シチリア牧場計画の終焉

《七曜の戦》後に、TOKYOエゼキエル戦争から漂着し、シチリア島の支配を目論んでいた『有角公アムドシアス』との決戦を行います。
 アムドシアスは、ディアボロスにシチリア牧場計画を阻止された事で、シチリア島から脱出を行い、別の場所で再起しようと画策しているようです。
 アムドシアスを逃がしてしまえば、また、同じような被害が出てしまう可能性が高いので、禍根を残さないように確実に撃破してください。


有角公アムドシアス

有角公アムドシアスの失敗(作者 大丁
10


#断頭革命グランダルメ  #シチリア牧場計画の終焉  #シチリア島  #有角公アムドシアス  #アークデーモン 


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「目を付けられないように工夫していたのに、ディアボロスが来るの、早すぎない?!」
 ジェネラル級アークデーモン『有角公アムドシアス』は愚痴りながらも、逃げ出す段取りはきちんとこなしていた。
「ミュラ元帥の敗残兵が漂着したせいで、こんな目に……うん、まぁ、キミたちちゃんとついてきてね」
 取り巻きの淫魔には、美青年を揃えており、音楽性でも通ずるものがある。
 再起する場所、次の新天地を目指せばいいのだ。
 まずは、シチリア島からの脱出である。
 向かうは海岸だ。

 新宿駅グランドターミナルに断頭革命グランダルメ、シチリア島行きのパラドクストレインが出現。
 時先案内人は明るい調子で依頼を行う。
「ごきげんよう。ファビエヌ・ラボー(サキュバスの人形遣い・g03369)です。皆様の活躍で、アークデーモンによる、『シチリア島の牧場計画』は阻止されることとなりました。わたくしも一肌脱いだ甲斐がございましたわ」
 ぬいぐるみたちが、島の地図を掲出する。
「この牧場計画を進めていた、ジェネラル級アークデーモン『有角公アムドシアス』は、ディアボロスとの決戦を避けて、シチリア島から脱出しようとしているようです。現在は、取り巻きとともに島からの脱出を目指して移動しているので、そこを襲撃していただきます。護衛や精鋭などの配下達は見捨ててますので、周囲には取り巻きのトループス級しかおりません。ジェネラル級といっても、撃破は難しくないかと」

 淫魔としては報告も多い、『欲望のバイオリニスト』の資料が添えられた。
「アムドシアスは、戦闘力の高いジェネラル級ではありませんが、漂着した直後に、シチリア島の支配を確立するなど、一般人を篭絡する手腕は確かなようですわ。撃破できるときに確実に撃破しておかなければ、あとあと厄介な存在になるかもしれません。アムドシアスはディアボロスから逃走しようと、戦闘しながら移動を続けるようなので、海岸地点に先回りして退路を遮断する事も必要になるでしょう」
 海岸までの逃走ルートが地図上に重ねられる。
 ファビエヌは指を一本たてた。
「敵の行動についてもうひとつ。アムドシアスは、ディアボロスから逃げ切る為の時間稼ぎとして、ディアボロスが興味を持つような会話を仕掛けて来るようです。時間稼ぎが目的なので、すぐに嘘だとばれるような話はしない筈ですわ。情報源として有効に活用できればイイですわね」

 発車を見送ろうとプラットホームに降りたファビエヌだったが、二本指をたてて話を付け加えた。
「そうそう、『飛翔』と『対話』についてですけども」
 アムドシアスは海岸に向かって移動し、最終的に海から逃走するつもりだ。ディアボロスの追撃を畏れているので、空を飛んで移動する事は無い。そして、シチリア島には、アムドシアスの逃走を知らない配下も多く残っている。
「皆様も『飛翔』はお控えください。敵退路の遮断を行なった場所に、アムドシアスが逃げ込むように追い込みつつ、戦闘を行ってくださいませ」
 そして最後に。
「アムドシアスとの対話では、彼女が知っているだろう情報で、かつ、彼女の不利益にはならない情報であれば、精度の高い情報を得ることが出来るかと。そのかわり、彼女が知らない情報については、適当に話を盛ってくるので、そのあたりの見極めは重要かもしれませんわ」


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●残留効果

 残留効果は、このシナリオに参加する全てのディアボロスが活用できます。
効果1
効果LV
解説
【未来予測】
1
周囲が、ディアボロスが通常の視界に加えて「効果LV×1秒」先までの未来を同時に見ることのできる世界に変わる。
【プラチナチケット】
3
周囲の一般人が、ディアボロスを関係者であるかのように扱うようになる。効果LVが高い程、重要な関係者のように扱われる。
【冷気の支配者】
1
ディアボロスが冷気を自在に操る世界になり、「効果LV×1km半径内」の気温を、「効果LV×10度」まで低下可能になる。解除すると気温は元に戻る。
【完全視界】
1
周囲が、ディアボロスの視界が暗闇や霧などで邪魔されない世界に変わる。自分と手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人にも効果を及ぼせる。
【活性治癒】
1
周囲が生命力溢れる世界に変わる。通常の生物の回復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」し、24時間内に回復する負傷は一瞬で完治するようになる。
【修復加速】
1
周囲が、破壊された建造物や物品の修復が容易に行える世界に変わる。修復に必要な時間が「効果LV1ごとに半減」する。
【液体錬成】
2
周囲の通常の液体が、ディアボロスが望めば、8時間冷暗所で安置すると「効果LV×10倍」の量に増殖するようになる。
【水面走行】
1
周囲の水面が凪ぎ、ディアボロスが地上と同様に走行や戦闘を行えるようになる。ディアボロスと手をつないだ「効果LV×3人」までの一般人も同行可能。
【書物解読】
1
周囲の書物に、執筆者の残留思念が宿り、読むディアボロスに書物の知識を伝えてくれるようになる。効果LVが高くなる程、書物に書かれていない関連知識も得られる。
【パラドクス通信】
3
周囲のディアボロス全員の元にディアボロス専用の小型通信機が現れ、「効果LV×9km半径内」にいるディアボロス同士で通信が可能となる。この通信は盗聴されない。
【通信障害】
1
ディアボロスから「効果LV×1,800m半径内」が、ディアボロスの望まない通信(送受信)が不可能な世界に変わる。
【アイテムポケット】
1
周囲が、ディアボロスが2m×2m×2mまでの物体を収納できる「小さなポケット」を、「効果LV個」だけ所持できる世界に変わる。
【水中適応】
1
ディアボロスから「効果LV×300m半径内」が、クロノヴェーダを除く全ての生物が水中で呼吸でき、水温や水圧の影響を受けずに会話や活動を行える世界に変わる。
【防衛ライン】
2
戦場が、ディアボロスが地面や床に幅10cm、長さ「効果LV×10m」の白い直線を出現させられる世界に変わる。敵はこの直線を突破できず、上空を飛び越える場合、最低「効果LV」分を要する。直線は戦場で最初に出現した1本のみ有効。
【防空体制】
1
周囲が、飛行する存在を察知しやすい世界に変わる。ディアボロスが屋外を飛行中の敵を発見するまでに必要な時間が、「効果LVごとに半減」する。

効果2

【能力値アップ】LV2 / 【命中アップ】LV5(最大) / 【ダメージアップ】LV3 / 【ガードアップ】LV1 / 【フィニッシュ】LV3(最大) / 【リザレクション】LV1 / 【先行率アップ】LV1 / 【ドレイン】LV1 / 【アヴォイド】LV2 / 【ダブル】LV1

●マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 今回は、断頭革命グランダルメにて、シチリア島のジェネラル級と戦う、決戦シナリオとなっております。

 取り巻きのトループス級『欲望のバイオリニスト』と戦闘しつつ、ジェネラル級アークデーモン『有角公アムドシアス』と対話をしてください。
 敵退路の遮断は、海側から行うことになります。
 遮断した海に面した海岸に追い込んだうえで決戦をいどみ、『有角公アムドシアス』を撃破できれば、依頼は完了です。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
60

このシナリオは完結しました。


『相談所』のルール
 このシナリオについて相談するための掲示板です。
 既にプレイングを採用されたか、挑戦中の人だけ発言できます。
 相談所は、シナリオの完成から3日後の朝8:30まで利用できます。


発言期間は終了しました。


リプレイ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

逃げ足の速さから性格が見えるな
アムドシアスは音楽を司るだけあって、淫魔に似ている気がするな
島の人々を弄び、エネルギー牧場化などと、ふざけたことを考えてくれたものだ

案内人さんの指示通りの逃走ルートを把握
動きやすく滑らない靴を着用し、周囲の地形にあった動きで移動
事態は流動的……敵を追跡しつつ現在位置を待ち伏せ側の味方へパラドクス通信で報せよう

淫魔たちは、ウィーンが陥落しても相変わらずであるな
ここで駆逐させて頂く

戦場を偵察、観察しつつ敵味方の位置を把握
視野に敵を捕捉し、逃走補助をさせず見失いを避ける
歌声を響かせ、蒼雷を放ち攻撃
倒しやすい個体、主を逃がそうとする個体を優先しつつ
味方と狙いを合わせて確実に個体数を減らし、取り巻きを引き剥がしていく
お気に入りの取り巻きなら少しは気にかけるか……?

敵の攻撃は魔力障壁で緩衝しつつ
敵の旋律に重ねるよう歌声をのせ精神集中で対決し闘争心を維持
一歩も譲らず歌声の誘惑を返そう

仲間の演奏あらば音に合わせ
音楽性で気を惹けるなら、大悪魔も耳を傾けるほどに


エアハルト・ヴィオレ
連携・アドリブ歓迎

我が故郷の世界をを蹂躙してきた重要な一角を討伐できる機会です。力を尽くさない理由がどこにありましょうか。信念を持って、挑みましょう。

主に取る逃走経路が海に面するものであれば海上の不意の霧などがあるでしょうから【完全視界】を発動しましょう。

何度かこの集団には遭遇しましたが、相変わらずバイオリン奏者でもある私に対して喧嘩売ってんじゃないかという音色を奏でますね・・・いい機会です。怒りを存分にぶつけましょうか。

確かに繰り出す「悲劇の幻影」は辛いですが、元がバイオリンであれば対処はできるというもの。同じバイオリニストであれど容赦はしません。【残像】で致命傷を外し、右手の剣で近接攻撃を捌きます。悲劇の現実は嫌という程体験してきた。今更幻影には屈しませんよ。

幻影を凌いだら左手の愛用の銃で一射絶命を発動。【連射】【制圧射撃】【弾幕】で確実に仕留めていきます。我が故郷の世界に害を及ぼす敵集団であるとともにバイオリニストの信念を穢す集団。ここで確実に狩り尽くす!!
覚悟しろ!!


菅原・小梅
【奴崎組】

※アドリブ&連携歓迎

アムドシアスはエゼキエルの地に居た筈でしたが、グランダルメで暗躍とは随分と遠くに漂着したのですね。
人間牧場の計画も秘密裏に成功していれば結構な脅威になったでしょうが……上手くいかなかったあたり持ってますよね。
戦力的には大したことがなくとも強力な補給を築ける存在が戦略的に厄介なのは認識しています。

組長(g01933)のチャリの後ろへ女の子座りで載せて頂き、欲望のバイオリニスト達を追い立てながら徐々に倒して行くとしましょうか。組長、今回の大将首を挙げたらお小遣いを大幅アップして差し上げますよ?

復讐者は脅威であると、海岸へと到達すれば逃げ切れると、アムドシアスが認識するように派手にパラドクスを発動させて海を封鎖している方達と【パラドクス通信】で連携を取りながら予定した海岸の方へと追い込みましょう。

形式に囚われない旋律と言うのは聞こえは良いですが、定められた型をなぞることで成立する良さもあることを我が【飛梅奇譚『東風』】を以ってアムドシアスへとアピールしますよ。


一里塚・燐寧
シチリア島と言えば、ステキなミイラでいっぱいなカプチン修道会の墓所!
後でじっくりと観光したいんでねぇ、邪魔者には消えてもらうよぉ

ニヤリと笑いながら挑発の投げキッスを一つ
マフィアの死の口づけ……には、ちょっと時代が早かったかな

≪ダブルチェーンソーブラスター≫を手に戦いを挑むよぉ
退路を遮断する仲間の方針に沿い、攻撃によって死地へ追い詰められるように
もしくは誘導がきっちり完了してから逃がさず攻撃できるように動くねぇ

敵を追跡しながら怨念のエネルギーを取り込み、得物の銃口から放つは『闇雷収束咆・迅雷吼』
無数の炸裂弾で敵を爆破し、跡形もなく粉砕してやろーじゃん
即座に仕留められずとも連撃と爆風で逃げ場を潰していくよぉ
あたし達TOKYOエゼキエル戦争の復讐者は、アークデーモンを地獄の果てまで追いかけるの
アムドシアスの手下になったばかりに、怒りの矛先を向けられるなんて……災難だよねぇ、あははっ!!

反撃の幻影に対しては得物を槍のように振るい、鋸刃部分での斬撃で迎撃
悲劇を味わうことになるのはきみ達のほうだよぉ


奴崎・娑婆蔵
【奴崎組】
菅原のお嬢(g00596)が覚えのある敵を追っ掛け回しに行かれるものと聞いて!
奴崎組組長こと奴崎・娑婆蔵、助太刀に参りやしたぜェ~

本丸を相手取る前に駆けずり回ってバテちまうのも面白くあるめえよ
そら菅原のお嬢、こいつに乗っていきなせえ
(戦場を【臨機応変】に駆ける『トンカラ号』をこぎこぎエントリー)

敵方を海側へ追い立てる策、了解でござんす
移動はあっしに任せて、お前さんはパラドクスの扱いと通信とに専心なせえよ
大将首狙い。よござんす
なんと、加えておこづかいアップたァこれまた!
俄然やる気が出て来やしたぜ!
(※こちらの童女に財布の紐を握られて久しい組長)

連中を追い立てようッてんなら、やはり広く面制圧を掛けられるような技がよろしいか
ではこいつでさァ

せいぜい真ッ赤に裂けて咲け
殺人領域――『七花八裂大紅蓮』!

菅原のお嬢の号令に従いつつ、連中の動く先を絞り込み追い込むように「極寒の領域を差し向ける先」と「抜き身の刀を手にして機動しまくるあっし自身」とを意識せざるを得ねえよう立ち回ってやりまさァ


 地図を見てきたかぎり、追いつくのはさほど難しいとは思えない。
 そのかわり、シチリア島にはまだ牧場計画のために準備されたクロノヴェーダが残っている。ディアボロスたちは、時先案内人の注意を守り、走ってルートをたどっていた。
「我が故郷の世界を蹂躙してきた重要な一角を討伐できる機会です」
 エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)は念のため、『完全視界』も発動する。
「力を尽くさない理由がどこにありましょうか。信念を持って、挑みましょう」
 海岸にむかって逃げている『有角公アムドシアス』。海上の不意の霧が味方しないとも限らない。
「逃げ足の速さから性格が見えるな」
 パラドクス通信から顔を上げる、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
 事態は流動的だ。
 エアハルトの指摘を受け、退路を封じに海へと向かった班と連絡をとった。足場の悪さも予測し、滑らないように靴も選んである。
「このジェネラル級は音楽を司るだけあって、淫魔に似ている気がする。島の人々を弄び、エネルギー牧場化などと、ふざけたことを考えてくれたものだ」
「アムドシアスはエゼキエルの地に居た筈でしたが、グランダルメで暗躍とは随分と遠くに漂着したのですね」
 駆けるエトヴァの横顔に、菅原・小梅(紅姫・g00596)のすずしい顔がスライドしてきた。
「牧場計画も秘密裏に成功していれば結構な脅威になったでしょうが……上手くいかなかったあたり持ってますよね」
「お嬢が、覚えのある敵を追っ掛け回しに行かれると聞いて、奴崎組組長こと奴崎・娑婆蔵、助太刀に参りやしたぜェ~」
 と、話すのは、自転車型の装備『トンカラ号』をこいでいる、奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)であった。小梅は、その後ろに、女の子座りで載せてもらっているのだ。
「組長、今回の大将首を挙げたらお小遣いを大幅アップして差し上げますよ?」
「なんと、これまた! 俄然やる気が出て来やしたぜ。大将首狙い。よござんす!」
 童女に財布の紐を握られて久しい組長、なのか。
 おかしな取り合わせだと、一里塚・燐寧(粉骨砕身リビングデッド・g04979)は、ニヤリと笑う。
「いいねぇ、お小遣い。あたしも観光したいんでねぇ……けどぉ!」
 高級そうな仕立ての服を着た一団が、眼前にいるのを指差す。
「シチリア島と言えば、ステキなミイラでいっぱいなカプチン修道会の墓所! 後でじっくりとまわるから、邪魔者には消えてもらうよぉ」
 またニヤリとし、挑発の投げキッスを一つ。
「マフィアの死の口づけ……には、ちょっと時代が早かったかな」
「性懲りもなく現れちゃってえ。ディアボロスめ~!」
 体型の違うひとりが口を尖らせた。飛んできたキスを、手で払うようなマネまでする。
 『有角公アムドシアス』だ。
 取り巻きのトループス級は、情報どおりに『欲望のバイオリニスト』たち。エトヴァが言っていたように、アークデーモンと淫魔で種族は違うはずだが、見た目の相性が妙にいい。
「ボクこそが、この島をもっとステキにできるつもりだったの!」
「アムドシアス様、ここはオレたちに任せてください」
 美青年が、キラキラした微笑みをたたえて、女主人を押しとどめた。
「ん……。そう、キミたちも気をつけてね」
 ジェネラル級は素直に従うようだ。眉根を下げて、心配そうにしている。
 ボクっ子に仕える、トループス級の一人称が『オレ』、というだけでも、どんな構成の関係なのかと勘繰ってしまうが、ただいま重要なのは、『欲望のバイオリニスト』たちの動きだ。
 ディアボロス側を妨害して、アムドシアスを逃がされては困る。
「淫魔たちは、ウィーンが陥落しても相変わらずであるな。ここで駆逐させて頂く」
 エトヴァは挑発しつつ、敵の布陣を注視している。エアハルトは、右手に剣、左手に銃を構えた。
「何度かこの集団には遭遇しましたが、相変わらずバイオリン奏者でもある私に対して喧嘩売ってんじゃないかという音色を奏でますね……いい機会です。怒りを存分にぶつけましょうか」
 トループス級との戦いが始まる。
 淫魔は旋律を武器として、様々な攻撃を繰り出してきた。
 燐寧は、『ダブルチェーンソーブラスター』を手に挑んでいくが、少し手応えのなさを感じる。
(「退路を遮断するのが、仲間の方針。攻撃によって死地へ追い詰められるように、もしくは誘導がきっちり完了してから逃がさず攻撃できるように動く……つもりだったんだけどねぇ」)
 本当に、護衛に適した配下を連れてこられなかったようだ。
 加えてディアボロス側が、過去のジェネラル級戦を踏まえて、戦力を厚めにしていた成果でもある。
「形式に囚われない旋律と言うのは聞こえは良いですが、定められた型をなぞることで成立する良さもあることを……!」
 小梅が、敵の『鳥籠のカプリース』を打ち破る。身動きを封じる旋律のはずだった。
 『飛梅奇譚『東風』(トビウメキタン・コチ)』をもって、アムドシアスへのアピールにした。歌を引き金として思考を加速し、呼びだした幻影の英雄が、美青年たちを倒していく。
 その動作のなかに、娑婆蔵が混ざる。
「連中を追い立てようッてんなら、やはり広く面制圧を掛けられるような技がよろしいか。ではこいつでさァ」
 どす黒い殺気が放出される。
 抜き身の刀を手にして、小梅の幻影たちとともに立ち回る。
「せいぜい真ッ赤に裂けて咲け。殺人領域――『七花八裂大紅蓮(シチカハチレツダイグレン)』!」
 バイオリニストたちは、甘い旋律で闘争心を鈍らせにきていたが、『黒い冷気』を散らすには至らない。娑婆蔵の刃にかかって、物理的な死を与えられる。
(「お気に入りの取り巻きなら少しは気にかけるか……?」)
 エトヴァが見ると、アムドシアスのほうこそ、心が折れそうになっていた。いっぽうで、エトヴァのパラドクスは歌である。
 響く声が、敵の旋律『誘惑のセレナーデ』に重なり対決して、自身の闘争心を維持させる。
「一歩も譲らず歌声の誘惑を返そう! 『Retitativ:Zusammenhalt(レツィタティーフ・ツーザンメンハルト)』♪」
 音の伝わる空間一面に、激しい蒼雷を放つ。
 電子が空を走り抜けるように。
 立っていられたバイオリニストは、もうわずかだ。
「あたし達TOKYOエゼキエル戦争の復讐者は、アークデーモンを地獄の果てまで追いかけるの。アムドシアスの手下になったばかりに、怒りの矛先を向けられるなんて……災難だよねぇ、あははっ!!」
 燐寧は、さらに笑う。
 トループス級の旋律は、激しさを増した。『悲劇の幻影』を具現化し、襲いかかってくる。
 それを怨念の力で、本体ごと跡形もなく粉砕する、無数の炸裂弾。
 鋸刃のついた銃口から放たれていた。
「『闇雷収束咆・迅雷吼(プラズマ・ダーク・ハウリング・ブリッツ)』、悲劇を味わうことになるのはきみ達のほうだよぉ」
 連撃と爆風で、逃げ場も潰していく。
「『悲劇のオーヴァチュア』、ですか。確かに繰り出す幻影は辛いですが、元がバイオリンであれば対処はできるというもの。同じバイオリニストであれど容赦はしません」
 エアハルトは、右手の剣で近接攻撃を捌く。
「悲劇の現実は嫌という程体験してきた。今更幻影には屈しませんよ」
 愛用の銃による、『一射絶命(いっしゃぜつめい)』。
「我が故郷の世界に害を及ぼす敵集団であるとともにバイオリニストの信念を穢す集団。ここで確実に狩り尽くす!! 覚悟しろ!!」
 最後の演奏者は、エアハルトによって撃ち抜かれ、主人に言葉を残す間もなく撃破された。
「ああ、せっかくの淫魔たちが……! なんだってこんな島にディアボロスが来たんだよ!」
「戦力的には大したことがなくとも強力な補給を築ける存在が戦略的に厄介なのは認識しています」
 小梅は、トループスの全滅に打ちひしがれているアムドシアスに、正論をぶつけた。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】LV1が発生!
【完全視界】LV1が発生!
【プラチナチケット】LV1が発生!
【活性治癒】LV1が発生!
【冷気の支配者】LV1が発生!
効果2【命中アップ】LV2が発生!
【フィニッシュ】LV1が発生!
【ダメージアップ】LV1が発生!
【先行率アップ】LV1が発生!

白臼・早苗
全てのディヴィジョンに散ったTOKYOエゼキエル戦争のクロノヴェーダの思惑
少しでもそれが探れると良いのだけれど……

初めから警戒している相手がうっかり口を滑らせるとは思えないし、ちょっと気が抜ける話題から入ってみようかな
なんて言うか、髪とか瞳とか結構私とカラーが似ている気がするし、「生き別れたお姉ちゃんじゃありませんか?」なんて冗談を飛ばしてみるとか……
向こうがよりこっちに興味を持つように振舞えたらいいね

得たい情報の本命は「ヘルヴィム直属軍」の勢力について
誰がどのディヴィジョンに行ったかまで聞ければ大きく役に立つかもだけど……、詳しいメンバーが聞けるだけでも情報としてはありがたいかな?
それと、アムドシアスは私から見てもグランダルメに溶け込んで見えるから、何かはじめからヘルヴィム直属軍としての目的があってグランダルメに来たんじゃないのかな?とか、カマをかけてみるかな

後は退路を断つ海岸組の為に【防衛ライン】を用意しておこうかな
仲良く振舞っといてなんだけど、逃がすつもりは全くないからね


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎
【通信障害】を展開

ヴァイオリニスト達を倒し、時間稼ぎの会話に付き合う
敵から目は離さずに、さりげなくPD通信で仲間に行き先と様子を伝えていこう

会話を仕掛けてきたら、まずは話に乗ったように相槌を
一理ある、と
話のわかる与しやすい相手と見せよう

シチリア島を出て、どこへ行こうというんだい……?
実は、貴女がグランダルメで一番最初に見つかったアークデーモンの将だよ
他のエゼキエルの連中は逃げ延びているみたいだが……不運だったな
辺境のシチリアにいた貴女でも、グランダルメに漂着したエゼキエル勢力の名前くらいは知っているだろう?

ここで名前が聞ければ
人数や名を確認し、大天使かアークデーモンかは名から自ずと知れるだろうか
把握済みのエリゴールやマスティマの名があれば真実に近いのだろう
そちらを話の契機に

寵愛せし者エリゴール……彼女ばかり安全な場所でずるいと思わないか
もうシチリアを失った貴女は役に立たなさそうだし
行先を知っていたら、そっちに行ってもいいくらいだが……

挙動や口調を観察し真偽の判断は慎重に


 白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)は、ジェネラル級の反応をみている。
(「全てのディヴィジョンに散ったTOKYOエゼキエル戦争のクロノヴェーダの思惑。少しでもそれが探れると良いのだけれど……」)
 配下たちはたいして時間稼ぎにはならなかった。
 しかし、無念に思うばかりでは、散ったメンバーも浮かばれない。
 などと感じているとは信じられないが、有角公アムドシアスはひとりだけでも逃げようと、背後の海岸をめざして岩場にはいる。エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)も、目を離さぬようにして、退路遮断班へとパラドクス通信をいれておいた。
「生き別れたお姉ちゃんじゃありませんか?」
 意外な言葉が、早苗の口から飛び出す。
「なんて言うか、髪とか瞳とか結構、私とカラーが似ている気がするし……」
 岩場に問うてみると、なにやら反応がある。アムドシアスは距離をおきながらも、早苗のほうを覗き見してきた。
 ニッコリ笑って見せると、姉と呼んだのは冗談であったと双方に伝わる。
(「初めから警戒している相手がうっかり口を滑らせるとは思えないし、ちょっと気が抜ける話題から入ってみたけど……」)
 相手も時間稼ぎが必要で、交渉の真似事がしやすくなったはずだ。
「キミが妹というのはウソか。そうだろうね」
 ジェネラル級とディアボロスは、距離を維持したまま海岸へと移動し、さらに会話も続ける。
「うん。私は違うよ。けど、あなたも一人ぼっちではないのでしょう?」
「ああ、断頭革命グランダルメには、ボクと同じく、漂着したアークデーモンや大天使もいる筈だね」
 早苗の質問に、アムドシアスが答えた。
 エトヴァをはじめとした仲間たちが、敵の言葉の真偽を、慎重に測っている。
「でも、それとは別に……」
 もったいぶったような、間。
「ヘルヴィム様の『直属軍』も来ているんだ」
 岩陰からの声に、早苗はギクリとした。得たい情報の本命が、『ヘルヴィム直属軍』の勢力についてだったからだ。
「じゃ、じゃあ、仲はいいんじゃないの? あなたは、私から見てもグランダルメに溶け込んでそうだから、何かはじめからヘルヴィム直属軍としての目的があってグランダルメに来たんじゃないのかな?」
「とんでもない!」
 語気が強まった。
「『地獄の策略家』バラムからは、配下として降れという勧告も来ていたが、いまさら、滅んだTOKYOエゼキエル戦争の上下関係で命令されても困ってしまうよね」
 名前がひとつ出てくる。『地獄の策略家』バラム、と。
 感情の乗った言葉から、真実を言っているように聞こえる。
「君達ディアボロスは、こんな島では無く、奴ら直属軍を相手にすべきでは無いのかな?」
「ふむ、一理ある……」
 相槌をうつエトヴァ。
 話のわかる与しやすい相手とみせかけるためだ。
 早苗と目配せして、役を交代した。
「シチリア島を出て、どこへ行こうというんだい? 実は、貴女がグランダルメで一番最初に見つかったアークデーモンの将だよ。他のエゼキエルの連中は逃げ延びているみたいだが……不運だったな」
「不運だって……?」
 また、声を荒げた。
「キミたちが、こんな価値も無い島に来たのは、幸運のせいだとでも? ボクは、島の住人だって、他の地域よりも苦しめてはいなかったはず。ディアボロスに『一般人が虐げられている事を察知する特殊能力』があったとしても、この島に来る理由にはならないじゃないか、おかしいよ!」
 アムドシアスは理不尽さを感じている。
 これはつまり、アークデーモンが『一般人を虐げるとディアボロスはそれを察知できる特殊能力があると予測している』ことにはならないだろうか。
 考察はいったん脇に置き、エトヴァは話を繋げた。
「憤られても、運としかいいようがない。価値の無い島……。辺境のシチリアにいた貴方でも、グランダルメに漂着したエゼキエル勢力の名前くらいは知っているだろう?」
「それがどうした」
「エリゴールやマスティマ、彼女たちばかり安全な場所でずるいと思わないか。もうシチリアを失った貴女は役に立たなさそうだし、行先を知っていたら、そっちに行ってもいいくらいだが……」
「『マスティマ』か。あいつはうまくナポレオン陛下に取り入ったみたいだね」
 また、名前が出てくる。
 王の傍にいるのか。それとも重要な役割を得ているのか。
 アムドシアスは明るくこう言った。
「でも、ディアボロスがその名を知っているという事は、あの女の命運も尽きたという事かな? ざまぁないね」
 それを最後に、ジェネラル級の声はふっつり途切れる。
 海岸まで、もう近い。
「仲良く振舞っといてなんだけど、逃がすつもりは全くないからね」
 早苗たちは、追う速度を上げる。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防衛ライン】LV1が発生!
【通信障害】LV1が発生!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
【能力値アップ】LV1が発生!

バトラ・ヘロス
アドリブ、連携歓迎であります。

少数の護衛だけで逃げているのなら、撃破する好機でありますね。
逃さず、確実に仕留めるであります。

無双馬に騎乗して、逃走経路に回り込みます。【水面走行】が使えるなら海上から先回りします。
待機潜伏して、交戦や移動の物音等から敵の位置を推測して移動します。【パラドクス通信】の重ね掛けで離れた仲間とも連絡して連携します。
攻撃する仲間が追い詰めてくる敵を封鎖出来る地形を選んで、連絡して誘導してもらいます。
長槍サリッサと魔力盾スクトゥムを構えて防御体勢を取ります。伸縮自在の槍を最大長まで伸ばして間合いを広げて、突破を封鎖出来る様にします。
敵が現れたら仲間と連携して逃走阻止です。無双馬の機動力を活かして敵の前に回り込み、盾での押し返しと槍での牽制、無双馬の蹄から放つ電撃での威嚇などで移動を阻害します。
借りられそうな残留効果があれば積極的に使っていきます。


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

逃走前に補足できて何よりでした
逃さぬように、退路の遮断と行きましょう

仲間と連携し、アムドシアスを迎撃予定の海岸まで追い立てれば幸い
予知された逃走ルートを先回りして、海岸で待ち伏せします

最終的には北イタリアへ逃げ込むルートになる筈ですから
島北側の海岸周囲の森や岩陰に潜伏
アムドシアスが現れたら立ちふさがるように飛び出して奇襲攻撃を行います

宙に展開した鍵盤で「波綾」を演奏
水の妖精が織りなす波で行く手を塞ぎます
海上に出るようなら水面走行で追撃し
仲間と包囲するように布陣して、もう逃げられないと観念するまで追い詰めます

海上は障害物もなく、見通しが効きます
包囲網を突破しようと、視える限りはパラドクスによる追撃の手を緩めません
そもそも、南イタリアをイスカンダルに取られた状況でのシチリア島など、孤島も孤島
逃走には向かぬ地形というのが仇となりましたね
大陸軍の膝下へ逃げ込みたいなら、私達を倒して行くしかありませんよ
それとも、ディアボロス1人蹴散らして進むことも出来ない程、自信が無いのですか?


冰室・冷桜
さーて、逃げるの優先ってーことはヘルヴィム直属軍ってーよりはどっかの区に所属していたのが組み込まれたヤツってとこなのかしらね
それとも単に人心掌握特化ってだけなのか
ま、その辺りはうまーく話せる人らやり取りで出てくるかもだ
私は私でやれることをやりましょうか

海岸で待ち伏せ―ってことで私は【水中適応】を発動して海中で待機していきましょ
アムドシアスたちが来た気配を感じたら、召喚しただいふくを飛び出させて、ばっちり待ち伏せしてましたよアピール
はいはい、いらっしゃいませ
分かっちゃいるとは思うけど、ここで張ってんのは私らだけじゃねーですからね?
こんな孤島から頑張って逃げだすよか、腹を括る方をおススメしますわよ


ヴィルジニー・フラムヴェールト
放っておけないアークデーモンね。逃がさずに捕まえましょう
護衛も連れていないなんて無防備だわ

ファビエヌさんに教わった逃走経路を覚えて、海岸地点に先回りするわね
海側から回り込んで退路の遮断をするわ
場面に合わせて【水中適応】や【水面走行】も使うわね
アムドシアスが海岸に来る前に、迷彩服を着て、岩陰に潜んで待ち受けるわ
隠れる場所がなければ水中に身を潜めるわね
海への道が狭くなっていたり、出来るだけ通り道の予測しやすい場所を選ぶわね
アムドシアスがやってくる方角を観察しましょう
彼女を追い込んでくる仲間から【パラドクス通信】で連絡を受け取るわ
きちんと先回りできるように、臨機応変に動くわね

アムドシアスが海岸に飛び出してきて、海を前に油断した所に【防衛ライン】を引いて、行き止まりにしましょう
アムドシアスを海に出させないわ
逃げ出そうとするでしょうから、足を止めたら、すぐに仲間と囲い込んで逃げ場を断つわね
ロングボウで狙いをつけて怯ませるわ
一人でどこへ行くのかしら? さあ、もう逃げられないわよ

アドリブ連携歓迎よ


「どっかの区に所属していたのが組み込まれたヤツってとこなのかしらね。それとも単に人心掌握特化ってだけなのか」
 ジェネラル級との対話は終わったと、冰室・冷桜(ヒートビート・g00730)は通信を受け取った。
 ヴィルジニー・フラムヴェールト(緑焔の奇蹟・g09648)は、案内人ファビエヌに教わった逃走経路を覚えている。これまでの準備で、うまく対応できそうだ。
「放っておけないアークデーモンね。護衛も連れていないなんて無防備だわ」
「少数の取り巻きだけで逃げているのなら、撃破する好機でありますね。確実に仕留めるであります」
 と、バトラ・ヘロス(沼蛙・g09382)。ソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)は『水面走行』を提供している。
「逃走前に補足できて何よりでした。逃さぬように、退路の遮断と行きましょう」
 海のディアボロスたちは、ある程度ちらばって布陣していた。
 追撃をしている仲間との通信で、『有角公アムドシアス』がやってくるアタリはつき、包囲を縮めるように集まってきている。
 バトラは無双馬『青縞』に騎乗している。
 『水面走行』が使えるから、機動力を活かせるはずだ。パラドクス通信も重ね掛けしておいた。
 エフェクトは、もう一つ。
「海岸で待ち伏せ―ってことでね」
 冷桜の『水中適応』。彼女は、メーラーデーモンの『だいふく』とともに、海中で待機だ。ヴィルジニーも近い位置にいる。そして、ソレイユは海岸の岩場に身を隠した。
 アークデーモンは翼を持っているものの、先の事情で迂闊に飛翔することはできない。
 岩に隠れながらも、急いで通過するうちに、アムドシアスはすっかり消耗してしまったようだ。息も絶え絶えといった様子で、何度も振り返りながら波打ち際まで出てきた。
「ハァ、ハァ。ここまでくれば、ディアボロスだって……ハァ」
 海を前にして油断したのか、まず乱れた着衣を直した。
 外れそうになっていた胸元のボタンをとめなおし、ブラウスにふくらみをしまうと、上着のあちこちについた汚れを手で払う。
「ふふふ。シチリア島でのことは負けではないよ。こうして生きのびたのなら、TOKYOに続いて、またボクの勝ちだ」
「一人でどこへ行くのかしら? さあ、もう逃げられないわよ」
 ヴィルジニーが、水中から身をおこして立ち塞がる。
「う、うわあッ!」
 ジェネラル級とも思えないような悲鳴が、アムドシアスの口から洩れた。
「ディ、ディアボロスは、いったい、どうなってるんだよ!」
 また不満をもらしながらも、海岸線にそって岩を伝っていく。ヴィルジニーの手にはロングボウが握られていて、威嚇の射撃を浴びせかけた。
 それは、冷桜の潜む位置に追い込むかたちになっている。
 先に『だいふく』が飛び出して、アークデーモンに槍を差し向ける。
「こ、こっちにも!」
「はいはい、いらっしゃいませ。分かっちゃいるとは思うけど、ここで張ってんのは私らだけじゃねーですからね? こんな孤島から頑張って逃げだすよか、腹を括る方をおススメしますわよ」
 ばっちり待ち伏せしてましたよ、とアピールする冷桜。
 もちろん、言葉どおりだ。
 海上を駆けてくる無双馬『青縞』の姿。バトラは、長槍サリッサと魔力盾スクトゥムを構えて防御体勢をとっている。伸縮自在の槍を最大長まで伸ばして間合いを広げ、突破を封鎖出来るように。
 ロングボウとだいふくを避け、なおかつ海を臨もうとしても、無双馬が回り込んでくる。
 ディアボロスたちの連携により、アムドシアスは囲いこまれていた。腰を落とした姿勢で、左右方向へとウロウロし、表情にも余裕がない。
「腹を括るだって? まるで、ボクに意気地がないみたいじゃないか」
「そもそも、南イタリアをイスカンダルに取られた状況でのシチリア島など、孤島も孤島。逃走には向かぬ地形というのが仇となりましたね」
 ソレイユが、水面走行で海側から来る。
「大陸軍の膝下へ逃げ込みたいなら、私達を倒して行くしかありませんよ。それとも、ディアボロスを蹴散らして進むことも出来ない程、自信が無いのですか?」
「言ったでしょ、ボクは臆病なわけでも、敗走しているわけでもない」
 背筋をのばすと、上着の襟を整えた。
「一人でどこかへ行ったりもするものか。いっしょに音楽をするメンバーなら揃っているし」
 取り巻きのトループス、美青年を集めたバイオリニストなら、全滅させたとパラドクス通信にはあった。ある種のはったりだ。ただし、パラドクスの。
「まずは、歌劇さ!」
 デーモンの楽団員が召喚されてくる。
 オーケストラ一式なので、かなりの数だ。ヴィルジニーは海がわへと飛びすさった。
 弦楽器が低音を響かせる。
 冷桜が『だいふく』をけしかけ、槍を突きださせると、楽器も演奏者にもダメージは通らないと分かった。やがて、アムドシアスの美声がかぶさってくる。
 対抗してソレイユは、自分の音楽を奏でた。
「もう逃げられないと観念するまで追い詰めるまでです!」
 ふたりの妖精が現れ、彼女たちの織りなす波紋は、大きな波へと姿を変える。海を封じていると見せつけるのだ。無双馬のバトラが、動きを合わせてくれ、ヴィルジニーと冷桜たちも、今一度包囲を固めた。
 召喚されたデーモンは、アムドシアスに追従できるらしい。
 なおも抜け道を探ってくる。
 そのたびに、バトラは盾での押し返しを行い、槍の穂先で牽制した。
 的が大きくなってくれたのも、封鎖側には有利に働く。少なくとも、突破を見逃すことはない。無双馬の蹄から放つ電撃が、アークデーモンの歌声とぶつかりあう。
 冷桜が、待ちに待っていた通信を得た。
 追撃班が到着したのだ。
 ジェネラル級を誘導するために、一時的に距離をあけていたのである。海岸に出られたことそのものが罠だったと知ったとき、『有角公アムドシアス』の怒りは頂点に達した。
「いいじゃないか。シチリアはボクの島だ。牧場はやめて、キミたちの処刑場にしてやるよ!」
 アークデーモンは、『断頭革命グランダルメ』らしいセリフを吐く。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【パラドクス通信】がLV2になった!
【水面走行】LV1が発生!
【水中適応】LV1が発生!
【防衛ライン】がLV2になった!
効果2【命中アップ】がLV3になった!
【ダブル】LV1が発生!
【ガードアップ】LV1が発生!
【アヴォイド】がLV2になった!

レイ・シャルダン
連携・アドリブ歓迎です。

価値の無い島、そんな考えだから補足されるのですよ。
もっと…こう…、人間の立場になって考えて見てください。
そうすればきっと……んん、――ふっ…無理か。

グランダルメに来たのが運の尽きです。どうかお覚悟を。

電脳ゴーグル型デバイス『Boeotia』のテンプルをノックして起動
≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫
『Boeotia』と精神と全武装をリンクさせて
人と機械が互いを補い合い、相乗効果を発揮した人機一体の状態になります。

機械魔導群『ナノマギア』に魔力をくべ、機械魔導弓『ACRO』を形成
手に宿すは蒼き魔力の奔流、必中を誓い矢に番えパラドクスを発動
電撃戦の一矢を放ち、敵を貫きます。

反撃には超常を遮断する『アルヴァーレ』から展開される【結界術】で攻撃の緩和を行い
精神集中により抵抗を高めて精神攻撃を耐えます。

グランダルメの精鋭達を舐められちゃ困ります。
皆さん本当に優秀ですから、何処に居たって必ず補足しますよ。


白臼・早苗
アドリブ歓迎、いい感じに動かしてくれると嬉しいな

この美しい島でこれ以上勝手なことはさせないよ

似てるって言ったのは、実は外見だけの話じゃないよ
【扇がれる鸚鵡の鏡】、音楽と精神影響なら私だって得意分野
そっちの魔王の輪舞曲に合わせた歌と舞いで勝負しよう

そう、その曲は魔王を称える曲なんだよね
曲の主導を奪ってしまえば、……称えられる魔王の役は私
音楽を司る存在らしく、音楽の中で果てるまで疲弊してもらう事にするよ

……妹って言った時の反応がちょっと気になったけど、本当の妹がいたりするのかな?
クロノヴェーダにとっての家族がどんな存在に当たるのかは分からないけど、もし彼女が倒れる際に聞ける余裕があるのなら確認しておきたいね


エアハルト・ヴィオレ
愛娘のシエル(g09156)と参加しますが、アドリブ及び連携は歓迎。

この世界の者として、音楽家の一族として。人々を苦しめる為に音楽を悪用することは断じて許せません。一族の継承者たる娘シエルと共に、矜持を持って。



それともう一つ。貴女の感覚では価値がない島でしょうが、故郷の人間として我が世界を蹂躙する敵は全て倒すべき敵ですよ。あんな残虐な作戦を指揮するなら返ってくるリスクも考慮するのも必要ですので、覚悟が足りませ
ん。それ故に捕足される。

指揮官の器ではないですが、強力な将です。特に身体と精神同時にダメージを与える攻撃に対抗する為、今まで軍人の一族としてとして積み重ね、音楽の一族として洗練を重ねた【ヴィオレ流戦術】を駆使してシエルの【歌唱】を支えに【忍耐力】【精神集中】でダメージに耐え斬ります。

愛娘の前で歪んだ音楽に屈する訳にはいきません。正当なあり方である音楽のあり方を示さねば。シエルと一緒なら対抗できますね。追撃にシエルの銃での射撃に合わせ、近接での剣にて斬りつけます。


シエル・ヴィオレ
父のエアハルト(g03594)と参加しますが、アドリブ・連携歓迎

目の前にいるのがアムドシアス。他世界から流れ着いた身分で我が故郷を酷すぎるやり方で蹂躙し、人々を勇気づける音楽を苦しめる道具として悪用するとは音楽の一族の後継者として存在すら許容できませんね。ええ、強い誇りを持ってお父様と挑みます。

我が故郷を蹂躙すべき輩は全て討伐します。シチリアは私達人間にとっては素敵な風景が育まれた土地ですので。あんなやり方をすれば目をつけられま
す。詰めが甘いですね。それ故に補足されるのは当たり前ですよ。

指揮官には向いていませんが、身体と精神ともに同時にダメージを与える技は極めて強力です。お父様としっかり連携する必要が。

軍人として積み重ね、音楽の一族としての知恵を結集した【叡智の知恵】を駆使して【精神集中】でダメージに耐え切り、お父様から教えていただいた歌を【歌唱】してお父様を援護。

音楽一族の継承者として、共にお父様と心合わせて歪んだ音楽に対抗します。お父様の剣での斬り付けの援護として銃で射撃を。


菅原・小梅
※宿敵主
【奴崎組】

組長(g01933)と息を合わせて連携を意識した、美しく音色を奏でるかのような【天神刀法『風月無辺』】による鋼の剣戟を以て楽曲の音色を相殺しつつ、詰め将棋の様に、焦燥感を煽り徐々にアムドシアスを追い詰めていきましょう。
呼吸が上がり彼女の余裕が無くなってきたら敢えて刀を下げて
音楽好きの彼女のプライドを打ち砕く様に告げましょう。勿論、策略ですのでその際にはこっそりと仲間にハンドサインを送りますよ。

無理に腹を括った振りなどせずに逃げても良いんですよ?
楽器の扱いや歌い方、知識さえも上の私には敵わなくて当然ですし(ニヤリ)
どや顔で挑発し、不意打ちするための隙を作りますよ。
激昂された場合に備えて攻撃をいなす心構えはしておきましょう。

歌い手は兎も角、貴女には指揮者は向いてませんでしたね。存分に歌ってくれたことは記憶と記録に残して置きましょう。
失敗こそ重ねてましたが曲の方は「いとおかし」と呼ぶに相応しかったですよ(鼻歌を歌いながら)

組長…キメ顔してないで帰ったら報告書を書いて下さいね?


ソレイユ・クラーヴィア
連携アドリブ歓迎

牧場も処刑場も、グランダルメには不要です
遥々、来訪されたのですから、ディアボロス流のもてなしを味わって行ってください

宙に展開した鍵盤で「福音」を演奏
聖なる光は剣となりて、邪悪を貫きます
アムドシアスを追尾するように、ダメージアップと命中アップの加護を載せた光の剣を次々と飛ばし
避けようとするなら意図的に回避方向を誘導して仲間の射線へと誘導します

再度の逃走を企てぬように、仲間と包囲するように布陣
同時に多方向から攻撃できるよう、攻撃の機を合わせ
注意を散らすことで、一点集中からの突破の芽を摘みます
負傷の深い仲間にはディフェンスに入り
できるだけ負担を分担しつつ、追い詰めていきましょう

反撃にはガードアップを纏う魔力障壁を展開して凌ぎます
私も音楽家ですから、奏でられる華々しい楽曲には心惹かれぬ訳ではありません
それも美しいと、認めましょう
しかし私の方がより美しく演奏してみせます!
音楽家の意地をかけて、より演奏に集中し、指の動く限り福音の光を喚び続けましょう

これが貴方への葬送曲
ご堪能ください


奴崎・娑婆蔵
【奴崎組】
菅原のお嬢(g00596)が敵方の楽曲の音色を斬って落とし、加えて心を折って砕きに行かれるッてんなら、あっしの仕事は分かり切っておりやすぜ
即ち――アレを、叩ッ斬る
悪魔殺しの策の〆、その務め、しかと果たして見せやしょうとも

『トンカラ刀』を鞘中に納めたままの居合腰にて、菅原のお嬢の後ろで待機
彼女のハンドサインに全幅の信頼を置き、ゴーを見次第動き出しやすぜ――時遡十二氏抜刀術外伝【殺人技芸「抜刀術・罪咎百八」】!
こいつはまだ剣を抜いてもいねえ所から、都合108通りの『斬るイメージ』を叩き付け取り囲む技
プライドにヒビを入れられた直後の精神への責めはさぞや効きやしょう?
その『イメージ』で翻弄を試みた後に接近、抜刀
今度はイメージではなく実際の斬撃、本命の居合斬りを見舞うってェ寸法よ

手前、姓は奴崎名は娑婆蔵
人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』
八ツ裂きにしてやりまさァ、大悪魔の君


――よう、菅原のお嬢?
この技をあっしに伝授下すった宅の姉貴分にゃよろしくお伝え下せえよ
『達者な手際であった』ってなァ、カハハ


エトヴァ・ヒンメルグリッツァ
連携アドリブ歓迎

シチリアの街で……
支配に屈せず、誰かのためにと歌っていた少年を思い出すよ
貴女は随分と、シチリア島の人々に迷惑をかけたものだ
アークデーモンにしては、マシなやり方だったが……このまま放っておけばさらに酷くなっただろう
年貢の納め時だ、アムドシアス

戦況と敵の動きを観察しつつ把握
囲い込むように布陣
Seraphim(チェロ)を演奏し、PD攻撃
奏でるは天上の音色、美しき讃美歌の旋律
魔王の闇が霞むほどに降り注ぐ光の音色
音色で捉え、音色の世界観に惹き込んでいく
味方の攻撃の合間を埋め、隙を看破し畳みかけよう

敵の攻撃に対しては、魔力障壁で精神攻撃の影響を和らげつつ
己の演奏で対抗
音色に集中し、惑わされず、演奏で描く情景に魅入るよう誘う

音楽を奏でる者ならば、淫魔もアークデーモンもないのかもしれないな
敵の技ながら演奏は楽しみだが、聴き入る訳にもいくまい
こちらへ耳を澄ましてもらおうか

音色はきっと人々を幸せにするものだから
人々を悲しませるような音楽はここまでだ
シチリア島の平和を取り戻そう


呉守・晶
アドリブ&連携歓迎

ったく、グランダルメにこうもお似合いなジェネラル級アークデーモンが漂着するとはな
見た目からして淫魔と殆ど区別も付かねぇしよ
それとこれは単純に興味本位で聞くがお前のことはTOKYOエゼキエル戦争では見たことも聞いたこともなかったぜ、東京では誰の配下でなにをしてたんだ?
まぁなんにせよ、テメェの命運は此処で尽きる。俺達が終わらせるからな!

チッ!本当に淫魔みてぇなパラドクス使いやがって!
だが、俺達が今更こんなもんで惑わされるとでも思ってやがるのか!
精神にダメージ与えてくる歌劇に耐えつつ突っ込むぞ!でもって、魔晶剣アークイーターで邪魔な楽団員のアークデーモン達を斬り払いつつアムドシアスを間合いに捉えてやる
アムドシアスの近くまで来たら魔晶剣アークイーターの封印を一部解除して刀身を淡い光の集合体に変異させて、淡い光の刀身を持つ大鎌になったアークイーターで叩き斬る!
お前が精神を攻撃するなら、俺は肉体を傷つけずに魂だけを刈り取ってやるよ!
これがサリエルの大鎌だ!刈り取れ、アークイーター!


ヴィルジニー・フラムヴェールト
逃走阻止はうまく行ったわね
国を越えてまで、ディアボロスに仇なそうだなんて、まるでキマイラウィッチのようだけれど……
あなたの悪事はここまでよ

アムドシアスを囲い込みましょう
【パラドクス通信】で連携を取りながら、他のディアボロスを援護するように戦うわ
十字剣≪le Rosaire d'Émeraudes≫に奇蹟の炎を纏い、剣を振るって放つわね
炎で身動きを封じたり、構えを崩させたりするわね
オーケストラの指揮は集中が必要じゃないかしら
攻撃を続けて、戦闘を妨害するわ
もし逃げようとする素振りがあれば、【防衛ライン】で阻止しましょう

魔王を称える曲を奏でられたら、わたしは神へ祈りを捧げて対抗するわ
悪しき者は光に包まれて去るのだから
華々しい音楽にも、思想がなくてはね

ここで計画はおしまい
シチリアはあなたの島ではないわ
人々の手へ返してもらうわね

アドリブ連携歓迎よ


「シチリアの街で……」
 岩塊の上に立つ、エトヴァ・ヒンメルグリッツァ(韜晦のヘレーティカ・g05705)。
「支配に屈せず、誰かのためにと歌っていた少年を思い出すよ。貴女は随分と、シチリア島の人々に迷惑をかけたものだ。アークデーモンにしては、マシなやり方だったが……このまま放っておけばさらに酷くなっただろう。年貢の納め時だ、アムドシアス」
 追撃班の面々が、敵の動きに注意しながら、囲い込むように布陣する。
「この美しい島でこれ以上勝手なことはさせないよ」
 両手を広げた白臼・早苗(深潭のアムネジェ・g00188)が、その場でくるりと回ってみせた。エアハルト・ヴィオレ(天籟のエヴァンジル・g03594)は、娘のシエル・ヴィオレ(神籟のプリエール・g09156)を伴っている。
「人々を苦しめる為に音楽を悪用することは断じて許せません。貴女の感覚では価値がない島でしょうが、故郷の人間として我が世界を蹂躙する存在は全て倒すべき敵ですよ」
「目の前にいるのがジェネラル級……」
 一族の継承者たるシエルは、最初は息をのんでいたものの。
「シチリアは私達人間にとっては素敵な風景が育まれた土地ですので。あんなやり方をすれば目をつけられます。詰めが甘いですね。それ故に補足されるのは当たり前です」
 『叡智の魔法銃』を構え、『有角公アムドシアス』に狙いをつけた。標的の彼女は、眉間にしわを寄せたまま肩をすくめる。
「はぁん。故郷とか、自分の世界とか。いまはナポレオン陛下のものなんじゃないの? それとも、ボクが知らないディアボロスの嗅ぎ付け方があるのかなぁ?」
「価値の無い島、そんな考えだから補足されるのですよ」
 レイ・シャルダン(SKYRAIDER・g00999)は、電脳ゴーグル型デバイス『Boeotia』のテンプルをノックして起動させる。
「もっと……こう……、人間の立場になって考えて見てください。そうすればきっと……んん、――ふっ……無理か」
 諦め顔にかかったデバイスに、『≪ - 人機接続:Lynx of Boeotia - ≫』が標示される。
 『Boeotia』と精神と全武装がリンクされた。今のレイは、機械と一体。
「グランダルメに来たのが運の尽きです。どうかお覚悟を」
「ったく、こうもディヴィジョンにお似合いなジェネラル級アークデーモンが漂着するとはな。見た目からして淫魔と殆ど区別も付かねぇしよ」
 呉守・晶(TSデーモン・g04119)は、魔晶剣を構える。レイとともに、援軍として包囲に加わった。
「国を越えてまで、ディアボロスに仇なそうだなんて、そこはむしろキマイラウィッチのようだけれど……」
 退路遮断で動いていた、ヴィルジニー・フラムヴェールト(緑焔の奇蹟・g09648)が合流する。
「あなたの悪事はここまでよ。……逃走阻止はうまくいったわね、ソレイユさん」
「ええ。シチリア島だけでなく、牧場も処刑場も、グランダルメには不要です。遥々、来訪されたのですから、ディアボロス流のもてなしを味わって行ってください」
 宙に展開した鍵盤に、指を置くソレイユ・クラーヴィア(幻想ピアノ協奏曲第XX番・g06482)。
 沖のほうでも封鎖を続けるディアボロスが、そして外から二重に取り囲む者もいる。菅原・小梅(紅姫・g00596)は、そうした任につく仲間へ頭を下げた。
「皆様、足止め役をありがとうございました。……組長」
「菅原のお嬢。あっしの仕事は分かり切っておりやすぜ。即ち――アレを、叩ッ斬る。悪魔殺しの策の〆、その務め、しかと果たして見せやしょうとも」
 奴崎・娑婆蔵(月下の剣鬼・g01933)は、小梅のうしろに控える恰好をとった。
 そのお嬢さんは、大太刀『月下残滓』を構える。凛とした刃が、美しい音色を放っているかのようだ。『天神刀法『風月無辺』(テンジントウホウ・フウゲツムヘン)』は、その音色にのって流麗なる剣技で敵の肉体と魂を斬り裂く。
 血が飛んだが、アムドシアスはもう、逃げ道を探してはいない。囲みは厳重、スッと背筋を伸ばすと、華奢な指を振る。
「『魔王の輪舞曲』!」
 召喚されたデーモンが、いっせいに楽器を奏ではじめた。
 音響の圧力に、波さえも押し返されそうだ。歴史上類を見ない魔王を称える華々しい楽曲で、聴く者の魂を揺さぶる。
「愛娘の前で歪んだ音楽に屈する訳にはいきません」
 エアハルトは、『ヴィオレ流戦術』を紐解き、『信念の剣』を振るう。正当な音楽のあり方を示さねば、と。
「お父様……!」
 『叡智の知恵』が、魔法銃に標的を与えた。シエルの射撃に合わせ、近接での切っ先が、ジェネラル級を斬りつけた。
「くッ、ボクは参らないよ。キミには、せっかく連れて行こうとしたメンバーを、殺された怨みもある。先に魂を破壊されたまえ!」
「ああ、シエルよ。このアヴァタール級は指揮官の器ではなかっただろう。しかし」
 デーモン楽団員に混じり、演奏される輪舞曲からくる精神的ダメージは極めて強力だ。
「我が一族の軍人としての積み重ね、音楽家としての洗練を駆使する」
「はい、連携をしっかりとって、お父様についていきます!」
 親子の魂が抗うなか、輪舞曲に合わせて踊る早苗。
「そう、その曲は魔王を称える曲なんだよね。……似てるって言ったのは、実は外見だけの話じゃないよ」
 音楽と精神影響ならば、得意分野だ。
「曲の主導を奪ってしまえば、……称えられる魔王の役は私」
 『扇がれる鸚鵡の鏡』、アークデーモンの音楽性を写し取って、返す。
「私も音楽家ですから、奏でられる華々しい楽曲には心惹かれぬ訳ではありません」
 鍵盤を操るソレイユは、重ねた防御上昇と、魔力障壁の展開で凌いでいる。その上で、旋律は合わせた。早苗が踊り易くするために。
「いいね、ソレイユさん。あっちの魔王の輪舞曲に合わせた歌と舞いで勝負しよう」
「ええ、アークデーモンにしては美しいと、認めましょう。しかし、私の方がより美しく演奏してみせます!」
 当方の損害は、ソレイユが旋律を誘導して代わりに受けた。いわば、音のディフェンスだ。
 できるだけ負担を分担しつつ、敵には音楽の中で果てるまで疲弊してもらう。音楽家の意地をかけ、より演奏に集中し、指の動く限り福音の光を喚び続ける。
 魔王から、『幻想ロンド「福音」(ラ・カンパネッラ)』へと、音を動かした。
「聖なる光は剣となりて、邪悪を貫きます。『光あれ、恵みあれ』!」
 破壊力を増し、命中率をあげた光の剣が、鐘の音にあわせて無数に飛ぶ。悪しき者、アークデーモンを貫くだろう。
「ボ、ボクの演奏を乗っ取られた?!」
 アムドシアスはかわしたが、燕尾服の裾がズタズタになる。
「『幸いあれ』!」
 ソレイユの声に、光の剣は意図的に回避方向を誘導し、仲間の射線へと誘導する。そこには、エトヴァがいた。
 彼も『Seraphim(チェロ)』を演奏している。
 飛来する剣に翻弄される隙をつき、音楽のパラドクスで畳みかける。『魔王』に対しては、やはり魔力障壁を張り、精神攻撃の影響を和らげつつ、己の演奏で抗う。
「わたしは神へ祈りを捧げるわ」
 皆が、音楽を使うわけではない。ヴィルジニーの魔王への対抗は、祈り。しかしながら、エトヴァの『Paradiesmelodie(パラディースメロディー)』は、激しいながらも天上の音色、美しき讃美歌の旋律だ。
 ふたりのイメージする情景が合致し、侵略者の主義主張を溶かしていく。
「うぐっ、ディアボロスに聴かせるはずなのに、ボクが惑わされるなんて……!」
「敵の技ながら演奏は楽しみだが、聴き入る訳にもいくまい。こちらへ耳を澄ましてもらおうか」
「悪しき者は光に包まれて去るのです」
 魔王の闇が霞むほどに降り注ぐ光の音色をエトヴァがつくり、ヴィルジニーの世界観に惹き込んでいく。
「華々しい音楽にも、思想がなくてはね」
「敵が聴く力がもっていたから、この攻撃は成立した。音楽を奏でる者ならば、淫魔もアークデーモンもないのかもしれないな」
 エトヴァは涼しい表情でウインクしてみせたが、顔にやつれが出ている。
 相殺しつつも、ジェネラル級に魂を削られていたのだ。ヴィルジニーは、自身も攻撃に加わろうと、『十字剣≪le Rosaire d'Émeraudes≫』に、奇蹟の炎を纏わせた。
 そのあたりから、デーモン楽団の曲調が変わってくる。レイの姿勢が不安定だ。『魔神の交響曲』に影響されている。
 十字剣が振るわれた。
 纏った炎が放たれる。『Feu d'Émeraude(フ・デムロッドゥ)』はエメラルド色に輝いて、燃え移ったアムドシアスの動きを封じた。
「オーケストラの指揮は集中が必要じゃないかしら!」
 妨害はしたが、禍々しい楽曲は続いている。
 価値観を塗り替えるほどの刺激的な曲調が、人機の一体性を揺さぶっているようだ。ゴーグルデバイスの表示が乱れている。
「『アルヴァーレ』……展開……結界を」
 レイも制御を取り戻そうと必死だ。ヴィルジニーは、炎を撃ち続けて、楽団の演奏をさらに妨害する。
「叩き斬ってやる! 第五封印解除。変異開始!」
 晶が駆け付け、『魔晶剣アークイーター』の封印を一部解除した。
 刀身を淡い光の集合体に変異させ、その光は大鎌の形状へと変化する。ようやくレイのデバイスに、正常なデータが流れだした。
 機械魔導群『ナノマギア』に魔力をくべ、機械魔導弓『ACRO』に形成される。
 姿を変えた武器を手に、晶とレイが連続攻撃を仕掛ける。
「チッ!本当に淫魔みてぇなパラドクス使いやがって!」
「手に宿すは蒼き魔力の奔流!」
 まずは、『人機一体:電撃戦の一矢(ブリッツディゾルバー)』。レイは必中を誓い、矢に番えて放つ。
 交響曲の影響は去った。敵への最適な攻撃航路を算術できている。矢は、フォトンエネルギーと魔力を混ぜ合わせて形成したものだ。楽団の中央にいるアークデーモンの左胸を、正確に射抜いた。
「あぐぅ、くはっ!」
 有角公アムドシアスの白いブラウスに、真っ赤な血が吐かれる。
「お前が精神を攻撃するなら、俺は肉体を傷つけずに魂だけを刈り取ってやるよ!」
 晶が突っ込んできた。
 大鎌型のアークイーターで、邪魔に思った楽団員を斬り払いつつだ。この召喚存在にダメージは無関係だが、晶の勢いの前では、それこそ関係ない。
「これがサリエルの大鎌だ! 刈り取れ、アークイーター!」
 形状に由来するように、淡い光の刃がジェネラル級をすり抜けた。魂を傷つけたのだ。
「うう……。悪魔の歌劇を聞……け……」
 吐血まじりの、それでいて恐ろしい美声が、晶を襲う。
「俺達が今更こんなもんで惑わされるとでも思ってやがるのか!」
 そう叫んで二撃目を振るおうとしたまま、大鎌が止まった。
 細い指が、レイにうたれた電撃の矢を握り、自分の胸から引き抜いて霧散させる。術を維持できないのか、召喚されていた楽団員の数が減ってきた。
 小梅の刀は美しい音色で攻撃していたが、アムドシアスの余裕が無くなってきたのを見て、敢えてその刀を下げる。
「無理に腹を括った振りなどせずに逃げても良いんですよ?」
 音楽好きのアークデーモンのプライドを打ち砕く、小梅の策略。こっそりとハンドサインを仲間に送って、その旨を伝えてある。
「楽器の扱いや歌い方、知識さえも上の私には敵わなくて当然ですし♪」
 どや顔で挑発し、不意打ちするための隙を作った。
「歌い手は兎も角、貴女には『指揮者』は向いてませんでしたね。存分に歌ってくれたことは記憶と記録に残して置きましょう。失敗こそ重ねてましたが曲の方は『いとおかし』と呼ぶに相応しかったですよ」
 輪舞曲や交響曲の旋律を、真似して鼻歌にさえする。
 ギリっと歯ぎしりが、有角公の口元から漏れる。小梅は、背後の娑婆蔵にサインを送った。
「時遡十二氏抜刀術外伝『殺人技芸「抜刀術・罪咎百八」(バットウジュツ・ソノツミトガヒャクヲコエ)』!」
 組長はお嬢に全幅の信頼を置いている。
 合図を見次第、すぐさま動いた。
(「こいつはまだ剣を抜いてもいねえ所から、都合108通りの『斬るイメージ』を叩き付け取り囲む技。プライドにヒビを入れられた直後の精神への責めはさぞや効きやしょう?」)
 そして、百八に紛れて、ディアボロスの技も繰り出される。
 エアハルトの剣にシエルは。
(「共にお父様と心合わせて歪んだ音楽に対抗します。お父様の剣での斬り付けの援護として銃で射撃を」)
 舞う、早苗。
(「……妹って言った時の反応がちょっと気になったけど、本当の妹がいたりするのかな?」)
 ソレイユの鍵盤に、エトヴァのチェロ。
「貴方への葬送曲、ご堪能ください」
「音色はきっと人々を幸せにするものだから。人々を悲しませるような音楽はここまでだ。シチリア島の平和を取り戻そう」
 ヴィルジニーの十字剣からは、エメラルド色の炎が吹き出される。
「ここで計画はおしまい。シチリアはあなたの島ではないわ。人々の手へ返してもらうわね」
 レイのフォトンエネルギーの矢が、幾本も突き立った。
「グランダルメの精鋭達を舐められちゃ困ります。皆さん本当に優秀ですから、何処に居たって必ず補足しますよ」
 晶の腕が、再び力を取り戻した。
「テメェの命運は此処で尽きる。俺達が終わらせるからな!」
「手前、姓は奴崎、名は娑婆蔵。人呼んで『八ツ裂き娑婆蔵』。八ツ裂きにしてやりまさァ、大悪魔の君」
 虚実が入り乱れて翻弄させたのち、娑婆蔵はやっと抜刀した。
 今度はイメージではなく実際の斬撃。
「本命の居合斬りを見舞うってェ寸法よ」
「ボ、ボクはキミたちになにか、騙されていたのかもな……」
 胸元を押さえて、『有角公アムドシアス』はうずくまった。
 楽団員の姿は薄くなっていき、海岸の岩場でアークデーモンはひとりになる。命が尽きるまではあとわずか。誰の目にもあきらかだった。
「これは単純に興味本位で聞くが……」
 晶が見下ろして言った。
「お前のことはTOKYOエゼキエル戦争では見たことも聞いたこともなかったぜ、東京では誰の配下でなにをしてたんだ?」
「……も、もうその手は喰わないよ。フフ、何も聞けなくて悔しいか、ディアボロス」
 伏せた顔が、無理に笑っている。
「じゃ、じゃあっ」
 早苗が、丸まった背中に手をやる。
「本当の妹がいたとか?」
 クロノヴェーダにとっての家族がどんな存在に当たるのかは分からない。だが、なぜだか聞かずにはおれなかった。
「ほら、またキミたちのウソだ。まったく、これだから大人しくしていたはずだったの……に……」
 立ち上がった早苗は、首を振る。
「最期まで、被害者意識の強い人だったね」
「残虐な作戦を指揮するような蹂躙者です。諭せるはずもないのはわかっていますが」
 エアハルトはそう言って、娘の肩に手を置いた。それぞれの頷きかたをするディアボロスたち。
 黙っている小梅に。
「――よう、菅原のお嬢?」
 娑婆蔵が声をかける。
「さっきの技をあっしに伝授下すった宅の姉貴分にゃよろしくお伝え下せえよ。『達者な手際であった』ってなァ、カハハ」
「組長……キメ顔してないで帰ったら報告書を書いて下さいね?」
 シチリアの指揮官は倒されたのだ。また次の戦いに備えて、ディヴィジョンをあとにする。
大成功🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
効果1【防空体制】LV1が発生!
【液体錬成】LV2が発生!
【書物解読】LV1が発生!
【修復加速】LV1が発生!
【未来予測】LV1が発生!
【アイテムポケット】LV1が発生!
【プラチナチケット】がLV3になった!
【パラドクス通信】がLV3になった!
効果2【命中アップ】がLV5(最大)になった!
【フィニッシュ】がLV3(最大)になった!
【能力値アップ】がLV2になった!
【ドレイン】LV1が発生!
【ダメージアップ】がLV3になった!
【リザレクション】LV1が発生!

最終結果:成功

完成日2023年12月11日
宿敵 『有角公アムドシアス』を撃破!