが自爆兵器の無力化を図る。
これがもっとも堅実な策と言えよう。
ミレナ・ノヴァク
(トレインチケット)
喩・嘉
(トレインチケット)
●陽動
ミレナ・ノヴァク(人間のダークハンター・g07161)、アスアド・ガーメディー(人間のオークスレイヤー・g08920)、そして喩・嘉(瑞鳳・g01517)が唐沢玄蕃の前に立ちはだかる。
それぞれ得物を抜くと、深紅の鋼鉄くノ一の気を引くべく攻撃を開始。
「唐沢玄蕃……歴史上では、火薬術に長けた火計の達人だと聞く。それが自爆兵器の運用に回されるとはな」
ミレナは瓦礫の影に飛びこむや、愛銃świtを素早く構えて《暗夜の一撃》を仕掛け、
「無駄死にならば不服ですが、一矢報いる手立てならば喜んで請け負いますわ――このように!」
すかさずミレナに肉薄し、玄蕃は《真・飯綱落とし》を見舞う。
瓦礫ごと捕らえたミレナを抱えて急上昇し、慣性の法則を無視した、鋭角な軌道で地上に叩きつけていく。
銃身で威力を抑えこもうと試みるが、それでも巧妙な一撃に、ミレナも一瞬だが目まいを起こす。
(「あの背についた大筒……あれには大量の爆薬が仕込まれているだろう。俺達が注目を引きつければ、別働隊が狙いやすくなるハズ」)
不壊の剣が陽光を照り返す中、アスアドの《クレセントスラッシュ》が玄蕃の装甲に傷を残し、磨き上げられた深紅の鎧に裂け目がついた。
玄蕃の反撃は《手裏剣術・不惧刺》――距離の概念を破壊し、全方位から放たれる苦無がアスアドに襲いかかる。
迫る鋭刃を払い落としにかかるが、革鎧を貫いた苦無の数々がアスアドの肉体に深く食いこむ。
「余計なことを考えずに済む――軍師にこれほど簡単な仕事はない、それが“単純なこと”なら尚更だ」
「た、単純!? この私をそのように愚弄して、後悔させてやりますわよ!」
嘉は別に『玄蕃は単純な性格』と言った訳ではなく、『戦うこと自体が陽動になること』を指していた。
玄蕃が誤解したのをいいことに、嘉は訂正せず、そのまま瑞鳳凰扇をゆるりと振るい、
「そういうところだ、自覚があるなら矯正した方がよいのではないか?」
《ライトニングボルト》が戦場を迸り、玄蕃の装甲へ一撃。
バチリと電流が走るものの、ミサイル弾頭に影響はないらしい。
どうやら意図的に破壊しようと試みない限り、“接続した天魔武者が死亡したら起爆する”よう、設計されているようだ。
「搦め手を用いようと、通用しなければ本末転倒でしてよ! 単純明快であることの恐ろしさ、その身で味わわせて差し上げますわっ!!」
稲妻を放つ嘉に玄蕃は瞬時に迫り、後背からしがみついて急上昇。
超高角度のバックドロップで地上に叩きつけ、周囲に砂埃が舞う。
「っ……ふ、開き直りとは恐れ入る……!」
(「嘉君の挑発的な言動に、怒り心頭に発したようだ。――自分達にとっては好都合だがな」)
【完全視界】で砂埃の先まで見通し、ミレナが照準合わせ。
狙撃銃から渾身の一射を放ち、アスアドも間髪入れずに、三日月の軌道を描いた剣閃を見舞う。
「おーっほっほっほっほっ! 私に膝をつかせるおつもりなら、もっと攻めきる気概をお持ちになりませんと。――もっとも、私もただで倒れるつもりはございませんわよ?」
玄蕃の一言は、製造設備に組み込まれたヒルコ達を暗に示している。
“このまま倒しても、起爆した衝撃でヒルコ達も消し飛ぶ”――だが、その解決策をディアボロス達は見出していた。
善戦🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【パラドクス通信】LV1が発生!
効果2【ガードアップ】がLV2になった!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【ダブル】LV1が発生!
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
破壊兵器だけでも厄介なのに、自爆兵装とはまた嫌な代物を用意したものだ。
だがこの状況でヒルコ達を見捨てるなんてあり得ないよ。
仲間が敵の注意を引いている今の内に、
気付かれないように注意して自爆兵器を無力化したい。
近現代の兵器に関しては、予め新宿島の技術者達に話を聞いておく。
技術が流用されているのなら、基本的な原理と構造を理解しておくことは重要だろう。
特に今回のように解体が必要となれば猶更の事だ。
ヒルコ達が伝えてくれた情報もありがたい。
あの自爆兵器には信管部分に不備があるのだね、
起爆を伝えるコードを切れという事だろうか。
無力化には『逆説推理』のパラドクスを使用。
改めて自爆兵装を観察し、その構造を把握する。
玄蕃から繋がるコードに注目し、
切るべきコードと切ってはいけないコードを推理によって見極めたら、
【未来予測】で爆破の無い未来を見通しつつ、
雪月花の刀を手に、切るべきコードを全て切断する。
これでもう起爆の信号は伝わらない筈だ。
大丈夫だと確信したら【パラドクス通信】で仲間に伝えよう
陳・桂菓
信管とミサイルをつなぐコードを斬ればいいのだな。
ただし、ミサイルには傷を付けぬように。しかも、唐沢玄蕃に邪魔をされないように。
……言うは易く行うは難し、とはこのことか。
だがまあ、やってみせようさ。
使用武器は苗刀『飛竜』
私の持つ武器で、恐らく最も鋭く速い斬撃を放てる武器だ。つまり、最も短時間で、最も抵抗少なくコードを切断できる武器ということ。
あと必要なのは、精密に狙ったところだけを斬れる腕前であり、技。
【迅雷縫雲閃】は敵の隙となる一点を見出し、捉え、雲間を縫う雷光のごとき斬撃を放つ技。
他の何かに触れずコードだけを切断するとなれば、私の持つ技の中でこれ以上のものはない。
玄蕃の意識は戦闘に向いているという、この隙を逃がせん。
忍者系ということは玄蕃もスピードは凄まじかろうが、私とて速度においてはそれなりだ。
できれば気付く暇を与えず、気付かれたとて防ぐ暇も回避する暇も与えぬよう、己のできうる最速の一閃を見舞おう。
「無益な犠牲なぞ許しはせんよ。貴様のつもりがどうでも、ただで倒れてもらうぞ、唐沢玄蕃」
●根源を絶つ
唐沢玄蕃の意識は、攻めこんで来たディアボロスに向いている。
その隙を狙い、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)、陳・桂菓(如蚩尤・g02534)が自爆兵器の無力化を狙っていく。
(「大量破壊兵器というだけで厄介なのに、自爆兵器とは……部下を捨て駒にして、犠牲者を増やす。嫌な代物を用意したものだ」)
しかも、この場で爆破することがあれば、衰弱したヒルコ達を巻き込む。
「“信管とミサイルを繋ぐコードを斬る”のだな……言うは易く行うは難し、とはこのことか。だが、果たさねばなるまい」
不必要な犠牲を出さずに収めるために、桂菓も雪人とともに得物を構え、機を窺う。
雪人は事前に確認した、最終人類史の技術者らの話を思い返す。
(「未来の技術を、無理やり再現しているなら……“複雑な機構”で作ることは難しいかもしれない、だっけ。大筒そのものは単純構造とすれば」)
注視したのは、玄蕃自身と接続する無数のコード。
フィクション作品では『どちらかのコードを切断すると即時、爆破する』という設定も登場したりするが、天魔武者は現代兵器に造詣が深くない。
むしろ“未知の部分”が多いだろう。あくまで“知識をもたらされたのみ”――であれば、
「桂菓さん、おそらく切ってはいけないコードはありません。ですが、一本でも残ったままだと、自爆機能が動作している可能性があります」
「コードは全て斬り落とせばいい、という訳か。ならば斬り捨てるのみ!」
苗刀『飛竜』を握り締め、桂菓は交戦する玄蕃へ瞬時に肉薄する。
電光石火の一撃――《迅雷縫雲閃》で数本のコードが切断され、玄蕃の顔色が変わった。
「な、何をしてらっしゃいますの!? そそそ、そんなところを狙っても、わ、私に傷ひとつ付きませんわよ!」
玄蕃は桂菓の一太刀へ反撃していくが、明らかに声がうわずっている。
動揺する様子からして、雪人の事前情報から導き出した推測は、正しかったようだ。
「仕組みは解ったね、推測が当たって安心したよ……その配線、全て断たせてもらう」
口元に弧を描きながら、雪人も愛刀・雪月花を手に《逆説推理》を発動し、桂菓の本命打で断ち斬らせるよう立ち回っていく。
玄蕃自身は戦闘とコード死守、双方をこなすハメになったことで、動きの精彩が欠き始めた。
「くぅっ……な、なんて小狡い戦術を! この唐沢玄蕃、怒髪天を衝きましたわよっ!?」
着実に接続コードを減らされていき、切れたコードに応急処置を施す間も与えず、怒濤の攻勢で玄蕃に襲いかかる。
翔び六法の着地した瞬間を狙い、桂菓が大きく踏みこむ。
「無益な犠牲なぞ許しはせんよ。貴様のつもりがどうでも、ただで倒れてもらうぞ――唐沢玄蕃!」
残るコードと装着部位ごと、ミサイル大筒を紫電一閃の一撃で落としてみせた。
ゴロゴロと音を立て、切り離された大筒を見るや、玄蕃は眼部を強く光らせる。
「な、な、なんということを……ようやく完成した新造兵器を壊すなんて! 損害賠償を請求しましてよ!?」
「払う気はないし、修理させる気もないね。誰も幸せにしない発明品なら、壊れたままでいい」
雪人はきっぱりと要求をはね除け、再び身構える。
自爆兵装は取り除いた。――今こそ、『翔び六法』という脅威を退けよ!
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【未来予測】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV2になった!
【命中アップ】LV1が発生!
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
相手はアヴァタール級、勿論油断はできないけれど
察するにこの個体は頭に血が上り易い気質らしい
ならば利用しない手はないね
挑発しつつ此方のペースへ引き込もう
飛び六法、跳躍術と火薬術に長けた忍者であったか。
その割に、大筒の構造は随分と『単純』なものだったように思うのだけども、気のせいかい?
強敵相手と苦戦も覚悟で来ていたというのに、肩透かしもいいところだよ。
だが虎の子だった筈の自爆の仕掛けも今は無く、
化けの皮が剝がれたとでも言うべきかな、唐沢玄蕃。
『真理の矢』のパラドクス使用
挑発の言葉を投げかけつつ、油断なく敵の動きを観察し攻撃を看破する
緩急ある動きで敵の狙いを狂わせつつ、苦無の弾幕を刀で弾いて【ガードアップ】
次なる移動先を読んだ上で、パラドクスの力を込めた呪符を放ち
【命中アップ】【ダメージアップ】な氷結の強力な呪詛として攻撃する
どうしてこんな事にって?
ディアボロスの力の根源は怒りだ
殺戮兵器の開発も、ヒルコ達の扱いも許せない
それだけのことだよ
戦闘後は急ぎヒルコ達の無事を確認したい
陳・桂菓
あとは唐沢玄蕃を討つのみか。
その名を奪った先の人物は、ジャンプ力が自慢で、かつ火薬を使った工作にも長けていたという。城を焼き討ちにしたこともあったとか。
「貴様は爆破工作については失敗したわけだが、さて、翔ぶ方はどうかな?」
私とて並や大抵の相手に速さで負けるつもりはないが、それでも真っ向からのスピード勝負、特に空中戦で戦うとなればかなり厳しい状況に追いやられそうだ。
だが飯綱落としを仕掛けられるからには、こちらを捕まえて振り回す間、密着している時間が発生する。玄蕃のスピードがどれほど凄かろうが、その間は必ずこちらも玄蕃の姿を捉え、触れていられるわけだ。
私の土俵は接近戦。この密着距離を逆に利用する。
使用武器は引き続き苗刀『飛竜』
まず、捕まえに来た玄蕃にタイミングを合わせて【烈飄瞬襲撃】を打ち当てる。玄蕃にしてみればミキサーを素手でつかむようなものだろう。そう簡単ではあるまい。
それでもつかまれたなら、宙にあるうちに高速回転に巻き込んでバックドロップの体勢を崩し、逆に玄蕃の方を地面に叩きつけよう。
●忍びの名人
唐沢玄蕃。出生年月不明。真田忍軍に親子二代で仕えた忍びで、その身軽さから『飛び六法』と称されるまでに至った。
跳躍術のみならず、火薬術にも長じていたとして、敵城に火計で大損害を与えた手腕も、史実には残されている。
……そんな名を授けられたが、“この”唐沢玄蕃は、企てを頓挫させられてしまった。
先攻していたディアボロスにより、玄蕃自身も傷を負っている。
陳・桂菓(如蚩尤・g02534)、文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)も最後の追い込みをかけるべく、本腰を入れて攻勢に打って出た。
(「頭に血が上りやすい個体なのかな、付け入る隙ととれるか……ハッタリをかけてみるか」)
雪人は細い白煙をあげる玄蕃へ、挑発的な台詞を投げかけていく。
「飛び六法、跳躍術と火薬術に長けた忍者であったか。その割に、大筒の構造は随分と『単純』なものだったように思うのだけども、気のせいかい?」
「フン! “この兵装”に複雑な機構は不要ですわ。むしろ、簡略化するほうが難しいのではなくて?」
玄蕃達の製造していた兵装は、自爆兵装。つまり“使い捨て前提の戦略兵器”である。
手の込んだ細工をしても、量産化しづらくなるデメリットしかないだろう。
(「思ったより正論で返されたな……まあ、逆説連鎖戦に突入すれば“必ず反撃を受ける”し、注目をひきつける意味もないか」)
回復手段が乏しい以上、“速攻でケリをつける以外”に被害を抑える方法もない。
玄蕃が動くより早く、雪人は陰陽符に持ち替え《真理の矢》でもって負傷部位の傷を深めていく。
符と苦無が飛び交う戦場へ桂菓も飛びこみ、苗刀『飛竜』を手に肉薄し、
「貴様は爆破工作については失敗したわけだが、さて、翔ぶ方はどうかな?」
超高速回転しながらの《烈飄瞬襲撃》で、玄蕃の装甲を撫で斬りにする。
「この程度で尻込みするような者が、自爆特攻の覚悟を決められるとお思いで!?」
桂菓の勢いが落ち始めた直後、玄蕃は桂菓に鋼の双腕で組み付き――猛烈なスピードで跳躍する。
(「回転の勢いに巻き込めれば、と思ったが……っ」)
玄蕃はガッチリと胴体を捉えており、パラドクスも発動時間が過ぎていた。
『永続発動できるパラドクスはサーヴァントのみ』――それ以外は、一旦は短時間で終わってしまう。
叩きつけられる瞬間、【ガードアップ】の恩恵で堅固になった肉体で受け身をとり、大打撃はかろうじて避けられたものの……その衝撃で桂菓の翅が破けていた。
玄蕃の抵抗は激しく、無数の苦無による飽和攻撃や、物理法則を無視したバックドロップで、戦況を押し返そうとした。
だが、そこまでの過程で受けた傷もあり、体力は加速度的に消耗させられる。
「この、私が……このような僻地で、無駄死にだなんて! そんなの……認めない、認められませんわっ!!」
桂菓の連撃で裂傷を増やしながらも、組み付き、何度目かの《真・飯綱落とし》を見舞う。
軋む機体に活を入れ、桂菓を再び空中へ引っ張り上げる。
(「残留効果のおかげで私は耐えられている……だが、玄蕃は限界間近。そうだろう!?」)
【ガードアップ】の恩恵で持ち堪える桂菓と異なり、玄蕃にはそれがない。
急加速して地面へ墜落させた玄蕃だが、
「――その瞬間を待ってたよ!」
装束を赤く染めながら、雪人は陰陽符を鋭く投げ放つ。
狙うは損壊の激しい胴部。吸い込まれるように接触した陰陽符は、玄蕃の内部構造へ呪詛を送りこみ、侵蝕していく。
「ぐ、ぁ……あぁぁ、御役目も、果たせず……朽ちるなどぉ……――!」
機能停止した玄蕃はその場で崩れ落ち、スクラップと化した。
「終わったか……なかなか侮れん手練れだったな」
「休息したいところですが、先にヒルコ達の無事を確かめないと」
傷だらけの身体を引きずり、製造設備のカプセルからヒルコ達を引き上げる。
兵器工廠を破壊したことで、エネルギー供給が途絶えていたのだろう。
疲労困憊し、顔色も悪かったが……呼吸は確認できた。
「――ぅ、う」
一人のヒルコがうっすらと瞼を開き、それに呼応したように、他のヒルコ達も目覚め始める。
成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【書物解読】LV1が発生!
【水面走行】LV1が発生!
効果2【命中アップ】がLV2になった!
【ダブル】がLV2になった!
●お困りのヒルコ達
「あ、あの、助けてくれて、ありがとうございます、です」
「ほんとに死んじゃうかと思ったよぉ」
「身体がまだ変な感じっす……」
ヒルコは元々小柄な種族だが、どうやら拘禁されていた者達は、元服したかどうか……というほどの若者らしい。
生活能力に不安がある上に、見た目通りに力も弱いだろう。
しかも、見知らぬ山奥……となれば、土地勘など皆無。
だが、あの兵器工廠は“秘匿された実験場”だったこともあり、隠れられる場所は探しやすそうだ。
隠れ里とするに相応しい立地を探りだし、彼ら/彼女らが生活しやすい場所を見つけねば。
最低でも『雨風をしのげる隠れ家』と『見つかりにくい立地』は必要そうだ。
人里から離れている分、商人が訪れることもない以上……自給自足できるよう、レクチャーしてもよいだろう。
釣り具の作り方、狩猟罠のコツ、家屋の修繕も含まれるかもしれない。
ヒルコ達は、しばらく耐え忍ぶ暮らしを強いられる。
今の内にできる限りの手助けをしてあげよう。
●飛びだせ新生活
クリス・ルトゥーチ(吸血鬼のダークハンター・g07182)、伊波・ユウカ(深海で眠る・g09814)はヒルコ達を集めると、
「これで全員ですね。天魔武者が定期連絡を行っている可能性を考慮して、すぐに離れましょう」
「一緒に、来てくれる? 野生動物が出ても私達が守るから」
クリス達の言葉に、救出されたヒルコ達も、よほど怖い思いをしていたのだろう……「行きます、です」「怖いの、もう嫌だよぉ」と震えていた。
クリスは【活性治癒】を発動して、ヒルコ達の体力が回復できるよう後押しする。
何本もの白煙が立ち上る、兵器工廠の跡地を脱出して、ユウカ達は山中に入りこんでいく。
冬場とあって、冬眠している動物も多いだろうが、ごく稀に起きてしまう場合もある。
――大抵、空腹で目を醒ました状態だ。遭遇すれば、極めて危険な状況といえよう。
特に消耗の目立つヒルコを、クリスとユウカがそれぞれ背負い、道なき道を進んでいった。
「うぅ、風が冷たいわ。あなた達は大丈夫?」
身震いする勝ち気そうなヒルコに聞かれて、クリスは首を傾げる。
「私はもっと寒い所から来ましたので、これくらいなら平気です。ユウカさんは大丈夫でしょうか」
「大丈夫だよ、優しい子だね。……よしよし」
ユウカは自然な仕草で、そのヒルコの頭を撫でていた。
まるで、孫を見るような穏やかな眼差しを添えて。
「ちょ、ちょっと!? 見た目は小さいけど、歳はあなた達と同じくらいよ!」
「あら? ごめんなさい、でも気遣ってくれたのが嬉しくて。他のみんなは遅れてない?」
ユウカが足を止めて、後ろのヒルコ達に目を遣る。
遅れた者がいないか人数を確認して、揃っていることを確かめてから再出発。
疲弊しているヒルコ達にあわせ、こまめに休憩をとりながらだったが……工廠跡地からは、だいぶ遠くまで移動した。
ヒルコ達を休ませる間、クリスとユウカは交代しながら、隠れ里として最適な場所を探してみると。
「これは、川のせせらぎ?」
ユウカは水音を追ってみるとと、確かに小川があった。
澄んだ水中には魚影もあり、水害さえ気を付ければ、食糧も集めやすそうだ。
「この辺りなら、なんとか生活できそう……クリス君にも相談しよう」
ユウカは踵を返して、ヒルコを護衛するクリスに発見した小川の存在を伝える。
干ばつ地帯に限った話ではなく、飲み水の有無は死活問題。
隠れ里の目星はついた――ここからが本題となる。
善戦🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
効果1【活性治癒】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
効果2【ドレイン】LV1が発生!
【グロリアス】LV1が発生!
文月・雪人
※アドリブ連携歓迎
ヒルコ達が皆無事でよかった
先ずは持参したおにぎりを食べて体力を回復して貰いたい
隠れ里には人里から離れた立地は丁度いいね
水の確保も重要だ
山中の地形を読んで川や池を探して、その周辺に
地盤は確りしつつも木々や崖に囲まれ見つかり難い場所を選び
居住可能な小屋を建てたい
建築資材は兵器工廠からも拝借しよう
【怪力無双】で解体し、運び、組み立てるよ
力仕事は勿論俺達が受け持つけど
身軽さを活かせる作業は、可能ならヒルコ達にも手伝って貰いたい
ヒルコサイズの大工道具も用意して使い方は丁寧に教えるよ
作業で覚えた技術は今後の役にも立つだろうし
向き不向きはあれど、自分達にも出来る事は沢山あると自信を持って貰いたい
支援物資の輸送にも【怪力無双】使用
時代に合う食料、衣類、防寒具、工具に農具に調理器具や釣り具等も
必要物資を背負子に満載してどんどん運ぼう
燃料用の薪も用意するよ
安定した自給自足には食材の調達も大事だね
川や池の魚を探して皆で一緒に釣りもしよう!
皆が確りと暮らしていけるよう
出来るだけの手を尽くしたい
●
文月・雪人(着ぐるみ探偵は陰陽師・g02850)は大型のキャリーケースを引き、道具を身体中に巻きつけ、兵器工廠跡地に戻る。
【怪力無双】で雪人自身の膂力が上がっても、背負子などの“道具の耐久性は変わらない”。
今にも過重量で壊れそうだと、背中で悲鳴をあげるようにギシギシと軋む。
(「たまたま【アイテムポケット】が使えたからよかったけど……手で持てる物量には限度がある。本当に必要なモノに絞る工夫が必要かも」)
「これ以上は抱えられないし……使えそうな資材は【アイテムポケット】に入れよう。現地調達でも充分だけど、廃材を利用した方がエコだからね」
とはいえ、先を見越した破壊工作を行ったわけではない。
家屋を建てられるほどではないが、補強に使えそうな小さい石材や木材を回収し、雪人も件の隠れ里予定地へ移動する。
雪人が着くと、ヒルコ達は岩壁の窪みで身を寄せ合っていた。
頬も鼻先も赤くする姿に、よほど寒いのだろうと感じる。
「長旅だったね、お腹は空いてない?」
荷下ろししてから、雪人は用意したおにぎりを差し出した。
「わぁ、白いお米です!」
「美味そうっす! ホントに良いんすか?」
体力回復にと、おにぎりの具は梅干し。【活性治癒】の効力は変わらないが、栄養補給の補助にはなるだろう。
ヒルコ達は唇をすぼませながら、ゆっくり平らげていく。
「色々と用意したけど、一番必要なのは皆が自給自足できる環境だよね? まずは皆の家を作ろう」
いくらか資材はあるが、先述の通り、これだけでは建てられない。
ログハウスのような、丸太造りの家屋が落とし所になりそうだ。
幸い、ヒルコ達の体格を考えると、そう大きな建物にする必要はない。
「一番大きな子を基準にしようか」
「じゃあ僕だねぇ」
おっとりしたヒルコの背は1mあるかどうか。丸太組する高さは彼の1.5倍くらいで。
横幅は大股10歩ほど、奥行きは大股15歩で測量してもらい、基点の印に枝を突きたてる。
「丸太を、倒す、っす!」
「き、気を付けなさいよ。ぐらぐらしてるんだから!?」
人手が足りないとあって、丸太を切り倒す作業にはヒルコも加勢する。
交代しながら鉞を振り、倒れた樹を雪人が裁断して組み上げていく。
【怪力無双】のおかげで軽々と持ち上げられ、建築は滞りなく終了。
衣類や防寒着、包丁や木槌などの日用品も仮住まいに収納し、
「お家も焚き火もできたね、次は食材調達だ。これから釣りをしよう!」
釣り具は先ほど丸太造りの時に出た、細く長い枝を使用し、用意した天蚕糸(テグス)に浮き代わりの軽石、釣り針を繋げる。
「この石が沈んだら魚がかかった合図だから、一気に引き上げるんだよ」
「魚は虫さんを食べると聞いた、です。とります、です?」
先発隊の見つけた川岸で、石をひっくり返しながら釣餌となる虫を確保し、それぞれが釣りに勤しむ。
雪人も微力ながらと、一緒に釣りをしつつ、ヒルコ達のはしゃぐ姿を眺める。
(「大変な生活になるけど、必要な土台はできた。……どうか、皆が無事に冬を越せますように」)
成功🔵🔵🔵🔴
効果1【怪力無双】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】がLV3になった!